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絵あわせ百人一首「難波江の…」

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百人一首「難波江の…」作／皇嘉門院別当

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【】 絵あわせ百人一首「難波江の…」 難波江(なにわえ)のあしのかりねの一夜(ひとよ)ゆゑ(え)みをつくしてや恋(こ)ひ(い)わたるべき【百人一首解説】「難波の入江に生えている蘆の、根っこを刈り取った一節のように旅先で短い一夜を過ごしたために、命をかけてあなたを恋し続けるのでしょうか」と、一夜きりだったはずが、本気の恋になってしまったつらさと切なさを歌った歌。「かりね」とは、「刈り根」と「仮寝」の掛詞です。

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絵あわせ百人一首「かささぎの…」

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百人一首「かささぎの…」作／中納言家持

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【】 絵あわせ百人一首「かささぎの…」 かささぎの渡(わた)せる橋(はし)におく霜(しも)のしろきを見(み)れば夜(よ)ぞふけにける【百人一首解説】「かささぎが天の川にかけたという橋のあたりも白く、宮中の階段にも霜がおりて真っ白になっているのを見ると、夜がずいぶん更けてしまったことがわかるなぁ」という意味。現実の御階（階段）を七夕の天の川の橋になぞらえることで、夢と現を同時に表現したところがこの歌の妙味です。

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絵あわせ百人一首「田子の浦に…」

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百人一首「田子の浦に…」作／山部赤人

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【】 絵あわせ百人一首「田子の浦に…」 田子(たご)の浦(うら)に打(うち)出(い)でてみれば白妙(しろたえ)のふじの高嶺(たかね)に雪(ゆき)は降(ふ)りつつ【百人一首解説】「田子の浦の、ながめのいい場所に出てみたら、富士山の高いところに真っ白く雪が降り続いているのが見えるなぁ」という意味。原歌は『万葉集』の「田子の浦ゆうち出でて見れば真白にぞふじの高嶺に雪は降りける」。百人一首では雪が降り続く様子、『万葉集』では雪が降り積もる感動を歌っています。

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絵あわせ百人一首「君がため…」

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百人一首「君がため…」作／光孝天皇

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【】 絵あわせ百人一首「君がため…」 君(きみ)がため春(はる)の野(の)に出(い)でて若菜(わかな)つむわが衣手(ころもで)に雪(ゆき)は降(ふ)りつつ【百人一首解説】「あなたにさしあげるために、春の野に出て若菜を摘んでいる私の袖には、雪が降り続いています」という意味。恋しい人への真心を歌っています。真っ白な雪と芽吹いたばかりの緑の対比が美しい歌です。ここでの「若菜」とは春の七草のこと。これを食すことで邪気を払うといわれていました。

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絵あわせ百人一首「誰をかも…」

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百人一首「誰をかも…」作／藤原興風

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【】 絵あわせ百人一首「誰をかも…」 誰(たれ)をかも知(し)る人(ひと)にせむ(ん)高砂(たかさご)の松(まつ)も昔(むかし)の友(とも)ならなくに【百人一首解説】「誰を友だちにすればいいのだろう。高砂の松も、昔からの友だちではないのに」と、周りの人が亡くなって一人残った寂しさを歌っています。長寿の木として有名な松は残っているけれど、友として心を通わせるものではありません。しみじみと人生に思いを馳せるのは、長生きしたからこそです。

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絵あわせ百人一首「世の中は…」

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百人一首「世の中は…」作／鎌倉右大臣

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【】 絵あわせ百人一首「世の中は…」 世(よ)の中(なか)は常(つね)にもがもな渚(なぎさ)こぐ海士(あま)の小舟(をぶね)の綱手(つなで)かなしも【百人一首解説】「世の中は無常だが、変わらないままであってほしい。広い海の波打ち際で漕ぐ漁師の小舟が綱を引く様子は、しみじみとしていて趣深いなぁ」という意味。作者は源実朝、鎌倉幕府の三代将軍です。時代の波にのまれ、後に暗殺されることになる実朝は、大海の小さな舟に心を寄せたのです。

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絵あわせ百人一首「ながらへば…」

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百人一首「ながらへば…」作／藤原清輔朝臣

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【】 絵あわせ百人一首「ながらへば…」 ながらへ(え)ばまた此(こ)の頃(ごろ)やしのばれむ(ん)憂(う)しと見(み)し世(よ)ぞ今(いま)は恋(こい)しき【百人一首解説】「もし長く生きていたら、今のつらいこともまた懐かしく思い出されるだろうか。この世がつらいと思った昔が、今となっては懐かしく感じるのだから」という意味。時間が解決してくれると思うことは、つらいことの多かった当時の人たちにとって、ささやかな慰めでもあったでしょう。

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絵あわせ百人一首「みかの原…」

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百人一首「みかの原…」作／中納言兼輔

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【】 絵あわせ百人一首「みかの原…」 みかの原(はら)わきて流(なが)るる泉川(いづみがわ)いつみきとてか恋(こい)しかるらむ(ん)【百人一首解説】「みかの原を分けて、湧いて流れるいづみ川の『いつみ』という言葉のように、あなたをいつ見てこんなに恋しい思いが湧きあがったのでしょうか」という意味。「わき」は「分きて（分けて）」と「湧きて（湧いて）」の掛詞。会ったことはなくても、歌の上手さや評判で相手に恋をすることもあったのです。

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絵あわせ百人一首「思ひわび…」

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百人一首「思ひわび…」作／道因法師

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【】 絵あわせ百人一首「思ひわび…」 思(おも)ひ(い)わびさても命(いのち)はあるものを憂(う)きに堪(た)へ(え)ぬは涙(なみだ)なりけり【百人一首解説】「冷たいあなたを思って嘆いていても、それでも命は続いているのに、つらさに耐えきれず涙が止まりません」という意味。死んでしまうと思うほどつらかったのに、なんとか命を保っている。でも、あなたに冷たくされて流れる涙は止められない。理性では抑えられない悲しみを歌っています。

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絵あわせ百人一首「百敷や…」

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百人一首「百敷や…」作／順徳院

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【】 絵あわせ百人一首「百敷や…」 百敷(ももしき)や古(ふる)き軒端(のきば)のしのぶにもなほ(お)あまりある昔(むかし)なりけり【百人一首解説】「宮中の、古くなって荒れ果てた軒端に生えているしのぶ草を見ると、偲んでも偲びきれないくらい昔のいい時代を思い出すなぁ」という意味。「しのぶ」は「忍ぶ草」と「偲ぶ（懐かしく慕う）」の掛詞です。作者は承久の乱によって島流しにあった人。過去の栄華を懐かしんでいるのです。

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絵あわせ百人一首「有明の…」

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百人一首「有明の…」作／壬生忠岑

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【】 絵あわせ百人一首「有明の…」 有明(ありあけ)のつれなく見(み)えし別(わか)れより暁(あかつき)ばかり憂(う)きものはなし【百人一首解説】「有明の月が、夜が明けてもそしらぬふりをして空に残っていたときのあなたとのつらい別れ以来、夜明け前の時間がとても悲しくなった」という意味。「つれなし」は月と相手の女性、両方のことという説もあります。夜明けになっても平然と空にある月を見て、「平気な顔をしている」と感じたのです。

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絵あわせ百人一首「高砂の…」

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百人一首「高砂の…」作／前権中納言匡房　

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【】 絵あわせ百人一首「高砂の…」 高砂(たかさご)の尾(お)の上(え)の桜(さくら) 咲(さ)きにけり外(と)山(やま)の霞(かすみ)立(た)たずもあらなむ(ん)【百人一首解説】「高い山の峰に桜が咲いたなぁ。里に近い山の霞よ、どうか出てこないで。桜が見えなくなってしまうから」という歌。桜の美しさを直接的に表現するのではなく、「桜を隠さないで」と願うことで、間接的に表現しています。壮大で広がりのある「たけ高き歌」といわれています。

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絵あわせ百人一首「花さそふ…」

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百人一首「花さそふ…」作／入道前太政大臣

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【】 絵あわせ百人一首「花さそふ…」 花(はな)さそふ(う)あらしの庭(にわ)の雪(ゆき)ならでふりゆくものは我（わ）が身(み)なりけり【百人一首解説】「桜の花を誘って吹く嵐が、花びらで庭を雪のように白くしている。降っているのは花びらだが、本当に古びていくのは私なのだなぁ」という歌。「ふり」は「降り」と「古り（古くなる）」の掛詞。栄華をきわめた作者の老いの悲しみを、華やかに咲いた桜の散り際になぞらえています。

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絵あわせ百人一首「御垣守…」

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百人一首「御垣守…」作／大中臣能宣朝臣

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【】 絵あわせ百人一首「御垣守…」 御垣(みかき)守(もり)衛(え)士(じ)のたく火(ひ)の夜(よる)はもえ昼(ひる)は消(き)えつつものをこそ思(おも)へ（え）【百人一首解説】「宮中の門を守る兵士のたくかがり火が、夜には燃えて昼には消えるように、夜は恋心に燃え、昼は消え入るようにもの思いをしています」という歌。「もの思い」は恋に思い悩むこと。好きな人に会える夜は燃え上がり、会えない昼間は沈み込む。一日中恋わずらいをしているのです。

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絵あわせ百人一首「諸共に…」

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百人一首「諸共に…」作／前大僧正行尊

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【】 絵あわせ百人一首「諸共に…」 諸共（もろとも）にあは(わ)れと思(おも)へ(え)山(やま)ざくら花(はな)よりほかに知(し)る人(ひと)もなし【百人一首解説】「私がお前をしみじみと懐かしく思うように、お前も私のことを思っておくれ、山桜よ。こんな山奥では、お前しかいないのだから」という歌。孤独な修行で出会った山桜に自身を重ね、思わず呼びかけたのです。桜の美しさが、生きることへの前向きな気持ちを呼び起こしてくれました。

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絵あわせ百人一首「心にも…」

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百人一首「心にも …」作／ 三条院

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【】 絵あわせ百人一首「心にも…」 心(こころ)にもあらで浮（うき）世(よ)にながらへ(え)ば恋(こい)しかるべき夜(よ)半(わ)の月(つき)かな【百人一首解説】「長生きしたいわけではないが、このつらい世で生きながらえてしまったら、きっと今夜の美しい月を恋しく思い出すだろう」という歌。作者は失明の危機にあり、天皇の座をおびやかされていました。地位をゆずる決意をしたことが、この歌の背景にあるとされています。

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絵あわせ百人一首「かくとだに…」

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百人一首「かくとだに…」作／藤原実方朝臣

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【】 絵あわせ百人一首「かくとだに…」 かくとだにえやはいぶきのさしも草(ぐさ)さしも知(し)らじなもゆる思(おも)ひ(い)を【百人一首解説】「こんなにも思っているのに。伊吹山のさしも草のように燃える私の思いがそれほどまでに強いとは、あなたは知らないでしょう」という歌。さしも草はお灸に使う蓬のことで「燃ゆる」につながり、「思ひ」には「火」の意味が掛かっています。「さしも」の連続にも、技巧が冴えます。

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絵あわせ百人一首「これや此の…」

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百人一首「これや此の…」作／蝉丸

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【】 絵あわせ百人一首「これや此の…」 これや此（こ）の行(ゆ)くも帰(かえ)るも別(わ)かれては知(し)るも知(し)らぬも逢坂(おうさか)の関(せき)【百人一首解説】「これがあの有名な、都から出る人も都に戻る人もここで別れて、知っている人も知らない人も出会う逢坂の関なんだなぁ」という歌。人生は出会いと別れの繰り返し、というはかなさをうたっています。蝉丸は出家していませんが「坊主めくり」では「坊主」とされることもあります。

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絵あわせ百人一首「難波潟…」

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百人一首「難波潟…」作／伊勢

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【】 絵あわせ百人一首「難波潟…」 難波(なにわ)潟(がた)短(みじか)き葦(あし)のふしのまもあは(わ)で此（こ）の世(よ)をすぐしてよとや【百人一首解説】「難波の海の入江に生える蘆の、節と節の間ほどの短い時間さえ、あなたに逢えずに過ごせと言うのですか？」という歌。海、入江の蘆、蘆の節と、遠くから近くへと順に視点を移し、最後に「過ぐしてよとや」と強い言葉でピシッと締める。激しい愛情と作者の才能が感じられます。

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絵あわせ百人一首「音に聞く…」

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百人一首「音に聞く…」作／祐子内親王家紀伊

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【】 絵あわせ百人一首「音に聞く…」 音(おと)に聞(き)く高師(たかし)の浜(はま)のあだ浪(なみ)はかけじや袖(そで)のぬれもこそすれ【百人一首解説】「うわさに聞く、高師の浜のいたずらな波のように浮気で有名なあなたの言葉は心にかけません。うっかり心にかけたら、泣くことになりますから」という歌。男性からの歌に女性が返歌を作る、宮廷の遊びの中で生まれた歌。相手の言葉を用いて巧みに切り返す、一枚上手の返歌です。

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絵あわせ百人一首「あらざらむ…」

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百人一首「あらざらむ…」作／和泉式部

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【】 絵あわせ百人一首「あらざらむ…」 あらざらむ(ん)此（こ）の世(よ)のほかの思(おも)ひ(い)出(で)に今(いま)一（ひと）たびの逢(あ)ふ(う)こともがな【百人一首解説】「私はもうすぐ死んでしまうでしょう。あの世への思い出として、もう一度あなたに逢いたい」という歌。恋多き女性であった作者は、情熱と哀感に満ちた歌を詠む恋愛歌人として、今でも人気があります。命の終わりを覚悟しつつも、冷めることのない愛情が伝わってきます。

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絵あわせ百人一首「ほととぎす…」

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百人一首「ほととぎす…」作／後徳大寺左大臣

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【】 絵あわせ百人一首「ほととぎす…」 ほととぎす鳴(な)きつる方(かた)を眺（なが）むればただ有(あり)明(あけ)の月(つき)ぞ残(のこ)れる【百人一首解説】「ほととぎすが鳴いた方向を見ると、もう姿は見えず、ただ有明の月だけが残っているよ」という歌。当時の貴族の間では、夏の深夜から明け方にかけて鳴くほととぎすの声を聞くのが風流とされていました。鳴き声を聞いて月を見上げる、聴覚から視覚への転換が秀逸です

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絵あわせ百人一首「大江山…」

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百人一首「大江山…」作／小式部内侍

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【】 絵あわせ百人一首「大江山…」 大江(おおえ)山(やま)いくのの道(みち)の遠(とお)ければまだふみも見(み)ず天(あま)の橋立(はしだて)【百人一首解説】作者の母親は和泉式部。「お母さんに歌を頼んだのかな」とからかわれ、すぐに「大江山を越えて生野を通る道は遠いので、途中にある天の橋立にも足をふみ入れていないし、母のふみ（手紙）も読んでいません」と返した歌。掛詞や縁語などの技巧を多用し、歌の実力を証明しました。

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絵あわせ百人一首「忘らるる…」

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百人一首「忘らるる…」作／右近

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【】 絵あわせ百人一首「忘らるる…」 忘(わす)らるる身(み)をば思(おも)は(わ)ず誓(ちか)ひ(い)てし人(ひと)の命(いのち)の惜(お)しくもあるかな【百人一首解説】「あなたに忘れられる私のことはいいの。ただ、神様に誓ったあなたに罰が下って命を落としてしまうことが惜しまれます」という歌。気の利いた皮肉とともに、愛する人を心配する気持ちが込められています。心変わりをした男性を責める気持ちの裏に、未練が見え隠れします。

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絵あわせ百人一首「有馬山…」

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百人一首「有馬山…」作／大弐三位

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【】 絵あわせ百人一首「有馬山…」 有馬(ありま)山(やま)ゐ(い)なのささ原(はら)風(かぜ)吹(ふ)けばいでそよ人(ひと)を忘(わす)れやは(わ)する【百人一首解説】「有馬山に近い猪名の笹原で、風がそよそよと音をたてるように、あなたは私の心変わりを心配しますが、なぜ私が忘れるでしょうか」という歌。心変わりを疑う男性への返歌です。言葉の調べが美しく、情景から心情表現へと自然につなげている点が見事です。

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絵あわせ百人一首「やすらはで…」

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百人一首「やすらはで…」作／ 赤染衛門

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【】 絵あわせ百人一首「やすらはで…」 やすらは(わ)で寝(ね)なましものを小(さ)夜(よ)更(ふ)けて傾(かたぶ)くまでの月(つき)を見(み)しかな【百人一首解説】約束を破った男性に、「はじめから来ないとわかっていたら寝たものを、あなたを待って朝を迎えてしまった」と伝えた歌。怒りや嫌みではなく、甘えてすねた感じが伝わるのが品の良さでしょう。作者は、紫式部や清少納言、和泉式部とも交流があったとされています。

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絵あわせ百人一首「逢ふことの…」

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百人一首「逢ふことの…」作／中納言朝忠

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【】 絵あわせ百人一首「逢ふことの…」 逢(あ)ふ(う)ことの絶(た)えてしなくはなかなかに人(ひと)をも身(み)をも恨(うら)みざらまし【百人一首解説】「男女の仲にならなかったら、あなたの冷たさも自分のつらさも、恨むことはなかっただろうに」という歌。「逢ふ」は恋人同士になること。ここでの「人」はあなた、「身」は自分のことです。恋を知った喜びと同時に、苦しさや悲しさをも味わうことになってしまったのです。

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絵あわせ百人一首「浅茅生の…」

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百人一首「浅茅生の…」作／参議等

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【】 絵あわせ百人一首「浅茅生の…」 浅(あさ)茅(じ)生(う)の小(お)野(の)の篠(しの)原(はら)しのぶれどあまりてなどか人(ひと)の恋(こい)しき【百人一首解説】「浅茅が生える小野の篠原のように、忍んできた私の思いはもう隠せない。どうしてこんなにあなたが恋しいのか」という意味。「篠原」までが「しのぶ」を導く序詞。ずっと恋心を秘めてきたけれど、もうこらえきれない。あふれる思いを、疑問の形で相手にぶつける情熱的な歌です。

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絵あわせ百人一首「夏の夜は…」

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百人一首「夏の夜は…」作／清原深養父

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【】 絵あわせ百人一首「夏の夜は…」 夏(なつ)の夜(よ)はまだ宵(よい)ながらあけぬるを雲(くも)のいづ(ず)こに月(つき)宿(やど)るらむ(ん)【百人一首解説】「夜になったばかりだと思っていたらもう明けてしまった。月は、雲のどのあたりに隠れているだろう」という歌。あまりに夏の夜が短いため、月が西にしずむひまがなかったのではないかと、月を人に見立てて表現したところにおもしろさがあります。作者は清少納言の曾祖父です。

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絵あわせ百人一首「風をいたみ…」

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百人一首「風をいたみ…」作／源重之

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【】 絵あわせ百人一首「風をいたみ…」 風(かぜ)をいたみ岩(いわ)うつ浪(なみ)のおのれのみ砕(くだ)けてものを思(おも)ふ(う)頃（ころ）かな【百人一首解説】「はげしい風で、岩に打ちつけて砕ける波のように、私の心も砕けて、あなたへの恋に思い悩んでいます」という歌。びくともしない岩は、かたくなな女性。砕ける波は、なす術のない自分自身。どうにもならない片思いを、厳しい海の情景として表しています。

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絵あわせ百人一首「来ぬ人を…」

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百人一首「来ぬ人を…」作／権中納言定家

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【】 絵あわせ百人一首「来ぬ人を…」 来(こ)ぬ人(ひと)を松(まつ)帆(ほ)の浦(うら)の夕(ゆう)なぎに焼(や)くや藻(も)塩(しお)の身(み)もこがれつつ【百人一首解説】「待っても来ない人を待つ私は、松帆の浦で夕方に焼く藻塩のように、じりじりと身を焦がしています」という歌。「松（帆）」には「待つ」の意味が、「こがれ」には塩が焼け焦げる意味が掛かっています。じりじりと焼かれる塩に、恋に焦がれ、相手を待ち焦がれる様子を重ねています。

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絵あわせ百人一首「名にしおはば…」

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百人一首「名にしおはば…」作／三条右大臣

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【】 絵あわせ百人一首「名にしおはば…」 名(な)にしおは(わ)ば逢坂(おうさか)山(やま)のさねかづ(ず)ら人(ひと)にしられでくるよしもがな【百人一首解説】「逢坂山のさねかずらをたぐりよせるように、人に知られずにあなたの元に行く方法があればいいのに」という歌。「逢（坂山）」と「逢う」、「さね（かづら）」と「さ寝」、「来る」と「繰る」の三つの掛詞を使った技巧が光ります。「来る」は、ここでは「行く」の意味です。

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絵あわせ百人一首「夜をこめて…」

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百人一首「夜をこめて…」作／清少納言

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【】 絵あわせ百人一首「夜をこめて…」 夜(よ)をこめて鳥(とり)のそら音(ね)ははかるともよに逢坂(おうさか)の関(せき)はゆるさじ【百人一首解説】「夜の明けないうちに、（中国のことわざのように）鶏の鳴き声をまねしてだまそうとしても、逢坂の関は通しませんよ」という歌。男性の言い訳に対し、相手の言葉を使って一矢報いるべく「私は関所を通さない＝会いません」と伝えたのです。作者は『枕草子』の著者でもあります。

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絵あわせ百人一首「世の中よ…」

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百人一首「世の中よ…」作／皇太后宮大夫俊成

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【】 絵あわせ百人一首「世の中よ…」 世(よ)の中(なか)よ道(みち)こそなけれ思(おも)ひ(い)入(い)る山(やま)の奥(おく)にも鹿(しか)ぞなくなる【百人一首解説】「世の中には、つらい気持ちから逃れる道はない。思いつめて入ってきた山奥でも、鹿が悲しく鳴いているよ」という歌。作者は、百人一首の選者・藤原定家の父親。二句目までの強い響きの後、もの悲しい情景をうたっており、しみじみとしながらも説得力のある歌です。

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絵あわせ百人一首「八重葎…」

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百人一首「八重葎…」作／恵慶法師

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【】 絵あわせ百人一首「八重葎…」 八(や)重(え)葎(むぐら)しげれる宿(やど)のさびしきに人(ひと)こそ見(み)えね秋(あき)はきにけり【百人一首解説】「むぐら（雑草）がいく重にも生い茂っているこの寂しい邸には、誰もたずねて来ないのに、秋だけはやってきたなぁ」という歌。荒れて寂しくなった邸に、さらに寂しさをつのらせる秋が来たことへの感慨を表しています。悲しみではなく、静かな風情がしみじみと感じられます。

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絵あわせ百人一首「契りおきし…」

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百人一首「契りおきし…」作／藤原基俊

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【】 絵あわせ百人一首「契りおきし…」 契(ちぎ)りおきしさせもが露(つゆ)を命(いのち)にてあは(わ)れ今年(ことし)の秋(あき)も去(い)ぬめり【百人一首解説】「『私を信用しなさい』というあなたの言葉を命のように大事にしていたのに、ああ、今年の秋もむなしく過ぎてしまった」という歌。子どもの出世を約束した人が何もしてくれなかったことを、恨んでいるのです。信頼する人に裏切られた嘆きを、秋の寂しさに重ね合わせています。

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絵あわせ百人一首「ちはやぶる…」

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百人一首「ちはやぶる…」作／在原業平朝臣

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【】 絵あわせ百人一首「ちはやぶる…」 ちはやぶる神(かみ)代(よ)も聞(き)かず龍(たつ)田(た)川(がわ)から紅(くれない)に水(みず)くくるとは【百人一首解説】「昔々の神々の時代にも聞いたことがない。龍田川に浮かぶ紅葉の葉が、絞り染めの布のように美しいなんて」という歌。自然の美しさを布にたとえる大胆な発想で、幻想的な風景を連想させ、深く印象に残る歌です。作者は三十六歌仙、六歌仙の一人で、多くの名歌を詠みました。

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絵あわせ百人一首「此の度は…」

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百人一首「此の度は…」作／菅家

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【】 絵あわせ百人一首「此の度は…」 此（こ）の度（たび）は幣(ぬさ)もとりあへ(え)ず手向(たむけ)山(やま)紅葉(もみじ)の錦(にしき)神(かみ)のまにまに【百人一首解説】「このたびは急な旅で、神様にささげる幣を用意できませんでした。代わりに、手向山の錦のような紅葉をお受け取りください」という意味。神様への貢ぎ物にという表現で、紅葉の美しさを表しています。作者の「菅家」とは、学問の神様として知られる菅原道真のこと。

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絵あわせ百人一首「村雨の…」

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百人一首「村雨の…」作／寂蓮法師

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【】 絵あわせ百人一首「村雨の…」 村(むら)雨(さめ)の露(つゆ)もまだひぬ槇(まき)の葉(は)に霧(きり)立(た)ちのぼる秋(あき)の夕(ゆう)暮(ぐれ)【百人一首解説】「にわか雨が通り過ぎて、その露がまだ乾いていない槇の葉に、霧が白く立ちのぼっている秋の夕暮れだなぁ」という歌。「槇」とは、杉やひのきのこと。上の句で一枚の葉に焦点を当てて下の句では遠くの霧の動きをとらえ、秋の静寂を、遠近法を使った絵画のように表現しています。

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絵あわせ百人一首「嘆きつつ…」

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百人一首「嘆きつつ…」作／右大将道綱母

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【】 絵あわせ百人一首「嘆きつつ…」 嘆(なげ)きつつ独（ひと）り寝(ぬ)る夜(よ)の明(あ)くるまはいかに久(ひさ)しきものとかは知(し)る【百人一首解説】「あなたを待って一人で寝る夜は、朝になるまでどれだけ長いか、わかりますか？」という歌で、夫が門の前で長い時間待ったと不満をもらしたことに対して詠んだもの。私の方がもっと待っているのよと訴えています。作者は、女性の感情を率直に『蜻蛉日記』につづりました。

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絵あわせ百人一首「月見れば…」

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百人一首「月見れば…」作／大江千里

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【】 絵あわせ百人一首「月見れば…」 月(つき)見(み)れば千(ち)々(ぢ)に物(もの)こそ悲(かな)しけれわが身(み)ひとつの秋(あき)にはあらねど【百人一首解説】「秋の月を見ていると、限りなくもの悲しく感じられる。私一人のための秋ではないのに」という歌。漢詩（古い中国の詩）を題にして詠んだもので、「月」と「わが身」、「千々」と「ひとつ」など対比的な語句を使って洗練された歌に仕上げ、秋の悲哀とともに艶っぽさも感じられます。

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絵あわせ百人一首「小倉山…」

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百人一首「小倉山…」作／貞信公

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【】 絵あわせ百人一首「小倉山…」 小倉(おぐら)山(やま)峯(みね)のもみぢ(じ)葉(ば)心(こころ)あらば今(いま)ひとたびのみゆき待(ま)たなむ(ん)【百人一首解説】「小倉山の峰の紅葉よ、心あるならば、もう一度天皇がいらっしゃるときまで、散らずにいておくれ」という歌。「みゆき（行幸）」とは天皇のお出ましのこと。亭子院（宇多法皇）の、「わが子の醍醐天皇にも、紅葉の名所・小倉山の美しい紅葉を見せたい」という思いを汲み、作者が詠んだ歌。

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絵あわせ百人一首「みよし野の…」

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百人一首「みよし野の…」作／ 参議雅経

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【】 絵あわせ百人一首「みよし野の…」 みよし野(の)の山(やま)の秋(あき)風(かぜ)小(さ)夜(よ)更(ふ)けて故（ふる）郷（さと）寒(さむ)く衣(ころも)うつなり【百人一首解説】「吉野の山に秋風が吹いて夜になると、古い都である吉野の里はいちだんと寒くなり、衣を打つ（砧の）音が聞こえてくるよ」という歌。昔は木づちで衣を打って柔らかくしており、砧打つ、ともいいました。風に乗って聞こえてくる音で、厳しくなりゆく寒さと寂しさを伝えています。

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絵あわせ百人一首「山がはに…」

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百人一首「山がはに…」作／春道列樹

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【】 絵あわせ百人一首「山がはに…」 山(やま)がは（わ)に風(かぜ)のかけたるしがらみは流(なが)れもあへ(え)ぬ紅(もみ）葉（じ)なりけり【百人一首解説】「山を流れる川に風が吹いて、流れをせきとめる柵ができている。これは流れきらずにとどまった、紅葉なんだなぁ」という歌。散った紅葉が川面にたまっている様子を、風が仕掛けた柵に見立てるところがこの歌のうまさです。紅葉の美しさとともに、自然が作り出す妙が伝わります。

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絵あわせ百人一首「きりぎりす…」

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百人一首「きりぎりす…」作／後京極摂政前太政大臣

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【】 絵あわせ百人一首「きりぎりす…」 きりぎりすなくや霜(しも)夜(よ)のさむしろに衣(ころも)かたしき独（ひと）りかも寝(ね)む(ん)【百人一首解説】「こおろぎが鳴く、霜が降りた夜。寒々しい敷物に、一人で着物の袖を敷いて寂しく寝るのだろうか」という歌。「さむしろ（粗末な敷物）」には「寒し」が掛かっています。昔は、こおろぎを「きりぎりす」と呼んでいました。こおろぎの鳴き声だけが聞こえる夜、寂しさがつのります。

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絵あわせ百人一首「わたの原…」

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百人一首「わたの原…」作／法性寺入道前関白太政大臣

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【】 絵あわせ百人一首「わたの原…」 わたの原(はら)漕(こ)ぎ出(い)でて見(み)れば久(ひさ)方(かた)の雲(くも)居(い)にまが(ご)ふ(う)沖(おき)つ白(しら)波(なみ)【百人一首解説】「大海原に舟を漕ぎ出して見渡すと、雲と見間違えるくらいまっ白な沖の白波が立っているよ」という歌。「久方の」は「雲」の枕詞。大海原での視界の広がりと、遠景の白波による奥行きを同時に表現しています。波が雲と一体化するかのような自然の壮大さが感じられます。

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絵あわせ百人一首「瀬を早み…」

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百人一首「瀬を早み…」作／崇徳院

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【】 絵あわせ百人一首「瀬を早み…」 瀬(せ)を早(はや)み岩(いわ)にせかるる瀧(たき)川(がわ)のわれても末(すえ)に逢(あわ)む(ん)とぞ思(おも)ふ(う)【百人一首解説】「流れがはやく岩にせきとめられて分かれた川が、いずれはひとつになるように、たとえ今は別れても将来必ず逢おう」という歌。川の激流が恋の激しさを表しており、最後の「必ず逢う」という強い決意につながっています。自然の情景に心情を重ね合わせた、一途な恋の歌です。

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絵あわせ百人一首「心あてに…」

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百人一首「心あてに…」作／凡河内躬恒

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【】 絵あわせ百人一首「心あてに…」 心(こころ)あてに折(お)らばや折(お)らむ初(はつ)霜(しも)の置(お)きまどは(わ)せる白(しら)菊(ぎく)の花(はな)【百人一首解説】「あてずっぽうに折ってみようか。初霜が一面に降りて、霜と見分けがつかなくなっている白菊の花を」という歌。「置きまどはせる」は、霜が白菊をわからなくしているという擬人的な表現。花の美しさをそのまま表現するのではなく、折ることを想像させてユニークに表しています。

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絵あわせ百人一首「君がため…」

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百人一首「君がため…」作／藤原義孝

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【】 絵あわせ百人一首「君がため…」 君(きみ)がため惜(お)しからざりし命(いのち)さへ(え)長(なが)くもがなと思(おも)ひ(い)けるかな【百人一首解説】「あなたに会えるなら死んでもいいと思っていたけれど、会えた今となっては、命が惜しくなりました」という歌。愛する人と結ばれたことで、自分の命が大切に感じられるようになったという純粋な愛情です。しかし願い叶わず、作者は二十一歳で亡くなってしまいました。

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絵あわせ百人一首「明けぬれば…」

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百人一首「明けぬれば…」作／藤原道信朝臣

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【】 絵あわせ百人一首「明けぬれば…」 明(あ)けぬれば暮(く)るるものとは知(し)りながらなほ(お)恨(うら)めしき朝(あさ)ぼらけかな【百人一首解説】「朝になっても、また夜になれば会えることはわかっているのに、あなたと離れる朝は恨めしい」という歌。永遠の別れではないと頭ではわかっていても、心が離れがたいという愛情の深さをうたっています。雪の降った朝に詠まれた歌で、切なさが胸に迫ります。

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絵あわせ百人一首「山里は…」

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百人一首「山里は…」作／源宗于朝臣

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【】 絵あわせ百人一首「山里は…」 山(やま)里(ざと)は冬(ふゆ)ぞ寂(さび)しさまさりける人(ひと)目(め)も草(くさ)もかれぬと思(おも)へ(え)ば【百人一首解説】「山里は、冬がいっそう寂しく感じられる。訪ねる人もなく、草木も枯れてしまうから」という歌。「かれ」は、「枯れ」と「離れ（人が遠ざかる）」の掛詞。上の句と下の句の倒置が、寂寥感を強く感じさせます。寂しさや孤独は、美を見いだし芸術を生むきっかけにもなったのです。

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絵あわせ百人一首「恋すてふ…」

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百人一首「恋すてふ…」作／壬生忠見

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【】 絵あわせ百人一首「恋すてふ…」 恋(こい)すてふ(ちょう)わが名(な)はまだき立(た)ちにけり人(ひと)知(し)れずこそ思(おも)ひ(い)そめしか【百人一首解説】「恋をしている私のうわさはもう立ってしまった。そっと心の中で思いはじめたばかりなのに」という歌。恋しはじめた初々しさとうわさになった戸惑いを、素直に詠んでいます。歌合では、惜しくも平兼盛「忍ぶれど」の歌に負けたものの、ほとんど差のない評価でした。

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絵あわせ百人一首「淡路島…」

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百人一首「淡路島…」作／源兼昌

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【】 絵あわせ百人一首「淡路島…」 淡(あわ)路(じ)島(しま)かよふ(う)千(ち)鳥(どり)の鳴(な)く声(こえ)に幾(いく)夜(よ)寝(ね)覚(ざ)めぬ須(す)磨(ま)の関(せき)守(もり)【百人一首解説】「淡路島から須磨に渡ってくる千鳥のもの悲しい鳴き声を聞いて、須磨の関守は幾夜目を覚ましたことでしょう」という、須磨の旅でわびしさを感じて詠んだ歌です。須磨は『源氏物語』で光源氏が謹慎のために住んだ場所。関守への同情とともに、孤独な旅寝の寂しさを表現しています。

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絵あわせ百人一首「人もをし…」

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百人一首「人もをし…」作／後鳥羽院

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【】 絵あわせ百人一首「人もをし…」 人(ひと)もをし人(ひと)もうらめしあぢ(じ)きなく世(よ)を思(おも)ふ(う)ゆゑ(え)にもの思(おも)ふ(う)身(み)は【百人一首解説】「人を愛おしく思うこともあれば恨めしく思うこともある。世の中をおもしろくないものと思うからこそ、私は思い悩むのだ」という歌。人に対して複雑に揺れ動く思いが表れており、国をまとめる立場にある作者ならではの、率直な悩みと苦しさが表現されています。

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絵あわせ百人一首「陸奥の…」

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百人一首「陸奥の…」作／河原左大臣

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【】 絵あわせ百人一首「陸奥の…」 陸(みち)奥(のく)のしのぶもぢ(じ)ずり誰(たれ)ゆゑ(え)に乱(みだ)れそめにし我(われ)ならなくに【百人一首解説】「東北の信夫郡で作られる乱れ模様の布のように、秘めた恋に私の心は乱れはじめています。誰のせいでしょう」という歌。「しのぶ」は「忍ぶ」を連想させ、「そめ」は「染め」と「初め」の掛詞、「染め」は「しのぶもぢずり」の縁語。技巧を凝らした歌で、苦しい恋心を訴えています。

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絵あわせ百人一首「住の江の…」

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百人一首「住の江の…」作／藤原敏行朝臣

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【】 絵あわせ百人一首「住の江の」 住(すみ)の江(え)の岸(きし)による浪(なみ)よるさへ(え)や夢(ゆめ)の通(かよ)ひ(い)路(じ)人(ひと)目(め)よくらむ(ん)【百人一首解説】「住の江の岸に寄せる波ではないけれど、昼はもちろん夜の夢でも、人の目を気にしていて、会えないのだろうか」という歌。「よる」には「寄る」と「夜」が掛けられています。寄せては返す波は恋に悩むつらさを表しており、人の目を気にしているのは、相手とも自分とも取れます。

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絵あわせ百人一首「嘆けとて…」

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百人一首「嘆けとて…」作／西行法師

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【】 絵あわせ百人一首「嘆けとて…」 嘆(なげ)けとて月(つき)やは(わ)ものを思(おも)は(わ)するかこち顔(がお)なるわが涙(なみだ)かな【百人一首解説】「嘆けといって月がもの思いをさせるのだろうか。あなたとの恋のせいなのに、月がそうさせたかのように涙が流れる」という歌。「月前恋」というテーマで、月のせいではないのにそう思いたくなる気持ちを詠んでいます。自然を愛し旅を愛した作者の和歌には、花や月が多く登場します。

にほんごであそぼ

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絵あわせ百人一首「夜もすがら…」

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百人一首「夜もすがら…」作／俊恵法師

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【】 絵あわせ百人一首「夜もすがら…」 夜(よ)もすがらもの思(おも)ふ(う)ころは明(あ)けやらでねやのひまさへ(え)つれなかりけり【百人一首解説】「一晩中、姿を見せないあなたを恨んでいるこの頃は、なかなか朝の光がさしこまない戸の隙間さえも冷たく思われる」という歌。冷淡な恋人のせいで、光のささない闇の中、不安と孤独にかられて、恨んでもどうにもならないことを恨んでしまうという、女性の気持ちを詠んでいます。

にほんごであそぼ

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絵あわせ百人一首「玉の緒よ…」

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百人一首「玉の緒よ…」作／式子内親王

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【】 絵あわせ百人一首「玉の緒よ…」 玉(たま)の緒(お)よ絶(た)えなば絶(た)えねながらへ(え)ば忍(しの)ぶることの弱(よわ)りもぞする【百人一首解説】「命よ、終わるなら終わってしまえ。生きていると、秘めようとする気持ちが弱って、恋心が現れてしまいそうだから」という歌。死んでもいいという激しさの後に、弱々しい不安を詠んでおり、公にしてはいけない秘密の恋に苦しむ感情の起伏を表現しています。

にほんごであそぼ

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絵あわせ百人一首「わが袖は…」

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百人一首「わが袖は…」作／二条院讃岐

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【】 絵あわせ百人一首「わが袖は…」 わが袖(そで)は潮(しお)干(ひ)に見(み)えぬ沖(おき)の石(いし)の人(ひと)こそ知(し)らね乾(かわ)く間(ま)もなし【百人一首解説】「人は知らないでしょうが、私の袖は、引き潮のときにも見えない沖の石のように、涙で乾くひまがないのです」という歌。「寄石恋」というテーマのもと、深い海の底にある石と、自身の秘めた恋の悲しさを重ねました。恋に結びつきにくい石を、うまく歌にしています。

にほんごであそぼ

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絵あわせ百人一首「花の色は…」

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百人一首「花の色は…」作／小野小町

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【】 絵あわせ百人一首「花の色は･･･」 花(はな)の色(いろ)は移(うつ)りにけりな徒（いたずら）に我（わ）が身(み)世(よ)にふるながめせしまに【百人一首解説】「美しい桜の花は、春の長雨が降る間に色あせてしまった。私の美しさも、恋ばかりしているうちにおとろえてしまった」という歌。「ふる（「降る」と「経る」）」、「ながめ（「長雨」と「眺め＝もの思いにふける」）」が掛詞。絶世の美女といわれた作者による、老いの嘆きが伝わります。

ひょうたんからコトバ

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がんばる

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新学期は不安がいっぱい。そこで元気になる言葉やいざというときに思い出してもらいたい言葉を紹介する。例）・七転び八起き　・背水の陣　・笑いのオノマトぺ（あははは）

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 今日のテーマ「がんばる」 「がーまるちょば」のケッチ！とヒロ・ポンが、今日のテーマを表しています。今日のテーマは、「がんばる」。 【scene 02】 故事成語「背水の陣」 がんばるときに使おう、故事成語（こじせいご）「背水の陣（はいすいのじん）」。春の運動会での事です。「次の騎馬戦（きばせん）で運動会の勝負が決まる。ぜったい勝つぞ！　と思って臨（のぞ）んだのに、あっという間にぼくが白組の最後（さいご）の一騎（いっき）になっちゃった。どうしよう。でもぼくがあきらめたら白組は負け。それだけはイヤだ。みんなで練習がんばったんだ。負けたくない、負けられない。やるっきゃなーい！」。このような状況を、「背水の陣」といいます。 【scene 03】 一歩も引けない状況で 「背水の陣」のはじまりは、およそ2200年前の中国。『漢』の国の兵士（へいし）たちはおじけづいていた。「敵（てき）はおよそ20万。オレたちの何倍もいる。勝てっこない」。そんな兵士たちに将軍・韓信（かんしん）が出した指示（しじ）は、「川岸に立てい！」。わざと兵士たちを川っぷちギリギリでたたかわせた。「前は敵、うしろは水。にげ場がない。やるっきゃなーい！」と、兵士たちは死ぬ気でがんばってたたかい、漢は勝った。「背水の陣」とは、一歩も引けないせっぱつまった状況（じょうきょう）で、ものごとにいどむことをいいます。 【scene 04】 こんなときも、「背水の陣」 こんなときも、「背水の陣」。ゲーム大すき、オサムくんの場合。お母さん「コラーっ。また一日中ゲームばっかりして宿題やってないじゃない。今度もまた漢字テスト０点だったらゲーム没収（ぼっしゅう）！　もうゲームやっちゃダメっ！」。オサム「ええっ？　ゲーム没収って、そんなぁ。ぐおおお、勉強するっきゃなーい！」。この場合は『背水の陣でテストにのぞむ』といいます。追いつめられたら、「やるっきゃない！」。がんばるときに使おう、「背水の陣」。 【scene 05】 ことわざ「七転び八起き」 がんばるときに使おう、ことわざ「七転び八起き（ななころびやおき）」。七回転び、八回起きる、何度でも何度でも・・・。たとえば自転車に乗ろうとがんばる。でも転んでしまう。それでもくじけずに起き上がる。また転んでしまう。起き上がる。このように、何度失敗（しっぱい）してもあきらめずにチャレンジしつづけることを「七転び八起き」といいます。 【scene 06】 パパイヤ鈴木「あきらめたら終わり」 ダンサー、ふりつけ師（し）、そして歌手としても大活躍（かつやく）のパパイヤ鈴木さん。パパイヤさんの人生は、まさに「七転び八起き」だったそうです。パパイヤさんの小学生の時の夢（ゆめ）は、ズバリ「歌手」。スポットライトをあびるスターになりたかったそうです。17才で早くも歌手デビュー！しかし、レコードはまったく売れず。歌手になってすぐに転んでしまいました。スターへの道はこれで終わってしまうのか。「あきらめた時点で終わり。あきらめさえしなかったら、一生その夢を見つづけることができるんです」（パパイヤさん）。 【scene 07】 弱点を生かせばいいじゃないか 歌がだめならダンスがあるじゃないか。パパイヤさんは、スターの夢（ゆめ）を歌からダンスに切りかえ、再びはなやかなショーの世界へ起き上がりました。ところが、またしても転んでしまいます。ショーによばれなくなってしまったのです。理由は、太り始めたこと。当時はスタイルがいいことがダンサーの条件（じょうけん）だったのです。「太ったなら、太ってることを生かせばいいじゃないか！」。パパイヤさんは仲間（なかま）を引きつれ、またもやステージへ起き上がってきました。 【scene 08】 「種まきの時期」があるから今がある パパイヤさんは、ダンスをおどりそうもない「おじさん」たちを集め、「おやじダンサーズ」を結成します。ふつうのおじさんがカッコよくおどる、というパパイヤさんのアイデアは大当たり。転んでも転んでもそのたびに起き上がり、ついにパパイヤさんは、スターになるという夢（ゆめ）をかなえたのです。「自分がうまくいかない時期は『種（たね）まきの時期』。花が出なくて当然（とうぜん）。でも、失敗（しっぱい）している時期があるから今がある。種をまかないと芽（め）も出ないし花もさかないでしょ」（パパイヤさん）。 【scene 09】 がんばるときの、ことわざ仲間 がんばるときに使えることわざはほかにもあります。Ｑ．失敗（しっぱい）をいかして次につなげようというときのことわざは？――「失敗は成功（せいこう）のもと」。Ｑ．失敗と思ったことがぐうぜんいい結果（けっか）になったときは？――「けがの功名（こうみょう）」。パパイヤ鈴木さんからのメッセージ：「人生は七転び八起き。失敗は成功のもと。けがの功名ってこともあります。失敗してもあきらめずに、がんばれ！」。 【scene 10】 俳句 「やせ蛙（がえる）　負けるな一茶　これにあり」江戸時代、小林一茶（こばやし・いっさ）がよんだ句（く）です。一茶が春の田んぼで見かけた情景（じょうけい）。強そうな蛙にいどむやせ蛙を応援（おうえん）する気持ちと、自分自身へのはげましをうたったといわれています。 【scene 11】 日本語いろいろ がんばったあとには、やっぱり笑（わら）いがあふれますよね。「笑い」といっても、その種類（しゅるい）はたくさん。状況（じょうきょう）によって変わります。・「あははは」――『ブランコで遊んだ二人は、「あははは」と大きな声で笑った』。・「へらへら」――『二人は注意されても、へらへらと笑っていた』。・「ふっふっふ」――『ヒロ・ポンは自信満々（じしんまんまん）に、「ふっふっふ」と笑った』。・「えへへ」――『トリックがばれたヒロ・ポンは、「えへへ」と笑った』。 【scene 12】 身のまわりの「オノマトペ」 「あははは」、「えへへ」、「へらへら」…。このように、音や様子を表した言葉を「オノマトペ」と言います。オノマトペには「擬音語（ぎおんご）」と「擬態語（ぎたいご）」の二つの種類（しゅるい）があります。「あははは」は「擬音語」。音や声をまねて作られた言葉。「へらへら」は「擬態語」。物事の様子や状態（じょうたい）をそれらしく表した言葉です。注意してみると、みんなのまわりにもオノマトペがいっぱいあります。オノマトペをさがしてみましょう！

ひょうたんからコトバ

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１，２，３

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数字が使われている言葉を取り上げ、身の周りにある数の表現に気づく。例）・早起きは三文の得・五十歩百歩・変身単位！バナナの旅（一本・一房）

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 今日のテーマ「１，２，３」 鏡（かがみ）の前に男が一人。数えてみましょう。１．がーまるちょばのケッチ！。２．鏡の中から、がーまるちょばのヒロ・ポンが出てきた！　そこへ、もう一人のヒロ・ポンが！！　がーまるちょばが３人に？　今日のテーマは、「１，２，３」。数のつくことばです。 【scene 02】 故事成語「五十歩百歩」 数のつく故事成語（こじせいご）、「五十歩百歩」。この前のテスト、マサキは58点だった。マサキのテストを見たタクローは言った。「マサキは58点か。オレは60点だったぞ。もうちょっとがんばらないとなぁ」。そして、ミワに向かって「ミワちゃん、見てよこの点数。オレは60点、マサキは58点だ。どうこれ」と得意（とくい）がった。ミワは思った。「58点でも60点でも、たいしてかわらないじゃない。何言ってるのよ、タクローくんたら。58点も60点も似（に）たり寄（よ）ったりだっつーの！」。これぞまさしく、「五十歩百歩」。 【scene 03】 どっちもどっち 「五十歩百歩」は、およそ2300年前の中国で、孟子（もうし）という人が王様に語ったたとえ話から生まれた。ある戦（たたか）いで、二人の兵士（へいし）は敵（てき）がせめてくるとにげだした。一人は五十歩にげ、もう一人は百歩にげた。五十歩にげた兵士は言った。「おまえ、おくびょうだなあ、百歩もにげて」。この話を聞いた王様は、「五十歩でも百歩でも、にげたことにかわりない。似（に）たり寄（よ）ったりだっつーの！」。「五十歩百歩」とは、わずかなちがいはあっても本質的（ほんしつてき）には同じことをいいます。 【scene 04】 こんなときにも「五十歩百歩」 こんなときにも、「五十歩百歩」。虫歯（むしば）だらけの兄弟の場合。弟「兄ちゃんたら虫歯が８本もあるの。ボクはたったの６本だ。わーい、わーい」。兄「なんだと。おまえの虫歯のほうが大きいじゃないか。やーい、やーい」。歯医者さん「何を言ってる。二人とも似（に）たり寄（よ）ったりだっつーの！　ちゃんと歯みがきしなきゃダメーッ」。こんなときには『二人の虫歯のひどさは、五十歩百歩だ』といいます。ツッコミたいときは、「五十歩百歩」と言ってみましょう。 【scene 05】 ことわざ「早起きは三文の得」 数のつくことわざ、「早起きは三文の得（とく）」。みんな、早ね早起きしてる？　「朝早く起きるといいことがあるよ」ということわざ、それが「早起きは三文の得」。ところで、「三文」の「文」て何だろう。文は、昔のお金の単位（たんい）。三文は、おまんじゅうが１こ買えるくらいの価値（かち）なんだ。つまり早起きすると、ちょっぴりお得ってこと。どんなお得があるのか、教えてくれるのは落語家の春風亭昇太（しゅんぷうてい・しょうた）さんです。 【scene 06】 夜ふかしのおかげで失敗ばかり 落語家は、おもしろい話「落語」を演（えん）じる人です。話と身ぶり手ぶりだけでお客さんをわらわせたり、ときには泣（な）かせたり。舞台（ぶたい）が終わるのは夜10時ごろ。さらに、以前（いぜん）は家に帰っても夜ふかしをしていました。おそいときにはねるのが３時になってしまうことも。おそくねるから早起きできない。ぎりぎりまでねているので、わすれものばかりしていました。たとえば、着物の帯（おび）をわすれたり、さらには、着物をそっくり全部わすれたこともあったそうです。 【scene 07】 早起きしたらいいこといっぱい！ 失敗（しっぱい）ばかりの昇太さん、ある日を境（さかい）に早起きになりました。きっかけは、マラソン大会。「走ってつかれて早くねたら、次の日びっくり！　朝起きたら６時ごろ。まどをあけて太陽をあびたらすごく気持ちよかった」。早起きをしたら、頭がスッキリ！　さらに、わすれものをしなくなったそうです。ほかにも、「時間の余裕（よゆう）ができる。朝ごはんがおいしい。ということは昼ごはんもおいしい。ということは夜ごはんもおいしい。一日中いいことがあるんですよね」。これぞ、「早起きは三文の得（とく）」ですね。 【scene 08】 「数のつく、ことわざ仲間 数のつくことわざは、ほかにもたくさんあります。「二度あることは三度ある」――二度起こったことはつづけてもう一度起こる、だから注意しよう、ということわざ。「わすれものもねぇ、二度やって注意しているつもりなのに、三度目わすれたりするんだよね。気をつけよう！」（昇太さん）。「一石二鳥」――ひとつのことをしただけで二つ得（とく）をしちゃった、ということわざ。「落語がウケると、ボクもうれしくってお客さんも楽しい。一石二鳥！」（昇太さん）。 【scene 09】 俳句 「古池や　蛙（かわず）飛（とび）こむ　水のおと」。これは、江戸時代に松尾芭蕉（まつお・ばしょう）がよんだ句（く）です。とてもしずかな古池。あたりには、カエルのとびこむ音だけがひびきわたる。そのあと、いっそうのしずけさが広がります。 【scene 10】 数のかぞえ方いろいろ 「変身単位（へんしんたんい）！　バナナの旅」。みんなでバナナを数えよう！　ここは南の国。バナナの木は何て数える？　「一本」。じゃ、ケッチ！によく似たバナナを数えていくよ。収穫（しゅうかく）して箱につめられると、「一箱（ひとはこ）」。南の国から日本にわたったバナナ。八百屋さんにならんだときは、「一山（ひとやま）」。お店にお客さんがやってきました。へたをつかまれたバナナは、「一房（ひとふさ）」。そして、ばらばらに分けられると、「一本」。あれ？　バナナの木も「一本」って数えたよね。なんで同じになっちゃったのかな？ 【scene 11】 数え方は形に関係している バナナの木も「一本」。バナナも「一本」。えんぴつ、かさ、キュウリも「一本」。形を見るとみーんな細長い。細長い形のものは『本』と数えます。では、『一山（ひとやま）』は？　八百屋さんでかごにもられたバナナ。山の形に似ています。だから、「一山」と数えます。『一房（ひとふさ）』は？　クッションの四すみについているかざり、名前は「房（ふさ）」。へたに何本もぶらさがっているバナナは、房の形にそっくり。だから「一房」と数えます。「一本」、「一山」、「一房」。ものの数え方は、形に関係（かんけい）しているのです。 【scene 12】 身のまわりのものを数えてみよう まだまだつづくバナナの旅。どんな数え方をするのか、考えてみよう。『一杯（いっぱい）』：ヒロ・ポンはバナナジュースを「一杯」のんだ。『一切れ』：ヒロ・ポンはバナナを「一切れ」つまんだ。『一枚（いちまい）』：最後（さいご）にのこったバナナの皮。これは「一枚」。日本語には、数え方が500種類（しゅるい）もあります。みんなも、身のまわりにあるものを数えてみてください。

ひょうたんからコトバ

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書く

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作文を書く時に役立つ心得や、書の達人にちなんだ言葉について学ぶ。例）・弘法筆を選ばず・推敲・「つかむ」と「にぎる」

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 今日のテーマ「書く」 ケッチ！が、びっくりするほどながーい手で字を書いてる！　「書」という字だね。なかなかよく書けてる。つづいて、「く」も書こうとしたけど、ぎゃくに書いてしまったのて、「＞」みたいになってしまった。おしい！　ということで、今日のテーマは、「書く」。 【scene 02】 故事成語「推敲」 書くときに使おう、故事成語（こじせいご）「推敲（すいこう）」。マサキくんが手紙を書いています。マサキ：ぼくがころんでリレーにまけちゃったとき、ミワちゃんは何も言わずにバンソウコウをさし出してくれた。この手紙で、大すきだってことつたわるかなぁ。読み直してみよう。『ぼくは、ばんそうこうをもらったとき、ミワちゃんは「やさしいなあ」と思いました』。まてよ、やさしいだけじゃないんだな。そうだ、『ミワちゃんは「かっこいいなあ」と思いました』としよう。 【scene 03】 やさしい？　かっこいい？ マサキ：うん、「かっこいい」のほうが、だまってバンソウコウをくれたミワちゃんにぴったり！　でも「やさしい」のほうが、なぐさめてくれたミワちゃんにぴったり？　いや、「かっこいい」のほうが、あこがれの存在（そんざい）って感じがつたわるな。でもやっぱり「やさしい」？　いや「かっこいい」？　やさしい？　かっこいい？…。ミワちゃんの心にひびくのはどっちなんだ？　ウーンウーン・・・。これぞまさしく、「推敲」。 【scene 04】 「推敲」のはじまり 「推敲」のはじまり。それは今からおよそ1200年前、唐（とう）の時代の中国。唐の都、長安（ちょうあん）にやってきた詩人の賈島（かとう）は、ロバに乗りながら詩を作っていた。「『僧（そう）は推（お）す月下の門』。僧侶（そうりょ）が月にてらされた門を推す。なかなかいいなぁ」。ところが、「門を『推す』より『敲（たた）く』のほうがいい気がする。音がしたほうが、しずけさがきわだつかなぁ」。賈島は「推す」か「敲く」か、考えつづけた。ここから、よりよい言葉をさがし求めることを「推敲する」というようになった。 【scene 05】 文章を何度も練り直すこと 考えつづけていた賈島、えらい役人の行列に出くわした。ドシーンッ。「何やってるんだ！」。「おゆるしください」。さわぎを聞いて出てきた役人とは、韓愈（かんゆ）。有名な詩人でもあった。賈島は、「推す」か「敲く」か、なやんでいたことを説明（せつめい）した。すると、「なるほど。それは『敲く』のほうがよいであろう」と韓愈は言った。「推敲」とは、詩や文章を作るとき、何度も考え、練り直すことをいいます。よい文章にしあげるためには、細かい点まで注意をはらうことがかかせません。 【scene 06】 こんなときにも「推敲」 読書感想文を書いているテツロウくんの場合。先生「書けた人は推敲してください。よーく見直すんですよ」。テツロウ「ん？　『竜宮城（りゅうぐうじょう）にカメに連（つ）れられました』、なんかへんだぞ。それに、『太郎が行ったので、お姫様はよろこんだので、みんな楽しんだので…』、『ので』がつづいてわかりにくい。あ、漢字がまちがってる！　おかしな文章、読みにくいところ、字のまちがい…。もっとわかりやすくしないと、ウーーーン」。『テツロウは、感想文の推敲を重ねた』。よい文章を書くためには、「推敲」。 【scene 07】 書くことわざ「弘法筆を選ばず」 弘法（こうぼう）とは、今からおよそ1200年前にいたお坊（ぼう）さん、弘法大師（こうぼうだいし）空海（くうかい）のこと。空海は書道の達人（たつじん）で、筆の良し悪し（よしあし）にこだわらず文字を書いたことから、「弘法筆を選（えら）ばず」…本当に上手な人はどんな道具を使ってもよい仕事をする、という意味のことわざができたのです。それを実践（じっせん）しているのが、書家（しょか）の柿沼康二（かきぬま・こうじ）さん。日本だけでなく海外でも作品を発表している、世界的（てき）に有名な人です。 【scene 08】 「筆じゃなきゃいけないのか？」 柿沼さんは、なんと、麻（あさ）ひもで作った筆でもりっぱに文字が書けるのだそうです。まさに「弘法筆を選ばず」。でもなぜ麻ひもで書き始めたのでしょう。実はこんなきっかけがありました。ある日のこと、柿沼さんはおおぜいの人の前で文字を書くことになりました。ところが、直前に大事な筆がおれてしまったのです。そのとき柿沼さんはこう思いました。「筆じゃなきゃいけないのか？」。このことがきっかけで、柿沼さんは水鉄砲（みずでっぽう）や毛糸、たわしなど、さまざまな道具で文字を書くようになったのです。 【scene 09】 大切なのは気持ちをこめて書くこと 書くことに対する冒険（ぼうけん）心。それは、書家であるお父さんのえいきょうもありました。とくに心にのこっているのは、父親が大きな筆で「生」という字を書いていたときのこと。「これは木の幹（みき）を表す！」とか、「これが命なる柱なんだ！」と言いながら書いていたそうです。「字を書いているけど、字を超越（ちょうえつ）していると感じた」という柿沼さん。文字を書くには道具より大切なものがあると考えています。「道具も大切だけど、いちばん大切なのは『気持ち』をこめて書くこと」（柿沼さん）。 【scene 10】 「書く」のことわざ仲間 「弘法も筆のあやまり」――書道の達人（たつじん）、弘法大師 空海でも、たまにはまちがえてしまうことも・・・。どんな名人でもたまにはまちがえる、という意味のことわざ。使い方：クラスでいちばんなわとびの上手なケンタくんが、一回でつまずいた。弘法も筆のあやまり、だね。 【scene 11】 和歌 「春過（す）ぎて　夏きたるらし　白たへの　衣（ころも）ほしたり　天（あめ）の香具山（かぐやま）」。これは、およそ1300年前に、持統（じとう）天皇がよんだ歌です。夏になると白い衣をほす風習のあった香具山。新しい季節（きせつ）におどる心を歌ったといわれています。 【scene 12】 日本語いろいろ 『書く』ときに使う「手」。今日は、その「手」に関係（かんけい）することばを見てみよう。「つかむ」と「にぎる」。にていることばですが、ちがいがわかるかな。ヒントは、手の形。「つかむ」は、手でしっかりとらえて持つときの形。「にぎる」は、手のひらをとじて、たもち持つときの形だ。 【scene 13】 つかむ？にぎる？クイズ あるところに、二人の男がいた。『つかむ男』と、『にぎる男』。二人といっしょに「つかむ」と「にぎる」、どっちがあてはまるのか、クイズに挑戦しよう！（1）「溺（おぼ）れるものは藁（わら）をも○○○」。これは、「つかむ」が正解（せいかい）。せっぱつまったときには藁のようにたよりないものにもすがりたい、という意味です。（2）「手に汗（あせ）を○○○」。これは、「にぎる」が正解。使い方は、「はらはらどきどきするテレビドラマを見ていたら、手に汗をにぎっちゃった」。 【scene 14】 「つかむ」と「にぎる」をさがしてみよう （1）「彼女（かのじょ）の心を○○○」？　正解（せいかい）は、「つかむ」。（2）「成功（せいこう）のカギを○○○」？　正解は、「にぎる」。（3）「○○○めし」は？　実際に試してみよう。『つかむ男』はめしをつかもうとした。でも、ぼろぼろこぼれてめしはつかめない。一方、『にぎる男』は、にぎにぎ、にぎにぎ。おいしそうなにぎりめしができた。正解は、「にぎる」。「にぎりめし」というね。「つかむ」と「にぎる」、どんなときに使うのか、みんなもさがしてみよう！　

ひょうたんからコトバ

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植物

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「植物」がぐんぐん育つ季節。そこで、植物の成長に由来する言葉を学ぶ。例）・桃栗三年柿八年・助長・色のなまえ（もえぎ色）

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 今日のテーマ「植物」 がーまるちょばのヒロ・ポンが何かを植えたみたい。じょうろで水をやっています。「早く芽（め）を出せ～」。すると、出た、出た。大きなケッチ！が生えてきちゃった。今日のテーマは、「植物」。 【scene 02】 故故事成語「助長」 植物にかんする故事成語（こじせいご）、「助長（じょちょう）」。マサキくんは台所で料理中。家に遊びにくるミワちゃんのために手作りシチューを作っているのです。でも、何か物足りない。「そうだ、ミワちゃんはチョコレートがすきだったな。入れちゃお。それからプリンも、納豆（なっとう）も、あめにポテトチップスにサイダーも。ミワちゃんのため、もっとおいしくなーれ。もっとおいしくなーれ」。ところが、できあがったシチューを味見してびっくり！　「まずいっ！　前のほうがマシだったよ」。『シチューのまずさを「助長」する』。 【scene 03】 「助長」のはじまり 「助長」のはじまり。それは今からおよそ2300年前、孟子（もうし）という思想家が、弟子に語ったたとえ話から生まれた。宋（そう）という国にきまじめな男がいた。「うちの畑のなえはなかなか大きくならないなあ。そうだ、引っぱってみるか。なえが成長（せいちょう）するのを助けてあげよう」。男はなえを引っぱり始めた。「もっと大きくなーれ、もっと大きくなーれ」。男は畑のなえをすべて引っぱり、へとへとになって家に帰った。 【scene 04】 助けようとして悪い結果に 家に帰った男はむすこに言った。「今日はつかれたよ、なえが成長（せいちょう）するのを助けたのさ」。それを聞いたむすこは、「成長を手助け？　なんだかいやな予感がする」と、急いで畑に向かった。すると、なえの根はうきあがり、すべてかれていた。「お父さんたら…。あーぁ」。この、なえの成『長』を『助』けようとした男の話にちなんだことばが「助長」。物事をよくしようと力をそえたことが、かえって悪い結果（けっか）を引き起こしてしまう、というときに使います。 【scene 05】 こんなときにも「助長」 学級新聞の写真係になったテツロウくんの場合。テツロウ「写真って楽しいなー！」。テツロウのとった写真を見た先生「テツロウなら日本一すばらしい写真がとれるぞ。もっとがんばれ。もっとがんばれー」。テツロウ「よーし。みんながびっくりするようなスクープをねらうぞ。やるぞーっ」。『先生のはげましが、テツロウのやる気を助長した』。「助長」は、成長（せいちょう）や発展（はってん）を助けるというときにも使うことがあります。 【scene 06】 ことわざ「桃栗三年柿八年」 植物に関係（かんけい）することわざ、「桃栗（ももくり）三年柿（かき）八年」。このことわざは、桃、栗、柿それぞれの植物が芽（め）を出してから実をつけるまでの期間を言い表しています。つまり、実がなるまでにはそれなりに時間がかかるということ。人間だって同じです。手品とおもしろいおしゃべりでみんなを楽しませてくれるマジシャンのマギー審司（しんじ）さん。マギーさんのかわいい相棒（あいぼう）といえば、ラッキー。このラッキーを生かしたマジックを生み出すまでには長い時間がかかりました。 【scene 07】 マジックは世界共通 マジックはおもしろい。そんな気持ちがマギーさんに芽（め）ばえたのは、小学校２年生のときでした。教頭先生が見せてくれた手品に心をうばわれ、見よう見まねで始めたのです。でもそこには、もう一つの理由が。「女の子にもてたかった」。そして、20歳（はたち）の時。おとずれていたアメリカでプロのマジシャンと出会い、プロのマジシャンを目指します。さらに、ラッキーとも運命的な出会いを果たしました。 【】 scene 08あきらめないでガンバロウ！ 帰国後、マギー司郎さんに弟子入り。ラッキーとともに舞台（ぶたい）に上がりますが…。まったくウケません。「どうすればいいのか？」。ひたすら練習をつづけていた時、「おしゃべりマジック」というアイデアを思いつきます。それはただラッキーを動かすだけでなく、おしゃべりしながら見せるのです。そしてマギーさんは一躍（いちやく）人気者になります。プロを目指して６年。マジックと出会って18年目のことです。「ぼくらも植物と同じように、実をむすぶまでに時間がかかる。桃栗三年柿八年。みんなもあきらめないでガンバロウ！」。 【scene 09】 「植物」のことわざ仲間 （1）「どんぐりの背比べ（せいくらべ）」――どれもこれも似（に）たり寄（よ）ったりで、とくにすぐれたもののないことをたとえたことわざ。（2）「まかぬ種（たね）は生えぬ」――原因（げんいん）がなければ何も起こらない、何もしなければいい結果（けっか）はえられない、という意味のことわざ。 【scene 10】 俳句 「朝顔（あさがお）に　つるべとられて　もらひ水」。これは江戸時代に、加賀千代女（かがのちよじょ）がよんだ句（く）です。「つるべ」とは、井戸（いど）の水をくむためのしかけ。朝、つるべにからみついた朝顔のつるを切るのがかわいそうなので、となりの家へ水をもらいに行った、という情景（じょうけい）をうたったといわれています。「朝顔に　つるべとられて　もらひ水」。 【scene 11】 日本語いろいろ 草や木などの植物は季節（きせつ）ごとにちがったいろどりを見せてくれます。そこからさまざまな色の名前が生まれました。今日は、植物にちなんだ色の名前を見ていきます。「オレンジ色」を日本に古くからある言い方でいうと…、「橙（だいだい）色」。橙というのは、秋から冬に実るみかんの仲間（なかま）です。「萌黄（もえぎ）色」は、春、芽（め）ぶいたばかりの黄色みをおびた若葉（わかば）の色を表しています。深いむらさきがかった紺（こん）色は、「茄子紺（なすこん）」。みんなも知っているナスの色です。 【scene 12】 「くれのあい」から「くれない」 じゃ、この色は？　「赤」ともいえますが、ただの「赤」ではありません。「紅（くれない）」です。紅は、中国からつたわった「呉の藍（くれのあい）」とばれた花から名づけられました。その花は、今では「紅花（べにばな）」とよばれています。さいている時は黄色いのですが、かわかして水につけると黄色い色だけが流れ出て真っ赤になります。昔から布（ぬの）をそめるのに使われてきました。何度もそめると、あざやかな紅。 【scene 13】 「かさねの色目」の植物の名前 およそ1000年前の貴族（きぞく）は、さまざまな色の着物を組み合わせて楽しみました。これを「かさねの色目」といい、植物の名前がついています。白と赤の組み合わせは「さくらがさね」。山ざくらの真っ白な花と赤い若葉（わかば）の二つの色を重ねたのです。こい黄色にうすい黄色の組み合わせは「花山吹（はなやまぶき）」。黄色い花が重なるようにさく山吹の花のイメージです。青むらさきと緑の組み合わせは「桔梗（ききょう）」。葉っぱの緑と青むらさきの花。桔梗の花がさく様子です。

ひょうたんからコトバ

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旅

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夏休み直前！山や海に出かけるときに思い出してほしい言葉を学ぶ。例）・かわいい子には旅をさせよ・呉越同舟・日本全国「ありがとう」の旅

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 今日のテーマ「旅」 が～まるちょばのケッチ！とヒロ・ポン、今日は電車でお出かけのようです。ヒロ・ポンがトイレに行きました。そのすきに、ケッチ！がヒロ・ポンのりんごをガブリ。でも、りんごを食べたのがばれちゃった！　ということで、今日のテーマは、「旅」。 【scene 02】 故事成語「呉越同舟」 旅にまつわる故事成語（こじせいご）、「呉越同舟（ごえつどうしゅう）」。野球チームの「ヒョウタンズ」と「ナスビーズ」は宿命のライバル。「負けるもんか！」、「フンッ」といつもライバル心むきだし。そして試合（しあい）の日、急に空がくもり、はげしい雨がおそってきた。すると、「グラウンドがぐちゃぐちゃになって試合ができなくなっちゃう！」、「みんなでグラウンドを守るぞ！」と、ライバルどうしの両チームが協力（きょうりょく）しあって、グラウンドに雨よけのシートをはりだした。これぞまさしく、「呉越同舟」。 【scene 03】 「呉越同舟」のはじまり 「呉越同舟」のはじまり。今からおよそ2500年前の中国。孫子（そんし）という思想家が記したたとえ話から生まれた。呉という国と越という国は、いつも戦争（せんそう）をしている敵（てき）どうし。ある日、呉の人と越の人が旅の途中（とちゅう）で同じ舟（ふね）に乗り合わせた。すると突然（とつぜん）、あらしが舟をおそった。この時、今までいがみあっていた者たちが協力（きょうりょく）して舟をこいだ。この状況（じょうきょう）を「呉越同舟」といい、同じ場所にいた仲の悪い者同士が、ピンチの時、協力しあうことをいう。 【scene 04】 ピンチの時は敵も仲間 現在では「仲（なか）の悪い者どうしが同じ場所にいあわせる」という意味でも使います。「今日はバレーボールの大会ですが、バスが故障（こしょう）したのでほかのチームといっしょのバスで会場に行きます」と先生。ミワちゃんがバスに乗りこむと、なんとライバルチームがすわっていた！　ライバルチームと一つのバスで移動（いどう）する、「呉越同舟のバスの旅」。仲の悪い者どうしが同じ場所にいるとちょっと険悪（けんあく）なムード。でもピンチの時は敵（てき）も味方も関係（かんけい）ない。チームワークで乗り切れ、「呉越同舟」。 【scene 05】 ことわざ「かわいい子には旅をさせよ」 旅のことわざ、「かわいい子には旅をさせよ」。電車もバスもない昔の旅は、どんなに遠くても歩いていくしかないとてもつらいものでした。だからこそ、旅は人を成長（せいちょう）させる。子どもはあまやかさず、さまざまなつらい経験（けいけん）をさせたほうがいい、ということわざです。旅で成長した人といえば、舞台（ぶたい）などで大活躍（だいかつやく）の川平慈英（かびら・じえい）さん。川平さんは３人兄弟の末（すえ）っ子で、ちょっとあまえんぼうでした。川平さんを大きくかえた旅。それは９歳（さい）のとき。 【scene 06】 アメリカ修行はおどろきの連続 川平さんは両親とはなれ、アメリカに送り出されたのです。お母さんのふるさとアメリカで一年間修行（しゅぎょう）する。これが、川平家のおきてでした。川平さんは、おじさんのいるアメリカのカンザス州へ。そこでは毎日がおどろきの連続（れんぞく）でした。生まれてはじめて見た竜巻（たつまき）。さらにおどろいたのがおじさんの農場。見わたすかぎりの広い農場で、川平さんの新たな生活が始まりました。毎日、朝４時起き。羊の納屋（なや）のふんのかたづけから始まります。 【scene 07】 自分の気持ちをどんどん言葉にする 学校の授業（じゅぎょう）では大ショックを受けました。「ぼくはこう思う！」、「なぜですか？」と、みんなが意見を言い合うのです。先生を質問（しつもん）ぜめにすることもありました。自分の気持ちや考え方を「言葉にして出す」。それが当たり前でした。あまえんぼうで人前で発言するのがにがてだった川平さんは、みるみるかわりました。どんどん自分の意見を言うようになります。さらに、知らない人ばかりの土地で友だちをつくり、心の底から話し合えるようになりました。この一年のさまざまな経験は、川平さんの大きな自信となりました。 【scene 08】 旅は「出会い」だ！ 一年間の修行（しゅぎょう）を終えて帰国した川平さんは、さまざまなことにチャレンジし始めます。中学では演劇（えんげき）を始め、人前で表現（ひょうげん）する楽しさを発見しました。俳優（はいゆう）となった今も、川平さんは新たなチャレンジをつづけています。あまえんぼうだった川平さんがアメリカでたくましくなった。まさに「かわいい子には旅をさせよ」ですね。「旅にはいろいろな出会いがあります。今まで感じたことがないような出来事にたくさん出会えるものです。みなさんもどんどん旅に出ましょう！」（川平さん）。 【scene 09】 「旅」のことわざ仲間 （1）「旅は道連（みちづ）れ　世は情（なさ）け」――旅は一人よりも友だちがいっしょだと心強い。世の中は助け合っていくことが大切、ということわざ。（2）「旅の恥（はじ）はかき捨（す）て」――旅先には知り合いがいない。だから、ふだんならはずかしくてできないことでも平気でしちゃう、ということわざ。でも、これはちょっとよくないことです！ 【scene 10】 俳句 「ふるさとの　訛（なまり）なつかし　停車場（ていしゃば）の　人ごみの中に　そを聴（き）きにゆく」。これは、明治（めいじ）時代に、石川啄木（いしかわ・たくぼく）がよんだ歌です。ふるさとの岩手県渋民村（しぶたみむら）をこいしく思った啄木、故郷（こきょう）の訛が聞きたくなり、駅へ向かった情景（じょうけい）をうたったといわれています。 【scene 11】 日本語いろいろ 「日本全国『ありがとう』の旅」。日本各地での「ありがとう」の言い方をみていきます。まず、「かんぼ」。これは秋田県の一部などの言い方です。北陸（ほくりく）地方などでは「きのどくな」。「おおきに」は近畿（きんき）地方などで多く使われます。島根県などでは「だんだん」。「にふぇーでーびる」は沖縄県。昔は今のように交通手段（こうつうしゅだん）が発達（はったつ）していませんでした。遠くへ出かけることも、他の地域（ちいき）から人が来ることもまれでした。そのため、その土地ならではの言い回しや言葉ができたのです。 【scene 12】 この言葉、どんな意味？ ケッチ！のかみの毛の色は「あかい」。「あかい」は色を表す言葉ですが、佐賀県などではこんな使い方もあります。「がばいあかかね」。この「あかい」とは「明るい」という意味です。北海道などでいう「あー、こわいこわい」。この「こわい」は、実は「つかれた」という意味。静岡県の一部などでいう「背中（せなか）をかじる」。この「かじる」は、「かく」ということ。そして、青森県などでいう「ケッチ！は投げた」。この「投げる」は、「すてる」という意味です。みんなも旅に出て、いろいろな言葉をさがしてみましょう。

ひょうたんからコトバ

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伝説

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「鬼」や「竜」など、伝説上の生き物を使った言葉を学ぶ。例）・渡る世間に鬼はない・画竜点睛・月の名前（三日月）

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 今日のテーマ「伝説」 金色に光るふしぎな竹を見つけた、が～まるちょばのヒロ・ポン。スパッと切ってみると…なんと中から出てきたのは、小さなケッチ！　竹の中から人が出てくるなんて、みんなも知っている、『竹取物語』のおひめ様と同じだね。ということで、今日のテーマは、「伝説（でんせつ）」。 【scene 02】 故事成語「画竜点睛」 「伝説」にまつわる故事成語（こじせいご）、『画竜点睛（がりょうてんせい）』。今日は学芸会。セイコちゃんのクラスの出し物は「シンデレラ」です。次はいよいよシンデレラがお城（しろ）に行くシーン。舞台のそででは、ミワちゃんとマサキくんが、シンデレラ役のセイコちゃんをチェックしています。「ドレス、よーし！」。「カツラ、よし！」。「王子、よし！」。でも…どこか、おかしい。よく見ると、くつがボロボロ。「ココだ～っ！」。シンデレラにとって、一番大切なガラスのくつをはいて、コレでかんぺき！　これぞまさしく、「画竜点睛」。 【scene 03】 「画竜点睛」のはじまり 今からおよそ1500年前、梁（りょう）の時代の中国。絵がうまいとひょうばんの張僧よう（ちょうそうよう）という画家がいた。あるとき張は、お寺の壁に竜（りゅう）をかいて言った。「竜がとび去ってしまうから、瞳（ひとみ）をかくのはやめておこう」。しかし、まわりの人たちは、「絵なんだからとぶわけない！ちゃんと瞳もかいてください！」とお願いした。そこで張は、「どうなっても知らんぞ」と瞳をかきこんだ。「コレでかんぺき！」とよろこぶ人々。ところが、瞳をかいたとたん、絵の竜は本物にへんしんし、空高くとんでいってしまった。 【scene 04】 「睛」と「晴」 『画竜点睛』とは、物事を完成（かんせい）させるために最後（さいご）にくわえる仕上げのこと。また、全体をひき立たせるもっとも肝心（かんじん）な部分のことでもある。ちなみに「点睛」の「睛」とは、瞳（ひとみ）のこと。「晴れる」の「晴」ににているので、まちがえないようにしよう！ 【scene 05】 「画竜点睛を欠く」という使い方 「よーし、似顔（にがお）絵をかくぞ！」と、マサキくん。かいた似顔絵をお母さんに見せると、「あら、が～まるちょば！　上手ね。でも…どこか、おかしい」とお母さん。よく見ると、髪（かみ）の毛が真っ黒！　「ココだ～っ！」。髪（かみ）の毛を赤と黄色にぬって、「コレでかんぺき！」。が～まるちょばをかいたのに、髪を黒くぬるなんて、画竜点睛を欠（か）く絵だね。『画竜点睛を欠く』とは、全体的によくできているのに肝心（かんじん）なところが欠けていることをいいます。 【scene 06】 ことわざ「渡る世間に鬼はない」 「伝説」にまつわることわざ、『渡（わた）る世間に鬼（おに）はない』。とってもこまっているのに、だれも手つだってくれなくて「みんな、つめたいな、鬼みたいだな」と思ったことない？　でも、助けてくれる人はかならずいる、というのがこのことわざの意味。『渡る世間に鬼はない』という体験したのが、山田ルイ53世とひぐちくんのコンビ・髭男爵（ひげんだんしゃく）。今やみんなが知っている人気者の二人。でも、人気が出るまでには10年もかかりました。 【scene 07】 オーディションに落ちつづける毎日 コンビを組んだ二人は、デビューをめざして、タレント事務所（じむしょ）のオーディションを受けつづけます。しかし「必要（ひつよう）ない。おもしろくない」と、だれも髭男爵を事務所に入れようとしません。まわりが鬼（おに）だらけに見えていたそうです。そんななか、一人の先輩（せんぱい）芸人が「入れようよ、がんばってるし！」と言ってくれ、ようやく今の事務所に入ることができました。一年近くオーディションに落ちつづけていた二人を見出してくれた人がいたのです。二人は、「渡る世間に鬼はない」と実感したそうです。 【scene 08】 気にかけてくれる人がいた！ ようやく舞台（ぶたい）に立った髭男爵ですが、まったくウケません。お客さんが鬼（おに）に見えたこともありました。「だれもぼくらのことなんか見ていない」となげやりになっていたとき、あるライブでおべんとうのさしいれが！　先輩（せんぱい）芸人のファンからでした。手紙には「いつもがんばっているのを見ているので、コレでおなかをみたしてください」と。くじけそうなときにふれた、人のあたたかさ。まさに「渡る世間に鬼はない」。「一生けんめいがんばっていると仏（ほとけ）のような人に出会えたりする。がんばることが大事」。 【scene 09】 「鬼」のことわざ仲間 （1）『鬼（おに）に金棒（かなぼう）』――ただでさえ強い鬼に金棒を持たせると、もっと強くなる。強いものがさらに強さをくわえる、という意味のことわざ。（2）『来年のことを言えば鬼が笑（わら）う』――明日何が起こるかさえわからないのに、来年のことなどわかるはずもない。将来（しょうらい）のことをあれこれ言ってもはじまらない、という意味のことわざ。 【scene 10】 短歌 「秋来ぬと　目にはさやかにみえねども　風の音にぞおどろかれぬる」。これは、およそ1100年前に、藤原敏行（ふじわらのとしゆき）がよんだ歌です。夏の終わり、ふきぬけるすずしい風の音に、秋を感じてよんだといわれています。 【scene 11】 日本語いろいろ 日本の昔話『竹取物語』。竹から生まれたおひめ様は満月（まんげつ）の夜、月の世界へ帰っていきます。満月はまんまる。ほかにも月はいろいろな形に見えます。丸くなったり、見えなくなったり。30日かけて、さまざまなすがたを見せてくれる月。月は、見え方によって、それぞれ名前がつけられています。 【scene 12】 三日月と上弦の月 「みかづき」は、漢字で書くと「三日月」。昔のこよみで一ヶ月の３日目に見える形なので、「三日月」という名前がつきました。「上弦（じょうげん）の月」は、昔のこよみで７日目ごろに見える形の月です。月の上旬（じょうじゅん）に見えることからこの名前がつけられたといわれています。「弦」とは、弓にはった糸の部分のこと。弓をはった形が、この月の形によくにています。 【scene 13】 十五夜と晦日月 「十五夜」とは、満月（まんげつ）のこと。昔のこよみで15日目に見えることから、「十五夜」とよばれるようになりました。とくに９月の十五夜を「中秋（ちゅうしゅう）の名月」とよび、お月見をする風習があります。「みそかづき」という月の形は目で見ることができません。昔のこよみで30日目の月のことです。一ヶ月の最後の日を「晦日（みそか）」ということから、この名前がつけられました。ちなみに12月31日は、１年の最後の日。だから「大晦日（おおみそか）」とよばれます。月のさまざまな名前は、日本人が持つ月への親しみの表れですね。 【scene 14】 〔　？　〕に入る月の言葉は？ みんなで月の歌を楽しみましょう。〔　？　〕に入る、月にまつわるコトバを考えてください。「♪おつきさまえらいな　おひさまのきょうだいで　〔　？　〕になったり　〔　？　〕になったり　はる　なつ　あき　ふゆ　にっぽんじゅうをてらす♪」。〔　？　〕に入る月の言葉、わかったかな。答えは…、「♪おつきさまえらいな　おひさまのきょうだいで　〔みかづき〕になったり　〔まんまる〕になったり　はる　なつ　あき　ふゆ　にっぽんじゅうをてらす♪」でした。【『おつきさま』　詞：石原和三郎　曲：納所弁次郎】

ひょうたんからコトバ

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うっかり！

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油断したり、失敗したりしないための、戒めの言葉を学ぶ。例）・猿も木から落ちる・蛇足・２つ重なった間違い言葉・（頭痛が痛い）

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 今日のテーマ「うっかり！」 が～まるちょばの大切なカバンが置きっぱなしになっている！　だめだよー！　「ごめん、ごめん。うっかりしちゃった」。今度はケッチ！が持ち上げて運ぼうとしますが…カバンが空中に止まって動きません。ヒロ・ポンが運ぼうとしてもやっぱり動きません。カバンのまわりをグルグル回ったヒロ・ポン、ついカバンを足の上に落としてしまいました。「いたい～！」。「うっかりしちゃったね」。いざ気を取り直して、２人は出発！　あれれ？　またカバンが置いたままだ！　だめだよー！！　ということで、今日のテーマは、「うっかり！」。 【scene 02】 故事成語「蛇足」 「うっかり！」にまつわる故事成語（こじせいご）、「蛇足（だそく）」。今日の図工の時間は外で絵をかきます。マサキくんがかいていると、先生がやってきました。先生「マサキ、上手だねえ。秋の風景（ふうけい）がうまくかけてるじゃないか」。すると、友だちのタクロウくんも「ホントだ、うまいじゃん」。ミワ「絵がうまいなんてカッコいい！」。みんなにほめられたマサキくんは、「うれしいなあ。大すきなミワちゃんまでほめてくれたぞ。よーし、秋の風景をもっとかいてみんなをおどろかせてやるう！」と、すっかり調子にのってかきだしました。 【scene 03】 木になるマサキのさつまいも？ いよいよ、完成した絵を発表します。マサキくんは、真っ先に自分の絵を見せました。すると、「マサキくんの絵、なんかおかしくない？」とみんなが口々に言います。「栗（くり）と柿（かき）は木になるけど、サツマイモって、木になるんだっけ？」とミワちゃん。絵を見ると、木の上にサツマイモが！　サツマイモは土の中になるもの。調子にのったマサキくんは、土の中になるサツマイモを、うっかり木にかいてしまったのです。「あちゃー。やりすぎたあ」。これぞまさしく、「蛇足」。 【scene 04】 「蛇足」のはじまり 今からおよそ2300年前、中国の「楚（そ）」という国でのこと。いちばん早くヘビの絵をかいた者がお酒を飲めるというきょうそうが行われた。「よしできた。オレが一番だ！」と、かき終わった男は、満足げにお酒に手をのばした。そして、みんながまだかいているのを見ると、ますます調子にのって絵をかきだした。すると横から「この勝負、わしの勝ちだな」と別の者にお酒をとられてしまった。「なんでー！」とおこる男。「自分の絵をよく見ろ。これがヘビか」。見ると…ヘビに足がついている！　これじゃ、ヘビではないよね。「あちゃー。やりすぎたあ」。 【scene 05】 ヘビに足をかいたばかりに ヘビの絵に足をかきたしたために、男はきょうそうにまけてしまった。これぞまさしく、「蛇（へび）」に「足」と書いて、「蛇足（だそく）」。「蛇足」とは、余計（よけい）なものをつけたすこと。そこから、ものごとがうまくいっているときに余計なことをして失敗（しっぱい）したときなどにも使われる。 【scene 06】 こんな時も「蛇足」 「髪形（かみがた）かえたんだけど、どう？　にあう？」とお姉さんにきかれたマサキくん。「うん、すごくにあうよ。なんだかやさしい感じになったね」と答えた。すると、よろこんだお姉さんは、マサキくんに自分のおやつをあげた。「やったぞー」とマサキくんは大よろこび。調子にのって、「おこりんぼのお姉ちゃんとは別人（べつじん）みたい」とつい言ってしまった。とたんにお姉さんはこわい顔に！　「それどういうこと？　おやつ返しなさい！」とマサキにあげたケーキを取り上げてしまった。「あちゃー。言いすぎたあ」。 【scene 07】 うっかり余計なことをしないように 『お姉ちゃんがおこった。本音を言ったのが蛇足だった』。じまんしたいときや、調子にのったときなど、ついうっかり余計（よけい）なことをして失敗（しっぱい）をまねくことがある。みんなも、「蛇足」には気をつけよう！ 【scene 08】 ことわざ「猿も木から落ちる」 「うっかり！」したときのことわざ、「猿（さる）も木から落ちる」。木登りが得意（とくい）なサル。そんなサルでも木から落ちることがある。つまり、その道の名人でも時には失敗（しっぱい）することがある、という意味のことわざ。このことわざにぴったりの経験（けいけん）をしたのは、パリ、ニューヨークなど世界中のファッションショーで活躍（かつやく）をつづけているトップモデル、冨永愛（とみなが・あい）さん。キャリア十分の冨永さんが、今でもわすれられない「猿も木から落ちる」という思い出とは…。 【scene 09】 大事なステージでくつが！ イタリア、ミラノで行われたファッションショーでの出来事。世界中の人たちが注目しているステージで、なんと、くつがぬげてしまったのです。まさに、「猿も木から落ちる」。このピンチをどうしたかというと…冨永さんは、とっさにもうかたほうのくつもぬぎ、何事もなかったかのように歩きつづけたのでした。でも心の中は、プロとしてはずかしさでいっぱいだったそうです。「実は、自分のサイズよりも大きいくつをはいて歩いたんです。それでも、かんぺきにカッコよく歩かなければいけないのがモデルなのに、歩けなかった」。 【scene 10】 失敗が成長させてくれる 「つねに緊張感（きんちょうかん）を持ってやっている仕事だけど、もしかしたら油断（ゆだん）しちゃったのかもしれない」。モデルとして何百という世界中のステージを歩いてきた冨永さんが、猿も木から落ちた。それから冨永さんは上手な歩き方をさらに研究し、その技術（ぎじゅつ）を身につけていきました。この失敗（しっぱい）が冨永さんを成長（せいちょう）させたのです。「木から落ちてもいいと思いますよ。一回落ちたらもう落ちないだろうし。失敗をすることによって、成長していくと思う」。 【scene 11】 うっかりした時のことわざ仲間 （1）「河童（かっぱ）の川流れ」――泳ぎのうまい河童でも、川の流れにおし流されることがある。つまり、その道の名人でも時には失敗（しっぱい）することがある、ということ。（2）「口は禍（わざわい）のもと」――何気なく言った言葉が、いろいろな災難（さいなん）をまねくことがあるから気をつけよう、という意味のことわざ。 【scene 12】 俳句 「をりとりて　はらりとおもき　すすきかな」。これは、昭和５年に飯田蛇笏（いいだ・だこつ）がよんだ句（く）です。道ばたのすすき。ふと、折（お）って手に取ると、思いのほか重く、そのおどろきをよんだといわれています。 【scene 13】 日本語いろいろ にた意味の言葉を２つ重ねると、ちょっとおかしな意味になる言葉。（1）「頭痛（ずつう）が痛（いた）い」。「頭痛」という言葉は、「頭が痛い」という意味。でも「頭痛が痛い」になると、頭痛の原因（げんいん）が痛がっていることになるかも…。頭痛がする、または、頭が痛い、のように、「痛い」は１つで十分。（2）「馬から落馬する」。「落馬」は、「馬から落ちる」という意味。「馬から落馬」だと、馬の上で馬から落ちる、ということになるかも…。落馬する、または、馬から落ちる、のように、「馬」は１つで十分です。 【scene 14】 次の文章、どこがヘン？ 次の文章はどこがおかしいかわかるかな？　「山の中の山中で、転んで倒（たお）れて転倒（てんとう）し、女の女性に笑（わら）われて、赤い顔して赤面し、家に帰って帰宅（きたく）した」。ヒントを入れてみるよ。「山の中の／山中で、転んで倒れて／転倒し、女の／女性に笑われて、赤い顔して／赤面し、家に帰って／帰宅した」。さらにヒント。２つならんだ言葉を１つだけ選んで読んでみよう。「山の中で、転倒し、女に笑われて、赤面し、家に帰った」。わかったかな？　同じ意味の言葉を重ねていないか、みんなも気をつけましょう。

ひょうたんからコトバ

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宝

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先人が考える「宝」とは？宝をめぐる言葉を学ぶ。例）・宝の持ちぐされ・完璧・「をかし」

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 今日のテーマ「宝 怪盗（かいとう）ケッチ！が、お宝（たから）をぬすみにあらわれました。宝箱がおいてある部屋のカギを、チョチョイのチョイッとあけます。「さぁ、お宝をいただくぞ！」と宝箱をあけたケッチ！。すると、中から光が…。「うわー！　まぶしい！　一体、どんな宝なんだ」。ワクワクしながら中をのぞくと…、「アレ？」。出てきたのは、ヒロ・ポン。…ということで、今日のテーマは『宝』。 【scene 02】 故事成語「完璧」 『宝』にまつわる故事成語（こじせいご）、『完璧（かんぺき）』。タクロウくんの部屋に遊びに来た、マサキくん。タクロウくんのプラモデルのコレクションを見て、「すごーい！」と感心しています。「とくに、この赤いスーパーカー。すっごくカッコイイ！　細かいところまできれいにできてるし、キズ一つないや。ねぇねぇ！　ちょっとでいいから、かして～！」と、マサキくん。「いいけど…これはぼくの大切な宝ものだから、ぜったいにこわさないでよ！」と、タクロウくん。 【scene 03】 お宝を完璧に守ったマサキくん 「ヤッホー！　ブーンブーン、キキキー！」と遊びはじめた、マサキくん。ところが…“ガッシャーン”と本だなにぶつかり、くずれた本の下じきに！　「マサキくん、だいじょうぶ！？」と、かけよるタクロウくん。「イタタタタ…、ぼくはだいじょうぶ～。そしてこっちも…ほらっ！」。マサキくんの手には、キズ一つない赤いスーパーカーが。「プラモデルも無事（ぶじ）だ。すばらしい！」。これぞまさしく、『完璧』。 【scene 04】 「完璧」のはじまり 今からおよそ２３００年前。中国の“趙（ちょう）”という国の王が、『和氏の璧（かしのへき）』という「宝の玉」を手に入れた。「なんとまぁ、きれいな宝じゃ」と、よろこんでいると、“秦（しん）”という国の王から一通の手紙がとどいた。宝の玉のうわさを聞き、「自分の国の城（しろ）とこうかんしよう」というものだった。秦はとても強い国。ことわると戦争（せんそう）をしかけてくるかもしれない。そこで一人の家来が、秦に交渉（こうしょう）に行くことになった。「もし城が手に入らなければ、宝はキズ一つつけずに持ち帰ります！」。 【scene 05】 キズ一つなく宝がもどってきた 「ほほう、これが例（れい）の宝の玉か。すごいの～！」。宝を受け取ってよろこぶ秦の王。しかし、王は、城（しろ）とこうかんする気配をまったく見せない。そこで交渉（こうしょう）にきた家来は、王の手から宝をうばい取り、命がけで言った。「宝と城をこうかんする気がないようなので、返してもらいます。もしわたしをつかまえるのであれば、この宝を頭でたたきわります！」。「うっ…やめろ～っ！」。こうして家来は、宝をキズ一つつけることなく趙へ持ち帰ることができた。「宝も無事（ぶじ）だ。すばらしい！」と、趙の王はよろこんだ。 【scene 06】 まったく欠点がないこと 『完璧』とは、キズ一つない完全（かんぜん）な玉が無事（ぶじ）に帰ってきたことから生まれた言葉。まったく欠点（けってん）がないことや、人からかりた物を無事に返す、という意味がある。ちなみに『完璧』の『璧』は、「壁（かべ）」という字ににているから、まちがえないようにしよう！ 【scene 07】 こんな時にも『完璧』 今日は国語のテスト。「きのう、復習（ふくしゅう）したから、ぜったいに１００点とるぞ！」と、マサキくん。「よし。勉強したところが全部出た！　でも、しっかり見直ししておこう！」。テストを見直すと、名前を書きわすれているのに気がついた。「今度こそ…これで完璧！」。数日後。「それでは、この前のテストを返します。マサキくん！」。先生によばれ、ドキドキドキ。点数は…、「ヤッター！　はじめて１００点とったぞ！　宝ものにしよう！」。『授業（じゅぎょう）の復習は完璧。テストの見直しも完璧。だから１００点がとれた。』 【scene 08】 ことわざ『宝の持ちぐされ』 『宝の持ちぐされ』とは、役に立つ物や才能（さいのう）を、利用（りよう）しないでしまっておいたり活用しないでいること。「宝の持ちぐされだね」、とよく言われるているのは、タレントの西村知美さん。「わたしの宝は“資格（しかく）・認定証（にんていしょう）”です。車の免許（めんきょ）から始まって、甲種防火管理者（こうしゅぼうかかんりしゃ）、上級救命技能認定証（じょうきゅうきゅうめいぎのうにんていしょう）、ギフトラッピングコーディネーター、ボディマネージメントコーチプロなど、全部で３０個もあるのです！」。 【scene 09】 カッパ捕獲許可証？ 多くの資格（しかく）を持っている西村さんですが、全部役に立っているのでしょうか。「“タイ古式マッサージ免許（めんきょ）”を持っていると、開業できるんですよ！　タイ国内のみですけど。日本では役に立たないんですけどね」。そして、すぐに役立つと思って取ったものの、なかなか役に立たないのが、“カッパ捕獲許可証（ほかくきょかしょう）”。「実際（じっさい）にカッパさえ出てきてくれれば、持ちぐされにはならないんですけどねぇ…」。 【scene 10】 いつかは役に立つ『宝』 西村さんが資格（しかく）を取るようになったのは、自分をみがき、自分に自信（じしん）をつけるため。今はまだ役に立っていないものもありますが、どの資格も、努力して手に入れた大切な宝ものです。「自分の世界を広げるためにも、いろいろなことに挑戦（ちょうせん）することは大事。それに勉強したことに、むだなものはない、とつねに思っています。今は『宝の持ちぐされ』に見えても、いつかは役に立つとしんじて挑戦するというのは、いいことだと思います」。 【scene 11】 「宝」のことわざ仲間 （１）『時は金（かね）なり』――時間は、お金と同じように大切なもの。だから、時間を無駄（むだ）にすごしてはいけない、という意味のことわざ。（２）『沈黙（ちんもく）は金（きん）』――「沈黙は金、雄弁（ゆうべん）は銀」ともいいます。金は銀より高価（こうか）な宝。時にはだまって何も話さないでいるほうが、たくさん話すよりよい、という意味。使い方：目立ちたがり屋でおしゃべりのケンタくんが急にだまった。すると、みんなが大注目！　まさに「沈黙は金」だ。 【scene 12】 短歌 『金色（こんじき）の　ちひさき鳥のかたちして　銀杏（いちょう）ちるなり　夕日の岡（おか）に』。これは、明治時代に与謝野晶子（よさの・あきこ）がよんだ歌です。夕暮れの丘（おか）。黄色に色づいたイチョウの葉を小さな鳥にたとえ、そのちりゆく情景（じょうけい）をうたったものといわれています。 【scene 13】 日本語いろいろ 今からおよそ１０００年前の平安時代。貴族（きぞく）とよばれた人たちが使っていた『をかし』という言葉の意味を、いっしょに考えてみましょう。『蛍（ほたる）の多く飛（と）びちがひたる、また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行（ゆ）くも、をかし』。『雁（かり）などの列（つら）ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし』。ちなみに、「いと」とは「とても」という意味です。貴族の人たちが使っていた『をかし』の意味、わかりましたか。〔いずれも『枕草子』より〕 【scene 14】 『をかし』を今の言葉に直すと 二つの文を現代（げんだい）の言葉にします。『蛍（ほたる）がたくさんとびかっている。また、ほんの一つ二つ、ほのかに光っているのもきれいでいいね～』。『雁（かり）などがつらなってとんでいるのが、とても小さく見えるのは、とっても風流でいいね～』。『をかし』には、「きれい」や「風流だ」という意味があるのです。両方とも、「『いいね～』としみじみ感じる気持ち」からうまれました。ほかにも「すばらしい」や「うつくしい」など、「をかし」にはたくさんの意味がありますが、すべて、「『いいね～』としみじみ感じる気持ち」につながっています。 【scene 15】 こんな時にも『をかし』 （１）「桐（きり）の木の花、紫（むらさき）に咲（さ）きたるは、なほをかしきに」『枕草子』より…桐の木の花は紫色にさいているのが、やっぱりすばらしくていいね～。（２）「をかしの御髪（みぐし）や」『源氏物語』より…黒いかみの毛が、うつくしくていいね～。『をかし』のように、貴族（きぞく）が使っていた言葉で、たくさんの意味を持つものはほかにもあります。「あはれ」「めづらし」「なつかし」「うるさし」など、どんな意味なのか、調べてみてください。

ひょうたんからコトバ

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びっくり！

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驚いた時の気持ちを表す様々なたとえ表現を学ぶ。例）・寝耳に水・青天の霹靂・江戸の言葉遊び（六日知らず）

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 今日のテーマ『びっくり！』 が～まるちょばの「びっくりショー」の始まりです。ケッチ！が耳にハンカチをいれたぞ。くしゃみをしたら、なんと、鼻から出てきた！　「びっくり！」。次はヒロ・ポン。風船をふくらませていると・・・、あれれ、そのまま風船といっしょにとんでっちゃった！　今日のテーマは『びっくり！』。 【scene 02】 故事成語『青天の霹靂』 『びっくり！』にまつわる故事成語（こじせいご）、『青天の霹靂（へきれき）』。 【scene 03】 『青天の霹靂』のはじまり 今からおよそ900年前の中国。陸游（りくゆう）という詩人がいた。陸游は生涯（しょうがい）におよそ１万もの詩を書いたことで知られている。あるとき陸游は病気でねこんでしまい、大すきな詩を書けない日がつづいた。「書きたい、書きたい！　とりゃーっ」。ある日、陸游はとつぜん立ち上がり、もうれつないきおいで詩を書き始めた。そのすがたはまるで、長いあいだねむっていた竜（りゅう）がとつぜん天にのぼり、晴れた空にカミナリをひびかせるかのようだった。青空に急にカミナリ。これぞまさしく、『青天の霹靂』。 【scene 04】 「霹靂」はカミナリのこと 「霹靂」とは、カミナリのこと。『青天の霹靂』とは、晴れた空にとつぜんカミナリが鳴りひびくように、予想もしない思いがけない出来事がとつぜん起こることをいいます。 【scene 05】 こんな時も『青天の霹靂』 マサキくんが学校から帰ってくると、お母さんがあわてています。お父さんがとつぜん転勤（てんきん）になったので、明日引っこす、というのです。「うっそーっ！　あしたなんて、急だよーっ」とおどろくマサキくん。まさに、『青天の霹靂』。 【scene 06】 ことわざ『寝耳に水』 『びっくり！』にまつわることわざ、『寝耳（ねみみ）に水』。――「ウヒャー！」。ねていたら耳に水が入ってきた。「びっくりしたあ！」。『寝耳に水』とは、思いがけない出来事にひどくおどろくことのたとえです。このことわざについて話してくれるのは、声優（せいゆう）の田中真弓さん。『忍たま乱太郎』の「摂津（せっつ）のきり丸」をはじめ、人気アニメのキャラクターの声で大活躍（かつやく）をしています。その田中さんはいいます。「わたしの人生は、寝耳に水の連続（れんぞく）でした」。 【scene 07】 考えもしなかった声優の仕事 田中真弓さんが演（えん）じた声の役はなんと100以上。でもはじめは声優（せいゆう）ではなくべつの夢（ゆめ）がありました。それは女優。ところが、入った劇団（げきだん）であたえられた仕事は、「声」の仕事でした。舞台（ぶたい）にも出て女優をめざしていた田中さんにとっては『寝耳に水』だったそうです。来る仕事は、声の仕事ばかり。しかもその役はというと、少年、ブタ、カラス、ニワトリなどなど…。そんなある日、ひさしぶりに女性の役の仕事がまいこみます。 【scene 08】 やっとまいこんだ女性の役は… それは、『アニタのぼうし』という作品の主役の「アニタ」という役。よろこんだ田中さんは、女性の高い声を出す練習もして、当日は女性らしいかっこうでスタジオに行ったそうです。ところが、受け取った台本を見ると『鬼太（オニタ）のぼうし』とあります。女の子の「アニタ」ではなく、男の子の「オニタ」だったのです。まさに、「これは寝耳に水だ！」という出来事でした。 【scene 09】 『寝耳に水』の楽しい人生！ 『寝耳に水』の連続（れんぞく）でしたが、声優（せいゆう）になって、すばらしい出来事もありました。それは、田中さんが持ちつづけていたもう一つの夢（ゆめ）がかなったこと。実は、田中さんは歌手にもなりたくて歌のけいこをしていました。しかしそのときはレコード一枚（まい）出せませんでした。それが、声優になったら、念願（ねんがん）のレコードを出すことができたのです。「わたしは、『寝耳に水』の人生を楽しんでいます」（田中さん）。 【scene 10】 『びっくり！』のことわざ仲間 （１）『やぶから棒（ぼう）』――やぶから急に棒が出てきたら、ビックリ！　このことわざは、思いがけない出来事にひどくおどろくことをいいます。 【scene 11】 短歌 「奥山（おくやま）に　紅葉（もみぢ）ふみわけ　鳴（なく）鹿（しか）の　こゑきく時ぞ　秋はかなしき」。これは、猿丸太夫（さるまるだゆう）がよんだといわれる歌です。ちり落ちたもみじ。せつない鳴き声。ものがなしい秋を歌ったといわれています。 【scene 12】 日本語いろいろ およそ200年前の江戸時代にはやった、とんちをきかせた言葉遊びをしょうかいします。 【scene 13】 江戸の言葉遊びに挑戦 みんなも江戸のとんち言葉に挑戦（ちょうせん）。まずは、歯（は）が戸をかんでいる絵。２文字の言葉です。答えは…、「はと」。「歯」が「戸」についているから「はと」です。つづいては、鈴（すず）が５こある絵。３文字の言葉です。答えは…、「りんご」。「鈴」という文字は「鈴（りん）」とも読みます。「りん」が「５」こで「りんご」というわけです。わかったかな。 【scene 14】 「六日知らず」とは？ 言葉遊びがはやったのは江戸時代。こんなおもしろい言葉もあります。「六日知らず」。この言葉の意味は、「けち」ということ。そのわけは…、お金を手のひらにのせて日にちを数えてみます。「一日、二日、三日…」と指おり数えていくと、小指で数えた「五日」で、お金をしっかりにぎっています。そして「六日」。小指を開くのでお金が見えてしまいます。「だめだめ、お金が出ちゃう」と小指をとじてしまう人。そこから、お金をにぎってはなさないけちな人を、「六日知らず」というようになったのです。 【scene 15】 「十三月なる顔つき」って？ つづいて、「十三月なる顔つき」。この言葉の意味は、「のんき」。十二月は一年の最後（さいご）の月。みんないそがしくはたらきます。それなのに、十二月のあとに、もう一か月、つまり、十三月があるかのようにのんびりした様子の人を「十三月なる顔つき」というようになったのです。最後は、「おひざ送り」。この言葉の意味は、「席（せき）をつめる」ということ。「つめてください」というのではなく、「おひざ送りをおねがいします」なんていえたら、ちょっとカッコイイよね。

ひょうたんからコトバ

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買い物

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上手な買い物術を教えてくれる言葉や、買い物に由来した言葉を学ぶ。例）・安物買いの銭失い・矛盾・変身単位！みんなで数えよう（一足・一組）

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 今日のテーマ『買い物』 が～まるちょばのケッチ！とヒロ・ポンが、２人でお買い物。何を買ったのかな？ずいぶんたくさん買ったみたいだね。坂道を登って荷物を運ぼうとするけど…重そう！！ということで、今日のテーマは『買い物』。 【scene 02】 故事成語『矛盾』 『買い物』にまつわる故事成語、『矛盾（むじゅん）』。今日の給食はマサキくんの大好きなカレーです。マサキくんは「早く食べてお代わりするぞ～！」と、パクパク食べます。 【scene 03】 『矛盾』のはじまり 今からおよそ2200年前の中国。韓非（かんぴ）という人が語ったたとえ話から生まれました。それは、盾（たて）と、矛（ほこ）という武器（ぶき）を売る商人の話。商人は、盾を売る時、「この盾。そのかたさといったら、つきやぶるものがないほどじゃ！」と言いました。それを聞いた人々は、「おおっ、それは最強の盾だ！」と驚きました。続いて、商人は、矛を売る時には、「こっちもすごいぞ、このするどい矛。どんなものもつきとおしてしまう！」と言ったのです。人々は、「おお、すごい！　それは最強の矛だ！」と感心します。商人は、「どうだ。どっちもすごいじゃろ！」と自信満々です。 【scene 04】 その矛でその盾をついたら？？？ ところが、商人の話を聞いていた人が言いました。「あれ？　ちょっと待てよ！もし、その矛でその盾をついたら、どうなるんだ？　盾のほうが強ければ矛は折れ、矛のほうが強ければ盾がつきやぶられる・・・。」商人は「それは…、うーん。一体どっち～？」と困ってしまいました。これぞまさしく、『矛盾』。『矛盾』とは、矛と盾を使ったこのたとえ話から生まれた言葉。物事や言動が食いちがい、つじつまが合わない、という意味です。 【scene 05】 こんなときも『矛盾』 マサキくんは、お小遣いを使い、欲しかったオレンジのミニカーを手に入れました。そして、次々に青や黄色のミニカーを手に入れて大喜びです。そこに、買い物帰りのお姉さんがやって来ました。マサキ君は、何色ものミニカーを見せて自慢します。でも、お姉さんは、「色がちがうだけでみんな同じミニカーじゃない。むだづかいしちゃダメって！言っているでしょ。」と怒りました。うなだれるマサキ君。目についたのはお姉さんの買い物袋。そこで、何を買ったのかをたずねると、それは、色ちがいたくさんの同じ服でした。それを見て、マサキくんは、「それはむだづかいじゃないの？　一体どっち～？」 【scene 06】 ことわざ『安物買いの銭失い』 『買い物』にまつわることわざ、『安物買いの銭（ぜに）失い』。――「得だ！」と思って安いものを買っても、品質（ひんしつ）が悪くてすぐダメになるので、結局は損（そん）をする、ということ。このことわざについて話してくれるのは、北斗晶（ほくと・あきら）さん。もとプロレスラーで、バラエティー番組で活躍（かつやく）しています。北斗さんは、バーゲンが大好き。でも、「安い！」と思って買った服がすぐにやぶれて着られなくなったり、「安い！」と思って買った食べ物が、すぐにいたんで、結局むだにしたことがいっぱいあったそうです。 【scene 07】 家族のなかにも「安物買いの銭失い」 『安物買いの銭失い』をするのは、北斗さんの家族のなかにもいるそうです。北斗さんの子供の、小学校１年生と５年生の男の子。２人は、おもちゃ売り場に行くと、１つのおもちゃよりも、同じ値段で５個買えるほうを欲しがるそうです。でも、「安くて得だ！」と思って買ったおもちゃは、すぐにこわれてしまったそうです…。まさに、安物買いの銭失い。 【scene 08】 考え直すチャンスを三度！ 北斗さんは、『安物買いの銭失い』をしない方法を考えました。それは、「手に取る前に、『どうしようかな、本当にほしいのかな』と考える。それでも手にとってしまったら、手に取った時にもう一回、『これ本当にほしいのかな』と考える。それでも『ほしいな』と思ったら、さらにもう一回、レジに行った時に『これどうしようかな、本当にほしいのかな』と考える。そうすれば、本当にほしいかほしくないか、三度のチャンスがあればわかるはず！」。北斗さんも、気をつけようと思っているそうです。 【scene 09】 『買い物』のことわざ仲間 （１）『ただより高いものはない』――ただで物をもらうと、たのみを聞かなくてはならなかったり、お礼にお金がかかったりして、かえって高くついてしまう、という意味。 【scene 10】 俳句 「流れゆく　大根の葉の　早さかな」。 【scene 11】 日本語いろいろ 二つになると数え方が変わるものを見てみましょう。「みんなで数えよう！　変身単位」。靴下（くつした）は「一枚（いちまい）」と数えます。二枚になると…、「一足（いっそく）」。数え方が変わりました！　両足をおおう、左右がそろっているものを「足」と数えます。次は、竹馬。片方（かたほう）だと「一本（いっぽん）」。二本そろうと「一組（ひとくみ）」に数え方が変わります。「組」とは、いくつかがそろって一つのまとまりを持つものを数える時に使います。――『ヒロ・ポンが遊んでいるのは、一組の竹馬』。 【scene 12】 「一体、一対」、「一本、一膳」 次は、ひな人形。おびなだけだと「一体（いったい）」。 【scene 13】 お米の数え方は変化する！ お米は、数え方がどんどん変化していきます。まず、「一粒（ひとつぶ）」。たくさんのお米が袋に入ると、「一袋（ひとふくろ）」。お米は、わたしたちの生活のさまざまな場面に登場するため、いろんな数え方が生まれました。みんなでリズムに合わせてお米を数えてみましょう。「♪お米を数えろ　どこまでも　まずは刈（か）り取った稲（いね）からです　ひとにぎり分は　一把（いちわ）だよ　十把（じっぱ）まとめて　一束（いっそく）だ♪」。一把から一束に変わりました。まだまだ変わるよ！ 【scene 14】 お米の数え方、ほかにも… 「♪お米を数えろ　どこまでも　俵（たわら）につめれば一俵（いっぴょう）で　お店にならぶと　一袋（ひとふくろ）　このあともまだまだ　変わります♪」。「♪ごはんの準備（じゅんび）だ　さあたこう　量を計るときは　一合（いちごう）で　お茶わんにもったら　一膳（いちぜん）で　口の横についたら　一粒（ひとつぶ）だ♪」。お米の数え方は、ほかにもあるよ！

ひょうたんからコトバ

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ラッキー

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幸運をつかんだ時のたとえ表現を学ぶ。例）・ひょうたんから駒・漁夫の利・おせち料理の名前（栗きんとん）

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 今日のテーマ『ラッキー』 が～まるちょばのケッチ！がくじ引き。何が当たるかな…？　金色の玉が出た！　１等、大当たり！　ラッキー！　景品（けいひん）はラジコンで動くヒロ・ポンのロボットだ。でも、あれ？　ラジコンがきかないよ！　というわけで、今日のテーマは『ラッキー』。 【scene 02】 故事成語『漁夫の利』 『ラッキー』にまつわる故事成語、『漁夫の利（ぎょふのり）』。マサキくんのお兄さんとお姉ちゃんが１個（こ）のケーキをめぐってケンカをしています。「ちょっと、その手をはなしなさいよ。わたしのケーキよ！」、「やだよ、ぼくも食べたいんだよ！」とおたがいゆずらず、取っ組み合いのケンカに。「こらー！　いいかげんにしなさい！」とお母さんが２人をおこっているところに、マサキくんが帰ってきました。するとお母さんはマサキくんに、けんかの原因（げんいん）となったケーキをくれました。「やったー！　ラッキー！」。これぞまさしく『漁夫の利』。 【scene 03】 『漁夫の利』のはじまり 今からおよそ2300年前の中国。趙（ちょう）と燕（えん）という国が戦争を始めようとしていました。そして近くには、秦（しん）というとても強い国がありました。そんななか、燕の蘇代（そだい）という人が、戦争をしないよう、趙の王を説得することにしました。蘇代は、趙の王に、あるたとえ話をしました。 【scene 04】 貝とシギの争い 『あるとき、貝がひなたぼっこをしているとシギがやってきました。シギが貝の身を食べようとしたところ、貝がシギのくちばしをはさみました。シギは、「はなせっ。このままはなさないで雨がふらなかったらおまえはひからびて死んじゃうぞ」と言いました。一方、貝は「おまえだって口ばしをはさまれたままだと死んじゃうぞ」とゆずりません。そこへたまたま漁師（りょうし）が通りかかり、苦労することなく、貝とシギの両方をつかまえてしまいました』。「ラッキー！」と喜ぶ漁師。 【scene 05】 無益なあらそいは共だおれに 蘇代は、「貝とシギを得たこの漁師（りょうし）のように、燕と趙が戦えば、秦だけが利益（りえき）を得ることになります」と言いました。この話を聞き、趙の王は戦争をやめることにしたのでした。『漁夫の利』――「漁夫」とは、「漁師」のこと。『漁夫の利』とは、両者があらそっているあいだに、第三者が苦労せずに利益を得ることをいいます。つまり、無益なあらそいをすると共だおれになる、という教訓がこめられています。 【scene 06】 こんなときも『漁夫の利』 運動会でのマサキくん。「ハア、ハア。もう少しでゴールだけど、このままじゃぼくは３位だ。ハア、ハア。２人とも速いなあ」。すると、マサキくんの先を走っていたタクロウくんが、足をかけられてころんでしまった。「おまえ、ずるいぞ！」と、先頭の２人は取っ組み合いのけんかに。その間に、マサキくんは２人を追いぬいて１位でゴール！　「やったーっ、ラッキー！」。――ぼくは３位だったのに、漁夫の利を得て、１位になった。 【scene 07】 ことわざ『ひょうたんから駒』 『ラッキー』にまつわることわざ、『ひょうたんから駒（こま）』。この「駒」とは「馬」のことです。小さいひょうたんから馬が飛び出せば、奇跡（きせき）以外の何ものでもない。思いもかけないことが真実となってあらわれてくることをいうことわざです。そんな体験をしたのは、タレントの勝俣州和（かつまた・くにかず）さん。勝俣さんがデビューできたのは、まさに『ひょうたんから駒』でした。それはあるオーディションでのこと。審査員（しんさいん）は、あの萩本欽一（はぎもと・きんいち）さん、「欽ちゃん」でした。 【scene 08】 つまみ食いを見つかりそうになって… 集合時間より早く行った勝俣さんは、いつも欽ちゃんが食べている昆布（こんぶ）を見つけました。勝俣さんは「欽ちゃんはこれを食べて、いつもおもしろいことを考えてるんだ」と思い、昆布を食べてみました。でも何もおもしろいことがうかびません。さらに食べ続けていると、欽ちゃんがあらわれたのです。「ここでにげたら昆布を食べたのが自分だとばれてしまう」と思った勝俣さんは、すわったまま、じっと欽ちゃんの目を見続けました。 【scene 09】 たまたましたことがいい結果に 一ヵ月後、勝俣さんはオーディションに無事合格（ごうかく）しました。スタッフ全員が「なんで？　勝俣は全然おもしろくないのに」と聞くと、欽ちゃんはこう言ったそうです。「２人きりになったとき、たいていのやつはオレがこわいからにげる。ところが勝俣は、何か吸収（きゅうしゅう）しようという情熱（じょうねつ）を持って、オレの目をじっと見てにげなかった。オレはこいつのあの目にかけたい」。まさしく『ひょうたんから駒』。あの時、にげずに欽ちゃんの目をじっと見ていたことが、芸能（げいのう）界デビューにつながったのです。 【scene 10】 あたえられたものを一生けんめいやる！ さらに、デビューから３年目、初めての舞台（ぶたい）でのこと。最後の場面に出る直前、勝俣さんはうっかり筋肉痛（きんにくつう）のスプレーを顔にかけてしまいました。なみだが大量に出てきて声も出なくなりました。ところが、勝俣さんが感極まって泣いていると思った観客は、１人、２人と泣き出し、やがて会場中がなみだに包まれました。『勝俣さんは失敗をしたのに、ひょうたんから駒が出て、お客さんを感動させる芝居（しばい）になった』。「期待されなくても、あたえられたものを一生けんめいやる。じゃないと奇跡（きせき）は起きない」。 【scene 11】 『ラッキー』のことわざ仲間 （１）『残り物には福がある』――人が取り残した物のなかには、思いがけなくよい物がある、という意味。順番が最後でも、落ちこむのはまだ早い。 【scene 12】 短歌 「田子の浦（たごのうら）ゆ　うちいでてみれば　真白（ましろ）にそ（ぞ）　富士（ふじ）の高ねに　雪は降（ふ）りける」 【scene 13】 日本語いろいろ お正月のおせち料理の中からラッキーな食べ物の名前を見てみましょう。まずは「たい」。「めで“たい”」という言葉から、そして赤と白の縁起（えんぎ）のよい色合わせからも、おめでたい行事にかかせない食べ物です。続いて「栗（くり）きんとん」。「きんとん」は漢字では「金団」と書き、金が団子（だんご）のようにまとまっていることから「財宝（ざいほう）ゆたかに」という願いがこめられています。そして「数の子」。数の子はニシンの卵（たまご）。小さなつぶつぶがすべて卵でとても数が多いことから、「子孫繁栄（はんえい）」を願っています。 【scene 14】 「忌み言葉」とは 重箱のよび方は、上から順に「一の重」、「二の重」、「三の重」。その次は「四（『し』）の重」とは言わず、「与（『よ』）の重」と言います。「四」は「死（し）」をれんそうさせるため、おめでたいときには「与の重」と言うようになりました。このように、縁起（えんぎ）がよくないことから言いかえられた言葉を「忌（い）み言葉」といいます。たとえば「するめ」は「あたりめ」と言いかえられます。「する」は「かけごとなどでお金がなくなる」という意味があります。そこで、「する」の反対、「あたる」に言いかえて、「あたりめ」という言葉が生まれました。 【scene 15】 縁起の悪い言い方をさける 続いては「鏡割（わ）り」。かざっていた鏡もちを割ってみんなで食べること。しかし、「割る」という言葉は「こわれる」という意味があり、イメージがよくありません。そこで、「鏡割り」は「鏡開き」と言いかえられるようになりました。この「開く」は他の場面でも使われます。例えば、結婚（けっこん）式やお祝いの席では、会が終わる時、「式が終わる」ではなく「式がお開きになる」と言います。幸せな時は、終わってしまっては縁起（えんぎ）が悪い。そこで、「開く」と言いかえたのです。

ひょうたんからコトバ

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くらし

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ぬか、包丁の研ぎ石、など身近な生活道具にちなんだ言葉を学ぶ。例）・のれんに腕押し・他山の石・

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 今日のテーマ『くらし』 毎日のくらし。そこにはおどろくことや、「あれっ？」と思うことがいっぱいない？　学校帰りのが～まるちょばのケッチ！とヒロ・ポン。「あれっ！」。ランドセルがくっついてはなれない。「えいっ」と、なんとかはなしたけどまたくっついた。ようやくひきはなしたと思ったら、今度は体がくっついちゃった！　くらしのなかでこんなことがあったら楽しいね。というわけで、今日のテーマは『くらし』。 【scene 02】 故事成語『他山の石』 『くらし』にまつわる故事成語、『他山（たざん）の石』。柔道（じゅうどう）の練習をしているマサキくん、技（わざ）がびしびし決まるので先生もミワちゃんも感心しています。ところがタクロウくんはというと、「はあはあ、もうだめだあ」とすぐにへばってしまいました。「体力ないなあ。練習さぼってるからだよ」と先生。そこでマサキくん、「そうかあ。体力もないとだめなんだな。体力をつける練習もしなきゃ。ぼくが言われたことじゃないけど、役立てよう！　役立てよう！」。これぞまさしく『他山の石』。 【scene 03】 『他山の石』のはじまり 今からおよそ2300年前、『詩経（しきょう）』という詩集が中国で作られました。その中にこの言葉がありました。「…他山の石　以（もっ）て錯（さく）となすべし　…他山の石　以て玉（ぎょく）を攻（せ）むべし」。“錯”とは「砥石（といし）」のこと。“玉”とは「宝石（ほうせき）」のこと。たとえ他の山でとれた質（しつ）の悪い石でも、自分のたからものである玉をかがやかせるために、使い方次第では役に立つ、ということ。 【scene 04】 「自分のために役立てよう！」 他山の石、つまり他人のおろかな行動でも、自分自身をみがくための教訓になる。だから、「なんでもばかにせず、役立てよう！　役立てよう！」としたのです。『他山の石』とは、人のまちがった言動やつまらない出来事でも、よく参考にすれば自分のいましめになる、という意味です。 【scene 05】 こんなときも『他山の石』 ある日、タクロウくんが学校を休みました。前日が誕生（たんじょう）日だったタクロウくんは、プレゼントにもらったゲームをやりすぎた上に、ケーキも食べすぎて、具合が悪くなったらしいのです。そしてマサキくんの誕生日。ママからプレゼントに新しいゲームをもらったマサキくんは、「よーし、ねないでゲームやるぞおっ。ケーキも全部いただき！」と大喜び。そのとき、タクロウくんが学校を休んだことを思い出したマサキくんは、「うかれちゃだめだ。タクロウくんの失敗を、役立てよう！　役立てよう！」と思い直しました。――友だちの失敗を他山の石とする。 【scene 06】 ことわざ『のれんに腕押し』 『くらし』にまつわることわざ、『のれんに腕押し（うでおし）』。のれんは出入り口などに下げる布（ぬの）で、ぶら下がっているから押しても手ごたえがない。そこから、少しも手ごたえがないことをいいます。このことわざを経験したのは、お笑い芸人、カンニング竹山さん。「ぼくの人生、本当に『のれんに腕押し』なことばっかりなんです！」。 【scene 07】 何をやっても手ごたえなし カンニング竹山の「のれんに腕押し人生」その１。竹山さんは役者として映画（えいが）の主役までやりました。でもあまり注目されなくて、まったく手ごたえがなかったそうです。その２。芸能人（げいのうじん）のブログといえば、一日に何万ものアクセスがあります。そこで竹山さんも、はりきってブログを始めました。アクセスが多いのは人気があるということ…。ところが、一日に何回も更新（こうしん）したりして一生けんめい書いたのに、さっぱりアクセスはふえなかったそうです。 【scene 08】 お笑いだけは手ごたえがあるように そして、「のれんに腕押し人生」その３。竹山さんは、おこりっぽいイメージから親しみやすいキャラクターに変えようといろいろ努力もしました。ところが、ロケ先でどんな人に会っても、必ず「うわっ、竹山だ」と言われるのです。「自分では親切にしてるつもりなのに、全員が『竹山』とよびすてなんですよ。どうすりゃいいんだとなやんでますね、今」。何をやっても手ごたえがない。まさに、やることなすこと「のれんに腕押し」。お笑いだけはそうならないようにがんばっているそうです。 【scene 09】 『くらし』のことわざ仲間 （１）『ぬかに釘（くぎ）』――ぬかは、玄米（げんまい）を精米（せいまい）するときに出る粉。ぬかに釘をさしても何のきき目もないことから、どんなにやってみても“何の手ごたえもきき目もないこと”のたとえ。 【scene 10】 俳句 「咳（せき）の子の　なぞなぞあそび　きりもなや」。 【scene 11】 日本語いろいろ みんなのくらしに欠かせないものといえば「おやつ」。おやつはなぜ「おやつ」と呼ぶようになったのでしょう？　「おやつ」という言葉が使われるようになったのは江戸時代。当時、農業など力仕事をしている人は、夕飯の前に簡単（かんたん）な食事をとることが多かったとわれています。その時間が、だいたい午後２時から４時くらい。当時は「八つ時（やつどき）」とよんでいました。「八つ時」に食べていたから、「おやつ」と言うようになったのです。 【scene 12】 「当たり前」とは？ 昔のくらしから生まれた言葉を見てみましょう。まずは、「当たり前」。みんなで力を合わせて漁などを行ったときに、一人当たりの分け前のことを「当たり前」と言っていました。それを受け取ることは働いた人にとって当然のこと。そこから、「当たり前」とは、「当然」という意味になったといわれています。 【scene 13】 「ごちそう」、「相棒」 続いては、「ごちそう」。もとになった言葉は、「馳走（ちそう）」。これは、「馬に乗って走り回る」という意味です。お客さんをもてなす準備のために馬で走り回ることから、「ごちそう」は「ごうかな食事」という意味になっていきました。そこから、走り回ってくれた人の苦労に対して「ごちそうさま」という感謝（かんしゃ）の言葉が生まれました。次は「相棒（あいぼう）」。昔の乗り物だった、「かご」の前後をかつぐ相手のことを「相棒」と言いました。そこから、「相棒」は「いっしょに仕事をする相手」という意味になりました。 【scene 14】 「手玉に取る」、「かぶとを脱ぐ」 昔のくらしから生まれた慣用句（かんようく）を見ていきます。例文「ケッチ！は強力なバッターを手玉に取った」。この「手玉に取る」とは「人を思い通りにあやつる」という意味。「手玉」とはお手玉のことで、お手玉で軽々と遊ぶ様子から生まれた慣用句です。続いて、「とても勝ち目がないのでかぶとを脱（ぬ）いだ」。「かぶとを脱ぐ」とは「相手の力をみとめて降参（こうさん）する」という意味。昔、戦いに敗れた武士（ぶし）はかぶとを脱ぐことで降参の意思をしめしました。そこから、負けをみとめることを「かぶとを脱ぐ」と言うようになりました。 【scene 15】 「敷居が高い」、「たががゆるむ」 「書道のけいこをさぼっているので、敷居（しきい）が高くて教室に入りづらい」。「敷居が高い」の意味は、「はずかしいことなどをしていて家に行きづらい」。「敷居」とは、門や家、しょうじやふすまなど、引き戸の下にある木のこと。うしろめたくて、（その家の）敷居をまたぎづらいという気持ちから生まれました。続いて、「ようやく終わったテストにたががゆるむ」。「たが」とは、おけなどの外側にはめる輪のこと。たがをゆるめると、おけはばらばらになってしまうことから、「たががゆるむ」とは「緊張（きんちょう）がゆるむ」という意味になりました。

ひょうたんからコトバ

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いっぱい！

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千里、万年など数が多いことにまつわる言葉を学ぶ。例）・千里の道も一歩から・杜撰・「いっぱい！」のオノマトペ（ジャブジャブ）

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 今日のテーマ『いっぱい』 が～まるちょばのケッチ！が大なわをまわし始めたぞ！　大なわとびだね。大なわを飛ぶヒロ・ポンが１人、２人、あれれっ？　３人、４人。うわっ、ヒロ・ポンがいっぱい！　というわけで、今日のテーマは『いっぱい』。 【scene 02】 故事成語『杜撰』 『いっぱい』にまつわる故事成語、『杜撰（ずさん）』。――「今日は、みんなで俳句（はいく）を作りましょう」。先生が俳句のルールを説明します。「五・七・五」の文字数でリズムよく、そして季節を表す言葉「季語（きご）」を入れること。さっそくミワちゃんが作りました。「うれしいな　森でみつけた　つくしんぼ」。「春がそこまで来てわくわくする気持ちが伝わりますね」と先生がほめました。つづいてタクロウくんの俳句。「ママだけさ　バレンタインで　チョコくれる」。「“バレンタイン”は冬の季語。せつない気持ちもよく伝わります」と先生は感心しています。 【scene 03】 マサキくんが作った俳句は 「ぼくもたくさんできた！」と手を上げたマサキくん。まずは、「算数の　宿題やだな　苦手だし」。すると先生は、「ちょっとマサキくん、季語がないな。ルールにそってないよ」と注意しました。「そうかぁ。じゃこれは？　みんなであそぶ　雪だるま　たのしいたのしい」。「今度は五・七・五になってないなあ」と先生。「じゃこれは？」。「だめ」。「じゃあこっちは？」。「だめ」。「こっちは？」。「だめ」。マサキくんの俳句（はいく）は全部ルールにそっていません。「まったく、いいかげんだなあ」とあきれるミワちゃんとタクロウくん。これぞまさしく『杜撰』。 【scene 04】 『杜撰』のはじまり 今からおよそ1000年前の中国。宋（そう）の国に杜黙（ともく）という詩人がいました。中国の詩、「漢詩」にもいくつかのルールがあります。ところが杜黙の作る詩はこのルールから外れたものばかり。「おぬしの詩はどれもルールにそってない。まったく、いいかげんだなあ」とあきれかえる人々。『杜撰』とは、この杜黙の「杜」（と）という字と、詩を作るという意味の「撰」（せん）という字を合わせた言葉で、詩や本の内容（ないよう）がいいかげんであやまりが多いこと。そこから、やり方が雑（ざつ）なことや手ぬきが多いことをいうようにもなりました。 【scene 05】 こんなときも『杜撰』 「今度の日曜日、みんなで遊園地に行かない？」とマサキくん。さっそくマサキくんは計画表を作りました。そして日曜日、マサキくんが公園でみんなを待っていますが、だれも来ません。１時間ほどして、みんながおこってやってきました。「ここにいたの。公園のどこで待ち合わせするか書いてなかったからさがしたよ！」。おかげで午前中のバスがなくなってしまいました。さらに遊園地に着いてみると、なんと休園日。「ごめーん。ちゃんと調べとけばよかった…」とマサキくん。「もう！　いいかげんだね！！」。――杜撰な計画でさんざんな日だった。 【scene 06】 ことわざ『千里の道も一歩より』 『いっぱい』にまつわることわざ、『千里（せんり）の道も一歩より』。「千里」とは、およそ4000kmのこと。遠い道のりでも、最初の一歩をふみ出すことから始まる。つまり「どんな大きな計画でも身近なことを１つ１つ実行するところから始まる」という意味。このことわざにぴったりなのは、登山家の野口健さん。16歳（さい）で、スイスにある標高（ひょうこう）4808ｍのモンブランに登った野口さん。これをきっかけに世界中の山々を登り、25歳のときには、世界でいちばん高い山・エベレストの頂上（ちょうじょう）に立つことに成功しました。 【scene 07】 小さなことの積み重ねが大事 野口さんは、「エベレストの頂上（ちょうじょう）に登るためには、頂上に行くまでの細かいことをどれだけできるかが大事」だと言います。いきなりエベレストには登れないのです。野口さんはエベレストに登る前、40kgのリュックを背負って近くの山を登るなど、こつこつと準備を積み重ねました。そして、エベレストふもとに着いても、また準備。エベレストに登るには１か月以上かかるため、大量の水が必要になります。しかし、たくさんの雪をとかしても水になるのはほんの少し。コツコツと水づくりをするそうです。まさに『千里の道も一歩より』。 【scene 08】 こつこつ始めた富士山のゴミ拾い 野口さんが、山登り以上に『千里の道も一歩より』を実感することがありました。それは、富士山のゴミ拾い。2000年にゴミだらけの富士山を見て、野口さんは仲間と富士山のそうじを始めました。最初の年は、一年間で100人ほどしか集まらず、拾っても拾ってもゴミはへりませんでした。しかし、４年、５年と続けていくうちに参加者は増え、今では年間6800人もの人が参加するまでになったそうです。――最初は、数人で始めたゴミ拾い。次第に参加する人がふえ、富士山のゴミは少なくなった。まさに、『千里の道も一歩より』だ。 【scene 09】 『いっぱい』のことわざ仲間 （１）『百聞（ひゃくぶん）は一見にしかず』――“何回も人から聞くより、自分の目で実際に一度見たほうが、確実でずっとよくわかる”ということ。 【scene 10】 俳句 「梅一輪（いちりん）　一輪ほどの　暖（あたた）かさ」。 【scene 11】 日本語いろいろ が～まるちょばの２人が何かをほっています。何が出てくるのかな？　「土の中から“ジャブジャブ”音をたてて出てきた」。“ジャブジャブ”というと、いっぱい水が出てきている感じがしますね。続いて、「土の中から“ザクザク”出てきた」。“ザクザク”は、宝物（たからもの）など貴重（きちょう）なものがいっぱい出てきた感じがします。“ジャブジャブ”、“ザクザク”は、物事の様子を表す言葉「オノマトペ」で、『いっぱい』という様子を表わしています。 【scene 12】 何が出てくる？　オノマトペ オノマトペを聞いて、何が出てくる様子か想像（そうぞう）してみましょう。「土の中から“うじゃうじゃ”出てきた」。“うじゃうじゃ”は、同じような大きさのものがうごめいている様子。次は、「土の中から“ぞろぞろ”出てきた」。“ぞろぞろ”は、同じようなものがいっぱいならんでいたり、あとに続いて移動（いどう）したりする様子です。『いっぱい』という様子を表すのにもいろいろな言い方があるのです。 【scene 13】 「話す」、「ささやく」 続いては、「話す」。これにも、表現（ひょうげん）の仕方がいっぱいあります。「ヒロ・ポンはケッチ！に、自分の秘密（ひみつ）を“話した”」。秘密を聞いたケッチ！は帰り道、友だちに会った。そして、「ケッチ！は友だちに、ヒロ・ポンの秘密をこっそり“ささやいた”」。ほかの人に聞こえないようひそひそ話すのは、「ささやく」といいます。 【scene 14】 「さけぶ」、「伝える」 次の日、ケッチ！が自分の秘密（ひみつ）をほかの人に話したと知ったヒロ・ポンは、なきながらかけだした。おいかけるケッチ！。「ケッチ！はヒロ・ポンに、『待って』と“さけんだ”」。大きな声で何かを求めるときは、「さけぶ」です。ヒロ・ポンに追いついたケッチ！。「ケッチ！はヒロ・ポンに、悪かったという自分の気持ちを“伝えた”」。相手に自分の気持ちをちゃんととどけたいときは、「伝える」といいます。はたして２人は、仲直りできるのでしょうか…。

ひょうたんからコトバ

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ともだち

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他人と自分の関係を意識する言葉を学ぶ。例）・情けは人のためならず・傍若無人・日本全国「さよなら」の旅

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 今日のテーマ『ともだち』 が～まるちょばのケッチ！が落ちこんでいます。テストの点数が悪かったのかな？　するとヒロ・ポンがケッチ！のテストを見て大笑い。友だちなのにからかっちゃだめだよ。さらにヒロ・ポンは、ケッチ！のテストを持ってにげていきます。ケッチ！があわてて追いかけると、ランドセルを残してヒロ・ポンが消えてしまいました。どこ行っちゃったのかな。と思ったら、ランドセルの中にヒロ・ポンが！　「いた！　つかまえた！」。ふざけあうほど、なかよしの二人。というわけで、今日のテーマは『ともだち』。 【scene 02】 故事成語『傍若無人』 『ともだち』にまつわる故事成語、『傍若無人（ぼうじゃくぶじん）』。――「今日の社会科見学は電車で行きます。電車の中ではほかのお客さんのめいわくにならないように！」と先生がいいました。ところがタクロウくんとマサキくんは、はしゃいで電車の中を走り回ったり、つりかわにぶらさがったり。その様子を見ていた人たちはあきれています。「ほかの人もたくさんいるのに、やあねえ」、「なんちゅうやつらだ、まったく！　まわりの人がめいわくしてるのが目に入らんのかいな！　ぬぐぐぐぐ…」。これぞまさしく『傍若無人』。 【scene 03】 『傍若無人』のはじまり 今からおよそ2200年前の中国。司馬遷（しばせん）という歴史家が書いた書物にこんな話があった。荊軻（けいか）という男は、ふだんは冷静だが、酒を飲むと、友だちと大さわぎをして、まるでそばにだれもいないかのように、泣いたり、笑ったり。あたかもまわりにだれもいないかのようにふるまっていた。街の人たちは「ほか人もたくさんいるのに、やあねえ」、「なんちゅうやつらだ、まったく！　まわりの人が目に入らんのかいな！　ぬぐぐぐぐ…」。荊軻たちのふるまいを、『傍若無人』といいます。 【scene 04】 「そばにほかの人がいないかのように」 『傍若無人』とは、「傍（かたわ）らに、人（ひと）無（な）きが若（ごと）し」と読むことができます。これは、“そばにほかの人がいないかのように、わがまま勝手にふるまう様子”を表しています。まったく、めいわくですね。 【scene 05】 こんなときも『傍若無人』 休み時間、マサキくんとタクロウくんは教室の中でバレーボールを始めました。「それーっ」、「やあっ」と夢中（むちゅう）です。ミワちゃんや女の子たちは「ほかの人もいるのに、やあねえ」、「カーッ、なんちゅうやつらなの。みんなめいわくしてるのが目に入らないのかしら！」とおこっています。――マサキくんたちは、教室で傍若無人にふるまった。まわりの人を気にせず、勝手気ままに『傍若無人』。でも、ちょっと傍若無人がすぎると大事な友だちにもあきれられちゃうぞ。 【scene 06】 ことわざ『情けは人のためならず』 『ともだち』にまつわることわざ、『情（なさ）けは人のためならず』。「情け」とは、友だちや他人への思いやりの気持ちや親切のこと。人に親切にすれば、いつかはめぐりめぐってよい結果となって自分に返ってくる。つまり、“親切は自分のためにもなる”という意味。このことわざの意味を、“親切はあまやかすことになり、その人のためにならないからやめよう”だと思っている人、いない？　それはまちがい！　気をつけようね。このことわざの通り、親切が自分のためになったという体験をしたのは、お笑い芸人「ますだおかだ」の二人です。 【scene 07】 たまたま車で送ってあげた人が… 増田さんの『情けは人のためならず』。増田さんがまだ学生だったころ、雨の中、タクシーを拾えずにこまっている人を見かけました。その人は有名な芸人さん。とても急いでいるというので、増田さんは車で送ってあげました。それから５年ほどして増田さんが漫才師（まんざいし）になってから、たまたまその人と仕事をしました。そこで、車で送って行ったときのことを話すと、その人は覚えていてくれたのです。増田さんは、たまたま助けた人が芸人の大先輩（せんぱい）で、以来、ずっとお世話になっているそうです。 【scene 08】 少年野球チームを応援し続けて… 続いて、岡田さん。岡田さんが初めて本を出したとき、サイン会をすることになりました。でも、会場にだれも来ないのではないかと心配でした。ところが当日、たくさんの人が集まってサイン会は大成功。実は小学生のころ少年野球をしていた岡田さん、最近子どもの数がへり、チームのメンバーが少なくなってきたと聞き、ことあるごとに少年野球のすばらしさを語って応援（おうえん）していました。するとサイン会に、チーム全員、さらにコーチや父兄までもがかけつけてくれたのです。まさに、『情けは人のためならず』でした。 【scene 09】 『ともだち』のことわざ仲間 （１）『人のふり見てわがふり直せ』――自分のことは、なかなかわからない。そこで、“他の人の行いを見て、自分の行いを見直そう”という意味。 【scene 10】 俳句 「雪とけて　村一ぱいの　子どもかな」。これは、江戸時代に、小林一茶（こばやしいっさ）がよんだ句（く）です。小林一茶は、子どもや動物、自然などをやさしいまなざしで俳句（はいく）によんだ俳人（はいじん）です。ようやく冬が終わり、とけだした雪。春を待っていた子どもたちが、いっせいに外へ出て遊びます。その情景（じょうけい）をよんだといわれています。 【scene 11】 日本語いろいろ 『さようなら』――日本全国、別れのあいさついろいろ。まずは、沖縄県のお別れのあいさつ、「ぐぶりーさびたん」。続いて、「そいぎー」。これは佐賀県。香川県では、「ほんだら」。「さいなら」は大阪府。岐阜県は、「あば」。「んだらまず」は山形県。南から北まで、別れのあいさつはずいぶんちがいます。昔は今のように交通手段（しゅだん）が発達していなかったため、遠い土地とはあまり交流がありませんでした。そのため、土地独特（どくとく）の言い回し、「方言」が生まれたといわれています。 【scene 12】 「泣く」にまつわる日本語 「が～まるちょばの“泣く”言葉劇場（げきじょう）」。「泣く」といっても実にさまざま。涙（なみだ）の量やそのすがたによって、「泣く」にまつわる日本語はたくさんあります。まずは、涙の出る量に注目。ケッチ！は、いよいよ卒業かと「目をうるませた」。これは目にわずかに涙がたまる様子です。ヒロ・ポンは卒業証書（しょうしょ）を受け取り、「涙ぐんだ」。これは、こぼれ出そうになるほど、涙が目にたまった様子です。 【scene 13】 泣くときのすがたいろいろ 次は泣いているすがたに注目。ヒロ・ポンは、ケッチ！に気づかれないよう「忍（しの）び泣いた」。人に見られないよう声をひそめて泣く様子です。ケッチ！はヒロ・ポンの涙（なみだ）を見て思わず「もらい泣き」した。人が泣いているのにつられ、自分も泣いてしまうこと。卒業式も終わりに近づき、二人は「泣きじゃくった」。かたをふるわせ、しゃくりあげなからはげしく泣く様子です。卒業式が終わって二人は「号泣（ごうきゅう）」した。人目をはばからずに大声で泣くことです。お別れするのは悲しいけど、最後くらい涙をぬぐって笑おう！

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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ばっちり伝えることば術～ものを描写する～

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デザインを文章で伝え、伝えた相手にデザインを再現してもらう。何をどう書けば元と同じ図柄ができあがるだろうか？　過不足なく情報を伝えるためのポイントを身につける。

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【】 オープニング オープニング 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。みなさんも問題に挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボを身に付けてください。司会は徳田章（とくだあきら）アナウンサー。解答者は、読み書きのしろうと代表、光浦靖子（みつうらやすこ）さん。そして、読み書きを学んでどうするのか、パペットマペットさんです。今日挑戦してもらうのは、「びょう写」の問題。びょう写とは、目で見たものをばっちりとことばで伝えることです。 【scene 02】 悪ツボくんの時計は、どんな時計？ 最初の問題は悪ツボくんが出します。悪ツボくんが、パパに買ってもらった時計を説明します。「これは時計です。十時十分をさしています。形は長方形で、文字ばんは白です。わくはこげちゃ色で、数字は赤です」。この説明でこの時計の絵がかけるかな？ところが、同じ説明を聞いてかいたはずなのに、光浦さんの絵はデジタル時計で、カエルくんの絵は目覚まし時計と、ばらばらになってしまいました。司会の徳田さんがかいた時計もうで時計で、やっぱりちがう時計でした。 【scene 03】 説明にはあてはまっているのに… 「３人ともぜんぜんちがうよ」と、悪ツボくんが見せてくれた時計は、かけ時計でした。たしかに、「十時十分をさしていて、形は長方形で、文字ばんは白。わくはこげちゃ色で、数字は赤」の時計です。でも光浦さんのデジタル時計も、徳田アナのうで時計も、ちゃんと悪つぼくんの説明にはあてはまっています。ちょっとぐちゃぐちゃになってしまったカエルくんの絵も、悪ツボくんの説明のとおりにかいていったらこうなったと、カエルくんは言います。 【scene 04】 悪ツボくんの説明にぬけていた必要なこと 悪ツボくんの説明には、「必要なこと」がいろいろぬけていたようです。必要なことを付け加えると、「これは、かけ時計です。黒い針（はり）が十時十分をさしています。形はよこ長の長方形で、文字ばんは白です。わくはこげちゃ色で、数字は赤です」という説明になりました。この説明なら光浦さんも徳田アナも、デジタル時計やうで時計ではなく、かけ時計で針のある時計がかけたと言います。 【scene 05】 びょう写のポイント さらに、このびょう写を「順序よく」ならべかえると、「これは、かけ時計です。形はよこ長の長方形で、わくはこげちゃ色です。文字ばんは白で、数字は赤です。黒い針（はり）が十時十分をさしています」となります。これなら、だれでも悪ツボくんの時計の絵をまちがいなくかけましたね。３人の絵がばらばらだったのは、どうやら問題のびょう写が不十分だったためのようです。そこで、相手にきちんと伝わるようにびょう写するためには、（１）必要なことを整理すること、（２）順序よく説明すること、これが大切です。 【scene 06】 フランスの国旗をびょう写する 次の問題はツボくんが出します。「これはフランスの国旗です。フランスの国旗を知らない人でもこの旗がかけるように、説明しなさい」。絵で見せればすぐにわかるけど、ことばで説明するのってむずかしいね、と言うウシくん。そこで、悪ツボくんがフランスの国旗をばっちり説明してくれます。「この国旗は、赤、白、青、３色のきれいな旗です」。さて、この説明でちゃんと正しい国旗がかけるのでしょうか？ 【scene 07】 やっぱり説明が足りない！ パペットマペットが、横浜市立すみれが丘小学校にやってきました。５年生のみんなに悪ツボくんの説明を見せて、みんなに旗をかいてもらいます。すると、いろいろな旗ができました。どうしてばらばらの旗になったのかきいてみると、みんなは「説明が足りない」と言います。「左から青、白、赤のたてじま」とか、「長方形で」など、最初に形を説明したほうがいいというみんなの意見です。「きれいな旗」というのは人によって感じ方がちがうので、わかりやすい説明にならないという意見も何人かから出ました。 【scene 08】 フランス国旗の正しいびょう写は？ では、悪ツボくんのびょう写に、必要なことをきちんと入れて、順序よく説明してみましょう。「この国旗の形は、よこ長の長方形です。もようは三本のたてじまで、しまの太さはすべて同じです。しまの色は左から順に青、白、赤です」。 【scene 09】 必要なことを順序よく これならフランスの国旗を知らない人でも旗の絵をかけますね。今日の問題で、どういうふうにびょう写すれば相手にきちんと伝わるのか、光浦さんにもわかったようです。そこで、今日のツボ。「びょう写をするならわすれないでね、必要なことを順序よく」。びょう写をするときは、相手がイメージしやすいように伝えるということが大切です。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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ことばでじょうずにご案内～道案内をする～

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道順を案内した文章を読み、それをもとに地図を作ってみよう。きちんと文章が読めていれば、間違いなく目的地に到達できるはず。情報を頭に思い描くためのポイントを学ぶ。

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【】 オープニング オープニング 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日挑戦（ちょうせん）してもらうのは、「道案内」の問題です。ことばでじょうずに道案内ができるのでしょうか。ツボくんが問題を出します。転校生でまだ学校のことをよく知らない山田くんを、教室からトイレまで案内してあげましょう。「教室を出たら、出口をせにして左に曲がります。まっすぐ進んで十字路を二つこえます。右手に会議室があるので、その向かい側がトイレです」。ツボくんが案内しようとしているトイレは、Ａ、Ｂ、Ｃのうち、どれでしょう？ 【scene 02】 教室をせにして左？ 真っ先に答えたカエルくんが選んだのは、「Ｂ」。理由は、「勘（かん）」でした。光浦さんの答えは、「Ｃ」。「教室を出て左、会議室の向かいだから、Ｃです！」と言います。しかし、もう一度問題の道案内を読むと、「教室を出たら、出口をせにして左に曲がります」とあります。「出口をせにして左」というのは、どちらの方向へ進むのでしょうか？ 【scene 03】 「右手に会議室があるので、その向かい側」とは… うしくんの答えも、「Ｂ」。「右手に会議室があるので、その向かい側」だから、Ｂだと言いますが、うしくんは会議室のある十字路を右に曲がっています。本当にＢのトイレなのかな？　光浦さんの答えは「Ａ」。「教室を出たら、出口をせにして左に曲がります。まっすぐ進んで十字路を二つこえます。右手に会議室があるので、その向かい側がトイレです」という道案内のトイレは、「Ａ」。光浦さん、正解でした。 【scene 04】 道案内のポイント 光浦さん、うしくん、カエルくん、みんなツボくんの道案内をちゃんと読んでいなかったようです。道案内のポイントは、「会議室」というような「目印」、あるいは「出口をせにして左」というような「曲がる方向」を文章の中からきちんと読み取ることが大事なのです。 【scene 05】 ツボくんの家までの道案内 次の問題です。悪ツボくんが、小学校からツボくんの家までの道案内をしてくれます。「ツボくんの家は花屋のとなりです。学校の前をまっすぐ行って、左に曲がって、右に曲がると花屋です。学校からすぐです」。さて、ツボくんの家はどこでしょう？ 【scene 06】 悪ツボくんの道案内はわかりづらい！ パペットマペットが東京の浅草にやってきました。今日はこの問題を、人力車の車夫をしているみなさんに挑戦（ちょうせん）してもらいます。いわば、道案内のプロのみなさんです。でも、みなさんばらばらの答えになってしまいました。道案内が「わかりづらい！」という意見です。悪ツボくんの道案内のどこがよくなかったのでしょう。 【scene 07】 絶対にまちがえない道案内とは？ 光浦さんが東京都世田谷区立中里小学校にやってきました。みんなで、絶対にまちがえない道案内を考えてもらいます。「本屋の角を左に曲がる」、「パン屋の角を右に曲がる」というふうに、曲がる場所の目印を言ったほうがいいという意見が出ます。そして、「花屋のとなり」と言うだけでなく、「花屋の左どなり」と言うとまちがえないという意見、「学校からすぐ」という説明はまちがえやすいのでないほうがいいという意見も出ました。説明の順序もよくなかったようです。 【scene 08】 目印を入れて順序よく 悪ツボくんの道案内にきちんと目印を入れ、順序よく説明してみます。「ツボくんの家は、学校から歩いて八分くらいです。門を出たら、横だん歩道をわたってまっすぐ行きます。本屋の角を左に曲がります。パン屋の角は右に曲がります。次の角にある花屋をこえて一けん先が、ツボくんの家です」。これならだれでもツボくんの家にたどりつけますね。 【scene 09】 道案内も、必要なことを順序よく どうやら悪ツボくんの出した問題が不十分だったようです。でも、悪ツボくんの道案内をなおしてみると、道案内もまた「びょう写」だということがわかります。目印や曲がる方向が道案内には必要なことなのです。そして、順序よく説明することも欠かせません。そこで、今日のツボ。「道案内でもわすれないでね、必要なことを順序よく」。びょう写をするときに大切なのは、相手がイメージしやすいように伝えることでした。道案内も同じように、どのくらい時間がかかるかを最初に言ってあげ、見通しがつくようにしてあげるといいのです。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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じっくり見てみよう～絵から読み取る～

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絵や図の描写から一歩進んで、四コマ漫画の展開を文章で表現してみるゲームに挑戦。連続して起きるできごとを文章に移し替える方法を学ぶ。

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【】 オープニング オープニング 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日の読み書きクイズは、「絵の推理（すいり）」クイズです。最初の問題は、ツボくんが、牛の絵がかいてある道路標識を見せて出題します。『これは実際に使われている道路標識です。これは何を意味する標識でしょうか。また、そう考えたのはなぜかも答えてください』。 【scene 02】 たしかに乳牛の絵ですが… カエルくんの答えは、「牛！」。そんな標識ないよと言われたカエルくん、もう一つの答えは、「牛食べ放題」でした。どちらもちがっていたようです。光浦さんの答えは、「近くに牛乳（ぎゅうにゅう）屋さんあり」です。なぜそう考えたかというと、よく見ると標識にかかれた牛がメスで乳牛（にゅうぎゅう）だったので、牛乳に関係があると推理（すいり）したのです。たしかに、よく見ると乳牛の絵ではあるのですが…。 【scene 03】 何かを禁止している？04 この道路標識は、だれに何を伝えようとしているのでしょう。「道路標識だから、車を運転している人にかな？」とつぶやく光浦さん。すると、ウシくんが答えます。「牛のつなわたり」。ウシくんは、絵の牛の下にある黒い線がロープだと説明しました。なかなかすごい観察力です。「あぶないから牛のつなわたりは禁止ですよ、と伝えているんじゃないかな？」と言うウシくんに、「今、『禁止』と言いましたよね？」と、徳田アナが聞き返しました。 【scene 04】 道路標識の黄色の意味 道路標識には、横だん歩道、ふみ切りあり、車両進入禁止など、いろいろなものがあります。「道路標識の黄色って、何か意味があるのかな？」と、ウシくんが言います。それを聞いた光浦さん、「わかった！　信号の色と同じで、黄色は注意だ！」と言います。そこで光浦さんの答え、「牛乳（ぎゅうにゅう）の飲みすぎ注意」。でも残念、不正解でした。続いてカエルくんの答え、「焼肉の食べすぎに注意」。これも不正解。今度はうしくん、「牛のかわいがりすぎに注意」。やはり不正解です。いったい、この道路標識にはどんな意味があるのでしょうか。 【scene 05】 よく観察しよう！ 答えは、「牛横だんちゅうい」の道路標識でした。北海道など、牛をたくさん飼っている地域（ちいき）の道路にあるそうです。もう一度、道路標識をよく見てみましょう。まず、牛の絵。そして、まわりの黄色は警戒（けいかい）や注意を意味しています。そして、牛の下の黒い線は道路です。ですからこの道路標識は、「道路を牛が横断することがあるので、注意して運転してください」というメッセージを伝えているのです。このように、絵から推理（すいり）をするときには、「よく観察すること」が大切です。 【scene 06】 アパートにはぜんぶで何人住んでいる？ 次の問題です。ツボくんが見せてくれたのは、５つの部屋があるアパートの絵です。『このアパートに住んでいる人は、ぜんぶで何人でしょう。そして、そう考えたのはなぜですか？』絵の中の５つの部屋をよく観察して推理（すいり）してみてください。 【scene 07】 いろいろな推理 光浦さんが東京の中里小学校にやってきました。５つの部屋があるアパートに住んでいるのは何人か、みんなに考えてもらいます。８人～12人と、ばらばらの意見が出ました。そこで、一つひとつの部屋について、何人住んでいると思うか、みんなの推理（すいり）をたずねました。２階の左の部屋にはせんたく物が３人分ほしてあります。その子ども服が窓（まど）にいる男の子より少し小さいようだから、弟か妹がいて４人じゃないかなという意見も出ますが、いちばん多い意見は「３人」でした。 【scene 08】 みんなの意見は「10人」 ２階の真ん中はネコしかいませんが、ネコの飼い主がいるはずなので、「１人」。２階の右の部屋には２人見えていますが、ぼうしをかぶっている男の人は引っこし屋さんのようなので、住んでいるのは女の人「１人」。１階の右は、お父さんを見送っている「３人」家族。１階の左は、だれかとけんかをしているようです。テレビを見ているだけかもしれないから１人という意見も出ましたが、多数決で「２人」にしました。みんなの意見は、合計で「10人」になりました。さて、君の推理（すいり）では何人になったかな？ 【scene 09】 絵にかくされているお話を見つけだそう このようによく観察してみると、一枚（まい）の絵のなかから思ってもみなかったものが見えてきます。そこで今日のツボ。『絵にかくされているお話を見つけだそう！』。絵を推理（すいり）するときは、そこにかかれたものを細かいところまでじっくりと観察することが大切です。観察することで、絵の作者がこめたいろいろな情報やメッセージを見つけることができるのです。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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あたまのなかで絵をかこう～文章から内容をイメージする～

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文章をじっくり読んで，何が起きているのか考えてみよう。そしてそう考えた理由を言葉で説明してみよう。書かれている言葉を手がかりに内容をイメージする方法を学ぶ。

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日の読み書きクイズは、「歌」。歌に出てくる歌詞（かし）のことばがカギです。司会は徳田章アナウンサー、解答者は光浦靖子さんとパペットマペットさん。今回も、大事なのは推理（すいり）力です。そこで今日の問題。『たき火』という歌をよくきいて、そこで歌われている場面を絵にかくのです。 【scene 02】 一人でたき火をしている？ 光浦さんの絵は、一人でたき火をしていて、なんだかさびしい感じの絵です。なぜ、たき火をしている人を「一人」にしたのでしょう。光浦さんは、歌を聞いたら一人でたき火していると思ったと言います。『たき火』の一番の歌詞（かし）を読んでみます。「かきねの　かきねの　曲がり角／たき火だ　たき火だ　落ち葉たき／あたろうか／あたろうよ／北風　ぴいぷう　ふいている」。「あたろうか／あたろうよ。これって、だれかとだれかが話をしているんでしょうかね？」と光浦さん。 【scene 03】 大勢の人でたき火をしている？ 続いて、カエルくんの絵です。たくさんの人がいて、とても大きなたき火です。「あたろうか／あたろうよ」というから、大勢の人でたき火をしていると思ったのです。さて、この歌には、一体何人の人が登場するのでしょうか。今度は、二番の歌詞（かし）を読んでみましょう。「さざんか　さざんか　さいた　道／たき火だ　たき火だ　落ち葉たき／あたろうか／あたろうよ／しもやけ　おててが　もう　かゆい」。 【scene 04】 特別ゲストの登場 ここで、今日の特別ゲストの登場です。歌手の由紀さおりさんです。光浦さんとカエルくんが『たき火』の歌をきいてかいた絵を見てもらいます。光浦さんの絵は、「登場人物が一人ですか？　ちょっとさびしいわねぇ」。カエルくんの絵は、「ずいぶんたくさんの人！　それにこんなに大きなたき火だと、かきねも燃えちゃうよ」と言います。では、『たき火』の歌には一体何人の人が登場するのでしょうか？　なやんでいるみんなに「この歌の歌詞（かし）を、もう一度よく読んでみてください」と由紀さんが言いました。 【scene 05】 人数のヒントになるのは… パペットマペットが横浜市立すみれが丘小学校にやってきました。５年生のみんなに『たき火』の歌をきいてもらい、その歌の場面を絵にかいてもらいます。できた絵を見ると、たき火を囲む人数は５人、７人、15人といろいろでした。50人以上の人をかいたお友だちもいます。たき火にしてはちょっと人が多すぎるのでは？　そこで、歌詞（かし）の中で、たき火の人数がわかりそうな部分を考えてもらいました。「あたろうか／あたろうよ」で二人以上だと思う、という意見が出ます。やはりここが人数のヒントになるようです。 【scene 06】 歌詞のあちこちにヒントが！ たき火の場所は、ほとんどの人がかきねの内側にかいていました。本当にそれでいいのでしょうか。一番の歌詞（かし）の「かきねの　曲がり角」、二番の歌詞の「道」ということばから、かきねを曲がった道の上にたき火をかいたお友だちがいました。さらにそのお友だちは、「あたろうか／あたろうよ」と相談している二人はたき火にあたりにやってきた人なのだから、元々たき火をしていた人が別にいるはずだと言いました。歌詞のあちこちにヒントがあるんですね。 【scene 07】 推理してできあがった絵 光浦さんと、ウシくん、カエルくんが、『たき火』の歌の絵をかき直しています。歩いてきた子どもを二人かき入れ、北風もかきたします。みんなで推理（すいり）してできあがった絵は、落ち葉でたき火をするおじさん、二人の子ども、ぴいぷうとふく北風、そしてさざんかのかきねがかきこまれていました。二番の最後の歌詞（かし）「しもやけ　おててが　もう　かゆい」の「おてて」という言い方は大人ではなく子どもなので、小さいお友だちをかいたのはよかった、と由紀さんがほめてくれました。 【scene 08】 文章にかくされている絵を想像しよう！ 「どんな歌でも、その歌のことば、歌詞（かし）をちゃんと読めば、歌の景色を思いうかべることができますよ」と由紀さん。そこで、今日のツボ。「文章の中にかくされている絵を想像しよう！」。文章から絵を見つけ出すには、そこに書かれていることを注意深く観察することが必要です。絵もそうでしたが、文章にも絵にも、そこには作者がこめたメッセージがかくされています。それを読み取ることができれば、文章や絵をもっと深く知ることができます。みんなも、お気に入りの歌からいろいろ推理（すいり）してみてください。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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だれのこと言ってるの？～必要な主語～

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日本語では、主語を省くことがある。しかし、主語が情報として必要となる場合には省いてはならない。主語を補うゲームで、だれ・何の事を話しているのか明確にする。

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日もクイズに挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボをしっかり身に付けてください。今日は、お絵かきクイズに挑戦します。まず、悪ツボくんが書いた文章を見てもらいます。そしてその文章から情報を読み取って、その様子を絵にかくのです。悪ツボくんの問題。「お母さんはドラマを見ながら、『こんな場面で泣いちゃいけない。』と言います。でも、毎回泣いています」。これを絵にかいてみましょう。 【scene 02】 お母さんがテレビを見ながら泣いている まず、パペットマペットさんの答えです。お母さんがテレビで朝のドラマを見ながら泣いている絵です。「このお母さんは、こんな場面で泣いてはいけないと思いつつも、いつもドラマをみては泣いている人なんです」とカエルくんが言います。 【scene 03】 むすめに泣くなと言っている？ 「ちょっと待ってください」と光浦さん。光浦さんはちがう絵になったと言います。登場人物は、一人ではなく二人です。泣いているのはむすめで、むすめに向かってお母さんは、「こんな場面で泣いちゃだめよ」と言っているというのです。さて、毎回泣いているのはお母さんなのでしょうか、むすめなのでしょうか。光浦さん、パペットマペットさん、二人はちがう絵になってしまいました。でも徳田アナには、どちらのかいた絵もまちがってはいないように見えます。 【scene 04】 泣いているのはドラマの主人公だった 光浦さんの絵と、ウシくんとカエルくんの絵。たしかに、どちらの絵もまちがいではないようです。では、どうしてばらばらの絵になってしまったのでしょう。絵がまちがっていないということは、悪ツボくんの文章に問題がありそうです。実は、悪ツボくんが言いたかったのは、毎回なみだを流しているのはテレビドラマの主人公だということでした。お母さんはドラマを見ながら、「こんな場面で泣いちゃいけない」と、主人公に向かって言っていたというのです。自分の文章のどこが悪いと、悪ツボくんはおこっています。 【scene 05】 主語がぬけていた！ 「そうか。泣いているのがだれか、が書かれてないからだ」と光浦さん。パペットマペットさんも、最後までお母さんの話だと思いこんでいました。「毎回泣いています」の主語がぬけていたのでだれが泣いているのか決められず、いろいろな見方ができたのです。というわけで、今回も悪ツボくんが書いた文章が不十分でした。主語を取りちがえてしまうと、文章の意味が伝わらずに、カンちがいのもとになってしまいます。では、主語はいったいどこに入れたらいいのでしょう。次の問題で考えてみます。 【scene 06】 ウシくんとカエルくんのけんかのわけ ツボくんの問題です。これはウシくんが書いた日記です。「けんかのわけ／ぼくは、ふらっと本屋に行った。店の中でカエルくんに出会った。『やあ。』と言ったのに、無視（むし）して答えなかった。だからおこって、ずっと口をきかなかった」。二人のけんかの理由は、いったい何でしょう。 【scene 07】 おこったのはカエルくんだった 光浦さんが、目黒区立中目黒小学校にやってきました。みんなにウシくんの問題を考えてもらいます。「ウシくんが話しかけても、カエルくんがウシくんを無視（むし）したから。だからウシくんがおこって、口をきかなかった」というお話だとみんな考えました。ところが、ウシくんが書いたのは、「ウシくんがカエルくんを無視したので、カエルくんがおこってしまったと」いうお話でした。ツボくんの文章のどこがいけなかったのでしょう。 【scene 08】 主語を入れる場所 「『やあ。』と言ったのに、」の前に、「カエルくんが」と入れればいいという意見。さらに、「無視（むし）して答えなかった」の前に、これはウシくんの日記なので、「ぼくは」という主語を入れればいいという意見も出ました。そして最後の「だからおこって、ずっと口をきかなかった」の「だから」のあとに、「カエルくんは」を入れると、だれがおこったのかはっきりするとみんなは考えました。必要な場所に主語を入れることで、文章がわかりやすくなりました。 【scene 09】 動作する人が変わったら要注意！ 主語は、動作するひとが変わったところで入れればよかったのです。でも、主語をどんどん入れればいいというものでもありません。「ほくが」、「ぼくが」とやたらに書いてあったら読みにくくなってしまいます。そこで、今日のツボ。「動作する人が変わったら、要注意！」。主語が足りないと意味がわかりにくくなってしまうし、逆に多すぎても今度は読みにくくなってしまいます。必要最低限の主語を入れて、文章をすっきりとわかりやすくするためには、動作をする人が変わったところで主語を入れればよいのです。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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切ってつないで～文を分ける・まとめる～

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複雑なことを伝えようとすると、文が長くなりがちだ。長くつないだ文と短く切った文とを互いに書き換えるドリルなどで、分かりやすい文を書く方法を学ぶ。

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日もクイズに挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボを身に付けましょう。最初の問題は、徳田アナが持っている巻き物（まきもの）です。この巻き物には、パペットマペットさんの、ある秘密（ひみつ）が書いてあります。巻き物を少しずつ広げていって、どんな話が書いてあるかわかったところで、その内容を答えてもらいます。それでは、問題。徳田アナが巻き物を広げていきます。 【scene 02】 道でころんだのは？ 「カエルくんは、道ですってんころりんと…」。ここまで広げたところで、「わかった！　カエルくんが道でころんだという話でしょう」と、ウシくん。残念、不正解。もう少し先まで広げてみます。「カエルくんは、道ですってんころりんとウシくんがころんだのを助けようと…」。ここで、今度はカエルくんが答えます。「道でころんだのはぼくじゃなくて、ウシくんです」。でも、それも不正解でした。「だって、カエルくんは道でウシくんがころんだのを助けようと、と書いてあるじゃないですか！」とカエルくんは不満そうです。 【scene 03】 ウシくんを助けようとした光浦さんに… 「おしいですねー」と徳田アナ。そこで、もう少し巻き物（まきもの）を広げます。「カエルくんは、道ですってんころりんとウシくんがころんだのを助けようと光浦さんが手をのばした…」。「わかった！」と光浦さん。「ウシくんを助けたのは、わたしです」。これも不正解。巻き物には続きがありました。最後まで読んでみると、「カエルくんは、道ですってんころりんとウシくんがころんだのを助けようと光浦さんが手をのばしたとき、がぶりと指にかみついた」でした。 【scene 04】 長い文はわかりにくい これは、ウシくんを助けようとした光浦さんの指にカエルくんがかみついた、という話だったのです。「この問題、わかりにくすぎますよ」と、ウシくんもカエルくんも光浦さんももんくを言います。最初、カエルくんがころんだのかと思ったら、ころんだのはウシくんで、それを助けようとしたのかと思ったら実は助けてなくて…と、いつまでたっても話がわかりません。このように、長すぎる文では、伝えたいことが何なのか、よくわからなくなってしまいます。 【scene 05】 短い文に分けるとわかりやすい そこで、短い文に分けてみましょう。「道ですってんころりんとウシくんがころんだ。それを助けようと光浦さんが手をのばした。そのとき、カエルくんは、がぶりと指にかみついた」。問題の巻き物（まきもの）の文は、いろいろな話がだらだらとつながっていて、結論（けつろん）がわかりにくくなっています。短く三つに分けた文は、それぞれ簡潔（かんけつ）にわかりやすくまとまっています。文章は、長く続けずに、短く切ったほうがわかりやすくなるのです。では、長い文をどうやって短く切ればいいのでしょうか。 【scene 06】 長い文を切ってみよう 悪ツボくんが書いた文を、切ってわかりやすくしてみましょう。「ウシくんは、カエルの鳴き声にもいろいろあることを百科事典で知った」。東京・中目黒商店街の人たちに考えてもらいます。「ウシくんは百科事典でカエルの鳴き方を調べました。カエルの鳴き方にいろいろある事を知りました」、「ウシくんは、百科事典で知った。カエルの鳴き声にもいろいろあることを」などの答えが出ました。字数が増えていたり、きちんと完結した文章になっていなかったり。いいところもあれば、よくないところもあるようです。 【scene 07】 いろいろな切り方 今度は小学生のみんなに考えてもらいます。パペットマペットさんが、横浜市立下野谷小学校へやってきました。みんなの答えは、「ウシくんは、カエルの鳴き声にもいろいろあることを知った。百科事典で知った」や、「ウシくんは、カエルの鳴き声を百科事典で調べた。するとウシくんは、カエルの鳴き声にもいろいろあることを知った」、「ウシくんは、カエルの鳴き声にもいろいろあることを知った。ウシくんはそれを百科事典で知った」などでした。 【scene 08】 文にふくまれることを分ける ツボくんも挑戦（ちょうせん）してみます。この文には二つのことがふくまれています。一つは、カエルの鳴き声にもいろいろあるということ。もう一つは、ウシくんが百科事典でそれを知ったということです。この二つを分けるとわかりやすくなります。できるだけもとの表現を生かしながら、二つとも主語、述語の整った文にしてみます。「カエルの鳴き声にもいろいろある。ウシくんは、そのことを百科事典で知った」。 【scene 09】 一文が長くなったら見直そう！ 長い文はとてもわかりにくくなります。だから、短くいくつかの文に分けて書くといいのです。最初の問題の巻き物（まきもの）に書かれていたようなだらだらした文章よりも、短く分けたほうが一つひとつのことがらもわかりやすいし、言いたいことも伝わりやすくなります。そこで、今日のツボ。「一文が長くなったら見直そう！」。自分の作文を読み直して、できるだけ短い文に分けて書き直してみると、ぐっとわかりやすくなりますよ。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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せすじをまっすぐ～ねじれ文を直す～

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文を読み返さずに書き飛ばしていると、主語・述語などが対応しない「ねじれ文」になってしまうことがある。整った文に書き換えるドリルを通じて、ねじれ解消法を学ぶ。

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日も問題に挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボをしっかり身に付けましょう。今日挑戦してもらうのは、「ねじれ文」の問題です。聞きなれない言葉ですが、何かがねじれている文章のことをいうようです。最初の問題は悪ツボくんのプロフィールから。「ぼくの夢は宇宙（うちゅう）を飛びます。ぼくのしゅみは映画（えいが）を見ます。ぼくの好物はケーキを食べます」。この悪ツボくんの文章の中に、まちがいが３つあります。そのまちがいを直してください。 【scene 02】 文の最初と最後に注意しよう 「悪ツボくんが宇宙飛行士になれるはずはないから、そこがまちがい！」とカエルくんが言いますが、「文の内容じゃなくて、文の書き方がまちがってるんです」と徳田アナ。「これはプロフィールだから、最初に『はじめまして』とか、最後に『よろしくお願いします』とか書かなくちゃいけないんじゃない？」とウシくん。これも不正解ですが、「文の最初と最後に目をつけたのはよかった」と徳田アナが言います。この文章は、３つの文からできています。それぞれの文の最初と最後はどうなっているのでしょう。 【scene 03】 内容を変えない直し方は？ 文の最初と最後を見くらべていた光浦さん、「しゅみは…見ます、っておかしくない？」と気がつきました。でも、「どこがどうまちがっているのか、文章をきちんと直さないと正解ではありません」と徳田アナ。光浦さんが書き直しました。「ぼくは宇宙を飛びます。ぼくは映画を見ます。ぼくはケーキを食べます」。たしかにこの文ならまちがいではありません。しかし、悪ツボくんが書いた文章とは、内容が少し変わってしまったようです。別の直し方はないのでしょうか。 【scene 04】 主語と述語をつなげる 「文の最初はそのままにして、最後を直したら？」とウシくんが光浦さんに言いました。ひらめいた光浦さん、「ぼくの好物はケーキです」と直しました。正解です。３つめの文の「好物はケーキを食べます」では、主語と述語がつながっていません。主語は「好物は」なので、それにつながる述語は「ケーキです」でした。１つめの文の「夢は…飛びます」も、主語が「夢は」なので、述語は「飛ぶことです」でした。２つめの文も同じように、「しゅみは…見ることです」でした。 【scene 05】 ねじれ文にならないためには 主語と述語がつながらない文を、「ねじれ文」といいます。悪ツボくんの文は、どれもねじれ文だったのです。ねじれ文にならないためには、主語と述語に注意することが大事です。主語と述語がねじれない文はどうやったら書けるのか、次の問題で考えましょう。悪ツボくんが、さっきの文を書き直しました。「ぼくの夢は宇宙飛行士になってロケットにのって宇宙を飛びます」。「これでどうだ！」と悪ツボくん。でも、これもやっぱりねじれ文です。正しい文に書き直してください。 【scene 06】 主語と述語に注意が足りない 商店街のみなさんに、悪ツボくんのねじれ文を直してもらいます。最初の答え、「ぼくの夢は、宇宙飛行士になって、ロケットになって、宇宙を飛べます」。次の人の答え、「ぼくの夢は、宇宙飛行士になって、ロケットに乗って、宇宙へ飛べます」。どうやら、みんな主語と述語に注意していないようです。この文の「夢は」と「飛びます」に注目して考えてみましょう。 【scene 07】 つながった！　主語と述語 今度は小学生のみんなに考えてもらいます。パペットマペットさんが、横浜市立下野谷小学校へやってきました。いろいろな答が出ました。「夢は…飛びたいなー」、「夢は…飛びたいです」、「夢は…飛びたいと思います」。みんな、述語がまちがっていることには気がつきましたが、どれもちょっとへんです。最後に、「ぼくの夢は、…宇宙を飛ぶことです」という答が出ました。これなら、主語と述語がきちんとつながりました。主語を「夢は」と書き始めたら、述語を「～ことです」で結ばないとつながらないのです。 【scene 08】 ねじれてない？　あなたの文の主語・述語 主語と述語がきちんとつながるように書けば、ねじれ文にはなりません。よく考えずに書き飛ばしていると、主語を何と書いたかわすれて、つながらない述語を書いてしまうことがあるものです。そこで、今日のツボ。「ねじれてない？　あなたの文の主語・述語」。主語と述語がつながっていないねじれ文はまちがいだということを、よく覚えておいてください。文が長くなって主語と述語がはなれるほど、ねじれが起こりやすくなります。ですから、なるべく文を短く切ることも大切なのです。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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なぜかというと～理由を言葉にする～

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何かを主張するときには、その根拠となる理由をはっきりさせなければならない。理由をたくさん書き出して論理的に並べ替えるドリルで学ぶ。

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日もクイズに挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボをしっかり身に付けましょう。「今日挑戦してもらうのは、こちらです」と徳田アナが取り出したのは、漢字練習帳です。すると、光浦さんは「そんなのつまんない」と言い、カエルくんとウシくんは「おもしろい」と言います。でもそれぞれの理由は、「だってつまんないんだもん」と、「おもしろいからおもしろい」でした。「もっときちんとした理由を、わたしに教えてください」と徳田アナ。実はこれが、今日最初の問題です。 【scene 02】 自分の感じ方だけでは理由にならない まず光浦さんの理由は、「めんどうくさいから！」。さっきよりは少しくわしくなっていますが、まだ理由がはっきりしません。続いてウシくんの理由は、「好きだから！」。確かに気持ちはわかりますが、まだきちんとした理由にはなっていないようです。光浦さんの理由も、ウシくんの理由も、どちらも自分の感じ方でしかありません。感じたことを言うだけでは、人がなっとくする理由にはならないのです。何がつまらないのか、どんなところがおもしろいのか、理由の中身をもっと具体的に考えてみましょう。 【scene 03】 理由を具体的に考えよう 光浦さんが考えた理由は、「同じことのくりかえし」だから。一方、カエルくんの理由は、「努力すれば上達する」から。すると光浦さんの意見、「手が痛（いた）くなる」。ずっとえんぴつを持っていると手がつかれると言います。ウシくんの意見は、漢字の練習をくりかえすと「字がきれいになる」。また光浦さんの反対意見です。「漢字をおぼえる必要がない」。今の時代、ワープロさえ使えれば自分で書かなくてすむと光浦さんは言います。カエルくんは、新しい漢字をおぼえると漢字の多いむずかしい「本が読めるようになる」と言いました。 【scene 04】 気持ちがはっきりしてきた ３人ともわかりやすい説明でした。どうして漢字の練習が好きなのか、きらいなのか、光浦さん、ウシくん、カエルくんの気持ちがだんだんわかってきました。光浦さんたち自身も、自分で理由がはっきりしてきたようです。まず、光浦さんの答えは、「同じことのくりかえし」、「手が痛（いた）くなる」、ワープロがあるから「漢字をおぼえる必要がない」。次にウシくんとカエルくんの答えは、「努力すれば上達する」、「字がきれいになる」、「本が読めるようになる」。では、これらの理由を一つの文章にまとめてみましょう。 【scene 05】 つまらない理由、おもしろい理由 光浦さんの文章。「漢字の練習はつまらないです。なぜなら、くり返しばかりで、手が痛（いた）くなるからです。それに、今はワープロがあるので漢字の練習はいらないと思います」。これで光浦さんが、漢字の練習がつまらないと思う理由がよくわかりました。今度はウシくんとカエルくんの文章です。「漢字の練習はおもしろいです。なぜなら、努力すれば上達するし、字がきれいになるからです。漢字の多いむずかしい本も読めるようになります」。これも、漢字の練習がおもしろいと言った理由がはっきりわかります。 【scene 06】 大人も挑戦！ ここで、大人も挑戦（ちょうせん）！　パペットマペットさんがウクレレクラブのみなさんに会って、ウクレレの練習がおもしろい理由、そして、あえて、つまらない理由もきいてみます。ウクレレの練習はおもしろい、なぜなら、「声を出して歌える」、「少しずつ上達できる」という答え。続いて、ウクレレの練習はつまらない、なぜなら、「指がいたい」、「歌の意味が不明」という答えでした。みなさん、うまく理由が言えました。このように、理由を言うときは具体的なことがらを挙げることが大事なのです。 【scene 07】 先生をなっとくさせる理由とは？ 次は、悪ツボくんが出す問題。「夏休みは、あと一か月長くするべきだ。なぜなら…」。このあとに、先生もなっとくするような理由を考えるのです。目黒区立中目黒小学校のみんなに考えてもらいます。「ごろごろできるから」、「宿題が終わらないから」、「暑い時、毎日水ぶろに入れるから」、「先生におこられる日をへらしたいから」など、いろいろな答が出ます。みんなが賛成したのは、「おばあちゃんに長く会えるし、おばあちゃんも喜ぶから」、「子どもは遊ぶことが大切だから。運動するほど成長するから」という答えでした。 【scene 08】 事実を入れて、わかりやすく伝えよう 事実を入れて説明すれば、理由は伝わりやすくなります。そこで、今日のツボ。「事実を入れて、わかりやすく伝えよう！」。理由を伝えるとき大切なのは、その理由のもとになっている事実です。特に、自分の意見を人になっとくしてもらわなければならない場合などには、ただ自分の気持ちとか、自分だけの印象を述べても、自分の考えはなかなか相手に伝わりません。だれにでも伝わるような、具体的な事実を挙げて理由を説明することが大切なのです。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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三角形で伝えよう～説明の三要素～

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自分の考えを述べるときには、「問題」「結論」「理由」がそろっていると伝わりやすい。３つの要素がきちんとそろっていない文章に、足りない要素を補うドリルで学ぶ。

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日もクイズに挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボをしっかり身に付けましょう。「今日は、みなさんに見ていただきたい三つの文章があります」と徳田アナが言います。徳田アナが書いた文章ですが、きちんと意味が通じるかどうか、見てもらいます。まず一つ目、「100ｇ300円のお肉を500ｇ買ったら、1200円でした」。この文章の意味はきちんと通じているのでしょうか。 【scene 02】 文章の意味が通じない 「この文章の意味は、通じていません」と、光浦さん。100ｇ300円のお肉を500ｇ買うと、５倍で1500円になるはずだから計算が合ってないというのです。ウシくんとカエルくんも同じ意見でした。続いて次の文章。「1200円でした。おまけしてくれたからです」。するとカエルくんが「この文章も意味が通じません」と言いました。これだけでは、そもそもどんな問題についての話なのかわからないからだと言います。 【scene 03】 必要な情報を入れなければ伝わらない では最後の文章。「100ｇ300円のお肉を500ｇ買ったら、おまけしてくれました」。「これもやっぱりわかりません。おまけしてもらった結果、お肉がいくらになったのかという結論が書いてないんだもん」とウシくんが言います。「どの文章も意味がさっぱりわかりませんよ」、「知りたいことが書かれてないんですよ」とカエルくんと光浦さんも同じ意見です。きちんと意味が伝わる文章にするには、必要な情報を入れなければいけません。そこで、「これが必要だったんです」と徳田アナが取り出したのは、三角形でした。どうして三角なのでしょう。 【scene 04】 問題、結論、理由 自分の考えを人に伝えるときには、三つの要素が必要になります。まず、「100ｇ300円のお肉を500ｇ買ったら？」のように、今から何について考えたいのかを示すものを、「問題」といいます。次に、「1200円でした」のように、その問題に対する答えに当たるものを、「結論」といいます。最後に、「おまけしてくれたからです」のように、どうしてその結論になるかを説明するものを、「理由」といいます。この三つの要素をきちんと入れて文章にしてみると、「100ｇ300円のお肉を500ｇ買ったら、1200円でした。おまけしてくれたからです」となります。 【scene 05】 面積の計算にも三つの要素があった 別の例も見てみましょう。算数で習う正方形の面積の計算。これにも三つの要素が入っています。「問題　この正方形の面積は？」、「結論　９平方センチメートルです」、「理由　一辺が３cmだからです」という具合です。「問題、結論、理由。この三つの要素が大事なのはわかりましたが、実際に自分が書くとなると、どうしたらいいかわからないんですよね」と光浦さん。 【scene 06】 三つの要素を考えてみよう そこで、実際の文章で考えてみます。「あした、運動会はあるだろうか。中止だろう。なぜなら、天気予報によるとあしたの降水（こうすい）確率は80％もあるからだ」。この文章には、問題、結論、理由がふくまれています。どの部分が、三つの要素のうちのどれに当たるか、ぬきだしてみてください。杉並区立高井戸第四小学校のみんなに考えてもらいました。出てきた答えは、問題は「運動会はあるだろうか」、結論は「中止だろう」、理由は「天気予報によるとあしたの降水確率は80％もあるからだ」でした。これはかんたんだったようです。 【scene 07】 少し複雑な文章の場合 今度は少しむずかしい問題です。「どろぼうに入られない町にするには、みんなが顔見知りになってどろぼうが近づきにくくなるよう、町の人が日ごろからあいさつをかわし合うべきだ」。最初に出た答えは、問題が「どろぼうに入られない町にするには」、結論が「みんなが顔見知りになったらどろぼうが近づきにくくなる」、理由が「町の人が日ごろからあいさつをかわし合ったらいい」でした。顔見知りになればどろぼうが近づきにくくなる、とはっきり書かれているのが結論で、そのためには「日ごろからあいさつをすればいい」が理由だと考えました。 【scene 08】 いろいろな答え 別の答えも出ました。問題「どろぼうに入られない町にするには、どうすればよいか」、結論「町民が日ごろからあいさつをすること」、理由「どろぼうが近づきにくくするためには、町民全員が顔見知りになったほうがいい」。町の人が日ごろからあいさつをかわし合うべきだ、という部分が結論に当たると考えたのです。また別の答えは、問題「どろぼうに入られない町にするためにはどうすればいいか」、結論「町の人が日ごろからあいさつをかわし合うべきだ」、理由「みんなが顔見知りになれば、どろぼうがその町に近づきにくくなるからだ」でした。 【scene 09】 言葉をおぎないながら考えてみる 三つの要素の役割（やくわり）がきちんと伝わるように、言葉をおぎないながら文章を整理してみましょう。問題、「どろぼうに入られない町にするには、どうすればいいだろうか」。結論、「町の人が日ごろからあいさつをかわし合うべきだ」。理由、「なぜなら、みんなが顔見知りになってどろぼうが近づきにくくなるからだ」。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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数えてすっきり～情報の整理・分類～

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自分の考えを伝えるためには情報を整理分類することが大切。書く前に、まず自分が伝えようとしていることをナンバリングし整理することで、言いたいことがはっきりする。

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日もクイズに挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボをしっかり身に付けましょう。今日は徳田アナがジョギングの格好をしています。ジョギングで、勉強に向けて体力をつけていただきたいというのです。光浦さんはジョギングが大好きなので賛成です。「ジョギングをするとやせてきれいになるでしょう。それにスタイルがよくなる。それに体がじょうぶになる。それに体力がつく。それに…」と言うと、「一体、理由はいくつあるんですか。長すぎますよ」と徳田アナが言いました。 【scene 02】 考え方を整理するシール ウシくんはジョギングに反対です。「次の日に筋肉痛（きんにくつう）になってつらいし、ただ走るだけだからつまらないし、それにぼく今、けがしてるんですよね」。ウシくんは昨日カエルくんにかみつかれたところがいたくて走れないというのです。すると、「なんでそんな大事な理由を最初に言わないんですか」と言って、考え方を整理するのにとっておきのものを徳田アナが見せてくれました。１～３の番号シールです。まず、考えられる理由を書き出して、それにこのシールで番号をふってもらいます。これが最初の問題です。 【scene 03】 同じ理由は１つにまとめる 光浦さんから発表します。ジョギングに賛成する理由は、１．やせてきれいになる。２．スタイルがよくなる。３．体がじょうぶになる。４．体力がつく。５．あせをかくのが気持ちいい。６．風が気持ちいい、でした。でもこうしてみると、同じことを何度も言ってるようです。１の「やせてきれいになる」と、２の「スタイルがよくなる」は同じことなので、１つにまとめたほうがすっきりするのではと、光浦さんが言います。光浦さん、いいところに気がついたようです。 【scene 04】 伝えたい情報を整理できる ウシくんがジョギングに反対する理由は、１．体がつかれる。２．変化がなくてつまらない。３．けがが治りにくくなる。こうやってならべてみると、「けがが治りにくくなる」がいちばんの理由だったとわかったので、ウシくんはこれを１番に、「体がつかれる」を３番にならべかえようと考えました。このように、番号シールを使えば、自分がどれだけの情報を伝えたいのか、そしてそれをどう整理すればいいのか見通しがつくのです。今気がついたことをもとに、理由を３つにしぼって整理してもらいます。 【scene 05】 意見がよく伝わるようになった 光浦さんが賛成する理由には似たような理由がいくつもあります。「やせてきれいになる」と「スタイルがよくなる」は、どちらもきれいになることを表しています。ですからこれは、「きれいになる」とまとめることができます。「体がじょうぶになる」と「体力がつく」も同じように、「健康になる」に。「あせをかくのが気持ちいい」と「風が気持ちいい」も、「気持ちがいい」にまとめ、すっきり整理できました。ウシくんも、いちばん重要な「けがが治りにくくなる」を最初にすることで、自分の意見がよりはっきりと伝わるようになりました。 【scene 06】 番号シールの力はすごい！ それでは光浦さんから発表してもらいます。光浦さんがジョギングに賛成の理由は３つです。１．きれいになる。２．健康になる。３．気持ちがいい。「これで、光浦さんがジョギングをやりたいという気持ちがよくわかりました」と徳田アナ。続いてウシくんがジョギングに反対の理由を発表します。１．けががなおりにくくなる。２．体がつかれる。３．変化がなくてつまらない。これで反対の理由が伝わりやすくなりました。たくさんあった理由がすっきりしたので、「番号シールの力はすごい！」と光浦さんも感心します。 【scene 07】 図書室にマンガをおくべきだ。その理由は 「じゃあ、番号シールを使って問題に挑戦（ちょうせん）してくれ」と、わるツボくんの登場です。「図書室にマンガをおくべきだ。その理由は？」。東京の江戸川区にある大塚書道塾（じゅく）のみんなに、この理由をたくさん考えてもらいます。「マンガを読みに図書室へ行き、他の本も読むかもしれない」。「歴史のマンガもあるから勉強にやくだつ」。「雨の日にマンガがあれば、本がきらいな人も楽しく読めるから、マンガがあったほうがいい」。「図書室にマンガをおけば、先生も読みたいときに読めるし、みんなも読める」。いろいろ意見が出ました。 【scene 08】 理由を整理してみよう みんなが出してくれた理由は、全部で19個ありました。それを整理していきます。１．マンガを読めば勉強になる。２．雨の日の休み時間が楽しくすごせる。３．図書室が楽しくなる。４．先生もマンガが読みたい。５．マンガも本だから。たくさんあった理由が、この５つに整理できました。さらに、４の「先生もマンガが読みたい」と、５の「マンガも本だから」は、あまり説得力がないという意見が出たので外すことにしました。これで、理由は３つにしぼられました。 【scene 09】 自分たちの意見を先に言う 続いて、３つの理由を先生に発表する順番を考えます。まず「図書室が楽しくなる」、次に「雨の日が楽しくすごせる」、最後に「勉強になる」という意見が出ます。自分たちが図書室を利用するのだから、「図書室が楽しくなる」と、まず自分たちの意見を先に言ったほうがいいからという賛成の意見が続きます。３つの順番は、１．図書室が楽しくなる。２．雨の日の休み時間が楽しくすごせる。３．マンガを読めば勉強になる。これがみんなの意見でした。 【scene 10】 言いたいことを数えてすっきり！ 「整理して伝えることが大事なんだね」と光浦さん。「思いつくままにズラズラ理由をならべても、わかりにくいもんね」とカエルくん。そこで、今日のツボ。「言いたいことを数えてすっきり！」。自分の考えがまとまらないときには、まず情報を書き出して、番号をふってみましょう。どの情報を、どういう順番で伝えればいいのか、整理しやすくなります。情報を受け取る側も、ポイントに注目して話を聞くことができるので便利ですよ。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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事実？意見？～事実と意見を区別する～

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明快な文章を書くには、「事実」と「意見」を区別することが大切だ。それぞれの文が事実か意見かを判別し、区別がはっきりするように順序を整理することを学ぶ。

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【】 オープニング （オープニングテーマ） 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日もクイズに挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボをしっかり身に付けましょう。今日は、書かれていることが事実か、意見か、それを見分けるクイズです。最初の文章は、「光浦さんはメガネをかけている」です。光浦さんもカエルくんも、「事実です」と答えました。これは２人とも正解です。次の問題、「光浦さんは美人だ」。「それは、あくまで徳田さんの意見です」とカエルくんが言い、今度は２人とも「意見」という答えです。これも、２人とも正解でした。 【scene 02】 これは徳田アナの意見？ そこで次の問題。「光浦さんは運動が苦手だ」。この文章に対して、光浦さんは「これは事実です。わたしは運動が苦手なんですよ。わたしが言ってるんだから事実でしょ」と言います。ところがカエルくんは、「これは徳田さんの意見です。だって光浦さんはウシくんよりもずっとにげ足が速いですよ」と言いました。次の文章は、「光浦さんは頭がいい」。光浦さんの答えは、「はい、事実です」。でもカエルくんは、「これはあくまで、徳田さんの意見です」と言います。 【scene 03】 意見が分かれる２人 次の文章は、「光浦さんは気が強い」。今度は、光浦さんが「意見」、カエルくんが「事実」だと答えました。「徳田さんがそう思っているだけですよ。実はわたし、気が弱いんですよ」と光浦さん。カエルくんは、「これはもう事実です！　今の発言を聞いてもわかるように、気が強いとしか言いようがありません」と言います。これも、どちらの言い分も正しいように思えます。ここで、徳田アナが正解を発表します。今言った文章は、全部「意見」でした。 【scene 04】 事実と意見の見分け方 事実と意見、この２つをどう見分けるか整理してみましょう。「事実」は、本当にあったことや、だれでも確かめられること。一方、「意見」は、その人が考えたことです。「光浦さんは運動が苦手だ。…頭がいい。…気が強い」。これは全部、文を書いた人が考えたことです。そう考える人もいれば、そうは考えない人もいます。本当かどうか確かめることができないので、これは「意見」なのです。 【scene 05】 ウシくんは、けち？ そこで、次の問題。カエルくんが書いた文章です。「うしくんはけちだ。誕生（たんじょう）日に本をくれた。きたない本だった。『何回も読んだよ。』と言った。読みあきた本をくれるとは、本当にけちだ」。これを読んで、ウシくんはけちだと思いますか？　杉並区立高井戸第四小学校のみんなに意見を聞いてみます。ほとんどの人が、ウシくんをけちだと思うという意見でした。「誕生日には新しいものをあげるのに、いらなくなったものをくれるのはひどいと思う」と女の子は言います。 【scene 06】 勝手に思っていることは「意見」 そこで、この文章の５つの文を、それぞれ事実か意見かに分けてもらいます。まず、「うしくんはけちだ」。これはカエルくんが勝手に思っていることだから「意見」だ、というのがみんなの答えです。「誕生（たんじょう）日に本をくれた」は、きたない本だったけどウシくんはちゃんと本をくれたから、全員が「事実」だと考えました。 【scene 07】 「きたない」は人それぞれ 次の「きたない本だった」は、「事実」だと思う人と「意見」だと思う人に分かれました。「事実」だと思う人の理由は、「実際にウシくんがくれたのはぼろぼろの本だったから、事実としてきたない本だった」というものです。「意見」だと思う人の理由としては、「何回も読んだからといって、きたないとはかぎらない」や、「きたない本かどうかは見た目や人によってちがうと思う」でした。もう一度みんなの考えをきくと、きたないのは人それぞれだから、これは「意見」だと思う人が増えていました。 【scene 08】 「意見」の文と「事実」の文 「『何回も読んだよ。』と言った」は、本当にウシくんが言ったことだからと、全員が「事実」だと答えました。最後の「読みあきた本をくれるとは、本当にけちだ」は、カエルくんが勝手に決めつけていることなので「意見」だ、というのが全員の答えでした。みんなの答をまとめると、「うしくんはけちだ」、「きたない本だった」、「読みあきた本をくれるとは、本当にけちだ」の３つの文が、「意見」。「誕生（たんじょう）日に本をくれた」、「『何回も読んだよ。』と言った」の２つの文が、「事実」でした。 【scene 09】 けちかどうかはわからない この結果をふまえて、パペットマペットさんがもう一度みんなにたずねます。「ウシくんがけちだと思う人？」。すると最初とちがって、ウシくんをけちだと思う人はだれもいなくなりました。「何回も読んだということはおもしろかったということで、その本をカエルくんにあげたということは、けちじゃないと思う」という意見が出ます。そのほかに、「どちらでもない」という意見の人も何人かいました。本がきたないというのも、ウシくんがけちだというのも、「意見」だから、本当はどちらなのかわからない、と考えたのです。 【scene 10】 事実？　意見？　しっかり目を光らせて 「なるほど。わたしもすっかりカエルくんにだまされるところでした」と光浦さん。文章を読むときは、事実か意見か、しっかり区別して読むことが大事なのです。そこで、今日のツボ。「事実？　意見？　しっかり目を光らせて」。文章には事実と意見が混ざっています。どれが事実でどれが意見かを意識して読むと、客観的な判断ができるようになりますよ。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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ひっぱりすぎにご用心～結論を早めに～

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結論は最後まで引っ張るよりも、早めに述べたほうが、読む人にとっては分かりやすい。文章から結論を抜き出し、いちばん効果的な位置に移動させるドリルで学ぶ。

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【】 オープニング （オープニングテーマ） 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日もクイズに挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボをしっかり身に付けましょう。今日は、引っぱりすぎてわかりにくくなっている文章に挑戦してもらいます。最初の問題。ウシくんがカエルくんに電話をしました。「カエルくん？　お願いがあるんだ。お母さんは用事でいないし、お父さんも帰りがおそい。ぼく、こまってるんだよ。もう近くまで来てるんだ」。そこで電話は切れてしまいました。このあとウシくんは何を言おうとしたのでしょうか。 【scene 02】 ウシくんが言いたかったことは おやつをちょうだいと言おうとした、とカエルくん。いっしょに遊んでと言おうとした、と光浦さん。ころんでけがをしたので手当てしてほしいと言いたかった、とカエルくん。家のカギを落としたのでいっしょにさがしてと言おうとしたのでは、と光浦さん。でも、ぜんぶまちがいでした。実は、ウシくんはこう言いたかったのです。「カエルくん？　お願いがあるんだ。お母さんは用事でいないし、お父さんも帰りがおそい。ぼく、こまってるんだよ。もう近くまで来てるんだ。宿題を教えてほしいんだ」。 【scene 03】 もっとわかりやすく言うには お母さんがどうとかお父さんがどうとか、これではいつまでたっても何を言いたいのかわからない、と光浦さん。もっと早く用件を言ってほしいから「宿題を教えてほしいんだ」を最初に言えばいいという意見です。すると、相手を確かめないでいきなり「宿題を教えてほしいんだ」と言ってもなあ…、とカエルくんが言います。ウシくんは、「カエルくん？　お願いがあるんだ」の次に「宿題を教えてほしいんだ」と言えばいいという意見です。まず相手を確認（かくにん）して、それからお願いを言う。これなら、わかりやすくなりました。 【scene 04】 悪ツボくんの手紙は… 次の問題は、悪ツボくんがツボくんに書いた手紙です。一行ずつ見ていって、言いたいことは何なのか、バスケットボールクラブ「フレンズ」のみんなに考えてもらいます。「マラソン大会のことだけど。ぼくは、走るのは苦手だ。」――順位が悪かった？　「でも、選手はかっこいい。でも、走ると苦しい。でも、みんなの応援（おうえん）がある。」――出たくないけどみんなの応援があるから出る？　「でも、足が痛（いた）くなる。」――だからツボくんが走ればいい？　「でも、君もさそってくれた。それなら、やってやろう」。 【scene 05】 悪ツボくんの言いたかったこと そして最後の一行は、「ぜひ、出場しようと思う。」でした。結局、悪ツボくんは「マラソン大会に出場しようと思う」と言いたかっただけなのですが、こんな手紙になってしまいました。「マラソン大会のことだけど。ぼくは、走るのは苦手だ。でも、選手はかっこいい。でも、走ると苦しい。でも、みんなの応援（おうえん）がある。でも、足が痛（いた）くなる。でも、君もさそってくれた。それなら、やってやろう。ぜひ、出場しようと思う」。 【scene 06】 わかりやすい手紙に変えてみる みんなは、「むだな文が多い」、「ころころ考えが変わる」、「最初の一行と最後の一行だけでいいと思う」と言います。そこで、文章の順番を変えたり、言葉を足したりけずったりして、もっと伝わりやすい手紙に変えてもらいます。最初の答えは、「マラソン大会のことだけど。ぼくは、走るのが苦手だ。なぜなら、走ると苦しい。足も痛（いた）くなる。でも、選手はかっこいい。それに、君もさそってくれた。みんなの応援（おうえん）もある。それなら、やってみよう。ぜひ、出場しようと思う。」でした。出たくない理由と出たい理由をまとめたのです。 【scene 07】 言いたいことを前のほうに 別の人の答えは、「マラソン大会のことだけど。ぼくは、走るのは苦手だ。でも、君がさそってくれたから、ぜひ、出場しようと思う。足が痛（いた）くなるが、選手はかっこいい。走ると苦しいけど、みんなの応援（おうえん）があるから、やってやろう。」でした。言いたいことが最後になっていたのを、真ん中あたりにもってきました。 【scene 08】 理由をまとめて言う もう一人の答えです。「今度のマラソン大会のことだけど、ぜひ、出場しようと思う。ぼくは、走るのは苦手だし、走ると苦しい。しかも、足が痛（いた）くなる。でも、みんなの応援（おうえん）があるし、選手はかっこいい。それに、君もさそってくれた。だから、やってやろうと思った」。これは、言いたいことを先に言い、いやな理由を先にまとめて、やりたい理由をあとにまとめてあります。これで、ずいぶんわかりやすくなりました。 【scene 09】 言いたいことはなるべく早めに 結論（けつろん）は早めに書くことが大事だったのを、光浦さんも思い出しました。そうかといって、最初に結論を書いてもよくわからないこともあります。まず何の話をするのか書いてから結論を書くと、よりわかりやすくなります。そこで、今日のツボ。「言いたいことはなるべく早めに」。文章を書くときには、理由や説明を書いていると、どうしても結論があとまわしになりがちです。それでは、読む人にとってはわかりにくい文章になってしまいます。結論はなるべく早めに書いたほうがわかりやすくなるのです。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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おはなしの地図～物語の型を知る～

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物語の展開には共通の型がある。型を知っていると、長い作品でも読みやすくなる。昔話を題材に物語の展開を示した地図を作り、物語を構成する基本の型を知る。

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日もクイズに挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボをしっかり身に付けましょう。「今日は、みなさんが知っている桃太郎（ももたろう）のおはなしを思い出して、書いていただきたいんですよ」と徳田アナが言います。光浦さんもカエルくんも「かんたん、かんたーん」と言いますが…。 【scene 02】 光浦さんの書いた桃太郎 光浦さんが読みます。「昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。おばあさんが川でせんたくをしていると、大きな桃が流れてきました。切ろうとすると、桃がわれて男の子が出てきました。桃から生まれたので桃太郎と名づけました。そのころ、悪さをする鬼（おに）がいました。成長した桃太郎は、きびだんごを持って鬼退治の旅に出ました。鬼は降参（こうさん）し、『これからは悪いことはしません。宝物（たからもの）は差し上げます』と言いました。桃太郎は鬼たちを許し、宝物を持ってふるさとに帰りましたとさ」。 【scene 03】 カエルくんの書いた桃太郎 ところが徳田アナもカエルくんも、どこかおかしいと言います。次はカエルくんです。「昔々、あるところに、桃太郎がいました。桃太郎は、鬼（おに）退治に行くとちゅうでイヌにあいました。『きびだんごをくださいな』。『鬼退治にくるならあげましょう』。次にサル、キジにあい、仲間が３びきできました。一行は鬼ヶ島に着き、力を合わせて戦いました。鬼は降参（こうさん）し、『これからは悪いことはしません。宝物（たからもの）は差し上げます』と言いました。桃太郎は鬼たちを許し、宝物を持ってふるさとに帰りましたとさ」。これもどこか変です。 【scene 04】 徳田アナの書いた桃太郎 最後は徳田アナです。「昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。おばあさんが川でせんたくをしていると、桃が流れてきました。切ろうとすると、桃がわれて男の子が出てきました。桃から生まれたので、桃太郎と名づけました。そのころ、悪さをする鬼（おに）がいました。成長した桃太郎は、きびだんごを持って鬼退治の旅に出ました。とちゅうでイヌにあいました。『きびだんごをくださいな』。『鬼退治にくるならあげましょう』。次にサル、キジにあい、仲間が３びきできました。一行は鬼ヶ島に着き、力を合わせて戦いました」。これも変です。 【scene 05】 おはなし全体の地図 「むかしむかしのこと、おばあさんが川で桃を拾った。桃の中から赤ちゃんが飛び出した。桃から生まれたので桃太郎と名前をつけた。大きく育った桃太郎は、悪い鬼（おに）を退治するため旅に出た。とちゅうでイヌに出会って仲間になった。次に、サルに出会って仲間になった。キジに出会って仲間になった。これで家来（けらい）が３びきできた。桃太郎たちは力を合わせて鬼と戦った。鬼はあっけなく降参（こうさん）し、宝物（たからもの）を全部差し出した。桃太郎たちは宝物を持ってめでたくふるさとに帰った」。これがおはなし全体の地図です。 【scene 06】 戦うところがないとつまらない 光浦さんたち３人の桃太郎のおはなしを、川崎市立土橋小学校のみんなに聞き比べてもらいます。まずは、３びきの家来（けらい）に出会って鬼（おに）と戦う部分がない光浦さんのおはなしを聞いてもらいました。「イヌやサルがおともしていないと、桃太郎がひとりで鬼をやっつけたようになってしまうからおかしい」、「戦うところがないと、自動的に死んじゃうから変」、「鬼をたおすところがいちばんもりあがるところなのに、そこがないからおもしろさがわかない」といった意見が出ます。 【scene 07】 最後がわからないとつまらない 桃が流れてくる部分のないカエルくんの話は、「桃から生まれたというのがおもしろくておはなしが成り立つのに、そこがないからつまらない」、「おじいさんとおばあさんがいないと、自分で生まれて自分で育ったみたい」、「鬼（おに）をたおしにいく理由がないと、ヒーローにならない」という意見。最後の部分のない徳田アナの話には、「桃太郎の強さがかっこいいのにそこが書かれていないからつまらない」、「もしかしたら桃太郎は戦いに負けて、めでたしめでたしとならずにそこで死んじゃってるかもしれない」などの意見が出ました。 【scene 08】 どの場面もおはなしをおもしろくしている 桃太郎が生まれるまでの場面は、主人公である桃太郎のしょうかいです。鬼（おに）退治に行く場面は、事件が始まるきっかけになっています。仲間が増えていく場面と、鬼と戦う場面は、物語がどんどんもりあがっていくところです。そして、鬼を打ち負かし、ふるさとに帰る場面は、おはなしの結末を表しています。どの場面も、おはなしをおもしろくするために必要なのです。 【scene 09】 おはなしの地図を思いうかべよう そこで、今日のツボ。「おはなしの地図を思いうかべよう」。物語は、いくつかの場面の集まりでできています。それぞれの場面がどんな意味を持っているのかを考え、そのおはなしの全体像を地図のようにイメージしてみましょう。先の見通しが立つので、長い物語や複雑なおはなしもわかりやすく読めるようになります。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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いつだれがどこでなにした～５Ｗ１Ｈ～

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事実を伝えるためには、「いつ・だれ（何）が・どこで・何を（に）・なぜ・どのように」の６つの要素が不可欠だ。６要素を通じて、文章の骨格をなす情報が何かを理解する。

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日もクイズに挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボをしっかり身に付けましょう。と、クイズを始めようとしますが、光浦さんがいません。ちこくのようです。「ちゃんとれんらくしたのにだめですねえ」とウシくん。ウシくんが昨日ファクスで光浦さんに手紙を送ったのだそうです。「光浦さんへ　明日ロケがあります。ツボ公園まで来てください。　うしより」という手紙でした。すると徳田アナが、「この手紙には大事なことがぬけてるんですよねえ」と言います。どういうことでしょう。 【scene 02】 正確に伝えるためには… そこへ、「ちょっとー！　なんでもう始まってんのよ！」と光浦さんがやってきました。「見てくださいよこの手紙。何時に来たらいいか書いてないんですよ！」とおこっています。やっとウシくんにもわかったようです。「あんなに一生けんめい書いたのに、時間のことを書きわすれただけで、ぼくの苦労が水のあわだなんて」とウシくん。相手に言いたいことを正確に伝えるためには、書かなければいけない重要な要素がいくつかあるのです。その要素とは何か、何を書かなければいけないか、さっそく光浦さんが調べにいきます。 【scene 03】 東京駅から日本橋まで１円？ ツボくんが書いた新聞記事があります。その文章の一部を悪ツボくんがかくしてしまいました。「○○○○タクシーに乗って、東京駅から日本橋まで１円で行くことができた」。かくされた部分には何と書いてあるのでしょう。西東京市立泉（いずみ）小学校のみんなに、自由に想像して考えてもらいます。最初の答えは、「メーターがこわれた」でした。続いて、「特急」という答え。あっという間に着いたので１円ですんだ、というわけです。次の答えは、「美人の光浦さんが」でした。「正解！」と喜ぶ光浦さん。 【scene 04】 ツボくんが書きたかった絵は いろいろな話が出てきましたが、ここで、ツボくんが書きたかった絵の内容を見てもらいました。昔の東京の絵のようです。すると、「昭和の初めだ！」と声が上がりました。その通り、正解は、「昭和の初めは、タクシーに乗って、東京駅から日本橋まで１円で行くことができた」でした。 【scene 05】 ソフトボール大会ですべってころんだ？ では次の問題。「○○○○この夏に開かれたソフトボール大会で、たくさんの選手が滑（すべ）って転んだ」。かくされた部分には何が入るのでしょう。最初に出た答えは、「雨のよく降（ふ）った」。たしかに、雨のグラウンドはよくすべります。続いて、「お笑い芸人による」、「スケート場で」などの答が出ました。どちらも、よくすべってころびますね。 【scene 06】 場所を説明する言葉がかくれていた ここで、この記事が言いたかったことを表した絵を見てもらいます。ペンギンたちのいる寒そうなところでソフトボールをしている絵です。「北極で」、「氷河で」と、寒いところを表す意見が出ました。このかくされた部分には場所を説明する言葉を入れればいいようです。正解は、「南極で、この夏に開かれたソフトボール大会で、たくさんの選手がすべって転んだ」でした。 【scene 07】 物事を正確に伝える要素 一問目でかくされていたのは、「昭和の初めは」という言葉。これは「いつ」という要素です。二問目でかくされていたのは、「南極で」という言葉。これは「どこで」という要素です。これらの要素がなかったので、一つの記事がいろいろな話にとらえられてしまいました。物事を正確に伝えるためには、「いつ起こったことなのか」、「どこであったことなのか」という要素が必要です。このほかにも、「だれが関係しているのか」、「なにが起こったのか」、「なぜそうなったのか」という要素があり、文章を書くときにはこの５つの要素が大事なのです。 【scene 08】 「だれが」と「どこで」がかくれていた 次の問題です。「○○○○夜、眠（ねむ）るときは、ねぶくろをかべに固定する」。かくされた部分にはどんな要素が入るのでしょうか。「台風の日、外で」という答えが出ました。「でも台風のときは外でねないほうがいいと思う」と光浦さん。次の答えは、「光浦さんは、ねぞうが悪いので」でした。ここで、文章が表す絵を見てもらいます。これは宇宙船（うちゅうせん）の中の話だったのです。「宇宙飛行士がスペースシャトルで」という正解に、みんななっとくしたようです。かくされていたのは、「だれが」と「どこで」でした。 【scene 09】 ５つのことを忘れずに 出来事を正確に伝えるには、５つのことを意識するといいのです。そこで、今日のツボ。「伝えるときには、５つのことを忘（わす）れずに」。いつ起こったことなのか、どこであったことなのか、だれが関係しているのか、なにが起こったのか、なぜそうなったのか、この５つのことを意識して文章を書けば、自分の伝えたい内容をより正確に伝えることができますよ。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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きいた話を伝えよう～再話に挑戦～

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人から聞いた話を自分で話せるだろうか？　昨日見たテレビ番組の筋を、友達に話せるだろうか？　再話を通じて文章の骨格を的確にとらえることを学ぶ。

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日もクイズに挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボをしっかり身に付けましょう。今日は、「お話を聞いて、そのお話を書く」という問題に挑戦してもらいます。「聞いたお話をそのまま書けばいいんですか。わたし得意なのォ」と、記憶（きおく）力に自信がある光浦さんは自信満々。「これは、ぼくたちも得意とするところですよ」とカエルくんも言います。では、今からあるお話を一回だけ読むので、聞いておぼえてもらいます。 【scene 02】 『うそつき名人』というお話 『うそつき名人』。むかし、うそつきの名人がいました。ある日、お殿（との）様がこの男をよんで言いました。「わたしをだませたら、なんでも好きなものをやろう」。男は言いました。「実は、わたしがうそをつくには“うそつきぶくろ”というものがいるのです。今日はうそつきぶくろを家に置いてきたので、うそはつけません」。すぐに、殿様の家来が男の家をさがしましたが、うそつきぶくろはありませんでした。男は言いました。「もともとそんなものはありません。これもうそです」。殿様は大笑いして、うそつき名人にごほうびをたくさんやりました。 【scene 03】 ウシくんが書いた『うそつき名人』 これを聞いてウシくんが書いたお話です。「むかし、うそつきの名人がいたんです。ある日、この男をお殿（との）様がよびました。男は『実はわたしがうそをつくためには、うそつきぶくろというものがいるんですよ。今日はうそつきぶくろを家に置いてきたから、うそはつけないんです』と言いました。すぐに殿様の家来が男の家に行ってさがしましたが、うそつきぶくろはなかったんです。男は、『もともとそんなものはないんですよ。これもうそです』と言いました。殿様は大笑いして、うそつき名人にごほうびをたくさんやりました」。 【scene 04】 光浦さんが書いた『うそつき名人』 今度は光浦さんが読みます。「むかし、うそつきの名人がいました。ある日、お殿（との）様がこの男をよんでこう言いました。『わたしをだませたなら、なんでも好きなものをやろう』。男は答えました。『実はわたしがうそをつくには、うそつきぶくろがいるんです。今日は、そのうそつきぶくろを家に置いてきてしまったので、うそはつけないんです』。すぐに殿様は家来を男の家にやりましたが、うそつきぶくろはどこにもありませんでした。男は、『もともとそんなものはありません。これもうそなんです』と言いました。殿様は大笑いしました」。 【scene 05】 もとの話とどこがちがう？ どちらの話も、少しおかしいようです。もとのお話のあらすじは…「むかし、うそつきの名人がいた。ある日、お殿（との）様がこの男をお城（しろ）によんだ。殿様は、自分をだませたらほうびをやると約束した。うそつき名人は、うそつきぶくろを家に置いてきたからうそはつけないと言った。そこで殿様の家来がうそつきぶくろをさがしに行ったがみつからなかった。うそつき名人は、じつはうそつきぶくろの話そのものがうそだったと告白した。殿様は大笑いし、うそつき名人にほうびをたくさんあたえた」。２人の話はどうちがっていたのでしょう。 【scene 06】 お殿様の言葉がぬけていた 川崎市立土橋（つちはし）小学校のみんなに考えてもらいます。まず、ウシくんの書いた『うそつき名人』のお話。殿（との）様が「わたしをだませたら」と言った部分がぬけていた、という意見に、たくさんのお友だちも賛成しました。ウシくんが書きもらしていたのは、お殿様がうそつき名人に「わたしをだませたら、なんでも好きなものをやろう」と言った場面でした。では、この場面がないと、お話はどう変わってしまうのでしょう。 【scene 07】 課題を出す場面が必要だった 「あの場面がぬけていると、お殿（との）様がなんのためにうそつき名人をよんだのかわからない」、「最後にはごほうびをもらうんだけど、なぜごほうびをもらうのか意味がわからない」という意見が出ました。殿様がうそつき名人をお城（しろ）によんだのに、課題を言いつけていません。また、最後に殿様がほうびをあたえているのに、ほうびを約束する場面がないと話のつじつまが合いません。つまり、殿様がうそつき名人に課題を出す場面は、このお話に必要だということです。 【scene 08】 最後の場面がぬけていた 続いて、光浦さんが書いたお話を聞いてもらいました。「ほうびをいっぱいやろうと言っていたのに、最後は殿（との）様が大笑いしただけでほうびをくれなかったから、話がつながらない」という意見が出ます。光浦さんが書きもらしたのはお話の最後の部分、殿様が「うそつき名人にごほうびをたくさんやりました」という場面です。この場面がぬけていると、お話はどう変わってしまうのでしょう。 【scene 09】 結末の場面も必要だった 「ほうびをやると言ったのに殿（との）様はほうびをやらなかったから、殿様もだまされたけど、うそつき名人もだまされたことになる」、「殿様が大笑いしたあとに、そんなことはわかっていたと言うどんでん返しがあるかもしれないから、結末が変わってくる」という意見が出ました。殿様は、「わたしをだませたら、なんでも好きなものをやろう」と言っています。ですから、ほうびをやる場面がないと、話のつじつまが合いません。この場面もやっぱりこのお話に必要だったのです。 【scene 10】 お話聞いたら書いてみよう 「ちゃんと書けたと思ったけど、よく考えるとおかしかったんですね」と光浦さん。「聞いたお話を書くということを何回かやっていると、大事なことをわすれずに書けるようになるのかな」とウシくん。そこで、今日のツボ。「お話聞いたら書いてみよう」。聞いたお話を書いてみることをぜひやってみてください。何回か書いているうちにどんどん上達して、おもしろくなってきますよ。練習問題をもう一問用意してありますから、みなさんもよく聞いて、お話を書いてみてください。『のっぺらぼう』というお話です。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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言い換えゲーム１～「です・ます」と「だ・である」～

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高学年でもなかなか使い分けがきちんとできない「です・ます」と「だ・である」。２つを言い換えて比較することで、言葉遣いによって表現効果が変わることを体感する。

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日もクイズに挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボをしっかり身に付けましょう。今日挑戦してもらうのは、「“です・ます”を使う？ 使わない？」という問題です。まず、徳田アナが書いた文章です。「お正月は温泉（おんせん）に行きました。のんびりした３日間でした」。冬休みのことを書いた文章ですが、「です・ます」を使うほうがいいのか使わないほうがいいのか、迷っているのです。「両方書いて、いいほうを選べばいい」と言うので、２人に書いてみてもらいます。 【scene 02】 文の最後を変えればいい 文章の書き方には、「です・ます」を使う形と、「です・ます」を使わない形の２つがあります。２つを見分けるには、文の最後を見ます。「お正月は温泉（おんせん）に行きました。のんびりした３日間でした」。これは「です・ます」を使う形です。これを、「です・ます」を使わない形に書きかえるとどうなるのでしょう。「できました！」と光浦さん。「お正月は温泉に行った。のんびりした３日間だった」。文の最後を変えればいいだけだから簡単（かんたん）だと言います。 【scene 03】 「です・ます」で意味は変わる？ では、これで意味は変わるのでしょうか。「です・ます」を使っても使わなくても、意味は全然変わりませんよ」と光浦さん。カエルくんも同じ意見です。そこで徳田アナがもう一問出題しました。「我輩（わがはい）は猫（ねこ）である。名前はまだない」。これを書き直してくださいと言います。有名な、夏目漱石（なつめ・そうせき）の『我輩は猫である』の冒頭（ぼうとう）の部分です。文の最後を見ると、これは「です・ます」を使わない形です。ではこれを「です・ます」を使う形に書き直すとどうなるのでしょう。 【scene 04】 実際に聞くと何かちがうような… 「できました！」と光浦さん。答えは、「我輩は猫です。名前はまだありません」。では、意味は変わったのでしょうか。「何べんやっても同じですよ。自分はネコで名前がないということでしょう。意味は同じ」と光浦さん。すると、「そうなんだけど…、何かちがう感じがする」とウシくんが言います。たとえばウシくんがしゃべってみるとこんな感じです。「我輩は牛である。名前はまだない」。「我輩は牛です。名前はまだありません」。確かに中身は同じでも、実際にしゃべるのを聞くと光浦さんも何か感じがちがうような気がしてきました。 【scene 05】 いばっている感じとていねいな感じ 「我輩は猫である。名前はまだない」。「我輩は猫です。名前はまだありません」。この２つはどうちがうのでしょう。街の人にきいてみました。「我輩は猫である」のほうは、いばっている感じ、意志の強さやぶっきらぼうな感じ、社交的じゃない、宣言している感じ。一方、「我輩は猫です」は、けんきょな感じ、ていねいな感じ、あいさつをしている感じ、という意見です。「名前はまだありません」には、名前をつけてくれませんかというような感じがあり、「名前はまだない」は、別に名前はいらないという感じがするといった意見も出ました。 【scene 06】 相手を意識している書き方 「です・ます」を使わないと、強く言い切っていると感じる人が多く、「です・ます」を使うと、だれか相手に話しかけているように感じている人が多くいました。「です・ます」のほうがていねいだと感じるのは、相手を意識している書き方だからかもしれません。別の例で考えてみます。「今日から新学期だ。先生が、冬休みの宿題を集め始めた。ぼくは思った。『いけない！　宿題を忘（わす）れた！　どうしよう…』。心臓（しんぞう）がどきどきした」。この文を「です・ます」を使って書き直してみてください。 【scene 07】 かぎカッコの中も「です・ます」にすると 西東京市立泉（いずみ）小学校のみんなに考えてもらいます。「今日から新学期です。先生が、冬休みの宿題を集め始めました。ぼくは思いました。『いけない！　宿題を忘れた！　どうしよう…』。心臓がどきどきしました」。ほとんどの人は、かぎカッコの外の部分だけを「です・ます」に直しました。では、かぎカッコの中も全部「です・ます」に直した、「今日から新学期です。先生が、冬休みの宿題を集め始めました。ぼくは思いました。『いけません！　宿題を忘れました！　どうしましょう…』。心臓がどきどきしました」はどうちがうのでしょうか。 【scene 08】 かぎカッコの中は心の中の言葉 かぎカッコの中を「です・ます」にしないほうは、あせっててどうしようもない感じだけど、「です・ます」にすると、落ち着いていてこれからでも何とかなりそうな感じ。「です・ます」のほうは先生が言っているようにも聞こえるし、だれかに発表しているようにも聞こえる。かぎカッコのすぐ前に「ぼくは思いました」と書いてあるので、かぎカッコの中は自分が心の中で言っている言葉だと思う、といった意見が出ました。 【scene 09】 心の中の言葉には「です・ます」は使わない すると、心の中で一人で言うときに「です・ます」という敬語（けいご）を使って話さないのではという意見が出ます。みんなも同じ考えのようです。心の中で敬語を使うことはふつうはないことなので、文章を敬語にしたとしても、自分が思っていることや言っていることまで「です・ます」にするのは不自然だと思う、という意見にみんな賛成しました。人に伝えるときは、「です・ます」を使ったほうがていねいです。でも、ひとりごとや自分の心の中の考えを言うときは、「です・ます」を使わないほうが自然なのです。 【scene 10】 文末は書き直してみて考えよう！ 「なるほど。『です・ます』を使うときと使わないときって、ただ文の終わり方がちがうだけなのかと思ってました」と、光浦さん。「です・ます」を使うか使わないかで、文章の印象は大きく変わります。ですから、どちらの書き方で書くのか、意識して書くことが大事なのです。そこで、今日のツボ。「文末は書き直してみて考えよう！」。一度、文末を書き直してみて、「です・ます」を使った場合と使わない場合と、どちらが自分の書きたいことに合っているか、そこを考えてみてください。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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言い換えゲーム２～視点を変える～

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自分の作文を、別の人の視点から書き直してみると？　視点を変える言い換えゲームを通じて、自分中心のものの見方ではなく、人の立場からものを見ることを学ぶ。

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日もクイズに挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボをしっかり身に付けましょう。「さて、今日の問題は…」と徳田アナが言いかけたとき、「ギャーッ」とカエルくんがさけびました。カエルくんの大きらいなヘビが光浦さんの首にまきついていたのです。それは光浦さんが昨日買ったえりまきでした。「かわいいでしょ」と言う光浦さん。でもカエルくんにとってはこわいものです。するとウシくんが、「ぼくはこれ、おもしろいと思う」と言いました。みんなそれぞれ感じ方がちがうようです。 【scene 02】 それぞれの立場に立って考える そこで今日は、自分とちがう立場に立ってものを考えるということをやってもらいます。カエルくんの誕生（たんじょう）日にウシくんが自分の大好物の干草（ほしくさ）をプレゼントしている絵に、ウシくんとカエルくんの立場に立って、せりふを入れてもらいます。ウシくんは、「お誕生日おめでとう」、「おいしそうな干草！　ありがとう！」と入れました。ところが光浦さんの答えは、「お誕生日おめでとう」、「そんなものいらないよ」でした。ウシくんは干草が大好物かもしれないけど、カエルくんはそんなものは食べないというのです。 【scene 03】 相手の状況を理解してあげる 相手を理解するためには、その人の立場に立って考えてみることが大切です。ウシくんは自分が干草（ほしくさ）を好きなので当然カエルくんも好きだと思いこみ、“おいしそうな干草！　ありがとう！”と書きました。これではまだまだカエルくんの立場に立って考えられたとはいえません。一方、光浦さんはカエルくんが干草を食べないことを考えて、“そんなものいらないよ”と書きました。人の立場に立つときは、その人の状況（じょうきょう）を理解したうえで、相手の気持ちを想像するといいのです。 【scene 04】 『赤ずきん』の最後の場面を 杉並区立荻窪（おぎくぼ）小学校のみんなに、いろいろな立場に立って考えてみてもらいます。光浦さんが取り上げたのは『赤ずきん』のお話。ある日、赤ずきんが病気のおばあさんのおみまいに行きました。ところが、狼（おおかみ）が先回りしておばあさんを食べてしまいました。おばあさんに化けたオオカミはおみまいに来た赤ずきんも食べてしまいました。お腹（なか）がいっぱいになり昼ねを始めた狼を、通りかかった猟師（りょうし）が見つけました。猟師は狼のお腹をはさみで切って、赤ずきんを助け出しました。この最後の場面を文章にすると…。 【scene 05】 赤ずきん、狼、猟師それぞれの立場 「猟師（りょうし）は、ねている狼（おおかみ）のお腹（なか）を切りさき、中から赤ずきんを助け出しました。めでたし、めでたし」。この場面には３人の登場人物がいます。赤ずきん、狼、猟師です。それぞれの立場に立つと、この場面の見え方や感じ方はどうかわるのでしょうか。３人の立場に立って、文章を書き直してもらいます。まず、自分が狼になったつもりで、この文章を書き直してもらいます。 【scene 06】 立場が変わると動詞が受け身になる 「オレは、赤ずきんを食べたあとねていたら、急にだれかにお腹（なか）を切りさかれてしまった。いきなり何が起こったんだろう？」という答えがありました。もとの文では「お腹を切りさき」となっているのが、書き直した文では「お腹を切りさかれて」というふうに、切ったほうと切られたほうと視点（してん）が変わっています。狼（おおかみ）の立場に立って書き直すと、動詞（どうし）が受け身に変わるのです。 【scene 07】 相手の気持ちになってみる 今度は、同じ文章を赤ずきんの視点（してん）から書き直してもらいます。「私（わたし）は狼（おおかみ）に食べられ、もうだめかと思ったが、そのとき、だれかがねている狼のお腹（なか）を切りさき、助けてくれた。だれかと思うと知らない男の人だったが、助けてくれてありがとう」という答えです。「もうだめかと思ったが」や、「助けてくれてありがとう」のように、赤ずきんの不安な気持ちや助けてもらった感謝の気持ちが書いてあります。視点を変えて考えるときのポイントの一つは、相手の気持ちに寄りそうことです。 【scene 08】 わかっていることとわかっていないこと 次は猟師（りょうし）の立場で書き直します。「私（わたし）は、狼（おおかみ）のお腹（なか）が異様（いよう）に大きかったので、お腹を切ってみました。そうしたら、ふくらんでいたお腹からは、女の子が出てきました。びっくり」。ここでは、猟師はまだ赤ずきんを知らないので、もとの文の「赤ずきん」を、「女の子」と書きかえています。視点（してん）を変えて考えるときのもう一つのポイントは、その人がわかっていること、わかっていないことを、きちんとつかむことです。 【scene 09】 ３人の視点で書き直すと… これまでのポイントをふまえて、文章を３人の視点（してん）に立って書き直した例を見てみましょう。まず狼（おおかみ）の立場では、「オレは、ねている間に、だれかにお腹（なか）を切りさかれました。くやしい…」。赤ずきんの場合は、「私（わたし）は、狼のお腹の中から男の人に助け出されました。ありがとう、おじさん」。そして猟師（りょうし）の立場では、「私は、ねている狼のお腹を切りさき、中から女の子を助け出しました。よかった、よかった」となります。 【scene 10】 いろんな立場に立って物語を読んでみよう 「なるほど、主人公を変えて読むと物語の印象が全然ちがうんですね」と光浦さん。「文章の書き方も大きく変わってくるんだね」とウシくんも言います。そこで、今日のツボ。「いろんな立場に立って物語を読んでみよう」。物語を読んだときに、それがだれの立場で書かれているのかを考えてみてください。そして、ちがう立場だとどう変わるのかを意識してみましょう。立場によって文章の書き方や印象がちがうことを知っていれば、文章を多角的に読むことができるようになります。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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言い換えゲーム３～和語と漢語～

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和語はやさしいが、込み入ったことを言おうとすると長くなる。漢語は複雑な内容を端的に説明できるが、分かりにくい場合もある。語の長所と短所を、言い換えドリルで学ぶ。

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日もクイズに挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボをしっかり身に付けましょう。今日の問題は、作文。一枚（まい）の絵にかかれている状きょうを一文で表してもらいます。ある休日の山田くんの様子です。まずウシくんの答え、「山田くんは、休みの日に友だちとおしばいを見に行きました」。もっと知的に書いてみたという光浦さんの答えは、「山田くんは、休日に友人と観劇（かんげき）に行きました」。書いてある内容は同じなのですが、ウシくんの文章と光浦さんの文章は何かふんいきがちがうようです。 【scene 02】 同じ意味でも印象のちがう言葉 ウシくんと光浦さんが書いた文章を比べてみましょう。ウシくんが「休みの日」と書いたのに対し、光浦さんは「休日」と書いています。「友だち」に対しては「友人」、「おしばいを見に行く」に対しては「観劇（かんげき）に行く」と書きました。同じ意味を表しているのに、どこか印象がちがいます。実は日本語には、「和語」と「漢語」とよばれる二つの言葉があるのです。 【scene 03】 日本の言葉と中国の言葉 和語とは、古くから日本で使われていた言葉です。「やま」、「かわ」、「うつくしい」のように、訓読みの言葉はみんな和語です。漢語はもともと中国の言葉で、のちに日本語に取り入れられたもの。「天地」、「山河」のように音読みの言葉はみんな漢語です。ウシくんの作文には和語が、光浦さんの作文には漢語が使われていました。ですから、同じ意味を表していても、ちがった印象になったのです。 【scene 04】 和語と漢語の使われ方 和語と漢語が実際の文章の中でどのように使われているのか見てみましょう。「駐車（ちゅうしゃ）禁止！」と「車をとめないでください！」。そして、「感謝しています」と「ありがどうございます」。漢語を使った最初の文と和語で書いた文とでは、印象がどうちがうか、街の人にきいてみます。 【scene 05】 漢語と和語の印象のちがい 「駐車（ちゅうしゃ）禁止！」は看板（かんばん）の文字のようで、「車をとめないでください！」のほうが子どもたちにはわかりやすい。「感謝しています」は文字としての表現で、「ありがとうございます」は言葉として伝わりやすい。「駐車禁止！」は強いイメージで、「車をとめないでください」はやさしい感じ。「感謝しています」はえらい人が言う言葉で、「ありがとうございます」は同世代どうしで言う親しみのある感じ。「駐車禁止！」は命令口調で、「車をとめないでください」はお願いする口調など、さまざまな意見がありました。 【scene 06】 やわらかい和語、かたい漢語 アンケートの結果をまとめると、和語の特ちょうとしては、「印象がやわらかい」、「文章が長くなる」、「気持ちを素直に伝える」。一方、漢語の特ちょうは、「印象がかたい」、「文章が短くまとまる」、「ものごとを論理（ろんり）的に説明する」となります。「確かに、字数に限りがある看板（かんばん）や新聞などには漢語が多く使われてるよね」と光浦さん。「友だちには、『感謝しています』と言うよりも、『ありがとう』って言ったほうが気持ちが伝わる感じがするね」とウシくんも言います。 【scene 07】 和語を漢語に書きかえる それでは、和語と漢語を自由に使いこなせるように練習をしてみましょう。「こみいったきまりを、もっとすっきり分かりやすくしようと、みんなの考えがまとまった」という文章の中の和語で書かれた部分、「こみいったきまり」、「すっきり分かりやすく」、「みんなの考え」、「まとまった」を、漢語に書きかえてみてください。 【scene 08】 「複雑、簡潔、全員の意見、一致」 杉並区立荻窪（おぎくぼ）小学校のみんなに考えてもらいます。「こみいったきまり」は、「整理されていない規則」や「複雑な規則」に。「すっきり分かりやすく」は、「簡潔（かんけつ）に」や「簡単（かんたん）に理解できるように」。「みんなの考え」は「全員の意見」。「まとまった」は「短縮（たんしゅく）された」、「一致（いっち）した」、「合体した」、「統一した」に言いかえるなどの意見が出ました。もとの文章は、「複雑な規則を、もっと単純（たんじゅん）明快にしようと、全員の意見が一致した」と書きかえられました。 【scene 09】 「和語」と「漢語」を使いわけよう 「なるほどね。書きかえてみると、漢語と和語、それぞれの持ち味がはっきりしてきますね」と光浦さん。そこで、今日のツボ。「『和語』と『漢語』を使いわけよう」。和語と漢語にはそれぞれ得意分野があります。その文章を読むのはだれか、どんな場で読まれるのかなど、状きょうによって使いわけるようにしてみてください。文章のうでが、ぐっと上がりますよ。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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広告のウソを見ぬけ！～批判的に読む～

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事実を誇張した表現が含まれた広告の文章。どこがウソなのか見ぬけるだろうか？　書かれている内容が事実に基づいているかどうか検証し、批判的に読むことを学ぶ。

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日もクイズに挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボをしっかり身に付けましょう。今日やっていただくのは、「ウソさがしゲーム」です。文章をよく読んで、その中にかくされているウソを当ててもらいます。最初の問題。「この一年間で、この街の犯罪件数は二倍になり、治安が急激（きゅうげき）に悪化している。2005年…８件。2004年…４件」。「こわいねー」、「すごいよねー」と、カエルくんとウシくんがびっくりしています。すると光浦さんが、「ちょっとあんたたち、そこだけ見てもだめでしょ」と注意しました。 【scene 02】 グラフ全体を見てみると 光浦さんがカエルくんとウシくんに見せたグラフの全体は、過去６年間の犯罪件数のグラフでした。2005年は８件、2004年は４件、2003年は６件、2002年は10件、2001年は12件、2000年は９件です。「この一年間で、この街の犯罪件数は二倍になり、治安が急激（きゅうげき）に悪化している」という文章の、どこにウソがかくされているのでしょうか。光浦さんの答えです。「この一年間で、この街の犯罪件数は二倍になった」というところは、事実。しかし、「治安が急激に悪化している」の部分は、ウソ。 【scene 03】 「限られた事実」には注意！ 2004年と2005年のデータだけを比べると、たしかに文章の通り、犯罪件数は急増しているように見えます。でも、グラフ全体を見ると、2005年の８件という件数は飛びぬけて多いわけではなく、必ずしも治安が悪化しているとは言えません。このように、一部分だけを見ると正しいようでも、全体を見てみるとそうとは言い切れない場合があります。このような「限られた事実」には注意が必要なのです。 【scene 04】 会話全体を見よう 「限られた事実」とはどういうものか、もう一つの例を見てみましょう。母と子の会話です。――母「テストはどうだったの？」。子「国語が95点だったよ」。母「まあ、すごい！」。ウシくんは、お母さんが喜ぶところが目にうかぶと感心しています。するとまた光浦さんが、「ちょっとあんたたち。さっき教えたことがまるでわかってなーい！」と注意しました。会話にはまだ続きがあったのです。その続きは、――子「それから、算数は60点、社会は55点、理科は50点だったよ」。母「なんですって！（怒）」。 【scene 05】 本当かどうか考えながら読もう この会話文も、最初の部分だけ読むと成績優秀（ゆうしゅう）に見えます。でも、会話全体を見てみると、いくら国語の成績がよくてもほかの教科が50点や60点では、必ずしもテストの成績がよかったとは言えませんね。情報をどう切り出すかによって、ものごとの印象は大きく変わってしまいます。ですから、文章を読むときには、読んだ部分をすぐに信じてしまうのではなくて、立ち止まって考える、そういう習慣をつけるようにしましょう。 【scene 06】 この広告の言葉は本当？ 次の問題は、悪ツボくんがテレビショッピングで見つけたCMです。体をきたえる「パワーダンベル」という商品で、「８割（わり）の人が効果を実感！」とうたっています。「このダンベルを買えば、女の子にモテモテになることまちがいなし。買うぞ！」と悪ツボくんはすっかりその気になっています。広告には、「今、女性にスポーツ選手が大人気！　そこで、モテたいあなたにパワーダンベル！　理想の肉体を手に入れる！」とあります。この広告を見るとたしかにいい商品に見えますが、本当にそうなのでしょうか。 【scene 07】 かくされた大事なポイント 台東区立平成小学校のみんなに考えてもらいます。この広告のあやしいところはどこでしょう。「値段（ねだん）が書いてない」、「一日にどれくらいやればいいか書いてないので、無理してやると体がこわれる」、「モデルの男の人がダンベルを使う前と使ったあとの比較（ひかく）ができないから、このダンベルで効果が出たのかどうかわからない」など、いろいろな意見が出ました。でも、もっと大事なポイントが、この広告にはかくされているのです。 【scene 08】 「話のすりかえ」に注意しよう 「今、女性にスポーツ選手が大人気！　そこで、モテたいあなたにパワーダンベル！」という部分について、「パワーダンベルは理想の肉体を作るもので、スポーツ選手になることではないから、女性にモテるかどうかはわからない」という意見が出ました。これは、「話のすりかえ」という大事なポイントです。いくら女性にスポーツ選手が人気だからといって、筋肉（きんにく）をつけても必ずスポーツ選手になれるわけではありません。だから女性にモテるとは限りません。この文章は、そもそも話のすじが通っていなかったのです。 【scene 09】 ここにも「限られた事実」が もう一つあやしいところがあります。「８割（わり）の人が効果を実感！」という文について、「アンケートを10人しかやっていない」、「アンケート対象が100人だと使っている人がいっぱいいるんだなとわかるけど、10人だと全然使われていない感じ」という意見が出ました。ここで挙げられたポイントは、「限られた事実」です。８割の人が満足したといっても、アンケートの対象はたったの10人。しかも、それがどんな人たちなのかについても書かれていません。これでは本当に効果があるかどうかわかりません。 【scene 10】 「本当にそうかな」を確かめよう！ 「注意深く見てみると、文章にはいろいろなトリックがかくされているものなんですね」とカエルくん。「やっぱり、書かれていることを鵜呑み（うのみ）にしちゃいけないね」とウシくん。そこで、今日のツボ。「『本当にそうかな』を確かめよう！」。文章を読むときには、すぐに信じこまずに、納得（なっとく）できる十分な証拠（しょうこ）があるか、話のすじがきちんと通っているかをよく考えて、その情報が信用に値（あたい）するものかどうか確かめる。そういう習慣をつけるようにしましょう。

わかる国語　読み書きのツボ　５・６年

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議論の穴を探せ！～反論を考える～

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相手の主張に対して反論をするにはどうしたらいいだろう？　「主張」とそれを支える「根拠」や「事実」とのつながりをきちんと読み解いて、生産的な反論をすることを学ぶ。

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【】 オープニング オープニングタイトル 【scene 01】 「クイズ　読み書きのツボ」 「クイズ　読み書きのツボ」。今日もクイズに挑戦（ちょうせん）して、読み書きのツボをしっかり身に付けましょう。今日は、徳田アナが友人から受けた相談について考えてもらいます。その人は、小学校５年生のむすめさんが携帯（けいたい）電話を持ちたいと言い出したので、持たせるかどうかなやんでいるのです。「だめですよ、だめ。絶対反対！」と言うウシくん、「わたしは別にいいと思うけどね」と言う光浦さんと言い争いになりました。でも、反対と賛成の理由がよくわかりません。そこで、それぞれの意見とその理由を紙に書いてもらいます。 【scene 02】 それぞれの意見と理由 まず、ウシくんの意見は、携帯（けいたい）電話を持たせることに「反対」。理由は、携帯電話だと気軽に話せるので長電話になりやすく、「電話代が高くなるから」だと言います。光浦さんは、「賛成」です。理由は、携帯電話だとれんらくが取りやすいので、子どもが外出していても「親が安心できるから」と言います。これでそれぞれの意見と理由はわかりましたが、どっちの意見にしたがったほうがいいのかは、まだわかりません。どうすれば自分の意見のほうがいいと、相手を説得できるのでしょうか。 【scene 03】 相手の理由に注目して反論する 光浦さんの反論（はんろん）です。「ウシくんは携帯（けいたい）電話だと電話代が高くなると言っていましたが、プリペイド式の携帯電話なら一定額以上は使えないから心配ありません」。「たしかに、プリペイド式という手がありましたね」と、ウシくんも納得（なっとく）しています。徳田アナの気持ちも「賛成」にかたむいてきました。光浦さんは、ウシくんの反対理由が不十分だということを示しました。反対するときは、相手の理由に注目するのがポイントです。では、実際にどう反論したらいいのか考えてみましょう。 【scene 04】 悪ツボくんの提案に反論してみよう 挑戦（ちょうせん）するのは台東区立平成小学校のみんなです。みんなに、悪ツボくんからの提案について考えてもらいます。それは、「このクラスから宿題をなくすべきだ」という提案です。理由は二つあります。（１）「宿題がなければ、放課後に好きなことをする時間が増え、子どもたちの生活が楽しくなる」。（２）「アンケートの結果、このクラスの50％が塾（じゅく）に通っていて、その全員が塾でも宿題が出ると答えている。だから、子どもたちには宿題が多すぎる」。これに反論（はんろん）できるのでしょうか。 【scene 05】 悪ツボくんの理由への反論は？ 「宿題がないと勉強がおくれてしまうし、脳（のう）もおとろえてしまう」、「大人になってがんばっても脳が弱っているのであまり頭に入っていかないから、子どものうちに勉強しておいたほうがいい」、「塾（じゅく）の宿題だけになると、宿題のまったくない人が出てくるので、学校の宿題があったほうが脳がおとろえなくていい」、などの意見が出ました。でも、悪ツボくんが言いたいのは「脳」のことではなくて、宿題が多すぎて大変なのではないかとうことでした。この理由についてはどうでしょう。 【scene 06】 生活が楽しくなるかどうかは本人次第 「宿題にそんなに時間がかかるわけではないので、宿題はあってもいいと思う」という意見が出ます。でも悪ツボくんは、「いくら宿題がらくでも、なくなれば自由な時間が少しは増えるだろ。そうすれば生活が楽しくなっていいじゃないか」と反論（はんろん）します。すると、「放課後に時間が増えるのはたしかだけど、生活が楽しくなるかどうかは言えないと思う」という意見が出ます。「たしかに、生活が楽しくなるかどうかは、宿題とは関係なく、本人次第なのかもしれないな」と悪ツボくん。 【scene 07】 宿題がなくなるとこまる人もいる では、理由（２）「このクラスの50％が塾（じゅく）に通っていて、その全員が塾でも宿題が出ると答えている。だから、子どもたちには宿題が多すぎる」についてはどうでしょう。「塾（じゅく）に行っている子は、学校と塾の両方の宿題で苦労してるんだぞ」と悪ツボくん。「塾と学校の両方の宿題をやるのは大変だけど、塾に行ってない人が宿題がなくなるとどんどん差がついてしまう」という意見が出ます。塾に行っていない50％の子にとっては、学校の宿題はあったほうがいいということのようです。 【scene 08】 両方の宿題が大変ではない人もいる でも、28人中22人が答えてくれたこのクラスのアンケートでは、塾（じゅく）に行っている人の全員が「塾でも宿題が出る」と答え、さらに、塾に行っている子のうち72％が「学校と塾の宿題を両方やるのは大変だ」と答えています。「どうだ。やっぱり学校の宿題はないほうがいいだろう」と悪ツボくんは言います。すると、「塾に行っている人のうち、両方の宿題をやるのが大変ではないという人も28％いるわけだから、学校の宿題はあったほうがいいと思う」という意見が出ました。 【scene 09】 相手の理由のあまいところをつく 両方の宿題をやるのは大変だと答えている子は本当に多いのでしょうか。塾に行っている子は22人の50％で、11人。両方の宿題をやるのは大変だと答えているのはその72％。人数にすると８人です。22人から見るとおよそ３分の１しかいないのです。「これじゃあこのクラスから宿題をなくしたほうがいいという理由にはならないか」と悪ツボくん。反論（はんろん）をするときは、相手の理由のあまいところをつけばいいのです。また、相手の意見を全部否定（ひてい）するのではなく、みとめられる部分をみとめたうえで反論することも大事です。 【scene 10】 フェアプレーで反論をしよう 「なるほど。いままで『議論（ぎろん）する』といえばけんかすることだと思ってましたよ」と光浦さん。「ぼくも、自分の意見に反論されるたびに腹（はら）を立てていました」とカエルくんも言います。反論するときもされたときも、感情的になる必要はないのです。そこで、今日のツボ。「フェアプレーで反論をしよう」。反論のこつはフェアプレーです。やみくもに相手をこうげきするのではなく、相手の意見をよく聞いて、いっしょに試合を作っていく。その感覚が必要です。みなさんもこれをふまえて、積極的に話し合いをしてみてください。

１０ｍｉｎ．ボックス　古文・漢文

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竹取物語

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物語の元祖と言われている「竹取物語」。天上界と人間界が交差する神秘や、悲哀をおびた人間模様を、平安時代の社会背景などの情報も盛り込みながら、味わう。

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【】 オープニング （オープニングタイトル） 【scene 01】 日本最古の物語 『竹取物語』は、1000年以上も前に書かれた日本で最も古い物語です。９世紀、平安時代の初めごろに書かれたといわれています。竹から生まれた美しい姫が、おじいさんとおばあさんに育てられる物語。『かぐやひめ』としても知られている、有名な昔話です。竹取のおじいさんが、あるとき一本の光る竹の中に見つけた、わずか10cm足らずのかわいらしい赤ちゃん。この子が、物語のヒロイン、かぐや姫です。 【scene 02】 かぐや姫の不思議な力 かぐや姫には不思議な力がありました。手のひらにも乗るほど小さかった赤ちゃんは、たった３ヵ月で、美しい大人の女性に成長してしまいます。おじいさんは竹林で金が入った竹を見つけることが重なり、だんだんお金持ちになっていきました。その上、家の中は不思議な光で満たされます。おじいさんの気分がすぐれないときも、かぐや姫を見ればすぐに回復しました。現実離れした奇妙な現象の数々。かぐや姫は一体何者なのでしょうか。 【scene 03】 帝を頂点とした貴族の時代 この物語が書かれた平安時代の初めは、貴族が特権階級として、政治や経済の場で活躍していました。そんな時代、社会の頂点に立っていたのが「帝（みかど）」、つまり、天皇です。いかに帝に近づくか、いかに帝に認めてもらえるか。それが、当時の貴族たちの最大の関心事でした。かぐや姫は、そんな当時の社会の常識からも自由な存在として描かれます。美しい姫に、富も地位もある男性たちから、結婚の申込が殺到しました。しかし、かぐや姫はかたくなに結婚を拒みます。 【scene 04】 帝の申し出をも断るかぐや姫 ついに、帝（みかど）からも声がかかります。帝は、自らかぐや姫のもとへ出向き、結婚を迫ります。「許すものか」と言って連れていこうとする帝に、かぐや姫は、「私がこの世界に生まれたのなら帝の思い通りにもなりましょうが、そうではありません」と答えます。それでも帝が無理やり連れ去ろうとしたそのとき、かぐや姫は突然消え失せ、影になってしまいました。不思議な力を持ち、帝からの結婚の申し出さえ断ったかぐや姫。その正体は、つかのま地上を訪れた、月の人だったのです。 【scene 05】 この物語の作者とは 想像力に満ちた人物設定。社会を描く鋭い視点。この物語を書いたのは、一体どんな人物だったのでしょうか。昔からさまざまな名前が挙げられ、議論を呼んできました。今でもはっきりとはわかっていませんが、貴族の男性だったという点で、ほぼ一致しています。 【scene 06】 月に帰るかぐや姫 物語のクライマックス。かぐや姫に、月から迎えが来る場面です。真夜中なのに辺りは昼間のように明るくなり、月の世界の人々が雲に乗ってやってきます。戸や格子（こうし）は、ことごとくひとりでに開き、かぐや姫は、おばあさんの腕からするりと抜け出してしまいます。引き止めることができなかったので、おばあさんは、ただ見上げて泣くよりほかありませんでした。かぐや姫は地上の人々に別れを告げ、月へと帰っていきました。 【scene 07】 天に最も近い場所 かぐや姫が帝（みかど）に残した不老不死（ふろうふし）の薬。しかし帝は、「永遠の命など意味がない」と、天に最も近い場所で燃やすよう命じました。その命を受けて大勢の兵士たちが登っていったからでしょうか、その高い山を「ふじの山」（士に富む山＝富士の山。「不死の山」という説もある）と名付けたのでした。薬を燃やしたときの煙は、今もなお山頂から雲の中へ立ち昇っているということです。

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土佐日記（紀貫之）

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10世紀、男性が、男性のまねをする女性になりすまし、日記形式で書かれた作品。このような複雑な設定はなぜ生まれたのか。当時の男性と女性の文体の違いを解説する。

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【】 オープニング （オープニングタイトル） 【scene 01】 わが国初の日記文学 『土佐日記』は、平安時代前期、935年ごろに書かれたわが国初の日記文学です。「男もすなる日記（にき）といふものを、女もしてみむとてするなり。それの年の師走の二十日あまり一日（ひとひ）の日の、戌（いぬ）の時に門出す。そのよし、いささかにものに書きつく」。男の人が書くという日記というものを、女である私も書いてみようと思う…。有名な書き出しで始まるこの日記の作者は、実は男性でした。書いたのは紀貫之。古今和歌集の編纂（へんさん）にもあたった、平安時代を代表する宮廷歌人の一人です。 【scene 02】 土佐国から都へ帰る旅日記 『土佐日記』は、貫之が赴任（ふにん）していた土佐国（現・高知県）から、任期を終えて都に帰り着くまでをつづった旅日記です。地方の役人が家族らとともに土佐の屋敷を発つ場面から始まります。「住む館（たち）より出でて、船に乗るべきところへわたる。かれこれ、知る知らぬ、送りす。年ごろよくくらべつる人々なむ、別れがたく思ひて、日しきりにとかくしつつ、ののしるうちに夜更けぬ」。屋敷を出た一行を、たくさんの人たちが盛大に見送ります。慣れ親しんだ人たちとの別れがたい思いを感じながら、一日が過ぎていきました。 【scene 03】 立ちはだかる困難や危険 屋敷を出て６日後、一行の船はようやく海に向かってこぎ出します。12月27日のことです。５年ぶりに都へ戻る一行の前には、さまざまな困難や危険が待ちかまえていました。その一つが、船の問題です。当時の船は木造の簡素なもの。そのため、雨や風が強ければ簡単に転覆（てんぷく）してしまいます。さらに、海上の治安は悪く、海賊に財産や命を奪われることも珍しくありませんでした。船旅はこうした危険と隣り合わせの旅だったのです。 【scene 04】 ひたすら日和を待つつらさ 風が強く波が荒い室戸岬周辺で、一行は10日近く足止めされます。「十八日。なほ、同じところにあり。海荒ければ、船出ださず。十九日。日悪しければ、船出ださず。二十日。昨日のやうなれば、船出ださず。みな人々憂へ嘆く。苦しく心もとなければ、ただ、日の経ぬる数を、今日幾日（いくか）、二十日、三十日（みそか）とかぞふれば、指（および）もそこなはれぬべし。いとわびし」。過ぎゆく日数を指折り数えるため、指も痛んでしまいそうだ。早く帰りたいと思っても何もできない人々の歯がゆさやつらさが伝わってきます。 【scene 05】 仮名文字で表す情感 貫之がこだわったのは、旅の途中で感じた心の機微を文章で表すことでした。そのために貫之は女性のふりをして、仮名文字を使って日記を書いたのです。平安時代、日記といえば、男性が行事や業務の記録を漢文で書いたものでした。仮名文字を使うことで、これまでの記録的な日記では表現できなかった個人的な感情や、旅の情景を描こうとしたのです。 【scene 06】 切々と描かれる情 たとえばある人が、出航間際、土佐で亡くなった子を思う場面には、深い親の悲しみが描かれています。「京にて生まれたりし女子（をむなご）、国にてにはかに亡せにしかば、このごろの出で立ちいそぎを見れど、何ごともいはず。京へ帰るに、女子のなきのみぞ悲しび恋ふる」。――人々は楽しそうに出発準備をしているが、何も言う気が起こらない。子どもを連れて帰れないことばかりを悲しんでいる。 【scene 07】 心の動きを表す和歌 さらに貫之は、心の動きを表すために、得意の和歌を効果的に取り入れました。天気のいい日、美しい風景を見たときに、亡き子を思い出して詠んだ歌です。「寄する波　うちも寄せなむ　わが恋ふる　人忘れ貝　下りて拾はむ」。――寄せる波よ、どうか浜辺に打ち寄せておくれ、恋しく思う人を忘れることができるという忘れ貝を。そうしたら、船を下りて拾うから。 【scene 08】 今までにない日記文学 その歌に返して、「忘れ貝　拾ひしもせじ　白玉を　恋ふるをだにも　かたみと思はむ」。――亡き子を忘れてしまう忘れ貝なら拾いたいとは思わない。白玉のような子を恋しがることだけで、あの子のかたみと思いましょう。仮名文字を使い、和歌を取り入れたことで、貫之は従来の記録的な「日記」とは違う新しい「日記文学」を生み出したのです。 【scene 09】 荒れ果てていたわが家 出発してから55日。２月16日の夜、一行はようやく都のわが家に到着しました。しかし、月明かりのなかで目にしたのは、荒れ果てたわが家でした。「聞きしよりもまして、いふかひなくぞ、こぼれ破れたる。家にあづけたりつる人の心も、荒れたるなりけり。中垣こそあれ、一つ家のやうなれば、望みてあづかれるなり」。――家はどうしようもないほど傷んでいた。預けた人の心がすさんでしまったのだろう。隣の家とのあいだには中垣があっても、ひとつ屋敷のように暮らしていたから、隣の人は自ら望んで預かってくれたのに。 【scene 10】 旅の日々の締めくくり 旅の日々を、仮名文字を駆使して生き生きとつづった『土佐日記』。旅を終えた貫之は、最後にこう締めくくっています。「忘れがたく、口惜しきこと多かれど、え尽さず。とまれかうまれ、とく破（や）りてむ」。――忘れがたく、心残りはたくさんあるのだが、とても書きつくすことはできない。こんなものははやく破ってしまおう。

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伊勢物語

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10世紀に成立した初めての歌物語。在原業平をモデルに、事実と虚構を織り交ぜた一代記風。歌物語と言うユニークな構成と、きめ細かい心理描写を読む。

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【】 オープニング （オープニングタイトル） 【scene 01】 わが国初の歌物語 「むかし、男ありけり」。この有名な書き出しで始まる『伊勢物語』は、125段から成る、わが国初の歌物語です。今から1000年以上前、平安時代初期に生まれたといわれています。物語を貫くテーマは「愛」。純粋な愛、許されない愛、親子の愛…。さまざまな形の「愛」が描かれています。 【scene 02】 おさななじみとの純粋な愛 おさななじみの男と女。家の近くの井戸のまわりでいつも一緒に遊んでいた二人は、大きくなるにつれ、互いを意識しあうようになります。「男はこの女をこそ得（え）めと思ふ、女はこの男をと思ひつつ、親のあはすれども聞かでなむありける。つひに本意（ほい）のごとくあひにけり」。男はこの女を妻にしたいと思い、女はこの男を夫にと思っていました。そのため、女は親がすすめるほかの男との結婚は承知しません。そしてとうとう二人は、結婚することができました。 【scene 03】 激しく一途な愛 激しい、一途（いちず）な愛も描かれます。「男」は、長年恋い焦がれてきた身分の高い女性を、ある夜、やっとの思いで連れ去ります。「夜もふけにければ、鬼ある所ともしらで、神さへいといみじう鳴り、雨もいたう降りければ、あばらなる倉に、女をば奥におし入れて、…」――雷が鳴り、雨もひどく降ってきたので、男は鬼がすむところとも知らず、誰もいない倉の奥に女を隠しました。 【scene 04】 一途な愛の悲しい結末 「はや夜も明けなむと思ひつつゐたりけるに、鬼はや一口に食ひてけり。『あなや』といひけれど、神鳴るさわぎに、え聞かざりけりけり」――早く夜があけないかと思いながら戸口で見張っていた男。しかし鬼は、あっという間に女を一口に食べていたのです。女の悲鳴は、雷の音で聞こえませんでした。 【scene 05】 母親への細やかな情愛 家族への情愛も描かれます。宮廷に仕える「男」は、母と離れて暮らしていました。忙しくてなかなか会いに行けない母から便りがきます。「老いぬればさらぬ別れのありといへば　いよいよ見まくほしき君かな」――私は年を取りました。死の別れが迫っていると思うと、おまえに会いたいという気持ちがいよいよ募ります。男は涙を流してこう返しました。「世の中にさらぬ別れのなくもがな　千代もといのる人の子のため」――この世に、死という避けられない別れなどなければいいのに。親には千年も生きて欲しいと祈るのが子どもなのだから。 【scene 06】 主人公のモデル、在原業平 『伊勢物語』は、和歌を中心に、それにまつわる言い伝えなどをまとめた歌物語です。物語の「男」のモデルとされるのが、平安時代初期に活躍した歌人、在原業平（ありわらのなりひら）です。当時の記録には、容姿端麗（ようしたんれい）、美貌（びぼう）の皇族で、性格は自由奔放、恋愛を詠む和歌に秀でていると記されています。業平が詠んだ有名な歌。「月やあらぬ　春やむかしの春ならぬ　わが身ひとつはもとの身にして」――月は昔の月ではないのだろうか、春は昔の春ではないのだろうか、私だけはもとのままなのに…あの人はもういない。 【scene 07】 歌が詠まれた背景 『伊勢物語』では、この歌が詠まれた状況が詳しく語られます。「むかし、東（ひんがし）の五条に、大后（おほきさい）の宮おはしましける西の対（たい）に、すむ人ありけり」――昔、東の京の五条に高貴な女性が住んでいました。「それを本意（ほい）にはあらで、心ざしふかかりける人、ゆきとぶらひけるを、正月（むつき）の十日ばかりのほどに、ほかにかくれにけり」――「男」はその女性に思いを寄せ、足しげく通っていましたが、一月十日ごろ、女性の姿は消えてしまいました。 【scene 08】 身分の違う女性への消えぬ思い この「西の対に住む人」とされるのが藤原高子（ふじわらのたかいこ）。のちに清和天皇の后となる貴族の娘です。当然、「男」との恋愛が許されるはずはなく、男の手の届かない所に隠されてしまいました。男は、憂鬱な気持ちのまま、日々を過ごしていました。時がすぎ、次の年の一月、梅の花咲くころ、男は思い出の場所を訪れます。しかし目の前に広がる風景は、去年とはまったく違って見えました。男は決して戻ることのない、憧れの女性との日々を思い出します。「月やあらぬ　春やむかしの春ならぬ　わが身ひとつはもとの身にして」。 【scene 09】 都に残してきた人を思う歌 その後、男は京を離れ、友人たちと旅に出ます。旅の半ば、一行が休憩した沢のほとりには、かきつばたが美しく咲いていました。「それを見て、ある人のいはく、『かきつばた、といふ五文字を句のかみにすゑて、旅の心をよめ』といひければ、よめる」。「かきつばた」という五文字を句の頭に置いて、旅の思いを詠むのです。そこで男が詠んだ歌。「から衣（ころも）　きつつなれにし　つましあれば　はるばるきぬる　たびをしぞ思ふ」――唐衣は着ているうちになじんでくる。私にはなれ親しんだ妻が京にいるので、旅のつらさがしみじみ感じられる。 【scene 10】 時代を超えて読みつがれる物語 恋多き男を主人公として、さまざまな物語を展開する『伊勢物語』のスタイルは、『源氏物語』や『好色一代男』など、のちの文学にも大きな影響を与えました。さまざまな愛の物語を通して、人間の普遍的な、相手を思う気持ちや心の揺れにせまった『伊勢物語』。時代を超えて、多くの人に読みつがれています。

１０ｍｉｎ．ボックス　古文・漢文

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枕草子（清少納言）

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豊かな感性とあふれる知性が魅力の「枕草子」。作者清少納言は、天皇の妻に仕えるエリート女官だった。雅な宮廷の文化を解説し、この古典をより面白く読む。

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【】 オープニング （オープニングタイトル） 【scene 01】 わが国初の随筆『枕草子』 「春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる」。『枕草子』は平安時代の半ば、今から千年以上も前に書かれた、わが国初の随筆です。長いもの、短いもの、合わせておよそ三百段の文章で成り立っています。作者は清少納言。天皇の妻に女房（高貴な人に仕える女性）として仕えた、才気あふれる女性でした。 【scene 02】 自由な感性が感じたこと 『枕草子』は、清少納言が宮中の暮らしのなかで見聞きしたことや考えたことなどを、かたちにとらわれず、記したものです。たとえば第一段では、季節のなかで最も趣があると感じる瞬間を切り取っています。春は、日の出前。ほのぼのと夜が明けるとき。夏は、なんといっても夜がいい。秋は、風の音や虫の音が聞こえる夕暮れどき。冬は、凛（りん）とした寒さがすばらしい早朝。 【scene 03】 冬の早朝のすがすがしさ そのなかから冬の場面についてくわしく見てみましょう。「冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火などいそぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし」。冬のぴんと張りつめた寒さのなか、急いでおこした炭火を持って人々が行き来するすがすがしい早朝の様子が浮かんできます。 【scene 04】 貴族社会で花開いた才能 清少納言が活躍したのは、10世紀末から11世紀にかけて。当時は、天皇や貴族を中心とした平安文化の最盛期でした。宮廷には教養ある知識人がたくさん集まっていました。そんななか、清少納言が注目されたのは30歳ごろ。天皇の妻、中宮（ちゅうぐう）定子（ていし）の女房として宮仕えを始めたことがきっかけでした。漢詩や和歌について豊富な知識を持つ清少納言は、すぐに定子のお気に入りとなります。 【scene 05】 「香炉峰の雪は…」 『枕草子』の一つのエピソードです。「雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子まゐりて、炭櫃に火おこして、物語などしてあつまりさぶらふに、『少納言よ。香炉峰の雪いかならむ』と仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑はせたまふ」。雪の日、女房たちが集まっていると、定子が「香炉峰の雪はどうかしら」と尋ねました。漢詩の「香炉峰の雪はすだれをかかげてみる」という有名な一節を思い出した清少納言は、御簾を高く巻き上げて雪景色を見せました。雪を見たいという定子の気持ちを察したのです。 【scene 06】 するどい観察眼 清少納言のするどい感性は、およそ百六十段を占める「ものづくし」と呼ばれる文章に遺憾なく発揮されています。たとえば、「うつくしきもの、瓜にかきたるちごの顔。雀の子のねず鳴きするにをどり来る。二つ三つばかりなるちごの、いそぎて這ひ来る道に、いと小さき塵のありけるを、目ざとに見つけて、いとをかしげなる指にとらへて、大人ごとに見せたる、いとうつくし」。はいはいしている子どもがごみを見つけ、小さな指で拾って大人に見せる、そんな仕草のかわいらしさ。小さいものに対するやさしいまなざしが感じられます。 【scene 07】 「ありがたきもの」 「ありがたきもの」。これは、今の言葉でいう「めったにないもの」について書いた文章です。「ありがたきもの。舅（しゅうと）にほめらるる婿（むこ）。また、姑（しゅうとめ）に思はるる嫁の君。男女をばいはじ、女どちも、契り深くて語らふ人の、末までなかよき人かたし」。舅と婿、姑と嫁。そして友だちどうしの付き合い方など、人間関係の微妙さ、難しさが、時代を超えて伝わってきます。 【scene 10】 今と変わらない人々のすがた 『枕草子』の人気の秘密は、こうしたするどい人間観察や、それを簡潔な言葉で表すみごとな表現力にあります。清少納言が宮廷の暮らしのなかで、日々感じたことを生き生きと描いた『枕草子』。そこには、現代と少しも変わらない人々のすがたを見ることができるのです。

１０ｍｉｎ．ボックス　古文・漢文

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源氏物語（紫式部）

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前半、桐壺や若紫に焦点を絞って紹介する。光源氏の美意識や行動様式、満たされない心を理解できるように、平安時代の宮中の人間関係、恋愛観などを解説する。

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【】 オープニング （オープニングタイトル） 【scene 01】 日本文学史上、最高の傑作 日本文学史上、最高の傑作といわれる『源氏物語』。華やかな王朝を舞台に繰り広げられる人間模様を描いた、五十四帖（じょう）に及ぶ長編です。「いづれの御時にか、女御（にょうご）、更衣（こうい）あまたさぶらひたまひける中に、いとやむごとなき際（きわ）にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり」――どの帝（みかど）の時代でしたか、宮廷で仕える大勢の女性の中に、さほど身分が高くはないのに、特別帝に愛されている方がいらっしゃいました。 【scene 02】 帝に愛された女性とその御子 物語の舞台となったのは、平安時代の中期。帝には何人もの妻がいました。その中で、帝の寵愛（ちょうあい）を一身に受けていたのが、桐壺の更衣（きりつぼのこうい）と呼ばれる女性です。帝とこの女性とのあいだに生まれたのが、物語の主人公、光源氏（ひかるげんじ）でした。「前（さき）の世にも御契りや深かりけむ、世になくきよらなる玉の男御子（をのこみこ）さへ生まれたまひぬ」――前世からの御縁が深かったのか、この世のものとは思えないほど美しい、玉のような皇子がお生まれになりました。 【scene 03】 宮廷の女性たちの厳しい序列 当時、宮廷の女性たちのあいだには厳しい序列がありました。帝の正式な妻は「中宮（ちゅうぐう）」。中宮に続く身分の高い女性は「女御（にょうご）」。桐壺は、それより低い「更衣（こうい）」でした。そのため、桐壺の更衣はほかの女性たちから激しい嫉妬（しっと）と嫌がらせを受け、心労のあまりこの世を去ります。このとき源氏は、わずか三歳でした。 【scene 04】 亡き母とうり二つの女性 ある日、父である帝のもとに新しい妻がやってきます。桐壺の更衣とうり二つの、藤壺の宮でした。「母御息所（みやすどころ）も、影だにおぼえたまはぬを、『いとよう似たまへり』と典侍（ないしのすけ）の聞こえけるを、若き御心地にいとあはれと思ひきこえたまひて、常に参らまほしく、なづさひ見たてまつらばやとおぼえたまふ」――亡くなった母の面影さえ覚えていないのに、「よく似ていらっしゃいます」と典侍が申し上げていたので、幼心にも心を打たれ、いつもおそばにいて姿を拝見していたいと思わずにはいられません。 【scene 05】 許されぬ恋 亡き母の面影を重ね、藤壺を慕う幼い思いは、源氏が成長するにつれ、しだいに恋へと変わっていきました。しかしその恋は、藤壺が源氏の子を身ごもるという最悪の結果をもたらします。生まれた男の子は、源氏の父、帝の子として育てられました。 【scene 06】 貴族社会の人々を生き生きと描いた紫式部 この物語の作者は、紫式部。一条天皇の中宮、彰子（しょうし）につかえていた教養豊かな女性です。紫式部は、自分自身が実際に見たり聞いたりしたことをもとに、源氏物語を書きました。物語には、階級社会という現実にもがき苦しみながらも、自分らしく生きようとする人々が数多く登場します。紫式部は、その一人ひとりをていねいに描き分けていきました。 【scene 07】 源氏の心を捉えた無邪気な紫の上 その一人、紫の上。源氏がだれよりも心を許し、深く愛した女性です。初めて出会ったのは、紫の上が十歳の頃。源氏は、この幼い女の子の姿があの藤壺とあまりに似ているのに驚きます。「白き衣（きぬ）、山吹などの萎えたる着て走り来たる女子（おむなご）、あまた見えつる子どもに似るべうもあらず、いみじく生（お）ひ先見えてうつくしげなる容貌（かたち）なり。髪は扇をひろげたるやうにゆらゆらとして、顔はいと赤くすりなして立てり。『雀の子を犬君（いぬき）が逃がしつる、伏籠（ふせご）の中（うち）に籠めたりつるものを』」。 【scene 08】 第一の妻の座をおびやかす女性の出現 柔らかな着物、揺れる髪、こすって真っ赤になった顔。「雀の子を犬君が逃がしてしまったの」と訴える紫の上の無邪気な姿が、源氏の心を捉えます。源氏はこの少女を引き取り、自らの手で育てました。やがて美しく成長した紫の上は、源氏の最も大切な妻となります。それから十七年。一人の女性が、紫の上の地位をおびやかします。源氏が、若くて身分の高い女性、女三の宮を、正妻として迎え入れたのです。紫の上は、一人眠れぬ夜を過ごします。 【scene 09】 紫の上の眠れぬ夜 「風うち吹きたる夜のけはひ冷（ひや）やかにて、ふとも寝入られたまはぬを、近くさぶらふ人々あやしとや聞かむと、うちも身じろぎたまはぬも、なほいと苦しげなり。夜深（よぶか）き鶏（とり）の声の聞こえたるもののあはれなり」――風が吹く夜、冷え冷えとして少しも寝つかれません。近くにいる女房達から様子が変だと思われないよう、身じろぎ一つしないでいらっしゃいます。夜深く、鶏の声が聞こえるのも、しみじみと無性に悲しく思えます。 【scene 10】 運命の皮肉 その後、女三の宮は男の子を生みます。しかしこの子は、密かに関係を持った別の男の子どもでした。源氏は、運命の皮肉なめぐり合わせに慄然（りつぜん）とします。「故院の上も、かく、御心には知ろしめしてや、知らず顔をつくらせたまひけむ、思へば、その世のことこそは、いと恐ろしくあるまじき過ちなりけれ、と近き例（ためし）を思すにぞ、恋の山路はえもどくまじき御心まじりける」――かつて、父の帝も同じように、実は知っていて知らぬふりをしていたのではないか、まったく恐ろしい過ちだったと、自身の過去を振り返るのでした。 【scene 11】 壮大な人間絵巻 その後、物語は源氏から次の世代へと引き継がれていきます。めぐる因果（いんが）。からみ合う運命の糸。壮大な王朝物語に描かれた、人と人とが織り成す人間模様は、千年たった今も、色あせることはありません。