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平成十九年内閣府令第六十八号
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公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則 第一章 公益法人の認定 第一節 公益認定の基準 (法人が事業活動を支配する法人等) 第一条 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行令(以下「令」という。)第一条第七号の法人が事業活動を支配する法人として内閣府令で定めるものは、当該法人が他の法人の財務及び営業又は事業の方針の決定を支配している場合における当該他の法人(以下「子法人」という。)とする。 2 令第一条第七号の法人の事業活動を支配する者として内閣府令で定めるものは、一の者が当該法人の財務及び営業又は事業の方針の決定を支配している場合における当該一の者とする。 3 前二項に規定する「財務及び営業又は事業の方針の決定を支配している場合」とは、次に掲げる場合をいう。 一 一の者又はその一若しくは二以上の子法人が社員総会その他の団体の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関における議決権の過半数を有する場合 二 第一項に規定する当該他の法人又は前項に規定する当該法人が一般財団法人である場合にあっては、評議員の総数に対する次に掲げる者の数の割合が百分の五十を超える場合 イ 一の法人又はその一若しくは二以上の子法人の役員(理事、監事、取締役、会計参与、監査役、執行役その他これらに準ずる者をいう。)又は評議員 ロ 一の法人又はその一若しくは二以上の子法人の使用人 ハ 当該評議員に就任した日前五年以内にイ又はロに掲げる者であった者 ニ 一の者又はその一若しくは二以上の子法人によって選任された者 ホ 当該評議員に就任した日前五年以内に一の者又はその一若しくは二以上の子法人によって当該法人の評議員に選任されたことがある者 (会員に類するもの) 第二条 令第二条第二号の会員又はこれに類するもの(以下この条において「会員等」という。)として内閣府令で定める者は、特定の者から継続的に若しくは反復して資産の譲渡若しくは貸付け若しくは役務の提供を受ける者又は特定の者の行う会員等相互の支援、交流、連絡その他その対象が会員等である活動に参加する者とする。 (報酬等の支給の基準に定める事項) 第三条 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号。以下「法」という。)第五条第十三号に規定する理事、監事及び評議員(以下「理事等」という。)に対する報酬等の支給の基準においては、理事等の勤務形態に応じた報酬等の区分及びその額の算定方法並びに支給の方法及び形態に関する事項を定めるものとする。 (他の団体の意思決定に関与することができる財産) 第四条 法第五条第十五号の内閣府令で定める財産は、次に掲げる財産とする。 一 株式 二 特別の法律により設立された法人の発行する出資に基づく権利 三 合名会社、合資会社、合同会社その他の社団法人の社員権(公益社団法人に係るものを除く。) 四 民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項に規定する組合契約、投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第三条第一項に規定する投資事業有限責任組合契約又は有限責任事業組合契約に関する法律(平成十七年法律第四十号)第三条第一項に規定する有限責任事業組合契約に基づく権利(当該公益法人が単独で又はその持分以上の業務を執行する組合員であるものを除く。) 五 信託契約に基づく委託者又は受益者としての権利(当該公益法人が単独の又はその事務の相当の部分を処理する受託者であるものを除く。) 六 外国の法令に基づく財産であって、前各号に掲げる財産に類するもの 第二節 公益認定の申請等の手続 (公益認定の申請) 第五条 法第七条第一項の規定により公益認定の申請をしようとする一般社団法人又は一般財団法人は、様式第一号により作成した申請書を行政庁に提出しなければならない。 2 法第七条第二項第四号の内閣府令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 一 第三十一条第一項から第三項までの規定の例により作成した次号に規定する貸借対照表の貸借対照表日における財産目録 二 一般社団法人にあっては一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号。以下「一般社団・財団法人法」という。)第二条第二号の貸借対照表及びその附属明細書、一般財団法人にあっては同条第三号の貸借対照表及びその附属明細書 三 事業計画書及び収支予算書に記載された予算の基礎となる事実を明らかにする書類 四 前三号に掲げるもののほか、公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎を有することを明らかにする書類 3 法第七条第二項第六号の内閣府令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 一 登記事項証明書 二 理事等の氏名、生年月日及び住所を記載した書類 三 前項各号に掲げるもののほか、法第五条各号に掲げる基準に適合することを説明した書類 四 理事等が法第六条第一号イからニまでのいずれにも該当しないことを説明した書類 五 法第六条第二号から第四号まで及び第六号のいずれにも該当しないことを説明した書類 六 滞納処分に係る国税及び地方税の納税証明書 七 前各号に掲げるもののほか、行政庁が必要と認める書類 (警察庁長官等からの意見聴取) 第六条 行政庁は、法第八条第二号(法第十一条第四項、第二十五条第四項及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第五十号。以下「整備法」という。)第百四条において準用する場合を含む。)の規定により警察庁長官等の意見を聴こうとするときは、あらかじめ、当該意見聴取に係る法人について法第六条各号に該当するか否かの調査(法第八条第一号及び第三号の規定による意見聴取を含む。)を行うものとする。 2 行政庁は、前項の調査の結果、当該法人について法第六条第一号ニ又は第六号に該当する疑いがあると認める場合にあっては、その理由を付して警察庁長官等の意見を聴くものとする。 (軽微な変更) 第七条 法第十一条第一項ただし書の内閣府令で定める軽微な変更は、次に掲げる変更とする。 一 行政庁が内閣総理大臣である公益法人の公益目的事業を行う都道府県の区域の変更(定款で定めるものに限る。)又は事務所の所在場所の変更(従たる事務所の新設又は廃止を含む。)であって、当該変更後の公益目的事業を行う区域又は事務所の所在場所が二以上の都道府県の区域内であるもの 二 行政庁が都道府県知事である公益法人の事務所の所在場所の変更(従たる事務所の新設又は廃止を含む。)であって、当該変更前及び変更後の事務所の所在場所が同一の都道府県の区域内であるもの 三 公益目的事業又は収益事業等の内容の変更であって、公益認定を受けた法第七条第一項の申請書(当該事業について変更の認定を受けている場合にあっては、当該変更の認定のうち最も遅いものに係る次条第一項の申請書)の記載事項の変更を伴わないもの (変更の認定の申請) 第八条 法第十一条第一項の変更の認定を受けようとする公益法人は、様式第二号により作成した申請書を行政庁に提出しなければならない。 2 前項の申請書には、法第七条第二項各号に掲げる書類のうち、変更に係るもの及び次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 当該変更を決議した理事会の議事録の写し 二 当該変更が合併又は事業の譲渡に伴う変更である場合には、その契約書の写し 三 前二号に掲げるもののほか、行政庁が必要と認める書類 3 法第十一条第一項の変更の認定を受けた公益法人は、遅滞なく、定款及び登記事項証明書(当該変更の認定に伴い変更がある場合に限る。)を行政庁に提出しなければならない。 4 前項の公益法人は、当該変更の認定が合併に伴うものである場合にあっては、当該合併の日から三箇月以内に、当該合併により消滅する公益法人に係る次に掲げる書類を行政庁に提出しなければならない。 一 当該合併の日の前日の属する事業年度開始の日から当該合併の日の前日までの期間に係る第二十八条第一項第二号並びに第三十八条第一項第二号及び第三号に掲げる書類 二 前号の期間に係る貸借対照表及び損益計算書並びにこれらの附属明細書、財産目録並びに第二十八条第一項第一号に掲げる書類を作成するとするならば、これらの書類に記載し、又は記録すべき事項を記載した書類 (他の公益法人との合併に伴う変更の認定等に係る関係行政庁への通知) 第九条 法第十一条第一項の変更の認定の申請を受けた行政庁は、直ちに、当該変更の認定の申請が他の公益法人との合併に伴うものである場合にあっては当該他の公益法人を所管する行政庁、事業の譲渡に伴うものであって当該譲渡を受ける者が公益法人である場合若しくは当該譲渡をする者が公益法人である場合にあっては当該公益法人を所管する行政庁にその旨を通知するものとする。 2 前項の規定による通知を受けた行政庁は、当該通知に係る合併又は事業の譲渡に関し、法第十一条第一項の変更の認定の申請に対する処分をし、又は法第十三条第一項若しくは法第二十四条第一項第一号若しくは第二号の届出を受けたときは、直ちに、その旨を第一項の規定による通知をした行政庁に通知するものとする。 3 第一項の規定による通知をした行政庁は、同項の通知に係る変更の認定の申請に対する処分をしたときは、直ちに、その旨を同項の通知を受けた行政庁(法第十一条第一項の変更の認定の申請を受けた行政庁を除く。)に通知するものとする。 (公益法人関係事務の引継ぎ) 第十条 法第十二条第二項(法第二十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定による事務の引継ぎは、行政庁の変更を伴う変更の認定(法第二十五条第四項において準用する場合にあっては、認可。以下この条において同じ。)を受けた公益法人に係る法の規定に基づく事務(以下「公益法人関係事務」という。)について行うものとする。 2 行政庁(次項において「変更後の行政庁」という。)は、行政庁の変更を伴う変更の認定の申請に対する処分をしたときは、直ちに、その旨を変更前の行政庁(法第二十五条第四項において準用する場合であって、合併により消滅する公益法人が二以上ある場合にあっては、それぞれの公益法人を所管する行政庁。以下この条において同じ。)に通知するものとする。 3 前項の規定により、変更の認定をした旨の通知を受けた変更前の行政庁は、次に掲げる事項を行わなければならない。 一 公益法人関係事務に関する帳簿及び書類(電磁的記録を含む。)を変更後の行政庁に引き継ぐこと。 二 その他変更後の行政庁が必要と認める事項 (変更の届出) 第十一条 法第十三条第一項の規定による変更の届出をしようとする公益法人は、様式第三号により作成した届出書を行政庁に提出しなければならない。 2 法第十三条第一項第四号の内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 理事等(代表者を除く。)又は会計監査人の氏名若しくは名称 二 法第五条第十三号に規定する報酬等の支給の基準 三 法第六条第四号に規定する許認可等 3 第一項の届出書には、法第七条第二項各号に掲げる書類のうち、変更に係るものを添付しなければならない。 第二章 公益法人の事業活動等 第一節 計算 第一款 総則 第十二条 この節、次節及び第四章の用語の解釈及び規定の適用に関しては、一般に公正妥当と認められる公益法人の会計の基準その他の公益法人の会計の慣行をしん酌しなければならない。 第二款 公益目的事業比率 (費用額の算定) 第十三条 法第十五条第一号の公益目的事業の実施に係る費用の額として内閣府令で定めるところにより算定される額(以下「公益実施費用額」という。)、同条第二号の収益事業等の実施に係る費用の額として内閣府令で定めるところにより算定される額(以下「収益等実施費用額」という。)及び同条第三号の当該公益法人の運営に必要な経常的経費の額として内閣府令で定めるところにより算定される額(以下「管理運営費用額」という。)の算定については、この節に定めるところによる。 2 公益法人の各事業年度の公益実施費用額、収益等実施費用額及び管理運営費用額(以下「費用額」という。)は、別段の定めのあるものを除き、次の各号に掲げる費用額の区分に応じ、当該各号に定める額とする。 一 公益実施費用額 当該事業年度の損益計算書に計上すべき公益目的事業に係る事業費の額 二 収益等実施費用額 当該事業年度の損益計算書に計上すべき収益事業等に係る事業費の額 三 管理運営費用額 当該事業年度の損益計算書に計上すべき管理費の額 (引当金) 第十四条 各事業年度において取り崩すべきこととなった引当金勘定の金額又は取り崩した引当金勘定の金額(前事業年度までに既に取り崩すべきこととなったものを除く。以下「引当金の取崩額」という。)は、事業その他の業務又は活動(以下「事業等」という。)の区分に応じ、当該事業年度の費用額から控除する。 (財産の譲渡損等) 第十五条 公益法人が財産を譲渡した場合には、当該譲渡に係る損失(当該財産の原価の額から対価の額を控除して得た額をいう。)は、当該公益法人の各事業年度の費用額に算入しない。 2 前項の規定にかかわらず、公益法人が各事業年度において商品(販売の目的をもって所有する土地、建物その他の不動産を含む。)又は製品を譲渡した場合には、これらの財産の原価の額を、その事業等の区分に応じ、当該事業年度の費用額に算入する。 3 公益法人がその有する財産の評価換えをしてその帳簿価額を減額した場合には、その減額した部分の額は、当該公益法人の各事業年度の費用額に算入しない。 4 前三項に定めるもののほか、公益法人が財産を運用することにより生じた損失の額(当該財産について譲渡することとなった財産の額から当該財産について得ることとなった財産の額を控除して得た額をいう。)は、当該公益法人の各事業年度の費用額に算入しない。 (土地の使用に係る費用額) 第十六条 公益法人が各事業年度の事業等を行うに当たり、自己の所有する土地を使用した場合には、当該土地の賃借に通常要する賃料の額から当該土地の使用に当たり実際に負担した費用の額を控除して得た額を、その事業等の区分に応じ、当該事業年度の費用額に算入することができる。 2 前項の規定を適用した公益法人は、正当な理由がある場合を除き、前項の規定を毎事業年度継続して適用しなければならない。 (融資に係る費用額) 第十六条の二 公益法人は各事業年度において無利子又は低利の資金の貸付けがあるときは、当該貸付金につき貸付金と同額の資金を借入れをして調達した場合の利率により計算した利子の額と、当該貸付金につき当該貸付金に係る利率により計算した利子の額の差額を、その事業等の区分に応じ、当該事業年度の費用額に算入することができる。 2 前項の規定を適用した公益法人は、正当な理由がある場合を除き、前項の規定を毎事業年度継続して適用しなければならない。 (無償の役務の提供等に係る費用額) 第十七条 公益法人が各事業年度において無償により当該法人の事業等に必要な役務の提供(便益の供与及び資産の譲渡を含むものとし、資産として計上すべきものを除く。以下同じ。)を受けたときは、必要対価の額(当該役務の提供を受けた時における当該役務と同等の役務の提供を受けるために必要な対価の額をいう。以下この条において同じ。)を、その事業等の区分に応じ、当該事業年度の費用額に算入することができる。 2 公益法人が各事業年度において当該法人の事業等に必要な役務に対して支払った対価の額が当該役務に係る必要対価の額に比して低いときは、当該対価の額と当該必要対価の額との差額のうち実質的に贈与又は無償の提供若しくは供与を受けたと認められる額を、その事業等の区分に応じ、当該事業年度の費用額に算入することができる。 3 前二項の規定を適用した公益法人は、正当な理由がある場合を除き、これらの規定を毎事業年度継続して適用しなければならない。 4 第一項又は第二項の規定を適用した公益法人は、役務の提供があった事実を証するもの及び必要対価の額の算定の根拠を記載又は記録したものを当該事業年度終了の日から起算して十年間、保存しなければならない。 (特定費用準備資金) 第十八条 公益法人が各事業年度の末日において特定費用準備資金(将来の特定の活動の実施のために特別に支出する費用(事業費又は管理費として計上されることとなるものに限るものとし、引当金の引当対象となるものを除く。以下この条において同じ。)に係る支出に充てるために保有する資金(当該資金を運用することを目的として保有する財産を含む。以下同じ。)をいう。以下同じ。)を有する場合には、その事業等の区分に応じ、第一号の額から第二号の額を控除して得た額を当該事業年度の費用額に算入する。 一 当該事業年度の末日における当該資金の額又は同日における積立限度額(当該資金の目的である活動の実施に要する費用の額として必要な最低額をいう。以下同じ。)のうちいずれか少ない額 二 当該事業年度の前事業年度の末日における当該資金の額又は同日における積立限度額のうちいずれか少ない額 2 前項の規定の適用を受けた公益法人は、前項の適用を受けた事業年度以後の各事業年度において、その事業等の区分に応じ、前項第二号の額から第一号の額を控除して得た額を当該事業年度の費用額から控除する。 3 第一項に規定する特定費用準備資金は、次に掲げる要件のすべてを満たすものでなければならない。 一 当該資金の目的である活動を行うことが見込まれること。 二 他の資金と明確に区分して管理されていること。 三 当該資金の目的である支出に充てる場合を除くほか、取り崩すことができないものであること又は当該場合以外の取崩しについて特別の手続が定められていること。 四 積立限度額が合理的に算定されていること。 五 第三号の定め並びに積立限度額及びその算定の根拠について法第二十一条の規定の例により備置き及び閲覧等の措置が講じられていること。 4 特定費用準備資金(この項の規定により取り崩すべきこととなったものを除く。以下この条において同じ。)を有する公益法人は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額に相当する資金を取り崩さなければならない。 一 当該資金の目的の支出がなされた場合 当該資金の額のうち当該支出の額に達するまでの額 二 各事業年度終了の時における積立限度額が当該資金の額を下回るに至った場合 当該事業年度終了の時における当該資金の額のうちその下回る部分の額 三 正当な理由がないのに当該資金の目的である活動を行わない事実があった場合 その事実があった日における当該資金の額 5 前項第三号の場合にあっては、当該事業年度以後の各事業年度の末日における積立限度額は零とする。 6 公益法人が他の公益法人が消滅する合併を行った事業年度においては、当該他の公益法人の当該合併の日の前日における特定費用準備資金の額及び同日における積立限度額は、第一項第二号の特定費用準備資金の額及び積立限度額にそれぞれ加算する。 (関連する費用額の配賦) 第十九条 公益実施費用額と収益等実施費用額とに関連する費用額及びこれらと管理運営費用額とに関連する費用額は、適正な基準によりそれぞれの費用額に配賦しなければならない。 ただし、配賦することが困難な費用額については、当該費用額が公益実施費用額と収益等実施費用額とに関連する費用額である場合にあっては収益等実施費用額とし、当該費用額が公益実施費用額又は収益等実施費用額と管理運営費用額とに関連する費用額である場合にあっては管理運営費用額とすることができる。 第三款 遊休財産額の保有の制限 (公益目的事業の実施に要した費用の額に準ずる額) 第二十条 法第十六条第一項の公益目的事業の実施に要した費用の額に準ずるものとして内閣府令で定めるものの額は、第十八条第一項の規定により公益実施費用額に算入した額とする。 (遊休財産額の保有の上限額) 第二十一条 法第十六条第一項の内閣府令で定めるところにより算定した額は、第一号から第三号までに掲げる額の合計額から第四号から第六号までに掲げる額の合計額を控除して得た額とする。 一 当該事業年度の損益計算書に計上すべき公益目的事業に係る事業費の額 二 前号の額のほか、第十五条第二項の規定により当該事業年度の公益実施費用額に算入することとなった額 三 第十八条第一項の規定により当該事業年度の公益実施費用額に算入することとなった額 四 第十四条の規定により、当該事業年度の公益実施費用額から控除することとなった引当金の取崩額 五 第一号の額のうち、第十五条第一項、第三項又は第四項の規定により公益実施費用額に算入しないこととなった額 六 第十八条第二項の規定により公益実施費用額から控除することとなった額 2 事業年度が一年でない場合における前項の規定の適用については、同項中「控除して得た額」とあるのは、「控除して得た額を当該事業年度の月数で除し、これに十二を乗じて得た額」とする。 3 前項の月数は、暦に応じて計算し、一月に満たないときはこれを一月とし、一月に満たない端数を生じたときは切り捨てる。 (遊休財産額) 第二十二条 法第十六条第二項の内閣府令で定めるものの価額の合計額の算定については、この条に定めるところによる。 2 公益法人の各事業年度の遊休財産額は、当該事業年度の資産の額から次に掲げる額の合計額を控除して得た額とする。 一 負債(基金(一般社団・財団法人法第百三十一条に規定する基金をいう。第三十一条第四項において同じ。)を含む。以下この条において同じ。)の額 二 控除対象財産の帳簿価額の合計額から対応負債の額を控除して得た額 3 前項第二号に規定する「控除対象財産」は、公益法人が当該事業年度の末日において有する財産のうち次に掲げるいずれかの財産(引当金(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則(平成十九年法務省令第二十八号。以下「一般社団・財団法人法施行規則」という。)第二十四条第二項第一号に規定する引当金をいう。以下この条において同じ。)に係る支出に充てるために保有する資金を除く。)であるものをいう。 一 第二十六条第三号に規定する公益目的保有財産 二 公益目的事業を行うために必要な収益事業等その他の業務又は活動の用に供する財産 三 前二号に掲げる特定の財産の取得又は改良に充てるために保有する資金(当該特定の財産の取得に要する支出の額の最低額に達するまでの資金に限る。) 四 特定費用準備資金(積立限度額に達するまでの資金に限る。) 五 寄附その他これに類する行為によって受け入れた財産(当該財産を処分することによって取得した財産を含む。次号において同じ。)であって、当該財産を交付した者の定めた使途に従って使用し、若しくは保有しているもの 六 寄附その他これに類する行為によって受け入れた財産であって、当該財産を交付した者の定めた使途に充てるために保有している資金(第一号、第二号、前号又は本号に掲げる財産から生じた果実については、相当の期間内に費消することが見込まれるものに限る。) 4 前項第三号に掲げる財産については、第十八条第三項から第五項までの規定を準用する。 この場合において、同条第三項中「第一項に規定する特定費用準備資金」とあり、及び同条第四項中「特定費用準備資金」とあるのは「第二十二条第三項第三号の資金」と、同条第三項第一号中「活動を行う」とあるのは「財産を取得し、又は改良する」と、同項第四号及び第五号、同条第四項第二号並びに第五項中「積立限度額」とあるのは「当該資金の目的である財産の取得又は改良に必要な最低額」と、同条第四項第三号中「活動を行わない」とあるのは「財産を取得せず、又は改良しない」と読み替えるものとする。 5 第三項第五号の財産は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める事項について、法第二十一条の規定の例により備置き及び閲覧等の措置が講じられているものでなければならない。 同項第六号の財産についても、同様とする。 一 当該財産が広く一般に募集されたものである場合 次に掲げる事項 イ 広く一般に募集されたものである旨 ロ 募集の期間 ハ 受け入れた財産の額(当該財産が金銭以外のものである場合にあっては、当該財産の受け入れた時における価額。以下この項において同じ。)の合計額 ニ 募集の方法 ホ 募集に係る財産の使途として定めた内容 ヘ ハの財産のうちに金銭以外のものがある場合には、当該金銭以外の財産(その額が重要でないものを除く。次号ホにおいて同じ。)の内容 二 前号以外の場合 次に掲げる事項 イ 当該財産を交付した者の個人又は法人その他の団体の別(当該者が国若しくは地方公共団体又はこれらの機関である場合にあっては、これらの者の名称) ロ 当該財産を受け入れることとなった日(当該財産が寄附により受け入れたものである場合にあっては、当該財産を受け入れた日) ハ 受け入れた財産の額の合計額 ニ 当該財産を交付した者の定めた使途の内容 ホ ハの財産のうちに金銭以外のものがある場合には、当該金銭以外の財産の内容 6 第三項第六号の財産については、第十八条第三項(第一号、第四号及び第五号を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同条第三項中「第一項に規定する特定費用準備資金」とあるのは、「第二十二条第三項第六号の資金」と読み替えるものとする。 7 第二項第二号に規定する「対応負債の額」は、次に掲げる額の合計額をいう。 一 各控除対象財産に対応する負債の額の合計額 二 控除対象財産の帳簿価額の合計額から前号の額及び指定正味財産の額(控除対象財産に係るものに限る。以下この条において同じ。)を控除して得た額に次のイの額のイ及びロの額の合計額に対する割合を乗じて得た額 イ 負債の額から引当金勘定の金額及び各資産に対応する負債の額の合計額を控除して得た額 ロ 総資産の額から負債の額及び指定正味財産の額の合計額を控除して得た額 8 前項の規定にかかわらず、公益法人は、前項の対応負債の額を控除対象財産の帳簿価額の合計額から指定正味財産の額を控除して得た額に、第一号の額の同号及び第二号の額の合計額に対する割合を乗じて得た額とすることができる。 一 負債の額から引当金勘定の金額を控除して得た額 二 総資産の額から負債の額及び指定正味財産の額の合計額を控除して得た額 第四款 公益目的事業財産 (正当な理由がある場合) 第二十三条 法第十八条ただし書の内閣府令で定める正当な理由がある場合は、次に掲げる場合とする。 一 善良な管理者の注意を払ったにもかかわらず、財産が滅失又はき損した場合 二 財産が陳腐化、不適応化その他の理由によりその価値を減じ、当該財産を廃棄することが相当な場合 三 法第五条第十七号に規定する者(以下この号において「国等」という。)からの補助金その他国等が反対給付を受けないで交付した財産(特定の公益目的事業を行うために使用すべき旨を定めて交付したものに限る。)の全部又は一部に相当する額の財産を、当該公益目的事業の終了その他の事由により、当該公益目的事業のために使用する見込みがないことを理由に、当該国等に対して返還する場合 (収益事業等から生じた収益に乗じる割合) 第二十四条 法第十八条第四号の内閣府令で定める割合は、百分の五十とする。 (公益目的事業の用に供するものである旨の表示の方法) 第二十五条 法第十八条第七号の内閣府令で定める方法は、財産目録、貸借対照表又はその附属明細書において、財産の勘定科目をその他の財産の勘定科目と区分して表示する方法とする。 2 継続して公益目的事業の用に供するために保有している財産以外の財産については、前項の方法による表示をすることができない。 (公益目的事業を行うことにより取得し、又は公益目的事業を行うために保有していると認められる財産) 第二十六条 法第十八条第八号の内閣府令で定める財産は、次に掲げる財産とする。 一 公益社団法人にあっては、公益認定を受けた日以後に徴収した経費(一般社団・財団法人法第二十七条に規定する経費をいい、実質的に対価その他の事業に係る収入等と認められるものを除く。第四十八条第三項第一号ホにおいて同じ。)のうち、その徴収に当たり使途が定められていないものの額に百分の五十を乗じて得た額又はその徴収に当たり公益目的事業に使用すべき旨が定められているものの額に相当する財産 二 公益認定を受けた日以後に行った吸収合併により他の公益法人の権利義務を承継した場合にあっては、当該他の公益法人の当該合併の前日における公益目的取得財産残額(同日において当該他の公益法人の公益認定を取り消された場合における公益目的取得財産残額に準ずる額をいう。第四十八条において同じ。)に相当する財産 三 公益認定を受けた日以後に公益目的保有財産(第六号及び第七号並びに法第十八条第五号から第七号までに掲げる財産をいう。以下同じ。)から生じた収益の額に相当する財産 四 公益目的保有財産を処分することにより得た額に相当する財産 五 公益目的保有財産以外の財産とした公益目的保有財産の額に相当する財産 六 前各号に掲げる財産を支出することにより取得した財産 七 公益認定を受けた日以後に第一号から第五号まで及び法第十八条第一号から第四号までに掲げる財産以外の財産を支出することにより取得した財産であって、同日以後に前条の規定により表示したもの 八 法第十八条各号及び前各号に掲げるもののほか、当該法人の定款又は社員総会若しくは評議員会において、公益目的事業のために使用し、又は処分する旨を定めた額に相当する財産 第二節 財産目録等 (事業年度開始前までに作成し備え置くべき書類) 第二十七条 法第二十一条第一項の内閣府令で定める書類は、当該事業年度に係る次に掲げる書類とする。 一 事業計画書 二 収支予算書 三 資金調達及び設備投資の見込みを記載した書類 (事業年度経過後三箇月以内に作成し備え置くべき書類) 第二十八条 法第二十一条第二項第四号の内閣府令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 一 キャッシュ・フロー計算書(作成している場合又は法第五条第十二号の規定により会計監査人を設置しなければならない場合に限る。) 二 運営組織及び事業活動の状況の概要及びこれらに関する数値のうち重要なものを記載した書類 2 前項各号に掲げる書類は、公益認定を受けた後遅滞なく法第二十一条第二項各号に掲げる書類を作成する場合にあっては、作成を要しない。 (収支予算書、財産目録及びキャッシュ・フロー計算書) 第二十九条 法第二十一条第一項の規定により作成すべき収支予算書並びに同条第二項の規定により作成すべき財産目録及びキャッシュ・フロー計算書については、次条から第三十三条までに定めるところによる。 (収支予算書の区分) 第三十条 第二十七条第二号の収支予算書は、次に掲げる区分を設けて表示しなければならない。 この場合において、各区分(第二号に掲げる区分を除く。)は、適当な項目に細分することができる。 一 経常収益 二 事業費 三 管理費 四 経常外収益 五 経常外費用 2 事業費に係る区分には、次に掲げる項目を設けなければならない。 この場合において、各項目は、適当な項目に細分することができる。 一 公益目的事業に係る事業費 二 収益事業等に係る事業費 3 第一項第一号、第四号及び第五号に掲げる区分については、公益目的事業に係る額を明らかにしなければならない。 4 第一項第四号及び第五号に掲げる区分については、経常外収益又は経常外費用を示す適当な名称を付すことができる。 5 収支予算書の各項目については、当該項目の内容を示す適当な名称を付さなければならない。 6 公益法人が一般社団・財団法人法第百二十三条第二項(一般社団・財団法人法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定により作成する損益計算書については、前各項の規定の例による。 (財産目録の区分) 第三十一条 法第二十一条第二項第一号の財産目録は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。 この場合において、負債の部は、適当な項目に細分することができる。 一 資産の部 二 負債の部 2 資産の部は、次に掲げる項目に区分しなければならない。 この場合において、各項目は、適当な項目に細分することができる。 一 流動資産 二 固定資産 3 財産目録の各項目については、当該項目の内容を示す適当な名称を付さなければならない。 この場合において、公益目的保有財産については第二十五条第一項の方法により表示しなければならない。 4 公益法人が一般社団・財団法人法第百二十三条(一般社団・財団法人法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定により作成する貸借対照表については、前三項の規定の例による。 この場合において、純資産の部については、次に掲げる項目に区分するものとする。 一 基金 二 指定正味財産 三 一般正味財産 (キャッシュ・フロー計算書の区分) 第三十二条 第二十八条第一項第一号のキャッシュ・フロー計算書には、次の各号に掲げる区分を設けてキャッシュ・フローの状況を記載しなければならない。 この場合において、各区分は、適当な項目に細分することができる。 一 事業活動によるキャッシュ・フロー 二 投資活動によるキャッシュ・フロー 三 財務活動によるキャッシュ・フロー 四 現金及び現金同等物の増加額又は減少額 五 現金及び現金同等物の期首残高 六 現金及び現金同等物の期末残高 2 事業活動によるキャッシュ・フローの区分においては、直接法又は間接法により表示しなければならない。 3 現金及び現金同等物に係る換算差額が発生した場合は、第一項各号に掲げる区分とは別に、表示するものとする。 4 キャッシュ・フロー計算書の各項目については、当該項目の内容を示す適当な名称を付さなければならない。 (備置き等すべき財産目録及びキャッシュ・フロー計算書) 第三十三条 法第二十一条第二項第一号に掲げる財産目録及び第二十八条第一項第一号に掲げるキャッシュ・フロー計算書は、定時社員総会又は定時評議員会(一般社団・財団法人法第百二十七条の規定(一般社団・財団法人法第百九十九条において準用する場合を含む。)の適用がある場合にあっては、理事会)の承認を受けなければならない。 2 一般社団・財団法人法第百二十四条から第百二十七条まで(これらの規定を一般社団・財団法人法第百九十九条において準用する場合を含む。)及び一般社団・財団法人法施行規則第三十五条から第四十八条までの規定(これらの規定を一般社団・財団法人法施行規則第六十四条において準用する場合を含む。)は、公益法人が前項の財産目録及びキャッシュ・フロー計算書に係る同項の承認を受けるための手続について準用する。 (電磁的記録) 第三十四条 法第二十一条第三項の内閣府令で定めるものは、公益法人の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体をもって調製するファイルに情報を記録したものとする。 (電磁的記録に記録された事項を表示する方法) 第三十五条 法第二十一条第四項第二号の内閣府令で定める方法は、当該電磁的記録に記録された事項を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法とする。 (従たる事務所において電磁的記録により財産目録等を閲覧に供するための措置) 第三十六条 法第二十一条第六項の内閣府令で定めるものは、公益法人の使用に係る電子計算機を電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法であって、当該電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて公益法人の従たる事務所において使用される電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法とする。 (事業計画書等の提出) 第三十七条 法第二十二条第一項の規定による法第二十一条第一項に規定する書類の提出は、同項に規定する書類を添付した様式第四号による提出書を行政庁に提出してするものとし、同項に規定する書類について理事会(社員総会又は評議員会の承認を受けた場合にあっては、当該社員総会又は評議員会)の承認を受けたことを証する書類を併せて添付するものとする。 (事業報告等の提出) 第三十八条 法第二十二条第一項の規定による財産目録等(法第二十一条第一項に規定する書類及び定款を除く。以下この項において同じ。)の提出は、財産目録等を添付した様式第五号による提出書を行政庁に提出してするものとし、次に掲げる書類を併せて添付するものとする。 一 第五条第三項第六号に掲げる書類 二 次に掲げる事項を記載した書類 イ 第二十八条第一項第二号に掲げる書類に記載された事項及び数値の計算の明細 ロ その他参考となるべき事項 三 前二号に掲げるもののほか、行政庁が公益法人の事業の適正な運営を確保するために必要と認める書類 2 公益認定を受けた日の属する事業年度に係る前項に規定する書類のうち、一般社団・財団法人法第百二十九条第一項(一般社団・財団法人法第百九十九条において準用する場合を含む。)に規定する計算書類等については、当該事業年度の開始の日から公益認定を受けた日の前日までの期間と公益認定を受けた日から当該事業年度の末日までの期間とに分けて作成するものとする。 (閲覧の方法) 第三十九条 法第二十二条第二項の規定による閲覧又は謄写は、行政庁が定める場所において行うものとする。 2 行政庁は、前項に規定する場所をインターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。 (会計監査人が監査する書類) 第四十条 法第二十三条の内閣府令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 一 財産目録 二 キャッシュ・フロー計算書 第三節 合併の届出等の手続 (合併等の届出) 第四十一条 法第二十四条第一項の規定による届出をしようとする公益法人は、様式第六号により作成した届出書を行政庁に提出しなければならない。 2 前項の届出書には、次に掲げる行為の区分に応じ、当該各号に定める書類を添付しなければならない。 一 法第二十四条第一項第一号に掲げる合併 合併契約書の写し及び当該合併を決議した理事会の議事録の写し 二 法第二十四条第一項第二号に掲げる事業の譲渡 譲渡契約書の写し及び当該譲渡を決議した理事会の議事録の写し 三 法第二十四条第一項第三号に掲げる公益目的事業の全部の廃止 当該廃止を決議した理事会の議事録の写し 3 法第二十四条第一項第一号の規定による届出をし、当該届出に係る合併により存続する公益法人は、当該合併により法第十三条第一項各号に掲げる変更があるときは、遅滞なく、当該変更があった旨を記載した書類及び当該変更に係る法第七条第二項各号に掲げる書類を行政庁に提出しなければならない。 4 前項の公益法人は、当該合併の日から三箇月以内に、当該合併により消滅する公益法人に係る第八条第四項各号に掲げる書類を行政庁に提出しなければならない。 (合併による地位の承継の認可) 第四十二条 法第二十五条第一項の認可を受けようとする公益法人は、様式第七号により作成した申請書を行政庁に提出しなければならない。 2 前項の申請書には、法第二十五条第四項において準用する法第七条第二項第一号から第五号までに掲げる書類のほか、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 新設合併により消滅する公益法人の当該合併を決議した理事会の議事録の写し 二 新設合併により消滅する公益法人に係る第五条第三項第六号に掲げる書類 三 新設法人に係る第五条第三項第二号から第五号まで及び第七号に掲げる書類 3 法第二十五条第一項の認可を受けて設立した公益法人は、その成立後遅滞なく、定款及び登記事項証明書を行政庁に提出しなければならない。 4 前項の公益法人は、その成立の日から起算して三箇月以内に、当該合併により消滅する公益法人に係る第八条第四項各号に掲げる書類を行政庁に提出しなければならない。 (合併による地位の承継の認可に係る関係行政庁への通知) 第四十三条 法第二十五条第一項の認可の申請を受けた行政庁は、当該認可の申請が他の公益法人との合併に伴うものである場合には、直ちに、当該他の公益法人を所管する行政庁に通知するものとする。 2 前項の規定による通知を受けた行政庁は、当該通知に係る合併に関し、法第二十四条第一項第一号の届出を受けたときは、直ちに、その旨を前項の規定による通知をした行政庁に通知するものとする。 3 第一項の規定による通知をした行政庁は、同項の通知に係る認可の申請に対する処分をしたときは、直ちに、その旨を同項の通知を受けた行政庁に通知するものとする。 (解散の届出等) 第四十四条 法第二十六条第一項から第三項までの届出をしようとする公益法人は、次項各号に掲げる届出の区分に応じ、様式第八号から第十号までにより作成した届出書を行政庁に提出しなければならない。 2 前項の届出書には、次の各号に掲げる届出の区分に応じ、当該各号に定める書類を添付しなければならない。 一 法第二十六条第一項の届出 解散及び清算人の登記をしたことを証する登記事項証明書 二 法第二十六条第二項の届出 当該残余財産の引渡しを受ける法人が法第五条第十七号イからトまでに掲げる法人である場合にあっては、その旨を証する書類 三 法第二十六条第三項の届出 清算の結了の登記をしたことを証する登記事項証明書及び一般社団・財団法人法第二百四十条第一項に規定する決算報告 第三章 報告及び検査 (報告) 第四十五条 公益法人は、行政庁から法第二十七条第一項の規定により報告を求められたときは、報告書を提出しなければならない。 2 行政庁は、前項の報告を求めるときは、報告書の様式及び提出期限その他必要な事項を明示するものとする。 (職員の身分証明書の様式) 第四十六条 法第二十七条第二項の証明書は、様式第十一号によるものとする。 第四章 公益目的取得財産残額 (認定取消し等の後に確定した公租公課) 第四十七条 法第三十条第二項第三号で規定する内閣府令で定めるものは、当該公益法人が公益認定を受けた日以後の公益目的事業の実施に伴い負担すべき公租公課であって、同条第一項の公益認定の取消しの日又は合併の日以後に確定したものとする。 (各事業年度の末日における公益目的取得財産残額) 第四十八条 公益法人は、毎事業年度、当該事業年度の末日における公益目的取得財産残額(同日において公益認定を取り消された場合における公益目的取得財産残額に準ずる額(その額が零を下回る場合にあっては、零)をいう。以下この条において同じ。)を算定しなければならない。 2 前項に規定する当該事業年度の末日における公益目的取得財産残額は、次に掲げる額の合計額とする。 一 当該事業年度の末日における公益目的増減差額(その額が零を下回る場合にあっては、零) 二 当該事業年度の末日における公益目的保有財産の帳簿価額の合計額 3 前項第一号に規定する当該事業年度の末日における公益目的増減差額は、当該事業年度の前事業年度の末日における公益目的増減差額(公益認定を受けた日の属する事業年度又は法第二十五条第一項の認可を受けて設立した法人の成立の日の属する事業年度(以下「認定等事業年度」という。)にあっては、零)に第一号の額を加算し、第二号の額を減算して得た額とする。 一 次に掲げる額の合計額 イ 当該事業年度(認定等事業年度にあっては、公益認定を受けた日又は法第二十五条第一項の認可を受けて設立した法人の成立の日(チにおいて「認定等の日」という。)から事業年度の末日までの期間。以下この項において同じ。)中に寄附を受けた財産(寄附をした者が公益目的事業以外のために使用すべき旨を定めたものを除く。)の額(当該財産が金銭以外の財産である場合にあっては、当該財産の受け入れた時における価額。以下この項において同じ。) ロ 当該事業年度中に交付を受けることとなった補助金その他の財産(財産を交付する者が公益目的事業以外のために使用すべき旨を定めたものを除く。)の額 ハ 当該事業年度中に行った公益目的事業に係る活動の対価の額 ニ 当該事業年度の各収益事業等から生じた収益の額に百分の五十を乗じて得た額 ホ 公益社団法人にあっては、当該事業年度中に社員が支払った経費のうち、その徴収に当たり使用すべき旨の定めがないものの額に百分の五十を乗じて得た額及びその徴収に当たり公益目的事業に使用すべき旨が定められたものの額 ヘ 当該事業年度において、合併により他の公益法人の権利義務を承継した場合にあっては、当該他の公益法人の当該合併の前日における公益目的取得財産残額 ト 当該事業年度中に公益目的保有財産から生じた収益の額 チ 当該事業年度の開始の日の前日における公益目的保有財産の帳簿価額の合計額(認定等事業年度にあっては、認定等の日における法第十八条第六号に掲げる財産(公益認定を受けた日前に取得したもの(当該財産が合併により消滅した公益法人から承継したものである場合にあっては、当該消滅した公益法人が公益認定を受けた日前に取得した財産であって、当該消滅した公益法人において法第十八条第六号に掲げる財産であったもの)と認められるものに限る。以下同じ。)の帳簿価額の合計額。次号ニにおいて同じ。)から当該事業年度の末日における公益目的保有財産の帳簿価額の合計額を控除して得た額 リ 当該事業年度において、法第十八条第六号に掲げる財産の改良に要した額 ヌ 当該事業年度の引当金の取崩額 ル イからヌまでに掲げるもののほか、定款又は社員総会若しくは評議員会の定めにより当該事業年度において公益目的事業財産となった額 二 次に掲げる額の合計額 イ 当該事業年度の第二十一条第一項第一号の額に同項第二号の額を加算し、同項第五号の額を減算して得た額 ロ イに掲げるもののほか、当該事業年度において公益目的保有財産について生じた費用及び損失(法第十八条ただし書の正当な理由がある場合に生じたものに限る。ハにおいて同じ。)の額 ハ イ及びロに掲げるもののほか、当該事業年度において公益目的事業の実施に伴って生じた経常外費用の額 ニ 当該事業年度の末日における公益目的保有財産の帳簿価額の合計額から当該事業年度の開始の日の前日における公益目的保有財産の帳簿価額の合計額を控除して得た額 ホ イからニまでに掲げるもののほか、当該事業年度において他の公益法人に対し、当該他の公益法人の公益目的事業のために寄附した財産の価額 4 前項第一号ヘに規定する合併により消滅する公益法人の当該合併の日の前日における公益目的取得財産残額は、次に掲げる額の合計額とする。 この場合においては、当該合併の日の前日を当該事業年度の末日とみなして算定し、財産目録並びに貸借対照表及び損益計算書並びにこれらの附属明細書によるものについては、第八条第四項第二号に掲げる書類によるものとする。 第五十条第三項においても、同様とする。 一 当該合併の日の前日における公益目的増減差額 二 当該合併の日の前日における公益目的保有財産の価額の合計額 (公益認定の取消し等の場合における公益目的取得財産残額) 第四十九条 行政庁が法第二十九条第一項又は第二項の規定による公益認定の取消しをした場合又は公益法人が合併により消滅する場合(その権利義務を承継する法人が公益法人である場合を除く。)における法第三十条第二項の公益目的取得財産残額は、次に掲げる額の合計額(その額が零を下回る場合にあっては、零)とする。 一 法第二十二条の規定により提出された財産目録等に係る事業年度のうち最も遅いもの(次号及び次条において「最終提出事業年度」という。)の末日における公益目的増減差額 二 最終提出事業年度の末日において公益目的保有財産(法第十八条第六号に掲げる財産を除く。次条において同じ。)であった財産の当該公益認定の取消しの日又は合併の日の前日(以下「取消し等の日」という。)における価額の合計額 (公益目的取得財産残額の変動の報告) 第五十条 認定取消法人等は、取消し等の日における公益目的取得財産残額が前条の額と異なるときは、同日(公益法人が合併により消滅する場合にあっては、当該合併の日。第五十一条において同じ。)から三箇月以内に、様式第十二号による報告書を行政庁に提出しなければならない。 2 前項の報告書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 最終提出事業年度の末日の翌日から取消し等の日までの公益目的増減差額の変動の明細を明らかにした書類 二 取消し等の日における公益目的保有財産の価額の根拠を記載した書類 三 前項の報告書及び前二号の書類に記載された事実を証する書類 3 第一項に規定する取消し等の日における公益目的取得財産残額は、次に掲げる額の合計額(その額が零を下回る場合にあっては、零)とする。 一 取消し等の日における公益目的増減差額 二 取消し等の日における公益目的保有財産の価額の合計額 4 行政庁は、取消し等の日における公益目的取得財産残額が前条の額と異なると認めるときは、前条の額を増額し、又は減額する。 (認定取消法人等の計算書類及びその附属明細書に相当する書類の作成) 第五十条の二 認定取消法人等は、取消し等の日の属する事業年度の開始の日から取消し等の日までの期間に係る一般社団・財団法人法第百二十三条第二項(一般社団・財団法人法第百九十九条において準用する場合を含む。)に規定する計算書類及びその附属明細書に記載し、又は記録すべき事項を記載した書類を作成しなければならない。 2 認定取消法人等は、前条第一項に掲げる場合においては、前条第二項に掲げる書類に加え、前項に掲げる書類を添付しなければならない。 (公益目的取得財産残額に相当する財産の贈与に係る契約成立の報告) 第五十一条 認定取消法人等は、取消し等の日から一箇月以内に法第五条第十七号に規定する定款の定めに従い、財産の贈与に係る書面による契約が成立したときは、取消し等の日から三箇月以内に、様式第十三号による報告書を行政庁に提出しなければならない。 2 前項の報告書には次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 各契約に係る契約書の写し 二 各契約に係る贈与の相手方となる法人が法第五条第十七号イからトまでに掲げる法人に該当する場合にあっては、その旨を証する書類 3 取消し等の日から三箇月以内に認定取消法人等から第一項の報告書の提出がない場合には、同項に規定する契約が成立しなかったものとみなす。 第五章 公示及び公表 (公示の方法) 第五十二条 法第十条(法第十一条第四項及び第二十五条第四項において準用する場合を含む。)、第十三条第二項、第二十四条第二項、第二十六条第四項、第二十八条第四項及び第二十九条第四項(整備法第百九条第三項において準用する場合を含む。)の公示は、インターネットの利用その他の適切な方法により行うものとする。 (公表の方法) 第五十三条 法第二十八条第二項、第四十四条第一項(法第五十二条並びに整備法第百三十四条及び第百三十九条において準用する場合を含む。)及び第四十六条第二項(法第五十四条において準用する場合を含む。)の公表は、インターネットの利用その他の適切な方法により行うものとする。
民事
Heisei
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平成十九年内閣府令第六十九号
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一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律施行規則 第一章 特例民法法人の計算書類等の作成に関する特則 第一節 総則 第一条 この章及び第三章の用語の解釈及び規定の適用に関しては、一般に公正妥当と認められる会計の基準その他の会計の慣行をしん酌しなければならない。 第二節 計算書類等の作成に係る期間 第二条 特例民法法人は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第五十号。以下「整備法」という。)第六十条第一項の計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書の作成に当たっては、事業年度を定めるものとする。 ただし、整備法第百六条第一項(整備法第百二十一条第一項において読み替えて準用する場合を含む。)の登記(以下「移行の登記」という。)をしたときは、当該登記をした日の前日を事業年度の末日とするよう定めるものとする。 2 前項の事業年度は、一年を超えることができない。 第三節 計算書類 (計算書類) 第三条 整備法第六十条第一項の規定により作成すべき計算書類及びその附属明細書については、この節の定めるところによる。 ただし、この府令又は他の法令に別段の定めがある場合は、この限りでない。 (金額の表示の単位) 第四条 計算書類及びその附属明細書に係る事項の金額は、一円単位をもって表示しなければならない。 (計算書類に係る会計帳簿) 第五条 計算書類及びその附属明細書は、当該事業年度に係る会計帳簿に基づき作成しなければならない。 (貸借対照表の区分) 第六条 貸借対照表は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。 この場合において、第三号に掲げる部については、純資産を示す適当な名称を付すことができる。 一 資産 二 負債 三 純資産 2 前項各号に掲げる部は、適当な項目に細分することができる。 この場合において、当該各項目については、資産、負債又は純資産を示す適当な名称を付さなければならない。 (基金等) 第七条 基金(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号。以下「一般社団・財団法人法」という。)第百三十一条に規定する基金をいう。以下同じ。)の総額及び代替基金(一般社団・財団法人法第百四十四条第一項の規定により計上された金額をいう。)は、貸借対照表の純資産の部(前条第一項後段の規定により純資産を示す適当な名称を付したものを含む。以下同じ。)に計上しなければならない。 2 基金の返還に係る債務の額は、貸借対照表の負債の部に計上することができない。 (損益計算書の区分) 第八条 損益計算書は、収益若しくは費用又は利益若しくは損失について、適当な部又は項目に区分して表示しなければならない。 (附属明細書) 第九条 計算書類の附属明細書には、次に掲げる事項のほか、貸借対照表及び損益計算書の内容を補足する重要な事項を表示しなければならない。 一 重要な固定資産の明細 二 引当金の明細 第四節 事業報告 第十条 整備法第六十条第一項の規定により作成すべき事業報告及びその附属明細書については、この条の定めるところによる。 ただし、他の法令に別段の定めがある場合は、この限りでない。 2 事業報告は、次に掲げる事項をその内容としなければならない。 一 当該特例民法法人の状況に関する重要な事項(計算書類及びその附属明細書の内容となる事項を除く。) 二 一般社団・財団法人法第七十六条第三項第三号及び第九十条第四項第五号(一般社団・財団法人法第百九十七条において準用する場合を含む。次項第二号において同じ。)に規定する体制の整備についての決定又は決議があるときは、その決定又は決議の内容の概要 3 事業報告の附属明細書は、次に掲げる事項をその内容としなければならない。 一 事業報告の内容を補足する重要な事項 二 前項第二号に掲げるもののほか、当該事業年度の開始の日までに一般社団・財団法人法第七十六条第三項第三号又は第九十条第四項第五号に規定する体制の整備に相当する決定又は決議がある場合にあっては、その決定又は決議の内容の概要 第二章 公益社団法人又は公益財団法人への移行 (移行の認定の申請) 第十一条 整備法第四十四条の認定を受けようとする特例民法法人は、様式第一号の申請書に整備法第百三条第二項に規定する書類を添付して、行政庁に提出しなければならない。 2 前項の特例民法法人に対する公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則(平成十九年内閣府令第六十八号。以下「公益法人認定法施行規則」という。)第五条第二項の規定の適用については、同項第一号中「次号に規定する貸借対照表の貸借対照表日」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下この号及び次号において「整備法」という。)第四十四条の認定の申請をする日の属する事業年度の前事業年度(合併をする特例民法法人にあっては、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第三百六条第一項の登記をする日の属する事業年度以後のものに限る。次号において同じ。)の末日(特例民法法人(合併をする特例民法法人を除く。)が同日から起算して三箇月以内に整備法第四十四条の認定の申請をする場合において同日における財産目録を作成していないときにあっては、同日の属する事業年度の前事業年度の末日。次号において同じ。)」と、同項第二号中「一般社団法人にあっては一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号。以下「一般社団・財団法人法」という。)第二条第二号の貸借対照表、一般財団法人にあっては同条第三号の」とあるのは「整備法第四十四条の認定の申請をする日の属する事業年度の前事業年度の末日における」とする。 3 整備法第百三条第二項第三号の内閣府令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 一 公益法人認定法施行規則第五条第三項第一号、第三号及び第六号に規定する書類 二 整備法第百六条第一項の設立の登記において登記をする予定の理事及び監事(特例財団法人である認定申請法人(整備法第百条に規定する認定申請法人をいう。以下この項において同じ。)にあっては、理事、監事及び評議員。次号において「役員等就任予定者」という。)の氏名、生年月日及び住所を記載した書類 三 役員等就任予定者が公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号。以下「公益法人認定法」という。)第六条第一号ロからニまでのいずれにも該当しないことを説明した書類 四 公益法人認定法第六条第三号、第四号及び第六号のいずれにも該当しないことを説明した書類 五 整備法第百一条第二項に該当しないことを説明した書類 六 認定申請法人において定款の変更について必要な手続を経ていることを証する書類 七 整備法第四十四条の認定の申請をする日の属する事業年度の前事業年度(合併をする特例民法法人にあっては、一般社団・財団法人法第三百六条第一項の登記をする日の属する事業年度以後のものに限る。)の事業報告及びその附属明細書 八 公益法人認定法施行規則附則第二項の規定による財産(次号に掲げるものを除く。)の明細を記載した書類 九 公益法人認定法施行規則附則第七項に規定する共用財産の明細及び当該財産に係る同項に規定する割合の算定の根拠を記載した書類 十 前各号に掲げるもののほか、行政庁が必要と認める書類 4 特例民法法人(合併をする特例民法法人を除く。)が前項第七号に規定する事業年度の前事業年度の末日から起算して三箇月以内に整備法第四十四条の認定の申請をする場合において当該事業年度に係る事業報告及びその附属明細書を作成していないときにおける同号の規定の適用については、同号中「限る。)」とあるのは、「限る。)の前事業年度」とする。 (移行の登記の届出) 第十二条 整備法第百六条第二項の届出をしようとする特例民法法人は、様式第二号の届出書に同条第一項の設立の登記に係る登記事項証明書を添付して、行政庁及び旧主務官庁に提出しなければならない。 (旧主務官庁からの事務の引継ぎ) 第十三条 整備法第百八条第二項の規定による事務の引継ぎは、行政庁が必要と認める事項について行うものとする。 第三章 通常の一般社団法人又は一般財団法人への移行 第一節 公益目的支出計画における計算の総則 第一款 公益目的財産額 第十四条 整備法第百十九条第一項に規定する公益目的財産額は、第二条第一項ただし書の事業年度(事業年度に関する規定を定める他の法律の規定により移行の登記をした日の属する事業年度の開始の日から移行の登記をした日までの期間が当該法人の事業年度とみなされる場合にあっては、当該期間)の末日(以下「算定日」という。)における貸借対照表の純資産の部に計上すべき額に第一号に掲げる額を加算し、第二号、第三号及び第四号に掲げる額を減算して得た額とする。 一 特例民法法人が算定日において次に掲げる資産(以下「時価評価資産」という。)を有する場合の当該時価評価資産の算定日における時価が算定日における帳簿価額を超える場合のその超える部分の額 イ 土地又は土地の上に存する権利 ロ 有価証券 ハ 書画、骨とう、生物その他の資産のうち算定日における帳簿価額と時価との差額が著しく多額である資産 二 特例民法法人が算定日において時価評価資産を有する場合の当該時価評価資産の算定日における帳簿価額が算定日における時価を超える場合のその超える部分の額 三 基金の額 四 前号に掲げるもののほか、貸借対照表の純資産の部に計上すべきもののうち支出又は保全が義務付けられていると認められるものの額 2 前項の規定により貸借対照表の純資産の部に加算され、又は減算された時価評価資産については、この章の規定の適用に当たっては、当該時価評価資産の帳簿価額は、当該加算された額が増額され、又は当該減算された額が減額されたものとみなす。 第二款 公益の目的のための支出及び収入 (整備法第百十九条第二項第一号ハに規定する支出) 第十五条 整備法第百十九条第二項第一号ハに規定する内閣府令で定める支出は、特例民法法人が整備法第四十五条の認可を受けた後も継続して行う不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与する目的に関する事業のための支出(同号イに掲げるものを除く。)とする。 (整備法第百十九条第二項第一号の支出の額) 第十六条 移行法人の各事業年度の整備法第百十九条第二項第一号の支出の額(以下「公益目的支出の額」という。)は、この府令に別段の定めのあるものを除き、次に掲げる額の合計額とする。 一 当該事業年度の損益計算書に計上すべき当該移行法人が整備法第四十五条の認可を受けた公益目的支出計画(整備法第百二十五条第一項の変更の認可を受けたときは、その変更後の公益目的支出計画)に記載した整備法第百十九条第二項第一号イ又はハに規定する事業(以下「実施事業」という。)に係る事業費の額 二 当該事業年度において支出をした整備法第百十九条第二項第一号ロに規定する寄附(以下「特定寄附」という。)の額(当該支出に付随して発生した費用の額を含む。) 三 前二号に掲げるもののほか、当該事業年度の損益計算書に計上すべき実施事業に係る経常外費用の額 (整備法第百十九条第二項第一号の支出をした事業に係る収入の額) 第十七条 移行法人の各事業年度の整備法第百十九条第二項第二号の規定により公益目的支出の額から控除すべき実施事業に係る収入の額(以下「実施事業収入の額」という。)は、この府令に別段の定めのあるものを除き、次に掲げる額の合計額とする。 ただし、実施事業に係る金融資産から生じた収益の額又は指定正味財産(移行の登記をした日の前日までに受け入れたものに限る。)から一般正味財産に振り替えることによって生じた収益の額のうち行政庁が適当と認めるものについては、実施事業収入の額としないことができる。 一 当該事業年度の損益計算書に計上すべき実施事業に係る収益の額 二 当該事業年度の損益計算書に計上すべき実施事業に係る資産(以下「実施事業資産」という。)から生じた収益の額 2 前項各号の収益の額の算定に当たっては、当該収益の発生に伴って受け入れる資産が金銭以外のものである場合には、当該資産の額は、受け入れた時における時価によるものとする。 (実施事業資産の評価損益) 第十八条 移行法人がその有する実施事業資産の評価換えをして、その帳簿価額を減額し、又は増額した場合には、その減額し、又は増額した部分の額は、その移行法人の各事業年度の公益目的支出の額又は実施事業収入の額に算入しない。 2 前項の場合において、同項に規定する実施事業資産の評価換えにより減額され、又は増額された額を公益目的支出の額又は実施事業収入の額に算入されなかった実施事業資産の帳簿価額は、その評価換えをした日の属する事業年度以後の各事業年度の公益目的支出の額又は実施事業収入の額の計算上、その減額又は増額がされなかったものとみなす。 第十九条から第二十一条まで 削除 (関連する費用等) 第二十二条 移行法人の事業費と管理費とに関連する費用の額は、適正な基準によりそれぞれの費用の額に配賦しなければならない。 ただし、配賦することが困難なものについては、その全部を管理費に係る費用の額とすることができる。 2 移行法人の実施事業と実施事業以外の事業とに関連する事業費の額は、適正な基準によりそれぞれの事業費の額に配賦しなければならない。 ただし、配賦することが困難なものについては、その全部を実施事業以外の事業に係る事業費の額とすることができる。 3 移行法人の実施事業等(実施事業及び特定寄附をいう。以下同じ。)と実施事業等以外の業務その他の活動とに関連する収益の額は、適正な基準によりそれぞれの収益の額に配賦しなければならない。 ただし、配賦することが困難なものについては、前項の規定により実施事業以外の事業に係る事業費の額とされたものに対応することが明らかな収益の額にあっては実施事業等以外の業務その他の活動に係る収益の額とし、それ以外の収益の額にあっては実施事業等に係る収益の額とすることができる。 第三款 公益目的財産残額 第二十三条 移行法人の各事業年度の末日における公益目的財産残額は、当該移行法人の公益目的財産額から当該事業年度の末日における公益目的収支差額を減算して得た額(公益目的収支差額が零を下回る場合にあっては、減算する額は零)とする。 2 前項に規定する公益目的収支差額は、各事業年度の前事業年度の末日における公益目的収支差額(移行の登記をした日の属する事業年度にあっては、零)に当該事業年度の公益目的支出の額を加算して得た額から、当該事業年度の実施事業収入の額を減算して得た額とする。 3 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる法人の合併をした日の属する事業年度の末日における公益目的収支差額は、これらの法人の当該事業年度の末日における公益目的収支差額に当該合併により消滅する移行法人の当該各号に定める日の前日における公益目的収支差額を加算して得た額とする。 一 整備法第百二十六条第一項第一号又は第二号に規定する合併をする場合の合併後存続する法人 当該合併がその効力を生じた日 二 整備法第百二十六条第一項第三号に規定する合併をする場合の合併により設立する法人 当該合併により設立する法人の成立の日 第二節 公益目的支出計画の作成 (整備法第百十九条第一項に規定する額) 第二十四条 整備法第百十九条第一項に規定する内閣府令で定める額は、零とする。 (公益目的支出計画の作成) 第二十五条 公益目的支出計画においては、次に掲げる事項を定めなければならない。 この場合において、第三号から第九号までに掲げる事項にあっては、特例民法法人が整備法第四十五条の認可の申請をする日の属する事業年度の開始の日に移行の登記をしたものと仮定したときにおける当該事業年度から公益目的財産残額が零となると見込まれる事業年度までの各事業年度におけるこれらの事項を記載しなければならない。 一 名称及び主たる事務所の所在場所 二 公益目的財産額 三 実施事業等 四 実施事業を行う場所の名称及び所在場所並びに役務を提供する相手方 五 特定寄附の相手方の名称及び主たる事務所の所在場所並びに使途を特定して寄附をする場合にあっては、当該使途 六 各事業年度の公益目的支出の額の見込み及びその明細 七 各事業年度の実施事業収入の額の見込み及びその明細 八 各事業年度の末日における公益目的収支差額の見込み 九 各事業年度の末日における公益目的財産残額の見込み 十 公益目的財産残額が零となると見込まれる事業年度の末日 十一 算定日における時価評価資産の明細 十二 公益目的支出計画を実施している間における合併の予定の有無及び合併を予定する場合においては、合併がその効力を生ずる予定年月日 十三 次条に掲げる事項 (公益の目的のための支出を確保するために必要な事項) 第二十六条 整備法第百十九条第二項第三号に規定する内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 実施事業のために必要な施設、人員等実施事業が確実に実施されることを確保するために必要な事項 二 特定寄附のために必要な財源等特定寄附が確実に実施されることを確保するために必要な事項 第三節 通常の一般社団法人・一般財団法人への移行の認可 第一款 通常の一般社団法人・一般財団法人への移行の認可の申請 (移行の認可の申請) 第二十七条 整備法第四十五条の認可を受けようとする特例民法法人は、様式第三号の申請書に整備法第百二十条第二項に規定する書類を添付して、行政庁に提出しなければならない。 (申請時の公益目的財産額) 第二十八条 整備法第四十五条の認可の申請をする特例民法法人に対する第十四条の規定の適用については、整備法第四十五条の認可の申請をする日の属する事業年度の前事業年度(合併をする特例民法法人にあっては、一般社団・財団法人法第三百六条第一項の登記をする日の属する事業年度以後のものに限る。以下「申請直前事業年度」という。)の末日を算定日とみなす。 2 特例民法法人(合併をする特例民法法人を除く。)が申請直前事業年度の末日から起算して三箇月以内に整備法第四十五条の認可の申請をする場合において当該申請直前事業年度に係る計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成していないときにおける前項、第三十条第一項第二号及び第三十一条第三号の規定の適用については、前項中「いう。)」とあるのは「いう。)の前事業年度」と、第三十条第一項第二号及び第三十一条第三号中「申請直前事業年度」とあるのは「申請直前事業年度の前事業年度」とする。 (公益目的財産額及びその計算を記載した書類) 第二十九条 整備法第百二十条第二項第三号の内閣府令で定める書類は、次に掲げる事項を記載した書類とする。 一 公益目的財産額 二 算定日における貸借対照表の純資産の部に計上すべき額 三 各時価評価資産の算定日における帳簿価額並びに時価及びその算定方法 四 算定日における引当金の明細 五 算定日における第十四条第一項第四号に規定するものの明細 (財務内容を示す書類) 第三十条 整備法第百二十条第二項第四号の内閣府令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 一 算定日における財産目録並びに貸借対照表及びその附属明細書 二 申請直前事業年度の損益計算書及びその附属明細書 2 一般社団・財団法人法第百三十一条の規定により基金を引き受ける者の募集をした特例社団法人については、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則(平成十九年法務省令第二十八号。以下「一般社団・財団法人法施行規則」という。)第二十七条の規定にかかわらず、前項各号に掲げる書類(財産目録を除く。)に係る事項の金額は、一円単位をもって表示しなければならない。 3 前項の規定は、第一項第一号の財産目録に係る事項の金額の表示について準用する。 (整備法第四十五条の認可の申請の添付書類) 第三十一条 整備法第百二十条第二項第六号の内閣府令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 一 登記事項証明書 二 時価評価資産の算定日における時価の算定の根拠を明らかにする書類 三 申請直前事業年度の事業報告及びその附属明細書 四 認可申請法人(整備法第百十七条に規定する認可申請法人をいう。)において定款の変更について必要な手続を経ていることを証する書類 五 事業計画書及び収支予算書 六 整備法第百二十四条の確認を受けるまでの間の収支の見込みを記載した書類 七 前二号に掲げるもののほか、整備法第百十七条第二号に掲げる基準に適合することを説明した書類 八 前各号に掲げるもののほか、行政庁が必要と認める書類 (添付を省略することができる書類) 第三十二条 整備法第百二十条第三項に規定する内閣府令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 一 定款 二 登記事項証明書(整備法第四十四条の認定の申請をした際に添付した登記事項証明書に変更がない場合に限る。) 第二款 公益目的財産額の確定 第三十三条 第二十九条第一号の額が第二十四条に規定する額を超える特例民法法人が移行の登記をしたときは、当該移行の登記をした日から起算して三箇月以内に、次に掲げる書類を行政庁に提出しなければならない。 一 第十四条に規定する公益目的財産額及び第二十九条の規定の例によりその計算を記載した書類 二 算定日における貸借対照表及びその附属明細書 2 第三十条第二項の規定は、前項第二号に掲げる書類に係る事項の金額の表示について準用する。 3 行政庁は、第一項第一号の公益目的財産額に誤りがないと認めるときは、当該額を当該移行法人の公益目的財産額とする旨を当該移行法人に通知するものとする。 4 前項の場合において、第一項第一号の公益目的財産額が第二十四条に規定する額以下であるときにあっては、行政庁は、当該移行法人について整備法第百二十三条第一項の規定の適用がない旨を併せて通知するものとする。 第四節 公益目的支出計画の実施が完了したことの確認 第三十四条 整備法第百二十四条の確認を受けようとする移行法人は、様式第四号の請求書に公益目的財産残額が零となった事業年度に係る整備法第百二十七条第三項に規定する書類(整備法第百二十七条第二項の規定により読み替えて準用する一般社団・財団法人法第百二十四条第一項(一般社団・財団法人法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定の適用がある場合にあっては、公益目的支出計画実施報告書に係る監査報告を含む。)を添付して、認可行政庁に提出しなければならない。 第五節 公益目的支出計画の変更の届出等 (公益目的支出計画における軽微な変更) 第三十五条 整備法第百二十五条第一項の内閣府令で定める軽微な変更は、次に掲げる変更とする。 一 実施事業を行う場所の名称又は所在場所のみの変更 二 特定寄附の相手方の名称又は主たる事務所の所在場所のみの変更 三 各事業年度の公益目的支出の額又は実施事業収入の額の変更で、次のいずれにも該当しないもの イ 各事業年度の公益目的支出の額が公益目的支出計画に定めた公益目的支出の額の見込みを下回る変更で、当該変更により公益目的支出計画が第二十五条第十号に規定する日(次号において「完了予定年月日」という。)に完了しなくなることが明らかであるもの ロ 各事業年度の実施事業収入の額が公益目的支出計画に定めた実施事業収入の額の見込みを上回る変更で、当該変更により公益目的支出計画が完了予定年月日に完了しなくなることが明らかであるもの 四 合併の予定の変更又は当該合併がその効力を生ずる予定年月日の変更 (公益目的支出計画の変更の認可の申請) 第三十六条 整備法第百二十五条第一項の変更の認可を受けようとする移行法人は、様式第五号の申請書に次に掲げる書類を添付して、認可行政庁に提出しなければならない。 一 公益目的支出計画の変更の案 二 公益目的支出計画の変更について必要な手続を経ていることを証する書類 三 第三十一条第五号から第七号までに掲げる書類のうち、変更に係るもの 四 前各号に掲げるもののほか、行政庁が必要と認める書類 (公益目的支出計画の変更等の届出) 第三十七条 整備法第百二十五条第三項第一号から第四号までに掲げる場合のいずれかに該当して同項の届出をしようとする移行法人は、様式第六号の届出書に登記事項証明書その他の当該変更を証する書類を添付して、認可行政庁に提出しなければならない。 2 整備法第百二十五条第三項第五号に掲げる場合に該当して同項の届出をしようとする移行法人は、様式第七号の届出書に登記事項証明書その他の解散の事由を明らかにする書類を添付して、認可行政庁に提出しなければならない。 3 第一項の規定にかかわらず、第三十五条第三号に掲げる変更があった場合にあっては、移行法人は、当該事業年度の公益目的支出計画実施報告書に同号に掲げる変更があった旨を明示して提出すれば足りる。 4 移行法人が前項の公益目的支出計画実施報告書を提出したときは、当該移行法人が整備法第百二十五条第三項の規定による届出をしたものとみなす。 (合併の届出) 第三十八条 整備法第百二十六条第一項の届出をしようとする移行法人は、次の各号に掲げる合併の場合の区分に応じ、当該各号に定める日から起算して三箇月以内に、様式第八号の届出書に同条第二項に規定する書類を添付して、同条第一項各号に定める認可行政庁に提出しなければならない。 一 移行法人が吸収合併をした場合 当該吸収合併がその効力を生じた日 二 移行法人が新設合併をした場合 当該新設合併により設立する法人の成立の日 2 整備法第百二十六条第二項第二号の内閣府令で定める書類は、次の各号に掲げる移行法人の区分に応じ、当該各号に定める書類とする。 一 合併後存続する移行法人 次に掲げる書類 イ 整備法第百二十六条第二項第二号に規定する最終事業年度(ロにおいて単に「最終事業年度」という。)の末日における貸借対照表及びその附属明細書(一般社団・財団法人法第百二十四条第一項又は第二項(これらの規定を一般社団・財団法人法第百九十九条において準用する場合を含む。ロにおいて同じ。)の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。次号において同じ。) ロ 最終事業年度の損益計算書及びその附属明細書(一般社団・財団法人法第百二十四条第一項又は第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。次号において同じ。) 二 合併により消滅する移行法人 前項各号に定める日の属する事業年度の開始の日から同項各号に定める日の前日までの期間に係る貸借対照表及び損益計算書並びにこれらの附属明細書を作成するとするならばこれらの書類に記載し、又は記録すべき内容を記載した書類 3 一般社団・財団法人法施行規則第二十七条の規定にかかわらず、前項第一号に定める書類に係る事項の金額は、一円単位をもって表示しなければならない。 4 前項の規定は、第二項第二号に定める書類に係る事項の金額の表示について準用する。 5 整備法第百二十六条第二項第四号の内閣府令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 一 次のイ又はロに掲げる合併の場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める書類 イ 吸収合併の場合 吸収合併契約書の写し及び一般社団・財団法人法第二百四十七条又は第二百五十一条第一項の規定による吸収合併契約の承認があったことを証する書類 ロ 新設合併の場合 新設合併契約書の写し及び一般社団・財団法人法第二百五十七条の規定による新設合併契約の承認があったことを証する書類 二 合併後存続する法人又は合併により設立する法人の登記事項証明書 三 合併後存続する法人又は合併により設立する法人の整備法第百二十四条の確認を受けるまでの間の収支の見込みを明らかにする書類 四 合併により消滅する移行法人の定款及び当該移行法人が解散したことが記載された登記事項証明書 五 合併により消滅する移行法人の第一項各号に掲げる合併の場合の区分に応じ、当該各号に定める日の前日までの公益目的支出計画の実施の状況を明らかにする書類(第四十一条の規定の例により作成した書類をいう。第四十九条第三号において同じ。) 六 前各号に定めるもののほか、認可行政庁が必要と認める書類 (認可行政庁の決定) 第三十九条 整備法第百二十六条第一項第二号又は第三号に掲げる場合であって当該合併により消滅する移行法人に係る認可行政庁が二以上あるときにおいては、これらの認可行政庁間の協議により同条第三項の規定により移行法人とみなされる一般社団法人又は一般財団法人(以下この条において「みなされる移行法人」という。)に係る一の認可行政庁を定めるものとする。 2 前項の協議が調わないときは、次に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める認可行政庁をみなされる移行法人に係る一の認可行政庁とする。 一 当該合併により消滅する移行法人に係る吸収合併がその効力を生じた日又は新設合併により設立する法人の成立の日の前日(以下この項において「基準日」という。)における公益目的財産残額が異なる場合 当該合併により消滅する移行法人のうち基準日における公益目的財産残額が最も多い移行法人に係る認可行政庁 二 前号の規定により認可行政庁が決定しない場合 当該合併により消滅する移行法人のうち、公益目的財産額が最も少ない移行法人に係る認可行政庁 三 前二号の規定によっても認可行政庁が決定しない場合 基準日における公益目的支出計画の完了予定年月日が最も遅い移行法人に係る認可行政庁 (公益法人と合併をした場合の届出) 第四十条 整備法第百二十六条第六項の規定による届出をしようとする公益法人は、様式第九号の届出書に同条第二項各号に掲げる書類(第三十八条第五項第三号に掲げる書類を除く。)を添付して、当該合併により消滅した移行法人に係る従前の認可行政庁に提出するものとする。 第六節 公益目的支出計画実施報告書の作成等 (公益目的支出計画実施報告書) 第四十一条 整備法第百二十七条第一項の規定により作成すべき公益目的支出計画実施報告書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当該事業年度の実施事業等の状況 二 当該事業年度の公益目的支出の額及びその明細 三 当該事業年度の実施事業収入の額及びその明細 四 算定日に有していた時価評価資産の当該事業年度の末日における状況 五 当該事業年度の引当金の明細 六 当該事業年度の第十四条第一項第四号に規定するものの明細 七 公益目的財産額 八 当該事業年度の末日における公益目的収支差額 九 当該事業年度の末日における公益目的財産残額 (移行法人の計算書類) 第四十二条 整備法第百二十七条第三項の規定により提出する貸借対照表は、実施事業資産を区分して明らかにしなければならない。 2 整備法第百二十七条第三項の規定により提出する損益計算書は、次に掲げる区分を設けて表示するとともに、各区分において実施事業等に係る額を明らかにしなければならない。 この場合において、各区分は、適当な項目に細分することができる。 一 経常収益 二 事業費 三 管理費 四 経常外収益 五 経常外費用 3 前項第四号及び第五号に掲げる項目については、それぞれ経常外収益又は経常外費用を示す適当な名称を付すことができる。 4 第三十八条第三項の規定は、第一項の貸借対照表及び第二項の損益計算書並びにこれらの附属明細書に係る事項の金額の表示について準用する。 (公益目的支出計画実施報告書の監査) 第四十三条 整備法第百二十七条第二項において読み替えて準用する一般社団・財団法人法第百二十四条第一項(一般社団・財団法人法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定による監査については、この条の定めるところによる。 2 監事は、公益目的支出計画実施報告書を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監査報告を作成しなければならない。 一 監事の監査の方法及びその内容 二 公益目的支出計画実施報告書が法令又は定款に従い当該移行法人の公益目的支出計画の実施の状況を正しく示しているかどうかについての意見 三 監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由 四 監査報告を作成した日 3 特定監事は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに、特定理事に対し、監査報告の内容を通知しなければならない。 一 公益目的支出計画実施報告書を受領した日から四週間を経過した日 二 特定理事及び特定監事の間で合意により定めた日があるときは、その日 4 公益目的支出計画実施報告書については、特定理事が前項の規定による監査報告の内容の通知を受けた日に、監事の監査を受けたものとする。 5 前項の規定にかかわらず、特定監事が第三項の規定により通知をすべき日までに同項の規定による監査報告の内容の通知をしない場合には、当該通知をすべき日に、公益目的支出計画実施報告書については、監事の監査を受けたものとみなす。 6 第三項及び第四項に規定する「特定理事」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者をいう。 一 第三項の規定による通知を受ける理事を定めた場合 当該通知を受ける理事として定められた理事 二 前号に掲げる場合以外の場合 公益目的支出計画実施報告書の作成に関する職務を行った理事 7 第三項及び第五項に規定する「特定監事」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者をいう。 一 二以上の監事が存する場合において、第三項の規定による監査報告の内容の通知をすべき監事を定めたとき 当該通知をすべき監事として定められた監事 二 二以上の監事が存する場合において、第三項の規定による監査報告の内容の通知をすべき監事を定めていないとき すべての監事 三 前二号に掲げる場合以外の場合 監事 8 監査報告は、整備法第百二十七条第三項の規定により提出する公益目的支出計画実施報告書に添付しなければならない。 (公益目的支出計画実施報告書の社員等への提供) 第四十四条 整備法第百二十七条第二項において読み替えて準用する一般社団・財団法人法第百二十五条(一般社団・財団法人法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定による公益目的支出計画実施報告書の提供に関しては、この条の定めるところによる。 2 一般社団法人である移行法人が定時社員総会の招集通知を次の各号に掲げる方法により行う場合にあっては、公益目的支出計画実施報告書は、当該各号に定める方法により提供しなければならない。 一 書面の提供 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める方法 イ 公益目的支出計画実施報告書が書面をもって作成されている場合 当該書面に記載された事項を記載した書面の提供 ロ 公益目的支出計画実施報告書が電磁的記録をもって作成されている場合 当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面の提供 二 電磁的方法による提供 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める方法 イ 公益目的支出計画実施報告書が書面をもって作成されている場合 当該書面に記載された事項の電磁的方法による提供 ロ 公益目的支出計画実施報告書が電磁的記録をもって作成されている場合 当該電磁的記録に記録された事項の電磁的方法による提供 3 一般社団法人である移行法人の理事は、公益目的支出計画実施報告書の内容とすべき事項について、定時社員総会の招集通知を発出した日から定時社員総会の前日までの間に修正をすべき事情が生じた場合における修正後の事項を社員に周知させる方法を、当該招集通知と併せて通知することができる。 4 前二項の規定は、一般財団法人である移行法人について準用する。 この場合において、第二項各号列記以外の部分及び前項中「社員総会の招集通知」とあるのは「評議員会の招集通知(一般社団・財団法人法第百八十二条第一項又は第二項の規定による通知をいう。)」と、前項中「社員総会の前日」とあるのは「評議員会の前日」と、「社員に」とあるのは「評議員に」と読み替えるものとする。 (閲覧又は謄写) 第四十五条 整備法第百二十七条第四項の規定による閲覧又は謄写は、認可行政庁が定める閲覧所において行うものとする。 2 認可行政庁は、前項に規定する閲覧所の場所をインターネットの利用その他の適切な方法により公示しなければならない。 (電磁的記録に記録された事項を表示する方法) 第四十六条 整備法第百二十七条第六項第二号の内閣府令で定める方法は、当該電磁的記録に記録された事項を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法とする。 第七節 雑則 (職員の身分証明書の様式) 第四十七条 整備法第百二十八条第二項の証明書は、様式第十号によるものとする。 (残余財産の処分の承認の申請) 第四十八条 移行法人が清算をする場合において公益目的財産残額があるときには、当該移行法人は、当該移行法人の残余財産の額が確定した後、当該残余財産の引渡しをするまでの間に整備法第百三十条の規定による残余財産の処分の承認を受けなければならない。 2 整備法第百三十条の規定により残余財産の処分の承認を受けようとする移行法人は、様式第十一号の申請書に次に掲げる書類を添付して、認可行政庁に提出しなければならない。 一 残余財産の処分方法及びその理由を記載した書類 二 残余財産の確定した日における公益目的財産残額及びその計算を明らかにする書類 三 一般社団・財団法人法第二百三十九条第二項の規定により残余財産を帰属させる法人を定める場合にあっては、当該帰属させる法人を定めた社員総会又は評議員会の議事録(社員総会又は評議員会の決議があったものとみなされる場合にあっては、当該場合に該当することを証する書面) 四 残余財産を帰属させる法人の登記事項証明書(残余財産の帰属先が国又は地方公共団体である場合を除く。) 五 残余財産を帰属させる法人が公益法人認定法第五条第十七号トに掲げる法人である場合にあっては、その旨を証する書類 六 前各号に定めるもののほか、認可行政庁が必要と認める書類 (移行法人が公益法人の認定を受けた場合の届出) 第四十九条 整備法第百三十二条第二項の規定による届出をしようとする公益法人は、様式第十二号の届出書に次に掲げる書類を添付して、認可行政庁に提出しなければならない。 一 登記事項証明書 二 公益法人認定法第四条の認定を受けたことを証する書類 三 公益法人認定法第四条の認定を受けた日の前日までの公益目的支出計画の実施の状況を明らかにする書類 四 前各号に定めるもののほか、認可行政庁が必要と認める書類 第四章 公示等の方法 第五十条 公益法人認定法施行規則第五十二条の規定は整備法第百八条第一項の公示について、公益法人認定法施行規則第五十三条の規定は整備法第百三十六条第二項(整備法第百四十一条において準用する場合を含む。)の公表について、それぞれ準用する。
民事
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平成十九年法務省令第二十八号
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一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則 第一章 総則 (目的) 第一条 この省令は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号。以下「法」という。)の委任に基づく事項その他法の施行に必要な事項を定めることを目的とする。 (定義) 第二条 この省令において、「一般社団法人等」、「子法人」、「吸収合併」又は「新設合併」とは、それぞれ法第二条に規定する一般社団法人等、子法人、吸収合併又は新設合併をいう。 (子法人) 第三条 法第二条第四号に規定する法務省令で定めるものは、次の各号に掲げるものとする。 一 一般社団法人等又はその一若しくは二以上の子法人が社員総会その他の団体の財務及び事業の方針を決定する機関における議決権(株式会社にあっては、株主総会において決議することができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。以下この号において同じ。)の百分の五十を超える議決権を有する他の法人 二 評議員の総数に対する次に掲げる者の数の割合が百分の五十を超える他の一般財団法人 イ 一般社団法人等又はその一若しくは二以上の子法人の役員(理事、監事、取締役、会計参与、監査役、執行役その他これらに準ずる者をいう。)又は評議員 ロ 一般社団法人等又はその一若しくは二以上の子法人の使用人 ハ 当該評議員に就任した日前五年以内にイ又はロに掲げる者であった者 ニ 一般社団法人等又はその一若しくは二以上の子法人によって選任された者 ホ 当該評議員に就任した日前五年以内に一般社団法人等又はその一若しくは二以上の子法人によって当該他の一般財団法人の評議員に選任されたことがある者 第二章 一般社団法人 第一節 機関 第一款 社員総会 (招集の決定事項) 第四条 法第三十八条第一項第五号に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 法第三十八条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときは、次に掲げる事項(定款にロ及びハに掲げる事項についての定めがある場合又はこれらの事項の決定を理事に委任する旨を決定した場合における当該事項を除く。) イ 第五条第一項の規定により社員総会参考書類(法第四十一条第一項に規定する社員総会参考書類をいう。以下この款において同じ。)に記載すべき事項 ロ 特定の時(社員総会の日時以前の時であって、法第三十九条第一項ただし書の規定により通知を発した日から二週間を経過した日以後の時に限る。)をもって書面による議決権の行使の期限とする旨を定めるときは、その特定の時 ハ 特定の時(社員総会の日時以前の時であって、法第三十九条第一項ただし書の規定により通知を発した日から二週間を経過した日以後の時に限る。)をもって電磁的方法(法第十四条第二項第四号に規定する電磁的方法をいう。以下同じ。)による議決権の行使の期限とする旨を定めるときは、その特定の時 二 法第五十条第一項の規定による代理人による議決権の行使について、代理権(代理人の資格を含む。)を証明する方法、代理人の数その他代理人による議決権の行使に関する事項を定めるとき(定款に当該事項についての定めがある場合を除く。)は、その事項 三 第一号に規定する場合以外の場合において、次に掲げる事項が社員総会の目的である事項であるときは、当該事項に係る議案の概要(議案が確定していない場合にあっては、その旨) イ 役員等(法第百十一条第一項に規定する役員等をいう。以下この節及び第八十六条第二号において同じ。)の選任 ロ 役員等の報酬等(法第八十九条に規定する報酬等をいう。第五十八条第二号において同じ。) ハ 事業の全部の譲渡 ニ 定款の変更 ホ 合併 (社員総会参考書類) 第五条 法第四十一条第一項又は第四十二条第一項の規定により交付すべき社員総会参考書類に記載すべき事項は、次に掲げる事項とする。 一 議案 二 理事が提出する議案にあっては、その提案の理由(法第二百五十一条第二項に規定する場合における説明すべき内容を含む。) 三 社員が法第四十五条第一項の規定による請求に際して通知した提案の理由がある場合にあっては、当該提案の理由又はその概要 四 議案につき法第百二条の規定により社員総会に報告すべき調査の結果があるときは、その結果の概要 2 社員総会参考書類には、前項に定めるもののほか、社員の議決権の行使について参考となると認める事項を記載することができる。 3 同一の社員総会に関して社員に対して提供する社員総会参考書類に記載すべき事項のうち、他の書面に記載している事項又は電磁的方法により提供する事項がある場合には、これらの事項は、社員に対して提供する社員総会参考書類に記載することを要しない。 この場合においては、他の書面に記載している事項又は電磁的方法により提供する事項があることを明らかにしなければならない。 4 同一の社員総会に関して社員に対して提供する招集通知(法第三十九条第二項又は第三項の規定による通知をいう。以下この章において同じ。)又は法第百二十五条の規定により社員に対して提供する事業報告の内容とすべき事項のうち、社員総会参考書類に記載している事項がある場合には、当該事項は、社員に対して提供する招集通知又は同条の規定により社員に対して提供する事業報告の内容とすることを要しない。 第六条 法第三十八条第一項第三号及び第四号に掲げる事項を定めた一般社団法人が行った社員総会参考書類の交付(当該交付に代えて行う電磁的方法による提供を含む。)は、法第四十一条第一項及び第四十二条第一項の規定による社員総会参考書類の交付とする。 2 理事は、社員総会参考書類に記載すべき事項について、招集通知を発出した日から社員総会の前日までの間に修正をすべき事情が生じた場合における修正後の事項を社員に周知させる方法を当該招集通知と併せて通知することができる。 (議決権行使書面) 第七条 法第四十一条第一項の規定により交付すべき議決権行使書面(同項に規定する議決権行使書面をいう。以下同じ。)に記載すべき事項又は法第四十二条第三項若しくは第四項の規定により電磁的方法により提供すべき議決権行使書面に記載すべき事項は、次に掲げる事項とする。 一 各議案についての賛否(棄権の欄を設ける場合にあっては、棄権を含む。)を記載する欄 二 議決権の行使の期限 三 議決権を行使すべき社員の氏名又は名称(法第四十八条第一項ただし書に規定する場合にあっては、行使することができる議決権の数を含む。) (電子提供措置) 第七条の二 法第四十七条の二に規定する法務省令で定めるものは、第九十二条第一項第一号ロに掲げる方法のうち、インターネットに接続された自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)を使用するものによる措置とする。 (電子提供措置をとる場合における招集通知の記載事項) 第七条の三 法第四十七条の四第二項に規定する法務省令で定める事項は、電子提供措置(法第四十七条の二に規定する電子提供措置をいう。)をとるために使用する自動公衆送信装置のうち当該措置をとるための用に供する部分をインターネットにおいて識別するための文字、記号その他の符号又はこれらの結合であって、情報の提供を受ける者がその使用に係る電子計算機に入力することによって当該情報の内容を閲覧し、当該電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録することができるものその他の当該者が当該情報の内容を閲覧し、当該電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録するために必要な事項とする。 (書面による議決権行使の期限) 第八条 法第五十一条第一項に規定する法務省令で定める時は、社員総会の日時の直前の業務時間の終了時(第四条第一号ロに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、同号ロの特定の時)とする。 (電磁的方法による議決権行使の期限) 第九条 法第五十二条第一項に規定する法務省令で定める時は、社員総会の日時の直前の業務時間の終了時(第四条第一号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、同号ハの特定の時)とする。 (理事等の説明義務) 第十条 法第五十三条に規定する法務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。 一 社員が説明を求めた事項について説明をするために調査をすることが必要である場合(次に掲げる場合を除く。) イ 当該社員が社員総会の日より相当の期間前に当該事項を一般社団法人に対して通知した場合 ロ 当該事項について説明をするために必要な調査が著しく容易である場合 二 社員が説明を求めた事項について説明をすることにより一般社団法人その他の者(当該社員を除く。)の権利を侵害することとなる場合 三 社員が当該社員総会において実質的に同一の事項について繰り返して説明を求める場合 四 前三号に掲げる場合のほか、社員が説明を求めた事項について説明をしないことにつき正当な理由がある場合 (社員総会の議事録) 第十一条 法第五十七条第一項の規定による社員総会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。 2 社員総会の議事録は、書面又は電磁的記録(法第十条第二項に規定する電磁的記録をいう。第六章第四節第二款を除き、以下同じ。)をもって作成しなければならない。 3 社員総会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。 一 社員総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない理事、監事、会計監査人又は社員が社員総会に出席した場合における当該出席の方法を含む。) 二 社員総会の議事の経過の要領及びその結果 三 次に掲げる規定により社員総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要 イ 法第七十四条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。) ロ 法第七十四条第二項(同条第四項において準用する場合を含む。) ハ 法第百二条 ニ 法第百五条第三項 ホ 法第百九条第一項 ヘ 法第百九条第二項 四 社員総会に出席した理事、監事又は会計監査人の氏名又は名称 五 社員総会の議長が存するときは、議長の氏名 六 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名 4 次の各号に掲げる場合には、社員総会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。 一 法第五十八条第一項の規定により社員総会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項 イ 社員総会の決議があったものとみなされた事項の内容 ロ イの事項の提案をした者の氏名又は名称 ハ 社員総会の決議があったものとみなされた日 ニ 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名 二 法第五十九条の規定により社員総会への報告があったものとみなされた場合 次に掲げる事項 イ 社員総会への報告があったものとみなされた事項の内容 ロ 社員総会への報告があったものとみなされた日 ハ 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名 第二款 役員等 (補欠の役員の選任) 第十二条 法第六十三条第二項の規定による補欠の役員(同条第一項に規定する役員をいう。以下この条において同じ。)の選任については、この条の定めるところによる。 2 法第六十三条第二項に規定する決議により補欠の役員を選任する場合には、次に掲げる事項も併せて決定しなければならない。 一 当該候補者が補欠の役員である旨 二 当該候補者を一人又は二人以上の特定の役員の補欠の役員として選任するときは、その旨及び当該特定の役員の氏名 三 同一の役員(二人以上の役員の補欠として選任した場合にあっては、当該二人以上の役員)につき二人以上の補欠の役員を選任するときは、当該補欠の役員相互間の優先順位 四 補欠の役員について、就任前にその選任の取消しを行う場合があるときは、その旨及び取消しを行うための手続 3 補欠の役員の選任に係る決議が効力を有する期間は、定款に別段の定めがある場合を除き、当該決議後最初に開催する定時社員総会の開始の時までとする。 ただし、社員総会の決議によってその期間を短縮することを妨げない。 (理事会設置一般社団法人以外の一般社団法人の業務の適正を確保するための体制) 第十三条 法第七十六条第三項第三号に規定する法務省令で定める体制は、次に掲げる体制とする。 一 理事の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制 二 損失の危険の管理に関する規程その他の体制 三 理事の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制 四 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制 2 理事が二人以上ある一般社団法人である場合には、前項に規定する体制には、業務の決定が適正に行われることを確保するための体制を含むものとする。 3 監事設置一般社団法人(法第十五条第二項第一号に規定する監事設置一般社団法人をいう。次項において同じ。)以外の一般社団法人である場合には、第一項に規定する体制には、理事が社員に報告すべき事項の報告をするための体制を含むものとする。 4 監事設置一般社団法人である場合には、第一項に規定する体制には、次に掲げる体制を含むものとする。 一 監事がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項 二 前号の使用人の理事からの独立性に関する事項 三 監事の第一号の使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項 四 理事及び使用人が監事に報告をするための体制その他の監事への報告に関する体制 五 前号の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制 六 監事の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項 七 その他監事の監査が実効的に行われることを確保するための体制 (理事会設置一般社団法人の業務の適正を確保するための体制) 第十四条 法第九十条第四項第五号に規定する法務省令で定める体制は、次に掲げる体制とする。 一 理事の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制 二 損失の危険の管理に関する規程その他の体制 三 理事の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制 四 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制 五 監事がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項 六 前号の使用人の理事からの独立性に関する事項 七 監事の第五号の使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項 八 理事及び使用人が監事に報告をするための体制その他の監事への報告に関する体制 九 前号の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制 十 監事の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項 十一 その他監事の監査が実効的に行われることを確保するための体制 (理事会の議事録) 第十五条 法第九十五条第三項の規定による理事会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。 2 理事会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。 3 理事会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。 一 理事会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない理事、監事又は会計監査人が理事会に出席した場合における当該出席の方法を含む。) 二 理事会が次に掲げるいずれかのものに該当するときは、その旨 イ 法第九十三条第二項の規定による理事の請求を受けて招集されたもの ロ 法第九十三条第三項の規定により理事が招集したもの ハ 法第百一条第二項の規定による監事の請求を受けて招集されたもの ニ 法第百一条第三項の規定により監事が招集したもの 三 理事会の議事の経過の要領及びその結果 四 決議を要する事項について特別の利害関係を有する理事があるときは、当該理事の氏名 五 次に掲げる規定により理事会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要 イ 法第九十二条第二項 ロ 法第百条 ハ 法第百一条第一項 ニ 法第百十八条の二第四項 六 法第九十五条第三項の定款の定めがあるときは、代表理事(法第二十一条第一項に規定する代表理事をいう。第十九条第二号ロにおいて同じ。)以外の理事であって、理事会に出席したものの氏名 七 理事会に出席した会計監査人の氏名又は名称 八 理事会の議長が存するときは、議長の氏名 4 次の各号に掲げる場合には、理事会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。 一 法第九十六条の規定により理事会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項 イ 理事会の決議があったものとみなされた事項の内容 ロ イの事項の提案をした理事の氏名 ハ 理事会の決議があったものとみなされた日 ニ 議事録の作成に係る職務を行った理事の氏名 二 法第九十八条第一項の規定により理事会への報告を要しないものとされた場合 次に掲げる事項 イ 理事会への報告を要しないものとされた事項の内容 ロ 理事会への報告を要しないものとされた日 ハ 議事録の作成に係る職務を行った理事の氏名 (監査報告の作成) 第十六条 法第九十九条第一項の規定により法務省令で定める事項については、この条の定めるところによる。 2 監事は、その職務を適切に遂行するため、次に掲げる者との意思疎通を図り、情報の収集及び監査の環境の整備に努めなければならない。 この場合において、理事又は理事会は、監事の職務の執行のための必要な体制の整備に留意しなければならない。 一 当該一般社団法人の理事及び使用人 二 当該一般社団法人の子法人の理事、取締役、会計参与、執行役、業務を執行する社員、会社法第五百九十八条第一項の職務を行うべき者その他これらの者に相当する者及び使用人 三 その他監事が適切に職務を遂行するに当たり意思疎通を図るべき者 3 前項の規定は、監事が公正不偏の態度及び独立の立場を保持することができなくなるおそれのある関係の創設及び維持を認めるものと解してはならない。 4 監事は、その職務の遂行に当たり、必要に応じ、当該一般社団法人の他の監事、当該一般社団法人の子法人の監事、監査役その他これらの者に相当する者との意思疎通及び情報の交換を図るよう努めなければならない。 (監事の調査の対象) 第十七条 法第百二条に規定する法務省令で定めるものは、電磁的記録その他の資料とする。 (会計監査報告の作成) 第十八条 法第百七条第一項の規定により法務省令で定める事項については、この条の定めるところによる。 2 会計監査人は、その職務を適切に遂行するため、次に掲げる者との意思疎通を図り、情報の収集及び監査の環境の整備に努めなければならない。 ただし、会計監査人が公正不偏の態度及び独立の立場を保持することができなくなるおそれのある関係の創設及び維持を認めるものと解してはならない。 一 当該一般社団法人の理事及び使用人 二 当該一般社団法人の子法人の理事、取締役、会計参与、執行役、業務を執行する社員、会社法第五百九十八条第一項の職務を行うべき者その他これらの者に相当する者及び使用人 三 その他会計監査人が適切に職務を遂行するに当たり意思疎通を図るべき者 (報酬等の額の算定方法) 第十九条 法第百十三条第一項第二号に規定する法務省令で定める方法により算定される額は、次に掲げる額の合計額とする。 一 役員等がその在職中に報酬、賞与その他の職務執行の対価(当該役員等が当該一般社団法人の使用人を兼ねている場合における当該使用人の報酬、賞与その他の職務執行の対価を含む。)として一般社団法人から受け、又は受けるべき財産上の利益(次号に定めるものを除く。)の額の事業年度(次のイからハまでに掲げる場合の区分に応じ、当該イからハまでに定める日を含む事業年度及びその前の各事業年度に限る。)ごとの合計額(当該事業年度の期間が一年でない場合にあっては、当該合計額を一年当たりの額に換算した額)のうち最も高い額 イ 法第百十三条第一項の社員総会の決議を行った場合 当該社員総会の決議の日 ロ 法第百十四条第一項の規定による定款の定めに基づいて責任を免除する旨の同意(理事会設置一般社団法人(法第十六条第一項に規定する理事会設置一般社団法人をいう。)にあっては、理事会の決議。ロにおいて同じ。)を行った場合 当該同意のあった日 ハ 法第百十五条第一項の契約を締結した場合 責任の原因となる事実が生じた日(二以上の日がある場合にあっては、最も遅い日) 二 イに掲げる額をロに掲げる数で除して得た額 イ 次に掲げる額の合計額 (1) 当該役員等が当該一般社団法人から受けた退職慰労金の額 (2) 当該役員等が当該一般社団法人の使用人を兼ねていた場合における当該使用人としての退職手当のうち当該役員等を兼ねていた期間の職務執行の対価である部分の額 (3) (1)又は(2)に掲げるものの性質を有する財産上の利益の額 ロ 当該役員等がその職に就いていた年数(当該役員等が次に掲げるものに該当する場合における次に定める数が当該年数を超えている場合にあっては、当該数) (1) 代表理事 六 (2) 代表理事以外の理事であって、次に掲げる者 四 (i) 理事会の決議によって一般社団法人の業務を執行する理事として選定されたもの (ii) 当該一般社団法人の業務を執行した理事((i)に掲げる理事を除く。) (iii) 当該一般社団法人の使用人 (3) 理事((1)及び(2)に掲げるものを除く。)、監事又は会計監査人 二 (責任の免除の決議後に受ける退職慰労金等) 第二十条 法第百十三条第四項(法第百十四条第五項及び第百十五条第五項において準用する場合を含む。)に規定する法務省令で定める財産上の利益とは、次に掲げるものとする。 一 退職慰労金 二 当該役員等が当該一般社団法人の使用人を兼ねていたときは、当該使用人としての退職手当のうち当該役員等を兼ねていた期間の職務執行の対価である部分 三 前二号に掲げるものの性質を有する財産上の利益 (役員等賠償責任保険契約から除外する保険契約) 第二十条の二 法第百十八条の三第一項に規定する法務省令で定めるものは、次に掲げるものとする。 一 被保険者に保険者との間で保険契約を締結する一般社団法人を含む保険契約であって、当該一般社団法人がその業務に関連し第三者に生じた損害を賠償する責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって当該一般社団法人に生ずることのある損害を保険者が塡補することを主たる目的として締結されるもの 二 役員等が第三者に生じた損害を賠償する責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって当該役員等に生ずることのある損害(役員等がその職務上の義務に違反し若しくは職務を怠ったことによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって当該役員等に生ずることのある損害を除く。)を保険者が塡補することを目的として締結されるもの 第二節 計算 第一款 総則 第二十一条 この節の用語の解釈及び規定の適用に関しては、一般に公正妥当と認められる会計の基準その他の会計の慣行をしん酌しなければならない。 第二款 会計帳簿 (会計帳簿の作成) 第二十二条 法第百二十条第一項の規定により作成すべき会計帳簿に付すべき資産、負債及び純資産の価額その他会計帳簿の作成に関する事項(法第百四十一条第二項第二号の規定により法務省令で定めるべき事項を含む。)については、この款の定めるところによる。 2 会計帳簿は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。 (資産の評価) 第二十三条 資産については、この省令又は法以外の法令に別段の定めがある場合を除き、会計帳簿にその取得価額を付さなければならない。 2 償却すべき資産については、事業年度の末日(事業年度の末日以外の日において評価すべき場合にあっては、その日。以下この款において同じ。)において、相当の償却をしなければならない。 3 次の各号に掲げる資産については、事業年度の末日において当該各号に定める価格を付すべき場合には、当該各号に定める価格を付さなければならない。 一 事業年度の末日における時価がその時の取得原価より著しく低い資産(当該資産の時価がその時の取得原価まで回復すると認められるものを除く。) 事業年度の末日における時価 二 事業年度の末日において予測することができない減損が生じた資産又は減損損失を認識すべき資産 その時の取得原価から相当の減額をした額 4 取立不能のおそれのある債権については、事業年度の末日においてその時に取り立てることができないと見込まれる額を控除しなければならない。 5 債権については、その取得価額が債権金額と異なる場合その他相当の理由がある場合には、適正な価格を付すことができる。 6 次に掲げる資産については、事業年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことができる。 一 事業年度の末日における時価がその時の取得原価より低い資産 二 前号に掲げる資産のほか、事業年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことが適当な資産 (負債の評価) 第二十四条 負債については、この省令又は法以外の法令に別段の定めがある場合を除き、会計帳簿に債務額を付さなければならない。 2 次に掲げる負債については、事業年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことができる。 一 将来の費用又は損失(収益の控除を含む。以下この号において同じ。)の発生に備えて、その合理的な見積額のうち当該事業年度の負担に属する金額を費用又は損失として繰り入れることにより計上すべき引当金 二 前号に掲げる負債のほか、事業年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことが適当な負債 (のれんの評価) 第二十五条 のれんは、有償で譲り受け、又は合併により取得した場合に限り、資産又は負債として計上することができる。 第三款 計算関係書類 (計算関係書類) 第二十六条 法第百二十三条第一項及び第二項の規定により作成すべき計算関係書類(次に掲げるものをいう。以下この節において同じ。)については、この款の定めるところによる。 ただし、他の法令に別段の定めがある場合は、この限りでない。 一 成立の日における貸借対照表 二 各事業年度に係る計算書類(法第百二十三条第二項に規定する計算書類をいう。以下この節において同じ。)及びその附属明細書 (金額の表示の単位) 第二十七条 計算関係書類に係る事項の金額は、一円単位、千円単位又は百万円単位をもって表示するものとする。 (成立の日の貸借対照表) 第二十八条 法第百二十三条第一項の規定により作成すべき貸借対照表は、一般社団法人の成立の日における会計帳簿に基づき作成しなければならない。 (各事業年度に係る計算書類) 第二十九条 各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書の作成に係る期間は、当該事業年度の前事業年度の末日の翌日(当該事業年度の前事業年度がない場合にあっては、成立の日)から当該事業年度の末日までの期間とする。 この場合において、当該期間は、一年(事業年度の末日を変更する場合における変更後の最初の事業年度については、一年六箇月)を超えることができない。 2 法第百二十三条第二項の規定により作成すべき各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書は、当該事業年度に係る会計帳簿に基づき作成しなければならない。 (貸借対照表の区分) 第三十条 貸借対照表は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。 この場合において、第三号に掲げる部については、純資産を示す適当な名称を付すことができる。 一 資産 二 負債 三 純資産 2 前項各号に掲げる部は、適当な項目に細分することができる。 この場合において、当該各項目については、資産、負債又は純資産を示す適当な名称を付さなければならない。 (基金等) 第三十一条 基金(法第百三十一条に規定する基金をいう。以下この章において同じ。)の総額及び代替基金(法第百四十四条第一項の規定により計上された金額をいう。以下この章において同じ。)は、貸借対照表の純資産の部(前条第一項後段の規定により純資産を示す適当な名称を付したものを含む。)に計上しなければならない。 2 基金の返還に係る債務の額は、貸借対照表の負債の部に計上することができない。 (損益計算書の区分) 第三十二条 損益計算書は、収益若しくは費用又は利益若しくは損失について、適当な部又は項目に区分して表示しなければならない。 (附属明細書) 第三十三条 各事業年度に係る計算書類の附属明細書には、次に掲げる事項のほか、貸借対照表及び損益計算書の内容を補足する重要な事項を表示しなければならない。 一 重要な固定資産の明細 二 引当金の明細 第四款 事業報告 第三十四条 法第百二十三条第二項の規定により作成すべき事業報告及びその附属明細書については、この条の定めるところによる。 ただし、他の法令に別段の定めがある場合は、この限りでない。 2 事業報告は、次に掲げる事項をその内容としなければならない。 一 当該一般社団法人の状況に関する重要な事項(計算書類及びその附属明細書の内容となる事項を除く。) 二 法第七十六条第三項第三号及び第九十条第四項第五号に規定する体制の整備についての決定又は決議があるときは、その決定又は決議の内容の概要及び当該体制の運用状況の概要 3 事業報告の附属明細書は、事業報告の内容を補足する重要な事項をその内容としなければならない。 第五款 計算関係書類の監査 第一目 通則 第三十五条 法第百二十四条第一項及び第二項の規定による監査(計算関係書類(成立の日における貸借対照表を除く。以下この款において同じ。)に係るものに限る。以下この款において同じ。)については、この款の定めるところによる。 2 前項に規定する監査には、公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第二条第一項に規定する監査のほか、計算関係書類に表示された情報と計算関係書類に表示すべき情報との合致の程度を確かめ、かつ、その結果を利害関係者に伝達するための手続を含むものとする。 第二目 会計監査人設置一般社団法人以外の監事設置一般社団法人における監査 (監査報告の内容) 第三十六条 監事(会計監査人設置一般社団法人(法第十五条第二項第二号に規定する会計監査人設置一般社団法人をいう。以下この節において同じ。)の監事を除く。以下この目において同じ。)は、計算関係書類を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監査報告を作成しなければならない。 一 監事の監査の方法及びその内容 二 計算関係書類が当該一般社団法人の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについての意見 三 監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由 四 追記情報 五 監査報告を作成した日 2 前項第四号に規定する「追記情報」とは、次に掲げる事項その他の事項のうち、監事の判断に関して説明を付す必要がある事項又は計算関係書類の内容のうち強調する必要がある事項とする。 一 正当な理由による会計方針の変更 二 重要な偶発事象 三 重要な後発事象 (監査報告の通知期限等) 第三十七条 特定監事は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに、特定理事に対し、各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書についての監査報告の内容を通知しなければならない。 一 当該計算書類の全部を受領した日から四週間を経過した日 二 当該計算書類の附属明細書を受領した日から一週間を経過した日 三 特定理事及び特定監事が合意により定めた日があるときは、その日 2 計算関係書類については、特定理事が前項の規定による監査報告の内容の通知を受けた日に、監事の監査を受けたものとする。 3 前項の規定にかかわらず、特定監事が第一項の規定により通知をすべき日までに同項の規定による監査報告の内容の通知をしない場合には、当該通知をすべき日に、計算関係書類については、監事の監査を受けたものとみなす。 4 第一項及び第二項に規定する「特定理事」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者をいう。 一 第一項の規定による通知を受ける理事を定めた場合 当該通知を受ける理事として定められた理事 二 前号に掲げる場合以外の場合 監査を受けるべき計算関係書類の作成に関する職務を行った理事 5 第一項及び第三項に規定する「特定監事」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者をいう。 一 二人以上の監事が存する場合において、第一項の規定による監査報告の内容の通知をすべき監事を定めたとき 当該通知をすべき監事として定められた監事 二 二人以上の監事が存する場合において、第一項の規定による監査報告の内容の通知をすべき監事を定めていないとき すべての監事 三 前二号に掲げる場合以外の場合 監事 第三目 会計監査人設置一般社団法人における監査 (計算関係書類の提供) 第三十八条 計算関係書類を作成した理事は、会計監査人に対して計算関係書類を提供しようとするときは、監事に対しても計算関係書類を提供しなければならない。 (会計監査報告の内容) 第三十九条 会計監査人は、計算関係書類を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする会計監査報告を作成しなければならない。 一 会計監査人の監査の方法及びその内容 二 計算関係書類が当該一般社団法人の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについての意見があるときは、次のイからハまでに掲げる意見の区分に応じ、当該イからハまでに定める事項 イ 無限定適正意見 監査の対象となった計算関係書類が一般に公正妥当と認められる会計の慣行に準拠して、当該計算関係書類に係る期間の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示していると認められる旨 ロ 除外事項を付した限定付適正意見 監査の対象となった計算関係書類が除外事項を除き一般に公正妥当と認められる会計の慣行に準拠して、当該計算関係書類に係る期間の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示していると認められる旨並びに除外事項 ハ 不適正意見 監査の対象となった計算関係書類が不適正である旨及びその理由 三 前号の意見がないときは、その旨及びその理由 四 追記情報 五 会計監査報告を作成した日 2 前項第四号に規定する「追記情報」とは、次に掲げる事項その他の事項のうち、会計監査人の判断に関して説明を付す必要がある事項又は計算関係書類の内容のうち強調する必要がある事項とする。 一 正当な理由による会計方針の変更 二 重要な偶発事象 三 重要な後発事象 (会計監査人設置一般社団法人の監事の監査報告の内容) 第四十条 会計監査人設置一般社団法人の監事は、計算関係書類及び会計監査報告(次条第三項に規定する場合にあっては、計算関係書類)を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監査報告を作成しなければならない。 一 監事の監査の方法及びその内容 二 会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認めたときは、その旨及びその理由(次条第三項に規定する場合にあっては、会計監査報告を受領していない旨) 三 重要な後発事象(会計監査報告の内容となっているものを除く。) 四 会計監査人の職務の遂行が適正に実施されることを確保するための体制に関する事項 五 監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由 六 監査報告を作成した日 (会計監査報告の通知期限等) 第四十一条 会計監査人は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに、特定監事及び特定理事に対し、各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書についての会計監査報告の内容を通知しなければならない。 一 当該計算書類の全部を受領した日から四週間を経過した日 二 当該計算書類の附属明細書を受領した日から一週間を経過した日 三 特定理事、特定監事及び会計監査人の間で合意により定めた日があるときは、その日 2 計算関係書類については、特定監事及び特定理事が前項の規定による会計監査報告の内容の通知を受けた日に、会計監査人の監査を受けたものとする。 3 前項の規定にかかわらず、会計監査人が第一項の規定により通知をすべき日までに同項の規定による会計監査報告の内容の通知をしない場合には、当該通知をすべき日に、計算関係書類については、会計監査人の監査を受けたものとみなす。 4 第一項及び第二項に規定する「特定理事」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者をいう(第四十三条において同じ。)。 一 第一項の規定による通知を受ける理事を定めた場合 当該通知を受ける理事として定められた理事 二 前号に掲げる場合以外の場合 監査を受けるべき計算関係書類の作成に関する職務を行った理事 5 第一項及び第二項に規定する「特定監事」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者をいう(以下この目において同じ。)。 一 二人以上の監事が存する場合において、第一項の規定による会計監査報告の内容の通知を受ける監事を定めたとき 当該通知を受ける監事として定められた監事 二 二人以上の監事が存する場合において、第一項の規定による会計監査報告の内容の通知を受ける監事を定めていないとき すべての監事 三 前二号に掲げる場合以外の場合 監事 (会計監査人の職務の遂行に関する事項) 第四十二条 会計監査人は、前条第一項の規定による特定監事に対する会計監査報告の内容の通知に際して、当該会計監査人についての次に掲げる事項(当該事項に係る定めがない場合にあっては、当該事項を定めていない旨)を通知しなければならない。 ただし、すべての監事が既に当該事項を知っている場合は、この限りでない。 一 独立性に関する事項その他監査に関する法令及び規程の遵守に関する事項 二 監査、監査に準ずる業務及びこれらに関する業務の契約の受任及び継続の方針に関する事項 三 会計監査人の職務の遂行が適正に行われることを確保するための体制に関するその他の事項 (会計監査人設置一般社団法人の監事の監査報告の通知期限) 第四十三条 会計監査人設置一般社団法人の特定監事は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに、特定理事及び会計監査人に対し、計算関係書類に係る監査報告の内容を通知しなければならない。 一 会計監査報告を受領した日(第四十一条第三項に規定する場合にあっては、同項の規定により監査を受けたものとみなされた日)から一週間を経過した日 二 特定理事及び特定監事の間で合意により定めた日があるときは、その日 2 計算関係書類については、特定理事及び会計監査人が前項の規定による監査報告の内容の通知を受けた日に、監事の監査を受けたものとする。 3 前項の規定にかかわらず、特定監事が第一項の規定により通知をすべき日までに同項の規定による監査報告の内容の通知をしない場合には、当該通知をすべき日に、計算関係書類については、監事の監査を受けたものとみなす。 第六款 事業報告等の監査 (事業報告等の監査) 第四十四条 法第百二十四条第一項及び第二項の規定による監査(事業報告及びその附属明細書に係るものに限る。以下この款において同じ。)については、この款の定めるところによる。 (監査報告の内容) 第四十五条 監事は、事業報告及びその附属明細書を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監査報告を作成しなければならない。 一 監事の監査の方法及びその内容 二 事業報告及びその附属明細書が法令又は定款に従い当該一般社団法人の状況を正しく示しているかどうかについての意見 三 当該一般社団法人の理事の職務の遂行に関し、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったときは、その事実 四 監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由 五 第三十四条第二項第二号に掲げる事項(監査の範囲に属さないものを除く。)がある場合において、当該事項の内容が相当でないと認めるときは、その旨及びその理由 六 監査報告を作成した日 (監査報告の通知期限等) 第四十六条 特定監事は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに、特定理事に対し、監査報告の内容を通知しなければならない。 一 事業報告を受領した日から四週間を経過した日 二 事業報告の附属明細書を受領した日から一週間を経過した日 三 特定理事及び特定監事の間で合意により定めた日があるときは、その日 2 事業報告及びその附属明細書については、特定理事が前項の規定による監査報告の内容の通知を受けた日に、監事の監査を受けたものとする。 3 前項の規定にかかわらず、特定監事が第一項の規定により通知をすべき日までに同項の規定による監査報告の内容の通知をしない場合には、当該通知をすべき日に、事業報告及びその附属明細書については、監事の監査を受けたものとみなす。 4 第一項及び第二項に規定する「特定理事」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者をいう。 一 第一項の規定による通知を受ける理事を定めた場合 当該通知を受ける理事として定められた理事 二 前号に掲げる場合以外の場合 事業報告及びその附属明細書の作成に関する職務を行った理事 5 第一項及び第三項に規定する「特定監事」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者をいう。 一 二人以上の監事が存する場合において、第一項の規定による監査報告の内容の通知をすべき監事を定めたとき 当該通知をすべき監事として定められた監事 二 二人以上の監事が存する場合において、第一項の規定による監査報告の内容の通知をすべき監事を定めていないとき すべての監事 三 前二号に掲げる場合以外の場合 監事 第七款 計算書類等の社員への提供及び承認の特則に関する要件 第一目 計算書類等の社員への提供 第四十七条 法第百二十五条の規定による計算書類及び事業報告並びに監査報告(会計監査人設置一般社団法人にあっては、会計監査報告を含む。以下この条において「提供計算書類等」という。)の提供に関しては、この条の定めるところによる。 2 定時社員総会の招集通知を次の各号に掲げる方法により行う場合にあっては、提供計算書類等は、当該各号に定める方法により提供しなければならない。 一 書面の提供 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める方法 イ 提供計算書類等が書面をもって作成されている場合 当該書面に記載された事項を記載した書面の提供 ロ 提供計算書類等が電磁的記録をもって作成されている場合 当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面の提供 二 電磁的方法による提供 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める方法 イ 提供計算書類等が書面をもって作成されている場合 当該書面に記載された事項の電磁的方法による提供 ロ 提供計算書類等が電磁的記録をもって作成されている場合 当該電磁的記録に記録された事項の電磁的方法による提供 3 理事は、計算書類又は事業報告の内容とすべき事項について、定時社員総会の招集通知を発出した日から定時社員総会の前日までの間に修正をすべき事情が生じた場合における修正後の事項を社員に周知させる方法を当該招集通知と併せて通知することができる。 第二目 計算書類の承認の特則に関する要件 第四十八条 法第百二十七条に規定する法務省令で定める要件は、次のいずれにも該当することとする。 一 法第百二十七条に規定する計算書類についての会計監査報告の内容に第三十九条第一項第二号イに定める事項が含まれていること。 二 前号の会計監査報告に係る監査報告の内容として会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認める意見がないこと。 三 法第百二十七条に規定する計算書類が第四十三条第三項の規定により監査を受けたものとみなされたものでないこと。 第八款 計算書類の公告等 (不適正意見がある場合等における公告事項) 第四十九条 次の各号のいずれかに該当する場合において、会計監査人設置一般社団法人が法第百二十八条第一項又は第二項の規定による公告(同条第三項に規定する措置を含む。以下この条において同じ。)をするときは、当該各号に定める事項を当該公告において明らかにしなければならない。 一 会計監査人が存しない場合(法第七十五条第四項の一時会計監査人の職務を行うべき者が存する場合を除く。) 会計監査人が存しない旨 二 第四十一条第三項の規定により監査を受けたものとみなされた場合 その旨 三 当該公告に係る計算書類についての会計監査報告に不適正意見がある場合 その旨 四 当該公告に係る計算書類についての会計監査報告が第三十九条第一項第三号に掲げる事項を内容としているものである場合 その旨 (金額の表示の単位) 第五十条 貸借対照表の要旨又は損益計算書の要旨に係る事項の金額は、百万円単位又は十億円単位をもって表示するものとする。 2 前項の規定にかかわらず、一般社団法人の財産又は損益の状態を的確に判断することができなくなるおそれがある場合には、貸借対照表の要旨又は損益計算書の要旨に係る事項の金額は、適切な単位をもって表示しなければならない。 (貸借対照表等の電磁的方法による公開の方法) 第五十一条 法第百二十八条第三項の規定による措置は、第九十二条第一項第一号ロに掲げる方法のうち、インターネットに接続された自動公衆送信装置を使用する方法によって行わなければならない。 第三節 基金 (申込みをしようとする者に対して通知すべき事項) 第五十二条 法第百三十三条第一項第四号に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 基金の拠出者の権利に関する規定 二 基金の返還の手続 三 定款に定められた事項(法第百三十三条第一項第一号から第三号まで及び前二号に掲げる事項を除く。)であって、当該一般社団法人に対して基金の引受けの申込みをしようとする者が当該者に対して通知することを請求した事項 2 前項の規定にかかわらず、設立時社員(法第十条第一項に規定する設立時社員をいう。以下同じ。)が法第百三十三条第一項の規定による通知をする場合には、同項第四号に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 定款の認証の年月日及びその認証をした公証人の氏名 二 法第十一条第一項第一号及び第三号から第七号までに掲げる事項 三 前項第一号及び第二号に掲げる事項 四 定款に定められた事項(法第百三十三条第一項第一号から第三号まで及び前三号に掲げる事項を除く。)であって、当該設立時社員に対して基金の引受けの申込みをしようとする者が当該者に対して通知することを請求した事項 (検査役の調査を要しない市場価格のある有価証券) 第五十三条 法第百三十七条第九項第二号に規定する法務省令で定める方法は、次に掲げる額のうちいずれか高い額をもって同号に規定する有価証券の価格とする方法とする。 一 法第百三十二条第一項第二号の価額を定めた日(以下この条において「価額決定日」という。)における当該有価証券を取引する市場における最終の価格(当該価額決定日に売買取引がない場合又は当該価額決定日が当該市場の休業日に当たる場合にあっては、その後最初にされた売買取引の成立価格) 二 価額決定日において当該有価証券が公開買付け等(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二十七条の二第六項(同法第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。)に規定する公開買付け及びこれに相当する外国の法令に基づく制度をいう。以下この号において同じ。)の対象であるときは、当該価額決定日における当該公開買付け等に係る契約における当該有価証券の価格 (銀行等) 第五十四条 法第百三十八条第一項に規定する法務省令で定めるものは、次に掲げるものとする。 一 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第三号の事業を行う農業協同組合又は農業協同組合連合会 二 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第四号、第八十七条第一項第四号、第九十三条第一項第二号又は第九十七条第一項第二号の事業を行う漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合又は水産加工業協同組合連合会 三 信用協同組合又は中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の九第一項第一号の事業を行う協同組合連合会 四 信用金庫又は信用金庫連合会 五 労働金庫又は労働金庫連合会 六 農林中央金庫 (吸収合併存続一般社団法人の代替基金) 第五十五条 法第百四十四条第三項の規定により吸収合併存続一般社団法人(吸収合併後存続する一般社団法人をいう。以下この条において同じ。)が当該合併に際して代替基金として計上すべき額は、次に掲げる額の合計額とする。 一 吸収合併の直前の吸収合併存続一般社団法人の代替基金の額 二 吸収合併の直前の吸収合併消滅一般社団法人(吸収合併により消滅する一般社団法人をいう。)の代替基金の額の範囲内で、吸収合併存続一般社団法人が定めた額 (新設合併設立一般社団法人の代替基金) 第五十六条 法第百四十四条第三項の規定により新設合併設立一般社団法人(新設合併により設立する一般社団法人をいう。)が当該合併に際して代替基金として計上すべき額は、新設合併の直前の各新設合併消滅一般社団法人(新設合併により消滅する一般社団法人をいう。以下この条において同じ。)の代替基金の額の合計額の範囲内で、新設合併消滅一般社団法人が定めた額とする。 第四節 解散 第五十七条 法第百四十九条第一項の届出(以下この条において単に「届出」という。)は、書面でしなければならない。 2 前項の書面には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当該一般社団法人の名称及び主たる事務所並びに代表者の氏名及び住所 二 代理人によって届出をするときは、その氏名及び住所 三 まだ事業を廃止していない旨 四 届出の年月日 五 登記所の表示 3 代理人によって届出をするには、第一項の書面にその権限を証する書面を添付しなければならない。 第三章 一般財団法人 第一節 機関 第一款 評議員会 (招集の決定事項) 第五十八条 法第百八十一条第一項第三号に規定する法務省令で定める事項は、評議員会の目的である事項に係る議案(当該目的である事項が議案となるものを除く。)の概要(議案が確定していない場合にあっては、その旨)とする。 (理事等の説明義務) 第五十九条 法第百九十条に規定する法務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。 一 評議員が説明を求めた事項について説明をするために調査をすることが必要である場合(次に掲げる場合を除く。) イ 当該評議員が評議員会の日より相当の期間前に当該事項を一般財団法人に対して通知した場合 ロ 当該事項について説明をするために必要な調査が著しく容易である場合 二 評議員が説明を求めた事項について説明をすることにより一般財団法人その他の者(当該評議員を除く。)の権利を侵害することとなる場合 三 評議員が当該評議員会において実質的に同一の事項について繰り返して説明を求める場合 四 前三号に掲げる場合のほか、評議員が説明を求めた事項について説明をしないことにつき正当な理由がある場合 (評議員会の議事録) 第六十条 法第百九十三条第一項の規定による評議員会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。 2 評議員会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。 3 評議員会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。 一 評議員会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない理事、監事、会計監査人又は評議員が評議員会に出席した場合における当該出席の方法を含む。) 二 評議員会の議事の経過の要領及びその結果 三 決議を要する事項について特別の利害関係を有する評議員があるときは、当該評議員の氏名 四 次に掲げる規定により評議員会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要 イ 法第百七十七条において準用する法第七十四条第一項(法第百七十七条において準用する法第七十四条第四項において準用する場合を含む。) ロ 法第百七十七条において準用する法第七十四条第二項(法第百七十七条において準用する法第七十四条第四項において準用する場合を含む。) ハ 法第百九十七条において準用する法第百二条 ニ 法第百九十七条において準用する法第百五条第三項 ホ 法第百九十七条において準用する法第百九条第一項 ヘ 法第百九十七条において準用する法第百九条第二項 五 評議員会に出席した評議員、理事、監事又は会計監査人の氏名又は名称 六 評議員会の議長が存するときは、議長の氏名 七 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名 4 次の各号に掲げる場合には、評議員会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。 一 法第百九十四条第一項の規定により評議員会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項 イ 評議員会の決議があったものとみなされた事項の内容 ロ イの事項の提案をした者の氏名 ハ 評議員会の決議があったものとみなされた日 ニ 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名 二 法第百九十五条の規定により評議員会への報告があったものとみなされた場合 次に掲げる事項 イ 評議員会への報告があったものとみなされた事項の内容 ロ 評議員会への報告があったものとみなされた日 ハ 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名 第二款 役員等 (補欠の役員の選任に関する規定の準用) 第六十一条 第十二条の規定は、法第百七十七条において準用する法第六十三条第二項の規定により法務省令で定めるべき事項について準用する。 この場合において、第十二条第三項中「社員総会」とあるのは「評議員会」と読み替えるものとする。 (理事会等に関する規定の準用) 第六十二条 第十四条から第十八条までの規定は、法第百九十七条において準用する法第九十条第四項第五号、第九十五条第三項、第九十九条第一項、第百二条及び第百七条第一項の規定により法務省令で定めるべき事項について準用する。 この場合において、第十五条第三項第二号イ中「法第九十三条第二項」とあるのは「法第百九十七条において準用する法第九十三条第二項」と、同号ロ中「法第九十三条第三項」とあるのは「法第百九十七条において準用する法第九十三条第三項」と、同号ハ中「法第百一条第二項」とあるのは「法第百九十七条において準用する法第百一条第二項」と、同号ニ中「法第百一条第三項」とあるのは「法第百九十七条において準用する法第百一条第三項」と、同項第五号イ中「法第九十二条第二項」とあるのは「法第百九十七条において準用する法第九十二条第二項」と、同号ロ中「法第百条」とあるのは「法第百九十七条において準用する法第百条」と、同号ハ中「法第百一条第一項」とあるのは「法第百九十七条において準用する法第百一条第一項」と、同号ニ中「法第百十八条の二第四項」とあるのは「法第百九十八条の二において準用する法第百十八条の二第四項」と、同項第六号中「法第九十五条第三項」とあるのは「法第百九十七条において準用する法第九十五条第三項」と、「法第二十一条第一項」とあるのは「法第百六十二条第一項」と、「第十九条第二号ロ」とあるのは「第六十三条において準用する第十九条第二号ロ」と、同条第四項第一号中「法第九十六条」とあるのは「法第百九十七条において準用する法第九十六条」と、同項第二号中「法第九十八条第一項」とあるのは「法第百九十七条において準用する法第九十八条第一項」と、第十六条第二項及び第四項並びに第十八条第二項中「一般社団法人」とあるのは「一般財団法人」と、読み替えるものとする。 (役員等の損害賠償責任に関する規定の準用) 第六十三条 第十九条及び第二十条の規定は、法第百九十八条において準用する法第百十三条第一項第二号及び第四項(法第百九十八条において準用する法第百十四条第五項及び第百十五条第五項において準用する場合を含む。)の規定により法務省令で定めるべき事項について準用する。 この場合において、これらの規定(第十九条第一号ロを除く。)中「一般社団法人」とあるのは「一般財団法人」と、第十九条第一号イ中「社員総会」とあるのは「評議員会」と、同号ロ中「法第百十四条第一項」とあるのは「法第百九十八条において準用する法第百十四条第一項」と、「同意(理事会設置一般社団法人(法第十六条第一項に規定する理事会設置一般社団法人をいう。)にあっては、理事会の決議。ロにおいて同じ。)」とあるのは「理事会の決議」と、「当該同意のあった日」とあるのは「当該決議のあった日」と、同号ハ中「法第百十五条第一項」とあるのは「法第百九十八条において準用する法第百十五条第一項」と読み替えるものとする。 (役員等のために締結される保険契約に関する規定の準用) 第六十三条の二 第二十条の二の規定は、法第百九十八条の二において準用する法第百十八条の三第一項の規定により法務省令で定めるべき事項について準用する。 この場合において、「一般社団法人」とあるのは、「一般財団法人」と読み替えるものとする。 第二節 計算 第六十四条 前章第二節(第三十一条を除く。)の規定は、法第百九十九条において準用する法第百二十条第一項、第百二十三条第一項及び第二項、第百二十四条第一項及び第二項、第百二十五条、第百二十七条並びに第百二十八条第一項及び第三項の規定により法務省令で定めるべき事項について準用する。 この場合において、これらの規定(第三十六条第一項、第四十条、第四十三条第一項及び第四十九条を除く。)中「一般社団法人」とあるのは「一般財団法人」と、第二十六条第二号中「法第百二十三条第二項」とあるのは「法第百九十九条において準用する法第百二十三条第二項」と、第三十四条第二項第二号中「法第七十六条第三項第三号及び第九十条第四項第五号」とあるのは「法第百九十七条において準用する法第九十条第四項第五号」と、「決定又は決議」とあるのは「決議」と、第三十六条第一項中「会計監査人設置一般社団法人(法第十五条第二項第二号に規定する会計監査人設置一般社団法人」とあるのは「会計監査人設置一般財団法人(法第百五十三条第一項第七号に規定する会計監査人設置一般財団法人」と、同項第二号中「当該一般社団法人」とあるのは「当該一般財団法人」と、第四十条、第四十三条第一項及び第四十九条中「会計監査人設置一般社団法人」とあるのは「会計監査人設置一般財団法人」と、第四十七条第二項及び第三項中「社員総会」とあるのは「評議員会」と、同条第二項中「招集通知」とあるのは「招集通知(法第百八十二条第一項又は第二項の規定による通知をいう。次項において同じ。)」と、同条第三項中「社員に」とあるのは「評議員に」と、第四十九条第一号中「法第七十五条第四項」とあるのは「法第百七十七条において準用する法第七十五条第四項」と読み替えるものとする。 第三節 解散 第六十五条 法第二百三条第一項の届出(以下この条において単に「届出」という。)は、書面でしなければならない。 2 前項の書面には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当該一般財団法人の名称及び主たる事務所並びに代表者の氏名及び住所 二 代理人によって届出をするときは、その氏名及び住所 三 まだ事業を廃止していない旨 四 届出の年月日 五 登記所の表示 3 代理人によって届出をするには、第一項の書面にその権限を証する書面を添付しなければならない。 第四章 清算 (清算人会設置法人以外の清算法人の業務の適正を確保するための体制) 第六十六条 法第二百十三条第三項第四号に規定する法務省令で定める体制は、次に掲げる体制とする。 一 清算人の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制 二 損失の危険の管理に関する規程その他の体制 三 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制 2 清算人が二人以上ある清算法人(法第二百七条に規定する清算法人をいう。以下同じ。)である場合には、前項に規定する体制には、業務の決定が適正に行われることを確保するための体制を含むものとする。 3 監事設置清算法人(法第二百十四条第六項に規定する監事設置清算法人をいう。以下この章において同じ。)以外の清算法人である場合には、第一項に規定する体制には、清算人が社員又は評議員に報告すべき事項の報告をするための体制を含むものとする。 4 監事設置清算法人である場合には、第一項に規定する体制には、次に掲げる体制を含むものとする。 一 監事がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する体制 二 前号の使用人の清算人からの独立性に関する事項 三 監事の第一号の使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項 四 清算人及び使用人が監事に報告をするための体制その他の監事への報告に関する体制 五 前号の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制 六 監事の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項 七 その他監事の監査が実効的に行われることを確保するための体制 (清算人会設置法人の業務の適正を確保するための体制) 第六十七条 法第二百二十条第六項第五号に規定する法務省令で定める体制は、次に掲げる体制とする。 一 清算人の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制 二 損失の危険の管理に関する規程その他の体制 三 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制 2 清算人会設置法人(法第二百九条第五項に規定する清算人会設置法人をいう。次項において同じ。)が、監事設置清算法人以外のものである場合には、前項に規定する体制には、清算人が社員又は評議員に報告すべき事項の報告をするための体制を含むものとする。 3 清算人会設置法人が、監事設置清算法人である場合には、第一項に規定する体制には、次に掲げる体制を含むものとする。 一 監事がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する体制 二 前号の使用人の清算人からの独立性に関する事項 三 監事の第一号の使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項 四 清算人及び使用人が監事に報告をするための体制その他の監事への報告に関する体制 五 前号の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制 六 監事の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項 七 その他監事の監査が実効的に行われることを確保するための体制 (清算人会の議事録) 第六十八条 法第二百二十一条第五項において準用する法第九十五条第三項の規定による清算人会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。 2 清算人会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。 3 清算人会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。 一 清算人会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない清算人、監事、社員又は評議員が清算人会に出席した場合における当該出席の方法を含む。) 二 清算人会が次に掲げるいずれかのものに該当するときは、その旨 イ 法第二百二十一条第二項の規定による清算人の請求を受けて招集されたもの ロ 法第二百二十一条第三項の規定により清算人が招集したもの ハ 法第二百二十二条第一項の規定による社員又は評議員の請求を受けて招集されたもの ニ 法第二百二十二条第三項において準用する法第二百二十一条第三項の規定により社員又は評議員が招集したもの ホ 法第百一条第二項(法第百九十七条において準用する場合を含む。)の規定による監事の請求を受けて招集されたもの ヘ 法第百一条第三項(法第百九十七条において準用する場合を含む。)の規定により監事が招集したもの 三 清算人会の議事の経過の要領及びその結果 四 決議を要する事項について特別の利害関係を有する清算人があるときは、その氏名 五 次に掲げる規定により清算人会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要 イ 法第百条(法第百九十七条において準用する場合を含む。) ロ 法第百一条第一項(法第百九十七条において準用する場合を含む。) ハ 法第二百二十条第十項において準用する法第九十二条第二項 ニ 法第二百二十二条第四項 六 法第二百二十一条第五項において準用する法第九十五条第三項の定款の定めがあるときは、代表清算人(法第二百十四条第一項に規定する代表清算人をいう。)以外の清算人であって、清算人会に出席したものの氏名 七 清算人会に出席した社員又は評議員の氏名又は名称 八 清算人会の議長が存するときは、議長の氏名 4 次の各号に掲げる場合には、清算人会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。 一 法第二百二十一条第五項において準用する法第九十六条の規定により清算人会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項 イ 清算人会の決議があったものとみなされた事項の内容 ロ イの事項の提案をした清算人の氏名 ハ 清算人会の決議があったものとみなされた日 ニ 議事録の作成に係る職務を行った清算人の氏名 二 法第二百二十一条第六項において準用する法第九十八条第一項の規定により清算人会への報告を要しないものとされた場合 次に掲げる事項 イ 清算人会への報告を要しないものとされた事項の内容 ロ 清算人会への報告を要しないものとされた日 ハ 議事録の作成に係る職務を行った清算人の氏名 (財産目録) 第六十九条 法第二百二十五条第一項の規定により作成すべき財産目録については、この条の定めるところによる。 2 前項の財産目録に計上すべき財産については、その処分価格を付すことが困難な場合を除き、法第二百六条各号に掲げる場合に該当することとなった日における処分価格を付さなければならない。 この場合において、清算法人の会計帳簿については、財産目録に付された価格を取得価額とみなす。 3 第一項の財産目録は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。 この場合において、第一号及び第二号に掲げる部は、その内容を示す適当な名称を付した項目に細分することができる。 一 資産 二 負債 三 正味資産 (清算開始時の貸借対照表) 第七十条 法第二百二十五条第一項の規定により作成すべき貸借対照表については、この条の定めるところによる。 2 前項の貸借対照表は、財産目録に基づき作成しなければならない。 3 第一項の貸借対照表は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。 この場合において、第三号に掲げる部については、純資産を示す適当な名称を付すことができる。 一 資産 二 負債 三 純資産 4 前項各号に掲げる部は、適当な項目に細分することができる。 この場合において、当該各項目については、資産、負債又は純資産を示す適当な名称を付さなければならない。 5 処分価格を付すことが困難な資産がある場合には、第一項の貸借対照表には、当該資産に係る財産評価の方針を注記しなければならない。 (各清算事務年度に係る貸借対照表) 第七十一条 法第二百二十七条第一項の規定により作成すべき貸借対照表は、各清算事務年度(同項に規定する各清算事務年度をいう。第七十三条第二項において同じ。)に係る会計帳簿に基づき作成しなければならない。 2 前条第三項及び第四項の規定は、前項の貸借対照表について準用する。 3 法第二百二十七条第一項の規定により作成すべき貸借対照表の附属明細書は、貸借対照表の内容を補足する重要な事項をその内容としなければならない。 (各清算事務年度に係る事務報告) 第七十二条 法第二百二十七条第一項の規定により作成すべき事務報告は、清算に関する事務の執行の状況に係る重要な事項をその内容としなければならない。 2 法第二百二十七条第一項の規定により作成すべき事務報告の附属明細書は、事務報告の内容を補足する重要な事項をその内容としなければならない。 (清算法人の監査報告) 第七十三条 法第二百二十八条第一項の規定による監査については、この条の定めるところによる。 2 清算法人の監事は、各清算事務年度に係る貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監査報告を作成しなければならない。 一 監事の監査の方法及びその内容 二 各清算事務年度に係る貸借対照表及びその附属明細書が当該清算法人の財産の状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについての意見 三 各清算事務年度に係る事務報告及びその附属明細書が法令又は定款に従い当該清算法人の状況を正しく示しているかどうかについての意見 四 清算人の職務の遂行に関し、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったときは、その事実 五 監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由 六 監査報告を作成した日 3 特定監事は、第七十一条第一項の貸借対照表及び前条第一項の事務報告の全部を受領した日から四週間を経過した日(特定清算人(次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者をいう。以下この条において同じ。)及び特定監事の間で合意した日がある場合にあっては、当該日)までに、特定清算人に対して、監査報告の内容を通知しなければならない。 一 この項の規定による通知を受ける清算人を定めた場合 当該通知を受ける清算人として定められた清算人 二 前号に掲げる場合以外の場合 第七十一条第一項の貸借対照表及び前条第一項の事務報告並びにこれらの附属明細書の作成に関する職務を行った清算人 4 第七十一条第一項の貸借対照表及び前条第一項の事務報告並びにこれらの附属明細書については、特定清算人が前項の規定による監査報告の内容の通知を受けた日に、監事の監査を受けたものとする。 5 前項の規定にかかわらず、特定監事が第三項の規定により通知をすべき日までに同項の規定による監査報告の内容の通知をしない場合には、当該通知をすべき日に、第七十一条第一項の貸借対照表及び前条第一項の事務報告並びにこれらの附属明細書については、監事の監査を受けたものとみなす。 6 第三項及び前項に規定する「特定監事」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者とする。 一 二人以上の監事が存する場合において、第三項の規定による監査報告の内容の通知をすべき監事を定めたとき 当該通知をすべき監事として定められた監事 二 二人以上の監事が存する場合において、第三項の規定による監査報告の内容の通知をすべき監事を定めていないとき すべての監事 三 前二号に掲げる場合以外の場合 監事 (決算報告) 第七十四条 法第二百四十条第一項の規定により作成すべき決算報告は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。 この場合において、第一号及び第二号に掲げる事項については、適切な項目に細分することができる。 一 債権の取立て、資産の処分その他の行為によって得た収入の額 二 債務の弁済、清算に係る費用の支払その他の行為による費用の額 三 残余財産の額(支払税額がある場合には、その税額及び当該税額を控除した後の財産の額) 2 前項第三号に掲げる事項については、残余財産の引渡しを完了した日を注記しなければならない。 第五章 合併 第一節 吸収合併消滅法人の手続 (吸収合併消滅法人の事前開示事項) 第七十五条 法第二百四十六条第一項に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 吸収合併存続法人(法第二百四十四条第一号に規定する吸収合併存続法人をいう。以下この章において同じ。)の定款の定め 二 吸収合併存続法人についての次に掲げる事項 イ 最終事業年度(法第二条第二号又は第三号に規定する最終事業年度をいう。以下この章において同じ。)に係る計算書類等(最終事業年度がない場合にあっては、吸収合併存続法人の成立の日における貸借対照表)の内容 ロ 最終事業年度の末日(最終事業年度がない場合にあっては、吸収合併存続法人の成立の日)後に重要な財産の処分、重大な債務の負担その他の法人財産(一般社団法人等の財産をいう。以下この章において同じ。)の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは、その内容(吸収合併契約備置開始日(法第二百四十六条第二項に規定する吸収合併契約備置開始日をいう。以下この項において同じ。)後吸収合併の効力が生ずる日までの間に新たな最終事業年度が存することとなる場合にあっては、当該新たな最終事業年度の末日後に生じた事象の内容に限る。) 三 吸収合併消滅法人(法第二百四十四条第一号に規定する吸収合併消滅法人をいう。以下この章において同じ。)(清算法人を除く。以下この号において同じ。)についての次に掲げる事項 イ 吸収合併消滅法人において最終事業年度の末日(最終事業年度がない場合にあっては、吸収合併消滅法人の成立の日)後に重要な財産の処分、重大な債務の負担その他の法人財産の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは、その内容(吸収合併契約備置開始日後吸収合併の効力が生ずる日までの間に新たな最終事業年度が存することとなる場合にあっては、当該新たな最終事業年度の末日後に生じた事象の内容に限る。) ロ 吸収合併消滅法人において最終事業年度がないときは、吸収合併消滅法人の成立の日における貸借対照表 四 吸収合併が効力を生ずる日以後における吸収合併存続法人の債務(法第二百四十八条第一項の規定により吸収合併について異議を述べることができる債権者に対して負担する債務に限る。)の履行の見込みに関する事項 五 吸収合併契約備置開始日後、前各号に掲げる事項に変更が生じたときは、変更後の当該事項 2 前項第二号イに規定する「計算書類等」とは、次の各号に掲げる一般社団法人等の区分に応じ、当該各号に定めるものをいう(以下この章において同じ。)。 一 一般社団法人 各事業年度に係る計算書類(法第百二十三条第二項に規定する計算書類をいう。)及び事業報告(法第百二十四条第一項又は第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。) 二 一般財団法人 各事業年度に係る計算書類(法第百九十九条において準用する法第百二十三条第二項に規定する計算書類をいう。)、事業報告及び監査報告(法第百九十九条において準用する法第百二十四条第二項の規定の適用がある場合にあっては、会計監査報告を含む。) (計算書類に関する事項) 第七十六条 法第二百四十八条第二項第三号に規定する法務省令で定めるものは、同項の規定による公告の日又は同項の規定による催告の日のいずれか早い日における次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものとする。 一 最終事業年度に係る貸借対照表又はその要旨につき公告対象法人(法第二百四十八条第二項第三号の一般社団法人等をいう。以下この条において同じ。)が法第百二十八条第一項又は第二項(これらの規定を法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定により公告をしている場合(法第三百三十一条第一項第四号に掲げる方法により公告をしている場合を除く。) 次に掲げるもの イ 官報で公告をしているときは、当該官報の日付及び当該公告が掲載されている頁 ロ 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙で公告をしているときは、当該日刊新聞紙の名称、日付及び当該公告が掲載されている頁 ハ 電子公告(法第三百三十一条第一項第三号に規定する電子公告をいう。以下同じ。)により公告をしているときは、法第三百一条第二項第十五号イ又は第三百二条第二項第十三号イに掲げる事項 二 最終事業年度に係る貸借対照表につき公告対象法人が法第百二十八条第三項(法第百九十九条において準用する場合を含む。)に規定する措置を執っている場合 法第三百一条第二項第十三号又は第三百二条第二項第十一号に掲げる事項 三 公告対象法人につき最終事業年度がない場合 その旨 四 公告対象法人が清算法人である場合 その旨 五 前各号に掲げる場合以外の場合 最終事業年度に係る貸借対照表の要旨の内容 2 第五十条の規定は、前項第五号の貸借対照表の要旨について準用する。 第二節 吸収合併存続法人の手続 (吸収合併存続法人の事前開示事項) 第七十七条 法第二百五十条第一項に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 吸収合併消滅法人(清算法人を除く。)についての次に掲げる事項 イ 最終事業年度に係る計算書類等(最終事業年度がない場合にあっては、吸収合併消滅法人の成立の日における貸借対照表)の内容 ロ 最終事業年度の末日(最終事業年度がない場合にあっては、吸収合併消滅法人の成立の日)後に重要な財産の処分、重大な債務の負担その他の法人財産の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは、その内容(吸収合併契約備置開始日(法第二百五十条第二項に規定する吸収合併契約備置開始日をいう。以下この条において同じ。)後吸収合併の効力が生ずる日までの間に新たな最終事業年度が存することとなる場合にあっては、当該新たな最終事業年度の末日後に生じた事象の内容に限る。) 二 吸収合併消滅法人(清算法人に限る。)が法第二百二十五条第一項の規定により作成した貸借対照表 三 吸収合併存続法人についての次に掲げる事項 イ 吸収合併存続法人において最終事業年度の末日(最終事業年度がない場合にあっては、吸収合併存続法人の成立の日)後に重要な財産の処分、重大な債務の負担その他の法人財産の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは、その内容(吸収合併契約備置開始日後吸収合併の効力が生ずる日までの間に新たな最終事業年度が存することとなる場合にあっては、当該新たな最終事業年度の末日後に生じた事象の内容に限る。) ロ 吸収合併存続法人において最終事業年度がないときは、吸収合併存続法人の成立の日における貸借対照表 四 吸収合併が効力を生ずる日以後における吸収合併存続法人の債務(法第二百五十二条第一項の規定により吸収合併について異議を述べることができる債権者に対して負担する債務に限る。)の履行の見込みに関する事項 五 吸収合併契約備置開始日後吸収合併が効力を生ずる日までの間に、前各号に掲げる事項に変更が生じたときは、変更後の当該事項 (資産の額等) 第七十八条 法第二百五十一条第二項に規定する債務の額として法務省令で定める額は、第一号に掲げる額から第二号に掲げる額を減じて得た額とする。 一 吸収合併の直後に吸収合併存続法人の貸借対照表の作成があったものとする場合における当該貸借対照表の負債の部に計上すべき額 二 吸収合併の直前に吸収合併存続法人の貸借対照表の作成があったものとする場合における当該貸借対照表の負債の部に計上すべき額 2 法第二百五十一条第二項に規定する資産の額として法務省令で定める額は、第一号に掲げる額から第二号に掲げる額を減じて得た額とする。 一 吸収合併の直後に吸収合併存続法人の貸借対照表の作成があったものとする場合における当該貸借対照表の資産の部に計上すべき額 二 吸収合併の直前に吸収合併存続法人の貸借対照表の作成があったものとする場合における当該貸借対照表の資産の部に計上すべき額 (計算書類に関する事項) 第七十九条 法第二百五十二条第二項第三号に規定する法務省令で定めるものは、同項の規定による公告の日又は同項の規定による催告の日のいずれか早い日における次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものとする。 一 最終事業年度に係る貸借対照表又はその要旨につき公告対象法人(法第二百五十二条第二項第三号の一般社団法人等をいう。以下この条において同じ。)が法第百二十八条第一項又は第二項(これらの規定を法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定により公告をしている場合(法第三百三十一条第一項第四号に掲げる方法により公告をしている場合を除く。) 次に掲げるもの イ 官報で公告をしているときは、当該官報の日付及び当該公告が掲載されている頁 ロ 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙で公告をしているときは、当該日刊新聞紙の名称、日付及び当該公告が掲載されている頁 ハ 電子公告により公告をしているときは、法第三百一条第二項第十五号イ又は第三百二条第二項第十三号イに掲げる事項 二 最終事業年度に係る貸借対照表につき公告対象法人が法第百二十八条第三項(法第百九十九条において準用する場合を含む。)に規定する措置を執っている場合 法第三百一条第二項第十三号又は第三百二条第二項第十一号に掲げる事項 三 公告対象法人につき最終事業年度がない場合 その旨 四 公告対象法人が清算法人である場合 その旨 五 前各号に掲げる場合以外の場合 最終事業年度に係る貸借対照表の要旨の内容 2 第五十条の規定は、前項第五号の貸借対照表の要旨について準用する。 (吸収合併存続法人の事後開示事項) 第八十条 法第二百五十三条第一項に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 吸収合併が効力を生じた日 二 吸収合併消滅法人における法第二百四十八条の規定による手続の経過 三 吸収合併存続法人における法第二百五十二条の規定による手続の経過 四 吸収合併により吸収合併存続法人が吸収合併消滅法人から承継した重要な権利義務に関する事項 五 法第二百四十六条第一項の規定により吸収合併消滅法人が備え置いた書面又は電磁的記録に記載又は記録がされた事項(吸収合併契約の内容を除く。) 六 法第三百六条第一項の変更の登記をした日 七 前各号に掲げるもののほか、吸収合併に関する重要な事項 第三節 新設合併消滅法人の手続 (新設合併消滅法人の事前開示事項) 第八十一条 法第二百五十六条第一項に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 他の新設合併消滅法人(法第二百五十四条第一号に規定する新設合併消滅法人をいう。以下この章において同じ。)(清算法人を除く。以下この号において同じ。)についての次に掲げる事項 イ 最終事業年度に係る計算書類等(最終事業年度がない場合にあっては、他の新設合併消滅法人の成立の日における貸借対照表)の内容 ロ 他の新設合併消滅法人において最終事業年度の末日(最終事業年度がない場合にあっては、他の新設合併消滅法人の成立の日)後に重要な財産の処分、重大な債務の負担その他の法人財産の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは、その内容(新設合併契約備置開始日(法第二百五十六条第二項に規定する新設合併契約備置開始日をいう。以下この条において同じ。)後新設合併の効力が生ずる日までの間に新たな最終事業年度が存することとなる場合にあっては、当該新たな最終事業年度の末日後に生じた事象の内容に限る。) 二 他の新設合併消滅法人(清算法人に限る。)が法第二百二十五条第一項の規定により作成した貸借対照表 三 当該新設合併消滅法人(清算法人を除く。以下この号において同じ。)についての次に掲げる事項 イ 当該新設合併消滅法人において最終事業年度の末日(最終事業年度がない場合にあっては、当該新設合併消滅法人の成立の日)後に重要な財産の処分、重大な債務の負担その他の法人財産の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは、その内容(新設合併契約備置開始日後新設合併の効力が生ずる日までの間に新たな最終事業年度が存することとなる場合にあっては、当該新たな最終事業年度の末日後に生じた事象の内容に限る。) ロ 当該新設合併消滅法人において最終事業年度がないときは、当該新設合併消滅法人の成立の日における貸借対照表 四 新設合併が効力を生ずる日以後における新設合併設立法人(法第二百五十四条第二号に規定する新設合併設立法人をいう。第八十三条第三号において同じ。)の債務(他の新設合併消滅法人から承継する債務を除き、法第二百五十八条第一項の規定により新設合併について異議を述べることができる債権者に対して負担する債務に限る。)の履行の見込みに関する事項 五 新設合併契約備置開始日後、前各号に掲げる事項に変更が生じたときは、変更後の当該事項 (計算書類に関する事項) 第八十二条 法第二百五十八条第二項第三号に規定する法務省令で定めるものは、同項の規定による公告の日又は同項の規定による催告の日のいずれか早い日における次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものとする。 一 最終事業年度に係る貸借対照表又はその要旨につき公告対象法人(法第二百五十八条第二項第三号の一般社団法人等をいう。以下この条において同じ。)が法第百二十八条第一項又は第二項(これらの規定を法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定により公告をしている場合(法第三百三十一条第一項第四号に掲げる方法により公告をしている場合を除く。) 次に掲げるもの イ 官報で公告をしているときは、当該官報の日付及び当該公告が掲載されている頁 ロ 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙で公告をしているときは、当該日刊新聞紙の名称、日付及び当該公告が掲載されている頁 ハ 電子公告により公告をしているときは、法第三百一条第二項第十五号イ又は第三百二条第二項第十三号イに掲げる事項 二 最終事業年度に係る貸借対照表につき公告対象法人が法第百二十八条第三項(法第百九十九条において準用する場合を含む。)に規定する措置を執っている場合 法第三百一条第二項第十三号又は第三百二条第二項第十一号に掲げる事項 三 公告対象法人につき最終事業年度がない場合 その旨 四 公告対象法人が清算法人である場合 その旨 五 前各号に掲げる場合以外の場合 最終事業年度に係る貸借対照表の要旨の内容 2 第五十条の規定は、前項第五号の貸借対照表の要旨について準用する。 第四節 新設合併設立法人の手続 (新設合併設立法人の事後開示事項) 第八十三条 法第二百六十条第一項に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 新設合併が効力を生じた日 二 法第二百五十八条の規定による手続の経過 三 新設合併により新設合併設立法人が新設合併消滅法人から承継した重要な権利義務に関する事項 四 前三号に掲げるもののほか、新設合併に関する重要な事項 第八十四条 法第二百六十条第二項に規定する法務省令で定める事項は、法第二百五十六条第一項の規定により新設合併消滅法人が備え置いた書面又は電磁的記録に記載又は記録がされた事項(新設合併契約の内容を除く。)とする。 第六章 雑則 第一節 訴訟 (責任追及の訴えの提起の請求方法) 第八十五条 法第二百七十八条第一項の法務省令で定める方法は、次に掲げる事項を記載した書面の提出又は当該事項の電磁的方法による提供とする。 一 被告となるべき者 二 請求の趣旨及び請求を特定するのに必要な事実 (訴えを提起しない理由の通知方法) 第八十六条 法第二百七十八条第三項の法務省令で定める方法は、次に掲げる事項を記載した書面の提出又は当該事項の電磁的方法による提供とする。 一 一般社団法人が行った調査の内容(次号の判断の基礎とした資料を含む。) 二 請求対象者(設立時社員、設立時理事(法第十五条第一項に規定する設立時理事をいう。)、役員等又は清算人であって、法第二百七十八条第一項の規定による請求に係る前条第一号に掲げる者をいう。次号において同じ。)の責任又は義務の有無についての判断及びその理由 三 請求対象者に責任又は義務があると判断した場合において、責任追及の訴え(法第二百七十八条第一項に規定する責任追及の訴えをいう。)を提起しないときは、その理由 第二節 登記 第八十七条 次の各号に掲げる規定に規定する法務省令で定めるものは、当該各号に定める行為をするために使用する自動公衆送信装置のうち当該行為をするための用に供する部分をインターネットにおいて識別するための文字、記号その他の符号又はこれらの結合であって、情報の提供を受ける者がその使用に係る電子計算機に入力することによって当該情報の内容を閲覧し、当該電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録することができるものとする。 一 法第三百一条第二項第十三号 法第百二十八条第三項の規定による措置 二 法第三百一条第二項第十五号イ 一般社団法人が行う電子公告 三 法第三百二条第二項第十一号 法第百九十九条において準用する法第百二十八条第三項の規定による措置 四 法第三百二条第二項第十三号イ 一般財団法人が行う電子公告 2 次の各号に掲げる規定に規定する場合には、当該各号に定める規定に掲げる事項であって、決算公告(法第百二十八条第一項(法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定による公告をいう。以下この項において同じ。)の内容である情報の提供を受けるためのものを、当該事項であって決算公告以外の公告の内容である情報の提供を受けるためのものと別に登記することができる。 一 法第三百一条第二項第十五号 同号イ 二 法第三百二条第二項第十三号 同号イ 第三節 公告 第八十八条 法第三百三十一条第一項第四号に規定する措置として法務省令で定める方法は、当該一般社団法人等の主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法とする。 2 前項の方法による公告は、次の各号に掲げる公告の区分に応じ、当該各号に定める日までの間、継続してしなければならない。 一 法第百二十八条第一項(法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定による公告 当該公告の開始後一年を経過する日 二 法第二百四十九条第二項の規定による公告 同項の変更前の効力発生日(法第二百四十四条第二号に規定する効力発生日をいう。以下この号において同じ。)(変更後の効力発生日が変更前の効力発生日前の日である場合にあっては、当該変更後の効力発生日) 第四節 電磁的方法及び電磁的記録等 第一款 電磁的方法及び電磁的記録等 (電磁的記録) 第八十九条 法第十条第二項(法第百五十二条第三項において準用する場合を含む。)に規定する法務省令で定めるものは、電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって電子計算機による情報処理の用に供されるものに係る記録媒体をいう。第九十四条を除き、以下この節において同じ。)をもって調製するファイルに情報を記録したものとする。 (電子署名) 第九十条 次に掲げる規定に規定する法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置は、電子署名とする。 一 法第十条第二項(法第百五十二条第三項において準用する場合を含む。) 二 法第九十五条第四項(法第百九十七条及び第二百二十一条第五項において準用する場合を含む。) 2 前項に規定する「電子署名」とは、電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。 一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。 二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。 (電磁的記録に記録された事項を表示する方法) 第九十一条 次に掲げる規定に規定する法務省令で定める方法は、次に掲げる規定の電磁的記録に記録された事項を紙面又は映像面に表示する方法とする。 一 法第十四条第二項第三号 二 法第三十二条第二項第二号 三 法第五十条第六項第二号 四 法第五十二条第五項 五 法第五十七条第四項第二号 六 法第五十八条第三項第二号 七 法第九十七条第二項第二号(法第百九十七条において準用する場合を含む。) 八 法第百七条第二項第二号(法第百九十七条において準用する場合を含む。) 九 法第百二十一条第一項第二号(法第百九十九条において準用する場合を含む。) 十 法第百二十九条第三項第三号(法第百九十九条において準用する場合を含む。) 十一 法第百五十六条第二項第三号 十二 法第百九十三条第四項第二号 十三 法第百九十四条第三項第二号 十四 法第二百二十三条第二項第二号 十五 法第二百二十九条第二項第三号 十六 法第二百四十六条第三項第三号 十七 法第二百五十条第三項第三号 十八 法第二百五十三条第三項第三号 十九 法第二百五十六条第三項第三号 二十 法第二百六十条第三項第三号 (電磁的方法) 第九十二条 法第十四条第二項第四号に規定する電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものは、次に掲げる方法とする。 一 電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの イ 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法 ロ 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法 二 電磁的記録媒体をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法 2 前項各号に掲げる方法は、受信者がファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものでなければならない。 (電磁的記録の備置きに関する特則) 第九十三条 次に掲げる規定に規定する法務省令で定める措置は、一般社団法人等の使用に係る電子計算機を電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法であって、当該電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて一般社団法人等の従たる事務所において使用される電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録するものによる措置とする。 一 法第十四条第三項 二 法第五十七条第三項 三 法第百二十九条第二項(法第百九十九条において準用する場合を含む。) 四 法第百五十六条第三項 五 法第百九十三条第三項 (検査役が提供する電磁的記録) 第九十四条 次に掲げる規定に規定する法務省令で定めるものは、商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第三十六条第一項に規定する電磁的記録媒体(電磁的記録に限る。)及び次に掲げる規定により電磁的記録の提供を受ける者が定める電磁的記録とする。 一 法第四十六条第四項 二 法第八十六条第五項(法第百九十七条において準用する場合を含む。) 三 法第百三十七条第四項 四 法第百八十七条第四項 (検査役による電磁的記録に記録された事項の提供) 第九十五条 次に掲げる規定(以下この条において「検査役提供規定」という。)に規定する法務省令で定める方法は、電磁的方法のうち、検査役提供規定により当該検査役提供規定の電磁的記録に記録された事項の提供を受ける者が定めるものとする。 一 法第四十六条第六項 二 法第八十六条第七項(法第百九十七条において準用する場合を含む。) 三 法第百三十七条第六項 四 法第百八十七条第六項 (電子公告を行うための電磁的方法) 第九十六条 法第三百三十一条第一項第三号に規定する措置であって法務省令で定めるものは、第九十二条第一項第一号ロに掲げる方法のうち、インターネットに接続された自動公衆送信装置を使用するものによる措置とする。 (一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行令に係る電磁的方法) 第九十七条 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行令(平成十九年政令第三十八号)第一条第一項又は第二条第一項の規定の規定により示すべき電磁的方法の種類及び内容は、次に掲げるものとする。 一 次に掲げる方法のうち、送信者が使用するもの イ 電子情報処理組織を使用する方法のうち次に掲げるもの (1) 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法 (2) 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法 ロ 電磁的記録媒体をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法 二 ファイルへの記録の方式 第二款 情報通信の技術の利用 (定義) 第九十八条 この款において使用する用語は、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十六年法律第百四十九号。以下この款において「電子文書法」という。)において使用する用語の例による。 (保存の指定) 第九十九条 電子文書法第三条第一項の主務省令で定める保存は、次に掲げる保存とする。 一 法第五十条第五項の規定による代理権を証明する書面の保存 二 法第五十一条第三項の規定による議決権行使書面の保存 三 法第五十七条第二項の規定による社員総会の議事録の保存 四 法第五十七条第三項の規定による社員総会の議事録の写しの保存 五 法第五十八条第二項の規定による同条第一項の書面の保存 六 法第九十七条第一項(法第百九十七条において準用する場合を含む。)の規定による議事録等(法第九十七条第一項(法第百九十七条において準用する場合を含む。)に規定する議事録等をいう。第百一条第七号及び第八号において同じ。)の保存 七 法第百二十条第二項(法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定による会計帳簿及び資料の保存 八 法第百二十三条第四項(法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定による計算書類(法第百二十三条第二項(法第百九十九条において準用する場合を含む。)に規定する計算書類をいう。)及びその附属明細書の保存 九 法第百二十九条第一項(法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定による計算書類等(法第百二十九条第一項(法第百九十九条において準用する場合を含む。)に規定する計算書類等をいう。以下この款において同じ。)の保存 十 法第百二十九条第二項(法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定による計算書類等の写しの保存 十一 法第百九十三条第二項の規定による評議員会の議事録の保存 十二 法第百九十三条第三項の規定による評議員会の議事録の写しの保存 十三 法第百九十四条第二項の規定による同条第一項の書面の保存 十四 法第二百二十三条第一項の規定による議事録等(同項に規定する議事録等をいう。第百一条第十四号及び第十五号において同じ。)の保存 十五 法第二百二十五条第四項の規定による財産目録等(同条第一項に規定する財産目録等をいう。)の保存 十六 法第二百二十七条第三項の規定による貸借対照表及びその附属明細書の保存 十七 法第二百二十九条第一項の規定による貸借対照表等(同項に規定する貸借対照表等をいう。以下この款において同じ。)の保存 十八 法第二百四十一条第一項及び第三項の規定による帳簿資料(同条第一項に規定する帳簿資料をいう。)の保存 十九 法第二百五十三条第二項の規定による同条第一項の書面の保存 二十 法第二百六十条第二項の規定による同項の書面の保存 (保存の方法) 第百条 民間事業者等が、電子文書法第三条第一項の規定に基づき、前条各号に掲げる保存に代えて当該保存すべき書面に係る電磁的記録の保存を行う場合には、当該書面に記載されている事項をスキャナ(これに準ずる画像読取装置を含む。)により読み取ってできた電磁的記録を民間事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体をもって調製するファイルにより保存する方法により行わなければならない。 2 民間事業者等が前項の規定による電磁的記録の保存を行う場合には、必要に応じ電磁的記録に記録された事項を出力することにより、直ちに明 瞭 りよう かつ整然とした形式で、その使用に係る電子計算機その他の機器に表示することができるための措置及び書面を作成することができるための措置を講じなければならない。 (縦覧等の指定) 第百一条 電子文書法第五条第一項の主務省令で定める縦覧等は、次に掲げる縦覧等とする。 一 法第十四条第二項第一号の規定による定款の縦覧等 二 法第三十二条第二項第一号の規定による社員名簿の縦覧等 三 法第五十条第六項第一号の規定による代理権を証明する書面の縦覧等 四 法第五十一条第四項の規定による議決権行使書面の縦覧等 五 法第五十七条第四項第一号の規定による社員総会の議事録又はその写しの縦覧等 六 法第五十八条第三項第一号の規定による同条第二項の書面の縦覧等 七 法第九十七条第二項第一号(法第百九十七条において準用する場合を含む。)の規定による議事録等の縦覧等 八 法第九十七条第三項(法第百九十七条において準用する場合を含む。)の規定による議事録等の縦覧等 九 法第百二十一条第一項第一号(法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定による会計帳簿又はこれに関する資料の縦覧等 十 法第百二十九条第三項第一号(法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定による計算書類等又はその写しの縦覧等 十一 法第百五十六条第二項第一号の規定による定款の縦覧等 十二 法第百九十三条第四項第一号の規定による評議員会の議事録又はその写しの縦覧等 十三 法第百九十四条第三項第一号の規定による同条第二項の書面の縦覧等 十四 法第二百二十三条第二項第一号の規定による議事録等の縦覧等 十五 法第二百二十三条第四項の規定による議事録等の縦覧等 十六 法第二百二十九条第二項第一号の規定による貸借対照表等の縦覧等 十七 法第二百四十六条第三項第一号の規定による同条第一項の書面の縦覧等 十八 法第二百五十条第三項第一号の規定による同条第一項の書面の縦覧等 十九 法第二百五十三条第三項第一号の規定による同条第一項の書面の縦覧等 二十 法第二百五十六条第三項第一号の規定による同条第一項の書面の縦覧等 二十一 法第二百六十条第三項第一号の規定による同条第二項の書面の縦覧等 (縦覧等の方法) 第百二条 民間事業者等が、電子文書法第五条第一項の規定に基づき、前条各号に掲げる縦覧等に代えて当該縦覧等をすべき書面に係る電磁的記録の縦覧等を行う場合は、民間事業者等の事務所に備え置く電子計算機の映像面に当該縦覧等に係る事項を表示する方法又は電磁的記録に記録されている当該事項を記載した書面を縦覧等に供する方法により行わなければならない。 (交付等の指定) 第百三条 電子文書法第六条第一項の主務省令で定める交付等は、次に掲げる交付等とする。 一 法第十四条第二項第二号の規定による定款の謄本又は抄本の交付等 二 法第四十六条第六項の規定による同条第四項の書面の写しの交付等 三 法第八十六条第七項(法第百九十七条において準用する場合を含む。)の規定による法第八十六条第五項(法第百九十七条において準用する場合を含む。)の書面の写しの交付等 四 法第百二十九条第三項第二号(法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定による計算書類等の謄本又は抄本の交付等 五 法第百三十七条第六項の規定による同条第四項の書面の写しの交付等 六 法第百五十六条第二項第二号の規定による定款の謄本又は抄本の交付等 七 法第百八十七条第六項の規定による同条第四項の書面の写しの交付等 八 法第二百二十九条第二項第二号の規定による貸借対照表等の謄本又は抄本の交付等 九 法第二百四十六条第三項第二号の規定による同条第一項の書面の謄本又は抄本の交付等 十 法第二百五十条第三項第二号の規定による同条第一項の書面の謄本又は抄本の交付等 十一 法第二百五十三条第三項第二号の規定による同条第一項の書面の謄本又は抄本の交付等 十二 法第二百五十六条第三項第二号の規定による同条第一項の書面の謄本又は抄本の交付等 十三 法第二百六十条第三項第二号の規定による同条第二項の書面の謄本又は抄本の交付等 (交付等の方法) 第百四条 民間事業者等が、電子文書法第六条第一項の規定に基づき、前条各号に掲げる交付等に代えて当該交付等をすべき書面に係る電磁的記録の交付等を行う場合は、次に掲げる方法により行わなければならない。 一 電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの イ 民間事業者等の使用に係る電子計算機と交付等の相手方の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法 ロ 民間事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された当該交付等に係る事項を電気通信回線を通じて交付等の相手方の閲覧に供し、当該相手方の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該事項を記録する方法(電子文書法第六条第一項に規定する方法による交付等を受ける旨の承諾又は受けない旨の申出をする場合にあっては、民間事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにその旨を記録する方法) 二 電磁的記録媒体をもって調製するファイルに当該交付等に係る事項を記録したものを交付する方法 2 前項に掲げる方法は、交付等の相手方がファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものでなければならない。 (交付等の承諾) 第百五条 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行令(平成十七年政令第八号)第二条第一項の規定により示すべき方法の種類及び内容は、次に掲げる事項とする。 一 前条第一項に規定する方法のうち民間事業者等が使用するもの 二 ファイルへの記録の方式
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平成十九年法務省令第四十一号
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信託法施行規則 第一章 総則 第一節 通則 (目的) 第一条 この省令は、信託法(平成十八年法律第百八号。以下「法」という。)の委任に基づく事項その他法の施行に必要な事項を定めることを目的とする。 (定義) 第二条 この省令において使用する用語は、法において使用する用語の例によるほか、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一 自己信託 法第三条第三号に掲げる方法によってされる信託をいう。 二 電磁的記録 法第三条第三号に規定する電磁的記録をいう。 三 電磁的方法 法第百八条第三号に規定する電磁的方法をいう。 四 財産状況開示資料等 次のイ又はロに掲げる信託の区分に応じ、当該イ又はロに定めるものをいう。 イ 限定責任信託以外の信託 法第三十七条第二項の規定により作成する同項の書類又は電磁的記録 ロ 限定責任信託 法第二百二十二条第四項の規定により作成する同項の書類又は電磁的記録(法第二百五十二条第四項において読み替えて適用する法第二百二十二条第四項の規定の適用がある場合にあっては、法第二百五十二条第一項の会計監査報告を含む。) 第二節 自己信託に係る公正証書等の記載事項等 第三条 法第三条第三号に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げるものとする。 一 信託の目的 二 信託をする財産を特定するために必要な事項 三 自己信託をする者の氏名又は名称及び住所 四 受益者の定め(受益者を定める方法の定めを含む。) 五 信託財産に属する財産の管理又は処分の方法 六 信託行為に条件又は期限を付すときは、条件又は期限に関する定め 七 法第百六十三条第九号の事由(当該事由を定めない場合にあっては、その旨) 八 前各号に掲げるもののほか、信託の条項 第二章 受託者等 (分別管理の方法) 第四条 法第三十四条第一項第三号に規定する法務省令で定める財産は、法第二百六条第一項その他の法令の規定により、当該財産が信託財産に属する旨の記載又は記録をしなければ、当該財産が信託財産に属することを第三者に対抗することができないとされているもの(法第十四条の信託の登記又は登録をすることができる財産を除く。)とする。 2 法第三十四条第一項第三号に規定する法務省令で定めるものは、法第二百六条第一項その他の法令の規定に従い信託財産に属する旨の記載又は記録をするとともに、その計算を明らかにする方法とする。 (前受託者が破産管財人に通知すべき事項) 第五条 法第五十九条第二項に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げるものとする。 一 信託財産に属する財産の内容及び所在 二 信託財産責任負担債務の内容 三 知れている受益者及び法第百八十二条第一項第二号に規定する帰属権利者の氏名又は名称及び住所 四 信託行為の内容 第三章 受益者集会 (受益者集会の招集の場合における決定事項) 第六条 法第百八条第四号に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げるものとする。 一 次条の規定により受益者集会参考書類(法第百十条第一項に規定する受益者集会参考書類をいう。次条において同じ。)に記載すべき事項 二 書面による議決権の行使の期限(受益者集会の日時以前の時であって、法第百九条第一項の規定による通知を発した日から二週間を経過した日以後の時に限る。) 三 一の受益者が同一の議案につき法第百十五条第一項(法第百八条第三号に掲げる事項を定めた場合にあっては、法第百十五条第一項又は第百十六条第一項)の規定により重複して議決権を行使した場合において、当該同一の議案に対する議決権の行使の内容が異なるものであるときにおける当該受益者の議決権の行使の取扱いに関する事項を定めるときは、その事項 四 第八条第一項第一号の欄に記載がない議決権行使書面(法第百十条第一項に規定する議決権行使書面をいう。以下この条及び第八条において同じ。)が招集者(法第百八条に規定する招集者をいう。以下この条及び第八条において同じ。)に提出され、又は法第百十六条第一項の規定により電磁的方法により招集者に提供された事項のうちに当該欄に記載すべきものがない場合における各議案についての賛成、反対又は棄権のいずれかの意思の表示があったものとする取扱いを定めるときは、その取扱いの内容 五 法第百八条第三号に掲げる事項を定めたときは、次に掲げる事項 イ 電磁的方法による議決権の行使の期限(受益者集会の日時以前の時であって、法第百九条第一項の規定による通知を発した日から二週間を経過した日以後の時に限る。) ロ 法第百九条第二項の承諾をした受益者に対しては、当該受益者の第八条第二項の請求があった時に法第百十条第一項の規定による議決権行使書面の交付(当該交付に代えて行う同条第二項の規定による電磁的方法による提供を含む。)をすることとするときは、その旨 六 法第百十七条第一項の規定による通知の方法を定めるときは、その方法 (受益者集会参考書類) 第七条 受益者集会参考書類には、議案及び次の各号に掲げる議案の区分に応じ、当該各号に定める事項を記載しなければならない。 一 新たな受託者(以下この号において「新受託者」という。)の選任に関する議案 次に掲げる事項 イ 新受託者となるべき者の氏名又は名称 ロ 新受託者となるべき者の略歴又は沿革 ハ 新受託者となるべき者を受託者に選任すべきものとした理由 二 信託監督人又は受益者代理人の選任に関する議案 次に掲げる事項 イ 信託監督人又は受益者代理人となるべき者の氏名又は名称 ロ 信託監督人又は受益者代理人となるべき者の略歴又は沿革 ハ 信託監督人又は受益者代理人となるべき者が受託者と特別の利害関係があるときは、その事実の概要 三 受託者、信託監督人又は受益者代理人の解任に関する議案 次に掲げる事項 イ 解任すべき受託者、信託監督人又は受益者代理人の氏名又は名称 ロ 解任の理由 四 信託の変更に関する議案 次に掲げる事項 イ 信託の変更後の信託行為の内容 ロ 信託行為で定められた受益権の内容に変更を加え、又は受益権の価値に重大な影響を与えるおそれがあるときは、その変更又は影響の内容及び相当性に関する事項 ハ 信託の変更がその効力を生ずる日 ニ 信託の変更をする理由 五 信託の併合に関する議案 法第百五十一条第一項各号に掲げる事項 六 吸収信託分割に関する議案 法第百五十五条第一項各号に掲げる事項 七 新規信託分割に関する議案 法第百五十九条第一項各号に掲げる事項 八 前各号に掲げる議案以外の議案 当該議案を提案した理由 2 受益者集会参考書類には、前項各号に定めるもののほか、受益者の議決権の行使について参考となると認める事項を記載することができる。 3 同一の受益者集会に関して受益者に対して提供する受益者集会参考書類に記載すべき事項のうち、他の書面に記載している事項又は電磁的方法により提供している事項がある場合には、これらの事項は、受益者集会参考書類に記載することを要しない。 4 同一の受益者集会に関して受益者に対して提供する招集通知(法第百九条第一項又は第二項の規定による通知をいう。以下この条及び次条において同じ。)の内容とすべき事項のうち、受益者集会参考書類に記載している事項又は受益者集会参考書類の交付に代えて電磁的方法により提供している事項がある場合には、当該事項は、招集通知の内容とすることを要しない。 (議決権行使書面) 第八条 法第百十条第一項の規定により交付すべき議決権行使書面に記載すべき事項又は法第百十一条第一項若しくは第二項の規定により電磁的方法により提供すべき議決権行使書面に記載すべき事項は、次に掲げる事項とする。 一 各議案についての賛否(棄権の欄を設ける場合にあっては、棄権を含む。)を記載する欄 二 第六条第三号に掲げる事項を定めたときは、当該事項 三 第六条第四号に掲げる事項を定めたときは、同号の取扱いの内容 四 議決権の行使の期限 五 議決権を行使すべき受益者の氏名又は名称及び当該受益者が行使することができる議決権の数又は割合 2 法第百八条第三号に掲げる事項を定めた場合において、第六条第五号ロに掲げる事項を定めたときは、招集者は、法第百九条第二項の承諾をした受益者が請求をした時に、当該受益者に対して、法第百十条第一項の規定による議決権行使書面の交付(当該交付に代えて行う同条第二項の規定による電磁的方法による提供を含む。)をしなければならない。 3 同一の受益者集会に関して受益者に対して提供する議決権行使書面に記載すべき事項(第一項第二号から第四号までに掲げる事項に限る。)のうち、招集通知の内容としている事項がある場合には、当該事項は、受益者に対して提供する議決権行使書面に記載することを要しない。 4 同一の受益者集会に関して受益者に対して提供する招集通知の内容とすべき事項のうち、議決権行使書面に記載している事項又は議決権行使書面の交付に代えて電磁的方法により提供している事項がある場合には、当該事項は、受益者に対して提供する招集通知の内容とすることを要しない。 (書面による議決権行使の期限) 第九条 法第百十五条第二項に規定する法務省令で定める時は、第六条第二号の行使の期限とする。 (電磁的方法による議決権行使の期限) 第十条 法第百十六条第一項に規定する法務省令で定める時は、第六条第五号イの行使の期限とする。 (受益者集会の議事録) 第十一条 法第百二十条の規定による受益者集会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。 2 受益者集会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。 3 受益者集会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。 一 受益者集会が開催された日時及び場所 二 受益者集会の議事の経過の要領及びその結果 三 法第百十八条第一項の規定により受益者集会において述べられた意見があるときは、その意見の内容の概要 四 受益者集会に出席した受託者(法人である受託者にあっては、その代表者又は代理人)又は信託監督人の氏名又は名称 五 受益者集会の議長が存するときは、議長の氏名 六 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名又は名称 第四章 信託の併合及び分割 第一節 信託の併合 (信託の併合に当たり明らかにすべき事項) 第十二条 法第百五十一条第一項第五号に規定する法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 信託の併合をする他の信託についての次に掲げる事項その他の当該他の信託を特定するために必要な事項 イ 委託者及び受託者の氏名又は名称及び住所 ロ 信託の年月日 ハ 限定責任信託であるときは、その名称及び事務処理地(法第二百十六条第二項第四号に規定する事務処理地をいう。以下同じ。) 二 信託の併合をする他の信託の信託行為の内容 三 法第百五十一条第一項第三号に規定する場合には、同号に掲げる事項の定めの相当性に関する事項 四 前号に規定する場合には、受益者に対して交付する金銭その他の財産の割当てに関する事項及び当該事項の定めの相当性に関する事項 五 信託の併合をする各信託において直前に作成された財産状況開示資料等の内容(財産状況開示資料等を作成すべき時期が到来していないときは、次のイ又はロに掲げる書類又は電磁的記録の区分に応じ、当該イ又はロに定める事項) イ 第二条第四号イに定める書類又は電磁的記録 当該書類又は電磁的記録を作成すべき時期が到来していない旨 ロ 第二条第四号ロに定める書類又は電磁的記録 法第二百二十二条第三項の規定により作成された貸借対照表の内容 六 信託の併合をする各信託について、財産状況開示資料等を作成した後(財産状況開示資料等を作成すべき時期が到来していない場合にあっては、信託がされた後)に、重要な信託財産に属する財産の処分、重大な信託財産責任負担債務の負担その他の信託財産の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは、その内容 七 信託の併合をする理由 (債権者の異議に関する公告事項) 第十三条 法第百五十二条第二項第三号に規定する法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 信託の併合をする各信託についての次に掲げる事項その他の当該信託の併合をする各信託を特定するために必要な事項 イ 委託者及び受託者の氏名又は名称及び住所 ロ 信託の年月日 ハ 限定責任信託であるときは、その名称及び事務処理地 二 前条第五号に掲げる事項(法第百五十二条第一項の債権者が当該事項を知ることができるようにするための適切な措置を受託者が講ずる場合にあっては、当該措置に基づいて当該債権者が当該事項を知るための方法) 三 前条第六号に掲げる事項(法第百五十二条第一項の債権者が当該事項を知ることができるようにするための適切な措置を受託者が講ずる場合にあっては、当該措置に基づいて当該債権者が当該事項を知るための方法) 四 信託の併合が効力を生ずる日以後における信託の併合後の信託の信託財産責任負担債務(信託の併合をする他の信託の信託財産責任負担債務であったものを除く。)の履行の見込みに関する事項(法第百五十二条第一項の債権者が当該事項を知ることができるようにするための適切な措置を受託者が講ずる場合にあっては、当該措置に基づいて当該債権者が当該事項を知るための方法) 第二節 信託の分割 第一款 吸収信託分割 (吸収信託分割に当たり明らかにすべき事項) 第十四条 法第百五十五条第一項第七号に規定する法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 吸収信託分割をする他の信託についての次に掲げる事項その他の当該吸収信託分割をする各信託を特定するために必要な事項 イ 委託者及び受託者の氏名又は名称及び住所 ロ 信託の年月日 ハ 限定責任信託であるときは、その名称及び事務処理地 二 吸収信託分割をする他の信託の信託行為の内容 三 法第百五十五条第一項第三号に規定する場合には、同号に掲げる事項の定めの相当性に関する事項 四 前号に規定する場合には、分割信託(法第百五十五条第一項第六号に規定する分割信託をいう。以下この条及び次条において同じ。)の受益者に対する金銭その他の財産の割当てに関する事項及び当該事項の定めの相当性に関する事項 五 吸収信託分割に際して、承継信託(法第百五十五条第一項第六号に規定する承継信託をいう。以下この条及び次条において同じ。)に属する財産(承継信託の受益権を含む。)を分割信託の信託財産に帰属させることとするときは、当該財産の種類及び数若しくは額又はこれらの算定方法 六 前号に規定する場合には、同号に掲げる事項の定めの相当性に関する事項 七 吸収信託分割をする各信託において直前に作成された財産状況開示資料等の内容(財産状況開示資料等を作成すべき時期が到来していないときは、次のイ又はロに掲げる書類又は電磁的記録の区分に応じ、当該イ又はロに定める事項) イ 第二条第四号イに定める書類又は電磁的記録 当該書類又は電磁的記録を作成すべき時期が到来していない旨 ロ 第二条第四号ロに定める書類又は電磁的記録 法第二百二十二条第三項の規定により作成された貸借対照表の内容 八 吸収信託分割をする各信託について、財産状況開示資料等を作成した後(財産状況開示資料等を作成すべき時期が到来していない場合にあっては、信託がされた後)に、重要な信託財産に属する財産の処分、重大な信託財産責任負担債務の負担その他の信託財産の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは、その内容 九 吸収信託分割をする理由 (債権者の異議に関する公告事項) 第十五条 法第百五十六条第二項第三号に規定する法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 吸収信託分割をする各信託についての次に掲げる事項その他の当該吸収信託分割をする各信託を特定するために必要な事項 イ 委託者及び受託者の氏名又は名称及び住所 ロ 信託の年月日 ハ 限定責任信託であるときは、その名称及び事務処理地 二 前条第七号に掲げる事項(法第百五十六条第一項の債権者が当該事項を知ることができるようにするための適切な措置を受託者が講ずる場合にあっては、当該措置に基づいて当該債権者が当該事項を知るための方法) 三 前条第八号に掲げる事項(法第百五十六条第一項の債権者が当該事項を知ることができるようにするための適切な措置を受託者が講ずる場合にあっては、当該措置に基づいて当該債権者が当該事項を知るための方法) 四 当該信託が分割信託である場合には、吸収信託分割が効力を生ずる日以後における分割信託の信託財産責任負担債務及び承継信託の信託財産責任負担債務(吸収信託分割により承継信託の信託財産責任負担債務となるものに限る。)の履行の見込みに関する事項(法第百五十六条第一項の債権者が当該事項を知ることができるようにするための適切な措置を受託者が講ずる場合にあっては、当該措置に基づいて当該債権者が当該事項を知るための方法) 五 当該信託が承継信託である場合には、吸収信託分割が効力を生ずる日以後における承継信託の信託財産責任負担債務(法第百五十六条第一項の規定により吸収信託分割に異議を述べることができる債権者に対して負担するものに限る。)の履行の見込みに関する事項(同項の債権者が当該事項を知ることができるようにするための適切な措置を受託者が講ずる場合にあっては、当該措置に基づいて当該債権者が当該事項を知るための方法) 第二款 新規信託分割 (新規信託分割に当たり明らかにすべき事項) 第十六条 法第百五十九条第一項第七号に規定する法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 二以上の信託により新規信託分割が行われるときは、当該新規信託分割をする他の信託についての次に掲げる事項その他の当該他の信託を特定するために必要な事項 イ 委託者及び受託者の氏名又は名称及び住所 ロ 信託の年月日 ハ 限定責任信託であるときは、その名称及び事務処理地 二 前号に規定する場合には、当該新規信託分割をする他の信託の信託行為の内容 三 法第百五十九条第一項第三号に規定する場合には、同号に掲げる事項の定めの相当性に関する事項 四 前号に規定する場合には、従前の信託(新規信託分割をする他の信託がある場合にあっては、従前の信託及び当該他の信託。以下この条及び次条第一号において同じ。)の受益者に対する金銭その他の財産の割当てに関する事項及び当該事項の定めの相当性に関する事項 五 新規信託分割に際して、新たな信託の受益権を従前の信託の信託財産に帰属させることとするときは、当該受益権の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法 六 前号に規定する場合には、同号に掲げる事項の定めの相当性に関する事項 七 従前の信託において直前に作成された財産状況開示資料等の内容(財産状況開示資料等を作成すべき時期が到来していないときは、次のイ又はロに掲げる書類又は電磁的記録の区分に応じ、当該イ又はロに定める事項) イ 第二条第四号イに定める書類又は電磁的記録 当該書類又は電磁的記録を作成すべき時期が到来していない旨 ロ 第二条第四号ロに定める書類又は電磁的記録 法第二百二十二条第三項の規定により作成された貸借対照表の内容 八 従前の信託について、財産状況開示資料等を作成した後(財産状況開示資料等を作成すべき時期が到来していない場合にあっては、信託がされた後)に、重要な信託財産に属する財産の処分、重大な信託財産責任負担債務の負担その他の信託財産の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは、その内容 九 新規信託分割をする理由 (債権者の異議に関する公告事項) 第十七条 法第百六十条第二項第三号に規定する法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 従前の信託についての次に掲げる事項その他の当該従前の信託を特定するために必要な事項 イ 委託者及び受託者の氏名又は名称及び住所 ロ 信託の年月日 ハ 限定責任信託であるときは、その名称及び事務処理地 二 前条第七号に掲げる事項(法第百六十条第一項の債権者が当該事項を知ることができるようにするための適切な措置を受託者が講ずる場合にあっては、当該措置に基づいて当該債権者が当該事項を知るための方法) 三 前条第八号に掲げる事項(法第百六十条第一項の債権者が当該事項を知ることができるようにするための適切な措置を受託者が講ずる場合にあっては、当該措置に基づいて当該債権者が当該事項を知るための方法) 四 新規信託分割が効力を生ずる日以後における当該従前の信託の信託財産責任負担債務及び新たな信託の信託財産責任負担債務(当該従前の信託の信託財産責任負担債務のうち、新規信託分割により新たな信託の信託財産責任負担債務となったものに限る。)の履行の見込みに関する事項(法第百六十条第一項の債権者が当該事項を知ることができるようにするための適切な措置を受託者が講ずる場合にあっては、当該措置に基づいて当該債権者が当該事項を知るための方法) 第五章 受益証券発行信託の特例 (受益権原簿記載事項) 第十八条 法第百八十六条第一号に規定する法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 各受益権に係る受益債権の給付の内容、弁済期(弁済期の定めがないときは、その旨)その他の受益債権の内容 二 受益権について譲渡の制限があるときは、その旨及びその内容 三 当該受益証券発行信託において、受益債権の内容が同一の二以上の受益権がある場合において、それらの受益権について、受益者として有する権利の行使に関して内容の異なる信託行為の定めがあるときは、当該定めの要旨 第十九条 法第百八十六条第五号に規定する法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 当該受益証券発行信託の委託者の氏名又は名称及び住所(当該受益証券発行信託の委託者が現に存しないときは、その旨) 二 当該受益証券発行信託の受託者の氏名又は名称及び住所 三 信託監督人があるときは、次に掲げる事項 イ 氏名又は名称及び住所 ロ 法第百三十二条第一項ただし書又は第二項ただし書の定めがあるときは、当該定めの内容 四 受益者代理人があるときは、次に掲げる事項 イ 氏名又は名称及び住所 ロ 法第百三十九条第一項ただし書又は第三項ただし書の定めがあるときは、当該定めの内容 五 法第百八十五条第二項の定めがあるときは、当該定めの内容 六 法第百八十八条に規定する受益権原簿管理人を定めたときは、その氏名又は名称及び住所 七 限定責任信託であるときは、その名称及び事務処理地 八 前各号に掲げるもののほか、当該受益証券発行信託の信託の条項 (受益証券発行信託の受託者が受益権を取得した場合の特例) 第二十条 法第百九十七条第一項に掲げる場合には、受益証券発行信託の受託者は、受益権原簿記載事項として、当該受益権が固有財産に属するか、他の信託財産に属するか、当該受益証券発行信託の信託財産に属するかの別をも記載し、又は記録しなければならない。 (受益権原簿記載事項の記載等の請求) 第二十一条 法第百九十八条第二項に規定する法務省令で定める場合は、受益権取得者(受益証券発行信託の受益権を受益証券発行信託の受託者以外の者から取得した者(当該受託者を除く。)をいう。以下この条において同じ。)が受益証券を提示して請求をした場合とする。 2 前項の規定にかかわらず、受益権取得者が取得した受益権が法第百八十五条第二項の定めのあるものである場合には、法第百九十八条第二項に規定する法務省令で定める場合は、次のとおりとする。 一 受益権取得者が、受益者として受益権原簿に記載若しくは記録がされた者又はその一般承継人に対して当該受益権取得者の取得した受益権に係る法第百九十八条第一項の規定による請求をすべきことを命ずる確定判決を得た場合において、当該確定判決の内容を証する書面その他の資料を提供して請求をしたとき。 二 受益権取得者が前号の確定判決と同一の効力を有するものの内容を証する書面その他の資料を提供して請求をしたとき。 三 受益権取得者が、一般承継により当該受益権を取得した者である場合において、当該一般承継を証する書面その他の資料を提供して請求をしたとき。 四 受益権取得者が、当該受益権を競売により取得した者である場合において、当該競売により取得したことを証する書面その他の資料を提供して請求をしたとき。 (受益証券記載事項) 第二十二条 法第二百九条第一項第四号に規定する法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 各受益権に係る受益債権の給付の内容、弁済期(弁済期の定めがないときは、その旨)その他の受益債権の内容 二 受益権について譲渡の制限があるときは、その旨及びその内容 三 当該受益証券発行信託において、受益債権の内容が同一の二以上の受益権がある場合において、それらの受益権について、受益者として有する権利の行使に関して内容の異なる信託行為の定めがあるときは、当該定めの要旨 第二十三条 法第二百九条第一項第九号に規定する法務省令で定める事項は、限定責任信託の名称及び事務処理地(当該受益証券発行信託が限定責任信託である場合に限る。)とする。 第六章 限定責任信託の特例 第二十四条 法第二百十六条第二項第六号に規定する法務省令で定める事項は、信託事務年度とする。 第七章 電磁的記録等 (電磁的記録) 第二十五条 法第三条第三号に規定する法務省令で定めるものは、電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって電子計算機による情報処理の用に供されるものに係る記録媒体をいう。第三十条及び第三十二条において同じ。)をもって調製するファイルに情報を記録したものとする。 (電磁的記録の作成) 第二十六条 法第三十七条第四項本文、第五項若しくは第六項本文又は第二百二十二条第六項本文、第七項若しくは第八項本文に規定する法務省令で定める方法は、書面に記載されている事項をスキャナ(これに準ずる画像読取装置を含む。)により読み取る方法とする。 (電磁的記録に記録された事項の提供の方法) 第二十七条 法第三十七条第四項ただし書(同条第五項後段において準用する場合を含む。)若しくは第六項ただし書又は第二百二十二条第六項ただし書(同条第七項後段において準用する場合を含む。)若しくは第八項ただし書(第二号においてこれらの規定を「提供規定」と総称する。)に規定する法務省令で定める方法は、電磁的方法のうち、次に掲げる方法のいずれかとする。 一 信託行為に定めた方法 二 提供規定により電磁的記録に記録された事項の提供を受ける者が定めた方法 (電磁的記録に記録された事項を表示する方法) 第二十八条 次に掲げる規定に規定する法務省令で定める方法は、次に掲げる規定の電磁的記録に記録された事項を紙面又は映像面に表示する方法とする。 一 法第三十八条第一項第二号 二 法第三十八条第六項第二号 三 法第百九十条第二項第二号 四 法第二百五十二条第二項第二号 (検査役が提供する電磁的記録等) 第二十九条 法第四十七条第二項に規定する法務省令で定めるものは、商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第三十六条第一項に規定する電磁的記録媒体(電磁的記録に限る。)及び法第四十七条第二項の規定により電磁的記録の提供を受ける者が定める電磁的記録とする。 2 法第四十七条第四項に規定する法務省令で定める方法は、電磁的方法のうち、同項の規定により電磁的記録に記録された事項の提供を受ける者が定めるものとする。 (電磁的方法) 第三十条 法第百八条第三号に規定する電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものは、次に掲げる方法とする。 一 電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの イ 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法 ロ 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法 二 電磁的記録媒体をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法 2 前項各号に掲げる方法は、受信者がファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものでなければならない。 (電子署名) 第三十一条 次に掲げる規定に規定する法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置は、電子署名とする。 一 法第百八十七条第三項 二 法第二百二条第三項 2 前項に規定する「電子署名」とは、電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。 一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。 二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。 (信託法施行令に係る電磁的方法) 第三十二条 信託法施行令(平成十九年政令第百九十九号)第一条第一項又は第二条第一項の規定により示すべき電磁的方法の種類及び内容は、次に掲げるものとする。 一 次に掲げる方法のうち、送信者が使用するもの イ 電子情報処理組織を使用する方法のうち次に掲げるもの (1) 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法 (2) 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法 ロ 電磁的記録媒体をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法 二 ファイルへの記録の方式 第八章 計算 第三十三条 次に掲げる規定に規定する法務省令で定めるべき事項は、信託計算規則の定めるところによる。 一 法第三十七条第一項及び第二項 二 法第二百二十二条第二項、第三項及び第四項 三 法第二百二十五条 四 法第二百五十二条第一項
民事
Heisei
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平成十九年法務省令第四十二号
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信託計算規則 第一章 総則 (目的) 第一条 この省令は、信託法(平成十八年法律第百八号。以下「法」という。)の規定により委任された信託の計算に関する事項その他の事項について、必要な事項を定めることを目的とする。 (定義) 第二条 この省令において使用する用語は、法において使用する用語の例による。 2 この省令において「電磁的記録」とは、法第三条第三号に規定する電磁的記録をいう。 (会計慣行のしん酌) 第三条 この省令の用語の解釈及び規定の適用に関しては、一般に公正妥当と認められる会計の基準その他の会計の慣行をしん酌しなければならない。 第二章 信託帳簿及び財産状況開示資料の作成 (信託帳簿等の作成) 第四条 法第三十七条第一項の規定による信託財産に係る帳簿その他の書類又は電磁的記録(以下この条及び次条において「信託帳簿」という。)の作成及び法第三十七条第二項の規定による同項の書類又は電磁的記録の作成については、この条に定めるところによる。 2 信託帳簿は、一の書面その他の資料として作成することを要せず、他の目的で作成された書類又は電磁的記録をもって信託帳簿とすることができる。 3 法第三十七条第二項に規定する法務省令で定める書類又は電磁的記録は、この条の規定により作成される財産状況開示資料とする。 4 財産状況開示資料は、信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の概況を明らかにするものでなければならない。 5 財産状況開示資料は、信託帳簿に基づいて作成しなければならない。 6 信託帳簿又は財産状況開示資料の作成に当たっては、信託行為の趣旨をしん酌しなければならない。 (会計帳簿等を作成すべき信託の特例) 第五条 前条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する信託については、法第二百二十二条第二項の会計帳簿を受託者が作成すべき信託帳簿とし、同条第四項の規定により作成すべき書類又は電磁的記録を受託者が作成すべき財産状況開示資料とする。 一 当該信託の受益権(二以上の受益権がある場合にあっては、そのすべての受益権)について法第九十三条第一項ただし書の規定の適用がなく、かつ、当該受益権について譲渡の制限がないこと。 二 第三者の同意又は承諾を得ることなく信託財産に属する財産のうち主要なものの売却若しくは信託財産に属する財産の全部若しくは大部分の売却又はこれらに準ずる行為を行う権限を当該信託の受託者が信託行為によって有していること。 2 前条の規定にかかわらず、前項に規定する信託においては、信託帳簿及び財産状況開示資料の作成は、次章(第二十条及び第三節を除く。)の規定に従って行わなければならない。 第三章 限定責任信託の計算 第一節 会計帳簿 第一款 総則 第六条 法第二百二十二条第二項の規定による会計帳簿の作成については、他の法令に別段の定めがある場合を除き、この節に定めるところによる。 2 会計帳簿の作成は、書面又は電磁的記録をもってしなければならない。 第二款 資産及び負債 (資産の評価) 第七条 資産については、この省令に別段の定めがある場合を除き、会計帳簿にその取得価額を付さなければならない。 2 償却すべき資産については、信託事務年度の末日(信託事務年度の末日以外の日において評価すべき場合にあっては、その日。以下この条及び次条において同じ。)において、相当の償却をしなければならない。 3 次の各号に掲げる資産については、信託事務年度の末日において当該各号に定める価格を付すべき場合には、当該各号に定める価格を付さなければならない。 一 信託事務年度の末日における時価がその時の取得原価より著しく低い資産(当該資産の時価がその時の取得原価まで回復すると認められるものを除く。) 信託事務年度の末日における時価 二 信託事務年度の末日において予測することができない減損が生じた資産又は減損損失を認識すべき資産 その時の取得原価から相当の減額をした額 4 取立不能のおそれのある債権については、信託事務年度の末日においてその時に取り立てることができないと見込まれる額を控除しなければならない。 5 債権については、その取得価額が債権金額と異なる場合その他相当の理由がある場合には、適正な価格を付すことができる。 6 次に掲げる資産については、信託事務年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことができる。 一 信託事務年度の末日における時価がその時の取得原価より低い資産 二 前号に掲げる資産のほか、信託事務年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことが適当な資産 (負債の評価) 第八条 負債については、この省令に別段の定めがある場合を除き、会計帳簿に債務額を付さなければならない。 2 次に掲げる負債については、信託事務年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことができる。 一 将来の費用又は損失(収益の控除を含む。以下この号において同じ。)の発生に備えて、その合理的な見積額のうち当該信託事務年度の負担に属する金額を費用又は損失として繰り入れることにより計上すべき引当金 二 前号に掲げる負債のほか、信託事務年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことが適当な負債 (のれんの評価) 第九条 のれんは、次に掲げる場合に限り、資産又は負債として計上することができる。 一 有償で譲り受けた場合 二 信託の併合又は信託の分割により取得した場合 三 前二号に掲げる場合のほか、のれんを計上しなければならない正当な理由がある場合において、適正なのれんを計上するとき。 第三款 金銭以外の当初拠出財産等の評価 (当初拠出財産の評価) 第十条 金銭以外の当初拠出財産(信託行為において信託財産に属すべきものと定められた財産をいう。以下この条において同じ。)については、委託者における信託の直前の適正な帳簿価額を付さなければならない。 2 前項の規定にかかわらず、当該当初拠出財産の取得原価を当該当初拠出財産の市場価格(市場価格がない場合にあっては、一般に合理的と認められる評価慣行により算定された価額。以下この項において同じ。)をもって測定することとすべき場合には、当該市場価格を付さなければならない。 (金銭以外の信託財産に属する財産を受益者に給付する場合の評価) 第十一条 金銭以外の信託財産に属する財産を受益者に給付するときは、当該財産については、次の各号に掲げる財産の区分に応じ、当該各号に定める価額を付さなければならない。 一 市場価格のある財産 市場価格 二 市場価格がない場合であって一般に合理的と認められる評価慣行が確立されている財産 当該評価慣行により算定された価額 三 市場価格がない財産であって一般に合理的と認められる評価慣行が確立されていない財産 給付の直前における当該財産の適正な帳簿価額 2 前項の規定にかかわらず、給付の直前における当該財産の適正な帳簿価額を付すべき場合には、当該帳簿価額を付さなければならない。 第二節 計算関係書類等 第一款 総則 (計算関係書類等) 第十二条 法第二百二十二条第三項及び第四項の規定により作成すべきものについては、他の法令に別段の定めがある場合を除き、この節に定めるところによる。 2 法第二百二十二条第四項に規定する法務省令で定める書類又は電磁的記録は、貸借対照表、損益計算書(損益計算書を電磁的記録をもって作成した場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)及び信託概況報告並びにこれらの附属明細書(附属明細書を電磁的記録をもって作成した場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)とする。 3 前項に規定する書類又は電磁的記録は、信託事務年度の経過後、三月以内に作成しなければならない。 4 会計監査人設置信託(法第二百四十八条第三項に規定する会計監査人設置信託をいう。)における前項の規定の適用については、同項中「作成しなければ」とあるのは、「作成し、法第二百五十二条第一項の会計監査を受けなければ」とする。 (表示の原則) 第十三条 法第二百二十二条第三項及び第四項の規定により作成すべきもの(信託概況報告及びその附属明細書を除く。)に係る事項の金額は、一円単位、千円単位又は百万円単位をもって表示するものとする。 (重要な会計方針に係る事項に関する注記) 第十四条 貸借対照表又は損益計算書(以下「計算書類」という。)には、計算書類の作成のために採用している会計処理の原則及び手続並びに表示方法その他計算書類作成のための基本となる事項(次項において「会計方針」という。)であって、次に掲げる事項(重要性の乏しいものを除く。)を注記しなければならない。 一 資産の評価基準及び評価方法 二 固定資産の減価償却の方法 三 引当金の計上基準 四 収益及び費用の計上基準 五 その他計算書類の作成のための基本となる重要な事項 2 会計方針を変更した場合には、次に掲げる事項(重要性の乏しいものを除く。)をも注記しなければならない。 一 会計処理の原則又は手続を変更したときは、その旨、変更の理由及び当該変更が計算書類に与えている影響の内容 二 表示方法を変更したときは、その内容 (追加情報の注記) 第十五条 この節に定めるもののほか、信託に係る財産及び損益の状態を正確に判断するために必要な事項は、計算書類に注記しなければならない。 (効力発生日の貸借対照表) 第十六条 法第二百二十二条第三項の規定により作成すべき貸借対照表は、限定責任信託の効力が生じた日における会計帳簿に基づき作成しなければならない。 (各信託事務年度に係る計算書類) 第十七条 各信託事務年度に係る計算書類及びその附属明細書の作成に係る期間は、当該信託事務年度の前信託事務年度の末日の翌日(当該信託事務年度の前信託事務年度がない場合にあっては、限定責任信託の効力が生じた日)から当該信託事務年度の末日までの期間とする。 この場合において、当該期間は、一年を超えることができない。 2 各信託事務年度に係る計算書類及びその附属明細書は、当該信託事務年度に係る会計帳簿に基づき作成しなければならない。 第二款 計算書類等 (貸借対照表の区分) 第十八条 貸借対照表は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。 一 資産 二 負債 三 純資産 2 資産の部は、流動資産、固定資産その他の適当な項目に細分することができる。 3 負債の部は、流動負債、固定負債その他の適当な項目に細分することができる。 4 純資産の部は、信託拠出金、剰余金その他の適当な項目に細分することができる。 (受益債権に係る債務の額の計上の禁止) 第十九条 受益債権に係る債務の額は、貸借対照表の負債の部に計上することができない。 (給付可能額の注記) 第二十条 貸借対照表には、給付可能額(法第二百二十五条に規定する給付可能額をいう。以下この章において同じ。)を注記しなければならない。 (損益計算書) 第二十一条 損益計算書は、収益若しくは費用又は利益若しくは損失について、適切な部又は項目に分けて表示しなければならない。 (附属明細書) 第二十二条 各信託事務年度に係る計算書類の附属明細書には、計算書類の内容を補足する重要な事項を表示しなければならない。 第三款 信託概況報告 第二十三条 信託概況報告は、当該限定責任信託の状況に関する重要な事項(計算書類及びその附属明細書の内容となる事項を除く。)をその内容としなければならない。 2 信託概況報告の附属明細書は、信託概況報告の内容を補足する重要な事項をその内容としなければならない。 第三節 給付可能額の算定方法 第二十四条 法第二百二十五条に規定する法務省令で定める方法は、信託財産に係る給付(当該信託の受益権を当該信託の信託財産に帰属させることに代えて当該受益権を有する者に信託財産に属する財産を交付する行為を含む。以下この項において同じ。)の日の属する信託事務年度の前信託事務年度の末日における純資産額から次の各号に掲げる額の合計額を控除する方法とする。 一 百万円(信託行為において、信託留保金の額を定め、又はこれを算定する方法を定めた場合において、当該信託留保金の額又は当該方法により算定された信託留保金の額が百万円を超えるときにあっては、当該信託留保金の額) 二 信託財産に係る給付の日の属する信託事務年度の前信託事務年度の末日後に信託財産に係る給付をした場合における給付をした信託財産に属する財産の帳簿価額の総額 2 前項の純資産額の計算上、自己受益権(受益権が当該受益権に係る信託の信託財産に属する場合における当該受益権をいう。)は、資産として計上されていないものとする。 3 限定責任信託においては、第一項の信託行為において定めた給付可能額又は給付可能額を算定する方法は、信託の変更によって変更することができない。 第四節 清算中の信託の特例 (総則) 第二十五条 第十二条第一項の規定にかかわらず、法第二百二十二条第四項の規定により清算受託者(法第百七十七条に規定する清算受託者をいう。以下この節において同じ。)が作成すべきものについては、この節に定めるところによる。 (財産目録) 第二十六条 清算受託者は、信託の清算が開始したときは、遅滞なく、法第百七十五条に規定する場合に該当することとなった日(以下この節において「清算開始の日」という。)における財産目録を作成しなければならない。 2 前項の財産目録に計上すべき財産については、その処分価格を付すことが困難な場合を除き、清算開始の日における処分価格を付さなければならない。 この場合において、清算中の信託の会計帳簿については、財産目録に付された価格を取得価額とみなす。 3 第一項の財産目録は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。 この場合において、第一号及び第二号に掲げる部は、その内容を示す適当な名称を付した項目に細分することができる。 一 資産 二 負債 三 正味資産 (清算開始時の貸借対照表) 第二十七条 清算受託者は、信託の清算が開始したときは、遅滞なく、清算開始の日における貸借対照表を、財産目録に基づき作成しなければならない。 2 前項の貸借対照表は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。 この場合において、第一号及び第二号に掲げる部は、その内容を示す適当な名称を付した項目に細分することができる。 一 資産 二 負債 三 純資産 3 処分価格を付すことが困難な資産がある場合には、第一項の貸借対照表には、当該資産に係る財産評価の方針を注記しなければならない。 (各清算事務年度に係る貸借対照表) 第二十八条 清算受託者は、各清算事務年度(清算開始の日の翌日又はその後毎年その日に応当する日(応当する日がない場合にあっては、その前日)から始まる各一年の期間をいう。以下この節において同じ。)に係る貸借対照表を、会計帳簿に基づき作成しなければならない。 2 前条第二項の規定は、前項の貸借対照表について準用する。 3 清算受託者は、各清算事務年度に係る貸借対照表の附属明細書を作成しなければならない。 4 前項の附属明細書は、貸借対照表の内容を補足する重要な事項をその内容としなければならない。 (各清算事務年度に係る事務報告) 第二十九条 清算受託者は、各清算事務年度に係る事務報告及びその附属明細書を作成しなければならない。 2 前項の事務報告は、清算に関する事務の執行の状況に係る重要な事項をその内容としなければならない。 3 第一項の附属明細書は、同項の事務報告の内容を補足する重要な事項をその内容としなければならない。 第四章 受益証券発行限定責任信託の会計監査 (会計監査報告の作成) 第三十条 法第二百五十二条第一項の規定により法務省令で定める事項については、この条に定めるところによる。 2 会計監査人は、その職務を適切に遂行するため、次に掲げる者との意思疎通を図り、情報の収集及び監査の環境の整備に努めなければならない。 ただし、会計監査人が公正不偏の態度及び独立の立場を保持することができなくなるおそれのある関係の創設及び維持を認めるものと解してはならない。 一 当該受益証券発行限定責任信託の受託者、信託財産管理者、民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十六条に規定する仮処分命令により選任された受託者の職務を代行する者及び信託財産法人管理人(以下これらの者を「受託者等」という。) 二 その他会計監査人が適切に職務を遂行するに当たり意思疎通を図るべき者 (計算関係書類の会計監査) 第三十一条 法第二百五十二条第四項において読み替えて適用する法第二百二十二条第四項の規定による会計監査については、次条及び第三十三条に定めるところによる。 (会計監査報告) 第三十二条 会計監査人は、計算関係書類(計算書類及びその附属明細書をいう。以下同じ。)を受領したときは、会計監査報告を作成しなければならない。 2 会計監査報告は、次に掲げる事項をその内容としなければならない。 一 会計監査人の会計監査の方法及びその内容 二 計算関係書類が当該受益証券発行限定責任信託の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについての意見があるときは、次のイからハまでに掲げる意見の区分に応じ、当該イからハまでに定める事項 イ 無限定適正意見 会計監査の対象となった計算関係書類が一般に公正妥当と認められる会計の慣行に準拠して、当該計算関係書類に係る期間の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示していると認められる旨 ロ 除外事項を付した限定付適正意見 会計監査の対象となった計算関係書類が除外事項を除き一般に公正妥当と認められる会計の慣行に準拠して、当該計算関係書類に係る期間の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示していると認められる旨並びに除外事項 ハ 不適正意見 会計監査の対象となった計算関係書類が不適正である旨及びその理由 三 前号の意見がないときは、その旨及びその理由 四 追記情報 五 会計監査報告を作成した日 3 前項第四号に規定する「追記情報」とは、会計監査人の判断に関して説明を付す必要がある事項又は計算関係書類の内容のうち強調する必要がある事項とする。 (会計監査報告の通知期限等) 第三十三条 会計監査人は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに、受託者等に対し、各信託事務年度に係る計算書類及びその附属明細書についての会計監査報告の内容を通知しなければならない。 ただし、受託者等のうち、信託行為の定め又は受託者等の合意により通知を受ける者が指定された場合には、指定された者に通知すれば足りる。 一 当該計算書類の全部を受領した日から四週間を経過した日 二 当該計算書類の附属明細書を受領した日から一週間を経過した日 三 信託行為で定めた日又は受託者等(この項ただし書に規定する場合にあっては、指定された者。次項において同じ。)及び会計監査人の間で合意により定めた日があるときは、その日 2 計算関係書類については、受託者等が前項の規定による会計監査報告の内容の通知を受けた日に、会計監査人の監査を受けたものとする。 3 前項の規定にかかわらず、会計監査人が第一項の規定により通知をすべき日までに同項の規定による会計監査報告の内容の通知をしない場合には、当該通知をすべき日に、計算関係書類について会計監査人の監査を受けたものとみなす。
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限定責任信託登記規則 (趣旨) 第一条 信託法(平成十八年法律第百八号)第二条第十二項に規定する限定責任信託(以下「限定責任信託」という。)の登記の取扱手続は、この省令の定めるところによる。 (登記簿の編成) 第二条 限定責任信託の登記簿は、別表の上欄に掲げる各区に区分した登記記録をもって編成する。 2 前項の区には、その区分に応じ、別表の下欄に掲げる事項を記録する。 (印鑑の提出) 第三条 印鑑の提出は、当該印鑑を明らかにした書面をもってしなければならない。 この場合においては、印鑑を提出する者は、その書面に次に掲げる事項のほか、氏名、住所、年月日及び登記所の表示を記載し、押印(第三項第二号イ及び第三号イの場合において、当該各号の印鑑を提出する者が押印するときは、当該登記所に提出している印鑑に係るものに限る。)しなければならない。 一 限定責任信託の名称 二 限定責任信託の事務処理地 三 資格 四 氏名 五 出生の年月日 2 印鑑を提出する者が次の各号に掲げる者であるときは、前項の書面には、同項第四号に掲げる事項に代えて、それぞれ当該各号に定める事項を記載しなければならない。 一 限定責任信託の受託者(清算受託者を除く。以下同じ。)、信託財産管理者、信託財産法人管理人又は清算受託者である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあっては、当該代表者の職務を行うべき者) 当該法人の商号又は名称及び本店又は主たる事務所並びに当該代表者の資格及び氏名(当該代表者が法人である場合にあっては、氏名に代え、当該法人の商号又は名称及び本店又は主たる事務所並びに当該代表者の職務を行うべき者の氏名) 二 破産法(平成十六年法律第七十五号)の規定により限定責任信託につき選任された破産管財人又は保全管理人(以下「破産管財人等」という。)である法人の職務を行うべき者として指名された者 当該法人の商号又は名称及び本店又は主たる事務所並びに当該指名された者の氏名 3 第一項の書面には、次の各号に掲げる印鑑を提出する者の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める書面を添付しなければならない。 ただし、同項の書面の提出を受ける登記所において登記がされている法人又は同項の書面に会社法人等番号(信託法第二百四十七条において準用する商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第七条に規定する会社法人等番号をいう。別表において同じ。)を記載した法人の代表者の資格を証する書面については、この限りでない。 一 限定責任信託の受託者、信託財産管理者、信託財産法人管理人若しくは清算受託者又は破産管財人等(法人である場合を除く。) 第一項後段の規定により同項の書面に押印した印鑑につき市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、市長又は区長若しくは総合区長とする。以下この条において同じ。)の作成した証明書で作成後三月以内のもの 二 限定責任信託の受託者、信託財産管理者、信託財産法人管理人又は清算受託者が法人である場合における当該法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあっては、当該代表者の職務を行うべき者) 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める書面 イ 当該代表者が登記所に印鑑を提出している場合 登記所の作成した当該代表者の資格を証する書面で作成後三月以内のもの ロ 当該代表者が登記所に印鑑を提出していない場合 イに定める書面及び第一項後段の規定により同項の書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書で作成後三月以内のもの 三 破産管財人等が法人である場合において当該破産管財人等の職務を行うべき者として指名された者(当該法人の代表者に限る。) 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める書面 イ 当該代表者が登記所に印鑑を提出している場合 登記所の作成した当該代表者の資格を証する書面で作成後三月以内のもの ロ 当該代表者が登記所に印鑑を提出していない場合 イに定める書面及び第一項後段の規定により同項の書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書で作成後三月以内のもの 四 破産管財人等が法人である場合において当該破産管財人等の職務を行うべき者として指名された者(前号に掲げる者を除く。) 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める書面 イ 当該法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあっては、当該代表者の職務を行うべき者。以下この号において同じ。)が登記所に印鑑を提出している場合 登記所が作成した当該法人の代表者の資格を証する書面で作成後三月以内のもの及び当該法人の代表者が当該指名された者の印鑑に相違ないことを保証した書面で当該登記所に提出している印鑑を押印したもの ロ 当該法人の代表者が登記所に印鑑を提出していない場合 登記所が作成した当該法人の代表者の資格を証する書面で作成後三月以内のもの、当該法人の代表者が当該指名された者の印鑑に相違ないことを保証した書面及び当該書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書で作成後三月以内のもの (附属書類の閲覧請求) 第四条 第八条において準用する商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第二十一条第一項に規定する登記簿の附属書類の閲覧の申請書には、利害関係を証する書面を添付しなければならない。 (信託財産管理者等の登記) 第五条 信託財産管理者又は信託財産法人管理人に関する登記については、受託者又は清算受託者の就任の登記をしたときは、抹消する記号を記録しなければならない。 2 受託者又は清算受託者の職務の執行停止の登記又は職務代行者に関する登記については、その受託者又は清算受託者の解任の登記をしたときは、抹消する記号を記録しなければならない。 (終了の登記) 第六条 信託法第二百三十五条又は第二百四十六条第二号ロの規定による終了の登記をしたときは、受託者に関する登記を抹消する記号を記録しなければならない。 (登記記録の閉鎖等) 第七条 次に掲げる登記は、登記記録区にしなければならない。 一 限定責任信託の事務処理地に変更があった場合において、旧事務処理地においてするその変更の登記(同一の登記所の管轄区域内において変更があった場合を除く。) 二 信託の併合による終了の登記 三 清算結了の登記 2 前項各号に掲げる登記をしたときは、その登記記録を閉鎖しなければならない。 (商業登記規則の準用) 第八条 商業登記規則第一条の二第一項及び第二項、第一条の三から第六条まで、第九条第三項、第四項、第六項、第七項、第九項及び第十一項から第十三項まで、第九条の二、第九条の三、第九条の四(第一項後段を除く。)、第九条の五(第四項を除く。)、第九条の六から第十条まで、第十一条、第十三条から第十八条まで、第十九条(第四号及び第五号を除く。)、第二十条、第二十一条(第三項第二号を除く。)、第二十二条、第二十七条から第二十九条まで、第三十条(第一項第四号を除く。)、第三十一条から第四十五条まで、第四十八条から第五十条まで、第六十五条第一項及び第三項、第八十一条、第八十一条の二、第九十八条から第百四条まで、第百五条の二から第百九条まで、第百十一条、第百十七条並びに第百十八条の規定は、限定責任信託の登記について準用する。 この場合において、同規則第一条の二第一項中「登記所及び次の各号に掲げる区分」とあるのは「登記所」と、同規則第九条第六項及び第七項、第九条の四第一項、第九条の五第三項、第二十二条第一項、第三十二条の二、第三十三条の五並びに第三十三条の六第二項第一号中「被証明事項」とあるのは「限定責任信託登記規則(平成十九年法務省令第四十六号)第三条第一項各号に掲げる事項(同条第二項に規定する場合にあつては、同条第一項第四号に掲げる事項を除き、同条第二項各号に定める事項を含む。)」と、同規則第九条第九項中「後見人」とあるのは「限定責任信託の受託者、信託財産管理者、信託財産法人管理人又は清算受託者」と、同条第十項並びに同規則第九条の四第二項、第百一条第二項及び第百十一条(見出しを含む。)中「管財人等」とあるのは「破産管財人等」と、同規則第九条の四第二項及び第百一条第二項中「後見人」とあるのは「限定責任信託の受託者、信託財産管理者、信託財産法人管理人若しくは清算受託者」と、同規則第九条の六第一項中「第九条第一項及び第七項、第九条の四第一項並びに第九条の五第三項」とあるのは「限定責任信託登記規則第三条第一項及び第二項並びに同規則第八条において準用する第九条第七項、第九条の四第一項及び第九条の五第三項」と、同規則第二十二条第一項中「第九条第二項及び第九条の四第二項」とあるのは「第九条の四第二項」と、同規則第三十三条の三第三号中「管財人等の職務を行うべき者として指名された者」とあるのは「限定責任信託登記規則第三条第二項各号に掲げる者」と、同規則第五十条第一項中「商号」とあるのは「限定責任信託の名称」と、同規則第八十一条第一項第一号中「解散」とあるのは「終了」と、同規則第八十一条の二第一項、第二項第一号、第四項、第七項及び第九項中「会社の代表者」とあるのは「限定責任信託の受託者又は清算受託者」と、同条第一項中「役員(取締役、監査役、執行役、会計参与又は会計監査人をいう。以下この条において同じ。)又は清算人」とあるのは「限定責任信託の受託者、会計監査人又は清算受託者」と、同条第一項、第二項第二号及び第三号並びに第六項中「役員又は清算人」とあるのは「限定責任信託の受託者、会計監査人又は清算受託者」と、同条第二項第一号中「会社の商号及び本店の所在場所」とあるのは「限定責任信託の名称及び事務処理地」と、同条第七項及び第九項中「会社の登記簿」とあるのは「限定責任信託の登記簿」と、同条第十項中「清算人」とあるのは「清算受託者」と読み替えるものとする。
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平成十九年法務省令第四十六号
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限定責任信託登記規則 (趣旨) 第一条 信託法(平成十八年法律第百八号)第二条第十二項に規定する限定責任信託(以下「限定責任信託」という。)の登記の取扱手続は、この省令の定めるところによる。 (登記簿の編成) 第二条 限定責任信託の登記簿は、別表の上欄に掲げる各区に区分した登記記録をもって編成する。 2 前項の区には、その区分に応じ、別表の下欄に掲げる事項を記録する。 (印鑑の提出) 第三条 印鑑の提出は、当該印鑑を明らかにした書面をもってしなければならない。 この場合においては、印鑑を提出する者は、その書面に次に掲げる事項のほか、氏名、住所、年月日及び登記所の表示を記載し、押印(第三項第二号イ及び第三号イの場合において、当該各号の印鑑を提出する者が押印するときは、当該登記所に提出している印鑑に係るものに限る。)しなければならない。 一 限定責任信託の名称 二 限定責任信託の事務処理地 三 資格 四 氏名 五 出生の年月日 2 印鑑を提出する者が次の各号に掲げる者であるときは、前項の書面には、同項第四号に掲げる事項に代えて、それぞれ当該各号に定める事項を記載しなければならない。 一 限定責任信託の受託者(清算受託者を除く。以下同じ。)、信託財産管理者、信託財産法人管理人又は清算受託者である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあっては、当該代表者の職務を行うべき者) 当該法人の商号又は名称及び本店又は主たる事務所並びに当該代表者の資格及び氏名(当該代表者が法人である場合にあっては、氏名に代え、当該法人の商号又は名称及び本店又は主たる事務所並びに当該代表者の職務を行うべき者の氏名) 二 破産法(平成十六年法律第七十五号)の規定により限定責任信託につき選任された破産管財人又は保全管理人(以下「破産管財人等」という。)である法人の職務を行うべき者として指名された者 当該法人の商号又は名称及び本店又は主たる事務所並びに当該指名された者の氏名 3 第一項の書面には、次の各号に掲げる印鑑を提出する者の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める書面を添付しなければならない。 ただし、同項の書面の提出を受ける登記所において登記がされている法人又は同項の書面に会社法人等番号(信託法第二百四十七条において準用する商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第七条に規定する会社法人等番号をいう。別表において同じ。)を記載した法人の代表者の資格を証する書面については、この限りでない。 一 限定責任信託の受託者、信託財産管理者、信託財産法人管理人若しくは清算受託者又は破産管財人等(法人である場合を除く。) 第一項後段の規定により同項の書面に押印した印鑑につき市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、市長又は区長若しくは総合区長とする。以下この条において同じ。)の作成した証明書で作成後三月以内のもの 二 限定責任信託の受託者、信託財産管理者、信託財産法人管理人又は清算受託者が法人である場合における当該法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあっては、当該代表者の職務を行うべき者) 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める書面 イ 当該代表者が登記所に印鑑を提出している場合 登記所の作成した当該代表者の資格を証する書面で作成後三月以内のもの ロ 当該代表者が登記所に印鑑を提出していない場合 イに定める書面及び第一項後段の規定により同項の書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書で作成後三月以内のもの 三 破産管財人等が法人である場合において当該破産管財人等の職務を行うべき者として指名された者(当該法人の代表者に限る。) 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める書面 イ 当該代表者が登記所に印鑑を提出している場合 登記所の作成した当該代表者の資格を証する書面で作成後三月以内のもの ロ 当該代表者が登記所に印鑑を提出していない場合 イに定める書面及び第一項後段の規定により同項の書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書で作成後三月以内のもの 四 破産管財人等が法人である場合において当該破産管財人等の職務を行うべき者として指名された者(前号に掲げる者を除く。) 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める書面 イ 当該法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあっては、当該代表者の職務を行うべき者。以下この号において同じ。)が登記所に印鑑を提出している場合 登記所が作成した当該法人の代表者の資格を証する書面で作成後三月以内のもの及び当該法人の代表者が当該指名された者の印鑑に相違ないことを保証した書面で当該登記所に提出している印鑑を押印したもの ロ 当該法人の代表者が登記所に印鑑を提出していない場合 登記所が作成した当該法人の代表者の資格を証する書面で作成後三月以内のもの、当該法人の代表者が当該指名された者の印鑑に相違ないことを保証した書面及び当該書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書で作成後三月以内のもの (附属書類の閲覧請求) 第四条 第八条において準用する商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第二十一条第一項に規定する登記簿の附属書類の閲覧の申請書には、利害関係を証する書面を添付しなければならない。 (信託財産管理者等の登記) 第五条 信託財産管理者又は信託財産法人管理人に関する登記については、受託者又は清算受託者の就任の登記をしたときは、抹消する記号を記録しなければならない。 2 受託者又は清算受託者の職務の執行停止の登記又は職務代行者に関する登記については、その受託者又は清算受託者の解任の登記をしたときは、抹消する記号を記録しなければならない。 (終了の登記) 第六条 信託法第二百三十五条又は第二百四十六条第二号ロの規定による終了の登記をしたときは、受託者に関する登記を抹消する記号を記録しなければならない。 (登記記録の閉鎖等) 第七条 次に掲げる登記は、登記記録区にしなければならない。 一 限定責任信託の事務処理地に変更があった場合において、旧事務処理地においてするその変更の登記(同一の登記所の管轄区域内において変更があった場合を除く。) 二 信託の併合による終了の登記 三 清算結了の登記 2 前項各号に掲げる登記をしたときは、その登記記録を閉鎖しなければならない。 (商業登記規則の準用) 第八条 商業登記規則第一条の二第一項及び第二項、第一条の三から第六条まで、第九条第三項、第四項、第六項、第七項、第九項及び第十一項から第十三項まで、第九条の二、第九条の三、第九条の四(第一項後段を除く。)、第九条の五(第四項を除く。)、第九条の六から第十条まで、第十一条、第十三条から第十八条まで、第十九条(第四号及び第五号を除く。)、第二十条、第二十一条(第三項第二号を除く。)、第二十二条、第二十七条から第二十九条まで、第三十条(第一項第四号を除く。)、第三十一条、第三十一条の二、第三十二条から第四十五条まで、第四十八条から第五十条まで、第六十五条第一項及び第三項、第八十一条、第八十一条の二、第九十八条から第百四条まで、第百五条の二から第百九条まで、第百十一条、第百十七条並びに第百十八条の規定は、限定責任信託の登記について準用する。 この場合において、同規則第一条の二第一項中「登記所及び次の各号に掲げる区分」とあるのは「登記所」と、同規則第九条第六項及び第七項、第九条の四第一項、第九条の五第三項、第二十二条第一項、第三十二条の二、第三十三条の五並びに第三十三条の六第二項第一号中「被証明事項」とあるのは「限定責任信託登記規則(平成十九年法務省令第四十六号)第三条第一項各号に掲げる事項(同条第二項に規定する場合にあつては、同条第一項第四号に掲げる事項を除き、同条第二項各号に定める事項を含む。)」と、同規則第九条第九項中「後見人」とあるのは「限定責任信託の受託者、信託財産管理者、信託財産法人管理人又は清算受託者」と、同条第十項並びに同規則第九条の四第二項、第百一条第二項及び第百十一条(見出しを含む。)中「管財人等」とあるのは「破産管財人等」と、同規則第九条の四第二項及び第百一条第二項中「後見人」とあるのは「限定責任信託の受託者、信託財産管理者、信託財産法人管理人若しくは清算受託者」と、同規則第九条の六第一項中「第九条第一項及び第七項、第九条の四第一項並びに第九条の五第三項」とあるのは「限定責任信託登記規則第三条第一項及び第二項並びに同規則第八条において準用する第九条第七項、第九条の四第一項及び第九条の五第三項」と、同規則第二十二条第一項中「第九条第二項及び第九条の四第二項」とあるのは「第九条の四第二項」と、同規則第三十三条の三第三号中「管財人等の職務を行うべき者として指名された者」とあるのは「限定責任信託登記規則第三条第二項各号に掲げる者」と、同規則第五十条第一項中「商号」とあるのは「限定責任信託の名称」と、同規則第八十一条第一項第一号中「解散」とあるのは「終了」と、同規則第八十一条の二第一項、第二項第一号、第四項、第七項及び第九項中「会社の代表者」とあるのは「限定責任信託の受託者又は清算受託者」と、同条第一項中「役員(取締役、監査役、執行役、会計参与又は会計監査人をいう。以下この条において同じ。)又は清算人」とあるのは「限定責任信託の受託者、会計監査人又は清算受託者」と、同条第一項、第二項第二号及び第三号並びに第六項中「役員又は清算人」とあるのは「限定責任信託の受託者、会計監査人又は清算受託者」と、同条第二項第一号中「会社の商号及び本店の所在場所」とあるのは「限定責任信託の名称及び事務処理地」と、同条第七項及び第九項中「会社の登記簿」とあるのは「限定責任信託の登記簿」と、同条第十項中「清算人」とあるのは「清算受託者」と読み替えるものとする。
民事
Heisei
MinisterialOrdinance
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平成十九年外務省令第十五号
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外務大臣の所管に属する公益信託の引受けの許可及び監督に関する省令 (引受けの許可の申請) 第一条 公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)(以下「法」という。)第二条第一項の規定により公益信託の引受けの許可を受けようとする者は、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 設定趣意書 二 信託行為の内容を示す書類 三 信託財産に属する財産となるべきものの種類及び総額を記載した書類並びにその財産の権利及び価格を証する書類 四 委託者となるべき者及び受託者となるべき者の氏名、住所及び略歴を記載した書類(委託者となるべき者又は受託者となるべき者が法人である場合にあっては、当該法人の名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地を記載した書類並びに定款又は寄附行為) 五 信託管理人を指定する場合にあっては、信託管理人となるべき者の氏名、住所及び略歴を記載した書類(信託管理人となるべき者が法人である場合にあっては、当該法人の名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地を記載した書類並びに定款又は寄附行為)並びにその就任の承諾を証する書類 六 運営委員会その他当該公益信託を適正に運営するために必要な機関(以下「運営委員会等」という。)を設置する場合にあっては、当該運営委員会等の名称及び構成員の数並びに構成員となるべき者の氏名、住所及び略歴を記載した書類並びにその就任の承諾を証する書類 七 引受け当初の信託事務年度及び翌信託事務年度(信託事務年度の定めがない信託にあっては、引受け後二年間)の事業計画書及び収支予算書 八 その他外務大臣が必要と認める書類 (財産の移転の報告) 第二条 公益信託の引受けを許可された受託者は、遅滞なく前条第三号の財産の移転を受け、その移転を終了した後一月以内に、これを証する書類を添えて、その旨を外務大臣に報告しなければならない。 (事業計画書及び収支予算書の提出) 第三条 受託者は、毎信託事務年度(信託事務年度の定めのない信託にあっては、毎年四月一日から翌年三月三十一日までとする。以下同じ。)開始前に、当該信託事務年度の事業計画書及び収支予算書を外務大臣に提出しなければならない。 2 受託者は、前項の事業計画書及び収支予算書を変更したときは、速やかにこれを外務大臣に届け出なければならない。 (事業状況報告書等の提出) 第四条 受託者は、毎信託事務年度終了後三月以内に、次に掲げる書類を外務大臣に提出しなければならない。 一 当該信託事務年度の事業状況報告書 二 当該信託事務年度の収支決算書 三 当該信託事務年度末の財産目録 (公告) 第五条 受託者は、前条の書類を提出した後、遅滞なく、前信託事務年度の信託事務及び財産の状況を公告しなければならない。 (信託の変更に係る書類の提出) 第六条 受託者は、法第五条第一項の特別の事情が生じたと認めるときは、次に掲げる書類を外務大臣に提出しなければならない。 一 信託の変更を必要とする理由を記載した書類 二 信託の変更案を記載した書類及び新旧対照表 2 前項の信託の変更が当該公益信託の事業内容の変更に係るものである場合にあっては、同項各号の書類のほか、変更後の事業計画書及び収支予算書を添えなければならない。 (信託の変更の許可の申請) 第七条 受託者は、法第六条の規定により信託の変更の許可を受けようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 信託の変更を必要とする理由を記載した書類 二 信託の変更をする根拠となる信託法(平成十八年法律第百八号)の規定(同法第百四十九条第四項の別段の定めがある場合には、当該定めの内容を含む。)を記載した書類 三 信託の変更案を記載した書類及び新旧対照表 2 前項の信託の変更が当該公益信託の事業内容の変更に係るものである場合にあっては、同項各号の書類のほか、変更後の事業計画書及び収支予算書を添えなければならない。 (信託の併合の許可の申請) 第八条 受託者は、法第六条の規定により信託の併合の許可を受けようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 信託の併合を必要とする理由を記載した書類 二 信託の併合をする根拠となる信託法の規定(同法第百五十一条第三項の別段の定めがある場合には、当該定めの内容を含む。)を記載した書類 三 信託の併合後の信託行為の内容を記載した書類及び新旧対照表 四 信託法第百五十二条第二項の公告及び催告又は同条第三項の公告をしたことその他信託法の定める信託の併合の手続を経たことを証する書類 2 第一条第三号及び第五号から第八号までの規定は、前項の許可を受けようとする受託者について準用する。 この場合において、同条第七号中「引受け」とあるのは「信託の併合」と読み替えるものとする。 (吸収信託分割の許可の申請) 第九条 受託者は、法第六条の規定により吸収信託分割の許可を受けようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 吸収信託分割を必要とする理由を記載した書類 二 吸収信託分割をする根拠となる信託法の規定(同法第百五十五条第三項の別段の定めがある場合には、当該定めの内容を含む。)を記載した書類 三 吸収信託分割後の信託行為の内容を記載した書類及び新旧対照表 四 信託法第百五十六条第二項の公告及び催告又は同条第三項の公告をしたことその他信託法の定める吸収信託分割の手続を経たことを証する書類 (新規信託分割の許可の申請) 第十条 受託者は、法第六条の規定により新規信託分割の許可を受けようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 新規信託分割を必要とする理由を記載した書類 二 新規信託分割をする根拠となる信託法の規定(同法第百五十九条第三項の別段の定めがある場合には、当該定めの内容を含む。)を記載した書類 三 新規信託分割後の信託行為の内容を記載した書類及び新旧対照表 四 信託法第百六十条第二項の公告及び催告又は同条第三項の公告をしたことその他信託法の定める吸収信託分割の手続を経たことを証する書類 2 第一条第三号及び第五号から第八号までの規定は、前項の許可を受けようとする受託者について準用する。 この場合において、同条第七号中「引受け」とあるのは「新規信託分割」と読み替えるものとする。 (受託者の辞任の許可の申請) 第十一条 受託者は、法第七条の規定により辞任の許可を受けようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 辞任しようとする理由を記載した書類 二 信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を記載した書類 三 新たな受託者の選任に関する意見を記載した書類 (検査役の選任の請求) 第十二条 委託者又は信託管理人は、信託法第四十六条第一項及び法第八条の規定により検査役の選任を請求しようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 選任を請求する理由を記載した書類 二 検査役の選任に関する意見を記載した書類 (受託者の解任の請求) 第十三条 委託者又は信託管理人は、信託法第五十八条第四項及び法第八条の規定により受託者の解任を請求しようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 解任を請求する理由を記載した書類 二 新たな受託者の選任に関する意見を記載した書類 (新たな受託者の選任の請求) 第十四条 利害関係人は、信託法第六十二条第四項及び法第八条の規定により新受託者の選任を請求しようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 受託者の任務終了の事由を記載した書類 二 新たな受託者となるべき者に係る第一条第四号に掲げる書類及びその就任の承諾を証する書類 (信託財産管理命令の請求) 第十五条 利害関係人は、信託法第六十三条第一項及び法第八条の規定により信託財産管理者による管理を命ずる処分(以下この条において「信託財産管理命令」という。)を請求しようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 受託者の任務終了の事由を記載した書類 二 信託財産管理命令を請求する理由を記載した書類 三 信託財産管理者の選任に関する意見を記載した書類 (保存行為等の範囲を超える行為の許可の申請) 第十六条 信託財産管理者は、信託法第六十六条第四項及び法第八条の規定による許可を受けようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 許可を受けようとする行為の概要を記載した書類 二 許可を受けようとする理由を記載した書類 2 前項の規定は、信託法第七十四条第六項において準用する同法第六十六条第四項及び法第八条の規定により保存行為等の範囲を超える行為の許可を受けようとする信託財産法人管理人について準用する。 (信託財産管理者等の辞任の許可の申請) 第十七条 信託財産管理者は、信託法第七十条において読み替えて準用する同法第五十七条第二項及び法第八条の規定により辞任の許可を受けようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 辞任しようとする理由を記載した書類 二 信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を記載した書類 三 新たな信託財産管理者の選任に関する意見を記載した書類 2 前項の規定は、信託法第七十四条第六項において準用する同法第七十条の規定により辞任の許可を受けようとする信託財産法人管理人について準用する。 この場合において、前項第三号中「新たな信託財産管理者」とあるのは、「新たな信託財産法人管理人」と読み替えるものとする。 (信託財産管理者等の解任の請求) 第十八条 委託者又は信託管理人は、信託法第七十条において準用する同法第五十八条第四項及び法第八条の規定により信託財産管理者の解任を請求しようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 解任を請求する理由を記載した書類 二 新たな信託財産管理者の選任に関する意見を記載した書類 2 前項の規定は、信託法第七十四条第六項において準用する同法第七十条の規定により信託財産法人管理人の解任を請求しようとする委託者又は信託管理人について準用する。 この場合において、前項第二号中「新たな信託財産管理者」とあるのは、「新たな信託財産法人管理人」と読み替えるものとする。 (信託財産法人管理命令の請求) 第十九条 利害関係人は、信託法第七十四条第二項及び法第八条の規定により信託財産法人管理人による管理を命ずる処分(以下この条において「信託財産法人管理命令」という。)を請求しようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 受託者の死亡の事実を記載した書類 二 信託財産法人管理命令を請求する理由を記載した書類 三 信託財産法人管理人の選任に関する意見を記載した書類 (信託管理人の選任の請求) 第二十条 利害関係人は、信託法第百二十三条第四項又は同法第二百五十八条第六項及び法第八条の規定により信託管理人の選任を請求しようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 選任を請求する理由を記載した書類 二 信託管理人となるべき者に係る第一条第五号に掲げる書類 (信託管理人の辞任の許可の申請) 第二十一条 信託管理人は、信託法第百二十八条第二項において準用する同法第五十七条第二項及び法第八条の規定により辞任の許可を受けようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 辞任しようとする理由を記載した書類 二 信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を記載した書類 三 新たな信託管理人の選任に関する意見を記載した書類 (信託管理人の解任の請求) 第二十二条 委託者又は他の信託管理人は、信託法第百二十八条第二項において準用する同法第五十八条第四項及び法第八条の規定により信託管理人の解任を請求しようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 解任を請求する理由を記載した書類 二 新たな信託管理人の選任に関する意見を記載した書類 (新たな信託管理人の選任の請求) 第二十三条 利害関係人は、信託法第百二十九条第一項において準用する同法第六十二条第四項及び法第八条の規定により新たな信託管理人の選任を請求しようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 信託管理人の任務終了の事由を記載した書類 二 新たな信託管理人となるべき者に係る第一条第五号に掲げる書類 (信託の終了の請求) 第二十四条 委託者、受託者又は信託管理人は、信託法第百六十五条第一項及び法第八条の規定により信託の終了を請求しようとするときは、次に掲げる書類を添えた申請書を外務大臣に提出しなければならない。 一 信託の終了を請求する理由を記載した書類 二 信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を記載した書類 三 残余財産の処分の見込みに関する書類 (諸届出) 第二十五条 受託者は、この規則で定めるもののほか、次に掲げる事項に変更があったときは、遅滞なく書面をもってその旨を外務大臣に届け出なければならない。 一 受託者の氏名、住所又は職業(法人にあっては、その名称、代表者の氏名、主たる事務所の所在地又は主たる業務) 二 信託管理人又は運営委員会等の構成員の氏名、住所又は職業(信託管理人が法人である場合にあっては、その名称、代表者の氏名、主たる事務所の所在地又は主たる業務) 2 前項第二号の規定による届出が、新たに就任する信託管理人又は運営委員会等の構成員に係るものであるときは、第一条第五号又は第六号の書類を添えなければならない。 (書類及び帳簿の備付け) 第二十六条 受託者は、その信託事務を行う事務所に、次に掲げる書類及び帳簿を備えなければならない。 一 信託行為及びこれに附属する書類 二 委託者又はその相続人、受託者、信託管理人及び運営委員会等の構成員の名簿及び略歴を記載した書類(これらの者が法人である場合にあっては、その定款又は寄附行為) 三 許可、届出等に関する書類 四 収入及び支出に関する帳簿及び証拠書類 五 資産及び負債の状況を示す書類 六 運営委員会等の議事に関する書類 (業務の監督) 第二十七条 外務大臣は、法第三条及び同法第四条第一項の規定により、受託者に対し報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に信託事務及び財産の状況を検査させることができる。 2 前項の規定により検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。 (公益信託終了の報告等) 第二十八条 受託者は、信託が終了したときは、終了後一月以内に、信託の終了事由を記載した書類を外務大臣に提出しなければならない。 2 清算受託者は、信託の清算が結了したときは、清算結了後一月以内に、次に掲げる書類を添えた報告書を外務大臣に提出しなければならない。 一 信託の清算が結了した日の属する信託事務年度の事業状況報告書及び収支決算書 二 信託の清算結了時における財産目録 三 残余財産の処分に関する書類
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平成十九年文部科学省令第二十八号
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文部科学大臣の所管に属する公益信託の引受けの許可及び監督に関する規則 (趣旨) 第一条 文部科学大臣の所管に属する公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)(以下「法」という。)第一条に規定する公益信託(公益信託に係る主務官庁の権限に属する事務の処理等に関する政令(平成四年政令第百六十二号)第一条の規定により文部科学大臣の同条第一項に規定する権限に属する事務を都道府県の知事又は都道府県の教育委員会が行うこととされたものを除く。以下「公益信託」という。)に係る引受けの許可及び監督に関する手続については、この省令の定めるところによる。 (引受けの許可の申請) 第二条 法第二条第一項の規定により公益信託の引受けの許可を受けようとする者は、許可申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 設定趣意書 二 信託行為の内容を示す書類 三 委託者となるべき者の履歴書 四 受託者となるべき者の履歴書 五 信託管理人を置く場合にあっては、信託管理人となるべき者の就任承諾書及び履歴書 六 運営委員会その他当該公益信託を適正に運営するために必要な機関(以下「運営委員会等」という。)を設置する場合にあっては、その名称及び構成員の数並びにその構成員となるべき者の就任承諾書及び履歴書 七 財産目録 八 預金、有価証券等の財産の権利及び価格を証する書類 九 引受け当初の信託事務年度及び翌信託事務年度(信託事務年度の定めがない信託にあっては、引受け後二年間)の事業計画書及び収支予算書 十 その他文部科学大臣が特に必要と認める書類 2 前項第三号から第五号までの規定において委託者、受託者又は信託管理人となるべき者が法人である場合にあっては、法人の名称、代表者の氏名、主たる事務所の所在地及び主たる業務を記載した書類を添付するものとする。 (財産の移転の報告) 第三条 引受けを許可された受託者は、遅滞なく、前条第一項第七号の財産目録記載の財産の移転を受け、その移転を終わった後一月以内に、これを証する登記所、銀行等の証明書類及び信託行為の謄本を添付して、その旨を文部科学大臣に報告しなければならない。 (事業計画書等の届出) 第四条 受託者は、毎信託事務年度(信託行為に別段の定めがないときは、毎年四月一日に始まり翌年三月三十一日に終わるものとする。以下同じ。)開始前に、翌年度の事業計画書及びこれに伴う収支予算書を文部科学大臣に届け出なければならない。 (事業計画書等の変更の届出) 第五条 受託者は、第二条第一項第九号の事業計画書及び収支予算書又は前条の事業計画書及び収支予算書を変更したときは、遅滞なく、これらを文部科学大臣に届け出なければならない。 (事業報告) 第六条 受託者は、毎信託事務年度終了後三月以内に、その年度末現在の財産目録を添付して、その年度における次に掲げる事項を文部科学大臣に報告しなければならない。 一 事業の状況 二 収支決算 (公告) 第七条 受託者は、前条の報告をした後、遅滞なく、前信託事務年度の事業及び財産の状況を公告しなければならない。 (信託の変更に係る書類の提出) 第八条 受託者は、法第五条第一項の特別の事情が生じたと認めるときは、次に掲げる書類を文部科学大臣に提出しなければならない。 一 信託の変更を必要とする事由を記載した書類 二 信託の変更案を記載した書類及び新旧対照表 2 前項の信託の変更が当該公益信託の事業内容に係るものである場合にあっては、同項各号の書類のほか、変更後の事業計画書及び収支予算書を添付しなければならない。 (信託の変更の許可の申請) 第九条 受託者は、法第六条の規定により信託の変更の許可を受けようとするときは、許可申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 信託の変更を必要とする事由を記載した書類 二 信託の変更をする根拠となる信託法(平成十八年法律第百八号)の規定(同法第百四十九条第四項の別段の定めがある場合には、当該定めの内容を含む。)を記載した書類 三 信託の変更案を記載した書類及び新旧対照表 2 前項の信託の変更が当該公益信託の事業内容に係るものである場合にあっては、同項各号の書類のほか、変更後の事業計画書及び収支予算書を添付しなければならない。 (信託の併合の許可の申請) 第十条 受託者は、法第六条の規定により信託の併合の許可を受けようとするときは、許可申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 信託の併合を必要とする事由を記載した書類 二 信託の併合をする根拠となる信託法の規定(同法第百五十一条第三項の別段の定めがある場合には、当該定めの内容を含む。)を記載した書類 三 信託の併合後の信託行為の内容を記載した書類及び新旧対照表 四 信託法第百五十二条第二項の公告及び催告又は同条第三項の公告をしたことその他信託法の定める信託の併合の手続を経たことを証する書類 2 第二条第一項第五号から第十号までの規定は、前項の許可を受けようとする受託者について準用する。 この場合において、同条第九号中「引受け」とあるのは「信託の併合」と読み替えるものとする。 (吸収信託分割の許可の申請) 第十一条 受託者は、法第六条の規定により吸収信託分割の許可を受けようとするときは、許可申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 吸収信託分割を必要とする事由を記載した書類 二 吸収信託分割をする根拠となる信託法の規定(同法第百五十五条第三項の別段の定めがある場合には、当該定めの内容を含む。)を記載した書類 三 吸収信託分割後の信託行為の内容を記載した書類及び新旧対照表 四 信託法第百五十六条第二項の公告及び催告又は同条第三項の公告をしたことその他信託法の定める吸収信託分割の手続を経たことを証する書類 (新規信託分割の許可の申請) 第十二条 受託者は、法第六条の規定により新規信託分割の許可を受けようとするときは、許可申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 新規信託分割を必要とする事由を記載した書類 二 新規信託分割をする根拠となる信託法の規定(同法第百五十九条第三項の別段の定めがある場合には、当該定めの内容を含む。)を記載した書類 三 新規信託分割後の信託行為の内容を記載した書類及び新旧対照表 四 信託法第百六十条第二項の公告及び催告又は同条第三項の公告をしたことその他信託法の定める新規信託分割の手続を経たことを証する書類 2 第二条第一項第五号から第十号までの規定は、前項の許可を受けようとする受託者について準用する。 この場合において、同条第九号中「引受け」とあるのは「新規信託分割」と読み替えるものとする。 (受託者の辞任の許可の申請) 第十三条 受託者は、法第七条の規定により辞任の許可を受けようとするときは、許可申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 辞任しようとする事由を記載した書類 二 信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を記載した書類 三 新たな受託者の選任に関する意見を記載した書類 (検査役の選任の申請) 第十四条 委託者又は信託管理人は、信託法第四十六条第一項及び法第八条の規定により検査役の選任を請求しようとするときは、申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 選任を請求する事由を記載した書類 二 検査役の選任に関する意見を記載した書類 (受託者の解任の申請) 第十五条 委託者又は信託管理人は、信託法第五十八条第四項及び法第八条の規定により受託者の解任を請求しようとするときは、申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 解任を請求する事由を記載した書類 二 新たな受託者の選任に関する意見を記載した書類 (新たな受託者の選任の申請) 第十六条 委託者、信託管理人又は運営委員会等の構成員(以下「利害関係人」という。)は、信託法第六十二条第四項及び法第八条の規定により新たな受託者の選任を請求しようとするときは、申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 任務終了の事由を記載した書類 二 新たな受託者の選任に関する意見を記載した書類 三 新たな受託者となるべき者に係る第二条第一項第四号に掲げる書類及び就任承諾書 四 信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を記載した書類 (信託財産管理命令の申請) 第十七条 利害関係人は、信託法第六十三条第一項及び法第八条の規定により信託財産管理者による管理を命ずる処分(以下この条において「信託財産管理命令」という。)を請求しようとするときは、申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 受託者の任務終了の事由を記載した書類 二 信託財産管理命令を請求する事由を記載した書類 三 信託財産管理者の選任に関する意見を記載した書類 (保存行為等の範囲を超える行為の許可の申請) 第十八条 信託財産管理者は、信託法第六十六条第四項及び法第八条の規定による許可を受けようとするときは、許可申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 許可を受けようとする行為の概要を記載した書類 二 許可を受けようとする事由を記載した書類 2 前項の規定は、信託法第七十四条第六項において準用する同法第六十六条第四項及び法第八条の規定により保存行為等の範囲を超える行為の許可を受けようとする信託財産法人管理人について準用する。 (信託財産管理者等の辞任の許可の申請) 第十九条 信託財産管理者は、信託法第七十条において読み替えて準用する同法第五十七条第二項及び法第八条の規定により辞任の許可を受けようとするときは、許可申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 辞任しようとする事由を記載した書類 二 信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を記載した書類 三 新たな信託財産管理者の選任に関する意見を記載した書類 2 前項の規定は、信託法第七十四条第六項において準用する同法第七十条の規定により辞任の許可を受けようとする信託財産法人管理人について準用する。 この場合において、前項第三号中「新たな信託財産管理者」とあるのは、「新たな信託財産法人管理人」と読み替えるものとする。 (信託財産管理者等の解任の申請) 第二十条 委託者又は信託管理人は、信託法第七十条において準用する同法第五十八条第四項及び法第八条の規定により信託財産管理者の解任を請求しようとするときは、申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 解任を請求する事由を記載した書類 二 新たな信託財産管理者の選任に関する意見を記載した書類 2 前項の規定は、信託法第七十四条第六項において準用する同法第七十条の規定により信託財産法人管理人の解任を請求しようとする委託者又は信託管理人について準用する。 この場合において、前項第二号中「新たな信託財産管理者」とあるのは、「新たな信託財産法人管理人」と読み替えるものとする。 (信託財産法人管理命令の申請) 第二十一条 利害関係人は、信託法第七十四条第二項及び法第八条の規定により信託財産法人管理人による管理を命ずる処分(以下この条において「信託財産法人管理命令」という。)を請求しようとするときは、申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 受託者の死亡の事実を記載した書類 二 信託財産法人管理命令を請求する事由を記載した書類 三 信託財産法人管理人の選任に関する意見を記載した書類 (信託管理人の選任の申請) 第二十二条 利害関係人は、信託法第百二十三条第四項又は同法第二百五十八条第六項及び法第八条の規定により信託管理人の選任を請求しようとするときは、申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 選任を請求する事由を記載した書類 二 信託管理人となるべき者に係る第二条第一項第五号に掲げる書類 (信託管理人の辞任の許可の申請) 第二十三条 信託管理人は、信託法第百二十八条第二項において準用する同法第五十七条第二項及び法第八条の規定により辞任の許可を受けようとするときは、許可申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 辞任しようとする事由を記載した書類 二 信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を記載した書類 三 新たな信託管理人の選任に関する意見を記載した書類 (信託管理人の解任の申請) 第二十四条 委託者又は他の信託管理人は、信託法第百二十八条第二項において準用する同法第五十八条第四項及び法第八条の規定により信託管理人の解任を請求しようとするときは、申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 解任を請求する事由を記載した書類 二 新たな信託管理人の選任に関する意見を記載した書類 (新たな信託管理人の選任の申請) 第二十五条 利害関係人は、信託法第百二十九条第一項において準用する同法第六十二条第四項及び法第八条の規定により新たな信託管理人の選任を請求しようとするときは、申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 信託管理人の任務終了の事由を記載した書類 二 新たな信託管理人となるべき者に係る第二条第一項第五号に掲げる書類 (信託の終了の申請) 第二十六条 委託者、受託者又は信託管理人は、信託法第百六十五条第一項及び法第八条の規定により信託の終了を請求しようとするときは、申請書に次に掲げる書類を添付して、文部科学大臣に申請しなければならない。 一 信託の終了を請求する事由を記載した書類 二 信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を記載した書類 三 残余財産の処分の見込みに関する書類 (諸届出) 第二十七条 受託者は、第三条から第六条までに定めるもののほか、次の各号のいずれかに該当するときは、遅滞なく、文部科学大臣に届け出なければならない。 一 委託者が死亡したとき(委託者が法人である場合にあっては、解散したとき。)。 二 委託者又は受託者の氏名、職業又は住所に変更があったとき(委託者又は受託者が法人である場合にあっては、その名称、代表者の氏名、主たる事務所の所在地又は主たる業務に変更があったとき。)。 三 信託管理人の氏名、職業又は住所に変更があったとき(信託管理人が法人である場合にあっては、その名称、代表者の氏名、主たる事務所の所在地又は主たる業務に変更があったとき。)。 四 信託管理人又は運営委員会等の構成員に変更があったとき。 2 前項第四号による届出の場合(運営委員会等の構成員が再任である場合を除く。)は、第二条第一項第五号又は第六号の書類を添付しなければならない。 (書類及び帳簿の備付け) 第二十八条 受託者は、その事務所に、次に掲げる書類及び帳簿を備えなければならない。 ただし、他の法令の規定により、これらに代わる書類及び帳簿を備えたときは、この限りでない。 一 信託行為及びこれに附属する書類 二 利害関係人の名簿及び履歴書 三 運営委員会等の議事に関する書類 四 収入支出に関する帳簿及び証拠書類 五 資産台帳及び負債台帳 六 官公署往復書類 七 その他必要な書類及び帳簿 (業務の監督) 第二十九条 文部科学大臣は、法第三条及び同法第四条第一項の規定により、受託者に対し、報告を求め、又は資料を提出させることができ、また、その職員をして公益信託の業務の処理について実地に検査させることができる。 2 文部科学大臣は、前項の検査の結果、是正する必要があると認めるときは、法第四条第一項の規定により、受託者に対し、財産の供託その他必要な処分を命ずることができる。 3 文部科学大臣は、公益信託の監督上必要があると認めるときは、法第四条第一項の規定により、事業計画及びこれに伴う収支予算について変更を命じ、又は運営委員会等の設置を命ずることができる。 4 第一項の規定により、職員が実地検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。 (公益信託の終了の報告等) 第三十条 受託者は、信託が終了したときには、終了後一月以内に、信託の終了事由を記載した書類を文部科学大臣に提出しなければならない。 2 清算受託者は、信託の清算が結了したときは、清算結了後一月以内に、次に掲げる書類を添えた報告書を文部科学大臣に提出しなければならない。 一 信託の清算が結了した日の属する信託事務年度の事業状況報告書及び収支決算書 二 信託の清算結了時における財産目録 三 残余財産の処分に関する書類
民事
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平成十九年国家公安委員会規則第六号
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遺失物法施行規則 第一章 警察署長等の措置 第一節 物件の提出を受けたときの措置 (拾得物件控書の作成) 第一条 警察署長は、遺失物法(以下「法」という。)第四条第一項又は法第十三条第一項の規定による提出(以下この章において単に「提出」という。)を受けたときは、別記様式第一号の拾得物件控書を作成しなければならない。 (拾得者等に対する書面の交付) 第二条 法第五条(法第十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による書面の交付は、提出を受けた際に、別記様式第二号の拾得物件預り書を作成し、提出者(提出をした拾得者又は施設占有者をいう。次条において同じ。)に交付することにより行うものとする。 (権利放棄の取扱い等) 第三条 警察署長は、提出を受けた場合において、提出者に対し、当該提出を受けた物件(以下「提出物件」という。)について、法第二十七条第一項の費用若しくは法第二十八条第一項若しくは第二項の報労金を請求する権利又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百四十条若しくは第二百四十一条の規定若しくは法第三十二条第一項の規定により所有権を取得する権利(以下「費用請求権等」という。)の全部又は一部を放棄する意思及び法第十一条第二項(法第十三条第二項において準用する場合を含む。)に規定する同意(第十八条第三項及び第二十六条第二号ニにおいて単に「同意」という。)の有無を確認し、拾得物件控書の権利放棄の意思及び氏名等告知の同意の有無の欄に記載及び署名を求めるものとする。 2 警察署長は、提出を受けた場合において、提出者が法第三十四条の規定により提出物件に係る費用請求権等を失っているときは、提出者にその旨を説明するものとする。 3 警察署長は、提出を受けた場合において、提出物件が法第三十五条各号に掲げる物に該当すると認められるときは、提出者にその旨を説明するものとする。 (受理番号等を記載した書面等の作成) 第四条 警察署長は、提出を受けたときは、直ちに、次に掲げる事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成しなければならない。 一 受理番号 二 法第七条第一項各号に掲げる事項 2 警察署長は、法第十七条前段の規定による届出(以下第五条第一項、第二十九条第二項、第三十二条及び第三十三条第一項を除き単に「届出」という。)を受けたときは、直ちに、次に掲げる事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を作成しなければならない。 一 前項各号に掲げる事項 二 届出をした特例施設占有者の氏名又は名称 三 法第十七条後段の規定により保管する物件(以下「保管物件」という。)の保管の場所及びその電話番号その他の連絡先 第二節 遺失届の受理等 第五条 警察署長は、遺失者から物を遺失した旨の届出(以下「遺失届」という。)を受けたときは、別記様式第三号の遺失届出書により受理するものとする。 2 警察署長は、遺失届を受けたときは、直ちに、遺失届出書に受理番号を付すとともに、次に掲げる事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を作成しなければならない。 一 受理番号 二 物件の種類及び特徴 三 遺失の日時及び場所その他必要な事項 第三節 遺失者等を発見するための措置 (遺失届の有無の確認) 第六条 警察署長は、提出又は届出を受けたときは、当該提出物件又は当該届出に係る保管物件について、これらとその種類、特徴その他の事項からみて同一のものと認められる物件に係る遺失届の有無を確認するものとする。 2 警察署長は、前項の規定による確認の結果、同項の遺失届がないときは、警視総監又は道府県警察本部長(以下「警察本部長」という。)に対し、同項の物件に係る第八条第一項の規定による報告又は同条第二項の規定による通報の有無を照会するものとする。 (提出物件等の有無の確認) 第七条 警察署長は、遺失届を受けたときは、当該遺失届に係る物件について、これとその種類、特徴その他の事項からみて同一のものと認められる提出物件又は保管物件の有無を確認するものとする。 2 警察署長は、前項の規定による確認の結果、同項の提出物件又は保管物件がないときは、警察本部長に対し、当該提出物件又は保管物件に係る法第八条第一項(法第十三条第二項及び第十八条において準用する場合を含む。)の規定による通報又は第十条第一項の規定による報告若しくは同条第二項の規定による通報の有無を照会するものとする。 (遺失届に係る警察本部長への報告等) 第八条 警察署長は、前条の規定による確認又は照会の結果、同条第一項の提出物件又は保管物件がないときは、同項の物件に係る第五条第二項各号に掲げる事項並びに遺失者の氏名又は名称及び住所又は所在地(以下「氏名等」という。)を警察本部長に報告するものとする。 2 前項の規定による報告を受けた警察本部長は、当該遺失届に係る物件の遺失の場所が他の都道府県警察の管轄区域内にあるときは、第五条第二項各号に掲げる事項及び遺失者の氏名又は名称を当該他の都道府県警察の警察本部長に通報するものとする。 (掲示の様式等) 第九条 法第七条第二項(法第十三条第二項及び第十八条において準用する場合を含む。)の規定による掲示は、別記様式第四号(保管物件に係る掲示にあっては、別記様式第五号)を用いて行うものとする。 2 法第七条第三項(法第十三条第二項及び第十八条において準用する場合を含む。)に規定する書面は、第四条第一項に規定する書面(保管物件に係る書面にあっては、同条第二項に規定する書面)とする。 3 警察署長が、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第八条第一項の規定に基づき、法第七条第三項(法第十三条第二項及び第十八条において準用する場合を含む。)の規定に基づく書面の備付け及び閲覧に代えて当該書面に係る電磁的記録に記録されている事項の縦覧等を行う場合は、第四条第一項に規定する電磁的記録(保管物件にあっては、同条第二項に規定する電磁的記録)に記録されている事項を警察署に備え置く電子計算機の映像面における表示又は当該事項を記載した書面により、いつでも関係者に自由に閲覧させるものとする。 (公告をした物件に係る警察本部長への報告等) 第十条 警察署長は、法第七条第一項(法第十三条第二項及び法第十八条において準用する場合を含む。)の規定による公告をしたときは、次に掲げる事項を警察本部長に報告するものとする。 一 第四条第一項各号(保管物件にあっては、同条第二項各号)に掲げる事項 二 公告の日付 2 前項の規定による報告を受けた警察本部長は、当該公告に係る物件の拾得の場所が他の都道府県警察の管轄区域内にあるときは、同項各号に掲げる事項を当該他の都道府県警察の警察本部長に通報するものとする。 (他の警察本部長に通報する貴重な物件) 第十一条 法第八条第一項(法第十三条第二項及び第十八条において準用する場合を含む。)の国家公安委員会規則で定める物件は、次に掲げる物件とする。 一 一万円以上の現金 二 額面金額又はその合計額が一万円以上の有価証券 三 その価額又はその合計額が一万円以上であると明らかに認められる物 四 運転免許証、健康保険の被保険者証、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定する個人番号カード、在留カードその他法律又はこれに基づく命令の規定により交付された書類であって、個人の身分若しくは地位又は個人の一身に専属する権利を証するもの 五 預貯金通帳若しくは預貯金の引出用のカード又はクレジットカード 六 携帯電話用装置 (警察本部長による公表) 第十二条 法第八条第二項(法第十三条第二項及び法第十八条において準用する場合を含む。)の規定による公表は、当該都道府県警察の警察署長が法第七条第一項(法第十三条第二項及び法第十八条において準用する場合を含む。)の規定による公告をした物件及び他の警察本部長から法第八条第一項(法第十三条第二項及び法第十八条において準用する場合を含む。)の規定による通報を受けた物件のうち当該都道府県警察の管轄区域内で拾得されたものについて、次に掲げる事項を、遺失者が判明するまでの間又は公告の日から三箇月(埋蔵物にあっては、六箇月)を経過する日までの間、インターネットの利用により公表することにより行うものとする。 一 物件の種類及び特徴 二 物件の拾得の日及び場所 三 物件の公告に係る警察署の名称及び電話番号その他の連絡先(保管物件にあっては、届出をした特例施設占有者の氏名又は名称並びに保管の場所及びその電話番号その他の連絡先) 第四節 提出物件の売却等 (物件売却書の作成等) 第十三条 警察署長は、法第九条第一項本文又は第二項(これらの規定を法第十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による売却(第十七条において単に「売却」という。)をしたときは、拾得物件控書の備考欄にその旨及び売却の日並びに売却による代金から売却に要した費用を控除した残額を記載するとともに、別記様式第六号の物件売却書(その作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。)を作成し、法第三十六条に規定する期間が満了するまでの間、保存しなければならない。 (処分をする場合における拾得者等への通知) 第十四条 警察署長は、法第十条(法第十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による処分をするときは、あらかじめ民法第二百四十条若しくは同法第二百四十一条の規定又は法第三十二条第一項の規定により当該物件の所有権を取得する権利を有する者に、その旨を通知するものとする。 ただし、その者の所在を知ることができない場合は、この限りでない。 (提出物件の廃棄の方法) 第十五条 遺失物法施行令(以下「令」という。)第四条第三項の規定による廃棄は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるところにより行うものとする。 一 法第三十五条第二号に掲げる物に該当する物件 当該物件を焼却、裁断、破砕、溶解その他の方法により、当該物件により個人の身分若しくは地位又は個人の一身に専属する権利を証することができないようにすること。 二 法第三十五条第三号から第五号までに掲げる物に該当する物件 当該物件を焼却、裁断、破砕、溶解その他の方法により、当該物件に記録された個人の秘密に属する事項、遺失者若しくはその関係者と認められる個人の住所若しくは連絡先又は個人情報データベース等を構成する個人情報を認識することができないようにすること。 (物件処分書の作成等) 第十六条 警察署長は、法第十条(法第十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による処分をしたときは、拾得物件控書の備考欄にその旨及び処分の日を記載するとともに、別記様式第七号の物件処分書(その作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。)を作成し、法第三十六条に規定する期間が満了するまでの間、保存しなければならない。 第五節 現金又は売却による代金の預託 第十七条 警察署長は、提出物件のうち現金又は売却による代金を預託しようとするときは、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十五条第一項の規定により当該警察署の属する都道府県の公金の収納若しくは支払の事務を取り扱う者に預託するか又はこれに準ずる確実な方法でしなければならない。 第六節 提出物件の返還、引渡し等 (遺失者が判明したときの措置等) 第十八条 警察署長は、提出物件又は保管物件の遺失者が判明したときは、速やかに、当該物件の返還に係る手続を行う場所並びに当該物件に係る法第二十七条第一項の費用及び法第二十八条第一項又は第二項の報労金を支払う義務がある旨を当該遺失者に通知するものとする。 2 警察署長は、提出物件を遺失者に返還するときは、当該物件に係る法第二十七条第一項の費用又は法第二十八条第一項若しくは第二項の報労金を請求する権利を有する拾得者又は施設占有者に対し、当該物件を返還する旨を通知するものとする。 ただし、当該拾得者又は施設占有者の所在を知ることができない場合は、この限りでない。 3 警察署長は、前項の規定による通知をするときは、同意の有無を確認するものとする。 ただし、同項の拾得者又は施設占有者が、あらかじめ、当該警察署長に対し、同意の有無を明らかにしている場合は、この限りでない。 4 警察署長は、提出物件について、民法第二百四十条又は第二百四十一条に規定する期間内に遺失者が判明しない場合において、次の表の上欄に掲げるときは、同表の中欄に掲げる者に対し、同表の下欄に掲げる事項を通知するものとする。 ただし、同表の中欄に掲げる拾得者又は施設占有者の所在を知ることができない場合は、この限りでない。 拾得者が民法第二百四十条又は第二百四十一条の規定により所有権を取得する権利を有するとき。 一 拾得者 当該物件の所有権を取得した期日、当該物件を引き取らない場合に所有権を喪失する期日、引渡しに係る手続を行う場所及び当該物件に係る法第二十七条第一項の費用があるときはこれを償還する義務がある旨 二 法第二十七条第一項の費用を請求する権利を有する施設占有者 当該物件の所有権を取得してこれを引き取る拾得者に法第二十七条第一項の費用を請求する権利を有する旨 拾得者が民法第二百四十条又は第二百四十一条の規定により所有権を取得する権利を有しないとき。 一 法第三十三条の規定により拾得者とみなされる施設占有者 当該物件の所有権を取得した期日、当該物件を引き取らない場合に所有権を喪失する期日、引渡しに係る手続を行う場所及び当該物件に係る法第二十七条第一項の費用があるときはこれを償還する義務がある旨 二 法第二十七条第一項の費用を請求する権利を有する拾得者 当該物件の所有権を取得してこれを引き取る施設占有者に法第二十七条第一項の費用を請求する権利を有する旨 5 警察署長は、提出物件の遺失者が判明しない場合において拾得者が所有権を取得することとなるべき期日、当該物件を引き取らない場合に所有権を喪失する期日、当該物件の引渡しに係る手続を行う場所及び当該物件について法第二十七条第一項の費用があるときは当該費用は当該物件を引き取る者の負担となる旨をあらかじめ拾得物件預り書に記載することにより、前項の規定による通知に代えることができる。 (送付による提出物件の返還及び引渡し) 第十九条 警察署長は、提出物件の返還に係る手続を行う場所を来訪することが困難であると認められる遺失者から提出物件の返還を求められたときは、遺失者の申出により、提出物件を送付することができる。 2 前項に規定する場合において、送付に要する費用は、遺失者の負担とする。 3 前二項の規定は、民法第二百四十条若しくは同法第二百四十一条の規定又は法第三十二条第一項の規定により提出物件の所有権を取得した者(以下この節において「権利取得者」という。)に対する提出物件の引渡しについて準用する。 この場合において、これらの規定中「遺失者」とあるのは、「権利取得者」と読み替えるものとする。 (警察署長による遺失者の確認の方法等) 第二十条 法第十一条第一項(法第十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による確認は、次に掲げる方法その他の適当な方法により行うものとする。 一 返還を求める者からその氏名等を証するに足りる書面の提示を受けること。 二 返還を求める者から当該物件の種類及び特徴並びに遺失の日時及び場所を聴取し、当該物件に係る拾得物件控書に記載された内容と照合すること。 2 法第十一条第一項(法第十三条第二項において準用する場合を含む。)に規定する受領書の様式は、別記様式第八号のとおりとする。 3 警察署長は、提出物件を権利取得者に引き渡すときは、次に掲げる方法その他の適当な方法により、引渡しを求める者が当該物件の権利取得者であることを確認し、別記様式第八号の受領書又は拾得物件預り書と引換えに引き渡さなければならない。 一 引渡しを求める者からその氏名等を証するに足りる書面及び当該物件に係る拾得物件預り書又は法第十四条に規定する書面の提示を受けること。 二 引渡しを求める者から当該物件の種類及び特徴並びに拾得の日時及び場所を聴取し、当該物件に係る拾得物件控書に記載された内容と照合すること。 (所持を禁じられた物件を拾得者に引き渡す場合の手続) 第二十一条 警察署長は、令第十条各号に掲げる物に該当する物件を銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)の規定による許可又は登録を受けた権利取得者に引き渡そうとするときは、当該物件に係る許可証又は登録証の提示を受けなければならない。 (照会の方法) 第二十二条 法第十二条(法第十三条第二項及び第十八条において準用する場合を含む。)の規定による照会は、別記様式第九号の拾得物件関係事項照会書を用いる方法その他の適当な方法により行うものとする。 (費用の請求) 第二十三条 警察署長は、法第二十七条第一項の費用を当該物件の返還を受ける遺失者又は当該物件の引渡しを受ける権利取得者に請求するときは、別記様式第十号の請求書を交付するものとする。 第七節 国に帰属した物件の取扱い等 (国に帰属した物件の取扱い) 第二十四条 警察署長は、法第三十七条第一項第一号の規定により物件の所有権が国に帰属したときは、当該物件を速やかにその所持の取締りに関する事務を所掌する国の行政機関(内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関をいう。)又はその地方支分部局の長に引き渡さなければならない。 (所有権を取得することができない物件の廃棄の方法) 第二十五条 法第三十七条第二項の規定による廃棄は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるところにより行うものとする。 一 法第三十五条第二号に掲げる物に該当する物件 当該物件を焼却、裁断、破砕、溶解その他の方法により、当該物件により個人の身分若しくは地位又は個人の一身に専属する権利を証することができないようにすること。 二 法第三十五条第三号から第五号までに掲げる物に該当する物件 当該物件を焼却、裁断、破砕、溶解その他の方法により、当該物件に記録された個人の秘密に属する事項、遺失者若しくはその関係者と認められる個人の住所若しくは連絡先又は個人情報データベース等を構成する個人情報を認識することができないようにすること。 第二章 施設占有者の措置等 第一節 施設占有者の措置 (施設占有者による物件の提出) 第二十六条 施設占有者は、法第四条第一項又は法第十三条第一項の規定により警察署長に物件を提出するときは、次に掲げる事項を記載した提出書を当該警察署長に提出しなければならない。 一 物件に関する事項 イ 物件の種類及び特徴 ロ 物件の拾得の日時及び場所 ハ 物件の交付の日時 二 施設占有者及び拾得者に関する事項 イ 施設占有者の氏名等及び電話番号その他の連絡先 ロ 拾得者の氏名等及び電話番号その他の連絡先 ハ 施設占有者及び拾得者の費用請求権等の有無 ニ 同意の有無 (施設占有者による掲示等の期間) 第二十七条 法第十六条第一項の規定による掲示及び同条第二項の規定による書面の備付けは、法第四条第二項の規定により物件の交付を受け、又は自ら物件の拾得をした日から当該物件の遺失者が判明するまでの間又は当該物件を警察署長に提出するまで(保管物件にあっては、公告の日から三箇月を経過する日まで)の間、行うものとする。 第二節 特例施設占有者の指定 (指定) 第二十八条 令第五条第五号の規定による指定(以下単に「指定」という。)は、指定を受けようとする施設占有者の申請に基づき行うものとする。 2 指定を受けようとする施設占有者は、次に掲げる事項を記載した申請書をその施設(移動施設にあっては、その施設占有者の主たる事務所)の所在地を管轄する都道府県公安委員会(当該所在地が道の区域(道警察本部の所在地を包括する方面の区域を除く。)にある場合にあっては、方面公安委員会。以下「公安委員会」という。)に提出しなければならない。 一 氏名等及び法人にあっては、その代表者の氏名 二 施設の名称及び所在地(移動施設にあっては、その概要及び移動の範囲) 三 物件の保管の場所 四 施設における推定による一箇月間の法第四条第二項の規定により交付を受け、又は自ら拾得をする物件の数及びその算出の基礎 3 前項の申請書には、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める書類を添付しなければならない。 一 申請者が個人である場合 イ 住民票の写し(住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第七条第五号に掲げる事項(外国人にあっては、同法第三十条の四十五に規定する国籍等)を記載したものに限る。) ロ 令第五条第五号ロ(1)から(3)までに掲げる者のいずれにも該当しないことを誓約する書面 ハ 物件の保管を行うための施設及び人的体制の概要を記載した書面 二 申請者が法人である場合 イ 法人の登記事項証明書 ロ 定款又はこれに代わる書面 ハ 役員に係る前号イ及びロに掲げる書面 ニ 前号ハに掲げる書面 4 公安委員会は、指定をしたときは、当該指定を受けた施設占有者(以下「指定特例施設占有者」という。)に係る第二項第一号及び第二号に掲げる事項を公示するものとする。 (心身の故障により業務を適正に行うことができない者) 第二十八条の二 令第五条第五号ロ(3)の国家公安委員会規則で定める者は、精神機能の障害により特例施設占有者の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。 (公示事項等の変更) 第二十九条 指定特例施設占有者は、第二十八条第四項の規定による公示に係る事項を変更しようとするときは、あらかじめその旨を公安委員会に届け出なければならない。 2 公安委員会は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公示するものとする。 3 指定特例施設占有者は、第二十八条第三項に掲げる書類の記載事項に変更があったときは、速やかにその旨を公安委員会に届け出なければならない。 (指定の取消し) 第三十条 公安委員会は、指定特例施設占有者が令第五条第五号に規定する指定の要件に該当しなくなったと認められるときは、その指定を取り消すことができる。 2 公安委員会は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示するものとする。 第三節 特例施設占有者の措置等 (保管物件の届出等) 第三十一条 届出は、別記様式第十一号の保管物件届出書を提出することにより行うものとする。 2 警察署長は、法第十八条において準用する法第七条第一項の規定により保管物件の公告をしたときは、当該公告の日付を当該保管物件に係る届出をした特例施設占有者に通知するものとする。 (売却の届出) 第三十二条 法第二十条第三項の規定による届出は、別記様式第十一号の物件売却届出書を提出することにより行うものとする。 (処分の届出等) 第三十三条 法第二十一条第二項の規定による届出は、別記様式第十一号の物件処分届出書を提出することにより行うものとする。 2 特例施設占有者は、法第二十一条第一項の規定による処分をするときは、その旨をあらかじめ民法第二百四十条の規定又は法第三十二条第一項の規定により当該物件の所有権を取得する権利を有する拾得者に通知するものとする。 ただし、当該拾得者の所在を知ることができない場合は、この限りでない。 (保管物件の廃棄の方法) 第三十四条 令第九条第二項の規定による廃棄は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるところにより行うものとする。 一 法第三十五条第二号に掲げる物に該当する物件 当該物件を焼却、裁断、破砕、溶解その他の方法により、当該物件により個人の身分若しくは地位又は個人の一身に専属する権利を証することができないようにすること。 二 法第三十五条第三号から第五号までに掲げる物に該当する物件 当該物件を焼却、裁断、破砕、溶解その他の方法により、当該物件に記録された個人の秘密に属する事項、遺失者若しくはその関係者と認められる個人の住所若しくは連絡先又は個人情報データベース等を構成する個人情報を認識することができないようにすること。 (遺失者が判明したときの措置等) 第三十五条 特例施設占有者は、保管物件の遺失者が判明したときは、速やかに、当該物件の返還に係る手続を行う場所並びに当該物件に係る法第二十七条第一項の費用及び法第二十八条第一項又は第二項の報労金を支払う義務がある旨を当該遺失者に通知するものとする。 2 特例施設占有者は、保管物件を遺失者に返還するときは、当該物件を返還する旨を当該物件に係る法第二十七条第一項の費用又は法第二十八条第二項の報労金を請求する権利を有する拾得者に通知するものとする。 ただし、当該拾得者の所在を知ることができない場合は、この限りでない。 3 特例施設占有者は、前項の通知をするときは、法第二十二条第二項に規定する同意(以下この項において単に「同意」という。)の有無を確認するものとする。 ただし、前項の拾得者が、あらかじめ、当該特例施設占有者に対し、同意の有無を明らかにした書面を提出している場合は、この限りでない。 4 特例施設占有者は、保管物件について、民法第二百四十条に規定する期間内に遺失者が判明しない場合において、次の表の上欄に掲げるときは、同表の中欄に掲げる者に対し、同表の下欄に掲げる事項を通知するものとする。 ただし、当該拾得者の所在を知ることができない場合は、この限りでない。 拾得者が民法第二百四十条の規定により所有権を取得する権利を有するとき。 拾得者 当該物件の所有権を取得した期日、当該物件を引き取らない場合に所有権を喪失する期日、引渡しに係る手続を行う場所及び当該物件に係る法第二十七条第一項の費用があるときはこれを償還する義務がある旨 拾得者が民法第二百四十条の規定により所有権を取得する権利を有しないとき。 法第二十七条第一項の費用を請求する権利を有する拾得者 当該物件の所有権を取得してこれを引き取る施設占有者に法第二十七条第一項の費用を請求する権利を有する旨 5 特例施設占有者は、保管物件の遺失者が判明しない場合において拾得者が所有権を取得することとなるべき期日、当該物件を引き取らない場合に所有権を喪失する期日、当該物件の引渡しに係る手続を行う場所及び当該物件について法第二十七条第一項の費用があるときは当該費用は当該物件を引き取る者の負担となる旨を記載した書面をあらかじめ拾得者に交付することにより、前項の規定による通知に代えることができる。 (送付による保管物件の返還及び引渡し) 第三十六条 特例施設占有者は、保管物件の返還に係る手続を行う場所を来訪することが困難であると認められる遺失者から保管物件の返還を求められたときは、遺失者の申出により、保管物件を送付することができる。 2 前項に規定する場合において、送付に要する費用は、遺失者の負担とする。 3 前二項の規定は、民法第二百四十条の規定又は法第三十二条第一項の規定により保管物件の所有権を取得した拾得者(以下この節において「権利取得者」という。)に対する保管物件の引渡しについて準用する。 この場合において、これらの規定中「遺失者」とあるのは、「権利取得者」と読み替えるものとする。 (特例施設占有者による遺失者の確認の方法等) 第三十七条 法第二十二条第一項の規定による確認は、次に掲げる方法その他の適当な方法により行うものとする。 一 返還を求める者からその氏名等を証するに足りる書面の提示を受けること。 二 返還を求める者から当該物件の種類及び特徴並びに遺失の日時及び場所を聴取し、法第二十三条に規定する帳簿に記載された内容と照合すること。 2 特例施設占有者は、保管物件を権利取得者に引き渡すときは、次に掲げる方法その他の適当な方法により、引渡しを求める者が当該物件の権利取得者であることを確認し、当該物件を受領した旨を記載した書面と引換えに引き渡さなければならない。 一 引渡しを求める者からその氏名等を証するに足りる書面及び当該物件に係る法第十四条に規定する書面の提示を受けること。 二 引渡しを求める者から当該物件の種類及び特徴並びに拾得の日時及び場所を聴取し、法第二十三条に規定する帳簿に記載された内容と照合すること。 (所有権を取得することができない物件の廃棄の方法) 第三十八条 法第三十七条第三項の規定による廃棄は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるところにより行うものとする。 一 法第三十五条第二号に掲げる物に該当する物件 当該物件を焼却、裁断、破砕、溶解その他の方法により、当該物件により個人の身分若しくは地位又は個人の一身に専属する権利を証することができないようにすること。 二 法第三十五条第三号から第五号までに掲げる物に該当する物件 当該物件を焼却、裁断、破砕、溶解その他の方法により、当該物件に記録された個人の秘密に属する事項、遺失者若しくはその関係者と認められる個人の住所若しくは連絡先又は個人情報データベース等を構成する個人情報を認識することができないようにすること。 (帳簿) 第三十九条 法第二十三条に規定する帳簿は、記載の日から三年間、保存しなければならない。 2 法第二十三条の国家公安委員会規則で定める事項は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める事項とする。 一 届出をした場合 イ 届出の日 ロ 届出の提出先の警察署長 ハ 物件の種類及び特徴 ニ 物件の拾得の日時及び場所 ホ 物件が法第四条第二項の規定による交付を受けたものであるときは、当該交付の日時 ヘ 拾得者の氏名等 二 保管物件を遺失者に返還した場合 イ 返還の日 ロ 遺失者の氏名等及び電話番号その他の連絡先 三 遺失者が保管物件についてその有する権利を放棄した場合 イ 権利を放棄した日 ロ 遺失者の氏名等及び電話番号その他の連絡先 四 法第四条第二項の規定により交付を受けた保管物件について、拾得者が所有権を取得する権利を放棄した場合 権利を放棄した日 五 法第四条第二項の規定により交付を受けた保管物件を権利取得者に引き渡した場合 イ 引渡しの日 ロ 権利取得者の氏名等及び電話番号その他の連絡先 六 法第二十条第一項又は第二項の規定による売却をした場合 イ 売却の日 ロ 売却の理由、方法及び経過 ハ 買受人の氏名等及び電話番号その他の連絡先 ニ 売却による代金の額 ホ 売却に要した費用の額 七 法第二十一条第一項の規定による処分をした場合 イ 処分の日 ロ 処分の理由及び方法 八 法第三十七条第一項第二号の規定により保管物件の所有権が自らに帰属した場合 所有権が帰属した日 九 法第三十七条第三項の規定により保管物件を廃棄した場合 イ 廃棄の日 ロ 廃棄の方法 第三章 雑則 (施設占有者に対する指導及び助言) 第四十条 警察署長は、施設占有者に、遺失者及び拾得者の権利の保護と利便の向上を図るための措置が確実に行われるよう、必要な指導及び助言を行うものとする。 (電磁的記録媒体による手続) 第四十一条 次の各号に掲げる書類の当該各号に定める規定による提出については、当該書類の提出に代えて当該書類に記載すべきこととされている事項を記録した電磁的記録媒体(電磁的記録に係る記録媒体をいう。)及び別記様式第十二号の電磁的記録媒体提出票を提出することにより行うことができる。 一 提出書 第二十六条 二 申請書 第二十八条第二項 三 物件の保管を行うための施設及び人的体制の概要を記載した書面 第二十八条第三項 四 定款又はこれに代わる書面 第二十八条第三項 五 保管物件届出書 第三十一条第一項 六 物件売却届出書 第三十二条 七 物件処分届出書 第三十三条第一項
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平成二十年政令第三百二十五号
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電子記録債権法施行令 第一章 電子記録債権の発生、譲渡等 (電子記録の請求に必要な情報) 第一条 電子記録の請求をする場合に電子債権記録機関に提供しなければならない電子記録債権法(以下「法」という。)第六条の情報の内容は、次に掲げる事項とする。 一 請求者の氏名又は名称及び住所 二 請求者が法人であるときは、その代表者の氏名 三 代理人によって電子記録の請求をするときは、当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名 四 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二十三条その他の法令の規定により他人に代わって電子記録の請求をするときは、請求者が代位者である旨、当該他人の氏名又は名称及び住所並びに代位原因 五 請求者が電子記録権利者、電子記録義務者又は電子記録名義人の相続人その他の一般承継人であるときは、その旨 六 前号の場合において、電子記録名義人となる電子記録権利者の相続人その他の一般承継人が電子記録の請求をするときは、電子記録権利者の氏名又は名称及び一般承継の時における住所 七 前三号の場合を除き、請求者が電子記録権利者又は電子記録義務者(電子記録権利者及び電子記録義務者がない場合にあっては、電子記録名義人)でないときは、電子記録権利者、電子記録義務者又は電子記録名義人の氏名又は名称及び住所 八 前各号に掲げるもののほか、別表の電子記録欄に掲げる電子記録の請求をするときは、同表の電子記録の請求に必要な情報欄に掲げる事項 (信託の電子記録の記録事項) 第二条 信託の電子記録においては、次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 信託財産に属する旨 二 信託財産に属する電子記録債権等(法第四十八条第一項に規定する電子記録債権等をいう。以下この章において同じ。)を特定するために必要な事項 三 電子記録の年月日 (信託の電子記録の請求) 第三条 信託の電子記録は、受託者だけで請求することができる。 2 受託者は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める電子記録の請求と同時に、信託の電子記録の請求をしなければならない。 一 電子記録債権(保証記録に係るもの及び特別求償権を除く。)の発生又は電子記録債権の譲渡により電子記録債権が信託財産に属することとなる場合 発生記録又は譲渡記録 二 法第二十八条に規定する求償権の譲渡に伴う電子記録債権の移転により当該電子記録債権が信託財産に属することとなった場合 同条の変更記録 三 電子記録債権を目的とする質権(転質の場合を含む。)の設定により当該質権が信託財産に属することとなる場合 質権設定記録(転質の電子記録を含む。) 四 電子記録債権を目的とする質権(転質の場合を含む。)の被担保債権の譲渡に伴う当該質権の移転により当該質権が信託財産に属することとなった場合 質権又は転質の移転による変更記録 3 受益者又は委託者は、受託者に代わって信託の電子記録の請求をすることができる。 (受託者の変更による変更記録等) 第四条 受託者の任務が死亡、後見開始若しくは保佐開始の審判、破産手続開始の決定、法人の合併以外の理由による解散又は裁判所若しくは主務官庁(その権限の委任を受けた国に所属する行政庁及びその権限に属する事務を処理する都道府県の執行機関を含む。)の解任命令により終了し、新たに受託者が選任されたときは、信託財産に属する電子記録債権等についてする受託者の変更による変更記録は、法第二十九条第一項の規定にかかわらず、新たに選任された当該受託者だけで請求することができる。 2 受託者が二人以上ある場合において、その一部の受託者の任務が前項に規定する事由により終了したときは、信託財産に属する電子記録債権等についてする当該受託者の任務の終了による変更記録は、法第二十九条第一項の規定にかかわらず、他の受託者だけで請求することができる。 (信託財産に属しないこととなる場合等の電子記録) 第五条 信託の電子記録を削除する旨の変更記録は、法第二十九条第一項の規定にかかわらず、受託者(信託財産に属する電子記録債権等が固有財産に属することにより当該電子記録債権等が信託財産に属しないこととなった場合にあっては、受託者及び受益者)だけで請求することができる。 2 信託管理人がある場合における前項の規定の適用については、同項中「受益者」とあるのは、「信託管理人」とする。 3 受託者は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める電子記録の請求と同時に、信託の電子記録を削除する旨の変更記録の請求をしなければならない。 一 信託財産に属する電子記録債権の譲渡により当該電子記録債権が信託財産に属しないこととなる場合 譲渡記録 二 法第二十八条に規定する求償権の譲渡に伴う信託財産に属する電子記録債権の移転により当該電子記録債権が信託財産に属しないこととなった場合 同条の変更記録 三 信託財産に属する電子記録債権に係る債務についての支払等(法第二十四条第一号に規定する支払等をいう。第五号において同じ。)により当該電子記録債権が信託財産に属しないこととなった場合において当該支払等についての支払等記録(法第六十三条第二項又は第六十五条の規定によるものを除く。)がされるとき 当該支払等記録 四 電子記録債権を目的とする質権(転質の場合を含む。次号において同じ。)で信託財産に属するものの被担保債権の譲渡に伴う当該質権の移転により当該質権が信託財産に属しないこととなった場合 質権又は転質の移転による変更記録 五 電子記録債権を目的とする質権で信託財産に属するものの被担保債権に係る債務についての支払等により当該質権が信託財産に属しないこととなった場合において当該支払等についての支払等記録がされるとき 当該支払等記録 (強制執行等の電子記録の記録事項) 第六条 強制執行等の電子記録においては、次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 強制執行等(強制執行、滞納処分その他の処分の制限をいう。以下この条及び次条において同じ。)の内容 二 強制執行等の原因 三 強制執行等に係る電子記録債権等を特定するために必要な事項 四 強制執行等をした債権者があるときは、債権者の氏名又は名称及び住所 五 電子記録の年月日 (強制執行等の電子記録の削除) 第七条 電子債権記録機関は、強制執行等の電子記録がされた後、差押債権者が第三債務者から支払を受けた場合、強制執行による差押命令の申立てが取り下げられた場合、滞納処分による差押えが解除された場合その他当該強制執行等の電子記録に係る強制執行等の手続が終了した場合において、その旨の書類の送達を受けたときは、遅滞なく、当該強制執行等の電子記録を削除する旨の変更記録をしなければならない。 (仮処分に後れる電子記録の削除) 第八条 電子記録債権等についての電子記録の請求をする権利を保全するための処分禁止の仮処分に係る強制執行等の電子記録がされた後、当該仮処分の債権者が当該仮処分の債務者を電子記録義務者とする当該電子記録の請求をする場合においては、当該仮処分の後にされた電子記録を削除する旨の変更記録は、当該債権者が単独で請求することができる。 (電子記録の訂正) 第九条 電子債権記録機関は、発生記録に法第十六条第二項第十二号又は第十五号に掲げる事項が記録されている場合において、その記録の内容に抵触する譲渡記録、保証記録、質権設定記録、分割記録又は記録機関変更記録がされているときは、電子記録の訂正をしなければならない。 ただし、電子記録上の利害関係を有する第三者がある場合にあっては、当該第三者の承諾があるときに限る。 2 法第十条第三項から第五項までの規定は、前項の規定による電子記録の訂正について準用する。 (電子記録の訂正等をする場合の記録事項) 第十条 電子債権記録機関は、法第十条第一項若しくは前条第一項の規定により電子記録の訂正をし、又は法第十条第二項の規定により電子記録の回復をするときは、当該訂正又は回復の年月日をも記録しなければならない。 (電子記録の嘱託) 第十一条 この政令に規定する電子記録の請求による電子記録の手続に関する法の規定には当該規定を法第四条第二項において準用する場合を含むものとし、この政令中「請求」及び「請求者」にはそれぞれ嘱託及び嘱託者を含むものとする。 第二章 電子債権記録機関 (最低資本金の額) 第十二条 法第五十三条第一項に規定する政令で定める金額は、五億円とする。 (金融機関) 第十三条 法第五十八条第一項に規定する政令で定める金融機関は、次に掲げるものとする。 一 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行(同法第四十七条第二項に規定する外国銀行支店を含む。) 二 長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行 三 株式会社商工組合中央金庫 四 農林中央金庫 五 信用協同組合及び中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の九第一項第一号の事業を行う協同組合連合会 六 信用金庫及び信用金庫連合会 七 労働金庫及び労働金庫連合会 八 農業協同組合及び農業協同組合連合会(農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第三号の事業を行うものに限る。) 九 漁業協同組合(水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第四号の事業を行うものに限る。)、漁業協同組合連合会(同法第八十七条第一項第四号の事業を行うものに限る。)、水産加工業協同組合(同法第九十三条第一項第二号の事業を行うものに限る。)及び水産加工業協同組合連合会(同法第九十七条第一項第二号の事業を行うものに限る。) 十 日本銀行 第三章 雑則 (金融庁長官へ委任される権限から除かれる権限) 第十四条 法第九十二条第一項に規定する政令で定める権限は、次に掲げるものとする。 一 法第五十一条第一項の規定による指定 二 法第五十一条第二項及び第七十五条第二項の規定による公示 三 法第七十五条第一項の規定による法第五十一条第一項の指定の取消し (財務局長等への権限の委任) 第十五条 法第九十二条第一項の規定により金融庁長官に委任された権限のうち法第七十三条第一項の規定によるもの(次項において「報告命令等権限」という。)は、電子債権記録機関の本店の所在地を管轄する財務局長(当該所在地が福岡財務支局の管轄区域内にある場合にあっては、福岡財務支局長)も行うことができる。 2 報告命令等権限で電子債権記録機関の本店以外の営業所又は当該電子債権記録機関から業務の委託を受けた者(以下この条において「営業所等」という。)に関するものについては、前項に規定する財務局長又は福岡財務支局長のほか、当該営業所等の所在地を管轄する財務局長(当該所在地が福岡財務支局の管轄区域内にある場合にあっては、福岡財務支局長)も行うことができる。 3 前項の規定により、電子債権記録機関の営業所等に対して報告若しくは資料の提出の命令又は検査若しくは質問(以下この項において「報告命令等」という。)を行った財務局長又は福岡財務支局長は、当該電子債権記録機関の本店又は当該営業所等以外の営業所等に対する報告命令等の必要を認めたときは、当該報告命令等を行うことができる。
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平成二十年総務省令第百三十二号
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総務大臣の所管に属する特例民法法人の監督に関する省令 (趣旨) 第一条 総務大臣の所管に属する特例民法法人(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」という。)第四十二条第二項に規定する特例民法法人をいい、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律等の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成十九年政令第三十九号)第一条の規定による廃止前の公益法人に係る主務官庁の権限に属する事務の処理等に関する政令(平成四年政令第百六十一号)第一条第一項の規定により主務官庁の権限に属する事務を都道府県知事が行うものとされていた公益法人(同項に規定する公益法人をいう。)であったものを除く。以下同じ。)の監督(整備法第九十五条の規定によりなお従前の例によることとされるものを除く。)に関する手続は、整備法及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律施行令(平成十九年政令第二百七十七号。以下「整備法施行令」という。)の定めるところによるほか、この省令の定めるところによる。 (吸収合併契約の承認に関する手続の承認の申請) 第二条 合併をする特例財団法人(整備法第四十二条第一項に規定する特例財団法人をいう。以下同じ。)(評議員設置特例財団法人(整備法第四十八条第三項第三号に規定する評議員設置特例財団法人をいう。)を除く。)は、整備法第六十七条第二項の規定により吸収合併契約の承認に関する手続の承認を受けようとするときは、様式第一号の申請書を総務大臣(附則第二項の規定による廃止前の総務大臣の所管に属する公益法人の設立及び監督に関する省令(平成十二年総理府・郵政省・自治省令第一号。以下「旧公益法人省令」という。)第二条第二号に規定する地方法人であった特例民法法人にあっては、同条第三号に規定する管轄地方局長であった総合通信局長又は沖縄総合通信事務所長。以下同じ。)に提出しなければならない。 (特例民法法人の合併の認可の申請) 第三条 合併をする特例民法法人は、整備法第六十九条第一項の規定により合併の認可を受けようとするときは、様式第二号の申請書(整備法施行令第一条第一項の規定により合併をする特例民法法人が共同して認可の申請をしようとするときは、様式第三号の申請書)に次に掲げる書類を添えて総務大臣に提出しなければならない。 一 整備法第六十九条第三項第一号から第四号までに掲げる書類 二 整備法施行令第二条第一号及び第二号に掲げる書類 三 合併存続特例民法法人(整備法第六十九条第一項に規定する合併存続特例民法法人をいう。以下同じ。)における合併後の理事及び監事の名簿 2 前項の規定により提出する同項第二号の整備法施行令第二条第一号に掲げる書類の様式は、様式第四号のとおりとする。 (特例民法法人の合併の登記の届出) 第四条 合併存続特例民法法人は、整備法第七十二条第二項の規定により合併の登記の届出をしようとするときは、様式第五号の届出書に当該合併存続特例民法法人の登記事項証明書を添えて総務大臣に提出しなければならない。 (特例財団法人の最初の評議員の選任に関する理事の定めの認可の申請) 第五条 特例財団法人は、整備法第九十二条の規定により最初の評議員の選任に関する理事の定めの認可を受けようとするときは、様式第六号の申請書を総務大臣に提出しなければならない。
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平成二十年法務省令第四十八号
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一般社団法人等登記規則 (趣旨) 第一条 一般社団法人及び一般財団法人(以下「一般社団法人等」という。)の登記の取扱手続は、この省令の定めるところによる。 (登記簿の編成) 第二条 一般社団法人等の登記簿は、登記簿の種類に従い、別表第一又は第二の上欄に掲げる各区に区分した登記記録をもって編成する。 2 前項の区には、その区分に応じ、別表第一又は第二の下欄に掲げる事項を記録する。 (商業登記規則の準用) 第三条 商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第一条の二第一項及び第二項、第一条の三から第六条まで、第九条第一項(第一号から第三号まで及び第五号を除く。)、第三項、第四項、第五項(第二号から第六号までを除く。)、第六項、第七項及び第十一項から第十三項まで、第九条の二、第九条の三、第九条の四(第一項後段を除く。)、第九条の五(第四項を除く。)、第九条の六から第十一条まで、第十三条から第十八条まで、第十九条(第四号を除く。)、第二十条から第二十二条まで、第二十七条から第四十五条まで、第四十八条から第五十条まで、第五十三条第一項、第六十一条第一項及び第四項から第八項まで、第六十五条、第六十六条第一項、第六十七条第一項及び第二項、第六十八条、第七十一条、第七十二条(第一項第二号、第三号及び第五号を除く。)、第七十三条、第七十四条、第七十七条、第八十条(第一項第五号を除く。)、第八十一条、第八十一条の二、第八十五条第二項、第九十八条から第百四条まで、第百五条の二から第百九条まで、第百十一条、第百十二条、第百十四条、第百十五条、第百十七条並びに第百十八条の規定は、一般社団法人等の登記について準用する。 この場合において、同規則第一条の二第一項中「登記所及び次の各号に掲げる区分」とあるのは「登記所」と、同条第二項中「法第七十九条に規定する新設合併」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第三百七条に規定する新設合併」と、同規則第三十条第一項第一号、第三十一条第二項及び第六十五条第二項中「取締役、監査等委員である取締役、会計参与、監査役、代表取締役、特別取締役、委員、執行役、代表執行役及び会計監査人」とあるのは「理事、監事、代表理事、評議員及び会計監査人」と、同規則第三十四条第二項第五号中「会社法(平成十七年法律第八十六号)第四百七十二条第一項に規定する休眠会社」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百四十九条第一項に規定する休眠一般社団法人又は同法第二百三条第一項に規定する休眠一般財団法人」と、同条第三項第八号中「会社法第四百七十二条第二項」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百四十九条第二項又は第二百三条第二項」と、同項第九号中「会社法施行規則(平成十八年法務省令第十二号)第百三十九条第一項及び第三項」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則(平成十九年法務省令第二十八号)第五十七条第一項及び第三項又は第六十五条第一項及び第三項」と、同規則第六十一条第七項中「取締役、監査役若しくは執行役」とあるのは「理事、監事若しくは評議員」と、「設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、監査役又は執行役」とあるのは「設立時理事、設立時監事、設立時評議員、理事、監事又は評議員」と、「取締役等」とあるのは「理事等」と、同規則第六十五条第三項中「法第五十三条」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第三百四条第二項」と、同規則第六十八条第一項中「取締役、監査等委員である取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役、代表執行役又は会計監査人」とあるのは「理事、監事、代表理事、評議員又は会計監査人」と、同条第二項中「取締役、監査等委員である取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役又は代表執行役」とあるのは「理事、監事、代表理事又は評議員」と、同規則第七十一条中「電子公告」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第三百三十一条第一項第三号又は第四号に掲げる公告方法」と、「会社法第九百十一条第三項第二十六号及び銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第五十七条の四各号(株式会社日本政策投資銀行法(平成十九年法律第八十五号)第十条第一項において準用する場合を含む。)に掲げる事項並びに株式会社商工組合中央金庫法(平成十九年法律第七十四号)第六十四条に規定する」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第三百一条第二項第十三号又は第三百二条第二項第十一号に掲げる」と、同規則第七十二条第一項中「会社法第四百七十一条(第四号及び第五号を除く。)又は第四百七十二条第一項本文」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百四十八条(第五号及び第六号を除く。)、第百四十九条第一項本文、第二百二条第一項(第四号及び第五号を除く。)、第二項若しくは第三項又は第二百三条第一項本文」と、同条第二項中「株式移転の無効」とあるのは「取消し」と、同規則第七十三条中「会社法第四百七十三条」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百五十条又は第二百四条」と、「、清算人会設置会社である旨の登記並びに清算人及び代表清算人に関する」とあるのは「、清算人会を置く法人である旨の登記、清算人及び代表清算人に関する登記並びに監事を置く清算法人である旨の」と、同規則第七十七条第一項中「法第七十九条」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第三百七条第二項」と、同規則第八十一条の二第一項中「取締役、監査役、執行役、会計参与」とあるのは「理事、監事、評議員」と、同規則第八十五条第二項中「会社法第八百四十五条」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第二百七十六条」と、「並びに清算人及び清算持分会社を代表する清算人に関する」とあるのは「、清算人会を置く法人である旨の登記、清算人及び代表清算人に関する登記並びに監事を置く清算法人である旨の」と、同規則第百三条中「取締役等」とあるのは「理事等」と読み替えるものとする。
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平成二十年法務省令第四十八号
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一般社団法人等登記規則 (趣旨) 第一条 一般社団法人及び一般財団法人(以下「一般社団法人等」という。)の登記の取扱手続は、この省令の定めるところによる。 (登記簿の編成) 第二条 一般社団法人等の登記簿は、登記簿の種類に従い、別表第一又は第二の上欄に掲げる各区に区分した登記記録をもって編成する。 2 前項の区には、その区分に応じ、別表第一又は第二の下欄に掲げる事項を記録する。 (商業登記規則の準用) 第三条 商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第一条の二第一項及び第二項、第一条の三から第六条まで、第九条第一項(第一号から第三号まで及び第五号を除く。)、第三項、第四項、第五項(第二号から第六号までを除く。)、第六項、第七項及び第十一項から第十三項まで、第九条の二、第九条の三、第九条の四(第一項後段を除く。)、第九条の五(第四項を除く。)、第九条の六から第十一条まで、第十三条から第十八条まで、第十九条(第四号を除く。)、第二十条から第二十二条まで、第二十七条から第三十一条の二まで、第三十二条から第四十五条まで、第四十八条から第五十条まで、第五十三条第一項、第六十一条第一項及び第四項から第八項まで、第六十五条、第六十六条第一項、第六十七条第一項及び第二項、第六十八条、第七十一条、第七十二条(第一項第二号、第三号及び第五号を除く。)、第七十三条、第七十四条、第七十七条、第八十条(第一項第五号を除く。)、第八十一条、第八十一条の二、第八十五条第二項、第九十八条から第百四条まで、第百五条の二から第百九条まで、第百十一条、第百十二条、第百十四条、第百十五条、第百十七条並びに第百十八条の規定は、一般社団法人等の登記について準用する。 この場合において、同規則第一条の二第一項中「登記所及び次の各号に掲げる区分」とあるのは「登記所」と、同条第二項中「法第七十九条に規定する新設合併」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第三百七条に規定する新設合併」と、同規則第三十条第一項第一号、第三十一条第二項及び第六十五条第二項中「取締役、監査等委員である取締役、会計参与、監査役、代表取締役、特別取締役、委員、執行役、代表執行役及び会計監査人」とあるのは「理事、監事、代表理事、評議員及び会計監査人」と、同規則第三十四条第二項第五号中「会社法(平成十七年法律第八十六号)第四百七十二条第一項に規定する休眠会社」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百四十九条第一項に規定する休眠一般社団法人又は同法第二百三条第一項に規定する休眠一般財団法人」と、同条第三項第八号中「会社法第四百七十二条第二項」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百四十九条第二項又は第二百三条第二項」と、同項第九号中「会社法施行規則(平成十八年法務省令第十二号)第百三十九条第一項及び第三項」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則(平成十九年法務省令第二十八号)第五十七条第一項及び第三項又は第六十五条第一項及び第三項」と、同規則第六十一条第七項中「取締役、監査役若しくは執行役」とあるのは「理事、監事若しくは評議員」と、「設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、監査役又は執行役」とあるのは「設立時理事、設立時監事、設立時評議員、理事、監事又は評議員」と、「取締役等」とあるのは「理事等」と、同規則第六十五条第三項中「法第五十三条」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第三百四条第二項」と、同規則第六十八条第一項中「取締役、監査等委員である取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役、代表執行役又は会計監査人」とあるのは「理事、監事、代表理事、評議員又は会計監査人」と、同条第二項中「取締役、監査等委員である取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役又は代表執行役」とあるのは「理事、監事、代表理事又は評議員」と、同規則第七十一条中「電子公告」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第三百三十一条第一項第三号又は第四号に掲げる公告方法」と、「会社法第九百十一条第三項第二十六号及び銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第五十七条の四各号(株式会社日本政策投資銀行法(平成十九年法律第八十五号)第十条第一項において準用する場合を含む。)に掲げる事項並びに株式会社商工組合中央金庫法(平成十九年法律第七十四号)第六十四条に規定する」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第三百一条第二項第十三号又は第三百二条第二項第十一号に掲げる」と、同規則第七十二条第一項中「会社法第四百七十一条(第四号及び第五号を除く。)又は第四百七十二条第一項本文」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百四十八条(第五号及び第六号を除く。)、第百四十九条第一項本文、第二百二条第一項(第四号及び第五号を除く。)、第二項若しくは第三項又は第二百三条第一項本文」と、同条第二項中「株式移転の無効」とあるのは「取消し」と、同規則第七十三条中「会社法第四百七十三条」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百五十条又は第二百四条」と、「、清算人会設置会社である旨の登記並びに清算人及び代表清算人に関する」とあるのは「、清算人会を置く法人である旨の登記、清算人及び代表清算人に関する登記並びに監事を置く清算法人である旨の」と、同規則第七十七条第一項中「法第七十九条」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第三百七条第二項」と、同規則第八十一条の二第一項中「取締役、監査役、執行役、会計参与」とあるのは「理事、監事、評議員」と、同規則第八十五条第二項中「会社法第八百四十五条」とあるのは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第二百七十六条」と、「並びに清算人及び清算持分会社を代表する清算人に関する」とあるのは「、清算人会を置く法人である旨の登記、清算人及び代表清算人に関する登記並びに監事を置く清算法人である旨の」と、同規則第百三条中「取締役等」とあるのは「理事等」と読み替えるものとする。
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平成二十年法務省令第四十九号
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一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う関係省令の整備及び経過措置に関する省令 抄 第一章 関係省令の整備 (法人登記規則の一部改正) 第一条 略 (政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律による登記に関する法人登記規則の特例を定める省令の一部改正) 第二条 略 (特定目的会社登記規則の一部改正) 第三条 略 (投資事業有限責任組合契約及び有限責任事業組合契約登記規則の一部改正) 第四条 略 (投資法人登記規則の一部改正) 第五条 略 (夫婦財産契約登記規則の一部改正) 第六条 略 (電子公告に関する登記事項を定める省令の一部改正) 第七条 略 (限定責任信託登記規則の一部改正) 第八条 略 第二章 経過措置 (旧有限責任中間法人の基金の総額の登記等に関する経過措置) 第九条 この省令の施行の際現にされている次に掲げる登記は、登記官が職権で抹消する記号を記録しなければならない。 一 旧有限責任中間法人(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」という。)第二条第一項に規定する旧有限責任中間法人をいう。以下同じ。)の基金(代替基金を含む。)の総額の登記 二 旧有限責任中間法人の基金の拠出者の権利に関する規定の登記 三 旧有限責任中間法人の基金の返還の手続の登記 四 旧有限責任中間法人の理事(解散後にあっては、清算人)の共同代表に関する規定の登記 五 旧社団法人(整備法第四十八条第一項に規定する旧社団法人をいう。以下同じ。)又は旧財団法人(同項に規定する旧財団法人をいう。以下同じ。)の資産の総額の登記 六 旧社団法人又は旧財団法人の出資の方法の登記 2 登記官は、整備法第二十三条第七項の規定により職権で登記をするときは、登記記録に整備法の規定により記録した旨及びその年月日を記録して登記官の識別番号を記録しなければならない。 (特例無限責任中間法人の登記の取扱手続に関する経過措置) 第十条 特例無限責任中間法人(整備法第二十五条第二項に規定する特例無限責任中間法人をいう。以下この条において同じ。)が整備法第三十条の規定により名称の変更をした場合の名称の変更後の一般社団法人についてする登記において、整備法第三十三条第二項の規定により登記すべき事項(特例無限責任中間法人の成立の年月日を除く。)は、登記記録中登記記録区に記録しなければならない。 2 前項に規定する場合の特例無限責任中間法人についてする解散の登記は、登記記録中登記記録区にしなければならない。 3 前項に規定する登記をしたときは、その登記記録を閉鎖しなければならない。 (特例社団法人及び特例財団法人の登記の取扱手続に関する経過措置) 第十一条 特例社団法人(整備法第四十二条第一項に規定する特例社団法人をいう。次条において同じ。)又は特例財団法人(同項に規定する特例財団法人をいう。次条において同じ。)の名称を登記するときは、整備法第百五十四条第三項又は第四項の規定によりなお従前の例によることとされる場合以外の場合においても、当該記録にそれぞれ社団法人又は財団法人の文字を付記しなければならない。 ただし、当該法人の名称中にこれらの文字が用いられているときは、この限りでない。 第十二条 特例社団法人又は特例財団法人が整備法第四十四条の規定により公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)による公益社団法人又は公益財団法人となった場合の名称の変更後の公益社団法人についてする登記において、整備法第百五十七条の規定により登記すべき事項(特例社団法人及び特例財団法人の成立の年月日を除く。)は、登記記録中登記記録区に記録しなければならない。 2 前項に規定する場合の特例社団法人及び特例財団法人についてする解散の登記は、登記記録中登記記録区にしなければならない。 3 前項に規定する登記をしたときは、その登記記録を閉鎖しなければならない。 4 前三項の規定は、特例社団法人又は特例財団法人が整備法第四十五条の規定により通常の一般社団法人又は一般財団法人となった場合の名称の変更後の一般社団法人又は一般財団法人についてする設立の登記並びに特例社団法人及び特例財団法人についてする解散の登記について準用する。 (従たる事務所の所在地における登記等に関する経過措置) 第十三条 第九条第一項の規定にかかわらず、登記官は、職権で、この省令の施行の際現にされている旧有限責任中間法人、旧社団法人又は旧財団法人の従たる事務所の所在地における登記(名称、主たる事務所、従たる事務所(当該登記所の管轄区域内にあるものに限る。)及び法人の成立の年月日の登記並びに登記記録区にされた登記を除く。)を抹消する記号を記録しなければならない。 2 前項の規定は、損害保険料率算出団体、国家公務員職員団体、地方公務員職員団体、混合連合団体、酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会、宗教法人、消費生活協同組合、消費生活協同組合連合会、農業共済組合、農業共済組合連合会、漁船保険組合、漁船保険中央会、会員商品取引所、投資事業有限責任組合契約、有限責任事業組合契約、金融商品会員制法人、自主規制法人、独立行政法人等登記令(昭和三十九年政令第二十八号)第一条に規定する独立行政法人等及び組合等登記令(昭和三十九年政令第二十九号)第一条に規定する組合等について準用する。 3 登記官は、整備法第三百二十五条第二項若しくは第三百三十五条第二項又は一般社団法人及び一般財団法人に関する法律等の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成十九年政令第三十九号。以下「整備政令」という。)第二十四条第二項若しくは第二十六条第二項の規定により職権で参事その他の代理人の登記を移記するときは、主たる事務所の所在地における登記の登記記録にあっては整備法又は整備政令の規定により登記を移記した旨及びその年月日を記録し、従たる事務所の所在地における登記の登記記録にあっては整備法又は整備政令の規定により登記を移記した旨及びその年月日を記録して当該代理人の登記を抹消する記号を記録し、登記官の識別番号を記録しなければならない。 4 前項に規定する場合において、当該代理人が登記所に印鑑を提出した者であるときは、従たる事務所の所在地を管轄する登記所の登記官は、当該印鑑に係る記録をその主たる事務所の所在地を管轄する登記所に移送しなければならない。 この場合において、当該印鑑に係る記録を移送したときは、当該登記官は、当該印鑑に係る記録にその旨を記録しなければならない。 第十四条 旧有限責任中間法人、旧社団法人、旧財団法人、損害保険料率算出団体、国家公務員職員団体、地方公務員職員団体、混合連合団体、酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会、宗教法人、消費生活協同組合、消費生活協同組合連合会、農業共済組合、農業共済組合連合会、漁船保険組合、漁船保険中央会、会員商品取引所、投資事業有限責任組合、有限責任事業組合、金融商品会員制法人、自主規制法人、独立行政法人等登記令第一条に規定する独立行政法人等又は組合等登記令第一条に規定する組合等が主たる事務所を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地及び旧所在地における登記の申請書が施行日前に旧所在地を管轄する登記所に提出された場合におけるこれらの登記に関する手続については、なお従前の例による。 (電子情報処理組織によって取り扱わない登記事務に関する特例) 第十五条 登記事務を電子情報処理組織によって取り扱わない場合については、この省令による改正後の法人登記規則その他の省令の規定の例による。 ただし、登記簿、登記用紙、印鑑ファイルの記録及び登記用紙と同一の用紙をもってする登記の申請書の様式に関する事項については、商業登記規則等の一部を改正する省令(平成十七年法務省令第十九号)による改正前の法人登記規則その他の省令の規定の例による。 2 前項に規定する場合における第九条、第十条、第十二条及び第十三条の規定の適用については、これらの規定中「登記記録」とあるのは「登記用紙」と、「登記官の識別番号を記録」とあるのは「押印」と、「抹消する記号を記録」とあるのは「朱抹」と、「印鑑に係る記録」とあるのは「印鑑ファイルの記録」とし、第十条第一項、第十二条第一項及び第十三条第一項中「登記記録区」とあるのは「「登記用紙を起こした事由及び年月日」欄」とし、第十条第二項中「登記記録区」とあるのは「「その他の事項」欄」とする。
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平成二十年内閣府・法務省令第四号
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電子記録債権法施行規則 第一章 総則 (定義) 第一条 この命令において使用する用語は、電子記録債権法(平成十九年法律第百二号。以下「法」という。)において使用する用語の例によるほか、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一 一部保証記録 法第三十二条第二項第一号に掲げる事項が記録された保証記録をいう。 二 原債権金額 分割記録の直前に原債権記録に記録されていた法第十六条第一項第一号(当該原債権記録が他の分割における分割債権記録である場合にあっては、法第四十四条第一項第三号又は第四条第一項第三号、第八条第一項第三号、第十二条第一項第三号若しくは第十六条第一項第三号)に規定する一定の金額をいう。 三 特別求償権発生記録 特別求償権の発生の原因である支払等が記録された支払等記録をいう。 四 支払等金額 法第二十四条第二号の規定により記録される支払等をした金額(利息、遅延損害金、違約金又は費用が生じている場合にあっては、消滅した元本の額を含む。)をいう。 (磁気ディスクに準ずる物) 第二条 法第二条第三項に規定する主務省令で定める物は、電子計算機及び電磁的記録媒体(電磁的記録に係る記録媒体をいう。以下同じ。)(磁気ディスクを除く。)とする。 第二章 電子記録債権の分割 第一節 可分債権が記録されている債権記録の分割 (分割記録の請求) 第三条 原債権記録に債権者ごとの債権の金額が記録されている場合における分割記録の請求は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者だけですることができる。 一 原債権記録に記録可能回数が記録されている場合 原債権記録に記録されている電子記録名義人の全員 二 原債権記録において一部保証記録に基づく電子記録保証の対象である電子記録債権を分割債権記録に記録する場合 原債権記録に記録されている電子記録名義人のうち、当該一部保証記録に基づく電子記録保証を受けるものの全員 三 前二号に掲げる場合以外の場合 分割債権記録に債権者として記録される者 (分割記録の記録事項) 第四条 原債権記録に債権者ごとの債権の金額が記録されている場合における分割記録においては、分割債権記録に次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 原債権記録から分割をした旨 二 原債権記録及び分割債権記録の記録番号 三 発生記録における債務者であって分割債権記録に記録されるものが一定の金額を支払う旨 四 分割債権記録に記録される電子記録債権の債権者の氏名又は名称及び住所 五 電子記録の年月日 2 原債権記録に債権者ごとの債権の金額が記録されている場合における分割記録においては、原債権記録に次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 分割をした旨 二 分割債権記録の記録番号 三 電子記録の年月日 3 法第四十四条第三項の規定は、原債権記録に債権者ごとの債権の金額が記録されている場合について準用する。 (分割記録に伴う分割債権記録への記録) 第五条 電子債権記録機関は、原債権記録に債権者ごとの債権の金額が記録されている場合において分割記録をするときは、分割記録と同時に、分割債権記録に次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 原債権記録中の発生記録において記録されている事項(次に掲げるものを除く。) イ 債務者が一定の金額を支払う旨 ロ 当該電子記録債権が分割払の方法により債務を支払うものである場合における各支払期日及び当該支払期日ごとに支払うべき金額 ハ 債権者の氏名又は名称及び住所 ニ 債権者ごとの債権の金額 ホ 記録可能回数が記録されている場合におけるその記録可能回数 ヘ 原債権記録の記録番号 二 前号に掲げるもののほか、分割債権記録に記録される電子記録債権についての原債権記録中の現に効力を有する電子記録(分割記録を除く。)において記録されている事項 三 分割債権記録に記録される電子記録債権が原債権記録において分割払の方法により債務を支払うものとして記録されている場合には、当該電子記録債権の支払期日(原債権記録に支払期日として記録されているものに限る。) 四 前号に規定する場合において、分割債権記録に記録される電子記録債権が分割払の方法により債務を支払うものであるときは、当該電子記録債権の各支払期日ごとに支払うべき金額(原債権記録に記録されている対応する各支払期日ごとに支払うべき金額の範囲内のものに限る。) 五 分割債権記録に記録される電子記録債権の債権者の氏名又は名称及び住所 六 前号の債権者が二人以上ある場合には、債権者ごとの債権の金額 七 原債権記録に記録可能回数が記録されている場合には、当該記録可能回数(分割記録の記録可能回数にあっては、当該記録可能回数から一を控除した残りの記録可能回数)のうち、分割債権記録における記録可能回数 2 電子債権記録機関は、分割債権記録に前項第一号及び第二号に掲げる事項を記録したときは当該事項を原債権記録から転写した旨及びその年月日を、同項第三号から第七号までに掲げる事項を記録したときはその記録の年月日を当該分割債権記録に記録しなければならない。 (分割記録に伴う原債権記録への記録) 第六条 電子債権記録機関は、原債権記録に債権者ごとの債権の金額が記録されている場合において分割記録をするときは、分割記録と同時に、原債権記録に次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 分割債権記録に記録される電子記録債権について原債権記録に記録されている事項のうち、前条第一項第一号イからホまでに掲げる事項の記録を削除する旨 二 発生記録における債務者が原債権金額から分割債権記録に記録される第四条第一項第三号に規定する一定の金額を控除して得た金額を支払う旨 三 分割債権記録に記録される電子記録債権が原債権記録において分割払の方法により債務を支払うものとして記録されている場合には、分割記録の後も原債権記録に引き続き記録されることとなる支払期日 四 前号に規定する場合において、分割記録の後も原債権記録に引き続き記録されることとなる電子記録債権が分割払の方法により債務を支払うものであるときは、当該電子記録債権の各支払期日ごとに支払うべき金額 五 分割記録の後も原債権記録に引き続き記録されることとなる電子記録債権の債権者の氏名又は名称及び住所 六 前号の債権者が二人以上ある場合には、債権者ごとの債権の金額 七 原債権記録に記録可能回数が記録されている場合には、当該記録可能回数(分割記録の記録可能回数にあっては、当該記録可能回数から一を控除した残りの記録可能回数)から分割債権記録における記録可能回数を控除した残りの記録可能回数 2 電子債権記録機関は、原債権記録に前項各号に掲げる事項を記録したときは、その記録の年月日を当該原債権記録に記録しなければならない。 第二節 可分債務が記録されている債権記録の分割 (分割記録の請求) 第七条 原債権記録に債務者ごとの債務の金額が記録されている場合における分割記録の請求は、分割債権記録に債権者として記録される者だけですることができる。 (分割記録の記録事項) 第八条 原債権記録に債務者ごとの債務の金額が記録されている場合における分割記録においては、分割債権記録に次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 原債権記録から分割をした旨 二 原債権記録及び分割債権記録の記録番号 三 発生記録における債務者であって分割債権記録に記録されるものが一定の金額を支払う旨 四 債権者の氏名又は名称及び住所 五 電子記録の年月日 2 原債権記録に債務者ごとの債務の金額が記録されている場合における分割記録においては、原債権記録に第四条第二項各号に掲げる事項を記録しなければならない。 3 法第四十四条第三項の規定は、原債権記録に債務者ごとの債務の金額が記録されている場合について準用する。 (分割記録に伴う分割債権記録への記録) 第九条 電子債権記録機関は、原債権記録に債務者ごとの債務の金額が記録されている場合において分割記録をするときは、分割記録と同時に、分割債権記録に次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 原債権記録中の発生記録において記録されている事項(次に掲げるものを除く。) イ 第五条第一項第一号イ、ロ、ホ及びヘに掲げる事項 ロ 債務者の氏名又は名称及び住所 ハ 債務者ごとの債務の金額 二 前号に掲げるもののほか、分割債権記録に記録される電子記録債権についての原債権記録中の現に効力を有する電子記録(分割記録を除く。)において記録されている事項 三 第五条第一項第三号、第四号及び第七号に掲げる事項 四 分割債権記録に記録される電子記録債権の債務者の氏名又は名称及び住所 五 前号の債務者が二人以上ある場合には、債務者ごとの債務の金額 2 電子債権記録機関は、分割債権記録に前項第一号及び第二号に掲げる事項を記録したときは当該事項を原債権記録から転写した旨及びその年月日を、同項第三号から第五号までに掲げる事項を記録したときはその記録の年月日を当該分割債権記録に記録しなければならない。 (分割記録に伴う原債権記録への記録) 第十条 電子債権記録機関は、原債権記録に債務者ごとの債務の金額が記録されている場合において分割記録をするときは、分割記録と同時に、原債権記録に次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 分割債権記録に記録される電子記録債権について原債権記録に記録されている事項のうち、前条第一項第一号イからハまでに掲げる事項(原債権記録の記録番号を除く。)の記録を削除する旨 二 債務者が原債権金額から分割債権記録に記録される第八条第一項第三号に規定する一定の金額を控除して得た金額を支払う旨 三 第六条第一項第三号、第四号及び第七号に掲げる事項 四 分割記録の後も原債権記録に引き続き記録されることとなる電子記録債権の債務者の氏名又は名称及び住所 五 前号の債務者が二人以上ある場合には、債務者ごとの債務の金額 2 電子債権記録機関は、原債権記録に前項各号に掲げる事項を記録したときは、その記録の年月日を当該原債権記録に記録しなければならない。 第三節 一部保証記録がされている債権記録の分割 (分割記録の請求) 第十一条 原債権記録に一部保証記録がされている場合における分割記録の請求は、分割債権記録に債権者として記録される者だけですることができる。 (分割記録の記録事項) 第十二条 原債権記録に一部保証記録がされている場合における分割記録においては、分割債権記録に次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 原債権記録から分割をした旨 二 原債権記録及び分割債権記録の記録番号 三 発生記録における債務者であって分割債権記録に記録されるものが一定の金額を支払う旨 四 債権者の氏名又は名称及び住所 五 電子記録の年月日 2 原債権記録に一部保証記録がされている場合における分割記録においては、原債権記録に第四条第二項各号に掲げる事項を記録しなければならない。 3 法第四十四条第三項の規定は、原債権記録に一部保証記録がされている場合について準用する。 (分割記録に伴う分割債権記録への記録) 第十三条 電子債権記録機関は、原債権記録に一部保証記録がされている場合において分割記録をするときは、分割記録と同時に、分割債権記録に次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 原債権記録中の発生記録において記録されている事項(次に掲げるものを除く。) イ 債務者が一定の金額を支払う旨 ロ 当該電子記録債権が分割払の方法により債務を支払うものである場合における各支払期日及び当該支払期日ごとに支払うべき金額 ハ 記録可能回数が記録されている場合におけるその記録可能回数 ニ 原債権記録の記録番号 二 分割債権記録に記録される電子記録債権が一部保証記録に基づく電子記録保証の対象であるときは、当該一部保証記録において記録されている事項(保証の範囲を限定する旨の定めを除く。) 三 前二号に掲げるもののほか、分割債権記録に記録される電子記録債権についての原債権記録中の現に効力を有する電子記録(分割記録を除く。)において記録されている事項 四 第五条第一項第三号、第四号及び第七号に掲げる事項 五 分割債権記録に記録される電子記録債権が一部保証記録に基づく電子記録保証の対象であるときは、当該電子記録債権についての当該電子記録保証による保証の範囲を限定する旨の定め 2 電子債権記録機関は、分割債権記録に前項第一号から第三号までに掲げる事項を記録したときは当該事項を原債権記録から転写した旨及びその年月日を、同項第四号及び第五号に掲げる事項を記録したときはその記録の年月日を当該分割債権記録に記録しなければならない。 (分割記録に伴う原債権記録への記録) 第十四条 電子債権記録機関は、原債権記録に一部保証記録がされている場合において分割記録をするときは、分割記録と同時に、原債権記録に次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 分割債権記録に記録される電子記録債権について原債権記録に記録されている事項のうち、前条第一項第一号イからハまでに掲げる事項及び保証の範囲を限定する旨の定め(同項第五号の電子記録保証に係る一部保証記録において記録されているものに限る。)の記録を削除する旨 二 発生記録における債務者が原債権金額から分割債権記録に記録される第十二条第一項第三号に規定する一定の金額を控除して得た金額を支払う旨 三 第六条第一項第三号、第四号及び第七号に掲げる事項 四 分割記録の後も原債権記録に引き続き記録されることとなる電子記録債権についての電子記録保証による保証の範囲を、原債権記録に記録された当該電子記録保証についての保証の範囲から前条第一項第五号の規定により分割債権記録に記録された保証の範囲を控除して得た範囲に限定する旨の定め 2 電子債権記録機関は、原債権記録に前項各号に掲げる事項を記録したときは、その記録の年月日を当該原債権記録に記録しなければならない。 第四節 特別求償権が記録されている債権記録の分割 (分割記録の請求) 第十五条 原債権記録に特別求償権が記録されている場合における分割記録の請求は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者だけですることができる。 一 原債権記録に記録可能回数が記録されている場合 原債権記録に記録されている電子記録名義人の全員 二 前号に掲げる場合以外の場合 分割債権記録に債権者として記録される者 (分割記録の記録事項) 第十六条 原債権記録に特別求償権が記録されている場合における分割記録においては、分割債権記録に次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 原債権記録から分割をした旨 二 原債権記録及び分割債権記録の記録番号 三 発生記録における債務者であって分割債権記録に記録されるものが一定の金額を支払う旨 四 分割債権記録に記録される電子記録債権の債権者の氏名又は名称及び住所 五 電子記録の年月日 2 原債権記録に特別求償権が記録されている場合における分割記録においては、原債権記録に第四条第二項各号に掲げる事項を記録しなければならない。 3 法第四十四条第三項の規定は、原債権記録に特別求償権が記録されている場合について準用する。 (分割記録に伴う分割債権記録への記録) 第十七条 電子債権記録機関は、原債権記録に特別求償権が記録されている場合において分割記録(分割債権記録に特別求償権を記録するためのものに限る。)をするときは、分割記録と同時に、分割債権記録に次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 原債権記録中の発生記録において記録されている事項(次に掲げるものを除く。) イ 第五条第一項第一号イ、ホ及びヘに掲げる事項 ロ 分割債権記録に記録される特別求償権の発生の原因である電子記録保証による保証の対象である電子記録債権が分割払の方法により債務を支払うものである場合における各支払期日及び当該支払期日ごとに支払うべき金額 二 原債権記録中の譲渡記録のうち次に掲げるものにおいて記録されている事項 イ 分割債権記録に記録される特別求償権の発生の原因である支払等を受けた者を譲受人とする譲渡記録 ロ 分割債権記録に記録される特別求償権の債権者を譲受人とする譲渡記録であって当該特別求償権についての特別求償権発生記録がされる前にされたもの(当該特別求償権について法第三十五条第一項第二号に掲げる者があるときに限る。) 三 分割債権記録に記録される特別求償権についての原債権記録中の特別求償権発生記録において記録されている事項(支払等金額を除く。) 四 原債権記録中の保証記録のうち次に掲げるものにおいて記録されている事項(当該保証記録が一部保証記録である場合における保証の範囲を限定する旨の定めを除く。) イ 分割債権記録に記録される特別求償権の発生の原因である電子記録保証についての保証記録 ロ 分割債権記録に記録される特別求償権についての法第三十五条第一項第二号又は第三号に掲げる者を電子記録保証人とする保証記録 五 原債権記録中の質権設定記録(転質の電子記録を含む。)のうち分割債権記録に記録される特別求償権の発生の原因である支払等を受けた者を質権者とするものにおいて記録されている事項 六 前各号に掲げるもののほか、分割債権記録に記録される特別求償権についての原債権記録中の現に効力を有する電子記録(分割記録を除く。)において記録されている事項 七 第五条第一項第七号に掲げる事項 八 分割債権記録に記録される特別求償権の発生の原因である支払等についての支払等金額のうち、分割債権記録に記録されるもの 九 第四号イに掲げる保証記録が一部保証記録である場合には、当該一部保証記録に基づく電子記録保証による保証の範囲を分割債権記録に記録される特別求償権の範囲に限定する旨の定め 十 第四号ロに掲げる保証記録が一部保証記録である場合には、当該一部保証記録に基づく電子記録保証による保証の範囲の額を零とする旨の定め 2 電子債権記録機関は、分割債権記録に前項第一号から第六号までに掲げる事項を記録したときは当該事項を原債権記録から転写した旨及びその年月日を、同項第七号から第十号までに掲げる事項を記録したときはその記録の年月日を当該分割債権記録に記録しなければならない。 3 第一項の場合における第五条第一項第五号の規定の適用については、同号中「分割債権記録に記録される電子記録債権の債権者」とあるのは、「原債権記録中の発生記録に記録されていた債権者のうち、その有する電子記録債権が分割債権記録に記録される特別求償権の発生の原因である電子記録保証による保証の対象であるもの」とする。 4 第一項の場合における第九条第一項第四号の規定の適用については、同号中「分割債権記録に記録される電子記録債権の債務者」とあるのは、「原債権記録中の発生記録に記録されていた債務者のうち、その債務に係る電子記録債権が分割債権記録に記録される特別求償権の発生の原因である電子記録保証による保証の対象であるもの」とする。 第十八条 電子債権記録機関は、原債権記録に特別求償権が記録されている場合において分割記録(分割債権記録に特別求償権を記録するためのものを除く。)をするときは、分割記録と同時に、分割債権記録に次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 分割債権記録に記録される電子記録債権についての原債権記録中の現に効力を有する電子記録において記録されている事項(次に掲げるものを除く。) イ 第五条第一項第一号イ、ロ、ホ及びヘに掲げる事項 ロ 原債権記録に分割記録がされている場合における当該分割記録において記録されている事項(イに掲げるものを除く。) 二 第五条第一項第三号、第四号及び第七号に掲げる事項 2 電子債権記録機関は、分割債権記録に前項第一号に掲げる事項を記録したときは当該事項を原債権記録から転写した旨及びその年月日を、同項第二号に掲げる事項を記録したときはその記録の年月日を当該分割債権記録に記録しなければならない。 (分割記録に伴う原債権記録への記録) 第十九条 電子債権記録機関は、原債権記録に特別求償権が記録されている場合において分割記録(分割債権記録に特別求償権を記録するためのものに限る。)をするときは、分割記録と同時に、原債権記録に次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 分割債権記録に記録される特別求償権について原債権記録に記録されている事項のうち、次に掲げる事項の記録を削除する旨 イ 第五条第一項第一号イ及びホに掲げる事項 ロ 当該特別求償権についての特別求償権発生記録において記録されている支払等金額 ハ 保証の範囲を限定する旨の定め(第十七条第一項第四号イに掲げる保証記録が一部保証記録である場合における当該一部保証記録に記録されているものに限る。) 二 発生記録における債務者が原債権金額から分割債権記録に記録される第十六条第一項第三号に規定する一定の金額(当該特別求償権についての特別求償権発生記録において消滅した元本の額が記録されている場合には、当該原債権記録に第十七条第一項に規定する分割記録がされているときを除き、同項第八号の規定により分割債権記録に記録される支払等金額のうち消滅した元本の額)を控除して得た金額を支払う旨 三 第六条第一項第七号に掲げる事項 四 分割債権記録に記録される特別求償権の発生の原因である支払等についての原債権記録中の支払等金額(分割記録の直前に記録されていたものに限る。)から第十七条第一項第八号の規定により分割債権記録に記録される支払等金額を控除して得た金額 五 第十七条第一項第四号イに掲げる保証記録が一部保証記録である場合には、分割記録の後も原債権記録に引き続き記録されることとなる電子記録債権についての当該一部保証記録に基づく電子記録保証による保証の範囲を、原債権記録に記録された当該電子記録保証についての保証の範囲から同項第九号の規定により分割債権記録に記録された保証の範囲を控除して得た範囲に限定する旨の定め 2 電子債権記録機関は、原債権記録に前項各号に掲げる事項を記録したときは、その記録の年月日を当該原債権記録に記録しなければならない。 第二十条 電子債権記録機関は、原債権記録に特別求償権が記録されている場合において分割記録(分割債権記録に特別求償権を記録するためのものを除く。)をするときは、分割記録と同時に、原債権記録に次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 分割債権記録に記録される電子記録債権について原債権記録に記録されている事項のうち、第十八条第一項第一号イに掲げる事項(原債権記録の記録番号を除く。)の記録を削除する旨 二 発生記録における債務者が原債権金額から分割債権記録に記録される第十六条第一項第三号に規定する一定の金額を控除して得た金額を支払う旨 三 第六条第一項第三号、第四号及び第七号に掲げる事項 2 電子債権記録機関は、原債権記録に前項各号に掲げる事項を記録したときは、その記録の年月日を当該原債権記録に記録しなければならない。 第五節 分割記録の請求に必要な情報 第二十一条 電子記録債権法施行令(平成二十年政令第三百二十五号)別表の十二の項ヘに規定する主務省令で定める事項は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める事項とする。 一 原債権記録に債権者ごとの債権の金額が記録されている場合 次に掲げる事項 イ 第四条第一項第三号及び第四号に掲げる事項 ロ 第五条第一項第三号から第七号までに掲げる事項 ハ 第六条第一項第三号から第六号までに掲げる事項 二 原債権記録に債務者ごとの債務の金額が記録されている場合 次に掲げる事項 イ 第八条第一項第三号に掲げる事項 ロ 第九条第一項第三号から第五号までに掲げる事項 ハ 第十条第一項第三号から第五号までに掲げる事項(第六条第一項第七号に掲げる事項を除く。) 三 原債権記録に一部保証記録がされている場合 次に掲げる事項 イ 第十二条第一項第三号に掲げる事項 ロ 第十三条第一項第四号及び第五号に掲げる事項 ハ 第十四条第一項第三号及び第四号に掲げる事項(第六条第一項第七号に掲げる事項を除く。) 四 原債権記録に特別求償権が記録されている場合(分割債権記録に特別求償権を記録するために分割記録の請求をする場合に限る。) 次に掲げる事項 イ 第十六条第一項第三号及び第四号に掲げる事項 ロ 第十七条第一項第七号から第九号までに掲げる事項 ハ 第十九条第一項第五号に掲げる事項 五 原債権記録に特別求償権が記録されている場合(分割債権記録に特別求償権を記録するために分割記録の請求をする場合を除く。) 次に掲げる事項 イ 前号イに掲げる事項 ロ 第十八条第一項第二号に掲げる事項 ハ 前条第一項第三号に掲げる事項(第六条第一項第七号に掲げる事項を除く。) 第三章 電子債権記録機関 (指定の申請等) 第二十二条 法第五十一条第一項の指定を受けようとする者は、法又はこの命令の規定により法務大臣及び内閣総理大臣に提出する指定申請書のうち内閣総理大臣に提出するものを、金融庁長官を経由して提出しなければならない。 2 法第五十一条第一項第四号イに規定する主務省令で定める者は、精神の機能の障害のため電子債権記録業に係る職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。 3 指定申請書(法第五十二条第一項の指定申請書をいう。次項第三号の二及び第五号の二において同じ。)には、法第五十二条第一項各号に掲げる事項のほか、電子債権記録業を開始する時期を記載しなければならない。 4 法第五十二条第二項第七号に規定する主務省令で定める書類は、次に掲げるものとする。 一 主要株主(総株主の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。次号を除き、以下同じ。)の百分の十以上の議決権を保有している株主をいう。以下同じ。)の氏名又は商号若しくは名称、住所又は所在地及びその保有する議決権の数を記載した書面 二 親法人(電子債権記録機関の総株主の議決権(前号に規定する議決権をいう。)の過半数を保有している法人その他の団体をいう。以下同じ。)及び子法人(電子債権記録機関が総株主、総社員又は総出資者の議決権(株式会社にあっては、株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。)の過半数を保有している法人その他の団体をいう。以下同じ。)の概要を記載した書面 三 取締役及び監査役(監査等委員会設置会社にあっては取締役、指名委員会等設置会社にあっては取締役及び執行役。以下この項及び第三十五条から第三十八条までにおいて同じ。)の住民票の抄本又はこれに代わる書面 三の二 取締役及び監査役の旧氏(住民基本台帳法施行令(昭和四十二年政令第二百九十二号)第三十条の十三に規定する旧氏をいう。以下同じ。)及び名を当該取締役及び監査役の氏名に併せて指定申請書に記載した場合において、前号に掲げる書類が当該取締役及び監査役の旧氏及び名を証するものでないときは、当該旧氏及び名を証する書面 四 取締役及び監査役の履歴書 五 会計参与設置会社にあっては、会計参与の住民票の抄本又はこれに代わる書面(会計参与が法人であるときは、当該会計参与の登記事項証明書)及び履歴書(会計参与が法人であるときは、当該会計参与の沿革を記載した書面) 五の二 会計参与の旧氏及び名を当該会計参与の氏名に併せて指定申請書に記載した場合において、前号の住民票の抄本又はこれに代わる書面が当該会計参与の旧氏及び名を証するものでないときは、当該旧氏及び名を証する書面 六 取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役)の担当業務を記載した書面 七 電子債権記録業に関する知識及び経験を有する使用人の確保の状況並びに当該使用人の配置の状況を記載した書面 八 電子債権記録機関の事務の機構及び分掌を記載した書面 九 電子債権記録機関を利用する者に関する情報の管理の内容を記載した書面 十 その他参考となるべき事項を記載した書類 第二十三条 法第五十二条第三項に規定する主務省令で定める電磁的記録は、電磁的記録媒体をもって調製するファイルに情報を記録したものとする。 (業務の一部委託の承認申請等) 第二十四条 電子債権記録機関は、法第五十八条第一項の規定により承認を受けようとするときは、次に掲げる事項を記載した承認申請書を法務大臣及び金融庁長官に提出しなければならない。 一 業務を委託する相手方(以下この条において「受託者」という。)の商号又は名称及び住所又は所在地 二 委託する業務の内容及び範囲 三 委託の期間 2 前項の承認申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 理由書 二 業務の委託契約の内容を記載した書面 三 受託者が法第五十一条第一項第三号に掲げる要件に該当する旨を誓約する書面 四 受託者の取締役及び監査役(理事、監事その他これらに準ずる者を含むものとし、監査等委員会設置会社にあっては取締役、指名委員会等設置会社にあっては取締役及び執行役とする。以下この条において同じ。)が法第五十一条第一項第四号に掲げる要件に該当する旨を誓約する書面 五 受託者の登記事項証明書 六 受託者の定款又は寄附行為 七 委託する業務の実施方法を記載した書面 八 受託者の最近三年の各年度における事業報告、貸借対照表及び損益計算書又はこれらに代わる書面 九 受託者の取締役及び監査役の氏名を記載した書面 十 受託者の取締役及び監査役の住民票の抄本又はこれに代わる書面 十一 受託者の取締役及び監査役の履歴書 十二 受託者が会計参与設置会社である場合にあっては、受託者の会計参与が法第五十一条第一項第四号に掲げる要件に該当する旨を誓約する書面並びに当該会計参与の氏名又は名称を記載した書面、住民票の抄本又はこれに代わる書面(会計参与が法人であるときは、当該会計参与の登記事項証明書)及び履歴書(会計参与が法人であるときは、当該会計参与の沿革を記載した書面) 十三 受託者の取締役(理事その他これに準ずる者を含むものとし、指名委員会等設置会社にあっては、執行役とする。)の担当業務を記載した書面 十四 その他参考となるべき事項を記載した書類 3 法務大臣及び金融庁長官は、第一項の承認の申請があった場合においては、その申請が次に掲げる基準に適合するかどうかを審査するものとする。 一 業務の委託が電子債権記録業の適正かつ確実な遂行を阻害するものでないこと。 二 受託者が社会的信用のある法人であり、かつ、その受託する業務について、適正な計画を有し、確実にその業務を行うことができるものであること。 三 受託者が法第五十一条第一項第三号に掲げる要件に該当すること。 四 受託者の取締役及び監査役並びに会計参与が法第五十一条第一項第四号に掲げる要件に該当すること。 五 受託者がその受託する業務の全部又は一部を他の者に再委託する場合には、電子債権記録機関が当該再委託を受けた者が行う業務を確認できる旨の条件が業務の委託契約において付されていること。 (業務規程の記載事項) 第二十五条 法第五十九条に規定する主務省令で定める事項は、次に掲げるものとする。 一 記録事項に関する事項 二 電子記録の請求に関する事項 三 電子記録の実施の方法に関する事項 四 法第四十七条の三第五項及び第四十七条の五第三項の規定による通知の方法に関する事項 五 法第六十二条第一項に規定する口座間送金決済に関する契約又は法第六十四条に規定する契約に係る事項 六 電子債権記録機関を利用する者に関する事項 七 電子債権記録業を行う時間及び休日に関する事項 八 記録原簿の安全性の確保に関する事項 九 記録事項の開示その他の情報の提供に関する事項 十 その他電子債権記録業に関し必要な事項 (債務の支払を確実に知り得る場合) 第二十六条 法第六十五条に規定する主務省令で定める場合は、電子記録債権に係る債務について、電子債権記録機関、債権者及び債権者口座のある銀行等の合意に基づき、あらかじめ電子債権記録機関が、当該銀行等に対し支払期日、支払うべき金額、債務者及び債権者に係る情報を提供し、当該支払期日までの間において当該銀行等が、支払うべき電子記録債権に係る債務の全額について当該債務者による当該債権者口座に対する払込みの事実を確認した場合であって、電子債権記録機関が当該事実に関する通知を当該銀行等から受けた場合とする。 2 前項の合意に係る法第六十四条に規定する契約には、銀行等が、支払うべき電子記録債権に係る債務の全額について当該債務者による当該債権者口座に対する払込みの事実を確認した場合には、遅滞なく、当該事実を電子債権記録機関に通知する旨を定めるものとする。 (帳簿書類等の作成及び保存) 第二十七条 法第六十七条の規定により電子債権記録機関が作成すべき帳簿書類その他の記録は、請求受付簿とする。 2 前項の請求受付簿は、別表第一に定めるところにより作成しなければならない。 3 第一項の請求受付簿は、作成後十年間これを保存しなければならない。 (業務及び財産に関する報告書の提出) 第二十八条 法第六十八条第一項の規定により電子債権記録機関が作成すべき業務及び財産に関する報告書は、会社法第四百三十五条第二項に規定する計算書類及び事業報告とする。 2 前項の業務及び財産に関する報告書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 有形固定資産明細表 二 諸引当準備金明細表 三 その他諸勘定明細表 四 主要株主の氏名又は商号若しくは名称、住所又は所在地及びその保有する議決権の数を記載した書面 3 第一項の業務及び財産に関する報告書は、事業年度経過後三月以内に法務大臣及び金融庁長官に提出しなければならない。 (減資の認可申請) 第二十九条 電子債権記録機関は、法第六十九条第一項の規定により資本金の額の減少について認可を受けようとするときは、次に掲げる事項を記載した認可申請書を法務大臣及び金融庁長官に提出しなければならない。 一 減資前の資本金の額 二 減資後の資本金の額 三 減資予定年月日 四 減資の内容 2 前項の認可申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 理由書 二 資本金の額の減少の方法を記載した書面 三 株主総会の議事録その他の必要な手続があったことを証する書面 四 貸借対照表 (増資の届出) 第三十条 電子債権記録機関は、法第六十九条第二項の規定により資本金の額の増加について届出をしようとするときは、次に掲げる事項を記載した書面を法務大臣及び金融庁長官に届け出なければならない。 一 増資前の資本金の額 二 増資後の資本金の額 三 増資予定年月日 四 増資の内容 2 前項の書面には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 資本金の額の増加の方法を記載した書面 二 株主総会の議事録その他の必要な手続があったことを証する書面 (定款又は業務規程の変更認可申請等) 第三十一条 電子債権記録機関は、法第七十条の規定により定款又は業務規程の変更の認可を受けようとするときは、次に掲げる事項を記載した認可申請書を法務大臣及び金融庁長官に提出しなければならない。 一 変更の内容 二 変更予定年月日 2 前項の認可申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 理由書 二 定款又は業務規程の新旧対照表 三 株主総会の議事録(業務規程の変更の認可申請書にあっては、取締役会の議事録)その他の必要な手続があったことを証する書面 四 その他参考となるべき書類 3 法務大臣及び金融庁長官は、第一項の認可の申請があった場合においては、定款又は業務規程の変更の内容が、法令に適合し、かつ、電子債権記録業を適正かつ確実に運営するために十分であると認められるかどうかを審査するものとする。 (業務の休止の認可申請) 第三十二条 電子債権記録機関は、法第七十一条の規定により電子債権記録業の全部又は一部の休止について認可を受けようとするときは、次に掲げる事項を記載した認可申請書を法務大臣及び金融庁長官に提出しなければならない。 一 休止しようとする業務の範囲 二 休止しようとする年月日及びその期間 三 休止の理由 (商号等の変更の届出) 第三十三条 電子債権記録機関は、法第七十二条第一項の規定により法第五十二条第一項第一号又は第三号から第五号までに掲げる事項の変更について届出をしようとするときは、次に掲げる事項を記載した書面を法務大臣及び金融庁長官に届け出なければならない。 一 変更の内容 二 変更年月日 2 前項の書面には、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める書類を添付しなければならない。 一 法第五十二条第一項第一号又は第三号に掲げる事項の変更 同条第二項第三号に掲げる書類 二 法第五十二条第一項第四号に掲げる事項の変更 次に掲げる書類 イ 法第五十二条第二項第一号及び第三号に掲げる書類 ロ 取締役、執行役又は監査役の住民票の抄本又はこれに代わる書面 ハ 取締役、執行役及び監査役の旧氏及び名を当該取締役、執行役及び監査役の氏名に併せて前項の書面に記載した場合において、ロに掲げる書類が当該取締役、執行役及び監査役の旧氏及び名を証するものでないときは、当該旧氏及び名を証する書面 ニ 取締役、執行役又は監査役の履歴書 ホ 第二十二条第四項第六号に掲げる書面 三 法第五十二条第一項第五号に掲げる事項の変更 次に掲げる書類 イ 法第五十二条第二項第一号及び第三号に掲げる書類 ロ 会計参与の住民票の抄本又はこれに代わる書面(会計参与が法人であるときは、当該会計参与の登記事項証明書)及び履歴書(会計参与が法人であるときは、当該会計参与の沿革を記載した書面) ハ 会計参与の旧氏及び名を当該会計参与の氏名に併せて前項の書面に記載した場合において、ロの住民票の抄本又はこれに代わる書面が当該会計参与の旧氏及び名を証するものでないときは、当該旧氏及び名を証する書面 (立入検査の証明書) 第三十四条 法第七十三条第二項の規定により電子債権記録機関又は当該電子債権記録機関から業務の委託を受けた者の営業所又は事務所に対して立入検査をする際に職員が携帯すべき証明書の様式は、法務省の職員にあっては別紙様式によるものとし、金融庁の職員にあっては金融庁等の職員が検査の際に携帯すべき身分証明書等の様式を定める内閣府令(平成四年大蔵省令第六十九号)第一項に規定する様式によるものとする。 (特定合併の認可申請) 第三十五条 電子債権記録機関は、法第七十八条第一項の規定による特定合併の認可を受けようとするときは、法第五十二条第一項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した合併認可申請書を法務大臣及び金融庁長官に提出しなければならない。 一 特定合併予定年月日 二 特定合併の方法 2 法第七十八条第三項に規定する主務省令で定める電磁的記録は、第二十三条に規定する電磁的記録とする。 3 法第七十八条第三項に規定するその他主務省令で定める書面又は電磁的記録は、次に掲げる書面又はこれらの書面に代えて電磁的記録の作成がされている場合における電磁的記録とする。 一 理由書 二 特定合併の手続を記載した書面 三 特定合併の当事者の登記事項証明書 四 特定合併の当事者の会社法第七百八十三条第一項及び第七百九十五条第一項又は第八百四条第一項の規定による株主総会の議事録その他の必要な手続があったことを証する書面 五 特定合併の当事者の貸借対照表及び損益計算書 六 特定合併後の電子債権記録機関が法第五十一条第一項第三号及び第四号に掲げる要件に該当する旨を誓約する書面 七 特定合併後の電子債権記録機関の定款 八 特定合併後の電子債権記録機関の業務規程 九 特定合併後の電子債権記録機関の収支の見込みを記載した書類 十 特定合併後の電子債権記録機関の主要株主の氏名又は商号若しくは名称、住所又は所在地及びその保有する議決権の数を記載した書面 十一 特定合併後の電子債権記録機関の親法人及び子法人の概要を記載した書面 十二 特定合併後の電子債権記録機関の取締役及び監査役の住民票の抄本又はこれに代わる書面 十二の二 特定合併後の電子債権記録機関の取締役及び監査役の旧氏及び名を当該取締役及び監査役の氏名に併せて合併認可申請書に記載した場合において、前号に掲げる書面が当該取締役及び監査役の旧氏及び名を証するものでないときは、当該旧氏及び名を証する書面 十三 特定合併後の電子債権記録機関の取締役及び監査役の履歴書 十四 特定合併後の電子債権記録機関が会計参与設置会社である場合にあっては、特定合併後の電子債権記録機関の会計参与の住民票の抄本又はこれに代わる書面(会計参与が法人であるときは、当該会計参与の登記事項証明書)及び履歴書(会計参与が法人であるときは、当該会計参与の沿革を記載した書面) 十四の二 特定合併後の電子債権記録機関の会計参与の旧氏及び名を当該会計参与の氏名に併せて合併認可申請書に記載した場合において、前号の住民票の抄本又はこれに代わる書面が当該会計参与の旧氏及び名を証するものでないときは、当該旧氏及び名を証する書面 十五 特定合併後の電子債権記録機関の取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役)の担当業務を記載した書面 十六 特定合併後の電子債権記録機関における電子債権記録業に関する知識及び経験を有する使用人の確保の状況並びに当該使用人の配置の状況を記載した書面 十七 特定合併後の電子債権記録機関の事務の機構及び分掌を記載した書面 十八 特定合併後の電子債権記録機関を利用する者に関する情報の管理の内容を記載した書面 十九 その他参考となるべき事項を記載した書類 (新設分割の認可申請) 第三十六条 電子債権記録機関は、法第七十九条第一項の規定による新設分割の認可を受けようとするときは、同条第二項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した新設分割認可申請書を法務大臣及び金融庁長官に提出しなければならない。 一 新設分割予定年月日 二 新設分割の方法 2 法第七十九条第三項に規定する主務省令で定める電磁的記録は、第二十三条に規定する電磁的記録とする。 3 法第七十九条第三項に規定するその他主務省令で定める書面又は電磁的記録は、次に掲げる書面又はこれらの書面に代えて電磁的記録の作成がされている場合における電磁的記録とする。 一 理由書 二 新設分割の手続を記載した書面 三 新設分割の当事者の登記事項証明書 四 新設分割の当事者の会社法第八百四条第一項の規定による株主総会の議事録その他の必要な手続があったことを証する書面 五 新設分割の当事者の貸借対照表及び損益計算書 六 設立会社が法第五十一条第一項第三号及び第四号に掲げる要件に該当する旨を誓約する書面 七 設立会社の定款 八 設立会社の業務規程 九 設立会社の収支の見込みを記載した書類 十 設立会社の主要株主の氏名又は商号若しくは名称、住所又は所在地及びその保有する議決権の数を記載した書面 十一 設立会社の親法人及び子法人の概要を記載した書面 十二 設立会社の取締役及び監査役の住民票の抄本又はこれに代わる書面 十二の二 設立会社の取締役及び監査役の旧氏及び名を当該取締役及び監査役の氏名に併せて新設分割認可申請書に記載した場合において、前号に掲げる書面が当該取締役及び監査役の旧氏及び名を証するものでないときは、当該旧氏及び名を証する書面 十三 設立会社の取締役及び監査役の履歴書 十四 設立会社が会計参与設置会社である場合にあっては、設立会社の会計参与の住民票の抄本又はこれに代わる書面(会計参与が法人であるときは、当該会計参与の登記事項証明書)及び履歴書(会計参与が法人であるときは、当該会計参与の沿革を記載した書面) 十四の二 設立会社の会計参与の旧氏及び名を当該会計参与の氏名に併せて新設分割認可申請書に記載した場合において、前号の住民票の抄本又はこれに代わる書面が当該会計参与の旧氏及び名を証するものでないときは、当該旧氏及び名を証する書面 十五 設立会社の取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役)の担当業務を記載した書面 十六 設立会社における電子債権記録業に関する知識及び経験を有する使用人の確保の状況並びに当該使用人の配置の状況を記載した書面 十七 設立会社の事務の機構及び分掌を記載した書面 十八 設立会社を利用する者に関する情報の管理の内容を記載した書面 十九 その他参考となるべき事項を記載した書類 (吸収分割の認可申請) 第三十七条 電子債権記録機関は、法第八十条第一項の規定による吸収分割の認可を受けようとするときは、同条第二項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した吸収分割認可申請書を法務大臣及び金融庁長官に提出しなければならない。 一 吸収分割予定年月日 二 吸収分割の方法 2 法第八十条第三項に規定する主務省令で定める電磁的記録は、第二十三条に規定する電磁的記録とする。 3 法第八十条第三項に規定するその他主務省令で定める書面又は電磁的記録は、次に掲げる書面又はこれらの書面に代えて電磁的記録の作成がされている場合における電磁的記録とする。 一 理由書 二 吸収分割の手続を記載した書面 三 吸収分割の当事者の登記事項証明書 四 吸収分割の当事者の会社法第七百八十三条第一項及び第七百九十五条第一項の規定による株主総会の議事録その他の必要な手続があったことを証する書面 五 吸収分割の当事者の貸借対照表及び損益計算書 六 承継会社が法第五十一条第一項第三号及び第四号に掲げる要件に該当する旨を誓約する書面 七 承継会社の定款 八 承継会社の業務規程 九 承継会社の収支の見込みを記載した書類 十 承継会社の主要株主の氏名又は商号若しくは名称、住所又は所在地及びその保有する議決権の数を記載した書面 十一 承継会社の親法人及び子法人の概要を記載した書面 十二 承継会社の取締役及び監査役の住民票の抄本又はこれに代わる書面 十二の二 承継会社の取締役及び監査役の旧氏及び名を当該取締役及び監査役の氏名に併せて吸収分割認可申請書に記載した場合において、前号に掲げる書面が当該取締役及び監査役の旧氏及び名を証するものでないときは、当該旧氏及び名を証する書面 十三 承継会社の取締役及び監査役の履歴書 十四 承継会社が会計参与設置会社である場合にあっては、承継会社の会計参与の住民票の抄本又はこれに代わる書面(会計参与が法人であるときは、当該会計参与の登記事項証明書)及び履歴書(会計参与が法人であるときは、当該会計参与の沿革を記載した書面) 十四の二 承継会社の会計参与の旧氏及び名を当該会計参与の氏名に併せて吸収分割認可申請書に記載した場合において、前号の住民票の抄本又はこれに代わる書面が当該会計参与の旧氏及び名を証するものでないときは、当該旧氏及び名を証する書面 十五 承継会社の取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役)の担当業務を記載した書面 十六 承継会社における電子債権記録業に関する知識及び経験を有する使用人の確保の状況並びに当該使用人の配置の状況を記載した書面 十七 承継会社の事務の機構及び分掌を記載した書面 十八 承継会社を利用する者に関する情報の管理の内容を記載した書面 十九 その他参考となるべき事項を記載した書類 (事業譲渡の認可申請) 第三十八条 電子債権記録機関は、法第八十一条第一項の規定による事業譲渡の認可を受けようとするときは、同条第二項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した事業譲渡認可申請書を法務大臣及び金融庁長官に提出しなければならない。 一 事業譲渡予定年月日 二 事業譲渡の方法 2 法第八十一条第三項に規定する主務省令で定める電磁的記録は、第二十三条に規定する電磁的記録とする。 3 法第八十一条第三項に規定するその他主務省令で定める書面又は電磁的記録は、次に掲げる書面又はこれらの書面に代えて電磁的記録の作成がされている場合における電磁的記録とする。 一 理由書 二 事業譲渡の手続を記載した書面 三 事業譲渡の当事者の登記事項証明書 四 事業譲渡の当事者の会社法第四百六十七条第一項の規定による株主総会の議事録その他の必要な手続があったことを証する書面 五 事業譲渡の当事者の貸借対照表及び損益計算書 六 譲受会社が法第五十一条第一項第三号及び第四号に掲げる要件に該当する旨を誓約する書面 七 譲受会社の定款 八 譲受会社の業務規程 九 譲受会社の収支の見込みを記載した書類 十 譲受会社の主要株主の氏名又は商号若しくは名称、住所又は所在地及びその保有する議決権の数を記載した書面 十一 譲受会社の親法人及び子法人の概要を記載した書面 十二 譲受会社の取締役及び監査役の住民票の抄本又はこれに代わる書面 十二の二 譲受会社の取締役及び監査役の旧氏及び名を当該取締役及び監査役の氏名に併せて事業譲渡認可申請書に記載した場合において、前号に掲げる書面が当該取締役及び監査役の旧氏及び名を証するものでないときは、当該旧氏及び名を証する書面 十三 譲受会社の取締役及び監査役の履歴書 十四 譲受会社が会計参与設置会社である場合にあっては、譲受会社の会計参与の住民票の抄本又はこれに代わる書面(会計参与が法人であるときは、当該会計参与の登記事項証明書)及び履歴書(会計参与が法人であるときは、当該会計参与の沿革を記載した書面) 十四の二 譲受会社の会計参与の旧氏及び名を当該会計参与の氏名に併せて事業譲渡認可申請書に記載した場合において、前号の住民票の抄本又はこれに代わる書面が当該会計参与の旧氏及び名を証するものでないときは、当該旧氏及び名を証する書面 十五 譲受会社の取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役)の担当業務を記載した書面 十六 譲受会社における電子債権記録業に関する知識及び経験を有する使用人の確保の状況並びに当該使用人の配置の状況を記載した書面 十七 譲受会社の事務の機構及び分掌を記載した書面 十八 譲受会社を利用する者に関する情報の管理の内容を記載した書面 十九 その他参考となるべき事項を記載した書類 (解散等の認可申請) 第三十九条 電子債権記録機関は、法第八十二条の規定による認可を受けようとするときは、当該認可を受けるべき事項を記載した認可申請書を法務大臣及び金融庁長官に提出しなければならない。 2 前項の認可申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 理由書 二 株主総会の議事録その他の必要な手続があったことを証する書面 三 資産及び負債の内容を明らかにした書類 四 電子債権記録業の結了の方法を記載した書類 五 その他参考となるべき事項を記載した書類 (指定失効の届出) 第四十条 電子債権記録機関であった者又は一般承継人(以下「旧電子債権記録機関等」という。)は、法第八十三条第二項の規定により届出をしようとするときは、別表第二上欄に掲げる区分により、同表中欄に定める事項を記載した書面に同表下欄に定める書類を添付し、法務大臣及び金融庁長官に届け出なければならない。 (電子債権記録業の結了の届出) 第四十一条 旧電子債権記録機関等は、法第八十四条の規定により電子債権記録業を結了したときは、遅滞なく、その旨を法務大臣及び金融庁長官に届け出るものとする。 2 法務大臣及び金融庁長官は、前項の届出を受理したときは、遅滞なく、その旨を官報に公示するものとする。 (届出事項) 第四十二条 電子債権記録機関は、次の各号のいずれかに該当することとなったときは、遅滞なく、その旨を法務大臣及び金融庁長官に届け出るものとする。 一 電子債権記録機関の代表者の氏名に変更があったとき。 二 第二十二条第四項第六号に掲げる書面の記載事項に変更があったとき(当該変更が電子債権記録機関の取締役又は執行役の氏名の変更による場合を除く。)。 三 第二十二条第四項第七号に掲げる書面の記載事項に変更があったとき。 四 第二十四条第一項第一号に掲げる記載事項又は同条第二項第二号、第六号若しくは第七号に掲げる書類の記載事項に変更(同項第六号に掲げる書類の記載事項の変更にあっては、当該変更が軽微なものを除く。)があったとき。 五 業務規程に基づき規則を定め、又は廃止し、若しくは変更したとき。 六 電子債権記録機関において事故が発生したことを知ったとき。 七 前号に規定する事故の詳細が判明したとき。 2 前項の規定による届出を行う電子債権記録機関は、別表第三上欄に掲げる区分により、同表下欄に定める書類を添付しなければならない。 3 第一項第六号に規定する「事故」とは、次の各号のいずれかに該当する事実をいう。 一 取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、職務を行うべき社員を含む。)、監査役、執行役又は使用人がその業務を執行するに際し、法令に違反する行為をしたこと。 二 電子情報処理組織の故障その他偶発的な事情による電子債権記録業の全部又は一部の停止 第四章 雑則 (債権記録に記録された事項を表示する方法) 第四十三条 法第八十七条第一項に規定する主務省令で定める方法は、債権記録に記録された事項を紙面又は映像面に表示する方法とする。 (電子記録の請求をした者の同意による記録事項の開示) 第四十四条 電子債権記録機関は、法第八十七条第二項の規定により開示請求をすることを認めようとするときは、あらかじめ、電子記録の請求をする者に対し、開示請求をすることを認める者の範囲及び記録事項の内容を示し、書面又は電磁的方法による同意を得なければならない。 (電磁的記録に記録された事項を表示する方法) 第四十五条 法第八十八条第三号に規定する主務省令で定める方法は、同号の電磁的記録に記録された事項を紙面又は映像面に表示する方法とする。 (電磁的方法) 第四十六条 法第八十八条第四号に規定する電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって主務省令で定めるものは、次に掲げる方法とする。 一 電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの イ 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法 ロ 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法 二 電磁的記録媒体をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法 2 前項各号に掲げる方法は、受信者がファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものでなければならない。 (標準処理期間) 第四十七条 法務大臣及び内閣総理大臣又は金融庁長官は、次の各号に掲げる指定、認可又は承認に関する申請があった場合は、その申請が事務所に到達した日から当該各号に定める期間内に、当該申請に対する処分をするよう努めるものとする。 一 法第五十一条第一項の指定 二月 二 法第六十九条第一項、第七十条、第七十一条、第七十八条第一項、第七十九条第一項、第八十条第一項、第八十一条第一項若しくは第八十二条の認可又は法第五十八条第一項の承認 一月 2 前項の期間には、次に掲げる期間を含まないものとする。 一 当該申請を補正するために要する期間 二 当該申請をした者が当該申請の内容を変更するために要する期間 三 当該申請をした者が当該申請に係る審査に必要と認められる資料を追加するために要する期間
民事
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MinisterialOrdinance
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平成二十年国土交通省令第百五号
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株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令附則第四条の株主名簿に記載し、又は記録する方法を定める省令 株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令附則第四条の国土交通省令で定める株主名簿に記載し、又は記録する方法は、次の各号に掲げる方法とする。 一 航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号。以下「法」という。)第百二十条の二第一項の外国人等のうち、株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律(平成十六年法律第八十八号。以下「改正法」という。)附則第三条第二項の規定による通知(以下「改正法の通知」という。)に係る実質株主が有するものとみなされる株式については、改正法の通知を受けた時点の実質株主名簿に記載され、又は記録されている株式の数及び改正法の通知の直近の改正法附則第二条の規定による廃止前の株券等の保管及び振替に関する法律(昭和五十九年法律第三十号)第三十一条第一項の規定による通知(以下「直近の通知」という。)を受けた時点の株主名簿に記載され、又は記録されていた株式の数と改正法の通知に係る株式(直近の通知を受けた時点の株主名簿に記載され、又は記録されていた株式に限る。)の数のうち、いずれか少ない数(以下「記載・記録優先株式の数」という。)を当該外国人等に係る株式の数として一株単位(単元株式数を定款で定めている場合にあっては、一単元の株式の単位。以下同じ。)で記載し、又は記録する。 この場合において、法第四条第一項第四号に該当することとなるときは、外国人等が有するものとみなされる株式について、同号に該当することとならない範囲内で、記載・記録優先株式の数に応じて一株単位で按分して計算することにより記載し、又は記録する株式を特定し、なお残余があるときは、一株単位の抽選により記載し、又は記録する株式を特定して記載し、又は記録する。 二 前号前段の規定により記載し、又は記録した場合において法第四条第一項第四号に該当することとならないときは、外国人等が有するものとみなされる株式のうち前号前段の規定による記載又は記録がされなかったものについて、法第四条第一項第四号に該当することとならない範囲内で、その数に応じて一株単位で按分して計算することにより記載し、又は記録する株式を特定し、なお残余があるときは、一株単位の抽選により記載し、又は記録する株式を特定して記載し、又は記録する。
民事
Heisei
Act
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平成二十一年法律第二十四号
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外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律 第一章 総則 (趣旨) 第一条 この法律は、外国等に対して我が国の民事裁判権(裁判権のうち刑事に係るもの以外のものをいう。第四条において同じ。)が及ぶ範囲及び外国等に係る民事の裁判手続についての特例を定めるものとする。 (定義) 第二条 この法律において「外国等」とは、次に掲げるもの(以下「国等」という。)のうち、日本国及び日本国に係るものを除くものをいう。 一 国及びその政府の機関 二 連邦国家の州その他これに準ずる国の行政区画であって、主権的な権能を行使する権限を有するもの 三 前二号に掲げるもののほか、主権的な権能を行使する権限を付与された団体(当該権能の行使としての行為をする場合に限る。) 四 前三号に掲げるものの代表者であって、その資格に基づき行動するもの (条約等に基づく特権又は免除との関係) 第三条 この法律の規定は、条約又は確立された国際法規に基づき外国等が享有する特権又は免除に影響を及ぼすものではない。 第二章 外国等に対して裁判権が及ぶ範囲 第一節 免除の原則 第四条 外国等は、この法律に別段の定めがある場合を除き、裁判権(我が国の民事裁判権をいう。以下同じ。)から免除されるものとする。 第二節 裁判手続について免除されない場合 (外国等の同意) 第五条 外国等は、次に掲げるいずれかの方法により、特定の事項又は事件に関して裁判権に服することについての同意を明示的にした場合には、訴訟手続その他の裁判所における手続(外国等の有する財産に対する保全処分及び民事執行の手続を除く。以下この節において「裁判手続」という。)のうち、当該特定の事項又は事件に関するものについて、裁判権から免除されない。 一 条約その他の国際約束 二 書面による契約 三 当該裁判手続における陳述又は裁判所若しくは相手方に対する書面による通知 2 外国等が特定の事項又は事件に関して日本国の法令を適用することについて同意したことは、前項の同意と解してはならない。 (同意の擬制) 第六条 外国等が次に掲げる行為をした場合には、前条第一項の同意があったものとみなす。 一 訴えの提起その他の裁判手続の開始の申立て 二 裁判手続への参加(裁判権からの免除を主張することを目的とするものを除く。) 三 裁判手続において異議を述べないで本案についてした弁論又は申述 2 前項第二号及び第三号の規定は、当該外国等がこれらの行為をする前に裁判権から免除される根拠となる事実があることを知ることができなかったやむを得ない事情がある場合であって、当該事実を知った後当該事情を速やかに証明したときには、適用しない。 3 口頭弁論期日その他の裁判手続の期日において外国等が出頭しないこと及び外国等の代表者が証人として出頭したことは、前条第一項の同意と解してはならない。 第七条 外国等が訴えを提起した場合又は当事者として訴訟に参加した場合において、反訴が提起されたときは、当該反訴について、第五条第一項の同意があったものとみなす。 2 外国等が当該外国等を被告とする訴訟において反訴を提起したときは、本訴について、第五条第一項の同意があったものとみなす。 (商業的取引) 第八条 外国等は、商業的取引(民事又は商事に係る物品の売買、役務の調達、金銭の貸借その他の事項についての契約又は取引(労働契約を除く。)をいう。次項及び第十六条において同じ。)のうち、当該外国等と当該外国等(国以外のものにあっては、それらが所属する国。以下この項において同じ。)以外の国の国民又は当該外国等以外の国若しくはこれに所属する国等の法令に基づいて設立された法人その他の団体との間のものに関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。 一 当該外国等と当該外国等以外の国等との間の商業的取引である場合 二 当該商業的取引の当事者が明示的に別段の合意をした場合 (労働契約) 第九条 外国等は、当該外国等と個人との間の労働契約であって、日本国内において労務の全部又は一部が提供され、又は提供されるべきものに関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。 一 当該個人が次に掲げる者である場合 イ 外交関係に関するウィーン条約第一条(e)に規定する外交官 ロ 領事関係に関するウィーン条約第一条1(d)に規定する領事官 ハ 国際機関に派遣されている常駐の使節団若しくは特別使節団の外交職員又は国際会議において当該外国等(国以外のものにあっては、それらが所属する国。以下この項において同じ。)を代表するために雇用されている者 ニ イからハまでに掲げる者のほか、外交上の免除を享有する者 二 前号に掲げる場合のほか、当該個人が、当該外国等の安全、外交上の秘密その他の当該外国等の重大な利益に関する事項に係る任務を遂行するために雇用されている場合 三 当該個人の採用又は再雇用の契約の成否に関する訴え又は申立て(いずれも損害の賠償を求めるものを除く。)である場合 四 解雇その他の労働契約の終了の効力に関する訴え又は申立て(いずれも損害の賠償を求めるものを除く。)であって、当該外国等の元首、政府の長又は外務大臣によって当該訴え又は申立てに係る裁判手続が当該外国等の安全保障上の利益を害するおそれがあるとされた場合 五 訴えの提起その他の裁判手続の開始の申立てがあった時において、当該個人が当該外国等の国民である場合。 ただし、当該個人が日本国に通常居住するときは、この限りでない。 六 当該労働契約の当事者間に書面による別段の合意がある場合。 ただし、労働者の保護の見地から、当該労働契約に関する訴え又は申立てについて日本国の裁判所が管轄権を有しないとするならば、公の秩序に反することとなるときは、この限りでない。 (人の死傷又は有体物の滅失等) 第十条 外国等は、人の死亡若しくは傷害又は有体物の滅失若しくは 毀 き 損が、当該外国等が責任を負うべきものと主張される行為によって生じた場合において、当該行為の全部又は一部が日本国内で行われ、かつ、当該行為をした者が当該行為の時に日本国内に所在していたときは、これによって生じた損害又は損失の金銭によるてん補に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 (不動産に係る権利利益等) 第十一条 外国等は、日本国内にある不動産に係る次に掲げる事項に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 一 当該外国等の権利若しくは利益又は当該外国等による占有若しくは使用 二 当該外国等の権利若しくは利益又は当該外国等による占有若しくは使用から生ずる当該外国等の義務 2 外国等は、動産又は不動産について相続その他の一般承継、贈与又は無主物の取得によって生ずる当該外国等の権利又は利益に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 (裁判所が関与を行う財産の管理又は処分に係る権利利益) 第十二条 外国等は、信託財産、破産財団に属する財産、清算中の会社の財産その他の日本国の裁判所が監督その他の関与を行う財産の管理又は処分に係る当該外国等の権利又は利益に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 (知的財産権) 第十三条 外国等は、次に掲げる事項に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 一 当該外国等が有すると主張している知的財産権(知的財産基本法(平成十四年法律第百二十二号)第二条第一項に規定する知的財産に関して日本国の法令により定められた権利又は日本国の法律上保護される利益に係る権利をいう。次号において同じ。)の存否、効力、帰属又は内容 二 当該外国等が日本国内においてしたものと主張される知的財産権の侵害 (団体の構成員としての資格等) 第十四条 外国等は、法人その他の団体であって次の各号のいずれにも該当するものの社員その他の構成員である場合には、その資格又はその資格に基づく権利若しくは義務に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 一 国等及び国際機関以外の者をその社員その他の構成員とするものであること。 二 日本国の法令に基づいて設立されたものであること、又は日本国内に主たる営業所若しくは事務所を有するものであること。 2 前項の規定は、当該裁判手続の当事者間に当該外国等が裁判権から免除される旨の書面による合意がある場合又は当該団体の定款、規約その他これらに類する規則にその旨の定めがある場合には、適用しない。 (船舶の運航等) 第十五条 船舶を所有し又は運航する外国等は、当該船舶の運航に関する紛争の原因となる事実が生じた時において当該船舶が政府の非商業的目的以外に使用されていた場合には、当該紛争に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 2 前項の規定は、当該船舶が軍艦又は軍の支援船である場合には、適用しない。 3 船舶を所有し又は運航する外国等は、当該船舶による貨物の運送に関する紛争の原因となる事実が生じた時において当該船舶が政府の非商業的目的以外に使用されていた場合には、当該紛争に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 4 前項の規定は、当該貨物が、軍艦若しくは軍の支援船により運送されていたものである場合又は国等が所有し、かつ、政府の非商業的目的のみに使用され、若しくは使用されることが予定されているものである場合には、適用しない。 (仲裁合意) 第十六条 外国等は、当該外国等(国以外のものにあっては、それらが所属する国。以下この条において同じ。)以外の国の国民又は当該外国等以外の国若しくはこれに所属する国等の法令に基づいて設立された法人その他の団体との間の商業的取引に係る書面による仲裁合意に関し、当該仲裁合意の存否若しくは効力又は当該仲裁合意に基づく仲裁手続に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 ただし、当事者間に書面による別段の合意がある場合は、この限りでない。 第三節 外国等の有する財産に対する保全処分及び民事執行の手続について免除されない場合 (外国等の同意等) 第十七条 外国等は、次に掲げるいずれかの方法により、その有する財産に対して保全処分又は民事執行をすることについての同意を明示的にした場合には、当該保全処分又は民事執行の手続について、裁判権から免除されない。 一 条約その他の国際約束 二 仲裁に関する合意 三 書面による契約 四 当該保全処分又は民事執行の手続における陳述又は裁判所若しくは相手方に対する書面による通知(相手方に対する通知にあっては、当該保全処分又は民事執行が申し立てられる原因となった権利関係に係る紛争が生じた後に発出されたものに限る。) 2 外国等は、保全処分又は民事執行の目的を達することができるように指定し又は担保として提供した特定の財産がある場合には、当該財産に対する当該保全処分又は民事執行の手続について、裁判権から免除されない。 3 第五条第一項の同意は、第一項の同意と解してはならない。 (特定の目的に使用される財産) 第十八条 外国等は、当該外国等により政府の非商業的目的以外にのみ使用され、又は使用されることが予定されている当該外国等の有する財産に対する民事執行の手続について、裁判権から免除されない。 2 次に掲げる外国等の有する財産は、前項の財産に含まれないものとする。 一 外交使節団、領事機関、特別使節団、国際機関に派遣されている使節団又は国際機関の内部機関若しくは国際会議に派遣されている代表団の任務の遂行に当たって使用され、又は使用されることが予定されている財産 二 軍事的な性質を有する財産又は軍事的な任務の遂行に当たって使用され、若しくは使用されることが予定されている財産 三 次に掲げる財産であって、販売されておらず、かつ、販売されることが予定されていないもの イ 当該外国等に係る文化遺産 ロ 当該外国等が管理する公文書その他の記録 ハ 科学的、文化的又は歴史的意義を有する展示物 3 前項の規定は、前条第一項及び第二項の規定の適用を妨げない。 (外国中央銀行等の取扱い) 第十九条 日本国以外の国の中央銀行又はこれに準ずる金融当局(次項において「外国中央銀行等」という。)は、その有する財産に対する保全処分及び民事執行の手続については、第二条第一号から第三号までに該当しない場合においても、これを外国等とみなし、第四条並びに第十七条第一項及び第二項の規定を適用する。 2 外国中央銀行等については、前条第一項の規定は適用しない。 第三章 民事の裁判手続についての特例 (訴状等の送達) 第二十条 外国等に対する訴状その他これに類する書類及び訴訟手続その他の裁判所における手続の最初の期日の呼出状(以下この条及び次条第一項において「訴状等」という。)の送達は、次に掲げる方法によりするものとする。 一 条約その他の国際約束で定める方法 二 前号に掲げる方法がない場合には、次のイ又はロに掲げる方法 イ 外交上の経路を通じてする方法 ロ 当該外国等が送達の方法として受け入れるその他の方法(民事訴訟法(平成八年法律第百九号)に規定する方法であるものに限る。) 2 前項第二号イに掲げる方法により送達をした場合においては、外務省に相当する当該外国等(国以外のものにあっては、それらが所属する国)の機関が訴状等を受領した時に、送達があったものとみなす。 3 外国等は、異議を述べないで本案について弁論又は申述をしたときは、訴状等の送達の方法について異議を述べる権利を失う。 4 第一項及び第二項に規定するもののほか、外国等に対する訴状等の送達に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 (外国等の不出頭の場合の民事訴訟法の特例等) 第二十一条 外国等が口頭弁論の期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しない場合における当該外国等に対する請求を認容する判決の言渡しは、訴状等の送達があった日又は前条第二項の規定により送達があったものとみなされる日から四月を経過しなければすることができない。 2 前条第一項及び第二項の規定は、前項に規定する判決についての判決書又は民事訴訟法第二百五十四条第二項の調書(次項及び第四項において「判決書等」という。)の当該外国等に対する送達について準用する。 3 前項に規定するもののほか、判決書等の送達に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 4 第一項に規定する判決に対して外国等がする上訴又は異議の申立ては、民事訴訟法第二百八十五条本文(同法第三百十三条(同法第三百十八条第五項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)又は第三百五十七条本文(同法第三百六十七条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第三百七十八条第一項本文の規定にかかわらず、判決書等の送達があった日又は第二項において準用する前条第二項の規定により送達があったものとみなされる日から四月の不変期間内に提起しなければならない。 ( 勾 こう 引及び過料に関する規定の適用除外) 第二十二条 外国等については、民事の裁判手続においてされた文書その他の物件の提出命令、証人の呼出しその他の当該裁判手続上の命令に従わないことを理由とする 勾 こう 引及び過料に関する民事訴訟法その他の法令の規定は、適用しない。
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平成二十一年法律第二十四号
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外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律 第一章 総則 (趣旨) 第一条 この法律は、外国等に対して我が国の民事裁判権(裁判権のうち刑事に係るもの以外のものをいう。第四条において同じ。)が及ぶ範囲及び外国等に係る民事の裁判手続についての特例を定めるものとする。 (定義) 第二条 この法律において「外国等」とは、次に掲げるもの(以下「国等」という。)のうち、日本国及び日本国に係るものを除くものをいう。 一 国及びその政府の機関 二 連邦国家の州その他これに準ずる国の行政区画であって、主権的な権能を行使する権限を有するもの 三 前二号に掲げるもののほか、主権的な権能を行使する権限を付与された団体(当該権能の行使としての行為をする場合に限る。) 四 前三号に掲げるものの代表者であって、その資格に基づき行動するもの (条約等に基づく特権又は免除との関係) 第三条 この法律の規定は、条約又は確立された国際法規に基づき外国等が享有する特権又は免除に影響を及ぼすものではない。 第二章 外国等に対して裁判権が及ぶ範囲 第一節 免除の原則 第四条 外国等は、この法律に別段の定めがある場合を除き、裁判権(我が国の民事裁判権をいう。以下同じ。)から免除されるものとする。 第二節 裁判手続について免除されない場合 (外国等の同意) 第五条 外国等は、次に掲げるいずれかの方法により、特定の事項又は事件に関して裁判権に服することについての同意を明示的にした場合には、訴訟手続その他の裁判所における手続(外国等の有する財産に対する保全処分及び民事執行の手続を除く。以下この節において「裁判手続」という。)のうち、当該特定の事項又は事件に関するものについて、裁判権から免除されない。 一 条約その他の国際約束 二 書面による契約 三 当該裁判手続における陳述又は裁判所若しくは相手方に対する書面による通知 2 外国等が特定の事項又は事件に関して日本国の法令を適用することについて同意したことは、前項の同意と解してはならない。 (同意の擬制) 第六条 外国等が次に掲げる行為をした場合には、前条第一項の同意があったものとみなす。 一 訴えの提起その他の裁判手続の開始の申立て 二 裁判手続への参加(裁判権からの免除を主張することを目的とするものを除く。) 三 裁判手続において異議を述べないで本案についてした弁論又は申述 2 前項第二号及び第三号の規定は、当該外国等がこれらの行為をする前に裁判権から免除される根拠となる事実があることを知ることができなかったやむを得ない事情がある場合であって、当該事実を知った後当該事情を速やかに証明したときには、適用しない。 3 口頭弁論期日その他の裁判手続の期日において外国等が出頭しないこと及び外国等の代表者が証人として出頭したことは、前条第一項の同意と解してはならない。 第七条 外国等が訴えを提起した場合又は当事者として訴訟に参加した場合において、反訴が提起されたときは、当該反訴について、第五条第一項の同意があったものとみなす。 2 外国等が当該外国等を被告とする訴訟において反訴を提起したときは、本訴について、第五条第一項の同意があったものとみなす。 (商業的取引) 第八条 外国等は、商業的取引(民事又は商事に係る物品の売買、役務の調達、金銭の貸借その他の事項についての契約又は取引(労働契約を除く。)をいう。次項及び第十六条において同じ。)のうち、当該外国等と当該外国等(国以外のものにあっては、それらが所属する国。以下この項において同じ。)以外の国の国民又は当該外国等以外の国若しくはこれに所属する国等の法令に基づいて設立された法人その他の団体との間のものに関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。 一 当該外国等と当該外国等以外の国等との間の商業的取引である場合 二 当該商業的取引の当事者が明示的に別段の合意をした場合 (労働契約) 第九条 外国等は、当該外国等と個人との間の労働契約であって、日本国内において労務の全部又は一部が提供され、又は提供されるべきものに関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。 一 当該個人が次に掲げる者である場合 イ 外交関係に関するウィーン条約第一条(e)に規定する外交官 ロ 領事関係に関するウィーン条約第一条1(d)に規定する領事官 ハ 国際機関に派遣されている常駐の使節団若しくは特別使節団の外交職員又は国際会議において当該外国等(国以外のものにあっては、それらが所属する国。以下この項において同じ。)を代表するために雇用されている者 ニ イからハまでに掲げる者のほか、外交上の免除を享有する者 二 前号に掲げる場合のほか、当該個人が、当該外国等の安全、外交上の秘密その他の当該外国等の重大な利益に関する事項に係る任務を遂行するために雇用されている場合 三 当該個人の採用又は再雇用の契約の成否に関する訴え又は申立て(いずれも損害の賠償を求めるものを除く。)である場合 四 解雇その他の労働契約の終了の効力に関する訴え又は申立て(いずれも損害の賠償を求めるものを除く。)であって、当該外国等の元首、政府の長又は外務大臣によって当該訴え又は申立てに係る裁判手続が当該外国等の安全保障上の利益を害するおそれがあるとされた場合 五 訴えの提起その他の裁判手続の開始の申立てがあった時において、当該個人が当該外国等の国民である場合。 ただし、当該個人が日本国に通常居住するときは、この限りでない。 六 当該労働契約の当事者間に書面による別段の合意がある場合。 ただし、労働者の保護の見地から、当該労働契約に関する訴え又は申立てについて日本国の裁判所が管轄権を有しないとするならば、公の秩序に反することとなるときは、この限りでない。 (人の死傷又は有体物の滅失等) 第十条 外国等は、人の死亡若しくは傷害又は有体物の滅失若しくは 毀 き 損が、当該外国等が責任を負うべきものと主張される行為によって生じた場合において、当該行為の全部又は一部が日本国内で行われ、かつ、当該行為をした者が当該行為の時に日本国内に所在していたときは、これによって生じた損害又は損失の金銭によるてん補に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 (不動産に係る権利利益等) 第十一条 外国等は、日本国内にある不動産に係る次に掲げる事項に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 一 当該外国等の権利若しくは利益又は当該外国等による占有若しくは使用 二 当該外国等の権利若しくは利益又は当該外国等による占有若しくは使用から生ずる当該外国等の義務 2 外国等は、動産又は不動産について相続その他の一般承継、贈与又は無主物の取得によって生ずる当該外国等の権利又は利益に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 (裁判所が関与を行う財産の管理又は処分に係る権利利益) 第十二条 外国等は、信託財産、破産財団に属する財産、清算中の会社の財産その他の日本国の裁判所が監督その他の関与を行う財産の管理又は処分に係る当該外国等の権利又は利益に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 (知的財産権) 第十三条 外国等は、次に掲げる事項に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 一 当該外国等が有すると主張している知的財産権(知的財産基本法(平成十四年法律第百二十二号)第二条第一項に規定する知的財産に関して日本国の法令により定められた権利又は日本国の法律上保護される利益に係る権利をいう。次号において同じ。)の存否、効力、帰属又は内容 二 当該外国等が日本国内においてしたものと主張される知的財産権の侵害 (団体の構成員としての資格等) 第十四条 外国等は、法人その他の団体であって次の各号のいずれにも該当するものの社員その他の構成員である場合には、その資格又はその資格に基づく権利若しくは義務に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 一 国等及び国際機関以外の者をその社員その他の構成員とするものであること。 二 日本国の法令に基づいて設立されたものであること、又は日本国内に主たる営業所若しくは事務所を有するものであること。 2 前項の規定は、当該裁判手続の当事者間に当該外国等が裁判権から免除される旨の書面による合意がある場合又は当該団体の定款、規約その他これらに類する規則にその旨の定めがある場合には、適用しない。 (船舶の運航等) 第十五条 船舶を所有し又は運航する外国等は、当該船舶の運航に関する紛争の原因となる事実が生じた時において当該船舶が政府の非商業的目的以外に使用されていた場合には、当該紛争に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 2 前項の規定は、当該船舶が軍艦又は軍の支援船である場合には、適用しない。 3 船舶を所有し又は運航する外国等は、当該船舶による貨物の運送に関する紛争の原因となる事実が生じた時において当該船舶が政府の非商業的目的以外に使用されていた場合には、当該紛争に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 4 前項の規定は、当該貨物が、軍艦若しくは軍の支援船により運送されていたものである場合又は国等が所有し、かつ、政府の非商業的目的のみに使用され、若しくは使用されることが予定されているものである場合には、適用しない。 (仲裁合意) 第十六条 外国等は、当該外国等(国以外のものにあっては、それらが所属する国。以下この条において同じ。)以外の国の国民又は当該外国等以外の国若しくはこれに所属する国等の法令に基づいて設立された法人その他の団体との間の商業的取引に係る書面による仲裁合意に関し、当該仲裁合意の存否若しくは効力又は当該仲裁合意に基づく仲裁手続に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。 ただし、当事者間に書面による別段の合意がある場合は、この限りでない。 第三節 外国等の有する財産に対する保全処分及び民事執行の手続について免除されない場合 (外国等の同意等) 第十七条 外国等は、次に掲げるいずれかの方法により、その有する財産に対して保全処分又は民事執行をすることについての同意を明示的にした場合には、当該保全処分又は民事執行の手続について、裁判権から免除されない。 一 条約その他の国際約束 二 仲裁に関する合意 三 書面による契約 四 当該保全処分又は民事執行の手続における陳述又は裁判所若しくは相手方に対する書面による通知(相手方に対する通知にあっては、当該保全処分又は民事執行が申し立てられる原因となった権利関係に係る紛争が生じた後に発出されたものに限る。) 2 外国等は、保全処分又は民事執行の目的を達することができるように指定し又は担保として提供した特定の財産がある場合には、当該財産に対する当該保全処分又は民事執行の手続について、裁判権から免除されない。 3 第五条第一項の同意は、第一項の同意と解してはならない。 (特定の目的に使用される財産) 第十八条 外国等は、当該外国等により政府の非商業的目的以外にのみ使用され、又は使用されることが予定されている当該外国等の有する財産に対する民事執行の手続について、裁判権から免除されない。 2 次に掲げる外国等の有する財産は、前項の財産に含まれないものとする。 一 外交使節団、領事機関、特別使節団、国際機関に派遣されている使節団又は国際機関の内部機関若しくは国際会議に派遣されている代表団の任務の遂行に当たって使用され、又は使用されることが予定されている財産 二 軍事的な性質を有する財産又は軍事的な任務の遂行に当たって使用され、若しくは使用されることが予定されている財産 三 次に掲げる財産であって、販売されておらず、かつ、販売されることが予定されていないもの イ 当該外国等に係る文化遺産 ロ 当該外国等が管理する公文書その他の記録 ハ 科学的、文化的又は歴史的意義を有する展示物 3 前項の規定は、前条第一項及び第二項の規定の適用を妨げない。 (外国中央銀行等の取扱い) 第十九条 日本国以外の国の中央銀行又はこれに準ずる金融当局(次項において「外国中央銀行等」という。)は、その有する財産に対する保全処分及び民事執行の手続については、第二条第一号から第三号までに該当しない場合においても、これを外国等とみなし、第四条並びに第十七条第一項及び第二項の規定を適用する。 2 外国中央銀行等については、前条第一項の規定は適用しない。 第三章 民事の裁判手続についての特例 (訴状等の送達) 第二十条 外国等に対する訴状その他これに類する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)に記録されている事項を出力することにより作成した書面及び訴訟手続その他の裁判所における手続の最初の期日の呼出状又は電子呼出状(民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第九十四条第一項第一号に規定する電子呼出状をいう。)について同法第百九条の規定により作成した書面(以下この条及び次条第一項において「訴状等」という。)の送達は、次に掲げる方法によりするものとする。 一 条約その他の国際約束で定める方法 二 前号に掲げる方法がない場合には、次のイ又はロに掲げる方法 イ 外交上の経路を通じてする方法 ロ 当該外国等が送達の方法として受け入れるその他の方法(民事訴訟法に規定する方法であるものに限る。) 2 前項第二号イに掲げる方法により送達をした場合においては、外務省に相当する当該外国等(国以外のものにあっては、それらが所属する国)の機関が訴状等を受領した時に、送達があったものとみなす。 3 外国等は、異議を述べないで本案について弁論又は申述をしたときは、訴状等の送達の方法について異議を述べる権利を失う。 4 第一項及び第二項に規定するもののほか、外国等に対する訴状等の送達に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 (外国等の不出頭の場合の民事訴訟法の特例等) 第二十一条 外国等が口頭弁論の期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しない場合における当該外国等に対する請求を認容する判決の言渡しは、訴状等の送達があった日又は前条第二項の規定により送達があったものとみなされる日から四月を経過しなければすることができない。 2 前条第一項及び第二項の規定は、前項に規定する判決についての電子判決書(民事訴訟法第二百五十二条第一項に規定する電子判決書をいう。)又は同法第二百五十四条第二項の電子調書に記録されている事項を記載した書面であって裁判所書記官が当該書面の内容が当該電子判決書又は当該電子調書に記録されている事項と同一であることを証明したもの(次項及び第四項において「電子判決書等記録事項証明書」という。)の当該外国等に対する送達について準用する。 3 前項に規定するもののほか、電子判決書等記録事項証明書の送達に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 4 第一項に規定する判決に対して外国等がする上訴又は異議の申立ては、民事訴訟法第二百八十五条本文(同法第三百十三条(同法第三百十八条第五項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)又は第三百五十七条本文(同法第三百六十七条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第三百七十八条第一項本文の規定にかかわらず、電子判決書等記録事項証明書の送達があった日又は第二項において準用する前条第二項の規定により送達があったものとみなされる日から四月の不変期間内に提起しなければならない。 ( 勾 こう 引及び過料に関する規定の適用除外) 第二十二条 外国等については、民事の裁判手続においてされた文書その他の物件の提出命令、証人の呼出しその他の当該裁判手続上の命令に従わないことを理由とする 勾 こう 引及び過料に関する民事訴訟法その他の法令の規定は、適用しない。
民事
Heisei
MinisterialOrdinance
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平成二十一年財務省令第十六号
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長期運用予定額に係る財政融資資金の運用実績報告書の様式を定める省令 財政融資資金の長期運用に対する特別措置に関する法律(昭和四十八年法律第七号)第四条第一項に規定する長期運用予定額に係る財政融資資金の運用実績報告書の様式は、別紙書式によるものとする。
民事
Heisei
Act
423AC0000000051_20231115_505AC0000000028.xml
平成二十三年法律第五十一号
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非訟事件手続法 第一編 総則 (趣旨) 第一条 この法律は、非訟事件の手続についての通則を定めるとともに、民事非訟事件、公示催告事件及び過料事件の手続を定めるものとする。 (最高裁判所規則) 第二条 この法律に定めるもののほか、非訟事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第二編 非訟事件の手続の通則 第一章 総則 (第二編の適用範囲) 第三条 非訟事件の手続については、次編から第五編まで及び他の法令に定めるもののほか、この編の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第四条 裁判所は、非訟事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に非訟事件の手続を追行しなければならない。 第二章 非訟事件に共通する手続 第一節 管轄 (管轄が住所地により定まる場合の管轄裁判所) 第五条 非訟事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。 2 非訟事件は、管轄が法人その他の社団又は財団(外国の社団又は財団を除く。)の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき、又は住所が知れないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。 3 非訟事件は、管轄が外国の社団又は財団の住所地により定まる場合においては、日本における主たる事務所又は営業所の所在地を管轄する裁判所の管轄に属し、日本国内に事務所又は営業所がないときは日本における代表者その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。 (優先管轄等) 第六条 この法律の他の規定又は他の法令の規定により二以上の裁判所が管轄権を有するときは、非訟事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した裁判所が管轄する。 ただし、その裁判所は、非訟事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、非訟事件の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。 (管轄裁判所の指定) 第七条 管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 3 前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 4 第一項又は第二項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (管轄裁判所の特例) 第八条 この法律の他の規定又は他の法令の規定により非訟事件の管轄が定まらないときは、その非訟事件は、裁判を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する裁判所の管轄に属する。 (管轄の標準時) 第九条 裁判所の管轄は、非訟事件の申立てがあった時又は裁判所が職権で非訟事件の手続を開始した時を標準として定める。 (移送等に関する民事訴訟法の準用等) 第十条 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第十六条(第二項ただし書を除く。)、第十八条、第二十一条及び第二十二条の規定は、非訟事件の移送等について準用する。 2 非訟事件の移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二節 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第十一条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の裁判を受ける者となるべき者(終局決定(申立てを却下する終局決定を除く。)がされた場合において、その裁判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。 二 裁判官が当事者又はその他の裁判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又はその他の裁判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくはその他の裁判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第十二条 裁判官について裁判の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第十三条 合議体の構成員である裁判官及び地方裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。 2 地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで非訟事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 非訟事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官又は非訟事件を取り扱う地方裁判所の一人の裁判官若しくは簡易裁判所の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、非訟事件の手続は停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第十四条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第十一条、第十二条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった非訟事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (専門委員の除斥及び忌避) 第十五条 非訟事件の手続における専門委員の除斥及び忌避については、第十一条、第十二条、第十三条第八項及び第九項並びに前条第二項及び第三項の規定を準用する。 この場合において、同条第二項ただし書中「前項において準用する前条第五項各号」とあるのは、「第十三条第五項各号」と読み替えるものとする。 第三節 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第十六条 当事者能力、非訟事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項及び第七十四条第一項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十一条、第三十三条並びに第三十四条第一項及び第二項の規定を準用する。 2 被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした非訟事件の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。 職権により手続が開始された場合についても、同様とする。 3 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。 一 非訟事件の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する抗告若しくは異議又は第七十七条第二項の申立ての取下げ (特別代理人) 第十七条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、非訟事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法定代理権の消滅の通知) 第十八条 法定代理権の消滅は、本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。 (法人の代表者等への準用) 第十九条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第四節 参加 (当事者参加) 第二十条 当事者となる資格を有する者は、当事者として非訟事件の手続に参加することができる。 2 前項の規定による参加(次項において「当事者参加」という。)の申出は、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 3 当事者参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (利害関係参加) 第二十一条 裁判を受ける者となるべき者は、非訟事件の手続に参加することができる。 2 裁判を受ける者となるべき者以外の者であって、裁判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、裁判所の許可を得て、非訟事件の手続に参加することができる。 3 前条第二項の規定は、第一項の規定による参加の申出及び前項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 第一項又は第二項の規定により非訟事件の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(非訟事件の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定又は他の法令の規定によりすることができる場合に限る。 第五節 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第二十二条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、第一審裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (手続代理人の代理権の範囲) 第二十三条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 一 非訟事件の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する抗告若しくは異議又は第七十七条第二項の申立て 三 前号の抗告、異議又は申立ての取下げ 四 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (法定代理の規定及び民事訴訟法の準用) 第二十四条 第十八条並びに民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第二十五条 非訟事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六節 手続費用 第一款 手続費用の負担 (手続費用の負担) 第二十六条 非訟事件の手続の費用(以下「手続費用」という。)は、特別の定めがある場合を除き、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、この法律の他の規定(次項を除く。)又は他の法令の規定によれば当事者、利害関係参加人その他の関係人がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。 一 当事者又は利害関係参加人 二 前号に掲げる者以外の裁判を受ける者となるべき者 三 前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの 3 前二項又は他の法令の規定によれば法務大臣又は検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。 (手続費用の立替え) 第二十七条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の非訟事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第二十八条 民事訴訟法第六十七条から第七十四条までの規定(裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての決定に対する即時抗告に関する部分を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十三条第一項中「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第二十条第一項若しくは第二十一条第一項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「非訟事件手続法第二十八条第一項において準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第四項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二款 手続上の救助 第二十九条 非訟事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で非訟事件の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「非訟事件手続法第二十九条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七節 非訟事件の審理等 (手続の非公開) 第三十条 非訟事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (調書の作成等) 第三十一条 裁判所書記官は、非訟事件の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第三十二条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、非訟事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は非訟事件に関する事項の証明書の交付(第百十二条において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。 2 前項の規定は、非訟事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合においては、当事者又は第三者に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときを除き、これを許可しなければならない。 4 裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 5 裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は非訟事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 裁判を受ける者が当該裁判があった後に請求する場合も、同様とする。 6 非訟事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、非訟事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 7 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 8 前項の規定による即時抗告が非訟事件の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 9 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (専門委員) 第三十三条 裁判所は、的確かつ円滑な審理の実現のため、又は和解を試みるに当たり、必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、専門的な知見に基づく意見を聴くために専門委員を非訟事件の手続に関与させることができる。 この場合において、専門委員の意見は、裁判長が書面により又は当事者が立ち会うことができる非訟事件の手続の期日において口頭で述べさせなければならない。 2 裁判所は、当事者の意見を聴いて、前項の規定による専門委員を関与させる裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、必要があると認めるときは、専門委員を非訟事件の手続の期日に立ち会わせることができる。 この場合において、裁判長は、専門委員が当事者、証人、鑑定人その他非訟事件の手続の期日に出頭した者に対し直接に問いを発することを許すことができる。 4 裁判所は、専門委員が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が専門委員との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、専門委員に第一項の意見を述べさせることができる。 この場合において、裁判長は、専門委員が当事者、証人、鑑定人その他非訟事件の手続の期日に出頭した者に対し直接に問いを発することを許すことができる。 5 民事訴訟法第九十二条の五の規定は、第一項の規定により非訟事件の手続に関与させる専門委員の指定及び任免等について準用する。 この場合において、同条第二項中「第九十二条の二」とあるのは、「非訟事件手続法第三十三条第一項」と読み替えるものとする。 6 受命裁判官又は受託裁判官が第一項の手続を行う場合には、同項から第四項までの規定及び前項において準用する民事訴訟法第九十二条の五第二項の規定による裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 ただし、証拠調べの期日における手続を行う場合には、専門委員を手続に関与させる裁判、その裁判の取消し及び専門委員の指定は、非訟事件が係属している裁判所がする。 (期日及び期間) 第三十四条 非訟事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。 2 非訟事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 非訟事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、非訟事件の手続の期日及び期間について準用する。 (手続の併合等) 第三十五条 裁判所は、非訟事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする非訟事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第三十六条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって非訟事件の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に非訟事件の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者による受継) 第三十七条 非訟事件の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該非訟事件の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 前項の規定による受継の申立ては、同項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。 (送達及び手続の中止) 第三十八条 送達及び非訟事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは、「裁判を求める事項」と読み替えるものとする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第三十九条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (検察官の関与) 第四十条 検察官は、非訟事件について意見を述べ、その手続の期日に立ち会うことができる。 2 裁判所は、検察官に対し、非訟事件が係属したこと及びその手続の期日を通知するものとする。 第八節 検察官に対する通知 第四十一条 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより非訟事件の裁判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。 第九節 電子情報処理組織による申立て等 第四十二条 非訟事件の手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十第一項から第五項までの規定(支払督促に関する部分を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定によりされた申立て等に係るこの法律その他の法令の規定による非訟事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、同条第五項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第十節 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第四十二条の二 非訟事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同法第百三十三条第一項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人(非訟事件手続法第二十一条第五項に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の裁判を受ける者となるべき者(同法第十一条第一項第一号に規定する裁判を受ける者となるべき者をいう。)」と、同法第百三十三条の四第一項中「者は、訴訟記録等」とあるのは「当事者又は利害関係参加人は、非訟事件の記録」と、同条第二項中「当事者」とあるのは「当事者又は利害関係参加人」と、「訴訟記録等」とあるのは「非訟事件の記録」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人」と読み替えるものとする。 第三章 第一審裁判所における非訟事件の手続 第一節 非訟事件の申立て (申立ての方式等) 第四十三条 非訟事件の申立ては、申立書(以下この条及び第五十七条第一項において「非訟事件の申立書」という。)を裁判所に提出してしなければならない。 2 非訟事件の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び原因 3 申立人は、二以上の事項について裁判を求める場合において、これらの事項についての非訟事件の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。 4 非訟事件の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い非訟事件の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、非訟事件の申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (申立ての変更) 第四十四条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は原因を変更することができる。 2 申立ての趣旨又は原因の変更は、非訟事件の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 裁判所は、申立ての趣旨又は原因の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨又は原因の変更により非訟事件の手続が著しく遅滞することとなるときは、裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 第二節 非訟事件の手続の期日 (裁判長の手続指揮権) 第四十五条 非訟事件の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が非訟事件の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第四十六条 裁判所は、受命裁判官に非訟事件の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第五十一条第三項の規定又は第五十三条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第四十七条 裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、非訟事件の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 非訟事件の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第四十八条 非訟事件の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、非訟事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。 第三節 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第四十九条 裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び裁判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第五十条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (事実の調査の嘱託等) 第五十一条 裁判所は、他の地方裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の地方裁判所又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (事実の調査の通知) 第五十二条 裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による非訟事件の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (証拠調べ) 第五十三条 非訟事件の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百七条第二項、第二百八条、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第二百二十九条第四項の規定を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 3 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 一 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。 二 書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 4 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、裁判所は、十万円以下の過料に処する。 一 正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。 二 対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 三 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。 5 裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、非訟事件の手続の期日に出頭することを命ずることができる。 6 民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。 7 この条に規定するもののほか、証拠調べにおける過料についての裁判に関しては、第五編の規定(第百十九条の規定並びに第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)を準用する。 第四節 裁判 (裁判の方式) 第五十四条 裁判所は、非訟事件の手続においては、決定で、裁判をする。 (終局決定) 第五十五条 裁判所は、非訟事件が裁判をするのに熟したときは、終局決定をする。 2 裁判所は、非訟事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局決定をすることができる。 手続の併合を命じた数個の非訟事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (終局決定の告知及び効力の発生等) 第五十六条 終局決定は、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の裁判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 終局決定(申立てを却下する決定を除く。)は、裁判を受ける者(裁判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 3 申立てを却下する終局決定は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。 4 終局決定は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 5 終局決定の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (終局決定の方式及び裁判書) 第五十七条 終局決定は、裁判書を作成してしなければならない。 ただし、即時抗告をすることができない決定については、非訟事件の申立書又は調書に主文を記載することをもって、裁判書の作成に代えることができる。 2 終局決定の裁判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由の要旨 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第五十八条 終局決定に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の終局決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 終局決定に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (終局決定の取消し又は変更) 第五十九条 裁判所は、終局決定をした後、その決定を不当と認めるときは、次に掲げる決定を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。 一 申立てによってのみ裁判をすべき場合において申立てを却下した決定 二 即時抗告をすることができる決定 2 終局決定が確定した日から五年を経過したときは、裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。 ただし、事情の変更によりその決定を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。 3 裁判所は、第一項の規定により終局決定の取消し又は変更をする場合には、その決定における当事者及びその他の裁判を受ける者の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の規定による取消し又は変更の終局決定に対しては、取消し後又は変更後の決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (終局決定に関する民事訴訟法の準用) 第六十条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、終局決定について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「終局決定が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (中間決定) 第六十一条 裁判所は、終局決定の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (終局決定以外の裁判) 第六十二条 終局決定以外の非訟事件に関する裁判については、特別の定めがある場合を除き、第五十五条から第六十条まで(第五十七条第一項及び第五十九条第三項を除く。)の規定を準用する。 2 非訟事件の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 3 終局決定以外の非訟事件に関する裁判は、判事補が単独ですることができる。 第五節 裁判によらない非訟事件の終了 (非訟事件の申立ての取下げ) 第六十三条 非訟事件の申立人は、終局決定が確定するまで、申立ての全部又は一部を取り下げることができる。 この場合において、終局決定がされた後は、裁判所の許可を得なければならない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「非訟事件の手続の期日」と読み替えるものとする。 (非訟事件の申立ての取下げの擬制) 第六十四条 非訟事件の申立人が、連続して二回、呼出しを受けた非訟事件の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた非訟事件の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。 (和解) 第六十五条 非訟事件における和解については、民事訴訟法第八十九条、第二百六十四条及び第二百六十五条の規定を準用する。 この場合において、同法第二百六十四条及び第二百六十五条第三項中「口頭弁論等」とあるのは、「非訟事件の手続」と読み替えるものとする。 2 和解を調書に記載したときは、その記載は、確定した終局決定と同一の効力を有する。 第四章 不服申立て 第一節 終局決定に対する不服申立て 第一款 即時抗告 (即時抗告をすることができる裁判) 第六十六条 終局決定により権利又は法律上保護される利益を害された者は、その決定に対し、即時抗告をすることができる。 2 申立てを却下した終局決定に対しては、申立人に限り、即時抗告をすることができる。 3 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第六十七条 終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 即時抗告の期間は、即時抗告をする者が裁判の告知を受ける者である場合にあっては、裁判の告知を受けた日から進行する。 3 前項の期間は、即時抗告をする者が裁判の告知を受ける者でない場合にあっては、申立人(職権で開始した事件においては、裁判を受ける者)が裁判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第六十八条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原決定の表示及びその決定に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による終局決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第四十三条第四項から第六項までの規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第六十九条 終局決定に対する即時抗告があったときは、抗告裁判所は、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 ただし、その即時抗告が不適法であるとき、又は即時抗告に理由がないことが明らかなときは、この限りでない。 2 裁判長は、前項の規定により抗告状の写しを送付するための費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 3 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (陳述の聴取) 第七十条 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の裁判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原裁判所の終局決定を取り消すことができない。 (原裁判所による更正) 第七十一条 原裁判所は、終局決定に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その決定を更正しなければならない。 (原裁判の執行停止) 第七十二条 終局決定に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (第一審の手続の規定及び民事訴訟法の準用) 第七十三条 終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前章の規定(第五十七条第一項ただし書及び第六十四条の規定を除く。)を準用する。 この場合において、第五十九条第一項第二号中「即時抗告」とあるのは、「第一審裁判所の終局決定であるとした場合に即時抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百九条までの規定は、終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条」とあるのは「非訟事件手続法第六十三条第二項及び第六十四条」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「非訟事件手続法第百二十一条」と読み替えるものとする。 (再抗告) 第七十四条 抗告裁判所の終局決定(その決定が第一審裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものに限る。)に対しては、次に掲げる事由を理由とするときに限り、更に即時抗告をすることができる。 ただし、第五号に掲げる事由については、手続行為能力、法定代理権又は手続行為をするのに必要な権限を有するに至った本人、法定代理人又は手続代理人による追認があったときは、この限りでない。 一 終局決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があること。 二 法律に従って裁判所を構成しなかったこと。 三 法律により終局決定に関与することができない裁判官が終局決定に関与したこと。 四 専属管轄に関する規定に違反したこと。 五 法定代理権、手続代理人の代理権又は代理人が手続行為をするのに必要な授権を欠いたこと。 六 終局決定にこの法律又は他の法令で記載すべきものと定められた理由若しくはその要旨を付せず、又は理由若しくはその要旨に食い違いがあること。 七 終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があること。 2 前項の即時抗告(以下この条及び第七十七条第一項において「再抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された再抗告の理由についてのみ調査をする。 3 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十四条、第三百二十五条第一項前段、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は、再抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「非訟事件手続法第六十八条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「非訟事件手続法第七十四条第二項の規定及び同条第三項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十四条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二款 特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第七十五条 地方裁判所及び簡易裁判所の終局決定で不服を申し立てることができないもの並びに高等裁判所の終局決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下この項及び次条において「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第七十六条 前款の規定(第六十六条、第六十七条第一項、第六十九条第三項、第七十一条及び第七十四条の規定を除く。)は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十六条第一項において準用する同法第六十八条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「非訟事件手続法第七十五条第二項の規定及び同法第七十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十五条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三款 許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第七十七条 高等裁判所の終局決定(再抗告及び次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第七十五条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 ただし、その決定が地方裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の高等裁判所は、同項の終局決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第七十五条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第七十八条 第一款の規定(第六十六条、第六十七条第一項、第六十八条第四項及び第五項、第六十九条第三項、第七十一条並びに第七十四条の規定を除く。)は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、これらの規定中「抗告状」とあるのは「第七十七条第二項の規定による許可の申立書」と、第六十七条第二項及び第三項、第六十八条第一項、第二項第二号及び第三項、第六十九条第一項並びに第七十二条第一項本文中「即時抗告」とあり、及び第六十八条第六項中「即時抗告の提起」とあるのは「第七十七条第二項の申立て」と、第七十二条第一項ただし書並びに第七十三条第一項前段及び第二項中「即時抗告」とあるのは「許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「非訟事件手続法第七十七条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「非訟事件手続法第七十七条第五項の規定及び同法第七十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十七条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二節 終局決定以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第七十九条 終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第八十条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、非訟事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が非訟事件が係属している裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 3 最高裁判所又は高等裁判所に非訟事件が係属している場合における第一項の規定の適用については、同項ただし書中「非訟事件が係属している裁判所」とあるのは、「地方裁判所」とする。 (即時抗告期間) 第八十一条 終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 (終局決定に対する不服申立ての規定の準用) 第八十二条 前節の規定(第六十六条第一項及び第二項、第六十七条第一項並びに第六十九条及び第七十条(これらの規定を第七十六条第一項及び第七十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 第五章 再審 (再審) 第八十三条 確定した終局決定その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における非訟事件の手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により終局決定その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該終局決定その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第八十四条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第七十二条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第三編 民事非訟事件 第一章 共有に関する事件 (共有物の管理に係る決定) 第八十五条 次に掲げる裁判に係る事件は、当該裁判に係る共有物又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条に規定する数人で所有権以外の財産権を有する場合における当該財産権(以下この条において単に「共有物」という。)の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 一 民法第二百五十一条第二項、第二百五十二条第二項第一号及び第二百五十二条の二第二項(これらの規定を同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)の規定による裁判 二 民法第二百五十二条第二項第二号(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。第三項において同じ。)の規定による裁判 2 前項第一号の裁判については、裁判所が次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、することができない。 この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。 一 当該共有物について前項第一号の裁判の申立てがあったこと。 二 裁判所が前項第一号の裁判をすることについて異議があるときは、当該他の共有者等(民法第二百五十一条第二項(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する当該他の共有者、同法第二百五十二条第二項第一号(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する他の共有者又は同法第二百五十二条の二第二項(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する当該共有者をいう。第六項において同じ。)は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、前項第一号の裁判がされること。 3 第一項第二号の裁判については、裁判所が次に掲げる事項を当該他の共有者(民法第二百五十二条第二項第二号に規定する当該他の共有者をいう。以下この項及び次項において同じ。)に通知し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、することができない。 この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。 一 当該共有物について第一項第二号の裁判の申立てがあったこと。 二 当該他の共有者は裁判所に対し一定の期間内に共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべきこと。 三 前号の期間内に当該他の共有者が裁判所に対し共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにしないときは、第一項第二号の裁判がされること。 4 前項第二号の期間内に裁判所に対し共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにした当該他の共有者があるときは、裁判所は、その者に係る第一項第二号の裁判をすることができない。 5 第一項各号の裁判は、確定しなければその効力を生じない。 6 第一項第一号の裁判は、当該他の共有者等に告知することを要しない。 (共有物分割の証書の保存者の指定) 第八十六条 民法第二百六十二条第三項の規定による証書の保存者の指定の事件は、共有物の分割がされた地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、前項の指定の裁判をするには、分割者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 3 裁判所が前項の裁判をする場合における手続費用は、分割者の全員が等しい割合で負担する。 4 第二項の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (所在等不明共有者の持分の取得) 第八十七条 所在等不明共有者の持分の取得の裁判(民法第二百六十二条の二第一項(同条第五項において準用する場合を含む。次項第一号において同じ。)の規定による所在等不明共有者の持分の取得の裁判をいう。以下この条において同じ。)に係る事件は、当該裁判に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号、第三号及び第五号の期間が経過した後でなければ、所在等不明共有者の持分の取得の裁判をすることができない。 この場合において、第二号、第三号及び第五号の期間は、いずれも三箇月を下ってはならない。 一 所在等不明共有者(民法第二百六十二条の二第一項に規定する所在等不明共有者をいう。以下この条において同じ。)の持分について所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てがあったこと。 二 裁判所が所在等不明共有者の持分の取得の裁判をすることについて異議があるときは、所在等不明共有者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。 三 民法第二百六十二条の二第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の異議の届出は、一定の期間内にすべきこと。 四 前二号の届出がないときは、所在等不明共有者の持分の取得の裁判がされること。 五 所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てがあった所在等不明共有者の持分について申立人以外の共有者が所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てをするときは一定の期間内にその申立てをすべきこと。 3 裁判所は、前項の規定による公告をしたときは、遅滞なく、登記簿上その氏名又は名称が判明している共有者に対し、同項各号(第二号を除く。)の規定により公告した事項を通知しなければならない。 この通知は、通知を受ける者の登記簿上の住所又は事務所に宛てて発すれば足りる。 4 裁判所は、第二項第三号の異議の届出が同号の期間を経過した後にされたときは、当該届出を却下しなければならない。 5 裁判所は、所在等不明共有者の持分の取得の裁判をするには、申立人に対して、一定の期間内に、所在等不明共有者のために、裁判所が定める額の金銭を裁判所の指定する供託所に供託し、かつ、その旨を届け出るべきことを命じなければならない。 6 裁判所は、前項の規定による決定をした後所在等不明共有者の持分の取得の裁判をするまでの間に、事情の変更により同項の規定による決定で定めた額を不当と認めるに至ったときは、同項の規定により供託すべき金銭の額を変更しなければならない。 7 前二項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 8 裁判所は、申立人が第五項の規定による決定に従わないときは、その申立人の申立てを却下しなければならない。 9 所在等不明共有者の持分の取得の裁判は、確定しなければその効力を生じない。 10 所在等不明共有者の持分の取得の裁判は、所在等不明共有者に告知することを要しない。 11 所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てを受けた裁判所が第二項の規定による公告をした場合において、その申立てがあった所在等不明共有者の持分について申立人以外の共有者が同項第五号の期間が経過した後に所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てをしたときは、裁判所は、当該申立人以外の共有者による所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てを却下しなければならない。 (所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与) 第八十八条 所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判(民法第二百六十二条の三第一項(同条第四項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)の規定による所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判をいう。第三項において同じ。)に係る事件は、当該裁判に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 前条第二項第一号、第二号及び第四号並びに第五項から第十項までの規定は、前項の事件について準用する。 3 所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判の効力が生じた後二箇月以内にその裁判により付与された権限に基づく所在等不明共有者(民法第二百六十二条の三第一項に規定する所在等不明共有者をいう。)の持分の譲渡の効力が生じないときは、その裁判は、その効力を失う。 ただし、この期間は、裁判所において伸長することができる。 (検察官の不関与) 第八十九条 第四十条の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。 第二章 土地等の管理に関する事件 (所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令) 第九十条 民法第二編第三章第四節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、所有者不明土地管理命令(民法第二百六十四条の二第一項に規定する所有者不明土地管理命令をいう。以下この条において同じ。)をすることができない。 この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。 一 所有者不明土地管理命令の申立てがその対象となるべき土地又は共有持分についてあったこと。 二 所有者不明土地管理命令をすることについて異議があるときは、所有者不明土地管理命令の対象となるべき土地又は共有持分を有する者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、所有者不明土地管理命令がされること。 3 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。 4 裁判所は、民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判又は同法第二百六十四条の七第一項の規定による費用若しくは報酬の額を定める裁判をする場合には、所有者不明土地管理人(同法第二百六十四条の二第四項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下この条において同じ。)の陳述を聴かなければならない。 5 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。 一 所有者不明土地管理命令の申立てを却下する裁判 二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てを却下する裁判 三 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の申立てについての裁判 6 所有者不明土地管理命令があった場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分について、所有者不明土地管理命令の登記を嘱託しなければならない。 7 所有者不明土地管理命令を取り消す裁判があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならない。 8 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者又はその共有持分を有する者のために、当該金銭を所有者不明土地管理命令の対象とされた土地(共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である土地)の所在地の供託所に供託することができる。 この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 9 裁判所は、所有者不明土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。 10 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、所有者不明土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。 11 所有者不明土地等(民法第二百六十四条の三第一項に規定する所有者不明土地等をいう。以下この条において同じ。)の所有者(その共有持分を有する者を含む。以下この条において同じ。)が所有者不明土地等の所有権(その共有持分を含む。)が自己に帰属することを証明したときは、裁判所は、当該所有者の申立てにより、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。 この場合において、所有者不明土地管理命令が取り消されたときは、所有者不明土地管理人は、当該所有者に対し、その事務の経過及び結果を報告し、当該所有者に帰属することが証明された財産を引き渡さなければならない。 12 所有者不明土地管理命令及びその変更の裁判は、所有者不明土地等の所有者に告知することを要しない。 13 所有者不明土地管理命令の取消しの裁判は、事件の記録上所有者不明土地等の所有者及びその所在が判明している場合に限り、その所有者に告知すれば足りる。 14 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。 一 所有者不明土地管理命令 利害関係人 二 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判 利害関係人 三 民法第二百六十四条の七第一項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判 所有者不明土地管理人 四 第九項から第十一項までの規定による変更又は取消しの裁判 利害関係人 15 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 一 民法第二百六十四条の二第四項の規定による所有者不明土地管理人の選任の裁判 二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の裁判 16 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の八第一項に規定する所有者不明建物管理命令及び同条第四項に規定する所有者不明建物管理人について準用する。 (管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令) 第九十一条 民法第二編第三章第五節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 民法第二百六十四条の十第二項又は第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。 3 裁判所は、次の各号に掲げる裁判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。 ただし、第一号に掲げる裁判をする場合において、その陳述を聴く手続を経ることにより当該裁判の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 一 管理不全土地管理命令(民法第二百六十四条の九第一項に規定する管理不全土地管理命令をいう。以下この条において同じ。) 管理不全土地管理命令の対象となるべき土地の所有者 二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判 管理不全土地管理人(同法第二百六十四条の九第三項に規定する管理不全土地管理人をいう。以下この条において同じ。) 四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判 管理不全土地管理人 五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判 管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 4 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。 一 管理不全土地管理命令の申立てについての裁判 二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の申立てについての裁判 三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の申立てについての裁判 四 民法第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てを却下する裁判 5 管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、当該金銭を管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所在地の供託所に供託することができる。 この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 6 裁判所は、管理不全土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。 7 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、管理不全土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、管理不全土地管理命令を取り消さなければならない。 8 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。 一 管理不全土地管理命令 利害関係人 二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判 利害関係人 四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判 管理不全土地管理人 五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判 管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 六 前二項の規定による変更又は取消しの裁判 利害関係人 9 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 一 民法第二百六十四条の九第三項の規定による管理不全土地管理人の選任の裁判 二 民法第二百六十四条の十二第二項の許可の裁判 10 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の十四第一項に規定する管理不全建物管理命令及び同条第三項に規定する管理不全建物管理人について準用する。 (適用除外) 第九十二条 第四十条及び第五十七条第二項第二号の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。 第三章 供託等に関する事件 (動産質権の実行の許可) 第九十三条 民法第三百五十四条の規定による質物をもって直ちに弁済に充てることの許可の申立てに係る事件は、債務の履行地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、前項の許可の裁判をするには、債務者の陳述を聴かなければならない。 3 裁判所が前項の裁判をする場合における手続費用は、債務者の負担とする。 (供託所の指定及び供託物の保管者の選任等) 第九十四条 民法第四百九十五条第二項の供託所の指定及び供託物の保管者の選任の事件は、債務の履行地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、前項の指定及び選任の裁判をするには、債権者の陳述を聴かなければならない。 3 裁判所は、前項の規定により選任した保管者を改任することができる。 この場合においては、債権者及び弁済者の陳述を聴かなければならない。 4 裁判所が第二項の裁判又は前項の規定による改任の裁判をする場合における手続費用は、債権者の負担とする。 5 民法第六百五十八条第一項及び第二項、第六百五十九条から第六百六十一条まで並びに第六百六十四条の規定は、第二項の規定により選任し、又は第三項の規定により改任された保管者について準用する。 (競売代価の供託の許可) 第九十五条 民法第四百九十七条の裁判所の許可の事件については、前条第一項、第二項及び第四項の規定を準用する。 (買戻権の消滅に係る鑑定人の選任) 第九十六条 民法第五百八十二条の規定による鑑定人の選任の事件は、不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所が前項の鑑定人の選任の裁判をする場合における手続費用は、買主の負担とする。 (検察官の不関与) 第九十七条 第四十条の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。 (不服申立ての制限) 第九十八条 この章の規定による指定、許可、選任又は改任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 第四編 公示催告事件 第一章 通則 (公示催告の申立て) 第九十九条 裁判上の公示催告で権利の届出を催告するためのもの(以下この編において「公示催告」という。)の申立ては、法令にその届出をしないときは当該権利につき失権の効力を生ずる旨の定めがある場合に限り、することができる。 (管轄裁判所) 第百条 公示催告手続(公示催告によって当該公示催告に係る権利につき失権の効力を生じさせるための一連の手続をいう。以下この章において同じ。)に係る事件(第百十二条において「公示催告事件」という。)は、公示催告に係る権利を有する者の普通裁判籍の所在地又は当該公示催告に係る権利の目的物の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。 ただし、当該権利が登記又は登録に係るものであるときは、登記又は登録をすべき地を管轄する簡易裁判所もこれを管轄する。 (公示催告手続開始の決定等) 第百一条 裁判所は、公示催告の申立てが適法であり、かつ、理由があると認めるときは、公示催告手続開始の決定をするとともに、次に掲げる事項を内容とする公示催告をする旨の決定(第百十三条第二項において「公示催告決定」という。)をしなければならない。 一 申立人の表示 二 権利の届出の終期の指定 三 前号に規定する権利の届出の終期までに当該権利を届け出るべき旨の催告 四 前号に掲げる催告に応じて権利の届出をしないことにより生ずべき失権の効力の表示 (公示催告についての公告) 第百二条 公示催告についての公告は、前条に規定する公示催告の内容を、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、官報に掲載する方法によってする。 2 裁判所は、相当と認めるときは、申立人に対し、前項に規定する方法に加えて、前条に規定する公示催告の内容を、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載して公告すべき旨を命ずることができる。 (公示催告の期間) 第百三条 前条第一項の規定により公示催告を官報に掲載した日から権利の届出の終期までの期間は、他の法律に別段の定めがある場合を除き、二月を下ってはならない。 (公示催告手続終了の決定) 第百四条 公示催告手続開始の決定後第百六条第一項から第四項までの規定による除権決定がされるまでの間において、公示催告の申立てが不適法であること又は理由のないことが明らかになったときは、裁判所は、公示催告手続終了の決定をしなければならない。 2 前項の決定に対しては、申立人に限り、即時抗告をすることができる。 (審理終結日) 第百五条 裁判所は、権利の届出の終期の経過後においても、必要があると認めるときは、公示催告の申立てについての審理をすることができる。 この場合において、裁判所は、審理を終結する日(以下この章において「審理終結日」という。)を定めなければならない。 2 権利の届出の終期までに申立人が申立ての理由として主張した権利を争う旨の申述(以下この編において「権利を争う旨の申述」という。)があったときは、裁判所は、申立人及びその権利を争う旨の申述をした者の双方が立ち会うことができる審問期日を指定するとともに、審理終結日を定めなければならない。 3 前二項の規定により審理終結日が定められたときは、権利の届出の終期の経過後においても、権利の届出又は権利を争う旨の申述は、その審理終結日まですることができる。 4 権利を争う旨の申述をするには、自らが権利者であることその他の申立人が申立ての理由として主張した権利を争う理由を明らかにしなければならない。 (除権決定等) 第百六条 権利の届出の終期(前条第一項又は第二項の規定により審理終結日が定められた場合にあっては、審理終結日。以下この条において同じ。)までに適法な権利の届出又は権利を争う旨の申述がないときは、裁判所は、第百四条第一項の場合を除き、当該公示催告の申立てに係る権利につき失権の効力を生ずる旨の裁判(以下この編において「除権決定」という。)をしなければならない。 2 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利の届出があった場合であって、適法な権利を争う旨の申述がないときは、第百四条第一項の場合を除き、当該公示催告の申立てに係る権利のうち適法な権利の届出があったものについては失権の効力を生じない旨の定め(以下この章において「制限決定」という。)をして、除権決定をしなければならない。 3 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利を争う旨の申述があった場合であって、適法な権利の届出がないときは、第百四条第一項の場合を除き、申立人とその適法な権利を争う旨の申述をした者との間の当該権利についての訴訟の判決が確定するまで公示催告手続を中止し、又は除権決定は、その適法な権利を争う旨の申述をした者に対してはその効力を有せず、かつ、申立人が当該訴訟において敗訴したときはその効力を失う旨の定め(以下この章において「留保決定」という。)をして、除権決定をしなければならない。 ただし、その権利を争う旨の申述に理由がないことが明らかであると認めるときは、留保決定をしないで、除権決定をしなければならない。 4 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利の届出及び権利を争う旨の申述があったときは、第百四条第一項の場合を除き、制限決定及び留保決定をして、除権決定をしなければならない。 5 除権決定に対しては、第百八条の規定による場合のほか、不服を申し立てることができない。 6 制限決定又は留保決定に対しては、即時抗告をすることができる。 7 前項の即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 (除権決定等の公告) 第百七条 除権決定、制限決定及び留保決定は、官報に掲載して公告しなければならない。 (除権決定の取消しの申立て) 第百八条 次に掲げる事由がある場合には、除権決定の取消しの申立てをすることができる。 一 法令において公示催告の申立てをすることができる場合に該当しないこと。 二 第百二条第一項の規定による公示催告についての公告をせず、又は法律に定める方法によって公告をしなかったこと。 三 第百三条に規定する公示催告の期間を遵守しなかったこと。 四 除斥又は忌避の裁判により除権決定に関与することができない裁判官が除権決定に関与したこと。 五 適法な権利の届出又は権利を争う旨の申述があったにもかかわらず、第百六条第二項から第四項までの規定に違反して除権決定がされたこと。 六 第八十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百三十八条第一項第四号から第八号までの規定により再審の申立てをすることができる場合であること。 (管轄裁判所) 第百九条 前条の規定による除権決定の取消しの申立てに係る事件は、当該除権決定をした裁判所の管轄に属する。 (申立期間) 第百十条 第百八条の規定による除権決定の取消しの申立ては、申立人が除権決定があったことを知った日(同条第四号又は第六号に掲げる事由を不服の理由とする場合において、その日に申立人がその事由があることを知らなかったときにあっては、その事由があることを知った日)から三十日の不変期間内にしなければならない。 2 除権決定が告知された日から五年を経過したときは、第百八条の規定による除権決定の取消しの申立てをすることができない。 (申立てについての裁判等) 第百十一条 第百八条の規定による除権決定の取消しの申立てがあったときは、裁判所は、申立人及び相手方の双方が立ち会うことができる審問期日を指定するとともに、審理終結日を定めなければならない。 2 裁判所は、前項に規定する場合において、第百八条各号に掲げる事由があるときは、除権決定を取り消す決定をしなければならない。 3 前項の規定による除権決定を取り消す決定が確定したときは、官報に掲載してその主文を公告しなければならない。 (事件の記録の閲覧等) 第百十二条 第三十二条第一項から第四項までの規定にかかわらず、申立人及び権利の届出をした者又は権利を争う旨の申述をした者その他の利害関係人は、裁判所書記官に対し、公示催告事件又は除権決定の取消しの申立てに係る事件の記録の閲覧等又は記録の複製を請求することができる。 (適用除外) 第百十三条 第四十条の規定は、公示催告手続には、適用しない。 2 第五十九条の規定は、公示催告手続開始の決定、公示催告決定及び除権決定には、適用しない。 第二章 有価証券無効宣言公示催告事件 (申立権者) 第百十四条 盗取され、紛失し、又は滅失した有価証券のうち、法令の規定により無効とすることができるものであって、次の各号に掲げるものを無効とする旨の宣言をするためにする公示催告の申立ては、それぞれ当該各号に定める者がすることができる。 一 無記名式の有価証券又は裏書によって譲り渡すことができる有価証券であって白地式裏書(被裏書人を指定しないで、又は裏書人の署名若しくは記名押印のみをもってした裏書をいう。)がされたもの その最終の所持人 二 前号に規定する有価証券以外の有価証券 その有価証券により権利を主張することができる者 (管轄裁判所) 第百十五条 前条に規定する公示催告(以下この章において「有価証券無効宣言公示催告」という。)の申立てに係る事件は、その有価証券に義務履行地(手形又は小切手にあっては、その支払地。以下この項において同じ。)が表示されているときはその義務履行地を管轄する簡易裁判所の管轄に属し、その有価証券に義務履行地が表示されていないときはその有価証券により義務を負担する者が普通裁判籍を有する地を管轄する簡易裁判所の管轄に属し、その者が普通裁判籍を有しないときはその者がその有価証券により義務を負担した時に普通裁判籍を有した地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、同項の有価証券が登記された権利について発行されたものであるときは、同項の申立ては、その権利の目的物の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。 (申立ての方式及び疎明) 第百十六条 有価証券無効宣言公示催告の申立ては、その申立てに係る有価証券の謄本を提出し、又は当該有価証券を特定するために必要な事項を明らかにして、これをしなければならない。 2 有価証券無効宣言公示催告の申立てに係る有価証券の盗難、紛失又は滅失の事実その他第百十四条の規定により申立てをすることができる理由は、これを疎明しなければならない。 (公示催告の内容等) 第百十七条 有価証券無効宣言公示催告においては、第百一条の規定にかかわらず、次に掲げる事項を公示催告の内容とする。 一 申立人の表示 二 権利を争う旨の申述の終期の指定 三 前号に規定する権利を争う旨の申述の終期までに権利を争う旨の申述をし、かつ、有価証券を提出すべき旨の有価証券の所持人に対する催告 四 前号に掲げる催告に応じて権利を争う旨の申述をしないことにより有価証券を無効とする旨を宣言する旨の表示 2 有価証券無効宣言公示催告についての前章の規定の適用については、第百三条、第百五条第一項から第三項まで並びに第百六条第一項及び第三項中「権利の届出の終期」とあるのは「権利を争う旨の申述の終期」と、第百四条第一項中「第百六条第一項から第四項まで」とあるのは「第百六条第一項又は第三項」と、第百五条第三項、第百六条第一項及び第百八条第五号中「権利の届出又は権利を争う旨の申述」とあるのは「権利を争う旨の申述」と、第百六条第三項中「適法な権利を争う旨の申述があった場合であって、適法な権利の届出がないとき」とあるのは「適法な権利を争う旨の申述があったとき」と、同条第六項中「制限決定又は留保決定」とあるのは「留保決定」と、第百七条中「、制限決定及び留保決定」とあるのは「及び留保決定」と、第百八条第五号中「第百六条第二項から第四項まで」とあるのは「第百六条第三項」とする。 (除権決定による有価証券の無効の宣言等) 第百十八条 裁判所は、有価証券無効宣言公示催告の申立てについての除権決定において、その申立てに係る有価証券を無効とする旨を宣言しなければならない。 2 前項の除権決定がされたときは、有価証券無効宣言公示催告の申立人は、その申立てに係る有価証券により義務を負担する者に対し、当該有価証券による権利を主張することができる。 第五編 過料事件 (管轄裁判所) 第百十九条 過料事件(過料についての裁判の手続に係る非訟事件をいう。)は、他の法令に特別の定めがある場合を除き、当事者(過料の裁判がされた場合において、その裁判を受ける者となる者をいう。以下この編において同じ。)の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 (過料についての裁判等) 第百二十条 過料についての裁判には、理由を付さなければならない。 2 裁判所は、過料についての裁判をするに当たっては、あらかじめ、検察官の意見を聴くとともに、当事者の陳述を聴かなければならない。 3 過料についての裁判に対しては、当事者及び検察官に限り、即時抗告をすることができる。 この場合において、当該即時抗告が過料の裁判に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。 4 過料についての裁判の手続(その抗告審における手続を含む。次項において同じ。)に要する手続費用は、過料の裁判をした場合にあっては当該裁判を受けた者の負担とし、その他の場合にあっては国庫の負担とする。 5 過料の裁判に対して当事者から第三項の即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料についての裁判をしたときは、前項の規定にかかわらず、過料についての裁判の手続に要する手続費用は、国庫の負担とする。 (過料の裁判の執行) 第百二十一条 過料の裁判は、検察官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 過料の裁判の執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従ってする。 ただし、執行をする前に裁判の送達をすることを要しない。 3 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第七編第二章(第五百十一条及び第五百十三条第六項から第八項までを除く。)の規定は、過料の裁判の執行について準用する。 この場合において、同条第一項中「者若しくは裁判の執行の対象となるもの」とあるのは「者」と、「裁判の執行の対象となるもの若しくは裁判」とあるのは「裁判」と読み替えるものとする。 4 過料の裁判の執行があった後に当該裁判(以下この項において「原裁判」という。)に対して前条第三項の即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料の裁判をしたときは、その金額の限度において当該過料の裁判の執行があったものとみなす。 この場合において、原裁判の執行によって得た金額が当該過料の金額を超えるときは、その超過額は、これを還付しなければならない。 (略式手続) 第百二十二条 裁判所は、第百二十条第二項の規定にかかわらず、相当と認めるときは、当事者の陳述を聴かないで過料についての裁判をすることができる。 2 前項の裁判に対しては、当事者及び検察官は、当該裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内に、当該裁判をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 この場合において、当該異議の申立てが過料の裁判に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。 3 前項の異議の申立ては、次項の裁判があるまで、取り下げることができる。 この場合において、当該異議の申立ては、遡ってその効力を失う。 4 適法な異議の申立てがあったときは、裁判所は、当事者の陳述を聴いて、更に過料についての裁判をしなければならない。 5 前項の規定によってすべき裁判が第一項の裁判と符合するときは、裁判所は、同項の裁判を認可しなければならない。 ただし、同項の裁判の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。 6 前項の規定により第一項の裁判を認可する場合を除き、第四項の規定によってすべき裁判においては、第一項の裁判を取り消さなければならない。 7 第百二十条第五項の規定は、第一項の規定による過料の裁判に対して当事者から第二項の異議の申立てがあった場合において、前項の規定により当該裁判を取り消して第四項の規定により更に過料についての裁判をしたときについて準用する。 8 前条第四項の規定は、第一項の規定による過料の裁判の執行があった後に当該裁判に対して第二項の異議の申立てがあった場合において、第六項の規定により当該裁判を取り消して第四項の規定により更に過料の裁判をしたときについて準用する。
民事
Heisei
Act
423AC0000000051_20251213_505AC0000000053.xml
平成二十三年法律第五十一号
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非訟事件手続法 第一編 総則 (趣旨) 第一条 この法律は、非訟事件の手続についての通則を定めるとともに、民事非訟事件、公示催告事件及び過料事件の手続を定めるものとする。 (最高裁判所規則) 第二条 この法律に定めるもののほか、非訟事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第二編 非訟事件の手続の通則 第一章 総則 (第二編の適用範囲) 第三条 非訟事件の手続については、次編から第五編まで及び他の法令に定めるもののほか、この編の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第四条 裁判所は、非訟事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に非訟事件の手続を追行しなければならない。 第二章 非訟事件に共通する手続 第一節 管轄 (管轄が住所地により定まる場合の管轄裁判所) 第五条 非訟事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。 2 非訟事件は、管轄が法人その他の社団又は財団(外国の社団又は財団を除く。)の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき、又は住所が知れないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。 3 非訟事件は、管轄が外国の社団又は財団の住所地により定まる場合においては、日本における主たる事務所又は営業所の所在地を管轄する裁判所の管轄に属し、日本国内に事務所又は営業所がないときは日本における代表者その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。 (優先管轄等) 第六条 この法律の他の規定又は他の法令の規定により二以上の裁判所が管轄権を有するときは、非訟事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した裁判所が管轄する。 ただし、その裁判所は、非訟事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、非訟事件の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。 (管轄裁判所の指定) 第七条 管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 3 前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 4 第一項又は第二項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (管轄裁判所の特例) 第八条 この法律の他の規定又は他の法令の規定により非訟事件の管轄が定まらないときは、その非訟事件は、裁判を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する裁判所の管轄に属する。 (管轄の標準時) 第九条 裁判所の管轄は、非訟事件の申立てがあった時又は裁判所が職権で非訟事件の手続を開始した時を標準として定める。 (移送等に関する民事訴訟法の準用等) 第十条 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第十六条(第二項ただし書を除く。)、第十八条、第二十一条及び第二十二条の規定は、非訟事件の移送等について準用する。 2 非訟事件の移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二節 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第十一条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の裁判を受ける者となるべき者(終局決定(申立てを却下する終局決定を除く。)がされた場合において、その裁判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。 二 裁判官が当事者又はその他の裁判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又はその他の裁判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくはその他の裁判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第十二条 裁判官について裁判の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第十三条 合議体の構成員である裁判官及び地方裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。 2 地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで非訟事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 非訟事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官又は非訟事件を取り扱う地方裁判所の一人の裁判官若しくは簡易裁判所の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、非訟事件の手続は停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第十四条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第十一条、第十二条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった非訟事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (専門委員の除斥及び忌避) 第十五条 非訟事件の手続における専門委員の除斥及び忌避については、第十一条、第十二条、第十三条第八項及び第九項並びに前条第二項及び第三項の規定を準用する。 この場合において、同条第二項ただし書中「前項において準用する前条第五項各号」とあるのは、「第十三条第五項各号」と読み替えるものとする。 第三節 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第十六条 当事者能力、非訟事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項及び第七十四条第一項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十一条、第三十三条並びに第三十四条第一項及び第二項の規定を準用する。 2 被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした非訟事件の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。 職権により手続が開始された場合についても、同様とする。 3 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。 一 非訟事件の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する抗告若しくは異議又は第七十七条第二項の申立ての取下げ (特別代理人) 第十七条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、非訟事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法定代理権の消滅の通知) 第十八条 法定代理権の消滅は、本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。 (法人の代表者等への準用) 第十九条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第四節 参加 (当事者参加) 第二十条 当事者となる資格を有する者は、当事者として非訟事件の手続に参加することができる。 2 前項の規定による参加(次項において「当事者参加」という。)の申出は、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 3 当事者参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (利害関係参加) 第二十一条 裁判を受ける者となるべき者は、非訟事件の手続に参加することができる。 2 裁判を受ける者となるべき者以外の者であって、裁判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、裁判所の許可を得て、非訟事件の手続に参加することができる。 3 前条第二項の規定は、第一項の規定による参加の申出及び前項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 第一項又は第二項の規定により非訟事件の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(非訟事件の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定又は他の法令の規定によりすることができる場合に限る。 第五節 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第二十二条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、第一審裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (手続代理人の代理権の範囲) 第二十三条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 一 非訟事件の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する抗告若しくは異議又は第七十七条第二項の申立て 三 前号の抗告、異議又は申立ての取下げ 四 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (法定代理の規定及び民事訴訟法の準用) 第二十四条 第十八条並びに民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第二十五条 非訟事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六節 手続費用 第一款 手続費用の負担 (手続費用の負担) 第二十六条 非訟事件の手続の費用(以下「手続費用」という。)は、特別の定めがある場合を除き、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、この法律の他の規定(次項を除く。)又は他の法令の規定によれば当事者、利害関係参加人その他の関係人がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。 一 当事者又は利害関係参加人 二 前号に掲げる者以外の裁判を受ける者となるべき者 三 前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの 3 前二項又は他の法令の規定によれば法務大臣又は検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。 (手続費用の立替え) 第二十七条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の非訟事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第二十八条 民事訴訟法第六十七条から第七十四条までの規定(裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての決定に対する即時抗告に関する部分を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十三条第一項中「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第二十条第一項若しくは第二十一条第一項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「非訟事件手続法第二十八条第一項において準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第四項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二款 手続上の救助 第二十九条 非訟事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で非訟事件の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「非訟事件手続法第二十九条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七節 非訟事件の審理等 (手続の非公開) 第三十条 非訟事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (調書の作成等) 第三十一条 裁判所書記官は、非訟事件の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第三十二条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、非訟事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は非訟事件に関する事項の証明書の交付(第百十二条において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。 2 前項の規定は、非訟事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合においては、当事者又は第三者に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときを除き、これを許可しなければならない。 4 裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 5 裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は非訟事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 裁判を受ける者が当該裁判があった後に請求する場合も、同様とする。 6 非訟事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、非訟事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 7 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 8 前項の規定による即時抗告が非訟事件の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 9 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (専門委員) 第三十三条 裁判所は、的確かつ円滑な審理の実現のため、又は和解を試みるに当たり、必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、専門的な知見に基づく意見を聴くために専門委員を非訟事件の手続に関与させることができる。 この場合において、専門委員の意見は、裁判長が書面により又は当事者が立ち会うことができる非訟事件の手続の期日において口頭で述べさせなければならない。 2 裁判所は、当事者の意見を聴いて、前項の規定による専門委員を関与させる裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、必要があると認めるときは、専門委員を非訟事件の手続の期日に立ち会わせることができる。 この場合において、裁判長は、専門委員が当事者、証人、鑑定人その他非訟事件の手続の期日に出頭した者に対し直接に問いを発することを許すことができる。 4 裁判所は、専門委員が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が専門委員との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、専門委員に第一項の意見を述べさせることができる。 この場合において、裁判長は、専門委員が当事者、証人、鑑定人その他非訟事件の手続の期日に出頭した者に対し直接に問いを発することを許すことができる。 5 民事訴訟法第九十二条の五の規定は、第一項の規定により非訟事件の手続に関与させる専門委員の指定及び任免等について準用する。 この場合において、同条第二項中「第九十二条の二」とあるのは、「非訟事件手続法第三十三条第一項」と読み替えるものとする。 6 受命裁判官又は受託裁判官が第一項の手続を行う場合には、同項から第四項までの規定及び前項において準用する民事訴訟法第九十二条の五第二項の規定による裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 ただし、証拠調べの期日における手続を行う場合には、専門委員を手続に関与させる裁判、その裁判の取消し及び専門委員の指定は、非訟事件が係属している裁判所がする。 (期日及び期間) 第三十四条 非訟事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。 2 非訟事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 非訟事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、非訟事件の手続の期日及び期間について準用する。 (手続の併合等) 第三十五条 裁判所は、非訟事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする非訟事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第三十六条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって非訟事件の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に非訟事件の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者による受継) 第三十七条 非訟事件の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該非訟事件の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 前項の規定による受継の申立ては、同項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。 (送達及び手続の中止) 第三十八条 送達及び非訟事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは、「裁判を求める事項」と読み替えるものとする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第三十九条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (検察官の関与) 第四十条 検察官は、非訟事件について意見を述べ、その手続の期日に立ち会うことができる。 2 裁判所は、検察官に対し、非訟事件が係属したこと及びその手続の期日を通知するものとする。 第八節 検察官に対する通知 第四十一条 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより非訟事件の裁判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。 第九節 電子情報処理組織による申立て等 第四十二条 非訟事件の手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十第一項から第五項までの規定(支払督促に関する部分を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定によりされた申立て等に係るこの法律その他の法令の規定による非訟事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、同条第五項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第十節 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第四十二条の二 非訟事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同法第百三十三条第一項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人(非訟事件手続法第二十一条第五項に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の裁判を受ける者となるべき者(同法第十一条第一項第一号に規定する裁判を受ける者となるべき者をいう。)」と、同法第百三十三条の四第一項中「者は、訴訟記録等」とあるのは「当事者又は利害関係参加人は、非訟事件の記録」と、同条第二項中「当事者」とあるのは「当事者又は利害関係参加人」と、「訴訟記録等」とあるのは「非訟事件の記録」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人」と読み替えるものとする。 第三章 第一審裁判所における非訟事件の手続 第一節 非訟事件の申立て (申立ての方式等) 第四十三条 非訟事件の申立ては、申立書(以下この条及び第五十七条第一項において「非訟事件の申立書」という。)を裁判所に提出してしなければならない。 2 非訟事件の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び原因 3 申立人は、二以上の事項について裁判を求める場合において、これらの事項についての非訟事件の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。 4 非訟事件の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い非訟事件の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、非訟事件の申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (申立ての変更) 第四十四条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は原因を変更することができる。 2 申立ての趣旨又は原因の変更は、非訟事件の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 裁判所は、申立ての趣旨又は原因の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨又は原因の変更により非訟事件の手続が著しく遅滞することとなるときは、裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 第二節 非訟事件の手続の期日 (裁判長の手続指揮権) 第四十五条 非訟事件の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が非訟事件の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第四十六条 裁判所は、受命裁判官に非訟事件の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第五十一条第三項の規定又は第五十三条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第四十七条 裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、非訟事件の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 非訟事件の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第四十八条 非訟事件の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、非訟事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。 第三節 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第四十九条 裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び裁判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第五十条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (事実の調査の嘱託等) 第五十一条 裁判所は、他の地方裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の地方裁判所又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (事実の調査の通知) 第五十二条 裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による非訟事件の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (証拠調べ) 第五十三条 非訟事件の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百七条第二項、第二百八条、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第二百二十九条第四項の規定を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 3 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 一 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。 二 書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 4 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、裁判所は、十万円以下の過料に処する。 一 正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。 二 対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 三 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。 5 裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、非訟事件の手続の期日に出頭することを命ずることができる。 6 民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。 7 この条に規定するもののほか、証拠調べにおける過料についての裁判に関しては、第五編の規定(第百十九条の規定並びに第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)を準用する。 第四節 裁判 (裁判の方式) 第五十四条 裁判所は、非訟事件の手続においては、決定で、裁判をする。 (終局決定) 第五十五条 裁判所は、非訟事件が裁判をするのに熟したときは、終局決定をする。 2 裁判所は、非訟事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局決定をすることができる。 手続の併合を命じた数個の非訟事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (終局決定の告知及び効力の発生等) 第五十六条 終局決定は、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の裁判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 終局決定(申立てを却下する決定を除く。)は、裁判を受ける者(裁判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 3 申立てを却下する終局決定は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。 4 終局決定は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 5 終局決定の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (終局決定の方式及び裁判書) 第五十七条 終局決定は、裁判書を作成してしなければならない。 ただし、即時抗告をすることができない決定については、非訟事件の申立書又は調書に主文を記載することをもって、裁判書の作成に代えることができる。 2 終局決定の裁判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由の要旨 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第五十八条 終局決定に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の終局決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 終局決定に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (終局決定の取消し又は変更) 第五十九条 裁判所は、終局決定をした後、その決定を不当と認めるときは、次に掲げる決定を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。 一 申立てによってのみ裁判をすべき場合において申立てを却下した決定 二 即時抗告をすることができる決定 2 終局決定が確定した日から五年を経過したときは、裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。 ただし、事情の変更によりその決定を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。 3 裁判所は、第一項の規定により終局決定の取消し又は変更をする場合には、その決定における当事者及びその他の裁判を受ける者の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の規定による取消し又は変更の終局決定に対しては、取消し後又は変更後の決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (終局決定に関する民事訴訟法の準用) 第六十条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、終局決定について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「終局決定が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (中間決定) 第六十一条 裁判所は、終局決定の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (終局決定以外の裁判) 第六十二条 終局決定以外の非訟事件に関する裁判については、特別の定めがある場合を除き、第五十五条から第六十条まで(第五十七条第一項及び第五十九条第三項を除く。)の規定を準用する。 2 非訟事件の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 3 終局決定以外の非訟事件に関する裁判は、判事補が単独ですることができる。 第五節 裁判によらない非訟事件の終了 (非訟事件の申立ての取下げ) 第六十三条 非訟事件の申立人は、終局決定が確定するまで、申立ての全部又は一部を取り下げることができる。 この場合において、終局決定がされた後は、裁判所の許可を得なければならない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「非訟事件の手続の期日」と読み替えるものとする。 (非訟事件の申立ての取下げの擬制) 第六十四条 非訟事件の申立人が、連続して二回、呼出しを受けた非訟事件の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた非訟事件の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。 (和解) 第六十五条 非訟事件における和解については、民事訴訟法第八十九条、第二百六十四条及び第二百六十五条の規定を準用する。 この場合において、同法第二百六十四条及び第二百六十五条第三項中「口頭弁論等」とあるのは、「非訟事件の手続」と読み替えるものとする。 2 和解を調書に記載したときは、その記載は、確定した終局決定と同一の効力を有する。 第四章 不服申立て 第一節 終局決定に対する不服申立て 第一款 即時抗告 (即時抗告をすることができる裁判) 第六十六条 終局決定により権利又は法律上保護される利益を害された者は、その決定に対し、即時抗告をすることができる。 2 申立てを却下した終局決定に対しては、申立人に限り、即時抗告をすることができる。 3 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第六十七条 終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 即時抗告の期間は、即時抗告をする者が裁判の告知を受ける者である場合にあっては、裁判の告知を受けた日から進行する。 3 前項の期間は、即時抗告をする者が裁判の告知を受ける者でない場合にあっては、申立人(職権で開始した事件においては、裁判を受ける者)が裁判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第六十八条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原決定の表示及びその決定に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による終局決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第四十三条第四項から第六項までの規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第六十九条 終局決定に対する即時抗告があったときは、抗告裁判所は、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 ただし、その即時抗告が不適法であるとき、又は即時抗告に理由がないことが明らかなときは、この限りでない。 2 裁判長は、前項の規定により抗告状の写しを送付するための費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 3 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (陳述の聴取) 第七十条 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の裁判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原裁判所の終局決定を取り消すことができない。 (原裁判所による更正) 第七十一条 原裁判所は、終局決定に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その決定を更正しなければならない。 (原裁判の執行停止) 第七十二条 終局決定に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (第一審の手続の規定及び民事訴訟法の準用) 第七十三条 終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前章の規定(第五十七条第一項ただし書及び第六十四条の規定を除く。)を準用する。 この場合において、第五十九条第一項第二号中「即時抗告」とあるのは、「第一審裁判所の終局決定であるとした場合に即時抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百九条までの規定は、終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条」とあるのは「非訟事件手続法第六十三条第二項及び第六十四条」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「非訟事件手続法第百二十一条」と読み替えるものとする。 (再抗告) 第七十四条 抗告裁判所の終局決定(その決定が第一審裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものに限る。)に対しては、次に掲げる事由を理由とするときに限り、更に即時抗告をすることができる。 ただし、第五号に掲げる事由については、手続行為能力、法定代理権又は手続行為をするのに必要な権限を有するに至った本人、法定代理人又は手続代理人による追認があったときは、この限りでない。 一 終局決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があること。 二 法律に従って裁判所を構成しなかったこと。 三 法律により終局決定に関与することができない裁判官が終局決定に関与したこと。 四 専属管轄に関する規定に違反したこと。 五 法定代理権、手続代理人の代理権又は代理人が手続行為をするのに必要な授権を欠いたこと。 六 終局決定にこの法律又は他の法令で記載すべきものと定められた理由若しくはその要旨を付せず、又は理由若しくはその要旨に食い違いがあること。 七 終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があること。 2 前項の即時抗告(以下この条及び第七十七条第一項において「再抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された再抗告の理由についてのみ調査をする。 3 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十四条、第三百二十五条第一項前段、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は、再抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「非訟事件手続法第六十八条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「非訟事件手続法第七十四条第二項の規定及び同条第三項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十四条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二款 特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第七十五条 地方裁判所及び簡易裁判所の終局決定で不服を申し立てることができないもの並びに高等裁判所の終局決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下この項及び次条において「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第七十六条 前款の規定(第六十六条、第六十七条第一項、第六十九条第三項、第七十一条及び第七十四条の規定を除く。)は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十六条第一項において準用する同法第六十八条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「非訟事件手続法第七十五条第二項の規定及び同法第七十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十五条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三款 許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第七十七条 高等裁判所の終局決定(再抗告及び次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第七十五条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 ただし、その決定が地方裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の高等裁判所は、同項の終局決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第七十五条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第七十八条 第一款の規定(第六十六条、第六十七条第一項、第六十八条第四項及び第五項、第六十九条第三項、第七十一条並びに第七十四条の規定を除く。)は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、これらの規定中「抗告状」とあるのは「第七十七条第二項の規定による許可の申立書」と、第六十七条第二項及び第三項、第六十八条第一項、第二項第二号及び第三項、第六十九条第一項並びに第七十二条第一項本文中「即時抗告」とあり、及び第六十八条第六項中「即時抗告の提起」とあるのは「第七十七条第二項の申立て」と、第七十二条第一項ただし書並びに第七十三条第一項前段及び第二項中「即時抗告」とあるのは「許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「非訟事件手続法第七十七条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「非訟事件手続法第七十七条第五項の規定及び同法第七十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十七条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二節 終局決定以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第七十九条 終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第八十条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、非訟事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が非訟事件が係属している裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 3 最高裁判所又は高等裁判所に非訟事件が係属している場合における第一項の規定の適用については、同項ただし書中「非訟事件が係属している裁判所」とあるのは、「地方裁判所」とする。 (即時抗告期間) 第八十一条 終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 (終局決定に対する不服申立ての規定の準用) 第八十二条 前節の規定(第六十六条第一項及び第二項、第六十七条第一項並びに第六十九条及び第七十条(これらの規定を第七十六条第一項及び第七十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 第五章 再審 (再審) 第八十三条 確定した終局決定その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における非訟事件の手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により終局決定その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該終局決定その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第八十四条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第七十二条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第三編 民事非訟事件 第一章 共有に関する事件 (共有物の管理に係る決定) 第八十五条 次に掲げる裁判に係る事件は、当該裁判に係る共有物又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条に規定する数人で所有権以外の財産権を有する場合における当該財産権(以下この条において単に「共有物」という。)の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 一 民法第二百五十一条第二項、第二百五十二条第二項第一号及び第二百五十二条の二第二項(これらの規定を同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)の規定による裁判 二 民法第二百五十二条第二項第二号(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。第三項において同じ。)の規定による裁判 2 前項第一号の裁判については、裁判所が次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、することができない。 この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。 一 当該共有物について前項第一号の裁判の申立てがあったこと。 二 裁判所が前項第一号の裁判をすることについて異議があるときは、当該他の共有者等(民法第二百五十一条第二項(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する当該他の共有者、同法第二百五十二条第二項第一号(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する他の共有者又は同法第二百五十二条の二第二項(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する当該共有者をいう。第六項において同じ。)は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、前項第一号の裁判がされること。 3 第一項第二号の裁判については、裁判所が次に掲げる事項を当該他の共有者(民法第二百五十二条第二項第二号に規定する当該他の共有者をいう。以下この項及び次項において同じ。)に通知し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、することができない。 この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。 一 当該共有物について第一項第二号の裁判の申立てがあったこと。 二 当該他の共有者は裁判所に対し一定の期間内に共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべきこと。 三 前号の期間内に当該他の共有者が裁判所に対し共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにしないときは、第一項第二号の裁判がされること。 4 前項第二号の期間内に裁判所に対し共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにした当該他の共有者があるときは、裁判所は、その者に係る第一項第二号の裁判をすることができない。 5 第一項各号の裁判は、確定しなければその効力を生じない。 6 第一項第一号の裁判は、当該他の共有者等に告知することを要しない。 (共有物分割の証書の保存者の指定) 第八十六条 民法第二百六十二条第三項の規定による証書の保存者の指定の事件は、共有物の分割がされた地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、前項の指定の裁判をするには、分割者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 3 裁判所が前項の裁判をする場合における手続費用は、分割者の全員が等しい割合で負担する。 4 第二項の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (所在等不明共有者の持分の取得) 第八十七条 所在等不明共有者の持分の取得の裁判(民法第二百六十二条の二第一項(同条第五項において準用する場合を含む。次項第一号において同じ。)の規定による所在等不明共有者の持分の取得の裁判をいう。以下この条において同じ。)に係る事件は、当該裁判に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号、第三号及び第五号の期間が経過した後でなければ、所在等不明共有者の持分の取得の裁判をすることができない。 この場合において、第二号、第三号及び第五号の期間は、いずれも三箇月を下ってはならない。 一 所在等不明共有者(民法第二百六十二条の二第一項に規定する所在等不明共有者をいう。以下この条において同じ。)の持分について所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てがあったこと。 二 裁判所が所在等不明共有者の持分の取得の裁判をすることについて異議があるときは、所在等不明共有者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。 三 民法第二百六十二条の二第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の異議の届出は、一定の期間内にすべきこと。 四 前二号の届出がないときは、所在等不明共有者の持分の取得の裁判がされること。 五 所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てがあった所在等不明共有者の持分について申立人以外の共有者が所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てをするときは一定の期間内にその申立てをすべきこと。 3 裁判所は、前項の規定による公告をしたときは、遅滞なく、登記簿上その氏名又は名称が判明している共有者に対し、同項各号(第二号を除く。)の規定により公告した事項を通知しなければならない。 この通知は、通知を受ける者の登記簿上の住所又は事務所に宛てて発すれば足りる。 4 裁判所は、第二項第三号の異議の届出が同号の期間を経過した後にされたときは、当該届出を却下しなければならない。 5 裁判所は、所在等不明共有者の持分の取得の裁判をするには、申立人に対して、一定の期間内に、所在等不明共有者のために、裁判所が定める額の金銭を裁判所の指定する供託所に供託し、かつ、その旨を届け出るべきことを命じなければならない。 6 裁判所は、前項の規定による決定をした後所在等不明共有者の持分の取得の裁判をするまでの間に、事情の変更により同項の規定による決定で定めた額を不当と認めるに至ったときは、同項の規定により供託すべき金銭の額を変更しなければならない。 7 前二項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 8 裁判所は、申立人が第五項の規定による決定に従わないときは、その申立人の申立てを却下しなければならない。 9 所在等不明共有者の持分の取得の裁判は、確定しなければその効力を生じない。 10 所在等不明共有者の持分の取得の裁判は、所在等不明共有者に告知することを要しない。 11 所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てを受けた裁判所が第二項の規定による公告をした場合において、その申立てがあった所在等不明共有者の持分について申立人以外の共有者が同項第五号の期間が経過した後に所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てをしたときは、裁判所は、当該申立人以外の共有者による所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てを却下しなければならない。 (所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与) 第八十八条 所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判(民法第二百六十二条の三第一項(同条第四項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)の規定による所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判をいう。第三項において同じ。)に係る事件は、当該裁判に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 前条第二項第一号、第二号及び第四号並びに第五項から第十項までの規定は、前項の事件について準用する。 3 所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判の効力が生じた後二箇月以内にその裁判により付与された権限に基づく所在等不明共有者(民法第二百六十二条の三第一項に規定する所在等不明共有者をいう。)の持分の譲渡の効力が生じないときは、その裁判は、その効力を失う。 ただし、この期間は、裁判所において伸長することができる。 (検察官の不関与) 第八十九条 第四十条の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。 第二章 土地等の管理に関する事件 (所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令) 第九十条 民法第二編第三章第四節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、所有者不明土地管理命令(民法第二百六十四条の二第一項に規定する所有者不明土地管理命令をいう。以下この条において同じ。)をすることができない。 この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。 一 所有者不明土地管理命令の申立てがその対象となるべき土地又は共有持分についてあったこと。 二 所有者不明土地管理命令をすることについて異議があるときは、所有者不明土地管理命令の対象となるべき土地又は共有持分を有する者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、所有者不明土地管理命令がされること。 3 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。 4 裁判所は、民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判又は同法第二百六十四条の七第一項の規定による費用若しくは報酬の額を定める裁判をする場合には、所有者不明土地管理人(同法第二百六十四条の二第四項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下この条において同じ。)の陳述を聴かなければならない。 5 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。 一 所有者不明土地管理命令の申立てを却下する裁判 二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てを却下する裁判 三 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の申立てについての裁判 6 所有者不明土地管理命令があった場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分について、所有者不明土地管理命令の登記を嘱託しなければならない。 7 所有者不明土地管理命令を取り消す裁判があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならない。 8 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者又はその共有持分を有する者のために、当該金銭を所有者不明土地管理命令の対象とされた土地(共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である土地)の所在地の供託所に供託することができる。 この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 9 裁判所は、所有者不明土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。 10 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、所有者不明土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。 11 所有者不明土地等(民法第二百六十四条の三第一項に規定する所有者不明土地等をいう。以下この条において同じ。)の所有者(その共有持分を有する者を含む。以下この条において同じ。)が所有者不明土地等の所有権(その共有持分を含む。)が自己に帰属することを証明したときは、裁判所は、当該所有者の申立てにより、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。 この場合において、所有者不明土地管理命令が取り消されたときは、所有者不明土地管理人は、当該所有者に対し、その事務の経過及び結果を報告し、当該所有者に帰属することが証明された財産を引き渡さなければならない。 12 所有者不明土地管理命令及びその変更の裁判は、所有者不明土地等の所有者に告知することを要しない。 13 所有者不明土地管理命令の取消しの裁判は、事件の記録上所有者不明土地等の所有者及びその所在が判明している場合に限り、その所有者に告知すれば足りる。 14 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。 一 所有者不明土地管理命令 利害関係人 二 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判 利害関係人 三 民法第二百六十四条の七第一項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判 所有者不明土地管理人 四 第九項から第十一項までの規定による変更又は取消しの裁判 利害関係人 15 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 一 民法第二百六十四条の二第四項の規定による所有者不明土地管理人の選任の裁判 二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の裁判 16 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の八第一項に規定する所有者不明建物管理命令及び同条第四項に規定する所有者不明建物管理人について準用する。 (管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令) 第九十一条 民法第二編第三章第五節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 民法第二百六十四条の十第二項又は第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。 3 裁判所は、次の各号に掲げる裁判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。 ただし、第一号に掲げる裁判をする場合において、その陳述を聴く手続を経ることにより当該裁判の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 一 管理不全土地管理命令(民法第二百六十四条の九第一項に規定する管理不全土地管理命令をいう。以下この条において同じ。) 管理不全土地管理命令の対象となるべき土地の所有者 二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判 管理不全土地管理人(同法第二百六十四条の九第三項に規定する管理不全土地管理人をいう。以下この条において同じ。) 四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判 管理不全土地管理人 五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判 管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 4 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。 一 管理不全土地管理命令の申立てについての裁判 二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の申立てについての裁判 三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の申立てについての裁判 四 民法第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てを却下する裁判 5 管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、当該金銭を管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所在地の供託所に供託することができる。 この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 6 裁判所は、管理不全土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。 7 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、管理不全土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、管理不全土地管理命令を取り消さなければならない。 8 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。 一 管理不全土地管理命令 利害関係人 二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判 利害関係人 四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判 管理不全土地管理人 五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判 管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 六 前二項の規定による変更又は取消しの裁判 利害関係人 9 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 一 民法第二百六十四条の九第三項の規定による管理不全土地管理人の選任の裁判 二 民法第二百六十四条の十二第二項の許可の裁判 10 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の十四第一項に規定する管理不全建物管理命令及び同条第三項に規定する管理不全建物管理人について準用する。 (適用除外) 第九十二条 第四十条及び第五十七条第二項第二号の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。 第三章 供託等に関する事件 (動産質権の実行の許可) 第九十三条 民法第三百五十四条の規定による質物をもって直ちに弁済に充てることの許可の申立てに係る事件は、債務の履行地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、前項の許可の裁判をするには、債務者の陳述を聴かなければならない。 3 裁判所が前項の裁判をする場合における手続費用は、債務者の負担とする。 (供託所の指定及び供託物の保管者の選任等) 第九十四条 民法第四百九十五条第二項の供託所の指定及び供託物の保管者の選任の事件は、債務の履行地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、前項の指定及び選任の裁判をするには、債権者の陳述を聴かなければならない。 3 裁判所は、前項の規定により選任した保管者を改任することができる。 この場合においては、債権者及び弁済者の陳述を聴かなければならない。 4 裁判所が第二項の裁判又は前項の規定による改任の裁判をする場合における手続費用は、債権者の負担とする。 5 民法第六百五十八条第一項及び第二項、第六百五十九条から第六百六十一条まで並びに第六百六十四条の規定は、第二項の規定により選任し、又は第三項の規定により改任された保管者について準用する。 (競売代価の供託の許可) 第九十五条 民法第四百九十七条の裁判所の許可の事件については、前条第一項、第二項及び第四項の規定を準用する。 (買戻権の消滅に係る鑑定人の選任) 第九十六条 民法第五百八十二条の規定による鑑定人の選任の事件は、不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所が前項の鑑定人の選任の裁判をする場合における手続費用は、買主の負担とする。 (検察官の不関与) 第九十七条 第四十条の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。 (不服申立ての制限) 第九十八条 この章の規定による指定、許可、選任又は改任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 第四編 公示催告事件 第一章 通則 (公示催告の申立て) 第九十九条 裁判上の公示催告で権利の届出を催告するためのもの(以下この編において「公示催告」という。)の申立ては、法令にその届出をしないときは当該権利につき失権の効力を生ずる旨の定めがある場合に限り、することができる。 (管轄裁判所) 第百条 公示催告手続(公示催告によって当該公示催告に係る権利につき失権の効力を生じさせるための一連の手続をいう。以下この章において同じ。)に係る事件(第百十二条において「公示催告事件」という。)は、公示催告に係る権利を有する者の普通裁判籍の所在地又は当該公示催告に係る権利の目的物の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。 ただし、当該権利が登記又は登録に係るものであるときは、登記又は登録をすべき地を管轄する簡易裁判所もこれを管轄する。 (公示催告手続開始の決定等) 第百一条 裁判所は、公示催告の申立てが適法であり、かつ、理由があると認めるときは、公示催告手続開始の決定をするとともに、次に掲げる事項を内容とする公示催告をする旨の決定(第百十三条第二項において「公示催告決定」という。)をしなければならない。 一 申立人の表示 二 権利の届出の終期の指定 三 前号に規定する権利の届出の終期までに当該権利を届け出るべき旨の催告 四 前号に掲げる催告に応じて権利の届出をしないことにより生ずべき失権の効力の表示 (公示催告についての公告) 第百二条 公示催告についての公告は、前条に規定する公示催告の内容を、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、官報に掲載する方法によってする。 2 裁判所は、相当と認めるときは、申立人に対し、前項に規定する方法に加えて、前条に規定する公示催告の内容を、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載して公告すべき旨を命ずることができる。 (公示催告の期間) 第百三条 前条第一項の規定により公示催告を官報に掲載した日から権利の届出の終期までの期間は、他の法律に別段の定めがある場合を除き、二月を下ってはならない。 (公示催告手続終了の決定) 第百四条 公示催告手続開始の決定後第百六条第一項から第四項までの規定による除権決定がされるまでの間において、公示催告の申立てが不適法であること又は理由のないことが明らかになったときは、裁判所は、公示催告手続終了の決定をしなければならない。 2 前項の決定に対しては、申立人に限り、即時抗告をすることができる。 (審理終結日) 第百五条 裁判所は、権利の届出の終期の経過後においても、必要があると認めるときは、公示催告の申立てについての審理をすることができる。 この場合において、裁判所は、審理を終結する日(以下この章において「審理終結日」という。)を定めなければならない。 2 権利の届出の終期までに申立人が申立ての理由として主張した権利を争う旨の申述(以下この編において「権利を争う旨の申述」という。)があったときは、裁判所は、申立人及びその権利を争う旨の申述をした者の双方が立ち会うことができる審問期日を指定するとともに、審理終結日を定めなければならない。 3 前二項の規定により審理終結日が定められたときは、権利の届出の終期の経過後においても、権利の届出又は権利を争う旨の申述は、その審理終結日まですることができる。 4 権利を争う旨の申述をするには、自らが権利者であることその他の申立人が申立ての理由として主張した権利を争う理由を明らかにしなければならない。 (除権決定等) 第百六条 権利の届出の終期(前条第一項又は第二項の規定により審理終結日が定められた場合にあっては、審理終結日。以下この条において同じ。)までに適法な権利の届出又は権利を争う旨の申述がないときは、裁判所は、第百四条第一項の場合を除き、当該公示催告の申立てに係る権利につき失権の効力を生ずる旨の裁判(以下この編において「除権決定」という。)をしなければならない。 2 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利の届出があった場合であって、適法な権利を争う旨の申述がないときは、第百四条第一項の場合を除き、当該公示催告の申立てに係る権利のうち適法な権利の届出があったものについては失権の効力を生じない旨の定め(以下この章において「制限決定」という。)をして、除権決定をしなければならない。 3 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利を争う旨の申述があった場合であって、適法な権利の届出がないときは、第百四条第一項の場合を除き、申立人とその適法な権利を争う旨の申述をした者との間の当該権利についての訴訟の判決が確定するまで公示催告手続を中止し、又は除権決定は、その適法な権利を争う旨の申述をした者に対してはその効力を有せず、かつ、申立人が当該訴訟において敗訴したときはその効力を失う旨の定め(以下この章において「留保決定」という。)をして、除権決定をしなければならない。 ただし、その権利を争う旨の申述に理由がないことが明らかであると認めるときは、留保決定をしないで、除権決定をしなければならない。 4 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利の届出及び権利を争う旨の申述があったときは、第百四条第一項の場合を除き、制限決定及び留保決定をして、除権決定をしなければならない。 5 除権決定に対しては、第百八条の規定による場合のほか、不服を申し立てることができない。 6 制限決定又は留保決定に対しては、即時抗告をすることができる。 7 前項の即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 (除権決定等の公告) 第百七条 除権決定、制限決定及び留保決定は、官報に掲載して公告しなければならない。 (除権決定の取消しの申立て) 第百八条 次に掲げる事由がある場合には、除権決定の取消しの申立てをすることができる。 一 法令において公示催告の申立てをすることができる場合に該当しないこと。 二 第百二条第一項の規定による公示催告についての公告をせず、又は法律に定める方法によって公告をしなかったこと。 三 第百三条に規定する公示催告の期間を遵守しなかったこと。 四 除斥又は忌避の裁判により除権決定に関与することができない裁判官が除権決定に関与したこと。 五 適法な権利の届出又は権利を争う旨の申述があったにもかかわらず、第百六条第二項から第四項までの規定に違反して除権決定がされたこと。 六 第八十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百三十八条第一項第四号から第八号までの規定により再審の申立てをすることができる場合であること。 (管轄裁判所) 第百九条 前条の規定による除権決定の取消しの申立てに係る事件は、当該除権決定をした裁判所の管轄に属する。 (申立期間) 第百十条 第百八条の規定による除権決定の取消しの申立ては、申立人が除権決定があったことを知った日(同条第四号又は第六号に掲げる事由を不服の理由とする場合において、その日に申立人がその事由があることを知らなかったときにあっては、その事由があることを知った日)から三十日の不変期間内にしなければならない。 2 除権決定が告知された日から五年を経過したときは、第百八条の規定による除権決定の取消しの申立てをすることができない。 (申立てについての裁判等) 第百十一条 第百八条の規定による除権決定の取消しの申立てがあったときは、裁判所は、申立人及び相手方の双方が立ち会うことができる審問期日を指定するとともに、審理終結日を定めなければならない。 2 裁判所は、前項に規定する場合において、第百八条各号に掲げる事由があるときは、除権決定を取り消す決定をしなければならない。 3 前項の規定による除権決定を取り消す決定が確定したときは、官報に掲載してその主文を公告しなければならない。 (事件の記録の閲覧等) 第百十二条 第三十二条第一項から第四項までの規定にかかわらず、申立人及び権利の届出をした者又は権利を争う旨の申述をした者その他の利害関係人は、裁判所書記官に対し、公示催告事件又は除権決定の取消しの申立てに係る事件の記録の閲覧等又は記録の複製を請求することができる。 (適用除外) 第百十三条 第四十条の規定は、公示催告手続には、適用しない。 2 第五十九条の規定は、公示催告手続開始の決定、公示催告決定及び除権決定には、適用しない。 第二章 有価証券無効宣言公示催告事件 (申立権者) 第百十四条 盗取され、紛失し、又は滅失した有価証券のうち、法令の規定により無効とすることができるものであって、次の各号に掲げるものを無効とする旨の宣言をするためにする公示催告の申立ては、それぞれ当該各号に定める者がすることができる。 一 無記名式の有価証券又は裏書によって譲り渡すことができる有価証券であって白地式裏書(被裏書人を指定しないで、又は裏書人の署名若しくは記名押印のみをもってした裏書をいう。)がされたもの その最終の所持人 二 前号に規定する有価証券以外の有価証券 その有価証券により権利を主張することができる者 (管轄裁判所) 第百十五条 前条に規定する公示催告(以下この章において「有価証券無効宣言公示催告」という。)の申立てに係る事件は、その有価証券に義務履行地(手形又は小切手にあっては、その支払地。以下この項において同じ。)が表示されているときはその義務履行地を管轄する簡易裁判所の管轄に属し、その有価証券に義務履行地が表示されていないときはその有価証券により義務を負担する者が普通裁判籍を有する地を管轄する簡易裁判所の管轄に属し、その者が普通裁判籍を有しないときはその者がその有価証券により義務を負担した時に普通裁判籍を有した地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、同項の有価証券が登記された権利について発行されたものであるときは、同項の申立ては、その権利の目的物の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。 (申立ての方式及び疎明) 第百十六条 有価証券無効宣言公示催告の申立ては、その申立てに係る有価証券の謄本を提出し、又は当該有価証券を特定するために必要な事項を明らかにして、これをしなければならない。 2 有価証券無効宣言公示催告の申立てに係る有価証券の盗難、紛失又は滅失の事実その他第百十四条の規定により申立てをすることができる理由は、これを疎明しなければならない。 (公示催告の内容等) 第百十七条 有価証券無効宣言公示催告においては、第百一条の規定にかかわらず、次に掲げる事項を公示催告の内容とする。 一 申立人の表示 二 権利を争う旨の申述の終期の指定 三 前号に規定する権利を争う旨の申述の終期までに権利を争う旨の申述をし、かつ、有価証券を提出すべき旨の有価証券の所持人に対する催告 四 前号に掲げる催告に応じて権利を争う旨の申述をしないことにより有価証券を無効とする旨を宣言する旨の表示 2 有価証券無効宣言公示催告についての前章の規定の適用については、第百三条、第百五条第一項から第三項まで並びに第百六条第一項及び第三項中「権利の届出の終期」とあるのは「権利を争う旨の申述の終期」と、第百四条第一項中「第百六条第一項から第四項まで」とあるのは「第百六条第一項又は第三項」と、第百五条第三項、第百六条第一項及び第百八条第五号中「権利の届出又は権利を争う旨の申述」とあるのは「権利を争う旨の申述」と、第百六条第三項中「適法な権利を争う旨の申述があった場合であって、適法な権利の届出がないとき」とあるのは「適法な権利を争う旨の申述があったとき」と、同条第六項中「制限決定又は留保決定」とあるのは「留保決定」と、第百七条中「、制限決定及び留保決定」とあるのは「及び留保決定」と、第百八条第五号中「第百六条第二項から第四項まで」とあるのは「第百六条第三項」とする。 (除権決定による有価証券の無効の宣言等) 第百十八条 裁判所は、有価証券無効宣言公示催告の申立てについての除権決定において、その申立てに係る有価証券を無効とする旨を宣言しなければならない。 2 前項の除権決定がされたときは、有価証券無効宣言公示催告の申立人は、その申立てに係る有価証券により義務を負担する者に対し、当該有価証券による権利を主張することができる。 第五編 過料事件 (管轄裁判所) 第百十九条 過料事件(過料についての裁判の手続に係る非訟事件をいう。)は、他の法令に特別の定めがある場合を除き、当事者(過料の裁判がされた場合において、その裁判を受ける者となる者をいう。以下この編において同じ。)の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 (過料についての裁判等) 第百二十条 過料についての裁判には、理由を付さなければならない。 2 裁判所は、過料についての裁判をするに当たっては、あらかじめ、検察官の意見を聴くとともに、当事者の陳述を聴かなければならない。 3 過料についての裁判に対しては、当事者及び検察官に限り、即時抗告をすることができる。 この場合において、当該即時抗告が過料の裁判に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。 4 過料についての裁判の手続(その抗告審における手続を含む。次項において同じ。)に要する手続費用は、過料の裁判をした場合にあっては当該裁判を受けた者の負担とし、その他の場合にあっては国庫の負担とする。 5 過料の裁判に対して当事者から第三項の即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料についての裁判をしたときは、前項の規定にかかわらず、過料についての裁判の手続に要する手続費用は、国庫の負担とする。 (過料の裁判の執行) 第百二十一条 過料の裁判は、検察官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 過料の裁判の執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従ってする。 ただし、執行をする前に裁判の送達をすることを要しない。 3 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第七編第二章(第五百十一条及び第五百十三条第六項から第八項までを除く。)の規定は、過料の裁判の執行について準用する。 この場合において、同条第一項中「者若しくは裁判の執行の対象となるもの」とあるのは「者」と、「裁判の執行の対象となるもの若しくは裁判」とあるのは「裁判」と読み替えるものとする。 4 過料の裁判の執行があった後に当該裁判(以下この項において「原裁判」という。)に対して前条第三項の即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料の裁判をしたときは、その金額の限度において当該過料の裁判の執行があったものとみなす。 この場合において、原裁判の執行によって得た金額が当該過料の金額を超えるときは、その超過額は、これを還付しなければならない。 (略式手続) 第百二十二条 裁判所は、第百二十条第二項の規定にかかわらず、相当と認めるときは、当事者の陳述を聴かないで過料についての裁判をすることができる。 2 前項の裁判に対しては、当事者及び検察官は、当該裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内に、当該裁判をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 この場合において、当該異議の申立てが過料の裁判に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。 3 前項の異議の申立ては、次項の裁判があるまで、取り下げることができる。 この場合において、当該異議の申立ては、遡ってその効力を失う。 4 適法な異議の申立てがあったときは、裁判所は、当事者の陳述を聴いて、更に過料についての裁判をしなければならない。 5 前項の規定によってすべき裁判が第一項の裁判と符合するときは、裁判所は、同項の裁判を認可しなければならない。 ただし、同項の裁判の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。 6 前項の規定により第一項の裁判を認可する場合を除き、第四項の規定によってすべき裁判においては、第一項の裁判を取り消さなければならない。 7 第百二十条第五項の規定は、第一項の規定による過料の裁判に対して当事者から第二項の異議の申立てがあった場合において、前項の規定により当該裁判を取り消して第四項の規定により更に過料についての裁判をしたときについて準用する。 8 前条第四項の規定は、第一項の規定による過料の裁判の執行があった後に当該裁判に対して第二項の異議の申立てがあった場合において、第六項の規定により当該裁判を取り消して第四項の規定により更に過料の裁判をしたときについて準用する。
民事
Heisei
Act
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平成二十三年法律第五十一号
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非訟事件手続法 第一編 総則 (趣旨) 第一条 この法律は、非訟事件の手続についての通則を定めるとともに、民事非訟事件、公示催告事件及び過料事件の手続を定めるものとする。 (最高裁判所規則) 第二条 この法律に定めるもののほか、非訟事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第二編 非訟事件の手続の通則 第一章 総則 (第二編の適用範囲) 第三条 非訟事件の手続については、次編から第五編まで及び他の法令に定めるもののほか、この編の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第四条 裁判所は、非訟事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に非訟事件の手続を追行しなければならない。 第二章 非訟事件に共通する手続 第一節 管轄 (管轄が住所地により定まる場合の管轄裁判所) 第五条 非訟事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。 2 非訟事件は、管轄が法人その他の社団又は財団(外国の社団又は財団を除く。)の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき、又は住所が知れないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。 3 非訟事件は、管轄が外国の社団又は財団の住所地により定まる場合においては、日本における主たる事務所又は営業所の所在地を管轄する裁判所の管轄に属し、日本国内に事務所又は営業所がないときは日本における代表者その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。 (優先管轄等) 第六条 この法律の他の規定又は他の法令の規定により二以上の裁判所が管轄権を有するときは、非訟事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した裁判所が管轄する。 ただし、その裁判所は、非訟事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、非訟事件の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。 (管轄裁判所の指定) 第七条 管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 3 前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 4 第一項又は第二項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (管轄裁判所の特例) 第八条 この法律の他の規定又は他の法令の規定により非訟事件の管轄が定まらないときは、その非訟事件は、裁判を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する裁判所の管轄に属する。 (管轄の標準時) 第九条 裁判所の管轄は、非訟事件の申立てがあった時又は裁判所が職権で非訟事件の手続を開始した時を標準として定める。 (移送等に関する民事訴訟法の準用等) 第十条 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第十六条(第二項ただし書を除く。)、第十八条、第二十一条及び第二十二条の規定は、非訟事件の移送等について準用する。 2 非訟事件の移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二節 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第十一条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の裁判を受ける者となるべき者(終局決定(申立てを却下する終局決定を除く。)がされた場合において、その裁判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。 二 裁判官が当事者又はその他の裁判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又はその他の裁判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくはその他の裁判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第十二条 裁判官について裁判の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第十三条 合議体の構成員である裁判官及び地方裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。 2 地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで非訟事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 非訟事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官又は非訟事件を取り扱う地方裁判所の一人の裁判官若しくは簡易裁判所の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、非訟事件の手続は停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第十四条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第十一条、第十二条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった非訟事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (専門委員の除斥及び忌避) 第十五条 非訟事件の手続における専門委員の除斥及び忌避については、第十一条、第十二条、第十三条第八項及び第九項並びに前条第二項及び第三項の規定を準用する。 この場合において、同条第二項ただし書中「前項において準用する前条第五項各号」とあるのは、「第十三条第五項各号」と読み替えるものとする。 第三節 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第十六条 当事者能力、非訟事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項及び第七十四条第一項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十一条、第三十三条並びに第三十四条第一項及び第二項の規定を準用する。 2 被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした非訟事件の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。 職権により手続が開始された場合についても、同様とする。 3 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。 一 非訟事件の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する抗告若しくは異議又は第七十七条第二項の申立ての取下げ (特別代理人) 第十七条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、非訟事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法定代理権の消滅の通知) 第十八条 法定代理権の消滅は、本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。 (法人の代表者等への準用) 第十九条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第四節 参加 (当事者参加) 第二十条 当事者となる資格を有する者は、当事者として非訟事件の手続に参加することができる。 2 前項の規定による参加(次項において「当事者参加」という。)の申出は、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 3 当事者参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (利害関係参加) 第二十一条 裁判を受ける者となるべき者は、非訟事件の手続に参加することができる。 2 裁判を受ける者となるべき者以外の者であって、裁判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、裁判所の許可を得て、非訟事件の手続に参加することができる。 3 前条第二項の規定は、第一項の規定による参加の申出及び前項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 第一項又は第二項の規定により非訟事件の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(非訟事件の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定又は他の法令の規定によりすることができる場合に限る。 第五節 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第二十二条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、第一審裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (手続代理人の代理権の範囲) 第二十三条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 一 非訟事件の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する抗告若しくは異議又は第七十七条第二項の申立て 三 前号の抗告、異議又は申立ての取下げ 四 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (法定代理の規定及び民事訴訟法の準用) 第二十四条 第十八条並びに民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第二十五条 非訟事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六節 手続費用 第一款 手続費用の負担 (手続費用の負担) 第二十六条 非訟事件の手続の費用(以下「手続費用」という。)は、特別の定めがある場合を除き、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、この法律の他の規定(次項を除く。)又は他の法令の規定によれば当事者、利害関係参加人その他の関係人がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。 一 当事者又は利害関係参加人 二 前号に掲げる者以外の裁判を受ける者となるべき者 三 前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの 3 前二項又は他の法令の規定によれば法務大臣又は検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。 (手続費用の立替え) 第二十七条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の非訟事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第二十八条 民事訴訟法第六十七条から第七十四条までの規定(同法第七十一条第二項(同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)及び第八項(同法第七十二条後段及び第七十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十三条第一項中「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「非訟事件手続法第二十条第一項若しくは第二十一条第一項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「非訟事件手続法第二十八条第一項において準用する」と、「ついて、同条第二項の規定は前項の申立てについて」とあるのは「ついて」と、「第八項まで」とあるのは「第七項まで」と、「準用する。この場合において、同条第二項中「訴訟費用の負担の裁判が確定した」とあるのは、「訴訟が完結した」と読み替えるものとする」とあるのは「準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第五項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二款 手続上の救助 第二十九条 非訟事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で非訟事件の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「非訟事件手続法第二十九条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七節 非訟事件の審理等 (手続の非公開) 第三十条 非訟事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (調書の作成等) 第三十一条 裁判所書記官は、非訟事件の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第三十二条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、非訟事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は非訟事件に関する事項の証明書の交付(第百十二条において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。 2 前項の規定は、非訟事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合においては、当事者又は第三者に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときを除き、これを許可しなければならない。 4 裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 5 裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は非訟事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 裁判を受ける者が当該裁判があった後に請求する場合も、同様とする。 6 非訟事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、非訟事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 7 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 8 前項の規定による即時抗告が非訟事件の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 9 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (専門委員) 第三十三条 裁判所は、的確かつ円滑な審理の実現のため、又は和解を試みるに当たり、必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、専門的な知見に基づく意見を聴くために専門委員を非訟事件の手続に関与させることができる。 この場合において、専門委員の意見は、裁判長が書面により又は当事者が立ち会うことができる非訟事件の手続の期日において口頭で述べさせなければならない。 2 裁判所は、当事者の意見を聴いて、前項の規定による専門委員を関与させる裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、必要があると認めるときは、専門委員を非訟事件の手続の期日に立ち会わせることができる。 この場合において、裁判長は、専門委員が当事者、証人、鑑定人その他非訟事件の手続の期日に出頭した者に対し直接に問いを発することを許すことができる。 4 裁判所は、専門委員が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が専門委員との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、専門委員に第一項の意見を述べさせることができる。 この場合において、裁判長は、専門委員が当事者、証人、鑑定人その他非訟事件の手続の期日に出頭した者に対し直接に問いを発することを許すことができる。 5 民事訴訟法第九十二条の五の規定は、第一項の規定により非訟事件の手続に関与させる専門委員の指定及び任免等について準用する。 この場合において、同条第二項中「第九十二条の二」とあるのは、「非訟事件手続法第三十三条第一項」と読み替えるものとする。 6 受命裁判官又は受託裁判官が第一項の手続を行う場合には、同項から第四項までの規定及び前項において準用する民事訴訟法第九十二条の五第二項の規定による裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 ただし、証拠調べの期日における手続を行う場合には、専門委員を手続に関与させる裁判、その裁判の取消し及び専門委員の指定は、非訟事件が係属している裁判所がする。 (期日及び期間) 第三十四条 非訟事件の手続の期日の指定及び変更は、職権で、裁判長が行う。 2 非訟事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 非訟事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によってする。 5 民事訴訟法第九十四条第三項及び第九十五条から第九十七条までの規定は、非訟事件の手続の期日及び期間について準用する。 この場合において、同項中「第一項各号に規定する方法」とあるのは、「呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知」と読み替えるものとする。 (手続の併合等) 第三十五条 裁判所は、非訟事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする非訟事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第三十六条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって非訟事件の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に非訟事件の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者による受継) 第三十七条 非訟事件の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該非訟事件の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 前項の規定による受継の申立ては、同項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。 (送達及び手続の中止) 第三十八条 送達及び非訟事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節(第百条第二項、第三款及び第百十一条を除く。)及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十二条第一項本文中「前条の規定による措置を開始した」とあるのは「裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた」と、同項ただし書中「前条の規定による措置を開始した」とあるのは「当該掲示を始めた」と、同法第百十三条中「書類又は電磁的記録」とあるのは「書類」と、「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは「裁判を求める事項」と、「記載又は記録」とあるのは「記載」と、「第百十一条の規定による措置を開始した」とあるのは「裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第百十条第一項の規定による公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第三十九条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (検察官の関与) 第四十条 検察官は、非訟事件について意見を述べ、その手続の期日に立ち会うことができる。 2 裁判所は、検察官に対し、非訟事件が係属したこと及びその手続の期日を通知するものとする。 第八節 検察官に対する通知 第四十一条 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより非訟事件の裁判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。 第九節 電子情報処理組織による申立て等 第四十二条 非訟事件の手続における申立てその他の申述(以下この条及び次条において「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。次項及び第四項において同じ。)をもってするものとされているものであって、最高裁判所の定める裁判所に対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官又は裁判所書記官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項及び第三項において同じ。)と申立て等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を用いてすることができる。 2 前項の規定によりされた申立て等については、当該申立て等を書面等をもってするものとして規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもってされたものとみなして、当該申立て等に関する法令の規定を適用する。 3 第一項の規定によりされた申立て等は、同項の裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に、当該裁判所に到達したものとみなす。 4 第一項の場合において、当該申立て等に関する他の法令の規定により署名等(署名、記名、押印その他氏名又は名称を書面等に記載することをいう。以下この項において同じ。)をすることとされているものについては、当該申立て等をする者は、当該法令の規定にかかわらず、当該署名等に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。 5 第一項の規定によりされた申立て等が第三項に規定するファイルに記録されたときは、第一項の裁判所は、当該ファイルに記録された情報の内容を書面に出力しなければならない。 6 第一項の規定によりされた申立て等に係るこの法律その他の法令の規定による非訟事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、前項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第十節 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第四十二条の二 非訟事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同法第百三十三条第一項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人(非訟事件手続法第二十一条第五項に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の裁判を受ける者となるべき者(同法第十一条第一項第一号に規定する裁判を受ける者となるべき者をいう。)」と、同条第三項中「訴訟記録等(訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録をいう。以下この章において同じ。)」とあるのは「非訟事件の記録」と、「について訴訟記録等の閲覧等(訴訟記録の閲覧等、非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等又は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等をいう。以下この章において同じ。)」とあるのは「の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同法第百三十三条の二第一項中「に係る訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同法第百三十三条の四第一項中「者は、訴訟記録等」とあるのは「当事者又は利害関係参加人は、非訟事件の記録」と、同条第二項中「当事者」とあるのは「当事者又は利害関係参加人」と、「訴訟記録等の存する」とあるのは「非訟事件の記録の存する」と、「訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人」と読み替えるものとする。 第三章 第一審裁判所における非訟事件の手続 第一節 非訟事件の申立て (申立ての方式等) 第四十三条 非訟事件の申立ては、申立書(以下この条及び第五十七条第一項において「非訟事件の申立書」という。)を裁判所に提出してしなければならない。 2 非訟事件の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び原因 3 申立人は、二以上の事項について裁判を求める場合において、これらの事項についての非訟事件の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。 4 非訟事件の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い非訟事件の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、非訟事件の申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (申立ての変更) 第四十四条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は原因を変更することができる。 2 申立ての趣旨又は原因の変更は、非訟事件の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 裁判所は、申立ての趣旨又は原因の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨又は原因の変更により非訟事件の手続が著しく遅滞することとなるときは、裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 第二節 非訟事件の手続の期日 (裁判長の手続指揮権) 第四十五条 非訟事件の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が非訟事件の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第四十六条 裁判所は、受命裁判官に非訟事件の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第五十一条第三項の規定又は第五十三条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第四十七条 裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、非訟事件の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 非訟事件の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第四十八条 非訟事件の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、非訟事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。 第三節 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第四十九条 裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び裁判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第五十条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (事実の調査の嘱託等) 第五十一条 裁判所は、他の地方裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の地方裁判所又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (事実の調査の通知) 第五十二条 裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による非訟事件の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (証拠調べ) 第五十三条 非訟事件の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十五条第三項、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百五条第二項、第二百七条第二項、第二百八条、第二百十五条第二項、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項、第二百三十一条の三第一項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)、第二百二十七条第二項(同法第二百三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)、第二百二十九条第四項及び第二百三十二条の二の規定を除く。)を準用する。 この場合において、同法第二百五条第三項中「事項又は前項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項」とあり、及び同法第二百十五条第四項中「事項又は第二項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項」とあるのは「事項」と、同法第二百三十一条の二第二項中「方法又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法」とあるのは「方法」と、同法第二百三十一条の三第二項中「若しくは送付し、又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する」とあるのは「又は送付する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 3 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 一 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項(同法第二百三十一条及び第二百三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。 二 書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条(同法第二百三十一条及び第二百三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件及び同法第二百三十一条の二に規定する電磁的記録を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 4 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、裁判所は、十万円以下の過料に処する。 一 正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。 二 対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 三 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。 5 裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、非訟事件の手続の期日に出頭することを命ずることができる。 6 民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。 7 この条に規定するもののほか、証拠調べにおける過料についての裁判に関しては、第五編の規定(第百十九条の規定並びに第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)を準用する。 第四節 裁判 (裁判の方式) 第五十四条 裁判所は、非訟事件の手続においては、決定で、裁判をする。 (終局決定) 第五十五条 裁判所は、非訟事件が裁判をするのに熟したときは、終局決定をする。 2 裁判所は、非訟事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局決定をすることができる。 手続の併合を命じた数個の非訟事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (終局決定の告知及び効力の発生等) 第五十六条 終局決定は、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の裁判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 終局決定(申立てを却下する決定を除く。)は、裁判を受ける者(裁判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 3 申立てを却下する終局決定は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。 4 終局決定は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 5 終局決定の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (終局決定の方式及び裁判書) 第五十七条 終局決定は、裁判書を作成してしなければならない。 ただし、即時抗告をすることができない決定については、非訟事件の申立書又は調書に主文を記載することをもって、裁判書の作成に代えることができる。 2 終局決定の裁判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由の要旨 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第五十八条 終局決定に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の終局決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 終局決定に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (終局決定の取消し又は変更) 第五十九条 裁判所は、終局決定をした後、その決定を不当と認めるときは、次に掲げる決定を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。 一 申立てによってのみ裁判をすべき場合において申立てを却下した決定 二 即時抗告をすることができる決定 2 終局決定が確定した日から五年を経過したときは、裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。 ただし、事情の変更によりその決定を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。 3 裁判所は、第一項の規定により終局決定の取消し又は変更をする場合には、その決定における当事者及びその他の裁判を受ける者の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の規定による取消し又は変更の終局決定に対しては、取消し後又は変更後の決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (終局決定に関する民事訴訟法の準用) 第六十条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、終局決定について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「終局決定が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (中間決定) 第六十一条 裁判所は、終局決定の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (終局決定以外の裁判) 第六十二条 終局決定以外の非訟事件に関する裁判については、特別の定めがある場合を除き、第五十五条から第六十条まで(第五十七条第一項及び第五十九条第三項を除く。)の規定を準用する。 2 非訟事件の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 3 終局決定以外の非訟事件に関する裁判は、判事補が単独ですることができる。 第五節 裁判によらない非訟事件の終了 (非訟事件の申立ての取下げ) 第六十三条 非訟事件の申立人は、終局決定が確定するまで、申立ての全部又は一部を取り下げることができる。 この場合において、終局決定がされた後は、裁判所の許可を得なければならない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「非訟事件の手続の期日」と、「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と読み替えるものとする。 (非訟事件の申立ての取下げの擬制) 第六十四条 非訟事件の申立人が、連続して二回、呼出しを受けた非訟事件の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた非訟事件の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。 (和解) 第六十五条 非訟事件における和解については、民事訴訟法第八十九条第一項、第二百六十四条及び第二百六十五条の規定を準用する。 この場合において、同法第二百六十四条第一項及び第二百六十五条第三項中「口頭弁論等」とあるのは、「非訟事件の手続」と読み替えるものとする。 2 和解を調書に記載したときは、その記載は、確定した終局決定と同一の効力を有する。 第四章 不服申立て 第一節 終局決定に対する不服申立て 第一款 即時抗告 (即時抗告をすることができる裁判) 第六十六条 終局決定により権利又は法律上保護される利益を害された者は、その決定に対し、即時抗告をすることができる。 2 申立てを却下した終局決定に対しては、申立人に限り、即時抗告をすることができる。 3 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第六十七条 終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 即時抗告の期間は、即時抗告をする者が裁判の告知を受ける者である場合にあっては、裁判の告知を受けた日から進行する。 3 前項の期間は、即時抗告をする者が裁判の告知を受ける者でない場合にあっては、申立人(職権で開始した事件においては、裁判を受ける者)が裁判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第六十八条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原決定の表示及びその決定に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による終局決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第四十三条第四項から第六項までの規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第六十九条 終局決定に対する即時抗告があったときは、抗告裁判所は、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 ただし、その即時抗告が不適法であるとき、又は即時抗告に理由がないことが明らかなときは、この限りでない。 2 裁判長は、前項の規定により抗告状の写しを送付するための費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 3 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (陳述の聴取) 第七十条 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の裁判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原裁判所の終局決定を取り消すことができない。 (原裁判所による更正) 第七十一条 原裁判所は、終局決定に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その決定を更正しなければならない。 (原裁判の執行停止) 第七十二条 終局決定に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (第一審の手続の規定及び民事訴訟法の準用) 第七十三条 終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前章の規定(第五十七条第一項ただし書及び第六十四条の規定を除く。)を準用する。 この場合において、第五十九条第一項第二号中「即時抗告」とあるのは、「第一審裁判所の終局決定であるとした場合に即時抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百九条までの規定は、終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項及び第四項、第二百六十二条第一項並びに第二百六十三条」とあるのは「非訟事件手続法第六十三条第二項及び第六十四条」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「非訟事件手続法第百二十一条」と読み替えるものとする。 (再抗告) 第七十四条 抗告裁判所の終局決定(その決定が第一審裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものに限る。)に対しては、次に掲げる事由を理由とするときに限り、更に即時抗告をすることができる。 ただし、第五号に掲げる事由については、手続行為能力、法定代理権又は手続行為をするのに必要な権限を有するに至った本人、法定代理人又は手続代理人による追認があったときは、この限りでない。 一 終局決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があること。 二 法律に従って裁判所を構成しなかったこと。 三 法律により終局決定に関与することができない裁判官が終局決定に関与したこと。 四 専属管轄に関する規定に違反したこと。 五 法定代理権、手続代理人の代理権又は代理人が手続行為をするのに必要な授権を欠いたこと。 六 終局決定にこの法律又は他の法令で記載すべきものと定められた理由若しくはその要旨を付せず、又は理由若しくはその要旨に食い違いがあること。 七 終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があること。 2 前項の即時抗告(以下この条及び第七十七条第一項において「再抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された再抗告の理由についてのみ調査をする。 3 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十四条、第三百二十五条第一項前段、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は、再抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「非訟事件手続法第六十八条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「非訟事件手続法第七十四条第二項の規定及び同条第三項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十四条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二款 特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第七十五条 地方裁判所及び簡易裁判所の終局決定で不服を申し立てることができないもの並びに高等裁判所の終局決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下この項及び次条において「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第七十六条 前款の規定(第六十六条、第六十七条第一項、第六十九条第三項、第七十一条及び第七十四条の規定を除く。)は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十六条第一項において準用する同法第六十八条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「非訟事件手続法第七十五条第二項の規定及び同法第七十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十五条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三款 許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第七十七条 高等裁判所の終局決定(再抗告及び次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第七十五条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 ただし、その決定が地方裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の高等裁判所は、同項の終局決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第七十五条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第七十八条 第一款の規定(第六十六条、第六十七条第一項、第六十八条第四項及び第五項、第六十九条第三項、第七十一条並びに第七十四条の規定を除く。)は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、これらの規定中「抗告状」とあるのは「第七十七条第二項の規定による許可の申立書」と、第六十七条第二項及び第三項、第六十八条第一項、第二項第二号及び第三項、第六十九条第一項並びに第七十二条第一項本文中「即時抗告」とあり、及び第六十八条第六項中「即時抗告の提起」とあるのは「第七十七条第二項の申立て」と、第七十二条第一項ただし書並びに第七十三条第一項前段及び第二項中「即時抗告」とあるのは「許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「非訟事件手続法第七十七条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「非訟事件手続法第七十七条第五項の規定及び同法第七十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十七条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二節 終局決定以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第七十九条 終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第八十条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、非訟事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が非訟事件が係属している裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 3 最高裁判所又は高等裁判所に非訟事件が係属している場合における第一項の規定の適用については、同項ただし書中「非訟事件が係属している裁判所」とあるのは、「地方裁判所」とする。 (即時抗告期間) 第八十一条 終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 (終局決定に対する不服申立ての規定の準用) 第八十二条 前節の規定(第六十六条第一項及び第二項、第六十七条第一項並びに第六十九条及び第七十条(これらの規定を第七十六条第一項及び第七十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 第五章 再審 (再審) 第八十三条 確定した終局決定その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における非訟事件の手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により終局決定その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該終局決定その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第八十四条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第七十二条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第三編 民事非訟事件 第一章 共有に関する事件 (共有物の管理に係る決定) 第八十五条 次に掲げる裁判に係る事件は、当該裁判に係る共有物又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条に規定する数人で所有権以外の財産権を有する場合における当該財産権(以下この条において単に「共有物」という。)の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 一 民法第二百五十一条第二項、第二百五十二条第二項第一号及び第二百五十二条の二第二項(これらの規定を同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)の規定による裁判 二 民法第二百五十二条第二項第二号(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。第三項において同じ。)の規定による裁判 2 前項第一号の裁判については、裁判所が次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、することができない。 この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。 一 当該共有物について前項第一号の裁判の申立てがあったこと。 二 裁判所が前項第一号の裁判をすることについて異議があるときは、当該他の共有者等(民法第二百五十一条第二項(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する当該他の共有者、同法第二百五十二条第二項第一号(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する他の共有者又は同法第二百五十二条の二第二項(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する当該共有者をいう。第六項において同じ。)は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、前項第一号の裁判がされること。 3 第一項第二号の裁判については、裁判所が次に掲げる事項を当該他の共有者(民法第二百五十二条第二項第二号に規定する当該他の共有者をいう。以下この項及び次項において同じ。)に通知し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、することができない。 この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。 一 当該共有物について第一項第二号の裁判の申立てがあったこと。 二 当該他の共有者は裁判所に対し一定の期間内に共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべきこと。 三 前号の期間内に当該他の共有者が裁判所に対し共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにしないときは、第一項第二号の裁判がされること。 4 前項第二号の期間内に裁判所に対し共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにした当該他の共有者があるときは、裁判所は、その者に係る第一項第二号の裁判をすることができない。 5 第一項各号の裁判は、確定しなければその効力を生じない。 6 第一項第一号の裁判は、当該他の共有者等に告知することを要しない。 (共有物分割の証書の保存者の指定) 第八十六条 民法第二百六十二条第三項の規定による証書の保存者の指定の事件は、共有物の分割がされた地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、前項の指定の裁判をするには、分割者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 3 裁判所が前項の裁判をする場合における手続費用は、分割者の全員が等しい割合で負担する。 4 第二項の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (所在等不明共有者の持分の取得) 第八十七条 所在等不明共有者の持分の取得の裁判(民法第二百六十二条の二第一項(同条第五項において準用する場合を含む。次項第一号において同じ。)の規定による所在等不明共有者の持分の取得の裁判をいう。以下この条において同じ。)に係る事件は、当該裁判に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号、第三号及び第五号の期間が経過した後でなければ、所在等不明共有者の持分の取得の裁判をすることができない。 この場合において、第二号、第三号及び第五号の期間は、いずれも三箇月を下ってはならない。 一 所在等不明共有者(民法第二百六十二条の二第一項に規定する所在等不明共有者をいう。以下この条において同じ。)の持分について所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てがあったこと。 二 裁判所が所在等不明共有者の持分の取得の裁判をすることについて異議があるときは、所在等不明共有者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。 三 民法第二百六十二条の二第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の異議の届出は、一定の期間内にすべきこと。 四 前二号の届出がないときは、所在等不明共有者の持分の取得の裁判がされること。 五 所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てがあった所在等不明共有者の持分について申立人以外の共有者が所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てをするときは一定の期間内にその申立てをすべきこと。 3 裁判所は、前項の規定による公告をしたときは、遅滞なく、登記簿上その氏名又は名称が判明している共有者に対し、同項各号(第二号を除く。)の規定により公告した事項を通知しなければならない。 この通知は、通知を受ける者の登記簿上の住所又は事務所に宛てて発すれば足りる。 4 裁判所は、第二項第三号の異議の届出が同号の期間を経過した後にされたときは、当該届出を却下しなければならない。 5 裁判所は、所在等不明共有者の持分の取得の裁判をするには、申立人に対して、一定の期間内に、所在等不明共有者のために、裁判所が定める額の金銭を裁判所の指定する供託所に供託し、かつ、その旨を届け出るべきことを命じなければならない。 6 裁判所は、前項の規定による決定をした後所在等不明共有者の持分の取得の裁判をするまでの間に、事情の変更により同項の規定による決定で定めた額を不当と認めるに至ったときは、同項の規定により供託すべき金銭の額を変更しなければならない。 7 前二項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 8 裁判所は、申立人が第五項の規定による決定に従わないときは、その申立人の申立てを却下しなければならない。 9 所在等不明共有者の持分の取得の裁判は、確定しなければその効力を生じない。 10 所在等不明共有者の持分の取得の裁判は、所在等不明共有者に告知することを要しない。 11 所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てを受けた裁判所が第二項の規定による公告をした場合において、その申立てがあった所在等不明共有者の持分について申立人以外の共有者が同項第五号の期間が経過した後に所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てをしたときは、裁判所は、当該申立人以外の共有者による所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てを却下しなければならない。 (所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与) 第八十八条 所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判(民法第二百六十二条の三第一項(同条第四項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)の規定による所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判をいう。第三項において同じ。)に係る事件は、当該裁判に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 前条第二項第一号、第二号及び第四号並びに第五項から第十項までの規定は、前項の事件について準用する。 3 所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判の効力が生じた後二箇月以内にその裁判により付与された権限に基づく所在等不明共有者(民法第二百六十二条の三第一項に規定する所在等不明共有者をいう。)の持分の譲渡の効力が生じないときは、その裁判は、その効力を失う。 ただし、この期間は、裁判所において伸長することができる。 (検察官の不関与) 第八十九条 第四十条の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。 第二章 土地等の管理に関する事件 (所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令) 第九十条 民法第二編第三章第四節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、所有者不明土地管理命令(民法第二百六十四条の二第一項に規定する所有者不明土地管理命令をいう。以下この条において同じ。)をすることができない。 この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。 一 所有者不明土地管理命令の申立てがその対象となるべき土地又は共有持分についてあったこと。 二 所有者不明土地管理命令をすることについて異議があるときは、所有者不明土地管理命令の対象となるべき土地又は共有持分を有する者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、所有者不明土地管理命令がされること。 3 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。 4 裁判所は、民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判又は同法第二百六十四条の七第一項の規定による費用若しくは報酬の額を定める裁判をする場合には、所有者不明土地管理人(同法第二百六十四条の二第四項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下この条において同じ。)の陳述を聴かなければならない。 5 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。 一 所有者不明土地管理命令の申立てを却下する裁判 二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てを却下する裁判 三 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の申立てについての裁判 6 所有者不明土地管理命令があった場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分について、所有者不明土地管理命令の登記を嘱託しなければならない。 7 所有者不明土地管理命令を取り消す裁判があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならない。 8 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者又はその共有持分を有する者のために、当該金銭を所有者不明土地管理命令の対象とされた土地(共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である土地)の所在地の供託所に供託することができる。 この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 9 裁判所は、所有者不明土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。 10 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、所有者不明土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。 11 所有者不明土地等(民法第二百六十四条の三第一項に規定する所有者不明土地等をいう。以下この条において同じ。)の所有者(その共有持分を有する者を含む。以下この条において同じ。)が所有者不明土地等の所有権(その共有持分を含む。)が自己に帰属することを証明したときは、裁判所は、当該所有者の申立てにより、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。 この場合において、所有者不明土地管理命令が取り消されたときは、所有者不明土地管理人は、当該所有者に対し、その事務の経過及び結果を報告し、当該所有者に帰属することが証明された財産を引き渡さなければならない。 12 所有者不明土地管理命令及びその変更の裁判は、所有者不明土地等の所有者に告知することを要しない。 13 所有者不明土地管理命令の取消しの裁判は、事件の記録上所有者不明土地等の所有者及びその所在が判明している場合に限り、その所有者に告知すれば足りる。 14 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。 一 所有者不明土地管理命令 利害関係人 二 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判 利害関係人 三 民法第二百六十四条の七第一項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判 所有者不明土地管理人 四 第九項から第十一項までの規定による変更又は取消しの裁判 利害関係人 15 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 一 民法第二百六十四条の二第四項の規定による所有者不明土地管理人の選任の裁判 二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の裁判 16 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の八第一項に規定する所有者不明建物管理命令及び同条第四項に規定する所有者不明建物管理人について準用する。 (管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令) 第九十一条 民法第二編第三章第五節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 民法第二百六十四条の十第二項又は第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。 3 裁判所は、次の各号に掲げる裁判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。 ただし、第一号に掲げる裁判をする場合において、その陳述を聴く手続を経ることにより当該裁判の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 一 管理不全土地管理命令(民法第二百六十四条の九第一項に規定する管理不全土地管理命令をいう。以下この条において同じ。) 管理不全土地管理命令の対象となるべき土地の所有者 二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判 管理不全土地管理人(同法第二百六十四条の九第三項に規定する管理不全土地管理人をいう。以下この条において同じ。) 四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判 管理不全土地管理人 五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判 管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 4 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。 一 管理不全土地管理命令の申立てについての裁判 二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の申立てについての裁判 三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の申立てについての裁判 四 民法第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てを却下する裁判 5 管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、当該金銭を管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所在地の供託所に供託することができる。 この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 6 裁判所は、管理不全土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。 7 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、管理不全土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、管理不全土地管理命令を取り消さなければならない。 8 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。 一 管理不全土地管理命令 利害関係人 二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判 利害関係人 四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判 管理不全土地管理人 五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判 管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 六 前二項の規定による変更又は取消しの裁判 利害関係人 9 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 一 民法第二百六十四条の九第三項の規定による管理不全土地管理人の選任の裁判 二 民法第二百六十四条の十二第二項の許可の裁判 10 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の十四第一項に規定する管理不全建物管理命令及び同条第三項に規定する管理不全建物管理人について準用する。 (適用除外) 第九十二条 第四十条及び第五十七条第二項第二号の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。 第三章 供託等に関する事件 (動産質権の実行の許可) 第九十三条 民法第三百五十四条の規定による質物をもって直ちに弁済に充てることの許可の申立てに係る事件は、債務の履行地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、前項の許可の裁判をするには、債務者の陳述を聴かなければならない。 3 裁判所が前項の裁判をする場合における手続費用は、債務者の負担とする。 (供託所の指定及び供託物の保管者の選任等) 第九十四条 民法第四百九十五条第二項の供託所の指定及び供託物の保管者の選任の事件は、債務の履行地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、前項の指定及び選任の裁判をするには、債権者の陳述を聴かなければならない。 3 裁判所は、前項の規定により選任した保管者を改任することができる。 この場合においては、債権者及び弁済者の陳述を聴かなければならない。 4 裁判所が第二項の裁判又は前項の規定による改任の裁判をする場合における手続費用は、債権者の負担とする。 5 民法第六百五十八条第一項及び第二項、第六百五十九条から第六百六十一条まで並びに第六百六十四条の規定は、第二項の規定により選任し、又は第三項の規定により改任された保管者について準用する。 (競売代価の供託の許可) 第九十五条 民法第四百九十七条の裁判所の許可の事件については、前条第一項、第二項及び第四項の規定を準用する。 (買戻権の消滅に係る鑑定人の選任) 第九十六条 民法第五百八十二条の規定による鑑定人の選任の事件は、不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所が前項の鑑定人の選任の裁判をする場合における手続費用は、買主の負担とする。 (検察官の不関与) 第九十七条 第四十条の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。 (不服申立ての制限) 第九十八条 この章の規定による指定、許可、選任又は改任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 第四編 公示催告事件 第一章 通則 (公示催告の申立て) 第九十九条 裁判上の公示催告で権利の届出を催告するためのもの(以下この編において「公示催告」という。)の申立ては、法令にその届出をしないときは当該権利につき失権の効力を生ずる旨の定めがある場合に限り、することができる。 (管轄裁判所) 第百条 公示催告手続(公示催告によって当該公示催告に係る権利につき失権の効力を生じさせるための一連の手続をいう。以下この章において同じ。)に係る事件(第百十二条において「公示催告事件」という。)は、公示催告に係る権利を有する者の普通裁判籍の所在地又は当該公示催告に係る権利の目的物の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。 ただし、当該権利が登記又は登録に係るものであるときは、登記又は登録をすべき地を管轄する簡易裁判所もこれを管轄する。 (公示催告手続開始の決定等) 第百一条 裁判所は、公示催告の申立てが適法であり、かつ、理由があると認めるときは、公示催告手続開始の決定をするとともに、次に掲げる事項を内容とする公示催告をする旨の決定(第百十三条第二項において「公示催告決定」という。)をしなければならない。 一 申立人の表示 二 権利の届出の終期の指定 三 前号に規定する権利の届出の終期までに当該権利を届け出るべき旨の催告 四 前号に掲げる催告に応じて権利の届出をしないことにより生ずべき失権の効力の表示 (公示催告についての公告) 第百二条 公示催告についての公告は、前条に規定する公示催告の内容を、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、官報に掲載する方法によってする。 2 裁判所は、相当と認めるときは、申立人に対し、前項に規定する方法に加えて、前条に規定する公示催告の内容を、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載して公告すべき旨を命ずることができる。 (公示催告の期間) 第百三条 前条第一項の規定により公示催告を官報に掲載した日から権利の届出の終期までの期間は、他の法律に別段の定めがある場合を除き、二月を下ってはならない。 (公示催告手続終了の決定) 第百四条 公示催告手続開始の決定後第百六条第一項から第四項までの規定による除権決定がされるまでの間において、公示催告の申立てが不適法であること又は理由のないことが明らかになったときは、裁判所は、公示催告手続終了の決定をしなければならない。 2 前項の決定に対しては、申立人に限り、即時抗告をすることができる。 (審理終結日) 第百五条 裁判所は、権利の届出の終期の経過後においても、必要があると認めるときは、公示催告の申立てについての審理をすることができる。 この場合において、裁判所は、審理を終結する日(以下この章において「審理終結日」という。)を定めなければならない。 2 権利の届出の終期までに申立人が申立ての理由として主張した権利を争う旨の申述(以下この編において「権利を争う旨の申述」という。)があったときは、裁判所は、申立人及びその権利を争う旨の申述をした者の双方が立ち会うことができる審問期日を指定するとともに、審理終結日を定めなければならない。 3 前二項の規定により審理終結日が定められたときは、権利の届出の終期の経過後においても、権利の届出又は権利を争う旨の申述は、その審理終結日まですることができる。 4 権利を争う旨の申述をするには、自らが権利者であることその他の申立人が申立ての理由として主張した権利を争う理由を明らかにしなければならない。 (除権決定等) 第百六条 権利の届出の終期(前条第一項又は第二項の規定により審理終結日が定められた場合にあっては、審理終結日。以下この条において同じ。)までに適法な権利の届出又は権利を争う旨の申述がないときは、裁判所は、第百四条第一項の場合を除き、当該公示催告の申立てに係る権利につき失権の効力を生ずる旨の裁判(以下この編において「除権決定」という。)をしなければならない。 2 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利の届出があった場合であって、適法な権利を争う旨の申述がないときは、第百四条第一項の場合を除き、当該公示催告の申立てに係る権利のうち適法な権利の届出があったものについては失権の効力を生じない旨の定め(以下この章において「制限決定」という。)をして、除権決定をしなければならない。 3 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利を争う旨の申述があった場合であって、適法な権利の届出がないときは、第百四条第一項の場合を除き、申立人とその適法な権利を争う旨の申述をした者との間の当該権利についての訴訟の判決が確定するまで公示催告手続を中止し、又は除権決定は、その適法な権利を争う旨の申述をした者に対してはその効力を有せず、かつ、申立人が当該訴訟において敗訴したときはその効力を失う旨の定め(以下この章において「留保決定」という。)をして、除権決定をしなければならない。 ただし、その権利を争う旨の申述に理由がないことが明らかであると認めるときは、留保決定をしないで、除権決定をしなければならない。 4 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利の届出及び権利を争う旨の申述があったときは、第百四条第一項の場合を除き、制限決定及び留保決定をして、除権決定をしなければならない。 5 除権決定に対しては、第百八条の規定による場合のほか、不服を申し立てることができない。 6 制限決定又は留保決定に対しては、即時抗告をすることができる。 7 前項の即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 (除権決定等の公告) 第百七条 除権決定、制限決定及び留保決定は、官報に掲載して公告しなければならない。 (除権決定の取消しの申立て) 第百八条 次に掲げる事由がある場合には、除権決定の取消しの申立てをすることができる。 一 法令において公示催告の申立てをすることができる場合に該当しないこと。 二 第百二条第一項の規定による公示催告についての公告をせず、又は法律に定める方法によって公告をしなかったこと。 三 第百三条に規定する公示催告の期間を遵守しなかったこと。 四 除斥又は忌避の裁判により除権決定に関与することができない裁判官が除権決定に関与したこと。 五 適法な権利の届出又は権利を争う旨の申述があったにもかかわらず、第百六条第二項から第四項までの規定に違反して除権決定がされたこと。 六 第八十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百三十八条第一項第四号から第八号までの規定により再審の申立てをすることができる場合であること。 (管轄裁判所) 第百九条 前条の規定による除権決定の取消しの申立てに係る事件は、当該除権決定をした裁判所の管轄に属する。 (申立期間) 第百十条 第百八条の規定による除権決定の取消しの申立ては、申立人が除権決定があったことを知った日(同条第四号又は第六号に掲げる事由を不服の理由とする場合において、その日に申立人がその事由があることを知らなかったときにあっては、その事由があることを知った日)から三十日の不変期間内にしなければならない。 2 除権決定が告知された日から五年を経過したときは、第百八条の規定による除権決定の取消しの申立てをすることができない。 (申立てについての裁判等) 第百十一条 第百八条の規定による除権決定の取消しの申立てがあったときは、裁判所は、申立人及び相手方の双方が立ち会うことができる審問期日を指定するとともに、審理終結日を定めなければならない。 2 裁判所は、前項に規定する場合において、第百八条各号に掲げる事由があるときは、除権決定を取り消す決定をしなければならない。 3 前項の規定による除権決定を取り消す決定が確定したときは、官報に掲載してその主文を公告しなければならない。 (事件の記録の閲覧等) 第百十二条 第三十二条第一項から第四項までの規定にかかわらず、申立人及び権利の届出をした者又は権利を争う旨の申述をした者その他の利害関係人は、裁判所書記官に対し、公示催告事件又は除権決定の取消しの申立てに係る事件の記録の閲覧等又は記録の複製を請求することができる。 (適用除外) 第百十三条 第四十条の規定は、公示催告手続には、適用しない。 2 第五十九条の規定は、公示催告手続開始の決定、公示催告決定及び除権決定には、適用しない。 第二章 有価証券無効宣言公示催告事件 (申立権者) 第百十四条 盗取され、紛失し、又は滅失した有価証券のうち、法令の規定により無効とすることができるものであって、次の各号に掲げるものを無効とする旨の宣言をするためにする公示催告の申立ては、それぞれ当該各号に定める者がすることができる。 一 無記名式の有価証券又は裏書によって譲り渡すことができる有価証券であって白地式裏書(被裏書人を指定しないで、又は裏書人の署名若しくは記名押印のみをもってした裏書をいう。)がされたもの その最終の所持人 二 前号に規定する有価証券以外の有価証券 その有価証券により権利を主張することができる者 (管轄裁判所) 第百十五条 前条に規定する公示催告(以下この章において「有価証券無効宣言公示催告」という。)の申立てに係る事件は、その有価証券に義務履行地(手形又は小切手にあっては、その支払地。以下この項において同じ。)が表示されているときはその義務履行地を管轄する簡易裁判所の管轄に属し、その有価証券に義務履行地が表示されていないときはその有価証券により義務を負担する者が普通裁判籍を有する地を管轄する簡易裁判所の管轄に属し、その者が普通裁判籍を有しないときはその者がその有価証券により義務を負担した時に普通裁判籍を有した地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、同項の有価証券が登記された権利について発行されたものであるときは、同項の申立ては、その権利の目的物の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。 (申立ての方式及び疎明) 第百十六条 有価証券無効宣言公示催告の申立ては、その申立てに係る有価証券の謄本を提出し、又は当該有価証券を特定するために必要な事項を明らかにして、これをしなければならない。 2 有価証券無効宣言公示催告の申立てに係る有価証券の盗難、紛失又は滅失の事実その他第百十四条の規定により申立てをすることができる理由は、これを疎明しなければならない。 (公示催告の内容等) 第百十七条 有価証券無効宣言公示催告においては、第百一条の規定にかかわらず、次に掲げる事項を公示催告の内容とする。 一 申立人の表示 二 権利を争う旨の申述の終期の指定 三 前号に規定する権利を争う旨の申述の終期までに権利を争う旨の申述をし、かつ、有価証券を提出すべき旨の有価証券の所持人に対する催告 四 前号に掲げる催告に応じて権利を争う旨の申述をしないことにより有価証券を無効とする旨を宣言する旨の表示 2 有価証券無効宣言公示催告についての前章の規定の適用については、第百三条、第百五条第一項から第三項まで並びに第百六条第一項及び第三項中「権利の届出の終期」とあるのは「権利を争う旨の申述の終期」と、第百四条第一項中「第百六条第一項から第四項まで」とあるのは「第百六条第一項又は第三項」と、第百五条第三項、第百六条第一項及び第百八条第五号中「権利の届出又は権利を争う旨の申述」とあるのは「権利を争う旨の申述」と、第百六条第三項中「適法な権利を争う旨の申述があった場合であって、適法な権利の届出がないとき」とあるのは「適法な権利を争う旨の申述があったとき」と、同条第六項中「制限決定又は留保決定」とあるのは「留保決定」と、第百七条中「、制限決定及び留保決定」とあるのは「及び留保決定」と、第百八条第五号中「第百六条第二項から第四項まで」とあるのは「第百六条第三項」とする。 (除権決定による有価証券の無効の宣言等) 第百十八条 裁判所は、有価証券無効宣言公示催告の申立てについての除権決定において、その申立てに係る有価証券を無効とする旨を宣言しなければならない。 2 前項の除権決定がされたときは、有価証券無効宣言公示催告の申立人は、その申立てに係る有価証券により義務を負担する者に対し、当該有価証券による権利を主張することができる。 第五編 過料事件 (管轄裁判所) 第百十九条 過料事件(過料についての裁判の手続に係る非訟事件をいう。)は、他の法令に特別の定めがある場合を除き、当事者(過料の裁判がされた場合において、その裁判を受ける者となる者をいう。以下この編において同じ。)の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 (過料についての裁判等) 第百二十条 過料についての裁判には、理由を付さなければならない。 2 裁判所は、過料についての裁判をするに当たっては、あらかじめ、検察官の意見を聴くとともに、当事者の陳述を聴かなければならない。 3 過料についての裁判に対しては、当事者及び検察官に限り、即時抗告をすることができる。 この場合において、当該即時抗告が過料の裁判に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。 4 過料についての裁判の手続(その抗告審における手続を含む。次項において同じ。)に要する手続費用は、過料の裁判をした場合にあっては当該裁判を受けた者の負担とし、その他の場合にあっては国庫の負担とする。 5 過料の裁判に対して当事者から第三項の即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料についての裁判をしたときは、前項の規定にかかわらず、過料についての裁判の手続に要する手続費用は、国庫の負担とする。 (過料の裁判の執行) 第百二十一条 過料の裁判は、検察官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 過料の裁判の執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従ってする。 ただし、執行をする前に裁判の送達をすることを要しない。 3 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第七編第二章(第五百十一条及び第五百十三条第六項から第八項までを除く。)の規定は、過料の裁判の執行について準用する。 この場合において、同条第一項中「者若しくは裁判の執行の対象となるもの」とあるのは「者」と、「裁判の執行の対象となるもの若しくは裁判」とあるのは「裁判」と読み替えるものとする。 4 過料の裁判の執行があった後に当該裁判(以下この項において「原裁判」という。)に対して前条第三項の即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料の裁判をしたときは、その金額の限度において当該過料の裁判の執行があったものとみなす。 この場合において、原裁判の執行によって得た金額が当該過料の金額を超えるときは、その超過額は、これを還付しなければならない。 (略式手続) 第百二十二条 裁判所は、第百二十条第二項の規定にかかわらず、相当と認めるときは、当事者の陳述を聴かないで過料についての裁判をすることができる。 2 前項の裁判に対しては、当事者及び検察官は、当該裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内に、当該裁判をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 この場合において、当該異議の申立てが過料の裁判に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。 3 前項の異議の申立ては、次項の裁判があるまで、取り下げることができる。 この場合において、当該異議の申立ては、遡ってその効力を失う。 4 適法な異議の申立てがあったときは、裁判所は、当事者の陳述を聴いて、更に過料についての裁判をしなければならない。 5 前項の規定によってすべき裁判が第一項の裁判と符合するときは、裁判所は、同項の裁判を認可しなければならない。 ただし、同項の裁判の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。 6 前項の規定により第一項の裁判を認可する場合を除き、第四項の規定によってすべき裁判においては、第一項の裁判を取り消さなければならない。 7 第百二十条第五項の規定は、第一項の規定による過料の裁判に対して当事者から第二項の異議の申立てがあった場合において、前項の規定により当該裁判を取り消して第四項の規定により更に過料についての裁判をしたときについて準用する。 8 前条第四項の規定は、第一項の規定による過料の裁判の執行があった後に当該裁判に対して第二項の異議の申立てがあった場合において、第六項の規定により当該裁判を取り消して第四項の規定により更に過料の裁判をしたときについて準用する。
民事
Heisei
Act
423AC0000000051_20260524_505AC0000000053.xml
平成二十三年法律第五十一号
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非訟事件手続法 第一編 総則 (趣旨) 第一条 この法律は、非訟事件の手続についての通則を定めるとともに、民事非訟事件、公示催告事件及び過料事件の手続を定めるものとする。 (最高裁判所規則) 第二条 この法律に定めるもののほか、非訟事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第二編 非訟事件の手続の通則 第一章 総則 (第二編の適用範囲) 第三条 非訟事件の手続については、次編から第五編まで及び他の法令に定めるもののほか、この編の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第四条 裁判所は、非訟事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に非訟事件の手続を追行しなければならない。 第二章 非訟事件に共通する手続 第一節 管轄 (管轄が住所地により定まる場合の管轄裁判所) 第五条 非訟事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。 2 非訟事件は、管轄が法人その他の社団又は財団(外国の社団又は財団を除く。)の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき、又は住所が知れないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。 3 非訟事件は、管轄が外国の社団又は財団の住所地により定まる場合においては、日本における主たる事務所又は営業所の所在地を管轄する裁判所の管轄に属し、日本国内に事務所又は営業所がないときは日本における代表者その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。 (優先管轄等) 第六条 この法律の他の規定又は他の法令の規定により二以上の裁判所が管轄権を有するときは、非訟事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した裁判所が管轄する。 ただし、その裁判所は、非訟事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、非訟事件の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。 (管轄裁判所の指定) 第七条 管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 3 前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 4 第一項又は第二項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (管轄裁判所の特例) 第八条 この法律の他の規定又は他の法令の規定により非訟事件の管轄が定まらないときは、その非訟事件は、裁判を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する裁判所の管轄に属する。 (管轄の標準時) 第九条 裁判所の管轄は、非訟事件の申立てがあった時又は裁判所が職権で非訟事件の手続を開始した時を標準として定める。 (移送等に関する民事訴訟法の準用等) 第十条 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第十六条(第二項ただし書を除く。)、第十八条、第二十一条及び第二十二条の規定は、非訟事件の移送等について準用する。 2 非訟事件の移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二節 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第十一条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の裁判を受ける者となるべき者(終局決定(申立てを却下する終局決定を除く。)がされた場合において、その裁判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。 二 裁判官が当事者又はその他の裁判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又はその他の裁判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくはその他の裁判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第十二条 裁判官について裁判の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第十三条 合議体の構成員である裁判官及び地方裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。 2 地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで非訟事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 非訟事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官又は非訟事件を取り扱う地方裁判所の一人の裁判官若しくは簡易裁判所の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、非訟事件の手続は停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第十四条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第十一条、第十二条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった非訟事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (専門委員の除斥及び忌避) 第十五条 非訟事件の手続における専門委員の除斥及び忌避については、第十一条、第十二条、第十三条第八項及び第九項並びに前条第二項及び第三項の規定を準用する。 この場合において、同条第二項ただし書中「前項において準用する前条第五項各号」とあるのは、「第十三条第五項各号」と読み替えるものとする。 第三節 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第十六条 当事者能力、非訟事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項及び第七十四条第一項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十一条、第三十三条並びに第三十四条第一項及び第二項の規定を準用する。 2 被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした非訟事件の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。 職権により手続が開始された場合についても、同様とする。 3 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。 一 非訟事件の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する抗告若しくは異議又は第七十七条第二項の申立ての取下げ (特別代理人) 第十七条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、非訟事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法定代理権の消滅の通知) 第十八条 法定代理権の消滅は、本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。 (法人の代表者等への準用) 第十九条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第四節 参加 (当事者参加) 第二十条 当事者となる資格を有する者は、当事者として非訟事件の手続に参加することができる。 2 前項の規定による参加(次項において「当事者参加」という。)の申出は、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 3 当事者参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (利害関係参加) 第二十一条 裁判を受ける者となるべき者は、非訟事件の手続に参加することができる。 2 裁判を受ける者となるべき者以外の者であって、裁判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、裁判所の許可を得て、非訟事件の手続に参加することができる。 3 前条第二項の規定は、第一項の規定による参加の申出及び前項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 第一項又は第二項の規定により非訟事件の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(非訟事件の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定又は他の法令の規定によりすることができる場合に限る。 第五節 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第二十二条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、第一審裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (手続代理人の代理権の範囲) 第二十三条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 一 非訟事件の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する抗告若しくは異議又は第七十七条第二項の申立て 三 前号の抗告、異議又は申立ての取下げ 四 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (法定代理の規定及び民事訴訟法の準用) 第二十四条 第十八条並びに民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第二十五条 非訟事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六節 手続費用 第一款 手続費用の負担 (手続費用の負担) 第二十六条 非訟事件の手続の費用(以下「手続費用」という。)は、特別の定めがある場合を除き、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、この法律の他の規定(次項を除く。)又は他の法令の規定によれば当事者、利害関係参加人その他の関係人がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。 一 当事者又は利害関係参加人 二 前号に掲げる者以外の裁判を受ける者となるべき者 三 前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの 3 前二項又は他の法令の規定によれば法務大臣又は検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。 (手続費用の立替え) 第二十七条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の非訟事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第二十八条 民事訴訟法第六十七条から第七十四条までの規定(同法第七十一条第二項(同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)及び第八項(同法第七十二条後段及び第七十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十三条第一項中「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「非訟事件手続法第二十条第一項若しくは第二十一条第一項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「非訟事件手続法第二十八条第一項において準用する」と、「ついて、同条第二項の規定は前項の申立てについて」とあるのは「ついて」と、「第八項まで」とあるのは「第七項まで」と、「準用する。この場合において、同条第二項中「訴訟費用の負担の裁判が確定した」とあるのは、「訴訟が完結した」と読み替えるものとする」とあるのは「準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第五項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二款 手続上の救助 第二十九条 非訟事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で非訟事件の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「非訟事件手続法第二十九条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七節 非訟事件の審理等 (手続の非公開) 第三十条 非訟事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (調書の作成等) 第三十一条 裁判所書記官は、非訟事件の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第三十二条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、非訟事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は非訟事件に関する事項の証明書の交付(第百十二条において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。 2 前項の規定は、非訟事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合においては、当事者又は第三者に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときを除き、これを許可しなければならない。 4 裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 5 裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は非訟事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 裁判を受ける者が当該裁判があった後に請求する場合も、同様とする。 6 非訟事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、非訟事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 7 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 8 前項の規定による即時抗告が非訟事件の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 9 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (専門委員) 第三十三条 裁判所は、的確かつ円滑な審理の実現のため、又は和解を試みるに当たり、必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、専門的な知見に基づく意見を聴くために専門委員を非訟事件の手続に関与させることができる。 この場合において、専門委員の意見は、裁判長が書面により又は当事者が立ち会うことができる非訟事件の手続の期日において口頭で述べさせなければならない。 2 裁判所は、当事者の意見を聴いて、前項の規定による専門委員を関与させる裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、必要があると認めるときは、専門委員を非訟事件の手続の期日に立ち会わせることができる。 この場合において、裁判長は、専門委員が当事者、証人、鑑定人その他非訟事件の手続の期日に出頭した者に対し直接に問いを発することを許すことができる。 4 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が専門委員との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、専門委員に第一項の意見を述べさせることができる。 この場合において、裁判長は、専門委員が当事者、証人、鑑定人その他非訟事件の手続の期日に出頭した者に対し直接に問いを発することを許すことができる。 5 民事訴訟法第九十二条の五の規定は、第一項の規定により非訟事件の手続に関与させる専門委員の指定及び任免等について準用する。 この場合において、同条第二項中「第九十二条の二」とあるのは、「非訟事件手続法第三十三条第一項」と読み替えるものとする。 6 受命裁判官又は受託裁判官が第一項の手続を行う場合には、同項から第四項までの規定及び前項において準用する民事訴訟法第九十二条の五第二項の規定による裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 ただし、証拠調べの期日における手続を行う場合には、専門委員を手続に関与させる裁判、その裁判の取消し及び専門委員の指定は、非訟事件が係属している裁判所がする。 (期日及び期間) 第三十四条 非訟事件の手続の期日の指定及び変更は、職権で、裁判長が行う。 2 非訟事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 非訟事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によってする。 5 民事訴訟法第九十四条第三項及び第九十五条から第九十七条までの規定は、非訟事件の手続の期日及び期間について準用する。 この場合において、同項中「第一項各号に規定する方法」とあるのは、「呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知」と読み替えるものとする。 (手続の併合等) 第三十五条 裁判所は、非訟事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする非訟事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第三十六条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって非訟事件の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に非訟事件の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者による受継) 第三十七条 非訟事件の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該非訟事件の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 前項の規定による受継の申立ては、同項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。 (送達及び手続の中止) 第三十八条 送達及び非訟事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節(第百条第二項、第三款及び第百十一条を除く。)及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十二条第一項本文中「前条の規定による措置を開始した」とあるのは「裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた」と、同項ただし書中「前条の規定による措置を開始した」とあるのは「当該掲示を始めた」と、同法第百十三条中「書類又は電磁的記録」とあるのは「書類」と、「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは「裁判を求める事項」と、「記載又は記録」とあるのは「記載」と、「第百十一条の規定による措置を開始した」とあるのは「裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第百十条第一項の規定による公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第三十九条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (検察官の関与) 第四十条 検察官は、非訟事件について意見を述べ、その手続の期日に立ち会うことができる。 2 裁判所は、検察官に対し、非訟事件が係属したこと及びその手続の期日を通知するものとする。 第八節 検察官に対する通知 第四十一条 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより非訟事件の裁判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。 第九節 電子情報処理組織による申立て等 第四十二条 非訟事件の手続における申立てその他の申述(以下この条及び次条において「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。次項及び第四項において同じ。)をもってするものとされているものであって、最高裁判所の定める裁判所に対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官又は裁判所書記官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項及び第三項において同じ。)と申立て等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を用いてすることができる。 2 前項の規定によりされた申立て等については、当該申立て等を書面等をもってするものとして規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもってされたものとみなして、当該申立て等に関する法令の規定を適用する。 3 第一項の規定によりされた申立て等は、同項の裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に、当該裁判所に到達したものとみなす。 4 第一項の場合において、当該申立て等に関する他の法令の規定により署名等(署名、記名、押印その他氏名又は名称を書面等に記載することをいう。以下この項において同じ。)をすることとされているものについては、当該申立て等をする者は、当該法令の規定にかかわらず、当該署名等に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。 5 第一項の規定によりされた申立て等が第三項に規定するファイルに記録されたときは、第一項の裁判所は、当該ファイルに記録された情報の内容を書面に出力しなければならない。 6 第一項の規定によりされた申立て等に係るこの法律その他の法令の規定による非訟事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、前項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第十節 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第四十二条の二 非訟事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同法第百三十三条第一項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人(非訟事件手続法第二十一条第五項に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の裁判を受ける者となるべき者(同法第十一条第一項第一号に規定する裁判を受ける者となるべき者をいう。)」と、同条第三項中「訴訟記録等(訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録をいう。以下この章において同じ。)」とあるのは「非訟事件の記録」と、「について訴訟記録等の閲覧等(訴訟記録の閲覧等、非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等又は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等をいう。以下この章において同じ。)」とあるのは「の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同法第百三十三条の二第一項中「に係る訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同法第百三十三条の四第一項中「者は、訴訟記録等」とあるのは「当事者又は利害関係参加人は、非訟事件の記録」と、同条第二項中「当事者」とあるのは「当事者又は利害関係参加人」と、「訴訟記録等の存する」とあるのは「非訟事件の記録の存する」と、「訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人」と読み替えるものとする。 第三章 第一審裁判所における非訟事件の手続 第一節 非訟事件の申立て (申立ての方式等) 第四十三条 非訟事件の申立ては、申立書(以下この条及び第五十七条第一項において「非訟事件の申立書」という。)を裁判所に提出してしなければならない。 2 非訟事件の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び原因 3 申立人は、二以上の事項について裁判を求める場合において、これらの事項についての非訟事件の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。 4 非訟事件の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、非訟事件の申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 7 民事訴訟法第百三十七条の二の規定は、申立人が民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い非訟事件の申立ての手数料を納付しない場合について準用する。 (申立ての変更) 第四十四条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は原因を変更することができる。 2 申立ての趣旨又は原因の変更は、非訟事件の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 裁判所は、申立ての趣旨又は原因の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨又は原因の変更により非訟事件の手続が著しく遅滞することとなるときは、裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 第二節 非訟事件の手続の期日 (裁判長の手続指揮権) 第四十五条 非訟事件の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が非訟事件の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第四十六条 裁判所は、受命裁判官に非訟事件の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第五十一条第三項の規定又は第五十三条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第四十七条 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、非訟事件の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 非訟事件の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第四十八条 非訟事件の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、非訟事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。 第三節 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第四十九条 裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び裁判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第五十条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (事実の調査の嘱託等) 第五十一条 裁判所は、他の地方裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の地方裁判所又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (事実の調査の通知) 第五十二条 裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による非訟事件の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (証拠調べ) 第五十三条 非訟事件の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十五条第三項、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百五条第二項、第二百七条第二項、第二百八条、第二百十五条第二項、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項、第二百三十一条の三第一項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)、第二百二十七条第二項(同法第二百三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)、第二百二十九条第四項及び第二百三十二条の二の規定を除く。)を準用する。 この場合において、同法第二百五条第三項中「事項又は前項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項」とあり、及び同法第二百十五条第四項中「事項又は第二項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項」とあるのは「事項」と、同法第二百三十一条の二第二項中「方法又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法」とあるのは「方法」と、同法第二百三十一条の三第二項中「若しくは送付し、又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する」とあるのは「又は送付する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 3 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 一 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項(同法第二百三十一条及び第二百三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。 二 書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条(同法第二百三十一条及び第二百三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件及び同法第二百三十一条の二に規定する電磁的記録を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 4 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、裁判所は、十万円以下の過料に処する。 一 正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。 二 対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 三 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。 5 裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、非訟事件の手続の期日に出頭することを命ずることができる。 6 民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。 7 この条に規定するもののほか、証拠調べにおける過料についての裁判に関しては、第五編の規定(第百十九条の規定並びに第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)を準用する。 第四節 裁判 (裁判の方式) 第五十四条 裁判所は、非訟事件の手続においては、決定で、裁判をする。 (終局決定) 第五十五条 裁判所は、非訟事件が裁判をするのに熟したときは、終局決定をする。 2 裁判所は、非訟事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局決定をすることができる。 手続の併合を命じた数個の非訟事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (終局決定の告知及び効力の発生等) 第五十六条 終局決定は、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の裁判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 終局決定(申立てを却下する決定を除く。)は、裁判を受ける者(裁判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 3 申立てを却下する終局決定は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。 4 終局決定は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 5 終局決定の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (終局決定の方式及び裁判書) 第五十七条 終局決定は、裁判書を作成してしなければならない。 ただし、即時抗告をすることができない決定については、非訟事件の申立書又は調書に主文を記載することをもって、裁判書の作成に代えることができる。 2 終局決定の裁判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由の要旨 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第五十八条 終局決定に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の終局決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 終局決定に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (終局決定の取消し又は変更) 第五十九条 裁判所は、終局決定をした後、その決定を不当と認めるときは、次に掲げる決定を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。 一 申立てによってのみ裁判をすべき場合において申立てを却下した決定 二 即時抗告をすることができる決定 2 終局決定が確定した日から五年を経過したときは、裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。 ただし、事情の変更によりその決定を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。 3 裁判所は、第一項の規定により終局決定の取消し又は変更をする場合には、その決定における当事者及びその他の裁判を受ける者の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の規定による取消し又は変更の終局決定に対しては、取消し後又は変更後の決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (終局決定に関する民事訴訟法の準用) 第六十条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、終局決定について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「終局決定が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (中間決定) 第六十一条 裁判所は、終局決定の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (終局決定以外の裁判) 第六十二条 終局決定以外の非訟事件に関する裁判については、特別の定めがある場合を除き、第五十五条から第六十条まで(第五十七条第一項及び第五十九条第三項を除く。)の規定を準用する。 2 非訟事件の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 3 終局決定以外の非訟事件に関する裁判は、判事補が単独ですることができる。 第五節 裁判によらない非訟事件の終了 (非訟事件の申立ての取下げ) 第六十三条 非訟事件の申立人は、終局決定が確定するまで、申立ての全部又は一部を取り下げることができる。 この場合において、終局決定がされた後は、裁判所の許可を得なければならない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「非訟事件の手続の期日」と、「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と読み替えるものとする。 (非訟事件の申立ての取下げの擬制) 第六十四条 非訟事件の申立人が、連続して二回、呼出しを受けた非訟事件の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた非訟事件の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。 (和解) 第六十五条 非訟事件における和解については、民事訴訟法第八十九条第一項、第二百六十四条及び第二百六十五条の規定を準用する。 この場合において、同法第二百六十四条第一項及び第二百六十五条第三項中「口頭弁論等」とあるのは、「非訟事件の手続」と読み替えるものとする。 2 和解を調書に記載したときは、その記載は、確定した終局決定と同一の効力を有する。 第四章 不服申立て 第一節 終局決定に対する不服申立て 第一款 即時抗告 (即時抗告をすることができる裁判) 第六十六条 終局決定により権利又は法律上保護される利益を害された者は、その決定に対し、即時抗告をすることができる。 2 申立てを却下した終局決定に対しては、申立人に限り、即時抗告をすることができる。 3 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第六十七条 終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 即時抗告の期間は、即時抗告をする者が裁判の告知を受ける者である場合にあっては、裁判の告知を受けた日から進行する。 3 前項の期間は、即時抗告をする者が裁判の告知を受ける者でない場合にあっては、申立人(職権で開始した事件においては、裁判を受ける者)が裁判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第六十八条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原決定の表示及びその決定に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による終局決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第四十三条第四項から第六項までの規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第六十九条 終局決定に対する即時抗告があったときは、抗告裁判所は、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 ただし、その即時抗告が不適法であるとき、又は即時抗告に理由がないことが明らかなときは、この限りでない。 2 裁判長は、前項の規定により抗告状の写しを送付するための費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 3 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (陳述の聴取) 第七十条 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の裁判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原裁判所の終局決定を取り消すことができない。 (原裁判所による更正) 第七十一条 原裁判所は、終局決定に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その決定を更正しなければならない。 (原裁判の執行停止) 第七十二条 終局決定に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (第一審の手続の規定及び民事訴訟法の準用) 第七十三条 終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前章の規定(第五十七条第一項ただし書及び第六十四条の規定を除く。)を準用する。 この場合において、第五十九条第一項第二号中「即時抗告」とあるのは、「第一審裁判所の終局決定であるとした場合に即時抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百九条までの規定は、終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項及び第四項、第二百六十二条第一項並びに第二百六十三条」とあるのは「非訟事件手続法第六十三条第二項及び第六十四条」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「非訟事件手続法第百二十一条」と読み替えるものとする。 (再抗告) 第七十四条 抗告裁判所の終局決定(その決定が第一審裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものに限る。)に対しては、次に掲げる事由を理由とするときに限り、更に即時抗告をすることができる。 ただし、第五号に掲げる事由については、手続行為能力、法定代理権又は手続行為をするのに必要な権限を有するに至った本人、法定代理人又は手続代理人による追認があったときは、この限りでない。 一 終局決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があること。 二 法律に従って裁判所を構成しなかったこと。 三 法律により終局決定に関与することができない裁判官が終局決定に関与したこと。 四 専属管轄に関する規定に違反したこと。 五 法定代理権、手続代理人の代理権又は代理人が手続行為をするのに必要な授権を欠いたこと。 六 終局決定にこの法律又は他の法令で記載すべきものと定められた理由若しくはその要旨を付せず、又は理由若しくはその要旨に食い違いがあること。 七 終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があること。 2 前項の即時抗告(以下この条及び第七十七条第一項において「再抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された再抗告の理由についてのみ調査をする。 3 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十四条、第三百二十五条第一項前段、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は、再抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「非訟事件手続法第六十八条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「非訟事件手続法第七十四条第二項の規定及び同条第三項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十四条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二款 特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第七十五条 地方裁判所及び簡易裁判所の終局決定で不服を申し立てることができないもの並びに高等裁判所の終局決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下この項及び次条において「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第七十六条 前款の規定(第六十六条、第六十七条第一項、第六十九条第三項、第七十一条及び第七十四条の規定を除く。)は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十六条第一項において準用する同法第六十八条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「非訟事件手続法第七十五条第二項の規定及び同法第七十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十五条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三款 許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第七十七条 高等裁判所の終局決定(再抗告及び次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第七十五条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 ただし、その決定が地方裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の高等裁判所は、同項の終局決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第七十五条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第七十八条 第一款の規定(第六十六条、第六十七条第一項、第六十八条第四項及び第五項、第六十九条第三項、第七十一条並びに第七十四条の規定を除く。)は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、これらの規定中「抗告状」とあるのは「第七十七条第二項の規定による許可の申立書」と、第六十七条第二項及び第三項、第六十八条第一項、第二項第二号及び第三項、第六十九条第一項並びに第七十二条第一項本文中「即時抗告」とあり、及び第六十八条第六項中「即時抗告の提起」とあるのは「第七十七条第二項の申立て」と、第七十二条第一項ただし書並びに第七十三条第一項前段及び第二項中「即時抗告」とあるのは「許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「非訟事件手続法第七十七条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「非訟事件手続法第七十七条第五項の規定及び同法第七十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十七条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二節 終局決定以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第七十九条 終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第八十条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、非訟事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が非訟事件が係属している裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 3 最高裁判所又は高等裁判所に非訟事件が係属している場合における第一項の規定の適用については、同項ただし書中「非訟事件が係属している裁判所」とあるのは、「地方裁判所」とする。 (即時抗告期間) 第八十一条 終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 (終局決定に対する不服申立ての規定の準用) 第八十二条 前節の規定(第六十六条第一項及び第二項、第六十七条第一項並びに第六十九条及び第七十条(これらの規定を第七十六条第一項及び第七十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 第五章 再審 (再審) 第八十三条 確定した終局決定その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における非訟事件の手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により終局決定その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該終局決定その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第八十四条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第七十二条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第三編 民事非訟事件 第一章 共有に関する事件 (共有物の管理に係る決定) 第八十五条 次に掲げる裁判に係る事件は、当該裁判に係る共有物又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条に規定する数人で所有権以外の財産権を有する場合における当該財産権(以下この条において単に「共有物」という。)の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 一 民法第二百五十一条第二項、第二百五十二条第二項第一号及び第二百五十二条の二第二項(これらの規定を同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)の規定による裁判 二 民法第二百五十二条第二項第二号(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。第三項において同じ。)の規定による裁判 2 前項第一号の裁判については、裁判所が次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、することができない。 この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。 一 当該共有物について前項第一号の裁判の申立てがあったこと。 二 裁判所が前項第一号の裁判をすることについて異議があるときは、当該他の共有者等(民法第二百五十一条第二項(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する当該他の共有者、同法第二百五十二条第二項第一号(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する他の共有者又は同法第二百五十二条の二第二項(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する当該共有者をいう。第六項において同じ。)は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、前項第一号の裁判がされること。 3 第一項第二号の裁判については、裁判所が次に掲げる事項を当該他の共有者(民法第二百五十二条第二項第二号に規定する当該他の共有者をいう。以下この項及び次項において同じ。)に通知し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、することができない。 この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。 一 当該共有物について第一項第二号の裁判の申立てがあったこと。 二 当該他の共有者は裁判所に対し一定の期間内に共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべきこと。 三 前号の期間内に当該他の共有者が裁判所に対し共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにしないときは、第一項第二号の裁判がされること。 4 前項第二号の期間内に裁判所に対し共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにした当該他の共有者があるときは、裁判所は、その者に係る第一項第二号の裁判をすることができない。 5 第一項各号の裁判は、確定しなければその効力を生じない。 6 第一項第一号の裁判は、当該他の共有者等に告知することを要しない。 (共有物分割の証書の保存者の指定) 第八十六条 民法第二百六十二条第三項の規定による証書の保存者の指定の事件は、共有物の分割がされた地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、前項の指定の裁判をするには、分割者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 3 裁判所が前項の裁判をする場合における手続費用は、分割者の全員が等しい割合で負担する。 4 第二項の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (所在等不明共有者の持分の取得) 第八十七条 所在等不明共有者の持分の取得の裁判(民法第二百六十二条の二第一項(同条第五項において準用する場合を含む。次項第一号において同じ。)の規定による所在等不明共有者の持分の取得の裁判をいう。以下この条において同じ。)に係る事件は、当該裁判に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号、第三号及び第五号の期間が経過した後でなければ、所在等不明共有者の持分の取得の裁判をすることができない。 この場合において、第二号、第三号及び第五号の期間は、いずれも三箇月を下ってはならない。 一 所在等不明共有者(民法第二百六十二条の二第一項に規定する所在等不明共有者をいう。以下この条において同じ。)の持分について所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てがあったこと。 二 裁判所が所在等不明共有者の持分の取得の裁判をすることについて異議があるときは、所在等不明共有者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。 三 民法第二百六十二条の二第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の異議の届出は、一定の期間内にすべきこと。 四 前二号の届出がないときは、所在等不明共有者の持分の取得の裁判がされること。 五 所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てがあった所在等不明共有者の持分について申立人以外の共有者が所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てをするときは一定の期間内にその申立てをすべきこと。 3 裁判所は、前項の規定による公告をしたときは、遅滞なく、登記簿上その氏名又は名称が判明している共有者に対し、同項各号(第二号を除く。)の規定により公告した事項を通知しなければならない。 この通知は、通知を受ける者の登記簿上の住所又は事務所に宛てて発すれば足りる。 4 裁判所は、第二項第三号の異議の届出が同号の期間を経過した後にされたときは、当該届出を却下しなければならない。 5 裁判所は、所在等不明共有者の持分の取得の裁判をするには、申立人に対して、一定の期間内に、所在等不明共有者のために、裁判所が定める額の金銭を裁判所の指定する供託所に供託し、かつ、その旨を届け出るべきことを命じなければならない。 6 裁判所は、前項の規定による決定をした後所在等不明共有者の持分の取得の裁判をするまでの間に、事情の変更により同項の規定による決定で定めた額を不当と認めるに至ったときは、同項の規定により供託すべき金銭の額を変更しなければならない。 7 前二項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 8 裁判所は、申立人が第五項の規定による決定に従わないときは、その申立人の申立てを却下しなければならない。 9 所在等不明共有者の持分の取得の裁判は、確定しなければその効力を生じない。 10 所在等不明共有者の持分の取得の裁判は、所在等不明共有者に告知することを要しない。 11 所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てを受けた裁判所が第二項の規定による公告をした場合において、その申立てがあった所在等不明共有者の持分について申立人以外の共有者が同項第五号の期間が経過した後に所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てをしたときは、裁判所は、当該申立人以外の共有者による所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てを却下しなければならない。 (所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与) 第八十八条 所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判(民法第二百六十二条の三第一項(同条第四項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)の規定による所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判をいう。第三項において同じ。)に係る事件は、当該裁判に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 前条第二項第一号、第二号及び第四号並びに第五項から第十項までの規定は、前項の事件について準用する。 3 所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判の効力が生じた後二箇月以内にその裁判により付与された権限に基づく所在等不明共有者(民法第二百六十二条の三第一項に規定する所在等不明共有者をいう。)の持分の譲渡の効力が生じないときは、その裁判は、その効力を失う。 ただし、この期間は、裁判所において伸長することができる。 (検察官の不関与) 第八十九条 第四十条の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。 第二章 土地等の管理に関する事件 (所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令) 第九十条 民法第二編第三章第四節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、所有者不明土地管理命令(民法第二百六十四条の二第一項に規定する所有者不明土地管理命令をいう。以下この条において同じ。)をすることができない。 この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。 一 所有者不明土地管理命令の申立てがその対象となるべき土地又は共有持分についてあったこと。 二 所有者不明土地管理命令をすることについて異議があるときは、所有者不明土地管理命令の対象となるべき土地又は共有持分を有する者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、所有者不明土地管理命令がされること。 3 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。 4 裁判所は、民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判又は同法第二百六十四条の七第一項の規定による費用若しくは報酬の額を定める裁判をする場合には、所有者不明土地管理人(同法第二百六十四条の二第四項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下この条において同じ。)の陳述を聴かなければならない。 5 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。 一 所有者不明土地管理命令の申立てを却下する裁判 二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てを却下する裁判 三 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の申立てについての裁判 6 所有者不明土地管理命令があった場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分について、所有者不明土地管理命令の登記を嘱託しなければならない。 7 所有者不明土地管理命令を取り消す裁判があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならない。 8 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者又はその共有持分を有する者のために、当該金銭を所有者不明土地管理命令の対象とされた土地(共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である土地)の所在地の供託所に供託することができる。 この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 9 裁判所は、所有者不明土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。 10 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、所有者不明土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。 11 所有者不明土地等(民法第二百六十四条の三第一項に規定する所有者不明土地等をいう。以下この条において同じ。)の所有者(その共有持分を有する者を含む。以下この条において同じ。)が所有者不明土地等の所有権(その共有持分を含む。)が自己に帰属することを証明したときは、裁判所は、当該所有者の申立てにより、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。 この場合において、所有者不明土地管理命令が取り消されたときは、所有者不明土地管理人は、当該所有者に対し、その事務の経過及び結果を報告し、当該所有者に帰属することが証明された財産を引き渡さなければならない。 12 所有者不明土地管理命令及びその変更の裁判は、所有者不明土地等の所有者に告知することを要しない。 13 所有者不明土地管理命令の取消しの裁判は、事件の記録上所有者不明土地等の所有者及びその所在が判明している場合に限り、その所有者に告知すれば足りる。 14 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。 一 所有者不明土地管理命令 利害関係人 二 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判 利害関係人 三 民法第二百六十四条の七第一項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判 所有者不明土地管理人 四 第九項から第十一項までの規定による変更又は取消しの裁判 利害関係人 15 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 一 民法第二百六十四条の二第四項の規定による所有者不明土地管理人の選任の裁判 二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の裁判 16 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の八第一項に規定する所有者不明建物管理命令及び同条第四項に規定する所有者不明建物管理人について準用する。 (管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令) 第九十一条 民法第二編第三章第五節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 民法第二百六十四条の十第二項又は第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。 3 裁判所は、次の各号に掲げる裁判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。 ただし、第一号に掲げる裁判をする場合において、その陳述を聴く手続を経ることにより当該裁判の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 一 管理不全土地管理命令(民法第二百六十四条の九第一項に規定する管理不全土地管理命令をいう。以下この条において同じ。) 管理不全土地管理命令の対象となるべき土地の所有者 二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判 管理不全土地管理人(同法第二百六十四条の九第三項に規定する管理不全土地管理人をいう。以下この条において同じ。) 四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判 管理不全土地管理人 五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判 管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 4 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。 一 管理不全土地管理命令の申立てについての裁判 二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の申立てについての裁判 三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の申立てについての裁判 四 民法第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てを却下する裁判 5 管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、当該金銭を管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所在地の供託所に供託することができる。 この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 6 裁判所は、管理不全土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。 7 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、管理不全土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、管理不全土地管理命令を取り消さなければならない。 8 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。 一 管理不全土地管理命令 利害関係人 二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判 利害関係人 四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判 管理不全土地管理人 五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判 管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 六 前二項の規定による変更又は取消しの裁判 利害関係人 9 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 一 民法第二百六十四条の九第三項の規定による管理不全土地管理人の選任の裁判 二 民法第二百六十四条の十二第二項の許可の裁判 10 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の十四第一項に規定する管理不全建物管理命令及び同条第三項に規定する管理不全建物管理人について準用する。 (適用除外) 第九十二条 第四十条及び第五十七条第二項第二号の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。 第三章 供託等に関する事件 (動産質権の実行の許可) 第九十三条 民法第三百五十四条の規定による質物をもって直ちに弁済に充てることの許可の申立てに係る事件は、債務の履行地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、前項の許可の裁判をするには、債務者の陳述を聴かなければならない。 3 裁判所が前項の裁判をする場合における手続費用は、債務者の負担とする。 (供託所の指定及び供託物の保管者の選任等) 第九十四条 民法第四百九十五条第二項の供託所の指定及び供託物の保管者の選任の事件は、債務の履行地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、前項の指定及び選任の裁判をするには、債権者の陳述を聴かなければならない。 3 裁判所は、前項の規定により選任した保管者を改任することができる。 この場合においては、債権者及び弁済者の陳述を聴かなければならない。 4 裁判所が第二項の裁判又は前項の規定による改任の裁判をする場合における手続費用は、債権者の負担とする。 5 民法第六百五十八条第一項及び第二項、第六百五十九条から第六百六十一条まで並びに第六百六十四条の規定は、第二項の規定により選任し、又は第三項の規定により改任された保管者について準用する。 (競売代価の供託の許可) 第九十五条 民法第四百九十七条の裁判所の許可の事件については、前条第一項、第二項及び第四項の規定を準用する。 (買戻権の消滅に係る鑑定人の選任) 第九十六条 民法第五百八十二条の規定による鑑定人の選任の事件は、不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所が前項の鑑定人の選任の裁判をする場合における手続費用は、買主の負担とする。 (検察官の不関与) 第九十七条 第四十条の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。 (不服申立ての制限) 第九十八条 この章の規定による指定、許可、選任又は改任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 第四編 公示催告事件 第一章 通則 (公示催告の申立て) 第九十九条 裁判上の公示催告で権利の届出を催告するためのもの(以下この編において「公示催告」という。)の申立ては、法令にその届出をしないときは当該権利につき失権の効力を生ずる旨の定めがある場合に限り、することができる。 (管轄裁判所) 第百条 公示催告手続(公示催告によって当該公示催告に係る権利につき失権の効力を生じさせるための一連の手続をいう。以下この章において同じ。)に係る事件(第百十二条において「公示催告事件」という。)は、公示催告に係る権利を有する者の普通裁判籍の所在地又は当該公示催告に係る権利の目的物の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。 ただし、当該権利が登記又は登録に係るものであるときは、登記又は登録をすべき地を管轄する簡易裁判所もこれを管轄する。 (公示催告手続開始の決定等) 第百一条 裁判所は、公示催告の申立てが適法であり、かつ、理由があると認めるときは、公示催告手続開始の決定をするとともに、次に掲げる事項を内容とする公示催告をする旨の決定(第百十三条第二項において「公示催告決定」という。)をしなければならない。 一 申立人の表示 二 権利の届出の終期の指定 三 前号に規定する権利の届出の終期までに当該権利を届け出るべき旨の催告 四 前号に掲げる催告に応じて権利の届出をしないことにより生ずべき失権の効力の表示 (公示催告についての公告) 第百二条 公示催告についての公告は、前条に規定する公示催告の内容を、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、官報に掲載する方法によってする。 2 裁判所は、相当と認めるときは、申立人に対し、前項に規定する方法に加えて、前条に規定する公示催告の内容を、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載して公告すべき旨を命ずることができる。 (公示催告の期間) 第百三条 前条第一項の規定により公示催告を官報に掲載した日から権利の届出の終期までの期間は、他の法律に別段の定めがある場合を除き、二月を下ってはならない。 (公示催告手続終了の決定) 第百四条 公示催告手続開始の決定後第百六条第一項から第四項までの規定による除権決定がされるまでの間において、公示催告の申立てが不適法であること又は理由のないことが明らかになったときは、裁判所は、公示催告手続終了の決定をしなければならない。 2 前項の決定に対しては、申立人に限り、即時抗告をすることができる。 (審理終結日) 第百五条 裁判所は、権利の届出の終期の経過後においても、必要があると認めるときは、公示催告の申立てについての審理をすることができる。 この場合において、裁判所は、審理を終結する日(以下この章において「審理終結日」という。)を定めなければならない。 2 権利の届出の終期までに申立人が申立ての理由として主張した権利を争う旨の申述(以下この編において「権利を争う旨の申述」という。)があったときは、裁判所は、申立人及びその権利を争う旨の申述をした者の双方が立ち会うことができる審問期日を指定するとともに、審理終結日を定めなければならない。 3 前二項の規定により審理終結日が定められたときは、権利の届出の終期の経過後においても、権利の届出又は権利を争う旨の申述は、その審理終結日まですることができる。 4 権利を争う旨の申述をするには、自らが権利者であることその他の申立人が申立ての理由として主張した権利を争う理由を明らかにしなければならない。 (除権決定等) 第百六条 権利の届出の終期(前条第一項又は第二項の規定により審理終結日が定められた場合にあっては、審理終結日。以下この条において同じ。)までに適法な権利の届出又は権利を争う旨の申述がないときは、裁判所は、第百四条第一項の場合を除き、当該公示催告の申立てに係る権利につき失権の効力を生ずる旨の裁判(以下この編において「除権決定」という。)をしなければならない。 2 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利の届出があった場合であって、適法な権利を争う旨の申述がないときは、第百四条第一項の場合を除き、当該公示催告の申立てに係る権利のうち適法な権利の届出があったものについては失権の効力を生じない旨の定め(以下この章において「制限決定」という。)をして、除権決定をしなければならない。 3 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利を争う旨の申述があった場合であって、適法な権利の届出がないときは、第百四条第一項の場合を除き、申立人とその適法な権利を争う旨の申述をした者との間の当該権利についての訴訟の判決が確定するまで公示催告手続を中止し、又は除権決定は、その適法な権利を争う旨の申述をした者に対してはその効力を有せず、かつ、申立人が当該訴訟において敗訴したときはその効力を失う旨の定め(以下この章において「留保決定」という。)をして、除権決定をしなければならない。 ただし、その権利を争う旨の申述に理由がないことが明らかであると認めるときは、留保決定をしないで、除権決定をしなければならない。 4 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利の届出及び権利を争う旨の申述があったときは、第百四条第一項の場合を除き、制限決定及び留保決定をして、除権決定をしなければならない。 5 除権決定に対しては、第百八条の規定による場合のほか、不服を申し立てることができない。 6 制限決定又は留保決定に対しては、即時抗告をすることができる。 7 前項の即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 (除権決定等の公告) 第百七条 除権決定、制限決定及び留保決定は、官報に掲載して公告しなければならない。 (除権決定の取消しの申立て) 第百八条 次に掲げる事由がある場合には、除権決定の取消しの申立てをすることができる。 一 法令において公示催告の申立てをすることができる場合に該当しないこと。 二 第百二条第一項の規定による公示催告についての公告をせず、又は法律に定める方法によって公告をしなかったこと。 三 第百三条に規定する公示催告の期間を遵守しなかったこと。 四 除斥又は忌避の裁判により除権決定に関与することができない裁判官が除権決定に関与したこと。 五 適法な権利の届出又は権利を争う旨の申述があったにもかかわらず、第百六条第二項から第四項までの規定に違反して除権決定がされたこと。 六 第八十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百三十八条第一項第四号から第八号までの規定により再審の申立てをすることができる場合であること。 (管轄裁判所) 第百九条 前条の規定による除権決定の取消しの申立てに係る事件は、当該除権決定をした裁判所の管轄に属する。 (申立期間) 第百十条 第百八条の規定による除権決定の取消しの申立ては、申立人が除権決定があったことを知った日(同条第四号又は第六号に掲げる事由を不服の理由とする場合において、その日に申立人がその事由があることを知らなかったときにあっては、その事由があることを知った日)から三十日の不変期間内にしなければならない。 2 除権決定が告知された日から五年を経過したときは、第百八条の規定による除権決定の取消しの申立てをすることができない。 (申立てについての裁判等) 第百十一条 第百八条の規定による除権決定の取消しの申立てがあったときは、裁判所は、申立人及び相手方の双方が立ち会うことができる審問期日を指定するとともに、審理終結日を定めなければならない。 2 裁判所は、前項に規定する場合において、第百八条各号に掲げる事由があるときは、除権決定を取り消す決定をしなければならない。 3 前項の規定による除権決定を取り消す決定が確定したときは、官報に掲載してその主文を公告しなければならない。 (事件の記録の閲覧等) 第百十二条 第三十二条第一項から第四項までの規定にかかわらず、申立人及び権利の届出をした者又は権利を争う旨の申述をした者その他の利害関係人は、裁判所書記官に対し、公示催告事件又は除権決定の取消しの申立てに係る事件の記録の閲覧等又は記録の複製を請求することができる。 (適用除外) 第百十三条 第四十条の規定は、公示催告手続には、適用しない。 2 第五十九条の規定は、公示催告手続開始の決定、公示催告決定及び除権決定には、適用しない。 第二章 有価証券無効宣言公示催告事件 (申立権者) 第百十四条 盗取され、紛失し、又は滅失した有価証券のうち、法令の規定により無効とすることができるものであって、次の各号に掲げるものを無効とする旨の宣言をするためにする公示催告の申立ては、それぞれ当該各号に定める者がすることができる。 一 無記名式の有価証券又は裏書によって譲り渡すことができる有価証券であって白地式裏書(被裏書人を指定しないで、又は裏書人の署名若しくは記名押印のみをもってした裏書をいう。)がされたもの その最終の所持人 二 前号に規定する有価証券以外の有価証券 その有価証券により権利を主張することができる者 (管轄裁判所) 第百十五条 前条に規定する公示催告(以下この章において「有価証券無効宣言公示催告」という。)の申立てに係る事件は、その有価証券に義務履行地(手形又は小切手にあっては、その支払地。以下この項において同じ。)が表示されているときはその義務履行地を管轄する簡易裁判所の管轄に属し、その有価証券に義務履行地が表示されていないときはその有価証券により義務を負担する者が普通裁判籍を有する地を管轄する簡易裁判所の管轄に属し、その者が普通裁判籍を有しないときはその者がその有価証券により義務を負担した時に普通裁判籍を有した地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、同項の有価証券が登記された権利について発行されたものであるときは、同項の申立ては、その権利の目的物の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。 (申立ての方式及び疎明) 第百十六条 有価証券無効宣言公示催告の申立ては、その申立てに係る有価証券の謄本を提出し、又は当該有価証券を特定するために必要な事項を明らかにして、これをしなければならない。 2 有価証券無効宣言公示催告の申立てに係る有価証券の盗難、紛失又は滅失の事実その他第百十四条の規定により申立てをすることができる理由は、これを疎明しなければならない。 (公示催告の内容等) 第百十七条 有価証券無効宣言公示催告においては、第百一条の規定にかかわらず、次に掲げる事項を公示催告の内容とする。 一 申立人の表示 二 権利を争う旨の申述の終期の指定 三 前号に規定する権利を争う旨の申述の終期までに権利を争う旨の申述をし、かつ、有価証券を提出すべき旨の有価証券の所持人に対する催告 四 前号に掲げる催告に応じて権利を争う旨の申述をしないことにより有価証券を無効とする旨を宣言する旨の表示 2 有価証券無効宣言公示催告についての前章の規定の適用については、第百三条、第百五条第一項から第三項まで並びに第百六条第一項及び第三項中「権利の届出の終期」とあるのは「権利を争う旨の申述の終期」と、第百四条第一項中「第百六条第一項から第四項まで」とあるのは「第百六条第一項又は第三項」と、第百五条第三項、第百六条第一項及び第百八条第五号中「権利の届出又は権利を争う旨の申述」とあるのは「権利を争う旨の申述」と、第百六条第三項中「適法な権利を争う旨の申述があった場合であって、適法な権利の届出がないとき」とあるのは「適法な権利を争う旨の申述があったとき」と、同条第六項中「制限決定又は留保決定」とあるのは「留保決定」と、第百七条中「、制限決定及び留保決定」とあるのは「及び留保決定」と、第百八条第五号中「第百六条第二項から第四項まで」とあるのは「第百六条第三項」とする。 (除権決定による有価証券の無効の宣言等) 第百十八条 裁判所は、有価証券無効宣言公示催告の申立てについての除権決定において、その申立てに係る有価証券を無効とする旨を宣言しなければならない。 2 前項の除権決定がされたときは、有価証券無効宣言公示催告の申立人は、その申立てに係る有価証券により義務を負担する者に対し、当該有価証券による権利を主張することができる。 第五編 過料事件 (管轄裁判所) 第百十九条 過料事件(過料についての裁判の手続に係る非訟事件をいう。)は、他の法令に特別の定めがある場合を除き、当事者(過料の裁判がされた場合において、その裁判を受ける者となる者をいう。以下この編において同じ。)の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 (過料についての裁判等) 第百二十条 過料についての裁判には、理由を付さなければならない。 2 裁判所は、過料についての裁判をするに当たっては、あらかじめ、検察官の意見を聴くとともに、当事者の陳述を聴かなければならない。 3 過料についての裁判に対しては、当事者及び検察官に限り、即時抗告をすることができる。 この場合において、当該即時抗告が過料の裁判に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。 4 過料についての裁判の手続(その抗告審における手続を含む。次項において同じ。)に要する手続費用は、過料の裁判をした場合にあっては当該裁判を受けた者の負担とし、その他の場合にあっては国庫の負担とする。 5 過料の裁判に対して当事者から第三項の即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料についての裁判をしたときは、前項の規定にかかわらず、過料についての裁判の手続に要する手続費用は、国庫の負担とする。 (過料の裁判の執行) 第百二十一条 過料の裁判は、検察官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 過料の裁判の執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従ってする。 ただし、執行をする前に裁判の送達をすることを要しない。 3 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第七編第二章(第五百十一条及び第五百十三条第六項から第八項までを除く。)の規定は、過料の裁判の執行について準用する。 この場合において、同条第一項中「者若しくは裁判の執行の対象となるもの」とあるのは「者」と、「裁判の執行の対象となるもの若しくは裁判」とあるのは「裁判」と読み替えるものとする。 4 過料の裁判の執行があった後に当該裁判(以下この項において「原裁判」という。)に対して前条第三項の即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料の裁判をしたときは、その金額の限度において当該過料の裁判の執行があったものとみなす。 この場合において、原裁判の執行によって得た金額が当該過料の金額を超えるときは、その超過額は、これを還付しなければならない。 (略式手続) 第百二十二条 裁判所は、第百二十条第二項の規定にかかわらず、相当と認めるときは、当事者の陳述を聴かないで過料についての裁判をすることができる。 2 前項の裁判に対しては、当事者及び検察官は、当該裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内に、当該裁判をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 この場合において、当該異議の申立てが過料の裁判に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。 3 前項の異議の申立ては、次項の裁判があるまで、取り下げることができる。 この場合において、当該異議の申立ては、遡ってその効力を失う。 4 適法な異議の申立てがあったときは、裁判所は、当事者の陳述を聴いて、更に過料についての裁判をしなければならない。 5 前項の規定によってすべき裁判が第一項の裁判と符合するときは、裁判所は、同項の裁判を認可しなければならない。 ただし、同項の裁判の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。 6 前項の規定により第一項の裁判を認可する場合を除き、第四項の規定によってすべき裁判においては、第一項の裁判を取り消さなければならない。 7 第百二十条第五項の規定は、第一項の規定による過料の裁判に対して当事者から第二項の異議の申立てがあった場合において、前項の規定により当該裁判を取り消して第四項の規定により更に過料についての裁判をしたときについて準用する。 8 前条第四項の規定は、第一項の規定による過料の裁判の執行があった後に当該裁判に対して第二項の異議の申立てがあった場合において、第六項の規定により当該裁判を取り消して第四項の規定により更に過料の裁判をしたときについて準用する。
民事
Heisei
Act
423AC0000000051_20280613_505AC0000000053.xml
平成二十三年法律第五十一号
46
非訟事件手続法 第一編 総則 (趣旨) 第一条 この法律は、非訟事件の手続についての通則を定めるとともに、民事非訟事件、公示催告事件及び過料事件の手続を定めるものとする。 (最高裁判所規則) 第二条 この法律に定めるもののほか、非訟事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第二編 非訟事件の手続の通則 第一章 総則 (第二編の適用範囲) 第三条 非訟事件の手続については、次編から第五編まで及び他の法令に定めるもののほか、この編の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第四条 裁判所は、非訟事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に非訟事件の手続を追行しなければならない。 第二章 非訟事件に共通する手続 第一節 管轄 (管轄が住所地により定まる場合の管轄裁判所) 第五条 非訟事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。 2 非訟事件は、管轄が法人その他の社団又は財団(外国の社団又は財団を除く。)の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき、又は住所が知れないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。 3 非訟事件は、管轄が外国の社団又は財団の住所地により定まる場合においては、日本における主たる事務所又は営業所の所在地を管轄する裁判所の管轄に属し、日本国内に事務所又は営業所がないときは日本における代表者その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。 (優先管轄等) 第六条 この法律の他の規定又は他の法令の規定により二以上の裁判所が管轄権を有するときは、非訟事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した裁判所が管轄する。 ただし、その裁判所は、非訟事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、非訟事件の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。 (管轄裁判所の指定) 第七条 管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 3 前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 4 第一項又は第二項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (管轄裁判所の特例) 第八条 この法律の他の規定又は他の法令の規定により非訟事件の管轄が定まらないときは、その非訟事件は、裁判を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する裁判所の管轄に属する。 (管轄の標準時) 第九条 裁判所の管轄は、非訟事件の申立てがあった時又は裁判所が職権で非訟事件の手続を開始した時を標準として定める。 (移送等に関する民事訴訟法の準用等) 第十条 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第十六条(第二項ただし書を除く。)、第十八条、第二十一条及び第二十二条の規定は、非訟事件の移送等について準用する。 2 非訟事件の移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二節 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第十一条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の裁判を受ける者となるべき者(終局決定(申立てを却下する終局決定を除く。)がされた場合において、その裁判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。 二 裁判官が当事者又はその他の裁判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又はその他の裁判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくはその他の裁判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第十二条 裁判官について裁判の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第十三条 合議体の構成員である裁判官及び地方裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。 2 地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで非訟事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 非訟事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官又は非訟事件を取り扱う地方裁判所の一人の裁判官若しくは簡易裁判所の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、非訟事件の手続は停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第十四条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第十一条、第十二条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった非訟事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (専門委員の除斥及び忌避) 第十五条 非訟事件の手続における専門委員の除斥及び忌避については、第十一条、第十二条、第十三条第八項及び第九項並びに前条第二項及び第三項の規定を準用する。 この場合において、同条第二項ただし書中「前項において準用する前条第五項各号」とあるのは、「第十三条第五項各号」と読み替えるものとする。 第三節 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第十六条 当事者能力、非訟事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項及び第七十四条第一項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十一条、第三十三条並びに第三十四条第一項及び第二項の規定を準用する。 2 被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした非訟事件の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。 職権により手続が開始された場合についても、同様とする。 3 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。 一 非訟事件の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する抗告若しくは異議又は第七十七条第二項の申立ての取下げ (特別代理人) 第十七条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、非訟事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法定代理権の消滅の通知) 第十八条 法定代理権の消滅は、本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。 (法人の代表者等への準用) 第十九条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第四節 参加 (当事者参加) 第二十条 当事者となる資格を有する者は、当事者として非訟事件の手続に参加することができる。 2 前項の規定による参加(次項において「当事者参加」という。)の申出は、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 3 当事者参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (利害関係参加) 第二十一条 裁判を受ける者となるべき者は、非訟事件の手続に参加することができる。 2 裁判を受ける者となるべき者以外の者であって、裁判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、裁判所の許可を得て、非訟事件の手続に参加することができる。 3 前条第二項の規定は、第一項の規定による参加の申出及び前項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 第一項又は第二項の規定により非訟事件の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(非訟事件の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定又は他の法令の規定によりすることができる場合に限る。 第五節 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第二十二条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、第一審裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (手続代理人の代理権の範囲) 第二十三条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 一 非訟事件の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する抗告若しくは異議又は第七十七条第二項の申立て 三 前号の抗告、異議又は申立ての取下げ 四 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (法定代理の規定及び民事訴訟法の準用) 第二十四条 第十八条並びに民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第二十五条 非訟事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六節 手続費用 第一款 手続費用の負担 (手続費用の負担) 第二十六条 非訟事件の手続の費用(以下「手続費用」という。)は、特別の定めがある場合を除き、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、この法律の他の規定(次項を除く。)又は他の法令の規定によれば当事者、利害関係参加人その他の関係人がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。 一 当事者又は利害関係参加人 二 前号に掲げる者以外の裁判を受ける者となるべき者 三 前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの 3 前二項又は他の法令の規定によれば法務大臣又は検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。 (手続費用の立替え) 第二十七条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の非訟事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第二十八条 民事訴訟法第六十七条から第七十四条までの規定(同法第七十一条第八項(同法第七十二条後段及び第七十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十三条第一項中「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「非訟事件手続法第二十条第一項若しくは第二十一条第一項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「非訟事件手続法第二十八条第一項において準用する」と、「第八項まで」とあるのは「第七項まで」と、「訴訟が」とあるのは「事件が」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第五項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二款 手続上の救助 第二十九条 非訟事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で非訟事件の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「非訟事件手続法第二十九条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七節 非訟事件の審理等 (手続の非公開) 第三十条 非訟事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (電子調書の作成等) 第三十一条 裁判所書記官は、非訟事件の手続の期日について、最高裁判所規則で定めるところにより、電子調書(期日又は期日外における手続の方式、内容及び経過等の記録及び公証をするためにこの法律その他の法令の規定により裁判所書記官が作成する電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)に備えられたファイル(第三十二条の二第二項及び第三項並びに第三十二条の三第一項を除き、以下単に「ファイル」という。)に記録することをもって、これに代えることができる。 2 裁判所書記官は、非訟事件の手続について、電子調書を作成したときは、最高裁判所規則で定めるところにより、これをファイルに記録しなければならない。 (電子調書の更正) 第三十一条の二 前条第二項の規定によりファイルに記録された電子調書の内容に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでも更正することができる。 2 前項の規定による更正の処分は、最高裁判所規則で定めるところにより、その旨をファイルに記録してしなければならない。 3 第一項の規定による更正の処分又は同項の申立てを却下する処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。 4 第一項の規定による更正の処分又は同項の申立てを却下する処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。 (非電磁的事件記録の閲覧等) 第三十二条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、非電磁的事件記録(非訟事件の記録中次条第一項に規定する電磁的事件記録を除いた部分をいう。以下この条及び第百十二条第一項において同じ。)の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、非電磁的事件記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。第五項において「録音テープ等」という。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合においては、当事者又は第三者に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときを除き、これを許可しなければならない。 4 裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 5 当事者は、非電磁的事件記録中当該当事者が提出した書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)又は録音テープ等については、第一項及び第二項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製を請求することができる。 次条第四項第二号又は第三号に掲げる事項について第四十二条の二において読み替えて準用する民事訴訟法第百三十三条の二第五項の規定によりその内容を書面に出力し、又はこれを他の記録媒体に記録する措置を講じた場合の当該書面又は当該記録媒体についても、同様とする。 6 非電磁的事件記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、非電磁的事件記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 7 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 8 前項の規定による即時抗告が非訟事件の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 9 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (電磁的事件記録の閲覧等) 第三十二条の二 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録(非訟事件の記録中この法律その他の法令の規定によりファイルに記録された事項に係る部分をいう。以下この条及び第百十二条第一項において同じ。)の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができる。 2 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、電磁的事件記録に記録されている事項について、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機と手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下この条及び次条第一項において同じ。)を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法による複写を請求することができる。 3 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録に記録されている事項の全部若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを交付し、又は当該事項の全部若しくは一部を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該電磁的記録の内容が電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。 4 電磁的事件記録中次に掲げる事項に係る部分については、当事者は、前三項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、電磁的事件記録の閲覧等(第一項の規定による閲覧、第二項の規定による複写及び前項の規定による書面の交付又は電磁的記録の提供をいう。次項において同じ。)を請求することができる。 電磁的事件記録中第一号に掲げる事項に係る部分については、裁判を受ける者が当該裁判があった後に請求する場合も、同様とする。 一 電子裁判書(第五十七条第一項(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)に規定する電子裁判書であって、同条第三項(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)の規定によりファイルに記録されたものをいう。)に記録されている事項 二 当該当事者がこの法律その他の法令の規定により最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録した事項 三 当該当事者が提出した書面等又は記録媒体に記載され、又は記録された事項を裁判所書記官が第四十二条第一項において読み替えて準用する民事訴訟法第百三十二条の十二第一項の規定又は第四十二条第二項において読み替えて準用する同法第百三十二条の十三の規定によりファイルに記録した場合における当該事項 5 前条第三項、第四項及び第七項から第九項までの規定は電磁的事件記録の閲覧等の許可の申立てについて、同条第六項の規定は電磁的事件記録の閲覧及び複写について、それぞれ準用する。 (非訟事件に関する事項の証明) 第三十二条の三 当事者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、非訟事件に関する事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを交付し、又は当該事項を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。 裁判を受ける者が当該裁判があった後に請求する場合も、同様とする。 2 利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、前項の規定による請求をすることができる。 3 第三十二条第四項の規定は、利害関係を疎明した第三者から前項の規定による許可の申立てがあった場合について準用する。 (専門委員) 第三十三条 裁判所は、的確かつ円滑な審理の実現のため、又は和解を試みるに当たり、必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、専門的な知見に基づく意見を聴くために専門委員を非訟事件の手続に関与させることができる。 この場合において、専門委員の意見は、裁判長が書面により又は当事者が立ち会うことができる非訟事件の手続の期日において口頭で述べさせなければならない。 2 裁判所は、当事者の意見を聴いて、前項の規定による専門委員を関与させる裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、必要があると認めるときは、専門委員を非訟事件の手続の期日に立ち会わせることができる。 この場合において、裁判長は、専門委員が当事者、証人、鑑定人その他非訟事件の手続の期日に出頭した者に対し直接に問いを発することを許すことができる。 4 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が専門委員との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、専門委員に第一項の意見を述べさせることができる。 この場合において、裁判長は、専門委員が当事者、証人、鑑定人その他非訟事件の手続の期日に出頭した者に対し直接に問いを発することを許すことができる。 5 民事訴訟法第九十二条の二第二項の規定は第一項の規定による書面による意見の陳述について、同法第九十二条の五の規定は第一項の規定により非訟事件の手続に関与させる専門委員の指定及び任免等について、それぞれ準用する。 この場合において、同法第九十二条の二第二項中「前項」とあり、及び同法第九十二条の五第二項中「第九十二条の二」とあるのは、「非訟事件手続法第三十三条第一項」と読み替えるものとする。 6 受命裁判官又は受託裁判官が第一項の手続を行う場合には、同項から第四項までの規定及び前項において準用する民事訴訟法第九十二条の五第二項の規定による裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 ただし、証拠調べの期日における手続を行う場合には、専門委員を手続に関与させる裁判、その裁判の取消し及び専門委員の指定は、非訟事件が係属している裁判所がする。 (期日及び期間) 第三十四条 非訟事件の手続の期日の指定及び変更は、職権で、裁判長が行う。 2 非訟事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 非訟事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、非訟事件の手続の期日及び期間について準用する。 (手続の併合等) 第三十五条 裁判所は、非訟事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする非訟事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第三十六条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって非訟事件の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に非訟事件の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者による受継) 第三十七条 非訟事件の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該非訟事件の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 前項の規定による受継の申立ては、同項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。 (送達及び手続の中止) 第三十八条 送達及び非訟事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百九条の四第一項中「第百三十二条の十一第一項各号」とあるのは「非訟事件手続法第四十二条第一項において読み替えて準用する第百三十二条の十一第一項各号」と、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは「裁判を求める事項」と読み替えるものとする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第三十九条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (検察官の関与) 第四十条 検察官は、非訟事件について意見を述べ、その手続の期日に立ち会うことができる。 2 裁判所は、検察官に対し、非訟事件が係属したこと及びその手続の期日を通知するものとする。 第八節 検察官に対する通知 第四十一条 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより非訟事件の裁判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。 第九節 電子情報処理組織による申立て等 第四十二条 非訟事件の手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十、第百三十二条の十一及び第百三十二条の十二(第一項第一号に係る部分を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百三十二条の十第五項及び第六項並びに第百三十二条の十二第二項及び第三項中「送達」とあるのは「送達又は送付」と、同法第百三十二条の十一第一項第一号中「第五十四条第一項ただし書」とあるのは「非訟事件手続法第二十二条第一項ただし書」と、同項第二号中「第二条」とあるのは「第九条において準用する同法第二条」と、同法第百三十二条の十二第一項第三号中「当該申立て等に係る書面等について、当該申立て等とともに第百三十三条の二第二項の申立てがされた」とあるのは「非訟事件手続法第四十二条の二において読み替えて準用する第百三十三条第一項の決定があった」と、「申立てが却下されたとき又は当該同項の申立てに係る決定」とあるのは「決定」と、「同項に規定する秘匿事項記載部分」とあるのは「秘匿事項(同項に規定する申立て等をする者又はその法定代理人の住所等又は氏名等をいう。以下この号において同じ。)又は秘匿事項を推知することができる事項」と読み替えるものとする。 2 非訟事件の手続においてこの法律その他の法令の規定に基づき裁判所に提出された書面等(申立て等が書面等により行われたときにおける当該書面等を除く。)又は電磁的記録を記録した記録媒体に記載され、又は記録されている事項のファイルへの記録については、民事訴訟法第百三十二条の十三(第一号及び第三号に係る部分を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同条第四号中「第百三十三条の三第一項の規定による」とあるのは「非訟事件手続法第四十二条の二において読み替えて準用する第百三十三条第一項の」と、「当該決定に係る」とあるのは「当該」と、「及び電磁的記録を記録した」とあるのは「又は当該」と、「事項」とあるのは「秘匿事項(同項に規定する申立て等をする者又はその法定代理人の住所等又は氏名等をいう。以下この号において同じ。)又は秘匿事項を推知することができる事項」と読み替えるものとする。 第十節 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第四十二条の二 非訟事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項、第五項及び第六項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。 第百三十三条第一項 当事者 当事者若しくは利害関係参加人(非訟事件手続法第二十一条第五項に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の裁判を受ける者となるべき者(同法第十一条第一項第一号に規定する裁判を受ける者となるべき者をいう。) 第百三十三条第二項 次条第二項 次条第五項 第百三十三条第三項 訴訟記録等(訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録をいう。以下この章において同じ。) 非訟事件の記録 訴訟記録等の閲覧等(訴訟記録の閲覧等、非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等又は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等 非訟事件の記録の閲覧等(非電磁的事件記録(非訟事件手続法第三十二条第一項に規定する非電磁的事件記録をいう。)の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付若しくは複製又は電磁的事件記録(同法第三十二条の二第一項に規定する電磁的事件記録をいう。次条第五項及び第六項において同じ。)の閲覧若しくは複写若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくは電磁的記録の提供 第百三十三条の二第一項 訴訟記録等の閲覧等 非訟事件の記録の閲覧等 第百三十三条の二第五項 第二項の申立て 前条第一項の決定 電磁的訴訟記録等(電磁的訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録中ファイル記録事項に係る部分をいう。以下この項及び次項において同じ。)中当該秘匿事項記載部分 電磁的事件記録中秘匿事項又は秘匿事項を推知することができる事項が記録された部分(以下この条において「秘匿事項記載部分」という。) を電磁的訴訟記録等 を電磁的事件記録 第百三十三条の二第六項 電磁的訴訟記録等 電磁的事件記録 第二項の申立てを却下する裁判が確定したとき、又は当該申立てに係る決定を取り消す裁判が確定したとき 同項の決定を取り消す裁判が確定したときその他裁判所が当該措置を講ずる必要がなくなったと認めたとき 第百三十三条の四第一項 者は、訴訟記録等 当事者又は利害関係参加人は、非訟事件の記録 第百三十三条の四第二項 当事者 当事者又は利害関係参加人 訴訟記録等の存する 非訟事件の記録の存する 訴訟記録等の閲覧等 非訟事件の記録の閲覧等 第百三十三条の四第七項 当事者 当事者若しくは利害関係参加人 第三章 第一審裁判所における非訟事件の手続 第一節 非訟事件の申立て (申立ての方式等) 第四十三条 非訟事件の申立ては、申立書(以下この条及び第五十七条第一項において「非訟事件の申立書」という。)を裁判所に提出してしなければならない。 2 非訟事件の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び原因 3 申立人は、二以上の事項について裁判を求める場合において、これらの事項についての非訟事件の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。 4 非訟事件の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、非訟事件の申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 7 民事訴訟法第百三十七条の二の規定は、申立人が民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い非訟事件の申立ての手数料を納付しない場合について準用する。 (申立ての変更) 第四十四条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は原因を変更することができる。 2 申立ての趣旨又は原因の変更は、非訟事件の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 裁判所は、申立ての趣旨又は原因の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨又は原因の変更により非訟事件の手続が著しく遅滞することとなるときは、裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 第二節 非訟事件の手続の期日 (裁判長の手続指揮権) 第四十五条 非訟事件の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が非訟事件の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第四十六条 裁判所は、受命裁判官に非訟事件の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第五十一条第三項の規定又は第五十三条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第四十七条 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、非訟事件の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 非訟事件の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第四十八条 非訟事件の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、非訟事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。 第三節 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第四十九条 裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び裁判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第五十条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (事実の調査の嘱託等) 第五十一条 裁判所は、他の地方裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の地方裁判所又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (事実の調査の通知) 第五十二条 裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による非訟事件の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (証拠調べ) 第五十三条 非訟事件の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百七条第二項、第二百八条、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項、第二百三十一条の三第一項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第二百二十九条第四項の規定を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 3 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 一 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項(同法第二百三十一条及び第二百三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。 二 書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条(同法第二百三十一条及び第二百三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件及び同法第二百三十一条の二に規定する電磁的記録を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 4 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、裁判所は、十万円以下の過料に処する。 一 正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。 二 対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 三 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。 5 裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、非訟事件の手続の期日に出頭することを命ずることができる。 6 民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。 7 この条に規定するもののほか、証拠調べにおける過料についての裁判に関しては、第五編の規定(第百十九条の規定並びに第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)を準用する。 第四節 裁判 (裁判の方式) 第五十四条 裁判所は、非訟事件の手続においては、決定で、裁判をする。 (終局決定) 第五十五条 裁判所は、非訟事件が裁判をするのに熟したときは、終局決定をする。 2 裁判所は、非訟事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局決定をすることができる。 手続の併合を命じた数個の非訟事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (終局決定の告知及び効力の発生等) 第五十六条 終局決定は、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の裁判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 終局決定(申立てを却下する決定を除く。)は、裁判を受ける者(裁判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 3 申立てを却下する終局決定は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。 4 終局決定は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 5 終局決定の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (終局決定の方式及び電子裁判書) 第五十七条 終局決定は、電子裁判書(最高裁判所規則で定めるところにより、非訟事件における裁判の内容を裁判所が記録した電磁的記録をいう。以下同じ。)を作成してしなければならない。 ただし、即時抗告をすることができない決定については、最高裁判所規則で定めるところにより、主文、当事者及び法定代理人並びに裁判所を記録した電磁的記録(第三項において「電子裁判書に代わる電磁的記録」という。)を作成し、又は電子調書に主文を記録することをもって、電子裁判書の作成に代えることができる。 2 終局決定の電子裁判書には、次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 主文 二 理由の要旨 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 3 裁判所は、第一項の規定により電子裁判書又は電子裁判書に代わる電磁的記録を作成したときは、最高裁判所規則で定めるところにより、これらをファイルに記録しなければならない。 (更正決定) 第五十八条 終局決定に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、最高裁判所規則で定めるところにより、電子裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の終局決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 終局決定に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (終局決定の取消し又は変更) 第五十九条 裁判所は、終局決定をした後、その決定を不当と認めるときは、次に掲げる決定を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。 一 申立てによってのみ裁判をすべき場合において申立てを却下した決定 二 即時抗告をすることができる決定 2 終局決定が確定した日から五年を経過したときは、裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。 ただし、事情の変更によりその決定を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。 3 裁判所は、第一項の規定により終局決定の取消し又は変更をする場合には、その決定における当事者及びその他の裁判を受ける者の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の規定による取消し又は変更の終局決定に対しては、取消し後又は変更後の決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (終局決定に関する民事訴訟法の準用) 第六十条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、終局決定について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「終局決定が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (中間決定) 第六十一条 裁判所は、終局決定の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、最高裁判所規則で定めるところにより、電子裁判書を作成してしなければならない。 (終局決定以外の裁判) 第六十二条 終局決定以外の非訟事件に関する裁判については、特別の定めがある場合を除き、第五十五条から第六十条まで(第五十七条第一項及び第五十九条第三項を除く。)の規定を準用する。 2 非訟事件の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 3 終局決定以外の非訟事件に関する裁判は、判事補が単独ですることができる。 第五節 裁判によらない非訟事件の終了 (非訟事件の申立ての取下げ) 第六十三条 非訟事件の申立人は、終局決定が確定するまで、申立ての全部又は一部を取り下げることができる。 この場合において、終局決定がされた後は、裁判所の許可を得なければならない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「非訟事件の手続の期日」と読み替えるものとする。 (非訟事件の申立ての取下げの擬制) 第六十四条 非訟事件の申立人が、連続して二回、呼出しを受けた非訟事件の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた非訟事件の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。 (和解) 第六十五条 非訟事件における和解については、民事訴訟法第八十九条第一項、第二百六十四条及び第二百六十五条の規定を準用する。 この場合において、同法第二百六十四条第一項及び第二百六十五条第三項中「口頭弁論等」とあるのは、「非訟事件の手続」と読み替えるものとする。 2 裁判所書記官が、和解について電子調書を作成し、これをファイルに記録したときは、その記録は、確定した終局決定と同一の効力を有する。 3 前項の規定によりファイルに記録された電子調書は、当事者に送付しなければならない。 (和解に係る電子調書の更正決定) 第六十五条の二 前条第二項の規定によりファイルに記録された電子調書につきその内容に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、最高裁判所規則で定めるところにより、電子裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。 第四章 不服申立て 第一節 終局決定に対する不服申立て 第一款 即時抗告 (即時抗告をすることができる裁判) 第六十六条 終局決定により権利又は法律上保護される利益を害された者は、その決定に対し、即時抗告をすることができる。 2 申立てを却下した終局決定に対しては、申立人に限り、即時抗告をすることができる。 3 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第六十七条 終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 即時抗告の期間は、即時抗告をする者が裁判の告知を受ける者である場合にあっては、裁判の告知を受けた日から進行する。 3 前項の期間は、即時抗告をする者が裁判の告知を受ける者でない場合にあっては、申立人(職権で開始した事件においては、裁判を受ける者)が裁判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第六十八条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原決定の表示及びその決定に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による終局決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第四十三条第四項から第七項までの規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第六十九条 終局決定に対する即時抗告があったときは、抗告裁判所は、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 ただし、その即時抗告が不適法であるとき、又は即時抗告に理由がないことが明らかなときは、この限りでない。 2 裁判長は、前項の規定により抗告状の写しを送付するための費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 3 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (陳述の聴取) 第七十条 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の裁判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原裁判所の終局決定を取り消すことができない。 (原裁判所による更正) 第七十一条 原裁判所は、終局決定に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その決定を更正しなければならない。 (原裁判の執行停止) 第七十二条 終局決定に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (第一審の手続の規定及び民事訴訟法の準用) 第七十三条 終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前章の規定(第五十七条第一項ただし書及び第六十四条の規定を除く。)を準用する。 この場合において、第五十九条第一項第二号中「即時抗告」とあるのは、「第一審裁判所の終局決定であるとした場合に即時抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百九条までの規定は、終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項及び第四項、第二百六十二条第一項並びに第二百六十三条」とあるのは「非訟事件手続法第六十三条第二項及び第六十四条」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「非訟事件手続法第百二十一条」と読み替えるものとする。 (再抗告) 第七十四条 抗告裁判所の終局決定(その決定が第一審裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものに限る。)に対しては、次に掲げる事由を理由とするときに限り、更に即時抗告をすることができる。 ただし、第五号に掲げる事由については、手続行為能力、法定代理権又は手続行為をするのに必要な権限を有するに至った本人、法定代理人又は手続代理人による追認があったときは、この限りでない。 一 終局決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があること。 二 法律に従って裁判所を構成しなかったこと。 三 法律により終局決定に関与することができない裁判官が終局決定に関与したこと。 四 専属管轄に関する規定に違反したこと。 五 法定代理権、手続代理人の代理権又は代理人が手続行為をするのに必要な授権を欠いたこと。 六 終局決定にこの法律又は他の法令で記録すべきものと定められた理由若しくはその要旨を付せず、又は理由若しくはその要旨に食い違いがあること。 七 終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があること。 2 前項の即時抗告(以下この条及び第七十七条第一項において「再抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された再抗告の理由についてのみ調査をする。 3 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十四条、第三百二十五条第一項前段、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は、再抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「非訟事件手続法第六十八条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「非訟事件手続法第七十四条第二項の規定及び同条第三項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十四条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二款 特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第七十五条 地方裁判所及び簡易裁判所の終局決定で不服を申し立てることができないもの並びに高等裁判所の終局決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下この項及び次条において「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第七十六条 前款の規定(第六十六条、第六十七条第一項、第六十九条第三項、第七十一条及び第七十四条の規定を除く。)は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十六条第一項において準用する同法第六十八条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「非訟事件手続法第七十五条第二項の規定及び同法第七十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十五条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三款 許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第七十七条 高等裁判所の終局決定(再抗告及び次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第七十五条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 ただし、その決定が地方裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の高等裁判所は、同項の終局決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第七十五条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第七十八条 第一款の規定(第六十六条、第六十七条第一項、第六十八条第四項及び第五項、第六十九条第三項、第七十一条並びに第七十四条の規定を除く。)は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、これらの規定中「抗告状」とあるのは「第七十七条第二項の規定による許可の申立書」と、第六十七条第二項及び第三項、第六十八条第一項、第二項第二号及び第三項、第六十九条第一項並びに第七十二条第一項本文中「即時抗告」とあり、及び第六十八条第六項中「即時抗告の提起」とあるのは「第七十七条第二項の申立て」と、第七十二条第一項ただし書並びに第七十三条第一項前段及び第二項中「即時抗告」とあるのは「許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「非訟事件手続法第七十七条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「非訟事件手続法第七十七条第五項の規定及び同法第七十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「非訟事件手続法第七十七条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二節 終局決定以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第七十九条 終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第八十条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、非訟事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が非訟事件が係属している裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 3 最高裁判所又は高等裁判所に非訟事件が係属している場合における第一項の規定の適用については、同項ただし書中「非訟事件が係属している裁判所」とあるのは、「地方裁判所」とする。 (即時抗告期間) 第八十一条 終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 (終局決定に対する不服申立ての規定の準用) 第八十二条 前節の規定(第六十六条第一項及び第二項、第六十七条第一項並びに第六十九条及び第七十条(これらの規定を第七十六条第一項及び第七十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 第五章 再審 (再審) 第八十三条 確定した終局決定その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における非訟事件の手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により終局決定その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該終局決定その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第八十四条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第七十二条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第三編 民事非訟事件 第一章 共有に関する事件 (共有物の管理に係る決定) 第八十五条 次に掲げる裁判に係る事件は、当該裁判に係る共有物又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条に規定する数人で所有権以外の財産権を有する場合における当該財産権(以下この条において単に「共有物」という。)の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 一 民法第二百五十一条第二項、第二百五十二条第二項第一号及び第二百五十二条の二第二項(これらの規定を同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)の規定による裁判 二 民法第二百五十二条第二項第二号(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。第三項において同じ。)の規定による裁判 2 前項第一号の裁判については、裁判所が次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、することができない。 この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。 一 当該共有物について前項第一号の裁判の申立てがあったこと。 二 裁判所が前項第一号の裁判をすることについて異議があるときは、当該他の共有者等(民法第二百五十一条第二項(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する当該他の共有者、同法第二百五十二条第二項第一号(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する他の共有者又は同法第二百五十二条の二第二項(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する当該共有者をいう。第六項において同じ。)は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、前項第一号の裁判がされること。 3 第一項第二号の裁判については、裁判所が次に掲げる事項を当該他の共有者(民法第二百五十二条第二項第二号に規定する当該他の共有者をいう。以下この項及び次項において同じ。)に通知し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、することができない。 この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。 一 当該共有物について第一項第二号の裁判の申立てがあったこと。 二 当該他の共有者は裁判所に対し一定の期間内に共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべきこと。 三 前号の期間内に当該他の共有者が裁判所に対し共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにしないときは、第一項第二号の裁判がされること。 4 前項第二号の期間内に裁判所に対し共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにした当該他の共有者があるときは、裁判所は、その者に係る第一項第二号の裁判をすることができない。 5 第一項各号の裁判は、確定しなければその効力を生じない。 6 第一項第一号の裁判は、当該他の共有者等に告知することを要しない。 (共有物分割の証書の保存者の指定) 第八十六条 民法第二百六十二条第三項の規定による証書の保存者の指定の事件は、共有物の分割がされた地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、前項の指定の裁判をするには、分割者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 3 裁判所が前項の裁判をする場合における手続費用は、分割者の全員が等しい割合で負担する。 4 第二項の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (所在等不明共有者の持分の取得) 第八十七条 所在等不明共有者の持分の取得の裁判(民法第二百六十二条の二第一項(同条第五項において準用する場合を含む。次項第一号において同じ。)の規定による所在等不明共有者の持分の取得の裁判をいう。以下この条において同じ。)に係る事件は、当該裁判に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号、第三号及び第五号の期間が経過した後でなければ、所在等不明共有者の持分の取得の裁判をすることができない。 この場合において、第二号、第三号及び第五号の期間は、いずれも三箇月を下ってはならない。 一 所在等不明共有者(民法第二百六十二条の二第一項に規定する所在等不明共有者をいう。以下この条において同じ。)の持分について所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てがあったこと。 二 裁判所が所在等不明共有者の持分の取得の裁判をすることについて異議があるときは、所在等不明共有者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。 三 民法第二百六十二条の二第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の異議の届出は、一定の期間内にすべきこと。 四 前二号の届出がないときは、所在等不明共有者の持分の取得の裁判がされること。 五 所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てがあった所在等不明共有者の持分について申立人以外の共有者が所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てをするときは一定の期間内にその申立てをすべきこと。 3 裁判所は、前項の規定による公告をしたときは、遅滞なく、登記簿上その氏名又は名称が判明している共有者に対し、同項各号(第二号を除く。)の規定により公告した事項を通知しなければならない。 この通知は、通知を受ける者の登記簿上の住所又は事務所に宛てて発すれば足りる。 4 裁判所は、第二項第三号の異議の届出が同号の期間を経過した後にされたときは、当該届出を却下しなければならない。 5 裁判所は、所在等不明共有者の持分の取得の裁判をするには、申立人に対して、一定の期間内に、所在等不明共有者のために、裁判所が定める額の金銭を裁判所の指定する供託所に供託し、かつ、その旨を届け出るべきことを命じなければならない。 6 裁判所は、前項の規定による決定をした後所在等不明共有者の持分の取得の裁判をするまでの間に、事情の変更により同項の規定による決定で定めた額を不当と認めるに至ったときは、同項の規定により供託すべき金銭の額を変更しなければならない。 7 前二項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 8 裁判所は、申立人が第五項の規定による決定に従わないときは、その申立人の申立てを却下しなければならない。 9 所在等不明共有者の持分の取得の裁判は、確定しなければその効力を生じない。 10 所在等不明共有者の持分の取得の裁判は、所在等不明共有者に告知することを要しない。 11 所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てを受けた裁判所が第二項の規定による公告をした場合において、その申立てがあった所在等不明共有者の持分について申立人以外の共有者が同項第五号の期間が経過した後に所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てをしたときは、裁判所は、当該申立人以外の共有者による所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てを却下しなければならない。 (所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与) 第八十八条 所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判(民法第二百六十二条の三第一項(同条第四項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)の規定による所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判をいう。第三項において同じ。)に係る事件は、当該裁判に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 前条第二項第一号、第二号及び第四号並びに第五項から第十項までの規定は、前項の事件について準用する。 3 所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判の効力が生じた後二箇月以内にその裁判により付与された権限に基づく所在等不明共有者(民法第二百六十二条の三第一項に規定する所在等不明共有者をいう。)の持分の譲渡の効力が生じないときは、その裁判は、その効力を失う。 ただし、この期間は、裁判所において伸長することができる。 (検察官の不関与) 第八十九条 第四十条の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。 第二章 土地等の管理に関する事件 (所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令) 第九十条 民法第二編第三章第四節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、所有者不明土地管理命令(民法第二百六十四条の二第一項に規定する所有者不明土地管理命令をいう。以下この条において同じ。)をすることができない。 この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。 一 所有者不明土地管理命令の申立てがその対象となるべき土地又は共有持分についてあったこと。 二 所有者不明土地管理命令をすることについて異議があるときは、所有者不明土地管理命令の対象となるべき土地又は共有持分を有する者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、所有者不明土地管理命令がされること。 3 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。 4 裁判所は、民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判又は同法第二百六十四条の七第一項の規定による費用若しくは報酬の額を定める裁判をする場合には、所有者不明土地管理人(同法第二百六十四条の二第四項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下この条において同じ。)の陳述を聴かなければならない。 5 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。 一 所有者不明土地管理命令の申立てを却下する裁判 二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てを却下する裁判 三 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の申立てについての裁判 6 所有者不明土地管理命令があった場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分について、所有者不明土地管理命令の登記を嘱託しなければならない。 7 所有者不明土地管理命令を取り消す裁判があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならない。 8 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者又はその共有持分を有する者のために、当該金銭を所有者不明土地管理命令の対象とされた土地(共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である土地)の所在地の供託所に供託することができる。 この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 9 裁判所は、所有者不明土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。 10 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、所有者不明土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。 11 所有者不明土地等(民法第二百六十四条の三第一項に規定する所有者不明土地等をいう。以下この条において同じ。)の所有者(その共有持分を有する者を含む。以下この条において同じ。)が所有者不明土地等の所有権(その共有持分を含む。)が自己に帰属することを証明したときは、裁判所は、当該所有者の申立てにより、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。 この場合において、所有者不明土地管理命令が取り消されたときは、所有者不明土地管理人は、当該所有者に対し、その事務の経過及び結果を報告し、当該所有者に帰属することが証明された財産を引き渡さなければならない。 12 所有者不明土地管理命令及びその変更の裁判は、所有者不明土地等の所有者に告知することを要しない。 13 所有者不明土地管理命令の取消しの裁判は、事件の記録上所有者不明土地等の所有者及びその所在が判明している場合に限り、その所有者に告知すれば足りる。 14 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。 一 所有者不明土地管理命令 利害関係人 二 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判 利害関係人 三 民法第二百六十四条の七第一項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判 所有者不明土地管理人 四 第九項から第十一項までの規定による変更又は取消しの裁判 利害関係人 15 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 一 民法第二百六十四条の二第四項の規定による所有者不明土地管理人の選任の裁判 二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の裁判 16 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の八第一項に規定する所有者不明建物管理命令及び同条第四項に規定する所有者不明建物管理人について準用する。 (管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令) 第九十一条 民法第二編第三章第五節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 民法第二百六十四条の十第二項又は第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。 3 裁判所は、次の各号に掲げる裁判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。 ただし、第一号に掲げる裁判をする場合において、その陳述を聴く手続を経ることにより当該裁判の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 一 管理不全土地管理命令(民法第二百六十四条の九第一項に規定する管理不全土地管理命令をいう。以下この条において同じ。) 管理不全土地管理命令の対象となるべき土地の所有者 二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判 管理不全土地管理人(同法第二百六十四条の九第三項に規定する管理不全土地管理人をいう。以下この条において同じ。) 四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判 管理不全土地管理人 五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判 管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 4 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。 一 管理不全土地管理命令の申立てについての裁判 二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の申立てについての裁判 三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の申立てについての裁判 四 民法第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てを却下する裁判 5 管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、当該金銭を管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所在地の供託所に供託することができる。 この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 6 裁判所は、管理不全土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。 7 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、管理不全土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、管理不全土地管理命令を取り消さなければならない。 8 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。 一 管理不全土地管理命令 利害関係人 二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判 利害関係人 四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判 管理不全土地管理人 五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判 管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者 六 前二項の規定による変更又は取消しの裁判 利害関係人 9 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 一 民法第二百六十四条の九第三項の規定による管理不全土地管理人の選任の裁判 二 民法第二百六十四条の十二第二項の許可の裁判 10 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の十四第一項に規定する管理不全建物管理命令及び同条第三項に規定する管理不全建物管理人について準用する。 (適用除外) 第九十二条 第四十条及び第五十七条第二項第二号の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。 第三章 供託等に関する事件 (動産質権の実行の許可) 第九十三条 民法第三百五十四条の規定による質物をもって直ちに弁済に充てることの許可の申立てに係る事件は、債務の履行地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、前項の許可の裁判をするには、債務者の陳述を聴かなければならない。 3 裁判所が前項の裁判をする場合における手続費用は、債務者の負担とする。 (供託所の指定及び供託物の保管者の選任等) 第九十四条 民法第四百九十五条第二項の供託所の指定及び供託物の保管者の選任の事件は、債務の履行地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所は、前項の指定及び選任の裁判をするには、債権者の陳述を聴かなければならない。 3 裁判所は、前項の規定により選任した保管者を改任することができる。 この場合においては、債権者及び弁済者の陳述を聴かなければならない。 4 裁判所が第二項の裁判又は前項の規定による改任の裁判をする場合における手続費用は、債権者の負担とする。 5 民法第六百五十八条第一項及び第二項、第六百五十九条から第六百六十一条まで並びに第六百六十四条の規定は、第二項の規定により選任し、又は第三項の規定により改任された保管者について準用する。 (競売代価の供託の許可) 第九十五条 民法第四百九十七条の裁判所の許可の事件については、前条第一項、第二項及び第四項の規定を準用する。 (買戻権の消滅に係る鑑定人の選任) 第九十六条 民法第五百八十二条の規定による鑑定人の選任の事件は、不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 裁判所が前項の鑑定人の選任の裁判をする場合における手続費用は、買主の負担とする。 (検察官の不関与) 第九十七条 第四十条の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。 (不服申立ての制限) 第九十八条 この章の規定による指定、許可、選任又は改任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 第四編 公示催告事件 第一章 通則 (公示催告の申立て) 第九十九条 裁判上の公示催告で権利の届出を催告するためのもの(以下この編において「公示催告」という。)の申立ては、法令にその届出をしないときは当該権利につき失権の効力を生ずる旨の定めがある場合に限り、することができる。 (管轄裁判所) 第百条 公示催告手続(公示催告によって当該公示催告に係る権利につき失権の効力を生じさせるための一連の手続をいう。以下この章において同じ。)に係る事件(第百十二条第一項において「公示催告事件」という。)は、公示催告に係る権利を有する者の普通裁判籍の所在地又は当該公示催告に係る権利の目的物の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。 ただし、当該権利が登記又は登録に係るものであるときは、登記又は登録をすべき地を管轄する簡易裁判所もこれを管轄する。 (公示催告手続開始の決定等) 第百一条 裁判所は、公示催告の申立てが適法であり、かつ、理由があると認めるときは、公示催告手続開始の決定をするとともに、次に掲げる事項を内容とする公示催告をする旨の決定(第百十三条第二項において「公示催告決定」という。)をしなければならない。 一 申立人の表示 二 権利の届出の終期の指定 三 前号に規定する権利の届出の終期までに当該権利を届け出るべき旨の催告 四 前号に掲げる催告に応じて権利の届出をしないことにより生ずべき失権の効力の表示 (公示催告についての公告) 第百二条 公示催告についての公告は、前条に規定する公示催告の内容について、次の各号に掲げるいずれかの措置をとり、かつ、官報に掲載する方法によってする。 一 裁判所の掲示場に掲示すること。 二 裁判所に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができる状態に置くこと。 2 裁判所は、相当と認めるときは、申立人に対し、前項に規定する方法に加えて、前条に規定する公示催告の内容を、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載して公告すべき旨を命ずることができる。 (公示催告の期間) 第百三条 前条第一項の規定により公示催告を官報に掲載した日から権利の届出の終期までの期間は、他の法律に別段の定めがある場合を除き、二月を下ってはならない。 (公示催告手続終了の決定) 第百四条 公示催告手続開始の決定後第百六条第一項から第四項までの規定による除権決定がされるまでの間において、公示催告の申立てが不適法であること又は理由のないことが明らかになったときは、裁判所は、公示催告手続終了の決定をしなければならない。 2 前項の決定に対しては、申立人に限り、即時抗告をすることができる。 (審理終結日) 第百五条 裁判所は、権利の届出の終期の経過後においても、必要があると認めるときは、公示催告の申立てについての審理をすることができる。 この場合において、裁判所は、審理を終結する日(以下この章において「審理終結日」という。)を定めなければならない。 2 権利の届出の終期までに申立人が申立ての理由として主張した権利を争う旨の申述(以下この編において「権利を争う旨の申述」という。)があったときは、裁判所は、申立人及びその権利を争う旨の申述をした者の双方が立ち会うことができる審問期日を指定するとともに、審理終結日を定めなければならない。 3 前二項の規定により審理終結日が定められたときは、権利の届出の終期の経過後においても、権利の届出又は権利を争う旨の申述は、その審理終結日まですることができる。 4 権利を争う旨の申述をするには、自らが権利者であることその他の申立人が申立ての理由として主張した権利を争う理由を明らかにしなければならない。 (除権決定等) 第百六条 権利の届出の終期(前条第一項又は第二項の規定により審理終結日が定められた場合にあっては、審理終結日。以下この条において同じ。)までに適法な権利の届出又は権利を争う旨の申述がないときは、裁判所は、第百四条第一項の場合を除き、当該公示催告の申立てに係る権利につき失権の効力を生ずる旨の裁判(以下この編において「除権決定」という。)をしなければならない。 2 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利の届出があった場合であって、適法な権利を争う旨の申述がないときは、第百四条第一項の場合を除き、当該公示催告の申立てに係る権利のうち適法な権利の届出があったものについては失権の効力を生じない旨の定め(以下この章において「制限決定」という。)をして、除権決定をしなければならない。 3 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利を争う旨の申述があった場合であって、適法な権利の届出がないときは、第百四条第一項の場合を除き、申立人とその適法な権利を争う旨の申述をした者との間の当該権利についての訴訟の判決が確定するまで公示催告手続を中止し、又は除権決定は、その適法な権利を争う旨の申述をした者に対してはその効力を有せず、かつ、申立人が当該訴訟において敗訴したときはその効力を失う旨の定め(以下この章において「留保決定」という。)をして、除権決定をしなければならない。 ただし、その権利を争う旨の申述に理由がないことが明らかであると認めるときは、留保決定をしないで、除権決定をしなければならない。 4 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利の届出及び権利を争う旨の申述があったときは、第百四条第一項の場合を除き、制限決定及び留保決定をして、除権決定をしなければならない。 5 除権決定に対しては、第百八条の規定による場合のほか、不服を申し立てることができない。 6 制限決定又は留保決定に対しては、即時抗告をすることができる。 7 前項の即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 (除権決定等の公告) 第百七条 除権決定、制限決定及び留保決定は、官報に掲載して公告しなければならない。 (除権決定の取消しの申立て) 第百八条 次に掲げる事由がある場合には、除権決定の取消しの申立てをすることができる。 一 法令において公示催告の申立てをすることができる場合に該当しないこと。 二 第百二条第一項の規定による公示催告についての公告をせず、又は法律に定める方法によって公告をしなかったこと。 三 第百三条に規定する公示催告の期間を遵守しなかったこと。 四 除斥又は忌避の裁判により除権決定に関与することができない裁判官が除権決定に関与したこと。 五 適法な権利の届出又は権利を争う旨の申述があったにもかかわらず、第百六条第二項から第四項までの規定に違反して除権決定がされたこと。 六 第八十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百三十八条第一項第四号から第八号までの規定により再審の申立てをすることができる場合であること。 (管轄裁判所) 第百九条 前条の規定による除権決定の取消しの申立てに係る事件は、当該除権決定をした裁判所の管轄に属する。 (申立期間) 第百十条 第百八条の規定による除権決定の取消しの申立ては、申立人が除権決定があったことを知った日(同条第四号又は第六号に掲げる事由を不服の理由とする場合において、その日に申立人がその事由があることを知らなかったときにあっては、その事由があることを知った日)から三十日の不変期間内にしなければならない。 2 除権決定が告知された日から五年を経過したときは、第百八条の規定による除権決定の取消しの申立てをすることができない。 (申立てについての裁判等) 第百十一条 第百八条の規定による除権決定の取消しの申立てがあったときは、裁判所は、申立人及び相手方の双方が立ち会うことができる審問期日を指定するとともに、審理終結日を定めなければならない。 2 裁判所は、前項に規定する場合において、第百八条各号に掲げる事由があるときは、除権決定を取り消す決定をしなければならない。 3 前項の規定による除権決定を取り消す決定が確定したときは、官報に掲載してその主文を公告しなければならない。 (事件の記録の閲覧等) 第百十二条 第三十二条第一項及び第二項、同条第三項及び第四項(これらの規定を第三十二条の二第五項において準用する場合を含む。)並びに第三十二条の二第一項から第三項までの規定にかかわらず、申立人及び権利の届出をした者又は権利を争う旨の申述をした者その他の利害関係人は、裁判所書記官に対し、公示催告事件又は除権決定の取消しの申立てに係る事件の非電磁的事件記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付若しくは複製又は電磁的事件記録の閲覧若しくは複写若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくは電磁的記録の提供を請求することができる。 2 前項に規定する利害関係人は、第三十二条の三第二項及び第三項の規定にかかわらず、同条第一項の規定による請求をすることができる。 (適用除外) 第百十三条 第四十条の規定は、公示催告手続には、適用しない。 2 第五十九条の規定は、公示催告手続開始の決定、公示催告決定及び除権決定には、適用しない。 第二章 有価証券無効宣言公示催告事件 (申立権者) 第百十四条 盗取され、紛失し、又は滅失した有価証券のうち、法令の規定により無効とすることができるものであって、次の各号に掲げるものを無効とする旨の宣言をするためにする公示催告の申立ては、それぞれ当該各号に定める者がすることができる。 一 無記名式の有価証券又は裏書によって譲り渡すことができる有価証券であって白地式裏書(被裏書人を指定しないで、又は裏書人の署名若しくは記名押印のみをもってした裏書をいう。)がされたもの その最終の所持人 二 前号に規定する有価証券以外の有価証券 その有価証券により権利を主張することができる者 (管轄裁判所) 第百十五条 前条に規定する公示催告(以下この章において「有価証券無効宣言公示催告」という。)の申立てに係る事件は、その有価証券に義務履行地(手形又は小切手にあっては、その支払地。以下この項において同じ。)が表示されているときはその義務履行地を管轄する簡易裁判所の管轄に属し、その有価証券に義務履行地が表示されていないときはその有価証券により義務を負担する者が普通裁判籍を有する地を管轄する簡易裁判所の管轄に属し、その者が普通裁判籍を有しないときはその者がその有価証券により義務を負担した時に普通裁判籍を有した地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、同項の有価証券が登記された権利について発行されたものであるときは、同項の申立ては、その権利の目的物の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。 (申立ての方式及び疎明) 第百十六条 有価証券無効宣言公示催告の申立ては、その申立てに係る有価証券の謄本を提出し、又は当該有価証券を特定するために必要な事項を明らかにして、これをしなければならない。 2 有価証券無効宣言公示催告の申立てに係る有価証券の盗難、紛失又は滅失の事実その他第百十四条の規定により申立てをすることができる理由は、これを疎明しなければならない。 (公示催告の内容等) 第百十七条 有価証券無効宣言公示催告においては、第百一条の規定にかかわらず、次に掲げる事項を公示催告の内容とする。 一 申立人の表示 二 権利を争う旨の申述の終期の指定 三 前号に規定する権利を争う旨の申述の終期までに権利を争う旨の申述をし、かつ、有価証券を提出すべき旨の有価証券の所持人に対する催告 四 前号に掲げる催告に応じて権利を争う旨の申述をしないことにより有価証券を無効とする旨を宣言する旨の表示 2 有価証券無効宣言公示催告についての前章の規定の適用については、第百三条、第百五条第一項から第三項まで並びに第百六条第一項及び第三項中「権利の届出の終期」とあるのは「権利を争う旨の申述の終期」と、第百四条第一項中「第百六条第一項から第四項まで」とあるのは「第百六条第一項又は第三項」と、第百五条第三項、第百六条第一項及び第百八条第五号中「権利の届出又は権利を争う旨の申述」とあるのは「権利を争う旨の申述」と、第百六条第三項中「適法な権利を争う旨の申述があった場合であって、適法な権利の届出がないとき」とあるのは「適法な権利を争う旨の申述があったとき」と、同条第六項中「制限決定又は留保決定」とあるのは「留保決定」と、第百七条中「、制限決定及び留保決定」とあるのは「及び留保決定」と、第百八条第五号中「第百六条第二項から第四項まで」とあるのは「第百六条第三項」とする。 (除権決定による有価証券の無効の宣言等) 第百十八条 裁判所は、有価証券無効宣言公示催告の申立てについての除権決定において、その申立てに係る有価証券を無効とする旨を宣言しなければならない。 2 前項の除権決定がされたときは、有価証券無効宣言公示催告の申立人は、その申立てに係る有価証券により義務を負担する者に対し、当該有価証券による権利を主張することができる。 第五編 過料事件 (管轄裁判所) 第百十九条 過料事件(過料についての裁判の手続に係る非訟事件をいう。)は、他の法令に特別の定めがある場合を除き、当事者(過料の裁判がされた場合において、その裁判を受ける者となる者をいう。以下この編において同じ。)の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 (過料についての裁判等) 第百二十条 過料についての裁判には、理由を付さなければならない。 2 裁判所は、過料についての裁判をするに当たっては、あらかじめ、検察官の意見を聴くとともに、当事者の陳述を聴かなければならない。 3 過料についての裁判に対しては、当事者及び検察官に限り、即時抗告をすることができる。 この場合において、当該即時抗告が過料の裁判に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。 4 過料についての裁判の手続(その抗告審における手続を含む。次項において同じ。)に要する手続費用は、過料の裁判をした場合にあっては当該裁判を受けた者の負担とし、その他の場合にあっては国庫の負担とする。 5 過料の裁判に対して当事者から第三項の即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料についての裁判をしたときは、前項の規定にかかわらず、過料についての裁判の手続に要する手続費用は、国庫の負担とする。 (過料の裁判の執行) 第百二十一条 過料の裁判は、検察官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 過料の裁判の執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従ってする。 ただし、執行をする前に裁判の送達をすることを要しない。 3 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第七編第二章(第五百十一条及び第五百十三条第六項から第八項までを除く。)の規定は、過料の裁判の執行について準用する。 この場合において、同条第一項中「者若しくは裁判の執行の対象となるもの」とあるのは「者」と、「裁判の執行の対象となるもの若しくは裁判」とあるのは「裁判」と読み替えるものとする。 4 過料の裁判の執行があった後に当該裁判(以下この項において「原裁判」という。)に対して前条第三項の即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料の裁判をしたときは、その金額の限度において当該過料の裁判の執行があったものとみなす。 この場合において、原裁判の執行によって得た金額が当該過料の金額を超えるときは、その超過額は、これを還付しなければならない。 (略式手続) 第百二十二条 裁判所は、第百二十条第二項の規定にかかわらず、相当と認めるときは、当事者の陳述を聴かないで過料についての裁判をすることができる。 2 前項の裁判に対しては、当事者及び検察官は、当該裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内に、当該裁判をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 この場合において、当該異議の申立てが過料の裁判に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。 3 前項の異議の申立ては、次項の裁判があるまで、取り下げることができる。 この場合において、当該異議の申立ては、遡ってその効力を失う。 4 適法な異議の申立てがあったときは、裁判所は、当事者の陳述を聴いて、更に過料についての裁判をしなければならない。 5 前項の規定によってすべき裁判が第一項の裁判と符合するときは、裁判所は、同項の裁判を認可しなければならない。 ただし、同項の裁判の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。 6 前項の規定により第一項の裁判を認可する場合を除き、第四項の規定によってすべき裁判においては、第一項の裁判を取り消さなければならない。 7 第百二十条第五項の規定は、第一項の規定による過料の裁判に対して当事者から第二項の異議の申立てがあった場合において、前項の規定により当該裁判を取り消して第四項の規定により更に過料についての裁判をしたときについて準用する。 8 前条第四項の規定は、第一項の規定による過料の裁判の執行があった後に当該裁判に対して第二項の異議の申立てがあった場合において、第六項の規定により当該裁判を取り消して第四項の規定により更に過料の裁判をしたときについて準用する。
民事
Heisei
Act
423AC0000000052_20240524_506AC0000000033.xml
平成二十三年法律第五十二号
46
家事事件手続法 第一編 総則 第一章 通則 (趣旨) 第一条 家事審判及び家事調停に関する事件(以下「家事事件」という。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第二条 裁判所は、家事事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に家事事件の手続を追行しなければならない。 (最高裁判所規則) 第三条 この法律に定めるもののほか、家事事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第一章の二 日本の裁判所の管轄権 (不在者の財産の管理に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の二 裁判所は、不在者の財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の五十五の項の事項についての審判事件をいう。第百四十五条において同じ。)について、不在者の財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (失踪の宣告の取消しの審判事件の管轄権) 第三条の三 裁判所は、失踪の宣告の取消しの審判事件(別表第一の五十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十九条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 日本において失踪の宣告の審判があったとき。 二 失踪者の住所が日本国内にあるとき又は失踪者が日本の国籍を有するとき。 三 失踪者が生存していたと認められる最後の時点において、失踪者が日本国内に住所を有していたとき又は日本の国籍を有していたとき。 (嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件の管轄権) 第三条の四 裁判所は、嫡出否認の訴えについて日本の裁判所が管轄権を有するときは、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件(別表第一の五十九の項の事項についての審判事件をいう。第百五十九条第一項及び第二項において同じ。)について、管轄権を有する。 (養子縁組をするについての許可の審判事件等の管轄権) 第三条の五 裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判事件(別表第一の六十一の項の事項についての審判事件をいう。第百六十一条第一項及び第二項において同じ。)及び特別養子縁組の成立の審判事件(同表の六十三の項の事項についての審判事件をいう。第百六十四条において同じ。)(特別養子適格の確認の審判事件(同条第二項に規定する特別養子適格の確認についての審判事件をいう。第百六十四条の二第二項及び第四項において同じ。)を含む。)について、養親となるべき者又は養子となるべき者の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (死後離縁をするについての許可の審判事件の管轄権) 第三条の六 裁判所は、死後離縁をするについての許可の審判事件(別表第一の六十二の項の事項についての審判事件をいう。第百六十二条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親又は養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養親又は養子がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。 三 養親又は養子の一方が日本の国籍を有する場合であって、他の一方がその死亡の時に日本の国籍を有していたとき。 (特別養子縁組の離縁の審判事件の管轄権) 第三条の七 裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判事件(別表第一の六十四の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養子の実父母又は検察官からの申立てであって、養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 養親及び養子が日本の国籍を有するとき。 四 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親及び養子が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 五 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親が行方不明であるとき、養親の住所がある国においてされた離縁に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが養親と養子との間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (親権に関する審判事件等の管轄権) 第三条の八 裁判所は、親権に関する審判事件(別表第一の六十五の項から六十九の項まで並びに別表第二の七の項及び八の項の事項についての審判事件をいう。第百六十七条において同じ。)、子の監護に関する処分の審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第四号及び第百五十一条第二号において同じ。)(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)及び親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件(別表第一の百三十二の項の事項についての審判事件をいう。第二百四十二条第一項第二号及び第三項において同じ。)について、子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件等の管轄権) 第三条の九 裁判所は、養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件(別表第一の七十の項の事項についての審判事件をいう。第百七十六条及び第百七十七条第一号において同じ。)又は未成年後見人の選任の審判事件(同表の七十一の項の事項についての審判事件をいう。同条第二号において同じ。)について、未成年被後見人となるべき者若しくは未成年被後見人(以下この条において「未成年被後見人となるべき者等」という。)の住所若しくは居所が日本国内にあるとき又は未成年被後見人となるべき者等が日本の国籍を有するときは、管轄権を有する。 (夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件の管轄権) 第三条の十 裁判所は、夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件(別表第一の八十四の項及び八十五の項並びに別表第二の一の項から三の項まで、九の項及び十の項の事項についての審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件にあっては、子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。)をいう。)について、扶養義務者(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件にあっては、扶養義務者となるべき者)であって申立人でないもの又は扶養権利者(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件にあっては、子の監護者又は子)の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (相続に関する審判事件の管轄権) 第三条の十一 裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで及び百三十三の項並びに別表第二の十一の項から十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。 2 相続開始の前に推定相続人の廃除の審判事件(別表第一の八十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)、推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件(同表の八十七の項の事項についての審判事件をいう。第百八十八条第一項及び第百八十九条第一項において同じ。)、遺言の確認の審判事件(同表の百二の項の事項についての審判事件をいう。第二百九条第二項において同じ。)又は遺留分の放棄についての許可の審判事件(同表の百十の項の事項についての審判事件をいう。第二百十六条第一項第二号において同じ。)の申立てがあった場合における前項の規定の適用については、同項中「相続開始の時における被相続人」とあるのは「被相続人」と、「相続開始の前」とあるのは「申立て前」とする。 3 裁判所は、第一項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第百八十九条第一項及び第二項において同じ。)、相続財産の保存に関する処分の審判事件(同表の八十九の項の事項についての審判事件をいう。第百九十条の二において同じ。)、限定承認を受理した場合における相続財産の清算人の選任の審判事件(同表の九十四の項の事項についての審判事件をいう。)、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十七の項の事項についての審判事件をいう。第二百二条第一項第二号及び第三項において同じ。)及び相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 4 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に遺産の分割に関する審判事件(別表第二の十二の項から十四の項までの事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第百九十一条第一項において同じ。)及び特別の寄与に関する処分の審判事件(同表の十五の項の事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第二百十六条の二において同じ。)の申立てをすることができるかについて定めることができる。 5 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三条の七第二項から第四項までの規定は、前項の合意について準用する。 (財産の分与に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の十二 裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件(別表第二の四の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第五号において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 夫であった者及び妻であった者の双方が日本の国籍を有するとき。 三 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、夫であった者及び妻であった者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 四 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた財産の分与に関する処分に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (家事調停事件の管轄権) 第三条の十三 裁判所は、家事調停事件について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 当該調停を求める事項についての訴訟事件又は家事審判事件について日本の裁判所が管轄権を有するとき。 二 相手方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 当事者が日本の裁判所に家事調停の申立てをすることができる旨の合意をしたとき。 2 民事訴訟法第三条の七第二項及び第三項の規定は、前項第三号の合意について準用する。 3 人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての調停事件については、第一項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。 (特別の事情による申立ての却下) 第三条の十四 裁判所は、第三条の二から前条までに規定する事件について日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(遺産の分割に関する審判事件又は特別の寄与に関する処分の審判事件について、日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の合意に基づき申立てがされた場合を除く。)においても、事案の性質、申立人以外の事件の関係人の負担の程度、証拠の所在地、未成年者である子の利益その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが適正かつ迅速な審理の実現を妨げ、又は相手方がある事件について申立人と相手方との間の衡平を害することとなる特別の事情があると認めるときは、その申立ての全部又は一部を却下することができる。 (管轄権の標準時) 第三条の十五 日本の裁判所の管轄権は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 第二章 管轄 (管轄が住所地により定まる場合の管轄権を有する家庭裁判所) 第四条 家事事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (優先管轄) 第五条 この法律の他の規定により二以上の家庭裁判所が管轄権を有するときは、家事事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した家庭裁判所が管轄する。 (管轄裁判所の指定) 第六条 管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 3 前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (管轄権を有する家庭裁判所の特例) 第七条 この法律の他の規定により家事事件の管轄が定まらないときは、その家事事件は、審判又は調停を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管轄の標準時) 第八条 裁判所の管轄は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 (移送等) 第九条 裁判所は、家事事件の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。 ただし、家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。 2 家庭裁判所は、家事事件がその管轄に属する場合においても、次の各号に掲げる事由があるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を当該各号に定める家庭裁判所に移送することができる。 一 家事事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるとき 第五条の規定により管轄権を有しないこととされた家庭裁判所 二 事件を処理するために特に必要があると認めるとき 前号の家庭裁判所以外の家庭裁判所 3 前二項の規定による移送の裁判及び第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 民事訴訟法第二十二条の規定は、家事事件の移送の裁判について準用する。 第三章 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第十条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者(審判(申立てを却下する審判を除く。)がされた場合において、その審判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。 二 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第十一条 裁判官について裁判又は調停の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第十二条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、受託裁判官として職務を行う簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。 2 家庭裁判所及び地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで家事事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 家事事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官、調停委員会を組織する裁判官又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第十三条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (参与員の除斥及び忌避) 第十四条 参与員の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 参与員について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その参与員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 参与員の除斥又は忌避についての裁判は、参与員の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官(受命裁判官の手続に立ち会う参与員が忌避の申立てを受けたときに限る。)又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官がすることができる。 (家事調停官の除斥及び忌避) 第十五条 家事調停官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項から第四項まで、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、前項において準用する同条第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 3 家事調停官の除斥又は忌避についての裁判は、家事調停官の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項の裁判は、忌避された家事調停官がすることができる。 (家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥) 第十六条 家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥については、第十条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。 2 家庭裁判所調査官又は家事調停委員について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官又は家事調停委員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 3 家庭裁判所調査官又は家事調停委員の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官又は家事調停委員の所属する裁判所がする。 第四章 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第十七条 当事者能力、家事事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十一条、第三十三条並びに第三十四条第一項及び第二項の規定を準用する。 2 被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした家事審判又は家事調停の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。 職権により手続が開始された場合についても、同様とする。 3 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について同意その他の授権を得ている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告若しくは第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立ての取下げ又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議の取下げ (未成年者及び成年被後見人の法定代理人) 第十八条 親権を行う者又は後見人は、第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により未成年者又は成年被後見人が法定代理人によらずに自ら手続行為をすることができる場合であっても、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。 ただし、家事審判及び家事調停の申立ては、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定により親権を行う者又は後見人が申立てをすることができる場合(人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の申立てにあっては、同法その他の法令の規定によりその訴えを提起することができる場合を含む。)に限る。 (特別代理人) 第十九条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、家事事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法定代理権の消滅の通知) 第二十条 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、法定代理権の消滅は、本人又は代理人から他方の当事者に通知しなければ、その効力を生じない。 家事調停事件においても、同様とする。 (法人の代表者等への準用) 第二十一条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第五章 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第二十二条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (裁判長による手続代理人の選任等) 第二十三条 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。 2 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。 3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し手続行為につき行為能力の制限を受けた者が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。 (手続代理人の代理権の範囲) 第二十四条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について委任を受けている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告、第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立て又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議 四 前号の抗告(即時抗告を含む。)、申立て又は異議の取下げ 五 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (手続代理人の代理権の消滅の通知) 第二十五条 手続代理人の代理権の消滅は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についてのものに限る。)及び家事調停事件においては本人又は代理人から他方の当事者に、その他の家事事件においては本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。 (手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用) 第二十六条 民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第二十七条 家事事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六章 手続費用 第一節 手続費用の負担 (手続費用の負担) 第二十八条 手続費用(家事審判に関する手続の費用(以下「審判費用」という。)及び家事調停に関する手続の費用(以下「調停費用」という。)をいう。以下同じ。)は、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び利害関係参加人(第四十二条第七項に規定する利害関係参加人をいう。第一号において同じ。)がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。 一 当事者又は利害関係参加人 二 前号に掲げる者以外の審判を受ける者となるべき者 三 前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの 3 前二項の規定によれば検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。 (手続費用の負担の裁判等) 第二十九条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における審判費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。 ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。 2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。 事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。 3 調停が成立した場合において、調停費用(審判手続を経ている場合にあっては、審判費用を含む。)の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 4 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟が係属する裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、その訴訟についての訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 (手続費用の立替え) 第三十条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の家事事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第三十一条 民事訴訟法第六十九条から第七十四条までの規定(裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての決定に対する即時抗告に関する部分を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十二条中「当事者が裁判所において和解をした場合」とあるのは「調停が成立した場合」と、「和解の費用又は訴訟費用」とあるのは「家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第二十九条第三項の調停費用又は同条第四項の訴訟費用」と、同法第七十三条第一項中「裁判及び和解」とあるのは「裁判及び調停の成立」と、「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「家事事件手続法第四十一条第一項若しくは第四十二条第一項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「家事事件手続法第三十一条第一項において準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第四項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二節 手続上の救助 第三十二条 家事事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で家事審判又は家事調停の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「家事事件手続法第三十二条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七章 家事事件の審理等 (手続の非公開) 第三十三条 家事事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (期日及び期間) 第三十四条 家事事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。 2 家事事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 家事事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、家事事件の手続の期日及び期間について準用する。 (手続の併合等) 第三十五条 裁判所は、家事事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする家事事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (送達及び手続の中止) 第三十六条 送達及び家事事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは、「裁判又は調停を求める事項」と読み替えるものとする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第三十七条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第八章 電子情報処理組織による申立て等 第三十八条 家事事件の手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十第一項から第五項までの規定(支払督促に関する部分を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定によりされた申立て等に係るこの法律の他の規定による家事事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、同条第五項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第九章 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第三十八条の二 家事事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同法第百三十三条第一項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人(家事事件手続法第四十二条第七項(同法第二百五十八条第一項において準用する場合を含む。)に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の審判を受ける者となるべき者(同法第十条第一項第一号に規定する審判を受ける者となるべき者をいう。)」と、同法第百三十三条の四第一項中「秘匿決定、第百三十三条の二第二項の決定又は前条の決定(次項及び第七項において「秘匿決定等」という。)に係る者以外の者は、訴訟記録等」とあるのは「秘匿決定(家事事件手続法第二百七十七条第一項に規定する事項以外の事項についての家事調停の手続に係るもの並びに同法第二百八十九条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による調査及び勧告の事件の手続に係るものを除く。次項、第四項第一号及び第七項において同じ。)に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、当該秘匿決定に係る事件の記録」と、同条第二項中「秘匿決定等に係る者以外の当事者は、秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、秘匿決定」と、「訴訟記録等」とあるのは「前項の事件の記録」と、同条第四項第一号中「秘匿決定又は第百三十三条の二第二項の決定」とあるのは「秘匿決定」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人」と、「秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定」と読み替えるものとする。 第二編 家事審判に関する手続 第一章 総則 第一節 家事審判の手続 第一款 通則 (審判事項) 第三十九条 家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第一及び別表第二に掲げる事項並びに同編に定める事項について、審判をする。 (参与員) 第四十条 家庭裁判所は、参与員の意見を聴いて、審判をする。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、その意見を聴かないで、審判をすることができる。 2 家庭裁判所は、参与員を家事審判の手続の期日に立ち会わせることができる。 3 参与員は、家庭裁判所の許可を得て、第一項の意見を述べるために、申立人が提出した資料の内容について、申立人から説明を聴くことができる。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、この限りでない。 4 参与員の員数は、各事件について一人以上とする。 5 参与員は、毎年あらかじめ家庭裁判所の選任した者の中から、事件ごとに家庭裁判所が指定する。 6 前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の規定による選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 7 参与員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (当事者参加) 第四十一条 当事者となる資格を有する者は、当事者として家事審判の手続に参加することができる。 2 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者(審判を受ける者となるべき者に限る。)を、当事者として家事審判の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (利害関係参加) 第四十二条 審判を受ける者となるべき者は、家事審判の手続に参加することができる。 2 審判を受ける者となるべき者以外の者であって、審判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、家庭裁判所の許可を得て、家事審判の手続に参加することができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、職権で、審判を受ける者となるべき者及び前項に規定する者を、家事審判の手続に参加させることができる。 4 前条第三項の規定は、第一項の規定による参加の申出及び第二項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。 5 家庭裁判所は、第一項又は第二項の規定により家事審判の手続に参加しようとする者が未成年者である場合において、その者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者が当該家事審判の手続に参加することがその者の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出又は第二項の規定による参加の許可の申立てを却下しなければならない。 6 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判(前項の規定により第一項の規定による参加の申出を却下する裁判を含む。)に対しては、即時抗告をすることができる。 7 第一項から第三項までの規定により家事審判の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(家事審判の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。 (手続からの排除) 第四十三条 家庭裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を家事審判の手続から排除することができる。 2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第四十四条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって家事審判の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、家庭裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に家事審判の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者による受継) 第四十五条 家事審判の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該家事審判の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 家庭裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、職権で、当該家事審判の申立てをすることができる者に、その手続を受け継がせることができる。 3 第一項の規定による受継の申立て及び前項の規定による受継の裁判は、第一項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。 (調書の作成等) 第四十六条 裁判所書記官は、家事審判の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第四十七条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事審判事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事審判事件に関する事項の証明書の交付(第二百八十九条第六項において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。 2 前項の規定は、家事審判事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、これを許可しなければならない。 4 家庭裁判所は、事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、前項の規定にかかわらず、同項の申立てを許可しないことができる。 事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てを許可することを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。 5 家庭裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 6 審判書その他の裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は家事審判事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 審判を受ける者が当該審判があった後に請求する場合も、同様とする。 7 家事審判事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事審判事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 8 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 9 前項の規定による即時抗告が家事審判の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 10 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (検察官に対する通知) 第四十八条 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより審判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄権を有する家庭裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。 第二款 家事審判の申立て (申立ての方式等) 第四十九条 家事審判の申立ては、申立書(以下「家事審判の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事審判の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 申立人は、二以上の事項について審判を求める場合において、これらの事項についての家事審判の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。 4 家事審判の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い家事審判の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (申立ての変更) 第五十条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は理由を変更することができる。 ただし、第七十一条(第百八十八条第四項において準用する場合を含む。)の規定により審理を終結した後は、この限りでない。 2 申立ての趣旨又は理由の変更は、家事審判の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 家庭裁判所は、申立ての趣旨又は理由の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨又は理由の変更により家事審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 第三款 家事審判の手続の期日 (事件の関係人の呼出し) 第五十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができる。 2 呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。 ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。 3 前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、五万円以下の過料に処する。 (裁判長の手続指揮権) 第五十二条 家事審判の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が家事審判の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第五十三条 家庭裁判所は、受命裁判官に家事審判の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第六十一条第三項の規定又は第六十四条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第五十四条 家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 家事審判の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第五十五条 家事審判の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、家事審判事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。 第四款 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第五十六条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び審判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第五十七条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (家庭裁判所調査官による事実の調査) 第五十八条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。 4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。 (家庭裁判所調査官の期日への立会い等) 第五十九条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、家事審判の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。 2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。 3 家庭裁判所は、家事審判事件の処理に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 4 急迫の事情があるときは、裁判長が、前項の措置をとらせることができる。 (裁判所技官による診断等) 第六十条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 2 第五十八条第二項から第四項までの規定は前項の診断について、前条第一項及び第二項の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について準用する。 (事実の調査の嘱託等) 第六十一条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (調査の嘱託等) 第六十二条 家庭裁判所は、必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (事実の調査の通知) 第六十三条 家庭裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による家事審判の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (証拠調べ) 第六十四条 家事審判の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百七条第二項、第二百八条、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第二百二十九条第四項の規定を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 3 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 一 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。 二 書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 4 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 一 正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。 二 対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 三 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。 5 家庭裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、家事審判の手続の期日に出頭することを命ずることができる。 6 民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。 第五款 家事審判の手続における子の意思の把握等 第六十五条 家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 第六款 家事調停をすることができる事項についての家事審判の手続の特則 (合意管轄) 第六十六条 別表第二に掲げる事項についての審判事件は、この法律の他の規定により定める家庭裁判所のほか、当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 (家事審判の申立書の写しの送付等) 第六十七条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、家事審判の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事審判の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事審判の申立てがあったことを通知することをもって、家事審判の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は、前項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について準用する。 3 裁判長は、第一項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 4 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (陳述の聴取) 第六十八条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。 2 前項の規定による陳述の聴取は、当事者の申出があるときは、審問の期日においてしなければならない。 (審問の期日) 第六十九条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。 ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。 (事実の調査の通知) 第七十条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続において、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (審理の終結) 第七十一条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。 ただし、当事者双方が立ち会うことができる家事審判の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。 (審判日) 第七十二条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、審判をする日を定めなければならない。 第七款 審判等 (審判) 第七十三条 家庭裁判所は、家事審判事件が裁判をするのに熟したときは、審判をする。 2 家庭裁判所は、家事審判事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について審判をすることができる。 手続の併合を命じた数個の家事審判事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (審判の告知及び効力の発生等) 第七十四条 審判は、特別の定めがある場合を除き、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の審判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 審判(申立てを却下する審判を除く。)は、特別の定めがある場合を除き、審判を受ける者(審判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 ただし、即時抗告をすることができる審判は、確定しなければその効力を生じない。 3 申立てを却下する審判は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。 4 審判は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 5 審判の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (審判の執行力) 第七十五条 金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 (審判の方式及び審判書) 第七十六条 審判は、審判書を作成してしなければならない。 ただし、即時抗告をすることができない審判については、家事審判の申立書又は調書に主文を記載することをもって、審判書の作成に代えることができる。 2 審判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由の要旨 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第七十七条 審判に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 審判に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (審判の取消し又は変更) 第七十八条 家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、次に掲げる審判を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。 一 申立てによってのみ審判をすべき場合において申立てを却下した審判 二 即時抗告をすることができる審判 2 審判が確定した日から五年を経過したときは、家庭裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。 ただし、事情の変更によりその審判を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、第一項の規定により審判の取消し又は変更をする場合には、その審判における当事者及びその他の審判を受ける者の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の規定による取消し又は変更の審判に対しては、取消し後又は変更後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (審判に関する民事訴訟法の準用) 第七十九条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、審判について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「審判が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (外国裁判所の家事事件についての確定した裁判の効力) 第七十九条の二 外国裁判所の家事事件についての確定した裁判(これに準ずる公的機関の判断を含む。)については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第百十八条の規定を準用する。 (中間決定) 第八十条 家庭裁判所は、審判の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (審判以外の裁判) 第八十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続においては、審判をする場合を除き、決定で裁判をする。 この場合には、第七十三条から第七十九条まで(第七十四条第二項ただし書、第七十六条第一項及び第七十八条第三項を除く。)の規定を準用する。 2 家事審判の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 3 審判以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。 第八款 取下げによる事件の終了 (家事審判の申立ての取下げ) 第八十二条 家事審判の申立ては、特別の定めがある場合を除き、審判があるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立ては、審判が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、申立ての取下げは、審判がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。 ただし、申立ての取下げが家事審判の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。 4 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。 同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 5 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、家事審判の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「家事審判の手続の期日」と読み替えるものとする。 (家事審判の申立ての取下げの擬制) 第八十三条 家事審判の申立人(第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合にあっては、当事者双方)が、連続して二回、呼出しを受けた家事審判の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた家事審判の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、家庭裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。 第九款 高等裁判所が第一審として行う手続 第八十四条 高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合におけるこの節の規定の適用については、同節の規定(第五十八条、第五十九条第一項から第三項まで、第六十一条第一項及び第二項並びに第六十五条の規定を除く。)中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第三十九条、第四十七条第六項、第四十九条第三項、第五十六条第二項、第六十五条、第七十二条、第七十三条、第七十四条第一項から第三項まで(第二項ただし書を除く。)、第七十五条、第七十七条第一項、第七十八条(第一項第二号及び第四項を除く。)、第七十九条、第八十条第一項、第八十一条第一項並びに第八十二条第一項及び第二項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第四十二条第二項中「審判の結果」とあるのは「審判に代わる裁判の結果」と、第五十八条第一項、第五十九条第一項から第三項まで、第六十一条第一項及び第六十五条中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、第五十八条第三項中「家庭裁判所に」とあるのは「高等裁判所に」と、第七十六条中「審判書」とあるのは「裁判書」と、同条第一項中「審判は」とあるのは「審判に代わる裁判は」と、同項ただし書中「即時抗告をすることができない審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができない審判に代わる裁判」と、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」とする。 2 第四十条及び第四十八条の規定は、高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合については、適用しない。 第二節 不服申立て 第一款 審判に対する不服申立て 第一目 即時抗告 (即時抗告をすることができる審判) 第八十五条 審判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 2 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第八十六条 審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 即時抗告の期間は、特別の定めがある場合を除き、即時抗告をする者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては申立人が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第八十七条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原審判の表示及びその審判に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による審判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第四十九条第四項及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第八十八条 審判に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 ただし、抗告審における手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められる場合には、即時抗告があったことを通知することをもって、抗告状の写しの送付に代えることができる。 2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 (陳述の聴取) 第八十九条 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の審判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原審判を取り消すことができない。 2 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 (原裁判所による更正) 第九十条 原裁判所は、審判に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その審判を更正しなければならない。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判については、更正することができない。 (抗告裁判所による裁判) 第九十一条 抗告裁判所は、即時抗告について決定で裁判をする。 2 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、家事審判事件について自ら審判に代わる裁判をしなければならない。 ただし、第九十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。 (原審の管轄違いの場合の取扱い) 第九十二条 抗告裁判所は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についての審判事件を除く。)の全部又は一部が原裁判所の管轄に属しないと認める場合には、原審判を取り消さなければならない。 ただし、原審における審理の経過、事件の性質、抗告の理由等に照らして原審判を取り消さないことを相当とする特別の事情があると認めるときは、この限りでない。 2 抗告裁判所は、家事審判事件が管轄違いであることを理由として原審判を取り消すときは、その事件を管轄権を有する家庭裁判所に移送しなければならない。 (家事審判の手続の規定及び民事訴訟法の準用等) 第九十三条 審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前節第一款から第八款までの規定(第四十条、第四十一条第四項、第四十二条第六項、第四十三条第二項、第四十四条第二項、第四十七条第八項から第十項まで、第四十八条、第四十九条第六項、第六十六条、第六十七条第四項、第七十四条第二項ただし書、第四項及び第五項、第七十六条第一項ただし書、第七十七条第三項から第五項まで、第七十八条第四項、第八十一条第三項並びに第八十三条の規定を除く。)、第四節の規定(第百五条第二項、第百十条、第百十一条及び第百十三条の規定を除く。)及び次章の規定(家庭裁判所の管轄及び即時抗告に関する規定を除く。)を準用する。 この場合において、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは、「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」と読み替えるものとする。 2 抗告裁判所は、第八十八条第一項の規定による抗告状の写しの送付及びこれに代わる即時抗告があったことの通知をすることを要しないときは、前項において準用する第七十一条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。 3 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百八条までの規定は、審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条」とあるのは「家事事件手続法第八十二条第五項及び第八十三条」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「家事事件手続法第二百九十一条」と読み替えるものとする。 第二目 特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第九十四条 家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (原裁判の執行停止) 第九十五条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。 ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十六条 第八十六条第二項、第八十七条から第八十九条まで、第九十一条第一項及び第九十三条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十七条第六項中「及び第五項」とあるのは、「から第六項まで」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十六条第一項において読み替えて準用する同法第八十七条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第二項の規定及び同法第九十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三目 許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第九十七条 高等裁判所の家事審判事件についての決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第九十四条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 ただし、その決定が家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の高等裁判所は、同項の決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第九十四条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十八条 第八十六条第二項、第八十七条(第四項及び第五項を除く。)、第八十八条、第八十九条、第九十一条第一項、第九十三条及び第九十五条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十六条第二項、第八十七条第一項、第二項第二号及び第三項、第八十八条第一項並びに第八十九条第二項中「即時抗告」とあり、第八十七条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第九十五条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第九十七条第二項の申立て」と、第八十七条第一項、第二項及び第六項、第八十八条並びに第九十三条第二項中「抗告状」とあるのは「第九十七条第二項の規定による許可の申立書」と、第九十一条第一項並びに第九十三条第一項前段、第二項及び第三項中「即時抗告」とあり、並びに第九十五条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項の規定及び同法第九十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二款 審判以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第九十九条 審判以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第百条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、家事審判事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (即時抗告期間等) 第百一条 審判以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 (審判に対する不服申立ての規定の準用) 第百二条 前款の規定(第八十五条第一項、第八十六条第一項並びに第八十八条及び第八十九条(これらの規定を第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした審判以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 第三節 再審 (再審) 第百三条 確定した審判その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により審判その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該審判その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第百四条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第四節 審判前の保全処分 (審判前の保全処分) 第百五条 本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずる審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判に代わる裁判をする。 (審判前の保全処分の申立て等) 第百六条 審判前の保全処分(前条第一項の審判及び同条第二項の審判に代わる裁判をいう。以下同じ。)の申立ては、その趣旨及び保全処分を求める事由を明らかにしてしなければならない。 2 審判前の保全処分の申立人は、保全処分を求める事由を疎明しなければならない。 3 家庭裁判所(前条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、審判前の保全処分の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、職権で、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 4 審判前の保全処分の申立ては、審判前の保全処分があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。 (陳述の聴取) 第百七条 審判前の保全処分のうち仮の地位を定める仮処分を命ずるものは、審判を受ける者となるべき者の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第百八条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、第四十七条第三項の規定にかかわらず、審判前の保全処分の事件について、当事者から同条第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、審判前の保全処分の事件における審判を受ける者となるべき者に対し、当該事件が係属したことを通知し、又は審判前の保全処分を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。 (審判) 第百九条 審判前の保全処分は、疎明に基づいてする。 2 審判前の保全処分については、第七十四条第二項ただし書の規定は、適用しない。 3 審判前の保全処分の執行及び効力は、民事保全法(平成元年法律第九十一号)その他の仮差押え及び仮処分の執行及び効力に関する法令の規定に従う。 この場合において、同法第四十五条中「仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、「本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属している家庭裁判所(当該家事審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」とする。 (即時抗告) 第百十条 審判前の保全処分(第百五条第二項の審判に代わる裁判を除く。次項において同じ。)の申立人は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 ただし、次に掲げる保全処分の申立てを却下する審判については、この限りでない。 一 第百二十六条第一項(第百三十四条第一項及び第百四十三条第一項において準用する場合を含む。)、第百五十八条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)及び第二百条第一項の規定による財産の管理者の選任又は財産の管理等に関する指示の保全処分 二 第百二十七条第一項(第百三十五条、第百四十四条、第百八十一条及び第二百二十五条第一項において準用する場合を含む。)、第百六十六条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)、第百七十四条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)、第百七十五条第三項及び第二百十五条第一項の規定による職務代行者の選任の保全処分 2 本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者は、審判前の保全処分(前項各号に掲げる保全処分を命ずる審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 (即時抗告に伴う執行停止) 第百十一条 前条第二項の規定により即時抗告が提起された場合において、原審判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原審判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、若しくは担保を立てさせないで原審判の執行の停止を命じ、又は担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 審判前の保全処分の事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、これらの処分を命ずることができる。 2 第百六条第二項及び第三項の規定は、前項の申立てについて準用する。 (審判前の保全処分の取消し) 第百十二条 審判前の保全処分が確定した後に、保全処分を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所又は審判前の保全処分をした家庭裁判所は、本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者の申立てにより又は職権で、審判前の保全処分の取消しの審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判前の保全処分の取消しの審判に代わる裁判をする。 3 第百六条並びに第百九条第一項及び第二項の規定は、第一項の審判前の保全処分の取消しの審判及び前項の裁判について準用する。 (即時抗告等) 第百十三条 前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判の申立人は、申立てを却下する審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの申立てを却下する審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 2 審判前の保全処分の申立人は、前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの審判を除く。)及び第百十五条において準用する民事保全法第三十三条の規定による原状回復の審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百十一条の規定は、前二項の規定による即時抗告に伴う執行停止について準用する。 (調書の作成) 第百十四条 裁判所書記官は、審判前の保全処分の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 審判前の保全処分の手続については、第四十六条の規定は、適用しない。 (民事保全法の準用) 第百十五条 民事保全法第四条の規定は審判前の保全処分に関する手続における担保について、同法第十四条、第十五条及び第二十条から第二十四条まで(同法第二十三条第四項を除く。)の規定は審判前の保全処分について、同法第三十三条の規定は審判前の保全処分の取消しの裁判について、同法第三十四条の規定は第百十二条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判について準用する。 第五節 戸籍の記載等の嘱託 第百十六条 裁判所書記官は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者又は登記所に対し、戸籍の記載又は後見登記等に関する法律(平成十一年法律第百五十二号)に定める登記を嘱託しなければならない。 ただし、戸籍の記載又は同法に定める登記の嘱託を要するものとして最高裁判所規則で定めるものに限る。 一 別表第一に掲げる事項についての審判又はこれに代わる裁判が効力を生じた場合 二 審判前の保全処分が効力を生じ、又は効力を失った場合 第二章 家事審判事件 第一節 成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百十七条 後見開始の審判事件(別表第一の一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条第一号において同じ。)は、成年被後見人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 成年後見に関する審判事件(別表第一の一の項から十六の二の項までの事項についての審判事件をいう。)は、後見開始の審判事件を除き、後見開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が後見開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、後見開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百十八条 次に掲げる審判事件(第一号、第四号及び第六号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 後見開始の審判事件 二 後見開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二の項の事項についての審判事件をいう。) 三 成年後見人の選任の審判事件(別表第一の三の項の事項についての審判事件をいう。) 四 成年後見人の解任の審判事件(別表第一の五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第一項において同じ。) 五 成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の六の項の事項についての審判事件をいう。) 六 成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の八の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第五項において同じ。) 七 成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の十二の項の事項についての審判事件をいう。) 八 成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(以下「郵便物等」という。)の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判事件(別表第一の十二の二の項の事項についての審判事件をいう。第百二十三条の二において「成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件」という。) 九 成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の十四の項の事項についての審判事件をいう。) 十 第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の十五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十五条第一項及び第二項において同じ。) (精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取) 第百十九条 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の精神の状況につき鑑定をしなければ、後見開始の審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 家庭裁判所は、成年被後見人の精神の状況につき医師の意見を聴かなければ、民法第十条の規定による後見開始の審判の取消しの審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (陳述及び意見の聴取) 第百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号から第三号までにあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 後見開始の審判の取消しの審判(民法第十条の規定による場合に限る。) 成年被後見人及び成年後見人 三 成年後見人又は成年後見監督人の選任の審判 成年被後見人となるべき者又は成年被後見人 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 六 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 成年後見人の選任の審判 成年後見人となるべき者 二 成年後見監督人の選任の審判 成年後見監督人となるべき者 (申立ての取下げの制限) 第百二十一条 次に掲げる申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 一 後見開始の申立て 二 民法第八百四十三条第二項の規定による成年後見人の選任の申立て 三 民法第八百四十五条の規定により選任の請求をしなければならない者による同法第八百四十三条第三項の規定による成年後見人の選任の申立て (審判の告知等) 第百二十二条 次の各号に掲げる審判は、当該各号に定める者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判は、信書の送達の事業を行う者に告知することを要しない。 この場合においては、その審判が効力を生じた時に、信書の送達の事業を行う者に通知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 後見開始の審判 民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者並びに任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号。以下「任意後見契約法」という。)第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 後見開始の審判の取消しの審判 成年後見人及び成年後見監督人 三 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 (即時抗告) 第百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 後見開始の審判 民法第七条及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 後見開始の申立てを却下する審判 申立人 三 後見開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十条に規定する者 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、成年後見監督人並びに成年被後見人及びその親族 六 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 七 成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに成年被後見人及びその親族 八 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人及びその親族 九 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 十 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の申立てを却下する審判 申立人 十一 成年被後見人の死亡後の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為についての許可の申立てを却下する審判 申立人 2 審判の告知を受ける者でない者による後見開始の審判に対する即時抗告の期間は、民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (陳述の聴取の例外) 第百二十三条の二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件においては、第八十九条第一項の規定(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)にかかわらず、抗告裁判所は、信書の送達の事業を行う者の陳述を聴くことを要しない。 (成年後見の事務の監督) 第百二十四条 家庭裁判所は、適当な者に、成年後見の事務若しくは成年被後見人の財産の状況を調査させ、又は臨時に財産の管理をさせることができる。 2 家庭裁判所は、前項の規定により調査又は管理をした者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 3 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査をさせることができる。 4 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、第一項の規定により財産を管理する者について準用する。 (管理者の改任等) 第百二十五条 家庭裁判所は、いつでも、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者を改任することができる。 2 家庭裁判所は、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者(前項の規定により改任された管理者を含む。以下この条において「財産の管理者」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、成年被後見人の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、財産の管理者に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 財産の管理者の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、財産の管理者について準用する。 7 家庭裁判所は、成年被後見人が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったときその他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、成年被後見人、財産の管理者若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 (後見開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百二十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護又は財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護若しくは財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、成年被後見人となるべき者の財産上の行為(民法第九条ただし書に規定する行為を除く。第七項において同じ。)につき、前項の財産の管理者の後見を受けることを命ずることができる。 3 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、第百七条の規定にかかわらず、その者の陳述を聴く手続を経ずに、前項の規定による審判(次項から第七項までにおいて「後見命令の審判」という。)をすることができる。 4 後見命令の審判は、第一項の財産の管理者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによって、その効力を生ずる。 5 後見命令の審判は、成年被後見人となるべき者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 6 審判の告知を受ける者でない者による後見命令の審判に対する即時抗告の期間は、第一項の財産の管理者が第四項の規定による告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 7 後見命令の審判があったときは、成年被後見人となるべき者及び第一項の財産の管理者は、成年被後見人となるべき者がした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 8 前条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、前条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「成年被後見人となるべき者」と読み替えるものとする。 (成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百二十七条 家庭裁判所は、成年後見人の解任の審判事件が係属している場合において、成年被後見人の利益のため必要があるときは、成年後見人の解任の申立てをした者の申立てにより又は職権で、成年後見人の解任についての審判が効力を生ずるまでの間、成年後見人の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による成年後見人の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される成年後見人、他の成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定は、成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第二節 保佐に関する審判事件 (管轄) 第百二十八条 保佐開始の審判事件(別表第一の十七の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被保佐人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 保佐に関する審判事件(別表第一の十七の項から三十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、保佐開始の審判事件を除き、保佐開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が保佐開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、保佐開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百二十九条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被保佐人となるべき者及び被保佐人について準用する。 一 保佐開始の審判事件 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の十八の項の事項についての審判事件をいう。) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の十九の項の事項についての審判事件をいう。) 四 保佐開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二十の項の事項についての審判事件をいう。) 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の二十一の項の事項についての審判事件をいう。) 六 保佐人の選任の審判事件(別表第一の二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 七 保佐人の解任の審判事件(別表第一の二十四の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 八 保佐監督人の選任の審判事件(別表第一の二十六の項の事項についての審判事件をいう。) 九 保佐監督人の解任の審判事件(別表第一の二十八の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 十 保佐人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の三十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十三の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 保佐の事務の監督の審判事件(別表第一の三十四の項の事項についての審判事件をいう。) (陳述及び意見の聴取) 第百三十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号、第四号及び第五号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 保佐開始の審判 被保佐人となるべき者 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人 四 保佐開始の審判の取消しの審判(民法第十四条第一項の規定による場合に限る。) 被保佐人及び保佐人 五 保佐人又は保佐監督人の選任の審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 保佐人の選任の審判 保佐人となるべき者 二 保佐監督人の選任の審判 保佐監督人となるべき者 (審判の告知) 第百三十一条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 保佐開始の審判 民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐人又は保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐人となるべき者又は保佐監督人となるべき者) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人及び保佐監督人 四 保佐開始の審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 六 保佐人に対する代理権の付与の審判 被保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐監督人となるべき者) 七 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被保佐人及び保佐監督人 (即時抗告) 第百三十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 保佐開始の審判 民法第十一条本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 保佐開始の申立てを却下する審判 申立人 三 保佐開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十四条第一項に規定する者 四 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人 五 保佐人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐人の解任の申立てを却下する審判 申立人、保佐監督人並びに被保佐人及びその親族 八 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 九 保佐監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被保佐人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐開始の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百三十三条 第百十九条の規定は被保佐人となるべき者及び被保佐人の精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取について、第百二十一条の規定は保佐開始の申立ての取下げ及び保佐人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は保佐の事務の監督について準用する。 (保佐開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百三十四条 保佐開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、保佐開始の申立てがあった場合において、被保佐人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、保佐開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被保佐人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為に限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の保佐を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「保佐命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐命令の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 保佐命令の審判があったときは、被保佐人となるべき者及び財産の管理者は、被保佐人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被保佐人となるべき者」と読み替えるものとする。 (保佐人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百三十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、保佐人の解任の審判事件又は保佐監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第三節 補助に関する審判事件 (管轄) 第百三十六条 補助開始の審判事件(別表第一の三十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被補助人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 補助に関する審判事件(別表第一の三十六の項から五十四の項までの事項についての審判事件をいう。)は、補助開始の審判事件を除き、補助開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が補助開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、補助開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百三十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被補助人となるべき者及び被補助人について準用する。 一 補助開始の審判事件 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の三十七の項の事項についての審判事件をいう。) 三 補助人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の三十八の項の事項についての審判事件をいう。) 四 補助開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十九の項の事項についての審判事件をいう。) 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の四十の項の事項についての審判事件をいう。) 六 補助人の選任の審判事件(別表第一の四十一の項の事項についての審判事件をいう。) 七 補助人の解任の審判事件(別表第一の四十三の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 八 補助監督人の選任の審判事件(別表第一の四十五の項の事項についての審判事件をいう。) 九 補助監督人の解任の審判事件(別表第一の四十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 十 補助人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の五十一の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の五十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 補助の事務の監督の審判事件(別表第一の五十三の項の事項についての審判事件をいう。) (精神の状況に関する意見の聴取) 第百三十八条 家庭裁判所は、被補助人となるべき者の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、補助開始の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第百三十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第三号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 補助開始の審判 被補助人となるべき者 二 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人 三 補助開始の審判の取消しの審判(民法第十八条第一項又は第三項の規定による場合に限る。) 被補助人及び補助人 四 補助人又は補助監督人の選任の審判 被補助人となるべき者又は被補助人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助監督人の解任の審判 補助監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 補助人の選任の審判 補助人となるべき者 二 補助監督人の選任の審判 補助監督人となるべき者 (審判の告知) 第百四十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 補助開始の審判 民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判 補助人及び補助監督人(当該審判が補助人又は補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助人となるべき者又は補助監督人となるべき者) 三 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人及び補助監督人 四 補助開始の審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 六 補助人に対する代理権の付与の審判 被補助人及び補助監督人(当該審判が補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助監督人となるべき者) 七 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被補助人及び補助監督人 (即時抗告) 第百四十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 補助開始の審判 民法第十五条第一項本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 補助開始の申立てを却下する審判 申立人 三 補助開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十八条第一項に規定する者 四 補助人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助人の解任の申立てを却下する審判 申立人、補助監督人並びに被補助人及びその親族 七 補助監督人の解任の審判 補助監督人 八 補助監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被補助人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助開始の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百四十二条 第百二十一条の規定は補助開始の申立ての取下げ及び補助人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は補助の事務の監督について準用する。 (補助開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百四十三条 補助開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、補助開始及び補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てがあった場合において、被補助人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、補助開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被補助人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為であって、当該補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てに係るものに限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の補助を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「補助命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助命令の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 補助命令の審判があったときは、被補助人となるべき者及び財産の管理者は、被補助人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被補助人となるべき者」と読み替えるものとする。 (補助人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百四十四条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、補助人の解任の審判事件又は補助監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第四節 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件 (管轄) 第百四十五条 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管理人の改任等) 第百四十六条 家庭裁判所は、いつでも、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人を改任することができる。 2 家庭裁判所は、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人及び前項の規定により改任した管理人(第四項及び第六項、次条並びに第百四十七条において「家庭裁判所が選任した管理人」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 同法第二十七条第二項の場合においては、不在者が置いた管理人に対しても、同様とする。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、不在者の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、管理人(家庭裁判所が選任した管理人及び不在者が置いた管理人をいう。次項及び第百四十七条において同じ。)に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 管理人の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、家庭裁判所が選任した管理人について準用する。 (供託等) 第百四十六条の二 家庭裁判所が選任した管理人は、不在者の財産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、不在者のために、当該金銭を不在者の財産の管理に関する処分を命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。 2 家庭裁判所が選任した管理人は、前項の規定による供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 (処分の取消し) 第百四十七条 家庭裁判所は、不在者が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったとき(家庭裁判所が選任した管理人が管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、不在者、管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、民法第二十五条第一項の規定による管理人の選任その他の不在者の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 第五節 失踪の宣告に関する審判事件 第一款 失踪の宣告の審判事件 第百四十八条 失踪の宣告の審判事件(別表第一の五十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の審判事件における不在者について準用する。 3 家庭裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号及び第四号の期間が経過しなければ、失踪の宣告の審判をすることができない。 この場合において、第二号及び第四号の期間は、民法第三十条第一項の場合にあっては三月を、同条第二項の場合にあっては一月を下ってはならない。 一 不在者について失踪の宣告の申立てがあったこと。 二 不在者は、一定の期間までにその生存の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、失踪の宣告がされること。 四 不在者の生死を知る者は、一定の期間までにその届出をすべきこと。 4 失踪の宣告の審判は、不在者に告知することを要しない。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の審判 不在者及び利害関係人 二 失踪の宣告の申立てを却下する審判 申立人 第二款 失踪の宣告の取消しの審判事件 第百四十九条 失踪の宣告の取消しの審判事件は、失踪者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の取消しの審判事件における失踪者について準用する。 3 失踪の宣告の取消しの審判は、事件の記録上失踪者の住所又は居所が判明している場合に限り、失踪者に告知すれば足りる。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の取消しの審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 失踪の宣告の取消しの申立てを却下する審判 失踪者及び利害関係人 第六節 婚姻等に関する審判事件 (管轄) 第百五十条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件(別表第二の一の項の事項についての審判事件をいう。次条第一号において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の五十八の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件(別表第二の二の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地 四 子の監護に関する処分の審判事件 子(父又は母を同じくする数人の子についての申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地 五 財産の分与に関する処分の審判事件 夫又は妻であった者の住所地 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の五の項の事項についての審判事件をいう。) 所有者の住所地 (手続行為能力) 第百五十一条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件及びこれらの審判事件を本案とする保全処分についての審判事件(いずれの審判事件においても、財産上の給付を求めるものを除く。)における当該各号に定める者について準用する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の審判事件 子 (陳述の聴取) 第百五十二条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判をする場合には、夫及び妻(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判を除く。)をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第百五十三条 第八十二条第二項の規定にかかわらず、財産の分与に関する処分の審判の申立ての取下げは、相手方が本案について書面を提出し、又は家事審判の手続の期日において陳述をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (給付命令等) 第百五十四条 家庭裁判所は、夫婦間の協力扶助に関する処分の審判において、扶助の程度若しくは方法を定め、又はこれを変更することができる。 2 家庭裁判所は、次に掲げる審判において、当事者(第二号の審判にあっては、夫又は妻)に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判 四 財産の分与に関する処分の審判 3 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判において、子の監護をすべき者の指定又は変更、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項の定めをする場合には、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 4 家庭裁判所は、離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 (共有財産の分割) 第百五十五条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判とともに共有財産の分割に関する処分の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、共有財産の分割の方法として、一方の婚姻の当事者に他方の婚姻の当事者に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (即時抗告) 第百五十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 四 子の監護に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 五 財産の分与に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫又は妻であった者 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判 婚姻の当事者(民法第七百五十一条第二項において準用する同法第七百六十九条第二項の規定による場合にあっては、生存配偶者)その他の利害関係人 (婚姻等に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百五十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分 二 婚姻費用の分担に関する処分 三 子の監護に関する処分 四 財産の分与に関する処分 2 家庭裁判所は、前項第三号に掲げる事項について仮の地位を定める仮処分(子の監護に要する費用の分担に関する仮処分を除く。)を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件を本案とする保全処分) 第百五十八条 家庭裁判所は、夫婦の一方から夫婦財産契約による財産の管理者の変更の申立てがあった場合において、他の一方の管理する申立人所有の財産又は共有財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、当該財産の管理者の変更の申立てについての審判(共有財産の分割に関する処分の申立てがあった場合にあっては、その申立てについての審判)が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、他の一方の管理する申立人所有の財産若しくは共有財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は夫婦の他の一方の申立てにより、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「管理に係る財産」と読み替えるものとする。 第七節 親子に関する審判事件 第一款 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件 第百五十九条 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件は、子の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件における父及び民法第七百七十四条第四項に規定する前夫について準用する。 3 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二款 子の氏の変更についての許可の審判事件 第百六十条 子の氏の変更についての許可の審判事件(別表第一の六十の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、子(父又は母を同じくする数人の子についての子の氏の変更についての許可の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、子の氏の変更についての許可の審判事件における子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 子の氏の変更についての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第三款 養子縁組をするについての許可の審判事件 第百六十一条 養子縁組をするについての許可の審判事件は、養子となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、養子縁組をするについての許可の審判事件における養親となるべき者及び養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 ただし、養子となるべき者については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者及び養子となるべき者の未成年後見人 4 養子縁組をするについての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第四款 死後離縁をするについての許可の審判事件 第百六十二条 死後離縁をするについての許可の審判事件は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、死後離縁をするについての許可の審判事件における養親及び養子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子の死後に死後離縁をするについての許可の申立てがあった場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、養子を代襲して養親の相続人となるべき者に対し、その旨を通知するものとする。 ただし、事件の記録上その者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 死後離縁をするについての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 死後離縁をするについての許可の申立てを却下する審判 申立人 第五款 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百六十三条 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の六の項の事項についての審判事件をいう。)は、その所有者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 離縁の当事者その他の利害関係人は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第六款 特別養子縁組に関する審判事件 (特別養子縁組の成立の審判事件) 第百六十四条 特別養子縁組の成立の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 養子となるべき者は、特別養子適格の確認(養子となるべき者について民法第八百十七条の六に定める要件があること及び同法第八百十七条の七に規定する父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合に該当することについての確認をいう。以下この条及び次条において同じ。)の審判(申立人の同条第一項の規定による申立てによりされたものに限る。)を受けた者又は児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判(特別養子縁組の成立の申立ての日の六箇月前の日以後に確定したものに限る。)を受けた者でなければならない。 3 養子となるべき者の親権者(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。以下この項において同じ。)及びその親権者に対し親権を行う者は、特別養子縁組の成立の審判事件において養子となるべき者を代理して手続行為をすることができない。 4 養子となるべき者の父母(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。第十項において同じ。)は、第四十二条第一項及び第三項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判事件の手続に参加することができない。 5 第百十八条の規定は、特別養子縁組の成立の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方について準用する。 6 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者(養子となるべき者の父母及び養子となるべき者の親権者に対し親権を行う者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 7 特別養子適格の確認の審判(児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判を含む。以下この項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の審判事件の係属する裁判所を拘束する。 この場合において、特別養子適格の確認の審判は、特別養子縁組の成立の審判事件との関係においては、特別養子縁組の成立の審判をする時においてしたものとみなす。 8 特別養子縁組の成立の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第二号に掲げる者に告知しなければならない。 9 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 ただし、養子となるべき者が十五歳に達している場合は、この限りでない。 10 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の父母に告知することを要しない。 ただし、住所又は居所が知れている父母に対しては、審判をした日及び審判の主文を通知しなければならない。 11 家庭裁判所は、第二項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判を、特別養子適格の確認の審判と同時にすることができる。 この場合においては、特別養子縁組の成立の審判は、特別養子適格の確認の審判が確定するまでは、確定しないものとする。 12 家庭裁判所は、前項前段の場合において、特別養子適格の確認の審判を取り消す裁判が確定したときは、職権で、特別養子縁組の成立の審判を取り消さなければならない。 13 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、確定しないものとする。 この場合においては、家庭裁判所は、職権で、その審判を取り消さなければならない。 14 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の成立の審判 養子となるべき者及び第六項第二号に掲げる者 二 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判 申立人 15 養子となるべき者(十五歳未満のものに限る。)による特別養子縁組の成立の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子適格の確認の審判事件) 第百六十四条の二 家庭裁判所は、養親となるべき者の申立てにより、その者と養子となるべき者との間における縁組について、特別養子適格の確認の審判をすることができる。 ただし、養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過する日まで及び養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、この限りでない。 2 特別養子適格の確認の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 特別養子適格の確認の申立ては、特別養子縁組の成立の申立てと同時にしなければならない。 4 第百十八条の規定は、特別養子適格の確認の審判事件における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び養子となるべき者の父母について準用する。 5 民法第八百十七条の六本文の同意は、次の各号のいずれにも該当する場合には、撤回することができない。 ただし、その同意をした日から二週間を経過する日までは、この限りでない。 一 養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過した後にされたものであること。 二 次のいずれかに該当するものであること。 イ 家庭裁判所調査官による事実の調査を経た上で家庭裁判所に書面を提出してされたものであること。 ロ 審問の期日においてされたものであること。 6 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第二号に掲げる者の同意がないにもかかわらずその審判をするときは、その者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者の父母 三 養子となるべき者に対し親権を行う者(前号に掲げる者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 四 養子となるべき者の父母に対し親権を行う者及び養子となるべき者の父母の後見人 7 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てに係る特別養子適格の確認の申立てを却下しなければならない。 8 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の申立てを却下する審判をする場合には、第六項第二号及び第三号に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 9 特別養子適格の確認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第三号及び第四号に掲げる者に告知しなければならない。 10 特別養子適格の確認の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 11 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合において、第六項第二号に掲げる者を特定することができないときは、同号及び同項第四号に掲げる者の陳述を聴くこと並びにこれらの者にその審判を告知することを要しない。 12 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子適格の確認の審判 養子となるべき者及び第六項第二号から第四号までに掲げる者 二 特別養子適格の確認の申立てを却下する審判 申立人 13 養子となるべき者による特別養子適格の確認の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 14 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てによる特別養子適格の確認の審判は、その効力を失う。 (特別養子縁組の離縁の審判事件) 第百六十五条 特別養子縁組の離縁の審判事件は、養親の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、特別養子縁組の離縁の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親、養子及びその実父母について準用する。 3 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号から第三号までに掲げる者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子(十五歳以上のものに限る。) 二 養親 三 養子の実父母 四 養子に対し親権を行う者(第二号に掲げる者を除く。)及び養子の後見人 五 養親の後見人 六 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 4 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子の実父母(申立人を除く。) 二 養子に対し親権を行う者及び養子の後見人 三 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 5 特別養子縁組の離縁の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第三項第四号から第六号までに掲げる者に告知しなければならない。 6 特別養子縁組の離縁の審判は、養子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して養子の利益を害すると認める場合には、養子に告知することを要しない。 7 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の離縁の審判 養子、養親、養子の実父母、養子に対し親権を行う者で養親でないもの、養子の後見人、養親の後見人、養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 二 特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判 申立人 8 養子による特別養子縁組の離縁の審判に対する即時抗告の期間は、養子以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子縁組の成立の審判事件等を本案とする保全処分) 第百六十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の申立てがあった場合において、養子となるべき者の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別養子縁組の成立の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、申立人を養子となるべき者の監護者に選任し、又は養子となるべき者の親権者若しくは未成年後見人の職務の執行を停止し、若しくはその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者若しくは未成年後見人、養子となるべき者に対し親権を行う者若しくは他の未成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、養子となるべき者の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定(養子となるべき者の監護者を選任する保全処分に関する部分を除く。)は、特別養子縁組の離縁の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第八節 親権に関する審判事件 (管轄) 第百六十七条 親権に関する審判事件は、子(父又は母を同じくする数人の子についての親権者の指定若しくは変更又は第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百六十八条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件(第三号及び第七号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における当該各号に定める者について準用する。 一 子に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の六十五の項の事項についての審判事件をいう。) 子 二 第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の六十六の項の事項についての審判事件をいう。第百七十三条において同じ。) 子 三 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件(別表第一の六十七の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判事件(別表第一の六十八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 五 親権又は管理権を辞し、又は回復するについての許可の審判事件(別表第一の六十九の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 六 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判事件(別表第二の七の項の事項についての審判事件をいう。) 養子、その父母及び養親 七 親権者の指定又は変更の審判事件(別表第二の八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 (陳述の聴取) 第百六十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号に掲げる子の親権者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子(十五歳以上のものに限る。)及び子の親権者 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者、子の未成年後見人及び親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者 三 親権又は管理権を辞するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。) 四 親権又は管理権を回復するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 2 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (審判の告知) 第百七十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 ただし、子にあっては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 (引渡命令等) 第百七十一条 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判において、当事者に対し、子の引渡し又は財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百七十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号から第三号まで及び第五号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 親権喪失の審判 親権を喪失する者及びその親族 二 親権停止の審判 親権を停止される者及びその親族 三 管理権喪失の審判 管理権を喪失する者及びその親族 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てを却下する審判 申立人、子及びその親族、未成年後見人並びに未成年後見監督人 五 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子及びその親族、子に対し親権を行う者、未成年後見人並びに未成年後見監督人 六 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人並びに親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者及びその親族 七 親権又は管理権を回復するについての許可の申立てを却下する審判 申立人 八 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判 養子の父母及び養子の監護者 九 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の申立てを却下する審判 申立人、養子の父母及び養子の監護者 十 親権者の指定又は変更の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 2 次の各号に掲げる即時抗告の期間は、当該各号に定める日から進行する。 一 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失する者が審判の告知を受けた日 二 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者が審判の告知を受けた日 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第百七十三条 第百二十五条の規定は、第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 (親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件を本案とする保全処分) 第百七十四条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があると認めるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 (親権者の指定又は変更の審判事件を本案とする保全処分) 第百七十五条 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の審判を本案とする仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 2 前項の規定により仮の地位の仮処分を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 4 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 5 家庭裁判所は、いつでも、第三項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 6 家庭裁判所は、第三項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第九節 未成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百七十六条 未成年後見に関する審判事件(別表第一の七十の項から八十三の項までの事項についての審判事件をいう。)は、未成年被後見人(養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百七十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第三号及び第五号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における未成年被後見人(第一号の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者及び養親)について準用する。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件 二 未成年後見人の選任の審判事件 三 未成年後見人の解任の審判事件(別表第一の七十三の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 四 未成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の七十四の項の事項についての審判事件をいう。) 五 未成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の七十六の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 六 未成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の七十九の項の事項についての審判事件をいう。) 七 未成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の八十一の項の事項についての審判事件をいう。) 八 第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十二の項の事項についての審判事件をいう。第百八十条において同じ。) (陳述及び意見の聴取) 第百七十八条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 未成年後見人又は未成年後見監督人の選任の審判 未成年被後見人(十五歳以上のものに限る。) 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者又は未成年後見人の選任 未成年後見人となるべき者 二 未成年後見監督人の選任 未成年後見監督人となるべき者 (即時抗告) 第百七十九条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、未成年後見監督人並びに未成年被後見人及びその親族 四 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 五 未成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに未成年被後見人及びその親族 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百八十条 第百二十一条の規定は未成年後見人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は未成年後見の事務の監督について、第百二十五条の規定は第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十一条第二号中「第八百四十三条第二項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第一項の規定による未成年後見人」と、同条第三号中「第八百四十三条第三項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第二項の規定による未成年後見人」と読み替えるものとする。 (未成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百八十一条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、未成年後見人の解任の審判事件又は未成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第十節 扶養に関する審判事件 (管轄) 第百八十二条 扶養義務の設定の審判事件(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者となるべき者(数人についての扶養義務の設定の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務の設定の取消しの審判事件(別表第一の八十五の項の事項についての審判事件をいう。)は、その扶養義務の設定の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所がその扶養義務の設定の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(別表第二の九の項の事項についての審判事件をいう。)並びに扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(同表の十の項の事項についての審判事件をいう。)は、相手方(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (申立ての特則) 第百八十三条 扶養義務の設定の申立ては、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第二十三条の二第二項第四号の規定による保護者の選任の申立てと一の申立てによりするときは、同法第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所にもすることができる。 (陳述の聴取) 第百八十四条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者 二 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者 (給付命令) 第百八十五条 家庭裁判所は、扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百八十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者(申立人を除く。) 二 扶養義務の設定の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者(申立人を除く。) 四 扶養義務の設定の取消しの申立てを却下する審判 申立人 五 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 六 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 (扶養に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百八十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消し 二 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消し 第十一節 推定相続人の廃除に関する審判事件 (推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の取消しの審判事件) 第百八十八条 推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 ただし、これらの審判事件が被相続人の死亡後に申し立てられた場合にあっては、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、前項に規定する審判事件における被相続人について準用する。 3 家庭裁判所は、推定相続人の廃除の審判事件においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、廃除を求められた推定相続人の陳述を聴かなければならない。 この場合における陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 4 推定相続人の廃除の審判事件における手続については、申立人及び廃除を求められた推定相続人を当事者とみなして、第六十七条及び第六十九条から第七十二条までの規定を準用する。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 推定相続人の廃除の審判 廃除された推定相続人 二 推定相続人の廃除又はその審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人 (遺産の管理に関する処分の審判事件) 第百八十九条 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件は、推定相続人の廃除の審判事件又は推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件が係属している家庭裁判所(その審判事件が係属していない場合にあっては相続が開始した地を管轄する家庭裁判所、その審判事件が抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所)の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項までの規定は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理人について準用する。 この場合において、同条第一項、第二項及び第四項中「家庭裁判所」とあるのは「推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所」と、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは「遺産」と読み替えるものとする。 3 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判が確定したときは、廃除を求められた推定相続人、前項の管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、その処分の取消しの裁判をしなければならない。 第十二節 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百九十条 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の十一の項の事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 相続人その他の利害関係人は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十二節の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件 第百九十条の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項まで、第百四十六条の二及び第百四十七条の規定は、相続財産の保存に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十三節 遺産の分割に関する審判事件 (管轄) 第百九十一条 遺産の分割に関する審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判事件(別表第二の十二の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)が係属している場合における寄与分を定める処分の審判事件(同表の十四の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)は、当該遺産の分割の審判事件が係属している裁判所の管轄に属する。 (手続の併合等) 第百九十二条 遺産の分割の審判事件及び寄与分を定める処分の審判事件が係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 数人からの寄与分を定める処分の審判事件が係属するときも、同様とする。 (寄与分を定める処分の審判の申立ての期間の指定) 第百九十三条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判の手続において、一月を下らない範囲内で、当事者が寄与分を定める処分の審判の申立てをすべき期間を定めることができる。 2 家庭裁判所は、寄与分を定める処分の審判の申立てが前項の期間を経過した後にされたときは、当該申立てを却下することができる。 3 家庭裁判所は、第一項の期間を定めなかった場合においても、当事者が時機に後れて寄与分を定める処分の申立てをしたことにつき、申立人の責めに帰すべき事由があり、かつ、申立てに係る寄与分を定める処分の審判の手続を併合することにより、遺産の分割の審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、その申立てを却下することができる。 (遺産の換価を命ずる裁判) 第百九十四条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、相続人に対し、遺産の全部又は一部を競売して換価することを命ずることができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があり、かつ、相当と認めるときは、相続人の意見を聴き、相続人に対し、遺産の全部又は一部について任意に売却して換価することを命ずることができる。 ただし、共同相続人中に競売によるべき旨の意思を表示した者があるときは、この限りでない。 3 前二項の規定による裁判(以下この条において「換価を命ずる裁判」という。)が確定した後に、その換価を命ずる裁判の理由の消滅その他の事情の変更があるときは、家庭裁判所は、相続人の申立てにより又は職権で、これを取り消すことができる。 4 換価を命ずる裁判は、第八十一条第一項において準用する第七十四条第一項に規定する者のほか、遺産の分割の審判事件の当事者に告知しなければならない。 5 相続人は、換価を命ずる裁判に対し、即時抗告をすることができる。 6 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判をする場合において、第二百条第一項の財産の管理者が選任されていないときは、これを選任しなければならない。 7 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判により換価を命じられた相続人に対し、遺産の中から、相当な報酬を与えることができる。 8 第百二十五条の規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第六項の規定により選任した財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 (債務を負担させる方法による遺産の分割) 第百九十五条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (給付命令) 第百九十六条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (遺産の分割の禁止の審判の取消し及び変更) 第百九十七条 家庭裁判所は、事情の変更があるときは、相続人の申立てにより、いつでも、遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判をすることができる。 この申立てに係る審判事件は、別表第二に掲げる事項についての審判事件とみなす。 (即時抗告) 第百九十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺産の分割の審判及びその申立てを却下する審判 相続人 二 遺産の分割の禁止の審判 相続人 三 遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判 相続人 四 寄与分を定める処分の審判 相続人 五 寄与分を定める処分の申立てを却下する審判 申立人 2 第百九十二条前段の規定により審判が併合してされたときは、寄与分を定める処分の審判又はその申立てを却下する審判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 3 第百九十二条後段の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (申立ての取下げの制限) 第百九十九条 第百五十三条の規定は、遺産の分割の審判の申立ての取下げについて準用する。 2 第八十二条第二項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分) 第二百条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。次項及び第三項において同じ。)は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、遺産の分割の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。 ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。 4 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 第十四節 相続の承認及び放棄に関する審判事件 第二百一条 相続の承認及び放棄に関する審判事件(別表第一の九十の項から九十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、限定承認の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十三の項の事項についての審判事件をいう。)は、限定承認の申述を受理した家庭裁判所(抗告裁判所が受理した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 家庭裁判所(抗告裁判所が限定承認の申述を受理した場合にあっては、その裁判所)は、相続人が数人ある場合において、限定承認の申述を受理したときは、職権で、民法第九百三十六条第一項の規定により相続財産の清算人を選任しなければならない。 4 第百十八条の規定は、限定承認又は相続の放棄の取消しの申述の受理の審判事件(別表第一の九十一の項の事項についての審判事件をいう。)における限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者について準用する。 5 限定承認及びその取消し並びに相続の放棄及びその取消しの申述は、次に掲げる事項を記載した申述書を家庭裁判所に提出してしなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 限定承認若しくはその取消し又は相続の放棄若しくはその取消しをする旨 6 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条の規定は、前項の申述について準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百一条第五項」と読み替えるものとする。 7 家庭裁判所は、第五項の申述の受理の審判をするときは、申述書にその旨を記載しなければならない。 この場合において、当該審判は、申述書にその旨を記載した時に、その効力を生ずる。 8 前項の審判については、第七十六条の規定は、適用しない。 9 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 相続の承認又は放棄をすべき期間の伸長の申立てを却下する審判 申立人 二 限定承認又は相続の放棄の取消しの申述を却下する審判 限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者 三 限定承認又は相続の放棄の申述を却下する審判 申述人 第十五節 財産分離に関する審判事件 第二百二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める裁判所の管轄に属する。 一 財産分離の審判事件(別表第一の九十六の項の事項についての審判事件をいう。次号において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件 財産分離の審判事件が係属している家庭裁判所(抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所、財産分離の裁判確定後にあっては財産分離の審判事件が係属していた家庭裁判所) 三 財産分離の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十八の項の事項についての審判事件をいう。) 財産分離の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が財産分離の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所) 2 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 財産分離の審判 相続人 二 民法第九百四十一条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続債権者及び受遺者 三 民法第九百五十条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続人の債権者 3 第百二十五条の規定は、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十六節 相続人の不存在に関する審判事件 (管轄) 第二百三条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。 一 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 相続人の不存在の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百の項の事項についての審判事件をいう。) 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件において相続財産の清算人の選任の審判をした家庭裁判所 三 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件(別表第一の百一の項の事項についての審判事件をいう。次条第二項及び第二百七条において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 (特別縁故者に対する相続財産の分与の審判) 第二百四条 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判は、民法第九百五十二条第二項の期間の満了後三月を経過した後にしなければならない。 2 同一の相続財産に関し特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件が数個同時に係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 (意見の聴取) 第二百五条 家庭裁判所は、特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判をする場合には、民法第九百五十二条第一項の規定により選任し、又は第二百八条において準用する第百二十五条第一項の規定により改任した相続財産の清算人(次条及び第二百七条において単に「相続財産の清算人」という。)の意見を聴かなければならない。 (即時抗告) 第二百六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判 申立人及び相続財産の清算人 二 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てを却下する審判 申立人 2 第二百四条第二項の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人又は相続財産の清算人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (相続財産の換価を命ずる裁判) 第二百七条 第百九十四条第一項、第二項本文、第三項から第五項まで及び第七項の規定は、特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件について準用する。 この場合において、同条第一項及び第七項中「相続人」とあり、並びに同条第二項中「相続人の意見を聴き、相続人」とあるのは「相続財産の清算人」と、同条第三項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人若しくは相続財産の清算人」と、同条第四項中「当事者」とあるのは「申立人」と、同条第五項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人及び相続財産の清算人」と読み替えるものとする。 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第二百八条 第百二十五条の規定は、相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十七節 遺言に関する審判事件 (管轄) 第二百九条 遺言に関する審判事件(別表第一の百二の項から百八の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続を開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺言の確認の審判事件は、遺言者の生存中は、遺言者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者及び負担の利益を受けるべき者 2 家庭裁判所は、遺言執行者の選任の審判をする場合には、遺言執行者となるべき者の意見を聴かなければならない。 (調書の作成) 第二百十一条 裁判所書記官は、遺言書の検認について、調書を作成しなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百十二条 遺言の確認又は遺言書の検認の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百十三条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 相続人 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 負担の利益を受けるべき者 (即時抗告) 第二百十四条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺言の確認の審判 利害関係人 二 遺言の確認の申立てを却下する審判 遺言に立ち会った証人及び利害関係人 三 遺言執行者の選任の申立てを却下する審判 利害関係人 四 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 五 遺言執行者の解任の申立てを却下する審判 利害関係人 六 遺言執行者の辞任についての許可の申立てを却下する審判 申立人 七 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者その他の利害関係人(申立人を除く。) 八 負担付遺贈に係る遺言の取消しの申立てを却下する審判 相続人 (遺言執行者の解任の審判事件を本案とする保全処分) 第二百十五条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、遺言執行者の解任の申立てがあった場合において、遺言の内容の実現のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、遺言執行者の解任の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、遺言執行者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による遺言執行者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される遺言執行者、他の遺言執行者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、相続財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第十八節 遺留分に関する審判事件 第二百十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 遺留分を算定するための財産の価額を定める場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百九の項の事項についての審判事件をいう。) 相続が開始した地 二 遺留分の放棄についての許可の審判事件 被相続人の住所地 2 遺留分の放棄についての許可の申立てをした者は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十八節の二 特別の寄与に関する審判事件 (管轄) 第二百十六条の二 特別の寄与に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (給付命令) 第二百十六条の三 家庭裁判所は、特別の寄与に関する処分の審判において、当事者に対し、金銭の支払を命ずることができる。 (即時抗告) 第二百十六条の四 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別の寄与に関する処分の審判 申立人及び相手方 二 特別の寄与に関する処分の申立てを却下する審判 申立人 (特別の寄与に関する審判事件を本案とする保全処分) 第二百十六条の五 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、特別の寄与に関する処分についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は申立人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別の寄与に関する処分の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 第十九節 任意後見契約法に規定する審判事件 (管轄) 第二百十七条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件(別表第一の百十一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条において同じ。)は、任意後見契約法第二条第二号の本人(以下この節において単に「本人」という。)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 任意後見契約法に規定する審判事件(別表第一の百十一の項から百二十一の項までの事項についての審判事件をいう。)は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件を除き、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が当該任意後見監督人を選任した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百十八条 第百十八条の規定は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件における本人について準用する。 (精神の状況に関する意見の聴取) 第二百十九条 家庭裁判所は、本人の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、本人については、本人の心身の障害により本人の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判並びに任意後見監督人が欠けた場合及び任意後見監督人を更に選任する場合における任意後見監督人の選任の審判 本人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見人の解任の審判 任意後見人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 2 家庭裁判所は、前項第一号に掲げる審判をする場合には、任意後見監督人となるべき者の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をする場合には、任意後見契約の効力が生ずることについて、任意後見受任者の意見を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百二十一条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任及び任意後見監督人が欠けた場合における任意後見監督人の選任の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百二十二条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判 本人及び任意後見受任者 二 後見開始の審判等の取消しの審判 後見開始の審判の取消しの審判にあっては成年後見人及び成年後見監督人、保佐開始の審判の取消しの審判にあっては保佐人及び保佐監督人並びに補助開始の審判の取消しの審判にあっては補助人及び補助監督人 三 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見監督人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人、任意後見人及び任意後見監督人 (即時抗告) 第二百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第四号及び第六号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに本人及びその親族 四 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見人 五 任意後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、任意後見監督人並びに本人及びその親族 六 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 七 任意後見契約の解除についての許可の申立てを却下する審判 申立人 (任意後見監督人の事務の調査) 第二百二十四条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に任意後見監督人の事務を調査させることができる。 (任意後見監督人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第二百二十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、任意後見監督人の解任の審判事件(別表第一の百十七の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 2 第百二十七条第一項及び第二項の規定は、任意後見人の解任の審判事件(別表第一の百二十の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 この場合において、同条第一項中「停止し、又はその職務代行者を選任する」とあるのは「停止する」と、同条第二項中「同項の規定により選任した職務代行者」とあるのは「任意後見監督人」と読み替えるものとする。 第二十節 戸籍法に規定する審判事件 (管轄) 第二百二十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 氏又は名の変更についての許可の審判事件(別表第一の百二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 申立人の住所地 二 就籍許可の審判事件(別表第一の百二十三の項の事項についての審判事件をいう。) 就籍しようとする地 三 戸籍の訂正についての許可の審判事件(別表第一の百二十四の項の事項についての審判事件をいう。) その戸籍のある地 四 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件(別表第一の百二十五の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。) 市役所(戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第四条において準用する同法第百二十二条の規定による場合にあっては、区役所)又は町村役場の所在地 (手続行為能力) 第二百二十七条 第百十八条の規定は、戸籍法に規定する審判事件(別表第一の百二十二の項から百二十五の項までの事項についての審判事件をいう。)における当該審判事件の申立てをすることができる者について準用する。 ただし、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件においては、当該処分を受けた届出その他の行為を自らすることができる場合に限る。 (事件係属の通知) 第二百二十八条 家庭裁判所は、戸籍法第百十三条の規定による戸籍の訂正についての許可の申立てが当該戸籍の届出人又は届出事件の本人以外の者からされた場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該届出人又は届出事件の本人に対し、その旨を通知しなければならない。 ただし、事件の記録上これらの者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十九条 家庭裁判所は、氏の変更についての許可の審判をする場合には、申立人と同一戸籍内にある者(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区長又は総合区長とする。以下この節において同じ。)の処分に対する不服の申立てがあった場合には、当該市町村長の意見を聴かなければならない。 (審判の告知等) 第二百三十条 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該市町村長に告知しなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを理由があると認めるときは、当該市町村長に対し、相当の処分を命じなければならない。 (即時抗告) 第二百三十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 氏の変更についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 氏又は名の変更についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 就籍許可の申立てを却下する審判 申立人 四 戸籍の訂正についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 五 戸籍の訂正についての許可の申立てを却下する審判 申立人 六 前条第二項の規定による市町村長に相当の処分を命ずる審判 当該市町村長 七 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判 申立人 第二十一節 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に規定する審判事件 第二百三十二条 性別の取扱いの変更の審判事件(別表第一の百二十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、性別の取扱いの変更の審判事件における申立人について準用する。 3 性別の取扱いの変更の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二十二節 厚生年金保険法に規定する審判事件 第二百三十三条 請求すべき 按 あん 分割合に関する処分の審判事件(別表第二の十六の項の事項についての審判事件をいう。)は、申立人又は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 申立人及び相手方は、請求すべき按分割合に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 請求すべき按分割合に関する処分の審判の手続については、第六十八条第二項の規定は、適用しない。 第二十三節 児童福祉法に規定する審判事件 (管轄) 第二百三十四条 都道府県の措置についての承認の審判事件(別表第一の百二十七の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件(同表の百二十八の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)、児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件(同表の百二十八の二の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)及び児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件(同表の百二十八の三の項の事項についての審判事件をいう。以下この節において同じ。)は、児童の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百三十五条 第百十八条の規定は、都道府県の措置についての承認の審判事件、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件及び児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件における児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者、児童の未成年後見人及び児童並びに児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件における児童及びその父母について準用する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百三十六条 家庭裁判所は、都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、前条に規定する者(児童にあっては、十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 前項の場合において、家庭裁判所は、申立人に対し、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人の陳述に関する意見を求めることができる。 3 第百六十四条の二第六項及び第八項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (審判の告知) 第二百三十七条 都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人に告知しなければならない。 2 第百六十四条の二第九項から第十一項までの規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (即時抗告) 第二百三十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 都道府県の措置についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 二 都道府県の措置についての承認の申立てを却下する審判 申立人 三 都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 四 都道府県の措置の期間の更新についての承認の申立てを却下する審判 申立人 五 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 六 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てを却下する審判 申立人 2 第百六十四条の二第十二項及び第十三項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判の特則) 第二百三十九条 家庭裁判所は、児童の出生の日から二箇月を経過する日まで及び児童が十八歳に達した日以後は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判をすることができない。 2 第百六十四条の二第五項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 第二十四節 生活保護法等に規定する審判事件 第二百四十条 施設への入所等についての許可の審判事件(別表第一の百二十九の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。)は、被保護者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判事件(別表第二の十七の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 第百十八条の規定は、施設への入所等についての許可の審判事件における被保護者、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人について準用する。 4 家庭裁判所は、施設への入所等についての許可の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、被保護者(十五歳以上のものに限る。)、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人の陳述を聴かなければならない。 5 施設への入所等についての許可の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人に告知しなければならない。 6 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 施設への入所等についての許可の審判 被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人 二 施設への入所等についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判及びその申立てを却下する審判 申立人及び相手方 第二十五節 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に規定する審判事件 第二百四十一条 保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件(別表第一の百三十の項の事項についての審判事件をいう。第四項において同じ。)は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の意見を聴かなければならない。 一 保護者の順位の変更の審判 先順位に変更される者 二 保護者の選任の審判 保護者となるべき者 3 保護者の順位の変更又は保護者の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 4 家庭裁判所は、いつでも、保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件において選任した保護者を改任することができる。 第二十六節 破産法に規定する審判事件 第二百四十二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の百三十一の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件 子の住所地 三 破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件(別表第一の百三十三の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 相続が開始した地 2 破産管財人は、破産手続における相続の放棄の承認についての申述を却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百五十二条第一項、第百五十四条第二項(第二号に係る部分に限る。)、第百五十五条、第百五十六条(第二号に係る部分に限る。)及び第百五十八条の規定は破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件について、第百六十八条(第三号に係る部分に限る。)、第百六十九条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第百七十条(第一号に係る部分に限る。)、第百七十二条第一項(第三号及び第四号に係る部分に限る。)及び第二項(第一号に係る部分に限る。)並びに第百七十四条の規定(管理権喪失に関する部分に限る。)は親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件について、第二百一条第五項から第八項までの規定は破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件について準用する。 第二十七節 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に規定する審判事件 第二百四十三条 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判事件(別表第一の百三十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成二十年法律第三十三号)第四条第一項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第一項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第二項の旧代表者の住所地 二 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第四条第三項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第三項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第四項の旧個人事業者の住所地 2 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判は、当該合意の当事者の全員に告知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判 当該合意の当事者(申立人を除く。) 二 遺留分の算定に係る合意についての許可の申立てを却下する審判 当該合意の当事者 第三編 家事調停に関する手続 第一章 総則 第一節 通則 (調停事項等) 第二百四十四条 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。 (管轄等) 第二百四十五条 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 3 第百九十一条第二項及び第百九十二条の規定は、遺産の分割の調停事件(別表第二の十二の項の事項についての調停事件をいう。)及び寄与分を定める処分の調停事件(同表の十四の項の事項についての調停事件をいう。)について準用する。 この場合において、第百九十一条第二項中「前項」とあるのは、「第二百四十五条第一項」と読み替えるものとする。 (地方裁判所又は簡易裁判所への移送) 第二百四十六条 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件以外の事件について調停の申立てを受けた場合には、職権で、これを管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送する。 2 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について調停の申立てを受けた場合において、事件を処理するために必要があると認めるときは、職権で、事件の全部又は一部を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送することができる。 3 家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、前二項の規定にかかわらず、その事件を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所以外の地方裁判所又は簡易裁判所(事物管轄権を有するものに限る。)に移送することができる。 4 第九条第三項から第五項までの規定は、前三項の規定による移送の裁判について準用する。 (調停機関) 第二百四十七条 家庭裁判所は、調停委員会で調停を行う。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、裁判官のみで行うことができる。 2 家庭裁判所は、当事者の申立てがあるときは、前項ただし書の規定にかかわらず、調停委員会で調停を行わなければならない。 (調停委員会) 第二百四十八条 調停委員会は、裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 2 調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。 3 調停委員会の決議は、過半数の意見による。 可否同数の場合には、裁判官の決するところによる。 4 調停委員会の評議は、秘密とする。 (家事調停委員) 第二百四十九条 家事調停委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 2 家事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (家事調停官の任命等) 第二百五十条 家事調停官は、弁護士で五年以上その職にあったもののうちから、最高裁判所が任命する。 2 家事調停官は、この法律の定めるところにより、家事調停事件の処理に必要な職務を行う。 3 家事調停官は、任期を二年とし、再任されることができる。 4 家事調停官は、非常勤とする。 5 家事調停官は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して解任されることがない。 一 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七条各号のいずれかに該当するに至ったとき。 二 心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。 三 職務上の義務違反その他家事調停官たるに適しない非行があると認められたとき。 6 この法律に定めるもののほか、家事調停官の任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 (家事調停官の権限等) 第二百五十一条 家事調停官は、家庭裁判所の指定を受けて、家事調停事件を取り扱う。 2 家事調停官は、その取り扱う家事調停事件の処理について、この法律において家庭裁判所、裁判官又は裁判長が行うものとして定める家事調停事件の処理に関する権限を行うことができる。 3 家事調停官は、独立してその職権を行う。 4 家事調停官は、その権限を行うについて、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び医師である裁判所技官に対し、その職務に関し必要な命令をすることができる。 この場合において、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第六十条第五項の規定は、家事調停官の命令を受けた裁判所書記官について準用する。 5 家事調停官には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (手続行為能力) 第二百五十二条 次の各号に掲げる調停事件(第一号及び第二号にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)において、当該各号に定める者は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の調停事件(別表第二の一の項の事項についての調停事件をいう。) 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の調停事件(別表第二の三の項の事項についての調停事件をいう。) 子 三 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の調停事件(別表第二の七の項の事項についての調停事件をいう。) 養子、その父母及び養親 四 親権者の指定又は変更の調停事件(別表第二の八の項の事項についての調停事件をいう。) 子及びその父母 五 人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(第二百七十七条第一項において単に「人事に関する訴え」という。)を提起することができる事項についての調停事件 同法第十三条第一項の規定が適用されることにより訴訟行為をすることができることとなる者 2 親権を行う者又は後見人は、第十八条の規定にかかわらず、前項第一号、第三号及び第四号に掲げる調停事件(同項第一号の調停事件にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)においては、当該各号に定める者に代理して第二百六十八条第一項の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾及び第二百八十六条第八項の共同の申出をすることができない。 離婚についての調停事件における夫及び妻の後見人並びに離縁についての調停事件における養親の後見人、養子(十五歳以上のものに限る。以下この項において同じ。)に対し親権を行う者及び養子の後見人についても、同様とする。 (調書の作成) 第二百五十三条 裁判所書記官は、家事調停の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第二百五十四条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事調停事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事調停事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、家事調停事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者又は利害関係を疎明した第三者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合(第六項に規定する場合を除く。)において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 4 次に掲げる書面については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ずに、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 一 審判書その他の裁判書の正本、謄本又は抄本 二 調停において成立した合意を記載し、又は調停をしないものとして、若しくは調停が成立しないものとして事件が終了した旨を記載した調書の正本、謄本又は抄本 三 家事調停事件に関する事項の証明書 5 家事調停事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事調停事件の記録の保存又は裁判所若しくは調停委員会の執務に支障があるときは、することができない。 6 第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件において、当事者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合については、第四十七条第三項、第四項及び第八項から第十項までの規定を準用する。 第二節 家事調停の申立て等 (家事調停の申立て) 第二百五十五条 家事調停の申立ては、申立書(次項及び次条において「家事調停の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事調停の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 家事調停の申立てを不適法として却下する審判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条(第一項ただし書を除く。)の規定は、家事調停の申立てについて準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百五十五条第二項」と読み替えるものとする。 (家事調停の申立書の写しの送付等) 第二百五十六条 家事調停の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は家事調停の手続の期日を経ないで第二百七十一条の規定により家事調停事件を終了させるときを除き、家事調停の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事調停の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事調停の申立てがあったことを通知することをもって、家事調停の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について、第六十七条第三項及び第四項の規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納について準用する。 (調停前置主義) 第二百五十七条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。 2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。 ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。 3 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 第三節 家事調停の手続 (家事審判の手続の規定の準用等) 第二百五十八条 第四十一条から第四十三条までの規定は家事調停の手続における参加及び排除について、第四十四条の規定は家事調停の手続における受継について、第五十一条から第五十五条までの規定は家事調停の手続の期日について、第五十六条から第六十二条まで及び第六十四条の規定は家事調停の手続における事実の調査及び証拠調べについて、第六十五条の規定は家事調停の手続における子の意思の把握等について、第七十三条、第七十四条、第七十六条(第一項ただし書を除く。)、第七十七条及び第七十九条の規定は家事調停に関する審判について、第八十一条の規定は家事調停に関する審判以外の裁判について準用する。 2 前項において準用する第六十一条第一項の規定により家事調停の手続における事実の調査の嘱託を受けた裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることができる。 ただし、嘱託を受けた家庭裁判所が家庭裁判所調査官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 (調停委員会が行う家事調停の手続の指揮) 第二百五十九条 調停委員会が行う家事調停の手続は、調停委員会を組織する裁判官が指揮する。 (調停委員会等の権限) 第二百六十条 調停委員会が家事調停を行う場合には、次に掲げる事項に関する裁判所の権限は、調停委員会が行う。 一 第二十二条の規定による手続代理人の許可等 二 第二十七条において準用する民事訴訟法第六十条第一項及び第二項の規定による補佐人の許可等 三 第三十三条ただし書の規定による傍聴の許可 四 第三十五条の規定による手続の併合等 五 第二百五十五条第四項において準用する第五十条第三項及び第四項の規定による申立ての変更 六 第二百五十八条第一項において準用する第四十一条第一項及び第二項並びに第四十二条第一項から第三項まで及び第五項の規定による参加、第四十三条第一項の規定による排除、第四十四条第一項及び第三項の規定による受継、第五十一条第一項の規定による事件の関係人の呼出し、第五十四条第一項の規定による音声の送受信による通話の方法による手続並びに第五十六条第一項、第五十九条第一項及び第二項(これらの規定を第六十条第二項において準用する場合を含む。)、第六十一条第一項、第六十二条並びに第六十四条第五項の規定並びに同条第一項において準用する民事訴訟法の規定による事実の調査及び証拠調べ(過料及び勾引に関する事項を除く。) 2 調停委員会が家事調停を行う場合には、第二十三条第一項及び第二項の規定による手続代理人の選任等、第三十四条第一項の規定による期日の指定並びに第二百五十三条ただし書の規定による調書の作成に関する裁判長の権限は、当該調停委員会を組織する裁判官が行う。 (調停委員会を組織する裁判官による事実の調査及び証拠調べ等) 第二百六十一条 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 2 前項の場合には、裁判官は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせ、又は医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 3 第五十八条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による事実の調査及び心身の状況についての診断について準用する。 4 第一項の場合には、裁判官は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 5 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、家庭裁判所調査官に第五十九条第三項の規定による措置をとらせることができる。 (家事調停委員による事実の調査) 第二百六十二条 調停委員会は、相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 (意見の聴取の嘱託) 第二百六十三条 調停委員会は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事件の関係人から紛争の解決に関する意見を聴取することを嘱託することができる。 2 前項の規定により意見の聴取の嘱託を受けた家庭裁判所は、相当と認めるときは、家事調停委員に当該嘱託に係る意見を聴取させることができる。 (家事調停委員の専門的意見の聴取) 第二百六十四条 調停委員会は、必要があると認めるときは、当該調停委員会を組織していない家事調停委員の専門的な知識経験に基づく意見を聴取することができる。 2 前項の規定により意見を聴取する家事調停委員は、家庭裁判所が指定する。 3 前項の規定による指定を受けた家事調停委員は、調停委員会に出席して意見を述べるものとする。 (調停の場所) 第二百六十五条 調停委員会は、事件の実情を考慮して、裁判所外の適当な場所で調停を行うことができる。 (調停前の処分) 第二百六十六条 調停委員会は、家事調停事件が係属している間、調停のために必要であると認める処分を命ずることができる。 2 急迫の事情があるときは、調停委員会を組織する裁判官が前項の処分(以下「調停前の処分」という。)を命ずることができる。 3 調停前の処分は、執行力を有しない。 4 調停前の処分として必要な事項を命じられた当事者又は利害関係参加人が正当な理由なくこれに従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (裁判官のみで行う家事調停の手続) 第二百六十七条 裁判官のみで家事調停の手続を行う場合においては、家庭裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 2 第二百六十三条から前条までの規定は、裁判官のみで家事調停の手続を行う場合について準用する。 第四節 調停の成立 (調停の成立及び効力) 第二百六十八条 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては、確定した第三十九条の規定による審判)と同一の効力を有する。 2 家事調停事件の一部について当事者間に合意が成立したときは、その一部について調停を成立させることができる。 手続の併合を命じた数個の家事調停事件中その一について合意が成立したときも、同様とする。 3 離婚又は離縁についての調停事件においては、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項に規定する方法によっては、調停を成立させることができない。 4 第一項及び第二項の規定は、第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件については、適用しない。 (調停調書の更正決定) 第二百六十九条 調停調書に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (調停条項案の書面による受諾) 第二百七十条 当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ調停委員会(裁判官のみで家事調停の手続を行う場合にあっては、その裁判官。次条及び第二百七十二条第一項において同じ。)から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が家事調停の手続の期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。 2 前項の規定は、離婚又は離縁についての調停事件については、適用しない。 第五節 調停の成立によらない事件の終了 (調停をしない場合の事件の終了) 第二百七十一条 調停委員会は、事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは、調停をしないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 (調停の不成立の場合の事件の終了) 第二百七十二条 調停委員会は、当事者間に合意(第二百七十七条第一項第一号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 ただし、家庭裁判所が第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。 2 前項の規定により家事調停事件が終了したときは、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 3 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 4 第一項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 (家事調停の申立ての取下げ) 第二百七十三条 家事調停の申立ては、家事調停事件が終了するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の調停の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 第八十二条第三項及び第四項並びに民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、家事調停の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、第八十二条第三項中「前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項」とあるのは「第二百七十三条第二項」と、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「家事調停の手続の期日」と読み替えるものとする。 第六節 付調停等 (付調停) 第二百七十四条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟又は家事審判事件が係属している場合には、裁判所は、当事者(本案について被告又は相手方の陳述がされる前にあっては、原告又は申立人に限る。)の意見を聴いて、いつでも、職権で、事件を家事調停に付することができる。 2 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 3 家庭裁判所及び高等裁判所は、第一項の規定により事件を調停に付する場合には、前項の規定にかかわらず、その家事調停事件を自ら処理することができる。 4 前項の規定により家庭裁判所又は高等裁判所が調停委員会で調停を行うときは、調停委員会は、当該裁判所がその裁判官の中から指定する裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 5 第三項の規定により高等裁判所が自ら調停を行う場合についてのこの編の規定の適用については、第二百四十四条、第二百四十七条、第二百四十八条第二項、第二百五十四条第一項から第四項まで、第二百六十四条第二項、第二百六十六条第四項、第二百六十九条第一項並びに第二百七十二条第一項ただし書及び第二項並びに次章及び第三章の規定中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第二百四十四条、第二百五十八条第一項、第二百七十六条、第二百七十七条第一項第一号、第二百七十九条第三項及び第二百八十四条第一項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第二百六十七条第一項中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、次章の規定中「合意に相当する審判」とあるのは「合意に相当する審判に代わる裁判」と、第二百七十二条第一項ただし書及び第三章の規定(第二百八十六条第七項の規定を除く。)中「調停に代わる審判」とあるのは「調停に代わる審判に代わる裁判」と、第二百八十一条及び第二百八十七条中「却下する審判」とあるのは「却下する審判に代わる裁判」とする。 (訴訟手続及び家事審判の手続の中止) 第二百七十五条 家事調停の申立てがあった事件について訴訟が係属しているとき、又は訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項若しくは前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、訴訟が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで訴訟手続を中止することができる。 2 家事調停の申立てがあった事件について家事審判事件が係属しているとき、又は家事審判事件が係属している裁判所が前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、家事審判事件が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで、家事審判の手続を中止することができる。 (訴えの取下げの擬制等) 第二百七十六条 訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は次条第一項若しくは第二百八十四条第一項の規定による審判が確定したときは、当該訴訟について訴えの取下げがあったものとみなす。 2 家事審判事件が係属している裁判所が第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は第二百八十四条第一項の審判が確定したときは、当該家事審判事件は、終了する。 第二章 合意に相当する審判 (合意に相当する審判の対象及び要件) 第二百七十七条 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第一号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。 ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。 一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。 二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。 2 前項第一号の合意は、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項及び第二百七十条第一項に規定する方法によっては、成立させることができない。 3 第一項の家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、合意に相当する審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 4 第二百七十二条第一項から第三項までの規定は、家庭裁判所が第一項第一号の規定による合意を正当と認めない場合について準用する。 (申立ての取下げの制限) 第二百七十八条 家事調停の申立ての取下げは、合意に相当する審判がされた後は、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (異議の申立て) 第二百七十九条 当事者及び利害関係人は、合意に相当する審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 ただし、当事者にあっては、第二百七十七条第一項各号に掲げる要件に該当しないことを理由とする場合に限る。 2 前項の規定による異議の申立ては、二週間の不変期間内にしなければならない。 3 前項の期間は、異議の申立てをすることができる者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては当事者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 4 第一項の規定による異議の申立てをする権利は、放棄することができる。 (異議の申立てに対する審判等) 第二百八十条 家庭裁判所は、当事者がした前条第一項の規定による異議の申立てが不適法であるとき、又は異議の申立てに理由がないと認めるときは、これを却下しなければならない。 利害関係人がした同項の規定による異議の申立てが不適法であるときも、同様とする。 2 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 家庭裁判所は、当事者から適法な異議の申立てがあった場合において、異議の申立てを理由があると認めるときは、合意に相当する審判を取り消さなければならない。 4 利害関係人から適法な異議の申立てがあったときは、合意に相当する審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 5 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (合意に相当する審判の効力) 第二百八十一条 第二百七十九条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、合意に相当する審判は、確定判決と同一の効力を有する。 (婚姻の取消しについての合意に相当する審判の特則) 第二百八十二条 婚姻の取消しについての家事調停の手続において、婚姻の取消しについての合意に相当する審判をするときは、この合意に相当する審判において、当事者間の合意に基づき、子の親権者を指定しなければならない。 2 前項の合意に相当する審判は、子の親権者の指定につき当事者間で合意が成立しないとき、又は成立した合意が相当でないと認めるときは、することができない。 (申立人の死亡により事件が終了した場合の特則) 第二百八十三条 父が嫡出否認についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他父の三親等内の血族が父の死亡の日から一年以内に嫡出否認の訴えを提起したときは、父がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (嫡出否認の審判の通知) 第二百八十三条の二 家庭裁判所は、民法第七百七十二条第三項の規定により父が定められる子の嫡出否認についての合意に相当する審判が確定したときは、同法第七百七十四条第四項に規定する前夫(事件の記録上その氏名及び住所又は居所が判明しているものに限る。)に対し、当該合意に相当する審判の内容を通知するものとする。 (認知の無効についての調停の申立ての特則) 第二百八十三条の三 認知をした者が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他認知をした者の三親等内の血族が認知をした者の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、認知をした者がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 2 子が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、子の直系卑属又はその法定代理人が子の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、子がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 第三章 調停に代わる審判 (調停に代わる審判の対象及び要件) 第二百八十四条 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。 ただし、第二百七十七条第一項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。 2 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (調停に代わる審判の特則) 第二百八十五条 家事調停の申立ての取下げは、第二百七十三条第一項の規定にかかわらず、調停に代わる審判がされた後は、することができない。 2 調停に代わる審判の告知は、公示送達の方法によっては、することができない。 3 調停に代わる審判を告知することができないときは、家庭裁判所は、これを取り消さなければならない。 (異議の申立て等) 第二百八十六条 当事者は、調停に代わる審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 2 第二百七十九条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による異議の申立てについて準用する。 3 家庭裁判所は、第一項の規定による異議の申立てが不適法であるときは、これを却下しなければならない。 4 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 5 適法な異議の申立てがあったときは、調停に代わる審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 6 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 7 第五項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判が効力を失った場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 8 当事者が、申立てに係る家事調停(離婚又は離縁についての家事調停を除く。)の手続において、調停に代わる審判に服する旨の共同の申出をしたときは、第一項の規定は、適用しない。 9 前項の共同の申出は、書面でしなければならない。 10 当事者は、調停に代わる審判の告知前に限り、第八項の共同の申出を撤回することができる。 この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。 (調停に代わる審判の効力) 第二百八十七条 前条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判は確定した第三十九条の規定による審判と同一の効力を、その余の調停に代わる審判は確定判決と同一の効力を有する。 第四章 不服申立て等 第二百八十八条 家事調停の手続においてされた裁判に対する不服申立て及び再審については、特別の定めのある場合を除き、それぞれ前編第一章第二節及び第三節の規定を準用する。 第四編 履行の確保 (義務の履行状況の調査及び履行の勧告) 第二百八十九条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所(第九十一条第一項(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により抗告裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては第一審裁判所である家庭裁判所、第百五条第二項の規定により高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては本案の家事審判事件の第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、その審判(抗告裁判所又は高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては、その裁判。次条第一項において同じ。)で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。 3 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項から第六項までにおいてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 6 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧等又はその複製の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 7 前各項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務(高等裁判所において定められたものを含む。次条第三項において同じ。)の履行及び調停前の処分として命じられた事項の履行について準用する。 (義務履行の命令) 第二百九十条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、その審判で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠った者がある場合において、相当と認めるときは、権利者の申立てにより、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をすべきことを命ずる審判をすることができる。 この場合において、その命令は、その命令をする時までに義務者が履行を怠った義務の全部又は一部についてするものとする。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定により義務の履行を命ずるには、義務者の陳述を聴かなければならない。 3 前二項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務の履行について準用する。 4 前三項に規定するもののほか、第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定による義務の履行を命ずる審判の手続については、第二編第一章に定めるところによる。 5 第一項(第三項において準用する場合を含む。)の規定により義務の履行を命じられた者が正当な理由なくその命令に従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 第五編 罰則 (過料の裁判の執行等) 第二百九十一条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。 (人の秘密を漏らす罪) 第二百九十二条 参与員、家事調停委員又はこれらの職にあった者が正当な理由なくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 (評議の秘密を漏らす罪) 第二百九十三条 家事調停委員又は家事調停委員であった者が正当な理由なく評議の経過又は裁判官、家事調停官若しくは家事調停委員の意見若しくはその多少の数を漏らしたときは、三十万円以下の罰金に処する。 参与員又は参与員であった者が正当な理由なく裁判官又は参与員の意見を漏らしたときも、同様とする。
民事
Heisei
Act
423AC0000000052_20250524_504AC0000000048.xml
平成二十三年法律第五十二号
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家事事件手続法 第一編 総則 第一章 通則 (趣旨) 第一条 家事審判及び家事調停に関する事件(以下「家事事件」という。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第二条 裁判所は、家事事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に家事事件の手続を追行しなければならない。 (最高裁判所規則) 第三条 この法律に定めるもののほか、家事事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第一章の二 日本の裁判所の管轄権 (不在者の財産の管理に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の二 裁判所は、不在者の財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の五十五の項の事項についての審判事件をいう。第百四十五条において同じ。)について、不在者の財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (失踪の宣告の取消しの審判事件の管轄権) 第三条の三 裁判所は、失踪の宣告の取消しの審判事件(別表第一の五十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十九条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 日本において失踪の宣告の審判があったとき。 二 失踪者の住所が日本国内にあるとき又は失踪者が日本の国籍を有するとき。 三 失踪者が生存していたと認められる最後の時点において、失踪者が日本国内に住所を有していたとき又は日本の国籍を有していたとき。 (嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件の管轄権) 第三条の四 裁判所は、嫡出否認の訴えについて日本の裁判所が管轄権を有するときは、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件(別表第一の五十九の項の事項についての審判事件をいう。第百五十九条第一項及び第二項において同じ。)について、管轄権を有する。 (養子縁組をするについての許可の審判事件等の管轄権) 第三条の五 裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判事件(別表第一の六十一の項の事項についての審判事件をいう。第百六十一条第一項及び第二項において同じ。)及び特別養子縁組の成立の審判事件(同表の六十三の項の事項についての審判事件をいう。第百六十四条において同じ。)(特別養子適格の確認の審判事件(同条第二項に規定する特別養子適格の確認についての審判事件をいう。第百六十四条の二第二項及び第四項において同じ。)を含む。)について、養親となるべき者又は養子となるべき者の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (死後離縁をするについての許可の審判事件の管轄権) 第三条の六 裁判所は、死後離縁をするについての許可の審判事件(別表第一の六十二の項の事項についての審判事件をいう。第百六十二条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親又は養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養親又は養子がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。 三 養親又は養子の一方が日本の国籍を有する場合であって、他の一方がその死亡の時に日本の国籍を有していたとき。 (特別養子縁組の離縁の審判事件の管轄権) 第三条の七 裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判事件(別表第一の六十四の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養子の実父母又は検察官からの申立てであって、養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 養親及び養子が日本の国籍を有するとき。 四 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親及び養子が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 五 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親が行方不明であるとき、養親の住所がある国においてされた離縁に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが養親と養子との間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (親権に関する審判事件等の管轄権) 第三条の八 裁判所は、親権に関する審判事件(別表第一の六十五の項から六十九の項まで並びに別表第二の七の項及び八の項の事項についての審判事件をいう。第百六十七条において同じ。)、子の監護に関する処分の審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第四号及び第百五十一条第二号において同じ。)(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)及び親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件(別表第一の百三十二の項の事項についての審判事件をいう。第二百四十二条第一項第二号及び第三項において同じ。)について、子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件等の管轄権) 第三条の九 裁判所は、養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件(別表第一の七十の項の事項についての審判事件をいう。第百七十六条及び第百七十七条第一号において同じ。)又は未成年後見人の選任の審判事件(同表の七十一の項の事項についての審判事件をいう。同条第二号において同じ。)について、未成年被後見人となるべき者若しくは未成年被後見人(以下この条において「未成年被後見人となるべき者等」という。)の住所若しくは居所が日本国内にあるとき又は未成年被後見人となるべき者等が日本の国籍を有するときは、管轄権を有する。 (夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件の管轄権) 第三条の十 裁判所は、夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件(別表第一の八十四の項及び八十五の項並びに別表第二の一の項から三の項まで、九の項及び十の項の事項についての審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件にあっては、子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。)をいう。)について、扶養義務者(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件にあっては、扶養義務者となるべき者)であって申立人でないもの又は扶養権利者(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件にあっては、子の監護者又は子)の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (相続に関する審判事件の管轄権) 第三条の十一 裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで及び百三十三の項並びに別表第二の十一の項から十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。 2 相続開始の前に推定相続人の廃除の審判事件(別表第一の八十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)、推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件(同表の八十七の項の事項についての審判事件をいう。第百八十八条第一項及び第百八十九条第一項において同じ。)、遺言の確認の審判事件(同表の百二の項の事項についての審判事件をいう。第二百九条第二項において同じ。)又は遺留分の放棄についての許可の審判事件(同表の百十の項の事項についての審判事件をいう。第二百十六条第一項第二号において同じ。)の申立てがあった場合における前項の規定の適用については、同項中「相続開始の時における被相続人」とあるのは「被相続人」と、「相続開始の前」とあるのは「申立て前」とする。 3 裁判所は、第一項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第百八十九条第一項及び第二項において同じ。)、相続財産の保存に関する処分の審判事件(同表の八十九の項の事項についての審判事件をいう。第百九十条の二において同じ。)、限定承認を受理した場合における相続財産の清算人の選任の審判事件(同表の九十四の項の事項についての審判事件をいう。)、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十七の項の事項についての審判事件をいう。第二百二条第一項第二号及び第三項において同じ。)及び相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 4 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に遺産の分割に関する審判事件(別表第二の十二の項から十四の項までの事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第百九十一条第一項において同じ。)及び特別の寄与に関する処分の審判事件(同表の十五の項の事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第二百十六条の二において同じ。)の申立てをすることができるかについて定めることができる。 5 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三条の七第二項から第四項までの規定は、前項の合意について準用する。 (財産の分与に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の十二 裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件(別表第二の四の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第五号において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 夫であった者及び妻であった者の双方が日本の国籍を有するとき。 三 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、夫であった者及び妻であった者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 四 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた財産の分与に関する処分に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (家事調停事件の管轄権) 第三条の十三 裁判所は、家事調停事件について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 当該調停を求める事項についての訴訟事件又は家事審判事件について日本の裁判所が管轄権を有するとき。 二 相手方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 当事者が日本の裁判所に家事調停の申立てをすることができる旨の合意をしたとき。 2 民事訴訟法第三条の七第二項及び第三項の規定は、前項第三号の合意について準用する。 3 人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての調停事件については、第一項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。 (特別の事情による申立ての却下) 第三条の十四 裁判所は、第三条の二から前条までに規定する事件について日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(遺産の分割に関する審判事件又は特別の寄与に関する処分の審判事件について、日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の合意に基づき申立てがされた場合を除く。)においても、事案の性質、申立人以外の事件の関係人の負担の程度、証拠の所在地、未成年者である子の利益その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが適正かつ迅速な審理の実現を妨げ、又は相手方がある事件について申立人と相手方との間の衡平を害することとなる特別の事情があると認めるときは、その申立ての全部又は一部を却下することができる。 (管轄権の標準時) 第三条の十五 日本の裁判所の管轄権は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 第二章 管轄 (管轄が住所地により定まる場合の管轄権を有する家庭裁判所) 第四条 家事事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (優先管轄) 第五条 この法律の他の規定により二以上の家庭裁判所が管轄権を有するときは、家事事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した家庭裁判所が管轄する。 (管轄裁判所の指定) 第六条 管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 3 前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (管轄権を有する家庭裁判所の特例) 第七条 この法律の他の規定により家事事件の管轄が定まらないときは、その家事事件は、審判又は調停を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管轄の標準時) 第八条 裁判所の管轄は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 (移送等) 第九条 裁判所は、家事事件の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。 ただし、家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。 2 家庭裁判所は、家事事件がその管轄に属する場合においても、次の各号に掲げる事由があるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を当該各号に定める家庭裁判所に移送することができる。 一 家事事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるとき 第五条の規定により管轄権を有しないこととされた家庭裁判所 二 事件を処理するために特に必要があると認めるとき 前号の家庭裁判所以外の家庭裁判所 3 前二項の規定による移送の裁判及び第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 民事訴訟法第二十二条の規定は、家事事件の移送の裁判について準用する。 第三章 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第十条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者(審判(申立てを却下する審判を除く。)がされた場合において、その審判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。 二 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第十一条 裁判官について裁判又は調停の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第十二条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、受託裁判官として職務を行う簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。 2 家庭裁判所及び地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで家事事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 家事事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官、調停委員会を組織する裁判官又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第十三条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (参与員の除斥及び忌避) 第十四条 参与員の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 参与員について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その参与員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 参与員の除斥又は忌避についての裁判は、参与員の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官(受命裁判官の手続に立ち会う参与員が忌避の申立てを受けたときに限る。)又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官がすることができる。 (家事調停官の除斥及び忌避) 第十五条 家事調停官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項から第四項まで、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、前項において準用する同条第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 3 家事調停官の除斥又は忌避についての裁判は、家事調停官の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項の裁判は、忌避された家事調停官がすることができる。 (家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥) 第十六条 家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥については、第十条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。 2 家庭裁判所調査官又は家事調停委員について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官又は家事調停委員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 3 家庭裁判所調査官又は家事調停委員の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官又は家事調停委員の所属する裁判所がする。 第四章 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第十七条 当事者能力、家事事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十一条、第三十三条並びに第三十四条第一項及び第二項の規定を準用する。 2 被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした家事審判又は家事調停の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。 職権により手続が開始された場合についても、同様とする。 3 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について同意その他の授権を得ている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告若しくは第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立ての取下げ又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議の取下げ (未成年者及び成年被後見人の法定代理人) 第十八条 親権を行う者又は後見人は、第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により未成年者又は成年被後見人が法定代理人によらずに自ら手続行為をすることができる場合であっても、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。 ただし、家事審判及び家事調停の申立ては、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定により親権を行う者又は後見人が申立てをすることができる場合(人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の申立てにあっては、同法その他の法令の規定によりその訴えを提起することができる場合を含む。)に限る。 (特別代理人) 第十九条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、家事事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法定代理権の消滅の通知) 第二十条 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、法定代理権の消滅は、本人又は代理人から他方の当事者に通知しなければ、その効力を生じない。 家事調停事件においても、同様とする。 (法人の代表者等への準用) 第二十一条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第五章 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第二十二条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (裁判長による手続代理人の選任等) 第二十三条 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。 2 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。 3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し手続行為につき行為能力の制限を受けた者が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。 (手続代理人の代理権の範囲) 第二十四条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について委任を受けている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告、第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立て又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議 四 前号の抗告(即時抗告を含む。)、申立て又は異議の取下げ 五 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (手続代理人の代理権の消滅の通知) 第二十五条 手続代理人の代理権の消滅は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についてのものに限る。)及び家事調停事件においては本人又は代理人から他方の当事者に、その他の家事事件においては本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。 (手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用) 第二十六条 民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第二十七条 家事事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六章 手続費用 第一節 手続費用の負担 (手続費用の負担) 第二十八条 手続費用(家事審判に関する手続の費用(以下「審判費用」という。)及び家事調停に関する手続の費用(以下「調停費用」という。)をいう。以下同じ。)は、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び利害関係参加人(第四十二条第七項に規定する利害関係参加人をいう。第一号において同じ。)がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。 一 当事者又は利害関係参加人 二 前号に掲げる者以外の審判を受ける者となるべき者 三 前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの 3 前二項の規定によれば検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。 (手続費用の負担の裁判等) 第二十九条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における審判費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。 ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。 2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。 事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。 3 調停が成立した場合において、調停費用(審判手続を経ている場合にあっては、審判費用を含む。)の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 4 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟が係属する裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、その訴訟についての訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 (手続費用の立替え) 第三十条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の家事事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第三十一条 民事訴訟法第六十九条から第七十四条までの規定(裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての決定に対する即時抗告に関する部分を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十二条中「当事者が裁判所において和解をした場合」とあるのは「調停が成立した場合」と、「和解の費用又は訴訟費用」とあるのは「家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第二十九条第三項の調停費用又は同条第四項の訴訟費用」と、同法第七十三条第一項中「裁判及び和解」とあるのは「裁判及び調停の成立」と、「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「家事事件手続法第四十一条第一項若しくは第四十二条第一項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「家事事件手続法第三十一条第一項において準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第四項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二節 手続上の救助 第三十二条 家事事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で家事審判又は家事調停の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「家事事件手続法第三十二条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七章 家事事件の審理等 (手続の非公開) 第三十三条 家事事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (期日及び期間) 第三十四条 家事事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。 2 家事事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 家事事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、家事事件の手続の期日及び期間について準用する。 (手続の併合等) 第三十五条 裁判所は、家事事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする家事事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (送達及び手続の中止) 第三十六条 送達及び家事事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは、「裁判又は調停を求める事項」と読み替えるものとする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第三十七条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第八章 電子情報処理組織による申立て等 第三十八条 家事事件の手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十第一項から第五項までの規定(支払督促に関する部分を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定によりされた申立て等に係るこの法律の他の規定による家事事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、同条第五項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第九章 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第三十八条の二 家事事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同法第百三十三条第一項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人(家事事件手続法第四十二条第七項(同法第二百五十八条第一項において準用する場合を含む。)に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の審判を受ける者となるべき者(同法第十条第一項第一号に規定する審判を受ける者となるべき者をいう。)」と、同法第百三十三条の四第一項中「秘匿決定、第百三十三条の二第二項の決定又は前条の決定(次項及び第七項において「秘匿決定等」という。)に係る者以外の者は、訴訟記録等」とあるのは「秘匿決定(家事事件手続法第二百七十七条第一項に規定する事項以外の事項についての家事調停の手続に係るもの並びに同法第二百八十九条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による調査及び勧告の事件の手続に係るものを除く。次項、第四項第一号及び第七項において同じ。)に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、当該秘匿決定に係る事件の記録」と、同条第二項中「秘匿決定等に係る者以外の当事者は、秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、秘匿決定」と、「訴訟記録等」とあるのは「前項の事件の記録」と、同条第四項第一号中「秘匿決定又は第百三十三条の二第二項の決定」とあるのは「秘匿決定」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人」と、「秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定」と読み替えるものとする。 第二編 家事審判に関する手続 第一章 総則 第一節 家事審判の手続 第一款 通則 (審判事項) 第三十九条 家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第一及び別表第二に掲げる事項並びに同編に定める事項について、審判をする。 (参与員) 第四十条 家庭裁判所は、参与員の意見を聴いて、審判をする。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、その意見を聴かないで、審判をすることができる。 2 家庭裁判所は、参与員を家事審判の手続の期日に立ち会わせることができる。 3 参与員は、家庭裁判所の許可を得て、第一項の意見を述べるために、申立人が提出した資料の内容について、申立人から説明を聴くことができる。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、この限りでない。 4 参与員の員数は、各事件について一人以上とする。 5 参与員は、毎年あらかじめ家庭裁判所の選任した者の中から、事件ごとに家庭裁判所が指定する。 6 前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の規定による選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 7 参与員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (当事者参加) 第四十一条 当事者となる資格を有する者は、当事者として家事審判の手続に参加することができる。 2 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者(審判を受ける者となるべき者に限る。)を、当事者として家事審判の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (利害関係参加) 第四十二条 審判を受ける者となるべき者は、家事審判の手続に参加することができる。 2 審判を受ける者となるべき者以外の者であって、審判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、家庭裁判所の許可を得て、家事審判の手続に参加することができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、職権で、審判を受ける者となるべき者及び前項に規定する者を、家事審判の手続に参加させることができる。 4 前条第三項の規定は、第一項の規定による参加の申出及び第二項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。 5 家庭裁判所は、第一項又は第二項の規定により家事審判の手続に参加しようとする者が未成年者である場合において、その者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者が当該家事審判の手続に参加することがその者の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出又は第二項の規定による参加の許可の申立てを却下しなければならない。 6 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判(前項の規定により第一項の規定による参加の申出を却下する裁判を含む。)に対しては、即時抗告をすることができる。 7 第一項から第三項までの規定により家事審判の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(家事審判の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。 (手続からの排除) 第四十三条 家庭裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を家事審判の手続から排除することができる。 2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第四十四条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって家事審判の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、家庭裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に家事審判の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者による受継) 第四十五条 家事審判の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該家事審判の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 家庭裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、職権で、当該家事審判の申立てをすることができる者に、その手続を受け継がせることができる。 3 第一項の規定による受継の申立て及び前項の規定による受継の裁判は、第一項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。 (調書の作成等) 第四十六条 裁判所書記官は、家事審判の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第四十七条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事審判事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事審判事件に関する事項の証明書の交付(第二百八十九条第六項において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。 2 前項の規定は、家事審判事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、これを許可しなければならない。 4 家庭裁判所は、事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、前項の規定にかかわらず、同項の申立てを許可しないことができる。 事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てを許可することを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。 5 家庭裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 6 審判書その他の裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は家事審判事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 審判を受ける者が当該審判があった後に請求する場合も、同様とする。 7 家事審判事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事審判事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 8 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 9 前項の規定による即時抗告が家事審判の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 10 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (検察官に対する通知) 第四十八条 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより審判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄権を有する家庭裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。 第二款 家事審判の申立て (申立ての方式等) 第四十九条 家事審判の申立ては、申立書(以下「家事審判の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事審判の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 申立人は、二以上の事項について審判を求める場合において、これらの事項についての家事審判の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。 4 家事審判の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い家事審判の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (申立ての変更) 第五十条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は理由を変更することができる。 ただし、第七十一条(第百八十八条第四項において準用する場合を含む。)の規定により審理を終結した後は、この限りでない。 2 申立ての趣旨又は理由の変更は、家事審判の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 家庭裁判所は、申立ての趣旨又は理由の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨又は理由の変更により家事審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 第三款 家事審判の手続の期日 (事件の関係人の呼出し) 第五十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができる。 2 呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。 ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。 3 前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、五万円以下の過料に処する。 (裁判長の手続指揮権) 第五十二条 家事審判の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が家事審判の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第五十三条 家庭裁判所は、受命裁判官に家事審判の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第六十一条第三項の規定又は第六十四条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第五十四条 家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 家事審判の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第五十五条 家事審判の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、家事審判事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。 第四款 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第五十六条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び審判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第五十七条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (家庭裁判所調査官による事実の調査) 第五十八条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。 4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。 (家庭裁判所調査官の期日への立会い等) 第五十九条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、家事審判の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。 2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。 3 家庭裁判所は、家事審判事件の処理に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 4 急迫の事情があるときは、裁判長が、前項の措置をとらせることができる。 (裁判所技官による診断等) 第六十条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 2 第五十八条第二項から第四項までの規定は前項の診断について、前条第一項及び第二項の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について準用する。 (事実の調査の嘱託等) 第六十一条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (調査の嘱託等) 第六十二条 家庭裁判所は、必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (事実の調査の通知) 第六十三条 家庭裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による家事審判の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (証拠調べ) 第六十四条 家事審判の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百七条第二項、第二百八条、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第二百二十九条第四項の規定を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 3 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 一 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。 二 書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 4 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 一 正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。 二 対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 三 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。 5 家庭裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、家事審判の手続の期日に出頭することを命ずることができる。 6 民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。 第五款 家事審判の手続における子の意思の把握等 第六十五条 家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 第六款 家事調停をすることができる事項についての家事審判の手続の特則 (合意管轄) 第六十六条 別表第二に掲げる事項についての審判事件は、この法律の他の規定により定める家庭裁判所のほか、当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 (家事審判の申立書の写しの送付等) 第六十七条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、家事審判の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事審判の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事審判の申立てがあったことを通知することをもって、家事審判の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は、前項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について準用する。 3 裁判長は、第一項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 4 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (陳述の聴取) 第六十八条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。 2 前項の規定による陳述の聴取は、当事者の申出があるときは、審問の期日においてしなければならない。 (審問の期日) 第六十九条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。 ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。 (事実の調査の通知) 第七十条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続において、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (審理の終結) 第七十一条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。 ただし、当事者双方が立ち会うことができる家事審判の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。 (審判日) 第七十二条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、審判をする日を定めなければならない。 第七款 審判等 (審判) 第七十三条 家庭裁判所は、家事審判事件が裁判をするのに熟したときは、審判をする。 2 家庭裁判所は、家事審判事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について審判をすることができる。 手続の併合を命じた数個の家事審判事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (審判の告知及び効力の発生等) 第七十四条 審判は、特別の定めがある場合を除き、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の審判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 審判(申立てを却下する審判を除く。)は、特別の定めがある場合を除き、審判を受ける者(審判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 ただし、即時抗告をすることができる審判は、確定しなければその効力を生じない。 3 申立てを却下する審判は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。 4 審判は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 5 審判の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (審判の執行力) 第七十五条 金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 (審判の方式及び審判書) 第七十六条 審判は、審判書を作成してしなければならない。 ただし、即時抗告をすることができない審判については、家事審判の申立書又は調書に主文を記載することをもって、審判書の作成に代えることができる。 2 審判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由の要旨 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第七十七条 審判に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 審判に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (審判の取消し又は変更) 第七十八条 家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、次に掲げる審判を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。 一 申立てによってのみ審判をすべき場合において申立てを却下した審判 二 即時抗告をすることができる審判 2 審判が確定した日から五年を経過したときは、家庭裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。 ただし、事情の変更によりその審判を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、第一項の規定により審判の取消し又は変更をする場合には、その審判における当事者及びその他の審判を受ける者の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の規定による取消し又は変更の審判に対しては、取消し後又は変更後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (審判に関する民事訴訟法の準用) 第七十九条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、審判について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「審判が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (外国裁判所の家事事件についての確定した裁判の効力) 第七十九条の二 外国裁判所の家事事件についての確定した裁判(これに準ずる公的機関の判断を含む。)については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第百十八条の規定を準用する。 (中間決定) 第八十条 家庭裁判所は、審判の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (審判以外の裁判) 第八十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続においては、審判をする場合を除き、決定で裁判をする。 この場合には、第七十三条から第七十九条まで(第七十四条第二項ただし書、第七十六条第一項及び第七十八条第三項を除く。)の規定を準用する。 2 家事審判の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 3 審判以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。 第八款 取下げによる事件の終了 (家事審判の申立ての取下げ) 第八十二条 家事審判の申立ては、特別の定めがある場合を除き、審判があるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立ては、審判が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、申立ての取下げは、審判がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。 ただし、申立ての取下げが家事審判の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。 4 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。 同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 5 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、家事審判の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「家事審判の手続の期日」と読み替えるものとする。 (家事審判の申立ての取下げの擬制) 第八十三条 家事審判の申立人(第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合にあっては、当事者双方)が、連続して二回、呼出しを受けた家事審判の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた家事審判の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、家庭裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。 第九款 高等裁判所が第一審として行う手続 第八十四条 高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合におけるこの節の規定の適用については、同節の規定(第五十八条、第五十九条第一項から第三項まで、第六十一条第一項及び第二項並びに第六十五条の規定を除く。)中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第三十九条、第四十七条第六項、第四十九条第三項、第五十六条第二項、第六十五条、第七十二条、第七十三条、第七十四条第一項から第三項まで(第二項ただし書を除く。)、第七十五条、第七十七条第一項、第七十八条(第一項第二号及び第四項を除く。)、第七十九条、第八十条第一項、第八十一条第一項並びに第八十二条第一項及び第二項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第四十二条第二項中「審判の結果」とあるのは「審判に代わる裁判の結果」と、第五十八条第一項、第五十九条第一項から第三項まで、第六十一条第一項及び第六十五条中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、第五十八条第三項中「家庭裁判所に」とあるのは「高等裁判所に」と、第七十六条中「審判書」とあるのは「裁判書」と、同条第一項中「審判は」とあるのは「審判に代わる裁判は」と、同項ただし書中「即時抗告をすることができない審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができない審判に代わる裁判」と、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」とする。 2 第四十条及び第四十八条の規定は、高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合については、適用しない。 第二節 不服申立て 第一款 審判に対する不服申立て 第一目 即時抗告 (即時抗告をすることができる審判) 第八十五条 審判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 2 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第八十六条 審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 即時抗告の期間は、特別の定めがある場合を除き、即時抗告をする者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては申立人が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第八十七条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原審判の表示及びその審判に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による審判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第四十九条第四項及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第八十八条 審判に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 ただし、抗告審における手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められる場合には、即時抗告があったことを通知することをもって、抗告状の写しの送付に代えることができる。 2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 (陳述の聴取) 第八十九条 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の審判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原審判を取り消すことができない。 2 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 (原裁判所による更正) 第九十条 原裁判所は、審判に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その審判を更正しなければならない。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判については、更正することができない。 (抗告裁判所による裁判) 第九十一条 抗告裁判所は、即時抗告について決定で裁判をする。 2 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、家事審判事件について自ら審判に代わる裁判をしなければならない。 ただし、第九十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。 (原審の管轄違いの場合の取扱い) 第九十二条 抗告裁判所は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についての審判事件を除く。)の全部又は一部が原裁判所の管轄に属しないと認める場合には、原審判を取り消さなければならない。 ただし、原審における審理の経過、事件の性質、抗告の理由等に照らして原審判を取り消さないことを相当とする特別の事情があると認めるときは、この限りでない。 2 抗告裁判所は、家事審判事件が管轄違いであることを理由として原審判を取り消すときは、その事件を管轄権を有する家庭裁判所に移送しなければならない。 (家事審判の手続の規定及び民事訴訟法の準用等) 第九十三条 審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前節第一款から第八款までの規定(第四十条、第四十一条第四項、第四十二条第六項、第四十三条第二項、第四十四条第二項、第四十七条第八項から第十項まで、第四十八条、第四十九条第六項、第六十六条、第六十七条第四項、第七十四条第二項ただし書、第四項及び第五項、第七十六条第一項ただし書、第七十七条第三項から第五項まで、第七十八条第四項、第八十一条第三項並びに第八十三条の規定を除く。)、第四節の規定(第百五条第二項、第百十条、第百十一条及び第百十三条の規定を除く。)及び次章の規定(家庭裁判所の管轄及び即時抗告に関する規定を除く。)を準用する。 この場合において、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは、「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」と読み替えるものとする。 2 抗告裁判所は、第八十八条第一項の規定による抗告状の写しの送付及びこれに代わる即時抗告があったことの通知をすることを要しないときは、前項において準用する第七十一条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。 3 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百八条までの規定は、審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条」とあるのは「家事事件手続法第八十二条第五項及び第八十三条」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「家事事件手続法第二百九十一条」と読み替えるものとする。 第二目 特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第九十四条 家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (原裁判の執行停止) 第九十五条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。 ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十六条 第八十六条第二項、第八十七条から第八十九条まで、第九十一条第一項及び第九十三条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十七条第六項中「及び第五項」とあるのは、「から第六項まで」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十六条第一項において読み替えて準用する同法第八十七条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第二項の規定及び同法第九十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三目 許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第九十七条 高等裁判所の家事審判事件についての決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第九十四条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 ただし、その決定が家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の高等裁判所は、同項の決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第九十四条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十八条 第八十六条第二項、第八十七条(第四項及び第五項を除く。)、第八十八条、第八十九条、第九十一条第一項、第九十三条及び第九十五条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十六条第二項、第八十七条第一項、第二項第二号及び第三項、第八十八条第一項並びに第八十九条第二項中「即時抗告」とあり、第八十七条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第九十五条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第九十七条第二項の申立て」と、第八十七条第一項、第二項及び第六項、第八十八条並びに第九十三条第二項中「抗告状」とあるのは「第九十七条第二項の規定による許可の申立書」と、第九十一条第一項並びに第九十三条第一項前段、第二項及び第三項中「即時抗告」とあり、並びに第九十五条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項の規定及び同法第九十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二款 審判以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第九十九条 審判以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第百条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、家事審判事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (即時抗告期間等) 第百一条 審判以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 (審判に対する不服申立ての規定の準用) 第百二条 前款の規定(第八十五条第一項、第八十六条第一項並びに第八十八条及び第八十九条(これらの規定を第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした審判以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 第三節 再審 (再審) 第百三条 確定した審判その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により審判その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該審判その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第百四条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第四節 審判前の保全処分 (審判前の保全処分) 第百五条 本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずる審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判に代わる裁判をする。 (審判前の保全処分の申立て等) 第百六条 審判前の保全処分(前条第一項の審判及び同条第二項の審判に代わる裁判をいう。以下同じ。)の申立ては、その趣旨及び保全処分を求める事由を明らかにしてしなければならない。 2 審判前の保全処分の申立人は、保全処分を求める事由を疎明しなければならない。 3 家庭裁判所(前条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、審判前の保全処分の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、職権で、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 4 審判前の保全処分の申立ては、審判前の保全処分があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。 (陳述の聴取) 第百七条 審判前の保全処分のうち仮の地位を定める仮処分を命ずるものは、審判を受ける者となるべき者の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第百八条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、第四十七条第三項の規定にかかわらず、審判前の保全処分の事件について、当事者から同条第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、審判前の保全処分の事件における審判を受ける者となるべき者に対し、当該事件が係属したことを通知し、又は審判前の保全処分を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。 (審判) 第百九条 審判前の保全処分は、疎明に基づいてする。 2 審判前の保全処分については、第七十四条第二項ただし書の規定は、適用しない。 3 審判前の保全処分の執行及び効力は、民事保全法(平成元年法律第九十一号)その他の仮差押え及び仮処分の執行及び効力に関する法令の規定に従う。 この場合において、同法第四十五条中「仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、「本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属している家庭裁判所(当該家事審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」とする。 (即時抗告) 第百十条 審判前の保全処分(第百五条第二項の審判に代わる裁判を除く。次項において同じ。)の申立人は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 ただし、次に掲げる保全処分の申立てを却下する審判については、この限りでない。 一 第百二十六条第一項(第百三十四条第一項及び第百四十三条第一項において準用する場合を含む。)、第百五十八条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)及び第二百条第一項の規定による財産の管理者の選任又は財産の管理等に関する指示の保全処分 二 第百二十七条第一項(第百三十五条、第百四十四条、第百八十一条及び第二百二十五条第一項において準用する場合を含む。)、第百六十六条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)、第百七十四条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)、第百七十五条第三項及び第二百十五条第一項の規定による職務代行者の選任の保全処分 2 本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者は、審判前の保全処分(前項各号に掲げる保全処分を命ずる審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 (即時抗告に伴う執行停止) 第百十一条 前条第二項の規定により即時抗告が提起された場合において、原審判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原審判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、若しくは担保を立てさせないで原審判の執行の停止を命じ、又は担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 審判前の保全処分の事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、これらの処分を命ずることができる。 2 第百六条第二項及び第三項の規定は、前項の申立てについて準用する。 (審判前の保全処分の取消し) 第百十二条 審判前の保全処分が確定した後に、保全処分を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所又は審判前の保全処分をした家庭裁判所は、本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者の申立てにより又は職権で、審判前の保全処分の取消しの審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判前の保全処分の取消しの審判に代わる裁判をする。 3 第百六条並びに第百九条第一項及び第二項の規定は、第一項の審判前の保全処分の取消しの審判及び前項の裁判について準用する。 (即時抗告等) 第百十三条 前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判の申立人は、申立てを却下する審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの申立てを却下する審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 2 審判前の保全処分の申立人は、前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの審判を除く。)及び第百十五条において準用する民事保全法第三十三条の規定による原状回復の審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百十一条の規定は、前二項の規定による即時抗告に伴う執行停止について準用する。 (調書の作成) 第百十四条 裁判所書記官は、審判前の保全処分の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 審判前の保全処分の手続については、第四十六条の規定は、適用しない。 (民事保全法の準用) 第百十五条 民事保全法第四条の規定は審判前の保全処分に関する手続における担保について、同法第十四条、第十五条及び第二十条から第二十四条まで(同法第二十三条第四項を除く。)の規定は審判前の保全処分について、同法第三十三条の規定は審判前の保全処分の取消しの裁判について、同法第三十四条の規定は第百十二条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判について準用する。 第五節 戸籍の記載等の嘱託 第百十六条 裁判所書記官は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者又は登記所に対し、戸籍の記載又は後見登記等に関する法律(平成十一年法律第百五十二号)に定める登記を嘱託しなければならない。 ただし、戸籍の記載又は同法に定める登記の嘱託を要するものとして最高裁判所規則で定めるものに限る。 一 別表第一に掲げる事項についての審判又はこれに代わる裁判が効力を生じた場合 二 審判前の保全処分が効力を生じ、又は効力を失った場合 第二章 家事審判事件 第一節 成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百十七条 後見開始の審判事件(別表第一の一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条第一号において同じ。)は、成年被後見人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 成年後見に関する審判事件(別表第一の一の項から十六の二の項までの事項についての審判事件をいう。)は、後見開始の審判事件を除き、後見開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が後見開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、後見開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百十八条 次に掲げる審判事件(第一号、第四号及び第六号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 後見開始の審判事件 二 後見開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二の項の事項についての審判事件をいう。) 三 成年後見人の選任の審判事件(別表第一の三の項の事項についての審判事件をいう。) 四 成年後見人の解任の審判事件(別表第一の五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第一項において同じ。) 五 成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の六の項の事項についての審判事件をいう。) 六 成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の八の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第五項において同じ。) 七 成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の十二の項の事項についての審判事件をいう。) 八 成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(以下「郵便物等」という。)の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判事件(別表第一の十二の二の項の事項についての審判事件をいう。第百二十三条の二において「成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件」という。) 九 成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の十四の項の事項についての審判事件をいう。) 十 第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の十五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十五条第一項及び第二項において同じ。) (精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取) 第百十九条 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の精神の状況につき鑑定をしなければ、後見開始の審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 家庭裁判所は、成年被後見人の精神の状況につき医師の意見を聴かなければ、民法第十条の規定による後見開始の審判の取消しの審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (陳述及び意見の聴取) 第百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号から第三号までにあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 後見開始の審判の取消しの審判(民法第十条の規定による場合に限る。) 成年被後見人及び成年後見人 三 成年後見人又は成年後見監督人の選任の審判 成年被後見人となるべき者又は成年被後見人 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 六 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 成年後見人の選任の審判 成年後見人となるべき者 二 成年後見監督人の選任の審判 成年後見監督人となるべき者 (申立ての取下げの制限) 第百二十一条 次に掲げる申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 一 後見開始の申立て 二 民法第八百四十三条第二項の規定による成年後見人の選任の申立て 三 民法第八百四十五条の規定により選任の請求をしなければならない者による同法第八百四十三条第三項の規定による成年後見人の選任の申立て (審判の告知等) 第百二十二条 次の各号に掲げる審判は、当該各号に定める者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判は、信書の送達の事業を行う者に告知することを要しない。 この場合においては、その審判が効力を生じた時に、信書の送達の事業を行う者に通知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 後見開始の審判 民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者並びに任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号。以下「任意後見契約法」という。)第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 後見開始の審判の取消しの審判 成年後見人及び成年後見監督人 三 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 (即時抗告) 第百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 後見開始の審判 民法第七条及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 後見開始の申立てを却下する審判 申立人 三 後見開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十条に規定する者 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、成年後見監督人並びに成年被後見人及びその親族 六 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 七 成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに成年被後見人及びその親族 八 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人及びその親族 九 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 十 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の申立てを却下する審判 申立人 十一 成年被後見人の死亡後の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為についての許可の申立てを却下する審判 申立人 2 審判の告知を受ける者でない者による後見開始の審判に対する即時抗告の期間は、民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (陳述の聴取の例外) 第百二十三条の二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件においては、第八十九条第一項の規定(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)にかかわらず、抗告裁判所は、信書の送達の事業を行う者の陳述を聴くことを要しない。 (成年後見の事務の監督) 第百二十四条 家庭裁判所は、適当な者に、成年後見の事務若しくは成年被後見人の財産の状況を調査させ、又は臨時に財産の管理をさせることができる。 2 家庭裁判所は、前項の規定により調査又は管理をした者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 3 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査をさせることができる。 4 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、第一項の規定により財産を管理する者について準用する。 (管理者の改任等) 第百二十五条 家庭裁判所は、いつでも、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者を改任することができる。 2 家庭裁判所は、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者(前項の規定により改任された管理者を含む。以下この条において「財産の管理者」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、成年被後見人の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、財産の管理者に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 財産の管理者の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、財産の管理者について準用する。 7 家庭裁判所は、成年被後見人が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったときその他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、成年被後見人、財産の管理者若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 (後見開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百二十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護又は財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護若しくは財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、成年被後見人となるべき者の財産上の行為(民法第九条ただし書に規定する行為を除く。第七項において同じ。)につき、前項の財産の管理者の後見を受けることを命ずることができる。 3 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、第百七条の規定にかかわらず、その者の陳述を聴く手続を経ずに、前項の規定による審判(次項から第七項までにおいて「後見命令の審判」という。)をすることができる。 4 後見命令の審判は、第一項の財産の管理者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによって、その効力を生ずる。 5 後見命令の審判は、成年被後見人となるべき者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 6 審判の告知を受ける者でない者による後見命令の審判に対する即時抗告の期間は、第一項の財産の管理者が第四項の規定による告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 7 後見命令の審判があったときは、成年被後見人となるべき者及び第一項の財産の管理者は、成年被後見人となるべき者がした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 8 前条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、前条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「成年被後見人となるべき者」と読み替えるものとする。 (成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百二十七条 家庭裁判所は、成年後見人の解任の審判事件が係属している場合において、成年被後見人の利益のため必要があるときは、成年後見人の解任の申立てをした者の申立てにより又は職権で、成年後見人の解任についての審判が効力を生ずるまでの間、成年後見人の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による成年後見人の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される成年後見人、他の成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定は、成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第二節 保佐に関する審判事件 (管轄) 第百二十八条 保佐開始の審判事件(別表第一の十七の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被保佐人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 保佐に関する審判事件(別表第一の十七の項から三十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、保佐開始の審判事件を除き、保佐開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が保佐開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、保佐開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百二十九条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被保佐人となるべき者及び被保佐人について準用する。 一 保佐開始の審判事件 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の十八の項の事項についての審判事件をいう。) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の十九の項の事項についての審判事件をいう。) 四 保佐開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二十の項の事項についての審判事件をいう。) 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の二十一の項の事項についての審判事件をいう。) 六 保佐人の選任の審判事件(別表第一の二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 七 保佐人の解任の審判事件(別表第一の二十四の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 八 保佐監督人の選任の審判事件(別表第一の二十六の項の事項についての審判事件をいう。) 九 保佐監督人の解任の審判事件(別表第一の二十八の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 十 保佐人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の三十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十三の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 保佐の事務の監督の審判事件(別表第一の三十四の項の事項についての審判事件をいう。) (陳述及び意見の聴取) 第百三十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号、第四号及び第五号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 保佐開始の審判 被保佐人となるべき者 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人 四 保佐開始の審判の取消しの審判(民法第十四条第一項の規定による場合に限る。) 被保佐人及び保佐人 五 保佐人又は保佐監督人の選任の審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 保佐人の選任の審判 保佐人となるべき者 二 保佐監督人の選任の審判 保佐監督人となるべき者 (審判の告知) 第百三十一条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 保佐開始の審判 民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐人又は保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐人となるべき者又は保佐監督人となるべき者) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人及び保佐監督人 四 保佐開始の審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 六 保佐人に対する代理権の付与の審判 被保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐監督人となるべき者) 七 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被保佐人及び保佐監督人 (即時抗告) 第百三十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 保佐開始の審判 民法第十一条本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 保佐開始の申立てを却下する審判 申立人 三 保佐開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十四条第一項に規定する者 四 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人 五 保佐人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐人の解任の申立てを却下する審判 申立人、保佐監督人並びに被保佐人及びその親族 八 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 九 保佐監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被保佐人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐開始の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百三十三条 第百十九条の規定は被保佐人となるべき者及び被保佐人の精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取について、第百二十一条の規定は保佐開始の申立ての取下げ及び保佐人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は保佐の事務の監督について準用する。 (保佐開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百三十四条 保佐開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、保佐開始の申立てがあった場合において、被保佐人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、保佐開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被保佐人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為に限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の保佐を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「保佐命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐命令の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 保佐命令の審判があったときは、被保佐人となるべき者及び財産の管理者は、被保佐人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被保佐人となるべき者」と読み替えるものとする。 (保佐人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百三十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、保佐人の解任の審判事件又は保佐監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第三節 補助に関する審判事件 (管轄) 第百三十六条 補助開始の審判事件(別表第一の三十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被補助人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 補助に関する審判事件(別表第一の三十六の項から五十四の項までの事項についての審判事件をいう。)は、補助開始の審判事件を除き、補助開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が補助開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、補助開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百三十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被補助人となるべき者及び被補助人について準用する。 一 補助開始の審判事件 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の三十七の項の事項についての審判事件をいう。) 三 補助人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の三十八の項の事項についての審判事件をいう。) 四 補助開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十九の項の事項についての審判事件をいう。) 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の四十の項の事項についての審判事件をいう。) 六 補助人の選任の審判事件(別表第一の四十一の項の事項についての審判事件をいう。) 七 補助人の解任の審判事件(別表第一の四十三の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 八 補助監督人の選任の審判事件(別表第一の四十五の項の事項についての審判事件をいう。) 九 補助監督人の解任の審判事件(別表第一の四十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 十 補助人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の五十一の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の五十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 補助の事務の監督の審判事件(別表第一の五十三の項の事項についての審判事件をいう。) (精神の状況に関する意見の聴取) 第百三十八条 家庭裁判所は、被補助人となるべき者の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、補助開始の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第百三十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第三号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 補助開始の審判 被補助人となるべき者 二 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人 三 補助開始の審判の取消しの審判(民法第十八条第一項又は第三項の規定による場合に限る。) 被補助人及び補助人 四 補助人又は補助監督人の選任の審判 被補助人となるべき者又は被補助人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助監督人の解任の審判 補助監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 補助人の選任の審判 補助人となるべき者 二 補助監督人の選任の審判 補助監督人となるべき者 (審判の告知) 第百四十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 補助開始の審判 民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判 補助人及び補助監督人(当該審判が補助人又は補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助人となるべき者又は補助監督人となるべき者) 三 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人及び補助監督人 四 補助開始の審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 六 補助人に対する代理権の付与の審判 被補助人及び補助監督人(当該審判が補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助監督人となるべき者) 七 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被補助人及び補助監督人 (即時抗告) 第百四十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 補助開始の審判 民法第十五条第一項本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 補助開始の申立てを却下する審判 申立人 三 補助開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十八条第一項に規定する者 四 補助人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助人の解任の申立てを却下する審判 申立人、補助監督人並びに被補助人及びその親族 七 補助監督人の解任の審判 補助監督人 八 補助監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被補助人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助開始の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百四十二条 第百二十一条の規定は補助開始の申立ての取下げ及び補助人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は補助の事務の監督について準用する。 (補助開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百四十三条 補助開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、補助開始及び補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てがあった場合において、被補助人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、補助開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被補助人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為であって、当該補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てに係るものに限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の補助を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「補助命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助命令の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 補助命令の審判があったときは、被補助人となるべき者及び財産の管理者は、被補助人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被補助人となるべき者」と読み替えるものとする。 (補助人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百四十四条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、補助人の解任の審判事件又は補助監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第四節 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件 (管轄) 第百四十五条 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管理人の改任等) 第百四十六条 家庭裁判所は、いつでも、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人を改任することができる。 2 家庭裁判所は、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人及び前項の規定により改任した管理人(第四項及び第六項、次条並びに第百四十七条において「家庭裁判所が選任した管理人」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 同法第二十七条第二項の場合においては、不在者が置いた管理人に対しても、同様とする。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、不在者の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、管理人(家庭裁判所が選任した管理人及び不在者が置いた管理人をいう。次項及び第百四十七条において同じ。)に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 管理人の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、家庭裁判所が選任した管理人について準用する。 (供託等) 第百四十六条の二 家庭裁判所が選任した管理人は、不在者の財産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、不在者のために、当該金銭を不在者の財産の管理に関する処分を命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。 2 家庭裁判所が選任した管理人は、前項の規定による供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 (処分の取消し) 第百四十七条 家庭裁判所は、不在者が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったとき(家庭裁判所が選任した管理人が管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、不在者、管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、民法第二十五条第一項の規定による管理人の選任その他の不在者の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 第五節 失踪の宣告に関する審判事件 第一款 失踪の宣告の審判事件 第百四十八条 失踪の宣告の審判事件(別表第一の五十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の審判事件における不在者について準用する。 3 家庭裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号及び第四号の期間が経過しなければ、失踪の宣告の審判をすることができない。 この場合において、第二号及び第四号の期間は、民法第三十条第一項の場合にあっては三月を、同条第二項の場合にあっては一月を下ってはならない。 一 不在者について失踪の宣告の申立てがあったこと。 二 不在者は、一定の期間までにその生存の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、失踪の宣告がされること。 四 不在者の生死を知る者は、一定の期間までにその届出をすべきこと。 4 失踪の宣告の審判は、不在者に告知することを要しない。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の審判 不在者及び利害関係人 二 失踪の宣告の申立てを却下する審判 申立人 第二款 失踪の宣告の取消しの審判事件 第百四十九条 失踪の宣告の取消しの審判事件は、失踪者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の取消しの審判事件における失踪者について準用する。 3 失踪の宣告の取消しの審判は、事件の記録上失踪者の住所又は居所が判明している場合に限り、失踪者に告知すれば足りる。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の取消しの審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 失踪の宣告の取消しの申立てを却下する審判 失踪者及び利害関係人 第六節 婚姻等に関する審判事件 (管轄) 第百五十条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件(別表第二の一の項の事項についての審判事件をいう。次条第一号において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の五十八の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件(別表第二の二の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地 四 子の監護に関する処分の審判事件 子(父又は母を同じくする数人の子についての申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地 五 財産の分与に関する処分の審判事件 夫又は妻であった者の住所地 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の五の項の事項についての審判事件をいう。) 所有者の住所地 (手続行為能力) 第百五十一条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件及びこれらの審判事件を本案とする保全処分についての審判事件(いずれの審判事件においても、財産上の給付を求めるものを除く。)における当該各号に定める者について準用する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の審判事件 子 (陳述の聴取) 第百五十二条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判をする場合には、夫及び妻(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判を除く。)をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第百五十三条 第八十二条第二項の規定にかかわらず、財産の分与に関する処分の審判の申立ての取下げは、相手方が本案について書面を提出し、又は家事審判の手続の期日において陳述をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (給付命令等) 第百五十四条 家庭裁判所は、夫婦間の協力扶助に関する処分の審判において、扶助の程度若しくは方法を定め、又はこれを変更することができる。 2 家庭裁判所は、次に掲げる審判において、当事者(第二号の審判にあっては、夫又は妻)に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判 四 財産の分与に関する処分の審判 3 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判において、子の監護をすべき者の指定又は変更、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項の定めをする場合には、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 4 家庭裁判所は、離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 (共有財産の分割) 第百五十五条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判とともに共有財産の分割に関する処分の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、共有財産の分割の方法として、一方の婚姻の当事者に他方の婚姻の当事者に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (即時抗告) 第百五十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 四 子の監護に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 五 財産の分与に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫又は妻であった者 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判 婚姻の当事者(民法第七百五十一条第二項において準用する同法第七百六十九条第二項の規定による場合にあっては、生存配偶者)その他の利害関係人 (婚姻等に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百五十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分 二 婚姻費用の分担に関する処分 三 子の監護に関する処分 四 財産の分与に関する処分 2 家庭裁判所は、前項第三号に掲げる事項について仮の地位を定める仮処分(子の監護に要する費用の分担に関する仮処分を除く。)を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件を本案とする保全処分) 第百五十八条 家庭裁判所は、夫婦の一方から夫婦財産契約による財産の管理者の変更の申立てがあった場合において、他の一方の管理する申立人所有の財産又は共有財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、当該財産の管理者の変更の申立てについての審判(共有財産の分割に関する処分の申立てがあった場合にあっては、その申立てについての審判)が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、他の一方の管理する申立人所有の財産若しくは共有財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は夫婦の他の一方の申立てにより、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「管理に係る財産」と読み替えるものとする。 第七節 親子に関する審判事件 第一款 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件 第百五十九条 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件は、子の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件における父及び民法第七百七十四条第四項に規定する前夫について準用する。 3 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二款 子の氏の変更についての許可の審判事件 第百六十条 子の氏の変更についての許可の審判事件(別表第一の六十の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、子(父又は母を同じくする数人の子についての子の氏の変更についての許可の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、子の氏の変更についての許可の審判事件における子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 子の氏の変更についての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第三款 養子縁組をするについての許可の審判事件 第百六十一条 養子縁組をするについての許可の審判事件は、養子となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、養子縁組をするについての許可の審判事件における養親となるべき者及び養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 ただし、養子となるべき者については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者及び養子となるべき者の未成年後見人 4 養子縁組をするについての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第四款 死後離縁をするについての許可の審判事件 第百六十二条 死後離縁をするについての許可の審判事件は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、死後離縁をするについての許可の審判事件における養親及び養子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子の死後に死後離縁をするについての許可の申立てがあった場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、養子を代襲して養親の相続人となるべき者に対し、その旨を通知するものとする。 ただし、事件の記録上その者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 死後離縁をするについての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 死後離縁をするについての許可の申立てを却下する審判 申立人 第五款 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百六十三条 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の六の項の事項についての審判事件をいう。)は、その所有者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 離縁の当事者その他の利害関係人は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第六款 特別養子縁組に関する審判事件 (特別養子縁組の成立の審判事件) 第百六十四条 特別養子縁組の成立の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 養子となるべき者は、特別養子適格の確認(養子となるべき者について民法第八百十七条の六に定める要件があること及び同法第八百十七条の七に規定する父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合に該当することについての確認をいう。以下この条及び次条において同じ。)の審判(申立人の同条第一項の規定による申立てによりされたものに限る。)を受けた者又は児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判(特別養子縁組の成立の申立ての日の六箇月前の日以後に確定したものに限る。)を受けた者でなければならない。 3 養子となるべき者の親権者(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。以下この項において同じ。)及びその親権者に対し親権を行う者は、特別養子縁組の成立の審判事件において養子となるべき者を代理して手続行為をすることができない。 4 養子となるべき者の父母(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。第十項において同じ。)は、第四十二条第一項及び第三項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判事件の手続に参加することができない。 5 第百十八条の規定は、特別養子縁組の成立の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方について準用する。 6 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者(養子となるべき者の父母及び養子となるべき者の親権者に対し親権を行う者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 7 特別養子適格の確認の審判(児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判を含む。以下この項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の審判事件の係属する裁判所を拘束する。 この場合において、特別養子適格の確認の審判は、特別養子縁組の成立の審判事件との関係においては、特別養子縁組の成立の審判をする時においてしたものとみなす。 8 特別養子縁組の成立の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第二号に掲げる者に告知しなければならない。 9 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 ただし、養子となるべき者が十五歳に達している場合は、この限りでない。 10 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の父母に告知することを要しない。 ただし、住所又は居所が知れている父母に対しては、審判をした日及び審判の主文を通知しなければならない。 11 家庭裁判所は、第二項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判を、特別養子適格の確認の審判と同時にすることができる。 この場合においては、特別養子縁組の成立の審判は、特別養子適格の確認の審判が確定するまでは、確定しないものとする。 12 家庭裁判所は、前項前段の場合において、特別養子適格の確認の審判を取り消す裁判が確定したときは、職権で、特別養子縁組の成立の審判を取り消さなければならない。 13 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、確定しないものとする。 この場合においては、家庭裁判所は、職権で、その審判を取り消さなければならない。 14 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の成立の審判 養子となるべき者及び第六項第二号に掲げる者 二 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判 申立人 15 養子となるべき者(十五歳未満のものに限る。)による特別養子縁組の成立の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子適格の確認の審判事件) 第百六十四条の二 家庭裁判所は、養親となるべき者の申立てにより、その者と養子となるべき者との間における縁組について、特別養子適格の確認の審判をすることができる。 ただし、養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過する日まで及び養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、この限りでない。 2 特別養子適格の確認の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 特別養子適格の確認の申立ては、特別養子縁組の成立の申立てと同時にしなければならない。 4 第百十八条の規定は、特別養子適格の確認の審判事件における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び養子となるべき者の父母について準用する。 5 民法第八百十七条の六本文の同意は、次の各号のいずれにも該当する場合には、撤回することができない。 ただし、その同意をした日から二週間を経過する日までは、この限りでない。 一 養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過した後にされたものであること。 二 次のいずれかに該当するものであること。 イ 家庭裁判所調査官による事実の調査を経た上で家庭裁判所に書面を提出してされたものであること。 ロ 審問の期日においてされたものであること。 6 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第二号に掲げる者の同意がないにもかかわらずその審判をするときは、その者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者の父母 三 養子となるべき者に対し親権を行う者(前号に掲げる者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 四 養子となるべき者の父母に対し親権を行う者及び養子となるべき者の父母の後見人 7 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てに係る特別養子適格の確認の申立てを却下しなければならない。 8 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の申立てを却下する審判をする場合には、第六項第二号及び第三号に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 9 特別養子適格の確認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第三号及び第四号に掲げる者に告知しなければならない。 10 特別養子適格の確認の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 11 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合において、第六項第二号に掲げる者を特定することができないときは、同号及び同項第四号に掲げる者の陳述を聴くこと並びにこれらの者にその審判を告知することを要しない。 12 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子適格の確認の審判 養子となるべき者及び第六項第二号から第四号までに掲げる者 二 特別養子適格の確認の申立てを却下する審判 申立人 13 養子となるべき者による特別養子適格の確認の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 14 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てによる特別養子適格の確認の審判は、その効力を失う。 (特別養子縁組の離縁の審判事件) 第百六十五条 特別養子縁組の離縁の審判事件は、養親の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、特別養子縁組の離縁の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親、養子及びその実父母について準用する。 3 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号から第三号までに掲げる者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子(十五歳以上のものに限る。) 二 養親 三 養子の実父母 四 養子に対し親権を行う者(第二号に掲げる者を除く。)及び養子の後見人 五 養親の後見人 六 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 4 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子の実父母(申立人を除く。) 二 養子に対し親権を行う者及び養子の後見人 三 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 5 特別養子縁組の離縁の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第三項第四号から第六号までに掲げる者に告知しなければならない。 6 特別養子縁組の離縁の審判は、養子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して養子の利益を害すると認める場合には、養子に告知することを要しない。 7 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の離縁の審判 養子、養親、養子の実父母、養子に対し親権を行う者で養親でないもの、養子の後見人、養親の後見人、養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 二 特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判 申立人 8 養子による特別養子縁組の離縁の審判に対する即時抗告の期間は、養子以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子縁組の成立の審判事件等を本案とする保全処分) 第百六十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の申立てがあった場合において、養子となるべき者の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別養子縁組の成立の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、申立人を養子となるべき者の監護者に選任し、又は養子となるべき者の親権者若しくは未成年後見人の職務の執行を停止し、若しくはその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者若しくは未成年後見人、養子となるべき者に対し親権を行う者若しくは他の未成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、養子となるべき者の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定(養子となるべき者の監護者を選任する保全処分に関する部分を除く。)は、特別養子縁組の離縁の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第八節 親権に関する審判事件 (管轄) 第百六十七条 親権に関する審判事件は、子(父又は母を同じくする数人の子についての親権者の指定若しくは変更又は第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百六十八条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件(第三号及び第七号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における当該各号に定める者について準用する。 一 子に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の六十五の項の事項についての審判事件をいう。) 子 二 第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の六十六の項の事項についての審判事件をいう。第百七十三条において同じ。) 子 三 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件(別表第一の六十七の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判事件(別表第一の六十八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 五 親権又は管理権を辞し、又は回復するについての許可の審判事件(別表第一の六十九の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 六 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判事件(別表第二の七の項の事項についての審判事件をいう。) 養子、その父母及び養親 七 親権者の指定又は変更の審判事件(別表第二の八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 (陳述の聴取) 第百六十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号に掲げる子の親権者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子(十五歳以上のものに限る。)及び子の親権者 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者、子の未成年後見人及び親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者 三 親権又は管理権を辞するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。) 四 親権又は管理権を回復するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 2 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (審判の告知) 第百七十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 ただし、子にあっては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 (引渡命令等) 第百七十一条 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判において、当事者に対し、子の引渡し又は財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百七十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号から第三号まで及び第五号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 親権喪失の審判 親権を喪失する者及びその親族 二 親権停止の審判 親権を停止される者及びその親族 三 管理権喪失の審判 管理権を喪失する者及びその親族 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てを却下する審判 申立人、子及びその親族、未成年後見人並びに未成年後見監督人 五 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子及びその親族、子に対し親権を行う者、未成年後見人並びに未成年後見監督人 六 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人並びに親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者及びその親族 七 親権又は管理権を回復するについての許可の申立てを却下する審判 申立人 八 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判 養子の父母及び養子の監護者 九 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の申立てを却下する審判 申立人、養子の父母及び養子の監護者 十 親権者の指定又は変更の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 2 次の各号に掲げる即時抗告の期間は、当該各号に定める日から進行する。 一 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失する者が審判の告知を受けた日 二 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者が審判の告知を受けた日 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第百七十三条 第百二十五条の規定は、第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 (親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件を本案とする保全処分) 第百七十四条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があると認めるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 (親権者の指定又は変更の審判事件を本案とする保全処分) 第百七十五条 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の審判を本案とする仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 2 前項の規定により仮の地位の仮処分を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 4 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 5 家庭裁判所は、いつでも、第三項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 6 家庭裁判所は、第三項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第九節 未成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百七十六条 未成年後見に関する審判事件(別表第一の七十の項から八十三の項までの事項についての審判事件をいう。)は、未成年被後見人(養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百七十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第三号及び第五号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における未成年被後見人(第一号の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者及び養親)について準用する。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件 二 未成年後見人の選任の審判事件 三 未成年後見人の解任の審判事件(別表第一の七十三の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 四 未成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の七十四の項の事項についての審判事件をいう。) 五 未成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の七十六の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 六 未成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の七十九の項の事項についての審判事件をいう。) 七 未成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の八十一の項の事項についての審判事件をいう。) 八 第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十二の項の事項についての審判事件をいう。第百八十条において同じ。) (陳述及び意見の聴取) 第百七十八条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 未成年後見人又は未成年後見監督人の選任の審判 未成年被後見人(十五歳以上のものに限る。) 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者又は未成年後見人の選任 未成年後見人となるべき者 二 未成年後見監督人の選任 未成年後見監督人となるべき者 (即時抗告) 第百七十九条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、未成年後見監督人並びに未成年被後見人及びその親族 四 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 五 未成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに未成年被後見人及びその親族 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百八十条 第百二十一条の規定は未成年後見人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は未成年後見の事務の監督について、第百二十五条の規定は第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十一条第二号中「第八百四十三条第二項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第一項の規定による未成年後見人」と、同条第三号中「第八百四十三条第三項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第二項の規定による未成年後見人」と読み替えるものとする。 (未成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百八十一条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、未成年後見人の解任の審判事件又は未成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第十節 扶養に関する審判事件 (管轄) 第百八十二条 扶養義務の設定の審判事件(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者となるべき者(数人についての扶養義務の設定の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務の設定の取消しの審判事件(別表第一の八十五の項の事項についての審判事件をいう。)は、その扶養義務の設定の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所がその扶養義務の設定の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(別表第二の九の項の事項についての審判事件をいう。)並びに扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(同表の十の項の事項についての審判事件をいう。)は、相手方(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (申立ての特則) 第百八十三条 扶養義務の設定の申立ては、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第二十三条の二第二項第四号の規定による保護者の選任の申立てと一の申立てによりするときは、同法第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所にもすることができる。 (陳述の聴取) 第百八十四条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者 二 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者 (給付命令) 第百八十五条 家庭裁判所は、扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百八十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者(申立人を除く。) 二 扶養義務の設定の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者(申立人を除く。) 四 扶養義務の設定の取消しの申立てを却下する審判 申立人 五 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 六 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 (扶養に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百八十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消し 二 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消し 第十一節 推定相続人の廃除に関する審判事件 (推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の取消しの審判事件) 第百八十八条 推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 ただし、これらの審判事件が被相続人の死亡後に申し立てられた場合にあっては、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、前項に規定する審判事件における被相続人について準用する。 3 家庭裁判所は、推定相続人の廃除の審判事件においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、廃除を求められた推定相続人の陳述を聴かなければならない。 この場合における陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 4 推定相続人の廃除の審判事件における手続については、申立人及び廃除を求められた推定相続人を当事者とみなして、第六十七条及び第六十九条から第七十二条までの規定を準用する。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 推定相続人の廃除の審判 廃除された推定相続人 二 推定相続人の廃除又はその審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人 (遺産の管理に関する処分の審判事件) 第百八十九条 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件は、推定相続人の廃除の審判事件又は推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件が係属している家庭裁判所(その審判事件が係属していない場合にあっては相続が開始した地を管轄する家庭裁判所、その審判事件が抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所)の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項までの規定は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理人について準用する。 この場合において、同条第一項、第二項及び第四項中「家庭裁判所」とあるのは「推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所」と、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは「遺産」と読み替えるものとする。 3 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判が確定したときは、廃除を求められた推定相続人、前項の管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、その処分の取消しの裁判をしなければならない。 第十二節 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百九十条 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の十一の項の事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 相続人その他の利害関係人は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十二節の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件 第百九十条の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項まで、第百四十六条の二及び第百四十七条の規定は、相続財産の保存に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十三節 遺産の分割に関する審判事件 (管轄) 第百九十一条 遺産の分割に関する審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判事件(別表第二の十二の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)が係属している場合における寄与分を定める処分の審判事件(同表の十四の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)は、当該遺産の分割の審判事件が係属している裁判所の管轄に属する。 (手続の併合等) 第百九十二条 遺産の分割の審判事件及び寄与分を定める処分の審判事件が係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 数人からの寄与分を定める処分の審判事件が係属するときも、同様とする。 (寄与分を定める処分の審判の申立ての期間の指定) 第百九十三条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判の手続において、一月を下らない範囲内で、当事者が寄与分を定める処分の審判の申立てをすべき期間を定めることができる。 2 家庭裁判所は、寄与分を定める処分の審判の申立てが前項の期間を経過した後にされたときは、当該申立てを却下することができる。 3 家庭裁判所は、第一項の期間を定めなかった場合においても、当事者が時機に後れて寄与分を定める処分の申立てをしたことにつき、申立人の責めに帰すべき事由があり、かつ、申立てに係る寄与分を定める処分の審判の手続を併合することにより、遺産の分割の審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、その申立てを却下することができる。 (遺産の換価を命ずる裁判) 第百九十四条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、相続人に対し、遺産の全部又は一部を競売して換価することを命ずることができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があり、かつ、相当と認めるときは、相続人の意見を聴き、相続人に対し、遺産の全部又は一部について任意に売却して換価することを命ずることができる。 ただし、共同相続人中に競売によるべき旨の意思を表示した者があるときは、この限りでない。 3 前二項の規定による裁判(以下この条において「換価を命ずる裁判」という。)が確定した後に、その換価を命ずる裁判の理由の消滅その他の事情の変更があるときは、家庭裁判所は、相続人の申立てにより又は職権で、これを取り消すことができる。 4 換価を命ずる裁判は、第八十一条第一項において準用する第七十四条第一項に規定する者のほか、遺産の分割の審判事件の当事者に告知しなければならない。 5 相続人は、換価を命ずる裁判に対し、即時抗告をすることができる。 6 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判をする場合において、第二百条第一項の財産の管理者が選任されていないときは、これを選任しなければならない。 7 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判により換価を命じられた相続人に対し、遺産の中から、相当な報酬を与えることができる。 8 第百二十五条の規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第六項の規定により選任した財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 (債務を負担させる方法による遺産の分割) 第百九十五条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (給付命令) 第百九十六条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (遺産の分割の禁止の審判の取消し及び変更) 第百九十七条 家庭裁判所は、事情の変更があるときは、相続人の申立てにより、いつでも、遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判をすることができる。 この申立てに係る審判事件は、別表第二に掲げる事項についての審判事件とみなす。 (即時抗告) 第百九十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺産の分割の審判及びその申立てを却下する審判 相続人 二 遺産の分割の禁止の審判 相続人 三 遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判 相続人 四 寄与分を定める処分の審判 相続人 五 寄与分を定める処分の申立てを却下する審判 申立人 2 第百九十二条前段の規定により審判が併合してされたときは、寄与分を定める処分の審判又はその申立てを却下する審判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 3 第百九十二条後段の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (申立ての取下げの制限) 第百九十九条 第百五十三条の規定は、遺産の分割の審判の申立ての取下げについて準用する。 2 第八十二条第二項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分) 第二百条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。次項及び第三項において同じ。)は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、遺産の分割の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。 ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。 4 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 第十四節 相続の承認及び放棄に関する審判事件 第二百一条 相続の承認及び放棄に関する審判事件(別表第一の九十の項から九十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、限定承認の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十三の項の事項についての審判事件をいう。)は、限定承認の申述を受理した家庭裁判所(抗告裁判所が受理した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 家庭裁判所(抗告裁判所が限定承認の申述を受理した場合にあっては、その裁判所)は、相続人が数人ある場合において、限定承認の申述を受理したときは、職権で、民法第九百三十六条第一項の規定により相続財産の清算人を選任しなければならない。 4 第百十八条の規定は、限定承認又は相続の放棄の取消しの申述の受理の審判事件(別表第一の九十一の項の事項についての審判事件をいう。)における限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者について準用する。 5 限定承認及びその取消し並びに相続の放棄及びその取消しの申述は、次に掲げる事項を記載した申述書を家庭裁判所に提出してしなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 限定承認若しくはその取消し又は相続の放棄若しくはその取消しをする旨 6 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条の規定は、前項の申述について準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百一条第五項」と読み替えるものとする。 7 家庭裁判所は、第五項の申述の受理の審判をするときは、申述書にその旨を記載しなければならない。 この場合において、当該審判は、申述書にその旨を記載した時に、その効力を生ずる。 8 前項の審判については、第七十六条の規定は、適用しない。 9 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 相続の承認又は放棄をすべき期間の伸長の申立てを却下する審判 申立人 二 限定承認又は相続の放棄の取消しの申述を却下する審判 限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者 三 限定承認又は相続の放棄の申述を却下する審判 申述人 第十五節 財産分離に関する審判事件 第二百二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める裁判所の管轄に属する。 一 財産分離の審判事件(別表第一の九十六の項の事項についての審判事件をいう。次号において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件 財産分離の審判事件が係属している家庭裁判所(抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所、財産分離の裁判確定後にあっては財産分離の審判事件が係属していた家庭裁判所) 三 財産分離の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十八の項の事項についての審判事件をいう。) 財産分離の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が財産分離の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所) 2 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 財産分離の審判 相続人 二 民法第九百四十一条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続債権者及び受遺者 三 民法第九百五十条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続人の債権者 3 第百二十五条の規定は、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十六節 相続人の不存在に関する審判事件 (管轄) 第二百三条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。 一 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 相続人の不存在の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百の項の事項についての審判事件をいう。) 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件において相続財産の清算人の選任の審判をした家庭裁判所 三 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件(別表第一の百一の項の事項についての審判事件をいう。次条第二項及び第二百七条において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 (特別縁故者に対する相続財産の分与の審判) 第二百四条 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判は、民法第九百五十二条第二項の期間の満了後三月を経過した後にしなければならない。 2 同一の相続財産に関し特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件が数個同時に係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 (意見の聴取) 第二百五条 家庭裁判所は、特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判をする場合には、民法第九百五十二条第一項の規定により選任し、又は第二百八条において準用する第百二十五条第一項の規定により改任した相続財産の清算人(次条及び第二百七条において単に「相続財産の清算人」という。)の意見を聴かなければならない。 (即時抗告) 第二百六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判 申立人及び相続財産の清算人 二 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てを却下する審判 申立人 2 第二百四条第二項の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人又は相続財産の清算人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (相続財産の換価を命ずる裁判) 第二百七条 第百九十四条第一項、第二項本文、第三項から第五項まで及び第七項の規定は、特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件について準用する。 この場合において、同条第一項及び第七項中「相続人」とあり、並びに同条第二項中「相続人の意見を聴き、相続人」とあるのは「相続財産の清算人」と、同条第三項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人若しくは相続財産の清算人」と、同条第四項中「当事者」とあるのは「申立人」と、同条第五項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人及び相続財産の清算人」と読み替えるものとする。 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第二百八条 第百二十五条の規定は、相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十七節 遺言に関する審判事件 (管轄) 第二百九条 遺言に関する審判事件(別表第一の百二の項から百八の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続を開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺言の確認の審判事件は、遺言者の生存中は、遺言者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者及び負担の利益を受けるべき者 2 家庭裁判所は、遺言執行者の選任の審判をする場合には、遺言執行者となるべき者の意見を聴かなければならない。 (調書の作成) 第二百十一条 裁判所書記官は、遺言書の検認について、調書を作成しなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百十二条 遺言の確認又は遺言書の検認の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百十三条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 相続人 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 負担の利益を受けるべき者 (即時抗告) 第二百十四条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺言の確認の審判 利害関係人 二 遺言の確認の申立てを却下する審判 遺言に立ち会った証人及び利害関係人 三 遺言執行者の選任の申立てを却下する審判 利害関係人 四 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 五 遺言執行者の解任の申立てを却下する審判 利害関係人 六 遺言執行者の辞任についての許可の申立てを却下する審判 申立人 七 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者その他の利害関係人(申立人を除く。) 八 負担付遺贈に係る遺言の取消しの申立てを却下する審判 相続人 (遺言執行者の解任の審判事件を本案とする保全処分) 第二百十五条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、遺言執行者の解任の申立てがあった場合において、遺言の内容の実現のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、遺言執行者の解任の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、遺言執行者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による遺言執行者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される遺言執行者、他の遺言執行者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、相続財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第十八節 遺留分に関する審判事件 第二百十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 遺留分を算定するための財産の価額を定める場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百九の項の事項についての審判事件をいう。) 相続が開始した地 二 遺留分の放棄についての許可の審判事件 被相続人の住所地 2 遺留分の放棄についての許可の申立てをした者は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十八節の二 特別の寄与に関する審判事件 (管轄) 第二百十六条の二 特別の寄与に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (給付命令) 第二百十六条の三 家庭裁判所は、特別の寄与に関する処分の審判において、当事者に対し、金銭の支払を命ずることができる。 (即時抗告) 第二百十六条の四 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別の寄与に関する処分の審判 申立人及び相手方 二 特別の寄与に関する処分の申立てを却下する審判 申立人 (特別の寄与に関する審判事件を本案とする保全処分) 第二百十六条の五 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、特別の寄与に関する処分についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は申立人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別の寄与に関する処分の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 第十九節 任意後見契約法に規定する審判事件 (管轄) 第二百十七条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件(別表第一の百十一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条において同じ。)は、任意後見契約法第二条第二号の本人(以下この節において単に「本人」という。)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 任意後見契約法に規定する審判事件(別表第一の百十一の項から百二十一の項までの事項についての審判事件をいう。)は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件を除き、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が当該任意後見監督人を選任した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百十八条 第百十八条の規定は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件における本人について準用する。 (精神の状況に関する意見の聴取) 第二百十九条 家庭裁判所は、本人の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、本人については、本人の心身の障害により本人の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判並びに任意後見監督人が欠けた場合及び任意後見監督人を更に選任する場合における任意後見監督人の選任の審判 本人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見人の解任の審判 任意後見人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 2 家庭裁判所は、前項第一号に掲げる審判をする場合には、任意後見監督人となるべき者の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をする場合には、任意後見契約の効力が生ずることについて、任意後見受任者の意見を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百二十一条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任及び任意後見監督人が欠けた場合における任意後見監督人の選任の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百二十二条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判 本人及び任意後見受任者 二 後見開始の審判等の取消しの審判 後見開始の審判の取消しの審判にあっては成年後見人及び成年後見監督人、保佐開始の審判の取消しの審判にあっては保佐人及び保佐監督人並びに補助開始の審判の取消しの審判にあっては補助人及び補助監督人 三 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見監督人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人、任意後見人及び任意後見監督人 (即時抗告) 第二百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第四号及び第六号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに本人及びその親族 四 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見人 五 任意後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、任意後見監督人並びに本人及びその親族 六 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 七 任意後見契約の解除についての許可の申立てを却下する審判 申立人 (任意後見監督人の事務の調査) 第二百二十四条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に任意後見監督人の事務を調査させることができる。 (任意後見監督人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第二百二十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、任意後見監督人の解任の審判事件(別表第一の百十七の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 2 第百二十七条第一項及び第二項の規定は、任意後見人の解任の審判事件(別表第一の百二十の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 この場合において、同条第一項中「停止し、又はその職務代行者を選任する」とあるのは「停止する」と、同条第二項中「同項の規定により選任した職務代行者」とあるのは「任意後見監督人」と読み替えるものとする。 第二十節 戸籍法に規定する審判事件 (管轄) 第二百二十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 氏又は名の変更についての許可の審判事件(別表第一の百二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 申立人の住所地 二 就籍許可の審判事件(別表第一の百二十三の項の事項についての審判事件をいう。) 就籍しようとする地 三 戸籍の訂正についての許可の審判事件(別表第一の百二十四の項の事項についての審判事件をいう。) その戸籍のある地 四 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件(別表第一の百二十五の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。) 市役所(戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第四条において準用する同法第百二十二条の規定による場合にあっては、区役所)又は町村役場の所在地 (手続行為能力) 第二百二十七条 第百十八条の規定は、戸籍法に規定する審判事件(別表第一の百二十二の項から百二十五の項までの事項についての審判事件をいう。)における当該審判事件の申立てをすることができる者について準用する。 ただし、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件においては、当該処分を受けた届出その他の行為を自らすることができる場合に限る。 (事件係属の通知) 第二百二十八条 家庭裁判所は、戸籍法第百十三条の規定による戸籍の訂正についての許可の申立てが当該戸籍の届出人又は届出事件の本人以外の者からされた場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該届出人又は届出事件の本人に対し、その旨を通知しなければならない。 ただし、事件の記録上これらの者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十九条 家庭裁判所は、氏の変更についての許可の審判をする場合には、申立人と同一戸籍内にある者(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区長又は総合区長とする。以下この節において同じ。)の処分に対する不服の申立てがあった場合には、当該市町村長の意見を聴かなければならない。 (審判の告知等) 第二百三十条 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該市町村長に告知しなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを理由があると認めるときは、当該市町村長に対し、相当の処分を命じなければならない。 (即時抗告) 第二百三十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 氏の変更についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 氏又は名の変更についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 就籍許可の申立てを却下する審判 申立人 四 戸籍の訂正についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 五 戸籍の訂正についての許可の申立てを却下する審判 申立人 六 前条第二項の規定による市町村長に相当の処分を命ずる審判 当該市町村長 七 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判 申立人 第二十一節 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に規定する審判事件 第二百三十二条 性別の取扱いの変更の審判事件(別表第一の百二十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、性別の取扱いの変更の審判事件における申立人について準用する。 3 性別の取扱いの変更の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二十二節 厚生年金保険法に規定する審判事件 第二百三十三条 請求すべき 按 あん 分割合に関する処分の審判事件(別表第二の十六の項の事項についての審判事件をいう。)は、申立人又は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 申立人及び相手方は、請求すべき按分割合に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 請求すべき按分割合に関する処分の審判の手続については、第六十八条第二項の規定は、適用しない。 第二十三節 児童福祉法に規定する審判事件 (管轄) 第二百三十四条 都道府県の措置についての承認の審判事件(別表第一の百二十七の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件(同表の百二十八の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)、児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件(同表の百二十八の二の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)及び児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件(同表の百二十八の三の項の事項についての審判事件をいう。以下この節において同じ。)は、児童の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百三十五条 第百十八条の規定は、都道府県の措置についての承認の審判事件、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件及び児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件における児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者、児童の未成年後見人及び児童並びに児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件における児童及びその父母について準用する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百三十六条 家庭裁判所は、都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、前条に規定する者(児童にあっては、十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 前項の場合において、家庭裁判所は、申立人に対し、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人の陳述に関する意見を求めることができる。 3 第百六十四条の二第六項及び第八項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (審判の告知) 第二百三十七条 都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人に告知しなければならない。 2 第百六十四条の二第九項から第十一項までの規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (即時抗告) 第二百三十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 都道府県の措置についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 二 都道府県の措置についての承認の申立てを却下する審判 申立人 三 都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 四 都道府県の措置の期間の更新についての承認の申立てを却下する審判 申立人 五 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 六 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てを却下する審判 申立人 2 第百六十四条の二第十二項及び第十三項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判の特則) 第二百三十九条 家庭裁判所は、児童の出生の日から二箇月を経過する日まで及び児童が十八歳に達した日以後は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判をすることができない。 2 第百六十四条の二第五項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 第二十四節 生活保護法等に規定する審判事件 第二百四十条 施設への入所等についての許可の審判事件(別表第一の百二十九の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。)は、被保護者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判事件(別表第二の十七の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 第百十八条の規定は、施設への入所等についての許可の審判事件における被保護者、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人について準用する。 4 家庭裁判所は、施設への入所等についての許可の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、被保護者(十五歳以上のものに限る。)、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人の陳述を聴かなければならない。 5 施設への入所等についての許可の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人に告知しなければならない。 6 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 施設への入所等についての許可の審判 被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人 二 施設への入所等についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判及びその申立てを却下する審判 申立人及び相手方 第二十五節 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に規定する審判事件 第二百四十一条 保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件(別表第一の百三十の項の事項についての審判事件をいう。第四項において同じ。)は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の意見を聴かなければならない。 一 保護者の順位の変更の審判 先順位に変更される者 二 保護者の選任の審判 保護者となるべき者 3 保護者の順位の変更又は保護者の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 4 家庭裁判所は、いつでも、保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件において選任した保護者を改任することができる。 第二十六節 破産法に規定する審判事件 第二百四十二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の百三十一の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件 子の住所地 三 破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件(別表第一の百三十三の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 相続が開始した地 2 破産管財人は、破産手続における相続の放棄の承認についての申述を却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百五十二条第一項、第百五十四条第二項(第二号に係る部分に限る。)、第百五十五条、第百五十六条(第二号に係る部分に限る。)及び第百五十八条の規定は破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件について、第百六十八条(第三号に係る部分に限る。)、第百六十九条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第百七十条(第一号に係る部分に限る。)、第百七十二条第一項(第三号及び第四号に係る部分に限る。)及び第二項(第一号に係る部分に限る。)並びに第百七十四条の規定(管理権喪失に関する部分に限る。)は親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件について、第二百一条第五項から第八項までの規定は破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件について準用する。 第二十七節 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に規定する審判事件 第二百四十三条 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判事件(別表第一の百三十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成二十年法律第三十三号)第四条第一項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第一項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第二項の旧代表者の住所地 二 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第四条第三項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第三項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第四項の旧個人事業者の住所地 2 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判は、当該合意の当事者の全員に告知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判 当該合意の当事者(申立人を除く。) 二 遺留分の算定に係る合意についての許可の申立てを却下する審判 当該合意の当事者 第三編 家事調停に関する手続 第一章 総則 第一節 通則 (調停事項等) 第二百四十四条 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。 (管轄等) 第二百四十五条 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 3 第百九十一条第二項及び第百九十二条の規定は、遺産の分割の調停事件(別表第二の十二の項の事項についての調停事件をいう。)及び寄与分を定める処分の調停事件(同表の十四の項の事項についての調停事件をいう。)について準用する。 この場合において、第百九十一条第二項中「前項」とあるのは、「第二百四十五条第一項」と読み替えるものとする。 (地方裁判所又は簡易裁判所への移送) 第二百四十六条 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件以外の事件について調停の申立てを受けた場合には、職権で、これを管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送する。 2 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について調停の申立てを受けた場合において、事件を処理するために必要があると認めるときは、職権で、事件の全部又は一部を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送することができる。 3 家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、前二項の規定にかかわらず、その事件を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所以外の地方裁判所又は簡易裁判所(事物管轄権を有するものに限る。)に移送することができる。 4 第九条第三項から第五項までの規定は、前三項の規定による移送の裁判について準用する。 (調停機関) 第二百四十七条 家庭裁判所は、調停委員会で調停を行う。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、裁判官のみで行うことができる。 2 家庭裁判所は、当事者の申立てがあるときは、前項ただし書の規定にかかわらず、調停委員会で調停を行わなければならない。 (調停委員会) 第二百四十八条 調停委員会は、裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 2 調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。 3 調停委員会の決議は、過半数の意見による。 可否同数の場合には、裁判官の決するところによる。 4 調停委員会の評議は、秘密とする。 (家事調停委員) 第二百四十九条 家事調停委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 2 家事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (家事調停官の任命等) 第二百五十条 家事調停官は、弁護士で五年以上その職にあったもののうちから、最高裁判所が任命する。 2 家事調停官は、この法律の定めるところにより、家事調停事件の処理に必要な職務を行う。 3 家事調停官は、任期を二年とし、再任されることができる。 4 家事調停官は、非常勤とする。 5 家事調停官は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して解任されることがない。 一 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七条各号のいずれかに該当するに至ったとき。 二 心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。 三 職務上の義務違反その他家事調停官たるに適しない非行があると認められたとき。 6 この法律に定めるもののほか、家事調停官の任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 (家事調停官の権限等) 第二百五十一条 家事調停官は、家庭裁判所の指定を受けて、家事調停事件を取り扱う。 2 家事調停官は、その取り扱う家事調停事件の処理について、この法律において家庭裁判所、裁判官又は裁判長が行うものとして定める家事調停事件の処理に関する権限を行うことができる。 3 家事調停官は、独立してその職権を行う。 4 家事調停官は、その権限を行うについて、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び医師である裁判所技官に対し、その職務に関し必要な命令をすることができる。 この場合において、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第六十条第五項の規定は、家事調停官の命令を受けた裁判所書記官について準用する。 5 家事調停官には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (手続行為能力) 第二百五十二条 次の各号に掲げる調停事件(第一号及び第二号にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)において、当該各号に定める者は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の調停事件(別表第二の一の項の事項についての調停事件をいう。) 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の調停事件(別表第二の三の項の事項についての調停事件をいう。) 子 三 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の調停事件(別表第二の七の項の事項についての調停事件をいう。) 養子、その父母及び養親 四 親権者の指定又は変更の調停事件(別表第二の八の項の事項についての調停事件をいう。) 子及びその父母 五 人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(第二百七十七条第一項において単に「人事に関する訴え」という。)を提起することができる事項についての調停事件 同法第十三条第一項の規定が適用されることにより訴訟行為をすることができることとなる者 2 親権を行う者又は後見人は、第十八条の規定にかかわらず、前項第一号、第三号及び第四号に掲げる調停事件(同項第一号の調停事件にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)においては、当該各号に定める者に代理して第二百六十八条第一項の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾及び第二百八十六条第八項の共同の申出をすることができない。 離婚についての調停事件における夫及び妻の後見人並びに離縁についての調停事件における養親の後見人、養子(十五歳以上のものに限る。以下この項において同じ。)に対し親権を行う者及び養子の後見人についても、同様とする。 (調書の作成) 第二百五十三条 裁判所書記官は、家事調停の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第二百五十四条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事調停事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事調停事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、家事調停事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者又は利害関係を疎明した第三者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合(第六項に規定する場合を除く。)において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 4 次に掲げる書面については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ずに、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 一 審判書その他の裁判書の正本、謄本又は抄本 二 調停において成立した合意を記載し、又は調停をしないものとして、若しくは調停が成立しないものとして事件が終了した旨を記載した調書の正本、謄本又は抄本 三 家事調停事件に関する事項の証明書 5 家事調停事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事調停事件の記録の保存又は裁判所若しくは調停委員会の執務に支障があるときは、することができない。 6 第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件において、当事者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合については、第四十七条第三項、第四項及び第八項から第十項までの規定を準用する。 第二節 家事調停の申立て等 (家事調停の申立て) 第二百五十五条 家事調停の申立ては、申立書(次項及び次条において「家事調停の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事調停の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 家事調停の申立てを不適法として却下する審判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条(第一項ただし書を除く。)の規定は、家事調停の申立てについて準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百五十五条第二項」と読み替えるものとする。 (家事調停の申立書の写しの送付等) 第二百五十六条 家事調停の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は家事調停の手続の期日を経ないで第二百七十一条の規定により家事調停事件を終了させるときを除き、家事調停の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事調停の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事調停の申立てがあったことを通知することをもって、家事調停の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について、第六十七条第三項及び第四項の規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納について準用する。 (調停前置主義) 第二百五十七条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。 2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。 ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。 3 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 第三節 家事調停の手続 (家事審判の手続の規定の準用等) 第二百五十八条 第四十一条から第四十三条までの規定は家事調停の手続における参加及び排除について、第四十四条の規定は家事調停の手続における受継について、第五十一条から第五十五条までの規定は家事調停の手続の期日について、第五十六条から第六十二条まで及び第六十四条の規定は家事調停の手続における事実の調査及び証拠調べについて、第六十五条の規定は家事調停の手続における子の意思の把握等について、第七十三条、第七十四条、第七十六条(第一項ただし書を除く。)、第七十七条及び第七十九条の規定は家事調停に関する審判について、第八十一条の規定は家事調停に関する審判以外の裁判について準用する。 2 前項において準用する第六十一条第一項の規定により家事調停の手続における事実の調査の嘱託を受けた裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることができる。 ただし、嘱託を受けた家庭裁判所が家庭裁判所調査官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 (調停委員会が行う家事調停の手続の指揮) 第二百五十九条 調停委員会が行う家事調停の手続は、調停委員会を組織する裁判官が指揮する。 (調停委員会等の権限) 第二百六十条 調停委員会が家事調停を行う場合には、次に掲げる事項に関する裁判所の権限は、調停委員会が行う。 一 第二十二条の規定による手続代理人の許可等 二 第二十七条において準用する民事訴訟法第六十条第一項及び第二項の規定による補佐人の許可等 三 第三十三条ただし書の規定による傍聴の許可 四 第三十五条の規定による手続の併合等 五 第二百五十五条第四項において準用する第五十条第三項及び第四項の規定による申立ての変更 六 第二百五十八条第一項において準用する第四十一条第一項及び第二項並びに第四十二条第一項から第三項まで及び第五項の規定による参加、第四十三条第一項の規定による排除、第四十四条第一項及び第三項の規定による受継、第五十一条第一項の規定による事件の関係人の呼出し、第五十四条第一項の規定による音声の送受信による通話の方法による手続並びに第五十六条第一項、第五十九条第一項及び第二項(これらの規定を第六十条第二項において準用する場合を含む。)、第六十一条第一項、第六十二条並びに第六十四条第五項の規定並びに同条第一項において準用する民事訴訟法の規定による事実の調査及び証拠調べ(過料及び勾引に関する事項を除く。) 2 調停委員会が家事調停を行う場合には、第二十三条第一項及び第二項の規定による手続代理人の選任等、第三十四条第一項の規定による期日の指定並びに第二百五十三条ただし書の規定による調書の作成に関する裁判長の権限は、当該調停委員会を組織する裁判官が行う。 (調停委員会を組織する裁判官による事実の調査及び証拠調べ等) 第二百六十一条 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 2 前項の場合には、裁判官は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせ、又は医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 3 第五十八条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による事実の調査及び心身の状況についての診断について準用する。 4 第一項の場合には、裁判官は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 5 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、家庭裁判所調査官に第五十九条第三項の規定による措置をとらせることができる。 (家事調停委員による事実の調査) 第二百六十二条 調停委員会は、相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 (意見の聴取の嘱託) 第二百六十三条 調停委員会は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事件の関係人から紛争の解決に関する意見を聴取することを嘱託することができる。 2 前項の規定により意見の聴取の嘱託を受けた家庭裁判所は、相当と認めるときは、家事調停委員に当該嘱託に係る意見を聴取させることができる。 (家事調停委員の専門的意見の聴取) 第二百六十四条 調停委員会は、必要があると認めるときは、当該調停委員会を組織していない家事調停委員の専門的な知識経験に基づく意見を聴取することができる。 2 前項の規定により意見を聴取する家事調停委員は、家庭裁判所が指定する。 3 前項の規定による指定を受けた家事調停委員は、調停委員会に出席して意見を述べるものとする。 (調停の場所) 第二百六十五条 調停委員会は、事件の実情を考慮して、裁判所外の適当な場所で調停を行うことができる。 (調停前の処分) 第二百六十六条 調停委員会は、家事調停事件が係属している間、調停のために必要であると認める処分を命ずることができる。 2 急迫の事情があるときは、調停委員会を組織する裁判官が前項の処分(以下「調停前の処分」という。)を命ずることができる。 3 調停前の処分は、執行力を有しない。 4 調停前の処分として必要な事項を命じられた当事者又は利害関係参加人が正当な理由なくこれに従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (裁判官のみで行う家事調停の手続) 第二百六十七条 裁判官のみで家事調停の手続を行う場合においては、家庭裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 2 第二百六十三条から前条までの規定は、裁判官のみで家事調停の手続を行う場合について準用する。 第四節 調停の成立 (調停の成立及び効力) 第二百六十八条 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては、確定した第三十九条の規定による審判)と同一の効力を有する。 2 家事調停事件の一部について当事者間に合意が成立したときは、その一部について調停を成立させることができる。 手続の併合を命じた数個の家事調停事件中その一について合意が成立したときも、同様とする。 3 離婚又は離縁についての調停事件においては、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項に規定する方法によっては、調停を成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 4 第一項及び第二項の規定は、第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件については、適用しない。 (調停調書の更正決定) 第二百六十九条 調停調書に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (調停条項案の書面による受諾) 第二百七十条 当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ調停委員会(裁判官のみで家事調停の手続を行う場合にあっては、その裁判官。次条及び第二百七十二条第一項において同じ。)から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が家事調停の手続の期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。 2 前項の規定は、離婚又は離縁についての調停事件については、適用しない。 第五節 調停の成立によらない事件の終了 (調停をしない場合の事件の終了) 第二百七十一条 調停委員会は、事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは、調停をしないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 (調停の不成立の場合の事件の終了) 第二百七十二条 調停委員会は、当事者間に合意(第二百七十七条第一項第一号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 ただし、家庭裁判所が第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。 2 前項の規定により家事調停事件が終了したときは、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 3 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 4 第一項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 (家事調停の申立ての取下げ) 第二百七十三条 家事調停の申立ては、家事調停事件が終了するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の調停の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 第八十二条第三項及び第四項並びに民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、家事調停の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、第八十二条第三項中「前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項」とあるのは「第二百七十三条第二項」と、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「家事調停の手続の期日」と読み替えるものとする。 第六節 付調停等 (付調停) 第二百七十四条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟又は家事審判事件が係属している場合には、裁判所は、当事者(本案について被告又は相手方の陳述がされる前にあっては、原告又は申立人に限る。)の意見を聴いて、いつでも、職権で、事件を家事調停に付することができる。 2 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 3 家庭裁判所及び高等裁判所は、第一項の規定により事件を調停に付する場合には、前項の規定にかかわらず、その家事調停事件を自ら処理することができる。 4 前項の規定により家庭裁判所又は高等裁判所が調停委員会で調停を行うときは、調停委員会は、当該裁判所がその裁判官の中から指定する裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 5 第三項の規定により高等裁判所が自ら調停を行う場合についてのこの編の規定の適用については、第二百四十四条、第二百四十七条、第二百四十八条第二項、第二百五十四条第一項から第四項まで、第二百六十四条第二項、第二百六十六条第四項、第二百六十八条第三項ただし書、第二百六十九条第一項並びに第二百七十二条第一項ただし書及び第二項並びに次章及び第三章の規定中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第二百四十四条、第二百五十八条第一項、第二百七十六条、第二百七十七条第一項第一号、第二百七十九条第三項及び第二百八十四条第一項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第二百六十七条第一項中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、次章の規定中「合意に相当する審判」とあるのは「合意に相当する審判に代わる裁判」と、第二百七十二条第一項ただし書及び第三章の規定(第二百八十六条第七項の規定を除く。)中「調停に代わる審判」とあるのは「調停に代わる審判に代わる裁判」と、第二百八十一条及び第二百八十七条中「却下する審判」とあるのは「却下する審判に代わる裁判」とする。 (訴訟手続及び家事審判の手続の中止) 第二百七十五条 家事調停の申立てがあった事件について訴訟が係属しているとき、又は訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項若しくは前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、訴訟が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで訴訟手続を中止することができる。 2 家事調停の申立てがあった事件について家事審判事件が係属しているとき、又は家事審判事件が係属している裁判所が前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、家事審判事件が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで、家事審判の手続を中止することができる。 (訴えの取下げの擬制等) 第二百七十六条 訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は次条第一項若しくは第二百八十四条第一項の規定による審判が確定したときは、当該訴訟について訴えの取下げがあったものとみなす。 2 家事審判事件が係属している裁判所が第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は第二百八十四条第一項の審判が確定したときは、当該家事審判事件は、終了する。 第二章 合意に相当する審判 (合意に相当する審判の対象及び要件) 第二百七十七条 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第一号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。 ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。 一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。 二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。 2 前項第一号の合意は、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項及び第二百七十条第一項に規定する方法によっては、成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 3 第一項の家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、合意に相当する審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 4 第二百七十二条第一項から第三項までの規定は、家庭裁判所が第一項第一号の規定による合意を正当と認めない場合について準用する。 (申立ての取下げの制限) 第二百七十八条 家事調停の申立ての取下げは、合意に相当する審判がされた後は、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (異議の申立て) 第二百七十九条 当事者及び利害関係人は、合意に相当する審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 ただし、当事者にあっては、第二百七十七条第一項各号に掲げる要件に該当しないことを理由とする場合に限る。 2 前項の規定による異議の申立ては、二週間の不変期間内にしなければならない。 3 前項の期間は、異議の申立てをすることができる者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては当事者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 4 第一項の規定による異議の申立てをする権利は、放棄することができる。 (異議の申立てに対する審判等) 第二百八十条 家庭裁判所は、当事者がした前条第一項の規定による異議の申立てが不適法であるとき、又は異議の申立てに理由がないと認めるときは、これを却下しなければならない。 利害関係人がした同項の規定による異議の申立てが不適法であるときも、同様とする。 2 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 家庭裁判所は、当事者から適法な異議の申立てがあった場合において、異議の申立てを理由があると認めるときは、合意に相当する審判を取り消さなければならない。 4 利害関係人から適法な異議の申立てがあったときは、合意に相当する審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 5 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (合意に相当する審判の効力) 第二百八十一条 第二百七十九条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、合意に相当する審判は、確定判決と同一の効力を有する。 (婚姻の取消しについての合意に相当する審判の特則) 第二百八十二条 婚姻の取消しについての家事調停の手続において、婚姻の取消しについての合意に相当する審判をするときは、この合意に相当する審判において、当事者間の合意に基づき、子の親権者を指定しなければならない。 2 前項の合意に相当する審判は、子の親権者の指定につき当事者間で合意が成立しないとき、又は成立した合意が相当でないと認めるときは、することができない。 (申立人の死亡により事件が終了した場合の特則) 第二百八十三条 父が嫡出否認についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他父の三親等内の血族が父の死亡の日から一年以内に嫡出否認の訴えを提起したときは、父がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (嫡出否認の審判の通知) 第二百八十三条の二 家庭裁判所は、民法第七百七十二条第三項の規定により父が定められる子の嫡出否認についての合意に相当する審判が確定したときは、同法第七百七十四条第四項に規定する前夫(事件の記録上その氏名及び住所又は居所が判明しているものに限る。)に対し、当該合意に相当する審判の内容を通知するものとする。 (認知の無効についての調停の申立ての特則) 第二百八十三条の三 認知をした者が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他認知をした者の三親等内の血族が認知をした者の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、認知をした者がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 2 子が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、子の直系卑属又はその法定代理人が子の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、子がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 第三章 調停に代わる審判 (調停に代わる審判の対象及び要件) 第二百八十四条 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。 ただし、第二百七十七条第一項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。 2 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (調停に代わる審判の特則) 第二百八十五条 家事調停の申立ての取下げは、第二百七十三条第一項の規定にかかわらず、調停に代わる審判がされた後は、することができない。 2 調停に代わる審判の告知は、公示送達の方法によっては、することができない。 3 調停に代わる審判を告知することができないときは、家庭裁判所は、これを取り消さなければならない。 (異議の申立て等) 第二百八十六条 当事者は、調停に代わる審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 2 第二百七十九条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による異議の申立てについて準用する。 3 家庭裁判所は、第一項の規定による異議の申立てが不適法であるときは、これを却下しなければならない。 4 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 5 適法な異議の申立てがあったときは、調停に代わる審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 6 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 7 第五項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判が効力を失った場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 8 当事者が、申立てに係る家事調停(離婚又は離縁についての家事調停を除く。)の手続において、調停に代わる審判に服する旨の共同の申出をしたときは、第一項の規定は、適用しない。 9 前項の共同の申出は、書面でしなければならない。 10 当事者は、調停に代わる審判の告知前に限り、第八項の共同の申出を撤回することができる。 この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。 (調停に代わる審判の効力) 第二百八十七条 前条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判は確定した第三十九条の規定による審判と同一の効力を、その余の調停に代わる審判は確定判決と同一の効力を有する。 第四章 不服申立て等 第二百八十八条 家事調停の手続においてされた裁判に対する不服申立て及び再審については、特別の定めのある場合を除き、それぞれ前編第一章第二節及び第三節の規定を準用する。 第四編 履行の確保 (義務の履行状況の調査及び履行の勧告) 第二百八十九条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所(第九十一条第一項(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により抗告裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては第一審裁判所である家庭裁判所、第百五条第二項の規定により高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては本案の家事審判事件の第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、その審判(抗告裁判所又は高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては、その裁判。次条第一項において同じ。)で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。 3 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項から第六項までにおいてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 6 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧等又はその複製の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 7 前各項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務(高等裁判所において定められたものを含む。次条第三項において同じ。)の履行及び調停前の処分として命じられた事項の履行について準用する。 (義務履行の命令) 第二百九十条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、その審判で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠った者がある場合において、相当と認めるときは、権利者の申立てにより、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をすべきことを命ずる審判をすることができる。 この場合において、その命令は、その命令をする時までに義務者が履行を怠った義務の全部又は一部についてするものとする。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定により義務の履行を命ずるには、義務者の陳述を聴かなければならない。 3 前二項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務の履行について準用する。 4 前三項に規定するもののほか、第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定による義務の履行を命ずる審判の手続については、第二編第一章に定めるところによる。 5 第一項(第三項において準用する場合を含む。)の規定により義務の履行を命じられた者が正当な理由なくその命令に従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 第五編 罰則 (過料の裁判の執行等) 第二百九十一条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。 (人の秘密を漏らす罪) 第二百九十二条 参与員、家事調停委員又はこれらの職にあった者が正当な理由なくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 (評議の秘密を漏らす罪) 第二百九十三条 家事調停委員又は家事調停委員であった者が正当な理由なく評議の経過又は裁判官、家事調停官若しくは家事調停委員の意見若しくはその多少の数を漏らしたときは、三十万円以下の罰金に処する。 参与員又は参与員であった者が正当な理由なく裁判官又は参与員の意見を漏らしたときも、同様とする。
民事
Heisei
Act
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平成二十三年法律第五十二号
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家事事件手続法 第一編 総則 第一章 通則 (趣旨) 第一条 家事審判及び家事調停に関する事件(以下「家事事件」という。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第二条 裁判所は、家事事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に家事事件の手続を追行しなければならない。 (最高裁判所規則) 第三条 この法律に定めるもののほか、家事事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第一章の二 日本の裁判所の管轄権 (不在者の財産の管理に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の二 裁判所は、不在者の財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の五十五の項の事項についての審判事件をいう。第百四十五条において同じ。)について、不在者の財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (失踪の宣告の取消しの審判事件の管轄権) 第三条の三 裁判所は、失踪の宣告の取消しの審判事件(別表第一の五十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十九条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 日本において失踪の宣告の審判があったとき。 二 失踪者の住所が日本国内にあるとき又は失踪者が日本の国籍を有するとき。 三 失踪者が生存していたと認められる最後の時点において、失踪者が日本国内に住所を有していたとき又は日本の国籍を有していたとき。 (嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件の管轄権) 第三条の四 裁判所は、嫡出否認の訴えについて日本の裁判所が管轄権を有するときは、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件(別表第一の五十九の項の事項についての審判事件をいう。第百五十九条第一項及び第二項において同じ。)について、管轄権を有する。 (養子縁組をするについての許可の審判事件等の管轄権) 第三条の五 裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判事件(別表第一の六十一の項の事項についての審判事件をいう。第百六十一条第一項及び第二項において同じ。)及び特別養子縁組の成立の審判事件(同表の六十三の項の事項についての審判事件をいう。第百六十四条において同じ。)(特別養子適格の確認の審判事件(同条第二項に規定する特別養子適格の確認についての審判事件をいう。第百六十四条の二第二項及び第四項において同じ。)を含む。)について、養親となるべき者又は養子となるべき者の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (死後離縁をするについての許可の審判事件の管轄権) 第三条の六 裁判所は、死後離縁をするについての許可の審判事件(別表第一の六十二の項の事項についての審判事件をいう。第百六十二条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親又は養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養親又は養子がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。 三 養親又は養子の一方が日本の国籍を有する場合であって、他の一方がその死亡の時に日本の国籍を有していたとき。 (特別養子縁組の離縁の審判事件の管轄権) 第三条の七 裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判事件(別表第一の六十四の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養子の実父母又は検察官からの申立てであって、養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 養親及び養子が日本の国籍を有するとき。 四 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親及び養子が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 五 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親が行方不明であるとき、養親の住所がある国においてされた離縁に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが養親と養子との間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (親権に関する審判事件等の管轄権) 第三条の八 裁判所は、親権に関する審判事件(別表第一の六十五の項から六十九の項まで並びに別表第二の七の項及び八の項の事項についての審判事件をいう。第百六十七条において同じ。)、子の監護に関する処分の審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第四号及び第百五十一条第二号において同じ。)(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)及び親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件(別表第一の百三十二の項の事項についての審判事件をいう。第二百四十二条第一項第二号及び第三項において同じ。)について、子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件等の管轄権) 第三条の九 裁判所は、養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件(別表第一の七十の項の事項についての審判事件をいう。第百七十六条及び第百七十七条第一号において同じ。)又は未成年後見人の選任の審判事件(同表の七十一の項の事項についての審判事件をいう。同条第二号において同じ。)について、未成年被後見人となるべき者若しくは未成年被後見人(以下この条において「未成年被後見人となるべき者等」という。)の住所若しくは居所が日本国内にあるとき又は未成年被後見人となるべき者等が日本の国籍を有するときは、管轄権を有する。 (夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件の管轄権) 第三条の十 裁判所は、夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件(別表第一の八十四の項及び八十五の項並びに別表第二の一の項から三の項まで、九の項及び十の項の事項についての審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件にあっては、子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。)をいう。)について、扶養義務者(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件にあっては、扶養義務者となるべき者)であって申立人でないもの又は扶養権利者(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件にあっては、子の監護者又は子)の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (相続に関する審判事件の管轄権) 第三条の十一 裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで及び百三十三の項並びに別表第二の十一の項から十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。 2 相続開始の前に推定相続人の廃除の審判事件(別表第一の八十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)、推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件(同表の八十七の項の事項についての審判事件をいう。第百八十八条第一項及び第百八十九条第一項において同じ。)、遺言の確認の審判事件(同表の百二の項の事項についての審判事件をいう。第二百九条第二項において同じ。)又は遺留分の放棄についての許可の審判事件(同表の百十の項の事項についての審判事件をいう。第二百十六条第一項第二号において同じ。)の申立てがあった場合における前項の規定の適用については、同項中「相続開始の時における被相続人」とあるのは「被相続人」と、「相続開始の前」とあるのは「申立て前」とする。 3 裁判所は、第一項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第百八十九条第一項及び第二項において同じ。)、相続財産の保存に関する処分の審判事件(同表の八十九の項の事項についての審判事件をいう。第百九十条の二において同じ。)、限定承認を受理した場合における相続財産の清算人の選任の審判事件(同表の九十四の項の事項についての審判事件をいう。)、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十七の項の事項についての審判事件をいう。第二百二条第一項第二号及び第三項において同じ。)及び相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 4 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に遺産の分割に関する審判事件(別表第二の十二の項から十四の項までの事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第百九十一条第一項において同じ。)及び特別の寄与に関する処分の審判事件(同表の十五の項の事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第二百十六条の二において同じ。)の申立てをすることができるかについて定めることができる。 5 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三条の七第二項から第四項までの規定は、前項の合意について準用する。 (財産の分与に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の十二 裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件(別表第二の四の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第五号において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 夫であった者及び妻であった者の双方が日本の国籍を有するとき。 三 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、夫であった者及び妻であった者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 四 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた財産の分与に関する処分に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (家事調停事件の管轄権) 第三条の十三 裁判所は、家事調停事件について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 当該調停を求める事項についての訴訟事件又は家事審判事件について日本の裁判所が管轄権を有するとき。 二 相手方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 当事者が日本の裁判所に家事調停の申立てをすることができる旨の合意をしたとき。 2 民事訴訟法第三条の七第二項及び第三項の規定は、前項第三号の合意について準用する。 3 人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての調停事件については、第一項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。 (特別の事情による申立ての却下) 第三条の十四 裁判所は、第三条の二から前条までに規定する事件について日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(遺産の分割に関する審判事件又は特別の寄与に関する処分の審判事件について、日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の合意に基づき申立てがされた場合を除く。)においても、事案の性質、申立人以外の事件の関係人の負担の程度、証拠の所在地、未成年者である子の利益その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが適正かつ迅速な審理の実現を妨げ、又は相手方がある事件について申立人と相手方との間の衡平を害することとなる特別の事情があると認めるときは、その申立ての全部又は一部を却下することができる。 (管轄権の標準時) 第三条の十五 日本の裁判所の管轄権は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 第二章 管轄 (管轄が住所地により定まる場合の管轄権を有する家庭裁判所) 第四条 家事事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (優先管轄) 第五条 この法律の他の規定により二以上の家庭裁判所が管轄権を有するときは、家事事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した家庭裁判所が管轄する。 (管轄裁判所の指定) 第六条 管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 3 前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (管轄権を有する家庭裁判所の特例) 第七条 この法律の他の規定により家事事件の管轄が定まらないときは、その家事事件は、審判又は調停を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管轄の標準時) 第八条 裁判所の管轄は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 (移送等) 第九条 裁判所は、家事事件の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。 ただし、家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。 2 家庭裁判所は、家事事件がその管轄に属する場合においても、次の各号に掲げる事由があるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を当該各号に定める家庭裁判所に移送することができる。 一 家事事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるとき 第五条の規定により管轄権を有しないこととされた家庭裁判所 二 事件を処理するために特に必要があると認めるとき 前号の家庭裁判所以外の家庭裁判所 3 前二項の規定による移送の裁判及び第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 民事訴訟法第二十二条の規定は、家事事件の移送の裁判について準用する。 第三章 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第十条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者(審判(申立てを却下する審判を除く。)がされた場合において、その審判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。 二 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第十一条 裁判官について裁判又は調停の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第十二条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、受託裁判官として職務を行う簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。 2 家庭裁判所及び地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで家事事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 家事事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官、調停委員会を組織する裁判官又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第十三条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (参与員の除斥及び忌避) 第十四条 参与員の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 参与員について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その参与員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 参与員の除斥又は忌避についての裁判は、参与員の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官(受命裁判官の手続に立ち会う参与員が忌避の申立てを受けたときに限る。)又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官がすることができる。 (家事調停官の除斥及び忌避) 第十五条 家事調停官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項から第四項まで、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、前項において準用する同条第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 3 家事調停官の除斥又は忌避についての裁判は、家事調停官の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項の裁判は、忌避された家事調停官がすることができる。 (家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥) 第十六条 家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥については、第十条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。 2 家庭裁判所調査官又は家事調停委員について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官又は家事調停委員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 3 家庭裁判所調査官又は家事調停委員の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官又は家事調停委員の所属する裁判所がする。 第四章 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第十七条 当事者能力、家事事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十一条、第三十三条並びに第三十四条第一項及び第二項の規定を準用する。 2 被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした家事審判又は家事調停の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。 職権により手続が開始された場合についても、同様とする。 3 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について同意その他の授権を得ている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告若しくは第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立ての取下げ又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議の取下げ (未成年者及び成年被後見人の法定代理人) 第十八条 親権を行う者又は後見人は、第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により未成年者又は成年被後見人が法定代理人によらずに自ら手続行為をすることができる場合であっても、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。 ただし、家事審判及び家事調停の申立ては、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定により親権を行う者又は後見人が申立てをすることができる場合(人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の申立てにあっては、同法その他の法令の規定によりその訴えを提起することができる場合を含む。)に限る。 (特別代理人) 第十九条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、家事事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法定代理権の消滅の通知) 第二十条 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、法定代理権の消滅は、本人又は代理人から他方の当事者に通知しなければ、その効力を生じない。 家事調停事件においても、同様とする。 (法人の代表者等への準用) 第二十一条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第五章 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第二十二条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (裁判長による手続代理人の選任等) 第二十三条 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。 2 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。 3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し手続行為につき行為能力の制限を受けた者が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。 (手続代理人の代理権の範囲) 第二十四条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について委任を受けている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告、第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立て又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議 四 前号の抗告(即時抗告を含む。)、申立て又は異議の取下げ 五 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (手続代理人の代理権の消滅の通知) 第二十五条 手続代理人の代理権の消滅は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についてのものに限る。)及び家事調停事件においては本人又は代理人から他方の当事者に、その他の家事事件においては本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。 (手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用) 第二十六条 民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第二十七条 家事事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六章 手続費用 第一節 手続費用の負担 (手続費用の負担) 第二十八条 手続費用(家事審判に関する手続の費用(以下「審判費用」という。)及び家事調停に関する手続の費用(以下「調停費用」という。)をいう。以下同じ。)は、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び利害関係参加人(第四十二条第七項に規定する利害関係参加人をいう。第一号において同じ。)がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。 一 当事者又は利害関係参加人 二 前号に掲げる者以外の審判を受ける者となるべき者 三 前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの 3 前二項の規定によれば検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。 (手続費用の負担の裁判等) 第二十九条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における審判費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。 ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。 2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。 事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。 3 調停が成立した場合において、調停費用(審判手続を経ている場合にあっては、審判費用を含む。)の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 4 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟が係属する裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、その訴訟についての訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 (手続費用の立替え) 第三十条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の家事事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第三十一条 民事訴訟法第六十九条から第七十四条までの規定(裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての決定に対する即時抗告に関する部分を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十二条中「当事者が裁判所において和解をした場合」とあるのは「調停が成立した場合」と、「和解の費用又は訴訟費用」とあるのは「家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第二十九条第三項の調停費用又は同条第四項の訴訟費用」と、同法第七十三条第一項中「裁判及び和解」とあるのは「裁判及び調停の成立」と、「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「家事事件手続法第四十一条第一項若しくは第四十二条第一項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「家事事件手続法第三十一条第一項において準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第四項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二節 手続上の救助 第三十二条 家事事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で家事審判又は家事調停の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「家事事件手続法第三十二条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七章 家事事件の審理等 (手続の非公開) 第三十三条 家事事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (期日及び期間) 第三十四条 家事事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。 2 家事事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 家事事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、家事事件の手続の期日及び期間について準用する。 (手続の併合等) 第三十五条 裁判所は、家事事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする家事事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (送達及び手続の中止) 第三十六条 送達及び家事事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは、「裁判又は調停を求める事項」と読み替えるものとする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第三十七条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第八章 電子情報処理組織による申立て等 第三十八条 家事事件の手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十第一項から第五項までの規定(支払督促に関する部分を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定によりされた申立て等に係るこの法律の他の規定による家事事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、同条第五項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第九章 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第三十八条の二 家事事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同法第百三十三条第一項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人(家事事件手続法第四十二条第七項(同法第二百五十八条第一項において準用する場合を含む。)に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の審判を受ける者となるべき者(同法第十条第一項第一号に規定する審判を受ける者となるべき者をいう。)」と、同法第百三十三条の四第一項中「秘匿決定、第百三十三条の二第二項の決定又は前条の決定(次項及び第七項において「秘匿決定等」という。)に係る者以外の者は、訴訟記録等」とあるのは「秘匿決定(家事事件手続法第二百七十七条第一項に規定する事項以外の事項についての家事調停の手続に係るもの並びに同法第二百八十九条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による調査及び勧告の事件の手続に係るものを除く。次項、第四項第一号及び第七項において同じ。)に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、当該秘匿決定に係る事件の記録」と、同条第二項中「秘匿決定等に係る者以外の当事者は、秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、秘匿決定」と、「訴訟記録等」とあるのは「前項の事件の記録」と、同条第四項第一号中「秘匿決定又は第百三十三条の二第二項の決定」とあるのは「秘匿決定」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人」と、「秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定」と読み替えるものとする。 第二編 家事審判に関する手続 第一章 総則 第一節 家事審判の手続 第一款 通則 (審判事項) 第三十九条 家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第一及び別表第二に掲げる事項並びに同編に定める事項について、審判をする。 (参与員) 第四十条 家庭裁判所は、参与員の意見を聴いて、審判をする。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、その意見を聴かないで、審判をすることができる。 2 家庭裁判所は、参与員を家事審判の手続の期日に立ち会わせることができる。 3 参与員は、家庭裁判所の許可を得て、第一項の意見を述べるために、申立人が提出した資料の内容について、申立人から説明を聴くことができる。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、この限りでない。 4 参与員の員数は、各事件について一人以上とする。 5 参与員は、毎年あらかじめ家庭裁判所の選任した者の中から、事件ごとに家庭裁判所が指定する。 6 前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の規定による選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 7 参与員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (当事者参加) 第四十一条 当事者となる資格を有する者は、当事者として家事審判の手続に参加することができる。 2 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者(審判を受ける者となるべき者に限る。)を、当事者として家事審判の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (利害関係参加) 第四十二条 審判を受ける者となるべき者は、家事審判の手続に参加することができる。 2 審判を受ける者となるべき者以外の者であって、審判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、家庭裁判所の許可を得て、家事審判の手続に参加することができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、職権で、審判を受ける者となるべき者及び前項に規定する者を、家事審判の手続に参加させることができる。 4 前条第三項の規定は、第一項の規定による参加の申出及び第二項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。 5 家庭裁判所は、第一項又は第二項の規定により家事審判の手続に参加しようとする者が未成年者である場合において、その者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者が当該家事審判の手続に参加することがその者の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出又は第二項の規定による参加の許可の申立てを却下しなければならない。 6 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判(前項の規定により第一項の規定による参加の申出を却下する裁判を含む。)に対しては、即時抗告をすることができる。 7 第一項から第三項までの規定により家事審判の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(家事審判の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。 (手続からの排除) 第四十三条 家庭裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を家事審判の手続から排除することができる。 2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第四十四条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって家事審判の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、家庭裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に家事審判の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者による受継) 第四十五条 家事審判の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該家事審判の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 家庭裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、職権で、当該家事審判の申立てをすることができる者に、その手続を受け継がせることができる。 3 第一項の規定による受継の申立て及び前項の規定による受継の裁判は、第一項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。 (調書の作成等) 第四十六条 裁判所書記官は、家事審判の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第四十七条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事審判事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事審判事件に関する事項の証明書の交付(第二百八十九条第六項において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。 2 前項の規定は、家事審判事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、これを許可しなければならない。 4 家庭裁判所は、事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、前項の規定にかかわらず、同項の申立てを許可しないことができる。 事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てを許可することを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。 5 家庭裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 6 審判書その他の裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は家事審判事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 審判を受ける者が当該審判があった後に請求する場合も、同様とする。 7 家事審判事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事審判事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 8 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 9 前項の規定による即時抗告が家事審判の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 10 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (検察官に対する通知) 第四十八条 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより審判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄権を有する家庭裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。 第二款 家事審判の申立て (申立ての方式等) 第四十九条 家事審判の申立ては、申立書(以下「家事審判の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事審判の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 申立人は、二以上の事項について審判を求める場合において、これらの事項についての家事審判の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。 4 家事審判の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い家事審判の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (申立ての変更) 第五十条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は理由を変更することができる。 ただし、第七十一条(第百八十八条第四項において準用する場合を含む。)の規定により審理を終結した後は、この限りでない。 2 申立ての趣旨又は理由の変更は、家事審判の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 家庭裁判所は、申立ての趣旨又は理由の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨又は理由の変更により家事審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 第三款 家事審判の手続の期日 (事件の関係人の呼出し) 第五十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができる。 2 呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。 ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。 3 前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、五万円以下の過料に処する。 (裁判長の手続指揮権) 第五十二条 家事審判の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が家事審判の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第五十三条 家庭裁判所は、受命裁判官に家事審判の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第六十一条第三項の規定又は第六十四条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第五十四条 家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 家事審判の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第五十五条 家事審判の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、家事審判事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。 第四款 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第五十六条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び審判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第五十七条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (家庭裁判所調査官による事実の調査) 第五十八条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。 4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。 (家庭裁判所調査官の期日への立会い等) 第五十九条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、家事審判の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。 2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。 3 家庭裁判所は、家事審判事件の処理に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 4 急迫の事情があるときは、裁判長が、前項の措置をとらせることができる。 (裁判所技官による診断等) 第六十条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 2 第五十八条第二項から第四項までの規定は前項の診断について、前条第一項及び第二項の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について準用する。 (事実の調査の嘱託等) 第六十一条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (調査の嘱託等) 第六十二条 家庭裁判所は、必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (事実の調査の通知) 第六十三条 家庭裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による家事審判の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (証拠調べ) 第六十四条 家事審判の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百七条第二項、第二百八条、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第二百二十九条第四項の規定を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 3 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 一 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。 二 書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 4 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 一 正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。 二 対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 三 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。 5 家庭裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、家事審判の手続の期日に出頭することを命ずることができる。 6 民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。 第五款 家事審判の手続における子の意思の把握等 第六十五条 家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 第六款 家事調停をすることができる事項についての家事審判の手続の特則 (合意管轄) 第六十六条 別表第二に掲げる事項についての審判事件は、この法律の他の規定により定める家庭裁判所のほか、当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 (家事審判の申立書の写しの送付等) 第六十七条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、家事審判の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事審判の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事審判の申立てがあったことを通知することをもって、家事審判の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は、前項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について準用する。 3 裁判長は、第一項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 4 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (陳述の聴取) 第六十八条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。 2 前項の規定による陳述の聴取は、当事者の申出があるときは、審問の期日においてしなければならない。 (審問の期日) 第六十九条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。 ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。 (事実の調査の通知) 第七十条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続において、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (審理の終結) 第七十一条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。 ただし、当事者双方が立ち会うことができる家事審判の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。 (審判日) 第七十二条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、審判をする日を定めなければならない。 第七款 審判等 (審判) 第七十三条 家庭裁判所は、家事審判事件が裁判をするのに熟したときは、審判をする。 2 家庭裁判所は、家事審判事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について審判をすることができる。 手続の併合を命じた数個の家事審判事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (審判の告知及び効力の発生等) 第七十四条 審判は、特別の定めがある場合を除き、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の審判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 審判(申立てを却下する審判を除く。)は、特別の定めがある場合を除き、審判を受ける者(審判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 ただし、即時抗告をすることができる審判は、確定しなければその効力を生じない。 3 申立てを却下する審判は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。 4 審判は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 5 審判の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (審判の執行力) 第七十五条 金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 (審判の方式及び審判書) 第七十六条 審判は、審判書を作成してしなければならない。 ただし、即時抗告をすることができない審判については、家事審判の申立書又は調書に主文を記載することをもって、審判書の作成に代えることができる。 2 審判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由の要旨 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第七十七条 審判に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 審判に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (審判の取消し又は変更) 第七十八条 家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、次に掲げる審判を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。 一 申立てによってのみ審判をすべき場合において申立てを却下した審判 二 即時抗告をすることができる審判 2 審判が確定した日から五年を経過したときは、家庭裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。 ただし、事情の変更によりその審判を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、第一項の規定により審判の取消し又は変更をする場合には、その審判における当事者及びその他の審判を受ける者の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の規定による取消し又は変更の審判に対しては、取消し後又は変更後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (審判に関する民事訴訟法の準用) 第七十九条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、審判について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「審判が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (外国裁判所の家事事件についての確定した裁判の効力) 第七十九条の二 外国裁判所の家事事件についての確定した裁判(これに準ずる公的機関の判断を含む。)については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第百十八条の規定を準用する。 (中間決定) 第八十条 家庭裁判所は、審判の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (審判以外の裁判) 第八十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続においては、審判をする場合を除き、決定で裁判をする。 この場合には、第七十三条から第七十九条まで(第七十四条第二項ただし書、第七十六条第一項及び第七十八条第三項を除く。)の規定を準用する。 2 家事審判の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 3 審判以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。 第八款 取下げによる事件の終了 (家事審判の申立ての取下げ) 第八十二条 家事審判の申立ては、特別の定めがある場合を除き、審判があるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立ては、審判が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、申立ての取下げは、審判がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。 ただし、申立ての取下げが家事審判の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。 4 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。 同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 5 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、家事審判の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「家事審判の手続の期日」と読み替えるものとする。 (家事審判の申立ての取下げの擬制) 第八十三条 家事審判の申立人(第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合にあっては、当事者双方)が、連続して二回、呼出しを受けた家事審判の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた家事審判の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、家庭裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。 第九款 高等裁判所が第一審として行う手続 第八十四条 高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合におけるこの節の規定の適用については、同節の規定(第五十八条、第五十九条第一項から第三項まで、第六十一条第一項及び第二項並びに第六十五条の規定を除く。)中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第三十九条、第四十七条第六項、第四十九条第三項、第五十六条第二項、第六十五条、第七十二条、第七十三条、第七十四条第一項から第三項まで(第二項ただし書を除く。)、第七十五条、第七十七条第一項、第七十八条(第一項第二号及び第四項を除く。)、第七十九条、第八十条第一項、第八十一条第一項並びに第八十二条第一項及び第二項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第四十二条第二項中「審判の結果」とあるのは「審判に代わる裁判の結果」と、第五十八条第一項、第五十九条第一項から第三項まで、第六十一条第一項及び第六十五条中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、第五十八条第三項中「家庭裁判所に」とあるのは「高等裁判所に」と、第七十六条中「審判書」とあるのは「裁判書」と、同条第一項中「審判は」とあるのは「審判に代わる裁判は」と、同項ただし書中「即時抗告をすることができない審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができない審判に代わる裁判」と、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」とする。 2 第四十条及び第四十八条の規定は、高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合については、適用しない。 第二節 不服申立て 第一款 審判に対する不服申立て 第一目 即時抗告 (即時抗告をすることができる審判) 第八十五条 審判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 2 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第八十六条 審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 即時抗告の期間は、特別の定めがある場合を除き、即時抗告をする者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては申立人が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第八十七条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原審判の表示及びその審判に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による審判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第四十九条第四項及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第八十八条 審判に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 ただし、抗告審における手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められる場合には、即時抗告があったことを通知することをもって、抗告状の写しの送付に代えることができる。 2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 (陳述の聴取) 第八十九条 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の審判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原審判を取り消すことができない。 2 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 (原裁判所による更正) 第九十条 原裁判所は、審判に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その審判を更正しなければならない。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判については、更正することができない。 (抗告裁判所による裁判) 第九十一条 抗告裁判所は、即時抗告について決定で裁判をする。 2 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、家事審判事件について自ら審判に代わる裁判をしなければならない。 ただし、第九十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。 (原審の管轄違いの場合の取扱い) 第九十二条 抗告裁判所は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についての審判事件を除く。)の全部又は一部が原裁判所の管轄に属しないと認める場合には、原審判を取り消さなければならない。 ただし、原審における審理の経過、事件の性質、抗告の理由等に照らして原審判を取り消さないことを相当とする特別の事情があると認めるときは、この限りでない。 2 抗告裁判所は、家事審判事件が管轄違いであることを理由として原審判を取り消すときは、その事件を管轄権を有する家庭裁判所に移送しなければならない。 (家事審判の手続の規定及び民事訴訟法の準用等) 第九十三条 審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前節第一款から第八款までの規定(第四十条、第四十一条第四項、第四十二条第六項、第四十三条第二項、第四十四条第二項、第四十七条第八項から第十項まで、第四十八条、第四十九条第六項、第六十六条、第六十七条第四項、第七十四条第二項ただし書、第四項及び第五項、第七十六条第一項ただし書、第七十七条第三項から第五項まで、第七十八条第四項、第八十一条第三項並びに第八十三条の規定を除く。)、第四節の規定(第百五条第二項、第百十条、第百十一条及び第百十三条の規定を除く。)及び次章の規定(家庭裁判所の管轄及び即時抗告に関する規定を除く。)を準用する。 この場合において、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは、「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」と読み替えるものとする。 2 抗告裁判所は、第八十八条第一項の規定による抗告状の写しの送付及びこれに代わる即時抗告があったことの通知をすることを要しないときは、前項において準用する第七十一条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。 3 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百八条までの規定は、審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条」とあるのは「家事事件手続法第八十二条第五項及び第八十三条」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「家事事件手続法第二百九十一条」と読み替えるものとする。 第二目 特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第九十四条 家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (原裁判の執行停止) 第九十五条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。 ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十六条 第八十六条第二項、第八十七条から第八十九条まで、第九十一条第一項及び第九十三条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十七条第六項中「及び第五項」とあるのは、「から第六項まで」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十六条第一項において読み替えて準用する同法第八十七条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第二項の規定及び同法第九十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三目 許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第九十七条 高等裁判所の家事審判事件についての決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第九十四条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 ただし、その決定が家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の高等裁判所は、同項の決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第九十四条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十八条 第八十六条第二項、第八十七条(第四項及び第五項を除く。)、第八十八条、第八十九条、第九十一条第一項、第九十三条及び第九十五条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十六条第二項、第八十七条第一項、第二項第二号及び第三項、第八十八条第一項並びに第八十九条第二項中「即時抗告」とあり、第八十七条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第九十五条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第九十七条第二項の申立て」と、第八十七条第一項、第二項及び第六項、第八十八条並びに第九十三条第二項中「抗告状」とあるのは「第九十七条第二項の規定による許可の申立書」と、第九十一条第一項並びに第九十三条第一項前段、第二項及び第三項中「即時抗告」とあり、並びに第九十五条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項の規定及び同法第九十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二款 審判以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第九十九条 審判以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第百条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、家事審判事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (即時抗告期間等) 第百一条 審判以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 (審判に対する不服申立ての規定の準用) 第百二条 前款の規定(第八十五条第一項、第八十六条第一項並びに第八十八条及び第八十九条(これらの規定を第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした審判以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 第三節 再審 (再審) 第百三条 確定した審判その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により審判その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該審判その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第百四条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第四節 審判前の保全処分 (審判前の保全処分) 第百五条 本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずる審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判に代わる裁判をする。 (審判前の保全処分の申立て等) 第百六条 審判前の保全処分(前条第一項の審判及び同条第二項の審判に代わる裁判をいう。以下同じ。)の申立ては、その趣旨及び保全処分を求める事由を明らかにしてしなければならない。 2 審判前の保全処分の申立人は、保全処分を求める事由を疎明しなければならない。 3 家庭裁判所(前条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、審判前の保全処分の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、職権で、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 4 審判前の保全処分の申立ては、審判前の保全処分があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。 (陳述の聴取) 第百七条 審判前の保全処分のうち仮の地位を定める仮処分を命ずるものは、審判を受ける者となるべき者の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第百八条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、第四十七条第三項の規定にかかわらず、審判前の保全処分の事件について、当事者から同条第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、審判前の保全処分の事件における審判を受ける者となるべき者に対し、当該事件が係属したことを通知し、又は審判前の保全処分を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。 (審判) 第百九条 審判前の保全処分は、疎明に基づいてする。 2 審判前の保全処分については、第七十四条第二項ただし書の規定は、適用しない。 3 審判前の保全処分の執行及び効力は、民事保全法(平成元年法律第九十一号)その他の仮差押え及び仮処分の執行及び効力に関する法令の規定に従う。 この場合において、同法第四十五条中「仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、「本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属している家庭裁判所(当該家事審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」とする。 (即時抗告) 第百十条 審判前の保全処分(第百五条第二項の審判に代わる裁判を除く。次項において同じ。)の申立人は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 ただし、次に掲げる保全処分の申立てを却下する審判については、この限りでない。 一 第百二十六条第一項(第百三十四条第一項及び第百四十三条第一項において準用する場合を含む。)、第百五十八条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)及び第二百条第一項の規定による財産の管理者の選任又は財産の管理等に関する指示の保全処分 二 第百二十七条第一項(第百三十五条、第百四十四条、第百八十一条及び第二百二十五条第一項において準用する場合を含む。)、第百六十六条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)、第百七十四条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)、第百七十五条第三項及び第二百十五条第一項の規定による職務代行者の選任の保全処分 2 本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者は、審判前の保全処分(前項各号に掲げる保全処分を命ずる審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 (即時抗告に伴う執行停止) 第百十一条 前条第二項の規定により即時抗告が提起された場合において、原審判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原審判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、若しくは担保を立てさせないで原審判の執行の停止を命じ、又は担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 審判前の保全処分の事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、これらの処分を命ずることができる。 2 第百六条第二項及び第三項の規定は、前項の申立てについて準用する。 (審判前の保全処分の取消し) 第百十二条 審判前の保全処分が確定した後に、保全処分を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所又は審判前の保全処分をした家庭裁判所は、本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者の申立てにより又は職権で、審判前の保全処分の取消しの審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判前の保全処分の取消しの審判に代わる裁判をする。 3 第百六条並びに第百九条第一項及び第二項の規定は、第一項の審判前の保全処分の取消しの審判及び前項の裁判について準用する。 (即時抗告等) 第百十三条 前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判の申立人は、申立てを却下する審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの申立てを却下する審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 2 審判前の保全処分の申立人は、前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの審判を除く。)及び第百十五条において準用する民事保全法第三十三条の規定による原状回復の審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百十一条の規定は、前二項の規定による即時抗告に伴う執行停止について準用する。 (調書の作成) 第百十四条 裁判所書記官は、審判前の保全処分の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 審判前の保全処分の手続については、第四十六条の規定は、適用しない。 (民事保全法の準用) 第百十五条 民事保全法第四条の規定は審判前の保全処分に関する手続における担保について、同法第十四条、第十五条及び第二十条から第二十四条まで(同法第二十三条第四項を除く。)の規定は審判前の保全処分について、同法第三十三条の規定は審判前の保全処分の取消しの裁判について、同法第三十四条の規定は第百十二条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判について準用する。 第五節 戸籍の記載等の嘱託 第百十六条 裁判所書記官は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者又は登記所に対し、戸籍の記載又は後見登記等に関する法律(平成十一年法律第百五十二号)に定める登記を嘱託しなければならない。 ただし、戸籍の記載又は同法に定める登記の嘱託を要するものとして最高裁判所規則で定めるものに限る。 一 別表第一に掲げる事項についての審判又はこれに代わる裁判が効力を生じた場合 二 審判前の保全処分が効力を生じ、又は効力を失った場合 第二章 家事審判事件 第一節 成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百十七条 後見開始の審判事件(別表第一の一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条第一号において同じ。)は、成年被後見人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 成年後見に関する審判事件(別表第一の一の項から十六の二の項までの事項についての審判事件をいう。)は、後見開始の審判事件を除き、後見開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が後見開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、後見開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百十八条 次に掲げる審判事件(第一号、第四号及び第六号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 後見開始の審判事件 二 後見開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二の項の事項についての審判事件をいう。) 三 成年後見人の選任の審判事件(別表第一の三の項の事項についての審判事件をいう。) 四 成年後見人の解任の審判事件(別表第一の五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第一項において同じ。) 五 成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の六の項の事項についての審判事件をいう。) 六 成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の八の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第五項において同じ。) 七 成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の十二の項の事項についての審判事件をいう。) 八 成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(以下「郵便物等」という。)の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判事件(別表第一の十二の二の項の事項についての審判事件をいう。第百二十三条の二において「成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件」という。) 九 成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の十四の項の事項についての審判事件をいう。) 十 第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の十五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十五条第一項及び第二項において同じ。) (精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取) 第百十九条 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の精神の状況につき鑑定をしなければ、後見開始の審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 家庭裁判所は、成年被後見人の精神の状況につき医師の意見を聴かなければ、民法第十条の規定による後見開始の審判の取消しの審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (陳述及び意見の聴取) 第百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号から第三号までにあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 後見開始の審判の取消しの審判(民法第十条の規定による場合に限る。) 成年被後見人及び成年後見人 三 成年後見人又は成年後見監督人の選任の審判 成年被後見人となるべき者又は成年被後見人 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 六 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 成年後見人の選任の審判 成年後見人となるべき者 二 成年後見監督人の選任の審判 成年後見監督人となるべき者 (申立ての取下げの制限) 第百二十一条 次に掲げる申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 一 後見開始の申立て 二 民法第八百四十三条第二項の規定による成年後見人の選任の申立て 三 民法第八百四十五条の規定により選任の請求をしなければならない者による同法第八百四十三条第三項の規定による成年後見人の選任の申立て (審判の告知等) 第百二十二条 次の各号に掲げる審判は、当該各号に定める者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判は、信書の送達の事業を行う者に告知することを要しない。 この場合においては、その審判が効力を生じた時に、信書の送達の事業を行う者に通知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 後見開始の審判 民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者並びに任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号。以下「任意後見契約法」という。)第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 後見開始の審判の取消しの審判 成年後見人及び成年後見監督人 三 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 (即時抗告) 第百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 後見開始の審判 民法第七条及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 後見開始の申立てを却下する審判 申立人 三 後見開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十条に規定する者 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、成年後見監督人並びに成年被後見人及びその親族 六 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 七 成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに成年被後見人及びその親族 八 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人及びその親族 九 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 十 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の申立てを却下する審判 申立人 十一 成年被後見人の死亡後の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為についての許可の申立てを却下する審判 申立人 2 審判の告知を受ける者でない者による後見開始の審判に対する即時抗告の期間は、民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (陳述の聴取の例外) 第百二十三条の二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件においては、第八十九条第一項の規定(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)にかかわらず、抗告裁判所は、信書の送達の事業を行う者の陳述を聴くことを要しない。 (成年後見の事務の監督) 第百二十四条 家庭裁判所は、適当な者に、成年後見の事務若しくは成年被後見人の財産の状況を調査させ、又は臨時に財産の管理をさせることができる。 2 家庭裁判所は、前項の規定により調査又は管理をした者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 3 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査をさせることができる。 4 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、第一項の規定により財産を管理する者について準用する。 (管理者の改任等) 第百二十五条 家庭裁判所は、いつでも、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者を改任することができる。 2 家庭裁判所は、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者(前項の規定により改任された管理者を含む。以下この条において「財産の管理者」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、成年被後見人の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、財産の管理者に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 財産の管理者の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、財産の管理者について準用する。 7 家庭裁判所は、成年被後見人が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったときその他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、成年被後見人、財産の管理者若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 (後見開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百二十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護又は財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護若しくは財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、成年被後見人となるべき者の財産上の行為(民法第九条ただし書に規定する行為を除く。第七項において同じ。)につき、前項の財産の管理者の後見を受けることを命ずることができる。 3 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、第百七条の規定にかかわらず、その者の陳述を聴く手続を経ずに、前項の規定による審判(次項から第七項までにおいて「後見命令の審判」という。)をすることができる。 4 後見命令の審判は、第一項の財産の管理者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによって、その効力を生ずる。 5 後見命令の審判は、成年被後見人となるべき者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 6 審判の告知を受ける者でない者による後見命令の審判に対する即時抗告の期間は、第一項の財産の管理者が第四項の規定による告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 7 後見命令の審判があったときは、成年被後見人となるべき者及び第一項の財産の管理者は、成年被後見人となるべき者がした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 8 前条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、前条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「成年被後見人となるべき者」と読み替えるものとする。 (成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百二十七条 家庭裁判所は、成年後見人の解任の審判事件が係属している場合において、成年被後見人の利益のため必要があるときは、成年後見人の解任の申立てをした者の申立てにより又は職権で、成年後見人の解任についての審判が効力を生ずるまでの間、成年後見人の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による成年後見人の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される成年後見人、他の成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定は、成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第二節 保佐に関する審判事件 (管轄) 第百二十八条 保佐開始の審判事件(別表第一の十七の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被保佐人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 保佐に関する審判事件(別表第一の十七の項から三十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、保佐開始の審判事件を除き、保佐開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が保佐開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、保佐開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百二十九条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被保佐人となるべき者及び被保佐人について準用する。 一 保佐開始の審判事件 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の十八の項の事項についての審判事件をいう。) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の十九の項の事項についての審判事件をいう。) 四 保佐開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二十の項の事項についての審判事件をいう。) 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の二十一の項の事項についての審判事件をいう。) 六 保佐人の選任の審判事件(別表第一の二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 七 保佐人の解任の審判事件(別表第一の二十四の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 八 保佐監督人の選任の審判事件(別表第一の二十六の項の事項についての審判事件をいう。) 九 保佐監督人の解任の審判事件(別表第一の二十八の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 十 保佐人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の三十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十三の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 保佐の事務の監督の審判事件(別表第一の三十四の項の事項についての審判事件をいう。) (陳述及び意見の聴取) 第百三十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号、第四号及び第五号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 保佐開始の審判 被保佐人となるべき者 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人 四 保佐開始の審判の取消しの審判(民法第十四条第一項の規定による場合に限る。) 被保佐人及び保佐人 五 保佐人又は保佐監督人の選任の審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 保佐人の選任の審判 保佐人となるべき者 二 保佐監督人の選任の審判 保佐監督人となるべき者 (審判の告知) 第百三十一条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 保佐開始の審判 民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐人又は保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐人となるべき者又は保佐監督人となるべき者) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人及び保佐監督人 四 保佐開始の審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 六 保佐人に対する代理権の付与の審判 被保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐監督人となるべき者) 七 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被保佐人及び保佐監督人 (即時抗告) 第百三十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 保佐開始の審判 民法第十一条本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 保佐開始の申立てを却下する審判 申立人 三 保佐開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十四条第一項に規定する者 四 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人 五 保佐人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐人の解任の申立てを却下する審判 申立人、保佐監督人並びに被保佐人及びその親族 八 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 九 保佐監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被保佐人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐開始の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百三十三条 第百十九条の規定は被保佐人となるべき者及び被保佐人の精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取について、第百二十一条の規定は保佐開始の申立ての取下げ及び保佐人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は保佐の事務の監督について準用する。 (保佐開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百三十四条 保佐開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、保佐開始の申立てがあった場合において、被保佐人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、保佐開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被保佐人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為に限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の保佐を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「保佐命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐命令の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 保佐命令の審判があったときは、被保佐人となるべき者及び財産の管理者は、被保佐人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被保佐人となるべき者」と読み替えるものとする。 (保佐人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百三十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、保佐人の解任の審判事件又は保佐監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第三節 補助に関する審判事件 (管轄) 第百三十六条 補助開始の審判事件(別表第一の三十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被補助人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 補助に関する審判事件(別表第一の三十六の項から五十四の項までの事項についての審判事件をいう。)は、補助開始の審判事件を除き、補助開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が補助開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、補助開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百三十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被補助人となるべき者及び被補助人について準用する。 一 補助開始の審判事件 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の三十七の項の事項についての審判事件をいう。) 三 補助人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の三十八の項の事項についての審判事件をいう。) 四 補助開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十九の項の事項についての審判事件をいう。) 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の四十の項の事項についての審判事件をいう。) 六 補助人の選任の審判事件(別表第一の四十一の項の事項についての審判事件をいう。) 七 補助人の解任の審判事件(別表第一の四十三の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 八 補助監督人の選任の審判事件(別表第一の四十五の項の事項についての審判事件をいう。) 九 補助監督人の解任の審判事件(別表第一の四十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 十 補助人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の五十一の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の五十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 補助の事務の監督の審判事件(別表第一の五十三の項の事項についての審判事件をいう。) (精神の状況に関する意見の聴取) 第百三十八条 家庭裁判所は、被補助人となるべき者の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、補助開始の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第百三十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第三号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 補助開始の審判 被補助人となるべき者 二 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人 三 補助開始の審判の取消しの審判(民法第十八条第一項又は第三項の規定による場合に限る。) 被補助人及び補助人 四 補助人又は補助監督人の選任の審判 被補助人となるべき者又は被補助人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助監督人の解任の審判 補助監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 補助人の選任の審判 補助人となるべき者 二 補助監督人の選任の審判 補助監督人となるべき者 (審判の告知) 第百四十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 補助開始の審判 民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判 補助人及び補助監督人(当該審判が補助人又は補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助人となるべき者又は補助監督人となるべき者) 三 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人及び補助監督人 四 補助開始の審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 六 補助人に対する代理権の付与の審判 被補助人及び補助監督人(当該審判が補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助監督人となるべき者) 七 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被補助人及び補助監督人 (即時抗告) 第百四十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 補助開始の審判 民法第十五条第一項本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 補助開始の申立てを却下する審判 申立人 三 補助開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十八条第一項に規定する者 四 補助人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助人の解任の申立てを却下する審判 申立人、補助監督人並びに被補助人及びその親族 七 補助監督人の解任の審判 補助監督人 八 補助監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被補助人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助開始の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百四十二条 第百二十一条の規定は補助開始の申立ての取下げ及び補助人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は補助の事務の監督について準用する。 (補助開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百四十三条 補助開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、補助開始及び補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てがあった場合において、被補助人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、補助開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被補助人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為であって、当該補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てに係るものに限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の補助を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「補助命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助命令の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 補助命令の審判があったときは、被補助人となるべき者及び財産の管理者は、被補助人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被補助人となるべき者」と読み替えるものとする。 (補助人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百四十四条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、補助人の解任の審判事件又は補助監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第四節 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件 (管轄) 第百四十五条 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管理人の改任等) 第百四十六条 家庭裁判所は、いつでも、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人を改任することができる。 2 家庭裁判所は、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人及び前項の規定により改任した管理人(第四項及び第六項、次条並びに第百四十七条において「家庭裁判所が選任した管理人」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 同法第二十七条第二項の場合においては、不在者が置いた管理人に対しても、同様とする。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、不在者の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、管理人(家庭裁判所が選任した管理人及び不在者が置いた管理人をいう。次項及び第百四十七条において同じ。)に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 管理人の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、家庭裁判所が選任した管理人について準用する。 (供託等) 第百四十六条の二 家庭裁判所が選任した管理人は、不在者の財産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、不在者のために、当該金銭を不在者の財産の管理に関する処分を命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。 2 家庭裁判所が選任した管理人は、前項の規定による供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 (処分の取消し) 第百四十七条 家庭裁判所は、不在者が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったとき(家庭裁判所が選任した管理人が管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、不在者、管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、民法第二十五条第一項の規定による管理人の選任その他の不在者の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 第五節 失踪の宣告に関する審判事件 第一款 失踪の宣告の審判事件 第百四十八条 失踪の宣告の審判事件(別表第一の五十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の審判事件における不在者について準用する。 3 家庭裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号及び第四号の期間が経過しなければ、失踪の宣告の審判をすることができない。 この場合において、第二号及び第四号の期間は、民法第三十条第一項の場合にあっては三月を、同条第二項の場合にあっては一月を下ってはならない。 一 不在者について失踪の宣告の申立てがあったこと。 二 不在者は、一定の期間までにその生存の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、失踪の宣告がされること。 四 不在者の生死を知る者は、一定の期間までにその届出をすべきこと。 4 失踪の宣告の審判は、不在者に告知することを要しない。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の審判 不在者及び利害関係人 二 失踪の宣告の申立てを却下する審判 申立人 第二款 失踪の宣告の取消しの審判事件 第百四十九条 失踪の宣告の取消しの審判事件は、失踪者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の取消しの審判事件における失踪者について準用する。 3 失踪の宣告の取消しの審判は、事件の記録上失踪者の住所又は居所が判明している場合に限り、失踪者に告知すれば足りる。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の取消しの審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 失踪の宣告の取消しの申立てを却下する審判 失踪者及び利害関係人 第六節 婚姻等に関する審判事件 (管轄) 第百五十条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件(別表第二の一の項の事項についての審判事件をいう。次条第一号において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の五十八の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件(別表第二の二の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地 四 子の監護に関する処分の審判事件 子(父又は母を同じくする数人の子についての申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地 五 財産の分与に関する処分の審判事件 夫又は妻であった者の住所地 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の五の項の事項についての審判事件をいう。) 所有者の住所地 (手続行為能力) 第百五十一条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件及びこれらの審判事件を本案とする保全処分についての審判事件(いずれの審判事件においても、財産上の給付を求めるものを除く。)における当該各号に定める者について準用する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の審判事件 子 (陳述の聴取) 第百五十二条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判をする場合には、夫及び妻(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判を除く。)をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第百五十三条 第八十二条第二項の規定にかかわらず、財産の分与に関する処分の審判の申立ての取下げは、相手方が本案について書面を提出し、又は家事審判の手続の期日において陳述をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (給付命令等) 第百五十四条 家庭裁判所は、夫婦間の協力扶助に関する処分の審判において、扶助の程度若しくは方法を定め、又はこれを変更することができる。 2 家庭裁判所は、次に掲げる審判において、当事者(第二号の審判にあっては、夫又は妻)に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判 四 財産の分与に関する処分の審判 3 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判において、子の監護をすべき者の指定又は変更、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項の定めをする場合には、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 4 家庭裁判所は、離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 (共有財産の分割) 第百五十五条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判とともに共有財産の分割に関する処分の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、共有財産の分割の方法として、一方の婚姻の当事者に他方の婚姻の当事者に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (即時抗告) 第百五十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 四 子の監護に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 五 財産の分与に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫又は妻であった者 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判 婚姻の当事者(民法第七百五十一条第二項において準用する同法第七百六十九条第二項の規定による場合にあっては、生存配偶者)その他の利害関係人 (婚姻等に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百五十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分 二 婚姻費用の分担に関する処分 三 子の監護に関する処分 四 財産の分与に関する処分 2 家庭裁判所は、前項第三号に掲げる事項について仮の地位を定める仮処分(子の監護に要する費用の分担に関する仮処分を除く。)を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件を本案とする保全処分) 第百五十八条 家庭裁判所は、夫婦の一方から夫婦財産契約による財産の管理者の変更の申立てがあった場合において、他の一方の管理する申立人所有の財産又は共有財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、当該財産の管理者の変更の申立てについての審判(共有財産の分割に関する処分の申立てがあった場合にあっては、その申立てについての審判)が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、他の一方の管理する申立人所有の財産若しくは共有財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は夫婦の他の一方の申立てにより、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「管理に係る財産」と読み替えるものとする。 第七節 親子に関する審判事件 第一款 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件 第百五十九条 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件は、子の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件における父及び民法第七百七十四条第四項に規定する前夫について準用する。 3 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二款 子の氏の変更についての許可の審判事件 第百六十条 子の氏の変更についての許可の審判事件(別表第一の六十の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、子(父又は母を同じくする数人の子についての子の氏の変更についての許可の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、子の氏の変更についての許可の審判事件における子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 子の氏の変更についての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第三款 養子縁組をするについての許可の審判事件 第百六十一条 養子縁組をするについての許可の審判事件は、養子となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、養子縁組をするについての許可の審判事件における養親となるべき者及び養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 ただし、養子となるべき者については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者及び養子となるべき者の未成年後見人 4 養子縁組をするについての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第四款 死後離縁をするについての許可の審判事件 第百六十二条 死後離縁をするについての許可の審判事件は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、死後離縁をするについての許可の審判事件における養親及び養子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子の死後に死後離縁をするについての許可の申立てがあった場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、養子を代襲して養親の相続人となるべき者に対し、その旨を通知するものとする。 ただし、事件の記録上その者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 死後離縁をするについての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 死後離縁をするについての許可の申立てを却下する審判 申立人 第五款 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百六十三条 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の六の項の事項についての審判事件をいう。)は、その所有者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 離縁の当事者その他の利害関係人は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第六款 特別養子縁組に関する審判事件 (特別養子縁組の成立の審判事件) 第百六十四条 特別養子縁組の成立の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 養子となるべき者は、特別養子適格の確認(養子となるべき者について民法第八百十七条の六に定める要件があること及び同法第八百十七条の七に規定する父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合に該当することについての確認をいう。以下この条及び次条において同じ。)の審判(申立人の同条第一項の規定による申立てによりされたものに限る。)を受けた者又は児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判(特別養子縁組の成立の申立ての日の六箇月前の日以後に確定したものに限る。)を受けた者でなければならない。 3 養子となるべき者の親権者(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。以下この項において同じ。)及びその親権者に対し親権を行う者は、特別養子縁組の成立の審判事件において養子となるべき者を代理して手続行為をすることができない。 4 養子となるべき者の父母(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。第十項において同じ。)は、第四十二条第一項及び第三項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判事件の手続に参加することができない。 5 第百十八条の規定は、特別養子縁組の成立の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方について準用する。 6 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者(養子となるべき者の父母及び養子となるべき者の親権者に対し親権を行う者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 7 特別養子適格の確認の審判(児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判を含む。以下この項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の審判事件の係属する裁判所を拘束する。 この場合において、特別養子適格の確認の審判は、特別養子縁組の成立の審判事件との関係においては、特別養子縁組の成立の審判をする時においてしたものとみなす。 8 特別養子縁組の成立の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第二号に掲げる者に告知しなければならない。 9 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 ただし、養子となるべき者が十五歳に達している場合は、この限りでない。 10 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の父母に告知することを要しない。 ただし、住所又は居所が知れている父母に対しては、審判をした日及び審判の主文を通知しなければならない。 11 家庭裁判所は、第二項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判を、特別養子適格の確認の審判と同時にすることができる。 この場合においては、特別養子縁組の成立の審判は、特別養子適格の確認の審判が確定するまでは、確定しないものとする。 12 家庭裁判所は、前項前段の場合において、特別養子適格の確認の審判を取り消す裁判が確定したときは、職権で、特別養子縁組の成立の審判を取り消さなければならない。 13 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、確定しないものとする。 この場合においては、家庭裁判所は、職権で、その審判を取り消さなければならない。 14 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の成立の審判 養子となるべき者及び第六項第二号に掲げる者 二 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判 申立人 15 養子となるべき者(十五歳未満のものに限る。)による特別養子縁組の成立の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子適格の確認の審判事件) 第百六十四条の二 家庭裁判所は、養親となるべき者の申立てにより、その者と養子となるべき者との間における縁組について、特別養子適格の確認の審判をすることができる。 ただし、養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過する日まで及び養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、この限りでない。 2 特別養子適格の確認の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 特別養子適格の確認の申立ては、特別養子縁組の成立の申立てと同時にしなければならない。 4 第百十八条の規定は、特別養子適格の確認の審判事件における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び養子となるべき者の父母について準用する。 5 民法第八百十七条の六本文の同意は、次の各号のいずれにも該当する場合には、撤回することができない。 ただし、その同意をした日から二週間を経過する日までは、この限りでない。 一 養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過した後にされたものであること。 二 次のいずれかに該当するものであること。 イ 家庭裁判所調査官による事実の調査を経た上で家庭裁判所に書面を提出してされたものであること。 ロ 審問の期日においてされたものであること。 6 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第二号に掲げる者の同意がないにもかかわらずその審判をするときは、その者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者の父母 三 養子となるべき者に対し親権を行う者(前号に掲げる者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 四 養子となるべき者の父母に対し親権を行う者及び養子となるべき者の父母の後見人 7 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てに係る特別養子適格の確認の申立てを却下しなければならない。 8 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の申立てを却下する審判をする場合には、第六項第二号及び第三号に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 9 特別養子適格の確認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第三号及び第四号に掲げる者に告知しなければならない。 10 特別養子適格の確認の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 11 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合において、第六項第二号に掲げる者を特定することができないときは、同号及び同項第四号に掲げる者の陳述を聴くこと並びにこれらの者にその審判を告知することを要しない。 12 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子適格の確認の審判 養子となるべき者及び第六項第二号から第四号までに掲げる者 二 特別養子適格の確認の申立てを却下する審判 申立人 13 養子となるべき者による特別養子適格の確認の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 14 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てによる特別養子適格の確認の審判は、その効力を失う。 (特別養子縁組の離縁の審判事件) 第百六十五条 特別養子縁組の離縁の審判事件は、養親の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、特別養子縁組の離縁の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親、養子及びその実父母について準用する。 3 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号から第三号までに掲げる者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子(十五歳以上のものに限る。) 二 養親 三 養子の実父母 四 養子に対し親権を行う者(第二号に掲げる者を除く。)及び養子の後見人 五 養親の後見人 六 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 4 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子の実父母(申立人を除く。) 二 養子に対し親権を行う者及び養子の後見人 三 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 5 特別養子縁組の離縁の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第三項第四号から第六号までに掲げる者に告知しなければならない。 6 特別養子縁組の離縁の審判は、養子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して養子の利益を害すると認める場合には、養子に告知することを要しない。 7 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の離縁の審判 養子、養親、養子の実父母、養子に対し親権を行う者で養親でないもの、養子の後見人、養親の後見人、養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 二 特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判 申立人 8 養子による特別養子縁組の離縁の審判に対する即時抗告の期間は、養子以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子縁組の成立の審判事件等を本案とする保全処分) 第百六十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の申立てがあった場合において、養子となるべき者の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別養子縁組の成立の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、申立人を養子となるべき者の監護者に選任し、又は養子となるべき者の親権者若しくは未成年後見人の職務の執行を停止し、若しくはその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者若しくは未成年後見人、養子となるべき者に対し親権を行う者若しくは他の未成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、養子となるべき者の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定(養子となるべき者の監護者を選任する保全処分に関する部分を除く。)は、特別養子縁組の離縁の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第八節 親権に関する審判事件 (管轄) 第百六十七条 親権に関する審判事件は、子(父又は母を同じくする数人の子についての親権者の指定若しくは変更又は第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百六十八条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件(第三号及び第七号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における当該各号に定める者について準用する。 一 子に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の六十五の項の事項についての審判事件をいう。) 子 二 第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の六十六の項の事項についての審判事件をいう。第百七十三条において同じ。) 子 三 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件(別表第一の六十七の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判事件(別表第一の六十八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 五 親権又は管理権を辞し、又は回復するについての許可の審判事件(別表第一の六十九の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 六 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判事件(別表第二の七の項の事項についての審判事件をいう。) 養子、その父母及び養親 七 親権者の指定又は変更の審判事件(別表第二の八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 (陳述の聴取) 第百六十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号に掲げる子の親権者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子(十五歳以上のものに限る。)及び子の親権者 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者、子の未成年後見人及び親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者 三 親権又は管理権を辞するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。) 四 親権又は管理権を回復するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 2 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (審判の告知) 第百七十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 ただし、子にあっては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 (引渡命令等) 第百七十一条 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判において、当事者に対し、子の引渡し又は財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百七十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号から第三号まで及び第五号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 親権喪失の審判 親権を喪失する者及びその親族 二 親権停止の審判 親権を停止される者及びその親族 三 管理権喪失の審判 管理権を喪失する者及びその親族 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てを却下する審判 申立人、子及びその親族、未成年後見人並びに未成年後見監督人 五 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子及びその親族、子に対し親権を行う者、未成年後見人並びに未成年後見監督人 六 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人並びに親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者及びその親族 七 親権又は管理権を回復するについての許可の申立てを却下する審判 申立人 八 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判 養子の父母及び養子の監護者 九 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の申立てを却下する審判 申立人、養子の父母及び養子の監護者 十 親権者の指定又は変更の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 2 次の各号に掲げる即時抗告の期間は、当該各号に定める日から進行する。 一 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失する者が審判の告知を受けた日 二 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者が審判の告知を受けた日 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第百七十三条 第百二十五条の規定は、第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 (親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件を本案とする保全処分) 第百七十四条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があると認めるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 (親権者の指定又は変更の審判事件を本案とする保全処分) 第百七十五条 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の審判を本案とする仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 2 前項の規定により仮の地位の仮処分を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 4 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 5 家庭裁判所は、いつでも、第三項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 6 家庭裁判所は、第三項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第九節 未成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百七十六条 未成年後見に関する審判事件(別表第一の七十の項から八十三の項までの事項についての審判事件をいう。)は、未成年被後見人(養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百七十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第三号及び第五号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における未成年被後見人(第一号の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者及び養親)について準用する。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件 二 未成年後見人の選任の審判事件 三 未成年後見人の解任の審判事件(別表第一の七十三の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 四 未成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の七十四の項の事項についての審判事件をいう。) 五 未成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の七十六の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 六 未成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の七十九の項の事項についての審判事件をいう。) 七 未成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の八十一の項の事項についての審判事件をいう。) 八 第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十二の項の事項についての審判事件をいう。第百八十条において同じ。) (陳述及び意見の聴取) 第百七十八条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 未成年後見人又は未成年後見監督人の選任の審判 未成年被後見人(十五歳以上のものに限る。) 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者又は未成年後見人の選任 未成年後見人となるべき者 二 未成年後見監督人の選任 未成年後見監督人となるべき者 (即時抗告) 第百七十九条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、未成年後見監督人並びに未成年被後見人及びその親族 四 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 五 未成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに未成年被後見人及びその親族 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百八十条 第百二十一条の規定は未成年後見人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は未成年後見の事務の監督について、第百二十五条の規定は第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十一条第二号中「第八百四十三条第二項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第一項の規定による未成年後見人」と、同条第三号中「第八百四十三条第三項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第二項の規定による未成年後見人」と読み替えるものとする。 (未成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百八十一条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、未成年後見人の解任の審判事件又は未成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第十節 扶養に関する審判事件 (管轄) 第百八十二条 扶養義務の設定の審判事件(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者となるべき者(数人についての扶養義務の設定の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務の設定の取消しの審判事件(別表第一の八十五の項の事項についての審判事件をいう。)は、その扶養義務の設定の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所がその扶養義務の設定の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(別表第二の九の項の事項についての審判事件をいう。)並びに扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(同表の十の項の事項についての審判事件をいう。)は、相手方(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (申立ての特則) 第百八十三条 扶養義務の設定の申立ては、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第二十三条の二第二項第四号の規定による保護者の選任の申立てと一の申立てによりするときは、同法第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所にもすることができる。 (陳述の聴取) 第百八十四条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者 二 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者 (給付命令) 第百八十五条 家庭裁判所は、扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百八十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者(申立人を除く。) 二 扶養義務の設定の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者(申立人を除く。) 四 扶養義務の設定の取消しの申立てを却下する審判 申立人 五 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 六 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 (扶養に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百八十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消し 二 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消し 第十一節 推定相続人の廃除に関する審判事件 (推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の取消しの審判事件) 第百八十八条 推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 ただし、これらの審判事件が被相続人の死亡後に申し立てられた場合にあっては、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、前項に規定する審判事件における被相続人について準用する。 3 家庭裁判所は、推定相続人の廃除の審判事件においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、廃除を求められた推定相続人の陳述を聴かなければならない。 この場合における陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 4 推定相続人の廃除の審判事件における手続については、申立人及び廃除を求められた推定相続人を当事者とみなして、第六十七条及び第六十九条から第七十二条までの規定を準用する。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 推定相続人の廃除の審判 廃除された推定相続人 二 推定相続人の廃除又はその審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人 (遺産の管理に関する処分の審判事件) 第百八十九条 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件は、推定相続人の廃除の審判事件又は推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件が係属している家庭裁判所(その審判事件が係属していない場合にあっては相続が開始した地を管轄する家庭裁判所、その審判事件が抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所)の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項までの規定は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理人について準用する。 この場合において、同条第一項、第二項及び第四項中「家庭裁判所」とあるのは「推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所」と、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは「遺産」と読み替えるものとする。 3 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判が確定したときは、廃除を求められた推定相続人、前項の管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、その処分の取消しの裁判をしなければならない。 第十二節 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百九十条 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の十一の項の事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 相続人その他の利害関係人は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十二節の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件 第百九十条の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項まで、第百四十六条の二及び第百四十七条の規定は、相続財産の保存に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十三節 遺産の分割に関する審判事件 (管轄) 第百九十一条 遺産の分割に関する審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判事件(別表第二の十二の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)が係属している場合における寄与分を定める処分の審判事件(同表の十四の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)は、当該遺産の分割の審判事件が係属している裁判所の管轄に属する。 (手続の併合等) 第百九十二条 遺産の分割の審判事件及び寄与分を定める処分の審判事件が係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 数人からの寄与分を定める処分の審判事件が係属するときも、同様とする。 (寄与分を定める処分の審判の申立ての期間の指定) 第百九十三条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判の手続において、一月を下らない範囲内で、当事者が寄与分を定める処分の審判の申立てをすべき期間を定めることができる。 2 家庭裁判所は、寄与分を定める処分の審判の申立てが前項の期間を経過した後にされたときは、当該申立てを却下することができる。 3 家庭裁判所は、第一項の期間を定めなかった場合においても、当事者が時機に後れて寄与分を定める処分の申立てをしたことにつき、申立人の責めに帰すべき事由があり、かつ、申立てに係る寄与分を定める処分の審判の手続を併合することにより、遺産の分割の審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、その申立てを却下することができる。 (遺産の換価を命ずる裁判) 第百九十四条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、相続人に対し、遺産の全部又は一部を競売して換価することを命ずることができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があり、かつ、相当と認めるときは、相続人の意見を聴き、相続人に対し、遺産の全部又は一部について任意に売却して換価することを命ずることができる。 ただし、共同相続人中に競売によるべき旨の意思を表示した者があるときは、この限りでない。 3 前二項の規定による裁判(以下この条において「換価を命ずる裁判」という。)が確定した後に、その換価を命ずる裁判の理由の消滅その他の事情の変更があるときは、家庭裁判所は、相続人の申立てにより又は職権で、これを取り消すことができる。 4 換価を命ずる裁判は、第八十一条第一項において準用する第七十四条第一項に規定する者のほか、遺産の分割の審判事件の当事者に告知しなければならない。 5 相続人は、換価を命ずる裁判に対し、即時抗告をすることができる。 6 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判をする場合において、第二百条第一項の財産の管理者が選任されていないときは、これを選任しなければならない。 7 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判により換価を命じられた相続人に対し、遺産の中から、相当な報酬を与えることができる。 8 第百二十五条の規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第六項の規定により選任した財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 (債務を負担させる方法による遺産の分割) 第百九十五条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (給付命令) 第百九十六条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (遺産の分割の禁止の審判の取消し及び変更) 第百九十七条 家庭裁判所は、事情の変更があるときは、相続人の申立てにより、いつでも、遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判をすることができる。 この申立てに係る審判事件は、別表第二に掲げる事項についての審判事件とみなす。 (即時抗告) 第百九十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺産の分割の審判及びその申立てを却下する審判 相続人 二 遺産の分割の禁止の審判 相続人 三 遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判 相続人 四 寄与分を定める処分の審判 相続人 五 寄与分を定める処分の申立てを却下する審判 申立人 2 第百九十二条前段の規定により審判が併合してされたときは、寄与分を定める処分の審判又はその申立てを却下する審判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 3 第百九十二条後段の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (申立ての取下げの制限) 第百九十九条 第百五十三条の規定は、遺産の分割の審判の申立ての取下げについて準用する。 2 第八十二条第二項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分) 第二百条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。次項及び第三項において同じ。)は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、遺産の分割の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。 ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。 4 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 第十四節 相続の承認及び放棄に関する審判事件 第二百一条 相続の承認及び放棄に関する審判事件(別表第一の九十の項から九十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、限定承認の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十三の項の事項についての審判事件をいう。)は、限定承認の申述を受理した家庭裁判所(抗告裁判所が受理した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 家庭裁判所(抗告裁判所が限定承認の申述を受理した場合にあっては、その裁判所)は、相続人が数人ある場合において、限定承認の申述を受理したときは、職権で、民法第九百三十六条第一項の規定により相続財産の清算人を選任しなければならない。 4 第百十八条の規定は、限定承認又は相続の放棄の取消しの申述の受理の審判事件(別表第一の九十一の項の事項についての審判事件をいう。)における限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者について準用する。 5 限定承認及びその取消し並びに相続の放棄及びその取消しの申述は、次に掲げる事項を記載した申述書を家庭裁判所に提出してしなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 限定承認若しくはその取消し又は相続の放棄若しくはその取消しをする旨 6 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条の規定は、前項の申述について準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百一条第五項」と読み替えるものとする。 7 家庭裁判所は、第五項の申述の受理の審判をするときは、申述書にその旨を記載しなければならない。 この場合において、当該審判は、申述書にその旨を記載した時に、その効力を生ずる。 8 前項の審判については、第七十六条の規定は、適用しない。 9 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 相続の承認又は放棄をすべき期間の伸長の申立てを却下する審判 申立人 二 限定承認又は相続の放棄の取消しの申述を却下する審判 限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者 三 限定承認又は相続の放棄の申述を却下する審判 申述人 第十五節 財産分離に関する審判事件 第二百二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める裁判所の管轄に属する。 一 財産分離の審判事件(別表第一の九十六の項の事項についての審判事件をいう。次号において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件 財産分離の審判事件が係属している家庭裁判所(抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所、財産分離の裁判確定後にあっては財産分離の審判事件が係属していた家庭裁判所) 三 財産分離の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十八の項の事項についての審判事件をいう。) 財産分離の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が財産分離の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所) 2 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 財産分離の審判 相続人 二 民法第九百四十一条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続債権者及び受遺者 三 民法第九百五十条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続人の債権者 3 第百二十五条の規定は、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十六節 相続人の不存在に関する審判事件 (管轄) 第二百三条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。 一 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 相続人の不存在の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百の項の事項についての審判事件をいう。) 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件において相続財産の清算人の選任の審判をした家庭裁判所 三 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件(別表第一の百一の項の事項についての審判事件をいう。次条第二項及び第二百七条において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 (特別縁故者に対する相続財産の分与の審判) 第二百四条 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判は、民法第九百五十二条第二項の期間の満了後三月を経過した後にしなければならない。 2 同一の相続財産に関し特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件が数個同時に係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 (意見の聴取) 第二百五条 家庭裁判所は、特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判をする場合には、民法第九百五十二条第一項の規定により選任し、又は第二百八条において準用する第百二十五条第一項の規定により改任した相続財産の清算人(次条及び第二百七条において単に「相続財産の清算人」という。)の意見を聴かなければならない。 (即時抗告) 第二百六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判 申立人及び相続財産の清算人 二 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てを却下する審判 申立人 2 第二百四条第二項の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人又は相続財産の清算人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (相続財産の換価を命ずる裁判) 第二百七条 第百九十四条第一項、第二項本文、第三項から第五項まで及び第七項の規定は、特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件について準用する。 この場合において、同条第一項及び第七項中「相続人」とあり、並びに同条第二項中「相続人の意見を聴き、相続人」とあるのは「相続財産の清算人」と、同条第三項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人若しくは相続財産の清算人」と、同条第四項中「当事者」とあるのは「申立人」と、同条第五項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人及び相続財産の清算人」と読み替えるものとする。 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第二百八条 第百二十五条の規定は、相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十七節 遺言に関する審判事件 (管轄) 第二百九条 遺言に関する審判事件(別表第一の百二の項から百八の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続を開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺言の確認の審判事件は、遺言者の生存中は、遺言者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者及び負担の利益を受けるべき者 2 家庭裁判所は、遺言執行者の選任の審判をする場合には、遺言執行者となるべき者の意見を聴かなければならない。 (調書の作成) 第二百十一条 裁判所書記官は、遺言書の検認について、調書を作成しなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百十二条 遺言の確認又は遺言書の検認の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百十三条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 相続人 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 負担の利益を受けるべき者 (即時抗告) 第二百十四条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺言の確認の審判 利害関係人 二 遺言の確認の申立てを却下する審判 遺言に立ち会った証人及び利害関係人 三 遺言執行者の選任の申立てを却下する審判 利害関係人 四 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 五 遺言執行者の解任の申立てを却下する審判 利害関係人 六 遺言執行者の辞任についての許可の申立てを却下する審判 申立人 七 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者その他の利害関係人(申立人を除く。) 八 負担付遺贈に係る遺言の取消しの申立てを却下する審判 相続人 (遺言執行者の解任の審判事件を本案とする保全処分) 第二百十五条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、遺言執行者の解任の申立てがあった場合において、遺言の内容の実現のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、遺言執行者の解任の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、遺言執行者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による遺言執行者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される遺言執行者、他の遺言執行者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、相続財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第十八節 遺留分に関する審判事件 第二百十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 遺留分を算定するための財産の価額を定める場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百九の項の事項についての審判事件をいう。) 相続が開始した地 二 遺留分の放棄についての許可の審判事件 被相続人の住所地 2 遺留分の放棄についての許可の申立てをした者は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十八節の二 特別の寄与に関する審判事件 (管轄) 第二百十六条の二 特別の寄与に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (給付命令) 第二百十六条の三 家庭裁判所は、特別の寄与に関する処分の審判において、当事者に対し、金銭の支払を命ずることができる。 (即時抗告) 第二百十六条の四 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別の寄与に関する処分の審判 申立人及び相手方 二 特別の寄与に関する処分の申立てを却下する審判 申立人 (特別の寄与に関する審判事件を本案とする保全処分) 第二百十六条の五 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、特別の寄与に関する処分についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は申立人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別の寄与に関する処分の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 第十九節 任意後見契約法に規定する審判事件 (管轄) 第二百十七条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件(別表第一の百十一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条において同じ。)は、任意後見契約法第二条第二号の本人(以下この節において単に「本人」という。)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 任意後見契約法に規定する審判事件(別表第一の百十一の項から百二十一の項までの事項についての審判事件をいう。)は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件を除き、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が当該任意後見監督人を選任した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百十八条 第百十八条の規定は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件における本人について準用する。 (精神の状況に関する意見の聴取) 第二百十九条 家庭裁判所は、本人の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、本人については、本人の心身の障害により本人の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判並びに任意後見監督人が欠けた場合及び任意後見監督人を更に選任する場合における任意後見監督人の選任の審判 本人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見人の解任の審判 任意後見人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 2 家庭裁判所は、前項第一号に掲げる審判をする場合には、任意後見監督人となるべき者の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をする場合には、任意後見契約の効力が生ずることについて、任意後見受任者の意見を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百二十一条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任及び任意後見監督人が欠けた場合における任意後見監督人の選任の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百二十二条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判 本人及び任意後見受任者 二 後見開始の審判等の取消しの審判 後見開始の審判の取消しの審判にあっては成年後見人及び成年後見監督人、保佐開始の審判の取消しの審判にあっては保佐人及び保佐監督人並びに補助開始の審判の取消しの審判にあっては補助人及び補助監督人 三 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見監督人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人、任意後見人及び任意後見監督人 (即時抗告) 第二百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第四号及び第六号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに本人及びその親族 四 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見人 五 任意後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、任意後見監督人並びに本人及びその親族 六 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 七 任意後見契約の解除についての許可の申立てを却下する審判 申立人 (任意後見監督人の事務の調査) 第二百二十四条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に任意後見監督人の事務を調査させることができる。 (任意後見監督人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第二百二十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、任意後見監督人の解任の審判事件(別表第一の百十七の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 2 第百二十七条第一項及び第二項の規定は、任意後見人の解任の審判事件(別表第一の百二十の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 この場合において、同条第一項中「停止し、又はその職務代行者を選任する」とあるのは「停止する」と、同条第二項中「同項の規定により選任した職務代行者」とあるのは「任意後見監督人」と読み替えるものとする。 第二十節 戸籍法に規定する審判事件 (管轄) 第二百二十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 氏又は名の変更についての許可の審判事件(別表第一の百二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 申立人の住所地 二 就籍許可の審判事件(別表第一の百二十三の項の事項についての審判事件をいう。) 就籍しようとする地 三 戸籍の訂正についての許可の審判事件(別表第一の百二十四の項の事項についての審判事件をいう。) その戸籍のある地 四 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件(別表第一の百二十五の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。) 市役所(戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第四条において準用する同法第百二十二条の規定による場合にあっては、区役所)又は町村役場の所在地 (手続行為能力) 第二百二十七条 第百十八条の規定は、戸籍法に規定する審判事件(別表第一の百二十二の項から百二十五の項までの事項についての審判事件をいう。)における当該審判事件の申立てをすることができる者について準用する。 ただし、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件においては、当該処分を受けた届出その他の行為を自らすることができる場合に限る。 (事件係属の通知) 第二百二十八条 家庭裁判所は、戸籍法第百十三条の規定による戸籍の訂正についての許可の申立てが当該戸籍の届出人又は届出事件の本人以外の者からされた場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該届出人又は届出事件の本人に対し、その旨を通知しなければならない。 ただし、事件の記録上これらの者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十九条 家庭裁判所は、氏の変更についての許可の審判をする場合には、申立人と同一戸籍内にある者(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区長又は総合区長とする。以下この節において同じ。)の処分に対する不服の申立てがあった場合には、当該市町村長の意見を聴かなければならない。 (審判の告知等) 第二百三十条 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該市町村長に告知しなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを理由があると認めるときは、当該市町村長に対し、相当の処分を命じなければならない。 (即時抗告) 第二百三十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 氏の変更についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 氏又は名の変更についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 就籍許可の申立てを却下する審判 申立人 四 戸籍の訂正についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 五 戸籍の訂正についての許可の申立てを却下する審判 申立人 六 前条第二項の規定による市町村長に相当の処分を命ずる審判 当該市町村長 七 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判 申立人 第二十一節 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に規定する審判事件 第二百三十二条 性別の取扱いの変更の審判事件(別表第一の百二十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、性別の取扱いの変更の審判事件における申立人について準用する。 3 性別の取扱いの変更の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二十二節 厚生年金保険法に規定する審判事件 第二百三十三条 請求すべき 按 あん 分割合に関する処分の審判事件(別表第二の十六の項の事項についての審判事件をいう。)は、申立人又は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 申立人及び相手方は、請求すべき按分割合に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 請求すべき按分割合に関する処分の審判の手続については、第六十八条第二項の規定は、適用しない。 第二十三節 児童福祉法に規定する審判事件 (管轄) 第二百三十四条 都道府県の措置についての承認の審判事件(別表第一の百二十七の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件(同表の百二十八の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)、児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件(同表の百二十八の二の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)及び児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件(同表の百二十八の三の項の事項についての審判事件をいう。以下この節において同じ。)は、児童の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百三十五条 第百十八条の規定は、都道府県の措置についての承認の審判事件、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件及び児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件における児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者、児童の未成年後見人及び児童並びに児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件における児童及びその父母について準用する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百三十六条 家庭裁判所は、都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、前条に規定する者(児童にあっては、十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 前項の場合において、家庭裁判所は、申立人に対し、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人の陳述に関する意見を求めることができる。 3 第百六十四条の二第六項及び第八項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (審判の告知) 第二百三十七条 都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人に告知しなければならない。 2 第百六十四条の二第九項から第十一項までの規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (即時抗告) 第二百三十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 都道府県の措置についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 二 都道府県の措置についての承認の申立てを却下する審判 申立人 三 都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 四 都道府県の措置の期間の更新についての承認の申立てを却下する審判 申立人 五 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 六 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てを却下する審判 申立人 2 第百六十四条の二第十二項及び第十三項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判の特則) 第二百三十九条 家庭裁判所は、児童の出生の日から二箇月を経過する日まで及び児童が十八歳に達した日以後は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判をすることができない。 2 第百六十四条の二第五項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 第二十四節 生活保護法等に規定する審判事件 第二百四十条 施設への入所等についての許可の審判事件(別表第一の百二十九の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。)は、被保護者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判事件(別表第二の十七の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 第百十八条の規定は、施設への入所等についての許可の審判事件における被保護者、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人について準用する。 4 家庭裁判所は、施設への入所等についての許可の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、被保護者(十五歳以上のものに限る。)、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人の陳述を聴かなければならない。 5 施設への入所等についての許可の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人に告知しなければならない。 6 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 施設への入所等についての許可の審判 被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人 二 施設への入所等についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判及びその申立てを却下する審判 申立人及び相手方 第二十五節 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に規定する審判事件 第二百四十一条 保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件(別表第一の百三十の項の事項についての審判事件をいう。第四項において同じ。)は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の意見を聴かなければならない。 一 保護者の順位の変更の審判 先順位に変更される者 二 保護者の選任の審判 保護者となるべき者 3 保護者の順位の変更又は保護者の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 4 家庭裁判所は、いつでも、保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件において選任した保護者を改任することができる。 第二十六節 破産法に規定する審判事件 第二百四十二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の百三十一の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件 子の住所地 三 破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件(別表第一の百三十三の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 相続が開始した地 2 破産管財人は、破産手続における相続の放棄の承認についての申述を却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百五十二条第一項、第百五十四条第二項(第二号に係る部分に限る。)、第百五十五条、第百五十六条(第二号に係る部分に限る。)及び第百五十八条の規定は破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件について、第百六十八条(第三号に係る部分に限る。)、第百六十九条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第百七十条(第一号に係る部分に限る。)、第百七十二条第一項(第三号及び第四号に係る部分に限る。)及び第二項(第一号に係る部分に限る。)並びに第百七十四条の規定(管理権喪失に関する部分に限る。)は親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件について、第二百一条第五項から第八項までの規定は破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件について準用する。 第二十七節 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に規定する審判事件 第二百四十三条 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判事件(別表第一の百三十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成二十年法律第三十三号)第四条第一項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第一項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第二項の旧代表者の住所地 二 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第四条第三項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第三項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第四項の旧個人事業者の住所地 2 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判は、当該合意の当事者の全員に告知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判 当該合意の当事者(申立人を除く。) 二 遺留分の算定に係る合意についての許可の申立てを却下する審判 当該合意の当事者 第三編 家事調停に関する手続 第一章 総則 第一節 通則 (調停事項等) 第二百四十四条 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。 (管轄等) 第二百四十五条 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 3 第百九十一条第二項及び第百九十二条の規定は、遺産の分割の調停事件(別表第二の十二の項の事項についての調停事件をいう。)及び寄与分を定める処分の調停事件(同表の十四の項の事項についての調停事件をいう。)について準用する。 この場合において、第百九十一条第二項中「前項」とあるのは、「第二百四十五条第一項」と読み替えるものとする。 (地方裁判所又は簡易裁判所への移送) 第二百四十六条 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件以外の事件について調停の申立てを受けた場合には、職権で、これを管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送する。 2 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について調停の申立てを受けた場合において、事件を処理するために必要があると認めるときは、職権で、事件の全部又は一部を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送することができる。 3 家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、前二項の規定にかかわらず、その事件を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所以外の地方裁判所又は簡易裁判所(事物管轄権を有するものに限る。)に移送することができる。 4 第九条第三項から第五項までの規定は、前三項の規定による移送の裁判について準用する。 (調停機関) 第二百四十七条 家庭裁判所は、調停委員会で調停を行う。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、裁判官のみで行うことができる。 2 家庭裁判所は、当事者の申立てがあるときは、前項ただし書の規定にかかわらず、調停委員会で調停を行わなければならない。 (調停委員会) 第二百四十八条 調停委員会は、裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 2 調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。 3 調停委員会の決議は、過半数の意見による。 可否同数の場合には、裁判官の決するところによる。 4 調停委員会の評議は、秘密とする。 (家事調停委員) 第二百四十九条 家事調停委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 2 家事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (家事調停官の任命等) 第二百五十条 家事調停官は、弁護士で五年以上その職にあったもののうちから、最高裁判所が任命する。 2 家事調停官は、この法律の定めるところにより、家事調停事件の処理に必要な職務を行う。 3 家事調停官は、任期を二年とし、再任されることができる。 4 家事調停官は、非常勤とする。 5 家事調停官は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して解任されることがない。 一 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七条各号のいずれかに該当するに至ったとき。 二 心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。 三 職務上の義務違反その他家事調停官たるに適しない非行があると認められたとき。 6 この法律に定めるもののほか、家事調停官の任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 (家事調停官の権限等) 第二百五十一条 家事調停官は、家庭裁判所の指定を受けて、家事調停事件を取り扱う。 2 家事調停官は、その取り扱う家事調停事件の処理について、この法律において家庭裁判所、裁判官又は裁判長が行うものとして定める家事調停事件の処理に関する権限を行うことができる。 3 家事調停官は、独立してその職権を行う。 4 家事調停官は、その権限を行うについて、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び医師である裁判所技官に対し、その職務に関し必要な命令をすることができる。 この場合において、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第六十条第五項の規定は、家事調停官の命令を受けた裁判所書記官について準用する。 5 家事調停官には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (手続行為能力) 第二百五十二条 次の各号に掲げる調停事件(第一号及び第二号にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)において、当該各号に定める者は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の調停事件(別表第二の一の項の事項についての調停事件をいう。) 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の調停事件(別表第二の三の項の事項についての調停事件をいう。) 子 三 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の調停事件(別表第二の七の項の事項についての調停事件をいう。) 養子、その父母及び養親 四 親権者の指定又は変更の調停事件(別表第二の八の項の事項についての調停事件をいう。) 子及びその父母 五 人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(第二百七十七条第一項において単に「人事に関する訴え」という。)を提起することができる事項についての調停事件 同法第十三条第一項の規定が適用されることにより訴訟行為をすることができることとなる者 2 親権を行う者又は後見人は、第十八条の規定にかかわらず、前項第一号、第三号及び第四号に掲げる調停事件(同項第一号の調停事件にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)においては、当該各号に定める者に代理して第二百六十八条第一項の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾及び第二百八十六条第八項の共同の申出をすることができない。 離婚についての調停事件における夫及び妻の後見人並びに離縁についての調停事件における養親の後見人、養子(十五歳以上のものに限る。以下この項において同じ。)に対し親権を行う者及び養子の後見人についても、同様とする。 (調書の作成) 第二百五十三条 裁判所書記官は、家事調停の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第二百五十四条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事調停事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事調停事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、家事調停事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者又は利害関係を疎明した第三者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合(第六項に規定する場合を除く。)において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 4 次に掲げる書面については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ずに、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 一 審判書その他の裁判書の正本、謄本又は抄本 二 調停において成立した合意を記載し、又は調停をしないものとして、若しくは調停が成立しないものとして事件が終了した旨を記載した調書の正本、謄本又は抄本 三 家事調停事件に関する事項の証明書 5 家事調停事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事調停事件の記録の保存又は裁判所若しくは調停委員会の執務に支障があるときは、することができない。 6 第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件において、当事者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合については、第四十七条第三項、第四項及び第八項から第十項までの規定を準用する。 第二節 家事調停の申立て等 (家事調停の申立て) 第二百五十五条 家事調停の申立ては、申立書(次項及び次条において「家事調停の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事調停の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 家事調停の申立てを不適法として却下する審判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条(第一項ただし書を除く。)の規定は、家事調停の申立てについて準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百五十五条第二項」と読み替えるものとする。 (家事調停の申立書の写しの送付等) 第二百五十六条 家事調停の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は家事調停の手続の期日を経ないで第二百七十一条の規定により家事調停事件を終了させるときを除き、家事調停の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事調停の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事調停の申立てがあったことを通知することをもって、家事調停の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について、第六十七条第三項及び第四項の規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納について準用する。 (調停前置主義) 第二百五十七条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。 2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。 ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。 3 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 第三節 家事調停の手続 (家事審判の手続の規定の準用等) 第二百五十八条 第四十一条から第四十三条までの規定は家事調停の手続における参加及び排除について、第四十四条の規定は家事調停の手続における受継について、第五十一条から第五十五条までの規定は家事調停の手続の期日について、第五十六条から第六十二条まで及び第六十四条の規定は家事調停の手続における事実の調査及び証拠調べについて、第六十五条の規定は家事調停の手続における子の意思の把握等について、第七十三条、第七十四条、第七十六条(第一項ただし書を除く。)、第七十七条及び第七十九条の規定は家事調停に関する審判について、第八十一条の規定は家事調停に関する審判以外の裁判について準用する。 2 前項において準用する第六十一条第一項の規定により家事調停の手続における事実の調査の嘱託を受けた裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることができる。 ただし、嘱託を受けた家庭裁判所が家庭裁判所調査官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 (調停委員会が行う家事調停の手続の指揮) 第二百五十九条 調停委員会が行う家事調停の手続は、調停委員会を組織する裁判官が指揮する。 (調停委員会等の権限) 第二百六十条 調停委員会が家事調停を行う場合には、次に掲げる事項に関する裁判所の権限は、調停委員会が行う。 一 第二十二条の規定による手続代理人の許可等 二 第二十七条において準用する民事訴訟法第六十条第一項及び第二項の規定による補佐人の許可等 三 第三十三条ただし書の規定による傍聴の許可 四 第三十五条の規定による手続の併合等 五 第二百五十五条第四項において準用する第五十条第三項及び第四項の規定による申立ての変更 六 第二百五十八条第一項において準用する第四十一条第一項及び第二項並びに第四十二条第一項から第三項まで及び第五項の規定による参加、第四十三条第一項の規定による排除、第四十四条第一項及び第三項の規定による受継、第五十一条第一項の規定による事件の関係人の呼出し、第五十四条第一項の規定による音声の送受信による通話の方法による手続並びに第五十六条第一項、第五十九条第一項及び第二項(これらの規定を第六十条第二項において準用する場合を含む。)、第六十一条第一項、第六十二条並びに第六十四条第五項の規定並びに同条第一項において準用する民事訴訟法の規定による事実の調査及び証拠調べ(過料及び勾引に関する事項を除く。) 2 調停委員会が家事調停を行う場合には、第二十三条第一項及び第二項の規定による手続代理人の選任等、第三十四条第一項の規定による期日の指定並びに第二百五十三条ただし書の規定による調書の作成に関する裁判長の権限は、当該調停委員会を組織する裁判官が行う。 (調停委員会を組織する裁判官による事実の調査及び証拠調べ等) 第二百六十一条 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 2 前項の場合には、裁判官は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせ、又は医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 3 第五十八条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による事実の調査及び心身の状況についての診断について準用する。 4 第一項の場合には、裁判官は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 5 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、家庭裁判所調査官に第五十九条第三項の規定による措置をとらせることができる。 (家事調停委員による事実の調査) 第二百六十二条 調停委員会は、相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 (意見の聴取の嘱託) 第二百六十三条 調停委員会は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事件の関係人から紛争の解決に関する意見を聴取することを嘱託することができる。 2 前項の規定により意見の聴取の嘱託を受けた家庭裁判所は、相当と認めるときは、家事調停委員に当該嘱託に係る意見を聴取させることができる。 (家事調停委員の専門的意見の聴取) 第二百六十四条 調停委員会は、必要があると認めるときは、当該調停委員会を組織していない家事調停委員の専門的な知識経験に基づく意見を聴取することができる。 2 前項の規定により意見を聴取する家事調停委員は、家庭裁判所が指定する。 3 前項の規定による指定を受けた家事調停委員は、調停委員会に出席して意見を述べるものとする。 (調停の場所) 第二百六十五条 調停委員会は、事件の実情を考慮して、裁判所外の適当な場所で調停を行うことができる。 (調停前の処分) 第二百六十六条 調停委員会は、家事調停事件が係属している間、調停のために必要であると認める処分を命ずることができる。 2 急迫の事情があるときは、調停委員会を組織する裁判官が前項の処分(以下「調停前の処分」という。)を命ずることができる。 3 調停前の処分は、執行力を有しない。 4 調停前の処分として必要な事項を命じられた当事者又は利害関係参加人が正当な理由なくこれに従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (裁判官のみで行う家事調停の手続) 第二百六十七条 裁判官のみで家事調停の手続を行う場合においては、家庭裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 2 第二百六十三条から前条までの規定は、裁判官のみで家事調停の手続を行う場合について準用する。 第四節 調停の成立 (調停の成立及び効力) 第二百六十八条 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては、確定した第三十九条の規定による審判)と同一の効力を有する。 2 家事調停事件の一部について当事者間に合意が成立したときは、その一部について調停を成立させることができる。 手続の併合を命じた数個の家事調停事件中その一について合意が成立したときも、同様とする。 3 離婚又は離縁についての調停事件においては、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項に規定する方法によっては、調停を成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 4 第一項及び第二項の規定は、第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件については、適用しない。 (調停調書の更正決定) 第二百六十九条 調停調書に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (調停条項案の書面による受諾) 第二百七十条 当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ調停委員会(裁判官のみで家事調停の手続を行う場合にあっては、その裁判官。次条及び第二百七十二条第一項において同じ。)から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が家事調停の手続の期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。 2 前項の規定は、離婚又は離縁についての調停事件については、適用しない。 第五節 調停の成立によらない事件の終了 (調停をしない場合の事件の終了) 第二百七十一条 調停委員会は、事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは、調停をしないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 (調停の不成立の場合の事件の終了) 第二百七十二条 調停委員会は、当事者間に合意(第二百七十七条第一項第一号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 ただし、家庭裁判所が第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。 2 前項の規定により家事調停事件が終了したときは、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 3 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 4 第一項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 (家事調停の申立ての取下げ) 第二百七十三条 家事調停の申立ては、家事調停事件が終了するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の調停の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 第八十二条第三項及び第四項並びに民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、家事調停の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、第八十二条第三項中「前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項」とあるのは「第二百七十三条第二項」と、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「家事調停の手続の期日」と読み替えるものとする。 第六節 付調停等 (付調停) 第二百七十四条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟又は家事審判事件が係属している場合には、裁判所は、当事者(本案について被告又は相手方の陳述がされる前にあっては、原告又は申立人に限る。)の意見を聴いて、いつでも、職権で、事件を家事調停に付することができる。 2 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 3 家庭裁判所及び高等裁判所は、第一項の規定により事件を調停に付する場合には、前項の規定にかかわらず、その家事調停事件を自ら処理することができる。 4 前項の規定により家庭裁判所又は高等裁判所が調停委員会で調停を行うときは、調停委員会は、当該裁判所がその裁判官の中から指定する裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 5 第三項の規定により高等裁判所が自ら調停を行う場合についてのこの編の規定の適用については、第二百四十四条、第二百四十七条、第二百四十八条第二項、第二百五十四条第一項から第四項まで、第二百六十四条第二項、第二百六十六条第四項、第二百六十八条第三項ただし書、第二百六十九条第一項並びに第二百七十二条第一項ただし書及び第二項並びに次章及び第三章の規定中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第二百四十四条、第二百五十八条第一項、第二百七十六条、第二百七十七条第一項第一号、第二百七十九条第三項及び第二百八十四条第一項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第二百六十七条第一項中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、次章の規定中「合意に相当する審判」とあるのは「合意に相当する審判に代わる裁判」と、第二百七十二条第一項ただし書及び第三章の規定(第二百八十六条第七項の規定を除く。)中「調停に代わる審判」とあるのは「調停に代わる審判に代わる裁判」と、第二百八十一条及び第二百八十七条中「却下する審判」とあるのは「却下する審判に代わる裁判」とする。 (訴訟手続及び家事審判の手続の中止) 第二百七十五条 家事調停の申立てがあった事件について訴訟が係属しているとき、又は訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項若しくは前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、訴訟が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで訴訟手続を中止することができる。 2 家事調停の申立てがあった事件について家事審判事件が係属しているとき、又は家事審判事件が係属している裁判所が前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、家事審判事件が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで、家事審判の手続を中止することができる。 (訴えの取下げの擬制等) 第二百七十六条 訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は次条第一項若しくは第二百八十四条第一項の規定による審判が確定したときは、当該訴訟について訴えの取下げがあったものとみなす。 2 家事審判事件が係属している裁判所が第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は第二百八十四条第一項の審判が確定したときは、当該家事審判事件は、終了する。 第二章 合意に相当する審判 (合意に相当する審判の対象及び要件) 第二百七十七条 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第一号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。 ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。 一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。 二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。 2 前項第一号の合意は、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項及び第二百七十条第一項に規定する方法によっては、成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 3 第一項の家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、合意に相当する審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 4 第二百七十二条第一項から第三項までの規定は、家庭裁判所が第一項第一号の規定による合意を正当と認めない場合について準用する。 (申立ての取下げの制限) 第二百七十八条 家事調停の申立ての取下げは、合意に相当する審判がされた後は、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (異議の申立て) 第二百七十九条 当事者及び利害関係人は、合意に相当する審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 ただし、当事者にあっては、第二百七十七条第一項各号に掲げる要件に該当しないことを理由とする場合に限る。 2 前項の規定による異議の申立ては、二週間の不変期間内にしなければならない。 3 前項の期間は、異議の申立てをすることができる者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては当事者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 4 第一項の規定による異議の申立てをする権利は、放棄することができる。 (異議の申立てに対する審判等) 第二百八十条 家庭裁判所は、当事者がした前条第一項の規定による異議の申立てが不適法であるとき、又は異議の申立てに理由がないと認めるときは、これを却下しなければならない。 利害関係人がした同項の規定による異議の申立てが不適法であるときも、同様とする。 2 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 家庭裁判所は、当事者から適法な異議の申立てがあった場合において、異議の申立てを理由があると認めるときは、合意に相当する審判を取り消さなければならない。 4 利害関係人から適法な異議の申立てがあったときは、合意に相当する審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 5 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (合意に相当する審判の効力) 第二百八十一条 第二百七十九条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、合意に相当する審判は、確定判決と同一の効力を有する。 (婚姻の取消しについての合意に相当する審判の特則) 第二百八十二条 婚姻の取消しについての家事調停の手続において、婚姻の取消しについての合意に相当する審判をするときは、この合意に相当する審判において、当事者間の合意に基づき、子の親権者を指定しなければならない。 2 前項の合意に相当する審判は、子の親権者の指定につき当事者間で合意が成立しないとき、又は成立した合意が相当でないと認めるときは、することができない。 (申立人の死亡により事件が終了した場合の特則) 第二百八十三条 父が嫡出否認についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他父の三親等内の血族が父の死亡の日から一年以内に嫡出否認の訴えを提起したときは、父がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (嫡出否認の審判の通知) 第二百八十三条の二 家庭裁判所は、民法第七百七十二条第三項の規定により父が定められる子の嫡出否認についての合意に相当する審判が確定したときは、同法第七百七十四条第四項に規定する前夫(事件の記録上その氏名及び住所又は居所が判明しているものに限る。)に対し、当該合意に相当する審判の内容を通知するものとする。 (認知の無効についての調停の申立ての特則) 第二百八十三条の三 認知をした者が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他認知をした者の三親等内の血族が認知をした者の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、認知をした者がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 2 子が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、子の直系卑属又はその法定代理人が子の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、子がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 第三章 調停に代わる審判 (調停に代わる審判の対象及び要件) 第二百八十四条 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。 ただし、第二百七十七条第一項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。 2 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (調停に代わる審判の特則) 第二百八十五条 家事調停の申立ての取下げは、第二百七十三条第一項の規定にかかわらず、調停に代わる審判がされた後は、することができない。 2 調停に代わる審判の告知は、公示送達の方法によっては、することができない。 3 調停に代わる審判を告知することができないときは、家庭裁判所は、これを取り消さなければならない。 (異議の申立て等) 第二百八十六条 当事者は、調停に代わる審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 2 第二百七十九条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による異議の申立てについて準用する。 3 家庭裁判所は、第一項の規定による異議の申立てが不適法であるときは、これを却下しなければならない。 4 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 5 適法な異議の申立てがあったときは、調停に代わる審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 6 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 7 第五項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判が効力を失った場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 8 当事者が、申立てに係る家事調停(離婚又は離縁についての家事調停を除く。)の手続において、調停に代わる審判に服する旨の共同の申出をしたときは、第一項の規定は、適用しない。 9 前項の共同の申出は、書面でしなければならない。 10 当事者は、調停に代わる審判の告知前に限り、第八項の共同の申出を撤回することができる。 この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。 (調停に代わる審判の効力) 第二百八十七条 前条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判は確定した第三十九条の規定による審判と同一の効力を、その余の調停に代わる審判は確定判決と同一の効力を有する。 第四章 不服申立て等 第二百八十八条 家事調停の手続においてされた裁判に対する不服申立て及び再審については、特別の定めのある場合を除き、それぞれ前編第一章第二節及び第三節の規定を準用する。 第四編 履行の確保 (義務の履行状況の調査及び履行の勧告) 第二百八十九条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所(第九十一条第一項(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により抗告裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては第一審裁判所である家庭裁判所、第百五条第二項の規定により高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては本案の家事審判事件の第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、その審判(抗告裁判所又は高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては、その裁判。次条第一項において同じ。)で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。 3 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項から第六項までにおいてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 6 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧等又はその複製の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 7 前各項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務(高等裁判所において定められたものを含む。次条第三項において同じ。)の履行及び調停前の処分として命じられた事項の履行について準用する。 (義務履行の命令) 第二百九十条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、その審判で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠った者がある場合において、相当と認めるときは、権利者の申立てにより、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をすべきことを命ずる審判をすることができる。 この場合において、その命令は、その命令をする時までに義務者が履行を怠った義務の全部又は一部についてするものとする。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定により義務の履行を命ずるには、義務者の陳述を聴かなければならない。 3 前二項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務の履行について準用する。 4 前三項に規定するもののほか、第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定による義務の履行を命ずる審判の手続については、第二編第一章に定めるところによる。 5 第一項(第三項において準用する場合を含む。)の規定により義務の履行を命じられた者が正当な理由なくその命令に従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 第五編 罰則 (過料の裁判の執行等) 第二百九十一条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。 (人の秘密を漏らす罪) 第二百九十二条 参与員、家事調停委員又はこれらの職にあった者が正当な理由なくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 (評議の秘密を漏らす罪) 第二百九十三条 家事調停委員又は家事調停委員であった者が正当な理由なく評議の経過又は裁判官、家事調停官若しくは家事調停委員の意見若しくはその多少の数を漏らしたときは、三十万円以下の罰金に処する。 参与員又は参与員であった者が正当な理由なく裁判官又は参与員の意見を漏らしたときも、同様とする。
民事
Heisei
Act
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平成二十三年法律第五十二号
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家事事件手続法 第一編 総則 第一章 通則 (趣旨) 第一条 家事審判及び家事調停に関する事件(以下「家事事件」という。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第二条 裁判所は、家事事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に家事事件の手続を追行しなければならない。 (最高裁判所規則) 第三条 この法律に定めるもののほか、家事事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第一章の二 日本の裁判所の管轄権 (不在者の財産の管理に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の二 裁判所は、不在者の財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の五十五の項の事項についての審判事件をいう。第百四十五条において同じ。)について、不在者の財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (失踪の宣告の取消しの審判事件の管轄権) 第三条の三 裁判所は、失踪の宣告の取消しの審判事件(別表第一の五十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十九条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 日本において失踪の宣告の審判があったとき。 二 失踪者の住所が日本国内にあるとき又は失踪者が日本の国籍を有するとき。 三 失踪者が生存していたと認められる最後の時点において、失踪者が日本国内に住所を有していたとき又は日本の国籍を有していたとき。 (嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件の管轄権) 第三条の四 裁判所は、嫡出否認の訴えについて日本の裁判所が管轄権を有するときは、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件(別表第一の五十九の項の事項についての審判事件をいう。第百五十九条第一項及び第二項において同じ。)について、管轄権を有する。 (養子縁組をするについての許可の審判事件等の管轄権) 第三条の五 裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判事件(別表第一の六十一の項の事項についての審判事件をいう。第百六十一条第一項及び第二項において同じ。)及び特別養子縁組の成立の審判事件(同表の六十三の項の事項についての審判事件をいう。第百六十四条において同じ。)(特別養子適格の確認の審判事件(同条第二項に規定する特別養子適格の確認についての審判事件をいう。第百六十四条の二第二項及び第四項において同じ。)を含む。)について、養親となるべき者又は養子となるべき者の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (死後離縁をするについての許可の審判事件の管轄権) 第三条の六 裁判所は、死後離縁をするについての許可の審判事件(別表第一の六十二の項の事項についての審判事件をいう。第百六十二条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親又は養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養親又は養子がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。 三 養親又は養子の一方が日本の国籍を有する場合であって、他の一方がその死亡の時に日本の国籍を有していたとき。 (特別養子縁組の離縁の審判事件の管轄権) 第三条の七 裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判事件(別表第一の六十四の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養子の実父母又は検察官からの申立てであって、養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 養親及び養子が日本の国籍を有するとき。 四 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親及び養子が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 五 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親が行方不明であるとき、養親の住所がある国においてされた離縁に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが養親と養子との間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (親権に関する審判事件等の管轄権) 第三条の八 裁判所は、親権に関する審判事件(別表第一の六十五の項から六十九の項まで並びに別表第二の七の項及び八の項の事項についての審判事件をいう。第百六十七条において同じ。)、子の監護に関する処分の審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第四号及び第百五十一条第二号において同じ。)(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)及び親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件(別表第一の百三十二の項の事項についての審判事件をいう。第二百四十二条第一項第二号及び第三項において同じ。)について、子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件等の管轄権) 第三条の九 裁判所は、養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件(別表第一の七十の項の事項についての審判事件をいう。第百七十六条及び第百七十七条第一号において同じ。)又は未成年後見人の選任の審判事件(同表の七十一の項の事項についての審判事件をいう。同条第二号において同じ。)について、未成年被後見人となるべき者若しくは未成年被後見人(以下この条において「未成年被後見人となるべき者等」という。)の住所若しくは居所が日本国内にあるとき又は未成年被後見人となるべき者等が日本の国籍を有するときは、管轄権を有する。 (夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件の管轄権) 第三条の十 裁判所は、夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件(別表第一の八十四の項及び八十五の項並びに別表第二の一の項から三の項まで、九の項及び十の項の事項についての審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件にあっては、子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。)をいう。)について、扶養義務者(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件にあっては、扶養義務者となるべき者)であって申立人でないもの又は扶養権利者(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件にあっては、子の監護者又は子)の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (相続に関する審判事件の管轄権) 第三条の十一 裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで及び百三十三の項並びに別表第二の十一の項から十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。 2 相続開始の前に推定相続人の廃除の審判事件(別表第一の八十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)、推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件(同表の八十七の項の事項についての審判事件をいう。第百八十八条第一項及び第百八十九条第一項において同じ。)、遺言の確認の審判事件(同表の百二の項の事項についての審判事件をいう。第二百九条第二項において同じ。)又は遺留分の放棄についての許可の審判事件(同表の百十の項の事項についての審判事件をいう。第二百十六条第一項第二号において同じ。)の申立てがあった場合における前項の規定の適用については、同項中「相続開始の時における被相続人」とあるのは「被相続人」と、「相続開始の前」とあるのは「申立て前」とする。 3 裁判所は、第一項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第百八十九条第一項及び第二項において同じ。)、相続財産の保存に関する処分の審判事件(同表の八十九の項の事項についての審判事件をいう。第百九十条の二において同じ。)、限定承認を受理した場合における相続財産の清算人の選任の審判事件(同表の九十四の項の事項についての審判事件をいう。)、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十七の項の事項についての審判事件をいう。第二百二条第一項第二号及び第三項において同じ。)及び相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 4 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に遺産の分割に関する審判事件(別表第二の十二の項から十四の項までの事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第百九十一条第一項において同じ。)及び特別の寄与に関する処分の審判事件(同表の十五の項の事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第二百十六条の二において同じ。)の申立てをすることができるかについて定めることができる。 5 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三条の七第二項から第四項までの規定は、前項の合意について準用する。 (財産の分与に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の十二 裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件(別表第二の四の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第五号において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 夫であった者及び妻であった者の双方が日本の国籍を有するとき。 三 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、夫であった者及び妻であった者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 四 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた財産の分与に関する処分に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (家事調停事件の管轄権) 第三条の十三 裁判所は、家事調停事件について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 当該調停を求める事項についての訴訟事件又は家事審判事件について日本の裁判所が管轄権を有するとき。 二 相手方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 当事者が日本の裁判所に家事調停の申立てをすることができる旨の合意をしたとき。 2 民事訴訟法第三条の七第二項及び第三項の規定は、前項第三号の合意について準用する。 3 人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての調停事件については、第一項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。 (特別の事情による申立ての却下) 第三条の十四 裁判所は、第三条の二から前条までに規定する事件について日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(遺産の分割に関する審判事件又は特別の寄与に関する処分の審判事件について、日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の合意に基づき申立てがされた場合を除く。)においても、事案の性質、申立人以外の事件の関係人の負担の程度、証拠の所在地、未成年者である子の利益その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが適正かつ迅速な審理の実現を妨げ、又は相手方がある事件について申立人と相手方との間の衡平を害することとなる特別の事情があると認めるときは、その申立ての全部又は一部を却下することができる。 (管轄権の標準時) 第三条の十五 日本の裁判所の管轄権は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 第二章 管轄 (管轄が住所地により定まる場合の管轄権を有する家庭裁判所) 第四条 家事事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (優先管轄) 第五条 この法律の他の規定により二以上の家庭裁判所が管轄権を有するときは、家事事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した家庭裁判所が管轄する。 (管轄裁判所の指定) 第六条 管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 3 前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (管轄権を有する家庭裁判所の特例) 第七条 この法律の他の規定により家事事件の管轄が定まらないときは、その家事事件は、審判又は調停を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管轄の標準時) 第八条 裁判所の管轄は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 (移送等) 第九条 裁判所は、家事事件の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。 ただし、家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。 2 家庭裁判所は、家事事件がその管轄に属する場合においても、次の各号に掲げる事由があるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を当該各号に定める家庭裁判所に移送することができる。 一 家事事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるとき 第五条の規定により管轄権を有しないこととされた家庭裁判所 二 事件を処理するために特に必要があると認めるとき 前号の家庭裁判所以外の家庭裁判所 3 前二項の規定による移送の裁判及び第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 民事訴訟法第二十二条の規定は、家事事件の移送の裁判について準用する。 第三章 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第十条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者(審判(申立てを却下する審判を除く。)がされた場合において、その審判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。 二 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第十一条 裁判官について裁判又は調停の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第十二条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、受託裁判官として職務を行う簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。 2 家庭裁判所及び地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで家事事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 家事事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官、調停委員会を組織する裁判官又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第十三条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (参与員の除斥及び忌避) 第十四条 参与員の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 参与員について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その参与員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 参与員の除斥又は忌避についての裁判は、参与員の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官(受命裁判官の手続に立ち会う参与員が忌避の申立てを受けたときに限る。)又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官がすることができる。 (家事調停官の除斥及び忌避) 第十五条 家事調停官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項から第四項まで、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、前項において準用する同条第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 3 家事調停官の除斥又は忌避についての裁判は、家事調停官の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項の裁判は、忌避された家事調停官がすることができる。 (家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥) 第十六条 家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥については、第十条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。 2 家庭裁判所調査官又は家事調停委員について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官又は家事調停委員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 3 家庭裁判所調査官又は家事調停委員の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官又は家事調停委員の所属する裁判所がする。 第四章 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第十七条 当事者能力、家事事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十一条、第三十三条並びに第三十四条第一項及び第二項の規定を準用する。 2 被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした家事審判又は家事調停の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。 職権により手続が開始された場合についても、同様とする。 3 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について同意その他の授権を得ている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告若しくは第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立ての取下げ又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議の取下げ (未成年者及び成年被後見人の法定代理人) 第十八条 親権を行う者又は後見人は、第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により未成年者又は成年被後見人が法定代理人によらずに自ら手続行為をすることができる場合であっても、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。 ただし、家事審判及び家事調停の申立ては、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定により親権を行う者又は後見人が申立てをすることができる場合(人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の申立てにあっては、同法その他の法令の規定によりその訴えを提起することができる場合を含む。)に限る。 (特別代理人) 第十九条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、家事事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法定代理権の消滅の通知) 第二十条 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、法定代理権の消滅は、本人又は代理人から他方の当事者に通知しなければ、その効力を生じない。 家事調停事件においても、同様とする。 (法人の代表者等への準用) 第二十一条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第五章 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第二十二条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (裁判長による手続代理人の選任等) 第二十三条 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。 2 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。 3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し手続行為につき行為能力の制限を受けた者が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。 (手続代理人の代理権の範囲) 第二十四条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について委任を受けている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告、第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立て又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議 四 前号の抗告(即時抗告を含む。)、申立て又は異議の取下げ 五 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (手続代理人の代理権の消滅の通知) 第二十五条 手続代理人の代理権の消滅は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についてのものに限る。)及び家事調停事件においては本人又は代理人から他方の当事者に、その他の家事事件においては本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。 (手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用) 第二十六条 民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第二十七条 家事事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六章 手続費用 第一節 手続費用の負担 (手続費用の負担) 第二十八条 手続費用(家事審判に関する手続の費用(以下「審判費用」という。)及び家事調停に関する手続の費用(以下「調停費用」という。)をいう。以下同じ。)は、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び利害関係参加人(第四十二条第七項に規定する利害関係参加人をいう。第一号において同じ。)がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。 一 当事者又は利害関係参加人 二 前号に掲げる者以外の審判を受ける者となるべき者 三 前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの 3 前二項の規定によれば検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。 (手続費用の負担の裁判等) 第二十九条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における審判費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。 ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。 2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。 事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。 3 調停が成立した場合において、調停費用(審判手続を経ている場合にあっては、審判費用を含む。)の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 4 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟が係属する裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、その訴訟についての訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 (手続費用の立替え) 第三十条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の家事事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第三十一条 民事訴訟法第六十九条から第七十四条までの規定(裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての決定に対する即時抗告に関する部分を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十二条中「当事者が裁判所において和解をした場合」とあるのは「調停が成立した場合」と、「和解の費用又は訴訟費用」とあるのは「家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第二十九条第三項の調停費用又は同条第四項の訴訟費用」と、同法第七十三条第一項中「裁判及び和解」とあるのは「裁判及び調停の成立」と、「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「家事事件手続法第四十一条第一項若しくは第四十二条第一項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「家事事件手続法第三十一条第一項において準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第四項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二節 手続上の救助 第三十二条 家事事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で家事審判又は家事調停の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「家事事件手続法第三十二条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七章 家事事件の審理等 (手続の非公開) 第三十三条 家事事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (期日及び期間) 第三十四条 家事事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。 2 家事事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 家事事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、家事事件の手続の期日及び期間について準用する。 (手続の併合等) 第三十五条 裁判所は、家事事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする家事事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (送達及び手続の中止) 第三十六条 送達及び家事事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは、「裁判又は調停を求める事項」と読み替えるものとする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第三十七条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第八章 電子情報処理組織による申立て等 第三十八条 家事事件の手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十第一項から第五項までの規定(支払督促に関する部分を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定によりされた申立て等に係るこの法律の他の規定による家事事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、同条第五項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第九章 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第三十八条の二 家事事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同法第百三十三条第一項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人(家事事件手続法第四十二条第七項(同法第二百五十八条第一項において準用する場合を含む。)に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の審判を受ける者となるべき者(同法第十条第一項第一号に規定する審判を受ける者となるべき者をいう。)」と、同法第百三十三条の四第一項中「秘匿決定、第百三十三条の二第二項の決定又は前条の決定(次項及び第七項において「秘匿決定等」という。)に係る者以外の者は、訴訟記録等」とあるのは「秘匿決定(家事事件手続法第二百七十七条第一項に規定する事項以外の事項についての家事調停の手続に係るもの並びに同法第二百八十九条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による調査及び勧告の事件の手続に係るものを除く。次項、第四項第一号及び第七項において同じ。)に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、当該秘匿決定に係る事件の記録」と、同条第二項中「秘匿決定等に係る者以外の当事者は、秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、秘匿決定」と、「訴訟記録等」とあるのは「前項の事件の記録」と、同条第四項第一号中「秘匿決定又は第百三十三条の二第二項の決定」とあるのは「秘匿決定」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人」と、「秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定」と読み替えるものとする。 第二編 家事審判に関する手続 第一章 総則 第一節 家事審判の手続 第一款 通則 (審判事項) 第三十九条 家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第一及び別表第二に掲げる事項並びに同編に定める事項について、審判をする。 (参与員) 第四十条 家庭裁判所は、参与員の意見を聴いて、審判をする。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、その意見を聴かないで、審判をすることができる。 2 家庭裁判所は、参与員を家事審判の手続の期日に立ち会わせることができる。 3 参与員は、家庭裁判所の許可を得て、第一項の意見を述べるために、申立人が提出した資料の内容について、申立人から説明を聴くことができる。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、この限りでない。 4 参与員の員数は、各事件について一人以上とする。 5 参与員は、毎年あらかじめ家庭裁判所の選任した者の中から、事件ごとに家庭裁判所が指定する。 6 前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の規定による選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 7 参与員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (当事者参加) 第四十一条 当事者となる資格を有する者は、当事者として家事審判の手続に参加することができる。 2 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者(審判を受ける者となるべき者に限る。)を、当事者として家事審判の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (利害関係参加) 第四十二条 審判を受ける者となるべき者は、家事審判の手続に参加することができる。 2 審判を受ける者となるべき者以外の者であって、審判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、家庭裁判所の許可を得て、家事審判の手続に参加することができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、職権で、審判を受ける者となるべき者及び前項に規定する者を、家事審判の手続に参加させることができる。 4 前条第三項の規定は、第一項の規定による参加の申出及び第二項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。 5 家庭裁判所は、第一項又は第二項の規定により家事審判の手続に参加しようとする者が未成年者である場合において、その者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者が当該家事審判の手続に参加することがその者の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出又は第二項の規定による参加の許可の申立てを却下しなければならない。 6 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判(前項の規定により第一項の規定による参加の申出を却下する裁判を含む。)に対しては、即時抗告をすることができる。 7 第一項から第三項までの規定により家事審判の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(家事審判の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。 (手続からの排除) 第四十三条 家庭裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を家事審判の手続から排除することができる。 2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第四十四条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって家事審判の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、家庭裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に家事審判の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者による受継) 第四十五条 家事審判の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該家事審判の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 家庭裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、職権で、当該家事審判の申立てをすることができる者に、その手続を受け継がせることができる。 3 第一項の規定による受継の申立て及び前項の規定による受継の裁判は、第一項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。 (調書の作成等) 第四十六条 裁判所書記官は、家事審判の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第四十七条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事審判事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事審判事件に関する事項の証明書の交付(第二百八十九条第六項において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。 2 前項の規定は、家事審判事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、これを許可しなければならない。 4 家庭裁判所は、事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、前項の規定にかかわらず、同項の申立てを許可しないことができる。 事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てを許可することを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。 5 家庭裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 6 審判書その他の裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は家事審判事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 審判を受ける者が当該審判があった後に請求する場合も、同様とする。 7 家事審判事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事審判事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 8 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 9 前項の規定による即時抗告が家事審判の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 10 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (検察官に対する通知) 第四十八条 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより審判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄権を有する家庭裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。 第二款 家事審判の申立て (申立ての方式等) 第四十九条 家事審判の申立ては、申立書(以下「家事審判の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事審判の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 申立人は、二以上の事項について審判を求める場合において、これらの事項についての家事審判の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。 4 家事審判の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い家事審判の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (申立ての変更) 第五十条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は理由を変更することができる。 ただし、第七十一条(第百八十八条第四項において準用する場合を含む。)の規定により審理を終結した後は、この限りでない。 2 申立ての趣旨又は理由の変更は、家事審判の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 家庭裁判所は、申立ての趣旨又は理由の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨又は理由の変更により家事審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 第三款 家事審判の手続の期日 (事件の関係人の呼出し) 第五十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができる。 2 呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。 ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。 3 前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、五万円以下の過料に処する。 (裁判長の手続指揮権) 第五十二条 家事審判の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が家事審判の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第五十三条 家庭裁判所は、受命裁判官に家事審判の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第六十一条第三項の規定又は第六十四条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第五十四条 家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 家事審判の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第五十五条 家事審判の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、家事審判事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。 第四款 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第五十六条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び審判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第五十七条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (家庭裁判所調査官による事実の調査) 第五十八条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。 4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。 (家庭裁判所調査官の期日への立会い等) 第五十九条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、家事審判の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。 2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。 3 家庭裁判所は、家事審判事件の処理に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 4 急迫の事情があるときは、裁判長が、前項の措置をとらせることができる。 (裁判所技官による診断等) 第六十条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 2 第五十八条第二項から第四項までの規定は前項の診断について、前条第一項及び第二項の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について準用する。 (事実の調査の嘱託等) 第六十一条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (調査の嘱託等) 第六十二条 家庭裁判所は、必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (事実の調査の通知) 第六十三条 家庭裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による家事審判の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (証拠調べ) 第六十四条 家事審判の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百七条第二項、第二百八条、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第二百二十九条第四項の規定を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 3 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 一 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。 二 書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 4 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 一 正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。 二 対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 三 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。 5 家庭裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、家事審判の手続の期日に出頭することを命ずることができる。 6 民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。 第五款 家事審判の手続における子の意思の把握等 第六十五条 家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 第六款 家事調停をすることができる事項についての家事審判の手続の特則 (合意管轄) 第六十六条 別表第二に掲げる事項についての審判事件は、この法律の他の規定により定める家庭裁判所のほか、当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 (家事審判の申立書の写しの送付等) 第六十七条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、家事審判の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事審判の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事審判の申立てがあったことを通知することをもって、家事審判の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は、前項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について準用する。 3 裁判長は、第一項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 4 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (陳述の聴取) 第六十八条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。 2 前項の規定による陳述の聴取は、当事者の申出があるときは、審問の期日においてしなければならない。 (審問の期日) 第六十九条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。 ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。 (事実の調査の通知) 第七十条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続において、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (審理の終結) 第七十一条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。 ただし、当事者双方が立ち会うことができる家事審判の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。 (審判日) 第七十二条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、審判をする日を定めなければならない。 第七款 審判等 (審判) 第七十三条 家庭裁判所は、家事審判事件が裁判をするのに熟したときは、審判をする。 2 家庭裁判所は、家事審判事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について審判をすることができる。 手続の併合を命じた数個の家事審判事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (審判の告知及び効力の発生等) 第七十四条 審判は、特別の定めがある場合を除き、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の審判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 審判(申立てを却下する審判を除く。)は、特別の定めがある場合を除き、審判を受ける者(審判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 ただし、即時抗告をすることができる審判は、確定しなければその効力を生じない。 3 申立てを却下する審判は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。 4 審判は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 5 審判の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (審判の執行力) 第七十五条 金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 (審判の方式及び審判書) 第七十六条 審判は、審判書を作成してしなければならない。 ただし、即時抗告をすることができない審判については、家事審判の申立書又は調書に主文を記載することをもって、審判書の作成に代えることができる。 2 審判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由の要旨 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第七十七条 審判に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 審判に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (審判の取消し又は変更) 第七十八条 家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、次に掲げる審判を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。 一 申立てによってのみ審判をすべき場合において申立てを却下した審判 二 即時抗告をすることができる審判 2 審判が確定した日から五年を経過したときは、家庭裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。 ただし、事情の変更によりその審判を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、第一項の規定により審判の取消し又は変更をする場合には、その審判における当事者及びその他の審判を受ける者の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の規定による取消し又は変更の審判に対しては、取消し後又は変更後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (審判に関する民事訴訟法の準用) 第七十九条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、審判について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「審判が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (外国裁判所の家事事件についての確定した裁判の効力) 第七十九条の二 外国裁判所の家事事件についての確定した裁判(これに準ずる公的機関の判断を含む。)については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第百十八条の規定を準用する。 (中間決定) 第八十条 家庭裁判所は、審判の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (審判以外の裁判) 第八十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続においては、審判をする場合を除き、決定で裁判をする。 この場合には、第七十三条から第七十九条まで(第七十四条第二項ただし書、第七十六条第一項及び第七十八条第三項を除く。)の規定を準用する。 2 家事審判の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 3 審判以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。 第八款 取下げによる事件の終了 (家事審判の申立ての取下げ) 第八十二条 家事審判の申立ては、特別の定めがある場合を除き、審判があるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立ては、審判が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、申立ての取下げは、審判がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。 ただし、申立ての取下げが家事審判の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。 4 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。 同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 5 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、家事審判の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「家事審判の手続の期日」と読み替えるものとする。 (家事審判の申立ての取下げの擬制) 第八十三条 家事審判の申立人(第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合にあっては、当事者双方)が、連続して二回、呼出しを受けた家事審判の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた家事審判の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、家庭裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。 第九款 高等裁判所が第一審として行う手続 第八十四条 高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合におけるこの節の規定の適用については、同節の規定(第五十八条、第五十九条第一項から第三項まで、第六十一条第一項及び第二項並びに第六十五条の規定を除く。)中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第三十九条、第四十七条第六項、第四十九条第三項、第五十六条第二項、第六十五条、第七十二条、第七十三条、第七十四条第一項から第三項まで(第二項ただし書を除く。)、第七十五条、第七十七条第一項、第七十八条(第一項第二号及び第四項を除く。)、第七十九条、第八十条第一項、第八十一条第一項並びに第八十二条第一項及び第二項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第四十二条第二項中「審判の結果」とあるのは「審判に代わる裁判の結果」と、第五十八条第一項、第五十九条第一項から第三項まで、第六十一条第一項及び第六十五条中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、第五十八条第三項中「家庭裁判所に」とあるのは「高等裁判所に」と、第七十六条中「審判書」とあるのは「裁判書」と、同条第一項中「審判は」とあるのは「審判に代わる裁判は」と、同項ただし書中「即時抗告をすることができない審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができない審判に代わる裁判」と、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」とする。 2 第四十条及び第四十八条の規定は、高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合については、適用しない。 第二節 不服申立て 第一款 審判に対する不服申立て 第一目 即時抗告 (即時抗告をすることができる審判) 第八十五条 審判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 2 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第八十六条 審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 即時抗告の期間は、特別の定めがある場合を除き、即時抗告をする者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては申立人が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第八十七条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原審判の表示及びその審判に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による審判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第四十九条第四項及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第八十八条 審判に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 ただし、抗告審における手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められる場合には、即時抗告があったことを通知することをもって、抗告状の写しの送付に代えることができる。 2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 (陳述の聴取) 第八十九条 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の審判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原審判を取り消すことができない。 2 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 (原裁判所による更正) 第九十条 原裁判所は、審判に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その審判を更正しなければならない。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判については、更正することができない。 (抗告裁判所による裁判) 第九十一条 抗告裁判所は、即時抗告について決定で裁判をする。 2 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、家事審判事件について自ら審判に代わる裁判をしなければならない。 ただし、第九十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。 (原審の管轄違いの場合の取扱い) 第九十二条 抗告裁判所は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についての審判事件を除く。)の全部又は一部が原裁判所の管轄に属しないと認める場合には、原審判を取り消さなければならない。 ただし、原審における審理の経過、事件の性質、抗告の理由等に照らして原審判を取り消さないことを相当とする特別の事情があると認めるときは、この限りでない。 2 抗告裁判所は、家事審判事件が管轄違いであることを理由として原審判を取り消すときは、その事件を管轄権を有する家庭裁判所に移送しなければならない。 (家事審判の手続の規定及び民事訴訟法の準用等) 第九十三条 審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前節第一款から第八款までの規定(第四十条、第四十一条第四項、第四十二条第六項、第四十三条第二項、第四十四条第二項、第四十七条第八項から第十項まで、第四十八条、第四十九条第六項、第六十六条、第六十七条第四項、第七十四条第二項ただし書、第四項及び第五項、第七十六条第一項ただし書、第七十七条第三項から第五項まで、第七十八条第四項、第八十一条第三項並びに第八十三条の規定を除く。)、第四節の規定(第百五条第二項、第百十条、第百十一条及び第百十三条の規定を除く。)及び次章の規定(家庭裁判所の管轄及び即時抗告に関する規定を除く。)を準用する。 この場合において、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは、「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」と読み替えるものとする。 2 抗告裁判所は、第八十八条第一項の規定による抗告状の写しの送付及びこれに代わる即時抗告があったことの通知をすることを要しないときは、前項において準用する第七十一条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。 3 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百八条までの規定は、審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条」とあるのは「家事事件手続法第八十二条第五項及び第八十三条」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「家事事件手続法第二百九十一条」と読み替えるものとする。 第二目 特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第九十四条 家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (原裁判の執行停止) 第九十五条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。 ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十六条 第八十六条第二項、第八十七条から第八十九条まで、第九十一条第一項及び第九十三条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十七条第六項中「及び第五項」とあるのは、「から第六項まで」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十六条第一項において読み替えて準用する同法第八十七条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第二項の規定及び同法第九十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三目 許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第九十七条 高等裁判所の家事審判事件についての決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第九十四条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 ただし、その決定が家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の高等裁判所は、同項の決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第九十四条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十八条 第八十六条第二項、第八十七条(第四項及び第五項を除く。)、第八十八条、第八十九条、第九十一条第一項、第九十三条及び第九十五条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十六条第二項、第八十七条第一項、第二項第二号及び第三項、第八十八条第一項並びに第八十九条第二項中「即時抗告」とあり、第八十七条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第九十五条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第九十七条第二項の申立て」と、第八十七条第一項、第二項及び第六項、第八十八条並びに第九十三条第二項中「抗告状」とあるのは「第九十七条第二項の規定による許可の申立書」と、第九十一条第一項並びに第九十三条第一項前段、第二項及び第三項中「即時抗告」とあり、並びに第九十五条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項の規定及び同法第九十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二款 審判以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第九十九条 審判以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第百条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、家事審判事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (即時抗告期間等) 第百一条 審判以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 (審判に対する不服申立ての規定の準用) 第百二条 前款の規定(第八十五条第一項、第八十六条第一項並びに第八十八条及び第八十九条(これらの規定を第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした審判以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 第三節 再審 (再審) 第百三条 確定した審判その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により審判その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該審判その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第百四条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第四節 審判前の保全処分 (審判前の保全処分) 第百五条 本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずる審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判に代わる裁判をする。 (審判前の保全処分の申立て等) 第百六条 審判前の保全処分(前条第一項の審判及び同条第二項の審判に代わる裁判をいう。以下同じ。)の申立ては、その趣旨及び保全処分を求める事由を明らかにしてしなければならない。 2 審判前の保全処分の申立人は、保全処分を求める事由を疎明しなければならない。 3 家庭裁判所(前条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、審判前の保全処分の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、職権で、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 4 審判前の保全処分の申立ては、審判前の保全処分があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。 (陳述の聴取) 第百七条 審判前の保全処分のうち仮の地位を定める仮処分を命ずるものは、審判を受ける者となるべき者の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第百八条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、第四十七条第三項の規定にかかわらず、審判前の保全処分の事件について、当事者から同条第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、審判前の保全処分の事件における審判を受ける者となるべき者に対し、当該事件が係属したことを通知し、又は審判前の保全処分を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。 (審判) 第百九条 審判前の保全処分は、疎明に基づいてする。 2 審判前の保全処分については、第七十四条第二項ただし書の規定は、適用しない。 3 審判前の保全処分の執行及び効力は、民事保全法(平成元年法律第九十一号)その他の仮差押え及び仮処分の執行及び効力に関する法令の規定に従う。 この場合において、同法第四十五条中「仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、「本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属している家庭裁判所(当該家事審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」とする。 (即時抗告) 第百十条 審判前の保全処分(第百五条第二項の審判に代わる裁判を除く。次項において同じ。)の申立人は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 ただし、次に掲げる保全処分の申立てを却下する審判については、この限りでない。 一 第百二十六条第一項(第百三十四条第一項及び第百四十三条第一項において準用する場合を含む。)、第百五十八条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)及び第二百条第一項の規定による財産の管理者の選任又は財産の管理等に関する指示の保全処分 二 第百二十七条第一項(第百三十五条、第百四十四条、第百八十一条及び第二百二十五条第一項において準用する場合を含む。)、第百六十六条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)、第百七十四条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)、第百七十五条第三項及び第二百十五条第一項の規定による職務代行者の選任の保全処分 2 本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者は、審判前の保全処分(前項各号に掲げる保全処分を命ずる審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 (即時抗告に伴う執行停止) 第百十一条 前条第二項の規定により即時抗告が提起された場合において、原審判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原審判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、若しくは担保を立てさせないで原審判の執行の停止を命じ、又は担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 審判前の保全処分の事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、これらの処分を命ずることができる。 2 第百六条第二項及び第三項の規定は、前項の申立てについて準用する。 (審判前の保全処分の取消し) 第百十二条 審判前の保全処分が確定した後に、保全処分を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所又は審判前の保全処分をした家庭裁判所は、本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者の申立てにより又は職権で、審判前の保全処分の取消しの審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判前の保全処分の取消しの審判に代わる裁判をする。 3 第百六条並びに第百九条第一項及び第二項の規定は、第一項の審判前の保全処分の取消しの審判及び前項の裁判について準用する。 (即時抗告等) 第百十三条 前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判の申立人は、申立てを却下する審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの申立てを却下する審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 2 審判前の保全処分の申立人は、前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの審判を除く。)及び第百十五条において準用する民事保全法第三十三条の規定による原状回復の審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百十一条の規定は、前二項の規定による即時抗告に伴う執行停止について準用する。 (調書の作成) 第百十四条 裁判所書記官は、審判前の保全処分の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 審判前の保全処分の手続については、第四十六条の規定は、適用しない。 (民事保全法の準用) 第百十五条 民事保全法第四条の規定は審判前の保全処分に関する手続における担保について、同法第十四条、第十五条及び第二十条から第二十四条まで(同法第二十三条第四項を除く。)の規定は審判前の保全処分について、同法第三十三条の規定は審判前の保全処分の取消しの裁判について、同法第三十四条の規定は第百十二条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判について準用する。 第五節 戸籍の記載等の嘱託 第百十六条 裁判所書記官は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者又は登記所に対し、戸籍の記載又は後見登記等に関する法律(平成十一年法律第百五十二号)に定める登記を嘱託しなければならない。 ただし、戸籍の記載又は同法に定める登記の嘱託を要するものとして最高裁判所規則で定めるものに限る。 一 別表第一に掲げる事項についての審判又はこれに代わる裁判が効力を生じた場合 二 審判前の保全処分が効力を生じ、又は効力を失った場合 第二章 家事審判事件 第一節 成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百十七条 後見開始の審判事件(別表第一の一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条第一号において同じ。)は、成年被後見人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 成年後見に関する審判事件(別表第一の一の項から十六の二の項までの事項についての審判事件をいう。)は、後見開始の審判事件を除き、後見開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が後見開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、後見開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百十八条 次に掲げる審判事件(第一号、第四号及び第六号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 後見開始の審判事件 二 後見開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二の項の事項についての審判事件をいう。) 三 成年後見人の選任の審判事件(別表第一の三の項の事項についての審判事件をいう。) 四 成年後見人の解任の審判事件(別表第一の五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第一項において同じ。) 五 成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の六の項の事項についての審判事件をいう。) 六 成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の八の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第五項において同じ。) 七 成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の十二の項の事項についての審判事件をいう。) 八 成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(以下「郵便物等」という。)の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判事件(別表第一の十二の二の項の事項についての審判事件をいう。第百二十三条の二において「成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件」という。) 九 成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の十四の項の事項についての審判事件をいう。) 十 第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の十五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十五条第一項及び第二項において同じ。) (精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取) 第百十九条 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の精神の状況につき鑑定をしなければ、後見開始の審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 家庭裁判所は、成年被後見人の精神の状況につき医師の意見を聴かなければ、民法第十条の規定による後見開始の審判の取消しの審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (陳述及び意見の聴取) 第百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号から第三号までにあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 後見開始の審判の取消しの審判(民法第十条の規定による場合に限る。) 成年被後見人及び成年後見人 三 成年後見人又は成年後見監督人の選任の審判 成年被後見人となるべき者又は成年被後見人 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 六 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 成年後見人の選任の審判 成年後見人となるべき者 二 成年後見監督人の選任の審判 成年後見監督人となるべき者 (申立ての取下げの制限) 第百二十一条 次に掲げる申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 一 後見開始の申立て 二 民法第八百四十三条第二項の規定による成年後見人の選任の申立て 三 民法第八百四十五条の規定により選任の請求をしなければならない者による同法第八百四十三条第三項の規定による成年後見人の選任の申立て (審判の告知等) 第百二十二条 次の各号に掲げる審判は、当該各号に定める者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判は、信書の送達の事業を行う者に告知することを要しない。 この場合においては、その審判が効力を生じた時に、信書の送達の事業を行う者に通知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 後見開始の審判 民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者並びに任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号。以下「任意後見契約法」という。)第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 後見開始の審判の取消しの審判 成年後見人及び成年後見監督人 三 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 (即時抗告) 第百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 後見開始の審判 民法第七条及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 後見開始の申立てを却下する審判 申立人 三 後見開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十条に規定する者 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、成年後見監督人並びに成年被後見人及びその親族 六 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 七 成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに成年被後見人及びその親族 八 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人及びその親族 九 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 十 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の申立てを却下する審判 申立人 十一 成年被後見人の死亡後の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為についての許可の申立てを却下する審判 申立人 2 審判の告知を受ける者でない者による後見開始の審判に対する即時抗告の期間は、民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (陳述の聴取の例外) 第百二十三条の二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件においては、第八十九条第一項の規定(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)にかかわらず、抗告裁判所は、信書の送達の事業を行う者の陳述を聴くことを要しない。 (成年後見の事務の監督) 第百二十四条 家庭裁判所は、適当な者に、成年後見の事務若しくは成年被後見人の財産の状況を調査させ、又は臨時に財産の管理をさせることができる。 2 家庭裁判所は、前項の規定により調査又は管理をした者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 3 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査をさせることができる。 4 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、第一項の規定により財産を管理する者について準用する。 (管理者の改任等) 第百二十五条 家庭裁判所は、いつでも、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者を改任することができる。 2 家庭裁判所は、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者(前項の規定により改任された管理者を含む。以下この条において「財産の管理者」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、成年被後見人の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、財産の管理者に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 財産の管理者の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、財産の管理者について準用する。 7 家庭裁判所は、成年被後見人が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったときその他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、成年被後見人、財産の管理者若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 (後見開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百二十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護又は財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護若しくは財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、成年被後見人となるべき者の財産上の行為(民法第九条ただし書に規定する行為を除く。第七項において同じ。)につき、前項の財産の管理者の後見を受けることを命ずることができる。 3 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、第百七条の規定にかかわらず、その者の陳述を聴く手続を経ずに、前項の規定による審判(次項から第七項までにおいて「後見命令の審判」という。)をすることができる。 4 後見命令の審判は、第一項の財産の管理者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによって、その効力を生ずる。 5 後見命令の審判は、成年被後見人となるべき者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 6 審判の告知を受ける者でない者による後見命令の審判に対する即時抗告の期間は、第一項の財産の管理者が第四項の規定による告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 7 後見命令の審判があったときは、成年被後見人となるべき者及び第一項の財産の管理者は、成年被後見人となるべき者がした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 8 前条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、前条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「成年被後見人となるべき者」と読み替えるものとする。 (成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百二十七条 家庭裁判所は、成年後見人の解任の審判事件が係属している場合において、成年被後見人の利益のため必要があるときは、成年後見人の解任の申立てをした者の申立てにより又は職権で、成年後見人の解任についての審判が効力を生ずるまでの間、成年後見人の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による成年後見人の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される成年後見人、他の成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定は、成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第二節 保佐に関する審判事件 (管轄) 第百二十八条 保佐開始の審判事件(別表第一の十七の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被保佐人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 保佐に関する審判事件(別表第一の十七の項から三十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、保佐開始の審判事件を除き、保佐開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が保佐開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、保佐開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百二十九条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被保佐人となるべき者及び被保佐人について準用する。 一 保佐開始の審判事件 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の十八の項の事項についての審判事件をいう。) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の十九の項の事項についての審判事件をいう。) 四 保佐開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二十の項の事項についての審判事件をいう。) 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の二十一の項の事項についての審判事件をいう。) 六 保佐人の選任の審判事件(別表第一の二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 七 保佐人の解任の審判事件(別表第一の二十四の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 八 保佐監督人の選任の審判事件(別表第一の二十六の項の事項についての審判事件をいう。) 九 保佐監督人の解任の審判事件(別表第一の二十八の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 十 保佐人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の三十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十三の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 保佐の事務の監督の審判事件(別表第一の三十四の項の事項についての審判事件をいう。) (陳述及び意見の聴取) 第百三十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号、第四号及び第五号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 保佐開始の審判 被保佐人となるべき者 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人 四 保佐開始の審判の取消しの審判(民法第十四条第一項の規定による場合に限る。) 被保佐人及び保佐人 五 保佐人又は保佐監督人の選任の審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 保佐人の選任の審判 保佐人となるべき者 二 保佐監督人の選任の審判 保佐監督人となるべき者 (審判の告知) 第百三十一条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 保佐開始の審判 民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐人又は保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐人となるべき者又は保佐監督人となるべき者) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人及び保佐監督人 四 保佐開始の審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 六 保佐人に対する代理権の付与の審判 被保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐監督人となるべき者) 七 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被保佐人及び保佐監督人 (即時抗告) 第百三十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 保佐開始の審判 民法第十一条本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 保佐開始の申立てを却下する審判 申立人 三 保佐開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十四条第一項に規定する者 四 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人 五 保佐人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐人の解任の申立てを却下する審判 申立人、保佐監督人並びに被保佐人及びその親族 八 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 九 保佐監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被保佐人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐開始の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百三十三条 第百十九条の規定は被保佐人となるべき者及び被保佐人の精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取について、第百二十一条の規定は保佐開始の申立ての取下げ及び保佐人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は保佐の事務の監督について準用する。 (保佐開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百三十四条 保佐開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、保佐開始の申立てがあった場合において、被保佐人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、保佐開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被保佐人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為に限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の保佐を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「保佐命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐命令の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 保佐命令の審判があったときは、被保佐人となるべき者及び財産の管理者は、被保佐人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被保佐人となるべき者」と読み替えるものとする。 (保佐人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百三十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、保佐人の解任の審判事件又は保佐監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第三節 補助に関する審判事件 (管轄) 第百三十六条 補助開始の審判事件(別表第一の三十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被補助人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 補助に関する審判事件(別表第一の三十六の項から五十四の項までの事項についての審判事件をいう。)は、補助開始の審判事件を除き、補助開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が補助開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、補助開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百三十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被補助人となるべき者及び被補助人について準用する。 一 補助開始の審判事件 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の三十七の項の事項についての審判事件をいう。) 三 補助人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の三十八の項の事項についての審判事件をいう。) 四 補助開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十九の項の事項についての審判事件をいう。) 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の四十の項の事項についての審判事件をいう。) 六 補助人の選任の審判事件(別表第一の四十一の項の事項についての審判事件をいう。) 七 補助人の解任の審判事件(別表第一の四十三の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 八 補助監督人の選任の審判事件(別表第一の四十五の項の事項についての審判事件をいう。) 九 補助監督人の解任の審判事件(別表第一の四十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 十 補助人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の五十一の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の五十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 補助の事務の監督の審判事件(別表第一の五十三の項の事項についての審判事件をいう。) (精神の状況に関する意見の聴取) 第百三十八条 家庭裁判所は、被補助人となるべき者の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、補助開始の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第百三十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第三号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 補助開始の審判 被補助人となるべき者 二 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人 三 補助開始の審判の取消しの審判(民法第十八条第一項又は第三項の規定による場合に限る。) 被補助人及び補助人 四 補助人又は補助監督人の選任の審判 被補助人となるべき者又は被補助人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助監督人の解任の審判 補助監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 補助人の選任の審判 補助人となるべき者 二 補助監督人の選任の審判 補助監督人となるべき者 (審判の告知) 第百四十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 補助開始の審判 民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判 補助人及び補助監督人(当該審判が補助人又は補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助人となるべき者又は補助監督人となるべき者) 三 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人及び補助監督人 四 補助開始の審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 六 補助人に対する代理権の付与の審判 被補助人及び補助監督人(当該審判が補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助監督人となるべき者) 七 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被補助人及び補助監督人 (即時抗告) 第百四十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 補助開始の審判 民法第十五条第一項本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 補助開始の申立てを却下する審判 申立人 三 補助開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十八条第一項に規定する者 四 補助人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助人の解任の申立てを却下する審判 申立人、補助監督人並びに被補助人及びその親族 七 補助監督人の解任の審判 補助監督人 八 補助監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被補助人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助開始の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百四十二条 第百二十一条の規定は補助開始の申立ての取下げ及び補助人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は補助の事務の監督について準用する。 (補助開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百四十三条 補助開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、補助開始及び補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てがあった場合において、被補助人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、補助開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被補助人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為であって、当該補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てに係るものに限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の補助を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「補助命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助命令の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 補助命令の審判があったときは、被補助人となるべき者及び財産の管理者は、被補助人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被補助人となるべき者」と読み替えるものとする。 (補助人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百四十四条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、補助人の解任の審判事件又は補助監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第四節 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件 (管轄) 第百四十五条 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管理人の改任等) 第百四十六条 家庭裁判所は、いつでも、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人を改任することができる。 2 家庭裁判所は、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人及び前項の規定により改任した管理人(第四項及び第六項、次条並びに第百四十七条において「家庭裁判所が選任した管理人」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 同法第二十七条第二項の場合においては、不在者が置いた管理人に対しても、同様とする。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、不在者の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、管理人(家庭裁判所が選任した管理人及び不在者が置いた管理人をいう。次項及び第百四十七条において同じ。)に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 管理人の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、家庭裁判所が選任した管理人について準用する。 (供託等) 第百四十六条の二 家庭裁判所が選任した管理人は、不在者の財産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、不在者のために、当該金銭を不在者の財産の管理に関する処分を命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。 2 家庭裁判所が選任した管理人は、前項の規定による供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 (処分の取消し) 第百四十七条 家庭裁判所は、不在者が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったとき(家庭裁判所が選任した管理人が管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、不在者、管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、民法第二十五条第一項の規定による管理人の選任その他の不在者の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 第五節 失踪の宣告に関する審判事件 第一款 失踪の宣告の審判事件 第百四十八条 失踪の宣告の審判事件(別表第一の五十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の審判事件における不在者について準用する。 3 家庭裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号及び第四号の期間が経過しなければ、失踪の宣告の審判をすることができない。 この場合において、第二号及び第四号の期間は、民法第三十条第一項の場合にあっては三月を、同条第二項の場合にあっては一月を下ってはならない。 一 不在者について失踪の宣告の申立てがあったこと。 二 不在者は、一定の期間までにその生存の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、失踪の宣告がされること。 四 不在者の生死を知る者は、一定の期間までにその届出をすべきこと。 4 失踪の宣告の審判は、不在者に告知することを要しない。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の審判 不在者及び利害関係人 二 失踪の宣告の申立てを却下する審判 申立人 第二款 失踪の宣告の取消しの審判事件 第百四十九条 失踪の宣告の取消しの審判事件は、失踪者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の取消しの審判事件における失踪者について準用する。 3 失踪の宣告の取消しの審判は、事件の記録上失踪者の住所又は居所が判明している場合に限り、失踪者に告知すれば足りる。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の取消しの審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 失踪の宣告の取消しの申立てを却下する審判 失踪者及び利害関係人 第六節 婚姻等に関する審判事件 (管轄) 第百五十条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件(別表第二の一の項の事項についての審判事件をいう。次条第一号において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の五十八の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件(別表第二の二の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地 四 子の監護に関する処分の審判事件 子(父又は母を同じくする数人の子についての申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地 五 財産の分与に関する処分の審判事件 夫又は妻であった者の住所地 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の五の項の事項についての審判事件をいう。) 所有者の住所地 (手続行為能力) 第百五十一条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件及びこれらの審判事件を本案とする保全処分についての審判事件(いずれの審判事件においても、財産上の給付を求めるものを除く。)における当該各号に定める者について準用する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の審判事件 子 (陳述の聴取) 第百五十二条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判をする場合には、夫及び妻(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判を除く。)をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第百五十三条 第八十二条第二項の規定にかかわらず、財産の分与に関する処分の審判の申立ての取下げは、相手方が本案について書面を提出し、又は家事審判の手続の期日において陳述をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (給付命令等) 第百五十四条 家庭裁判所は、夫婦間の協力扶助に関する処分の審判において、扶助の程度若しくは方法を定め、又はこれを変更することができる。 2 家庭裁判所は、次に掲げる審判において、当事者(第二号の審判にあっては、夫又は妻)に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判 四 財産の分与に関する処分の審判 3 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判において、子の監護をすべき者の指定又は変更、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項の定めをする場合には、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 4 家庭裁判所は、離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 (共有財産の分割) 第百五十五条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判とともに共有財産の分割に関する処分の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、共有財産の分割の方法として、一方の婚姻の当事者に他方の婚姻の当事者に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (即時抗告) 第百五十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 四 子の監護に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 五 財産の分与に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫又は妻であった者 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判 婚姻の当事者(民法第七百五十一条第二項において準用する同法第七百六十九条第二項の規定による場合にあっては、生存配偶者)その他の利害関係人 (婚姻等に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百五十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分 二 婚姻費用の分担に関する処分 三 子の監護に関する処分 四 財産の分与に関する処分 2 家庭裁判所は、前項第三号に掲げる事項について仮の地位を定める仮処分(子の監護に要する費用の分担に関する仮処分を除く。)を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件を本案とする保全処分) 第百五十八条 家庭裁判所は、夫婦の一方から夫婦財産契約による財産の管理者の変更の申立てがあった場合において、他の一方の管理する申立人所有の財産又は共有財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、当該財産の管理者の変更の申立てについての審判(共有財産の分割に関する処分の申立てがあった場合にあっては、その申立てについての審判)が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、他の一方の管理する申立人所有の財産若しくは共有財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は夫婦の他の一方の申立てにより、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「管理に係る財産」と読み替えるものとする。 第七節 親子に関する審判事件 第一款 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件 第百五十九条 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件は、子の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件における父及び民法第七百七十四条第四項に規定する前夫について準用する。 3 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二款 子の氏の変更についての許可の審判事件 第百六十条 子の氏の変更についての許可の審判事件(別表第一の六十の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、子(父又は母を同じくする数人の子についての子の氏の変更についての許可の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、子の氏の変更についての許可の審判事件における子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 子の氏の変更についての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第三款 養子縁組をするについての許可の審判事件 第百六十一条 養子縁組をするについての許可の審判事件は、養子となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、養子縁組をするについての許可の審判事件における養親となるべき者及び養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 ただし、養子となるべき者については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者及び養子となるべき者の未成年後見人 4 養子縁組をするについての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第四款 死後離縁をするについての許可の審判事件 第百六十二条 死後離縁をするについての許可の審判事件は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、死後離縁をするについての許可の審判事件における養親及び養子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子の死後に死後離縁をするについての許可の申立てがあった場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、養子を代襲して養親の相続人となるべき者に対し、その旨を通知するものとする。 ただし、事件の記録上その者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 死後離縁をするについての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 死後離縁をするについての許可の申立てを却下する審判 申立人 第五款 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百六十三条 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の六の項の事項についての審判事件をいう。)は、その所有者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 離縁の当事者その他の利害関係人は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第六款 特別養子縁組に関する審判事件 (特別養子縁組の成立の審判事件) 第百六十四条 特別養子縁組の成立の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 養子となるべき者は、特別養子適格の確認(養子となるべき者について民法第八百十七条の六に定める要件があること及び同法第八百十七条の七に規定する父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合に該当することについての確認をいう。以下この条及び次条において同じ。)の審判(申立人の同条第一項の規定による申立てによりされたものに限る。)を受けた者又は児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判(特別養子縁組の成立の申立ての日の六箇月前の日以後に確定したものに限る。)を受けた者でなければならない。 3 養子となるべき者の親権者(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。以下この項において同じ。)及びその親権者に対し親権を行う者は、特別養子縁組の成立の審判事件において養子となるべき者を代理して手続行為をすることができない。 4 養子となるべき者の父母(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。第十項において同じ。)は、第四十二条第一項及び第三項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判事件の手続に参加することができない。 5 第百十八条の規定は、特別養子縁組の成立の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方について準用する。 6 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者(養子となるべき者の父母及び養子となるべき者の親権者に対し親権を行う者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 7 特別養子適格の確認の審判(児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判を含む。以下この項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の審判事件の係属する裁判所を拘束する。 この場合において、特別養子適格の確認の審判は、特別養子縁組の成立の審判事件との関係においては、特別養子縁組の成立の審判をする時においてしたものとみなす。 8 特別養子縁組の成立の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第二号に掲げる者に告知しなければならない。 9 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 ただし、養子となるべき者が十五歳に達している場合は、この限りでない。 10 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の父母に告知することを要しない。 ただし、住所又は居所が知れている父母に対しては、審判をした日及び審判の主文を通知しなければならない。 11 家庭裁判所は、第二項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判を、特別養子適格の確認の審判と同時にすることができる。 この場合においては、特別養子縁組の成立の審判は、特別養子適格の確認の審判が確定するまでは、確定しないものとする。 12 家庭裁判所は、前項前段の場合において、特別養子適格の確認の審判を取り消す裁判が確定したときは、職権で、特別養子縁組の成立の審判を取り消さなければならない。 13 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、確定しないものとする。 この場合においては、家庭裁判所は、職権で、その審判を取り消さなければならない。 14 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の成立の審判 養子となるべき者及び第六項第二号に掲げる者 二 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判 申立人 15 養子となるべき者(十五歳未満のものに限る。)による特別養子縁組の成立の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子適格の確認の審判事件) 第百六十四条の二 家庭裁判所は、養親となるべき者の申立てにより、その者と養子となるべき者との間における縁組について、特別養子適格の確認の審判をすることができる。 ただし、養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過する日まで及び養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、この限りでない。 2 特別養子適格の確認の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 特別養子適格の確認の申立ては、特別養子縁組の成立の申立てと同時にしなければならない。 4 第百十八条の規定は、特別養子適格の確認の審判事件における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び養子となるべき者の父母について準用する。 5 民法第八百十七条の六本文の同意は、次の各号のいずれにも該当する場合には、撤回することができない。 ただし、その同意をした日から二週間を経過する日までは、この限りでない。 一 養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過した後にされたものであること。 二 次のいずれかに該当するものであること。 イ 家庭裁判所調査官による事実の調査を経た上で家庭裁判所に書面を提出してされたものであること。 ロ 審問の期日においてされたものであること。 6 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第二号に掲げる者の同意がないにもかかわらずその審判をするときは、その者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者の父母 三 養子となるべき者に対し親権を行う者(前号に掲げる者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 四 養子となるべき者の父母に対し親権を行う者及び養子となるべき者の父母の後見人 7 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てに係る特別養子適格の確認の申立てを却下しなければならない。 8 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の申立てを却下する審判をする場合には、第六項第二号及び第三号に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 9 特別養子適格の確認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第三号及び第四号に掲げる者に告知しなければならない。 10 特別養子適格の確認の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 11 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合において、第六項第二号に掲げる者を特定することができないときは、同号及び同項第四号に掲げる者の陳述を聴くこと並びにこれらの者にその審判を告知することを要しない。 12 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子適格の確認の審判 養子となるべき者及び第六項第二号から第四号までに掲げる者 二 特別養子適格の確認の申立てを却下する審判 申立人 13 養子となるべき者による特別養子適格の確認の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 14 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てによる特別養子適格の確認の審判は、その効力を失う。 (特別養子縁組の離縁の審判事件) 第百六十五条 特別養子縁組の離縁の審判事件は、養親の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、特別養子縁組の離縁の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親、養子及びその実父母について準用する。 3 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号から第三号までに掲げる者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子(十五歳以上のものに限る。) 二 養親 三 養子の実父母 四 養子に対し親権を行う者(第二号に掲げる者を除く。)及び養子の後見人 五 養親の後見人 六 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 4 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子の実父母(申立人を除く。) 二 養子に対し親権を行う者及び養子の後見人 三 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 5 特別養子縁組の離縁の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第三項第四号から第六号までに掲げる者に告知しなければならない。 6 特別養子縁組の離縁の審判は、養子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して養子の利益を害すると認める場合には、養子に告知することを要しない。 7 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の離縁の審判 養子、養親、養子の実父母、養子に対し親権を行う者で養親でないもの、養子の後見人、養親の後見人、養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 二 特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判 申立人 8 養子による特別養子縁組の離縁の審判に対する即時抗告の期間は、養子以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子縁組の成立の審判事件等を本案とする保全処分) 第百六十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の申立てがあった場合において、養子となるべき者の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別養子縁組の成立の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、申立人を養子となるべき者の監護者に選任し、又は養子となるべき者の親権者若しくは未成年後見人の職務の執行を停止し、若しくはその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者若しくは未成年後見人、養子となるべき者に対し親権を行う者若しくは他の未成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、養子となるべき者の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定(養子となるべき者の監護者を選任する保全処分に関する部分を除く。)は、特別養子縁組の離縁の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第八節 親権に関する審判事件 (管轄) 第百六十七条 親権に関する審判事件は、子(父又は母を同じくする数人の子についての親権者の指定若しくは変更又は第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百六十八条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件(第三号及び第七号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における当該各号に定める者について準用する。 一 子に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の六十五の項の事項についての審判事件をいう。) 子 二 第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の六十六の項の事項についての審判事件をいう。第百七十三条において同じ。) 子 三 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件(別表第一の六十七の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判事件(別表第一の六十八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 五 親権又は管理権を辞し、又は回復するについての許可の審判事件(別表第一の六十九の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 六 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判事件(別表第二の七の項の事項についての審判事件をいう。) 養子、その父母及び養親 七 親権者の指定又は変更の審判事件(別表第二の八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 (陳述の聴取) 第百六十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号に掲げる子の親権者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子(十五歳以上のものに限る。)及び子の親権者 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者、子の未成年後見人及び親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者 三 親権又は管理権を辞するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。) 四 親権又は管理権を回復するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 2 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (審判の告知) 第百七十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 ただし、子にあっては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 (引渡命令等) 第百七十一条 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判において、当事者に対し、子の引渡し又は財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百七十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号から第三号まで及び第五号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 親権喪失の審判 親権を喪失する者及びその親族 二 親権停止の審判 親権を停止される者及びその親族 三 管理権喪失の審判 管理権を喪失する者及びその親族 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てを却下する審判 申立人、子及びその親族、未成年後見人並びに未成年後見監督人 五 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子及びその親族、子に対し親権を行う者、未成年後見人並びに未成年後見監督人 六 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人並びに親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者及びその親族 七 親権又は管理権を回復するについての許可の申立てを却下する審判 申立人 八 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判 養子の父母及び養子の監護者 九 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の申立てを却下する審判 申立人、養子の父母及び養子の監護者 十 親権者の指定又は変更の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 2 次の各号に掲げる即時抗告の期間は、当該各号に定める日から進行する。 一 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失する者が審判の告知を受けた日 二 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者が審判の告知を受けた日 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第百七十三条 第百二十五条の規定は、第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 (親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件を本案とする保全処分) 第百七十四条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があると認めるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 (親権者の指定又は変更の審判事件を本案とする保全処分) 第百七十五条 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の審判を本案とする仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 2 前項の規定により仮の地位の仮処分を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 4 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 5 家庭裁判所は、いつでも、第三項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 6 家庭裁判所は、第三項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第九節 未成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百七十六条 未成年後見に関する審判事件(別表第一の七十の項から八十三の項までの事項についての審判事件をいう。)は、未成年被後見人(養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百七十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第三号及び第五号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における未成年被後見人(第一号の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者及び養親)について準用する。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件 二 未成年後見人の選任の審判事件 三 未成年後見人の解任の審判事件(別表第一の七十三の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 四 未成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の七十四の項の事項についての審判事件をいう。) 五 未成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の七十六の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 六 未成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の七十九の項の事項についての審判事件をいう。) 七 未成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の八十一の項の事項についての審判事件をいう。) 八 第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十二の項の事項についての審判事件をいう。第百八十条において同じ。) (陳述及び意見の聴取) 第百七十八条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 未成年後見人又は未成年後見監督人の選任の審判 未成年被後見人(十五歳以上のものに限る。) 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者又は未成年後見人の選任 未成年後見人となるべき者 二 未成年後見監督人の選任 未成年後見監督人となるべき者 (即時抗告) 第百七十九条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、未成年後見監督人並びに未成年被後見人及びその親族 四 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 五 未成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに未成年被後見人及びその親族 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百八十条 第百二十一条の規定は未成年後見人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は未成年後見の事務の監督について、第百二十五条の規定は第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十一条第二号中「第八百四十三条第二項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第一項の規定による未成年後見人」と、同条第三号中「第八百四十三条第三項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第二項の規定による未成年後見人」と読み替えるものとする。 (未成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百八十一条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、未成年後見人の解任の審判事件又は未成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第十節 扶養に関する審判事件 (管轄) 第百八十二条 扶養義務の設定の審判事件(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者となるべき者(数人についての扶養義務の設定の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務の設定の取消しの審判事件(別表第一の八十五の項の事項についての審判事件をいう。)は、その扶養義務の設定の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所がその扶養義務の設定の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(別表第二の九の項の事項についての審判事件をいう。)並びに扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(同表の十の項の事項についての審判事件をいう。)は、相手方(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (申立ての特則) 第百八十三条 扶養義務の設定の申立ては、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第二十三条の二第二項第四号の規定による保護者の選任の申立てと一の申立てによりするときは、同法第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所にもすることができる。 (陳述の聴取) 第百八十四条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者 二 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者 (給付命令) 第百八十五条 家庭裁判所は、扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百八十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者(申立人を除く。) 二 扶養義務の設定の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者(申立人を除く。) 四 扶養義務の設定の取消しの申立てを却下する審判 申立人 五 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 六 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 (扶養に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百八十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消し 二 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消し 第十一節 推定相続人の廃除に関する審判事件 (推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の取消しの審判事件) 第百八十八条 推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 ただし、これらの審判事件が被相続人の死亡後に申し立てられた場合にあっては、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、前項に規定する審判事件における被相続人について準用する。 3 家庭裁判所は、推定相続人の廃除の審判事件においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、廃除を求められた推定相続人の陳述を聴かなければならない。 この場合における陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 4 推定相続人の廃除の審判事件における手続については、申立人及び廃除を求められた推定相続人を当事者とみなして、第六十七条及び第六十九条から第七十二条までの規定を準用する。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 推定相続人の廃除の審判 廃除された推定相続人 二 推定相続人の廃除又はその審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人 (遺産の管理に関する処分の審判事件) 第百八十九条 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件は、推定相続人の廃除の審判事件又は推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件が係属している家庭裁判所(その審判事件が係属していない場合にあっては相続が開始した地を管轄する家庭裁判所、その審判事件が抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所)の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項までの規定は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理人について準用する。 この場合において、同条第一項、第二項及び第四項中「家庭裁判所」とあるのは「推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所」と、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは「遺産」と読み替えるものとする。 3 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判が確定したときは、廃除を求められた推定相続人、前項の管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、その処分の取消しの裁判をしなければならない。 第十二節 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百九十条 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の十一の項の事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 相続人その他の利害関係人は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十二節の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件 第百九十条の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項まで、第百四十六条の二及び第百四十七条の規定は、相続財産の保存に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十三節 遺産の分割に関する審判事件 (管轄) 第百九十一条 遺産の分割に関する審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判事件(別表第二の十二の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)が係属している場合における寄与分を定める処分の審判事件(同表の十四の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)は、当該遺産の分割の審判事件が係属している裁判所の管轄に属する。 (手続の併合等) 第百九十二条 遺産の分割の審判事件及び寄与分を定める処分の審判事件が係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 数人からの寄与分を定める処分の審判事件が係属するときも、同様とする。 (寄与分を定める処分の審判の申立ての期間の指定) 第百九十三条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判の手続において、一月を下らない範囲内で、当事者が寄与分を定める処分の審判の申立てをすべき期間を定めることができる。 2 家庭裁判所は、寄与分を定める処分の審判の申立てが前項の期間を経過した後にされたときは、当該申立てを却下することができる。 3 家庭裁判所は、第一項の期間を定めなかった場合においても、当事者が時機に後れて寄与分を定める処分の申立てをしたことにつき、申立人の責めに帰すべき事由があり、かつ、申立てに係る寄与分を定める処分の審判の手続を併合することにより、遺産の分割の審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、その申立てを却下することができる。 (遺産の換価を命ずる裁判) 第百九十四条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、相続人に対し、遺産の全部又は一部を競売して換価することを命ずることができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があり、かつ、相当と認めるときは、相続人の意見を聴き、相続人に対し、遺産の全部又は一部について任意に売却して換価することを命ずることができる。 ただし、共同相続人中に競売によるべき旨の意思を表示した者があるときは、この限りでない。 3 前二項の規定による裁判(以下この条において「換価を命ずる裁判」という。)が確定した後に、その換価を命ずる裁判の理由の消滅その他の事情の変更があるときは、家庭裁判所は、相続人の申立てにより又は職権で、これを取り消すことができる。 4 換価を命ずる裁判は、第八十一条第一項において準用する第七十四条第一項に規定する者のほか、遺産の分割の審判事件の当事者に告知しなければならない。 5 相続人は、換価を命ずる裁判に対し、即時抗告をすることができる。 6 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判をする場合において、第二百条第一項の財産の管理者が選任されていないときは、これを選任しなければならない。 7 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判により換価を命じられた相続人に対し、遺産の中から、相当な報酬を与えることができる。 8 第百二十五条の規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第六項の規定により選任した財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 (債務を負担させる方法による遺産の分割) 第百九十五条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (給付命令) 第百九十六条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (遺産の分割の禁止の審判の取消し及び変更) 第百九十七条 家庭裁判所は、事情の変更があるときは、相続人の申立てにより、いつでも、遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判をすることができる。 この申立てに係る審判事件は、別表第二に掲げる事項についての審判事件とみなす。 (即時抗告) 第百九十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺産の分割の審判及びその申立てを却下する審判 相続人 二 遺産の分割の禁止の審判 相続人 三 遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判 相続人 四 寄与分を定める処分の審判 相続人 五 寄与分を定める処分の申立てを却下する審判 申立人 2 第百九十二条前段の規定により審判が併合してされたときは、寄与分を定める処分の審判又はその申立てを却下する審判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 3 第百九十二条後段の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (申立ての取下げの制限) 第百九十九条 第百五十三条の規定は、遺産の分割の審判の申立ての取下げについて準用する。 2 第八十二条第二項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分) 第二百条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。次項及び第三項において同じ。)は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、遺産の分割の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。 ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。 4 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 第十四節 相続の承認及び放棄に関する審判事件 第二百一条 相続の承認及び放棄に関する審判事件(別表第一の九十の項から九十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、限定承認の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十三の項の事項についての審判事件をいう。)は、限定承認の申述を受理した家庭裁判所(抗告裁判所が受理した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 家庭裁判所(抗告裁判所が限定承認の申述を受理した場合にあっては、その裁判所)は、相続人が数人ある場合において、限定承認の申述を受理したときは、職権で、民法第九百三十六条第一項の規定により相続財産の清算人を選任しなければならない。 4 第百十八条の規定は、限定承認又は相続の放棄の取消しの申述の受理の審判事件(別表第一の九十一の項の事項についての審判事件をいう。)における限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者について準用する。 5 限定承認及びその取消し並びに相続の放棄及びその取消しの申述は、次に掲げる事項を記載した申述書を家庭裁判所に提出してしなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 限定承認若しくはその取消し又は相続の放棄若しくはその取消しをする旨 6 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条の規定は、前項の申述について準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百一条第五項」と読み替えるものとする。 7 家庭裁判所は、第五項の申述の受理の審判をするときは、申述書にその旨を記載しなければならない。 この場合において、当該審判は、申述書にその旨を記載した時に、その効力を生ずる。 8 前項の審判については、第七十六条の規定は、適用しない。 9 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 相続の承認又は放棄をすべき期間の伸長の申立てを却下する審判 申立人 二 限定承認又は相続の放棄の取消しの申述を却下する審判 限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者 三 限定承認又は相続の放棄の申述を却下する審判 申述人 第十五節 財産分離に関する審判事件 第二百二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める裁判所の管轄に属する。 一 財産分離の審判事件(別表第一の九十六の項の事項についての審判事件をいう。次号において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件 財産分離の審判事件が係属している家庭裁判所(抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所、財産分離の裁判確定後にあっては財産分離の審判事件が係属していた家庭裁判所) 三 財産分離の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十八の項の事項についての審判事件をいう。) 財産分離の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が財産分離の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所) 2 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 財産分離の審判 相続人 二 民法第九百四十一条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続債権者及び受遺者 三 民法第九百五十条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続人の債権者 3 第百二十五条の規定は、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十六節 相続人の不存在に関する審判事件 (管轄) 第二百三条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。 一 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 相続人の不存在の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百の項の事項についての審判事件をいう。) 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件において相続財産の清算人の選任の審判をした家庭裁判所 三 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件(別表第一の百一の項の事項についての審判事件をいう。次条第二項及び第二百七条において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 (特別縁故者に対する相続財産の分与の審判) 第二百四条 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判は、民法第九百五十二条第二項の期間の満了後三月を経過した後にしなければならない。 2 同一の相続財産に関し特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件が数個同時に係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 (意見の聴取) 第二百五条 家庭裁判所は、特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判をする場合には、民法第九百五十二条第一項の規定により選任し、又は第二百八条において準用する第百二十五条第一項の規定により改任した相続財産の清算人(次条及び第二百七条において単に「相続財産の清算人」という。)の意見を聴かなければならない。 (即時抗告) 第二百六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判 申立人及び相続財産の清算人 二 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てを却下する審判 申立人 2 第二百四条第二項の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人又は相続財産の清算人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (相続財産の換価を命ずる裁判) 第二百七条 第百九十四条第一項、第二項本文、第三項から第五項まで及び第七項の規定は、特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件について準用する。 この場合において、同条第一項及び第七項中「相続人」とあり、並びに同条第二項中「相続人の意見を聴き、相続人」とあるのは「相続財産の清算人」と、同条第三項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人若しくは相続財産の清算人」と、同条第四項中「当事者」とあるのは「申立人」と、同条第五項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人及び相続財産の清算人」と読み替えるものとする。 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第二百八条 第百二十五条の規定は、相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十七節 遺言に関する審判事件 (管轄) 第二百九条 遺言に関する審判事件(別表第一の百二の項から百八の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続を開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺言の確認の審判事件は、遺言者の生存中は、遺言者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者及び負担の利益を受けるべき者 2 家庭裁判所は、遺言執行者の選任の審判をする場合には、遺言執行者となるべき者の意見を聴かなければならない。 (調書の作成) 第二百十一条 裁判所書記官は、遺言書の検認について、調書を作成しなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百十二条 遺言の確認又は遺言書の検認の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百十三条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 相続人 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 負担の利益を受けるべき者 (即時抗告) 第二百十四条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺言の確認の審判 利害関係人 二 遺言の確認の申立てを却下する審判 遺言に立ち会った証人及び利害関係人 三 遺言執行者の選任の申立てを却下する審判 利害関係人 四 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 五 遺言執行者の解任の申立てを却下する審判 利害関係人 六 遺言執行者の辞任についての許可の申立てを却下する審判 申立人 七 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者その他の利害関係人(申立人を除く。) 八 負担付遺贈に係る遺言の取消しの申立てを却下する審判 相続人 (遺言執行者の解任の審判事件を本案とする保全処分) 第二百十五条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、遺言執行者の解任の申立てがあった場合において、遺言の内容の実現のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、遺言執行者の解任の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、遺言執行者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による遺言執行者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される遺言執行者、他の遺言執行者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、相続財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第十八節 遺留分に関する審判事件 第二百十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 遺留分を算定するための財産の価額を定める場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百九の項の事項についての審判事件をいう。) 相続が開始した地 二 遺留分の放棄についての許可の審判事件 被相続人の住所地 2 遺留分の放棄についての許可の申立てをした者は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十八節の二 特別の寄与に関する審判事件 (管轄) 第二百十六条の二 特別の寄与に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (給付命令) 第二百十六条の三 家庭裁判所は、特別の寄与に関する処分の審判において、当事者に対し、金銭の支払を命ずることができる。 (即時抗告) 第二百十六条の四 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別の寄与に関する処分の審判 申立人及び相手方 二 特別の寄与に関する処分の申立てを却下する審判 申立人 (特別の寄与に関する審判事件を本案とする保全処分) 第二百十六条の五 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、特別の寄与に関する処分についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は申立人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別の寄与に関する処分の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 第十九節 任意後見契約法に規定する審判事件 (管轄) 第二百十七条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件(別表第一の百十一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条において同じ。)は、任意後見契約法第二条第二号の本人(以下この節において単に「本人」という。)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 任意後見契約法に規定する審判事件(別表第一の百十一の項から百二十一の項までの事項についての審判事件をいう。)は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件を除き、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が当該任意後見監督人を選任した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百十八条 第百十八条の規定は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件における本人について準用する。 (精神の状況に関する意見の聴取) 第二百十九条 家庭裁判所は、本人の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、本人については、本人の心身の障害により本人の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判並びに任意後見監督人が欠けた場合及び任意後見監督人を更に選任する場合における任意後見監督人の選任の審判 本人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見人の解任の審判 任意後見人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 2 家庭裁判所は、前項第一号に掲げる審判をする場合には、任意後見監督人となるべき者の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をする場合には、任意後見契約の効力が生ずることについて、任意後見受任者の意見を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百二十一条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任及び任意後見監督人が欠けた場合における任意後見監督人の選任の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百二十二条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判 本人及び任意後見受任者 二 後見開始の審判等の取消しの審判 後見開始の審判の取消しの審判にあっては成年後見人及び成年後見監督人、保佐開始の審判の取消しの審判にあっては保佐人及び保佐監督人並びに補助開始の審判の取消しの審判にあっては補助人及び補助監督人 三 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見監督人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人、任意後見人及び任意後見監督人 (即時抗告) 第二百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第四号及び第六号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに本人及びその親族 四 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見人 五 任意後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、任意後見監督人並びに本人及びその親族 六 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 七 任意後見契約の解除についての許可の申立てを却下する審判 申立人 (任意後見監督人の事務の調査) 第二百二十四条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に任意後見監督人の事務を調査させることができる。 (任意後見監督人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第二百二十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、任意後見監督人の解任の審判事件(別表第一の百十七の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 2 第百二十七条第一項及び第二項の規定は、任意後見人の解任の審判事件(別表第一の百二十の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 この場合において、同条第一項中「停止し、又はその職務代行者を選任する」とあるのは「停止する」と、同条第二項中「同項の規定により選任した職務代行者」とあるのは「任意後見監督人」と読み替えるものとする。 第二十節 戸籍法に規定する審判事件 (管轄) 第二百二十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 氏又は名の変更についての許可の審判事件(別表第一の百二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 申立人の住所地 二 就籍許可の審判事件(別表第一の百二十三の項の事項についての審判事件をいう。) 就籍しようとする地 三 戸籍の訂正についての許可の審判事件(別表第一の百二十四の項の事項についての審判事件をいう。) その戸籍のある地 四 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件(別表第一の百二十五の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。) 市役所(戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第四条において準用する同法第百二十二条の規定による場合にあっては、区役所)又は町村役場の所在地 (手続行為能力) 第二百二十七条 第百十八条の規定は、戸籍法に規定する審判事件(別表第一の百二十二の項から百二十五の項までの事項についての審判事件をいう。)における当該審判事件の申立てをすることができる者について準用する。 ただし、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件においては、当該処分を受けた届出その他の行為を自らすることができる場合に限る。 (事件係属の通知) 第二百二十八条 家庭裁判所は、戸籍法第百十三条の規定による戸籍の訂正についての許可の申立てが当該戸籍の届出人又は届出事件の本人以外の者からされた場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該届出人又は届出事件の本人に対し、その旨を通知しなければならない。 ただし、事件の記録上これらの者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十九条 家庭裁判所は、氏の変更についての許可の審判をする場合には、申立人と同一戸籍内にある者(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区長又は総合区長とする。以下この節において同じ。)の処分に対する不服の申立てがあった場合には、当該市町村長の意見を聴かなければならない。 (審判の告知等) 第二百三十条 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該市町村長に告知しなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを理由があると認めるときは、当該市町村長に対し、相当の処分を命じなければならない。 (即時抗告) 第二百三十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 氏の変更についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 氏又は名の変更についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 就籍許可の申立てを却下する審判 申立人 四 戸籍の訂正についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 五 戸籍の訂正についての許可の申立てを却下する審判 申立人 六 前条第二項の規定による市町村長に相当の処分を命ずる審判 当該市町村長 七 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判 申立人 第二十一節 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に規定する審判事件 第二百三十二条 性別の取扱いの変更の審判事件(別表第一の百二十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、性別の取扱いの変更の審判事件における申立人について準用する。 3 性別の取扱いの変更の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二十二節 厚生年金保険法に規定する審判事件 第二百三十三条 請求すべき 按 あん 分割合に関する処分の審判事件(別表第二の十六の項の事項についての審判事件をいう。)は、申立人又は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 申立人及び相手方は、請求すべき按分割合に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 請求すべき按分割合に関する処分の審判の手続については、第六十八条第二項の規定は、適用しない。 第二十三節 児童福祉法に規定する審判事件 (管轄) 第二百三十四条 都道府県の措置についての承認の審判事件(別表第一の百二十七の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件(同表の百二十八の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)、児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件(同表の百二十八の二の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)及び児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件(同表の百二十八の三の項の事項についての審判事件をいう。以下この節において同じ。)は、児童の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百三十五条 第百十八条の規定は、都道府県の措置についての承認の審判事件、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件及び児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件における児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者、児童の未成年後見人及び児童並びに児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件における児童及びその父母について準用する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百三十六条 家庭裁判所は、都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、前条に規定する者(児童にあっては、十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 前項の場合において、家庭裁判所は、申立人に対し、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人の陳述に関する意見を求めることができる。 3 第百六十四条の二第六項及び第八項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (審判の告知) 第二百三十七条 都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人に告知しなければならない。 2 第百六十四条の二第九項から第十一項までの規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (即時抗告) 第二百三十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 都道府県の措置についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 二 都道府県の措置についての承認の申立てを却下する審判 申立人 三 都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 四 都道府県の措置の期間の更新についての承認の申立てを却下する審判 申立人 五 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 六 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てを却下する審判 申立人 2 第百六十四条の二第十二項及び第十三項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判の特則) 第二百三十九条 家庭裁判所は、児童の出生の日から二箇月を経過する日まで及び児童が十八歳に達した日以後は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判をすることができない。 2 第百六十四条の二第五項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 第二十四節 生活保護法等に規定する審判事件 第二百四十条 施設への入所等についての許可の審判事件(別表第一の百二十九の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。)は、被保護者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判事件(別表第二の十七の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 第百十八条の規定は、施設への入所等についての許可の審判事件における被保護者、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人について準用する。 4 家庭裁判所は、施設への入所等についての許可の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、被保護者(十五歳以上のものに限る。)、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人の陳述を聴かなければならない。 5 施設への入所等についての許可の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人に告知しなければならない。 6 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 施設への入所等についての許可の審判 被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人 二 施設への入所等についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判及びその申立てを却下する審判 申立人及び相手方 第二十五節 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に規定する審判事件 第二百四十一条 保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件(別表第一の百三十の項の事項についての審判事件をいう。第四項において同じ。)は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の意見を聴かなければならない。 一 保護者の順位の変更の審判 先順位に変更される者 二 保護者の選任の審判 保護者となるべき者 3 保護者の順位の変更又は保護者の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 4 家庭裁判所は、いつでも、保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件において選任した保護者を改任することができる。 第二十六節 破産法に規定する審判事件 第二百四十二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の百三十一の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件 子の住所地 三 破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件(別表第一の百三十三の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 相続が開始した地 2 破産管財人は、破産手続における相続の放棄の承認についての申述を却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百五十二条第一項、第百五十四条第二項(第二号に係る部分に限る。)、第百五十五条、第百五十六条(第二号に係る部分に限る。)及び第百五十八条の規定は破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件について、第百六十八条(第三号に係る部分に限る。)、第百六十九条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第百七十条(第一号に係る部分に限る。)、第百七十二条第一項(第三号及び第四号に係る部分に限る。)及び第二項(第一号に係る部分に限る。)並びに第百七十四条の規定(管理権喪失に関する部分に限る。)は親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件について、第二百一条第五項から第八項までの規定は破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件について準用する。 第二十七節 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に規定する審判事件 第二百四十三条 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判事件(別表第一の百三十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成二十年法律第三十三号)第四条第一項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第一項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第二項の旧代表者の住所地 二 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第四条第三項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第三項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第四項の旧個人事業者の住所地 2 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判は、当該合意の当事者の全員に告知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判 当該合意の当事者(申立人を除く。) 二 遺留分の算定に係る合意についての許可の申立てを却下する審判 当該合意の当事者 第三編 家事調停に関する手続 第一章 総則 第一節 通則 (調停事項等) 第二百四十四条 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。 (管轄等) 第二百四十五条 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 3 第百九十一条第二項及び第百九十二条の規定は、遺産の分割の調停事件(別表第二の十二の項の事項についての調停事件をいう。)及び寄与分を定める処分の調停事件(同表の十四の項の事項についての調停事件をいう。)について準用する。 この場合において、第百九十一条第二項中「前項」とあるのは、「第二百四十五条第一項」と読み替えるものとする。 (地方裁判所又は簡易裁判所への移送) 第二百四十六条 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件以外の事件について調停の申立てを受けた場合には、職権で、これを管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送する。 2 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について調停の申立てを受けた場合において、事件を処理するために必要があると認めるときは、職権で、事件の全部又は一部を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送することができる。 3 家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、前二項の規定にかかわらず、その事件を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所以外の地方裁判所又は簡易裁判所(事物管轄権を有するものに限る。)に移送することができる。 4 第九条第三項から第五項までの規定は、前三項の規定による移送の裁判について準用する。 (調停機関) 第二百四十七条 家庭裁判所は、調停委員会で調停を行う。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、裁判官のみで行うことができる。 2 家庭裁判所は、当事者の申立てがあるときは、前項ただし書の規定にかかわらず、調停委員会で調停を行わなければならない。 (調停委員会) 第二百四十八条 調停委員会は、裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 2 調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。 3 調停委員会の決議は、過半数の意見による。 可否同数の場合には、裁判官の決するところによる。 4 調停委員会の評議は、秘密とする。 (家事調停委員) 第二百四十九条 家事調停委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 2 家事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (家事調停官の任命等) 第二百五十条 家事調停官は、弁護士で五年以上その職にあったもののうちから、最高裁判所が任命する。 2 家事調停官は、この法律の定めるところにより、家事調停事件の処理に必要な職務を行う。 3 家事調停官は、任期を二年とし、再任されることができる。 4 家事調停官は、非常勤とする。 5 家事調停官は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して解任されることがない。 一 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七条各号のいずれかに該当するに至ったとき。 二 心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。 三 職務上の義務違反その他家事調停官たるに適しない非行があると認められたとき。 6 この法律に定めるもののほか、家事調停官の任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 (家事調停官の権限等) 第二百五十一条 家事調停官は、家庭裁判所の指定を受けて、家事調停事件を取り扱う。 2 家事調停官は、その取り扱う家事調停事件の処理について、この法律において家庭裁判所、裁判官又は裁判長が行うものとして定める家事調停事件の処理に関する権限を行うことができる。 3 家事調停官は、独立してその職権を行う。 4 家事調停官は、その権限を行うについて、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び医師である裁判所技官に対し、その職務に関し必要な命令をすることができる。 この場合において、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第六十条第五項の規定は、家事調停官の命令を受けた裁判所書記官について準用する。 5 家事調停官には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (手続行為能力) 第二百五十二条 次の各号に掲げる調停事件(第一号及び第二号にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)において、当該各号に定める者は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の調停事件(別表第二の一の項の事項についての調停事件をいう。) 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の調停事件(別表第二の三の項の事項についての調停事件をいう。) 子 三 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の調停事件(別表第二の七の項の事項についての調停事件をいう。) 養子、その父母及び養親 四 親権者の指定又は変更の調停事件(別表第二の八の項の事項についての調停事件をいう。) 子及びその父母 五 人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(第二百七十七条第一項において単に「人事に関する訴え」という。)を提起することができる事項についての調停事件 同法第十三条第一項の規定が適用されることにより訴訟行為をすることができることとなる者 2 親権を行う者又は後見人は、第十八条の規定にかかわらず、前項第一号、第三号及び第四号に掲げる調停事件(同項第一号の調停事件にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)においては、当該各号に定める者に代理して第二百六十八条第一項の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾及び第二百八十六条第八項の共同の申出をすることができない。 離婚についての調停事件における夫及び妻の後見人並びに離縁についての調停事件における養親の後見人、養子(十五歳以上のものに限る。以下この項において同じ。)に対し親権を行う者及び養子の後見人についても、同様とする。 (調書の作成) 第二百五十三条 裁判所書記官は、家事調停の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第二百五十四条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事調停事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事調停事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、家事調停事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者又は利害関係を疎明した第三者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合(第六項に規定する場合を除く。)において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 4 次に掲げる書面については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ずに、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 一 審判書その他の裁判書の正本、謄本又は抄本 二 調停において成立した合意を記載し、又は調停をしないものとして、若しくは調停が成立しないものとして事件が終了した旨を記載した調書の正本、謄本又は抄本 三 家事調停事件に関する事項の証明書 5 家事調停事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事調停事件の記録の保存又は裁判所若しくは調停委員会の執務に支障があるときは、することができない。 6 第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件において、当事者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合については、第四十七条第三項、第四項及び第八項から第十項までの規定を準用する。 第二節 家事調停の申立て等 (家事調停の申立て) 第二百五十五条 家事調停の申立ては、申立書(次項及び次条において「家事調停の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事調停の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 家事調停の申立てを不適法として却下する審判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条(第一項ただし書を除く。)の規定は、家事調停の申立てについて準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百五十五条第二項」と読み替えるものとする。 (家事調停の申立書の写しの送付等) 第二百五十六条 家事調停の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は家事調停の手続の期日を経ないで第二百七十一条の規定により家事調停事件を終了させるときを除き、家事調停の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事調停の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事調停の申立てがあったことを通知することをもって、家事調停の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について、第六十七条第三項及び第四項の規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納について準用する。 (調停前置主義) 第二百五十七条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。 2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。 ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。 3 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 第三節 家事調停の手続 (家事審判の手続の規定の準用等) 第二百五十八条 第四十一条から第四十三条までの規定は家事調停の手続における参加及び排除について、第四十四条の規定は家事調停の手続における受継について、第五十一条から第五十五条までの規定は家事調停の手続の期日について、第五十六条から第六十二条まで及び第六十四条の規定は家事調停の手続における事実の調査及び証拠調べについて、第六十五条の規定は家事調停の手続における子の意思の把握等について、第七十三条、第七十四条、第七十六条(第一項ただし書を除く。)、第七十七条及び第七十九条の規定は家事調停に関する審判について、第八十一条の規定は家事調停に関する審判以外の裁判について準用する。 2 前項において準用する第六十一条第一項の規定により家事調停の手続における事実の調査の嘱託を受けた裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることができる。 ただし、嘱託を受けた家庭裁判所が家庭裁判所調査官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 (調停委員会が行う家事調停の手続の指揮) 第二百五十九条 調停委員会が行う家事調停の手続は、調停委員会を組織する裁判官が指揮する。 (調停委員会等の権限) 第二百六十条 調停委員会が家事調停を行う場合には、次に掲げる事項に関する裁判所の権限は、調停委員会が行う。 一 第二十二条の規定による手続代理人の許可等 二 第二十七条において準用する民事訴訟法第六十条第一項及び第二項の規定による補佐人の許可等 三 第三十三条ただし書の規定による傍聴の許可 四 第三十五条の規定による手続の併合等 五 第二百五十五条第四項において準用する第五十条第三項及び第四項の規定による申立ての変更 六 第二百五十八条第一項において準用する第四十一条第一項及び第二項並びに第四十二条第一項から第三項まで及び第五項の規定による参加、第四十三条第一項の規定による排除、第四十四条第一項及び第三項の規定による受継、第五十一条第一項の規定による事件の関係人の呼出し、第五十四条第一項の規定による音声の送受信による通話の方法による手続並びに第五十六条第一項、第五十九条第一項及び第二項(これらの規定を第六十条第二項において準用する場合を含む。)、第六十一条第一項、第六十二条並びに第六十四条第五項の規定並びに同条第一項において準用する民事訴訟法の規定による事実の調査及び証拠調べ(過料及び勾引に関する事項を除く。) 2 調停委員会が家事調停を行う場合には、第二十三条第一項及び第二項の規定による手続代理人の選任等、第三十四条第一項の規定による期日の指定並びに第二百五十三条ただし書の規定による調書の作成に関する裁判長の権限は、当該調停委員会を組織する裁判官が行う。 (調停委員会を組織する裁判官による事実の調査及び証拠調べ等) 第二百六十一条 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 2 前項の場合には、裁判官は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせ、又は医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 3 第五十八条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による事実の調査及び心身の状況についての診断について準用する。 4 第一項の場合には、裁判官は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 5 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、家庭裁判所調査官に第五十九条第三項の規定による措置をとらせることができる。 (家事調停委員による事実の調査) 第二百六十二条 調停委員会は、相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 (意見の聴取の嘱託) 第二百六十三条 調停委員会は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事件の関係人から紛争の解決に関する意見を聴取することを嘱託することができる。 2 前項の規定により意見の聴取の嘱託を受けた家庭裁判所は、相当と認めるときは、家事調停委員に当該嘱託に係る意見を聴取させることができる。 (家事調停委員の専門的意見の聴取) 第二百六十四条 調停委員会は、必要があると認めるときは、当該調停委員会を組織していない家事調停委員の専門的な知識経験に基づく意見を聴取することができる。 2 前項の規定により意見を聴取する家事調停委員は、家庭裁判所が指定する。 3 前項の規定による指定を受けた家事調停委員は、調停委員会に出席して意見を述べるものとする。 (調停の場所) 第二百六十五条 調停委員会は、事件の実情を考慮して、裁判所外の適当な場所で調停を行うことができる。 (調停前の処分) 第二百六十六条 調停委員会は、家事調停事件が係属している間、調停のために必要であると認める処分を命ずることができる。 2 急迫の事情があるときは、調停委員会を組織する裁判官が前項の処分(以下「調停前の処分」という。)を命ずることができる。 3 調停前の処分は、執行力を有しない。 4 調停前の処分として必要な事項を命じられた当事者又は利害関係参加人が正当な理由なくこれに従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (裁判官のみで行う家事調停の手続) 第二百六十七条 裁判官のみで家事調停の手続を行う場合においては、家庭裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 2 第二百六十三条から前条までの規定は、裁判官のみで家事調停の手続を行う場合について準用する。 第四節 調停の成立 (調停の成立及び効力) 第二百六十八条 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては、確定した第三十九条の規定による審判)と同一の効力を有する。 2 家事調停事件の一部について当事者間に合意が成立したときは、その一部について調停を成立させることができる。 手続の併合を命じた数個の家事調停事件中その一について合意が成立したときも、同様とする。 3 離婚又は離縁についての調停事件においては、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項に規定する方法によっては、調停を成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 4 第一項及び第二項の規定は、第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件については、適用しない。 (調停調書の更正決定) 第二百六十九条 調停調書に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (調停条項案の書面による受諾) 第二百七十条 当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ調停委員会(裁判官のみで家事調停の手続を行う場合にあっては、その裁判官。次条及び第二百七十二条第一項において同じ。)から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が家事調停の手続の期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。 2 前項の規定は、離婚又は離縁についての調停事件については、適用しない。 第五節 調停の成立によらない事件の終了 (調停をしない場合の事件の終了) 第二百七十一条 調停委員会は、事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは、調停をしないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 (調停の不成立の場合の事件の終了) 第二百七十二条 調停委員会は、当事者間に合意(第二百七十七条第一項第一号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 ただし、家庭裁判所が第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。 2 前項の規定により家事調停事件が終了したときは、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 3 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 4 第一項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 (家事調停の申立ての取下げ) 第二百七十三条 家事調停の申立ては、家事調停事件が終了するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の調停の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 第八十二条第三項及び第四項並びに民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、家事調停の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、第八十二条第三項中「前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項」とあるのは「第二百七十三条第二項」と、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「家事調停の手続の期日」と読み替えるものとする。 第六節 付調停等 (付調停) 第二百七十四条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟又は家事審判事件が係属している場合には、裁判所は、当事者(本案について被告又は相手方の陳述がされる前にあっては、原告又は申立人に限る。)の意見を聴いて、いつでも、職権で、事件を家事調停に付することができる。 2 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 3 家庭裁判所及び高等裁判所は、第一項の規定により事件を調停に付する場合には、前項の規定にかかわらず、その家事調停事件を自ら処理することができる。 4 前項の規定により家庭裁判所又は高等裁判所が調停委員会で調停を行うときは、調停委員会は、当該裁判所がその裁判官の中から指定する裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 5 第三項の規定により高等裁判所が自ら調停を行う場合についてのこの編の規定の適用については、第二百四十四条、第二百四十七条、第二百四十八条第二項、第二百五十四条第一項から第四項まで、第二百六十四条第二項、第二百六十六条第四項、第二百六十八条第三項ただし書、第二百六十九条第一項並びに第二百七十二条第一項ただし書及び第二項並びに次章及び第三章の規定中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第二百四十四条、第二百五十八条第一項、第二百七十六条、第二百七十七条第一項第一号、第二百七十九条第三項及び第二百八十四条第一項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第二百六十七条第一項中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、次章の規定中「合意に相当する審判」とあるのは「合意に相当する審判に代わる裁判」と、第二百七十二条第一項ただし書及び第三章の規定(第二百八十六条第七項の規定を除く。)中「調停に代わる審判」とあるのは「調停に代わる審判に代わる裁判」と、第二百八十一条及び第二百八十七条中「却下する審判」とあるのは「却下する審判に代わる裁判」とする。 (訴訟手続及び家事審判の手続の中止) 第二百七十五条 家事調停の申立てがあった事件について訴訟が係属しているとき、又は訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項若しくは前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、訴訟が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで訴訟手続を中止することができる。 2 家事調停の申立てがあった事件について家事審判事件が係属しているとき、又は家事審判事件が係属している裁判所が前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、家事審判事件が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで、家事審判の手続を中止することができる。 (訴えの取下げの擬制等) 第二百七十六条 訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は次条第一項若しくは第二百八十四条第一項の規定による審判が確定したときは、当該訴訟について訴えの取下げがあったものとみなす。 2 家事審判事件が係属している裁判所が第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は第二百八十四条第一項の審判が確定したときは、当該家事審判事件は、終了する。 第二章 合意に相当する審判 (合意に相当する審判の対象及び要件) 第二百七十七条 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第一号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。 ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。 一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。 二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。 2 前項第一号の合意は、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項及び第二百七十条第一項に規定する方法によっては、成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 3 第一項の家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、合意に相当する審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 4 第二百七十二条第一項から第三項までの規定は、家庭裁判所が第一項第一号の規定による合意を正当と認めない場合について準用する。 (申立ての取下げの制限) 第二百七十八条 家事調停の申立ての取下げは、合意に相当する審判がされた後は、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (異議の申立て) 第二百七十九条 当事者及び利害関係人は、合意に相当する審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 ただし、当事者にあっては、第二百七十七条第一項各号に掲げる要件に該当しないことを理由とする場合に限る。 2 前項の規定による異議の申立ては、二週間の不変期間内にしなければならない。 3 前項の期間は、異議の申立てをすることができる者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては当事者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 4 第一項の規定による異議の申立てをする権利は、放棄することができる。 (異議の申立てに対する審判等) 第二百八十条 家庭裁判所は、当事者がした前条第一項の規定による異議の申立てが不適法であるとき、又は異議の申立てに理由がないと認めるときは、これを却下しなければならない。 利害関係人がした同項の規定による異議の申立てが不適法であるときも、同様とする。 2 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 家庭裁判所は、当事者から適法な異議の申立てがあった場合において、異議の申立てを理由があると認めるときは、合意に相当する審判を取り消さなければならない。 4 利害関係人から適法な異議の申立てがあったときは、合意に相当する審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 5 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (合意に相当する審判の効力) 第二百八十一条 第二百七十九条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、合意に相当する審判は、確定判決と同一の効力を有する。 (婚姻の取消しについての合意に相当する審判の特則) 第二百八十二条 婚姻の取消しについての家事調停の手続において、婚姻の取消しについての合意に相当する審判をするときは、この合意に相当する審判において、当事者間の合意に基づき、子の親権者を指定しなければならない。 2 前項の合意に相当する審判は、子の親権者の指定につき当事者間で合意が成立しないとき、又は成立した合意が相当でないと認めるときは、することができない。 (申立人の死亡により事件が終了した場合の特則) 第二百八十三条 父が嫡出否認についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他父の三親等内の血族が父の死亡の日から一年以内に嫡出否認の訴えを提起したときは、父がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (嫡出否認の審判の通知) 第二百八十三条の二 家庭裁判所は、民法第七百七十二条第三項の規定により父が定められる子の嫡出否認についての合意に相当する審判が確定したときは、同法第七百七十四条第四項に規定する前夫(事件の記録上その氏名及び住所又は居所が判明しているものに限る。)に対し、当該合意に相当する審判の内容を通知するものとする。 (認知の無効についての調停の申立ての特則) 第二百八十三条の三 認知をした者が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他認知をした者の三親等内の血族が認知をした者の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、認知をした者がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 2 子が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、子の直系卑属又はその法定代理人が子の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、子がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 第三章 調停に代わる審判 (調停に代わる審判の対象及び要件) 第二百八十四条 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。 ただし、第二百七十七条第一項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。 2 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (調停に代わる審判の特則) 第二百八十五条 家事調停の申立ての取下げは、第二百七十三条第一項の規定にかかわらず、調停に代わる審判がされた後は、することができない。 2 調停に代わる審判の告知は、公示送達の方法によっては、することができない。 3 調停に代わる審判を告知することができないときは、家庭裁判所は、これを取り消さなければならない。 (異議の申立て等) 第二百八十六条 当事者は、調停に代わる審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 2 第二百七十九条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による異議の申立てについて準用する。 3 家庭裁判所は、第一項の規定による異議の申立てが不適法であるときは、これを却下しなければならない。 4 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 5 適法な異議の申立てがあったときは、調停に代わる審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 6 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 7 第五項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判が効力を失った場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 8 当事者が、申立てに係る家事調停(離婚又は離縁についての家事調停を除く。)の手続において、調停に代わる審判に服する旨の共同の申出をしたときは、第一項の規定は、適用しない。 9 前項の共同の申出は、書面でしなければならない。 10 当事者は、調停に代わる審判の告知前に限り、第八項の共同の申出を撤回することができる。 この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。 (調停に代わる審判の効力) 第二百八十七条 前条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判は確定した第三十九条の規定による審判と同一の効力を、その余の調停に代わる審判は確定判決と同一の効力を有する。 第四章 不服申立て等 第二百八十八条 家事調停の手続においてされた裁判に対する不服申立て及び再審については、特別の定めのある場合を除き、それぞれ前編第一章第二節及び第三節の規定を準用する。 第四編 履行の確保 (義務の履行状況の調査及び履行の勧告) 第二百八十九条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所(第九十一条第一項(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により抗告裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては第一審裁判所である家庭裁判所、第百五条第二項の規定により高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては本案の家事審判事件の第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、その審判(抗告裁判所又は高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては、その裁判。次条第一項において同じ。)で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。 3 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項から第六項までにおいてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 6 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧等又はその複製の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 7 前各項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務(高等裁判所において定められたものを含む。次条第三項において同じ。)の履行及び調停前の処分として命じられた事項の履行について準用する。 (義務履行の命令) 第二百九十条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、その審判で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠った者がある場合において、相当と認めるときは、権利者の申立てにより、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をすべきことを命ずる審判をすることができる。 この場合において、その命令は、その命令をする時までに義務者が履行を怠った義務の全部又は一部についてするものとする。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定により義務の履行を命ずるには、義務者の陳述を聴かなければならない。 3 前二項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務の履行について準用する。 4 前三項に規定するもののほか、第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定による義務の履行を命ずる審判の手続については、第二編第一章に定めるところによる。 5 第一項(第三項において準用する場合を含む。)の規定により義務の履行を命じられた者が正当な理由なくその命令に従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 第五編 罰則 (過料の裁判の執行等) 第二百九十一条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。 (人の秘密を漏らす罪) 第二百九十二条 参与員、家事調停委員又はこれらの職にあった者が正当な理由なくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。 (評議の秘密を漏らす罪) 第二百九十三条 家事調停委員又は家事調停委員であった者が正当な理由なく評議の経過又は裁判官、家事調停官若しくは家事調停委員の意見若しくはその多少の数を漏らしたときは、三十万円以下の罰金に処する。 参与員又は参与員であった者が正当な理由なく裁判官又は参与員の意見を漏らしたときも、同様とする。
民事
Heisei
Act
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平成二十三年法律第五十二号
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家事事件手続法 第一編 総則 第一章 通則 (趣旨) 第一条 家事審判及び家事調停に関する事件(以下「家事事件」という。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第二条 裁判所は、家事事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に家事事件の手続を追行しなければならない。 (最高裁判所規則) 第三条 この法律に定めるもののほか、家事事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第一章の二 日本の裁判所の管轄権 (不在者の財産の管理に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の二 裁判所は、不在者の財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の五十五の項の事項についての審判事件をいう。第百四十五条において同じ。)について、不在者の財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (失踪の宣告の取消しの審判事件の管轄権) 第三条の三 裁判所は、失踪の宣告の取消しの審判事件(別表第一の五十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十九条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 日本において失踪の宣告の審判があったとき。 二 失踪者の住所が日本国内にあるとき又は失踪者が日本の国籍を有するとき。 三 失踪者が生存していたと認められる最後の時点において、失踪者が日本国内に住所を有していたとき又は日本の国籍を有していたとき。 (嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件の管轄権) 第三条の四 裁判所は、嫡出否認の訴えについて日本の裁判所が管轄権を有するときは、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件(別表第一の五十九の項の事項についての審判事件をいう。第百五十九条第一項及び第二項において同じ。)について、管轄権を有する。 (養子縁組をするについての許可の審判事件等の管轄権) 第三条の五 裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判事件(別表第一の六十一の項の事項についての審判事件をいう。第百六十一条第一項及び第二項において同じ。)及び特別養子縁組の成立の審判事件(同表の六十三の項の事項についての審判事件をいう。第百六十四条において同じ。)(特別養子適格の確認の審判事件(同条第二項に規定する特別養子適格の確認についての審判事件をいう。第百六十四条の二第二項及び第四項において同じ。)を含む。)について、養親となるべき者又は養子となるべき者の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (死後離縁をするについての許可の審判事件の管轄権) 第三条の六 裁判所は、死後離縁をするについての許可の審判事件(別表第一の六十二の項の事項についての審判事件をいう。第百六十二条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親又は養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養親又は養子がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。 三 養親又は養子の一方が日本の国籍を有する場合であって、他の一方がその死亡の時に日本の国籍を有していたとき。 (特別養子縁組の離縁の審判事件の管轄権) 第三条の七 裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判事件(別表第一の六十四の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養子の実父母又は検察官からの申立てであって、養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 養親及び養子が日本の国籍を有するとき。 四 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親及び養子が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 五 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親が行方不明であるとき、養親の住所がある国においてされた離縁に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが養親と養子との間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (親権に関する審判事件等の管轄権) 第三条の八 裁判所は、親権に関する審判事件(別表第一の六十五の項から六十九の項まで並びに別表第二の七の項及び八の項の事項についての審判事件をいう。第百六十七条において同じ。)、子の監護に関する処分の審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第四号及び第百五十一条第二号において同じ。)(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)及び親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件(別表第一の百三十二の項の事項についての審判事件をいう。第二百四十二条第一項第二号及び第三項において同じ。)について、子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件等の管轄権) 第三条の九 裁判所は、養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件(別表第一の七十の項の事項についての審判事件をいう。第百七十六条及び第百七十七条第一号において同じ。)又は未成年後見人の選任の審判事件(同表の七十一の項の事項についての審判事件をいう。同条第二号において同じ。)について、未成年被後見人となるべき者若しくは未成年被後見人(以下この条において「未成年被後見人となるべき者等」という。)の住所若しくは居所が日本国内にあるとき又は未成年被後見人となるべき者等が日本の国籍を有するときは、管轄権を有する。 (夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件の管轄権) 第三条の十 裁判所は、夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件(別表第一の八十四の項及び八十五の項並びに別表第二の一の項から三の項まで、九の項及び十の項の事項についての審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件にあっては、子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。)をいう。)について、扶養義務者(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件にあっては、扶養義務者となるべき者)であって申立人でないもの又は扶養権利者(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件にあっては、子の監護者又は子)の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (相続に関する審判事件の管轄権) 第三条の十一 裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで及び百三十三の項並びに別表第二の十一の項から十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。 2 相続開始の前に推定相続人の廃除の審判事件(別表第一の八十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)、推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件(同表の八十七の項の事項についての審判事件をいう。第百八十八条第一項及び第百八十九条第一項において同じ。)、遺言の確認の審判事件(同表の百二の項の事項についての審判事件をいう。第二百九条第二項において同じ。)又は遺留分の放棄についての許可の審判事件(同表の百十の項の事項についての審判事件をいう。第二百十六条第一項第二号において同じ。)の申立てがあった場合における前項の規定の適用については、同項中「相続開始の時における被相続人」とあるのは「被相続人」と、「相続開始の前」とあるのは「申立て前」とする。 3 裁判所は、第一項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第百八十九条第一項及び第二項において同じ。)、相続財産の保存に関する処分の審判事件(同表の八十九の項の事項についての審判事件をいう。第百九十条の二において同じ。)、限定承認を受理した場合における相続財産の清算人の選任の審判事件(同表の九十四の項の事項についての審判事件をいう。)、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十七の項の事項についての審判事件をいう。第二百二条第一項第二号及び第三項において同じ。)及び相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 4 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に遺産の分割に関する審判事件(別表第二の十二の項から十四の項までの事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第百九十一条第一項において同じ。)及び特別の寄与に関する処分の審判事件(同表の十五の項の事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第二百十六条の二において同じ。)の申立てをすることができるかについて定めることができる。 5 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三条の七第二項から第四項までの規定は、前項の合意について準用する。 (財産の分与に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の十二 裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件(別表第二の四の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第五号において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 夫であった者及び妻であった者の双方が日本の国籍を有するとき。 三 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、夫であった者及び妻であった者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 四 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた財産の分与に関する処分に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (家事調停事件の管轄権) 第三条の十三 裁判所は、家事調停事件について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 当該調停を求める事項についての訴訟事件又は家事審判事件について日本の裁判所が管轄権を有するとき。 二 相手方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 当事者が日本の裁判所に家事調停の申立てをすることができる旨の合意をしたとき。 2 民事訴訟法第三条の七第二項及び第三項の規定は、前項第三号の合意について準用する。 3 人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての調停事件については、第一項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。 (特別の事情による申立ての却下) 第三条の十四 裁判所は、第三条の二から前条までに規定する事件について日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(遺産の分割に関する審判事件又は特別の寄与に関する処分の審判事件について、日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の合意に基づき申立てがされた場合を除く。)においても、事案の性質、申立人以外の事件の関係人の負担の程度、証拠の所在地、未成年者である子の利益その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが適正かつ迅速な審理の実現を妨げ、又は相手方がある事件について申立人と相手方との間の衡平を害することとなる特別の事情があると認めるときは、その申立ての全部又は一部を却下することができる。 (管轄権の標準時) 第三条の十五 日本の裁判所の管轄権は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 第二章 管轄 (管轄が住所地により定まる場合の管轄権を有する家庭裁判所) 第四条 家事事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (優先管轄) 第五条 この法律の他の規定により二以上の家庭裁判所が管轄権を有するときは、家事事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した家庭裁判所が管轄する。 (管轄裁判所の指定) 第六条 管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 3 前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (管轄権を有する家庭裁判所の特例) 第七条 この法律の他の規定により家事事件の管轄が定まらないときは、その家事事件は、審判又は調停を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管轄の標準時) 第八条 裁判所の管轄は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 (移送等) 第九条 裁判所は、家事事件の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。 ただし、家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。 2 家庭裁判所は、家事事件がその管轄に属する場合においても、次の各号に掲げる事由があるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を当該各号に定める家庭裁判所に移送することができる。 一 家事事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるとき 第五条の規定により管轄権を有しないこととされた家庭裁判所 二 事件を処理するために特に必要があると認めるとき 前号の家庭裁判所以外の家庭裁判所 3 前二項の規定による移送の裁判及び第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 民事訴訟法第二十二条の規定は、家事事件の移送の裁判について準用する。 第三章 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第十条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者(審判(申立てを却下する審判を除く。)がされた場合において、その審判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。 二 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第十一条 裁判官について裁判又は調停の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第十二条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、受託裁判官として職務を行う簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。 2 家庭裁判所及び地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで家事事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 家事事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官、調停委員会を組織する裁判官又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第十三条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (参与員の除斥及び忌避) 第十四条 参与員の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 参与員について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その参与員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 参与員の除斥又は忌避についての裁判は、参与員の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官(受命裁判官の手続に立ち会う参与員が忌避の申立てを受けたときに限る。)又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官がすることができる。 (家事調停官の除斥及び忌避) 第十五条 家事調停官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項から第四項まで、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、前項において準用する同条第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 3 家事調停官の除斥又は忌避についての裁判は、家事調停官の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項の裁判は、忌避された家事調停官がすることができる。 (家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥) 第十六条 家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥については、第十条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。 2 家庭裁判所調査官又は家事調停委員について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官又は家事調停委員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 3 家庭裁判所調査官又は家事調停委員の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官又は家事調停委員の所属する裁判所がする。 第四章 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第十七条 当事者能力、家事事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十一条、第三十三条並びに第三十四条第一項及び第二項の規定を準用する。 2 被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした家事審判又は家事調停の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。 職権により手続が開始された場合についても、同様とする。 3 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について同意その他の授権を得ている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告若しくは第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立ての取下げ又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議の取下げ (未成年者及び成年被後見人の法定代理人) 第十八条 親権を行う者又は後見人は、第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により未成年者又は成年被後見人が法定代理人によらずに自ら手続行為をすることができる場合であっても、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。 ただし、家事審判及び家事調停の申立ては、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定により親権を行う者又は後見人が申立てをすることができる場合(人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の申立てにあっては、同法その他の法令の規定によりその訴えを提起することができる場合を含む。)に限る。 (特別代理人) 第十九条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、家事事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法定代理権の消滅の通知) 第二十条 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、法定代理権の消滅は、本人又は代理人から他方の当事者に通知しなければ、その効力を生じない。 家事調停事件においても、同様とする。 (法人の代表者等への準用) 第二十一条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第五章 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第二十二条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (裁判長による手続代理人の選任等) 第二十三条 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。 2 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。 3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し手続行為につき行為能力の制限を受けた者が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。 (手続代理人の代理権の範囲) 第二十四条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について委任を受けている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告、第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立て又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議 四 前号の抗告(即時抗告を含む。)、申立て又は異議の取下げ 五 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (手続代理人の代理権の消滅の通知) 第二十五条 手続代理人の代理権の消滅は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についてのものに限る。)及び家事調停事件においては本人又は代理人から他方の当事者に、その他の家事事件においては本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。 (手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用) 第二十六条 民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第二十七条 家事事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六章 手続費用 第一節 手続費用の負担 (手続費用の負担) 第二十八条 手続費用(家事審判に関する手続の費用(以下「審判費用」という。)及び家事調停に関する手続の費用(以下「調停費用」という。)をいう。以下同じ。)は、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び利害関係参加人(第四十二条第七項に規定する利害関係参加人をいう。第一号において同じ。)がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。 一 当事者又は利害関係参加人 二 前号に掲げる者以外の審判を受ける者となるべき者 三 前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの 3 前二項の規定によれば検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。 (手続費用の負担の裁判等) 第二十九条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における審判費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。 ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。 2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。 事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。 3 調停が成立した場合において、調停費用(審判手続を経ている場合にあっては、審判費用を含む。)の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 4 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟が係属する裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、その訴訟についての訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 (手続費用の立替え) 第三十条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の家事事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第三十一条 民事訴訟法第六十九条から第七十四条までの規定(裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての決定に対する即時抗告に関する部分を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十二条中「当事者が裁判所において和解をした場合」とあるのは「調停が成立した場合」と、「和解の費用又は訴訟費用」とあるのは「家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第二十九条第三項の調停費用又は同条第四項の訴訟費用」と、同法第七十三条第一項中「裁判及び和解」とあるのは「裁判及び調停の成立」と、「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「家事事件手続法第四十一条第一項若しくは第四十二条第一項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「家事事件手続法第三十一条第一項において準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第四項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二節 手続上の救助 第三十二条 家事事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で家事審判又は家事調停の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「家事事件手続法第三十二条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七章 家事事件の審理等 (手続の非公開) 第三十三条 家事事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (期日及び期間) 第三十四条 家事事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。 2 家事事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 家事事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、家事事件の手続の期日及び期間について準用する。 (手続の併合等) 第三十五条 裁判所は、家事事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする家事事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (送達及び手続の中止) 第三十六条 送達及び家事事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは、「裁判又は調停を求める事項」と読み替えるものとする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第三十七条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第八章 電子情報処理組織による申立て等 第三十八条 家事事件の手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十第一項から第五項までの規定(支払督促に関する部分を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定によりされた申立て等に係るこの法律の他の規定による家事事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、同条第五項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第九章 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第三十八条の二 家事事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同法第百三十三条第一項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人(家事事件手続法第四十二条第七項(同法第二百五十八条第一項において準用する場合を含む。)に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の審判を受ける者となるべき者(同法第十条第一項第一号に規定する審判を受ける者となるべき者をいう。)」と、同法第百三十三条の四第一項中「秘匿決定、第百三十三条の二第二項の決定又は前条の決定(次項及び第七項において「秘匿決定等」という。)に係る者以外の者は、訴訟記録等」とあるのは「秘匿決定(家事事件手続法第二百七十七条第一項に規定する事項以外の事項についての家事調停の手続に係るもの並びに同法第二百八十九条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による調査及び勧告の事件の手続に係るものを除く。次項、第四項第一号及び第七項において同じ。)に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、当該秘匿決定に係る事件の記録」と、同条第二項中「秘匿決定等に係る者以外の当事者は、秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、秘匿決定」と、「訴訟記録等」とあるのは「前項の事件の記録」と、同条第四項第一号中「秘匿決定又は第百三十三条の二第二項の決定」とあるのは「秘匿決定」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人」と、「秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定」と読み替えるものとする。 第二編 家事審判に関する手続 第一章 総則 第一節 家事審判の手続 第一款 通則 (審判事項) 第三十九条 家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第一及び別表第二に掲げる事項並びに同編に定める事項について、審判をする。 (参与員) 第四十条 家庭裁判所は、参与員の意見を聴いて、審判をする。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、その意見を聴かないで、審判をすることができる。 2 家庭裁判所は、参与員を家事審判の手続の期日に立ち会わせることができる。 3 参与員は、家庭裁判所の許可を得て、第一項の意見を述べるために、申立人が提出した資料の内容について、申立人から説明を聴くことができる。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、この限りでない。 4 参与員の員数は、各事件について一人以上とする。 5 参与員は、毎年あらかじめ家庭裁判所の選任した者の中から、事件ごとに家庭裁判所が指定する。 6 前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の規定による選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 7 参与員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (当事者参加) 第四十一条 当事者となる資格を有する者は、当事者として家事審判の手続に参加することができる。 2 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者(審判を受ける者となるべき者に限る。)を、当事者として家事審判の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (利害関係参加) 第四十二条 審判を受ける者となるべき者は、家事審判の手続に参加することができる。 2 審判を受ける者となるべき者以外の者であって、審判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、家庭裁判所の許可を得て、家事審判の手続に参加することができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、職権で、審判を受ける者となるべき者及び前項に規定する者を、家事審判の手続に参加させることができる。 4 前条第三項の規定は、第一項の規定による参加の申出及び第二項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。 5 家庭裁判所は、第一項又は第二項の規定により家事審判の手続に参加しようとする者が未成年者である場合において、その者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者が当該家事審判の手続に参加することがその者の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出又は第二項の規定による参加の許可の申立てを却下しなければならない。 6 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判(前項の規定により第一項の規定による参加の申出を却下する裁判を含む。)に対しては、即時抗告をすることができる。 7 第一項から第三項までの規定により家事審判の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(家事審判の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。 (手続からの排除) 第四十三条 家庭裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を家事審判の手続から排除することができる。 2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第四十四条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって家事審判の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、家庭裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に家事審判の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者による受継) 第四十五条 家事審判の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該家事審判の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 家庭裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、職権で、当該家事審判の申立てをすることができる者に、その手続を受け継がせることができる。 3 第一項の規定による受継の申立て及び前項の規定による受継の裁判は、第一項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。 (調書の作成等) 第四十六条 裁判所書記官は、家事審判の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第四十七条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事審判事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事審判事件に関する事項の証明書の交付(第二百八十九条第六項において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。 2 前項の規定は、家事審判事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、これを許可しなければならない。 4 家庭裁判所は、事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、前項の規定にかかわらず、同項の申立てを許可しないことができる。 事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てを許可することを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。 5 家庭裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 6 審判書その他の裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は家事審判事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 審判を受ける者が当該審判があった後に請求する場合も、同様とする。 7 家事審判事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事審判事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 8 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 9 前項の規定による即時抗告が家事審判の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 10 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (検察官に対する通知) 第四十八条 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより審判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄権を有する家庭裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。 第二款 家事審判の申立て (申立ての方式等) 第四十九条 家事審判の申立ては、申立書(以下「家事審判の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事審判の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 申立人は、二以上の事項について審判を求める場合において、これらの事項についての家事審判の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。 4 家事審判の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い家事審判の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (申立ての変更) 第五十条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は理由を変更することができる。 ただし、第七十一条(第百八十八条第四項において準用する場合を含む。)の規定により審理を終結した後は、この限りでない。 2 申立ての趣旨又は理由の変更は、家事審判の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 家庭裁判所は、申立ての趣旨又は理由の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨又は理由の変更により家事審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 第三款 家事審判の手続の期日 (事件の関係人の呼出し) 第五十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができる。 2 呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。 ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。 3 前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、五万円以下の過料に処する。 (裁判長の手続指揮権) 第五十二条 家事審判の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が家事審判の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第五十三条 家庭裁判所は、受命裁判官に家事審判の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第六十一条第三項の規定又は第六十四条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第五十四条 家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 家事審判の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第五十五条 家事審判の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、家事審判事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。 第四款 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第五十六条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び審判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第五十七条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (家庭裁判所調査官による事実の調査) 第五十八条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。 4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。 (家庭裁判所調査官の期日への立会い等) 第五十九条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、家事審判の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。 2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。 3 家庭裁判所は、家事審判事件の処理に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 4 急迫の事情があるときは、裁判長が、前項の措置をとらせることができる。 (裁判所技官による診断等) 第六十条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 2 第五十八条第二項から第四項までの規定は前項の診断について、前条第一項及び第二項の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について準用する。 (事実の調査の嘱託等) 第六十一条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (調査の嘱託等) 第六十二条 家庭裁判所は、必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (事実の調査の通知) 第六十三条 家庭裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による家事審判の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (証拠調べ) 第六十四条 家事審判の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百七条第二項、第二百八条、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第二百二十九条第四項の規定を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 3 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 一 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。 二 書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 4 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 一 正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。 二 対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 三 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。 5 家庭裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、家事審判の手続の期日に出頭することを命ずることができる。 6 民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。 第五款 家事審判の手続における子の意思の把握等 第六十五条 家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 第六款 家事調停をすることができる事項についての家事審判の手続の特則 (合意管轄) 第六十六条 別表第二に掲げる事項についての審判事件は、この法律の他の規定により定める家庭裁判所のほか、当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 (家事審判の申立書の写しの送付等) 第六十七条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、家事審判の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事審判の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事審判の申立てがあったことを通知することをもって、家事審判の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は、前項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について準用する。 3 裁判長は、第一項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 4 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (陳述の聴取) 第六十八条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。 2 前項の規定による陳述の聴取は、当事者の申出があるときは、審問の期日においてしなければならない。 (審問の期日) 第六十九条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。 ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。 (事実の調査の通知) 第七十条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続において、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (審理の終結) 第七十一条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。 ただし、当事者双方が立ち会うことができる家事審判の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。 (審判日) 第七十二条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、審判をする日を定めなければならない。 第七款 審判等 (審判) 第七十三条 家庭裁判所は、家事審判事件が裁判をするのに熟したときは、審判をする。 2 家庭裁判所は、家事審判事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について審判をすることができる。 手続の併合を命じた数個の家事審判事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (審判の告知及び効力の発生等) 第七十四条 審判は、特別の定めがある場合を除き、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の審判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 審判(申立てを却下する審判を除く。)は、特別の定めがある場合を除き、審判を受ける者(審判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 ただし、即時抗告をすることができる審判は、確定しなければその効力を生じない。 3 申立てを却下する審判は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。 4 審判は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 5 審判の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (審判の執行力) 第七十五条 金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 (審判の方式及び審判書) 第七十六条 審判は、審判書を作成してしなければならない。 ただし、即時抗告をすることができない審判については、家事審判の申立書又は調書に主文を記載することをもって、審判書の作成に代えることができる。 2 審判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由の要旨 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第七十七条 審判に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 審判に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (審判の取消し又は変更) 第七十八条 家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、次に掲げる審判を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。 一 申立てによってのみ審判をすべき場合において申立てを却下した審判 二 即時抗告をすることができる審判 2 審判が確定した日から五年を経過したときは、家庭裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。 ただし、事情の変更によりその審判を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、第一項の規定により審判の取消し又は変更をする場合には、その審判における当事者及びその他の審判を受ける者の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の規定による取消し又は変更の審判に対しては、取消し後又は変更後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (審判に関する民事訴訟法の準用) 第七十九条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、審判について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「審判が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (外国裁判所の家事事件についての確定した裁判の効力) 第七十九条の二 外国裁判所の家事事件についての確定した裁判(これに準ずる公的機関の判断を含む。)については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第百十八条の規定を準用する。 (中間決定) 第八十条 家庭裁判所は、審判の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (審判以外の裁判) 第八十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続においては、審判をする場合を除き、決定で裁判をする。 この場合には、第七十三条から第七十九条まで(第七十四条第二項ただし書、第七十六条第一項及び第七十八条第三項を除く。)の規定を準用する。 2 家事審判の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 3 審判以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。 第八款 取下げによる事件の終了 (家事審判の申立ての取下げ) 第八十二条 家事審判の申立ては、特別の定めがある場合を除き、審判があるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立ては、審判が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、申立ての取下げは、審判がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。 ただし、申立ての取下げが家事審判の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。 4 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。 同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 5 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、家事審判の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「家事審判の手続の期日」と読み替えるものとする。 (家事審判の申立ての取下げの擬制) 第八十三条 家事審判の申立人(第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合にあっては、当事者双方)が、連続して二回、呼出しを受けた家事審判の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた家事審判の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、家庭裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。 第九款 高等裁判所が第一審として行う手続 第八十四条 高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合におけるこの節の規定の適用については、同節の規定(第五十八条、第五十九条第一項から第三項まで、第六十一条第一項及び第二項並びに第六十五条の規定を除く。)中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第三十九条、第四十七条第六項、第四十九条第三項、第五十六条第二項、第六十五条、第七十二条、第七十三条、第七十四条第一項から第三項まで(第二項ただし書を除く。)、第七十五条、第七十七条第一項、第七十八条(第一項第二号及び第四項を除く。)、第七十九条、第八十条第一項、第八十一条第一項並びに第八十二条第一項及び第二項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第四十二条第二項中「審判の結果」とあるのは「審判に代わる裁判の結果」と、第五十八条第一項、第五十九条第一項から第三項まで、第六十一条第一項及び第六十五条中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、第五十八条第三項中「家庭裁判所に」とあるのは「高等裁判所に」と、第七十六条中「審判書」とあるのは「裁判書」と、同条第一項中「審判は」とあるのは「審判に代わる裁判は」と、同項ただし書中「即時抗告をすることができない審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができない審判に代わる裁判」と、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」とする。 2 第四十条及び第四十八条の規定は、高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合については、適用しない。 第二節 不服申立て 第一款 審判に対する不服申立て 第一目 即時抗告 (即時抗告をすることができる審判) 第八十五条 審判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 2 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第八十六条 審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 即時抗告の期間は、特別の定めがある場合を除き、即時抗告をする者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては申立人が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第八十七条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原審判の表示及びその審判に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による審判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第四十九条第四項及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第八十八条 審判に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 ただし、抗告審における手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められる場合には、即時抗告があったことを通知することをもって、抗告状の写しの送付に代えることができる。 2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 (陳述の聴取) 第八十九条 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の審判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原審判を取り消すことができない。 2 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 (原裁判所による更正) 第九十条 原裁判所は、審判に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その審判を更正しなければならない。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判については、更正することができない。 (抗告裁判所による裁判) 第九十一条 抗告裁判所は、即時抗告について決定で裁判をする。 2 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、家事審判事件について自ら審判に代わる裁判をしなければならない。 ただし、第九十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。 (原審の管轄違いの場合の取扱い) 第九十二条 抗告裁判所は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についての審判事件を除く。)の全部又は一部が原裁判所の管轄に属しないと認める場合には、原審判を取り消さなければならない。 ただし、原審における審理の経過、事件の性質、抗告の理由等に照らして原審判を取り消さないことを相当とする特別の事情があると認めるときは、この限りでない。 2 抗告裁判所は、家事審判事件が管轄違いであることを理由として原審判を取り消すときは、その事件を管轄権を有する家庭裁判所に移送しなければならない。 (家事審判の手続の規定及び民事訴訟法の準用等) 第九十三条 審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前節第一款から第八款までの規定(第四十条、第四十一条第四項、第四十二条第六項、第四十三条第二項、第四十四条第二項、第四十七条第八項から第十項まで、第四十八条、第四十九条第六項、第六十六条、第六十七条第四項、第七十四条第二項ただし書、第四項及び第五項、第七十六条第一項ただし書、第七十七条第三項から第五項まで、第七十八条第四項、第八十一条第三項並びに第八十三条の規定を除く。)、第四節の規定(第百五条第二項、第百十条、第百十一条及び第百十三条の規定を除く。)及び次章の規定(家庭裁判所の管轄及び即時抗告に関する規定を除く。)を準用する。 この場合において、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは、「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」と読み替えるものとする。 2 抗告裁判所は、第八十八条第一項の規定による抗告状の写しの送付及びこれに代わる即時抗告があったことの通知をすることを要しないときは、前項において準用する第七十一条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。 3 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百八条までの規定は、審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条」とあるのは「家事事件手続法第八十二条第五項及び第八十三条」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「家事事件手続法第二百九十一条」と読み替えるものとする。 第二目 特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第九十四条 家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (原裁判の執行停止) 第九十五条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。 ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十六条 第八十六条第二項、第八十七条から第八十九条まで、第九十一条第一項及び第九十三条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十七条第六項中「及び第五項」とあるのは、「から第六項まで」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十六条第一項において読み替えて準用する同法第八十七条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第二項の規定及び同法第九十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三目 許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第九十七条 高等裁判所の家事審判事件についての決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第九十四条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 ただし、その決定が家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の高等裁判所は、同項の決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第九十四条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十八条 第八十六条第二項、第八十七条(第四項及び第五項を除く。)、第八十八条、第八十九条、第九十一条第一項、第九十三条及び第九十五条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十六条第二項、第八十七条第一項、第二項第二号及び第三項、第八十八条第一項並びに第八十九条第二項中「即時抗告」とあり、第八十七条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第九十五条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第九十七条第二項の申立て」と、第八十七条第一項、第二項及び第六項、第八十八条並びに第九十三条第二項中「抗告状」とあるのは「第九十七条第二項の規定による許可の申立書」と、第九十一条第一項並びに第九十三条第一項前段、第二項及び第三項中「即時抗告」とあり、並びに第九十五条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項の規定及び同法第九十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二款 審判以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第九十九条 審判以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第百条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、家事審判事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (即時抗告期間等) 第百一条 審判以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 (審判に対する不服申立ての規定の準用) 第百二条 前款の規定(第八十五条第一項、第八十六条第一項並びに第八十八条及び第八十九条(これらの規定を第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした審判以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 第三節 再審 (再審) 第百三条 確定した審判その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により審判その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該審判その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第百四条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第四節 審判前の保全処分 (審判前の保全処分) 第百五条 本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずる審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判に代わる裁判をする。 (審判前の保全処分の申立て等) 第百六条 審判前の保全処分(前条第一項の審判及び同条第二項の審判に代わる裁判をいう。以下同じ。)の申立ては、その趣旨及び保全処分を求める事由を明らかにしてしなければならない。 2 審判前の保全処分の申立人は、保全処分を求める事由を疎明しなければならない。 3 家庭裁判所(前条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、審判前の保全処分の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、職権で、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 4 審判前の保全処分の申立ては、審判前の保全処分があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。 (陳述の聴取) 第百七条 審判前の保全処分のうち仮の地位を定める仮処分を命ずるものは、審判を受ける者となるべき者の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第百八条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、第四十七条第三項の規定にかかわらず、審判前の保全処分の事件について、当事者から同条第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、審判前の保全処分の事件における審判を受ける者となるべき者に対し、当該事件が係属したことを通知し、又は審判前の保全処分を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。 (審判) 第百九条 審判前の保全処分は、疎明に基づいてする。 2 審判前の保全処分については、第七十四条第二項ただし書の規定は、適用しない。 3 審判前の保全処分の執行及び効力は、民事保全法(平成元年法律第九十一号)その他の仮差押え及び仮処分の執行及び効力に関する法令の規定に従う。 この場合において、同法第四十五条中「仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、「本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属している家庭裁判所(当該家事審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」とする。 (即時抗告) 第百十条 審判前の保全処分(第百五条第二項の審判に代わる裁判を除く。次項において同じ。)の申立人は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 ただし、次に掲げる保全処分の申立てを却下する審判については、この限りでない。 一 第百二十六条第一項(第百三十四条第一項及び第百四十三条第一項において準用する場合を含む。)、第百五十八条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)及び第二百条第一項の規定による財産の管理者の選任又は財産の管理等に関する指示の保全処分 二 第百二十七条第一項(第百三十五条、第百四十四条、第百八十一条及び第二百二十五条第一項において準用する場合を含む。)、第百六十六条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)、第百七十四条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)、第百七十五条第三項及び第二百十五条第一項の規定による職務代行者の選任の保全処分 2 本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者は、審判前の保全処分(前項各号に掲げる保全処分を命ずる審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 (即時抗告に伴う執行停止) 第百十一条 前条第二項の規定により即時抗告が提起された場合において、原審判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原審判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、若しくは担保を立てさせないで原審判の執行の停止を命じ、又は担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 審判前の保全処分の事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、これらの処分を命ずることができる。 2 第百六条第二項及び第三項の規定は、前項の申立てについて準用する。 (審判前の保全処分の取消し) 第百十二条 審判前の保全処分が確定した後に、保全処分を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所又は審判前の保全処分をした家庭裁判所は、本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者の申立てにより又は職権で、審判前の保全処分の取消しの審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判前の保全処分の取消しの審判に代わる裁判をする。 3 第百六条並びに第百九条第一項及び第二項の規定は、第一項の審判前の保全処分の取消しの審判及び前項の裁判について準用する。 (即時抗告等) 第百十三条 前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判の申立人は、申立てを却下する審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの申立てを却下する審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 2 審判前の保全処分の申立人は、前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの審判を除く。)及び第百十五条において準用する民事保全法第三十三条の規定による原状回復の審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百十一条の規定は、前二項の規定による即時抗告に伴う執行停止について準用する。 (調書の作成) 第百十四条 裁判所書記官は、審判前の保全処分の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 審判前の保全処分の手続については、第四十六条の規定は、適用しない。 (民事保全法の準用) 第百十五条 民事保全法第四条の規定は審判前の保全処分に関する手続における担保について、同法第十四条、第十五条及び第二十条から第二十四条まで(同法第二十三条第四項を除く。)の規定は審判前の保全処分について、同法第三十三条の規定は審判前の保全処分の取消しの裁判について、同法第三十四条の規定は第百十二条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判について準用する。 第五節 戸籍の記載等の嘱託 第百十六条 裁判所書記官は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者又は登記所に対し、戸籍の記載又は後見登記等に関する法律(平成十一年法律第百五十二号)に定める登記を嘱託しなければならない。 ただし、戸籍の記載又は同法に定める登記の嘱託を要するものとして最高裁判所規則で定めるものに限る。 一 別表第一に掲げる事項についての審判又はこれに代わる裁判が効力を生じた場合 二 審判前の保全処分が効力を生じ、又は効力を失った場合 第二章 家事審判事件 第一節 成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百十七条 後見開始の審判事件(別表第一の一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条第一号において同じ。)は、成年被後見人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 成年後見に関する審判事件(別表第一の一の項から十六の二の項までの事項についての審判事件をいう。)は、後見開始の審判事件を除き、後見開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が後見開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、後見開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百十八条 次に掲げる審判事件(第一号、第四号及び第六号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 後見開始の審判事件 二 後見開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二の項の事項についての審判事件をいう。) 三 成年後見人の選任の審判事件(別表第一の三の項の事項についての審判事件をいう。) 四 成年後見人の解任の審判事件(別表第一の五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第一項において同じ。) 五 成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の六の項の事項についての審判事件をいう。) 六 成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の八の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第五項において同じ。) 七 成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の十二の項の事項についての審判事件をいう。) 八 成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(以下「郵便物等」という。)の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判事件(別表第一の十二の二の項の事項についての審判事件をいう。第百二十三条の二において「成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件」という。) 九 成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の十四の項の事項についての審判事件をいう。) 十 第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の十五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十五条第一項及び第二項において同じ。) (精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取) 第百十九条 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の精神の状況につき鑑定をしなければ、後見開始の審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 家庭裁判所は、成年被後見人の精神の状況につき医師の意見を聴かなければ、民法第十条の規定による後見開始の審判の取消しの審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (陳述及び意見の聴取) 第百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号から第三号までにあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 後見開始の審判の取消しの審判(民法第十条の規定による場合に限る。) 成年被後見人及び成年後見人 三 成年後見人又は成年後見監督人の選任の審判 成年被後見人となるべき者又は成年被後見人 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 六 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 成年後見人の選任の審判 成年後見人となるべき者 二 成年後見監督人の選任の審判 成年後見監督人となるべき者 (申立ての取下げの制限) 第百二十一条 次に掲げる申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 一 後見開始の申立て 二 民法第八百四十三条第二項の規定による成年後見人の選任の申立て 三 民法第八百四十五条の規定により選任の請求をしなければならない者による同法第八百四十三条第三項の規定による成年後見人の選任の申立て (審判の告知等) 第百二十二条 次の各号に掲げる審判は、当該各号に定める者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判は、信書の送達の事業を行う者に告知することを要しない。 この場合においては、その審判が効力を生じた時に、信書の送達の事業を行う者に通知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 後見開始の審判 民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者並びに任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号。以下「任意後見契約法」という。)第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 後見開始の審判の取消しの審判 成年後見人及び成年後見監督人 三 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 (即時抗告) 第百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 後見開始の審判 民法第七条及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 後見開始の申立てを却下する審判 申立人 三 後見開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十条に規定する者 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、成年後見監督人並びに成年被後見人及びその親族 六 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 七 成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに成年被後見人及びその親族 八 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人及びその親族 九 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 十 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の申立てを却下する審判 申立人 十一 成年被後見人の死亡後の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為についての許可の申立てを却下する審判 申立人 2 審判の告知を受ける者でない者による後見開始の審判に対する即時抗告の期間は、民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (陳述の聴取の例外) 第百二十三条の二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件においては、第八十九条第一項の規定(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)にかかわらず、抗告裁判所は、信書の送達の事業を行う者の陳述を聴くことを要しない。 (成年後見の事務の監督) 第百二十四条 家庭裁判所は、適当な者に、成年後見の事務若しくは成年被後見人の財産の状況を調査させ、又は臨時に財産の管理をさせることができる。 2 家庭裁判所は、前項の規定により調査又は管理をした者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 3 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査をさせることができる。 4 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、第一項の規定により財産を管理する者について準用する。 (管理者の改任等) 第百二十五条 家庭裁判所は、いつでも、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者を改任することができる。 2 家庭裁判所は、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者(前項の規定により改任された管理者を含む。以下この条において「財産の管理者」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、成年被後見人の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、財産の管理者に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 財産の管理者の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、財産の管理者について準用する。 7 家庭裁判所は、成年被後見人が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったときその他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、成年被後見人、財産の管理者若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 (後見開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百二十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護又は財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護若しくは財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、成年被後見人となるべき者の財産上の行為(民法第九条ただし書に規定する行為を除く。第七項において同じ。)につき、前項の財産の管理者の後見を受けることを命ずることができる。 3 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、第百七条の規定にかかわらず、その者の陳述を聴く手続を経ずに、前項の規定による審判(次項から第七項までにおいて「後見命令の審判」という。)をすることができる。 4 後見命令の審判は、第一項の財産の管理者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによって、その効力を生ずる。 5 後見命令の審判は、成年被後見人となるべき者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 6 審判の告知を受ける者でない者による後見命令の審判に対する即時抗告の期間は、第一項の財産の管理者が第四項の規定による告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 7 後見命令の審判があったときは、成年被後見人となるべき者及び第一項の財産の管理者は、成年被後見人となるべき者がした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 8 前条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、前条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「成年被後見人となるべき者」と読み替えるものとする。 (成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百二十七条 家庭裁判所は、成年後見人の解任の審判事件が係属している場合において、成年被後見人の利益のため必要があるときは、成年後見人の解任の申立てをした者の申立てにより又は職権で、成年後見人の解任についての審判が効力を生ずるまでの間、成年後見人の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による成年後見人の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される成年後見人、他の成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定は、成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第二節 保佐に関する審判事件 (管轄) 第百二十八条 保佐開始の審判事件(別表第一の十七の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被保佐人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 保佐に関する審判事件(別表第一の十七の項から三十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、保佐開始の審判事件を除き、保佐開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が保佐開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、保佐開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百二十九条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被保佐人となるべき者及び被保佐人について準用する。 一 保佐開始の審判事件 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の十八の項の事項についての審判事件をいう。) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の十九の項の事項についての審判事件をいう。) 四 保佐開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二十の項の事項についての審判事件をいう。) 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の二十一の項の事項についての審判事件をいう。) 六 保佐人の選任の審判事件(別表第一の二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 七 保佐人の解任の審判事件(別表第一の二十四の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 八 保佐監督人の選任の審判事件(別表第一の二十六の項の事項についての審判事件をいう。) 九 保佐監督人の解任の審判事件(別表第一の二十八の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 十 保佐人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の三十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十三の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 保佐の事務の監督の審判事件(別表第一の三十四の項の事項についての審判事件をいう。) (陳述及び意見の聴取) 第百三十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号、第四号及び第五号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 保佐開始の審判 被保佐人となるべき者 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人 四 保佐開始の審判の取消しの審判(民法第十四条第一項の規定による場合に限る。) 被保佐人及び保佐人 五 保佐人又は保佐監督人の選任の審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 保佐人の選任の審判 保佐人となるべき者 二 保佐監督人の選任の審判 保佐監督人となるべき者 (審判の告知) 第百三十一条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 保佐開始の審判 民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐人又は保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐人となるべき者又は保佐監督人となるべき者) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人及び保佐監督人 四 保佐開始の審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 六 保佐人に対する代理権の付与の審判 被保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐監督人となるべき者) 七 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被保佐人及び保佐監督人 (即時抗告) 第百三十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 保佐開始の審判 民法第十一条本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 保佐開始の申立てを却下する審判 申立人 三 保佐開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十四条第一項に規定する者 四 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人 五 保佐人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐人の解任の申立てを却下する審判 申立人、保佐監督人並びに被保佐人及びその親族 八 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 九 保佐監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被保佐人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐開始の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百三十三条 第百十九条の規定は被保佐人となるべき者及び被保佐人の精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取について、第百二十一条の規定は保佐開始の申立ての取下げ及び保佐人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は保佐の事務の監督について準用する。 (保佐開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百三十四条 保佐開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、保佐開始の申立てがあった場合において、被保佐人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、保佐開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被保佐人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為に限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の保佐を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「保佐命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐命令の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 保佐命令の審判があったときは、被保佐人となるべき者及び財産の管理者は、被保佐人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被保佐人となるべき者」と読み替えるものとする。 (保佐人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百三十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、保佐人の解任の審判事件又は保佐監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第三節 補助に関する審判事件 (管轄) 第百三十六条 補助開始の審判事件(別表第一の三十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被補助人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 補助に関する審判事件(別表第一の三十六の項から五十四の項までの事項についての審判事件をいう。)は、補助開始の審判事件を除き、補助開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が補助開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、補助開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百三十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被補助人となるべき者及び被補助人について準用する。 一 補助開始の審判事件 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の三十七の項の事項についての審判事件をいう。) 三 補助人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の三十八の項の事項についての審判事件をいう。) 四 補助開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十九の項の事項についての審判事件をいう。) 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の四十の項の事項についての審判事件をいう。) 六 補助人の選任の審判事件(別表第一の四十一の項の事項についての審判事件をいう。) 七 補助人の解任の審判事件(別表第一の四十三の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 八 補助監督人の選任の審判事件(別表第一の四十五の項の事項についての審判事件をいう。) 九 補助監督人の解任の審判事件(別表第一の四十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 十 補助人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の五十一の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の五十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 補助の事務の監督の審判事件(別表第一の五十三の項の事項についての審判事件をいう。) (精神の状況に関する意見の聴取) 第百三十八条 家庭裁判所は、被補助人となるべき者の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、補助開始の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第百三十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第三号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 補助開始の審判 被補助人となるべき者 二 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人 三 補助開始の審判の取消しの審判(民法第十八条第一項又は第三項の規定による場合に限る。) 被補助人及び補助人 四 補助人又は補助監督人の選任の審判 被補助人となるべき者又は被補助人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助監督人の解任の審判 補助監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 補助人の選任の審判 補助人となるべき者 二 補助監督人の選任の審判 補助監督人となるべき者 (審判の告知) 第百四十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 補助開始の審判 民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判 補助人及び補助監督人(当該審判が補助人又は補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助人となるべき者又は補助監督人となるべき者) 三 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人及び補助監督人 四 補助開始の審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 六 補助人に対する代理権の付与の審判 被補助人及び補助監督人(当該審判が補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助監督人となるべき者) 七 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被補助人及び補助監督人 (即時抗告) 第百四十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 補助開始の審判 民法第十五条第一項本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 補助開始の申立てを却下する審判 申立人 三 補助開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十八条第一項に規定する者 四 補助人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助人の解任の申立てを却下する審判 申立人、補助監督人並びに被補助人及びその親族 七 補助監督人の解任の審判 補助監督人 八 補助監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被補助人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助開始の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百四十二条 第百二十一条の規定は補助開始の申立ての取下げ及び補助人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は補助の事務の監督について準用する。 (補助開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百四十三条 補助開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、補助開始及び補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てがあった場合において、被補助人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、補助開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被補助人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為であって、当該補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てに係るものに限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の補助を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「補助命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助命令の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 補助命令の審判があったときは、被補助人となるべき者及び財産の管理者は、被補助人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被補助人となるべき者」と読み替えるものとする。 (補助人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百四十四条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、補助人の解任の審判事件又は補助監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第四節 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件 (管轄) 第百四十五条 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管理人の改任等) 第百四十六条 家庭裁判所は、いつでも、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人を改任することができる。 2 家庭裁判所は、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人及び前項の規定により改任した管理人(第四項及び第六項、次条並びに第百四十七条において「家庭裁判所が選任した管理人」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 同法第二十七条第二項の場合においては、不在者が置いた管理人に対しても、同様とする。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、不在者の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、管理人(家庭裁判所が選任した管理人及び不在者が置いた管理人をいう。次項及び第百四十七条において同じ。)に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 管理人の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、家庭裁判所が選任した管理人について準用する。 (供託等) 第百四十六条の二 家庭裁判所が選任した管理人は、不在者の財産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、不在者のために、当該金銭を不在者の財産の管理に関する処分を命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。 2 家庭裁判所が選任した管理人は、前項の規定による供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 (処分の取消し) 第百四十七条 家庭裁判所は、不在者が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったとき(家庭裁判所が選任した管理人が管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、不在者、管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、民法第二十五条第一項の規定による管理人の選任その他の不在者の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 第五節 失踪の宣告に関する審判事件 第一款 失踪の宣告の審判事件 第百四十八条 失踪の宣告の審判事件(別表第一の五十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の審判事件における不在者について準用する。 3 家庭裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号及び第四号の期間が経過しなければ、失踪の宣告の審判をすることができない。 この場合において、第二号及び第四号の期間は、民法第三十条第一項の場合にあっては三月を、同条第二項の場合にあっては一月を下ってはならない。 一 不在者について失踪の宣告の申立てがあったこと。 二 不在者は、一定の期間までにその生存の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、失踪の宣告がされること。 四 不在者の生死を知る者は、一定の期間までにその届出をすべきこと。 4 失踪の宣告の審判は、不在者に告知することを要しない。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の審判 不在者及び利害関係人 二 失踪の宣告の申立てを却下する審判 申立人 第二款 失踪の宣告の取消しの審判事件 第百四十九条 失踪の宣告の取消しの審判事件は、失踪者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の取消しの審判事件における失踪者について準用する。 3 失踪の宣告の取消しの審判は、事件の記録上失踪者の住所又は居所が判明している場合に限り、失踪者に告知すれば足りる。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の取消しの審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 失踪の宣告の取消しの申立てを却下する審判 失踪者及び利害関係人 第六節 婚姻等に関する審判事件 (管轄) 第百五十条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件(別表第二の一の項の事項についての審判事件をいう。次条第一号において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の五十八の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件(別表第二の二の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地 四 子の監護に関する処分の審判事件 子(父又は母を同じくする数人の子についての申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地 五 財産の分与に関する処分の審判事件 夫又は妻であった者の住所地 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の五の項の事項についての審判事件をいう。) 所有者の住所地 (手続行為能力) 第百五十一条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件及びこれらの審判事件を本案とする保全処分についての審判事件(いずれの審判事件においても、財産上の給付を求めるものを除く。)における当該各号に定める者について準用する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の審判事件 子 (陳述の聴取) 第百五十二条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判をする場合には、夫及び妻(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判を除く。)をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第百五十三条 第八十二条第二項の規定にかかわらず、財産の分与に関する処分の審判の申立ての取下げは、相手方が本案について書面を提出し、又は家事審判の手続の期日において陳述をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (給付命令等) 第百五十四条 家庭裁判所は、夫婦間の協力扶助に関する処分の審判において、扶助の程度若しくは方法を定め、又はこれを変更することができる。 2 家庭裁判所は、次に掲げる審判において、当事者(第二号の審判にあっては、夫又は妻)に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判 四 財産の分与に関する処分の審判 3 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判において、子の監護をすべき者の指定又は変更、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項の定めをする場合には、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 4 家庭裁判所は、離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 (共有財産の分割) 第百五十五条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判とともに共有財産の分割に関する処分の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、共有財産の分割の方法として、一方の婚姻の当事者に他方の婚姻の当事者に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (即時抗告) 第百五十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 四 子の監護に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 五 財産の分与に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫又は妻であった者 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判 婚姻の当事者(民法第七百五十一条第二項において準用する同法第七百六十九条第二項の規定による場合にあっては、生存配偶者)その他の利害関係人 (婚姻等に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百五十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分 二 婚姻費用の分担に関する処分 三 子の監護に関する処分 四 財産の分与に関する処分 2 家庭裁判所は、前項第三号に掲げる事項について仮の地位を定める仮処分(子の監護に要する費用の分担に関する仮処分を除く。)を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件を本案とする保全処分) 第百五十八条 家庭裁判所は、夫婦の一方から夫婦財産契約による財産の管理者の変更の申立てがあった場合において、他の一方の管理する申立人所有の財産又は共有財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、当該財産の管理者の変更の申立てについての審判(共有財産の分割に関する処分の申立てがあった場合にあっては、その申立てについての審判)が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、他の一方の管理する申立人所有の財産若しくは共有財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は夫婦の他の一方の申立てにより、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「管理に係る財産」と読み替えるものとする。 第七節 親子に関する審判事件 第一款 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件 第百五十九条 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件は、子の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件における父及び民法第七百七十四条第四項に規定する前夫について準用する。 3 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二款 子の氏の変更についての許可の審判事件 第百六十条 子の氏の変更についての許可の審判事件(別表第一の六十の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、子(父又は母を同じくする数人の子についての子の氏の変更についての許可の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、子の氏の変更についての許可の審判事件における子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 子の氏の変更についての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第三款 養子縁組をするについての許可の審判事件 第百六十一条 養子縁組をするについての許可の審判事件は、養子となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、養子縁組をするについての許可の審判事件における養親となるべき者及び養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 ただし、養子となるべき者については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者及び養子となるべき者の未成年後見人 4 養子縁組をするについての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第四款 死後離縁をするについての許可の審判事件 第百六十二条 死後離縁をするについての許可の審判事件は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、死後離縁をするについての許可の審判事件における養親及び養子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子の死後に死後離縁をするについての許可の申立てがあった場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、養子を代襲して養親の相続人となるべき者に対し、その旨を通知するものとする。 ただし、事件の記録上その者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 死後離縁をするについての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 死後離縁をするについての許可の申立てを却下する審判 申立人 第五款 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百六十三条 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の六の項の事項についての審判事件をいう。)は、その所有者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 離縁の当事者その他の利害関係人は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第六款 特別養子縁組に関する審判事件 (特別養子縁組の成立の審判事件) 第百六十四条 特別養子縁組の成立の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 養子となるべき者は、特別養子適格の確認(養子となるべき者について民法第八百十七条の六に定める要件があること及び同法第八百十七条の七に規定する父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合に該当することについての確認をいう。以下この条及び次条において同じ。)の審判(申立人の同条第一項の規定による申立てによりされたものに限る。)を受けた者又は児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判(特別養子縁組の成立の申立ての日の六箇月前の日以後に確定したものに限る。)を受けた者でなければならない。 3 養子となるべき者の親権者(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。以下この項において同じ。)及びその親権者に対し親権を行う者は、特別養子縁組の成立の審判事件において養子となるべき者を代理して手続行為をすることができない。 4 養子となるべき者の父母(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。第十項において同じ。)は、第四十二条第一項及び第三項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判事件の手続に参加することができない。 5 第百十八条の規定は、特別養子縁組の成立の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方について準用する。 6 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者(養子となるべき者の父母及び養子となるべき者の親権者に対し親権を行う者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 7 特別養子適格の確認の審判(児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判を含む。以下この項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の審判事件の係属する裁判所を拘束する。 この場合において、特別養子適格の確認の審判は、特別養子縁組の成立の審判事件との関係においては、特別養子縁組の成立の審判をする時においてしたものとみなす。 8 特別養子縁組の成立の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第二号に掲げる者に告知しなければならない。 9 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 ただし、養子となるべき者が十五歳に達している場合は、この限りでない。 10 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の父母に告知することを要しない。 ただし、住所又は居所が知れている父母に対しては、審判をした日及び審判の主文を通知しなければならない。 11 家庭裁判所は、第二項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判を、特別養子適格の確認の審判と同時にすることができる。 この場合においては、特別養子縁組の成立の審判は、特別養子適格の確認の審判が確定するまでは、確定しないものとする。 12 家庭裁判所は、前項前段の場合において、特別養子適格の確認の審判を取り消す裁判が確定したときは、職権で、特別養子縁組の成立の審判を取り消さなければならない。 13 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、確定しないものとする。 この場合においては、家庭裁判所は、職権で、その審判を取り消さなければならない。 14 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の成立の審判 養子となるべき者及び第六項第二号に掲げる者 二 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判 申立人 15 養子となるべき者(十五歳未満のものに限る。)による特別養子縁組の成立の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子適格の確認の審判事件) 第百六十四条の二 家庭裁判所は、養親となるべき者の申立てにより、その者と養子となるべき者との間における縁組について、特別養子適格の確認の審判をすることができる。 ただし、養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過する日まで及び養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、この限りでない。 2 特別養子適格の確認の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 特別養子適格の確認の申立ては、特別養子縁組の成立の申立てと同時にしなければならない。 4 第百十八条の規定は、特別養子適格の確認の審判事件における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び養子となるべき者の父母について準用する。 5 民法第八百十七条の六本文の同意は、次の各号のいずれにも該当する場合には、撤回することができない。 ただし、その同意をした日から二週間を経過する日までは、この限りでない。 一 養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過した後にされたものであること。 二 次のいずれかに該当するものであること。 イ 家庭裁判所調査官による事実の調査を経た上で家庭裁判所に書面を提出してされたものであること。 ロ 審問の期日においてされたものであること。 6 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第二号に掲げる者の同意がないにもかかわらずその審判をするときは、その者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者の父母 三 養子となるべき者に対し親権を行う者(前号に掲げる者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 四 養子となるべき者の父母に対し親権を行う者及び養子となるべき者の父母の後見人 7 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てに係る特別養子適格の確認の申立てを却下しなければならない。 8 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の申立てを却下する審判をする場合には、第六項第二号及び第三号に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 9 特別養子適格の確認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第三号及び第四号に掲げる者に告知しなければならない。 10 特別養子適格の確認の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 11 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合において、第六項第二号に掲げる者を特定することができないときは、同号及び同項第四号に掲げる者の陳述を聴くこと並びにこれらの者にその審判を告知することを要しない。 12 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子適格の確認の審判 養子となるべき者及び第六項第二号から第四号までに掲げる者 二 特別養子適格の確認の申立てを却下する審判 申立人 13 養子となるべき者による特別養子適格の確認の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 14 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てによる特別養子適格の確認の審判は、その効力を失う。 (特別養子縁組の離縁の審判事件) 第百六十五条 特別養子縁組の離縁の審判事件は、養親の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、特別養子縁組の離縁の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親、養子及びその実父母について準用する。 3 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号から第三号までに掲げる者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子(十五歳以上のものに限る。) 二 養親 三 養子の実父母 四 養子に対し親権を行う者(第二号に掲げる者を除く。)及び養子の後見人 五 養親の後見人 六 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 4 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子の実父母(申立人を除く。) 二 養子に対し親権を行う者及び養子の後見人 三 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 5 特別養子縁組の離縁の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第三項第四号から第六号までに掲げる者に告知しなければならない。 6 特別養子縁組の離縁の審判は、養子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して養子の利益を害すると認める場合には、養子に告知することを要しない。 7 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の離縁の審判 養子、養親、養子の実父母、養子に対し親権を行う者で養親でないもの、養子の後見人、養親の後見人、養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 二 特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判 申立人 8 養子による特別養子縁組の離縁の審判に対する即時抗告の期間は、養子以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子縁組の成立の審判事件等を本案とする保全処分) 第百六十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の申立てがあった場合において、養子となるべき者の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別養子縁組の成立の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、申立人を養子となるべき者の監護者に選任し、又は養子となるべき者の親権者若しくは未成年後見人の職務の執行を停止し、若しくはその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者若しくは未成年後見人、養子となるべき者に対し親権を行う者若しくは他の未成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、養子となるべき者の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定(養子となるべき者の監護者を選任する保全処分に関する部分を除く。)は、特別養子縁組の離縁の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第八節 親権に関する審判事件 (管轄) 第百六十七条 親権に関する審判事件は、子(父又は母を同じくする数人の子についての親権者の指定若しくは変更又は第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百六十八条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件(第三号及び第七号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における当該各号に定める者について準用する。 一 子に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の六十五の項の事項についての審判事件をいう。) 子 二 第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の六十六の項の事項についての審判事件をいう。第百七十三条において同じ。) 子 三 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件(別表第一の六十七の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判事件(別表第一の六十八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 五 親権又は管理権を辞し、又は回復するについての許可の審判事件(別表第一の六十九の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 六 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判事件(別表第二の七の項の事項についての審判事件をいう。) 養子、その父母及び養親 七 親権者の指定又は変更の審判事件(別表第二の八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 (陳述の聴取) 第百六十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号に掲げる子の親権者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子(十五歳以上のものに限る。)及び子の親権者 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者、子の未成年後見人及び親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者 三 親権又は管理権を辞するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。) 四 親権又は管理権を回復するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 2 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (審判の告知) 第百七十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 ただし、子にあっては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 (引渡命令等) 第百七十一条 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判において、当事者に対し、子の引渡し又は財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百七十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号から第三号まで及び第五号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 親権喪失の審判 親権を喪失する者及びその親族 二 親権停止の審判 親権を停止される者及びその親族 三 管理権喪失の審判 管理権を喪失する者及びその親族 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てを却下する審判 申立人、子及びその親族、未成年後見人並びに未成年後見監督人 五 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子及びその親族、子に対し親権を行う者、未成年後見人並びに未成年後見監督人 六 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人並びに親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者及びその親族 七 親権又は管理権を回復するについての許可の申立てを却下する審判 申立人 八 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判 養子の父母及び養子の監護者 九 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の申立てを却下する審判 申立人、養子の父母及び養子の監護者 十 親権者の指定又は変更の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 2 次の各号に掲げる即時抗告の期間は、当該各号に定める日から進行する。 一 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失する者が審判の告知を受けた日 二 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者が審判の告知を受けた日 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第百七十三条 第百二十五条の規定は、第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 (親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件を本案とする保全処分) 第百七十四条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があると認めるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 (親権者の指定又は変更の審判事件を本案とする保全処分) 第百七十五条 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の審判を本案とする仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 2 前項の規定により仮の地位の仮処分を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 4 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 5 家庭裁判所は、いつでも、第三項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 6 家庭裁判所は、第三項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第九節 未成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百七十六条 未成年後見に関する審判事件(別表第一の七十の項から八十三の項までの事項についての審判事件をいう。)は、未成年被後見人(養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百七十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第三号及び第五号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における未成年被後見人(第一号の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者及び養親)について準用する。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件 二 未成年後見人の選任の審判事件 三 未成年後見人の解任の審判事件(別表第一の七十三の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 四 未成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の七十四の項の事項についての審判事件をいう。) 五 未成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の七十六の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 六 未成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の七十九の項の事項についての審判事件をいう。) 七 未成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の八十一の項の事項についての審判事件をいう。) 八 第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十二の項の事項についての審判事件をいう。第百八十条において同じ。) (陳述及び意見の聴取) 第百七十八条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 未成年後見人又は未成年後見監督人の選任の審判 未成年被後見人(十五歳以上のものに限る。) 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者又は未成年後見人の選任 未成年後見人となるべき者 二 未成年後見監督人の選任 未成年後見監督人となるべき者 (即時抗告) 第百七十九条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、未成年後見監督人並びに未成年被後見人及びその親族 四 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 五 未成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに未成年被後見人及びその親族 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百八十条 第百二十一条の規定は未成年後見人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は未成年後見の事務の監督について、第百二十五条の規定は第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十一条第二号中「第八百四十三条第二項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第一項の規定による未成年後見人」と、同条第三号中「第八百四十三条第三項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第二項の規定による未成年後見人」と読み替えるものとする。 (未成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百八十一条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、未成年後見人の解任の審判事件又は未成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第十節 扶養に関する審判事件 (管轄) 第百八十二条 扶養義務の設定の審判事件(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者となるべき者(数人についての扶養義務の設定の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務の設定の取消しの審判事件(別表第一の八十五の項の事項についての審判事件をいう。)は、その扶養義務の設定の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所がその扶養義務の設定の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(別表第二の九の項の事項についての審判事件をいう。)並びに扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(同表の十の項の事項についての審判事件をいう。)は、相手方(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (申立ての特則) 第百八十三条 扶養義務の設定の申立ては、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第二十三条の二第二項第四号の規定による保護者の選任の申立てと一の申立てによりするときは、同法第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所にもすることができる。 (陳述の聴取) 第百八十四条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者 二 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者 (給付命令) 第百八十五条 家庭裁判所は、扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百八十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者(申立人を除く。) 二 扶養義務の設定の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者(申立人を除く。) 四 扶養義務の設定の取消しの申立てを却下する審判 申立人 五 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 六 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 (扶養に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百八十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消し 二 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消し 第十一節 推定相続人の廃除に関する審判事件 (推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の取消しの審判事件) 第百八十八条 推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 ただし、これらの審判事件が被相続人の死亡後に申し立てられた場合にあっては、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、前項に規定する審判事件における被相続人について準用する。 3 家庭裁判所は、推定相続人の廃除の審判事件においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、廃除を求められた推定相続人の陳述を聴かなければならない。 この場合における陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 4 推定相続人の廃除の審判事件における手続については、申立人及び廃除を求められた推定相続人を当事者とみなして、第六十七条及び第六十九条から第七十二条までの規定を準用する。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 推定相続人の廃除の審判 廃除された推定相続人 二 推定相続人の廃除又はその審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人 (遺産の管理に関する処分の審判事件) 第百八十九条 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件は、推定相続人の廃除の審判事件又は推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件が係属している家庭裁判所(その審判事件が係属していない場合にあっては相続が開始した地を管轄する家庭裁判所、その審判事件が抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所)の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項までの規定は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理人について準用する。 この場合において、同条第一項、第二項及び第四項中「家庭裁判所」とあるのは「推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所」と、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは「遺産」と読み替えるものとする。 3 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判が確定したときは、廃除を求められた推定相続人、前項の管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、その処分の取消しの裁判をしなければならない。 第十二節 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百九十条 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の十一の項の事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 相続人その他の利害関係人は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十二節の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件 第百九十条の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項まで、第百四十六条の二及び第百四十七条の規定は、相続財産の保存に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十三節 遺産の分割に関する審判事件 (管轄) 第百九十一条 遺産の分割に関する審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判事件(別表第二の十二の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)が係属している場合における寄与分を定める処分の審判事件(同表の十四の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)は、当該遺産の分割の審判事件が係属している裁判所の管轄に属する。 (手続の併合等) 第百九十二条 遺産の分割の審判事件及び寄与分を定める処分の審判事件が係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 数人からの寄与分を定める処分の審判事件が係属するときも、同様とする。 (寄与分を定める処分の審判の申立ての期間の指定) 第百九十三条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判の手続において、一月を下らない範囲内で、当事者が寄与分を定める処分の審判の申立てをすべき期間を定めることができる。 2 家庭裁判所は、寄与分を定める処分の審判の申立てが前項の期間を経過した後にされたときは、当該申立てを却下することができる。 3 家庭裁判所は、第一項の期間を定めなかった場合においても、当事者が時機に後れて寄与分を定める処分の申立てをしたことにつき、申立人の責めに帰すべき事由があり、かつ、申立てに係る寄与分を定める処分の審判の手続を併合することにより、遺産の分割の審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、その申立てを却下することができる。 (遺産の換価を命ずる裁判) 第百九十四条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、相続人に対し、遺産の全部又は一部を競売して換価することを命ずることができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があり、かつ、相当と認めるときは、相続人の意見を聴き、相続人に対し、遺産の全部又は一部について任意に売却して換価することを命ずることができる。 ただし、共同相続人中に競売によるべき旨の意思を表示した者があるときは、この限りでない。 3 前二項の規定による裁判(以下この条において「換価を命ずる裁判」という。)が確定した後に、その換価を命ずる裁判の理由の消滅その他の事情の変更があるときは、家庭裁判所は、相続人の申立てにより又は職権で、これを取り消すことができる。 4 換価を命ずる裁判は、第八十一条第一項において準用する第七十四条第一項に規定する者のほか、遺産の分割の審判事件の当事者に告知しなければならない。 5 相続人は、換価を命ずる裁判に対し、即時抗告をすることができる。 6 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判をする場合において、第二百条第一項の財産の管理者が選任されていないときは、これを選任しなければならない。 7 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判により換価を命じられた相続人に対し、遺産の中から、相当な報酬を与えることができる。 8 第百二十五条の規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第六項の規定により選任した財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 (債務を負担させる方法による遺産の分割) 第百九十五条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (給付命令) 第百九十六条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (遺産の分割の禁止の審判の取消し及び変更) 第百九十七条 家庭裁判所は、事情の変更があるときは、相続人の申立てにより、いつでも、遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判をすることができる。 この申立てに係る審判事件は、別表第二に掲げる事項についての審判事件とみなす。 (即時抗告) 第百九十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺産の分割の審判及びその申立てを却下する審判 相続人 二 遺産の分割の禁止の審判 相続人 三 遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判 相続人 四 寄与分を定める処分の審判 相続人 五 寄与分を定める処分の申立てを却下する審判 申立人 2 第百九十二条前段の規定により審判が併合してされたときは、寄与分を定める処分の審判又はその申立てを却下する審判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 3 第百九十二条後段の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (申立ての取下げの制限) 第百九十九条 第百五十三条の規定は、遺産の分割の審判の申立ての取下げについて準用する。 2 第八十二条第二項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分) 第二百条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。次項及び第三項において同じ。)は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、遺産の分割の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。 ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。 4 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 第十四節 相続の承認及び放棄に関する審判事件 第二百一条 相続の承認及び放棄に関する審判事件(別表第一の九十の項から九十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、限定承認の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十三の項の事項についての審判事件をいう。)は、限定承認の申述を受理した家庭裁判所(抗告裁判所が受理した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 家庭裁判所(抗告裁判所が限定承認の申述を受理した場合にあっては、その裁判所)は、相続人が数人ある場合において、限定承認の申述を受理したときは、職権で、民法第九百三十六条第一項の規定により相続財産の清算人を選任しなければならない。 4 第百十八条の規定は、限定承認又は相続の放棄の取消しの申述の受理の審判事件(別表第一の九十一の項の事項についての審判事件をいう。)における限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者について準用する。 5 限定承認及びその取消し並びに相続の放棄及びその取消しの申述は、次に掲げる事項を記載した申述書を家庭裁判所に提出してしなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 限定承認若しくはその取消し又は相続の放棄若しくはその取消しをする旨 6 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条の規定は、前項の申述について準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百一条第五項」と読み替えるものとする。 7 家庭裁判所は、第五項の申述の受理の審判をするときは、申述書にその旨を記載しなければならない。 この場合において、当該審判は、申述書にその旨を記載した時に、その効力を生ずる。 8 前項の審判については、第七十六条の規定は、適用しない。 9 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 相続の承認又は放棄をすべき期間の伸長の申立てを却下する審判 申立人 二 限定承認又は相続の放棄の取消しの申述を却下する審判 限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者 三 限定承認又は相続の放棄の申述を却下する審判 申述人 第十五節 財産分離に関する審判事件 第二百二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める裁判所の管轄に属する。 一 財産分離の審判事件(別表第一の九十六の項の事項についての審判事件をいう。次号において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件 財産分離の審判事件が係属している家庭裁判所(抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所、財産分離の裁判確定後にあっては財産分離の審判事件が係属していた家庭裁判所) 三 財産分離の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十八の項の事項についての審判事件をいう。) 財産分離の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が財産分離の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所) 2 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 財産分離の審判 相続人 二 民法第九百四十一条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続債権者及び受遺者 三 民法第九百五十条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続人の債権者 3 第百二十五条の規定は、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十六節 相続人の不存在に関する審判事件 (管轄) 第二百三条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。 一 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 相続人の不存在の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百の項の事項についての審判事件をいう。) 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件において相続財産の清算人の選任の審判をした家庭裁判所 三 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件(別表第一の百一の項の事項についての審判事件をいう。次条第二項及び第二百七条において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 (特別縁故者に対する相続財産の分与の審判) 第二百四条 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判は、民法第九百五十二条第二項の期間の満了後三月を経過した後にしなければならない。 2 同一の相続財産に関し特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件が数個同時に係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 (意見の聴取) 第二百五条 家庭裁判所は、特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判をする場合には、民法第九百五十二条第一項の規定により選任し、又は第二百八条において準用する第百二十五条第一項の規定により改任した相続財産の清算人(次条及び第二百七条において単に「相続財産の清算人」という。)の意見を聴かなければならない。 (即時抗告) 第二百六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判 申立人及び相続財産の清算人 二 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てを却下する審判 申立人 2 第二百四条第二項の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人又は相続財産の清算人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (相続財産の換価を命ずる裁判) 第二百七条 第百九十四条第一項、第二項本文、第三項から第五項まで及び第七項の規定は、特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件について準用する。 この場合において、同条第一項及び第七項中「相続人」とあり、並びに同条第二項中「相続人の意見を聴き、相続人」とあるのは「相続財産の清算人」と、同条第三項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人若しくは相続財産の清算人」と、同条第四項中「当事者」とあるのは「申立人」と、同条第五項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人及び相続財産の清算人」と読み替えるものとする。 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第二百八条 第百二十五条の規定は、相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十七節 遺言に関する審判事件 (管轄) 第二百九条 遺言に関する審判事件(別表第一の百二の項から百八の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続を開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺言の確認の審判事件は、遺言者の生存中は、遺言者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者及び負担の利益を受けるべき者 2 家庭裁判所は、遺言執行者の選任の審判をする場合には、遺言執行者となるべき者の意見を聴かなければならない。 (調書の作成) 第二百十一条 裁判所書記官は、遺言書の検認について、調書を作成しなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百十二条 遺言の確認又は遺言書の検認の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百十三条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 相続人 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 負担の利益を受けるべき者 (即時抗告) 第二百十四条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺言の確認の審判 利害関係人 二 遺言の確認の申立てを却下する審判 遺言に立ち会った証人及び利害関係人 三 遺言執行者の選任の申立てを却下する審判 利害関係人 四 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 五 遺言執行者の解任の申立てを却下する審判 利害関係人 六 遺言執行者の辞任についての許可の申立てを却下する審判 申立人 七 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者その他の利害関係人(申立人を除く。) 八 負担付遺贈に係る遺言の取消しの申立てを却下する審判 相続人 (遺言執行者の解任の審判事件を本案とする保全処分) 第二百十五条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、遺言執行者の解任の申立てがあった場合において、遺言の内容の実現のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、遺言執行者の解任の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、遺言執行者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による遺言執行者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される遺言執行者、他の遺言執行者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、相続財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第十八節 遺留分に関する審判事件 第二百十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 遺留分を算定するための財産の価額を定める場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百九の項の事項についての審判事件をいう。) 相続が開始した地 二 遺留分の放棄についての許可の審判事件 被相続人の住所地 2 遺留分の放棄についての許可の申立てをした者は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十八節の二 特別の寄与に関する審判事件 (管轄) 第二百十六条の二 特別の寄与に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (給付命令) 第二百十六条の三 家庭裁判所は、特別の寄与に関する処分の審判において、当事者に対し、金銭の支払を命ずることができる。 (即時抗告) 第二百十六条の四 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別の寄与に関する処分の審判 申立人及び相手方 二 特別の寄与に関する処分の申立てを却下する審判 申立人 (特別の寄与に関する審判事件を本案とする保全処分) 第二百十六条の五 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、特別の寄与に関する処分についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は申立人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別の寄与に関する処分の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 第十九節 任意後見契約法に規定する審判事件 (管轄) 第二百十七条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件(別表第一の百十一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条において同じ。)は、任意後見契約法第二条第二号の本人(以下この節において単に「本人」という。)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 任意後見契約法に規定する審判事件(別表第一の百十一の項から百二十一の項までの事項についての審判事件をいう。)は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件を除き、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が当該任意後見監督人を選任した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百十八条 第百十八条の規定は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件における本人について準用する。 (精神の状況に関する意見の聴取) 第二百十九条 家庭裁判所は、本人の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、本人については、本人の心身の障害により本人の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判並びに任意後見監督人が欠けた場合及び任意後見監督人を更に選任する場合における任意後見監督人の選任の審判 本人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見人の解任の審判 任意後見人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 2 家庭裁判所は、前項第一号に掲げる審判をする場合には、任意後見監督人となるべき者の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をする場合には、任意後見契約の効力が生ずることについて、任意後見受任者の意見を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百二十一条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任及び任意後見監督人が欠けた場合における任意後見監督人の選任の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百二十二条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判 本人及び任意後見受任者 二 後見開始の審判等の取消しの審判 後見開始の審判の取消しの審判にあっては成年後見人及び成年後見監督人、保佐開始の審判の取消しの審判にあっては保佐人及び保佐監督人並びに補助開始の審判の取消しの審判にあっては補助人及び補助監督人 三 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見監督人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人、任意後見人及び任意後見監督人 (即時抗告) 第二百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第四号及び第六号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに本人及びその親族 四 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見人 五 任意後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、任意後見監督人並びに本人及びその親族 六 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 七 任意後見契約の解除についての許可の申立てを却下する審判 申立人 (任意後見監督人の事務の調査) 第二百二十四条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に任意後見監督人の事務を調査させることができる。 (任意後見監督人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第二百二十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、任意後見監督人の解任の審判事件(別表第一の百十七の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 2 第百二十七条第一項及び第二項の規定は、任意後見人の解任の審判事件(別表第一の百二十の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 この場合において、同条第一項中「停止し、又はその職務代行者を選任する」とあるのは「停止する」と、同条第二項中「同項の規定により選任した職務代行者」とあるのは「任意後見監督人」と読み替えるものとする。 第二十節 戸籍法に規定する審判事件 (管轄) 第二百二十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 氏若しくは名の変更又は氏の振り仮名若しくは名の振り仮名の変更についての許可の審判事件(別表第一の百二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 申立人の住所地 二 就籍許可の審判事件(別表第一の百二十三の項の事項についての審判事件をいう。) 就籍しようとする地 三 戸籍の訂正についての許可の審判事件(別表第一の百二十四の項の事項についての審判事件をいう。) その戸籍のある地 四 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件(別表第一の百二十五の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。) 市役所(戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第四条において準用する同法第百二十二条の規定による場合にあっては、区役所)又は町村役場の所在地 (手続行為能力) 第二百二十七条 第百十八条の規定は、戸籍法に規定する審判事件(別表第一の百二十二の項から百二十五の項までの事項についての審判事件をいう。)における当該審判事件の申立てをすることができる者について準用する。 ただし、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件においては、当該処分を受けた届出その他の行為を自らすることができる場合に限る。 (事件係属の通知) 第二百二十八条 家庭裁判所は、戸籍法第百十三条の規定による戸籍の訂正についての許可の申立てが当該戸籍の届出人又は届出事件の本人以外の者からされた場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該届出人又は届出事件の本人に対し、その旨を通知しなければならない。 ただし、事件の記録上これらの者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十九条 家庭裁判所は、氏又は氏の振り仮名の変更についての許可の審判をする場合には、申立人と同一戸籍内にある者(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区長又は総合区長とする。以下この節において同じ。)の処分に対する不服の申立てがあった場合には、当該市町村長の意見を聴かなければならない。 (審判の告知等) 第二百三十条 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該市町村長に告知しなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを理由があると認めるときは、当該市町村長に対し、相当の処分を命じなければならない。 (即時抗告) 第二百三十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 氏又は氏の振り仮名の変更についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 氏若しくは名の変更又は氏の振り仮名若しくは名の振り仮名の変更についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 就籍許可の申立てを却下する審判 申立人 四 戸籍の訂正についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 五 戸籍の訂正についての許可の申立てを却下する審判 申立人 六 前条第二項の規定による市町村長に相当の処分を命ずる審判 当該市町村長 七 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判 申立人 第二十一節 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に規定する審判事件 第二百三十二条 性別の取扱いの変更の審判事件(別表第一の百二十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、性別の取扱いの変更の審判事件における申立人について準用する。 3 性別の取扱いの変更の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二十二節 厚生年金保険法に規定する審判事件 第二百三十三条 請求すべき 按 あん 分割合に関する処分の審判事件(別表第二の十六の項の事項についての審判事件をいう。)は、申立人又は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 申立人及び相手方は、請求すべき按分割合に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 請求すべき按分割合に関する処分の審判の手続については、第六十八条第二項の規定は、適用しない。 第二十三節 児童福祉法に規定する審判事件 (管轄) 第二百三十四条 都道府県の措置についての承認の審判事件(別表第一の百二十七の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件(同表の百二十八の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)、児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件(同表の百二十八の二の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)及び児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件(同表の百二十八の三の項の事項についての審判事件をいう。以下この節において同じ。)は、児童の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百三十五条 第百十八条の規定は、都道府県の措置についての承認の審判事件、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件及び児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件における児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者、児童の未成年後見人及び児童並びに児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件における児童及びその父母について準用する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百三十六条 家庭裁判所は、都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、前条に規定する者(児童にあっては、十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 前項の場合において、家庭裁判所は、申立人に対し、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人の陳述に関する意見を求めることができる。 3 第百六十四条の二第六項及び第八項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (審判の告知) 第二百三十七条 都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人に告知しなければならない。 2 第百六十四条の二第九項から第十一項までの規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (即時抗告) 第二百三十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 都道府県の措置についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 二 都道府県の措置についての承認の申立てを却下する審判 申立人 三 都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 四 都道府県の措置の期間の更新についての承認の申立てを却下する審判 申立人 五 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 六 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てを却下する審判 申立人 2 第百六十四条の二第十二項及び第十三項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判の特則) 第二百三十九条 家庭裁判所は、児童の出生の日から二箇月を経過する日まで及び児童が十八歳に達した日以後は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判をすることができない。 2 第百六十四条の二第五項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 第二十四節 生活保護法等に規定する審判事件 第二百四十条 施設への入所等についての許可の審判事件(別表第一の百二十九の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。)は、被保護者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判事件(別表第二の十七の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 第百十八条の規定は、施設への入所等についての許可の審判事件における被保護者、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人について準用する。 4 家庭裁判所は、施設への入所等についての許可の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、被保護者(十五歳以上のものに限る。)、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人の陳述を聴かなければならない。 5 施設への入所等についての許可の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人に告知しなければならない。 6 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 施設への入所等についての許可の審判 被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人 二 施設への入所等についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判及びその申立てを却下する審判 申立人及び相手方 第二十五節 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に規定する審判事件 第二百四十一条 保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件(別表第一の百三十の項の事項についての審判事件をいう。第四項において同じ。)は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の意見を聴かなければならない。 一 保護者の順位の変更の審判 先順位に変更される者 二 保護者の選任の審判 保護者となるべき者 3 保護者の順位の変更又は保護者の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 4 家庭裁判所は、いつでも、保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件において選任した保護者を改任することができる。 第二十六節 破産法に規定する審判事件 第二百四十二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の百三十一の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件 子の住所地 三 破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件(別表第一の百三十三の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 相続が開始した地 2 破産管財人は、破産手続における相続の放棄の承認についての申述を却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百五十二条第一項、第百五十四条第二項(第二号に係る部分に限る。)、第百五十五条、第百五十六条(第二号に係る部分に限る。)及び第百五十八条の規定は破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件について、第百六十八条(第三号に係る部分に限る。)、第百六十九条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第百七十条(第一号に係る部分に限る。)、第百七十二条第一項(第三号及び第四号に係る部分に限る。)及び第二項(第一号に係る部分に限る。)並びに第百七十四条の規定(管理権喪失に関する部分に限る。)は親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件について、第二百一条第五項から第八項までの規定は破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件について準用する。 第二十七節 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に規定する審判事件 第二百四十三条 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判事件(別表第一の百三十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成二十年法律第三十三号)第四条第一項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第一項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第二項の旧代表者の住所地 二 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第四条第三項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第三項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第四項の旧個人事業者の住所地 2 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判は、当該合意の当事者の全員に告知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判 当該合意の当事者(申立人を除く。) 二 遺留分の算定に係る合意についての許可の申立てを却下する審判 当該合意の当事者 第三編 家事調停に関する手続 第一章 総則 第一節 通則 (調停事項等) 第二百四十四条 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。 (管轄等) 第二百四十五条 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 3 第百九十一条第二項及び第百九十二条の規定は、遺産の分割の調停事件(別表第二の十二の項の事項についての調停事件をいう。)及び寄与分を定める処分の調停事件(同表の十四の項の事項についての調停事件をいう。)について準用する。 この場合において、第百九十一条第二項中「前項」とあるのは、「第二百四十五条第一項」と読み替えるものとする。 (地方裁判所又は簡易裁判所への移送) 第二百四十六条 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件以外の事件について調停の申立てを受けた場合には、職権で、これを管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送する。 2 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について調停の申立てを受けた場合において、事件を処理するために必要があると認めるときは、職権で、事件の全部又は一部を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送することができる。 3 家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、前二項の規定にかかわらず、その事件を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所以外の地方裁判所又は簡易裁判所(事物管轄権を有するものに限る。)に移送することができる。 4 第九条第三項から第五項までの規定は、前三項の規定による移送の裁判について準用する。 (調停機関) 第二百四十七条 家庭裁判所は、調停委員会で調停を行う。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、裁判官のみで行うことができる。 2 家庭裁判所は、当事者の申立てがあるときは、前項ただし書の規定にかかわらず、調停委員会で調停を行わなければならない。 (調停委員会) 第二百四十八条 調停委員会は、裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 2 調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。 3 調停委員会の決議は、過半数の意見による。 可否同数の場合には、裁判官の決するところによる。 4 調停委員会の評議は、秘密とする。 (家事調停委員) 第二百四十九条 家事調停委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 2 家事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (家事調停官の任命等) 第二百五十条 家事調停官は、弁護士で五年以上その職にあったもののうちから、最高裁判所が任命する。 2 家事調停官は、この法律の定めるところにより、家事調停事件の処理に必要な職務を行う。 3 家事調停官は、任期を二年とし、再任されることができる。 4 家事調停官は、非常勤とする。 5 家事調停官は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して解任されることがない。 一 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七条各号のいずれかに該当するに至ったとき。 二 心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。 三 職務上の義務違反その他家事調停官たるに適しない非行があると認められたとき。 6 この法律に定めるもののほか、家事調停官の任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 (家事調停官の権限等) 第二百五十一条 家事調停官は、家庭裁判所の指定を受けて、家事調停事件を取り扱う。 2 家事調停官は、その取り扱う家事調停事件の処理について、この法律において家庭裁判所、裁判官又は裁判長が行うものとして定める家事調停事件の処理に関する権限を行うことができる。 3 家事調停官は、独立してその職権を行う。 4 家事調停官は、その権限を行うについて、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び医師である裁判所技官に対し、その職務に関し必要な命令をすることができる。 この場合において、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第六十条第五項の規定は、家事調停官の命令を受けた裁判所書記官について準用する。 5 家事調停官には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (手続行為能力) 第二百五十二条 次の各号に掲げる調停事件(第一号及び第二号にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)において、当該各号に定める者は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の調停事件(別表第二の一の項の事項についての調停事件をいう。) 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の調停事件(別表第二の三の項の事項についての調停事件をいう。) 子 三 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の調停事件(別表第二の七の項の事項についての調停事件をいう。) 養子、その父母及び養親 四 親権者の指定又は変更の調停事件(別表第二の八の項の事項についての調停事件をいう。) 子及びその父母 五 人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(第二百七十七条第一項において単に「人事に関する訴え」という。)を提起することができる事項についての調停事件 同法第十三条第一項の規定が適用されることにより訴訟行為をすることができることとなる者 2 親権を行う者又は後見人は、第十八条の規定にかかわらず、前項第一号、第三号及び第四号に掲げる調停事件(同項第一号の調停事件にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)においては、当該各号に定める者に代理して第二百六十八条第一項の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾及び第二百八十六条第八項の共同の申出をすることができない。 離婚についての調停事件における夫及び妻の後見人並びに離縁についての調停事件における養親の後見人、養子(十五歳以上のものに限る。以下この項において同じ。)に対し親権を行う者及び養子の後見人についても、同様とする。 (調書の作成) 第二百五十三条 裁判所書記官は、家事調停の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第二百五十四条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事調停事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事調停事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、家事調停事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者又は利害関係を疎明した第三者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合(第六項に規定する場合を除く。)において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 4 次に掲げる書面については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ずに、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 一 審判書その他の裁判書の正本、謄本又は抄本 二 調停において成立した合意を記載し、又は調停をしないものとして、若しくは調停が成立しないものとして事件が終了した旨を記載した調書の正本、謄本又は抄本 三 家事調停事件に関する事項の証明書 5 家事調停事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事調停事件の記録の保存又は裁判所若しくは調停委員会の執務に支障があるときは、することができない。 6 第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件において、当事者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合については、第四十七条第三項、第四項及び第八項から第十項までの規定を準用する。 第二節 家事調停の申立て等 (家事調停の申立て) 第二百五十五条 家事調停の申立ては、申立書(次項及び次条において「家事調停の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事調停の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 家事調停の申立てを不適法として却下する審判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条(第一項ただし書を除く。)の規定は、家事調停の申立てについて準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百五十五条第二項」と読み替えるものとする。 (家事調停の申立書の写しの送付等) 第二百五十六条 家事調停の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は家事調停の手続の期日を経ないで第二百七十一条の規定により家事調停事件を終了させるときを除き、家事調停の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事調停の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事調停の申立てがあったことを通知することをもって、家事調停の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について、第六十七条第三項及び第四項の規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納について準用する。 (調停前置主義) 第二百五十七条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。 2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。 ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。 3 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 第三節 家事調停の手続 (家事審判の手続の規定の準用等) 第二百五十八条 第四十一条から第四十三条までの規定は家事調停の手続における参加及び排除について、第四十四条の規定は家事調停の手続における受継について、第五十一条から第五十五条までの規定は家事調停の手続の期日について、第五十六条から第六十二条まで及び第六十四条の規定は家事調停の手続における事実の調査及び証拠調べについて、第六十五条の規定は家事調停の手続における子の意思の把握等について、第七十三条、第七十四条、第七十六条(第一項ただし書を除く。)、第七十七条及び第七十九条の規定は家事調停に関する審判について、第八十一条の規定は家事調停に関する審判以外の裁判について準用する。 2 前項において準用する第六十一条第一項の規定により家事調停の手続における事実の調査の嘱託を受けた裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることができる。 ただし、嘱託を受けた家庭裁判所が家庭裁判所調査官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 (調停委員会が行う家事調停の手続の指揮) 第二百五十九条 調停委員会が行う家事調停の手続は、調停委員会を組織する裁判官が指揮する。 (調停委員会等の権限) 第二百六十条 調停委員会が家事調停を行う場合には、次に掲げる事項に関する裁判所の権限は、調停委員会が行う。 一 第二十二条の規定による手続代理人の許可等 二 第二十七条において準用する民事訴訟法第六十条第一項及び第二項の規定による補佐人の許可等 三 第三十三条ただし書の規定による傍聴の許可 四 第三十五条の規定による手続の併合等 五 第二百五十五条第四項において準用する第五十条第三項及び第四項の規定による申立ての変更 六 第二百五十八条第一項において準用する第四十一条第一項及び第二項並びに第四十二条第一項から第三項まで及び第五項の規定による参加、第四十三条第一項の規定による排除、第四十四条第一項及び第三項の規定による受継、第五十一条第一項の規定による事件の関係人の呼出し、第五十四条第一項の規定による音声の送受信による通話の方法による手続並びに第五十六条第一項、第五十九条第一項及び第二項(これらの規定を第六十条第二項において準用する場合を含む。)、第六十一条第一項、第六十二条並びに第六十四条第五項の規定並びに同条第一項において準用する民事訴訟法の規定による事実の調査及び証拠調べ(過料及び勾引に関する事項を除く。) 2 調停委員会が家事調停を行う場合には、第二十三条第一項及び第二項の規定による手続代理人の選任等、第三十四条第一項の規定による期日の指定並びに第二百五十三条ただし書の規定による調書の作成に関する裁判長の権限は、当該調停委員会を組織する裁判官が行う。 (調停委員会を組織する裁判官による事実の調査及び証拠調べ等) 第二百六十一条 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 2 前項の場合には、裁判官は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせ、又は医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 3 第五十八条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による事実の調査及び心身の状況についての診断について準用する。 4 第一項の場合には、裁判官は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 5 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、家庭裁判所調査官に第五十九条第三項の規定による措置をとらせることができる。 (家事調停委員による事実の調査) 第二百六十二条 調停委員会は、相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 (意見の聴取の嘱託) 第二百六十三条 調停委員会は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事件の関係人から紛争の解決に関する意見を聴取することを嘱託することができる。 2 前項の規定により意見の聴取の嘱託を受けた家庭裁判所は、相当と認めるときは、家事調停委員に当該嘱託に係る意見を聴取させることができる。 (家事調停委員の専門的意見の聴取) 第二百六十四条 調停委員会は、必要があると認めるときは、当該調停委員会を組織していない家事調停委員の専門的な知識経験に基づく意見を聴取することができる。 2 前項の規定により意見を聴取する家事調停委員は、家庭裁判所が指定する。 3 前項の規定による指定を受けた家事調停委員は、調停委員会に出席して意見を述べるものとする。 (調停の場所) 第二百六十五条 調停委員会は、事件の実情を考慮して、裁判所外の適当な場所で調停を行うことができる。 (調停前の処分) 第二百六十六条 調停委員会は、家事調停事件が係属している間、調停のために必要であると認める処分を命ずることができる。 2 急迫の事情があるときは、調停委員会を組織する裁判官が前項の処分(以下「調停前の処分」という。)を命ずることができる。 3 調停前の処分は、執行力を有しない。 4 調停前の処分として必要な事項を命じられた当事者又は利害関係参加人が正当な理由なくこれに従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (裁判官のみで行う家事調停の手続) 第二百六十七条 裁判官のみで家事調停の手続を行う場合においては、家庭裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 2 第二百六十三条から前条までの規定は、裁判官のみで家事調停の手続を行う場合について準用する。 第四節 調停の成立 (調停の成立及び効力) 第二百六十八条 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては、確定した第三十九条の規定による審判)と同一の効力を有する。 2 家事調停事件の一部について当事者間に合意が成立したときは、その一部について調停を成立させることができる。 手続の併合を命じた数個の家事調停事件中その一について合意が成立したときも、同様とする。 3 離婚又は離縁についての調停事件においては、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項に規定する方法によっては、調停を成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 4 第一項及び第二項の規定は、第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件については、適用しない。 (調停調書の更正決定) 第二百六十九条 調停調書に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (調停条項案の書面による受諾) 第二百七十条 当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ調停委員会(裁判官のみで家事調停の手続を行う場合にあっては、その裁判官。次条及び第二百七十二条第一項において同じ。)から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が家事調停の手続の期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。 2 前項の規定は、離婚又は離縁についての調停事件については、適用しない。 第五節 調停の成立によらない事件の終了 (調停をしない場合の事件の終了) 第二百七十一条 調停委員会は、事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは、調停をしないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 (調停の不成立の場合の事件の終了) 第二百七十二条 調停委員会は、当事者間に合意(第二百七十七条第一項第一号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 ただし、家庭裁判所が第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。 2 前項の規定により家事調停事件が終了したときは、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 3 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 4 第一項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 (家事調停の申立ての取下げ) 第二百七十三条 家事調停の申立ては、家事調停事件が終了するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の調停の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 第八十二条第三項及び第四項並びに民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、家事調停の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、第八十二条第三項中「前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項」とあるのは「第二百七十三条第二項」と、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「家事調停の手続の期日」と読み替えるものとする。 第六節 付調停等 (付調停) 第二百七十四条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟又は家事審判事件が係属している場合には、裁判所は、当事者(本案について被告又は相手方の陳述がされる前にあっては、原告又は申立人に限る。)の意見を聴いて、いつでも、職権で、事件を家事調停に付することができる。 2 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 3 家庭裁判所及び高等裁判所は、第一項の規定により事件を調停に付する場合には、前項の規定にかかわらず、その家事調停事件を自ら処理することができる。 4 前項の規定により家庭裁判所又は高等裁判所が調停委員会で調停を行うときは、調停委員会は、当該裁判所がその裁判官の中から指定する裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 5 第三項の規定により高等裁判所が自ら調停を行う場合についてのこの編の規定の適用については、第二百四十四条、第二百四十七条、第二百四十八条第二項、第二百五十四条第一項から第四項まで、第二百六十四条第二項、第二百六十六条第四項、第二百六十八条第三項ただし書、第二百六十九条第一項並びに第二百七十二条第一項ただし書及び第二項並びに次章及び第三章の規定中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第二百四十四条、第二百五十八条第一項、第二百七十六条、第二百七十七条第一項第一号、第二百七十九条第三項及び第二百八十四条第一項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第二百六十七条第一項中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、次章の規定中「合意に相当する審判」とあるのは「合意に相当する審判に代わる裁判」と、第二百七十二条第一項ただし書及び第三章の規定(第二百八十六条第七項の規定を除く。)中「調停に代わる審判」とあるのは「調停に代わる審判に代わる裁判」と、第二百八十一条及び第二百八十七条中「却下する審判」とあるのは「却下する審判に代わる裁判」とする。 (訴訟手続及び家事審判の手続の中止) 第二百七十五条 家事調停の申立てがあった事件について訴訟が係属しているとき、又は訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項若しくは前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、訴訟が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで訴訟手続を中止することができる。 2 家事調停の申立てがあった事件について家事審判事件が係属しているとき、又は家事審判事件が係属している裁判所が前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、家事審判事件が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで、家事審判の手続を中止することができる。 (訴えの取下げの擬制等) 第二百七十六条 訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は次条第一項若しくは第二百八十四条第一項の規定による審判が確定したときは、当該訴訟について訴えの取下げがあったものとみなす。 2 家事審判事件が係属している裁判所が第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は第二百八十四条第一項の審判が確定したときは、当該家事審判事件は、終了する。 第二章 合意に相当する審判 (合意に相当する審判の対象及び要件) 第二百七十七条 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第一号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。 ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。 一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。 二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。 2 前項第一号の合意は、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項及び第二百七十条第一項に規定する方法によっては、成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 3 第一項の家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、合意に相当する審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 4 第二百七十二条第一項から第三項までの規定は、家庭裁判所が第一項第一号の規定による合意を正当と認めない場合について準用する。 (申立ての取下げの制限) 第二百七十八条 家事調停の申立ての取下げは、合意に相当する審判がされた後は、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (異議の申立て) 第二百七十九条 当事者及び利害関係人は、合意に相当する審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 ただし、当事者にあっては、第二百七十七条第一項各号に掲げる要件に該当しないことを理由とする場合に限る。 2 前項の規定による異議の申立ては、二週間の不変期間内にしなければならない。 3 前項の期間は、異議の申立てをすることができる者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては当事者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 4 第一項の規定による異議の申立てをする権利は、放棄することができる。 (異議の申立てに対する審判等) 第二百八十条 家庭裁判所は、当事者がした前条第一項の規定による異議の申立てが不適法であるとき、又は異議の申立てに理由がないと認めるときは、これを却下しなければならない。 利害関係人がした同項の規定による異議の申立てが不適法であるときも、同様とする。 2 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 家庭裁判所は、当事者から適法な異議の申立てがあった場合において、異議の申立てを理由があると認めるときは、合意に相当する審判を取り消さなければならない。 4 利害関係人から適法な異議の申立てがあったときは、合意に相当する審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 5 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (合意に相当する審判の効力) 第二百八十一条 第二百七十九条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、合意に相当する審判は、確定判決と同一の効力を有する。 (婚姻の取消しについての合意に相当する審判の特則) 第二百八十二条 婚姻の取消しについての家事調停の手続において、婚姻の取消しについての合意に相当する審判をするときは、この合意に相当する審判において、当事者間の合意に基づき、子の親権者を指定しなければならない。 2 前項の合意に相当する審判は、子の親権者の指定につき当事者間で合意が成立しないとき、又は成立した合意が相当でないと認めるときは、することができない。 (申立人の死亡により事件が終了した場合の特則) 第二百八十三条 父が嫡出否認についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他父の三親等内の血族が父の死亡の日から一年以内に嫡出否認の訴えを提起したときは、父がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (嫡出否認の審判の通知) 第二百八十三条の二 家庭裁判所は、民法第七百七十二条第三項の規定により父が定められる子の嫡出否認についての合意に相当する審判が確定したときは、同法第七百七十四条第四項に規定する前夫(事件の記録上その氏名及び住所又は居所が判明しているものに限る。)に対し、当該合意に相当する審判の内容を通知するものとする。 (認知の無効についての調停の申立ての特則) 第二百八十三条の三 認知をした者が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他認知をした者の三親等内の血族が認知をした者の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、認知をした者がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 2 子が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、子の直系卑属又はその法定代理人が子の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、子がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 第三章 調停に代わる審判 (調停に代わる審判の対象及び要件) 第二百八十四条 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。 ただし、第二百七十七条第一項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。 2 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (調停に代わる審判の特則) 第二百八十五条 家事調停の申立ての取下げは、第二百七十三条第一項の規定にかかわらず、調停に代わる審判がされた後は、することができない。 2 調停に代わる審判の告知は、公示送達の方法によっては、することができない。 3 調停に代わる審判を告知することができないときは、家庭裁判所は、これを取り消さなければならない。 (異議の申立て等) 第二百八十六条 当事者は、調停に代わる審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 2 第二百七十九条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による異議の申立てについて準用する。 3 家庭裁判所は、第一項の規定による異議の申立てが不適法であるときは、これを却下しなければならない。 4 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 5 適法な異議の申立てがあったときは、調停に代わる審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 6 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 7 第五項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判が効力を失った場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 8 当事者が、申立てに係る家事調停(離婚又は離縁についての家事調停を除く。)の手続において、調停に代わる審判に服する旨の共同の申出をしたときは、第一項の規定は、適用しない。 9 前項の共同の申出は、書面でしなければならない。 10 当事者は、調停に代わる審判の告知前に限り、第八項の共同の申出を撤回することができる。 この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。 (調停に代わる審判の効力) 第二百八十七条 前条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判は確定した第三十九条の規定による審判と同一の効力を、その余の調停に代わる審判は確定判決と同一の効力を有する。 第四章 不服申立て等 第二百八十八条 家事調停の手続においてされた裁判に対する不服申立て及び再審については、特別の定めのある場合を除き、それぞれ前編第一章第二節及び第三節の規定を準用する。 第四編 履行の確保 (義務の履行状況の調査及び履行の勧告) 第二百八十九条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所(第九十一条第一項(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により抗告裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては第一審裁判所である家庭裁判所、第百五条第二項の規定により高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては本案の家事審判事件の第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、その審判(抗告裁判所又は高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては、その裁判。次条第一項において同じ。)で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。 3 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項から第六項までにおいてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 6 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧等又はその複製の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 7 前各項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務(高等裁判所において定められたものを含む。次条第三項において同じ。)の履行及び調停前の処分として命じられた事項の履行について準用する。 (義務履行の命令) 第二百九十条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、その審判で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠った者がある場合において、相当と認めるときは、権利者の申立てにより、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をすべきことを命ずる審判をすることができる。 この場合において、その命令は、その命令をする時までに義務者が履行を怠った義務の全部又は一部についてするものとする。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定により義務の履行を命ずるには、義務者の陳述を聴かなければならない。 3 前二項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務の履行について準用する。 4 前三項に規定するもののほか、第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定による義務の履行を命ずる審判の手続については、第二編第一章に定めるところによる。 5 第一項(第三項において準用する場合を含む。)の規定により義務の履行を命じられた者が正当な理由なくその命令に従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 第五編 罰則 (過料の裁判の執行等) 第二百九十一条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。 (人の秘密を漏らす罪) 第二百九十二条 参与員、家事調停委員又はこれらの職にあった者が正当な理由なくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。 (評議の秘密を漏らす罪) 第二百九十三条 家事調停委員又は家事調停委員であった者が正当な理由なく評議の経過又は裁判官、家事調停官若しくは家事調停委員の意見若しくはその多少の数を漏らしたときは、三十万円以下の罰金に処する。 参与員又は参与員であった者が正当な理由なく裁判官又は参与員の意見を漏らしたときも、同様とする。
民事
Heisei
Act
423AC0000000052_20251213_505AC0000000053.xml
平成二十三年法律第五十二号
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家事事件手続法 第一編 総則 第一章 通則 (趣旨) 第一条 家事審判及び家事調停に関する事件(以下「家事事件」という。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第二条 裁判所は、家事事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に家事事件の手続を追行しなければならない。 (最高裁判所規則) 第三条 この法律に定めるもののほか、家事事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第一章の二 日本の裁判所の管轄権 (不在者の財産の管理に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の二 裁判所は、不在者の財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の五十五の項の事項についての審判事件をいう。第百四十五条において同じ。)について、不在者の財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (失踪の宣告の取消しの審判事件の管轄権) 第三条の三 裁判所は、失踪の宣告の取消しの審判事件(別表第一の五十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十九条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 日本において失踪の宣告の審判があったとき。 二 失踪者の住所が日本国内にあるとき又は失踪者が日本の国籍を有するとき。 三 失踪者が生存していたと認められる最後の時点において、失踪者が日本国内に住所を有していたとき又は日本の国籍を有していたとき。 (嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件の管轄権) 第三条の四 裁判所は、嫡出否認の訴えについて日本の裁判所が管轄権を有するときは、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件(別表第一の五十九の項の事項についての審判事件をいう。第百五十九条第一項及び第二項において同じ。)について、管轄権を有する。 (養子縁組をするについての許可の審判事件等の管轄権) 第三条の五 裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判事件(別表第一の六十一の項の事項についての審判事件をいう。第百六十一条第一項及び第二項において同じ。)及び特別養子縁組の成立の審判事件(同表の六十三の項の事項についての審判事件をいう。第百六十四条において同じ。)(特別養子適格の確認の審判事件(同条第二項に規定する特別養子適格の確認についての審判事件をいう。第百六十四条の二第二項及び第四項において同じ。)を含む。)について、養親となるべき者又は養子となるべき者の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (死後離縁をするについての許可の審判事件の管轄権) 第三条の六 裁判所は、死後離縁をするについての許可の審判事件(別表第一の六十二の項の事項についての審判事件をいう。第百六十二条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親又は養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養親又は養子がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。 三 養親又は養子の一方が日本の国籍を有する場合であって、他の一方がその死亡の時に日本の国籍を有していたとき。 (特別養子縁組の離縁の審判事件の管轄権) 第三条の七 裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判事件(別表第一の六十四の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養子の実父母又は検察官からの申立てであって、養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 養親及び養子が日本の国籍を有するとき。 四 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親及び養子が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 五 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親が行方不明であるとき、養親の住所がある国においてされた離縁に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが養親と養子との間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (親権に関する審判事件等の管轄権) 第三条の八 裁判所は、親権に関する審判事件(別表第一の六十五の項から六十九の項まで並びに別表第二の七の項及び八の項の事項についての審判事件をいう。第百六十七条において同じ。)、子の監護に関する処分の審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第四号及び第百五十一条第二号において同じ。)(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)及び親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件(別表第一の百三十二の項の事項についての審判事件をいう。第二百四十二条第一項第二号及び第三項において同じ。)について、子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件等の管轄権) 第三条の九 裁判所は、養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件(別表第一の七十の項の事項についての審判事件をいう。第百七十六条及び第百七十七条第一号において同じ。)又は未成年後見人の選任の審判事件(同表の七十一の項の事項についての審判事件をいう。同条第二号において同じ。)について、未成年被後見人となるべき者若しくは未成年被後見人(以下この条において「未成年被後見人となるべき者等」という。)の住所若しくは居所が日本国内にあるとき又は未成年被後見人となるべき者等が日本の国籍を有するときは、管轄権を有する。 (夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件の管轄権) 第三条の十 裁判所は、夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件(別表第一の八十四の項及び八十五の項並びに別表第二の一の項から三の項まで、九の項及び十の項の事項についての審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件にあっては、子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。)をいう。)について、扶養義務者(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件にあっては、扶養義務者となるべき者)であって申立人でないもの又は扶養権利者(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件にあっては、子の監護者又は子)の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (相続に関する審判事件の管轄権) 第三条の十一 裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで及び百三十三の項並びに別表第二の十一の項から十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。 2 相続開始の前に推定相続人の廃除の審判事件(別表第一の八十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)、推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件(同表の八十七の項の事項についての審判事件をいう。第百八十八条第一項及び第百八十九条第一項において同じ。)、遺言の確認の審判事件(同表の百二の項の事項についての審判事件をいう。第二百九条第二項において同じ。)又は遺留分の放棄についての許可の審判事件(同表の百十の項の事項についての審判事件をいう。第二百十六条第一項第二号において同じ。)の申立てがあった場合における前項の規定の適用については、同項中「相続開始の時における被相続人」とあるのは「被相続人」と、「相続開始の前」とあるのは「申立て前」とする。 3 裁判所は、第一項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第百八十九条第一項及び第二項において同じ。)、相続財産の保存に関する処分の審判事件(同表の八十九の項の事項についての審判事件をいう。第百九十条の二において同じ。)、限定承認を受理した場合における相続財産の清算人の選任の審判事件(同表の九十四の項の事項についての審判事件をいう。)、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十七の項の事項についての審判事件をいう。第二百二条第一項第二号及び第三項において同じ。)及び相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 4 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に遺産の分割に関する審判事件(別表第二の十二の項から十四の項までの事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第百九十一条第一項において同じ。)及び特別の寄与に関する処分の審判事件(同表の十五の項の事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第二百十六条の二において同じ。)の申立てをすることができるかについて定めることができる。 5 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三条の七第二項から第四項までの規定は、前項の合意について準用する。 (財産の分与に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の十二 裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件(別表第二の四の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第五号において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 夫であった者及び妻であった者の双方が日本の国籍を有するとき。 三 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、夫であった者及び妻であった者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 四 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた財産の分与に関する処分に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (家事調停事件の管轄権) 第三条の十三 裁判所は、家事調停事件について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 当該調停を求める事項についての訴訟事件又は家事審判事件について日本の裁判所が管轄権を有するとき。 二 相手方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 当事者が日本の裁判所に家事調停の申立てをすることができる旨の合意をしたとき。 2 民事訴訟法第三条の七第二項及び第三項の規定は、前項第三号の合意について準用する。 3 人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての調停事件については、第一項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。 (特別の事情による申立ての却下) 第三条の十四 裁判所は、第三条の二から前条までに規定する事件について日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(遺産の分割に関する審判事件又は特別の寄与に関する処分の審判事件について、日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の合意に基づき申立てがされた場合を除く。)においても、事案の性質、申立人以外の事件の関係人の負担の程度、証拠の所在地、未成年者である子の利益その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが適正かつ迅速な審理の実現を妨げ、又は相手方がある事件について申立人と相手方との間の衡平を害することとなる特別の事情があると認めるときは、その申立ての全部又は一部を却下することができる。 (管轄権の標準時) 第三条の十五 日本の裁判所の管轄権は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 第二章 管轄 (管轄が住所地により定まる場合の管轄権を有する家庭裁判所) 第四条 家事事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (優先管轄) 第五条 この法律の他の規定により二以上の家庭裁判所が管轄権を有するときは、家事事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した家庭裁判所が管轄する。 (管轄裁判所の指定) 第六条 管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 3 前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (管轄権を有する家庭裁判所の特例) 第七条 この法律の他の規定により家事事件の管轄が定まらないときは、その家事事件は、審判又は調停を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管轄の標準時) 第八条 裁判所の管轄は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 (移送等) 第九条 裁判所は、家事事件の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。 ただし、家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。 2 家庭裁判所は、家事事件がその管轄に属する場合においても、次の各号に掲げる事由があるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を当該各号に定める家庭裁判所に移送することができる。 一 家事事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるとき 第五条の規定により管轄権を有しないこととされた家庭裁判所 二 事件を処理するために特に必要があると認めるとき 前号の家庭裁判所以外の家庭裁判所 3 前二項の規定による移送の裁判及び第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 民事訴訟法第二十二条の規定は、家事事件の移送の裁判について準用する。 第三章 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第十条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者(審判(申立てを却下する審判を除く。)がされた場合において、その審判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。 二 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第十一条 裁判官について裁判又は調停の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第十二条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、受託裁判官として職務を行う簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。 2 家庭裁判所及び地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで家事事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 家事事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官、調停委員会を組織する裁判官又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第十三条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (参与員の除斥及び忌避) 第十四条 参与員の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 参与員について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その参与員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 参与員の除斥又は忌避についての裁判は、参与員の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官(受命裁判官の手続に立ち会う参与員が忌避の申立てを受けたときに限る。)又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官がすることができる。 (家事調停官の除斥及び忌避) 第十五条 家事調停官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項から第四項まで、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、前項において準用する同条第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 3 家事調停官の除斥又は忌避についての裁判は、家事調停官の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項の裁判は、忌避された家事調停官がすることができる。 (家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥) 第十六条 家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥については、第十条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。 2 家庭裁判所調査官又は家事調停委員について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官又は家事調停委員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 3 家庭裁判所調査官又は家事調停委員の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官又は家事調停委員の所属する裁判所がする。 第四章 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第十七条 当事者能力、家事事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十一条、第三十三条並びに第三十四条第一項及び第二項の規定を準用する。 2 被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした家事審判又は家事調停の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。 職権により手続が開始された場合についても、同様とする。 3 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について同意その他の授権を得ている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告若しくは第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立ての取下げ又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議の取下げ (未成年者及び成年被後見人の法定代理人) 第十八条 親権を行う者又は後見人は、第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により未成年者又は成年被後見人が法定代理人によらずに自ら手続行為をすることができる場合であっても、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。 ただし、家事審判及び家事調停の申立ては、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定により親権を行う者又は後見人が申立てをすることができる場合(人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の申立てにあっては、同法その他の法令の規定によりその訴えを提起することができる場合を含む。)に限る。 (特別代理人) 第十九条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、家事事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法定代理権の消滅の通知) 第二十条 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、法定代理権の消滅は、本人又は代理人から他方の当事者に通知しなければ、その効力を生じない。 家事調停事件においても、同様とする。 (法人の代表者等への準用) 第二十一条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第五章 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第二十二条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (裁判長による手続代理人の選任等) 第二十三条 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。 2 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。 3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し手続行為につき行為能力の制限を受けた者が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。 (手続代理人の代理権の範囲) 第二十四条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について委任を受けている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告、第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立て又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議 四 前号の抗告(即時抗告を含む。)、申立て又は異議の取下げ 五 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (手続代理人の代理権の消滅の通知) 第二十五条 手続代理人の代理権の消滅は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についてのものに限る。)及び家事調停事件においては本人又は代理人から他方の当事者に、その他の家事事件においては本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。 (手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用) 第二十六条 民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第二十七条 家事事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六章 手続費用 第一節 手続費用の負担 (手続費用の負担) 第二十八条 手続費用(家事審判に関する手続の費用(以下「審判費用」という。)及び家事調停に関する手続の費用(以下「調停費用」という。)をいう。以下同じ。)は、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び利害関係参加人(第四十二条第七項に規定する利害関係参加人をいう。第一号において同じ。)がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。 一 当事者又は利害関係参加人 二 前号に掲げる者以外の審判を受ける者となるべき者 三 前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの 3 前二項の規定によれば検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。 (手続費用の負担の裁判等) 第二十九条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における審判費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。 ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。 2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。 事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。 3 調停が成立した場合において、調停費用(審判手続を経ている場合にあっては、審判費用を含む。)の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 4 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟が係属する裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、その訴訟についての訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 (手続費用の立替え) 第三十条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の家事事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第三十一条 民事訴訟法第六十九条から第七十四条までの規定(裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての決定に対する即時抗告に関する部分を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十二条中「当事者が裁判所において和解をした場合」とあるのは「調停が成立した場合」と、「和解の費用又は訴訟費用」とあるのは「家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第二十九条第三項の調停費用又は同条第四項の訴訟費用」と、同法第七十三条第一項中「裁判及び和解」とあるのは「裁判及び調停の成立」と、「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「家事事件手続法第四十一条第一項若しくは第四十二条第一項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「家事事件手続法第三十一条第一項において準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第四項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二節 手続上の救助 第三十二条 家事事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で家事審判又は家事調停の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「家事事件手続法第三十二条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七章 家事事件の審理等 (手続の非公開) 第三十三条 家事事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (期日及び期間) 第三十四条 家事事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。 2 家事事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 家事事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、家事事件の手続の期日及び期間について準用する。 (手続の併合等) 第三十五条 裁判所は、家事事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする家事事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (送達及び手続の中止) 第三十六条 送達及び家事事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは、「裁判又は調停を求める事項」と読み替えるものとする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第三十七条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第八章 電子情報処理組織による申立て等 第三十八条 家事事件の手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十第一項から第五項までの規定(支払督促に関する部分を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定によりされた申立て等に係るこの法律の他の規定による家事事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、同条第五項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第九章 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第三十八条の二 家事事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同法第百三十三条第一項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人(家事事件手続法第四十二条第七項(同法第二百五十八条第一項において準用する場合を含む。)に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の審判を受ける者となるべき者(同法第十条第一項第一号に規定する審判を受ける者となるべき者をいう。)」と、同法第百三十三条の四第一項中「秘匿決定、第百三十三条の二第二項の決定又は前条の決定(次項及び第七項において「秘匿決定等」という。)に係る者以外の者は、訴訟記録等」とあるのは「秘匿決定(家事事件手続法第二百七十七条第一項に規定する事項以外の事項についての家事調停の手続に係るもの並びに同法第二百八十九条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による調査及び勧告の事件の手続に係るものを除く。次項、第四項第一号及び第七項において同じ。)に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、当該秘匿決定に係る事件の記録」と、同条第二項中「秘匿決定等に係る者以外の当事者は、秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、秘匿決定」と、「訴訟記録等」とあるのは「前項の事件の記録」と、同条第四項第一号中「秘匿決定又は第百三十三条の二第二項の決定」とあるのは「秘匿決定」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人」と、「秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定」と読み替えるものとする。 第二編 家事審判に関する手続 第一章 総則 第一節 家事審判の手続 第一款 通則 (審判事項) 第三十九条 家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第一及び別表第二に掲げる事項並びに同編に定める事項について、審判をする。 (参与員) 第四十条 家庭裁判所は、参与員の意見を聴いて、審判をする。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、その意見を聴かないで、審判をすることができる。 2 家庭裁判所は、参与員を家事審判の手続の期日に立ち会わせることができる。 3 参与員は、家庭裁判所の許可を得て、第一項の意見を述べるために、申立人が提出した資料の内容について、申立人から説明を聴くことができる。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、この限りでない。 4 参与員の員数は、各事件について一人以上とする。 5 参与員は、毎年あらかじめ家庭裁判所の選任した者の中から、事件ごとに家庭裁判所が指定する。 6 前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の規定による選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 7 参与員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (当事者参加) 第四十一条 当事者となる資格を有する者は、当事者として家事審判の手続に参加することができる。 2 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者(審判を受ける者となるべき者に限る。)を、当事者として家事審判の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (利害関係参加) 第四十二条 審判を受ける者となるべき者は、家事審判の手続に参加することができる。 2 審判を受ける者となるべき者以外の者であって、審判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、家庭裁判所の許可を得て、家事審判の手続に参加することができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、職権で、審判を受ける者となるべき者及び前項に規定する者を、家事審判の手続に参加させることができる。 4 前条第三項の規定は、第一項の規定による参加の申出及び第二項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。 5 家庭裁判所は、第一項又は第二項の規定により家事審判の手続に参加しようとする者が未成年者である場合において、その者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者が当該家事審判の手続に参加することがその者の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出又は第二項の規定による参加の許可の申立てを却下しなければならない。 6 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判(前項の規定により第一項の規定による参加の申出を却下する裁判を含む。)に対しては、即時抗告をすることができる。 7 第一項から第三項までの規定により家事審判の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(家事審判の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。 (手続からの排除) 第四十三条 家庭裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を家事審判の手続から排除することができる。 2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第四十四条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって家事審判の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、家庭裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に家事審判の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者による受継) 第四十五条 家事審判の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該家事審判の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 家庭裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、職権で、当該家事審判の申立てをすることができる者に、その手続を受け継がせることができる。 3 第一項の規定による受継の申立て及び前項の規定による受継の裁判は、第一項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。 (調書の作成等) 第四十六条 裁判所書記官は、家事審判の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第四十七条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事審判事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事審判事件に関する事項の証明書の交付(第二百八十九条第六項において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。 2 前項の規定は、家事審判事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、これを許可しなければならない。 4 家庭裁判所は、事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、前項の規定にかかわらず、同項の申立てを許可しないことができる。 事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てを許可することを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。 5 家庭裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 6 審判書その他の裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は家事審判事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 審判を受ける者が当該審判があった後に請求する場合も、同様とする。 7 家事審判事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事審判事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 8 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 9 前項の規定による即時抗告が家事審判の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 10 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (検察官に対する通知) 第四十八条 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより審判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄権を有する家庭裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。 第二款 家事審判の申立て (申立ての方式等) 第四十九条 家事審判の申立ては、申立書(以下「家事審判の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事審判の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 申立人は、二以上の事項について審判を求める場合において、これらの事項についての家事審判の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。 4 家事審判の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い家事審判の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (申立ての変更) 第五十条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は理由を変更することができる。 ただし、第七十一条(第百八十八条第四項において準用する場合を含む。)の規定により審理を終結した後は、この限りでない。 2 申立ての趣旨又は理由の変更は、家事審判の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 家庭裁判所は、申立ての趣旨又は理由の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨又は理由の変更により家事審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 第三款 家事審判の手続の期日 (事件の関係人の呼出し) 第五十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができる。 2 呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。 ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。 3 前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、五万円以下の過料に処する。 (裁判長の手続指揮権) 第五十二条 家事審判の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が家事審判の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第五十三条 家庭裁判所は、受命裁判官に家事審判の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第六十一条第三項の規定又は第六十四条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第五十四条 家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 家事審判の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第五十五条 家事審判の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、家事審判事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。 第四款 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第五十六条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び審判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第五十七条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (家庭裁判所調査官による事実の調査) 第五十八条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。 4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。 (家庭裁判所調査官の期日への立会い等) 第五十九条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、家事審判の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。 2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。 3 家庭裁判所は、家事審判事件の処理に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 4 急迫の事情があるときは、裁判長が、前項の措置をとらせることができる。 (裁判所技官による診断等) 第六十条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 2 第五十八条第二項から第四項までの規定は前項の診断について、前条第一項及び第二項の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について準用する。 (事実の調査の嘱託等) 第六十一条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (調査の嘱託等) 第六十二条 家庭裁判所は、必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (事実の調査の通知) 第六十三条 家庭裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による家事審判の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (証拠調べ) 第六十四条 家事審判の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百七条第二項、第二百八条、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第二百二十九条第四項の規定を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 3 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 一 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。 二 書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 4 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 一 正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。 二 対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 三 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。 5 家庭裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、家事審判の手続の期日に出頭することを命ずることができる。 6 民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。 第五款 家事審判の手続における子の意思の把握等 第六十五条 家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 第六款 家事調停をすることができる事項についての家事審判の手続の特則 (合意管轄) 第六十六条 別表第二に掲げる事項についての審判事件は、この法律の他の規定により定める家庭裁判所のほか、当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 (家事審判の申立書の写しの送付等) 第六十七条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、家事審判の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事審判の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事審判の申立てがあったことを通知することをもって、家事審判の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は、前項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について準用する。 3 裁判長は、第一項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 4 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (陳述の聴取) 第六十八条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。 2 前項の規定による陳述の聴取は、当事者の申出があるときは、審問の期日においてしなければならない。 (審問の期日) 第六十九条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。 ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。 (事実の調査の通知) 第七十条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続において、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (審理の終結) 第七十一条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。 ただし、当事者双方が立ち会うことができる家事審判の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。 (審判日) 第七十二条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、審判をする日を定めなければならない。 第七款 審判等 (審判) 第七十三条 家庭裁判所は、家事審判事件が裁判をするのに熟したときは、審判をする。 2 家庭裁判所は、家事審判事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について審判をすることができる。 手続の併合を命じた数個の家事審判事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (審判の告知及び効力の発生等) 第七十四条 審判は、特別の定めがある場合を除き、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の審判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 審判(申立てを却下する審判を除く。)は、特別の定めがある場合を除き、審判を受ける者(審判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 ただし、即時抗告をすることができる審判は、確定しなければその効力を生じない。 3 申立てを却下する審判は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。 4 審判は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 5 審判の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (審判の執行力) 第七十五条 金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 (審判の方式及び審判書) 第七十六条 審判は、審判書を作成してしなければならない。 ただし、即時抗告をすることができない審判については、家事審判の申立書又は調書に主文を記載することをもって、審判書の作成に代えることができる。 2 審判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由の要旨 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第七十七条 審判に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 審判に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (審判の取消し又は変更) 第七十八条 家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、次に掲げる審判を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。 一 申立てによってのみ審判をすべき場合において申立てを却下した審判 二 即時抗告をすることができる審判 2 審判が確定した日から五年を経過したときは、家庭裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。 ただし、事情の変更によりその審判を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、第一項の規定により審判の取消し又は変更をする場合には、その審判における当事者及びその他の審判を受ける者の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の規定による取消し又は変更の審判に対しては、取消し後又は変更後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (審判に関する民事訴訟法の準用) 第七十九条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、審判について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「審判が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (外国裁判所の家事事件についての確定した裁判の効力) 第七十九条の二 外国裁判所の家事事件についての確定した裁判(これに準ずる公的機関の判断を含む。)については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第百十八条の規定を準用する。 (中間決定) 第八十条 家庭裁判所は、審判の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (審判以外の裁判) 第八十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続においては、審判をする場合を除き、決定で裁判をする。 この場合には、第七十三条から第七十九条まで(第七十四条第二項ただし書、第七十六条第一項及び第七十八条第三項を除く。)の規定を準用する。 2 家事審判の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 3 審判以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。 第八款 取下げによる事件の終了 (家事審判の申立ての取下げ) 第八十二条 家事審判の申立ては、特別の定めがある場合を除き、審判があるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立ては、審判が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、申立ての取下げは、審判がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。 ただし、申立ての取下げが家事審判の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。 4 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。 同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 5 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、家事審判の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「家事審判の手続の期日」と読み替えるものとする。 (家事審判の申立ての取下げの擬制) 第八十三条 家事審判の申立人(第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合にあっては、当事者双方)が、連続して二回、呼出しを受けた家事審判の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた家事審判の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、家庭裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。 第九款 高等裁判所が第一審として行う手続 第八十四条 高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合におけるこの節の規定の適用については、同節の規定(第五十八条、第五十九条第一項から第三項まで、第六十一条第一項及び第二項並びに第六十五条の規定を除く。)中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第三十九条、第四十七条第六項、第四十九条第三項、第五十六条第二項、第六十五条、第七十二条、第七十三条、第七十四条第一項から第三項まで(第二項ただし書を除く。)、第七十五条、第七十七条第一項、第七十八条(第一項第二号及び第四項を除く。)、第七十九条、第八十条第一項、第八十一条第一項並びに第八十二条第一項及び第二項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第四十二条第二項中「審判の結果」とあるのは「審判に代わる裁判の結果」と、第五十八条第一項、第五十九条第一項から第三項まで、第六十一条第一項及び第六十五条中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、第五十八条第三項中「家庭裁判所に」とあるのは「高等裁判所に」と、第七十六条中「審判書」とあるのは「裁判書」と、同条第一項中「審判は」とあるのは「審判に代わる裁判は」と、同項ただし書中「即時抗告をすることができない審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができない審判に代わる裁判」と、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」とする。 2 第四十条及び第四十八条の規定は、高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合については、適用しない。 第二節 不服申立て 第一款 審判に対する不服申立て 第一目 即時抗告 (即時抗告をすることができる審判) 第八十五条 審判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 2 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第八十六条 審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 即時抗告の期間は、特別の定めがある場合を除き、即時抗告をする者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては申立人が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第八十七条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原審判の表示及びその審判に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による審判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第四十九条第四項及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第八十八条 審判に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 ただし、抗告審における手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められる場合には、即時抗告があったことを通知することをもって、抗告状の写しの送付に代えることができる。 2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 (陳述の聴取) 第八十九条 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の審判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原審判を取り消すことができない。 2 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 (原裁判所による更正) 第九十条 原裁判所は、審判に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その審判を更正しなければならない。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判については、更正することができない。 (抗告裁判所による裁判) 第九十一条 抗告裁判所は、即時抗告について決定で裁判をする。 2 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、家事審判事件について自ら審判に代わる裁判をしなければならない。 ただし、第九十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。 (原審の管轄違いの場合の取扱い) 第九十二条 抗告裁判所は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についての審判事件を除く。)の全部又は一部が原裁判所の管轄に属しないと認める場合には、原審判を取り消さなければならない。 ただし、原審における審理の経過、事件の性質、抗告の理由等に照らして原審判を取り消さないことを相当とする特別の事情があると認めるときは、この限りでない。 2 抗告裁判所は、家事審判事件が管轄違いであることを理由として原審判を取り消すときは、その事件を管轄権を有する家庭裁判所に移送しなければならない。 (家事審判の手続の規定及び民事訴訟法の準用等) 第九十三条 審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前節第一款から第八款までの規定(第四十条、第四十一条第四項、第四十二条第六項、第四十三条第二項、第四十四条第二項、第四十七条第八項から第十項まで、第四十八条、第四十九条第六項、第六十六条、第六十七条第四項、第七十四条第二項ただし書、第四項及び第五項、第七十六条第一項ただし書、第七十七条第三項から第五項まで、第七十八条第四項、第八十一条第三項並びに第八十三条の規定を除く。)、第四節の規定(第百五条第二項、第百十条、第百十一条及び第百十三条の規定を除く。)及び次章の規定(家庭裁判所の管轄及び即時抗告に関する規定を除く。)を準用する。 この場合において、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは、「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」と読み替えるものとする。 2 抗告裁判所は、第八十八条第一項の規定による抗告状の写しの送付及びこれに代わる即時抗告があったことの通知をすることを要しないときは、前項において準用する第七十一条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。 3 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百八条までの規定は、審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条」とあるのは「家事事件手続法第八十二条第五項及び第八十三条」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「家事事件手続法第二百九十一条」と読み替えるものとする。 第二目 特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第九十四条 家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (原裁判の執行停止) 第九十五条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。 ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十六条 第八十六条第二項、第八十七条から第八十九条まで、第九十一条第一項及び第九十三条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十七条第六項中「及び第五項」とあるのは、「から第六項まで」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十六条第一項において読み替えて準用する同法第八十七条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第二項の規定及び同法第九十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三目 許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第九十七条 高等裁判所の家事審判事件についての決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第九十四条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 ただし、その決定が家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の高等裁判所は、同項の決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第九十四条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十八条 第八十六条第二項、第八十七条(第四項及び第五項を除く。)、第八十八条、第八十九条、第九十一条第一項、第九十三条及び第九十五条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十六条第二項、第八十七条第一項、第二項第二号及び第三項、第八十八条第一項並びに第八十九条第二項中「即時抗告」とあり、第八十七条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第九十五条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第九十七条第二項の申立て」と、第八十七条第一項、第二項及び第六項、第八十八条並びに第九十三条第二項中「抗告状」とあるのは「第九十七条第二項の規定による許可の申立書」と、第九十一条第一項並びに第九十三条第一項前段、第二項及び第三項中「即時抗告」とあり、並びに第九十五条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項の規定及び同法第九十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二款 審判以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第九十九条 審判以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第百条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、家事審判事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (即時抗告期間等) 第百一条 審判以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 (審判に対する不服申立ての規定の準用) 第百二条 前款の規定(第八十五条第一項、第八十六条第一項並びに第八十八条及び第八十九条(これらの規定を第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした審判以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 第三節 再審 (再審) 第百三条 確定した審判その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により審判その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該審判その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第百四条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第四節 審判前の保全処分 (審判前の保全処分) 第百五条 本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずる審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判に代わる裁判をする。 (審判前の保全処分の申立て等) 第百六条 審判前の保全処分(前条第一項の審判及び同条第二項の審判に代わる裁判をいう。以下同じ。)の申立ては、その趣旨及び保全処分を求める事由を明らかにしてしなければならない。 2 審判前の保全処分の申立人は、保全処分を求める事由を疎明しなければならない。 3 家庭裁判所(前条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、審判前の保全処分の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、職権で、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 4 審判前の保全処分の申立ては、審判前の保全処分があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。 (陳述の聴取) 第百七条 審判前の保全処分のうち仮の地位を定める仮処分を命ずるものは、審判を受ける者となるべき者の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第百八条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、第四十七条第三項の規定にかかわらず、審判前の保全処分の事件について、当事者から同条第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、審判前の保全処分の事件における審判を受ける者となるべき者に対し、当該事件が係属したことを通知し、又は審判前の保全処分を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。 (審判) 第百九条 審判前の保全処分は、疎明に基づいてする。 2 審判前の保全処分については、第七十四条第二項ただし書の規定は、適用しない。 3 審判前の保全処分の執行及び効力は、民事保全法(平成元年法律第九十一号)その他の仮差押え及び仮処分の執行及び効力に関する法令の規定に従う。 この場合において、同法第四十五条中「仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、「本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属している家庭裁判所(当該家事審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」とする。 (即時抗告) 第百十条 審判前の保全処分(第百五条第二項の審判に代わる裁判を除く。次項において同じ。)の申立人は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 ただし、次に掲げる保全処分の申立てを却下する審判については、この限りでない。 一 第百二十六条第一項(第百三十四条第一項及び第百四十三条第一項において準用する場合を含む。)、第百五十八条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)及び第二百条第一項の規定による財産の管理者の選任又は財産の管理等に関する指示の保全処分 二 第百二十七条第一項(第百三十五条、第百四十四条、第百八十一条及び第二百二十五条第一項において準用する場合を含む。)、第百六十六条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)、第百七十四条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)、第百七十五条第三項及び第二百十五条第一項の規定による職務代行者の選任の保全処分 2 本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者は、審判前の保全処分(前項各号に掲げる保全処分を命ずる審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 (即時抗告に伴う執行停止) 第百十一条 前条第二項の規定により即時抗告が提起された場合において、原審判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原審判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、若しくは担保を立てさせないで原審判の執行の停止を命じ、又は担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 審判前の保全処分の事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、これらの処分を命ずることができる。 2 第百六条第二項及び第三項の規定は、前項の申立てについて準用する。 (審判前の保全処分の取消し) 第百十二条 審判前の保全処分が確定した後に、保全処分を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所又は審判前の保全処分をした家庭裁判所は、本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者の申立てにより又は職権で、審判前の保全処分の取消しの審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判前の保全処分の取消しの審判に代わる裁判をする。 3 第百六条並びに第百九条第一項及び第二項の規定は、第一項の審判前の保全処分の取消しの審判及び前項の裁判について準用する。 (即時抗告等) 第百十三条 前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判の申立人は、申立てを却下する審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの申立てを却下する審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 2 審判前の保全処分の申立人は、前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの審判を除く。)及び第百十五条において準用する民事保全法第三十三条の規定による原状回復の審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百十一条の規定は、前二項の規定による即時抗告に伴う執行停止について準用する。 (調書の作成) 第百十四条 裁判所書記官は、審判前の保全処分の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 審判前の保全処分の手続については、第四十六条の規定は、適用しない。 (民事保全法の準用) 第百十五条 民事保全法第四条の規定は審判前の保全処分に関する手続における担保について、同法第十四条、第十五条及び第二十条から第二十四条まで(同法第二十三条第四項を除く。)の規定は審判前の保全処分について、同法第三十三条の規定は審判前の保全処分の取消しの裁判について、同法第三十四条の規定は第百十二条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判について準用する。 第五節 戸籍の記載等の嘱託 第百十六条 裁判所書記官は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者又は登記所に対し、戸籍の記載又は後見登記等に関する法律(平成十一年法律第百五十二号)に定める登記を嘱託しなければならない。 ただし、戸籍の記載又は同法に定める登記の嘱託を要するものとして最高裁判所規則で定めるものに限る。 一 別表第一に掲げる事項についての審判又はこれに代わる裁判が効力を生じた場合 二 審判前の保全処分が効力を生じ、又は効力を失った場合 第二章 家事審判事件 第一節 成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百十七条 後見開始の審判事件(別表第一の一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条第一号において同じ。)は、成年被後見人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 成年後見に関する審判事件(別表第一の一の項から十六の二の項までの事項についての審判事件をいう。)は、後見開始の審判事件を除き、後見開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が後見開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、後見開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百十八条 次に掲げる審判事件(第一号、第四号及び第六号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 後見開始の審判事件 二 後見開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二の項の事項についての審判事件をいう。) 三 成年後見人の選任の審判事件(別表第一の三の項の事項についての審判事件をいう。) 四 成年後見人の解任の審判事件(別表第一の五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第一項において同じ。) 五 成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の六の項の事項についての審判事件をいう。) 六 成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の八の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第五項において同じ。) 七 成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の十二の項の事項についての審判事件をいう。) 八 成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(以下「郵便物等」という。)の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判事件(別表第一の十二の二の項の事項についての審判事件をいう。第百二十三条の二において「成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件」という。) 九 成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の十四の項の事項についての審判事件をいう。) 十 第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の十五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十五条第一項及び第二項において同じ。) (精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取) 第百十九条 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の精神の状況につき鑑定をしなければ、後見開始の審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 家庭裁判所は、成年被後見人の精神の状況につき医師の意見を聴かなければ、民法第十条の規定による後見開始の審判の取消しの審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (陳述及び意見の聴取) 第百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号から第三号までにあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 後見開始の審判の取消しの審判(民法第十条の規定による場合に限る。) 成年被後見人及び成年後見人 三 成年後見人又は成年後見監督人の選任の審判 成年被後見人となるべき者又は成年被後見人 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 六 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 成年後見人の選任の審判 成年後見人となるべき者 二 成年後見監督人の選任の審判 成年後見監督人となるべき者 (申立ての取下げの制限) 第百二十一条 次に掲げる申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 一 後見開始の申立て 二 民法第八百四十三条第二項の規定による成年後見人の選任の申立て 三 民法第八百四十五条の規定により選任の請求をしなければならない者による同法第八百四十三条第三項の規定による成年後見人の選任の申立て (審判の告知等) 第百二十二条 次の各号に掲げる審判は、当該各号に定める者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判は、信書の送達の事業を行う者に告知することを要しない。 この場合においては、その審判が効力を生じた時に、信書の送達の事業を行う者に通知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 後見開始の審判 民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者並びに任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号。以下「任意後見契約法」という。)第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 後見開始の審判の取消しの審判 成年後見人及び成年後見監督人 三 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 (即時抗告) 第百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 後見開始の審判 民法第七条及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 後見開始の申立てを却下する審判 申立人 三 後見開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十条に規定する者 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、成年後見監督人並びに成年被後見人及びその親族 六 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 七 成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに成年被後見人及びその親族 八 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人及びその親族 九 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 十 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の申立てを却下する審判 申立人 十一 成年被後見人の死亡後の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為についての許可の申立てを却下する審判 申立人 2 審判の告知を受ける者でない者による後見開始の審判に対する即時抗告の期間は、民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (陳述の聴取の例外) 第百二十三条の二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件においては、第八十九条第一項の規定(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)にかかわらず、抗告裁判所は、信書の送達の事業を行う者の陳述を聴くことを要しない。 (成年後見の事務の監督) 第百二十四条 家庭裁判所は、適当な者に、成年後見の事務若しくは成年被後見人の財産の状況を調査させ、又は臨時に財産の管理をさせることができる。 2 家庭裁判所は、前項の規定により調査又は管理をした者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 3 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査をさせることができる。 4 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、第一項の規定により財産を管理する者について準用する。 (管理者の改任等) 第百二十五条 家庭裁判所は、いつでも、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者を改任することができる。 2 家庭裁判所は、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者(前項の規定により改任された管理者を含む。以下この条において「財産の管理者」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、成年被後見人の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、財産の管理者に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 財産の管理者の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、財産の管理者について準用する。 7 家庭裁判所は、成年被後見人が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったときその他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、成年被後見人、財産の管理者若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 (後見開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百二十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護又は財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護若しくは財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、成年被後見人となるべき者の財産上の行為(民法第九条ただし書に規定する行為を除く。第七項において同じ。)につき、前項の財産の管理者の後見を受けることを命ずることができる。 3 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、第百七条の規定にかかわらず、その者の陳述を聴く手続を経ずに、前項の規定による審判(次項から第七項までにおいて「後見命令の審判」という。)をすることができる。 4 後見命令の審判は、第一項の財産の管理者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによって、その効力を生ずる。 5 後見命令の審判は、成年被後見人となるべき者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 6 審判の告知を受ける者でない者による後見命令の審判に対する即時抗告の期間は、第一項の財産の管理者が第四項の規定による告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 7 後見命令の審判があったときは、成年被後見人となるべき者及び第一項の財産の管理者は、成年被後見人となるべき者がした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 8 前条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、前条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「成年被後見人となるべき者」と読み替えるものとする。 (成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百二十七条 家庭裁判所は、成年後見人の解任の審判事件が係属している場合において、成年被後見人の利益のため必要があるときは、成年後見人の解任の申立てをした者の申立てにより又は職権で、成年後見人の解任についての審判が効力を生ずるまでの間、成年後見人の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による成年後見人の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される成年後見人、他の成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定は、成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第二節 保佐に関する審判事件 (管轄) 第百二十八条 保佐開始の審判事件(別表第一の十七の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被保佐人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 保佐に関する審判事件(別表第一の十七の項から三十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、保佐開始の審判事件を除き、保佐開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が保佐開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、保佐開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百二十九条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被保佐人となるべき者及び被保佐人について準用する。 一 保佐開始の審判事件 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の十八の項の事項についての審判事件をいう。) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の十九の項の事項についての審判事件をいう。) 四 保佐開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二十の項の事項についての審判事件をいう。) 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の二十一の項の事項についての審判事件をいう。) 六 保佐人の選任の審判事件(別表第一の二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 七 保佐人の解任の審判事件(別表第一の二十四の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 八 保佐監督人の選任の審判事件(別表第一の二十六の項の事項についての審判事件をいう。) 九 保佐監督人の解任の審判事件(別表第一の二十八の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 十 保佐人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の三十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十三の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 保佐の事務の監督の審判事件(別表第一の三十四の項の事項についての審判事件をいう。) (陳述及び意見の聴取) 第百三十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号、第四号及び第五号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 保佐開始の審判 被保佐人となるべき者 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人 四 保佐開始の審判の取消しの審判(民法第十四条第一項の規定による場合に限る。) 被保佐人及び保佐人 五 保佐人又は保佐監督人の選任の審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 保佐人の選任の審判 保佐人となるべき者 二 保佐監督人の選任の審判 保佐監督人となるべき者 (審判の告知) 第百三十一条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 保佐開始の審判 民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐人又は保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐人となるべき者又は保佐監督人となるべき者) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人及び保佐監督人 四 保佐開始の審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 六 保佐人に対する代理権の付与の審判 被保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐監督人となるべき者) 七 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被保佐人及び保佐監督人 (即時抗告) 第百三十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 保佐開始の審判 民法第十一条本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 保佐開始の申立てを却下する審判 申立人 三 保佐開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十四条第一項に規定する者 四 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人 五 保佐人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐人の解任の申立てを却下する審判 申立人、保佐監督人並びに被保佐人及びその親族 八 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 九 保佐監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被保佐人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐開始の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百三十三条 第百十九条の規定は被保佐人となるべき者及び被保佐人の精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取について、第百二十一条の規定は保佐開始の申立ての取下げ及び保佐人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は保佐の事務の監督について準用する。 (保佐開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百三十四条 保佐開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、保佐開始の申立てがあった場合において、被保佐人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、保佐開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被保佐人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為に限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の保佐を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「保佐命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐命令の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 保佐命令の審判があったときは、被保佐人となるべき者及び財産の管理者は、被保佐人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被保佐人となるべき者」と読み替えるものとする。 (保佐人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百三十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、保佐人の解任の審判事件又は保佐監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第三節 補助に関する審判事件 (管轄) 第百三十六条 補助開始の審判事件(別表第一の三十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被補助人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 補助に関する審判事件(別表第一の三十六の項から五十四の項までの事項についての審判事件をいう。)は、補助開始の審判事件を除き、補助開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が補助開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、補助開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百三十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被補助人となるべき者及び被補助人について準用する。 一 補助開始の審判事件 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の三十七の項の事項についての審判事件をいう。) 三 補助人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の三十八の項の事項についての審判事件をいう。) 四 補助開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十九の項の事項についての審判事件をいう。) 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の四十の項の事項についての審判事件をいう。) 六 補助人の選任の審判事件(別表第一の四十一の項の事項についての審判事件をいう。) 七 補助人の解任の審判事件(別表第一の四十三の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 八 補助監督人の選任の審判事件(別表第一の四十五の項の事項についての審判事件をいう。) 九 補助監督人の解任の審判事件(別表第一の四十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 十 補助人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の五十一の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の五十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 補助の事務の監督の審判事件(別表第一の五十三の項の事項についての審判事件をいう。) (精神の状況に関する意見の聴取) 第百三十八条 家庭裁判所は、被補助人となるべき者の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、補助開始の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第百三十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第三号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 補助開始の審判 被補助人となるべき者 二 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人 三 補助開始の審判の取消しの審判(民法第十八条第一項又は第三項の規定による場合に限る。) 被補助人及び補助人 四 補助人又は補助監督人の選任の審判 被補助人となるべき者又は被補助人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助監督人の解任の審判 補助監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 補助人の選任の審判 補助人となるべき者 二 補助監督人の選任の審判 補助監督人となるべき者 (審判の告知) 第百四十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 補助開始の審判 民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判 補助人及び補助監督人(当該審判が補助人又は補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助人となるべき者又は補助監督人となるべき者) 三 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人及び補助監督人 四 補助開始の審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 六 補助人に対する代理権の付与の審判 被補助人及び補助監督人(当該審判が補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助監督人となるべき者) 七 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被補助人及び補助監督人 (即時抗告) 第百四十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 補助開始の審判 民法第十五条第一項本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 補助開始の申立てを却下する審判 申立人 三 補助開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十八条第一項に規定する者 四 補助人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助人の解任の申立てを却下する審判 申立人、補助監督人並びに被補助人及びその親族 七 補助監督人の解任の審判 補助監督人 八 補助監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被補助人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助開始の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百四十二条 第百二十一条の規定は補助開始の申立ての取下げ及び補助人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は補助の事務の監督について準用する。 (補助開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百四十三条 補助開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、補助開始及び補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てがあった場合において、被補助人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、補助開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被補助人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為であって、当該補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てに係るものに限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の補助を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「補助命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助命令の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 補助命令の審判があったときは、被補助人となるべき者及び財産の管理者は、被補助人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被補助人となるべき者」と読み替えるものとする。 (補助人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百四十四条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、補助人の解任の審判事件又は補助監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第四節 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件 (管轄) 第百四十五条 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管理人の改任等) 第百四十六条 家庭裁判所は、いつでも、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人を改任することができる。 2 家庭裁判所は、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人及び前項の規定により改任した管理人(第四項及び第六項、次条並びに第百四十七条において「家庭裁判所が選任した管理人」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 同法第二十七条第二項の場合においては、不在者が置いた管理人に対しても、同様とする。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、不在者の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、管理人(家庭裁判所が選任した管理人及び不在者が置いた管理人をいう。次項及び第百四十七条において同じ。)に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 管理人の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、家庭裁判所が選任した管理人について準用する。 (供託等) 第百四十六条の二 家庭裁判所が選任した管理人は、不在者の財産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、不在者のために、当該金銭を不在者の財産の管理に関する処分を命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。 2 家庭裁判所が選任した管理人は、前項の規定による供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 (処分の取消し) 第百四十七条 家庭裁判所は、不在者が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったとき(家庭裁判所が選任した管理人が管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、不在者、管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、民法第二十五条第一項の規定による管理人の選任その他の不在者の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 第五節 失踪の宣告に関する審判事件 第一款 失踪の宣告の審判事件 第百四十八条 失踪の宣告の審判事件(別表第一の五十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の審判事件における不在者について準用する。 3 家庭裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号及び第四号の期間が経過しなければ、失踪の宣告の審判をすることができない。 この場合において、第二号及び第四号の期間は、民法第三十条第一項の場合にあっては三月を、同条第二項の場合にあっては一月を下ってはならない。 一 不在者について失踪の宣告の申立てがあったこと。 二 不在者は、一定の期間までにその生存の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、失踪の宣告がされること。 四 不在者の生死を知る者は、一定の期間までにその届出をすべきこと。 4 失踪の宣告の審判は、不在者に告知することを要しない。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の審判 不在者及び利害関係人 二 失踪の宣告の申立てを却下する審判 申立人 第二款 失踪の宣告の取消しの審判事件 第百四十九条 失踪の宣告の取消しの審判事件は、失踪者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の取消しの審判事件における失踪者について準用する。 3 失踪の宣告の取消しの審判は、事件の記録上失踪者の住所又は居所が判明している場合に限り、失踪者に告知すれば足りる。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の取消しの審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 失踪の宣告の取消しの申立てを却下する審判 失踪者及び利害関係人 第六節 婚姻等に関する審判事件 (管轄) 第百五十条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件(別表第二の一の項の事項についての審判事件をいう。次条第一号において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の五十八の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件(別表第二の二の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地 四 子の監護に関する処分の審判事件 子(父又は母を同じくする数人の子についての申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地 五 財産の分与に関する処分の審判事件 夫又は妻であった者の住所地 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の五の項の事項についての審判事件をいう。) 所有者の住所地 (手続行為能力) 第百五十一条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件及びこれらの審判事件を本案とする保全処分についての審判事件(いずれの審判事件においても、財産上の給付を求めるものを除く。)における当該各号に定める者について準用する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の審判事件 子 (陳述の聴取) 第百五十二条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判をする場合には、夫及び妻(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判を除く。)をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第百五十三条 第八十二条第二項の規定にかかわらず、財産の分与に関する処分の審判の申立ての取下げは、相手方が本案について書面を提出し、又は家事審判の手続の期日において陳述をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (給付命令等) 第百五十四条 家庭裁判所は、夫婦間の協力扶助に関する処分の審判において、扶助の程度若しくは方法を定め、又はこれを変更することができる。 2 家庭裁判所は、次に掲げる審判において、当事者(第二号の審判にあっては、夫又は妻)に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判 四 財産の分与に関する処分の審判 3 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判において、子の監護をすべき者の指定又は変更、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項の定めをする場合には、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 4 家庭裁判所は、離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 (共有財産の分割) 第百五十五条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判とともに共有財産の分割に関する処分の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、共有財産の分割の方法として、一方の婚姻の当事者に他方の婚姻の当事者に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (即時抗告) 第百五十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 四 子の監護に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 五 財産の分与に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫又は妻であった者 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判 婚姻の当事者(民法第七百五十一条第二項において準用する同法第七百六十九条第二項の規定による場合にあっては、生存配偶者)その他の利害関係人 (婚姻等に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百五十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分 二 婚姻費用の分担に関する処分 三 子の監護に関する処分 四 財産の分与に関する処分 2 家庭裁判所は、前項第三号に掲げる事項について仮の地位を定める仮処分(子の監護に要する費用の分担に関する仮処分を除く。)を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件を本案とする保全処分) 第百五十八条 家庭裁判所は、夫婦の一方から夫婦財産契約による財産の管理者の変更の申立てがあった場合において、他の一方の管理する申立人所有の財産又は共有財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、当該財産の管理者の変更の申立てについての審判(共有財産の分割に関する処分の申立てがあった場合にあっては、その申立てについての審判)が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、他の一方の管理する申立人所有の財産若しくは共有財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は夫婦の他の一方の申立てにより、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「管理に係る財産」と読み替えるものとする。 第七節 親子に関する審判事件 第一款 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件 第百五十九条 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件は、子の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件における父及び民法第七百七十四条第四項に規定する前夫について準用する。 3 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二款 子の氏の変更についての許可の審判事件 第百六十条 子の氏の変更についての許可の審判事件(別表第一の六十の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、子(父又は母を同じくする数人の子についての子の氏の変更についての許可の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、子の氏の変更についての許可の審判事件における子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 子の氏の変更についての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第三款 養子縁組をするについての許可の審判事件 第百六十一条 養子縁組をするについての許可の審判事件は、養子となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、養子縁組をするについての許可の審判事件における養親となるべき者及び養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 ただし、養子となるべき者については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者及び養子となるべき者の未成年後見人 4 養子縁組をするについての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第四款 死後離縁をするについての許可の審判事件 第百六十二条 死後離縁をするについての許可の審判事件は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、死後離縁をするについての許可の審判事件における養親及び養子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子の死後に死後離縁をするについての許可の申立てがあった場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、養子を代襲して養親の相続人となるべき者に対し、その旨を通知するものとする。 ただし、事件の記録上その者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 死後離縁をするについての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 死後離縁をするについての許可の申立てを却下する審判 申立人 第五款 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百六十三条 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の六の項の事項についての審判事件をいう。)は、その所有者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 離縁の当事者その他の利害関係人は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第六款 特別養子縁組に関する審判事件 (特別養子縁組の成立の審判事件) 第百六十四条 特別養子縁組の成立の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 養子となるべき者は、特別養子適格の確認(養子となるべき者について民法第八百十七条の六に定める要件があること及び同法第八百十七条の七に規定する父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合に該当することについての確認をいう。以下この条及び次条において同じ。)の審判(申立人の同条第一項の規定による申立てによりされたものに限る。)を受けた者又は児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判(特別養子縁組の成立の申立ての日の六箇月前の日以後に確定したものに限る。)を受けた者でなければならない。 3 養子となるべき者の親権者(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。以下この項において同じ。)及びその親権者に対し親権を行う者は、特別養子縁組の成立の審判事件において養子となるべき者を代理して手続行為をすることができない。 4 養子となるべき者の父母(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。第十項において同じ。)は、第四十二条第一項及び第三項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判事件の手続に参加することができない。 5 第百十八条の規定は、特別養子縁組の成立の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方について準用する。 6 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者(養子となるべき者の父母及び養子となるべき者の親権者に対し親権を行う者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 7 特別養子適格の確認の審判(児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判を含む。以下この項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の審判事件の係属する裁判所を拘束する。 この場合において、特別養子適格の確認の審判は、特別養子縁組の成立の審判事件との関係においては、特別養子縁組の成立の審判をする時においてしたものとみなす。 8 特別養子縁組の成立の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第二号に掲げる者に告知しなければならない。 9 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 ただし、養子となるべき者が十五歳に達している場合は、この限りでない。 10 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の父母に告知することを要しない。 ただし、住所又は居所が知れている父母に対しては、審判をした日及び審判の主文を通知しなければならない。 11 家庭裁判所は、第二項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判を、特別養子適格の確認の審判と同時にすることができる。 この場合においては、特別養子縁組の成立の審判は、特別養子適格の確認の審判が確定するまでは、確定しないものとする。 12 家庭裁判所は、前項前段の場合において、特別養子適格の確認の審判を取り消す裁判が確定したときは、職権で、特別養子縁組の成立の審判を取り消さなければならない。 13 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、確定しないものとする。 この場合においては、家庭裁判所は、職権で、その審判を取り消さなければならない。 14 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の成立の審判 養子となるべき者及び第六項第二号に掲げる者 二 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判 申立人 15 養子となるべき者(十五歳未満のものに限る。)による特別養子縁組の成立の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子適格の確認の審判事件) 第百六十四条の二 家庭裁判所は、養親となるべき者の申立てにより、その者と養子となるべき者との間における縁組について、特別養子適格の確認の審判をすることができる。 ただし、養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過する日まで及び養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、この限りでない。 2 特別養子適格の確認の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 特別養子適格の確認の申立ては、特別養子縁組の成立の申立てと同時にしなければならない。 4 第百十八条の規定は、特別養子適格の確認の審判事件における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び養子となるべき者の父母について準用する。 5 民法第八百十七条の六本文の同意は、次の各号のいずれにも該当する場合には、撤回することができない。 ただし、その同意をした日から二週間を経過する日までは、この限りでない。 一 養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過した後にされたものであること。 二 次のいずれかに該当するものであること。 イ 家庭裁判所調査官による事実の調査を経た上で家庭裁判所に書面を提出してされたものであること。 ロ 審問の期日においてされたものであること。 6 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第二号に掲げる者の同意がないにもかかわらずその審判をするときは、その者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者の父母 三 養子となるべき者に対し親権を行う者(前号に掲げる者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 四 養子となるべき者の父母に対し親権を行う者及び養子となるべき者の父母の後見人 7 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てに係る特別養子適格の確認の申立てを却下しなければならない。 8 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の申立てを却下する審判をする場合には、第六項第二号及び第三号に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 9 特別養子適格の確認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第三号及び第四号に掲げる者に告知しなければならない。 10 特別養子適格の確認の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 11 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合において、第六項第二号に掲げる者を特定することができないときは、同号及び同項第四号に掲げる者の陳述を聴くこと並びにこれらの者にその審判を告知することを要しない。 12 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子適格の確認の審判 養子となるべき者及び第六項第二号から第四号までに掲げる者 二 特別養子適格の確認の申立てを却下する審判 申立人 13 養子となるべき者による特別養子適格の確認の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 14 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てによる特別養子適格の確認の審判は、その効力を失う。 (特別養子縁組の離縁の審判事件) 第百六十五条 特別養子縁組の離縁の審判事件は、養親の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、特別養子縁組の離縁の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親、養子及びその実父母について準用する。 3 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号から第三号までに掲げる者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子(十五歳以上のものに限る。) 二 養親 三 養子の実父母 四 養子に対し親権を行う者(第二号に掲げる者を除く。)及び養子の後見人 五 養親の後見人 六 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 4 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子の実父母(申立人を除く。) 二 養子に対し親権を行う者及び養子の後見人 三 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 5 特別養子縁組の離縁の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第三項第四号から第六号までに掲げる者に告知しなければならない。 6 特別養子縁組の離縁の審判は、養子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して養子の利益を害すると認める場合には、養子に告知することを要しない。 7 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の離縁の審判 養子、養親、養子の実父母、養子に対し親権を行う者で養親でないもの、養子の後見人、養親の後見人、養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 二 特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判 申立人 8 養子による特別養子縁組の離縁の審判に対する即時抗告の期間は、養子以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子縁組の成立の審判事件等を本案とする保全処分) 第百六十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の申立てがあった場合において、養子となるべき者の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別養子縁組の成立の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、申立人を養子となるべき者の監護者に選任し、又は養子となるべき者の親権者若しくは未成年後見人の職務の執行を停止し、若しくはその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者若しくは未成年後見人、養子となるべき者に対し親権を行う者若しくは他の未成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、養子となるべき者の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定(養子となるべき者の監護者を選任する保全処分に関する部分を除く。)は、特別養子縁組の離縁の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第八節 親権に関する審判事件 (管轄) 第百六十七条 親権に関する審判事件は、子(父又は母を同じくする数人の子についての親権者の指定若しくは変更又は第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百六十八条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件(第三号及び第七号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における当該各号に定める者について準用する。 一 子に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の六十五の項の事項についての審判事件をいう。) 子 二 第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の六十六の項の事項についての審判事件をいう。第百七十三条において同じ。) 子 三 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件(別表第一の六十七の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判事件(別表第一の六十八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 五 親権又は管理権を辞し、又は回復するについての許可の審判事件(別表第一の六十九の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 六 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判事件(別表第二の七の項の事項についての審判事件をいう。) 養子、その父母及び養親 七 親権者の指定又は変更の審判事件(別表第二の八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 (陳述の聴取) 第百六十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号に掲げる子の親権者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子(十五歳以上のものに限る。)及び子の親権者 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者、子の未成年後見人及び親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者 三 親権又は管理権を辞するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。) 四 親権又は管理権を回復するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 2 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (審判の告知) 第百七十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 ただし、子にあっては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 (引渡命令等) 第百七十一条 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判において、当事者に対し、子の引渡し又は財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百七十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号から第三号まで及び第五号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 親権喪失の審判 親権を喪失する者及びその親族 二 親権停止の審判 親権を停止される者及びその親族 三 管理権喪失の審判 管理権を喪失する者及びその親族 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てを却下する審判 申立人、子及びその親族、未成年後見人並びに未成年後見監督人 五 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子及びその親族、子に対し親権を行う者、未成年後見人並びに未成年後見監督人 六 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人並びに親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者及びその親族 七 親権又は管理権を回復するについての許可の申立てを却下する審判 申立人 八 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判 養子の父母及び養子の監護者 九 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の申立てを却下する審判 申立人、養子の父母及び養子の監護者 十 親権者の指定又は変更の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 2 次の各号に掲げる即時抗告の期間は、当該各号に定める日から進行する。 一 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失する者が審判の告知を受けた日 二 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者が審判の告知を受けた日 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第百七十三条 第百二十五条の規定は、第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 (親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件を本案とする保全処分) 第百七十四条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があると認めるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 (親権者の指定又は変更の審判事件を本案とする保全処分) 第百七十五条 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の審判を本案とする仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 2 前項の規定により仮の地位の仮処分を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 4 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 5 家庭裁判所は、いつでも、第三項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 6 家庭裁判所は、第三項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第九節 未成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百七十六条 未成年後見に関する審判事件(別表第一の七十の項から八十三の項までの事項についての審判事件をいう。)は、未成年被後見人(養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百七十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第三号及び第五号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における未成年被後見人(第一号の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者及び養親)について準用する。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件 二 未成年後見人の選任の審判事件 三 未成年後見人の解任の審判事件(別表第一の七十三の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 四 未成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の七十四の項の事項についての審判事件をいう。) 五 未成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の七十六の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 六 未成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の七十九の項の事項についての審判事件をいう。) 七 未成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の八十一の項の事項についての審判事件をいう。) 八 第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十二の項の事項についての審判事件をいう。第百八十条において同じ。) (陳述及び意見の聴取) 第百七十八条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 未成年後見人又は未成年後見監督人の選任の審判 未成年被後見人(十五歳以上のものに限る。) 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者又は未成年後見人の選任 未成年後見人となるべき者 二 未成年後見監督人の選任 未成年後見監督人となるべき者 (即時抗告) 第百七十九条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、未成年後見監督人並びに未成年被後見人及びその親族 四 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 五 未成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに未成年被後見人及びその親族 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百八十条 第百二十一条の規定は未成年後見人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は未成年後見の事務の監督について、第百二十五条の規定は第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十一条第二号中「第八百四十三条第二項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第一項の規定による未成年後見人」と、同条第三号中「第八百四十三条第三項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第二項の規定による未成年後見人」と読み替えるものとする。 (未成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百八十一条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、未成年後見人の解任の審判事件又は未成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第十節 扶養に関する審判事件 (管轄) 第百八十二条 扶養義務の設定の審判事件(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者となるべき者(数人についての扶養義務の設定の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務の設定の取消しの審判事件(別表第一の八十五の項の事項についての審判事件をいう。)は、その扶養義務の設定の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所がその扶養義務の設定の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(別表第二の九の項の事項についての審判事件をいう。)並びに扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(同表の十の項の事項についての審判事件をいう。)は、相手方(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (申立ての特則) 第百八十三条 扶養義務の設定の申立ては、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第二十三条の二第二項第四号の規定による保護者の選任の申立てと一の申立てによりするときは、同法第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所にもすることができる。 (陳述の聴取) 第百八十四条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者 二 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者 (給付命令) 第百八十五条 家庭裁判所は、扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百八十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者(申立人を除く。) 二 扶養義務の設定の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者(申立人を除く。) 四 扶養義務の設定の取消しの申立てを却下する審判 申立人 五 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 六 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 (扶養に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百八十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消し 二 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消し 第十一節 推定相続人の廃除に関する審判事件 (推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の取消しの審判事件) 第百八十八条 推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 ただし、これらの審判事件が被相続人の死亡後に申し立てられた場合にあっては、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、前項に規定する審判事件における被相続人について準用する。 3 家庭裁判所は、推定相続人の廃除の審判事件においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、廃除を求められた推定相続人の陳述を聴かなければならない。 この場合における陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 4 推定相続人の廃除の審判事件における手続については、申立人及び廃除を求められた推定相続人を当事者とみなして、第六十七条及び第六十九条から第七十二条までの規定を準用する。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 推定相続人の廃除の審判 廃除された推定相続人 二 推定相続人の廃除又はその審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人 (遺産の管理に関する処分の審判事件) 第百八十九条 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件は、推定相続人の廃除の審判事件又は推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件が係属している家庭裁判所(その審判事件が係属していない場合にあっては相続が開始した地を管轄する家庭裁判所、その審判事件が抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所)の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項までの規定は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理人について準用する。 この場合において、同条第一項、第二項及び第四項中「家庭裁判所」とあるのは「推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所」と、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは「遺産」と読み替えるものとする。 3 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判が確定したときは、廃除を求められた推定相続人、前項の管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、その処分の取消しの裁判をしなければならない。 第十二節 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百九十条 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の十一の項の事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 相続人その他の利害関係人は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十二節の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件 第百九十条の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項まで、第百四十六条の二及び第百四十七条の規定は、相続財産の保存に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十三節 遺産の分割に関する審判事件 (管轄) 第百九十一条 遺産の分割に関する審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判事件(別表第二の十二の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)が係属している場合における寄与分を定める処分の審判事件(同表の十四の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)は、当該遺産の分割の審判事件が係属している裁判所の管轄に属する。 (手続の併合等) 第百九十二条 遺産の分割の審判事件及び寄与分を定める処分の審判事件が係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 数人からの寄与分を定める処分の審判事件が係属するときも、同様とする。 (寄与分を定める処分の審判の申立ての期間の指定) 第百九十三条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判の手続において、一月を下らない範囲内で、当事者が寄与分を定める処分の審判の申立てをすべき期間を定めることができる。 2 家庭裁判所は、寄与分を定める処分の審判の申立てが前項の期間を経過した後にされたときは、当該申立てを却下することができる。 3 家庭裁判所は、第一項の期間を定めなかった場合においても、当事者が時機に後れて寄与分を定める処分の申立てをしたことにつき、申立人の責めに帰すべき事由があり、かつ、申立てに係る寄与分を定める処分の審判の手続を併合することにより、遺産の分割の審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、その申立てを却下することができる。 (遺産の換価を命ずる裁判) 第百九十四条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、相続人に対し、遺産の全部又は一部を競売して換価することを命ずることができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があり、かつ、相当と認めるときは、相続人の意見を聴き、相続人に対し、遺産の全部又は一部について任意に売却して換価することを命ずることができる。 ただし、共同相続人中に競売によるべき旨の意思を表示した者があるときは、この限りでない。 3 前二項の規定による裁判(以下この条において「換価を命ずる裁判」という。)が確定した後に、その換価を命ずる裁判の理由の消滅その他の事情の変更があるときは、家庭裁判所は、相続人の申立てにより又は職権で、これを取り消すことができる。 4 換価を命ずる裁判は、第八十一条第一項において準用する第七十四条第一項に規定する者のほか、遺産の分割の審判事件の当事者に告知しなければならない。 5 相続人は、換価を命ずる裁判に対し、即時抗告をすることができる。 6 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判をする場合において、第二百条第一項の財産の管理者が選任されていないときは、これを選任しなければならない。 7 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判により換価を命じられた相続人に対し、遺産の中から、相当な報酬を与えることができる。 8 第百二十五条の規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第六項の規定により選任した財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 (債務を負担させる方法による遺産の分割) 第百九十五条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (給付命令) 第百九十六条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (遺産の分割の禁止の審判の取消し及び変更) 第百九十七条 家庭裁判所は、事情の変更があるときは、相続人の申立てにより、いつでも、遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判をすることができる。 この申立てに係る審判事件は、別表第二に掲げる事項についての審判事件とみなす。 (即時抗告) 第百九十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺産の分割の審判及びその申立てを却下する審判 相続人 二 遺産の分割の禁止の審判 相続人 三 遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判 相続人 四 寄与分を定める処分の審判 相続人 五 寄与分を定める処分の申立てを却下する審判 申立人 2 第百九十二条前段の規定により審判が併合してされたときは、寄与分を定める処分の審判又はその申立てを却下する審判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 3 第百九十二条後段の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (申立ての取下げの制限) 第百九十九条 第百五十三条の規定は、遺産の分割の審判の申立ての取下げについて準用する。 2 第八十二条第二項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分) 第二百条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。次項及び第三項において同じ。)は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、遺産の分割の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。 ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。 4 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 第十四節 相続の承認及び放棄に関する審判事件 第二百一条 相続の承認及び放棄に関する審判事件(別表第一の九十の項から九十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、限定承認の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十三の項の事項についての審判事件をいう。)は、限定承認の申述を受理した家庭裁判所(抗告裁判所が受理した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 家庭裁判所(抗告裁判所が限定承認の申述を受理した場合にあっては、その裁判所)は、相続人が数人ある場合において、限定承認の申述を受理したときは、職権で、民法第九百三十六条第一項の規定により相続財産の清算人を選任しなければならない。 4 第百十八条の規定は、限定承認又は相続の放棄の取消しの申述の受理の審判事件(別表第一の九十一の項の事項についての審判事件をいう。)における限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者について準用する。 5 限定承認及びその取消し並びに相続の放棄及びその取消しの申述は、次に掲げる事項を記載した申述書を家庭裁判所に提出してしなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 限定承認若しくはその取消し又は相続の放棄若しくはその取消しをする旨 6 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条の規定は、前項の申述について準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百一条第五項」と読み替えるものとする。 7 家庭裁判所は、第五項の申述の受理の審判をするときは、申述書にその旨を記載しなければならない。 この場合において、当該審判は、申述書にその旨を記載した時に、その効力を生ずる。 8 前項の審判については、第七十六条の規定は、適用しない。 9 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 相続の承認又は放棄をすべき期間の伸長の申立てを却下する審判 申立人 二 限定承認又は相続の放棄の取消しの申述を却下する審判 限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者 三 限定承認又は相続の放棄の申述を却下する審判 申述人 第十五節 財産分離に関する審判事件 第二百二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める裁判所の管轄に属する。 一 財産分離の審判事件(別表第一の九十六の項の事項についての審判事件をいう。次号において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件 財産分離の審判事件が係属している家庭裁判所(抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所、財産分離の裁判確定後にあっては財産分離の審判事件が係属していた家庭裁判所) 三 財産分離の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十八の項の事項についての審判事件をいう。) 財産分離の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が財産分離の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所) 2 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 財産分離の審判 相続人 二 民法第九百四十一条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続債権者及び受遺者 三 民法第九百五十条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続人の債権者 3 第百二十五条の規定は、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十六節 相続人の不存在に関する審判事件 (管轄) 第二百三条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。 一 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 相続人の不存在の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百の項の事項についての審判事件をいう。) 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件において相続財産の清算人の選任の審判をした家庭裁判所 三 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件(別表第一の百一の項の事項についての審判事件をいう。次条第二項及び第二百七条において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 (特別縁故者に対する相続財産の分与の審判) 第二百四条 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判は、民法第九百五十二条第二項の期間の満了後三月を経過した後にしなければならない。 2 同一の相続財産に関し特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件が数個同時に係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 (意見の聴取) 第二百五条 家庭裁判所は、特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判をする場合には、民法第九百五十二条第一項の規定により選任し、又は第二百八条において準用する第百二十五条第一項の規定により改任した相続財産の清算人(次条及び第二百七条において単に「相続財産の清算人」という。)の意見を聴かなければならない。 (即時抗告) 第二百六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判 申立人及び相続財産の清算人 二 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てを却下する審判 申立人 2 第二百四条第二項の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人又は相続財産の清算人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (相続財産の換価を命ずる裁判) 第二百七条 第百九十四条第一項、第二項本文、第三項から第五項まで及び第七項の規定は、特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件について準用する。 この場合において、同条第一項及び第七項中「相続人」とあり、並びに同条第二項中「相続人の意見を聴き、相続人」とあるのは「相続財産の清算人」と、同条第三項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人若しくは相続財産の清算人」と、同条第四項中「当事者」とあるのは「申立人」と、同条第五項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人及び相続財産の清算人」と読み替えるものとする。 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第二百八条 第百二十五条の規定は、相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十七節 遺言に関する審判事件 (管轄) 第二百九条 遺言に関する審判事件(別表第一の百二の項から百八の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続を開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺言の確認の審判事件は、遺言者の生存中は、遺言者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者及び負担の利益を受けるべき者 2 家庭裁判所は、遺言執行者の選任の審判をする場合には、遺言執行者となるべき者の意見を聴かなければならない。 (調書の作成) 第二百十一条 裁判所書記官は、遺言書の検認について、調書を作成しなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百十二条 遺言の確認又は遺言書の検認の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百十三条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 相続人 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 負担の利益を受けるべき者 (即時抗告) 第二百十四条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺言の確認の審判 利害関係人 二 遺言の確認の申立てを却下する審判 遺言に立ち会った証人及び利害関係人 三 遺言執行者の選任の申立てを却下する審判 利害関係人 四 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 五 遺言執行者の解任の申立てを却下する審判 利害関係人 六 遺言執行者の辞任についての許可の申立てを却下する審判 申立人 七 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者その他の利害関係人(申立人を除く。) 八 負担付遺贈に係る遺言の取消しの申立てを却下する審判 相続人 (遺言執行者の解任の審判事件を本案とする保全処分) 第二百十五条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、遺言執行者の解任の申立てがあった場合において、遺言の内容の実現のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、遺言執行者の解任の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、遺言執行者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による遺言執行者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される遺言執行者、他の遺言執行者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、相続財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第十八節 遺留分に関する審判事件 第二百十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 遺留分を算定するための財産の価額を定める場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百九の項の事項についての審判事件をいう。) 相続が開始した地 二 遺留分の放棄についての許可の審判事件 被相続人の住所地 2 遺留分の放棄についての許可の申立てをした者は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十八節の二 特別の寄与に関する審判事件 (管轄) 第二百十六条の二 特別の寄与に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (給付命令) 第二百十六条の三 家庭裁判所は、特別の寄与に関する処分の審判において、当事者に対し、金銭の支払を命ずることができる。 (即時抗告) 第二百十六条の四 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別の寄与に関する処分の審判 申立人及び相手方 二 特別の寄与に関する処分の申立てを却下する審判 申立人 (特別の寄与に関する審判事件を本案とする保全処分) 第二百十六条の五 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、特別の寄与に関する処分についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は申立人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別の寄与に関する処分の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 第十九節 任意後見契約法に規定する審判事件 (管轄) 第二百十七条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件(別表第一の百十一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条において同じ。)は、任意後見契約法第二条第二号の本人(以下この節において単に「本人」という。)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 任意後見契約法に規定する審判事件(別表第一の百十一の項から百二十一の項までの事項についての審判事件をいう。)は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件を除き、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が当該任意後見監督人を選任した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百十八条 第百十八条の規定は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件における本人について準用する。 (精神の状況に関する意見の聴取) 第二百十九条 家庭裁判所は、本人の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、本人については、本人の心身の障害により本人の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判並びに任意後見監督人が欠けた場合及び任意後見監督人を更に選任する場合における任意後見監督人の選任の審判 本人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見人の解任の審判 任意後見人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 2 家庭裁判所は、前項第一号に掲げる審判をする場合には、任意後見監督人となるべき者の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をする場合には、任意後見契約の効力が生ずることについて、任意後見受任者の意見を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百二十一条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任及び任意後見監督人が欠けた場合における任意後見監督人の選任の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百二十二条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判 本人及び任意後見受任者 二 後見開始の審判等の取消しの審判 後見開始の審判の取消しの審判にあっては成年後見人及び成年後見監督人、保佐開始の審判の取消しの審判にあっては保佐人及び保佐監督人並びに補助開始の審判の取消しの審判にあっては補助人及び補助監督人 三 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見監督人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人、任意後見人及び任意後見監督人 (即時抗告) 第二百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第四号及び第六号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに本人及びその親族 四 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見人 五 任意後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、任意後見監督人並びに本人及びその親族 六 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 七 任意後見契約の解除についての許可の申立てを却下する審判 申立人 (任意後見監督人の事務の調査) 第二百二十四条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に任意後見監督人の事務を調査させることができる。 (任意後見監督人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第二百二十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、任意後見監督人の解任の審判事件(別表第一の百十七の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 2 第百二十七条第一項及び第二項の規定は、任意後見人の解任の審判事件(別表第一の百二十の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 この場合において、同条第一項中「停止し、又はその職務代行者を選任する」とあるのは「停止する」と、同条第二項中「同項の規定により選任した職務代行者」とあるのは「任意後見監督人」と読み替えるものとする。 第二十節 戸籍法に規定する審判事件 (管轄) 第二百二十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 氏若しくは名の変更又は氏の振り仮名若しくは名の振り仮名の変更についての許可の審判事件(別表第一の百二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 申立人の住所地 二 就籍許可の審判事件(別表第一の百二十三の項の事項についての審判事件をいう。) 就籍しようとする地 三 戸籍の訂正についての許可の審判事件(別表第一の百二十四の項の事項についての審判事件をいう。) その戸籍のある地 四 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件(別表第一の百二十五の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。) 市役所(戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第四条において準用する同法第百二十二条の規定による場合にあっては、区役所)又は町村役場の所在地 (手続行為能力) 第二百二十七条 第百十八条の規定は、戸籍法に規定する審判事件(別表第一の百二十二の項から百二十五の項までの事項についての審判事件をいう。)における当該審判事件の申立てをすることができる者について準用する。 ただし、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件においては、当該処分を受けた届出その他の行為を自らすることができる場合に限る。 (事件係属の通知) 第二百二十八条 家庭裁判所は、戸籍法第百十三条の規定による戸籍の訂正についての許可の申立てが当該戸籍の届出人又は届出事件の本人以外の者からされた場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該届出人又は届出事件の本人に対し、その旨を通知しなければならない。 ただし、事件の記録上これらの者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十九条 家庭裁判所は、氏又は氏の振り仮名の変更についての許可の審判をする場合には、申立人と同一戸籍内にある者(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区長又は総合区長とする。以下この節において同じ。)の処分に対する不服の申立てがあった場合には、当該市町村長の意見を聴かなければならない。 (審判の告知等) 第二百三十条 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該市町村長に告知しなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを理由があると認めるときは、当該市町村長に対し、相当の処分を命じなければならない。 (即時抗告) 第二百三十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 氏又は氏の振り仮名の変更についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 氏若しくは名の変更又は氏の振り仮名若しくは名の振り仮名の変更についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 就籍許可の申立てを却下する審判 申立人 四 戸籍の訂正についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 五 戸籍の訂正についての許可の申立てを却下する審判 申立人 六 前条第二項の規定による市町村長に相当の処分を命ずる審判 当該市町村長 七 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判 申立人 第二十一節 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に規定する審判事件 第二百三十二条 性別の取扱いの変更の審判事件(別表第一の百二十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、性別の取扱いの変更の審判事件における申立人について準用する。 3 性別の取扱いの変更の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二十二節 厚生年金保険法に規定する審判事件 第二百三十三条 請求すべき 按 あん 分割合に関する処分の審判事件(別表第二の十六の項の事項についての審判事件をいう。)は、申立人又は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 申立人及び相手方は、請求すべき按分割合に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 請求すべき按分割合に関する処分の審判の手続については、第六十八条第二項の規定は、適用しない。 第二十三節 児童福祉法に規定する審判事件 (管轄) 第二百三十四条 都道府県の措置についての承認の審判事件(別表第一の百二十七の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件(同表の百二十八の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)、児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件(同表の百二十八の二の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)及び児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件(同表の百二十八の三の項の事項についての審判事件をいう。以下この節において同じ。)は、児童の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百三十五条 第百十八条の規定は、都道府県の措置についての承認の審判事件、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件及び児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件における児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者、児童の未成年後見人及び児童並びに児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件における児童及びその父母について準用する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百三十六条 家庭裁判所は、都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、前条に規定する者(児童にあっては、十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 前項の場合において、家庭裁判所は、申立人に対し、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人の陳述に関する意見を求めることができる。 3 第百六十四条の二第六項及び第八項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (審判の告知) 第二百三十七条 都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人に告知しなければならない。 2 第百六十四条の二第九項から第十一項までの規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (即時抗告) 第二百三十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 都道府県の措置についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 二 都道府県の措置についての承認の申立てを却下する審判 申立人 三 都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 四 都道府県の措置の期間の更新についての承認の申立てを却下する審判 申立人 五 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 六 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てを却下する審判 申立人 2 第百六十四条の二第十二項及び第十三項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判の特則) 第二百三十九条 家庭裁判所は、児童の出生の日から二箇月を経過する日まで及び児童が十八歳に達した日以後は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判をすることができない。 2 第百六十四条の二第五項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 第二十四節 生活保護法等に規定する審判事件 第二百四十条 施設への入所等についての許可の審判事件(別表第一の百二十九の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。)は、被保護者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判事件(別表第二の十七の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 第百十八条の規定は、施設への入所等についての許可の審判事件における被保護者、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人について準用する。 4 家庭裁判所は、施設への入所等についての許可の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、被保護者(十五歳以上のものに限る。)、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人の陳述を聴かなければならない。 5 施設への入所等についての許可の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人に告知しなければならない。 6 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 施設への入所等についての許可の審判 被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人 二 施設への入所等についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判及びその申立てを却下する審判 申立人及び相手方 第二十五節 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に規定する審判事件 第二百四十一条 保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件(別表第一の百三十の項の事項についての審判事件をいう。第四項において同じ。)は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の意見を聴かなければならない。 一 保護者の順位の変更の審判 先順位に変更される者 二 保護者の選任の審判 保護者となるべき者 3 保護者の順位の変更又は保護者の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 4 家庭裁判所は、いつでも、保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件において選任した保護者を改任することができる。 第二十六節 破産法に規定する審判事件 第二百四十二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の百三十一の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件 子の住所地 三 破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件(別表第一の百三十三の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 相続が開始した地 2 破産管財人は、破産手続における相続の放棄の承認についての申述を却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百五十二条第一項、第百五十四条第二項(第二号に係る部分に限る。)、第百五十五条、第百五十六条(第二号に係る部分に限る。)及び第百五十八条の規定は破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件について、第百六十八条(第三号に係る部分に限る。)、第百六十九条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第百七十条(第一号に係る部分に限る。)、第百七十二条第一項(第三号及び第四号に係る部分に限る。)及び第二項(第一号に係る部分に限る。)並びに第百七十四条の規定(管理権喪失に関する部分に限る。)は親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件について、第二百一条第五項から第八項までの規定は破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件について準用する。 第二十七節 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に規定する審判事件 第二百四十三条 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判事件(別表第一の百三十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成二十年法律第三十三号)第四条第一項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第一項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第二項の旧代表者の住所地 二 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第四条第三項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第三項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第四項の旧個人事業者の住所地 2 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判は、当該合意の当事者の全員に告知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判 当該合意の当事者(申立人を除く。) 二 遺留分の算定に係る合意についての許可の申立てを却下する審判 当該合意の当事者 第三編 家事調停に関する手続 第一章 総則 第一節 通則 (調停事項等) 第二百四十四条 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。 (管轄等) 第二百四十五条 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 3 第百九十一条第二項及び第百九十二条の規定は、遺産の分割の調停事件(別表第二の十二の項の事項についての調停事件をいう。)及び寄与分を定める処分の調停事件(同表の十四の項の事項についての調停事件をいう。)について準用する。 この場合において、第百九十一条第二項中「前項」とあるのは、「第二百四十五条第一項」と読み替えるものとする。 (地方裁判所又は簡易裁判所への移送) 第二百四十六条 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件以外の事件について調停の申立てを受けた場合には、職権で、これを管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送する。 2 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について調停の申立てを受けた場合において、事件を処理するために必要があると認めるときは、職権で、事件の全部又は一部を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送することができる。 3 家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、前二項の規定にかかわらず、その事件を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所以外の地方裁判所又は簡易裁判所(事物管轄権を有するものに限る。)に移送することができる。 4 第九条第三項から第五項までの規定は、前三項の規定による移送の裁判について準用する。 (調停機関) 第二百四十七条 家庭裁判所は、調停委員会で調停を行う。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、裁判官のみで行うことができる。 2 家庭裁判所は、当事者の申立てがあるときは、前項ただし書の規定にかかわらず、調停委員会で調停を行わなければならない。 (調停委員会) 第二百四十八条 調停委員会は、裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 2 調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。 3 調停委員会の決議は、過半数の意見による。 可否同数の場合には、裁判官の決するところによる。 4 調停委員会の評議は、秘密とする。 (家事調停委員) 第二百四十九条 家事調停委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 2 家事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (家事調停官の任命等) 第二百五十条 家事調停官は、弁護士で五年以上その職にあったもののうちから、最高裁判所が任命する。 2 家事調停官は、この法律の定めるところにより、家事調停事件の処理に必要な職務を行う。 3 家事調停官は、任期を二年とし、再任されることができる。 4 家事調停官は、非常勤とする。 5 家事調停官は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して解任されることがない。 一 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七条各号のいずれかに該当するに至ったとき。 二 心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。 三 職務上の義務違反その他家事調停官たるに適しない非行があると認められたとき。 6 この法律に定めるもののほか、家事調停官の任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 (家事調停官の権限等) 第二百五十一条 家事調停官は、家庭裁判所の指定を受けて、家事調停事件を取り扱う。 2 家事調停官は、その取り扱う家事調停事件の処理について、この法律において家庭裁判所、裁判官又は裁判長が行うものとして定める家事調停事件の処理に関する権限を行うことができる。 3 家事調停官は、独立してその職権を行う。 4 家事調停官は、その権限を行うについて、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び医師である裁判所技官に対し、その職務に関し必要な命令をすることができる。 この場合において、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第六十条第五項の規定は、家事調停官の命令を受けた裁判所書記官について準用する。 5 家事調停官には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (手続行為能力) 第二百五十二条 次の各号に掲げる調停事件(第一号及び第二号にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)において、当該各号に定める者は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の調停事件(別表第二の一の項の事項についての調停事件をいう。) 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の調停事件(別表第二の三の項の事項についての調停事件をいう。) 子 三 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の調停事件(別表第二の七の項の事項についての調停事件をいう。) 養子、その父母及び養親 四 親権者の指定又は変更の調停事件(別表第二の八の項の事項についての調停事件をいう。) 子及びその父母 五 人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(第二百七十七条第一項において単に「人事に関する訴え」という。)を提起することができる事項についての調停事件 同法第十三条第一項の規定が適用されることにより訴訟行為をすることができることとなる者 2 親権を行う者又は後見人は、第十八条の規定にかかわらず、前項第一号、第三号及び第四号に掲げる調停事件(同項第一号の調停事件にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)においては、当該各号に定める者に代理して第二百六十八条第一項の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾及び第二百八十六条第八項の共同の申出をすることができない。 離婚についての調停事件における夫及び妻の後見人並びに離縁についての調停事件における養親の後見人、養子(十五歳以上のものに限る。以下この項において同じ。)に対し親権を行う者及び養子の後見人についても、同様とする。 (調書の作成) 第二百五十三条 裁判所書記官は、家事調停の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第二百五十四条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事調停事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事調停事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、家事調停事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者又は利害関係を疎明した第三者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合(第六項に規定する場合を除く。)において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 4 次に掲げる書面については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ずに、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 一 審判書その他の裁判書の正本、謄本又は抄本 二 調停において成立した合意を記載し、又は調停をしないものとして、若しくは調停が成立しないものとして事件が終了した旨を記載した調書の正本、謄本又は抄本 三 家事調停事件に関する事項の証明書 5 家事調停事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事調停事件の記録の保存又は裁判所若しくは調停委員会の執務に支障があるときは、することができない。 6 第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件において、当事者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合については、第四十七条第三項、第四項及び第八項から第十項までの規定を準用する。 第二節 家事調停の申立て等 (家事調停の申立て) 第二百五十五条 家事調停の申立ては、申立書(次項及び次条において「家事調停の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事調停の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 家事調停の申立てを不適法として却下する審判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条(第一項ただし書を除く。)の規定は、家事調停の申立てについて準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百五十五条第二項」と読み替えるものとする。 (家事調停の申立書の写しの送付等) 第二百五十六条 家事調停の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は家事調停の手続の期日を経ないで第二百七十一条の規定により家事調停事件を終了させるときを除き、家事調停の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事調停の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事調停の申立てがあったことを通知することをもって、家事調停の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について、第六十七条第三項及び第四項の規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納について準用する。 (調停前置主義) 第二百五十七条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。 2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。 ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。 3 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 第三節 家事調停の手続 (家事審判の手続の規定の準用等) 第二百五十八条 第四十一条から第四十三条までの規定は家事調停の手続における参加及び排除について、第四十四条の規定は家事調停の手続における受継について、第五十一条から第五十五条までの規定は家事調停の手続の期日について、第五十六条から第六十二条まで及び第六十四条の規定は家事調停の手続における事実の調査及び証拠調べについて、第六十五条の規定は家事調停の手続における子の意思の把握等について、第七十三条、第七十四条、第七十六条(第一項ただし書を除く。)、第七十七条及び第七十九条の規定は家事調停に関する審判について、第八十一条の規定は家事調停に関する審判以外の裁判について準用する。 2 前項において準用する第六十一条第一項の規定により家事調停の手続における事実の調査の嘱託を受けた裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることができる。 ただし、嘱託を受けた家庭裁判所が家庭裁判所調査官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 (調停委員会が行う家事調停の手続の指揮) 第二百五十九条 調停委員会が行う家事調停の手続は、調停委員会を組織する裁判官が指揮する。 (調停委員会等の権限) 第二百六十条 調停委員会が家事調停を行う場合には、次に掲げる事項に関する裁判所の権限は、調停委員会が行う。 一 第二十二条の規定による手続代理人の許可等 二 第二十七条において準用する民事訴訟法第六十条第一項及び第二項の規定による補佐人の許可等 三 第三十三条ただし書の規定による傍聴の許可 四 第三十五条の規定による手続の併合等 五 第二百五十五条第四項において準用する第五十条第三項及び第四項の規定による申立ての変更 六 第二百五十八条第一項において準用する第四十一条第一項及び第二項並びに第四十二条第一項から第三項まで及び第五項の規定による参加、第四十三条第一項の規定による排除、第四十四条第一項及び第三項の規定による受継、第五十一条第一項の規定による事件の関係人の呼出し、第五十四条第一項の規定による音声の送受信による通話の方法による手続並びに第五十六条第一項、第五十九条第一項及び第二項(これらの規定を第六十条第二項において準用する場合を含む。)、第六十一条第一項、第六十二条並びに第六十四条第五項の規定並びに同条第一項において準用する民事訴訟法の規定による事実の調査及び証拠調べ(過料及び勾引に関する事項を除く。) 2 調停委員会が家事調停を行う場合には、第二十三条第一項及び第二項の規定による手続代理人の選任等、第三十四条第一項の規定による期日の指定並びに第二百五十三条ただし書の規定による調書の作成に関する裁判長の権限は、当該調停委員会を組織する裁判官が行う。 (調停委員会を組織する裁判官による事実の調査及び証拠調べ等) 第二百六十一条 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 2 前項の場合には、裁判官は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせ、又は医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 3 第五十八条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による事実の調査及び心身の状況についての診断について準用する。 4 第一項の場合には、裁判官は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 5 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、家庭裁判所調査官に第五十九条第三項の規定による措置をとらせることができる。 (家事調停委員による事実の調査) 第二百六十二条 調停委員会は、相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 (意見の聴取の嘱託) 第二百六十三条 調停委員会は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事件の関係人から紛争の解決に関する意見を聴取することを嘱託することができる。 2 前項の規定により意見の聴取の嘱託を受けた家庭裁判所は、相当と認めるときは、家事調停委員に当該嘱託に係る意見を聴取させることができる。 (家事調停委員の専門的意見の聴取) 第二百六十四条 調停委員会は、必要があると認めるときは、当該調停委員会を組織していない家事調停委員の専門的な知識経験に基づく意見を聴取することができる。 2 前項の規定により意見を聴取する家事調停委員は、家庭裁判所が指定する。 3 前項の規定による指定を受けた家事調停委員は、調停委員会に出席して意見を述べるものとする。 (調停の場所) 第二百六十五条 調停委員会は、事件の実情を考慮して、裁判所外の適当な場所で調停を行うことができる。 (調停前の処分) 第二百六十六条 調停委員会は、家事調停事件が係属している間、調停のために必要であると認める処分を命ずることができる。 2 急迫の事情があるときは、調停委員会を組織する裁判官が前項の処分(以下「調停前の処分」という。)を命ずることができる。 3 調停前の処分は、執行力を有しない。 4 調停前の処分として必要な事項を命じられた当事者又は利害関係参加人が正当な理由なくこれに従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (裁判官のみで行う家事調停の手続) 第二百六十七条 裁判官のみで家事調停の手続を行う場合においては、家庭裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 2 第二百六十三条から前条までの規定は、裁判官のみで家事調停の手続を行う場合について準用する。 第四節 調停の成立 (調停の成立及び効力) 第二百六十八条 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては、確定した第三十九条の規定による審判)と同一の効力を有する。 2 家事調停事件の一部について当事者間に合意が成立したときは、その一部について調停を成立させることができる。 手続の併合を命じた数個の家事調停事件中その一について合意が成立したときも、同様とする。 3 離婚又は離縁についての調停事件においては、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項に規定する方法によっては、調停を成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 4 第一項及び第二項の規定は、第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件については、適用しない。 (調停調書の更正決定) 第二百六十九条 調停調書に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (調停条項案の書面による受諾) 第二百七十条 当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ調停委員会(裁判官のみで家事調停の手続を行う場合にあっては、その裁判官。次条及び第二百七十二条第一項において同じ。)から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が家事調停の手続の期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。 2 前項の規定は、離婚又は離縁についての調停事件については、適用しない。 第五節 調停の成立によらない事件の終了 (調停をしない場合の事件の終了) 第二百七十一条 調停委員会は、事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは、調停をしないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 (調停の不成立の場合の事件の終了) 第二百七十二条 調停委員会は、当事者間に合意(第二百七十七条第一項第一号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 ただし、家庭裁判所が第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。 2 前項の規定により家事調停事件が終了したときは、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 3 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 4 第一項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 (家事調停の申立ての取下げ) 第二百七十三条 家事調停の申立ては、家事調停事件が終了するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の調停の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 第八十二条第三項及び第四項並びに民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、家事調停の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、第八十二条第三項中「前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項」とあるのは「第二百七十三条第二項」と、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「家事調停の手続の期日」と読み替えるものとする。 第六節 付調停等 (付調停) 第二百七十四条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟又は家事審判事件が係属している場合には、裁判所は、当事者(本案について被告又は相手方の陳述がされる前にあっては、原告又は申立人に限る。)の意見を聴いて、いつでも、職権で、事件を家事調停に付することができる。 2 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 3 家庭裁判所及び高等裁判所は、第一項の規定により事件を調停に付する場合には、前項の規定にかかわらず、その家事調停事件を自ら処理することができる。 4 前項の規定により家庭裁判所又は高等裁判所が調停委員会で調停を行うときは、調停委員会は、当該裁判所がその裁判官の中から指定する裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 5 第三項の規定により高等裁判所が自ら調停を行う場合についてのこの編の規定の適用については、第二百四十四条、第二百四十七条、第二百四十八条第二項、第二百五十四条第一項から第四項まで、第二百六十四条第二項、第二百六十六条第四項、第二百六十八条第三項ただし書、第二百六十九条第一項並びに第二百七十二条第一項ただし書及び第二項並びに次章及び第三章の規定中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第二百四十四条、第二百五十八条第一項、第二百七十六条、第二百七十七条第一項第一号、第二百七十九条第三項及び第二百八十四条第一項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第二百六十七条第一項中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、次章の規定中「合意に相当する審判」とあるのは「合意に相当する審判に代わる裁判」と、第二百七十二条第一項ただし書及び第三章の規定(第二百八十六条第七項の規定を除く。)中「調停に代わる審判」とあるのは「調停に代わる審判に代わる裁判」と、第二百八十一条及び第二百八十七条中「却下する審判」とあるのは「却下する審判に代わる裁判」とする。 (訴訟手続及び家事審判の手続の中止) 第二百七十五条 家事調停の申立てがあった事件について訴訟が係属しているとき、又は訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項若しくは前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、訴訟が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで訴訟手続を中止することができる。 2 家事調停の申立てがあった事件について家事審判事件が係属しているとき、又は家事審判事件が係属している裁判所が前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、家事審判事件が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで、家事審判の手続を中止することができる。 (訴えの取下げの擬制等) 第二百七十六条 訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は次条第一項若しくは第二百八十四条第一項の規定による審判が確定したときは、当該訴訟について訴えの取下げがあったものとみなす。 2 家事審判事件が係属している裁判所が第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は第二百八十四条第一項の審判が確定したときは、当該家事審判事件は、終了する。 第二章 合意に相当する審判 (合意に相当する審判の対象及び要件) 第二百七十七条 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第一号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。 ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。 一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。 二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。 2 前項第一号の合意は、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項及び第二百七十条第一項に規定する方法によっては、成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 3 第一項の家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、合意に相当する審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 4 第二百七十二条第一項から第三項までの規定は、家庭裁判所が第一項第一号の規定による合意を正当と認めない場合について準用する。 (申立ての取下げの制限) 第二百七十八条 家事調停の申立ての取下げは、合意に相当する審判がされた後は、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (異議の申立て) 第二百七十九条 当事者及び利害関係人は、合意に相当する審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 ただし、当事者にあっては、第二百七十七条第一項各号に掲げる要件に該当しないことを理由とする場合に限る。 2 前項の規定による異議の申立ては、二週間の不変期間内にしなければならない。 3 前項の期間は、異議の申立てをすることができる者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては当事者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 4 第一項の規定による異議の申立てをする権利は、放棄することができる。 (異議の申立てに対する審判等) 第二百八十条 家庭裁判所は、当事者がした前条第一項の規定による異議の申立てが不適法であるとき、又は異議の申立てに理由がないと認めるときは、これを却下しなければならない。 利害関係人がした同項の規定による異議の申立てが不適法であるときも、同様とする。 2 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 家庭裁判所は、当事者から適法な異議の申立てがあった場合において、異議の申立てを理由があると認めるときは、合意に相当する審判を取り消さなければならない。 4 利害関係人から適法な異議の申立てがあったときは、合意に相当する審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 5 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (合意に相当する審判の効力) 第二百八十一条 第二百七十九条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、合意に相当する審判は、確定判決と同一の効力を有する。 (婚姻の取消しについての合意に相当する審判の特則) 第二百八十二条 婚姻の取消しについての家事調停の手続において、婚姻の取消しについての合意に相当する審判をするときは、この合意に相当する審判において、当事者間の合意に基づき、子の親権者を指定しなければならない。 2 前項の合意に相当する審判は、子の親権者の指定につき当事者間で合意が成立しないとき、又は成立した合意が相当でないと認めるときは、することができない。 (申立人の死亡により事件が終了した場合の特則) 第二百八十三条 父が嫡出否認についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他父の三親等内の血族が父の死亡の日から一年以内に嫡出否認の訴えを提起したときは、父がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (嫡出否認の審判の通知) 第二百八十三条の二 家庭裁判所は、民法第七百七十二条第三項の規定により父が定められる子の嫡出否認についての合意に相当する審判が確定したときは、同法第七百七十四条第四項に規定する前夫(事件の記録上その氏名及び住所又は居所が判明しているものに限る。)に対し、当該合意に相当する審判の内容を通知するものとする。 (認知の無効についての調停の申立ての特則) 第二百八十三条の三 認知をした者が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他認知をした者の三親等内の血族が認知をした者の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、認知をした者がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 2 子が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、子の直系卑属又はその法定代理人が子の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、子がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 第三章 調停に代わる審判 (調停に代わる審判の対象及び要件) 第二百八十四条 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。 ただし、第二百七十七条第一項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。 2 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (調停に代わる審判の特則) 第二百八十五条 家事調停の申立ての取下げは、第二百七十三条第一項の規定にかかわらず、調停に代わる審判がされた後は、することができない。 2 調停に代わる審判の告知は、公示送達の方法によっては、することができない。 3 調停に代わる審判を告知することができないときは、家庭裁判所は、これを取り消さなければならない。 (異議の申立て等) 第二百八十六条 当事者は、調停に代わる審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 2 第二百七十九条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による異議の申立てについて準用する。 3 家庭裁判所は、第一項の規定による異議の申立てが不適法であるときは、これを却下しなければならない。 4 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 5 適法な異議の申立てがあったときは、調停に代わる審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 6 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 7 第五項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判が効力を失った場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 8 当事者が、申立てに係る家事調停(離婚又は離縁についての家事調停を除く。)の手続において、調停に代わる審判に服する旨の共同の申出をしたときは、第一項の規定は、適用しない。 9 前項の共同の申出は、書面でしなければならない。 10 当事者は、調停に代わる審判の告知前に限り、第八項の共同の申出を撤回することができる。 この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。 (調停に代わる審判の効力) 第二百八十七条 前条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判は確定した第三十九条の規定による審判と同一の効力を、その余の調停に代わる審判は確定判決と同一の効力を有する。 第四章 不服申立て等 第二百八十八条 家事調停の手続においてされた裁判に対する不服申立て及び再審については、特別の定めのある場合を除き、それぞれ前編第一章第二節及び第三節の規定を準用する。 第四編 履行の確保 (義務の履行状況の調査及び履行の勧告) 第二百八十九条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所(第九十一条第一項(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により抗告裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては第一審裁判所である家庭裁判所、第百五条第二項の規定により高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては本案の家事審判事件の第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、その審判(抗告裁判所又は高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては、その裁判。次条第一項において同じ。)で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。 3 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項から第六項までにおいてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 6 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧等又はその複製の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 7 前各項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務(高等裁判所において定められたものを含む。次条第三項において同じ。)の履行及び調停前の処分として命じられた事項の履行について準用する。 (義務履行の命令) 第二百九十条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、その審判で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠った者がある場合において、相当と認めるときは、権利者の申立てにより、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をすべきことを命ずる審判をすることができる。 この場合において、その命令は、その命令をする時までに義務者が履行を怠った義務の全部又は一部についてするものとする。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定により義務の履行を命ずるには、義務者の陳述を聴かなければならない。 3 前二項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務の履行について準用する。 4 前三項に規定するもののほか、第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定による義務の履行を命ずる審判の手続については、第二編第一章に定めるところによる。 5 第一項(第三項において準用する場合を含む。)の規定により義務の履行を命じられた者が正当な理由なくその命令に従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 第五編 罰則 (過料の裁判の執行等) 第二百九十一条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。 (人の秘密を漏らす罪) 第二百九十二条 参与員、家事調停委員又はこれらの職にあった者が正当な理由なくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。 (評議の秘密を漏らす罪) 第二百九十三条 家事調停委員又は家事調停委員であった者が正当な理由なく評議の経過又は裁判官、家事調停官若しくは家事調停委員の意見若しくはその多少の数を漏らしたときは、三十万円以下の罰金に処する。 参与員又は参与員であった者が正当な理由なく裁判官又は参与員の意見を漏らしたときも、同様とする。
民事
Heisei
Act
423AC0000000052_20260523_506AC0000000033.xml
平成二十三年法律第五十二号
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家事事件手続法 第一編 総則 第一章 通則 (趣旨) 第一条 家事審判及び家事調停に関する事件(以下「家事事件」という。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第二条 裁判所は、家事事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に家事事件の手続を追行しなければならない。 (最高裁判所規則) 第三条 この法律に定めるもののほか、家事事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第一章の二 日本の裁判所の管轄権 (不在者の財産の管理に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の二 裁判所は、不在者の財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の五十五の項の事項についての審判事件をいう。第百四十五条において同じ。)について、不在者の財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (失踪の宣告の取消しの審判事件の管轄権) 第三条の三 裁判所は、失踪の宣告の取消しの審判事件(別表第一の五十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十九条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 日本において失踪の宣告の審判があったとき。 二 失踪者の住所が日本国内にあるとき又は失踪者が日本の国籍を有するとき。 三 失踪者が生存していたと認められる最後の時点において、失踪者が日本国内に住所を有していたとき又は日本の国籍を有していたとき。 (嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件の管轄権) 第三条の四 裁判所は、嫡出否認の訴えについて日本の裁判所が管轄権を有するときは、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件(別表第一の五十九の項の事項についての審判事件をいう。第百五十九条第一項及び第二項において同じ。)について、管轄権を有する。 (養子縁組をするについての許可の審判事件等の管轄権) 第三条の五 裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判事件(別表第一の六十一の項の事項についての審判事件をいう。第百六十一条第一項及び第二項において同じ。)、養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判事件(同表の六十一の二の項の事項についての審判事件をいう。第百六十一条の二において同じ。)及び特別養子縁組の成立の審判事件(同表の六十三の項の事項についての審判事件をいう。第百六十四条において同じ。)(特別養子適格の確認の審判事件(同条第二項に規定する特別養子適格の確認についての審判事件をいう。第百六十四条の二第二項及び第四項において同じ。)を含む。)について、養親となるべき者又は養子となるべき者の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (死後離縁をするについての許可の審判事件の管轄権) 第三条の六 裁判所は、死後離縁をするについての許可の審判事件(別表第一の六十二の項の事項についての審判事件をいう。第百六十二条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親又は養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養親又は養子がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。 三 養親又は養子の一方が日本の国籍を有する場合であって、他の一方がその死亡の時に日本の国籍を有していたとき。 (特別養子縁組の離縁の審判事件の管轄権) 第三条の七 裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判事件(別表第一の六十四の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養子の実父母又は検察官からの申立てであって、養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 養親及び養子が日本の国籍を有するとき。 四 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親及び養子が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 五 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親が行方不明であるとき、養親の住所がある国においてされた離縁に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが養親と養子との間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (親権に関する審判事件等の管轄権) 第三条の八 裁判所は、親権に関する審判事件(別表第一の六十五の項から六十九の項まで及び別表第二の七の項から八の二の項までの事項についての審判事件をいう。第百六十七条において同じ。)、子の監護に関する処分の審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)及び親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件(別表第一の百三十二の項の事項についての審判事件をいう。第二百四十二条第一項第二号及び第三項において同じ。)について、子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件等の管轄権) 第三条の九 裁判所は、養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件(別表第一の七十の項の事項についての審判事件をいう。第百七十六条及び第百七十七条第一号において同じ。)又は未成年後見人の選任の審判事件(同表の七十一の項の事項についての審判事件をいう。同条第二号において同じ。)について、未成年被後見人となるべき者若しくは未成年被後見人(以下この条において「未成年被後見人となるべき者等」という。)の住所若しくは居所が日本国内にあるとき又は未成年被後見人となるべき者等が日本の国籍を有するときは、管轄権を有する。 (夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件の管轄権) 第三条の十 裁判所は、夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件(別表第一の八十四の項及び八十五の項並びに別表第二の一の項から三の項まで、九の項及び十の項の事項についての審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件にあっては、子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。)をいう。)について、扶養義務者(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件にあっては、扶養義務者となるべき者)であって申立人でないもの又は扶養権利者(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件にあっては、子の監護者又は子)の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (相続に関する審判事件の管轄権) 第三条の十一 裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで及び百三十三の項並びに別表第二の十一の項から十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。 2 相続開始の前に推定相続人の廃除の審判事件(別表第一の八十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)、推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件(同表の八十七の項の事項についての審判事件をいう。第百八十八条第一項及び第百八十九条第一項において同じ。)、遺言の確認の審判事件(同表の百二の項の事項についての審判事件をいう。第二百九条第二項において同じ。)又は遺留分の放棄についての許可の審判事件(同表の百十の項の事項についての審判事件をいう。第二百十六条第一項第二号において同じ。)の申立てがあった場合における前項の規定の適用については、同項中「相続開始の時における被相続人」とあるのは「被相続人」と、「相続開始の前」とあるのは「申立て前」とする。 3 裁判所は、第一項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第百八十九条第一項及び第二項において同じ。)、相続財産の保存に関する処分の審判事件(同表の八十九の項の事項についての審判事件をいう。第百九十条の二において同じ。)、限定承認を受理した場合における相続財産の清算人の選任の審判事件(同表の九十四の項の事項についての審判事件をいう。)、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十七の項の事項についての審判事件をいう。第二百二条第一項第二号及び第三項において同じ。)及び相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 4 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に遺産の分割に関する審判事件(別表第二の十二の項から十四の項までの事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第百九十一条第一項において同じ。)及び特別の寄与に関する処分の審判事件(同表の十五の項の事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第二百十六条の二において同じ。)の申立てをすることができるかについて定めることができる。 5 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三条の七第二項から第四項までの規定は、前項の合意について準用する。 (財産の分与に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の十二 裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件(別表第二の四の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第五号及び第百五十二条の二第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 夫であった者及び妻であった者の双方が日本の国籍を有するとき。 三 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、夫であった者及び妻であった者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 四 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた財産の分与に関する処分に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (家事調停事件の管轄権) 第三条の十三 裁判所は、家事調停事件について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 当該調停を求める事項についての訴訟事件又は家事審判事件について日本の裁判所が管轄権を有するとき。 二 相手方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 当事者が日本の裁判所に家事調停の申立てをすることができる旨の合意をしたとき。 2 民事訴訟法第三条の七第二項及び第三項の規定は、前項第三号の合意について準用する。 3 人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての調停事件については、第一項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。 (特別の事情による申立ての却下) 第三条の十四 裁判所は、第三条の二から前条までに規定する事件について日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(遺産の分割に関する審判事件又は特別の寄与に関する処分の審判事件について、日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の合意に基づき申立てがされた場合を除く。)においても、事案の性質、申立人以外の事件の関係人の負担の程度、証拠の所在地、未成年者である子の利益その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが適正かつ迅速な審理の実現を妨げ、又は相手方がある事件について申立人と相手方との間の衡平を害することとなる特別の事情があると認めるときは、その申立ての全部又は一部を却下することができる。 (管轄権の標準時) 第三条の十五 日本の裁判所の管轄権は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 第二章 管轄 (管轄が住所地により定まる場合の管轄権を有する家庭裁判所) 第四条 家事事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (優先管轄) 第五条 この法律の他の規定により二以上の家庭裁判所が管轄権を有するときは、家事事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した家庭裁判所が管轄する。 (管轄裁判所の指定) 第六条 管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 3 前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (管轄権を有する家庭裁判所の特例) 第七条 この法律の他の規定により家事事件の管轄が定まらないときは、その家事事件は、審判又は調停を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管轄の標準時) 第八条 裁判所の管轄は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 (移送等) 第九条 裁判所は、家事事件の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。 ただし、家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。 2 家庭裁判所は、家事事件がその管轄に属する場合においても、次の各号に掲げる事由があるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を当該各号に定める家庭裁判所に移送することができる。 一 家事事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるとき 第五条の規定により管轄権を有しないこととされた家庭裁判所 二 事件を処理するために特に必要があると認めるとき 前号の家庭裁判所以外の家庭裁判所 3 前二項の規定による移送の裁判及び第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 民事訴訟法第二十二条の規定は、家事事件の移送の裁判について準用する。 第三章 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第十条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者(審判(申立てを却下する審判を除く。)がされた場合において、その審判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。 二 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第十一条 裁判官について裁判又は調停の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第十二条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、受託裁判官として職務を行う簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。 2 家庭裁判所及び地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで家事事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 家事事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官、調停委員会を組織する裁判官又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第十三条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (参与員の除斥及び忌避) 第十四条 参与員の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 参与員について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その参与員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 参与員の除斥又は忌避についての裁判は、参与員の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官(受命裁判官の手続に立ち会う参与員が忌避の申立てを受けたときに限る。)又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官がすることができる。 (家事調停官の除斥及び忌避) 第十五条 家事調停官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項から第四項まで、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、前項において準用する同条第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 3 家事調停官の除斥又は忌避についての裁判は、家事調停官の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項の裁判は、忌避された家事調停官がすることができる。 (家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥) 第十六条 家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥については、第十条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。 2 家庭裁判所調査官又は家事調停委員について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官又は家事調停委員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 3 家庭裁判所調査官又は家事調停委員の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官又は家事調停委員の所属する裁判所がする。 第四章 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第十七条 当事者能力、家事事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十一条、第三十三条並びに第三十四条第一項及び第二項の規定を準用する。 2 被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした家事審判又は家事調停の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。 職権により手続が開始された場合についても、同様とする。 3 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について同意その他の授権を得ている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告若しくは第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立ての取下げ又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議の取下げ (未成年者及び成年被後見人の法定代理人) 第十八条 親権を行う者又は後見人は、第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により未成年者又は成年被後見人が法定代理人によらずに自ら手続行為をすることができる場合であっても、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。 ただし、家事審判及び家事調停の申立ては、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定により親権を行う者又は後見人が申立てをすることができる場合(人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の申立てにあっては、同法その他の法令の規定によりその訴えを提起することができる場合を含む。)に限る。 (特別代理人) 第十九条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、家事事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法定代理権の消滅の通知) 第二十条 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、法定代理権の消滅は、本人又は代理人から他方の当事者に通知しなければ、その効力を生じない。 家事調停事件においても、同様とする。 (法人の代表者等への準用) 第二十一条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第五章 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第二十二条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (裁判長による手続代理人の選任等) 第二十三条 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。 2 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。 3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し手続行為につき行為能力の制限を受けた者が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。 (手続代理人の代理権の範囲) 第二十四条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について委任を受けている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告、第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立て又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議 四 前号の抗告(即時抗告を含む。)、申立て又は異議の取下げ 五 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (手続代理人の代理権の消滅の通知) 第二十五条 手続代理人の代理権の消滅は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についてのものに限る。)及び家事調停事件においては本人又は代理人から他方の当事者に、その他の家事事件においては本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。 (手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用) 第二十六条 民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第二十七条 家事事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六章 手続費用 第一節 手続費用の負担 (手続費用の負担) 第二十八条 手続費用(家事審判に関する手続の費用(以下「審判費用」という。)及び家事調停に関する手続の費用(以下「調停費用」という。)をいう。以下同じ。)は、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び利害関係参加人(第四十二条第七項に規定する利害関係参加人をいう。第一号において同じ。)がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。 一 当事者又は利害関係参加人 二 前号に掲げる者以外の審判を受ける者となるべき者 三 前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの 3 前二項の規定によれば検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。 (手続費用の負担の裁判等) 第二十九条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における審判費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。 ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。 2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。 事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。 3 調停が成立した場合において、調停費用(審判手続を経ている場合にあっては、審判費用を含む。)の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 4 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟が係属する裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、その訴訟についての訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 (手続費用の立替え) 第三十条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の家事事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第三十一条 民事訴訟法第六十九条から第七十四条までの規定(裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての決定に対する即時抗告に関する部分を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十二条中「当事者が裁判所において和解をした場合」とあるのは「調停が成立した場合」と、「和解の費用又は訴訟費用」とあるのは「家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第二十九条第三項の調停費用又は同条第四項の訴訟費用」と、同法第七十三条第一項中「裁判及び和解」とあるのは「裁判及び調停の成立」と、「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「家事事件手続法第四十一条第一項若しくは第四十二条第一項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「家事事件手続法第三十一条第一項において準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第四項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二節 手続上の救助 第三十二条 家事事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で家事審判又は家事調停の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「家事事件手続法第三十二条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七章 家事事件の審理等 (手続の非公開) 第三十三条 家事事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (期日及び期間) 第三十四条 家事事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。 2 家事事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 家事事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、家事事件の手続の期日及び期間について準用する。 (手続の併合等) 第三十五条 裁判所は、家事事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする家事事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (送達及び手続の中止) 第三十六条 送達及び家事事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは、「裁判又は調停を求める事項」と読み替えるものとする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第三十七条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第八章 電子情報処理組織による申立て等 第三十八条 家事事件の手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十第一項から第五項までの規定(支払督促に関する部分を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定によりされた申立て等に係るこの法律の他の規定による家事事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、同条第五項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第九章 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第三十八条の二 家事事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同法第百三十三条第一項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人(家事事件手続法第四十二条第七項(同法第二百五十八条第一項において準用する場合を含む。)に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の審判を受ける者となるべき者(同法第十条第一項第一号に規定する審判を受ける者となるべき者をいう。)」と、同法第百三十三条の四第一項中「秘匿決定、第百三十三条の二第二項の決定又は前条の決定(次項及び第七項において「秘匿決定等」という。)に係る者以外の者は、訴訟記録等」とあるのは「秘匿決定(家事事件手続法第二百七十七条第一項に規定する事項以外の事項についての家事調停の手続に係るもの並びに同法第二百八十九条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による調査及び勧告の事件の手続に係るものを除く。次項、第四項第一号及び第七項において同じ。)に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、当該秘匿決定に係る事件の記録」と、同条第二項中「秘匿決定等に係る者以外の当事者は、秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、秘匿決定」と、「訴訟記録等」とあるのは「前項の事件の記録」と、同条第四項第一号中「秘匿決定又は第百三十三条の二第二項の決定」とあるのは「秘匿決定」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人」と、「秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定」と読み替えるものとする。 第二編 家事審判に関する手続 第一章 総則 第一節 家事審判の手続 第一款 通則 (審判事項) 第三十九条 家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第一及び別表第二に掲げる事項並びに同編に定める事項について、審判をする。 (参与員) 第四十条 家庭裁判所は、参与員の意見を聴いて、審判をする。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、その意見を聴かないで、審判をすることができる。 2 家庭裁判所は、参与員を家事審判の手続の期日に立ち会わせることができる。 3 参与員は、家庭裁判所の許可を得て、第一項の意見を述べるために、申立人が提出した資料の内容について、申立人から説明を聴くことができる。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、この限りでない。 4 参与員の員数は、各事件について一人以上とする。 5 参与員は、毎年あらかじめ家庭裁判所の選任した者の中から、事件ごとに家庭裁判所が指定する。 6 前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の規定による選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 7 参与員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (当事者参加) 第四十一条 当事者となる資格を有する者は、当事者として家事審判の手続に参加することができる。 2 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者(審判を受ける者となるべき者に限る。)を、当事者として家事審判の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (利害関係参加) 第四十二条 審判を受ける者となるべき者は、家事審判の手続に参加することができる。 2 審判を受ける者となるべき者以外の者であって、審判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、家庭裁判所の許可を得て、家事審判の手続に参加することができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、職権で、審判を受ける者となるべき者及び前項に規定する者を、家事審判の手続に参加させることができる。 4 前条第三項の規定は、第一項の規定による参加の申出及び第二項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。 5 家庭裁判所は、第一項又は第二項の規定により家事審判の手続に参加しようとする者が未成年者である場合において、その者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者が当該家事審判の手続に参加することがその者の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出又は第二項の規定による参加の許可の申立てを却下しなければならない。 6 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判(前項の規定により第一項の規定による参加の申出を却下する裁判を含む。)に対しては、即時抗告をすることができる。 7 第一項から第三項までの規定により家事審判の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(家事審判の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。 (手続からの排除) 第四十三条 家庭裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を家事審判の手続から排除することができる。 2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第四十四条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって家事審判の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、家庭裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に家事審判の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者による受継) 第四十五条 家事審判の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該家事審判の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 家庭裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、職権で、当該家事審判の申立てをすることができる者に、その手続を受け継がせることができる。 3 第一項の規定による受継の申立て及び前項の規定による受継の裁判は、第一項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。 (調書の作成等) 第四十六条 裁判所書記官は、家事審判の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第四十七条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事審判事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事審判事件に関する事項の証明書の交付(第二百八十九条第六項において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。 2 前項の規定は、家事審判事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、これを許可しなければならない。 4 家庭裁判所は、事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、前項の規定にかかわらず、同項の申立てを許可しないことができる。 事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てを許可することを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。 5 家庭裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 6 審判書その他の裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は家事審判事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 審判を受ける者が当該審判があった後に請求する場合も、同様とする。 7 家事審判事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事審判事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 8 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 9 前項の規定による即時抗告が家事審判の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 10 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (検察官に対する通知) 第四十八条 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより審判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄権を有する家庭裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。 第二款 家事審判の申立て (申立ての方式等) 第四十九条 家事審判の申立ては、申立書(以下「家事審判の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事審判の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 申立人は、二以上の事項について審判を求める場合において、これらの事項についての家事審判の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。 4 家事審判の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い家事審判の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (申立ての変更) 第五十条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は理由を変更することができる。 ただし、第七十一条(第百八十八条第四項において準用する場合を含む。)の規定により審理を終結した後は、この限りでない。 2 申立ての趣旨又は理由の変更は、家事審判の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 家庭裁判所は、申立ての趣旨又は理由の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨又は理由の変更により家事審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 第三款 家事審判の手続の期日 (事件の関係人の呼出し) 第五十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができる。 2 呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。 ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。 3 前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、五万円以下の過料に処する。 (裁判長の手続指揮権) 第五十二条 家事審判の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が家事審判の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第五十三条 家庭裁判所は、受命裁判官に家事審判の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第六十一条第三項の規定又は第六十四条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第五十四条 家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 家事審判の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第五十五条 家事審判の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、家事審判事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。 第四款 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第五十六条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び審判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第五十七条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (家庭裁判所調査官による事実の調査) 第五十八条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。 4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。 (家庭裁判所調査官の期日への立会い等) 第五十九条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、家事審判の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。 2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。 3 家庭裁判所は、家事審判事件の処理に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 4 急迫の事情があるときは、裁判長が、前項の措置をとらせることができる。 (裁判所技官による診断等) 第六十条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 2 第五十八条第二項から第四項までの規定は前項の診断について、前条第一項及び第二項の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について準用する。 (事実の調査の嘱託等) 第六十一条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (調査の嘱託等) 第六十二条 家庭裁判所は、必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (事実の調査の通知) 第六十三条 家庭裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による家事審判の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (証拠調べ) 第六十四条 家事審判の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百七条第二項、第二百八条、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第二百二十九条第四項の規定を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 3 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 一 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。 二 書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 4 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 一 正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。 二 対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 三 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。 5 家庭裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、家事審判の手続の期日に出頭することを命ずることができる。 6 民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。 第五款 家事審判の手続における子の意思の把握等 第六十五条 家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 第六款 家事調停をすることができる事項についての家事審判の手続の特則 (合意管轄) 第六十六条 別表第二に掲げる事項についての審判事件は、この法律の他の規定により定める家庭裁判所のほか、当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 (家事審判の申立書の写しの送付等) 第六十七条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、家事審判の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事審判の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事審判の申立てがあったことを通知することをもって、家事審判の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は、前項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について準用する。 3 裁判長は、第一項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 4 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (陳述の聴取) 第六十八条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。 2 前項の規定による陳述の聴取は、当事者の申出があるときは、審問の期日においてしなければならない。 (審問の期日) 第六十九条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。 ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。 (事実の調査の通知) 第七十条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続において、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (審理の終結) 第七十一条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。 ただし、当事者双方が立ち会うことができる家事審判の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。 (審判日) 第七十二条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、審判をする日を定めなければならない。 第七款 審判等 (審判) 第七十三条 家庭裁判所は、家事審判事件が裁判をするのに熟したときは、審判をする。 2 家庭裁判所は、家事審判事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について審判をすることができる。 手続の併合を命じた数個の家事審判事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (審判の告知及び効力の発生等) 第七十四条 審判は、特別の定めがある場合を除き、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の審判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 審判(申立てを却下する審判を除く。)は、特別の定めがある場合を除き、審判を受ける者(審判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 ただし、即時抗告をすることができる審判は、確定しなければその効力を生じない。 3 申立てを却下する審判は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。 4 審判は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 5 審判の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (審判の執行力) 第七十五条 金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 (審判の方式及び審判書) 第七十六条 審判は、審判書を作成してしなければならない。 ただし、即時抗告をすることができない審判については、家事審判の申立書又は調書に主文を記載することをもって、審判書の作成に代えることができる。 2 審判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由の要旨 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第七十七条 審判に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 審判に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (審判の取消し又は変更) 第七十八条 家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、次に掲げる審判を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。 一 申立てによってのみ審判をすべき場合において申立てを却下した審判 二 即時抗告をすることができる審判 2 審判が確定した日から五年を経過したときは、家庭裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。 ただし、事情の変更によりその審判を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、第一項の規定により審判の取消し又は変更をする場合には、その審判における当事者及びその他の審判を受ける者の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の規定による取消し又は変更の審判に対しては、取消し後又は変更後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (審判に関する民事訴訟法の準用) 第七十九条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、審判について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「審判が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (外国裁判所の家事事件についての確定した裁判の効力) 第七十九条の二 外国裁判所の家事事件についての確定した裁判(これに準ずる公的機関の判断を含む。)については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第百十八条の規定を準用する。 (中間決定) 第八十条 家庭裁判所は、審判の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (審判以外の裁判) 第八十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続においては、審判をする場合を除き、決定で裁判をする。 この場合には、第七十三条から第七十九条まで(第七十四条第二項ただし書、第七十六条第一項及び第七十八条第三項を除く。)の規定を準用する。 2 家事審判の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 3 審判以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。 第八款 取下げによる事件の終了 (家事審判の申立ての取下げ) 第八十二条 家事審判の申立ては、特別の定めがある場合を除き、審判があるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立ては、審判が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、申立ての取下げは、審判がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。 ただし、申立ての取下げが家事審判の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。 4 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。 同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 5 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、家事審判の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「家事審判の手続の期日」と読み替えるものとする。 (家事審判の申立ての取下げの擬制) 第八十三条 家事審判の申立人(第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合にあっては、当事者双方)が、連続して二回、呼出しを受けた家事審判の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた家事審判の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、家庭裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。 第九款 高等裁判所が第一審として行う手続 第八十四条 高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合におけるこの節の規定の適用については、同節の規定(第五十八条、第五十九条第一項から第三項まで、第六十一条第一項及び第二項並びに第六十五条の規定を除く。)中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第三十九条、第四十七条第六項、第四十九条第三項、第五十六条第二項、第六十五条、第七十二条、第七十三条、第七十四条第一項から第三項まで(第二項ただし書を除く。)、第七十五条、第七十七条第一項、第七十八条(第一項第二号及び第四項を除く。)、第七十九条、第八十条第一項、第八十一条第一項並びに第八十二条第一項及び第二項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第四十二条第二項中「審判の結果」とあるのは「審判に代わる裁判の結果」と、第五十八条第一項、第五十九条第一項から第三項まで、第六十一条第一項及び第六十五条中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、第五十八条第三項中「家庭裁判所に」とあるのは「高等裁判所に」と、第七十六条中「審判書」とあるのは「裁判書」と、同条第一項中「審判は」とあるのは「審判に代わる裁判は」と、同項ただし書中「即時抗告をすることができない審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができない審判に代わる裁判」と、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」とする。 2 第四十条及び第四十八条の規定は、高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合については、適用しない。 第二節 不服申立て 第一款 審判に対する不服申立て 第一目 即時抗告 (即時抗告をすることができる審判) 第八十五条 審判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 2 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第八十六条 審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 即時抗告の期間は、特別の定めがある場合を除き、即時抗告をする者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては申立人が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第八十七条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原審判の表示及びその審判に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による審判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第四十九条第四項及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第八十八条 審判に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 ただし、抗告審における手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められる場合には、即時抗告があったことを通知することをもって、抗告状の写しの送付に代えることができる。 2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 (陳述の聴取) 第八十九条 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の審判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原審判を取り消すことができない。 2 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 (原裁判所による更正) 第九十条 原裁判所は、審判に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その審判を更正しなければならない。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判については、更正することができない。 (抗告裁判所による裁判) 第九十一条 抗告裁判所は、即時抗告について決定で裁判をする。 2 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、家事審判事件について自ら審判に代わる裁判をしなければならない。 ただし、第九十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。 (原審の管轄違いの場合の取扱い) 第九十二条 抗告裁判所は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についての審判事件を除く。)の全部又は一部が原裁判所の管轄に属しないと認める場合には、原審判を取り消さなければならない。 ただし、原審における審理の経過、事件の性質、抗告の理由等に照らして原審判を取り消さないことを相当とする特別の事情があると認めるときは、この限りでない。 2 抗告裁判所は、家事審判事件が管轄違いであることを理由として原審判を取り消すときは、その事件を管轄権を有する家庭裁判所に移送しなければならない。 (家事審判の手続の規定及び民事訴訟法の準用等) 第九十三条 審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前節第一款から第八款までの規定(第四十条、第四十一条第四項、第四十二条第六項、第四十三条第二項、第四十四条第二項、第四十七条第八項から第十項まで、第四十八条、第四十九条第六項、第六十六条、第六十七条第四項、第七十四条第二項ただし書、第四項及び第五項、第七十六条第一項ただし書、第七十七条第三項から第五項まで、第七十八条第四項、第八十一条第三項並びに第八十三条の規定を除く。)、第四節の規定(第百五条第二項、第百十条、第百十一条及び第百十三条の規定を除く。)及び次章の規定(家庭裁判所の管轄及び即時抗告に関する規定を除く。)を準用する。 この場合において、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは、「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」と読み替えるものとする。 2 抗告裁判所は、第八十八条第一項の規定による抗告状の写しの送付及びこれに代わる即時抗告があったことの通知をすることを要しないときは、前項において準用する第七十一条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。 3 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百八条までの規定は、審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条」とあるのは「家事事件手続法第八十二条第五項及び第八十三条」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「家事事件手続法第二百九十一条」と読み替えるものとする。 第二目 特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第九十四条 家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (原裁判の執行停止) 第九十五条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。 ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十六条 第八十六条第二項、第八十七条から第八十九条まで、第九十一条第一項及び第九十三条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十七条第六項中「及び第五項」とあるのは、「から第六項まで」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十六条第一項において読み替えて準用する同法第八十七条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第二項の規定及び同法第九十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三目 許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第九十七条 高等裁判所の家事審判事件についての決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第九十四条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 ただし、その決定が家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の高等裁判所は、同項の決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第九十四条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十八条 第八十六条第二項、第八十七条(第四項及び第五項を除く。)、第八十八条、第八十九条、第九十一条第一項、第九十三条及び第九十五条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十六条第二項、第八十七条第一項、第二項第二号及び第三項、第八十八条第一項並びに第八十九条第二項中「即時抗告」とあり、第八十七条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第九十五条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第九十七条第二項の申立て」と、第八十七条第一項、第二項及び第六項、第八十八条並びに第九十三条第二項中「抗告状」とあるのは「第九十七条第二項の規定による許可の申立書」と、第九十一条第一項並びに第九十三条第一項前段、第二項及び第三項中「即時抗告」とあり、並びに第九十五条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項の規定及び同法第九十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二款 審判以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第九十九条 審判以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第百条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、家事審判事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (即時抗告期間等) 第百一条 審判以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 (審判に対する不服申立ての規定の準用) 第百二条 前款の規定(第八十五条第一項、第八十六条第一項並びに第八十八条及び第八十九条(これらの規定を第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした審判以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 第三節 再審 (再審) 第百三条 確定した審判その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により審判その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該審判その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第百四条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第四節 審判前の保全処分 (審判前の保全処分) 第百五条 本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずる審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判に代わる裁判をする。 (審判前の保全処分の申立て等) 第百六条 審判前の保全処分(前条第一項の審判及び同条第二項の審判に代わる裁判をいう。以下同じ。)の申立ては、その趣旨及び保全処分を求める事由を明らかにしてしなければならない。 2 審判前の保全処分の申立人は、保全処分を求める事由を疎明しなければならない。 3 家庭裁判所(前条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、審判前の保全処分の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、職権で、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 4 審判前の保全処分の申立ては、審判前の保全処分があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。 (陳述の聴取) 第百七条 審判前の保全処分のうち仮の地位を定める仮処分を命ずるものは、審判を受ける者となるべき者の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第百八条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、第四十七条第三項の規定にかかわらず、審判前の保全処分の事件について、当事者から同条第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、審判前の保全処分の事件における審判を受ける者となるべき者に対し、当該事件が係属したことを通知し、又は審判前の保全処分を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。 (審判) 第百九条 審判前の保全処分は、疎明に基づいてする。 2 審判前の保全処分については、第七十四条第二項ただし書の規定は、適用しない。 3 審判前の保全処分の執行及び効力は、民事保全法(平成元年法律第九十一号)その他の仮差押え及び仮処分の執行及び効力に関する法令の規定に従う。 この場合において、同法第四十五条中「仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、「本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属している家庭裁判所(当該家事審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」とする。 (即時抗告) 第百十条 審判前の保全処分(第百五条第二項の審判に代わる裁判を除く。次項において同じ。)の申立人は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 ただし、次に掲げる保全処分の申立てを却下する審判については、この限りでない。 一 第百二十六条第一項(第百三十四条第一項及び第百四十三条第一項において準用する場合を含む。)、第百五十八条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)及び第二百条第一項の規定による財産の管理者の選任又は財産の管理等に関する指示の保全処分 二 第百二十七条第一項(第百三十五条、第百四十四条、第百八十一条及び第二百二十五条第一項において準用する場合を含む。)、第百六十六条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)、第百七十四条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)、第百七十五条第三項及び第二百十五条第一項の規定による職務代行者の選任の保全処分 2 本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者は、審判前の保全処分(前項各号に掲げる保全処分を命ずる審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 (即時抗告に伴う執行停止) 第百十一条 前条第二項の規定により即時抗告が提起された場合において、原審判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原審判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、若しくは担保を立てさせないで原審判の執行の停止を命じ、又は担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 審判前の保全処分の事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、これらの処分を命ずることができる。 2 第百六条第二項及び第三項の規定は、前項の申立てについて準用する。 (審判前の保全処分の取消し) 第百十二条 審判前の保全処分が確定した後に、保全処分を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所又は審判前の保全処分をした家庭裁判所は、本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者の申立てにより又は職権で、審判前の保全処分の取消しの審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判前の保全処分の取消しの審判に代わる裁判をする。 3 第百六条並びに第百九条第一項及び第二項の規定は、第一項の審判前の保全処分の取消しの審判及び前項の裁判について準用する。 (即時抗告等) 第百十三条 前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判の申立人は、申立てを却下する審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの申立てを却下する審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 2 審判前の保全処分の申立人は、前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの審判を除く。)及び第百十五条において準用する民事保全法第三十三条の規定による原状回復の審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百十一条の規定は、前二項の規定による即時抗告に伴う執行停止について準用する。 (調書の作成) 第百十四条 裁判所書記官は、審判前の保全処分の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 審判前の保全処分の手続については、第四十六条の規定は、適用しない。 (民事保全法の準用) 第百十五条 民事保全法第四条の規定は審判前の保全処分に関する手続における担保について、同法第十四条、第十五条及び第二十条から第二十四条まで(同法第二十三条第四項を除く。)の規定は審判前の保全処分について、同法第三十三条の規定は審判前の保全処分の取消しの裁判について、同法第三十四条の規定は第百十二条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判について準用する。 第五節 戸籍の記載等の嘱託 第百十六条 裁判所書記官は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者又は登記所に対し、戸籍の記載又は後見登記等に関する法律(平成十一年法律第百五十二号)に定める登記を嘱託しなければならない。 ただし、戸籍の記載又は同法に定める登記の嘱託を要するものとして最高裁判所規則で定めるものに限る。 一 別表第一に掲げる事項についての審判又はこれに代わる裁判が効力を生じた場合 二 審判前の保全処分が効力を生じ、又は効力を失った場合 第二章 家事審判事件 第一節 成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百十七条 後見開始の審判事件(別表第一の一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条第一号において同じ。)は、成年被後見人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 成年後見に関する審判事件(別表第一の一の項から十六の二の項までの事項についての審判事件をいう。)は、後見開始の審判事件を除き、後見開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が後見開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、後見開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百十八条 次に掲げる審判事件(第一号、第四号及び第六号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 後見開始の審判事件 二 後見開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二の項の事項についての審判事件をいう。) 三 成年後見人の選任の審判事件(別表第一の三の項の事項についての審判事件をいう。) 四 成年後見人の解任の審判事件(別表第一の五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第一項において同じ。) 五 成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の六の項の事項についての審判事件をいう。) 六 成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の八の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第五項において同じ。) 七 成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の十二の項の事項についての審判事件をいう。) 八 成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(以下「郵便物等」という。)の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判事件(別表第一の十二の二の項の事項についての審判事件をいう。第百二十三条の二において「成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件」という。) 九 成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の十四の項の事項についての審判事件をいう。) 十 第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の十五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十五条第一項及び第二項において同じ。) (精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取) 第百十九条 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の精神の状況につき鑑定をしなければ、後見開始の審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 家庭裁判所は、成年被後見人の精神の状況につき医師の意見を聴かなければ、民法第十条の規定による後見開始の審判の取消しの審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (陳述及び意見の聴取) 第百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号から第三号までにあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 後見開始の審判の取消しの審判(民法第十条の規定による場合に限る。) 成年被後見人及び成年後見人 三 成年後見人又は成年後見監督人の選任の審判 成年被後見人となるべき者又は成年被後見人 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 六 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 成年後見人の選任の審判 成年後見人となるべき者 二 成年後見監督人の選任の審判 成年後見監督人となるべき者 (申立ての取下げの制限) 第百二十一条 次に掲げる申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 一 後見開始の申立て 二 民法第八百四十三条第二項の規定による成年後見人の選任の申立て 三 民法第八百四十五条の規定により選任の請求をしなければならない者による同法第八百四十三条第三項の規定による成年後見人の選任の申立て (審判の告知等) 第百二十二条 次の各号に掲げる審判は、当該各号に定める者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判は、信書の送達の事業を行う者に告知することを要しない。 この場合においては、その審判が効力を生じた時に、信書の送達の事業を行う者に通知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 後見開始の審判 民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者並びに任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号。以下「任意後見契約法」という。)第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 後見開始の審判の取消しの審判 成年後見人及び成年後見監督人 三 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 (即時抗告) 第百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 後見開始の審判 民法第七条及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 後見開始の申立てを却下する審判 申立人 三 後見開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十条に規定する者 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、成年後見監督人並びに成年被後見人及びその親族 六 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 七 成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに成年被後見人及びその親族 八 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人及びその親族 九 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 十 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の申立てを却下する審判 申立人 十一 成年被後見人の死亡後の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為についての許可の申立てを却下する審判 申立人 2 審判の告知を受ける者でない者による後見開始の審判に対する即時抗告の期間は、民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (陳述の聴取の例外) 第百二十三条の二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件においては、第八十九条第一項の規定(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)にかかわらず、抗告裁判所は、信書の送達の事業を行う者の陳述を聴くことを要しない。 (成年後見の事務の監督) 第百二十四条 家庭裁判所は、適当な者に、成年後見の事務若しくは成年被後見人の財産の状況を調査させ、又は臨時に財産の管理をさせることができる。 2 家庭裁判所は、前項の規定により調査又は管理をした者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 3 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査をさせることができる。 4 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、第一項の規定により財産を管理する者について準用する。 (管理者の改任等) 第百二十五条 家庭裁判所は、いつでも、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者を改任することができる。 2 家庭裁判所は、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者(前項の規定により改任された管理者を含む。以下この条において「財産の管理者」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、成年被後見人の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、財産の管理者に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 財産の管理者の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、財産の管理者について準用する。 7 家庭裁判所は、成年被後見人が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったときその他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、成年被後見人、財産の管理者若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 (後見開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百二十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護又は財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護若しくは財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、成年被後見人となるべき者の財産上の行為(民法第九条ただし書に規定する行為を除く。第七項において同じ。)につき、前項の財産の管理者の後見を受けることを命ずることができる。 3 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、第百七条の規定にかかわらず、その者の陳述を聴く手続を経ずに、前項の規定による審判(次項から第七項までにおいて「後見命令の審判」という。)をすることができる。 4 後見命令の審判は、第一項の財産の管理者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによって、その効力を生ずる。 5 後見命令の審判は、成年被後見人となるべき者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 6 審判の告知を受ける者でない者による後見命令の審判に対する即時抗告の期間は、第一項の財産の管理者が第四項の規定による告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 7 後見命令の審判があったときは、成年被後見人となるべき者及び第一項の財産の管理者は、成年被後見人となるべき者がした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 8 前条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、前条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「成年被後見人となるべき者」と読み替えるものとする。 (成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百二十七条 家庭裁判所は、成年後見人の解任の審判事件が係属している場合において、成年被後見人の利益のため必要があるときは、成年後見人の解任の申立てをした者の申立てにより又は職権で、成年後見人の解任についての審判が効力を生ずるまでの間、成年後見人の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による成年後見人の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される成年後見人、他の成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定は、成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第二節 保佐に関する審判事件 (管轄) 第百二十八条 保佐開始の審判事件(別表第一の十七の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被保佐人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 保佐に関する審判事件(別表第一の十七の項から三十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、保佐開始の審判事件を除き、保佐開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が保佐開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、保佐開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百二十九条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被保佐人となるべき者及び被保佐人について準用する。 一 保佐開始の審判事件 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の十八の項の事項についての審判事件をいう。) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の十九の項の事項についての審判事件をいう。) 四 保佐開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二十の項の事項についての審判事件をいう。) 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の二十一の項の事項についての審判事件をいう。) 六 保佐人の選任の審判事件(別表第一の二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 七 保佐人の解任の審判事件(別表第一の二十四の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 八 保佐監督人の選任の審判事件(別表第一の二十六の項の事項についての審判事件をいう。) 九 保佐監督人の解任の審判事件(別表第一の二十八の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 十 保佐人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の三十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十三の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 保佐の事務の監督の審判事件(別表第一の三十四の項の事項についての審判事件をいう。) (陳述及び意見の聴取) 第百三十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号、第四号及び第五号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 保佐開始の審判 被保佐人となるべき者 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人 四 保佐開始の審判の取消しの審判(民法第十四条第一項の規定による場合に限る。) 被保佐人及び保佐人 五 保佐人又は保佐監督人の選任の審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 保佐人の選任の審判 保佐人となるべき者 二 保佐監督人の選任の審判 保佐監督人となるべき者 (審判の告知) 第百三十一条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 保佐開始の審判 民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐人又は保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐人となるべき者又は保佐監督人となるべき者) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人及び保佐監督人 四 保佐開始の審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 六 保佐人に対する代理権の付与の審判 被保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐監督人となるべき者) 七 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被保佐人及び保佐監督人 (即時抗告) 第百三十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 保佐開始の審判 民法第十一条本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 保佐開始の申立てを却下する審判 申立人 三 保佐開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十四条第一項に規定する者 四 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人 五 保佐人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐人の解任の申立てを却下する審判 申立人、保佐監督人並びに被保佐人及びその親族 八 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 九 保佐監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被保佐人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐開始の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百三十三条 第百十九条の規定は被保佐人となるべき者及び被保佐人の精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取について、第百二十一条の規定は保佐開始の申立ての取下げ及び保佐人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は保佐の事務の監督について準用する。 (保佐開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百三十四条 保佐開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、保佐開始の申立てがあった場合において、被保佐人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、保佐開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被保佐人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為に限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の保佐を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「保佐命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐命令の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 保佐命令の審判があったときは、被保佐人となるべき者及び財産の管理者は、被保佐人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被保佐人となるべき者」と読み替えるものとする。 (保佐人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百三十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、保佐人の解任の審判事件又は保佐監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第三節 補助に関する審判事件 (管轄) 第百三十六条 補助開始の審判事件(別表第一の三十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被補助人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 補助に関する審判事件(別表第一の三十六の項から五十四の項までの事項についての審判事件をいう。)は、補助開始の審判事件を除き、補助開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が補助開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、補助開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百三十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被補助人となるべき者及び被補助人について準用する。 一 補助開始の審判事件 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の三十七の項の事項についての審判事件をいう。) 三 補助人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の三十八の項の事項についての審判事件をいう。) 四 補助開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十九の項の事項についての審判事件をいう。) 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の四十の項の事項についての審判事件をいう。) 六 補助人の選任の審判事件(別表第一の四十一の項の事項についての審判事件をいう。) 七 補助人の解任の審判事件(別表第一の四十三の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 八 補助監督人の選任の審判事件(別表第一の四十五の項の事項についての審判事件をいう。) 九 補助監督人の解任の審判事件(別表第一の四十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 十 補助人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の五十一の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の五十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 補助の事務の監督の審判事件(別表第一の五十三の項の事項についての審判事件をいう。) (精神の状況に関する意見の聴取) 第百三十八条 家庭裁判所は、被補助人となるべき者の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、補助開始の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第百三十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第三号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 補助開始の審判 被補助人となるべき者 二 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人 三 補助開始の審判の取消しの審判(民法第十八条第一項又は第三項の規定による場合に限る。) 被補助人及び補助人 四 補助人又は補助監督人の選任の審判 被補助人となるべき者又は被補助人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助監督人の解任の審判 補助監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 補助人の選任の審判 補助人となるべき者 二 補助監督人の選任の審判 補助監督人となるべき者 (審判の告知) 第百四十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 補助開始の審判 民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判 補助人及び補助監督人(当該審判が補助人又は補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助人となるべき者又は補助監督人となるべき者) 三 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人及び補助監督人 四 補助開始の審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 六 補助人に対する代理権の付与の審判 被補助人及び補助監督人(当該審判が補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助監督人となるべき者) 七 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被補助人及び補助監督人 (即時抗告) 第百四十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 補助開始の審判 民法第十五条第一項本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 補助開始の申立てを却下する審判 申立人 三 補助開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十八条第一項に規定する者 四 補助人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助人の解任の申立てを却下する審判 申立人、補助監督人並びに被補助人及びその親族 七 補助監督人の解任の審判 補助監督人 八 補助監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被補助人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助開始の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百四十二条 第百二十一条の規定は補助開始の申立ての取下げ及び補助人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は補助の事務の監督について準用する。 (補助開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百四十三条 補助開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、補助開始及び補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てがあった場合において、被補助人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、補助開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被補助人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為であって、当該補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てに係るものに限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の補助を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「補助命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助命令の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 補助命令の審判があったときは、被補助人となるべき者及び財産の管理者は、被補助人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被補助人となるべき者」と読み替えるものとする。 (補助人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百四十四条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、補助人の解任の審判事件又は補助監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第四節 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件 (管轄) 第百四十五条 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管理人の改任等) 第百四十六条 家庭裁判所は、いつでも、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人を改任することができる。 2 家庭裁判所は、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人及び前項の規定により改任した管理人(第四項及び第六項、次条並びに第百四十七条において「家庭裁判所が選任した管理人」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 同法第二十七条第二項の場合においては、不在者が置いた管理人に対しても、同様とする。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、不在者の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、管理人(家庭裁判所が選任した管理人及び不在者が置いた管理人をいう。次項及び第百四十七条において同じ。)に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 管理人の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、家庭裁判所が選任した管理人について準用する。 (供託等) 第百四十六条の二 家庭裁判所が選任した管理人は、不在者の財産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、不在者のために、当該金銭を不在者の財産の管理に関する処分を命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。 2 家庭裁判所が選任した管理人は、前項の規定による供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 (処分の取消し) 第百四十七条 家庭裁判所は、不在者が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったとき(家庭裁判所が選任した管理人が管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、不在者、管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、民法第二十五条第一項の規定による管理人の選任その他の不在者の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 第五節 失踪の宣告に関する審判事件 第一款 失踪の宣告の審判事件 第百四十八条 失踪の宣告の審判事件(別表第一の五十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の審判事件における不在者について準用する。 3 家庭裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号及び第四号の期間が経過しなければ、失踪の宣告の審判をすることができない。 この場合において、第二号及び第四号の期間は、民法第三十条第一項の場合にあっては三月を、同条第二項の場合にあっては一月を下ってはならない。 一 不在者について失踪の宣告の申立てがあったこと。 二 不在者は、一定の期間までにその生存の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、失踪の宣告がされること。 四 不在者の生死を知る者は、一定の期間までにその届出をすべきこと。 4 失踪の宣告の審判は、不在者に告知することを要しない。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の審判 不在者及び利害関係人 二 失踪の宣告の申立てを却下する審判 申立人 第二款 失踪の宣告の取消しの審判事件 第百四十九条 失踪の宣告の取消しの審判事件は、失踪者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の取消しの審判事件における失踪者について準用する。 3 失踪の宣告の取消しの審判は、事件の記録上失踪者の住所又は居所が判明している場合に限り、失踪者に告知すれば足りる。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の取消しの審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 失踪の宣告の取消しの申立てを却下する審判 失踪者及び利害関係人 第六節 婚姻等に関する審判事件 (管轄) 第百五十条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件(別表第二の一の項の事項についての審判事件をいう。次条第一号及び第百五十二条の二第一項第一号において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の五十八の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件(別表第二の二の項の事項についての審判事件をいう。第百五十二条の二第一項第二号において同じ。) 夫又は妻の住所地 四 子の監護に関する処分の審判事件 子(父又は母を同じくする数人の子についての申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地 五 財産の分与に関する処分の審判事件 夫又は妻であった者の住所地 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の五の項の事項についての審判事件をいう。) 所有者の住所地 (手続行為能力) 第百五十一条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件及びこれらの審判事件を本案とする保全処分についての審判事件(いずれの審判事件においても、財産上の給付を求めるものを除く。)における当該各号に定める者について準用する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の審判事件 子 (陳述の聴取) 第百五十二条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判をする場合には、夫及び妻(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判を除く。)をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (情報開示命令) 第百五十二条の二 家庭裁判所は、次に掲げる審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 二 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件 三 子の監護に関する処分の審判事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。) 2 家庭裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その財産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。 3 前二項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (審判前の親子交流の試行的実施) 第百五十二条の三 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)において、子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がなく、かつ、事実の調査のため必要があると認めるときは、当事者に対し、子との交流の試行的実施を促すことができる。 2 家庭裁判所は、前項の試行的実施を促すに当たっては、交流の方法、交流をする日時及び場所並びに家庭裁判所調査官その他の者の立会いその他の関与の有無を定めるとともに、当事者に対して子の心身に有害な影響を及ぼす言動を禁止することその他適当と認める条件を付することができる。 3 家庭裁判所は、第一項の試行的実施を促したときは、当事者に対してその結果の報告(当該試行的実施をしなかったときは、その理由の説明)を求めることができる。 (申立ての取下げの制限) 第百五十三条 第八十二条第二項の規定にかかわらず、財産の分与に関する処分の審判の申立ての取下げは、相手方が本案について書面を提出し、又は家事審判の手続の期日において陳述をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (給付命令等) 第百五十四条 家庭裁判所は、夫婦間の協力扶助に関する処分の審判において、扶助の程度若しくは方法を定め、又はこれを変更することができる。 2 家庭裁判所は、次に掲げる審判において、当事者(第二号の審判にあっては、夫又は妻)に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判 四 財産の分与に関する処分の審判 3 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判において、子の監護をすべき者の指定又は変更、子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項の定めをする場合には、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 4 家庭裁判所は、離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 (共有財産の分割) 第百五十五条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判とともに共有財産の分割に関する処分の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、共有財産の分割の方法として、一方の婚姻の当事者に他方の婚姻の当事者に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (即時抗告) 第百五十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 四 子の監護に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 五 財産の分与に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫又は妻であった者 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判 婚姻の当事者(民法第七百五十一条第二項において準用する同法第七百六十九条第二項の規定による場合にあっては、生存配偶者)その他の利害関係人 2 子の監護に関する処分の審判(父母以外の親族と子との交流に関する処分の審判に限る。)及びその申立てを却下する審判に対する即時抗告は、民法第七百六十六条の二第二項(第二号に係る部分に限る。)の規定による請求をすることができる者及び同法第八百十七条の十三第五項の規定による請求をすることができる者もすることができる。 (婚姻等に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百五十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分 二 婚姻費用の分担に関する処分 三 子の監護に関する処分 四 財産の分与に関する処分 2 家庭裁判所は、前項第三号に掲げる事項について仮の地位を定める仮処分(子の監護に要する費用の分担に関する仮処分を除く。)を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件を本案とする保全処分) 第百五十八条 家庭裁判所は、夫婦の一方から夫婦財産契約による財産の管理者の変更の申立てがあった場合において、他の一方の管理する申立人所有の財産又は共有財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、当該財産の管理者の変更の申立てについての審判(共有財産の分割に関する処分の申立てがあった場合にあっては、その申立てについての審判)が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、他の一方の管理する申立人所有の財産若しくは共有財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は夫婦の他の一方の申立てにより、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「管理に係る財産」と読み替えるものとする。 第七節 親子に関する審判事件 第一款 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件 第百五十九条 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件は、子の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件における父及び民法第七百七十四条第四項に規定する前夫について準用する。 3 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二款 子の氏の変更についての許可の審判事件 第百六十条 子の氏の変更についての許可の審判事件(別表第一の六十の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、子(父又は母を同じくする数人の子についての子の氏の変更についての許可の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、子の氏の変更についての許可の審判事件における子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 子の氏の変更についての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第三款 養子縁組をするについての許可の審判事件 第百六十一条 養子縁組をするについての許可の審判事件は、養子となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、養子縁組をするについての許可の審判事件における養親となるべき者及び養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 ただし、養子となるべき者については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者及び養子となるべき者の未成年後見人 4 養子縁組をするについての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第四款 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判事件 第百六十一条の二 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判事件は、養子となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判事件における養子となるべき者の法定代理人、養子となるべき者の父母でその監護をすべき者であるもの及び養子となるべき者の父母で親権を停止されているものについて準用する。 3 家庭裁判所は、養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判をする場合には、養子となるべき者の父母でその監護をすべき者であるもの及び養子となるべき者の父母で親権を停止されているものの陳述を聴かなければならない。 4 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、養子となるべき者の父母でその監護をすべき者であるもの及び養子となるべき者の父母で親権を停止されているものに告知しなければならない。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判 養子となるべき者の父母でその監護をすべき者であるもの及び養子となるべき者の父母で親権を停止されているもの 二 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 第五款 死後離縁をするについての許可の審判事件 第百六十二条 死後離縁をするについての許可の審判事件は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、死後離縁をするについての許可の審判事件における養親及び養子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子の死後に死後離縁をするについての許可の申立てがあった場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、養子を代襲して養親の相続人となるべき者に対し、その旨を通知するものとする。 ただし、事件の記録上その者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 死後離縁をするについての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 死後離縁をするについての許可の申立てを却下する審判 申立人 第六款 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百六十三条 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の六の項の事項についての審判事件をいう。)は、その所有者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 離縁の当事者その他の利害関係人は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第七款 特別養子縁組に関する審判事件 (特別養子縁組の成立の審判事件) 第百六十四条 特別養子縁組の成立の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 養子となるべき者は、特別養子適格の確認(養子となるべき者について民法第八百十七条の六に定める要件があること及び同法第八百十七条の七に規定する父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合に該当することについての確認をいう。以下この条及び次条において同じ。)の審判(申立人の同条第一項の規定による申立てによりされたものに限る。)を受けた者又は児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判(特別養子縁組の成立の申立ての日の六箇月前の日以後に確定したものに限る。)を受けた者でなければならない。 3 養子となるべき者の親権者(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。以下この項において同じ。)及びその親権者に対し親権を行う者は、特別養子縁組の成立の審判事件において養子となるべき者を代理して手続行為をすることができない。 4 養子となるべき者の父母(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。第十項において同じ。)は、第四十二条第一項及び第三項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判事件の手続に参加することができない。 5 第百十八条の規定は、特別養子縁組の成立の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方について準用する。 6 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者(養子となるべき者の父母及び養子となるべき者の親権者に対し親権を行う者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 7 特別養子適格の確認の審判(児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判を含む。以下この項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の審判事件の係属する裁判所を拘束する。 この場合において、特別養子適格の確認の審判は、特別養子縁組の成立の審判事件との関係においては、特別養子縁組の成立の審判をする時においてしたものとみなす。 8 特別養子縁組の成立の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第二号に掲げる者に告知しなければならない。 9 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 ただし、養子となるべき者が十五歳に達している場合は、この限りでない。 10 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の父母に告知することを要しない。 ただし、住所又は居所が知れている父母に対しては、審判をした日及び審判の主文を通知しなければならない。 11 家庭裁判所は、第二項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判を、特別養子適格の確認の審判と同時にすることができる。 この場合においては、特別養子縁組の成立の審判は、特別養子適格の確認の審判が確定するまでは、確定しないものとする。 12 家庭裁判所は、前項前段の場合において、特別養子適格の確認の審判を取り消す裁判が確定したときは、職権で、特別養子縁組の成立の審判を取り消さなければならない。 13 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、確定しないものとする。 この場合においては、家庭裁判所は、職権で、その審判を取り消さなければならない。 14 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の成立の審判 養子となるべき者及び第六項第二号に掲げる者 二 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判 申立人 15 養子となるべき者(十五歳未満のものに限る。)による特別養子縁組の成立の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子適格の確認の審判事件) 第百六十四条の二 家庭裁判所は、養親となるべき者の申立てにより、その者と養子となるべき者との間における縁組について、特別養子適格の確認の審判をすることができる。 ただし、養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過する日まで及び養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、この限りでない。 2 特別養子適格の確認の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 特別養子適格の確認の申立ては、特別養子縁組の成立の申立てと同時にしなければならない。 4 第百十八条の規定は、特別養子適格の確認の審判事件における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び養子となるべき者の父母について準用する。 5 民法第八百十七条の六本文の同意は、次の各号のいずれにも該当する場合には、撤回することができない。 ただし、その同意をした日から二週間を経過する日までは、この限りでない。 一 養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過した後にされたものであること。 二 次のいずれかに該当するものであること。 イ 家庭裁判所調査官による事実の調査を経た上で家庭裁判所に書面を提出してされたものであること。 ロ 審問の期日においてされたものであること。 6 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第二号に掲げる者の同意がないにもかかわらずその審判をするときは、その者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者の父母 三 養子となるべき者に対し親権を行う者(前号に掲げる者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 四 養子となるべき者の父母に対し親権を行う者及び養子となるべき者の父母の後見人 7 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てに係る特別養子適格の確認の申立てを却下しなければならない。 8 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の申立てを却下する審判をする場合には、第六項第二号及び第三号に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 9 特別養子適格の確認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第三号及び第四号に掲げる者に告知しなければならない。 10 特別養子適格の確認の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 11 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合において、第六項第二号に掲げる者を特定することができないときは、同号及び同項第四号に掲げる者の陳述を聴くこと並びにこれらの者にその審判を告知することを要しない。 12 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子適格の確認の審判 養子となるべき者及び第六項第二号から第四号までに掲げる者 二 特別養子適格の確認の申立てを却下する審判 申立人 13 養子となるべき者による特別養子適格の確認の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 14 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てによる特別養子適格の確認の審判は、その効力を失う。 (特別養子縁組の離縁の審判事件) 第百六十五条 特別養子縁組の離縁の審判事件は、養親の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、特別養子縁組の離縁の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親、養子及びその実父母について準用する。 3 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号から第三号までに掲げる者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子(十五歳以上のものに限る。) 二 養親 三 養子の実父母 四 養子に対し親権を行う者(第二号に掲げる者を除く。)及び養子の後見人 五 養親の後見人 六 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 4 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子の実父母(申立人を除く。) 二 養子に対し親権を行う者及び養子の後見人 三 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 5 特別養子縁組の離縁の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第三項第四号から第六号までに掲げる者に告知しなければならない。 6 特別養子縁組の離縁の審判は、養子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して養子の利益を害すると認める場合には、養子に告知することを要しない。 7 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の離縁の審判 養子、養親、養子の実父母、養子に対し親権を行う者で養親でないもの、養子の後見人、養親の後見人、養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 二 特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判 申立人 8 養子による特別養子縁組の離縁の審判に対する即時抗告の期間は、養子以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子縁組の成立の審判事件等を本案とする保全処分) 第百六十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の申立てがあった場合において、養子となるべき者の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別養子縁組の成立の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、申立人を養子となるべき者の監護者に選任し、又は養子となるべき者の親権者若しくは未成年後見人の職務の執行を停止し、若しくはその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者若しくは未成年後見人、養子となるべき者に対し親権を行う者若しくは他の未成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、養子となるべき者の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定(養子となるべき者の監護者を選任する保全処分に関する部分を除く。)は、特別養子縁組の離縁の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第八節 親権に関する審判事件 (管轄) 第百六十七条 親権に関する審判事件は、子(父又は母を同じくする数人の子についての親権者の指定若しくは変更、親権行使者の指定又は第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百六十八条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件(第三号、第七号及び第八号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における当該各号に定める者について準用する。 一 子に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の六十五の項の事項についての審判事件をいう。) 子 二 第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の六十六の項の事項についての審判事件をいう。第百七十三条において同じ。) 子 三 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件(別表第一の六十七の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判事件(別表第一の六十八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 五 親権又は管理権を辞し、又は回復するについての許可の審判事件(別表第一の六十九の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 六 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判事件(別表第二の七の項の事項についての審判事件をいう。) 養子、その父母及び養親 七 親権者の指定又は変更の審判事件(別表第二の八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 八 親権行使者の指定の審判事件(別表第二の八の二の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 (陳述の聴取) 第百六十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号に掲げる子の親権者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子(十五歳以上のものに限る。)及び子の親権者 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者、子の未成年後見人及び親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者 三 親権又は管理権を辞するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。) 四 親権又は管理権を回復するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 2 家庭裁判所は、親権者の指定若しくは変更又は親権行使者の指定の審判をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第百六十九条の二 親権者の指定の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (離婚が成立しない場合の申立ての却下) 第百六十九条の三 家庭裁判所は、親権者の指定の審判の手続において、申立人に対し、相当の期間を定め、父母が離婚したことを証する文書をその期間内に提出すべきことを命ずることができる。 2 前項の場合において、申立人がその期間内に同項に規定する文書を提出しないときは、家庭裁判所は、親権者の指定の審判の申立てを却下することができる。 (審判の告知) 第百七十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 ただし、子にあっては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 (引渡命令等) 第百七十一条 家庭裁判所は、親権者の指定若しくは変更又は親権行使者の指定の審判において、当事者に対し、子の引渡し又は財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百七十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号から第三号まで及び第五号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 親権喪失の審判 親権を喪失する者及びその親族 二 親権停止の審判 親権を停止される者及びその親族 三 管理権喪失の審判 管理権を喪失する者及びその親族 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てを却下する審判 申立人、子及びその親族、未成年後見人並びに未成年後見監督人 五 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子及びその親族、子に対し親権を行う者、未成年後見人並びに未成年後見監督人 六 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人並びに親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者及びその親族 七 親権又は管理権を回復するについての許可の申立てを却下する審判 申立人 八 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判 養子の父母及び養子の監護者 九 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の申立てを却下する審判 申立人、養子の父母及び養子の監護者 十 親権者の指定又は変更の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 十一 親権行使者の指定の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母 2 次の各号に掲げる即時抗告の期間は、当該各号に定める日から進行する。 一 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失する者が審判の告知を受けた日 二 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者が審判の告知を受けた日 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第百七十三条 第百二十五条の規定は、第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 (親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件を本案とする保全処分) 第百七十四条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があると認めるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 (親権者の指定又は変更の審判事件等を本案とする保全処分) 第百七十五条 家庭裁判所は、親権者の指定若しくは変更又は親権行使者の指定の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定若しくは変更又は親権行使者の指定の審判を本案とする仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 2 前項の規定により仮の地位の仮処分を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 4 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 5 家庭裁判所は、いつでも、第三項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 6 家庭裁判所は、第三項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第九節 未成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百七十六条 未成年後見に関する審判事件(別表第一の七十の項から八十三の項までの事項についての審判事件をいう。)は、未成年被後見人(養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百七十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第三号及び第五号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における未成年被後見人(第一号の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者及び養親)について準用する。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件 二 未成年後見人の選任の審判事件 三 未成年後見人の解任の審判事件(別表第一の七十三の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 四 未成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の七十四の項の事項についての審判事件をいう。) 五 未成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の七十六の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 六 未成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の七十九の項の事項についての審判事件をいう。) 七 未成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の八十一の項の事項についての審判事件をいう。) 八 第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十二の項の事項についての審判事件をいう。第百八十条において同じ。) (陳述及び意見の聴取) 第百七十八条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 未成年後見人又は未成年後見監督人の選任の審判 未成年被後見人(十五歳以上のものに限る。) 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者又は未成年後見人の選任 未成年後見人となるべき者 二 未成年後見監督人の選任 未成年後見監督人となるべき者 (即時抗告) 第百七十九条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、未成年後見監督人並びに未成年被後見人及びその親族 四 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 五 未成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに未成年被後見人及びその親族 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百八十条 第百二十一条の規定は未成年後見人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は未成年後見の事務の監督について、第百二十五条の規定は第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十一条第二号中「第八百四十三条第二項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第一項の規定による未成年後見人」と、同条第三号中「第八百四十三条第三項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第二項の規定による未成年後見人」と読み替えるものとする。 (未成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百八十一条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、未成年後見人の解任の審判事件又は未成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第十節 扶養に関する審判事件 (管轄) 第百八十二条 扶養義務の設定の審判事件(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者となるべき者(数人についての扶養義務の設定の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務の設定の取消しの審判事件(別表第一の八十五の項の事項についての審判事件をいう。)は、その扶養義務の設定の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所がその扶養義務の設定の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(別表第二の九の項の事項についての審判事件をいう。)並びに扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(同表の十の項の事項についての審判事件をいう。第百八十四条の二第一項において同じ。)は、相手方(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (申立ての特則) 第百八十三条 扶養義務の設定の申立ては、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第二十三条の二第二項第四号の規定による保護者の選任の申立てと一の申立てによりするときは、同法第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所にもすることができる。 (陳述の聴取) 第百八十四条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者 二 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者 (情報開示命令) 第百八十四条の二 家庭裁判所は、扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。 2 前項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (給付命令) 第百八十五条 家庭裁判所は、扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百八十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者(申立人を除く。) 二 扶養義務の設定の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者(申立人を除く。) 四 扶養義務の設定の取消しの申立てを却下する審判 申立人 五 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 六 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 (扶養に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百八十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消し 二 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消し 第十一節 推定相続人の廃除に関する審判事件 (推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の取消しの審判事件) 第百八十八条 推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 ただし、これらの審判事件が被相続人の死亡後に申し立てられた場合にあっては、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、前項に規定する審判事件における被相続人について準用する。 3 家庭裁判所は、推定相続人の廃除の審判事件においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、廃除を求められた推定相続人の陳述を聴かなければならない。 この場合における陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 4 推定相続人の廃除の審判事件における手続については、申立人及び廃除を求められた推定相続人を当事者とみなして、第六十七条及び第六十九条から第七十二条までの規定を準用する。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 推定相続人の廃除の審判 廃除された推定相続人 二 推定相続人の廃除又はその審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人 (遺産の管理に関する処分の審判事件) 第百八十九条 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件は、推定相続人の廃除の審判事件又は推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件が係属している家庭裁判所(その審判事件が係属していない場合にあっては相続が開始した地を管轄する家庭裁判所、その審判事件が抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所)の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項までの規定は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理人について準用する。 この場合において、同条第一項、第二項及び第四項中「家庭裁判所」とあるのは「推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所」と、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは「遺産」と読み替えるものとする。 3 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判が確定したときは、廃除を求められた推定相続人、前項の管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、その処分の取消しの裁判をしなければならない。 第十二節 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百九十条 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の十一の項の事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 相続人その他の利害関係人は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十二節の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件 第百九十条の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項まで、第百四十六条の二及び第百四十七条の規定は、相続財産の保存に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十三節 遺産の分割に関する審判事件 (管轄) 第百九十一条 遺産の分割に関する審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判事件(別表第二の十二の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)が係属している場合における寄与分を定める処分の審判事件(同表の十四の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)は、当該遺産の分割の審判事件が係属している裁判所の管轄に属する。 (手続の併合等) 第百九十二条 遺産の分割の審判事件及び寄与分を定める処分の審判事件が係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 数人からの寄与分を定める処分の審判事件が係属するときも、同様とする。 (寄与分を定める処分の審判の申立ての期間の指定) 第百九十三条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判の手続において、一月を下らない範囲内で、当事者が寄与分を定める処分の審判の申立てをすべき期間を定めることができる。 2 家庭裁判所は、寄与分を定める処分の審判の申立てが前項の期間を経過した後にされたときは、当該申立てを却下することができる。 3 家庭裁判所は、第一項の期間を定めなかった場合においても、当事者が時機に後れて寄与分を定める処分の申立てをしたことにつき、申立人の責めに帰すべき事由があり、かつ、申立てに係る寄与分を定める処分の審判の手続を併合することにより、遺産の分割の審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、その申立てを却下することができる。 (遺産の換価を命ずる裁判) 第百九十四条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、相続人に対し、遺産の全部又は一部を競売して換価することを命ずることができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があり、かつ、相当と認めるときは、相続人の意見を聴き、相続人に対し、遺産の全部又は一部について任意に売却して換価することを命ずることができる。 ただし、共同相続人中に競売によるべき旨の意思を表示した者があるときは、この限りでない。 3 前二項の規定による裁判(以下この条において「換価を命ずる裁判」という。)が確定した後に、その換価を命ずる裁判の理由の消滅その他の事情の変更があるときは、家庭裁判所は、相続人の申立てにより又は職権で、これを取り消すことができる。 4 換価を命ずる裁判は、第八十一条第一項において準用する第七十四条第一項に規定する者のほか、遺産の分割の審判事件の当事者に告知しなければならない。 5 相続人は、換価を命ずる裁判に対し、即時抗告をすることができる。 6 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判をする場合において、第二百条第一項の財産の管理者が選任されていないときは、これを選任しなければならない。 7 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判により換価を命じられた相続人に対し、遺産の中から、相当な報酬を与えることができる。 8 第百二十五条の規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第六項の規定により選任した財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 (債務を負担させる方法による遺産の分割) 第百九十五条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (給付命令) 第百九十六条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (遺産の分割の禁止の審判の取消し及び変更) 第百九十七条 家庭裁判所は、事情の変更があるときは、相続人の申立てにより、いつでも、遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判をすることができる。 この申立てに係る審判事件は、別表第二に掲げる事項についての審判事件とみなす。 (即時抗告) 第百九十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺産の分割の審判及びその申立てを却下する審判 相続人 二 遺産の分割の禁止の審判 相続人 三 遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判 相続人 四 寄与分を定める処分の審判 相続人 五 寄与分を定める処分の申立てを却下する審判 申立人 2 第百九十二条前段の規定により審判が併合してされたときは、寄与分を定める処分の審判又はその申立てを却下する審判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 3 第百九十二条後段の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (申立ての取下げの制限) 第百九十九条 第百五十三条の規定は、遺産の分割の審判の申立ての取下げについて準用する。 2 第八十二条第二項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分) 第二百条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。次項及び第三項において同じ。)は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、遺産の分割の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。 ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。 4 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 第十四節 相続の承認及び放棄に関する審判事件 第二百一条 相続の承認及び放棄に関する審判事件(別表第一の九十の項から九十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、限定承認の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十三の項の事項についての審判事件をいう。)は、限定承認の申述を受理した家庭裁判所(抗告裁判所が受理した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 家庭裁判所(抗告裁判所が限定承認の申述を受理した場合にあっては、その裁判所)は、相続人が数人ある場合において、限定承認の申述を受理したときは、職権で、民法第九百三十六条第一項の規定により相続財産の清算人を選任しなければならない。 4 第百十八条の規定は、限定承認又は相続の放棄の取消しの申述の受理の審判事件(別表第一の九十一の項の事項についての審判事件をいう。)における限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者について準用する。 5 限定承認及びその取消し並びに相続の放棄及びその取消しの申述は、次に掲げる事項を記載した申述書を家庭裁判所に提出してしなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 限定承認若しくはその取消し又は相続の放棄若しくはその取消しをする旨 6 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条の規定は、前項の申述について準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百一条第五項」と読み替えるものとする。 7 家庭裁判所は、第五項の申述の受理の審判をするときは、申述書にその旨を記載しなければならない。 この場合において、当該審判は、申述書にその旨を記載した時に、その効力を生ずる。 8 前項の審判については、第七十六条の規定は、適用しない。 9 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 相続の承認又は放棄をすべき期間の伸長の申立てを却下する審判 申立人 二 限定承認又は相続の放棄の取消しの申述を却下する審判 限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者 三 限定承認又は相続の放棄の申述を却下する審判 申述人 第十五節 財産分離に関する審判事件 第二百二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める裁判所の管轄に属する。 一 財産分離の審判事件(別表第一の九十六の項の事項についての審判事件をいう。次号において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件 財産分離の審判事件が係属している家庭裁判所(抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所、財産分離の裁判確定後にあっては財産分離の審判事件が係属していた家庭裁判所) 三 財産分離の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十八の項の事項についての審判事件をいう。) 財産分離の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が財産分離の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所) 2 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 財産分離の審判 相続人 二 民法第九百四十一条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続債権者及び受遺者 三 民法第九百五十条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続人の債権者 3 第百二十五条の規定は、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十六節 相続人の不存在に関する審判事件 (管轄) 第二百三条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。 一 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 相続人の不存在の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百の項の事項についての審判事件をいう。) 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件において相続財産の清算人の選任の審判をした家庭裁判所 三 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件(別表第一の百一の項の事項についての審判事件をいう。次条第二項及び第二百七条において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 (特別縁故者に対する相続財産の分与の審判) 第二百四条 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判は、民法第九百五十二条第二項の期間の満了後三月を経過した後にしなければならない。 2 同一の相続財産に関し特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件が数個同時に係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 (意見の聴取) 第二百五条 家庭裁判所は、特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判をする場合には、民法第九百五十二条第一項の規定により選任し、又は第二百八条において準用する第百二十五条第一項の規定により改任した相続財産の清算人(次条及び第二百七条において単に「相続財産の清算人」という。)の意見を聴かなければならない。 (即時抗告) 第二百六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判 申立人及び相続財産の清算人 二 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てを却下する審判 申立人 2 第二百四条第二項の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人又は相続財産の清算人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (相続財産の換価を命ずる裁判) 第二百七条 第百九十四条第一項、第二項本文、第三項から第五項まで及び第七項の規定は、特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件について準用する。 この場合において、同条第一項及び第七項中「相続人」とあり、並びに同条第二項中「相続人の意見を聴き、相続人」とあるのは「相続財産の清算人」と、同条第三項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人若しくは相続財産の清算人」と、同条第四項中「当事者」とあるのは「申立人」と、同条第五項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人及び相続財産の清算人」と読み替えるものとする。 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第二百八条 第百二十五条の規定は、相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十七節 遺言に関する審判事件 (管轄) 第二百九条 遺言に関する審判事件(別表第一の百二の項から百八の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続を開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺言の確認の審判事件は、遺言者の生存中は、遺言者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者及び負担の利益を受けるべき者 2 家庭裁判所は、遺言執行者の選任の審判をする場合には、遺言執行者となるべき者の意見を聴かなければならない。 (調書の作成) 第二百十一条 裁判所書記官は、遺言書の検認について、調書を作成しなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百十二条 遺言の確認又は遺言書の検認の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百十三条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 相続人 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 負担の利益を受けるべき者 (即時抗告) 第二百十四条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺言の確認の審判 利害関係人 二 遺言の確認の申立てを却下する審判 遺言に立ち会った証人及び利害関係人 三 遺言執行者の選任の申立てを却下する審判 利害関係人 四 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 五 遺言執行者の解任の申立てを却下する審判 利害関係人 六 遺言執行者の辞任についての許可の申立てを却下する審判 申立人 七 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者その他の利害関係人(申立人を除く。) 八 負担付遺贈に係る遺言の取消しの申立てを却下する審判 相続人 (遺言執行者の解任の審判事件を本案とする保全処分) 第二百十五条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、遺言執行者の解任の申立てがあった場合において、遺言の内容の実現のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、遺言執行者の解任の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、遺言執行者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による遺言執行者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される遺言執行者、他の遺言執行者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、相続財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第十八節 遺留分に関する審判事件 第二百十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 遺留分を算定するための財産の価額を定める場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百九の項の事項についての審判事件をいう。) 相続が開始した地 二 遺留分の放棄についての許可の審判事件 被相続人の住所地 2 遺留分の放棄についての許可の申立てをした者は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十八節の二 特別の寄与に関する審判事件 (管轄) 第二百十六条の二 特別の寄与に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (給付命令) 第二百十六条の三 家庭裁判所は、特別の寄与に関する処分の審判において、当事者に対し、金銭の支払を命ずることができる。 (即時抗告) 第二百十六条の四 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別の寄与に関する処分の審判 申立人及び相手方 二 特別の寄与に関する処分の申立てを却下する審判 申立人 (特別の寄与に関する審判事件を本案とする保全処分) 第二百十六条の五 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、特別の寄与に関する処分についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は申立人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別の寄与に関する処分の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 第十九節 任意後見契約法に規定する審判事件 (管轄) 第二百十七条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件(別表第一の百十一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条において同じ。)は、任意後見契約法第二条第二号の本人(以下この節において単に「本人」という。)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 任意後見契約法に規定する審判事件(別表第一の百十一の項から百二十一の項までの事項についての審判事件をいう。)は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件を除き、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が当該任意後見監督人を選任した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百十八条 第百十八条の規定は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件における本人について準用する。 (精神の状況に関する意見の聴取) 第二百十九条 家庭裁判所は、本人の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、本人については、本人の心身の障害により本人の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判並びに任意後見監督人が欠けた場合及び任意後見監督人を更に選任する場合における任意後見監督人の選任の審判 本人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見人の解任の審判 任意後見人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 2 家庭裁判所は、前項第一号に掲げる審判をする場合には、任意後見監督人となるべき者の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をする場合には、任意後見契約の効力が生ずることについて、任意後見受任者の意見を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百二十一条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任及び任意後見監督人が欠けた場合における任意後見監督人の選任の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百二十二条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判 本人及び任意後見受任者 二 後見開始の審判等の取消しの審判 後見開始の審判の取消しの審判にあっては成年後見人及び成年後見監督人、保佐開始の審判の取消しの審判にあっては保佐人及び保佐監督人並びに補助開始の審判の取消しの審判にあっては補助人及び補助監督人 三 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見監督人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人、任意後見人及び任意後見監督人 (即時抗告) 第二百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第四号及び第六号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに本人及びその親族 四 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見人 五 任意後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、任意後見監督人並びに本人及びその親族 六 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 七 任意後見契約の解除についての許可の申立てを却下する審判 申立人 (任意後見監督人の事務の調査) 第二百二十四条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に任意後見監督人の事務を調査させることができる。 (任意後見監督人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第二百二十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、任意後見監督人の解任の審判事件(別表第一の百十七の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 2 第百二十七条第一項及び第二項の規定は、任意後見人の解任の審判事件(別表第一の百二十の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 この場合において、同条第一項中「停止し、又はその職務代行者を選任する」とあるのは「停止する」と、同条第二項中「同項の規定により選任した職務代行者」とあるのは「任意後見監督人」と読み替えるものとする。 第二十節 戸籍法に規定する審判事件 (管轄) 第二百二十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 氏若しくは名の変更又は氏の振り仮名若しくは名の振り仮名の変更についての許可の審判事件(別表第一の百二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 申立人の住所地 二 就籍許可の審判事件(別表第一の百二十三の項の事項についての審判事件をいう。) 就籍しようとする地 三 戸籍の訂正についての許可の審判事件(別表第一の百二十四の項の事項についての審判事件をいう。) その戸籍のある地 四 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件(別表第一の百二十五の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。) 市役所(戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第四条において準用する同法第百二十二条の規定による場合にあっては、区役所)又は町村役場の所在地 (手続行為能力) 第二百二十七条 第百十八条の規定は、戸籍法に規定する審判事件(別表第一の百二十二の項から百二十五の項までの事項についての審判事件をいう。)における当該審判事件の申立てをすることができる者について準用する。 ただし、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件においては、当該処分を受けた届出その他の行為を自らすることができる場合に限る。 (事件係属の通知) 第二百二十八条 家庭裁判所は、戸籍法第百十三条の規定による戸籍の訂正についての許可の申立てが当該戸籍の届出人又は届出事件の本人以外の者からされた場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該届出人又は届出事件の本人に対し、その旨を通知しなければならない。 ただし、事件の記録上これらの者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十九条 家庭裁判所は、氏又は氏の振り仮名の変更についての許可の審判をする場合には、申立人と同一戸籍内にある者(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区長又は総合区長とする。以下この節において同じ。)の処分に対する不服の申立てがあった場合には、当該市町村長の意見を聴かなければならない。 (審判の告知等) 第二百三十条 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該市町村長に告知しなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを理由があると認めるときは、当該市町村長に対し、相当の処分を命じなければならない。 (即時抗告) 第二百三十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 氏又は氏の振り仮名の変更についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 氏若しくは名の変更又は氏の振り仮名若しくは名の振り仮名の変更についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 就籍許可の申立てを却下する審判 申立人 四 戸籍の訂正についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 五 戸籍の訂正についての許可の申立てを却下する審判 申立人 六 前条第二項の規定による市町村長に相当の処分を命ずる審判 当該市町村長 七 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判 申立人 第二十一節 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に規定する審判事件 第二百三十二条 性別の取扱いの変更の審判事件(別表第一の百二十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、性別の取扱いの変更の審判事件における申立人について準用する。 3 性別の取扱いの変更の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二十二節 厚生年金保険法に規定する審判事件 第二百三十三条 請求すべき 按 あん 分割合に関する処分の審判事件(別表第二の十六の項の事項についての審判事件をいう。)は、申立人又は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 申立人及び相手方は、請求すべき按分割合に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 請求すべき按分割合に関する処分の審判の手続については、第六十八条第二項の規定は、適用しない。 第二十三節 児童福祉法に規定する審判事件 (管轄) 第二百三十四条 都道府県の措置についての承認の審判事件(別表第一の百二十七の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件(同表の百二十八の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)、児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件(同表の百二十八の二の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)及び児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件(同表の百二十八の三の項の事項についての審判事件をいう。以下この節において同じ。)は、児童の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百三十五条 第百十八条の規定は、都道府県の措置についての承認の審判事件、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件及び児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件における児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者、児童の未成年後見人及び児童並びに児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件における児童及びその父母について準用する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百三十六条 家庭裁判所は、都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、前条に規定する者(児童にあっては、十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 前項の場合において、家庭裁判所は、申立人に対し、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人の陳述に関する意見を求めることができる。 3 第百六十四条の二第六項及び第八項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (審判の告知) 第二百三十七条 都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人に告知しなければならない。 2 第百六十四条の二第九項から第十一項までの規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (即時抗告) 第二百三十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 都道府県の措置についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 二 都道府県の措置についての承認の申立てを却下する審判 申立人 三 都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 四 都道府県の措置の期間の更新についての承認の申立てを却下する審判 申立人 五 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 六 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てを却下する審判 申立人 2 第百六十四条の二第十二項及び第十三項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判の特則) 第二百三十九条 家庭裁判所は、児童の出生の日から二箇月を経過する日まで及び児童が十八歳に達した日以後は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判をすることができない。 2 第百六十四条の二第五項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 第二十四節 生活保護法等に規定する審判事件 第二百四十条 施設への入所等についての許可の審判事件(別表第一の百二十九の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。)は、被保護者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判事件(別表第二の十七の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 第百十八条の規定は、施設への入所等についての許可の審判事件における被保護者、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人について準用する。 4 家庭裁判所は、施設への入所等についての許可の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、被保護者(十五歳以上のものに限る。)、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人の陳述を聴かなければならない。 5 施設への入所等についての許可の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人に告知しなければならない。 6 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 施設への入所等についての許可の審判 被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人 二 施設への入所等についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判及びその申立てを却下する審判 申立人及び相手方 第二十五節 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に規定する審判事件 第二百四十一条 保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件(別表第一の百三十の項の事項についての審判事件をいう。第四項において同じ。)は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の意見を聴かなければならない。 一 保護者の順位の変更の審判 先順位に変更される者 二 保護者の選任の審判 保護者となるべき者 3 保護者の順位の変更又は保護者の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 4 家庭裁判所は、いつでも、保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件において選任した保護者を改任することができる。 第二十六節 破産法に規定する審判事件 第二百四十二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の百三十一の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件 子の住所地 三 破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件(別表第一の百三十三の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 相続が開始した地 2 破産管財人は、破産手続における相続の放棄の承認についての申述を却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百五十二条第一項、第百五十四条第二項(第二号に係る部分に限る。)、第百五十五条、第百五十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)及び第百五十八条の規定は破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件について、第百六十八条(第三号に係る部分に限る。)、第百六十九条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第百七十条(第一号に係る部分に限る。)、第百七十二条第一項(第三号及び第四号に係る部分に限る。)及び第二項(第一号に係る部分に限る。)並びに第百七十四条の規定(管理権喪失に関する部分に限る。)は親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件について、第二百一条第五項から第八項までの規定は破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件について準用する。 第二十七節 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に規定する審判事件 第二百四十三条 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判事件(別表第一の百三十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成二十年法律第三十三号)第四条第一項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第一項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第二項の旧代表者の住所地 二 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第四条第三項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第三項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第四項の旧個人事業者の住所地 2 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判は、当該合意の当事者の全員に告知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判 当該合意の当事者(申立人を除く。) 二 遺留分の算定に係る合意についての許可の申立てを却下する審判 当該合意の当事者 第三編 家事調停に関する手続 第一章 総則 第一節 通則 (調停事項等) 第二百四十四条 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。 (管轄等) 第二百四十五条 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 3 第百九十一条第二項及び第百九十二条の規定は、遺産の分割の調停事件(別表第二の十二の項の事項についての調停事件をいう。)及び寄与分を定める処分の調停事件(同表の十四の項の事項についての調停事件をいう。)について準用する。 この場合において、第百九十一条第二項中「前項」とあるのは、「第二百四十五条第一項」と読み替えるものとする。 (地方裁判所又は簡易裁判所への移送) 第二百四十六条 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件以外の事件について調停の申立てを受けた場合には、職権で、これを管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送する。 2 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について調停の申立てを受けた場合において、事件を処理するために必要があると認めるときは、職権で、事件の全部又は一部を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送することができる。 3 家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、前二項の規定にかかわらず、その事件を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所以外の地方裁判所又は簡易裁判所(事物管轄権を有するものに限る。)に移送することができる。 4 第九条第三項から第五項までの規定は、前三項の規定による移送の裁判について準用する。 (調停機関) 第二百四十七条 家庭裁判所は、調停委員会で調停を行う。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、裁判官のみで行うことができる。 2 家庭裁判所は、当事者の申立てがあるときは、前項ただし書の規定にかかわらず、調停委員会で調停を行わなければならない。 (調停委員会) 第二百四十八条 調停委員会は、裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 2 調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。 3 調停委員会の決議は、過半数の意見による。 可否同数の場合には、裁判官の決するところによる。 4 調停委員会の評議は、秘密とする。 (家事調停委員) 第二百四十九条 家事調停委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 2 家事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (家事調停官の任命等) 第二百五十条 家事調停官は、弁護士で五年以上その職にあったもののうちから、最高裁判所が任命する。 2 家事調停官は、この法律の定めるところにより、家事調停事件の処理に必要な職務を行う。 3 家事調停官は、任期を二年とし、再任されることができる。 4 家事調停官は、非常勤とする。 5 家事調停官は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して解任されることがない。 一 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七条各号のいずれかに該当するに至ったとき。 二 心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。 三 職務上の義務違反その他家事調停官たるに適しない非行があると認められたとき。 6 この法律に定めるもののほか、家事調停官の任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 (家事調停官の権限等) 第二百五十一条 家事調停官は、家庭裁判所の指定を受けて、家事調停事件を取り扱う。 2 家事調停官は、その取り扱う家事調停事件の処理について、この法律において家庭裁判所、裁判官又は裁判長が行うものとして定める家事調停事件の処理に関する権限を行うことができる。 3 家事調停官は、独立してその職権を行う。 4 家事調停官は、その権限を行うについて、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び医師である裁判所技官に対し、その職務に関し必要な命令をすることができる。 この場合において、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第六十条第五項の規定は、家事調停官の命令を受けた裁判所書記官について準用する。 5 家事調停官には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (手続行為能力) 第二百五十二条 次の各号に掲げる調停事件(第一号及び第二号にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)において、当該各号に定める者は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の調停事件(別表第二の一の項の事項についての調停事件をいう。第二百五十八条第三項において同じ。) 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の調停事件(別表第二の三の項の事項についての調停事件をいう。第二百五十八条第三項において同じ。) 子 三 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の調停事件(別表第二の七の項の事項についての調停事件をいう。) 養子、その父母及び養親 四 親権者の指定又は変更の調停事件(別表第二の八の項の事項についての調停事件をいう。) 子及びその父母 五 親権行使者の指定の調停事件(別表第二の八の二の項の事項についての調停事件をいう。) 子及びその父母 六 人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(第二百七十七条第一項において単に「人事に関する訴え」という。)を提起することができる事項についての調停事件 同法第十三条第一項の規定が適用されることにより訴訟行為をすることができることとなる者 2 親権を行う者又は後見人は、第十八条の規定にかかわらず、前項第一号、第三号及び第四号に掲げる調停事件(同項第一号の調停事件にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)においては、当該各号に定める者に代理して第二百六十八条第一項の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾及び第二百八十六条第八項の共同の申出をすることができない。 離婚についての調停事件における夫及び妻の後見人並びに離縁についての調停事件における養親の後見人、養子(十五歳以上のものに限る。以下この項において同じ。)に対し親権を行う者及び養子の後見人についても、同様とする。 (調書の作成) 第二百五十三条 裁判所書記官は、家事調停の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第二百五十四条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事調停事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事調停事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、家事調停事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者又は利害関係を疎明した第三者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合(第六項に規定する場合を除く。)において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 4 次に掲げる書面については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ずに、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 一 審判書その他の裁判書の正本、謄本又は抄本 二 調停において成立した合意を記載し、又は調停をしないものとして、若しくは調停が成立しないものとして事件が終了した旨を記載した調書の正本、謄本又は抄本 三 家事調停事件に関する事項の証明書 5 家事調停事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事調停事件の記録の保存又は裁判所若しくは調停委員会の執務に支障があるときは、することができない。 6 第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件において、当事者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合については、第四十七条第三項、第四項及び第八項から第十項までの規定を準用する。 第二節 家事調停の申立て等 (家事調停の申立て) 第二百五十五条 家事調停の申立ては、申立書(次項及び次条において「家事調停の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事調停の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 家事調停の申立てを不適法として却下する審判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条(第一項ただし書を除く。)の規定は、家事調停の申立てについて準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百五十五条第二項」と読み替えるものとする。 (家事調停の申立書の写しの送付等) 第二百五十六条 家事調停の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は家事調停の手続の期日を経ないで第二百七十一条の規定により家事調停事件を終了させるときを除き、家事調停の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事調停の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事調停の申立てがあったことを通知することをもって、家事調停の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について、第六十七条第三項及び第四項の規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納について準用する。 (調停前置主義) 第二百五十七条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。 2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。 ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。 3 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 第三節 家事調停の手続 (家事審判の手続の規定の準用等) 第二百五十八条 第四十一条から第四十三条までの規定は家事調停の手続における参加及び排除について、第四十四条の規定は家事調停の手続における受継について、第五十一条から第五十五条までの規定は家事調停の手続の期日について、第五十六条から第六十二条まで及び第六十四条の規定は家事調停の手続における事実の調査及び証拠調べについて、第六十五条の規定は家事調停の手続における子の意思の把握等について、第七十三条、第七十四条、第七十六条(第一項ただし書を除く。)、第七十七条及び第七十九条の規定は家事調停に関する審判について、第八十一条の規定は家事調停に関する審判以外の裁判について準用する。 2 前項において準用する第六十一条第一項の規定により家事調停の手続における事実の調査の嘱託を受けた裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることができる。 ただし、嘱託を受けた家庭裁判所が家庭裁判所調査官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 3 第百五十二条の二の規定は夫婦間の協力扶助に関する処分の調停事件、婚姻費用の分担に関する処分の調停事件(別表第二の二の項の事項についての調停事件をいう。)、子の監護に関する処分の調停事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の調停事件に限る。)、財産の分与に関する処分の調停事件(同表の四の項の事項についての調停事件をいう。)及び離婚についての調停事件について、第百五十二条の三の規定は子の監護に関する処分の調停事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の調停事件を除く。)及び離婚についての調停事件について、第百八十四条の二の規定は扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの調停事件(同表の十の項の事項についての調停事件をいう。)について、それぞれ準用する。 (調停委員会が行う家事調停の手続の指揮) 第二百五十九条 調停委員会が行う家事調停の手続は、調停委員会を組織する裁判官が指揮する。 (調停委員会等の権限) 第二百六十条 調停委員会が家事調停を行う場合には、次に掲げる事項に関する裁判所の権限は、調停委員会が行う。 一 第二十二条の規定による手続代理人の許可等 二 第二十七条において準用する民事訴訟法第六十条第一項及び第二項の規定による補佐人の許可等 三 第三十三条ただし書の規定による傍聴の許可 四 第三十五条の規定による手続の併合等 五 第二百五十五条第四項において準用する第五十条第三項及び第四項の規定による申立ての変更 六 第二百五十八条第一項において準用する第四十一条第一項及び第二項並びに第四十二条第一項から第三項まで及び第五項の規定による参加、第四十三条第一項の規定による排除、第四十四条第一項及び第三項の規定による受継、第五十一条第一項の規定による事件の関係人の呼出し、第五十四条第一項の規定による音声の送受信による通話の方法による手続並びに第五十六条第一項、第五十九条第一項及び第二項(これらの規定を第六十条第二項において準用する場合を含む。)、第六十一条第一項、第六十二条並びに第六十四条第五項の規定並びに同条第一項において準用する民事訴訟法の規定による事実の調査及び証拠調べ(過料及び勾引に関する事項を除く。) 2 調停委員会が家事調停を行う場合には、第二十三条第一項及び第二項の規定による手続代理人の選任等、第三十四条第一項の規定による期日の指定並びに第二百五十三条ただし書の規定による調書の作成に関する裁判長の権限は、当該調停委員会を組織する裁判官が行う。 (調停委員会を組織する裁判官による事実の調査及び証拠調べ等) 第二百六十一条 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 2 前項の場合には、裁判官は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせ、又は医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 3 第五十八条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による事実の調査及び心身の状況についての診断について準用する。 4 第一項の場合には、裁判官は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 5 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、家庭裁判所調査官に第五十九条第三項の規定による措置をとらせることができる。 (家事調停委員による事実の調査) 第二百六十二条 調停委員会は、相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 (意見の聴取の嘱託) 第二百六十三条 調停委員会は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事件の関係人から紛争の解決に関する意見を聴取することを嘱託することができる。 2 前項の規定により意見の聴取の嘱託を受けた家庭裁判所は、相当と認めるときは、家事調停委員に当該嘱託に係る意見を聴取させることができる。 (家事調停委員の専門的意見の聴取) 第二百六十四条 調停委員会は、必要があると認めるときは、当該調停委員会を組織していない家事調停委員の専門的な知識経験に基づく意見を聴取することができる。 2 前項の規定により意見を聴取する家事調停委員は、家庭裁判所が指定する。 3 前項の規定による指定を受けた家事調停委員は、調停委員会に出席して意見を述べるものとする。 (調停の場所) 第二百六十五条 調停委員会は、事件の実情を考慮して、裁判所外の適当な場所で調停を行うことができる。 (調停前の処分) 第二百六十六条 調停委員会は、家事調停事件が係属している間、調停のために必要であると認める処分を命ずることができる。 2 急迫の事情があるときは、調停委員会を組織する裁判官が前項の処分(以下「調停前の処分」という。)を命ずることができる。 3 調停前の処分は、執行力を有しない。 4 調停前の処分として必要な事項を命じられた当事者又は利害関係参加人が正当な理由なくこれに従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (裁判官のみで行う家事調停の手続) 第二百六十七条 裁判官のみで家事調停の手続を行う場合においては、家庭裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 2 第二百六十三条から前条までの規定は、裁判官のみで家事調停の手続を行う場合について準用する。 第四節 調停の成立 (調停の成立及び効力) 第二百六十八条 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては、確定した第三十九条の規定による審判)と同一の効力を有する。 2 家事調停事件の一部について当事者間に合意が成立したときは、その一部について調停を成立させることができる。 手続の併合を命じた数個の家事調停事件中その一について合意が成立したときも、同様とする。 3 離婚又は離縁についての調停事件においては、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項に規定する方法によっては、調停を成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 4 第一項及び第二項の規定は、第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件については、適用しない。 (調停調書の更正決定) 第二百六十九条 調停調書に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (調停条項案の書面による受諾) 第二百七十条 当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ調停委員会(裁判官のみで家事調停の手続を行う場合にあっては、その裁判官。次条及び第二百七十二条第一項において同じ。)から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が家事調停の手続の期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。 2 前項の規定は、離婚又は離縁についての調停事件については、適用しない。 第五節 調停の成立によらない事件の終了 (調停をしない場合の事件の終了) 第二百七十一条 調停委員会は、事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは、調停をしないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 (調停の不成立の場合の事件の終了) 第二百七十二条 調停委員会は、当事者間に合意(第二百七十七条第一項第一号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 ただし、家庭裁判所が第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。 2 前項の規定により家事調停事件が終了したときは、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 3 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 4 第一項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 (家事調停の申立ての取下げ) 第二百七十三条 家事調停の申立ては、家事調停事件が終了するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の調停の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 第一項の規定にかかわらず、親権者の指定の調停の申立ては、家事調停事件が終了する前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 4 第八十二条第三項及び第四項並びに民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、家事調停の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、第八十二条第三項中「前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項」とあるのは「第二百七十三条第二項」と、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「家事調停の手続の期日」と読み替えるものとする。 第六節 付調停等 (付調停) 第二百七十四条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟又は家事審判事件が係属している場合には、裁判所は、当事者(本案について被告又は相手方の陳述がされる前にあっては、原告又は申立人に限る。)の意見を聴いて、いつでも、職権で、事件を家事調停に付することができる。 2 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 3 家庭裁判所及び高等裁判所は、第一項の規定により事件を調停に付する場合には、前項の規定にかかわらず、その家事調停事件を自ら処理することができる。 4 前項の規定により家庭裁判所又は高等裁判所が調停委員会で調停を行うときは、調停委員会は、当該裁判所がその裁判官の中から指定する裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 5 第三項の規定により高等裁判所が自ら調停を行う場合についてのこの編の規定の適用については、第二百四十四条、第二百四十七条、第二百四十八条第二項、第二百五十四条第一項から第四項まで、第二百六十四条第二項、第二百六十六条第四項、第二百六十八条第三項ただし書、第二百六十九条第一項並びに第二百七十二条第一項ただし書及び第二項並びに次章及び第三章の規定中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第二百四十四条、第二百五十八条第一項、第二百七十六条、第二百七十七条第一項第一号、第二百七十九条第三項及び第二百八十四条第一項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第二百六十七条第一項中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、次章の規定中「合意に相当する審判」とあるのは「合意に相当する審判に代わる裁判」と、第二百七十二条第一項ただし書及び第三章の規定(第二百八十六条第七項の規定を除く。)中「調停に代わる審判」とあるのは「調停に代わる審判に代わる裁判」と、第二百八十一条及び第二百八十七条中「却下する審判」とあるのは「却下する審判に代わる裁判」とする。 (訴訟手続及び家事審判の手続の中止) 第二百七十五条 家事調停の申立てがあった事件について訴訟が係属しているとき、又は訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項若しくは前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、訴訟が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで訴訟手続を中止することができる。 2 家事調停の申立てがあった事件について家事審判事件が係属しているとき、又は家事審判事件が係属している裁判所が前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、家事審判事件が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで、家事審判の手続を中止することができる。 (訴えの取下げの擬制等) 第二百七十六条 訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は次条第一項若しくは第二百八十四条第一項の規定による審判が確定したときは、当該訴訟について訴えの取下げがあったものとみなす。 2 家事審判事件が係属している裁判所が第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は第二百八十四条第一項の審判が確定したときは、当該家事審判事件は、終了する。 第二章 合意に相当する審判 (合意に相当する審判の対象及び要件) 第二百七十七条 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第一号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。 ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。 一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。 二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。 2 前項第一号の合意は、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項及び第二百七十条第一項に規定する方法によっては、成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 3 第一項の家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、合意に相当する審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 4 第二百七十二条第一項から第三項までの規定は、家庭裁判所が第一項第一号の規定による合意を正当と認めない場合について準用する。 (申立ての取下げの制限) 第二百七十八条 家事調停の申立ての取下げは、合意に相当する審判がされた後は、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (異議の申立て) 第二百七十九条 当事者及び利害関係人は、合意に相当する審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 ただし、当事者にあっては、第二百七十七条第一項各号に掲げる要件に該当しないことを理由とする場合に限る。 2 前項の規定による異議の申立ては、二週間の不変期間内にしなければならない。 3 前項の期間は、異議の申立てをすることができる者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては当事者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 4 第一項の規定による異議の申立てをする権利は、放棄することができる。 (異議の申立てに対する審判等) 第二百八十条 家庭裁判所は、当事者がした前条第一項の規定による異議の申立てが不適法であるとき、又は異議の申立てに理由がないと認めるときは、これを却下しなければならない。 利害関係人がした同項の規定による異議の申立てが不適法であるときも、同様とする。 2 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 家庭裁判所は、当事者から適法な異議の申立てがあった場合において、異議の申立てを理由があると認めるときは、合意に相当する審判を取り消さなければならない。 4 利害関係人から適法な異議の申立てがあったときは、合意に相当する審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 5 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (合意に相当する審判の効力) 第二百八十一条 第二百七十九条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、合意に相当する審判は、確定判決と同一の効力を有する。 (婚姻の取消しについての合意に相当する審判の特則) 第二百八十二条 婚姻の取消しについての家事調停の手続において、婚姻の取消しについての合意に相当する審判をするときは、この合意に相当する審判において、当事者間の合意に基づき、子の親権者を指定しなければならない。 2 前項の合意に相当する審判は、子の親権者の指定につき当事者間で合意が成立しないとき、又は成立した合意が相当でないと認めるときは、することができない。 (申立人の死亡により事件が終了した場合の特則) 第二百八十三条 父が嫡出否認についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他父の三親等内の血族が父の死亡の日から一年以内に嫡出否認の訴えを提起したときは、父がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (嫡出否認の審判の通知) 第二百八十三条の二 家庭裁判所は、民法第七百七十二条第三項の規定により父が定められる子の嫡出否認についての合意に相当する審判が確定したときは、同法第七百七十四条第四項に規定する前夫(事件の記録上その氏名及び住所又は居所が判明しているものに限る。)に対し、当該合意に相当する審判の内容を通知するものとする。 (認知の無効についての調停の申立ての特則) 第二百八十三条の三 認知をした者が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他認知をした者の三親等内の血族が認知をした者の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、認知をした者がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 2 子が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、子の直系卑属又はその法定代理人が子の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、子がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 第三章 調停に代わる審判 (調停に代わる審判の対象及び要件) 第二百八十四条 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。 ただし、第二百七十七条第一項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。 2 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (調停に代わる審判の特則) 第二百八十五条 家事調停の申立ての取下げは、第二百七十三条第一項の規定にかかわらず、調停に代わる審判がされた後は、することができない。 2 調停に代わる審判の告知は、公示送達の方法によっては、することができない。 3 調停に代わる審判を告知することができないときは、家庭裁判所は、これを取り消さなければならない。 (異議の申立て等) 第二百八十六条 当事者は、調停に代わる審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 2 第二百七十九条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による異議の申立てについて準用する。 3 家庭裁判所は、第一項の規定による異議の申立てが不適法であるときは、これを却下しなければならない。 4 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 5 適法な異議の申立てがあったときは、調停に代わる審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 6 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 7 第五項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判が効力を失った場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 8 当事者が、申立てに係る家事調停(離婚又は離縁についての家事調停を除く。)の手続において、調停に代わる審判に服する旨の共同の申出をしたときは、第一項の規定は、適用しない。 9 前項の共同の申出は、書面でしなければならない。 10 当事者は、調停に代わる審判の告知前に限り、第八項の共同の申出を撤回することができる。 この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。 (調停に代わる審判の効力) 第二百八十七条 前条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判は確定した第三十九条の規定による審判と同一の効力を、その余の調停に代わる審判は確定判決と同一の効力を有する。 第四章 不服申立て等 第二百八十八条 家事調停の手続においてされた裁判に対する不服申立て及び再審については、特別の定めのある場合を除き、それぞれ前編第一章第二節及び第三節の規定を準用する。 第四編 履行の確保 (義務の履行状況の調査及び履行の勧告) 第二百八十九条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所(第九十一条第一項(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により抗告裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては第一審裁判所である家庭裁判所、第百五条第二項の規定により高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては本案の家事審判事件の第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、その審判(抗告裁判所又は高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては、その裁判。次条第一項において同じ。)で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。 3 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項から第六項までにおいてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 6 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧等又はその複製の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 7 前各項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務(高等裁判所において定められたものを含む。次条第三項において同じ。)の履行及び調停前の処分として命じられた事項の履行について準用する。 (義務履行の命令) 第二百九十条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、その審判で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠った者がある場合において、相当と認めるときは、権利者の申立てにより、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をすべきことを命ずる審判をすることができる。 この場合において、その命令は、その命令をする時までに義務者が履行を怠った義務の全部又は一部についてするものとする。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定により義務の履行を命ずるには、義務者の陳述を聴かなければならない。 3 前二項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務の履行について準用する。 4 前三項に規定するもののほか、第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定による義務の履行を命ずる審判の手続については、第二編第一章に定めるところによる。 5 第一項(第三項において準用する場合を含む。)の規定により義務の履行を命じられた者が正当な理由なくその命令に従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 第五編 罰則 (過料の裁判の執行等) 第二百九十一条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。 (人の秘密を漏らす罪) 第二百九十二条 参与員、家事調停委員又はこれらの職にあった者が正当な理由なくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。 (評議の秘密を漏らす罪) 第二百九十三条 家事調停委員又は家事調停委員であった者が正当な理由なく評議の経過又は裁判官、家事調停官若しくは家事調停委員の意見若しくはその多少の数を漏らしたときは、三十万円以下の罰金に処する。 参与員又は参与員であった者が正当な理由なく裁判官又は参与員の意見を漏らしたときも、同様とする。
民事
Heisei
Act
423AC0000000052_20260524_504AC0000000048.xml
平成二十三年法律第五十二号
46
家事事件手続法 第一編 総則 第一章 通則 (趣旨) 第一条 家事審判及び家事調停に関する事件(以下「家事事件」という。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第二条 裁判所は、家事事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に家事事件の手続を追行しなければならない。 (最高裁判所規則) 第三条 この法律に定めるもののほか、家事事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第一章の二 日本の裁判所の管轄権 (不在者の財産の管理に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の二 裁判所は、不在者の財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の五十五の項の事項についての審判事件をいう。第百四十五条において同じ。)について、不在者の財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (失踪の宣告の取消しの審判事件の管轄権) 第三条の三 裁判所は、失踪の宣告の取消しの審判事件(別表第一の五十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十九条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 日本において失踪の宣告の審判があったとき。 二 失踪者の住所が日本国内にあるとき又は失踪者が日本の国籍を有するとき。 三 失踪者が生存していたと認められる最後の時点において、失踪者が日本国内に住所を有していたとき又は日本の国籍を有していたとき。 (嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件の管轄権) 第三条の四 裁判所は、嫡出否認の訴えについて日本の裁判所が管轄権を有するときは、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件(別表第一の五十九の項の事項についての審判事件をいう。第百五十九条第一項及び第二項において同じ。)について、管轄権を有する。 (養子縁組をするについての許可の審判事件等の管轄権) 第三条の五 裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判事件(別表第一の六十一の項の事項についての審判事件をいう。第百六十一条第一項及び第二項において同じ。)、養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判事件(同表の六十一の二の項の事項についての審判事件をいう。第百六十一条の二において同じ。)及び特別養子縁組の成立の審判事件(同表の六十三の項の事項についての審判事件をいう。第百六十四条において同じ。)(特別養子適格の確認の審判事件(同条第二項に規定する特別養子適格の確認についての審判事件をいう。第百六十四条の二第二項及び第四項において同じ。)を含む。)について、養親となるべき者又は養子となるべき者の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (死後離縁をするについての許可の審判事件の管轄権) 第三条の六 裁判所は、死後離縁をするについての許可の審判事件(別表第一の六十二の項の事項についての審判事件をいう。第百六十二条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親又は養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養親又は養子がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。 三 養親又は養子の一方が日本の国籍を有する場合であって、他の一方がその死亡の時に日本の国籍を有していたとき。 (特別養子縁組の離縁の審判事件の管轄権) 第三条の七 裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判事件(別表第一の六十四の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養子の実父母又は検察官からの申立てであって、養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 養親及び養子が日本の国籍を有するとき。 四 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親及び養子が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 五 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親が行方不明であるとき、養親の住所がある国においてされた離縁に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが養親と養子との間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (親権に関する審判事件等の管轄権) 第三条の八 裁判所は、親権に関する審判事件(別表第一の六十五の項から六十九の項まで及び別表第二の七の項から八の二の項までの事項についての審判事件をいう。第百六十七条において同じ。)、子の監護に関する処分の審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)及び親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件(別表第一の百三十二の項の事項についての審判事件をいう。第二百四十二条第一項第二号及び第三項において同じ。)について、子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件等の管轄権) 第三条の九 裁判所は、養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件(別表第一の七十の項の事項についての審判事件をいう。第百七十六条及び第百七十七条第一号において同じ。)又は未成年後見人の選任の審判事件(同表の七十一の項の事項についての審判事件をいう。同条第二号において同じ。)について、未成年被後見人となるべき者若しくは未成年被後見人(以下この条において「未成年被後見人となるべき者等」という。)の住所若しくは居所が日本国内にあるとき又は未成年被後見人となるべき者等が日本の国籍を有するときは、管轄権を有する。 (夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件の管轄権) 第三条の十 裁判所は、夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件(別表第一の八十四の項及び八十五の項並びに別表第二の一の項から三の項まで、九の項及び十の項の事項についての審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件にあっては、子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。)をいう。)について、扶養義務者(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件にあっては、扶養義務者となるべき者)であって申立人でないもの又は扶養権利者(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件にあっては、子の監護者又は子)の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (相続に関する審判事件の管轄権) 第三条の十一 裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで及び百三十三の項並びに別表第二の十一の項から十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。 2 相続開始の前に推定相続人の廃除の審判事件(別表第一の八十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)、推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件(同表の八十七の項の事項についての審判事件をいう。第百八十八条第一項及び第百八十九条第一項において同じ。)、遺言の確認の審判事件(同表の百二の項の事項についての審判事件をいう。第二百九条第二項において同じ。)又は遺留分の放棄についての許可の審判事件(同表の百十の項の事項についての審判事件をいう。第二百十六条第一項第二号において同じ。)の申立てがあった場合における前項の規定の適用については、同項中「相続開始の時における被相続人」とあるのは「被相続人」と、「相続開始の前」とあるのは「申立て前」とする。 3 裁判所は、第一項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第百八十九条第一項及び第二項において同じ。)、相続財産の保存に関する処分の審判事件(同表の八十九の項の事項についての審判事件をいう。第百九十条の二において同じ。)、限定承認を受理した場合における相続財産の清算人の選任の審判事件(同表の九十四の項の事項についての審判事件をいう。)、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十七の項の事項についての審判事件をいう。第二百二条第一項第二号及び第三項において同じ。)及び相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 4 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に遺産の分割に関する審判事件(別表第二の十二の項から十四の項までの事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第百九十一条第一項において同じ。)及び特別の寄与に関する処分の審判事件(同表の十五の項の事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第二百十六条の二において同じ。)の申立てをすることができるかについて定めることができる。 5 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三条の七第二項から第四項までの規定は、前項の合意について準用する。 (財産の分与に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の十二 裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件(別表第二の四の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第五号及び第百五十二条の二第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 夫であった者及び妻であった者の双方が日本の国籍を有するとき。 三 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、夫であった者及び妻であった者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 四 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた財産の分与に関する処分に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (家事調停事件の管轄権) 第三条の十三 裁判所は、家事調停事件について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 当該調停を求める事項についての訴訟事件又は家事審判事件について日本の裁判所が管轄権を有するとき。 二 相手方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 当事者が日本の裁判所に家事調停の申立てをすることができる旨の合意をしたとき。 2 民事訴訟法第三条の七第二項及び第三項の規定は、前項第三号の合意について準用する。 3 人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての調停事件については、第一項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。 (特別の事情による申立ての却下) 第三条の十四 裁判所は、第三条の二から前条までに規定する事件について日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(遺産の分割に関する審判事件又は特別の寄与に関する処分の審判事件について、日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の合意に基づき申立てがされた場合を除く。)においても、事案の性質、申立人以外の事件の関係人の負担の程度、証拠の所在地、未成年者である子の利益その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが適正かつ迅速な審理の実現を妨げ、又は相手方がある事件について申立人と相手方との間の衡平を害することとなる特別の事情があると認めるときは、その申立ての全部又は一部を却下することができる。 (管轄権の標準時) 第三条の十五 日本の裁判所の管轄権は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 第二章 管轄 (管轄が住所地により定まる場合の管轄権を有する家庭裁判所) 第四条 家事事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (優先管轄) 第五条 この法律の他の規定により二以上の家庭裁判所が管轄権を有するときは、家事事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した家庭裁判所が管轄する。 (管轄裁判所の指定) 第六条 管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 3 前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (管轄権を有する家庭裁判所の特例) 第七条 この法律の他の規定により家事事件の管轄が定まらないときは、その家事事件は、審判又は調停を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管轄の標準時) 第八条 裁判所の管轄は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 (移送等) 第九条 裁判所は、家事事件の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。 ただし、家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。 2 家庭裁判所は、家事事件がその管轄に属する場合においても、次の各号に掲げる事由があるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を当該各号に定める家庭裁判所に移送することができる。 一 家事事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるとき 第五条の規定により管轄権を有しないこととされた家庭裁判所 二 事件を処理するために特に必要があると認めるとき 前号の家庭裁判所以外の家庭裁判所 3 前二項の規定による移送の裁判及び第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 民事訴訟法第二十二条の規定は、家事事件の移送の裁判について準用する。 第三章 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第十条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者(審判(申立てを却下する審判を除く。)がされた場合において、その審判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。 二 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第十一条 裁判官について裁判又は調停の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第十二条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、受託裁判官として職務を行う簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。 2 家庭裁判所及び地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで家事事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 家事事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官、調停委員会を組織する裁判官又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第十三条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (参与員の除斥及び忌避) 第十四条 参与員の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 参与員について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その参与員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 参与員の除斥又は忌避についての裁判は、参与員の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官(受命裁判官の手続に立ち会う参与員が忌避の申立てを受けたときに限る。)又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官がすることができる。 (家事調停官の除斥及び忌避) 第十五条 家事調停官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項から第四項まで、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、前項において準用する同条第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 3 家事調停官の除斥又は忌避についての裁判は、家事調停官の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項の裁判は、忌避された家事調停官がすることができる。 (家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥) 第十六条 家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥については、第十条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。 2 家庭裁判所調査官又は家事調停委員について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官又は家事調停委員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 3 家庭裁判所調査官又は家事調停委員の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官又は家事調停委員の所属する裁判所がする。 第四章 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第十七条 当事者能力、家事事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十一条、第三十三条並びに第三十四条第一項及び第二項の規定を準用する。 2 被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした家事審判又は家事調停の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。 職権により手続が開始された場合についても、同様とする。 3 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について同意その他の授権を得ている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告若しくは第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立ての取下げ又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議の取下げ (未成年者及び成年被後見人の法定代理人) 第十八条 親権を行う者又は後見人は、第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により未成年者又は成年被後見人が法定代理人によらずに自ら手続行為をすることができる場合であっても、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。 ただし、家事審判及び家事調停の申立ては、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定により親権を行う者又は後見人が申立てをすることができる場合(人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の申立てにあっては、同法その他の法令の規定によりその訴えを提起することができる場合を含む。)に限る。 (特別代理人) 第十九条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、家事事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法定代理権の消滅の通知) 第二十条 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、法定代理権の消滅は、本人又は代理人から他方の当事者に通知しなければ、その効力を生じない。 家事調停事件においても、同様とする。 (法人の代表者等への準用) 第二十一条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第五章 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第二十二条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (裁判長による手続代理人の選任等) 第二十三条 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。 2 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。 3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し手続行為につき行為能力の制限を受けた者が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。 (手続代理人の代理権の範囲) 第二十四条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について委任を受けている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告、第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立て又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議 四 前号の抗告(即時抗告を含む。)、申立て又は異議の取下げ 五 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (手続代理人の代理権の消滅の通知) 第二十五条 手続代理人の代理権の消滅は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についてのものに限る。)及び家事調停事件においては本人又は代理人から他方の当事者に、その他の家事事件においては本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。 (手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用) 第二十六条 民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第二十七条 家事事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六章 手続費用 第一節 手続費用の負担 (手続費用の負担) 第二十八条 手続費用(家事審判に関する手続の費用(以下「審判費用」という。)及び家事調停に関する手続の費用(以下「調停費用」という。)をいう。以下同じ。)は、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び利害関係参加人(第四十二条第七項に規定する利害関係参加人をいう。第一号において同じ。)がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。 一 当事者又は利害関係参加人 二 前号に掲げる者以外の審判を受ける者となるべき者 三 前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの 3 前二項の規定によれば検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。 (手続費用の負担の裁判等) 第二十九条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における審判費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。 ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。 2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。 事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。 3 調停が成立した場合において、調停費用(審判手続を経ている場合にあっては、審判費用を含む。)の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 4 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟が係属する裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、その訴訟についての訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 (手続費用の立替え) 第三十条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の家事事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第三十一条 民事訴訟法第六十九条から第七十四条までの規定(同法第七十一条第二項(同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)及び第八項(同法第七十二条後段及び第七十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十二条中「当事者が裁判所において和解をした場合」とあるのは「調停が成立した場合」と、「和解の費用又は訴訟費用」とあるのは「家事事件手続法第二十九条第三項の調停費用又は同条第四項の訴訟費用」と、同法第七十三条第一項中「裁判及び和解」とあるのは「裁判及び調停の成立」と、「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「家事事件手続法第四十一条第一項若しくは第四十二条第一項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「家事事件手続法第三十一条第一項において準用する」と、「について、同条第二項の規定は前項の申立てについて」とあるのは「について」と、「第八項まで」とあるのは「第七項まで」と、「準用する。この場合において、同条第二項中「訴訟費用の負担の裁判が確定した」とあるのは、「訴訟が完結した」と読み替えるものとする」とあるのは「準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第五項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二節 手続上の救助 第三十二条 家事事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で家事審判又は家事調停の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「家事事件手続法第三十二条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七章 家事事件の審理等 (手続の非公開) 第三十三条 家事事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (期日及び期間) 第三十四条 家事事件の手続の期日の指定及び変更は、職権で、裁判長が行う。 2 家事事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 家事事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によってする。 5 民事訴訟法第九十四条第三項及び第九十五条から第九十七条までの規定は、家事事件の手続の期日及び期間について準用する。 この場合において、同法第九十四条第三項中「第一項各号に規定する方法」とあるのは、「呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知」と読み替えるものとする。 (手続の併合等) 第三十五条 裁判所は、家事事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする家事事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (送達及び手続の中止) 第三十六条 送達及び家事事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節(第百条第二項、第三款及び第百十一条を除く。)及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十二条第一項本文中「前条の規定による措置を開始した」とあるのは「裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた」と、同項ただし書中「前条の規定による措置を開始した」とあるのは「当該掲示を始めた」と、同法第百十三条中「書類又は電磁的記録」とあるのは「書類」と、「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは「裁判又は調停を求める事項」と、「記載又は記録」とあるのは「記載」と、「第百十一条の規定による措置を開始した」とあるのは「裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第百十条第一項の規定による公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第三十七条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第八章 電子情報処理組織による申立て等 第三十八条 家事事件の手続における申立てその他の申述(以下この条及び次条において「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。次項及び第四項において同じ。)をもってするものとされているものであって、最高裁判所の定める裁判所に対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官又は裁判所書記官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項及び第三項において同じ。)と申立て等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を用いてすることができる。 2 前項の規定によりされた申立て等については、当該申立て等を書面等をもってするものとして規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもってされたものとみなして、当該申立て等に関する法令の規定を適用する。 3 第一項の規定によりされた申立て等は、同項の裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に、当該裁判所に到達したものとみなす。 4 第一項の場合において、当該申立て等に関する他の法令の規定により署名等(署名、記名、押印その他氏名又は名称を書面等に記載することをいう。以下この項において同じ。)をすることとされているものについては、当該申立て等をする者は、当該法令の規定にかかわらず、当該署名等に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。 5 第一項の規定によりされた申立て等が第三項に規定するファイルに記録されたときは、第一項の裁判所は、当該ファイルに記録された情報の内容を書面に出力しなければならない。 6 第一項の規定によりされた申立て等に係るこの法律の他の規定による家事事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、前項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第九章 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第三十八条の二 家事事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同法第百三十三条第一項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人(家事事件手続法第四十二条第七項(同法第二百五十八条第一項において準用する場合を含む。)に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の審判を受ける者となるべき者(同法第十条第一項第一号に規定する審判を受ける者となるべき者をいう。)」と、同条第三項中「訴訟記録等(訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録をいう。以下この章において同じ。)」とあるのは「家事事件の記録」と、「について訴訟記録等の閲覧等(訴訟記録の閲覧等、非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等又は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等をいう。以下この章において同じ。)」とあるのは「の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同法第百三十三条の二第一項中「に係る訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同法第百三十三条の四第一項中「秘匿決定、第百三十三条の二第二項の決定又は前条第一項の決定(次項及び第七項において「秘匿決定等」という。)に係る者以外の者は、訴訟記録等」とあるのは「秘匿決定(家事事件手続法第二百七十七条第一項に規定する事項以外の事項についての家事調停の手続に係るもの並びに同法第二百八十九条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による調査及び勧告の事件の手続に係るものを除く。次項、第四項第一号及び第七項において同じ。)に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、当該秘匿決定に係る事件の記録」と、同条第二項中「秘匿決定等に係る者以外の当事者は、秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、秘匿決定」と、「訴訟記録等の存する」とあるのは「前項の事件の記録の存する」と、「訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製」と、同条第四項第一号中「秘匿決定又は第百三十三条の二第二項の決定」とあるのは「秘匿決定」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人」と、「秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定」と読み替えるものとする。 第二編 家事審判に関する手続 第一章 総則 第一節 家事審判の手続 第一款 通則 (審判事項) 第三十九条 家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第一及び別表第二に掲げる事項並びに同編に定める事項について、審判をする。 (参与員) 第四十条 家庭裁判所は、参与員の意見を聴いて、審判をする。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、その意見を聴かないで、審判をすることができる。 2 家庭裁判所は、参与員を家事審判の手続の期日に立ち会わせることができる。 3 参与員は、家庭裁判所の許可を得て、第一項の意見を述べるために、申立人が提出した資料の内容について、申立人から説明を聴くことができる。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、この限りでない。 4 参与員の員数は、各事件について一人以上とする。 5 参与員は、毎年あらかじめ家庭裁判所の選任した者の中から、事件ごとに家庭裁判所が指定する。 6 前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の規定による選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 7 参与員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (当事者参加) 第四十一条 当事者となる資格を有する者は、当事者として家事審判の手続に参加することができる。 2 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者(審判を受ける者となるべき者に限る。)を、当事者として家事審判の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (利害関係参加) 第四十二条 審判を受ける者となるべき者は、家事審判の手続に参加することができる。 2 審判を受ける者となるべき者以外の者であって、審判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、家庭裁判所の許可を得て、家事審判の手続に参加することができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、職権で、審判を受ける者となるべき者及び前項に規定する者を、家事審判の手続に参加させることができる。 4 前条第三項の規定は、第一項の規定による参加の申出及び第二項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。 5 家庭裁判所は、第一項又は第二項の規定により家事審判の手続に参加しようとする者が未成年者である場合において、その者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者が当該家事審判の手続に参加することがその者の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出又は第二項の規定による参加の許可の申立てを却下しなければならない。 6 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判(前項の規定により第一項の規定による参加の申出を却下する裁判を含む。)に対しては、即時抗告をすることができる。 7 第一項から第三項までの規定により家事審判の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(家事審判の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。 (手続からの排除) 第四十三条 家庭裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を家事審判の手続から排除することができる。 2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第四十四条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって家事審判の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、家庭裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に家事審判の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者による受継) 第四十五条 家事審判の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該家事審判の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 家庭裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、職権で、当該家事審判の申立てをすることができる者に、その手続を受け継がせることができる。 3 第一項の規定による受継の申立て及び前項の規定による受継の裁判は、第一項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。 (調書の作成等) 第四十六条 裁判所書記官は、家事審判の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第四十七条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事審判事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事審判事件に関する事項の証明書の交付(第二百八十九条第六項において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。 2 前項の規定は、家事審判事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、これを許可しなければならない。 4 家庭裁判所は、事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、前項の規定にかかわらず、同項の申立てを許可しないことができる。 事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てを許可することを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。 5 家庭裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 6 審判書その他の裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は家事審判事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 審判を受ける者が当該審判があった後に請求する場合も、同様とする。 7 家事審判事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事審判事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 8 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 9 前項の規定による即時抗告が家事審判の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 10 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (検察官に対する通知) 第四十八条 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより審判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄権を有する家庭裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。 第二款 家事審判の申立て (申立ての方式等) 第四十九条 家事審判の申立ては、申立書(以下「家事審判の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事審判の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 申立人は、二以上の事項について審判を求める場合において、これらの事項についての家事審判の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。 4 家事審判の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い家事審判の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (申立ての変更) 第五十条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は理由を変更することができる。 ただし、第七十一条(第百八十八条第四項において準用する場合を含む。)の規定により審理を終結した後は、この限りでない。 2 申立ての趣旨又は理由の変更は、家事審判の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 家庭裁判所は、申立ての趣旨又は理由の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨又は理由の変更により家事審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 第三款 家事審判の手続の期日 (事件の関係人の呼出し) 第五十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができる。 2 呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。 ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。 3 前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、五万円以下の過料に処する。 (裁判長の手続指揮権) 第五十二条 家事審判の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が家事審判の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第五十三条 家庭裁判所は、受命裁判官に家事審判の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第六十一条第三項の規定又は第六十四条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第五十四条 家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 家事審判の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第五十五条 家事審判の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、家事審判事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。 第四款 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第五十六条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び審判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第五十七条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (家庭裁判所調査官による事実の調査) 第五十八条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。 4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。 (家庭裁判所調査官の期日への立会い等) 第五十九条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、家事審判の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。 2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。 3 家庭裁判所は、家事審判事件の処理に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 4 急迫の事情があるときは、裁判長が、前項の措置をとらせることができる。 (裁判所技官による診断等) 第六十条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 2 第五十八条第二項から第四項までの規定は前項の診断について、前条第一項及び第二項の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について準用する。 (事実の調査の嘱託等) 第六十一条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (調査の嘱託等) 第六十二条 家庭裁判所は、必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (事実の調査の通知) 第六十三条 家庭裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による家事審判の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (証拠調べ) 第六十四条 家事審判の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十五条第三項、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百五条第二項、第二百七条第二項、第二百八条、第二百十五条第二項、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)、第二百二十七条第二項、第二百二十九条第四項及び第二百三十二条の二の規定を除く。)を準用する。 この場合において、同法第二百五条第三項中「事項又は前項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項」とあり、及び同法第二百十五条第四項中「事項又は第二項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項」とあるのは「事項」と、同法第二百三十一条の二第二項中「方法又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法」とあるのは「方法」と、同法第二百三十一条の三第二項中「若しくは送付し、又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する」とあるのは「又は送付する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 3 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 一 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項(同法第二百三十一条及び第二百三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。 二 書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条(同法第二百三十一条及び第二百三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件及び同法第二百三十一条の二に規定する電磁的記録を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 4 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 一 正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。 二 対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 三 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。 5 家庭裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、家事審判の手続の期日に出頭することを命ずることができる。 6 民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。 第五款 家事審判の手続における子の意思の把握等 第六十五条 家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 第六款 家事調停をすることができる事項についての家事審判の手続の特則 (合意管轄) 第六十六条 別表第二に掲げる事項についての審判事件は、この法律の他の規定により定める家庭裁判所のほか、当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 (家事審判の申立書の写しの送付等) 第六十七条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、家事審判の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事審判の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事審判の申立てがあったことを通知することをもって、家事審判の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は、前項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について準用する。 3 裁判長は、第一項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 4 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (陳述の聴取) 第六十八条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。 2 前項の規定による陳述の聴取は、当事者の申出があるときは、審問の期日においてしなければならない。 (審問の期日) 第六十九条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。 ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。 (事実の調査の通知) 第七十条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続において、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (審理の終結) 第七十一条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。 ただし、当事者双方が立ち会うことができる家事審判の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。 (審判日) 第七十二条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、審判をする日を定めなければならない。 第七款 審判等 (審判) 第七十三条 家庭裁判所は、家事審判事件が裁判をするのに熟したときは、審判をする。 2 家庭裁判所は、家事審判事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について審判をすることができる。 手続の併合を命じた数個の家事審判事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (審判の告知及び効力の発生等) 第七十四条 審判は、特別の定めがある場合を除き、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の審判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 審判(申立てを却下する審判を除く。)は、特別の定めがある場合を除き、審判を受ける者(審判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 ただし、即時抗告をすることができる審判は、確定しなければその効力を生じない。 3 申立てを却下する審判は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。 4 審判は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 5 審判の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (審判の執行力) 第七十五条 金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 (審判の方式及び審判書) 第七十六条 審判は、審判書を作成してしなければならない。 ただし、即時抗告をすることができない審判については、家事審判の申立書又は調書に主文を記載することをもって、審判書の作成に代えることができる。 2 審判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由の要旨 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第七十七条 審判に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 審判に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (審判の取消し又は変更) 第七十八条 家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、次に掲げる審判を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。 一 申立てによってのみ審判をすべき場合において申立てを却下した審判 二 即時抗告をすることができる審判 2 審判が確定した日から五年を経過したときは、家庭裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。 ただし、事情の変更によりその審判を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、第一項の規定により審判の取消し又は変更をする場合には、その審判における当事者及びその他の審判を受ける者の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の規定による取消し又は変更の審判に対しては、取消し後又は変更後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (審判に関する民事訴訟法の準用) 第七十九条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、審判について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「審判が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (外国裁判所の家事事件についての確定した裁判の効力) 第七十九条の二 外国裁判所の家事事件についての確定した裁判(これに準ずる公的機関の判断を含む。)については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第百十八条の規定を準用する。 (中間決定) 第八十条 家庭裁判所は、審判の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (審判以外の裁判) 第八十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続においては、審判をする場合を除き、決定で裁判をする。 この場合には、第七十三条から第七十九条まで(第七十四条第二項ただし書、第七十六条第一項及び第七十八条第三項を除く。)の規定を準用する。 2 家事審判の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 3 審判以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。 第八款 取下げによる事件の終了 (家事審判の申立ての取下げ) 第八十二条 家事審判の申立ては、特別の定めがある場合を除き、審判があるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立ては、審判が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、申立ての取下げは、審判がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。 ただし、申立ての取下げが家事審判の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。 4 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。 同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 5 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、家事審判の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「家事審判の手続の期日」と、「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と読み替えるものとする。 (家事審判の申立ての取下げの擬制) 第八十三条 家事審判の申立人(第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合にあっては、当事者双方)が、連続して二回、呼出しを受けた家事審判の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた家事審判の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、家庭裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。 第九款 高等裁判所が第一審として行う手続 第八十四条 高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合におけるこの節の規定の適用については、同節の規定(第五十八条、第五十九条第一項から第三項まで、第六十一条第一項及び第二項並びに第六十五条の規定を除く。)中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第三十九条、第四十七条第六項、第四十九条第三項、第五十六条第二項、第六十五条、第七十二条、第七十三条、第七十四条第一項から第三項まで(第二項ただし書を除く。)、第七十五条、第七十七条第一項、第七十八条(第一項第二号及び第四項を除く。)、第七十九条、第八十条第一項、第八十一条第一項並びに第八十二条第一項及び第二項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第四十二条第二項中「審判の結果」とあるのは「審判に代わる裁判の結果」と、第五十八条第一項、第五十九条第一項から第三項まで、第六十一条第一項及び第六十五条中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、第五十八条第三項中「家庭裁判所に」とあるのは「高等裁判所に」と、第七十六条中「審判書」とあるのは「裁判書」と、同条第一項中「審判は」とあるのは「審判に代わる裁判は」と、同項ただし書中「即時抗告をすることができない審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができない審判に代わる裁判」と、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」とする。 2 第四十条及び第四十八条の規定は、高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合については、適用しない。 第二節 不服申立て 第一款 審判に対する不服申立て 第一目 即時抗告 (即時抗告をすることができる審判) 第八十五条 審判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 2 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第八十六条 審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 即時抗告の期間は、特別の定めがある場合を除き、即時抗告をする者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては申立人が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第八十七条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原審判の表示及びその審判に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による審判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第四十九条第四項及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第八十八条 審判に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 ただし、抗告審における手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められる場合には、即時抗告があったことを通知することをもって、抗告状の写しの送付に代えることができる。 2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 (陳述の聴取) 第八十九条 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の審判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原審判を取り消すことができない。 2 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 (原裁判所による更正) 第九十条 原裁判所は、審判に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その審判を更正しなければならない。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判については、更正することができない。 (抗告裁判所による裁判) 第九十一条 抗告裁判所は、即時抗告について決定で裁判をする。 2 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、家事審判事件について自ら審判に代わる裁判をしなければならない。 ただし、第九十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。 (原審の管轄違いの場合の取扱い) 第九十二条 抗告裁判所は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についての審判事件を除く。)の全部又は一部が原裁判所の管轄に属しないと認める場合には、原審判を取り消さなければならない。 ただし、原審における審理の経過、事件の性質、抗告の理由等に照らして原審判を取り消さないことを相当とする特別の事情があると認めるときは、この限りでない。 2 抗告裁判所は、家事審判事件が管轄違いであることを理由として原審判を取り消すときは、その事件を管轄権を有する家庭裁判所に移送しなければならない。 (家事審判の手続の規定及び民事訴訟法の準用等) 第九十三条 審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前節第一款から第八款までの規定(第四十条、第四十一条第四項、第四十二条第六項、第四十三条第二項、第四十四条第二項、第四十七条第八項から第十項まで、第四十八条、第四十九条第六項、第六十六条、第六十七条第四項、第七十四条第二項ただし書、第四項及び第五項、第七十六条第一項ただし書、第七十七条第三項から第五項まで、第七十八条第四項、第八十一条第三項並びに第八十三条の規定を除く。)、第四節の規定(第百五条第二項、第百十条、第百十一条及び第百十三条の規定を除く。)及び次章の規定(家庭裁判所の管轄及び即時抗告に関する規定を除く。)を準用する。 この場合において、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは、「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」と読み替えるものとする。 2 抗告裁判所は、第八十八条第一項の規定による抗告状の写しの送付及びこれに代わる即時抗告があったことの通知をすることを要しないときは、前項において準用する第七十一条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。 3 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百八条までの規定は、審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項及び第四項、第二百六十二条第一項並びに第二百六十三条」とあるのは「家事事件手続法第八十二条第五項及び第八十三条」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「家事事件手続法第二百九十一条」と読み替えるものとする。 第二目 特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第九十四条 家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (原裁判の執行停止) 第九十五条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。 ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十六条 第八十六条第二項、第八十七条から第八十九条まで、第九十一条第一項及び第九十三条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十七条第六項中「及び第五項」とあるのは、「から第六項まで」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十六条第一項において読み替えて準用する同法第八十七条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第二項の規定及び同法第九十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三目 許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第九十七条 高等裁判所の家事審判事件についての決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第九十四条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 ただし、その決定が家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の高等裁判所は、同項の決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第九十四条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十八条 第八十六条第二項、第八十七条(第四項及び第五項を除く。)、第八十八条、第八十九条、第九十一条第一項、第九十三条及び第九十五条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十六条第二項、第八十七条第一項、第二項第二号及び第三項、第八十八条第一項並びに第八十九条第二項中「即時抗告」とあり、第八十七条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第九十五条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第九十七条第二項の申立て」と、第八十七条第一項、第二項及び第六項、第八十八条並びに第九十三条第二項中「抗告状」とあるのは「第九十七条第二項の規定による許可の申立書」と、第九十一条第一項並びに第九十三条第一項前段、第二項及び第三項中「即時抗告」とあり、並びに第九十五条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項の規定及び同法第九十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二款 審判以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第九十九条 審判以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第百条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、家事審判事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (即時抗告期間等) 第百一条 審判以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 (審判に対する不服申立ての規定の準用) 第百二条 前款の規定(第八十五条第一項、第八十六条第一項並びに第八十八条及び第八十九条(これらの規定を第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした審判以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 第三節 再審 (再審) 第百三条 確定した審判その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により審判その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該審判その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第百四条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第四節 審判前の保全処分 (審判前の保全処分) 第百五条 本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずる審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判に代わる裁判をする。 (審判前の保全処分の申立て等) 第百六条 審判前の保全処分(前条第一項の審判及び同条第二項の審判に代わる裁判をいう。以下同じ。)の申立ては、その趣旨及び保全処分を求める事由を明らかにしてしなければならない。 2 審判前の保全処分の申立人は、保全処分を求める事由を疎明しなければならない。 3 家庭裁判所(前条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、審判前の保全処分の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、職権で、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 4 審判前の保全処分の申立ては、審判前の保全処分があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。 (陳述の聴取) 第百七条 審判前の保全処分のうち仮の地位を定める仮処分を命ずるものは、審判を受ける者となるべき者の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第百八条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、第四十七条第三項の規定にかかわらず、審判前の保全処分の事件について、当事者から同条第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、審判前の保全処分の事件における審判を受ける者となるべき者に対し、当該事件が係属したことを通知し、又は審判前の保全処分を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。 (審判) 第百九条 審判前の保全処分は、疎明に基づいてする。 2 審判前の保全処分については、第七十四条第二項ただし書の規定は、適用しない。 3 審判前の保全処分の執行及び効力は、民事保全法(平成元年法律第九十一号)その他の仮差押え及び仮処分の執行及び効力に関する法令の規定に従う。 この場合において、同法第四十五条中「仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、「本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属している家庭裁判所(当該家事審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」とする。 (即時抗告) 第百十条 審判前の保全処分(第百五条第二項の審判に代わる裁判を除く。次項において同じ。)の申立人は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 ただし、次に掲げる保全処分の申立てを却下する審判については、この限りでない。 一 第百二十六条第一項(第百三十四条第一項及び第百四十三条第一項において準用する場合を含む。)、第百五十八条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)及び第二百条第一項の規定による財産の管理者の選任又は財産の管理等に関する指示の保全処分 二 第百二十七条第一項(第百三十五条、第百四十四条、第百八十一条及び第二百二十五条第一項において準用する場合を含む。)、第百六十六条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)、第百七十四条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)、第百七十五条第三項及び第二百十五条第一項の規定による職務代行者の選任の保全処分 2 本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者は、審判前の保全処分(前項各号に掲げる保全処分を命ずる審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 (即時抗告に伴う執行停止) 第百十一条 前条第二項の規定により即時抗告が提起された場合において、原審判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原審判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、若しくは担保を立てさせないで原審判の執行の停止を命じ、又は担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 審判前の保全処分の事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、これらの処分を命ずることができる。 2 第百六条第二項及び第三項の規定は、前項の申立てについて準用する。 (審判前の保全処分の取消し) 第百十二条 審判前の保全処分が確定した後に、保全処分を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所又は審判前の保全処分をした家庭裁判所は、本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者の申立てにより又は職権で、審判前の保全処分の取消しの審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判前の保全処分の取消しの審判に代わる裁判をする。 3 第百六条並びに第百九条第一項及び第二項の規定は、第一項の審判前の保全処分の取消しの審判及び前項の裁判について準用する。 (即時抗告等) 第百十三条 前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判の申立人は、申立てを却下する審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの申立てを却下する審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 2 審判前の保全処分の申立人は、前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの審判を除く。)及び第百十五条において準用する民事保全法第三十三条の規定による原状回復の審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百十一条の規定は、前二項の規定による即時抗告に伴う執行停止について準用する。 (調書の作成) 第百十四条 裁判所書記官は、審判前の保全処分の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 審判前の保全処分の手続については、第四十六条の規定は、適用しない。 (民事保全法の準用) 第百十五条 民事保全法第四条の規定は審判前の保全処分に関する手続における担保について、同法第十四条、第十五条及び第二十条から第二十四条まで(同法第二十三条第四項を除く。)の規定は審判前の保全処分について、同法第三十三条の規定は審判前の保全処分の取消しの裁判について、同法第三十四条の規定は第百十二条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判について準用する。 第五節 戸籍の記載等の嘱託 第百十六条 裁判所書記官は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者又は登記所に対し、戸籍の記載又は後見登記等に関する法律(平成十一年法律第百五十二号)に定める登記を嘱託しなければならない。 ただし、戸籍の記載又は同法に定める登記の嘱託を要するものとして最高裁判所規則で定めるものに限る。 一 別表第一に掲げる事項についての審判又はこれに代わる裁判が効力を生じた場合 二 審判前の保全処分が効力を生じ、又は効力を失った場合 第二章 家事審判事件 第一節 成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百十七条 後見開始の審判事件(別表第一の一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条第一号において同じ。)は、成年被後見人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 成年後見に関する審判事件(別表第一の一の項から十六の二の項までの事項についての審判事件をいう。)は、後見開始の審判事件を除き、後見開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が後見開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、後見開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百十八条 次に掲げる審判事件(第一号、第四号及び第六号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 後見開始の審判事件 二 後見開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二の項の事項についての審判事件をいう。) 三 成年後見人の選任の審判事件(別表第一の三の項の事項についての審判事件をいう。) 四 成年後見人の解任の審判事件(別表第一の五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第一項において同じ。) 五 成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の六の項の事項についての審判事件をいう。) 六 成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の八の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第五項において同じ。) 七 成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の十二の項の事項についての審判事件をいう。) 八 成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(以下「郵便物等」という。)の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判事件(別表第一の十二の二の項の事項についての審判事件をいう。第百二十三条の二において「成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件」という。) 九 成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の十四の項の事項についての審判事件をいう。) 十 第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の十五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十五条第一項及び第二項において同じ。) (精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取) 第百十九条 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の精神の状況につき鑑定をしなければ、後見開始の審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 家庭裁判所は、成年被後見人の精神の状況につき医師の意見を聴かなければ、民法第十条の規定による後見開始の審判の取消しの審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (陳述及び意見の聴取) 第百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号から第三号までにあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 後見開始の審判の取消しの審判(民法第十条の規定による場合に限る。) 成年被後見人及び成年後見人 三 成年後見人又は成年後見監督人の選任の審判 成年被後見人となるべき者又は成年被後見人 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 六 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 成年後見人の選任の審判 成年後見人となるべき者 二 成年後見監督人の選任の審判 成年後見監督人となるべき者 (申立ての取下げの制限) 第百二十一条 次に掲げる申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 一 後見開始の申立て 二 民法第八百四十三条第二項の規定による成年後見人の選任の申立て 三 民法第八百四十五条の規定により選任の請求をしなければならない者による同法第八百四十三条第三項の規定による成年後見人の選任の申立て (審判の告知等) 第百二十二条 次の各号に掲げる審判は、当該各号に定める者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判は、信書の送達の事業を行う者に告知することを要しない。 この場合においては、その審判が効力を生じた時に、信書の送達の事業を行う者に通知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 後見開始の審判 民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者並びに任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号。以下「任意後見契約法」という。)第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 後見開始の審判の取消しの審判 成年後見人及び成年後見監督人 三 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 (即時抗告) 第百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 後見開始の審判 民法第七条及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 後見開始の申立てを却下する審判 申立人 三 後見開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十条に規定する者 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、成年後見監督人並びに成年被後見人及びその親族 六 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 七 成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに成年被後見人及びその親族 八 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人及びその親族 九 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 十 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の申立てを却下する審判 申立人 十一 成年被後見人の死亡後の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為についての許可の申立てを却下する審判 申立人 2 審判の告知を受ける者でない者による後見開始の審判に対する即時抗告の期間は、民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (陳述の聴取の例外) 第百二十三条の二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件においては、第八十九条第一項の規定(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)にかかわらず、抗告裁判所は、信書の送達の事業を行う者の陳述を聴くことを要しない。 (成年後見の事務の監督) 第百二十四条 家庭裁判所は、適当な者に、成年後見の事務若しくは成年被後見人の財産の状況を調査させ、又は臨時に財産の管理をさせることができる。 2 家庭裁判所は、前項の規定により調査又は管理をした者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 3 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査をさせることができる。 4 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、第一項の規定により財産を管理する者について準用する。 (管理者の改任等) 第百二十五条 家庭裁判所は、いつでも、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者を改任することができる。 2 家庭裁判所は、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者(前項の規定により改任された管理者を含む。以下この条において「財産の管理者」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、成年被後見人の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、財産の管理者に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 財産の管理者の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、財産の管理者について準用する。 7 家庭裁判所は、成年被後見人が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったときその他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、成年被後見人、財産の管理者若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 (後見開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百二十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護又は財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護若しくは財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、成年被後見人となるべき者の財産上の行為(民法第九条ただし書に規定する行為を除く。第七項において同じ。)につき、前項の財産の管理者の後見を受けることを命ずることができる。 3 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、第百七条の規定にかかわらず、その者の陳述を聴く手続を経ずに、前項の規定による審判(次項から第七項までにおいて「後見命令の審判」という。)をすることができる。 4 後見命令の審判は、第一項の財産の管理者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによって、その効力を生ずる。 5 後見命令の審判は、成年被後見人となるべき者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 6 審判の告知を受ける者でない者による後見命令の審判に対する即時抗告の期間は、第一項の財産の管理者が第四項の規定による告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 7 後見命令の審判があったときは、成年被後見人となるべき者及び第一項の財産の管理者は、成年被後見人となるべき者がした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 8 前条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、前条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「成年被後見人となるべき者」と読み替えるものとする。 (成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百二十七条 家庭裁判所は、成年後見人の解任の審判事件が係属している場合において、成年被後見人の利益のため必要があるときは、成年後見人の解任の申立てをした者の申立てにより又は職権で、成年後見人の解任についての審判が効力を生ずるまでの間、成年後見人の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による成年後見人の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される成年後見人、他の成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定は、成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第二節 保佐に関する審判事件 (管轄) 第百二十八条 保佐開始の審判事件(別表第一の十七の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被保佐人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 保佐に関する審判事件(別表第一の十七の項から三十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、保佐開始の審判事件を除き、保佐開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が保佐開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、保佐開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百二十九条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被保佐人となるべき者及び被保佐人について準用する。 一 保佐開始の審判事件 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の十八の項の事項についての審判事件をいう。) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の十九の項の事項についての審判事件をいう。) 四 保佐開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二十の項の事項についての審判事件をいう。) 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の二十一の項の事項についての審判事件をいう。) 六 保佐人の選任の審判事件(別表第一の二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 七 保佐人の解任の審判事件(別表第一の二十四の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 八 保佐監督人の選任の審判事件(別表第一の二十六の項の事項についての審判事件をいう。) 九 保佐監督人の解任の審判事件(別表第一の二十八の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 十 保佐人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の三十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十三の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 保佐の事務の監督の審判事件(別表第一の三十四の項の事項についての審判事件をいう。) (陳述及び意見の聴取) 第百三十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号、第四号及び第五号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 保佐開始の審判 被保佐人となるべき者 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人 四 保佐開始の審判の取消しの審判(民法第十四条第一項の規定による場合に限る。) 被保佐人及び保佐人 五 保佐人又は保佐監督人の選任の審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 保佐人の選任の審判 保佐人となるべき者 二 保佐監督人の選任の審判 保佐監督人となるべき者 (審判の告知) 第百三十一条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 保佐開始の審判 民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐人又は保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐人となるべき者又は保佐監督人となるべき者) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人及び保佐監督人 四 保佐開始の審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 六 保佐人に対する代理権の付与の審判 被保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐監督人となるべき者) 七 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被保佐人及び保佐監督人 (即時抗告) 第百三十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 保佐開始の審判 民法第十一条本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 保佐開始の申立てを却下する審判 申立人 三 保佐開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十四条第一項に規定する者 四 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人 五 保佐人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐人の解任の申立てを却下する審判 申立人、保佐監督人並びに被保佐人及びその親族 八 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 九 保佐監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被保佐人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐開始の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百三十三条 第百十九条の規定は被保佐人となるべき者及び被保佐人の精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取について、第百二十一条の規定は保佐開始の申立ての取下げ及び保佐人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は保佐の事務の監督について準用する。 (保佐開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百三十四条 保佐開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、保佐開始の申立てがあった場合において、被保佐人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、保佐開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被保佐人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為に限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の保佐を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「保佐命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐命令の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 保佐命令の審判があったときは、被保佐人となるべき者及び財産の管理者は、被保佐人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被保佐人となるべき者」と読み替えるものとする。 (保佐人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百三十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、保佐人の解任の審判事件又は保佐監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第三節 補助に関する審判事件 (管轄) 第百三十六条 補助開始の審判事件(別表第一の三十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被補助人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 補助に関する審判事件(別表第一の三十六の項から五十四の項までの事項についての審判事件をいう。)は、補助開始の審判事件を除き、補助開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が補助開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、補助開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百三十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被補助人となるべき者及び被補助人について準用する。 一 補助開始の審判事件 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の三十七の項の事項についての審判事件をいう。) 三 補助人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の三十八の項の事項についての審判事件をいう。) 四 補助開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十九の項の事項についての審判事件をいう。) 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の四十の項の事項についての審判事件をいう。) 六 補助人の選任の審判事件(別表第一の四十一の項の事項についての審判事件をいう。) 七 補助人の解任の審判事件(別表第一の四十三の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 八 補助監督人の選任の審判事件(別表第一の四十五の項の事項についての審判事件をいう。) 九 補助監督人の解任の審判事件(別表第一の四十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 十 補助人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の五十一の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の五十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 補助の事務の監督の審判事件(別表第一の五十三の項の事項についての審判事件をいう。) (精神の状況に関する意見の聴取) 第百三十八条 家庭裁判所は、被補助人となるべき者の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、補助開始の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第百三十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第三号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 補助開始の審判 被補助人となるべき者 二 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人 三 補助開始の審判の取消しの審判(民法第十八条第一項又は第三項の規定による場合に限る。) 被補助人及び補助人 四 補助人又は補助監督人の選任の審判 被補助人となるべき者又は被補助人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助監督人の解任の審判 補助監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 補助人の選任の審判 補助人となるべき者 二 補助監督人の選任の審判 補助監督人となるべき者 (審判の告知) 第百四十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 補助開始の審判 民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判 補助人及び補助監督人(当該審判が補助人又は補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助人となるべき者又は補助監督人となるべき者) 三 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人及び補助監督人 四 補助開始の審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 六 補助人に対する代理権の付与の審判 被補助人及び補助監督人(当該審判が補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助監督人となるべき者) 七 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被補助人及び補助監督人 (即時抗告) 第百四十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 補助開始の審判 民法第十五条第一項本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 補助開始の申立てを却下する審判 申立人 三 補助開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十八条第一項に規定する者 四 補助人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助人の解任の申立てを却下する審判 申立人、補助監督人並びに被補助人及びその親族 七 補助監督人の解任の審判 補助監督人 八 補助監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被補助人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助開始の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百四十二条 第百二十一条の規定は補助開始の申立ての取下げ及び補助人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は補助の事務の監督について準用する。 (補助開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百四十三条 補助開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、補助開始及び補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てがあった場合において、被補助人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、補助開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被補助人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為であって、当該補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てに係るものに限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の補助を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「補助命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助命令の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 補助命令の審判があったときは、被補助人となるべき者及び財産の管理者は、被補助人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被補助人となるべき者」と読み替えるものとする。 (補助人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百四十四条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、補助人の解任の審判事件又は補助監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第四節 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件 (管轄) 第百四十五条 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管理人の改任等) 第百四十六条 家庭裁判所は、いつでも、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人を改任することができる。 2 家庭裁判所は、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人及び前項の規定により改任した管理人(第四項及び第六項、次条並びに第百四十七条において「家庭裁判所が選任した管理人」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 同法第二十七条第二項の場合においては、不在者が置いた管理人に対しても、同様とする。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、不在者の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、管理人(家庭裁判所が選任した管理人及び不在者が置いた管理人をいう。次項及び第百四十七条において同じ。)に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 管理人の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、家庭裁判所が選任した管理人について準用する。 (供託等) 第百四十六条の二 家庭裁判所が選任した管理人は、不在者の財産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、不在者のために、当該金銭を不在者の財産の管理に関する処分を命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。 2 家庭裁判所が選任した管理人は、前項の規定による供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 (処分の取消し) 第百四十七条 家庭裁判所は、不在者が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったとき(家庭裁判所が選任した管理人が管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、不在者、管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、民法第二十五条第一項の規定による管理人の選任その他の不在者の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 第五節 失踪の宣告に関する審判事件 第一款 失踪の宣告の審判事件 第百四十八条 失踪の宣告の審判事件(別表第一の五十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の審判事件における不在者について準用する。 3 家庭裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号及び第四号の期間が経過しなければ、失踪の宣告の審判をすることができない。 この場合において、第二号及び第四号の期間は、民法第三十条第一項の場合にあっては三月を、同条第二項の場合にあっては一月を下ってはならない。 一 不在者について失踪の宣告の申立てがあったこと。 二 不在者は、一定の期間までにその生存の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、失踪の宣告がされること。 四 不在者の生死を知る者は、一定の期間までにその届出をすべきこと。 4 失踪の宣告の審判は、不在者に告知することを要しない。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の審判 不在者及び利害関係人 二 失踪の宣告の申立てを却下する審判 申立人 第二款 失踪の宣告の取消しの審判事件 第百四十九条 失踪の宣告の取消しの審判事件は、失踪者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の取消しの審判事件における失踪者について準用する。 3 失踪の宣告の取消しの審判は、事件の記録上失踪者の住所又は居所が判明している場合に限り、失踪者に告知すれば足りる。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の取消しの審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 失踪の宣告の取消しの申立てを却下する審判 失踪者及び利害関係人 第六節 婚姻等に関する審判事件 (管轄) 第百五十条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件(別表第二の一の項の事項についての審判事件をいう。次条第一号及び第百五十二条の二第一項第一号において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の五十八の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件(別表第二の二の項の事項についての審判事件をいう。第百五十二条の二第一項第二号において同じ。) 夫又は妻の住所地 四 子の監護に関する処分の審判事件 子(父又は母を同じくする数人の子についての申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地 五 財産の分与に関する処分の審判事件 夫又は妻であった者の住所地 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の五の項の事項についての審判事件をいう。) 所有者の住所地 (手続行為能力) 第百五十一条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件及びこれらの審判事件を本案とする保全処分についての審判事件(いずれの審判事件においても、財産上の給付を求めるものを除く。)における当該各号に定める者について準用する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の審判事件 子 (陳述の聴取) 第百五十二条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判をする場合には、夫及び妻(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判を除く。)をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (情報開示命令) 第百五十二条の二 家庭裁判所は、次に掲げる審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 二 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件 三 子の監護に関する処分の審判事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。) 2 家庭裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その財産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。 3 前二項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (審判前の親子交流の試行的実施) 第百五十二条の三 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)において、子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がなく、かつ、事実の調査のため必要があると認めるときは、当事者に対し、子との交流の試行的実施を促すことができる。 2 家庭裁判所は、前項の試行的実施を促すに当たっては、交流の方法、交流をする日時及び場所並びに家庭裁判所調査官その他の者の立会いその他の関与の有無を定めるとともに、当事者に対して子の心身に有害な影響を及ぼす言動を禁止することその他適当と認める条件を付することができる。 3 家庭裁判所は、第一項の試行的実施を促したときは、当事者に対してその結果の報告(当該試行的実施をしなかったときは、その理由の説明)を求めることができる。 (申立ての取下げの制限) 第百五十三条 第八十二条第二項の規定にかかわらず、財産の分与に関する処分の審判の申立ての取下げは、相手方が本案について書面を提出し、又は家事審判の手続の期日において陳述をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (給付命令等) 第百五十四条 家庭裁判所は、夫婦間の協力扶助に関する処分の審判において、扶助の程度若しくは方法を定め、又はこれを変更することができる。 2 家庭裁判所は、次に掲げる審判において、当事者(第二号の審判にあっては、夫又は妻)に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判 四 財産の分与に関する処分の審判 3 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判において、子の監護をすべき者の指定又は変更、子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項の定めをする場合には、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 4 家庭裁判所は、離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 (共有財産の分割) 第百五十五条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判とともに共有財産の分割に関する処分の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、共有財産の分割の方法として、一方の婚姻の当事者に他方の婚姻の当事者に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (即時抗告) 第百五十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 四 子の監護に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 五 財産の分与に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫又は妻であった者 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判 婚姻の当事者(民法第七百五十一条第二項において準用する同法第七百六十九条第二項の規定による場合にあっては、生存配偶者)その他の利害関係人 2 子の監護に関する処分の審判(父母以外の親族と子との交流に関する処分の審判に限る。)及びその申立てを却下する審判に対する即時抗告は、民法第七百六十六条の二第二項(第二号に係る部分に限る。)の規定による請求をすることができる者及び同法第八百十七条の十三第五項の規定による請求をすることができる者もすることができる。 (婚姻等に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百五十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分 二 婚姻費用の分担に関する処分 三 子の監護に関する処分 四 財産の分与に関する処分 2 家庭裁判所は、前項第三号に掲げる事項について仮の地位を定める仮処分(子の監護に要する費用の分担に関する仮処分を除く。)を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件を本案とする保全処分) 第百五十八条 家庭裁判所は、夫婦の一方から夫婦財産契約による財産の管理者の変更の申立てがあった場合において、他の一方の管理する申立人所有の財産又は共有財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、当該財産の管理者の変更の申立てについての審判(共有財産の分割に関する処分の申立てがあった場合にあっては、その申立てについての審判)が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、他の一方の管理する申立人所有の財産若しくは共有財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は夫婦の他の一方の申立てにより、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「管理に係る財産」と読み替えるものとする。 第七節 親子に関する審判事件 第一款 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件 第百五十九条 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件は、子の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件における父及び民法第七百七十四条第四項に規定する前夫について準用する。 3 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二款 子の氏の変更についての許可の審判事件 第百六十条 子の氏の変更についての許可の審判事件(別表第一の六十の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、子(父又は母を同じくする数人の子についての子の氏の変更についての許可の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、子の氏の変更についての許可の審判事件における子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 子の氏の変更についての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第三款 養子縁組をするについての許可の審判事件 第百六十一条 養子縁組をするについての許可の審判事件は、養子となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、養子縁組をするについての許可の審判事件における養親となるべき者及び養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 ただし、養子となるべき者については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者及び養子となるべき者の未成年後見人 4 養子縁組をするについての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第四款 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判事件 第百六十一条の二 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判事件は、養子となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判事件における養子となるべき者の法定代理人、養子となるべき者の父母でその監護をすべき者であるもの及び養子となるべき者の父母で親権を停止されているものについて準用する。 3 家庭裁判所は、養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判をする場合には、養子となるべき者の父母でその監護をすべき者であるもの及び養子となるべき者の父母で親権を停止されているものの陳述を聴かなければならない。 4 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、養子となるべき者の父母でその監護をすべき者であるもの及び養子となるべき者の父母で親権を停止されているものに告知しなければならない。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判 養子となるべき者の父母でその監護をすべき者であるもの及び養子となるべき者の父母で親権を停止されているもの 二 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 第五款 死後離縁をするについての許可の審判事件 第百六十二条 死後離縁をするについての許可の審判事件は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、死後離縁をするについての許可の審判事件における養親及び養子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子の死後に死後離縁をするについての許可の申立てがあった場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、養子を代襲して養親の相続人となるべき者に対し、その旨を通知するものとする。 ただし、事件の記録上その者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 死後離縁をするについての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 死後離縁をするについての許可の申立てを却下する審判 申立人 第六款 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百六十三条 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の六の項の事項についての審判事件をいう。)は、その所有者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 離縁の当事者その他の利害関係人は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第七款 特別養子縁組に関する審判事件 (特別養子縁組の成立の審判事件) 第百六十四条 特別養子縁組の成立の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 養子となるべき者は、特別養子適格の確認(養子となるべき者について民法第八百十七条の六に定める要件があること及び同法第八百十七条の七に規定する父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合に該当することについての確認をいう。以下この条及び次条において同じ。)の審判(申立人の同条第一項の規定による申立てによりされたものに限る。)を受けた者又は児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判(特別養子縁組の成立の申立ての日の六箇月前の日以後に確定したものに限る。)を受けた者でなければならない。 3 養子となるべき者の親権者(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。以下この項において同じ。)及びその親権者に対し親権を行う者は、特別養子縁組の成立の審判事件において養子となるべき者を代理して手続行為をすることができない。 4 養子となるべき者の父母(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。第十項において同じ。)は、第四十二条第一項及び第三項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判事件の手続に参加することができない。 5 第百十八条の規定は、特別養子縁組の成立の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方について準用する。 6 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者(養子となるべき者の父母及び養子となるべき者の親権者に対し親権を行う者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 7 特別養子適格の確認の審判(児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判を含む。以下この項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の審判事件の係属する裁判所を拘束する。 この場合において、特別養子適格の確認の審判は、特別養子縁組の成立の審判事件との関係においては、特別養子縁組の成立の審判をする時においてしたものとみなす。 8 特別養子縁組の成立の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第二号に掲げる者に告知しなければならない。 9 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 ただし、養子となるべき者が十五歳に達している場合は、この限りでない。 10 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の父母に告知することを要しない。 ただし、住所又は居所が知れている父母に対しては、審判をした日及び審判の主文を通知しなければならない。 11 家庭裁判所は、第二項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判を、特別養子適格の確認の審判と同時にすることができる。 この場合においては、特別養子縁組の成立の審判は、特別養子適格の確認の審判が確定するまでは、確定しないものとする。 12 家庭裁判所は、前項前段の場合において、特別養子適格の確認の審判を取り消す裁判が確定したときは、職権で、特別養子縁組の成立の審判を取り消さなければならない。 13 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、確定しないものとする。 この場合においては、家庭裁判所は、職権で、その審判を取り消さなければならない。 14 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の成立の審判 養子となるべき者及び第六項第二号に掲げる者 二 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判 申立人 15 養子となるべき者(十五歳未満のものに限る。)による特別養子縁組の成立の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子適格の確認の審判事件) 第百六十四条の二 家庭裁判所は、養親となるべき者の申立てにより、その者と養子となるべき者との間における縁組について、特別養子適格の確認の審判をすることができる。 ただし、養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過する日まで及び養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、この限りでない。 2 特別養子適格の確認の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 特別養子適格の確認の申立ては、特別養子縁組の成立の申立てと同時にしなければならない。 4 第百十八条の規定は、特別養子適格の確認の審判事件における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び養子となるべき者の父母について準用する。 5 民法第八百十七条の六本文の同意は、次の各号のいずれにも該当する場合には、撤回することができない。 ただし、その同意をした日から二週間を経過する日までは、この限りでない。 一 養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過した後にされたものであること。 二 次のいずれかに該当するものであること。 イ 家庭裁判所調査官による事実の調査を経た上で家庭裁判所に書面を提出してされたものであること。 ロ 審問の期日においてされたものであること。 6 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第二号に掲げる者の同意がないにもかかわらずその審判をするときは、その者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者の父母 三 養子となるべき者に対し親権を行う者(前号に掲げる者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 四 養子となるべき者の父母に対し親権を行う者及び養子となるべき者の父母の後見人 7 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てに係る特別養子適格の確認の申立てを却下しなければならない。 8 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の申立てを却下する審判をする場合には、第六項第二号及び第三号に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 9 特別養子適格の確認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第三号及び第四号に掲げる者に告知しなければならない。 10 特別養子適格の確認の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 11 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合において、第六項第二号に掲げる者を特定することができないときは、同号及び同項第四号に掲げる者の陳述を聴くこと並びにこれらの者にその審判を告知することを要しない。 12 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子適格の確認の審判 養子となるべき者及び第六項第二号から第四号までに掲げる者 二 特別養子適格の確認の申立てを却下する審判 申立人 13 養子となるべき者による特別養子適格の確認の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 14 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てによる特別養子適格の確認の審判は、その効力を失う。 (特別養子縁組の離縁の審判事件) 第百六十五条 特別養子縁組の離縁の審判事件は、養親の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、特別養子縁組の離縁の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親、養子及びその実父母について準用する。 3 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号から第三号までに掲げる者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子(十五歳以上のものに限る。) 二 養親 三 養子の実父母 四 養子に対し親権を行う者(第二号に掲げる者を除く。)及び養子の後見人 五 養親の後見人 六 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 4 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子の実父母(申立人を除く。) 二 養子に対し親権を行う者及び養子の後見人 三 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 5 特別養子縁組の離縁の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第三項第四号から第六号までに掲げる者に告知しなければならない。 6 特別養子縁組の離縁の審判は、養子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して養子の利益を害すると認める場合には、養子に告知することを要しない。 7 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の離縁の審判 養子、養親、養子の実父母、養子に対し親権を行う者で養親でないもの、養子の後見人、養親の後見人、養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 二 特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判 申立人 8 養子による特別養子縁組の離縁の審判に対する即時抗告の期間は、養子以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子縁組の成立の審判事件等を本案とする保全処分) 第百六十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の申立てがあった場合において、養子となるべき者の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別養子縁組の成立の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、申立人を養子となるべき者の監護者に選任し、又は養子となるべき者の親権者若しくは未成年後見人の職務の執行を停止し、若しくはその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者若しくは未成年後見人、養子となるべき者に対し親権を行う者若しくは他の未成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、養子となるべき者の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定(養子となるべき者の監護者を選任する保全処分に関する部分を除く。)は、特別養子縁組の離縁の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第八節 親権に関する審判事件 (管轄) 第百六十七条 親権に関する審判事件は、子(父又は母を同じくする数人の子についての親権者の指定若しくは変更、親権行使者の指定又は第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百六十八条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件(第三号、第七号及び第八号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における当該各号に定める者について準用する。 一 子に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の六十五の項の事項についての審判事件をいう。) 子 二 第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の六十六の項の事項についての審判事件をいう。第百七十三条において同じ。) 子 三 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件(別表第一の六十七の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判事件(別表第一の六十八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 五 親権又は管理権を辞し、又は回復するについての許可の審判事件(別表第一の六十九の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 六 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判事件(別表第二の七の項の事項についての審判事件をいう。) 養子、その父母及び養親 七 親権者の指定又は変更の審判事件(別表第二の八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 八 親権行使者の指定の審判事件(別表第二の八の二の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 (陳述の聴取) 第百六十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号に掲げる子の親権者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子(十五歳以上のものに限る。)及び子の親権者 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者、子の未成年後見人及び親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者 三 親権又は管理権を辞するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。) 四 親権又は管理権を回復するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 2 家庭裁判所は、親権者の指定若しくは変更又は親権行使者の指定の審判をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第百六十九条の二 親権者の指定の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (離婚が成立しない場合の申立ての却下) 第百六十九条の三 家庭裁判所は、親権者の指定の審判の手続において、申立人に対し、相当の期間を定め、父母が離婚したことを証する文書をその期間内に提出すべきことを命ずることができる。 2 前項の場合において、申立人がその期間内に同項に規定する文書を提出しないときは、家庭裁判所は、親権者の指定の審判の申立てを却下することができる。 (審判の告知) 第百七十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 ただし、子にあっては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 (引渡命令等) 第百七十一条 家庭裁判所は、親権者の指定若しくは変更又は親権行使者の指定の審判において、当事者に対し、子の引渡し又は財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百七十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号から第三号まで及び第五号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 親権喪失の審判 親権を喪失する者及びその親族 二 親権停止の審判 親権を停止される者及びその親族 三 管理権喪失の審判 管理権を喪失する者及びその親族 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てを却下する審判 申立人、子及びその親族、未成年後見人並びに未成年後見監督人 五 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子及びその親族、子に対し親権を行う者、未成年後見人並びに未成年後見監督人 六 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人並びに親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者及びその親族 七 親権又は管理権を回復するについての許可の申立てを却下する審判 申立人 八 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判 養子の父母及び養子の監護者 九 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の申立てを却下する審判 申立人、養子の父母及び養子の監護者 十 親権者の指定又は変更の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 十一 親権行使者の指定の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母 2 次の各号に掲げる即時抗告の期間は、当該各号に定める日から進行する。 一 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失する者が審判の告知を受けた日 二 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者が審判の告知を受けた日 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第百七十三条 第百二十五条の規定は、第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 (親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件を本案とする保全処分) 第百七十四条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があると認めるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 (親権者の指定又は変更の審判事件等を本案とする保全処分) 第百七十五条 家庭裁判所は、親権者の指定若しくは変更又は親権行使者の指定の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定若しくは変更又は親権行使者の指定の審判を本案とする仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 2 前項の規定により仮の地位の仮処分を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 4 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 5 家庭裁判所は、いつでも、第三項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 6 家庭裁判所は、第三項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第九節 未成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百七十六条 未成年後見に関する審判事件(別表第一の七十の項から八十三の項までの事項についての審判事件をいう。)は、未成年被後見人(養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百七十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第三号及び第五号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における未成年被後見人(第一号の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者及び養親)について準用する。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件 二 未成年後見人の選任の審判事件 三 未成年後見人の解任の審判事件(別表第一の七十三の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 四 未成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の七十四の項の事項についての審判事件をいう。) 五 未成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の七十六の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 六 未成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の七十九の項の事項についての審判事件をいう。) 七 未成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の八十一の項の事項についての審判事件をいう。) 八 第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十二の項の事項についての審判事件をいう。第百八十条において同じ。) (陳述及び意見の聴取) 第百七十八条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 未成年後見人又は未成年後見監督人の選任の審判 未成年被後見人(十五歳以上のものに限る。) 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者又は未成年後見人の選任 未成年後見人となるべき者 二 未成年後見監督人の選任 未成年後見監督人となるべき者 (即時抗告) 第百七十九条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、未成年後見監督人並びに未成年被後見人及びその親族 四 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 五 未成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに未成年被後見人及びその親族 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百八十条 第百二十一条の規定は未成年後見人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は未成年後見の事務の監督について、第百二十五条の規定は第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十一条第二号中「第八百四十三条第二項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第一項の規定による未成年後見人」と、同条第三号中「第八百四十三条第三項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第二項の規定による未成年後見人」と読み替えるものとする。 (未成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百八十一条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、未成年後見人の解任の審判事件又は未成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第十節 扶養に関する審判事件 (管轄) 第百八十二条 扶養義務の設定の審判事件(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者となるべき者(数人についての扶養義務の設定の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務の設定の取消しの審判事件(別表第一の八十五の項の事項についての審判事件をいう。)は、その扶養義務の設定の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所がその扶養義務の設定の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(別表第二の九の項の事項についての審判事件をいう。)並びに扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(同表の十の項の事項についての審判事件をいう。第百八十四条の二第一項において同じ。)は、相手方(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (申立ての特則) 第百八十三条 扶養義務の設定の申立ては、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第二十三条の二第二項第四号の規定による保護者の選任の申立てと一の申立てによりするときは、同法第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所にもすることができる。 (陳述の聴取) 第百八十四条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者 二 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者 (情報開示命令) 第百八十四条の二 家庭裁判所は、扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。 2 前項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (給付命令) 第百八十五条 家庭裁判所は、扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百八十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者(申立人を除く。) 二 扶養義務の設定の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者(申立人を除く。) 四 扶養義務の設定の取消しの申立てを却下する審判 申立人 五 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 六 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 (扶養に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百八十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消し 二 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消し 第十一節 推定相続人の廃除に関する審判事件 (推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の取消しの審判事件) 第百八十八条 推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 ただし、これらの審判事件が被相続人の死亡後に申し立てられた場合にあっては、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、前項に規定する審判事件における被相続人について準用する。 3 家庭裁判所は、推定相続人の廃除の審判事件においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、廃除を求められた推定相続人の陳述を聴かなければならない。 この場合における陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 4 推定相続人の廃除の審判事件における手続については、申立人及び廃除を求められた推定相続人を当事者とみなして、第六十七条及び第六十九条から第七十二条までの規定を準用する。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 推定相続人の廃除の審判 廃除された推定相続人 二 推定相続人の廃除又はその審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人 (遺産の管理に関する処分の審判事件) 第百八十九条 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件は、推定相続人の廃除の審判事件又は推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件が係属している家庭裁判所(その審判事件が係属していない場合にあっては相続が開始した地を管轄する家庭裁判所、その審判事件が抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所)の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項までの規定は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理人について準用する。 この場合において、同条第一項、第二項及び第四項中「家庭裁判所」とあるのは「推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所」と、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは「遺産」と読み替えるものとする。 3 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判が確定したときは、廃除を求められた推定相続人、前項の管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、その処分の取消しの裁判をしなければならない。 第十二節 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百九十条 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の十一の項の事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 相続人その他の利害関係人は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十二節の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件 第百九十条の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項まで、第百四十六条の二及び第百四十七条の規定は、相続財産の保存に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十三節 遺産の分割に関する審判事件 (管轄) 第百九十一条 遺産の分割に関する審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判事件(別表第二の十二の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)が係属している場合における寄与分を定める処分の審判事件(同表の十四の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)は、当該遺産の分割の審判事件が係属している裁判所の管轄に属する。 (手続の併合等) 第百九十二条 遺産の分割の審判事件及び寄与分を定める処分の審判事件が係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 数人からの寄与分を定める処分の審判事件が係属するときも、同様とする。 (寄与分を定める処分の審判の申立ての期間の指定) 第百九十三条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判の手続において、一月を下らない範囲内で、当事者が寄与分を定める処分の審判の申立てをすべき期間を定めることができる。 2 家庭裁判所は、寄与分を定める処分の審判の申立てが前項の期間を経過した後にされたときは、当該申立てを却下することができる。 3 家庭裁判所は、第一項の期間を定めなかった場合においても、当事者が時機に後れて寄与分を定める処分の申立てをしたことにつき、申立人の責めに帰すべき事由があり、かつ、申立てに係る寄与分を定める処分の審判の手続を併合することにより、遺産の分割の審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、その申立てを却下することができる。 (遺産の換価を命ずる裁判) 第百九十四条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、相続人に対し、遺産の全部又は一部を競売して換価することを命ずることができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があり、かつ、相当と認めるときは、相続人の意見を聴き、相続人に対し、遺産の全部又は一部について任意に売却して換価することを命ずることができる。 ただし、共同相続人中に競売によるべき旨の意思を表示した者があるときは、この限りでない。 3 前二項の規定による裁判(以下この条において「換価を命ずる裁判」という。)が確定した後に、その換価を命ずる裁判の理由の消滅その他の事情の変更があるときは、家庭裁判所は、相続人の申立てにより又は職権で、これを取り消すことができる。 4 換価を命ずる裁判は、第八十一条第一項において準用する第七十四条第一項に規定する者のほか、遺産の分割の審判事件の当事者に告知しなければならない。 5 相続人は、換価を命ずる裁判に対し、即時抗告をすることができる。 6 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判をする場合において、第二百条第一項の財産の管理者が選任されていないときは、これを選任しなければならない。 7 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判により換価を命じられた相続人に対し、遺産の中から、相当な報酬を与えることができる。 8 第百二十五条の規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第六項の規定により選任した財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 (債務を負担させる方法による遺産の分割) 第百九十五条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (給付命令) 第百九十六条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (遺産の分割の禁止の審判の取消し及び変更) 第百九十七条 家庭裁判所は、事情の変更があるときは、相続人の申立てにより、いつでも、遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判をすることができる。 この申立てに係る審判事件は、別表第二に掲げる事項についての審判事件とみなす。 (即時抗告) 第百九十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺産の分割の審判及びその申立てを却下する審判 相続人 二 遺産の分割の禁止の審判 相続人 三 遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判 相続人 四 寄与分を定める処分の審判 相続人 五 寄与分を定める処分の申立てを却下する審判 申立人 2 第百九十二条前段の規定により審判が併合してされたときは、寄与分を定める処分の審判又はその申立てを却下する審判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 3 第百九十二条後段の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (申立ての取下げの制限) 第百九十九条 第百五十三条の規定は、遺産の分割の審判の申立ての取下げについて準用する。 2 第八十二条第二項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分) 第二百条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。次項及び第三項において同じ。)は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、遺産の分割の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。 ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。 4 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 第十四節 相続の承認及び放棄に関する審判事件 第二百一条 相続の承認及び放棄に関する審判事件(別表第一の九十の項から九十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、限定承認の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十三の項の事項についての審判事件をいう。)は、限定承認の申述を受理した家庭裁判所(抗告裁判所が受理した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 家庭裁判所(抗告裁判所が限定承認の申述を受理した場合にあっては、その裁判所)は、相続人が数人ある場合において、限定承認の申述を受理したときは、職権で、民法第九百三十六条第一項の規定により相続財産の清算人を選任しなければならない。 4 第百十八条の規定は、限定承認又は相続の放棄の取消しの申述の受理の審判事件(別表第一の九十一の項の事項についての審判事件をいう。)における限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者について準用する。 5 限定承認及びその取消し並びに相続の放棄及びその取消しの申述は、次に掲げる事項を記載した申述書を家庭裁判所に提出してしなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 限定承認若しくはその取消し又は相続の放棄若しくはその取消しをする旨 6 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条の規定は、前項の申述について準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百一条第五項」と読み替えるものとする。 7 家庭裁判所は、第五項の申述の受理の審判をするときは、申述書にその旨を記載しなければならない。 この場合において、当該審判は、申述書にその旨を記載した時に、その効力を生ずる。 8 前項の審判については、第七十六条の規定は、適用しない。 9 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 相続の承認又は放棄をすべき期間の伸長の申立てを却下する審判 申立人 二 限定承認又は相続の放棄の取消しの申述を却下する審判 限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者 三 限定承認又は相続の放棄の申述を却下する審判 申述人 第十五節 財産分離に関する審判事件 第二百二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める裁判所の管轄に属する。 一 財産分離の審判事件(別表第一の九十六の項の事項についての審判事件をいう。次号において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件 財産分離の審判事件が係属している家庭裁判所(抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所、財産分離の裁判確定後にあっては財産分離の審判事件が係属していた家庭裁判所) 三 財産分離の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十八の項の事項についての審判事件をいう。) 財産分離の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が財産分離の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所) 2 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 財産分離の審判 相続人 二 民法第九百四十一条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続債権者及び受遺者 三 民法第九百五十条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続人の債権者 3 第百二十五条の規定は、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十六節 相続人の不存在に関する審判事件 (管轄) 第二百三条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。 一 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 相続人の不存在の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百の項の事項についての審判事件をいう。) 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件において相続財産の清算人の選任の審判をした家庭裁判所 三 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件(別表第一の百一の項の事項についての審判事件をいう。次条第二項及び第二百七条において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 (特別縁故者に対する相続財産の分与の審判) 第二百四条 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判は、民法第九百五十二条第二項の期間の満了後三月を経過した後にしなければならない。 2 同一の相続財産に関し特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件が数個同時に係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 (意見の聴取) 第二百五条 家庭裁判所は、特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判をする場合には、民法第九百五十二条第一項の規定により選任し、又は第二百八条において準用する第百二十五条第一項の規定により改任した相続財産の清算人(次条及び第二百七条において単に「相続財産の清算人」という。)の意見を聴かなければならない。 (即時抗告) 第二百六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判 申立人及び相続財産の清算人 二 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てを却下する審判 申立人 2 第二百四条第二項の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人又は相続財産の清算人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (相続財産の換価を命ずる裁判) 第二百七条 第百九十四条第一項、第二項本文、第三項から第五項まで及び第七項の規定は、特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件について準用する。 この場合において、同条第一項及び第七項中「相続人」とあり、並びに同条第二項中「相続人の意見を聴き、相続人」とあるのは「相続財産の清算人」と、同条第三項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人若しくは相続財産の清算人」と、同条第四項中「当事者」とあるのは「申立人」と、同条第五項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人及び相続財産の清算人」と読み替えるものとする。 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第二百八条 第百二十五条の規定は、相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十七節 遺言に関する審判事件 (管轄) 第二百九条 遺言に関する審判事件(別表第一の百二の項から百八の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続を開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺言の確認の審判事件は、遺言者の生存中は、遺言者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者及び負担の利益を受けるべき者 2 家庭裁判所は、遺言執行者の選任の審判をする場合には、遺言執行者となるべき者の意見を聴かなければならない。 (調書の作成) 第二百十一条 裁判所書記官は、遺言書の検認について、調書を作成しなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百十二条 遺言の確認又は遺言書の検認の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百十三条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 相続人 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 負担の利益を受けるべき者 (即時抗告) 第二百十四条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺言の確認の審判 利害関係人 二 遺言の確認の申立てを却下する審判 遺言に立ち会った証人及び利害関係人 三 遺言執行者の選任の申立てを却下する審判 利害関係人 四 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 五 遺言執行者の解任の申立てを却下する審判 利害関係人 六 遺言執行者の辞任についての許可の申立てを却下する審判 申立人 七 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者その他の利害関係人(申立人を除く。) 八 負担付遺贈に係る遺言の取消しの申立てを却下する審判 相続人 (遺言執行者の解任の審判事件を本案とする保全処分) 第二百十五条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、遺言執行者の解任の申立てがあった場合において、遺言の内容の実現のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、遺言執行者の解任の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、遺言執行者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による遺言執行者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される遺言執行者、他の遺言執行者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、相続財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第十八節 遺留分に関する審判事件 第二百十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 遺留分を算定するための財産の価額を定める場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百九の項の事項についての審判事件をいう。) 相続が開始した地 二 遺留分の放棄についての許可の審判事件 被相続人の住所地 2 遺留分の放棄についての許可の申立てをした者は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十八節の二 特別の寄与に関する審判事件 (管轄) 第二百十六条の二 特別の寄与に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (給付命令) 第二百十六条の三 家庭裁判所は、特別の寄与に関する処分の審判において、当事者に対し、金銭の支払を命ずることができる。 (即時抗告) 第二百十六条の四 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別の寄与に関する処分の審判 申立人及び相手方 二 特別の寄与に関する処分の申立てを却下する審判 申立人 (特別の寄与に関する審判事件を本案とする保全処分) 第二百十六条の五 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、特別の寄与に関する処分についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は申立人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別の寄与に関する処分の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 第十九節 任意後見契約法に規定する審判事件 (管轄) 第二百十七条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件(別表第一の百十一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条において同じ。)は、任意後見契約法第二条第二号の本人(以下この節において単に「本人」という。)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 任意後見契約法に規定する審判事件(別表第一の百十一の項から百二十一の項までの事項についての審判事件をいう。)は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件を除き、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が当該任意後見監督人を選任した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百十八条 第百十八条の規定は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件における本人について準用する。 (精神の状況に関する意見の聴取) 第二百十九条 家庭裁判所は、本人の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、本人については、本人の心身の障害により本人の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判並びに任意後見監督人が欠けた場合及び任意後見監督人を更に選任する場合における任意後見監督人の選任の審判 本人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見人の解任の審判 任意後見人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 2 家庭裁判所は、前項第一号に掲げる審判をする場合には、任意後見監督人となるべき者の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をする場合には、任意後見契約の効力が生ずることについて、任意後見受任者の意見を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百二十一条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任及び任意後見監督人が欠けた場合における任意後見監督人の選任の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百二十二条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判 本人及び任意後見受任者 二 後見開始の審判等の取消しの審判 後見開始の審判の取消しの審判にあっては成年後見人及び成年後見監督人、保佐開始の審判の取消しの審判にあっては保佐人及び保佐監督人並びに補助開始の審判の取消しの審判にあっては補助人及び補助監督人 三 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見監督人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人、任意後見人及び任意後見監督人 (即時抗告) 第二百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第四号及び第六号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに本人及びその親族 四 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見人 五 任意後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、任意後見監督人並びに本人及びその親族 六 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 七 任意後見契約の解除についての許可の申立てを却下する審判 申立人 (任意後見監督人の事務の調査) 第二百二十四条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に任意後見監督人の事務を調査させることができる。 (任意後見監督人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第二百二十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、任意後見監督人の解任の審判事件(別表第一の百十七の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 2 第百二十七条第一項及び第二項の規定は、任意後見人の解任の審判事件(別表第一の百二十の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 この場合において、同条第一項中「停止し、又はその職務代行者を選任する」とあるのは「停止する」と、同条第二項中「同項の規定により選任した職務代行者」とあるのは「任意後見監督人」と読み替えるものとする。 第二十節 戸籍法に規定する審判事件 (管轄) 第二百二十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 氏若しくは名の変更又は氏の振り仮名若しくは名の振り仮名の変更についての許可の審判事件(別表第一の百二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 申立人の住所地 二 就籍許可の審判事件(別表第一の百二十三の項の事項についての審判事件をいう。) 就籍しようとする地 三 戸籍の訂正についての許可の審判事件(別表第一の百二十四の項の事項についての審判事件をいう。) その戸籍のある地 四 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件(別表第一の百二十五の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。) 市役所(戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第四条において準用する同法第百二十二条の規定による場合にあっては、区役所)又は町村役場の所在地 (手続行為能力) 第二百二十七条 第百十八条の規定は、戸籍法に規定する審判事件(別表第一の百二十二の項から百二十五の項までの事項についての審判事件をいう。)における当該審判事件の申立てをすることができる者について準用する。 ただし、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件においては、当該処分を受けた届出その他の行為を自らすることができる場合に限る。 (事件係属の通知) 第二百二十八条 家庭裁判所は、戸籍法第百十三条の規定による戸籍の訂正についての許可の申立てが当該戸籍の届出人又は届出事件の本人以外の者からされた場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該届出人又は届出事件の本人に対し、その旨を通知しなければならない。 ただし、事件の記録上これらの者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十九条 家庭裁判所は、氏又は氏の振り仮名の変更についての許可の審判をする場合には、申立人と同一戸籍内にある者(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区長又は総合区長とする。以下この節において同じ。)の処分に対する不服の申立てがあった場合には、当該市町村長の意見を聴かなければならない。 (審判の告知等) 第二百三十条 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該市町村長に告知しなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを理由があると認めるときは、当該市町村長に対し、相当の処分を命じなければならない。 (即時抗告) 第二百三十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 氏又は氏の振り仮名の変更についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 氏若しくは名の変更又は氏の振り仮名若しくは名の振り仮名の変更についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 就籍許可の申立てを却下する審判 申立人 四 戸籍の訂正についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 五 戸籍の訂正についての許可の申立てを却下する審判 申立人 六 前条第二項の規定による市町村長に相当の処分を命ずる審判 当該市町村長 七 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判 申立人 第二十一節 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に規定する審判事件 第二百三十二条 性別の取扱いの変更の審判事件(別表第一の百二十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、性別の取扱いの変更の審判事件における申立人について準用する。 3 性別の取扱いの変更の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二十二節 厚生年金保険法に規定する審判事件 第二百三十三条 請求すべき 按 あん 分割合に関する処分の審判事件(別表第二の十六の項の事項についての審判事件をいう。)は、申立人又は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 申立人及び相手方は、請求すべき按分割合に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 請求すべき按分割合に関する処分の審判の手続については、第六十八条第二項の規定は、適用しない。 第二十三節 児童福祉法に規定する審判事件 (管轄) 第二百三十四条 都道府県の措置についての承認の審判事件(別表第一の百二十七の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件(同表の百二十八の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)、児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件(同表の百二十八の二の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)及び児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件(同表の百二十八の三の項の事項についての審判事件をいう。以下この節において同じ。)は、児童の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百三十五条 第百十八条の規定は、都道府県の措置についての承認の審判事件、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件及び児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件における児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者、児童の未成年後見人及び児童並びに児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件における児童及びその父母について準用する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百三十六条 家庭裁判所は、都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、前条に規定する者(児童にあっては、十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 前項の場合において、家庭裁判所は、申立人に対し、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人の陳述に関する意見を求めることができる。 3 第百六十四条の二第六項及び第八項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (審判の告知) 第二百三十七条 都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人に告知しなければならない。 2 第百六十四条の二第九項から第十一項までの規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (即時抗告) 第二百三十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 都道府県の措置についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 二 都道府県の措置についての承認の申立てを却下する審判 申立人 三 都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 四 都道府県の措置の期間の更新についての承認の申立てを却下する審判 申立人 五 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 六 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てを却下する審判 申立人 2 第百六十四条の二第十二項及び第十三項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判の特則) 第二百三十九条 家庭裁判所は、児童の出生の日から二箇月を経過する日まで及び児童が十八歳に達した日以後は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判をすることができない。 2 第百六十四条の二第五項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 第二十四節 生活保護法等に規定する審判事件 第二百四十条 施設への入所等についての許可の審判事件(別表第一の百二十九の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。)は、被保護者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判事件(別表第二の十七の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 第百十八条の規定は、施設への入所等についての許可の審判事件における被保護者、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人について準用する。 4 家庭裁判所は、施設への入所等についての許可の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、被保護者(十五歳以上のものに限る。)、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人の陳述を聴かなければならない。 5 施設への入所等についての許可の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人に告知しなければならない。 6 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 施設への入所等についての許可の審判 被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人 二 施設への入所等についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判及びその申立てを却下する審判 申立人及び相手方 第二十五節 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に規定する審判事件 第二百四十一条 保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件(別表第一の百三十の項の事項についての審判事件をいう。第四項において同じ。)は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の意見を聴かなければならない。 一 保護者の順位の変更の審判 先順位に変更される者 二 保護者の選任の審判 保護者となるべき者 3 保護者の順位の変更又は保護者の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 4 家庭裁判所は、いつでも、保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件において選任した保護者を改任することができる。 第二十六節 破産法に規定する審判事件 第二百四十二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の百三十一の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件 子の住所地 三 破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件(別表第一の百三十三の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 相続が開始した地 2 破産管財人は、破産手続における相続の放棄の承認についての申述を却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百五十二条第一項、第百五十四条第二項(第二号に係る部分に限る。)、第百五十五条、第百五十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)及び第百五十八条の規定は破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件について、第百六十八条(第三号に係る部分に限る。)、第百六十九条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第百七十条(第一号に係る部分に限る。)、第百七十二条第一項(第三号及び第四号に係る部分に限る。)及び第二項(第一号に係る部分に限る。)並びに第百七十四条の規定(管理権喪失に関する部分に限る。)は親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件について、第二百一条第五項から第八項までの規定は破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件について準用する。 第二十七節 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に規定する審判事件 第二百四十三条 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判事件(別表第一の百三十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成二十年法律第三十三号)第四条第一項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第一項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第二項の旧代表者の住所地 二 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第四条第三項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第三項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第四項の旧個人事業者の住所地 2 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判は、当該合意の当事者の全員に告知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判 当該合意の当事者(申立人を除く。) 二 遺留分の算定に係る合意についての許可の申立てを却下する審判 当該合意の当事者 第三編 家事調停に関する手続 第一章 総則 第一節 通則 (調停事項等) 第二百四十四条 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。 (管轄等) 第二百四十五条 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 3 第百九十一条第二項及び第百九十二条の規定は、遺産の分割の調停事件(別表第二の十二の項の事項についての調停事件をいう。)及び寄与分を定める処分の調停事件(同表の十四の項の事項についての調停事件をいう。)について準用する。 この場合において、第百九十一条第二項中「前項」とあるのは、「第二百四十五条第一項」と読み替えるものとする。 (地方裁判所又は簡易裁判所への移送) 第二百四十六条 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件以外の事件について調停の申立てを受けた場合には、職権で、これを管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送する。 2 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について調停の申立てを受けた場合において、事件を処理するために必要があると認めるときは、職権で、事件の全部又は一部を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送することができる。 3 家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、前二項の規定にかかわらず、その事件を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所以外の地方裁判所又は簡易裁判所(事物管轄権を有するものに限る。)に移送することができる。 4 第九条第三項から第五項までの規定は、前三項の規定による移送の裁判について準用する。 (調停機関) 第二百四十七条 家庭裁判所は、調停委員会で調停を行う。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、裁判官のみで行うことができる。 2 家庭裁判所は、当事者の申立てがあるときは、前項ただし書の規定にかかわらず、調停委員会で調停を行わなければならない。 (調停委員会) 第二百四十八条 調停委員会は、裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 2 調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。 3 調停委員会の決議は、過半数の意見による。 可否同数の場合には、裁判官の決するところによる。 4 調停委員会の評議は、秘密とする。 (家事調停委員) 第二百四十九条 家事調停委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 2 家事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (家事調停官の任命等) 第二百五十条 家事調停官は、弁護士で五年以上その職にあったもののうちから、最高裁判所が任命する。 2 家事調停官は、この法律の定めるところにより、家事調停事件の処理に必要な職務を行う。 3 家事調停官は、任期を二年とし、再任されることができる。 4 家事調停官は、非常勤とする。 5 家事調停官は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して解任されることがない。 一 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七条各号のいずれかに該当するに至ったとき。 二 心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。 三 職務上の義務違反その他家事調停官たるに適しない非行があると認められたとき。 6 この法律に定めるもののほか、家事調停官の任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 (家事調停官の権限等) 第二百五十一条 家事調停官は、家庭裁判所の指定を受けて、家事調停事件を取り扱う。 2 家事調停官は、その取り扱う家事調停事件の処理について、この法律において家庭裁判所、裁判官又は裁判長が行うものとして定める家事調停事件の処理に関する権限を行うことができる。 3 家事調停官は、独立してその職権を行う。 4 家事調停官は、その権限を行うについて、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び医師である裁判所技官に対し、その職務に関し必要な命令をすることができる。 この場合において、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第六十条第五項の規定は、家事調停官の命令を受けた裁判所書記官について準用する。 5 家事調停官には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (手続行為能力) 第二百五十二条 次の各号に掲げる調停事件(第一号及び第二号にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)において、当該各号に定める者は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の調停事件(別表第二の一の項の事項についての調停事件をいう。第二百五十八条第三項において同じ。) 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の調停事件(別表第二の三の項の事項についての調停事件をいう。第二百五十八条第三項において同じ。) 子 三 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の調停事件(別表第二の七の項の事項についての調停事件をいう。) 養子、その父母及び養親 四 親権者の指定又は変更の調停事件(別表第二の八の項の事項についての調停事件をいう。) 子及びその父母 五 親権行使者の指定の調停事件(別表第二の八の二の項の事項についての調停事件をいう。) 子及びその父母 六 人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(第二百七十七条第一項において単に「人事に関する訴え」という。)を提起することができる事項についての調停事件 同法第十三条第一項の規定が適用されることにより訴訟行為をすることができることとなる者 2 親権を行う者又は後見人は、第十八条の規定にかかわらず、前項第一号、第三号及び第四号に掲げる調停事件(同項第一号の調停事件にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)においては、当該各号に定める者に代理して第二百六十八条第一項の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾及び第二百八十六条第八項の共同の申出をすることができない。 離婚についての調停事件における夫及び妻の後見人並びに離縁についての調停事件における養親の後見人、養子(十五歳以上のものに限る。以下この項において同じ。)に対し親権を行う者及び養子の後見人についても、同様とする。 (調書の作成) 第二百五十三条 裁判所書記官は、家事調停の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第二百五十四条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事調停事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事調停事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、家事調停事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者又は利害関係を疎明した第三者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合(第六項に規定する場合を除く。)において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 4 次に掲げる書面については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ずに、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 一 審判書その他の裁判書の正本、謄本又は抄本 二 調停において成立した合意を記載し、又は調停をしないものとして、若しくは調停が成立しないものとして事件が終了した旨を記載した調書の正本、謄本又は抄本 三 家事調停事件に関する事項の証明書 5 家事調停事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事調停事件の記録の保存又は裁判所若しくは調停委員会の執務に支障があるときは、することができない。 6 第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件において、当事者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合については、第四十七条第三項、第四項及び第八項から第十項までの規定を準用する。 第二節 家事調停の申立て等 (家事調停の申立て) 第二百五十五条 家事調停の申立ては、申立書(次項及び次条において「家事調停の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事調停の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 家事調停の申立てを不適法として却下する審判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条(第一項ただし書を除く。)の規定は、家事調停の申立てについて準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百五十五条第二項」と読み替えるものとする。 (家事調停の申立書の写しの送付等) 第二百五十六条 家事調停の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は家事調停の手続の期日を経ないで第二百七十一条の規定により家事調停事件を終了させるときを除き、家事調停の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事調停の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事調停の申立てがあったことを通知することをもって、家事調停の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について、第六十七条第三項及び第四項の規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納について準用する。 (調停前置主義) 第二百五十七条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。 2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。 ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。 3 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 第三節 家事調停の手続 (家事審判の手続の規定の準用等) 第二百五十八条 第四十一条から第四十三条までの規定は家事調停の手続における参加及び排除について、第四十四条の規定は家事調停の手続における受継について、第五十一条から第五十五条までの規定は家事調停の手続の期日について、第五十六条から第六十二条まで及び第六十四条の規定は家事調停の手続における事実の調査及び証拠調べについて、第六十五条の規定は家事調停の手続における子の意思の把握等について、第七十三条、第七十四条、第七十六条(第一項ただし書を除く。)、第七十七条及び第七十九条の規定は家事調停に関する審判について、第八十一条の規定は家事調停に関する審判以外の裁判について準用する。 2 前項において準用する第六十一条第一項の規定により家事調停の手続における事実の調査の嘱託を受けた裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることができる。 ただし、嘱託を受けた家庭裁判所が家庭裁判所調査官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 3 第百五十二条の二の規定は夫婦間の協力扶助に関する処分の調停事件、婚姻費用の分担に関する処分の調停事件(別表第二の二の項の事項についての調停事件をいう。)、子の監護に関する処分の調停事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の調停事件に限る。)、財産の分与に関する処分の調停事件(同表の四の項の事項についての調停事件をいう。)及び離婚についての調停事件について、第百五十二条の三の規定は子の監護に関する処分の調停事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の調停事件を除く。)及び離婚についての調停事件について、第百八十四条の二の規定は扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの調停事件(同表の十の項の事項についての調停事件をいう。)について、それぞれ準用する。 (調停委員会が行う家事調停の手続の指揮) 第二百五十九条 調停委員会が行う家事調停の手続は、調停委員会を組織する裁判官が指揮する。 (調停委員会等の権限) 第二百六十条 調停委員会が家事調停を行う場合には、次に掲げる事項に関する裁判所の権限は、調停委員会が行う。 一 第二十二条の規定による手続代理人の許可等 二 第二十七条において準用する民事訴訟法第六十条第一項及び第二項の規定による補佐人の許可等 三 第三十三条ただし書の規定による傍聴の許可 四 第三十五条の規定による手続の併合等 五 第二百五十五条第四項において準用する第五十条第三項及び第四項の規定による申立ての変更 六 第二百五十八条第一項において準用する第四十一条第一項及び第二項並びに第四十二条第一項から第三項まで及び第五項の規定による参加、第四十三条第一項の規定による排除、第四十四条第一項及び第三項の規定による受継、第五十一条第一項の規定による事件の関係人の呼出し、第五十四条第一項の規定による音声の送受信による通話の方法による手続並びに第五十六条第一項、第五十九条第一項及び第二項(これらの規定を第六十条第二項において準用する場合を含む。)、第六十一条第一項、第六十二条並びに第六十四条第五項の規定並びに同条第一項において準用する民事訴訟法の規定による事実の調査及び証拠調べ(過料及び勾引に関する事項を除く。) 2 調停委員会が家事調停を行う場合には、第二十三条第一項及び第二項の規定による手続代理人の選任等、第三十四条第一項の規定による期日の指定並びに第二百五十三条ただし書の規定による調書の作成に関する裁判長の権限は、当該調停委員会を組織する裁判官が行う。 (調停委員会を組織する裁判官による事実の調査及び証拠調べ等) 第二百六十一条 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 2 前項の場合には、裁判官は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせ、又は医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 3 第五十八条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による事実の調査及び心身の状況についての診断について準用する。 4 第一項の場合には、裁判官は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 5 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、家庭裁判所調査官に第五十九条第三項の規定による措置をとらせることができる。 (家事調停委員による事実の調査) 第二百六十二条 調停委員会は、相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 (意見の聴取の嘱託) 第二百六十三条 調停委員会は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事件の関係人から紛争の解決に関する意見を聴取することを嘱託することができる。 2 前項の規定により意見の聴取の嘱託を受けた家庭裁判所は、相当と認めるときは、家事調停委員に当該嘱託に係る意見を聴取させることができる。 (家事調停委員の専門的意見の聴取) 第二百六十四条 調停委員会は、必要があると認めるときは、当該調停委員会を組織していない家事調停委員の専門的な知識経験に基づく意見を聴取することができる。 2 前項の規定により意見を聴取する家事調停委員は、家庭裁判所が指定する。 3 前項の規定による指定を受けた家事調停委員は、調停委員会に出席して意見を述べるものとする。 (調停の場所) 第二百六十五条 調停委員会は、事件の実情を考慮して、裁判所外の適当な場所で調停を行うことができる。 (調停前の処分) 第二百六十六条 調停委員会は、家事調停事件が係属している間、調停のために必要であると認める処分を命ずることができる。 2 急迫の事情があるときは、調停委員会を組織する裁判官が前項の処分(以下「調停前の処分」という。)を命ずることができる。 3 調停前の処分は、執行力を有しない。 4 調停前の処分として必要な事項を命じられた当事者又は利害関係参加人が正当な理由なくこれに従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (裁判官のみで行う家事調停の手続) 第二百六十七条 裁判官のみで家事調停の手続を行う場合においては、家庭裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 2 第二百六十三条から前条までの規定は、裁判官のみで家事調停の手続を行う場合について準用する。 第四節 調停の成立 (調停の成立及び効力) 第二百六十八条 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては、確定した第三十九条の規定による審判)と同一の効力を有する。 2 家事調停事件の一部について当事者間に合意が成立したときは、その一部について調停を成立させることができる。 手続の併合を命じた数個の家事調停事件中その一について合意が成立したときも、同様とする。 3 離婚又は離縁についての調停事件においては、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項に規定する方法によっては、調停を成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 4 第一項及び第二項の規定は、第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件については、適用しない。 (調停調書の更正決定) 第二百六十九条 調停調書に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (調停条項案の書面による受諾) 第二百七十条 当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ調停委員会(裁判官のみで家事調停の手続を行う場合にあっては、その裁判官。次条及び第二百七十二条第一項において同じ。)から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が家事調停の手続の期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。 2 前項の規定は、離婚又は離縁についての調停事件については、適用しない。 第五節 調停の成立によらない事件の終了 (調停をしない場合の事件の終了) 第二百七十一条 調停委員会は、事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは、調停をしないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 (調停の不成立の場合の事件の終了) 第二百七十二条 調停委員会は、当事者間に合意(第二百七十七条第一項第一号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 ただし、家庭裁判所が第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。 2 前項の規定により家事調停事件が終了したときは、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 3 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 4 第一項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 (家事調停の申立ての取下げ) 第二百七十三条 家事調停の申立ては、家事調停事件が終了するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の調停の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 第一項の規定にかかわらず、親権者の指定の調停の申立ては、家事調停事件が終了する前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 4 第八十二条第三項及び第四項並びに民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、家事調停の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、第八十二条第三項中「前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項」とあるのは「第二百七十三条第二項」と、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「家事調停の手続の期日」と、「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と読み替えるものとする。 第六節 付調停等 (付調停) 第二百七十四条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟又は家事審判事件が係属している場合には、裁判所は、当事者(本案について被告又は相手方の陳述がされる前にあっては、原告又は申立人に限る。)の意見を聴いて、いつでも、職権で、事件を家事調停に付することができる。 2 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 3 家庭裁判所及び高等裁判所は、第一項の規定により事件を調停に付する場合には、前項の規定にかかわらず、その家事調停事件を自ら処理することができる。 4 前項の規定により家庭裁判所又は高等裁判所が調停委員会で調停を行うときは、調停委員会は、当該裁判所がその裁判官の中から指定する裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 5 第三項の規定により高等裁判所が自ら調停を行う場合についてのこの編の規定の適用については、第二百四十四条、第二百四十七条、第二百四十八条第二項、第二百五十四条第一項から第四項まで、第二百六十四条第二項、第二百六十六条第四項、第二百六十八条第三項ただし書、第二百六十九条第一項並びに第二百七十二条第一項ただし書及び第二項並びに次章及び第三章の規定中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第二百四十四条、第二百五十八条第一項、第二百七十六条、第二百七十七条第一項第一号、第二百七十九条第三項及び第二百八十四条第一項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第二百六十七条第一項中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、次章の規定中「合意に相当する審判」とあるのは「合意に相当する審判に代わる裁判」と、第二百七十二条第一項ただし書及び第三章の規定(第二百八十六条第七項の規定を除く。)中「調停に代わる審判」とあるのは「調停に代わる審判に代わる裁判」と、第二百八十一条及び第二百八十七条中「却下する審判」とあるのは「却下する審判に代わる裁判」とする。 (訴訟手続及び家事審判の手続の中止) 第二百七十五条 家事調停の申立てがあった事件について訴訟が係属しているとき、又は訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項若しくは前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、訴訟が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで訴訟手続を中止することができる。 2 家事調停の申立てがあった事件について家事審判事件が係属しているとき、又は家事審判事件が係属している裁判所が前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、家事審判事件が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで、家事審判の手続を中止することができる。 (訴えの取下げの擬制等) 第二百七十六条 訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は次条第一項若しくは第二百八十四条第一項の規定による審判が確定したときは、当該訴訟について訴えの取下げがあったものとみなす。 2 家事審判事件が係属している裁判所が第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は第二百八十四条第一項の審判が確定したときは、当該家事審判事件は、終了する。 第二章 合意に相当する審判 (合意に相当する審判の対象及び要件) 第二百七十七条 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第一号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。 ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。 一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。 二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。 2 前項第一号の合意は、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項及び第二百七十条第一項に規定する方法によっては、成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 3 第一項の家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、合意に相当する審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 4 第二百七十二条第一項から第三項までの規定は、家庭裁判所が第一項第一号の規定による合意を正当と認めない場合について準用する。 (申立ての取下げの制限) 第二百七十八条 家事調停の申立ての取下げは、合意に相当する審判がされた後は、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (異議の申立て) 第二百七十九条 当事者及び利害関係人は、合意に相当する審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 ただし、当事者にあっては、第二百七十七条第一項各号に掲げる要件に該当しないことを理由とする場合に限る。 2 前項の規定による異議の申立ては、二週間の不変期間内にしなければならない。 3 前項の期間は、異議の申立てをすることができる者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては当事者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 4 第一項の規定による異議の申立てをする権利は、放棄することができる。 (異議の申立てに対する審判等) 第二百八十条 家庭裁判所は、当事者がした前条第一項の規定による異議の申立てが不適法であるとき、又は異議の申立てに理由がないと認めるときは、これを却下しなければならない。 利害関係人がした同項の規定による異議の申立てが不適法であるときも、同様とする。 2 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 家庭裁判所は、当事者から適法な異議の申立てがあった場合において、異議の申立てを理由があると認めるときは、合意に相当する審判を取り消さなければならない。 4 利害関係人から適法な異議の申立てがあったときは、合意に相当する審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 5 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (合意に相当する審判の効力) 第二百八十一条 第二百七十九条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、合意に相当する審判は、確定判決と同一の効力を有する。 (婚姻の取消しについての合意に相当する審判の特則) 第二百八十二条 婚姻の取消しについての家事調停の手続において、婚姻の取消しについての合意に相当する審判をするときは、この合意に相当する審判において、当事者間の合意に基づき、子の親権者を指定しなければならない。 2 前項の合意に相当する審判は、子の親権者の指定につき当事者間で合意が成立しないとき、又は成立した合意が相当でないと認めるときは、することができない。 (申立人の死亡により事件が終了した場合の特則) 第二百八十三条 父が嫡出否認についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他父の三親等内の血族が父の死亡の日から一年以内に嫡出否認の訴えを提起したときは、父がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (嫡出否認の審判の通知) 第二百八十三条の二 家庭裁判所は、民法第七百七十二条第三項の規定により父が定められる子の嫡出否認についての合意に相当する審判が確定したときは、同法第七百七十四条第四項に規定する前夫(事件の記録上その氏名及び住所又は居所が判明しているものに限る。)に対し、当該合意に相当する審判の内容を通知するものとする。 (認知の無効についての調停の申立ての特則) 第二百八十三条の三 認知をした者が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他認知をした者の三親等内の血族が認知をした者の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、認知をした者がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 2 子が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、子の直系卑属又はその法定代理人が子の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、子がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 第三章 調停に代わる審判 (調停に代わる審判の対象及び要件) 第二百八十四条 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。 ただし、第二百七十七条第一項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。 2 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (調停に代わる審判の特則) 第二百八十五条 家事調停の申立ての取下げは、第二百七十三条第一項の規定にかかわらず、調停に代わる審判がされた後は、することができない。 2 調停に代わる審判の告知は、公示送達の方法によっては、することができない。 3 調停に代わる審判を告知することができないときは、家庭裁判所は、これを取り消さなければならない。 (異議の申立て等) 第二百八十六条 当事者は、調停に代わる審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 2 第二百七十九条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による異議の申立てについて準用する。 3 家庭裁判所は、第一項の規定による異議の申立てが不適法であるときは、これを却下しなければならない。 4 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 5 適法な異議の申立てがあったときは、調停に代わる審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 6 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 7 第五項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判が効力を失った場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 8 当事者が、申立てに係る家事調停(離婚又は離縁についての家事調停を除く。)の手続において、調停に代わる審判に服する旨の共同の申出をしたときは、第一項の規定は、適用しない。 9 前項の共同の申出は、書面でしなければならない。 10 当事者は、調停に代わる審判の告知前に限り、第八項の共同の申出を撤回することができる。 この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。 (調停に代わる審判の効力) 第二百八十七条 前条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判は確定した第三十九条の規定による審判と同一の効力を、その余の調停に代わる審判は確定判決と同一の効力を有する。 第四章 不服申立て等 第二百八十八条 家事調停の手続においてされた裁判に対する不服申立て及び再審については、特別の定めのある場合を除き、それぞれ前編第一章第二節及び第三節の規定を準用する。 第四編 履行の確保 (義務の履行状況の調査及び履行の勧告) 第二百八十九条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所(第九十一条第一項(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により抗告裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては第一審裁判所である家庭裁判所、第百五条第二項の規定により高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては本案の家事審判事件の第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、その審判(抗告裁判所又は高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては、その裁判。次条第一項において同じ。)で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。 3 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項から第六項までにおいてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 6 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧等又はその複製の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 7 前各項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務(高等裁判所において定められたものを含む。次条第三項において同じ。)の履行及び調停前の処分として命じられた事項の履行について準用する。 (義務履行の命令) 第二百九十条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、その審判で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠った者がある場合において、相当と認めるときは、権利者の申立てにより、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をすべきことを命ずる審判をすることができる。 この場合において、その命令は、その命令をする時までに義務者が履行を怠った義務の全部又は一部についてするものとする。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定により義務の履行を命ずるには、義務者の陳述を聴かなければならない。 3 前二項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務の履行について準用する。 4 前三項に規定するもののほか、第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定による義務の履行を命ずる審判の手続については、第二編第一章に定めるところによる。 5 第一項(第三項において準用する場合を含む。)の規定により義務の履行を命じられた者が正当な理由なくその命令に従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 第五編 罰則 (過料の裁判の執行等) 第二百九十一条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。 (人の秘密を漏らす罪) 第二百九十二条 参与員、家事調停委員又はこれらの職にあった者が正当な理由なくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。 (評議の秘密を漏らす罪) 第二百九十三条 家事調停委員又は家事調停委員であった者が正当な理由なく評議の経過又は裁判官、家事調停官若しくは家事調停委員の意見若しくはその多少の数を漏らしたときは、三十万円以下の罰金に処する。 参与員又は参与員であった者が正当な理由なく裁判官又は参与員の意見を漏らしたときも、同様とする。
民事
Heisei
Act
423AC0000000052_20260524_505AC0000000053.xml
平成二十三年法律第五十二号
46
家事事件手続法 第一編 総則 第一章 通則 (趣旨) 第一条 家事審判及び家事調停に関する事件(以下「家事事件」という。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第二条 裁判所は、家事事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に家事事件の手続を追行しなければならない。 (最高裁判所規則) 第三条 この法律に定めるもののほか、家事事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第一章の二 日本の裁判所の管轄権 (不在者の財産の管理に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の二 裁判所は、不在者の財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の五十五の項の事項についての審判事件をいう。第百四十五条において同じ。)について、不在者の財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (失踪の宣告の取消しの審判事件の管轄権) 第三条の三 裁判所は、失踪の宣告の取消しの審判事件(別表第一の五十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十九条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 日本において失踪の宣告の審判があったとき。 二 失踪者の住所が日本国内にあるとき又は失踪者が日本の国籍を有するとき。 三 失踪者が生存していたと認められる最後の時点において、失踪者が日本国内に住所を有していたとき又は日本の国籍を有していたとき。 (嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件の管轄権) 第三条の四 裁判所は、嫡出否認の訴えについて日本の裁判所が管轄権を有するときは、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件(別表第一の五十九の項の事項についての審判事件をいう。第百五十九条第一項及び第二項において同じ。)について、管轄権を有する。 (養子縁組をするについての許可の審判事件等の管轄権) 第三条の五 裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判事件(別表第一の六十一の項の事項についての審判事件をいう。第百六十一条第一項及び第二項において同じ。)、養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判事件(同表の六十一の二の項の事項についての審判事件をいう。第百六十一条の二において同じ。)及び特別養子縁組の成立の審判事件(同表の六十三の項の事項についての審判事件をいう。第百六十四条において同じ。)(特別養子適格の確認の審判事件(同条第二項に規定する特別養子適格の確認についての審判事件をいう。第百六十四条の二第二項及び第四項において同じ。)を含む。)について、養親となるべき者又は養子となるべき者の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (死後離縁をするについての許可の審判事件の管轄権) 第三条の六 裁判所は、死後離縁をするについての許可の審判事件(別表第一の六十二の項の事項についての審判事件をいう。第百六十二条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親又は養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養親又は養子がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。 三 養親又は養子の一方が日本の国籍を有する場合であって、他の一方がその死亡の時に日本の国籍を有していたとき。 (特別養子縁組の離縁の審判事件の管轄権) 第三条の七 裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判事件(別表第一の六十四の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養子の実父母又は検察官からの申立てであって、養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 養親及び養子が日本の国籍を有するとき。 四 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親及び養子が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 五 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親が行方不明であるとき、養親の住所がある国においてされた離縁に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが養親と養子との間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (親権に関する審判事件等の管轄権) 第三条の八 裁判所は、親権に関する審判事件(別表第一の六十五の項から六十九の項まで及び別表第二の七の項から八の二の項までの事項についての審判事件をいう。第百六十七条において同じ。)、子の監護に関する処分の審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)及び親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件(別表第一の百三十二の項の事項についての審判事件をいう。第二百四十二条第一項第二号及び第三項において同じ。)について、子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件等の管轄権) 第三条の九 裁判所は、養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件(別表第一の七十の項の事項についての審判事件をいう。第百七十六条及び第百七十七条第一号において同じ。)又は未成年後見人の選任の審判事件(同表の七十一の項の事項についての審判事件をいう。同条第二号において同じ。)について、未成年被後見人となるべき者若しくは未成年被後見人(以下この条において「未成年被後見人となるべき者等」という。)の住所若しくは居所が日本国内にあるとき又は未成年被後見人となるべき者等が日本の国籍を有するときは、管轄権を有する。 (夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件の管轄権) 第三条の十 裁判所は、夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件(別表第一の八十四の項及び八十五の項並びに別表第二の一の項から三の項まで、九の項及び十の項の事項についての審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件にあっては、子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。)をいう。)について、扶養義務者(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件にあっては、扶養義務者となるべき者)であって申立人でないもの又は扶養権利者(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件にあっては、子の監護者又は子)の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (相続に関する審判事件の管轄権) 第三条の十一 裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで及び百三十三の項並びに別表第二の十一の項から十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。 2 相続開始の前に推定相続人の廃除の審判事件(別表第一の八十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)、推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件(同表の八十七の項の事項についての審判事件をいう。第百八十八条第一項及び第百八十九条第一項において同じ。)、遺言の確認の審判事件(同表の百二の項の事項についての審判事件をいう。第二百九条第二項において同じ。)又は遺留分の放棄についての許可の審判事件(同表の百十の項の事項についての審判事件をいう。第二百十六条第一項第二号において同じ。)の申立てがあった場合における前項の規定の適用については、同項中「相続開始の時における被相続人」とあるのは「被相続人」と、「相続開始の前」とあるのは「申立て前」とする。 3 裁判所は、第一項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第百八十九条第一項及び第二項において同じ。)、相続財産の保存に関する処分の審判事件(同表の八十九の項の事項についての審判事件をいう。第百九十条の二において同じ。)、限定承認を受理した場合における相続財産の清算人の選任の審判事件(同表の九十四の項の事項についての審判事件をいう。)、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十七の項の事項についての審判事件をいう。第二百二条第一項第二号及び第三項において同じ。)及び相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 4 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に遺産の分割に関する審判事件(別表第二の十二の項から十四の項までの事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第百九十一条第一項において同じ。)及び特別の寄与に関する処分の審判事件(同表の十五の項の事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第二百十六条の二において同じ。)の申立てをすることができるかについて定めることができる。 5 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三条の七第二項から第四項までの規定は、前項の合意について準用する。 (財産の分与に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の十二 裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件(別表第二の四の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第五号及び第百五十二条の二第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 夫であった者及び妻であった者の双方が日本の国籍を有するとき。 三 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、夫であった者及び妻であった者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 四 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた財産の分与に関する処分に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (家事調停事件の管轄権) 第三条の十三 裁判所は、家事調停事件について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 当該調停を求める事項についての訴訟事件又は家事審判事件について日本の裁判所が管轄権を有するとき。 二 相手方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 当事者が日本の裁判所に家事調停の申立てをすることができる旨の合意をしたとき。 2 民事訴訟法第三条の七第二項及び第三項の規定は、前項第三号の合意について準用する。 3 人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての調停事件については、第一項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。 (特別の事情による申立ての却下) 第三条の十四 裁判所は、第三条の二から前条までに規定する事件について日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(遺産の分割に関する審判事件又は特別の寄与に関する処分の審判事件について、日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の合意に基づき申立てがされた場合を除く。)においても、事案の性質、申立人以外の事件の関係人の負担の程度、証拠の所在地、未成年者である子の利益その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが適正かつ迅速な審理の実現を妨げ、又は相手方がある事件について申立人と相手方との間の衡平を害することとなる特別の事情があると認めるときは、その申立ての全部又は一部を却下することができる。 (管轄権の標準時) 第三条の十五 日本の裁判所の管轄権は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 第二章 管轄 (管轄が住所地により定まる場合の管轄権を有する家庭裁判所) 第四条 家事事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (優先管轄) 第五条 この法律の他の規定により二以上の家庭裁判所が管轄権を有するときは、家事事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した家庭裁判所が管轄する。 (管轄裁判所の指定) 第六条 管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 3 前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (管轄権を有する家庭裁判所の特例) 第七条 この法律の他の規定により家事事件の管轄が定まらないときは、その家事事件は、審判又は調停を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管轄の標準時) 第八条 裁判所の管轄は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 (移送等) 第九条 裁判所は、家事事件の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。 ただし、家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。 2 家庭裁判所は、家事事件がその管轄に属する場合においても、次の各号に掲げる事由があるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を当該各号に定める家庭裁判所に移送することができる。 一 家事事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるとき 第五条の規定により管轄権を有しないこととされた家庭裁判所 二 事件を処理するために特に必要があると認めるとき 前号の家庭裁判所以外の家庭裁判所 3 前二項の規定による移送の裁判及び第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 民事訴訟法第二十二条の規定は、家事事件の移送の裁判について準用する。 第三章 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第十条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者(審判(申立てを却下する審判を除く。)がされた場合において、その審判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。 二 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第十一条 裁判官について裁判又は調停の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第十二条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、受託裁判官として職務を行う簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。 2 家庭裁判所及び地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで家事事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 家事事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官、調停委員会を組織する裁判官又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第十三条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (参与員の除斥及び忌避) 第十四条 参与員の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 参与員について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その参与員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 参与員の除斥又は忌避についての裁判は、参与員の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官(受命裁判官の手続に立ち会う参与員が忌避の申立てを受けたときに限る。)又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官がすることができる。 (家事調停官の除斥及び忌避) 第十五条 家事調停官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項から第四項まで、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、前項において準用する同条第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 3 家事調停官の除斥又は忌避についての裁判は、家事調停官の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項の裁判は、忌避された家事調停官がすることができる。 (家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥) 第十六条 家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥については、第十条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。 2 家庭裁判所調査官又は家事調停委員について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官又は家事調停委員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 3 家庭裁判所調査官又は家事調停委員の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官又は家事調停委員の所属する裁判所がする。 第四章 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第十七条 当事者能力、家事事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十一条、第三十三条並びに第三十四条第一項及び第二項の規定を準用する。 2 被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした家事審判又は家事調停の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。 職権により手続が開始された場合についても、同様とする。 3 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について同意その他の授権を得ている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告若しくは第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立ての取下げ又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議の取下げ (未成年者及び成年被後見人の法定代理人) 第十八条 親権を行う者又は後見人は、第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により未成年者又は成年被後見人が法定代理人によらずに自ら手続行為をすることができる場合であっても、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。 ただし、家事審判及び家事調停の申立ては、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定により親権を行う者又は後見人が申立てをすることができる場合(人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の申立てにあっては、同法その他の法令の規定によりその訴えを提起することができる場合を含む。)に限る。 (特別代理人) 第十九条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、家事事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法定代理権の消滅の通知) 第二十条 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、法定代理権の消滅は、本人又は代理人から他方の当事者に通知しなければ、その効力を生じない。 家事調停事件においても、同様とする。 (法人の代表者等への準用) 第二十一条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第五章 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第二十二条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (裁判長による手続代理人の選任等) 第二十三条 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。 2 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。 3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し手続行為につき行為能力の制限を受けた者が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。 (手続代理人の代理権の範囲) 第二十四条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について委任を受けている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告、第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立て又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議 四 前号の抗告(即時抗告を含む。)、申立て又は異議の取下げ 五 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (手続代理人の代理権の消滅の通知) 第二十五条 手続代理人の代理権の消滅は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についてのものに限る。)及び家事調停事件においては本人又は代理人から他方の当事者に、その他の家事事件においては本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。 (手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用) 第二十六条 民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第二十七条 家事事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六章 手続費用 第一節 手続費用の負担 (手続費用の負担) 第二十八条 手続費用(家事審判に関する手続の費用(以下「審判費用」という。)及び家事調停に関する手続の費用(以下「調停費用」という。)をいう。以下同じ。)は、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び利害関係参加人(第四十二条第七項に規定する利害関係参加人をいう。第一号において同じ。)がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。 一 当事者又は利害関係参加人 二 前号に掲げる者以外の審判を受ける者となるべき者 三 前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの 3 前二項の規定によれば検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。 (手続費用の負担の裁判等) 第二十九条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における審判費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。 ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。 2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。 事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。 3 調停が成立した場合において、調停費用(審判手続を経ている場合にあっては、審判費用を含む。)の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 4 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟が係属する裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、その訴訟についての訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 (手続費用の立替え) 第三十条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の家事事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第三十一条 民事訴訟法第六十九条から第七十四条までの規定(同法第七十一条第二項(同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)及び第八項(同法第七十二条後段及び第七十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十二条中「当事者が裁判所において和解をした場合」とあるのは「調停が成立した場合」と、「和解の費用又は訴訟費用」とあるのは「家事事件手続法第二十九条第三項の調停費用又は同条第四項の訴訟費用」と、同法第七十三条第一項中「裁判及び和解」とあるのは「裁判及び調停の成立」と、「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「家事事件手続法第四十一条第一項若しくは第四十二条第一項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「家事事件手続法第三十一条第一項において準用する」と、「について、同条第二項の規定は前項の申立てについて」とあるのは「について」と、「第八項まで」とあるのは「第七項まで」と、「準用する。この場合において、同条第二項中「訴訟費用の負担の裁判が確定した」とあるのは、「訴訟が完結した」と読み替えるものとする」とあるのは「準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第五項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二節 手続上の救助 第三十二条 家事事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で家事審判又は家事調停の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「家事事件手続法第三十二条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七章 家事事件の審理等 (手続の非公開) 第三十三条 家事事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (期日及び期間) 第三十四条 家事事件の手続の期日の指定及び変更は、職権で、裁判長が行う。 2 家事事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 家事事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によってする。 5 民事訴訟法第九十四条第三項及び第九十五条から第九十七条までの規定は、家事事件の手続の期日及び期間について準用する。 この場合において、同法第九十四条第三項中「第一項各号に規定する方法」とあるのは、「呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知」と読み替えるものとする。 (手続の併合等) 第三十五条 裁判所は、家事事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする家事事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (送達及び手続の中止) 第三十六条 送達及び家事事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節(第百条第二項、第三款及び第百十一条を除く。)及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十二条第一項本文中「前条の規定による措置を開始した」とあるのは「裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた」と、同項ただし書中「前条の規定による措置を開始した」とあるのは「当該掲示を始めた」と、同法第百十三条中「書類又は電磁的記録」とあるのは「書類」と、「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは「裁判又は調停を求める事項」と、「記載又は記録」とあるのは「記載」と、「第百十一条の規定による措置を開始した」とあるのは「裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第百十条第一項の規定による公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第三十七条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第八章 電子情報処理組織による申立て等 第三十八条 家事事件の手続における申立てその他の申述(以下この条及び次条において「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。次項及び第四項において同じ。)をもってするものとされているものであって、最高裁判所の定める裁判所に対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官又は裁判所書記官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項及び第三項において同じ。)と申立て等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を用いてすることができる。 2 前項の規定によりされた申立て等については、当該申立て等を書面等をもってするものとして規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもってされたものとみなして、当該申立て等に関する法令の規定を適用する。 3 第一項の規定によりされた申立て等は、同項の裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に、当該裁判所に到達したものとみなす。 4 第一項の場合において、当該申立て等に関する他の法令の規定により署名等(署名、記名、押印その他氏名又は名称を書面等に記載することをいう。以下この項において同じ。)をすることとされているものについては、当該申立て等をする者は、当該法令の規定にかかわらず、当該署名等に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。 5 第一項の規定によりされた申立て等が第三項に規定するファイルに記録されたときは、第一項の裁判所は、当該ファイルに記録された情報の内容を書面に出力しなければならない。 6 第一項の規定によりされた申立て等に係るこの法律の他の規定による家事事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、前項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第九章 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第三十八条の二 家事事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同法第百三十三条第一項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人(家事事件手続法第四十二条第七項(同法第二百五十八条第一項において準用する場合を含む。)に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の審判を受ける者となるべき者(同法第十条第一項第一号に規定する審判を受ける者となるべき者をいう。)」と、同条第三項中「訴訟記録等(訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録をいう。以下この章において同じ。)」とあるのは「家事事件の記録」と、「について訴訟記録等の閲覧等(訴訟記録の閲覧等、非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等又は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等をいう。以下この章において同じ。)」とあるのは「の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同法第百三十三条の二第一項中「に係る訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同法第百三十三条の四第一項中「秘匿決定、第百三十三条の二第二項の決定又は前条第一項の決定(次項及び第七項において「秘匿決定等」という。)に係る者以外の者は、訴訟記録等」とあるのは「秘匿決定(家事事件手続法第二百七十七条第一項に規定する事項以外の事項についての家事調停の手続に係るもの並びに同法第二百八十九条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による調査及び勧告の事件の手続に係るものを除く。次項、第四項第一号及び第七項において同じ。)に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、当該秘匿決定に係る事件の記録」と、同条第二項中「秘匿決定等に係る者以外の当事者は、秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、秘匿決定」と、「訴訟記録等の存する」とあるのは「前項の事件の記録の存する」と、「訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製」と、同条第四項第一号中「秘匿決定又は第百三十三条の二第二項の決定」とあるのは「秘匿決定」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人」と、「秘匿決定等」とあるのは「秘匿決定」と読み替えるものとする。 第二編 家事審判に関する手続 第一章 総則 第一節 家事審判の手続 第一款 通則 (審判事項) 第三十九条 家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第一及び別表第二に掲げる事項並びに同編に定める事項について、審判をする。 (参与員) 第四十条 家庭裁判所は、参与員の意見を聴いて、審判をする。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、その意見を聴かないで、審判をすることができる。 2 家庭裁判所は、参与員を家事審判の手続の期日に立ち会わせることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が参与員との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、参与員に家事審判の手続の期日に立ち会わせ、当該期日における行為を行わせることができる。 4 参与員は、家庭裁判所の許可を得て、第一項の意見を述べるために、申立人が提出した資料の内容について、申立人から説明を聴くことができる。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、この限りでない。 5 参与員の員数は、各事件について一人以上とする。 6 参与員は、毎年あらかじめ家庭裁判所の選任した者の中から、事件ごとに家庭裁判所が指定する。 7 前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の規定による選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 8 参与員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (当事者参加) 第四十一条 当事者となる資格を有する者は、当事者として家事審判の手続に参加することができる。 2 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者(審判を受ける者となるべき者に限る。)を、当事者として家事審判の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (利害関係参加) 第四十二条 審判を受ける者となるべき者は、家事審判の手続に参加することができる。 2 審判を受ける者となるべき者以外の者であって、審判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、家庭裁判所の許可を得て、家事審判の手続に参加することができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、職権で、審判を受ける者となるべき者及び前項に規定する者を、家事審判の手続に参加させることができる。 4 前条第三項の規定は、第一項の規定による参加の申出及び第二項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。 5 家庭裁判所は、第一項又は第二項の規定により家事審判の手続に参加しようとする者が未成年者である場合において、その者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者が当該家事審判の手続に参加することがその者の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出又は第二項の規定による参加の許可の申立てを却下しなければならない。 6 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判(前項の規定により第一項の規定による参加の申出を却下する裁判を含む。)に対しては、即時抗告をすることができる。 7 第一項から第三項までの規定により家事審判の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(家事審判の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。 (手続からの排除) 第四十三条 家庭裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を家事審判の手続から排除することができる。 2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第四十四条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって家事審判の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、家庭裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に家事審判の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者による受継) 第四十五条 家事審判の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該家事審判の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 家庭裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、職権で、当該家事審判の申立てをすることができる者に、その手続を受け継がせることができる。 3 第一項の規定による受継の申立て及び前項の規定による受継の裁判は、第一項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。 (調書の作成等) 第四十六条 裁判所書記官は、家事審判の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第四十七条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事審判事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事審判事件に関する事項の証明書の交付(第二百八十九条第六項において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。 2 前項の規定は、家事審判事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、これを許可しなければならない。 4 家庭裁判所は、事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、前項の規定にかかわらず、同項の申立てを許可しないことができる。 事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てを許可することを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。 5 家庭裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 6 審判書その他の裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は家事審判事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 審判を受ける者が当該審判があった後に請求する場合も、同様とする。 7 家事審判事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事審判事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 8 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 9 前項の規定による即時抗告が家事審判の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 10 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (検察官に対する通知) 第四十八条 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより審判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄権を有する家庭裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。 第二款 家事審判の申立て (申立ての方式等) 第四十九条 家事審判の申立ては、申立書(以下「家事審判の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事審判の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 申立人は、二以上の事項について審判を求める場合において、これらの事項についての家事審判の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。 4 家事審判の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 7 民事訴訟法第百三十七条の二の規定は、申立人が民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い家事審判の申立ての手数料を納付しない場合について準用する。 (申立ての変更) 第五十条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は理由を変更することができる。 ただし、第七十一条(第百八十八条第四項において準用する場合を含む。)の規定により審理を終結した後は、この限りでない。 2 申立ての趣旨又は理由の変更は、家事審判の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 家庭裁判所は、申立ての趣旨又は理由の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨又は理由の変更により家事審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 第三款 家事審判の手続の期日 (事件の関係人の呼出し) 第五十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができる。 2 呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。 ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。 3 前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、五万円以下の過料に処する。 (裁判長の手続指揮権) 第五十二条 家事審判の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が家事審判の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第五十三条 家庭裁判所は、受命裁判官に家事審判の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第六十一条第三項の規定又は第六十四条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第五十四条 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 家事審判の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第五十五条 家事審判の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、家事審判事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。 第四款 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第五十六条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び審判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第五十七条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (家庭裁判所調査官による事実の調査) 第五十八条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。 4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。 (家庭裁判所調査官の期日への立会い等) 第五十九条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、家事審判の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。 2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、家事審判の手続の期日において、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が家庭裁判所調査官との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家庭裁判所調査官に家事審判の手続の期日に立ち会わせ、当該期日において前項の意見を述べさせることができる。 4 家庭裁判所は、家事審判事件の処理に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 5 急迫の事情があるときは、裁判長が、前項の措置をとらせることができる。 (裁判所技官による診断等) 第六十条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 2 第五十八条第二項から第四項までの規定は前項の診断について、前条第一項から第三項までの規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について準用する。 (事実の調査の嘱託等) 第六十一条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (調査の嘱託等) 第六十二条 家庭裁判所は、必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (事実の調査の通知) 第六十三条 家庭裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による家事審判の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (証拠調べ) 第六十四条 家事審判の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十五条第三項、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百五条第二項、第二百七条第二項、第二百八条、第二百十五条第二項、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)、第二百二十七条第二項、第二百二十九条第四項及び第二百三十二条の二の規定を除く。)を準用する。 この場合において、同法第二百五条第三項中「事項又は前項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項」とあり、及び同法第二百十五条第四項中「事項又は第二項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項」とあるのは「事項」と、同法第二百三十一条の二第二項中「方法又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法」とあるのは「方法」と、同法第二百三十一条の三第二項中「若しくは送付し、又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する」とあるのは「又は送付する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 3 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 一 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項(同法第二百三十一条及び第二百三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。 二 書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条(同法第二百三十一条及び第二百三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件及び同法第二百三十一条の二に規定する電磁的記録を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 4 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 一 正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。 二 対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 三 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。 5 家庭裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、家事審判の手続の期日に出頭することを命ずることができる。 6 民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。 第五款 家事審判の手続における子の意思の把握等 第六十五条 家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 第六款 家事調停をすることができる事項についての家事審判の手続の特則 (合意管轄) 第六十六条 別表第二に掲げる事項についての審判事件は、この法律の他の規定により定める家庭裁判所のほか、当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 (家事審判の申立書の写しの送付等) 第六十七条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、家事審判の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事審判の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事審判の申立てがあったことを通知することをもって、家事審判の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は、前項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について準用する。 3 裁判長は、第一項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 4 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (陳述の聴取) 第六十八条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。 2 前項の規定による陳述の聴取は、当事者の申出があるときは、審問の期日においてしなければならない。 (審問の期日) 第六十九条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。 ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。 (事実の調査の通知) 第七十条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続において、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (審理の終結) 第七十一条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。 ただし、当事者双方が立ち会うことができる家事審判の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。 (審判日) 第七十二条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、審判をする日を定めなければならない。 第七款 審判等 (審判) 第七十三条 家庭裁判所は、家事審判事件が裁判をするのに熟したときは、審判をする。 2 家庭裁判所は、家事審判事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について審判をすることができる。 手続の併合を命じた数個の家事審判事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (審判の告知及び効力の発生等) 第七十四条 審判は、特別の定めがある場合を除き、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の審判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 審判(申立てを却下する審判を除く。)は、特別の定めがある場合を除き、審判を受ける者(審判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 ただし、即時抗告をすることができる審判は、確定しなければその効力を生じない。 3 申立てを却下する審判は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。 4 審判は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 5 審判の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (審判の執行力) 第七十五条 金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 (審判の方式及び審判書) 第七十六条 審判は、審判書を作成してしなければならない。 ただし、即時抗告をすることができない審判については、家事審判の申立書又は調書に主文を記載することをもって、審判書の作成に代えることができる。 2 審判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由の要旨 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第七十七条 審判に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 審判に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (審判の取消し又は変更) 第七十八条 家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、次に掲げる審判を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。 一 申立てによってのみ審判をすべき場合において申立てを却下した審判 二 即時抗告をすることができる審判 2 審判が確定した日から五年を経過したときは、家庭裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。 ただし、事情の変更によりその審判を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、第一項の規定により審判の取消し又は変更をする場合には、その審判における当事者及びその他の審判を受ける者の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の規定による取消し又は変更の審判に対しては、取消し後又は変更後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (審判に関する民事訴訟法の準用) 第七十九条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、審判について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「審判が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (外国裁判所の家事事件についての確定した裁判の効力) 第七十九条の二 外国裁判所の家事事件についての確定した裁判(これに準ずる公的機関の判断を含む。)については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第百十八条の規定を準用する。 (中間決定) 第八十条 家庭裁判所は、審判の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (審判以外の裁判) 第八十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続においては、審判をする場合を除き、決定で裁判をする。 この場合には、第七十三条から第七十九条まで(第七十四条第二項ただし書、第七十六条第一項及び第七十八条第三項を除く。)の規定を準用する。 2 家事審判の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 3 審判以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。 第八款 取下げによる事件の終了 (家事審判の申立ての取下げ) 第八十二条 家事審判の申立ては、特別の定めがある場合を除き、審判があるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立ては、審判が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、申立ての取下げは、審判がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。 ただし、申立ての取下げが家事審判の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。 4 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。 同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 5 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、家事審判の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「家事審判の手続の期日」と、「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と読み替えるものとする。 (家事審判の申立ての取下げの擬制) 第八十三条 家事審判の申立人(第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合にあっては、当事者双方)が、連続して二回、呼出しを受けた家事審判の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた家事審判の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、家庭裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。 第九款 高等裁判所が第一審として行う手続 第八十四条 高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合におけるこの節の規定の適用については、同節の規定(第五十八条、第五十九条第一項から第四項まで、第六十一条第一項及び第二項並びに第六十五条の規定を除く。)中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第三十九条、第四十七条第六項、第四十九条第三項、第五十六条第二項、第六十五条、第七十二条、第七十三条、第七十四条第一項から第三項まで(第二項ただし書を除く。)、第七十五条、第七十七条第一項、第七十八条(第一項第二号及び第四項を除く。)、第七十九条、第八十条第一項、第八十一条第一項並びに第八十二条第一項及び第二項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第四十二条第二項中「審判の結果」とあるのは「審判に代わる裁判の結果」と、第五十八条第一項、第五十九条第一項から第四項まで、第六十一条第一項及び第六十五条中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、第五十八条第三項中「家庭裁判所に」とあるのは「高等裁判所に」と、第五十九条第三項中「家庭裁判所及び」とあるのは「高等裁判所及び」と、第七十六条中「審判書」とあるのは「裁判書」と、同条第一項中「審判は」とあるのは「審判に代わる裁判は」と、同項ただし書中「即時抗告をすることができない審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができない審判に代わる裁判」と、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」とする。 2 第四十条及び第四十八条の規定は、高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合については、適用しない。 第二節 不服申立て 第一款 審判に対する不服申立て 第一目 即時抗告 (即時抗告をすることができる審判) 第八十五条 審判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 2 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第八十六条 審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 即時抗告の期間は、特別の定めがある場合を除き、即時抗告をする者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては申立人が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第八十七条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原審判の表示及びその審判に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による審判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第四十九条第四項及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第八十八条 審判に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 ただし、抗告審における手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められる場合には、即時抗告があったことを通知することをもって、抗告状の写しの送付に代えることができる。 2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 (陳述の聴取) 第八十九条 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の審判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原審判を取り消すことができない。 2 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 (原裁判所による更正) 第九十条 原裁判所は、審判に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その審判を更正しなければならない。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判については、更正することができない。 (抗告裁判所による裁判) 第九十一条 抗告裁判所は、即時抗告について決定で裁判をする。 2 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、家事審判事件について自ら審判に代わる裁判をしなければならない。 ただし、第九十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。 (原審の管轄違いの場合の取扱い) 第九十二条 抗告裁判所は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についての審判事件を除く。)の全部又は一部が原裁判所の管轄に属しないと認める場合には、原審判を取り消さなければならない。 ただし、原審における審理の経過、事件の性質、抗告の理由等に照らして原審判を取り消さないことを相当とする特別の事情があると認めるときは、この限りでない。 2 抗告裁判所は、家事審判事件が管轄違いであることを理由として原審判を取り消すときは、その事件を管轄権を有する家庭裁判所に移送しなければならない。 (家事審判の手続の規定及び民事訴訟法の準用等) 第九十三条 審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前節第一款から第八款までの規定(第四十条、第四十一条第四項、第四十二条第六項、第四十三条第二項、第四十四条第二項、第四十七条第八項から第十項まで、第四十八条、第四十九条第六項、第六十六条、第六十七条第四項、第七十四条第二項ただし書、第四項及び第五項、第七十六条第一項ただし書、第七十七条第三項から第五項まで、第七十八条第四項、第八十一条第三項並びに第八十三条の規定を除く。)、第四節の規定(第百五条第二項、第百十条、第百十一条及び第百十三条の規定を除く。)及び次章の規定(家庭裁判所の管轄及び即時抗告に関する規定を除く。)を準用する。 この場合において、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは、「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」と読み替えるものとする。 2 抗告裁判所は、第八十八条第一項の規定による抗告状の写しの送付及びこれに代わる即時抗告があったことの通知をすることを要しないときは、前項において準用する第七十一条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。 3 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百八条までの規定は、審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項及び第四項、第二百六十二条第一項並びに第二百六十三条」とあるのは「家事事件手続法第八十二条第五項及び第八十三条」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「家事事件手続法第二百九十一条」と読み替えるものとする。 第二目 特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第九十四条 家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (原裁判の執行停止) 第九十五条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。 ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十六条 第八十六条第二項、第八十七条から第八十九条まで、第九十一条第一項及び第九十三条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十七条第六項中「及び第五項」とあるのは、「から第六項まで」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十六条第一項において読み替えて準用する同法第八十七条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第二項の規定及び同法第九十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三目 許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第九十七条 高等裁判所の家事審判事件についての決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第九十四条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 ただし、その決定が家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の高等裁判所は、同項の決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第九十四条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十八条 第八十六条第二項、第八十七条(第四項及び第五項を除く。)、第八十八条、第八十九条、第九十一条第一項、第九十三条及び第九十五条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十六条第二項、第八十七条第一項、第二項第二号及び第三項、第八十八条第一項並びに第八十九条第二項中「即時抗告」とあり、第八十七条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第九十五条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第九十七条第二項の申立て」と、第八十七条第一項、第二項及び第六項、第八十八条並びに第九十三条第二項中「抗告状」とあるのは「第九十七条第二項の規定による許可の申立書」と、第九十一条第一項並びに第九十三条第一項前段、第二項及び第三項中「即時抗告」とあり、並びに第九十五条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項の規定及び同法第九十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二款 審判以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第九十九条 審判以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第百条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、家事審判事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (即時抗告期間等) 第百一条 審判以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 (審判に対する不服申立ての規定の準用) 第百二条 前款の規定(第八十五条第一項、第八十六条第一項並びに第八十八条及び第八十九条(これらの規定を第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした審判以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 第三節 再審 (再審) 第百三条 確定した審判その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により審判その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該審判その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第百四条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第四節 審判前の保全処分 (審判前の保全処分) 第百五条 本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずる審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判に代わる裁判をする。 (審判前の保全処分の申立て等) 第百六条 審判前の保全処分(前条第一項の審判及び同条第二項の審判に代わる裁判をいう。以下同じ。)の申立ては、その趣旨及び保全処分を求める事由を明らかにしてしなければならない。 2 審判前の保全処分の申立人は、保全処分を求める事由を疎明しなければならない。 3 家庭裁判所(前条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、審判前の保全処分の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、職権で、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 4 審判前の保全処分の申立ては、審判前の保全処分があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。 (陳述の聴取) 第百七条 審判前の保全処分のうち仮の地位を定める仮処分を命ずるものは、審判を受ける者となるべき者の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第百八条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、第四十七条第三項の規定にかかわらず、審判前の保全処分の事件について、当事者から同条第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、審判前の保全処分の事件における審判を受ける者となるべき者に対し、当該事件が係属したことを通知し、又は審判前の保全処分を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。 (審判) 第百九条 審判前の保全処分は、疎明に基づいてする。 2 審判前の保全処分については、第七十四条第二項ただし書の規定は、適用しない。 3 審判前の保全処分の執行及び効力は、民事保全法(平成元年法律第九十一号)その他の仮差押え及び仮処分の執行及び効力に関する法令の規定に従う。 この場合において、同法第四十五条中「仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、「本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属している家庭裁判所(当該家事審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」とする。 (即時抗告) 第百十条 審判前の保全処分(第百五条第二項の審判に代わる裁判を除く。次項において同じ。)の申立人は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 ただし、次に掲げる保全処分の申立てを却下する審判については、この限りでない。 一 第百二十六条第一項(第百三十四条第一項及び第百四十三条第一項において準用する場合を含む。)、第百五十八条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)及び第二百条第一項の規定による財産の管理者の選任又は財産の管理等に関する指示の保全処分 二 第百二十七条第一項(第百三十五条、第百四十四条、第百八十一条及び第二百二十五条第一項において準用する場合を含む。)、第百六十六条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)、第百七十四条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)、第百七十五条第三項及び第二百十五条第一項の規定による職務代行者の選任の保全処分 2 本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者は、審判前の保全処分(前項各号に掲げる保全処分を命ずる審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 (即時抗告に伴う執行停止) 第百十一条 前条第二項の規定により即時抗告が提起された場合において、原審判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原審判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、若しくは担保を立てさせないで原審判の執行の停止を命じ、又は担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 審判前の保全処分の事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、これらの処分を命ずることができる。 2 第百六条第二項及び第三項の規定は、前項の申立てについて準用する。 (審判前の保全処分の取消し) 第百十二条 審判前の保全処分が確定した後に、保全処分を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所又は審判前の保全処分をした家庭裁判所は、本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者の申立てにより又は職権で、審判前の保全処分の取消しの審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判前の保全処分の取消しの審判に代わる裁判をする。 3 第百六条並びに第百九条第一項及び第二項の規定は、第一項の審判前の保全処分の取消しの審判及び前項の裁判について準用する。 (即時抗告等) 第百十三条 前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判の申立人は、申立てを却下する審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの申立てを却下する審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 2 審判前の保全処分の申立人は、前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの審判を除く。)及び第百十五条において準用する民事保全法第三十三条の規定による原状回復の審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百十一条の規定は、前二項の規定による即時抗告に伴う執行停止について準用する。 (調書の作成) 第百十四条 裁判所書記官は、審判前の保全処分の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 審判前の保全処分の手続については、第四十六条の規定は、適用しない。 (民事保全法の準用) 第百十五条 民事保全法第四条の規定は審判前の保全処分に関する手続における担保について、同法第十四条、第十五条及び第二十条から第二十四条まで(同法第二十三条第四項を除く。)の規定は審判前の保全処分について、同法第三十三条の規定は審判前の保全処分の取消しの裁判について、同法第三十四条の規定は第百十二条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判について準用する。 第五節 戸籍の記載等の嘱託 第百十六条 裁判所書記官は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者又は登記所に対し、戸籍の記載又は後見登記等に関する法律(平成十一年法律第百五十二号)に定める登記を嘱託しなければならない。 ただし、戸籍の記載又は同法に定める登記の嘱託を要するものとして最高裁判所規則で定めるものに限る。 一 別表第一に掲げる事項についての審判又はこれに代わる裁判が効力を生じた場合 二 審判前の保全処分が効力を生じ、又は効力を失った場合 第二章 家事審判事件 第一節 成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百十七条 後見開始の審判事件(別表第一の一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条第一号において同じ。)は、成年被後見人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 成年後見に関する審判事件(別表第一の一の項から十六の二の項までの事項についての審判事件をいう。)は、後見開始の審判事件を除き、後見開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が後見開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、後見開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百十八条 次に掲げる審判事件(第一号、第四号及び第六号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 後見開始の審判事件 二 後見開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二の項の事項についての審判事件をいう。) 三 成年後見人の選任の審判事件(別表第一の三の項の事項についての審判事件をいう。) 四 成年後見人の解任の審判事件(別表第一の五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第一項において同じ。) 五 成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の六の項の事項についての審判事件をいう。) 六 成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の八の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第五項において同じ。) 七 成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の十二の項の事項についての審判事件をいう。) 八 成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(以下「郵便物等」という。)の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判事件(別表第一の十二の二の項の事項についての審判事件をいう。第百二十三条の二において「成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件」という。) 九 成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の十四の項の事項についての審判事件をいう。) 十 第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の十五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十五条第一項及び第二項において同じ。) (精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取) 第百十九条 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の精神の状況につき鑑定をしなければ、後見開始の審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 家庭裁判所は、成年被後見人の精神の状況につき医師の意見を聴かなければ、民法第十条の規定による後見開始の審判の取消しの審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (陳述及び意見の聴取) 第百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号から第三号までにあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 後見開始の審判の取消しの審判(民法第十条の規定による場合に限る。) 成年被後見人及び成年後見人 三 成年後見人又は成年後見監督人の選任の審判 成年被後見人となるべき者又は成年被後見人 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 六 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 成年後見人の選任の審判 成年後見人となるべき者 二 成年後見監督人の選任の審判 成年後見監督人となるべき者 (申立ての取下げの制限) 第百二十一条 次に掲げる申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 一 後見開始の申立て 二 民法第八百四十三条第二項の規定による成年後見人の選任の申立て 三 民法第八百四十五条の規定により選任の請求をしなければならない者による同法第八百四十三条第三項の規定による成年後見人の選任の申立て (審判の告知等) 第百二十二条 次の各号に掲げる審判は、当該各号に定める者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判は、信書の送達の事業を行う者に告知することを要しない。 この場合においては、その審判が効力を生じた時に、信書の送達の事業を行う者に通知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 後見開始の審判 民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者並びに任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号。以下「任意後見契約法」という。)第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 後見開始の審判の取消しの審判 成年後見人及び成年後見監督人 三 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 (即時抗告) 第百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 後見開始の審判 民法第七条及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 後見開始の申立てを却下する審判 申立人 三 後見開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十条に規定する者 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、成年後見監督人並びに成年被後見人及びその親族 六 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 七 成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに成年被後見人及びその親族 八 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人及びその親族 九 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 十 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の申立てを却下する審判 申立人 十一 成年被後見人の死亡後の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為についての許可の申立てを却下する審判 申立人 2 審判の告知を受ける者でない者による後見開始の審判に対する即時抗告の期間は、民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (陳述の聴取の例外) 第百二十三条の二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件においては、第八十九条第一項の規定(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)にかかわらず、抗告裁判所は、信書の送達の事業を行う者の陳述を聴くことを要しない。 (成年後見の事務の監督) 第百二十四条 家庭裁判所は、適当な者に、成年後見の事務若しくは成年被後見人の財産の状況を調査させ、又は臨時に財産の管理をさせることができる。 2 家庭裁判所は、前項の規定により調査又は管理をした者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 3 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査をさせることができる。 4 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、第一項の規定により財産を管理する者について準用する。 (管理者の改任等) 第百二十五条 家庭裁判所は、いつでも、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者を改任することができる。 2 家庭裁判所は、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者(前項の規定により改任された管理者を含む。以下この条において「財産の管理者」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、成年被後見人の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、財産の管理者に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 財産の管理者の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、財産の管理者について準用する。 7 家庭裁判所は、成年被後見人が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったときその他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、成年被後見人、財産の管理者若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 (後見開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百二十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護又は財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護若しくは財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、成年被後見人となるべき者の財産上の行為(民法第九条ただし書に規定する行為を除く。第七項において同じ。)につき、前項の財産の管理者の後見を受けることを命ずることができる。 3 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、第百七条の規定にかかわらず、その者の陳述を聴く手続を経ずに、前項の規定による審判(次項から第七項までにおいて「後見命令の審判」という。)をすることができる。 4 後見命令の審判は、第一項の財産の管理者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによって、その効力を生ずる。 5 後見命令の審判は、成年被後見人となるべき者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 6 審判の告知を受ける者でない者による後見命令の審判に対する即時抗告の期間は、第一項の財産の管理者が第四項の規定による告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 7 後見命令の審判があったときは、成年被後見人となるべき者及び第一項の財産の管理者は、成年被後見人となるべき者がした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 8 前条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、前条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「成年被後見人となるべき者」と読み替えるものとする。 (成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百二十七条 家庭裁判所は、成年後見人の解任の審判事件が係属している場合において、成年被後見人の利益のため必要があるときは、成年後見人の解任の申立てをした者の申立てにより又は職権で、成年後見人の解任についての審判が効力を生ずるまでの間、成年後見人の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による成年後見人の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される成年後見人、他の成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定は、成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第二節 保佐に関する審判事件 (管轄) 第百二十八条 保佐開始の審判事件(別表第一の十七の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被保佐人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 保佐に関する審判事件(別表第一の十七の項から三十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、保佐開始の審判事件を除き、保佐開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が保佐開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、保佐開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百二十九条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被保佐人となるべき者及び被保佐人について準用する。 一 保佐開始の審判事件 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の十八の項の事項についての審判事件をいう。) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の十九の項の事項についての審判事件をいう。) 四 保佐開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二十の項の事項についての審判事件をいう。) 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の二十一の項の事項についての審判事件をいう。) 六 保佐人の選任の審判事件(別表第一の二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 七 保佐人の解任の審判事件(別表第一の二十四の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 八 保佐監督人の選任の審判事件(別表第一の二十六の項の事項についての審判事件をいう。) 九 保佐監督人の解任の審判事件(別表第一の二十八の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 十 保佐人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の三十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十三の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 保佐の事務の監督の審判事件(別表第一の三十四の項の事項についての審判事件をいう。) (陳述及び意見の聴取) 第百三十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号、第四号及び第五号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 保佐開始の審判 被保佐人となるべき者 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人 四 保佐開始の審判の取消しの審判(民法第十四条第一項の規定による場合に限る。) 被保佐人及び保佐人 五 保佐人又は保佐監督人の選任の審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 保佐人の選任の審判 保佐人となるべき者 二 保佐監督人の選任の審判 保佐監督人となるべき者 (審判の告知) 第百三十一条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 保佐開始の審判 民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐人又は保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐人となるべき者又は保佐監督人となるべき者) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人及び保佐監督人 四 保佐開始の審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 六 保佐人に対する代理権の付与の審判 被保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐監督人となるべき者) 七 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被保佐人及び保佐監督人 (即時抗告) 第百三十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 保佐開始の審判 民法第十一条本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 保佐開始の申立てを却下する審判 申立人 三 保佐開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十四条第一項に規定する者 四 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人 五 保佐人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐人の解任の申立てを却下する審判 申立人、保佐監督人並びに被保佐人及びその親族 八 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 九 保佐監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被保佐人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐開始の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百三十三条 第百十九条の規定は被保佐人となるべき者及び被保佐人の精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取について、第百二十一条の規定は保佐開始の申立ての取下げ及び保佐人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は保佐の事務の監督について準用する。 (保佐開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百三十四条 保佐開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、保佐開始の申立てがあった場合において、被保佐人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、保佐開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被保佐人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為に限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の保佐を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「保佐命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐命令の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 保佐命令の審判があったときは、被保佐人となるべき者及び財産の管理者は、被保佐人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被保佐人となるべき者」と読み替えるものとする。 (保佐人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百三十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、保佐人の解任の審判事件又は保佐監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第三節 補助に関する審判事件 (管轄) 第百三十六条 補助開始の審判事件(別表第一の三十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被補助人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 補助に関する審判事件(別表第一の三十六の項から五十四の項までの事項についての審判事件をいう。)は、補助開始の審判事件を除き、補助開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が補助開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、補助開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百三十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被補助人となるべき者及び被補助人について準用する。 一 補助開始の審判事件 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の三十七の項の事項についての審判事件をいう。) 三 補助人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の三十八の項の事項についての審判事件をいう。) 四 補助開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十九の項の事項についての審判事件をいう。) 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の四十の項の事項についての審判事件をいう。) 六 補助人の選任の審判事件(別表第一の四十一の項の事項についての審判事件をいう。) 七 補助人の解任の審判事件(別表第一の四十三の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 八 補助監督人の選任の審判事件(別表第一の四十五の項の事項についての審判事件をいう。) 九 補助監督人の解任の審判事件(別表第一の四十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 十 補助人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の五十一の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の五十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 補助の事務の監督の審判事件(別表第一の五十三の項の事項についての審判事件をいう。) (精神の状況に関する意見の聴取) 第百三十八条 家庭裁判所は、被補助人となるべき者の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、補助開始の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第百三十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第三号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 補助開始の審判 被補助人となるべき者 二 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人 三 補助開始の審判の取消しの審判(民法第十八条第一項又は第三項の規定による場合に限る。) 被補助人及び補助人 四 補助人又は補助監督人の選任の審判 被補助人となるべき者又は被補助人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助監督人の解任の審判 補助監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 補助人の選任の審判 補助人となるべき者 二 補助監督人の選任の審判 補助監督人となるべき者 (審判の告知) 第百四十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 補助開始の審判 民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判 補助人及び補助監督人(当該審判が補助人又は補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助人となるべき者又は補助監督人となるべき者) 三 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人及び補助監督人 四 補助開始の審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 六 補助人に対する代理権の付与の審判 被補助人及び補助監督人(当該審判が補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助監督人となるべき者) 七 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被補助人及び補助監督人 (即時抗告) 第百四十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 補助開始の審判 民法第十五条第一項本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 補助開始の申立てを却下する審判 申立人 三 補助開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十八条第一項に規定する者 四 補助人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助人の解任の申立てを却下する審判 申立人、補助監督人並びに被補助人及びその親族 七 補助監督人の解任の審判 補助監督人 八 補助監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被補助人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助開始の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百四十二条 第百二十一条の規定は補助開始の申立ての取下げ及び補助人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は補助の事務の監督について準用する。 (補助開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百四十三条 補助開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、補助開始及び補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てがあった場合において、被補助人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、補助開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被補助人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為であって、当該補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てに係るものに限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の補助を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「補助命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助命令の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 補助命令の審判があったときは、被補助人となるべき者及び財産の管理者は、被補助人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被補助人となるべき者」と読み替えるものとする。 (補助人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百四十四条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、補助人の解任の審判事件又は補助監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第四節 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件 (管轄) 第百四十五条 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管理人の改任等) 第百四十六条 家庭裁判所は、いつでも、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人を改任することができる。 2 家庭裁判所は、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人及び前項の規定により改任した管理人(第四項及び第六項、次条並びに第百四十七条において「家庭裁判所が選任した管理人」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 同法第二十七条第二項の場合においては、不在者が置いた管理人に対しても、同様とする。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、不在者の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、管理人(家庭裁判所が選任した管理人及び不在者が置いた管理人をいう。次項及び第百四十七条において同じ。)に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 管理人の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、家庭裁判所が選任した管理人について準用する。 (供託等) 第百四十六条の二 家庭裁判所が選任した管理人は、不在者の財産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、不在者のために、当該金銭を不在者の財産の管理に関する処分を命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。 2 家庭裁判所が選任した管理人は、前項の規定による供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 (処分の取消し) 第百四十七条 家庭裁判所は、不在者が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったとき(家庭裁判所が選任した管理人が管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、不在者、管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、民法第二十五条第一項の規定による管理人の選任その他の不在者の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 第五節 失踪の宣告に関する審判事件 第一款 失踪の宣告の審判事件 第百四十八条 失踪の宣告の審判事件(別表第一の五十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の審判事件における不在者について準用する。 3 家庭裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号及び第四号の期間が経過しなければ、失踪の宣告の審判をすることができない。 この場合において、第二号及び第四号の期間は、民法第三十条第一項の場合にあっては三月を、同条第二項の場合にあっては一月を下ってはならない。 一 不在者について失踪の宣告の申立てがあったこと。 二 不在者は、一定の期間までにその生存の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、失踪の宣告がされること。 四 不在者の生死を知る者は、一定の期間までにその届出をすべきこと。 4 失踪の宣告の審判は、不在者に告知することを要しない。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の審判 不在者及び利害関係人 二 失踪の宣告の申立てを却下する審判 申立人 第二款 失踪の宣告の取消しの審判事件 第百四十九条 失踪の宣告の取消しの審判事件は、失踪者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の取消しの審判事件における失踪者について準用する。 3 失踪の宣告の取消しの審判は、事件の記録上失踪者の住所又は居所が判明している場合に限り、失踪者に告知すれば足りる。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の取消しの審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 失踪の宣告の取消しの申立てを却下する審判 失踪者及び利害関係人 第六節 婚姻等に関する審判事件 (管轄) 第百五十条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件(別表第二の一の項の事項についての審判事件をいう。次条第一号及び第百五十二条の二第一項第一号において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の五十八の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件(別表第二の二の項の事項についての審判事件をいう。第百五十二条の二第一項第二号において同じ。) 夫又は妻の住所地 四 子の監護に関する処分の審判事件 子(父又は母を同じくする数人の子についての申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地 五 財産の分与に関する処分の審判事件 夫又は妻であった者の住所地 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の五の項の事項についての審判事件をいう。) 所有者の住所地 (手続行為能力) 第百五十一条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件及びこれらの審判事件を本案とする保全処分についての審判事件(いずれの審判事件においても、財産上の給付を求めるものを除く。)における当該各号に定める者について準用する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の審判事件 子 (陳述の聴取) 第百五十二条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判をする場合には、夫及び妻(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判を除く。)をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (情報開示命令) 第百五十二条の二 家庭裁判所は、次に掲げる審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 二 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件 三 子の監護に関する処分の審判事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。) 2 家庭裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その財産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。 3 前二項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (審判前の親子交流の試行的実施) 第百五十二条の三 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)において、子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がなく、かつ、事実の調査のため必要があると認めるときは、当事者に対し、子との交流の試行的実施を促すことができる。 2 家庭裁判所は、前項の試行的実施を促すに当たっては、交流の方法、交流をする日時及び場所並びに家庭裁判所調査官その他の者の立会いその他の関与の有無を定めるとともに、当事者に対して子の心身に有害な影響を及ぼす言動を禁止することその他適当と認める条件を付することができる。 3 家庭裁判所は、第一項の試行的実施を促したときは、当事者に対してその結果の報告(当該試行的実施をしなかったときは、その理由の説明)を求めることができる。 (申立ての取下げの制限) 第百五十三条 第八十二条第二項の規定にかかわらず、財産の分与に関する処分の審判の申立ての取下げは、相手方が本案について書面を提出し、又は家事審判の手続の期日において陳述をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (給付命令等) 第百五十四条 家庭裁判所は、夫婦間の協力扶助に関する処分の審判において、扶助の程度若しくは方法を定め、又はこれを変更することができる。 2 家庭裁判所は、次に掲げる審判において、当事者(第二号の審判にあっては、夫又は妻)に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判 四 財産の分与に関する処分の審判 3 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判において、子の監護をすべき者の指定又は変更、子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項の定めをする場合には、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 4 家庭裁判所は、離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 (共有財産の分割) 第百五十五条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判とともに共有財産の分割に関する処分の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、共有財産の分割の方法として、一方の婚姻の当事者に他方の婚姻の当事者に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (即時抗告) 第百五十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 四 子の監護に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 五 財産の分与に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫又は妻であった者 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判 婚姻の当事者(民法第七百五十一条第二項において準用する同法第七百六十九条第二項の規定による場合にあっては、生存配偶者)その他の利害関係人 2 子の監護に関する処分の審判(父母以外の親族と子との交流に関する処分の審判に限る。)及びその申立てを却下する審判に対する即時抗告は、民法第七百六十六条の二第二項(第二号に係る部分に限る。)の規定による請求をすることができる者及び同法第八百十七条の十三第五項の規定による請求をすることができる者もすることができる。 (婚姻等に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百五十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分 二 婚姻費用の分担に関する処分 三 子の監護に関する処分 四 財産の分与に関する処分 2 家庭裁判所は、前項第三号に掲げる事項について仮の地位を定める仮処分(子の監護に要する費用の分担に関する仮処分を除く。)を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件を本案とする保全処分) 第百五十八条 家庭裁判所は、夫婦の一方から夫婦財産契約による財産の管理者の変更の申立てがあった場合において、他の一方の管理する申立人所有の財産又は共有財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、当該財産の管理者の変更の申立てについての審判(共有財産の分割に関する処分の申立てがあった場合にあっては、その申立てについての審判)が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、他の一方の管理する申立人所有の財産若しくは共有財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は夫婦の他の一方の申立てにより、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「管理に係る財産」と読み替えるものとする。 第七節 親子に関する審判事件 第一款 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件 第百五十九条 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件は、子の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件における父及び民法第七百七十四条第四項に規定する前夫について準用する。 3 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二款 子の氏の変更についての許可の審判事件 第百六十条 子の氏の変更についての許可の審判事件(別表第一の六十の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、子(父又は母を同じくする数人の子についての子の氏の変更についての許可の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、子の氏の変更についての許可の審判事件における子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 子の氏の変更についての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第三款 養子縁組をするについての許可の審判事件 第百六十一条 養子縁組をするについての許可の審判事件は、養子となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、養子縁組をするについての許可の審判事件における養親となるべき者及び養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 ただし、養子となるべき者については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者及び養子となるべき者の未成年後見人 4 養子縁組をするについての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第四款 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判事件 第百六十一条の二 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判事件は、養子となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判事件における養子となるべき者の法定代理人、養子となるべき者の父母でその監護をすべき者であるもの及び養子となるべき者の父母で親権を停止されているものについて準用する。 3 家庭裁判所は、養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判をする場合には、養子となるべき者の父母でその監護をすべき者であるもの及び養子となるべき者の父母で親権を停止されているものの陳述を聴かなければならない。 4 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、養子となるべき者の父母でその監護をすべき者であるもの及び養子となるべき者の父母で親権を停止されているものに告知しなければならない。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判 養子となるべき者の父母でその監護をすべき者であるもの及び養子となるべき者の父母で親権を停止されているもの 二 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 第五款 死後離縁をするについての許可の審判事件 第百六十二条 死後離縁をするについての許可の審判事件は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、死後離縁をするについての許可の審判事件における養親及び養子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子の死後に死後離縁をするについての許可の申立てがあった場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、養子を代襲して養親の相続人となるべき者に対し、その旨を通知するものとする。 ただし、事件の記録上その者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 死後離縁をするについての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 死後離縁をするについての許可の申立てを却下する審判 申立人 第六款 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百六十三条 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の六の項の事項についての審判事件をいう。)は、その所有者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 離縁の当事者その他の利害関係人は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第七款 特別養子縁組に関する審判事件 (特別養子縁組の成立の審判事件) 第百六十四条 特別養子縁組の成立の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 養子となるべき者は、特別養子適格の確認(養子となるべき者について民法第八百十七条の六に定める要件があること及び同法第八百十七条の七に規定する父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合に該当することについての確認をいう。以下この条及び次条において同じ。)の審判(申立人の同条第一項の規定による申立てによりされたものに限る。)を受けた者又は児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判(特別養子縁組の成立の申立ての日の六箇月前の日以後に確定したものに限る。)を受けた者でなければならない。 3 養子となるべき者の親権者(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。以下この項において同じ。)及びその親権者に対し親権を行う者は、特別養子縁組の成立の審判事件において養子となるべき者を代理して手続行為をすることができない。 4 養子となるべき者の父母(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。第十項において同じ。)は、第四十二条第一項及び第三項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判事件の手続に参加することができない。 5 第百十八条の規定は、特別養子縁組の成立の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方について準用する。 6 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者(養子となるべき者の父母及び養子となるべき者の親権者に対し親権を行う者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 7 特別養子適格の確認の審判(児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判を含む。以下この項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の審判事件の係属する裁判所を拘束する。 この場合において、特別養子適格の確認の審判は、特別養子縁組の成立の審判事件との関係においては、特別養子縁組の成立の審判をする時においてしたものとみなす。 8 特別養子縁組の成立の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第二号に掲げる者に告知しなければならない。 9 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 ただし、養子となるべき者が十五歳に達している場合は、この限りでない。 10 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の父母に告知することを要しない。 ただし、住所又は居所が知れている父母に対しては、審判をした日及び審判の主文を通知しなければならない。 11 家庭裁判所は、第二項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判を、特別養子適格の確認の審判と同時にすることができる。 この場合においては、特別養子縁組の成立の審判は、特別養子適格の確認の審判が確定するまでは、確定しないものとする。 12 家庭裁判所は、前項前段の場合において、特別養子適格の確認の審判を取り消す裁判が確定したときは、職権で、特別養子縁組の成立の審判を取り消さなければならない。 13 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、確定しないものとする。 この場合においては、家庭裁判所は、職権で、その審判を取り消さなければならない。 14 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の成立の審判 養子となるべき者及び第六項第二号に掲げる者 二 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判 申立人 15 養子となるべき者(十五歳未満のものに限る。)による特別養子縁組の成立の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子適格の確認の審判事件) 第百六十四条の二 家庭裁判所は、養親となるべき者の申立てにより、その者と養子となるべき者との間における縁組について、特別養子適格の確認の審判をすることができる。 ただし、養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過する日まで及び養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、この限りでない。 2 特別養子適格の確認の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 特別養子適格の確認の申立ては、特別養子縁組の成立の申立てと同時にしなければならない。 4 第百十八条の規定は、特別養子適格の確認の審判事件における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び養子となるべき者の父母について準用する。 5 民法第八百十七条の六本文の同意は、次の各号のいずれにも該当する場合には、撤回することができない。 ただし、その同意をした日から二週間を経過する日までは、この限りでない。 一 養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過した後にされたものであること。 二 次のいずれかに該当するものであること。 イ 家庭裁判所調査官による事実の調査を経た上で家庭裁判所に書面を提出してされたものであること。 ロ 審問の期日においてされたものであること。 6 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第二号に掲げる者の同意がないにもかかわらずその審判をするときは、その者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者の父母 三 養子となるべき者に対し親権を行う者(前号に掲げる者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 四 養子となるべき者の父母に対し親権を行う者及び養子となるべき者の父母の後見人 7 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てに係る特別養子適格の確認の申立てを却下しなければならない。 8 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の申立てを却下する審判をする場合には、第六項第二号及び第三号に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 9 特別養子適格の確認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第三号及び第四号に掲げる者に告知しなければならない。 10 特別養子適格の確認の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 11 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合において、第六項第二号に掲げる者を特定することができないときは、同号及び同項第四号に掲げる者の陳述を聴くこと並びにこれらの者にその審判を告知することを要しない。 12 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子適格の確認の審判 養子となるべき者及び第六項第二号から第四号までに掲げる者 二 特別養子適格の確認の申立てを却下する審判 申立人 13 養子となるべき者による特別養子適格の確認の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 14 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てによる特別養子適格の確認の審判は、その効力を失う。 (特別養子縁組の離縁の審判事件) 第百六十五条 特別養子縁組の離縁の審判事件は、養親の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、特別養子縁組の離縁の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親、養子及びその実父母について準用する。 3 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号から第三号までに掲げる者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子(十五歳以上のものに限る。) 二 養親 三 養子の実父母 四 養子に対し親権を行う者(第二号に掲げる者を除く。)及び養子の後見人 五 養親の後見人 六 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 4 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子の実父母(申立人を除く。) 二 養子に対し親権を行う者及び養子の後見人 三 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 5 特別養子縁組の離縁の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第三項第四号から第六号までに掲げる者に告知しなければならない。 6 特別養子縁組の離縁の審判は、養子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して養子の利益を害すると認める場合には、養子に告知することを要しない。 7 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の離縁の審判 養子、養親、養子の実父母、養子に対し親権を行う者で養親でないもの、養子の後見人、養親の後見人、養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 二 特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判 申立人 8 養子による特別養子縁組の離縁の審判に対する即時抗告の期間は、養子以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子縁組の成立の審判事件等を本案とする保全処分) 第百六十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の申立てがあった場合において、養子となるべき者の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別養子縁組の成立の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、申立人を養子となるべき者の監護者に選任し、又は養子となるべき者の親権者若しくは未成年後見人の職務の執行を停止し、若しくはその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者若しくは未成年後見人、養子となるべき者に対し親権を行う者若しくは他の未成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、養子となるべき者の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定(養子となるべき者の監護者を選任する保全処分に関する部分を除く。)は、特別養子縁組の離縁の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第八節 親権に関する審判事件 (管轄) 第百六十七条 親権に関する審判事件は、子(父又は母を同じくする数人の子についての親権者の指定若しくは変更、親権行使者の指定又は第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百六十八条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件(第三号、第七号及び第八号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における当該各号に定める者について準用する。 一 子に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の六十五の項の事項についての審判事件をいう。) 子 二 第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の六十六の項の事項についての審判事件をいう。第百七十三条において同じ。) 子 三 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件(別表第一の六十七の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判事件(別表第一の六十八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 五 親権又は管理権を辞し、又は回復するについての許可の審判事件(別表第一の六十九の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 六 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判事件(別表第二の七の項の事項についての審判事件をいう。) 養子、その父母及び養親 七 親権者の指定又は変更の審判事件(別表第二の八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 八 親権行使者の指定の審判事件(別表第二の八の二の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 (陳述の聴取) 第百六十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号に掲げる子の親権者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子(十五歳以上のものに限る。)及び子の親権者 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者、子の未成年後見人及び親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者 三 親権又は管理権を辞するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。) 四 親権又は管理権を回復するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 2 家庭裁判所は、親権者の指定若しくは変更又は親権行使者の指定の審判をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第百六十九条の二 親権者の指定の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (離婚が成立しない場合の申立ての却下) 第百六十九条の三 家庭裁判所は、親権者の指定の審判の手続において、申立人に対し、相当の期間を定め、父母が離婚したことを証する文書をその期間内に提出すべきことを命ずることができる。 2 前項の場合において、申立人がその期間内に同項に規定する文書を提出しないときは、家庭裁判所は、親権者の指定の審判の申立てを却下することができる。 (審判の告知) 第百七十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 ただし、子にあっては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 (引渡命令等) 第百七十一条 家庭裁判所は、親権者の指定若しくは変更又は親権行使者の指定の審判において、当事者に対し、子の引渡し又は財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百七十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号から第三号まで及び第五号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 親権喪失の審判 親権を喪失する者及びその親族 二 親権停止の審判 親権を停止される者及びその親族 三 管理権喪失の審判 管理権を喪失する者及びその親族 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てを却下する審判 申立人、子及びその親族、未成年後見人並びに未成年後見監督人 五 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子及びその親族、子に対し親権を行う者、未成年後見人並びに未成年後見監督人 六 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人並びに親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者及びその親族 七 親権又は管理権を回復するについての許可の申立てを却下する審判 申立人 八 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判 養子の父母及び養子の監護者 九 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の申立てを却下する審判 申立人、養子の父母及び養子の監護者 十 親権者の指定又は変更の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 十一 親権行使者の指定の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母 2 次の各号に掲げる即時抗告の期間は、当該各号に定める日から進行する。 一 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失する者が審判の告知を受けた日 二 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者が審判の告知を受けた日 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第百七十三条 第百二十五条の規定は、第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 (親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件を本案とする保全処分) 第百七十四条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があると認めるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 (親権者の指定又は変更の審判事件等を本案とする保全処分) 第百七十五条 家庭裁判所は、親権者の指定若しくは変更又は親権行使者の指定の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定若しくは変更又は親権行使者の指定の審判を本案とする仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 2 前項の規定により仮の地位の仮処分を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 4 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 5 家庭裁判所は、いつでも、第三項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 6 家庭裁判所は、第三項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第九節 未成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百七十六条 未成年後見に関する審判事件(別表第一の七十の項から八十三の項までの事項についての審判事件をいう。)は、未成年被後見人(養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百七十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第三号及び第五号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における未成年被後見人(第一号の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者及び養親)について準用する。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件 二 未成年後見人の選任の審判事件 三 未成年後見人の解任の審判事件(別表第一の七十三の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 四 未成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の七十四の項の事項についての審判事件をいう。) 五 未成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の七十六の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 六 未成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の七十九の項の事項についての審判事件をいう。) 七 未成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の八十一の項の事項についての審判事件をいう。) 八 第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十二の項の事項についての審判事件をいう。第百八十条において同じ。) (陳述及び意見の聴取) 第百七十八条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 未成年後見人又は未成年後見監督人の選任の審判 未成年被後見人(十五歳以上のものに限る。) 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者又は未成年後見人の選任 未成年後見人となるべき者 二 未成年後見監督人の選任 未成年後見監督人となるべき者 (即時抗告) 第百七十九条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、未成年後見監督人並びに未成年被後見人及びその親族 四 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 五 未成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに未成年被後見人及びその親族 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百八十条 第百二十一条の規定は未成年後見人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は未成年後見の事務の監督について、第百二十五条の規定は第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十一条第二号中「第八百四十三条第二項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第一項の規定による未成年後見人」と、同条第三号中「第八百四十三条第三項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第二項の規定による未成年後見人」と読み替えるものとする。 (未成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百八十一条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、未成年後見人の解任の審判事件又は未成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第十節 扶養に関する審判事件 (管轄) 第百八十二条 扶養義務の設定の審判事件(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者となるべき者(数人についての扶養義務の設定の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務の設定の取消しの審判事件(別表第一の八十五の項の事項についての審判事件をいう。)は、その扶養義務の設定の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所がその扶養義務の設定の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(別表第二の九の項の事項についての審判事件をいう。)並びに扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(同表の十の項の事項についての審判事件をいう。第百八十四条の二第一項において同じ。)は、相手方(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (申立ての特則) 第百八十三条 扶養義務の設定の申立ては、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第二十三条の二第二項第四号の規定による保護者の選任の申立てと一の申立てによりするときは、同法第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所にもすることができる。 (陳述の聴取) 第百八十四条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者 二 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者 (情報開示命令) 第百八十四条の二 家庭裁判所は、扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。 2 前項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (給付命令) 第百八十五条 家庭裁判所は、扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百八十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者(申立人を除く。) 二 扶養義務の設定の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者(申立人を除く。) 四 扶養義務の設定の取消しの申立てを却下する審判 申立人 五 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 六 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 (扶養に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百八十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消し 二 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消し 第十一節 推定相続人の廃除に関する審判事件 (推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の取消しの審判事件) 第百八十八条 推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 ただし、これらの審判事件が被相続人の死亡後に申し立てられた場合にあっては、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、前項に規定する審判事件における被相続人について準用する。 3 家庭裁判所は、推定相続人の廃除の審判事件においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、廃除を求められた推定相続人の陳述を聴かなければならない。 この場合における陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 4 推定相続人の廃除の審判事件における手続については、申立人及び廃除を求められた推定相続人を当事者とみなして、第六十七条及び第六十九条から第七十二条までの規定を準用する。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 推定相続人の廃除の審判 廃除された推定相続人 二 推定相続人の廃除又はその審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人 (遺産の管理に関する処分の審判事件) 第百八十九条 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件は、推定相続人の廃除の審判事件又は推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件が係属している家庭裁判所(その審判事件が係属していない場合にあっては相続が開始した地を管轄する家庭裁判所、その審判事件が抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所)の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項までの規定は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理人について準用する。 この場合において、同条第一項、第二項及び第四項中「家庭裁判所」とあるのは「推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所」と、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは「遺産」と読み替えるものとする。 3 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判が確定したときは、廃除を求められた推定相続人、前項の管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、その処分の取消しの裁判をしなければならない。 第十二節 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百九十条 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の十一の項の事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 相続人その他の利害関係人は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十二節の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件 第百九十条の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項まで、第百四十六条の二及び第百四十七条の規定は、相続財産の保存に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十三節 遺産の分割に関する審判事件 (管轄) 第百九十一条 遺産の分割に関する審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判事件(別表第二の十二の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)が係属している場合における寄与分を定める処分の審判事件(同表の十四の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)は、当該遺産の分割の審判事件が係属している裁判所の管轄に属する。 (手続の併合等) 第百九十二条 遺産の分割の審判事件及び寄与分を定める処分の審判事件が係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 数人からの寄与分を定める処分の審判事件が係属するときも、同様とする。 (寄与分を定める処分の審判の申立ての期間の指定) 第百九十三条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判の手続において、一月を下らない範囲内で、当事者が寄与分を定める処分の審判の申立てをすべき期間を定めることができる。 2 家庭裁判所は、寄与分を定める処分の審判の申立てが前項の期間を経過した後にされたときは、当該申立てを却下することができる。 3 家庭裁判所は、第一項の期間を定めなかった場合においても、当事者が時機に後れて寄与分を定める処分の申立てをしたことにつき、申立人の責めに帰すべき事由があり、かつ、申立てに係る寄与分を定める処分の審判の手続を併合することにより、遺産の分割の審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、その申立てを却下することができる。 (遺産の換価を命ずる裁判) 第百九十四条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、相続人に対し、遺産の全部又は一部を競売して換価することを命ずることができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があり、かつ、相当と認めるときは、相続人の意見を聴き、相続人に対し、遺産の全部又は一部について任意に売却して換価することを命ずることができる。 ただし、共同相続人中に競売によるべき旨の意思を表示した者があるときは、この限りでない。 3 前二項の規定による裁判(以下この条において「換価を命ずる裁判」という。)が確定した後に、その換価を命ずる裁判の理由の消滅その他の事情の変更があるときは、家庭裁判所は、相続人の申立てにより又は職権で、これを取り消すことができる。 4 換価を命ずる裁判は、第八十一条第一項において準用する第七十四条第一項に規定する者のほか、遺産の分割の審判事件の当事者に告知しなければならない。 5 相続人は、換価を命ずる裁判に対し、即時抗告をすることができる。 6 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判をする場合において、第二百条第一項の財産の管理者が選任されていないときは、これを選任しなければならない。 7 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判により換価を命じられた相続人に対し、遺産の中から、相当な報酬を与えることができる。 8 第百二十五条の規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第六項の規定により選任した財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 (債務を負担させる方法による遺産の分割) 第百九十五条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (給付命令) 第百九十六条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (遺産の分割の禁止の審判の取消し及び変更) 第百九十七条 家庭裁判所は、事情の変更があるときは、相続人の申立てにより、いつでも、遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判をすることができる。 この申立てに係る審判事件は、別表第二に掲げる事項についての審判事件とみなす。 (即時抗告) 第百九十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺産の分割の審判及びその申立てを却下する審判 相続人 二 遺産の分割の禁止の審判 相続人 三 遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判 相続人 四 寄与分を定める処分の審判 相続人 五 寄与分を定める処分の申立てを却下する審判 申立人 2 第百九十二条前段の規定により審判が併合してされたときは、寄与分を定める処分の審判又はその申立てを却下する審判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 3 第百九十二条後段の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (申立ての取下げの制限) 第百九十九条 第百五十三条の規定は、遺産の分割の審判の申立ての取下げについて準用する。 2 第八十二条第二項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分) 第二百条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。次項及び第三項において同じ。)は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、遺産の分割の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。 ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。 4 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 第十四節 相続の承認及び放棄に関する審判事件 第二百一条 相続の承認及び放棄に関する審判事件(別表第一の九十の項から九十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、限定承認の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十三の項の事項についての審判事件をいう。)は、限定承認の申述を受理した家庭裁判所(抗告裁判所が受理した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 家庭裁判所(抗告裁判所が限定承認の申述を受理した場合にあっては、その裁判所)は、相続人が数人ある場合において、限定承認の申述を受理したときは、職権で、民法第九百三十六条第一項の規定により相続財産の清算人を選任しなければならない。 4 第百十八条の規定は、限定承認又は相続の放棄の取消しの申述の受理の審判事件(別表第一の九十一の項の事項についての審判事件をいう。)における限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者について準用する。 5 限定承認及びその取消し並びに相続の放棄及びその取消しの申述は、次に掲げる事項を記載した申述書を家庭裁判所に提出してしなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 限定承認若しくはその取消し又は相続の放棄若しくはその取消しをする旨 6 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条の規定は、前項の申述について準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百一条第五項」と読み替えるものとする。 7 家庭裁判所は、第五項の申述の受理の審判をするときは、申述書にその旨を記載しなければならない。 この場合において、当該審判は、申述書にその旨を記載した時に、その効力を生ずる。 8 前項の審判については、第七十六条の規定は、適用しない。 9 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 相続の承認又は放棄をすべき期間の伸長の申立てを却下する審判 申立人 二 限定承認又は相続の放棄の取消しの申述を却下する審判 限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者 三 限定承認又は相続の放棄の申述を却下する審判 申述人 第十五節 財産分離に関する審判事件 第二百二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める裁判所の管轄に属する。 一 財産分離の審判事件(別表第一の九十六の項の事項についての審判事件をいう。次号において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件 財産分離の審判事件が係属している家庭裁判所(抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所、財産分離の裁判確定後にあっては財産分離の審判事件が係属していた家庭裁判所) 三 財産分離の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十八の項の事項についての審判事件をいう。) 財産分離の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が財産分離の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所) 2 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 財産分離の審判 相続人 二 民法第九百四十一条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続債権者及び受遺者 三 民法第九百五十条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続人の債権者 3 第百二十五条の規定は、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十六節 相続人の不存在に関する審判事件 (管轄) 第二百三条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。 一 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 相続人の不存在の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百の項の事項についての審判事件をいう。) 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件において相続財産の清算人の選任の審判をした家庭裁判所 三 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件(別表第一の百一の項の事項についての審判事件をいう。次条第二項及び第二百七条において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 (特別縁故者に対する相続財産の分与の審判) 第二百四条 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判は、民法第九百五十二条第二項の期間の満了後三月を経過した後にしなければならない。 2 同一の相続財産に関し特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件が数個同時に係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 (意見の聴取) 第二百五条 家庭裁判所は、特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判をする場合には、民法第九百五十二条第一項の規定により選任し、又は第二百八条において準用する第百二十五条第一項の規定により改任した相続財産の清算人(次条及び第二百七条において単に「相続財産の清算人」という。)の意見を聴かなければならない。 (即時抗告) 第二百六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判 申立人及び相続財産の清算人 二 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てを却下する審判 申立人 2 第二百四条第二項の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人又は相続財産の清算人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (相続財産の換価を命ずる裁判) 第二百七条 第百九十四条第一項、第二項本文、第三項から第五項まで及び第七項の規定は、特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件について準用する。 この場合において、同条第一項及び第七項中「相続人」とあり、並びに同条第二項中「相続人の意見を聴き、相続人」とあるのは「相続財産の清算人」と、同条第三項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人若しくは相続財産の清算人」と、同条第四項中「当事者」とあるのは「申立人」と、同条第五項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人及び相続財産の清算人」と読み替えるものとする。 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第二百八条 第百二十五条の規定は、相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十七節 遺言に関する審判事件 (管轄) 第二百九条 遺言に関する審判事件(別表第一の百二の項から百八の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続を開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺言の確認の審判事件は、遺言者の生存中は、遺言者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者及び負担の利益を受けるべき者 2 家庭裁判所は、遺言執行者の選任の審判をする場合には、遺言執行者となるべき者の意見を聴かなければならない。 (調書の作成) 第二百十一条 裁判所書記官は、遺言書の検認について、調書を作成しなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百十二条 遺言の確認又は遺言書の検認の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百十三条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 相続人 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 負担の利益を受けるべき者 (即時抗告) 第二百十四条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺言の確認の審判 利害関係人 二 遺言の確認の申立てを却下する審判 遺言に立ち会った証人及び利害関係人 三 遺言執行者の選任の申立てを却下する審判 利害関係人 四 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 五 遺言執行者の解任の申立てを却下する審判 利害関係人 六 遺言執行者の辞任についての許可の申立てを却下する審判 申立人 七 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者その他の利害関係人(申立人を除く。) 八 負担付遺贈に係る遺言の取消しの申立てを却下する審判 相続人 (遺言執行者の解任の審判事件を本案とする保全処分) 第二百十五条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、遺言執行者の解任の申立てがあった場合において、遺言の内容の実現のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、遺言執行者の解任の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、遺言執行者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による遺言執行者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される遺言執行者、他の遺言執行者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、相続財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第十八節 遺留分に関する審判事件 第二百十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 遺留分を算定するための財産の価額を定める場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百九の項の事項についての審判事件をいう。) 相続が開始した地 二 遺留分の放棄についての許可の審判事件 被相続人の住所地 2 遺留分の放棄についての許可の申立てをした者は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十八節の二 特別の寄与に関する審判事件 (管轄) 第二百十六条の二 特別の寄与に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (給付命令) 第二百十六条の三 家庭裁判所は、特別の寄与に関する処分の審判において、当事者に対し、金銭の支払を命ずることができる。 (即時抗告) 第二百十六条の四 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別の寄与に関する処分の審判 申立人及び相手方 二 特別の寄与に関する処分の申立てを却下する審判 申立人 (特別の寄与に関する審判事件を本案とする保全処分) 第二百十六条の五 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、特別の寄与に関する処分についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は申立人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別の寄与に関する処分の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 第十九節 任意後見契約法に規定する審判事件 (管轄) 第二百十七条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件(別表第一の百十一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条において同じ。)は、任意後見契約法第二条第二号の本人(以下この節において単に「本人」という。)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 任意後見契約法に規定する審判事件(別表第一の百十一の項から百二十一の項までの事項についての審判事件をいう。)は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件を除き、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が当該任意後見監督人を選任した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百十八条 第百十八条の規定は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件における本人について準用する。 (精神の状況に関する意見の聴取) 第二百十九条 家庭裁判所は、本人の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、本人については、本人の心身の障害により本人の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判並びに任意後見監督人が欠けた場合及び任意後見監督人を更に選任する場合における任意後見監督人の選任の審判 本人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見人の解任の審判 任意後見人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 2 家庭裁判所は、前項第一号に掲げる審判をする場合には、任意後見監督人となるべき者の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をする場合には、任意後見契約の効力が生ずることについて、任意後見受任者の意見を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百二十一条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任及び任意後見監督人が欠けた場合における任意後見監督人の選任の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百二十二条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判 本人及び任意後見受任者 二 後見開始の審判等の取消しの審判 後見開始の審判の取消しの審判にあっては成年後見人及び成年後見監督人、保佐開始の審判の取消しの審判にあっては保佐人及び保佐監督人並びに補助開始の審判の取消しの審判にあっては補助人及び補助監督人 三 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見監督人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人、任意後見人及び任意後見監督人 (即時抗告) 第二百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第四号及び第六号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに本人及びその親族 四 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見人 五 任意後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、任意後見監督人並びに本人及びその親族 六 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 七 任意後見契約の解除についての許可の申立てを却下する審判 申立人 (任意後見監督人の事務の調査) 第二百二十四条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に任意後見監督人の事務を調査させることができる。 (任意後見監督人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第二百二十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、任意後見監督人の解任の審判事件(別表第一の百十七の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 2 第百二十七条第一項及び第二項の規定は、任意後見人の解任の審判事件(別表第一の百二十の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 この場合において、同条第一項中「停止し、又はその職務代行者を選任する」とあるのは「停止する」と、同条第二項中「同項の規定により選任した職務代行者」とあるのは「任意後見監督人」と読み替えるものとする。 第二十節 戸籍法に規定する審判事件 (管轄) 第二百二十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 氏若しくは名の変更又は氏の振り仮名若しくは名の振り仮名の変更についての許可の審判事件(別表第一の百二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 申立人の住所地 二 就籍許可の審判事件(別表第一の百二十三の項の事項についての審判事件をいう。) 就籍しようとする地 三 戸籍の訂正についての許可の審判事件(別表第一の百二十四の項の事項についての審判事件をいう。) その戸籍のある地 四 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件(別表第一の百二十五の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。) 市役所(戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第四条において準用する同法第百二十二条の規定による場合にあっては、区役所)又は町村役場の所在地 (手続行為能力) 第二百二十七条 第百十八条の規定は、戸籍法に規定する審判事件(別表第一の百二十二の項から百二十五の項までの事項についての審判事件をいう。)における当該審判事件の申立てをすることができる者について準用する。 ただし、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件においては、当該処分を受けた届出その他の行為を自らすることができる場合に限る。 (事件係属の通知) 第二百二十八条 家庭裁判所は、戸籍法第百十三条の規定による戸籍の訂正についての許可の申立てが当該戸籍の届出人又は届出事件の本人以外の者からされた場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該届出人又は届出事件の本人に対し、その旨を通知しなければならない。 ただし、事件の記録上これらの者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十九条 家庭裁判所は、氏又は氏の振り仮名の変更についての許可の審判をする場合には、申立人と同一戸籍内にある者(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区長又は総合区長とする。以下この節において同じ。)の処分に対する不服の申立てがあった場合には、当該市町村長の意見を聴かなければならない。 (審判の告知等) 第二百三十条 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該市町村長に告知しなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを理由があると認めるときは、当該市町村長に対し、相当の処分を命じなければならない。 (即時抗告) 第二百三十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 氏又は氏の振り仮名の変更についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 氏若しくは名の変更又は氏の振り仮名若しくは名の振り仮名の変更についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 就籍許可の申立てを却下する審判 申立人 四 戸籍の訂正についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 五 戸籍の訂正についての許可の申立てを却下する審判 申立人 六 前条第二項の規定による市町村長に相当の処分を命ずる審判 当該市町村長 七 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判 申立人 第二十一節 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に規定する審判事件 第二百三十二条 性別の取扱いの変更の審判事件(別表第一の百二十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、性別の取扱いの変更の審判事件における申立人について準用する。 3 性別の取扱いの変更の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二十二節 厚生年金保険法に規定する審判事件 第二百三十三条 請求すべき 按 あん 分割合に関する処分の審判事件(別表第二の十六の項の事項についての審判事件をいう。)は、申立人又は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 申立人及び相手方は、請求すべき按分割合に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 請求すべき按分割合に関する処分の審判の手続については、第六十八条第二項の規定は、適用しない。 第二十三節 児童福祉法に規定する審判事件 (管轄) 第二百三十四条 都道府県の措置についての承認の審判事件(別表第一の百二十七の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件(同表の百二十八の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)、児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件(同表の百二十八の二の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)及び児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件(同表の百二十八の三の項の事項についての審判事件をいう。以下この節において同じ。)は、児童の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百三十五条 第百十八条の規定は、都道府県の措置についての承認の審判事件、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件及び児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件における児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者、児童の未成年後見人及び児童並びに児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件における児童及びその父母について準用する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百三十六条 家庭裁判所は、都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、前条に規定する者(児童にあっては、十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 前項の場合において、家庭裁判所は、申立人に対し、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人の陳述に関する意見を求めることができる。 3 第百六十四条の二第六項及び第八項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (審判の告知) 第二百三十七条 都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人に告知しなければならない。 2 第百六十四条の二第九項から第十一項までの規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (即時抗告) 第二百三十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 都道府県の措置についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 二 都道府県の措置についての承認の申立てを却下する審判 申立人 三 都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 四 都道府県の措置の期間の更新についての承認の申立てを却下する審判 申立人 五 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 六 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てを却下する審判 申立人 2 第百六十四条の二第十二項及び第十三項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判の特則) 第二百三十九条 家庭裁判所は、児童の出生の日から二箇月を経過する日まで及び児童が十八歳に達した日以後は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判をすることができない。 2 第百六十四条の二第五項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 第二十四節 生活保護法等に規定する審判事件 第二百四十条 施設への入所等についての許可の審判事件(別表第一の百二十九の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。)は、被保護者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判事件(別表第二の十七の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 第百十八条の規定は、施設への入所等についての許可の審判事件における被保護者、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人について準用する。 4 家庭裁判所は、施設への入所等についての許可の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、被保護者(十五歳以上のものに限る。)、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人の陳述を聴かなければならない。 5 施設への入所等についての許可の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人に告知しなければならない。 6 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 施設への入所等についての許可の審判 被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人 二 施設への入所等についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判及びその申立てを却下する審判 申立人及び相手方 第二十五節 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に規定する審判事件 第二百四十一条 保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件(別表第一の百三十の項の事項についての審判事件をいう。第四項において同じ。)は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の意見を聴かなければならない。 一 保護者の順位の変更の審判 先順位に変更される者 二 保護者の選任の審判 保護者となるべき者 3 保護者の順位の変更又は保護者の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 4 家庭裁判所は、いつでも、保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件において選任した保護者を改任することができる。 第二十六節 破産法に規定する審判事件 第二百四十二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の百三十一の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件 子の住所地 三 破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件(別表第一の百三十三の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 相続が開始した地 2 破産管財人は、破産手続における相続の放棄の承認についての申述を却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百五十二条第一項、第百五十四条第二項(第二号に係る部分に限る。)、第百五十五条、第百五十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)及び第百五十八条の規定は破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件について、第百六十八条(第三号に係る部分に限る。)、第百六十九条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第百七十条(第一号に係る部分に限る。)、第百七十二条第一項(第三号及び第四号に係る部分に限る。)及び第二項(第一号に係る部分に限る。)並びに第百七十四条の規定(管理権喪失に関する部分に限る。)は親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件について、第二百一条第五項から第八項までの規定は破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件について準用する。 第二十七節 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に規定する審判事件 第二百四十三条 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判事件(別表第一の百三十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成二十年法律第三十三号)第四条第一項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第一項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第二項の旧代表者の住所地 二 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第四条第三項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第三項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第四項の旧個人事業者の住所地 2 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判は、当該合意の当事者の全員に告知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判 当該合意の当事者(申立人を除く。) 二 遺留分の算定に係る合意についての許可の申立てを却下する審判 当該合意の当事者 第三編 家事調停に関する手続 第一章 総則 第一節 通則 (調停事項等) 第二百四十四条 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。 (管轄等) 第二百四十五条 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 3 第百九十一条第二項及び第百九十二条の規定は、遺産の分割の調停事件(別表第二の十二の項の事項についての調停事件をいう。)及び寄与分を定める処分の調停事件(同表の十四の項の事項についての調停事件をいう。)について準用する。 この場合において、第百九十一条第二項中「前項」とあるのは、「第二百四十五条第一項」と読み替えるものとする。 (地方裁判所又は簡易裁判所への移送) 第二百四十六条 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件以外の事件について調停の申立てを受けた場合には、職権で、これを管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送する。 2 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について調停の申立てを受けた場合において、事件を処理するために必要があると認めるときは、職権で、事件の全部又は一部を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送することができる。 3 家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、前二項の規定にかかわらず、その事件を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所以外の地方裁判所又は簡易裁判所(事物管轄権を有するものに限る。)に移送することができる。 4 第九条第三項から第五項までの規定は、前三項の規定による移送の裁判について準用する。 (調停機関) 第二百四十七条 家庭裁判所は、調停委員会で調停を行う。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、裁判官のみで行うことができる。 2 家庭裁判所は、当事者の申立てがあるときは、前項ただし書の規定にかかわらず、調停委員会で調停を行わなければならない。 (調停委員会) 第二百四十八条 調停委員会は、裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 2 調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。 3 調停委員会の決議は、過半数の意見による。 可否同数の場合には、裁判官の決するところによる。 4 調停委員会の評議は、秘密とする。 (家事調停委員) 第二百四十九条 家事調停委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 2 家事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (家事調停官の任命等) 第二百五十条 家事調停官は、弁護士で五年以上その職にあったもののうちから、最高裁判所が任命する。 2 家事調停官は、この法律の定めるところにより、家事調停事件の処理に必要な職務を行う。 3 家事調停官は、任期を二年とし、再任されることができる。 4 家事調停官は、非常勤とする。 5 家事調停官は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して解任されることがない。 一 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七条各号のいずれかに該当するに至ったとき。 二 心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。 三 職務上の義務違反その他家事調停官たるに適しない非行があると認められたとき。 6 この法律に定めるもののほか、家事調停官の任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 (家事調停官の権限等) 第二百五十一条 家事調停官は、家庭裁判所の指定を受けて、家事調停事件を取り扱う。 2 家事調停官は、その取り扱う家事調停事件の処理について、この法律において家庭裁判所、裁判官又は裁判長が行うものとして定める家事調停事件の処理に関する権限を行うことができる。 3 家事調停官は、独立してその職権を行う。 4 家事調停官は、その権限を行うについて、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び医師である裁判所技官に対し、その職務に関し必要な命令をすることができる。 この場合において、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第六十条第五項の規定は、家事調停官の命令を受けた裁判所書記官について準用する。 5 家事調停官には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (手続行為能力) 第二百五十二条 次の各号に掲げる調停事件(第一号及び第二号にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)において、当該各号に定める者は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の調停事件(別表第二の一の項の事項についての調停事件をいう。第二百五十八条第三項において同じ。) 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の調停事件(別表第二の三の項の事項についての調停事件をいう。第二百五十八条第三項において同じ。) 子 三 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の調停事件(別表第二の七の項の事項についての調停事件をいう。) 養子、その父母及び養親 四 親権者の指定又は変更の調停事件(別表第二の八の項の事項についての調停事件をいう。) 子及びその父母 五 親権行使者の指定の調停事件(別表第二の八の二の項の事項についての調停事件をいう。) 子及びその父母 六 人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(第二百七十七条第一項において単に「人事に関する訴え」という。)を提起することができる事項についての調停事件 同法第十三条第一項の規定が適用されることにより訴訟行為をすることができることとなる者 2 親権を行う者又は後見人は、第十八条の規定にかかわらず、前項第一号、第三号及び第四号に掲げる調停事件(同項第一号の調停事件にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)においては、当該各号に定める者に代理して第二百六十八条第一項の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾及び第二百八十六条第八項の共同の申出をすることができない。 離婚についての調停事件における夫及び妻の後見人並びに離縁についての調停事件における養親の後見人、養子(十五歳以上のものに限る。以下この項において同じ。)に対し親権を行う者及び養子の後見人についても、同様とする。 (調書の作成) 第二百五十三条 裁判所書記官は、家事調停の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第二百五十四条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事調停事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は家事調停事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、家事調停事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者又は利害関係を疎明した第三者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合(第六項に規定する場合を除く。)において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 4 次に掲げる書面については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ずに、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 一 審判書その他の裁判書の正本、謄本又は抄本 二 調停において成立した合意を記載し、又は調停をしないものとして、若しくは調停が成立しないものとして事件が終了した旨を記載した調書の正本、謄本又は抄本 三 家事調停事件に関する事項の証明書 5 家事調停事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、家事調停事件の記録の保存又は裁判所若しくは調停委員会の執務に支障があるときは、することができない。 6 第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件において、当事者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合については、第四十七条第三項、第四項及び第八項から第十項までの規定を準用する。 第二節 家事調停の申立て等 (家事調停の申立て) 第二百五十五条 家事調停の申立ては、申立書(次項及び次条において「家事調停の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事調停の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 家事調停の申立てを不適法として却下する審判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条(第一項ただし書を除く。)の規定は、家事調停の申立てについて準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百五十五条第二項」と読み替えるものとする。 (家事調停の申立書の写しの送付等) 第二百五十六条 家事調停の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は家事調停の手続の期日を経ないで第二百七十一条の規定により家事調停事件を終了させるときを除き、家事調停の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事調停の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事調停の申立てがあったことを通知することをもって、家事調停の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について、第六十七条第三項及び第四項の規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納について準用する。 (調停前置主義) 第二百五十七条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。 2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。 ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。 3 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 第三節 家事調停の手続 (家事審判の手続の規定の準用等) 第二百五十八条 第四十一条から第四十三条までの規定は家事調停の手続における参加及び排除について、第四十四条の規定は家事調停の手続における受継について、第五十一条から第五十五条までの規定は家事調停の手続の期日について、第五十六条から第六十二条まで及び第六十四条の規定は家事調停の手続における事実の調査及び証拠調べについて、第六十五条の規定は家事調停の手続における子の意思の把握等について、第七十三条、第七十四条、第七十六条(第一項ただし書を除く。)、第七十七条及び第七十九条の規定は家事調停に関する審判について、第八十一条の規定は家事調停に関する審判以外の裁判について準用する。 2 前項において準用する第六十一条第一項の規定により家事調停の手続における事実の調査の嘱託を受けた裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることができる。 ただし、嘱託を受けた家庭裁判所が家庭裁判所調査官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 3 第百五十二条の二の規定は夫婦間の協力扶助に関する処分の調停事件、婚姻費用の分担に関する処分の調停事件(別表第二の二の項の事項についての調停事件をいう。)、子の監護に関する処分の調停事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の調停事件に限る。)、財産の分与に関する処分の調停事件(同表の四の項の事項についての調停事件をいう。)及び離婚についての調停事件について、第百五十二条の三の規定は子の監護に関する処分の調停事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の調停事件を除く。)及び離婚についての調停事件について、第百八十四条の二の規定は扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの調停事件(同表の十の項の事項についての調停事件をいう。)について、それぞれ準用する。 (調停委員会が行う家事調停の手続の指揮) 第二百五十九条 調停委員会が行う家事調停の手続は、調停委員会を組織する裁判官が指揮する。 (調停委員会等の権限) 第二百六十条 調停委員会が家事調停を行う場合には、次に掲げる事項に関する裁判所の権限は、調停委員会が行う。 一 第二十二条の規定による手続代理人の許可等 二 第二十七条において準用する民事訴訟法第六十条第一項及び第二項の規定による補佐人の許可等 三 第三十三条ただし書の規定による傍聴の許可 四 第三十五条の規定による手続の併合等 五 第二百五十五条第四項において準用する第五十条第三項及び第四項の規定による申立ての変更 六 第二百五十八条第一項において準用する第四十一条第一項及び第二項並びに第四十二条第一項から第三項まで及び第五項の規定による参加、第四十三条第一項の規定による排除、第四十四条第一項及び第三項の規定による受継、第五十一条第一項の規定による事件の関係人の呼出し、第五十四条第一項の規定による音声の送受信による通話の方法による手続並びに第五十六条第一項、第五十九条第一項から第三項まで(これらの規定を第六十条第二項において準用する場合を含む。)、第六十一条第一項、第六十二条並びに第六十四条第五項の規定並びに同条第一項において準用する民事訴訟法の規定による事実の調査及び証拠調べ(過料及び勾引に関する事項を除く。) 2 調停委員会が家事調停を行う場合には、第二十三条第一項及び第二項の規定による手続代理人の選任等、第三十四条第一項の規定による期日の指定並びに第二百五十三条ただし書の規定による調書の作成に関する裁判長の権限は、当該調停委員会を組織する裁判官が行う。 (調停委員会を組織する裁判官による事実の調査及び証拠調べ等) 第二百六十一条 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 2 前項の場合には、裁判官は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせ、又は医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 3 第五十八条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による事実の調査及び心身の状況についての診断について準用する。 4 第一項の場合には、裁判官は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 5 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、家庭裁判所調査官に第五十九条第四項の規定による措置をとらせることができる。 (家事調停委員による事実の調査) 第二百六十二条 調停委員会は、相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 (意見の聴取の嘱託) 第二百六十三条 調停委員会は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事件の関係人から紛争の解決に関する意見を聴取することを嘱託することができる。 2 前項の規定により意見の聴取の嘱託を受けた家庭裁判所は、相当と認めるときは、家事調停委員に当該嘱託に係る意見を聴取させることができる。 (家事調停委員の専門的意見の聴取) 第二百六十四条 調停委員会は、必要があると認めるときは、当該調停委員会を組織していない家事調停委員の専門的な知識経験に基づく意見を聴取することができる。 2 前項の規定により意見を聴取する家事調停委員は、家庭裁判所が指定する。 3 前項の規定による指定を受けた家事調停委員は、調停委員会に出席して意見を述べるものとする。 (調停の場所) 第二百六十五条 調停委員会は、事件の実情を考慮して、裁判所外の適当な場所で調停を行うことができる。 (調停前の処分) 第二百六十六条 調停委員会は、家事調停事件が係属している間、調停のために必要であると認める処分を命ずることができる。 2 急迫の事情があるときは、調停委員会を組織する裁判官が前項の処分(以下「調停前の処分」という。)を命ずることができる。 3 調停前の処分は、執行力を有しない。 4 調停前の処分として必要な事項を命じられた当事者又は利害関係参加人が正当な理由なくこれに従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (裁判官のみで行う家事調停の手続) 第二百六十七条 裁判官のみで家事調停の手続を行う場合においては、家庭裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 2 第二百六十三条から前条までの規定は、裁判官のみで家事調停の手続を行う場合について準用する。 第四節 調停の成立 (調停の成立及び効力) 第二百六十八条 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては、確定した第三十九条の規定による審判)と同一の効力を有する。 2 家事調停事件の一部について当事者間に合意が成立したときは、その一部について調停を成立させることができる。 手続の併合を命じた数個の家事調停事件中その一について合意が成立したときも、同様とする。 3 離婚又は離縁についての調停事件においては、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項に規定する方法によっては、調停を成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 4 第一項及び第二項の規定は、第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件については、適用しない。 (調停調書の更正決定) 第二百六十九条 調停調書に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (調停条項案の書面による受諾) 第二百七十条 当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ調停委員会(裁判官のみで家事調停の手続を行う場合にあっては、その裁判官。次条及び第二百七十二条第一項において同じ。)から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が家事調停の手続の期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。 2 前項の規定は、離婚又は離縁についての調停事件については、適用しない。 第五節 調停の成立によらない事件の終了 (調停をしない場合の事件の終了) 第二百七十一条 調停委員会は、事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは、調停をしないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 (調停の不成立の場合の事件の終了) 第二百七十二条 調停委員会は、当事者間に合意(第二百七十七条第一項第一号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 ただし、家庭裁判所が第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。 2 前項の規定により家事調停事件が終了したときは、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 3 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 4 第一項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 (家事調停の申立ての取下げ) 第二百七十三条 家事調停の申立ては、家事調停事件が終了するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の調停の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 第一項の規定にかかわらず、親権者の指定の調停の申立ては、家事調停事件が終了する前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 4 第八十二条第三項及び第四項並びに民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、家事調停の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、第八十二条第三項中「前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項」とあるのは「第二百七十三条第二項」と、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「家事調停の手続の期日」と、「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と読み替えるものとする。 第六節 付調停等 (付調停) 第二百七十四条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟又は家事審判事件が係属している場合には、裁判所は、当事者(本案について被告又は相手方の陳述がされる前にあっては、原告又は申立人に限る。)の意見を聴いて、いつでも、職権で、事件を家事調停に付することができる。 2 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 3 家庭裁判所及び高等裁判所は、第一項の規定により事件を調停に付する場合には、前項の規定にかかわらず、その家事調停事件を自ら処理することができる。 4 前項の規定により家庭裁判所又は高等裁判所が調停委員会で調停を行うときは、調停委員会は、当該裁判所がその裁判官の中から指定する裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 5 第三項の規定により高等裁判所が自ら調停を行う場合についてのこの編の規定の適用については、第二百四十四条、第二百四十七条、第二百四十八条第二項、第二百五十四条第一項から第四項まで、第二百六十四条第二項、第二百六十六条第四項、第二百六十八条第三項ただし書、第二百六十九条第一項並びに第二百七十二条第一項ただし書及び第二項並びに次章及び第三章の規定中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第二百四十四条、第二百五十八条第一項、第二百七十六条、第二百七十七条第一項第一号、第二百七十九条第三項及び第二百八十四条第一項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第二百六十七条第一項中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、次章の規定中「合意に相当する審判」とあるのは「合意に相当する審判に代わる裁判」と、第二百七十二条第一項ただし書及び第三章の規定(第二百八十六条第七項の規定を除く。)中「調停に代わる審判」とあるのは「調停に代わる審判に代わる裁判」と、第二百八十一条及び第二百八十七条中「却下する審判」とあるのは「却下する審判に代わる裁判」とする。 (訴訟手続及び家事審判の手続の中止) 第二百七十五条 家事調停の申立てがあった事件について訴訟が係属しているとき、又は訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項若しくは前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、訴訟が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで訴訟手続を中止することができる。 2 家事調停の申立てがあった事件について家事審判事件が係属しているとき、又は家事審判事件が係属している裁判所が前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、家事審判事件が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで、家事審判の手続を中止することができる。 (訴えの取下げの擬制等) 第二百七十六条 訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は次条第一項若しくは第二百八十四条第一項の規定による審判が確定したときは、当該訴訟について訴えの取下げがあったものとみなす。 2 家事審判事件が係属している裁判所が第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は第二百八十四条第一項の審判が確定したときは、当該家事審判事件は、終了する。 第二章 合意に相当する審判 (合意に相当する審判の対象及び要件) 第二百七十七条 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第一号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。 ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。 一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。 二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。 2 前項第一号の合意は、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項及び第二百七十条第一項に規定する方法によっては、成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 3 第一項の家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、合意に相当する審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 4 第二百七十二条第一項から第三項までの規定は、家庭裁判所が第一項第一号の規定による合意を正当と認めない場合について準用する。 (申立ての取下げの制限) 第二百七十八条 家事調停の申立ての取下げは、合意に相当する審判がされた後は、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (異議の申立て) 第二百七十九条 当事者及び利害関係人は、合意に相当する審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 ただし、当事者にあっては、第二百七十七条第一項各号に掲げる要件に該当しないことを理由とする場合に限る。 2 前項の規定による異議の申立ては、二週間の不変期間内にしなければならない。 3 前項の期間は、異議の申立てをすることができる者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては当事者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 4 第一項の規定による異議の申立てをする権利は、放棄することができる。 (異議の申立てに対する審判等) 第二百八十条 家庭裁判所は、当事者がした前条第一項の規定による異議の申立てが不適法であるとき、又は異議の申立てに理由がないと認めるときは、これを却下しなければならない。 利害関係人がした同項の規定による異議の申立てが不適法であるときも、同様とする。 2 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 家庭裁判所は、当事者から適法な異議の申立てがあった場合において、異議の申立てを理由があると認めるときは、合意に相当する審判を取り消さなければならない。 4 利害関係人から適法な異議の申立てがあったときは、合意に相当する審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 5 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (合意に相当する審判の効力) 第二百八十一条 第二百七十九条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、合意に相当する審判は、確定判決と同一の効力を有する。 (婚姻の取消しについての合意に相当する審判の特則) 第二百八十二条 婚姻の取消しについての家事調停の手続において、婚姻の取消しについての合意に相当する審判をするときは、この合意に相当する審判において、当事者間の合意に基づき、子の親権者を指定しなければならない。 2 前項の合意に相当する審判は、子の親権者の指定につき当事者間で合意が成立しないとき、又は成立した合意が相当でないと認めるときは、することができない。 (申立人の死亡により事件が終了した場合の特則) 第二百八十三条 父が嫡出否認についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他父の三親等内の血族が父の死亡の日から一年以内に嫡出否認の訴えを提起したときは、父がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (嫡出否認の審判の通知) 第二百八十三条の二 家庭裁判所は、民法第七百七十二条第三項の規定により父が定められる子の嫡出否認についての合意に相当する審判が確定したときは、同法第七百七十四条第四項に規定する前夫(事件の記録上その氏名及び住所又は居所が判明しているものに限る。)に対し、当該合意に相当する審判の内容を通知するものとする。 (認知の無効についての調停の申立ての特則) 第二百八十三条の三 認知をした者が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他認知をした者の三親等内の血族が認知をした者の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、認知をした者がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 2 子が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、子の直系卑属又はその法定代理人が子の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、子がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 第三章 調停に代わる審判 (調停に代わる審判の対象及び要件) 第二百八十四条 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。 ただし、第二百七十七条第一項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。 2 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (調停に代わる審判の特則) 第二百八十五条 家事調停の申立ての取下げは、第二百七十三条第一項の規定にかかわらず、調停に代わる審判がされた後は、することができない。 2 調停に代わる審判の告知は、公示送達の方法によっては、することができない。 3 調停に代わる審判を告知することができないときは、家庭裁判所は、これを取り消さなければならない。 (異議の申立て等) 第二百八十六条 当事者は、調停に代わる審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 2 第二百七十九条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による異議の申立てについて準用する。 3 家庭裁判所は、第一項の規定による異議の申立てが不適法であるときは、これを却下しなければならない。 4 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 5 適法な異議の申立てがあったときは、調停に代わる審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 6 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 7 第五項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判が効力を失った場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 8 当事者が、申立てに係る家事調停(離婚又は離縁についての家事調停を除く。)の手続において、調停に代わる審判に服する旨の共同の申出をしたときは、第一項の規定は、適用しない。 9 前項の共同の申出は、書面でしなければならない。 10 当事者は、調停に代わる審判の告知前に限り、第八項の共同の申出を撤回することができる。 この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。 (調停に代わる審判の効力) 第二百八十七条 前条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判は確定した第三十九条の規定による審判と同一の効力を、その余の調停に代わる審判は確定判決と同一の効力を有する。 第四章 不服申立て等 第二百八十八条 家事調停の手続においてされた裁判に対する不服申立て及び再審については、特別の定めのある場合を除き、それぞれ前編第一章第二節及び第三節の規定を準用する。 第四編 履行の確保 (義務の履行状況の調査及び履行の勧告) 第二百八十九条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所(第九十一条第一項(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により抗告裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては第一審裁判所である家庭裁判所、第百五条第二項の規定により高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては本案の家事審判事件の第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、その審判(抗告裁判所又は高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては、その裁判。次条第一項において同じ。)で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。 3 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項から第六項までにおいてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 6 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧等又はその複製の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 7 前各項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務(高等裁判所において定められたものを含む。次条第三項において同じ。)の履行及び調停前の処分として命じられた事項の履行について準用する。 (義務履行の命令) 第二百九十条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、その審判で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠った者がある場合において、相当と認めるときは、権利者の申立てにより、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をすべきことを命ずる審判をすることができる。 この場合において、その命令は、その命令をする時までに義務者が履行を怠った義務の全部又は一部についてするものとする。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定により義務の履行を命ずるには、義務者の陳述を聴かなければならない。 3 前二項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務の履行について準用する。 4 前三項に規定するもののほか、第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定による義務の履行を命ずる審判の手続については、第二編第一章に定めるところによる。 5 第一項(第三項において準用する場合を含む。)の規定により義務の履行を命じられた者が正当な理由なくその命令に従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 第五編 罰則 (過料の裁判の執行等) 第二百九十一条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。 (人の秘密を漏らす罪) 第二百九十二条 参与員、家事調停委員又はこれらの職にあった者が正当な理由なくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。 (評議の秘密を漏らす罪) 第二百九十三条 家事調停委員又は家事調停委員であった者が正当な理由なく評議の経過又は裁判官、家事調停官若しくは家事調停委員の意見若しくはその多少の数を漏らしたときは、三十万円以下の罰金に処する。 参与員又は参与員であった者が正当な理由なく裁判官又は参与員の意見を漏らしたときも、同様とする。
民事
Heisei
Act
423AC0000000052_20280613_505AC0000000053.xml
平成二十三年法律第五十二号
46
家事事件手続法 第一編 総則 第一章 通則 (趣旨) 第一条 家事審判及び家事調停に関する事件(以下「家事事件」という。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第二条 裁判所は、家事事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に家事事件の手続を追行しなければならない。 (最高裁判所規則) 第三条 この法律に定めるもののほか、家事事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第一章の二 日本の裁判所の管轄権 (不在者の財産の管理に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の二 裁判所は、不在者の財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の五十五の項の事項についての審判事件をいう。第百四十五条において同じ。)について、不在者の財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (失踪の宣告の取消しの審判事件の管轄権) 第三条の三 裁判所は、失踪の宣告の取消しの審判事件(別表第一の五十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十九条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 日本において失踪の宣告の審判があったとき。 二 失踪者の住所が日本国内にあるとき又は失踪者が日本の国籍を有するとき。 三 失踪者が生存していたと認められる最後の時点において、失踪者が日本国内に住所を有していたとき又は日本の国籍を有していたとき。 (嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件の管轄権) 第三条の四 裁判所は、嫡出否認の訴えについて日本の裁判所が管轄権を有するときは、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件(別表第一の五十九の項の事項についての審判事件をいう。第百五十九条第一項及び第二項において同じ。)について、管轄権を有する。 (養子縁組をするについての許可の審判事件等の管轄権) 第三条の五 裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判事件(別表第一の六十一の項の事項についての審判事件をいう。第百六十一条第一項及び第二項において同じ。)、養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判事件(同表の六十一の二の項の事項についての審判事件をいう。第百六十一条の二において同じ。)及び特別養子縁組の成立の審判事件(同表の六十三の項の事項についての審判事件をいう。第百六十四条において同じ。)(特別養子適格の確認の審判事件(同条第二項に規定する特別養子適格の確認についての審判事件をいう。第百六十四条の二第二項及び第四項において同じ。)を含む。)について、養親となるべき者又は養子となるべき者の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (死後離縁をするについての許可の審判事件の管轄権) 第三条の六 裁判所は、死後離縁をするについての許可の審判事件(別表第一の六十二の項の事項についての審判事件をいう。第百六十二条第一項及び第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親又は養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養親又は養子がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。 三 養親又は養子の一方が日本の国籍を有する場合であって、他の一方がその死亡の時に日本の国籍を有していたとき。 (特別養子縁組の離縁の審判事件の管轄権) 第三条の七 裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判事件(別表第一の六十四の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 養親の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 養子の実父母又は検察官からの申立てであって、養子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 養親及び養子が日本の国籍を有するとき。 四 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親及び養子が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 五 日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親が行方不明であるとき、養親の住所がある国においてされた離縁に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが養親と養子との間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (親権に関する審判事件等の管轄権) 第三条の八 裁判所は、親権に関する審判事件(別表第一の六十五の項から六十九の項まで及び別表第二の七の項から八の二の項までの事項についての審判事件をいう。第百六十七条において同じ。)、子の監護に関する処分の審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)及び親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件(別表第一の百三十二の項の事項についての審判事件をいう。第二百四十二条第一項第二号及び第三項において同じ。)について、子の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件等の管轄権) 第三条の九 裁判所は、養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件(別表第一の七十の項の事項についての審判事件をいう。第百七十六条及び第百七十七条第一号において同じ。)又は未成年後見人の選任の審判事件(同表の七十一の項の事項についての審判事件をいう。同条第二号において同じ。)について、未成年被後見人となるべき者若しくは未成年被後見人(以下この条において「未成年被後見人となるべき者等」という。)の住所若しくは居所が日本国内にあるとき又は未成年被後見人となるべき者等が日本の国籍を有するときは、管轄権を有する。 (夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件の管轄権) 第三条の十 裁判所は、夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件(別表第一の八十四の項及び八十五の項並びに別表第二の一の項から三の項まで、九の項及び十の項の事項についての審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件にあっては、子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。)をいう。)について、扶養義務者(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件にあっては、扶養義務者となるべき者)であって申立人でないもの又は扶養権利者(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件にあっては、子の監護者又は子)の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 (相続に関する審判事件の管轄権) 第三条の十一 裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで及び百三十三の項並びに別表第二の十一の項から十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。 2 相続開始の前に推定相続人の廃除の審判事件(別表第一の八十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)、推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件(同表の八十七の項の事項についての審判事件をいう。第百八十八条第一項及び第百八十九条第一項において同じ。)、遺言の確認の審判事件(同表の百二の項の事項についての審判事件をいう。第二百九条第二項において同じ。)又は遺留分の放棄についての許可の審判事件(同表の百十の項の事項についての審判事件をいう。第二百十六条第一項第二号において同じ。)の申立てがあった場合における前項の規定の適用については、同項中「相続開始の時における被相続人」とあるのは「被相続人」と、「相続開始の前」とあるのは「申立て前」とする。 3 裁判所は、第一項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第百八十九条第一項及び第二項において同じ。)、相続財産の保存に関する処分の審判事件(同表の八十九の項の事項についての審判事件をいう。第百九十条の二において同じ。)、限定承認を受理した場合における相続財産の清算人の選任の審判事件(同表の九十四の項の事項についての審判事件をいう。)、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十七の項の事項についての審判事件をいう。第二百二条第一項第二号及び第三項において同じ。)及び相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。 4 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に遺産の分割に関する審判事件(別表第二の十二の項から十四の項までの事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第百九十一条第一項において同じ。)及び特別の寄与に関する処分の審判事件(同表の十五の項の事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第二百十六条の二において同じ。)の申立てをすることができるかについて定めることができる。 5 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三条の七第二項から第四項までの規定は、前項の合意について準用する。 (財産の分与に関する処分の審判事件の管轄権) 第三条の十二 裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件(別表第二の四の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第五号及び第百五十二条の二第二項において同じ。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 二 夫であった者及び妻であった者の双方が日本の国籍を有するとき。 三 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、夫であった者及び妻であった者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。 四 日本国内に住所がある夫又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた財産の分与に関する処分に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。 (家事調停事件の管轄権) 第三条の十三 裁判所は、家事調停事件について、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。 一 当該調停を求める事項についての訴訟事件又は家事審判事件について日本の裁判所が管轄権を有するとき。 二 相手方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。 三 当事者が日本の裁判所に家事調停の申立てをすることができる旨の合意をしたとき。 2 民事訴訟法第三条の七第二項及び第三項の規定は、前項第三号の合意について準用する。 3 人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての調停事件については、第一項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。 (特別の事情による申立ての却下) 第三条の十四 裁判所は、第三条の二から前条までに規定する事件について日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(遺産の分割に関する審判事件又は特別の寄与に関する処分の審判事件について、日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の合意に基づき申立てがされた場合を除く。)においても、事案の性質、申立人以外の事件の関係人の負担の程度、証拠の所在地、未成年者である子の利益その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが適正かつ迅速な審理の実現を妨げ、又は相手方がある事件について申立人と相手方との間の衡平を害することとなる特別の事情があると認めるときは、その申立ての全部又は一部を却下することができる。 (管轄権の標準時) 第三条の十五 日本の裁判所の管轄権は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 第二章 管轄 (管轄が住所地により定まる場合の管轄権を有する家庭裁判所) 第四条 家事事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (優先管轄) 第五条 この法律の他の規定により二以上の家庭裁判所が管轄権を有するときは、家事事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した家庭裁判所が管轄する。 (管轄裁判所の指定) 第六条 管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。 3 前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (管轄権を有する家庭裁判所の特例) 第七条 この法律の他の規定により家事事件の管轄が定まらないときは、その家事事件は、審判又は調停を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管轄の標準時) 第八条 裁判所の管轄は、家事審判若しくは家事調停の申立てがあった時又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。 (移送等) 第九条 裁判所は、家事事件の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。 ただし、家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。 2 家庭裁判所は、家事事件がその管轄に属する場合においても、次の各号に掲げる事由があるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を当該各号に定める家庭裁判所に移送することができる。 一 家事事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるとき 第五条の規定により管轄権を有しないこととされた家庭裁判所 二 事件を処理するために特に必要があると認めるとき 前号の家庭裁判所以外の家庭裁判所 3 前二項の規定による移送の裁判及び第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 民事訴訟法第二十二条の規定は、家事事件の移送の裁判について準用する。 第三章 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第十条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者(審判(申立てを却下する審判を除く。)がされた場合において、その審判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。 二 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又はその他の審判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくはその他の審判を受ける者となるべき者の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第十一条 裁判官について裁判又は調停の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第十二条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、受託裁判官として職務を行う簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。 2 家庭裁判所及び地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで家事事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 家事事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官、調停委員会を組織する裁判官又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第十三条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (参与員の除斥及び忌避) 第十四条 参与員の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 参与員について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その参与員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 ただし、第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 参与員の除斥又は忌避についての裁判は、参与員の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官(受命裁判官の手続に立ち会う参与員が忌避の申立てを受けたときに限る。)又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官がすることができる。 (家事調停官の除斥及び忌避) 第十五条 家事調停官の除斥及び忌避については、第十条、第十一条並びに第十二条第二項から第四項まで、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、前項において準用する同条第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。 3 家事調停官の除斥又は忌避についての裁判は、家事調停官の所属する家庭裁判所がする。 ただし、前項の裁判は、忌避された家事調停官がすることができる。 (家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥) 第十六条 家庭裁判所調査官及び家事調停委員の除斥については、第十条並びに第十二条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。 2 家庭裁判所調査官又は家事調停委員について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官又は家事調停委員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない。 3 家庭裁判所調査官又は家事調停委員の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官又は家事調停委員の所属する裁判所がする。 第四章 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第十七条 当事者能力、家事事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十一条、第三十三条並びに第三十四条第一項及び第二項の規定を準用する。 2 被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした家事審判又は家事調停の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。 職権により手続が開始された場合についても、同様とする。 3 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について同意その他の授権を得ている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項若しくは第二項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告若しくは第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立ての取下げ又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議の取下げ (未成年者及び成年被後見人の法定代理人) 第十八条 親権を行う者又は後見人は、第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により未成年者又は成年被後見人が法定代理人によらずに自ら手続行為をすることができる場合であっても、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。 ただし、家事審判及び家事調停の申立ては、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定により親権を行う者又は後見人が申立てをすることができる場合(人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の申立てにあっては、同法その他の法令の規定によりその訴えを提起することができる場合を含む。)に限る。 (特別代理人) 第十九条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、家事事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法定代理権の消滅の通知) 第二十条 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、法定代理権の消滅は、本人又は代理人から他方の当事者に通知しなければ、その効力を生じない。 家事調停事件においても、同様とする。 (法人の代表者等への準用) 第二十一条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第五章 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第二十二条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (裁判長による手続代理人の選任等) 第二十三条 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。 2 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。 3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し手続行為につき行為能力の制限を受けた者が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。 (手続代理人の代理権の範囲) 第二十四条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について委任を受けている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。 一 家事審判又は家事調停の申立ての取下げ 二 第二百六十八条第一項若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項若しくは第二項に規定する調停条項案の受諾又は第二百八十六条第八項の共同の申出 三 審判に対する即時抗告、第九十四条第一項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告、第九十七条第二項(第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立て又は第二百七十九条第一項若しくは第二百八十六条第一項の異議 四 前号の抗告(即時抗告を含む。)、申立て又は異議の取下げ 五 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (手続代理人の代理権の消滅の通知) 第二十五条 手続代理人の代理権の消滅は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についてのものに限る。)及び家事調停事件においては本人又は代理人から他方の当事者に、その他の家事事件においては本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。 (手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用) 第二十六条 民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第二十七条 家事事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六章 手続費用 第一節 手続費用の負担 (手続費用の負担) 第二十八条 手続費用(家事審判に関する手続の費用(以下「審判費用」という。)及び家事調停に関する手続の費用(以下「調停費用」という。)をいう。以下同じ。)は、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び利害関係参加人(第四十二条第七項に規定する利害関係参加人をいう。第一号において同じ。)がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。 一 当事者又は利害関係参加人 二 前号に掲げる者以外の審判を受ける者となるべき者 三 前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの 3 前二項の規定によれば検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。 (手続費用の負担の裁判等) 第二十九条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における審判費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。 ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。 2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。 事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。 3 調停が成立した場合において、調停費用(審判手続を経ている場合にあっては、審判費用を含む。)の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 4 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟が係属する裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、その訴訟についての訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 (手続費用の立替え) 第三十条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の家事事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第三十一条 民事訴訟法第六十九条から第七十四条までの規定(同法第七十一条第八項(同法第七十二条後段及び第七十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十二条中「当事者が裁判所において和解をした場合」とあるのは「調停が成立した場合」と、「和解の費用又は訴訟費用」とあるのは「家事事件手続法第二十九条第三項の調停費用又は同条第四項の訴訟費用」と、同法第七十三条第一項中「裁判及び和解」とあるのは「裁判及び調停の成立」と、「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「家事事件手続法第四十一条第一項若しくは第四十二条第一項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「家事事件手続法第三十一条第一項において準用する」と、「第八項まで」とあるのは「第七項まで」と、「訴訟が」とあるのは「家事事件が」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第五項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 第二節 手続上の救助 第三十二条 家事事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で家事審判又は家事調停の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「家事事件手続法第三十二条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七章 家事事件の審理等 (手続の非公開) 第三十三条 家事事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (期日及び期間) 第三十四条 家事事件の手続の期日の指定及び変更は、職権で、裁判長が行う。 2 家事事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 家事事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、家事事件の手続の期日及び期間について準用する。 (電子調書のファイルへの記録等) 第三十四条の二 裁判所書記官は、家事事件の手続について、電子調書(期日又は期日外における手続の方式、内容及び経過等の記録及び公証をするためにこの法律その他の法令の規定により裁判所書記官が作成する電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)を作成したときは、最高裁判所規則で定めるところにより、これを裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)に備えられたファイル(第四十七条の二第二項及び第三項、第四十七条の三第一項、第二百五十四条の二第二項及び第三項、第二百五十四条の三第一項、第二百八十九条の三第二項及び第三項並びに第二百八十九条の四第一項を除き、以下単に「ファイル」という。)に記録しなければならない。 (電子調書の更正) 第三十四条の三 前条の規定によりファイルに記録された電子調書の内容に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでも更正することができる。 2 前項の規定による更正の処分は、最高裁判所規則で定めるところにより、その旨をファイルに記録してしなければならない。 3 第一項の規定による更正の処分又は同項の申立てを却下する処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。 4 第一項の規定による更正の処分又は同項の申立てを却下する処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。 (手続の併合等) 第三十五条 裁判所は、家事事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする家事事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (送達及び手続の中止) 第三十六条 送達及び家事事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百九条の四第一項中「第百三十二条の十一第一項各号」とあるのは「家事事件手続法第三十八条第一項において読み替えて準用する第百三十二条の十一第一項各号」と、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは「裁判又は調停を求める事項」と読み替えるものとする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第三十七条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第八章 電子情報処理組織による申立て等 第三十八条 家事事件の手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十、第百三十二条の十一及び第百三十二条の十二(第一項第一号に係る部分を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百三十二条の十第五項及び第六項並びに第百三十二条の十二第二項及び第三項中「送達」とあるのは「送達又は送付」と、同法第百三十二条の十一第一項第一号中「第五十四条第一項ただし書」とあるのは「家事事件手続法第二十二条第一項ただし書」と、同項第二号中「第二条」とあるのは「第九条において準用する同法第二条」と、同法第百三十二条の十二第一項第三号中「当該申立て等に係る書面等について、当該申立て等とともに第百三十三条の二第二項の申立てがされた」とあるのは「家事事件手続法第三十八条の二において読み替えて準用する第百三十三条第一項の決定があった」と、「申立てが却下されたとき又は当該同項の申立てに係る決定」とあるのは「決定」と、「同項に規定する秘匿事項記載部分」とあるのは「秘匿事項(同項に規定する申立て等をする者又はその法定代理人の住所等又は氏名等をいう。以下この号において同じ。)又は秘匿事項を推知することができる事項」と読み替えるものとする。 2 家事事件(別表第一に掲げる事項についての審判事件(同表に掲げる事項についての第百六条第一項に規定する審判前の保全処分の事件を含む。)であって最高裁判所規則で定めるものを除く。)の手続においてこの法律その他の法令の規定に基づき裁判所に提出された書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)(申立て等が書面等により行われたときにおける当該書面等を除く。)又は電磁的記録を記録した記録媒体に記載され、又は記録されている事項のファイルへの記録については、民事訴訟法第百三十二条の十三(第一号及び第三号に係る部分を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同条第四号中「第百三十三条の三第一項の規定による」とあるのは「家事事件手続法第三十八条の二において読み替えて準用する第百三十三条第一項の」と、「当該決定に係る」とあるのは「当該」と、「及び電磁的記録を記録した」とあるのは「又は当該」と、「事項」とあるのは「秘匿事項(同項に規定する申立て等をする者又はその法定代理人の住所等又は氏名等をいう。以下この号において同じ。)又は秘匿事項を推知することができる事項」と読み替えるものとする。 第九章 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第三十八条の二 家事事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項、第五項及び第六項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。 第百三十三条第一項 当事者 当事者若しくは利害関係参加人(家事事件手続法第四十二条第七項(同法第二百五十八条第一項において準用する場合を含む。)に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の審判を受ける者となるべき者(同法第十条第一項第一号に規定する審判を受ける者となるべき者をいう。) 第百三十三条第二項 次条第二項 次条第五項 第百三十三条第三項 訴訟記録等(訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録をいう。以下この章において同じ。) 家事事件の記録 について訴訟記録等の閲覧等(訴訟記録の閲覧等、非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等又は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等をいう。以下この章 の閲覧等(家事事件の記録中家事事件手続法その他の法令の規定によりファイルに記録された事項に係る部分を除いた部分の閲覧若しくは謄写、その謄本若しくは抄本の交付若しくはその複製又は家事事件の記録中同法その他の法令の規定によりファイルに記録された事項に係る部分の閲覧若しくは複写若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくは電磁的記録の提供をいう。次条第一項及び第百三十三条の四第二項 第百三十三条の二第一項 に係る訴訟記録等の閲覧等 の閲覧等 第百三十三条の二第五項 第二項の申立て 前条第一項の決定 電磁的訴訟記録等(電磁的訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録中ファイル記録事項に係る部分をいう。以下この項及び次項において同じ。)中当該秘匿事項記載部分 電磁的家事事件記録(家事事件の記録中家事事件手続法その他の法令の規定によりファイルに記録された事項に係る部分をいう。以下この条において同じ。)中秘匿事項又は秘匿事項を推知することができる事項が記録された部分(以下この条において「秘匿事項記載部分」という。) を電磁的訴訟記録等 を電磁的家事事件記録 第百三十三条の二第六項 電磁的訴訟記録等 電磁的家事事件記録 第二項の申立てを却下する裁判が確定したとき、又は当該申立てに係る決定を取り消す裁判が確定したとき 同項の決定を取り消す裁判が確定したときその他裁判所が当該措置を講ずる必要がなくなったと認めたとき 第百三十三条の四第一項 、第百三十三条の二第二項の決定又は前条第一項の決定(次項及び第七項において「秘匿決定等」という。)に係る者以外の者は、訴訟記録等 (家事事件手続法第二百七十七条第一項に規定する事項以外の事項についての家事調停の手続に係るもの並びに同法第二百八十九条第一項(同法第二百八十九条の五において準用する場合を含む。)の規定による調査及び勧告の事件の手続に係るものを除く。次項、第四項第一号及び第七項において同じ。)に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、当該秘匿決定に係る事件の記録 第百三十三条の四第二項 秘匿決定等に係る者以外の当事者は、秘匿決定等 秘匿決定に係る者以外の当事者又は利害関係参加人は、秘匿決定 訴訟記録等の存する 前項の事件の記録の存する 訴訟記録等の閲覧等 閲覧等 第百三十三条の四第四項第一号 秘匿決定又は第百三十三条の二第二項の決定 秘匿決定 第百三十三条の四第七項 当事者 当事者若しくは利害関係参加人 秘匿決定等 秘匿決定 第二編 家事審判に関する手続 第一章 総則 第一節 家事審判の手続 第一款 通則 (審判事項) 第三十九条 家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第一及び別表第二に掲げる事項並びに同編に定める事項について、審判をする。 (参与員) 第四十条 家庭裁判所は、参与員の意見を聴いて、審判をする。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、その意見を聴かないで、審判をすることができる。 2 家庭裁判所は、参与員を家事審判の手続の期日に立ち会わせることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が参与員との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、参与員に家事審判の手続の期日に立ち会わせ、当該期日における行為を行わせることができる。 4 参与員は、家庭裁判所の許可を得て、第一項の意見を述べるために、申立人が提出した資料の内容について、申立人から説明を聴くことができる。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、この限りでない。 5 参与員の員数は、各事件について一人以上とする。 6 参与員は、毎年あらかじめ家庭裁判所の選任した者の中から、事件ごとに家庭裁判所が指定する。 7 前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の規定による選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 8 参与員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (当事者参加) 第四十一条 当事者となる資格を有する者は、当事者として家事審判の手続に参加することができる。 2 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者(審判を受ける者となるべき者に限る。)を、当事者として家事審判の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (利害関係参加) 第四十二条 審判を受ける者となるべき者は、家事審判の手続に参加することができる。 2 審判を受ける者となるべき者以外の者であって、審判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは、家庭裁判所の許可を得て、家事審判の手続に参加することができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、職権で、審判を受ける者となるべき者及び前項に規定する者を、家事審判の手続に参加させることができる。 4 前条第三項の規定は、第一項の規定による参加の申出及び第二項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。 5 家庭裁判所は、第一項又は第二項の規定により家事審判の手続に参加しようとする者が未成年者である場合において、その者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者が当該家事審判の手続に参加することがその者の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出又は第二項の規定による参加の許可の申立てを却下しなければならない。 6 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判(前項の規定により第一項の規定による参加の申出を却下する裁判を含む。)に対しては、即時抗告をすることができる。 7 第一項から第三項までの規定により家事審判の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(家事審判の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。 (手続からの排除) 第四十三条 家庭裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を家事審判の手続から排除することができる。 2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第四十四条 当事者が死亡、資格の喪失その他の事由によって家事審判の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、家庭裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に家事審判の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者による受継) 第四十五条 家事審判の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該家事審判の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 家庭裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、職権で、当該家事審判の申立てをすることができる者に、その手続を受け継がせることができる。 3 第一項の規定による受継の申立て及び前項の規定による受継の裁判は、第一項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。 (電子調書の作成等) 第四十六条 裁判所書記官は、家事審判の手続の期日について、最高裁判所規則で定めるところにより、電子調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領をファイルに記録することをもって、これに代えることができる。 (非電磁的家事審判事件記録の閲覧等) 第四十七条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、非電磁的家事審判事件記録(家事審判事件の記録中次条第一項に規定する電磁的家事審判事件記録を除いた部分をいう。以下この条において同じ。)の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、非電磁的家事審判事件記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。以下「録音テープ等」という。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、これを許可しなければならない。 4 家庭裁判所は、事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、前項の規定にかかわらず、同項の申立てを許可しないことができる。 事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てを許可することを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。 5 家庭裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 6 当事者は、非電磁的家事審判事件記録中当該当事者が提出した書面等又は録音テープ等については、第一項及び第二項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製を請求することができる。 次条第四項第二号又は第三号に掲げる事項について第三十八条の二において読み替えて準用する民事訴訟法第百三十三条の二第五項の規定によりその内容を書面に出力し、又はこれを他の記録媒体に記録する措置を講じた場合の当該書面又は当該記録媒体についても、同様とする。 7 非電磁的家事審判事件記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、非電磁的家事審判事件記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 8 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 9 前項の規定による即時抗告が家事審判の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 10 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (電磁的家事審判事件記録の閲覧等) 第四十七条の二 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的家事審判事件記録(家事審判事件の記録中この法律その他の法令の規定によりファイルに記録された事項に係る部分をいう。以下この条において同じ。)の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができる。 2 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、電磁的家事審判事件記録に記録されている事項について、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機と手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下同じ。)を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法による複写を請求することができる。 3 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的家事審判事件記録に記録されている事項の全部若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が電磁的家事審判事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを交付し、又は当該事項の全部若しくは一部を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該電磁的記録の内容が電磁的家事審判事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。 4 電磁的家事審判事件記録中次に掲げる事項に係る部分については、当事者は、前三項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、電磁的家事審判事件記録の閲覧等(第一項の規定による閲覧、第二項の規定による複写又は前項の規定による書面の交付若しくは電磁的記録の提供をいう。次項において同じ。)を請求することができる。 電磁的家事審判事件記録中第一号に掲げる事項に係る部分については、審判を受ける者が当該審判があった後に請求する場合も、同様とする。 一 第七十六条第一項に規定する電子審判書(同条第三項の規定によりファイルに記録されたものに限る。)又は電子決定書(第八十一条第一項において準用する第七十六条第二項及び第三項の規定により作成され、ファイルに記録された電磁的記録をいう。第七十七条第二項及び第八十条第二項において同じ。)に記録されている事項 二 当該当事者がこの法律その他の法令の規定により最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録した事項 三 当該当事者が提出した書面等又は記録媒体に記載され、又は記録された事項が第三十八条第一項において読み替えて準用する民事訴訟法第百三十二条の十二第一項の規定又は第三十八条第二項において読み替えて準用する同法第百三十二条の十三の規定によりファイルに記録された場合における当該事項 5 前条第三項から第五項まで及び第八項から第十項までの規定は電磁的家事審判事件記録の閲覧等の許可の申立てについて、同条第七項の規定は電磁的家事審判事件記録の閲覧及び複写の請求について、それぞれ準用する。 (家事審判事件に関する事項の証明) 第四十七条の三 当事者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、家事審判事件に関する事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを交付し、又は当該事項を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。 審判を受ける者が当該審判があった後に請求する場合も、同様とする。 2 利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、前項の規定による請求をすることができる。 3 家庭裁判所は、利害関係を疎明した第三者から前項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 (検察官に対する通知) 第四十八条 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより審判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄権を有する家庭裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。 第二款 家事審判の申立て (申立ての方式等) 第四十九条 家事審判の申立ては、申立書(以下「家事審判の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事審判の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 申立人は、二以上の事項について審判を求める場合において、これらの事項についての家事審判の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。 4 家事審判の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 7 民事訴訟法第百三十七条の二の規定は、申立人が民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い家事審判の申立ての手数料を納付しない場合について準用する。 (申立ての変更) 第五十条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は理由を変更することができる。 ただし、第七十一条(第百八十八条第四項において準用する場合を含む。)の規定により審理を終結した後は、この限りでない。 2 申立ての趣旨又は理由の変更は、家事審判の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 家庭裁判所は、申立ての趣旨又は理由の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨又は理由の変更により家事審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 第三款 家事審判の手続の期日 (事件の関係人の呼出し) 第五十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができる。 2 呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。 ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。 3 前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、五万円以下の過料に処する。 (裁判長の手続指揮権) 第五十二条 家事審判の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が家事審判の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第五十三条 家庭裁判所は、受命裁判官に家事審判の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第六十一条第三項の規定又は第六十四条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第五十四条 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 家事審判の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第五十五条 家事審判の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、家事審判事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。 第四款 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第五十六条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 当事者は、適切かつ迅速な審理及び審判の実現のため、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第五十七条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (家庭裁判所調査官による事実の調査) 第五十八条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。 4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。 5 家庭裁判所調査官は、第三項の規定による書面による報告に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、当該書面に記載すべき事項を最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録する方法又は当該書面に記載すべき事項に係る電磁的記録を記録した記録媒体を提出する方法により報告を行うことができる。 (家庭裁判所調査官の期日への立会い等) 第五十九条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、家事審判の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。 2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、家事審判の手続の期日において、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が家庭裁判所調査官との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家庭裁判所調査官に家事審判の手続の期日に立ち会わせ、当該期日において前項の意見を述べさせることができる。 4 家庭裁判所は、家事審判事件の処理に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 5 急迫の事情があるときは、裁判長が、前項の措置をとらせることができる。 (裁判所技官による診断等) 第六十条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 2 第五十八条第二項から第五項までの規定は前項の診断について、前条第一項から第三項までの規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について準用する。 (事実の調査の嘱託等) 第六十一条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (調査の嘱託等) 第六十二条 家庭裁判所は、必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (事実の調査の通知) 第六十三条 家庭裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による家事審判の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (証拠調べ) 第六十四条 家事審判の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百七条第二項、第二百八条、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第二百二十九条第四項の規定を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 3 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 一 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項(同法第二百三十一条及び第二百三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。 二 書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条(同法第二百三十一条及び第二百三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件及び同法第二百三十一条の二に規定する電磁的記録を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 4 当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 一 正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。 二 対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。 三 第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。 5 家庭裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、家事審判の手続の期日に出頭することを命ずることができる。 6 民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。 第五款 家事審判の手続における子の意思の把握等 第六十五条 家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 第六款 家事調停をすることができる事項についての家事審判の手続の特則 (合意管轄) 第六十六条 別表第二に掲げる事項についての審判事件は、この法律の他の規定により定める家庭裁判所のほか、当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 (家事審判の申立書の写しの送付等) 第六十七条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、家事審判の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事審判の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事審判の申立てがあったことを通知することをもって、家事審判の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は、前項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について準用する。 3 裁判長は、第一項の規定による家事審判の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。 4 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (陳述の聴取) 第六十八条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。 2 前項の規定による陳述の聴取は、当事者の申出があるときは、審問の期日においてしなければならない。 (審問の期日) 第六十九条 別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。 ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。 (事実の調査の通知) 第七十条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続において、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。 (審理の終結) 第七十一条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。 ただし、当事者双方が立ち会うことができる家事審判の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。 (審判日) 第七十二条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、審判をする日を定めなければならない。 第七款 審判等 (審判) 第七十三条 家庭裁判所は、家事審判事件が裁判をするのに熟したときは、審判をする。 2 家庭裁判所は、家事審判事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について審判をすることができる。 手続の併合を命じた数個の家事審判事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (審判の告知及び効力の発生等) 第七十四条 審判は、特別の定めがある場合を除き、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の審判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 審判(申立てを却下する審判を除く。)は、特別の定めがある場合を除き、審判を受ける者(審判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 ただし、即時抗告をすることができる審判は、確定しなければその効力を生じない。 3 申立てを却下する審判は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。 4 審判は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 5 審判の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (審判の執行力) 第七十五条 金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 (審判の方式及び電子審判書) 第七十六条 審判は、最高裁判所規則で定めるところにより、審判に係る電磁的記録(以下「電子審判書」という。)を作成してしなければならない。 ただし、即時抗告をすることができない審判については、最高裁判所規則で定めるところにより、主文、当事者及び法定代理人並びに裁判所を記録した電磁的記録(第三項において「電子審判書に代わる電磁的記録」という。)を作成し、又は電子調書に主文を記録することをもって、電子審判書の作成に代えることができる。 2 電子審判書には、次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 主文 二 理由の要旨 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 3 家庭裁判所は、第一項の規定により電子審判書又は電子審判書に代わる電磁的記録を作成したときは、最高裁判所規則で定めるところにより、これらをファイルに記録しなければならない。 (更正決定) 第七十七条 審判に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、最高裁判所規則で定めるところにより、電子決定書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 審判に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (審判の取消し又は変更) 第七十八条 家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、次に掲げる審判を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。 一 申立てによってのみ審判をすべき場合において申立てを却下した審判 二 即時抗告をすることができる審判 2 審判が確定した日から五年を経過したときは、家庭裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。 ただし、事情の変更によりその審判を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、第一項の規定により審判の取消し又は変更をする場合には、その審判における当事者及びその他の審判を受ける者の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の規定による取消し又は変更の審判に対しては、取消し後又は変更後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (審判に関する民事訴訟法の準用) 第七十九条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、審判について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「審判が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (外国裁判所の家事事件についての確定した裁判の効力) 第七十九条の二 外国裁判所の家事事件についての確定した裁判(これに準ずる公的機関の判断を含む。)については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第百十八条の規定を準用する。 (中間決定) 第八十条 家庭裁判所は、審判の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、最高裁判所規則で定めるところにより、電子決定書を作成してしなければならない。 (審判以外の裁判) 第八十一条 家庭裁判所は、家事審判の手続においては、審判をする場合を除き、決定で裁判をする。 この場合には、第七十三条から第七十九条まで(第七十四条第二項ただし書、第七十六条第一項及び第七十八条第三項を除く。)の規定を準用する。 2 家事審判の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 3 審判以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。 第八款 取下げによる事件の終了 (家事審判の申立ての取下げ) 第八十二条 家事審判の申立ては、特別の定めがある場合を除き、審判があるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立ては、審判が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、申立ての取下げは、審判がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。 ただし、申立ての取下げが家事審判の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。 4 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。 同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 5 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、家事審判の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「家事審判の手続の期日」と読み替えるものとする。 (家事審判の申立ての取下げの擬制) 第八十三条 家事審判の申立人(第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合にあっては、当事者双方)が、連続して二回、呼出しを受けた家事審判の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた家事審判の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、家庭裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。 第九款 高等裁判所が第一審として行う手続 第八十四条 高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合におけるこの節の規定の適用については、同節の規定(第五十八条、第五十九条第一項から第四項まで、第六十一条第一項及び第二項並びに第六十五条の規定を除く。)中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第三十九条、第四十九条第三項、第五十六条第二項、第六十五条、第七十二条、第七十三条、第七十四条第一項から第三項まで(第二項ただし書を除く。)、第七十五条、第七十七条第一項、第七十八条(第一項第二号及び第四項を除く。)、第七十九条、第八十条第一項、第八十一条第一項並びに第八十二条第一項及び第二項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第四十二条第二項中「審判の結果」とあるのは「審判に代わる裁判の結果」と、第四十七条の二第四項及び第四十七条の三第一項中「審判を」とあるのは「審判に代わる裁判を」と、「当該審判」とあるのは「当該審判に代わる裁判」と、第四十七条の二第四項第一号及び第七十六条中「電子審判書」とあるのは「電子裁判書」と、第五十八条第一項、第五十九条第一項から第四項まで、第六十一条第一項及び第六十五条中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、第五十八条第三項中「家庭裁判所に」とあるのは「高等裁判所に」と、第五十九条第三項中「家庭裁判所及び」とあるのは「高等裁判所及び」と、第七十六条第一項中「審判は、最高裁判所規則で定めるところにより、審判に係る電磁的記録(以下」とあるのは「審判に代わる裁判は、最高裁判所規則で定めるところにより、審判に代わる裁判に係る電磁的記録(以下この条において」と、同項ただし書中「即時抗告をすることができない審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができない審判に代わる裁判」と、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」とする。 2 第四十条及び第四十八条の規定は、高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合については、適用しない。 第二節 不服申立て 第一款 審判に対する不服申立て 第一目 即時抗告 (即時抗告をすることができる審判) 第八十五条 審判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 2 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第八十六条 審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 即時抗告の期間は、特別の定めがある場合を除き、即時抗告をする者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては申立人が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第八十七条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原審判の表示及びその審判に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による審判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第四十九条第四項及び第五項の規定は抗告状が第二項の規定に違反する場合について、民事訴訟法第百三十七条の二第一項から第六項までの規定は民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について、それぞれ準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第八十八条 審判に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 ただし、抗告審における手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められる場合には、即時抗告があったことを通知することをもって、抗告状の写しの送付に代えることができる。 2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 (陳述の聴取) 第八十九条 抗告裁判所は、原審における当事者及びその他の審判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原審判を取り消すことができない。 2 別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 (原裁判所による更正) 第九十条 原裁判所は、審判に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その審判を更正しなければならない。 ただし、別表第二に掲げる事項についての審判については、更正することができない。 (抗告裁判所による裁判) 第九十一条 抗告裁判所は、即時抗告について決定で裁判をする。 2 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、家事審判事件について自ら審判に代わる裁判をしなければならない。 ただし、第九十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。 (原審の管轄違いの場合の取扱い) 第九十二条 抗告裁判所は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についての審判事件を除く。)の全部又は一部が原裁判所の管轄に属しないと認める場合には、原審判を取り消さなければならない。 ただし、原審における審理の経過、事件の性質、抗告の理由等に照らして原審判を取り消さないことを相当とする特別の事情があると認めるときは、この限りでない。 2 抗告裁判所は、家事審判事件が管轄違いであることを理由として原審判を取り消すときは、その事件を管轄権を有する家庭裁判所に移送しなければならない。 (家事審判の手続の規定及び民事訴訟法の準用等) 第九十三条 審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前節第一款から第八款までの規定(第四十条、第四十一条第四項、第四十二条第六項、第四十三条第二項、第四十四条第二項、第四十七条第八項から第十項まで(第四十七条の二第五項において準用する場合を含む。)、第四十八条、第四十九条第六項、第六十六条、第六十七条第四項、第七十四条第二項ただし書、第四項及び第五項、第七十六条第一項ただし書、第七十七条第三項から第五項まで、第七十八条第四項、第八十一条第三項並びに第八十三条の規定を除く。)、第四節の規定(第百五条第二項、第百十条、第百十一条及び第百十三条の規定を除く。)及び次章の規定(家庭裁判所の管轄及び即時抗告に関する規定を除く。)を準用する。 この場合において、第七十八条第一項第二号中「即時抗告をすることができる審判」とあるのは、「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」と読み替えるものとする。 2 抗告裁判所は、第八十八条第一項の規定による抗告状の写しの送付及びこれに代わる即時抗告があったことの通知をすることを要しないときは、前項において準用する第七十一条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。 3 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百八条までの規定は、審判に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項及び第四項、第二百六十二条第一項並びに第二百六十三条」とあるのは「家事事件手続法第八十二条第五項及び第八十三条」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「家事事件手続法第二百九十一条」と読み替えるものとする。 第二目 特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第九十四条 家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (原裁判の執行停止) 第九十五条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。 ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十六条 第八十六条第二項、第八十七条から第八十九条まで、第九十一条第一項及び第九十三条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十七条第六項中「及び第五項」とあるのは「から第六項まで」と、「第百三十七条の二第一項から第六項まで」とあるのは「第百三十七条の二」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十六条第一項において読み替えて準用する同法第八十七条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第二項の規定及び同法第九十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十四条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三目 許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第九十七条 高等裁判所の家事審判事件についての決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第九十四条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 ただし、その決定が家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の高等裁判所は、同項の決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第九十四条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用) 第九十八条 第八十六条第二項、第八十七条(第四項及び第五項を除く。)、第八十八条、第八十九条、第九十一条第一項、第九十三条及び第九十五条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第八十六条第二項、第八十七条第一項、第二項第二号及び第三項、第八十八条第一項並びに第八十九条第二項中「即時抗告」とあり、第八十七条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第九十五条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第九十七条第二項の申立て」と、第八十七条第一項、第二項及び第六項、第八十八条並びに第九十三条第二項中「抗告状」とあるのは「第九十七条第二項の規定による許可の申立書」と、第九十一条第一項並びに第九十三条第一項前段、第二項及び第三項中「即時抗告」とあり、並びに第九十五条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第五項の規定及び同法第九十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「家事事件手続法第九十七条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第二款 審判以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第九十九条 審判以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第百条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、家事審判事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (即時抗告期間等) 第百一条 審判以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 (審判に対する不服申立ての規定の準用) 第百二条 前款の規定(第八十五条第一項、第八十六条第一項並びに第八十八条及び第八十九条(これらの規定を第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした審判以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 第三節 再審 (再審) 第百三条 確定した審判その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により審判その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該審判その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第百四条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第九十五条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第四節 審判前の保全処分 (審判前の保全処分) 第百五条 本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずる審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判に代わる裁判をする。 (審判前の保全処分の申立て等) 第百六条 審判前の保全処分(前条第一項の審判及び同条第二項の審判に代わる裁判をいう。以下同じ。)の申立ては、その趣旨及び保全処分を求める事由を明らかにしてしなければならない。 2 審判前の保全処分の申立人は、保全処分を求める事由を疎明しなければならない。 3 家庭裁判所(前条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、審判前の保全処分の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、職権で、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 4 審判前の保全処分の申立ては、審判前の保全処分があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。 (陳述の聴取) 第百七条 審判前の保全処分のうち仮の地位を定める仮処分を命ずるものは、審判を受ける者となるべき者の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第百八条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、第四十七条第三項(第四十七条の二第五項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、審判前の保全処分の事件について、当事者から第四十七条第一項若しくは第二項又は第四十七条の二第一項から第三項までの規定による許可の申立てがあった場合には、審判前の保全処分の事件における審判を受ける者となるべき者に対し、当該事件が係属したことを通知し、又は審判前の保全処分を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。 (審判) 第百九条 審判前の保全処分は、疎明に基づいてする。 2 審判前の保全処分については、第七十四条第二項ただし書の規定は、適用しない。 3 審判前の保全処分の執行及び効力は、民事保全法(平成元年法律第九十一号)その他の仮差押え及び仮処分の執行及び効力に関する法令の規定に従う。 この場合において、同法第四十五条中「仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、「本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属している家庭裁判所(当該家事審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」とする。 (即時抗告) 第百十条 審判前の保全処分(第百五条第二項の審判に代わる裁判を除く。次項において同じ。)の申立人は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 ただし、次に掲げる保全処分の申立てを却下する審判については、この限りでない。 一 第百二十六条第一項(第百三十四条第一項及び第百四十三条第一項において準用する場合を含む。)、第百五十八条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)及び第二百条第一項の規定による財産の管理者の選任又は財産の管理等に関する指示の保全処分 二 第百二十七条第一項(第百三十五条、第百四十四条、第百八十一条及び第二百二十五条第一項において準用する場合を含む。)、第百六十六条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)、第百七十四条第一項(第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)、第百七十五条第三項及び第二百十五条第一項の規定による職務代行者の選任の保全処分 2 本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者は、審判前の保全処分(前項各号に掲げる保全処分を命ずる審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 (即時抗告に伴う執行停止) 第百十一条 前条第二項の規定により即時抗告が提起された場合において、原審判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原審判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、若しくは担保を立てさせないで原審判の執行の停止を命じ、又は担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 審判前の保全処分の事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、これらの処分を命ずることができる。 2 第百六条第二項及び第三項の規定は、前項の申立てについて準用する。 (審判前の保全処分の取消し) 第百十二条 審判前の保全処分が確定した後に、保全処分を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所又は審判前の保全処分をした家庭裁判所は、本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く。)に対し即時抗告をすることができる者の申立てにより又は職権で、審判前の保全処分の取消しの審判をすることができる。 2 本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判前の保全処分の取消しの審判に代わる裁判をする。 3 第百六条並びに第百九条第一項及び第二項の規定は、第一項の審判前の保全処分の取消しの審判及び前項の裁判について準用する。 (即時抗告等) 第百十三条 前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判の申立人は、申立てを却下する審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの申立てを却下する審判を除く。)に対し、即時抗告をすることができる。 2 審判前の保全処分の申立人は、前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの審判を除く。)及び第百十五条において準用する民事保全法第三十三条の規定による原状回復の審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百十一条の規定は、前二項の規定による即時抗告に伴う執行停止について準用する。 (電子調書の作成) 第百十四条 裁判所書記官は、審判前の保全処分の手続の期日について、最高裁判所規則で定めるところにより、電子調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 審判前の保全処分の手続については、第四十六条の規定は、適用しない。 (民事保全法の準用) 第百十五条 民事保全法第四条の規定は審判前の保全処分に関する手続における担保について、同法第十四条、第十五条及び第二十条から第二十四条まで(同法第二十三条第四項を除く。)の規定は審判前の保全処分について、同法第三十三条の規定は審判前の保全処分の取消しの裁判について、同法第三十四条の規定は第百十二条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判について準用する。 第五節 戸籍の記載等の嘱託 第百十六条 裁判所書記官は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者又は登記所に対し、戸籍の記載又は後見登記等に関する法律(平成十一年法律第百五十二号)に定める登記を嘱託しなければならない。 ただし、戸籍の記載又は同法に定める登記の嘱託を要するものとして最高裁判所規則で定めるものに限る。 一 別表第一に掲げる事項についての審判又はこれに代わる裁判が効力を生じた場合 二 審判前の保全処分が効力を生じ、又は効力を失った場合 第二章 家事審判事件 第一節 成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百十七条 後見開始の審判事件(別表第一の一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条第一号において同じ。)は、成年被後見人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 成年後見に関する審判事件(別表第一の一の項から十六の二の項までの事項についての審判事件をいう。)は、後見開始の審判事件を除き、後見開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が後見開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、後見開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百十八条 次に掲げる審判事件(第一号、第四号及び第六号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 後見開始の審判事件 二 後見開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二の項の事項についての審判事件をいう。) 三 成年後見人の選任の審判事件(別表第一の三の項の事項についての審判事件をいう。) 四 成年後見人の解任の審判事件(別表第一の五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第一項において同じ。) 五 成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の六の項の事項についての審判事件をいう。) 六 成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の八の項の事項についての審判事件をいう。第百二十七条第五項において同じ。) 七 成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の十二の項の事項についての審判事件をいう。) 八 成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(以下「郵便物等」という。)の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判事件(別表第一の十二の二の項の事項についての審判事件をいう。第百二十三条の二において「成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件」という。) 九 成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の十四の項の事項についての審判事件をいう。) 十 第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の十五の項の事項についての審判事件をいう。第百二十五条第一項及び第二項において同じ。) (精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取) 第百十九条 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の精神の状況につき鑑定をしなければ、後見開始の審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 2 家庭裁判所は、成年被後見人の精神の状況につき医師の意見を聴かなければ、民法第十条の規定による後見開始の審判の取消しの審判をすることができない。 ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (陳述及び意見の聴取) 第百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号から第三号までにあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 後見開始の審判の取消しの審判(民法第十条の規定による場合に限る。) 成年被後見人及び成年後見人 三 成年後見人又は成年後見監督人の選任の審判 成年被後見人となるべき者又は成年被後見人 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 六 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 成年後見人の選任の審判 成年後見人となるべき者 二 成年後見監督人の選任の審判 成年後見監督人となるべき者 (申立ての取下げの制限) 第百二十一条 次に掲げる申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 一 後見開始の申立て 二 民法第八百四十三条第二項の規定による成年後見人の選任の申立て 三 民法第八百四十五条の規定により選任の請求をしなければならない者による同法第八百四十三条第三項の規定による成年後見人の選任の申立て (審判の告知等) 第百二十二条 次の各号に掲げる審判は、当該各号に定める者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 一 後見開始の審判 成年被後見人となるべき者 二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人 2 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の審判は、信書の送達の事業を行う者に告知することを要しない。 この場合においては、その審判が効力を生じた時に、信書の送達の事業を行う者に通知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 後見開始の審判 民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者並びに任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号。以下「任意後見契約法」という。)第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 後見開始の審判の取消しの審判 成年後見人及び成年後見監督人 三 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 (即時抗告) 第百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 後見開始の審判 民法第七条及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 後見開始の申立てを却下する審判 申立人 三 後見開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十条に規定する者 四 成年後見人の解任の審判 成年後見人 五 成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、成年後見監督人並びに成年被後見人及びその親族 六 成年後見監督人の解任の審判 成年後見監督人 七 成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに成年被後見人及びその親族 八 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の審判 成年被後見人及びその親族 九 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託の取消し又は変更の審判 成年後見人 十 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託及びその嘱託の取消し又は変更の申立てを却下する審判 申立人 十一 成年被後見人の死亡後の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為についての許可の申立てを却下する審判 申立人 2 審判の告知を受ける者でない者による後見開始の審判に対する即時抗告の期間は、民法第八百四十三条第一項の規定により成年後見人に選任される者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (陳述の聴取の例外) 第百二十三条の二 成年被後見人に宛てた郵便物等の配達の嘱託等の審判事件においては、第八十九条第一項の規定(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)にかかわらず、抗告裁判所は、信書の送達の事業を行う者の陳述を聴くことを要しない。 (成年後見の事務の監督) 第百二十四条 家庭裁判所は、適当な者に、成年後見の事務若しくは成年被後見人の財産の状況を調査させ、又は臨時に財産の管理をさせることができる。 2 家庭裁判所は、前項の規定により調査又は管理をした者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 3 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査をさせることができる。 4 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、第一項の規定により財産を管理する者について準用する。 (管理者の改任等) 第百二十五条 家庭裁判所は、いつでも、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者を改任することができる。 2 家庭裁判所は、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者(前項の規定により改任された管理者を含む。以下この条において「財産の管理者」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、成年被後見人の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、財産の管理者に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 財産の管理者の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、財産の管理者について準用する。 7 家庭裁判所は、成年被後見人が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったときその他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、成年被後見人、財産の管理者若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 (後見開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百二十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護又は財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、成年被後見人となるべき者の生活、療養看護若しくは財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、後見開始の申立てがあった場合において、成年被後見人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、後見開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、成年被後見人となるべき者の財産上の行為(民法第九条ただし書に規定する行為を除く。第七項において同じ。)につき、前項の財産の管理者の後見を受けることを命ずることができる。 3 家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、第百七条の規定にかかわらず、その者の陳述を聴く手続を経ずに、前項の規定による審判(次項から第七項までにおいて「後見命令の審判」という。)をすることができる。 4 後見命令の審判は、第一項の財産の管理者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによって、その効力を生ずる。 5 後見命令の審判は、成年被後見人となるべき者に通知しなければならない。 この場合においては、成年被後見人となるべき者については、第七十四条第一項の規定は、適用しない。 6 審判の告知を受ける者でない者による後見命令の審判に対する即時抗告の期間は、第一項の財産の管理者が第四項の規定による告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 7 後見命令の審判があったときは、成年被後見人となるべき者及び第一項の財産の管理者は、成年被後見人となるべき者がした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 8 前条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、前条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「成年被後見人となるべき者」と読み替えるものとする。 (成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百二十七条 家庭裁判所は、成年後見人の解任の審判事件が係属している場合において、成年被後見人の利益のため必要があるときは、成年後見人の解任の申立てをした者の申立てにより又は職権で、成年後見人の解任についての審判が効力を生ずるまでの間、成年後見人の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による成年後見人の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される成年後見人、他の成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、成年被後見人の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定は、成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第二節 保佐に関する審判事件 (管轄) 第百二十八条 保佐開始の審判事件(別表第一の十七の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被保佐人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 保佐に関する審判事件(別表第一の十七の項から三十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、保佐開始の審判事件を除き、保佐開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が保佐開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、保佐開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百二十九条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被保佐人となるべき者及び被保佐人について準用する。 一 保佐開始の審判事件 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の十八の項の事項についての審判事件をいう。) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の十九の項の事項についての審判事件をいう。) 四 保佐開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の二十の項の事項についての審判事件をいう。) 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の二十一の項の事項についての審判事件をいう。) 六 保佐人の選任の審判事件(別表第一の二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 七 保佐人の解任の審判事件(別表第一の二十四の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 八 保佐監督人の選任の審判事件(別表第一の二十六の項の事項についての審判事件をいう。) 九 保佐監督人の解任の審判事件(別表第一の二十八の項の事項についての審判事件をいう。第百三十五条において同じ。) 十 保佐人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の三十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十三の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 保佐の事務の監督の審判事件(別表第一の三十四の項の事項についての審判事件をいう。) (陳述及び意見の聴取) 第百三十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号、第四号及び第五号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 保佐開始の審判 被保佐人となるべき者 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人 四 保佐開始の審判の取消しの審判(民法第十四条第一項の規定による場合に限る。) 被保佐人及び保佐人 五 保佐人又は保佐監督人の選任の審判 被保佐人となるべき者又は被保佐人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 保佐人の選任の審判 保佐人となるべき者 二 保佐監督人の選任の審判 保佐監督人となるべき者 (審判の告知) 第百三十一条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 保佐開始の審判 民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐人又は保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐人となるべき者又は保佐監督人となるべき者) 三 保佐人の同意に代わる許可の審判 保佐人及び保佐監督人 四 保佐開始の審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 五 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 保佐人及び保佐監督人 六 保佐人に対する代理権の付与の審判 被保佐人及び保佐監督人(当該審判が保佐監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、保佐監督人となるべき者) 七 保佐人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被保佐人及び保佐監督人 (即時抗告) 第百三十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 保佐開始の審判 民法第十一条本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 保佐開始の申立てを却下する審判 申立人 三 保佐開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十四条第一項に規定する者 四 保佐人の同意を得なければならない行為の定めの審判 被保佐人 五 保佐人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 六 保佐人の解任の審判 保佐人 七 保佐人の解任の申立てを却下する審判 申立人、保佐監督人並びに被保佐人及びその親族 八 保佐監督人の解任の審判 保佐監督人 九 保佐監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被保佐人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐開始の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の二第一項の規定により保佐人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百三十三条 第百十九条の規定は被保佐人となるべき者及び被保佐人の精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取について、第百二十一条の規定は保佐開始の申立ての取下げ及び保佐人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は保佐の事務の監督について準用する。 (保佐開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百三十四条 保佐開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、保佐開始の申立てがあった場合において、被保佐人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、保佐開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被保佐人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為に限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の保佐を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「保佐命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被保佐人となるべき者による保佐命令の審判に対する即時抗告の期間は、被保佐人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 保佐命令の審判があったときは、被保佐人となるべき者及び財産の管理者は、被保佐人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被保佐人となるべき者」と読み替えるものとする。 (保佐人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百三十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、保佐人の解任の審判事件又は保佐監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第三節 補助に関する審判事件 (管轄) 第百三十六条 補助開始の審判事件(別表第一の三十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)は、被補助人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 補助に関する審判事件(別表第一の三十六の項から五十四の項までの事項についての審判事件をいう。)は、補助開始の審判事件を除き、補助開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が補助開始の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、補助開始の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百三十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第一号、第七号及び第九号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における被補助人となるべき者及び被補助人について準用する。 一 補助開始の審判事件 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判事件(別表第一の三十七の項の事項についての審判事件をいう。) 三 補助人の同意に代わる許可の審判事件(別表第一の三十八の項の事項についての審判事件をいう。) 四 補助開始の審判の取消しの審判事件(別表第一の三十九の項の事項についての審判事件をいう。) 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判事件(別表第一の四十の項の事項についての審判事件をいう。) 六 補助人の選任の審判事件(別表第一の四十一の項の事項についての審判事件をいう。) 七 補助人の解任の審判事件(別表第一の四十三の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 八 補助監督人の選任の審判事件(別表第一の四十五の項の事項についての審判事件をいう。) 九 補助監督人の解任の審判事件(別表第一の四十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十四条において同じ。) 十 補助人に対する代理権の付与の審判事件(別表第一の五十一の項の事項についての審判事件をいう。) 十一 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判事件(別表第一の五十二の項の事項についての審判事件をいう。) 十二 補助の事務の監督の審判事件(別表第一の五十三の項の事項についての審判事件をいう。) (精神の状況に関する意見の聴取) 第百三十八条 家庭裁判所は、被補助人となるべき者の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、補助開始の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第百三十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第三号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 補助開始の審判 被補助人となるべき者 二 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人 三 補助開始の審判の取消しの審判(民法第十八条第一項又は第三項の規定による場合に限る。) 被補助人及び補助人 四 補助人又は補助監督人の選任の審判 被補助人となるべき者又は被補助人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助監督人の解任の審判 補助監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 補助人の選任の審判 補助人となるべき者 二 補助監督人の選任の審判 補助監督人となるべき者 (審判の告知) 第百四十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 補助開始の審判 民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者並びに任意後見契約法第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人 二 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判 補助人及び補助監督人(当該審判が補助人又は補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助人となるべき者又は補助監督人となるべき者) 三 補助人の同意に代わる許可の審判 補助人及び補助監督人 四 補助開始の審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 五 補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判の取消しの審判 補助人及び補助監督人 六 補助人に対する代理権の付与の審判 被補助人及び補助監督人(当該審判が補助監督人の選任の審判と同時にされる場合にあっては、補助監督人となるべき者) 七 補助人に対する代理権の付与の審判の取消しの審判 被補助人及び補助監督人 (即時抗告) 第百四十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 補助開始の審判 民法第十五条第一項本文及び任意後見契約法第十条第二項に規定する者 二 補助開始の申立てを却下する審判 申立人 三 補助開始の審判の取消しの申立てを却下する審判 民法第十八条第一項に規定する者 四 補助人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 五 補助人の解任の審判 補助人 六 補助人の解任の申立てを却下する審判 申立人、補助監督人並びに被補助人及びその親族 七 補助監督人の解任の審判 補助監督人 八 補助監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに被補助人及びその親族 2 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助開始の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者が審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百四十二条 第百二十一条の規定は補助開始の申立ての取下げ及び補助人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は補助の事務の監督について準用する。 (補助開始の審判事件を本案とする保全処分) 第百四十三条 補助開始の審判事件を本案とする保全処分については、第百二十六条第一項の規定を準用する。 2 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、補助開始及び補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てがあった場合において、被補助人となるべき者の財産の保全のため特に必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、補助開始の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、被補助人となるべき者の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為であって、当該補助人の同意を得なければならない行為の定めの申立てに係るものに限る。第五項において同じ。)につき、前項において準用する第百二十六条第一項の規定により選任される財産の管理者(以下この条において単に「財産の管理者」という。)の補助を受けることを命ずることができる。 3 前項の規定による審判(次項及び第五項において「補助命令の審判」という。)は、第七十四条第一項に規定する者のほか、財産の管理者に告知しなければならない。 4 審判の告知を受ける者でない者及び被補助人となるべき者による補助命令の審判に対する即時抗告の期間は、被補助人となるべき者が審判の告知を受けた日及び財産の管理者が前項の規定による審判の告知を受けた日のうち最も遅い日から進行する。 5 補助命令の審判があったときは、被補助人となるべき者及び財産の管理者は、被補助人となるべき者が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。 この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。 6 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人」とあるのは、「被補助人となるべき者」と読み替えるものとする。 (補助人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百四十四条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、補助人の解任の審判事件又は補助監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第四節 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件 (管轄) 第百四十五条 不在者の財産の管理に関する処分の審判事件は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (管理人の改任等) 第百四十六条 家庭裁判所は、いつでも、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人を改任することができる。 2 家庭裁判所は、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人及び前項の規定により改任した管理人(第四項及び第六項、次条並びに第百四十七条において「家庭裁判所が選任した管理人」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。 同法第二十七条第二項の場合においては、不在者が置いた管理人に対しても、同様とする。 3 前項の報告及び計算に要する費用は、不在者の財産の中から支弁する。 4 家庭裁判所は、管理人(家庭裁判所が選任した管理人及び不在者が置いた管理人をいう。次項及び第百四十七条において同じ。)に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。 5 管理人の不動産又は船舶の上に抵当権の設定を命ずる審判が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その設定の登記を嘱託しなければならない。 設定した抵当権の変更又は消滅の登記についても、同様とする。 6 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、家庭裁判所が選任した管理人について準用する。 (供託等) 第百四十六条の二 家庭裁判所が選任した管理人は、不在者の財産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、不在者のために、当該金銭を不在者の財産の管理に関する処分を命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。 2 家庭裁判所が選任した管理人は、前項の規定による供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 (処分の取消し) 第百四十七条 家庭裁判所は、不在者が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったとき(家庭裁判所が選任した管理人が管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、不在者、管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、民法第二十五条第一項の規定による管理人の選任その他の不在者の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。 第五節 失踪の宣告に関する審判事件 第一款 失踪の宣告の審判事件 第百四十八条 失踪の宣告の審判事件(別表第一の五十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の審判事件における不在者について準用する。 3 家庭裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号及び第四号の期間が経過しなければ、失踪の宣告の審判をすることができない。 この場合において、第二号及び第四号の期間は、民法第三十条第一項の場合にあっては三月を、同条第二項の場合にあっては一月を下ってはならない。 一 不在者について失踪の宣告の申立てがあったこと。 二 不在者は、一定の期間までにその生存の届出をすべきこと。 三 前号の届出がないときは、失踪の宣告がされること。 四 不在者の生死を知る者は、一定の期間までにその届出をすべきこと。 4 失踪の宣告の審判は、不在者に告知することを要しない。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の審判 不在者及び利害関係人 二 失踪の宣告の申立てを却下する審判 申立人 第二款 失踪の宣告の取消しの審判事件 第百四十九条 失踪の宣告の取消しの審判事件は、失踪者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、失踪の宣告の取消しの審判事件における失踪者について準用する。 3 失踪の宣告の取消しの審判は、事件の記録上失踪者の住所又は居所が判明している場合に限り、失踪者に告知すれば足りる。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 失踪の宣告の取消しの審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 失踪の宣告の取消しの申立てを却下する審判 失踪者及び利害関係人 第六節 婚姻等に関する審判事件 (管轄) 第百五十条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件(別表第二の一の項の事項についての審判事件をいう。次条第一号及び第百五十二条の二第一項第一号において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の五十八の項の事項についての審判事件をいう。) 夫又は妻の住所地 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件(別表第二の二の項の事項についての審判事件をいう。第百五十二条の二第一項第二号において同じ。) 夫又は妻の住所地 四 子の監護に関する処分の審判事件 子(父又は母を同じくする数人の子についての申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地 五 財産の分与に関する処分の審判事件 夫又は妻であった者の住所地 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の五の項の事項についての審判事件をいう。) 所有者の住所地 (手続行為能力) 第百五十一条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件及びこれらの審判事件を本案とする保全処分についての審判事件(いずれの審判事件においても、財産上の給付を求めるものを除く。)における当該各号に定める者について準用する。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の審判事件 子 (陳述の聴取) 第百五十二条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判をする場合には、夫及び妻(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判を除く。)をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (情報開示命令) 第百五十二条の二 家庭裁判所は、次に掲げる審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件 二 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件 三 子の監護に関する処分の審判事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。) 2 家庭裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その財産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。 3 前二項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (審判前の親子交流の試行的実施) 第百五十二条の三 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)において、子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がなく、かつ、事実の調査のため必要があると認めるときは、当事者に対し、子との交流の試行的実施を促すことができる。 2 家庭裁判所は、前項の試行的実施を促すに当たっては、交流の方法、交流をする日時及び場所並びに家庭裁判所調査官その他の者の立会いその他の関与の有無を定めるとともに、当事者に対して子の心身に有害な影響を及ぼす言動を禁止することその他適当と認める条件を付することができる。 3 家庭裁判所は、第一項の試行的実施を促したときは、当事者に対してその結果の報告(当該試行的実施をしなかったときは、その理由の説明)を求めることができる。 (申立ての取下げの制限) 第百五十三条 第八十二条第二項の規定にかかわらず、財産の分与に関する処分の審判の申立ての取下げは、相手方が本案について書面を提出し、又は家事審判の手続の期日において陳述をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (給付命令等) 第百五十四条 家庭裁判所は、夫婦間の協力扶助に関する処分の審判において、扶助の程度若しくは方法を定め、又はこれを変更することができる。 2 家庭裁判所は、次に掲げる審判において、当事者(第二号の審判にあっては、夫又は妻)に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判 四 財産の分与に関する処分の審判 3 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判において、子の監護をすべき者の指定又は変更、子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項の定めをする場合には、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 4 家庭裁判所は、離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 (共有財産の分割) 第百五十五条 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判とともに共有財産の分割に関する処分の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、共有財産の分割の方法として、一方の婚姻の当事者に他方の婚姻の当事者に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (即時抗告) 第百五十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 三 婚姻費用の分担に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻 四 子の監護に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 五 財産の分与に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫又は妻であった者 六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判 婚姻の当事者(民法第七百五十一条第二項において準用する同法第七百六十九条第二項の規定による場合にあっては、生存配偶者)その他の利害関係人 2 子の監護に関する処分の審判(父母以外の親族と子との交流に関する処分の審判に限る。)及びその申立てを却下する審判に対する即時抗告は、民法第七百六十六条の二第二項(第二号に係る部分に限る。)の規定による請求をすることができる者及び同法第八百十七条の十三第五項の規定による請求をすることができる者もすることができる。 (婚姻等に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百五十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分 二 婚姻費用の分担に関する処分 三 子の監護に関する処分 四 財産の分与に関する処分 2 家庭裁判所は、前項第三号に掲げる事項について仮の地位を定める仮処分(子の監護に要する費用の分担に関する仮処分を除く。)を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件を本案とする保全処分) 第百五十八条 家庭裁判所は、夫婦の一方から夫婦財産契約による財産の管理者の変更の申立てがあった場合において、他の一方の管理する申立人所有の財産又は共有財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、当該財産の管理者の変更の申立てについての審判(共有財産の分割に関する処分の申立てがあった場合にあっては、その申立てについての審判)が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、他の一方の管理する申立人所有の財産若しくは共有財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、夫婦財産契約による財産の管理者の変更の審判の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は夫婦の他の一方の申立てにより、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「管理に係る財産」と読み替えるものとする。 第七節 親子に関する審判事件 第一款 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件 第百五十九条 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件は、子の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件における父及び民法第七百七十四条第四項に規定する前夫について準用する。 3 嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二款 子の氏の変更についての許可の審判事件 第百六十条 子の氏の変更についての許可の審判事件(別表第一の六十の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、子(父又は母を同じくする数人の子についての子の氏の変更についての許可の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、子の氏の変更についての許可の審判事件における子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 子の氏の変更についての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第三款 養子縁組をするについての許可の審判事件 第百六十一条 養子縁組をするについての許可の審判事件は、養子となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、養子縁組をするについての許可の審判事件における養親となるべき者及び養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 ただし、養子となるべき者については、その者の心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者及び養子となるべき者の未成年後見人 4 養子縁組をするについての許可の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第四款 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判事件 第百六十一条の二 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判事件は、養子となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判事件における養子となるべき者の法定代理人、養子となるべき者の父母でその監護をすべき者であるもの及び養子となるべき者の父母で親権を停止されているものについて準用する。 3 家庭裁判所は、養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判をする場合には、養子となるべき者の父母でその監護をすべき者であるもの及び養子となるべき者の父母で親権を停止されているものの陳述を聴かなければならない。 4 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、養子となるべき者の父母でその監護をすべき者であるもの及び養子となるべき者の父母で親権を停止されているものに告知しなければならない。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の審判 養子となるべき者の父母でその監護をすべき者であるもの及び養子となるべき者の父母で親権を停止されているもの 二 養子縁組の承諾をするについての同意に代わる許可の申立てを却下する審判 申立人 第五款 死後離縁をするについての許可の審判事件 第百六十二条 死後離縁をするについての許可の審判事件は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、死後離縁をするについての許可の審判事件における養親及び養子(十五歳以上のものに限る。)について準用する。 3 家庭裁判所は、養子の死後に死後離縁をするについての許可の申立てがあった場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、養子を代襲して養親の相続人となるべき者に対し、その旨を通知するものとする。 ただし、事件の記録上その者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 4 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 死後離縁をするについての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 死後離縁をするについての許可の申立てを却下する審判 申立人 第六款 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百六十三条 離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の六の項の事項についての審判事件をいう。)は、その所有者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 離縁の当事者その他の利害関係人は、離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第七款 特別養子縁組に関する審判事件 (特別養子縁組の成立の審判事件) 第百六十四条 特別養子縁組の成立の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 養子となるべき者は、特別養子適格の確認(養子となるべき者について民法第八百十七条の六に定める要件があること及び同法第八百十七条の七に規定する父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合に該当することについての確認をいう。以下この条及び次条において同じ。)の審判(申立人の同条第一項の規定による申立てによりされたものに限る。)を受けた者又は児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判(特別養子縁組の成立の申立ての日の六箇月前の日以後に確定したものに限る。)を受けた者でなければならない。 3 養子となるべき者の親権者(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。以下この項において同じ。)及びその親権者に対し親権を行う者は、特別養子縁組の成立の審判事件において養子となるべき者を代理して手続行為をすることができない。 4 養子となるべき者の父母(申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方を除く。第十項において同じ。)は、第四十二条第一項及び第三項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判事件の手続に参加することができない。 5 第百十八条の規定は、特別養子縁組の成立の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び申立人の配偶者である民法第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方について準用する。 6 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者に対し親権を行う者(養子となるべき者の父母及び養子となるべき者の親権者に対し親権を行う者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 7 特別養子適格の確認の審判(児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判を含む。以下この項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の審判事件の係属する裁判所を拘束する。 この場合において、特別養子適格の確認の審判は、特別養子縁組の成立の審判事件との関係においては、特別養子縁組の成立の審判をする時においてしたものとみなす。 8 特別養子縁組の成立の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第二号に掲げる者に告知しなければならない。 9 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 ただし、養子となるべき者が十五歳に達している場合は、この限りでない。 10 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の父母に告知することを要しない。 ただし、住所又は居所が知れている父母に対しては、審判をした日及び審判の主文を通知しなければならない。 11 家庭裁判所は、第二項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判を、特別養子適格の確認の審判と同時にすることができる。 この場合においては、特別養子縁組の成立の審判は、特別養子適格の確認の審判が確定するまでは、確定しないものとする。 12 家庭裁判所は、前項前段の場合において、特別養子適格の確認の審判を取り消す裁判が確定したときは、職権で、特別養子縁組の成立の審判を取り消さなければならない。 13 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、確定しないものとする。 この場合においては、家庭裁判所は、職権で、その審判を取り消さなければならない。 14 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の成立の審判 養子となるべき者及び第六項第二号に掲げる者 二 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判 申立人 15 養子となるべき者(十五歳未満のものに限る。)による特別養子縁組の成立の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子適格の確認の審判事件) 第百六十四条の二 家庭裁判所は、養親となるべき者の申立てにより、その者と養子となるべき者との間における縁組について、特別養子適格の確認の審判をすることができる。 ただし、養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過する日まで及び養子となるべき者が十八歳に達した日以後は、この限りでない。 2 特別養子適格の確認の審判事件は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 特別養子適格の確認の申立ては、特別養子縁組の成立の申立てと同時にしなければならない。 4 第百十八条の規定は、特別養子適格の確認の審判事件における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び養子となるべき者の父母について準用する。 5 民法第八百十七条の六本文の同意は、次の各号のいずれにも該当する場合には、撤回することができない。 ただし、その同意をした日から二週間を経過する日までは、この限りでない。 一 養子となるべき者の出生の日から二箇月を経過した後にされたものであること。 二 次のいずれかに該当するものであること。 イ 家庭裁判所調査官による事実の調査を経た上で家庭裁判所に書面を提出してされたものであること。 ロ 審問の期日においてされたものであること。 6 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第二号に掲げる者の同意がないにもかかわらずその審判をするときは、その者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子となるべき者(十五歳以上のものに限る。) 二 養子となるべき者の父母 三 養子となるべき者に対し親権を行う者(前号に掲げる者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人 四 養子となるべき者の父母に対し親権を行う者及び養子となるべき者の父母の後見人 7 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てに係る特別養子適格の確認の申立てを却下しなければならない。 8 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の申立てを却下する審判をする場合には、第六項第二号及び第三号に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 9 特別養子適格の確認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第六項第三号及び第四号に掲げる者に告知しなければならない。 10 特別養子適格の確認の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しない。 11 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合において、第六項第二号に掲げる者を特定することができないときは、同号及び同項第四号に掲げる者の陳述を聴くこと並びにこれらの者にその審判を告知することを要しない。 12 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子適格の確認の審判 養子となるべき者及び第六項第二号から第四号までに掲げる者 二 特別養子適格の確認の申立てを却下する審判 申立人 13 養子となるべき者による特別養子適格の確認の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 14 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てによる特別養子適格の確認の審判は、その効力を失う。 (特別養子縁組の離縁の審判事件) 第百六十五条 特別養子縁組の離縁の審判事件は、養親の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、特別養子縁組の離縁の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親、養子及びその実父母について準用する。 3 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号から第三号までに掲げる者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 養子(十五歳以上のものに限る。) 二 養親 三 養子の実父母 四 養子に対し親権を行う者(第二号に掲げる者を除く。)及び養子の後見人 五 養親の後見人 六 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 4 家庭裁判所は、特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判をする場合には、次に掲げる者の陳述を聴かなければならない。 一 養子の実父母(申立人を除く。) 二 養子に対し親権を行う者及び養子の後見人 三 養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 5 特別養子縁組の離縁の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、第三項第四号から第六号までに掲げる者に告知しなければならない。 6 特別養子縁組の離縁の審判は、養子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して養子の利益を害すると認める場合には、養子に告知することを要しない。 7 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 特別養子縁組の離縁の審判 養子、養親、養子の実父母、養子に対し親権を行う者で養親でないもの、養子の後見人、養親の後見人、養子の実父母に対し親権を行う者及び養子の実父母の後見人 二 特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判 申立人 8 養子による特別養子縁組の離縁の審判に対する即時抗告の期間は、養子以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (特別養子縁組の成立の審判事件等を本案とする保全処分) 第百六十六条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、特別養子縁組の成立の申立てがあった場合において、養子となるべき者の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別養子縁組の成立の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、申立人を養子となるべき者の監護者に選任し、又は養子となるべき者の親権者若しくは未成年後見人の職務の執行を停止し、若しくはその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者若しくは未成年後見人、養子となるべき者に対し親権を行う者若しくは他の未成年後見人又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、養子となるべき者の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 5 前各項の規定(養子となるべき者の監護者を選任する保全処分に関する部分を除く。)は、特別養子縁組の離縁の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第八節 親権に関する審判事件 (管轄) 第百六十七条 親権に関する審判事件は、子(父又は母を同じくする数人の子についての親権者の指定若しくは変更、親権行使者の指定又は第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百六十八条 第百十八条の規定は、次の各号に掲げる審判事件(第三号、第七号及び第八号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における当該各号に定める者について準用する。 一 子に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の六十五の項の事項についての審判事件をいう。) 子 二 第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の六十六の項の事項についての審判事件をいう。第百七十三条において同じ。) 子 三 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件(別表第一の六十七の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判事件(別表第一の六十八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 五 親権又は管理権を辞し、又は回復するについての許可の審判事件(別表第一の六十九の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 六 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判事件(別表第二の七の項の事項についての審判事件をいう。) 養子、その父母及び養親 七 親権者の指定又は変更の審判事件(別表第二の八の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 八 親権行使者の指定の審判事件(別表第二の八の二の項の事項についての審判事件をいう。) 子及びその父母 (陳述の聴取) 第百六十九条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 この場合において、第一号に掲げる子の親権者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子(十五歳以上のものに限る。)及び子の親権者 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者、子の未成年後見人及び親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者 三 親権又は管理権を辞するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。) 四 親権又は管理権を回復するについての許可の審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 2 家庭裁判所は、親権者の指定若しくは変更又は親権行使者の指定の審判をする場合には、第六十八条の規定により当事者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第百六十九条の二 親権者の指定の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (離婚が成立しない場合の申立ての却下) 第百六十九条の三 家庭裁判所は、親権者の指定の審判の手続において、申立人に対し、相当の期間を定め、父母が離婚したことを証する文書又は電磁的記録をその期間内に提出すべきことを命ずることができる。 2 前項の場合において、申立人がその期間内に同項に規定する文書又は電磁的記録を提出しないときは、家庭裁判所は、親権者の指定の審判の申立てを却下することができる。 (審判の告知) 第百七十条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 ただし、子にあっては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。 一 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判 子 二 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子、子に対し親権を行う者及び子の未成年後見人 (引渡命令等) 第百七十一条 家庭裁判所は、親権者の指定若しくは変更又は親権行使者の指定の審判において、当事者に対し、子の引渡し又は財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百七十二条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第一号から第三号まで及び第五号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 親権喪失の審判 親権を喪失する者及びその親族 二 親権停止の審判 親権を停止される者及びその親族 三 管理権喪失の審判 管理権を喪失する者及びその親族 四 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てを却下する審判 申立人、子及びその親族、未成年後見人並びに未成年後見監督人 五 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子及びその親族、子に対し親権を行う者、未成年後見人並びに未成年後見監督人 六 親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人並びに親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者及びその親族 七 親権又は管理権を回復するについての許可の申立てを却下する審判 申立人 八 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の審判 養子の父母及び養子の監護者 九 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の申立てを却下する審判 申立人、養子の父母及び養子の監護者 十 親権者の指定又は変更の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者 十一 親権行使者の指定の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母 2 次の各号に掲げる即時抗告の期間は、当該各号に定める日から進行する。 一 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失する者が審判の告知を受けた日 二 審判の告知を受ける者でない者及び子による親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判に対する即時抗告 親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者が審判の告知を受けた日 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第百七十三条 第百二十五条の規定は、第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 (親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判事件を本案とする保全処分) 第百七十四条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があると認めるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権喪失、親権停止又は管理権喪失の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 (親権者の指定又は変更の審判事件等を本案とする保全処分) 第百七十五条 家庭裁判所は、親権者の指定若しくは変更又は親権行使者の指定の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定若しくは変更又は親権行使者の指定の審判を本案とする仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 2 前項の規定により仮の地位の仮処分を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 3 家庭裁判所は、親権者の指定又は変更の審判又は調停の申立てがあった場合において、子の利益のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、親権者の指定又は変更の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、親権者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 4 前項の規定による親権者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される親権者、子に対し親権を行う者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 5 家庭裁判所は、いつでも、第三項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 6 家庭裁判所は、第三項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、子の財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第九節 未成年後見に関する審判事件 (管轄) 第百七十六条 未成年後見に関する審判事件(別表第一の七十の項から八十三の項までの事項についての審判事件をいう。)は、未成年被後見人(養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第百七十七条 第百十八条の規定は、次に掲げる審判事件(第三号及び第五号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における未成年被後見人(第一号の審判事件にあっては、未成年被後見人となるべき者及び養親)について準用する。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件 二 未成年後見人の選任の審判事件 三 未成年後見人の解任の審判事件(別表第一の七十三の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 四 未成年後見監督人の選任の審判事件(別表第一の七十四の項の事項についての審判事件をいう。) 五 未成年後見監督人の解任の審判事件(別表第一の七十六の項の事項についての審判事件をいう。第百八十一条において同じ。) 六 未成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件(別表第一の七十九の項の事項についての審判事件をいう。) 七 未成年後見の事務の監督の審判事件(別表第一の八十一の項の事項についての審判事件をいう。) 八 第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十二の項の事項についての審判事件をいう。第百八十条において同じ。) (陳述及び意見の聴取) 第百七十八条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 未成年後見人又は未成年後見監督人の選任の審判 未成年被後見人(十五歳以上のものに限る。) 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者又は未成年後見人の選任 未成年後見人となるべき者 二 未成年後見監督人の選任 未成年後見監督人となるべき者 (即時抗告) 第百七十九条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 未成年後見人の解任の審判 未成年後見人 三 未成年後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、未成年後見監督人並びに未成年被後見人及びその親族 四 未成年後見監督人の解任の審判 未成年後見監督人 五 未成年後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに未成年被後見人及びその親族 (成年後見に関する審判事件の規定の準用) 第百八十条 第百二十一条の規定は未成年後見人の選任の申立ての取下げについて、第百二十四条の規定は未成年後見の事務の監督について、第百二十五条の規定は第三者が未成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十一条第二号中「第八百四十三条第二項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第一項の規定による未成年後見人」と、同条第三号中「第八百四十三条第三項の規定による成年後見人」とあるのは「第八百四十条第二項の規定による未成年後見人」と読み替えるものとする。 (未成年後見人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第百八十一条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、未成年後見人の解任の審判事件又は未成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について準用する。 第十節 扶養に関する審判事件 (管轄) 第百八十二条 扶養義務の設定の審判事件(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者となるべき者(数人についての扶養義務の設定の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務の設定の取消しの審判事件(別表第一の八十五の項の事項についての審判事件をいう。)は、その扶養義務の設定の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所がその扶養義務の設定の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(別表第二の九の項の事項についての審判事件をいう。)並びに扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件(同表の十の項の事項についての審判事件をいう。第百八十四条の二第一項において同じ。)は、相手方(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (申立ての特則) 第百八十三条 扶養義務の設定の申立ては、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第二十三条の二第二項第四号の規定による保護者の選任の申立てと一の申立てによりするときは、同法第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所にもすることができる。 (陳述の聴取) 第百八十四条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者 二 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者 (情報開示命令) 第百八十四条の二 家庭裁判所は、扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。 2 前項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (給付命令) 第百八十五条 家庭裁判所は、扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (即時抗告) 第百八十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 扶養義務の設定の審判 扶養義務者となるべき者(申立人を除く。) 二 扶養義務の設定の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務の設定の取消しの審判 扶養権利者(申立人を除く。) 四 扶養義務の設定の取消しの申立てを却下する審判 申立人 五 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 六 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判並びにこれらの申立てを却下する審判 申立人及び相手方 (扶養に関する審判事件を本案とする保全処分) 第百八十七条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 一 扶養の順位の決定及びその決定の変更又は取消し 二 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消し 第十一節 推定相続人の廃除に関する審判事件 (推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の取消しの審判事件) 第百八十八条 推定相続人の廃除の審判事件及び推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 ただし、これらの審判事件が被相続人の死亡後に申し立てられた場合にあっては、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、前項に規定する審判事件における被相続人について準用する。 3 家庭裁判所は、推定相続人の廃除の審判事件においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、廃除を求められた推定相続人の陳述を聴かなければならない。 この場合における陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならない。 4 推定相続人の廃除の審判事件における手続については、申立人及び廃除を求められた推定相続人を当事者とみなして、第六十七条及び第六十九条から第七十二条までの規定を準用する。 5 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 推定相続人の廃除の審判 廃除された推定相続人 二 推定相続人の廃除又はその審判の取消しの申立てを却下する審判 申立人 (遺産の管理に関する処分の審判事件) 第百八十九条 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件は、推定相続人の廃除の審判事件又は推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件が係属している家庭裁判所(その審判事件が係属していない場合にあっては相続が開始した地を管轄する家庭裁判所、その審判事件が抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所)の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項までの規定は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理人について準用する。 この場合において、同条第一項、第二項及び第四項中「家庭裁判所」とあるのは「推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所」と、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは「遺産」と読み替えるものとする。 3 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判が確定したときは、廃除を求められた推定相続人、前項の管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、その処分の取消しの裁判をしなければならない。 第十二節 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件 第百九十条 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(別表第二の十一の項の事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判において、当事者に対し、系譜、祭具及び墳墓の引渡しを命ずることができる。 3 相続人その他の利害関係人は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十二節の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件 第百九十条の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百二十五条第一項から第六項まで、第百四十六条の二及び第百四十七条の規定は、相続財産の保存に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十三節 遺産の分割に関する審判事件 (管轄) 第百九十一条 遺産の分割に関する審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判事件(別表第二の十二の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)が係属している場合における寄与分を定める処分の審判事件(同表の十四の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)は、当該遺産の分割の審判事件が係属している裁判所の管轄に属する。 (手続の併合等) 第百九十二条 遺産の分割の審判事件及び寄与分を定める処分の審判事件が係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 数人からの寄与分を定める処分の審判事件が係属するときも、同様とする。 (寄与分を定める処分の審判の申立ての期間の指定) 第百九十三条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判の手続において、一月を下らない範囲内で、当事者が寄与分を定める処分の審判の申立てをすべき期間を定めることができる。 2 家庭裁判所は、寄与分を定める処分の審判の申立てが前項の期間を経過した後にされたときは、当該申立てを却下することができる。 3 家庭裁判所は、第一項の期間を定めなかった場合においても、当事者が時機に後れて寄与分を定める処分の申立てをしたことにつき、申立人の責めに帰すべき事由があり、かつ、申立てに係る寄与分を定める処分の審判の手続を併合することにより、遺産の分割の審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、その申立てを却下することができる。 (遺産の換価を命ずる裁判) 第百九十四条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、相続人に対し、遺産の全部又は一部を競売して換価することを命ずることができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があり、かつ、相当と認めるときは、相続人の意見を聴き、相続人に対し、遺産の全部又は一部について任意に売却して換価することを命ずることができる。 ただし、共同相続人中に競売によるべき旨の意思を表示した者があるときは、この限りでない。 3 前二項の規定による裁判(以下この条において「換価を命ずる裁判」という。)が確定した後に、その換価を命ずる裁判の理由の消滅その他の事情の変更があるときは、家庭裁判所は、相続人の申立てにより又は職権で、これを取り消すことができる。 4 換価を命ずる裁判は、第八十一条第一項において準用する第七十四条第一項に規定する者のほか、遺産の分割の審判事件の当事者に告知しなければならない。 5 相続人は、換価を命ずる裁判に対し、即時抗告をすることができる。 6 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判をする場合において、第二百条第一項の財産の管理者が選任されていないときは、これを選任しなければならない。 7 家庭裁判所は、換価を命ずる裁判により換価を命じられた相続人に対し、遺産の中から、相当な報酬を与えることができる。 8 第百二十五条の規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第六項の規定により選任した財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 (債務を負担させる方法による遺産の分割) 第百九十五条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。 (給付命令) 第百九十六条 家庭裁判所は、遺産の分割の審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。 (遺産の分割の禁止の審判の取消し及び変更) 第百九十七条 家庭裁判所は、事情の変更があるときは、相続人の申立てにより、いつでも、遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判をすることができる。 この申立てに係る審判事件は、別表第二に掲げる事項についての審判事件とみなす。 (即時抗告) 第百九十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺産の分割の審判及びその申立てを却下する審判 相続人 二 遺産の分割の禁止の審判 相続人 三 遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判 相続人 四 寄与分を定める処分の審判 相続人 五 寄与分を定める処分の申立てを却下する審判 申立人 2 第百九十二条前段の規定により審判が併合してされたときは、寄与分を定める処分の審判又はその申立てを却下する審判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 3 第百九十二条後段の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (申立ての取下げの制限) 第百九十九条 第百五十三条の規定は、遺産の分割の審判の申立ての取下げについて準用する。 2 第八十二条第二項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分) 第二百条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。次項及び第三項において同じ。)は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、遺産の分割の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、財産の管理に関する事項を指示することができる。 2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 3 前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。 ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。 4 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。 この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。 第十四節 相続の承認及び放棄に関する審判事件 第二百一条 相続の承認及び放棄に関する審判事件(別表第一の九十の項から九十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、限定承認の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十三の項の事項についての審判事件をいう。)は、限定承認の申述を受理した家庭裁判所(抗告裁判所が受理した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 3 家庭裁判所(抗告裁判所が限定承認の申述を受理した場合にあっては、その裁判所)は、相続人が数人ある場合において、限定承認の申述を受理したときは、職権で、民法第九百三十六条第一項の規定により相続財産の清算人を選任しなければならない。 4 第百十八条の規定は、限定承認又は相続の放棄の取消しの申述の受理の審判事件(別表第一の九十一の項の事項についての審判事件をいう。)における限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者について準用する。 5 限定承認及びその取消し並びに相続の放棄及びその取消しの申述は、次に掲げる事項を記載した申述書を家庭裁判所に提出してしなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 限定承認若しくはその取消し又は相続の放棄若しくはその取消しをする旨 6 第四十九条第三項から第七項まで及び第五十条の規定は、前項の申述について準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百一条第五項」と読み替えるものとする。 7 家庭裁判所は、第五項の申述の受理の審判をするときは、最高裁判所規則で定めるところにより、その旨の電磁的記録を作成し、ファイルに記録しなければならない。 この場合において、当該審判は、その記録をした時に、その効力を生ずる。 8 前項の審判については、第七十六条の規定は、適用しない。 9 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 相続の承認又は放棄をすべき期間の伸長の申立てを却下する審判 申立人 二 限定承認又は相続の放棄の取消しの申述を却下する審判 限定承認又は相続の放棄の取消しをすることができる者 三 限定承認又は相続の放棄の申述を却下する審判 申述人 第十五節 財産分離に関する審判事件 第二百二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める裁判所の管轄に属する。 一 財産分離の審判事件(別表第一の九十六の項の事項についての審判事件をいう。次号において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件 財産分離の審判事件が係属している家庭裁判所(抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所、財産分離の裁判確定後にあっては財産分離の審判事件が係属していた家庭裁判所) 三 財産分離の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の九十八の項の事項についての審判事件をいう。) 財産分離の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が財産分離の裁判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所) 2 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 財産分離の審判 相続人 二 民法第九百四十一条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続債権者及び受遺者 三 民法第九百五十条第一項の規定による財産分離の申立てを却下する審判 相続人の債権者 3 第百二十五条の規定は、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十六節 相続人の不存在に関する審判事件 (管轄) 第二百三条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。 一 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 二 相続人の不存在の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百の項の事項についての審判事件をいう。) 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件において相続財産の清算人の選任の審判をした家庭裁判所 三 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件(別表第一の百一の項の事項についての審判事件をいう。次条第二項及び第二百七条において同じ。) 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所 (特別縁故者に対する相続財産の分与の審判) 第二百四条 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判は、民法第九百五十二条第二項の期間の満了後三月を経過した後にしなければならない。 2 同一の相続財産に関し特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件が数個同時に係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。 (意見の聴取) 第二百五条 家庭裁判所は、特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判をする場合には、民法第九百五十二条第一項の規定により選任し、又は第二百八条において準用する第百二十五条第一項の規定により改任した相続財産の清算人(次条及び第二百七条において単に「相続財産の清算人」という。)の意見を聴かなければならない。 (即時抗告) 第二百六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判 申立人及び相続財産の清算人 二 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てを却下する審判 申立人 2 第二百四条第二項の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人又は相続財産の清算人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。 (相続財産の換価を命ずる裁判) 第二百七条 第百九十四条第一項、第二項本文、第三項から第五項まで及び第七項の規定は、特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件について準用する。 この場合において、同条第一項及び第七項中「相続人」とあり、並びに同条第二項中「相続人の意見を聴き、相続人」とあるのは「相続財産の清算人」と、同条第三項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人若しくは相続財産の清算人」と、同条第四項中「当事者」とあるのは「申立人」と、同条第五項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人及び相続財産の清算人」と読み替えるものとする。 (管理者の改任等に関する規定の準用) 第二百八条 第百二十五条の規定は、相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件について準用する。 この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。 第十七節 遺言に関する審判事件 (管轄) 第二百九条 遺言に関する審判事件(別表第一の百二の項から百八の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続を開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 前項の規定にかかわらず、遺言の確認の審判事件は、遺言者の生存中は、遺言者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者及び負担の利益を受けるべき者 2 家庭裁判所は、遺言執行者の選任の審判をする場合には、遺言執行者となるべき者の意見を聴かなければならない。 (電子調書の作成) 第二百十一条 裁判所書記官は、遺言書の検認について、最高裁判所規則で定めるところにより、電子調書を作成しなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百十二条 遺言の確認又は遺言書の検認の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百十三条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 遺言執行者の解任の審判 相続人 二 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 負担の利益を受けるべき者 (即時抗告) 第二百十四条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺言の確認の審判 利害関係人 二 遺言の確認の申立てを却下する審判 遺言に立ち会った証人及び利害関係人 三 遺言執行者の選任の申立てを却下する審判 利害関係人 四 遺言執行者の解任の審判 遺言執行者 五 遺言執行者の解任の申立てを却下する審判 利害関係人 六 遺言執行者の辞任についての許可の申立てを却下する審判 申立人 七 負担付遺贈に係る遺言の取消しの審判 受遺者その他の利害関係人(申立人を除く。) 八 負担付遺贈に係る遺言の取消しの申立てを却下する審判 相続人 (遺言執行者の解任の審判事件を本案とする保全処分) 第二百十五条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。第三項及び第四項において同じ。)は、遺言執行者の解任の申立てがあった場合において、遺言の内容の実現のため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、遺言執行者の解任の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、遺言執行者の職務の執行を停止し、又はその職務代行者を選任することができる。 2 前項の規定による遺言執行者の職務の執行を停止する審判は、職務の執行を停止される遺言執行者、他の遺言執行者又は同項の規定により選任した職務代行者に告知することによって、その効力を生ずる。 3 家庭裁判所は、いつでも、第一項の規定により選任した職務代行者を改任することができる。 4 家庭裁判所は、第一項の規定により選任し、又は前項の規定により改任した職務代行者に対し、相続財産の中から、相当な報酬を与えることができる。 第十八節 遺留分に関する審判事件 第二百十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 遺留分を算定するための財産の価額を定める場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百九の項の事項についての審判事件をいう。) 相続が開始した地 二 遺留分の放棄についての許可の審判事件 被相続人の住所地 2 遺留分の放棄についての許可の申立てをした者は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第十八節の二 特別の寄与に関する審判事件 (管轄) 第二百十六条の二 特別の寄与に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (給付命令) 第二百十六条の三 家庭裁判所は、特別の寄与に関する処分の審判において、当事者に対し、金銭の支払を命ずることができる。 (即時抗告) 第二百十六条の四 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 特別の寄与に関する処分の審判 申立人及び相手方 二 特別の寄与に関する処分の申立てを却下する審判 申立人 (特別の寄与に関する審判事件を本案とする保全処分) 第二百十六条の五 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、特別の寄与に関する処分についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は申立人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別の寄与に関する処分の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 第十九節 任意後見契約法に規定する審判事件 (管轄) 第二百十七条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件(別表第一の百十一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条において同じ。)は、任意後見契約法第二条第二号の本人(以下この節において単に「本人」という。)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 任意後見契約法に規定する審判事件(別表第一の百十一の項から百二十一の項までの事項についての審判事件をいう。)は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件を除き、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が当該任意後見監督人を選任した場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄に属する。 ただし、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件が家庭裁判所に係属しているときは、その家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百十八条 第百十八条の規定は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判事件における本人について準用する。 (精神の状況に関する意見の聴取) 第二百十九条 家庭裁判所は、本人の精神の状況につき医師その他適当な者の意見を聴かなければ、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をすることができない。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十条 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 ただし、本人については、本人の心身の障害により本人の陳述を聴くことができないときは、この限りでない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判並びに任意後見監督人が欠けた場合及び任意後見監督人を更に選任する場合における任意後見監督人の選任の審判 本人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見人の解任の審判 任意後見人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 2 家庭裁判所は、前項第一号に掲げる審判をする場合には、任意後見監督人となるべき者の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判をする場合には、任意後見契約の効力が生ずることについて、任意後見受任者の意見を聴かなければならない。 (申立ての取下げの制限) 第二百二十一条 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任及び任意後見監督人が欠けた場合における任意後見監督人の選任の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 (審判の告知) 第二百二十二条 次の各号に掲げる審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該各号に定める者に告知しなければならない。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の審判 本人及び任意後見受任者 二 後見開始の審判等の取消しの審判 後見開始の審判の取消しの審判にあっては成年後見人及び成年後見監督人、保佐開始の審判の取消しの審判にあっては保佐人及び保佐監督人並びに補助開始の審判の取消しの審判にあっては補助人及び補助監督人 三 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見監督人 四 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人、任意後見人及び任意後見監督人 (即時抗告) 第二百二十三条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者(第四号及び第六号にあっては、申立人を除く。)は、即時抗告をすることができる。 一 任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任の申立てを却下する審判 申立人 二 任意後見監督人の解任の審判 任意後見監督人 三 任意後見監督人の解任の申立てを却下する審判 申立人並びに本人及びその親族 四 任意後見人の解任の審判 本人及び任意後見人 五 任意後見人の解任の申立てを却下する審判 申立人、任意後見監督人並びに本人及びその親族 六 任意後見契約の解除についての許可の審判 本人及び任意後見人 七 任意後見契約の解除についての許可の申立てを却下する審判 申立人 (任意後見監督人の事務の調査) 第二百二十四条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に任意後見監督人の事務を調査させることができる。 (任意後見監督人の解任の審判事件等を本案とする保全処分) 第二百二十五条 第百二十七条第一項から第四項までの規定は、任意後見監督人の解任の審判事件(別表第一の百十七の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 2 第百二十七条第一項及び第二項の規定は、任意後見人の解任の審判事件(別表第一の百二十の項の事項についての審判事件をいう。)を本案とする保全処分について準用する。 この場合において、同条第一項中「停止し、又はその職務代行者を選任する」とあるのは「停止する」と、同条第二項中「同項の規定により選任した職務代行者」とあるのは「任意後見監督人」と読み替えるものとする。 第二十節 戸籍法に規定する審判事件 (管轄) 第二百二十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 氏若しくは名の変更又は氏の振り仮名若しくは名の振り仮名の変更についての許可の審判事件(別表第一の百二十二の項の事項についての審判事件をいう。) 申立人の住所地 二 就籍許可の審判事件(別表第一の百二十三の項の事項についての審判事件をいう。) 就籍しようとする地 三 戸籍の訂正についての許可の審判事件(別表第一の百二十四の項の事項についての審判事件をいう。) その戸籍のある地 四 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件(別表第一の百二十五の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。) 市役所(戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第四条において準用する同法第百二十二条の規定による場合にあっては、区役所)又は町村役場の所在地 (手続行為能力) 第二百二十七条 第百十八条の規定は、戸籍法に規定する審判事件(別表第一の百二十二の項から百二十五の項までの事項についての審判事件をいう。)における当該審判事件の申立てをすることができる者について準用する。 ただし、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の審判事件においては、当該処分を受けた届出その他の行為を自らすることができる場合に限る。 (事件係属の通知) 第二百二十八条 家庭裁判所は、戸籍法第百十三条の規定による戸籍の訂正についての許可の申立てが当該戸籍の届出人又は届出事件の本人以外の者からされた場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該届出人又は届出事件の本人に対し、その旨を通知しなければならない。 ただし、事件の記録上これらの者の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。 (陳述及び意見の聴取) 第二百二十九条 家庭裁判所は、氏又は氏の振り仮名の変更についての許可の審判をする場合には、申立人と同一戸籍内にある者(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区長又は総合区長とする。以下この節において同じ。)の処分に対する不服の申立てがあった場合には、当該市町村長の意見を聴かなければならない。 (審判の告知等) 第二百三十条 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、当該市町村長に告知しなければならない。 2 家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを理由があると認めるときは、当該市町村長に対し、相当の処分を命じなければならない。 (即時抗告) 第二百三十一条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 氏又は氏の振り仮名の変更についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 二 氏若しくは名の変更又は氏の振り仮名若しくは名の振り仮名の変更についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 就籍許可の申立てを却下する審判 申立人 四 戸籍の訂正についての許可の審判 利害関係人(申立人を除く。) 五 戸籍の訂正についての許可の申立てを却下する審判 申立人 六 前条第二項の規定による市町村長に相当の処分を命ずる審判 当該市町村長 七 戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服の申立てを却下する審判 申立人 第二十一節 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に規定する審判事件 第二百三十二条 性別の取扱いの変更の審判事件(別表第一の百二十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 第百十八条の規定は、性別の取扱いの変更の審判事件における申立人について準用する。 3 性別の取扱いの変更の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 第二十二節 厚生年金保険法に規定する審判事件 第二百三十三条 請求すべき 按 あん 分割合に関する処分の審判事件(別表第二の十六の項の事項についての審判事件をいう。)は、申立人又は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 申立人及び相手方は、請求すべき按分割合に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 請求すべき按分割合に関する処分の審判の手続については、第六十八条第二項の規定は、適用しない。 第二十三節 児童福祉法に規定する審判事件 (管轄) 第二百三十四条 都道府県の措置についての承認の審判事件(別表第一の百二十七の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件(同表の百二十八の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)、児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件(同表の百二十八の二の項の事項についての審判事件をいう。同条において同じ。)及び児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件(同表の百二十八の三の項の事項についての審判事件をいう。以下この節において同じ。)は、児童の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 (手続行為能力) 第二百三十五条 第百十八条の規定は、都道府県の措置についての承認の審判事件、都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件及び児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判事件における児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者、児童の未成年後見人及び児童並びに児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件における児童及びその父母について準用する。 (陳述及び意見の聴取) 第二百三十六条 家庭裁判所は、都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、前条に規定する者(児童にあっては、十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。 2 前項の場合において、家庭裁判所は、申立人に対し、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人の陳述に関する意見を求めることができる。 3 第百六十四条の二第六項及び第八項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (審判の告知) 第二百三十七条 都道府県の措置についての承認、都道府県の措置の期間の更新についての承認又は児童相談所長若しくは都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人に告知しなければならない。 2 第百六十四条の二第九項から第十一項までの規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (即時抗告) 第二百三十八条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 都道府県の措置についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 二 都道府県の措置についての承認の申立てを却下する審判 申立人 三 都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 四 都道府県の措置の期間の更新についての承認の申立てを却下する審判 申立人 五 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の審判 児童を現に監護する者、児童に対し親権を行う者及び児童の未成年後見人 六 児童相談所長又は都道府県知事の引き続いての一時保護についての承認の申立てを却下する審判 申立人 2 第百六十四条の二第十二項及び第十三項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 (児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判の特則) 第二百三十九条 家庭裁判所は、児童の出生の日から二箇月を経過する日まで及び児童が十八歳に達した日以後は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判をすることができない。 2 第百六十四条の二第五項の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用する。 第二十四節 生活保護法等に規定する審判事件 第二百四十条 施設への入所等についての許可の審判事件(別表第一の百二十九の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。)は、被保護者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判事件(別表第二の十七の項の事項についての審判事件をいう。)は、扶養義務者(数人に対する申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 3 第百十八条の規定は、施設への入所等についての許可の審判事件における被保護者、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人について準用する。 4 家庭裁判所は、施設への入所等についての許可の申立てについての審判をする場合には、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、被保護者(十五歳以上のものに限る。)、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人の陳述を聴かなければならない。 5 施設への入所等についての許可の審判は、第七十四条第一項に規定する者のほか、被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人に告知しなければならない。 6 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 施設への入所等についての許可の審判 被保護者に対し親権を行う者及び被保護者の後見人 二 施設への入所等についての許可の申立てを却下する審判 申立人 三 扶養義務者の負担すべき費用額の確定の審判及びその申立てを却下する審判 申立人及び相手方 第二十五節 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に規定する審判事件 第二百四十一条 保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件(別表第一の百三十の項の事項についての審判事件をいう。第四項において同じ。)は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第二項に規定する対象者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 2 家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(申立人を除く。)の意見を聴かなければならない。 一 保護者の順位の変更の審判 先順位に変更される者 二 保護者の選任の審判 保護者となるべき者 3 保護者の順位の変更又は保護者の選任の申立てをした者は、その申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 4 家庭裁判所は、いつでも、保護者の順位の変更及び保護者の選任の審判事件において選任した保護者を改任することができる。 第二十六節 破産法に規定する審判事件 第二百四十二条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件(別表第一の百三十一の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 夫又は妻の住所地 二 親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件 子の住所地 三 破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件(別表第一の百三十三の項の事項についての審判事件をいう。第三項において同じ。) 相続が開始した地 2 破産管財人は、破産手続における相続の放棄の承認についての申述を却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第百五十二条第一項、第百五十四条第二項(第二号に係る部分に限る。)、第百五十五条、第百五十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)及び第百五十八条の規定は破産手続が開始された場合における夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判事件について、第百六十八条(第三号に係る部分に限る。)、第百六十九条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第百七十条(第一号に係る部分に限る。)、第百七十二条第一項(第三号及び第四号に係る部分に限る。)及び第二項(第一号に係る部分に限る。)並びに第百七十四条の規定(管理権喪失に関する部分に限る。)は親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件について、第二百一条第五項から第八項までの規定は破産手続における相続の放棄の承認についての申述の受理の審判事件について準用する。 第二十七節 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に規定する審判事件 第二百四十三条 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判事件(別表第一の百三十四の項の事項についての審判事件をいう。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。 一 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成二十年法律第三十三号)第四条第一項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第一項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第二項の旧代表者の住所地 二 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第四条第三項の規定による合意(同法第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、同法第四条第三項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)についての申立てに係るものである場合 同法第三条第四項の旧個人事業者の住所地 2 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判は、当該合意の当事者の全員に告知しなければならない。 3 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。 一 遺留分の算定に係る合意についての許可の審判 当該合意の当事者(申立人を除く。) 二 遺留分の算定に係る合意についての許可の申立てを却下する審判 当該合意の当事者 第三編 家事調停に関する手続 第一章 総則 第一節 通則 (調停事項等) 第二百四十四条 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。 (管轄等) 第二百四十五条 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。 2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。 3 第百九十一条第二項及び第百九十二条の規定は、遺産の分割の調停事件(別表第二の十二の項の事項についての調停事件をいう。)及び寄与分を定める処分の調停事件(同表の十四の項の事項についての調停事件をいう。)について準用する。 この場合において、第百九十一条第二項中「前項」とあるのは、「第二百四十五条第一項」と読み替えるものとする。 (地方裁判所又は簡易裁判所への移送) 第二百四十六条 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件以外の事件について調停の申立てを受けた場合には、職権で、これを管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送する。 2 家庭裁判所は、第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について調停の申立てを受けた場合において、事件を処理するために必要があると認めるときは、職権で、事件の全部又は一部を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所に移送することができる。 3 家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、前二項の規定にかかわらず、その事件を管轄権を有する地方裁判所又は簡易裁判所以外の地方裁判所又は簡易裁判所(事物管轄権を有するものに限る。)に移送することができる。 4 第九条第三項から第五項までの規定は、前三項の規定による移送の裁判について準用する。 (調停機関) 第二百四十七条 家庭裁判所は、調停委員会で調停を行う。 ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、裁判官のみで行うことができる。 2 家庭裁判所は、当事者の申立てがあるときは、前項ただし書の規定にかかわらず、調停委員会で調停を行わなければならない。 (調停委員会) 第二百四十八条 調停委員会は、裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 2 調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。 3 調停委員会の決議は、過半数の意見による。 可否同数の場合には、裁判官の決するところによる。 4 調停委員会の評議は、秘密とする。 (家事調停委員) 第二百四十九条 家事調停委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 2 家事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (家事調停官の任命等) 第二百五十条 家事調停官は、弁護士で五年以上その職にあったもののうちから、最高裁判所が任命する。 2 家事調停官は、この法律の定めるところにより、家事調停事件の処理に必要な職務を行う。 3 家事調停官は、任期を二年とし、再任されることができる。 4 家事調停官は、非常勤とする。 5 家事調停官は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して解任されることがない。 一 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七条各号のいずれかに該当するに至ったとき。 二 心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。 三 職務上の義務違反その他家事調停官たるに適しない非行があると認められたとき。 6 この法律に定めるもののほか、家事調停官の任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 (家事調停官の権限等) 第二百五十一条 家事調停官は、家庭裁判所の指定を受けて、家事調停事件を取り扱う。 2 家事調停官は、その取り扱う家事調停事件の処理について、この法律において家庭裁判所、裁判官又は裁判長が行うものとして定める家事調停事件の処理に関する権限を行うことができる。 3 家事調停官は、独立してその職権を行う。 4 家事調停官は、その権限を行うについて、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び医師である裁判所技官に対し、その職務に関し必要な命令をすることができる。 この場合において、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第六十条第五項の規定は、家事調停官の命令を受けた裁判所書記官について準用する。 5 家事調停官には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。 (手続行為能力) 第二百五十二条 次の各号に掲げる調停事件(第一号及び第二号にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)において、当該各号に定める者は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の調停事件(別表第二の一の項の事項についての調停事件をいう。第二百五十八条第三項において同じ。) 夫及び妻 二 子の監護に関する処分の調停事件(別表第二の三の項の事項についての調停事件をいう。第二百五十八条第三項において同じ。) 子 三 養子の離縁後に親権者となるべき者の指定の調停事件(別表第二の七の項の事項についての調停事件をいう。) 養子、その父母及び養親 四 親権者の指定又は変更の調停事件(別表第二の八の項の事項についての調停事件をいう。) 子及びその父母 五 親権行使者の指定の調停事件(別表第二の八の二の項の事項についての調停事件をいう。) 子及びその父母 六 人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(第二百七十七条第一項において単に「人事に関する訴え」という。)を提起することができる事項についての調停事件 同法第十三条第一項の規定が適用されることにより訴訟行為をすることができることとなる者 2 親権を行う者又は後見人は、第十八条の規定にかかわらず、前項第一号、第三号及び第四号に掲げる調停事件(同項第一号の調停事件にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)においては、当該各号に定める者に代理して第二百六十八条第一項の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾及び第二百八十六条第八項の共同の申出をすることができない。 離婚についての調停事件における夫及び妻の後見人並びに離縁についての調停事件における養親の後見人、養子(十五歳以上のものに限る。以下この項において同じ。)に対し親権を行う者及び養子の後見人についても、同様とする。 (電子調書の作成) 第二百五十三条 裁判所書記官は、家事調停の手続の期日について、最高裁判所規則で定めるところにより、電子調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (非電磁的家事調停事件記録の閲覧等) 第二百五十四条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、非電磁的家事調停事件記録(家事調停事件の記録中次条第一項に規定する電磁的家事調停事件記録を除いた部分をいう。以下この条において同じ。)の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、非電磁的家事調停事件記録中の録音テープ等に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 家庭裁判所は、当事者又は利害関係を疎明した第三者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合(第六項に規定する場合を除く。)において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 4 当事者は、非電磁的家事調停事件記録中当該当事者が提出した書面等又は録音テープ等については、第一項及び第二項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製を請求することができる。 次条第四項第三号又は第四号に掲げる事項について第三十八条の二において読み替えて準用する民事訴訟法第百三十三条の二第五項の規定によりその内容を書面に出力し、又はこれを他の記録媒体に記録する措置を講じた場合の当該書面又は当該記録媒体についても、同様とする。 5 非電磁的家事調停事件記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、非電磁的家事調停事件記録の保存又は裁判所若しくは調停委員会の執務に支障があるときは、することができない。 6 第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件において、当事者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合については、第四十七条第三項、第四項及び第八項から第十項までの規定を準用する。 (電磁的家事調停事件記録の閲覧等) 第二百五十四条の二 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的家事調停事件記録(家事調停事件の記録中この法律その他の法令の規定によりファイルに記録された事項に係る部分をいう。以下この条において同じ。)の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができる。 2 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、電磁的家事調停事件記録に記録されている事項について、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法による複写を請求することができる。 3 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的家事調停事件記録に記録されている事項の全部若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が電磁的家事調停記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを交付し、又は当該事項の全部若しくは一部を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該電磁的記録の内容が電磁的家事調停事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。 4 電磁的家事調停事件記録中次に掲げる事項に係る部分については、当事者は、前三項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、電磁的家事調停事件記録の閲覧等(第一項の規定による閲覧、第二項の規定による複写又は前項の規定による書面の交付若しくは電磁的記録の提供をいう。次項及び第六項において同じ。)を請求することができる。 一 第二百五十八条第一項において準用する第七十六条第一項に規定する電子審判書(同条第三項の規定によりファイルに記録されたものに限る。)又は電子決定書(第二百五十八条第一項において準用する第八十一条第一項において準用する第七十六条第二項及び第三項の規定により作成され、ファイルに記録された電磁的記録をいう。第二百六十九条第二項において同じ。)に記録されている事項 二 調停において成立した合意を記録し、又は調停をしないものとして、若しくは調停が成立しないものとして事件が終了した旨を記録した電子調書に記録されている事項 三 当該当事者がこの法律その他の法令の規定により最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録した事項 四 当該当事者が提出した書面等又は記録媒体に記載され、又は記録された事項が第三十八条第一項において読み替えて準用する民事訴訟法第百三十二条の十二第一項の規定又は第三十八条第二項において読み替えて準用する同法第百三十二条の十三の規定によりファイルに記録された場合における当該事項 5 前条第三項の規定は電磁的家事調停事件記録の閲覧等の許可の申立てについて、同条第五項の規定は電磁的家事調停事件記録の閲覧及び複写の請求について、それぞれ準用する。 6 第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件において、当事者から電磁的家事調停事件記録の閲覧等の許可の申立てがあった場合については、第四十七条第三項、第四項及び第八項から第十項までの規定を準用する。 (家事調停事件に関する事項の証明) 第二百五十四条の三 当事者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、家事調停事件に関する事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを交付し、又は当該事項を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。 2 利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、前項の規定による請求をすることができる。 3 家庭裁判所は、利害関係を疎明した第三者から前項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 第二節 家事調停の申立て等 (家事調停の申立て) 第二百五十五条 家事調停の申立ては、申立書(次項及び次条において「家事調停の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 家事調停の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨及び理由 3 家事調停の申立てを不適法として却下する審判に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第四十九条第三項から第七項まで及び第五十条(第一項ただし書を除く。)の規定は、家事調停の申立てについて準用する。 この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百五十五条第二項」と読み替えるものとする。 (家事調停の申立書の写しの送付等) 第二百五十六条 家事調停の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は家事調停の手続の期日を経ないで第二百七十一条の規定により家事調停事件を終了させるときを除き、家事調停の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 ただし、家事調停の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事調停の申立てがあったことを通知することをもって、家事調停の申立書の写しの送付に代えることができる。 2 第四十九条第四項から第六項までの規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知をすることができない場合について、第六十七条第三項及び第四項の規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納について準用する。 (調停前置主義) 第二百五十七条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。 2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。 ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。 3 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 第三節 家事調停の手続 (家事審判の手続の規定の準用等) 第二百五十八条 第四十一条から第四十三条までの規定は家事調停の手続における参加及び排除について、第四十四条の規定は家事調停の手続における受継について、第五十一条から第五十五条までの規定は家事調停の手続の期日について、第五十六条から第六十二条まで及び第六十四条の規定は家事調停の手続における事実の調査及び証拠調べについて、第六十五条の規定は家事調停の手続における子の意思の把握等について、第七十三条、第七十四条、第七十六条(第一項ただし書を除く。)、第七十七条及び第七十九条の規定は家事調停に関する審判について、第八十一条の規定は家事調停に関する審判以外の裁判について準用する。 2 前項において準用する第六十一条第一項の規定により家事調停の手続における事実の調査の嘱託を受けた裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることができる。 ただし、嘱託を受けた家庭裁判所が家庭裁判所調査官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 3 第百五十二条の二の規定は夫婦間の協力扶助に関する処分の調停事件、婚姻費用の分担に関する処分の調停事件(別表第二の二の項の事項についての調停事件をいう。)、子の監護に関する処分の調停事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の調停事件に限る。)、財産の分与に関する処分の調停事件(同表の四の項の事項についての調停事件をいう。)及び離婚についての調停事件について、第百五十二条の三の規定は子の監護に関する処分の調停事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の調停事件を除く。)及び離婚についての調停事件について、第百八十四条の二の規定は扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの調停事件(同表の十の項の事項についての調停事件をいう。)について、それぞれ準用する。 (調停委員会が行う家事調停の手続の指揮) 第二百五十九条 調停委員会が行う家事調停の手続は、調停委員会を組織する裁判官が指揮する。 (調停委員会等の権限) 第二百六十条 調停委員会が家事調停を行う場合には、次に掲げる事項に関する裁判所の権限は、調停委員会が行う。 一 第二十二条の規定による手続代理人の許可等 二 第二十七条において準用する民事訴訟法第六十条第一項及び第二項の規定による補佐人の許可等 三 第三十三条ただし書の規定による傍聴の許可 四 第三十五条の規定による手続の併合等 五 第二百五十五条第四項において準用する第五十条第三項及び第四項の規定による申立ての変更 六 第二百五十八条第一項において準用する第四十一条第一項及び第二項並びに第四十二条第一項から第三項まで及び第五項の規定による参加、第四十三条第一項の規定による排除、第四十四条第一項及び第三項の規定による受継、第五十一条第一項の規定による事件の関係人の呼出し、第五十四条第一項の規定による音声の送受信による通話の方法による手続並びに第五十六条第一項、第五十九条第一項から第三項まで(これらの規定を第六十条第二項において準用する場合を含む。)、第六十一条第一項、第六十二条並びに第六十四条第五項の規定並びに同条第一項において準用する民事訴訟法の規定による事実の調査及び証拠調べ(過料及び勾引に関する事項を除く。) 2 調停委員会が家事調停を行う場合には、第二十三条第一項及び第二項の規定による手続代理人の選任等、第三十四条第一項の規定による期日の指定並びに第二百五十三条ただし書の規定による電子調書の作成に関する裁判長の権限は、当該調停委員会を組織する裁判官が行う。 (調停委員会を組織する裁判官による事実の調査及び証拠調べ等) 第二百六十一条 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、事実の調査及び証拠調べをすることができる。 2 前項の場合には、裁判官は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせ、又は医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 3 第五十八条第三項から第五項までの規定は、前項の規定による事実の調査及び心身の状況についての診断について準用する。 4 第一項の場合には、裁判官は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 5 調停委員会を組織する裁判官は、当該調停委員会の決議により、家庭裁判所調査官に第五十九条第四項の規定による措置をとらせることができる。 (家事調停委員による事実の調査) 第二百六十二条 調停委員会は、相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 (意見の聴取の嘱託) 第二百六十三条 調停委員会は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事件の関係人から紛争の解決に関する意見を聴取することを嘱託することができる。 2 前項の規定により意見の聴取の嘱託を受けた家庭裁判所は、相当と認めるときは、家事調停委員に当該嘱託に係る意見を聴取させることができる。 (家事調停委員の専門的意見の聴取) 第二百六十四条 調停委員会は、必要があると認めるときは、当該調停委員会を組織していない家事調停委員の専門的な知識経験に基づく意見を聴取することができる。 2 前項の規定により意見を聴取する家事調停委員は、家庭裁判所が指定する。 3 前項の規定による指定を受けた家事調停委員は、調停委員会に出席して意見を述べるものとする。 (調停の場所) 第二百六十五条 調停委員会は、事件の実情を考慮して、裁判所外の適当な場所で調停を行うことができる。 (調停前の処分) 第二百六十六条 調停委員会は、家事調停事件が係属している間、調停のために必要であると認める処分を命ずることができる。 2 急迫の事情があるときは、調停委員会を組織する裁判官が前項の処分(以下「調停前の処分」という。)を命ずることができる。 3 調停前の処分は、執行力を有しない。 4 調停前の処分として必要な事項を命じられた当事者又は利害関係参加人が正当な理由なくこれに従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 (裁判官のみで行う家事調停の手続) 第二百六十七条 裁判官のみで家事調停の手続を行う場合においては、家庭裁判所は、相当と認めるときは、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。 ただし、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることを相当と認めるときは、この限りでない。 2 第二百六十三条から前条までの規定は、裁判官のみで家事調停の手続を行う場合について準用する。 第四節 調停の成立 (調停の成立及び効力) 第二百六十八条 調停において当事者間に合意が成立し、裁判所書記官が、その合意について電子調書を作成し、これをファイルに記録したときは、調停が成立したものとし、その記録は、確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては、確定した第三十九条の規定による審判)と同一の効力を有する。 2 家事調停事件の一部について当事者間に合意が成立したときは、その一部について調停を成立させることができる。 手続の併合を命じた数個の家事調停事件中その一について合意が成立したときも、同様とする。 3 離婚又は離縁についての調停事件においては、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項に規定する方法によっては、調停を成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 4 第一項及び第二項の規定は、第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件については、適用しない。 5 第一項の規定によりファイルに記録された電子調書は、当事者に送付しなければならない。 (調停に係る電子調書の更正決定) 第二百六十九条 前条第一項の規定によりファイルに記録された電子調書につきその内容に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、最高裁判所規則で定めるところにより、電子決定書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (調停条項案の書面による受諾) 第二百七十条 当事者の一方が出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ調停委員会(裁判官のみで家事調停の手続を行う場合にあっては、その裁判官。次項、次条及び第二百七十二条第一項において同じ。)から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が家事調停の手続の期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。 2 当事者双方が出頭することが困難であると認められる場合において、当事者双方があらかじめ調停委員会から調停が成立すべき日時を定めて提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、その日時が経過したときは、その日時に、当事者間に合意が成立したものとみなす。 3 前二項の規定は、離婚又は離縁についての調停事件については、適用しない。 第五節 調停の成立によらない事件の終了 (調停をしない場合の事件の終了) 第二百七十一条 調停委員会は、事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは、調停をしないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 (調停の不成立の場合の事件の終了) 第二百七十二条 調停委員会は、当事者間に合意(第二百七十七条第一項第一号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。 ただし、家庭裁判所が第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。 2 前項の規定により家事調停事件が終了したときは、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 3 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 4 第一項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 (家事調停の申立ての取下げ) 第二百七十三条 家事調停の申立ては、家事調停事件が終了するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の調停の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 3 第一項の規定にかかわらず、親権者の指定の調停の申立ては、家事調停事件が終了する前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 4 第八十二条第三項及び第四項並びに民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、家事調停の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、第八十二条第三項中「前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項」とあるのは「第二百七十三条第二項」と、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「家事調停の手続の期日」と読み替えるものとする。 第六節 付調停等 (付調停) 第二百七十四条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟又は家事審判事件が係属している場合には、裁判所は、当事者(本案について被告又は相手方の陳述がされる前にあっては、原告又は申立人に限る。)の意見を聴いて、いつでも、職権で、事件を家事調停に付することができる。 2 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。 3 家庭裁判所及び高等裁判所は、第一項の規定により事件を調停に付する場合には、前項の規定にかかわらず、その家事調停事件を自ら処理することができる。 4 前項の規定により家庭裁判所又は高等裁判所が調停委員会で調停を行うときは、調停委員会は、当該裁判所がその裁判官の中から指定する裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。 5 第三項の規定により高等裁判所が自ら調停を行う場合についてのこの編の規定の適用については、第二百四十四条、第二百四十七条、第二百四十八条第二項、第二百五十四条第一項から第四項まで、第二百五十四条の二第一項から第四項まで、第二百五十四条の三第二項及び第三項、第二百六十四条第二項、第二百六十六条第四項、第二百六十八条第三項ただし書、第二百六十九条第一項並びに第二百七十二条第一項ただし書及び第二項並びに次章及び第三章の規定中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第二百四十四条、第二百五十八条第一項、第二百七十六条、第二百七十七条第一項第一号、第二百七十九条第三項及び第二百八十四条第一項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第二百六十七条第一項中「家庭裁判所は」とあるのは「高等裁判所は」と、次章の規定中「合意に相当する審判」とあるのは「合意に相当する審判に代わる裁判」と、第二百七十二条第一項ただし書及び第三章の規定(第二百八十六条第七項の規定を除く。)中「調停に代わる審判」とあるのは「調停に代わる審判に代わる裁判」と、第二百八十一条及び第二百八十七条中「却下する審判」とあるのは「却下する審判に代わる裁判」とする。 (訴訟手続及び家事審判の手続の中止) 第二百七十五条 家事調停の申立てがあった事件について訴訟が係属しているとき、又は訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項若しくは前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、訴訟が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで訴訟手続を中止することができる。 2 家事調停の申立てがあった事件について家事審判事件が係属しているとき、又は家事審判事件が係属している裁判所が前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、家事審判事件が係属している裁判所は、家事調停事件が終了するまで、家事審判の手続を中止することができる。 (訴えの取下げの擬制等) 第二百七十六条 訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は次条第一項若しくは第二百八十四条第一項の規定による審判が確定したときは、当該訴訟について訴えの取下げがあったものとみなす。 2 家事審判事件が係属している裁判所が第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、又は第二百八十四条第一項の審判が確定したときは、当該家事審判事件は、終了する。 第二章 合意に相当する審判 (合意に相当する審判の対象及び要件) 第二百七十七条 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第一号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。 ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。 一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。 二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。 2 前項第一号の合意は、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項並びに第二百七十条第一項及び第二項に規定する方法によっては、成立させることができない。 ただし、家庭裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合は、この限りでない。 3 第一項の家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、合意に相当する審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 4 第二百七十二条第一項から第三項までの規定は、家庭裁判所が第一項第一号の規定による合意を正当と認めない場合について準用する。 (申立ての取下げの制限) 第二百七十八条 家事調停の申立ての取下げは、合意に相当する審判がされた後は、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 (異議の申立て) 第二百七十九条 当事者及び利害関係人は、合意に相当する審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 ただし、当事者にあっては、第二百七十七条第一項各号に掲げる要件に該当しないことを理由とする場合に限る。 2 前項の規定による異議の申立ては、二週間の不変期間内にしなければならない。 3 前項の期間は、異議の申立てをすることができる者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては当事者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。 4 第一項の規定による異議の申立てをする権利は、放棄することができる。 (異議の申立てに対する審判等) 第二百八十条 家庭裁判所は、当事者がした前条第一項の規定による異議の申立てが不適法であるとき、又は異議の申立てに理由がないと認めるときは、これを却下しなければならない。 利害関係人がした同項の規定による異議の申立てが不適法であるときも、同様とする。 2 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 3 家庭裁判所は、当事者から適法な異議の申立てがあった場合において、異議の申立てを理由があると認めるときは、合意に相当する審判を取り消さなければならない。 4 利害関係人から適法な異議の申立てがあったときは、合意に相当する審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 5 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (合意に相当する審判の効力) 第二百八十一条 第二百七十九条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、合意に相当する審判は、確定判決と同一の効力を有する。 (婚姻の取消しについての合意に相当する審判の特則) 第二百八十二条 婚姻の取消しについての家事調停の手続において、婚姻の取消しについての合意に相当する審判をするときは、この合意に相当する審判において、当事者間の合意に基づき、子の親権者を指定しなければならない。 2 前項の合意に相当する審判は、子の親権者の指定につき当事者間で合意が成立しないとき、又は成立した合意が相当でないと認めるときは、することができない。 (申立人の死亡により事件が終了した場合の特則) 第二百八十三条 父が嫡出否認についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他父の三親等内の血族が父の死亡の日から一年以内に嫡出否認の訴えを提起したときは、父がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 (嫡出否認の審判の通知) 第二百八十三条の二 家庭裁判所は、民法第七百七十二条第三項の規定により父が定められる子の嫡出否認についての合意に相当する審判が確定したときは、同法第七百七十四条第四項に規定する前夫(事件の記録上その氏名及び住所又は居所が判明しているものに限る。)に対し、当該合意に相当する審判の内容を通知するものとする。 (認知の無効についての調停の申立ての特則) 第二百八十三条の三 認知をした者が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他認知をした者の三親等内の血族が認知をした者の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、認知をした者がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 2 子が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、子の直系卑属又はその法定代理人が子の死亡の日から一年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、子がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 第三章 調停に代わる審判 (調停に代わる審判の対象及び要件) 第二百八十四条 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。 ただし、第二百七十七条第一項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。 2 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。 3 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。 (調停に代わる審判の特則) 第二百八十五条 家事調停の申立ての取下げは、第二百七十三条第一項の規定にかかわらず、調停に代わる審判がされた後は、することができない。 2 調停に代わる審判の告知は、公示送達の方法によっては、することができない。 3 調停に代わる審判を告知することができないときは、家庭裁判所は、これを取り消さなければならない。 (異議の申立て等) 第二百八十六条 当事者は、調停に代わる審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。 2 第二百七十九条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による異議の申立てについて準用する。 3 家庭裁判所は、第一項の規定による異議の申立てが不適法であるときは、これを却下しなければならない。 4 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。 5 適法な異議の申立てがあったときは、調停に代わる審判は、その効力を失う。 この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。 6 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。 7 第五項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判が効力を失った場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。 8 当事者が、申立てに係る家事調停(離婚又は離縁についての家事調停を除く。)の手続において、調停に代わる審判に服する旨の共同の申出をしたときは、第一項の規定は、適用しない。 9 前項の共同の申出は、書面でしなければならない。 10 当事者は、調停に代わる審判の告知前に限り、第八項の共同の申出を撤回することができる。 この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。 (調停に代わる審判の効力) 第二百八十七条 前条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、別表第二に掲げる事項についての調停に代わる審判は確定した第三十九条の規定による審判と同一の効力を、その余の調停に代わる審判は確定判決と同一の効力を有する。 第四章 不服申立て等 第二百八十八条 家事調停の手続においてされた裁判に対する不服申立て及び再審については、特別の定めのある場合を除き、それぞれ前編第一章第二節及び第三節の規定を準用する。 第四編 履行の確保 (家庭裁判所による義務の履行状況の調査及び履行の勧告) 第二百八十九条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所(第九十一条第一項(第九十六条第一項及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により抗告裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては第一審裁判所である家庭裁判所、第百五条第二項の規定により高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては本案の家事審判事件の第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、その審判(抗告裁判所又は高等裁判所が義務を定める裁判をした場合にあっては、その裁判。第二百九十条第一項において同じ。)で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。 3 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(以下この条から第二百八十九条の四までにおいて「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に関し、事件の関係人の家庭環境その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡その他の措置をとらせることができる。 5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (調査及び勧告の事件に関する非電磁的事件記録の閲覧等) 第二百八十九条の二 関係人(前条第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人をいう。以下この条から第二百八十九条の四までにおいて同じ。)は、調査及び勧告をする家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、調査及び勧告の事件に関する非電磁的事件記録(前条第一項の規定による調査及び勧告の事件の記録中次条第一項に規定する調査及び勧告の事件に関する電磁的事件記録を除いた部分をいう。次項及び第四項において同じ。)の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、調査及び勧告の事件に関する非電磁的事件記録中の録音テープ等に関しては、適用しない。 この場合において、関係人は、調査及び勧告をする家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 調査及び勧告をする家庭裁判所は、関係人から前二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 4 第四十七条第六項の規定は第一項及び第二項の規定による請求について、同条第七項の規定は調査及び勧告の事件に関する非電磁的事件記録の閲覧、謄写及び複製の請求について、それぞれ準用する。 (調査及び勧告の事件に関する電磁的事件記録の閲覧等) 第二百八十九条の三 関係人は、調査及び勧告をする家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、調査及び勧告の事件に関する電磁的事件記録(第二百八十九条第一項の規定による調査及び勧告の事件の記録中この法律その他の法令の規定によりファイルに記録された事項に係る部分をいう。次項及び第三項において同じ。)の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができる。 2 関係人は、調査及び勧告をする家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、調査及び勧告の事件に関する電磁的事件記録に記録されている事項について、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法による複写を請求することができる。 3 関係人は、調査及び勧告をする家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、調査及び勧告の事件に関する電磁的事件記録に記録されている事項の全部若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が調査及び勧告の事件に関する電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを交付し、又は当該事項の全部若しくは一部を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該電磁的記録の内容が調査及び勧告の事件に関する電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、関係人から前三項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 5 第四十七条の二第四項(第一号に係る部分を除く。)の規定は第一項から第三項までの規定による請求について、第四十七条第七項の規定は第一項及び第二項の規定による請求について、それぞれ準用する。 (調査及び勧告の事件に関する事項の証明) 第二百八十九条の四 関係人は、調査及び勧告をする家庭裁判所の許可を得て、第二百八十九条第一項の規定による調査及び勧告の事件に関する事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを交付し、又は当該事項を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。 2 調査及び勧告をする家庭裁判所は、関係人から前項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 (調停又は調停に代わる審判において定められた義務) 第二百八十九条の五 第二百八十九条から前条までの規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務(高等裁判所において定められたものを含む。次条第三項において同じ。)の履行及び調停前の処分として命じられた事項の履行について準用する。 (義務履行の命令) 第二百九十条 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、その審判で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠った者がある場合において、相当と認めるときは、権利者の申立てにより、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をすべきことを命ずる審判をすることができる。 この場合において、その命令は、その命令をする時までに義務者が履行を怠った義務の全部又は一部についてするものとする。 2 義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、前項の規定により義務の履行を命ずるには、義務者の陳述を聴かなければならない。 3 前二項の規定は、調停又は調停に代わる審判において定められた義務の履行について準用する。 4 前三項に規定するもののほか、第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定による義務の履行を命ずる審判の手続については、第二編第一章に定めるところによる。 5 第一項(第三項において準用する場合を含む。)の規定により義務の履行を命じられた者が正当な理由なくその命令に従わないときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。 第五編 罰則 (過料の裁判の執行等) 第二百九十一条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。 (人の秘密を漏らす罪) 第二百九十二条 参与員、家事調停委員又はこれらの職にあった者が正当な理由なくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。 (評議の秘密を漏らす罪) 第二百九十三条 家事調停委員又は家事調停委員であった者が正当な理由なく評議の経過又は裁判官、家事調停官若しくは家事調停委員の意見若しくはその多少の数を漏らしたときは、三十万円以下の罰金に処する。 参与員又は参与員であった者が正当な理由なく裁判官又は参与員の意見を漏らしたときも、同様とする。
民事
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Act
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平成二十三年法律第六十九号
46
東日本大震災に伴う相続の承認又は放棄をすべき期間に係る民法の特例に関する法律 1 東日本大震災(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。以下同じ。)の被災者(東日本大震災に際し災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)が適用された同法第二条第一項に規定する災害発生市町村の区域(東京都の区域を除く。)に同日において住所を有していた者をいう。以下同じ。)であって平成二十二年十二月十一日以後に自己のために相続の開始があったことを知ったものに対する民法(明治二十九年法律第八十九号)第九百十五条第一項の規定の適用については、同項中「三箇月以内」とあるのは、「三箇月以内(当該期間の末日が平成二十三年十一月三十日前である場合には、同日まで)」とする。 ただし、当該被災者が相続の承認若しくは放棄をしないで死亡した場合又は未成年者若しくは成年被後見人である場合については、この限りでない。 2 前項の規定は、相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡し、かつ、その者の相続人が被災者である場合における当該死亡した相続人の相続及び相続人が未成年者又は成年被後見人である相続であってその法定代理人が被災者であるものについて準用する。
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CabinetOrder
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平成二十三年政令第百四十号
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東日本大震災の被災者等に係る登記事項証明書等の交付についての手数料の特例に関する政令 (東日本大震災の被災者等が被災建物に係る登記事項証明書等を取得する場合の手数料の免除) 第一条 次に掲げる者(以下この条において「被災者等」という。)が、東日本大震災(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。以下同じ。)により被害を受けた建物(以下この条において「被災建物」という。)若しくはその敷地である土地又は被災建物に代わるものとして新築若しくは取得をした建物(以下この条において「被災代替建物」という。)若しくはその敷地である土地の登記事項証明書につき、この政令の施行の日の翌日から令和八年三月三十一日までの間に、法務省令で定めるところにより交付の請求(登記手数料令(昭和二十四年政令第百四十号)第三条第一項の請求を除く。以下この項において同じ。)をする場合には、登記手数料令第二条第一項の規定にかかわらず、その交付についての手数料を納めることを要しない。 ただし、被災代替建物及びその敷地である土地の登記事項証明書の交付の請求については、当該期間内において、かつ、被災者等が被災代替建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人となった日から一年以内に請求する場合に限る。 一 東日本大震災によりその所有する建物又は賃借権を有する建物に被害を受けた者であることにつき、当該建物の所在地の市町村(特別区を含む。第三号において同じ。)の長から証明を受けた者 二 前号の証明を受けた後に死亡した者の相続人 三 第一号の証明を受ける前に死亡した者の相続人であって、東日本大震災により当該死亡した者の所有する建物又は賃借権を有する建物に被害を受けたことにつき当該建物の所在地の市町村の長から証明を受けたもの 2 被災者等が、被災建物若しくはその敷地である土地又は被災代替建物若しくはその敷地である土地に係る地図、建物所在図又は地図に準ずる図面(以下この項において「地図等」という。)の全部又は一部の写し(地図等が電磁的記録に記録されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面。以下この項において同じ。)につき、この政令の施行の日の翌日から令和八年三月三十一日までの間に、法務省令で定めるところにより交付の請求(登記手数料令第三条第二項の請求を除く。以下この項において同じ。)をする場合には、登記手数料令第二条第三項の規定にかかわらず、その交付についての手数料を納めることを要しない。 ただし、被災代替建物及びその敷地である土地に係る地図等の全部又は一部の写しの交付の請求については、当該期間内において、かつ、被災者等が被災代替建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人となった日から一年以内に請求する場合に限る。 3 被災者等が、被災建物若しくはその敷地である土地又は被災代替建物若しくはその敷地である土地の登記簿の附属書類のうち土地所在図、地積測量図、地役権図面、建物図面又は各階平面図(以下この項において「土地所在図等」という。)の全部又は一部の写し(土地所在図等が電磁的記録に記録されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面。以下この項において同じ。)につき、この政令の施行の日の翌日から令和八年三月三十一日までの間に、法務省令で定めるところにより交付の請求(登記手数料令第三条第三項の請求を除く。以下この項において同じ。)をする場合には、登記手数料令第二条第四項の規定にかかわらず、その交付についての手数料を納めることを要しない。 ただし、被災代替建物及びその敷地である土地の土地所在図等の全部又は一部の写しの交付の請求については、当該期間内において、かつ、被災者等が被災代替建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人となった日から一年以内に請求する場合に限る。 (東日本大震災の被災者等が被災船舶に係る登記事項証明書を取得する場合の手数料の免除) 第二条 次に掲げる者(以下この条において「被災者等」という。)が東日本大震災により被害を受けた船舶又は当該船舶に代わるものとして建造若しくは取得をした船舶(以下この条において「被災代替船舶」という。)の登記事項証明書につき、この政令の施行の日の翌日から令和八年三月三十一日までの間に、法務省令で定めるところにより交付の請求(登記手数料令第三条第一項の請求を除く。以下この条において同じ。)をする場合には、登記手数料令第二条第一項の規定にかかわらず、その交付についての手数料を納めることを要しない。 ただし、被災代替船舶の登記事項証明書の交付の請求については、当該期間内において、かつ、被災者等が被災代替船舶の所有権の登記名義人となった日から一年以内に請求する場合に限る。 一 東日本大震災によりその所有する船舶又は賃借権を有する船舶に被害を受けたことにつき、当該船舶の船舶原簿に記録されている事項を証明した書面で当該船舶の登録が抹消された事実を証するものその他の法務省令で定める書面(第三号において「被災証明書面」という。)の交付を受けた者 二 前号の交付を受けた後に死亡した者の相続人 三 第一号の交付を受ける前に死亡した者の相続人であって、東日本大震災により当該死亡した者の所有する船舶又は賃借権を有する船舶に被害を受けたことにつき被災証明書面の交付を受けたもの
民事
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MinisterialOrdinance
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平成二十三年内閣府令第五十五号
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特定非営利活動促進法施行規則 第一章 特定非営利活動法人 (公表の方法) 第一条 特定非営利活動促進法(以下「法」という。)第十条第二項の内閣府令で定める方法は、インターネットの利用とする。 ただし、インターネットの利用に代えて、公報に掲載する方法により公表することができる。 (電磁的方法) 第一条の二 法第十四条の七第三項に規定する内閣府令で定めるものは、次に掲げる方法とする。 一 電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの イ 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法 ロ 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法 二 電磁的記録媒体(電磁的記録に係る記録媒体をいう。以下同じ。)をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法 2 前項各号に掲げる方法は、受信者がファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものでなければならない。 (電磁的記録) 第二条 法第十四条の九第一項に規定する内閣府令で定めるものは、特定非営利活動法人の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体をもって調製するファイルに情報を記録したものとする。 (役員の欠格事由のうち内閣府令で定めるもの) 第二条の二 法第二十条第六号に規定する内閣府令で定めるものは、精神の機能の障害により役員の職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。 (所轄庁の変更に伴う事務の引継ぎ) 第三条 法第二十六条第三項の規定による事務の引継ぎは、所轄庁の変更を伴う定款の変更の認証を受けた特定非営利活動法人に係る法の規定に基づく事務について行うものとする。 2 都道府県知事又は指定都市(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市をいう。以下同じ。)の長は、所轄庁の変更を伴う定款の変更を認証したときは、遅滞なく、変更前の所轄庁に当該定款の変更を認証したことを通知するものとする。 ただし、変更前の所轄庁が法第五十三条第三項(法第六十二条において準用する場合を含む。)の都道府県知事であるときは、この限りでない。 (貸借対照表の公告) 第三条の二 法第二十八条の二第一項第三号に規定する措置であって内閣府令で定めるものは、第一条の二第一項第一号ロに掲げる方法のうち、インターネットに接続された自動公衆送信装置を使用するものによる措置とする。 2 法第二十八条の二第一項第四号に規定する措置として内閣府令で定める方法は、当該特定非営利活動法人の主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法とする。 3 前項の方法による公告は、当該公告の開始後一年を経過する日までの間、継続してしなければならない。 第二章 認定特定非営利活動法人及び特例認定特定非営利活動法人 第一節 認定特定非営利活動法人 (寄附金等収入金額に会費の一部を加えることができる特定非営利活動法人の要件) 第四条 法第四十五条第一項第一号イに規定する内閣府令で定める要件は、次に掲げるものとする。 一 社員の会費の額が合理的と認められる基準により定められていること。 二 社員(役員並びに役員の配偶者及び三親等以内の親族並びに役員と特殊の関係(第十六条に規定する関係をいう。第八条及び第三十二条第一項第四号において同じ。)のある者を除く。)の数が二十人以上であること。 (総収入金額から控除されるもの) 第五条 法第四十五条第一項第一号イ(1)に規定する内閣府令で定めるものは、次に掲げるものとする。 一 国の補助金等(法第四十五条第一項第一号イ(1)に規定する国の補助金等をいう。) 二 委託の対価としての収入で国等(法第四十五条第一項第一号イ(1)に規定する国等をいう。)から支払われるもの 三 法律又は政令の規定に基づき行われる事業でその対価の全部又は一部につき、その対価を支払うべき者に代わり国又は地方公共団体が負担することとされている場合のその負担部分 四 資産の売却による収入で臨時的なもの 五 遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。)により受け入れた寄附金又は贈与者の被相続人に係る相続の開始があったことを知った日の翌日から十月以内に当該相続により当該贈与者が取得した財産の全部若しくは一部を当該贈与者からの贈与(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。)により受け入れた寄附金のうち、一者当たり基準限度超過額(法第四十五条第一項第一号イ(2)に規定する一者当たり基準限度超過額をいう。第七条第一号において同じ。)に相当する部分 六 実績判定期間(法第四十四条第三項に規定する実績判定期間をいう。以下同じ。)における同一の者から受け入れた寄附金の額の合計額が千円に満たないもの 七 寄附者の氏名(法人にあっては、その名称)及びその住所が明らかな寄附金以外の寄附金 八 休眠預金等交付金関係助成金(特定非営利活動促進法施行令(第二十五条において「令」という。)第二条第一項ただし書に規定する休眠預金等交付金関係助成金をいう。第六条及び第七条第四号において同じ。) (同一の者からの寄附金の額のうち一者当たり基準限度となる金額) 第六条 法第四十五条第一項第一号イ(2)に規定する内閣府令で定める金額は、同号イ(2)に規定する受入寄附金総額から休眠預金等交付金関係助成金の額の総額を控除した金額の百分の十(寄附者が法人税法施行令(昭和四十年政令第九十七号)第七十七条各号に掲げる法人又は認定特定非営利活動法人である場合にあっては、受入寄附金総額から休眠預金等交付金関係助成金の額の総額を控除した金額の百分の五十)に相当する金額とする。 (受入寄附金総額から控除される寄附金の額) 第七条 法第四十五条第一項第一号イ(2)に規定する内閣府令で定める寄附金の額は、次に掲げる金額とする。 一 受け入れた寄附金の額のうち一者当たり基準限度超過額 二 実績判定期間における同一の者から受け入れた寄附金の額の合計額が千円に満たない場合の当該合計額 三 寄附者の氏名(法人にあっては、その名称)及びその住所が明らかな寄附金以外の寄附金の額 四 休眠預金等交付金関係助成金の額の総額 (役員が寄附者である場合の金額の算出方法の特例) 第八条 法第四十五条第一項第一号イ(1)及び(2)に掲げる金額を算出する場合において、役員が寄附者であって、他の寄附者のうちに当該役員の配偶者及び三親等以内の親族並びに当該役員と特殊の関係のある者があるときは、これらの者は当該役員と同一の者とみなす。 (判定基準寄附者について明らかにすべき事項) 第九条 法第四十五条第一項第一号ロに規定する内閣府令で定める事項は、寄附者の氏名(法人にあっては、その名称)及びその住所とする。 (事業活動のうちにその対象が会員等である活動等の占める割合) 第十条 法第四十五条第一項第二号に規定する内閣府令で定める割合は、実績判定期間において、当該申請に係る特定非営利活動法人の行った事業活動に係る事業費の額、従事者の作業時間数その他の合理的な指標により当該事業活動のうちに同号イ、ロ、ハ又はニに掲げる活動の占める割合を算定する方法により算定した割合とする。 (会員に類するもの) 第十一条 法第四十五条第一項第二号イに規定する内閣府令で定める者は、次に掲げる者とする。 一 当該申請に係る特定非営利活動法人から継続的に若しくは反復して資産の譲渡等(法第四十五条第一項第二号イに規定する資産の譲渡等をいう。以下同じ。)を受ける者又は相互の交流、連絡若しくは意見交換に参加する者として当該申請に係る特定非営利活動法人の帳簿又は書類その他に氏名(法人にあっては、その名称)が記載された者であって、当該申請に係る特定非営利活動法人から継続的に若しくは反復して資産の譲渡等を受け、又は相互の交流、連絡若しくは意見交換に参加する者 二 当該申請に係る特定非営利活動法人の役員 (特定非営利活動法人の運営又は業務の執行に関係しない者) 第十二条 法第四十五条第一項第二号イに規定する当該申請に係る特定非営利活動法人の運営又は業務の執行に関係しない者で内閣府令で定めるものは、当該申請に係る特定非営利活動法人が行う不特定多数の者を対象とする資産の譲渡等の相手方であって、当該資産の譲渡等以外の当該申請に係る特定非営利活動法人の活動に関係しない者とする。 (その対象が会員等である資産の譲渡等から除かれる活動) 第十三条 法第四十五条第一項第二号イに規定する内閣府令で定める活動は、次に掲げるものとする。 一 当該申請に係る特定非営利活動法人が行う資産の譲渡等で、その対価として当該資産の譲渡等に係る通常の対価の額のおおむね百分の十程度に相当する額以下のもの及び交通費、消耗品費その他当該資産の譲渡等に付随して生ずる費用でその実費に相当する額(次号において「付随費用の実費相当額」という。)以下のものを会員等(法第四十五条第一項第二号イに規定する会員等をいう。以下同じ。)から得て行うもの 二 当該申請に係る特定非営利活動法人が行う役務の提供で、最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第一項の規定により使用者が労働者に支払わなければならないこととされている賃金の算定の基礎となる同法第九条第一項に規定する地域別最低賃金の額を会員等が当該申請に係る特定非営利活動法人に支払う当該役務の提供の対価の額の算定の基礎となる額とみなして、これと当該役務の提供の従事者の作業時間数に基づいて算出される金額におおむね相当する額以下のもの及び付随費用の実費相当額以下のものをその対価として会員等から得て行うもの 三 法別表第十九号に掲げる活動又は同表第二十号の規定により同表第十九号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県若しくは指定都市の条例で定める活動を主たる目的とする特定非営利活動法人が行うその会員等の活動(公益社団法人若しくは公益財団法人である会員等又は認定特定非営利活動法人である会員等が参加しているものに限る。)に対する助成 (その便益の及ぶ者が特定の範囲の者である活動から除かれる活動) 第十四条 法第四十五条第一項第二号ロに規定する内閣府令で定める活動は、前条第三号に掲げる活動とする。 (特定の地域) 第十五条 法第四十五条第一項第二号ロ(4)に規定する内閣府令で定める地域は、一の市町村(特別区を含むものとし、指定都市にあっては、区又は総合区)の区域の一部で地縁に基づく地域とする。 (特殊の関係) 第十六条 法第四十五条第一項第三号イ(1)に規定する内閣府令で定める特殊の関係は、次に掲げる関係とする。 一 婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある関係 二 使用人である関係及び使用人以外の者で当該役員から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している関係 三 前二号に掲げる関係のある者の配偶者及び三親等以内の親族でこれらの者と生計を一にしている関係 (特定の法人との関係) 第十七条 法第四十五条第一項第三号イ(2)に規定する内閣府令で定める関係は、一の者(法人に限る。)が法人の発行済株式又は出資(その有する自己の株式又は出資を除く。以下この条において「発行済株式等」という。)の総数又は総額の百分の五十以上の数又は金額の株式又は出資を保有する場合における当該一の者と当該法人との間の関係(以下この条において「直接支配関係」という。)とする。 この場合において、当該一の者及びこれとの間に直接支配関係がある一若しくは二以上の法人又は当該一の者との間に直接支配関係がある一若しくは二以上の法人が他の法人の発行済株式等の総数又は総額の百分の五十以上の数又は金額の株式又は出資を保有するときは、当該一の者は当該他の法人の発行済株式等の総数又は総額の百分の五十以上の数又は金額の株式又は出資を保有するものとみなす。 (役員又は使用人である者との特殊の関係) 第十八条 法第四十五条第一項第三号イ(2)に規定する内閣府令で定める特殊の関係は、第十六条第二号中「役員」とあるのを「役員又は使用人である者」と読み替えた場合における同条各号に掲げる関係とする。 (特定の者の数の役員の総数のうちに占める割合の基準の適合に関する判定) 第十九条 法第四十五条第一項第三号イに掲げる基準に適合するか否かの判定に当たっては、当該特定非営利活動法人の責めに帰することのできない事由により当該基準に適合しないこととなった場合において、その後遅滞なく当該基準に適合していると認められるときは、当該基準に継続して適合しているものとみなす。 (取引の記録並びに帳簿及び書類の保存) 第二十条 法第四十五条第一項第三号ハの規定による取引の記録並びに帳簿及び書類の保存は、法人税法施行規則(昭和四十年大蔵省令第十二号)第五十三条から第五十九条までの規定に準じて行うものとする。 (不適正な経理) 第二十一条 法第四十五条第一項第三号ニに規定する内閣府令で定める経理は、当該特定非営利活動法人の経理でその支出した金銭の費途が明らかでないものがあるもの、帳簿に虚偽の記載があるものその他の不適正な経理とする。 (役員、社員、職員若しくは寄附者等との特殊の関係) 第二十二条 法第四十五条第一項第四号ロに規定する内閣府令で定める特殊の関係は、第十六条第二号中「役員」とあるのを「役員、社員、職員若しくは寄附者又はこれらの者の配偶者若しくは三親等以内の親族」と読み替えた場合における同条各号に掲げる関係とする。 (特定の者と特別の関係がないものとされる基準) 第二十三条 法第四十五条第一項第四号ロに規定する内閣府令で定める基準は、次に掲げる基準とする。 一 当該役員の職務の内容、当該特定非営利活動法人の職員に対する給与の支給の状況、当該特定非営利活動法人とその活動内容及び事業規模が類似するものの役員に対する報酬の支給の状況等に照らして当該役員に対する報酬の支給として過大と認められる報酬の支給を行わないことその他役員等(役員、社員、職員若しくは寄附者若しくはこれらの者の配偶者若しくは三親等以内の親族又はこれらの者と前条に規定する特殊の関係のある者をいう。以下この項並びに第三十二条第一項第三号ロ及び第五号において同じ。)に対し報酬又は給与の支給に関して特別の利益を与えないこと。 二 役員等又は役員等が支配する法人に対しその対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額に比して著しく過少と認められる資産の譲渡を行わないことその他これらの者と当該特定非営利活動法人との間の資産の譲渡等に関して特別の利益を与えないこと。 三 役員等に対し役員の選任その他当該特定非営利活動法人の財産の運用及び事業の運営に関して特別の利益を与えないこと。 四 営利を目的とした事業を行う者、法第四十五条第一項第四号イ(1)、(2)若しくは(3)に掲げる活動を行う者又は同号イ(3)に規定する特定の公職の候補者若しくは公職にある者に対し、寄附を行わないこと。 (特定非営利活動に係る事業費の額の占める割合に準ずる割合) 第二十四条 法第四十五条第一項第四号ハに規定する内閣府令で定める割合は、実績判定期間において、当該申請に係る特定非営利活動法人の行った事業活動に係る従事者の作業時間数その他の合理的な指標により当該事業活動のうちに特定非営利活動が占める割合を算定する方法により算定した割合とする。 (小規模法人に関する特例) 第二十五条 令第五条第二項に規定する内閣府令で定める要件は、第四条各号に掲げるものとする。 2 令第五条第二項第一号に規定する内閣府令で定めるものは、第五条第一号から第五号まで及び第八号に掲げるものとする。 3 令第五条第二項第二号に規定する内閣府令で定める寄附金の額は、第七条第一号及び第四号に掲げる金額とする。 (認定に関する意見聴取) 第二十六条 所轄庁が、法第四十七条第四号に掲げる事由の有無について、法第四十八条第二号に定める者の意見を聴くときは、当該申請に係る特定非営利活動法人から提出された滞納処分に係る国税又は地方税の納税証明書を示して行うものとする。 (所轄庁以外の関係知事に対する認定の通知等) 第二十七条 法第四十九条第三項に規定する内閣府令で定める事項は、当該認定に係る特定非営利活動法人の次に掲げる事項とする。 一 名称 二 代表者の氏名 三 主たる事務所及び法第四十九条第三項の通知を受ける所轄庁以外の関係知事(同項に規定する所轄庁以外の関係知事をいう。以下同じ。)の管轄する区域内に所在するその他の事務所の所在場所及び電話番号(ファクシミリの番号を含む。)その他の連絡先 四 当該認定の有効期間 2 法第四十九条第四項の規定による同項各号に掲げる書類の提出は、様式第一号により作成した提出書を所轄庁以外の関係知事に提出してするものとする。 (認定の有効期間の更新の届出) 第二十八条 法第五十一条第五項において準用する法第四十九条第四項(第一号に係る部分を除く。)の規定による同項第二号及び第三号に掲げる書類の提出は、様式第二号により作成した提出書を所轄庁以外の関係知事に提出してするものとする。 (認定の有効期間の更新に関する認定特定非営利活動法人の認定に係る規定の準用) 第二十九条 第四条から第二十六条までの規定は、法第五十一条第二項の有効期間の更新について準用する。 (所轄庁の変更を伴う定款の変更の認証の申請の添付書類) 第三十条 法第五十二条第三項に規定する内閣府令で定める書類は、次の各号に掲げる書類とする。 一 法第四十四条第二項の規定により所轄庁に提出した同項第一号に規定する寄附者名簿その他の同項各号に掲げる添付書類の写し 二 認定に関する書類の写し 三 法第五十五条第一項の規定により所轄庁に提出した直近の法第五十四条第二項第二号から第四号までに掲げる書類の写し 四 法第五十五条第二項の規定により所轄庁に提出した直近の法第五十四条第三項の書類の写し (定款の変更の通知等) 第三十一条 所轄庁は、法第五十三条第三項の通知をしようとするときは、当該認定特定非営利活動法人の第二十七条第一項各号に掲げる事項について通知するものとする。 2 法第五十三条第四項の規定による法第四十九条第四項各号に掲げる書類の提出は、様式第三号により作成した提出書を所轄庁以外の関係知事に提出してするものとする。 (認定特定非営利活動法人がその事務所に備え置くべき書類) 第三十二条 法第五十四条第二項第三号に規定する内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 収益の源泉別の明細、借入金の明細その他の資金に関する事項 二 資産の譲渡等に係る事業の料金、条件その他その内容に関する事項 三 次に掲げる取引に係る取引先、取引金額その他その内容に関する事項 イ 収益の生ずる取引及び費用の生ずる取引のそれぞれについて、取引金額の最も多いものから順次その順位を付した場合におけるそれぞれ第一順位から第五順位までの取引 ロ 役員等との取引 四 寄附者(当該認定特定非営利活動法人の役員、役員の配偶者若しくは三親等以内の親族又は役員と特殊の関係のある者で、前事業年度における当該認定特定非営利活動法人に対する寄附金の額の合計額が二十万円以上であるものに限る。)の氏名並びにその寄附金の額及び受領年月日 五 役員等に対する報酬又は給与の状況 イ 役員等に対する報酬又は給与の支給の状況(ロに係る部分を除く。) ロ 給与を得た職員の総数及び当該職員に対する給与の総額に関する事項 六 支出した寄附金の額並びにその相手先及び支出年月日 七 海外への送金又は金銭の持出しを行った場合におけるその金額及び使途並びにその実施日 2 法第五十四条第二項第四号に規定する内閣府令で定める書類は、法第四十五条第一項第三号(ロに係る部分を除く。)、第四号イ及びロ、第五号並びに第七号に掲げる基準に適合している旨並びに法第四十七条各号のいずれにも該当していない旨を説明する書類とする。 第二節 特例認定特定非営利活動法人 (所轄庁以外の関係知事への書類の提出) 第三十三条 法第六十二条において準用する法第四十九条第四項の規定による同項各号に掲げる書類の提出は、様式第四号により作成した提出書を所轄庁以外の関係知事に提出してするものとする。 2 法第六十二条において準用する法第五十三条第四項の規定による法第四十九条第四項各号に掲げる書類の提出は、様式第五号により作成した提出書を法第六十二条において準用する法第五十三条第四項の都道府県知事に提出してするものとする。 (特例認定特定非営利活動法人に関する認定特定非営利活動法人に係る規定の準用) 第三十四条 第二十六条の規定は所轄庁が法第六十二条において準用する法第四十七条第四号に掲げる事由の有無につき法第六十二条において準用する法第四十八条第二号に定める者の意見を聴くときについて、第二十七条の規定は法第六十二条において準用する法第四十九条第三項に規定する内閣府令で定める事項について、第三十条の規定は法第六十二条において準用する法第五十二条第三項に規定する内閣府令で定める書類について、第三十一条第一項の規定は所轄庁が法第六十二条において準用する法第五十三条第三項の通知をしようとするときについて、第三十二条の規定は法第六十二条において準用する法第五十四条第二項第三号に規定する内閣府令で定める事項について、それぞれ準用する。 第三節 認定特定非営利活動法人等の合併 (合併の認定の通知等) 第三十五条 法第六十三条第一項の認定又は同条第二項の認定の申請を受けた所轄庁は、直ちに、合併によって消滅する各特定非営利活動法人の事務所が所在する都道府県の知事又は指定都市の長にその旨を通知するものとする。 2 前項の規定により通知をした所轄庁は、同項の通知に係る申請に対する処分をしたときは、直ちに、その旨を同項の通知を受けた都道府県の知事又は指定都市の長に通知するものとする。 3 法第六十三条第五項において準用する法第四十九条第四項の規定による同項各号に掲げる書類の提出は、様式第六号により作成した提出書を所轄庁以外の関係知事に提出してするものとする。 4 法第六十三条第五項において準用する法第六十二条において準用する法第四十九条第四項の規定による同項各号に掲げる書類の提出は、様式第七号により作成した提出書を所轄庁以外の関係知事に提出してするものとする。 5 第四条から第二十七条までの規定は、法第六十三条第一項の認定及び同条第二項の認定について準用する。 この場合において、第十条、第十一条各号、第十二条、第十三条第一号及び第二号、第二十四条並びに第二十六条中「当該申請に係る」とあるのは「合併後存続する特定非営利活動法人又は合併により設立した」と、同条中「滞納処分」とあるのは「合併後存続する特定非営利活動法人及び合併によって消滅する各特定非営利活動法人(合併によって特定非営利活動法人を設立する場合にあっては、合併によって消滅する各特定非営利活動法人)の滞納処分」と読み替えるものとする。
民事
Heisei
MinisterialOrdinance
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平成二十三年法務省令第十六号
46
東日本大震災の被災者等に係る登記事項証明書等の交付についての手数料の特例に関する省令 (東日本大震災の被災者等が被災建物に係る登記事項証明書等を取得する場合の手数料の免除) 第一条 東日本大震災の被災者等に係る登記事項証明書等の交付についての手数料の特例に関する政令(以下「令」という。)第一条の規定の適用を受けようとする者は、令第一条第一項第一号又は第三号の市町村(特別区を含む。以下同じ。)の長の証明に係る書面で東日本大震災によりその所有する建物又は賃借権を有する建物に被害を受けた者の氏名又は名称及び住所又は本店若しくは主たる事務所の所在地並びに当該建物の所在地の記載があるものを提示しなければならない。 2 相続人が令第一条の規定の適用を受けようとする場合には、当該相続人の戸籍の謄本その他の適用を受けようとする者が当該相続人に該当することを証する書面を提示しなければならない。 (東日本大震災の被災者等が被災船舶に係る登記事項証明書を取得する場合の手数料の免除) 第二条 令第二条の規定の適用を受けようとする者は、令第二条第一号又は第三号の被災証明書面で東日本大震災によりその所有する船舶又は賃借権を有する船舶に被害を受けた者の氏名又は名称及び住所又は本店若しくは主たる事務所の所在地並びに当該船舶の船籍港(漁船の場合にあっては、船籍港又は主たる根拠地)の記載があるものを提示しなければならない。 2 相続人が令第二条の規定の適用を受けようとする場合には、当該相続人の戸籍の謄本その他の適用を受けようとする者が当該相続人に該当することを証する書面を提示しなければならない。 3 令第二条第一号に規定する法務省令で定める書面は、次に掲げる書面のうちいずれかの書面とする。 一 船舶原簿に記録されている事項を証明した書面で当該船舶の登録が抹消された事実を証するもの 二 漁船原簿の謄本で当該漁船の登録が抹消された事実を証するもの 三 船員法(昭和二十二年法律第百号)第十九条の規定による報告(同条第一号に係るものに限る。)に関する書類の写しで船員法施行規則(昭和二十二年運輸省令第二十三号)第十五条の規定による地方運輸局長の証明があるもの 四 当該船舶につき被害を受けたことを証する市町村の長が発行する書面
民事
Heisei
Act
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平成二十五年法律第四十八号
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国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、不法な連れ去り又は不法な留置がされた場合において子をその常居所を有していた国に返還すること等を定めた国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(以下「条約」という。)の的確な実施を確保するため、我が国における中央当局を指定し、その権限等を定めるとともに、子をその常居所を有していた国に迅速に返還するために必要な裁判手続等を定め、もって子の利益に資することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 条約締約国 日本国及び日本国との間で条約が効力を有している条約の締約国(当該締約国が条約第三十九条第一項又は第四十条第一項の規定による宣言をしている場合にあっては、当該宣言により条約が適用される当該締約国の領域の一部又は領域内の地域)をいう。 二 子 父母その他の者に監護される者をいう。 三 連れ去り 子をその常居所を有する国から離脱させることを目的として当該子を当該国から出国させることをいう。 四 留置 子が常居所を有する国からの当該子の出国の後において、当該子の当該国への渡航が妨げられていることをいう。 五 常居所地国 連れ去りの時又は留置の開始の直前に子が常居所を有していた国(当該国が条約の締約国であり、かつ、条約第三十九条第一項又は第四十条第一項の規定による宣言をしている場合にあっては、当該宣言により条約が適用される当該国の領域の一部又は領域内の地域)をいう。 六 不法な連れ去り 常居所地国の法令によれば監護の権利を有する者の当該権利を侵害する連れ去りであって、当該連れ去りの時に当該権利が現実に行使されていたもの又は当該連れ去りがなければ当該権利が現実に行使されていたと認められるものをいう。 七 不法な留置 常居所地国の法令によれば監護の権利を有する者の当該権利を侵害する留置であって、当該留置の開始の時に当該権利が現実に行使されていたもの又は当該留置がなければ当該権利が現実に行使されていたと認められるものをいう。 八 子の返還 子の常居所地国である条約締約国への返還をいう。 第二章 子の返還及び子との面会その他の交流に関する援助 第一節 中央当局の指定 第三条 我が国の条約第六条第一項の中央当局は、外務大臣とする。 第二節 子の返還に関する援助 第一款 外国返還援助 (外国返還援助申請) 第四条 日本国への連れ去りをされ、又は日本国において留置をされている子であって、その常居所地国が条約締約国であるものについて、当該常居所地国の法令に基づき監護の権利を有する者は、当該連れ去り又は留置によって当該監護の権利が侵害されていると思料する場合には、日本国からの子の返還を実現するための援助(以下「外国返還援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 外国返還援助の申請(以下「外国返還援助申請」という。)を行おうとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出しなければならない。 一 外国返還援助申請をする者(以下この款において「申請者」という。)の氏名又は名称及び住所若しくは居所又は事務所(外国返還援助申請において返還を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)の常居所地国におけるものに限る。第七条第一項第四号において同じ。)の所在地 二 申請に係る子の氏名、生年月日及び住所又は居所(これらの事項が明らかでないときは、その旨)その他申請に係る子を特定するために必要な事項 三 申請に係る子の連れ去りをし、又は留置をしていると思料される者の氏名その他当該者を特定するために必要な事項 四 申請に係る子の常居所地国が条約締約国であることを明らかにするために必要な事項 五 申請に係る子の常居所地国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有し、かつ、申請に係る子の連れ去り又は留置により当該監護の権利が侵害されていることを明らかにするために必要な事項 六 申請に係る子と同居していると思料される者の氏名、住所又は居所その他当該者を特定するために必要な事項(これらの事項が明らかでないときは、その旨) 3 前項の申請書には、同項第五号に掲げる事項を証明する書類その他外務省令で定める書類を添付しなければならない。 4 外国返還援助申請は、日本国以外の条約締約国の中央当局(条約第六条に規定する中央当局をいう。以下同じ。)を経由してすることができる。 この場合において、申請者は、第二項各号に掲げる事項を記載した書面(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)及び前項に規定する書類を外務大臣に提出しなければならない。 (子の住所等に関する情報の提供の求め等) 第五条 外務大臣は、外国返還援助申請があった場合において、必要と認めるときは、申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の氏名及び住所又は居所を特定するため、政令で定めるところにより、次に掲げる機関及び法人(第十五条第一項において「国の行政機関等」という。)の長、地方公共団体の長その他の執行機関並びに申請に係る子及び申請に係る子と同居している者に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その有する当該氏名又は当該住所若しくは居所に関する情報の提供を求めることができる。 一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。) 二 内閣府並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関 三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関 四 内閣府設置法第四十条第二項及び第五十六条の特別の機関 五 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関 六 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人 七 国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人 2 前項の場合において、同項に規定する情報の提供を求められた者は、遅滞なく、当該情報を外務大臣に提供するものとする。 3 外務大臣は、前項の規定により提供された情報が、申請に係る子が日本国内に所在していることを示すものであるが、申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の所在を特定するために十分でない場合には、外務省令で定めるところにより、都道府県警察に対し、当該情報を提供して、これらの者の所在を特定するために必要な措置をとることを求めることができる。 4 前項に規定するもののほか、外務大臣からの第二項の規定により提供された情報及び前項の規定による都道府県警察の措置によって得られた情報の提供は、次に掲げる場合に限り、行うことができる。 一 第二十六条の規定による子の返還の申立て又は子との面会その他の交流の定めをすること若しくはその変更を求める家事審判若しくは家事調停の申立てをするために申請に係る子と同居している者の氏名を必要とする申請者から当該氏名の開示を求められた場合において、当該氏名を当該申請者に開示するとき。 二 申請に係る子についての第二十九条に規定する子の返還に関する事件若しくは子の返還の強制執行に係る事件が係属している裁判所又は申請に係る子についての子との面会その他の交流に関する事件若しくは子との面会その他の交流の強制執行に係る事件が係属している裁判所から、その手続を行うために申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の住所又は居所の確認を求められた場合において、当該住所又は居所をこれらの裁判所に開示するとき。 三 第十条第一項の規定により、市町村、都道府県の設置する福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所をいう。以下この号及び同項において同じ。)又は児童相談所(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)に規定する児童相談所をいう。同号及び同項において同じ。)に対し、申請に係る子が虐待を受けているおそれがあると信ずるに足りる相当な理由がある旨を通告する場合において、申請に係る子及び申請に係る子と同居していると思料される者の氏名及び住所又は居所を当該市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所に通知するとき。 (外国返還援助の決定及び通知) 第六条 外務大臣は、外国返還援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合及び第八条第一項の規定により当該外国返還援助申請に係る書類の写しを送付する場合を除き、外国返還援助の決定(以下「外国返還援助決定」という。)をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知(申請者が第四条第四項の規定により日本国以外の条約締約国の中央当局を経由して外国返還援助申請をした場合にあっては、当該中央当局を経由してする通知。次条第二項及び第八条第二項において同じ。)をしなければならない。 2 外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第九条又は第十条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 三 この法律に定める手続その他子の返還又は子との面会その他の交流の実現に関連する日本国の法令に基づく制度に関する情報の申請者への提供 (外国返還援助申請の却下) 第七条 外務大臣は、外国返還援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国返還援助申請を却下する。 一 申請に係る子が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が日本国内に所在していないことが明らかであり、かつ、申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が条約締約国以外の国又は地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所(申請者が法人その他の団体である場合にあっては、事務所の所在地)が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請に係る子の連れ去りの時又は留置の開始の時に、申請に係る子の常居所地国が条約締約国でなかったこと。 六 申請に係る子の常居所地国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有していないことが明らかであり、又は申請に係る子の連れ去り若しくは留置により当該監護の権利が侵害されていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により外国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならない。 (外国返還援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第八条 外務大臣は、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかである場合において、外国返還援助申請が前条第一項第四号に該当しないときは、第四条第二項の申請書(申請者が同条第四項の規定により外国返還援助申請をした場合にあっては、同項に規定する書面)及び同条第三項に規定する書類の写しを当該条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (合意による子の返還等の促進) 第九条 外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、申請に係る子について子の返還又は申請者との面会その他の交流を申請者及び申請に係る子を監護している者の合意により実現するため、これらの者の間の協議のあっせんその他の必要な措置をとることができる。 (子の虐待に係る通告) 第十条 外務大臣は、申請に係る子が日本国内に所在している場合において、虐待を受けているおそれがあると信ずるに足りる相当な理由があるときは、市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所に対し、その旨を通告しなければならない。 2 前項の規定による通告は、児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第六条第一項の規定による通告とみなして、同条第二項及び第三項並びに同法第七条及び第八条の規定を適用する。 第二款 日本国返還援助 (日本国返還援助申請) 第十一条 日本国以外の条約締約国への連れ去りをされ、又は日本国以外の条約締約国において留置をされている子であって、その常居所地国が日本国であるものについて、日本国の法令に基づき監護の権利を有する者は、当該連れ去り又は留置によって当該監護の権利が侵害されていると思料する場合には、日本国への子の返還を実現するための援助(以下「日本国返還援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 第四条第二項及び第三項の規定は、日本国返還援助の申請(以下「日本国返還援助申請」という。)について準用する。 この場合において、同条第二項第一号中「第七条第一項第四号」とあるのは「第十三条第一項第四号」と、同項第四号中「条約締約国」とあり、及び同項第五号中「申請に係る子の常居所地国」とあるのは「日本国」と読み替えるものとする。 (日本国返還援助の決定及び通知) 第十二条 外務大臣は、日本国返還援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合を除き、日本国返還援助の決定(以下「日本国返還援助決定」という。)をし、遅滞なく、日本国返還援助申請をした者(以下この款において「申請者」という。)にその旨を通知しなければならない。 2 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、第十四条に規定する措置をとるものとする。 3 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、前項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第十五条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 (日本国返還援助申請の却下) 第十三条 外務大臣は、日本国返還援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該日本国返還援助申請を却下する。 一 日本国返還援助申請において返還を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が日本国又は条約締約国以外の国若しくは地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所(申請者が法人その他の団体である場合にあっては、事務所の所在地)が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請に係る子の常居所地国が日本国でないことが明らかであること。 六 申請に係る子の連れ去りの時又は留置の開始の時に、申請に係る子が所在していると思料される国又は地域が条約締約国でなかったこと。 七 日本国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有していないことが明らかであり、又は申請に係る子の連れ去り若しくは留置により当該監護の権利が侵害されていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により日本国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由を通知しなければならない。 (日本国返還援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第十四条 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、第十一条第二項において準用する第四条第二項の申請書及び同条第三項に規定する書類の写しを申請に係る子が所在している条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (子の社会的背景に関する情報の条約締約国の中央当局への提供) 第十五条 外務大臣は、日本国への子の返還に関する事件が日本国以外の条約締約国の裁判所又はその他の審判を行う機関(以下この項及び次項において「外国裁判所等」という。)に係属しており、当該条約締約国の中央当局から当該子の返還に係る子の日本国内における心身、養育及び就学の状況その他の生活及び取り巻く環境の状況に関する情報の提供を求められた場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、当該条約締約国の中央当局に提供するために、政令で定めるところにより、国の行政機関等の長、地方公共団体の長その他の執行機関及び当該子に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その有する当該情報の提供を求めることができる。 一 当該中央当局が、当該外国裁判所等の依頼を受けて当該事件に関する調査を行うために外務大臣に対し当該情報の提供を求めており、かつ、当該調査以外の目的のために当該情報を利用するおそれがないと認められるとき。 二 当該事件に係る外国裁判所等の手続の当事者(当該子が当該手続の当事者である場合にあっては、当該子を除く。)が当該情報を当該中央当局に提供することに同意しているとき。 2 前項の場合において、同項に規定する情報の提供を求められた者は、次の各号のいずれにも該当するときは、遅滞なく、当該情報を外務大臣に提供するものとする。 一 当該情報を前項に規定する中央当局に提供することによって同項に規定する子及び同項に規定する事件に係る外国裁判所等の手続の当事者の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認めるとき。 二 当該情報が、前項に規定する子及び同項に規定する事件に係る外国裁判所等の手続の当事者の知り得る状態にあり、かつ、これらの者以外の特定の個人を識別することができる情報を含まないとき。 3 外務大臣は、前項の規定により提供された情報を、第一項に規定する中央当局に対してのみ提供することができる。 第三節 子との面会その他の交流に関する援助 第一款 日本国面会交流援助 (日本国面会交流援助申請) 第十六条 日本国内に所在している子であって、面会その他の交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、当該国又は地域の法令に基づき面会その他の交流をすることができる者(日本国以外の条約締約国に住所又は居所を有しているものに限る。)は、当該子との面会その他の交流が妨げられていると思料する場合には、当該子との面会その他の交流を実現するための援助(以下「日本国面会交流援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 日本国面会交流援助の申請(以下「日本国面会交流援助申請」という。)を行おうとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出しなければならない。 一 日本国面会交流援助申請をする者(以下この款において「申請者」という。)の氏名及び住所又は居所 二 日本国面会交流援助申請において面会その他の交流を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)の氏名、生年月日及び住所又は居所(これらの事項が明らかでないときは、その旨)その他申請に係る子を特定するために必要な事項 三 申請に係る子との面会その他の交流を妨げていると思料される者の氏名その他当該者を特定するために必要な事項 四 申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国であることを明らかにするために必要な事項 五 申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができ、かつ、申請者の申請に係る子との面会その他の交流が妨げられていることを明らかにするために必要な事項 六 申請に係る子と同居していると思料される者の氏名、住所又は居所その他当該者を特定するために必要な事項(これらの事項が明らかでないときは、その旨) 3 前項の申請書には、同項第五号に掲げる事項を証明する書類その他外務省令で定める書類を添付しなければならない。 4 日本国面会交流援助申請は、日本国以外の条約締約国の中央当局を経由してすることができる。 この場合において、申請者は、第二項各号に掲げる事項を記載した書面(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)及び前項に規定する書類を外務大臣に提出しなければならない。 (日本国面会交流援助の決定及び通知) 第十七条 外務大臣は、日本国面会交流援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合及び第十九条第一項の規定により当該日本国面会交流援助申請に係る書類の写しを送付する場合を除き、日本国面会交流援助の決定(以下「日本国面会交流援助決定」という。)をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知(申請者が前条第四項の規定により日本国以外の条約締約国の中央当局を経由して日本国面会交流援助申請をした場合にあっては、当該中央当局を経由してする通知。次条第二項及び第十九条第二項において同じ。)をしなければならない。 2 外務大臣は、日本国面会交流援助決定をした場合には、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第二十条において準用する第九条又は第十条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 三 この法律に定める手続その他子との面会その他の交流の実現に関連する日本国の法令に基づく制度に関する情報の申請者への提供 (日本国面会交流援助申請の却下) 第十八条 外務大臣は、日本国面会交流援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該日本国面会交流援助申請を却下する。 一 申請に係る子が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が日本国内に所在していないことが明らかであり、かつ、申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が条約締約国以外の国又は地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請者が日本国内に住所若しくは居所を有していることが明らかであり、又は日本国以外の条約締約国に住所若しくは居所を有していないことが明らかであること。 六 申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国でないこと。 七 申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国若しくは地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができないことが明らかであり、又は申請者の申請に係る子との面会その他の交流が妨げられていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により日本国面会交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならない。 (日本国面会交流援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第十九条 外務大臣は、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかである場合において、日本国面会交流援助申請が前条第一項第四号に該当しないときは、第十六条第二項の申請書(申請者が同条第四項の規定により日本国面会交流援助申請をした場合にあっては、同項に規定する書面)及び同条第三項に規定する書類の写しを当該条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (日本国面会交流援助に関する準用規定) 第二十条 第五条、第九条及び第十条の規定は、外務大臣に対し日本国面会交流援助申請があった場合について準用する。 この場合において、第五条第四項第一号中「第二十六条の規定による子の返還の申立て又は子との面会その他の交流の定めをすること若しくはその変更を求める家事審判若しくは」とあるのは「子との面会その他の交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は」と、同項第二号中「第二十九条に規定する子の返還に関する事件若しくは子の返還の強制執行に係る事件が係属している裁判所又は申請に係る子についての子との面会その他の交流に関する事件若しくは」とあるのは「子との面会その他の交流に関する事件又は」と、「これらの」とあるのは「当該」と、第九条中「子の返還又は申請者」とあるのは「申請者」と読み替えるものとする。 第二款 外国面会交流援助 (外国面会交流援助申請) 第二十一条 日本国以外の条約締約国に所在している子であって、面会その他の交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、当該国又は地域の法令に基づき面会その他の交流をすることができる者(日本国内に住所又は居所を有しているものに限る。)は、当該子との面会その他の交流が妨げられていると思料する場合には、当該子との面会その他の交流を実現するための援助(以下「外国面会交流援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 第十六条第二項及び第三項の規定は、外国面会交流援助の申請(以下「外国面会交流援助申請」という。)について準用する。 (外国面会交流援助の決定及び通知) 第二十二条 外務大臣は、外国面会交流援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合を除き、外国面会交流援助の決定(以下「外国面会交流援助決定」という。)をし、遅滞なく、外国面会交流援助申請をした者(以下この款において「申請者」という。)にその旨を通知しなければならない。 2 外務大臣は、外国面会交流援助決定をした場合には、第二十四条に規定する措置をとるものとする。 3 外務大臣は、外国面会交流援助決定をした場合には、前項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第二十五条において準用する第十五条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 (外国面会交流援助申請の却下) 第二十三条 外務大臣は、外国面会交流援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国面会交流援助申請を却下する。 一 外国面会交流援助申請において面会その他の交流を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が日本国又は条約締約国以外の国若しくは地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請者が日本国内に住所又は居所を有していないことが明らかであること。 六 申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国でないこと。 七 申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国若しくは地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができないことが明らかであり、又は申請者の申請に係る子との面会その他の交流が妨げられていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により外国面会交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由を通知しなければならない。 (外国面会交流援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第二十四条 外務大臣は、外国面会交流援助決定をした場合には、第二十一条第二項において準用する第十六条第二項の申請書及び同条第三項に規定する書類の写しを申請に係る子が所在している条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨を通知しなければならない。 (外国面会交流援助に関する準用規定) 第二十五条 第十五条の規定は、外務大臣に対し外国面会交流援助申請があった場合について準用する。 この場合において、同条第一項中「日本国への子の返還」とあるのは「申請に係る子についての子との面会その他の交流」と、「当該子の返還に係る子」とあるのは「申請に係る子」と読み替えるものとする。 第三章 子の返還に関する事件の手続等 第一節 返還事由等 (条約に基づく子の返還) 第二十六条 日本国への連れ去り又は日本国における留置により子についての監護の権利を侵害された者は、子を監護している者に対し、この法律の定めるところにより、常居所地国に子を返還することを命ずるよう家庭裁判所に申し立てることができる。 (子の返還事由) 第二十七条 裁判所は、子の返還の申立てが次の各号に掲げる事由のいずれにも該当すると認めるときは、子の返還を命じなければならない。 一 子が十六歳に達していないこと。 二 子が日本国内に所在していること。 三 常居所地国の法令によれば、当該連れ去り又は留置が申立人の有する子についての監護の権利を侵害するものであること。 四 当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に、常居所地国が条約締約国であったこと。 (子の返還拒否事由等) 第二十八条 裁判所は、前条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるときは、子の返還を命じてはならない。 ただし、第一号から第三号まで又は第五号に掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して常居所地国に子を返還することが子の利益に資すると認めるときは、子の返還を命ずることができる。 一 子の返還の申立てが当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時から一年を経過した後にされたものであり、かつ、子が新たな環境に適応していること。 二 申立人が当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に子に対して現実に監護の権利を行使していなかったこと(当該連れ去り又は留置がなければ申立人が子に対して現実に監護の権利を行使していたと認められる場合を除く。)。 三 申立人が当該連れ去りの前若しくは当該留置の開始の前にこれに同意し、又は当該連れ去りの後若しくは当該留置の開始の後にこれを承諾したこと。 四 常居所地国に子を返還することによって、子の心身に害悪を及ぼすことその他子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があること。 五 子の年齢及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場合において、子が常居所地国に返還されることを拒んでいること。 六 常居所地国に子を返還することが日本国における人権及び基本的自由の保護に関する基本原則により認められないものであること。 2 裁判所は、前項第四号に掲げる事由の有無を判断するに当たっては、次に掲げる事情その他の一切の事情を考慮するものとする。 一 常居所地国において子が申立人から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(次号において「暴力等」という。)を受けるおそれの有無 二 相手方及び子が常居所地国に入国した場合に相手方が申立人から子に心理的外傷を与えることとなる暴力等を受けるおそれの有無 三 申立人又は相手方が常居所地国において子を監護することが困難な事情の有無 3 裁判所は、日本国において子の監護に関する裁判があったこと又は外国においてされた子の監護に関する裁判が日本国で効力を有する可能性があることのみを理由として、子の返還の申立てを却下する裁判をしてはならない。 ただし、これらの子の監護に関する裁判の理由を子の返還の申立てについての裁判において考慮することを妨げない。 第二節 子の返還に関する事件の手続の通則 (子の返還に関する事件の手続) 第二十九条 子の返還に関する事件(第三十二条第一項に規定する子の返還申立事件、第百二十一条の規定による調査及び勧告の事件並びに第百二十三条第二項に規定する出国禁止命令事件をいう。以下同じ。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第三十条 裁判所は、子の返還に関する事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に子の返還に関する事件の手続を追行しなければならない。 (最高裁判所規則) 第三十一条 この法律に定めるもののほか、子の返還に関する事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第三節 子の返還申立事件の手続 第一款 総則 第一目 管轄 (管轄) 第三十二条 子の返還申立事件(第二十六条の規定による子の返還の申立てに係る事件をいう。以下同じ。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。 一 子の住所地(日本国内に子の住所がないとき、又は住所が知れないときは、その居所地。次号において同じ。)が東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内にある場合 東京家庭裁判所 二 子の住所地が大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内にある場合 大阪家庭裁判所 2 子の返還申立事件は、日本国内に子の住所がない場合又は住所が知れない場合であって、日本国内に子の居所がないとき又は居所が知れないときは、東京家庭裁判所の管轄に属する。 (併合申立てによる管轄) 第三十三条 一の申立てにより数人の子についての子の返還を求める場合には、前条の規定により一人の子についての子の返還の申立てについて管轄権を有する家庭裁判所にその申立てをすることができる。 (管轄裁判所の指定) 第三十四条 管轄裁判所が法律上若しくは事実上裁判権を行うことができないとき、又は裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、最高裁判所は、申立てにより、管轄裁判所を定める。 (管轄の標準時) 第三十五条 裁判所の管轄は、子の返還の申立てがあった時を標準として定める。 (管轄の合意) 第三十六条 当事者は、第一審に限り、合意により第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所の一を管轄裁判所と定めることができる。 2 前項の合意は、子の返還の申立てに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。 3 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。 (移送等) 第三十七条 裁判所は、子の返還申立事件がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄権を有する家庭裁判所に移送する。 2 家庭裁判所は、前項に規定する場合において、子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に移送することができる。 3 第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所は、第一項に規定する場合において、子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を自ら処理することができる。 4 家庭裁判所は、子の返還申立事件がその管轄に属する場合においても、当該子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を他の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に移送することができる。 5 第一項、第二項及び前項の規定による移送の裁判並びに第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 6 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 7 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二十二条の規定は、子の返還申立事件の移送の裁判について準用する。 第二目 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第三十八条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者であるとき、又は当事者となる資格を有する者であるとき。 二 裁判官が当事者又は子の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又は子の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくは子の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第三十九条 裁判官について裁判の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第四十条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避については、その裁判官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで子の返還申立事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 子の返還申立事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官又は子の返還申立事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、子の返還申立事件の手続は、停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第四十一条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第三十八条、第三十九条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった子の返還申立事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (家庭裁判所調査官の除斥) 第四十二条 家庭裁判所調査官の除斥については、第三十八条並びに第四十条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。 2 家庭裁判所調査官について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった子の返還申立事件に関与することができない。 3 家庭裁判所調査官の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官の所属する裁判所がする。 第三目 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第四十三条 当事者能力、子の返還申立事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理、手続行為をするのに必要な授権及び法定代理権の消滅については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十三条、第三十四条第一項及び第二項並びに第三十六条第一項の規定を準用する。 2 未成年者及び成年被後見人は、法定代理人の同意を要することなく、又は法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 被保佐人又は被補助人について、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 3 後見人が他の者がした子の返還の申立て又は抗告について手続行為をするには、後見監督人の同意を要しない。 4 後見人が次に掲げる手続行為をするには、後見監督人の同意がなければならない。 一 子の返還の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する即時抗告、第百八条第一項の抗告又は第百十一条第二項の申立ての取下げ 三 第百四十四条の同意 (未成年者又は成年被後見人の法定代理人) 第四十四条 親権を行う者又は後見人は、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。 (特別代理人) 第四十五条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、子の返還申立事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法人の代表者等への準用) 第四十六条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第四目 参加 (当事者参加) 第四十七条 当事者となる資格を有する者は、当事者として子の返還申立事件の手続に参加することができる。 2 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者を、当事者として子の返還申立事件の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (子の参加) 第四十八条 子の返還申立事件において返還を求められている子は、子の返還申立事件の手続に参加することができる。 2 裁判所は、相当と認めるときは、職権で、返還を求められている子を、子の返還申立事件の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。 4 裁判所は、子の返還申立事件の手続に参加しようとする子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して当該子が当該手続に参加することが当該子の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出を却下しなければならない。 5 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 6 第一項又は第二項の規定により子の返還申立事件の手続に参加した子(以下単に「手続に参加した子」という。)は、当事者がすることができる手続行為(子の返還の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、手続に参加した子が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。 (手続からの排除) 第四十九条 裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を子の返還申立事件の手続から排除することができる。 2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第五目 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第五十条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (裁判長による手続代理人の選任等) 第五十一条 未成年者、成年被後見人、被保佐人及び被補助人(以下この条において「未成年者等」という。)が手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。 2 未成年者等が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。 3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し未成年者等が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。 (手続代理人の代理権の範囲) 第五十二条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加及び強制執行に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 一 子の返還の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する即時抗告、第百八条第一項の抗告若しくは第百十一条第二項の申立て又はこれらの取下げ 三 第百二十二条第三項に規定する出国禁止命令の申立て又はその取下げ 四 第百四十四条の同意 五 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用) 第五十三条 民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)、第三十六条第一項及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第五十四条 子の返還申立事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六目 手続費用 (手続費用の負担) 第五十五条 子の返還申立事件の手続の費用(以下「手続費用」という。)は、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び手続に参加した子がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の当事者に負担させることができる。 (手続費用の負担の裁判等) 第五十六条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における手続費用(裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合にあっては、家事調停に関する手続の費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。 ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。 2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合にあっては、家事調停に関する手続の費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。 事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。 3 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、子の返還申立事件の手続費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 (手続費用の立替え) 第五十七条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の子の返還申立事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第五十八条 民事訴訟法第六十八条から第七十四条までの規定(裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての決定に対する即時抗告に関する部分を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十三条第一項中「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成二十五年法律第四十八号)第四十七条第一項又は第四十八条第一項の規定による参加の申出」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第五十八条第一項において準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第四項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 (手続上の救助) 第五十九条 子の返還申立事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で子の返還の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第五十九条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七目 子の返還申立事件の審理等 (手続の非公開) 第六十条 子の返還申立事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (調書の作成等) 第六十一条 裁判所書記官は、子の返還申立事件の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第六十二条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、子の返還申立事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付(第四項第一号及び第六十九条第二項において「閲覧等」という。)又は子の返還申立事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、子の返還申立事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、当該申立てに係る許可をしなければならない。 4 裁判所は、子の返還申立事件の記録中、第五条第四項(第二号に係る部分に限る。)の規定により外務大臣から提供を受けた相手方又は子の住所又は居所が記載され、又は記録された部分(第一号及び第百四十九条第一項において「住所等表示部分」という。)については、前項の規定にかかわらず、同項の申立てに係る許可をしないものとする。 ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。 一 住所等表示部分の閲覧等又はその複製についての相手方の同意があるとき。 二 子の返還を命ずる終局決定が確定した後において、子の返還を命ずる終局決定に関する強制執行をするために必要があるとき。 5 裁判所は、子の返還申立事件において返還を求められている子の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、第三項及び前項ただし書の規定にかかわらず、第三項の申立てに係る許可をしないことができる。 事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てに係る許可をすることを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。 6 裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、当該申立てに係る許可をすることができる。 7 裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は子の返還申立事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 8 子の返還申立事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、子の返還申立事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 9 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 10 前項の規定による即時抗告が子の返還申立事件の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 11 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (期日及び期間) 第六十三条 子の返還申立事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。 2 子の返還申立事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 子の返還申立事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、子の返還申立事件の手続の期日及び期間について準用する。 (手続の併合等) 第六十四条 裁判所は、子の返還申立事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする子の返還申立事件についての手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第六十五条 当事者が子の返還申立事件の手続を続行することができない場合(当事者の死亡による場合を除く。)には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に子の返還申立事件の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者等による受継) 第六十六条 子の返還申立事件の申立人の死亡によってその手続を続行することができない場合には、当該子の返還申立事件において申立人となることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 前項の規定による受継の申立ては、子の返還申立事件の申立人が死亡した日から一月以内にしなければならない。 3 子の返還申立事件の相手方の死亡によってその手続を続行することができない場合には、裁判所は、申立てにより又は職権で、相手方が死亡した日から三月以内に限り、相手方の死亡後に子を監護している者に、その手続を受け継がせることができる。 (送達及び手続の中止) 第六十七条 送達及び子の返還申立事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは、「裁判を求める事項」と読み替えるものとする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第六十八条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第八目 電子情報処理組織による申立て等 第六十九条 子の返還申立事件の手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十第一項から第五項までの規定(支払督促に関する部分を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定によりされた申立て等に係る第六十二条第一項の規定による子の返還申立事件の記録の閲覧等は、同法第百三十二条の十第五項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第九目 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第六十九条の二 子の返還申立事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同条第一項中「者は、訴訟記録等」とあるのは「当事者又は手続に参加した子(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第四十八条第六項に規定する手続に参加した子をいう。次項及び第七項において同じ。)は、子の返還申立事件の記録」と、同条第二項中「当事者」とあるのは「当事者又は手続に参加した子」と、「訴訟記録等」とあるのは「子の返還申立事件の記録」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは手続に参加した子」と読み替えるものとする。 第二款 第一審裁判所における子の返還申立事件の手続 第一目 子の返還の申立て (申立ての方式等) 第七十条 子の返還の申立ては、申立書(以下「子の返還申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 子の返還申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 この場合において、第二号に掲げる申立ての趣旨は、返還を求める子及び子を返還すべき条約締約国を特定して記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨 三 子の返還申立事件の手続による旨 3 申立人は、一の申立てにより数人の子についての子の返還を求めることができる。 4 子の返還申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い子の返還の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、子の返還申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (申立ての変更) 第七十一条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨を変更することができる。 ただし、第八十九条の規定により審理を終結した後は、この限りでない。 2 申立ての趣旨の変更は、子の返還申立事件の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 家庭裁判所は、申立ての趣旨の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨の変更により子の返還申立事件の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 (申立書の写しの送付等) 第七十二条 子の返還の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、子の返還申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 2 前項の規定による子の返還申立書の写しの送付は、公示送達の方法によっては、することができない。 3 第七十条第四項から第六項までの規定は、第一項の規定による子の返還申立書の写しの送付をすることができない場合について準用する。 4 裁判長は、第一項の規定による子の返還申立書の写しの送付の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、子の返還申立書を却下しなければならない。 5 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 第二目 子の返還申立事件の手続の期日 (裁判長の手続指揮権) 第七十三条 子の返還申立事件の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が子の返還申立事件の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第七十四条 家庭裁判所は、受命裁判官に子の返還申立事件の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第八十二条第三項の規定又は第八十六条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第七十五条 家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、子の返還申立事件の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 子の返還申立事件の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第七十六条 子の返還申立事件の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、子の返還申立事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、手続に参加した子、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を、それぞれ準用する。 第三目 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第七十七条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 申立人及び相手方は、それぞれ第二十七条に規定する事由(第二十八条第一項第二号に規定する場合に関する事由を含む。)についての資料及び同項に規定する事由についての資料を提出するほか、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第七十八条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (家庭裁判所調査官による事実の調査) 第七十九条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。 4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。 (家庭裁判所調査官の期日への立会い等) 第八十条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、子の返還申立事件の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。 2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。 (裁判所技官による診断等) 第八十一条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 2 第七十九条第二項から第四項までの規定は前項の診断について、前条の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について、それぞれ準用する。 (事実の調査の嘱託等) 第八十二条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (調査の嘱託等) 第八十三条 家庭裁判所は、必要な調査を外務大臣に嘱託するほか、官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は学校、保育所その他適当と認める者に対し子の心身の状態及び生活の状況その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (事実の調査の通知) 第八十四条 家庭裁判所は、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び手続に参加した子に通知しなければならない。 (陳述の聴取) 第八十五条 家庭裁判所は、子の返還の申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。 ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。 (証拠調べ) 第八十六条 子の返還申立事件の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで及び第二百七条第二項の規定を除く。)を準用する。 この場合において、同法第百八十五条第一項中「地方裁判所若しくは簡易裁判所」とあるのは「他の家庭裁判所」と、同条第二項中「地方裁判所又は簡易裁判所」とあるのは「家庭裁判所」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 (不法を証する文書の提出) 第八十七条 家庭裁判所は、申立人が不法な連れ去り又は不法な留置があったことを証する文書を常居所地国において得ることができるときは、申立人に対し、当該文書を提出することを求めることができる。 第四目 子の返還申立事件の手続における子の意思の把握等 第八十八条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、終局決定をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 第五目 審理の終結等 (審理の終結) 第八十九条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。 ただし、当事者双方が立ち会うことができる子の返還申立事件の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。 (裁判日) 第九十条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、裁判をする日を定めなければならない。 第六目 裁判 (裁判の方式) 第九十一条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、決定で、裁判をする。 (終局決定) 第九十二条 家庭裁判所は、子の返還申立事件が裁判をするのに熟したときは、終局決定をする。 2 家庭裁判所は、子の返還申立事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局決定をすることができる。 手続の併合を命じた数個の子の返還申立事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (終局決定の告知及び効力の発生等) 第九十三条 終局決定は、当事者及び子に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 ただし、子(手続に参加した子を除く。)に対しては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。 2 終局決定は、当事者に告知することによってその効力を生ずる。 ただし、子の返還を命ずる終局決定は、確定しなければその効力を生じない。 3 終局決定は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 4 終局決定の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (終局決定の方式及び裁判書) 第九十四条 終局決定は、裁判書を作成してしなければならない。 2 終局決定の裁判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第九十五条 終局決定に誤記その他これに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の終局決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 終局決定に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (終局決定に関する民事訴訟法の準用) 第九十六条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、終局決定について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「終局決定が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (中間決定) 第九十七条 家庭裁判所は、終局決定の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (終局決定以外の裁判) 第九十八条 終局決定以外の裁判は、これを受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 終局決定以外の裁判については、これを受ける者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 3 第九十二条から第九十六条まで(第九十三条第一項及び第二項並びに第九十四条第一項を除く。)の規定は、前項の裁判について準用する。 この場合において、第九十四条第二項第二号中「理由」とあるのは、「理由の要旨」と読み替えるものとする。 4 子の返還申立事件の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 5 終局決定以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。 第七目 裁判によらない子の返還申立事件の終了 (子の返還の申立ての取下げ) 第九十九条 子の返還の申立ては、終局決定が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、申立ての取下げは、終局決定がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 2 前項ただし書の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。 ただし、申立ての取下げが子の返還申立事件の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。 3 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。 同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 4 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「子の返還申立事件の手続の期日」と読み替えるものとする。 (和解) 第百条 子の返還申立事件における和解については、民事訴訟法第八十九条、第二百六十四条及び第二百六十五条の規定を準用する。 この場合において、同法第二百六十四条及び第二百六十五条第三項中「口頭弁論等」とあるのは、「子の返還申立事件の手続」と読み替えるものとする。 2 子の返還申立事件においては、子の監護に関する事項、夫婦間の協力扶助に関する事項及び婚姻費用の分担に関する事項についても、和解をすることができる。 3 次の各号に掲げる事項についての和解を調書に記載したときは、その記載は、当該各号に定める裁判と同一の効力を有する。 一 子の返還 確定した子の返還を命ずる終局決定 二 子の監護に関する事項、夫婦間の協力扶助に関する事項及び婚姻費用の分担に関する事項 確定した家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第三十九条の規定による審判 三 その他の事項 確定判決 第三款 不服申立て 第一目 終局決定に対する即時抗告 (即時抗告をすることができる裁判) 第百一条 当事者は、終局決定に対し、即時抗告をすることができる。 2 子は、子の返還を命ずる終局決定に対し、即時抗告をすることができる。 3 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第百二条 終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 当事者又は手続に参加した子による即時抗告の期間は、即時抗告をする者が終局決定の告知を受けた日から進行する。 3 子(手続に参加した子を除く。)による即時抗告の期間は、当事者が終局決定の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第百三条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原決定の表示及びその決定に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による終局決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第七十条第四項及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第百四条 終局決定に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び手続に参加した子(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 (陳述の聴取) 第百五条 抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 (抗告裁判所による裁判) 第百六条 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、自ら裁判をしなければならない。 ただし、次条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。 (第一審の手続の規定及び民事訴訟法の準用等) 第百七条 終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前款の規定(第七十条第六項、第七十二条第二項及び第五項、第九十三条第三項及び第四項、第九十五条第三項から第五項まで並びに第九十八条第五項を除く。)を準用する。 2 抗告裁判所は、第百四条第一項の規定による抗告状の写しの送付をすることを要しないときは、前項において準用する第八十九条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。 3 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百九条までの規定は、終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第九十九条第四項」と、同法第二百九十九条第二項中「第六条第一項各号」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第三十二条第一項各号」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百五十条」と読み替えるものとする。 第二目 終局決定に対する特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第百八条 高等裁判所の終局決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (原裁判の執行停止) 第百九条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。 ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第百十条 第百二条第二項及び第三項、第百三条(第四項及び第五項を除く。)、第百四条、第百五条並びに第百七条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十条第一項において準用する同法第百三条第六項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百八条第二項の規定及び同法第百十条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百八条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三目 終局決定に対する許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第百十一条 高等裁判所の終局決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第百八条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の高等裁判所は、同項の終局決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第百八条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用) 第百十二条 第百二条第二項及び第三項、第百三条(第四項及び第五項を除く。)、第百四条、第百五条、第百七条並びに第百九条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第百二条第二項及び第三項、第百三条第一項、第二項第二号及び第三項、第百四条第一項並びに第百五条中「即時抗告」とあり、第百三条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第百九条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第百十一条第二項の申立て」と、第百三条第一項、第二項及び第六項、第百四条並びに第百七条第二項中「抗告状」とあるのは「第百十一条第二項の規定による許可の申立書」と、同条中「即時抗告」とあり、及び第百九条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「第百十一条第四項に規定する許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について、それぞれ準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第五項の規定及び同法第百十二条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第四目 終局決定以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第百十三条 終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第百十四条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、子の返還申立事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (即時抗告期間等) 第百十五条 終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 4 原裁判をした裁判所、裁判官又は裁判長は、即時抗告を理由があると認めるときは、その裁判を更正しなければならない。 (終局決定に対する不服申立ての規定の準用等) 第百十六条 前三目の規定(第百一条第一項及び第二項、第百二条第一項並びに同条第三項、第百四条及び第百五条(これらの規定を第百十二条第一項において準用する場合を含む。)並びに第百十条の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 この場合において、第百八条第一項中「高等裁判所の終局決定」とあるのは「家庭裁判所の終局決定以外の裁判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の終局決定以外の裁判」と、第百十一条第一項中「できる」とあるのは「できる。ただし、その決定が家庭裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る」と読み替えるものとする。 2 第百二条第二項及び第三項、第百三条並びに第百七条の規定は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第百三条第六項中「及び第五項」とあるのは、「から第六項まで」と読み替えるものとする。 3 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第二項において読み替えて準用する同法第百三条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において準用する同法第百八条第二項の規定及び同法第百十六条第三項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において読み替えて準用する同法第百八条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第四款 終局決定の変更 (終局決定の変更) 第百十七条 子の返還を命ずる終局決定をした裁判所(その決定に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定(第百七条第二項の規定による決定を除く。以下この項において同じ。)をしたときは、当該抗告裁判所)は、子の返還を命ずる終局決定が確定した後に、事情の変更によりその決定を維持することを不当と認めるに至ったときは、当事者の申立てにより、その決定(当該抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定をした場合にあっては、当該終局決定)を変更することができる。 ただし、子が常居所地国に返還された後は、この限りでない。 2 前項の規定による終局決定の変更の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 変更を求める終局決定の表示及びその決定に対して変更を求める旨 三 終局決定の変更を求める理由 3 裁判所は、第一項の規定により終局決定を変更するときは、当事者(同項の申立てをした者を除く。)の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の申立てを却下する終局決定に対しては、当該申立てをした者は、即時抗告をすることができる。 5 第一項の規定により終局決定を変更する決定に対しては、即時抗告をすることができる。 6 前各項に規定するもののほか、第一項の規定による終局決定の変更の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 (執行停止の裁判) 第百十八条 裁判所は、前条第一項の申立てがあった場合において、同項の規定による変更の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点につき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第五款 再審 (再審) 第百十九条 確定した終局決定その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により終局決定その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該終局決定その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第百二十条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第四節 義務の履行状況の調査及び履行の勧告 第百二十一条 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所(抗告裁判所が子の返還を命ずる終局決定をした場合にあっては、第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、子の返還の義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。 2 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。 3 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項及び第五項においてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を外務大臣に嘱託するほか、官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は学校、保育所その他適当と認める者に対し子の生活の状況その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 6 第一項の規定による調査及び勧告の手続には、その性質に反しない限り、前節第一款の規定を準用する。 7 前各項の規定は、和解によって定められた義務の履行について準用する。 第五節 出国禁止命令 (出国禁止命令) 第百二十二条 子の返還申立事件が係属する家庭裁判所は、子の返還申立事件の当事者が子を日本国外に出国させるおそれがあるときは、子の返還申立事件の一方の当事者の申立てにより、他方の当事者に対し、子を出国させてはならないことを命ずることができる。 2 家庭裁判所は、前項の規定による申立てに係る事件の相手方が子が名義人となっている旅券を所持すると認めるときは、申立てにより、同項の規定による裁判において、当該旅券の外務大臣への提出を命じなければならない。 3 子の返還申立事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前二項の規定による裁判(以下「出国禁止命令」という。)をする。 4 出国禁止命令は、子の返還の申立てについての終局決定の確定により、その効力を失う。 (出国禁止命令の申立て等) 第百二十三条 出国禁止命令の申立ては、その趣旨及び出国禁止命令を求める事由を明らかにしてしなければならない。 2 出国禁止命令を求める事由については、出国禁止命令の申立てに係る事件(以下「出国禁止命令事件」という。)の申立人が資料を提出しなければならない。 3 前条第二項の規定による裁判の申立ては、出国禁止命令があるまで、取り下げることができる。 4 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、出国禁止命令の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百二十三条第二項に規定する出国禁止命令事件の手続の期日」と読み替えるものとする。 (陳述の聴取) 第百二十四条 出国禁止命令は、出国禁止命令事件の相手方の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより出国禁止命令の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第百二十五条 裁判所は、第百三十三条において準用する第六十二条第三項の規定にかかわらず、出国禁止命令事件について、出国禁止命令事件の当事者から同条第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、出国禁止命令事件の相手方に対し、出国禁止命令事件が係属したことを通知し、又は出国禁止命令を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。 (出国禁止命令の告知及び効力) 第百二十六条 出国禁止命令の申立てについての裁判は、出国禁止命令事件の当事者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 出国禁止命令は、出国禁止命令事件の相手方に告知することによってその効力を生じ、出国禁止命令の申立てを却下する裁判は、出国禁止命令事件の申立人に告知することによってその効力を生ずる。 (即時抗告) 第百二十七条 出国禁止命令事件の当事者は、出国禁止命令の申立てについての裁判に対し、即時抗告をすることができる。 (即時抗告に伴う執行停止) 第百二十八条 前条の規定により即時抗告が提起された場合において、原裁判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原裁判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、又は担保を立てさせないで原裁判の執行の停止を命ずることができる。 出国禁止命令事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、この処分を命ずることができる。 2 第百二十三条第二項の規定は前項の申立てについて、第百九条第二項及び第三項の規定は前項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について、それぞれ準用する。 (出国禁止命令の取消し) 第百二十九条 第百二十二条第一項の規定による裁判が確定した後に、当該裁判を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、子の返還申立事件が係属する裁判所は、当該裁判を受けた者の申立てにより、当該裁判の取消しの裁判をすることができる。 2 裁判所が、第百二十二条第一項の規定による裁判を取り消す場合において、同条第二項の規定による裁判がされているときは、裁判所は、当該裁判をも取り消さなければならない。 3 第百二十三条及び前三条の規定は、第一項の申立て及び当該申立てについての裁判について準用する。 (調書の作成) 第百三十条 裁判所書記官は、出国禁止命令事件及び前条第一項の規定による申立てに係る事件(第百三十三条において「出国禁止命令取消事件」という。)の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (外務大臣による旅券の保管) 第百三十一条 外務大臣は、第百二十二条第二項の規定による裁判を受けた者から当該裁判に係る旅券の提出を受けたときは、当該旅券を保管しなければならない。 2 外務大臣は、出国禁止命令が効力を失ったときは、前項の旅券の提出を行った者の求めにより、当該旅券を返還しなければならない。 (過料の裁判) 第百三十二条 第百二十二条第二項の規定による裁判を受けた者が当該裁判に従わないときは、裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 (子の返還申立事件の手続規定の準用) 第百三十三条 出国禁止命令事件及び出国禁止命令取消事件の手続については、特別の定めがある場合を除き、第三節第一款から第三款まで及び第五款(第七十二条、第八十四条、第八十五条、第八十七条、第八十九条、第九十条、第九十九条及び第百条を除く。)の規定を準用する。 この場合において、第九十四条第二項第二号中「理由」とあるのは、「理由の要旨」と読み替えるものとする。 第四章 子の返還の執行手続に関する民事執行法の特則 (子の返還の強制執行) 第百三十四条 子の返還の強制執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百七十一条第一項の規定により執行裁判所が第三者に子の返還を実施させる決定をする方法により行うほか、同法第百七十二条第一項に規定する方法により行う。 2 前項の強制執行は、確定した子の返還を命ずる終局決定(確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有するものを含む。)の正本に基づいて実施する。 (子の年齢による子の返還の強制執行の制限) 第百三十五条 子が十六歳に達した場合には、民事執行法第百七十一条第一項の規定による子の返還の強制執行(同項の規定による決定に基づく子の返還の実施を含む。以下「子の返還の代替執行」という。)は、することができない。 2 民事執行法第百七十二条第一項に規定する方法による子の返還の強制執行の手続において、執行裁判所は、子が十六歳に達した日の翌日以降に子を返還しないことを理由として、同項の規定による金銭の支払を命じてはならない。 (子の返還の代替執行と間接強制との関係) 第百三十六条 子の返還の代替執行の申立ては、次の各号のいずれかに該当するときでなければすることができない。 一 民事執行法第百七十二条第一項の規定による決定が確定した日から二週間を経過したとき(当該決定において定められた債務を履行すべき一定の期間の経過がこれより後である場合にあっては、その期間を経過したとき)。 二 民事執行法第百七十二条第一項に規定する方法による強制執行を実施しても、債務者が常居所地国に子を返還する見込みがあるとは認められないとき。 三 子の急迫の危険を防止するため直ちに子の返還の代替執行をする必要があるとき。 (子の返還の代替執行の申立て) 第百三十七条 子の返還の代替執行の申立ては、債務者に代わって常居所地国に子を返還する者(以下「返還実施者」という。)となるべき者を特定してしなければならない。 (子の返還を実施させる決定) 第百三十八条 第百三十四条第一項の決定は、債務者による子の監護を解くために必要な行為をする者として執行官を指定し、かつ、返還実施者を指定してしなければならない。 2 執行裁判所は、民事執行法第百七十一条第三項の規定にかかわらず、子に急迫した危険があるときその他の審尋をすることにより強制執行の目的を達することができない事情があるときは、債務者を審尋しないで第百三十四条第一項の決定をすることができる。 (子の返還の代替執行の申立ての却下) 第百三十九条 執行裁判所は、第百三十七条の返還実施者となるべき者を前条の規定により返還実施者として指定することが子の利益に照らして相当でないと認めるときは、第百三十七条の申立てを却下しなければならない。 (執行官の権限等) 第百四十条 民事執行法第百七十五条(第八項を除く。)の規定は子の返還の代替執行における執行官の権限及び当該権限の行使に係る執行裁判所の裁判について、同法第百七十六条の規定は子の返還の代替執行の手続について、それぞれ準用する。 この場合において、同法第百七十五条第一項第二号中「債権者若しくはその代理人と子」とあるのは「返還実施者(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成二十五年法律第四十八号)第百三十七条に規定する返還実施者をいう。以下同じ。)、債権者若しくは同法第百四十条第一項において準用する第六項に規定する代理人と子」と、「又は債権者若しくはその代理人」とあるのは「又は返還実施者、債権者若しくは同項に規定する代理人」と、同項第三号及び同条第九項中「債権者又はその代理人」とあるのは「返還実施者、債権者又は国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百四十条第一項において準用する第六項に規定する代理人」と読み替えるものとする。 2 執行官は、前項において準用する民事執行法第百七十五条第一項又は第二項の規定による子の監護を解くために必要な行為をするに際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる。 3 執行官は、前項の規定にかかわらず、子に対して威力を用いることはできない。 子以外の者に対して威力を用いることが子の心身に有害な影響を及ぼすおそれがある場合においては、当該子以外の者についても、同様とする。 (返還実施者の権限等) 第百四十一条 返還実施者は、常居所地国に子を返還するために、子の監護その他の必要な行為をすることができる。 2 子の返還の代替執行の手続については、民事執行法第百七十一条第六項の規定は、適用しない。 3 前条第一項において準用する民事執行法第百七十六条の規定は、返還実施者について準用する。 (外務大臣の協力) 第百四十二条 外務大臣は、子の返還の代替執行に関し、立会いその他の必要な協力をすることができる。 (執行事件の記録の閲覧等) 第百四十三条 子の返還の強制執行に係る事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求については、第六十二条の規定を準用する。 第五章 家事事件の手続に関する特則 第一節 子の返還申立事件に係る家事調停の手続等 (付調停) 第百四十四条 家庭裁判所及び高等裁判所は、当事者の同意を得て、いつでも、職権で、子の返還申立事件を家事調停に付することができる。 (家事事件手続法の特則) 第百四十五条 裁判所は、前条の規定により事件を家事調停に付する場合においては、家事調停事件を自ら処理しなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を当該裁判所以外の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に処理させることができる。 2 第四十三条第二項の規定は、前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続における手続上の行為をすることができる能力について準用する。 3 前条の規定により事件を家事調停に付した場合において、当事者間に子の返還の合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、子の返還の合意に係る記載部分は、家事事件手続法第二百六十八条第一項の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。 4 前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続においてされた家事事件手続法第二百八十四条第一項の規定による審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判に代わる裁判を含む。以下この項及び第百四十七条において「調停に代わる審判」という。)について、同法第二百八十六条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十七条に規定する異議の申立てを却下する審判に代わる裁判を含む。)が確定したときは、当該調停に代わる審判のうち子の返還を命ずる部分は、同法第二百八十七条の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。 (子の返還申立事件の手続の中止) 第百四十六条 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付したときは、当該裁判所は、家事調停事件が終了するまで子の返還申立事件の手続を中止することができる。 (子の返還の申立ての取下げの擬制) 第百四十七条 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、又は調停に代わる審判が確定したときは、子の返還申立事件について申立ての取下げがあったものとみなす。 第二節 面会その他の交流についての家事審判及び家事調停の手続等に関する特則 (管轄の特則) 第百四十八条 外国返還援助決定若しくは日本国面会交流援助決定を受けた者又は子の返還の申立てをした者が、子との面会その他の交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は家事調停の申立てをする場合において、次の各号に掲げるときには、当該各号に定める家庭裁判所にも、これらの申立てをすることができる。 一 子の住所地(日本国内に子の住所がないとき、又は住所が知れないときは、その居所地。次号において同じ。)が東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内にあるとき 東京家庭裁判所 二 子の住所地が大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内にあるとき 大阪家庭裁判所 2 前項の申立てに係る審判事件及び調停事件は、日本国内に子の住所がない場合又は住所が知れない場合であって、日本国内に子の居所がないとき又は居所が知れないときは、東京家庭裁判所の管轄に属する。 (記録の閲覧等の特則) 第百四十九条 子との面会その他の交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判の申立てに係る事件の記録中に住所等表示部分がある場合には、裁判所は、当該住所等表示部分については、家事事件手続法第四十七条第三項の規定にかかわらず、同項の申立てに係る許可をしないものとする。 ただし、第六十二条第四項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、この限りでない。 2 子との面会その他の交流について定め、又はその変更について定める審判書又は調停調書の正本に基づく強制執行の申立てに係る事件の記録中に第五条第四項(第二号に係る部分に限る。)の規定により外務大臣から提供を受けた情報が記載され、又は記録されたものがある場合には、当該事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求については、第六十二条の規定を準用する。 第六章 過料の裁判の執行等 第百五十条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。 第七章 雑則 (審理の状況についての説明) 第百五十一条 子の返還申立事件の申立人又は外務大臣は、子の返還の申立てから六週間が経過したときは、当該子の返還申立事件が係属している裁判所に対し、審理の状況について説明を求めることができる。 (親権者の指定等についての審判事件の取扱い) 第百五十二条 親権者の指定若しくは変更又は子の監護に関する処分についての審判事件(人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第三十二条第一項に規定する附帯処分についての裁判及び同条第三項の親権者の指定についての裁判に係る事件を含む。以下この条において同じ。)が係属している場合において、当該審判事件が係属している裁判所に対し、当該審判事件に係る子について不法な連れ去り又は不法な留置と主張される連れ去り又は留置があったことが外務大臣又は当該子についての子の返還申立事件が係属する裁判所から通知されたときは、当該審判事件が係属している裁判所は、当該審判事件について裁判をしてはならない。 ただし、子の返還の申立てが相当の期間内にされないとき、又は子の返還の申立てを却下する裁判が確定したときは、この限りでない。 (総合法律支援法の適用に関する特例) 第百五十三条 条約締約国の国民又は条約締約国に常居所を有する者(日本国民又は我が国に住所を有し適法に在留する者を除く。)であって、連れ去り又は留置に係る子についての子の返還、子との面会その他の交流その他条約の適用に関係のある事項について民事裁判等手続(我が国の裁判所における民事事件、家事事件又は行政事件に関する手続をいう。)を利用するものは、当該事項に関する限り、総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)の適用については、同法第三十条第一項第二号に規定する国民等とみなす。
民事
Heisei
Act
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平成二十五年法律第四十八号
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国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、不法な連れ去り又は不法な留置がされた場合において子をその常居所を有していた国に返還すること等を定めた国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(以下「条約」という。)の的確な実施を確保するため、我が国における中央当局を指定し、その権限等を定めるとともに、子をその常居所を有していた国に迅速に返還するために必要な裁判手続等を定め、もって子の利益に資することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 条約締約国 日本国及び日本国との間で条約が効力を有している条約の締約国(当該締約国が条約第三十九条第一項又は第四十条第一項の規定による宣言をしている場合にあっては、当該宣言により条約が適用される当該締約国の領域の一部又は領域内の地域)をいう。 二 子 父母その他の者に監護される者をいう。 三 連れ去り 子をその常居所を有する国から離脱させることを目的として当該子を当該国から出国させることをいう。 四 留置 子が常居所を有する国からの当該子の出国の後において、当該子の当該国への渡航が妨げられていることをいう。 五 常居所地国 連れ去りの時又は留置の開始の直前に子が常居所を有していた国(当該国が条約の締約国であり、かつ、条約第三十九条第一項又は第四十条第一項の規定による宣言をしている場合にあっては、当該宣言により条約が適用される当該国の領域の一部又は領域内の地域)をいう。 六 不法な連れ去り 常居所地国の法令によれば監護の権利を有する者の当該権利を侵害する連れ去りであって、当該連れ去りの時に当該権利が現実に行使されていたもの又は当該連れ去りがなければ当該権利が現実に行使されていたと認められるものをいう。 七 不法な留置 常居所地国の法令によれば監護の権利を有する者の当該権利を侵害する留置であって、当該留置の開始の時に当該権利が現実に行使されていたもの又は当該留置がなければ当該権利が現実に行使されていたと認められるものをいう。 八 子の返還 子の常居所地国である条約締約国への返還をいう。 第二章 子の返還及び子との面会その他の交流に関する援助 第一節 中央当局の指定 第三条 我が国の条約第六条第一項の中央当局は、外務大臣とする。 第二節 子の返還に関する援助 第一款 外国返還援助 (外国返還援助申請) 第四条 日本国への連れ去りをされ、又は日本国において留置をされている子であって、その常居所地国が条約締約国であるものについて、当該常居所地国の法令に基づき監護の権利を有する者は、当該連れ去り又は留置によって当該監護の権利が侵害されていると思料する場合には、日本国からの子の返還を実現するための援助(以下「外国返還援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 外国返還援助の申請(以下「外国返還援助申請」という。)を行おうとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出しなければならない。 一 外国返還援助申請をする者(以下この款において「申請者」という。)の氏名又は名称及び住所若しくは居所又は事務所(外国返還援助申請において返還を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)の常居所地国におけるものに限る。第七条第一項第四号において同じ。)の所在地 二 申請に係る子の氏名、生年月日及び住所又は居所(これらの事項が明らかでないときは、その旨)その他申請に係る子を特定するために必要な事項 三 申請に係る子の連れ去りをし、又は留置をしていると思料される者の氏名その他当該者を特定するために必要な事項 四 申請に係る子の常居所地国が条約締約国であることを明らかにするために必要な事項 五 申請に係る子の常居所地国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有し、かつ、申請に係る子の連れ去り又は留置により当該監護の権利が侵害されていることを明らかにするために必要な事項 六 申請に係る子と同居していると思料される者の氏名、住所又は居所その他当該者を特定するために必要な事項(これらの事項が明らかでないときは、その旨) 3 前項の申請書には、同項第五号に掲げる事項を証明する書類その他外務省令で定める書類を添付しなければならない。 4 外国返還援助申請は、日本国以外の条約締約国の中央当局(条約第六条に規定する中央当局をいう。以下同じ。)を経由してすることができる。 この場合において、申請者は、第二項各号に掲げる事項を記載した書面(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)及び前項に規定する書類を外務大臣に提出しなければならない。 (子の住所等に関する情報の提供の求め等) 第五条 外務大臣は、外国返還援助申請があった場合において、必要と認めるときは、申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の氏名及び住所又は居所を特定するため、政令で定めるところにより、次に掲げる機関及び法人(第十五条第一項において「国の行政機関等」という。)の長、地方公共団体の長その他の執行機関並びに申請に係る子及び申請に係る子と同居している者に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その有する当該氏名又は当該住所若しくは居所に関する情報の提供を求めることができる。 一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。) 二 内閣府並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関 三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関 四 内閣府設置法第四十条第二項及び第五十六条の特別の機関 五 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関 六 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人 七 国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人 2 前項の場合において、同項に規定する情報の提供を求められた者は、遅滞なく、当該情報を外務大臣に提供するものとする。 3 外務大臣は、前項の規定により提供された情報が、申請に係る子が日本国内に所在していることを示すものであるが、申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の所在を特定するために十分でない場合には、外務省令で定めるところにより、都道府県警察に対し、当該情報を提供して、これらの者の所在を特定するために必要な措置をとることを求めることができる。 4 前項に規定するもののほか、外務大臣からの第二項の規定により提供された情報及び前項の規定による都道府県警察の措置によって得られた情報の提供は、次に掲げる場合に限り、行うことができる。 一 第二十六条の規定による子の返還の申立て又は子との面会その他の交流の定めをすること若しくはその変更を求める家事審判若しくは家事調停の申立てをするために申請に係る子と同居している者の氏名を必要とする申請者から当該氏名の開示を求められた場合において、当該氏名を当該申請者に開示するとき。 二 申請に係る子についての第二十九条に規定する子の返還に関する事件若しくは子の返還の強制執行に係る事件が係属している裁判所又は申請に係る子についての子との面会その他の交流に関する事件若しくは子との面会その他の交流の強制執行に係る事件が係属している裁判所から、その手続を行うために申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の住所又は居所の確認を求められた場合において、当該住所又は居所をこれらの裁判所に開示するとき。 三 第十条第一項の規定により、市町村、都道府県の設置する福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所をいう。以下この号及び同項において同じ。)又は児童相談所(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)に規定する児童相談所をいう。同号及び同項において同じ。)に対し、申請に係る子が虐待を受けているおそれがあると信ずるに足りる相当な理由がある旨を通告する場合において、申請に係る子及び申請に係る子と同居していると思料される者の氏名及び住所又は居所を当該市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所に通知するとき。 (外国返還援助の決定及び通知) 第六条 外務大臣は、外国返還援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合及び第八条第一項の規定により当該外国返還援助申請に係る書類の写しを送付する場合を除き、外国返還援助の決定(以下「外国返還援助決定」という。)をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知(申請者が第四条第四項の規定により日本国以外の条約締約国の中央当局を経由して外国返還援助申請をした場合にあっては、当該中央当局を経由してする通知。次条第二項及び第八条第二項において同じ。)をしなければならない。 2 外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第九条又は第十条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 三 この法律に定める手続その他子の返還又は子との面会その他の交流の実現に関連する日本国の法令に基づく制度に関する情報の申請者への提供 (外国返還援助申請の却下) 第七条 外務大臣は、外国返還援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国返還援助申請を却下する。 一 申請に係る子が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が日本国内に所在していないことが明らかであり、かつ、申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が条約締約国以外の国又は地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所(申請者が法人その他の団体である場合にあっては、事務所の所在地)が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請に係る子の連れ去りの時又は留置の開始の時に、申請に係る子の常居所地国が条約締約国でなかったこと。 六 申請に係る子の常居所地国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有していないことが明らかであり、又は申請に係る子の連れ去り若しくは留置により当該監護の権利が侵害されていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により外国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならない。 (外国返還援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第八条 外務大臣は、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかである場合において、外国返還援助申請が前条第一項第四号に該当しないときは、第四条第二項の申請書(申請者が同条第四項の規定により外国返還援助申請をした場合にあっては、同項に規定する書面)及び同条第三項に規定する書類の写しを当該条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (合意による子の返還等の促進) 第九条 外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、申請に係る子について子の返還又は申請者との面会その他の交流を申請者及び申請に係る子を監護している者の合意により実現するため、これらの者の間の協議のあっせんその他の必要な措置をとることができる。 (子の虐待に係る通告) 第十条 外務大臣は、申請に係る子が日本国内に所在している場合において、虐待を受けているおそれがあると信ずるに足りる相当な理由があるときは、市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所に対し、その旨を通告しなければならない。 2 前項の規定による通告は、児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第六条第一項の規定による通告とみなして、同条第二項及び第三項並びに同法第七条及び第八条の規定を適用する。 第二款 日本国返還援助 (日本国返還援助申請) 第十一条 日本国以外の条約締約国への連れ去りをされ、又は日本国以外の条約締約国において留置をされている子であって、その常居所地国が日本国であるものについて、日本国の法令に基づき監護の権利を有する者は、当該連れ去り又は留置によって当該監護の権利が侵害されていると思料する場合には、日本国への子の返還を実現するための援助(以下「日本国返還援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 第四条第二項及び第三項の規定は、日本国返還援助の申請(以下「日本国返還援助申請」という。)について準用する。 この場合において、同条第二項第一号中「第七条第一項第四号」とあるのは「第十三条第一項第四号」と、同項第四号中「条約締約国」とあり、及び同項第五号中「申請に係る子の常居所地国」とあるのは「日本国」と読み替えるものとする。 (日本国返還援助の決定及び通知) 第十二条 外務大臣は、日本国返還援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合を除き、日本国返還援助の決定(以下「日本国返還援助決定」という。)をし、遅滞なく、日本国返還援助申請をした者(以下この款において「申請者」という。)にその旨を通知しなければならない。 2 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、第十四条に規定する措置をとるものとする。 3 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、前項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第十五条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 (日本国返還援助申請の却下) 第十三条 外務大臣は、日本国返還援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該日本国返還援助申請を却下する。 一 日本国返還援助申請において返還を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が日本国又は条約締約国以外の国若しくは地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所(申請者が法人その他の団体である場合にあっては、事務所の所在地)が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請に係る子の常居所地国が日本国でないことが明らかであること。 六 申請に係る子の連れ去りの時又は留置の開始の時に、申請に係る子が所在していると思料される国又は地域が条約締約国でなかったこと。 七 日本国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有していないことが明らかであり、又は申請に係る子の連れ去り若しくは留置により当該監護の権利が侵害されていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により日本国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由を通知しなければならない。 (日本国返還援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第十四条 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、第十一条第二項において準用する第四条第二項の申請書及び同条第三項に規定する書類の写しを申請に係る子が所在している条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (子の社会的背景に関する情報の条約締約国の中央当局への提供) 第十五条 外務大臣は、日本国への子の返還に関する事件が日本国以外の条約締約国の裁判所又はその他の審判を行う機関(以下この項及び次項において「外国裁判所等」という。)に係属しており、当該条約締約国の中央当局から当該子の返還に係る子の日本国内における心身、養育及び就学の状況その他の生活及び取り巻く環境の状況に関する情報の提供を求められた場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、当該条約締約国の中央当局に提供するために、政令で定めるところにより、国の行政機関等の長、地方公共団体の長その他の執行機関及び当該子に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その有する当該情報の提供を求めることができる。 一 当該中央当局が、当該外国裁判所等の依頼を受けて当該事件に関する調査を行うために外務大臣に対し当該情報の提供を求めており、かつ、当該調査以外の目的のために当該情報を利用するおそれがないと認められるとき。 二 当該事件に係る外国裁判所等の手続の当事者(当該子が当該手続の当事者である場合にあっては、当該子を除く。)が当該情報を当該中央当局に提供することに同意しているとき。 2 前項の場合において、同項に規定する情報の提供を求められた者は、次の各号のいずれにも該当するときは、遅滞なく、当該情報を外務大臣に提供するものとする。 一 当該情報を前項に規定する中央当局に提供することによって同項に規定する子及び同項に規定する事件に係る外国裁判所等の手続の当事者の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認めるとき。 二 当該情報が、前項に規定する子及び同項に規定する事件に係る外国裁判所等の手続の当事者の知り得る状態にあり、かつ、これらの者以外の特定の個人を識別することができる情報を含まないとき。 3 外務大臣は、前項の規定により提供された情報を、第一項に規定する中央当局に対してのみ提供することができる。 第三節 子との面会その他の交流に関する援助 第一款 日本国面会交流援助 (日本国面会交流援助申請) 第十六条 日本国内に所在している子であって、面会その他の交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、当該国又は地域の法令に基づき面会その他の交流をすることができる者(日本国以外の条約締約国に住所又は居所を有しているものに限る。)は、当該子との面会その他の交流が妨げられていると思料する場合には、当該子との面会その他の交流を実現するための援助(以下「日本国面会交流援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 日本国面会交流援助の申請(以下「日本国面会交流援助申請」という。)を行おうとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出しなければならない。 一 日本国面会交流援助申請をする者(以下この款において「申請者」という。)の氏名及び住所又は居所 二 日本国面会交流援助申請において面会その他の交流を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)の氏名、生年月日及び住所又は居所(これらの事項が明らかでないときは、その旨)その他申請に係る子を特定するために必要な事項 三 申請に係る子との面会その他の交流を妨げていると思料される者の氏名その他当該者を特定するために必要な事項 四 申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国であることを明らかにするために必要な事項 五 申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができ、かつ、申請者の申請に係る子との面会その他の交流が妨げられていることを明らかにするために必要な事項 六 申請に係る子と同居していると思料される者の氏名、住所又は居所その他当該者を特定するために必要な事項(これらの事項が明らかでないときは、その旨) 3 前項の申請書には、同項第五号に掲げる事項を証明する書類その他外務省令で定める書類を添付しなければならない。 4 日本国面会交流援助申請は、日本国以外の条約締約国の中央当局を経由してすることができる。 この場合において、申請者は、第二項各号に掲げる事項を記載した書面(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)及び前項に規定する書類を外務大臣に提出しなければならない。 (日本国面会交流援助の決定及び通知) 第十七条 外務大臣は、日本国面会交流援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合及び第十九条第一項の規定により当該日本国面会交流援助申請に係る書類の写しを送付する場合を除き、日本国面会交流援助の決定(以下「日本国面会交流援助決定」という。)をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知(申請者が前条第四項の規定により日本国以外の条約締約国の中央当局を経由して日本国面会交流援助申請をした場合にあっては、当該中央当局を経由してする通知。次条第二項及び第十九条第二項において同じ。)をしなければならない。 2 外務大臣は、日本国面会交流援助決定をした場合には、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第二十条において準用する第九条又は第十条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 三 この法律に定める手続その他子との面会その他の交流の実現に関連する日本国の法令に基づく制度に関する情報の申請者への提供 (日本国面会交流援助申請の却下) 第十八条 外務大臣は、日本国面会交流援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該日本国面会交流援助申請を却下する。 一 申請に係る子が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が日本国内に所在していないことが明らかであり、かつ、申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が条約締約国以外の国又は地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請者が日本国内に住所若しくは居所を有していることが明らかであり、又は日本国以外の条約締約国に住所若しくは居所を有していないことが明らかであること。 六 申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国でないこと。 七 申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国若しくは地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができないことが明らかであり、又は申請者の申請に係る子との面会その他の交流が妨げられていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により日本国面会交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならない。 (日本国面会交流援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第十九条 外務大臣は、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかである場合において、日本国面会交流援助申請が前条第一項第四号に該当しないときは、第十六条第二項の申請書(申請者が同条第四項の規定により日本国面会交流援助申請をした場合にあっては、同項に規定する書面)及び同条第三項に規定する書類の写しを当該条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (日本国面会交流援助に関する準用規定) 第二十条 第五条、第九条及び第十条の規定は、外務大臣に対し日本国面会交流援助申請があった場合について準用する。 この場合において、第五条第四項第一号中「第二十六条の規定による子の返還の申立て又は子との面会その他の交流の定めをすること若しくはその変更を求める家事審判若しくは」とあるのは「子との面会その他の交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は」と、同項第二号中「第二十九条に規定する子の返還に関する事件若しくは子の返還の強制執行に係る事件が係属している裁判所又は申請に係る子についての子との面会その他の交流に関する事件若しくは」とあるのは「子との面会その他の交流に関する事件又は」と、「これらの」とあるのは「当該」と、第九条中「子の返還又は申請者」とあるのは「申請者」と読み替えるものとする。 第二款 外国面会交流援助 (外国面会交流援助申請) 第二十一条 日本国以外の条約締約国に所在している子であって、面会その他の交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、当該国又は地域の法令に基づき面会その他の交流をすることができる者(日本国内に住所又は居所を有しているものに限る。)は、当該子との面会その他の交流が妨げられていると思料する場合には、当該子との面会その他の交流を実現するための援助(以下「外国面会交流援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 第十六条第二項及び第三項の規定は、外国面会交流援助の申請(以下「外国面会交流援助申請」という。)について準用する。 (外国面会交流援助の決定及び通知) 第二十二条 外務大臣は、外国面会交流援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合を除き、外国面会交流援助の決定(以下「外国面会交流援助決定」という。)をし、遅滞なく、外国面会交流援助申請をした者(以下この款において「申請者」という。)にその旨を通知しなければならない。 2 外務大臣は、外国面会交流援助決定をした場合には、第二十四条に規定する措置をとるものとする。 3 外務大臣は、外国面会交流援助決定をした場合には、前項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第二十五条において準用する第十五条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 (外国面会交流援助申請の却下) 第二十三条 外務大臣は、外国面会交流援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国面会交流援助申請を却下する。 一 外国面会交流援助申請において面会その他の交流を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が日本国又は条約締約国以外の国若しくは地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請者が日本国内に住所又は居所を有していないことが明らかであること。 六 申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国でないこと。 七 申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国若しくは地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができないことが明らかであり、又は申請者の申請に係る子との面会その他の交流が妨げられていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により外国面会交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由を通知しなければならない。 (外国面会交流援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第二十四条 外務大臣は、外国面会交流援助決定をした場合には、第二十一条第二項において準用する第十六条第二項の申請書及び同条第三項に規定する書類の写しを申請に係る子が所在している条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨を通知しなければならない。 (外国面会交流援助に関する準用規定) 第二十五条 第十五条の規定は、外務大臣に対し外国面会交流援助申請があった場合について準用する。 この場合において、同条第一項中「日本国への子の返還」とあるのは「申請に係る子についての子との面会その他の交流」と、「当該子の返還に係る子」とあるのは「申請に係る子」と読み替えるものとする。 第三章 子の返還に関する事件の手続等 第一節 返還事由等 (条約に基づく子の返還) 第二十六条 日本国への連れ去り又は日本国における留置により子についての監護の権利を侵害された者は、子を監護している者に対し、この法律の定めるところにより、常居所地国に子を返還することを命ずるよう家庭裁判所に申し立てることができる。 (子の返還事由) 第二十七条 裁判所は、子の返還の申立てが次の各号に掲げる事由のいずれにも該当すると認めるときは、子の返還を命じなければならない。 一 子が十六歳に達していないこと。 二 子が日本国内に所在していること。 三 常居所地国の法令によれば、当該連れ去り又は留置が申立人の有する子についての監護の権利を侵害するものであること。 四 当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に、常居所地国が条約締約国であったこと。 (子の返還拒否事由等) 第二十八条 裁判所は、前条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるときは、子の返還を命じてはならない。 ただし、第一号から第三号まで又は第五号に掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して常居所地国に子を返還することが子の利益に資すると認めるときは、子の返還を命ずることができる。 一 子の返還の申立てが当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時から一年を経過した後にされたものであり、かつ、子が新たな環境に適応していること。 二 申立人が当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に子に対して現実に監護の権利を行使していなかったこと(当該連れ去り又は留置がなければ申立人が子に対して現実に監護の権利を行使していたと認められる場合を除く。)。 三 申立人が当該連れ去りの前若しくは当該留置の開始の前にこれに同意し、又は当該連れ去りの後若しくは当該留置の開始の後にこれを承諾したこと。 四 常居所地国に子を返還することによって、子の心身に害悪を及ぼすことその他子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があること。 五 子の年齢及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場合において、子が常居所地国に返還されることを拒んでいること。 六 常居所地国に子を返還することが日本国における人権及び基本的自由の保護に関する基本原則により認められないものであること。 2 裁判所は、前項第四号に掲げる事由の有無を判断するに当たっては、次に掲げる事情その他の一切の事情を考慮するものとする。 一 常居所地国において子が申立人から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(次号において「暴力等」という。)を受けるおそれの有無 二 相手方及び子が常居所地国に入国した場合に相手方が申立人から子に心理的外傷を与えることとなる暴力等を受けるおそれの有無 三 申立人又は相手方が常居所地国において子を監護することが困難な事情の有無 3 裁判所は、日本国において子の監護に関する裁判があったこと又は外国においてされた子の監護に関する裁判が日本国で効力を有する可能性があることのみを理由として、子の返還の申立てを却下する裁判をしてはならない。 ただし、これらの子の監護に関する裁判の理由を子の返還の申立てについての裁判において考慮することを妨げない。 第二節 子の返還に関する事件の手続の通則 (子の返還に関する事件の手続) 第二十九条 子の返還に関する事件(第三十二条第一項に規定する子の返還申立事件、第百二十一条の規定による調査及び勧告の事件並びに第百二十三条第二項に規定する出国禁止命令事件をいう。以下同じ。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第三十条 裁判所は、子の返還に関する事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に子の返還に関する事件の手続を追行しなければならない。 (最高裁判所規則) 第三十一条 この法律に定めるもののほか、子の返還に関する事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第三節 子の返還申立事件の手続 第一款 総則 第一目 管轄 (管轄) 第三十二条 子の返還申立事件(第二十六条の規定による子の返還の申立てに係る事件をいう。以下同じ。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。 一 子の住所地(日本国内に子の住所がないとき、又は住所が知れないときは、その居所地。次号において同じ。)が東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内にある場合 東京家庭裁判所 二 子の住所地が大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内にある場合 大阪家庭裁判所 2 子の返還申立事件は、日本国内に子の住所がない場合又は住所が知れない場合であって、日本国内に子の居所がないとき又は居所が知れないときは、東京家庭裁判所の管轄に属する。 (併合申立てによる管轄) 第三十三条 一の申立てにより数人の子についての子の返還を求める場合には、前条の規定により一人の子についての子の返還の申立てについて管轄権を有する家庭裁判所にその申立てをすることができる。 (管轄裁判所の指定) 第三十四条 管轄裁判所が法律上若しくは事実上裁判権を行うことができないとき、又は裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、最高裁判所は、申立てにより、管轄裁判所を定める。 (管轄の標準時) 第三十五条 裁判所の管轄は、子の返還の申立てがあった時を標準として定める。 (管轄の合意) 第三十六条 当事者は、第一審に限り、合意により第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所の一を管轄裁判所と定めることができる。 2 前項の合意は、子の返還の申立てに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。 3 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。 (移送等) 第三十七条 裁判所は、子の返還申立事件がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄権を有する家庭裁判所に移送する。 2 家庭裁判所は、前項に規定する場合において、子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に移送することができる。 3 第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所は、第一項に規定する場合において、子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を自ら処理することができる。 4 家庭裁判所は、子の返還申立事件がその管轄に属する場合においても、当該子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を他の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に移送することができる。 5 第一項、第二項及び前項の規定による移送の裁判並びに第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 6 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 7 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二十二条の規定は、子の返還申立事件の移送の裁判について準用する。 第二目 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第三十八条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者であるとき、又は当事者となる資格を有する者であるとき。 二 裁判官が当事者又は子の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又は子の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくは子の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第三十九条 裁判官について裁判の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第四十条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避については、その裁判官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで子の返還申立事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 子の返還申立事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官又は子の返還申立事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、子の返還申立事件の手続は、停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第四十一条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第三十八条、第三十九条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった子の返還申立事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (家庭裁判所調査官の除斥) 第四十二条 家庭裁判所調査官の除斥については、第三十八条並びに第四十条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。 2 家庭裁判所調査官について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった子の返還申立事件に関与することができない。 3 家庭裁判所調査官の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官の所属する裁判所がする。 第三目 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第四十三条 当事者能力、子の返還申立事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理、手続行為をするのに必要な授権及び法定代理権の消滅については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十三条、第三十四条第一項及び第二項並びに第三十六条第一項の規定を準用する。 2 未成年者及び成年被後見人は、法定代理人の同意を要することなく、又は法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 被保佐人又は被補助人について、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 3 後見人が他の者がした子の返還の申立て又は抗告について手続行為をするには、後見監督人の同意を要しない。 4 後見人が次に掲げる手続行為をするには、後見監督人の同意がなければならない。 一 子の返還の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する即時抗告、第百八条第一項の抗告又は第百十一条第二項の申立ての取下げ 三 第百四十四条の同意 (未成年者又は成年被後見人の法定代理人) 第四十四条 親権を行う者又は後見人は、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。 (特別代理人) 第四十五条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、子の返還申立事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法人の代表者等への準用) 第四十六条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第四目 参加 (当事者参加) 第四十七条 当事者となる資格を有する者は、当事者として子の返還申立事件の手続に参加することができる。 2 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者を、当事者として子の返還申立事件の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (子の参加) 第四十八条 子の返還申立事件において返還を求められている子は、子の返還申立事件の手続に参加することができる。 2 裁判所は、相当と認めるときは、職権で、返還を求められている子を、子の返還申立事件の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。 4 裁判所は、子の返還申立事件の手続に参加しようとする子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して当該子が当該手続に参加することが当該子の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出を却下しなければならない。 5 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 6 第一項又は第二項の規定により子の返還申立事件の手続に参加した子(以下単に「手続に参加した子」という。)は、当事者がすることができる手続行為(子の返還の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、手続に参加した子が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。 (手続からの排除) 第四十九条 裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を子の返還申立事件の手続から排除することができる。 2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第五目 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第五十条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (裁判長による手続代理人の選任等) 第五十一条 未成年者、成年被後見人、被保佐人及び被補助人(以下この条において「未成年者等」という。)が手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。 2 未成年者等が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。 3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し未成年者等が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。 (手続代理人の代理権の範囲) 第五十二条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加及び強制執行に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 一 子の返還の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する即時抗告、第百八条第一項の抗告若しくは第百十一条第二項の申立て又はこれらの取下げ 三 第百二十二条第三項に規定する出国禁止命令の申立て又はその取下げ 四 第百四十四条の同意 五 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用) 第五十三条 民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)、第三十六条第一項及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第五十四条 子の返還申立事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六目 手続費用 (手続費用の負担) 第五十五条 子の返還申立事件の手続の費用(以下「手続費用」という。)は、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び手続に参加した子がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の当事者に負担させることができる。 (手続費用の負担の裁判等) 第五十六条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における手続費用(裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合にあっては、家事調停に関する手続の費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。 ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。 2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合にあっては、家事調停に関する手続の費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。 事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。 3 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、子の返還申立事件の手続費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 (手続費用の立替え) 第五十七条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の子の返還申立事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第五十八条 民事訴訟法第六十八条から第七十四条までの規定(裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての決定に対する即時抗告に関する部分を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十三条第一項中「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成二十五年法律第四十八号)第四十七条第一項又は第四十八条第一項の規定による参加の申出」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第五十八条第一項において準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第四項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 (手続上の救助) 第五十九条 子の返還申立事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で子の返還の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第五十九条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七目 子の返還申立事件の審理等 (手続の非公開) 第六十条 子の返還申立事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (調書の作成等) 第六十一条 裁判所書記官は、子の返還申立事件の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第六十二条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、子の返還申立事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付(第四項第一号及び第六十九条第二項において「閲覧等」という。)又は子の返還申立事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、子の返還申立事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、当該申立てに係る許可をしなければならない。 4 裁判所は、子の返還申立事件の記録中、第五条第四項(第二号に係る部分に限る。)の規定により外務大臣から提供を受けた相手方又は子の住所又は居所が記載され、又は記録された部分(第一号及び第百四十九条第一項において「住所等表示部分」という。)については、前項の規定にかかわらず、同項の申立てに係る許可をしないものとする。 ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。 一 住所等表示部分の閲覧等又はその複製についての相手方の同意があるとき。 二 子の返還を命ずる終局決定が確定した後において、子の返還を命ずる終局決定に関する強制執行をするために必要があるとき。 5 裁判所は、子の返還申立事件において返還を求められている子の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、第三項及び前項ただし書の規定にかかわらず、第三項の申立てに係る許可をしないことができる。 事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てに係る許可をすることを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。 6 裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、当該申立てに係る許可をすることができる。 7 裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は子の返還申立事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 8 子の返還申立事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、子の返還申立事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 9 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 10 前項の規定による即時抗告が子の返還申立事件の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 11 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (期日及び期間) 第六十三条 子の返還申立事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。 2 子の返還申立事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 子の返還申立事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、子の返還申立事件の手続の期日及び期間について準用する。 (手続の併合等) 第六十四条 裁判所は、子の返還申立事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする子の返還申立事件についての手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第六十五条 当事者が子の返還申立事件の手続を続行することができない場合(当事者の死亡による場合を除く。)には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に子の返還申立事件の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者等による受継) 第六十六条 子の返還申立事件の申立人の死亡によってその手続を続行することができない場合には、当該子の返還申立事件において申立人となることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 前項の規定による受継の申立ては、子の返還申立事件の申立人が死亡した日から一月以内にしなければならない。 3 子の返還申立事件の相手方の死亡によってその手続を続行することができない場合には、裁判所は、申立てにより又は職権で、相手方が死亡した日から三月以内に限り、相手方の死亡後に子を監護している者に、その手続を受け継がせることができる。 (送達及び手続の中止) 第六十七条 送達及び子の返還申立事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは、「裁判を求める事項」と読み替えるものとする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第六十八条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第八目 電子情報処理組織による申立て等 第六十九条 子の返還申立事件の手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十第一項から第五項までの規定(支払督促に関する部分を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定によりされた申立て等に係る第六十二条第一項の規定による子の返還申立事件の記録の閲覧等は、同法第百三十二条の十第五項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第九目 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第六十九条の二 子の返還申立事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同条第一項中「者は、訴訟記録等」とあるのは「当事者又は手続に参加した子(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第四十八条第六項に規定する手続に参加した子をいう。次項及び第七項において同じ。)は、子の返還申立事件の記録」と、同条第二項中「当事者」とあるのは「当事者又は手続に参加した子」と、「訴訟記録等」とあるのは「子の返還申立事件の記録」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは手続に参加した子」と読み替えるものとする。 第二款 第一審裁判所における子の返還申立事件の手続 第一目 子の返還の申立て (申立ての方式等) 第七十条 子の返還の申立ては、申立書(以下「子の返還申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 子の返還申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 この場合において、第二号に掲げる申立ての趣旨は、返還を求める子及び子を返還すべき条約締約国を特定して記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨 三 子の返還申立事件の手続による旨 3 申立人は、一の申立てにより数人の子についての子の返還を求めることができる。 4 子の返還申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い子の返還の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、子の返還申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (申立ての変更) 第七十一条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨を変更することができる。 ただし、第八十九条の規定により審理を終結した後は、この限りでない。 2 申立ての趣旨の変更は、子の返還申立事件の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 家庭裁判所は、申立ての趣旨の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨の変更により子の返還申立事件の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 (申立書の写しの送付等) 第七十二条 子の返還の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、子の返還申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 2 前項の規定による子の返還申立書の写しの送付は、公示送達の方法によっては、することができない。 3 第七十条第四項から第六項までの規定は、第一項の規定による子の返還申立書の写しの送付をすることができない場合について準用する。 4 裁判長は、第一項の規定による子の返還申立書の写しの送付の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、子の返還申立書を却下しなければならない。 5 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 第二目 子の返還申立事件の手続の期日 (裁判長の手続指揮権) 第七十三条 子の返還申立事件の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が子の返還申立事件の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第七十四条 家庭裁判所は、受命裁判官に子の返還申立事件の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第八十二条第三項の規定又は第八十六条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第七十五条 家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、子の返還申立事件の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 子の返還申立事件の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第七十六条 子の返還申立事件の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、子の返還申立事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、手続に参加した子、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を、それぞれ準用する。 第三目 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第七十七条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 申立人及び相手方は、それぞれ第二十七条に規定する事由(第二十八条第一項第二号に規定する場合に関する事由を含む。)についての資料及び同項に規定する事由についての資料を提出するほか、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第七十八条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (家庭裁判所調査官による事実の調査) 第七十九条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。 4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。 (家庭裁判所調査官の期日への立会い等) 第八十条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、子の返還申立事件の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。 2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。 (裁判所技官による診断等) 第八十一条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 2 第七十九条第二項から第四項までの規定は前項の診断について、前条の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について、それぞれ準用する。 (事実の調査の嘱託等) 第八十二条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (調査の嘱託等) 第八十三条 家庭裁判所は、必要な調査を外務大臣に嘱託するほか、官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は学校、保育所その他適当と認める者に対し子の心身の状態及び生活の状況その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (事実の調査の通知) 第八十四条 家庭裁判所は、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び手続に参加した子に通知しなければならない。 (陳述の聴取) 第八十五条 家庭裁判所は、子の返還の申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。 ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。 (証拠調べ) 第八十六条 子の返還申立事件の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで及び第二百七条第二項の規定を除く。)を準用する。 この場合において、同法第百八十五条第一項中「地方裁判所若しくは簡易裁判所」とあるのは「他の家庭裁判所」と、同条第二項中「地方裁判所又は簡易裁判所」とあるのは「家庭裁判所」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 (不法を証する文書の提出) 第八十七条 家庭裁判所は、申立人が不法な連れ去り又は不法な留置があったことを証する文書を常居所地国において得ることができるときは、申立人に対し、当該文書を提出することを求めることができる。 第四目 子の返還申立事件の手続における子の意思の把握等 第八十八条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、終局決定をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 第五目 審理の終結等 (審理の終結) 第八十九条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。 ただし、当事者双方が立ち会うことができる子の返還申立事件の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。 (裁判日) 第九十条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、裁判をする日を定めなければならない。 第六目 裁判 (裁判の方式) 第九十一条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、決定で、裁判をする。 (終局決定) 第九十二条 家庭裁判所は、子の返還申立事件が裁判をするのに熟したときは、終局決定をする。 2 家庭裁判所は、子の返還申立事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局決定をすることができる。 手続の併合を命じた数個の子の返還申立事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (終局決定の告知及び効力の発生等) 第九十三条 終局決定は、当事者及び子に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 ただし、子(手続に参加した子を除く。)に対しては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。 2 終局決定は、当事者に告知することによってその効力を生ずる。 ただし、子の返還を命ずる終局決定は、確定しなければその効力を生じない。 3 終局決定は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 4 終局決定の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (終局決定の方式及び裁判書) 第九十四条 終局決定は、裁判書を作成してしなければならない。 2 終局決定の裁判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第九十五条 終局決定に誤記その他これに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の終局決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 終局決定に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (終局決定に関する民事訴訟法の準用) 第九十六条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、終局決定について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「終局決定が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (中間決定) 第九十七条 家庭裁判所は、終局決定の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (終局決定以外の裁判) 第九十八条 終局決定以外の裁判は、これを受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 終局決定以外の裁判については、これを受ける者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 3 第九十二条から第九十六条まで(第九十三条第一項及び第二項並びに第九十四条第一項を除く。)の規定は、前項の裁判について準用する。 この場合において、第九十四条第二項第二号中「理由」とあるのは、「理由の要旨」と読み替えるものとする。 4 子の返還申立事件の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 5 終局決定以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。 第七目 裁判によらない子の返還申立事件の終了 (子の返還の申立ての取下げ) 第九十九条 子の返還の申立ては、終局決定が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、申立ての取下げは、終局決定がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 2 前項ただし書の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。 ただし、申立ての取下げが子の返還申立事件の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。 3 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。 同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 4 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「子の返還申立事件の手続の期日」と読み替えるものとする。 (和解) 第百条 子の返還申立事件における和解については、民事訴訟法第八十九条、第二百六十四条及び第二百六十五条の規定を準用する。 この場合において、同法第二百六十四条及び第二百六十五条第三項中「口頭弁論等」とあるのは、「子の返還申立事件の手続」と読み替えるものとする。 2 子の返還申立事件においては、子の監護に関する事項、夫婦間の協力扶助に関する事項及び婚姻費用の分担に関する事項についても、和解をすることができる。 3 次の各号に掲げる事項についての和解を調書に記載したときは、その記載は、当該各号に定める裁判と同一の効力を有する。 一 子の返還 確定した子の返還を命ずる終局決定 二 子の監護に関する事項、夫婦間の協力扶助に関する事項及び婚姻費用の分担に関する事項 確定した家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第三十九条の規定による審判 三 その他の事項 確定判決 第三款 不服申立て 第一目 終局決定に対する即時抗告 (即時抗告をすることができる裁判) 第百一条 当事者は、終局決定に対し、即時抗告をすることができる。 2 子は、子の返還を命ずる終局決定に対し、即時抗告をすることができる。 3 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第百二条 終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 当事者又は手続に参加した子による即時抗告の期間は、即時抗告をする者が終局決定の告知を受けた日から進行する。 3 子(手続に参加した子を除く。)による即時抗告の期間は、当事者が終局決定の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第百三条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原決定の表示及びその決定に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による終局決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第七十条第四項及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第百四条 終局決定に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び手続に参加した子(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 (陳述の聴取) 第百五条 抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 (抗告裁判所による裁判) 第百六条 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、自ら裁判をしなければならない。 ただし、次条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。 (第一審の手続の規定及び民事訴訟法の準用等) 第百七条 終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前款の規定(第七十条第六項、第七十二条第二項及び第五項、第九十三条第三項及び第四項、第九十五条第三項から第五項まで並びに第九十八条第五項を除く。)を準用する。 2 抗告裁判所は、第百四条第一項の規定による抗告状の写しの送付をすることを要しないときは、前項において準用する第八十九条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。 3 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百九条までの規定は、終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第九十九条第四項」と、同法第二百九十九条第二項中「第六条第一項各号」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第三十二条第一項各号」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百五十条」と読み替えるものとする。 第二目 終局決定に対する特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第百八条 高等裁判所の終局決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (原裁判の執行停止) 第百九条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。 ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第百十条 第百二条第二項及び第三項、第百三条(第四項及び第五項を除く。)、第百四条、第百五条並びに第百七条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十条第一項において準用する同法第百三条第六項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百八条第二項の規定及び同法第百十条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百八条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三目 終局決定に対する許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第百十一条 高等裁判所の終局決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第百八条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の高等裁判所は、同項の終局決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第百八条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用) 第百十二条 第百二条第二項及び第三項、第百三条(第四項及び第五項を除く。)、第百四条、第百五条、第百七条並びに第百九条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第百二条第二項及び第三項、第百三条第一項、第二項第二号及び第三項、第百四条第一項並びに第百五条中「即時抗告」とあり、第百三条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第百九条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第百十一条第二項の申立て」と、第百三条第一項、第二項及び第六項、第百四条並びに第百七条第二項中「抗告状」とあるのは「第百十一条第二項の規定による許可の申立書」と、同条中「即時抗告」とあり、及び第百九条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「第百十一条第四項に規定する許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について、それぞれ準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第五項の規定及び同法第百十二条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第四目 終局決定以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第百十三条 終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第百十四条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、子の返還申立事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (即時抗告期間等) 第百十五条 終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 4 原裁判をした裁判所、裁判官又は裁判長は、即時抗告を理由があると認めるときは、その裁判を更正しなければならない。 (終局決定に対する不服申立ての規定の準用等) 第百十六条 前三目の規定(第百一条第一項及び第二項、第百二条第一項並びに同条第三項、第百四条及び第百五条(これらの規定を第百十二条第一項において準用する場合を含む。)並びに第百十条の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 この場合において、第百八条第一項中「高等裁判所の終局決定」とあるのは「家庭裁判所の終局決定以外の裁判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の終局決定以外の裁判」と、第百十一条第一項中「できる」とあるのは「できる。ただし、その決定が家庭裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る」と読み替えるものとする。 2 第百二条第二項及び第三項、第百三条並びに第百七条の規定は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第百三条第六項中「及び第五項」とあるのは、「から第六項まで」と読み替えるものとする。 3 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第二項において読み替えて準用する同法第百三条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において準用する同法第百八条第二項の規定及び同法第百十六条第三項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において読み替えて準用する同法第百八条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第四款 終局決定の変更 (終局決定の変更) 第百十七条 子の返還を命ずる終局決定をした裁判所(その決定に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定(第百七条第二項の規定による決定を除く。以下この項において同じ。)をしたときは、当該抗告裁判所)は、子の返還を命ずる終局決定が確定した後に、事情の変更によりその決定を維持することを不当と認めるに至ったときは、当事者の申立てにより、その決定(当該抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定をした場合にあっては、当該終局決定)を変更することができる。 ただし、子が常居所地国に返還された後は、この限りでない。 2 前項の規定による終局決定の変更の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 変更を求める終局決定の表示及びその決定に対して変更を求める旨 三 終局決定の変更を求める理由 3 裁判所は、第一項の規定により終局決定を変更するときは、当事者(同項の申立てをした者を除く。)の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の申立てを却下する終局決定に対しては、当該申立てをした者は、即時抗告をすることができる。 5 第一項の規定により終局決定を変更する決定に対しては、即時抗告をすることができる。 6 前各項に規定するもののほか、第一項の規定による終局決定の変更の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 (執行停止の裁判) 第百十八条 裁判所は、前条第一項の申立てがあった場合において、同項の規定による変更の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点につき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第五款 再審 (再審) 第百十九条 確定した終局決定その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により終局決定その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該終局決定その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第百二十条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第四節 義務の履行状況の調査及び履行の勧告 第百二十一条 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所(抗告裁判所が子の返還を命ずる終局決定をした場合にあっては、第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、子の返還の義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。 2 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。 3 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項及び第五項においてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を外務大臣に嘱託するほか、官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は学校、保育所その他適当と認める者に対し子の生活の状況その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 6 第一項の規定による調査及び勧告の手続には、その性質に反しない限り、前節第一款の規定を準用する。 7 前各項の規定は、和解によって定められた義務の履行について準用する。 第五節 出国禁止命令 (出国禁止命令) 第百二十二条 子の返還申立事件が係属する家庭裁判所は、子の返還申立事件の当事者が子を日本国外に出国させるおそれがあるときは、子の返還申立事件の一方の当事者の申立てにより、他方の当事者に対し、子を出国させてはならないことを命ずることができる。 2 家庭裁判所は、前項の規定による申立てに係る事件の相手方が子が名義人となっている旅券を所持すると認めるときは、申立てにより、同項の規定による裁判において、当該旅券の外務大臣への提出を命じなければならない。 3 子の返還申立事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前二項の規定による裁判(以下「出国禁止命令」という。)をする。 4 出国禁止命令は、子の返還の申立てについての終局決定の確定により、その効力を失う。 (出国禁止命令の申立て等) 第百二十三条 出国禁止命令の申立ては、その趣旨及び出国禁止命令を求める事由を明らかにしてしなければならない。 2 出国禁止命令を求める事由については、出国禁止命令の申立てに係る事件(以下「出国禁止命令事件」という。)の申立人が資料を提出しなければならない。 3 前条第二項の規定による裁判の申立ては、出国禁止命令があるまで、取り下げることができる。 4 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、出国禁止命令の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百二十三条第二項に規定する出国禁止命令事件の手続の期日」と読み替えるものとする。 (陳述の聴取) 第百二十四条 出国禁止命令は、出国禁止命令事件の相手方の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより出国禁止命令の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第百二十五条 裁判所は、第百三十三条において準用する第六十二条第三項の規定にかかわらず、出国禁止命令事件について、出国禁止命令事件の当事者から同条第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、出国禁止命令事件の相手方に対し、出国禁止命令事件が係属したことを通知し、又は出国禁止命令を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。 (出国禁止命令の告知及び効力) 第百二十六条 出国禁止命令の申立てについての裁判は、出国禁止命令事件の当事者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 出国禁止命令は、出国禁止命令事件の相手方に告知することによってその効力を生じ、出国禁止命令の申立てを却下する裁判は、出国禁止命令事件の申立人に告知することによってその効力を生ずる。 (即時抗告) 第百二十七条 出国禁止命令事件の当事者は、出国禁止命令の申立てについての裁判に対し、即時抗告をすることができる。 (即時抗告に伴う執行停止) 第百二十八条 前条の規定により即時抗告が提起された場合において、原裁判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原裁判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、又は担保を立てさせないで原裁判の執行の停止を命ずることができる。 出国禁止命令事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、この処分を命ずることができる。 2 第百二十三条第二項の規定は前項の申立てについて、第百九条第二項及び第三項の規定は前項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について、それぞれ準用する。 (出国禁止命令の取消し) 第百二十九条 第百二十二条第一項の規定による裁判が確定した後に、当該裁判を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、子の返還申立事件が係属する裁判所は、当該裁判を受けた者の申立てにより、当該裁判の取消しの裁判をすることができる。 2 裁判所が、第百二十二条第一項の規定による裁判を取り消す場合において、同条第二項の規定による裁判がされているときは、裁判所は、当該裁判をも取り消さなければならない。 3 第百二十三条及び前三条の規定は、第一項の申立て及び当該申立てについての裁判について準用する。 (調書の作成) 第百三十条 裁判所書記官は、出国禁止命令事件及び前条第一項の規定による申立てに係る事件(第百三十三条において「出国禁止命令取消事件」という。)の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (外務大臣による旅券の保管) 第百三十一条 外務大臣は、第百二十二条第二項の規定による裁判を受けた者から当該裁判に係る旅券の提出を受けたときは、当該旅券を保管しなければならない。 2 外務大臣は、出国禁止命令が効力を失ったときは、前項の旅券の提出を行った者の求めにより、当該旅券を返還しなければならない。 (過料の裁判) 第百三十二条 第百二十二条第二項の規定による裁判を受けた者が当該裁判に従わないときは、裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 (子の返還申立事件の手続規定の準用) 第百三十三条 出国禁止命令事件及び出国禁止命令取消事件の手続については、特別の定めがある場合を除き、第三節第一款から第三款まで及び第五款(第七十二条、第八十四条、第八十五条、第八十七条、第八十九条、第九十条、第九十九条及び第百条を除く。)の規定を準用する。 この場合において、第九十四条第二項第二号中「理由」とあるのは、「理由の要旨」と読み替えるものとする。 第四章 子の返還の執行手続に関する民事執行法の特則 (子の返還の強制執行) 第百三十四条 子の返還の強制執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百七十一条第一項の規定により執行裁判所が第三者に子の返還を実施させる決定をする方法により行うほか、同法第百七十二条第一項に規定する方法により行う。 2 前項の強制執行は、確定した子の返還を命ずる終局決定(確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有するものを含む。)の正本に基づいて実施する。 (子の年齢による子の返還の強制執行の制限) 第百三十五条 子が十六歳に達した場合には、民事執行法第百七十一条第一項の規定による子の返還の強制執行(同項の規定による決定に基づく子の返還の実施を含む。以下「子の返還の代替執行」という。)は、することができない。 2 民事執行法第百七十二条第一項に規定する方法による子の返還の強制執行の手続において、執行裁判所は、子が十六歳に達した日の翌日以降に子を返還しないことを理由として、同項の規定による金銭の支払を命じてはならない。 (子の返還の代替執行と間接強制との関係) 第百三十六条 子の返還の代替執行の申立ては、次の各号のいずれかに該当するときでなければすることができない。 一 民事執行法第百七十二条第一項の規定による決定が確定した日から二週間を経過したとき(当該決定において定められた債務を履行すべき一定の期間の経過がこれより後である場合にあっては、その期間を経過したとき)。 二 民事執行法第百七十二条第一項に規定する方法による強制執行を実施しても、債務者が常居所地国に子を返還する見込みがあるとは認められないとき。 三 子の急迫の危険を防止するため直ちに子の返還の代替執行をする必要があるとき。 (子の返還の代替執行の申立て) 第百三十七条 子の返還の代替執行の申立ては、債務者に代わって常居所地国に子を返還する者(以下「返還実施者」という。)となるべき者を特定してしなければならない。 (子の返還を実施させる決定) 第百三十八条 第百三十四条第一項の決定は、債務者による子の監護を解くために必要な行為をする者として執行官を指定し、かつ、返還実施者を指定してしなければならない。 2 執行裁判所は、民事執行法第百七十一条第三項の規定にかかわらず、子に急迫した危険があるときその他の審尋をすることにより強制執行の目的を達することができない事情があるときは、債務者を審尋しないで第百三十四条第一項の決定をすることができる。 (子の返還の代替執行の申立ての却下) 第百三十九条 執行裁判所は、第百三十七条の返還実施者となるべき者を前条の規定により返還実施者として指定することが子の利益に照らして相当でないと認めるときは、第百三十七条の申立てを却下しなければならない。 (執行官の権限等) 第百四十条 民事執行法第百七十五条(第八項を除く。)の規定は子の返還の代替執行における執行官の権限及び当該権限の行使に係る執行裁判所の裁判について、同法第百七十六条の規定は子の返還の代替執行の手続について、それぞれ準用する。 この場合において、同法第百七十五条第一項第二号中「債権者若しくはその代理人と子」とあるのは「返還実施者(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成二十五年法律第四十八号)第百三十七条に規定する返還実施者をいう。以下同じ。)、債権者若しくは同法第百四十条第一項において準用する第六項に規定する代理人と子」と、「又は債権者若しくはその代理人」とあるのは「又は返還実施者、債権者若しくは同項に規定する代理人」と、同項第三号及び同条第九項中「債権者又はその代理人」とあるのは「返還実施者、債権者又は国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百四十条第一項において準用する第六項に規定する代理人」と読み替えるものとする。 2 執行官は、前項において準用する民事執行法第百七十五条第一項又は第二項の規定による子の監護を解くために必要な行為をするに際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる。 3 執行官は、前項の規定にかかわらず、子に対して威力を用いることはできない。 子以外の者に対して威力を用いることが子の心身に有害な影響を及ぼすおそれがある場合においては、当該子以外の者についても、同様とする。 (返還実施者の権限等) 第百四十一条 返還実施者は、常居所地国に子を返還するために、子の監護その他の必要な行為をすることができる。 2 子の返還の代替執行の手続については、民事執行法第百七十一条第六項の規定は、適用しない。 3 前条第一項において準用する民事執行法第百七十六条の規定は、返還実施者について準用する。 (外務大臣の協力) 第百四十二条 外務大臣は、子の返還の代替執行に関し、立会いその他の必要な協力をすることができる。 (執行事件の記録の閲覧等) 第百四十三条 子の返還の強制執行に係る事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求については、第六十二条の規定を準用する。 第五章 家事事件の手続に関する特則 第一節 子の返還申立事件に係る家事調停の手続等 (付調停) 第百四十四条 家庭裁判所及び高等裁判所は、当事者の同意を得て、いつでも、職権で、子の返還申立事件を家事調停に付することができる。 (家事事件手続法の特則) 第百四十五条 裁判所は、前条の規定により事件を家事調停に付する場合においては、家事調停事件を自ら処理しなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を当該裁判所以外の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に処理させることができる。 2 第四十三条第二項の規定は、前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続における手続上の行為をすることができる能力について準用する。 3 前条の規定により事件を家事調停に付した場合において、当事者間に子の返還の合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、子の返還の合意に係る記載部分は、家事事件手続法第二百六十八条第一項の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。 4 前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続においてされた家事事件手続法第二百八十四条第一項の規定による審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判に代わる裁判を含む。以下この項及び第百四十七条において「調停に代わる審判」という。)について、同法第二百八十六条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十七条に規定する異議の申立てを却下する審判に代わる裁判を含む。)が確定したときは、当該調停に代わる審判のうち子の返還を命ずる部分は、同法第二百八十七条の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。 (子の返還申立事件の手続の中止) 第百四十六条 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付したときは、当該裁判所は、家事調停事件が終了するまで子の返還申立事件の手続を中止することができる。 (子の返還の申立ての取下げの擬制) 第百四十七条 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、又は調停に代わる審判が確定したときは、子の返還申立事件について申立ての取下げがあったものとみなす。 第二節 面会その他の交流についての家事審判及び家事調停の手続等に関する特則 (管轄の特則) 第百四十八条 外国返還援助決定若しくは日本国面会交流援助決定を受けた者又は子の返還の申立てをした者が、子との面会その他の交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は家事調停の申立てをする場合において、次の各号に掲げるときには、当該各号に定める家庭裁判所にも、これらの申立てをすることができる。 一 子の住所地(日本国内に子の住所がないとき、又は住所が知れないときは、その居所地。次号において同じ。)が東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内にあるとき 東京家庭裁判所 二 子の住所地が大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内にあるとき 大阪家庭裁判所 2 前項の申立てに係る審判事件及び調停事件は、日本国内に子の住所がない場合又は住所が知れない場合であって、日本国内に子の居所がないとき又は居所が知れないときは、東京家庭裁判所の管轄に属する。 (記録の閲覧等の特則) 第百四十九条 子との面会その他の交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判の申立てに係る事件の記録中に住所等表示部分がある場合には、裁判所は、当該住所等表示部分については、家事事件手続法第四十七条第三項の規定にかかわらず、同項の申立てに係る許可をしないものとする。 ただし、第六十二条第四項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、この限りでない。 2 子との面会その他の交流について定め、又はその変更について定める審判書又は調停調書の正本に基づく強制執行の申立てに係る事件の記録中に第五条第四項(第二号に係る部分に限る。)の規定により外務大臣から提供を受けた情報が記載され、又は記録されたものがある場合には、当該事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求については、第六十二条の規定を準用する。 第六章 過料の裁判の執行等 第百五十条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。 第七章 雑則 (審理の状況についての説明) 第百五十一条 子の返還申立事件の申立人又は外務大臣は、子の返還の申立てから六週間が経過したときは、当該子の返還申立事件が係属している裁判所に対し、審理の状況について説明を求めることができる。 (親権者の指定等についての審判事件の取扱い) 第百五十二条 親権者の指定若しくは変更又は子の監護に関する処分についての審判事件(人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第三十二条第一項に規定する附帯処分についての裁判及び同条第三項の親権者の指定についての裁判に係る事件を含む。以下この条において同じ。)が係属している場合において、当該審判事件が係属している裁判所に対し、当該審判事件に係る子について不法な連れ去り又は不法な留置と主張される連れ去り又は留置があったことが外務大臣又は当該子についての子の返還申立事件が係属する裁判所から通知されたときは、当該審判事件が係属している裁判所は、当該審判事件について裁判をしてはならない。 ただし、子の返還の申立てが相当の期間内にされないとき、又は子の返還の申立てを却下する裁判が確定したときは、この限りでない。 (総合法律支援法の適用に関する特例) 第百五十三条 条約締約国の国民又は条約締約国に常居所を有する者(日本国民又は我が国に住所を有し適法に在留する者を除く。)であって、連れ去り又は留置に係る子についての子の返還、子との面会その他の交流その他条約の適用に関係のある事項について民事裁判等手続(我が国の裁判所における民事事件、家事事件又は行政事件に関する手続をいう。)を利用するものは、当該事項に関する限り、総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)の適用については、同法第三十条第一項第二号に規定する国民等とみなす。
民事
Heisei
Act
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平成二十五年法律第四十八号
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国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、不法な連れ去り又は不法な留置がされた場合において子をその常居所を有していた国に返還すること等を定めた国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(以下「条約」という。)の的確な実施を確保するため、我が国における中央当局を指定し、その権限等を定めるとともに、子をその常居所を有していた国に迅速に返還するために必要な裁判手続等を定め、もって子の利益に資することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 条約締約国 日本国及び日本国との間で条約が効力を有している条約の締約国(当該締約国が条約第三十九条第一項又は第四十条第一項の規定による宣言をしている場合にあっては、当該宣言により条約が適用される当該締約国の領域の一部又は領域内の地域)をいう。 二 子 父母その他の者に監護される者をいう。 三 連れ去り 子をその常居所を有する国から離脱させることを目的として当該子を当該国から出国させることをいう。 四 留置 子が常居所を有する国からの当該子の出国の後において、当該子の当該国への渡航が妨げられていることをいう。 五 常居所地国 連れ去りの時又は留置の開始の直前に子が常居所を有していた国(当該国が条約の締約国であり、かつ、条約第三十九条第一項又は第四十条第一項の規定による宣言をしている場合にあっては、当該宣言により条約が適用される当該国の領域の一部又は領域内の地域)をいう。 六 不法な連れ去り 常居所地国の法令によれば監護の権利を有する者の当該権利を侵害する連れ去りであって、当該連れ去りの時に当該権利が現実に行使されていたもの又は当該連れ去りがなければ当該権利が現実に行使されていたと認められるものをいう。 七 不法な留置 常居所地国の法令によれば監護の権利を有する者の当該権利を侵害する留置であって、当該留置の開始の時に当該権利が現実に行使されていたもの又は当該留置がなければ当該権利が現実に行使されていたと認められるものをいう。 八 子の返還 子の常居所地国である条約締約国への返還をいう。 第二章 子の返還及び子との交流に関する援助 第一節 中央当局の指定 第三条 我が国の条約第六条第一項の中央当局は、外務大臣とする。 第二節 子の返還に関する援助 第一款 外国返還援助 (外国返還援助申請) 第四条 日本国への連れ去りをされ、又は日本国において留置をされている子であって、その常居所地国が条約締約国であるものについて、当該常居所地国の法令に基づき監護の権利を有する者は、当該連れ去り又は留置によって当該監護の権利が侵害されていると思料する場合には、日本国からの子の返還を実現するための援助(以下「外国返還援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 外国返還援助の申請(以下「外国返還援助申請」という。)を行おうとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出しなければならない。 一 外国返還援助申請をする者(以下この款において「申請者」という。)の氏名又は名称及び住所若しくは居所又は事務所(外国返還援助申請において返還を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)の常居所地国におけるものに限る。第七条第一項第四号において同じ。)の所在地 二 申請に係る子の氏名、生年月日及び住所又は居所(これらの事項が明らかでないときは、その旨)その他申請に係る子を特定するために必要な事項 三 申請に係る子の連れ去りをし、又は留置をしていると思料される者の氏名その他当該者を特定するために必要な事項 四 申請に係る子の常居所地国が条約締約国であることを明らかにするために必要な事項 五 申請に係る子の常居所地国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有し、かつ、申請に係る子の連れ去り又は留置により当該監護の権利が侵害されていることを明らかにするために必要な事項 六 申請に係る子と同居していると思料される者の氏名、住所又は居所その他当該者を特定するために必要な事項(これらの事項が明らかでないときは、その旨) 3 前項の申請書には、同項第五号に掲げる事項を証明する書類その他外務省令で定める書類を添付しなければならない。 4 外国返還援助申請は、日本国以外の条約締約国の中央当局(条約第六条に規定する中央当局をいう。以下同じ。)を経由してすることができる。 この場合において、申請者は、第二項各号に掲げる事項を記載した書面(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)及び前項に規定する書類を外務大臣に提出しなければならない。 (子の住所等に関する情報の提供の求め等) 第五条 外務大臣は、外国返還援助申請があった場合において、必要と認めるときは、申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の氏名及び住所又は居所を特定するため、政令で定めるところにより、次に掲げる機関及び法人(第十五条第一項において「国の行政機関等」という。)の長、地方公共団体の長その他の執行機関並びに申請に係る子及び申請に係る子と同居している者に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その有する当該氏名又は当該住所若しくは居所に関する情報の提供を求めることができる。 一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。) 二 内閣府並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関 三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関 四 内閣府設置法第四十条第二項及び第五十六条の特別の機関 五 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関 六 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人 七 国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人 2 前項の場合において、同項に規定する情報の提供を求められた者は、遅滞なく、当該情報を外務大臣に提供するものとする。 3 外務大臣は、前項の規定により提供された情報が、申請に係る子が日本国内に所在していることを示すものであるが、申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の所在を特定するために十分でない場合には、外務省令で定めるところにより、都道府県警察に対し、当該情報を提供して、これらの者の所在を特定するために必要な措置をとることを求めることができる。 4 前項に規定するもののほか、外務大臣からの第二項の規定により提供された情報及び前項の規定による都道府県警察の措置によって得られた情報の提供は、次に掲げる場合に限り、行うことができる。 一 第二十六条の規定による子の返還の申立て又は子との交流の定めをすること若しくはその変更を求める家事審判若しくは家事調停の申立てをするために申請に係る子と同居している者の氏名を必要とする申請者から当該氏名の開示を求められた場合において、当該氏名を当該申請者に開示するとき。 二 申請に係る子についての第二十九条に規定する子の返還に関する事件若しくは子の返還の強制執行に係る事件が係属している裁判所又は申請に係る子についての子との交流に関する事件若しくは子との交流の強制執行に係る事件が係属している裁判所から、その手続を行うために申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の住所又は居所の確認を求められた場合において、当該住所又は居所をこれらの裁判所に開示するとき。 三 第十条第一項の規定により、市町村、都道府県の設置する福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所をいう。以下この号及び同項において同じ。)又は児童相談所(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)に規定する児童相談所をいう。同号及び同項において同じ。)に対し、申請に係る子が虐待を受けているおそれがあると信ずるに足りる相当な理由がある旨を通告する場合において、申請に係る子及び申請に係る子と同居していると思料される者の氏名及び住所又は居所を当該市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所に通知するとき。 (外国返還援助の決定及び通知) 第六条 外務大臣は、外国返還援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合及び第八条第一項の規定により当該外国返還援助申請に係る書類の写しを送付する場合を除き、外国返還援助の決定(以下「外国返還援助決定」という。)をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知(申請者が第四条第四項の規定により日本国以外の条約締約国の中央当局を経由して外国返還援助申請をした場合にあっては、当該中央当局を経由してする通知。次条第二項及び第八条第二項において同じ。)をしなければならない。 2 外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第九条又は第十条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 三 この法律に定める手続その他子の返還又は子との交流の実現に関連する日本国の法令に基づく制度に関する情報の申請者への提供 (外国返還援助申請の却下) 第七条 外務大臣は、外国返還援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国返還援助申請を却下する。 一 申請に係る子が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が日本国内に所在していないことが明らかであり、かつ、申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が条約締約国以外の国又は地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所(申請者が法人その他の団体である場合にあっては、事務所の所在地)が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請に係る子の連れ去りの時又は留置の開始の時に、申請に係る子の常居所地国が条約締約国でなかったこと。 六 申請に係る子の常居所地国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有していないことが明らかであり、又は申請に係る子の連れ去り若しくは留置により当該監護の権利が侵害されていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により外国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならない。 (外国返還援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第八条 外務大臣は、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかである場合において、外国返還援助申請が前条第一項第四号に該当しないときは、第四条第二項の申請書(申請者が同条第四項の規定により外国返還援助申請をした場合にあっては、同項に規定する書面)及び同条第三項に規定する書類の写しを当該条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (合意による子の返還等の促進) 第九条 外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、申請に係る子について子の返還又は申請者との交流を申請者及び申請に係る子を監護している者の合意により実現するため、これらの者の間の協議のあっせんその他の必要な措置をとることができる。 (子の虐待に係る通告) 第十条 外務大臣は、申請に係る子が日本国内に所在している場合において、虐待を受けているおそれがあると信ずるに足りる相当な理由があるときは、市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所に対し、その旨を通告しなければならない。 2 前項の規定による通告は、児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第六条第一項の規定による通告とみなして、同条第二項及び第三項並びに同法第七条及び第八条の規定を適用する。 第二款 日本国返還援助 (日本国返還援助申請) 第十一条 日本国以外の条約締約国への連れ去りをされ、又は日本国以外の条約締約国において留置をされている子であって、その常居所地国が日本国であるものについて、日本国の法令に基づき監護の権利を有する者は、当該連れ去り又は留置によって当該監護の権利が侵害されていると思料する場合には、日本国への子の返還を実現するための援助(以下「日本国返還援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 第四条第二項及び第三項の規定は、日本国返還援助の申請(以下「日本国返還援助申請」という。)について準用する。 この場合において、同条第二項第一号中「第七条第一項第四号」とあるのは「第十三条第一項第四号」と、同項第四号中「条約締約国」とあり、及び同項第五号中「申請に係る子の常居所地国」とあるのは「日本国」と読み替えるものとする。 (日本国返還援助の決定及び通知) 第十二条 外務大臣は、日本国返還援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合を除き、日本国返還援助の決定(以下「日本国返還援助決定」という。)をし、遅滞なく、日本国返還援助申請をした者(以下この款において「申請者」という。)にその旨を通知しなければならない。 2 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、第十四条に規定する措置をとるものとする。 3 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、前項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第十五条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 (日本国返還援助申請の却下) 第十三条 外務大臣は、日本国返還援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該日本国返還援助申請を却下する。 一 日本国返還援助申請において返還を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が日本国又は条約締約国以外の国若しくは地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所(申請者が法人その他の団体である場合にあっては、事務所の所在地)が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請に係る子の常居所地国が日本国でないことが明らかであること。 六 申請に係る子の連れ去りの時又は留置の開始の時に、申請に係る子が所在していると思料される国又は地域が条約締約国でなかったこと。 七 日本国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有していないことが明らかであり、又は申請に係る子の連れ去り若しくは留置により当該監護の権利が侵害されていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により日本国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由を通知しなければならない。 (日本国返還援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第十四条 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、第十一条第二項において準用する第四条第二項の申請書及び同条第三項に規定する書類の写しを申請に係る子が所在している条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (子の社会的背景に関する情報の条約締約国の中央当局への提供) 第十五条 外務大臣は、日本国への子の返還に関する事件が日本国以外の条約締約国の裁判所又はその他の審判を行う機関(以下この項及び次項において「外国裁判所等」という。)に係属しており、当該条約締約国の中央当局から当該子の返還に係る子の日本国内における心身、養育及び就学の状況その他の生活及び取り巻く環境の状況に関する情報の提供を求められた場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、当該条約締約国の中央当局に提供するために、政令で定めるところにより、国の行政機関等の長、地方公共団体の長その他の執行機関及び当該子に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その有する当該情報の提供を求めることができる。 一 当該中央当局が、当該外国裁判所等の依頼を受けて当該事件に関する調査を行うために外務大臣に対し当該情報の提供を求めており、かつ、当該調査以外の目的のために当該情報を利用するおそれがないと認められるとき。 二 当該事件に係る外国裁判所等の手続の当事者(当該子が当該手続の当事者である場合にあっては、当該子を除く。)が当該情報を当該中央当局に提供することに同意しているとき。 2 前項の場合において、同項に規定する情報の提供を求められた者は、次の各号のいずれにも該当するときは、遅滞なく、当該情報を外務大臣に提供するものとする。 一 当該情報を前項に規定する中央当局に提供することによって同項に規定する子及び同項に規定する事件に係る外国裁判所等の手続の当事者の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認めるとき。 二 当該情報が、前項に規定する子及び同項に規定する事件に係る外国裁判所等の手続の当事者の知り得る状態にあり、かつ、これらの者以外の特定の個人を識別することができる情報を含まないとき。 3 外務大臣は、前項の規定により提供された情報を、第一項に規定する中央当局に対してのみ提供することができる。 第三節 子との交流に関する援助 第一款 日本国交流援助 (日本国交流援助申請) 第十六条 日本国内に所在している子であって、交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、当該国又は地域の法令に基づき交流をすることができる者(日本国以外の条約締約国に住所又は居所を有しているものに限る。)は、当該子との交流が妨げられていると思料する場合には、当該子との交流を実現するための援助(以下「日本国交流援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 日本国交流援助の申請(以下「日本国交流援助申請」という。)を行おうとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出しなければならない。 一 日本国交流援助申請をする者(以下この款において「申請者」という。)の氏名及び住所又は居所 二 日本国交流援助申請において交流を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)の氏名、生年月日及び住所又は居所(これらの事項が明らかでないときは、その旨)その他申請に係る子を特定するために必要な事項 三 申請に係る子との交流を妨げていると思料される者の氏名その他当該者を特定するために必要な事項 四 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国であることを明らかにするために必要な事項 五 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と交流をすることができ、かつ、申請者の申請に係る子との交流が妨げられていることを明らかにするために必要な事項 六 申請に係る子と同居していると思料される者の氏名、住所又は居所その他当該者を特定するために必要な事項(これらの事項が明らかでないときは、その旨) 3 前項の申請書には、同項第五号に掲げる事項を証明する書類その他外務省令で定める書類を添付しなければならない。 4 日本国交流援助申請は、日本国以外の条約締約国の中央当局を経由してすることができる。 この場合において、申請者は、第二項各号に掲げる事項を記載した書面(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)及び前項に規定する書類を外務大臣に提出しなければならない。 (日本国交流援助の決定及び通知) 第十七条 外務大臣は、日本国交流援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合及び第十九条第一項の規定により当該日本国交流援助申請に係る書類の写しを送付する場合を除き、日本国交流援助の決定(以下「日本国交流援助決定」という。)をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知(申請者が前条第四項の規定により日本国以外の条約締約国の中央当局を経由して日本国交流援助申請をした場合にあっては、当該中央当局を経由してする通知。次条第二項及び第十九条第二項において同じ。)をしなければならない。 2 外務大臣は、日本国交流援助決定をした場合には、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第二十条において準用する第九条又は第十条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 三 この法律に定める手続その他子との交流の実現に関連する日本国の法令に基づく制度に関する情報の申請者への提供 (日本国交流援助申請の却下) 第十八条 外務大臣は、日本国交流援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該日本国交流援助申請を却下する。 一 申請に係る子が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が日本国内に所在していないことが明らかであり、かつ、申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が条約締約国以外の国又は地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請者が日本国内に住所若しくは居所を有していることが明らかであり、又は日本国以外の条約締約国に住所若しくは居所を有していないことが明らかであること。 六 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国でないこと。 七 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国若しくは地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と交流をすることができないことが明らかであり、又は申請者の申請に係る子との交流が妨げられていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により日本国交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならない。 (日本国交流援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第十九条 外務大臣は、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかである場合において、日本国交流援助申請が前条第一項第四号に該当しないときは、第十六条第二項の申請書(申請者が同条第四項の規定により日本国交流援助申請をした場合にあっては、同項に規定する書面)及び同条第三項に規定する書類の写しを当該条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (日本国交流援助に関する準用規定) 第二十条 第五条、第九条及び第十条の規定は、外務大臣に対し日本国交流援助申請があった場合について準用する。 この場合において、第五条第四項第一号中「第二十六条の規定による子の返還の申立て又は子との交流の定めをすること若しくはその変更を求める家事審判若しくは」とあるのは「子との交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は」と、同項第二号中「第二十九条に規定する子の返還に関する事件若しくは子の返還の強制執行に係る事件が係属している裁判所又は申請に係る子についての子との交流に関する事件若しくは」とあるのは「子との交流に関する事件又は」と、「これらの」とあるのは「当該」と、第九条中「子の返還又は申請者」とあるのは「申請者」と読み替えるものとする。 第二款 外国交流援助 (外国交流援助申請) 第二十一条 日本国以外の条約締約国に所在している子であって、交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、当該国又は地域の法令に基づき交流をすることができる者(日本国内に住所又は居所を有しているものに限る。)は、当該子との交流が妨げられていると思料する場合には、当該子との交流を実現するための援助(以下「外国交流援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 第十六条第二項及び第三項の規定は、外国交流援助の申請(以下「外国交流援助申請」という。)について準用する。 (外国交流援助の決定及び通知) 第二十二条 外務大臣は、外国交流援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合を除き、外国交流援助の決定(以下「外国交流援助決定」という。)をし、遅滞なく、外国交流援助申請をした者(以下この款において「申請者」という。)にその旨を通知しなければならない。 2 外務大臣は、外国交流援助決定をした場合には、第二十四条に規定する措置をとるものとする。 3 外務大臣は、外国交流援助決定をした場合には、前項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第二十五条において準用する第十五条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 (外国交流援助申請の却下) 第二十三条 外務大臣は、外国交流援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国交流援助申請を却下する。 一 外国交流援助申請において交流を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が日本国又は条約締約国以外の国若しくは地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請者が日本国内に住所又は居所を有していないことが明らかであること。 六 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国でないこと。 七 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国若しくは地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と交流をすることができないことが明らかであり、又は申請者の申請に係る子との交流が妨げられていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により外国交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由を通知しなければならない。 (外国交流援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第二十四条 外務大臣は、外国交流援助決定をした場合には、第二十一条第二項において準用する第十六条第二項の申請書及び同条第三項に規定する書類の写しを申請に係る子が所在している条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨を通知しなければならない。 (外国交流援助に関する準用規定) 第二十五条 第十五条の規定は、外務大臣に対し外国交流援助申請があった場合について準用する。 この場合において、同条第一項中「日本国への子の返還」とあるのは「申請に係る子についての子との交流」と、「当該子の返還に係る子」とあるのは「申請に係る子」と読み替えるものとする。 第三章 子の返還に関する事件の手続等 第一節 返還事由等 (条約に基づく子の返還) 第二十六条 日本国への連れ去り又は日本国における留置により子についての監護の権利を侵害された者は、子を監護している者に対し、この法律の定めるところにより、常居所地国に子を返還することを命ずるよう家庭裁判所に申し立てることができる。 (子の返還事由) 第二十七条 裁判所は、子の返還の申立てが次の各号に掲げる事由のいずれにも該当すると認めるときは、子の返還を命じなければならない。 一 子が十六歳に達していないこと。 二 子が日本国内に所在していること。 三 常居所地国の法令によれば、当該連れ去り又は留置が申立人の有する子についての監護の権利を侵害するものであること。 四 当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に、常居所地国が条約締約国であったこと。 (子の返還拒否事由等) 第二十八条 裁判所は、前条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるときは、子の返還を命じてはならない。 ただし、第一号から第三号まで又は第五号に掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して常居所地国に子を返還することが子の利益に資すると認めるときは、子の返還を命ずることができる。 一 子の返還の申立てが当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時から一年を経過した後にされたものであり、かつ、子が新たな環境に適応していること。 二 申立人が当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に子に対して現実に監護の権利を行使していなかったこと(当該連れ去り又は留置がなければ申立人が子に対して現実に監護の権利を行使していたと認められる場合を除く。)。 三 申立人が当該連れ去りの前若しくは当該留置の開始の前にこれに同意し、又は当該連れ去りの後若しくは当該留置の開始の後にこれを承諾したこと。 四 常居所地国に子を返還することによって、子の心身に害悪を及ぼすことその他子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があること。 五 子の年齢及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場合において、子が常居所地国に返還されることを拒んでいること。 六 常居所地国に子を返還することが日本国における人権及び基本的自由の保護に関する基本原則により認められないものであること。 2 裁判所は、前項第四号に掲げる事由の有無を判断するに当たっては、次に掲げる事情その他の一切の事情を考慮するものとする。 一 常居所地国において子が申立人から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(次号において「暴力等」という。)を受けるおそれの有無 二 相手方及び子が常居所地国に入国した場合に相手方が申立人から子に心理的外傷を与えることとなる暴力等を受けるおそれの有無 三 申立人又は相手方が常居所地国において子を監護することが困難な事情の有無 3 裁判所は、日本国において子の監護に関する裁判があったこと又は外国においてされた子の監護に関する裁判が日本国で効力を有する可能性があることのみを理由として、子の返還の申立てを却下する裁判をしてはならない。 ただし、これらの子の監護に関する裁判の理由を子の返還の申立てについての裁判において考慮することを妨げない。 第二節 子の返還に関する事件の手続の通則 (子の返還に関する事件の手続) 第二十九条 子の返還に関する事件(第三十二条第一項に規定する子の返還申立事件、第百二十一条の規定による調査及び勧告の事件並びに第百二十三条第二項に規定する出国禁止命令事件をいう。以下同じ。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第三十条 裁判所は、子の返還に関する事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に子の返還に関する事件の手続を追行しなければならない。 (最高裁判所規則) 第三十一条 この法律に定めるもののほか、子の返還に関する事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第三節 子の返還申立事件の手続 第一款 総則 第一目 管轄 (管轄) 第三十二条 子の返還申立事件(第二十六条の規定による子の返還の申立てに係る事件をいう。以下同じ。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。 一 子の住所地(日本国内に子の住所がないとき、又は住所が知れないときは、その居所地。次号において同じ。)が東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内にある場合 東京家庭裁判所 二 子の住所地が大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内にある場合 大阪家庭裁判所 2 子の返還申立事件は、日本国内に子の住所がない場合又は住所が知れない場合であって、日本国内に子の居所がないとき又は居所が知れないときは、東京家庭裁判所の管轄に属する。 (併合申立てによる管轄) 第三十三条 一の申立てにより数人の子についての子の返還を求める場合には、前条の規定により一人の子についての子の返還の申立てについて管轄権を有する家庭裁判所にその申立てをすることができる。 (管轄裁判所の指定) 第三十四条 管轄裁判所が法律上若しくは事実上裁判権を行うことができないとき、又は裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、最高裁判所は、申立てにより、管轄裁判所を定める。 (管轄の標準時) 第三十五条 裁判所の管轄は、子の返還の申立てがあった時を標準として定める。 (管轄の合意) 第三十六条 当事者は、第一審に限り、合意により第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所の一を管轄裁判所と定めることができる。 2 前項の合意は、子の返還の申立てに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。 3 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。 (移送等) 第三十七条 裁判所は、子の返還申立事件がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄権を有する家庭裁判所に移送する。 2 家庭裁判所は、前項に規定する場合において、子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に移送することができる。 3 第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所は、第一項に規定する場合において、子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を自ら処理することができる。 4 家庭裁判所は、子の返還申立事件がその管轄に属する場合においても、当該子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を他の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に移送することができる。 5 第一項、第二項及び前項の規定による移送の裁判並びに第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 6 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 7 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二十二条の規定は、子の返還申立事件の移送の裁判について準用する。 第二目 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第三十八条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者であるとき、又は当事者となる資格を有する者であるとき。 二 裁判官が当事者又は子の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又は子の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくは子の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第三十九条 裁判官について裁判の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第四十条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避については、その裁判官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで子の返還申立事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 子の返還申立事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官又は子の返還申立事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、子の返還申立事件の手続は、停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第四十一条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第三十八条、第三十九条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった子の返還申立事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (家庭裁判所調査官の除斥) 第四十二条 家庭裁判所調査官の除斥については、第三十八条並びに第四十条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。 2 家庭裁判所調査官について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった子の返還申立事件に関与することができない。 3 家庭裁判所調査官の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官の所属する裁判所がする。 第三目 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第四十三条 当事者能力、子の返還申立事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理、手続行為をするのに必要な授権及び法定代理権の消滅については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十三条、第三十四条第一項及び第二項並びに第三十六条第一項の規定を準用する。 2 未成年者及び成年被後見人は、法定代理人の同意を要することなく、又は法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 被保佐人又は被補助人について、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 3 後見人が他の者がした子の返還の申立て又は抗告について手続行為をするには、後見監督人の同意を要しない。 4 後見人が次に掲げる手続行為をするには、後見監督人の同意がなければならない。 一 子の返還の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する即時抗告、第百八条第一項の抗告又は第百十一条第二項の申立ての取下げ 三 第百四十四条の同意 (未成年者又は成年被後見人の法定代理人) 第四十四条 親権を行う者又は後見人は、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。 (特別代理人) 第四十五条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、子の返還申立事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法人の代表者等への準用) 第四十六条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第四目 参加 (当事者参加) 第四十七条 当事者となる資格を有する者は、当事者として子の返還申立事件の手続に参加することができる。 2 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者を、当事者として子の返還申立事件の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (子の参加) 第四十八条 子の返還申立事件において返還を求められている子は、子の返還申立事件の手続に参加することができる。 2 裁判所は、相当と認めるときは、職権で、返還を求められている子を、子の返還申立事件の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。 4 裁判所は、子の返還申立事件の手続に参加しようとする子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して当該子が当該手続に参加することが当該子の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出を却下しなければならない。 5 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 6 第一項又は第二項の規定により子の返還申立事件の手続に参加した子(以下単に「手続に参加した子」という。)は、当事者がすることができる手続行為(子の返還の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、手続に参加した子が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。 (手続からの排除) 第四十九条 裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を子の返還申立事件の手続から排除することができる。 2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第五目 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第五十条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (裁判長による手続代理人の選任等) 第五十一条 未成年者、成年被後見人、被保佐人及び被補助人(以下この条において「未成年者等」という。)が手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。 2 未成年者等が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。 3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し未成年者等が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。 (手続代理人の代理権の範囲) 第五十二条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加及び強制執行に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 一 子の返還の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する即時抗告、第百八条第一項の抗告若しくは第百十一条第二項の申立て又はこれらの取下げ 三 第百二十二条第三項に規定する出国禁止命令の申立て又はその取下げ 四 第百四十四条の同意 五 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用) 第五十三条 民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)、第三十六条第一項及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第五十四条 子の返還申立事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六目 手続費用 (手続費用の負担) 第五十五条 子の返還申立事件の手続の費用(以下「手続費用」という。)は、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び手続に参加した子がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の当事者に負担させることができる。 (手続費用の負担の裁判等) 第五十六条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における手続費用(裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合にあっては、家事調停に関する手続の費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。 ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。 2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合にあっては、家事調停に関する手続の費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。 事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。 3 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、子の返還申立事件の手続費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 (手続費用の立替え) 第五十七条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の子の返還申立事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第五十八条 民事訴訟法第六十八条から第七十四条までの規定(裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての決定に対する即時抗告に関する部分を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十三条第一項中「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成二十五年法律第四十八号)第四十七条第一項又は第四十八条第一項の規定による参加の申出」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第五十八条第一項において準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第四項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 (手続上の救助) 第五十九条 子の返還申立事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で子の返還の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第五十九条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七目 子の返還申立事件の審理等 (手続の非公開) 第六十条 子の返還申立事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (調書の作成等) 第六十一条 裁判所書記官は、子の返還申立事件の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第六十二条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、子の返還申立事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付(第四項第一号及び第六十九条第二項において「閲覧等」という。)又は子の返還申立事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、子の返還申立事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、当該申立てに係る許可をしなければならない。 4 裁判所は、子の返還申立事件の記録中、第五条第四項(第二号に係る部分に限る。)の規定により外務大臣から提供を受けた相手方又は子の住所又は居所が記載され、又は記録された部分(第一号及び第百四十九条第一項において「住所等表示部分」という。)については、前項の規定にかかわらず、同項の申立てに係る許可をしないものとする。 ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。 一 住所等表示部分の閲覧等又はその複製についての相手方の同意があるとき。 二 子の返還を命ずる終局決定が確定した後において、子の返還を命ずる終局決定に関する強制執行をするために必要があるとき。 5 裁判所は、子の返還申立事件において返還を求められている子の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、第三項及び前項ただし書の規定にかかわらず、第三項の申立てに係る許可をしないことができる。 事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てに係る許可をすることを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。 6 裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、当該申立てに係る許可をすることができる。 7 裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は子の返還申立事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 8 子の返還申立事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、子の返還申立事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 9 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 10 前項の規定による即時抗告が子の返還申立事件の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 11 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (期日及び期間) 第六十三条 子の返還申立事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。 2 子の返還申立事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 子の返還申立事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、子の返還申立事件の手続の期日及び期間について準用する。 (手続の併合等) 第六十四条 裁判所は、子の返還申立事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする子の返還申立事件についての手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第六十五条 当事者が子の返還申立事件の手続を続行することができない場合(当事者の死亡による場合を除く。)には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に子の返還申立事件の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者等による受継) 第六十六条 子の返還申立事件の申立人の死亡によってその手続を続行することができない場合には、当該子の返還申立事件において申立人となることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 前項の規定による受継の申立ては、子の返還申立事件の申立人が死亡した日から一月以内にしなければならない。 3 子の返還申立事件の相手方の死亡によってその手続を続行することができない場合には、裁判所は、申立てにより又は職権で、相手方が死亡した日から三月以内に限り、相手方の死亡後に子を監護している者に、その手続を受け継がせることができる。 (送達及び手続の中止) 第六十七条 送達及び子の返還申立事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは、「裁判を求める事項」と読み替えるものとする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第六十八条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第八目 電子情報処理組織による申立て等 第六十九条 子の返還申立事件の手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十第一項から第五項までの規定(支払督促に関する部分を除く。)を準用する。 2 前項において準用する民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定によりされた申立て等に係る第六十二条第一項の規定による子の返還申立事件の記録の閲覧等は、同法第百三十二条の十第五項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第九目 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第六十九条の二 子の返還申立事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同条第一項中「者は、訴訟記録等」とあるのは「当事者又は手続に参加した子(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第四十八条第六項に規定する手続に参加した子をいう。次項及び第七項において同じ。)は、子の返還申立事件の記録」と、同条第二項中「当事者」とあるのは「当事者又は手続に参加した子」と、「訴訟記録等」とあるのは「子の返還申立事件の記録」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは手続に参加した子」と読み替えるものとする。 第二款 第一審裁判所における子の返還申立事件の手続 第一目 子の返還の申立て (申立ての方式等) 第七十条 子の返還の申立ては、申立書(以下「子の返還申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 子の返還申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 この場合において、第二号に掲げる申立ての趣旨は、返還を求める子及び子を返還すべき条約締約国を特定して記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨 三 子の返還申立事件の手続による旨 3 申立人は、一の申立てにより数人の子についての子の返還を求めることができる。 4 子の返還申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い子の返還の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、子の返還申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (申立ての変更) 第七十一条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨を変更することができる。 ただし、第八十九条の規定により審理を終結した後は、この限りでない。 2 申立ての趣旨の変更は、子の返還申立事件の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 家庭裁判所は、申立ての趣旨の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨の変更により子の返還申立事件の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 (申立書の写しの送付等) 第七十二条 子の返還の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、子の返還申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 2 前項の規定による子の返還申立書の写しの送付は、公示送達の方法によっては、することができない。 3 第七十条第四項から第六項までの規定は、第一項の規定による子の返還申立書の写しの送付をすることができない場合について準用する。 4 裁判長は、第一項の規定による子の返還申立書の写しの送付の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、子の返還申立書を却下しなければならない。 5 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 第二目 子の返還申立事件の手続の期日 (裁判長の手続指揮権) 第七十三条 子の返還申立事件の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が子の返還申立事件の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第七十四条 家庭裁判所は、受命裁判官に子の返還申立事件の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第八十二条第三項の規定又は第八十六条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第七十五条 家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、子の返還申立事件の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 子の返還申立事件の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第七十六条 子の返還申立事件の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、子の返還申立事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、手続に参加した子、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を、それぞれ準用する。 第三目 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第七十七条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 申立人及び相手方は、それぞれ第二十七条に規定する事由(第二十八条第一項第二号に規定する場合に関する事由を含む。)についての資料及び同項に規定する事由についての資料を提出するほか、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第七十八条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (家庭裁判所調査官による事実の調査) 第七十九条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。 4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。 (家庭裁判所調査官の期日への立会い等) 第八十条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、子の返還申立事件の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。 2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。 (裁判所技官による診断等) 第八十一条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 2 第七十九条第二項から第四項までの規定は前項の診断について、前条の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について、それぞれ準用する。 (事実の調査の嘱託等) 第八十二条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (調査の嘱託等) 第八十三条 家庭裁判所は、必要な調査を外務大臣に嘱託するほか、官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は学校、保育所その他適当と認める者に対し子の心身の状態及び生活の状況その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (事実の調査の通知) 第八十四条 家庭裁判所は、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び手続に参加した子に通知しなければならない。 (陳述の聴取) 第八十五条 家庭裁判所は、子の返還の申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。 ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。 (証拠調べ) 第八十六条 子の返還申立事件の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで及び第二百七条第二項の規定を除く。)を準用する。 この場合において、同法第百八十五条第一項中「地方裁判所若しくは簡易裁判所」とあるのは「他の家庭裁判所」と、同条第二項中「地方裁判所又は簡易裁判所」とあるのは「家庭裁判所」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 (不法を証する文書の提出) 第八十七条 家庭裁判所は、申立人が不法な連れ去り又は不法な留置があったことを証する文書を常居所地国において得ることができるときは、申立人に対し、当該文書を提出することを求めることができる。 第四目 子の返還申立事件の手続における子の意思の把握等 第八十八条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、終局決定をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 第五目 審理の終結等 (審理の終結) 第八十九条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。 ただし、当事者双方が立ち会うことができる子の返還申立事件の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。 (裁判日) 第九十条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、裁判をする日を定めなければならない。 第六目 裁判 (裁判の方式) 第九十一条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、決定で、裁判をする。 (終局決定) 第九十二条 家庭裁判所は、子の返還申立事件が裁判をするのに熟したときは、終局決定をする。 2 家庭裁判所は、子の返還申立事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局決定をすることができる。 手続の併合を命じた数個の子の返還申立事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (終局決定の告知及び効力の発生等) 第九十三条 終局決定は、当事者及び子に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 ただし、子(手続に参加した子を除く。)に対しては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。 2 終局決定は、当事者に告知することによってその効力を生ずる。 ただし、子の返還を命ずる終局決定は、確定しなければその効力を生じない。 3 終局決定は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 4 終局決定の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (終局決定の方式及び裁判書) 第九十四条 終局決定は、裁判書を作成してしなければならない。 2 終局決定の裁判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第九十五条 終局決定に誤記その他これに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の終局決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 終局決定に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (終局決定に関する民事訴訟法の準用) 第九十六条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、終局決定について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「終局決定が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (中間決定) 第九十七条 家庭裁判所は、終局決定の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (終局決定以外の裁判) 第九十八条 終局決定以外の裁判は、これを受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 終局決定以外の裁判については、これを受ける者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 3 第九十二条から第九十六条まで(第九十三条第一項及び第二項並びに第九十四条第一項を除く。)の規定は、前項の裁判について準用する。 この場合において、第九十四条第二項第二号中「理由」とあるのは、「理由の要旨」と読み替えるものとする。 4 子の返還申立事件の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 5 終局決定以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。 第七目 裁判によらない子の返還申立事件の終了 (子の返還の申立ての取下げ) 第九十九条 子の返還の申立ては、終局決定が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、申立ての取下げは、終局決定がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 2 前項ただし書の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。 ただし、申立ての取下げが子の返還申立事件の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。 3 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。 同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 4 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「子の返還申立事件の手続の期日」と読み替えるものとする。 (和解) 第百条 子の返還申立事件における和解については、民事訴訟法第八十九条、第二百六十四条及び第二百六十五条の規定を準用する。 この場合において、同法第二百六十四条及び第二百六十五条第三項中「口頭弁論等」とあるのは、「子の返還申立事件の手続」と読み替えるものとする。 2 子の返還申立事件においては、子の監護に関する事項、夫婦間の協力扶助に関する事項及び婚姻費用の分担に関する事項についても、和解をすることができる。 3 次の各号に掲げる事項についての和解を調書に記載したときは、その記載は、当該各号に定める裁判と同一の効力を有する。 一 子の返還 確定した子の返還を命ずる終局決定 二 子の監護に関する事項、夫婦間の協力扶助に関する事項及び婚姻費用の分担に関する事項 確定した家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第三十九条の規定による審判 三 その他の事項 確定判決 第三款 不服申立て 第一目 終局決定に対する即時抗告 (即時抗告をすることができる裁判) 第百一条 当事者は、終局決定に対し、即時抗告をすることができる。 2 子は、子の返還を命ずる終局決定に対し、即時抗告をすることができる。 3 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第百二条 終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 当事者又は手続に参加した子による即時抗告の期間は、即時抗告をする者が終局決定の告知を受けた日から進行する。 3 子(手続に参加した子を除く。)による即時抗告の期間は、当事者が終局決定の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第百三条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原決定の表示及びその決定に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による終局決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第七十条第四項及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第百四条 終局決定に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び手続に参加した子(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 (陳述の聴取) 第百五条 抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 (抗告裁判所による裁判) 第百六条 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、自ら裁判をしなければならない。 ただし、次条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。 (第一審の手続の規定及び民事訴訟法の準用等) 第百七条 終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前款の規定(第七十条第六項、第七十二条第二項及び第五項、第九十三条第三項及び第四項、第九十五条第三項から第五項まで並びに第九十八条第五項を除く。)を準用する。 2 抗告裁判所は、第百四条第一項の規定による抗告状の写しの送付をすることを要しないときは、前項において準用する第八十九条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。 3 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百九条までの規定は、終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第九十九条第四項」と、同法第二百九十九条第二項中「第六条第一項各号」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第三十二条第一項各号」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百五十条」と読み替えるものとする。 第二目 終局決定に対する特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第百八条 高等裁判所の終局決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (原裁判の執行停止) 第百九条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。 ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第百十条 第百二条第二項及び第三項、第百三条(第四項及び第五項を除く。)、第百四条、第百五条並びに第百七条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十条第一項において準用する同法第百三条第六項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百八条第二項の規定及び同法第百十条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百八条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三目 終局決定に対する許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第百十一条 高等裁判所の終局決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第百八条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の高等裁判所は、同項の終局決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第百八条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用) 第百十二条 第百二条第二項及び第三項、第百三条(第四項及び第五項を除く。)、第百四条、第百五条、第百七条並びに第百九条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第百二条第二項及び第三項、第百三条第一項、第二項第二号及び第三項、第百四条第一項並びに第百五条中「即時抗告」とあり、第百三条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第百九条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第百十一条第二項の申立て」と、第百三条第一項、第二項及び第六項、第百四条並びに第百七条第二項中「抗告状」とあるのは「第百十一条第二項の規定による許可の申立書」と、同条中「即時抗告」とあり、及び第百九条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「第百十一条第四項に規定する許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について、それぞれ準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第五項の規定及び同法第百十二条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第四目 終局決定以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第百十三条 終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第百十四条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、子の返還申立事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (即時抗告期間等) 第百十五条 終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 4 原裁判をした裁判所、裁判官又は裁判長は、即時抗告を理由があると認めるときは、その裁判を更正しなければならない。 (終局決定に対する不服申立ての規定の準用等) 第百十六条 前三目の規定(第百一条第一項及び第二項、第百二条第一項並びに同条第三項、第百四条及び第百五条(これらの規定を第百十二条第一項において準用する場合を含む。)並びに第百十条の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 この場合において、第百八条第一項中「高等裁判所の終局決定」とあるのは「家庭裁判所の終局決定以外の裁判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の終局決定以外の裁判」と、第百十一条第一項中「できる」とあるのは「できる。ただし、その決定が家庭裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る」と読み替えるものとする。 2 第百二条第二項及び第三項、第百三条並びに第百七条の規定は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第百三条第六項中「及び第五項」とあるのは、「から第六項まで」と読み替えるものとする。 3 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第二項において読み替えて準用する同法第百三条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において準用する同法第百八条第二項の規定及び同法第百十六条第三項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において読み替えて準用する同法第百八条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第四款 終局決定の変更 (終局決定の変更) 第百十七条 子の返還を命ずる終局決定をした裁判所(その決定に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定(第百七条第二項の規定による決定を除く。以下この項において同じ。)をしたときは、当該抗告裁判所)は、子の返還を命ずる終局決定が確定した後に、事情の変更によりその決定を維持することを不当と認めるに至ったときは、当事者の申立てにより、その決定(当該抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定をした場合にあっては、当該終局決定)を変更することができる。 ただし、子が常居所地国に返還された後は、この限りでない。 2 前項の規定による終局決定の変更の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 変更を求める終局決定の表示及びその決定に対して変更を求める旨 三 終局決定の変更を求める理由 3 裁判所は、第一項の規定により終局決定を変更するときは、当事者(同項の申立てをした者を除く。)の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の申立てを却下する終局決定に対しては、当該申立てをした者は、即時抗告をすることができる。 5 第一項の規定により終局決定を変更する決定に対しては、即時抗告をすることができる。 6 前各項に規定するもののほか、第一項の規定による終局決定の変更の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 (執行停止の裁判) 第百十八条 裁判所は、前条第一項の申立てがあった場合において、同項の規定による変更の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点につき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第五款 再審 (再審) 第百十九条 確定した終局決定その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により終局決定その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該終局決定その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第百二十条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第四節 義務の履行状況の調査及び履行の勧告 第百二十一条 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所(抗告裁判所が子の返還を命ずる終局決定をした場合にあっては、第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、子の返還の義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。 2 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。 3 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項及び第五項においてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を外務大臣に嘱託するほか、官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は学校、保育所その他適当と認める者に対し子の生活の状況その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 6 第一項の規定による調査及び勧告の手続には、その性質に反しない限り、前節第一款の規定を準用する。 7 前各項の規定は、和解によって定められた義務の履行について準用する。 第五節 出国禁止命令 (出国禁止命令) 第百二十二条 子の返還申立事件が係属する家庭裁判所は、子の返還申立事件の当事者が子を日本国外に出国させるおそれがあるときは、子の返還申立事件の一方の当事者の申立てにより、他方の当事者に対し、子を出国させてはならないことを命ずることができる。 2 家庭裁判所は、前項の規定による申立てに係る事件の相手方が子が名義人となっている旅券を所持すると認めるときは、申立てにより、同項の規定による裁判において、当該旅券の外務大臣への提出を命じなければならない。 3 子の返還申立事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前二項の規定による裁判(以下「出国禁止命令」という。)をする。 4 出国禁止命令は、子の返還の申立てについての終局決定の確定により、その効力を失う。 (出国禁止命令の申立て等) 第百二十三条 出国禁止命令の申立ては、その趣旨及び出国禁止命令を求める事由を明らかにしてしなければならない。 2 出国禁止命令を求める事由については、出国禁止命令の申立てに係る事件(以下「出国禁止命令事件」という。)の申立人が資料を提出しなければならない。 3 前条第二項の規定による裁判の申立ては、出国禁止命令があるまで、取り下げることができる。 4 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、出国禁止命令の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百二十三条第二項に規定する出国禁止命令事件の手続の期日」と読み替えるものとする。 (陳述の聴取) 第百二十四条 出国禁止命令は、出国禁止命令事件の相手方の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより出国禁止命令の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第百二十五条 裁判所は、第百三十三条において準用する第六十二条第三項の規定にかかわらず、出国禁止命令事件について、出国禁止命令事件の当事者から同条第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、出国禁止命令事件の相手方に対し、出国禁止命令事件が係属したことを通知し、又は出国禁止命令を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。 (出国禁止命令の告知及び効力) 第百二十六条 出国禁止命令の申立てについての裁判は、出国禁止命令事件の当事者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 出国禁止命令は、出国禁止命令事件の相手方に告知することによってその効力を生じ、出国禁止命令の申立てを却下する裁判は、出国禁止命令事件の申立人に告知することによってその効力を生ずる。 (即時抗告) 第百二十七条 出国禁止命令事件の当事者は、出国禁止命令の申立てについての裁判に対し、即時抗告をすることができる。 (即時抗告に伴う執行停止) 第百二十八条 前条の規定により即時抗告が提起された場合において、原裁判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原裁判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、又は担保を立てさせないで原裁判の執行の停止を命ずることができる。 出国禁止命令事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、この処分を命ずることができる。 2 第百二十三条第二項の規定は前項の申立てについて、第百九条第二項及び第三項の規定は前項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について、それぞれ準用する。 (出国禁止命令の取消し) 第百二十九条 第百二十二条第一項の規定による裁判が確定した後に、当該裁判を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、子の返還申立事件が係属する裁判所は、当該裁判を受けた者の申立てにより、当該裁判の取消しの裁判をすることができる。 2 裁判所が、第百二十二条第一項の規定による裁判を取り消す場合において、同条第二項の規定による裁判がされているときは、裁判所は、当該裁判をも取り消さなければならない。 3 第百二十三条及び前三条の規定は、第一項の申立て及び当該申立てについての裁判について準用する。 (調書の作成) 第百三十条 裁判所書記官は、出国禁止命令事件及び前条第一項の規定による申立てに係る事件(第百三十三条において「出国禁止命令取消事件」という。)の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (外務大臣による旅券の保管) 第百三十一条 外務大臣は、第百二十二条第二項の規定による裁判を受けた者から当該裁判に係る旅券の提出を受けたときは、当該旅券を保管しなければならない。 2 外務大臣は、出国禁止命令が効力を失ったときは、前項の旅券の提出を行った者の求めにより、当該旅券を返還しなければならない。 (過料の裁判) 第百三十二条 第百二十二条第二項の規定による裁判を受けた者が当該裁判に従わないときは、裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 (子の返還申立事件の手続規定の準用) 第百三十三条 出国禁止命令事件及び出国禁止命令取消事件の手続については、特別の定めがある場合を除き、第三節第一款から第三款まで及び第五款(第七十二条、第八十四条、第八十五条、第八十七条、第八十九条、第九十条、第九十九条及び第百条を除く。)の規定を準用する。 この場合において、第九十四条第二項第二号中「理由」とあるのは、「理由の要旨」と読み替えるものとする。 第四章 子の返還の執行手続に関する民事執行法の特則 (子の返還の強制執行) 第百三十四条 子の返還の強制執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百七十一条第一項の規定により執行裁判所が第三者に子の返還を実施させる決定をする方法により行うほか、同法第百七十二条第一項に規定する方法により行う。 2 前項の強制執行は、確定した子の返還を命ずる終局決定(確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有するものを含む。)の正本に基づいて実施する。 (子の年齢による子の返還の強制執行の制限) 第百三十五条 子が十六歳に達した場合には、民事執行法第百七十一条第一項の規定による子の返還の強制執行(同項の規定による決定に基づく子の返還の実施を含む。以下「子の返還の代替執行」という。)は、することができない。 2 民事執行法第百七十二条第一項に規定する方法による子の返還の強制執行の手続において、執行裁判所は、子が十六歳に達した日の翌日以降に子を返還しないことを理由として、同項の規定による金銭の支払を命じてはならない。 (子の返還の代替執行と間接強制との関係) 第百三十六条 子の返還の代替執行の申立ては、次の各号のいずれかに該当するときでなければすることができない。 一 民事執行法第百七十二条第一項の規定による決定が確定した日から二週間を経過したとき(当該決定において定められた債務を履行すべき一定の期間の経過がこれより後である場合にあっては、その期間を経過したとき)。 二 民事執行法第百七十二条第一項に規定する方法による強制執行を実施しても、債務者が常居所地国に子を返還する見込みがあるとは認められないとき。 三 子の急迫の危険を防止するため直ちに子の返還の代替執行をする必要があるとき。 (子の返還の代替執行の申立て) 第百三十七条 子の返還の代替執行の申立ては、債務者に代わって常居所地国に子を返還する者(以下「返還実施者」という。)となるべき者を特定してしなければならない。 (子の返還を実施させる決定) 第百三十八条 第百三十四条第一項の決定は、債務者による子の監護を解くために必要な行為をする者として執行官を指定し、かつ、返還実施者を指定してしなければならない。 2 執行裁判所は、民事執行法第百七十一条第三項の規定にかかわらず、子に急迫した危険があるときその他の審尋をすることにより強制執行の目的を達することができない事情があるときは、債務者を審尋しないで第百三十四条第一項の決定をすることができる。 (子の返還の代替執行の申立ての却下) 第百三十九条 執行裁判所は、第百三十七条の返還実施者となるべき者を前条の規定により返還実施者として指定することが子の利益に照らして相当でないと認めるときは、第百三十七条の申立てを却下しなければならない。 (執行官の権限等) 第百四十条 民事執行法第百七十五条(第八項を除く。)の規定は子の返還の代替執行における執行官の権限及び当該権限の行使に係る執行裁判所の裁判について、同法第百七十六条の規定は子の返還の代替執行の手続について、それぞれ準用する。 この場合において、同法第百七十五条第一項第二号中「債権者若しくはその代理人と子」とあるのは「返還実施者(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成二十五年法律第四十八号)第百三十七条に規定する返還実施者をいう。以下同じ。)、債権者若しくは同法第百四十条第一項において準用する第六項に規定する代理人と子」と、「又は債権者若しくはその代理人」とあるのは「又は返還実施者、債権者若しくは同項に規定する代理人」と、同項第三号及び同条第九項中「債権者又はその代理人」とあるのは「返還実施者、債権者又は国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百四十条第一項において準用する第六項に規定する代理人」と読み替えるものとする。 2 執行官は、前項において準用する民事執行法第百七十五条第一項又は第二項の規定による子の監護を解くために必要な行為をするに際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる。 3 執行官は、前項の規定にかかわらず、子に対して威力を用いることはできない。 子以外の者に対して威力を用いることが子の心身に有害な影響を及ぼすおそれがある場合においては、当該子以外の者についても、同様とする。 (返還実施者の権限等) 第百四十一条 返還実施者は、常居所地国に子を返還するために、子の監護その他の必要な行為をすることができる。 2 子の返還の代替執行の手続については、民事執行法第百七十一条第六項の規定は、適用しない。 3 前条第一項において準用する民事執行法第百七十六条の規定は、返還実施者について準用する。 (外務大臣の協力) 第百四十二条 外務大臣は、子の返還の代替執行に関し、立会いその他の必要な協力をすることができる。 (執行事件の記録の閲覧等) 第百四十三条 子の返還の強制執行に係る事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求については、第六十二条の規定を準用する。 第五章 家事事件の手続に関する特則 第一節 子の返還申立事件に係る家事調停の手続等 (付調停) 第百四十四条 家庭裁判所及び高等裁判所は、当事者の同意を得て、いつでも、職権で、子の返還申立事件を家事調停に付することができる。 (家事事件手続法の特則) 第百四十五条 裁判所は、前条の規定により事件を家事調停に付する場合においては、家事調停事件を自ら処理しなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を当該裁判所以外の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に処理させることができる。 2 第四十三条第二項の規定は、前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続における手続上の行為をすることができる能力について準用する。 3 前条の規定により事件を家事調停に付した場合において、当事者間に子の返還の合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、子の返還の合意に係る記載部分は、家事事件手続法第二百六十八条第一項の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。 4 前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続においてされた家事事件手続法第二百八十四条第一項の規定による審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判に代わる裁判を含む。以下この項及び第百四十七条において「調停に代わる審判」という。)について、同法第二百八十六条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十七条に規定する異議の申立てを却下する審判に代わる裁判を含む。)が確定したときは、当該調停に代わる審判のうち子の返還を命ずる部分は、同法第二百八十七条の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。 (子の返還申立事件の手続の中止) 第百四十六条 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付したときは、当該裁判所は、家事調停事件が終了するまで子の返還申立事件の手続を中止することができる。 (子の返還の申立ての取下げの擬制) 第百四十七条 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、又は調停に代わる審判が確定したときは、子の返還申立事件について申立ての取下げがあったものとみなす。 第二節 子との交流についての家事審判及び家事調停の手続等に関する特則 (管轄の特則) 第百四十八条 外国返還援助決定若しくは日本国交流援助決定を受けた者又は子の返還の申立てをした者が、子との交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は家事調停の申立てをする場合において、次の各号に掲げるときには、当該各号に定める家庭裁判所にも、これらの申立てをすることができる。 一 子の住所地(日本国内に子の住所がないとき、又は住所が知れないときは、その居所地。次号において同じ。)が東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内にあるとき 東京家庭裁判所 二 子の住所地が大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内にあるとき 大阪家庭裁判所 2 前項の申立てに係る審判事件及び調停事件は、日本国内に子の住所がない場合又は住所が知れない場合であって、日本国内に子の居所がないとき又は居所が知れないときは、東京家庭裁判所の管轄に属する。 (記録の閲覧等の特則) 第百四十九条 子との交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判の申立てに係る事件の記録中に住所等表示部分がある場合には、裁判所は、当該住所等表示部分については、家事事件手続法第四十七条第三項の規定にかかわらず、同項の申立てに係る許可をしないものとする。 ただし、第六十二条第四項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、この限りでない。 2 子との交流について定め、又はその変更について定める審判書又は調停調書の正本に基づく強制執行の申立てに係る事件の記録中に第五条第四項(第二号に係る部分に限る。)の規定により外務大臣から提供を受けた情報が記載され、又は記録されたものがある場合には、当該事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求については、第六十二条の規定を準用する。 第六章 過料の裁判の執行等 第百五十条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。 第七章 雑則 (審理の状況についての説明) 第百五十一条 子の返還申立事件の申立人又は外務大臣は、子の返還の申立てから六週間が経過したときは、当該子の返還申立事件が係属している裁判所に対し、審理の状況について説明を求めることができる。 (親権者の指定等についての審判事件の取扱い) 第百五十二条 親権者の指定若しくは変更又は子の監護に関する処分についての審判事件(人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第三十二条第一項に規定する附帯処分についての裁判及び同条第三項の親権者の指定についての裁判に係る事件を含む。以下この条において同じ。)が係属している場合において、当該審判事件が係属している裁判所に対し、当該審判事件に係る子について不法な連れ去り又は不法な留置と主張される連れ去り又は留置があったことが外務大臣又は当該子についての子の返還申立事件が係属する裁判所から通知されたときは、当該審判事件が係属している裁判所は、当該審判事件について裁判をしてはならない。 ただし、子の返還の申立てが相当の期間内にされないとき、又は子の返還の申立てを却下する裁判が確定したときは、この限りでない。 (総合法律支援法の適用に関する特例) 第百五十三条 条約締約国の国民又は条約締約国に常居所を有する者(日本国民又は我が国に住所を有し適法に在留する者を除く。)であって、連れ去り又は留置に係る子についての子の返還、子との交流その他条約の適用に関係のある事項について民事裁判等手続(我が国の裁判所における民事事件、家事事件又は行政事件に関する手続をいう。)を利用するものは、当該事項に関する限り、総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)の適用については、同法第三十条第一項第二号に規定する国民等とみなす。
民事
Heisei
Act
425AC0000000048_20260524_504AC0000000048.xml
平成二十五年法律第四十八号
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国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、不法な連れ去り又は不法な留置がされた場合において子をその常居所を有していた国に返還すること等を定めた国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(以下「条約」という。)の的確な実施を確保するため、我が国における中央当局を指定し、その権限等を定めるとともに、子をその常居所を有していた国に迅速に返還するために必要な裁判手続等を定め、もって子の利益に資することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 条約締約国 日本国及び日本国との間で条約が効力を有している条約の締約国(当該締約国が条約第三十九条第一項又は第四十条第一項の規定による宣言をしている場合にあっては、当該宣言により条約が適用される当該締約国の領域の一部又は領域内の地域)をいう。 二 子 父母その他の者に監護される者をいう。 三 連れ去り 子をその常居所を有する国から離脱させることを目的として当該子を当該国から出国させることをいう。 四 留置 子が常居所を有する国からの当該子の出国の後において、当該子の当該国への渡航が妨げられていることをいう。 五 常居所地国 連れ去りの時又は留置の開始の直前に子が常居所を有していた国(当該国が条約の締約国であり、かつ、条約第三十九条第一項又は第四十条第一項の規定による宣言をしている場合にあっては、当該宣言により条約が適用される当該国の領域の一部又は領域内の地域)をいう。 六 不法な連れ去り 常居所地国の法令によれば監護の権利を有する者の当該権利を侵害する連れ去りであって、当該連れ去りの時に当該権利が現実に行使されていたもの又は当該連れ去りがなければ当該権利が現実に行使されていたと認められるものをいう。 七 不法な留置 常居所地国の法令によれば監護の権利を有する者の当該権利を侵害する留置であって、当該留置の開始の時に当該権利が現実に行使されていたもの又は当該留置がなければ当該権利が現実に行使されていたと認められるものをいう。 八 子の返還 子の常居所地国である条約締約国への返還をいう。 第二章 子の返還及び子との交流に関する援助 第一節 中央当局の指定 第三条 我が国の条約第六条第一項の中央当局は、外務大臣とする。 第二節 子の返還に関する援助 第一款 外国返還援助 (外国返還援助申請) 第四条 日本国への連れ去りをされ、又は日本国において留置をされている子であって、その常居所地国が条約締約国であるものについて、当該常居所地国の法令に基づき監護の権利を有する者は、当該連れ去り又は留置によって当該監護の権利が侵害されていると思料する場合には、日本国からの子の返還を実現するための援助(以下「外国返還援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 外国返還援助の申請(以下「外国返還援助申請」という。)を行おうとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出しなければならない。 一 外国返還援助申請をする者(以下この款において「申請者」という。)の氏名又は名称及び住所若しくは居所又は事務所(外国返還援助申請において返還を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)の常居所地国におけるものに限る。第七条第一項第四号において同じ。)の所在地 二 申請に係る子の氏名、生年月日及び住所又は居所(これらの事項が明らかでないときは、その旨)その他申請に係る子を特定するために必要な事項 三 申請に係る子の連れ去りをし、又は留置をしていると思料される者の氏名その他当該者を特定するために必要な事項 四 申請に係る子の常居所地国が条約締約国であることを明らかにするために必要な事項 五 申請に係る子の常居所地国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有し、かつ、申請に係る子の連れ去り又は留置により当該監護の権利が侵害されていることを明らかにするために必要な事項 六 申請に係る子と同居していると思料される者の氏名、住所又は居所その他当該者を特定するために必要な事項(これらの事項が明らかでないときは、その旨) 3 前項の申請書には、同項第五号に掲げる事項を証明する書類その他外務省令で定める書類を添付しなければならない。 4 外国返還援助申請は、日本国以外の条約締約国の中央当局(条約第六条に規定する中央当局をいう。以下同じ。)を経由してすることができる。 この場合において、申請者は、第二項各号に掲げる事項を記載した書面(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)及び前項に規定する書類を外務大臣に提出しなければならない。 (子の住所等に関する情報の提供の求め等) 第五条 外務大臣は、外国返還援助申請があった場合において、必要と認めるときは、申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の氏名及び住所又は居所を特定するため、政令で定めるところにより、次に掲げる機関及び法人(第十五条第一項において「国の行政機関等」という。)の長、地方公共団体の長その他の執行機関並びに申請に係る子及び申請に係る子と同居している者に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その有する当該氏名又は当該住所若しくは居所に関する情報の提供を求めることができる。 一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。) 二 内閣府並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関 三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関 四 内閣府設置法第四十条第二項及び第五十六条の特別の機関 五 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関 六 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人 七 国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人 2 前項の場合において、同項に規定する情報の提供を求められた者は、遅滞なく、当該情報を外務大臣に提供するものとする。 3 外務大臣は、前項の規定により提供された情報が、申請に係る子が日本国内に所在していることを示すものであるが、申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の所在を特定するために十分でない場合には、外務省令で定めるところにより、都道府県警察に対し、当該情報を提供して、これらの者の所在を特定するために必要な措置をとることを求めることができる。 4 前項に規定するもののほか、外務大臣からの第二項の規定により提供された情報及び前項の規定による都道府県警察の措置によって得られた情報の提供は、次に掲げる場合に限り、行うことができる。 一 第二十六条の規定による子の返還の申立て又は子との交流の定めをすること若しくはその変更を求める家事審判若しくは家事調停の申立てをするために申請に係る子と同居している者の氏名を必要とする申請者から当該氏名の開示を求められた場合において、当該氏名を当該申請者に開示するとき。 二 申請に係る子についての第二十九条に規定する子の返還に関する事件若しくは子の返還の強制執行に係る事件が係属している裁判所又は申請に係る子についての子との交流に関する事件若しくは子との交流の強制執行に係る事件が係属している裁判所から、その手続を行うために申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の住所又は居所の確認を求められた場合において、当該住所又は居所をこれらの裁判所に開示するとき。 三 第十条第一項の規定により、市町村、都道府県の設置する福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所をいう。以下この号及び同項において同じ。)又は児童相談所(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)に規定する児童相談所をいう。同号及び同項において同じ。)に対し、申請に係る子が虐待を受けているおそれがあると信ずるに足りる相当な理由がある旨を通告する場合において、申請に係る子及び申請に係る子と同居していると思料される者の氏名及び住所又は居所を当該市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所に通知するとき。 (外国返還援助の決定及び通知) 第六条 外務大臣は、外国返還援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合及び第八条第一項の規定により当該外国返還援助申請に係る書類の写しを送付する場合を除き、外国返還援助の決定(以下「外国返還援助決定」という。)をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知(申請者が第四条第四項の規定により日本国以外の条約締約国の中央当局を経由して外国返還援助申請をした場合にあっては、当該中央当局を経由してする通知。次条第二項及び第八条第二項において同じ。)をしなければならない。 2 外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第九条又は第十条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 三 この法律に定める手続その他子の返還又は子との交流の実現に関連する日本国の法令に基づく制度に関する情報の申請者への提供 (外国返還援助申請の却下) 第七条 外務大臣は、外国返還援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国返還援助申請を却下する。 一 申請に係る子が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が日本国内に所在していないことが明らかであり、かつ、申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が条約締約国以外の国又は地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所(申請者が法人その他の団体である場合にあっては、事務所の所在地)が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請に係る子の連れ去りの時又は留置の開始の時に、申請に係る子の常居所地国が条約締約国でなかったこと。 六 申請に係る子の常居所地国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有していないことが明らかであり、又は申請に係る子の連れ去り若しくは留置により当該監護の権利が侵害されていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により外国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならない。 (外国返還援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第八条 外務大臣は、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかである場合において、外国返還援助申請が前条第一項第四号に該当しないときは、第四条第二項の申請書(申請者が同条第四項の規定により外国返還援助申請をした場合にあっては、同項に規定する書面)及び同条第三項に規定する書類の写しを当該条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (合意による子の返還等の促進) 第九条 外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、申請に係る子について子の返還又は申請者との交流を申請者及び申請に係る子を監護している者の合意により実現するため、これらの者の間の協議のあっせんその他の必要な措置をとることができる。 (子の虐待に係る通告) 第十条 外務大臣は、申請に係る子が日本国内に所在している場合において、虐待を受けているおそれがあると信ずるに足りる相当な理由があるときは、市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所に対し、その旨を通告しなければならない。 2 前項の規定による通告は、児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第六条第一項の規定による通告とみなして、同条第二項及び第三項並びに同法第七条及び第八条の規定を適用する。 第二款 日本国返還援助 (日本国返還援助申請) 第十一条 日本国以外の条約締約国への連れ去りをされ、又は日本国以外の条約締約国において留置をされている子であって、その常居所地国が日本国であるものについて、日本国の法令に基づき監護の権利を有する者は、当該連れ去り又は留置によって当該監護の権利が侵害されていると思料する場合には、日本国への子の返還を実現するための援助(以下「日本国返還援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 第四条第二項及び第三項の規定は、日本国返還援助の申請(以下「日本国返還援助申請」という。)について準用する。 この場合において、同条第二項第一号中「第七条第一項第四号」とあるのは「第十三条第一項第四号」と、同項第四号中「条約締約国」とあり、及び同項第五号中「申請に係る子の常居所地国」とあるのは「日本国」と読み替えるものとする。 (日本国返還援助の決定及び通知) 第十二条 外務大臣は、日本国返還援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合を除き、日本国返還援助の決定(以下「日本国返還援助決定」という。)をし、遅滞なく、日本国返還援助申請をした者(以下この款において「申請者」という。)にその旨を通知しなければならない。 2 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、第十四条に規定する措置をとるものとする。 3 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、前項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第十五条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 (日本国返還援助申請の却下) 第十三条 外務大臣は、日本国返還援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該日本国返還援助申請を却下する。 一 日本国返還援助申請において返還を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が日本国又は条約締約国以外の国若しくは地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所(申請者が法人その他の団体である場合にあっては、事務所の所在地)が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請に係る子の常居所地国が日本国でないことが明らかであること。 六 申請に係る子の連れ去りの時又は留置の開始の時に、申請に係る子が所在していると思料される国又は地域が条約締約国でなかったこと。 七 日本国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有していないことが明らかであり、又は申請に係る子の連れ去り若しくは留置により当該監護の権利が侵害されていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により日本国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由を通知しなければならない。 (日本国返還援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第十四条 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、第十一条第二項において準用する第四条第二項の申請書及び同条第三項に規定する書類の写しを申請に係る子が所在している条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (子の社会的背景に関する情報の条約締約国の中央当局への提供) 第十五条 外務大臣は、日本国への子の返還に関する事件が日本国以外の条約締約国の裁判所又はその他の審判を行う機関(以下この項及び次項において「外国裁判所等」という。)に係属しており、当該条約締約国の中央当局から当該子の返還に係る子の日本国内における心身、養育及び就学の状況その他の生活及び取り巻く環境の状況に関する情報の提供を求められた場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、当該条約締約国の中央当局に提供するために、政令で定めるところにより、国の行政機関等の長、地方公共団体の長その他の執行機関及び当該子に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その有する当該情報の提供を求めることができる。 一 当該中央当局が、当該外国裁判所等の依頼を受けて当該事件に関する調査を行うために外務大臣に対し当該情報の提供を求めており、かつ、当該調査以外の目的のために当該情報を利用するおそれがないと認められるとき。 二 当該事件に係る外国裁判所等の手続の当事者(当該子が当該手続の当事者である場合にあっては、当該子を除く。)が当該情報を当該中央当局に提供することに同意しているとき。 2 前項の場合において、同項に規定する情報の提供を求められた者は、次の各号のいずれにも該当するときは、遅滞なく、当該情報を外務大臣に提供するものとする。 一 当該情報を前項に規定する中央当局に提供することによって同項に規定する子及び同項に規定する事件に係る外国裁判所等の手続の当事者の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認めるとき。 二 当該情報が、前項に規定する子及び同項に規定する事件に係る外国裁判所等の手続の当事者の知り得る状態にあり、かつ、これらの者以外の特定の個人を識別することができる情報を含まないとき。 3 外務大臣は、前項の規定により提供された情報を、第一項に規定する中央当局に対してのみ提供することができる。 第三節 子との交流に関する援助 第一款 日本国交流援助 (日本国交流援助申請) 第十六条 日本国内に所在している子であって、交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、当該国又は地域の法令に基づき交流をすることができる者(日本国以外の条約締約国に住所又は居所を有しているものに限る。)は、当該子との交流が妨げられていると思料する場合には、当該子との交流を実現するための援助(以下「日本国交流援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 日本国交流援助の申請(以下「日本国交流援助申請」という。)を行おうとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出しなければならない。 一 日本国交流援助申請をする者(以下この款において「申請者」という。)の氏名及び住所又は居所 二 日本国交流援助申請において交流を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)の氏名、生年月日及び住所又は居所(これらの事項が明らかでないときは、その旨)その他申請に係る子を特定するために必要な事項 三 申請に係る子との交流を妨げていると思料される者の氏名その他当該者を特定するために必要な事項 四 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国であることを明らかにするために必要な事項 五 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と交流をすることができ、かつ、申請者の申請に係る子との交流が妨げられていることを明らかにするために必要な事項 六 申請に係る子と同居していると思料される者の氏名、住所又は居所その他当該者を特定するために必要な事項(これらの事項が明らかでないときは、その旨) 3 前項の申請書には、同項第五号に掲げる事項を証明する書類その他外務省令で定める書類を添付しなければならない。 4 日本国交流援助申請は、日本国以外の条約締約国の中央当局を経由してすることができる。 この場合において、申請者は、第二項各号に掲げる事項を記載した書面(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)及び前項に規定する書類を外務大臣に提出しなければならない。 (日本国交流援助の決定及び通知) 第十七条 外務大臣は、日本国交流援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合及び第十九条第一項の規定により当該日本国交流援助申請に係る書類の写しを送付する場合を除き、日本国交流援助の決定(以下「日本国交流援助決定」という。)をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知(申請者が前条第四項の規定により日本国以外の条約締約国の中央当局を経由して日本国交流援助申請をした場合にあっては、当該中央当局を経由してする通知。次条第二項及び第十九条第二項において同じ。)をしなければならない。 2 外務大臣は、日本国交流援助決定をした場合には、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第二十条において準用する第九条又は第十条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 三 この法律に定める手続その他子との交流の実現に関連する日本国の法令に基づく制度に関する情報の申請者への提供 (日本国交流援助申請の却下) 第十八条 外務大臣は、日本国交流援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該日本国交流援助申請を却下する。 一 申請に係る子が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が日本国内に所在していないことが明らかであり、かつ、申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が条約締約国以外の国又は地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請者が日本国内に住所若しくは居所を有していることが明らかであり、又は日本国以外の条約締約国に住所若しくは居所を有していないことが明らかであること。 六 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国でないこと。 七 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国若しくは地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と交流をすることができないことが明らかであり、又は申請者の申請に係る子との交流が妨げられていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により日本国交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならない。 (日本国交流援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第十九条 外務大臣は、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかである場合において、日本国交流援助申請が前条第一項第四号に該当しないときは、第十六条第二項の申請書(申請者が同条第四項の規定により日本国交流援助申請をした場合にあっては、同項に規定する書面)及び同条第三項に規定する書類の写しを当該条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (日本国交流援助に関する準用規定) 第二十条 第五条、第九条及び第十条の規定は、外務大臣に対し日本国交流援助申請があった場合について準用する。 この場合において、第五条第四項第一号中「第二十六条の規定による子の返還の申立て又は子との交流の定めをすること若しくはその変更を求める家事審判若しくは」とあるのは「子との交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は」と、同項第二号中「第二十九条に規定する子の返還に関する事件若しくは子の返還の強制執行に係る事件が係属している裁判所又は申請に係る子についての子との交流に関する事件若しくは」とあるのは「子との交流に関する事件又は」と、「これらの」とあるのは「当該」と、第九条中「子の返還又は申請者」とあるのは「申請者」と読み替えるものとする。 第二款 外国交流援助 (外国交流援助申請) 第二十一条 日本国以外の条約締約国に所在している子であって、交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、当該国又は地域の法令に基づき交流をすることができる者(日本国内に住所又は居所を有しているものに限る。)は、当該子との交流が妨げられていると思料する場合には、当該子との交流を実現するための援助(以下「外国交流援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 第十六条第二項及び第三項の規定は、外国交流援助の申請(以下「外国交流援助申請」という。)について準用する。 (外国交流援助の決定及び通知) 第二十二条 外務大臣は、外国交流援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合を除き、外国交流援助の決定(以下「外国交流援助決定」という。)をし、遅滞なく、外国交流援助申請をした者(以下この款において「申請者」という。)にその旨を通知しなければならない。 2 外務大臣は、外国交流援助決定をした場合には、第二十四条に規定する措置をとるものとする。 3 外務大臣は、外国交流援助決定をした場合には、前項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第二十五条において準用する第十五条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 (外国交流援助申請の却下) 第二十三条 外務大臣は、外国交流援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国交流援助申請を却下する。 一 外国交流援助申請において交流を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が日本国又は条約締約国以外の国若しくは地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請者が日本国内に住所又は居所を有していないことが明らかであること。 六 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国でないこと。 七 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国若しくは地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と交流をすることができないことが明らかであり、又は申請者の申請に係る子との交流が妨げられていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により外国交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由を通知しなければならない。 (外国交流援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第二十四条 外務大臣は、外国交流援助決定をした場合には、第二十一条第二項において準用する第十六条第二項の申請書及び同条第三項に規定する書類の写しを申請に係る子が所在している条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨を通知しなければならない。 (外国交流援助に関する準用規定) 第二十五条 第十五条の規定は、外務大臣に対し外国交流援助申請があった場合について準用する。 この場合において、同条第一項中「日本国への子の返還」とあるのは「申請に係る子についての子との交流」と、「当該子の返還に係る子」とあるのは「申請に係る子」と読み替えるものとする。 第三章 子の返還に関する事件の手続等 第一節 返還事由等 (条約に基づく子の返還) 第二十六条 日本国への連れ去り又は日本国における留置により子についての監護の権利を侵害された者は、子を監護している者に対し、この法律の定めるところにより、常居所地国に子を返還することを命ずるよう家庭裁判所に申し立てることができる。 (子の返還事由) 第二十七条 裁判所は、子の返還の申立てが次の各号に掲げる事由のいずれにも該当すると認めるときは、子の返還を命じなければならない。 一 子が十六歳に達していないこと。 二 子が日本国内に所在していること。 三 常居所地国の法令によれば、当該連れ去り又は留置が申立人の有する子についての監護の権利を侵害するものであること。 四 当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に、常居所地国が条約締約国であったこと。 (子の返還拒否事由等) 第二十八条 裁判所は、前条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるときは、子の返還を命じてはならない。 ただし、第一号から第三号まで又は第五号に掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して常居所地国に子を返還することが子の利益に資すると認めるときは、子の返還を命ずることができる。 一 子の返還の申立てが当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時から一年を経過した後にされたものであり、かつ、子が新たな環境に適応していること。 二 申立人が当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に子に対して現実に監護の権利を行使していなかったこと(当該連れ去り又は留置がなければ申立人が子に対して現実に監護の権利を行使していたと認められる場合を除く。)。 三 申立人が当該連れ去りの前若しくは当該留置の開始の前にこれに同意し、又は当該連れ去りの後若しくは当該留置の開始の後にこれを承諾したこと。 四 常居所地国に子を返還することによって、子の心身に害悪を及ぼすことその他子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があること。 五 子の年齢及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場合において、子が常居所地国に返還されることを拒んでいること。 六 常居所地国に子を返還することが日本国における人権及び基本的自由の保護に関する基本原則により認められないものであること。 2 裁判所は、前項第四号に掲げる事由の有無を判断するに当たっては、次に掲げる事情その他の一切の事情を考慮するものとする。 一 常居所地国において子が申立人から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(次号において「暴力等」という。)を受けるおそれの有無 二 相手方及び子が常居所地国に入国した場合に相手方が申立人から子に心理的外傷を与えることとなる暴力等を受けるおそれの有無 三 申立人又は相手方が常居所地国において子を監護することが困難な事情の有無 3 裁判所は、日本国において子の監護に関する裁判があったこと又は外国においてされた子の監護に関する裁判が日本国で効力を有する可能性があることのみを理由として、子の返還の申立てを却下する裁判をしてはならない。 ただし、これらの子の監護に関する裁判の理由を子の返還の申立てについての裁判において考慮することを妨げない。 第二節 子の返還に関する事件の手続の通則 (子の返還に関する事件の手続) 第二十九条 子の返還に関する事件(第三十二条第一項に規定する子の返還申立事件、第百二十一条の規定による調査及び勧告の事件並びに第百二十三条第二項に規定する出国禁止命令事件をいう。以下同じ。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第三十条 裁判所は、子の返還に関する事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に子の返還に関する事件の手続を追行しなければならない。 (最高裁判所規則) 第三十一条 この法律に定めるもののほか、子の返還に関する事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第三節 子の返還申立事件の手続 第一款 総則 第一目 管轄 (管轄) 第三十二条 子の返還申立事件(第二十六条の規定による子の返還の申立てに係る事件をいう。以下同じ。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。 一 子の住所地(日本国内に子の住所がないとき、又は住所が知れないときは、その居所地。次号において同じ。)が東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内にある場合 東京家庭裁判所 二 子の住所地が大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内にある場合 大阪家庭裁判所 2 子の返還申立事件は、日本国内に子の住所がない場合又は住所が知れない場合であって、日本国内に子の居所がないとき又は居所が知れないときは、東京家庭裁判所の管轄に属する。 (併合申立てによる管轄) 第三十三条 一の申立てにより数人の子についての子の返還を求める場合には、前条の規定により一人の子についての子の返還の申立てについて管轄権を有する家庭裁判所にその申立てをすることができる。 (管轄裁判所の指定) 第三十四条 管轄裁判所が法律上若しくは事実上裁判権を行うことができないとき、又は裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、最高裁判所は、申立てにより、管轄裁判所を定める。 (管轄の標準時) 第三十五条 裁判所の管轄は、子の返還の申立てがあった時を標準として定める。 (管轄の合意) 第三十六条 当事者は、第一審に限り、合意により第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所の一を管轄裁判所と定めることができる。 2 前項の合意は、子の返還の申立てに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。 3 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。 (移送等) 第三十七条 裁判所は、子の返還申立事件がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄権を有する家庭裁判所に移送する。 2 家庭裁判所は、前項に規定する場合において、子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に移送することができる。 3 第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所は、第一項に規定する場合において、子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を自ら処理することができる。 4 家庭裁判所は、子の返還申立事件がその管轄に属する場合においても、当該子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を他の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に移送することができる。 5 第一項、第二項及び前項の規定による移送の裁判並びに第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 6 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 7 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二十二条の規定は、子の返還申立事件の移送の裁判について準用する。 第二目 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第三十八条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者であるとき、又は当事者となる資格を有する者であるとき。 二 裁判官が当事者又は子の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又は子の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくは子の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第三十九条 裁判官について裁判の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第四十条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避については、その裁判官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで子の返還申立事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 子の返還申立事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官又は子の返還申立事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、子の返還申立事件の手続は、停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第四十一条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第三十八条、第三十九条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった子の返還申立事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (家庭裁判所調査官の除斥) 第四十二条 家庭裁判所調査官の除斥については、第三十八条並びに第四十条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。 2 家庭裁判所調査官について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった子の返還申立事件に関与することができない。 3 家庭裁判所調査官の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官の所属する裁判所がする。 第三目 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第四十三条 当事者能力、子の返還申立事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理、手続行為をするのに必要な授権及び法定代理権の消滅については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十三条、第三十四条第一項及び第二項並びに第三十六条第一項の規定を準用する。 2 未成年者及び成年被後見人は、法定代理人の同意を要することなく、又は法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 被保佐人又は被補助人について、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 3 後見人が他の者がした子の返還の申立て又は抗告について手続行為をするには、後見監督人の同意を要しない。 4 後見人が次に掲げる手続行為をするには、後見監督人の同意がなければならない。 一 子の返還の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する即時抗告、第百八条第一項の抗告又は第百十一条第二項の申立ての取下げ 三 第百四十四条の同意 (未成年者又は成年被後見人の法定代理人) 第四十四条 親権を行う者又は後見人は、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。 (特別代理人) 第四十五条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、子の返還申立事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法人の代表者等への準用) 第四十六条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第四目 参加 (当事者参加) 第四十七条 当事者となる資格を有する者は、当事者として子の返還申立事件の手続に参加することができる。 2 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者を、当事者として子の返還申立事件の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (子の参加) 第四十八条 子の返還申立事件において返還を求められている子は、子の返還申立事件の手続に参加することができる。 2 裁判所は、相当と認めるときは、職権で、返還を求められている子を、子の返還申立事件の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。 4 裁判所は、子の返還申立事件の手続に参加しようとする子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して当該子が当該手続に参加することが当該子の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出を却下しなければならない。 5 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 6 第一項又は第二項の規定により子の返還申立事件の手続に参加した子(以下単に「手続に参加した子」という。)は、当事者がすることができる手続行為(子の返還の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、手続に参加した子が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。 (手続からの排除) 第四十九条 裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を子の返還申立事件の手続から排除することができる。 2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第五目 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第五十条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (裁判長による手続代理人の選任等) 第五十一条 未成年者、成年被後見人、被保佐人及び被補助人(以下この条において「未成年者等」という。)が手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。 2 未成年者等が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。 3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し未成年者等が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。 (手続代理人の代理権の範囲) 第五十二条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加及び強制執行に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 一 子の返還の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する即時抗告、第百八条第一項の抗告若しくは第百十一条第二項の申立て又はこれらの取下げ 三 第百二十二条第三項に規定する出国禁止命令の申立て又はその取下げ 四 第百四十四条の同意 五 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用) 第五十三条 民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)、第三十六条第一項及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第五十四条 子の返還申立事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六目 手続費用 (手続費用の負担) 第五十五条 子の返還申立事件の手続の費用(以下「手続費用」という。)は、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び手続に参加した子がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の当事者に負担させることができる。 (手続費用の負担の裁判等) 第五十六条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における手続費用(裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合にあっては、家事調停に関する手続の費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。 ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。 2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合にあっては、家事調停に関する手続の費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。 事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。 3 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、子の返還申立事件の手続費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 (手続費用の立替え) 第五十七条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の子の返還申立事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第五十八条 民事訴訟法第六十八条から第七十四条までの規定(同法第七十一条第二項(同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)及び第八項(同法第七十二条後段及び第七十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十三条第一項中「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第四十七条第一項又は第四十八条第一項の規定による参加の申出」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第五十八条第一項において準用する」と、「ついて、同条第二項の規定は前項の申立てについて」とあるのは「ついて」と、「第八項まで」とあるのは「第七項まで」と、「準用する。この場合において、同条第二項中「訴訟費用の負担の裁判が確定した」とあるのは、「訴訟が完結した」と読み替えるものとする」とあるのは「準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第五項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 (手続上の救助) 第五十九条 子の返還申立事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で子の返還の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第五十九条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七目 子の返還申立事件の審理等 (手続の非公開) 第六十条 子の返還申立事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (調書の作成等) 第六十一条 裁判所書記官は、子の返還申立事件の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第六十二条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、子の返還申立事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付(第四項第一号及び第六十九条第六項において「閲覧等」という。)又は子の返還申立事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、子の返還申立事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、当該申立てに係る許可をしなければならない。 4 裁判所は、子の返還申立事件の記録中、第五条第四項(第二号に係る部分に限る。)の規定により外務大臣から提供を受けた相手方又は子の住所又は居所が記載され、又は記録された部分(第一号及び第百四十九条第一項において「住所等表示部分」という。)については、前項の規定にかかわらず、同項の申立てに係る許可をしないものとする。 ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。 一 住所等表示部分の閲覧等又はその複製についての相手方の同意があるとき。 二 子の返還を命ずる終局決定が確定した後において、子の返還を命ずる終局決定に関する強制執行をするために必要があるとき。 5 裁判所は、子の返還申立事件において返還を求められている子の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、第三項及び前項ただし書の規定にかかわらず、第三項の申立てに係る許可をしないことができる。 事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てに係る許可をすることを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。 6 裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、当該申立てに係る許可をすることができる。 7 裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は子の返還申立事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 8 子の返還申立事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、子の返還申立事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 9 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 10 前項の規定による即時抗告が子の返還申立事件の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 11 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (期日及び期間) 第六十三条 子の返還申立事件の手続の期日の指定及び変更は、職権で、裁判長が行う。 2 子の返還申立事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 子の返還申立事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によってする。 5 民事訴訟法第九十四条第三項及び第九十五条から第九十七条までの規定は、子の返還申立事件の手続の期日及び期間について準用する。 この場合において、同項中「第一項各号に規定する方法」とあるのは、「呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知」と読み替えるものとする。 (手続の併合等) 第六十四条 裁判所は、子の返還申立事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする子の返還申立事件についての手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第六十五条 当事者が子の返還申立事件の手続を続行することができない場合(当事者の死亡による場合を除く。)には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に子の返還申立事件の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者等による受継) 第六十六条 子の返還申立事件の申立人の死亡によってその手続を続行することができない場合には、当該子の返還申立事件において申立人となることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 前項の規定による受継の申立ては、子の返還申立事件の申立人が死亡した日から一月以内にしなければならない。 3 子の返還申立事件の相手方の死亡によってその手続を続行することができない場合には、裁判所は、申立てにより又は職権で、相手方が死亡した日から三月以内に限り、相手方の死亡後に子を監護している者に、その手続を受け継がせることができる。 (送達及び手続の中止) 第六十七条 送達及び子の返還申立事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節(第百条第二項、第三款及び第百十一条を除く。)及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十二条第一項本文中「前条の規定による措置を開始した」とあるのは「裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた」と、同項ただし書中「前条の規定による措置を開始した」とあるのは「当該掲示を始めた」と、同法第百十三条中「書類又は電磁的記録」とあるのは「書類」と、「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは「裁判を求める事項」と、「記載又は記録」とあるのは「記載」と、「第百十一条の規定による措置を開始した」とあるのは「裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第百十条第一項の規定による公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第六十八条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第八目 電子情報処理組織による申立て等 第六十九条 子の返還申立事件の手続における申立てその他の申述(以下この条及び次条において「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。次項及び第四項において同じ。)をもってするものとされているものであって、最高裁判所の定める裁判所に対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官又は裁判所書記官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項及び第三項において同じ。)と申立て等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を用いてすることができる。 2 前項の規定によりされた申立て等については、当該申立て等を書面等をもってするものとして規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもってされたものとみなして、当該申立て等に関する法令の規定を適用する。 3 第一項の規定によりされた申立て等は、同項の裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に、当該裁判所に到達したものとみなす。 4 第一項の場合において、当該申立て等に関する他の法令の規定により署名等(署名、記名、押印その他氏名又は名称を書面等に記載することをいう。以下この項において同じ。)をすることとされているものについては、当該申立て等をする者は、当該法令の規定にかかわらず、当該署名等に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。 5 第一項の規定によりされた申立て等が第三項に規定するファイルに記録されたときは、第一項の裁判所は、当該ファイルに記録された情報の内容を書面に出力しなければならない。 6 第一項の規定によりされた申立て等に係るこの法律の規定による子の返還申立事件の記録の閲覧等は、前項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第九目 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第六十九条の二 子の返還申立事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同法第百三十三条第三項中「訴訟記録等(訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録をいう。以下この章において同じ。)」とあるのは「子の返還申立事件の記録」と、「について訴訟記録等の閲覧等(訴訟記録の閲覧等、非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等又は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等をいう。以下この章において同じ。)」とあるのは「の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同法第百三十三条の二第一項中「に係る訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同法第百三十三条の四第一項中「者は、訴訟記録等」とあるのは「当事者又は手続に参加した子(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第四十八条第六項に規定する手続に参加した子をいう。次項及び第七項において同じ。)は、子の返還申立事件の記録」と、同条第二項中「当事者」とあるのは「当事者又は手続に参加した子」と、「訴訟記録等の存する」とあるのは「子の返還申立事件の記録の存する」と、「訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは手続に参加した子」と読み替えるものとする。 第二款 第一審裁判所における子の返還申立事件の手続 第一目 子の返還の申立て (申立ての方式等) 第七十条 子の返還の申立ては、申立書(以下「子の返還申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 子の返還申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 この場合において、第二号に掲げる申立ての趣旨は、返還を求める子及び子を返還すべき条約締約国を特定して記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨 三 子の返還申立事件の手続による旨 3 申立人は、一の申立てにより数人の子についての子の返還を求めることができる。 4 子の返還申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い子の返還の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、子の返還申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 (申立ての変更) 第七十一条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨を変更することができる。 ただし、第八十九条の規定により審理を終結した後は、この限りでない。 2 申立ての趣旨の変更は、子の返還申立事件の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 家庭裁判所は、申立ての趣旨の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨の変更により子の返還申立事件の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 (申立書の写しの送付等) 第七十二条 子の返還の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、子の返還申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 2 前項の規定による子の返還申立書の写しの送付は、公示送達の方法によっては、することができない。 3 第七十条第四項から第六項までの規定は、第一項の規定による子の返還申立書の写しの送付をすることができない場合について準用する。 4 裁判長は、第一項の規定による子の返還申立書の写しの送付の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、子の返還申立書を却下しなければならない。 5 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 第二目 子の返還申立事件の手続の期日 (裁判長の手続指揮権) 第七十三条 子の返還申立事件の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が子の返還申立事件の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第七十四条 家庭裁判所は、受命裁判官に子の返還申立事件の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第八十二条第三項の規定又は第八十六条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第七十五条 家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、子の返還申立事件の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 子の返還申立事件の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第七十六条 子の返還申立事件の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、子の返還申立事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、手続に参加した子、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を、それぞれ準用する。 第三目 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第七十七条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 申立人及び相手方は、それぞれ第二十七条に規定する事由(第二十八条第一項第二号に規定する場合に関する事由を含む。)についての資料及び同項に規定する事由についての資料を提出するほか、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第七十八条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (家庭裁判所調査官による事実の調査) 第七十九条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。 4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。 (家庭裁判所調査官の期日への立会い等) 第八十条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、子の返還申立事件の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。 2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。 (裁判所技官による診断等) 第八十一条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 2 第七十九条第二項から第四項までの規定は前項の診断について、前条の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について、それぞれ準用する。 (事実の調査の嘱託等) 第八十二条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (調査の嘱託等) 第八十三条 家庭裁判所は、必要な調査を外務大臣に嘱託するほか、官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は学校、保育所その他適当と認める者に対し子の心身の状態及び生活の状況その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (事実の調査の通知) 第八十四条 家庭裁判所は、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び手続に参加した子に通知しなければならない。 (陳述の聴取) 第八十五条 家庭裁判所は、子の返還の申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。 ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。 (証拠調べ) 第八十六条 子の返還申立事件の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十五条第三項、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百五条第二項、第二百七条第二項、第二百十五条第二項、第二百二十七条第二項及び第二百三十二条の二の規定を除く。)を準用する。 この場合において、同法第百八十五条第一項中「地方裁判所若しくは簡易裁判所」とあるのは「他の家庭裁判所」と、同条第二項中「地方裁判所又は簡易裁判所」とあるのは「家庭裁判所」と、同法第二百五条第三項中「事項又は前項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項」とあり、及び同法第二百十五条第四項中「事項又は第二項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項」とあるのは「事項」と、同法第二百三十一条の二第二項中「方法又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法」とあるのは「方法」と、同法第二百三十一条の三第二項中「若しくは送付し、又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する」とあるのは「又は送付する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 (不法を証する文書の提出) 第八十七条 家庭裁判所は、申立人が不法な連れ去り又は不法な留置があったことを証する文書を常居所地国において得ることができるときは、申立人に対し、当該文書を提出することを求めることができる。 第四目 子の返還申立事件の手続における子の意思の把握等 第八十八条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、終局決定をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 第五目 審理の終結等 (審理の終結) 第八十九条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。 ただし、当事者双方が立ち会うことができる子の返還申立事件の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。 (裁判日) 第九十条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、裁判をする日を定めなければならない。 第六目 裁判 (裁判の方式) 第九十一条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、決定で、裁判をする。 (終局決定) 第九十二条 家庭裁判所は、子の返還申立事件が裁判をするのに熟したときは、終局決定をする。 2 家庭裁判所は、子の返還申立事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局決定をすることができる。 手続の併合を命じた数個の子の返還申立事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (終局決定の告知及び効力の発生等) 第九十三条 終局決定は、当事者及び子に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 ただし、子(手続に参加した子を除く。)に対しては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。 2 終局決定は、当事者に告知することによってその効力を生ずる。 ただし、子の返還を命ずる終局決定は、確定しなければその効力を生じない。 3 終局決定は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 4 終局決定の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (終局決定の方式及び裁判書) 第九十四条 終局決定は、裁判書を作成してしなければならない。 2 終局決定の裁判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第九十五条 終局決定に誤記その他これに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の終局決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 終局決定に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (終局決定に関する民事訴訟法の準用) 第九十六条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、終局決定について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「終局決定が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (中間決定) 第九十七条 家庭裁判所は、終局決定の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (終局決定以外の裁判) 第九十八条 終局決定以外の裁判は、これを受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 終局決定以外の裁判については、これを受ける者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 3 第九十二条から第九十六条まで(第九十三条第一項及び第二項並びに第九十四条第一項を除く。)の規定は、前項の裁判について準用する。 この場合において、第九十四条第二項第二号中「理由」とあるのは、「理由の要旨」と読み替えるものとする。 4 子の返還申立事件の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 5 終局決定以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。 第七目 裁判によらない子の返還申立事件の終了 (子の返還の申立ての取下げ) 第九十九条 子の返還の申立ては、終局決定が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、申立ての取下げは、終局決定がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 2 前項ただし書の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。 ただし、申立ての取下げが子の返還申立事件の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。 3 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。 同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 4 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「子の返還申立事件の手続の期日」と、「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と読み替えるものとする。 (和解) 第百条 子の返還申立事件における和解については、民事訴訟法第八十九条第一項、第二百六十四条及び第二百六十五条の規定を準用する。 この場合において、同法第二百六十四条第一項及び第二百六十五条第三項中「口頭弁論等」とあるのは、「子の返還申立事件の手続」と読み替えるものとする。 2 子の返還申立事件においては、子の監護に関する事項、夫婦間の協力扶助に関する事項及び婚姻費用の分担に関する事項についても、和解をすることができる。 3 次の各号に掲げる事項についての和解を調書に記載したときは、その記載は、当該各号に定める裁判と同一の効力を有する。 一 子の返還 確定した子の返還を命ずる終局決定 二 子の監護に関する事項、夫婦間の協力扶助に関する事項及び婚姻費用の分担に関する事項 確定した家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第三十九条の規定による審判 三 その他の事項 確定判決 第三款 不服申立て 第一目 終局決定に対する即時抗告 (即時抗告をすることができる裁判) 第百一条 当事者は、終局決定に対し、即時抗告をすることができる。 2 子は、子の返還を命ずる終局決定に対し、即時抗告をすることができる。 3 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第百二条 終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 当事者又は手続に参加した子による即時抗告の期間は、即時抗告をする者が終局決定の告知を受けた日から進行する。 3 子(手続に参加した子を除く。)による即時抗告の期間は、当事者が終局決定の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第百三条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原決定の表示及びその決定に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による終局決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第七十条第四項及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第百四条 終局決定に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び手続に参加した子(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 (陳述の聴取) 第百五条 抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 (抗告裁判所による裁判) 第百六条 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、自ら裁判をしなければならない。 ただし、次条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。 (第一審の手続の規定及び民事訴訟法の準用等) 第百七条 終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前款の規定(第七十条第六項、第七十二条第二項及び第五項、第九十三条第三項及び第四項、第九十五条第三項から第五項まで並びに第九十八条第五項を除く。)を準用する。 2 抗告裁判所は、第百四条第一項の規定による抗告状の写しの送付をすることを要しないときは、前項において準用する第八十九条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。 3 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百九条までの規定は、終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項及び第四項、第二百六十二条第一項並びに第二百六十三条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第九十九条第四項」と、同法第二百九十九条第二項中「第六条第一項各号」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第三十二条第一項各号」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百五十条」と読み替えるものとする。 第二目 終局決定に対する特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第百八条 高等裁判所の終局決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (原裁判の執行停止) 第百九条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。 ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第百十条 第百二条第二項及び第三項、第百三条(第四項及び第五項を除く。)、第百四条、第百五条並びに第百七条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十条第一項において準用する同法第百三条第六項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百八条第二項の規定及び同法第百十条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百八条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三目 終局決定に対する許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第百十一条 高等裁判所の終局決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第百八条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の高等裁判所は、同項の終局決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第百八条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用) 第百十二条 第百二条第二項及び第三項、第百三条(第四項及び第五項を除く。)、第百四条、第百五条、第百七条並びに第百九条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第百二条第二項及び第三項、第百三条第一項、第二項第二号及び第三項、第百四条第一項並びに第百五条中「即時抗告」とあり、第百三条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第百九条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第百十一条第二項の申立て」と、第百三条第一項、第二項及び第六項、第百四条並びに第百七条第二項中「抗告状」とあるのは「第百十一条第二項の規定による許可の申立書」と、同条中「即時抗告」とあり、及び第百九条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「第百十一条第四項に規定する許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について、それぞれ準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第五項の規定及び同法第百十二条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第四目 終局決定以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第百十三条 終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第百十四条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、子の返還申立事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (即時抗告期間等) 第百十五条 終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 4 原裁判をした裁判所、裁判官又は裁判長は、即時抗告を理由があると認めるときは、その裁判を更正しなければならない。 (終局決定に対する不服申立ての規定の準用等) 第百十六条 前三目の規定(第百一条第一項及び第二項、第百二条第一項並びに同条第三項、第百四条及び第百五条(これらの規定を第百十二条第一項において準用する場合を含む。)並びに第百十条の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 この場合において、第百八条第一項中「高等裁判所の終局決定」とあるのは「家庭裁判所の終局決定以外の裁判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の終局決定以外の裁判」と、第百十一条第一項中「できる」とあるのは「できる。ただし、その決定が家庭裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る」と読み替えるものとする。 2 第百二条第二項及び第三項、第百三条並びに第百七条の規定は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第百三条第六項中「及び第五項」とあるのは、「から第六項まで」と読み替えるものとする。 3 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第二項において読み替えて準用する同法第百三条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において準用する同法第百八条第二項の規定及び同法第百十六条第三項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において読み替えて準用する同法第百八条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第四款 終局決定の変更 (終局決定の変更) 第百十七条 子の返還を命ずる終局決定をした裁判所(その決定に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定(第百七条第二項の規定による決定を除く。以下この項において同じ。)をしたときは、当該抗告裁判所)は、子の返還を命ずる終局決定が確定した後に、事情の変更によりその決定を維持することを不当と認めるに至ったときは、当事者の申立てにより、その決定(当該抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定をした場合にあっては、当該終局決定)を変更することができる。 ただし、子が常居所地国に返還された後は、この限りでない。 2 前項の規定による終局決定の変更の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 変更を求める終局決定の表示及びその決定に対して変更を求める旨 三 終局決定の変更を求める理由 3 裁判所は、第一項の規定により終局決定を変更するときは、当事者(同項の申立てをした者を除く。)の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の申立てを却下する終局決定に対しては、当該申立てをした者は、即時抗告をすることができる。 5 第一項の規定により終局決定を変更する決定に対しては、即時抗告をすることができる。 6 前各項に規定するもののほか、第一項の規定による終局決定の変更の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 (執行停止の裁判) 第百十八条 裁判所は、前条第一項の申立てがあった場合において、同項の規定による変更の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点につき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第五款 再審 (再審) 第百十九条 確定した終局決定その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により終局決定その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該終局決定その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第百二十条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第四節 義務の履行状況の調査及び履行の勧告 第百二十一条 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所(抗告裁判所が子の返還を命ずる終局決定をした場合にあっては、第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、子の返還の義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。 2 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。 3 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項及び第五項においてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を外務大臣に嘱託するほか、官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は学校、保育所その他適当と認める者に対し子の生活の状況その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 6 第一項の規定による調査及び勧告の手続には、その性質に反しない限り、前節第一款の規定を準用する。 7 前各項の規定は、和解によって定められた義務の履行について準用する。 第五節 出国禁止命令 (出国禁止命令) 第百二十二条 子の返還申立事件が係属する家庭裁判所は、子の返還申立事件の当事者が子を日本国外に出国させるおそれがあるときは、子の返還申立事件の一方の当事者の申立てにより、他方の当事者に対し、子を出国させてはならないことを命ずることができる。 2 家庭裁判所は、前項の規定による申立てに係る事件の相手方が子が名義人となっている旅券を所持すると認めるときは、申立てにより、同項の規定による裁判において、当該旅券の外務大臣への提出を命じなければならない。 3 子の返還申立事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前二項の規定による裁判(以下「出国禁止命令」という。)をする。 4 出国禁止命令は、子の返還の申立てについての終局決定の確定により、その効力を失う。 (出国禁止命令の申立て等) 第百二十三条 出国禁止命令の申立ては、その趣旨及び出国禁止命令を求める事由を明らかにしてしなければならない。 2 出国禁止命令を求める事由については、出国禁止命令の申立てに係る事件(以下「出国禁止命令事件」という。)の申立人が資料を提出しなければならない。 3 前条第二項の規定による裁判の申立ては、出国禁止命令があるまで、取り下げることができる。 4 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、出国禁止命令の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百二十三条第二項に規定する出国禁止命令事件の手続の期日」と、「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と読み替えるものとする。 (陳述の聴取) 第百二十四条 出国禁止命令は、出国禁止命令事件の相手方の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより出国禁止命令の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第百二十五条 裁判所は、第百三十三条において準用する第六十二条第三項の規定にかかわらず、出国禁止命令事件について、出国禁止命令事件の当事者から同条第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、出国禁止命令事件の相手方に対し、出国禁止命令事件が係属したことを通知し、又は出国禁止命令を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。 (出国禁止命令の告知及び効力) 第百二十六条 出国禁止命令の申立てについての裁判は、出国禁止命令事件の当事者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 出国禁止命令は、出国禁止命令事件の相手方に告知することによってその効力を生じ、出国禁止命令の申立てを却下する裁判は、出国禁止命令事件の申立人に告知することによってその効力を生ずる。 (即時抗告) 第百二十七条 出国禁止命令事件の当事者は、出国禁止命令の申立てについての裁判に対し、即時抗告をすることができる。 (即時抗告に伴う執行停止) 第百二十八条 前条の規定により即時抗告が提起された場合において、原裁判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原裁判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、又は担保を立てさせないで原裁判の執行の停止を命ずることができる。 出国禁止命令事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、この処分を命ずることができる。 2 第百二十三条第二項の規定は前項の申立てについて、第百九条第二項及び第三項の規定は前項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について、それぞれ準用する。 (出国禁止命令の取消し) 第百二十九条 第百二十二条第一項の規定による裁判が確定した後に、当該裁判を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、子の返還申立事件が係属する裁判所は、当該裁判を受けた者の申立てにより、当該裁判の取消しの裁判をすることができる。 2 裁判所が、第百二十二条第一項の規定による裁判を取り消す場合において、同条第二項の規定による裁判がされているときは、裁判所は、当該裁判をも取り消さなければならない。 3 第百二十三条及び前三条の規定は、第一項の申立て及び当該申立てについての裁判について準用する。 (調書の作成) 第百三十条 裁判所書記官は、出国禁止命令事件及び前条第一項の規定による申立てに係る事件(第百三十三条において「出国禁止命令取消事件」という。)の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (外務大臣による旅券の保管) 第百三十一条 外務大臣は、第百二十二条第二項の規定による裁判を受けた者から当該裁判に係る旅券の提出を受けたときは、当該旅券を保管しなければならない。 2 外務大臣は、出国禁止命令が効力を失ったときは、前項の旅券の提出を行った者の求めにより、当該旅券を返還しなければならない。 (過料の裁判) 第百三十二条 第百二十二条第二項の規定による裁判を受けた者が当該裁判に従わないときは、裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 (子の返還申立事件の手続規定の準用) 第百三十三条 出国禁止命令事件及び出国禁止命令取消事件の手続については、特別の定めがある場合を除き、第三節第一款から第三款まで及び第五款(第七十二条、第八十四条、第八十五条、第八十七条、第八十九条、第九十条、第九十九条及び第百条を除く。)の規定を準用する。 この場合において、第九十四条第二項第二号中「理由」とあるのは、「理由の要旨」と読み替えるものとする。 第四章 子の返還の執行手続に関する民事執行法の特則 (子の返還の強制執行) 第百三十四条 子の返還の強制執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百七十一条第一項の規定により執行裁判所が第三者に子の返還を実施させる決定をする方法により行うほか、同法第百七十二条第一項に規定する方法により行う。 2 前項の強制執行は、確定した子の返還を命ずる終局決定(確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有するものを含む。)の正本に基づいて実施する。 (子の年齢による子の返還の強制執行の制限) 第百三十五条 子が十六歳に達した場合には、民事執行法第百七十一条第一項の規定による子の返還の強制執行(同項の規定による決定に基づく子の返還の実施を含む。以下「子の返還の代替執行」という。)は、することができない。 2 民事執行法第百七十二条第一項に規定する方法による子の返還の強制執行の手続において、執行裁判所は、子が十六歳に達した日の翌日以降に子を返還しないことを理由として、同項の規定による金銭の支払を命じてはならない。 (子の返還の代替執行と間接強制との関係) 第百三十六条 子の返還の代替執行の申立ては、次の各号のいずれかに該当するときでなければすることができない。 一 民事執行法第百七十二条第一項の規定による決定が確定した日から二週間を経過したとき(当該決定において定められた債務を履行すべき一定の期間の経過がこれより後である場合にあっては、その期間を経過したとき)。 二 民事執行法第百七十二条第一項に規定する方法による強制執行を実施しても、債務者が常居所地国に子を返還する見込みがあるとは認められないとき。 三 子の急迫の危険を防止するため直ちに子の返還の代替執行をする必要があるとき。 (子の返還の代替執行の申立て) 第百三十七条 子の返還の代替執行の申立ては、債務者に代わって常居所地国に子を返還する者(以下「返還実施者」という。)となるべき者を特定してしなければならない。 (子の返還を実施させる決定) 第百三十八条 第百三十四条第一項の決定は、債務者による子の監護を解くために必要な行為をする者として執行官を指定し、かつ、返還実施者を指定してしなければならない。 2 執行裁判所は、民事執行法第百七十一条第三項の規定にかかわらず、子に急迫した危険があるときその他の審尋をすることにより強制執行の目的を達することができない事情があるときは、債務者を審尋しないで第百三十四条第一項の決定をすることができる。 (子の返還の代替執行の申立ての却下) 第百三十九条 執行裁判所は、第百三十七条の返還実施者となるべき者を前条の規定により返還実施者として指定することが子の利益に照らして相当でないと認めるときは、第百三十七条の申立てを却下しなければならない。 (執行官の権限等) 第百四十条 民事執行法第百七十五条(第八項を除く。)の規定は子の返還の代替執行における執行官の権限及び当該権限の行使に係る執行裁判所の裁判について、同法第百七十六条の規定は子の返還の代替執行の手続について、それぞれ準用する。 この場合において、同法第百七十五条第一項第二号中「債権者若しくはその代理人と子」とあるのは「返還実施者(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成二十五年法律第四十八号)第百三十七条に規定する返還実施者をいう。以下同じ。)、債権者若しくは同法第百四十条第一項において準用する第六項に規定する代理人と子」と、「又は債権者若しくはその代理人」とあるのは「又は返還実施者、債権者若しくは同項に規定する代理人」と、同項第三号及び同条第九項中「債権者又はその代理人」とあるのは「返還実施者、債権者又は国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百四十条第一項において準用する第六項に規定する代理人」と読み替えるものとする。 2 執行官は、前項において準用する民事執行法第百七十五条第一項又は第二項の規定による子の監護を解くために必要な行為をするに際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる。 3 執行官は、前項の規定にかかわらず、子に対して威力を用いることはできない。 子以外の者に対して威力を用いることが子の心身に有害な影響を及ぼすおそれがある場合においては、当該子以外の者についても、同様とする。 (返還実施者の権限等) 第百四十一条 返還実施者は、常居所地国に子を返還するために、子の監護その他の必要な行為をすることができる。 2 子の返還の代替執行の手続については、民事執行法第百七十一条第六項の規定は、適用しない。 3 前条第一項において準用する民事執行法第百七十六条の規定は、返還実施者について準用する。 (外務大臣の協力) 第百四十二条 外務大臣は、子の返還の代替執行に関し、立会いその他の必要な協力をすることができる。 (執行事件の記録の閲覧等) 第百四十三条 子の返還の強制執行に係る事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求については、第六十二条の規定を準用する。 第五章 家事事件の手続に関する特則 第一節 子の返還申立事件に係る家事調停の手続等 (付調停) 第百四十四条 家庭裁判所及び高等裁判所は、当事者の同意を得て、いつでも、職権で、子の返還申立事件を家事調停に付することができる。 (家事事件手続法の特則) 第百四十五条 裁判所は、前条の規定により事件を家事調停に付する場合においては、家事調停事件を自ら処理しなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を当該裁判所以外の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に処理させることができる。 2 第四十三条第二項の規定は、前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続における手続上の行為をすることができる能力について準用する。 3 前条の規定により事件を家事調停に付した場合において、当事者間に子の返還の合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、子の返還の合意に係る記載部分は、家事事件手続法第二百六十八条第一項の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。 4 前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続においてされた家事事件手続法第二百八十四条第一項の規定による審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判に代わる裁判を含む。以下この項及び第百四十七条において「調停に代わる審判」という。)について、同法第二百八十六条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十七条に規定する異議の申立てを却下する審判に代わる裁判を含む。)が確定したときは、当該調停に代わる審判のうち子の返還を命ずる部分は、同法第二百八十七条の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。 (子の返還申立事件の手続の中止) 第百四十六条 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付したときは、当該裁判所は、家事調停事件が終了するまで子の返還申立事件の手続を中止することができる。 (子の返還の申立ての取下げの擬制) 第百四十七条 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、又は調停に代わる審判が確定したときは、子の返還申立事件について申立ての取下げがあったものとみなす。 第二節 子との交流についての家事審判及び家事調停の手続等に関する特則 (管轄の特則) 第百四十八条 外国返還援助決定若しくは日本国交流援助決定を受けた者又は子の返還の申立てをした者が、子との交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は家事調停の申立てをする場合において、次の各号に掲げるときには、当該各号に定める家庭裁判所にも、これらの申立てをすることができる。 一 子の住所地(日本国内に子の住所がないとき、又は住所が知れないときは、その居所地。次号において同じ。)が東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内にあるとき 東京家庭裁判所 二 子の住所地が大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内にあるとき 大阪家庭裁判所 2 前項の申立てに係る審判事件及び調停事件は、日本国内に子の住所がない場合又は住所が知れない場合であって、日本国内に子の居所がないとき又は居所が知れないときは、東京家庭裁判所の管轄に属する。 (記録の閲覧等の特則) 第百四十九条 子との交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判の申立てに係る事件の記録中に住所等表示部分がある場合には、裁判所は、当該住所等表示部分については、家事事件手続法第四十七条第三項の規定にかかわらず、同項の申立てに係る許可をしないものとする。 ただし、第六十二条第四項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、この限りでない。 2 子との交流について定め、又はその変更について定める審判書又は調停調書の正本に基づく強制執行の申立てに係る事件の記録中に第五条第四項(第二号に係る部分に限る。)の規定により外務大臣から提供を受けた情報が記載され、又は記録されたものがある場合には、当該事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求については、第六十二条の規定を準用する。 第六章 過料の裁判の執行等 第百五十条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。 第七章 雑則 (審理の状況についての説明) 第百五十一条 子の返還申立事件の申立人又は外務大臣は、子の返還の申立てから六週間が経過したときは、当該子の返還申立事件が係属している裁判所に対し、審理の状況について説明を求めることができる。 (親権者の指定等についての審判事件の取扱い) 第百五十二条 親権者の指定若しくは変更又は子の監護に関する処分についての審判事件(人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第三十二条第一項に規定する附帯処分についての裁判及び同条第三項の親権者の指定についての裁判に係る事件を含む。以下この条において同じ。)が係属している場合において、当該審判事件が係属している裁判所に対し、当該審判事件に係る子について不法な連れ去り又は不法な留置と主張される連れ去り又は留置があったことが外務大臣又は当該子についての子の返還申立事件が係属する裁判所から通知されたときは、当該審判事件が係属している裁判所は、当該審判事件について裁判をしてはならない。 ただし、子の返還の申立てが相当の期間内にされないとき、又は子の返還の申立てを却下する裁判が確定したときは、この限りでない。 (総合法律支援法の適用に関する特例) 第百五十三条 条約締約国の国民又は条約締約国に常居所を有する者(日本国民又は我が国に住所を有し適法に在留する者を除く。)であって、連れ去り又は留置に係る子についての子の返還、子との交流その他条約の適用に関係のある事項について民事裁判等手続(我が国の裁判所における民事事件、家事事件又は行政事件に関する手続をいう。)を利用するものは、当該事項に関する限り、総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)の適用については、同法第三十条第一項第二号に規定する国民等とみなす。
民事
Heisei
Act
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平成二十五年法律第四十八号
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国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、不法な連れ去り又は不法な留置がされた場合において子をその常居所を有していた国に返還すること等を定めた国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(以下「条約」という。)の的確な実施を確保するため、我が国における中央当局を指定し、その権限等を定めるとともに、子をその常居所を有していた国に迅速に返還するために必要な裁判手続等を定め、もって子の利益に資することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 条約締約国 日本国及び日本国との間で条約が効力を有している条約の締約国(当該締約国が条約第三十九条第一項又は第四十条第一項の規定による宣言をしている場合にあっては、当該宣言により条約が適用される当該締約国の領域の一部又は領域内の地域)をいう。 二 子 父母その他の者に監護される者をいう。 三 連れ去り 子をその常居所を有する国から離脱させることを目的として当該子を当該国から出国させることをいう。 四 留置 子が常居所を有する国からの当該子の出国の後において、当該子の当該国への渡航が妨げられていることをいう。 五 常居所地国 連れ去りの時又は留置の開始の直前に子が常居所を有していた国(当該国が条約の締約国であり、かつ、条約第三十九条第一項又は第四十条第一項の規定による宣言をしている場合にあっては、当該宣言により条約が適用される当該国の領域の一部又は領域内の地域)をいう。 六 不法な連れ去り 常居所地国の法令によれば監護の権利を有する者の当該権利を侵害する連れ去りであって、当該連れ去りの時に当該権利が現実に行使されていたもの又は当該連れ去りがなければ当該権利が現実に行使されていたと認められるものをいう。 七 不法な留置 常居所地国の法令によれば監護の権利を有する者の当該権利を侵害する留置であって、当該留置の開始の時に当該権利が現実に行使されていたもの又は当該留置がなければ当該権利が現実に行使されていたと認められるものをいう。 八 子の返還 子の常居所地国である条約締約国への返還をいう。 第二章 子の返還及び子との交流に関する援助 第一節 中央当局の指定 第三条 我が国の条約第六条第一項の中央当局は、外務大臣とする。 第二節 子の返還に関する援助 第一款 外国返還援助 (外国返還援助申請) 第四条 日本国への連れ去りをされ、又は日本国において留置をされている子であって、その常居所地国が条約締約国であるものについて、当該常居所地国の法令に基づき監護の権利を有する者は、当該連れ去り又は留置によって当該監護の権利が侵害されていると思料する場合には、日本国からの子の返還を実現するための援助(以下「外国返還援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 外国返還援助の申請(以下「外国返還援助申請」という。)を行おうとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出しなければならない。 一 外国返還援助申請をする者(以下この款において「申請者」という。)の氏名又は名称及び住所若しくは居所又は事務所(外国返還援助申請において返還を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)の常居所地国におけるものに限る。第七条第一項第四号において同じ。)の所在地 二 申請に係る子の氏名、生年月日及び住所又は居所(これらの事項が明らかでないときは、その旨)その他申請に係る子を特定するために必要な事項 三 申請に係る子の連れ去りをし、又は留置をしていると思料される者の氏名その他当該者を特定するために必要な事項 四 申請に係る子の常居所地国が条約締約国であることを明らかにするために必要な事項 五 申請に係る子の常居所地国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有し、かつ、申請に係る子の連れ去り又は留置により当該監護の権利が侵害されていることを明らかにするために必要な事項 六 申請に係る子と同居していると思料される者の氏名、住所又は居所その他当該者を特定するために必要な事項(これらの事項が明らかでないときは、その旨) 3 前項の申請書には、同項第五号に掲げる事項を証明する書類その他外務省令で定める書類を添付しなければならない。 4 外国返還援助申請は、日本国以外の条約締約国の中央当局(条約第六条に規定する中央当局をいう。以下同じ。)を経由してすることができる。 この場合において、申請者は、第二項各号に掲げる事項を記載した書面(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)及び前項に規定する書類を外務大臣に提出しなければならない。 (子の住所等に関する情報の提供の求め等) 第五条 外務大臣は、外国返還援助申請があった場合において、必要と認めるときは、申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の氏名及び住所又は居所を特定するため、政令で定めるところにより、次に掲げる機関及び法人(第十五条第一項において「国の行政機関等」という。)の長、地方公共団体の長その他の執行機関並びに申請に係る子及び申請に係る子と同居している者に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その有する当該氏名又は当該住所若しくは居所に関する情報の提供を求めることができる。 一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。) 二 内閣府並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関 三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関 四 内閣府設置法第四十条第二項及び第五十六条の特別の機関 五 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関 六 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人 七 国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人 2 前項の場合において、同項に規定する情報の提供を求められた者は、遅滞なく、当該情報を外務大臣に提供するものとする。 3 外務大臣は、前項の規定により提供された情報が、申請に係る子が日本国内に所在していることを示すものであるが、申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の所在を特定するために十分でない場合には、外務省令で定めるところにより、都道府県警察に対し、当該情報を提供して、これらの者の所在を特定するために必要な措置をとることを求めることができる。 4 前項に規定するもののほか、外務大臣からの第二項の規定により提供された情報及び前項の規定による都道府県警察の措置によって得られた情報の提供は、次に掲げる場合に限り、行うことができる。 一 第二十六条の規定による子の返還の申立て又は子との交流の定めをすること若しくはその変更を求める家事審判若しくは家事調停の申立てをするために申請に係る子と同居している者の氏名を必要とする申請者から当該氏名の開示を求められた場合において、当該氏名を当該申請者に開示するとき。 二 申請に係る子についての第二十九条に規定する子の返還に関する事件若しくは子の返還の強制執行に係る事件が係属している裁判所又は申請に係る子についての子との交流に関する事件若しくは子との交流の強制執行に係る事件が係属している裁判所から、その手続を行うために申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の住所又は居所の確認を求められた場合において、当該住所又は居所をこれらの裁判所に開示するとき。 三 第十条第一項の規定により、市町村、都道府県の設置する福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所をいう。以下この号及び同項において同じ。)又は児童相談所(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)に規定する児童相談所をいう。同号及び同項において同じ。)に対し、申請に係る子が虐待を受けているおそれがあると信ずるに足りる相当な理由がある旨を通告する場合において、申請に係る子及び申請に係る子と同居していると思料される者の氏名及び住所又は居所を当該市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所に通知するとき。 (外国返還援助の決定及び通知) 第六条 外務大臣は、外国返還援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合及び第八条第一項の規定により当該外国返還援助申請に係る書類の写しを送付する場合を除き、外国返還援助の決定(以下「外国返還援助決定」という。)をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知(申請者が第四条第四項の規定により日本国以外の条約締約国の中央当局を経由して外国返還援助申請をした場合にあっては、当該中央当局を経由してする通知。次条第二項及び第八条第二項において同じ。)をしなければならない。 2 外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第九条又は第十条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 三 この法律に定める手続その他子の返還又は子との交流の実現に関連する日本国の法令に基づく制度に関する情報の申請者への提供 (外国返還援助申請の却下) 第七条 外務大臣は、外国返還援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国返還援助申請を却下する。 一 申請に係る子が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が日本国内に所在していないことが明らかであり、かつ、申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が条約締約国以外の国又は地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所(申請者が法人その他の団体である場合にあっては、事務所の所在地)が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請に係る子の連れ去りの時又は留置の開始の時に、申請に係る子の常居所地国が条約締約国でなかったこと。 六 申請に係る子の常居所地国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有していないことが明らかであり、又は申請に係る子の連れ去り若しくは留置により当該監護の権利が侵害されていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により外国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならない。 (外国返還援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第八条 外務大臣は、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかである場合において、外国返還援助申請が前条第一項第四号に該当しないときは、第四条第二項の申請書(申請者が同条第四項の規定により外国返還援助申請をした場合にあっては、同項に規定する書面)及び同条第三項に規定する書類の写しを当該条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (合意による子の返還等の促進) 第九条 外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、申請に係る子について子の返還又は申請者との交流を申請者及び申請に係る子を監護している者の合意により実現するため、これらの者の間の協議のあっせんその他の必要な措置をとることができる。 (子の虐待に係る通告) 第十条 外務大臣は、申請に係る子が日本国内に所在している場合において、虐待を受けているおそれがあると信ずるに足りる相当な理由があるときは、市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所に対し、その旨を通告しなければならない。 2 前項の規定による通告は、児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第六条第一項の規定による通告とみなして、同条第二項及び第三項並びに同法第七条及び第八条の規定を適用する。 第二款 日本国返還援助 (日本国返還援助申請) 第十一条 日本国以外の条約締約国への連れ去りをされ、又は日本国以外の条約締約国において留置をされている子であって、その常居所地国が日本国であるものについて、日本国の法令に基づき監護の権利を有する者は、当該連れ去り又は留置によって当該監護の権利が侵害されていると思料する場合には、日本国への子の返還を実現するための援助(以下「日本国返還援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 第四条第二項及び第三項の規定は、日本国返還援助の申請(以下「日本国返還援助申請」という。)について準用する。 この場合において、同条第二項第一号中「第七条第一項第四号」とあるのは「第十三条第一項第四号」と、同項第四号中「条約締約国」とあり、及び同項第五号中「申請に係る子の常居所地国」とあるのは「日本国」と読み替えるものとする。 (日本国返還援助の決定及び通知) 第十二条 外務大臣は、日本国返還援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合を除き、日本国返還援助の決定(以下「日本国返還援助決定」という。)をし、遅滞なく、日本国返還援助申請をした者(以下この款において「申請者」という。)にその旨を通知しなければならない。 2 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、第十四条に規定する措置をとるものとする。 3 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、前項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第十五条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 (日本国返還援助申請の却下) 第十三条 外務大臣は、日本国返還援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該日本国返還援助申請を却下する。 一 日本国返還援助申請において返還を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が日本国又は条約締約国以外の国若しくは地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所(申請者が法人その他の団体である場合にあっては、事務所の所在地)が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請に係る子の常居所地国が日本国でないことが明らかであること。 六 申請に係る子の連れ去りの時又は留置の開始の時に、申請に係る子が所在していると思料される国又は地域が条約締約国でなかったこと。 七 日本国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有していないことが明らかであり、又は申請に係る子の連れ去り若しくは留置により当該監護の権利が侵害されていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により日本国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由を通知しなければならない。 (日本国返還援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第十四条 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、第十一条第二項において準用する第四条第二項の申請書及び同条第三項に規定する書類の写しを申請に係る子が所在している条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (子の社会的背景に関する情報の条約締約国の中央当局への提供) 第十五条 外務大臣は、日本国への子の返還に関する事件が日本国以外の条約締約国の裁判所又はその他の審判を行う機関(以下この項及び次項において「外国裁判所等」という。)に係属しており、当該条約締約国の中央当局から当該子の返還に係る子の日本国内における心身、養育及び就学の状況その他の生活及び取り巻く環境の状況に関する情報の提供を求められた場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、当該条約締約国の中央当局に提供するために、政令で定めるところにより、国の行政機関等の長、地方公共団体の長その他の執行機関及び当該子に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その有する当該情報の提供を求めることができる。 一 当該中央当局が、当該外国裁判所等の依頼を受けて当該事件に関する調査を行うために外務大臣に対し当該情報の提供を求めており、かつ、当該調査以外の目的のために当該情報を利用するおそれがないと認められるとき。 二 当該事件に係る外国裁判所等の手続の当事者(当該子が当該手続の当事者である場合にあっては、当該子を除く。)が当該情報を当該中央当局に提供することに同意しているとき。 2 前項の場合において、同項に規定する情報の提供を求められた者は、次の各号のいずれにも該当するときは、遅滞なく、当該情報を外務大臣に提供するものとする。 一 当該情報を前項に規定する中央当局に提供することによって同項に規定する子及び同項に規定する事件に係る外国裁判所等の手続の当事者の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認めるとき。 二 当該情報が、前項に規定する子及び同項に規定する事件に係る外国裁判所等の手続の当事者の知り得る状態にあり、かつ、これらの者以外の特定の個人を識別することができる情報を含まないとき。 3 外務大臣は、前項の規定により提供された情報を、第一項に規定する中央当局に対してのみ提供することができる。 第三節 子との交流に関する援助 第一款 日本国交流援助 (日本国交流援助申請) 第十六条 日本国内に所在している子であって、交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、当該国又は地域の法令に基づき交流をすることができる者(日本国以外の条約締約国に住所又は居所を有しているものに限る。)は、当該子との交流が妨げられていると思料する場合には、当該子との交流を実現するための援助(以下「日本国交流援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 日本国交流援助の申請(以下「日本国交流援助申請」という。)を行おうとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出しなければならない。 一 日本国交流援助申請をする者(以下この款において「申請者」という。)の氏名及び住所又は居所 二 日本国交流援助申請において交流を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)の氏名、生年月日及び住所又は居所(これらの事項が明らかでないときは、その旨)その他申請に係る子を特定するために必要な事項 三 申請に係る子との交流を妨げていると思料される者の氏名その他当該者を特定するために必要な事項 四 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国であることを明らかにするために必要な事項 五 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と交流をすることができ、かつ、申請者の申請に係る子との交流が妨げられていることを明らかにするために必要な事項 六 申請に係る子と同居していると思料される者の氏名、住所又は居所その他当該者を特定するために必要な事項(これらの事項が明らかでないときは、その旨) 3 前項の申請書には、同項第五号に掲げる事項を証明する書類その他外務省令で定める書類を添付しなければならない。 4 日本国交流援助申請は、日本国以外の条約締約国の中央当局を経由してすることができる。 この場合において、申請者は、第二項各号に掲げる事項を記載した書面(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)及び前項に規定する書類を外務大臣に提出しなければならない。 (日本国交流援助の決定及び通知) 第十七条 外務大臣は、日本国交流援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合及び第十九条第一項の規定により当該日本国交流援助申請に係る書類の写しを送付する場合を除き、日本国交流援助の決定(以下「日本国交流援助決定」という。)をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知(申請者が前条第四項の規定により日本国以外の条約締約国の中央当局を経由して日本国交流援助申請をした場合にあっては、当該中央当局を経由してする通知。次条第二項及び第十九条第二項において同じ。)をしなければならない。 2 外務大臣は、日本国交流援助決定をした場合には、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第二十条において準用する第九条又は第十条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 三 この法律に定める手続その他子との交流の実現に関連する日本国の法令に基づく制度に関する情報の申請者への提供 (日本国交流援助申請の却下) 第十八条 外務大臣は、日本国交流援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該日本国交流援助申請を却下する。 一 申請に係る子が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が日本国内に所在していないことが明らかであり、かつ、申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が条約締約国以外の国又は地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請者が日本国内に住所若しくは居所を有していることが明らかであり、又は日本国以外の条約締約国に住所若しくは居所を有していないことが明らかであること。 六 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国でないこと。 七 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国若しくは地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と交流をすることができないことが明らかであり、又は申請者の申請に係る子との交流が妨げられていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により日本国交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならない。 (日本国交流援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第十九条 外務大臣は、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかである場合において、日本国交流援助申請が前条第一項第四号に該当しないときは、第十六条第二項の申請書(申請者が同条第四項の規定により日本国交流援助申請をした場合にあっては、同項に規定する書面)及び同条第三項に規定する書類の写しを当該条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (日本国交流援助に関する準用規定) 第二十条 第五条、第九条及び第十条の規定は、外務大臣に対し日本国交流援助申請があった場合について準用する。 この場合において、第五条第四項第一号中「第二十六条の規定による子の返還の申立て又は子との交流の定めをすること若しくはその変更を求める家事審判若しくは」とあるのは「子との交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は」と、同項第二号中「第二十九条に規定する子の返還に関する事件若しくは子の返還の強制執行に係る事件が係属している裁判所又は申請に係る子についての子との交流に関する事件若しくは」とあるのは「子との交流に関する事件又は」と、「これらの」とあるのは「当該」と、第九条中「子の返還又は申請者」とあるのは「申請者」と読み替えるものとする。 第二款 外国交流援助 (外国交流援助申請) 第二十一条 日本国以外の条約締約国に所在している子であって、交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、当該国又は地域の法令に基づき交流をすることができる者(日本国内に住所又は居所を有しているものに限る。)は、当該子との交流が妨げられていると思料する場合には、当該子との交流を実現するための援助(以下「外国交流援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 第十六条第二項及び第三項の規定は、外国交流援助の申請(以下「外国交流援助申請」という。)について準用する。 (外国交流援助の決定及び通知) 第二十二条 外務大臣は、外国交流援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合を除き、外国交流援助の決定(以下「外国交流援助決定」という。)をし、遅滞なく、外国交流援助申請をした者(以下この款において「申請者」という。)にその旨を通知しなければならない。 2 外務大臣は、外国交流援助決定をした場合には、第二十四条に規定する措置をとるものとする。 3 外務大臣は、外国交流援助決定をした場合には、前項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第二十五条において準用する第十五条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 (外国交流援助申請の却下) 第二十三条 外務大臣は、外国交流援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国交流援助申請を却下する。 一 外国交流援助申請において交流を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が日本国又は条約締約国以外の国若しくは地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請者が日本国内に住所又は居所を有していないことが明らかであること。 六 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国でないこと。 七 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国若しくは地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と交流をすることができないことが明らかであり、又は申請者の申請に係る子との交流が妨げられていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により外国交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由を通知しなければならない。 (外国交流援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第二十四条 外務大臣は、外国交流援助決定をした場合には、第二十一条第二項において準用する第十六条第二項の申請書及び同条第三項に規定する書類の写しを申請に係る子が所在している条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨を通知しなければならない。 (外国交流援助に関する準用規定) 第二十五条 第十五条の規定は、外務大臣に対し外国交流援助申請があった場合について準用する。 この場合において、同条第一項中「日本国への子の返還」とあるのは「申請に係る子についての子との交流」と、「当該子の返還に係る子」とあるのは「申請に係る子」と読み替えるものとする。 第三章 子の返還に関する事件の手続等 第一節 返還事由等 (条約に基づく子の返還) 第二十六条 日本国への連れ去り又は日本国における留置により子についての監護の権利を侵害された者は、子を監護している者に対し、この法律の定めるところにより、常居所地国に子を返還することを命ずるよう家庭裁判所に申し立てることができる。 (子の返還事由) 第二十七条 裁判所は、子の返還の申立てが次の各号に掲げる事由のいずれにも該当すると認めるときは、子の返還を命じなければならない。 一 子が十六歳に達していないこと。 二 子が日本国内に所在していること。 三 常居所地国の法令によれば、当該連れ去り又は留置が申立人の有する子についての監護の権利を侵害するものであること。 四 当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に、常居所地国が条約締約国であったこと。 (子の返還拒否事由等) 第二十八条 裁判所は、前条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるときは、子の返還を命じてはならない。 ただし、第一号から第三号まで又は第五号に掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して常居所地国に子を返還することが子の利益に資すると認めるときは、子の返還を命ずることができる。 一 子の返還の申立てが当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時から一年を経過した後にされたものであり、かつ、子が新たな環境に適応していること。 二 申立人が当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に子に対して現実に監護の権利を行使していなかったこと(当該連れ去り又は留置がなければ申立人が子に対して現実に監護の権利を行使していたと認められる場合を除く。)。 三 申立人が当該連れ去りの前若しくは当該留置の開始の前にこれに同意し、又は当該連れ去りの後若しくは当該留置の開始の後にこれを承諾したこと。 四 常居所地国に子を返還することによって、子の心身に害悪を及ぼすことその他子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があること。 五 子の年齢及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場合において、子が常居所地国に返還されることを拒んでいること。 六 常居所地国に子を返還することが日本国における人権及び基本的自由の保護に関する基本原則により認められないものであること。 2 裁判所は、前項第四号に掲げる事由の有無を判断するに当たっては、次に掲げる事情その他の一切の事情を考慮するものとする。 一 常居所地国において子が申立人から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(次号において「暴力等」という。)を受けるおそれの有無 二 相手方及び子が常居所地国に入国した場合に相手方が申立人から子に心理的外傷を与えることとなる暴力等を受けるおそれの有無 三 申立人又は相手方が常居所地国において子を監護することが困難な事情の有無 3 裁判所は、日本国において子の監護に関する裁判があったこと又は外国においてされた子の監護に関する裁判が日本国で効力を有する可能性があることのみを理由として、子の返還の申立てを却下する裁判をしてはならない。 ただし、これらの子の監護に関する裁判の理由を子の返還の申立てについての裁判において考慮することを妨げない。 第二節 子の返還に関する事件の手続の通則 (子の返還に関する事件の手続) 第二十九条 子の返還に関する事件(第三十二条第一項に規定する子の返還申立事件、第百二十一条の規定による調査及び勧告の事件並びに第百二十三条第二項に規定する出国禁止命令事件をいう。以下同じ。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第三十条 裁判所は、子の返還に関する事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に子の返還に関する事件の手続を追行しなければならない。 (最高裁判所規則) 第三十一条 この法律に定めるもののほか、子の返還に関する事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第三節 子の返還申立事件の手続 第一款 総則 第一目 管轄 (管轄) 第三十二条 子の返還申立事件(第二十六条の規定による子の返還の申立てに係る事件をいう。以下同じ。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。 一 子の住所地(日本国内に子の住所がないとき、又は住所が知れないときは、その居所地。次号において同じ。)が東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内にある場合 東京家庭裁判所 二 子の住所地が大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内にある場合 大阪家庭裁判所 2 子の返還申立事件は、日本国内に子の住所がない場合又は住所が知れない場合であって、日本国内に子の居所がないとき又は居所が知れないときは、東京家庭裁判所の管轄に属する。 (併合申立てによる管轄) 第三十三条 一の申立てにより数人の子についての子の返還を求める場合には、前条の規定により一人の子についての子の返還の申立てについて管轄権を有する家庭裁判所にその申立てをすることができる。 (管轄裁判所の指定) 第三十四条 管轄裁判所が法律上若しくは事実上裁判権を行うことができないとき、又は裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、最高裁判所は、申立てにより、管轄裁判所を定める。 (管轄の標準時) 第三十五条 裁判所の管轄は、子の返還の申立てがあった時を標準として定める。 (管轄の合意) 第三十六条 当事者は、第一審に限り、合意により第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所の一を管轄裁判所と定めることができる。 2 前項の合意は、子の返還の申立てに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。 3 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。 (移送等) 第三十七条 裁判所は、子の返還申立事件がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄権を有する家庭裁判所に移送する。 2 家庭裁判所は、前項に規定する場合において、子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に移送することができる。 3 第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所は、第一項に規定する場合において、子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を自ら処理することができる。 4 家庭裁判所は、子の返還申立事件がその管轄に属する場合においても、当該子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を他の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に移送することができる。 5 第一項、第二項及び前項の規定による移送の裁判並びに第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 6 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 7 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二十二条の規定は、子の返還申立事件の移送の裁判について準用する。 第二目 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第三十八条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者であるとき、又は当事者となる資格を有する者であるとき。 二 裁判官が当事者又は子の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又は子の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくは子の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第三十九条 裁判官について裁判の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第四十条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避については、その裁判官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで子の返還申立事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 子の返還申立事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官又は子の返還申立事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、子の返還申立事件の手続は、停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第四十一条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第三十八条、第三十九条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった子の返還申立事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (家庭裁判所調査官の除斥) 第四十二条 家庭裁判所調査官の除斥については、第三十八条並びに第四十条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。 2 家庭裁判所調査官について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった子の返還申立事件に関与することができない。 3 家庭裁判所調査官の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官の所属する裁判所がする。 第三目 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第四十三条 当事者能力、子の返還申立事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理、手続行為をするのに必要な授権及び法定代理権の消滅については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十三条、第三十四条第一項及び第二項並びに第三十六条第一項の規定を準用する。 2 未成年者及び成年被後見人は、法定代理人の同意を要することなく、又は法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 被保佐人又は被補助人について、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 3 後見人が他の者がした子の返還の申立て又は抗告について手続行為をするには、後見監督人の同意を要しない。 4 後見人が次に掲げる手続行為をするには、後見監督人の同意がなければならない。 一 子の返還の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する即時抗告、第百八条第一項の抗告又は第百十一条第二項の申立ての取下げ 三 第百四十四条の同意 (未成年者又は成年被後見人の法定代理人) 第四十四条 親権を行う者又は後見人は、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。 (特別代理人) 第四十五条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、子の返還申立事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法人の代表者等への準用) 第四十六条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第四目 参加 (当事者参加) 第四十七条 当事者となる資格を有する者は、当事者として子の返還申立事件の手続に参加することができる。 2 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者を、当事者として子の返還申立事件の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (子の参加) 第四十八条 子の返還申立事件において返還を求められている子は、子の返還申立事件の手続に参加することができる。 2 裁判所は、相当と認めるときは、職権で、返還を求められている子を、子の返還申立事件の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。 4 裁判所は、子の返還申立事件の手続に参加しようとする子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して当該子が当該手続に参加することが当該子の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出を却下しなければならない。 5 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 6 第一項又は第二項の規定により子の返還申立事件の手続に参加した子(以下単に「手続に参加した子」という。)は、当事者がすることができる手続行為(子の返還の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、手続に参加した子が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。 (手続からの排除) 第四十九条 裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を子の返還申立事件の手続から排除することができる。 2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第五目 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第五十条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (裁判長による手続代理人の選任等) 第五十一条 未成年者、成年被後見人、被保佐人及び被補助人(以下この条において「未成年者等」という。)が手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。 2 未成年者等が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。 3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し未成年者等が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。 (手続代理人の代理権の範囲) 第五十二条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加及び強制執行に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 一 子の返還の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する即時抗告、第百八条第一項の抗告若しくは第百十一条第二項の申立て又はこれらの取下げ 三 第百二十二条第三項に規定する出国禁止命令の申立て又はその取下げ 四 第百四十四条の同意 五 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用) 第五十三条 民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)、第三十六条第一項及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第五十四条 子の返還申立事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六目 手続費用 (手続費用の負担) 第五十五条 子の返還申立事件の手続の費用(以下「手続費用」という。)は、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び手続に参加した子がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の当事者に負担させることができる。 (手続費用の負担の裁判等) 第五十六条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における手続費用(裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合にあっては、家事調停に関する手続の費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。 ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。 2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合にあっては、家事調停に関する手続の費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。 事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。 3 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、子の返還申立事件の手続費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 (手続費用の立替え) 第五十七条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の子の返還申立事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第五十八条 民事訴訟法第六十八条から第七十四条までの規定(同法第七十一条第二項(同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)及び第八項(同法第七十二条後段及び第七十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十三条第一項中「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第四十七条第一項又は第四十八条第一項の規定による参加の申出」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第五十八条第一項において準用する」と、「ついて、同条第二項の規定は前項の申立てについて」とあるのは「ついて」と、「第八項まで」とあるのは「第七項まで」と、「準用する。この場合において、同条第二項中「訴訟費用の負担の裁判が確定した」とあるのは、「訴訟が完結した」と読み替えるものとする」とあるのは「準用する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第五項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 (手続上の救助) 第五十九条 子の返還申立事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で子の返還の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第五十九条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七目 子の返還申立事件の審理等 (手続の非公開) 第六十条 子の返還申立事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (調書の作成等) 第六十一条 裁判所書記官は、子の返還申立事件の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。 (記録の閲覧等) 第六十二条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、子の返還申立事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付(第四項第一号及び第六十九条第六項において「閲覧等」という。)又は子の返還申立事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、子の返還申立事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、当該申立てに係る許可をしなければならない。 4 裁判所は、子の返還申立事件の記録中、第五条第四項(第二号に係る部分に限る。)の規定により外務大臣から提供を受けた相手方又は子の住所又は居所が記載され、又は記録された部分(第一号及び第百四十九条第一項において「住所等表示部分」という。)については、前項の規定にかかわらず、同項の申立てに係る許可をしないものとする。 ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。 一 住所等表示部分の閲覧等又はその複製についての相手方の同意があるとき。 二 子の返還を命ずる終局決定が確定した後において、子の返還を命ずる終局決定に関する強制執行をするために必要があるとき。 5 裁判所は、子の返還申立事件において返還を求められている子の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、第三項及び前項ただし書の規定にかかわらず、第三項の申立てに係る許可をしないことができる。 事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てに係る許可をすることを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。 6 裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、当該申立てに係る許可をすることができる。 7 裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は子の返還申立事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。 8 子の返還申立事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、子の返還申立事件の記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 9 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 10 前項の規定による即時抗告が子の返還申立事件の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 11 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (期日及び期間) 第六十三条 子の返還申立事件の手続の期日の指定及び変更は、職権で、裁判長が行う。 2 子の返還申立事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 子の返還申立事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によってする。 5 民事訴訟法第九十四条第三項及び第九十五条から第九十七条までの規定は、子の返還申立事件の手続の期日及び期間について準用する。 この場合において、同項中「第一項各号に規定する方法」とあるのは、「呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知」と読み替えるものとする。 (手続の併合等) 第六十四条 裁判所は、子の返還申立事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする子の返還申立事件についての手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第六十五条 当事者が子の返還申立事件の手続を続行することができない場合(当事者の死亡による場合を除く。)には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に子の返還申立事件の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者等による受継) 第六十六条 子の返還申立事件の申立人の死亡によってその手続を続行することができない場合には、当該子の返還申立事件において申立人となることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 前項の規定による受継の申立ては、子の返還申立事件の申立人が死亡した日から一月以内にしなければならない。 3 子の返還申立事件の相手方の死亡によってその手続を続行することができない場合には、裁判所は、申立てにより又は職権で、相手方が死亡した日から三月以内に限り、相手方の死亡後に子を監護している者に、その手続を受け継がせることができる。 (送達及び手続の中止) 第六十七条 送達及び子の返還申立事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節(第百条第二項、第三款及び第百十一条を除く。)及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百十二条第一項本文中「前条の規定による措置を開始した」とあるのは「裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた」と、同項ただし書中「前条の規定による措置を開始した」とあるのは「当該掲示を始めた」と、同法第百十三条中「書類又は電磁的記録」とあるのは「書類」と、「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは「裁判を求める事項」と、「記載又は記録」とあるのは「記載」と、「第百十一条の規定による措置を開始した」とあるのは「裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第百十条第一項の規定による公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第六十八条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第八目 電子情報処理組織による申立て等 第六十九条 子の返還申立事件の手続における申立てその他の申述(以下この条及び次条において「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。次項及び第四項において同じ。)をもってするものとされているものであって、最高裁判所の定める裁判所に対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官又は裁判所書記官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項及び第三項において同じ。)と申立て等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を用いてすることができる。 2 前項の規定によりされた申立て等については、当該申立て等を書面等をもってするものとして規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもってされたものとみなして、当該申立て等に関する法令の規定を適用する。 3 第一項の規定によりされた申立て等は、同項の裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に、当該裁判所に到達したものとみなす。 4 第一項の場合において、当該申立て等に関する他の法令の規定により署名等(署名、記名、押印その他氏名又は名称を書面等に記載することをいう。以下この項において同じ。)をすることとされているものについては、当該申立て等をする者は、当該法令の規定にかかわらず、当該署名等に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。 5 第一項の規定によりされた申立て等が第三項に規定するファイルに記録されたときは、第一項の裁判所は、当該ファイルに記録された情報の内容を書面に出力しなければならない。 6 第一項の規定によりされた申立て等に係るこの法律の規定による子の返還申立事件の記録の閲覧等は、前項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第九目 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第六十九条の二 子の返還申立事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、同法第百三十三条第三項中「訴訟記録等(訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録をいう。以下この章において同じ。)」とあるのは「子の返還申立事件の記録」と、「について訴訟記録等の閲覧等(訴訟記録の閲覧等、非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等又は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等をいう。以下この章において同じ。)」とあるのは「の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同法第百三十三条の二第一項中「に係る訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同法第百三十三条の四第一項中「者は、訴訟記録等」とあるのは「当事者又は手続に参加した子(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第四十八条第六項に規定する手続に参加した子をいう。次項及び第七項において同じ。)は、子の返還申立事件の記録」と、同条第二項中「当事者」とあるのは「当事者又は手続に参加した子」と、「訴訟記録等の存する」とあるのは「子の返還申立事件の記録の存する」と、「訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは手続に参加した子」と読み替えるものとする。 第二款 第一審裁判所における子の返還申立事件の手続 第一目 子の返還の申立て (申立ての方式等) 第七十条 子の返還の申立ては、申立書(以下「子の返還申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 子の返還申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 この場合において、第二号に掲げる申立ての趣旨は、返還を求める子及び子を返還すべき条約締約国を特定して記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨 三 子の返還申立事件の手続による旨 3 申立人は、一の申立てにより数人の子についての子の返還を求めることができる。 4 子の返還申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、子の返還申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 7 民事訴訟法第百三十七条の二の規定は、申立人が民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い子の返還の申立ての手数料を納付しない場合について準用する。 (申立ての変更) 第七十一条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨を変更することができる。 ただし、第八十九条の規定により審理を終結した後は、この限りでない。 2 申立ての趣旨の変更は、子の返還申立事件の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 家庭裁判所は、申立ての趣旨の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨の変更により子の返還申立事件の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 (申立書の写しの送付等) 第七十二条 子の返還の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、子の返還申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 2 前項の規定による子の返還申立書の写しの送付は、公示送達の方法によっては、することができない。 3 第七十条第四項から第六項までの規定は、第一項の規定による子の返還申立書の写しの送付をすることができない場合について準用する。 4 裁判長は、第一項の規定による子の返還申立書の写しの送付の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、子の返還申立書を却下しなければならない。 5 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 第二目 子の返還申立事件の手続の期日 (裁判長の手続指揮権) 第七十三条 子の返還申立事件の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が子の返還申立事件の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第七十四条 家庭裁判所は、受命裁判官に子の返還申立事件の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第八十二条第三項の規定又は第八十六条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第七十五条 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、子の返還申立事件の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 子の返還申立事件の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第七十六条 子の返還申立事件の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、子の返還申立事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、手続に参加した子、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を、それぞれ準用する。 第三目 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第七十七条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 申立人及び相手方は、それぞれ第二十七条に規定する事由(第二十八条第一項第二号に規定する場合に関する事由を含む。)についての資料及び同項に規定する事由についての資料を提出するほか、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第七十八条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (家庭裁判所調査官による事実の調査) 第七十九条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。 4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。 (家庭裁判所調査官の期日への立会い等) 第八十条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、子の返還申立事件の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。 2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、子の返還申立事件の手続の期日において、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が家庭裁判所調査官との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家庭裁判所調査官に子の返還申立事件の手続の期日に立ち会わせ、当該期日において前項の意見を述べさせることができる。 (裁判所技官による診断等) 第八十一条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 2 第七十九条第二項から第四項までの規定は前項の診断について、前条の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について、それぞれ準用する。 (事実の調査の嘱託等) 第八十二条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (調査の嘱託等) 第八十三条 家庭裁判所は、必要な調査を外務大臣に嘱託するほか、官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は学校、保育所その他適当と認める者に対し子の心身の状態及び生活の状況その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (事実の調査の通知) 第八十四条 家庭裁判所は、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び手続に参加した子に通知しなければならない。 (陳述の聴取) 第八十五条 家庭裁判所は、子の返還の申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。 ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。 (証拠調べ) 第八十六条 子の返還申立事件の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十五条第三項、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百五条第二項、第二百七条第二項、第二百十五条第二項、第二百二十七条第二項及び第二百三十二条の二の規定を除く。)を準用する。 この場合において、同法第百八十五条第一項中「地方裁判所若しくは簡易裁判所」とあるのは「他の家庭裁判所」と、同条第二項中「地方裁判所又は簡易裁判所」とあるのは「家庭裁判所」と、同法第二百五条第三項中「事項又は前項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項」とあり、及び同法第二百十五条第四項中「事項又は第二項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項」とあるのは「事項」と、同法第二百三十一条の二第二項中「方法又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法」とあるのは「方法」と、同法第二百三十一条の三第二項中「若しくは送付し、又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する」とあるのは「又は送付する」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 (不法を証する文書の提出) 第八十七条 家庭裁判所は、申立人が不法な連れ去り又は不法な留置があったことを証する文書を常居所地国において得ることができるときは、申立人に対し、当該文書を提出することを求めることができる。 第四目 子の返還申立事件の手続における子の意思の把握等 第八十八条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、終局決定をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 第五目 審理の終結等 (審理の終結) 第八十九条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。 ただし、当事者双方が立ち会うことができる子の返還申立事件の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。 (裁判日) 第九十条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、裁判をする日を定めなければならない。 第六目 裁判 (裁判の方式) 第九十一条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、決定で、裁判をする。 (終局決定) 第九十二条 家庭裁判所は、子の返還申立事件が裁判をするのに熟したときは、終局決定をする。 2 家庭裁判所は、子の返還申立事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局決定をすることができる。 手続の併合を命じた数個の子の返還申立事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (終局決定の告知及び効力の発生等) 第九十三条 終局決定は、当事者及び子に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 ただし、子(手続に参加した子を除く。)に対しては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。 2 終局決定は、当事者に告知することによってその効力を生ずる。 ただし、子の返還を命ずる終局決定は、確定しなければその効力を生じない。 3 終局決定は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 4 終局決定の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (終局決定の方式及び裁判書) 第九十四条 終局決定は、裁判書を作成してしなければならない。 2 終局決定の裁判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 主文 二 理由 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 (更正決定) 第九十五条 終局決定に誤記その他これに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の終局決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 終局決定に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (終局決定に関する民事訴訟法の準用) 第九十六条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、終局決定について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「終局決定が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (中間決定) 第九十七条 家庭裁判所は、終局決定の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。 (終局決定以外の裁判) 第九十八条 終局決定以外の裁判は、これを受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 終局決定以外の裁判については、これを受ける者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 3 第九十二条から第九十六条まで(第九十三条第一項及び第二項並びに第九十四条第一項を除く。)の規定は、前項の裁判について準用する。 この場合において、第九十四条第二項第二号中「理由」とあるのは、「理由の要旨」と読み替えるものとする。 4 子の返還申立事件の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 5 終局決定以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。 第七目 裁判によらない子の返還申立事件の終了 (子の返還の申立ての取下げ) 第九十九条 子の返還の申立ては、終局決定が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、申立ての取下げは、終局決定がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 2 前項ただし書の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。 ただし、申立ての取下げが子の返還申立事件の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。 3 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。 同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 4 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「子の返還申立事件の手続の期日」と、「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と読み替えるものとする。 (和解) 第百条 子の返還申立事件における和解については、民事訴訟法第八十九条第一項、第二百六十四条及び第二百六十五条の規定を準用する。 この場合において、同法第二百六十四条第一項及び第二百六十五条第三項中「口頭弁論等」とあるのは、「子の返還申立事件の手続」と読み替えるものとする。 2 子の返還申立事件においては、子の監護に関する事項、夫婦間の協力扶助に関する事項及び婚姻費用の分担に関する事項についても、和解をすることができる。 3 次の各号に掲げる事項についての和解を調書に記載したときは、その記載は、当該各号に定める裁判と同一の効力を有する。 一 子の返還 確定した子の返還を命ずる終局決定 二 子の監護に関する事項、夫婦間の協力扶助に関する事項及び婚姻費用の分担に関する事項 確定した家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第三十九条の規定による審判 三 その他の事項 確定判決 第三款 不服申立て 第一目 終局決定に対する即時抗告 (即時抗告をすることができる裁判) 第百一条 当事者は、終局決定に対し、即時抗告をすることができる。 2 子は、子の返還を命ずる終局決定に対し、即時抗告をすることができる。 3 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第百二条 終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 当事者又は手続に参加した子による即時抗告の期間は、即時抗告をする者が終局決定の告知を受けた日から進行する。 3 子(手続に参加した子を除く。)による即時抗告の期間は、当事者が終局決定の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第百三条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原決定の表示及びその決定に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による終局決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第七十条第四項及び第五項の規定は抗告状が第二項の規定に違反する場合について、民事訴訟法第百三十七条の二第一項から第六項までの規定は民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について、それぞれ準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第百四条 終局決定に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び手続に参加した子(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 (陳述の聴取) 第百五条 抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 (抗告裁判所による裁判) 第百六条 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、自ら裁判をしなければならない。 ただし、次条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。 (第一審の手続の規定及び民事訴訟法の準用等) 第百七条 終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前款の規定(第七十条第六項、第七十二条第二項及び第五項、第九十三条第三項及び第四項、第九十五条第三項から第五項まで並びに第九十八条第五項を除く。)を準用する。 2 抗告裁判所は、第百四条第一項の規定による抗告状の写しの送付をすることを要しないときは、前項において準用する第八十九条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。 3 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百九条までの規定は、終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項及び第四項、第二百六十二条第一項並びに第二百六十三条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第九十九条第四項」と、同法第二百九十九条第二項中「第六条第一項各号」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第三十二条第一項各号」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百五十条」と読み替えるものとする。 第二目 終局決定に対する特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第百八条 高等裁判所の終局決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (原裁判の執行停止) 第百九条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。 ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第百十条 第百二条第二項及び第三項、第百三条(第四項及び第五項を除く。)、第百四条、第百五条並びに第百七条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十条第一項において準用する同法第百三条第六項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百八条第二項の規定及び同法第百十条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百八条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三目 終局決定に対する許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第百十一条 高等裁判所の終局決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第百八条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の高等裁判所は、同項の終局決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第百八条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用) 第百十二条 第百二条第二項及び第三項、第百三条(第四項及び第五項を除く。)、第百四条、第百五条、第百七条並びに第百九条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第百二条第二項及び第三項、第百三条第一項、第二項第二号及び第三項、第百四条第一項並びに第百五条中「即時抗告」とあり、第百三条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第百九条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第百十一条第二項の申立て」と、第百三条第一項、第二項及び第六項、第百四条並びに第百七条第二項中「抗告状」とあるのは「第百十一条第二項の規定による許可の申立書」と、同条中「即時抗告」とあり、及び第百九条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「第百十一条第四項に規定する許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について、それぞれ準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第五項の規定及び同法第百十二条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第四目 終局決定以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第百十三条 終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第百十四条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、子の返還申立事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (即時抗告期間等) 第百十五条 終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 4 原裁判をした裁判所、裁判官又は裁判長は、即時抗告を理由があると認めるときは、その裁判を更正しなければならない。 (終局決定に対する不服申立ての規定の準用等) 第百十六条 前三目の規定(第百一条第一項及び第二項、第百二条第一項並びに同条第三項、第百四条及び第百五条(これらの規定を第百十二条第一項において準用する場合を含む。)並びに第百十条の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 この場合において、第百八条第一項中「高等裁判所の終局決定」とあるのは「家庭裁判所の終局決定以外の裁判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の終局決定以外の裁判」と、第百十一条第一項中「できる」とあるのは「できる。ただし、その決定が家庭裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る」と読み替えるものとする。 2 第百二条第二項及び第三項、第百三条並びに第百七条の規定は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第百三条第六項中「及び第五項」とあるのは、「から第六項まで」と読み替えるものとする。 3 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第二項において読み替えて準用する同法第百三条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において準用する同法第百八条第二項の規定及び同法第百十六条第三項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において読み替えて準用する同法第百八条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第四款 終局決定の変更 (終局決定の変更) 第百十七条 子の返還を命ずる終局決定をした裁判所(その決定に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定(第百七条第二項の規定による決定を除く。以下この項において同じ。)をしたときは、当該抗告裁判所)は、子の返還を命ずる終局決定が確定した後に、事情の変更によりその決定を維持することを不当と認めるに至ったときは、当事者の申立てにより、その決定(当該抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定をした場合にあっては、当該終局決定)を変更することができる。 ただし、子が常居所地国に返還された後は、この限りでない。 2 前項の規定による終局決定の変更の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 変更を求める終局決定の表示及びその決定に対して変更を求める旨 三 終局決定の変更を求める理由 3 裁判所は、第一項の規定により終局決定を変更するときは、当事者(同項の申立てをした者を除く。)の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の申立てを却下する終局決定に対しては、当該申立てをした者は、即時抗告をすることができる。 5 第一項の規定により終局決定を変更する決定に対しては、即時抗告をすることができる。 6 前各項に規定するもののほか、第一項の規定による終局決定の変更の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 (執行停止の裁判) 第百十八条 裁判所は、前条第一項の申立てがあった場合において、同項の規定による変更の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点につき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第五款 再審 (再審) 第百十九条 確定した終局決定その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により終局決定その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該終局決定その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第百二十条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第四節 義務の履行状況の調査及び履行の勧告 第百二十一条 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所(抗告裁判所が子の返還を命ずる終局決定をした場合にあっては、第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、子の返還の義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。 2 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。 3 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項及び第五項においてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を外務大臣に嘱託するほか、官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は学校、保育所その他適当と認める者に対し子の生活の状況その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 6 第一項の規定による調査及び勧告の手続には、その性質に反しない限り、前節第一款の規定を準用する。 7 前各項の規定は、和解によって定められた義務の履行について準用する。 第五節 出国禁止命令 (出国禁止命令) 第百二十二条 子の返還申立事件が係属する家庭裁判所は、子の返還申立事件の当事者が子を日本国外に出国させるおそれがあるときは、子の返還申立事件の一方の当事者の申立てにより、他方の当事者に対し、子を出国させてはならないことを命ずることができる。 2 家庭裁判所は、前項の規定による申立てに係る事件の相手方が子が名義人となっている旅券を所持すると認めるときは、申立てにより、同項の規定による裁判において、当該旅券の外務大臣への提出を命じなければならない。 3 子の返還申立事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前二項の規定による裁判(以下「出国禁止命令」という。)をする。 4 出国禁止命令は、子の返還の申立てについての終局決定の確定により、その効力を失う。 (出国禁止命令の申立て等) 第百二十三条 出国禁止命令の申立ては、その趣旨及び出国禁止命令を求める事由を明らかにしてしなければならない。 2 出国禁止命令を求める事由については、出国禁止命令の申立てに係る事件(以下「出国禁止命令事件」という。)の申立人が資料を提出しなければならない。 3 前条第二項の規定による裁判の申立ては、出国禁止命令があるまで、取り下げることができる。 4 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、出国禁止命令の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百二十三条第二項に規定する出国禁止命令事件の手続の期日」と、「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と読み替えるものとする。 (陳述の聴取) 第百二十四条 出国禁止命令は、出国禁止命令事件の相手方の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより出国禁止命令の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第百二十五条 裁判所は、第百三十三条において準用する第六十二条第三項の規定にかかわらず、出国禁止命令事件について、出国禁止命令事件の当事者から同条第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、出国禁止命令事件の相手方に対し、出国禁止命令事件が係属したことを通知し、又は出国禁止命令を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。 (出国禁止命令の告知及び効力) 第百二十六条 出国禁止命令の申立てについての裁判は、出国禁止命令事件の当事者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 出国禁止命令は、出国禁止命令事件の相手方に告知することによってその効力を生じ、出国禁止命令の申立てを却下する裁判は、出国禁止命令事件の申立人に告知することによってその効力を生ずる。 (即時抗告) 第百二十七条 出国禁止命令事件の当事者は、出国禁止命令の申立てについての裁判に対し、即時抗告をすることができる。 (即時抗告に伴う執行停止) 第百二十八条 前条の規定により即時抗告が提起された場合において、原裁判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原裁判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、又は担保を立てさせないで原裁判の執行の停止を命ずることができる。 出国禁止命令事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、この処分を命ずることができる。 2 第百二十三条第二項の規定は前項の申立てについて、第百九条第二項及び第三項の規定は前項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について、それぞれ準用する。 (出国禁止命令の取消し) 第百二十九条 第百二十二条第一項の規定による裁判が確定した後に、当該裁判を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、子の返還申立事件が係属する裁判所は、当該裁判を受けた者の申立てにより、当該裁判の取消しの裁判をすることができる。 2 裁判所が、第百二十二条第一項の規定による裁判を取り消す場合において、同条第二項の規定による裁判がされているときは、裁判所は、当該裁判をも取り消さなければならない。 3 第百二十三条及び前三条の規定は、第一項の申立て及び当該申立てについての裁判について準用する。 (調書の作成) 第百三十条 裁判所書記官は、出国禁止命令事件及び前条第一項の規定による申立てに係る事件(第百三十三条において「出国禁止命令取消事件」という。)の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (外務大臣による旅券の保管) 第百三十一条 外務大臣は、第百二十二条第二項の規定による裁判を受けた者から当該裁判に係る旅券の提出を受けたときは、当該旅券を保管しなければならない。 2 外務大臣は、出国禁止命令が効力を失ったときは、前項の旅券の提出を行った者の求めにより、当該旅券を返還しなければならない。 (過料の裁判) 第百三十二条 第百二十二条第二項の規定による裁判を受けた者が当該裁判に従わないときは、裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 (子の返還申立事件の手続規定の準用) 第百三十三条 出国禁止命令事件及び出国禁止命令取消事件の手続については、特別の定めがある場合を除き、第三節第一款から第三款まで及び第五款(第七十二条、第八十四条、第八十五条、第八十七条、第八十九条、第九十条、第九十九条及び第百条を除く。)の規定を準用する。 この場合において、第九十四条第二項第二号中「理由」とあるのは、「理由の要旨」と読み替えるものとする。 第四章 子の返還の執行手続に関する民事執行法の特則 (子の返還の強制執行) 第百三十四条 子の返還の強制執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百七十一条第一項の規定により執行裁判所が第三者に子の返還を実施させる決定をする方法により行うほか、同法第百七十二条第一項に規定する方法により行う。 2 前項の強制執行は、確定した子の返還を命ずる終局決定(確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有するものを含む。)の正本に基づいて実施する。 (子の年齢による子の返還の強制執行の制限) 第百三十五条 子が十六歳に達した場合には、民事執行法第百七十一条第一項の規定による子の返還の強制執行(同項の規定による決定に基づく子の返還の実施を含む。以下「子の返還の代替執行」という。)は、することができない。 2 民事執行法第百七十二条第一項に規定する方法による子の返還の強制執行の手続において、執行裁判所は、子が十六歳に達した日の翌日以降に子を返還しないことを理由として、同項の規定による金銭の支払を命じてはならない。 (子の返還の代替執行と間接強制との関係) 第百三十六条 子の返還の代替執行の申立ては、次の各号のいずれかに該当するときでなければすることができない。 一 民事執行法第百七十二条第一項の規定による決定が確定した日から二週間を経過したとき(当該決定において定められた債務を履行すべき一定の期間の経過がこれより後である場合にあっては、その期間を経過したとき)。 二 民事執行法第百七十二条第一項に規定する方法による強制執行を実施しても、債務者が常居所地国に子を返還する見込みがあるとは認められないとき。 三 子の急迫の危険を防止するため直ちに子の返還の代替執行をする必要があるとき。 (子の返還の代替執行の申立て) 第百三十七条 子の返還の代替執行の申立ては、債務者に代わって常居所地国に子を返還する者(以下「返還実施者」という。)となるべき者を特定してしなければならない。 (子の返還を実施させる決定) 第百三十八条 第百三十四条第一項の決定は、債務者による子の監護を解くために必要な行為をする者として執行官を指定し、かつ、返還実施者を指定してしなければならない。 2 執行裁判所は、民事執行法第百七十一条第三項の規定にかかわらず、子に急迫した危険があるときその他の審尋をすることにより強制執行の目的を達することができない事情があるときは、債務者を審尋しないで第百三十四条第一項の決定をすることができる。 (子の返還の代替執行の申立ての却下) 第百三十九条 執行裁判所は、第百三十七条の返還実施者となるべき者を前条の規定により返還実施者として指定することが子の利益に照らして相当でないと認めるときは、第百三十七条の申立てを却下しなければならない。 (執行官の権限等) 第百四十条 民事執行法第百七十五条(第八項を除く。)の規定は子の返還の代替執行における執行官の権限及び当該権限の行使に係る執行裁判所の裁判について、同法第百七十六条の規定は子の返還の代替執行の手続について、それぞれ準用する。 この場合において、同法第百七十五条第一項第二号中「債権者若しくはその代理人と子」とあるのは「返還実施者(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成二十五年法律第四十八号)第百三十七条に規定する返還実施者をいう。以下同じ。)、債権者若しくは同法第百四十条第一項において準用する第六項に規定する代理人と子」と、「又は債権者若しくはその代理人」とあるのは「又は返還実施者、債権者若しくは同項に規定する代理人」と、同項第三号及び同条第九項中「債権者又はその代理人」とあるのは「返還実施者、債権者又は国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百四十条第一項において準用する第六項に規定する代理人」と読み替えるものとする。 2 執行官は、前項において準用する民事執行法第百七十五条第一項又は第二項の規定による子の監護を解くために必要な行為をするに際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる。 3 執行官は、前項の規定にかかわらず、子に対して威力を用いることはできない。 子以外の者に対して威力を用いることが子の心身に有害な影響を及ぼすおそれがある場合においては、当該子以外の者についても、同様とする。 (返還実施者の権限等) 第百四十一条 返還実施者は、常居所地国に子を返還するために、子の監護その他の必要な行為をすることができる。 2 子の返還の代替執行の手続については、民事執行法第百七十一条第六項の規定は、適用しない。 3 前条第一項において準用する民事執行法第百七十六条の規定は、返還実施者について準用する。 (外務大臣の協力) 第百四十二条 外務大臣は、子の返還の代替執行に関し、立会いその他の必要な協力をすることができる。 (執行事件の記録の閲覧等) 第百四十三条 子の返還の強制執行に係る事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求については、第六十二条の規定を準用する。 第五章 家事事件の手続に関する特則 第一節 子の返還申立事件に係る家事調停の手続等 (付調停) 第百四十四条 家庭裁判所及び高等裁判所は、当事者の同意を得て、いつでも、職権で、子の返還申立事件を家事調停に付することができる。 (家事事件手続法の特則) 第百四十五条 裁判所は、前条の規定により事件を家事調停に付する場合においては、家事調停事件を自ら処理しなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を当該裁判所以外の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に処理させることができる。 2 第四十三条第二項の規定は、前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続における手続上の行為をすることができる能力について準用する。 3 前条の規定により事件を家事調停に付した場合において、当事者間に子の返還の合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、子の返還の合意に係る記載部分は、家事事件手続法第二百六十八条第一項の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。 4 前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続においてされた家事事件手続法第二百八十四条第一項の規定による審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判に代わる裁判を含む。以下この項及び第百四十七条において「調停に代わる審判」という。)について、同法第二百八十六条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十七条に規定する異議の申立てを却下する審判に代わる裁判を含む。)が確定したときは、当該調停に代わる審判のうち子の返還を命ずる部分は、同法第二百八十七条の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。 (子の返還申立事件の手続の中止) 第百四十六条 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付したときは、当該裁判所は、家事調停事件が終了するまで子の返還申立事件の手続を中止することができる。 (子の返還の申立ての取下げの擬制) 第百四十七条 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、又は調停に代わる審判が確定したときは、子の返還申立事件について申立ての取下げがあったものとみなす。 第二節 子との交流についての家事審判及び家事調停の手続等に関する特則 (管轄の特則) 第百四十八条 外国返還援助決定若しくは日本国交流援助決定を受けた者又は子の返還の申立てをした者が、子との交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は家事調停の申立てをする場合において、次の各号に掲げるときには、当該各号に定める家庭裁判所にも、これらの申立てをすることができる。 一 子の住所地(日本国内に子の住所がないとき、又は住所が知れないときは、その居所地。次号において同じ。)が東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内にあるとき 東京家庭裁判所 二 子の住所地が大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内にあるとき 大阪家庭裁判所 2 前項の申立てに係る審判事件及び調停事件は、日本国内に子の住所がない場合又は住所が知れない場合であって、日本国内に子の居所がないとき又は居所が知れないときは、東京家庭裁判所の管轄に属する。 (記録の閲覧等の特則) 第百四十九条 子との交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判の申立てに係る事件の記録中に住所等表示部分がある場合には、裁判所は、当該住所等表示部分については、家事事件手続法第四十七条第三項の規定にかかわらず、同項の申立てに係る許可をしないものとする。 ただし、第六十二条第四項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、この限りでない。 2 子との交流について定め、又はその変更について定める審判書又は調停調書の正本に基づく強制執行の申立てに係る事件の記録中に第五条第四項(第二号に係る部分に限る。)の規定により外務大臣から提供を受けた情報が記載され、又は記録されたものがある場合には、当該事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求については、第六十二条の規定を準用する。 第六章 過料の裁判の執行等 第百五十条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。 第七章 雑則 (審理の状況についての説明) 第百五十一条 子の返還申立事件の申立人又は外務大臣は、子の返還の申立てから六週間が経過したときは、当該子の返還申立事件が係属している裁判所に対し、審理の状況について説明を求めることができる。 (親権者の指定等についての審判事件の取扱い) 第百五十二条 親権者の指定若しくは変更又は子の監護に関する処分についての審判事件(人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第三十二条第一項に規定する附帯処分についての裁判及び同条第三項の親権者の指定についての裁判に係る事件を含む。以下この条において同じ。)が係属している場合において、当該審判事件が係属している裁判所に対し、当該審判事件に係る子について不法な連れ去り又は不法な留置と主張される連れ去り又は留置があったことが外務大臣又は当該子についての子の返還申立事件が係属する裁判所から通知されたときは、当該審判事件が係属している裁判所は、当該審判事件について裁判をしてはならない。 ただし、子の返還の申立てが相当の期間内にされないとき、又は子の返還の申立てを却下する裁判が確定したときは、この限りでない。 (総合法律支援法の適用に関する特例) 第百五十三条 条約締約国の国民又は条約締約国に常居所を有する者(日本国民又は我が国に住所を有し適法に在留する者を除く。)であって、連れ去り又は留置に係る子についての子の返還、子との交流その他条約の適用に関係のある事項について民事裁判等手続(我が国の裁判所における民事事件、家事事件又は行政事件に関する手続をいう。)を利用するものは、当該事項に関する限り、総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)の適用については、同法第三十条第一項第二号に規定する国民等とみなす。
民事
Heisei
Act
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平成二十五年法律第四十八号
46
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、不法な連れ去り又は不法な留置がされた場合において子をその常居所を有していた国に返還すること等を定めた国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(以下「条約」という。)の的確な実施を確保するため、我が国における中央当局を指定し、その権限等を定めるとともに、子をその常居所を有していた国に迅速に返還するために必要な裁判手続等を定め、もって子の利益に資することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 条約締約国 日本国及び日本国との間で条約が効力を有している条約の締約国(当該締約国が条約第三十九条第一項又は第四十条第一項の規定による宣言をしている場合にあっては、当該宣言により条約が適用される当該締約国の領域の一部又は領域内の地域)をいう。 二 子 父母その他の者に監護される者をいう。 三 連れ去り 子をその常居所を有する国から離脱させることを目的として当該子を当該国から出国させることをいう。 四 留置 子が常居所を有する国からの当該子の出国の後において、当該子の当該国への渡航が妨げられていることをいう。 五 常居所地国 連れ去りの時又は留置の開始の直前に子が常居所を有していた国(当該国が条約の締約国であり、かつ、条約第三十九条第一項又は第四十条第一項の規定による宣言をしている場合にあっては、当該宣言により条約が適用される当該国の領域の一部又は領域内の地域)をいう。 六 不法な連れ去り 常居所地国の法令によれば監護の権利を有する者の当該権利を侵害する連れ去りであって、当該連れ去りの時に当該権利が現実に行使されていたもの又は当該連れ去りがなければ当該権利が現実に行使されていたと認められるものをいう。 七 不法な留置 常居所地国の法令によれば監護の権利を有する者の当該権利を侵害する留置であって、当該留置の開始の時に当該権利が現実に行使されていたもの又は当該留置がなければ当該権利が現実に行使されていたと認められるものをいう。 八 子の返還 子の常居所地国である条約締約国への返還をいう。 第二章 子の返還及び子との交流に関する援助 第一節 中央当局の指定 第三条 我が国の条約第六条第一項の中央当局は、外務大臣とする。 第二節 子の返還に関する援助 第一款 外国返還援助 (外国返還援助申請) 第四条 日本国への連れ去りをされ、又は日本国において留置をされている子であって、その常居所地国が条約締約国であるものについて、当該常居所地国の法令に基づき監護の権利を有する者は、当該連れ去り又は留置によって当該監護の権利が侵害されていると思料する場合には、日本国からの子の返還を実現するための援助(以下「外国返還援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 外国返還援助の申請(以下「外国返還援助申請」という。)を行おうとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出しなければならない。 一 外国返還援助申請をする者(以下この款において「申請者」という。)の氏名又は名称及び住所若しくは居所又は事務所(外国返還援助申請において返還を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)の常居所地国におけるものに限る。第七条第一項第四号において同じ。)の所在地 二 申請に係る子の氏名、生年月日及び住所又は居所(これらの事項が明らかでないときは、その旨)その他申請に係る子を特定するために必要な事項 三 申請に係る子の連れ去りをし、又は留置をしていると思料される者の氏名その他当該者を特定するために必要な事項 四 申請に係る子の常居所地国が条約締約国であることを明らかにするために必要な事項 五 申請に係る子の常居所地国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有し、かつ、申請に係る子の連れ去り又は留置により当該監護の権利が侵害されていることを明らかにするために必要な事項 六 申請に係る子と同居していると思料される者の氏名、住所又は居所その他当該者を特定するために必要な事項(これらの事項が明らかでないときは、その旨) 3 前項の申請書には、同項第五号に掲げる事項を証明する書類その他外務省令で定める書類を添付しなければならない。 4 外国返還援助申請は、日本国以外の条約締約国の中央当局(条約第六条に規定する中央当局をいう。以下同じ。)を経由してすることができる。 この場合において、申請者は、第二項各号に掲げる事項を記載した書面(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)及び前項に規定する書類を外務大臣に提出しなければならない。 (子の住所等に関する情報の提供の求め等) 第五条 外務大臣は、外国返還援助申請があった場合において、必要と認めるときは、申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の氏名及び住所又は居所を特定するため、政令で定めるところにより、次に掲げる機関及び法人(第十五条第一項において「国の行政機関等」という。)の長、地方公共団体の長その他の執行機関並びに申請に係る子及び申請に係る子と同居している者に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その有する当該氏名又は当該住所若しくは居所に関する情報の提供を求めることができる。 一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。) 二 内閣府並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関 三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関 四 内閣府設置法第四十条第二項及び第五十六条の特別の機関 五 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関 六 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人 七 国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人 2 前項の場合において、同項に規定する情報の提供を求められた者は、遅滞なく、当該情報を外務大臣に提供するものとする。 3 外務大臣は、前項の規定により提供された情報が、申請に係る子が日本国内に所在していることを示すものであるが、申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の所在を特定するために十分でない場合には、外務省令で定めるところにより、都道府県警察に対し、当該情報を提供して、これらの者の所在を特定するために必要な措置をとることを求めることができる。 4 前項に規定するもののほか、外務大臣からの第二項の規定により提供された情報及び前項の規定による都道府県警察の措置によって得られた情報の提供は、次に掲げる場合に限り、行うことができる。 一 第二十六条の規定による子の返還の申立て又は子との交流の定めをすること若しくはその変更を求める家事審判若しくは家事調停の申立てをするために申請に係る子と同居している者の氏名を必要とする申請者から当該氏名の開示を求められた場合において、当該氏名を当該申請者に開示するとき。 二 申請に係る子についての第二十九条に規定する子の返還に関する事件若しくは子の返還の強制執行に係る事件が係属している裁判所又は申請に係る子についての子との交流に関する事件若しくは子との交流の強制執行に係る事件が係属している裁判所から、その手続を行うために申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の住所又は居所の確認を求められた場合において、当該住所又は居所をこれらの裁判所に開示するとき。 三 第十条第一項の規定により、市町村、都道府県の設置する福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所をいう。以下この号及び同項において同じ。)又は児童相談所(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)に規定する児童相談所をいう。同号及び同項において同じ。)に対し、申請に係る子が虐待を受けているおそれがあると信ずるに足りる相当な理由がある旨を通告する場合において、申請に係る子及び申請に係る子と同居していると思料される者の氏名及び住所又は居所を当該市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所に通知するとき。 (外国返還援助の決定及び通知) 第六条 外務大臣は、外国返還援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合及び第八条第一項の規定により当該外国返還援助申請に係る書類の写しを送付する場合を除き、外国返還援助の決定(以下「外国返還援助決定」という。)をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知(申請者が第四条第四項の規定により日本国以外の条約締約国の中央当局を経由して外国返還援助申請をした場合にあっては、当該中央当局を経由してする通知。次条第二項及び第八条第二項において同じ。)をしなければならない。 2 外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第九条又は第十条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 三 この法律に定める手続その他子の返還又は子との交流の実現に関連する日本国の法令に基づく制度に関する情報の申請者への提供 (外国返還援助申請の却下) 第七条 外務大臣は、外国返還援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国返還援助申請を却下する。 一 申請に係る子が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が日本国内に所在していないことが明らかであり、かつ、申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が条約締約国以外の国又は地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所(申請者が法人その他の団体である場合にあっては、事務所の所在地)が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請に係る子の連れ去りの時又は留置の開始の時に、申請に係る子の常居所地国が条約締約国でなかったこと。 六 申請に係る子の常居所地国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有していないことが明らかであり、又は申請に係る子の連れ去り若しくは留置により当該監護の権利が侵害されていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により外国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならない。 (外国返還援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第八条 外務大臣は、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかである場合において、外国返還援助申請が前条第一項第四号に該当しないときは、第四条第二項の申請書(申請者が同条第四項の規定により外国返還援助申請をした場合にあっては、同項に規定する書面)及び同条第三項に規定する書類の写しを当該条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (合意による子の返還等の促進) 第九条 外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、申請に係る子について子の返還又は申請者との交流を申請者及び申請に係る子を監護している者の合意により実現するため、これらの者の間の協議のあっせんその他の必要な措置をとることができる。 (子の虐待に係る通告) 第十条 外務大臣は、申請に係る子が日本国内に所在している場合において、虐待を受けているおそれがあると信ずるに足りる相当な理由があるときは、市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所に対し、その旨を通告しなければならない。 2 前項の規定による通告は、児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第六条第一項の規定による通告とみなして、同条第二項及び第三項並びに同法第七条及び第八条の規定を適用する。 第二款 日本国返還援助 (日本国返還援助申請) 第十一条 日本国以外の条約締約国への連れ去りをされ、又は日本国以外の条約締約国において留置をされている子であって、その常居所地国が日本国であるものについて、日本国の法令に基づき監護の権利を有する者は、当該連れ去り又は留置によって当該監護の権利が侵害されていると思料する場合には、日本国への子の返還を実現するための援助(以下「日本国返還援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 第四条第二項及び第三項の規定は、日本国返還援助の申請(以下「日本国返還援助申請」という。)について準用する。 この場合において、同条第二項第一号中「第七条第一項第四号」とあるのは「第十三条第一項第四号」と、同項第四号中「条約締約国」とあり、及び同項第五号中「申請に係る子の常居所地国」とあるのは「日本国」と読み替えるものとする。 (日本国返還援助の決定及び通知) 第十二条 外務大臣は、日本国返還援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合を除き、日本国返還援助の決定(以下「日本国返還援助決定」という。)をし、遅滞なく、日本国返還援助申請をした者(以下この款において「申請者」という。)にその旨を通知しなければならない。 2 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、第十四条に規定する措置をとるものとする。 3 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、前項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第十五条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 (日本国返還援助申請の却下) 第十三条 外務大臣は、日本国返還援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該日本国返還援助申請を却下する。 一 日本国返還援助申請において返還を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が日本国又は条約締約国以外の国若しくは地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所(申請者が法人その他の団体である場合にあっては、事務所の所在地)が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請に係る子の常居所地国が日本国でないことが明らかであること。 六 申請に係る子の連れ去りの時又は留置の開始の時に、申請に係る子が所在していると思料される国又は地域が条約締約国でなかったこと。 七 日本国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有していないことが明らかであり、又は申請に係る子の連れ去り若しくは留置により当該監護の権利が侵害されていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により日本国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由を通知しなければならない。 (日本国返還援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第十四条 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、第十一条第二項において準用する第四条第二項の申請書及び同条第三項に規定する書類の写しを申請に係る子が所在している条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (子の社会的背景に関する情報の条約締約国の中央当局への提供) 第十五条 外務大臣は、日本国への子の返還に関する事件が日本国以外の条約締約国の裁判所又はその他の審判を行う機関(以下この項及び次項において「外国裁判所等」という。)に係属しており、当該条約締約国の中央当局から当該子の返還に係る子の日本国内における心身、養育及び就学の状況その他の生活及び取り巻く環境の状況に関する情報の提供を求められた場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、当該条約締約国の中央当局に提供するために、政令で定めるところにより、国の行政機関等の長、地方公共団体の長その他の執行機関及び当該子に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その有する当該情報の提供を求めることができる。 一 当該中央当局が、当該外国裁判所等の依頼を受けて当該事件に関する調査を行うために外務大臣に対し当該情報の提供を求めており、かつ、当該調査以外の目的のために当該情報を利用するおそれがないと認められるとき。 二 当該事件に係る外国裁判所等の手続の当事者(当該子が当該手続の当事者である場合にあっては、当該子を除く。)が当該情報を当該中央当局に提供することに同意しているとき。 2 前項の場合において、同項に規定する情報の提供を求められた者は、次の各号のいずれにも該当するときは、遅滞なく、当該情報を外務大臣に提供するものとする。 一 当該情報を前項に規定する中央当局に提供することによって同項に規定する子及び同項に規定する事件に係る外国裁判所等の手続の当事者の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認めるとき。 二 当該情報が、前項に規定する子及び同項に規定する事件に係る外国裁判所等の手続の当事者の知り得る状態にあり、かつ、これらの者以外の特定の個人を識別することができる情報を含まないとき。 3 外務大臣は、前項の規定により提供された情報を、第一項に規定する中央当局に対してのみ提供することができる。 第三節 子との交流に関する援助 第一款 日本国交流援助 (日本国交流援助申請) 第十六条 日本国内に所在している子であって、交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、当該国又は地域の法令に基づき交流をすることができる者(日本国以外の条約締約国に住所又は居所を有しているものに限る。)は、当該子との交流が妨げられていると思料する場合には、当該子との交流を実現するための援助(以下「日本国交流援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 日本国交流援助の申請(以下「日本国交流援助申請」という。)を行おうとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出しなければならない。 一 日本国交流援助申請をする者(以下この款において「申請者」という。)の氏名及び住所又は居所 二 日本国交流援助申請において交流を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)の氏名、生年月日及び住所又は居所(これらの事項が明らかでないときは、その旨)その他申請に係る子を特定するために必要な事項 三 申請に係る子との交流を妨げていると思料される者の氏名その他当該者を特定するために必要な事項 四 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国であることを明らかにするために必要な事項 五 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と交流をすることができ、かつ、申請者の申請に係る子との交流が妨げられていることを明らかにするために必要な事項 六 申請に係る子と同居していると思料される者の氏名、住所又は居所その他当該者を特定するために必要な事項(これらの事項が明らかでないときは、その旨) 3 前項の申請書には、同項第五号に掲げる事項を証明する書類その他外務省令で定める書類を添付しなければならない。 4 日本国交流援助申請は、日本国以外の条約締約国の中央当局を経由してすることができる。 この場合において、申請者は、第二項各号に掲げる事項を記載した書面(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)及び前項に規定する書類を外務大臣に提出しなければならない。 (日本国交流援助の決定及び通知) 第十七条 外務大臣は、日本国交流援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合及び第十九条第一項の規定により当該日本国交流援助申請に係る書類の写しを送付する場合を除き、日本国交流援助の決定(以下「日本国交流援助決定」という。)をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知(申請者が前条第四項の規定により日本国以外の条約締約国の中央当局を経由して日本国交流援助申請をした場合にあっては、当該中央当局を経由してする通知。次条第二項及び第十九条第二項において同じ。)をしなければならない。 2 外務大臣は、日本国交流援助決定をした場合には、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第二十条において準用する第九条又は第十条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 三 この法律に定める手続その他子との交流の実現に関連する日本国の法令に基づく制度に関する情報の申請者への提供 (日本国交流援助申請の却下) 第十八条 外務大臣は、日本国交流援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該日本国交流援助申請を却下する。 一 申請に係る子が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が日本国内に所在していないことが明らかであり、かつ、申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が条約締約国以外の国又は地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請者が日本国内に住所若しくは居所を有していることが明らかであり、又は日本国以外の条約締約国に住所若しくは居所を有していないことが明らかであること。 六 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国でないこと。 七 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国若しくは地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と交流をすることができないことが明らかであり、又は申請者の申請に係る子との交流が妨げられていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により日本国交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならない。 (日本国交流援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第十九条 外務大臣は、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかである場合において、日本国交流援助申請が前条第一項第四号に該当しないときは、第十六条第二項の申請書(申請者が同条第四項の規定により日本国交流援助申請をした場合にあっては、同項に規定する書面)及び同条第三項に規定する書類の写しを当該条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。 (日本国交流援助に関する準用規定) 第二十条 第五条、第九条及び第十条の規定は、外務大臣に対し日本国交流援助申請があった場合について準用する。 この場合において、第五条第四項第一号中「第二十六条の規定による子の返還の申立て又は子との交流の定めをすること若しくはその変更を求める家事審判若しくは」とあるのは「子との交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は」と、同項第二号中「第二十九条に規定する子の返還に関する事件若しくは子の返還の強制執行に係る事件が係属している裁判所又は申請に係る子についての子との交流に関する事件若しくは」とあるのは「子との交流に関する事件又は」と、「これらの」とあるのは「当該」と、第九条中「子の返還又は申請者」とあるのは「申請者」と読み替えるものとする。 第二款 外国交流援助 (外国交流援助申請) 第二十一条 日本国以外の条約締約国に所在している子であって、交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、当該国又は地域の法令に基づき交流をすることができる者(日本国内に住所又は居所を有しているものに限る。)は、当該子との交流が妨げられていると思料する場合には、当該子との交流を実現するための援助(以下「外国交流援助」という。)を外務大臣に申請することができる。 2 第十六条第二項及び第三項の規定は、外国交流援助の申請(以下「外国交流援助申請」という。)について準用する。 (外国交流援助の決定及び通知) 第二十二条 外務大臣は、外国交流援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合を除き、外国交流援助の決定(以下「外国交流援助決定」という。)をし、遅滞なく、外国交流援助申請をした者(以下この款において「申請者」という。)にその旨を通知しなければならない。 2 外務大臣は、外国交流援助決定をした場合には、第二十四条に規定する措置をとるものとする。 3 外務大臣は、外国交流援助決定をした場合には、前項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。 一 第二十五条において準用する第十五条に規定する措置 二 条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡 (外国交流援助申請の却下) 第二十三条 外務大臣は、外国交流援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国交流援助申請を却下する。 一 外国交流援助申請において交流を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)が十六歳に達していること。 二 申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。 三 申請に係る子が日本国又は条約締約国以外の国若しくは地域に所在していることが明らかであること。 四 申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。 五 申請者が日本国内に住所又は居所を有していないことが明らかであること。 六 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国でないこと。 七 申請者が申請に係る子と交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国若しくは地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と交流をすることができないことが明らかであり、又は申請者の申請に係る子との交流が妨げられていないことが明らかであること。 2 外務大臣は、前項の規定により外国交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由を通知しなければならない。 (外国交流援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付) 第二十四条 外務大臣は、外国交流援助決定をした場合には、第二十一条第二項において準用する第十六条第二項の申請書及び同条第三項に規定する書類の写しを申請に係る子が所在している条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。 2 外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨を通知しなければならない。 (外国交流援助に関する準用規定) 第二十五条 第十五条の規定は、外務大臣に対し外国交流援助申請があった場合について準用する。 この場合において、同条第一項中「日本国への子の返還」とあるのは「申請に係る子についての子との交流」と、「当該子の返還に係る子」とあるのは「申請に係る子」と読み替えるものとする。 第三章 子の返還に関する事件の手続等 第一節 返還事由等 (条約に基づく子の返還) 第二十六条 日本国への連れ去り又は日本国における留置により子についての監護の権利を侵害された者は、子を監護している者に対し、この法律の定めるところにより、常居所地国に子を返還することを命ずるよう家庭裁判所に申し立てることができる。 (子の返還事由) 第二十七条 裁判所は、子の返還の申立てが次の各号に掲げる事由のいずれにも該当すると認めるときは、子の返還を命じなければならない。 一 子が十六歳に達していないこと。 二 子が日本国内に所在していること。 三 常居所地国の法令によれば、当該連れ去り又は留置が申立人の有する子についての監護の権利を侵害するものであること。 四 当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に、常居所地国が条約締約国であったこと。 (子の返還拒否事由等) 第二十八条 裁判所は、前条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるときは、子の返還を命じてはならない。 ただし、第一号から第三号まで又は第五号に掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して常居所地国に子を返還することが子の利益に資すると認めるときは、子の返還を命ずることができる。 一 子の返還の申立てが当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時から一年を経過した後にされたものであり、かつ、子が新たな環境に適応していること。 二 申立人が当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に子に対して現実に監護の権利を行使していなかったこと(当該連れ去り又は留置がなければ申立人が子に対して現実に監護の権利を行使していたと認められる場合を除く。)。 三 申立人が当該連れ去りの前若しくは当該留置の開始の前にこれに同意し、又は当該連れ去りの後若しくは当該留置の開始の後にこれを承諾したこと。 四 常居所地国に子を返還することによって、子の心身に害悪を及ぼすことその他子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があること。 五 子の年齢及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場合において、子が常居所地国に返還されることを拒んでいること。 六 常居所地国に子を返還することが日本国における人権及び基本的自由の保護に関する基本原則により認められないものであること。 2 裁判所は、前項第四号に掲げる事由の有無を判断するに当たっては、次に掲げる事情その他の一切の事情を考慮するものとする。 一 常居所地国において子が申立人から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(次号において「暴力等」という。)を受けるおそれの有無 二 相手方及び子が常居所地国に入国した場合に相手方が申立人から子に心理的外傷を与えることとなる暴力等を受けるおそれの有無 三 申立人又は相手方が常居所地国において子を監護することが困難な事情の有無 3 裁判所は、日本国において子の監護に関する裁判があったこと又は外国においてされた子の監護に関する裁判が日本国で効力を有する可能性があることのみを理由として、子の返還の申立てを却下する裁判をしてはならない。 ただし、これらの子の監護に関する裁判の理由を子の返還の申立てについての裁判において考慮することを妨げない。 第二節 子の返還に関する事件の手続の通則 (子の返還に関する事件の手続) 第二十九条 子の返還に関する事件(第三十二条第一項に規定する子の返還申立事件、第百二十一条の規定による調査及び勧告の事件並びに第百二十三条第二項に規定する出国禁止命令事件をいう。以下同じ。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。 (裁判所及び当事者の責務) 第三十条 裁判所は、子の返還に関する事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に子の返還に関する事件の手続を追行しなければならない。 (最高裁判所規則) 第三十一条 この法律に定めるもののほか、子の返還に関する事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第三節 子の返還申立事件の手続 第一款 総則 第一目 管轄 (管轄) 第三十二条 子の返還申立事件(第二十六条の規定による子の返還の申立てに係る事件をいう。以下同じ。)は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。 一 子の住所地(日本国内に子の住所がないとき、又は住所が知れないときは、その居所地。次号において同じ。)が東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内にある場合 東京家庭裁判所 二 子の住所地が大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内にある場合 大阪家庭裁判所 2 子の返還申立事件は、日本国内に子の住所がない場合又は住所が知れない場合であって、日本国内に子の居所がないとき又は居所が知れないときは、東京家庭裁判所の管轄に属する。 (併合申立てによる管轄) 第三十三条 一の申立てにより数人の子についての子の返還を求める場合には、前条の規定により一人の子についての子の返還の申立てについて管轄権を有する家庭裁判所にその申立てをすることができる。 (管轄裁判所の指定) 第三十四条 管轄裁判所が法律上若しくは事実上裁判権を行うことができないとき、又は裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、最高裁判所は、申立てにより、管轄裁判所を定める。 (管轄の標準時) 第三十五条 裁判所の管轄は、子の返還の申立てがあった時を標準として定める。 (管轄の合意) 第三十六条 当事者は、第一審に限り、合意により第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所の一を管轄裁判所と定めることができる。 2 前項の合意は、子の返還の申立てに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。 3 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。 (移送等) 第三十七条 裁判所は、子の返還申立事件がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄権を有する家庭裁判所に移送する。 2 家庭裁判所は、前項に規定する場合において、子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に移送することができる。 3 第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所は、第一項に規定する場合において、子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を自ら処理することができる。 4 家庭裁判所は、子の返還申立事件がその管轄に属する場合においても、当該子の返還申立事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、当該子の返還申立事件の全部又は一部を他の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に移送することができる。 5 第一項、第二項及び前項の規定による移送の裁判並びに第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 6 前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 7 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二十二条の規定は、子の返還申立事件の移送の裁判について準用する。 第二目 裁判所職員の除斥及び忌避 (裁判官の除斥) 第三十八条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者であるとき、又は当事者となる資格を有する者であるとき。 二 裁判官が当事者又は子の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。 三 裁判官が当事者又は子の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 四 裁判官が事件について証人若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。 五 裁判官が事件について当事者若しくは子の代理人若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。 六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。 2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。 (裁判官の忌避) 第三十九条 裁判官について裁判の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。 (除斥又は忌避の裁判及び手続の停止) 第四十条 合議体の構成員である裁判官及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避については、その裁判官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判は、合議体でする。 3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。 4 除斥又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで子の返還申立事件の手続を停止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。 5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。 一 子の返還申立事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 二 前条第二項の規定に違反するとき。 三 最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。 6 前項の裁判は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官又は子の返還申立事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。 7 第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、子の返還申立事件の手続は、停止しない。 8 除斥又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 9 除斥又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (裁判所書記官の除斥及び忌避) 第四十一条 裁判所書記官の除斥及び忌避については、第三十八条、第三十九条並びに前条第三項、第五項、第八項及び第九項の規定を準用する。 2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった子の返還申立事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。 3 裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。 ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。 (家庭裁判所調査官の除斥) 第四十二条 家庭裁判所調査官の除斥については、第三十八条並びに第四十条第二項、第八項及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。 2 家庭裁判所調査官について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった子の返還申立事件に関与することができない。 3 家庭裁判所調査官の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官の所属する裁判所がする。 第三目 当事者能力及び手続行為能力 (当事者能力及び手続行為能力の原則等) 第四十三条 当事者能力、子の返還申立事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理、手続行為をするのに必要な授権及び法定代理権の消滅については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十三条、第三十四条第一項及び第二項並びに第三十六条第一項の規定を準用する。 2 未成年者及び成年被後見人は、法定代理人の同意を要することなく、又は法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。 被保佐人又は被補助人について、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。 3 後見人が他の者がした子の返還の申立て又は抗告について手続行為をするには、後見監督人の同意を要しない。 4 後見人が次に掲げる手続行為をするには、後見監督人の同意がなければならない。 一 子の返還の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する即時抗告、第百八条第一項の抗告又は第百十一条第二項の申立ての取下げ 三 第百四十四条の同意 (未成年者又は成年被後見人の法定代理人) 第四十四条 親権を行う者又は後見人は、未成年者又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。 (特別代理人) 第四十五条 裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、子の返還申立事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。 2 特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。 3 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。 4 特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。 5 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (法人の代表者等への準用) 第四十六条 法人の代表者及び法人でない社団又は財団で当事者能力を有するものの代表者又は管理人については、この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定を準用する。 第四目 参加 (当事者参加) 第四十七条 当事者となる資格を有する者は、当事者として子の返還申立事件の手続に参加することができる。 2 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより又は職権で、他の当事者となる資格を有する者を、当事者として子の返還申立事件の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出及び前項の申立ては、参加の趣旨及び理由を記載した書面でしなければならない。 4 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (子の参加) 第四十八条 子の返還申立事件において返還を求められている子は、子の返還申立事件の手続に参加することができる。 2 裁判所は、相当と認めるときは、職権で、返還を求められている子を、子の返還申立事件の手続に参加させることができる。 3 第一項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。 4 裁判所は、子の返還申立事件の手続に参加しようとする子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して当該子が当該手続に参加することが当該子の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出を却下しなければならない。 5 第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 6 第一項又は第二項の規定により子の返還申立事件の手続に参加した子(以下単に「手続に参加した子」という。)は、当事者がすることができる手続行為(子の返還の申立ての取下げ及び変更並びに裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。 ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、手続に参加した子が不服申立て又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る。 (手続からの排除) 第四十九条 裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を子の返還申立事件の手続から排除することができる。 2 前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第五目 手続代理人及び補佐人 (手続代理人の資格) 第五十条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 2 前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。 (裁判長による手続代理人の選任等) 第五十一条 未成年者、成年被後見人、被保佐人及び被補助人(以下この条において「未成年者等」という。)が手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。 2 未成年者等が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。 3 前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し未成年者等が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。 (手続代理人の代理権の範囲) 第五十二条 手続代理人は、委任を受けた事件について、参加及び強制執行に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。 2 手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。 一 子の返還の申立ての取下げ又は和解 二 終局決定に対する即時抗告、第百八条第一項の抗告若しくは第百十一条第二項の申立て又はこれらの取下げ 三 第百二十二条第三項に規定する出国禁止命令の申立て又はその取下げ 四 第百四十四条の同意 五 代理人の選任 3 手続代理人の代理権は、制限することができない。 ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。 4 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。 (手続代理人及びその代理権に関する民事訴訟法の準用) 第五十三条 民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)、第三十六条第一項及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人及びその代理権について準用する。 (補佐人) 第五十四条 子の返還申立事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。 第六目 手続費用 (手続費用の負担) 第五十五条 子の返還申立事件の手続の費用(以下「手続費用」という。)は、各自の負担とする。 2 裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者及び手続に参加した子がそれぞれ負担すべき手続費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の当事者に負担させることができる。 (手続費用の負担の裁判等) 第五十六条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における手続費用(裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合にあっては、家事調停に関する手続の費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。 ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。 2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合にあっては、家事調停に関する手続の費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。 事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。 3 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、子の返還申立事件の手続費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。 (手続費用の立替え) 第五十七条 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の子の返還申立事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。 (手続費用に関する民事訴訟法の準用等) 第五十八条 民事訴訟法第六十八条から第七十四条までの規定(同法第七十一条第八項(同法第七十二条後段及び第七十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、手続費用の負担について準用する。 この場合において、同法第七十三条第一項中「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第四十七条第一項又は第四十八条第一項の規定による参加の申出」と、同条第二項中「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第五十八条第一項において準用する」と、「第八項まで」とあるのは「第七項まで」と、「訴訟が」とあるのは「子の返還申立事件が」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告並びに同法第七十一条第五項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 (手続上の救助) 第五十九条 子の返還申立事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。 ただし、救助を求める者が不当な目的で子の返還の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。 2 民事訴訟法第八十二条第二項及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。 この場合において、同法第八十四条中「第八十二条第一項本文」とあるのは、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第五十九条第一項本文」と読み替えるものとする。 第七目 子の返還申立事件の審理等 (手続の非公開) 第六十条 子の返還申立事件の手続は、公開しない。 ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。 (電子調書の作成等) 第六十一条 裁判所書記官は、子の返還申立事件の手続の期日について、最高裁判所規則で定めるところにより、電子調書(期日又は期日外における手続の方式、内容及び経過等の記録及び公証をするためにこの法律その他の法令の規定により裁判所書記官が作成する電磁的記録をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。 ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)に備えられたファイル(第六十二条の二第二項及び第三項、第六十二条の三第一項、第百二十一条の三第二項及び第三項並びに第百二十一条の四第一項を除き、以下単に「ファイル」という。)に記録することをもって、これに代えることができる。 2 裁判所書記官は、子の返還申立事件の手続について、電子調書を作成したときは、最高裁判所規則で定めるところにより、これをファイルに記録しなければならない。 3 前項の規定によりファイルに記録された電子調書については、民事訴訟法第百六十条の二の規定を準用する。 この場合において、同条第三項中「第七十一条第四項、第五項及び第八項」とあるのは、「第七十一条第四項及び第五項」と読み替えるものとする。 (非電磁的事件記録の閲覧等) 第六十二条 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、非電磁的事件記録(子の返還申立事件の記録中次条第一項に規定する電磁的事件記録を除いた部分をいう。以下この条において同じ。)の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付(第四項第一号において「非電磁的事件記録の閲覧等」という。)を請求することができる。 2 前項の規定は、非電磁的事件記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。第七項及び第百二十一条の二第二項において「録音テープ等」という。)に関しては、適用しない。 この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、当該申立てに係る許可をしなければならない。 4 裁判所は、非電磁的事件記録中住所等表示部分(子の返還申立事件の記録中第五条第四項(第二号に係る部分に限る。)の規定により外務大臣から提供を受けた相手方又は子の住所又は居所が記載され、又は記録された部分をいう。以下同じ。)については、前項の規定にかかわらず、同項の申立てに係る許可をしないものとする。 ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。 一 住所等表示部分の非電磁的事件記録の閲覧等又はその複製についての相手方の同意があるとき。 二 子の返還を命ずる終局決定が確定した後において、子の返還を命ずる終局決定に関する強制執行をするために必要があるとき。 5 裁判所は、子の返還申立事件において返還を求められている子の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、第三項及び前項ただし書の規定にかかわらず、第三項の申立てに係る許可をしないことができる。 事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てに係る許可をすることを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。 6 裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、当該申立てに係る許可をすることができる。 7 当事者は、非電磁的事件記録中当該当事者が提出した書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)又は録音テープ等については、第一項及び第二項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は複製を請求することができる。 次条第四項第二号又は第三号に掲げる事項について第六十九条の二において読み替えて準用する民事訴訟法第百三十三条の二第五項の規定によりその内容を書面に出力し、又はこれを他の記録媒体に記録する措置を講じた場合における当該書面又は当該記録媒体についても、同様とする。 8 非電磁的事件記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、非電磁的事件記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 9 第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 10 前項の規定による即時抗告が子の返還申立事件の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。 11 前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (電磁的事件記録の閲覧等) 第六十二条の二 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録(子の返還申立事件の記録中この法律その他の法令の規定によりファイルに記録された事項に係る部分をいう。以下この条において同じ。)の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができる。 2 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、電磁的事件記録に記録されている事項について、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機と手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下同じ。)を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法による複写を請求することができる。 3 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録に記録されている事項の全部若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを交付し、又は当該事項の全部若しくは一部を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該電磁的記録の内容が電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。 4 電磁的事件記録中次に掲げる事項に係る部分については、当事者は、前三項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、電磁的事件記録の閲覧等(第一項の規定による閲覧、第二項の規定による複写又は前項の規定による書面の交付若しくは電磁的記録の提供をいう。次項において同じ。)を請求することができる。 一 電子裁判書(第九十四条第一項(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)に規定する電子裁判書であって、同条第三項(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)の規定によりファイルに記録されたものをいう。)に記録されている事項 二 当該当事者がこの法律その他の法令の規定により最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録した事項 三 当該当事者が提出した書面等又は記録媒体に記載され、又は記録された事項が第六十九条第一項において読み替えて準用する民事訴訟法第百三十二条の十二第一項の規定又は第六十九条第二項において読み替えて準用する同法第百三十二条の十三の規定によりファイルに記録された場合における当該事項 5 前条第三項から第六項まで及び第九項から第十一項までの規定は電磁的事件記録の閲覧等の許可の申立てについて、同条第八項の規定は電磁的事件記録の閲覧及び複写について、それぞれ準用する。 (子の返還申立事件に関する事項の証明) 第六十二条の三 当事者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、子の返還申立事件に関する事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを交付し、又は当該事項を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。 2 利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、前項の規定による請求をすることができる。 3 第六十二条第六項の規定は、利害関係を疎明した第三者から前項の規定による許可の申立てがあった場合について準用する。 (期日及び期間) 第六十三条 子の返還申立事件の手続の期日の指定及び変更は、職権で、裁判長が行う。 2 子の返還申立事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。 3 子の返還申立事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。 4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、子の返還申立事件の手続の期日及び期間について準用する。 (手続の併合等) 第六十四条 裁判所は、子の返還申立事件の手続を併合し、又は分離することができる。 2 裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。 3 裁判所は、当事者を異にする子の返還申立事件についての手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。 (法令により手続を続行すべき者による受継) 第六十五条 当事者が子の返還申立事件の手続を続行することができない場合(当事者の死亡による場合を除く。)には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。 2 法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、裁判所は、他の当事者の申立てにより又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に子の返還申立事件の手続を受け継がせることができる。 (他の申立権者等による受継) 第六十六条 子の返還申立事件の申立人の死亡によってその手続を続行することができない場合には、当該子の返還申立事件において申立人となることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。 2 前項の規定による受継の申立ては、子の返還申立事件の申立人が死亡した日から一月以内にしなければならない。 3 子の返還申立事件の相手方の死亡によってその手続を続行することができない場合には、裁判所は、申立てにより又は職権で、相手方が死亡した日から三月以内に限り、相手方の死亡後に子を監護している者に、その手続を受け継がせることができる。 (送達及び手続の中止) 第六十七条 送達及び子の返還申立事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百九条の四第一項中「第百三十二条の十一第一項各号」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第六十九条第一項において読み替えて準用する第百三十二条の十一第一項各号」と、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは「裁判を求める事項」と読み替えるものとする。 (裁判所書記官の処分に対する異議) 第六十八条 裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。 2 前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 第八目 電子情報処理組織による申立て等 第六十九条 子の返還申立事件の手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十、第百三十二条の十一及び第百三十二条の十二(第一項第一号に係る部分を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同法第百三十二条の十第五項及び第六項並びに第百三十二条の十二第二項及び第三項中「送達」とあるのは「送達又は送付」と、同法第百三十二条の十一第一項第一号中「第五十四条第一項ただし書」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第五十条第一項ただし書」と、同項第二号中「第二条」とあるのは「第九条において準用する同法第二条」と、同法第百三十二条の十二第一項第三号中「当該申立て等に係る書面等について、当該申立て等とともに第百三十三条の二第二項の申立てがされた」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第六十九条の二において読み替えて準用する第百三十三条第一項の決定があった」と、「申立てが却下されたとき又は当該同項の申立てに係る決定」とあるのは「決定」と、「同項に規定する秘匿事項記載部分」とあるのは「秘匿事項(同項に規定する申立て等をする者又はその法定代理人の住所等又は氏名等をいう。以下この号において同じ。)又は秘匿事項を推知することができる事項」と読み替えるものとする。 2 子の返還申立事件の手続においてこの法律その他の法令の規定に基づき裁判所に提出された書面等(申立て等が書面等により行われたときにおける当該書面等を除く。)又は電磁的記録を記録した記録媒体に記載され、又は記録されている事項のファイルへの記録については、民事訴訟法第百三十二条の十三(第一号及び第三号に係る部分を除く。)の規定を準用する。 この場合において、同条第四号中「第百三十三条の三第一項の規定による」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第六十九条の二において読み替えて準用する第百三十三条第一項の」と、「当該決定に係る」とあるのは「当該」と、「及び電磁的記録を記録した」とあるのは「又は当該」と、「事項」とあるのは「秘匿事項(同項に規定する申立て等をする者又はその法定代理人の住所等又は氏名等をいう。以下この号において同じ。)又は秘匿事項を推知することができる事項」と読み替えるものとする。 第九目 当事者に対する住所、氏名等の秘匿 第六十九条の二 子の返還申立事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項、第五項及び第六項並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。 この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。 第百三十三条第二項 次条第二項 次条第五項 第百三十三条第三項 訴訟記録等(訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録をいう。以下この章において同じ。) 子の返還申立事件の記録 訴訟記録等の閲覧等(訴訟記録の閲覧等、非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等又は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等 子の返還申立事件の記録の閲覧等(非電磁的事件記録(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第六十二条第一項に規定する非電磁的事件記録をいう。)の閲覧若しくは謄写、その謄本若しくは抄本の交付若しくはその複製又は電磁的事件記録(同法第六十二条の二第一項に規定する電磁的事件記録をいう。次条第五項及び第六項において同じ。)の閲覧若しくは複写若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくは電磁的記録の提供 第百三十三条の二第一項 訴訟記録等の閲覧等 子の返還申立事件の記録の閲覧等 第百三十三条の二第五項 第二項の申立て 前条第一項の決定 電磁的訴訟記録等(電磁的訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録中ファイル記録事項に係る部分をいう。以下この項及び次項において同じ。)中当該秘匿事項記載部分 電磁的事件記録中秘匿事項又は秘匿事項を推知することができる事項が記録された部分(以下この項及び次項において「秘匿事項記載部分」という。) を電磁的訴訟記録等 を電磁的事件記録 第百三十三条の二第六項 電磁的訴訟記録等 電磁的事件記録 第二項の申立てを却下する裁判が確定したとき、又は当該申立てに係る決定を取り消す裁判が確定したとき 同項の決定を取り消す裁判が確定したときその他裁判所が当該措置を講ずる必要がなくなったと認めたとき 第百三十三条の四第一項 者は、訴訟記録等 当事者又は手続に参加した子(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第四十八条第六項に規定する手続に参加した子をいう。次項及び第七項において同じ。)は、子の返還申立事件の記録 第百三十三条の四第二項 当事者 当事者又は手続に参加した子 訴訟記録等の存する 子の返還申立事件の記録の存する 訴訟記録等の閲覧等 子の返還申立事件の記録の閲覧等 第百三十三条の四第七項 当事者 当事者若しくは手続に参加した子 第二款 第一審裁判所における子の返還申立事件の手続 第一目 子の返還の申立て (申立ての方式等) 第七十条 子の返還の申立ては、申立書(以下「子の返還申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。 2 子の返還申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 この場合において、第二号に掲げる申立ての趣旨は、返還を求める子及び子を返還すべき条約締約国を特定して記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 申立ての趣旨 三 子の返還申立事件の手続による旨 3 申立人は、一の申立てにより数人の子についての子の返還を求めることができる。 4 子の返還申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、子の返還申立書を却下しなければならない。 6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 7 民事訴訟法第百三十七条の二の規定は、申立人が民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い子の返還の申立ての手数料を納付しない場合について準用する。 (申立ての変更) 第七十一条 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨を変更することができる。 ただし、第八十九条の規定により審理を終結した後は、この限りでない。 2 申立ての趣旨の変更は、子の返還申立事件の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。 3 家庭裁判所は、申立ての趣旨の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。 4 申立ての趣旨の変更により子の返還申立事件の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。 (申立書の写しの送付等) 第七十二条 子の返還の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、子の返還申立書の写しを相手方に送付しなければならない。 2 前項の規定による子の返還申立書の写しの送付は、公示送達の方法によっては、することができない。 3 第七十条第四項から第六項までの規定は、第一項の規定による子の返還申立書の写しの送付をすることができない場合について準用する。 4 裁判長は、第一項の規定による子の返還申立書の写しの送付の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、子の返還申立書を却下しなければならない。 5 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。 第二目 子の返還申立事件の手続の期日 (裁判長の手続指揮権) 第七十三条 子の返還申立事件の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。 2 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。 3 当事者が子の返還申立事件の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。 (受命裁判官による手続) 第七十四条 家庭裁判所は、受命裁判官に子の返還申立事件の手続の期日における手続を行わせることができる。 ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第八十二条第三項の規定又は第八十六条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。 2 前項の場合においては、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (音声の送受信による通話の方法による手続) 第七十五条 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、子の返還申立事件の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。 2 子の返還申立事件の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。 (通訳人の立会い等その他の措置) 第七十六条 子の返還申立事件の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、子の返還申立事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、手続に参加した子、代理人及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を、それぞれ準用する。 第三目 事実の調査及び証拠調べ (事実の調査及び証拠調べ等) 第七十七条 家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。 2 申立人及び相手方は、それぞれ第二十七条に規定する事由(第二十八条第一項第二号に規定する場合に関する事由を含む。)についての資料及び同項に規定する事由についての資料を提出するほか、事実の調査及び証拠調べに協力するものとする。 (疎明) 第七十八条 疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。 (家庭裁判所調査官による事実の調査) 第七十九条 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 2 急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。 3 家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。 4 家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。 5 家庭裁判所調査官は、第三項の規定による書面による報告に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、当該書面に記載すべき事項を最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録する方法又は当該書面に記載すべき事項に係る電磁的記録を記録した記録媒体を提出する方法により報告を行うことができる。 (家庭裁判所調査官の期日への立会い等) 第八十条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、子の返還申立事件の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。 2 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、子の返還申立事件の手続の期日において、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が家庭裁判所調査官との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家庭裁判所調査官に子の返還申立事件の手続の期日に立ち会わせ、当該期日において前項の意見を述べさせることができる。 (裁判所技官による診断等) 第八十一条 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。 2 第七十九条第二項から第五項までの規定は前項の診断について、前条の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について、それぞれ準用する。 (事実の調査の嘱託等) 第八十二条 家庭裁判所は、他の家庭裁判所に事実の調査を嘱託することができる。 2 前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。 3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。 4 前三項の規定により受託裁判官又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。 (調査の嘱託等) 第八十三条 家庭裁判所は、必要な調査を外務大臣に嘱託するほか、官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は学校、保育所その他適当と認める者に対し子の心身の状態及び生活の状況その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 (事実の調査の通知) 第八十四条 家庭裁判所は、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者及び手続に参加した子に通知しなければならない。 (陳述の聴取) 第八十五条 家庭裁判所は、子の返還の申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。 2 家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。 ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。 (証拠調べ) 第八十六条 子の返還申立事件の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで及び第二百七条第二項の規定を除く。)を準用する。 この場合において、同法第百八十五条第一項中「地方裁判所若しくは簡易裁判所」とあるのは「他の家庭裁判所」と、同条第二項中「地方裁判所又は簡易裁判所」とあるのは「家庭裁判所」と読み替えるものとする。 2 前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。 (不法を証する文書の提出) 第八十七条 家庭裁判所は、申立人が不法な連れ去り又は不法な留置があったことを証する文書を常居所地国において得ることができるときは、申立人に対し、当該文書を提出することを求めることができる。 第四目 子の返還申立事件の手続における子の意思の把握等 第八十八条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、終局決定をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 第五目 審理の終結等 (審理の終結) 第八十九条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。 ただし、当事者双方が立ち会うことができる子の返還申立事件の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。 (裁判日) 第九十条 家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、裁判をする日を定めなければならない。 第六目 裁判 (裁判の方式) 第九十一条 家庭裁判所は、子の返還申立事件の手続においては、決定で、裁判をする。 (終局決定) 第九十二条 家庭裁判所は、子の返還申立事件が裁判をするのに熟したときは、終局決定をする。 2 家庭裁判所は、子の返還申立事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局決定をすることができる。 手続の併合を命じた数個の子の返還申立事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。 (終局決定の告知及び効力の発生等) 第九十三条 終局決定は、当事者及び子に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 ただし、子(手続に参加した子を除く。)に対しては、子の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮して子の利益を害すると認める場合は、この限りでない。 2 終局決定は、当事者に告知することによってその効力を生ずる。 ただし、子の返還を命ずる終局決定は、確定しなければその効力を生じない。 3 終局決定は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。 4 終局決定の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。 (終局決定の方式及び電子裁判書) 第九十四条 終局決定は、電子裁判書(最高裁判所規則で定めるところにより、子の返還申立事件における裁判の内容を裁判所が記録した電磁的記録をいう。以下同じ。)を作成してしなければならない。 2 終局決定の電子裁判書には、次に掲げる事項を記録しなければならない。 一 主文 二 理由 三 当事者及び法定代理人 四 裁判所 3 裁判所は、第一項の規定により電子裁判書を作成したときは、最高裁判所規則で定めるところにより、これをファイルに記録しなければならない。 (更正決定) 第九十五条 終局決定に誤記その他これに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。 2 更正決定は、最高裁判所規則で定めるところにより、電子裁判書を作成してしなければならない。 3 更正決定に対しては、更正後の終局決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 4 第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 5 終局決定に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。 (終局決定に関する民事訴訟法の準用) 第九十六条 民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、終局決定について準用する。 この場合において、同法第二百五十六条第一項中「言渡し後」とあるのは、「終局決定が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。 (中間決定) 第九十七条 家庭裁判所は、終局決定の前提となる法律関係の争いその他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。 2 中間決定は、最高裁判所規則で定めるところにより、電子裁判書を作成してしなければならない。 (終局決定以外の裁判) 第九十八条 終局決定以外の裁判は、これを受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 終局決定以外の裁判については、これを受ける者(数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。 3 第九十二条から第九十六条まで(第九十三条第一項及び第二項並びに第九十四条第一項を除く。)の規定は、前項の裁判について準用する。 この場合において、第九十四条第二項第二号中「理由」とあるのは、「理由の要旨」と読み替えるものとする。 4 子の返還申立事件の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。 5 終局決定以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。 第七目 裁判によらない子の返還申立事件の終了 (子の返還の申立ての取下げ) 第九十九条 子の返還の申立ては、終局決定が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、申立ての取下げは、終局決定がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 2 前項ただし書の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。 ただし、申立ての取下げが子の返還申立事件の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。 3 前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。 同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 4 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「子の返還申立事件の手続の期日」と読み替えるものとする。 (和解) 第百条 子の返還申立事件における和解については、民事訴訟法第八十九条第一項、第二百六十四条及び第二百六十五条の規定を準用する。 この場合において、同法第二百六十四条第一項及び第二百六十五条第三項中「口頭弁論等」とあるのは、「子の返還申立事件の手続」と読み替えるものとする。 2 子の返還申立事件においては、子の監護に関する事項、夫婦間の協力扶助に関する事項及び婚姻費用の分担に関する事項についても、和解をすることができる。 3 裁判所書記官が、次の各号に掲げる事項についての和解について電子調書を作成し、これをファイルに記録したときは、その記録は、当該各号に定める裁判と同一の効力を有する。 一 子の返還 確定した子の返還を命ずる終局決定 二 子の監護に関する事項、夫婦間の協力扶助に関する事項及び婚姻費用の分担に関する事項 確定した家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第三十九条の規定による審判 三 その他の事項 確定判決 4 前項の規定によりファイルに記録された電子調書は、当事者に送付しなければならない。 5 第三項の規定によりファイルに記録された電子調書については、民事訴訟法第二百六十七条の二の規定を準用する。 第三款 不服申立て 第一目 終局決定に対する即時抗告 (即時抗告をすることができる裁判) 第百一条 当事者は、終局決定に対し、即時抗告をすることができる。 2 子は、子の返還を命ずる終局決定に対し、即時抗告をすることができる。 3 手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。 (即時抗告期間) 第百二条 終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 当事者又は手続に参加した子による即時抗告の期間は、即時抗告をする者が終局決定の告知を受けた日から進行する。 3 子(手続に参加した子を除く。)による即時抗告の期間は、当事者が終局決定の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。 (即時抗告の提起の方式等) 第百三条 即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。 2 抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 原決定の表示及びその決定に対して即時抗告をする旨 3 即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。 4 前項の規定による終局決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 6 第七十条第四項及び第五項の規定は抗告状が第二項の規定に違反する場合について、民事訴訟法第百三十七条の二第一項から第六項までの規定は民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について、それぞれ準用する。 (抗告状の写しの送付等) 第百四条 終局決定に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者及び手続に参加した子(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。 2 裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。 (陳述の聴取) 第百五条 抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。 (抗告裁判所による裁判) 第百六条 抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、自ら裁判をしなければならない。 ただし、次条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。 (第一審の手続の規定及び民事訴訟法の準用等) 第百七条 終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前款の規定(第七十条第六項、第七十二条第二項及び第五項、第九十三条第三項及び第四項、第九十五条第三項から第五項まで並びに第九十八条第五項を除く。)を準用する。 2 抗告裁判所は、第百四条第一項の規定による抗告状の写しの送付をすることを要しないときは、前項において準用する第八十九条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。 3 民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条、第三百二条、第三百三条及び第三百五条から第三百九条までの規定は、終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第二百九十二条第二項中「第二百六十一条第三項及び第四項、第二百六十二条第一項並びに第二百六十三条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第九十九条第四項」と、同法第二百九十九条第二項中「第六条第一項各号」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第三十二条第一項各号」と、同法第三百三条第五項中「第百八十九条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百五十条」と読み替えるものとする。 第二目 終局決定に対する特別抗告 (特別抗告をすることができる裁判等) 第百八条 高等裁判所の終局決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。 (原裁判の執行停止) 第百九条 特別抗告は、執行停止の効力を有しない。 ただし、前条第二項の抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 2 前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 3 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。 (即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用) 第百十条 第百二条第二項及び第三項、第百三条(第四項及び第五項を除く。)、第百四条、第百五条並びに第百七条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 2 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十条第一項において準用する同法第百三条第六項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百八条第二項の規定及び同法第百十条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百八条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第三目 終局決定に対する許可抗告 (許可抗告をすることができる裁判等) 第百十一条 高等裁判所の終局決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第百八条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 2 前項の高等裁判所は、同項の終局決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。 3 前項の申立てにおいては、第百八条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。 4 第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。 5 許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。 6 許可抗告が係属する抗告裁判所は、終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。 (即時抗告等の規定及び民事訴訟法の準用) 第百十二条 第百二条第二項及び第三項、第百三条(第四項及び第五項を除く。)、第百四条、第百五条、第百七条並びに第百九条の規定は、許可抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第百二条第二項及び第三項、第百三条第一項、第二項第二号及び第三項、第百四条第一項並びに第百五条中「即時抗告」とあり、第百三条第六項中「即時抗告の提起」とあり、並びに第百九条第一項本文中「特別抗告」とあるのは「第百十一条第二項の申立て」と、第百三条第一項、第二項及び第六項、第百四条並びに第百七条第二項中「抗告状」とあるのは「第百十一条第二項の規定による許可の申立書」と、同条中「即時抗告」とあり、及び第百九条第一項ただし書中「特別抗告」とあるのは「第百十一条第四項に規定する許可抗告」と読み替えるものとする。 2 民事訴訟法第三百十五条及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について、それぞれ準用する。 この場合において、同法第三百十八条第四項後段中「第三百二十条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第五項」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第五項の規定及び同法第百十二条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第二項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第四目 終局決定以外の裁判に対する不服申立て (不服申立ての対象) 第百十三条 終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。 (受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対する異議) 第百十四条 受命裁判官又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、子の返還申立事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。 ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。 2 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (即時抗告期間等) 第百十五条 終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。 ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。 2 前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。 ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 4 原裁判をした裁判所、裁判官又は裁判長は、即時抗告を理由があると認めるときは、その裁判を更正しなければならない。 (終局決定に対する不服申立ての規定の準用等) 第百十六条 前三目の規定(第百一条第一項及び第二項、第百二条第一項並びに同条第三項、第百四条及び第百五条(これらの規定を第百十二条第一項において準用する場合を含む。)並びに第百十条の規定を除く。)は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。 この場合において、第百八条第一項中「高等裁判所の終局決定」とあるのは「家庭裁判所の終局決定以外の裁判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の終局決定以外の裁判」と、第百十一条第一項中「できる」とあるのは「できる。ただし、その決定が家庭裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る」と読み替えるものとする。 2 第百二条第二項及び第三項、第百三条並びに第百七条の規定は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、第百三条第六項中「及び第五項」とあるのは、「から第六項まで」と読み替えるものとする。 3 民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段及び第四項、第三百二十六条並びに第三百三十六条第二項の規定は、裁判所、裁判官又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百十四条第二項中「前条において準用する第二百八十八条及び第二百八十九条第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第二項において読み替えて準用する同法第百三条第六項」と、同法第三百十六条第二項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第三百二十二条中「前二条」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において準用する同法第百八条第二項の規定及び同法第百十六条第三項において準用する第三百二十一条第一項」と、同法第三百二十五条第一項前段及び第二項中「第三百十二条第一項又は第二項」とあるのは「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において読み替えて準用する同法第百八条第一項」と、同条第三項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第四項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。 第四款 終局決定の変更 (終局決定の変更) 第百十七条 子の返還を命ずる終局決定をした裁判所(その決定に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定(第百七条第二項の規定による決定を除く。以下この項において同じ。)をしたときは、当該抗告裁判所)は、子の返還を命ずる終局決定が確定した後に、事情の変更によりその決定を維持することを不当と認めるに至ったときは、当事者の申立てにより、その決定(当該抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定をした場合にあっては、当該終局決定)を変更することができる。 ただし、子が常居所地国に返還された後は、この限りでない。 2 前項の規定による終局決定の変更の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当事者及び法定代理人 二 変更を求める終局決定の表示及びその決定に対して変更を求める旨 三 終局決定の変更を求める理由 3 裁判所は、第一項の規定により終局決定を変更するときは、当事者(同項の申立てをした者を除く。)の陳述を聴かなければならない。 4 第一項の申立てを却下する終局決定に対しては、当該申立てをした者は、即時抗告をすることができる。 5 第一項の規定により終局決定を変更する決定に対しては、即時抗告をすることができる。 6 前各項に規定するもののほか、第一項の規定による終局決定の変更の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 (執行停止の裁判) 第百十八条 裁判所は、前条第一項の申立てがあった場合において、同項の規定による変更の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点につき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第五款 再審 (再審) 第百十九条 確定した終局決定その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。 2 再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。 3 民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。 5 第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により終局決定その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該終局決定その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。 (執行停止の裁判) 第百二十条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 2 前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 第百九条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。 第四節 義務の履行状況の調査及び履行の勧告 (家庭裁判所による義務の履行状況の調査及び履行の勧告) 第百二十一条 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所(抗告裁判所が子の返還を命ずる終局決定をした場合にあっては、第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、子の返還の義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。 2 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。 3 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(以下この条から第百二十一条の四までにおいて「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を外務大臣に嘱託するほか、官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は学校、保育所その他適当と認める者に対し子の生活の状況その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。 5 第一項の規定による調査及び勧告の手続には、その性質に反しない限り、前節第一款の規定を準用する。 (調査及び勧告の事件に関する非電磁的事件記録の閲覧等) 第百二十一条の二 関係人(前条第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人をいう。以下この条から第百二十一条の四までにおいて同じ。)は、調査及び勧告をする家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、調査及び勧告の事件に関する非電磁的事件記録(前条第一項の規定による調査及び勧告の事件の記録中次条第一項に規定する調査及び勧告の事件に関する電磁的事件記録を除いた部分をいう。次項及び第四項において同じ。)の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。 2 前項の規定は、調査及び勧告の事件に関する非電磁的事件記録中の録音テープ等に関しては、適用しない。 この場合において、関係人は、調査及び勧告をする家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。 3 調査及び勧告をする家庭裁判所は、関係人から前二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 4 第六十二条第七項の規定は第一項及び第二項の規定による請求について、同条第八項の規定は調査及び勧告の事件に関する非電磁的事件記録の閲覧、謄写及び複製の請求について、それぞれ準用する。 (調査及び勧告の事件に関する電磁的事件記録の閲覧等) 第百二十一条の三 関係人は、調査及び勧告をする家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、調査及び勧告の事件に関する電磁的事件記録(第百二十一条第一項の規定による調査及び勧告の事件の記録中この法律その他の法令の規定によりファイルに記録された事項に係る部分をいう。次項及び第三項において同じ。)の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができる。 2 関係人は、調査及び勧告をする家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、調査及び勧告の事件に関する電磁的事件記録に記録されている事項について、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法による複写を請求することができる。 3 関係人は、調査及び勧告をする家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、調査及び勧告の事件に関する電磁的事件記録に記録されている事項の全部若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が調査及び勧告の事件に関する電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを交付し、又は当該事項の全部若しくは一部を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該電磁的記録の内容が調査及び勧告の事件に関する電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。 4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、関係人から前三項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 5 第六十二条の二第四項(第一号に係る部分を除く。)の規定は第一項から第三項までの規定による請求について、第六十二条第八項の規定は第一項及び第二項の規定による請求について、それぞれ準用する。 (調査及び勧告の事件に関する事項の証明) 第百二十一条の四 関係人は、調査及び勧告をする家庭裁判所の許可を得て、第百二十一条第一項の規定による調査及び勧告の事件に関する事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを交付し、又は当該事項を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。 2 調査及び勧告をする家庭裁判所は、関係人から前項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。 (和解によって定められた義務) 第百二十一条の五 第百二十一条から前条までの規定は、和解によって定められた義務の履行について準用する。 第五節 出国禁止命令 (出国禁止命令) 第百二十二条 子の返還申立事件が係属する家庭裁判所は、子の返還申立事件の当事者が子を日本国外に出国させるおそれがあるときは、子の返還申立事件の一方の当事者の申立てにより、他方の当事者に対し、子を出国させてはならないことを命ずることができる。 2 家庭裁判所は、前項の規定による申立てに係る事件の相手方が子が名義人となっている旅券を所持すると認めるときは、申立てにより、同項の規定による裁判において、当該旅券の外務大臣への提出を命じなければならない。 3 子の返還申立事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前二項の規定による裁判(以下「出国禁止命令」という。)をする。 4 出国禁止命令は、子の返還の申立てについての終局決定の確定により、その効力を失う。 (出国禁止命令の申立て等) 第百二十三条 出国禁止命令の申立ては、その趣旨及び出国禁止命令を求める事由を明らかにしてしなければならない。 2 出国禁止命令を求める事由については、出国禁止命令の申立てに係る事件(以下「出国禁止命令事件」という。)の申立人が資料を提出しなければならない。 3 前条第二項の規定による裁判の申立ては、出国禁止命令があるまで、取り下げることができる。 4 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、出国禁止命令の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百二十三条第二項に規定する出国禁止命令事件の手続の期日」と読み替えるものとする。 (陳述の聴取) 第百二十四条 出国禁止命令は、出国禁止命令事件の相手方の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより出国禁止命令の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 (記録の閲覧等) 第百二十五条 裁判所は、第百三十三条において準用する第六十二条第三項(第六十二条の二第五項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、出国禁止命令事件について、出国禁止命令事件の当事者から第百三十三条において準用する第六十二条第一項若しくは第二項又は第六十二条の二第一項から第三項までの規定による許可の申立てがあった場合には、出国禁止命令事件の相手方に対し、出国禁止命令事件が係属したことを通知し、又は出国禁止命令を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。 (出国禁止命令の告知及び効力) 第百二十六条 出国禁止命令の申立てについての裁判は、出国禁止命令事件の当事者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。 2 出国禁止命令は、出国禁止命令事件の相手方に告知することによってその効力を生じ、出国禁止命令の申立てを却下する裁判は、出国禁止命令事件の申立人に告知することによってその効力を生ずる。 (即時抗告) 第百二十七条 出国禁止命令事件の当事者は、出国禁止命令の申立てについての裁判に対し、即時抗告をすることができる。 (即時抗告に伴う執行停止) 第百二十八条 前条の規定により即時抗告が提起された場合において、原裁判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原裁判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、又は担保を立てさせないで原裁判の執行の停止を命ずることができる。 出国禁止命令事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、この処分を命ずることができる。 2 第百二十三条第二項の規定は前項の申立てについて、第百九条第二項及び第三項の規定は前項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について、それぞれ準用する。 (出国禁止命令の取消し) 第百二十九条 第百二十二条第一項の規定による裁判が確定した後に、当該裁判を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、子の返還申立事件が係属する裁判所は、当該裁判を受けた者の申立てにより、当該裁判の取消しの裁判をすることができる。 2 裁判所が、第百二十二条第一項の規定による裁判を取り消す場合において、同条第二項の規定による裁判がされているときは、裁判所は、当該裁判をも取り消さなければならない。 3 第百二十三条及び前三条の規定は、第一項の申立て及び当該申立てについての裁判について準用する。 (電子調書の作成) 第百三十条 裁判所書記官は、出国禁止命令事件及び前条第一項の規定による申立てに係る事件(第百三十三条において「出国禁止命令取消事件」という。)の手続の期日について、最高裁判所規則で定めるところにより、電子調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。 (外務大臣による旅券の保管) 第百三十一条 外務大臣は、第百二十二条第二項の規定による裁判を受けた者から当該裁判に係る旅券の提出を受けたときは、当該旅券を保管しなければならない。 2 外務大臣は、出国禁止命令が効力を失ったときは、前項の旅券の提出を行った者の求めにより、当該旅券を返還しなければならない。 (過料の裁判) 第百三十二条 第百二十二条第二項の規定による裁判を受けた者が当該裁判に従わないときは、裁判所は、二十万円以下の過料に処する。 (子の返還申立事件の手続規定の準用) 第百三十三条 出国禁止命令事件及び出国禁止命令取消事件の手続については、特別の定めがある場合を除き、第三節第一款から第三款まで及び第五款(第七十二条、第八十四条、第八十五条、第八十七条、第八十九条、第九十条、第九十九条及び第百条を除く。)の規定を準用する。 この場合において、第九十四条第二項第二号中「理由」とあるのは、「理由の要旨」と読み替えるものとする。 第四章 子の返還の執行手続に関する民事執行法の特則 (子の返還の強制執行) 第百三十四条 子の返還の強制執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百七十一条第一項の規定により執行裁判所が第三者に子の返還を実施させる決定をする方法により行うほか、同法第百七十二条第一項に規定する方法により行う。 2 前項の強制執行は、確定した子の返還を命ずる終局決定(確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有するものを含む。)の正本又は記録事項証明書(民事執行法第十八条の二に規定する記録事項証明書をいう。次項及び第百四十九条第二項において同じ。)に基づいて実施する。 3 民事執行法第十八条の二の規定は、前項の終局決定の記録事項証明書の執行裁判所への提出について準用する。 (子の年齢による子の返還の強制執行の制限) 第百三十五条 子が十六歳に達した場合には、民事執行法第百七十一条第一項の規定による子の返還の強制執行(同項の規定による決定に基づく子の返還の実施を含む。以下「子の返還の代替執行」という。)は、することができない。 2 民事執行法第百七十二条第一項に規定する方法による子の返還の強制執行の手続において、執行裁判所は、子が十六歳に達した日の翌日以降に子を返還しないことを理由として、同項の規定による金銭の支払を命じてはならない。 (子の返還の代替執行と間接強制との関係) 第百三十六条 子の返還の代替執行の申立ては、次の各号のいずれかに該当するときでなければすることができない。 一 民事執行法第百七十二条第一項の規定による決定が確定した日から二週間を経過したとき(当該決定において定められた債務を履行すべき一定の期間の経過がこれより後である場合にあっては、その期間を経過したとき)。 二 民事執行法第百七十二条第一項に規定する方法による強制執行を実施しても、債務者が常居所地国に子を返還する見込みがあるとは認められないとき。 三 子の急迫の危険を防止するため直ちに子の返還の代替執行をする必要があるとき。 (子の返還の代替執行の申立て) 第百三十七条 子の返還の代替執行の申立ては、債務者に代わって常居所地国に子を返還する者(以下「返還実施者」という。)となるべき者を特定してしなければならない。 (子の返還を実施させる決定) 第百三十八条 第百三十四条第一項の決定は、債務者による子の監護を解くために必要な行為をする者として執行官を指定し、かつ、返還実施者を指定してしなければならない。 2 執行裁判所は、民事執行法第百七十一条第三項の規定にかかわらず、子に急迫した危険があるときその他の審尋をすることにより強制執行の目的を達することができない事情があるときは、債務者を審尋しないで第百三十四条第一項の決定をすることができる。 (子の返還の代替執行の申立ての却下) 第百三十九条 執行裁判所は、第百三十七条の返還実施者となるべき者を前条の規定により返還実施者として指定することが子の利益に照らして相当でないと認めるときは、第百三十七条の申立てを却下しなければならない。 (執行官の権限等) 第百四十条 民事執行法第百七十五条(第八項を除く。)の規定は子の返還の代替執行における執行官の権限及び当該権限の行使に係る執行裁判所の裁判について、同法第百七十六条の規定は子の返還の代替執行の手続について、それぞれ準用する。 この場合において、同法第百七十五条第一項第二号中「債権者若しくはその代理人と子」とあるのは「返還実施者(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成二十五年法律第四十八号)第百三十七条に規定する返還実施者をいう。以下同じ。)、債権者若しくは同法第百四十条第一項において準用する第六項に規定する代理人と子」と、「又は債権者若しくはその代理人」とあるのは「又は返還実施者、債権者若しくは同項に規定する代理人」と、同項第三号及び同条第九項中「債権者又はその代理人」とあるのは「返還実施者、債権者又は国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百四十条第一項において準用する第六項に規定する代理人」と読み替えるものとする。 2 執行官は、前項において準用する民事執行法第百七十五条第一項又は第二項の規定による子の監護を解くために必要な行為をするに際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる。 3 執行官は、前項の規定にかかわらず、子に対して威力を用いることはできない。 子以外の者に対して威力を用いることが子の心身に有害な影響を及ぼすおそれがある場合においては、当該子以外の者についても、同様とする。 (返還実施者の権限等) 第百四十一条 返還実施者は、常居所地国に子を返還するために、子の監護その他の必要な行為をすることができる。 2 子の返還の代替執行の手続については、民事執行法第百七十一条第六項の規定は、適用しない。 3 前条第一項において準用する民事執行法第百七十六条の規定は、返還実施者について準用する。 (外務大臣の協力) 第百四十二条 外務大臣は、子の返還の代替執行に関し、立会いその他の必要な協力をすることができる。 (執行事件の記録の閲覧等) 第百四十三条 子の返還の強制執行に係る事件の非電磁的事件記録(民事執行法第十七条第一項に規定する非電磁的事件記録をいう。第百四十九条第二項において同じ。)の閲覧、謄写若しくは複製又はその正本、謄本若しくは抄本の交付の請求、当該事件の電磁的事件記録(民事執行法第十七条の二第一項に規定する電磁的事件記録をいう。第百四十九条第二項において同じ。)の閲覧若しくは複写又はその内容の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくは電磁的記録の提供の請求及び当該事件に関する事項を証明した書面の交付又は電磁的記録の提供の請求については、第六十二条から第六十二条の三までの規定を準用する。 この場合において、第六十二条第七項中「第六十九条の二において読み替えて準用する民事訴訟法第百三十三条の二第五項」とあるのは、「民事執行法第二十条において準用する民事訴訟法第九十二条第九項及び第百三十三条の二第五項(同法第百三十三条の三第二項において準用する場合を含む。)」と読み替えるものとする。 第五章 家事事件の手続に関する特則 第一節 子の返還申立事件に係る家事調停の手続等 (付調停) 第百四十四条 家庭裁判所及び高等裁判所は、当事者の同意を得て、いつでも、職権で、子の返還申立事件を家事調停に付することができる。 (家事事件手続法の特則) 第百四十五条 裁判所は、前条の規定により事件を家事調停に付する場合においては、家事調停事件を自ら処理しなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を当該裁判所以外の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に処理させることができる。 2 第四十三条第二項の規定は、前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続における手続上の行為をすることができる能力について準用する。 3 前条の規定により事件を家事調停に付した場合において、当事者間に子の返還の合意が成立し、裁判所書記官が、その合意について電子調書を作成し、これをファイルに記録したときは、調停が成立したものとし、子の返還の合意に係る記録部分は、家事事件手続法第二百六十八条第一項の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。 4 前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続においてされた家事事件手続法第二百八十四条第一項の規定による審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判に代わる裁判を含む。以下この項及び第百四十七条において「調停に代わる審判」という。)について、同法第二百八十六条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十七条に規定する異議の申立てを却下する審判に代わる裁判を含む。)が確定したときは、当該調停に代わる審判のうち子の返還を命ずる部分は、同法第二百八十七条の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。 (子の返還申立事件の手続の中止) 第百四十六条 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付したときは、当該裁判所は、家事調停事件が終了するまで子の返還申立事件の手続を中止することができる。 (子の返還の申立ての取下げの擬制) 第百四十七条 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、又は調停に代わる審判が確定したときは、子の返還申立事件について申立ての取下げがあったものとみなす。 第二節 子との交流についての家事審判及び家事調停の手続等に関する特則 (管轄の特則) 第百四十八条 外国返還援助決定若しくは日本国交流援助決定を受けた者又は子の返還の申立てをした者が、子との交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は家事調停の申立てをする場合において、次の各号に掲げるときには、当該各号に定める家庭裁判所にも、これらの申立てをすることができる。 一 子の住所地(日本国内に子の住所がないとき、又は住所が知れないときは、その居所地。次号において同じ。)が東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内にあるとき 東京家庭裁判所 二 子の住所地が大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内にあるとき 大阪家庭裁判所 2 前項の申立てに係る審判事件及び調停事件は、日本国内に子の住所がない場合又は住所が知れない場合であって、日本国内に子の居所がないとき又は居所が知れないときは、東京家庭裁判所の管轄に属する。 (記録の閲覧等の特則) 第百四十九条 子との交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判の申立てに係る事件の記録中に住所等表示部分がある場合には、裁判所は、当該住所等表示部分については、家事事件手続法第四十七条第三項(同法第四十七条の二第五項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定にかかわらず、同法第四十七条第三項の申立てに係る許可をしないものとする。 ただし、第六十二条第四項各号(第六十二条の二第五項において準用する場合を含む。)に掲げる場合のいずれかに該当するときは、この限りでない。 2 子との交流について定め、又はその変更について定める審判書若しくは調停調書の正本又は電子審判書(家事事件手続法第七十六条第一項に規定する電子審判書であって、同条第三項の規定によりファイルに記録されたものをいう。)若しくは調停に係る電子調書(同法第二百六十八条第一項の規定により作成され、ファイルに記録された電子調書をいう。)の記録事項証明書に基づく強制執行の申立てに係る事件の記録中に第五条第四項(第二号に係る部分に限る。)の規定により外務大臣から提供を受けた情報が記載され、又は記録されたものがある場合には、当該事件の非電磁的事件記録の閲覧、謄写若しくは複製又はその正本、謄本若しくは抄本の交付の請求、当該事件の電磁的事件記録の閲覧若しくは複写又はその内容の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくは電磁的記録の提供の請求及び当該事件に関する事項を証明した書面の交付又は電磁的記録の提供の請求については、第六十二条から第六十二条の三までの規定を準用する。 この場合において、第六十二条第七項中「第六十九条の二において読み替えて準用する民事訴訟法第百三十三条の二第五項」とあるのは、「民事執行法第二十条において準用する民事訴訟法第九十二条第九項及び第百三十三条の二第五項(同法第百三十三条の三第二項において準用する場合を含む。)」と読み替えるものとする。 第六章 過料の裁判の執行等 第百五十条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。 2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。 第七章 雑則 (審理の状況についての説明) 第百五十一条 子の返還申立事件の申立人又は外務大臣は、子の返還の申立てから六週間が経過したときは、当該子の返還申立事件が係属している裁判所に対し、審理の状況について説明を求めることができる。 (親権者の指定等についての審判事件の取扱い) 第百五十二条 親権者の指定若しくは変更又は子の監護に関する処分についての審判事件(人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第三十二条第一項に規定する附帯処分についての裁判及び同条第三項の親権者の指定についての裁判に係る事件を含む。以下この条において同じ。)が係属している場合において、当該審判事件が係属している裁判所に対し、当該審判事件に係る子について不法な連れ去り又は不法な留置と主張される連れ去り又は留置があったことが外務大臣又は当該子についての子の返還申立事件が係属する裁判所から通知されたときは、当該審判事件が係属している裁判所は、当該審判事件について裁判をしてはならない。 ただし、子の返還の申立てが相当の期間内にされないとき、又は子の返還の申立てを却下する裁判が確定したときは、この限りでない。 (総合法律支援法の適用に関する特例) 第百五十三条 条約締約国の国民又は条約締約国に常居所を有する者(日本国民又は我が国に住所を有し適法に在留する者を除く。)であって、連れ去り又は留置に係る子についての子の返還、子との交流その他条約の適用に関係のある事項について民事裁判等手続(我が国の裁判所における民事事件、家事事件又は行政事件に関する手続をいう。)を利用するものは、当該事項に関する限り、総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)の適用については、同法第三十条第一項第二号に規定する国民等とみなす。
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46
大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法 (趣旨) 第一条 この法律は、大規模な災害の被災地において、当該災害により借地上の建物が滅失した場合における借地権者の保護等を図るための借地借家に関する特別措置を定めるものとする。 (特定大規模災害及びこれに対して適用すべき措置等の指定) 第二条 大規模な火災、震災その他の災害であって、その被災地において借地権者(借地借家法(平成三年法律第九十号)第二条第二号に規定する借地権者をいう。以下同じ。)の保護その他の借地借家に関する配慮をすることが特に必要と認められるものが発生した場合には、当該災害を特定大規模災害として政令で指定するものとする。 2 前項の政令においては、次条から第五条まで、第七条及び第八条に規定する措置のうち当該特定大規模災害に対し適用すべき措置並びにこれを適用する地区を指定しなければならない。 当該指定の後、新たに次条から第五条まで、第七条及び第八条に規定する措置を適用する必要が生じたときは、適用すべき措置及びこれを適用する地区を政令で追加して指定するものとする。 (借地契約の解約等の特例) 第三条 特定大規模災害により借地権(借地借家法第二条第一号に規定する借地権をいう。以下同じ。)の目的である土地の上の建物が滅失した場合(同法第八条第一項の場合を除く。)においては、前条第一項の政令の施行の日から起算して一年を経過する日までの間は、借地権者は、地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。 2 前項の場合においては、借地権は、地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れがあった日から三月を経過することによって消滅する。 (借地権の対抗力の特例) 第四条 借地借家法第十条第一項の場合において、建物の滅失があっても、その滅失が特定大規模災害によるものであるときは、第二条第一項の政令の施行の日から起算して六月を経過する日までの間は、借地権は、なお同法第十条第一項の効力を有する。 2 前項に規定する場合において、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときも、借地権は、なお借地借家法第十条第一項の効力を有する。 ただし、第二条第一項の政令の施行の日から起算して三年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。 (土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可の特例) 第五条 特定大規模災害により借地権の目的である土地の上の建物が滅失した場合において、借地権者がその土地の賃借権を第三者に譲渡し、又はその土地を第三者に転貸しようとする場合であって、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者(借地借家法第二条第三号に規定する借地権設定者をいう。以下この項及び第四項において同じ。)に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。 この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。 2 借地借家法第十九条第二項から第六項までの規定は前項の申立てがあった場合について、同法第四章の規定は同項に規定する事件及びこの項において準用する同条第三項に規定する事件の裁判手続について、それぞれ準用する。 この場合において、同法第十九条第三項中「建物の譲渡及び賃借権」とあるのは「賃借権」と、同法第五十九条中「建物の譲渡」とあるのは「賃借権の譲渡又は転貸」と読み替えるものとする。 3 第一項の申立ては、第二条第一項の政令の施行の日から起算して一年以内に限り、することができる。 4 前三項の規定は、転借地権(借地借家法第二条第四号に規定する転借地権をいう。)が設定されている場合における転借地権者(同条第五号に規定する転借地権者をいう。次条において同じ。)と借地権設定者との間について準用する。 ただし、借地権設定者が第二項において準用する同法第十九条第三項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。 (強行規定) 第六条 前三条の規定に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは、無効とする。 (被災地短期借地権) 第七条 第二条第一項の政令の施行の日から起算して二年を経過する日までの間に、同条第二項の規定により指定された地区に所在する土地について借地権を設定する場合においては、借地借家法第九条の規定にかかわらず、存続期間を五年以下とし、かつ、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。)及び建物の築造による存続期間の延長がないこととする旨を定めることができる。 2 前項に規定する場合において、同項の定めがある借地権を設定するときは、借地借家法第十三条、第十七条及び第二十五条の規定は、適用しない。 3 第一項の定めがある借地権の設定を目的とする契約は、公正証書による等書面によってしなければならない。 4 第一項の定めがある借地権の設定を目的とする契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。 (従前の賃借人に対する通知) 第八条 特定大規模災害により賃借権の目的である建物(以下この条において「旧建物」という。)が滅失した場合において、旧建物の滅失の当時における旧建物の賃貸人(以下この条において「従前の賃貸人」という。)が旧建物の敷地であった土地の上に当該滅失の直前の用途と同一の用途に供される建物を新たに築造し、又は築造しようとする場合であって、第二条第一項の政令の施行の日から起算して三年を経過する日までの間にその建物について賃貸借契約の締結の勧誘をしようとするときは、従前の賃貸人は、当該滅失の当時旧建物を自ら使用していた賃借人(転借人を含み、一時使用のための賃借をしていた者を除く。)のうち知れている者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。
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大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法 (趣旨) 第一条 この法律は、大規模な災害の被災地において、当該災害により借地上の建物が滅失した場合における借地権者の保護等を図るための借地借家に関する特別措置を定めるものとする。 (特定大規模災害及びこれに対して適用すべき措置等の指定) 第二条 大規模な火災、震災その他の災害であって、その被災地において借地権者(借地借家法(平成三年法律第九十号)第二条第二号に規定する借地権者をいう。以下同じ。)の保護その他の借地借家に関する配慮をすることが特に必要と認められるものが発生した場合には、当該災害を特定大規模災害として政令で指定するものとする。 2 前項の政令においては、次条から第五条まで、第七条及び第八条に規定する措置のうち当該特定大規模災害に対し適用すべき措置並びにこれを適用する地区を指定しなければならない。 当該指定の後、新たに次条から第五条まで、第七条及び第八条に規定する措置を適用する必要が生じたときは、適用すべき措置及びこれを適用する地区を政令で追加して指定するものとする。 (借地契約の解約等の特例) 第三条 特定大規模災害により借地権(借地借家法第二条第一号に規定する借地権をいう。以下同じ。)の目的である土地の上の建物が滅失した場合(同法第八条第一項の場合を除く。)においては、前条第一項の政令の施行の日から起算して一年を経過する日までの間は、借地権者は、地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。 2 前項の場合においては、借地権は、地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れがあった日から三月を経過することによって消滅する。 (借地権の対抗力の特例) 第四条 借地借家法第十条第一項の場合において、建物の滅失があっても、その滅失が特定大規模災害によるものであるときは、第二条第一項の政令の施行の日から起算して六月を経過する日までの間は、借地権は、なお同法第十条第一項の効力を有する。 2 前項に規定する場合において、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときも、借地権は、なお借地借家法第十条第一項の効力を有する。 ただし、第二条第一項の政令の施行の日から起算して三年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。 (土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可の特例) 第五条 特定大規模災害により借地権の目的である土地の上の建物が滅失した場合において、借地権者がその土地の賃借権を第三者に譲渡し、又はその土地を第三者に転貸しようとする場合であって、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者(借地借家法第二条第三号に規定する借地権設定者をいう。以下この項及び第四項において同じ。)に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。 この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。 2 借地借家法第十九条第二項から第六項までの規定は前項の申立てがあった場合について、同法第四章の規定は同項に規定する事件及びこの項において準用する同条第三項に規定する事件の裁判手続について、それぞれ準用する。 この場合において、同法第十九条第三項中「建物の譲渡及び賃借権」とあるのは「賃借権」と、同法第六十二条中「建物の譲渡」とあるのは「賃借権の譲渡又は転貸」と読み替えるものとする。 3 第一項の申立ては、第二条第一項の政令の施行の日から起算して一年以内に限り、することができる。 4 前三項の規定は、転借地権(借地借家法第二条第四号に規定する転借地権をいう。)が設定されている場合における転借地権者(同条第五号に規定する転借地権者をいう。次条において同じ。)と借地権設定者との間について準用する。 ただし、借地権設定者が第二項において準用する同法第十九条第三項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。 (強行規定) 第六条 前三条の規定に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは、無効とする。 (被災地短期借地権) 第七条 第二条第一項の政令の施行の日から起算して二年を経過する日までの間に、同条第二項の規定により指定された地区に所在する土地について借地権を設定する場合においては、借地借家法第九条の規定にかかわらず、存続期間を五年以下とし、かつ、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。)及び建物の築造による存続期間の延長がないこととする旨を定めることができる。 2 前項に規定する場合において、同項の定めがある借地権を設定するときは、借地借家法第十三条、第十七条及び第二十五条の規定は、適用しない。 3 第一項の定めがある借地権の設定を目的とする契約は、公正証書による等書面によってしなければならない。 4 第一項の定めがある借地権の設定を目的とする契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。 (従前の賃借人に対する通知) 第八条 特定大規模災害により賃借権の目的である建物(以下この条において「旧建物」という。)が滅失した場合において、旧建物の滅失の当時における旧建物の賃貸人(以下この条において「従前の賃貸人」という。)が旧建物の敷地であった土地の上に当該滅失の直前の用途と同一の用途に供される建物を新たに築造し、又は築造しようとする場合であって、第二条第一項の政令の施行の日から起算して三年を経過する日までの間にその建物について賃貸借契約の締結の勧誘をしようとするときは、従前の賃貸人は、当該滅失の当時旧建物を自ら使用していた賃借人(転借人を含み、一時使用のための賃借をしていた者を除く。)のうち知れている者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。
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平成二十五年法律第九十六号
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消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害等(財産的被害及び精神上の苦痛を受けたことによる損害をいう。以下同じ。)について、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差により消費者が自らその回復を図ることには困難を伴う場合があることに鑑み、その財産的被害等を集団的に回復するため、特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を追行することができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 消費者 個人(事業を行う場合におけるものを除く。)をいう。 二 事業者 法人その他の社団又は財団及び事業を行う場合における個人をいう。 三 消費者契約 消費者と事業者との間で締結される契約(労働契約を除く。)をいう。 四 共通義務確認の訴え 消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害等について、事業者、事業者に代わって事業を監督する者(次条第一項第五号ロ及び第三項第三号ロにおいて「事業監督者」という。)又は事業者の被用者(以下「事業者等」と総称する。)が、これらの消費者に対し、これらの消費者に共通する事実上及び法律上の原因に基づき、個々の消費者の事情によりその金銭の支払請求に理由がない場合を除いて、金銭を支払う義務を負うべきことの確認を求める訴えをいう。 五 対象債権 共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に対する金銭の支払請求権であって、前号に規定する義務に係るものをいう。 六 対象消費者 対象債権を有する消費者をいう。 七 簡易確定手続 共通義務確認の訴えに係る訴訟(以下「共通義務確認訴訟」という。)の結果を前提として、この法律の規定による裁判所に対する第三十三条第二項に規定する債権届出に基づき、相手方が認否をし、第四十六条第一項に規定する認否を争う旨の申出がない場合はその認否により、同項に規定する認否を争う旨の申出がある場合は裁判所の決定により、対象債権及び第十一条第二項に規定する和解金債権(以下「対象債権等」という。)の存否及び内容を確定する裁判手続をいう。 八 異議後の訴訟 簡易確定手続における対象債権等の存否及び内容を確定する決定(以下「簡易確定決定」という。)に対して適法な異議の申立てがあった後の当該請求に係る訴訟をいう。 九 被害回復裁判手続 次に掲げる手続をいう。 イ 共通義務確認訴訟の手続、簡易確定手続及び異議後の訴訟の手続 ロ 特定適格消費者団体が対象債権等に関して取得した債務名義による民事執行の手続(民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第三十三条第一項、第三十四条第一項、第三十五条第一項、第三十八条第一項、第九十条第一項及び第百五十七条第一項の訴えに係る訴訟手続(第六十六条第一項第三号において「民事執行に係る訴訟手続」という。)を含む。)及び特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の実現を保全するための仮差押えの手続(民事保全法(平成元年法律第九十一号)第四十六条において準用する民事執行法第三十三条第一項、第三十四条第一項及び第三十八条第一項の訴えに係る訴訟手続(第六十六条第一項第一号において「仮差押えの執行に係る訴訟手続」という。)を含む。) 十 特定適格消費者団体 被害回復裁判手続を追行するのに必要な適格性を有する法人である適格消費者団体(消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体をいう。以下同じ。)として第七十一条の定めるところにより内閣総理大臣の認定を受けた者をいう。 第二章 被害回復裁判手続 第一節 共通義務確認訴訟に係る民事訴訟手続の特例 (共通義務確認の訴え) 第三条 特定適格消費者団体は、事業者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって消費者契約に関する第一号から第四号までに掲げる請求及び第五号イからハまでに掲げる者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって消費者契約に関する同号に掲げる請求(これらに附帯する利息、損害賠償、違約金又は費用の請求を含む。)に係るものについて、共通義務確認の訴えを提起することができる。 一 契約上の債務の履行の請求 二 不当利得に係る請求 三 契約上の債務の不履行による損害賠償の請求 四 不法行為に基づく損害賠償の請求(民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定によるものに限り、次号(イに係る部分に限る。)に掲げるものを除く。) 五 事業者の被用者が消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えたことを理由とする次のイからハまでに掲げる者に対する当該イからハまでに定める請求 イ 事業者(当該被用者の選任及びその事業の監督について故意又は重大な過失により相当の注意を怠ったものに限る。第三項第三号において同じ。) 民法第七百十五条第一項の規定による損害賠償の請求 ロ 事業監督者(当該被用者の選任及びその事業の監督について故意又は重大な過失により相当の注意を怠ったものに限る。第三項第三号ロにおいて同じ。) 民法第七百十五条第二項の規定による損害賠償の請求 ハ 被用者(第三者に損害を加えたことについて故意又は重大な過失があるものに限る。第三項第三号ハにおいて同じ。) 不法行為に基づく損害賠償の請求(民法の規定によるものに限る。) 2 次に掲げる損害については、前項第三号から第五号までに掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えを提起することができない。 一 契約上の債務の不履行又は不法行為により、物品、権利その他の消費者契約の目的となるもの(役務を除く。次号において同じ。)以外の財産が滅失し、又は損傷したことによる損害 二 消費者契約の目的となるものの提供があるとすればその処分又は使用により得るはずであった利益を喪失したことによる損害 三 契約上の債務の不履行又は不法行為により、消費者契約による製造、加工、修理、運搬又は保管に係る物品その他の消費者契約の目的となる役務の対象となったもの以外の財産が滅失し、又は損傷したことによる損害 四 消費者契約の目的となる役務の提供があるとすれば当該役務を利用すること又は当該役務の対象となったものを処分し、若しくは使用することにより得るはずであった利益を喪失したことによる損害 五 人の生命又は身体を害されたことによる損害 六 精神上の苦痛を受けたことによる損害(その額の算定の基礎となる主要な事実関係が相当多数の消費者について共通するものであり、かつ、次のイ又はロのいずれかに該当するものを除く。) イ 共通義務確認の訴えにおいて一の訴えにより、前項各号に掲げる請求(同項第三号から第五号までに掲げる請求にあっては、精神上の苦痛を受けたことによる損害に係る請求を含まないものに限る。以下このイにおいて「財産的請求」という。)と併せて請求されるものであって、財産的請求と共通する事実上の原因に基づくもの ロ 事業者の故意によって生じたもの 3 次の各号に掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えについては、当該各号に定める者を被告とする。 一 第一項第一号から第三号までに掲げる請求 消費者契約の相手方である事業者 二 第一項第四号に掲げる請求 消費者契約の相手方である事業者若しくはその債務の履行をする事業者又は消費者契約の締結について勧誘をし、当該勧誘をさせ、若しくは当該勧誘を助長する事業者 三 第一項第五号に掲げる請求 次に掲げる者 イ 消費者契約の相手方である事業者若しくはその債務の履行をする事業者又は消費者契約の締結について勧誘をし、当該勧誘をさせ、若しくは当該勧誘を助長する事業者であって、当該事業者の消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えた被用者を使用するもの ロ イに掲げる事業者の事業監督者 ハ イに掲げる事業者の被用者であって、当該事業者の消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えたもの 4 裁判所は、共通義務確認の訴えに係る請求を認容する判決をしたとしても、事案の性質、当該判決を前提とする簡易確定手続において予想される主張及び立証の内容その他の事情を考慮して、当該簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるときは、共通義務確認の訴えの全部又は一部を却下することができる。 (訴訟の目的の価額) 第四条 共通義務確認の訴えは、訴訟の目的の価額の算定については、財産権上の請求でない請求に係る訴えとみなす。 (訴状の記載事項) 第五条 共通義務確認の訴えの訴状には、対象債権及び対象消費者の範囲を記載して、請求の趣旨及び原因を特定しなければならない。 (管轄及び移送) 第六条 共通義務確認訴訟については、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第五条(第五号に係る部分を除く。)の規定は、適用しない。 2 次の各号に掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えは、当該各号に定める地を管轄する地方裁判所にも提起することができる。 一 第三条第一項第一号から第三号までに掲げる請求 義務履行地 二 第三条第一項第四号及び第五号に掲げる請求 不法行為があった地 3 対象消費者の数が五百人以上であると見込まれるときは、民事訴訟法第四条第一項若しくは第五条第五号又は前項の規定による管轄裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも、共通義務確認の訴えを提起することができる。 4 対象消費者の数が千人以上であると見込まれるときは、東京地方裁判所又は大阪地方裁判所にも、共通義務確認の訴えを提起することができる。 5 民事訴訟法第四条第一項、第五条第五号、第十一条第一項若しくは第十二条又は前三項の規定により二以上の地方裁判所が管轄権を有するときは、共通義務確認の訴えは、先に訴えの提起があった地方裁判所が管轄する。 ただし、その地方裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当該共通義務確認の訴えに係る訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。 6 裁判所は、共通義務確認訴訟がその管轄に属する場合においても、他の裁判所に事実上及び法律上同種の原因に基づく請求を目的とする共通義務確認訴訟が係属している場合において、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、当該共通義務確認訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所に移送することができる。 (弁論等の必要的併合) 第七条 請求の内容及び相手方が同一である共通義務確認訴訟が数個同時に係属するときは、その弁論及び裁判は、併合してしなければならない。 2 前項に規定する場合には、当事者は、その旨を裁判所に申し出なければならない。 (補助参加の禁止) 第八条 消費者は、民事訴訟法第四十二条の規定にかかわらず、共通義務確認訴訟の結果について利害関係を有する場合であっても、特定適格消費者団体を補助するため、その共通義務確認訴訟に参加することができない。 (保全開示命令等) 第九条 共通義務確認訴訟が係属する裁判所は、次に掲げる事由につき疎明があった場合には、当該共通義務確認訴訟の当事者である特定適格消費者団体の申立てにより、決定で、当該共通義務確認訴訟の当事者である事業者等に対して、第三十一条第一項の規定により事業者等が特定適格消費者団体に開示しなければならない同項に規定する文書について、同条第二項に規定する方法により開示することを命ずることができる。 一 第二条第四号に規定する義務が存すること。 二 当該文書について、あらかじめ開示がされなければその開示が困難となる事情があること。 2 前項の規定による命令(以下この条において「保全開示命令」という。)の申立ては、文書の表示を明らかにしてしなければならない。 3 裁判所は、保全開示命令の申立てについて決定をする場合には、事業者等を審尋しなければならない。 4 保全開示命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 保全開示命令は、執行力を有しない。 6 事業者等が正当な理由なく保全開示命令に従わないときは、裁判所は、決定で、三十万円以下の過料に処する。 7 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 8 民事訴訟法第百八十九条の規定は、第六項の規定による過料の裁判について準用する。 (確定判決の効力が及ぶ者の範囲) 第十条 共通義務確認訴訟の確定判決は、民事訴訟法第百十五条第一項の規定にかかわらず、当該共通義務確認訴訟の当事者以外の特定適格消費者団体及び当該共通義務確認訴訟に係る対象消費者の範囲に属する第三十三条第二項第一号に規定する届出消費者に対してもその効力を有する。 (共通義務確認訴訟における和解) 第十一条 共通義務確認訴訟の当事者は、当該共通義務確認訴訟において、当該共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に当該共通義務確認訴訟の目的である第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解をするときは、当該義務に関し、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。 一 対象債権及び対象消費者の範囲 二 当該義務に係る事実上及び法律上の原因 2 共通義務確認訴訟の当事者は、当該共通義務確認訴訟において、当該共通義務確認訴訟に係る対象債権に係る紛争の解決に関し、当該紛争に係る消費者の当該共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に対する対象債権以外の金銭の支払請求権(以下「和解金債権」という。)が存することを認める旨の和解をするときは、当該和解金債権に関し、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。 一 当該和解の目的となる権利又は法律関係の範囲 二 和解金債権の額又はその算定方法 三 和解金債権を有する消費者(第二十六条第一項第十号において「和解対象消費者」という。)の範囲 3 共通義務確認訴訟における和解において、当該共通義務確認訴訟の当事者である特定適格消費者団体が当該共通義務確認訴訟の目的である第二条第四号に規定する義務について共通義務確認の訴えを提起しない旨の定めがされたときは、当該定めは、当該共通義務確認訴訟の当事者以外の特定適格消費者団体に対してもその効力を有する。 (再審の訴え) 第十二条 共通義務確認の訴えが提起された場合において、原告及び被告が共謀して共通義務確認の訴えに係る対象消費者の権利を害する目的をもって判決をさせたときは、他の特定適格消費者団体は、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。 第二節 対象債権等の確定手続 第一款 簡易確定手続 第一目 通則 (簡易確定手続の当事者等) 第十三条 簡易確定手続は、共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した時又は請求の認諾等(請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解又は和解金債権が存することを認める旨の和解をいう。以下この条において同じ。)によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体(第九十三条第二項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた特定適格消費者団体。第十五条において同じ。)の申立てにより、当該判決が確定した時又は請求の認諾等によって当該共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった事業者等を相手方として、共通義務確認訴訟の第一審の終局判決をした地方裁判所(第一審において請求の認諾等によって共通義務確認訴訟が終了したときは、当該共通義務確認訴訟が係属していた地方裁判所)が行う。 (任意的口頭弁論) 第十四条 簡易確定手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。 2 前項の規定により口頭弁論をしない場合には、裁判所は、当事者を審尋することができる。 第二目 簡易確定手続の開始 (簡易確定手続開始の申立義務) 第十五条 共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した時又は請求の認諾によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 2 第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、当該義務に係る対象債権について、簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 ただし、当該対象債権のうち、当該和解においてその額又は算定方法のいずれかが定められている部分(当該和解において簡易確定手続開始の申立てをしなければならない旨が定められている部分を除く。)については、この限りでない。 3 和解金債権が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した場合において、当該和解において当該和解金債権の全部又は一部について簡易確定手続開始の申立てをしなければならない旨が定められているときは、当該共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、当該定めに係る和解金債権について簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 (簡易確定手続開始の申立期間) 第十六条 前条の場合において、簡易確定手続開始の申立ては、共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した日又は請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解若しくは和解金債権が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した日(第九十三条第二項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた日)から四月以内にしなければならない。 2 裁判所は、必要があると認めるときは、前条の規定により簡易確定手続開始の申立てをしなければならない特定適格消費者団体の申立てにより、二月以内の期間を定めて、前項の期間(この項の規定により当該期間が伸長された場合にあっては、当該伸長された期間。次項において同じ。)の伸長の決定をすることができる。 ただし、当該期間は、通じて八月を超えることができない。 3 裁判所は、前項の規定により第一項の期間の伸長の決定をしたときは、前条の規定により簡易確定手続開始の申立てをしなければならない特定適格消費者団体及び第十三条に規定する事業者等に対し、その旨を通知しなければならない。 (簡易確定手続開始の申立ての方式) 第十七条 簡易確定手続開始の申立ては、最高裁判所規則で定める事項を記載した書面でしなければならない。 (費用の予納) 第十八条 簡易確定手続開始の申立てをするときは、申立てをする特定適格消費者団体は、第二十三条第一項の規定による公告及び同条第二項の規定による通知に要する費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。 (簡易確定手続開始の申立ての取下げ) 第十九条 簡易確定手続開始の申立ては、裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による申立ての取下げについて準用する。 (簡易確定手続開始決定) 第二十条 裁判所は、簡易確定手続開始の申立てがあった場合には、当該申立てが不適法であると認めるとき又は第十八条に規定する費用の予納がないときを除き、簡易確定手続開始の決定(以下「簡易確定手続開始決定」という。)をする。 2 簡易確定手続開始の申立てを却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (簡易確定手続開始決定の方式) 第二十一条 簡易確定手続開始決定は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項を記載した決定書を作成してしなければならない。 一 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められたとき 当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 二 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をしたとき 当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 (簡易確定手続開始決定と同時に定めるべき事項) 第二十二条 裁判所は、簡易確定手続開始決定と同時に、当該簡易確定手続開始決定に係る簡易確定手続開始の申立てをした特定適格消費者団体(第九十三条第一項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた特定適格消費者団体。以下「簡易確定手続申立団体」という。)が第三十三条第二項に規定する債権届出をすべき期間(以下「届出期間」という。)及びその債権届出に対して簡易確定手続の相手方(以下この款において単に「相手方」という。)が認否をすべき期間(以下「認否期間」という。)を定めなければならない。 (簡易確定手続開始の公告等) 第二十三条 裁判所は、簡易確定手続開始決定をしたときは、直ちに、官報に掲載して次に掲げる事項を公告しなければならない。 一 簡易確定手続開始決定の主文 二 第二十一条各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項 三 簡易確定手続申立団体の名称及び住所 四 届出期間及び認否期間 2 裁判所は、簡易確定手続申立団体及び相手方に対し、前項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。 (重複する簡易確定手続開始の申立ての禁止) 第二十四条 簡易確定手続開始決定がされた事件については、特定適格消費者団体は、更に簡易確定手続開始の申立てをすることができない。 (届出期間又は認否期間の伸長) 第二十五条 裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、届出期間又は認否期間の伸長の決定をすることができる。 2 裁判所は、前項の規定により届出期間又は認否期間の伸長の決定をしたときは、簡易確定手続申立団体及び相手方に対し、その旨を通知しなければならない。 3 裁判所は、第一項の規定により届出期間又は認否期間の伸長の決定をしたときは、直ちに、官報に掲載してその旨を公告しなければならない。 第三目 簡易確定手続申立団体による公告及び通知等 (簡易確定手続申立団体による公告等) 第二十六条 簡易確定手続開始決定がされたときは、簡易確定手続申立団体は、正当な理由がある場合を除き、届出期間の末日の一月前までに、次に掲げる事項を相当な方法により公告しなければならない。 一 被害回復裁判手続の概要 二 被害回復裁判手続の事案の内容 三 共通義務確認訴訟の確定判決の内容(請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解又は和解金債権が存することを認める旨の和解がされた場合には、その内容) 四 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められた場合には、当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 五 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をした場合には、当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 六 共通義務確認訴訟における和解において対象債権等の額又は算定方法が定められた場合には、当該額又は算定方法 七 簡易確定手続申立団体の名称及び住所 八 簡易確定手続申立団体の連絡先 九 簡易確定手続申立団体が支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項 十 対象消費者等(対象消費者及び和解対象消費者をいう。以下同じ。)が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする方法 十一 対象消費者等が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする期間 十二 その他内閣府令で定める事項 2 前項の規定による公告後、届出期間中に同項第七号に掲げる事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を、相当な方法により公告するとともに、裁判所及び相手方に通知しなければならない。 この場合において、当該通知を受けた裁判所は、直ちに、官報に掲載してその旨を公告しなければならない。 3 第一項の規定による公告後、届出期間中に同項第八号から第十二号までに掲げる事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を、相当な方法により公告しなければならない。 (簡易確定手続申立団体による通知) 第二十七条 簡易確定手続開始決定がされたときは、簡易確定手続申立団体は、正当な理由がある場合を除き、届出期間の末日の一月前までに、知れている対象消費者等(次条第一項の規定による通知(以下この目及び第九十八条第二項第二号において「相手方通知」という。)を受けたものを除く。)に対し、前条第一項各号に掲げる事項を書面又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下同じ。)であって内閣府令で定めるものにより通知しなければならない。 2 前項の規定にかかわらず、同項の規定による通知において次に掲げる事項を記載する場合には、前条第一項第一号、第三号、第六号、第九号、第十号及び第十二号に掲げる事項を記載することを要しない。 一 前条第一項の規定により公告を行っている旨 二 当該公告の方法 三 その他内閣府令で定める事項 (相手方による通知) 第二十八条 相手方は、簡易確定手続申立団体の求め(相手方通知のため通常必要な期間を考慮して内閣府令で定める日までにされたものに限る。)があるときは、届出期間の末日の二月以上前の日であって内閣府令で定める日までに、当該求めに係る知れている対象消費者等に対し、次に掲げる事項を書面又は電磁的方法であって内閣府令で定めるものにより通知しなければならない。 一 被害回復裁判手続の事案の内容 二 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められた場合には、当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 三 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をした場合には、当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 四 簡易確定手続申立団体の名称、住所及び連絡先 五 対象消費者等が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする期間 六 簡易確定手続申立団体が第二十六条第一項の規定により公告を行っている旨 七 当該公告の方法 八 相手方の氏名又は名称、住所及び連絡先 九 その他内閣府令で定める事項 2 簡易確定手続申立団体は、相手方に対し、前項の求めをするときは、同項第四号に掲げる連絡先、同項第五号から第七号までに掲げる事項その他内閣府令で定める事項を通知しなければならない。 3 相手方は、相手方通知をしたときは、当該相手方通知をした時から一週間以内に、第一項の求めをした簡易確定手続申立団体に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。 一 相手方通知をした対象消費者等の氏名及び住所又は連絡先 二 相手方通知をした日 三 その他内閣府令で定める事項 (相手方による公表) 第二十九条 相手方は、簡易確定手続申立団体の求めがあるときは、遅滞なく、インターネットの利用、営業所その他の場所において公衆に見やすいように掲示する方法その他これらに類する方法により、届出期間中、前条第一項各号に掲げる事項(同項第四号、第五号、第八号又は第九号に掲げる事項に変更があったときは、変更後の当該各号に掲げる事項)を公表しなければならない。 2 前条第二項の規定は、簡易確定手続申立団体が相手方に対し前項の求めをするときについて準用する。 この場合において、同条第二項中「ならない」とあるのは、「ならない。この場合において、当該求めの後、届出期間中に前項第四号又は第五号に掲げる事項その他内閣府令で定める事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を相手方に通知しなければならない」と読み替えるものとする。 (対象消費者等に関する情報に係る回答義務) 第三十条 相手方は、簡易確定手続申立団体から次に掲げる事項について照会があるときは、当該照会があった時から一週間以内に、当該簡易確定手続申立団体に対し、書面又は電磁的方法であって内閣府令で定めるものにより回答しなければならない。 一 対象消費者等の数の見込み 二 知れている対象消費者等の数 三 相手方通知をする時期の見込み 四 その他内閣府令で定める事項 (情報開示義務) 第三十一条 相手方は、対象消費者等の氏名及び住所又は連絡先(内閣府令で定めるものに限る。次項において同じ。)が記載された文書(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をもって作成されている場合における当該電磁的記録を含む。)を所持する場合において、届出期間中に簡易確定手続申立団体の求めがあるときは、当該文書を当該簡易確定手続申立団体に開示することを拒むことができない。 ただし、相手方が開示すべき文書の範囲を特定するために不相当な費用又は時間を要するときは、この限りでない。 2 前項に規定する文書の開示は、その写しの交付(電磁的記録については、当該電磁的記録を出力した書面の交付又は当該電磁的記録に記録された情報の電磁的方法による提供であって内閣府令で定めるもの)により行う。 この場合において、相手方は、個人(対象消費者等でないことが明らかである者を除く。)の氏名及び住所又は連絡先が記載された部分以外の部分を除いて開示することができる。 3 相手方は、第一項に規定する文書の開示をしないときは、簡易確定手続申立団体に対し、速やかに、その旨及びその理由を書面により通知しなければならない。 (情報開示命令等) 第三十二条 簡易確定手続申立団体は、届出期間中、裁判所に対し、情報開示命令(前条第一項の規定により相手方が簡易確定手続申立団体に開示しなければならない同項に規定する文書について、同条第二項に規定する方法による開示を相手方に命ずる旨の決定をいう。以下この条において同じ。)の申立てをすることができる。 2 情報開示命令の申立ては、文書の表示を明らかにしてしなければならない。 3 裁判所は、情報開示命令の申立てを理由があると認めるときは、情報開示命令を発する。 4 裁判所は、情報開示命令の申立てについて決定をする場合には、相手方を審尋しなければならない。 5 情報開示命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。 6 情報開示命令は、執行力を有しない。 7 相手方が正当な理由なく情報開示命令に従わないときは、裁判所は、決定で、三十万円以下の過料に処する。 8 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 9 民事訴訟法第百八十九条の規定は、第七項の規定による過料の裁判について準用する。 第四目 対象債権等の確定 (債権届出) 第三十三条 簡易確定手続開始決定に係る対象債権等については、簡易確定手続申立団体に限り、届け出ることができる。 2 前項の規定による届出(以下「債権届出」という。)は、届出期間内に、次に掲げる事項を記載した書面(以下この節において「届出書」という。)を簡易確定手続開始決定をした裁判所に提出してしなければならない。 一 対象債権等について債権届出をする簡易確定手続申立団体、相手方及び届出消費者(対象債権等として裁判所に債権届出があった債権(以下「届出債権」という。)の債権者である消費者をいう。以下同じ。)並びにこれらの法定代理人 二 請求の趣旨及び原因(請求の原因については、共通義務確認訴訟において認められた義務又は和解金債権に係る事実上及び法律上の原因を前提とするものに限る。) 三 前二号に掲げるもののほか、最高裁判所規則で定める事項 3 簡易確定手続申立団体は、債権届出の時に対象消費者が事業者等に対して対象債権に基づく訴えを提起するとすれば民事訴訟法第一編第二章第一節の規定により日本の裁判所が管轄権を有しないときは、第一項の規定にかかわらず、当該対象債権については、債権届出をすることができない。 4 簡易確定手続申立団体は、対象消費者等が提起したその有する対象債権等に基づく訴訟が裁判所に係属しているときは、第一項の規定にかかわらず、当該対象債権等については、債権届出をすることができない。 (簡易確定手続についての対象消費者等の授権) 第三十四条 簡易確定手続申立団体は、対象債権等について債権届出をし、及び当該対象債権等について簡易確定手続を追行するには、当該対象債権等に係る対象消費者等の授権がなければならない。 2 前項の対象消費者等は、簡易確定手続申立団体のうちから一の簡易確定手続申立団体を限り、同項の授権をすることができる。 3 第一項の授権をした対象消費者等は、当該授権を取り消すことができる。 4 前項の規定による第一項の授権の取消しは、当該授権をした対象消費者等又は当該授権を得た簡易確定手続申立団体から相手方に通知しなければ、その効力を生じない。 5 第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、当該授権は、その効力を失う。 6 簡易確定決定があるまでに簡易確定手続申立団体が届出債権について第一項の授権を欠いたとき(前項の規定により当該授権がその効力を失ったときを除く。)は、当該届出債権については、債権届出の取下げがあったものとみなす。 7 債権届出に係る簡易確定手続申立団体(以下「債権届出団体」という。)の第七十一条第一項に規定する特定認定が、簡易確定決定があるまでに、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、届出消費者は、第二項の規定にかかわらず、第九十三条第六項の規定による公示がされた後一月の不変期間内に、同条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体に第一項の授権をすることができる。 8 前項の届出消費者が同項の期間内に第一項の授権をしないときは、その届出債権については、債権届出の取下げがあったものとみなす。 9 簡易確定決定があった後に、届出消費者が第三項の規定により第一項の授権を取り消したときは、当該届出消費者は、更に簡易確定手続申立団体に同項の授権をすることができない。 (説明義務) 第三十五条 簡易確定手続申立団体は、前条第一項の授権に先立ち、当該授権をしようとする者に対し、内閣府令で定めるところにより、被害回復裁判手続の概要及び事案の内容その他内閣府令で定める事項について、これを記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供して説明をしなければならない。 (簡易確定手続授権契約の締結及び解除) 第三十六条 簡易確定手続申立団体は、やむを得ない理由があるときを除いては、簡易確定手続授権契約(対象消費者等が第三十四条第一項の授権をし、簡易確定手続申立団体が対象債権等について債権届出をすること及び簡易確定手続を追行することを約する契約をいう。以下同じ。)の締結を拒絶してはならない。 2 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、やむを得ない理由があるときを除いては、簡易確定手続授権契約を解除してはならない。 (公平誠実義務等) 第三十七条 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、当該授権をした対象消費者等のために、公平かつ誠実に債権届出、簡易確定手続の追行及び第二条第九号ロに規定する民事執行の手続の追行(当該授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。)並びにこれらに伴い取得した金銭その他の財産の管理をしなければならない。 2 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、当該授権をした対象消費者等に対し、善良な管理者の注意をもって前項に規定する行為をしなければならない。 (届出書の送達) 第三十八条 裁判所は、第三十三条第二項の規定による届出書の提出を受けたときは、次条第一項又は第六十九条第一項の規定により債権届出を却下する場合を除き、遅滞なく、当該届出書を相手方に送達しなければならない。 (不適法な債権届出の却下) 第三十九条 裁判所は、債権届出が不適法であると認めるとき、又は届出書の送達に必要な費用の予納がないときは、決定で、当該債権届出を却下しなければならない。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (簡易確定手続における和解) 第四十条 債権届出団体は、簡易確定手続において、届出債権について、和解をすることができる。 (債権届出があったときの時効の完成猶予及び更新) 第四十一条 債権届出があったときは、当該債権届出に係る対象債権の時効の完成猶予及び更新に関しては、簡易確定手続の前提となる共通義務確認の訴えを提起し、又は民事訴訟法第百四十三条第二項の書面を当該共通義務確認の訴えが係属していた裁判所に提出した時に、裁判上の請求があったものとみなす。 (債権届出の内容の変更の制限) 第四十二条 債権届出団体は、届出期間内に限り、当該債権届出の内容を変更することができる。 (債権届出の取下げ) 第四十三条 債権届出は、簡易確定決定に対し適法な異議の申立てがあるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、簡易確定決定があった後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による債権届出の取下げについて準用する。 (届出消費者表の作成等) 第四十四条 裁判所書記官は、届出債権について、届出消費者表を作成しなければならない。 2 前項の届出消費者表には、各届出債権について、その内容その他最高裁判所規則で定める事項を記載しなければならない。 3 届出消費者表の記載に誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでもその記載を更正する処分をすることができる。 (届出債権の認否) 第四十五条 相手方は、届出期間内に債権届出があった届出債権の内容について、認否期間内に、認否をしなければならない。 2 認否期間内に前項の認否(以下「届出債権の認否」という。)がないときは、相手方において、届出期間内に債権届出があった届出債権の内容の全部を認めたものとみなす。 3 相手方が、認否期間内に届出債権の内容の全部を認めたときは、当該届出債権の内容は、確定する。 4 裁判所書記官は、届出債権の認否の内容を届出消費者表に記載しなければならない。 5 第三項の規定により確定した届出債権については、届出消費者表の記載は、確定判決と同一の効力を有する。 この場合において、債権届出団体は、確定した届出債権について、相手方に対し、届出消費者表の記載により強制執行をすることができる。 (認否を争う旨の申出) 第四十六条 債権届出団体は、前条第三項の規定により届出債権の内容が確定したときを除き、届出債権の認否に対し、認否期間の末日から一月の不変期間内に、裁判所に届出債権の認否を争う旨の申出(以下単に「認否を争う旨の申出」という。)をすることができる。 2 裁判所は、認否を争う旨の申出が不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。 3 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 裁判所書記官は、認否を争う旨の申出の有無を届出消費者表に記載しなければならない。 (簡易確定決定) 第四十七条 裁判所は、適法な認否を争う旨の申出があったときは、第三十九条第一項又は第六十九条第一項の規定により債権届出を却下する場合を除き、簡易確定決定をしなければならない。 2 裁判所は、簡易確定決定をする場合には、当事者双方を審尋しなければならない。 3 簡易確定決定は、主文及び理由の要旨を記載した決定書を作成してしなければならない。 4 届出債権の支払を命ずる簡易確定決定(第五十九条及び第八十九条第一項第二号において「届出債権支払命令」という。)については、裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言することができる。 5 第三項の決定書は、当事者に送達しなければならない。 この場合においては、簡易確定決定の効力は、当事者に送達された時に生ずる。 (証拠調べの制限) 第四十八条 簡易確定決定のための審理においては、証拠調べは、書証に限りすることができる。 2 文書の提出又は対照の用に供すべき筆跡若しくは印影を備える物件の提出の命令は、することができない。 3 前二項の規定は、裁判所が職権で調査すべき事項には、適用しない。 (異議の申立て等) 第四十九条 当事者は、簡易確定決定に対し、第四十七条第五項の規定による送達を受けた日から一月の不変期間内に、当該簡易確定決定をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 2 届出消費者は、簡易確定決定に対し、債権届出団体が第四十七条第五項の規定による送達を受けた日から一月の不変期間内に、当該簡易確定決定をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 3 裁判所は、異議の申立てが不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。 4 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 適法な異議の申立てがあったときは、簡易確定決定は、仮執行の宣言を付したものを除き、その効力を失う。 6 適法な異議の申立てがないときは、簡易確定決定は、確定判決と同一の効力を有する。 7 民事訴訟法第三百五十八条及び第三百六十条の規定は、第一項及び第二項の異議について準用する。 (認否を争う旨の申出がないときの届出債権の確定等) 第五十条 適法な認否を争う旨の申出がないときは、届出債権の内容は、届出債権の認否の内容により確定する。 2 前項の規定により確定した届出債権については、届出消費者表の記載は、確定判決と同一の効力を有する。 この場合において、債権届出団体は、確定した届出債権について、相手方に対し、届出消費者表の記載により強制執行をすることができる。 第五目 費用の負担 (個別費用を除く簡易確定手続の費用の負担) 第五十一条 簡易確定手続の費用(債権届出の手数料及び簡易確定手続における届出債権に係る申立ての手数料(次条第一項及び第三項において「個別費用」と総称する。)を除く。以下この条において同じ。)は、各自が負担する。 2 前項の規定にかかわらず、裁判所は、事情により、同項の規定によれば当事者がそれぞれ負担すべき費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の当事者に負担させることができる。 3 裁判所は、簡易確定手続に係る事件が終了した場合において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、簡易確定手続の費用の負担を命ずる決定をすることができる。 4 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 民事訴訟法第六十九条から第七十二条まで及び第七十四条の規定は、簡易確定手続の費用の負担について準用する。 (個別費用の負担) 第五十二条 裁判所は、届出債権について簡易確定手続に係る事件が終了した場合(第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合には、異議後の訴訟が終了した場合)において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当該事件に関する個別費用の負担を命ずる決定をすることができる。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 3 民事訴訟法第一編第四章第一節(第六十五条、第六十六条、第六十七条第二項及び第七十三条を除く。)の規定は、個別費用の負担について準用する。 第六目 補則 (民事訴訟法の準用) 第五十三条 特別の定めがある場合を除き、簡易確定手続については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第二条、第十四条、第十六条、第二十一条、第二十二条、第一編第二章第三節、第三章(第三十条、第四十条から第四十九条まで、第五十二条及び第五十三条を除く。)、第五章(第八十七条、第八十七条の二、第九十一条第一項及び第二項、第九十二条第六項から第八項まで、第二節、第百十六条並びに第百十八条を除く。)及び第七章、第二編第一章(第百三十四条、第百三十四条の二、第百三十七条第二項及び第三項、第百三十八条第一項、第百三十九条、第百四十条並びに第百四十三条から第百四十六条までを除く。)、第三章(第百五十六条の二、第百五十七条の二、第百五十八条、第百五十九条第三項、第百六十一条第三項及び第三節を除く。)、第四章(第七節を除く。)、第五章(第二百四十五条、第二百四十九条から第二百五十二条まで、第二百五十三条第二項、第二百五十四条、第二百五十五条、第二百五十八条第二項から第四項まで並びに第二百五十九条第一項及び第二項を除く。)及び第六章(第二百六十一条から第二百六十三条まで及び第二百六十六条を除く。)、第三編第三章、第四編並びに第八編(第四百三条第一項第二号及び第四号から第六号までを除く。)の規定を準用する。 (簡易確定手続に係る事件の記録の閲覧) 第五十四条 簡易確定手続の当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、簡易確定手続に係る事件の記録の閲覧を請求することができる。 (送達の特例) 第五十五条 第五十三条において準用する民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出がない場合には、送達は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場所においてする。 一 共通義務確認訴訟において民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出があった場合 当該届出に係る場所 二 共通義務確認訴訟において民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出がなかった場合 当該共通義務確認訴訟における同条第三項に規定する場所 第二款 異議後の訴訟に係る民事訴訟手続の特例 (訴え提起の擬制等) 第五十六条 簡易確定決定に対し適法な異議の申立てがあったときは、債権届出に係る請求については、当該債権届出の時に、当該債権届出に係る債権届出団体(当該債権届出に係る届出消費者が当該異議の申立てをしたときは、その届出消費者)を原告として、当該簡易確定決定をした地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。 この場合においては、届出書を訴状と、第三十八条の規定による送達を訴状の送達とみなす。 2 前項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件は、同項の地方裁判所の管轄に専属する。 3 前項の事件が係属する地方裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、同項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、その事件に係る訴訟を民事訴訟法第四条第一項又は第五条第一号、第五号若しくは第九号の規定により管轄権を有する地方裁判所に移送することができる。 (異議後の訴訟についての届出消費者の授権) 第五十七条 債権届出団体は、異議後の訴訟を追行するには、届出消費者の授権がなければならない。 2 届出消費者は、その届出債権に係る債権届出団体に限り、前項の授権をすることができる。 3 届出消費者が第八項において準用する第三十四条第三項の規定により第一項の授権を取り消し、又は自ら異議後の訴訟を追行したときは、当該届出消費者は、更に債権届出団体に同項の授権をすることができない。 4 債権届出団体は、正当な理由があるときを除いては、訴訟授権契約(届出消費者が第一項の授権をし、債権届出団体が異議後の訴訟を追行することを約する契約をいう。以下同じ。)の締結を拒絶してはならない。 5 第一項の授権を得た債権届出団体は、正当な理由があるときを除いては、訴訟授権契約を解除してはならない。 6 第一項の授権を得た債権届出団体は、当該授権をした届出消費者のために、公平かつ誠実に異議後の訴訟の追行及び第二条第九号ロに規定する民事執行の手続の追行(当該授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。)並びにこれらに伴い取得した金銭その他の財産の管理をしなければならない。 7 第一項の授権を得た債権届出団体は、当該授権をした届出消費者に対し、善良な管理者の注意をもって前項に規定する行為をしなければならない。 8 第三十四条第三項から第五項まで及び第三十五条の規定は、第一項の授権について準用する。 9 民事訴訟法第五十八条第二項並びに第百二十四条第一項(第六号に係る部分に限る。)及び第二項の規定は、異議後の訴訟において債権届出団体が第一項の授権を欠くときについて準用する。 (訴えの変更の制限等) 第五十八条 異議後の訴訟においては、原告は、訴えの変更(届出消費者又は請求額の変更を内容とするものを除く。)をすることができない。 2 異議後の訴訟においては、反訴を提起することができない。 (異議後の判決) 第五十九条 仮執行の宣言を付した届出債権支払命令に係る請求について第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合において、当該訴えについてすべき判決が届出債権支払命令と符合するときは、その判決において、届出債権支払命令を認可しなければならない。 ただし、届出債権支払命令の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。 2 前項の規定により届出債権支払命令を認可する場合を除き、仮執行の宣言を付した届出債権支払命令に係る請求について第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合における当該訴えについてすべき判決においては、届出債権支払命令を取り消さなければならない。 (訴えの取下げの制限) 第六十条 異議後の訴訟においては、訴えの取下げは、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 第三節 特定適格消費者団体のする仮差押え (特定適格消費者団体のする仮差押え) 第六十一条 特定適格消費者団体は、当該特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の実現を保全するため、民事保全法の規定により、仮差押命令の申立てをすることができる。 2 特定適格消費者団体は、保全すべき権利に係る金銭の支払義務について共通義務確認の訴えを提起することができる場合に限り、前項の申立てをすることができる。 3 第一項の申立てにおいては、保全すべき権利について、対象債権及び対象消費者の範囲並びに当該特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の総額を明らかにすれば足りる。 4 特定適格消費者団体は、対象債権について、第一項の規定によるもののほか、保全命令の申立てをすることができない。 (管轄) 第六十二条 前条第一項の申立てに関する民事保全法第十一条の規定の適用については、共通義務確認の訴えを本案の訴えとみなす。 2 民事保全法第十二条第一項及び第三項の規定の適用については、共通義務確認訴訟の管轄裁判所を本案の管轄裁判所とみなす。 (保全取消しに関する本案の特例) 第六十三条 第六十一条第一項の申立てに係る仮差押命令(以下単に「仮差押命令」という。)に関する民事保全法第三十七条第一項、第三項及び第四項の規定の適用については、当該申立てに係る仮差押えの手続の当事者である特定適格消費者団体がした共通義務確認の訴えの提起を本案の訴えの提起とみなす。 2 前項の共通義務確認の訴えに係る請求を認容する判決が確定したとき又は請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解若しくは和解金債権が存することを認める旨の和解によって同項の共通義務確認の訴えに係る訴訟が終了したときは、同項の特定適格消費者団体が簡易確定手続開始の申立てをすることができる期間及び当該特定適格消費者団体を当事者とする簡易確定手続又は異議後の訴訟が係属している間は、民事保全法第三十七条第一項及び第三項の規定の適用については、本案の訴えが係属しているものとみなす。 3 民事保全法第三十八条及び第四十条の規定の適用については、第六十一条第一項の申立てに係る仮差押えの手続の当事者である特定適格消費者団体が提起した共通義務確認訴訟に係る第一審裁判所(当該共通義務確認訴訟が控訴審に係属するときは、控訴裁判所)を本案の裁判所とみなす。 (仮差押えをした特定適格消費者団体の義務) 第六十四条 特定適格消費者団体は、仮差押命令に係る仮差押えの執行がされている財産について強制執行の申立てをし、又は当該財産について強制執行若しくは担保権の実行の手続がされている場合において配当要求をするときは、当該特定適格消費者団体が取得した債務名義及び取得することとなる債務名義に係る届出債権を平等に取り扱わなければならない。 第四節 補則 (訴訟代理権の不消滅) 第六十五条 訴訟代理権は、被害回復裁判手続の当事者である特定適格消費者団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたことによっては、消滅しない。 (手続の中断及び受継) 第六十六条 次の各号に掲げる手続の当事者である特定適格消費者団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、その手続は、中断する。 この場合において、それぞれ当該各号に定める者は、その手続を受け継がなければならない。 一 共通義務確認訴訟の手続、簡易確定手続(次号に掲げる簡易確定手続を除く。)又は仮差押命令に係る仮差押えの手続(仮差押えの執行に係る訴訟手続を含む。) 第九十三条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体 二 簡易確定手続(簡易確定決定があった後の手続に限る。)又は異議後の訴訟の手続 第九十三条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体(第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権を得た場合に限る。)又は届出消費者 三 特定適格消費者団体が対象債権等に関して取得した債務名義に係る民事執行に係る訴訟手続 第九十三条第三項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体 2 前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない。 3 第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定は、共通義務確認訴訟又は簡易確定手続(特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合を除く。)において、他に当事者である特定適格消費者団体がある場合には、適用しない。 (関連する請求に係る訴訟手続の中止) 第六十七条 共通義務確認訴訟が係属する場合において、当該共通義務確認訴訟の当事者である事業者等と対象消費者との間に他の訴訟が係属し、かつ、当該他の訴訟が当該共通義務確認訴訟の目的である請求又は防御の方法と関連する請求に係るものであるときは、当該他の訴訟の受訴裁判所は、当事者の意見を聴いて、決定で、その訴訟手続の中止を命ずることができる。 2 前項の受訴裁判所は、同項の決定を取り消すことができる。 (対象消費者による訴えの提起等があったときの時効の完成猶予) 第六十八条 次の表の上欄に掲げる場合において、同表の中欄に掲げる日から六月以内に、同表の下欄に掲げる対象債権について民法第百四十七条第一項各号に掲げる事由があるときは、当該対象債権の時効の完成猶予に関しては、共通義務確認の訴えを提起し、又は民事訴訟法第百四十三条第二項の書面を当該共通義務確認の訴えが係属していた裁判所に提出した時に、当該事由があったものとみなす。 一 共通義務確認の訴えの取下げの効力が生じた場合 当該取下げの効力が生じた日 当該取り下げられた共通義務確認の訴えに係る対象債権 二 共通義務確認の訴えを却下する裁判が確定した場合 当該裁判が確定した日 当該却下された共通義務確認の訴えに係る対象債権 三 第十五条第一項に規定する特定適格消費者団体が第十六条第一項の期間(同条第二項の規定により当該期間が伸長された場合にあっては、当該伸長された期間。次号において同じ。)内に簡易確定手続開始の申立てをしなかった場合 当該期間の満了の日 共通義務確認訴訟において認められた義務に係る対象債権 四 第十五条第二項に規定する特定適格消費者団体が第十六条第一項の期間内に簡易確定手続開始の申立てをしなかった場合 当該期間の満了の日 当該和解において認められた義務に係る対象債権(第十五条第二項ただし書に規定する部分を除く。) 五 簡易確定手続開始の申立ての取下げ(届出期間満了後にされたものを除く。)の効力が生じた場合 当該取下げの効力が生じた日 当該取り下げられた申立てに係る対象債権 六 第十三条に規定する簡易確定手続開始の申立てを却下する裁判(第十六条第一項又は第二十四条の規定に違反することを理由とするものを除く。)が確定した場合 当該裁判が確定した日 当該却下された申立てに係る対象債権 (共通義務確認訴訟の判決が再審により取り消された場合の取扱い) 第六十九条 簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が再審により取り消された場合には、簡易確定手続が係属する裁判所は、決定で、債権届出(当該簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が取り消されたことによってその前提を欠くこととなる部分に限る。)を却下しなければならない。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件が係属する裁判所は、判決で、当該訴え(当該簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が取り消されたことによってその前提を欠くこととなる部分に限る。)を却下しなければならない。 (最高裁判所規則) 第七十条 この章に定めるもののほか、被害回復裁判手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第三章 特定適格消費者団体 第一節 特定適格消費者団体の認定等 (特定適格消費者団体の認定) 第七十一条 適格消費者団体は、内閣総理大臣の認定(以下「特定認定」という。)を受けた場合に限り、被害回復関係業務を行うことができる。 2 前項に規定する「被害回復関係業務」とは、次に掲げる業務をいう。 一 被害回復裁判手続に関する業務(第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。) 二 前号に掲げる業務の遂行に必要な消費者の被害に関する情報の収集に係る業務 三 第一号に掲げる業務に付随する対象消費者等に対する情報の提供及び金銭その他の財産の管理に係る業務 3 特定認定を受けようとする適格消費者団体は、内閣総理大臣に特定認定の申請をしなければならない。 4 内閣総理大臣は、前項の申請をした適格消費者団体が次に掲げる要件の全てに適合しているときに限り、特定認定をすることができる。 一 差止請求関係業務(消費者契約法第十三条第一項に規定する差止請求関係業務をいう。以下同じ。)を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。 二 第二項に規定する被害回復関係業務(以下単に「被害回復関係業務」という。)の実施に係る組織、被害回復関係業務の実施の方法、被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、被害回復関係業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の被害回復関係業務を適正に遂行するための体制及び業務規程が適切に整備されていること。 三 その理事に関し、次に掲げる要件に適合するものであること。 イ 被害回復関係業務の執行を決定する機関として理事をもって構成する理事会が置かれており、かつ、定款で定めるその決定の方法が次に掲げる要件に適合していると認められること。 (1) 当該理事会の決議が理事の過半数又はこれを上回る割合以上の多数決により行われるものとされていること。 (2) 共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復関係業務の執行に係る重要な事項の決定が理事その他の者に委任されていないこと。 ロ 理事のうち一人以上が弁護士であること。 四 共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復裁判手続についての検討を行う部門において消費者契約法第十三条第三項第五号イ及びロに掲げる者(以下「専門委員」と総称する。)が共にその専門的な知識経験に基づいて必要な助言を行い又は意見を述べる体制が整備されていることその他被害回復関係業務を遂行するための人的体制に照らして、被害回復関係業務を適正に遂行することができる専門的な知識経験を有すると認められること。 五 被害回復関係業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。 六 被害回復関係業務に関して支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項を定めており、これが消費者の利益の擁護の見地から不当なものでないこと。 七 被害回復関係業務以外の業務を行うことによって被害回復関係業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。 5 前項第二号の業務規程には、被害回復関係業務の実施の方法、被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、被害回復関係業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の内閣府令で定める事項が定められていなければならない。 この場合において、業務規程に定める被害回復関係業務の実施の方法には、簡易確定手続授権契約及び訴訟授権契約の内容並びに請求の放棄、和解又は上訴の取下げをしようとする場合において第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権をした者(第八十二条第一項において単に「授権をした者」という。)の意思を確認するための措置、前項第四号の検討を行う部門における専門委員からの助言又は意見の聴取に関する措置及び役員、職員又は専門委員が被害回復裁判手続の相手方と特別の利害関係を有する場合の措置その他業務の公正な実施の確保に関する措置が含まれていなければならない。 6 次の各号のいずれかに該当する適格消費者団体は、特定認定を受けることができない。 一 この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しないもの 二 第九十二条第一項各号又は第二項各号に掲げる事由により特定認定を取り消され、その取消しの日から三年を経過しないもの 三 役員のうちに次のイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの イ この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者 ロ 特定適格消費者団体が第九十二条第一項各号又は第二項各号に掲げる事由により特定認定を取り消された場合において、その取消しの日前六月以内に当該特定適格消費者団体の役員であった者でその取消しの日から三年を経過しないもの (特定認定の申請) 第七十二条 前条第三項の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。 一 名称及び住所並びに代表者の氏名 二 被害回復関係業務を行おうとする事務所の所在地 三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項 2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 定款 二 差止請求関係業務を相当期間にわたり継続して適正に行っていることを証する書類 三 被害回復関係業務に関する業務計画書 四 被害回復関係業務を適正に遂行するための体制が整備されていることを証する書類 五 業務規程 六 役員、職員及び専門委員に関する次に掲げる書類 イ 氏名、役職及び職業を記載した書類 ロ 住所、略歴その他内閣府令で定める事項を記載した書類 七 最近の事業年度における財産目録、貸借対照表又は次のイ若しくはロに掲げる法人の区分に応じ、当該イ若しくはロに定める書類(第九十九条第二項第七号及び第百十条第一項において「財産目録等」という。)その他の経理的基礎を有することを証する書類 イ 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人(第九十八条第一項及び第二項において単に「特定非営利活動法人」という。) 同法第二十七条第三号に規定する活動計算書 ロ 一般社団法人又は一般財団法人 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第百二十三条第二項(同法第百九十九条において準用する場合を含む。)に規定する損益計算書(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第五条に規定する公益認定を受けている場合にあっては、内閣府令で定める書類) 八 被害回復関係業務に関して支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項を記載した書類 九 前条第六項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面 十 被害回復関係業務以外に行う業務の種類及び概要を記載した書類 十一 その他内閣府令で定める書類 (特定認定の申請に関する公告及び縦覧) 第七十三条 内閣総理大臣は、特定認定の申請があった場合には、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨並びに前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項を公告するとともに、同条第二項各号(第六号ロ、第九号及び第十一号を除く。)に掲げる書類を、公告の日から二週間、公衆の縦覧に供しなければならない。 (特定認定の公示等) 第七十四条 内閣総理大臣は、特定認定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該特定適格消費者団体の名称及び住所、被害回復関係業務を行う事務所の所在地並びに当該特定認定をした日を公示するとともに、当該特定適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。 2 特定適格消費者団体は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体である旨について、被害回復関係業務を行う事務所において見やすいように掲示するとともに、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。第百一条第二項において同じ。)により公衆の閲覧に供しなければならない。 3 特定適格消費者団体でない者は、その名称中に特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある文字を用い、又はその業務に関し、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。 (特定認定の有効期間等) 第七十五条 特定認定の有効期間は、当該特定認定の日における当該特定認定に係る消費者契約法第十三条第一項の認定の有効期間の残存期間と同一の期間とする。 2 特定認定の有効期間の満了後引き続き被害回復関係業務を行おうとする特定適格消費者団体は、その有効期間の更新を受けなければならない。 3 前項の有効期間の更新を受けようとする特定適格消費者団体は、当該有効期間の満了の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「更新申請期間」という。)に、内閣総理大臣に前項の有効期間の更新の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により更新申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 4 第二項の有効期間の更新がされた場合における特定認定の有効期間は、当該更新前の特定認定の有効期間の満了の日の翌日から起算して六年とする。 5 第三項の申請があった場合において、当該有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の特定認定は、当該有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なお効力を有する。 6 前項の場合において、第二項の有効期間の更新がされたときは、その特定認定の有効期間は、従前の特定認定の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。 7 第七十一条(第一項、第二項及び第六項第二号を除く。)、第七十二条、第七十三条及び前条第一項の規定は、第二項の有効期間の更新について準用する。 この場合において、第七十一条第四項第一号中「同じ。)」とあるのは「同じ。)、被害回復関係業務又は相当多数の消費者と事業者との間の消費者契約に関する紛争の解決のための業務」と、第七十二条第二項中「ならない」とあるのは「ならない。ただし、既に内閣総理大臣に添付して提出された書類と同一内容のものについては、その添付を省略することができる」と、同項第二号中「差止請求関係業務」とあるのは「差止請求関係業務、被害回復関係業務又は相当多数の消費者と事業者との間の消費者契約に関する紛争の解決のための業務」と読み替えるものとする。 (変更の届出) 第七十六条 特定適格消費者団体は、第七十二条第一項各号に掲げる事項又は同条第二項各号(第二号及び第十一号を除く。)に掲げる書類に記載した事項に変更があったときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 ただし、その変更が内閣府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。 (合併の届出及び認可等) 第七十七条 特定適格消費者団体である法人が他の特定適格消費者団体である法人と合併をしたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 2 前項の規定により合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人(適格消費者団体である法人に限る。次項において同じ。)と合併(特定適格消費者団体である法人が存続するものを除く。以下この条及び第八十条第一項第二号において同じ。)をした場合には、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その合併について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする特定適格消費者団体である法人及び特定適格消費者団体でない法人は、共同して、その合併がその効力を生ずる日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その合併がその効力を生ずる日までにその申請に対する処分がされないときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その処分がされるまでの間は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。 6 第七十一条(第一項及び第二項を除く。)、第七十二条、第七十三条及び第七十四条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 特定適格消費者団体である法人は、特定適格消費者団体でない法人と合併をする場合において、第四項の申請をしないときは、その合併がその効力を生ずる日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (事業の譲渡の届出及び認可等) 第七十八条 特定適格消費者団体である法人が他の特定適格消費者団体である法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をしたときは、その譲渡を受けた法人は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 2 前項の規定によりその譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人(適格消費者団体である法人に限る。次項において同じ。)に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合には、その譲渡を受けた法人は、その譲渡について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする特定適格消費者団体である法人及び特定適格消費者団体でない法人は、共同して、その譲渡の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その譲渡の日までにその申請に対する処分がされないときは、その譲渡を受けた法人は、その処分がされるまでの間は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。 6 第七十一条(第一項及び第二項を除く。)、第七十二条、第七十三条及び第七十四条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 特定適格消費者団体である法人は、特定適格消費者団体でない法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をする場合において、第四項の申請をしないときは、その譲渡の日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (業務廃止の届出) 第七十九条 特定適格消費者団体が被害回復関係業務を廃止したときは、法人の代表者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (特定認定の失効) 第八十条 特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、特定認定は、その効力を失う。 一 特定認定の有効期間が経過したとき(第七十五条第五項に規定する場合にあっては、更新拒否処分がされたとき)。 二 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人と合併をした場合において、その合併が第七十七条第三項の認可を経ずにその効力を生じたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その合併の不認可処分がされたとき)。 三 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合において、その譲渡が第七十八条第三項の認可を経ずにされたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その譲渡の不認可処分がされたとき)。 四 特定適格消費者団体が被害回復関係業務を廃止したとき。 五 消費者契約法第十三条第一項の認定が失効し、又は取り消されたとき。 2 内閣総理大臣は、前項各号に掲げる事由が生じたことを知った場合において、特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対し、その特定認定が失効した旨を書面により通知しなければならない。 第二節 被害回復関係業務等 (特定適格消費者団体等の責務) 第八十一条 特定適格消費者団体は、対象消費者等の利益のために、被害回復関係業務を適切に実施しなければならない。 2 特定適格消費者団体は、不当な目的でみだりに共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復関係業務を実施してはならない。 3 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務について他の特定適格消費者団体と相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 4 特定適格消費者団体、適格消費者団体その他の関係者は、特定適格消費者団体が行う被害回復関係業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 5 特定適格消費者団体、独立行政法人国民生活センターその他の関係者は、独立行政法人国民生活センターが行う独立行政法人国民生活センター法(平成十四年法律第百二十三号)第十条第八号に掲げる業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 (報酬) 第八十二条 特定適格消費者団体は、授権をした者との簡易確定手続授権契約又は訴訟授権契約で定めるところにより、被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができる。 2 共通義務確認訴訟において和解を行った特定適格消費者団体は、当該和解に係る消費者との間で締結する契約(簡易確定手続授権契約及び訴訟授権契約を除く。)で定めるところにより、被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができる。 (弁護士に追行させる義務) 第八十三条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務を行う場合において、民事訴訟に関する手続(簡易確定手続を含む。)、仮差押命令に関する手続及び執行抗告(仮差押えの執行の手続に関する裁判に対する執行抗告を含む。)に係る手続については、弁護士に追行させなければならない。 (他の特定適格消費者団体への通知等) 第八十四条 特定適格消費者団体は、次に掲げる場合には、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を他の特定適格消費者団体に通知するとともに、その旨、その内容その他内閣府令で定める事項を内閣総理大臣に報告しなければならない。 この場合において、当該特定適格消費者団体が、当該通知及び報告に代えて、全ての特定適格消費者団体及び内閣総理大臣が電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置であって内閣府令で定めるものを講じたときは、当該通知及び報告をしたものとみなす。 一 共通義務確認の訴えの提起又は第六十一条第一項の申立てをしたとき。 二 共通義務確認訴訟の判決の言渡し又は第六十一条第一項の申立てについての決定の告知があったとき。 三 前号の判決に対する上訴の提起又は同号の決定に対する不服の申立てがあったとき。 四 第二号の判決又は同号の決定が確定したとき。 五 共通義務確認訴訟における和解が成立したとき。 六 前二号に掲げる場合のほか、共通義務確認訴訟又は仮差押命令に関する手続が終了したとき。 七 共通義務確認訴訟に関し、請求の放棄、和解、上訴の取下げその他の内閣府令で定める手続に係る行為であって、それにより確定判決及びこれと同一の効力を有するものが存することとなるものをしようとするとき。 八 第十六条第三項の規定による通知を受けたとき。 九 簡易確定手続開始の申立て又はその取下げをしたとき。 十 簡易確定手続開始決定があったとき。 十一 第二十六条第一項、第二項前段又は第三項の規定による公告をしたとき。 十二 第二十七条第一項の規定による通知をしたとき。 十三 その他被害回復関係業務に関し内閣府令で定める手続に係る行為がされたとき。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、全ての特定適格消費者団体及び内閣総理大臣が電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置その他の内閣府令で定める方法により、他の特定適格消費者団体に当該報告の日時及び概要その他内閣府令で定める事項を伝達するものとする。 (個人情報の取扱い) 第八十五条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に関し、消費者の個人情報(個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。第三項において同じ。)を保管し、又は利用するに当たっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内でこれを保管し、及び利用しなければならない。 ただし、当該消費者の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。 2 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に関し、消費者から収集した消費者の被害に関する情報を被害回復裁判手続に係る相手方その他の第三者が当該被害に係る消費者を識別することができる方法で利用するに当たっては、あらかじめ、当該消費者の同意を得なければならない。 3 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務において消費者の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。 (秘密保持義務) 第八十六条 特定適格消費者団体の役員、職員若しくは専門委員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、被害回復関係業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (氏名等の明示) 第八十七条 特定適格消費者団体の被害回復関係業務に従事する者は、その被害回復関係業務を行うに当たり、被害回復裁判手続に係る相手方の請求があったときは、当該特定適格消費者団体の名称、自己の氏名及び特定適格消費者団体における役職又は地位その他内閣府令で定める事項を、その相手方に明らかにしなければならない。 (情報の提供) 第八十八条 特定適格消費者団体は、消費者の財産的被害等の回復に資するため、対象消費者等に対し、共通義務確認の訴えを提起したこと、共通義務確認訴訟の確定判決の内容その他必要な情報を提供するよう努めなければならない。 (財産上の利益の受領の禁止等) 第八十九条 特定適格消費者団体は、次に掲げる場合を除き、その被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を受けてはならない。 一 届出債権の認否、簡易確定決定、異議後の訴訟における判決若しくは請求の認諾又は和解に基づく義務の履行として金銭その他の財産上の利益を受けるとき。 二 被害回復裁判手続における判決(確定判決と同一の効力を有するもの、仮執行の宣言を付した届出債権支払命令及び第六十一条第一項の申立てについての決定を含む。次号において同じ。)又は第五十一条第三項若しくは第五十二条第一項若しくは民事訴訟法第七十三条第一項の決定により訴訟費用(簡易確定手続の費用、和解の費用及び調停手続の費用を含む。)を負担することとされた相手方から当該訴訟費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。 三 被害回復裁判手続における判決に基づく民事執行の執行費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。 2 特定適格消費者団体は、対象消費者等又は第九十八条第二項に規定する消費者団体訴訟等支援法人に前項第一号に規定する義務の履行として金銭その他の財産上の利益を受けさせる場合を除き、その被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を第三者に受けさせてはならない。 3 特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員は、特定適格消費者団体の被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を受け、又は第三者に受けさせてはならない。 4 前三項に規定する被害回復裁判手続に係る相手方からその被害回復裁判手続の追行に関して受け又は受けさせてはならない財産上の利益には、その相手方がその被害回復裁判手続の追行に関してした不法行為によって生じた損害の賠償として受け又は受けさせる財産上の利益は含まれない。 (区分経理) 第九十条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に係る経理を他の業務に係る経理と区分して整理しなければならない。 第三節 監督 (適合命令及び改善命令) 第九十一条 内閣総理大臣は、特定適格消費者団体が、第七十一条第四項第二号から第七号までに掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該特定適格消費者団体に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 2 内閣総理大臣は、前項に定めるもののほか、特定適格消費者団体が第七十一条第六項第三号に該当するに至ったと認めるとき、特定適格消費者団体又はその役員、職員若しくは専門委員が被害回復関係業務の遂行に関しこの法律の規定に違反したと認めるとき、その他特定適格消費者団体の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該特定適格消費者団体に対し、人的体制の改善、違反の停止、業務規程の変更その他の業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (特定認定の取消し等) 第九十二条 内閣総理大臣は、特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、特定認定を取り消すことができる。 一 偽りその他不正の手段により特定認定、第七十五条第二項の有効期間の更新又は第七十七条第三項若しくは第七十八条第三項の認可を受けたとき。 二 第七十一条第四項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったとき。 三 第七十一条第六項第一号又は第三号に該当するに至ったとき。 四 前三号に掲げるもののほか、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき(次項第二号に該当する場合を除く。)。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による取消しのほか、特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、特定認定又は消費者契約法第十三条第一項の認定を取り消すことができる。 一 被害回復裁判手続において、特定適格消費者団体がその相手方と通謀して請求の放棄又は対象消費者等の利益を害する内容の和解をしたときその他対象消費者等の利益に著しく反する訴訟その他の手続の追行を行ったと認められるとき。 二 第八十九条第一項又は第二項の規定に違反したとき。 三 当該特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員が第八十九条第三項の規定に違反したとき。 3 特定適格消費者団体が、第八十四条第一項の規定に違反して同項の通知又は報告をしないで、共通義務確認の訴えに関し、同項第七号に規定する行為をしたときは、内閣総理大臣は、当該特定適格消費者団体について前項第一号に掲げる事由があるものとみなすことができる。 4 内閣総理大臣は、第一項又は第二項の規定による取消しをしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその取消しをした日を公示するとともに、特定適格消費者団体であった法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 この場合において、当該特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対しても、その取消しをした旨を書面により通知しなければならない。 (手続を受け継ぐべき特定適格消費者団体の指定等) 第九十三条 被害回復裁判手続(第二条第九号ロに規定する民事執行の手続を除く。)の当事者である特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、当該被害回復裁判手続を受け継ぐべき特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 ただし、共通義務確認訴訟又は簡易確定手続(特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合を除く。)において、他に当事者である特定適格消費者団体があるときは、この限りでない。 2 第十三条に規定する特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、第十三条に規定する特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 ただし、同条に規定する特定適格消費者団体が他にあるときは、この限りでない。 3 対象債権等に係る債務名義を取得した特定適格消費者団体又はその民事執行法第二十三条第一項第三号に規定する承継人である特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、同法第二十三条第一項第三号に規定する承継人となるべき特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 4 内閣総理大臣は、前三項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体(以下この項及び次項において「指定特定適格消費者団体」という。)について、特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは既に失効し、又は前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるときは、指定特定適格消費者団体に係る指定を取り消さなければならない。 5 第一項から第三項までの規定による指定は、指定特定適格消費者団体が受け継ぐことになった手続をその指定前に追行していた者に次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたことを理由として取り消すことができない。 一 特定認定の取消処分、特定認定の有効期間の更新拒否処分若しくは第七十七条第三項の合併若しくは第七十八条第三項の事業の全部の譲渡の不認可処分(以下この号において「特定認定取消処分等」という。)が取り消され、又は特定認定取消処分等の取消し若しくはその無効若しくは不存在の確認の判決が確定したとき。 二 消費者契約法第十三条第一項の認定の取消処分、同項の認定の有効期間の更新拒否処分若しくは同法第十九条第三項の合併若しくは同法第二十条第三項の事業の全部の譲渡の不認可処分(以下この号において「認定取消処分等」という。)が取り消され、又は認定取消処分等の取消し若しくはその無効若しくは不存在の確認の判決が確定したとき。 6 内閣総理大臣は、第一項から第三項までの規定による指定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその指定をした日を公示するとともに、その指定を受けた特定適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。 第四項の規定により当該指定を取り消したときも、同様とする。 7 前項前段の場合において、特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、内閣総理大臣は、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対しても、その指定をした旨を書面により通知しなければならない。 8 次の各号に掲げる場合には、当該各号の指定を受けた特定適格消費者団体は、遅滞なく、知れている届出消費者に、各別にその旨を通知しなければならない。 一 第一項の規定による指定がされた場合(特定適格消費者団体であった法人が簡易確定手続(当該特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合に限る。)又は異議後の訴訟の手続の当事者であったときに限る。) 二 第三項の規定による指定がされた場合 9 第一項から第三項までの規定による指定がされたときは、特定適格消費者団体であった法人は、遅滞なく、その指定を受けた特定適格消費者団体に対し、その指定の対象となった事件について、対象消費者等のために保管する物及び被害回復関係業務に関する書類を移管し、その他被害回復関係業務をその指定を受けた特定適格消費者団体に引き継ぐために必要な一切の行為をしなければならない。 第四節 補則 (消費者契約法の特例) 第九十四条 特定適格消費者団体である適格消費者団体に対する消費者契約法の規定の適用については、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。 第二十九条第一項 その行う差止請求関係業務 その行う差止請求関係業務及び消費者裁判手続特例法第七十一条第二項に規定する被害回復関係業務(以下単に「被害回復関係業務」という。) 、差止請求関係業務 、差止請求関係業務及び被害回復関係業務 第三十一条第二項第七号 差止請求関係業務 差止請求関係業務及び被害回復関係業務 第三十二条第一項 この法律 この法律又は消費者裁判手続特例法 (判決等に関する情報の公表) 第九十五条 内閣総理大臣は、消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するため、特定適格消費者団体から第八十四条第一項(第一号及び第七号に係る部分を除く。)の規定による報告を受けたときは、インターネットの利用その他適切な方法により、速やかに、共通義務確認訴訟の確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)の概要、簡易確定手続開始決定の概要、第二十六条第一項、第二項前段及び第三項の規定による公告の概要、第二十七条第一項の規定による通知の概要、当該特定適格消費者団体の名称及び当該共通義務確認訴訟の相手方の氏名又は名称その他内閣府令で定める事項を公表するものとする。 2 前項に規定する事項のほか、内閣総理大臣は、被害回復関係業務に関する情報を広く国民に提供するため、インターネットの利用その他適切な方法により、特定適格消費者団体の名称及び住所並びに被害回復関係業務を行う事務所の所在地その他内閣府令で定める必要な情報を公表することができる。 3 内閣総理大臣は、独立行政法人国民生活センターに、前二項に規定する情報の公表に関する業務を行わせることができる。 (特定適格消費者団体への協力等) 第九十六条 内閣総理大臣は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体の求めに応じ、当該特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を適切に追行するために必要な限度において、当該特定適格消費者団体に対し、特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)又は預託等取引に関する法律(昭和六十一年法律第六十二号)に基づく処分に関して作成した書類で内閣府令で定めるものを提供することができる。 2 前項の規定により書類の提供を受けた特定適格消費者団体は、当該書類を当該被害回復裁判手続の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。 第九十七条 独立行政法人国民生活センター及び地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体の求めに応じ、当該特定適格消費者団体が被害回復関係業務を適切に遂行するために必要な限度において、当該特定適格消費者団体に対し、消費生活に関する消費者と事業者との間に生じた苦情に係る相談に関する情報で内閣府令で定めるものを提供することができる。 2 前項の規定により情報の提供を受けた特定適格消費者団体は、当該情報を当該被害回復関係業務の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。 第四章 消費者団体訴訟等支援法人 第一節 消費者団体訴訟等支援法人の認定等 (消費者団体訴訟等支援法人の認定) 第九十八条 内閣総理大臣は、特定非営利活動法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人であって、次に掲げる要件に該当すると認められるもの(適格消費者団体である法人を除く。)を、その申請により、次項に規定する業務(以下この章及び第百十七条第二項第二号において「支援業務」という。)を行う者として認定することができる。 一 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動を行うことを主たる目的とし、現にその活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。 二 消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するための啓発活動及び広報活動の実績が相当程度あること。 三 支援業務の実施に係る組織、支援業務の実施の方法、支援業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、支援業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の支援業務を適正に遂行するための体制及び業務規程が適切に整備されていること。 四 支援業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。 五 支援業務以外の業務を行うことによって支援業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。 2 前項の規定による認定(以下この章及び第百十七条第一項において「支援認定」という。)を受けた特定非営利活動法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人(以下「消費者団体訴訟等支援法人」という。)は、次に掲げる業務を行うものとする。 一 特定適格消費者団体の委託を受けて、対象消費者等に対する情報の提供、金銭の管理その他の特定適格消費者団体が行う被害回復関係業務に付随する事務であって内閣府令で定めるものを行うこと。 二 特定適格消費者団体とその被害回復裁判手続に係る相手方との合意により定めるところにより、相手方通知その他の当該相手方が行うべき被害回復裁判手続における事務であって内閣府令で定めるものを行うこと。 三 被害回復関係業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体に対する助言、被害回復関係業務に関する情報の公表その他の内閣府令で定める事務を行うこと。 四 前三号に掲げるもののほか、内閣総理大臣の委託を受けて、次に掲げる業務を行うこと。 イ 第九十五条第一項及び第二項の規定による公表 ロ この法律の実施のために必要な情報の収集その他の内閣府令で定める事務 3 第一項第三号の業務規程には、支援業務の実施の方法、支援業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、支援業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の内閣府令で定める事項が定められていなければならない。 4 次の各号のいずれかに該当する者は、支援認定を受けることができない。 一 この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない法人 二 第百十三条第一項各号に掲げる事由により支援認定を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない法人 三 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(次号及び第六号ハにおいて「暴力団員等」という。)がその事業活動を支配する法人 四 暴力団員等をその事業活動に従事させ、又はその事業活動の補助者として使用するおそれのある法人 五 政治団体(政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第三条第一項に規定する政治団体をいう。) 六 役員のうちに次のイからハまでのいずれかに該当する者のある法人 イ 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定若しくはこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者 ロ 消費者団体訴訟等支援法人が第百十三条第一項各号に掲げる事由により支援認定を取り消された場合において、その取消しの日前六月以内に当該消費者団体訴訟等支援法人の役員であった者でその取消しの日から三年を経過しないもの ハ 暴力団員等 (支援認定の申請) 第九十九条 前条第一項の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。 一 名称及び住所並びに代表者の氏名 二 支援業務を行おうとする事務所の所在地 三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項 2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 定款 二 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていることを証する書類 三 消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するための啓発活動及び広報活動に係る事業の実績が相当程度あることを証する書類 四 支援業務を適正に遂行するための体制が整備されていることを証する書類 五 業務規程 六 役職員名簿(役員及び職員の氏名、その役職その他内閣府令で定める事項を記載した名簿をいう。第百十条第二項第三号において同じ。) 七 最近の事業年度における財産目録等その他の経理的基礎を有することを証する書類 八 前条第四項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面 九 支援業務以外の業務を行う場合には、その業務の種類及び概要を記載した書類 十 その他内閣府令で定める書類 (支援認定の申請に関する公告及び縦覧等) 第百条 内閣総理大臣は、支援認定の申請があった場合には、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨並びに前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項を公告するとともに、同条第二項各号(第八号及び第十号を除く。)に掲げる書類を、公告の日から二週間、公衆の縦覧に供しなければならない。 2 内閣総理大臣は、支援認定の申請をした者について第九十八条第四項第三号、第四号又は第六号ハに該当する疑いがあると認めるときは、警察庁長官の意見を聴くものとする。 (支援認定の公示等) 第百一条 内閣総理大臣は、支援認定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該消費者団体訴訟等支援法人の名称及び住所、支援業務を行う事務所の所在地並びに当該支援認定をした日を公示するとともに、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 2 消費者団体訴訟等支援法人は、内閣府令で定めるところにより、消費者団体訴訟等支援法人である旨について、支援業務を行う事務所において見やすいように掲示するとともに、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人でない者は、その名称中に消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある文字を用い、又はその業務に関し、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。 (変更の届出) 第百二条 消費者団体訴訟等支援法人は、第九十九条第一項各号に掲げる事項又は同条第二項各号(第二号、第三号及び第十号を除く。)に掲げる書類に記載した事項に変更があったときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 ただし、その変更が内閣府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。 (合併の届出及び認可等) 第百三条 消費者団体訴訟等支援法人である法人が他の消費者団体訴訟等支援法人である法人と合併をしたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 2 前項の規定により合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併(消費者団体訴訟等支援法人である法人が存続するものを除く。以下この条及び第百六条第一号において同じ。)をした場合には、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その合併について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする消費者団体訴訟等支援法人である法人及び消費者団体訴訟等支援法人でない法人は、共同して、その合併がその効力を生ずる日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その合併がその効力を生ずる日までにその申請に対する処分がされないときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その処分がされるまでの間は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継しているものとみなす。 6 第九十八条(第二項を除く。)、第九十九条、第百条及び第百一条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 消費者団体訴訟等支援法人である法人は、消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併をする場合において、第四項の申請をしないときは、その合併がその効力を生ずる日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (事業の譲渡の届出及び認可等) 第百四条 消費者団体訴訟等支援法人である法人が他の消費者団体訴訟等支援法人である法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をしたときは、その譲渡を受けた法人は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 2 前項の規定によりその譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をした場合には、その譲渡を受けた法人は、その譲渡について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする消費者団体訴訟等支援法人である法人及び消費者団体訴訟等支援法人でない法人は、共同して、その譲渡の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その譲渡の日までにその申請に対する処分がされないときは、その譲渡を受けた法人は、その処分がされるまでの間は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継しているものとみなす。 6 第九十八条(第二項を除く。)、第九十九条、第百条及び第百一条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 消費者団体訴訟等支援法人である法人は、消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をする場合において、第四項の申請をしないときは、その譲渡の日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (解散の届出等) 第百五条 消費者団体訴訟等支援法人が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 一 破産手続開始の決定により解散した場合 破産管財人 二 合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合 清算人 三 支援業務を廃止した場合 法人の代表者 2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (支援認定の失効) 第百六条 消費者団体訴訟等支援法人について、次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、支援認定は、その効力を失う。 一 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併をした場合において、その合併が第百三条第三項の認可を経ずにその効力を生じたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その合併の不認可処分がされたとき)。 二 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をした場合において、その譲渡が第百四条第三項の認可を経ずにされたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その譲渡の不認可処分がされたとき)。 三 消費者団体訴訟等支援法人が前条第一項各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなったとき。 第二節 支援業務等 (秘密保持義務) 第百七条 消費者団体訴訟等支援法人の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、支援業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (業務の範囲及び区分経理) 第百八条 消費者団体訴訟等支援法人は、その行う支援業務に支障がない限り、定款の定めるところにより、支援業務以外の業務を行うことができる。 2 消費者団体訴訟等支援法人は、次に掲げる業務に係る経理をそれぞれ区分して整理しなければならない。 一 支援業務 二 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動に係る業務(前号に掲げる業務を除く。) 三 前二号に掲げる業務以外の業務 第三節 監督 (帳簿書類の作成及び保存) 第百九条 消費者団体訴訟等支援法人は、内閣府令で定めるところにより、その業務及び経理に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。 (財務諸表等の作成、備置き及び提出) 第百十条 消費者団体訴訟等支援法人は、毎事業年度終了後三月以内に、その事業年度の財産目録等及び事業報告書(これらの作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項第四号及び第百二十二条第十一号において「財務諸表等」という。)を作成しなければならない。 2 消費者団体訴訟等支援法人の事務所には、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる書類を備え置かなければならない。 一 定款 二 業務規程 三 役職員名簿 四 財務諸表等 五 経理に関する内閣府令で定める事項を記載した書類 六 支援業務以外の業務を行う場合には、その業務の種類及び概要を記載した書類 3 消費者団体訴訟等支援法人は、毎事業年度終了後三月以内に、前項第三号及び第四号に掲げる書類を内閣総理大臣に提出しなければならない。 (報告及び立入検査) 第百十一条 内閣総理大臣は、この章の規定の施行に必要な限度において、消費者団体訴訟等支援法人に対し、その業務若しくは経理の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、消費者団体訴訟等支援法人の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。 2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 3 第一項に規定する立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。 (適合命令及び改善命令) 第百十二条 内閣総理大臣は、消費者団体訴訟等支援法人が、第九十八条第一項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 2 内閣総理大臣は、前項に定めるもののほか、消費者団体訴訟等支援法人が第九十八条第四項第三号から第六号までのいずれかに該当するに至ったと認めるとき、消費者団体訴訟等支援法人又はその役員若しくは職員が支援業務の遂行に関しこの法律の規定に違反したと認めるとき、その他消費者団体訴訟等支援法人の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、人的体制の改善、違反の停止、業務規程の変更その他の業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (支援認定の取消し等) 第百十三条 内閣総理大臣は、消費者団体訴訟等支援法人について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、支援認定を取り消すことができる。 一 偽りその他不正の手段により支援認定又は第百三条第三項若しくは第百四条第三項の認可を受けたとき。 二 特定非営利活動促進法第四十三条第一項又は第二項の規定により設立の認証を取り消されたとき。 三 第九十八条第一項各号に掲げる要件のいずれかに該当しなくなったとき。 四 第九十八条第四項各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。 五 支援業務の実施に関し、対象消費者等の利益に著しく反する行為をしたと認められるとき。 六 前各号に掲げるもののほか、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき。 2 内閣総理大臣は、前項各号に掲げる事由により支援認定を取り消したときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその取消しをした日を公示するとともに、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 第五章 雑則 (官公庁等への協力依頼) 第百十四条 内閣総理大臣は、この法律の実施のため必要があると認めるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。 (権限の委任) 第百十五条 内閣総理大臣は、前二章及び前条の規定による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。 第六章 罰則 第百十六条 特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員が、特定適格消費者団体の被害回復裁判手続に係る相手方から、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、当該特定適格消費者団体における次に掲げる行為の報酬として、金銭その他の財産上の利益を受け、又は第三者(当該特定適格消費者団体を含む。)に受けさせたときは、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。 一 共通義務確認の訴えの提起、簡易確定手続開始の申立て、債権届出、簡易確定手続若しくは異議後の訴訟に関する民事執行の申立て又は第六十一条第一項の申立てをしないこと又はしなかったこと。 二 第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権に係る債権に係る裁判外の和解をすること又はしたこと。 三 被害回復裁判手続を終了させること又は終了させたこと。 2 前項の利益を供与した者も、同項と同様とする。 3 第一項の場合において、犯人又は情を知った第三者が受けた財産上の利益は、没収する。 その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。 4 第一項の罪は、日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。 5 第二項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。 第百十七条 偽りその他不正の手段により特定認定、第七十五条第二項の有効期間の更新、第七十七条第三項、第七十八条第三項、第百三条第三項若しくは第百四条第三項の認可又は支援認定を受けたときは、当該違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。 2 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。 一 第八十六条の規定に違反して、被害回復関係業務に関して知り得た秘密を漏らした者 二 第百七条の規定に違反して、支援業務に関して知り得た秘密を漏らした者 第百十八条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。 一 第七十二条第一項(第七十五条第七項、第七十七条第六項及び第七十八条第六項において準用する場合を含む。)若しくは第九十九条第一項(第百三条第六項及び第百四条第六項において準用する場合を含む。)の申請書又は第七十二条第二項各号(第七十五条第七項、第七十七条第六項及び第七十八条第六項において準用する場合を含む。)若しくは第九十九条第二項各号(第百三条第六項及び第百四条第六項において準用する場合を含む。)に掲げる書類に虚偽の記載をして提出したとき。 二 第七十四条第三項の規定に違反して、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある文字をその名称中に用い、又はその業務に関し、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある表示をしたとき。 三 第百一条第三項の規定に違反して、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある文字をその名称中に用い、又はその業務に関し、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある表示をしたとき。 四 第百九条の規定に違反して、帳簿書類の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の帳簿書類の作成をしたとき。 五 第百十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。 第百十九条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第百十六条、第百十七条第一項又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。 2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。 第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の過料に処する。 一 第十五条の規定に違反して、正当な理由がないのに簡易確定手続開始の申立てを怠った者 二 第三十六条第一項の規定に違反して、やむを得ない理由がないのに簡易確定手続授権契約の締結を拒んだ者 三 第三十六条第二項の規定に違反して、やむを得ない理由がないのに簡易確定手続授権契約を解除した者 第百二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の過料に処する。 一 第二十六条第一項、第二項前段若しくは第三項の規定による公告をすることを怠り、又は不正の公告をした者 二 第二十六条第二項前段若しくは第二十七条第一項の規定による通知をすることを怠り、又は不正の通知をした者 第百二十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の過料に処する。 一 第五十七条第四項の規定に違反して、正当な理由がないのに訴訟授権契約の締結を拒んだ者 二 第五十七条第五項の規定に違反して、正当な理由がないのに訴訟授権契約を解除した者 三 第七十四条第二項若しくは第百一条第二項の規定による掲示をせず、若しくは虚偽の掲示をし、又は第七十四条第二項若しくは第百一条第二項の規定に違反して公衆の閲覧に供せず、若しくは虚偽の事項を公衆の閲覧に供した者 四 第七十六条、第七十七条第二項若しくは第七項、第七十八条第二項若しくは第七項、第七十九条第一項、第百二条、第百三条第二項若しくは第七項、第百四条第二項若しくは第七項又は第百五条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者 五 第八十四条第一項前段の規定による通知若しくは報告をせず、又は虚偽の通知若しくは報告をした者 六 第八十五条第二項の規定に違反して、消費者の被害に関する情報を利用した者 七 第八十七条の規定に違反して、同条の請求を拒んだ者 八 第九十三条第九項の規定による被害回復関係業務の引継ぎを怠った者 九 第九十六条第二項の規定に違反して、書類を同項に定める目的以外の目的のために利用し、又は提供した者 十 第九十七条第二項の規定に違反して、情報を同項に定める目的以外の目的のために利用し、又は提供した者 十一 第百十条第一項の規定に違反して、財務諸表等を作成せず、又はこれに記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をした者 十二 第百十条第二項の規定に違反して、書類を備え置かなかった者 十三 第百十条第三項の規定に違反して、書類を提出せず、又は書類に虚偽の記載若しくは記録をして提出した者
民事
Heisei
Act
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平成二十五年法律第九十六号
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消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害等(財産的被害及び精神上の苦痛を受けたことによる損害をいう。以下同じ。)について、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差により消費者が自らその回復を図ることには困難を伴う場合があることに鑑み、その財産的被害等を集団的に回復するため、特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を追行することができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 消費者 個人(事業を行う場合におけるものを除く。)をいう。 二 事業者 法人その他の社団又は財団及び事業を行う場合における個人をいう。 三 消費者契約 消費者と事業者との間で締結される契約(労働契約を除く。)をいう。 四 共通義務確認の訴え 消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害等について、事業者、事業者に代わって事業を監督する者(次条第一項第五号ロ及び第三項第三号ロにおいて「事業監督者」という。)又は事業者の被用者(以下「事業者等」と総称する。)が、これらの消費者に対し、これらの消費者に共通する事実上及び法律上の原因に基づき、個々の消費者の事情によりその金銭の支払請求に理由がない場合を除いて、金銭を支払う義務を負うべきことの確認を求める訴えをいう。 五 対象債権 共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に対する金銭の支払請求権であって、前号に規定する義務に係るものをいう。 六 対象消費者 対象債権を有する消費者をいう。 七 簡易確定手続 共通義務確認の訴えに係る訴訟(以下「共通義務確認訴訟」という。)の結果を前提として、この法律の規定による裁判所に対する第三十三条第二項に規定する債権届出に基づき、相手方が認否をし、第四十六条第一項に規定する認否を争う旨の申出がない場合はその認否により、同項に規定する認否を争う旨の申出がある場合は裁判所の決定により、対象債権及び第十一条第二項に規定する和解金債権(以下「対象債権等」という。)の存否及び内容を確定する裁判手続をいう。 八 異議後の訴訟 簡易確定手続における対象債権等の存否及び内容を確定する決定(以下「簡易確定決定」という。)に対して適法な異議の申立てがあった後の当該請求に係る訴訟をいう。 九 被害回復裁判手続 次に掲げる手続をいう。 イ 共通義務確認訴訟の手続、簡易確定手続及び異議後の訴訟の手続 ロ 特定適格消費者団体が対象債権等に関して取得した債務名義による民事執行の手続(民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第三十三条第一項、第三十四条第一項、第三十五条第一項、第三十八条第一項、第九十条第一項及び第百五十七条第一項の訴えに係る訴訟手続(第六十六条第一項第三号において「民事執行に係る訴訟手続」という。)を含む。)及び特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の実現を保全するための仮差押えの手続(民事保全法(平成元年法律第九十一号)第四十六条において準用する民事執行法第三十三条第一項、第三十四条第一項及び第三十八条第一項の訴えに係る訴訟手続(第六十六条第一項第一号において「仮差押えの執行に係る訴訟手続」という。)を含む。) 十 特定適格消費者団体 被害回復裁判手続を追行するのに必要な適格性を有する法人である適格消費者団体(消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体をいう。以下同じ。)として第七十一条の定めるところにより内閣総理大臣の認定を受けた者をいう。 第二章 被害回復裁判手続 第一節 共通義務確認訴訟に係る民事訴訟手続の特例 (共通義務確認の訴え) 第三条 特定適格消費者団体は、事業者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって消費者契約に関する第一号から第四号までに掲げる請求及び第五号イからハまでに掲げる者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって消費者契約に関する同号に掲げる請求(これらに附帯する利息、損害賠償、違約金又は費用の請求を含む。)に係るものについて、共通義務確認の訴えを提起することができる。 一 契約上の債務の履行の請求 二 不当利得に係る請求 三 契約上の債務の不履行による損害賠償の請求 四 不法行為に基づく損害賠償の請求(民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定によるものに限り、次号(イに係る部分に限る。)に掲げるものを除く。) 五 事業者の被用者が消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えたことを理由とする次のイからハまでに掲げる者に対する当該イからハまでに定める請求 イ 事業者(当該被用者の選任及びその事業の監督について故意又は重大な過失により相当の注意を怠ったものに限る。第三項第三号において同じ。) 民法第七百十五条第一項の規定による損害賠償の請求 ロ 事業監督者(当該被用者の選任及びその事業の監督について故意又は重大な過失により相当の注意を怠ったものに限る。第三項第三号ロにおいて同じ。) 民法第七百十五条第二項の規定による損害賠償の請求 ハ 被用者(第三者に損害を加えたことについて故意又は重大な過失があるものに限る。第三項第三号ハにおいて同じ。) 不法行為に基づく損害賠償の請求(民法の規定によるものに限る。) 2 次に掲げる損害については、前項第三号から第五号までに掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えを提起することができない。 一 契約上の債務の不履行又は不法行為により、物品、権利その他の消費者契約の目的となるもの(役務を除く。次号において同じ。)以外の財産が滅失し、又は損傷したことによる損害 二 消費者契約の目的となるものの提供があるとすればその処分又は使用により得るはずであった利益を喪失したことによる損害 三 契約上の債務の不履行又は不法行為により、消費者契約による製造、加工、修理、運搬又は保管に係る物品その他の消費者契約の目的となる役務の対象となったもの以外の財産が滅失し、又は損傷したことによる損害 四 消費者契約の目的となる役務の提供があるとすれば当該役務を利用すること又は当該役務の対象となったものを処分し、若しくは使用することにより得るはずであった利益を喪失したことによる損害 五 人の生命又は身体を害されたことによる損害 六 精神上の苦痛を受けたことによる損害(その額の算定の基礎となる主要な事実関係が相当多数の消費者について共通するものであり、かつ、次のイ又はロのいずれかに該当するものを除く。) イ 共通義務確認の訴えにおいて一の訴えにより、前項各号に掲げる請求(同項第三号から第五号までに掲げる請求にあっては、精神上の苦痛を受けたことによる損害に係る請求を含まないものに限る。以下このイにおいて「財産的請求」という。)と併せて請求されるものであって、財産的請求と共通する事実上の原因に基づくもの ロ 事業者の故意によって生じたもの 3 次の各号に掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えについては、当該各号に定める者を被告とする。 一 第一項第一号から第三号までに掲げる請求 消費者契約の相手方である事業者 二 第一項第四号に掲げる請求 消費者契約の相手方である事業者若しくはその債務の履行をする事業者又は消費者契約の締結について勧誘をし、当該勧誘をさせ、若しくは当該勧誘を助長する事業者 三 第一項第五号に掲げる請求 次に掲げる者 イ 消費者契約の相手方である事業者若しくはその債務の履行をする事業者又は消費者契約の締結について勧誘をし、当該勧誘をさせ、若しくは当該勧誘を助長する事業者であって、当該事業者の消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えた被用者を使用するもの ロ イに掲げる事業者の事業監督者 ハ イに掲げる事業者の被用者であって、当該事業者の消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えたもの 4 裁判所は、共通義務確認の訴えに係る請求を認容する判決をしたとしても、事案の性質、当該判決を前提とする簡易確定手続において予想される主張及び立証の内容その他の事情を考慮して、当該簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるときは、共通義務確認の訴えの全部又は一部を却下することができる。 (訴訟の目的の価額) 第四条 共通義務確認の訴えは、訴訟の目的の価額の算定については、財産権上の請求でない請求に係る訴えとみなす。 (訴状の記載事項) 第五条 共通義務確認の訴えの訴状には、対象債権及び対象消費者の範囲を記載して、請求の趣旨及び原因を特定しなければならない。 (管轄及び移送) 第六条 共通義務確認訴訟については、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第五条(第五号に係る部分を除く。)の規定は、適用しない。 2 次の各号に掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えは、当該各号に定める地を管轄する地方裁判所にも提起することができる。 一 第三条第一項第一号から第三号までに掲げる請求 義務履行地 二 第三条第一項第四号及び第五号に掲げる請求 不法行為があった地 3 対象消費者の数が五百人以上であると見込まれるときは、民事訴訟法第四条第一項若しくは第五条第五号又は前項の規定による管轄裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも、共通義務確認の訴えを提起することができる。 4 対象消費者の数が千人以上であると見込まれるときは、東京地方裁判所又は大阪地方裁判所にも、共通義務確認の訴えを提起することができる。 5 民事訴訟法第四条第一項、第五条第五号、第十一条第一項若しくは第十二条又は前三項の規定により二以上の地方裁判所が管轄権を有するときは、共通義務確認の訴えは、先に訴えの提起があった地方裁判所が管轄する。 ただし、その地方裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当該共通義務確認の訴えに係る訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。 6 裁判所は、共通義務確認訴訟がその管轄に属する場合においても、他の裁判所に事実上及び法律上同種の原因に基づく請求を目的とする共通義務確認訴訟が係属している場合において、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、当該共通義務確認訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所に移送することができる。 (弁論等の必要的併合) 第七条 請求の内容及び相手方が同一である共通義務確認訴訟が数個同時に係属するときは、その弁論及び裁判は、併合してしなければならない。 2 前項に規定する場合には、当事者は、その旨を裁判所に申し出なければならない。 (補助参加の禁止) 第八条 消費者は、民事訴訟法第四十二条の規定にかかわらず、共通義務確認訴訟の結果について利害関係を有する場合であっても、特定適格消費者団体を補助するため、その共通義務確認訴訟に参加することができない。 (保全開示命令等) 第九条 共通義務確認訴訟が係属する裁判所は、次に掲げる事由につき疎明があった場合には、当該共通義務確認訴訟の当事者である特定適格消費者団体の申立てにより、決定で、当該共通義務確認訴訟の当事者である事業者等に対して、第三十一条第一項の規定により事業者等が特定適格消費者団体に開示しなければならない同項に規定する文書について、同条第二項に規定する方法により開示することを命ずることができる。 一 第二条第四号に規定する義務が存すること。 二 当該文書について、あらかじめ開示がされなければその開示が困難となる事情があること。 2 前項の規定による命令(以下この条において「保全開示命令」という。)の申立ては、文書の表示を明らかにしてしなければならない。 3 裁判所は、保全開示命令の申立てについて決定をする場合には、事業者等を審尋しなければならない。 4 保全開示命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 保全開示命令は、執行力を有しない。 6 事業者等が正当な理由なく保全開示命令に従わないときは、裁判所は、決定で、三十万円以下の過料に処する。 7 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 8 民事訴訟法第百八十九条の規定は、第六項の規定による過料の裁判について準用する。 (確定判決の効力が及ぶ者の範囲) 第十条 共通義務確認訴訟の確定判決は、民事訴訟法第百十五条第一項の規定にかかわらず、当該共通義務確認訴訟の当事者以外の特定適格消費者団体及び当該共通義務確認訴訟に係る対象消費者の範囲に属する第三十三条第二項第一号に規定する届出消費者に対してもその効力を有する。 (共通義務確認訴訟における和解) 第十一条 共通義務確認訴訟の当事者は、当該共通義務確認訴訟において、当該共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に当該共通義務確認訴訟の目的である第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解をするときは、当該義務に関し、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。 一 対象債権及び対象消費者の範囲 二 当該義務に係る事実上及び法律上の原因 2 共通義務確認訴訟の当事者は、当該共通義務確認訴訟において、当該共通義務確認訴訟に係る対象債権に係る紛争の解決に関し、当該紛争に係る消費者の当該共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に対する対象債権以外の金銭の支払請求権(以下「和解金債権」という。)が存することを認める旨の和解をするときは、当該和解金債権に関し、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。 一 当該和解の目的となる権利又は法律関係の範囲 二 和解金債権の額又はその算定方法 三 和解金債権を有する消費者(第二十六条第一項第十号において「和解対象消費者」という。)の範囲 3 共通義務確認訴訟における和解において、当該共通義務確認訴訟の当事者である特定適格消費者団体が当該共通義務確認訴訟の目的である第二条第四号に規定する義務について共通義務確認の訴えを提起しない旨の定めがされたときは、当該定めは、当該共通義務確認訴訟の当事者以外の特定適格消費者団体に対してもその効力を有する。 (再審の訴え) 第十二条 共通義務確認の訴えが提起された場合において、原告及び被告が共謀して共通義務確認の訴えに係る対象消費者の権利を害する目的をもって判決をさせたときは、他の特定適格消費者団体は、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。 第二節 対象債権等の確定手続 第一款 簡易確定手続 第一目 通則 (簡易確定手続の当事者等) 第十三条 簡易確定手続は、共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した時又は請求の認諾等(請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解又は和解金債権が存することを認める旨の和解をいう。以下この条において同じ。)によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体(第九十三条第二項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた特定適格消費者団体。第十五条において同じ。)の申立てにより、当該判決が確定した時又は請求の認諾等によって当該共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった事業者等を相手方として、共通義務確認訴訟の第一審の終局判決をした地方裁判所(第一審において請求の認諾等によって共通義務確認訴訟が終了したときは、当該共通義務確認訴訟が係属していた地方裁判所)が行う。 (任意的口頭弁論) 第十四条 簡易確定手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。 2 前項の規定により口頭弁論をしない場合には、裁判所は、当事者を審尋することができる。 第二目 簡易確定手続の開始 (簡易確定手続開始の申立義務) 第十五条 共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した時又は請求の認諾によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 2 第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、当該義務に係る対象債権について、簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 ただし、当該対象債権のうち、当該和解においてその額又は算定方法のいずれかが定められている部分(当該和解において簡易確定手続開始の申立てをしなければならない旨が定められている部分を除く。)については、この限りでない。 3 和解金債権が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した場合において、当該和解において当該和解金債権の全部又は一部について簡易確定手続開始の申立てをしなければならない旨が定められているときは、当該共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、当該定めに係る和解金債権について簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 (簡易確定手続開始の申立期間) 第十六条 前条の場合において、簡易確定手続開始の申立ては、共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した日又は請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解若しくは和解金債権が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した日(第九十三条第二項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた日)から四月以内にしなければならない。 2 裁判所は、必要があると認めるときは、前条の規定により簡易確定手続開始の申立てをしなければならない特定適格消費者団体の申立てにより、二月以内の期間を定めて、前項の期間(この項の規定により当該期間が伸長された場合にあっては、当該伸長された期間。次項において同じ。)の伸長の決定をすることができる。 ただし、当該期間は、通じて八月を超えることができない。 3 裁判所は、前項の規定により第一項の期間の伸長の決定をしたときは、前条の規定により簡易確定手続開始の申立てをしなければならない特定適格消費者団体及び第十三条に規定する事業者等に対し、その旨を通知しなければならない。 (簡易確定手続開始の申立ての方式) 第十七条 簡易確定手続開始の申立ては、最高裁判所規則で定める事項を記載した書面でしなければならない。 (費用の予納) 第十八条 簡易確定手続開始の申立てをするときは、申立てをする特定適格消費者団体は、第二十三条第一項の規定による公告及び同条第二項の規定による通知に要する費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。 (簡易確定手続開始の申立ての取下げ) 第十九条 簡易確定手続開始の申立ては、裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による申立ての取下げについて準用する。 (簡易確定手続開始決定) 第二十条 裁判所は、簡易確定手続開始の申立てがあった場合には、当該申立てが不適法であると認めるとき又は第十八条に規定する費用の予納がないときを除き、簡易確定手続開始の決定(以下「簡易確定手続開始決定」という。)をする。 2 簡易確定手続開始の申立てを却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (簡易確定手続開始決定の方式) 第二十一条 簡易確定手続開始決定は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項を記載した決定書を作成してしなければならない。 一 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められたとき 当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 二 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をしたとき 当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 (簡易確定手続開始決定と同時に定めるべき事項) 第二十二条 裁判所は、簡易確定手続開始決定と同時に、当該簡易確定手続開始決定に係る簡易確定手続開始の申立てをした特定適格消費者団体(第九十三条第一項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた特定適格消費者団体。以下「簡易確定手続申立団体」という。)が第三十三条第二項に規定する債権届出をすべき期間(以下「届出期間」という。)及びその債権届出に対して簡易確定手続の相手方(以下この款において単に「相手方」という。)が認否をすべき期間(以下「認否期間」という。)を定めなければならない。 (簡易確定手続開始の公告等) 第二十三条 裁判所は、簡易確定手続開始決定をしたときは、直ちに、官報に掲載して次に掲げる事項を公告しなければならない。 一 簡易確定手続開始決定の主文 二 第二十一条各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項 三 簡易確定手続申立団体の名称及び住所 四 届出期間及び認否期間 2 裁判所は、簡易確定手続申立団体及び相手方に対し、前項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。 (重複する簡易確定手続開始の申立ての禁止) 第二十四条 簡易確定手続開始決定がされた事件については、特定適格消費者団体は、更に簡易確定手続開始の申立てをすることができない。 (届出期間又は認否期間の伸長) 第二十五条 裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、届出期間又は認否期間の伸長の決定をすることができる。 2 裁判所は、前項の規定により届出期間又は認否期間の伸長の決定をしたときは、簡易確定手続申立団体及び相手方に対し、その旨を通知しなければならない。 3 裁判所は、第一項の規定により届出期間又は認否期間の伸長の決定をしたときは、直ちに、官報に掲載してその旨を公告しなければならない。 第三目 簡易確定手続申立団体による公告及び通知等 (簡易確定手続申立団体による公告等) 第二十六条 簡易確定手続開始決定がされたときは、簡易確定手続申立団体は、正当な理由がある場合を除き、届出期間の末日の一月前までに、次に掲げる事項を相当な方法により公告しなければならない。 一 被害回復裁判手続の概要 二 被害回復裁判手続の事案の内容 三 共通義務確認訴訟の確定判決の内容(請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解又は和解金債権が存することを認める旨の和解がされた場合には、その内容) 四 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められた場合には、当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 五 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をした場合には、当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 六 共通義務確認訴訟における和解において対象債権等の額又は算定方法が定められた場合には、当該額又は算定方法 七 簡易確定手続申立団体の名称及び住所 八 簡易確定手続申立団体の連絡先 九 簡易確定手続申立団体が支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項 十 対象消費者等(対象消費者及び和解対象消費者をいう。以下同じ。)が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする方法 十一 対象消費者等が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする期間 十二 その他内閣府令で定める事項 2 前項の規定による公告後、届出期間中に同項第七号に掲げる事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を、相当な方法により公告するとともに、裁判所及び相手方に通知しなければならない。 この場合において、当該通知を受けた裁判所は、直ちに、官報に掲載してその旨を公告しなければならない。 3 第一項の規定による公告後、届出期間中に同項第八号から第十二号までに掲げる事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を、相当な方法により公告しなければならない。 (簡易確定手続申立団体による通知) 第二十七条 簡易確定手続開始決定がされたときは、簡易確定手続申立団体は、正当な理由がある場合を除き、届出期間の末日の一月前までに、知れている対象消費者等(次条第一項の規定による通知(以下この目及び第九十八条第二項第二号において「相手方通知」という。)を受けたものを除く。)に対し、前条第一項各号に掲げる事項を書面又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下同じ。)であって内閣府令で定めるものにより通知しなければならない。 2 前項の規定にかかわらず、同項の規定による通知において次に掲げる事項を記載する場合には、前条第一項第一号、第三号、第六号、第九号、第十号及び第十二号に掲げる事項を記載することを要しない。 一 前条第一項の規定により公告を行っている旨 二 当該公告の方法 三 その他内閣府令で定める事項 (相手方による通知) 第二十八条 相手方は、簡易確定手続申立団体の求め(相手方通知のため通常必要な期間を考慮して内閣府令で定める日までにされたものに限る。)があるときは、届出期間の末日の二月以上前の日であって内閣府令で定める日までに、当該求めに係る知れている対象消費者等に対し、次に掲げる事項を書面又は電磁的方法であって内閣府令で定めるものにより通知しなければならない。 一 被害回復裁判手続の事案の内容 二 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められた場合には、当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 三 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をした場合には、当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 四 簡易確定手続申立団体の名称、住所及び連絡先 五 対象消費者等が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする期間 六 簡易確定手続申立団体が第二十六条第一項の規定により公告を行っている旨 七 当該公告の方法 八 相手方の氏名又は名称、住所及び連絡先 九 その他内閣府令で定める事項 2 簡易確定手続申立団体は、相手方に対し、前項の求めをするときは、同項第四号に掲げる連絡先、同項第五号から第七号までに掲げる事項その他内閣府令で定める事項を通知しなければならない。 3 相手方は、相手方通知をしたときは、当該相手方通知をした時から一週間以内に、第一項の求めをした簡易確定手続申立団体に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。 一 相手方通知をした対象消費者等の氏名及び住所又は連絡先 二 相手方通知をした日 三 その他内閣府令で定める事項 (相手方による公表) 第二十九条 相手方は、簡易確定手続申立団体の求めがあるときは、遅滞なく、インターネットの利用、営業所その他の場所において公衆に見やすいように掲示する方法その他これらに類する方法により、届出期間中、前条第一項各号に掲げる事項(同項第四号、第五号、第八号又は第九号に掲げる事項に変更があったときは、変更後の当該各号に掲げる事項)を公表しなければならない。 2 前条第二項の規定は、簡易確定手続申立団体が相手方に対し前項の求めをするときについて準用する。 この場合において、同条第二項中「ならない」とあるのは、「ならない。この場合において、当該求めの後、届出期間中に前項第四号又は第五号に掲げる事項その他内閣府令で定める事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を相手方に通知しなければならない」と読み替えるものとする。 (対象消費者等に関する情報に係る回答義務) 第三十条 相手方は、簡易確定手続申立団体から次に掲げる事項について照会があるときは、当該照会があった時から一週間以内に、当該簡易確定手続申立団体に対し、書面又は電磁的方法であって内閣府令で定めるものにより回答しなければならない。 一 対象消費者等の数の見込み 二 知れている対象消費者等の数 三 相手方通知をする時期の見込み 四 その他内閣府令で定める事項 (情報開示義務) 第三十一条 相手方は、対象消費者等の氏名及び住所又は連絡先(内閣府令で定めるものに限る。次項において同じ。)が記載された文書(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をもって作成されている場合における当該電磁的記録を含む。)を所持する場合において、届出期間中に簡易確定手続申立団体の求めがあるときは、当該文書を当該簡易確定手続申立団体に開示することを拒むことができない。 ただし、相手方が開示すべき文書の範囲を特定するために不相当な費用又は時間を要するときは、この限りでない。 2 前項に規定する文書の開示は、その写しの交付(電磁的記録については、当該電磁的記録を出力した書面の交付又は当該電磁的記録に記録された情報の電磁的方法による提供であって内閣府令で定めるもの)により行う。 この場合において、相手方は、個人(対象消費者等でないことが明らかである者を除く。)の氏名及び住所又は連絡先が記載された部分以外の部分を除いて開示することができる。 3 相手方は、第一項に規定する文書の開示をしないときは、簡易確定手続申立団体に対し、速やかに、その旨及びその理由を書面により通知しなければならない。 (情報開示命令等) 第三十二条 簡易確定手続申立団体は、届出期間中、裁判所に対し、情報開示命令(前条第一項の規定により相手方が簡易確定手続申立団体に開示しなければならない同項に規定する文書について、同条第二項に規定する方法による開示を相手方に命ずる旨の決定をいう。以下この条において同じ。)の申立てをすることができる。 2 情報開示命令の申立ては、文書の表示を明らかにしてしなければならない。 3 裁判所は、情報開示命令の申立てを理由があると認めるときは、情報開示命令を発する。 4 裁判所は、情報開示命令の申立てについて決定をする場合には、相手方を審尋しなければならない。 5 情報開示命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。 6 情報開示命令は、執行力を有しない。 7 相手方が正当な理由なく情報開示命令に従わないときは、裁判所は、決定で、三十万円以下の過料に処する。 8 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 9 民事訴訟法第百八十九条の規定は、第七項の規定による過料の裁判について準用する。 第四目 対象債権等の確定 (債権届出) 第三十三条 簡易確定手続開始決定に係る対象債権等については、簡易確定手続申立団体に限り、届け出ることができる。 2 前項の規定による届出(以下「債権届出」という。)は、届出期間内に、次に掲げる事項を記載した書面(以下この節において「届出書」という。)を簡易確定手続開始決定をした裁判所に提出してしなければならない。 一 対象債権等について債権届出をする簡易確定手続申立団体、相手方及び届出消費者(対象債権等として裁判所に債権届出があった債権(以下「届出債権」という。)の債権者である消費者をいう。以下同じ。)並びにこれらの法定代理人 二 請求の趣旨及び原因(請求の原因については、共通義務確認訴訟において認められた義務又は和解金債権に係る事実上及び法律上の原因を前提とするものに限る。) 三 前二号に掲げるもののほか、最高裁判所規則で定める事項 3 簡易確定手続申立団体は、債権届出の時に対象消費者が事業者等に対して対象債権に基づく訴えを提起するとすれば民事訴訟法第一編第二章第一節の規定により日本の裁判所が管轄権を有しないときは、第一項の規定にかかわらず、当該対象債権については、債権届出をすることができない。 4 簡易確定手続申立団体は、対象消費者等が提起したその有する対象債権等に基づく訴訟が裁判所に係属しているときは、第一項の規定にかかわらず、当該対象債権等については、債権届出をすることができない。 (簡易確定手続についての対象消費者等の授権) 第三十四条 簡易確定手続申立団体は、対象債権等について債権届出をし、及び当該対象債権等について簡易確定手続を追行するには、当該対象債権等に係る対象消費者等の授権がなければならない。 2 前項の対象消費者等は、簡易確定手続申立団体のうちから一の簡易確定手続申立団体を限り、同項の授権をすることができる。 3 第一項の授権をした対象消費者等は、当該授権を取り消すことができる。 4 前項の規定による第一項の授権の取消しは、当該授権をした対象消費者等又は当該授権を得た簡易確定手続申立団体から相手方に通知しなければ、その効力を生じない。 5 第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、当該授権は、その効力を失う。 6 簡易確定決定があるまでに簡易確定手続申立団体が届出債権について第一項の授権を欠いたとき(前項の規定により当該授権がその効力を失ったときを除く。)は、当該届出債権については、債権届出の取下げがあったものとみなす。 7 債権届出に係る簡易確定手続申立団体(以下「債権届出団体」という。)の第七十一条第一項に規定する特定認定が、簡易確定決定があるまでに、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、届出消費者は、第二項の規定にかかわらず、第九十三条第六項の規定による公示がされた後一月の不変期間内に、同条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体に第一項の授権をすることができる。 8 前項の届出消費者が同項の期間内に第一項の授権をしないときは、その届出債権については、債権届出の取下げがあったものとみなす。 9 簡易確定決定があった後に、届出消費者が第三項の規定により第一項の授権を取り消したときは、当該届出消費者は、更に簡易確定手続申立団体に同項の授権をすることができない。 (説明義務) 第三十五条 簡易確定手続申立団体は、前条第一項の授権に先立ち、当該授権をしようとする者に対し、内閣府令で定めるところにより、被害回復裁判手続の概要及び事案の内容その他内閣府令で定める事項について、これを記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供して説明をしなければならない。 (簡易確定手続授権契約の締結及び解除) 第三十六条 簡易確定手続申立団体は、やむを得ない理由があるときを除いては、簡易確定手続授権契約(対象消費者等が第三十四条第一項の授権をし、簡易確定手続申立団体が対象債権等について債権届出をすること及び簡易確定手続を追行することを約する契約をいう。以下同じ。)の締結を拒絶してはならない。 2 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、やむを得ない理由があるときを除いては、簡易確定手続授権契約を解除してはならない。 (公平誠実義務等) 第三十七条 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、当該授権をした対象消費者等のために、公平かつ誠実に債権届出、簡易確定手続の追行及び第二条第九号ロに規定する民事執行の手続の追行(当該授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。)並びにこれらに伴い取得した金銭その他の財産の管理をしなければならない。 2 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、当該授権をした対象消費者等に対し、善良な管理者の注意をもって前項に規定する行為をしなければならない。 (届出書の送達) 第三十八条 裁判所は、第三十三条第二項の規定による届出書の提出を受けたときは、次条第一項又は第六十九条第一項の規定により債権届出を却下する場合を除き、遅滞なく、当該届出書を相手方に送達しなければならない。 (不適法な債権届出の却下) 第三十九条 裁判所は、債権届出が不適法であると認めるとき、又は届出書の送達に必要な費用の予納がないときは、決定で、当該債権届出を却下しなければならない。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (簡易確定手続における和解) 第四十条 債権届出団体は、簡易確定手続において、届出債権について、和解をすることができる。 (債権届出があったときの時効の完成猶予及び更新) 第四十一条 債権届出があったときは、当該債権届出に係る対象債権の時効の完成猶予及び更新に関しては、簡易確定手続の前提となる共通義務確認の訴えを提起し、又は民事訴訟法第百四十三条第二項の書面を当該共通義務確認の訴えが係属していた裁判所に提出した時に、裁判上の請求があったものとみなす。 (債権届出の内容の変更の制限) 第四十二条 債権届出団体は、届出期間内に限り、当該債権届出の内容を変更することができる。 (債権届出の取下げ) 第四十三条 債権届出は、簡易確定決定に対し適法な異議の申立てがあるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、簡易確定決定があった後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による債権届出の取下げについて準用する。 (届出消費者表の作成等) 第四十四条 裁判所書記官は、届出債権について、届出消費者表を作成しなければならない。 2 前項の届出消費者表には、各届出債権について、その内容その他最高裁判所規則で定める事項を記載しなければならない。 3 届出消費者表の記載に誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでもその記載を更正する処分をすることができる。 (届出債権の認否) 第四十五条 相手方は、届出期間内に債権届出があった届出債権の内容について、認否期間内に、認否をしなければならない。 2 認否期間内に前項の認否(以下「届出債権の認否」という。)がないときは、相手方において、届出期間内に債権届出があった届出債権の内容の全部を認めたものとみなす。 3 相手方が、認否期間内に届出債権の内容の全部を認めたときは、当該届出債権の内容は、確定する。 4 裁判所書記官は、届出債権の認否の内容を届出消費者表に記載しなければならない。 5 第三項の規定により確定した届出債権については、届出消費者表の記載は、確定判決と同一の効力を有する。 この場合において、債権届出団体は、確定した届出債権について、相手方に対し、届出消費者表の記載により強制執行をすることができる。 (認否を争う旨の申出) 第四十六条 債権届出団体は、前条第三項の規定により届出債権の内容が確定したときを除き、届出債権の認否に対し、認否期間の末日から一月の不変期間内に、裁判所に届出債権の認否を争う旨の申出(以下単に「認否を争う旨の申出」という。)をすることができる。 2 裁判所は、認否を争う旨の申出が不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。 3 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 裁判所書記官は、認否を争う旨の申出の有無を届出消費者表に記載しなければならない。 (簡易確定決定) 第四十七条 裁判所は、適法な認否を争う旨の申出があったときは、第三十九条第一項又は第六十九条第一項の規定により債権届出を却下する場合を除き、簡易確定決定をしなければならない。 2 裁判所は、簡易確定決定をする場合には、当事者双方を審尋しなければならない。 3 簡易確定決定は、主文及び理由の要旨を記載した決定書を作成してしなければならない。 4 届出債権の支払を命ずる簡易確定決定(第五十九条及び第八十九条第一項第二号において「届出債権支払命令」という。)については、裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言することができる。 5 第三項の決定書は、当事者に送達しなければならない。 この場合においては、簡易確定決定の効力は、当事者に送達された時に生ずる。 (証拠調べの制限) 第四十八条 簡易確定決定のための審理においては、証拠調べは、書証に限りすることができる。 2 文書の提出又は対照の用に供すべき筆跡若しくは印影を備える物件の提出の命令は、することができない。 3 前二項の規定は、裁判所が職権で調査すべき事項には、適用しない。 (異議の申立て等) 第四十九条 当事者は、簡易確定決定に対し、第四十七条第五項の規定による送達を受けた日から一月の不変期間内に、当該簡易確定決定をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 2 届出消費者は、簡易確定決定に対し、債権届出団体が第四十七条第五項の規定による送達を受けた日から一月の不変期間内に、当該簡易確定決定をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 3 裁判所は、異議の申立てが不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。 4 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 適法な異議の申立てがあったときは、簡易確定決定は、仮執行の宣言を付したものを除き、その効力を失う。 6 適法な異議の申立てがないときは、簡易確定決定は、確定判決と同一の効力を有する。 7 民事訴訟法第三百五十八条及び第三百六十条の規定は、第一項及び第二項の異議について準用する。 (認否を争う旨の申出がないときの届出債権の確定等) 第五十条 適法な認否を争う旨の申出がないときは、届出債権の内容は、届出債権の認否の内容により確定する。 2 前項の規定により確定した届出債権については、届出消費者表の記載は、確定判決と同一の効力を有する。 この場合において、債権届出団体は、確定した届出債権について、相手方に対し、届出消費者表の記載により強制執行をすることができる。 第五目 費用の負担 (個別費用を除く簡易確定手続の費用の負担) 第五十一条 簡易確定手続の費用(債権届出の手数料及び簡易確定手続における届出債権に係る申立ての手数料(次条第一項及び第三項において「個別費用」と総称する。)を除く。以下この条において同じ。)は、各自が負担する。 2 前項の規定にかかわらず、裁判所は、事情により、同項の規定によれば当事者がそれぞれ負担すべき費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の当事者に負担させることができる。 3 裁判所は、簡易確定手続に係る事件が終了した場合において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、簡易確定手続の費用の負担を命ずる決定をすることができる。 4 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 民事訴訟法第六十九条から第七十二条まで及び第七十四条の規定は、簡易確定手続の費用の負担について準用する。 (個別費用の負担) 第五十二条 裁判所は、届出債権について簡易確定手続に係る事件が終了した場合(第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合には、異議後の訴訟が終了した場合)において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当該事件に関する個別費用の負担を命ずる決定をすることができる。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 3 民事訴訟法第一編第四章第一節(第六十五条、第六十六条、第六十七条第二項及び第七十三条を除く。)の規定は、個別費用の負担について準用する。 第六目 補則 (民事訴訟法の準用) 第五十三条 特別の定めがある場合を除き、簡易確定手続については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第二条、第十四条、第十六条、第二十一条、第二十二条、第一編第二章第三節、第三章(第三十条、第四十条から第四十九条まで、第五十二条及び第五十三条を除く。)、第五章(第八十七条、第八十七条の二、第九十一条第一項及び第二項、第九十二条第六項から第八項まで、第二節、第百十六条並びに第百十八条を除く。)及び第七章、第二編第一章(第百三十四条、第百三十四条の二、第百三十七条第二項及び第三項、第百三十八条第一項、第百三十九条、第百四十条並びに第百四十三条から第百四十六条までを除く。)、第三章(第百五十六条の二、第百五十七条の二、第百五十八条、第百五十九条第三項、第百六十一条第三項及び第三節を除く。)、第四章(第七節を除く。)、第五章(第二百四十五条、第二百四十九条から第二百五十二条まで、第二百五十三条第二項、第二百五十四条、第二百五十五条、第二百五十八条第二項から第四項まで並びに第二百五十九条第一項及び第二項を除く。)及び第六章(第二百六十一条から第二百六十三条まで及び第二百六十六条を除く。)、第三編第三章、第四編並びに第八編(第四百三条第一項第二号及び第四号から第六号までを除く。)の規定を準用する。 (簡易確定手続に係る事件の記録の閲覧) 第五十四条 簡易確定手続の当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、簡易確定手続に係る事件の記録の閲覧を請求することができる。 (送達の特例) 第五十五条 第五十三条において準用する民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出がない場合には、送達は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場所においてする。 一 共通義務確認訴訟において民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出があった場合 当該届出に係る場所 二 共通義務確認訴訟において民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出がなかった場合 当該共通義務確認訴訟における同条第三項に規定する場所 第二款 異議後の訴訟に係る民事訴訟手続の特例 (訴え提起の擬制等) 第五十六条 簡易確定決定に対し適法な異議の申立てがあったときは、債権届出に係る請求については、当該債権届出の時に、当該債権届出に係る債権届出団体(当該債権届出に係る届出消費者が当該異議の申立てをしたときは、その届出消費者)を原告として、当該簡易確定決定をした地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。 この場合においては、届出書を訴状と、第三十八条の規定による送達を訴状の送達とみなす。 2 前項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件は、同項の地方裁判所の管轄に専属する。 3 前項の事件が係属する地方裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、同項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、その事件に係る訴訟を民事訴訟法第四条第一項又は第五条第一号、第五号若しくは第九号の規定により管轄権を有する地方裁判所に移送することができる。 (異議後の訴訟についての届出消費者の授権) 第五十七条 債権届出団体は、異議後の訴訟を追行するには、届出消費者の授権がなければならない。 2 届出消費者は、その届出債権に係る債権届出団体に限り、前項の授権をすることができる。 3 届出消費者が第八項において準用する第三十四条第三項の規定により第一項の授権を取り消し、又は自ら異議後の訴訟を追行したときは、当該届出消費者は、更に債権届出団体に同項の授権をすることができない。 4 債権届出団体は、正当な理由があるときを除いては、訴訟授権契約(届出消費者が第一項の授権をし、債権届出団体が異議後の訴訟を追行することを約する契約をいう。以下同じ。)の締結を拒絶してはならない。 5 第一項の授権を得た債権届出団体は、正当な理由があるときを除いては、訴訟授権契約を解除してはならない。 6 第一項の授権を得た債権届出団体は、当該授権をした届出消費者のために、公平かつ誠実に異議後の訴訟の追行及び第二条第九号ロに規定する民事執行の手続の追行(当該授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。)並びにこれらに伴い取得した金銭その他の財産の管理をしなければならない。 7 第一項の授権を得た債権届出団体は、当該授権をした届出消費者に対し、善良な管理者の注意をもって前項に規定する行為をしなければならない。 8 第三十四条第三項から第五項まで及び第三十五条の規定は、第一項の授権について準用する。 9 民事訴訟法第五十八条第二項並びに第百二十四条第一項(第六号に係る部分に限る。)及び第二項の規定は、異議後の訴訟において債権届出団体が第一項の授権を欠くときについて準用する。 (訴えの変更の制限等) 第五十八条 異議後の訴訟においては、原告は、訴えの変更(届出消費者又は請求額の変更を内容とするものを除く。)をすることができない。 2 異議後の訴訟においては、反訴を提起することができない。 (異議後の判決) 第五十九条 仮執行の宣言を付した届出債権支払命令に係る請求について第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合において、当該訴えについてすべき判決が届出債権支払命令と符合するときは、その判決において、届出債権支払命令を認可しなければならない。 ただし、届出債権支払命令の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。 2 前項の規定により届出債権支払命令を認可する場合を除き、仮執行の宣言を付した届出債権支払命令に係る請求について第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合における当該訴えについてすべき判決においては、届出債権支払命令を取り消さなければならない。 (訴えの取下げの制限) 第六十条 異議後の訴訟においては、訴えの取下げは、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 第三節 特定適格消費者団体のする仮差押え (特定適格消費者団体のする仮差押え) 第六十一条 特定適格消費者団体は、当該特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の実現を保全するため、民事保全法の規定により、仮差押命令の申立てをすることができる。 2 特定適格消費者団体は、保全すべき権利に係る金銭の支払義務について共通義務確認の訴えを提起することができる場合に限り、前項の申立てをすることができる。 3 第一項の申立てにおいては、保全すべき権利について、対象債権及び対象消費者の範囲並びに当該特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の総額を明らかにすれば足りる。 4 特定適格消費者団体は、対象債権について、第一項の規定によるもののほか、保全命令の申立てをすることができない。 (管轄) 第六十二条 前条第一項の申立てに関する民事保全法第十一条の規定の適用については、共通義務確認の訴えを本案の訴えとみなす。 2 民事保全法第十二条第一項及び第三項の規定の適用については、共通義務確認訴訟の管轄裁判所を本案の管轄裁判所とみなす。 (保全取消しに関する本案の特例) 第六十三条 第六十一条第一項の申立てに係る仮差押命令(以下単に「仮差押命令」という。)に関する民事保全法第三十七条第一項、第三項及び第四項の規定の適用については、当該申立てに係る仮差押えの手続の当事者である特定適格消費者団体がした共通義務確認の訴えの提起を本案の訴えの提起とみなす。 2 前項の共通義務確認の訴えに係る請求を認容する判決が確定したとき又は請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解若しくは和解金債権が存することを認める旨の和解によって同項の共通義務確認の訴えに係る訴訟が終了したときは、同項の特定適格消費者団体が簡易確定手続開始の申立てをすることができる期間及び当該特定適格消費者団体を当事者とする簡易確定手続又は異議後の訴訟が係属している間は、民事保全法第三十七条第一項及び第三項の規定の適用については、本案の訴えが係属しているものとみなす。 3 民事保全法第三十八条及び第四十条の規定の適用については、第六十一条第一項の申立てに係る仮差押えの手続の当事者である特定適格消費者団体が提起した共通義務確認訴訟に係る第一審裁判所(当該共通義務確認訴訟が控訴審に係属するときは、控訴裁判所)を本案の裁判所とみなす。 (仮差押えをした特定適格消費者団体の義務) 第六十四条 特定適格消費者団体は、仮差押命令に係る仮差押えの執行がされている財産について強制執行の申立てをし、又は当該財産について強制執行若しくは担保権の実行の手続がされている場合において配当要求をするときは、当該特定適格消費者団体が取得した債務名義及び取得することとなる債務名義に係る届出債権を平等に取り扱わなければならない。 第四節 補則 (訴訟代理権の不消滅) 第六十五条 訴訟代理権は、被害回復裁判手続の当事者である特定適格消費者団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたことによっては、消滅しない。 (手続の中断及び受継) 第六十六条 次の各号に掲げる手続の当事者である特定適格消費者団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、その手続は、中断する。 この場合において、それぞれ当該各号に定める者は、その手続を受け継がなければならない。 一 共通義務確認訴訟の手続、簡易確定手続(次号に掲げる簡易確定手続を除く。)又は仮差押命令に係る仮差押えの手続(仮差押えの執行に係る訴訟手続を含む。) 第九十三条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体 二 簡易確定手続(簡易確定決定があった後の手続に限る。)又は異議後の訴訟の手続 第九十三条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体(第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権を得た場合に限る。)又は届出消費者 三 特定適格消費者団体が対象債権等に関して取得した債務名義に係る民事執行に係る訴訟手続 第九十三条第三項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体 2 前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない。 3 第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定は、共通義務確認訴訟又は簡易確定手続(特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合を除く。)において、他に当事者である特定適格消費者団体がある場合には、適用しない。 (関連する請求に係る訴訟手続の中止) 第六十七条 共通義務確認訴訟が係属する場合において、当該共通義務確認訴訟の当事者である事業者等と対象消費者との間に他の訴訟が係属し、かつ、当該他の訴訟が当該共通義務確認訴訟の目的である請求又は防御の方法と関連する請求に係るものであるときは、当該他の訴訟の受訴裁判所は、当事者の意見を聴いて、決定で、その訴訟手続の中止を命ずることができる。 2 前項の受訴裁判所は、同項の決定を取り消すことができる。 (対象消費者による訴えの提起等があったときの時効の完成猶予) 第六十八条 次の表の上欄に掲げる場合において、同表の中欄に掲げる日から六月以内に、同表の下欄に掲げる対象債権について民法第百四十七条第一項各号に掲げる事由があるときは、当該対象債権の時効の完成猶予に関しては、共通義務確認の訴えを提起し、又は民事訴訟法第百四十三条第二項の書面を当該共通義務確認の訴えが係属していた裁判所に提出した時に、当該事由があったものとみなす。 一 共通義務確認の訴えの取下げの効力が生じた場合 当該取下げの効力が生じた日 当該取り下げられた共通義務確認の訴えに係る対象債権 二 共通義務確認の訴えを却下する裁判が確定した場合 当該裁判が確定した日 当該却下された共通義務確認の訴えに係る対象債権 三 第十五条第一項に規定する特定適格消費者団体が第十六条第一項の期間(同条第二項の規定により当該期間が伸長された場合にあっては、当該伸長された期間。次号において同じ。)内に簡易確定手続開始の申立てをしなかった場合 当該期間の満了の日 共通義務確認訴訟において認められた義務に係る対象債権 四 第十五条第二項に規定する特定適格消費者団体が第十六条第一項の期間内に簡易確定手続開始の申立てをしなかった場合 当該期間の満了の日 当該和解において認められた義務に係る対象債権(第十五条第二項ただし書に規定する部分を除く。) 五 簡易確定手続開始の申立ての取下げ(届出期間満了後にされたものを除く。)の効力が生じた場合 当該取下げの効力が生じた日 当該取り下げられた申立てに係る対象債権 六 第十三条に規定する簡易確定手続開始の申立てを却下する裁判(第十六条第一項又は第二十四条の規定に違反することを理由とするものを除く。)が確定した場合 当該裁判が確定した日 当該却下された申立てに係る対象債権 (共通義務確認訴訟の判決が再審により取り消された場合の取扱い) 第六十九条 簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が再審により取り消された場合には、簡易確定手続が係属する裁判所は、決定で、債権届出(当該簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が取り消されたことによってその前提を欠くこととなる部分に限る。)を却下しなければならない。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件が係属する裁判所は、判決で、当該訴え(当該簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が取り消されたことによってその前提を欠くこととなる部分に限る。)を却下しなければならない。 (最高裁判所規則) 第七十条 この章に定めるもののほか、被害回復裁判手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第三章 特定適格消費者団体 第一節 特定適格消費者団体の認定等 (特定適格消費者団体の認定) 第七十一条 適格消費者団体は、内閣総理大臣の認定(以下「特定認定」という。)を受けた場合に限り、被害回復関係業務を行うことができる。 2 前項に規定する「被害回復関係業務」とは、次に掲げる業務をいう。 一 被害回復裁判手続に関する業務(第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。) 二 前号に掲げる業務の遂行に必要な消費者の被害に関する情報の収集に係る業務 三 第一号に掲げる業務に付随する対象消費者等に対する情報の提供及び金銭その他の財産の管理に係る業務 3 特定認定を受けようとする適格消費者団体は、内閣総理大臣に特定認定の申請をしなければならない。 4 内閣総理大臣は、前項の申請をした適格消費者団体が次に掲げる要件の全てに適合しているときに限り、特定認定をすることができる。 一 差止請求関係業務(消費者契約法第十三条第一項に規定する差止請求関係業務をいう。以下同じ。)を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。 二 第二項に規定する被害回復関係業務(以下単に「被害回復関係業務」という。)の実施に係る組織、被害回復関係業務の実施の方法、被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、被害回復関係業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の被害回復関係業務を適正に遂行するための体制及び業務規程が適切に整備されていること。 三 その理事に関し、次に掲げる要件に適合するものであること。 イ 被害回復関係業務の執行を決定する機関として理事をもって構成する理事会が置かれており、かつ、定款で定めるその決定の方法が次に掲げる要件に適合していると認められること。 (1) 当該理事会の決議が理事の過半数又はこれを上回る割合以上の多数決により行われるものとされていること。 (2) 共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復関係業務の執行に係る重要な事項の決定が理事その他の者に委任されていないこと。 ロ 理事のうち一人以上が弁護士であること。 四 共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復裁判手続についての検討を行う部門において消費者契約法第十三条第三項第五号イ及びロに掲げる者(以下「専門委員」と総称する。)が共にその専門的な知識経験に基づいて必要な助言を行い又は意見を述べる体制が整備されていることその他被害回復関係業務を遂行するための人的体制に照らして、被害回復関係業務を適正に遂行することができる専門的な知識経験を有すると認められること。 五 被害回復関係業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。 六 被害回復関係業務に関して支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項を定めており、これが消費者の利益の擁護の見地から不当なものでないこと。 七 被害回復関係業務以外の業務を行うことによって被害回復関係業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。 5 前項第二号の業務規程には、被害回復関係業務の実施の方法、被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、被害回復関係業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の内閣府令で定める事項が定められていなければならない。 この場合において、業務規程に定める被害回復関係業務の実施の方法には、簡易確定手続授権契約及び訴訟授権契約の内容並びに請求の放棄、和解又は上訴の取下げをしようとする場合において第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権をした者(第八十二条第一項において単に「授権をした者」という。)の意思を確認するための措置、前項第四号の検討を行う部門における専門委員からの助言又は意見の聴取に関する措置及び役員、職員又は専門委員が被害回復裁判手続の相手方と特別の利害関係を有する場合の措置その他業務の公正な実施の確保に関する措置が含まれていなければならない。 6 次の各号のいずれかに該当する適格消費者団体は、特定認定を受けることができない。 一 この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しないもの 二 第九十二条第一項各号又は第二項各号に掲げる事由により特定認定を取り消され、その取消しの日から三年を経過しないもの 三 役員のうちに次のイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの イ この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者 ロ 特定適格消費者団体が第九十二条第一項各号又は第二項各号に掲げる事由により特定認定を取り消された場合において、その取消しの日前六月以内に当該特定適格消費者団体の役員であった者でその取消しの日から三年を経過しないもの (特定認定の申請) 第七十二条 前条第三項の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。 一 名称及び住所並びに代表者の氏名 二 被害回復関係業務を行おうとする事務所の所在地 三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項 2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 定款 二 差止請求関係業務を相当期間にわたり継続して適正に行っていることを証する書類 三 被害回復関係業務に関する業務計画書 四 被害回復関係業務を適正に遂行するための体制が整備されていることを証する書類 五 業務規程 六 役員、職員及び専門委員に関する次に掲げる書類 イ 氏名、役職及び職業を記載した書類 ロ 住所、略歴その他内閣府令で定める事項を記載した書類 七 最近の事業年度における財産目録、貸借対照表又は次のイ若しくはロに掲げる法人の区分に応じ、当該イ若しくはロに定める書類(第九十九条第二項第七号及び第百十条第一項において「財産目録等」という。)その他の経理的基礎を有することを証する書類 イ 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人(第九十八条第一項及び第二項において単に「特定非営利活動法人」という。) 同法第二十七条第三号に規定する活動計算書 ロ 一般社団法人又は一般財団法人 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第百二十三条第二項(同法第百九十九条において準用する場合を含む。)に規定する損益計算書(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第五条に規定する公益認定を受けている場合にあっては、内閣府令で定める書類) 八 被害回復関係業務に関して支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項を記載した書類 九 前条第六項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面 十 被害回復関係業務以外に行う業務の種類及び概要を記載した書類 十一 その他内閣府令で定める書類 (特定認定の申請に関する公告及び縦覧) 第七十三条 内閣総理大臣は、特定認定の申請があった場合には、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨並びに前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項を公告するとともに、同条第二項各号(第六号ロ、第九号及び第十一号を除く。)に掲げる書類を、公告の日から二週間、公衆の縦覧に供しなければならない。 (特定認定の公示等) 第七十四条 内閣総理大臣は、特定認定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該特定適格消費者団体の名称及び住所、被害回復関係業務を行う事務所の所在地並びに当該特定認定をした日を公示するとともに、当該特定適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。 2 特定適格消費者団体は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体である旨について、被害回復関係業務を行う事務所において見やすいように掲示するとともに、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。第百一条第二項において同じ。)により公衆の閲覧に供しなければならない。 3 特定適格消費者団体でない者は、その名称中に特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある文字を用い、又はその業務に関し、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。 (特定認定の有効期間等) 第七十五条 特定認定の有効期間は、当該特定認定の日における当該特定認定に係る消費者契約法第十三条第一項の認定の有効期間の残存期間と同一の期間とする。 2 特定認定の有効期間の満了後引き続き被害回復関係業務を行おうとする特定適格消費者団体は、その有効期間の更新を受けなければならない。 3 前項の有効期間の更新を受けようとする特定適格消費者団体は、当該有効期間の満了の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「更新申請期間」という。)に、内閣総理大臣に前項の有効期間の更新の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により更新申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 4 第二項の有効期間の更新がされた場合における特定認定の有効期間は、当該更新前の特定認定の有効期間の満了の日の翌日から起算して六年とする。 5 第三項の申請があった場合において、当該有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の特定認定は、当該有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なお効力を有する。 6 前項の場合において、第二項の有効期間の更新がされたときは、その特定認定の有効期間は、従前の特定認定の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。 7 第七十一条(第一項、第二項及び第六項第二号を除く。)、第七十二条、第七十三条及び前条第一項の規定は、第二項の有効期間の更新について準用する。 この場合において、第七十一条第四項第一号中「同じ。)」とあるのは「同じ。)、被害回復関係業務又は相当多数の消費者と事業者との間の消費者契約に関する紛争の解決のための業務」と、第七十二条第二項中「ならない」とあるのは「ならない。ただし、既に内閣総理大臣に添付して提出された書類と同一内容のものについては、その添付を省略することができる」と、同項第二号中「差止請求関係業務」とあるのは「差止請求関係業務、被害回復関係業務又は相当多数の消費者と事業者との間の消費者契約に関する紛争の解決のための業務」と読み替えるものとする。 (変更の届出) 第七十六条 特定適格消費者団体は、第七十二条第一項各号に掲げる事項又は同条第二項各号(第二号及び第十一号を除く。)に掲げる書類に記載した事項に変更があったときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 ただし、その変更が内閣府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。 (合併の届出及び認可等) 第七十七条 特定適格消費者団体である法人が他の特定適格消費者団体である法人と合併をしたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 2 前項の規定により合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人(適格消費者団体である法人に限る。次項において同じ。)と合併(特定適格消費者団体である法人が存続するものを除く。以下この条及び第八十条第一項第二号において同じ。)をした場合には、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その合併について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする特定適格消費者団体である法人及び特定適格消費者団体でない法人は、共同して、その合併がその効力を生ずる日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その合併がその効力を生ずる日までにその申請に対する処分がされないときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その処分がされるまでの間は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。 6 第七十一条(第一項及び第二項を除く。)、第七十二条、第七十三条及び第七十四条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 特定適格消費者団体である法人は、特定適格消費者団体でない法人と合併をする場合において、第四項の申請をしないときは、その合併がその効力を生ずる日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (事業の譲渡の届出及び認可等) 第七十八条 特定適格消費者団体である法人が他の特定適格消費者団体である法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をしたときは、その譲渡を受けた法人は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 2 前項の規定によりその譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人(適格消費者団体である法人に限る。次項において同じ。)に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合には、その譲渡を受けた法人は、その譲渡について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする特定適格消費者団体である法人及び特定適格消費者団体でない法人は、共同して、その譲渡の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その譲渡の日までにその申請に対する処分がされないときは、その譲渡を受けた法人は、その処分がされるまでの間は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。 6 第七十一条(第一項及び第二項を除く。)、第七十二条、第七十三条及び第七十四条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 特定適格消費者団体である法人は、特定適格消費者団体でない法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をする場合において、第四項の申請をしないときは、その譲渡の日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (業務廃止の届出) 第七十九条 特定適格消費者団体が被害回復関係業務を廃止したときは、法人の代表者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (特定認定の失効) 第八十条 特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、特定認定は、その効力を失う。 一 特定認定の有効期間が経過したとき(第七十五条第五項に規定する場合にあっては、更新拒否処分がされたとき)。 二 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人と合併をした場合において、その合併が第七十七条第三項の認可を経ずにその効力を生じたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その合併の不認可処分がされたとき)。 三 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合において、その譲渡が第七十八条第三項の認可を経ずにされたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その譲渡の不認可処分がされたとき)。 四 特定適格消費者団体が被害回復関係業務を廃止したとき。 五 消費者契約法第十三条第一項の認定が失効し、又は取り消されたとき。 2 内閣総理大臣は、前項各号に掲げる事由が生じたことを知った場合において、特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対し、その特定認定が失効した旨を書面により通知しなければならない。 第二節 被害回復関係業務等 (特定適格消費者団体等の責務) 第八十一条 特定適格消費者団体は、対象消費者等の利益のために、被害回復関係業務を適切に実施しなければならない。 2 特定適格消費者団体は、不当な目的でみだりに共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復関係業務を実施してはならない。 3 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務について他の特定適格消費者団体と相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 4 特定適格消費者団体、適格消費者団体その他の関係者は、特定適格消費者団体が行う被害回復関係業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 5 特定適格消費者団体、独立行政法人国民生活センターその他の関係者は、独立行政法人国民生活センターが行う独立行政法人国民生活センター法(平成十四年法律第百二十三号)第十条第八号に掲げる業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 (報酬) 第八十二条 特定適格消費者団体は、授権をした者との簡易確定手続授権契約又は訴訟授権契約で定めるところにより、被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができる。 2 共通義務確認訴訟において和解を行った特定適格消費者団体は、当該和解に係る消費者との間で締結する契約(簡易確定手続授権契約及び訴訟授権契約を除く。)で定めるところにより、被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができる。 (弁護士に追行させる義務) 第八十三条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務を行う場合において、民事訴訟に関する手続(簡易確定手続を含む。)、仮差押命令に関する手続及び執行抗告(仮差押えの執行の手続に関する裁判に対する執行抗告を含む。)に係る手続については、弁護士に追行させなければならない。 (他の特定適格消費者団体への通知等) 第八十四条 特定適格消費者団体は、次に掲げる場合には、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を他の特定適格消費者団体に通知するとともに、その旨、その内容その他内閣府令で定める事項を内閣総理大臣に報告しなければならない。 この場合において、当該特定適格消費者団体が、当該通知及び報告に代えて、全ての特定適格消費者団体及び内閣総理大臣が電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置であって内閣府令で定めるものを講じたときは、当該通知及び報告をしたものとみなす。 一 共通義務確認の訴えの提起又は第六十一条第一項の申立てをしたとき。 二 共通義務確認訴訟の判決の言渡し又は第六十一条第一項の申立てについての決定の告知があったとき。 三 前号の判決に対する上訴の提起又は同号の決定に対する不服の申立てがあったとき。 四 第二号の判決又は同号の決定が確定したとき。 五 共通義務確認訴訟における和解が成立したとき。 六 前二号に掲げる場合のほか、共通義務確認訴訟又は仮差押命令に関する手続が終了したとき。 七 共通義務確認訴訟に関し、請求の放棄、和解、上訴の取下げその他の内閣府令で定める手続に係る行為であって、それにより確定判決及びこれと同一の効力を有するものが存することとなるものをしようとするとき。 八 第十六条第三項の規定による通知を受けたとき。 九 簡易確定手続開始の申立て又はその取下げをしたとき。 十 簡易確定手続開始決定があったとき。 十一 第二十六条第一項、第二項前段又は第三項の規定による公告をしたとき。 十二 第二十七条第一項の規定による通知をしたとき。 十三 その他被害回復関係業務に関し内閣府令で定める手続に係る行為がされたとき。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、全ての特定適格消費者団体及び内閣総理大臣が電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置その他の内閣府令で定める方法により、他の特定適格消費者団体に当該報告の日時及び概要その他内閣府令で定める事項を伝達するものとする。 (個人情報の取扱い) 第八十五条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に関し、消費者の個人情報(個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。第三項において同じ。)を保管し、又は利用するに当たっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内でこれを保管し、及び利用しなければならない。 ただし、当該消費者の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。 2 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に関し、消費者から収集した消費者の被害に関する情報を被害回復裁判手続に係る相手方その他の第三者が当該被害に係る消費者を識別することができる方法で利用するに当たっては、あらかじめ、当該消費者の同意を得なければならない。 3 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務において消費者の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。 (秘密保持義務) 第八十六条 特定適格消費者団体の役員、職員若しくは専門委員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、被害回復関係業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (氏名等の明示) 第八十七条 特定適格消費者団体の被害回復関係業務に従事する者は、その被害回復関係業務を行うに当たり、被害回復裁判手続に係る相手方の請求があったときは、当該特定適格消費者団体の名称、自己の氏名及び特定適格消費者団体における役職又は地位その他内閣府令で定める事項を、その相手方に明らかにしなければならない。 (情報の提供) 第八十八条 特定適格消費者団体は、消費者の財産的被害等の回復に資するため、対象消費者等に対し、共通義務確認の訴えを提起したこと、共通義務確認訴訟の確定判決の内容その他必要な情報を提供するよう努めなければならない。 (財産上の利益の受領の禁止等) 第八十九条 特定適格消費者団体は、次に掲げる場合を除き、その被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を受けてはならない。 一 届出債権の認否、簡易確定決定、異議後の訴訟における判決若しくは請求の認諾又は和解に基づく義務の履行として金銭その他の財産上の利益を受けるとき。 二 被害回復裁判手続における判決(確定判決と同一の効力を有するもの、仮執行の宣言を付した届出債権支払命令及び第六十一条第一項の申立てについての決定を含む。次号において同じ。)又は第五十一条第三項若しくは第五十二条第一項若しくは民事訴訟法第七十三条第一項の決定により訴訟費用(簡易確定手続の費用、和解の費用及び調停手続の費用を含む。)を負担することとされた相手方から当該訴訟費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。 三 被害回復裁判手続における判決に基づく民事執行の執行費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。 2 特定適格消費者団体は、対象消費者等又は第九十八条第二項に規定する消費者団体訴訟等支援法人に前項第一号に規定する義務の履行として金銭その他の財産上の利益を受けさせる場合を除き、その被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を第三者に受けさせてはならない。 3 特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員は、特定適格消費者団体の被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を受け、又は第三者に受けさせてはならない。 4 前三項に規定する被害回復裁判手続に係る相手方からその被害回復裁判手続の追行に関して受け又は受けさせてはならない財産上の利益には、その相手方がその被害回復裁判手続の追行に関してした不法行為によって生じた損害の賠償として受け又は受けさせる財産上の利益は含まれない。 (区分経理) 第九十条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に係る経理を他の業務に係る経理と区分して整理しなければならない。 第三節 監督 (適合命令及び改善命令) 第九十一条 内閣総理大臣は、特定適格消費者団体が、第七十一条第四項第二号から第七号までに掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該特定適格消費者団体に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 2 内閣総理大臣は、前項に定めるもののほか、特定適格消費者団体が第七十一条第六項第三号に該当するに至ったと認めるとき、特定適格消費者団体又はその役員、職員若しくは専門委員が被害回復関係業務の遂行に関しこの法律の規定に違反したと認めるとき、その他特定適格消費者団体の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該特定適格消費者団体に対し、人的体制の改善、違反の停止、業務規程の変更その他の業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (特定認定の取消し等) 第九十二条 内閣総理大臣は、特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、特定認定を取り消すことができる。 一 偽りその他不正の手段により特定認定、第七十五条第二項の有効期間の更新又は第七十七条第三項若しくは第七十八条第三項の認可を受けたとき。 二 第七十一条第四項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったとき。 三 第七十一条第六項第一号又は第三号に該当するに至ったとき。 四 前三号に掲げるもののほか、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき(次項第二号に該当する場合を除く。)。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による取消しのほか、特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、特定認定又は消費者契約法第十三条第一項の認定を取り消すことができる。 一 被害回復裁判手続において、特定適格消費者団体がその相手方と通謀して請求の放棄又は対象消費者等の利益を害する内容の和解をしたときその他対象消費者等の利益に著しく反する訴訟その他の手続の追行を行ったと認められるとき。 二 第八十九条第一項又は第二項の規定に違反したとき。 三 当該特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員が第八十九条第三項の規定に違反したとき。 3 特定適格消費者団体が、第八十四条第一項の規定に違反して同項の通知又は報告をしないで、共通義務確認の訴えに関し、同項第七号に規定する行為をしたときは、内閣総理大臣は、当該特定適格消費者団体について前項第一号に掲げる事由があるものとみなすことができる。 4 内閣総理大臣は、第一項又は第二項の規定による取消しをしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその取消しをした日を公示するとともに、特定適格消費者団体であった法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 この場合において、当該特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対しても、その取消しをした旨を書面により通知しなければならない。 (手続を受け継ぐべき特定適格消費者団体の指定等) 第九十三条 被害回復裁判手続(第二条第九号ロに規定する民事執行の手続を除く。)の当事者である特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、当該被害回復裁判手続を受け継ぐべき特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 ただし、共通義務確認訴訟又は簡易確定手続(特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合を除く。)において、他に当事者である特定適格消費者団体があるときは、この限りでない。 2 第十三条に規定する特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、第十三条に規定する特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 ただし、同条に規定する特定適格消費者団体が他にあるときは、この限りでない。 3 対象債権等に係る債務名義を取得した特定適格消費者団体又はその民事執行法第二十三条第一項第三号に規定する承継人である特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、同法第二十三条第一項第三号に規定する承継人となるべき特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 4 内閣総理大臣は、前三項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体(以下この項及び次項において「指定特定適格消費者団体」という。)について、特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは既に失効し、又は前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるときは、指定特定適格消費者団体に係る指定を取り消さなければならない。 5 第一項から第三項までの規定による指定は、指定特定適格消費者団体が受け継ぐことになった手続をその指定前に追行していた者に次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたことを理由として取り消すことができない。 一 特定認定の取消処分、特定認定の有効期間の更新拒否処分若しくは第七十七条第三項の合併若しくは第七十八条第三項の事業の全部の譲渡の不認可処分(以下この号において「特定認定取消処分等」という。)が取り消され、又は特定認定取消処分等の取消し若しくはその無効若しくは不存在の確認の判決が確定したとき。 二 消費者契約法第十三条第一項の認定の取消処分、同項の認定の有効期間の更新拒否処分若しくは同法第十九条第三項の合併若しくは同法第二十条第三項の事業の全部の譲渡の不認可処分(以下この号において「認定取消処分等」という。)が取り消され、又は認定取消処分等の取消し若しくはその無効若しくは不存在の確認の判決が確定したとき。 6 内閣総理大臣は、第一項から第三項までの規定による指定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその指定をした日を公示するとともに、その指定を受けた特定適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。 第四項の規定により当該指定を取り消したときも、同様とする。 7 前項前段の場合において、特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、内閣総理大臣は、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対しても、その指定をした旨を書面により通知しなければならない。 8 次の各号に掲げる場合には、当該各号の指定を受けた特定適格消費者団体は、遅滞なく、知れている届出消費者に、各別にその旨を通知しなければならない。 一 第一項の規定による指定がされた場合(特定適格消費者団体であった法人が簡易確定手続(当該特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合に限る。)又は異議後の訴訟の手続の当事者であったときに限る。) 二 第三項の規定による指定がされた場合 9 第一項から第三項までの規定による指定がされたときは、特定適格消費者団体であった法人は、遅滞なく、その指定を受けた特定適格消費者団体に対し、その指定の対象となった事件について、対象消費者等のために保管する物及び被害回復関係業務に関する書類を移管し、その他被害回復関係業務をその指定を受けた特定適格消費者団体に引き継ぐために必要な一切の行為をしなければならない。 第四節 補則 (消費者契約法の特例) 第九十四条 特定適格消費者団体である適格消費者団体に対する消費者契約法の規定の適用については、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。 第二十九条第一項 その行う差止請求関係業務 その行う差止請求関係業務及び消費者裁判手続特例法第七十一条第二項に規定する被害回復関係業務(以下単に「被害回復関係業務」という。) 、差止請求関係業務 、差止請求関係業務及び被害回復関係業務 第三十一条第二項第七号 差止請求関係業務 差止請求関係業務及び被害回復関係業務 第三十二条第一項 この法律 この法律又は消費者裁判手続特例法 (判決等に関する情報の公表) 第九十五条 内閣総理大臣は、消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するため、特定適格消費者団体から第八十四条第一項(第一号及び第七号に係る部分を除く。)の規定による報告を受けたときは、インターネットの利用その他適切な方法により、速やかに、共通義務確認訴訟の確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)の概要、簡易確定手続開始決定の概要、第二十六条第一項、第二項前段及び第三項の規定による公告の概要、第二十七条第一項の規定による通知の概要、当該特定適格消費者団体の名称及び当該共通義務確認訴訟の相手方の氏名又は名称その他内閣府令で定める事項を公表するものとする。 2 前項に規定する事項のほか、内閣総理大臣は、被害回復関係業務に関する情報を広く国民に提供するため、インターネットの利用その他適切な方法により、特定適格消費者団体の名称及び住所並びに被害回復関係業務を行う事務所の所在地その他内閣府令で定める必要な情報を公表することができる。 3 内閣総理大臣は、独立行政法人国民生活センターに、前二項に規定する情報の公表に関する業務を行わせることができる。 (特定適格消費者団体への協力等) 第九十六条 内閣総理大臣は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体の求めに応じ、当該特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を適切に追行するために必要な限度において、当該特定適格消費者団体に対し、特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)又は預託等取引に関する法律(昭和六十一年法律第六十二号)に基づく処分に関して作成した書類で内閣府令で定めるものを提供することができる。 2 前項の規定により書類の提供を受けた特定適格消費者団体は、当該書類を当該被害回復裁判手続の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。 第九十七条 独立行政法人国民生活センター及び地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体の求めに応じ、当該特定適格消費者団体が被害回復関係業務を適切に遂行するために必要な限度において、当該特定適格消費者団体に対し、消費生活に関する消費者と事業者との間に生じた苦情に係る相談に関する情報で内閣府令で定めるものを提供することができる。 2 前項の規定により情報の提供を受けた特定適格消費者団体は、当該情報を当該被害回復関係業務の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。 第四章 消費者団体訴訟等支援法人 第一節 消費者団体訴訟等支援法人の認定等 (消費者団体訴訟等支援法人の認定) 第九十八条 内閣総理大臣は、特定非営利活動法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人であって、次に掲げる要件に該当すると認められるもの(適格消費者団体である法人を除く。)を、その申請により、次項に規定する業務(以下この章及び第百十七条第二項第二号において「支援業務」という。)を行う者として認定することができる。 一 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動を行うことを主たる目的とし、現にその活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。 二 消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するための啓発活動及び広報活動の実績が相当程度あること。 三 支援業務の実施に係る組織、支援業務の実施の方法、支援業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、支援業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の支援業務を適正に遂行するための体制及び業務規程が適切に整備されていること。 四 支援業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。 五 支援業務以外の業務を行うことによって支援業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。 2 前項の規定による認定(以下この章及び第百十七条第一項において「支援認定」という。)を受けた特定非営利活動法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人(以下「消費者団体訴訟等支援法人」という。)は、次に掲げる業務を行うものとする。 一 特定適格消費者団体の委託を受けて、対象消費者等に対する情報の提供、金銭の管理その他の特定適格消費者団体が行う被害回復関係業務に付随する事務であって内閣府令で定めるものを行うこと。 二 特定適格消費者団体とその被害回復裁判手続に係る相手方との合意により定めるところにより、相手方通知その他の当該相手方が行うべき被害回復裁判手続における事務であって内閣府令で定めるものを行うこと。 三 被害回復関係業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体に対する助言、被害回復関係業務に関する情報の公表その他の内閣府令で定める事務を行うこと。 四 前三号に掲げるもののほか、内閣総理大臣の委託を受けて、次に掲げる業務を行うこと。 イ 第九十五条第一項及び第二項の規定による公表 ロ この法律の実施のために必要な情報の収集その他の内閣府令で定める事務 3 第一項第三号の業務規程には、支援業務の実施の方法、支援業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、支援業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の内閣府令で定める事項が定められていなければならない。 4 次の各号のいずれかに該当する者は、支援認定を受けることができない。 一 この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない法人 二 第百十三条第一項各号に掲げる事由により支援認定を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない法人 三 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(次号及び第六号ハにおいて「暴力団員等」という。)がその事業活動を支配する法人 四 暴力団員等をその事業活動に従事させ、又はその事業活動の補助者として使用するおそれのある法人 五 政治団体(政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第三条第一項に規定する政治団体をいう。) 六 役員のうちに次のイからハまでのいずれかに該当する者のある法人 イ 拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定若しくはこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者 ロ 消費者団体訴訟等支援法人が第百十三条第一項各号に掲げる事由により支援認定を取り消された場合において、その取消しの日前六月以内に当該消費者団体訴訟等支援法人の役員であった者でその取消しの日から三年を経過しないもの ハ 暴力団員等 (支援認定の申請) 第九十九条 前条第一項の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。 一 名称及び住所並びに代表者の氏名 二 支援業務を行おうとする事務所の所在地 三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項 2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 定款 二 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていることを証する書類 三 消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するための啓発活動及び広報活動に係る事業の実績が相当程度あることを証する書類 四 支援業務を適正に遂行するための体制が整備されていることを証する書類 五 業務規程 六 役職員名簿(役員及び職員の氏名、その役職その他内閣府令で定める事項を記載した名簿をいう。第百十条第二項第三号において同じ。) 七 最近の事業年度における財産目録等その他の経理的基礎を有することを証する書類 八 前条第四項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面 九 支援業務以外の業務を行う場合には、その業務の種類及び概要を記載した書類 十 その他内閣府令で定める書類 (支援認定の申請に関する公告及び縦覧等) 第百条 内閣総理大臣は、支援認定の申請があった場合には、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨並びに前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項を公告するとともに、同条第二項各号(第八号及び第十号を除く。)に掲げる書類を、公告の日から二週間、公衆の縦覧に供しなければならない。 2 内閣総理大臣は、支援認定の申請をした者について第九十八条第四項第三号、第四号又は第六号ハに該当する疑いがあると認めるときは、警察庁長官の意見を聴くものとする。 (支援認定の公示等) 第百一条 内閣総理大臣は、支援認定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該消費者団体訴訟等支援法人の名称及び住所、支援業務を行う事務所の所在地並びに当該支援認定をした日を公示するとともに、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 2 消費者団体訴訟等支援法人は、内閣府令で定めるところにより、消費者団体訴訟等支援法人である旨について、支援業務を行う事務所において見やすいように掲示するとともに、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人でない者は、その名称中に消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある文字を用い、又はその業務に関し、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。 (変更の届出) 第百二条 消費者団体訴訟等支援法人は、第九十九条第一項各号に掲げる事項又は同条第二項各号(第二号、第三号及び第十号を除く。)に掲げる書類に記載した事項に変更があったときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 ただし、その変更が内閣府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。 (合併の届出及び認可等) 第百三条 消費者団体訴訟等支援法人である法人が他の消費者団体訴訟等支援法人である法人と合併をしたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 2 前項の規定により合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併(消費者団体訴訟等支援法人である法人が存続するものを除く。以下この条及び第百六条第一号において同じ。)をした場合には、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その合併について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする消費者団体訴訟等支援法人である法人及び消費者団体訴訟等支援法人でない法人は、共同して、その合併がその効力を生ずる日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その合併がその効力を生ずる日までにその申請に対する処分がされないときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その処分がされるまでの間は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継しているものとみなす。 6 第九十八条(第二項を除く。)、第九十九条、第百条及び第百一条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 消費者団体訴訟等支援法人である法人は、消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併をする場合において、第四項の申請をしないときは、その合併がその効力を生ずる日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (事業の譲渡の届出及び認可等) 第百四条 消費者団体訴訟等支援法人である法人が他の消費者団体訴訟等支援法人である法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をしたときは、その譲渡を受けた法人は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 2 前項の規定によりその譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をした場合には、その譲渡を受けた法人は、その譲渡について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする消費者団体訴訟等支援法人である法人及び消費者団体訴訟等支援法人でない法人は、共同して、その譲渡の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その譲渡の日までにその申請に対する処分がされないときは、その譲渡を受けた法人は、その処分がされるまでの間は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継しているものとみなす。 6 第九十八条(第二項を除く。)、第九十九条、第百条及び第百一条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 消費者団体訴訟等支援法人である法人は、消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をする場合において、第四項の申請をしないときは、その譲渡の日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (解散の届出等) 第百五条 消費者団体訴訟等支援法人が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 一 破産手続開始の決定により解散した場合 破産管財人 二 合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合 清算人 三 支援業務を廃止した場合 法人の代表者 2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (支援認定の失効) 第百六条 消費者団体訴訟等支援法人について、次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、支援認定は、その効力を失う。 一 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併をした場合において、その合併が第百三条第三項の認可を経ずにその効力を生じたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その合併の不認可処分がされたとき)。 二 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をした場合において、その譲渡が第百四条第三項の認可を経ずにされたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その譲渡の不認可処分がされたとき)。 三 消費者団体訴訟等支援法人が前条第一項各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなったとき。 第二節 支援業務等 (秘密保持義務) 第百七条 消費者団体訴訟等支援法人の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、支援業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (業務の範囲及び区分経理) 第百八条 消費者団体訴訟等支援法人は、その行う支援業務に支障がない限り、定款の定めるところにより、支援業務以外の業務を行うことができる。 2 消費者団体訴訟等支援法人は、次に掲げる業務に係る経理をそれぞれ区分して整理しなければならない。 一 支援業務 二 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動に係る業務(前号に掲げる業務を除く。) 三 前二号に掲げる業務以外の業務 第三節 監督 (帳簿書類の作成及び保存) 第百九条 消費者団体訴訟等支援法人は、内閣府令で定めるところにより、その業務及び経理に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。 (財務諸表等の作成、備置き及び提出) 第百十条 消費者団体訴訟等支援法人は、毎事業年度終了後三月以内に、その事業年度の財産目録等及び事業報告書(これらの作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項第四号及び第百二十二条第十一号において「財務諸表等」という。)を作成しなければならない。 2 消費者団体訴訟等支援法人の事務所には、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる書類を備え置かなければならない。 一 定款 二 業務規程 三 役職員名簿 四 財務諸表等 五 経理に関する内閣府令で定める事項を記載した書類 六 支援業務以外の業務を行う場合には、その業務の種類及び概要を記載した書類 3 消費者団体訴訟等支援法人は、毎事業年度終了後三月以内に、前項第三号及び第四号に掲げる書類を内閣総理大臣に提出しなければならない。 (報告及び立入検査) 第百十一条 内閣総理大臣は、この章の規定の施行に必要な限度において、消費者団体訴訟等支援法人に対し、その業務若しくは経理の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、消費者団体訴訟等支援法人の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。 2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 3 第一項に規定する立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。 (適合命令及び改善命令) 第百十二条 内閣総理大臣は、消費者団体訴訟等支援法人が、第九十八条第一項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 2 内閣総理大臣は、前項に定めるもののほか、消費者団体訴訟等支援法人が第九十八条第四項第三号から第六号までのいずれかに該当するに至ったと認めるとき、消費者団体訴訟等支援法人又はその役員若しくは職員が支援業務の遂行に関しこの法律の規定に違反したと認めるとき、その他消費者団体訴訟等支援法人の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、人的体制の改善、違反の停止、業務規程の変更その他の業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (支援認定の取消し等) 第百十三条 内閣総理大臣は、消費者団体訴訟等支援法人について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、支援認定を取り消すことができる。 一 偽りその他不正の手段により支援認定又は第百三条第三項若しくは第百四条第三項の認可を受けたとき。 二 特定非営利活動促進法第四十三条第一項又は第二項の規定により設立の認証を取り消されたとき。 三 第九十八条第一項各号に掲げる要件のいずれかに該当しなくなったとき。 四 第九十八条第四項各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。 五 支援業務の実施に関し、対象消費者等の利益に著しく反する行為をしたと認められるとき。 六 前各号に掲げるもののほか、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき。 2 内閣総理大臣は、前項各号に掲げる事由により支援認定を取り消したときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその取消しをした日を公示するとともに、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 第五章 雑則 (官公庁等への協力依頼) 第百十四条 内閣総理大臣は、この法律の実施のため必要があると認めるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。 (権限の委任) 第百十五条 内閣総理大臣は、前二章及び前条の規定による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。 第六章 罰則 第百十六条 特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員が、特定適格消費者団体の被害回復裁判手続に係る相手方から、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、当該特定適格消費者団体における次に掲げる行為の報酬として、金銭その他の財産上の利益を受け、又は第三者(当該特定適格消費者団体を含む。)に受けさせたときは、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。 一 共通義務確認の訴えの提起、簡易確定手続開始の申立て、債権届出、簡易確定手続若しくは異議後の訴訟に関する民事執行の申立て又は第六十一条第一項の申立てをしないこと又はしなかったこと。 二 第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権に係る債権に係る裁判外の和解をすること又はしたこと。 三 被害回復裁判手続を終了させること又は終了させたこと。 2 前項の利益を供与した者も、同項と同様とする。 3 第一項の場合において、犯人又は情を知った第三者が受けた財産上の利益は、没収する。 その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。 4 第一項の罪は、日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。 5 第二項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。 第百十七条 偽りその他不正の手段により特定認定、第七十五条第二項の有効期間の更新、第七十七条第三項、第七十八条第三項、第百三条第三項若しくは第百四条第三項の認可又は支援認定を受けたときは、当該違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。 2 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。 一 第八十六条の規定に違反して、被害回復関係業務に関して知り得た秘密を漏らした者 二 第百七条の規定に違反して、支援業務に関して知り得た秘密を漏らした者 第百十八条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。 一 第七十二条第一項(第七十五条第七項、第七十七条第六項及び第七十八条第六項において準用する場合を含む。)若しくは第九十九条第一項(第百三条第六項及び第百四条第六項において準用する場合を含む。)の申請書又は第七十二条第二項各号(第七十五条第七項、第七十七条第六項及び第七十八条第六項において準用する場合を含む。)若しくは第九十九条第二項各号(第百三条第六項及び第百四条第六項において準用する場合を含む。)に掲げる書類に虚偽の記載をして提出したとき。 二 第七十四条第三項の規定に違反して、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある文字をその名称中に用い、又はその業務に関し、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある表示をしたとき。 三 第百一条第三項の規定に違反して、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある文字をその名称中に用い、又はその業務に関し、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある表示をしたとき。 四 第百九条の規定に違反して、帳簿書類の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の帳簿書類の作成をしたとき。 五 第百十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。 第百十九条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第百十六条、第百十七条第一項又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。 2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。 第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の過料に処する。 一 第十五条の規定に違反して、正当な理由がないのに簡易確定手続開始の申立てを怠った者 二 第三十六条第一項の規定に違反して、やむを得ない理由がないのに簡易確定手続授権契約の締結を拒んだ者 三 第三十六条第二項の規定に違反して、やむを得ない理由がないのに簡易確定手続授権契約を解除した者 第百二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の過料に処する。 一 第二十六条第一項、第二項前段若しくは第三項の規定による公告をすることを怠り、又は不正の公告をした者 二 第二十六条第二項前段若しくは第二十七条第一項の規定による通知をすることを怠り、又は不正の通知をした者 第百二十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の過料に処する。 一 第五十七条第四項の規定に違反して、正当な理由がないのに訴訟授権契約の締結を拒んだ者 二 第五十七条第五項の規定に違反して、正当な理由がないのに訴訟授権契約を解除した者 三 第七十四条第二項若しくは第百一条第二項の規定による掲示をせず、若しくは虚偽の掲示をし、又は第七十四条第二項若しくは第百一条第二項の規定に違反して公衆の閲覧に供せず、若しくは虚偽の事項を公衆の閲覧に供した者 四 第七十六条、第七十七条第二項若しくは第七項、第七十八条第二項若しくは第七項、第七十九条第一項、第百二条、第百三条第二項若しくは第七項、第百四条第二項若しくは第七項又は第百五条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者 五 第八十四条第一項前段の規定による通知若しくは報告をせず、又は虚偽の通知若しくは報告をした者 六 第八十五条第二項の規定に違反して、消費者の被害に関する情報を利用した者 七 第八十七条の規定に違反して、同条の請求を拒んだ者 八 第九十三条第九項の規定による被害回復関係業務の引継ぎを怠った者 九 第九十六条第二項の規定に違反して、書類を同項に定める目的以外の目的のために利用し、又は提供した者 十 第九十七条第二項の規定に違反して、情報を同項に定める目的以外の目的のために利用し、又は提供した者 十一 第百十条第一項の規定に違反して、財務諸表等を作成せず、又はこれに記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をした者 十二 第百十条第二項の規定に違反して、書類を備え置かなかった者 十三 第百十条第三項の規定に違反して、書類を提出せず、又は書類に虚偽の記載若しくは記録をして提出した者
民事
Heisei
Act
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平成二十五年法律第九十六号
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消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害等(財産的被害及び精神上の苦痛を受けたことによる損害をいう。以下同じ。)について、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差により消費者が自らその回復を図ることには困難を伴う場合があることに鑑み、その財産的被害等を集団的に回復するため、特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を追行することができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 消費者 個人(事業を行う場合におけるものを除く。)をいう。 二 事業者 法人その他の社団又は財団及び事業を行う場合における個人をいう。 三 消費者契約 消費者と事業者との間で締結される契約(労働契約を除く。)をいう。 四 共通義務確認の訴え 消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害等について、事業者、事業者に代わって事業を監督する者(次条第一項第五号ロ及び第三項第三号ロにおいて「事業監督者」という。)又は事業者の被用者(以下「事業者等」と総称する。)が、これらの消費者に対し、これらの消費者に共通する事実上及び法律上の原因に基づき、個々の消費者の事情によりその金銭の支払請求に理由がない場合を除いて、金銭を支払う義務を負うべきことの確認を求める訴えをいう。 五 対象債権 共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に対する金銭の支払請求権であって、前号に規定する義務に係るものをいう。 六 対象消費者 対象債権を有する消費者をいう。 七 簡易確定手続 共通義務確認の訴えに係る訴訟(以下「共通義務確認訴訟」という。)の結果を前提として、この法律の規定による裁判所に対する第三十三条第二項に規定する債権届出に基づき、相手方が認否をし、第四十六条第一項に規定する認否を争う旨の申出がない場合はその認否により、同項に規定する認否を争う旨の申出がある場合は裁判所の決定により、対象債権及び第十一条第二項に規定する和解金債権(以下「対象債権等」という。)の存否及び内容を確定する裁判手続をいう。 八 異議後の訴訟 簡易確定手続における対象債権等の存否及び内容を確定する決定(以下「簡易確定決定」という。)に対して適法な異議の申立てがあった後の当該請求に係る訴訟をいう。 九 被害回復裁判手続 次に掲げる手続をいう。 イ 共通義務確認訴訟の手続、簡易確定手続及び異議後の訴訟の手続 ロ 特定適格消費者団体が対象債権等に関して取得した債務名義による民事執行の手続(民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第三十三条第一項、第三十四条第一項、第三十五条第一項、第三十八条第一項、第九十条第一項及び第百五十七条第一項の訴えに係る訴訟手続(第六十六条第一項第三号において「民事執行に係る訴訟手続」という。)を含む。)及び特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の実現を保全するための仮差押えの手続(民事保全法(平成元年法律第九十一号)第四十六条において準用する民事執行法第三十三条第一項、第三十四条第一項及び第三十八条第一項の訴えに係る訴訟手続(第六十六条第一項第一号において「仮差押えの執行に係る訴訟手続」という。)を含む。) 十 特定適格消費者団体 被害回復裁判手続を追行するのに必要な適格性を有する法人である適格消費者団体(消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体をいう。以下同じ。)として第七十一条の定めるところにより内閣総理大臣の認定を受けた者をいう。 第二章 被害回復裁判手続 第一節 共通義務確認訴訟に係る民事訴訟手続の特例 (共通義務確認の訴え) 第三条 特定適格消費者団体は、事業者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって消費者契約に関する第一号から第四号までに掲げる請求及び第五号イからハまでに掲げる者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって消費者契約に関する同号に掲げる請求(これらに附帯する利息、損害賠償、違約金又は費用の請求を含む。)に係るものについて、共通義務確認の訴えを提起することができる。 一 契約上の債務の履行の請求 二 不当利得に係る請求 三 契約上の債務の不履行による損害賠償の請求 四 不法行為に基づく損害賠償の請求(民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定によるものに限り、次号(イに係る部分に限る。)に掲げるものを除く。) 五 事業者の被用者が消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えたことを理由とする次のイからハまでに掲げる者に対する当該イからハまでに定める請求 イ 事業者(当該被用者の選任及びその事業の監督について故意又は重大な過失により相当の注意を怠ったものに限る。第三項第三号において同じ。) 民法第七百十五条第一項の規定による損害賠償の請求 ロ 事業監督者(当該被用者の選任及びその事業の監督について故意又は重大な過失により相当の注意を怠ったものに限る。第三項第三号ロにおいて同じ。) 民法第七百十五条第二項の規定による損害賠償の請求 ハ 被用者(第三者に損害を加えたことについて故意又は重大な過失があるものに限る。第三項第三号ハにおいて同じ。) 不法行為に基づく損害賠償の請求(民法の規定によるものに限る。) 2 次に掲げる損害については、前項第三号から第五号までに掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えを提起することができない。 一 契約上の債務の不履行又は不法行為により、物品、権利その他の消費者契約の目的となるもの(役務を除く。次号において同じ。)以外の財産が滅失し、又は損傷したことによる損害 二 消費者契約の目的となるものの提供があるとすればその処分又は使用により得るはずであった利益を喪失したことによる損害 三 契約上の債務の不履行又は不法行為により、消費者契約による製造、加工、修理、運搬又は保管に係る物品その他の消費者契約の目的となる役務の対象となったもの以外の財産が滅失し、又は損傷したことによる損害 四 消費者契約の目的となる役務の提供があるとすれば当該役務を利用すること又は当該役務の対象となったものを処分し、若しくは使用することにより得るはずであった利益を喪失したことによる損害 五 人の生命又は身体を害されたことによる損害 六 精神上の苦痛を受けたことによる損害(その額の算定の基礎となる主要な事実関係が相当多数の消費者について共通するものであり、かつ、次のイ又はロのいずれかに該当するものを除く。) イ 共通義務確認の訴えにおいて一の訴えにより、前項各号に掲げる請求(同項第三号から第五号までに掲げる請求にあっては、精神上の苦痛を受けたことによる損害に係る請求を含まないものに限る。以下このイにおいて「財産的請求」という。)と併せて請求されるものであって、財産的請求と共通する事実上の原因に基づくもの ロ 事業者の故意によって生じたもの 3 次の各号に掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えについては、当該各号に定める者を被告とする。 一 第一項第一号から第三号までに掲げる請求 消費者契約の相手方である事業者 二 第一項第四号に掲げる請求 消費者契約の相手方である事業者若しくはその債務の履行をする事業者又は消費者契約の締結について勧誘をし、当該勧誘をさせ、若しくは当該勧誘を助長する事業者 三 第一項第五号に掲げる請求 次に掲げる者 イ 消費者契約の相手方である事業者若しくはその債務の履行をする事業者又は消費者契約の締結について勧誘をし、当該勧誘をさせ、若しくは当該勧誘を助長する事業者であって、当該事業者の消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えた被用者を使用するもの ロ イに掲げる事業者の事業監督者 ハ イに掲げる事業者の被用者であって、当該事業者の消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えたもの 4 裁判所は、共通義務確認の訴えに係る請求を認容する判決をしたとしても、事案の性質、当該判決を前提とする簡易確定手続において予想される主張及び立証の内容その他の事情を考慮して、当該簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるときは、共通義務確認の訴えの全部又は一部を却下することができる。 (訴訟の目的の価額) 第四条 共通義務確認の訴えは、訴訟の目的の価額の算定については、財産権上の請求でない請求に係る訴えとみなす。 (訴状の記載事項) 第五条 共通義務確認の訴えの訴状には、対象債権及び対象消費者の範囲を記載して、請求の趣旨及び原因を特定しなければならない。 (管轄及び移送) 第六条 共通義務確認訴訟については、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第五条(第五号に係る部分を除く。)の規定は、適用しない。 2 次の各号に掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えは、当該各号に定める地を管轄する地方裁判所にも提起することができる。 一 第三条第一項第一号から第三号までに掲げる請求 義務履行地 二 第三条第一項第四号及び第五号に掲げる請求 不法行為があった地 3 対象消費者の数が五百人以上であると見込まれるときは、民事訴訟法第四条第一項若しくは第五条第五号又は前項の規定による管轄裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも、共通義務確認の訴えを提起することができる。 4 対象消費者の数が千人以上であると見込まれるときは、東京地方裁判所又は大阪地方裁判所にも、共通義務確認の訴えを提起することができる。 5 民事訴訟法第四条第一項、第五条第五号、第十一条第一項若しくは第十二条又は前三項の規定により二以上の地方裁判所が管轄権を有するときは、共通義務確認の訴えは、先に訴えの提起があった地方裁判所が管轄する。 ただし、その地方裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当該共通義務確認の訴えに係る訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。 6 裁判所は、共通義務確認訴訟がその管轄に属する場合においても、他の裁判所に事実上及び法律上同種の原因に基づく請求を目的とする共通義務確認訴訟が係属している場合において、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、当該共通義務確認訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所に移送することができる。 (弁論等の必要的併合) 第七条 請求の内容及び相手方が同一である共通義務確認訴訟が数個同時に係属するときは、その弁論及び裁判は、併合してしなければならない。 2 前項に規定する場合には、当事者は、その旨を裁判所に申し出なければならない。 (補助参加の禁止) 第八条 消費者は、民事訴訟法第四十二条の規定にかかわらず、共通義務確認訴訟の結果について利害関係を有する場合であっても、特定適格消費者団体を補助するため、その共通義務確認訴訟に参加することができない。 (保全開示命令等) 第九条 共通義務確認訴訟が係属する裁判所は、次に掲げる事由につき疎明があった場合には、当該共通義務確認訴訟の当事者である特定適格消費者団体の申立てにより、決定で、当該共通義務確認訴訟の当事者である事業者等に対して、第三十一条第一項の規定により事業者等が特定適格消費者団体に開示しなければならない同項に規定する文書について、同条第二項に規定する方法により開示することを命ずることができる。 一 第二条第四号に規定する義務が存すること。 二 当該文書について、あらかじめ開示がされなければその開示が困難となる事情があること。 2 前項の規定による命令(以下この条において「保全開示命令」という。)の申立ては、文書の表示を明らかにしてしなければならない。 3 裁判所は、保全開示命令の申立てについて決定をする場合には、事業者等を審尋しなければならない。 4 保全開示命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 保全開示命令は、執行力を有しない。 6 事業者等が正当な理由なく保全開示命令に従わないときは、裁判所は、決定で、三十万円以下の過料に処する。 7 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 8 民事訴訟法第百八十九条の規定は、第六項の規定による過料の裁判について準用する。 (確定判決の効力が及ぶ者の範囲) 第十条 共通義務確認訴訟の確定判決は、民事訴訟法第百十五条第一項の規定にかかわらず、当該共通義務確認訴訟の当事者以外の特定適格消費者団体及び当該共通義務確認訴訟に係る対象消費者の範囲に属する第三十三条第二項第一号に規定する届出消費者に対してもその効力を有する。 (共通義務確認訴訟における和解) 第十一条 共通義務確認訴訟の当事者は、当該共通義務確認訴訟において、当該共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に当該共通義務確認訴訟の目的である第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解をするときは、当該義務に関し、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。 一 対象債権及び対象消費者の範囲 二 当該義務に係る事実上及び法律上の原因 2 共通義務確認訴訟の当事者は、当該共通義務確認訴訟において、当該共通義務確認訴訟に係る対象債権に係る紛争の解決に関し、当該紛争に係る消費者の当該共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に対する対象債権以外の金銭の支払請求権(以下「和解金債権」という。)が存することを認める旨の和解をするときは、当該和解金債権に関し、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。 一 当該和解の目的となる権利又は法律関係の範囲 二 和解金債権の額又はその算定方法 三 和解金債権を有する消費者(第二十六条第一項第十号において「和解対象消費者」という。)の範囲 3 共通義務確認訴訟における和解において、当該共通義務確認訴訟の当事者である特定適格消費者団体が当該共通義務確認訴訟の目的である第二条第四号に規定する義務について共通義務確認の訴えを提起しない旨の定めがされたときは、当該定めは、当該共通義務確認訴訟の当事者以外の特定適格消費者団体に対してもその効力を有する。 (再審の訴え) 第十二条 共通義務確認の訴えが提起された場合において、原告及び被告が共謀して共通義務確認の訴えに係る対象消費者の権利を害する目的をもって判決をさせたときは、他の特定適格消費者団体は、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。 第二節 対象債権等の確定手続 第一款 簡易確定手続 第一目 通則 (簡易確定手続の当事者等) 第十三条 簡易確定手続は、共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した時又は請求の認諾等(請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解又は和解金債権が存することを認める旨の和解をいう。以下この条において同じ。)によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体(第九十三条第二項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた特定適格消費者団体。第十五条において同じ。)の申立てにより、当該判決が確定した時又は請求の認諾等によって当該共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった事業者等を相手方として、共通義務確認訴訟の第一審の終局判決をした地方裁判所(第一審において請求の認諾等によって共通義務確認訴訟が終了したときは、当該共通義務確認訴訟が係属していた地方裁判所)が行う。 (任意的口頭弁論) 第十四条 簡易確定手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。 2 前項の規定により口頭弁論をしない場合には、裁判所は、当事者を審尋することができる。 第二目 簡易確定手続の開始 (簡易確定手続開始の申立義務) 第十五条 共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した時又は請求の認諾によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 2 第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、当該義務に係る対象債権について、簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 ただし、当該対象債権のうち、当該和解においてその額又は算定方法のいずれかが定められている部分(当該和解において簡易確定手続開始の申立てをしなければならない旨が定められている部分を除く。)については、この限りでない。 3 和解金債権が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した場合において、当該和解において当該和解金債権の全部又は一部について簡易確定手続開始の申立てをしなければならない旨が定められているときは、当該共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、当該定めに係る和解金債権について簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 (簡易確定手続開始の申立期間) 第十六条 前条の場合において、簡易確定手続開始の申立ては、共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した日又は請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解若しくは和解金債権が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した日(第九十三条第二項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた日)から四月以内にしなければならない。 2 裁判所は、必要があると認めるときは、前条の規定により簡易確定手続開始の申立てをしなければならない特定適格消費者団体の申立てにより、二月以内の期間を定めて、前項の期間(この項の規定により当該期間が伸長された場合にあっては、当該伸長された期間。次項において同じ。)の伸長の決定をすることができる。 ただし、当該期間は、通じて八月を超えることができない。 3 裁判所は、前項の規定により第一項の期間の伸長の決定をしたときは、前条の規定により簡易確定手続開始の申立てをしなければならない特定適格消費者団体及び第十三条に規定する事業者等に対し、その旨を通知しなければならない。 (簡易確定手続開始の申立ての方式) 第十七条 簡易確定手続開始の申立ては、最高裁判所規則で定める事項を記載した書面でしなければならない。 (費用の予納) 第十八条 簡易確定手続開始の申立てをするときは、申立てをする特定適格消費者団体は、第二十三条第一項の規定による公告及び同条第二項の規定による通知に要する費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。 (簡易確定手続開始の申立ての取下げ) 第十九条 簡易確定手続開始の申立ては、裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による申立ての取下げについて準用する。 (簡易確定手続開始決定) 第二十条 裁判所は、簡易確定手続開始の申立てがあった場合には、当該申立てが不適法であると認めるとき又は第十八条に規定する費用の予納がないときを除き、簡易確定手続開始の決定(以下「簡易確定手続開始決定」という。)をする。 2 簡易確定手続開始の申立てを却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (簡易確定手続開始決定の方式) 第二十一条 簡易確定手続開始決定は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項を記載した決定書を作成してしなければならない。 一 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められたとき 当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 二 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をしたとき 当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 (簡易確定手続開始決定と同時に定めるべき事項) 第二十二条 裁判所は、簡易確定手続開始決定と同時に、当該簡易確定手続開始決定に係る簡易確定手続開始の申立てをした特定適格消費者団体(第九十三条第一項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた特定適格消費者団体。以下「簡易確定手続申立団体」という。)が第三十三条第二項に規定する債権届出をすべき期間(以下「届出期間」という。)及びその債権届出に対して簡易確定手続の相手方(以下この款において単に「相手方」という。)が認否をすべき期間(以下「認否期間」という。)を定めなければならない。 (簡易確定手続開始の公告等) 第二十三条 裁判所は、簡易確定手続開始決定をしたときは、直ちに、官報に掲載して次に掲げる事項を公告しなければならない。 一 簡易確定手続開始決定の主文 二 第二十一条各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項 三 簡易確定手続申立団体の名称及び住所 四 届出期間及び認否期間 2 裁判所は、簡易確定手続申立団体及び相手方に対し、前項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。 (重複する簡易確定手続開始の申立ての禁止) 第二十四条 簡易確定手続開始決定がされた事件については、特定適格消費者団体は、更に簡易確定手続開始の申立てをすることができない。 (届出期間又は認否期間の伸長) 第二十五条 裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、届出期間又は認否期間の伸長の決定をすることができる。 2 裁判所は、前項の規定により届出期間又は認否期間の伸長の決定をしたときは、簡易確定手続申立団体及び相手方に対し、その旨を通知しなければならない。 3 裁判所は、第一項の規定により届出期間又は認否期間の伸長の決定をしたときは、直ちに、官報に掲載してその旨を公告しなければならない。 第三目 簡易確定手続申立団体による公告及び通知等 (簡易確定手続申立団体による公告等) 第二十六条 簡易確定手続開始決定がされたときは、簡易確定手続申立団体は、正当な理由がある場合を除き、届出期間の末日の一月前までに、次に掲げる事項を相当な方法により公告しなければならない。 一 被害回復裁判手続の概要 二 被害回復裁判手続の事案の内容 三 共通義務確認訴訟の確定判決の内容(請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解又は和解金債権が存することを認める旨の和解がされた場合には、その内容) 四 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められた場合には、当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 五 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をした場合には、当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 六 共通義務確認訴訟における和解において対象債権等の額又は算定方法が定められた場合には、当該額又は算定方法 七 簡易確定手続申立団体の名称及び住所 八 簡易確定手続申立団体の連絡先 九 簡易確定手続申立団体が支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項 十 対象消費者等(対象消費者及び和解対象消費者をいう。以下同じ。)が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする方法 十一 対象消費者等が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする期間 十二 その他内閣府令で定める事項 2 前項の規定による公告後、届出期間中に同項第七号に掲げる事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を、相当な方法により公告するとともに、裁判所及び相手方に通知しなければならない。 この場合において、当該通知を受けた裁判所は、直ちに、官報に掲載してその旨を公告しなければならない。 3 第一項の規定による公告後、届出期間中に同項第八号から第十二号までに掲げる事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を、相当な方法により公告しなければならない。 (簡易確定手続申立団体による通知) 第二十七条 簡易確定手続開始決定がされたときは、簡易確定手続申立団体は、正当な理由がある場合を除き、届出期間の末日の一月前までに、知れている対象消費者等(次条第一項の規定による通知(以下この目及び第九十八条第二項第二号において「相手方通知」という。)を受けたものを除く。)に対し、前条第一項各号に掲げる事項を書面又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下同じ。)であって内閣府令で定めるものにより通知しなければならない。 2 前項の規定にかかわらず、同項の規定による通知において次に掲げる事項を記載する場合には、前条第一項第一号、第三号、第六号、第九号、第十号及び第十二号に掲げる事項を記載することを要しない。 一 前条第一項の規定により公告を行っている旨 二 当該公告の方法 三 その他内閣府令で定める事項 (相手方による通知) 第二十八条 相手方は、簡易確定手続申立団体の求め(相手方通知のため通常必要な期間を考慮して内閣府令で定める日までにされたものに限る。)があるときは、届出期間の末日の二月以上前の日であって内閣府令で定める日までに、当該求めに係る知れている対象消費者等に対し、次に掲げる事項を書面又は電磁的方法であって内閣府令で定めるものにより通知しなければならない。 一 被害回復裁判手続の事案の内容 二 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められた場合には、当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 三 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をした場合には、当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 四 簡易確定手続申立団体の名称、住所及び連絡先 五 対象消費者等が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする期間 六 簡易確定手続申立団体が第二十六条第一項の規定により公告を行っている旨 七 当該公告の方法 八 相手方の氏名又は名称、住所及び連絡先 九 その他内閣府令で定める事項 2 簡易確定手続申立団体は、相手方に対し、前項の求めをするときは、同項第四号に掲げる連絡先、同項第五号から第七号までに掲げる事項その他内閣府令で定める事項を通知しなければならない。 3 相手方は、相手方通知をしたときは、当該相手方通知をした時から一週間以内に、第一項の求めをした簡易確定手続申立団体に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。 一 相手方通知をした対象消費者等の氏名及び住所又は連絡先 二 相手方通知をした日 三 その他内閣府令で定める事項 (相手方による公表) 第二十九条 相手方は、簡易確定手続申立団体の求めがあるときは、遅滞なく、インターネットの利用、営業所その他の場所において公衆に見やすいように掲示する方法その他これらに類する方法により、届出期間中、前条第一項各号に掲げる事項(同項第四号、第五号、第八号又は第九号に掲げる事項に変更があったときは、変更後の当該各号に掲げる事項)を公表しなければならない。 2 前条第二項の規定は、簡易確定手続申立団体が相手方に対し前項の求めをするときについて準用する。 この場合において、同条第二項中「ならない」とあるのは、「ならない。この場合において、当該求めの後、届出期間中に前項第四号又は第五号に掲げる事項その他内閣府令で定める事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を相手方に通知しなければならない」と読み替えるものとする。 (対象消費者等に関する情報に係る回答義務) 第三十条 相手方は、簡易確定手続申立団体から次に掲げる事項について照会があるときは、当該照会があった時から一週間以内に、当該簡易確定手続申立団体に対し、書面又は電磁的方法であって内閣府令で定めるものにより回答しなければならない。 一 対象消費者等の数の見込み 二 知れている対象消費者等の数 三 相手方通知をする時期の見込み 四 その他内閣府令で定める事項 (情報開示義務) 第三十一条 相手方は、対象消費者等の氏名及び住所又は連絡先(内閣府令で定めるものに限る。次項において同じ。)が記載された文書(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をもって作成されている場合における当該電磁的記録を含む。)を所持する場合において、届出期間中に簡易確定手続申立団体の求めがあるときは、当該文書を当該簡易確定手続申立団体に開示することを拒むことができない。 ただし、相手方が開示すべき文書の範囲を特定するために不相当な費用又は時間を要するときは、この限りでない。 2 前項に規定する文書の開示は、その写しの交付(電磁的記録については、当該電磁的記録を出力した書面の交付又は当該電磁的記録に記録された情報の電磁的方法による提供であって内閣府令で定めるもの)により行う。 この場合において、相手方は、個人(対象消費者等でないことが明らかである者を除く。)の氏名及び住所又は連絡先が記載された部分以外の部分を除いて開示することができる。 3 相手方は、第一項に規定する文書の開示をしないときは、簡易確定手続申立団体に対し、速やかに、その旨及びその理由を書面により通知しなければならない。 (情報開示命令等) 第三十二条 簡易確定手続申立団体は、届出期間中、裁判所に対し、情報開示命令(前条第一項の規定により相手方が簡易確定手続申立団体に開示しなければならない同項に規定する文書について、同条第二項に規定する方法による開示を相手方に命ずる旨の決定をいう。以下この条において同じ。)の申立てをすることができる。 2 情報開示命令の申立ては、文書の表示を明らかにしてしなければならない。 3 裁判所は、情報開示命令の申立てを理由があると認めるときは、情報開示命令を発する。 4 裁判所は、情報開示命令の申立てについて決定をする場合には、相手方を審尋しなければならない。 5 情報開示命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。 6 情報開示命令は、執行力を有しない。 7 相手方が正当な理由なく情報開示命令に従わないときは、裁判所は、決定で、三十万円以下の過料に処する。 8 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 9 民事訴訟法第百八十九条の規定は、第七項の規定による過料の裁判について準用する。 第四目 対象債権等の確定 (債権届出) 第三十三条 簡易確定手続開始決定に係る対象債権等については、簡易確定手続申立団体に限り、届け出ることができる。 2 前項の規定による届出(以下「債権届出」という。)は、届出期間内に、次に掲げる事項を記載した書面(以下この節において「届出書」という。)を簡易確定手続開始決定をした裁判所に提出してしなければならない。 一 対象債権等について債権届出をする簡易確定手続申立団体、相手方及び届出消費者(対象債権等として裁判所に債権届出があった債権(以下「届出債権」という。)の債権者である消費者をいう。以下同じ。)並びにこれらの法定代理人 二 請求の趣旨及び原因(請求の原因については、共通義務確認訴訟において認められた義務又は和解金債権に係る事実上及び法律上の原因を前提とするものに限る。) 三 前二号に掲げるもののほか、最高裁判所規則で定める事項 3 簡易確定手続申立団体は、債権届出の時に対象消費者が事業者等に対して対象債権に基づく訴えを提起するとすれば民事訴訟法第一編第二章第一節の規定により日本の裁判所が管轄権を有しないときは、第一項の規定にかかわらず、当該対象債権については、債権届出をすることができない。 4 簡易確定手続申立団体は、対象消費者等が提起したその有する対象債権等に基づく訴訟が裁判所に係属しているときは、第一項の規定にかかわらず、当該対象債権等については、債権届出をすることができない。 (簡易確定手続についての対象消費者等の授権) 第三十四条 簡易確定手続申立団体は、対象債権等について債権届出をし、及び当該対象債権等について簡易確定手続を追行するには、当該対象債権等に係る対象消費者等の授権がなければならない。 2 前項の対象消費者等は、簡易確定手続申立団体のうちから一の簡易確定手続申立団体を限り、同項の授権をすることができる。 3 第一項の授権をした対象消費者等は、当該授権を取り消すことができる。 4 前項の規定による第一項の授権の取消しは、当該授権をした対象消費者等又は当該授権を得た簡易確定手続申立団体から相手方に通知しなければ、その効力を生じない。 5 第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、当該授権は、その効力を失う。 6 簡易確定決定があるまでに簡易確定手続申立団体が届出債権について第一項の授権を欠いたとき(前項の規定により当該授権がその効力を失ったときを除く。)は、当該届出債権については、債権届出の取下げがあったものとみなす。 7 債権届出に係る簡易確定手続申立団体(以下「債権届出団体」という。)の第七十一条第一項に規定する特定認定が、簡易確定決定があるまでに、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、届出消費者は、第二項の規定にかかわらず、第九十三条第六項の規定による公示がされた後一月の不変期間内に、同条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体に第一項の授権をすることができる。 8 前項の届出消費者が同項の期間内に第一項の授権をしないときは、その届出債権については、債権届出の取下げがあったものとみなす。 9 簡易確定決定があった後に、届出消費者が第三項の規定により第一項の授権を取り消したときは、当該届出消費者は、更に簡易確定手続申立団体に同項の授権をすることができない。 (説明義務) 第三十五条 簡易確定手続申立団体は、前条第一項の授権に先立ち、当該授権をしようとする者に対し、内閣府令で定めるところにより、被害回復裁判手続の概要及び事案の内容その他内閣府令で定める事項について、これを記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供して説明をしなければならない。 (簡易確定手続授権契約の締結及び解除) 第三十六条 簡易確定手続申立団体は、やむを得ない理由があるときを除いては、簡易確定手続授権契約(対象消費者等が第三十四条第一項の授権をし、簡易確定手続申立団体が対象債権等について債権届出をすること及び簡易確定手続を追行することを約する契約をいう。以下同じ。)の締結を拒絶してはならない。 2 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、やむを得ない理由があるときを除いては、簡易確定手続授権契約を解除してはならない。 (公平誠実義務等) 第三十七条 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、当該授権をした対象消費者等のために、公平かつ誠実に債権届出、簡易確定手続の追行及び第二条第九号ロに規定する民事執行の手続の追行(当該授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。)並びにこれらに伴い取得した金銭その他の財産の管理をしなければならない。 2 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、当該授権をした対象消費者等に対し、善良な管理者の注意をもって前項に規定する行為をしなければならない。 (届出書の送達) 第三十八条 裁判所は、第三十三条第二項の規定による届出書の提出を受けたときは、次条第一項又は第六十九条第一項の規定により債権届出を却下する場合を除き、遅滞なく、当該届出書を相手方に送達しなければならない。 (不適法な債権届出の却下) 第三十九条 裁判所は、債権届出が不適法であると認めるとき、又は届出書の送達に必要な費用の予納がないときは、決定で、当該債権届出を却下しなければならない。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (簡易確定手続における和解) 第四十条 債権届出団体は、簡易確定手続において、届出債権について、和解をすることができる。 (債権届出があったときの時効の完成猶予及び更新) 第四十一条 債権届出があったときは、当該債権届出に係る対象債権の時効の完成猶予及び更新に関しては、簡易確定手続の前提となる共通義務確認の訴えを提起し、又は民事訴訟法第百四十三条第二項の書面を当該共通義務確認の訴えが係属していた裁判所に提出した時に、裁判上の請求があったものとみなす。 (債権届出の内容の変更の制限) 第四十二条 債権届出団体は、届出期間内に限り、当該債権届出の内容を変更することができる。 (債権届出の取下げ) 第四十三条 債権届出は、簡易確定決定に対し適法な異議の申立てがあるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、簡易確定決定があった後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による債権届出の取下げについて準用する。 (届出消費者表の作成等) 第四十四条 裁判所書記官は、届出債権について、届出消費者表を作成しなければならない。 2 前項の届出消費者表には、各届出債権について、その内容その他最高裁判所規則で定める事項を記載しなければならない。 3 届出消費者表の記載に誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでもその記載を更正する処分をすることができる。 (届出債権の認否) 第四十五条 相手方は、届出期間内に債権届出があった届出債権の内容について、認否期間内に、認否をしなければならない。 2 認否期間内に前項の認否(以下「届出債権の認否」という。)がないときは、相手方において、届出期間内に債権届出があった届出債権の内容の全部を認めたものとみなす。 3 相手方が、認否期間内に届出債権の内容の全部を認めたときは、当該届出債権の内容は、確定する。 4 裁判所書記官は、届出債権の認否の内容を届出消費者表に記載しなければならない。 5 第三項の規定により確定した届出債権については、届出消費者表の記載は、確定判決と同一の効力を有する。 この場合において、債権届出団体は、確定した届出債権について、相手方に対し、届出消費者表の記載により強制執行をすることができる。 (認否を争う旨の申出) 第四十六条 債権届出団体は、前条第三項の規定により届出債権の内容が確定したときを除き、届出債権の認否に対し、認否期間の末日から一月の不変期間内に、裁判所に届出債権の認否を争う旨の申出(以下単に「認否を争う旨の申出」という。)をすることができる。 2 裁判所は、認否を争う旨の申出が不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。 3 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 裁判所書記官は、認否を争う旨の申出の有無を届出消費者表に記載しなければならない。 (簡易確定決定) 第四十七条 裁判所は、適法な認否を争う旨の申出があったときは、第三十九条第一項又は第六十九条第一項の規定により債権届出を却下する場合を除き、簡易確定決定をしなければならない。 2 裁判所は、簡易確定決定をする場合には、当事者双方を審尋しなければならない。 3 簡易確定決定は、主文及び理由の要旨を記載した決定書を作成してしなければならない。 4 届出債権の支払を命ずる簡易確定決定(第五十九条及び第八十九条第一項第二号において「届出債権支払命令」という。)については、裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言することができる。 5 第三項の決定書は、当事者に送達しなければならない。 この場合においては、簡易確定決定の効力は、当事者に送達された時に生ずる。 (証拠調べの制限) 第四十八条 簡易確定決定のための審理においては、証拠調べは、書証に限りすることができる。 2 文書の提出又は対照の用に供すべき筆跡若しくは印影を備える物件の提出の命令は、することができない。 3 前二項の規定は、裁判所が職権で調査すべき事項には、適用しない。 (異議の申立て等) 第四十九条 当事者は、簡易確定決定に対し、第四十七条第五項の規定による送達を受けた日から一月の不変期間内に、当該簡易確定決定をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 2 届出消費者は、簡易確定決定に対し、債権届出団体が第四十七条第五項の規定による送達を受けた日から一月の不変期間内に、当該簡易確定決定をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 3 裁判所は、異議の申立てが不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。 4 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 適法な異議の申立てがあったときは、簡易確定決定は、仮執行の宣言を付したものを除き、その効力を失う。 6 適法な異議の申立てがないときは、簡易確定決定は、確定判決と同一の効力を有する。 7 民事訴訟法第三百五十八条及び第三百六十条の規定は、第一項及び第二項の異議について準用する。 (認否を争う旨の申出がないときの届出債権の確定等) 第五十条 適法な認否を争う旨の申出がないときは、届出債権の内容は、届出債権の認否の内容により確定する。 2 前項の規定により確定した届出債権については、届出消費者表の記載は、確定判決と同一の効力を有する。 この場合において、債権届出団体は、確定した届出債権について、相手方に対し、届出消費者表の記載により強制執行をすることができる。 第五目 費用の負担 (個別費用を除く簡易確定手続の費用の負担) 第五十一条 簡易確定手続の費用(債権届出の手数料及び簡易確定手続における届出債権に係る申立ての手数料(次条第一項及び第三項において「個別費用」と総称する。)を除く。以下この条において同じ。)は、各自が負担する。 2 前項の規定にかかわらず、裁判所は、事情により、同項の規定によれば当事者がそれぞれ負担すべき費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の当事者に負担させることができる。 3 裁判所は、簡易確定手続に係る事件が終了した場合において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、簡易確定手続の費用の負担を命ずる決定をすることができる。 4 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 民事訴訟法第六十九条から第七十二条まで及び第七十四条の規定は、簡易確定手続の費用の負担について準用する。 (個別費用の負担) 第五十二条 裁判所は、届出債権について簡易確定手続に係る事件が終了した場合(第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合には、異議後の訴訟が終了した場合)において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当該事件に関する個別費用の負担を命ずる決定をすることができる。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 3 民事訴訟法第一編第四章第一節(第六十五条、第六十六条、第六十七条第二項及び第七十三条を除く。)の規定は、個別費用の負担について準用する。 第六目 補則 (民事訴訟法の準用) 第五十三条 特別の定めがある場合を除き、簡易確定手続については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第二条、第十四条、第十六条、第二十一条、第二十二条、第一編第二章第三節、第三章(第三十条、第四十条から第四十九条まで、第五十二条及び第五十三条を除く。)、第五章(第八十七条、第八十七条の二、第九十一条第一項及び第二項、第九十二条第六項から第八項まで、第二節、第百十六条並びに第百十八条を除く。)及び第七章、第二編第一章(第百三十四条、第百三十四条の二、第百三十七条第二項及び第三項、第百三十八条第一項、第百三十九条、第百四十条並びに第百四十三条から第百四十六条までを除く。)、第三章(第百五十六条の二、第百五十七条の二、第百五十八条、第百五十九条第三項、第百六十一条第三項及び第三節を除く。)、第四章(第七節を除く。)、第五章(第二百四十五条、第二百四十九条から第二百五十二条まで、第二百五十三条第二項、第二百五十四条、第二百五十五条、第二百五十八条第二項から第四項まで並びに第二百五十九条第一項及び第二項を除く。)及び第六章(第二百六十一条から第二百六十三条まで及び第二百六十六条を除く。)、第三編第三章、第四編並びに第八編(第四百三条第一項第二号及び第四号から第六号までを除く。)の規定を準用する。 (簡易確定手続に係る事件の記録の閲覧) 第五十四条 簡易確定手続の当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、簡易確定手続に係る事件の記録の閲覧を請求することができる。 (送達の特例) 第五十五条 第五十三条において準用する民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出がない場合には、送達は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場所においてする。 一 共通義務確認訴訟において民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出があった場合 当該届出に係る場所 二 共通義務確認訴訟において民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出がなかった場合 当該共通義務確認訴訟における同条第三項に規定する場所 第二款 異議後の訴訟に係る民事訴訟手続の特例 (訴え提起の擬制等) 第五十六条 簡易確定決定に対し適法な異議の申立てがあったときは、債権届出に係る請求については、当該債権届出の時に、当該債権届出に係る債権届出団体(当該債権届出に係る届出消費者が当該異議の申立てをしたときは、その届出消費者)を原告として、当該簡易確定決定をした地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。 この場合においては、届出書を訴状と、第三十八条の規定による送達を訴状の送達とみなす。 2 前項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件は、同項の地方裁判所の管轄に専属する。 3 前項の事件が係属する地方裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、同項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、その事件に係る訴訟を民事訴訟法第四条第一項又は第五条第一号、第五号若しくは第九号の規定により管轄権を有する地方裁判所に移送することができる。 (異議後の訴訟についての届出消費者の授権) 第五十七条 債権届出団体は、異議後の訴訟を追行するには、届出消費者の授権がなければならない。 2 届出消費者は、その届出債権に係る債権届出団体に限り、前項の授権をすることができる。 3 届出消費者が第八項において準用する第三十四条第三項の規定により第一項の授権を取り消し、又は自ら異議後の訴訟を追行したときは、当該届出消費者は、更に債権届出団体に同項の授権をすることができない。 4 債権届出団体は、正当な理由があるときを除いては、訴訟授権契約(届出消費者が第一項の授権をし、債権届出団体が異議後の訴訟を追行することを約する契約をいう。以下同じ。)の締結を拒絶してはならない。 5 第一項の授権を得た債権届出団体は、正当な理由があるときを除いては、訴訟授権契約を解除してはならない。 6 第一項の授権を得た債権届出団体は、当該授権をした届出消費者のために、公平かつ誠実に異議後の訴訟の追行及び第二条第九号ロに規定する民事執行の手続の追行(当該授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。)並びにこれらに伴い取得した金銭その他の財産の管理をしなければならない。 7 第一項の授権を得た債権届出団体は、当該授権をした届出消費者に対し、善良な管理者の注意をもって前項に規定する行為をしなければならない。 8 第三十四条第三項から第五項まで及び第三十五条の規定は、第一項の授権について準用する。 9 民事訴訟法第五十八条第二項並びに第百二十四条第一項(第六号に係る部分に限る。)及び第二項の規定は、異議後の訴訟において債権届出団体が第一項の授権を欠くときについて準用する。 (訴えの変更の制限等) 第五十八条 異議後の訴訟においては、原告は、訴えの変更(届出消費者又は請求額の変更を内容とするものを除く。)をすることができない。 2 異議後の訴訟においては、反訴を提起することができない。 (異議後の判決) 第五十九条 仮執行の宣言を付した届出債権支払命令に係る請求について第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合において、当該訴えについてすべき判決が届出債権支払命令と符合するときは、その判決において、届出債権支払命令を認可しなければならない。 ただし、届出債権支払命令の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。 2 前項の規定により届出債権支払命令を認可する場合を除き、仮執行の宣言を付した届出債権支払命令に係る請求について第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合における当該訴えについてすべき判決においては、届出債権支払命令を取り消さなければならない。 (訴えの取下げの制限) 第六十条 異議後の訴訟においては、訴えの取下げは、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 第三節 特定適格消費者団体のする仮差押え (特定適格消費者団体のする仮差押え) 第六十一条 特定適格消費者団体は、当該特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の実現を保全するため、民事保全法の規定により、仮差押命令の申立てをすることができる。 2 特定適格消費者団体は、保全すべき権利に係る金銭の支払義務について共通義務確認の訴えを提起することができる場合に限り、前項の申立てをすることができる。 3 第一項の申立てにおいては、保全すべき権利について、対象債権及び対象消費者の範囲並びに当該特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の総額を明らかにすれば足りる。 4 特定適格消費者団体は、対象債権について、第一項の規定によるもののほか、保全命令の申立てをすることができない。 (管轄) 第六十二条 前条第一項の申立てに関する民事保全法第十一条の規定の適用については、共通義務確認の訴えを本案の訴えとみなす。 2 民事保全法第十二条第一項及び第三項の規定の適用については、共通義務確認訴訟の管轄裁判所を本案の管轄裁判所とみなす。 (保全取消しに関する本案の特例) 第六十三条 第六十一条第一項の申立てに係る仮差押命令(以下単に「仮差押命令」という。)に関する民事保全法第三十七条第一項、第三項及び第四項の規定の適用については、当該申立てに係る仮差押えの手続の当事者である特定適格消費者団体がした共通義務確認の訴えの提起を本案の訴えの提起とみなす。 2 前項の共通義務確認の訴えに係る請求を認容する判決が確定したとき又は請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解若しくは和解金債権が存することを認める旨の和解によって同項の共通義務確認の訴えに係る訴訟が終了したときは、同項の特定適格消費者団体が簡易確定手続開始の申立てをすることができる期間及び当該特定適格消費者団体を当事者とする簡易確定手続又は異議後の訴訟が係属している間は、民事保全法第三十七条第一項及び第三項の規定の適用については、本案の訴えが係属しているものとみなす。 3 民事保全法第三十八条及び第四十条の規定の適用については、第六十一条第一項の申立てに係る仮差押えの手続の当事者である特定適格消費者団体が提起した共通義務確認訴訟に係る第一審裁判所(当該共通義務確認訴訟が控訴審に係属するときは、控訴裁判所)を本案の裁判所とみなす。 (仮差押えをした特定適格消費者団体の義務) 第六十四条 特定適格消費者団体は、仮差押命令に係る仮差押えの執行がされている財産について強制執行の申立てをし、又は当該財産について強制執行若しくは担保権の実行の手続がされている場合において配当要求をするときは、当該特定適格消費者団体が取得した債務名義及び取得することとなる債務名義に係る届出債権を平等に取り扱わなければならない。 第四節 補則 (訴訟代理権の不消滅) 第六十五条 訴訟代理権は、被害回復裁判手続の当事者である特定適格消費者団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたことによっては、消滅しない。 (手続の中断及び受継) 第六十六条 次の各号に掲げる手続の当事者である特定適格消費者団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、その手続は、中断する。 この場合において、それぞれ当該各号に定める者は、その手続を受け継がなければならない。 一 共通義務確認訴訟の手続、簡易確定手続(次号に掲げる簡易確定手続を除く。)又は仮差押命令に係る仮差押えの手続(仮差押えの執行に係る訴訟手続を含む。) 第九十三条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体 二 簡易確定手続(簡易確定決定があった後の手続に限る。)又は異議後の訴訟の手続 第九十三条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体(第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権を得た場合に限る。)又は届出消費者 三 特定適格消費者団体が対象債権等に関して取得した債務名義に係る民事執行に係る訴訟手続 第九十三条第三項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体 2 前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない。 3 第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定は、共通義務確認訴訟又は簡易確定手続(特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合を除く。)において、他に当事者である特定適格消費者団体がある場合には、適用しない。 (関連する請求に係る訴訟手続の中止) 第六十七条 共通義務確認訴訟が係属する場合において、当該共通義務確認訴訟の当事者である事業者等と対象消費者との間に他の訴訟が係属し、かつ、当該他の訴訟が当該共通義務確認訴訟の目的である請求又は防御の方法と関連する請求に係るものであるときは、当該他の訴訟の受訴裁判所は、当事者の意見を聴いて、決定で、その訴訟手続の中止を命ずることができる。 2 前項の受訴裁判所は、同項の決定を取り消すことができる。 (対象消費者による訴えの提起等があったときの時効の完成猶予) 第六十八条 次の表の上欄に掲げる場合において、同表の中欄に掲げる日から六月以内に、同表の下欄に掲げる対象債権について民法第百四十七条第一項各号に掲げる事由があるときは、当該対象債権の時効の完成猶予に関しては、共通義務確認の訴えを提起し、又は民事訴訟法第百四十三条第二項の書面を当該共通義務確認の訴えが係属していた裁判所に提出した時に、当該事由があったものとみなす。 一 共通義務確認の訴えの取下げの効力が生じた場合 当該取下げの効力が生じた日 当該取り下げられた共通義務確認の訴えに係る対象債権 二 共通義務確認の訴えを却下する裁判が確定した場合 当該裁判が確定した日 当該却下された共通義務確認の訴えに係る対象債権 三 第十五条第一項に規定する特定適格消費者団体が第十六条第一項の期間(同条第二項の規定により当該期間が伸長された場合にあっては、当該伸長された期間。次号において同じ。)内に簡易確定手続開始の申立てをしなかった場合 当該期間の満了の日 共通義務確認訴訟において認められた義務に係る対象債権 四 第十五条第二項に規定する特定適格消費者団体が第十六条第一項の期間内に簡易確定手続開始の申立てをしなかった場合 当該期間の満了の日 当該和解において認められた義務に係る対象債権(第十五条第二項ただし書に規定する部分を除く。) 五 簡易確定手続開始の申立ての取下げ(届出期間満了後にされたものを除く。)の効力が生じた場合 当該取下げの効力が生じた日 当該取り下げられた申立てに係る対象債権 六 第十三条に規定する簡易確定手続開始の申立てを却下する裁判(第十六条第一項又は第二十四条の規定に違反することを理由とするものを除く。)が確定した場合 当該裁判が確定した日 当該却下された申立てに係る対象債権 (共通義務確認訴訟の判決が再審により取り消された場合の取扱い) 第六十九条 簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が再審により取り消された場合には、簡易確定手続が係属する裁判所は、決定で、債権届出(当該簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が取り消されたことによってその前提を欠くこととなる部分に限る。)を却下しなければならない。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件が係属する裁判所は、判決で、当該訴え(当該簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が取り消されたことによってその前提を欠くこととなる部分に限る。)を却下しなければならない。 (最高裁判所規則) 第七十条 この章に定めるもののほか、被害回復裁判手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第三章 特定適格消費者団体 第一節 特定適格消費者団体の認定等 (特定適格消費者団体の認定) 第七十一条 適格消費者団体は、内閣総理大臣の認定(以下「特定認定」という。)を受けた場合に限り、被害回復関係業務を行うことができる。 2 前項に規定する「被害回復関係業務」とは、次に掲げる業務をいう。 一 被害回復裁判手続に関する業務(第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。) 二 前号に掲げる業務の遂行に必要な消費者の被害に関する情報の収集に係る業務 三 第一号に掲げる業務に付随する対象消費者等に対する情報の提供及び金銭その他の財産の管理に係る業務 3 特定認定を受けようとする適格消費者団体は、内閣総理大臣に特定認定の申請をしなければならない。 4 内閣総理大臣は、前項の申請をした適格消費者団体が次に掲げる要件の全てに適合しているときに限り、特定認定をすることができる。 一 差止請求関係業務(消費者契約法第十三条第一項に規定する差止請求関係業務をいう。以下同じ。)を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。 二 第二項に規定する被害回復関係業務(以下単に「被害回復関係業務」という。)の実施に係る組織、被害回復関係業務の実施の方法、被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、被害回復関係業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の被害回復関係業務を適正に遂行するための体制及び業務規程が適切に整備されていること。 三 その理事に関し、次に掲げる要件に適合するものであること。 イ 被害回復関係業務の執行を決定する機関として理事をもって構成する理事会が置かれており、かつ、定款で定めるその決定の方法が次に掲げる要件に適合していると認められること。 (1) 当該理事会の決議が理事の過半数又はこれを上回る割合以上の多数決により行われるものとされていること。 (2) 共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復関係業務の執行に係る重要な事項の決定が理事その他の者に委任されていないこと。 ロ 理事のうち一人以上が弁護士であること。 四 共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復裁判手続についての検討を行う部門において消費者契約法第十三条第三項第五号イ及びロに掲げる者(以下「専門委員」と総称する。)が共にその専門的な知識経験に基づいて必要な助言を行い又は意見を述べる体制が整備されていることその他被害回復関係業務を遂行するための人的体制に照らして、被害回復関係業務を適正に遂行することができる専門的な知識経験を有すると認められること。 五 被害回復関係業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。 六 被害回復関係業務に関して支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項を定めており、これが消費者の利益の擁護の見地から不当なものでないこと。 七 被害回復関係業務以外の業務を行うことによって被害回復関係業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。 5 前項第二号の業務規程には、被害回復関係業務の実施の方法、被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、被害回復関係業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の内閣府令で定める事項が定められていなければならない。 この場合において、業務規程に定める被害回復関係業務の実施の方法には、簡易確定手続授権契約及び訴訟授権契約の内容並びに請求の放棄、和解又は上訴の取下げをしようとする場合において第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権をした者(第八十二条第一項において単に「授権をした者」という。)の意思を確認するための措置、前項第四号の検討を行う部門における専門委員からの助言又は意見の聴取に関する措置及び役員、職員又は専門委員が被害回復裁判手続の相手方と特別の利害関係を有する場合の措置その他業務の公正な実施の確保に関する措置が含まれていなければならない。 6 次の各号のいずれかに該当する適格消費者団体は、特定認定を受けることができない。 一 この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しないもの 二 第九十二条第一項各号又は第二項各号に掲げる事由により特定認定を取り消され、その取消しの日から三年を経過しないもの 三 役員のうちに次のイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの イ この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者 ロ 特定適格消費者団体が第九十二条第一項各号又は第二項各号に掲げる事由により特定認定を取り消された場合において、その取消しの日前六月以内に当該特定適格消費者団体の役員であった者でその取消しの日から三年を経過しないもの (特定認定の申請) 第七十二条 前条第三項の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。 一 名称及び住所並びに代表者の氏名 二 被害回復関係業務を行おうとする事務所の所在地 三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項 2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 定款 二 差止請求関係業務を相当期間にわたり継続して適正に行っていることを証する書類 三 被害回復関係業務に関する業務計画書 四 被害回復関係業務を適正に遂行するための体制が整備されていることを証する書類 五 業務規程 六 役員、職員及び専門委員に関する次に掲げる書類 イ 氏名、役職及び職業を記載した書類 ロ 住所、略歴その他内閣府令で定める事項を記載した書類 七 最近の事業年度における財産目録、貸借対照表又は次のイ若しくはロに掲げる法人の区分に応じ、当該イ若しくはロに定める書類(第九十九条第二項第七号及び第百十条第一項において「財産目録等」という。)その他の経理的基礎を有することを証する書類 イ 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人(第九十八条第一項及び第二項において単に「特定非営利活動法人」という。) 同法第二十七条第三号に規定する活動計算書 ロ 一般社団法人又は一般財団法人 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第百二十三条第二項(同法第百九十九条において準用する場合を含む。)に規定する損益計算書(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第五条に規定する公益認定を受けている場合にあっては、内閣府令で定める書類) 八 被害回復関係業務に関して支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項を記載した書類 九 前条第六項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面 十 被害回復関係業務以外に行う業務の種類及び概要を記載した書類 十一 その他内閣府令で定める書類 (特定認定の申請に関する公告及び縦覧) 第七十三条 内閣総理大臣は、特定認定の申請があった場合には、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨並びに前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項を公告するとともに、同条第二項各号(第六号ロ、第九号及び第十一号を除く。)に掲げる書類を、公告の日から二週間、公衆の縦覧に供しなければならない。 (特定認定の公示等) 第七十四条 内閣総理大臣は、特定認定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該特定適格消費者団体の名称及び住所、被害回復関係業務を行う事務所の所在地並びに当該特定認定をした日を公示するとともに、当該特定適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。 2 特定適格消費者団体は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体である旨について、被害回復関係業務を行う事務所において見やすいように掲示するとともに、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。第百一条第二項において同じ。)により公衆の閲覧に供しなければならない。 3 特定適格消費者団体でない者は、その名称中に特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある文字を用い、又はその業務に関し、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。 (特定認定の有効期間等) 第七十五条 特定認定の有効期間は、当該特定認定の日における当該特定認定に係る消費者契約法第十三条第一項の認定の有効期間の残存期間と同一の期間とする。 2 特定認定の有効期間の満了後引き続き被害回復関係業務を行おうとする特定適格消費者団体は、その有効期間の更新を受けなければならない。 3 前項の有効期間の更新を受けようとする特定適格消費者団体は、当該有効期間の満了の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「更新申請期間」という。)に、内閣総理大臣に前項の有効期間の更新の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により更新申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 4 第二項の有効期間の更新がされた場合における特定認定の有効期間は、当該更新前の特定認定の有効期間の満了の日の翌日から起算して六年とする。 5 第三項の申請があった場合において、当該有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の特定認定は、当該有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なお効力を有する。 6 前項の場合において、第二項の有効期間の更新がされたときは、その特定認定の有効期間は、従前の特定認定の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。 7 第七十一条(第一項、第二項及び第六項第二号を除く。)、第七十二条、第七十三条及び前条第一項の規定は、第二項の有効期間の更新について準用する。 この場合において、第七十一条第四項第一号中「同じ。)」とあるのは「同じ。)、被害回復関係業務又は相当多数の消費者と事業者との間の消費者契約に関する紛争の解決のための業務」と、第七十二条第二項中「ならない」とあるのは「ならない。ただし、既に内閣総理大臣に添付して提出された書類と同一内容のものについては、その添付を省略することができる」と、同項第二号中「差止請求関係業務」とあるのは「差止請求関係業務、被害回復関係業務又は相当多数の消費者と事業者との間の消費者契約に関する紛争の解決のための業務」と読み替えるものとする。 (変更の届出) 第七十六条 特定適格消費者団体は、第七十二条第一項各号に掲げる事項又は同条第二項各号(第二号及び第十一号を除く。)に掲げる書類に記載した事項に変更があったときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 ただし、その変更が内閣府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。 (合併の届出及び認可等) 第七十七条 特定適格消費者団体である法人が他の特定適格消費者団体である法人と合併をしたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 2 前項の規定により合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人(適格消費者団体である法人に限る。次項において同じ。)と合併(特定適格消費者団体である法人が存続するものを除く。以下この条及び第八十条第一項第二号において同じ。)をした場合には、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その合併について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする特定適格消費者団体である法人及び特定適格消費者団体でない法人は、共同して、その合併がその効力を生ずる日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その合併がその効力を生ずる日までにその申請に対する処分がされないときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その処分がされるまでの間は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。 6 第七十一条(第一項及び第二項を除く。)、第七十二条、第七十三条及び第七十四条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 特定適格消費者団体である法人は、特定適格消費者団体でない法人と合併をする場合において、第四項の申請をしないときは、その合併がその効力を生ずる日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (事業の譲渡の届出及び認可等) 第七十八条 特定適格消費者団体である法人が他の特定適格消費者団体である法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をしたときは、その譲渡を受けた法人は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 2 前項の規定によりその譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人(適格消費者団体である法人に限る。次項において同じ。)に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合には、その譲渡を受けた法人は、その譲渡について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする特定適格消費者団体である法人及び特定適格消費者団体でない法人は、共同して、その譲渡の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その譲渡の日までにその申請に対する処分がされないときは、その譲渡を受けた法人は、その処分がされるまでの間は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。 6 第七十一条(第一項及び第二項を除く。)、第七十二条、第七十三条及び第七十四条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 特定適格消費者団体である法人は、特定適格消費者団体でない法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をする場合において、第四項の申請をしないときは、その譲渡の日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (業務廃止の届出) 第七十九条 特定適格消費者団体が被害回復関係業務を廃止したときは、法人の代表者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (特定認定の失効) 第八十条 特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、特定認定は、その効力を失う。 一 特定認定の有効期間が経過したとき(第七十五条第五項に規定する場合にあっては、更新拒否処分がされたとき)。 二 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人と合併をした場合において、その合併が第七十七条第三項の認可を経ずにその効力を生じたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その合併の不認可処分がされたとき)。 三 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合において、その譲渡が第七十八条第三項の認可を経ずにされたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その譲渡の不認可処分がされたとき)。 四 特定適格消費者団体が被害回復関係業務を廃止したとき。 五 消費者契約法第十三条第一項の認定が失効し、又は取り消されたとき。 2 内閣総理大臣は、前項各号に掲げる事由が生じたことを知った場合において、特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対し、その特定認定が失効した旨を書面により通知しなければならない。 第二節 被害回復関係業務等 (特定適格消費者団体等の責務) 第八十一条 特定適格消費者団体は、対象消費者等の利益のために、被害回復関係業務を適切に実施しなければならない。 2 特定適格消費者団体は、不当な目的でみだりに共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復関係業務を実施してはならない。 3 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務について他の特定適格消費者団体と相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 4 特定適格消費者団体、適格消費者団体その他の関係者は、特定適格消費者団体が行う被害回復関係業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 5 特定適格消費者団体、独立行政法人国民生活センターその他の関係者は、独立行政法人国民生活センターが行う独立行政法人国民生活センター法(平成十四年法律第百二十三号)第十条第八号に掲げる業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 (報酬) 第八十二条 特定適格消費者団体は、授権をした者との簡易確定手続授権契約又は訴訟授権契約で定めるところにより、被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができる。 2 共通義務確認訴訟において和解を行った特定適格消費者団体は、当該和解に係る消費者との間で締結する契約(簡易確定手続授権契約及び訴訟授権契約を除く。)で定めるところにより、被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができる。 (弁護士に追行させる義務) 第八十三条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務を行う場合において、民事訴訟に関する手続(簡易確定手続を含む。)、仮差押命令に関する手続及び執行抗告(仮差押えの執行の手続に関する裁判に対する執行抗告を含む。)に係る手続については、弁護士に追行させなければならない。 (他の特定適格消費者団体への通知等) 第八十四条 特定適格消費者団体は、次に掲げる場合には、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を他の特定適格消費者団体に通知するとともに、その旨、その内容その他内閣府令で定める事項を内閣総理大臣に報告しなければならない。 この場合において、当該特定適格消費者団体が、当該通知及び報告に代えて、全ての特定適格消費者団体及び内閣総理大臣が電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置であって内閣府令で定めるものを講じたときは、当該通知及び報告をしたものとみなす。 一 共通義務確認の訴えの提起又は第六十一条第一項の申立てをしたとき。 二 共通義務確認訴訟の判決の言渡し又は第六十一条第一項の申立てについての決定の告知があったとき。 三 前号の判決に対する上訴の提起又は同号の決定に対する不服の申立てがあったとき。 四 第二号の判決又は同号の決定が確定したとき。 五 共通義務確認訴訟における和解が成立したとき。 六 前二号に掲げる場合のほか、共通義務確認訴訟又は仮差押命令に関する手続が終了したとき。 七 共通義務確認訴訟に関し、請求の放棄、和解、上訴の取下げその他の内閣府令で定める手続に係る行為であって、それにより確定判決及びこれと同一の効力を有するものが存することとなるものをしようとするとき。 八 第十六条第三項の規定による通知を受けたとき。 九 簡易確定手続開始の申立て又はその取下げをしたとき。 十 簡易確定手続開始決定があったとき。 十一 第二十六条第一項、第二項前段又は第三項の規定による公告をしたとき。 十二 第二十七条第一項の規定による通知をしたとき。 十三 その他被害回復関係業務に関し内閣府令で定める手続に係る行為がされたとき。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、全ての特定適格消費者団体及び内閣総理大臣が電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置その他の内閣府令で定める方法により、他の特定適格消費者団体に当該報告の日時及び概要その他内閣府令で定める事項を伝達するものとする。 (個人情報の取扱い) 第八十五条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に関し、消費者の個人情報(個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。第三項において同じ。)を保管し、又は利用するに当たっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内でこれを保管し、及び利用しなければならない。 ただし、当該消費者の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。 2 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に関し、消費者から収集した消費者の被害に関する情報を被害回復裁判手続に係る相手方その他の第三者が当該被害に係る消費者を識別することができる方法で利用するに当たっては、あらかじめ、当該消費者の同意を得なければならない。 3 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務において消費者の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。 (秘密保持義務) 第八十六条 特定適格消費者団体の役員、職員若しくは専門委員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、被害回復関係業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (氏名等の明示) 第八十七条 特定適格消費者団体の被害回復関係業務に従事する者は、その被害回復関係業務を行うに当たり、被害回復裁判手続に係る相手方の請求があったときは、当該特定適格消費者団体の名称、自己の氏名及び特定適格消費者団体における役職又は地位その他内閣府令で定める事項を、その相手方に明らかにしなければならない。 (情報の提供) 第八十八条 特定適格消費者団体は、消費者の財産的被害等の回復に資するため、対象消費者等に対し、共通義務確認の訴えを提起したこと、共通義務確認訴訟の確定判決の内容その他必要な情報を提供するよう努めなければならない。 (財産上の利益の受領の禁止等) 第八十九条 特定適格消費者団体は、次に掲げる場合を除き、その被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を受けてはならない。 一 届出債権の認否、簡易確定決定、異議後の訴訟における判決若しくは請求の認諾又は和解に基づく義務の履行として金銭その他の財産上の利益を受けるとき。 二 被害回復裁判手続における判決(確定判決と同一の効力を有するもの、仮執行の宣言を付した届出債権支払命令及び第六十一条第一項の申立てについての決定を含む。次号において同じ。)又は第五十一条第三項若しくは第五十二条第一項若しくは民事訴訟法第七十三条第一項の決定により訴訟費用(簡易確定手続の費用、和解の費用及び調停手続の費用を含む。)を負担することとされた相手方から当該訴訟費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。 三 被害回復裁判手続における判決に基づく民事執行の執行費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。 2 特定適格消費者団体は、対象消費者等又は第九十八条第二項に規定する消費者団体訴訟等支援法人に前項第一号に規定する義務の履行として金銭その他の財産上の利益を受けさせる場合を除き、その被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を第三者に受けさせてはならない。 3 特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員は、特定適格消費者団体の被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を受け、又は第三者に受けさせてはならない。 4 前三項に規定する被害回復裁判手続に係る相手方からその被害回復裁判手続の追行に関して受け又は受けさせてはならない財産上の利益には、その相手方がその被害回復裁判手続の追行に関してした不法行為によって生じた損害の賠償として受け又は受けさせる財産上の利益は含まれない。 (区分経理) 第九十条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に係る経理を他の業務に係る経理と区分して整理しなければならない。 第三節 監督 (適合命令及び改善命令) 第九十一条 内閣総理大臣は、特定適格消費者団体が、第七十一条第四項第二号から第七号までに掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該特定適格消費者団体に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 2 内閣総理大臣は、前項に定めるもののほか、特定適格消費者団体が第七十一条第六項第三号に該当するに至ったと認めるとき、特定適格消費者団体又はその役員、職員若しくは専門委員が被害回復関係業務の遂行に関しこの法律の規定に違反したと認めるとき、その他特定適格消費者団体の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該特定適格消費者団体に対し、人的体制の改善、違反の停止、業務規程の変更その他の業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (特定認定の取消し等) 第九十二条 内閣総理大臣は、特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、特定認定を取り消すことができる。 一 偽りその他不正の手段により特定認定、第七十五条第二項の有効期間の更新又は第七十七条第三項若しくは第七十八条第三項の認可を受けたとき。 二 第七十一条第四項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったとき。 三 第七十一条第六項第一号又は第三号に該当するに至ったとき。 四 前三号に掲げるもののほか、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき(次項第二号に該当する場合を除く。)。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による取消しのほか、特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、特定認定又は消費者契約法第十三条第一項の認定を取り消すことができる。 一 被害回復裁判手続において、特定適格消費者団体がその相手方と通謀して請求の放棄又は対象消費者等の利益を害する内容の和解をしたときその他対象消費者等の利益に著しく反する訴訟その他の手続の追行を行ったと認められるとき。 二 第八十九条第一項又は第二項の規定に違反したとき。 三 当該特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員が第八十九条第三項の規定に違反したとき。 3 特定適格消費者団体が、第八十四条第一項の規定に違反して同項の通知又は報告をしないで、共通義務確認の訴えに関し、同項第七号に規定する行為をしたときは、内閣総理大臣は、当該特定適格消費者団体について前項第一号に掲げる事由があるものとみなすことができる。 4 内閣総理大臣は、第一項又は第二項の規定による取消しをしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその取消しをした日を公示するとともに、特定適格消費者団体であった法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 この場合において、当該特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対しても、その取消しをした旨を書面により通知しなければならない。 (手続を受け継ぐべき特定適格消費者団体の指定等) 第九十三条 被害回復裁判手続(第二条第九号ロに規定する民事執行の手続を除く。)の当事者である特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、当該被害回復裁判手続を受け継ぐべき特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 ただし、共通義務確認訴訟又は簡易確定手続(特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合を除く。)において、他に当事者である特定適格消費者団体があるときは、この限りでない。 2 第十三条に規定する特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、第十三条に規定する特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 ただし、同条に規定する特定適格消費者団体が他にあるときは、この限りでない。 3 対象債権等に係る債務名義を取得した特定適格消費者団体又はその民事執行法第二十三条第一項第三号に規定する承継人である特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、同法第二十三条第一項第三号に規定する承継人となるべき特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 4 内閣総理大臣は、前三項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体(以下この項及び次項において「指定特定適格消費者団体」という。)について、特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは既に失効し、又は前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるときは、指定特定適格消費者団体に係る指定を取り消さなければならない。 5 第一項から第三項までの規定による指定は、指定特定適格消費者団体が受け継ぐことになった手続をその指定前に追行していた者に次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたことを理由として取り消すことができない。 一 特定認定の取消処分、特定認定の有効期間の更新拒否処分若しくは第七十七条第三項の合併若しくは第七十八条第三項の事業の全部の譲渡の不認可処分(以下この号において「特定認定取消処分等」という。)が取り消され、又は特定認定取消処分等の取消し若しくはその無効若しくは不存在の確認の判決が確定したとき。 二 消費者契約法第十三条第一項の認定の取消処分、同項の認定の有効期間の更新拒否処分若しくは同法第十九条第三項の合併若しくは同法第二十条第三項の事業の全部の譲渡の不認可処分(以下この号において「認定取消処分等」という。)が取り消され、又は認定取消処分等の取消し若しくはその無効若しくは不存在の確認の判決が確定したとき。 6 内閣総理大臣は、第一項から第三項までの規定による指定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその指定をした日を公示するとともに、その指定を受けた特定適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。 第四項の規定により当該指定を取り消したときも、同様とする。 7 前項前段の場合において、特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、内閣総理大臣は、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対しても、その指定をした旨を書面により通知しなければならない。 8 次の各号に掲げる場合には、当該各号の指定を受けた特定適格消費者団体は、遅滞なく、知れている届出消費者に、各別にその旨を通知しなければならない。 一 第一項の規定による指定がされた場合(特定適格消費者団体であった法人が簡易確定手続(当該特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合に限る。)又は異議後の訴訟の手続の当事者であったときに限る。) 二 第三項の規定による指定がされた場合 9 第一項から第三項までの規定による指定がされたときは、特定適格消費者団体であった法人は、遅滞なく、その指定を受けた特定適格消費者団体に対し、その指定の対象となった事件について、対象消費者等のために保管する物及び被害回復関係業務に関する書類を移管し、その他被害回復関係業務をその指定を受けた特定適格消費者団体に引き継ぐために必要な一切の行為をしなければならない。 第四節 補則 (消費者契約法の特例) 第九十四条 特定適格消費者団体である適格消費者団体に対する消費者契約法の規定の適用については、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。 第二十九条第一項 その行う差止請求関係業務 その行う差止請求関係業務及び消費者裁判手続特例法第七十一条第二項に規定する被害回復関係業務(以下単に「被害回復関係業務」という。) 、差止請求関係業務 、差止請求関係業務及び被害回復関係業務 第三十一条第二項第七号 差止請求関係業務 差止請求関係業務及び被害回復関係業務 第三十二条第一項 この法律 この法律又は消費者裁判手続特例法 (判決等に関する情報の公表) 第九十五条 内閣総理大臣は、消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するため、特定適格消費者団体から第八十四条第一項(第一号及び第七号に係る部分を除く。)の規定による報告を受けたときは、インターネットの利用その他適切な方法により、速やかに、共通義務確認訴訟の確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)の概要、簡易確定手続開始決定の概要、第二十六条第一項、第二項前段及び第三項の規定による公告の概要、第二十七条第一項の規定による通知の概要、当該特定適格消費者団体の名称及び当該共通義務確認訴訟の相手方の氏名又は名称その他内閣府令で定める事項を公表するものとする。 2 前項に規定する事項のほか、内閣総理大臣は、被害回復関係業務に関する情報を広く国民に提供するため、インターネットの利用その他適切な方法により、特定適格消費者団体の名称及び住所並びに被害回復関係業務を行う事務所の所在地その他内閣府令で定める必要な情報を公表することができる。 3 内閣総理大臣は、独立行政法人国民生活センターに、前二項に規定する情報の公表に関する業務を行わせることができる。 (特定適格消費者団体への協力等) 第九十六条 内閣総理大臣は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体の求めに応じ、当該特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を適切に追行するために必要な限度において、当該特定適格消費者団体に対し、特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)又は預託等取引に関する法律(昭和六十一年法律第六十二号)に基づく処分に関して作成した書類で内閣府令で定めるものを提供することができる。 2 前項の規定により書類の提供を受けた特定適格消費者団体は、当該書類を当該被害回復裁判手続の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。 第九十七条 独立行政法人国民生活センター及び地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体の求めに応じ、当該特定適格消費者団体が被害回復関係業務を適切に遂行するために必要な限度において、当該特定適格消費者団体に対し、消費生活に関する消費者と事業者との間に生じた苦情に係る相談に関する情報で内閣府令で定めるものを提供することができる。 2 前項の規定により情報の提供を受けた特定適格消費者団体は、当該情報を当該被害回復関係業務の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。 第四章 消費者団体訴訟等支援法人 第一節 消費者団体訴訟等支援法人の認定等 (消費者団体訴訟等支援法人の認定) 第九十八条 内閣総理大臣は、特定非営利活動法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人であって、次に掲げる要件に該当すると認められるもの(適格消費者団体である法人を除く。)を、その申請により、次項に規定する業務(以下この章及び第百十七条第二項第二号において「支援業務」という。)を行う者として認定することができる。 一 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動を行うことを主たる目的とし、現にその活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。 二 消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するための啓発活動及び広報活動の実績が相当程度あること。 三 支援業務の実施に係る組織、支援業務の実施の方法、支援業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、支援業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の支援業務を適正に遂行するための体制及び業務規程が適切に整備されていること。 四 支援業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。 五 支援業務以外の業務を行うことによって支援業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。 2 前項の規定による認定(以下この章及び第百十七条第一項において「支援認定」という。)を受けた特定非営利活動法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人(以下「消費者団体訴訟等支援法人」という。)は、次に掲げる業務を行うものとする。 一 特定適格消費者団体の委託を受けて、対象消費者等に対する情報の提供、金銭の管理その他の特定適格消費者団体が行う被害回復関係業務に付随する事務であって内閣府令で定めるものを行うこと。 二 特定適格消費者団体とその被害回復裁判手続に係る相手方との合意により定めるところにより、相手方通知その他の当該相手方が行うべき被害回復裁判手続における事務であって内閣府令で定めるものを行うこと。 三 被害回復関係業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体に対する助言、被害回復関係業務に関する情報の公表その他の内閣府令で定める事務を行うこと。 四 前三号に掲げるもののほか、内閣総理大臣の委託を受けて、次に掲げる業務を行うこと。 イ 第九十五条第一項及び第二項の規定による公表 ロ この法律の実施のために必要な情報の収集その他の内閣府令で定める事務 3 第一項第三号の業務規程には、支援業務の実施の方法、支援業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、支援業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の内閣府令で定める事項が定められていなければならない。 4 次の各号のいずれかに該当する者は、支援認定を受けることができない。 一 この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない法人 二 第百十三条第一項各号に掲げる事由により支援認定を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない法人 三 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(次号及び第六号ハにおいて「暴力団員等」という。)がその事業活動を支配する法人 四 暴力団員等をその事業活動に従事させ、又はその事業活動の補助者として使用するおそれのある法人 五 政治団体(政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第三条第一項に規定する政治団体をいう。) 六 役員のうちに次のイからハまでのいずれかに該当する者のある法人 イ 拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定若しくはこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者 ロ 消費者団体訴訟等支援法人が第百十三条第一項各号に掲げる事由により支援認定を取り消された場合において、その取消しの日前六月以内に当該消費者団体訴訟等支援法人の役員であった者でその取消しの日から三年を経過しないもの ハ 暴力団員等 (支援認定の申請) 第九十九条 前条第一項の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。 一 名称及び住所並びに代表者の氏名 二 支援業務を行おうとする事務所の所在地 三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項 2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 定款 二 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていることを証する書類 三 消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するための啓発活動及び広報活動に係る事業の実績が相当程度あることを証する書類 四 支援業務を適正に遂行するための体制が整備されていることを証する書類 五 業務規程 六 役職員名簿(役員及び職員の氏名、その役職その他内閣府令で定める事項を記載した名簿をいう。第百十条第二項第三号において同じ。) 七 最近の事業年度における財産目録等その他の経理的基礎を有することを証する書類 八 前条第四項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面 九 支援業務以外の業務を行う場合には、その業務の種類及び概要を記載した書類 十 その他内閣府令で定める書類 (支援認定の申請に関する公告及び縦覧等) 第百条 内閣総理大臣は、支援認定の申請があった場合には、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨並びに前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項を公告するとともに、同条第二項各号(第八号及び第十号を除く。)に掲げる書類を、公告の日から二週間、公衆の縦覧に供しなければならない。 2 内閣総理大臣は、支援認定の申請をした者について第九十八条第四項第三号、第四号又は第六号ハに該当する疑いがあると認めるときは、警察庁長官の意見を聴くものとする。 (支援認定の公示等) 第百一条 内閣総理大臣は、支援認定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該消費者団体訴訟等支援法人の名称及び住所、支援業務を行う事務所の所在地並びに当該支援認定をした日を公示するとともに、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 2 消費者団体訴訟等支援法人は、内閣府令で定めるところにより、消費者団体訴訟等支援法人である旨について、支援業務を行う事務所において見やすいように掲示するとともに、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人でない者は、その名称中に消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある文字を用い、又はその業務に関し、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。 (変更の届出) 第百二条 消費者団体訴訟等支援法人は、第九十九条第一項各号に掲げる事項又は同条第二項各号(第二号、第三号及び第十号を除く。)に掲げる書類に記載した事項に変更があったときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 ただし、その変更が内閣府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。 (合併の届出及び認可等) 第百三条 消費者団体訴訟等支援法人である法人が他の消費者団体訴訟等支援法人である法人と合併をしたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 2 前項の規定により合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併(消費者団体訴訟等支援法人である法人が存続するものを除く。以下この条及び第百六条第一号において同じ。)をした場合には、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その合併について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする消費者団体訴訟等支援法人である法人及び消費者団体訴訟等支援法人でない法人は、共同して、その合併がその効力を生ずる日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その合併がその効力を生ずる日までにその申請に対する処分がされないときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その処分がされるまでの間は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継しているものとみなす。 6 第九十八条(第二項を除く。)、第九十九条、第百条及び第百一条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 消費者団体訴訟等支援法人である法人は、消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併をする場合において、第四項の申請をしないときは、その合併がその効力を生ずる日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (事業の譲渡の届出及び認可等) 第百四条 消費者団体訴訟等支援法人である法人が他の消費者団体訴訟等支援法人である法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をしたときは、その譲渡を受けた法人は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 2 前項の規定によりその譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をした場合には、その譲渡を受けた法人は、その譲渡について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする消費者団体訴訟等支援法人である法人及び消費者団体訴訟等支援法人でない法人は、共同して、その譲渡の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その譲渡の日までにその申請に対する処分がされないときは、その譲渡を受けた法人は、その処分がされるまでの間は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継しているものとみなす。 6 第九十八条(第二項を除く。)、第九十九条、第百条及び第百一条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 消費者団体訴訟等支援法人である法人は、消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をする場合において、第四項の申請をしないときは、その譲渡の日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (解散の届出等) 第百五条 消費者団体訴訟等支援法人が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 一 破産手続開始の決定により解散した場合 破産管財人 二 合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合 清算人 三 支援業務を廃止した場合 法人の代表者 2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (支援認定の失効) 第百六条 消費者団体訴訟等支援法人について、次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、支援認定は、その効力を失う。 一 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併をした場合において、その合併が第百三条第三項の認可を経ずにその効力を生じたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その合併の不認可処分がされたとき)。 二 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をした場合において、その譲渡が第百四条第三項の認可を経ずにされたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その譲渡の不認可処分がされたとき)。 三 消費者団体訴訟等支援法人が前条第一項各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなったとき。 第二節 支援業務等 (秘密保持義務) 第百七条 消費者団体訴訟等支援法人の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、支援業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (業務の範囲及び区分経理) 第百八条 消費者団体訴訟等支援法人は、その行う支援業務に支障がない限り、定款の定めるところにより、支援業務以外の業務を行うことができる。 2 消費者団体訴訟等支援法人は、次に掲げる業務に係る経理をそれぞれ区分して整理しなければならない。 一 支援業務 二 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動に係る業務(前号に掲げる業務を除く。) 三 前二号に掲げる業務以外の業務 第三節 監督 (帳簿書類の作成及び保存) 第百九条 消費者団体訴訟等支援法人は、内閣府令で定めるところにより、その業務及び経理に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。 (財務諸表等の作成、備置き及び提出) 第百十条 消費者団体訴訟等支援法人は、毎事業年度終了後三月以内に、その事業年度の財産目録等及び事業報告書(これらの作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項第四号及び第百二十二条第十一号において「財務諸表等」という。)を作成しなければならない。 2 消費者団体訴訟等支援法人の事務所には、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる書類を備え置かなければならない。 一 定款 二 業務規程 三 役職員名簿 四 財務諸表等 五 経理に関する内閣府令で定める事項を記載した書類 六 支援業務以外の業務を行う場合には、その業務の種類及び概要を記載した書類 3 消費者団体訴訟等支援法人は、毎事業年度終了後三月以内に、前項第三号及び第四号に掲げる書類を内閣総理大臣に提出しなければならない。 (報告及び立入検査) 第百十一条 内閣総理大臣は、この章の規定の施行に必要な限度において、消費者団体訴訟等支援法人に対し、その業務若しくは経理の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、消費者団体訴訟等支援法人の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。 2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 3 第一項に規定する立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。 (適合命令及び改善命令) 第百十二条 内閣総理大臣は、消費者団体訴訟等支援法人が、第九十八条第一項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 2 内閣総理大臣は、前項に定めるもののほか、消費者団体訴訟等支援法人が第九十八条第四項第三号から第六号までのいずれかに該当するに至ったと認めるとき、消費者団体訴訟等支援法人又はその役員若しくは職員が支援業務の遂行に関しこの法律の規定に違反したと認めるとき、その他消費者団体訴訟等支援法人の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、人的体制の改善、違反の停止、業務規程の変更その他の業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (支援認定の取消し等) 第百十三条 内閣総理大臣は、消費者団体訴訟等支援法人について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、支援認定を取り消すことができる。 一 偽りその他不正の手段により支援認定又は第百三条第三項若しくは第百四条第三項の認可を受けたとき。 二 特定非営利活動促進法第四十三条第一項又は第二項の規定により設立の認証を取り消されたとき。 三 第九十八条第一項各号に掲げる要件のいずれかに該当しなくなったとき。 四 第九十八条第四項各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。 五 支援業務の実施に関し、対象消費者等の利益に著しく反する行為をしたと認められるとき。 六 前各号に掲げるもののほか、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき。 2 内閣総理大臣は、前項各号に掲げる事由により支援認定を取り消したときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその取消しをした日を公示するとともに、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 第五章 雑則 (官公庁等への協力依頼) 第百十四条 内閣総理大臣は、この法律の実施のため必要があると認めるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。 (権限の委任) 第百十五条 内閣総理大臣は、前二章及び前条の規定による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。 第六章 罰則 第百十六条 特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員が、特定適格消費者団体の被害回復裁判手続に係る相手方から、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、当該特定適格消費者団体における次に掲げる行為の報酬として、金銭その他の財産上の利益を受け、又は第三者(当該特定適格消費者団体を含む。)に受けさせたときは、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。 一 共通義務確認の訴えの提起、簡易確定手続開始の申立て、債権届出、簡易確定手続若しくは異議後の訴訟に関する民事執行の申立て又は第六十一条第一項の申立てをしないこと又はしなかったこと。 二 第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権に係る債権に係る裁判外の和解をすること又はしたこと。 三 被害回復裁判手続を終了させること又は終了させたこと。 2 前項の利益を供与した者も、同項と同様とする。 3 第一項の場合において、犯人又は情を知った第三者が受けた財産上の利益は、没収する。 その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。 4 第一項の罪は、日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。 5 第二項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。 第百十七条 偽りその他不正の手段により特定認定、第七十五条第二項の有効期間の更新、第七十七条第三項、第七十八条第三項、第百三条第三項若しくは第百四条第三項の認可又は支援認定を受けたときは、当該違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。 2 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。 一 第八十六条の規定に違反して、被害回復関係業務に関して知り得た秘密を漏らした者 二 第百七条の規定に違反して、支援業務に関して知り得た秘密を漏らした者 第百十八条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。 一 第七十二条第一項(第七十五条第七項、第七十七条第六項及び第七十八条第六項において準用する場合を含む。)若しくは第九十九条第一項(第百三条第六項及び第百四条第六項において準用する場合を含む。)の申請書又は第七十二条第二項各号(第七十五条第七項、第七十七条第六項及び第七十八条第六項において準用する場合を含む。)若しくは第九十九条第二項各号(第百三条第六項及び第百四条第六項において準用する場合を含む。)に掲げる書類に虚偽の記載をして提出したとき。 二 第七十四条第三項の規定に違反して、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある文字をその名称中に用い、又はその業務に関し、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある表示をしたとき。 三 第百一条第三項の規定に違反して、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある文字をその名称中に用い、又はその業務に関し、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある表示をしたとき。 四 第百九条の規定に違反して、帳簿書類の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の帳簿書類の作成をしたとき。 五 第百十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。 第百十九条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第百十六条、第百十七条第一項又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。 2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。 第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の過料に処する。 一 第十五条の規定に違反して、正当な理由がないのに簡易確定手続開始の申立てを怠った者 二 第三十六条第一項の規定に違反して、やむを得ない理由がないのに簡易確定手続授権契約の締結を拒んだ者 三 第三十六条第二項の規定に違反して、やむを得ない理由がないのに簡易確定手続授権契約を解除した者 第百二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の過料に処する。 一 第二十六条第一項、第二項前段若しくは第三項の規定による公告をすることを怠り、又は不正の公告をした者 二 第二十六条第二項前段若しくは第二十七条第一項の規定による通知をすることを怠り、又は不正の通知をした者 第百二十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の過料に処する。 一 第五十七条第四項の規定に違反して、正当な理由がないのに訴訟授権契約の締結を拒んだ者 二 第五十七条第五項の規定に違反して、正当な理由がないのに訴訟授権契約を解除した者 三 第七十四条第二項若しくは第百一条第二項の規定による掲示をせず、若しくは虚偽の掲示をし、又は第七十四条第二項若しくは第百一条第二項の規定に違反して公衆の閲覧に供せず、若しくは虚偽の事項を公衆の閲覧に供した者 四 第七十六条、第七十七条第二項若しくは第七項、第七十八条第二項若しくは第七項、第七十九条第一項、第百二条、第百三条第二項若しくは第七項、第百四条第二項若しくは第七項又は第百五条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者 五 第八十四条第一項前段の規定による通知若しくは報告をせず、又は虚偽の通知若しくは報告をした者 六 第八十五条第二項の規定に違反して、消費者の被害に関する情報を利用した者 七 第八十七条の規定に違反して、同条の請求を拒んだ者 八 第九十三条第九項の規定による被害回復関係業務の引継ぎを怠った者 九 第九十六条第二項の規定に違反して、書類を同項に定める目的以外の目的のために利用し、又は提供した者 十 第九十七条第二項の規定に違反して、情報を同項に定める目的以外の目的のために利用し、又は提供した者 十一 第百十条第一項の規定に違反して、財務諸表等を作成せず、又はこれに記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をした者 十二 第百十条第二項の規定に違反して、書類を備え置かなかった者 十三 第百十条第三項の規定に違反して、書類を提出せず、又は書類に虚偽の記載若しくは記録をして提出した者
民事
Heisei
Act
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平成二十五年法律第九十六号
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消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害等(財産的被害及び精神上の苦痛を受けたことによる損害をいう。以下同じ。)について、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差により消費者が自らその回復を図ることには困難を伴う場合があることに鑑み、その財産的被害等を集団的に回復するため、特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を追行することができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 消費者 個人(事業を行う場合におけるものを除く。)をいう。 二 事業者 法人その他の社団又は財団及び事業を行う場合における個人をいう。 三 消費者契約 消費者と事業者との間で締結される契約(労働契約を除く。)をいう。 四 共通義務確認の訴え 消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害等について、事業者、事業者に代わって事業を監督する者(次条第一項第五号ロ及び第三項第三号ロにおいて「事業監督者」という。)又は事業者の被用者(以下「事業者等」と総称する。)が、これらの消費者に対し、これらの消費者に共通する事実上及び法律上の原因に基づき、個々の消費者の事情によりその金銭の支払請求に理由がない場合を除いて、金銭を支払う義務を負うべきことの確認を求める訴えをいう。 五 対象債権 共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に対する金銭の支払請求権であって、前号に規定する義務に係るものをいう。 六 対象消費者 対象債権を有する消費者をいう。 七 簡易確定手続 共通義務確認の訴えに係る訴訟(以下「共通義務確認訴訟」という。)の結果を前提として、この法律の規定による裁判所に対する第三十三条第二項に規定する債権届出に基づき、相手方が認否をし、第四十六条第一項に規定する認否を争う旨の申出がない場合はその認否により、同項に規定する認否を争う旨の申出がある場合は裁判所の決定により、対象債権及び第十一条第二項に規定する和解金債権(以下「対象債権等」という。)の存否及び内容を確定する裁判手続をいう。 八 異議後の訴訟 簡易確定手続における対象債権等の存否及び内容を確定する決定(以下「簡易確定決定」という。)に対して適法な異議の申立てがあった後の当該請求に係る訴訟をいう。 九 被害回復裁判手続 次に掲げる手続をいう。 イ 共通義務確認訴訟の手続、簡易確定手続及び異議後の訴訟の手続 ロ 特定適格消費者団体が対象債権等に関して取得した債務名義による民事執行の手続(民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第三十三条第一項、第三十四条第一項、第三十五条第一項、第三十八条第一項、第九十条第一項及び第百五十七条第一項の訴えに係る訴訟手続(第六十六条第一項第三号において「民事執行に係る訴訟手続」という。)を含む。)及び特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の実現を保全するための仮差押えの手続(民事保全法(平成元年法律第九十一号)第四十六条において準用する民事執行法第三十三条第一項、第三十四条第一項及び第三十八条第一項の訴えに係る訴訟手続(第六十六条第一項第一号において「仮差押えの執行に係る訴訟手続」という。)を含む。) 十 特定適格消費者団体 被害回復裁判手続を追行するのに必要な適格性を有する法人である適格消費者団体(消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体をいう。以下同じ。)として第七十一条の定めるところにより内閣総理大臣の認定を受けた者をいう。 第二章 被害回復裁判手続 第一節 共通義務確認訴訟に係る民事訴訟手続の特例 (共通義務確認の訴え) 第三条 特定適格消費者団体は、事業者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって消費者契約に関する第一号から第四号までに掲げる請求及び第五号イからハまでに掲げる者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって消費者契約に関する同号に掲げる請求(これらに附帯する利息、損害賠償、違約金又は費用の請求を含む。)に係るものについて、共通義務確認の訴えを提起することができる。 一 契約上の債務の履行の請求 二 不当利得に係る請求 三 契約上の債務の不履行による損害賠償の請求 四 不法行為に基づく損害賠償の請求(民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定によるものに限り、次号(イに係る部分に限る。)に掲げるものを除く。) 五 事業者の被用者が消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えたことを理由とする次のイからハまでに掲げる者に対する当該イからハまでに定める請求 イ 事業者(当該被用者の選任及びその事業の監督について故意又は重大な過失により相当の注意を怠ったものに限る。第三項第三号において同じ。) 民法第七百十五条第一項の規定による損害賠償の請求 ロ 事業監督者(当該被用者の選任及びその事業の監督について故意又は重大な過失により相当の注意を怠ったものに限る。第三項第三号ロにおいて同じ。) 民法第七百十五条第二項の規定による損害賠償の請求 ハ 被用者(第三者に損害を加えたことについて故意又は重大な過失があるものに限る。第三項第三号ハにおいて同じ。) 不法行為に基づく損害賠償の請求(民法の規定によるものに限る。) 2 次に掲げる損害については、前項第三号から第五号までに掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えを提起することができない。 一 契約上の債務の不履行又は不法行為により、物品、権利その他の消費者契約の目的となるもの(役務を除く。次号において同じ。)以外の財産が滅失し、又は損傷したことによる損害 二 消費者契約の目的となるものの提供があるとすればその処分又は使用により得るはずであった利益を喪失したことによる損害 三 契約上の債務の不履行又は不法行為により、消費者契約による製造、加工、修理、運搬又は保管に係る物品その他の消費者契約の目的となる役務の対象となったもの以外の財産が滅失し、又は損傷したことによる損害 四 消費者契約の目的となる役務の提供があるとすれば当該役務を利用すること又は当該役務の対象となったものを処分し、若しくは使用することにより得るはずであった利益を喪失したことによる損害 五 人の生命又は身体を害されたことによる損害 六 精神上の苦痛を受けたことによる損害(その額の算定の基礎となる主要な事実関係が相当多数の消費者について共通するものであり、かつ、次のイ又はロのいずれかに該当するものを除く。) イ 共通義務確認の訴えにおいて一の訴えにより、前項各号に掲げる請求(同項第三号から第五号までに掲げる請求にあっては、精神上の苦痛を受けたことによる損害に係る請求を含まないものに限る。以下このイにおいて「財産的請求」という。)と併せて請求されるものであって、財産的請求と共通する事実上の原因に基づくもの ロ 事業者の故意によって生じたもの 3 次の各号に掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えについては、当該各号に定める者を被告とする。 一 第一項第一号から第三号までに掲げる請求 消費者契約の相手方である事業者 二 第一項第四号に掲げる請求 消費者契約の相手方である事業者若しくはその債務の履行をする事業者又は消費者契約の締結について勧誘をし、当該勧誘をさせ、若しくは当該勧誘を助長する事業者 三 第一項第五号に掲げる請求 次に掲げる者 イ 消費者契約の相手方である事業者若しくはその債務の履行をする事業者又は消費者契約の締結について勧誘をし、当該勧誘をさせ、若しくは当該勧誘を助長する事業者であって、当該事業者の消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えた被用者を使用するもの ロ イに掲げる事業者の事業監督者 ハ イに掲げる事業者の被用者であって、当該事業者の消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えたもの 4 裁判所は、共通義務確認の訴えに係る請求を認容する判決をしたとしても、事案の性質、当該判決を前提とする簡易確定手続において予想される主張及び立証の内容その他の事情を考慮して、当該簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるときは、共通義務確認の訴えの全部又は一部を却下することができる。 (訴訟の目的の価額) 第四条 共通義務確認の訴えは、訴訟の目的の価額の算定については、財産権上の請求でない請求に係る訴えとみなす。 (訴状の記載事項) 第五条 共通義務確認の訴えの訴状には、対象債権及び対象消費者の範囲を記載して、請求の趣旨及び原因を特定しなければならない。 (管轄及び移送) 第六条 共通義務確認訴訟については、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第五条(第五号に係る部分を除く。)の規定は、適用しない。 2 次の各号に掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えは、当該各号に定める地を管轄する地方裁判所にも提起することができる。 一 第三条第一項第一号から第三号までに掲げる請求 義務履行地 二 第三条第一項第四号及び第五号に掲げる請求 不法行為があった地 3 対象消費者の数が五百人以上であると見込まれるときは、民事訴訟法第四条第一項若しくは第五条第五号又は前項の規定による管轄裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも、共通義務確認の訴えを提起することができる。 4 対象消費者の数が千人以上であると見込まれるときは、東京地方裁判所又は大阪地方裁判所にも、共通義務確認の訴えを提起することができる。 5 民事訴訟法第四条第一項、第五条第五号、第十一条第一項若しくは第十二条又は前三項の規定により二以上の地方裁判所が管轄権を有するときは、共通義務確認の訴えは、先に訴えの提起があった地方裁判所が管轄する。 ただし、その地方裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当該共通義務確認の訴えに係る訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。 6 裁判所は、共通義務確認訴訟がその管轄に属する場合においても、他の裁判所に事実上及び法律上同種の原因に基づく請求を目的とする共通義務確認訴訟が係属している場合において、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、当該共通義務確認訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所に移送することができる。 (弁論等の必要的併合) 第七条 請求の内容及び相手方が同一である共通義務確認訴訟が数個同時に係属するときは、その弁論及び裁判は、併合してしなければならない。 2 前項に規定する場合には、当事者は、その旨を裁判所に申し出なければならない。 (補助参加の禁止) 第八条 消費者は、民事訴訟法第四十二条の規定にかかわらず、共通義務確認訴訟の結果について利害関係を有する場合であっても、特定適格消費者団体を補助するため、その共通義務確認訴訟に参加することができない。 (保全開示命令等) 第九条 共通義務確認訴訟が係属する裁判所は、次に掲げる事由につき疎明があった場合には、当該共通義務確認訴訟の当事者である特定適格消費者団体の申立てにより、決定で、当該共通義務確認訴訟の当事者である事業者等に対して、第三十一条第一項の規定により事業者等が特定適格消費者団体に開示しなければならない同項に規定する文書について、同条第二項に規定する方法により開示することを命ずることができる。 一 第二条第四号に規定する義務が存すること。 二 当該文書について、あらかじめ開示がされなければその開示が困難となる事情があること。 2 前項の規定による命令(以下この条において「保全開示命令」という。)の申立ては、文書の表示を明らかにしてしなければならない。 3 裁判所は、保全開示命令の申立てについて決定をする場合には、事業者等を審尋しなければならない。 4 保全開示命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 保全開示命令は、執行力を有しない。 6 事業者等が正当な理由なく保全開示命令に従わないときは、裁判所は、決定で、三十万円以下の過料に処する。 7 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 8 民事訴訟法第百八十九条の規定は、第六項の規定による過料の裁判について準用する。 (確定判決の効力が及ぶ者の範囲) 第十条 共通義務確認訴訟の確定判決は、民事訴訟法第百十五条第一項の規定にかかわらず、当該共通義務確認訴訟の当事者以外の特定適格消費者団体及び当該共通義務確認訴訟に係る対象消費者の範囲に属する第三十三条第二項第一号に規定する届出消費者に対してもその効力を有する。 (共通義務確認訴訟における和解) 第十一条 共通義務確認訴訟の当事者は、当該共通義務確認訴訟において、当該共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に当該共通義務確認訴訟の目的である第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解をするときは、当該義務に関し、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。 一 対象債権及び対象消費者の範囲 二 当該義務に係る事実上及び法律上の原因 2 共通義務確認訴訟の当事者は、当該共通義務確認訴訟において、当該共通義務確認訴訟に係る対象債権に係る紛争の解決に関し、当該紛争に係る消費者の当該共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に対する対象債権以外の金銭の支払請求権(以下「和解金債権」という。)が存することを認める旨の和解をするときは、当該和解金債権に関し、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。 一 当該和解の目的となる権利又は法律関係の範囲 二 和解金債権の額又はその算定方法 三 和解金債権を有する消費者(第二十六条第一項第十号において「和解対象消費者」という。)の範囲 3 共通義務確認訴訟における和解において、当該共通義務確認訴訟の当事者である特定適格消費者団体が当該共通義務確認訴訟の目的である第二条第四号に規定する義務について共通義務確認の訴えを提起しない旨の定めがされたときは、当該定めは、当該共通義務確認訴訟の当事者以外の特定適格消費者団体に対してもその効力を有する。 4 共通義務確認訴訟における和解については、民事訴訟法第九十一条第二項後段(同法第九十一条の二第四項において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。 (再審の訴え) 第十二条 共通義務確認の訴えが提起された場合において、原告及び被告が共謀して共通義務確認の訴えに係る対象消費者の権利を害する目的をもって判決をさせたときは、他の特定適格消費者団体は、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。 第二節 対象債権等の確定手続 第一款 簡易確定手続 第一目 通則 (簡易確定手続の当事者等) 第十三条 簡易確定手続は、共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した時又は請求の認諾等(請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解又は和解金債権が存することを認める旨の和解をいう。以下この条において同じ。)によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体(第九十三条第二項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた特定適格消費者団体。第十五条において同じ。)の申立てにより、当該判決が確定した時又は請求の認諾等によって当該共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった事業者等を相手方として、共通義務確認訴訟の第一審の終局判決をした地方裁判所(第一審において請求の認諾等によって共通義務確認訴訟が終了したときは、当該共通義務確認訴訟が係属していた地方裁判所)が行う。 (任意的口頭弁論) 第十四条 簡易確定手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。 2 前項の規定により口頭弁論をしない場合には、裁判所は、当事者を審尋することができる。 第二目 簡易確定手続の開始 (簡易確定手続開始の申立義務) 第十五条 共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した時又は請求の認諾によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 2 第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、当該義務に係る対象債権について、簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 ただし、当該対象債権のうち、当該和解においてその額又は算定方法のいずれかが定められている部分(当該和解において簡易確定手続開始の申立てをしなければならない旨が定められている部分を除く。)については、この限りでない。 3 和解金債権が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した場合において、当該和解において当該和解金債権の全部又は一部について簡易確定手続開始の申立てをしなければならない旨が定められているときは、当該共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、当該定めに係る和解金債権について簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 (簡易確定手続開始の申立期間) 第十六条 前条の場合において、簡易確定手続開始の申立ては、共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した日又は請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解若しくは和解金債権が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した日(第九十三条第二項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた日)から四月以内にしなければならない。 2 裁判所は、必要があると認めるときは、前条の規定により簡易確定手続開始の申立てをしなければならない特定適格消費者団体の申立てにより、二月以内の期間を定めて、前項の期間(この項の規定により当該期間が伸長された場合にあっては、当該伸長された期間。次項において同じ。)の伸長の決定をすることができる。 ただし、当該期間は、通じて八月を超えることができない。 3 裁判所は、前項の規定により第一項の期間の伸長の決定をしたときは、前条の規定により簡易確定手続開始の申立てをしなければならない特定適格消費者団体及び第十三条に規定する事業者等に対し、その旨を通知しなければならない。 (簡易確定手続開始の申立ての方式) 第十七条 簡易確定手続開始の申立ては、最高裁判所規則で定める事項を記載した書面でしなければならない。 (費用の予納) 第十八条 簡易確定手続開始の申立てをするときは、申立てをする特定適格消費者団体は、第二十三条第一項の規定による公告及び同条第二項の規定による通知に要する費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。 (簡易確定手続開始の申立ての取下げ) 第十九条 簡易確定手続開始の申立ては、裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と読み替えるものとする。 (簡易確定手続開始決定) 第二十条 裁判所は、簡易確定手続開始の申立てがあった場合には、当該申立てが不適法であると認めるとき又は第十八条に規定する費用の予納がないときを除き、簡易確定手続開始の決定(以下「簡易確定手続開始決定」という。)をする。 2 簡易確定手続開始の申立てを却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (簡易確定手続開始決定の方式) 第二十一条 簡易確定手続開始決定は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項を記載した決定書を作成してしなければならない。 一 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められたとき 当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 二 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をしたとき 当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 (簡易確定手続開始決定と同時に定めるべき事項) 第二十二条 裁判所は、簡易確定手続開始決定と同時に、当該簡易確定手続開始決定に係る簡易確定手続開始の申立てをした特定適格消費者団体(第九十三条第一項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた特定適格消費者団体。以下「簡易確定手続申立団体」という。)が第三十三条第二項に規定する債権届出をすべき期間(以下「届出期間」という。)及びその債権届出に対して簡易確定手続の相手方(以下この款において単に「相手方」という。)が認否をすべき期間(以下「認否期間」という。)を定めなければならない。 (簡易確定手続開始の公告等) 第二十三条 裁判所は、簡易確定手続開始決定をしたときは、直ちに、官報に掲載して次に掲げる事項を公告しなければならない。 一 簡易確定手続開始決定の主文 二 第二十一条各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項 三 簡易確定手続申立団体の名称及び住所 四 届出期間及び認否期間 2 裁判所は、簡易確定手続申立団体及び相手方に対し、前項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。 (重複する簡易確定手続開始の申立ての禁止) 第二十四条 簡易確定手続開始決定がされた事件については、特定適格消費者団体は、更に簡易確定手続開始の申立てをすることができない。 (届出期間又は認否期間の伸長) 第二十五条 裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、届出期間又は認否期間の伸長の決定をすることができる。 2 裁判所は、前項の規定により届出期間又は認否期間の伸長の決定をしたときは、簡易確定手続申立団体及び相手方に対し、その旨を通知しなければならない。 3 裁判所は、第一項の規定により届出期間又は認否期間の伸長の決定をしたときは、直ちに、官報に掲載してその旨を公告しなければならない。 第三目 簡易確定手続申立団体による公告及び通知等 (簡易確定手続申立団体による公告等) 第二十六条 簡易確定手続開始決定がされたときは、簡易確定手続申立団体は、正当な理由がある場合を除き、届出期間の末日の一月前までに、次に掲げる事項を相当な方法により公告しなければならない。 一 被害回復裁判手続の概要 二 被害回復裁判手続の事案の内容 三 共通義務確認訴訟の確定判決の内容(請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解又は和解金債権が存することを認める旨の和解がされた場合には、その内容) 四 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められた場合には、当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 五 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をした場合には、当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 六 共通義務確認訴訟における和解において対象債権等の額又は算定方法が定められた場合には、当該額又は算定方法 七 簡易確定手続申立団体の名称及び住所 八 簡易確定手続申立団体の連絡先 九 簡易確定手続申立団体が支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項 十 対象消費者等(対象消費者及び和解対象消費者をいう。以下同じ。)が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする方法 十一 対象消費者等が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする期間 十二 その他内閣府令で定める事項 2 前項の規定による公告後、届出期間中に同項第七号に掲げる事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を、相当な方法により公告するとともに、裁判所及び相手方に通知しなければならない。 この場合において、当該通知を受けた裁判所は、直ちに、官報に掲載してその旨を公告しなければならない。 3 第一項の規定による公告後、届出期間中に同項第八号から第十二号までに掲げる事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を、相当な方法により公告しなければならない。 (簡易確定手続申立団体による通知) 第二十七条 簡易確定手続開始決定がされたときは、簡易確定手続申立団体は、正当な理由がある場合を除き、届出期間の末日の一月前までに、知れている対象消費者等(次条第一項の規定による通知(以下この目及び第九十八条第二項第二号において「相手方通知」という。)を受けたものを除く。)に対し、前条第一項各号に掲げる事項を書面又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下同じ。)であって内閣府令で定めるものにより通知しなければならない。 2 前項の規定にかかわらず、同項の規定による通知において次に掲げる事項を記載する場合には、前条第一項第一号、第三号、第六号、第九号、第十号及び第十二号に掲げる事項を記載することを要しない。 一 前条第一項の規定により公告を行っている旨 二 当該公告の方法 三 その他内閣府令で定める事項 (相手方による通知) 第二十八条 相手方は、簡易確定手続申立団体の求め(相手方通知のため通常必要な期間を考慮して内閣府令で定める日までにされたものに限る。)があるときは、届出期間の末日の二月以上前の日であって内閣府令で定める日までに、当該求めに係る知れている対象消費者等に対し、次に掲げる事項を書面又は電磁的方法であって内閣府令で定めるものにより通知しなければならない。 一 被害回復裁判手続の事案の内容 二 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められた場合には、当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 三 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をした場合には、当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 四 簡易確定手続申立団体の名称、住所及び連絡先 五 対象消費者等が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする期間 六 簡易確定手続申立団体が第二十六条第一項の規定により公告を行っている旨 七 当該公告の方法 八 相手方の氏名又は名称、住所及び連絡先 九 その他内閣府令で定める事項 2 簡易確定手続申立団体は、相手方に対し、前項の求めをするときは、同項第四号に掲げる連絡先、同項第五号から第七号までに掲げる事項その他内閣府令で定める事項を通知しなければならない。 3 相手方は、相手方通知をしたときは、当該相手方通知をした時から一週間以内に、第一項の求めをした簡易確定手続申立団体に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。 一 相手方通知をした対象消費者等の氏名及び住所又は連絡先 二 相手方通知をした日 三 その他内閣府令で定める事項 (相手方による公表) 第二十九条 相手方は、簡易確定手続申立団体の求めがあるときは、遅滞なく、インターネットの利用、営業所その他の場所において公衆に見やすいように掲示する方法その他これらに類する方法により、届出期間中、前条第一項各号に掲げる事項(同項第四号、第五号、第八号又は第九号に掲げる事項に変更があったときは、変更後の当該各号に掲げる事項)を公表しなければならない。 2 前条第二項の規定は、簡易確定手続申立団体が相手方に対し前項の求めをするときについて準用する。 この場合において、同条第二項中「ならない」とあるのは、「ならない。この場合において、当該求めの後、届出期間中に前項第四号又は第五号に掲げる事項その他内閣府令で定める事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を相手方に通知しなければならない」と読み替えるものとする。 (対象消費者等に関する情報に係る回答義務) 第三十条 相手方は、簡易確定手続申立団体から次に掲げる事項について照会があるときは、当該照会があった時から一週間以内に、当該簡易確定手続申立団体に対し、書面又は電磁的方法であって内閣府令で定めるものにより回答しなければならない。 一 対象消費者等の数の見込み 二 知れている対象消費者等の数 三 相手方通知をする時期の見込み 四 その他内閣府令で定める事項 (情報開示義務) 第三十一条 相手方は、対象消費者等の氏名及び住所又は連絡先(内閣府令で定めるものに限る。次項において同じ。)が記載された文書(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をもって作成されている場合における当該電磁的記録を含む。)を所持する場合において、届出期間中に簡易確定手続申立団体の求めがあるときは、当該文書を当該簡易確定手続申立団体に開示することを拒むことができない。 ただし、相手方が開示すべき文書の範囲を特定するために不相当な費用又は時間を要するときは、この限りでない。 2 前項に規定する文書の開示は、その写しの交付(電磁的記録については、当該電磁的記録を出力した書面の交付又は当該電磁的記録に記録された情報の電磁的方法による提供であって内閣府令で定めるもの)により行う。 この場合において、相手方は、個人(対象消費者等でないことが明らかである者を除く。)の氏名及び住所又は連絡先が記載された部分以外の部分を除いて開示することができる。 3 相手方は、第一項に規定する文書の開示をしないときは、簡易確定手続申立団体に対し、速やかに、その旨及びその理由を書面により通知しなければならない。 (情報開示命令等) 第三十二条 簡易確定手続申立団体は、届出期間中、裁判所に対し、情報開示命令(前条第一項の規定により相手方が簡易確定手続申立団体に開示しなければならない同項に規定する文書について、同条第二項に規定する方法による開示を相手方に命ずる旨の決定をいう。以下この条において同じ。)の申立てをすることができる。 2 情報開示命令の申立ては、文書の表示を明らかにしてしなければならない。 3 裁判所は、情報開示命令の申立てを理由があると認めるときは、情報開示命令を発する。 4 裁判所は、情報開示命令の申立てについて決定をする場合には、相手方を審尋しなければならない。 5 情報開示命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。 6 情報開示命令は、執行力を有しない。 7 相手方が正当な理由なく情報開示命令に従わないときは、裁判所は、決定で、三十万円以下の過料に処する。 8 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 9 民事訴訟法第百八十九条の規定は、第七項の規定による過料の裁判について準用する。 第四目 対象債権等の確定 (債権届出) 第三十三条 簡易確定手続開始決定に係る対象債権等については、簡易確定手続申立団体に限り、届け出ることができる。 2 前項の規定による届出(以下「債権届出」という。)は、届出期間内に、次に掲げる事項を記載した書面(以下この節において「届出書」という。)を簡易確定手続開始決定をした裁判所に提出してしなければならない。 一 対象債権等について債権届出をする簡易確定手続申立団体、相手方及び届出消費者(対象債権等として裁判所に債権届出があった債権(以下「届出債権」という。)の債権者である消費者をいう。以下同じ。)並びにこれらの法定代理人 二 請求の趣旨及び原因(請求の原因については、共通義務確認訴訟において認められた義務又は和解金債権に係る事実上及び法律上の原因を前提とするものに限る。) 三 前二号に掲げるもののほか、最高裁判所規則で定める事項 3 簡易確定手続申立団体は、債権届出の時に対象消費者が事業者等に対して対象債権に基づく訴えを提起するとすれば民事訴訟法第一編第二章第一節の規定により日本の裁判所が管轄権を有しないときは、第一項の規定にかかわらず、当該対象債権については、債権届出をすることができない。 4 簡易確定手続申立団体は、対象消費者等が提起したその有する対象債権等に基づく訴訟が裁判所に係属しているときは、第一項の規定にかかわらず、当該対象債権等については、債権届出をすることができない。 (簡易確定手続についての対象消費者等の授権) 第三十四条 簡易確定手続申立団体は、対象債権等について債権届出をし、及び当該対象債権等について簡易確定手続を追行するには、当該対象債権等に係る対象消費者等の授権がなければならない。 2 前項の対象消費者等は、簡易確定手続申立団体のうちから一の簡易確定手続申立団体を限り、同項の授権をすることができる。 3 第一項の授権をした対象消費者等は、当該授権を取り消すことができる。 4 前項の規定による第一項の授権の取消しは、当該授権をした対象消費者等又は当該授権を得た簡易確定手続申立団体から相手方に通知しなければ、その効力を生じない。 5 第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、当該授権は、その効力を失う。 6 簡易確定決定があるまでに簡易確定手続申立団体が届出債権について第一項の授権を欠いたとき(前項の規定により当該授権がその効力を失ったときを除く。)は、当該届出債権については、債権届出の取下げがあったものとみなす。 7 債権届出に係る簡易確定手続申立団体(以下「債権届出団体」という。)の第七十一条第一項に規定する特定認定が、簡易確定決定があるまでに、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、届出消費者は、第二項の規定にかかわらず、第九十三条第六項の規定による公示がされた後一月の不変期間内に、同条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体に第一項の授権をすることができる。 8 前項の届出消費者が同項の期間内に第一項の授権をしないときは、その届出債権については、債権届出の取下げがあったものとみなす。 9 簡易確定決定があった後に、届出消費者が第三項の規定により第一項の授権を取り消したときは、当該届出消費者は、更に簡易確定手続申立団体に同項の授権をすることができない。 (説明義務) 第三十五条 簡易確定手続申立団体は、前条第一項の授権に先立ち、当該授権をしようとする者に対し、内閣府令で定めるところにより、被害回復裁判手続の概要及び事案の内容その他内閣府令で定める事項について、これを記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供して説明をしなければならない。 (簡易確定手続授権契約の締結及び解除) 第三十六条 簡易確定手続申立団体は、やむを得ない理由があるときを除いては、簡易確定手続授権契約(対象消費者等が第三十四条第一項の授権をし、簡易確定手続申立団体が対象債権等について債権届出をすること及び簡易確定手続を追行することを約する契約をいう。以下同じ。)の締結を拒絶してはならない。 2 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、やむを得ない理由があるときを除いては、簡易確定手続授権契約を解除してはならない。 (公平誠実義務等) 第三十七条 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、当該授権をした対象消費者等のために、公平かつ誠実に債権届出、簡易確定手続の追行及び第二条第九号ロに規定する民事執行の手続の追行(当該授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。)並びにこれらに伴い取得した金銭その他の財産の管理をしなければならない。 2 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、当該授権をした対象消費者等に対し、善良な管理者の注意をもって前項に規定する行為をしなければならない。 (届出書の送達) 第三十八条 裁判所は、第三十三条第二項の規定による届出書の提出を受けたときは、次条第一項又は第六十九条第一項の規定により債権届出を却下する場合を除き、遅滞なく、当該届出書を相手方に送達しなければならない。 (不適法な債権届出の却下) 第三十九条 裁判所は、債権届出が不適法であると認めるとき、又は届出書の送達に必要な費用の予納がないときは、決定で、当該債権届出を却下しなければならない。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (簡易確定手続における和解) 第四十条 債権届出団体は、簡易確定手続において、届出債権について、和解をすることができる。 (債権届出があったときの時効の完成猶予及び更新) 第四十一条 債権届出があったときは、当該債権届出に係る対象債権の時効の完成猶予及び更新に関しては、簡易確定手続の前提となる共通義務確認の訴えを提起し、又は民事訴訟法第百四十三条第二項の書面を当該共通義務確認の訴えが係属していた裁判所に提出した時に、裁判上の請求があったものとみなす。 (債権届出の内容の変更の制限) 第四十二条 債権届出団体は、届出期間内に限り、当該債権届出の内容を変更することができる。 (債権届出の取下げ) 第四十三条 債権届出は、簡易確定決定に対し適法な異議の申立てがあるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、簡易確定決定があった後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による債権届出の取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と読み替えるものとする。 (届出消費者表の作成等) 第四十四条 裁判所書記官は、届出債権について、届出消費者表を作成しなければならない。 2 前項の届出消費者表には、各届出債権について、その内容その他最高裁判所規則で定める事項を記載しなければならない。 3 届出消費者表の記載に誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでもその記載を更正する処分をすることができる。 (届出債権の認否) 第四十五条 相手方は、届出期間内に債権届出があった届出債権の内容について、認否期間内に、認否をしなければならない。 2 認否期間内に前項の認否(以下「届出債権の認否」という。)がないときは、相手方において、届出期間内に債権届出があった届出債権の内容の全部を認めたものとみなす。 3 相手方が、認否期間内に届出債権の内容の全部を認めたときは、当該届出債権の内容は、確定する。 4 裁判所書記官は、届出債権の認否の内容を届出消費者表に記載しなければならない。 5 第三項の規定により確定した届出債権については、届出消費者表の記載は、確定判決と同一の効力を有する。 この場合において、債権届出団体は、確定した届出債権について、相手方に対し、届出消費者表の記載により強制執行をすることができる。 (認否を争う旨の申出) 第四十六条 債権届出団体は、前条第三項の規定により届出債権の内容が確定したときを除き、届出債権の認否に対し、認否期間の末日から一月の不変期間内に、裁判所に届出債権の認否を争う旨の申出(以下単に「認否を争う旨の申出」という。)をすることができる。 2 裁判所は、認否を争う旨の申出が不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。 3 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 裁判所書記官は、認否を争う旨の申出の有無を届出消費者表に記載しなければならない。 (簡易確定決定) 第四十七条 裁判所は、適法な認否を争う旨の申出があったときは、第三十九条第一項又は第六十九条第一項の規定により債権届出を却下する場合を除き、簡易確定決定をしなければならない。 2 裁判所は、簡易確定決定をする場合には、当事者双方を審尋しなければならない。 3 簡易確定決定は、主文及び理由の要旨を記載した決定書を作成してしなければならない。 4 届出債権の支払を命ずる簡易確定決定(第五十九条及び第八十九条第一項第二号において「届出債権支払命令」という。)については、裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言することができる。 5 第三項の決定書は、当事者に送達しなければならない。 この場合においては、簡易確定決定の効力は、当事者に送達された時に生ずる。 (証拠調べの制限) 第四十八条 簡易確定決定のための審理においては、証拠調べは、書証及び電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べに限りすることができる。 2 文書の提出の命令若しくは民事訴訟法第二百三十一条の三第一項において準用する同法第二百二十三条に規定する命令又は対照の用に供すべき筆跡若しくは印影を備える物件の提出の命令は、することができない。 3 前二項の規定は、裁判所が職権で調査すべき事項には、適用しない。 (異議の申立て等) 第四十九条 当事者は、簡易確定決定に対し、第四十七条第五項の規定による送達を受けた日から一月の不変期間内に、当該簡易確定決定をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 2 届出消費者は、簡易確定決定に対し、債権届出団体が第四十七条第五項の規定による送達を受けた日から一月の不変期間内に、当該簡易確定決定をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 3 裁判所は、異議の申立てが不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。 4 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 適法な異議の申立てがあったときは、簡易確定決定は、仮執行の宣言を付したものを除き、その効力を失う。 6 適法な異議の申立てがないときは、簡易確定決定は、確定判決と同一の効力を有する。 7 民事訴訟法第二百六十一条第三項から第六項まで、第二百六十二条第一項、第二百六十三条、第三百五十八条並びに第三百六十条第一項及び第二項の規定は、第一項及び第二項の異議について準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と、同条第五項中「前項の規定により訴えの取下げがされた旨が記録された電子調書」とあるのは「その期日の調書の謄本」と読み替えるものとする。 (認否を争う旨の申出がないときの届出債権の確定等) 第五十条 適法な認否を争う旨の申出がないときは、届出債権の内容は、届出債権の認否の内容により確定する。 2 前項の規定により確定した届出債権については、届出消費者表の記載は、確定判決と同一の効力を有する。 この場合において、債権届出団体は、確定した届出債権について、相手方に対し、届出消費者表の記載により強制執行をすることができる。 第五目 費用の負担 (個別費用を除く簡易確定手続の費用の負担) 第五十一条 簡易確定手続の費用(債権届出の手数料及び簡易確定手続における届出債権に係る申立ての手数料(次条第一項及び第三項において「個別費用」と総称する。)を除く。以下この条において同じ。)は、各自が負担する。 2 前項の規定にかかわらず、裁判所は、事情により、同項の規定によれば当事者がそれぞれ負担すべき費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の当事者に負担させることができる。 3 裁判所は、簡易確定手続に係る事件が終了した場合において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、簡易確定手続の費用の負担を命ずる決定をすることができる。 4 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 民事訴訟法第六十九条から第七十二条まで(第七十一条第二項(同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)を除く。)及び第七十四条の規定は、簡易確定手続の費用の負担について準用する。 (個別費用の負担) 第五十二条 裁判所は、届出債権について簡易確定手続に係る事件が終了した場合(第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合には、異議後の訴訟が終了した場合)において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当該事件に関する個別費用の負担を命ずる決定をすることができる。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 3 民事訴訟法第一編第四章第一節(第六十五条、第六十六条、第六十七条第二項、第七十一条第二項(同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)及び第七十三条を除く。)の規定は、個別費用の負担について準用する。 第六目 補則 (民事訴訟法の準用) 第五十三条 特別の定めがある場合を除き、簡易確定手続については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第二条、第十四条、第十六条、第二十一条、第二十二条、第一編第二章第三節、第三章(第三十条、第四十条から第四十九条まで、第五十二条及び第五十三条を除く。)及び第五章(第八十七条、第八十七条の二、第九十一条第一項及び第二項、第九十一条の二、第九十二条第六項から第十項まで、第二節、第九十四条、第百条第二項、第四節第三款、第百十一条、第百十六条並びに第百十八条を除く。)、第二編第一章(第百三十四条、第百三十四条の二、第百三十七条第二項及び第三項、第百三十七条の二第六項から第九項まで、第百三十八条第一項、第百三十九条、第百四十条並びに第百四十三条から第百四十六条までを除く。)、第三章(第百五十一条第三項、第百五十六条の二、第百五十七条の二、第百五十八条、第百五十九条第三項、第百六十条第二項、第百六十一条第三項及び第三節を除く。)、第四章(第百八十五条第三項、第二百五条第二項、第二百十五条第二項、第二百二十七条第二項、第二百三十二条の二並びに第七節を除く。)、第五章(第二百四十五条、第二百四十九条から第二百五十一条まで、第二百五十二条第二項、第二百五十三条から第二百五十五条まで、第二百五十八条第二項から第四項まで並びに第二百五十九条第一項及び第二項を除く。)及び第六章(第二百六十一条から第二百六十三条まで、第二百六十六条及び第二百六十七条第二項を除く。)、第三編第三章、第四編並びに第九編(第四百三条第一項第二号及び第四号から第六号までを除く。)の規定を準用する。 この場合において、別表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。 (簡易確定手続に係る事件の記録の閲覧) 第五十四条 簡易確定手続の当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、簡易確定手続に係る事件の記録の閲覧を請求することができる。 (期日の呼出し) 第五十四条の二 簡易確定手続における期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によってする。 2 呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知以外の方法による期日の呼出しをしたときは、期日に出頭しない者に対し、法律上の制裁その他期日の不遵守による不利益を帰することができない。 ただし、その者が期日の呼出しを受けた旨を記載した書面を提出したときは、この限りでない。 (送達の特例) 第五十五条 第五十三条において準用する民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出がない場合には、送達は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場所においてする。 一 共通義務確認訴訟において民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出があった場合 当該届出に係る場所 二 共通義務確認訴訟において民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出がなかった場合 当該共通義務確認訴訟における同条第三項に規定する場所 2 公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。 (電子情報処理組織による申立て等) 第五十五条の二 簡易確定手続における申立てその他の申述(以下この条において「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。次項及び第四項において同じ。)をもってするものとされているものであって、最高裁判所の定める裁判所に対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官又は裁判所書記官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項及び第三項において同じ。)と申立て等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を用いてすることができる。 2 前項の規定によりされた申立て等については、当該申立て等を書面等をもってするものとして規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもってされたものとみなして、当該申立て等に関する法令の規定を適用する。 3 第一項の規定によりされた申立て等は、同項の裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に、当該裁判所に到達したものとみなす。 4 第一項の場合において、当該申立て等に関する他の法令の規定により署名等(署名、記名、押印その他氏名又は名称を書面等に記載することをいう。以下この項において同じ。)をすることとされているものについては、当該申立て等をする者は、当該法令の規定にかかわらず、当該署名等に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。 5 第一項の規定によりされた申立て等が第三項に規定するファイルに記録されたときは、第一項の裁判所は、当該ファイルに記録された情報の内容を書面に出力しなければならない。 6 第一項の規定によりされた申立て等に係るこの法律その他の法令の規定による簡易確定手続に係る事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、前項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第二款 異議後の訴訟に係る民事訴訟手続の特例 (訴え提起の擬制等) 第五十六条 簡易確定決定に対し適法な異議の申立てがあったときは、債権届出に係る請求については、当該債権届出の時に、当該債権届出に係る債権届出団体(当該債権届出に係る届出消費者が当該異議の申立てをしたときは、その届出消費者)を原告として、当該簡易確定決定をした地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。 この場合においては、届出書を訴状と、第三十八条の規定による送達を訴状の送達とみなす。 2 前項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件は、同項の地方裁判所の管轄に専属する。 3 前項の事件が係属する地方裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、同項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、その事件に係る訴訟を民事訴訟法第四条第一項又は第五条第一号、第五号若しくは第九号の規定により管轄権を有する地方裁判所に移送することができる。 4 和解金債権についての債権届出に係る請求について第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件には、民事訴訟法第七編の規定は、適用しない。 (異議後の訴訟についての届出消費者の授権) 第五十七条 債権届出団体は、異議後の訴訟を追行するには、届出消費者の授権がなければならない。 2 届出消費者は、その届出債権に係る債権届出団体に限り、前項の授権をすることができる。 3 届出消費者が第八項において準用する第三十四条第三項の規定により第一項の授権を取り消し、又は自ら異議後の訴訟を追行したときは、当該届出消費者は、更に債権届出団体に同項の授権をすることができない。 4 債権届出団体は、正当な理由があるときを除いては、訴訟授権契約(届出消費者が第一項の授権をし、債権届出団体が異議後の訴訟を追行することを約する契約をいう。以下同じ。)の締結を拒絶してはならない。 5 第一項の授権を得た債権届出団体は、正当な理由があるときを除いては、訴訟授権契約を解除してはならない。 6 第一項の授権を得た債権届出団体は、当該授権をした届出消費者のために、公平かつ誠実に異議後の訴訟の追行及び第二条第九号ロに規定する民事執行の手続の追行(当該授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。)並びにこれらに伴い取得した金銭その他の財産の管理をしなければならない。 7 第一項の授権を得た債権届出団体は、当該授権をした届出消費者に対し、善良な管理者の注意をもって前項に規定する行為をしなければならない。 8 第三十四条第三項から第五項まで及び第三十五条の規定は、第一項の授権について準用する。 9 民事訴訟法第五十八条第二項並びに第百二十四条第一項(第六号に係る部分に限る。)及び第二項の規定は、異議後の訴訟において債権届出団体が第一項の授権を欠くときについて準用する。 (訴えの変更の制限等) 第五十八条 異議後の訴訟においては、原告は、訴えの変更(届出消費者又は請求額の変更を内容とするものを除く。)をすることができない。 2 異議後の訴訟においては、反訴を提起することができない。 (異議後の判決) 第五十九条 仮執行の宣言を付した届出債権支払命令に係る請求について第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合において、当該訴えについてすべき判決が届出債権支払命令と符合するときは、その判決において、届出債権支払命令を認可しなければならない。 ただし、届出債権支払命令の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。 2 前項の規定により届出債権支払命令を認可する場合を除き、仮執行の宣言を付した届出債権支払命令に係る請求について第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合における当該訴えについてすべき判決においては、届出債権支払命令を取り消さなければならない。 (訴えの取下げの制限) 第六十条 異議後の訴訟においては、訴えの取下げは、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 第三節 特定適格消費者団体のする仮差押え (特定適格消費者団体のする仮差押え) 第六十一条 特定適格消費者団体は、当該特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の実現を保全するため、民事保全法の規定により、仮差押命令の申立てをすることができる。 2 特定適格消費者団体は、保全すべき権利に係る金銭の支払義務について共通義務確認の訴えを提起することができる場合に限り、前項の申立てをすることができる。 3 第一項の申立てにおいては、保全すべき権利について、対象債権及び対象消費者の範囲並びに当該特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の総額を明らかにすれば足りる。 4 特定適格消費者団体は、対象債権について、第一項の規定によるもののほか、保全命令の申立てをすることができない。 (管轄) 第六十二条 前条第一項の申立てに関する民事保全法第十一条の規定の適用については、共通義務確認の訴えを本案の訴えとみなす。 2 民事保全法第十二条第一項及び第三項の規定の適用については、共通義務確認訴訟の管轄裁判所を本案の管轄裁判所とみなす。 (保全取消しに関する本案の特例) 第六十三条 第六十一条第一項の申立てに係る仮差押命令(以下単に「仮差押命令」という。)に関する民事保全法第三十七条第一項、第三項及び第四項の規定の適用については、当該申立てに係る仮差押えの手続の当事者である特定適格消費者団体がした共通義務確認の訴えの提起を本案の訴えの提起とみなす。 2 前項の共通義務確認の訴えに係る請求を認容する判決が確定したとき又は請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解若しくは和解金債権が存することを認める旨の和解によって同項の共通義務確認の訴えに係る訴訟が終了したときは、同項の特定適格消費者団体が簡易確定手続開始の申立てをすることができる期間及び当該特定適格消費者団体を当事者とする簡易確定手続又は異議後の訴訟が係属している間は、民事保全法第三十七条第一項及び第三項の規定の適用については、本案の訴えが係属しているものとみなす。 3 民事保全法第三十八条及び第四十条の規定の適用については、第六十一条第一項の申立てに係る仮差押えの手続の当事者である特定適格消費者団体が提起した共通義務確認訴訟に係る第一審裁判所(当該共通義務確認訴訟が控訴審に係属するときは、控訴裁判所)を本案の裁判所とみなす。 (仮差押えをした特定適格消費者団体の義務) 第六十四条 特定適格消費者団体は、仮差押命令に係る仮差押えの執行がされている財産について強制執行の申立てをし、又は当該財産について強制執行若しくは担保権の実行の手続がされている場合において配当要求をするときは、当該特定適格消費者団体が取得した債務名義及び取得することとなる債務名義に係る届出債権を平等に取り扱わなければならない。 第四節 補則 (訴訟代理権の不消滅) 第六十五条 訴訟代理権は、被害回復裁判手続の当事者である特定適格消費者団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたことによっては、消滅しない。 (手続の中断及び受継) 第六十六条 次の各号に掲げる手続の当事者である特定適格消費者団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、その手続は、中断する。 この場合において、それぞれ当該各号に定める者は、その手続を受け継がなければならない。 一 共通義務確認訴訟の手続、簡易確定手続(次号に掲げる簡易確定手続を除く。)又は仮差押命令に係る仮差押えの手続(仮差押えの執行に係る訴訟手続を含む。) 第九十三条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体 二 簡易確定手続(簡易確定決定があった後の手続に限る。)又は異議後の訴訟の手続 第九十三条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体(第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権を得た場合に限る。)又は届出消費者 三 特定適格消費者団体が対象債権等に関して取得した債務名義に係る民事執行に係る訴訟手続 第九十三条第三項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体 2 前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない。 3 第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定は、共通義務確認訴訟又は簡易確定手続(特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合を除く。)において、他に当事者である特定適格消費者団体がある場合には、適用しない。 (関連する請求に係る訴訟手続の中止) 第六十七条 共通義務確認訴訟が係属する場合において、当該共通義務確認訴訟の当事者である事業者等と対象消費者との間に他の訴訟が係属し、かつ、当該他の訴訟が当該共通義務確認訴訟の目的である請求又は防御の方法と関連する請求に係るものであるときは、当該他の訴訟の受訴裁判所は、当事者の意見を聴いて、決定で、その訴訟手続の中止を命ずることができる。 2 前項の受訴裁判所は、同項の決定を取り消すことができる。 (対象消費者による訴えの提起等があったときの時効の完成猶予) 第六十八条 次の表の上欄に掲げる場合において、同表の中欄に掲げる日から六月以内に、同表の下欄に掲げる対象債権について民法第百四十七条第一項各号に掲げる事由があるときは、当該対象債権の時効の完成猶予に関しては、共通義務確認の訴えを提起し、又は民事訴訟法第百四十三条第二項の書面を当該共通義務確認の訴えが係属していた裁判所に提出した時に、当該事由があったものとみなす。 一 共通義務確認の訴えの取下げの効力が生じた場合 当該取下げの効力が生じた日 当該取り下げられた共通義務確認の訴えに係る対象債権 二 共通義務確認の訴えを却下する裁判が確定した場合 当該裁判が確定した日 当該却下された共通義務確認の訴えに係る対象債権 三 第十五条第一項に規定する特定適格消費者団体が第十六条第一項の期間(同条第二項の規定により当該期間が伸長された場合にあっては、当該伸長された期間。次号において同じ。)内に簡易確定手続開始の申立てをしなかった場合 当該期間の満了の日 共通義務確認訴訟において認められた義務に係る対象債権 四 第十五条第二項に規定する特定適格消費者団体が第十六条第一項の期間内に簡易確定手続開始の申立てをしなかった場合 当該期間の満了の日 当該和解において認められた義務に係る対象債権(第十五条第二項ただし書に規定する部分を除く。) 五 簡易確定手続開始の申立ての取下げ(届出期間満了後にされたものを除く。)の効力が生じた場合 当該取下げの効力が生じた日 当該取り下げられた申立てに係る対象債権 六 第十三条に規定する簡易確定手続開始の申立てを却下する裁判(第十六条第一項又は第二十四条の規定に違反することを理由とするものを除く。)が確定した場合 当該裁判が確定した日 当該却下された申立てに係る対象債権 (共通義務確認訴訟の判決が再審により取り消された場合の取扱い) 第六十九条 簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が再審により取り消された場合には、簡易確定手続が係属する裁判所は、決定で、債権届出(当該簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が取り消されたことによってその前提を欠くこととなる部分に限る。)を却下しなければならない。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件が係属する裁判所は、判決で、当該訴え(当該簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が取り消されたことによってその前提を欠くこととなる部分に限る。)を却下しなければならない。 (最高裁判所規則) 第七十条 この章に定めるもののほか、被害回復裁判手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第三章 特定適格消費者団体 第一節 特定適格消費者団体の認定等 (特定適格消費者団体の認定) 第七十一条 適格消費者団体は、内閣総理大臣の認定(以下「特定認定」という。)を受けた場合に限り、被害回復関係業務を行うことができる。 2 前項に規定する「被害回復関係業務」とは、次に掲げる業務をいう。 一 被害回復裁判手続に関する業務(第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。) 二 前号に掲げる業務の遂行に必要な消費者の被害に関する情報の収集に係る業務 三 第一号に掲げる業務に付随する対象消費者等に対する情報の提供及び金銭その他の財産の管理に係る業務 3 特定認定を受けようとする適格消費者団体は、内閣総理大臣に特定認定の申請をしなければならない。 4 内閣総理大臣は、前項の申請をした適格消費者団体が次に掲げる要件の全てに適合しているときに限り、特定認定をすることができる。 一 差止請求関係業務(消費者契約法第十三条第一項に規定する差止請求関係業務をいう。以下同じ。)を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。 二 第二項に規定する被害回復関係業務(以下単に「被害回復関係業務」という。)の実施に係る組織、被害回復関係業務の実施の方法、被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、被害回復関係業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の被害回復関係業務を適正に遂行するための体制及び業務規程が適切に整備されていること。 三 その理事に関し、次に掲げる要件に適合するものであること。 イ 被害回復関係業務の執行を決定する機関として理事をもって構成する理事会が置かれており、かつ、定款で定めるその決定の方法が次に掲げる要件に適合していると認められること。 (1) 当該理事会の決議が理事の過半数又はこれを上回る割合以上の多数決により行われるものとされていること。 (2) 共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復関係業務の執行に係る重要な事項の決定が理事その他の者に委任されていないこと。 ロ 理事のうち一人以上が弁護士であること。 四 共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復裁判手続についての検討を行う部門において消費者契約法第十三条第三項第五号イ及びロに掲げる者(以下「専門委員」と総称する。)が共にその専門的な知識経験に基づいて必要な助言を行い又は意見を述べる体制が整備されていることその他被害回復関係業務を遂行するための人的体制に照らして、被害回復関係業務を適正に遂行することができる専門的な知識経験を有すると認められること。 五 被害回復関係業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。 六 被害回復関係業務に関して支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項を定めており、これが消費者の利益の擁護の見地から不当なものでないこと。 七 被害回復関係業務以外の業務を行うことによって被害回復関係業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。 5 前項第二号の業務規程には、被害回復関係業務の実施の方法、被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、被害回復関係業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の内閣府令で定める事項が定められていなければならない。 この場合において、業務規程に定める被害回復関係業務の実施の方法には、簡易確定手続授権契約及び訴訟授権契約の内容並びに請求の放棄、和解又は上訴の取下げをしようとする場合において第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権をした者(第八十二条第一項において単に「授権をした者」という。)の意思を確認するための措置、前項第四号の検討を行う部門における専門委員からの助言又は意見の聴取に関する措置及び役員、職員又は専門委員が被害回復裁判手続の相手方と特別の利害関係を有する場合の措置その他業務の公正な実施の確保に関する措置が含まれていなければならない。 6 次の各号のいずれかに該当する適格消費者団体は、特定認定を受けることができない。 一 この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しないもの 二 第九十二条第一項各号又は第二項各号に掲げる事由により特定認定を取り消され、その取消しの日から三年を経過しないもの 三 役員のうちに次のイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの イ この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者 ロ 特定適格消費者団体が第九十二条第一項各号又は第二項各号に掲げる事由により特定認定を取り消された場合において、その取消しの日前六月以内に当該特定適格消費者団体の役員であった者でその取消しの日から三年を経過しないもの (特定認定の申請) 第七十二条 前条第三項の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。 一 名称及び住所並びに代表者の氏名 二 被害回復関係業務を行おうとする事務所の所在地 三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項 2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 定款 二 差止請求関係業務を相当期間にわたり継続して適正に行っていることを証する書類 三 被害回復関係業務に関する業務計画書 四 被害回復関係業務を適正に遂行するための体制が整備されていることを証する書類 五 業務規程 六 役員、職員及び専門委員に関する次に掲げる書類 イ 氏名、役職及び職業を記載した書類 ロ 住所、略歴その他内閣府令で定める事項を記載した書類 七 最近の事業年度における財産目録、貸借対照表又は次のイ若しくはロに掲げる法人の区分に応じ、当該イ若しくはロに定める書類(第九十九条第二項第七号及び第百十条第一項において「財産目録等」という。)その他の経理的基礎を有することを証する書類 イ 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人(第九十八条第一項及び第二項において単に「特定非営利活動法人」という。) 同法第二十七条第三号に規定する活動計算書 ロ 一般社団法人又は一般財団法人 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第百二十三条第二項(同法第百九十九条において準用する場合を含む。)に規定する損益計算書(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第五条に規定する公益認定を受けている場合にあっては、内閣府令で定める書類) 八 被害回復関係業務に関して支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項を記載した書類 九 前条第六項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面 十 被害回復関係業務以外に行う業務の種類及び概要を記載した書類 十一 その他内閣府令で定める書類 (特定認定の申請に関する公告及び縦覧) 第七十三条 内閣総理大臣は、特定認定の申請があった場合には、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨並びに前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項を公告するとともに、同条第二項各号(第六号ロ、第九号及び第十一号を除く。)に掲げる書類を、公告の日から二週間、公衆の縦覧に供しなければならない。 (特定認定の公示等) 第七十四条 内閣総理大臣は、特定認定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該特定適格消費者団体の名称及び住所、被害回復関係業務を行う事務所の所在地並びに当該特定認定をした日を公示するとともに、当該特定適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。 2 特定適格消費者団体は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体である旨について、被害回復関係業務を行う事務所において見やすいように掲示するとともに、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。第百一条第二項において同じ。)により公衆の閲覧に供しなければならない。 3 特定適格消費者団体でない者は、その名称中に特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある文字を用い、又はその業務に関し、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。 (特定認定の有効期間等) 第七十五条 特定認定の有効期間は、当該特定認定の日における当該特定認定に係る消費者契約法第十三条第一項の認定の有効期間の残存期間と同一の期間とする。 2 特定認定の有効期間の満了後引き続き被害回復関係業務を行おうとする特定適格消費者団体は、その有効期間の更新を受けなければならない。 3 前項の有効期間の更新を受けようとする特定適格消費者団体は、当該有効期間の満了の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「更新申請期間」という。)に、内閣総理大臣に前項の有効期間の更新の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により更新申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 4 第二項の有効期間の更新がされた場合における特定認定の有効期間は、当該更新前の特定認定の有効期間の満了の日の翌日から起算して六年とする。 5 第三項の申請があった場合において、当該有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の特定認定は、当該有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なお効力を有する。 6 前項の場合において、第二項の有効期間の更新がされたときは、その特定認定の有効期間は、従前の特定認定の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。 7 第七十一条(第一項、第二項及び第六項第二号を除く。)、第七十二条、第七十三条及び前条第一項の規定は、第二項の有効期間の更新について準用する。 この場合において、第七十一条第四項第一号中「同じ。)」とあるのは「同じ。)、被害回復関係業務又は相当多数の消費者と事業者との間の消費者契約に関する紛争の解決のための業務」と、第七十二条第二項中「ならない」とあるのは「ならない。ただし、既に内閣総理大臣に添付して提出された書類と同一内容のものについては、その添付を省略することができる」と、同項第二号中「差止請求関係業務」とあるのは「差止請求関係業務、被害回復関係業務又は相当多数の消費者と事業者との間の消費者契約に関する紛争の解決のための業務」と読み替えるものとする。 (変更の届出) 第七十六条 特定適格消費者団体は、第七十二条第一項各号に掲げる事項又は同条第二項各号(第二号及び第十一号を除く。)に掲げる書類に記載した事項に変更があったときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 ただし、その変更が内閣府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。 (合併の届出及び認可等) 第七十七条 特定適格消費者団体である法人が他の特定適格消費者団体である法人と合併をしたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 2 前項の規定により合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人(適格消費者団体である法人に限る。次項において同じ。)と合併(特定適格消費者団体である法人が存続するものを除く。以下この条及び第八十条第一項第二号において同じ。)をした場合には、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その合併について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする特定適格消費者団体である法人及び特定適格消費者団体でない法人は、共同して、その合併がその効力を生ずる日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その合併がその効力を生ずる日までにその申請に対する処分がされないときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その処分がされるまでの間は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。 6 第七十一条(第一項及び第二項を除く。)、第七十二条、第七十三条及び第七十四条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 特定適格消費者団体である法人は、特定適格消費者団体でない法人と合併をする場合において、第四項の申請をしないときは、その合併がその効力を生ずる日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (事業の譲渡の届出及び認可等) 第七十八条 特定適格消費者団体である法人が他の特定適格消費者団体である法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をしたときは、その譲渡を受けた法人は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 2 前項の規定によりその譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人(適格消費者団体である法人に限る。次項において同じ。)に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合には、その譲渡を受けた法人は、その譲渡について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする特定適格消費者団体である法人及び特定適格消費者団体でない法人は、共同して、その譲渡の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その譲渡の日までにその申請に対する処分がされないときは、その譲渡を受けた法人は、その処分がされるまでの間は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。 6 第七十一条(第一項及び第二項を除く。)、第七十二条、第七十三条及び第七十四条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 特定適格消費者団体である法人は、特定適格消費者団体でない法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をする場合において、第四項の申請をしないときは、その譲渡の日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (業務廃止の届出) 第七十九条 特定適格消費者団体が被害回復関係業務を廃止したときは、法人の代表者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (特定認定の失効) 第八十条 特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、特定認定は、その効力を失う。 一 特定認定の有効期間が経過したとき(第七十五条第五項に規定する場合にあっては、更新拒否処分がされたとき)。 二 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人と合併をした場合において、その合併が第七十七条第三項の認可を経ずにその効力を生じたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その合併の不認可処分がされたとき)。 三 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合において、その譲渡が第七十八条第三項の認可を経ずにされたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その譲渡の不認可処分がされたとき)。 四 特定適格消費者団体が被害回復関係業務を廃止したとき。 五 消費者契約法第十三条第一項の認定が失効し、又は取り消されたとき。 2 内閣総理大臣は、前項各号に掲げる事由が生じたことを知った場合において、特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対し、その特定認定が失効した旨を書面により通知しなければならない。 第二節 被害回復関係業務等 (特定適格消費者団体等の責務) 第八十一条 特定適格消費者団体は、対象消費者等の利益のために、被害回復関係業務を適切に実施しなければならない。 2 特定適格消費者団体は、不当な目的でみだりに共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復関係業務を実施してはならない。 3 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務について他の特定適格消費者団体と相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 4 特定適格消費者団体、適格消費者団体その他の関係者は、特定適格消費者団体が行う被害回復関係業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 5 特定適格消費者団体、独立行政法人国民生活センターその他の関係者は、独立行政法人国民生活センターが行う独立行政法人国民生活センター法(平成十四年法律第百二十三号)第十条第八号に掲げる業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 (報酬) 第八十二条 特定適格消費者団体は、授権をした者との簡易確定手続授権契約又は訴訟授権契約で定めるところにより、被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができる。 2 共通義務確認訴訟において和解を行った特定適格消費者団体は、当該和解に係る消費者との間で締結する契約(簡易確定手続授権契約及び訴訟授権契約を除く。)で定めるところにより、被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができる。 (弁護士に追行させる義務) 第八十三条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務を行う場合において、民事訴訟に関する手続(簡易確定手続を含む。)、仮差押命令に関する手続及び執行抗告(仮差押えの執行の手続に関する裁判に対する執行抗告を含む。)に係る手続については、弁護士に追行させなければならない。 (他の特定適格消費者団体への通知等) 第八十四条 特定適格消費者団体は、次に掲げる場合には、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を他の特定適格消費者団体に通知するとともに、その旨、その内容その他内閣府令で定める事項を内閣総理大臣に報告しなければならない。 この場合において、当該特定適格消費者団体が、当該通知及び報告に代えて、全ての特定適格消費者団体及び内閣総理大臣が電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置であって内閣府令で定めるものを講じたときは、当該通知及び報告をしたものとみなす。 一 共通義務確認の訴えの提起又は第六十一条第一項の申立てをしたとき。 二 共通義務確認訴訟の判決の言渡し又は第六十一条第一項の申立てについての決定の告知があったとき。 三 前号の判決に対する上訴の提起又は同号の決定に対する不服の申立てがあったとき。 四 第二号の判決又は同号の決定が確定したとき。 五 共通義務確認訴訟における和解が成立したとき。 六 前二号に掲げる場合のほか、共通義務確認訴訟又は仮差押命令に関する手続が終了したとき。 七 共通義務確認訴訟に関し、請求の放棄、和解、上訴の取下げその他の内閣府令で定める手続に係る行為であって、それにより確定判決及びこれと同一の効力を有するものが存することとなるものをしようとするとき。 八 第十六条第三項の規定による通知を受けたとき。 九 簡易確定手続開始の申立て又はその取下げをしたとき。 十 簡易確定手続開始決定があったとき。 十一 第二十六条第一項、第二項前段又は第三項の規定による公告をしたとき。 十二 第二十七条第一項の規定による通知をしたとき。 十三 その他被害回復関係業務に関し内閣府令で定める手続に係る行為がされたとき。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、全ての特定適格消費者団体及び内閣総理大臣が電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置その他の内閣府令で定める方法により、他の特定適格消費者団体に当該報告の日時及び概要その他内閣府令で定める事項を伝達するものとする。 (個人情報の取扱い) 第八十五条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に関し、消費者の個人情報(個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。第三項において同じ。)を保管し、又は利用するに当たっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内でこれを保管し、及び利用しなければならない。 ただし、当該消費者の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。 2 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に関し、消費者から収集した消費者の被害に関する情報を被害回復裁判手続に係る相手方その他の第三者が当該被害に係る消費者を識別することができる方法で利用するに当たっては、あらかじめ、当該消費者の同意を得なければならない。 3 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務において消費者の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。 (秘密保持義務) 第八十六条 特定適格消費者団体の役員、職員若しくは専門委員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、被害回復関係業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (氏名等の明示) 第八十七条 特定適格消費者団体の被害回復関係業務に従事する者は、その被害回復関係業務を行うに当たり、被害回復裁判手続に係る相手方の請求があったときは、当該特定適格消費者団体の名称、自己の氏名及び特定適格消費者団体における役職又は地位その他内閣府令で定める事項を、その相手方に明らかにしなければならない。 (情報の提供) 第八十八条 特定適格消費者団体は、消費者の財産的被害等の回復に資するため、対象消費者等に対し、共通義務確認の訴えを提起したこと、共通義務確認訴訟の確定判決の内容その他必要な情報を提供するよう努めなければならない。 (財産上の利益の受領の禁止等) 第八十九条 特定適格消費者団体は、次に掲げる場合を除き、その被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を受けてはならない。 一 届出債権の認否、簡易確定決定、異議後の訴訟における判決若しくは請求の認諾又は和解に基づく義務の履行として金銭その他の財産上の利益を受けるとき。 二 被害回復裁判手続における判決(確定判決と同一の効力を有するもの、仮執行の宣言を付した届出債権支払命令及び第六十一条第一項の申立てについての決定を含む。次号において同じ。)又は第五十一条第三項若しくは第五十二条第一項若しくは民事訴訟法第七十三条第一項の決定により訴訟費用(簡易確定手続の費用、和解の費用及び調停手続の費用を含む。)を負担することとされた相手方から当該訴訟費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。 三 被害回復裁判手続における判決に基づく民事執行の執行費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。 2 特定適格消費者団体は、対象消費者等又は第九十八条第二項に規定する消費者団体訴訟等支援法人に前項第一号に規定する義務の履行として金銭その他の財産上の利益を受けさせる場合を除き、その被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を第三者に受けさせてはならない。 3 特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員は、特定適格消費者団体の被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を受け、又は第三者に受けさせてはならない。 4 前三項に規定する被害回復裁判手続に係る相手方からその被害回復裁判手続の追行に関して受け又は受けさせてはならない財産上の利益には、その相手方がその被害回復裁判手続の追行に関してした不法行為によって生じた損害の賠償として受け又は受けさせる財産上の利益は含まれない。 (区分経理) 第九十条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に係る経理を他の業務に係る経理と区分して整理しなければならない。 第三節 監督 (適合命令及び改善命令) 第九十一条 内閣総理大臣は、特定適格消費者団体が、第七十一条第四項第二号から第七号までに掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該特定適格消費者団体に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 2 内閣総理大臣は、前項に定めるもののほか、特定適格消費者団体が第七十一条第六項第三号に該当するに至ったと認めるとき、特定適格消費者団体又はその役員、職員若しくは専門委員が被害回復関係業務の遂行に関しこの法律の規定に違反したと認めるとき、その他特定適格消費者団体の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該特定適格消費者団体に対し、人的体制の改善、違反の停止、業務規程の変更その他の業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (特定認定の取消し等) 第九十二条 内閣総理大臣は、特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、特定認定を取り消すことができる。 一 偽りその他不正の手段により特定認定、第七十五条第二項の有効期間の更新又は第七十七条第三項若しくは第七十八条第三項の認可を受けたとき。 二 第七十一条第四項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったとき。 三 第七十一条第六項第一号又は第三号に該当するに至ったとき。 四 前三号に掲げるもののほか、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき(次項第二号に該当する場合を除く。)。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による取消しのほか、特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、特定認定又は消費者契約法第十三条第一項の認定を取り消すことができる。 一 被害回復裁判手続において、特定適格消費者団体がその相手方と通謀して請求の放棄又は対象消費者等の利益を害する内容の和解をしたときその他対象消費者等の利益に著しく反する訴訟その他の手続の追行を行ったと認められるとき。 二 第八十九条第一項又は第二項の規定に違反したとき。 三 当該特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員が第八十九条第三項の規定に違反したとき。 3 特定適格消費者団体が、第八十四条第一項の規定に違反して同項の通知又は報告をしないで、共通義務確認の訴えに関し、同項第七号に規定する行為をしたときは、内閣総理大臣は、当該特定適格消費者団体について前項第一号に掲げる事由があるものとみなすことができる。 4 内閣総理大臣は、第一項又は第二項の規定による取消しをしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその取消しをした日を公示するとともに、特定適格消費者団体であった法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 この場合において、当該特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対しても、その取消しをした旨を書面により通知しなければならない。 (手続を受け継ぐべき特定適格消費者団体の指定等) 第九十三条 被害回復裁判手続(第二条第九号ロに規定する民事執行の手続を除く。)の当事者である特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、当該被害回復裁判手続を受け継ぐべき特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 ただし、共通義務確認訴訟又は簡易確定手続(特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合を除く。)において、他に当事者である特定適格消費者団体があるときは、この限りでない。 2 第十三条に規定する特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、第十三条に規定する特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 ただし、同条に規定する特定適格消費者団体が他にあるときは、この限りでない。 3 対象債権等に係る債務名義を取得した特定適格消費者団体又はその民事執行法第二十三条第一項第三号に規定する承継人である特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、同法第二十三条第一項第三号に規定する承継人となるべき特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 4 内閣総理大臣は、前三項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体(以下この項及び次項において「指定特定適格消費者団体」という。)について、特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは既に失効し、又は前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるときは、指定特定適格消費者団体に係る指定を取り消さなければならない。 5 第一項から第三項までの規定による指定は、指定特定適格消費者団体が受け継ぐことになった手続をその指定前に追行していた者に次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたことを理由として取り消すことができない。 一 特定認定の取消処分、特定認定の有効期間の更新拒否処分若しくは第七十七条第三項の合併若しくは第七十八条第三項の事業の全部の譲渡の不認可処分(以下この号において「特定認定取消処分等」という。)が取り消され、又は特定認定取消処分等の取消し若しくはその無効若しくは不存在の確認の判決が確定したとき。 二 消費者契約法第十三条第一項の認定の取消処分、同項の認定の有効期間の更新拒否処分若しくは同法第十九条第三項の合併若しくは同法第二十条第三項の事業の全部の譲渡の不認可処分(以下この号において「認定取消処分等」という。)が取り消され、又は認定取消処分等の取消し若しくはその無効若しくは不存在の確認の判決が確定したとき。 6 内閣総理大臣は、第一項から第三項までの規定による指定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその指定をした日を公示するとともに、その指定を受けた特定適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。 第四項の規定により当該指定を取り消したときも、同様とする。 7 前項前段の場合において、特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、内閣総理大臣は、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対しても、その指定をした旨を書面により通知しなければならない。 8 次の各号に掲げる場合には、当該各号の指定を受けた特定適格消費者団体は、遅滞なく、知れている届出消費者に、各別にその旨を通知しなければならない。 一 第一項の規定による指定がされた場合(特定適格消費者団体であった法人が簡易確定手続(当該特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合に限る。)又は異議後の訴訟の手続の当事者であったときに限る。) 二 第三項の規定による指定がされた場合 9 第一項から第三項までの規定による指定がされたときは、特定適格消費者団体であった法人は、遅滞なく、その指定を受けた特定適格消費者団体に対し、その指定の対象となった事件について、対象消費者等のために保管する物及び被害回復関係業務に関する書類を移管し、その他被害回復関係業務をその指定を受けた特定適格消費者団体に引き継ぐために必要な一切の行為をしなければならない。 第四節 補則 (消費者契約法の特例) 第九十四条 特定適格消費者団体である適格消費者団体に対する消費者契約法の規定の適用については、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。 第二十九条第一項 その行う差止請求関係業務 その行う差止請求関係業務及び消費者裁判手続特例法第七十一条第二項に規定する被害回復関係業務(以下単に「被害回復関係業務」という。) 、差止請求関係業務 、差止請求関係業務及び被害回復関係業務 第三十一条第二項第七号 差止請求関係業務 差止請求関係業務及び被害回復関係業務 第三十二条第一項 この法律 この法律又は消費者裁判手続特例法 (判決等に関する情報の公表) 第九十五条 内閣総理大臣は、消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するため、特定適格消費者団体から第八十四条第一項(第一号及び第七号に係る部分を除く。)の規定による報告を受けたときは、インターネットの利用その他適切な方法により、速やかに、共通義務確認訴訟の確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)の概要、簡易確定手続開始決定の概要、第二十六条第一項、第二項前段及び第三項の規定による公告の概要、第二十七条第一項の規定による通知の概要、当該特定適格消費者団体の名称及び当該共通義務確認訴訟の相手方の氏名又は名称その他内閣府令で定める事項を公表するものとする。 2 前項に規定する事項のほか、内閣総理大臣は、被害回復関係業務に関する情報を広く国民に提供するため、インターネットの利用その他適切な方法により、特定適格消費者団体の名称及び住所並びに被害回復関係業務を行う事務所の所在地その他内閣府令で定める必要な情報を公表することができる。 3 内閣総理大臣は、独立行政法人国民生活センターに、前二項に規定する情報の公表に関する業務を行わせることができる。 (特定適格消費者団体への協力等) 第九十六条 内閣総理大臣は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体の求めに応じ、当該特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を適切に追行するために必要な限度において、当該特定適格消費者団体に対し、特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)又は預託等取引に関する法律(昭和六十一年法律第六十二号)に基づく処分に関して作成した書類で内閣府令で定めるものを提供することができる。 2 前項の規定により書類の提供を受けた特定適格消費者団体は、当該書類を当該被害回復裁判手続の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。 第九十七条 独立行政法人国民生活センター及び地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体の求めに応じ、当該特定適格消費者団体が被害回復関係業務を適切に遂行するために必要な限度において、当該特定適格消費者団体に対し、消費生活に関する消費者と事業者との間に生じた苦情に係る相談に関する情報で内閣府令で定めるものを提供することができる。 2 前項の規定により情報の提供を受けた特定適格消費者団体は、当該情報を当該被害回復関係業務の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。 第四章 消費者団体訴訟等支援法人 第一節 消費者団体訴訟等支援法人の認定等 (消費者団体訴訟等支援法人の認定) 第九十八条 内閣総理大臣は、特定非営利活動法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人であって、次に掲げる要件に該当すると認められるもの(適格消費者団体である法人を除く。)を、その申請により、次項に規定する業務(以下この章及び第百十七条第二項第二号において「支援業務」という。)を行う者として認定することができる。 一 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動を行うことを主たる目的とし、現にその活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。 二 消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するための啓発活動及び広報活動の実績が相当程度あること。 三 支援業務の実施に係る組織、支援業務の実施の方法、支援業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、支援業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の支援業務を適正に遂行するための体制及び業務規程が適切に整備されていること。 四 支援業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。 五 支援業務以外の業務を行うことによって支援業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。 2 前項の規定による認定(以下この章及び第百十七条第一項において「支援認定」という。)を受けた特定非営利活動法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人(以下「消費者団体訴訟等支援法人」という。)は、次に掲げる業務を行うものとする。 一 特定適格消費者団体の委託を受けて、対象消費者等に対する情報の提供、金銭の管理その他の特定適格消費者団体が行う被害回復関係業務に付随する事務であって内閣府令で定めるものを行うこと。 二 特定適格消費者団体とその被害回復裁判手続に係る相手方との合意により定めるところにより、相手方通知その他の当該相手方が行うべき被害回復裁判手続における事務であって内閣府令で定めるものを行うこと。 三 被害回復関係業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体に対する助言、被害回復関係業務に関する情報の公表その他の内閣府令で定める事務を行うこと。 四 前三号に掲げるもののほか、内閣総理大臣の委託を受けて、次に掲げる業務を行うこと。 イ 第九十五条第一項及び第二項の規定による公表 ロ この法律の実施のために必要な情報の収集その他の内閣府令で定める事務 3 第一項第三号の業務規程には、支援業務の実施の方法、支援業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、支援業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の内閣府令で定める事項が定められていなければならない。 4 次の各号のいずれかに該当する者は、支援認定を受けることができない。 一 この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない法人 二 第百十三条第一項各号に掲げる事由により支援認定を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない法人 三 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(次号及び第六号ハにおいて「暴力団員等」という。)がその事業活動を支配する法人 四 暴力団員等をその事業活動に従事させ、又はその事業活動の補助者として使用するおそれのある法人 五 政治団体(政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第三条第一項に規定する政治団体をいう。) 六 役員のうちに次のイからハまでのいずれかに該当する者のある法人 イ 拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定若しくはこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者 ロ 消費者団体訴訟等支援法人が第百十三条第一項各号に掲げる事由により支援認定を取り消された場合において、その取消しの日前六月以内に当該消費者団体訴訟等支援法人の役員であった者でその取消しの日から三年を経過しないもの ハ 暴力団員等 (支援認定の申請) 第九十九条 前条第一項の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。 一 名称及び住所並びに代表者の氏名 二 支援業務を行おうとする事務所の所在地 三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項 2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 定款 二 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていることを証する書類 三 消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するための啓発活動及び広報活動に係る事業の実績が相当程度あることを証する書類 四 支援業務を適正に遂行するための体制が整備されていることを証する書類 五 業務規程 六 役職員名簿(役員及び職員の氏名、その役職その他内閣府令で定める事項を記載した名簿をいう。第百十条第二項第三号において同じ。) 七 最近の事業年度における財産目録等その他の経理的基礎を有することを証する書類 八 前条第四項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面 九 支援業務以外の業務を行う場合には、その業務の種類及び概要を記載した書類 十 その他内閣府令で定める書類 (支援認定の申請に関する公告及び縦覧等) 第百条 内閣総理大臣は、支援認定の申請があった場合には、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨並びに前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項を公告するとともに、同条第二項各号(第八号及び第十号を除く。)に掲げる書類を、公告の日から二週間、公衆の縦覧に供しなければならない。 2 内閣総理大臣は、支援認定の申請をした者について第九十八条第四項第三号、第四号又は第六号ハに該当する疑いがあると認めるときは、警察庁長官の意見を聴くものとする。 (支援認定の公示等) 第百一条 内閣総理大臣は、支援認定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該消費者団体訴訟等支援法人の名称及び住所、支援業務を行う事務所の所在地並びに当該支援認定をした日を公示するとともに、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 2 消費者団体訴訟等支援法人は、内閣府令で定めるところにより、消費者団体訴訟等支援法人である旨について、支援業務を行う事務所において見やすいように掲示するとともに、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人でない者は、その名称中に消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある文字を用い、又はその業務に関し、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。 (変更の届出) 第百二条 消費者団体訴訟等支援法人は、第九十九条第一項各号に掲げる事項又は同条第二項各号(第二号、第三号及び第十号を除く。)に掲げる書類に記載した事項に変更があったときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 ただし、その変更が内閣府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。 (合併の届出及び認可等) 第百三条 消費者団体訴訟等支援法人である法人が他の消費者団体訴訟等支援法人である法人と合併をしたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 2 前項の規定により合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併(消費者団体訴訟等支援法人である法人が存続するものを除く。以下この条及び第百六条第一号において同じ。)をした場合には、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その合併について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする消費者団体訴訟等支援法人である法人及び消費者団体訴訟等支援法人でない法人は、共同して、その合併がその効力を生ずる日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その合併がその効力を生ずる日までにその申請に対する処分がされないときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その処分がされるまでの間は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継しているものとみなす。 6 第九十八条(第二項を除く。)、第九十九条、第百条及び第百一条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 消費者団体訴訟等支援法人である法人は、消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併をする場合において、第四項の申請をしないときは、その合併がその効力を生ずる日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (事業の譲渡の届出及び認可等) 第百四条 消費者団体訴訟等支援法人である法人が他の消費者団体訴訟等支援法人である法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をしたときは、その譲渡を受けた法人は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 2 前項の規定によりその譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をした場合には、その譲渡を受けた法人は、その譲渡について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする消費者団体訴訟等支援法人である法人及び消費者団体訴訟等支援法人でない法人は、共同して、その譲渡の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その譲渡の日までにその申請に対する処分がされないときは、その譲渡を受けた法人は、その処分がされるまでの間は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継しているものとみなす。 6 第九十八条(第二項を除く。)、第九十九条、第百条及び第百一条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 消費者団体訴訟等支援法人である法人は、消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をする場合において、第四項の申請をしないときは、その譲渡の日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (解散の届出等) 第百五条 消費者団体訴訟等支援法人が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 一 破産手続開始の決定により解散した場合 破産管財人 二 合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合 清算人 三 支援業務を廃止した場合 法人の代表者 2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (支援認定の失効) 第百六条 消費者団体訴訟等支援法人について、次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、支援認定は、その効力を失う。 一 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併をした場合において、その合併が第百三条第三項の認可を経ずにその効力を生じたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その合併の不認可処分がされたとき)。 二 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をした場合において、その譲渡が第百四条第三項の認可を経ずにされたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その譲渡の不認可処分がされたとき)。 三 消費者団体訴訟等支援法人が前条第一項各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなったとき。 第二節 支援業務等 (秘密保持義務) 第百七条 消費者団体訴訟等支援法人の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、支援業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (業務の範囲及び区分経理) 第百八条 消費者団体訴訟等支援法人は、その行う支援業務に支障がない限り、定款の定めるところにより、支援業務以外の業務を行うことができる。 2 消費者団体訴訟等支援法人は、次に掲げる業務に係る経理をそれぞれ区分して整理しなければならない。 一 支援業務 二 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動に係る業務(前号に掲げる業務を除く。) 三 前二号に掲げる業務以外の業務 第三節 監督 (帳簿書類の作成及び保存) 第百九条 消費者団体訴訟等支援法人は、内閣府令で定めるところにより、その業務及び経理に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。 (財務諸表等の作成、備置き及び提出) 第百十条 消費者団体訴訟等支援法人は、毎事業年度終了後三月以内に、その事業年度の財産目録等及び事業報告書(これらの作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項第四号及び第百二十二条第十一号において「財務諸表等」という。)を作成しなければならない。 2 消費者団体訴訟等支援法人の事務所には、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる書類を備え置かなければならない。 一 定款 二 業務規程 三 役職員名簿 四 財務諸表等 五 経理に関する内閣府令で定める事項を記載した書類 六 支援業務以外の業務を行う場合には、その業務の種類及び概要を記載した書類 3 消費者団体訴訟等支援法人は、毎事業年度終了後三月以内に、前項第三号及び第四号に掲げる書類を内閣総理大臣に提出しなければならない。 (報告及び立入検査) 第百十一条 内閣総理大臣は、この章の規定の施行に必要な限度において、消費者団体訴訟等支援法人に対し、その業務若しくは経理の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、消費者団体訴訟等支援法人の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。 2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 3 第一項に規定する立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。 (適合命令及び改善命令) 第百十二条 内閣総理大臣は、消費者団体訴訟等支援法人が、第九十八条第一項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 2 内閣総理大臣は、前項に定めるもののほか、消費者団体訴訟等支援法人が第九十八条第四項第三号から第六号までのいずれかに該当するに至ったと認めるとき、消費者団体訴訟等支援法人又はその役員若しくは職員が支援業務の遂行に関しこの法律の規定に違反したと認めるとき、その他消費者団体訴訟等支援法人の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、人的体制の改善、違反の停止、業務規程の変更その他の業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (支援認定の取消し等) 第百十三条 内閣総理大臣は、消費者団体訴訟等支援法人について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、支援認定を取り消すことができる。 一 偽りその他不正の手段により支援認定又は第百三条第三項若しくは第百四条第三項の認可を受けたとき。 二 特定非営利活動促進法第四十三条第一項又は第二項の規定により設立の認証を取り消されたとき。 三 第九十八条第一項各号に掲げる要件のいずれかに該当しなくなったとき。 四 第九十八条第四項各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。 五 支援業務の実施に関し、対象消費者等の利益に著しく反する行為をしたと認められるとき。 六 前各号に掲げるもののほか、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき。 2 内閣総理大臣は、前項各号に掲げる事由により支援認定を取り消したときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその取消しをした日を公示するとともに、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 第五章 雑則 (官公庁等への協力依頼) 第百十四条 内閣総理大臣は、この法律の実施のため必要があると認めるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。 (権限の委任) 第百十五条 内閣総理大臣は、前二章及び前条の規定による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。 第六章 罰則 第百十六条 特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員が、特定適格消費者団体の被害回復裁判手続に係る相手方から、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、当該特定適格消費者団体における次に掲げる行為の報酬として、金銭その他の財産上の利益を受け、又は第三者(当該特定適格消費者団体を含む。)に受けさせたときは、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。 一 共通義務確認の訴えの提起、簡易確定手続開始の申立て、債権届出、簡易確定手続若しくは異議後の訴訟に関する民事執行の申立て又は第六十一条第一項の申立てをしないこと又はしなかったこと。 二 第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権に係る債権に係る裁判外の和解をすること又はしたこと。 三 被害回復裁判手続を終了させること又は終了させたこと。 2 前項の利益を供与した者も、同項と同様とする。 3 第一項の場合において、犯人又は情を知った第三者が受けた財産上の利益は、没収する。 その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。 4 第一項の罪は、日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。 5 第二項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。 第百十七条 偽りその他不正の手段により特定認定、第七十五条第二項の有効期間の更新、第七十七条第三項、第七十八条第三項、第百三条第三項若しくは第百四条第三項の認可又は支援認定を受けたときは、当該違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。 2 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。 一 第八十六条の規定に違反して、被害回復関係業務に関して知り得た秘密を漏らした者 二 第百七条の規定に違反して、支援業務に関して知り得た秘密を漏らした者 第百十八条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。 一 第七十二条第一項(第七十五条第七項、第七十七条第六項及び第七十八条第六項において準用する場合を含む。)若しくは第九十九条第一項(第百三条第六項及び第百四条第六項において準用する場合を含む。)の申請書又は第七十二条第二項各号(第七十五条第七項、第七十七条第六項及び第七十八条第六項において準用する場合を含む。)若しくは第九十九条第二項各号(第百三条第六項及び第百四条第六項において準用する場合を含む。)に掲げる書類に虚偽の記載をして提出したとき。 二 第七十四条第三項の規定に違反して、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある文字をその名称中に用い、又はその業務に関し、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある表示をしたとき。 三 第百一条第三項の規定に違反して、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある文字をその名称中に用い、又はその業務に関し、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある表示をしたとき。 四 第百九条の規定に違反して、帳簿書類の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の帳簿書類の作成をしたとき。 五 第百十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。 第百十九条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第百十六条、第百十七条第一項又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。 2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。 第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の過料に処する。 一 第十五条の規定に違反して、正当な理由がないのに簡易確定手続開始の申立てを怠った者 二 第三十六条第一項の規定に違反して、やむを得ない理由がないのに簡易確定手続授権契約の締結を拒んだ者 三 第三十六条第二項の規定に違反して、やむを得ない理由がないのに簡易確定手続授権契約を解除した者 第百二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の過料に処する。 一 第二十六条第一項、第二項前段若しくは第三項の規定による公告をすることを怠り、又は不正の公告をした者 二 第二十六条第二項前段若しくは第二十七条第一項の規定による通知をすることを怠り、又は不正の通知をした者 第百二十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の過料に処する。 一 第五十七条第四項の規定に違反して、正当な理由がないのに訴訟授権契約の締結を拒んだ者 二 第五十七条第五項の規定に違反して、正当な理由がないのに訴訟授権契約を解除した者 三 第七十四条第二項若しくは第百一条第二項の規定による掲示をせず、若しくは虚偽の掲示をし、又は第七十四条第二項若しくは第百一条第二項の規定に違反して公衆の閲覧に供せず、若しくは虚偽の事項を公衆の閲覧に供した者 四 第七十六条、第七十七条第二項若しくは第七項、第七十八条第二項若しくは第七項、第七十九条第一項、第百二条、第百三条第二項若しくは第七項、第百四条第二項若しくは第七項又は第百五条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者 五 第八十四条第一項前段の規定による通知若しくは報告をせず、又は虚偽の通知若しくは報告をした者 六 第八十五条第二項の規定に違反して、消費者の被害に関する情報を利用した者 七 第八十七条の規定に違反して、同条の請求を拒んだ者 八 第九十三条第九項の規定による被害回復関係業務の引継ぎを怠った者 九 第九十六条第二項の規定に違反して、書類を同項に定める目的以外の目的のために利用し、又は提供した者 十 第九十七条第二項の規定に違反して、情報を同項に定める目的以外の目的のために利用し、又は提供した者 十一 第百十条第一項の規定に違反して、財務諸表等を作成せず、又はこれに記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をした者 十二 第百十条第二項の規定に違反して、書類を備え置かなかった者 十三 第百十条第三項の規定に違反して、書類を提出せず、又は書類に虚偽の記載若しくは記録をして提出した者
民事
Heisei
Act
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平成二十五年法律第九十六号
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消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害等(財産的被害及び精神上の苦痛を受けたことによる損害をいう。以下同じ。)について、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差により消費者が自らその回復を図ることには困難を伴う場合があることに鑑み、その財産的被害等を集団的に回復するため、特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を追行することができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 消費者 個人(事業を行う場合におけるものを除く。)をいう。 二 事業者 法人その他の社団又は財団及び事業を行う場合における個人をいう。 三 消費者契約 消費者と事業者との間で締結される契約(労働契約を除く。)をいう。 四 共通義務確認の訴え 消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害等について、事業者、事業者に代わって事業を監督する者(次条第一項第五号ロ及び第三項第三号ロにおいて「事業監督者」という。)又は事業者の被用者(以下「事業者等」と総称する。)が、これらの消費者に対し、これらの消費者に共通する事実上及び法律上の原因に基づき、個々の消費者の事情によりその金銭の支払請求に理由がない場合を除いて、金銭を支払う義務を負うべきことの確認を求める訴えをいう。 五 対象債権 共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に対する金銭の支払請求権であって、前号に規定する義務に係るものをいう。 六 対象消費者 対象債権を有する消費者をいう。 七 簡易確定手続 共通義務確認の訴えに係る訴訟(以下「共通義務確認訴訟」という。)の結果を前提として、この法律の規定による裁判所に対する第三十三条第二項に規定する債権届出に基づき、相手方が認否をし、第四十六条第一項に規定する認否を争う旨の申出がない場合はその認否により、同項に規定する認否を争う旨の申出がある場合は裁判所の決定により、対象債権及び第十一条第二項に規定する和解金債権(以下「対象債権等」という。)の存否及び内容を確定する裁判手続をいう。 八 異議後の訴訟 簡易確定手続における対象債権等の存否及び内容を確定する決定(以下「簡易確定決定」という。)に対して適法な異議の申立てがあった後の当該請求に係る訴訟をいう。 九 被害回復裁判手続 次に掲げる手続をいう。 イ 共通義務確認訴訟の手続、簡易確定手続及び異議後の訴訟の手続 ロ 特定適格消費者団体が対象債権等に関して取得した債務名義による民事執行の手続(民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第三十三条第一項、第三十四条第一項、第三十五条第一項、第三十八条第一項、第九十条第一項及び第百五十七条第一項の訴えに係る訴訟手続(第六十六条第一項第三号において「民事執行に係る訴訟手続」という。)を含む。)及び特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の実現を保全するための仮差押えの手続(民事保全法(平成元年法律第九十一号)第四十六条において準用する民事執行法第三十三条第一項、第三十四条第一項及び第三十八条第一項の訴えに係る訴訟手続(第六十六条第一項第一号において「仮差押えの執行に係る訴訟手続」という。)を含む。) 十 特定適格消費者団体 被害回復裁判手続を追行するのに必要な適格性を有する法人である適格消費者団体(消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体をいう。以下同じ。)として第七十一条の定めるところにより内閣総理大臣の認定を受けた者をいう。 第二章 被害回復裁判手続 第一節 共通義務確認訴訟に係る民事訴訟手続の特例 (共通義務確認の訴え) 第三条 特定適格消費者団体は、事業者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって消費者契約に関する第一号から第四号までに掲げる請求及び第五号イからハまでに掲げる者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって消費者契約に関する同号に掲げる請求(これらに附帯する利息、損害賠償、違約金又は費用の請求を含む。)に係るものについて、共通義務確認の訴えを提起することができる。 一 契約上の債務の履行の請求 二 不当利得に係る請求 三 契約上の債務の不履行による損害賠償の請求 四 不法行為に基づく損害賠償の請求(民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定によるものに限り、次号(イに係る部分に限る。)に掲げるものを除く。) 五 事業者の被用者が消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えたことを理由とする次のイからハまでに掲げる者に対する当該イからハまでに定める請求 イ 事業者(当該被用者の選任及びその事業の監督について故意又は重大な過失により相当の注意を怠ったものに限る。第三項第三号において同じ。) 民法第七百十五条第一項の規定による損害賠償の請求 ロ 事業監督者(当該被用者の選任及びその事業の監督について故意又は重大な過失により相当の注意を怠ったものに限る。第三項第三号ロにおいて同じ。) 民法第七百十五条第二項の規定による損害賠償の請求 ハ 被用者(第三者に損害を加えたことについて故意又は重大な過失があるものに限る。第三項第三号ハにおいて同じ。) 不法行為に基づく損害賠償の請求(民法の規定によるものに限る。) 2 次に掲げる損害については、前項第三号から第五号までに掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えを提起することができない。 一 契約上の債務の不履行又は不法行為により、物品、権利その他の消費者契約の目的となるもの(役務を除く。次号において同じ。)以外の財産が滅失し、又は損傷したことによる損害 二 消費者契約の目的となるものの提供があるとすればその処分又は使用により得るはずであった利益を喪失したことによる損害 三 契約上の債務の不履行又は不法行為により、消費者契約による製造、加工、修理、運搬又は保管に係る物品その他の消費者契約の目的となる役務の対象となったもの以外の財産が滅失し、又は損傷したことによる損害 四 消費者契約の目的となる役務の提供があるとすれば当該役務を利用すること又は当該役務の対象となったものを処分し、若しくは使用することにより得るはずであった利益を喪失したことによる損害 五 人の生命又は身体を害されたことによる損害 六 精神上の苦痛を受けたことによる損害(その額の算定の基礎となる主要な事実関係が相当多数の消費者について共通するものであり、かつ、次のイ又はロのいずれかに該当するものを除く。) イ 共通義務確認の訴えにおいて一の訴えにより、前項各号に掲げる請求(同項第三号から第五号までに掲げる請求にあっては、精神上の苦痛を受けたことによる損害に係る請求を含まないものに限る。以下このイにおいて「財産的請求」という。)と併せて請求されるものであって、財産的請求と共通する事実上の原因に基づくもの ロ 事業者の故意によって生じたもの 3 次の各号に掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えについては、当該各号に定める者を被告とする。 一 第一項第一号から第三号までに掲げる請求 消費者契約の相手方である事業者 二 第一項第四号に掲げる請求 消費者契約の相手方である事業者若しくはその債務の履行をする事業者又は消費者契約の締結について勧誘をし、当該勧誘をさせ、若しくは当該勧誘を助長する事業者 三 第一項第五号に掲げる請求 次に掲げる者 イ 消費者契約の相手方である事業者若しくはその債務の履行をする事業者又は消費者契約の締結について勧誘をし、当該勧誘をさせ、若しくは当該勧誘を助長する事業者であって、当該事業者の消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えた被用者を使用するもの ロ イに掲げる事業者の事業監督者 ハ イに掲げる事業者の被用者であって、当該事業者の消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えたもの 4 裁判所は、共通義務確認の訴えに係る請求を認容する判決をしたとしても、事案の性質、当該判決を前提とする簡易確定手続において予想される主張及び立証の内容その他の事情を考慮して、当該簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるときは、共通義務確認の訴えの全部又は一部を却下することができる。 (訴訟の目的の価額) 第四条 共通義務確認の訴えは、訴訟の目的の価額の算定については、財産権上の請求でない請求に係る訴えとみなす。 (訴状の記載事項) 第五条 共通義務確認の訴えの訴状には、対象債権及び対象消費者の範囲を記載して、請求の趣旨及び原因を特定しなければならない。 (管轄及び移送) 第六条 共通義務確認訴訟については、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第五条(第五号に係る部分を除く。)の規定は、適用しない。 2 次の各号に掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えは、当該各号に定める地を管轄する地方裁判所にも提起することができる。 一 第三条第一項第一号から第三号までに掲げる請求 義務履行地 二 第三条第一項第四号及び第五号に掲げる請求 不法行為があった地 3 対象消費者の数が五百人以上であると見込まれるときは、民事訴訟法第四条第一項若しくは第五条第五号又は前項の規定による管轄裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも、共通義務確認の訴えを提起することができる。 4 対象消費者の数が千人以上であると見込まれるときは、東京地方裁判所又は大阪地方裁判所にも、共通義務確認の訴えを提起することができる。 5 民事訴訟法第四条第一項、第五条第五号、第十一条第一項若しくは第十二条又は前三項の規定により二以上の地方裁判所が管轄権を有するときは、共通義務確認の訴えは、先に訴えの提起があった地方裁判所が管轄する。 ただし、その地方裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当該共通義務確認の訴えに係る訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。 6 裁判所は、共通義務確認訴訟がその管轄に属する場合においても、他の裁判所に事実上及び法律上同種の原因に基づく請求を目的とする共通義務確認訴訟が係属している場合において、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、当該共通義務確認訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所に移送することができる。 (弁論等の必要的併合) 第七条 請求の内容及び相手方が同一である共通義務確認訴訟が数個同時に係属するときは、その弁論及び裁判は、併合してしなければならない。 2 前項に規定する場合には、当事者は、その旨を裁判所に申し出なければならない。 (補助参加の禁止) 第八条 消費者は、民事訴訟法第四十二条の規定にかかわらず、共通義務確認訴訟の結果について利害関係を有する場合であっても、特定適格消費者団体を補助するため、その共通義務確認訴訟に参加することができない。 (保全開示命令等) 第九条 共通義務確認訴訟が係属する裁判所は、次に掲げる事由につき疎明があった場合には、当該共通義務確認訴訟の当事者である特定適格消費者団体の申立てにより、決定で、当該共通義務確認訴訟の当事者である事業者等に対して、第三十一条第一項の規定により事業者等が特定適格消費者団体に開示しなければならない同項に規定する文書について、同条第二項に規定する方法により開示することを命ずることができる。 一 第二条第四号に規定する義務が存すること。 二 当該文書について、あらかじめ開示がされなければその開示が困難となる事情があること。 2 前項の規定による命令(以下この条において「保全開示命令」という。)の申立ては、文書の表示を明らかにしてしなければならない。 3 裁判所は、保全開示命令の申立てについて決定をする場合には、事業者等を審尋しなければならない。 4 保全開示命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 保全開示命令は、執行力を有しない。 6 事業者等が正当な理由なく保全開示命令に従わないときは、裁判所は、決定で、三十万円以下の過料に処する。 7 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 8 民事訴訟法第百八十九条の規定は、第六項の規定による過料の裁判について準用する。 (確定判決の効力が及ぶ者の範囲) 第十条 共通義務確認訴訟の確定判決は、民事訴訟法第百十五条第一項の規定にかかわらず、当該共通義務確認訴訟の当事者以外の特定適格消費者団体及び当該共通義務確認訴訟に係る対象消費者の範囲に属する第三十三条第二項第一号に規定する届出消費者に対してもその効力を有する。 (共通義務確認訴訟における和解) 第十一条 共通義務確認訴訟の当事者は、当該共通義務確認訴訟において、当該共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に当該共通義務確認訴訟の目的である第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解をするときは、当該義務に関し、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。 一 対象債権及び対象消費者の範囲 二 当該義務に係る事実上及び法律上の原因 2 共通義務確認訴訟の当事者は、当該共通義務確認訴訟において、当該共通義務確認訴訟に係る対象債権に係る紛争の解決に関し、当該紛争に係る消費者の当該共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に対する対象債権以外の金銭の支払請求権(以下「和解金債権」という。)が存することを認める旨の和解をするときは、当該和解金債権に関し、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。 一 当該和解の目的となる権利又は法律関係の範囲 二 和解金債権の額又はその算定方法 三 和解金債権を有する消費者(第二十六条第一項第十号において「和解対象消費者」という。)の範囲 3 共通義務確認訴訟における和解において、当該共通義務確認訴訟の当事者である特定適格消費者団体が当該共通義務確認訴訟の目的である第二条第四号に規定する義務について共通義務確認の訴えを提起しない旨の定めがされたときは、当該定めは、当該共通義務確認訴訟の当事者以外の特定適格消費者団体に対してもその効力を有する。 4 共通義務確認訴訟における和解については、民事訴訟法第九十一条第二項後段(同法第九十一条の二第四項において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。 (再審の訴え) 第十二条 共通義務確認の訴えが提起された場合において、原告及び被告が共謀して共通義務確認の訴えに係る対象消費者の権利を害する目的をもって判決をさせたときは、他の特定適格消費者団体は、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。 第二節 対象債権等の確定手続 第一款 簡易確定手続 第一目 通則 (簡易確定手続の当事者等) 第十三条 簡易確定手続は、共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した時又は請求の認諾等(請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解又は和解金債権が存することを認める旨の和解をいう。以下この条において同じ。)によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体(第九十三条第二項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた特定適格消費者団体。第十五条において同じ。)の申立てにより、当該判決が確定した時又は請求の認諾等によって当該共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった事業者等を相手方として、共通義務確認訴訟の第一審の終局判決をした地方裁判所(第一審において請求の認諾等によって共通義務確認訴訟が終了したときは、当該共通義務確認訴訟が係属していた地方裁判所)が行う。 (任意的口頭弁論) 第十四条 簡易確定手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。 2 前項の規定により口頭弁論をしない場合には、裁判所は、当事者を審尋することができる。 第二目 簡易確定手続の開始 (簡易確定手続開始の申立義務) 第十五条 共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した時又は請求の認諾によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 2 第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、当該義務に係る対象債権について、簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 ただし、当該対象債権のうち、当該和解においてその額又は算定方法のいずれかが定められている部分(当該和解において簡易確定手続開始の申立てをしなければならない旨が定められている部分を除く。)については、この限りでない。 3 和解金債権が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した場合において、当該和解において当該和解金債権の全部又は一部について簡易確定手続開始の申立てをしなければならない旨が定められているときは、当該共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、当該定めに係る和解金債権について簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 (簡易確定手続開始の申立期間) 第十六条 前条の場合において、簡易確定手続開始の申立ては、共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した日又は請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解若しくは和解金債権が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した日(第九十三条第二項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた日)から四月以内にしなければならない。 2 裁判所は、必要があると認めるときは、前条の規定により簡易確定手続開始の申立てをしなければならない特定適格消費者団体の申立てにより、二月以内の期間を定めて、前項の期間(この項の規定により当該期間が伸長された場合にあっては、当該伸長された期間。次項において同じ。)の伸長の決定をすることができる。 ただし、当該期間は、通じて八月を超えることができない。 3 裁判所は、前項の規定により第一項の期間の伸長の決定をしたときは、前条の規定により簡易確定手続開始の申立てをしなければならない特定適格消費者団体及び第十三条に規定する事業者等に対し、その旨を通知しなければならない。 (簡易確定手続開始の申立ての方式) 第十七条 簡易確定手続開始の申立ては、最高裁判所規則で定める事項を記載した書面でしなければならない。 (費用の予納) 第十八条 簡易確定手続開始の申立てをするときは、申立てをする特定適格消費者団体は、第二十三条第一項の規定による公告及び同条第二項の規定による通知に要する費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。 (簡易確定手続開始の申立ての取下げ) 第十九条 簡易確定手続開始の申立ては、裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と読み替えるものとする。 (簡易確定手続開始決定) 第二十条 裁判所は、簡易確定手続開始の申立てがあった場合には、当該申立てが不適法であると認めるとき又は第十八条に規定する費用の予納がないときを除き、簡易確定手続開始の決定(以下「簡易確定手続開始決定」という。)をする。 2 簡易確定手続開始の申立てを却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (簡易確定手続開始決定の方式) 第二十一条 簡易確定手続開始決定は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項を記載した決定書を作成してしなければならない。 一 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められたとき 当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 二 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をしたとき 当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 (簡易確定手続開始決定と同時に定めるべき事項) 第二十二条 裁判所は、簡易確定手続開始決定と同時に、当該簡易確定手続開始決定に係る簡易確定手続開始の申立てをした特定適格消費者団体(第九十三条第一項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた特定適格消費者団体。以下「簡易確定手続申立団体」という。)が第三十三条第二項に規定する債権届出をすべき期間(以下「届出期間」という。)及びその債権届出に対して簡易確定手続の相手方(以下この款において単に「相手方」という。)が認否をすべき期間(以下「認否期間」という。)を定めなければならない。 (簡易確定手続開始の公告等) 第二十三条 裁判所は、簡易確定手続開始決定をしたときは、直ちに、官報に掲載して次に掲げる事項を公告しなければならない。 一 簡易確定手続開始決定の主文 二 第二十一条各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項 三 簡易確定手続申立団体の名称及び住所 四 届出期間及び認否期間 2 裁判所は、簡易確定手続申立団体及び相手方に対し、前項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。 (重複する簡易確定手続開始の申立ての禁止) 第二十四条 簡易確定手続開始決定がされた事件については、特定適格消費者団体は、更に簡易確定手続開始の申立てをすることができない。 (届出期間又は認否期間の伸長) 第二十五条 裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、届出期間又は認否期間の伸長の決定をすることができる。 2 裁判所は、前項の規定により届出期間又は認否期間の伸長の決定をしたときは、簡易確定手続申立団体及び相手方に対し、その旨を通知しなければならない。 3 裁判所は、第一項の規定により届出期間又は認否期間の伸長の決定をしたときは、直ちに、官報に掲載してその旨を公告しなければならない。 第三目 簡易確定手続申立団体による公告及び通知等 (簡易確定手続申立団体による公告等) 第二十六条 簡易確定手続開始決定がされたときは、簡易確定手続申立団体は、正当な理由がある場合を除き、届出期間の末日の一月前までに、次に掲げる事項を相当な方法により公告しなければならない。 一 被害回復裁判手続の概要 二 被害回復裁判手続の事案の内容 三 共通義務確認訴訟の確定判決の内容(請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解又は和解金債権が存することを認める旨の和解がされた場合には、その内容) 四 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められた場合には、当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 五 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をした場合には、当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 六 共通義務確認訴訟における和解において対象債権等の額又は算定方法が定められた場合には、当該額又は算定方法 七 簡易確定手続申立団体の名称及び住所 八 簡易確定手続申立団体の連絡先 九 簡易確定手続申立団体が支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項 十 対象消費者等(対象消費者及び和解対象消費者をいう。以下同じ。)が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする方法 十一 対象消費者等が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする期間 十二 その他内閣府令で定める事項 2 前項の規定による公告後、届出期間中に同項第七号に掲げる事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を、相当な方法により公告するとともに、裁判所及び相手方に通知しなければならない。 この場合において、当該通知を受けた裁判所は、直ちに、官報に掲載してその旨を公告しなければならない。 3 第一項の規定による公告後、届出期間中に同項第八号から第十二号までに掲げる事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を、相当な方法により公告しなければならない。 (簡易確定手続申立団体による通知) 第二十七条 簡易確定手続開始決定がされたときは、簡易確定手続申立団体は、正当な理由がある場合を除き、届出期間の末日の一月前までに、知れている対象消費者等(次条第一項の規定による通知(以下この目及び第九十八条第二項第二号において「相手方通知」という。)を受けたものを除く。)に対し、前条第一項各号に掲げる事項を書面又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下同じ。)であって内閣府令で定めるものにより通知しなければならない。 2 前項の規定にかかわらず、同項の規定による通知において次に掲げる事項を記載する場合には、前条第一項第一号、第三号、第六号、第九号、第十号及び第十二号に掲げる事項を記載することを要しない。 一 前条第一項の規定により公告を行っている旨 二 当該公告の方法 三 その他内閣府令で定める事項 (相手方による通知) 第二十八条 相手方は、簡易確定手続申立団体の求め(相手方通知のため通常必要な期間を考慮して内閣府令で定める日までにされたものに限る。)があるときは、届出期間の末日の二月以上前の日であって内閣府令で定める日までに、当該求めに係る知れている対象消費者等に対し、次に掲げる事項を書面又は電磁的方法であって内閣府令で定めるものにより通知しなければならない。 一 被害回復裁判手続の事案の内容 二 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められた場合には、当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 三 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をした場合には、当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 四 簡易確定手続申立団体の名称、住所及び連絡先 五 対象消費者等が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする期間 六 簡易確定手続申立団体が第二十六条第一項の規定により公告を行っている旨 七 当該公告の方法 八 相手方の氏名又は名称、住所及び連絡先 九 その他内閣府令で定める事項 2 簡易確定手続申立団体は、相手方に対し、前項の求めをするときは、同項第四号に掲げる連絡先、同項第五号から第七号までに掲げる事項その他内閣府令で定める事項を通知しなければならない。 3 相手方は、相手方通知をしたときは、当該相手方通知をした時から一週間以内に、第一項の求めをした簡易確定手続申立団体に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。 一 相手方通知をした対象消費者等の氏名及び住所又は連絡先 二 相手方通知をした日 三 その他内閣府令で定める事項 (相手方による公表) 第二十九条 相手方は、簡易確定手続申立団体の求めがあるときは、遅滞なく、インターネットの利用、営業所その他の場所において公衆に見やすいように掲示する方法その他これらに類する方法により、届出期間中、前条第一項各号に掲げる事項(同項第四号、第五号、第八号又は第九号に掲げる事項に変更があったときは、変更後の当該各号に掲げる事項)を公表しなければならない。 2 前条第二項の規定は、簡易確定手続申立団体が相手方に対し前項の求めをするときについて準用する。 この場合において、同条第二項中「ならない」とあるのは、「ならない。この場合において、当該求めの後、届出期間中に前項第四号又は第五号に掲げる事項その他内閣府令で定める事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を相手方に通知しなければならない」と読み替えるものとする。 (対象消費者等に関する情報に係る回答義務) 第三十条 相手方は、簡易確定手続申立団体から次に掲げる事項について照会があるときは、当該照会があった時から一週間以内に、当該簡易確定手続申立団体に対し、書面又は電磁的方法であって内閣府令で定めるものにより回答しなければならない。 一 対象消費者等の数の見込み 二 知れている対象消費者等の数 三 相手方通知をする時期の見込み 四 その他内閣府令で定める事項 (情報開示義務) 第三十一条 相手方は、対象消費者等の氏名及び住所又は連絡先(内閣府令で定めるものに限る。次項において同じ。)が記載された文書(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をもって作成されている場合における当該電磁的記録を含む。)を所持する場合において、届出期間中に簡易確定手続申立団体の求めがあるときは、当該文書を当該簡易確定手続申立団体に開示することを拒むことができない。 ただし、相手方が開示すべき文書の範囲を特定するために不相当な費用又は時間を要するときは、この限りでない。 2 前項に規定する文書の開示は、その写しの交付(電磁的記録については、当該電磁的記録を出力した書面の交付又は当該電磁的記録に記録された情報の電磁的方法による提供であって内閣府令で定めるもの)により行う。 この場合において、相手方は、個人(対象消費者等でないことが明らかである者を除く。)の氏名及び住所又は連絡先が記載された部分以外の部分を除いて開示することができる。 3 相手方は、第一項に規定する文書の開示をしないときは、簡易確定手続申立団体に対し、速やかに、その旨及びその理由を書面により通知しなければならない。 (情報開示命令等) 第三十二条 簡易確定手続申立団体は、届出期間中、裁判所に対し、情報開示命令(前条第一項の規定により相手方が簡易確定手続申立団体に開示しなければならない同項に規定する文書について、同条第二項に規定する方法による開示を相手方に命ずる旨の決定をいう。以下この条において同じ。)の申立てをすることができる。 2 情報開示命令の申立ては、文書の表示を明らかにしてしなければならない。 3 裁判所は、情報開示命令の申立てを理由があると認めるときは、情報開示命令を発する。 4 裁判所は、情報開示命令の申立てについて決定をする場合には、相手方を審尋しなければならない。 5 情報開示命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。 6 情報開示命令は、執行力を有しない。 7 相手方が正当な理由なく情報開示命令に従わないときは、裁判所は、決定で、三十万円以下の過料に処する。 8 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 9 民事訴訟法第百八十九条の規定は、第七項の規定による過料の裁判について準用する。 第四目 対象債権等の確定 (債権届出) 第三十三条 簡易確定手続開始決定に係る対象債権等については、簡易確定手続申立団体に限り、届け出ることができる。 2 前項の規定による届出(以下「債権届出」という。)は、届出期間内に、次に掲げる事項を記載した書面(以下この節において「届出書」という。)を簡易確定手続開始決定をした裁判所に提出してしなければならない。 一 対象債権等について債権届出をする簡易確定手続申立団体、相手方及び届出消費者(対象債権等として裁判所に債権届出があった債権(以下「届出債権」という。)の債権者である消費者をいう。以下同じ。)並びにこれらの法定代理人 二 請求の趣旨及び原因(請求の原因については、共通義務確認訴訟において認められた義務又は和解金債権に係る事実上及び法律上の原因を前提とするものに限る。) 三 前二号に掲げるもののほか、最高裁判所規則で定める事項 3 簡易確定手続申立団体は、債権届出の時に対象消費者が事業者等に対して対象債権に基づく訴えを提起するとすれば民事訴訟法第一編第二章第一節の規定により日本の裁判所が管轄権を有しないときは、第一項の規定にかかわらず、当該対象債権については、債権届出をすることができない。 4 簡易確定手続申立団体は、対象消費者等が提起したその有する対象債権等に基づく訴訟が裁判所に係属しているときは、第一項の規定にかかわらず、当該対象債権等については、債権届出をすることができない。 (簡易確定手続についての対象消費者等の授権) 第三十四条 簡易確定手続申立団体は、対象債権等について債権届出をし、及び当該対象債権等について簡易確定手続を追行するには、当該対象債権等に係る対象消費者等の授権がなければならない。 2 前項の対象消費者等は、簡易確定手続申立団体のうちから一の簡易確定手続申立団体を限り、同項の授権をすることができる。 3 第一項の授権をした対象消費者等は、当該授権を取り消すことができる。 4 前項の規定による第一項の授権の取消しは、当該授権をした対象消費者等又は当該授権を得た簡易確定手続申立団体から相手方に通知しなければ、その効力を生じない。 5 第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、当該授権は、その効力を失う。 6 簡易確定決定があるまでに簡易確定手続申立団体が届出債権について第一項の授権を欠いたとき(前項の規定により当該授権がその効力を失ったときを除く。)は、当該届出債権については、債権届出の取下げがあったものとみなす。 7 債権届出に係る簡易確定手続申立団体(以下「債権届出団体」という。)の第七十一条第一項に規定する特定認定が、簡易確定決定があるまでに、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、届出消費者は、第二項の規定にかかわらず、第九十三条第六項の規定による公示がされた後一月の不変期間内に、同条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体に第一項の授権をすることができる。 8 前項の届出消費者が同項の期間内に第一項の授権をしないときは、その届出債権については、債権届出の取下げがあったものとみなす。 9 簡易確定決定があった後に、届出消費者が第三項の規定により第一項の授権を取り消したときは、当該届出消費者は、更に簡易確定手続申立団体に同項の授権をすることができない。 (説明義務) 第三十五条 簡易確定手続申立団体は、前条第一項の授権に先立ち、当該授権をしようとする者に対し、内閣府令で定めるところにより、被害回復裁判手続の概要及び事案の内容その他内閣府令で定める事項について、これを記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供して説明をしなければならない。 (簡易確定手続授権契約の締結及び解除) 第三十六条 簡易確定手続申立団体は、やむを得ない理由があるときを除いては、簡易確定手続授権契約(対象消費者等が第三十四条第一項の授権をし、簡易確定手続申立団体が対象債権等について債権届出をすること及び簡易確定手続を追行することを約する契約をいう。以下同じ。)の締結を拒絶してはならない。 2 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、やむを得ない理由があるときを除いては、簡易確定手続授権契約を解除してはならない。 (公平誠実義務等) 第三十七条 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、当該授権をした対象消費者等のために、公平かつ誠実に債権届出、簡易確定手続の追行及び第二条第九号ロに規定する民事執行の手続の追行(当該授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。)並びにこれらに伴い取得した金銭その他の財産の管理をしなければならない。 2 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、当該授権をした対象消費者等に対し、善良な管理者の注意をもって前項に規定する行為をしなければならない。 (届出書の送達) 第三十八条 裁判所は、第三十三条第二項の規定による届出書の提出を受けたときは、次条第一項又は第六十九条第一項の規定により債権届出を却下する場合を除き、遅滞なく、当該届出書を相手方に送達しなければならない。 (不適法な債権届出の却下) 第三十九条 裁判所は、債権届出が不適法であると認めるとき、又は届出書の送達に必要な費用の予納がないときは、決定で、当該債権届出を却下しなければならない。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (簡易確定手続における和解) 第四十条 債権届出団体は、簡易確定手続において、届出債権について、和解をすることができる。 (債権届出があったときの時効の完成猶予及び更新) 第四十一条 債権届出があったときは、当該債権届出に係る対象債権の時効の完成猶予及び更新に関しては、簡易確定手続の前提となる共通義務確認の訴えを提起し、又は民事訴訟法第百四十三条第二項の書面を当該共通義務確認の訴えが係属していた裁判所に提出した時に、裁判上の請求があったものとみなす。 (債権届出の内容の変更の制限) 第四十二条 債権届出団体は、届出期間内に限り、当該債権届出の内容を変更することができる。 (債権届出の取下げ) 第四十三条 債権届出は、簡易確定決定に対し適法な異議の申立てがあるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、簡易確定決定があった後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による債権届出の取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と読み替えるものとする。 (届出消費者表の作成等) 第四十四条 裁判所書記官は、届出債権について、届出消費者表を作成しなければならない。 2 前項の届出消費者表には、各届出債権について、その内容その他最高裁判所規則で定める事項を記載しなければならない。 3 届出消費者表の記載に誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでもその記載を更正する処分をすることができる。 (届出債権の認否) 第四十五条 相手方は、届出期間内に債権届出があった届出債権の内容について、認否期間内に、認否をしなければならない。 2 認否期間内に前項の認否(以下「届出債権の認否」という。)がないときは、相手方において、届出期間内に債権届出があった届出債権の内容の全部を認めたものとみなす。 3 相手方が、認否期間内に届出債権の内容の全部を認めたときは、当該届出債権の内容は、確定する。 4 裁判所書記官は、届出債権の認否の内容を届出消費者表に記載しなければならない。 5 第三項の規定により確定した届出債権については、届出消費者表の記載は、確定判決と同一の効力を有する。 この場合において、債権届出団体は、確定した届出債権について、相手方に対し、届出消費者表の記載により強制執行をすることができる。 (認否を争う旨の申出) 第四十六条 債権届出団体は、前条第三項の規定により届出債権の内容が確定したときを除き、届出債権の認否に対し、認否期間の末日から一月の不変期間内に、裁判所に届出債権の認否を争う旨の申出(以下単に「認否を争う旨の申出」という。)をすることができる。 2 裁判所は、認否を争う旨の申出が不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。 3 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 裁判所書記官は、認否を争う旨の申出の有無を届出消費者表に記載しなければならない。 (簡易確定決定) 第四十七条 裁判所は、適法な認否を争う旨の申出があったときは、第三十九条第一項又は第六十九条第一項の規定により債権届出を却下する場合を除き、簡易確定決定をしなければならない。 2 裁判所は、簡易確定決定をする場合には、当事者双方を審尋しなければならない。 3 簡易確定決定は、主文及び理由の要旨を記載した決定書を作成してしなければならない。 4 届出債権の支払を命ずる簡易確定決定(第五十九条及び第八十九条第一項第二号において「届出債権支払命令」という。)については、裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言することができる。 5 第三項の決定書は、当事者に送達しなければならない。 この場合においては、簡易確定決定の効力は、当事者に送達された時に生ずる。 (証拠調べの制限) 第四十八条 簡易確定決定のための審理においては、証拠調べは、書証及び電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べに限りすることができる。 2 文書の提出の命令若しくは民事訴訟法第二百三十一条の三第一項において準用する同法第二百二十三条に規定する命令又は対照の用に供すべき筆跡若しくは印影を備える物件の提出の命令は、することができない。 3 前二項の規定は、裁判所が職権で調査すべき事項には、適用しない。 (異議の申立て等) 第四十九条 当事者は、簡易確定決定に対し、第四十七条第五項の規定による送達を受けた日から一月の不変期間内に、当該簡易確定決定をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 2 届出消費者は、簡易確定決定に対し、債権届出団体が第四十七条第五項の規定による送達を受けた日から一月の不変期間内に、当該簡易確定決定をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 3 裁判所は、異議の申立てが不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。 4 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 適法な異議の申立てがあったときは、簡易確定決定は、仮執行の宣言を付したものを除き、その効力を失う。 6 適法な異議の申立てがないときは、簡易確定決定は、確定判決と同一の効力を有する。 7 民事訴訟法第二百六十一条第三項から第六項まで、第二百六十二条第一項、第二百六十三条、第三百五十八条並びに第三百六十条第一項及び第二項の規定は、第一項及び第二項の異議について準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第四項中「電子調書」とあるのは「調書」と、「記録しなければ」とあるのは「記載しなければ」と、同条第五項中「前項の規定により訴えの取下げがされた旨が記録された電子調書」とあるのは「その期日の調書の謄本」と読み替えるものとする。 (認否を争う旨の申出がないときの届出債権の確定等) 第五十条 適法な認否を争う旨の申出がないときは、届出債権の内容は、届出債権の認否の内容により確定する。 2 前項の規定により確定した届出債権については、届出消費者表の記載は、確定判決と同一の効力を有する。 この場合において、債権届出団体は、確定した届出債権について、相手方に対し、届出消費者表の記載により強制執行をすることができる。 第五目 費用の負担 (個別費用を除く簡易確定手続の費用の負担) 第五十一条 簡易確定手続の費用(債権届出の手数料及び簡易確定手続における届出債権に係る申立ての手数料(次条第一項及び第三項において「個別費用」と総称する。)を除く。以下この条において同じ。)は、各自が負担する。 2 前項の規定にかかわらず、裁判所は、事情により、同項の規定によれば当事者がそれぞれ負担すべき費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の当事者に負担させることができる。 3 裁判所は、簡易確定手続に係る事件が終了した場合において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、簡易確定手続の費用の負担を命ずる決定をすることができる。 4 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 民事訴訟法第六十九条から第七十二条まで(第七十一条第二項(同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)を除く。)及び第七十四条の規定は、簡易確定手続の費用の負担について準用する。 (個別費用の負担) 第五十二条 裁判所は、届出債権について簡易確定手続に係る事件が終了した場合(第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合には、異議後の訴訟が終了した場合)において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当該事件に関する個別費用の負担を命ずる決定をすることができる。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 3 民事訴訟法第一編第四章第一節(第六十五条、第六十六条、第六十七条第二項、第七十一条第二項(同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)及び第七十三条を除く。)の規定は、個別費用の負担について準用する。 第六目 補則 (民事訴訟法の準用) 第五十三条 特別の定めがある場合を除き、簡易確定手続については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第二条、第十四条、第十六条、第二十一条、第二十二条、第一編第二章第三節、第三章(第三十条、第四十条から第四十九条まで、第五十二条及び第五十三条を除く。)及び第五章(第八十七条、第九十一条第一項及び第二項、第九十一条の二、第九十二条第六項から第十項まで、第二節、第九十四条、第百条第二項、第四節第三款、第百十一条、第百十六条並びに第百十八条を除く。)、第二編第一章(第百三十四条、第百三十四条の二、第百三十七条第二項及び第三項、第百三十七条の二第六項から第九項まで、第百三十八条第一項、第百三十九条、第百四十条並びに第百四十三条から第百四十六条までを除く。)、第三章(第百五十一条第三項、第百五十六条の二、第百五十七条の二、第百五十八条、第百五十九条第三項、第百六十条第二項、第百六十一条第三項及び第三節を除く。)、第四章(第百八十五条第三項、第二百五条第二項、第二百十五条第二項、第二百二十七条第二項、第二百三十二条の二並びに第七節を除く。)、第五章(第二百四十五条、第二百四十九条から第二百五十一条まで、第二百五十二条第二項、第二百五十三条から第二百五十五条まで、第二百五十八条第二項から第四項まで並びに第二百五十九条第一項及び第二項を除く。)及び第六章(第二百六十一条から第二百六十三条まで、第二百六十六条及び第二百六十七条第二項を除く。)、第三編第三章、第四編並びに第九編(第四百三条第一項第二号及び第四号から第六号までを除く。)の規定を準用する。 この場合において、別表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。 (簡易確定手続に係る事件の記録の閲覧) 第五十四条 簡易確定手続の当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、簡易確定手続に係る事件の記録の閲覧を請求することができる。 (期日の呼出し) 第五十四条の二 簡易確定手続における期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によってする。 2 呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知以外の方法による期日の呼出しをしたときは、期日に出頭しない者に対し、法律上の制裁その他期日の不遵守による不利益を帰することができない。 ただし、その者が期日の呼出しを受けた旨を記載した書面を提出したときは、この限りでない。 (送達の特例) 第五十五条 第五十三条において準用する民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出がない場合には、送達は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場所においてする。 一 共通義務確認訴訟において民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出があった場合 当該届出に係る場所 二 共通義務確認訴訟において民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出がなかった場合 当該共通義務確認訴訟における同条第三項に規定する場所 2 公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。 (電子情報処理組織による申立て等) 第五十五条の二 簡易確定手続における申立てその他の申述(以下この条において「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。次項及び第四項において同じ。)をもってするものとされているものであって、最高裁判所の定める裁判所に対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官又は裁判所書記官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項及び第三項において同じ。)と申立て等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を用いてすることができる。 2 前項の規定によりされた申立て等については、当該申立て等を書面等をもってするものとして規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもってされたものとみなして、当該申立て等に関する法令の規定を適用する。 3 第一項の規定によりされた申立て等は、同項の裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に、当該裁判所に到達したものとみなす。 4 第一項の場合において、当該申立て等に関する他の法令の規定により署名等(署名、記名、押印その他氏名又は名称を書面等に記載することをいう。以下この項において同じ。)をすることとされているものについては、当該申立て等をする者は、当該法令の規定にかかわらず、当該署名等に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。 5 第一項の規定によりされた申立て等が第三項に規定するファイルに記録されたときは、第一項の裁判所は、当該ファイルに記録された情報の内容を書面に出力しなければならない。 6 第一項の規定によりされた申立て等に係るこの法律その他の法令の規定による簡易確定手続に係る事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、前項の書面をもってするものとする。 当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。 第二款 異議後の訴訟に係る民事訴訟手続の特例 (訴え提起の擬制等) 第五十六条 簡易確定決定に対し適法な異議の申立てがあったときは、債権届出に係る請求については、当該債権届出の時に、当該債権届出に係る債権届出団体(当該債権届出に係る届出消費者が当該異議の申立てをしたときは、その届出消費者)を原告として、当該簡易確定決定をした地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。 この場合においては、届出書を訴状と、第三十八条の規定による送達を訴状の送達とみなす。 2 前項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件は、同項の地方裁判所の管轄に専属する。 3 前項の事件が係属する地方裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、同項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、その事件に係る訴訟を民事訴訟法第四条第一項又は第五条第一号、第五号若しくは第九号の規定により管轄権を有する地方裁判所に移送することができる。 4 和解金債権についての債権届出に係る請求について第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件には、民事訴訟法第七編の規定は、適用しない。 (異議後の訴訟についての届出消費者の授権) 第五十七条 債権届出団体は、異議後の訴訟を追行するには、届出消費者の授権がなければならない。 2 届出消費者は、その届出債権に係る債権届出団体に限り、前項の授権をすることができる。 3 届出消費者が第八項において準用する第三十四条第三項の規定により第一項の授権を取り消し、又は自ら異議後の訴訟を追行したときは、当該届出消費者は、更に債権届出団体に同項の授権をすることができない。 4 債権届出団体は、正当な理由があるときを除いては、訴訟授権契約(届出消費者が第一項の授権をし、債権届出団体が異議後の訴訟を追行することを約する契約をいう。以下同じ。)の締結を拒絶してはならない。 5 第一項の授権を得た債権届出団体は、正当な理由があるときを除いては、訴訟授権契約を解除してはならない。 6 第一項の授権を得た債権届出団体は、当該授権をした届出消費者のために、公平かつ誠実に異議後の訴訟の追行及び第二条第九号ロに規定する民事執行の手続の追行(当該授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。)並びにこれらに伴い取得した金銭その他の財産の管理をしなければならない。 7 第一項の授権を得た債権届出団体は、当該授権をした届出消費者に対し、善良な管理者の注意をもって前項に規定する行為をしなければならない。 8 第三十四条第三項から第五項まで及び第三十五条の規定は、第一項の授権について準用する。 9 民事訴訟法第五十八条第二項並びに第百二十四条第一項(第六号に係る部分に限る。)及び第二項の規定は、異議後の訴訟において債権届出団体が第一項の授権を欠くときについて準用する。 (訴えの変更の制限等) 第五十八条 異議後の訴訟においては、原告は、訴えの変更(届出消費者又は請求額の変更を内容とするものを除く。)をすることができない。 2 異議後の訴訟においては、反訴を提起することができない。 (異議後の判決) 第五十九条 仮執行の宣言を付した届出債権支払命令に係る請求について第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合において、当該訴えについてすべき判決が届出債権支払命令と符合するときは、その判決において、届出債権支払命令を認可しなければならない。 ただし、届出債権支払命令の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。 2 前項の規定により届出債権支払命令を認可する場合を除き、仮執行の宣言を付した届出債権支払命令に係る請求について第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合における当該訴えについてすべき判決においては、届出債権支払命令を取り消さなければならない。 (訴えの取下げの制限) 第六十条 異議後の訴訟においては、訴えの取下げは、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 第三節 特定適格消費者団体のする仮差押え (特定適格消費者団体のする仮差押え) 第六十一条 特定適格消費者団体は、当該特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の実現を保全するため、民事保全法の規定により、仮差押命令の申立てをすることができる。 2 特定適格消費者団体は、保全すべき権利に係る金銭の支払義務について共通義務確認の訴えを提起することができる場合に限り、前項の申立てをすることができる。 3 第一項の申立てにおいては、保全すべき権利について、対象債権及び対象消費者の範囲並びに当該特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の総額を明らかにすれば足りる。 4 特定適格消費者団体は、対象債権について、第一項の規定によるもののほか、保全命令の申立てをすることができない。 (管轄) 第六十二条 前条第一項の申立てに関する民事保全法第十一条の規定の適用については、共通義務確認の訴えを本案の訴えとみなす。 2 民事保全法第十二条第一項及び第三項の規定の適用については、共通義務確認訴訟の管轄裁判所を本案の管轄裁判所とみなす。 (保全取消しに関する本案の特例) 第六十三条 第六十一条第一項の申立てに係る仮差押命令(以下単に「仮差押命令」という。)に関する民事保全法第三十七条第一項、第三項及び第四項の規定の適用については、当該申立てに係る仮差押えの手続の当事者である特定適格消費者団体がした共通義務確認の訴えの提起を本案の訴えの提起とみなす。 2 前項の共通義務確認の訴えに係る請求を認容する判決が確定したとき又は請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解若しくは和解金債権が存することを認める旨の和解によって同項の共通義務確認の訴えに係る訴訟が終了したときは、同項の特定適格消費者団体が簡易確定手続開始の申立てをすることができる期間及び当該特定適格消費者団体を当事者とする簡易確定手続又は異議後の訴訟が係属している間は、民事保全法第三十七条第一項及び第三項の規定の適用については、本案の訴えが係属しているものとみなす。 3 民事保全法第三十八条及び第四十条の規定の適用については、第六十一条第一項の申立てに係る仮差押えの手続の当事者である特定適格消費者団体が提起した共通義務確認訴訟に係る第一審裁判所(当該共通義務確認訴訟が控訴審に係属するときは、控訴裁判所)を本案の裁判所とみなす。 (仮差押えをした特定適格消費者団体の義務) 第六十四条 特定適格消費者団体は、仮差押命令に係る仮差押えの執行がされている財産について強制執行の申立てをし、又は当該財産について強制執行若しくは担保権の実行の手続がされている場合において配当要求をするときは、当該特定適格消費者団体が取得した債務名義及び取得することとなる債務名義に係る届出債権を平等に取り扱わなければならない。 第四節 補則 (訴訟代理権の不消滅) 第六十五条 訴訟代理権は、被害回復裁判手続の当事者である特定適格消費者団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたことによっては、消滅しない。 (手続の中断及び受継) 第六十六条 次の各号に掲げる手続の当事者である特定適格消費者団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、その手続は、中断する。 この場合において、それぞれ当該各号に定める者は、その手続を受け継がなければならない。 一 共通義務確認訴訟の手続、簡易確定手続(次号に掲げる簡易確定手続を除く。)又は仮差押命令に係る仮差押えの手続(仮差押えの執行に係る訴訟手続を含む。) 第九十三条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体 二 簡易確定手続(簡易確定決定があった後の手続に限る。)又は異議後の訴訟の手続 第九十三条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体(第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権を得た場合に限る。)又は届出消費者 三 特定適格消費者団体が対象債権等に関して取得した債務名義に係る民事執行に係る訴訟手続 第九十三条第三項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体 2 前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない。 3 第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定は、共通義務確認訴訟又は簡易確定手続(特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合を除く。)において、他に当事者である特定適格消費者団体がある場合には、適用しない。 (関連する請求に係る訴訟手続の中止) 第六十七条 共通義務確認訴訟が係属する場合において、当該共通義務確認訴訟の当事者である事業者等と対象消費者との間に他の訴訟が係属し、かつ、当該他の訴訟が当該共通義務確認訴訟の目的である請求又は防御の方法と関連する請求に係るものであるときは、当該他の訴訟の受訴裁判所は、当事者の意見を聴いて、決定で、その訴訟手続の中止を命ずることができる。 2 前項の受訴裁判所は、同項の決定を取り消すことができる。 (対象消費者による訴えの提起等があったときの時効の完成猶予) 第六十八条 次の表の上欄に掲げる場合において、同表の中欄に掲げる日から六月以内に、同表の下欄に掲げる対象債権について民法第百四十七条第一項各号に掲げる事由があるときは、当該対象債権の時効の完成猶予に関しては、共通義務確認の訴えを提起し、又は民事訴訟法第百四十三条第二項の書面を当該共通義務確認の訴えが係属していた裁判所に提出した時に、当該事由があったものとみなす。 一 共通義務確認の訴えの取下げの効力が生じた場合 当該取下げの効力が生じた日 当該取り下げられた共通義務確認の訴えに係る対象債権 二 共通義務確認の訴えを却下する裁判が確定した場合 当該裁判が確定した日 当該却下された共通義務確認の訴えに係る対象債権 三 第十五条第一項に規定する特定適格消費者団体が第十六条第一項の期間(同条第二項の規定により当該期間が伸長された場合にあっては、当該伸長された期間。次号において同じ。)内に簡易確定手続開始の申立てをしなかった場合 当該期間の満了の日 共通義務確認訴訟において認められた義務に係る対象債権 四 第十五条第二項に規定する特定適格消費者団体が第十六条第一項の期間内に簡易確定手続開始の申立てをしなかった場合 当該期間の満了の日 当該和解において認められた義務に係る対象債権(第十五条第二項ただし書に規定する部分を除く。) 五 簡易確定手続開始の申立ての取下げ(届出期間満了後にされたものを除く。)の効力が生じた場合 当該取下げの効力が生じた日 当該取り下げられた申立てに係る対象債権 六 第十三条に規定する簡易確定手続開始の申立てを却下する裁判(第十六条第一項又は第二十四条の規定に違反することを理由とするものを除く。)が確定した場合 当該裁判が確定した日 当該却下された申立てに係る対象債権 (共通義務確認訴訟の判決が再審により取り消された場合の取扱い) 第六十九条 簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が再審により取り消された場合には、簡易確定手続が係属する裁判所は、決定で、債権届出(当該簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が取り消されたことによってその前提を欠くこととなる部分に限る。)を却下しなければならない。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件が係属する裁判所は、判決で、当該訴え(当該簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が取り消されたことによってその前提を欠くこととなる部分に限る。)を却下しなければならない。 (最高裁判所規則) 第七十条 この章に定めるもののほか、被害回復裁判手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第三章 特定適格消費者団体 第一節 特定適格消費者団体の認定等 (特定適格消費者団体の認定) 第七十一条 適格消費者団体は、内閣総理大臣の認定(以下「特定認定」という。)を受けた場合に限り、被害回復関係業務を行うことができる。 2 前項に規定する「被害回復関係業務」とは、次に掲げる業務をいう。 一 被害回復裁判手続に関する業務(第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。) 二 前号に掲げる業務の遂行に必要な消費者の被害に関する情報の収集に係る業務 三 第一号に掲げる業務に付随する対象消費者等に対する情報の提供及び金銭その他の財産の管理に係る業務 3 特定認定を受けようとする適格消費者団体は、内閣総理大臣に特定認定の申請をしなければならない。 4 内閣総理大臣は、前項の申請をした適格消費者団体が次に掲げる要件の全てに適合しているときに限り、特定認定をすることができる。 一 差止請求関係業務(消費者契約法第十三条第一項に規定する差止請求関係業務をいう。以下同じ。)を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。 二 第二項に規定する被害回復関係業務(以下単に「被害回復関係業務」という。)の実施に係る組織、被害回復関係業務の実施の方法、被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、被害回復関係業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の被害回復関係業務を適正に遂行するための体制及び業務規程が適切に整備されていること。 三 その理事に関し、次に掲げる要件に適合するものであること。 イ 被害回復関係業務の執行を決定する機関として理事をもって構成する理事会が置かれており、かつ、定款で定めるその決定の方法が次に掲げる要件に適合していると認められること。 (1) 当該理事会の決議が理事の過半数又はこれを上回る割合以上の多数決により行われるものとされていること。 (2) 共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復関係業務の執行に係る重要な事項の決定が理事その他の者に委任されていないこと。 ロ 理事のうち一人以上が弁護士であること。 四 共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復裁判手続についての検討を行う部門において消費者契約法第十三条第三項第五号イ及びロに掲げる者(以下「専門委員」と総称する。)が共にその専門的な知識経験に基づいて必要な助言を行い又は意見を述べる体制が整備されていることその他被害回復関係業務を遂行するための人的体制に照らして、被害回復関係業務を適正に遂行することができる専門的な知識経験を有すると認められること。 五 被害回復関係業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。 六 被害回復関係業務に関して支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項を定めており、これが消費者の利益の擁護の見地から不当なものでないこと。 七 被害回復関係業務以外の業務を行うことによって被害回復関係業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。 5 前項第二号の業務規程には、被害回復関係業務の実施の方法、被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、被害回復関係業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の内閣府令で定める事項が定められていなければならない。 この場合において、業務規程に定める被害回復関係業務の実施の方法には、簡易確定手続授権契約及び訴訟授権契約の内容並びに請求の放棄、和解又は上訴の取下げをしようとする場合において第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権をした者(第八十二条第一項において単に「授権をした者」という。)の意思を確認するための措置、前項第四号の検討を行う部門における専門委員からの助言又は意見の聴取に関する措置及び役員、職員又は専門委員が被害回復裁判手続の相手方と特別の利害関係を有する場合の措置その他業務の公正な実施の確保に関する措置が含まれていなければならない。 6 次の各号のいずれかに該当する適格消費者団体は、特定認定を受けることができない。 一 この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しないもの 二 第九十二条第一項各号又は第二項各号に掲げる事由により特定認定を取り消され、その取消しの日から三年を経過しないもの 三 役員のうちに次のイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの イ この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者 ロ 特定適格消費者団体が第九十二条第一項各号又は第二項各号に掲げる事由により特定認定を取り消された場合において、その取消しの日前六月以内に当該特定適格消費者団体の役員であった者でその取消しの日から三年を経過しないもの (特定認定の申請) 第七十二条 前条第三項の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。 一 名称及び住所並びに代表者の氏名 二 被害回復関係業務を行おうとする事務所の所在地 三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項 2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 定款 二 差止請求関係業務を相当期間にわたり継続して適正に行っていることを証する書類 三 被害回復関係業務に関する業務計画書 四 被害回復関係業務を適正に遂行するための体制が整備されていることを証する書類 五 業務規程 六 役員、職員及び専門委員に関する次に掲げる書類 イ 氏名、役職及び職業を記載した書類 ロ 住所、略歴その他内閣府令で定める事項を記載した書類 七 最近の事業年度における財産目録、貸借対照表又は次のイ若しくはロに掲げる法人の区分に応じ、当該イ若しくはロに定める書類(第九十九条第二項第七号及び第百十条第一項において「財産目録等」という。)その他の経理的基礎を有することを証する書類 イ 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人(第九十八条第一項及び第二項において単に「特定非営利活動法人」という。) 同法第二十七条第三号に規定する活動計算書 ロ 一般社団法人又は一般財団法人 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第百二十三条第二項(同法第百九十九条において準用する場合を含む。)に規定する損益計算書(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第五条に規定する公益認定を受けている場合にあっては、内閣府令で定める書類) 八 被害回復関係業務に関して支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項を記載した書類 九 前条第六項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面 十 被害回復関係業務以外に行う業務の種類及び概要を記載した書類 十一 その他内閣府令で定める書類 (特定認定の申請に関する公告及び縦覧) 第七十三条 内閣総理大臣は、特定認定の申請があった場合には、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨並びに前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項を公告するとともに、同条第二項各号(第六号ロ、第九号及び第十一号を除く。)に掲げる書類を、公告の日から二週間、公衆の縦覧に供しなければならない。 (特定認定の公示等) 第七十四条 内閣総理大臣は、特定認定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該特定適格消費者団体の名称及び住所、被害回復関係業務を行う事務所の所在地並びに当該特定認定をした日を公示するとともに、当該特定適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。 2 特定適格消費者団体は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体である旨について、被害回復関係業務を行う事務所において見やすいように掲示するとともに、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。第百一条第二項において同じ。)により公衆の閲覧に供しなければならない。 3 特定適格消費者団体でない者は、その名称中に特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある文字を用い、又はその業務に関し、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。 (特定認定の有効期間等) 第七十五条 特定認定の有効期間は、当該特定認定の日における当該特定認定に係る消費者契約法第十三条第一項の認定の有効期間の残存期間と同一の期間とする。 2 特定認定の有効期間の満了後引き続き被害回復関係業務を行おうとする特定適格消費者団体は、その有効期間の更新を受けなければならない。 3 前項の有効期間の更新を受けようとする特定適格消費者団体は、当該有効期間の満了の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「更新申請期間」という。)に、内閣総理大臣に前項の有効期間の更新の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により更新申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 4 第二項の有効期間の更新がされた場合における特定認定の有効期間は、当該更新前の特定認定の有効期間の満了の日の翌日から起算して六年とする。 5 第三項の申請があった場合において、当該有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の特定認定は、当該有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なお効力を有する。 6 前項の場合において、第二項の有効期間の更新がされたときは、その特定認定の有効期間は、従前の特定認定の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。 7 第七十一条(第一項、第二項及び第六項第二号を除く。)、第七十二条、第七十三条及び前条第一項の規定は、第二項の有効期間の更新について準用する。 この場合において、第七十一条第四項第一号中「同じ。)」とあるのは「同じ。)、被害回復関係業務又は相当多数の消費者と事業者との間の消費者契約に関する紛争の解決のための業務」と、第七十二条第二項中「ならない」とあるのは「ならない。ただし、既に内閣総理大臣に添付して提出された書類と同一内容のものについては、その添付を省略することができる」と、同項第二号中「差止請求関係業務」とあるのは「差止請求関係業務、被害回復関係業務又は相当多数の消費者と事業者との間の消費者契約に関する紛争の解決のための業務」と読み替えるものとする。 (変更の届出) 第七十六条 特定適格消費者団体は、第七十二条第一項各号に掲げる事項又は同条第二項各号(第二号及び第十一号を除く。)に掲げる書類に記載した事項に変更があったときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 ただし、その変更が内閣府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。 (合併の届出及び認可等) 第七十七条 特定適格消費者団体である法人が他の特定適格消費者団体である法人と合併をしたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 2 前項の規定により合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人(適格消費者団体である法人に限る。次項において同じ。)と合併(特定適格消費者団体である法人が存続するものを除く。以下この条及び第八十条第一項第二号において同じ。)をした場合には、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その合併について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする特定適格消費者団体である法人及び特定適格消費者団体でない法人は、共同して、その合併がその効力を生ずる日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その合併がその効力を生ずる日までにその申請に対する処分がされないときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その処分がされるまでの間は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。 6 第七十一条(第一項及び第二項を除く。)、第七十二条、第七十三条及び第七十四条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 特定適格消費者団体である法人は、特定適格消費者団体でない法人と合併をする場合において、第四項の申請をしないときは、その合併がその効力を生ずる日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (事業の譲渡の届出及び認可等) 第七十八条 特定適格消費者団体である法人が他の特定適格消費者団体である法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をしたときは、その譲渡を受けた法人は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 2 前項の規定によりその譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人(適格消費者団体である法人に限る。次項において同じ。)に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合には、その譲渡を受けた法人は、その譲渡について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする特定適格消費者団体である法人及び特定適格消費者団体でない法人は、共同して、その譲渡の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その譲渡の日までにその申請に対する処分がされないときは、その譲渡を受けた法人は、その処分がされるまでの間は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。 6 第七十一条(第一項及び第二項を除く。)、第七十二条、第七十三条及び第七十四条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 特定適格消費者団体である法人は、特定適格消費者団体でない法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をする場合において、第四項の申請をしないときは、その譲渡の日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (業務廃止の届出) 第七十九条 特定適格消費者団体が被害回復関係業務を廃止したときは、法人の代表者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (特定認定の失効) 第八十条 特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、特定認定は、その効力を失う。 一 特定認定の有効期間が経過したとき(第七十五条第五項に規定する場合にあっては、更新拒否処分がされたとき)。 二 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人と合併をした場合において、その合併が第七十七条第三項の認可を経ずにその効力を生じたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その合併の不認可処分がされたとき)。 三 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合において、その譲渡が第七十八条第三項の認可を経ずにされたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その譲渡の不認可処分がされたとき)。 四 特定適格消費者団体が被害回復関係業務を廃止したとき。 五 消費者契約法第十三条第一項の認定が失効し、又は取り消されたとき。 2 内閣総理大臣は、前項各号に掲げる事由が生じたことを知った場合において、特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対し、その特定認定が失効した旨を書面により通知しなければならない。 第二節 被害回復関係業務等 (特定適格消費者団体等の責務) 第八十一条 特定適格消費者団体は、対象消費者等の利益のために、被害回復関係業務を適切に実施しなければならない。 2 特定適格消費者団体は、不当な目的でみだりに共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復関係業務を実施してはならない。 3 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務について他の特定適格消費者団体と相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 4 特定適格消費者団体、適格消費者団体その他の関係者は、特定適格消費者団体が行う被害回復関係業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 5 特定適格消費者団体、独立行政法人国民生活センターその他の関係者は、独立行政法人国民生活センターが行う独立行政法人国民生活センター法(平成十四年法律第百二十三号)第十条第八号に掲げる業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 (報酬) 第八十二条 特定適格消費者団体は、授権をした者との簡易確定手続授権契約又は訴訟授権契約で定めるところにより、被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができる。 2 共通義務確認訴訟において和解を行った特定適格消費者団体は、当該和解に係る消費者との間で締結する契約(簡易確定手続授権契約及び訴訟授権契約を除く。)で定めるところにより、被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができる。 (弁護士に追行させる義務) 第八十三条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務を行う場合において、民事訴訟に関する手続(簡易確定手続を含む。)、仮差押命令に関する手続及び執行抗告(仮差押えの執行の手続に関する裁判に対する執行抗告を含む。)に係る手続については、弁護士に追行させなければならない。 (他の特定適格消費者団体への通知等) 第八十四条 特定適格消費者団体は、次に掲げる場合には、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を他の特定適格消費者団体に通知するとともに、その旨、その内容その他内閣府令で定める事項を内閣総理大臣に報告しなければならない。 この場合において、当該特定適格消費者団体が、当該通知及び報告に代えて、全ての特定適格消費者団体及び内閣総理大臣が電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置であって内閣府令で定めるものを講じたときは、当該通知及び報告をしたものとみなす。 一 共通義務確認の訴えの提起又は第六十一条第一項の申立てをしたとき。 二 共通義務確認訴訟の判決の言渡し又は第六十一条第一項の申立てについての決定の告知があったとき。 三 前号の判決に対する上訴の提起又は同号の決定に対する不服の申立てがあったとき。 四 第二号の判決又は同号の決定が確定したとき。 五 共通義務確認訴訟における和解が成立したとき。 六 前二号に掲げる場合のほか、共通義務確認訴訟又は仮差押命令に関する手続が終了したとき。 七 共通義務確認訴訟に関し、請求の放棄、和解、上訴の取下げその他の内閣府令で定める手続に係る行為であって、それにより確定判決及びこれと同一の効力を有するものが存することとなるものをしようとするとき。 八 第十六条第三項の規定による通知を受けたとき。 九 簡易確定手続開始の申立て又はその取下げをしたとき。 十 簡易確定手続開始決定があったとき。 十一 第二十六条第一項、第二項前段又は第三項の規定による公告をしたとき。 十二 第二十七条第一項の規定による通知をしたとき。 十三 その他被害回復関係業務に関し内閣府令で定める手続に係る行為がされたとき。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、全ての特定適格消費者団体及び内閣総理大臣が電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置その他の内閣府令で定める方法により、他の特定適格消費者団体に当該報告の日時及び概要その他内閣府令で定める事項を伝達するものとする。 (個人情報の取扱い) 第八十五条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に関し、消費者の個人情報(個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。第三項において同じ。)を保管し、又は利用するに当たっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内でこれを保管し、及び利用しなければならない。 ただし、当該消費者の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。 2 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に関し、消費者から収集した消費者の被害に関する情報を被害回復裁判手続に係る相手方その他の第三者が当該被害に係る消費者を識別することができる方法で利用するに当たっては、あらかじめ、当該消費者の同意を得なければならない。 3 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務において消費者の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。 (秘密保持義務) 第八十六条 特定適格消費者団体の役員、職員若しくは専門委員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、被害回復関係業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (氏名等の明示) 第八十七条 特定適格消費者団体の被害回復関係業務に従事する者は、その被害回復関係業務を行うに当たり、被害回復裁判手続に係る相手方の請求があったときは、当該特定適格消費者団体の名称、自己の氏名及び特定適格消費者団体における役職又は地位その他内閣府令で定める事項を、その相手方に明らかにしなければならない。 (情報の提供) 第八十八条 特定適格消費者団体は、消費者の財産的被害等の回復に資するため、対象消費者等に対し、共通義務確認の訴えを提起したこと、共通義務確認訴訟の確定判決の内容その他必要な情報を提供するよう努めなければならない。 (財産上の利益の受領の禁止等) 第八十九条 特定適格消費者団体は、次に掲げる場合を除き、その被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を受けてはならない。 一 届出債権の認否、簡易確定決定、異議後の訴訟における判決若しくは請求の認諾又は和解に基づく義務の履行として金銭その他の財産上の利益を受けるとき。 二 被害回復裁判手続における判決(確定判決と同一の効力を有するもの、仮執行の宣言を付した届出債権支払命令及び第六十一条第一項の申立てについての決定を含む。次号において同じ。)又は第五十一条第三項若しくは第五十二条第一項若しくは民事訴訟法第七十三条第一項の決定により訴訟費用(簡易確定手続の費用、和解の費用及び調停手続の費用を含む。)を負担することとされた相手方から当該訴訟費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。 三 被害回復裁判手続における判決に基づく民事執行の執行費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。 2 特定適格消費者団体は、対象消費者等又は第九十八条第二項に規定する消費者団体訴訟等支援法人に前項第一号に規定する義務の履行として金銭その他の財産上の利益を受けさせる場合を除き、その被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を第三者に受けさせてはならない。 3 特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員は、特定適格消費者団体の被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を受け、又は第三者に受けさせてはならない。 4 前三項に規定する被害回復裁判手続に係る相手方からその被害回復裁判手続の追行に関して受け又は受けさせてはならない財産上の利益には、その相手方がその被害回復裁判手続の追行に関してした不法行為によって生じた損害の賠償として受け又は受けさせる財産上の利益は含まれない。 (区分経理) 第九十条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に係る経理を他の業務に係る経理と区分して整理しなければならない。 第三節 監督 (適合命令及び改善命令) 第九十一条 内閣総理大臣は、特定適格消費者団体が、第七十一条第四項第二号から第七号までに掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該特定適格消費者団体に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 2 内閣総理大臣は、前項に定めるもののほか、特定適格消費者団体が第七十一条第六項第三号に該当するに至ったと認めるとき、特定適格消費者団体又はその役員、職員若しくは専門委員が被害回復関係業務の遂行に関しこの法律の規定に違反したと認めるとき、その他特定適格消費者団体の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該特定適格消費者団体に対し、人的体制の改善、違反の停止、業務規程の変更その他の業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (特定認定の取消し等) 第九十二条 内閣総理大臣は、特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、特定認定を取り消すことができる。 一 偽りその他不正の手段により特定認定、第七十五条第二項の有効期間の更新又は第七十七条第三項若しくは第七十八条第三項の認可を受けたとき。 二 第七十一条第四項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったとき。 三 第七十一条第六項第一号又は第三号に該当するに至ったとき。 四 前三号に掲げるもののほか、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき(次項第二号に該当する場合を除く。)。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による取消しのほか、特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、特定認定又は消費者契約法第十三条第一項の認定を取り消すことができる。 一 被害回復裁判手続において、特定適格消費者団体がその相手方と通謀して請求の放棄又は対象消費者等の利益を害する内容の和解をしたときその他対象消費者等の利益に著しく反する訴訟その他の手続の追行を行ったと認められるとき。 二 第八十九条第一項又は第二項の規定に違反したとき。 三 当該特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員が第八十九条第三項の規定に違反したとき。 3 特定適格消費者団体が、第八十四条第一項の規定に違反して同項の通知又は報告をしないで、共通義務確認の訴えに関し、同項第七号に規定する行為をしたときは、内閣総理大臣は、当該特定適格消費者団体について前項第一号に掲げる事由があるものとみなすことができる。 4 内閣総理大臣は、第一項又は第二項の規定による取消しをしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその取消しをした日を公示するとともに、特定適格消費者団体であった法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 この場合において、当該特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対しても、その取消しをした旨を書面により通知しなければならない。 (手続を受け継ぐべき特定適格消費者団体の指定等) 第九十三条 被害回復裁判手続(第二条第九号ロに規定する民事執行の手続を除く。)の当事者である特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、当該被害回復裁判手続を受け継ぐべき特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 ただし、共通義務確認訴訟又は簡易確定手続(特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合を除く。)において、他に当事者である特定適格消費者団体があるときは、この限りでない。 2 第十三条に規定する特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、第十三条に規定する特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 ただし、同条に規定する特定適格消費者団体が他にあるときは、この限りでない。 3 対象債権等に係る債務名義を取得した特定適格消費者団体又はその民事執行法第二十三条第一項第三号に規定する承継人である特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、同法第二十三条第一項第三号に規定する承継人となるべき特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 4 内閣総理大臣は、前三項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体(以下この項及び次項において「指定特定適格消費者団体」という。)について、特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは既に失効し、又は前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるときは、指定特定適格消費者団体に係る指定を取り消さなければならない。 5 第一項から第三項までの規定による指定は、指定特定適格消費者団体が受け継ぐことになった手続をその指定前に追行していた者に次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたことを理由として取り消すことができない。 一 特定認定の取消処分、特定認定の有効期間の更新拒否処分若しくは第七十七条第三項の合併若しくは第七十八条第三項の事業の全部の譲渡の不認可処分(以下この号において「特定認定取消処分等」という。)が取り消され、又は特定認定取消処分等の取消し若しくはその無効若しくは不存在の確認の判決が確定したとき。 二 消費者契約法第十三条第一項の認定の取消処分、同項の認定の有効期間の更新拒否処分若しくは同法第十九条第三項の合併若しくは同法第二十条第三項の事業の全部の譲渡の不認可処分(以下この号において「認定取消処分等」という。)が取り消され、又は認定取消処分等の取消し若しくはその無効若しくは不存在の確認の判決が確定したとき。 6 内閣総理大臣は、第一項から第三項までの規定による指定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその指定をした日を公示するとともに、その指定を受けた特定適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。 第四項の規定により当該指定を取り消したときも、同様とする。 7 前項前段の場合において、特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、内閣総理大臣は、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対しても、その指定をした旨を書面により通知しなければならない。 8 次の各号に掲げる場合には、当該各号の指定を受けた特定適格消費者団体は、遅滞なく、知れている届出消費者に、各別にその旨を通知しなければならない。 一 第一項の規定による指定がされた場合(特定適格消費者団体であった法人が簡易確定手続(当該特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合に限る。)又は異議後の訴訟の手続の当事者であったときに限る。) 二 第三項の規定による指定がされた場合 9 第一項から第三項までの規定による指定がされたときは、特定適格消費者団体であった法人は、遅滞なく、その指定を受けた特定適格消費者団体に対し、その指定の対象となった事件について、対象消費者等のために保管する物及び被害回復関係業務に関する書類を移管し、その他被害回復関係業務をその指定を受けた特定適格消費者団体に引き継ぐために必要な一切の行為をしなければならない。 第四節 補則 (消費者契約法の特例) 第九十四条 特定適格消費者団体である適格消費者団体に対する消費者契約法の規定の適用については、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。 第二十九条第一項 その行う差止請求関係業務 その行う差止請求関係業務及び消費者裁判手続特例法第七十一条第二項に規定する被害回復関係業務(以下単に「被害回復関係業務」という。) 、差止請求関係業務 、差止請求関係業務及び被害回復関係業務 第三十一条第二項第七号 差止請求関係業務 差止請求関係業務及び被害回復関係業務 第三十二条第一項 この法律 この法律又は消費者裁判手続特例法 (判決等に関する情報の公表) 第九十五条 内閣総理大臣は、消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するため、特定適格消費者団体から第八十四条第一項(第一号及び第七号に係る部分を除く。)の規定による報告を受けたときは、インターネットの利用その他適切な方法により、速やかに、共通義務確認訴訟の確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)の概要、簡易確定手続開始決定の概要、第二十六条第一項、第二項前段及び第三項の規定による公告の概要、第二十七条第一項の規定による通知の概要、当該特定適格消費者団体の名称及び当該共通義務確認訴訟の相手方の氏名又は名称その他内閣府令で定める事項を公表するものとする。 2 前項に規定する事項のほか、内閣総理大臣は、被害回復関係業務に関する情報を広く国民に提供するため、インターネットの利用その他適切な方法により、特定適格消費者団体の名称及び住所並びに被害回復関係業務を行う事務所の所在地その他内閣府令で定める必要な情報を公表することができる。 3 内閣総理大臣は、独立行政法人国民生活センターに、前二項に規定する情報の公表に関する業務を行わせることができる。 (特定適格消費者団体への協力等) 第九十六条 内閣総理大臣は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体の求めに応じ、当該特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を適切に追行するために必要な限度において、当該特定適格消費者団体に対し、特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)又は預託等取引に関する法律(昭和六十一年法律第六十二号)に基づく処分に関して作成した書類で内閣府令で定めるものを提供することができる。 2 前項の規定により書類の提供を受けた特定適格消費者団体は、当該書類を当該被害回復裁判手続の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。 第九十七条 独立行政法人国民生活センター及び地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体の求めに応じ、当該特定適格消費者団体が被害回復関係業務を適切に遂行するために必要な限度において、当該特定適格消費者団体に対し、消費生活に関する消費者と事業者との間に生じた苦情に係る相談に関する情報で内閣府令で定めるものを提供することができる。 2 前項の規定により情報の提供を受けた特定適格消費者団体は、当該情報を当該被害回復関係業務の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。 第四章 消費者団体訴訟等支援法人 第一節 消費者団体訴訟等支援法人の認定等 (消費者団体訴訟等支援法人の認定) 第九十八条 内閣総理大臣は、特定非営利活動法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人であって、次に掲げる要件に該当すると認められるもの(適格消費者団体である法人を除く。)を、その申請により、次項に規定する業務(以下この章及び第百十七条第二項第二号において「支援業務」という。)を行う者として認定することができる。 一 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動を行うことを主たる目的とし、現にその活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。 二 消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するための啓発活動及び広報活動の実績が相当程度あること。 三 支援業務の実施に係る組織、支援業務の実施の方法、支援業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、支援業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の支援業務を適正に遂行するための体制及び業務規程が適切に整備されていること。 四 支援業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。 五 支援業務以外の業務を行うことによって支援業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。 2 前項の規定による認定(以下この章及び第百十七条第一項において「支援認定」という。)を受けた特定非営利活動法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人(以下「消費者団体訴訟等支援法人」という。)は、次に掲げる業務を行うものとする。 一 特定適格消費者団体の委託を受けて、対象消費者等に対する情報の提供、金銭の管理その他の特定適格消費者団体が行う被害回復関係業務に付随する事務であって内閣府令で定めるものを行うこと。 二 特定適格消費者団体とその被害回復裁判手続に係る相手方との合意により定めるところにより、相手方通知その他の当該相手方が行うべき被害回復裁判手続における事務であって内閣府令で定めるものを行うこと。 三 被害回復関係業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体に対する助言、被害回復関係業務に関する情報の公表その他の内閣府令で定める事務を行うこと。 四 前三号に掲げるもののほか、内閣総理大臣の委託を受けて、次に掲げる業務を行うこと。 イ 第九十五条第一項及び第二項の規定による公表 ロ この法律の実施のために必要な情報の収集その他の内閣府令で定める事務 3 第一項第三号の業務規程には、支援業務の実施の方法、支援業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、支援業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の内閣府令で定める事項が定められていなければならない。 4 次の各号のいずれかに該当する者は、支援認定を受けることができない。 一 この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない法人 二 第百十三条第一項各号に掲げる事由により支援認定を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない法人 三 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(次号及び第六号ハにおいて「暴力団員等」という。)がその事業活動を支配する法人 四 暴力団員等をその事業活動に従事させ、又はその事業活動の補助者として使用するおそれのある法人 五 政治団体(政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第三条第一項に規定する政治団体をいう。) 六 役員のうちに次のイからハまでのいずれかに該当する者のある法人 イ 拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定若しくはこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者 ロ 消費者団体訴訟等支援法人が第百十三条第一項各号に掲げる事由により支援認定を取り消された場合において、その取消しの日前六月以内に当該消費者団体訴訟等支援法人の役員であった者でその取消しの日から三年を経過しないもの ハ 暴力団員等 (支援認定の申請) 第九十九条 前条第一項の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。 一 名称及び住所並びに代表者の氏名 二 支援業務を行おうとする事務所の所在地 三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項 2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 定款 二 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていることを証する書類 三 消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するための啓発活動及び広報活動に係る事業の実績が相当程度あることを証する書類 四 支援業務を適正に遂行するための体制が整備されていることを証する書類 五 業務規程 六 役職員名簿(役員及び職員の氏名、その役職その他内閣府令で定める事項を記載した名簿をいう。第百十条第二項第三号において同じ。) 七 最近の事業年度における財産目録等その他の経理的基礎を有することを証する書類 八 前条第四項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面 九 支援業務以外の業務を行う場合には、その業務の種類及び概要を記載した書類 十 その他内閣府令で定める書類 (支援認定の申請に関する公告及び縦覧等) 第百条 内閣総理大臣は、支援認定の申請があった場合には、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨並びに前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項を公告するとともに、同条第二項各号(第八号及び第十号を除く。)に掲げる書類を、公告の日から二週間、公衆の縦覧に供しなければならない。 2 内閣総理大臣は、支援認定の申請をした者について第九十八条第四項第三号、第四号又は第六号ハに該当する疑いがあると認めるときは、警察庁長官の意見を聴くものとする。 (支援認定の公示等) 第百一条 内閣総理大臣は、支援認定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該消費者団体訴訟等支援法人の名称及び住所、支援業務を行う事務所の所在地並びに当該支援認定をした日を公示するとともに、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 2 消費者団体訴訟等支援法人は、内閣府令で定めるところにより、消費者団体訴訟等支援法人である旨について、支援業務を行う事務所において見やすいように掲示するとともに、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人でない者は、その名称中に消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある文字を用い、又はその業務に関し、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。 (変更の届出) 第百二条 消費者団体訴訟等支援法人は、第九十九条第一項各号に掲げる事項又は同条第二項各号(第二号、第三号及び第十号を除く。)に掲げる書類に記載した事項に変更があったときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 ただし、その変更が内閣府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。 (合併の届出及び認可等) 第百三条 消費者団体訴訟等支援法人である法人が他の消費者団体訴訟等支援法人である法人と合併をしたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 2 前項の規定により合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併(消費者団体訴訟等支援法人である法人が存続するものを除く。以下この条及び第百六条第一号において同じ。)をした場合には、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その合併について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする消費者団体訴訟等支援法人である法人及び消費者団体訴訟等支援法人でない法人は、共同して、その合併がその効力を生ずる日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その合併がその効力を生ずる日までにその申請に対する処分がされないときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その処分がされるまでの間は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継しているものとみなす。 6 第九十八条(第二項を除く。)、第九十九条、第百条及び第百一条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 消費者団体訴訟等支援法人である法人は、消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併をする場合において、第四項の申請をしないときは、その合併がその効力を生ずる日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (事業の譲渡の届出及び認可等) 第百四条 消費者団体訴訟等支援法人である法人が他の消費者団体訴訟等支援法人である法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をしたときは、その譲渡を受けた法人は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 2 前項の規定によりその譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をした場合には、その譲渡を受けた法人は、その譲渡について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする消費者団体訴訟等支援法人である法人及び消費者団体訴訟等支援法人でない法人は、共同して、その譲渡の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その譲渡の日までにその申請に対する処分がされないときは、その譲渡を受けた法人は、その処分がされるまでの間は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継しているものとみなす。 6 第九十八条(第二項を除く。)、第九十九条、第百条及び第百一条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 消費者団体訴訟等支援法人である法人は、消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をする場合において、第四項の申請をしないときは、その譲渡の日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (解散の届出等) 第百五条 消費者団体訴訟等支援法人が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 一 破産手続開始の決定により解散した場合 破産管財人 二 合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合 清算人 三 支援業務を廃止した場合 法人の代表者 2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (支援認定の失効) 第百六条 消費者団体訴訟等支援法人について、次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、支援認定は、その効力を失う。 一 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併をした場合において、その合併が第百三条第三項の認可を経ずにその効力を生じたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その合併の不認可処分がされたとき)。 二 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をした場合において、その譲渡が第百四条第三項の認可を経ずにされたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その譲渡の不認可処分がされたとき)。 三 消費者団体訴訟等支援法人が前条第一項各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなったとき。 第二節 支援業務等 (秘密保持義務) 第百七条 消費者団体訴訟等支援法人の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、支援業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (業務の範囲及び区分経理) 第百八条 消費者団体訴訟等支援法人は、その行う支援業務に支障がない限り、定款の定めるところにより、支援業務以外の業務を行うことができる。 2 消費者団体訴訟等支援法人は、次に掲げる業務に係る経理をそれぞれ区分して整理しなければならない。 一 支援業務 二 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動に係る業務(前号に掲げる業務を除く。) 三 前二号に掲げる業務以外の業務 第三節 監督 (帳簿書類の作成及び保存) 第百九条 消費者団体訴訟等支援法人は、内閣府令で定めるところにより、その業務及び経理に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。 (財務諸表等の作成、備置き及び提出) 第百十条 消費者団体訴訟等支援法人は、毎事業年度終了後三月以内に、その事業年度の財産目録等及び事業報告書(これらの作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項第四号及び第百二十二条第十一号において「財務諸表等」という。)を作成しなければならない。 2 消費者団体訴訟等支援法人の事務所には、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる書類を備え置かなければならない。 一 定款 二 業務規程 三 役職員名簿 四 財務諸表等 五 経理に関する内閣府令で定める事項を記載した書類 六 支援業務以外の業務を行う場合には、その業務の種類及び概要を記載した書類 3 消費者団体訴訟等支援法人は、毎事業年度終了後三月以内に、前項第三号及び第四号に掲げる書類を内閣総理大臣に提出しなければならない。 (報告及び立入検査) 第百十一条 内閣総理大臣は、この章の規定の施行に必要な限度において、消費者団体訴訟等支援法人に対し、その業務若しくは経理の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、消費者団体訴訟等支援法人の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。 2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 3 第一項に規定する立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。 (適合命令及び改善命令) 第百十二条 内閣総理大臣は、消費者団体訴訟等支援法人が、第九十八条第一項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 2 内閣総理大臣は、前項に定めるもののほか、消費者団体訴訟等支援法人が第九十八条第四項第三号から第六号までのいずれかに該当するに至ったと認めるとき、消費者団体訴訟等支援法人又はその役員若しくは職員が支援業務の遂行に関しこの法律の規定に違反したと認めるとき、その他消費者団体訴訟等支援法人の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、人的体制の改善、違反の停止、業務規程の変更その他の業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (支援認定の取消し等) 第百十三条 内閣総理大臣は、消費者団体訴訟等支援法人について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、支援認定を取り消すことができる。 一 偽りその他不正の手段により支援認定又は第百三条第三項若しくは第百四条第三項の認可を受けたとき。 二 特定非営利活動促進法第四十三条第一項又は第二項の規定により設立の認証を取り消されたとき。 三 第九十八条第一項各号に掲げる要件のいずれかに該当しなくなったとき。 四 第九十八条第四項各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。 五 支援業務の実施に関し、対象消費者等の利益に著しく反する行為をしたと認められるとき。 六 前各号に掲げるもののほか、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき。 2 内閣総理大臣は、前項各号に掲げる事由により支援認定を取り消したときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその取消しをした日を公示するとともに、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 第五章 雑則 (官公庁等への協力依頼) 第百十四条 内閣総理大臣は、この法律の実施のため必要があると認めるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。 (権限の委任) 第百十五条 内閣総理大臣は、前二章及び前条の規定による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。 第六章 罰則 第百十六条 特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員が、特定適格消費者団体の被害回復裁判手続に係る相手方から、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、当該特定適格消費者団体における次に掲げる行為の報酬として、金銭その他の財産上の利益を受け、又は第三者(当該特定適格消費者団体を含む。)に受けさせたときは、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。 一 共通義務確認の訴えの提起、簡易確定手続開始の申立て、債権届出、簡易確定手続若しくは異議後の訴訟に関する民事執行の申立て又は第六十一条第一項の申立てをしないこと又はしなかったこと。 二 第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権に係る債権に係る裁判外の和解をすること又はしたこと。 三 被害回復裁判手続を終了させること又は終了させたこと。 2 前項の利益を供与した者も、同項と同様とする。 3 第一項の場合において、犯人又は情を知った第三者が受けた財産上の利益は、没収する。 その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。 4 第一項の罪は、日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。 5 第二項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。 第百十七条 偽りその他不正の手段により特定認定、第七十五条第二項の有効期間の更新、第七十七条第三項、第七十八条第三項、第百三条第三項若しくは第百四条第三項の認可又は支援認定を受けたときは、当該違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。 2 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。 一 第八十六条の規定に違反して、被害回復関係業務に関して知り得た秘密を漏らした者 二 第百七条の規定に違反して、支援業務に関して知り得た秘密を漏らした者 第百十八条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。 一 第七十二条第一項(第七十五条第七項、第七十七条第六項及び第七十八条第六項において準用する場合を含む。)若しくは第九十九条第一項(第百三条第六項及び第百四条第六項において準用する場合を含む。)の申請書又は第七十二条第二項各号(第七十五条第七項、第七十七条第六項及び第七十八条第六項において準用する場合を含む。)若しくは第九十九条第二項各号(第百三条第六項及び第百四条第六項において準用する場合を含む。)に掲げる書類に虚偽の記載をして提出したとき。 二 第七十四条第三項の規定に違反して、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある文字をその名称中に用い、又はその業務に関し、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある表示をしたとき。 三 第百一条第三項の規定に違反して、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある文字をその名称中に用い、又はその業務に関し、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある表示をしたとき。 四 第百九条の規定に違反して、帳簿書類の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の帳簿書類の作成をしたとき。 五 第百十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。 第百十九条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第百十六条、第百十七条第一項又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。 2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。 第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の過料に処する。 一 第十五条の規定に違反して、正当な理由がないのに簡易確定手続開始の申立てを怠った者 二 第三十六条第一項の規定に違反して、やむを得ない理由がないのに簡易確定手続授権契約の締結を拒んだ者 三 第三十六条第二項の規定に違反して、やむを得ない理由がないのに簡易確定手続授権契約を解除した者 第百二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の過料に処する。 一 第二十六条第一項、第二項前段若しくは第三項の規定による公告をすることを怠り、又は不正の公告をした者 二 第二十六条第二項前段若しくは第二十七条第一項の規定による通知をすることを怠り、又は不正の通知をした者 第百二十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の過料に処する。 一 第五十七条第四項の規定に違反して、正当な理由がないのに訴訟授権契約の締結を拒んだ者 二 第五十七条第五項の規定に違反して、正当な理由がないのに訴訟授権契約を解除した者 三 第七十四条第二項若しくは第百一条第二項の規定による掲示をせず、若しくは虚偽の掲示をし、又は第七十四条第二項若しくは第百一条第二項の規定に違反して公衆の閲覧に供せず、若しくは虚偽の事項を公衆の閲覧に供した者 四 第七十六条、第七十七条第二項若しくは第七項、第七十八条第二項若しくは第七項、第七十九条第一項、第百二条、第百三条第二項若しくは第七項、第百四条第二項若しくは第七項又は第百五条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者 五 第八十四条第一項前段の規定による通知若しくは報告をせず、又は虚偽の通知若しくは報告をした者 六 第八十五条第二項の規定に違反して、消費者の被害に関する情報を利用した者 七 第八十七条の規定に違反して、同条の請求を拒んだ者 八 第九十三条第九項の規定による被害回復関係業務の引継ぎを怠った者 九 第九十六条第二項の規定に違反して、書類を同項に定める目的以外の目的のために利用し、又は提供した者 十 第九十七条第二項の規定に違反して、情報を同項に定める目的以外の目的のために利用し、又は提供した者 十一 第百十条第一項の規定に違反して、財務諸表等を作成せず、又はこれに記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をした者 十二 第百十条第二項の規定に違反して、書類を備え置かなかった者 十三 第百十条第三項の規定に違反して、書類を提出せず、又は書類に虚偽の記載若しくは記録をして提出した者
民事
Heisei
Act
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平成二十五年法律第九十六号
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消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害等(財産的被害及び精神上の苦痛を受けたことによる損害をいう。以下同じ。)について、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差により消費者が自らその回復を図ることには困難を伴う場合があることに鑑み、その財産的被害等を集団的に回復するため、特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を追行することができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 消費者 個人(事業を行う場合におけるものを除く。)をいう。 二 事業者 法人その他の社団又は財団及び事業を行う場合における個人をいう。 三 消費者契約 消費者と事業者との間で締結される契約(労働契約を除く。)をいう。 四 共通義務確認の訴え 消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害等について、事業者、事業者に代わって事業を監督する者(次条第一項第五号ロ及び第三項第三号ロにおいて「事業監督者」という。)又は事業者の被用者(以下「事業者等」と総称する。)が、これらの消費者に対し、これらの消費者に共通する事実上及び法律上の原因に基づき、個々の消費者の事情によりその金銭の支払請求に理由がない場合を除いて、金銭を支払う義務を負うべきことの確認を求める訴えをいう。 五 対象債権 共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に対する金銭の支払請求権であって、前号に規定する義務に係るものをいう。 六 対象消費者 対象債権を有する消費者をいう。 七 簡易確定手続 共通義務確認の訴えに係る訴訟(以下「共通義務確認訴訟」という。)の結果を前提として、この法律の規定による裁判所に対する第三十三条第二項に規定する債権届出に基づき、相手方が認否をし、第四十六条第一項に規定する認否を争う旨の申出がない場合はその認否により、同項に規定する認否を争う旨の申出がある場合は裁判所の決定により、対象債権及び第十一条第二項に規定する和解金債権(以下「対象債権等」という。)の存否及び内容を確定する裁判手続をいう。 八 異議後の訴訟 簡易確定手続における対象債権等の存否及び内容を確定する決定(以下「簡易確定決定」という。)に対して適法な異議の申立てがあった後の当該請求に係る訴訟をいう。 九 被害回復裁判手続 次に掲げる手続をいう。 イ 共通義務確認訴訟の手続、簡易確定手続及び異議後の訴訟の手続 ロ 特定適格消費者団体が対象債権等に関して取得した債務名義による民事執行の手続(民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第三十三条第一項、第三十四条第一項、第三十五条第一項、第三十八条第一項、第九十条第一項及び第百五十七条第一項の訴えに係る訴訟手続(第六十六条第一項第三号において「民事執行に係る訴訟手続」という。)を含む。)及び特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の実現を保全するための仮差押えの手続(民事保全法(平成元年法律第九十一号)第四十六条において準用する民事執行法第三十三条第一項、第三十四条第一項及び第三十八条第一項の訴えに係る訴訟手続(第六十六条第一項第一号において「仮差押えの執行に係る訴訟手続」という。)を含む。) 十 特定適格消費者団体 被害回復裁判手続を追行するのに必要な適格性を有する法人である適格消費者団体(消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体をいう。以下同じ。)として第七十一条の定めるところにより内閣総理大臣の認定を受けた者をいう。 第二章 被害回復裁判手続 第一節 共通義務確認訴訟に係る民事訴訟手続の特例 (共通義務確認の訴え) 第三条 特定適格消費者団体は、事業者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって消費者契約に関する第一号から第四号までに掲げる請求及び第五号イからハまでに掲げる者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって消費者契約に関する同号に掲げる請求(これらに附帯する利息、損害賠償、違約金又は費用の請求を含む。)に係るものについて、共通義務確認の訴えを提起することができる。 一 契約上の債務の履行の請求 二 不当利得に係る請求 三 契約上の債務の不履行による損害賠償の請求 四 不法行為に基づく損害賠償の請求(民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定によるものに限り、次号(イに係る部分に限る。)に掲げるものを除く。) 五 事業者の被用者が消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えたことを理由とする次のイからハまでに掲げる者に対する当該イからハまでに定める請求 イ 事業者(当該被用者の選任及びその事業の監督について故意又は重大な過失により相当の注意を怠ったものに限る。第三項第三号において同じ。) 民法第七百十五条第一項の規定による損害賠償の請求 ロ 事業監督者(当該被用者の選任及びその事業の監督について故意又は重大な過失により相当の注意を怠ったものに限る。第三項第三号ロにおいて同じ。) 民法第七百十五条第二項の規定による損害賠償の請求 ハ 被用者(第三者に損害を加えたことについて故意又は重大な過失があるものに限る。第三項第三号ハにおいて同じ。) 不法行為に基づく損害賠償の請求(民法の規定によるものに限る。) 2 次に掲げる損害については、前項第三号から第五号までに掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えを提起することができない。 一 契約上の債務の不履行又は不法行為により、物品、権利その他の消費者契約の目的となるもの(役務を除く。次号において同じ。)以外の財産が滅失し、又は損傷したことによる損害 二 消費者契約の目的となるものの提供があるとすればその処分又は使用により得るはずであった利益を喪失したことによる損害 三 契約上の債務の不履行又は不法行為により、消費者契約による製造、加工、修理、運搬又は保管に係る物品その他の消費者契約の目的となる役務の対象となったもの以外の財産が滅失し、又は損傷したことによる損害 四 消費者契約の目的となる役務の提供があるとすれば当該役務を利用すること又は当該役務の対象となったものを処分し、若しくは使用することにより得るはずであった利益を喪失したことによる損害 五 人の生命又は身体を害されたことによる損害 六 精神上の苦痛を受けたことによる損害(その額の算定の基礎となる主要な事実関係が相当多数の消費者について共通するものであり、かつ、次のイ又はロのいずれかに該当するものを除く。) イ 共通義務確認の訴えにおいて一の訴えにより、前項各号に掲げる請求(同項第三号から第五号までに掲げる請求にあっては、精神上の苦痛を受けたことによる損害に係る請求を含まないものに限る。以下このイにおいて「財産的請求」という。)と併せて請求されるものであって、財産的請求と共通する事実上の原因に基づくもの ロ 事業者の故意によって生じたもの 3 次の各号に掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えについては、当該各号に定める者を被告とする。 一 第一項第一号から第三号までに掲げる請求 消費者契約の相手方である事業者 二 第一項第四号に掲げる請求 消費者契約の相手方である事業者若しくはその債務の履行をする事業者又は消費者契約の締結について勧誘をし、当該勧誘をさせ、若しくは当該勧誘を助長する事業者 三 第一項第五号に掲げる請求 次に掲げる者 イ 消費者契約の相手方である事業者若しくはその債務の履行をする事業者又は消費者契約の締結について勧誘をし、当該勧誘をさせ、若しくは当該勧誘を助長する事業者であって、当該事業者の消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えた被用者を使用するもの ロ イに掲げる事業者の事業監督者 ハ イに掲げる事業者の被用者であって、当該事業者の消費者契約に関する業務の執行について第三者に損害を加えたもの 4 裁判所は、共通義務確認の訴えに係る請求を認容する判決をしたとしても、事案の性質、当該判決を前提とする簡易確定手続において予想される主張及び立証の内容その他の事情を考慮して、当該簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるときは、共通義務確認の訴えの全部又は一部を却下することができる。 (訴訟の目的の価額) 第四条 共通義務確認の訴えは、訴訟の目的の価額の算定については、財産権上の請求でない請求に係る訴えとみなす。 (訴状の記載事項) 第五条 共通義務確認の訴えの訴状には、対象債権及び対象消費者の範囲を記載して、請求の趣旨及び原因を特定しなければならない。 (管轄及び移送) 第六条 共通義務確認訴訟については、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第五条(第五号に係る部分を除く。)の規定は、適用しない。 2 次の各号に掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えは、当該各号に定める地を管轄する地方裁判所にも提起することができる。 一 第三条第一項第一号から第三号までに掲げる請求 義務履行地 二 第三条第一項第四号及び第五号に掲げる請求 不法行為があった地 3 対象消費者の数が五百人以上であると見込まれるときは、民事訴訟法第四条第一項若しくは第五条第五号又は前項の規定による管轄裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも、共通義務確認の訴えを提起することができる。 4 対象消費者の数が千人以上であると見込まれるときは、東京地方裁判所又は大阪地方裁判所にも、共通義務確認の訴えを提起することができる。 5 民事訴訟法第四条第一項、第五条第五号、第十一条第一項若しくは第十二条又は前三項の規定により二以上の地方裁判所が管轄権を有するときは、共通義務確認の訴えは、先に訴えの提起があった地方裁判所が管轄する。 ただし、その地方裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当該共通義務確認の訴えに係る訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。 6 裁判所は、共通義務確認訴訟がその管轄に属する場合においても、他の裁判所に事実上及び法律上同種の原因に基づく請求を目的とする共通義務確認訴訟が係属している場合において、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、当該共通義務確認訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所に移送することができる。 (弁論等の必要的併合) 第七条 請求の内容及び相手方が同一である共通義務確認訴訟が数個同時に係属するときは、その弁論及び裁判は、併合してしなければならない。 2 前項に規定する場合には、当事者は、その旨を裁判所に申し出なければならない。 (補助参加の禁止) 第八条 消費者は、民事訴訟法第四十二条の規定にかかわらず、共通義務確認訴訟の結果について利害関係を有する場合であっても、特定適格消費者団体を補助するため、その共通義務確認訴訟に参加することができない。 (保全開示命令等) 第九条 共通義務確認訴訟が係属する裁判所は、次に掲げる事由につき疎明があった場合には、当該共通義務確認訴訟の当事者である特定適格消費者団体の申立てにより、決定で、当該共通義務確認訴訟の当事者である事業者等に対して、第三十一条第一項の規定により事業者等が特定適格消費者団体に開示しなければならない同項に規定する文書について、同条第二項に規定する方法により開示することを命ずることができる。 一 第二条第四号に規定する義務が存すること。 二 当該文書について、あらかじめ開示がされなければその開示が困難となる事情があること。 2 前項の規定による命令(以下この条において「保全開示命令」という。)の申立ては、文書の表示を明らかにしてしなければならない。 3 裁判所は、保全開示命令の申立てについて決定をする場合には、事業者等を審尋しなければならない。 4 保全開示命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 保全開示命令は、執行力を有しない。 6 事業者等が正当な理由なく保全開示命令に従わないときは、裁判所は、決定で、三十万円以下の過料に処する。 7 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 8 民事訴訟法第百八十九条の規定は、第六項の規定による過料の裁判について準用する。 (確定判決の効力が及ぶ者の範囲) 第十条 共通義務確認訴訟の確定判決は、民事訴訟法第百十五条第一項の規定にかかわらず、当該共通義務確認訴訟の当事者以外の特定適格消費者団体及び当該共通義務確認訴訟に係る対象消費者の範囲に属する第三十三条第二項第一号に規定する届出消費者に対してもその効力を有する。 (共通義務確認訴訟における和解) 第十一条 共通義務確認訴訟の当事者は、当該共通義務確認訴訟において、当該共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に当該共通義務確認訴訟の目的である第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解をするときは、当該義務に関し、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。 一 対象債権及び対象消費者の範囲 二 当該義務に係る事実上及び法律上の原因 2 共通義務確認訴訟の当事者は、当該共通義務確認訴訟において、当該共通義務確認訴訟に係る対象債権に係る紛争の解決に関し、当該紛争に係る消費者の当該共通義務確認の訴えの被告とされた事業者等に対する対象債権以外の金銭の支払請求権(以下「和解金債権」という。)が存することを認める旨の和解をするときは、当該和解金債権に関し、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。 一 当該和解の目的となる権利又は法律関係の範囲 二 和解金債権の額又はその算定方法 三 和解金債権を有する消費者(第二十六条第一項第十号において「和解対象消費者」という。)の範囲 3 共通義務確認訴訟における和解において、当該共通義務確認訴訟の当事者である特定適格消費者団体が当該共通義務確認訴訟の目的である第二条第四号に規定する義務について共通義務確認の訴えを提起しない旨の定めがされたときは、当該定めは、当該共通義務確認訴訟の当事者以外の特定適格消費者団体に対してもその効力を有する。 4 共通義務確認訴訟における和解については、民事訴訟法第九十一条第二項後段(同法第九十一条の二第四項において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。 (再審の訴え) 第十二条 共通義務確認の訴えが提起された場合において、原告及び被告が共謀して共通義務確認の訴えに係る対象消費者の権利を害する目的をもって判決をさせたときは、他の特定適格消費者団体は、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。 第二節 対象債権等の確定手続 第一款 簡易確定手続 第一目 通則 (簡易確定手続の当事者等) 第十三条 簡易確定手続は、共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した時又は請求の認諾等(請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解又は和解金債権が存することを認める旨の和解をいう。以下この条において同じ。)によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体(第九十三条第二項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた特定適格消費者団体。第十五条において同じ。)の申立てにより、当該判決が確定した時又は請求の認諾等によって当該共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった事業者等を相手方として、共通義務確認訴訟の第一審の終局判決をした地方裁判所(第一審において請求の認諾等によって共通義務確認訴訟が終了したときは、当該共通義務確認訴訟が係属していた地方裁判所)が行う。 (任意的口頭弁論) 第十四条 簡易確定手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。 2 前項の規定により口頭弁論をしない場合には、裁判所は、当事者を審尋することができる。 第二目 簡易確定手続の開始 (簡易確定手続開始の申立義務) 第十五条 共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した時又は請求の認諾によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 2 第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、当該義務に係る対象債権について、簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 ただし、当該対象債権のうち、当該和解においてその額又は算定方法のいずれかが定められている部分(当該和解において簡易確定手続開始の申立てをしなければならない旨が定められている部分を除く。)については、この限りでない。 3 和解金債権が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した場合において、当該和解において当該和解金債権の全部又は一部について簡易確定手続開始の申立てをしなければならない旨が定められているときは、当該共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、当該定めに係る和解金債権について簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。 (簡易確定手続開始の申立期間) 第十六条 前条の場合において、簡易確定手続開始の申立ては、共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した日又は請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解若しくは和解金債権が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した日(第九十三条第二項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた日)から四月以内にしなければならない。 2 裁判所は、必要があると認めるときは、前条の規定により簡易確定手続開始の申立てをしなければならない特定適格消費者団体の申立てにより、二月以内の期間を定めて、前項の期間(この項の規定により当該期間が伸長された場合にあっては、当該伸長された期間。次項において同じ。)の伸長の決定をすることができる。 ただし、当該期間は、通じて八月を超えることができない。 3 裁判所は、前項の規定により第一項の期間の伸長の決定をしたときは、前条の規定により簡易確定手続開始の申立てをしなければならない特定適格消費者団体及び第十三条に規定する事業者等に対し、その旨を通知しなければならない。 (簡易確定手続開始の申立ての方式) 第十七条 簡易確定手続開始の申立ては、最高裁判所規則で定める事項を記載した書面でしなければならない。 (費用の予納) 第十八条 簡易確定手続開始の申立てをするときは、申立てをする特定適格消費者団体は、第二十三条第一項の規定による公告及び同条第二項の規定による通知に要する費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。 (簡易確定手続開始の申立ての取下げ) 第十九条 簡易確定手続開始の申立ては、裁判所の許可を得なければ、取り下げることができない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による申立ての取下げについて準用する。 (簡易確定手続開始決定) 第二十条 裁判所は、簡易確定手続開始の申立てがあった場合には、当該申立てが不適法であると認めるとき又は第十八条に規定する費用の予納がないときを除き、簡易確定手続開始の決定(以下「簡易確定手続開始決定」という。)をする。 2 簡易確定手続開始の申立てを却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (簡易確定手続開始決定の方式) 第二十一条 簡易確定手続開始決定は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項を記録した電子決定書(第五十三条において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十二条第一項の規定により作成される電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をいう。第四十七条において同じ。)を作成してしなければならない。 一 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められたとき 当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 二 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をしたとき 当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 (簡易確定手続開始決定と同時に定めるべき事項) 第二十二条 裁判所は、簡易確定手続開始決定と同時に、当該簡易確定手続開始決定に係る簡易確定手続開始の申立てをした特定適格消費者団体(第九十三条第一項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた特定適格消費者団体。以下「簡易確定手続申立団体」という。)が第三十三条第二項に規定する債権届出をすべき期間(以下「届出期間」という。)及びその債権届出に対して簡易確定手続の相手方(以下この款において単に「相手方」という。)が認否をすべき期間(以下「認否期間」という。)を定めなければならない。 (簡易確定手続開始の公告等) 第二十三条 裁判所は、簡易確定手続開始決定をしたときは、直ちに、官報に掲載して次に掲げる事項を公告しなければならない。 一 簡易確定手続開始決定の主文 二 第二十一条各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項 三 簡易確定手続申立団体の名称及び住所 四 届出期間及び認否期間 2 裁判所は、簡易確定手続申立団体及び相手方に対し、前項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。 (重複する簡易確定手続開始の申立ての禁止) 第二十四条 簡易確定手続開始決定がされた事件については、特定適格消費者団体は、更に簡易確定手続開始の申立てをすることができない。 (届出期間又は認否期間の伸長) 第二十五条 裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、届出期間又は認否期間の伸長の決定をすることができる。 2 裁判所は、前項の規定により届出期間又は認否期間の伸長の決定をしたときは、簡易確定手続申立団体及び相手方に対し、その旨を通知しなければならない。 3 裁判所は、第一項の規定により届出期間又は認否期間の伸長の決定をしたときは、直ちに、官報に掲載してその旨を公告しなければならない。 第三目 簡易確定手続申立団体による公告及び通知等 (簡易確定手続申立団体による公告等) 第二十六条 簡易確定手続開始決定がされたときは、簡易確定手続申立団体は、正当な理由がある場合を除き、届出期間の末日の一月前までに、次に掲げる事項を相当な方法により公告しなければならない。 一 被害回復裁判手続の概要 二 被害回復裁判手続の事案の内容 三 共通義務確認訴訟の確定判決の内容(請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解又は和解金債権が存することを認める旨の和解がされた場合には、その内容) 四 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められた場合には、当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 五 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をした場合には、当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 六 共通義務確認訴訟における和解において対象債権等の額又は算定方法が定められた場合には、当該額又は算定方法 七 簡易確定手続申立団体の名称及び住所 八 簡易確定手続申立団体の連絡先 九 簡易確定手続申立団体が支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項 十 対象消費者等(対象消費者及び和解対象消費者をいう。以下同じ。)が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする方法 十一 対象消費者等が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする期間 十二 その他内閣府令で定める事項 2 前項の規定による公告後、届出期間中に同項第七号に掲げる事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を、相当な方法により公告するとともに、裁判所及び相手方に通知しなければならない。 この場合において、当該通知を受けた裁判所は、直ちに、官報に掲載してその旨を公告しなければならない。 3 第一項の規定による公告後、届出期間中に同項第八号から第十二号までに掲げる事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を、相当な方法により公告しなければならない。 (簡易確定手続申立団体による通知) 第二十七条 簡易確定手続開始決定がされたときは、簡易確定手続申立団体は、正当な理由がある場合を除き、届出期間の末日の一月前までに、知れている対象消費者等(次条第一項の規定による通知(以下この目及び第九十八条第二項第二号において「相手方通知」という。)を受けたものを除く。)に対し、前条第一項各号に掲げる事項を書面又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下同じ。)であって内閣府令で定めるものにより通知しなければならない。 2 前項の規定にかかわらず、同項の規定による通知において次に掲げる事項を記載する場合には、前条第一項第一号、第三号、第六号、第九号、第十号及び第十二号に掲げる事項を記載することを要しない。 一 前条第一項の規定により公告を行っている旨 二 当該公告の方法 三 その他内閣府令で定める事項 (相手方による通知) 第二十八条 相手方は、簡易確定手続申立団体の求め(相手方通知のため通常必要な期間を考慮して内閣府令で定める日までにされたものに限る。)があるときは、届出期間の末日の二月以上前の日であって内閣府令で定める日までに、当該求めに係る知れている対象消費者等に対し、次に掲げる事項を書面又は電磁的方法であって内閣府令で定めるものにより通知しなければならない。 一 被害回復裁判手続の事案の内容 二 共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められた場合には、当該義務に係る対象債権及び対象消費者の範囲 三 共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をした場合には、当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号及び第三号に掲げる事項 四 簡易確定手続申立団体の名称、住所及び連絡先 五 対象消費者等が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする期間 六 簡易確定手続申立団体が第二十六条第一項の規定により公告を行っている旨 七 当該公告の方法 八 相手方の氏名又は名称、住所及び連絡先 九 その他内閣府令で定める事項 2 簡易確定手続申立団体は、相手方に対し、前項の求めをするときは、同項第四号に掲げる連絡先、同項第五号から第七号までに掲げる事項その他内閣府令で定める事項を通知しなければならない。 3 相手方は、相手方通知をしたときは、当該相手方通知をした時から一週間以内に、第一項の求めをした簡易確定手続申立団体に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。 一 相手方通知をした対象消費者等の氏名及び住所又は連絡先 二 相手方通知をした日 三 その他内閣府令で定める事項 (相手方による公表) 第二十九条 相手方は、簡易確定手続申立団体の求めがあるときは、遅滞なく、インターネットの利用、営業所その他の場所において公衆に見やすいように掲示する方法その他これらに類する方法により、届出期間中、前条第一項各号に掲げる事項(同項第四号、第五号、第八号又は第九号に掲げる事項に変更があったときは、変更後の当該各号に掲げる事項)を公表しなければならない。 2 前条第二項の規定は、簡易確定手続申立団体が相手方に対し前項の求めをするときについて準用する。 この場合において、同条第二項中「ならない」とあるのは、「ならない。この場合において、当該求めの後、届出期間中に前項第四号又は第五号に掲げる事項その他内閣府令で定める事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を相手方に通知しなければならない」と読み替えるものとする。 (対象消費者等に関する情報に係る回答義務) 第三十条 相手方は、簡易確定手続申立団体から次に掲げる事項について照会があるときは、当該照会があった時から一週間以内に、当該簡易確定手続申立団体に対し、書面又は電磁的方法であって内閣府令で定めるものにより回答しなければならない。 一 対象消費者等の数の見込み 二 知れている対象消費者等の数 三 相手方通知をする時期の見込み 四 その他内閣府令で定める事項 (情報開示義務) 第三十一条 相手方は、対象消費者等の氏名及び住所又は連絡先(内閣府令で定めるものに限る。次項において同じ。)が記載された文書(電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録を含む。)を所持する場合において、届出期間中に簡易確定手続申立団体の求めがあるときは、当該文書を当該簡易確定手続申立団体に開示することを拒むことができない。 ただし、相手方が開示すべき文書の範囲を特定するために不相当な費用又は時間を要するときは、この限りでない。 2 前項に規定する文書の開示は、その写しの交付(電磁的記録については、当該電磁的記録を出力した書面の交付又は当該電磁的記録に記録された情報の電磁的方法による提供であって内閣府令で定めるもの)により行う。 この場合において、相手方は、個人(対象消費者等でないことが明らかである者を除く。)の氏名及び住所又は連絡先が記載された部分以外の部分を除いて開示することができる。 3 相手方は、第一項に規定する文書の開示をしないときは、簡易確定手続申立団体に対し、速やかに、その旨及びその理由を書面又は電磁的方法であって内閣府令で定めるものにより通知しなければならない。 (情報開示命令等) 第三十二条 簡易確定手続申立団体は、届出期間中、裁判所に対し、情報開示命令(前条第一項の規定により相手方が簡易確定手続申立団体に開示しなければならない同項に規定する文書について、同条第二項に規定する方法による開示を相手方に命ずる旨の決定をいう。以下この条において同じ。)の申立てをすることができる。 2 情報開示命令の申立ては、文書の表示を明らかにしてしなければならない。 3 裁判所は、情報開示命令の申立てを理由があると認めるときは、情報開示命令を発する。 4 裁判所は、情報開示命令の申立てについて決定をする場合には、相手方を審尋しなければならない。 5 情報開示命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。 6 情報開示命令は、執行力を有しない。 7 相手方が正当な理由なく情報開示命令に従わないときは、裁判所は、決定で、三十万円以下の過料に処する。 8 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 9 民事訴訟法第百八十九条の規定は、第七項の規定による過料の裁判について準用する。 第四目 対象債権等の確定 (債権届出) 第三十三条 簡易確定手続開始決定に係る対象債権等については、簡易確定手続申立団体に限り、届け出ることができる。 2 前項の規定による届出(以下「債権届出」という。)は、届出期間内に、次に掲げる事項を記載した書面(以下この節において「届出書」という。)を簡易確定手続開始決定をした裁判所に提出してしなければならない。 一 対象債権等について債権届出をする簡易確定手続申立団体、相手方及び届出消費者(対象債権等として裁判所に債権届出があった債権(以下「届出債権」という。)の債権者である消費者をいう。以下同じ。)並びにこれらの法定代理人 二 請求の趣旨及び原因(請求の原因については、共通義務確認訴訟において認められた義務又は和解金債権に係る事実上及び法律上の原因を前提とするものに限る。) 三 前二号に掲げるもののほか、最高裁判所規則で定める事項 3 簡易確定手続申立団体は、債権届出の時に対象消費者が事業者等に対して対象債権に基づく訴えを提起するとすれば民事訴訟法第一編第二章第一節の規定により日本の裁判所が管轄権を有しないときは、第一項の規定にかかわらず、当該対象債権については、債権届出をすることができない。 4 簡易確定手続申立団体は、対象消費者等が提起したその有する対象債権等に基づく訴訟が裁判所に係属しているときは、第一項の規定にかかわらず、当該対象債権等については、債権届出をすることができない。 (簡易確定手続についての対象消費者等の授権) 第三十四条 簡易確定手続申立団体は、対象債権等について債権届出をし、及び当該対象債権等について簡易確定手続を追行するには、当該対象債権等に係る対象消費者等の授権がなければならない。 2 前項の対象消費者等は、簡易確定手続申立団体のうちから一の簡易確定手続申立団体を限り、同項の授権をすることができる。 3 第一項の授権をした対象消費者等は、当該授権を取り消すことができる。 4 前項の規定による第一項の授権の取消しは、当該授権をした対象消費者等又は当該授権を得た簡易確定手続申立団体から相手方に通知しなければ、その効力を生じない。 5 第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、当該授権は、その効力を失う。 6 簡易確定決定があるまでに簡易確定手続申立団体が届出債権について第一項の授権を欠いたとき(前項の規定により当該授権がその効力を失ったときを除く。)は、当該届出債権については、債権届出の取下げがあったものとみなす。 7 債権届出に係る簡易確定手続申立団体(以下「債権届出団体」という。)の第七十一条第一項に規定する特定認定が、簡易確定決定があるまでに、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、届出消費者は、第二項の規定にかかわらず、第九十三条第六項の規定による公示がされた後一月の不変期間内に、同条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体に第一項の授権をすることができる。 8 前項の届出消費者が同項の期間内に第一項の授権をしないときは、その届出債権については、債権届出の取下げがあったものとみなす。 9 簡易確定決定があった後に、届出消費者が第三項の規定により第一項の授権を取り消したときは、当該届出消費者は、更に簡易確定手続申立団体に同項の授権をすることができない。 (説明義務) 第三十五条 簡易確定手続申立団体は、前条第一項の授権に先立ち、当該授権をしようとする者に対し、内閣府令で定めるところにより、被害回復裁判手続の概要及び事案の内容その他内閣府令で定める事項について、これを記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供して説明をしなければならない。 (簡易確定手続授権契約の締結及び解除) 第三十六条 簡易確定手続申立団体は、やむを得ない理由があるときを除いては、簡易確定手続授権契約(対象消費者等が第三十四条第一項の授権をし、簡易確定手続申立団体が対象債権等について債権届出をすること及び簡易確定手続を追行することを約する契約をいう。以下同じ。)の締結を拒絶してはならない。 2 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、やむを得ない理由があるときを除いては、簡易確定手続授権契約を解除してはならない。 (公平誠実義務等) 第三十七条 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、当該授権をした対象消費者等のために、公平かつ誠実に債権届出、簡易確定手続の追行及び第二条第九号ロに規定する民事執行の手続の追行(当該授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。)並びにこれらに伴い取得した金銭その他の財産の管理をしなければならない。 2 第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、当該授権をした対象消費者等に対し、善良な管理者の注意をもって前項に規定する行為をしなければならない。 (届出書の送達) 第三十八条 裁判所は、第三十三条第二項の規定による届出書の提出を受けたときは、次条第一項又は第六十九条第一項の規定により債権届出を却下する場合を除き、遅滞なく、当該届出書を相手方に送達しなければならない。 (不適法な債権届出の却下) 第三十九条 裁判所は、債権届出が不適法であると認めるとき、又は届出書の送達に必要な費用の予納がないときは、決定で、当該債権届出を却下しなければならない。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 (簡易確定手続における和解) 第四十条 債権届出団体は、簡易確定手続において、届出債権について、和解をすることができる。 (債権届出があったときの時効の完成猶予及び更新) 第四十一条 債権届出があったときは、当該債権届出に係る対象債権の時効の完成猶予及び更新に関しては、簡易確定手続の前提となる共通義務確認の訴えを提起し、又は民事訴訟法第百四十三条第二項の書面を当該共通義務確認の訴えが係属していた裁判所に提出した時に、裁判上の請求があったものとみなす。 (債権届出の内容の変更の制限) 第四十二条 債権届出団体は、届出期間内に限り、当該債権届出の内容を変更することができる。 (債権届出の取下げ) 第四十三条 債権届出は、簡易確定決定に対し適法な異議の申立てがあるまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 ただし、簡易確定決定があった後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 2 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第四項並びに第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による債権届出の取下げについて準用する。 (電子届出消費者表の作成等) 第四十四条 裁判所書記官は、届出債権について、最高裁判所規則で定めるところにより、電子届出消費者表(届出債権の内容、次条第一項の認否の内容及び第四十六条第一項の認否を争う旨の申出の有無を明らかにするとともに、確定した届出債権に関する事項を明らかにするために裁判所書記官が作成する電磁的記録をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。 2 前項の電子届出消費者表には、各届出債権について、その内容その他最高裁判所規則で定める事項を記録しなければならない。 3 裁判所書記官は、第一項の規定により電子届出消費者表を作成したときは、最高裁判所規則で定めるところにより、これを裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。)に備えられたファイル(以下単に「ファイル」という。)に記録しなければならない。 4 電子届出消費者表(前項の規定によりファイルに記録されたものに限る。以下同じ。)の記録に誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでも更正する処分をすることができる。 5 前項の規定による更正の処分は、最高裁判所規則で定めるところにより、その旨をファイルに記録してしなければならない。 6 民事訴訟法第七十一条第四項、第五項及び第八項の規定は、第四項の規定による更正の処分又は同項の申立てを却下する処分及びこれらに対する異議の申立てについて準用する。 (届出債権の認否) 第四十五条 相手方は、届出期間内に債権届出があった届出債権の内容について、認否期間内に、認否をしなければならない。 2 認否期間内に前項の認否(以下「届出債権の認否」という。)がないときは、相手方において、届出期間内に債権届出があった届出債権の内容の全部を認めたものとみなす。 3 相手方が、認否期間内に届出債権の内容の全部を認めたときは、当該届出債権の内容は、確定する。 4 裁判所書記官は、最高裁判所規則で定めるところにより、届出債権の認否の内容を電子届出消費者表に記録しなければならない。 5 第三項の規定により確定した届出債権については、電子届出消費者表の記録は、確定判決と同一の効力を有する。 この場合において、債権届出団体は、確定した届出債権について、相手方に対し、電子届出消費者表の記録により強制執行をすることができる。 (認否を争う旨の申出) 第四十六条 債権届出団体は、前条第三項の規定により届出債権の内容が確定したときを除き、届出債権の認否に対し、認否期間の末日から一月の不変期間内に、裁判所に届出債権の認否を争う旨の申出(以下単に「認否を争う旨の申出」という。)をすることができる。 2 裁判所は、認否を争う旨の申出が不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。 3 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 裁判所書記官は、最高裁判所規則で定めるところにより、認否を争う旨の申出の有無を電子届出消費者表に記録しなければならない。 (簡易確定決定) 第四十七条 裁判所は、適法な認否を争う旨の申出があったときは、第三十九条第一項又は第六十九条第一項の規定により債権届出を却下する場合を除き、簡易確定決定をしなければならない。 2 裁判所は、簡易確定決定をする場合には、当事者双方を審尋しなければならない。 3 簡易確定決定は、主文及び理由の要旨を記録した電子決定書を作成してしなければならない。 4 届出債権の支払を命ずる簡易確定決定(第五十九条及び第八十九条第一項第二号において「届出債権支払命令」という。)については、裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言することができる。 5 第三項の電子決定書(第五十三条において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十三条第二項の規定によりファイルに記録されたものに限る。次項第一号において同じ。)は、当事者に送達しなければならない。 この場合においては、簡易確定決定の効力は、当事者に送達された時に生ずる。 6 前項の規定による送達は、次の各号に掲げる方法のいずれかによってする。 一 電子決定書に記録されている事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が当該電子決定書に記録されている事項と同一であることを証明したものの送達 二 第五十三条において準用する民事訴訟法第百九条の二の規定による送達 (証拠調べの制限) 第四十八条 簡易確定決定のための審理においては、証拠調べは、書証及び電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べに限りすることができる。 2 文書の提出の命令若しくは民事訴訟法第二百三十一条の三第一項において準用する同法第二百二十三条に規定する命令又は対照の用に供すべき筆跡若しくは印影を備える物件の提出の命令は、することができない。 3 前二項の規定は、裁判所が職権で調査すべき事項には、適用しない。 (異議の申立て等) 第四十九条 当事者は、簡易確定決定に対し、第四十七条第五項の規定による送達を受けた日から一月の不変期間内に、当該簡易確定決定をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 2 届出消費者は、簡易確定決定に対し、債権届出団体が第四十七条第五項の規定による送達を受けた日から一月の不変期間内に、当該簡易確定決定をした裁判所に異議の申立てをすることができる。 3 裁判所は、異議の申立てが不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。 4 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 5 適法な異議の申立てがあったときは、簡易確定決定は、仮執行の宣言を付したものを除き、その効力を失う。 6 適法な異議の申立てがないときは、簡易確定決定は、確定判決と同一の効力を有する。 7 民事訴訟法第二百六十一条第三項から第六項まで、第二百六十二条第一項、第二百六十三条、第三百五十八条並びに第三百六十条第一項及び第二項の規定は、第一項及び第二項の異議について準用する。 (認否を争う旨の申出がないときの届出債権の確定等) 第五十条 適法な認否を争う旨の申出がないときは、届出債権の内容は、届出債権の認否の内容により確定する。 2 前項の規定により確定した届出債権については、電子届出消費者表の記録は、確定判決と同一の効力を有する。 この場合において、債権届出団体は、確定した届出債権について、相手方に対し、電子届出消費者表の記録により強制執行をすることができる。 第五目 費用の負担 (個別費用を除く簡易確定手続の費用の負担) 第五十一条 簡易確定手続の費用(債権届出の手数料及び簡易確定手続における届出債権に係る申立ての手数料(次条第一項及び第四項において「個別費用」と総称する。)を除く。以下この条において同じ。)は、各自が負担する。 2 前項の規定にかかわらず、裁判所は、事情により、同項の規定によれば当事者がそれぞれ負担すべき費用の全部又は一部を、その負担すべき者以外の当事者に負担させることができる。 3 裁判所は、簡易確定手続に係る事件が終了した場合において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、簡易確定手続の費用の負担を命ずる決定をすることができる。 4 前項の申立ては、簡易確定手続に係る事件が終了した日から十年以内にしなければならない。 5 第三項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 6 民事訴訟法第六十九条から第七十二条まで及び第七十四条の規定は、簡易確定手続の費用の負担について準用する。 (個別費用の負担) 第五十二条 裁判所は、届出債権について簡易確定手続に係る事件が終了した場合(第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合には、異議後の訴訟が終了した場合)において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当該事件に関する個別費用の負担を命ずる決定をすることができる。 2 前項の申立ては、簡易確定手続に係る事件が終了した日(第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合には、異議後の訴訟が終了した日)から十年以内にしなければならない。 3 第一項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 4 民事訴訟法第一編第四章第一節(第六十五条、第六十六条、第六十七条第二項及び第七十三条を除く。)の規定は、個別費用の負担について準用する。 第六目 補則 (民事訴訟法の準用) 第五十三条 特別の定めがある場合を除き、簡易確定手続については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第二条、第十四条、第十六条、第二十一条、第二十二条、第一編第二章第三節、第三章(第三十条、第四十条から第四十九条まで、第五十二条及び第五十三条を除く。)及び第五章(第八十七条、第九十一条第一項及び第二項、第九十一条の二第一項、第九十二条第六項から第八項まで、第二節、第百十六条並びに第百十八条を除く。)及び第七章(第百三十二条の十二第一項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)及び第百三十二条の十三(第二号から第四号までに係る部分に限る。)を除く。)、第二編第一章(第百三十四条、第百三十四条の二、第百三十七条第二項及び第三項、第百三十七条の二第六項から第九項まで、第百三十八条第一項、第百三十九条、第百四十条並びに第百四十三条から第百四十六条までを除く。)、第三章(第百五十六条の二、第百五十七条の二、第百五十八条、第百五十九条第三項、第百六十一条第三項及び第三節を除く。)、第四章(第七節を除く。)、第五章(第二百四十五条、第二百四十九条から第二百五十一条まで、第二百五十二条第二項、第二百五十三条第一項、第二百五十四条、第二百五十五条、第二百五十八条第二項から第四項まで並びに第二百五十九条第一項及び第二項を除く。)及び第六章(第二百六十一条から第二百六十三条まで及び第二百六十六条を除く。)、第三編第三章、第四編並びに第九編(第四百三条第一項(第二号及び第四号から第六号までに係る部分に限る。)を除く。)の規定を準用する。 (簡易確定手続に係る事件の記録の閲覧) 第五十四条 簡易確定手続の当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、非電磁的事件記録(簡易確定手続に係る事件の記録中次項に規定する電磁的事件記録を除いた部分をいう。)の閲覧を請求することができる。 2 簡易確定手続の当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録(簡易確定手続に係る事件の記録中この法律その他の法令の規定によりファイルに記録された事項に係る部分をいう。)に記録された事項の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができる。 (送達の特例) 第五十五条 第五十三条において準用する民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出がない場合には、書類の送達は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場所においてする。 一 共通義務確認訴訟において民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出があった場合 当該届出に係る場所 二 共通義務確認訴訟において民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出がなかった場合 当該共通義務確認訴訟における同条第三項に規定する場所 第二款 異議後の訴訟に係る民事訴訟手続の特例 (訴え提起の擬制等) 第五十六条 簡易確定決定に対し適法な異議の申立てがあったときは、債権届出に係る請求については、当該債権届出の時に、当該債権届出に係る債権届出団体(当該債権届出に係る届出消費者が当該異議の申立てをしたときは、その届出消費者)を原告として、当該簡易確定決定をした地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。 この場合においては、届出書を訴状と、第三十八条の規定による送達を訴状の送達とみなす。 2 前項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件は、同項の地方裁判所の管轄に専属する。 3 前項の事件が係属する地方裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、同項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、その事件に係る訴訟を民事訴訟法第四条第一項又は第五条第一号、第五号若しくは第九号の規定により管轄権を有する地方裁判所に移送することができる。 4 和解金債権についての債権届出に係る請求について第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件には、民事訴訟法第七編の規定は、適用しない。 (異議後の訴訟についての届出消費者の授権) 第五十七条 債権届出団体は、異議後の訴訟を追行するには、届出消費者の授権がなければならない。 2 届出消費者は、その届出債権に係る債権届出団体に限り、前項の授権をすることができる。 3 届出消費者が第八項において準用する第三十四条第三項の規定により第一項の授権を取り消し、又は自ら異議後の訴訟を追行したときは、当該届出消費者は、更に債権届出団体に同項の授権をすることができない。 4 債権届出団体は、正当な理由があるときを除いては、訴訟授権契約(届出消費者が第一項の授権をし、債権届出団体が異議後の訴訟を追行することを約する契約をいう。以下同じ。)の締結を拒絶してはならない。 5 第一項の授権を得た債権届出団体は、正当な理由があるときを除いては、訴訟授権契約を解除してはならない。 6 第一項の授権を得た債権届出団体は、当該授権をした届出消費者のために、公平かつ誠実に異議後の訴訟の追行及び第二条第九号ロに規定する民事執行の手続の追行(当該授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。)並びにこれらに伴い取得した金銭その他の財産の管理をしなければならない。 7 第一項の授権を得た債権届出団体は、当該授権をした届出消費者に対し、善良な管理者の注意をもって前項に規定する行為をしなければならない。 8 第三十四条第三項から第五項まで及び第三十五条の規定は、第一項の授権について準用する。 9 民事訴訟法第五十八条第二項並びに第百二十四条第一項(第六号に係る部分に限る。)及び第二項の規定は、異議後の訴訟において債権届出団体が第一項の授権を欠くときについて準用する。 (訴えの変更の制限等) 第五十八条 異議後の訴訟においては、原告は、訴えの変更(届出消費者又は請求額の変更を内容とするものを除く。)をすることができない。 2 異議後の訴訟においては、反訴を提起することができない。 (異議後の判決) 第五十九条 仮執行の宣言を付した届出債権支払命令に係る請求について第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合において、当該訴えについてすべき判決が届出債権支払命令と符合するときは、その判決において、届出債権支払命令を認可しなければならない。 ただし、届出債権支払命令の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。 2 前項の規定により届出債権支払命令を認可する場合を除き、仮執行の宣言を付した届出債権支払命令に係る請求について第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合における当該訴えについてすべき判決においては、届出債権支払命令を取り消さなければならない。 (訴えの取下げの制限) 第六十条 異議後の訴訟においては、訴えの取下げは、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。 第三節 特定適格消費者団体のする仮差押え (特定適格消費者団体のする仮差押え) 第六十一条 特定適格消費者団体は、当該特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の実現を保全するため、民事保全法の規定により、仮差押命令の申立てをすることができる。 2 特定適格消費者団体は、保全すべき権利に係る金銭の支払義務について共通義務確認の訴えを提起することができる場合に限り、前項の申立てをすることができる。 3 第一項の申立てにおいては、保全すべき権利について、対象債権及び対象消費者の範囲並びに当該特定適格消費者団体が取得する可能性のある債務名義に係る対象債権の総額を明らかにすれば足りる。 4 特定適格消費者団体は、対象債権について、第一項の規定によるもののほか、保全命令の申立てをすることができない。 (管轄) 第六十二条 前条第一項の申立てに関する民事保全法第十一条の規定の適用については、共通義務確認の訴えを本案の訴えとみなす。 2 民事保全法第十二条第一項及び第三項の規定の適用については、共通義務確認訴訟の管轄裁判所を本案の管轄裁判所とみなす。 (保全取消しに関する本案の特例) 第六十三条 第六十一条第一項の申立てに係る仮差押命令(以下単に「仮差押命令」という。)に関する民事保全法第三十七条第一項、第三項及び第四項の規定の適用については、当該申立てに係る仮差押えの手続の当事者である特定適格消費者団体がした共通義務確認の訴えの提起を本案の訴えの提起とみなす。 2 前項の共通義務確認の訴えに係る請求を認容する判決が確定したとき又は請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解若しくは和解金債権が存することを認める旨の和解によって同項の共通義務確認の訴えに係る訴訟が終了したときは、同項の特定適格消費者団体が簡易確定手続開始の申立てをすることができる期間及び当該特定適格消費者団体を当事者とする簡易確定手続又は異議後の訴訟が係属している間は、民事保全法第三十七条第一項及び第三項の規定の適用については、本案の訴えが係属しているものとみなす。 3 民事保全法第三十八条及び第四十条の規定の適用については、第六十一条第一項の申立てに係る仮差押えの手続の当事者である特定適格消費者団体が提起した共通義務確認訴訟に係る第一審裁判所(当該共通義務確認訴訟が控訴審に係属するときは、控訴裁判所)を本案の裁判所とみなす。 (仮差押えをした特定適格消費者団体の義務) 第六十四条 特定適格消費者団体は、仮差押命令に係る仮差押えの執行がされている財産について強制執行の申立てをし、又は当該財産について強制執行若しくは担保権の実行の手続がされている場合において配当要求をするときは、当該特定適格消費者団体が取得した債務名義及び取得することとなる債務名義に係る届出債権を平等に取り扱わなければならない。 第四節 補則 (訴訟代理権の不消滅) 第六十五条 訴訟代理権は、被害回復裁判手続の当事者である特定適格消費者団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたことによっては、消滅しない。 (手続の中断及び受継) 第六十六条 次の各号に掲げる手続の当事者である特定適格消費者団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、その手続は、中断する。 この場合において、それぞれ当該各号に定める者は、その手続を受け継がなければならない。 一 共通義務確認訴訟の手続、簡易確定手続(次号に掲げる簡易確定手続を除く。)又は仮差押命令に係る仮差押えの手続(仮差押えの執行に係る訴訟手続を含む。) 第九十三条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体 二 簡易確定手続(簡易確定決定があった後の手続に限る。)又は異議後の訴訟の手続 第九十三条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体(第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権を得た場合に限る。)又は届出消費者 三 特定適格消費者団体が対象債権等に関して取得した債務名義に係る民事執行に係る訴訟手続 第九十三条第三項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体 2 前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない。 3 第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定は、共通義務確認訴訟又は簡易確定手続(特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合を除く。)において、他に当事者である特定適格消費者団体がある場合には、適用しない。 (関連する請求に係る訴訟手続の中止) 第六十七条 共通義務確認訴訟が係属する場合において、当該共通義務確認訴訟の当事者である事業者等と対象消費者との間に他の訴訟が係属し、かつ、当該他の訴訟が当該共通義務確認訴訟の目的である請求又は防御の方法と関連する請求に係るものであるときは、当該他の訴訟の受訴裁判所は、当事者の意見を聴いて、決定で、その訴訟手続の中止を命ずることができる。 2 前項の受訴裁判所は、同項の決定を取り消すことができる。 (対象消費者による訴えの提起等があったときの時効の完成猶予) 第六十八条 次の表の上欄に掲げる場合において、同表の中欄に掲げる日から六月以内に、同表の下欄に掲げる対象債権について民法第百四十七条第一項各号に掲げる事由があるときは、当該対象債権の時効の完成猶予に関しては、共通義務確認の訴えを提起し、又は民事訴訟法第百四十三条第二項の書面を当該共通義務確認の訴えが係属していた裁判所に提出した時に、当該事由があったものとみなす。 一 共通義務確認の訴えの取下げの効力が生じた場合 当該取下げの効力が生じた日 当該取り下げられた共通義務確認の訴えに係る対象債権 二 共通義務確認の訴えを却下する裁判が確定した場合 当該裁判が確定した日 当該却下された共通義務確認の訴えに係る対象債権 三 第十五条第一項に規定する特定適格消費者団体が第十六条第一項の期間(同条第二項の規定により当該期間が伸長された場合にあっては、当該伸長された期間。次号において同じ。)内に簡易確定手続開始の申立てをしなかった場合 当該期間の満了の日 共通義務確認訴訟において認められた義務に係る対象債権 四 第十五条第二項に規定する特定適格消費者団体が第十六条第一項の期間内に簡易確定手続開始の申立てをしなかった場合 当該期間の満了の日 当該和解において認められた義務に係る対象債権(第十五条第二項ただし書に規定する部分を除く。) 五 簡易確定手続開始の申立ての取下げ(届出期間満了後にされたものを除く。)の効力が生じた場合 当該取下げの効力が生じた日 当該取り下げられた申立てに係る対象債権 六 第十三条に規定する簡易確定手続開始の申立てを却下する裁判(第十六条第一項又は第二十四条の規定に違反することを理由とするものを除く。)が確定した場合 当該裁判が確定した日 当該却下された申立てに係る対象債権 (共通義務確認訴訟の判決が再審により取り消された場合の取扱い) 第六十九条 簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が再審により取り消された場合には、簡易確定手続が係属する裁判所は、決定で、債権届出(当該簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が取り消されたことによってその前提を欠くこととなる部分に限る。)を却下しなければならない。 2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 3 第一項の場合には、第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件が係属する裁判所は、判決で、当該訴え(当該簡易確定手続開始決定の前提となった共通義務確認訴訟の判決が取り消されたことによってその前提を欠くこととなる部分に限る。)を却下しなければならない。 (最高裁判所規則) 第七十条 この章に定めるもののほか、被害回復裁判手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第三章 特定適格消費者団体 第一節 特定適格消費者団体の認定等 (特定適格消費者団体の認定) 第七十一条 適格消費者団体は、内閣総理大臣の認定(以下「特定認定」という。)を受けた場合に限り、被害回復関係業務を行うことができる。 2 前項に規定する「被害回復関係業務」とは、次に掲げる業務をいう。 一 被害回復裁判手続に関する業務(第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。) 二 前号に掲げる業務の遂行に必要な消費者の被害に関する情報の収集に係る業務 三 第一号に掲げる業務に付随する対象消費者等に対する情報の提供及び金銭その他の財産の管理に係る業務 3 特定認定を受けようとする適格消費者団体は、内閣総理大臣に特定認定の申請をしなければならない。 4 内閣総理大臣は、前項の申請をした適格消費者団体が次に掲げる要件の全てに適合しているときに限り、特定認定をすることができる。 一 差止請求関係業務(消費者契約法第十三条第一項に規定する差止請求関係業務をいう。以下同じ。)を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。 二 第二項に規定する被害回復関係業務(以下単に「被害回復関係業務」という。)の実施に係る組織、被害回復関係業務の実施の方法、被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、被害回復関係業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の被害回復関係業務を適正に遂行するための体制及び業務規程が適切に整備されていること。 三 その理事に関し、次に掲げる要件に適合するものであること。 イ 被害回復関係業務の執行を決定する機関として理事をもって構成する理事会が置かれており、かつ、定款で定めるその決定の方法が次に掲げる要件に適合していると認められること。 (1) 当該理事会の決議が理事の過半数又はこれを上回る割合以上の多数決により行われるものとされていること。 (2) 共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復関係業務の執行に係る重要な事項の決定が理事その他の者に委任されていないこと。 ロ 理事のうち一人以上が弁護士であること。 四 共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復裁判手続についての検討を行う部門において消費者契約法第十三条第三項第五号イ及びロに掲げる者(以下「専門委員」と総称する。)が共にその専門的な知識経験に基づいて必要な助言を行い又は意見を述べる体制が整備されていることその他被害回復関係業務を遂行するための人的体制に照らして、被害回復関係業務を適正に遂行することができる専門的な知識経験を有すると認められること。 五 被害回復関係業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。 六 被害回復関係業務に関して支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項を定めており、これが消費者の利益の擁護の見地から不当なものでないこと。 七 被害回復関係業務以外の業務を行うことによって被害回復関係業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。 5 前項第二号の業務規程には、被害回復関係業務の実施の方法、被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、被害回復関係業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の内閣府令で定める事項が定められていなければならない。 この場合において、業務規程に定める被害回復関係業務の実施の方法には、簡易確定手続授権契約及び訴訟授権契約の内容並びに請求の放棄、和解又は上訴の取下げをしようとする場合において第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権をした者(第八十二条第一項において単に「授権をした者」という。)の意思を確認するための措置、前項第四号の検討を行う部門における専門委員からの助言又は意見の聴取に関する措置及び役員、職員又は専門委員が被害回復裁判手続の相手方と特別の利害関係を有する場合の措置その他業務の公正な実施の確保に関する措置が含まれていなければならない。 6 次の各号のいずれかに該当する適格消費者団体は、特定認定を受けることができない。 一 この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しないもの 二 第九十二条第一項各号又は第二項各号に掲げる事由により特定認定を取り消され、その取消しの日から三年を経過しないもの 三 役員のうちに次のイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの イ この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者 ロ 特定適格消費者団体が第九十二条第一項各号又は第二項各号に掲げる事由により特定認定を取り消された場合において、その取消しの日前六月以内に当該特定適格消費者団体の役員であった者でその取消しの日から三年を経過しないもの (特定認定の申請) 第七十二条 前条第三項の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。 一 名称及び住所並びに代表者の氏名 二 被害回復関係業務を行おうとする事務所の所在地 三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項 2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 定款 二 差止請求関係業務を相当期間にわたり継続して適正に行っていることを証する書類 三 被害回復関係業務に関する業務計画書 四 被害回復関係業務を適正に遂行するための体制が整備されていることを証する書類 五 業務規程 六 役員、職員及び専門委員に関する次に掲げる書類 イ 氏名、役職及び職業を記載した書類 ロ 住所、略歴その他内閣府令で定める事項を記載した書類 七 最近の事業年度における財産目録、貸借対照表又は次のイ若しくはロに掲げる法人の区分に応じ、当該イ若しくはロに定める書類(第九十九条第二項第七号及び第百十条第一項において「財産目録等」という。)その他の経理的基礎を有することを証する書類 イ 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人(第九十八条第一項及び第二項において単に「特定非営利活動法人」という。) 同法第二十七条第三号に規定する活動計算書 ロ 一般社団法人又は一般財団法人 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第百二十三条第二項(同法第百九十九条において準用する場合を含む。)に規定する損益計算書(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第五条に規定する公益認定を受けている場合にあっては、内閣府令で定める書類) 八 被害回復関係業務に関して支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項を記載した書類 九 前条第六項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面 十 被害回復関係業務以外に行う業務の種類及び概要を記載した書類 十一 その他内閣府令で定める書類 (特定認定の申請に関する公告及び縦覧) 第七十三条 内閣総理大臣は、特定認定の申請があった場合には、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨並びに前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項を公告するとともに、同条第二項各号(第六号ロ、第九号及び第十一号を除く。)に掲げる書類を、公告の日から二週間、公衆の縦覧に供しなければならない。 (特定認定の公示等) 第七十四条 内閣総理大臣は、特定認定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該特定適格消費者団体の名称及び住所、被害回復関係業務を行う事務所の所在地並びに当該特定認定をした日を公示するとともに、当該特定適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。 2 特定適格消費者団体は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体である旨について、被害回復関係業務を行う事務所において見やすいように掲示するとともに、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。第百一条第二項において同じ。)により公衆の閲覧に供しなければならない。 3 特定適格消費者団体でない者は、その名称中に特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある文字を用い、又はその業務に関し、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。 (特定認定の有効期間等) 第七十五条 特定認定の有効期間は、当該特定認定の日における当該特定認定に係る消費者契約法第十三条第一項の認定の有効期間の残存期間と同一の期間とする。 2 特定認定の有効期間の満了後引き続き被害回復関係業務を行おうとする特定適格消費者団体は、その有効期間の更新を受けなければならない。 3 前項の有効期間の更新を受けようとする特定適格消費者団体は、当該有効期間の満了の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「更新申請期間」という。)に、内閣総理大臣に前項の有効期間の更新の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により更新申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 4 第二項の有効期間の更新がされた場合における特定認定の有効期間は、当該更新前の特定認定の有効期間の満了の日の翌日から起算して六年とする。 5 第三項の申請があった場合において、当該有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の特定認定は、当該有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なお効力を有する。 6 前項の場合において、第二項の有効期間の更新がされたときは、その特定認定の有効期間は、従前の特定認定の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。 7 第七十一条(第一項、第二項及び第六項第二号を除く。)、第七十二条、第七十三条及び前条第一項の規定は、第二項の有効期間の更新について準用する。 この場合において、第七十一条第四項第一号中「同じ。)」とあるのは「同じ。)、被害回復関係業務又は相当多数の消費者と事業者との間の消費者契約に関する紛争の解決のための業務」と、第七十二条第二項中「ならない」とあるのは「ならない。ただし、既に内閣総理大臣に添付して提出された書類と同一内容のものについては、その添付を省略することができる」と、同項第二号中「差止請求関係業務」とあるのは「差止請求関係業務、被害回復関係業務又は相当多数の消費者と事業者との間の消費者契約に関する紛争の解決のための業務」と読み替えるものとする。 (変更の届出) 第七十六条 特定適格消費者団体は、第七十二条第一項各号に掲げる事項又は同条第二項各号(第二号及び第十一号を除く。)に掲げる書類に記載した事項に変更があったときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 ただし、その変更が内閣府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。 (合併の届出及び認可等) 第七十七条 特定適格消費者団体である法人が他の特定適格消費者団体である法人と合併をしたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 2 前項の規定により合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人(適格消費者団体である法人に限る。次項において同じ。)と合併(特定適格消費者団体である法人が存続するものを除く。以下この条及び第八十条第一項第二号において同じ。)をした場合には、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その合併について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする特定適格消費者団体である法人及び特定適格消費者団体でない法人は、共同して、その合併がその効力を生ずる日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その合併がその効力を生ずる日までにその申請に対する処分がされないときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その処分がされるまでの間は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。 6 第七十一条(第一項及び第二項を除く。)、第七十二条、第七十三条及び第七十四条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 特定適格消費者団体である法人は、特定適格消費者団体でない法人と合併をする場合において、第四項の申請をしないときは、その合併がその効力を生ずる日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (事業の譲渡の届出及び認可等) 第七十八条 特定適格消費者団体である法人が他の特定適格消費者団体である法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をしたときは、その譲渡を受けた法人は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 2 前項の規定によりその譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人(適格消費者団体である法人に限る。次項において同じ。)に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合には、その譲渡を受けた法人は、その譲渡について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする特定適格消費者団体である法人及び特定適格消費者団体でない法人は、共同して、その譲渡の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その譲渡の日までにその申請に対する処分がされないときは、その譲渡を受けた法人は、その処分がされるまでの間は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。 6 第七十一条(第一項及び第二項を除く。)、第七十二条、第七十三条及び第七十四条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 特定適格消費者団体である法人は、特定適格消費者団体でない法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をする場合において、第四項の申請をしないときは、その譲渡の日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (業務廃止の届出) 第七十九条 特定適格消費者団体が被害回復関係業務を廃止したときは、法人の代表者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (特定認定の失効) 第八十条 特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、特定認定は、その効力を失う。 一 特定認定の有効期間が経過したとき(第七十五条第五項に規定する場合にあっては、更新拒否処分がされたとき)。 二 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人と合併をした場合において、その合併が第七十七条第三項の認可を経ずにその効力を生じたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その合併の不認可処分がされたとき)。 三 特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合において、その譲渡が第七十八条第三項の認可を経ずにされたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その譲渡の不認可処分がされたとき)。 四 特定適格消費者団体が被害回復関係業務を廃止したとき。 五 消費者契約法第十三条第一項の認定が失効し、又は取り消されたとき。 2 内閣総理大臣は、前項各号に掲げる事由が生じたことを知った場合において、特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対し、その特定認定が失効した旨を通知しなければならない。 第二節 被害回復関係業務等 (特定適格消費者団体等の責務) 第八十一条 特定適格消費者団体は、対象消費者等の利益のために、被害回復関係業務を適切に実施しなければならない。 2 特定適格消費者団体は、不当な目的でみだりに共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復関係業務を実施してはならない。 3 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務について他の特定適格消費者団体と相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 4 特定適格消費者団体、適格消費者団体その他の関係者は、特定適格消費者団体が行う被害回復関係業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 5 特定適格消費者団体、独立行政法人国民生活センターその他の関係者は、独立行政法人国民生活センターが行う独立行政法人国民生活センター法(平成十四年法律第百二十三号)第十条第八号に掲げる業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。 (報酬) 第八十二条 特定適格消費者団体は、授権をした者との簡易確定手続授権契約又は訴訟授権契約で定めるところにより、被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができる。 2 共通義務確認訴訟において和解を行った特定適格消費者団体は、当該和解に係る消費者との間で締結する契約(簡易確定手続授権契約及び訴訟授権契約を除く。)で定めるところにより、被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができる。 (弁護士に追行させる義務) 第八十三条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務を行う場合において、民事訴訟に関する手続(簡易確定手続を含む。)、仮差押命令に関する手続及び執行抗告(仮差押えの執行の手続に関する裁判に対する執行抗告を含む。)に係る手続については、弁護士に追行させなければならない。 (他の特定適格消費者団体への通知等) 第八十四条 特定適格消費者団体は、次に掲げる場合には、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を他の特定適格消費者団体に通知するとともに、その旨、その内容その他内閣府令で定める事項を内閣総理大臣に報告しなければならない。 この場合において、当該特定適格消費者団体が、当該通知及び報告に代えて、全ての特定適格消費者団体及び内閣総理大臣が電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置であって内閣府令で定めるものを講じたときは、当該通知及び報告をしたものとみなす。 一 共通義務確認の訴えの提起又は第六十一条第一項の申立てをしたとき。 二 共通義務確認訴訟の判決の言渡し又は第六十一条第一項の申立てについての決定の告知があったとき。 三 前号の判決に対する上訴の提起又は同号の決定に対する不服の申立てがあったとき。 四 第二号の判決又は同号の決定が確定したとき。 五 共通義務確認訴訟における和解が成立したとき。 六 前二号に掲げる場合のほか、共通義務確認訴訟又は仮差押命令に関する手続が終了したとき。 七 共通義務確認訴訟に関し、請求の放棄、和解、上訴の取下げその他の内閣府令で定める手続に係る行為であって、それにより確定判決及びこれと同一の効力を有するものが存することとなるものをしようとするとき。 八 第十六条第三項の規定による通知を受けたとき。 九 簡易確定手続開始の申立て又はその取下げをしたとき。 十 簡易確定手続開始決定があったとき。 十一 第二十六条第一項、第二項前段又は第三項の規定による公告をしたとき。 十二 第二十七条第一項の規定による通知をしたとき。 十三 その他被害回復関係業務に関し内閣府令で定める手続に係る行為がされたとき。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、全ての特定適格消費者団体及び内閣総理大臣が電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置その他の内閣府令で定める方法により、他の特定適格消費者団体に当該報告の日時及び概要その他内閣府令で定める事項を伝達するものとする。 (個人情報の取扱い) 第八十五条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に関し、消費者の個人情報(個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。第三項において同じ。)を保管し、又は利用するに当たっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内でこれを保管し、及び利用しなければならない。 ただし、当該消費者の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。 2 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に関し、消費者から収集した消費者の被害に関する情報を被害回復裁判手続に係る相手方その他の第三者が当該被害に係る消費者を識別することができる方法で利用するに当たっては、あらかじめ、当該消費者の同意を得なければならない。 3 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務において消費者の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。 (秘密保持義務) 第八十六条 特定適格消費者団体の役員、職員若しくは専門委員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、被害回復関係業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (氏名等の明示) 第八十七条 特定適格消費者団体の被害回復関係業務に従事する者は、その被害回復関係業務を行うに当たり、被害回復裁判手続に係る相手方の請求があったときは、当該特定適格消費者団体の名称、自己の氏名及び特定適格消費者団体における役職又は地位その他内閣府令で定める事項を、その相手方に明らかにしなければならない。 (情報の提供) 第八十八条 特定適格消費者団体は、消費者の財産的被害等の回復に資するため、対象消費者等に対し、共通義務確認の訴えを提起したこと、共通義務確認訴訟の確定判決の内容その他必要な情報を提供するよう努めなければならない。 (財産上の利益の受領の禁止等) 第八十九条 特定適格消費者団体は、次に掲げる場合を除き、その被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を受けてはならない。 一 届出債権の認否、簡易確定決定、異議後の訴訟における判決若しくは請求の認諾又は和解に基づく義務の履行として金銭その他の財産上の利益を受けるとき。 二 被害回復裁判手続における判決(確定判決と同一の効力を有するもの、仮執行の宣言を付した届出債権支払命令及び第六十一条第一項の申立てについての決定を含む。次号において同じ。)又は第五十一条第三項若しくは第五十二条第一項若しくは民事訴訟法第七十三条第一項の決定により訴訟費用(簡易確定手続の費用、和解の費用及び調停手続の費用を含む。)を負担することとされた相手方から当該訴訟費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。 三 被害回復裁判手続における判決に基づく民事執行の執行費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。 2 特定適格消費者団体は、対象消費者等又は第九十八条第二項に規定する消費者団体訴訟等支援法人に前項第一号に規定する義務の履行として金銭その他の財産上の利益を受けさせる場合を除き、その被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を第三者に受けさせてはならない。 3 特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員は、特定適格消費者団体の被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産上の利益を受け、又は第三者に受けさせてはならない。 4 前三項に規定する被害回復裁判手続に係る相手方からその被害回復裁判手続の追行に関して受け又は受けさせてはならない財産上の利益には、その相手方がその被害回復裁判手続の追行に関してした不法行為によって生じた損害の賠償として受け又は受けさせる財産上の利益は含まれない。 (区分経理) 第九十条 特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に係る経理を他の業務に係る経理と区分して整理しなければならない。 第三節 監督 (適合命令及び改善命令) 第九十一条 内閣総理大臣は、特定適格消費者団体が、第七十一条第四項第二号から第七号までに掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該特定適格消費者団体に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 2 内閣総理大臣は、前項に定めるもののほか、特定適格消費者団体が第七十一条第六項第三号に該当するに至ったと認めるとき、特定適格消費者団体又はその役員、職員若しくは専門委員が被害回復関係業務の遂行に関しこの法律の規定に違反したと認めるとき、その他特定適格消費者団体の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該特定適格消費者団体に対し、人的体制の改善、違反の停止、業務規程の変更その他の業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (特定認定の取消し等) 第九十二条 内閣総理大臣は、特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、特定認定を取り消すことができる。 一 偽りその他不正の手段により特定認定、第七十五条第二項の有効期間の更新又は第七十七条第三項若しくは第七十八条第三項の認可を受けたとき。 二 第七十一条第四項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったとき。 三 第七十一条第六項第一号又は第三号に該当するに至ったとき。 四 前三号に掲げるもののほか、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき(次項第二号に該当する場合を除く。)。 2 内閣総理大臣は、前項の規定による取消しのほか、特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、特定認定又は消費者契約法第十三条第一項の認定を取り消すことができる。 一 被害回復裁判手続において、特定適格消費者団体がその相手方と通謀して請求の放棄又は対象消費者等の利益を害する内容の和解をしたときその他対象消費者等の利益に著しく反する訴訟その他の手続の追行を行ったと認められるとき。 二 第八十九条第一項又は第二項の規定に違反したとき。 三 当該特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員が第八十九条第三項の規定に違反したとき。 3 特定適格消費者団体が、第八十四条第一項の規定に違反して同項の通知又は報告をしないで、共通義務確認の訴えに関し、同項第七号に規定する行為をしたときは、内閣総理大臣は、当該特定適格消費者団体について前項第一号に掲げる事由があるものとみなすことができる。 4 内閣総理大臣は、第一項又は第二項の規定による取消しをしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその取消しをした日を公示するとともに、特定適格消費者団体であった法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 この場合において、当該特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対しても、その取消しをした旨を通知しなければならない。 (手続を受け継ぐべき特定適格消費者団体の指定等) 第九十三条 被害回復裁判手続(第二条第九号ロに規定する民事執行の手続を除く。)の当事者である特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、当該被害回復裁判手続を受け継ぐべき特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 ただし、共通義務確認訴訟又は簡易確定手続(特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合を除く。)において、他に当事者である特定適格消費者団体があるときは、この限りでない。 2 第十三条に規定する特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、第十三条に規定する特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 ただし、同条に規定する特定適格消費者団体が他にあるときは、この限りでない。 3 対象債権等に係る債務名義を取得した特定適格消費者団体又はその民事執行法第二十三条第一項第三号に規定する承継人である特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、同法第二十三条第一項第三号に規定する承継人となるべき特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。 4 内閣総理大臣は、前三項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体(以下この項及び次項において「指定特定適格消費者団体」という。)について、特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは既に失効し、又は前条第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるときは、指定特定適格消費者団体に係る指定を取り消さなければならない。 5 第一項から第三項までの規定による指定は、指定特定適格消費者団体が受け継ぐことになった手続をその指定前に追行していた者に次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたことを理由として取り消すことができない。 一 特定認定の取消処分、特定認定の有効期間の更新拒否処分若しくは第七十七条第三項の合併若しくは第七十八条第三項の事業の全部の譲渡の不認可処分(以下この号において「特定認定取消処分等」という。)が取り消され、又は特定認定取消処分等の取消し若しくはその無効若しくは不存在の確認の判決が確定したとき。 二 消費者契約法第十三条第一項の認定の取消処分、同項の認定の有効期間の更新拒否処分若しくは同法第十九条第三項の合併若しくは同法第二十条第三項の事業の全部の譲渡の不認可処分(以下この号において「認定取消処分等」という。)が取り消され、又は認定取消処分等の取消し若しくはその無効若しくは不存在の確認の判決が確定したとき。 6 内閣総理大臣は、第一項から第三項までの規定による指定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその指定をした日を公示するとともに、その指定を受けた特定適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。 第四項の規定により当該指定を取り消したときも、同様とする。 7 前項前段の場合において、特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、内閣総理大臣は、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対しても、その指定をした旨を通知しなければならない。 8 次の各号に掲げる場合には、当該各号の指定を受けた特定適格消費者団体は、遅滞なく、知れている届出消費者に、各別にその旨を通知しなければならない。 一 第一項の規定による指定がされた場合(特定適格消費者団体であった法人が簡易確定手続(当該特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合に限る。)又は異議後の訴訟の手続の当事者であったときに限る。) 二 第三項の規定による指定がされた場合 9 第一項から第三項までの規定による指定がされたときは、特定適格消費者団体であった法人は、遅滞なく、その指定を受けた特定適格消費者団体に対し、その指定の対象となった事件について、対象消費者等のために保管する物及び被害回復関係業務に関する書類を移管し、その他被害回復関係業務をその指定を受けた特定適格消費者団体に引き継ぐために必要な一切の行為をしなければならない。 第四節 補則 (消費者契約法の特例) 第九十四条 特定適格消費者団体である適格消費者団体に対する消費者契約法の規定の適用については、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。 第二十九条第一項 その行う差止請求関係業務 その行う差止請求関係業務及び消費者裁判手続特例法第七十一条第二項に規定する被害回復関係業務(以下単に「被害回復関係業務」という。) 、差止請求関係業務 、差止請求関係業務及び被害回復関係業務 第三十一条第二項第七号 差止請求関係業務 差止請求関係業務及び被害回復関係業務 第三十二条第一項 この法律 この法律又は消費者裁判手続特例法 (判決等に関する情報の公表) 第九十五条 内閣総理大臣は、消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するため、特定適格消費者団体から第八十四条第一項(第一号及び第七号に係る部分を除く。)の規定による報告を受けたときは、インターネットの利用その他適切な方法により、速やかに、共通義務確認訴訟の確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)の概要、簡易確定手続開始決定の概要、第二十六条第一項、第二項前段及び第三項の規定による公告の概要、第二十七条第一項の規定による通知の概要、当該特定適格消費者団体の名称及び当該共通義務確認訴訟の相手方の氏名又は名称その他内閣府令で定める事項を公表するものとする。 2 前項に規定する事項のほか、内閣総理大臣は、被害回復関係業務に関する情報を広く国民に提供するため、インターネットの利用その他適切な方法により、特定適格消費者団体の名称及び住所並びに被害回復関係業務を行う事務所の所在地その他内閣府令で定める必要な情報を公表することができる。 3 内閣総理大臣は、独立行政法人国民生活センターに、前二項に規定する情報の公表に関する業務を行わせることができる。 (特定適格消費者団体への協力等) 第九十六条 内閣総理大臣は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体の求めに応じ、当該特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を適切に追行するために必要な限度において、当該特定適格消費者団体に対し、特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)又は預託等取引に関する法律(昭和六十一年法律第六十二号)に基づく処分に関して作成した書類で内閣府令で定めるものを提供することができる。 2 前項の規定により書類の提供を受けた特定適格消費者団体は、当該書類を当該被害回復裁判手続の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。 第九十七条 独立行政法人国民生活センター及び地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体の求めに応じ、当該特定適格消費者団体が被害回復関係業務を適切に遂行するために必要な限度において、当該特定適格消費者団体に対し、消費生活に関する消費者と事業者との間に生じた苦情に係る相談に関する情報で内閣府令で定めるものを提供することができる。 2 前項の規定により情報の提供を受けた特定適格消費者団体は、当該情報を当該被害回復関係業務の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。 第四章 消費者団体訴訟等支援法人 第一節 消費者団体訴訟等支援法人の認定等 (消費者団体訴訟等支援法人の認定) 第九十八条 内閣総理大臣は、特定非営利活動法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人であって、次に掲げる要件に該当すると認められるもの(適格消費者団体である法人を除く。)を、その申請により、次項に規定する業務(以下この章及び第百十七条第二項第二号において「支援業務」という。)を行う者として認定することができる。 一 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動を行うことを主たる目的とし、現にその活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。 二 消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するための啓発活動及び広報活動の実績が相当程度あること。 三 支援業務の実施に係る組織、支援業務の実施の方法、支援業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、支援業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の支援業務を適正に遂行するための体制及び業務規程が適切に整備されていること。 四 支援業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。 五 支援業務以外の業務を行うことによって支援業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。 2 前項の規定による認定(以下この章及び第百十七条第一項において「支援認定」という。)を受けた特定非営利活動法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人(以下「消費者団体訴訟等支援法人」という。)は、次に掲げる業務を行うものとする。 一 特定適格消費者団体の委託を受けて、対象消費者等に対する情報の提供、金銭の管理その他の特定適格消費者団体が行う被害回復関係業務に付随する事務であって内閣府令で定めるものを行うこと。 二 特定適格消費者団体とその被害回復裁判手続に係る相手方との合意により定めるところにより、相手方通知その他の当該相手方が行うべき被害回復裁判手続における事務であって内閣府令で定めるものを行うこと。 三 被害回復関係業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体に対する助言、被害回復関係業務に関する情報の公表その他の内閣府令で定める事務を行うこと。 四 前三号に掲げるもののほか、内閣総理大臣の委託を受けて、次に掲げる業務を行うこと。 イ 第九十五条第一項及び第二項の規定による公表 ロ この法律の実施のために必要な情報の収集その他の内閣府令で定める事務 3 第一項第三号の業務規程には、支援業務の実施の方法、支援業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法、支援業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法その他の内閣府令で定める事項が定められていなければならない。 4 次の各号のいずれかに該当する者は、支援認定を受けることができない。 一 この法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない法人 二 第百十三条第一項各号に掲げる事由により支援認定を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない法人 三 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(次号及び第六号ハにおいて「暴力団員等」という。)がその事業活動を支配する法人 四 暴力団員等をその事業活動に従事させ、又はその事業活動の補助者として使用するおそれのある法人 五 政治団体(政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第三条第一項に規定する政治団体をいう。) 六 役員のうちに次のイからハまでのいずれかに該当する者のある法人 イ 拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律、消費者契約法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定若しくはこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者 ロ 消費者団体訴訟等支援法人が第百十三条第一項各号に掲げる事由により支援認定を取り消された場合において、その取消しの日前六月以内に当該消費者団体訴訟等支援法人の役員であった者でその取消しの日から三年を経過しないもの ハ 暴力団員等 (支援認定の申請) 第九十九条 前条第一項の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。 一 名称及び住所並びに代表者の氏名 二 支援業務を行おうとする事務所の所在地 三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項 2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 定款 二 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていることを証する書類 三 消費者の財産的被害等の防止及び救済に資するための啓発活動及び広報活動に係る事業の実績が相当程度あることを証する書類 四 支援業務を適正に遂行するための体制が整備されていることを証する書類 五 業務規程 六 役職員名簿(役員及び職員の氏名、その役職その他内閣府令で定める事項を記載した名簿をいう。第百十条第二項第三号において同じ。) 七 最近の事業年度における財産目録等その他の経理的基礎を有することを証する書類 八 前条第四項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面 九 支援業務以外の業務を行う場合には、その業務の種類及び概要を記載した書類 十 その他内閣府令で定める書類 (支援認定の申請に関する公告及び縦覧等) 第百条 内閣総理大臣は、支援認定の申請があった場合には、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨並びに前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項を公告するとともに、同条第二項各号(第八号及び第十号を除く。)に掲げる書類を、公告の日から二週間、公衆の縦覧に供しなければならない。 2 内閣総理大臣は、支援認定の申請をした者について第九十八条第四項第三号、第四号又は第六号ハに該当する疑いがあると認めるときは、警察庁長官の意見を聴くものとする。 (支援認定の公示等) 第百一条 内閣総理大臣は、支援認定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該消費者団体訴訟等支援法人の名称及び住所、支援業務を行う事務所の所在地並びに当該支援認定をした日を公示するとともに、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 2 消費者団体訴訟等支援法人は、内閣府令で定めるところにより、消費者団体訴訟等支援法人である旨について、支援業務を行う事務所において見やすいように掲示するとともに、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人でない者は、その名称中に消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある文字を用い、又はその業務に関し、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。 (変更の届出) 第百二条 消費者団体訴訟等支援法人は、第九十九条第一項各号に掲げる事項又は同条第二項各号(第二号、第三号及び第十号を除く。)に掲げる書類に記載した事項に変更があったときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 ただし、その変更が内閣府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。 (合併の届出及び認可等) 第百三条 消費者団体訴訟等支援法人である法人が他の消費者団体訴訟等支援法人である法人と合併をしたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 2 前項の規定により合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併(消費者団体訴訟等支援法人である法人が存続するものを除く。以下この条及び第百六条第一号において同じ。)をした場合には、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その合併について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする消費者団体訴訟等支援法人である法人及び消費者団体訴訟等支援法人でない法人は、共同して、その合併がその効力を生ずる日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その合併がその効力を生ずる日までにその申請に対する処分がされないときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、その処分がされるまでの間は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継しているものとみなす。 6 第九十八条(第二項を除く。)、第九十九条、第百条及び第百一条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 消費者団体訴訟等支援法人である法人は、消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併をする場合において、第四項の申請をしないときは、その合併がその効力を生ずる日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (事業の譲渡の届出及び認可等) 第百四条 消費者団体訴訟等支援法人である法人が他の消費者団体訴訟等支援法人である法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をしたときは、その譲渡を受けた法人は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 2 前項の規定によりその譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 3 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をした場合には、その譲渡を受けた法人は、その譲渡について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継する。 4 前項の認可を受けようとする消費者団体訴訟等支援法人である法人及び消費者団体訴訟等支援法人でない法人は、共同して、その譲渡の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。 ただし、災害その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。 5 前項の申請があった場合において、その譲渡の日までにその申請に対する処分がされないときは、その譲渡を受けた法人は、その処分がされるまでの間は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による消費者団体訴訟等支援法人としての地位を承継しているものとみなす。 6 第九十八条(第二項を除く。)、第九十九条、第百条及び第百一条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。 7 消費者団体訴訟等支援法人である法人は、消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をする場合において、第四項の申請をしないときは、その譲渡の日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 8 内閣総理大臣は、第二項又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (解散の届出等) 第百五条 消費者団体訴訟等支援法人が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 一 破産手続開始の決定により解散した場合 破産管財人 二 合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合 清算人 三 支援業務を廃止した場合 法人の代表者 2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。 (支援認定の失効) 第百六条 消費者団体訴訟等支援法人について、次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、支援認定は、その効力を失う。 一 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人と合併をした場合において、その合併が第百三条第三項の認可を経ずにその効力を生じたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その合併の不認可処分がされたとき)。 二 消費者団体訴訟等支援法人である法人が消費者団体訴訟等支援法人でない法人に対し支援業務に係る事業の全部の譲渡をした場合において、その譲渡が第百四条第三項の認可を経ずにされたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その譲渡の不認可処分がされたとき)。 三 消費者団体訴訟等支援法人が前条第一項各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなったとき。 第二節 支援業務等 (秘密保持義務) 第百七条 消費者団体訴訟等支援法人の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、支援業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (業務の範囲及び区分経理) 第百八条 消費者団体訴訟等支援法人は、その行う支援業務に支障がない限り、定款の定めるところにより、支援業務以外の業務を行うことができる。 2 消費者団体訴訟等支援法人は、次に掲げる業務に係る経理をそれぞれ区分して整理しなければならない。 一 支援業務 二 適格消費者団体又は特定適格消費者団体を支援する活動に係る業務(前号に掲げる業務を除く。) 三 前二号に掲げる業務以外の業務 第三節 監督 (帳簿書類の作成及び保存) 第百九条 消費者団体訴訟等支援法人は、内閣府令で定めるところにより、その業務及び経理に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。 (財務諸表等の作成、備置き及び提出) 第百十条 消費者団体訴訟等支援法人は、毎事業年度終了後三月以内に、その事業年度の財産目録等及び事業報告書(これらの作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項第四号及び第百二十二条第十一号において「財務諸表等」という。)を作成しなければならない。 2 消費者団体訴訟等支援法人の事務所には、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる書類を備え置かなければならない。 一 定款 二 業務規程 三 役職員名簿 四 財務諸表等 五 経理に関する内閣府令で定める事項を記載した書類 六 支援業務以外の業務を行う場合には、その業務の種類及び概要を記載した書類 3 消費者団体訴訟等支援法人は、毎事業年度終了後三月以内に、前項第三号及び第四号に掲げる書類を内閣総理大臣に提出しなければならない。 (報告及び立入検査) 第百十一条 内閣総理大臣は、この章の規定の施行に必要な限度において、消費者団体訴訟等支援法人に対し、その業務若しくは経理の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、消費者団体訴訟等支援法人の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。 2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 3 第一項に規定する立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。 (適合命令及び改善命令) 第百十二条 内閣総理大臣は、消費者団体訴訟等支援法人が、第九十八条第一項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 2 内閣総理大臣は、前項に定めるもののほか、消費者団体訴訟等支援法人が第九十八条第四項第三号から第六号までのいずれかに該当するに至ったと認めるとき、消費者団体訴訟等支援法人又はその役員若しくは職員が支援業務の遂行に関しこの法律の規定に違反したと認めるとき、その他消費者団体訴訟等支援法人の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、人的体制の改善、違反の停止、業務規程の変更その他の業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (支援認定の取消し等) 第百十三条 内閣総理大臣は、消費者団体訴訟等支援法人について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、支援認定を取り消すことができる。 一 偽りその他不正の手段により支援認定又は第百三条第三項若しくは第百四条第三項の認可を受けたとき。 二 特定非営利活動促進法第四十三条第一項又は第二項の規定により設立の認証を取り消されたとき。 三 第九十八条第一項各号に掲げる要件のいずれかに該当しなくなったとき。 四 第九十八条第四項各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。 五 支援業務の実施に関し、対象消費者等の利益に著しく反する行為をしたと認められるとき。 六 前各号に掲げるもののほか、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき。 2 内閣総理大臣は、前項各号に掲げる事由により支援認定を取り消したときは、内閣府令で定めるところにより、その旨及びその取消しをした日を公示するとともに、当該消費者団体訴訟等支援法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。 第五章 雑則 (官公庁等への協力依頼) 第百十四条 内閣総理大臣は、この法律の実施のため必要があると認めるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。 (権限の委任) 第百十五条 内閣総理大臣は、前二章及び前条の規定による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。 第六章 罰則 第百十六条 特定適格消費者団体の役員、職員又は専門委員が、特定適格消費者団体の被害回復裁判手続に係る相手方から、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、当該特定適格消費者団体における次に掲げる行為の報酬として、金銭その他の財産上の利益を受け、又は第三者(当該特定適格消費者団体を含む。)に受けさせたときは、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。 一 共通義務確認の訴えの提起、簡易確定手続開始の申立て、債権届出、簡易確定手続若しくは異議後の訴訟に関する民事執行の申立て又は第六十一条第一項の申立てをしないこと又はしなかったこと。 二 第三十四条第一項又は第五十七条第一項の授権に係る債権に係る裁判外の和解をすること又はしたこと。 三 被害回復裁判手続を終了させること又は終了させたこと。 2 前項の利益を供与した者も、同項と同様とする。 3 第一項の場合において、犯人又は情を知った第三者が受けた財産上の利益は、没収する。 その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。 4 第一項の罪は、日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。 5 第二項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。 第百十七条 偽りその他不正の手段により特定認定、第七十五条第二項の有効期間の更新、第七十七条第三項、第七十八条第三項、第百三条第三項若しくは第百四条第三項の認可又は支援認定を受けたときは、当該違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。 2 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。 一 第八十六条の規定に違反して、被害回復関係業務に関して知り得た秘密を漏らした者 二 第百七条の規定に違反して、支援業務に関して知り得た秘密を漏らした者 第百十八条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。 一 第七十二条第一項(第七十五条第七項、第七十七条第六項及び第七十八条第六項において準用する場合を含む。)若しくは第九十九条第一項(第百三条第六項及び第百四条第六項において準用する場合を含む。)の申請書又は第七十二条第二項各号(第七十五条第七項、第七十七条第六項及び第七十八条第六項において準用する場合を含む。)若しくは第九十九条第二項各号(第百三条第六項及び第百四条第六項において準用する場合を含む。)に掲げる書類に虚偽の記載をして提出したとき。 二 第七十四条第三項の規定に違反して、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある文字をその名称中に用い、又はその業務に関し、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある表示をしたとき。 三 第百一条第三項の規定に違反して、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある文字をその名称中に用い、又はその業務に関し、消費者団体訴訟等支援法人であると誤認されるおそれのある表示をしたとき。 四 第百九条の規定に違反して、帳簿書類の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の帳簿書類の作成をしたとき。 五 第百十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。 第百十九条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第百十六条、第百十七条第一項又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。 2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。 第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の過料に処する。 一 第十五条の規定に違反して、正当な理由がないのに簡易確定手続開始の申立てを怠った者 二 第三十六条第一項の規定に違反して、やむを得ない理由がないのに簡易確定手続授権契約の締結を拒んだ者 三 第三十六条第二項の規定に違反して、やむを得ない理由がないのに簡易確定手続授権契約を解除した者 第百二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の過料に処する。 一 第二十六条第一項、第二項前段若しくは第三項の規定による公告をすることを怠り、又は不正の公告をした者 二 第二十六条第二項前段若しくは第二十七条第一項の規定による通知をすることを怠り、又は不正の通知をした者 第百二十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の過料に処する。 一 第五十七条第四項の規定に違反して、正当な理由がないのに訴訟授権契約の締結を拒んだ者 二 第五十七条第五項の規定に違反して、正当な理由がないのに訴訟授権契約を解除した者 三 第七十四条第二項若しくは第百一条第二項の規定による掲示をせず、若しくは虚偽の掲示をし、又は第七十四条第二項若しくは第百一条第二項の規定に違反して公衆の閲覧に供せず、若しくは虚偽の事項を公衆の閲覧に供した者 四 第七十六条、第七十七条第二項若しくは第七項、第七十八条第二項若しくは第七項、第七十九条第一項、第百二条、第百三条第二項若しくは第七項、第百四条第二項若しくは第七項又は第百五条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者 五 第八十四条第一項前段の規定による通知若しくは報告をせず、又は虚偽の通知若しくは報告をした者 六 第八十五条第二項の規定に違反して、消費者の被害に関する情報を利用した者 七 第八十七条の規定に違反して、同条の請求を拒んだ者 八 第九十三条第九項の規定による被害回復関係業務の引継ぎを怠った者 九 第九十六条第二項の規定に違反して、書類を同項に定める目的以外の目的のために利用し、又は提供した者 十 第九十七条第二項の規定に違反して、情報を同項に定める目的以外の目的のために利用し、又は提供した者 十一 第百十条第一項の規定に違反して、財務諸表等を作成せず、又はこれに記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をした者 十二 第百十条第二項の規定に違反して、書類を備え置かなかった者 十三 第百十条第三項の規定に違反して、書類を提出せず、又は書類に虚偽の記載若しくは記録をして提出した者
民事
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平成二十五年政令第二百三十一号
46
被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第二条の災害を定める政令 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第二条の災害として、東日本大震災(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。)を定める。
民事
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平成二十五年政令第三百六十七号
46
大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法第二条第一項の特定大規模災害及びこれに対し適用すべき措置等を指定する政令 次の表の上欄に掲げる災害を大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法(以下「法」という。)第二条第一項の特定大規模災害として指定し、当該特定大規模災害に対し適用すべき措置及びこれを適用する地区をそれぞれ同表の中欄及び下欄に掲げるとおり指定する。 特定大規模災害 適用すべき措置 適用する地区 東日本大震災 法第七条に規定する措置 福島県双葉郡大熊町 備考 上欄の東日本大震災とは、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。
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平成二十五年法務省令第二十号
46
大規模災害からの復興に関する法律及び東日本大震災復興特別区域法に基づく筆界特定の申請に係る筆界特定申請情報の特例等に関する省令 (大規模災害からの復興に関する法律に係る筆界特定申請情報の特例等) 第一条 筆界特定(不動産登記法第百二十三条第二号に規定する筆界特定をいう。以下同じ。)の申請人が大規模災害からの復興に関する法律第三十六条第一項の規定に基づいて筆界特定の申請をする者であるときは、不動産登記法第百三十一条第三項第五号の法務省令で定める事項は、不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)第二百七条第二項各号に掲げるもののほか、申請人が大規模災害からの復興に関する法律第三十六条第一項の規定に基づいて申請をする者である旨とする。 第二条 前条に規定する場合においては、不動産登記規則第二百九条第一項各号に掲げるもののほか、次に掲げる情報を法務局又は地方法務局に提供しなければならない。 一 申請人が復興整備事業(大規模災害からの復興に関する法律第三十六条第一項に規定する復興整備事業をいう。次号において同じ。)の実施主体であることを証する情報 二 対象土地(不動産登記法第百二十三条第三号に規定する対象土地をいう。以下同じ。)の全部又は一部が復興整備事業の実施区域として定められた土地の区域内に所在することを証する情報 三 対象土地の所有権登記名義人等(不動産登記法第百二十三条第五号に規定する所有権登記名義人等をいう。以下同じ。)の承諾を証する当該所有権登記名義人等が作成した情報(対象土地の所有権登記名義人等のうちにその所在が判明しない者がある場合にあっては、その者についてはその所在が判明しないことを証する申請人が作成した情報) 2 前項第三号に規定する情報を記載した書面には、その作成者が記名しなければならない。 (東日本大震災復興特別区域法に係る筆界特定申請情報の特例等) 第三条 前二条の規定は、東日本大震災復興特別区域法(平成二十三年法律第百二十二号)第七十三条第一項の規定により同項に規定する復興整備事業の実施主体が申請する筆界特定の手続について準用する。 この場合において、第一条及び第二条第一項第一号中「大規模災害からの復興に関する法律第三十六条第一項」とあるのは、「東日本大震災復興特別区域法第七十三条第一項」と読み替えるものとする。
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平成二十六年政令第十一号
46
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づく子の住所等及び社会的背景に関する情報の提供の求めに関する政令 (子及び子と同居している者に関する情報を有している者) 第一条 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(以下「法」という。)第五条第一項(法第二十条において準用する場合を含む。次条において同じ。)の政令で定める者は、次に掲げる者とする。 一 学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(大学を除く。)、同法第百二十四条に規定する専修学校又は同法第百三十四条第一項に規定する各種学校をいう。次号において同じ。)の設置者 二 学校及び大学以外の教育施設であって、我が国に居住する外国人を専ら対象とし、かつ、学校教育に類する教育を行うものの設置者 三 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第五十九条の二第一項に規定する施設の設置者 四 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第一条の五第一項に規定する病院又は同条第二項に規定する診療所の管理者 五 水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第三条第五項に規定する水道事業者 六 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第一項第三号に規定する小売電気事業者 七 電気事業法第二条第一項第九号に規定する一般送配電事業者 八 電気事業法第二条第一項第十三号に規定する特定送配電事業者 九 児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)第十七条第一項(同法附則第二条第四項において準用する場合を含む。)の表の下欄に掲げる者 十 電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第五号に規定する電気通信事業者 十一 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成十三年法律第三十一号)第三条第五項(同法第二十八条の二において準用する場合を含む。)に規定する民間の団体の代表者 (子の住所等に関する情報の提供を求める方法) 第二条 外務大臣は、法第五条第一項の規定により、同項に規定する情報の提供を求める場合には、その求める情報の内容をできる限り具体的に特定し、当該情報を有していると思料される同項に規定する国の行政機関等の長、地方公共団体の長その他の執行機関及び前条各号に掲げる者に対し、文書により、当該情報を記載した書面の提出を求めるものとする。 (子の社会的背景に関する情報を有している者) 第三条 法第十五条第一項(法第二十五条において準用する場合を含む。次条において同じ。)の政令で定める者は、次に掲げる者とする。 一 第一条第一号から第四号まで又は第十一号に掲げる者 二 児童福祉法第七条第一項に規定する児童福祉施設の長 三 警視総監又は道府県警察本部長 (子の社会的背景に関する情報の提供を求める方法) 第四条 外務大臣は、法第十五条第一項の規定により、同項に規定する情報の提供を求める場合には、その求める情報の内容をできる限り具体的に特定し、当該情報を有していると思料される同項に規定する国の行政機関等の長、地方公共団体の長その他の執行機関及び前条に掲げる者に対し、文書により、当該情報を記載した書面の提出を求めるものとする。
民事
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平成二十六年外務省令第一号
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国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づく外務大臣に対する援助申請に関する省令 (定義) 第一条 この省令において使用する用語は、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(以下「法」という。)において使用する用語の例による。 (返還援助申請書の様式) 第二条 法第四条第二項(法第十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定により外国返還援助(法第十一条第二項において準用する場合にあっては、日本国返還援助。)の申請を行おうとする者(次条において「申請者」という。)は、外務大臣が定めるところにより、日本語により記載した様式第一による申請書又は英語により記載した様式第二による申請書を外務大臣に提出しなければならない。 (返還援助申請書の添付書類) 第三条 法第四条第三項(法第十一条第二項において準用する場合を含む。)に規定する外務省令で定める書類は、次に掲げるもの(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)とする。 ただし、第二号から第七号まで及び第九号から第十一号までに掲げる書類については、外務大臣は、やむを得ない事由があると認められるときは、その書類の添付を省略させ、又はこれに代わる書類を添付させることができる。 一 申請書に記載されている申請者の氏名又は名称、住所若しくは居所又は事務所(外国返還援助申請(法第十一条第二項において準用する場合にあっては、日本国返還援助申請。)において返還を求められている子(以下この条において「申請に係る子」という。)の常居所地国(法第十一条第二項において準用する場合にあっては、日本国。以下この条において同じ。)におけるものに限る。以下この条において同じ。)の所在地及び生年月日(申請者が法人の場合は生年月日を除く。以下この号において同じ。)と同一の氏名又は名称、住所若しくは居所又は事務所の所在地及び生年月日が記載されている、官公庁、日本国政府の承認した外国政府若しくは権限ある国際機関(以下「官公庁等」という。)から発行され、又は発給された書類その他これに類するもので、申請の日において有効なものの写し 二 申請に係る子の旅券(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第五号に規定する旅券をいう。以下同じ。)又は当該子の氏名及び生年月日が記載されている、官公庁等から発行され、若しくは発給された書類その他これに類するものの写し 三 申請書に記載されている申請に係る子の常居所地国に当該子が常居所を有していたことを明らかにする書類の写し 四 申請に係る子の写真 五 申請に係る子の連れ去りをし、若しくは留置をしていると思料される者の旅券の写し又は当該者の氏名及び生年月日が記載されている、官公庁等から発行され、若しくは発給された書類その他これに類するものの写し 六 申請に係る子の連れ去りをし、又は留置をしていると思料される者の写真 七 申請者が申請に係る子についての監護の権利を有している根拠となる申請に係る子の常居所地国の法令の関係条文 八 申請者が申請に係る子についての監護の権利を有していることを証明する官公庁等若しくは法令に基づく権限を有する者から発行された書類又は関係者の合意を証する書面その他これに類するものの写し 九 申請者が有している申請に係る子についての監護の権利が当該子の連れ去り又は留置により侵害されていることを明らかにする書類その他これに類するものの写し 十 申請に係る子と同居していると思料される者の旅券又は当該者の氏名及び生年月日が記載されている、官公庁等から発行され、若しくは発給された書類その他これに類するものの写し 十一 申請に係る子と同居していると思料される者の写真 2 外務大臣は、必要と認めるときは、前項の規定により書面等の写しを提出した申請者に対し、その原本の提示を求めることができる。 (面会交流援助申請書の様式) 第四条 法第十六条第二項(法第二十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定により日本国面会交流援助(法第二十一条第二項において準用する場合にあっては、外国面会交流援助。)の申請を行おうとする者(次条において「申請者」という。)は、外務大臣が定めるところにより、日本語により記載した様式第三による申請書又は英語により記載した様式第四による申請書を外務大臣に提出しなければならない。 (面会交流援助申請書の添付書類) 第五条 法第十六条第三項(法第二十一条第二項において準用する場合を含む。)に規定する外務省令で定める書類は、次に掲げるもの(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)とする。 ただし、第二号から第七号まで及び第九号から第十一号までに掲げる書類については、外務大臣は、やむを得ない事由があると認められるときは、その書類の添付を省略させ、又はこれに代わる書類を添付させることができる。 一 申請書に記載されている申請者の氏名、住所又は居所及び生年月日と同一の氏名、住所又は居所及び生年月日が記載されている、官公庁等から発行され、又は発給された書類その他これに類するもので、申請の日において有効なものの写し 二 日本国面会交流援助申請(法第二十一条第二項において準用する場合にあっては、外国面会交流援助申請。)において面会その他の交流を求められている子(以下この条において「申請に係る子」という。)の旅券又は当該子の氏名及び生年月日が記載されている、官公庁等から発行され、若しくは発給された書類その他これに類するものの写し 三 申請書に記載されている申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域に申請に係る子が常居所を有していたことを明らかにする書類その他これに類するものの写し 四 申請に係る子の写真 五 申請に係る子との面会その他の交流を妨げていると思料される者の旅券の写し又は当該者の氏名及び生年月日が記載されている、官公庁等から発行され、若しくは発給された書類その他これに類するものの写し 六 申請に係る子との面会その他の交流を妨げていると思料される者の写真 七 申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができたことの根拠となる、申請者が当該子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に当該子が常居所を有していた国又は地域の法令の関係条文 八 申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができたことを証明する官公庁等若しくは法令に基づく権限を有する者から発行された書類又は関係者の合意を証する書面その他これに類するものの写し 九 申請者の申請に係る子との面会その他の交流が妨げられていることを明らかにする書類その他これに類するものの写し 十 申請に係る子と同居していると思料される者の旅券又は当該者の氏名及び生年月日が記載されている、官公庁等から発行され、若しくは発給された書類その他これに類するものの写し 十一 申請に係る子と同居していると思料される者の写真 2 外務大臣は、必要と認めるときは、前項の規定により書面等の写しを提出した申請者に対し、その原本の提示を求めることができる。
民事
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平成二十六年外務省令第二号
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国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第五条第三項の規定に基づき外務大臣が都道府県警察に求める措置に関する省令 (子及び子と同居している者の所在を特定するために求める措置) 第一条 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成二十五年法律第四十八号。以下「法」という。)第五条第三項(同法第二十条において準用する場合を含む。)の規定に基づき、外務大臣が都道府県警察に対し措置をとることを求める場合には、書面により、警察庁長官を経由して、行方不明者発見活動に関する規則(平成二十一年国家公安委員会規則第十三号。以下「規則」という。)による措置を求めるものとする。 (資料の公表等に関し外務大臣が求める措置) 第二条 外務大臣は、前条の場合において、規則第十四条第一項、第二十五条第二項及び第二十六条第一項ただし書きの規定による措置をとらないことを求めることができる。
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平成二十六年外務省令第八号
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外務省の所管に属する不動産登記の嘱託職員を指定する省令 不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)第七条第二項の規定に基づき、外務省の所管に属する不動産に関する権利の登記を嘱託する職員を次のとおり指定する。 大臣官房会計課長
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平成二十七年政令第三百七十三号
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消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律施行令 (法第七十一条第六項第一号の政令で定める法律) 第一条 消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(平成二十五年法律第九十六号。以下「法」という。)第七十一条第六項第一号(法第七十五条第七項、第七十七条第六項及び第七十八条第六項において準用する場合を含む。)の政令で定める法律は、次のとおりとする。 一 担保付社債信託法(明治三十八年法律第五十二号) 二 金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号) 三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号) 四 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号) 五 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号) 六 消費生活協同組合法(昭和二十三年法律第二百号) 七 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号) 八 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号) 九 協同組合による金融事業に関する法律(昭和二十四年法律第百八十三号) 十 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号) 十一 放送法(昭和二十五年法律第百三十二号) 十二 質屋営業法(昭和二十五年法律第百五十八号) 十三 司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号) 十四 商品先物取引法(昭和二十五年法律第二百三十九号) 十五 信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号) 十六 宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号) 十七 旅行業法(昭和二十七年法律第二百三十九号) 十八 労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号) 十九 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号) 二十 割賦販売法(昭和三十六年法律第百五十九号) 二十一 不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号) 二十二 積立式宅地建物販売業法(昭和四十六年法律第百十一号) 二十三 警備業法(昭和四十七年法律第百十七号) 二十四 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(昭和五十年法律第六十七号) 二十五 特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号) 二十六 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号) 二十七 貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号) 二十八 電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号) 二十九 預託等取引に関する法律(昭和六十一年法律第六十二号) 三十 外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律(昭和六十一年法律第六十六号) 三十一 商品投資に係る事業の規制に関する法律(平成三年法律第六十六号) 三十二 ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律(平成四年法律第五十三号) 三十三 特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成五年法律第五十二号) 三十四 不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号) 三十五 保険業法(平成七年法律第百五号) 三十六 中心市街地の活性化に関する法律(平成十年法律第九十二号) 三十七 債権管理回収業に関する特別措置法(平成十年法律第百二十六号) 三十八 住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成十一年法律第八十一号) 三十九 金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(平成十二年法律第百一号) 四十 農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号) 四十一 信託業法(平成十六年法律第百五十四号) 四十二 探偵業の業務の適正化に関する法律(平成十八年法律第六十号) 四十三 株式会社日本政策金融公庫法(平成十九年法律第五十七号) 四十四 株式会社商工組合中央金庫法(平成十九年法律第七十四号) 四十五 資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号) 四十六 株式会社国際協力銀行法(平成二十三年法律第三十九号) 四十七 食品表示法(平成二十五年法律第七十号) 四十八 住宅宿泊事業法(平成二十九年法律第六十五号) 四十九 特定複合観光施設区域整備法(平成三十年法律第八十号) 五十 法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律(令和四年法律第百五号) (法第七十一条第六項第三号イの政令で定める法律) 第二条 法第七十一条第六項第三号イ(法第七十五条第七項、第七十七条第六項及び第七十八条第六項において準用する場合を含む。)の政令で定める法律は、前条各号に掲げるもののほか、無限連鎖講の防止に関する法律(昭和五十三年法律第百一号)とする。 (法第九十八条第四項第一号の政令で定める法律) 第三条 法第九十八条第四項第一号(法第百三条第六項及び第百四条第六項において準用する場合を含む。)の政令で定める法律は、第一条各号(第十号、第十三号、第三十号及び第三十七号を除く。次条において同じ。)に掲げるものとする。 (法第九十八条第四項第六号イの政令で定める法律) 第四条 法第九十八条第四項第六号イ(法第百三条第六項及び第百四条第六項において準用する場合を含む。)の政令で定める法律は、第一条各号に掲げるもののほか、無限連鎖講の防止に関する法律とする。 (消費者庁長官に委任されない権限) 第五条 法第百十五条の政令で定める権限は、法第七十一条第一項、第七十五条第二項、第七十七条第三項、第七十八条第三項、第九十二条第一項及び第二項、第九十三条第一項から第四項まで、第九十八条第一項、第百三条第三項、第百四条第三項並びに第百十三条第一項の規定による権限とする。
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平成二十七年内閣府令第六十二号
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消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律施行規則 (定義) 第一条 この府令において使用する用語は、消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(以下「法」という。)において使用する用語の例による。 第二条 削除 (公告事項) 第三条 法第二十六条第一項第十二号の内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 消費者からの問合せに対応する時間帯 二 簡易確定手続授権契約の締結を拒絶し、又は簡易確定手続授権契約を解除する場合の理由 三 簡易確定手続申立団体が二以上ある場合(これらの全ての簡易確定手続申立団体が連名で法第二十六条第一項の規定による公告をするときを除く。)にあっては、連名で同項の規定による公告をしない他の簡易確定手続申立団体が法第十三条の簡易確定手続開始の申立てをしていること並びに当該他の簡易確定手続申立団体の名称及び電話番号その他の連絡先 (通知の方法) 第三条の二 法第二十七条第一項の内閣府令で定める電磁的方法は、次に掲げるものとする。 一 電子メール(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)第二条第一号に規定する電子メールをいう。以下同じ。)その他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。第四条第二号において「電子メール等」という。)を送信する方法 二 電子計算機に備えられたファイル(専ら対象消費者等ごとの用に供するものに限る。)に記録された事項を電気通信回線を通じて対象消費者等が閲覧することができる状態に置き、その旨を対象消費者等に知らせるために適切な措置を講ずる方法 (通知事項) 第三条の三 簡易確定手続申立団体が法第二十七条第一項の規定による通知をする場合における第三条第三号の規定の適用については、同号中「法第二十六条第一項の規定による公告」とあるのは「法第二十七条第一項の規定による通知」と、「同項の規定による公告」とあるのは「同項の規定による通知」とする。 2 法第二十七条第二項第三号の内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 法第二十七条第一項の規定による通知を受けた対象消費者等が法第二十六条第一項の規定による公告の内容を確認するために必要な事項(当該公告がインターネットの利用による場合には、公告を掲載したウェブサイトのアドレス(二次元コードその他のこれに代わるものを含む。)。第三条の六第一項において同じ。) 二 法第二十六条第一項各号に掲げる事項のうち、法第二十七条第二項の規定により記載しないものとする事項の項目及びこれらの項目が法第二十六条第一項の規定による公告の対象である旨 (相手方通知を求める期限等) 第三条の四 法第二十八条第一項の相手方通知のため通常必要な期間を考慮して内閣府令で定める日は、届出期間の末日から起算して百日前の日とする。 2 法第二十八条第一項の届出期間の末日の二月以上前の日であって内閣府令で定める日は、届出期間の末日から起算して七十日前の日とする。 (相手方通知の方法) 第三条の五 法第二十八条第一項の内閣府令で定める電磁的方法は、第三条の二に規定するものとする。 (相手方が通知すべき事項等) 第三条の六 法第二十八条第一項第九号の内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 同項の規定による相手方通知を受けた対象消費者等が法第二十六条第一項の規定による公告の内容を確認するために必要な事項 二 法第二十六条第一項第一号、第三号、第六号、第九号、第十号及び第十二号に掲げる事項の項目並びにこれらの事項が同項の規定による公告の対象である旨 2 法第二十八条第二項(法第二十九条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の内閣府令で定める事項は、前項第一号に掲げる事項とする。 3 法第二十八条第三項第三号の内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 相手方通知の方法 二 相手方通知の内容 三 相手方通知をした対象消費者等の数 四 前号の対象消費者等のうち相手方において氏名が分からない者がある場合には、その数 (相手方による回答の方法) 第三条の七 法第三十条の内閣府令で定める電磁的方法は、次に掲げる方法とする。 一 電子メールを送信する方法 二 電磁的記録媒体(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものに係る記録媒体をいう。第五条第二号において同じ。)をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法 三 前各号に掲げる方法に類する方法 (相手方が回答すべき事項) 第三条の八 法第三十条第四号の内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 相手方通知の方法の見込み 二 法第三十一条第一項に規定する文書を開示する時期の見込み並びに当該文書に氏名及び住所又は同項に規定する連絡先が記載されている対象消費者等の数の見込み(当該文書を所持しない場合又は同項ただし書に該当する見込みがある場合にあっては、その旨) (文書に記載される連絡先) 第四条 法第三十一条第一項の内閣府令で定める連絡先は、次のとおりとする。 一 電話番号 二 電子メールアドレス(電子メールの利用者を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。以下同じ。)その他の電子メール等によりその者に連絡をする際に必要となる情報 三 ファクシミリの番号 (電磁的記録に記録された情報の電磁的方法による提供の方法) 第五条 法第三十一条第二項の内閣府令で定める電磁的方法による提供は、次に掲げるものとする。 一 電子メールを送信する方法(当該送信を受けた簡易確定手続申立団体が当該電子メールを出力することにより書面を作成することができるものに限る。)による提供 二 電磁的記録媒体をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法(当該交付を受けた簡易確定手続申立団体が当該ファイルへ記録された情報を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)による提供 三 前各号に掲げるものに類する方法による提供 (説明の方法) 第六条 法第三十五条(法第五十七条第八項において準用する場合を含む。第二十八条第一項第四号において同じ。)の規定による説明は、次に掲げる方法のいずれかによるものとする。 ただし、法第三十四条第一項の授権をしようとする者(法第五十七条第八項の規定において準用する法第三十五条の規定による説明をする場合にあっては、法第五十七条第一項の授権をしようとする者。以下この項、次項及び次条において「授権をしようとする者」という。)の承諾がある場合には、法第三十五条(法第五十七条第八項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の書面(以下この項、第三項及び次条において「書面」という。)の交付又は法第三十五条の電磁的記録(第二号、第三項及び次条において「電磁的記録」という。)の提供による方法をもって足りる。 一 授権をしようとする者と面談を行い、当該授権をしようとする者に対し書面を交付して説明する方法 二 授権をしようとする者に対し交付した書面又はその者に提供した電磁的記録に記録された事項が紙面又は映像面に表示されたものの閲覧を求めた上で、簡易確定手続申立団体及び当該授権をしようとする者が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法により説明する方法 三 説明会を開催し、授権をしようとする者に対し書面を交付して説明する方法 2 簡易確定手続申立団体が次に掲げる要件を満たしている場合には、前項の規定にかかわらず、授権をしようとする者に対し、被害回復裁判手続の概要及び事案の内容並びに第七条に定める事項(第三号において「説明事項」という。)が掲載されている当該簡易確定手続申立団体のホームページの閲覧を求める方法をもって足りる。 一 業務規程において、当該授権をしようとする者からの問合せへの対応に関する体制に関する事項が定められていること。 二 前号の体制が、複数の方法による問合せに対応できるものであり、これに対応する時間が十分に確保されているなど当該授権をしようとする者の便宜に配慮したものであること。 三 当該授権をしようとする者が、当該ホームページを閲覧した後、説明事項を理解したことを確認する措置が講じられていること。 3 前項の場合において、簡易確定手続申立団体は、当該ホームページを閲覧した者から求めがあるときは、書面の交付又は電磁的記録の提供をしなければならない。 第六条の二 授権をしようとする者が次のいずれかに該当する場合には、前条の規定にかかわらず、簡易確定手続申立団体は、当該授権をしようとする者に提供する書面又は電磁的記録において、当該公告し、又は通知した事項を重ねて記載し、又は記録することを要しない。 ただし、当該授権をしようとする者が当該事項が記載され、又は記録された書面又は電磁的記録を求める場合は、この限りでない。 一 法第二十六条第一項の規定による公告を閲覧したこと。 二 法第二十七条第一項の規定による通知を受けたこと。 (説明事項) 第七条 法第三十五条の内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 法第二十六条第一項第三号から第十一号までに掲げる事項 二 第三条第一項第一号及び第二号に掲げる事項 三 簡易確定手続申立団体が二以上ある場合にあっては、他の簡易確定手続申立団体が法第十三条の簡易確定手続開始の申立てをしていること並びに当該他の簡易確定手続申立団体の名称及び電話番号その他の連絡先 四 法第三十四条第一項の授権により簡易確定手続申立団体が行う業務の範囲 五 個人情報の取扱いに関する事項 六 簡易確定手続授権契約終了時の精算に関する事項 七 仮差押命令に係る仮差押えの執行がされている場合にあっては、その内容及び法第六十四条の規定に基づき平等に取り扱わなければならないこと。 2 法第五十七条第八項において準用する法第三十五条の内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 法第二十六条第一項第三号から第九号までに掲げる事項 二 届出消費者が債権届出団体に対して法第五十七条第一項の授権をする方法及び期間 三 届出消費者からの問合せに対応する時間帯 四 訴訟授権契約の締結を拒絶し、又は訴訟授権契約を解除する場合の理由 五 法第五十七条第一項の授権により債権届出団体が行う業務の範囲 六 訴訟授権契約終了時の精算に関する事項 七 前項第五号及び第七号に掲げる事項 (業務規程の記載事項) 第八条 法第七十一条第五項(法第七十五条第七項、法第七十七条第六項及び法第七十八条第六項において準用する場合を含む。)の内閣府令で定める事項は、次のとおりとする。 一 被害回復関係業務の実施の方法に関する事項として次に掲げる事項 イ 被害回復裁判手続に関する業務の実施の方法に関する事項 ロ イの業務の遂行に必要な消費者の被害に関する情報の収集に係る業務の実施の方法に関する事項 ハ イの業務に付随する対象消費者等に対する情報の提供に係る業務の実施の方法に関する事項 ニ 簡易確定手続授権契約及び訴訟授権契約の内容に関する事項 ホ 請求の放棄、和解、債権届出の取下げ、認否を争う旨の申出、簡易確定決定に対して異議を申し立てる権利の放棄、簡易確定決定に対する異議の申立て、当該異議の申立ての取下げ、異議後の訴訟における訴えの取下げ又は上訴若しくは上訴の取下げをしようとする場合において法第三十四条第一項又は法第五十七条第一項の授権をした者の意思を確認するための措置に関する事項 ヘ 法第七十一条第四項第四号の検討を行う部門における専門委員からの助言又は意見の聴取に関する措置及び役員、職員又は専門委員が被害回復裁判手続の相手方と特別の利害関係を有する場合の措置その他業務の公正な実施の確保に関する措置に関する事項 ト 特定適格消費者団体であることを疎明する方法に関する事項 チ その他必要な事項 二 特定適格消費者団体相互の連携協力に関する事項(法第八十四条第一項の通知及び報告の方法に関する事項並びに第十八条第十五号に規定する行為に係る当該通知及び報告の方針に関する事項を含む。) 三 役員及び専門委員の選任及び解任その他被害回復関係業務に係る組織、運営その他の体制に関する事項 四 被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法に関する事項 五 被害回復関係業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法に関する事項 六 その他被害回復関係業務の実施に関し必要な事項 (特定認定の申請書の記載事項) 第九条 法第七十二条第一項第三号(法第七十五条第七項、法第七十七条第六項及び法第七十八条第六項において準用する場合を含む。)の内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 電話番号、電子メールアドレス及びファクシミリの番号(被害回復関係業務においてファクシミリ装置を用いて送受信しようとする場合に限る。次号において同じ。) 二 法第七十二条第一項第二号(法第七十五条第七項、法第七十七条第六項及び法第七十八条第六項において準用する場合を含む。)の事務所の電話番号、電子メールアドレス及びファクシミリの番号 三 法人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第十五項に規定する法人番号をいう。第三十条第三号において同じ。) (特定認定の申請書の添付書類) 第十条 法第七十二条第二項第六号ロ(法第七十五条第七項、法第七十七条第六項及び法第七十八条第六項において準用する場合を含む。)の内閣府令で定める事項は、役員、職員及び専門委員の電話番号その他の連絡先とする。 2 法第七十二条第二項第七号ロ(法第七十五条第七項、法第七十七条第六項及び法第七十八条第六項において準用する場合を含む。)の内閣府令で定める書類は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第百二十三条第二項(同法第百九十九条において準用する場合を含む。)に規定する損益計算書であって、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第五条に規定する公益認定を受けている者が作成したものとする。 3 法第七十二条第二項第十一号(法第七十五条第七項、法第七十七条第六項及び法第七十八条第六項において準用する場合を含む。)の内閣府令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 一 役員及び専門委員の住所又は居所を証する次に掲げる書類であって、申請の日前六月以内に作成されたもの イ 当該役員又は専門委員が住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)の適用を受ける者である場合にあっては、同法第十二条第一項に規定する住民票の写し又はこれに代わる書類 ロ 当該役員又は専門委員がイの場合に該当しない者である場合にあっては、当該役員又は専門委員の住所又は居所を証する権限のある官公署が発給する文書(外国語で作成されている場合にあっては、翻訳者を明らかにした訳文を添付したもの)又はこれに代わる書類 二 法第七十一条第四項第三号ロに定める要件に適合することを証する書類 三 専門委員が消費者契約法施行規則(平成十九年内閣府令第十七号)第四条及び第五条に定める要件に適合することを証する書類 4 前二項に規定する書類については、消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第十四条第二項(同法第十七条第六項、同法第十九条第六項及び同法第二十条第六項において準用する場合を含む。)の規定に基づき申請書に添付している当該書類の内容に変更がないときは、法第七十二条第一項(法第七十五条第七項、法第七十七条第六項及び法第七十八条第六項において準用する場合を含む。)の申請書にその旨を記載して当該書類の添付を省略することができる。 (公告の方法) 第十一条 法第七十三条(法第七十五条第七項、法第七十七条第六項及び法第七十八条第六項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による公告は、法第七十三条に規定する事項並びに同条の規定により公衆の縦覧に供すべき書類の縦覧の期間及び場所について、消費者庁の掲示板への掲示、インターネットを利用して公衆の閲覧に供する方法その他の方法により行うものとする。 (公示の方法) 第十二条 法第七十四条第一項(法第七十五条第七項、法第七十七条第六項及び法第七十八条第六項において準用する場合を含む。第二十三条第一号において同じ。)、法第七十七条第八項、法第七十八条第八項、法第七十九条第二項、法第九十二条第四項及び法第九十三条第六項の規定による公示は、官報に掲載する方法により行うものとする。 (特定適格消費者団体である旨の掲示等) 第十三条 法第七十四条第二項の規定による掲示は、特定適格消費者団体の名称及び「特定適格消費者団体」の文字について、その事務所の入口又は受付の付近の見やすい場所にしなければならない。 2 法第七十四条第二項の規定による公衆の閲覧は、特定適格消費者団体の名称及び「特定適格消費者団体」の文字について、そのホームページの見やすい箇所へ掲載することにより行わなければならない。 (変更の届出) 第十四条 法第七十六条の規定により変更の届出をしようとする者は、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。 一 名称及び住所並びに代表者の氏名 二 変更した内容 三 変更の年月日 四 変更を必要とした理由 2 前項の届出書には、次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める書類を添付しなければならない。 一 法第七十二条第二項各号(法第七十五条第七項、法第七十七条第六項及び法第七十八条第六項において準用する場合を含む。次号において同じ。)に掲げる書類に記載した事項に変更があった場合 変更後の事項を記載した当該書類 二 法第七十二条第一項各号(法第七十五条第七項、法第七十七条第六項及び法第七十八条第六項において準用する場合を含む。)に掲げる事項又は法第七十二条第二項各号に掲げる書類に記載した事項の変更に伴い第十条第三項各号に掲げる書類の内容に変更を生じた場合 変更後の内容に係る当該書類(第十条第三項第二号に掲げる書類にあっては、役員又は専門委員が新たに就任した場合(再任された場合を除く。)に限る。) 3 法第七十六条の内閣府令で定める軽微な変更は、法第七十二条第二項第六号ロの書類に記載した事項の変更とする。 (通知及び報告の方法等) 第十五条 法第八十四条第一項の規定による通知(同項第七号に掲げる場合に係るものを除く。)は、書面により行わなければならない。 2 法第八十四条第一項の規定による報告(同項第七号に掲げる場合に係るものを除く。)は、訴状若しくは申立書、判決書若しくは決定書、請求の放棄若しくは認諾、裁判上の和解又は準備書面その他その内容を示す書面(第十六条第一項において「内容を示す書面」という。)の写しを添付した書面により行わなければならない。 3 法第八十四条第一項の規定による通知及び報告(それぞれ同項第七号に掲げる場合に係るものに限る。)は、第十七条各号に規定する行為をしようとする日の二週間前までに、次に掲げる事項を記載した書面により行わなければならない。 一 当該行為をしようとする旨 二 当該行為をしようとする日 三 共通義務確認訴訟における和解をしようとする場合(当該和解が成立したとすれば法第十五条第二項又は第三項の規定により簡易確定手続開始の申立義務を負う場合を除く。)にあっては、当該和解に至るまでの経緯の概要 4 前項に規定する「行為をしようとする日」とは、次の各号に掲げる場合における当該各号に定める日をいう。 一 第十七条第一号及び第二号に規定する行為をしようとする場合(次号から第四号までに規定する場合を除く。) 口頭弁論等の期日(民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二百六十一条第三項に規定する口頭弁論等の期日をいう。第三号及び第五号において同じ。) 二 第十七条第二号に規定する行為をしようとする場合であって、民事訴訟法第二百六十四条の規定に基づき裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官から提示された和解条項案を受諾する旨の書面を提出しようとするとき 当該書面を提出しようとする日 三 第十七条第二号に規定する行為をしようとする場合であって、口頭弁論等の期日に出頭して前号の和解条項案を受諾しようとするとき 当該口頭弁論等の期日 四 第十七条第二号に規定する行為をしようとする場合であって、民事訴訟法第二百六十五条第一項の申立てをしようとするとき 当該申立てをしようとする日 五 第十七条第三号から第五号までに規定する行為をしようとする場合 口頭弁論等の期日又は期日外においてそれらの行為をしようとする日 5 第三項の通知及び報告の後、確定判決及びこれと同一の効力を有するものが存することとなるまでに、同項各号に掲げる事項に変更があった場合(その変更が客観的に明白な誤記、誤植又は脱字に係るものその他の内容の同一性を失わない範囲のものである場合を除く。)には、その都度、変更後の事項を記載した書面により、改めて通知及び報告をしなければならない。 この場合においては、前二項の規定を準用する。 (報告事項) 第十五条の二 法第八十四条第一項の内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 法第十三条に規定する簡易確定手続開始の申立てを却下する裁判(法第十六条第一項又は法第二十四条の規定に違反することを理由とするものを除く。)が確定した場合にあっては、当該裁判が確定した日 二 第十八条第十七号に掲げる行為(被害回復裁判手続に係る事案の全体を解決するものと認められるものを除く。)がされた場合にあっては、当該事案のうち解決されるに至っていない部分の状況の概要 (通知及び報告に係る電磁的方法を利用する措置) 第十六条 法第八十四条第一項後段の内閣府令で定める措置は、消費者庁長官が管理する電気通信設備の記録媒体に同項前段に規定する事項、内容を示す書面に記載された事項及び第十五条第三項各号(同条第五項において準用する場合を含む。)に掲げる事項を内容とする情報を記録する措置であって、全ての特定適格消費者団体及び消費者庁長官が当該情報を記録することができ、かつ、当該記録媒体に記録された当該情報を全ての特定適格消費者団体及び消費者庁長官が受信することができる方式のものとする。 2 特定適格消費者団体は、前項の措置を講ずるときは、あらかじめ、又は同時に、当該措置を講じる旨又は講じた旨を全ての特定適格消費者団体及び消費者庁長官に通知するための電子メールを、消費者庁長官があらかじめ指定した電子メールアドレス宛てに送信しなければならない。 3 法第八十四条第一項の通知及び報告が第一項の措置により行われたときは、消費者庁長官の管理に係る電気通信設備の記録媒体への記録がされた時に全ての特定適格消費者団体及び消費者庁長官に到達したものとみなす。 (被害回復関係業務に関する手続に係る行為) 第十七条 法第八十四条第一項第七号の内閣府令で定める手続に係る行為は、次のとおりとする。 一 請求の放棄 二 裁判上の和解 三 民事訴訟法第二百八十四条(同法第三百十三条において準用する場合を含む。)の規定による権利の放棄 四 控訴をしない旨の合意又は上告をしない旨の合意 五 控訴、上告又は民事訴訟法第三百十八条第一項の申立ての取下げ 第十八条 法第八十四条第一項第十三号の内閣府令で定める手続に係る行為は、被害回復裁判手続に係る行為であって、次に掲げるものとする。 ただし、第一号から第十五号までに掲げる行為については、共通義務確認訴訟の手続及び簡易確定手続(簡易確定手続開始決定後の手続を除く。)に係るものに限る。 一 訴状(控訴状及び上告状を含む。)の補正命令若しくはこれに基づく補正又は却下命令 二 前号の却下命令に対する即時抗告、特別抗告若しくは許可抗告若しくはその即時抗告に対する抗告裁判所の決定に対する特別抗告若しくは許可抗告又はこれらの抗告についての決定の告知 三 再審の訴え(法第五十三条の規定において民事訴訟法第四編の規定を準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の提起若しくは第一号の却下命令で確定したものに対する再審の申立て又はその再審の訴え若しくは再審の申立てについての決定の告知 四 前号の決定に対する即時抗告、特別抗告若しくは許可抗告若しくはその即時抗告に対する抗告裁判所の決定に対する特別抗告若しくは許可抗告又はこれらの抗告についての決定の告知 五 再審開始の決定が確定した場合における本案の裁判 六 保全異議又は保全取消しの申立てについての決定の告知 七 前号の決定に対する保全抗告又はこれについての決定の告知 八 訴えの変更、反訴の提起又は中間確認の訴えの提起 九 附帯控訴又は附帯上告の提起 十 移送に関する決定の告知 十一 前号の決定に対する即時抗告、特別抗告若しくは許可抗告若しくはその即時抗告に対する抗告裁判所の決定に対する特別抗告若しくは許可抗告又はこれらの抗告についての決定の告知 十二 請求の放棄若しくは認諾又は裁判上の和解の効力を争う手続の開始又は当該手続の終了 十三 法第十七条の書面の補正命令若しくはこれに基づく補正又は法第二十条第二項の決定 十四 前号の決定に対する即時抗告若しくは特別抗告若しくはその即時抗告に対する抗告裁判所の決定に対する特別抗告若しくは許可抗告又はこれらの抗告についての決定の告知 十四の二 前号に規定する抗告をすることができる期間内に抗告がなされないこと 十五 攻撃又は防御の方法の提出その他の被害回復裁判手続に係る行為であって、当該特定適格消費者団体が被害回復裁判手続の適切な実施又は特定適格消費者団体相互の連携協力を図る見地から法第八十四条第一項の通知及び報告をすることを適当と認めたもの 十六 法第二十五条第二項の規定による届出期間の伸長の決定の通知 十七 対象債権等の存在及び内容が確定した対象消費者等に対する当該対象債権等の弁済金の引渡しその他の被害回復裁判手続に係る事案の全体又は大部分を解決するものと認められる行為 (伝達の方法) 第十九条 法第八十四条第二項の内閣府令で定める方法は、次に掲げるものとする。 一 全ての特定適格消費者団体及び消費者庁長官が電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置 二 書面の写しの交付、電子メールを送信する方法、ファクシミリ装置を用いた送信その他の消費者庁長官が適当と認める方法 (伝達事項) 第二十条 法第八十四条第二項の内閣府令で定める事項は、法第九十五条第一項の規定による情報の公表をした旨及びその年月日とする。 (被害回復関係業務を行うに当たり明らかにすべき事項) 第二十一条 法第八十七条の内閣府令で定める事項は、弁護士の資格その他の自己の有する資格とする。 (公表する情報) 第二十二条 法第九十五条第一項の内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 法第八十四条第一項の規定による報告をした特定適格消費者団体の連絡先 二 次の各号に掲げる場合にあっては、当該各号に定める事項 イ 共通義務確認の訴えの取下げの効力が生じた場合 その旨及び当該取下げの効力が生じた日 ロ 共通義務確認の訴えを却下する裁判が確定した場合 その旨及び当該裁判が確定した日 ハ 法第十五条第一項に規定する特定適格消費者団体が法第十六条第一項の期間(同条第二項の規定により当該期間が伸長された場合にあっては、当該伸長された期間。ニにおいて同じ。)内に簡易確定手続開始の申立てをしなかった場合 その旨及び当該期間の満了の日 ニ 法第十五条第二項に規定する特定適格消費者団体が法第十六条第一項の期間内に簡易確定手続開始の申立てをしなかった場合 当該期間の満了の日 ホ 簡易確定手続開始の申立ての取下げ(届出期間満了後にされたものを除く。)の効力が生じた場合 その旨及び当該取下げの効力が生じた日 ヘ 法第十三条に規定する簡易確定手続開始の申立てを却下する裁判(法第十六条第一項又は法第二十四条の規定に違反することを理由とするものを除く。)が確定した場合 その旨及び当該裁判が確定した日 第二十三条 法第九十五条第二項の内閣府令で定める必要な情報は、次に掲げる情報とする。 一 法第七十四条第一項、法第七十七条第八項、法第七十八条第八項、法第七十九条第二項、法第九十二条第四項及び法第九十三条第六項の規定により公示した事項に係る情報 二 次に掲げる書類に記載された事項に係る情報 イ 業務規程 ロ 法第七十二条第二項第八号(法第七十五条第七項、法第七十七条第六項及び法第七十八条第六項において準用する場合を含む。)に規定する書類 (書類の提供の請求) 第二十四条 法第九十六条第一項の規定による消費者庁が作成した書類の提供を受けようとする特定適格消費者団体は、次に掲げる事項を記載した申請書を消費者庁長官に提出しなければならない。 一 当該特定適格消費者団体の名称及び住所並びに代表者の氏名 二 被害回復裁判手続の相手方の氏名又は名称及び住所 三 申請理由 四 提供を受けようとする書類の利用目的並びに当該書類の管理の方法及び当該書類を取り扱う者の範囲 五 提供を受けようとする書類の範囲その他の内容 六 提供を受けようとする書類の提供の実施の方法 2 前項第三号の申請理由には、申請を必要とする事情等を具体的に記載しなければならない。 3 特定適格消費者団体が、消費者庁の職員に対し、電子メールを送信する方法(電子メールの送信を受けた消費者庁の職員が当該電子メールを出力することにより書面を作成することができるものに限る。)により、法第九十六条第一項の規定による消費者庁が作成した書類の提供を請求する旨及び第一項各号に掲げる事項を通知したときは、同項の申請書が消費者庁に提出されたものとみなす。 (消費者庁が提供する書類) 第二十五条 消費者庁長官は、前条第一項の規定による請求があったときは、当該請求に係る処分に関して消費者庁が作成した書類に次の各号に掲げる情報(以下「不提供情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、当該請求をした特定適格消費者団体に対し、当該書類を提供するものとする。 一 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項をいう。第三項において同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。 ただし、次に掲げる情報を除く。 イ 法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報 ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報 ハ 当該個人が公務員等(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人の役員及び職員を除く。)、独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)第二条第一項に規定する独立行政法人等をいう。以下この項において同じ。)の役員及び職員、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二条に規定する地方公務員並びに地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下この項において同じ。)の役員及び職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分 二 個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第六十条第三項に規定する行政機関等匿名加工情報(同条第四項に規定する行政機関等匿名加工情報ファイルを構成するものに限る。以下この号において「行政機関等匿名加工情報」という。)又は行政機関等匿名加工情報の作成に用いた同条第一項に規定する保有個人情報から削除した同法第二条第一項第一号に規定する記述等若しくは同条第二項に規定する個人識別符号 三 法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下この号において「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。 ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、提供することが必要であると認められる情報を除く。 イ 当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの ロ 消費者庁の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの 四 国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると消費者庁長官が認めることにつき相当の理由がある情報 五 犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると消費者庁長官が認めることにつき相当の理由がある情報 六 消費者庁その他の国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、提供することにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの 七 消費者庁その他の国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、提供することにより、消費者庁長官の行う処分の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの 2 消費者庁長官は、前条第一項の規定による請求に係る処分に関して消費者庁が作成した書類の一部に不提供情報が記録されている場合において、不提供情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、当該請求をした特定適格消費者団体に対し、当該部分を除いた部分につき提供するものとする。 3 前条第一項の規定による請求に係る処分に関して消費者庁が作成した書類に第一項第一号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。 4 消費者庁長官は、第一項の書類の提供に際しては、提供された書類を公にしないこと並びに当該書類の適正な利用及び管理を確保するために必要と認める条件を付することができる。 この場合において、消費者庁長官は、前条第一項の規定による請求をした特定適格消費者団体に対し、不提供情報(第一項第一号から第三号までに掲げる情報のうち、消費者庁長官が消費者被害の防止及びその回復を図るために提供することが特に必要であると認めるものに限る。)を提供することができる。 5 前項に掲げるもののほか、消費者庁長官は、前各項の書類の提供に際しては、利用目的の制限及び提供された書類の活用の結果の報告その他の必要な条件を付することができる。 (情報の提供の請求) 第二十六条 法第九十七条第一項の規定による情報の提供を受けようとする特定適格消費者団体は、次に掲げる事項(当該特定適格消費者団体が、独立行政法人国民生活センター(以下「国民生活センター」という。)から次条第一項第一号ロに掲げる情報の提供を受けようとする場合にあっては、第一号及び第三号から第六号までに掲げる事項。第八項において同じ。)を記載した申請書を国民生活センター又は地方公共団体に提出しなければならない。 一 当該特定適格消費者団体の名称及び住所並びに代表者の氏名 二 被害回復裁判手続の相手方の氏名又は名称及び住所 三 申請理由 四 提供される情報の利用目的並びに当該情報の管理の方法及び当該情報を取り扱う者の範囲 五 希望する情報の範囲 六 希望する情報提供の実施の方法 2 前項第三号の申請理由には、当該特定適格消費者団体が収集した情報の概要その他の申請を理由づける事実等を具体的に記載しなければならない。 3 国民生活センター又は地方公共団体は、第一項の申請書の提出があった場合において、当該申請に相当の理由があると認めるときは、次条第一項各号に定める情報のうち必要と認められる範囲内の情報を提供するものとする。 4 国民生活センター又は地方公共団体は、情報の提供をするに際しては、当該情報が消費者の申出を要約したものであり、事実関係が必ずしも確認されたものではない旨を明らかにするものとする。 5 国民生活センター又は地方公共団体は、情報の提供をするに際しては、利用目的を制限し、提供された情報の活用の結果を報告することその他の必要な条件を付することができる。 6 国民生活センター又は地方公共団体は、第一項の申請に係る情報が、法第九十七条第二項又は前項の規定により付そうとする制限又は条件に違反して使用されるおそれがあると認められるときは、当該情報を提供しないものとする。 7 国民生活センター又は地方公共団体は、情報の提供に当たっては、消費生活に関する消費者と事業者との間に生じた苦情に係る相談(次条第一項において「消費生活相談」という。)に係る消費者に係る個人情報の保護に留意しなければならない。 8 特定適格消費者団体が、国民生活センターに対し、電子メールを送信する方法(当該送信を受けた国民生活センターが当該電子メールを出力することにより書面を作成することができるものに限る。)により、法第九十七条第一項の規定による情報の提供を希望する旨及び第一項各号に掲げる事項を通知したときは、同項の申請書が国民生活センターに提出されたものとみなす。 (国民生活センター等が提供する情報) 第二十七条 法第九十七条第一項の内閣府令で定める情報は、次の各号の区分に従い、当該各号に定めるとおりとする。 一 国民生活センター 消費生活相談に関する情報であって、次に掲げる情報 イ 全国消費生活情報ネットワークシステム(消費者安全法(平成二十一年法律第五十号)第十二条第四項に規定する全国消費生活情報ネットワークシステムをいう。以下この項において同じ。)に蓄積された情報のうち、全国又は複数の都道府県を含む区域を単位とした情報(都道府県別の情報その他これに類する情報を除く。) ロ 消費者の被害の実態を早期に把握するための基準に基づき、全国消費生活情報ネットワークシステムに蓄積された情報を利用して作成された統計その他の情報 二 地方公共団体 消費生活相談に関する情報で全国消費生活情報ネットワークシステムに蓄積されたもののうち、当該地方公共団体から国民生活センターに提供(都道府県を経由して行われる提供を含む。)された情報(以下この号において「当該地方公共団体に係る情報」といい、他の地方公共団体から国民生活センターに提供(都道府県を経由して行われる提供を含む。)をされた情報のうち、当該地方公共団体が当該地方公共団体に係る情報と併せて法第九十七条第一項の規定による情報の提供を行うことを適当と認め、かつ、当該他の地方公共団体の同意を得ることができたものを含む。) 2 前条及び前項の規定は、国民生活センター又は地方公共団体が、法以外の法令(条例を含む。)の規定により同項各号に定める情報以外の情報を提供することを妨げるものではない。 (消費者団体訴訟等支援法人の業務等) 第二十八条 法第九十八条第二項第一号の内閣府令で定める事務は、次に掲げる事務とする。 一 法第二十六条第一項、第二項前段又は第三項の規定による公告に係る事務 二 法第二十七条第一項の規定による通知に係る事務 三 対象消費者等に対する情報の提供に係る事務(前各号に掲げるものを除く。) 四 法第三十五条の規定による書面の交付又は電磁的記録の提供に係る事務 五 簡易確定手続授権契約、訴訟授権契約及び法第八十二条第二項に規定する契約の締結に付随する事務 六 対象消費者等に対する金銭の支払その他被害回復裁判手続に付随する金銭その他の財産の管理に係る事務 七 被害回復裁判手続に付随する対象消費者等に対する連絡に係る事務(前各号に掲げるものを除く。) 2 法第九十八条第二項第二号の内閣府令で定める事務は、次に掲げる事務とする。 一 相手方通知に係る事務 二 対象消費者等に対する金銭の支払に係る事務その他被害回復裁判手続に付随する金銭その他の財産の管理に係る事務 三 相手方が行うべき被害回復裁判手続における事務に付随する対象消費者等に対する連絡に係る事務(前各号に掲げるものを除く。) 3 法第九十八条第二項第三号の事務は、特定適格消費者団体の実情その他の事情に応じて行うようにするものとする。 4 法第九十八条第二項第三号の内閣府令で定める事務は、次に掲げる事務とする。 一 特定適格消費者団体に対する助言 二 被害回復関係業務に関する情報の公表 三 特定適格消費者団体に対する情報の提供 5 法第九十八条第二項第四号ロの内閣府令で定める事務は、次に掲げる事務とする。 一 法の実施のために必要な情報及び消費者団体訴訟等の推進に資する情報の収集 二 前号の各情報の分析及び公表 三 消費者団体訴訟等に関する問合せへの対応 (業務規程の記載事項) 第二十九条 法第九十八条第三項(法第百三条第六項及び法第百四条第六項において準用する場合を含む。)の内閣府令で定める事項は、次のとおりとする。 一 支援業務の実施の方法に関する事項として次に掲げる事項 イ 法第九十八条第二項第一号から第四号までに掲げる業務の実施方法に関する事項 ロ 消費者団体訴訟等支援法人であることを疎明する方法に関する事項 ハ その他必要な事項 二 役員の選任及び解任その他支援業務に係る組織、運営その他の体制に関する事項 三 支援業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法に関する事項 四 支援業務の実施に関する金銭その他の財産の管理の方法に関する事項 五 法第百九条の帳簿書類の管理に関する事項 六 法第百十条第二項各号に掲げる書類の備置きの方法に関する事項 七 その他支援業務の実施に関し必要な事項 (支援認定の申請書の記載事項) 第三十条 法第九十九条第一項第三号(法第百三条第六項及び法第百四条第六項において準用する場合を含む。)の内閣府令で定める事項は、次のとおりとする。 一 電話番号、電子メールアドレス及びファクシミリの番号(支援業務においてファクシミリ装置を用いて送受信しようとする場合に限る。次号において同じ。) 二 法第九十九条第一項第二号(法第百三条第六項及び法第百四条第六項において準用する場合を含む。)の事務所の電話番号、電子メールアドレス及びファクシミリの番号 三 法人番号 (支援認定の申請書の添付書類) 第三十一条 法第九十九条第二項第六号(法第百三条第六項及び法第百四条第六項において準用する場合を含む。)の内閣府令で定める事項は、前事業年度における役員の報酬の有無とする。 2 法第九十九条第二項第十号(法第百三条第六項及び法第百四条第六項において準用する場合を含む。)の内閣府令で定める書類は、申請者の登記事項証明書とする。 (公告の方法) 第三十二条 法第百条第一項(法第百三条第六項及び法第百四条第六項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による公告は、法第百条第一項に規定する事項並びに同項の規定により公衆の縦覧に供すべき書類の縦覧の期間及び場所について、消費者庁の掲示板への掲示、インターネットを利用して公衆の閲覧に供する方法その他の方法により行うものとする。 (公示の方法) 第三十三条 法第百一条第一項(法第百三条第六項及び法第百四条第六項において準用する場合を含む。)、法第百三条第八項、法第百四条第八項、法第百五条第二項及び法第百十三条第二項の規定による公示は、官報に掲載する方法により行うものとする。 (消費者団体訴訟等支援法人である旨の掲示等) 第三十四条 法第百一条第二項の規定による掲示は、消費者団体訴訟等支援法人の名称及び「消費者団体訴訟等支援法人」の文字について、その事務所の入口又は受付の付近の見やすい場所にしなければならない。 2 法第百一条第二項の規定による公衆の閲覧は、消費者団体訴訟等支援法人の名称及び「消費者団体訴訟等支援法人」の文字について、そのホームページの見やすい箇所へ掲載することにより行わなければならない。 (変更の届出) 第三十五条 法第百二条の規定により変更の届出をしようとする者は、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。 一 名称及び住所並びに代表者の氏名 二 変更した内容 三 変更の年月日 四 変更を必要とした理由 2 前項の届出書には、次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める書類を添付しなければならない。 一 法第九十九条第二項各号(法第百三条第六項及び法第百四条第六項において準用する場合を含む。次号において同じ。)に掲げる書類に記載した事項に変更があった場合 変更後の事項を記載した当該書類 二 法第九十九条第一項各号(法第百三条第六項及び法第百四条第六項において準用する場合を含む。)に掲げる事項又は法第九十九条第二項各号に掲げる書類に記載した事項の変更に伴い第三十一条第二項に規定する書類の内容に変更を生じた場合 変更後の内容に係る当該書類 (業務及び経理に関する帳簿書類) 第三十六条 法第百九条に規定する内閣府令で定める業務及び経理に関する帳簿書類とは、次に掲げるものとする。 一 支援業務の概要を記録したもの 二 前号に規定する帳簿書類の作成に用いた関係資料のつづり 三 会計簿 四 被害回復裁判手続に係る金銭その他財産の管理について記録したもの 五 支援業務の一部を委託した場合にあっては、事案ごとに次に掲げる事項を記録したもの イ 委託を受けた者の氏名又は名称及びその者を選定した理由 ロ 委託した業務の内容 ハ 委託に要した費用を支払った場合にあっては、その額 2 消費者団体訴訟等支援法人は、前項各号に掲げる帳簿書類を、各事業年度の末日をもって閉鎖するものとし、閉鎖後五年間当該帳簿書類を保存しなければならない。 (財務諸表等の備置き) 第三十七条 消費者団体訴訟等支援法人は、法第百十条第二項の書類を、五年間事務所に備え置かなければならない。 (経理に関する事項) 第三十八条 法第百十条第二項第五号に規定する内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 借入金について、借入先及び当該借入先ごとの金額 二 適格消費者団体又は特定適格消費者団体に対して、その支援のために支出したものの支出先、支出金額その他その内容に関する事項 三 全ての支出について、その総額及び支出の生ずる取引について、取引金額の最も多いものから順次その順位を付した場合におけるそれぞれ第一順位から第五順位までの取引に係る取引先、取引金額その他その内容に関する事項
民事
Heisei
MinisterialOrdinance
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平成二十七年法務省令第十三号
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民事再生法施行規則 民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号。以下「法」という。)第四十二条第一項第二号イに規定する法務省令で定める方法は、法第百二十四条第二項の規定により作成した貸借対照表の資産の部に計上した額をもって再生債務者の総資産額とする方法とする。 ただし、再生債務者が、法第二百二十八条(法第二百四十四条において準用する場合を含む。)の規定により法第百二十四条第二項の貸借対照表の作成をすることを要しない場合においては、同項の規定により作成した財産目録に掲げる資産の額の合計額をもって再生債務者の総資産額とする方法とする。
民事
Heisei
Act
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平成二十八年法律第二十九号
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成年後見制度の利用の促進に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより財産の管理又は日常生活等に支障がある者を社会全体で支え合うことが、高齢社会における喫緊の課題であり、かつ、共生社会の実現に資すること及び成年後見制度がこれらの者を支える重要な手段であるにもかかわらず十分に利用されていないことに鑑み、成年後見制度の利用の促進について、その基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及び基本方針その他の基本となる事項を定めること等により、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「成年後見人等」とは、次に掲げる者をいう。 一 成年後見人及び成年後見監督人 二 保佐人及び保佐監督人 三 補助人及び補助監督人 四 任意後見人及び任意後見監督人 2 この法律において「成年被後見人等」とは、次に掲げる者をいう。 一 成年被後見人 二 被保佐人 三 被補助人 四 任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号)第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された後における任意後見契約の委任者 3 この法律において「成年後見等実施機関」とは、自ら成年後見人等となり、又は成年後見人等若しくはその候補者の育成及び支援等に関する活動を行う団体をいう。 4 この法律において「成年後見関連事業者」とは、介護、医療又は金融に係る事業その他の成年後見制度の利用に関連する事業を行う者をいう。 (基本理念) 第三条 成年後見制度の利用の促進は、成年被後見人等が、成年被後見人等でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障されるべきこと、成年被後見人等の意思決定の支援が適切に行われるとともに、成年被後見人等の自発的意思が尊重されるべきこと及び成年被後見人等の財産の管理のみならず身上の保護が適切に行われるべきこと等の成年後見制度の理念を踏まえて行われるものとする。 2 成年後見制度の利用の促進は、成年後見制度の利用に係る需要を適切に把握すること、市民の中から成年後見人等の候補者を育成しその活用を図ることを通じて成年後見人等となる人材を十分に確保すること等により、地域における需要に的確に対応することを旨として行われるものとする。 3 成年後見制度の利用の促進は、家庭裁判所、関係行政機関(法務省、厚生労働省、総務省その他の関係行政機関をいう。以下同じ。)、地方公共団体、民間の団体等の相互の協力及び適切な役割分担の下に、成年後見制度を利用し又は利用しようとする者の権利利益を適切かつ確実に保護するために必要な体制を整備することを旨として行われるものとする。 (国の責務) 第四条 国は、前条の基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。 (地方公共団体の責務) 第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、成年後見制度の利用の促進に関する施策に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。 (関係者の努力) 第六条 成年後見人等、成年後見等実施機関及び成年後見関連事業者は、基本理念にのっとり、その業務を行うとともに、国又は地方公共団体が実施する成年後見制度の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。 (国民の努力) 第七条 国民は、成年後見制度の重要性に関する関心と理解を深めるとともに、基本理念にのっとり、国又は地方公共団体が実施する成年後見制度の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。 (関係機関等の相互の連携) 第八条 国及び地方公共団体並びに成年後見人等、成年後見等実施機関及び成年後見関連事業者は、成年後見制度の利用の促進に関する施策の実施に当たっては、相互の緊密な連携の確保に努めるものとする。 2 地方公共団体は、成年後見制度の利用の促進に関する施策の実施に当たっては、特に、その地方公共団体の区域を管轄する家庭裁判所及び関係行政機関の地方支分部局並びにその地方公共団体の区域に所在する成年後見人等、成年後見等実施機関及び成年後見関連事業者その他の関係者との適切な連携を図るよう、留意するものとする。 (法制上の措置等) 第九条 政府は、第十一条に定める基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を速やかに講じなければならない。 この場合において、成年被後見人等の権利の制限に係る関係法律の改正その他の同条に定める基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上の措置については、この法律の施行後三年以内を目途として講ずるものとする。 (施策の実施の状況の公表) 第十条 政府は、毎年一回、成年後見制度の利用の促進に関する施策の実施の状況をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。 第二章 基本方針 第十一条 成年後見制度の利用の促進に関する施策は、成年後見制度の利用者の権利利益の保護に関する国際的動向を踏まえるとともに、高齢者、障害者等の福祉に関する施策との有機的な連携を図りつつ、次に掲げる基本方針に基づき、推進されるものとする。 一 成年後見制度を利用し又は利用しようとする者の能力に応じたきめ細かな対応を可能とする観点から、成年後見制度のうち利用が少ない保佐及び補助の制度の利用を促進するための方策について検討を加え、必要な措置を講ずること。 二 成年被後見人等の人権が尊重され、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないよう、成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度について検討を加え、必要な見直しを行うこと。 三 成年被後見人等であって医療、介護等を受けるに当たり意思を決定することが困難なものが円滑に必要な医療、介護等を受けられるようにするための支援の在り方について、成年後見人等の事務の範囲を含め検討を加え、必要な措置を講ずること。 四 成年被後見人等の死亡後における事務が適切に処理されるよう、成年後見人等の事務の範囲について検討を加え、必要な見直しを行うこと。 五 成年後見制度を利用し又は利用しようとする者の自発的意思を尊重する観点から、任意後見制度が積極的に活用されるよう、その利用状況を検証し、任意後見制度が適切にかつ安心して利用されるために必要な制度の整備その他の必要な措置を講ずること。 六 成年後見制度に関し国民の関心と理解を深めるとともに、成年後見制度がその利用を必要とする者に十分に利用されるようにするため、国民に対する周知及び啓発のために必要な措置を講ずること。 七 成年後見制度の利用に係る地域住民の需要に的確に対応するため、地域における成年後見制度の利用に係る需要の把握、地域住民に対する必要な情報の提供、相談の実施及び助言、市町村長による後見開始、保佐開始又は補助開始の審判の請求の積極的な活用その他の必要な措置を講ずること。 八 地域において成年後見人等となる人材を確保するため、成年後見人等又はその候補者に対する研修の機会の確保並びに必要な情報の提供、相談の実施及び助言、成年後見人等に対する報酬の支払の助成その他の成年後見人等又はその候補者に対する支援の充実を図るために必要な措置を講ずること。 九 前二号の措置を有効かつ適切に実施するため、成年後見人等又はその候補者の育成及び支援等を行う成年後見等実施機関の育成、成年後見制度の利用において成年後見等実施機関が積極的に活用されるための仕組みの整備その他の成年後見等実施機関の活動に対する支援のために必要な措置を講ずること。 十 成年後見人等の事務の監督並びに成年後見人等に対する相談の実施及び助言その他の支援に係る機能を強化するため、家庭裁判所、関係行政機関及び地方公共団体における必要な人的体制の整備その他の必要な措置を講ずること。 十一 家庭裁判所、関係行政機関及び地方公共団体並びに成年後見人等、成年後見等実施機関及び成年後見関連事業者の相互の緊密な連携を確保するため、成年後見制度の利用に関する指針の策定その他の必要な措置を講ずること。 第三章 成年後見制度利用促進基本計画 第十二条 政府は、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、成年後見制度の利用の促進に関する基本的な計画(以下「成年後見制度利用促進基本計画」という。)を定めなければならない。 2 成年後見制度利用促進基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 成年後見制度の利用の促進に関する目標 二 成年後見制度の利用の促進に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策 三 前二号に掲げるもののほか、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 3 法務大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、成年後見制度利用促進基本計画を変更しようとするときは、成年後見制度利用促進基本計画の変更の案につき閣議の決定を求めなければならない。 4 法務大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、変更後の成年後見制度利用促進基本計画をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。 第四章 成年後見制度利用促進会議 第十三条 政府は、関係行政機関相互の調整を行うことにより、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、成年後見制度利用促進会議を設けるものとする。 2 関係行政機関は、成年後見制度の利用の促進に関し専門的知識を有する者によって構成する成年後見制度利用促進専門家会議を設け、前項の調整を行うに際しては、その意見を聴くものとする。 3 成年後見制度利用促進会議及び成年後見制度利用促進専門家会議の庶務は、厚生労働省において処理する。 第五章 地方公共団体の講ずる措置 (市町村の講ずる措置) 第十四条 市町村は、成年後見制度利用促進基本計画を勘案して、当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めるよう努めるとともに、成年後見等実施機関の設立等に係る支援その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 2 市町村は、当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関して、基本的な事項を調査審議させる等のため、当該市町村の条例で定めるところにより、審議会その他の合議制の機関を置くよう努めるものとする。 (都道府県の講ずる措置) 第十五条 都道府県は、市町村が講ずる前条の措置を推進するため、各市町村の区域を超えた広域的な見地から、成年後見人等となる人材の育成、必要な助言その他の援助を行うよう努めるものとする。
民事
Heisei
CabinetOrder
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平成二十八年政令第二百十五号
46
成年後見制度利用促進会議令 (会長) 第一条 会長は、会務を総理する。 2 会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。 (庶務) 第二条 成年後見制度利用促進会議(次条において「会議」という。)の庶務は、内閣府大臣官房企画調整課において処理する。 (会議の運営) 第三条 前二条に定めるもののほか、議事の手続その他会議の運営に関し必要な事項は、会長が会議に諮って定める。
民事
Heisei
CabinetOrder
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平成二十八年政令第二百十六号
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成年後見制度利用促進委員会令 (議事) 第一条 成年後見制度利用促進委員会(以下「委員会」という。)の会議は、委員長が招集する。 2 委員会は、委員及び議事に関係のある臨時委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決することができない。 3 委員会の議事は、委員及び議事に関係のある臨時委員で会議に出席したものの過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。 (事務局長等) 第二条 委員会の事務局長は、関係のある他の職を占める者をもって充てられるものとする。 2 前項に定めるもののほか、委員会の事務局の内部組織の細目は、内閣府令で定める。 (委員会の運営) 第三条 前二条に定めるもののほか、議事の手続その他委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が委員会に諮って定める。
民事
Heisei
CabinetOrder
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平成二十八年政令第三百二十五号
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被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第二条の災害を定める政令 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第二条の災害として、平成二十八年熊本地震による災害を定める。
民事
Heisei
MinisterialOrdinance
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平成二十八年内閣府令第四十一号
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成年後見制度利用促進委員会事務局組織規則 (参事官) 第一条 成年後見制度利用促進委員会事務局(次条において「事務局」という。)に、参事官二人(関係のある他の職を占める者をもって充てられるものとする。)を置く。 2 参事官は、命を受けて、局務を分掌し、又は局務に関する重要事項の調査審議に参画する。 (企画官) 第二条 事務局に、企画官一人(関係のある他の職を占める者をもって充てられるものとする。)を置く。 2 企画官は、命を受けて、局務のうち特定事項の調査、企画及び立案を行う。
民事
Heisei
Act
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平成三十年法律第七十三号
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法務局における遺言書の保管等に関する法律 (趣旨) 第一条 この法律は、法務局(法務局の支局及び出張所、法務局の支局の出張所並びに地方法務局及びその支局並びにこれらの出張所を含む。次条第一項において同じ。)における遺言書(民法(明治二十九年法律第八十九号)第九百六十八条の自筆証書によってした遺言に係る遺言書をいう。以下同じ。)の保管及び情報の管理に関し必要な事項を定めるとともに、その遺言書の取扱いに関し特別の定めをするものとする。 (遺言書保管所) 第二条 遺言書の保管に関する事務は、法務大臣の指定する法務局が、遺言書保管所としてつかさどる。 2 前項の指定は、告示してしなければならない。 (遺言書保管官) 第三条 遺言書保管所における事務は、遺言書保管官(遺言書保管所に勤務する法務事務官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者をいう。以下同じ。)が取り扱う。 (遺言書の保管の申請) 第四条 遺言者は、遺言書保管官に対し、遺言書の保管の申請をすることができる。 2 前項の遺言書は、法務省令で定める様式に従って作成した無封のものでなければならない。 3 第一項の申請は、遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所(遺言者の作成した他の遺言書が現に遺言書保管所に保管されている場合にあっては、当該他の遺言書が保管されている遺言書保管所)の遺言書保管官に対してしなければならない。 4 第一項の申請をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、遺言書に添えて、次に掲げる事項を記載した申請書を遺言書保管官に提出しなければならない。 一 遺言書に記載されている作成の年月日 二 遺言者の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍) 三 遺言書に次に掲げる者の記載があるときは、その氏名又は名称及び住所 イ 受遺者 ロ 民法第千六条第一項の規定により指定された遺言執行者 四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項 5 前項の申請書には、同項第二号に掲げる事項を証明する書類その他法務省令で定める書類を添付しなければならない。 6 遺言者が第一項の申請をするときは、遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。 (遺言書保管官による本人確認) 第五条 遺言書保管官は、前条第一項の申請があった場合において、申請人に対し、法務省令で定めるところにより、当該申請人が本人であるかどうかの確認をするため、当該申請人を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を示す書類の提示若しくは提出又はこれらの事項についての説明を求めるものとする。 (遺言書の保管等) 第六条 遺言書の保管は、遺言書保管官が遺言書保管所の施設内において行う。 2 遺言者は、その申請に係る遺言書が保管されている遺言書保管所(第四項及び第八条において「特定遺言書保管所」という。)の遺言書保管官に対し、いつでも当該遺言書の閲覧を請求することができる。 3 前項の請求をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、その旨を記載した請求書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。 4 遺言者が第二項の請求をするときは、特定遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。 この場合においては、前条の規定を準用する。 5 遺言書保管官は、第一項の規定による遺言書の保管をする場合において、遺言者の死亡の日(遺言者の生死が明らかでない場合にあっては、これに相当する日として政令で定める日)から相続に関する紛争を防止する必要があると認められる期間として政令で定める期間が経過した後は、これを廃棄することができる。 (遺言書に係る情報の管理) 第七条 遺言書保管官は、前条第一項の規定により保管する遺言書について、次項に定めるところにより、当該遺言書に係る情報の管理をしなければならない。 2 遺言書に係る情報の管理は、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。)をもって調製する遺言書保管ファイルに、次に掲げる事項を記録することによって行う。 一 遺言書の画像情報 二 第四条第四項第一号から第三号までに掲げる事項 三 遺言書の保管を開始した年月日 四 遺言書が保管されている遺言書保管所の名称及び保管番号 3 前条第五項の規定は、前項の規定による遺言書に係る情報の管理について準用する。 この場合において、同条第五項中「廃棄する」とあるのは、「消去する」と読み替えるものとする。 (遺言書の保管の申請の撤回) 第八条 遺言者は、特定遺言書保管所の遺言書保管官に対し、いつでも、第四条第一項の申請を撤回することができる。 2 前項の撤回をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、その旨を記載した撤回書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。 3 遺言者が第一項の撤回をするときは、特定遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。 この場合においては、第五条の規定を準用する。 4 遺言書保管官は、遺言者が第一項の撤回をしたときは、遅滞なく、当該遺言者に第六条第一項の規定により保管している遺言書を返還するとともに、前条第二項の規定により管理している当該遺言書に係る情報を消去しなければならない。 (遺言書情報証明書の交付等) 第九条 次に掲げる者(以下この条において「関係相続人等」という。)は、遺言書保管官に対し、遺言書保管所に保管されている遺言書(その遺言者が死亡している場合に限る。)について、遺言書保管ファイルに記録されている事項を証明した書面(第五項及び第十二条第一項第三号において「遺言書情報証明書」という。)の交付を請求することができる。 一 当該遺言書の保管を申請した遺言者の相続人(民法第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者及び相続の放棄をした者を含む。以下この条において同じ。) 二 前号に掲げる者のほか、当該遺言書に記載された次に掲げる者又はその相続人(ロに規定する母の相続人の場合にあっては、ロに規定する胎内に在る子に限る。) イ 第四条第四項第三号イに掲げる者 ロ 民法第七百八十一条第二項の規定により認知するものとされた子(胎内に在る子にあっては、その母) ハ 民法第八百九十三条の規定により廃除する意思を表示された推定相続人(同法第八百九十二条に規定する推定相続人をいう。以下このハにおいて同じ。)又は同法第八百九十四条第二項において準用する同法第八百九十三条の規定により廃除を取り消す意思を表示された推定相続人 ニ 民法第八百九十七条第一項ただし書の規定により指定された祖先の祭 祀 し を主宰すべき者 ホ 国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)第十七条の五第三項の規定により遺族補償一時金を受けることができる遺族のうち特に指定された者又は地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)第三十七条第三項の規定により遺族補償一時金を受けることができる遺族のうち特に指定された者 ヘ 信託法(平成十八年法律第百八号)第三条第二号に掲げる方法によって信託がされた場合においてその受益者となるべき者として指定された者若しくは残余財産の帰属すべき者となるべき者として指定された者又は同法第八十九条第二項の規定による受益者指定権等の行使により受益者となるべき者 ト 保険法(平成二十年法律第五十六号)第四十四条第一項又は第七十三条第一項の規定による保険金受取人の変更により保険金受取人となるべき者 チ イからトまでに掲げる者のほか、これらに類するものとして政令で定める者 三 前二号に掲げる者のほか、当該遺言書に記載された次に掲げる者 イ 第四条第四項第三号ロに掲げる者 ロ 民法第八百三十条第一項の財産について指定された管理者 ハ 民法第八百三十九条第一項の規定により指定された未成年後見人又は同法第八百四十八条の規定により指定された未成年後見監督人 ニ 民法第九百二条第一項の規定により共同相続人の相続分を定めることを委託された第三者、同法第九百八条の規定により遺産の分割の方法を定めることを委託された第三者又は同法第千六条第一項の規定により遺言執行者の指定を委託された第三者 ホ 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第七十五条第二項の規定により同条第一項の登録について指定を受けた者又は同法第百十六条第三項の規定により同条第一項の請求について指定を受けた者 ヘ 信託法第三条第二号に掲げる方法によって信託がされた場合においてその受託者となるべき者、信託管理人となるべき者、信託監督人となるべき者又は受益者代理人となるべき者として指定された者 ト イからヘまでに掲げる者のほか、これらに類するものとして政令で定める者 2 前項の請求は、自己が関係相続人等に該当する遺言書(以下この条及び次条第一項において「関係遺言書」という。)を現に保管する遺言書保管所以外の遺言書保管所の遺言書保管官に対してもすることができる。 3 関係相続人等は、関係遺言書を保管する遺言書保管所の遺言書保管官に対し、当該関係遺言書の閲覧を請求することができる。 4 第一項又は前項の請求をしようとする者は、法務省令で定めるところにより、その旨を記載した請求書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。 5 遺言書保管官は、第一項の請求により遺言書情報証明書を交付し又は第三項の請求により関係遺言書の閲覧をさせたときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該関係遺言書を保管している旨を遺言者の相続人並びに当該関係遺言書に係る第四条第四項第三号イ及びロに掲げる者に通知するものとする。 ただし、それらの者が既にこれを知っているときは、この限りでない。 (遺言書保管事実証明書の交付) 第十条 何人も、遺言書保管官に対し、遺言書保管所における関係遺言書の保管の有無並びに当該関係遺言書が保管されている場合には遺言書保管ファイルに記録されている第七条第二項第二号(第四条第四項第一号に係る部分に限る。)及び第四号に掲げる事項を証明した書面(第十二条第一項第三号において「遺言書保管事実証明書」という。)の交付を請求することができる。 2 前条第二項及び第四項の規定は、前項の請求について準用する。 (遺言書の検認の適用除外) 第十一条 民法第千四条第一項の規定は、遺言書保管所に保管されている遺言書については、適用しない。 (手数料) 第十二条 次の各号に掲げる者は、物価の状況のほか、当該各号に定める事務に要する実費を考慮して政令で定める額の手数料を納めなければならない。 一 遺言書の保管の申請をする者 遺言書の保管及び遺言書に係る情報の管理に関する事務 二 遺言書の閲覧を請求する者 遺言書の閲覧及びそのための体制の整備に関する事務 三 遺言書情報証明書又は遺言書保管事実証明書の交付を請求する者 遺言書情報証明書又は遺言書保管事実証明書の交付及びそのための体制の整備に関する事務 2 前項の手数料の納付は、収入印紙をもってしなければならない。 (行政手続法の適用除外) 第十三条 遺言書保管官の処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章の規定は、適用しない。 (行政機関の保有する情報の公開に関する法律の適用除外) 第十四条 遺言書保管所に保管されている遺言書及び遺言書保管ファイルについては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。 (個人情報の保護に関する法律の適用除外) 第十五条 遺言書保管所に保管されている遺言書及び遺言書保管ファイルに記録されている保有個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第六十条第一項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第五章第四節の規定は、適用しない。 (審査請求) 第十六条 遺言書保管官の処分に不服がある者又は遺言書保管官の不作為に係る処分を申請した者は、監督法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができる。 2 審査請求をするには、遺言書保管官に審査請求書を提出しなければならない。 3 遺言書保管官は、処分についての審査請求を理由があると認め、又は審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと認めるときは、相当の処分をしなければならない。 4 遺言書保管官は、前項に規定する場合を除き、三日以内に、意見を付して事件を監督法務局又は地方法務局の長に送付しなければならない。 この場合において、監督法務局又は地方法務局の長は、当該意見を行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第十一条第二項に規定する審理員に送付するものとする。 5 法務局又は地方法務局の長は、処分についての審査請求を理由があると認め、又は審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと認めるときは、遺言書保管官に相当の処分を命じ、その旨を審査請求人のほか利害関係人に通知しなければならない。 6 法務局又は地方法務局の長は、審査請求に係る不作為に係る処分についての申請を却下すべきものと認めるときは、遺言書保管官に当該申請を却下する処分を命じなければならない。 7 第一項の審査請求に関する行政不服審査法の規定の適用については、同法第二十九条第五項中「処分庁等」とあるのは「審査庁」と、「弁明書の提出」とあるのは「法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成三十年法律第七十三号)第十六条第四項に規定する意見の送付」と、同法第三十条第一項中「弁明書」とあるのは「法務局における遺言書の保管等に関する法律第十六条第四項の意見」とする。 (行政不服審査法の適用除外) 第十七条 行政不服審査法第十三条、第十五条第六項、第十八条、第二十一条、第二十五条第二項から第七項まで、第二十九条第一項から第四項まで、第三十一条、第三十七条、第四十五条第三項、第四十六条、第四十七条、第四十九条第三項(審査請求に係る不作為が違法又は不当である旨の宣言に係る部分を除く。)から第五項まで及び第五十二条の規定は、前条第一項の審査請求については、適用しない。 (政令への委任) 第十八条 この法律に定めるもののほか、遺言書保管所における遺言書の保管及び情報の管理に関し必要な事項は、政令で定める。
民事
Heisei
MinisterialOrdinance
430M60000010028_20240401_506M60000010007.xml
平成三十年法務省令第二十八号
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所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する不動産登記法の特例に関する省令 (法定相続人情報) 第一条 登記官は、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(以下「法」という。)第四十四条第一項の規定により長期相続登記等未了土地(法第二条第四項の特定登記未了土地に該当し、かつ、当該土地の所有権の登記名義人の死亡後十年間を超えて相続による所有権の移転の登記その他の所有権の登記がされていない土地をいう。以下同じ。)の所有権の登記名義人となり得る者の探索を行った場合には、当該長期相続登記等未了土地の所有権の登記名義人に係る法定相続人情報を作成するものとする。 2 法定相続人情報には、次の各号に掲げる事項を記録するものとする。 一 被相続人である所有権の登記名義人の氏名、出生の年月日、最後の住所、登記簿上の住所及び本籍並びに死亡の年月日 二 前号の登記名義人の相続人(被相続人又はその相続人の戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書により確認することができる相続人となり得る者をいう。以下この項において同じ。)の氏名、出生の年月日、住所及び当該登記名義人との続柄(当該相続人が死亡しているときにあっては、氏名、出生の年月日、当該登記名義人との続柄及び死亡の年月日) 三 第一号の登記名義人の相続人(以下この項において「第一次相続人」という。)が死亡している場合には、第一次相続人の相続人(次号において「第二次相続人」という。)の氏名、出生の年月日、住所及び第一次相続人との続柄(当該相続人が死亡しているときにあっては、氏名、出生の年月日、当該第一次相続人との続柄及び死亡の年月日) 四 第二次相続人が死亡しているときは、第二次相続人を第一次相続人と、第二次相続人を第一次相続人の相続人とみなして、前号の規定を適用する。 当該相続人(その相続人を含む。)が死亡しているときも、同様とする。 五 相続人の全部又は一部が判明しないときは、その旨 六 作成番号 七 作成の年月日 3 前項第六号に規定する作成番号は、十二桁の番号とし、登記所ごとに第一項の法定相続人情報を作成する順序に従って付すものとする。 4 登記官は、第一項の法定相続人情報を電磁的記録で作成し、これを保存するものとする。 (付記登記) 第二条 法第四十四条第一項の事項の登記は、付記登記によってするものとする。 (登記の手続等) 第三条 登記官は、職権で法第四十四条第一項の事項の登記をしようとするときは、職権付記登記事件簿に登記の目的、立件の年月日及び立件の際に付した番号並びに不動産所在事項を記録するものとする。 2 法第四十四条第一項の法務省令で定める事項は、第一条第二項第五号及び第六号に規定する事項とする。 (勧告等) 第四条 法第四十四条第二項に規定する勧告は、次に掲げる事項を明らかにしてするものとする。 一 長期相続登記等未了土地に係る不動産所在事項及び不動産番号 二 所有権の登記名義人となり得る者 2 法第四十四条第二項に規定する通知は、次に掲げる事項を明らかにしてするものとする。 一 長期相続登記等未了土地の所在地を管轄する登記所 二 登記の申請に必要な情報 (帳簿等) 第五条 登記所には、法定相続人情報つづり込み帳及び職権付記登記事件簿を備えるものとする。 2 法定相続人情報つづり込み帳には、不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)第十九条の規定にかかわらず、関係地方公共団体の長その他の者への照会書の写し、提出された資料、法定相続人情報の内容を書面に出力したもの及び第二条の付記登記に関する書類をつづり込むものとする。 (保存期間) 第六条 次の各号に掲げる情報の保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。 一 法定相続人情報 付記登記を抹消した日から三十年間 二 職権付記登記事件簿に記録された情報 立件の日から五年間 2 法定相続人情報つづり込み帳の保存期間は、作成の年の翌年から十年間とする。 (登記の抹消) 第七条 登記官は、法第四十四条第一項の事項の登記がされた所有権の登記名義人について所有権の移転の登記をしたとき(これにより当該登記名義人が所有権の登記名義人でなくなった場合に限る。)は、職権で、当該法第四十四条第一項の事項の登記の抹消の登記をするとともに、抹消すべき登記を抹消する記号を記録しなければならない。 (添付情報の省略) 第八条 表題部所有者又は登記名義人の相続人が登記の申請をする場合において、当該表題部所有者又は登記名義人に係る法定相続人情報の作成番号(法定相続人情報に第一条第二項第五号に規定する事項の記録がないものに限る。)を提供したときは、当該作成番号の提供をもって、相続があったことを証する市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区長又は総合区長とする。次項において同じ。)その他の公務員が職務上作成した情報の提供に代えることができる。 2 表題部所有者の相続人が所有権の保存の登記の申請をする場合又は登記名義人の相続人が相続による権利の移転の登記の申請をする場合において、法定相続人情報の作成番号(法定相続人情報に当該相続人の住所が記録されている場合に限る。)を提供したときは、当該作成番号の提供をもって、登記名義人となる者の住所を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報の提供に代えることができる。 3 相続人申出(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第七十六条の三第一項の規定による申出をいう。次項において同じ。)をする場合において、申出人が所有権の登記名義人又は中間相続人(不動産登記規則第百五十八条の十九第一項第一号に規定する中間相続人をいう。以下この項において同じ。)に係る法定相続人情報の作成番号(法定相続人情報に当該申出人が所有権の登記名義人又は中間相続人の相続人として記録されている場合に限る。)を提供したときは、当該作成番号の提供をもって、同条第二項第一号又は第三号イに掲げる情報の提供に代えることができる。 4 相続人申出をする場合において、申出人が法定相続人情報の作成番号(法定相続人情報に当該申出人の住所が記録されている場合に限る。)を提供したときは、当該作成番号の提供をもって、不動産登記規則第百五十八条の十九第二項第二号に掲げる情報の提供に代えることができる。
民事
Heisei
MinisterialOrdinance
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平成三十年法務省令第二十九号
46
民法第九百九条の二に規定する法務省令で定める額を定める省令 民法第九百九条の二に規定する法務省令で定める額は、百五十万円とする。
民事
Reiwa
Act
501AC0000000015_20230401_503AC0000000024.xml
令和元年法律第十五号
46
表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化を図るため、登記官による表題部所有者不明土地の所有者等の探索及び当該探索の結果に基づく表題部所有者の登記並びに所有者等特定不能土地及び特定社団等帰属土地の管理に関する措置を講ずることにより、表題部所有者不明土地に係る権利関係の明確化及びその適正な利用を促進し、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「表題部所有者不明土地」とは、所有権(その共有持分を含む。次項において同じ。)の登記がない一筆の土地のうち、表題部に所有者の氏名又は名称及び住所の全部又は一部が登記されていないもの(国、地方公共団体その他法務省令で定める者が所有していることが登記記録上明らかであるものを除く。)をいう。 2 この法律において「所有者等」とは、所有権が帰属し、又は帰属していた自然人又は法人(法人でない社団又は財団(以下「法人でない社団等」という。)を含む。)をいう。 3 この法律において「所有者等特定不能土地」とは、第十五条第一項第四号イに定める登記がある表題部所有者不明土地(表題部所有者不明土地の共有持分について当該登記がされている場合にあっては、その共有持分)をいう。 4 この法律において「特定社団等帰属土地」とは、第十五条第一項第四号ロに定める登記がある表題部所有者不明土地(表題部所有者不明土地の共有持分について当該登記がされている場合にあっては、その共有持分)であって、現に法人でない社団等に属するものをいう。 5 この法律において「登記記録」、「表題部」又は「表題部所有者」とは、それぞれ不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第二条第五号、第七号又は第十号に規定する登記記録、表題部又は表題部所有者をいう。 第二章 表題部所有者不明土地の表題部所有者の登記 第一節 登記官による所有者等の探索 (所有者等の探索の開始) 第三条 登記官は、表題部所有者不明土地(第十五条第一項第四号に定める登記があるものを除く。以下この章において同じ。)について、当該表題部所有者不明土地の利用の現況、当該表題部所有者不明土地の周辺の地域の自然的社会的諸条件及び当該地域における他の表題部所有者不明土地の分布状況その他の事情を考慮して、表題部所有者不明土地の登記の適正化を図る必要があると認めるときは、職権で、その所有者等の探索を行うものとする。 2 登記官は、前項の探索を行おうとするときは、あらかじめ、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 (意見又は資料の提出) 第四条 前条第二項の規定による公告があったときは、利害関係人は、登記官に対し、表題部所有者不明土地の所有者等について、意見又は資料を提出することができる。 この場合において、登記官が意見又は資料を提出すべき相当の期間を定め、かつ、法務省令で定めるところによりその旨を公告したときは、その期間内にこれを提出しなければならない。 (登記官による調査) 第五条 登記官は、第三条第一項の探索のため、表題部所有者不明土地又はその周辺の地域に所在する土地の実地調査をすること、表題部所有者不明土地の所有者、占有者その他の関係者からその知っている事実を聴取し又は資料の提出を求めることその他表題部所有者不明土地の所有者等の探索のために必要な調査をすることができる。 (立入調査) 第六条 法務局又は地方法務局の長は、登記官が前条の規定により表題部所有者不明土地又はその周辺の地域に所在する土地の実地調査をする場合において、必要があると認めるときは、その必要の限度において、登記官に、他人の土地に立ち入らせることができる。 2 法務局又は地方法務局の長は、前項の規定により登記官を他人の土地に立ち入らせようとするときは、あらかじめ、その旨並びにその日時及び場所を当該土地の占有者に通知しなければならない。 3 第一項の規定により宅地又は垣、柵等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする登記官は、その立入りの際、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に告げなければならない。 4 日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があった場合を除き、前項に規定する土地に立ち入ってはならない。 5 土地の占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。 6 第一項の規定による立入りをする場合には、登記官は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。 7 国は、第一項の規定による立入りによって損失を受けた者があるときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。 (調査の嘱託) 第七条 登記官は、表題部所有者不明土地の関係者が遠隔の地に居住しているとき、その他相当と認めるときは、他の登記所の登記官に第五条の調査を嘱託することができる。 (情報の提供の求め) 第八条 登記官は、第三条第一項の探索のために必要な限度で、関係地方公共団体の長その他の者に対し、表題部所有者不明土地の所有者等に関する情報の提供を求めることができる。 第二節 所有者等探索委員による調査 (所有者等探索委員) 第九条 法務局及び地方法務局に、第三条第一項の探索のために必要な調査をさせ、登記官に意見を提出させるため、所有者等探索委員若干人を置く。 2 所有者等探索委員は、前項の職務を行うのに必要な知識及び経験を有する者のうちから、法務局又は地方法務局の長が任命する。 3 所有者等探索委員の任期は、二年とする。 4 所有者等探索委員は、再任されることができる。 5 所有者等探索委員は、非常勤とする。 (所有者等探索委員の解任) 第十条 法務局又は地方法務局の長は、所有者等探索委員が次の各号のいずれかに該当するときは、その所有者等探索委員を解任することができる。 一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。 二 職務上の義務違反その他所有者等探索委員たるに適しない非行があると認められるとき。 (所有者等探索委員による調査等) 第十一条 登記官は、第三条第一項の探索を行う場合において、必要があると認めるときは、所有者等探索委員に必要な調査をさせることができる。 2 前項の規定により調査を行うべき所有者等探索委員は、法務局又は地方法務局の長が指定する。 3 法務局又は地方法務局の長は、その職員に、第一項の調査を補助させることができる。 (所有者等探索委員による調査への準用) 第十二条 第五条及び第六条の規定は、所有者等探索委員による前条第一項の調査について準用する。 この場合において、第六条第一項中「登記官に」とあるのは「所有者等探索委員又は第十一条第三項の職員(以下この条において「所有者等探索委員等」という。)に」と、同条第二項、第三項及び第六項中「登記官」とあるのは「所有者等探索委員等」と読み替えるものとする。 (所有者等探索委員の意見の提出) 第十三条 所有者等探索委員は、第十一条第一項の調査を終了したときは、遅滞なく、登記官に対し、その意見を提出しなければならない。 第三節 所有者等の特定及び表題部所有者の登記 (所有者等の特定) 第十四条 登記官は、前二節の規定による探索(次節において「所有者等の探索」という。)により得られた情報の内容その他の事情を総合的に考慮して、当該探索に係る表題部所有者不明土地が第一号から第三号までのいずれに該当するかの判断(第一号又は第三号にあっては、表題部所有者として登記すべき者(表題部所有者不明土地の所有者等のうち、表題部所有者として登記することが適当である者をいう。以下同じ。)の氏名又は名称及び住所の特定を含む。)をするとともに、第四号に掲げる場合には、その事由が同号イ又はロのいずれに該当するかの判断をするものとする。 この場合において、当該表題部所有者不明土地が数人の共有に属し、かつ、その共有持分の特定をすることができるときは、当該共有持分についても特定をするものとする。 一 当該表題部所有者不明土地の表題部所有者として登記すべき者があるとき(当該表題部所有者不明土地が数人の共有に属する場合にあっては、全ての共有持分について表題部所有者として登記すべき者があるとき。)。 二 当該表題部所有者不明土地の表題部所有者として登記すべき者がないとき(当該表題部所有者不明土地が数人の共有に属する場合にあっては、全ての共有持分について表題部所有者として登記すべき者がないとき。)。 三 当該表題部所有者不明土地が数人の共有に属する場合において、表題部所有者として登記すべき者がない共有持分があるとき(前号に掲げる場合を除く。)。 四 前二号のいずれかに該当する場合において、その事由が次のいずれかに該当するとき。 イ 当該表題部所有者不明土地(当該表題部所有者不明土地が数人の共有に属する場合にあっては、その共有持分。ロにおいて同じ。)の所有者等を特定することができなかったこと。 ロ 当該表題部所有者不明土地の所有者等を特定することができた場合であって、当該表題部所有者不明土地が法人でない社団等に属するとき又は法人でない社団等に属していたとき(当該法人でない社団等以外の所有者等に属するときを除く。)において、表題部所有者として登記すべき者を特定することができないこと。 2 登記官は、前項の判断(同項の特定を含む。以下この章において「所有者等の特定」という。)をしたときは、その理由その他法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。)を作成しなければならない。 (表題部所有者の登記) 第十五条 登記官は、所有者等の特定をしたときは、当該所有者等の特定に係る表題部所有者不明土地につき、職権で、遅滞なく、表題部所有者の登記を抹消しなければならない。 この場合において、登記官は、不動産登記法第二十七条第三号の規定にかかわらず、当該表題部所有者不明土地の表題部に、次の各号に掲げる所有者等の特定の区分に応じ、当該各号に定める事項を登記するものとする。 一 前条第一項第一号に掲げる場合 当該表題部所有者不明土地の表題部所有者として登記すべき者の氏名又は名称及び住所(同項後段の特定をした場合にあっては、その共有持分を含む。) 二 前条第一項第二号に掲げる場合 その旨(同項後段の特定をした場合にあっては、その共有持分を含む。) 三 前条第一項第三号に掲げる場合 当該表題部所有者不明土地の表題部所有者として登記すべき者がある共有持分についてはその者の氏名又は名称及び住所(同項後段の特定をした場合にあっては、その共有持分を含む。)、表題部所有者として登記すべき者がない共有持分についてはその旨(同項後段の特定をした場合にあっては、その共有持分を含む。) 四 前条第一項第四号に掲げる場合 次のイ又はロに掲げる同号の事由の区分に応じ、当該イ又はロに定める事項 イ 前条第一項第四号イに掲げる場合 その旨 ロ 前条第一項第四号ロに掲げる場合 その旨 2 登記官は、前項の規定による登記をしようとするときは、あらかじめ、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 (登記後の公告) 第十六条 登記官は、前条第一項の規定による登記をしたときは、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 第四節 雑則 (所有者等の探索の中止) 第十七条 登記官は、表題部所有者不明土地に関する権利関係について訴訟が係属しているとき、その他相当でないと認めるときは、前三節の規定にかかわらず、表題部所有者不明土地に係る所有者等の探索、所有者等の特定及び登記に係る手続を中止することができる。 この場合においては、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 (法務省令への委任) 第十八条 この章に定めるもののほか、表題部所有者不明土地に係る所有者等の探索、所有者等の特定及び登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。 第三章 所有者等特定不能土地の管理 (特定不能土地等管理命令) 第十九条 裁判所は、所有者等特定不能土地について、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、その申立てに係る所有者等特定不能土地を対象として、特定不能土地等管理者(次条第一項に規定する特定不能土地等管理者をいう。第五項において同じ。)による管理を命ずる処分(以下「特定不能土地等管理命令」という。)をすることができる。 2 前項の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。 3 裁判所は、特定不能土地等管理命令を変更し、又は取り消すことができる。 4 特定不能土地等管理命令及び前項の規定による決定に対しては、利害関係人に限り、即時抗告をすることができる。 5 特定不能土地等管理命令は、特定不能土地等管理命令が発令された後に当該特定不能土地等管理命令が取り消された場合において、所有者等特定不能土地の管理、処分その他の事由により特定不能土地等管理者が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。 (特定不能土地等管理者の選任等) 第二十条 裁判所は、特定不能土地等管理命令をする場合には、当該特定不能土地等管理命令において、特定不能土地等管理者を選任しなければならない。 2 前項の規定による特定不能土地等管理者の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 3 特定不能土地等管理命令があった場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地について、特定不能土地等管理命令の登記を嘱託しなければならない。 4 特定不能土地等管理命令を取り消す裁判があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、特定不能土地等管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならない。 (特定不能土地等管理者の権限) 第二十一条 前条第一項の規定により特定不能土地等管理者が選任された場合には、特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地及びその管理、処分その他の事由により特定不能土地等管理者が得た財産(以下「所有者等特定不能土地等」という。)の管理及び処分をする権利は、特定不能土地等管理者に専属する。 2 特定不能土地等管理者が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。 一 保存行為 二 所有者等特定不能土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為 3 前項の規定に違反して行った特定不能土地等管理者の行為は、無効とする。 ただし、特定不能土地等管理者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。 4 特定不能土地等管理者は、第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。 5 第二項の許可の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。 6 第二項の規定による許可の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (所有者等特定不能土地等の管理) 第二十二条 特定不能土地等管理者は、就職の後直ちに特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等の管理に着手しなければならない。 (特定不能土地等管理命令が発せられた場合の所有者等特定不能土地等に関する訴えの取扱い) 第二十三条 特定不能土地等管理命令が発せられた場合には、所有者等特定不能土地等に関する訴えについては、特定不能土地等管理者を原告又は被告とする。 2 特定不能土地等管理命令が発せられた場合には、当該特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等に関する訴訟手続で当該所有者等特定不能土地等の所有者(所有権(その共有持分を含む。)が帰属する自然人又は法人(法人でない社団等を含む。)をいう。以下この章において同じ。)を当事者とするものは、中断する。 3 前項の規定により中断した訴訟手続は、特定不能土地等管理者においてこれを受け継ぐことができる。 この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。 4 特定不能土地等管理命令が取り消されたときは、特定不能土地等管理者を当事者とする所有者等特定不能土地等に関する訴訟手続は、中断する。 5 所有者等特定不能土地等の所有者は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継がなければならない。 この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。 (特定不能土地等管理者の義務) 第二十四条 特定不能土地等管理者は、特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等の所有者のために、善良な管理者の注意をもって、第二十一条第一項の権限を行使しなければならない。 2 特定不能土地等管理者は、特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等の所有者のために、誠実かつ公平に第二十一条第一項の権限を行使しなければならない。 (特定不能土地等管理者の辞任) 第二十五条 特定不能土地等管理者は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。 2 特定不能土地等管理者は、前項の許可の申立てをする場合には、その原因となる事実を疎明しなければならない。 3 第一項の許可の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。 4 第一項の規定による辞任の許可の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 (特定不能土地等管理者の解任) 第二十六条 特定不能土地等管理者がその任務に違反して特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、特定不能土地等管理者を解任することができる。 2 裁判所は、前項の規定により特定不能土地等管理者を解任する場合には、特定不能土地等管理者の陳述を聴かなければならない。 3 第一項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。 4 第一項の規定による解任の裁判に対しては、利害関係人に限り、即時抗告をすることができる。 (特定不能土地等管理者の報酬等) 第二十七条 特定不能土地等管理者は、特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。 2 前項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判をする場合には、特定不能土地等管理者の陳述を聴かなければならない。 3 第一項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判に対しては、特定不能土地等管理者に限り、即時抗告をすることができる。 (供託等) 第二十八条 特定不能土地等管理者は、特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その所有者のために、当該金銭を当該所有者等特定不能土地の所在地の供託所に供託することができる。 2 特定不能土地等管理者は、前項の規定による供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。 (特定不能土地等管理命令の取消し) 第二十九条 裁判所は、特定不能土地等管理者が管理すべき財産がなくなったとき(特定不能土地等管理者が管理すべき財産の全部が前条第一項の規定により供託されたときを含む。)、その他特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等の管理を継続することが相当でなくなったときは、特定不能土地等管理者若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、特定不能土地等管理命令を取り消さなければならない。 2 特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等の所有者が当該所有者等特定不能土地等の所有権(その共有持分を含む。)が自己に帰属することを証明したときは、裁判所は、当該所有者の申立てにより、特定不能土地等管理命令を取り消さなければならない。 3 前項の規定により当該特定不能土地等管理命令が取り消されたときは、特定不能土地等管理者は、当該所有者に対し、その事務の経過及び結果を報告し、当該所有者等特定不能土地等を引き渡さなければならない。 4 第一項又は第二項の規定による決定に対しては、利害関係人に限り、即時抗告をすることができる。 第四章 特定社団等帰属土地の管理 第三十条 裁判所は、特定社団等帰属土地について、当該特定社団等帰属土地が帰属する法人でない社団等の代表者又は管理人が選任されておらず、かつ、当該法人でない社団等の全ての構成員を特定することができず、又はその所在が明らかでない場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、その申立てに係る特定社団等帰属土地を対象として、特定社団等帰属土地等管理者による管理を命ずる処分(次項において「特定社団等帰属土地等管理命令」という。)をすることができる。 2 前章(第十九条第一項を除く。)の規定は、特定社団等帰属土地等管理命令について準用する。 この場合において、同条第二項中「前項」とあるのは「第三十条第一項」と、第二十一条第一項及び第二項第二号、第二十二条、第二十三条(第三項を除く。)、第二十四条、第二十六条第一項、第二十七条第一項、第二十八条第一項並びに前条第一項及び第三項中「所有者等特定不能土地等」とあるのは「特定社団等帰属土地等」と、第二十三条第二項中「自然人又は法人(法人でない社団等を含む。)」とあるのは「法人でない社団等」と、前条第二項中「所有者等特定不能土地等の所有者」とあるのは「特定社団等帰属土地等の所有者」と、「所有者等特定不能土地等の所有権(その共有持分を含む。)が自己に帰属すること」とあるのは「特定社団等帰属土地等が帰属する法人でない社団等の代表者又は管理人が選任されたこと」と読み替えるものとする。 第五章 雑則 (非訟事件の管轄) 第三十一条 この法律の規定による非訟事件は、表題部所有者不明土地の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 (適用除外) 第三十二条 所有者等特定不能土地及び特定社団等帰属土地(いずれも第十五条第一項第四号イ又はロに定める登記をする前に民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条の二第一項の規定による命令がされたものを除く。)については、同条から同法第二百六十四条の七までの規定は、適用しない。 2 この法律の規定による非訟事件については、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第四十条及び第五十七条第二項第二号の規定は、適用しない。 (最高裁判所規則) 第三十三条 この法律に定めるもののほか、この法律の規定による非訟事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第六章 罰則 第三十四条 第六条第五項(第十二条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、第六条第一項(第十二条において準用する場合を含む。)の規定による立入りを拒み、又は妨げた者は、三十万円以下の罰金に処する。 第三十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の刑を科する。
民事
Reiwa
CabinetOrder
501CO0000000178_20220401_503CO0000000292.xml
令和元年政令第百七十八号
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法務局における遺言書の保管等に関する政令 (趣旨) 第一条 この政令は、法務局における遺言書の保管等に関する法律(以下「法」という。)の規定による遺言書の保管及び情報の管理に関し必要な事項を定めるものとする。 (遺言書の保管の申請の却下) 第二条 遺言書保管官は、次の各号のいずれかに該当する場合には、理由を付した決定で、法第四条第一項の申請を却下しなければならない。 一 当該申請が遺言者以外の者によるものであるとき、又は申請人が遺言者であることの証明がないとき。 二 当該申請に係る遺言書が、法第一条に規定する遺言書でないとき、又は法第四条第二項に規定する様式に従って作成した無封のものでないとき。 三 当該申請が法第四条第三項に規定する遺言書保管官に対してされたものでないとき。 四 申請書が法第四条第四項に定めるところにより提出されなかったとき。 五 申請書に法第四条第五項に規定する書類を添付しないとき。 六 法第四条第六項の規定に違反して、遺言者が出頭しないとき。 七 申請書又はその添付書類の記載が当該申請書の添付書類又は当該申請に係る遺言書の記載と抵触するとき。 八 法第十二条第一項の手数料を納付しないとき。 (遺言者の住所等の変更の届出) 第三条 遺言者は、法第四条第一項の申請に係る遺言書が遺言書保管所に保管されている場合において、同条第四項第二号又は第三号に掲げる事項に変更が生じたときは、速やかに、その旨を遺言書保管官に届け出なければならない。 2 前項の規定による届出は、同項の遺言書が保管されている遺言書保管所(次条第二項において「特定遺言書保管所」という。)以外の遺言書保管所の遺言書保管官に対してもすることができる。 3 第一項の規定による届出をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、変更が生じた事項を記載した届出書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。 (遺言者による遺言書保管ファイルの記録の閲覧) 第四条 遺言者は、遺言書保管官に対し、いつでも、法第四条第一項の申請に係る遺言書に係る遺言書保管ファイルに記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求をすることができる。 2 前項の請求は、特定遺言書保管所以外の遺言書保管所の遺言書保管官に対してもすることができる。 3 第一項の請求をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、その旨を記載した請求書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。 4 遺言者が第一項の請求をするときは、遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。 この場合においては、法第五条の規定を準用する。 5 法第十二条第一項(第二号に係る部分に限る。)及び第二項の規定は、第一項の閲覧を請求する者について準用する。 (遺言書の保管期間等) 第五条 法第六条第五項(法第七条第三項において準用する場合を含む。)の政令で定める日は、遺言者の出生の日から起算して百二十年を経過した日とする。 2 法第六条第五項の政令で定める期間は五十年とし、法第七条第三項において準用する法第六条第五項の政令で定める期間は百五十年とする。 (遺言書情報証明書の送付請求等) 第六条 遺言書情報証明書又は遺言書保管事実証明書の交付を請求する場合において、その送付を求めるときは、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条第一項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用する方法により行う場合を除き、法務省令で定めるところにより、当該送付に要する費用を納付しなければならない。 (法第九条第一項第二号チの政令で定める者) 第七条 法第九条第一項第二号チの政令で定める者は、次に掲げる者とする。 一 国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)以外の法令において引用し、準用し、又はその例によることとされる同法第十七条の五第三項の規定により遺族補償一時金を受けることができる遺族のうち特に指定された者 二 災害救助法施行令(昭和二十二年政令第二百二十五号)第十三条第三項の規定により遺族扶助金を受けることができる遺族のうち特に指定された者 三 警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律施行令(昭和二十七年政令第四百二十九号)第十条の五第三項の規定により遺族給付一時金を受けることができる遺族のうち特に指定された者 四 海上保安官に協力援助した者等の災害給付に関する法律施行令(昭和二十八年政令第六十二号)第十一条第三項の規定により遺族給付一時金を受けることができる遺族のうち特に指定された者 五 非常勤消防団員等に係る損害補償の基準を定める政令(昭和三十一年政令第三百三十五号)第九条第三項の規定により遺族補償一時金を受けることができる遺族のうち特に指定された者 六 公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償の基準を定める政令(昭和三十二年政令第二百八十三号)第十三条第三項の規定により遺族補償一時金を受けることができる遺族のうち特に指定された者 七 証人等の被害についての給付に関する法律施行令(昭和三十三年政令第二百二十七号)第十二条第三項の規定により遺族給付一時金を受けることができる遺族のうち特に指定された者 八 前各号に掲げる者のほか、これらに類するものとして法務省令で定める者 (法第九条第一項第三号トの政令で定める者) 第八条 法第九条第一項第三号トの政令で定める者は、次に掲げる者とする。 一 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第百十六条第二項ただし書の規定により同条第一項の請求についてその順位を別に定められた者 二 前号に掲げる者のほか、これに類するものとして法務省令で定める者 (関係相続人等による遺言書保管ファイルの記録の閲覧) 第九条 関係相続人等(法第九条第一項に規定する関係相続人等をいう。次条第三項第二号において同じ。)は、遺言書保管官に対し、遺言書保管所に保管されている関係遺言書(法第九条第二項に規定する関係遺言書をいい、その遺言者が死亡している場合に限る。以下この条において同じ。)について、遺言書保管ファイルに記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求をすることができる。 2 前項の請求は、当該関係遺言書を現に保管する遺言書保管所以外の遺言書保管所の遺言書保管官に対してもすることができる。 3 第一項の請求をしようとする者は、法務省令で定めるところにより、その旨を記載した請求書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。 4 遺言書保管官は、第一項の請求により遺言書保管ファイルに記録された事項を表示したものの閲覧をさせたときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該関係遺言書を保管している旨を遺言者の相続人(民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者及び相続の放棄をした者を含む。次条において同じ。)並びに当該関係遺言書に係る法第四条第四項第三号イ及びロに掲げる者に通知するものとする。 ただし、それらの者が既にこれを知っているときは、この限りでない。 5 法第十二条第一項(第二号に係る部分に限る。)及び第二項の規定は、第一項の閲覧を請求する者について準用する。 (申請書等の閲覧) 第十条 遺言者は、次に掲げる申請又は届出(以下「申請等」と総称する。)をした場合において、特別の事由があるときは、当該申請等をした遺言書保管所の遺言書保管官に対し、当該申請等に係る申請書若しくは届出書又はその添付書類(以下「申請書等」と総称する。)の閲覧の請求をすることができる。 一 法第四条第一項の申請 二 第三条第一項の規定による届出 2 遺言者は、法第八条第一項の撤回をした場合において、特別の事由があるときは、当該撤回がされた遺言書保管所の遺言書保管官に対し、同条第二項の撤回書又はその添付書類(以下「撤回書等」と総称する。)の閲覧の請求をすることができる。 3 次に掲げる者は、申請等をした遺言者が死亡している場合において、特別の事由があるときは、当該申請等がされた遺言書保管所の遺言書保管官に対し、当該申請等に係る申請書等の閲覧の請求をすることができる。 一 当該遺言者の相続人 二 関係相続人等(前号に掲げる者を除く。) 三 当該申請等に係る申請書又は届出書に記載されている法第四条第四項第三号イ又はロに掲げる者(前二号に掲げる者を除く。) 4 次に掲げる者は、法第八条第一項の撤回をした遺言者が死亡している場合において、特別の事由があるときは、当該撤回がされた遺言書保管所の遺言書保管官に対し、当該撤回に係る撤回書等の閲覧の請求をすることができる。 一 当該遺言者の相続人 二 当該撤回がされた申請に係る遺言書に記載されていた法第四条第四項第三号イ又はロに掲げる者(前号に掲げる者を除く。) 5 前各項の請求をしようとする者は、法務省令で定めるところにより、その旨を記載した請求書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。 6 遺言者が第一項又は第二項の請求をするときは、遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。 この場合においては、法第五条の規定を準用する。 7 法第十二条第一項(第二号に係る部分に限る。)及び第二項の規定は、第一項から第四項までの閲覧を請求する者について準用する。 (行政機関の保有する情報の公開に関する法律の適用除外) 第十一条 申請書等及び撤回書等については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。 (個人情報の保護に関する法律の適用除外) 第十二条 申請書等及び撤回書等に記録されている保有個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第六十条第一項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第五章第四節の規定は、適用しない。 (事件の送付) 第十三条 法第十六条第四項の規定による事件の送付は、審査請求書の正本によってする。 (意見書の提出等) 第十四条 法第十六条第四項の意見を記載した書面(次項において「意見書」という。)は、正本及び当該意見を送付すべき審査請求人の数に行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第十一条第二項に規定する審理員の数を加えた数に相当する通数の副本を提出しなければならない。 2 法第十六条第四項後段の規定による意見の送付は、意見書の副本によってする。 (行政不服審査法施行令の規定の読替え) 第十五条 法第十六条第一項の審査請求に関する行政不服審査法施行令(平成二十七年政令第三百九十一号)の規定の適用については、同令第六条第二項中「法第二十九条第五項」とあるのは「法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成三十年法律第七十三号)第十六条第七項の規定により読み替えて適用する法第二十九条第五項」と、「弁明書の送付」とあるのは「法務局における遺言書の保管等に関する法律第十六条第四項の意見の送付」と、「弁明書の副本」とあるのは「法務局における遺言書の保管等に関する政令(令和元年政令第百七十八号)第十四条第一項に規定する意見書の副本」とする。 (法務省令への委任) 第十六条 この政令の実施のため必要な事項は、法務省令で定める。
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令和元年法務省令第一号
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民法第四百四条第三項に規定する期及び同条第五項の規定による基準割合の告示に関する省令 (最初の期) 第一条 民法の一部を改正する法律(平成二十九年法律第四十四号)の施行後最初の期(民法第四百四条第三項に規定する期をいう。以下同じ。)は、令和二年四月一日から令和五年三月三十一日までとする。 (基準割合の告示) 第二条 民法第四百四条第五項の規定による基準割合の告示は、各期の初日の一年前までに、官報でする。
民事
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令和元年法務省令第四十二号
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表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律施行規則 (定義) 第一条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一 所在事項 土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに地番をいう。 二 手続番号 表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律(以下「法」という。)第三条第一項の探索を行う際に表題部所有者不明土地ごとに付す番号をいう。 三 所有者特定書 法第十四条第二項の規定に基づき作成された書面又は電磁的記録をいう。 (所有者等の探索の開始の公告の方法等) 第二条 法第三条第二項の規定による公告は、表題部所有者不明土地の所在地を管轄する登記所の掲示場その他登記所内の公衆の見やすい場所に掲示して行う方法又は登記所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法であってインターネットに接続された自動公衆送信装置(著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第二条第一項第九号の五イに規定する自動公衆送信装置をいう。)を使用する方法により三十日以上行うものとする。 2 法第三条第二項の法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 手続番号 二 表題部所有者不明土地に係る所在事項、地目及び地積 三 表題部所有者不明土地の登記記録の表題部の所有者欄(不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)別表一の第一欄に掲げる所有者欄をいう。第九条において同じ。)に記録されている事項 (意見又は資料の提出の方法等) 第三条 法第四条の規定による意見又は資料の提出は、書面又は電磁的記録をもってするものとする。 2 法第四条後段の規定による公告は、前条第一項に規定する方法によりするものとする。 (調査の嘱託) 第四条 登記官は、法第七条の嘱託を受けて調査をしたときは、その調査の結果を記録した調書を嘱託をした登記官に送付しなければならない。 (所有者等探索委員の調査の報告) 第五条 登記官は、所有者等探索委員に対し、法第十二条において準用する法第五条の規定による調査の経過又は結果その他必要な事項について報告を求めることができる。 (所有者等探索委員の意見の提出の方法) 第六条 法第十三条の規定による意見の提出は、書面又は電磁的記録をもってするものとする。 (所有者特定書の記録事項等) 第七条 所有者特定書には、次に掲げる事項を記録するものとする。 一 手続番号 二 表題部所有者不明土地に係る所在事項 三 結論 四 理由 五 所有者等探索委員の意見が提出されている場合には、その旨 六 作成の年月日 2 登記官は、書面をもって所有者特定書を作成するときは、所有者特定書に職氏名を記載し、職印を押印しなければならない。 3 登記官は、電磁的記録をもって所有者特定書を作成するときは、登記官を明らかにするための措置であって法務大臣が定めるものを講じなければならない。 (登記前の公告の方法等) 第八条 第二条第一項の規定は、法第十五条第二項の規定による公告について準用する。 この場合において、第二条第一項中「三十日以上」とあるのは、「二週間」と読み替えるものとする。 2 法第十五条第二項の法務省令で定める事項は、第二条第二項各号に掲げる事項のほか、次の各号に掲げる所有者等の特定の区分に応じ、当該各号に定める事項とする。 一 法第十四条第一項第一号に掲げる場合 表題部所有者不明土地の表題部所有者として登記すべき者の氏名又は名称及び住所並びに同項後段の規定による特定をした場合にあってはその共有持分 二 法第十四条第一項第二号に掲げる場合 その旨 三 法第十四条第一項第三号に掲げる場合 表題部所有者不明土地の表題部所有者として登記すべき者がある共有持分についてはその者の氏名又は名称及び住所(その共有持分を含む。)並びに表題部所有者として登記すべき者がない共有持分についてはその旨(その共有持分を含む。) 四 法第十四条第一項第四号に掲げる場合 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める事項 イ 法第十四条第一項第四号イに掲げる事由に該当する場合 その旨 ロ 法第十四条第一項第四号ロに掲げる事由に該当する場合 その旨 (表題部所有者の登記等) 第九条 法第十五条第一項の規定又は法第二十条第三項若しくは第四項(これらの規定を法第三十条第二項において準用する場合を含む。)の規定により登記記録として登記すべき事項は、表題部の所有者欄に記録するものとする。 2 登記官は、法第十五条第一項前段の規定により表題部所有者の登記を抹消するときは、表題部所有者に関する登記事項を抹消する記号を記録しなければならない。 3 登記官は、法第十五条第一項後段の規定により登記をするときは、当該登記の登記原因及び登記の年月日のほか、手続番号をも記録しなければならない。 4 登記官は、前項の場合には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める事項を表題部の所有者欄に記録しなければならない。 一 表題部所有者として登記すべき者が法人でない社団等の代表者又は管理人である場合 その旨 二 表題部所有者として登記すべき者が過去の一定の時点における所有権又は共有持分が帰属していたものである場合 その旨及び当該時点 5 登記官は、法第二十条第三項(法第三十条第二項において準用する場合を含む。)の規定により嘱託があった場合において、当該嘱託に基づく登記をするときは、当該登記の登記原因及びその日付並びに登記の年月日のほか、登記の目的並びに特定不能土地等管理者又は特定社団等帰属土地等管理者の職名及び氏名又は名称並びに住所をも記録しなければならない。 6 登記官は、法第二十条第四項(法第三十条第二項において準用する場合を含む。)の規定により嘱託があった場合において、当該嘱託に基づく登記の抹消をするときは、当該抹消の登記の登記原因及びその日付並びに登記の年月日のほか、登記の目的を記録するとともに、抹消すべき登記を抹消する記号をも記録しなければならない。 (登記後の公告の方法等) 第十条 第二条第一項の規定は、法第十六条の規定による公告について準用する。 この場合において、同項中「表題部所有者不明土地」とあるのは「法第十五条第一項の規定による登記がある土地」と、「三十日以上」とあるのは「二週間」と読み替えるものとする。 2 法第十六条の法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 手続番号 二 法第十五条第一項の規定による登記がある土地に係る所在事項 (所有者等の探索の中止の公告の方法等) 第十一条 第二条第一項の規定は、法第十七条後段の規定による公告について準用する。 この場合において、同項中「三十日以上」とあるのは、「二週間」と読み替えるものとする。 2 法第十七条後段の法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 手続番号 二 表題部所有者不明土地に係る所在事項 三 手続を中止した旨 (登記後の通知等) 第十二条 登記官は、法第十五条第一項第一号又は第三号に定める事項を登記したときは、表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人であって知れているものに対し、登記が完了した旨を通知しなければならない。 2 前項の規定による通知は、同項の規定により通知を受けるべき者が二人以上あるときは、その一人に対し通知すれば足りる。 3 第一項の規定による通知は、郵便、民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者又は同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便その他適宜の方法によりするものとする。 (所有者特定書の保存等) 第十三条 所有者特定書に記載され、又は記録された情報は、永久に保存するものとする。 2 所有者特定書が書面をもって作成されているときは、前項の規定による当該書面に記載された情報の保存は、当該情報の内容を記録した電磁的記録を保存する方法によってするものとする。 第十四条 登記所には、所有者特定書等つづり込み帳を備えるものとする。 2 所有者特定書等つづり込み帳には、不動産登記規則第十九条の規定にかかわらず、関係地方公共団体の長その他の者への照会書の写し、提出された資料、書面をもって作成された所有者特定書(所有者特定書が電磁的記録をもって作成されている場合にあっては、その内容を書面に出力したもの)その他の所有者等の探索、所有者等の特定及び登記に係る手続に関する書類をつづり込むものとする。 3 所有者特定書等つづり込み帳の保存期間は、作成の年の翌年から三十年間とする。 (供託後の公告の方法等) 第十五条 法第二十八条第二項(法第三十条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による公告は、官報により行うものとする。 2 法第二十八条第二項の法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 所有者等特定不能土地又は特定社団等帰属土地に係る所在事項 二 供託所の表示 三 供託番号 四 供託した金額 五 裁判所の名称、件名及び事件番号
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令和二年法律第七十六号
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生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律 第一章 総則 (趣旨) 第一条 この法律は、生殖補助医療をめぐる現状等に鑑み、生殖補助医療の提供等に関し、基本理念を明らかにし、並びに国及び医療関係者の責務並びに国が講ずべき措置について定めるとともに、生殖補助医療の提供を受ける者以外の者の卵子又は精子を用いた生殖補助医療により出生した子の親子関係に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)の特例を定めるものとする。 (定義) 第二条 この法律において「生殖補助医療」とは、人工授精又は体外受精若しくは体外受精胚移植を用いた医療をいう。 2 前項において「人工授精」とは、男性から提供され、処置された精子を、女性の生殖器に注入することをいい、「体外受精」とは、女性の卵巣から採取され、処置された未受精卵を、男性から提供され、処置された精子により受精させることをいい、「体外受精胚移植」とは、体外受精により生じた胚を女性の子宮に移植することをいう。 第二章 生殖補助医療の提供等 (基本理念) 第三条 生殖補助医療は、不妊治療として、その提供を受ける者の心身の状況等に応じて、適切に行われるようにするとともに、これにより懐胎及び出産をすることとなる女性の健康の保護が図られなければならない。 2 生殖補助医療の実施に当たっては、必要かつ適切な説明が行われ、各当事者の十分な理解を得た上で、その意思に基づいて行われるようにしなければならない。 3 生殖補助医療に用いられる精子又は卵子の採取、管理等については、それらの安全性が確保されるようにしなければならない。 4 生殖補助医療により生まれる子については、心身ともに健やかに生まれ、かつ、育つことができるよう必要な配慮がなされるものとする。 (国の責務) 第四条 国は、前条の基本理念を踏まえ、生殖補助医療の適切な提供等を確保するための施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。 2 国は、前項の施策の策定及び実施に当たっては、生殖補助医療の特性等に鑑み、生命倫理に配慮するとともに、国民の理解を得るよう努めなければならない。 (医療関係者の責務) 第五条 医師その他の医療関係者は、第三条の基本理念を踏まえ、良質かつ適切な生殖補助医療を提供するよう努めなければならない。 (知識の普及等) 第六条 国は、広報活動、教育活動等を通じて、妊娠及び出産並びに不妊治療に関する正しい知識の普及及び啓発に努めなければならない。 (相談体制の整備) 第七条 国は、生殖補助医療の提供を受けようとする者、その提供を受けた者、生殖補助医療により生まれた子等からの生殖補助医療、子の成育等に関連する各種の相談に応ずることができるよう、必要な相談体制の整備を図らなければならない。 (法制上の措置等) 第八条 国は、この章の規定に基づき、生殖補助医療の適切な提供等を確保するために必要な法制上の措置その他の措置を講じなければならない。 第三章 生殖補助医療により出生した子の親子関係に関する民法の特例 (他人の卵子を用いた生殖補助医療により出生した子の母) 第九条 女性が自己以外の女性の卵子(その卵子に由来する胚を含む。)を用いた生殖補助医療により子を懐胎し、出産したときは、その出産をした女性をその子の母とする。 (他人の精子を用いる生殖補助医療により出生した子についての嫡出否認の特則) 第十条 妻が、夫の同意を得て、夫以外の男性の精子(その精子に由来する胚を含む。)を用いた生殖補助医療により懐胎した子については、夫、子又は妻は、民法第七百七十四条第一項及び第三項の規定にかかわらず、その子が嫡出であることを否認することができない。
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令和二年政令第五十五号
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法務局における遺言書の保管等に関する法律関係手数料令 (遺言書の保管の申請等に係る手数料の額) 第一条 法務局における遺言書の保管等に関する法律(以下「法」という。)第十二条第一項の規定により納付すべき手数料の額は、次の表のとおりとする。 納付しなければならない者 金額 一 遺言書の保管の申請をする者 一件につき三千九百円 二 遺言書の閲覧を請求する者 一回につき千七百円 三 遺言書情報証明書の交付を請求する者 一通につき千四百円 四 遺言書保管事実証明書の交付を請求する者 一通につき八百円 (遺言書保管ファイルの記録の閲覧等に係る手数料の額) 第二条 法務局における遺言書の保管等に関する政令(令和元年政令第百七十八号。以下「令」という。)第四条第五項、第九条第五項及び第十条第七項において準用する法第十二条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定により納付すべき手数料の額は、次の表のとおりとする。 納付しなければならない者 金額 一 遺言書保管ファイルに記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧を請求する者 一回につき千四百円 二 申請書等(令第十条第一項に規定する申請書等をいう。この項の下欄において同じ。)又は撤回書等(同条第二項に規定する撤回書等をいう。同欄において同じ。)の閲覧を請求する者 一の申請に関する申請書等又は一の撤回に関する撤回書等につき千七百円
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令和二年法務省令第三十三号
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法務局における遺言書の保管等に関する省令 第一章 総則 (遺言書等の持出禁止) 第一条 法務局における遺言書の保管等に関する法律(以下「法」という。)第四条第一項の申請に係る遺言書、申請書等(法務局における遺言書の保管等に関する政令(以下「令」という。)第十条第一項に規定する申請書等をいう。以下同じ。)、撤回書等(同条第二項に規定する撤回書等をいう。以下同じ。)及び遺言書保管ファイルは、事変を避けるためにする場合を除き、遺言書保管所外に持ち出してはならない。 ただし、遺言書、申請書等及び撤回書等については、裁判所の命令又は嘱託があったときは、この限りでない。 (裁判所への遺言書等の送付) 第二条 裁判所から法第四条第一項の申請に係る遺言書、申請書等又は撤回書等を送付すべき命令又は嘱託があったときは、遺言書保管官は、その関係がある部分に限り、送付しなければならない。 (遺言書保管ファイルの調製方法) 第二条の二 遺言書保管ファイルは、その記録に係る電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって電子計算機による情報処理の用に供されるものに係る記録媒体をいう。)をもって調製するものとする。 (帳簿) 第三条 遺言書保管所には、次に掲げる帳簿を備えるものとする。 一 遺言書保管申請書等つづり込み帳 二 請求書類つづり込み帳 三 決定原本つづり込み帳 四 審査請求書類等つづり込み帳 五 遺言書保管関係帳簿保存簿 2 次の各号に掲げる帳簿には、当該各号に定める書類をつづり込むものとする。 一 遺言書保管申請書等つづり込み帳 申請書等及び撤回書等 二 請求書類つづり込み帳 法第六条第二項、第九条第一項及び第三項並びに第十条第一項並びに令第四条第一項、第九条第一項及び第十条第一項から第四項までの請求(第七条第一項及び第八条第一項において「閲覧請求等」という。)に係る書類 三 決定原本つづり込み帳 法第四条第一項の申請を却下した決定に係る決定書の原本 四 審査請求書類等つづり込み帳 審査請求書その他の審査請求事件に関する書類 3 遺言書保管関係帳簿保存簿には、遺言書保管ファイルを除く一切の遺言書保管関係帳簿の保存状況を記載するものとする。 (保存期間) 第四条 次の各号に掲げる帳簿の保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。 一 遺言書保管申請書等つづり込み帳 受付の日から十年間 二 請求書類つづり込み帳 受付の日から五年間 三 決定原本つづり込み帳 これにつづり込まれた決定書に係る決定の翌年度から五年間 四 審査請求書類等つづり込み帳 これにつづり込まれた審査請求書の受付の年度の翌年度から五年間 五 遺言書保管関係帳簿保存簿 作成の時から三十年間 (遺言書等の廃棄等) 第五条 遺言書保管所において法第六条第五項(法第七条第三項において準用する場合を含む。)の規定により遺言書を廃棄し若しくは遺言書に係る情報を消去し又は帳簿を廃棄するときは、法務局又は地方法務局の長の認可を受けなければならない。 (記載の文字) 第六条 法第四条第四項の申請書、法第六条第三項の請求書その他の遺言書の保管に関する書面に記載する文字は、字画を明確にしなければならない。 (添付書類の省略) 第七条 同一の遺言書保管所の遺言書保管官に対し、同時に数個の申請等(令第十条第一項に規定する申請等をいう。次条第一項において同じ。)、法第八条第一項の撤回又は閲覧請求等をする場合において、各申請書、各届出書、各撤回書又は各請求書に添付すべき書類に内容が同一であるものがあるときは、一個の申請書、届出書、撤回書又は請求書のみに一通を添付すれば足りる。 2 前項の場合には、他の各申請書、各届出書、各撤回書又は各請求書にその旨を記載しなければならない。 (添付書類の原本還付) 第八条 申請等、法第八条第一項の撤回又は閲覧請求等をした者は、申請書、届出書、撤回書又は請求書の添付書類の原本の還付を請求することができる。 2 前項の規定により原本の還付を請求する者は、原本と相違ない旨を記載した謄本を提出しなければならない。 3 遺言書保管官は、書類を還付したときは、その謄本に原本還付の旨を記載し、これに押印しなければならない。 第二章 遺言書の保管の申請手続等 (遺言書の様式) 第九条 法第四条第二項の法務省令で定める様式は、別記第一号様式によるものとする。 (遺言書の保管の申請書の様式) 第十条 法第四条第四項の申請書は、別記第二号様式によるものとする。 (遺言書の保管の申請書の記載事項) 第十一条 法第四条第四項第四号の法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 遺言者の戸籍の筆頭に記載された者の氏名 二 遺言者の電話番号その他の連絡先 三 申請をする遺言書保管官の所属する遺言書保管所が遺言者の住所地及び本籍地を管轄しないとき(次号の場合を除く。)は、遺言者が所有する不動産の所在地(当該遺言書保管所が管轄するものに限る。) 四 遺言者の作成した他の遺言書が現に遺言書保管所に保管されているときは、その旨 五 遺言書に法第九条第一項第二号(イを除く。)及び第三号(イを除く。)に掲げる者の記載があるときは、その氏名又は名称及び住所 六 遺言書の総ページ数 七 手数料の額 八 申請の年月日 九 遺言書保管所の表示 (遺言書の保管の申請書の添付書類) 第十二条 法第四条第五項の法務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 一 前条第一号に掲げる事項を証明する書類 二 遺言書が外国語により記載されているときは、日本語による翻訳文 (遺言書保管官による本人確認の方法) 第十三条 法第五条(法第六条第四項及び第八条第三項、令第四条第四項及び第十条第六項並びに第十九条第三項において準用する場合を含む。次条において同じ。)の規定による提示若しくは提出又は説明は、次のいずれかの方法によるものとする。 一 個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定する個人番号カードをいう。)、運転免許証(道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第九十二条第一項に規定する運転免許証をいう。)、運転経歴証明書(同法第百四条の四第五項(同法第百五条第二項において準用する場合を含む。)に規定する運転経歴証明書をいう。)、旅券等(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第五号に規定する旅券及び同条第六号に規定する乗員手帳をいう。ただし、書類の提示を行う者の氏名及び出生の年月日の記載があるものに限る。)、在留カード(同法第十九条の三に規定する在留カードをいう。)又は特別永住者証明書(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)第七条に規定する特別永住者証明書をいう。)を提示する方法 二 前号に掲げるもののほか、官公署から発行され、又は発給された書類その他これに類する書類(氏名及び出生の年月日又は住所の記載があり、本人の写真が貼付されたものに限る。)であって、当該書類の提示を行う者が本人であることを確認することができるものとして遺言書保管官が適当と認めるものを提示する方法 (申請人を特定するために必要な事項) 第十四条 法第五条の法務省令で定める事項は、氏名及び出生の年月日又は住所とする。 (保管証) 第十五条 遺言書保管官は、法第四条第一項の申請に基づいて遺言書の保管を開始したときは、遺言者に対し、保管証を交付しなければならない。 2 前項の保管証は、別記第三号様式により、次に掲げる事項を記録して作成するものとする。 一 遺言者の氏名及び出生の年月日 二 遺言書が保管されている遺言書保管所の名称及び保管番号 (保管証の送付の請求) 第十六条 遺言者は、送付に要する費用を納付して、前条第一項の保管証の送付を請求することができる。 2 前項の場合における保管証の送付は、遺言者の住所に宛てて、郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便(以下「信書便」という。)によってするものとする。 (保管証の交付を要しない場合) 第十七条 遺言書保管官は、遺言者が、法第四条第一項の申請に基づいて遺言書の保管を開始した時から三月を経過しても保管証を受領しないときは、第十五条第一項の規定にかかわらず、遺言者に対し、保管証を交付することを要しない。 この場合においては、同条第二項の規定により作成した保管証を廃棄することができる。 (遺言書の保管の申請の却下の方式) 第十八条 遺言書保管官は、法第四条第一項の申請を却下するときは、決定書を作成して、これを申請人に交付するものとする。 2 前項の交付は、当該決定書を送付する方法によりすることができる。 3 遺言書保管官は、法第四条第一項の申請を却下したときは、遺言書及び添付書類を還付するものとする。 ただし、偽造された添付書類その他の不正な申請のために用いられた疑いがある添付書類については、この限りでない。 (遺言書の保管の申請の取下げ) 第十九条 法第四条第一項の申請の取下げをしようとする申請人は、その旨を記載した取下書を遺言書保管官に提出しなければならない。 2 前項の取下げは、法第四条第一項の申請に基づいて遺言書の保管が開始された後は、することができない。 3 申請人が第一項の取下げをするときは、法第四条第一項の申請をした遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。 この場合においては、法第五条の規定を準用する。 4 遺言書保管官は、第一項の取下げがされたときは、遺言書並びに申請書及びその添付書類を還付するものとする。 前条第三項ただし書の規定は、この場合について準用する。 (遺言書に係る情報の管理の方法) 第二十条 遺言書保管官は、遺言書に係る情報の管理をするには、第十一条第一号及び第五号に掲げる事項をも遺言書保管ファイルに記録しなければならない。 第三章 遺言者による遺言書の閲覧の請求手続等 (遺言者による遺言書の閲覧の請求の方式) 第二十一条 法第六条第三項の請求書は、別記第四号様式によるものとする。 2 前項の請求書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 法第四条第四項第二号に掲げる事項及び第十一条第二号に掲げる事項 二 手数料の額 三 請求の年月日 四 遺言書保管所の表示 (遺言者による遺言書の閲覧の方法) 第二十二条 法第六条第二項の規定による遺言書の閲覧は、遺言書保管官又はその指定する職員の面前でさせるものとする。 (遺言者による遺言書保管ファイルの記録の閲覧の請求の方式) 第二十三条 第二十一条の規定は、令第四条第三項の請求書について準用する。 (遺言者による遺言書保管ファイルの記録の閲覧の方法) 第二十四条 令第四条第一項の法務省令で定める方法は、遺言書保管ファイルに記録されている次に掲げる事項を出力装置の映像面に表示する方法とする。 一 法第七条第二項各号に掲げる事項 二 第十一条第一号及び第五号に掲げる事項 2 第二十二条の規定は、令第四条第一項の規定による遺言書保管ファイルの記録の閲覧について準用する。 (遺言書の保管の申請の撤回の方式) 第二十五条 法第八条第二項の撤回書は、別記第五号様式によるものとする。 2 前項の撤回書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 法第四条第四項第二号に掲げる事項及び第十一条第二号に掲げる事項 二 撤回の年月日 三 遺言書保管所の表示 (遺言書の保管の申請の撤回書の添付書類) 第二十六条 法第四条第四項第二号に掲げる事項に変更がある場合(令第三条第一項の規定により当該変更に係る届出がされている場合を除く。)における法第八条第二項の法務省令で定める書類は、当該変更を証明する書類とする。 (遺言書等の返還の手続) 第二十七条 遺言書保管官は、法第八条第四項の規定により遺言書を遺言者に返還するときは、当該遺言書を受領した旨を記載した受領書と引換えに返還するものとする。 2 遺言書保管官は、第十二条第二号の翻訳文を保存している場合において、法第八条第四項の規定により遺言書を遺言者に返還するときは、当該翻訳文についても当該遺言者に返還するものとする。 この場合においては、前項の規定を準用する。 (遺言者の住所等の変更の届出の方式) 第二十八条 令第三条第三項(第三十条第二項において準用する場合を含む。)の届出書は、別記第六号様式によるものとする。 2 前項の届出書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 法第四条第四項第二号に掲げる事項 二 法定代理人によって届出をするときは、当該法定代理人の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人が法人であるときはその代表者の氏名 三 届出人又は法定代理人の電話番号その他の連絡先 四 令第三条第一項の変更が生じた事項 五 届出の年月日 六 遺言書保管所の表示 (遺言者の住所等の変更の届出書の添付書類) 第二十九条 令第三条第三項(次条第二項において準用する場合を含む。)の法務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 一 変更が生じた法第四条第四項第二号に掲げる事項(次条第二項において準用する場合にあっては、変更が生じた第十一条第一号に掲げる事項)を証明する書類 二 届出人の氏名及び出生の年月日又は住所と同一の氏名及び出生の年月日又は住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該届出人が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。) 三 法定代理人によって届出をするときは、戸籍謄本その他その資格を証明する書類で作成後三月以内のもの (その他の変更の届出) 第三十条 遺言者は、法第四条第一項の申請に係る遺言書が遺言書保管所に保管されている場合において、第十一条第一号又は第五号に掲げる事項に変更が生じたときは、その旨を遺言書保管官に届け出るものとする。 2 令第三条第二項及び第三項の規定は、前項の届出について準用する。 (遺言者による申請書等の閲覧の請求の方式) 第三十一条 令第十条第一項及び第二項の請求に係る同条第五項の請求書は、別記第七号様式によるものとする。 2 前項の請求書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 法第四条第四項第二号に掲げる事項及び第十一条第二号に掲げる事項 二 閲覧を請求する申請書等又は撤回書等 三 特別の事由 四 手数料の額 五 請求の年月日 六 遺言書保管所の表示 (遺言者による申請書等の閲覧の方法) 第三十二条 第二十二条の規定は、令第十条第一項及び第二項の規定による申請書等及び撤回書等の閲覧について準用する。 第四章 関係相続人等による遺言書情報証明書の交付の請求手続等 (関係相続人等による遺言書情報証明書の交付の請求の方式) 第三十三条 法第九条第一項の請求に係る同条第四項の請求書は、別記第八号様式によるものとする。 2 前項の請求書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 請求人の資格、氏名又は名称、出生の年月日又は会社法人等番号(商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。)及び住所並びに請求人が法人であるとき又は法人でない社団若しくは財団で代表者若しくは管理人の定めのあるものであるときはその代表者又は管理人の氏名 二 法定代理人によって請求するときは、当該法定代理人の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人が法人であるときはその代表者の氏名 三 請求人又は法定代理人の電話番号その他の連絡先 四 遺言者の氏名、出生の年月日、最後の住所、本籍(外国人にあっては、国籍。以下同じ。)及び死亡の年月日 五 法第九条第一項第一号に規定する相続人(当該相続人の地位を相続により承継した者を除く。次項第三号並びに次条第一項第一号及び第二号において「相続人」という。)の氏名、出生の年月日及び住所 六 請求に係る証明書の通数 七 手数料の額 八 請求の年月日 九 遺言書保管所の表示 3 次の各号に掲げる場合は、当該各号に掲げる事項の記載を要しない。 一 請求人が遺言書保管事実証明書の写しを添付した場合 前項第四号に掲げる事項のうち遺言者の最後の住所、本籍及び死亡の年月日 二 法第九条第一項の請求に係る遺言書について、既に遺言書情報証明書が交付され又は関係相続人等による閲覧がされている場合 前号に掲げる事項及び前項第五号に掲げる事項 三 請求人が不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)第二百四十七条第五項の規定により交付を受けた同条第一項に規定する法定相続情報一覧図の写し(次条第一項第一号において「法定相続情報一覧図の写し」という。)(相続人の住所の記載があるものに限る。)を添付した場合(廃除された者がある場合を除く。) 前項第五号に掲げる事項 (関係相続人等による遺言書情報証明書の交付の請求書の添付書類) 第三十四条 法第九条第一項の請求に係る同条第四項の法務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 一 遺言者を被相続人とする法定相続情報一覧図の写し(廃除された者がある場合には、法定相続情報一覧図の写し及びその者の戸籍の謄本、抄本又は記載事項証明書)又は遺言者(当該遺言者につき代襲相続がある場合には、被代襲者を含む。)の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍の謄本若しくは全部事項証明書並びに相続人の戸籍の謄本、抄本又は記載事項証明書(遺言者又は相続人が外国人である場合には、これらに準ずるもの) 二 相続人の住所を証明する書類 三 請求人の氏名又は名称及び住所と同一の氏名又は名称及び住所が記載されている市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した証明書(公務員が職務上作成した書類がない場合にあっては、これに代わるべき書類をいい、当該請求人が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。) 四 請求人が法第九条第一項第一号に規定する相続人に該当することを理由として請求する場合は、当該相続人に該当することを証明する書類 五 請求人が法第九条第一項第二号に規定する相続人に該当することを理由として請求する場合は、当該相続人に該当することを証明する書類 六 請求人が法人であるときは、登記事項証明書(商業登記法第十条第一項(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する登記事項証明書をいう。第四十四条第一項第五号において同じ。)その他の代表者の資格を証明する書類で作成後三月以内のもの 七 法定代理人によって請求するときは、戸籍謄本その他その資格を証明する書類で作成後三月以内のもの 八 請求人が法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものであるときは、当該社団又は財団の定款又は寄附行為及び代表者又は管理人の資格を証明する書類 2 前項の請求に係る遺言書について、既に遺言書情報証明書の交付がされ又は関係相続人等による閲覧がされている場合には、同項第一号及び第二号に掲げる書類の添付を要しない。 (遺言書情報証明書の作成方法) 第三十五条 遺言書情報証明書を作成するには、遺言書保管官は、次に掲げる事項を記載した書面の末尾に認証文を付した上で、作成の年月日及び職氏名を記載し、職印を押さなければならない。 一 法第七条第二項各号に掲げる事項 二 遺言書に記載された法第九条第一項第二号(イを除く。)及び第三号(イを除く。)に掲げる者の氏名又は名称及び住所 (遺言書情報証明書の交付の方法) 第三十六条 遺言書保管官は、次に掲げる方法によって遺言書情報証明書を交付しなければならない。 一 第十三条各号に掲げる方法により請求人、その法定代理人又は請求人が法人又は法人でない社団若しくは財団であるときはその代表者又は管理人が本人であることを確認して交付する方法 二 請求人又はその法定代理人の住所に宛てて郵便又は信書便により送付して交付する方法 (関係相続人等による遺言書の閲覧の請求の方式) 第三十七条 法第九条第三項の請求に係る同条第四項の請求書は、別記第九号様式によるものとする。 2 第三十三条第二項(第六号を除く。)及び第三項の規定は、前項の請求書について準用する。 (関係相続人等による遺言書の閲覧の請求書の添付書類) 第三十八条 第三十四条の規定は、法第九条第三項の請求に係る同条第四項の法務省令で定める書類について準用する。 (関係相続人等による遺言書の閲覧の方法) 第三十九条 遺言書保管官は、第十三条各号に掲げる方法により請求人、その法定代理人又は請求人が法人又は法人でない社団若しくは財団であるときはその代表者又は管理人が本人であることを確認して、法第九条第三項の規定による閲覧をさせなければならない。 2 第二十二条の規定は、法第九条第三項の規定による遺言書の閲覧について準用する。 (関係相続人等による遺言書保管ファイルの記録の閲覧の請求の方式) 第四十条 第三十七条の規定は、令第九条第三項の請求書について準用する。 (関係相続人等による遺言書保管ファイルの記録の閲覧の請求書の添付書類) 第四十一条 第三十四条の規定は、令第九条第三項の法務省令で定める書類について準用する。 (関係相続人等による遺言書保管ファイルの記録の閲覧の方法) 第四十二条 第二十四条及び第三十九条第一項の規定は、令第九条第一項の規定による遺言書保管ファイルの記録の閲覧について準用する。 (遺言書保管事実証明書の交付の請求の方式) 第四十三条 法第十条第二項において準用する法第九条第四項の請求書は、別記第十号様式によるものとする。 2 第三十三条第二項(第五号を除く。)の規定は、前項の請求書について準用する。 (遺言書保管事実証明書の交付の請求書の添付書類) 第四十四条 法第十条第二項において準用する法第九条第四項の法務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 一 遺言者が死亡したことを証明する書類 二 請求人の氏名又は名称及び住所と同一の氏名又は名称及び住所が記載されている市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した証明書(公務員が職務上作成した書類がない場合にあっては、これに代わるべき書類をいい、当該請求人が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。) 三 請求人が法第九条第一項第一号に規定する相続人に該当することを理由として請求する場合は、当該相続人に該当することを証明する書類 四 請求人が法第九条第一項第二号に規定する相続人に該当することを理由として請求する場合は、当該相続人に該当することを証明する書類 五 請求人が法人であるときは、登記事項証明書その他の代表者の資格を証明する書類で作成後三月以内のもの 六 法定代理人によって請求するときは、戸籍謄本その他その資格を証明する書類で作成後三月以内のもの 七 請求人が法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものであるときは、当該社団又は財団の定款又は寄附行為及び代表者又は管理人の資格を証明する書類 2 請求人が第四十八条第二項の書面の写しを添付したときは、前条第二項において準用する第三十三条第二項第四号に掲げる事項のうち遺言者の最後の住所、本籍及び死亡の年月日の記載を要せず、かつ、前項第一号に掲げる書類の添付を要しない。 (遺言書保管事実証明書の作成方法) 第四十五条 遺言書保管事実証明書を作成するには、遺言書保管官は、次に掲げる事項を記載した書面の末尾に認証文を付した上で、作成の年月日及び職氏名を記載し、職印を押さなければならない。 一 関係遺言書の保管の有無 二 関係遺言書が保管されている場合にあっては、法第四条第四項第一号及び第七条第二項第四号に掲げる事項 三 請求人の資格、氏名又は名称及び住所 四 遺言者の氏名及び出生の年月日 (遺言書保管事実証明書の交付の方法) 第四十六条 第三十六条の規定は、法第十条第一項の規定による遺言書保管事実証明書の交付について準用する。 (令第七条第八号の法務省令で定める者) 第四十七条 令第七条第八号の法務省令で定める者は、次に掲げる者とする。 一 労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)第四十三条第二項の規定により遺族補償を受けることができる遺族のうち特に指定された者 二 船員法施行規則(昭和二十二年運輸省令第二十三号)第六十三条第二項の規定により遺族手当を受けることができる遺族のうち特に指定された者 三 ハンセン病問題の解決の促進に関する法律施行規則(平成二十一年厚生労働省令第七十五号)第九条第二項第八号の規定により指定された特定配偶者等支援金を受けることができる遺族のうち特に指定された者 (関係遺言書保管通知) 第四十八条 遺言書保管官は、法第九条第五項本文の場合又は令第九条第四項本文の場合には、速やかに、関係遺言書を保管している旨を当該関係遺言書に記載された法第九条第一項第二号(イを除く。)及び第三号(イを除く。)に掲げる者にも通知するものとする。 ただし、それらの者が既にこれを知っているときは、この限りでない。 2 法第九条第五項、令第九条第四項及び前項の通知は、関係遺言書を現に保管する遺言書保管所の遺言書保管官が、郵便又は信書便により書面を送付する方法により行うものとする。 3 前項の遺言書保管所以外の遺言書保管所の遺言書保管官は、法第九条第一項の請求により遺言書情報証明書を交付し又は令第九条第一項の請求により遺言書保管ファイルに記録された事項を表示したものの閲覧をさせたときは、遅滞なく、その旨を前項の遺言書保管所に通知しなければならない。 (関係相続人等による申請書等の閲覧の請求の方式) 第四十九条 令第十条第三項及び第四項の請求に係る同条第五項の請求書は、別記第十一号様式によるものとする。 2 前項の請求書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 第三十三条第二項各号(第五号及び第六号を除く。)に掲げる事項 二 閲覧を請求する申請書等又は撤回書等 三 特別の事由 (関係相続人等による申請書等の閲覧の請求書の添付書類) 第五十条 第四十四条の規定は、令第十条第三項又は第四項の請求に係る同条第五項の法務省令で定める書類について準用する。 (関係相続人等による申請書等の閲覧の方法) 第五十一条 第三十九条の規定は、令第十条第三項及び第四項の規定による申請書等及び撤回書等の閲覧について準用する。 第五章 補則 (手数料等の納付の方法) 第五十二条 法第十二条第二項(令第四条第五項、第九条第五項及び第十条第七項において準用する場合を含む。)の手数料の納付は、別記第十二号様式による手数料納付用紙に、当該手数料の額に相当する収入印紙を貼ってしなければならない。 2 令第六条及び第十六条第一項の送付に要する費用は、郵便切手又は信書便の役務に関する料金の支払のために使用することができる証票であって法務大臣の指定するもので納付しなければならない。 3 前項の指定は、告示してしなければならない。
民事
Reiwa
Rule
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令和二年原子力規制委員会規則第六号
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加工施設の技術基準に関する規則 第一章 総則 (定義) 第一条 この規則において使用する用語は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「法」という。)において使用する用語の例による。 2 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一 放射線 核燃料物質の加工の事業に関する規則(昭和四十一年総理府令第三十七号。以下「加工規則」という。)第一条第二項第一号に規定する放射線をいう。 二 管理区域 加工規則第一条第二項第二号に規定する管理区域をいう。 三 周辺監視区域 加工規則第一条第二項第四号に規定する周辺監視区域をいう。 四 放射性廃棄物 加工規則第一条第二項第六号に規定する放射性廃棄物をいう。 五 設計基準事故 加工施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第十七号。以下「事業許可基準規則」という。)第一条第二項第一号に規定する設計基準事故をいう。 六 安全機能 事業許可基準規則第一条第二項第二号に規定する安全機能をいう。 七 安全機能を有する施設 事業許可基準規則第一条第二項第三号に規定する安全機能を有する施設をいう。 八 安全上重要な施設 事業許可基準規則第一条第二項第四号に規定する安全上重要な施設をいう。 九 重大事故等対処施設 事業許可基準規則第一条第二項第五号に規定する重大事故等対処施設をいう。 十 重大事故等対処設備 事業許可基準規則第一条第二項第六号に規定する重大事故等対処設備をいう。 十一 多様性 事業許可基準規則第一条第二項第七号に規定する多様性をいう。 (特殊な設計による加工施設) 第二条 特別の理由により原子力規制委員会の認可を受けた場合は、この規則の規定によらないで加工施設を設置することができる。 2 前項の認可を受けようとする者は、その理由及び設置方法を記載した申請書に関係図面を添付して申請しなければならない。 (廃止措置中の加工施設の維持) 第三条 法第二十二条の八第二項の認可を受けた場合には、当該認可に係る廃止措置計画(同条第三項において準用する法第十二条の六第三項又は第五項の規定による変更の認可又は届出があったときは、その変更後のもの。以下この条において同じ。)で定める性能維持施設(加工規則第九条の四の二第十号の性能維持施設をいう。)については、次章及び第三章の規定にかかわらず、当該認可に係る廃止措置計画に定めるところにより、当該施設を維持しなければならない。 第二章 安全機能を有する施設 (核燃料物質の臨界防止) 第四条 安全機能を有する施設は、核燃料物質の取扱い上の一つの単位(次項において「単一ユニット」という。)において、通常時に予想される機械若しくは器具の単一の故障若しくはその誤作動又は運転員の単一の誤操作が起きた場合に、核燃料物質が臨界に達するおそれがないよう、核燃料物質を収納する機器の形状寸法の管理、核燃料物質の濃度、質量若しくは同位体の組成の管理若しくは中性子吸収材の形状寸法、濃度若しくは材質の管理又はこれらの組合せにより臨界を防止するための措置その他の適切な措置が講じられたものでなければならない。 2 安全機能を有する施設は、単一ユニットが二つ以上存在する場合において、通常時に予想される機械若しくは器具の単一の故障若しくはその誤作動又は運転員の単一の誤操作が起きた場合に、核燃料物質が臨界に達するおそれがないよう、単一ユニット相互間の適切な配置の維持若しくは単一ユニットの相互間における中性子の遮蔽材の使用又はこれらの組合せにより臨界を防止するための措置が講じられたものでなければならない。 3 臨界質量以上のウラン(ウラン二三五の量のウランの総量に対する比率が百分の五を超えるものに限る。)又はプルトニウムを取り扱う加工施設には、臨界警報設備その他の臨界事故を防止するために必要な設備が設けられていなければならない。 (安全機能を有する施設の地盤) 第五条 安全機能を有する施設は、事業許可基準規則第六条第一項の地震力が作用した場合においても当該安全機能を有する施設を十分に支持することができる地盤に設置されたものでなければならない。 (地震による損傷の防止) 第六条 安全機能を有する施設は、これに作用する地震力(事業許可基準規則第七条第二項の規定により算定する地震力をいう。)による損壊により公衆に放射線障害を及ぼすことがないものでなければならない。 2 耐震重要施設(事業許可基準規則第六条第一項に規定する耐震重要施設をいう。以下同じ。)は、基準地震動による地震力(事業許可基準規則第七条第三項に規定する基準地震動による地震力をいう。以下同じ。)に対してその安全性が損なわれるおそれがないものでなければならない。 3 耐震重要施設は、事業許可基準規則第七条第三項の地震により生ずる斜面の崩壊によりその安全性が損なわれるおそれがないものでなければならない。 (津波による損傷の防止) 第七条 安全機能を有する施設は、基準津波(事業許可基準規則第八条に規定する基準津波をいう。第二十八条において同じ。)によりその安全性が損なわれるおそれがないものでなければならない。 (外部からの衝撃による損傷の防止) 第八条 安全機能を有する施設は、想定される自然現象(地震及び津波を除く。)によりその安全性を損なうおそれがある場合において、防護措置、基礎地盤の改良その他の適切な措置が講じられたものでなければならない。 2 安全機能を有する施設は、周辺監視区域に隣接する地域に事業所、鉄道、道路その他の外部からの衝撃が発生するおそれがある要因がある場合において、事業所における火災又は爆発事故、危険物を搭載した車両、船舶又は航空機の事故その他の敷地及び敷地周辺の状況から想定される事象であって人為によるもの(故意によるものを除く。)により加工施設の安全性が損なわれないよう、防護措置その他の適切な措置が講じられたものでなければならない。 3 安全機能を有する施設は、航空機の墜落により加工施設の安全性を損なうおそれがある場合において、防護措置その他の適切な措置が講じられたものでなければならない。 (加工施設への人の不法な侵入等の防止) 第九条 加工施設を設置する工場又は事業所(以下この章において「工場等」という。)は、加工施設への人の不法な侵入、加工施設に不正に爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件が持ち込まれること及び不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)を防止するため、適切な措置が講じられたものでなければならない。 (閉じ込めの機能) 第十条 安全機能を有する施設は、次に掲げるところにより、核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物(以下「核燃料物質等」という。)を限定された区域に閉じ込める機能を保持するように設置されたものでなければならない。 一 流体状の核燃料物質等を内包する容器又は管に核燃料物質等を含まない流体を導く管を接続する場合には、流体状の核燃料物質等が核燃料物質等を含まない流体を導く管に逆流するおそれがない構造であること。 二 六ふっ化ウランを取り扱う設備であって、六ふっ化ウランが著しく漏えいするおそれがあるものは、漏えいの拡大を適切に防止し得る構造であること。 三 プルトニウム及びその化合物並びにこれらの物質の一又は二以上を含む物質(以下この条において「プルトニウム等」という。)を取り扱うグローブボックスは、その内部を常時負圧状態に維持し得るものであり、かつ、給気口及び排気口を除き、密閉することができる構造であること。 四 液体状のプルトニウム等を取り扱うグローブボックスは、当該物質がグローブボックス外に漏えいするおそれがない構造であること。 五 密封されていない核燃料物質等を取り扱うフードは、その開口部の風速を適切に維持し得るものであること。 六 プルトニウム等を取り扱う室(保管廃棄する室を除く。)及び核燃料物質等による汚染の発生のおそれがある室は、その内部を負圧状態に維持し得るものであること。 七 液体状の核燃料物質等を取り扱う設備が設置される施設(液体状の核燃料物質等の漏えいが拡大するおそれがある部分に限る。)は、次に掲げるところによるものであること。 イ 施設内部の床面及び壁面は、液体状の核燃料物質等が漏えいし難いものであること。 ロ 液体状の核燃料物質等を取り扱う設備の周辺部又は施設外に通ずる出入口若しくはその周辺部には、液体状の核燃料物質等が施設外へ漏えいすることを防止するための 堰 せき が設置されていること。 ただし、施設内部の床面が隣接する施設の床面又は地表面より低い場合であって、液体状の核燃料物質等が施設外へ漏えいするおそれがないときは、この限りでない。 ハ 工場等の外に排水を排出する排水路(湧水に係るものであって核燃料物質等により汚染するおそれがある管理区域内に開口部がないものを除く。)の上に施設の床面がないようにすること。 ただし、当該排水路に核燃料物質等により汚染された排水を安全に廃棄する設備及び第十九条第二号に掲げる事項を計測する設備が設置されている場合は、この限りでない。 (火災等による損傷の防止) 第十一条 安全機能を有する施設は、火災又は爆発の影響を受けることにより加工施設の安全性に著しい支障が生ずるおそれがある場合において、消火設備(事業許可基準規則第五条第一項に規定する消火設備をいう。以下同じ。)及び警報設備(警報設備にあっては自動火災報知設備、漏電火災警報器その他の火災の発生を自動的に検知し、警報を発するものに限る。以下同じ。)が設置されたものでなければならない。 2 前項の消火設備及び警報設備は、その故障、損壊又は異常な作動により安全上重要な施設の安全機能に著しい支障を及ぼすおそれがないものでなければならない。 3 安全機能を有する施設であって、火災又は爆発により損傷を受けるおそれがあるものは、可能な限り不燃性又は難燃性の材料を使用するとともに、必要に応じて防火壁の設置その他の適切な防護措置が講じられたものでなければならない。 4 水素を取り扱う設備(爆発の危険性がないものを除く。)は、適切に接地されているものでなければならない。 5 水素その他の可燃性ガスを取り扱う設備(爆発の危険性がないものを除く。)を設置するグローブボックス及び室は、当該設備から可燃性ガスが漏えいした場合においてもこれが滞留しない構造とすることその他の爆発を防止するための適切な措置が講じられたものでなければならない。 6 焼結設備その他の加熱を行う設備(次項において「焼結設備等」という。)は、当該設備の熱的制限値を超えて加熱されるおそれがないものでなければならない。 7 水素その他の可燃性ガスを使用する焼結設備等(爆発の危険性がないものを除く。)は、前三項に定めるところによるほか、次に掲げるところによらなければならない。 一 焼結設備等の内部において空気の混入により可燃性ガスが爆発することを防止するための適切な措置を講ずること。 二 焼結設備等から排出される可燃性ガスを滞留することなく安全に排出するための適切な措置を講ずること。 三 焼結設備等の内部で可燃性ガスを燃焼させるものは、燃焼が停止した場合に可燃性ガスの供給を自動的に停止する構造とすること。 (加工施設内における 溢 いつ 水による損傷の防止) 第十二条 安全機能を有する施設は、加工施設内における 溢 いつ 水の発生によりその安全性を損なうおそれがある場合において、防護措置その他の適切な措置が講じられたものでなければならない。 (安全避難通路等) 第十三条 加工施設には、次に掲げる設備が設けられていなければならない。 一 その位置を明確かつ恒久的に表示することにより容易に識別できる安全避難通路 二 照明用の電源が喪失した場合においても機能を損なわない避難用の照明 三 設計基準事故が発生した場合に用いる照明(前号の避難用の照明を除く。)及びその専用の電源 (安全機能を有する施設) 第十四条 安全機能を有する施設は、通常時及び設計基準事故時に想定される全ての環境条件において、その安全機能を発揮することができるように設置されたものでなければならない。 2 安全機能を有する施設は、当該安全機能を有する施設の安全機能を確認するための検査又は試験及び当該安全機能を健全に維持するための保守又は修理ができるように設置されたものでなければならない。 3 安全機能を有する施設に属する設備であって、クレーンその他の機器又は配管の損壊に伴う飛散物により損傷を受け、加工施設の安全性を損なうことが想定されるものは、防護措置その他の適切な措置が講じられたものでなければならない。 4 安全機能を有する施設は、他の原子力施設と共用し、又は安全機能を有する施設に属する設備を一の加工施設において共用する場合には、加工施設の安全性が損なわれないように設置されたものでなければならない。 (材料及び構造) 第十五条 安全機能を有する施設に属する容器及び管並びにこれらを支持する構造物のうち、加工施設の安全性を確保する上で重要なもの(以下この項において「容器等」という。)の材料及び構造は、次に掲げるところによらなければならない。 この場合において、第一号及び第三号の規定については、法第十六条の三第二項に規定する使用前事業者検査の確認を行うまでの間適用する。 一 容器等に使用する材料は、その使用される圧力、温度、荷重その他の使用条件に対して適切な機械的強度及び化学的成分を有すること。 二 容器等の構造及び強度は、次に掲げるところによるものであること。 イ 設計上定める条件において、全体的な変形を弾性域に抑えること。 ロ 容器等に属する伸縮継手にあっては、設計上定める条件で応力が繰り返し加わる場合において、疲労破壊が生じないこと。 ハ 設計上定める条件において、座屈が生じないこと。 三 容器等の主要な溶接部(溶接金属部及び熱影響部をいう。以下同じ。)は、次に掲げるところによるものであること。 イ 不連続で特異な形状でないものであること。 ロ 溶接による割れが生ずるおそれがなく、かつ、健全な溶接部の確保に有害な溶込み不良その他の欠陥がないことを非破壊試験により確認したものであること。 ハ 適切な強度を有するものであること。 ニ 機械試験その他の評価方法により適切な溶接施工法及び溶接設備並びに適切な技能を有する溶接士であることをあらかじめ確認したものにより溶接したものであること。 2 安全機能を有する施設に属する容器及び管のうち、加工施設の安全性を確保する上で重要なものは、適切な耐圧試験又は漏えい試験を行ったとき、これに耐え、かつ、著しい漏えいがないように設置されたものでなければならない。 (搬送設備) 第十六条 核燃料物質を搬送する設備(人の安全に著しい支障を及ぼすおそれがないものを除く。)は、次に掲げるところによるものでなければならない。 一 通常搬送する必要がある核燃料物質を搬送する能力を有するものであること。 二 核燃料物質を搬送するための動力の供給が停止した場合に、核燃料物質を安全に保持しているものであること。 (核燃料物質の貯蔵施設) 第十七条 核燃料物質を貯蔵する設備には、必要に応じて核燃料物質の崩壊熱を安全に除去できる設備が設けられていなければならない。 (警報設備等) 第十八条 加工施設には、その設備の機能の喪失、誤操作その他の要因により加工施設の安全性を著しく損なうおそれが生じたとき、次条第一号の放射性物質の濃度が著しく上昇したとき又は液体状の放射性廃棄物の廃棄施設から液体状の放射性物質が著しく漏えいするおそれが生じたときに、これらを確実に検知して速やかに警報する設備が設けられていなければならない。 2 加工施設には、その設備の機能の喪失、誤操作その他の要因により加工施設の安全性を著しく損なうおそれが生じたときに、核燃料物質等を限定された区域に閉じ込める能力の維持、熱的、化学的若しくは核的制限値の維持又は火災若しくは爆発の防止のための設備の作動を速やかに、かつ、自動的に開始させる回路が設けられていなければならない。 (放射線管理施設) 第十九条 工場等には、次に掲げる事項を計測する放射線管理施設が設けられていなければならない。 この場合において、当該事項を直接計測することが困難な場合は、これを間接的に計測する施設をもって代えることができる。 一 放射性廃棄物の排気口又はこれに近接する箇所における排気中の放射性物質の濃度 二 放射性廃棄物の排水口又はこれに近接する箇所における排水中の放射性物質の濃度 三 管理区域における外部放射線に係る原子力規制委員会の定める線量当量、空気中の放射性物質の濃度及び放射性物質によって汚染された物の表面の放射性物質の密度 (廃棄施設) 第二十条 放射性廃棄物を廃棄する設備(放射性廃棄物を保管廃棄する設備を除く。)は、次に掲げるところによるものでなければならない。 一 周辺監視区域の外の空気中及び周辺監視区域の境界における水中の放射性物質の濃度が、それぞれ原子力規制委員会の定める濃度限度以下になるように加工施設において発生する放射性廃棄物を廃棄する能力を有するものであること。 二 放射性廃棄物以外の廃棄物を廃棄する設備と区別して設置すること。 ただし、放射性廃棄物以外の流体状の廃棄物を流体状の放射性廃棄物を廃棄する設備に導く場合において、流体状の放射性廃棄物が放射性廃棄物以外の流体状の廃棄物を取り扱う設備に逆流するおそれがないときは、この限りでない。 三 気体状の放射性廃棄物を廃棄する設備は、排気口以外の箇所において気体状の放射性廃棄物を排出することがないものであること。 四 気体状の放射性廃棄物を廃棄する設備にろ過装置を設ける場合にあっては、ろ過装置の機能が適切に維持し得るものであり、かつ、ろ過装置の核燃料物質等による汚染の除去又はろ過装置の取替えが容易な構造であること。 五 液体状の放射性廃棄物を廃棄する設備は、排水口以外の箇所において液体状の放射性廃棄物を排出することがないものであること。 (核燃料物質等による汚染の防止) 第二十一条 加工施設のうち人が頻繁に出入りする建物内部の壁、床その他の部分であって、核燃料物質等により汚染されるおそれがあり、かつ、人が触れるおそれがあるものの表面は、核燃料物質等による汚染を除去しやすいものでなければならない。 (遮蔽) 第二十二条 安全機能を有する施設は、通常時において加工施設からの直接線及びスカイシャイン線による工場等周辺の線量が原子力規制委員会の定める線量限度を十分下回るように設置されたものでなければならない。 2 工場等内における外部放射線による放射線障害を防止する必要がある場所には、放射線障害を防止するために必要な遮蔽能力を有する遮蔽設備が設けられたものでなければならない。 この場合において、当該遮蔽設備に開口部又は配管その他の貫通部がある場合であって放射線障害を防止するために必要がある場合には、放射線の漏えいを防止するための措置が講じられたものでなければならない。 (換気設備) 第二十三条 加工施設内の核燃料物質等により汚染された空気による放射線障害を防止する必要がある場所には、次に掲げるところにより換気設備が設けられていなければならない。 一 放射線障害を防止するために必要な換気能力を有するものであること。 二 核燃料物質等により汚染された空気が逆流するおそれがない構造であること。 三 ろ過装置を設ける場合にあっては、ろ過装置の機能が適切に維持し得るものであり、かつ、ろ過装置の核燃料物質等による汚染の除去又はろ過装置の取替えが容易な構造であること。 (非常用電源設備) 第二十四条 加工施設には、外部電源系統からの電気の供給が停止した場合において、加工施設の安全性を確保するために必要な設備の機能を維持するために、内燃機関を原動力とする発電設備又はこれと同等以上の機能を有する非常用電源設備が設けられていなければならない。 2 加工施設の安全性を確保するために特に必要な設備には、無停電電源装置又はこれと同等以上の機能を有する設備が設けられていなければならない。 (通信連絡設備) 第二十五条 工場等には、設計基準事故が発生した場合において工場等内の人に対し必要な指示ができるよう、警報装置及び多様性を確保した通信連絡設備が設けられていなければならない。 2 工場等には、設計基準事故が発生した場合において加工施設外の通信連絡をする必要がある場所と通信連絡ができるよう、多様性を確保した専用通信回線が設けられていなければならない。 第三章 重大事故等対処施設 (重大事故等対処施設の地盤) 第二十六条 重大事故等対処施設は、次の各号に掲げる施設の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める地盤に設置されたものでなければならない。 一 重大事故等対処設備のうち常設のもの(重大事故等対処設備のうち可搬型のもの(以下「可搬型重大事故等対処設備」という。)と接続するものにあっては、当該可搬型重大事故等対処設備と接続するために必要なプルトニウムを取り扱う加工施設内の常設のケーブルその他の機器を含む。以下「常設重大事故等対処設備」という。)であって、耐震重要施設に属する設計基準事故に対処するための設備が有する機能を代替するもの(以下「常設耐震重要重大事故等対処設備」という。)が設置される重大事故等対処施設 基準地震動による地震力が作用した場合においても当該重大事故等対処施設を十分に支持することができる地盤 二 常設耐震重要重大事故等対処設備以外の常設重大事故等対処設備が設置される重大事故等対処施設 事業許可基準規則第七条第二項の規定により算定する地震力が作用した場合においても当該重大事故等対処施設を十分に支持することができる地盤 (地震による損傷の防止) 第二十七条 重大事故等対処施設は、次の各号に掲げる施設の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるところにより設置されたものでなければならない。 一 常設耐震重要重大事故等対処設備が設置される重大事故等対処施設 基準地震動による地震力に対して重大事故に至るおそれがある事故(設計基準事故を除く。)又は重大事故(以下「重大事故等」と総称する。)に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものであること。 二 常設耐震重要重大事故等対処設備以外の常設重大事故等対処設備が設置される重大事故等対処施設 事業許可基準規則第七条第二項の規定により算定する地震力に十分に耐えるものであること。 2 前項第一号の重大事故等対処施設は、事業許可基準規則第七条第三項の地震により生ずる斜面の崩壊により重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないよう、防護措置その他の適切な措置が講じられたものでなければならない。 (津波による損傷の防止) 第二十八条 重大事故等対処施設は、基準津波により重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないよう、防護措置その他の適切な措置が講じられたものでなければならない。 (火災等による損傷の防止) 第二十九条 重大事故等対処施設は、火災又は爆発の影響を受けることにより重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがある場合において、消火設備及び警報設備が設置されたものでなければならない。 2 前項の消火設備及び警報設備は、故障、損壊又は異常な作動により重大事故等に対処するために必要な機能に著しい支障を及ぼすおそれがないよう、適切な措置が講じられたものでなければならない。 3 重大事故等対処施設であって、火災又は爆発により損傷を受けるおそれがあるものは、可能な限り不燃性又は難燃性の材料を使用するとともに、必要に応じて防火壁の設置その他の適切な防護措置が講じられたものでなければならない。 (重大事故等対処設備) 第三十条 重大事故等対処設備は、次に掲げるところによるものでなければならない。 一 想定される重大事故等の収束に必要な個数及び容量を有すること。 二 想定される重大事故等が発生した場合における温度、放射線、荷重その他の使用条件において、重大事故等に対処するために必要な機能を有効に発揮すること。 三 想定される重大事故等が発生した場合において確実に操作できること。 四 重大事故等に対処するために必要な機能を確認するための検査又は試験及び当該機能を健全に維持するための保守又は修理ができること。 五 本来の用途以外の用途として重大事故等に対処するために使用する設備にあっては、通常時に使用する系統から速やかに切り替えられる機能を備えること。 六 プルトニウムを取り扱う加工施設を設置する工場又は事業所(以下この章において「工場等」という。)内の他の設備に対して悪影響を及ぼさないこと。 七 想定される重大事故等が発生した場合において重大事故等対処設備の操作及び復旧作業を行うことができるよう、線量が高くなるおそれが少ない設置場所の選定、設置場所への遮蔽物の設置その他の適切な措置を講ずること。 2 常設重大事故等対処設備は、前項に掲げるもののほか、共通要因(事業許可基準規則第一条第二項第七号に規定する共通要因をいう。次項において同じ。)によって設計基準事故に対処するための設備の安全機能と同時にその機能が損なわれるおそれがないよう、適切な措置が講じられたものでなければならない。 3 可搬型重大事故等対処設備に関しては、第一項の規定によるほか、次に掲げるところによるものでなければならない。 一 常設設備(プルトニウムを取り扱う加工施設と接続されている設備又はプルトニウムを取り扱う加工施設と短時間に接続することができる常設の設備をいう。以下この項において同じ。)と接続するものにあっては、当該常設設備と容易かつ確実に接続することができ、かつ、二以上の系統が相互に使用することができるよう、接続部の規格の統一その他の適切な措置を講ずること。 二 常設設備と接続するものにあっては、共通要因によって接続することができなくなることを防止するため、可搬型重大事故等対処設備(プルトニウムを取り扱う加工施設の外から水又は電力を供給するものに限る。)の接続口をそれぞれ互いに異なる複数の場所に設けること。 三 想定される重大事故等が発生した場合において可搬型重大事故等対処設備を設置場所に据え付け、及び常設設備と接続することができるよう、線量が高くなるおそれが少ない設置場所の選定、設置場所への遮蔽物の設置その他の適切な措置を講ずること。 四 地震、津波その他の自然現象又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムによる影響、設計基準事故に対処するための設備及び重大事故等対処設備の配置その他の条件を考慮した上で常設重大事故等対処設備と異なる保管場所に保管すること。 五 想定される重大事故等が発生した場合において、可搬型重大事故等対処設備を運搬し、又は他の設備の被害状況を把握するため、工場等内の道路及び通路が確保できるよう、適切な措置を講ずること。 六 共通要因によって、設計基準事故に対処するための設備の安全機能又は常設重大事故等対処設備の重大事故等に対処するために必要な機能と同時に可搬型重大事故等対処設備の重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないよう、適切な措置を講ずること。 (材料及び構造) 第三十一条 重大事故等対処設備に属する容器及び管並びにこれらを支持する構造物のうち、加工施設の安全性を確保する上で重要なもの(以下この項において「容器等」という。)の材料及び構造は、次に掲げるところによらなければならない。 この場合において、第一号(容器等の材料に係る部分に限る。)及び第二号の規定については、法第十六条の三第二項に規定する使用前事業者検査の確認を行うまでの間適用する。 一 容器等がその設計上要求される強度及び耐食性を確保できるものであること。 二 容器等の主要な溶接部は、次に掲げるところによるものであること。 イ 不連続で特異な形状でないものであること。 ロ 溶接による割れが生ずるおそれがなく、かつ、健全な溶接部の確保に有害な溶込み不良その他の欠陥がないことを非破壊試験により確認したものであること。 ハ 適切な強度を有するものであること。 ニ 機械試験その他の評価方法により適切な溶接施工法及び溶接設備並びに適切な技能を有する溶接士であることをあらかじめ確認したものにより溶接したものであること。 2 重大事故等対処設備に属する容器及び管のうち、加工施設の安全性を確保する上で重要なものは、適切な耐圧試験又は漏えい試験を行ったとき、これに耐え、かつ、著しい漏えいがないように設置されたものでなければならない。 (臨界事故の拡大を防止するための設備) 第三十二条 プルトニウムを取り扱う加工施設には、加工規則第二条の二第一号に掲げる重大事故の拡大を防止するために必要な次に掲げる重大事故等対処設備が設けられていなければならない。 一 未臨界に移行し、及び未臨界を維持するために必要な設備 二 臨界事故の影響を緩和するために必要な設備 (閉じ込める機能の喪失に対処するための設備) 第三十三条 プルトニウムを取り扱う加工施設には、加工規則第二条の二第二号に掲げる重大事故の拡大を防止するために必要な次に掲げる重大事故等対処設備が設けられていなければならない。 一 核燃料物質等の飛散又は漏えいを防止し、飛散又は漏えいした核燃料物質等を回収するために必要な設備 二 核燃料物質等を閉じ込める機能を回復するために必要な設備 (工場等外への放射性物質の拡散を抑制するための設備) 第三十四条 プルトニウムを取り扱う加工施設には、重大事故が発生した場合において工場等外への放射性物質の拡散を抑制するために必要な設備が設けられていなければならない。 (重大事故等への対処に必要となる水の供給設備) 第三十五条 プルトニウムを取り扱う加工施設には、重大事故等への対処に必要となる十分な量の水を有する水源を確保することに加えて、重大事故等への対処に必要となる十分な量の水を供給するために必要な設備が設けられていなければならない。 (電源設備) 第三十六条 プルトニウムを取り扱う加工施設には、外部電源系統からの電気の供給が停止し、第二十四条の規定により設置される非常用電源設備からの電源が喪失した場合において、重大事故等に対処するために必要な電力を確保するために必要な設備が設けられていなければならない。 (監視測定設備) 第三十七条 プルトニウムを取り扱う加工施設には、重大事故等が発生した場合に工場等及びその周辺(工場等の周辺海域を含む。)において、当該加工施設から放出される放射性物質の濃度及び線量を監視し、及び測定し、並びにその結果を記録することができる設備が設けられていなければならない。 2 プルトニウムを取り扱う加工施設には、重大事故等が発生した場合に工場等において、風向、風速その他の気象条件を測定し、及びその結果を記録することができる設備が設けられていなければならない。 (緊急時対策所) 第三十八条 プルトニウムを取り扱う加工施設には、重大事故等が発生した場合において当該重大事故等に対処するための適切な措置が講じられるよう、次に掲げるところにより緊急時対策所が設けられていなければならない。 一 重大事故等に対処するために必要な指示を行う要員がとどまることができるよう、適切な措置を講ずること。 二 プルトニウムを取り扱う加工施設の内外の通信連絡をする必要のある場所と通信連絡を行うために必要な設備を設けること。 2 緊急時対策所は、重大事故等に対処するために必要な数の要員を収容することができる措置が講じられたものでなければならない。 (通信連絡を行うために必要な設備) 第三十九条 プルトニウムを取り扱う加工施設には、重大事故等が発生した場合において当該加工施設の内外の通信連絡をする必要のある場所と通信連絡を行うために必要な設備が設けられていなければならない。 第四章 雑則 (電磁的記録媒体による手続) 第四十条 第二条第二項の申請書の提出については、当該申請書の提出に代えて、当該申請書に記載すべきこととされている事項を記録した電磁的記録媒体(電磁的記録(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)に係る記録媒体をいう。以下同じ。)及び別記様式の電磁的記録媒体提出票を提出することにより行うことができる。
民事
Reiwa
MinisterialOrdinance
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令和三年法務省令第十五号
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民事執行法第二百五条第一項に規定する法務省令で定める登記所を定める省令 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第二百五条第一項に規定する法務省令で定める登記所は、東京法務局とする。
民事
Reiwa
MinisterialOrdinance
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令和三年農林水産省令第六十二号
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農林水産省の所管する法律の規定に基づく立入検査等の際に携帯する職員の身分を示す証明書の様式の特例に関する省令 次に掲げる法律の規定に基づく立入検査等の際に職員が携帯するその身分を示す証明書は、他の法令の規定にかかわらず、別記様式によることができる。 一 公益信託ニ関スル法律第四条第一項(農林水産省の所掌に係る部分に限る。) 二 競馬法(昭和二十三年法律第百五十八号)第二十五条第一項及び第三項 三 獣医師法(昭和二十四年法律第百八十六号)第二十一条第三項 四 漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第百七十六条第一項及び第二項 五 森林病害虫等防除法(昭和二十五年法律第五十三号)第六条第一項 六 肥料の品質の確保等に関する法律(昭和二十五年法律第百二十七号)第三十条第一項から第三項まで及び第三十三条の三第一項 七 漁港及び漁場の整備等に関する法律(昭和二十五年法律第百三十七号)第十九条の二第一項(同条第四項(同法第十九条の三第六項において準用する場合を含む。)及び同法第十九条の三第三項において準用する場合を含む。)、第二十四条第一項(同法第三十六条第一項において準用する場合を含む。)並びに第六十七条第一項及び第二項 八 日本農林規格等に関する法律(昭和二十五年法律第百七十五号)第六十五条第一項から第五項まで及び第六十六条第一項から第五項まで 九 漁船法(昭和二十五年法律第百七十八号)第五十条第一項から第三項まで 十 牧野法(昭和二十五年法律第百九十四号)第六条第一項及び第十二条第一項 十一 家畜改良増殖法(昭和二十五年法律第二百九号)第三十五条第一項 十二 農業委員会等に関する法律(昭和二十六年法律第八十八号)第四十八条第一項 十三 農産物検査法(昭和二十六年法律第百四十四号)第三十一条第一項及び第二項 十四 飼料需給安定法(昭和二十七年法律第三百五十六号)第九条第一項 十五 飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和二十八年法律第三十五号)第五十六条第一項(飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律施行令(昭和五十一年政令第百九十八号)第十一条第三項本文の規定により都道府県知事が行うこととされる事務に係るものに限る。)、第二項(都道府県知事が行う事務に係る部分に限る。)及び第三項 十六 輸出水産業の振興に関する法律(昭和二十九年法律第百五十四号)第二十一条第一項 十七 酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律(昭和二十九年法律第百八十二号)第二十五条第一項 十八 家畜取引法(昭和三十一年法律第百二十三号)第二十九条第二項 十九 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第八十三条第一項の規定により読み替えて適用される同法第六十九条第一項から第四項まで、第六項及び第七項並びに第七十条第三項 二十 林業種苗法(昭和四十五年法律第八十九号)第二十八条第一項 二十一 遊漁船業の適正化に関する法律(昭和六十三年法律第九十九号)第二十九条第一項 二十二 獣医療法(平成四年法律第四十六号)第八条第一項 二十三 農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律(平成六年法律第四十六号)第三十六条第一項 二十四 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成六年法律第百十三号)第五十二条第一項 二十五 種苗法(平成十年法律第八十三号)第六十二条第一項及び第六十三条第一項 二十六 持続的養殖生産確保法(平成十一年法律第五十一号)第十条第一項 二十七 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(平成十一年法律第百十二号)第六条第一項 二十八 独立行政法人農業者年金基金法(平成十四年法律第百二十七号)第六十四条第一項 二十九 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成十五年法律第九十七号)第三十二条第一項 三十 株式会社農林漁業成長産業化支援機構法(平成二十四年法律第八十三号)第三十九条第一項及び第二項 三十一 食品表示法(平成二十五年法律第七十号)第八条第二項(食品表示法第十五条の規定による権限の委任等に関する政令(平成二十七年政令第六十八号)第五条第一項本文の規定により都道府県知事及び指定都市の長が行うこととされる事務に係る部分に限る。) 三十二 特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(平成二十六年法律第八十四号)第三十四条第一項
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令和三年デジタル庁令第六号
46
内閣総理大臣の所管に属する公益信託の引受けの許可及び監督に関するデジタル庁令 (引受けの許可の申請) 第一条 内閣総理大臣の所管に属する公益信託(公益信託に係る主務官庁の権限に属する事務の処理等に関する政令(平成四年政令第百六十二号)第一条第一項に規定する公益信託を除く。以下「公益信託」という。)の引受けについて、公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号。以下「法」という。)第二条第一項の規定により内閣総理大臣の許可を受けようとする者は、次の各号に掲げる書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 信託設定趣意書 二 信託行為の内容を示す書類 三 信託財産に属する財産となるべきものの種類及び総額を記載した書類並びにその財産の権利及び価格を証する書類 四 委託者となるべき者及び受託者となるべき者の氏名、住所及び略歴を記載した書類(以下「履歴書」という。)(委託者となるべき者又は受託者となるべき者が法人である場合にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地を記載した書類並びに定款又は寄附行為) 五 信託管理人を置く場合には、信託管理人となるべき者の履歴書(信託管理人となるべき者が法人である場合にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地を記載した書類並びに定款又は寄附行為)及び就任承諾書 六 運営委員会その他の当該公益信託を適正に運営するために必要な機関(以下「運営委員会等」という。)を置く場合には、その名称、構成員の数並びに構成員となるべき者の履歴書及び就任承諾書 七 引受け当初の信託事務年度及び翌信託事務年度の事業計画書及び収支予算書 八 前各号に掲げるもののほか、内閣総理大臣が特に必要と認める書類 (財産移転の報告) 第二条 公益信託の引受けを許可された受託者は、遅滞なく前条第三号の書類に記載された財産の移転を受け、その移転を終了した後一月以内に、これを証する書類を添えてその旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。 (事業計画書及び収支予算書の届出) 第三条 受託者は、毎信託事務年度(信託事務年度の定めのない信託にあっては、毎年四月一日から翌年三月三十一日までとする。以下同じ。)開始前に、当該信託事務年度の事業計画書及び収支予算書を内閣総理大臣に届け出なければならない。 2 受託者は、前項の事業計画書及び収支予算書を変更したときは、遅滞なくこれを内閣総理大臣に届け出なければならない。 (事業状況報告書等の提出) 第四条 受託者は、毎信託事務年度終了後三月以内に、次の各号に掲げる書類を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 当該信託事務年度の事業状況報告書 二 当該信託事務年度の収支決算書 三 当該信託事務年度末の財産目録 (公告) 第五条 受託者は、前条の事業状況報告書等の提出をした後遅滞なく前信託事務年度の信託事務及び信託財産に属する財産の状況を公告しなければならない。 (信託の変更に係る書類の提出) 第六条 受託者は、法第五条第一項の特別の事情が生じたと認めるときは、次の各号に掲げる書類を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 信託の変更を必要とする理由を記載した書類 二 信託の変更案及び新旧対照表 2 前項の場合において、当該公益信託の事業内容の変更が必要と認められるときは、同項各号の書類のほか、変更後の事業計画書及び収支予算書を添えなければならない。 (信託の変更の許可の申請) 第七条 受託者は、法第六条の規定により信託の変更の許可を受けようとするときは、次の各号に掲げる書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 信託の変更を必要とする理由を記載した書類 二 信託の変更をする根拠となる信託法(平成十八年法律第百八号)の規定(同法第百四十九条第四項の別段の定めがある場合には、当該定めの内容を含む。)を記載した書類 三 信託の変更案及び新旧対照表 2 前項の場合において、当該公益信託の事業内容の変更が必要と認められるときは、同項各号の書類のほか、変更後の事業計画書及び収支予算書を添えなければならない。 (信託の併合の許可の申請) 第八条 受託者は、法第六条の規定により信託の併合の許可を受けようとするときは、次の各号に掲げる書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 信託の併合を必要とする理由を記載した書類 二 信託の併合をする根拠となる信託法の規定(同法第百五十一条第三項の別段の定めがある場合には、当該定めの内容を含む。)を記載した書類 三 信託の併合後の信託行為の内容を記載した書類及び新旧対照表 四 信託法第百五十二条第二項の公告及び催告又は同条第三項の公告をしたことその他信託法の定める信託の併合の手続を経たことを証する書類 2 第一条第三号及び第五号から第八号までの規定は、前項の許可を受けようとする受託者について準用する。 この場合において、同条第七号中「引受け」とあるのは、「信託の併合」と読み替えるものとする。 (吸収信託分割の許可の申請) 第九条 受託者は、法第六条の規定により吸収信託分割の許可を受けようとするときは、次の各号に掲げる書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 吸収信託分割を必要とする理由を記載した書類 二 吸収信託分割をする根拠となる信託法の規定(同法第百五十五条第三項の別段の定めがある場合には、当該定めの内容を含む。)を記載した書類 三 吸収信託分割後の信託行為の内容を記載した書類及び新旧対照表 四 信託法第百五十六条第二項の公告及び催告又は同条第三項の公告をしたことその他信託法の定める吸収信託分割の手続を経たことを証する書類 (新規信託分割の許可の申請) 第十条 受託者は、法第六条の規定により新規信託分割の許可を受けようとするときは、次の各号に掲げる書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 新規信託分割を必要とする理由を記載した書類 二 新規信託分割をする根拠となる信託法の規定(同法第百五十九条第三項の別段の定めがある場合には、当該定めの内容を含む。)を記載した書類 三 新規信託分割後の信託行為の内容を記載した書類及び新旧対照表 四 信託法第百六十条第二項の公告及び催告又は同条第三項の公告をしたことその他信託法の定める新規信託分割の手続を経たことを証する書類 2 第一条第三号及び第五号から第八号までの規定は、前項の許可を受けようとする受託者について準用する。 この場合において、同条第七号中「引受け」とあるのは、「新規信託分割」と読み替えるものとする。 (受託者の辞任の許可の申請) 第十一条 受託者は、法第七条の規定により辞任の許可を受けようとするときは、次の各号に掲げる書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 辞任しようとする理由を記載した書類 二 信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を記載した書類 三 新たな受託者の選任に関する意見を記載した書類 (検査役の選任の請求) 第十二条 委託者又は信託管理人は、信託法第四十六条第一項及び法第八条の規定により検査役の選任を請求しようとするときは、次の各号に掲げる書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 選任を請求する理由を記載した書類 二 検査役の選任に関する意見を記載した書類 (受託者の解任の請求) 第十三条 委託者又は信託管理人は、信託法第五十八条第四項及び法第八条の規定により内閣総理大臣に対し受託者の解任を請求しようとするときは、解任を請求する理由を記載した書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 (新たな受託者の選任の請求) 第十四条 利害関係人は、信託法第六十二条第四項及び法第八条の規定により内閣総理大臣に対し新たな受託者の選任を請求しようとするときは、次の各号に掲げる書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 任務終了の理由を記載した書類 二 新たな受託者の選任に関する意見を記載した書類 三 新たな受託者となるべき者に係る第一条第四号に掲げる履歴書及び就任承諾書 (信託財産管理命令の請求) 第十五条 利害関係人は、信託法第六十三条第一項及び法第八条の規定により信託財産管理者による管理を命ずる処分(以下「信託財産管理命令」という。)を請求しようとするときは、次の各号に掲げる書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 任務終了の事由を記載した書類 二 信託財産管理命令を請求する理由を記載した書類 三 信託財産管理者の選任に関する意見を記載した書類 (保存行為等の範囲を超える行為の許可の申請) 第十六条 信託財産管理者は、信託法第六十六条第四項及び法第八条の規定による許可を受けようとするときは、次の各号に掲げる書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 許可を受けようとする行為の概要を記載した書類 二 許可を受けようとする理由を記載した書類 2 前項の規定は、信託法第七十四条第六項において準用する同法第六十六条第四項及び法第八条の規定により保存行為等の範囲を超える行為の許可を受けようとする信託財産法人管理人について準用する。 (信託財産管理者等の辞任の許可の申請) 第十七条 信託財産管理者は、信託法第七十条において読み替えて準用する同法第五十七条第二項及び法第八条の規定により辞任の許可を受けようとするときは、次の各号に掲げる書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 辞任しようとする理由を記載した書類 二 信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を記載した書類 三 新たな信託財産管理者の選任に関する意見を記載した書類 2 前項の規定は、信託法第七十四条第六項において準用する同法第七十条の規定により辞任の許可を受けようとする信託財産法人管理人について準用する。 この場合において、前項第三号中「新たな信託財産管理者」とあるのは、「新たな信託財産法人管理人」と読み替えるものとする。 (信託財産管理者等の解任の請求) 第十八条 委託者又は信託管理人は、信託法第七十条において準用する同法第五十八条第四項及び法第八条の規定により信託財産管理者の解任を請求しようとするときは、解任を請求する理由を記載した書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 2 前項の規定は、信託法第七十四条第六項において準用する同法第七十条の規定により信託財産法人管理人の解任を請求しようとする委託者又は信託管理人について準用する。 (信託財産法人管理命令の請求) 第十九条 利害関係人は、信託法第七十四条第二項及び法第八条の規定により信託財産法人管理人による管理を命ずる処分(以下「信託財産法人管理命令」という。)を請求しようとするときは、次の各号に掲げる書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 受託者の死亡の事実を記載した書類 二 信託財産法人管理命令を請求する理由を記載した書類 三 信託財産法人管理人の選任に関する意見を記載した書類 (信託管理人の選任の請求) 第二十条 利害関係人は、信託法第百二十三条第四項又は同法第二百五十八条第六項及び法第八条の規定により信託管理人の選任を請求しようとするときは、次の各号に掲げる書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 選任を請求する理由を記載した書類 二 信託管理人となるべき者に係る第一条第五号に掲げる履歴書及び就任承諾書 (信託管理人の辞任の許可の申請) 第二十一条 信託管理人は、信託法第百二十八条第二項において準用する同法第五十七条第二項及び法第八条の規定により辞任の許可を受けようとするときは、次の各号に掲げる書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 辞任しようとする理由を記載した書類 二 信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を記載した書類 三 新たな信託管理人の選任に関する意見を記載した書類 (信託管理人の解任の請求) 第二十二条 委託者又は他の信託管理人は、信託法第百二十八条第二項において準用する同法第五十八条第四項及び法第八条の規定により信託管理人の解任を請求しようとするときは、解任を請求する理由を記載した書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 (新たな信託管理人の選任の請求) 第二十三条 利害関係人は、信託法第百二十九条第一項において準用する同法第六十二条第四項及び法第八条の規定により新たな信託管理人の選任を請求しようとするときは、次の各号に掲げる書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 任務終了の事由を記載した書類 二 新たな信託管理人の選任に関する意見を記載した書類 三 新たな信託管理人となるべき者に係る第一条第五号に掲げる履歴書及び就任承諾書 (信託の終了の請求) 第二十四条 委託者、受託者又は信託管理人は、信託法第百六十五条第一項及び法第八条の規定により信託の終了を請求しようとするときは、次の各号に掲げる書類を添えて申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 信託の終了を請求する理由を記載した書類 二 信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を記載した書類 三 残余財産の処分の見込みに関する書類 (受託者の氏名等の変更の届出) 第二十五条 受託者は、次の各号に掲げる事項に変更があったときは、遅滞なく書面をもってその旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 一 受託者の氏名、住所又は職業(受託者が法人である場合にあっては、その名称、代表者の氏名、主たる事務所の所在地又は主たる業務) 二 信託管理人の氏名、住所又は職業(信託管理人が法人である場合にあっては、その名称、代表者の氏名、主たる事務所の所在地又は主たる業務) 三 運営委員会等の構成員の氏名、住所又は職業 2 前項第二号及び第三号の場合において新たに就任する信託管理人又は運営委員会等の構成員があるときは、これらの者に係る第一条第五号及び第六号に掲げる履歴書及び就任承諾書を添えなければならない。 (書類及び帳簿の備付け) 第二十六条 受託者は、信託事務を行う事務所に、次の各号に掲げる書類及び帳簿を備えなければならない。 一 信託行為 二 委託者又はその相続人、受託者及び信託管理人の履歴書(これらの者が法人である場合にあっては、定款又は寄附行為)並びに運営委員会等の構成員の名簿及び履歴書 三 許可、届出等に関する書類 四 収入及び支出に関する帳簿及び証拠書類 五 資産及び負債の状況を示す書類 六 運営委員会等の議事に関する書類 (業務の監督) 第二十七条 内閣総理大臣は、法第三条及び第四条第一項の規定により、受託者に対し報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に信託事務及び信託財産の状況を検査させることができる。 2 前項の規定により検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。 (公益信託の終了の報告等) 第二十八条 受託者は、信託が終了したときは、終了後一月以内に、信託の終了事由を記載した書類を内閣総理大臣に提出しなければならない。 2 清算受託者は、信託の清算が結了したときは、清算結了後一月以内に、次の各号に掲げる書類を添えて報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一 信託事務の最終計算書及び附属書類 二 残余財産の処分に関する書類
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令和三年デジタル庁令第八号
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デジタル庁の所管に属する不動産及び船舶に関する権利の登記嘱託職員を指定するデジタル庁令 不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)第七条第二項並びに船舶登記令(平成十七年政令第十一号)第十三条第二項及び第二十七条第二項の規定に基づき、デジタル庁の所管に属する不動産及び船舶に関する権利の登記を嘱託する職員を次のとおり指定する。 デジタル庁参事官(会計担当)
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令和三年会計検査院規則第五号
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会計検査院の所管に属する不動産に関する権利の登記嘱託職員を指定する規則 不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)第七条第二項の規定に基づき、会計検査院の所管に属する不動産に関する権利の登記を嘱託する職員を次のとおり指定する。 事務総長官房会計課長
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令和四年政令第百八十七号
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借地借家法施行令 1 借地借家法第三十八条第四項の規定による承諾は、建物の賃貸人が、法務省令で定めるところにより、あらかじめ、当該承諾に係る建物の賃借人に対し同項の規定による電磁的方法による提供に用いる電磁的方法の種類及び内容を示した上で、当該建物の賃借人から書面又は電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるもの(次項において「書面等」という。)によって得るものとする。 2 建物の賃貸人は、前項の承諾を得た場合であっても、当該承諾に係る建物の賃借人から書面等により借地借家法第三十八条第四項の規定による電磁的方法による提供を受けない旨の申出があったときは、当該電磁的方法による提供をしてはならない。 ただし、当該申出の後に当該建物の賃借人から再び前項の承諾を得た場合は、この限りでない。
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令和四年政令第三百九十五号
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農地中間管理事業の推進に関する法律による不動産登記の特例に関する政令 (趣旨) 第一条 この政令は、農地中間管理事業の推進に関する法律(以下「法」という。)第二十六条の二の規定による不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)の特例を定めるものとする。 (代位登記) 第二条 農地中間管理機構(以下「機構」という。)は、第四条又は第五条の規定により登記を申請する場合において、必要があるときは、次の各号に掲げる登記を当該各号に定める者に代わって申請することができる。 一 土地の表題登記 所有者 二 土地の表題部の登記事項に関する変更の登記又は更正の登記 表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はそれらの相続人その他の一般承継人 三 所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記 所有権の登記名義人又はその相続人その他の一般承継人 四 所有権の保存の登記 表題部所有者の相続人その他の一般承継人 五 相続その他の一般承継による所有権の移転の登記 相続人その他の一般承継人 (代位登記の登記識別情報) 第三条 登記官は、前条の規定による申請に基づいて同条第四号又は第五号に掲げる登記を完了したときは、速やかに、当該登記に係る登記権利者のために登記識別情報を機構に通知しなければならない。 2 前項の規定により登記識別情報の通知を受けた機構は、遅滞なく、これを同項の登記権利者に通知しなければならない。 (既登記の所有権の移転の登記の申請) 第四条 法第十八条第八項の規定により既登記の所有権が移転した場合における所有権の移転の登記は、機構が申請しなければならない。 (未登記の所有権が移転した場合の登記の申請) 第五条 法第十八条第八項の規定により未登記の所有権が移転した場合には、機構は、機構を登記名義人とする所有権の保存の登記を申請しなければならない。 (添付情報) 第六条 前二条の規定により登記を申請する場合には、機構は、次に掲げる情報をその申請情報と併せて登記所に提供しなければならない。 ただし、第三号に掲げる情報は、機構が登記義務者である場合には、提供することを要しない。 一 農用地利用集積等促進計画の内容を証する情報 二 法第十八条第七項の規定による公告があったことを証する情報 三 登記義務者又は表題部所有者の承諾を証するこれらの者が作成した情報 (登記識別情報の通知) 第七条 登記官は、第四条又は第五条の規定による申請に基づきこれらの規定による登記を完了したときは、速やかに、当該登記に係る登記権利者のために登記識別情報を機構に通知しなければならない。 2 前項の規定により登記識別情報の通知を受けた機構は、遅滞なく、これを同項の登記権利者に通知しなければならない。 (法務省令への委任) 第八条 この政令に定めるもののほか、この政令に規定する登記についての登記簿及び登記記録の記録方法その他の登記の事務に関し必要な事項は、法務省令で定める。
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令和四年法務省令第二十九号
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借地借家法施行規則 (電磁的方法) 第一条 借地借家法第三十八条第四項に規定する電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものは、次に掲げる方法とする。 一 電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの イ 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法 ロ 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法 二 磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法 2 前項各号に掲げる方法は、受信者がファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものでなければならない。 (借地借家法施行令に係る電磁的方法) 第二条 借地借家法施行令第一項の規定により示すべき電磁的方法の種類及び内容は、次に掲げるものとする。 一 次に掲げる方法のうち、送信者が使用するもの イ 電子情報処理組織を使用する方法のうち次に掲げるもの (1) 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法 (2) 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法 ロ 磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法 二 ファイルへの記録の方式 (情報通信の技術を利用する方法) 第三条 借地借家法施行令第一項に規定する電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものは、次に掲げる方法とする。 一 電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの イ 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法 ロ 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法 二 磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法 2 前項各号に掲げる方法は、受信者がファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものでなければならない。
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令和四年法務省令第三十九号
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手形法第八十三条及び小切手法第六十九条の規定による手形交換所を指定する省令 手形法(昭和七年法律第二十号)第八十三条及び小切手法(昭和八年法律第五十七号)第六十九条の規定により指定する手形交換所は、電子交換所(一般社団法人全国銀行協会が設置するもの)とする。
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令和四年法務省令第四十二号
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非訟事件手続法第九十条第八項及び第九十一条第五項並びに家事事件手続法第百四十六条の二第二項の規定による公告の方法等を定める省令 (公告の方法) 第一条 非訟事件手続法第九十条第八項(同条第十六項において準用する場合を含む。以下同じ。)及び第九十一条第五項(同条第十項において準用する場合を含む。以下同じ。)並びに家事事件手続法第百四十六条の二第二項(同法第百九十条の二第二項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による公告は、官報により行うものとする。 (公告事項) 第二条 非訟事件手続法第九十条第八項の法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 所有者不明土地管理命令の対象とされた土地(共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である土地)又は所有者不明建物管理命令の対象とされた建物(共有持分を対象として所有者不明建物管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である建物)に係る所在事項 二 供託所の表示 三 供託番号 四 供託した金額 五 裁判所の名称、件名及び事件番号 2 非訟事件手続法第九十一条第五項の法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 管理不全土地管理命令の対象とされた土地又は管理不全建物管理命令の対象とされた建物に係る所在事項 二 供託所の表示 三 供託番号 四 供託した金額 五 裁判所の名称、件名及び事件番号 3 家事事件手続法第百四十六条の二第二項の法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 不在者の氏名、住所及び出生の年月日又は被相続人の氏名、最後の住所並びに出生及び死亡の年月日 二 供託所の表示 三 供託番号 四 供託した金額 五 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二十五条第一項の規定による管理人の選任又は同法第八百九十七条の二第一項の規定による相続財産の管理人の選任に係る家庭裁判所の名称、件名及び事件番号
民事
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CabinetOrder
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令和五年政令第二百三十七号
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配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律施行令 (位置情報記録・送信装置の範囲) 第一条 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(以下「法」という。)第十条第二項第九号の政令で定める装置は、地理空間情報活用推進基本法(平成十九年法律第六十三号)第二条第四項に規定する衛星測位の技術を用いて得られる当該装置の位置に係る位置情報を電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。次条において同じ。)として記録し、又はこれを送信する機能を有する装置をいう。 (位置情報の取得方法) 第二条 法第十条第二項第九号の政令で定める方法は、次に掲げる方法とする。 一 位置情報記録・送信装置の映像面上において、電磁的記録として記録された位置情報を視覚により認識することができる状態にして閲覧する方法 二 位置情報記録・送信装置により記録された電磁的記録に係る記録媒体を取得する方法(当該電磁的記録を他の記録媒体に複写する方法を含む。) 三 位置情報記録・送信装置により送信された電磁的記録を受信する方法(当該方法により取得された位置情報を他人の求めに応じて提供する役務を提供する者から当該役務を利用して当該位置情報の提供を受ける方法を含む。) (位置情報記録・送信装置を移動し得る状態にする行為) 第三条 法第十条第二項第十号の政令で定める行為は、次に掲げる行為とする。 一 その所持する物に位置情報記録・送信装置を差し入れること。 二 位置情報記録・送信装置を差し入れた物を交付すること。 三 その移動の用に供されることとされ、又は現に供されている道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第九号に規定する自動車、同項第十号に規定する原動機付自転車、同項第十一号の二に規定する自転車、同項第十一号の三に規定する移動用小型車、同項第十一号の四に規定する身体障害者用の車又は道路交通法施行令(昭和三十五年政令第二百七十号)第一条第一号に規定する歩行補助車(それぞれその所持する物に該当するものを除く。)に位置情報記録・送信装置を取り付け、又は差し入れること。
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令和五年内閣府令第五十九号
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配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律施行規則 (定義) 第一条 この府令において使用する用語は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成十三年法律第三十一号。以下「法」という。)において使用する用語の例による。 (協議会の公表) 第二条 法第五条の二第四項の規定による公表は、協議会の名称及び構成員の名称又は氏名について行うものとする。 ただし、構成員のうち民間の団体又は個人の名称又は氏名の公表については、必要があると認めるときは、その全部又は一部についてその団体又は個人の数の公表をもって代えることができる。 2 前項の規定による公表は、地方公共団体の公報への掲載、インターネットの利用その他の適切な方法により行うものとする。 (法第十条第六項第二号の内閣府令で定める方法) 第三条 法第十条第六項第二号の内閣府令で定める方法は、特定の個人がその入力する情報を電気通信を利用して第三者に閲覧させることに付随して、その第三者が当該個人に対し情報を伝達することができる機能が提供されるものの当該機能を利用するものとする。
民事
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MinisterialOrdinance
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令和五年復興庁令第四号
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復興庁の所管に属する不動産登記嘱託職員を指定する庁令 不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)第七条第二項の規定に基づき、復興庁の所管に属する不動産登記嘱託職員として次の職員を指定する。 統括官 会計に関する事務を担当する参事官
民事
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Act
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令和六年法律第三十号
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公益信託に関する法律
民事
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Act
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令和六年法律第三十号
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公益信託に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、内外の社会経済情勢の変化に伴い、公益を目的とする信託による事務の実施が公益の増進のために重要となっていることに鑑み、当該事務が適正に行われるよう公益信託を認可する制度を設けるとともに、当該公益信託の受託者による信託事務の適正な処理を確保するため必要な措置等を定め、もって公益の増進及び活力ある社会の実現に資することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 公益信託 この法律の定めるところによりする受益者の定め(受益者を定める方法の定めを含む。第四条第三項において同じ。)のない信託であって、公益事務を行うことのみを目的とするものをいう。 二 公益事務 学術の振興、福祉の向上その他の不特定かつ多数の者の利益の増進を目的とする事務として別表各号に掲げる事務をいう。 2 この法律において、「信託」、「信託行為」、「信託財産」、「委託者」、「受託者」、「受益者」、「信託財産責任負担債務」、「信託の併合」、「吸収信託分割」、「新規信託分割」又は「信託の分割」とは、それぞれ信託法(平成十八年法律第百八号)第二条に規定する「信託」、「信託行為」、「信託財産」、「委託者」、「受託者」、「受益者」、「信託財産責任負担債務」、「信託の併合」、「吸収信託分割」、「新規信託分割」又は「信託の分割」をいう。 3 この法律において、信託法の規定を引用する場合における当該規定については、第三十三条第三項の規定により読み替えて適用するものとされたものにあっては、当該読み替えて適用するものとされた規定をいうものとする。 (行政庁) 第三条 この法律における行政庁は、次の各号に掲げる公益信託の区分に応じ、当該各号に定める内閣総理大臣又は都道府県知事とする。 一 次に掲げる公益信託 内閣総理大臣 イ 公益事務を二以上の都道府県の区域内において行う旨を信託行為で定めるもの ロ 国の事務又は事業と密接な関連を有する公益事務であって政令で定めるものを行うもの 二 前号に掲げる公益信託以外の公益信託 その公益事務を行う区域を管轄する都道府県知事 (公益信託の要件) 第四条 公益信託は、信託法第三条第一号又は第二号に掲げる方法によってしなければならない。 2 公益信託の信託行為においては、公益事務を行うことのみを目的とする旨のほか、次に掲げる事項を定めなければならない。 一 公益信託の名称(公益信託という文字を用いるものに限る。第七条第二項第一号において同じ。) 二 信託管理人(信託法第四章第四節第一款の信託管理人をいう。以下同じ。)となるべき者を指定する定め 三 帰属権利者(信託法第百八十二条第一項第二号に規定する帰属権利者をいう。第八条第十三号において同じ。)となるべき者(委託者を除く。)を指定する定め 四 その他内閣府令で定める事項 3 公益信託においては、受益者の定めを設けることはできない。 (公益信託の名称等) 第五条 何人も、公益信託でないものについて、その名称又は商号中に、公益信託であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。 2 何人も、不正の目的をもって、他の公益信託であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。 3 前二項の規定に違反する名称又は商号の使用によって公益事務に係る利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある公益信託の受託者は、その利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。 第二章 公益信託の認可等 第一節 公益信託の効力 第六条 公益信託は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。 第二節 公益信託の認可 (公益信託認可の申請) 第七条 公益信託の受託者となろうとする者は、前条の認可(以下「公益信託認可」という。)を申請しなければならない。 2 公益信託認可の申請は、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を行政庁に提出してしなければならない。 一 公益信託の名称 二 受託者及び信託管理人の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地) 三 公益事務を行う都道府県の区域 四 公益事務の種類及び内容 五 その他公益信託に係る信託行為の内容に関する事項 3 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一 公益信託に係る信託行為の内容を証する書面 二 事業計画書及び収支予算書 三 公益事務を行うに当たり法令上行政機関の許認可等(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第三号に規定する許認可等をいう。以下同じ。)を必要とする場合においては、当該許認可等があったこと又はこれを受けることができることを証する書類 四 当該公益信託に係る信託事務(以下「公益信託事務」という。)を処理するのに必要な経理的基礎を有することを明らかにする当該公益信託の信託財産に係る財産目録その他の内閣府令で定める書類 五 次条第十一号に規定する支払基準を記載した書類 六 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める書類 (公益信託認可の基準) 第八条 行政庁は、公益信託認可の申請に係る公益信託が次に掲げる基準(その信託行為において信託財産が寄附により受け入れた金銭又は預貯金、国債その他これらに準ずる資産(いずれも内閣府令で定める要件に該当するものに限る。)に限られる旨及び当該信託財産(その信託財産に帰せられる収益を含む。)について内閣府令で定める方法によってのみ支出する旨を定める公益信託(第十六条第一項において「特定資産公益信託」という。)にあっては、第八号から第十号までに掲げる基準を除く。第三十条第二項第一号において同じ。)に適合すると認めるときは、公益信託認可をするものとする。 一 公益事務を行うことのみを目的とするものであること。 二 その受託者が公益信託事務を適正に処理するのに必要な経理的基礎及び技術的能力を有するものであること。 三 その信託管理人が受託者による公益信託事務の適正な処理のため必要な監督をするのに必要な能力を有するものであること。 四 公益信託に係る信託行為の内容を証する書面、事業計画書及び収支予算書の内容に照らし、その存続期間を通じて公益信託事務が処理されることが見込まれるものであること。 五 受託者がその公益信託事務を処理するに当たり、委託者、受託者、信託管理人その他の政令で定める公益信託の関係者に対し信託財産を用いて特別の利益を与えるものでないこと。 六 受託者がその公益信託事務を処理するに当たり、株式会社その他の営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行うものとして政令で定める者に対し、信託財産を用いて寄附その他の特別の利益を与える行為を行わないものであること。 ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 イ 公益法人(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第二条第三号に規定する公益法人をいう。以下このイ及び第十三号において同じ。)に対し、当該公益法人が行う公益目的事業(同条第四号に規定する公益目的事業をいう。第十三号において同じ。)のために寄附その他の特別の利益を与える行為を行う場合 ロ 他の公益信託の受託者に対し、当該受託者が行う公益事務のために寄附その他の特別の利益を与える行為を行う場合 七 受託者がその公益信託事務を処理するに当たり、投機的な取引、高利の融資その他の事業であって、公益信託の社会的信用を維持する上でふさわしくないものとして政令で定めるもの又は公の秩序若しくは善良の風俗を害するおそれのある事業を行わないものであること。 八 その処理する公益信託事務について、第十六条第一項の規定による収支の均衡が図られるものであると見込まれるものであること。 九 その公益信託事務の処理に係る費用に対する公益事務の実施に係る費用の割合として内閣府令で定めるところにより算定される割合(第十六条第二項において「公益事務割合」という。)が公益事務の実施の状況その他の事情を勘案して内閣府令で定める割合(同項において「基準割合」という。)以上となると見込まれるものであること。 十 その公益信託事務を処理するに当たり、第十七条第二項に規定する使途不特定財産額が同条第一項の制限を超えないと見込まれるものであること。 十一 公益信託報酬(公益信託に係る信託報酬(信託法第五十四条第一項に規定する信託報酬をいう。)及び信託管理人の報酬(同法第百二十七条第三項に規定する報酬をいう。)をいう。第十九条において同じ。)について、内閣府令で定めるところにより、当該公益信託の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支払基準を定めているものであること。 十二 その信託財産に他の団体の意思決定に関与することができる株式その他の内閣府令で定める財産が属しないものであること。 ただし、当該信託財産に当該財産が属することによって他の団体の事業活動を実質的に支配するおそれがない場合として政令で定める場合は、この限りでない。 十三 当該公益信託の目的とする公益事務(以下この号において「対象公益事務」という。)と類似の公益事務をその目的とする他の公益信託の受託者若しくは対象公益事務と類似の公益目的事業をその目的とする公益法人若しくは次に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体を帰属権利者とする旨を信託行為に定めているものであること。 イ 私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人 ロ 社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二十二条に規定する社会福祉法人 ハ 更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)第二条第六項に規定する更生保護法人 ニ 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人 ホ 国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人又は同条第三項に規定する大学共同利用機関法人 ヘ 地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人 ト その他イからヘまでに掲げる法人に準ずるものとして政令で定める法人 (欠格事由) 第九条 前条の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する公益信託は、公益信託認可を受けることができない。 一 その受託者のうちに、次のいずれかに該当する者があるもの イ その公益事務を行うに当たり法令上必要となる行政機関の許認可等を受けることができないもの ロ 国税若しくは地方税の滞納処分の執行がされているもの又は当該滞納処分の終了の日から三年を経過しないもの 二 その受託者(法人である場合にあっては、その業務を行う理事等(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。以下この号及び第四号において同じ。))のうちに、次のいずれかに該当する者があるもの イ 公益信託認可を取り消された場合において、その取消しの原因となった事実について責任を有する受託者又は信託管理人であった者(法人である場合にあっては、取消しの処分を受ける原因となった事項が発生した当時現にその業務を行う理事等であった者)でその取消しの日から五年を経過しないもの ロ この法律、信託法、担保付社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)若しくは金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)の規定、投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)の規定(同法第三編に規定する投資法人制度に係るものを除く。)、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項の規定を除く。)、資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)の規定(同法第二編に規定する特定目的会社制度に係るものを除く。)、著作権等管理事業法(平成十二年法律第百三十一号)の規定(同法第二条第一項第二号に規定する委任契約に係るものを除く。)若しくは信託業法(平成十六年法律第百五十四号)の規定に違反したことにより、若しくは刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二第一項、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)第一条、第二条若しくは第三条の罪を犯したことにより、又は国税若しくは地方税に関する法律中偽りその他不正の行為により国税若しくは地方税を免れ、納付せず、若しくはこれらの税の還付を受け、若しくはこれらの違反行為をしようとすることに関する罪を定めた規定(第四号において「国税等関係規定」という。)に違反したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者 ハ 拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者 ニ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員(以下このニにおいて「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(第六号において「暴力団員等」という。) 三 その信託管理人のうちに、当該公益信託の受託者の親族、使用人その他受託者と特別の関係がある者又は当該公益信託の委託者若しくは委託者の親族、使用人その他委託者と特別の関係がある者があるもの 四 その信託管理人(法人である場合にあっては、その業務を行う理事等)のうちに、第二号イからニまで(ロにあっては、国税等関係規定に係る部分を除く。)のいずれかに該当する者があるもの 五 その信託行為又は事業計画書の内容が法令又は法令に基づく行政機関の処分に違反しているもの 六 暴力団員等がその公益信託事務を支配するもの (公益信託認可に関する意見聴取) 第十条 行政庁は、公益信託認可をしようとするときは、次の各号に掲げる事由の区分に応じ、当該事由の有無について、当該各号に定める者の意見を聴くものとする。 一 第八条第一号、第二号及び第七号並びに前条第一号イ及び第五号に規定する事由(公益事務を行うに当たり法令上行政機関の許認可等を必要とする場合に限る。) 当該許認可等を行う行政機関(以下「許認可等行政機関」という。) 二 前条第一号ロに規定する事由 国税庁長官、関係都道府県知事又は関係市町村長(第二十九条第五項第二号及び第三十二条第二号において「国税庁長官等」という。) 三 前条第二号ニ、第四号(同条第二号ニに係る部分に限る。第二十九条第五項第三号及び第三十二条第三号において同じ。)及び第六号に規定する事由 行政庁が内閣総理大臣である場合にあっては警察庁長官、都道府県知事である場合にあっては警視総監又は道府県警察本部長(同項第三号及び第三十二条第三号において「警察庁長官等」という。) (公益信託認可の公示) 第十一条 行政庁は、公益信託認可をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。 (公益信託の変更等の認可) 第十二条 公益信託に係る信託の変更(信託法第六章第一節の信託の変更をいう。以下同じ。)又は同法第六十二条第一項(同法第百二十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による新受託者(同法第六十二条第一項に規定する新受託者をいう。以下この条及び第三十一条において同じ。)若しくは新信託管理人(同法第百二十九条第一項に規定する新信託管理人をいう。以下この項及び第三項において同じ。)の選任その他の第七条第二項各号に掲げる事項の変更をするときは、当該公益信託の受託者(当該新受託者を含む。)は、あらかじめ、行政庁の認可を申請しなければならない。 ただし、同法第百五十条第一項の規定による信託の変更、第三十一条第一項若しくは同法第百七十三条第一項の規定による新受託者の選任、同法第六十二条第四項(同法第百二十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による新受託者若しくは新信託管理人の選任又は内閣府令で定める軽微な信託の変更については、この限りでない。 2 公益信託の目的の変更は、その変更後の目的が当該公益信託の目的に類似するものである場合に限り、することができる。 3 公益信託に係る信託の変更並びに新受託者及び新信託管理人の選任その他の第七条第二項各号に掲げる事項の変更は、第一項ただし書の規定の適用がある場合を除き、同項の認可を受けなければ、その効力を生じない。 4 第一項の認可の申請は、内閣府令で定めるところにより、当該変更に係る事項を記載した申請書を行政庁に提出してしなければならない。 5 前項の申請書には、内閣府令で定める書類を添付しなければならない。 6 第八条から前条までの規定は、第一項の認可について準用する。 (申請書の経由) 第十三条 行政庁の変更を伴う前条第一項の認可に係る同条第四項の申請書は、変更前の行政庁を経由して変更後の行政庁に提出しなければならない。 2 前項の場合において、同項の認可をしたときは、変更後の行政庁は、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、変更前の行政庁から事務の引継ぎを受けなければならない。 (公益信託の変更の届出等) 第十四条 公益信託の受託者は、第十二条第一項ただし書に規定する信託の変更又は選任がされた場合には、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を行政庁に届け出なければならない。 2 行政庁は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。 (受託者の辞任の届出等) 第十五条 公益信託の受託者は、次に掲げる場合には、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を行政庁に届け出なければならない。 一 受託者が辞任し、又は解任された場合 二 信託管理人が辞任し、又は解任された場合 2 行政庁は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。 第三節 公益信託事務の処理等 (公益信託事務の収入及び費用等) 第十六条 公益信託(特定資産公益信託を除く。次項及び次条において同じ。)の受託者は、その公益信託事務を処理するに当たっては、内閣府令で定めるところにより、当該公益信託事務に係る収入をその実施に要する適正な費用(当該公益信託事務を充実させるため将来において必要となる資金として内閣府令で定める方法により積み立てる資金を含む。)に充てることにより、内閣府令で定める期間において、その収支の均衡が図られるようにしなければならない。 2 公益信託の受託者は、公益事務割合が基準割合以上となるように公益信託事務を処理しなければならない。 (使途不特定財産額の保有の制限) 第十七条 公益信託の毎信託事務年度の末日における使途不特定財産額は、当該公益信託の受託者が公益信託事務を翌信託事務年度においても処理するために必要な額として、当該信託事務年度前の信託事務年度において行った公益信託事務の処理に要した費用の額(その保有する信託財産の状況及び公益信託事務の態様に応じ当該費用の額に準ずるものとして内閣府令で定めるものの額を含む。)を基礎として内閣府令で定めるところにより算定した額を超えてはならない。 2 前項に規定する「使途不特定財産額」とは、公益信託の受託者による信託財産の管理の状況又は当該信託財産の性質に鑑み、公益信託事務のために現に使用されておらず、かつ、引き続き公益信託事務のために使用されることが見込まれない信託財産(災害その他の予見し難い事由が発生した場合においても公益信託事務を継続的に行うため必要な限度において保有する必要があるものとして内閣府令で定める要件に該当するもの(次項において「公益信託事務継続予備財産」という。)を除く。)として内閣府令で定めるものの価額の合計額をいう。 3 公益信託の受託者は、毎信託事務年度の末日において公益信託事務継続予備財産を保有している場合には、翌信託事務年度開始後速やかに、内閣府令で定めるところにより、当該公益信託事務継続予備財産を保有する理由及びその額その他内閣府令で定める事項を公表しなければならない。 (寄附の募集に関する禁止行為) 第十八条 公益信託の受託者又は信託管理人は、寄附の募集に関して、次に掲げる行為をしてはならない。 一 寄附の勧誘又は要求を受け、寄附をしない旨の意思を表示した者に対し、寄附の勧誘又は要求を継続すること。 二 粗野若しくは乱暴な言動を交えて、又は迷惑を覚えさせるような方法で、寄附の勧誘又は要求をすること。 三 寄附をする財産の使途について誤認させるおそれのある行為をすること。 四 前三号に掲げるもののほか、寄附の勧誘若しくは要求を受けた者又は寄附者の利益を不当に害するおそれのあるものとして内閣府令で定める行為をすること。 (公益信託報酬) 第十九条 公益信託報酬は、第八条第十一号に規定する支払基準に従って支払われなければならない。 (財産目録の備置き及び閲覧等) 第二十条 公益信託の受託者は、毎信託事務年度開始の日の前日までに(公益信託認可を受けた日の属する信託事務年度にあっては、当該公益信託認可を受けた後遅滞なく)、内閣府令で定めるところにより、当該信託事務年度の事業計画書、収支予算書その他の内閣府令で定める書類を作成し、当該信託事務年度の末日までの間、当該書類をその住所(当該受託者が法人である場合にあっては、その主たる事務所)に備え置かなければならない。 2 公益信託の受託者は、毎信託事務年度経過後三月以内に(公益信託認可を受けた日の属する信託事務年度にあっては、当該公益信託認可を受けた後遅滞なく)、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる書類を作成し、五年間、当該書類を前項に規定する住所に備え置かなければならない。 一 信託財産に係る財産目録 二 受託者等名簿(受託者及び信託管理人の氏名又は名称及び住所を記載した名簿をいう。第五項及び次条第二項において同じ。) 三 第八条第十一号に規定する支払基準を記載した書類 四 前三号に掲げるもののほか、内閣府令で定める書類 3 第一項に規定する書類及び前項各号に掲げる書類は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして内閣府令で定めるものをいう。次項第二号及び第四十七条第二号において同じ。)をもって作成することができる。 4 何人も、公益信託の受託者の業務時間内は、いつでも、第一項に規定する書類、第二項各号に掲げる書類、信託行為の内容を証する書面並びに信託法第三十七条第一項及び第二項に規定する書類(以下「財産目録等」という。)について、次に掲げる請求をすることができる。 この場合においては、当該公益信託の受託者は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。 一 財産目録等が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧の請求 二 財産目録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を内閣府令で定める方法により表示したものの閲覧の請求 5 前項の規定にかかわらず、公益信託の受託者は、受託者等名簿について当該公益信託の信託管理人以外の者から同項の請求があった場合には、これに記載され、又は記録された事項中、個人(受託者であるものを除く。次条第二項において同じ。)の住所に係る記載又は記録の部分を除外して、前項各号の閲覧をさせることができる。 (財産目録等の提出等) 第二十一条 公益信託の受託者は、財産目録等(信託行為の内容を証する書面を除く。)について、前条第一項に規定する書類にあっては毎信託事務年度開始の日の前日までに(公益信託認可を受けた日の属する信託事務年度にあっては、当該公益信託認可を受けた後遅滞なく)、その他の書類にあっては毎信託事務年度の経過後三月以内に(公益信託認可を受けた日の属する信託事務年度にあっては、同条第二項各号に掲げる書類を当該公益信託認可を受けた後遅滞なく)、内閣府令で定めるところにより、行政庁に提出しなければならない。 2 行政庁は、内閣府令で定めるところにより、この法律又はこの法律に基づく命令の規定により公益信託の受託者から提出を受けた財産目録等(受託者等名簿にあっては、当該受託者等名簿に記載された事項中、個人の住所に係る記載の部分を除く。)を公表するものとする。 第四節 公益信託の併合等 (公益信託の併合等の認可) 第二十二条 公益信託に係る信託の併合又は信託の分割(第四項及び第五項において「公益信託の併合等」という。)をするときは、当該公益信託の受託者は、あらかじめ、行政庁の認可を申請しなければならない。 2 公益信託においては、信託の併合は、従前の各公益信託の目的が類似する場合に限り、することができる。 3 公益信託においては、吸収信託分割にあっては分割信託(信託法第百五十五条第一項第六号に規定する分割信託をいう。)及び承継信託(同号に規定する承継信託をいう。)の目的が類似する場合に限り、新規信託分割にあっては新たな公益信託及び当該新たな公益信託に信託財産の一部を移転する公益信託の目的が類似する場合に限り、することができる。 4 公益信託の併合等は、第一項の認可を受けなければ、その効力を生じない。 5 第一項の認可の申請は、内閣府令で定めるところにより、公益信託の併合等に係る事項を記載した申請書を行政庁に提出してしなければならない。 6 前項の申請書には、内閣府令で定める書類を添付しなければならない。 7 第八条から第十一条までの規定は、第一項の認可について準用する。 (公益信託の終了事由等) 第二十三条 公益信託は、信託法第百六十三条の規定によるほか、第三十条第一項又は第二項の規定により公益信託認可が取り消された場合に終了する。 2 公益信託においては、信託法第百六十四条の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときを除き、委託者及び信託管理人の合意により、公益信託を終了することはできない。 (公益信託の継続) 第二十四条 信託法第百六十三条(第一号に係る部分に限る。)の規定により公益信託が終了した場合には、委託者、受託者及び信託管理人は、その合意により、公益信託の目的を変更することによって、公益信託を継続することができる。 2 前項の規定により公益信託の目的を変更する場合には、受託者は、次条第一項の規定による届出の日から三月以内に、当該変更について第十二条第一項の認可を受けなければならない。 3 委託者が現に存しない場合における第一項の規定の適用については、同項中「委託者、受託者」とあるのは、「受託者」とする。 (信託の終了の届出等) 第二十五条 公益信託が終了した場合(信託法第百六十三条第五号に掲げる事由によって終了した場合及び第三十条第一項又は第二項の規定による公益信託認可の取消しによって終了した場合を除く。)には、その受託者(同法第百六十三条第七号に掲げる事由によって公益信託が終了した場合にあっては、破産管財人)は、遅滞なく、その旨を行政庁に届け出なければならない。 2 行政庁は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。 (清算の届出等) 第二十六条 公益信託の清算受託者(信託法第百七十七条に規定する清算受託者をいう。次項及び第四十九条において同じ。)は、当該公益信託の終了の日から三月を経過したときは、遅滞なく、残余財産の給付の見込みを行政庁に届け出なければならない。 当該見込みに変更があったときも、同様とする。 2 清算受託者は、清算が結了したときは、遅滞なく、その旨を行政庁に届け出なければならない。 3 行政庁は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。 (残余財産の帰属) 第二十七条 公益信託の信託行為における第四条第二項第三号の定めにより残余財産の帰属が定まらないときは、信託法第百八十二条第二項及び第三項の規定にかかわらず、残余財産は、国庫(都道府県知事が行政庁である場合にあっては、当該都道府県)に帰属する。 第五節 公益信託の監督 (報告徴収及び立入検査) 第二十八条 行政庁は、公益信託事務の適正な処理を確保するために必要な限度において、内閣府令で定めるところにより、受託者に対し、その公益信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況に関し必要な報告を求め、又はその職員に、当該受託者の住所若しくは事務所に立ち入り、その公益信託事務及び信託財産に属する財産の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。 2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。 3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。 (勧告、命令等) 第二十九条 行政庁は、公益信託について、次条第二項各号のいずれかに該当すると疑うに足りる相当な理由がある場合には、当該公益信託の受託者に対し、期限を定めて、必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。 2 行政庁は、前項の勧告をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その勧告の内容を公表しなければならない。 3 行政庁は、第一項の勧告を受けた受託者が、正当な理由がなく、その勧告に係る措置をとらなかったときは、当該受託者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。 4 行政庁は、前項の規定による命令をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。 5 行政庁は、第一項の勧告及び第三項の規定による命令をしようとするときは、次の各号に掲げる事由の区分に応じ、当該事由の有無について、当該各号に定める者の意見を聴くことができる。 一 第八条第一号、第二号若しくは第七号、第九条第一号イ若しくは第五号又は次条第二項第四号に規定する事由(公益事務を行うに当たり法令上許認可等行政機関の許認可等を必要とする場合に限る。) 許認可等行政機関 二 第九条第一号ロに規定する事由 国税庁長官等 三 第九条第二号ニ、第四号又は第六号に規定する事由 警察庁長官等 (公益信託認可の取消し) 第三十条 行政庁は、公益信託が次の各号のいずれかに該当するときは、その公益信託認可を取り消さなければならない。 一 偽りその他不正の手段により公益信託認可又は第十二条第一項若しくは第二十二条第一項の認可を受けた場合 二 第九条第六号に該当するに至った場合 三 受託者が、正当な理由がなく、前条第三項の規定による命令に従わない場合 2 行政庁は、公益信託が次の各号のいずれかに該当するときは、その公益信託認可を取り消すことができる。 一 第八条各号に掲げる基準のいずれかに適合しなくなった場合 二 第九条第一号から第五号までのいずれかに該当するに至った場合 三 第十四条第一項、第十五条第一項又は第三節の規定に違反した場合 四 前三号に掲げるもののほか、法令又は法令に基づく行政機関の処分に違反した場合 3 前条第五項の規定は、前二項の規定による公益信託認可の取消しをしようとする場合について準用する。 4 行政庁は、第一項又は第二項の規定により公益信託認可を取り消したときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。 (公益信託認可が取り消された場合における新受託者の選任) 第三十一条 裁判所は、前条第一項又は第二項の規定により公益信託認可が取り消されたことにより公益信託が終了した場合には、行政庁又は委託者、信託管理人、信託債権者(信託法第二十一条第二項第四号に規定する信託債権者をいう。)その他の利害関係人の申立てにより、当該公益信託の清算のために新受託者を選任しなければならない。 2 信託法第百七十三条第二項から第六項までの規定は、前項の規定による新受託者の選任について準用する。 (行政庁への意見) 第三十二条 次の各号に掲げる者は、公益信託について当該各号に定める事由があると疑うに足りる相当な理由があるため、行政庁が公益信託の受託者に対して適当な措置をとることが必要であると認める場合には、行政庁に対し、その旨の意見を述べることができる。 一 許認可等行政機関 第八条第一号、第二号若しくは第七号に掲げる基準に適合しない事由又は第九条第一号イ若しくは第五号若しくは第三十条第二項第四号に規定する事由(公益事務を行うに当たり法令上許認可等行政機関の許認可等を必要とする場合に限る。) 二 国税庁長官等 第九条第一号ロに規定する事由 三 警察庁長官等 第九条第二号ニ、第四号又は第六号に規定する事由 第六節 信託法の適用関係 第三十三条 信託法第二十九条第二項ただし書、第三十一条第二項(第三号に係る部分に限る。)及び第三項ただし書、第三十二条第三項ただし書、第三十五条第四項、第三十七条第三項ただし書、第四十七条第五項ただし書、第四十八条第三項ただし書、第五十八条第二項、第五十九条第一項ただし書、第六十条第一項ただし書、第百二十五条第一項ただし書、第百四十七条、第百八十三条第六項並びに第二百二十二条第五項ただし書の規定は、公益信託については、適用しない。 2 公益信託においては、委託者の相続人は、委託者の地位を相続により承継しない。 3 前章及びこの章に定めるもののほか、公益信託に関する信託法の規定の適用については、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。 第十九条第一項第三号及び第三項第三号並びに第三十一条第二項第四号 受益者の利益を害しない 信託の目的の達成に支障とならない の受益者との が信託の目的に関して有する 第十九条第三項第二号 各信託の受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)の 公益信託(公益信託に関する法律(令和六年法律第三十号)第二条第一項第一号に規定する公益信託をいう。以下この号において同じ。)の信託管理人と他の信託の受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)又は他の公益信託若しくは第二百五十八条第一項の受益者の定めのない信託の信託管理人との 第三十条及び第百二十六条第二項 受益者 信託の目的の達成 第三十一条第一項第四号 と受益者との利益が相反する の利益となり、かつ、信託の目的の達成に支障となる 第三十二条第一項 受益者の利益に反する 信託の目的の達成に支障となる 第三十四条第一項第三号、第三十七条(第三項を除く。)、第三十八条第一項第二号及び第六項第二号、第四十七条第二項、第四項及び第五項、第五十九条第二項、第百五十一条第一項第五号、第百五十二条第二項第三号、第百五十五条第一項第七号、第百五十六条第二項第三号、第百五十九条第一項第七号、第百六十条第二項第三号、第二百十六条第二項第六号、第二百二十二条第二項から第四項まで及び第六項から第八項まで並びに第二百七十条第一項第三号 法務省令 内閣府令・法務省令 第三十八条第二項第三号 受益者の共同の利益を害する 信託の目的の達成を妨げる 第五十六条第一項 事由によって 事由によって、又は受託者が公益信託に関する法律第九条第一号若しくは第二号のいずれかに該当するに至ったこと若しくは同法第七条第二項第二号及び第五号に掲げる事項の変更(次項又は第三項の規定による受託者の任務の引継ぎに係るものに限る。)に係る同法第十二条第一項の認可を拒否する処分がされたこと(以下「特定終了事由」という。)により 第五十八条第一項 いつでも 正当な理由があるときは 第五十九条第一項及び第三項、第六十二条第一項及び第二項、第六十三条第一項、第七十五条第一項並びに第八十六条第四項 事由 事由又は特定終了事由 第八十七条第一項 受託者が二人 受託者又は信託管理人が二人 「受託者 「受託者又は信託管理人 すべての受託者 全ての受託者又は全ての信託管理人 第百二十五条第一項 受益者のために 信託の目的の達成のために 第百二十八条第一項 同条第一項第五号 同条第一項中「第九条第一号若しくは第二号のいずれかに該当するに至ったこと若しくは同法第七条第二項第二号及び第五号に掲げる事項の変更(次項又は第三項の規定による受託者の任務の引継ぎに係るものに限る。)に係る同法第十二条第一項の認可を拒否する処分がされたこと(以下「特定終了事由」という。)」とあるのは「第九条第三号若しくは第四号のいずれかに該当するに至ったこと」と、同項第五号 第百二十九条第一項 第五十六条第一項各号 第五十六条第一項 第百三十条第二項 受益者に 委託者(他の信託管理人が現に存する場合にあっては、当該他の信託管理人)に 第百四十五条第一項、第二百六十二条第一項、第二百六十三条、第二百六十四条及び第二百七十条第一項第一号 この法律 この法律及び公益信託に関する法律 第百四十九条第二項第二号、第百五十一条第二項第二号、第百五十五条第二項第二号及び第百五十九条第二項第二号 信託の目的に反しないこと及び受益者の利益に適合すること 信託の目的の達成のために必要であること 第百五十条第一項 受益者の利益に適合しなくなる 信託の目的の達成に支障となる 第百六十三条第三号 受託者 受託者又は信託管理人 新受託者 新受託者又は新信託管理人 とき とき(当該期間が経過する日において新受託者又は新信託管理人の選任に係る公益信託に関する法律第十二条第一項の認可の申請に対する処分がされていない場合にあっては、当該認可を拒否する処分があったとき) 第百六十五条第一項 受益者の利益に適合するに至った 適当である 第二百三十五条 第百六十四条第一項若しくは第三項 公益信託に関する法律第二十三条第一項 第三章 公益認定等委員会等への諮問等 第一節 公益認定等委員会への諮問等 (委員会への諮問) 第三十四条 内閣総理大臣は、次に掲げる場合には、第十条(第十二条第六項及び第二十二条第七項において準用する場合を含む。)又は第二十九条第五項(第三十条第三項において準用する場合を含む。)の規定による許認可等行政機関の意見(第九条第一号イ及び第五号に規定する事由の有無に係るものを除く。)を付して、公益認定等委員会(以下「委員会」という。)に諮問しなければならない。 ただし、委員会が諮問を要しないものと認めたものについては、この限りでない。 一 公益信託認可の申請又は第十二条第一項若しくは第二十二条第一項の認可の申請に対する処分をしようとする場合(公益信託が第九条各号のいずれかに該当するものである場合及び行政手続法第七条の規定に基づきこれらの認可を拒否する場合を除く。) 二 第二十九条第一項の勧告、同条第三項の規定による命令又は第三十条第一項若しくは第二項の規定による公益信託認可の取消し(以下この節において「監督処分等」という。)をしようとする場合(次に掲げる場合を除く。) イ 公益信託が第三十条第一項第二号又は第二項第二号に該当するものである場合 ロ 第十四条第一項若しくは第十五条第一項の規定による届出又は第二十一条第一項の規定による財産目録等の提出をしなかったことを理由として監督処分等をしようとする場合 ハ 第三十七条第一項の勧告に基づいて監督処分等をしようとする場合 2 内閣総理大臣は、次に掲げる場合には、委員会に諮問しなければならない。 ただし、委員会が諮問を要しないものと認めたものについては、この限りでない。 一 第八条第五号から第七号まで、第十二号ただし書及び第十三号ト、第三十八条において読み替えて準用する前項ただし書及び次項ただし書並びに別表第二十三号の政令の制定又は改廃の立案をしようとする場合並びに第四条第二項第四号、第七条第二項並びに第三項第四号及び第六号、第八条(第十二条第六項及び第二十二条第七項において準用する場合を含む。)、第十二条第四項及び第五項、第十四条第一項、第十五条第一項、第十六条から第十八条まで、第二十条第一項及び第二項、第二十二条第五項及び第六項、第二十八条第一項並びに次条第一項及び第三十七条第二項(これらの規定を第三十八条において準用する場合を含む。)の内閣府令の制定又は改廃をしようとする場合 二 第四十三条の規定による要求を行おうとする場合 3 内閣総理大臣は、第一項第一号に規定する処分、第二十九条第三項の規定による命令又は第三十条第一項(第二号を除く。)若しくは第二項(第二号を除く。)の規定による公益信託認可の取消しについての審査請求に対する裁決をしようとする場合には、次に掲げる場合を除き、委員会に諮問しなければならない。 ただし、委員会が諮問を要しないものと認めたものについては、この限りでない。 一 審査請求が不適法であるとして却下する場合 二 公益信託が第九条各号のいずれかに該当するものである場合 三 第一項第二号イ又はロに規定する理由による監督処分等についての審査請求である場合 (答申の公表等) 第三十五条 委員会は、諮問に対する答申をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その内容を公表しなければならない。 2 委員会は、前項の答申をしたときは、内閣総理大臣に対し、当該答申に基づいてとった措置について報告を求めることができる。 (内閣総理大臣による送付等) 第三十六条 内閣総理大臣は、第十四条第一項、第十五条第一項、第二十五条第一項若しくは第二十六条第一項若しくは第二項の規定による届出に係る書類の写し又は第二十一条第一項の規定により提出を受けた財産目録等の写しを委員会に送付しなければならない。 2 内閣総理大臣は、第三十二条の規定により許認可等行政機関が述べた意見(公益信託が第九条第一号イ又は第五号に該当するものである旨の意見を除く。)を委員会に通知しなければならない。 3 内閣総理大臣は、次の各号に掲げる場合において、委員会に諮問しないで当該各号に定める措置を講じたときは、その旨を委員会に通知しなければならない。 一 第三十四条各項の規定のただし書の規定により次に掲げる措置について委員会が諮問を要しないものと認めた場合 当該措置 イ 公益信託認可の申請又は第十二条第一項若しくは第二十二条第一項の認可の申請に対する処分 ロ 監督処分等 ハ 第三十四条第二項第一号の政令の制定又は改廃の立案及び同号の内閣府令の制定又は改廃 ニ 第三十四条第三項に規定する審査請求に対する裁決 ホ 第四十三条の規定による要求 二 公益信託が第九条各号のいずれかに該当するものである場合 前号イに規定する処分 三 第三十四条第一項第二号イ又はロに掲げる場合 監督処分等 四 第三十四条第三項第二号又は第三号に掲げる場合 第一号ニに規定する裁決 (委員会による勧告等) 第三十七条 委員会は、内閣総理大臣が第二十九条第一項の勧告若しくは同条第三項の規定による命令又は第三十条第一項若しくは第二項の規定による公益信託認可の取消しその他の措置をとる必要があると認めるときは、その旨を内閣総理大臣に勧告をすることができる。 2 委員会は、前項の勧告をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該勧告の内容を公表しなければならない。 3 委員会は、第一項の勧告をしたときは、内閣総理大臣に対し、当該勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができる。 第二節 都道府県に置かれる合議制の機関への諮問等 (行政庁が都道府県知事である場合についての準用) 第三十八条 第三十四条第一項及び第三項、第三十五条、第三十六条第一項、第二項及び第三項(第一号(ハ及びホに係る部分に限る。)を除く。)並びに前条の規定は、行政庁が都道府県知事である場合について準用する。 この場合において、これらの規定(第三十四条第一項本文を除く。)中「委員会」とあるのは「合議制の機関」と、第三十四条第一項中「公益認定等委員会(以下「委員会」という。)」とあるのは「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第五十条第一項に規定する合議制の機関(以下「合議制の機関」という。)」と、同項ただし書及び同条第三項ただし書中「諮問」とあるのは「政令で定める基準に従い諮問」と読み替えるものとする。 (都道府県知事による通知等) 第三十九条 都道府県知事は、第四十三条の規定による要求が当該都道府県知事に対して行われた場合には、その旨を前条において読み替えて準用する第三十四条第一項に規定する合議制の機関に通知しなければならない。 第四章 雑則 (協力依頼) 第四十条 行政庁は、この法律の施行のため必要があると認めるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。 (情報の提供) 第四十一条 内閣総理大臣及び都道府県知事は、公益事務の実施の状況、公益信託に対して行政庁がとった措置その他の事項についての調査及び分析を行い、必要な統計その他の資料の作成を行うとともに、公益信託に関するデータベースの整備を図り、国民にインターネットその他の高度情報通信ネットワークの利用を通じて迅速に情報を提供できるよう必要な措置を講ずるものとする。 (権限の委任等) 第四十二条 内閣総理大臣は、第二十八条第一項の規定による権限(第三十五条第一項の答申又は第三十七条第一項の勧告のため必要なものに限り、第九条各号に掲げる公益信託に該当するか否かの調査に関するものを除く。)を委員会に委任する。 2 行政庁が都道府県知事である場合における第二十八条第一項の規定による権限(第三十八条において準用する第三十五条第一項の答申又は第三十八条において準用する第三十七条第一項の勧告のため必要なものに限り、第九条各号に掲げる公益信託に該当するか否かの調査に関するものを除く。)の行使については、第二十八条第一項中「行政庁」とあるのは「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第五十条第一項に規定する合議制の機関」と、「職員」とあるのは「庶務をつかさどる職員」とする。 (是正の要求の方式) 第四十三条 内閣総理大臣は、都道府県知事のこの法律及びこれに基づく命令の規定による事務の管理及び執行に関して法令の規定に違反しているものがある場合又は当該事務の管理及び執行を怠るものがある場合において、公益信託認可の審査その他の当該事務の管理及び執行に関し地域間に著しい不均衡があることにより公益事務の適正な実施に支障が生じていることが明らかであるとして地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十五条の五第一項の規定による求めを行うときは、当該都道府県知事が講ずべき措置の内容を示して行うものとする。 (命令への委任) 第四十四条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他必要な事項は、命令で定める。 第五章 罰則 第四十五条 偽りその他不正の手段により公益信託認可又は第十二条第一項若しくは第二十二条第一項の認可を受けたときは、その違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。 第四十六条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。 一 第五条第一項の規定に違反して、公益信託であると誤認されるおそれのある文字をその名称又は商号中に用いたとき。 二 第五条第二項の規定に違反して、他の公益信託であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用したとき。 第四十七条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。 一 第七条第二項、第十二条第四項若しくは第二十二条第五項の申請書又は第七条第三項、第十二条第五項若しくは第二十二条第六項の書類に虚偽の記載をして提出したとき。 二 第二十条第一項又は第二項の規定に違反して、書類又は電磁的記録を備え置かず、又はこれらに記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をしたとき。 第四十八条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。 2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。 第四十九条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした受託者(受託者であった者を含む。)、信託財産管理者(信託法第三章第五節第四款の信託財産管理者をいう。)、民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十六条に規定する仮処分命令により選任された受託者の職務を代行する者、信託財産法人管理人(信託法第七十四条第二項に規定する信託財産法人管理人をいう。)、清算受託者又は破産管財人は、五十万円以下の過料に処する。 ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。 一 第十四条第一項、第十五条第一項、第二十五条第一項又は第二十六条第一項若しくは第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。 二 第二十一条第一項の規定に違反して、財産目録等を提出せず、又はこれに虚偽の記載をして提出したとき。 三 第二十八条第一項(第四十二条第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第二十八条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
民事
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令和六年総務省令第四十九号
46
住民基本台帳法第三十条の十五の二に規定する準法定事務及び準法定事務処理者に関する省令 第一条 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号。以下「法」という。)第三十条の十五の二第一項に規定する準法定事務処理者は、次の表の上欄に掲げる者とし、同項に規定する準法定事務のうち総務省令で定めるものは、同表の上欄に掲げる者ごとにそれぞれ同表の下欄に掲げる事務とする。 一 都道府県知事、市長(特別区の区長を含む。)又は社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所を管理する町村長 「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」(昭和二十九年五月八日付け社発第三百八十二号厚生省社会局長通知)に基づく外国人(日本の国籍を有しない者をいう。以下同じ。)であって生活に困窮する者に係る生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の保護の決定及び実施、就労自立給付金若しくは進学・就職準備給付金の支給、被保護者健康管理支援事業の実施、保護に要する費用の返還又は徴収金の徴収の取扱いに準じた事務であって次に掲げるもの 一 外国人であって生活に困窮する者の生存の事実又は氏名若しくは住所の変更の事実の確認 二 生活保護法第二十四条第一項の規定に準じて行う保護の開始若しくは同条第九項の規定に準じて行う保護の変更の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 三 生活保護法第二十九条第一項の規定に準じて行う資料の提供等の求めの対象となる者の生存の事実又は氏名若しくは住所の変更の事実の確認 四 生活保護法第五十五条の四第一項の規定に準じて行う就労自立給付金の支給の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 五 生活保護法第五十五条の五第一項の規定に準じて行う進学・就職準備給付金の支給の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 六 生活保護法第五十五条の八第一項の規定に準じて行う被保護者健康管理支援事業の実施のために必要となる外国人であって生活に困窮する者に関する情報の収集又は整理に関する事務 七 生活保護法第六十三条の規定に準じて行う保護に要する費用の返還の対象となる外国人であって生活に困窮する者の生存の事実又は氏名若しくは住所の変更の事実の確認 八 生活保護法第七十七条第一項、第七十七条の二第一項又は第七十八条第一項から第三項までの規定に準じて行う徴収金の徴収(同法第七十八条の二第一項又は第二項の規定に準じて行う徴収金の徴収を含む。)の対象となる者の生存の事実又は氏名若しくは住所の変更の事実の確認 二 都道府県知事又は市町村長(特別区の区長を含む。) 地域優良賃貸住宅制度要綱(平成十九年三月二十八日付け国住備第百六十号国土交通省住宅局長通知)の規定に基づく地域優良賃貸住宅の管理に関する事務であって次に掲げるもの 一 地域優良賃貸住宅制度要綱第七条に規定する入居者の申込みの受理、その申込みに係る事実についての審査又はその申込みに対する応答 二 地域優良賃貸住宅制度要綱第九条に規定する地域優良賃貸住宅に係る賃貸借契約の解除に当たり必要な入居者の生存の事実又は氏名若しくは住所の変更の事実の確認 三 都道府県知事 「特定感染症検査等事業について」(平成十四年三月二十七日付け健発第〇三二七〇一二号厚生労働省健康局長通知)の特定感染症検査等事業実施要綱に基づくウイルス性肝炎患者等の重症化予防推進事業に係る陽性者フォローアップ事業の実施に関する事務であって「ウイルス性肝炎患者等の重症化予防推進事業の実施について」(平成二十六年三月三十一日付け健肝発〇三三一第一号厚生労働省健康局疾病対策課肝炎対策推進室長通知)のウイルス性肝炎患者等の重症化予防推進事業実施要領に規定する初回精密検査費用若しくは定期検査費用に係る請求の受理、その請求に係る事実についての審査又はその請求に対する応答 四 都道府県知事 「感染症対策特別促進事業について」(平成二十年三月三十一日付け健発第〇三三一〇〇一号厚生労働省健康局長通知)の肝炎治療特別促進事業実施要綱に基づく肝炎治療特別促進事業の実施に関する事務であって次に掲げるもの 一 「肝炎治療特別促進事業の実務上の取扱いについて」(平成二十年三月三十一日付け健疾発第〇三三一〇〇三号厚生労働省健康局疾病対策課長通知)に規定する医療給付の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 二 「肝炎治療特別促進事業の実務上の取扱いについて」に規定する肝炎治療特別促進事業に必要な費用に相当する金額を交付することができない場合の医療費の請求の受理、その請求に係る事実についての審査又はその請求に対する応答 五 都道府県知事 「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業について」(平成三十年六月二十七日付け健発〇六二七第一号厚生労働省健康局長通知)の肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業実施要綱に基づく肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の実施に関する事務であって次に掲げるもの 一 「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の実務上の取扱いについて」(平成三十年七月十二日付け健肝発〇七一二第一号厚生労働省健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室長通知)に規定する参加者証の交付申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 二 「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の実務上の取扱いについて」に規定する自己負担額の軽減を受けることができない場合の医療費若しくは助成額の請求の受理、その請求に係る事実についての審査又はその請求に対する応答 六 文部科学大臣 国の設置する高等学校等に係る高等学校等修学支援事業費補助金(学び直しへの支援)交付要綱(平成二十六年四月一日文部科学大臣決定)に規定する高等学校等学び直し支援金の支給に関する事務であって次に掲げるもの 一 「国の設置する高等学校等に係る高等学校等学び直し支援金の取扱いについて」(令和六年四月一日文部科学省初等中等教育局長決定)に規定する高等学校等学び直し支援金に係る受給資格の認定の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 二 「国の設置する高等学校等に係る高等学校等学び直し支援金の取扱いについて」に規定する高等学校等学び直し支援金に係る収入状況の届出の受理、その届出に係る事実についての審査又はその届出に対する応答 七 都道府県知事又は都道府県教育委員会 高等学校等修学支援事業費補助金(学び直しへの支援)交付要綱(平成二十六年四月一日文部科学大臣決定)に規定する高等学校等学び直し支援金の支給に関する事務であって次に掲げるもの 一 「高等学校等修学支援事業費補助金(学び直しへの支援)の取扱いについて」(令和六年四月一日文部科学省初等中等教育局長決定)に規定する高等学校等学び直し支援金に係る受給資格の認定の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 二 「高等学校等修学支援事業費補助金(学び直しへの支援)の取扱いについて」に規定する高等学校等学び直し支援金に係る収入状況の届出の受理、その届出に係る事実についての審査又はその届出に対する応答 八 都道府県知事又は都道府県教育委員会 高等学校等修学支援事業費補助金(奨学のための給付金)交付要綱(平成二十六年四月一日文部科学大臣決定)に規定する高等学校等に係る奨学のための給付金事業による給付金の支給に関する事務であって「高等学校等修学支援事業費補助金(奨学のための給付金)の取扱いについて」(令和六年四月一日文部科学省初等中等教育局長決定)に規定する給付金の給付に係る申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 九 都道府県知事又は都道府県教育委員会 高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への奨学のための給付金)交付要綱(令和二年四月一日文部科学大臣決定)に規定する高等学校等専攻科に係る奨学のための給付金事業による給付金の支給に関する事務であって「高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への奨学のための給付金)の取扱いについて」(令和六年四月一日文部科学省初等中等教育局長決定)に規定する給付金の給付に係る申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 十 文部科学大臣 国の設置する高等学校等に係る高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への修学支援)交付要綱(令和二年四月一日文部科学大臣決定)に規定する高等学校等専攻科修学支援金の支給に関する事務であって次に掲げるもの 一 「国の設置する高等学校等に係る高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への修学支援)の取扱いについて」(令和六年四月一日文部科学省初等中等教育局長決定)に規定する高等学校等専攻科修学支援金に係る受給資格の認定の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 二 「国の設置する高等学校等に係る高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への修学支援)の取扱いについて」に規定する高等学校等専攻科修学支援金に係る収入状況の届出の受理、その届出に係る事実についての審査又はその届出に対する応答 十一 都道府県知事又は都道府県教育委員会 高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への修学支援)交付要綱(令和二年四月一日文部科学大臣決定)に規定する高等学校等専攻科修学支援金の支給に関する事務であって次に掲げるもの 一 「高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への修学支援)の取扱いについて」(令和六年四月一日文部科学省初等中等教育局長決定)に規定する高等学校等専攻科修学支援金に係る受給資格の認定の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 二 「高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への修学支援)の取扱いについて」に規定する高等学校等専攻科修学支援金に係る収入状況の届出の受理、その届出に係る事実についての審査又はその届出に対する応答 十二 都道府県知事 「特定疾患治療研究事業について」(昭和四十八年四月十七日付け衛発第二百四十二号厚生省公衆衛生局長通知)の特定疾患治療研究事業実施要綱に基づく特定疾患治療研究事業の実施に関する事務であって「特定疾患治療研究事業の実務上の取扱い」(平成十三年三月二十九日付け健疾発第二十二号厚生労働省健康局疾病対策課長通知)に規定する医療給付の申請若しくは医療受給者証に係る事項の変更の届出(以下この欄において「申請等」という。)の受理、その申請等に係る事実についての審査又はその申請等に対する応答 第二条 法第三十条の十五の二第二項に規定する準法定事務のうち総務省令で定めるものは、次に掲げる事務とする。 一 「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」に基づく外国人であって生活に困窮する者に係る生活保護法の保護の決定及び実施、就労自立給付金若しくは進学・就職準備給付金の支給、被保護者健康管理支援事業の実施、保護に要する費用の返還又は徴収金の徴収の取扱いに準じた事務であって次に掲げるもの イ 外国人であって生活に困窮する者の生存の事実又は氏名若しくは住所の変更の事実の確認 ロ 生活保護法第二十四条第一項の規定に準じて行う保護の開始若しくは同条第九項の規定に準じて行う保護の変更の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 ハ 生活保護法第二十九条第一項の規定に準じて行う資料の提供等の求めの対象となる者の生存の事実又は氏名若しくは住所の変更の事実の確認 ニ 生活保護法第五十五条の四第一項の規定に準じて行う就労自立給付金の支給の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 ホ 生活保護法第五十五条の五第一項の規定に準じて行う進学・就職準備給付金の支給の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 ヘ 生活保護法第五十五条の八第一項の規定に準じて行う被保護者健康管理支援事業の実施のために必要となる外国人であって生活に困窮する者に関する情報の収集又は整理に関する事務 ト 生活保護法第六十三条の規定に準じて行う保護に要する費用の返還の対象となる被保護者外国人であって生活に困窮する者の生存の事実又は氏名若しくは住所の変更の事実の確認 チ 生活保護法第七十七条第一項、第七十七条の二第一項又は第七十八条第一項から第三項までの規定に準じて行う徴収金の徴収(同法第七十八条の二第一項又は第二項の規定に準じて行う徴収金の徴収を含む。)の対象となる者の生存の事実又は氏名若しくは住所の変更の事実の確認 二 地域優良賃貸住宅制度要綱の規定に基づく地域優良賃貸住宅の管理に関する事務であって次に掲げるもの イ 地域優良賃貸住宅制度要綱第七条に規定する入居者の申込みの受理、その申込みに係る事実についての審査又はその申込みに対する応答 ロ 地域優良賃貸住宅制度要綱第九条に規定する地域優良賃貸住宅に係る賃貸借契約の解除に当たり必要な入居者の生存の事実又は氏名若しくは住所の変更の事実の確認 三 「特定感染症検査等事業について」の特定感染症検査等事業実施要綱に基づくウイルス性肝炎患者等の重症化予防推進事業に係る陽性者フォローアップ事業の実施に関する事務であって「ウイルス性肝炎患者等の重症化予防推進事業の実施について」のウイルス性肝炎患者等の重症化予防推進事業実施要領に規定する初回精密検査費用若しくは定期検査費用に係る請求の受理、その請求に係る事実についての審査又はその請求に対する応答 四 「感染症対策特別促進事業について」の肝炎治療特別促進事業実施要綱に基づく肝炎治療特別促進事業の実施に関する事務であって次に掲げるもの イ 「肝炎治療特別促進事業の実務上の取扱いについて」に規定する医療給付の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 ロ 「肝炎治療特別促進事業の実務上の取扱いについて」に規定する肝炎治療特別促進事業に必要な費用に相当する金額を交付することができない場合の医療費の請求の受理、その請求に係る事実についての審査又はその請求に対する応答 五 「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業について」の肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業実施要綱に基づく肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の実施に関する事務であって次に掲げるもの イ 「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の実務上の取扱いについて」に規定する参加者証の交付申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 ロ 「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の実務上の取扱いについて」に規定する自己負担額の軽減を受けることができない場合の医療費若しくは助成額の請求の受理、その請求に係る事実についての審査又はその請求に対する応答 六 高等学校等修学支援事業費補助金(学び直しへの支援)交付要綱に規定する高等学校等学び直し支援金の支給に関する事務であって次に掲げるもの イ 「高等学校等修学支援事業費補助金(学び直しへの支援)の取扱いについて」に規定する高等学校等学び直し支援金に係る受給資格の認定の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 ロ 「高等学校等修学支援事業費補助金(学び直しへの支援)の取扱いについて」に規定する高等学校等学び直し支援金に係る収入状況の届出の受理、その届出に係る事実についての審査又はその届出に対する応答 七 高等学校等修学支援事業費補助金(奨学のための給付金)交付要綱に規定する高等学校等に係る奨学のための給付金事業による給付金の支給に関する事務であって「高等学校等修学支援事業費補助金(奨学のための給付金)の取扱いについて」に規定する給付金の給付に係る申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 八 高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への奨学のための給付金)交付要綱に規定する高等学校等専攻科に係る奨学のための給付金事業による給付金の支給に関する事務であって「高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への奨学のための給付金)の取扱いについて」に規定する給付金の給付に係る申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 九 高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への修学支援)交付要綱に規定する高等学校等専攻科修学支援金の支給に関する事務であって次に掲げるもの イ 「高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への修学支援)の取扱いについて」に規定する高等学校等専攻科修学支援金に係る受給資格の認定の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 ロ 「高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への修学支援)の取扱いについて」に規定する高等学校等専攻科修学支援金に係る収入状況の届出の受理、その届出に係る事実についての審査又はその届出に対する応答 十 「特定疾患治療研究事業について」の特定疾患治療研究事業実施要綱に基づく特定疾患治療研究事業の実施に関する事務であって「特定疾患治療研究事業の実務上の取扱い」に規定する医療給付の申請若しくは医療受給者証に係る事項の変更の届出(以下この号において「申請等」という。)の受理、その申請等に係る事実についての審査又はその申請等に対する応答 第三条 法第三十条の十五の二第三項に規定する総務省令で定める者は、次の表の上欄に掲げる者とし、同項に規定する準法定事務のうち総務省令で定めるものは、同表の上欄に掲げる者ごとにそれぞれ同表の下欄に掲げる事務とする。 一 都道府県教育委員会 高等学校等修学支援事業費補助金(学び直しへの支援)交付要綱に規定する高等学校等学び直し支援金の支給に関する事務であって次に掲げるもの 一 「高等学校等修学支援事業費補助金(学び直しへの支援)の取扱いについて」に規定する高等学校等学び直し支援金に係る受給資格の認定の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 二 「高等学校等修学支援事業費補助金(学び直しへの支援)の取扱いについて」に規定する高等学校等学び直し支援金に係る収入状況の届出の受理、その届出に係る事実についての審査又はその届出に対する応答 二 都道府県教育委員会 高等学校等修学支援事業費補助金(奨学のための給付金)交付要綱に規定する高等学校等に係る奨学のための給付金事業による給付金の支給に関する事務であって「高等学校等修学支援事業費補助金(奨学のための給付金)の取扱いについて」に規定する給付金の給付に係る申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 三 都道府県教育委員会 高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への奨学のための給付金)交付要綱に規定する高等学校等専攻科に係る奨学のための給付金事業による給付金の支給に関する事務であって「高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への奨学のための給付金)の取扱いについて」に規定する給付金の給付に係る申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 四 都道府県教育委員会 高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への修学支援)交付要綱に規定する高等学校等専攻科修学支援金の支給に関する事務であって次に掲げるもの 一 「高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への修学支援)の取扱いについて」に規定する高等学校等専攻科修学支援金に係る受給資格の認定の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答 二 「高等学校等修学支援事業費補助金(専攻科の生徒への修学支援)の取扱いについて」に規定する高等学校等専攻科修学支援金に係る収入状況の届出の受理、その届出に係る事実についての審査又はその届出に対する応答
民事
Reiwa
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令和六年総務省・法務省令第一号
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住民基本台帳法第九条第三項及び第十九条第四項の規定による戸籍に関する事項に係る通知の方法を定める命令 (住民票記載事項通知の方法) 第一条 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号。以下「法」という。)第九条第三項(同条第二項に係る部分に限る。次項において同じ。)の規定による通知の方法は、電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)(電子計算機による方法に準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる機器を含む。以下同じ。)の操作によるものとし、電気通信回線を通じた送信の方法に関する技術的基準については、総務大臣及び法務大臣が定める。 2 法第九条第三項に規定する総務省令・法務省令で定める場合は、電気通信回線の故障その他の事由により電気通信回線を通じた送信ができない場合とする。 (戸籍照合通知及び本籍転属通知の方法) 第二条 法第十九条第四項(同条第二項及び第三項に係る部分に限る。次項において同じ。)の規定による通知の方法は、電子計算機の操作によるものとし、電気通信回線を通じた送信の方法に関する技術的基準については、総務大臣及び法務大臣が定める。 2 法第十九条第四項に規定する総務省令・法務省令で定める場合は、電気通信回線の故障その他の事由により電気通信回線を通じた送信ができない場合とする。
民事
Heisei
Act
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平成十一年法律第八十一号
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住宅の品質確保の促進等に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、住宅の性能に関する表示基準及びこれに基づく評価の制度を設け、住宅に係る紛争の処理体制を整備するとともに、新築住宅の請負契約又は売買契約における 瑕疵 かし 担保責任について特別の定めをすることにより、住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「住宅」とは、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分(人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む。)をいう。 2 この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう。 3 この法律において「日本住宅性能表示基準」とは、住宅の性能に関し表示すべき事項及びその表示の方法の基準であって、次条の規定により定められたものをいう。 4 この法律において「住宅購入者等」とは、住宅の購入若しくは住宅の建設工事の注文をし、若しくはしようとする者又は購入され、若しくは建設された住宅に居住をし、若しくはしようとする者をいう。 5 この法律において「 瑕疵 かし 」とは、種類又は品質に関して契約の内容に適合しない状態をいう。 第二章 日本住宅性能表示基準 (日本住宅性能表示基準) 第三条 国土交通大臣及び内閣総理大臣は、住宅の性能に関する表示の適正化を図るため、日本住宅性能表示基準を定めなければならない。 2 日本住宅性能表示基準は、利害関係人の意向を適切に反映するように、かつ、その適用に当たって同様な条件の下にある者に対して不公正に差別を付することがないように定め、又は変更しなければならない。 3 国土交通大臣又は内閣総理大臣は、日本住宅性能表示基準を定め、又は変更しようとする場合において、必要があると認めるときは、当該日本住宅性能表示基準又はその変更の案について、公聴会を開いて利害関係人の意見を聴くことができる。 4 国土交通大臣及び内閣総理大臣は、日本住宅性能表示基準を定め、又は変更しようとするときは、国土交通大臣にあっては社会資本整備審議会の議決を、内閣総理大臣にあっては消費者委員会の議決を、それぞれ経なければならない。 ただし、社会資本整備審議会又は消費者委員会が軽微な事項と認めるものについては、この限りでない。 5 国土交通大臣及び内閣総理大臣は、日本住宅性能表示基準を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。 (評価方法基準) 第三条の二 国土交通大臣は、日本住宅性能表示基準を定める場合には、併せて、日本住宅性能表示基準に従って表示すべき住宅の性能に関する評価(評価のための検査を含む。以下同じ。)の方法の基準(以下「評価方法基準」という。)を定めるものとする。 2 前条第二項から第五項までの規定は、評価方法基準について準用する。 この場合において、同条第三項中「国土交通大臣又は内閣総理大臣」とあり、並びに同条第四項及び第五項中「国土交通大臣及び内閣総理大臣」とあるのは「国土交通大臣」と、同条第四項中「国土交通大臣にあっては社会資本整備審議会の議決を、内閣総理大臣にあっては消費者委員会の議決を、それぞれ」とあるのは「社会資本整備審議会の議決を」と、同項ただし書中「社会資本整備審議会又は消費者委員会」とあるのは「社会資本整備審議会」と読み替えるものとする。 3 内閣総理大臣は、個人である住宅購入者等の利益の保護を図るため必要があると認めるときは、国土交通大臣に対し、評価方法基準の策定又は変更に関し、必要な意見を述べることができる。 (日本住宅性能表示基準の呼称の禁止) 第四条 何人も、日本住宅性能表示基準でない住宅の性能の表示に関する基準について、日本住宅性能表示基準という名称又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。 第三章 住宅性能評価 第一節 住宅性能評価 (住宅性能評価) 第五条 第七条から第十条までの規定の定めるところにより国土交通大臣の登録を受けた者(以下「登録住宅性能評価機関」という。)は、申請により、住宅性能評価(設計された住宅又は建設された住宅について、日本住宅性能表示基準に従って表示すべき性能に関し、評価方法基準(第五十八条第一項の特別評価方法認定を受けた方法を用いる場合における当該方法を含む。第三十一条第一項において同じ。)に従って評価することをいう。以下同じ。)を行い、国土交通省令・内閣府令で定める事項を記載し、国土交通省令・内閣府令で定める標章を付した評価書(以下「住宅性能評価書」という。)を交付することができる。 2 前項の申請の手続その他住宅性能評価及び住宅性能評価書の交付に関し必要な事項は、国土交通省令・内閣府令で定める。 3 何人も、第一項の場合を除き、住宅の性能に関する評価書、住宅の建設工事の請負契約若しくは売買契約に係る契約書又はこれらに添付する書類に、同項の標章又はこれと紛らわしい標章を付してはならない。 (住宅性能評価書等と契約内容) 第六条 住宅の建設工事の請負人は、設計された住宅に係る住宅性能評価書(以下「設計住宅性能評価書」という。)若しくはその写しを請負契約書に添付し、又は注文者に対し設計住宅性能評価書若しくはその写しを交付した場合においては、当該設計住宅性能評価書又はその写しに表示された性能を有する住宅の建設工事を行うことを契約したものとみなす。 2 新築住宅の建設工事の完了前に当該新築住宅の売買契約を締結した売主は、設計住宅性能評価書若しくはその写しを売買契約書に添付し、又は買主に対し設計住宅性能評価書若しくはその写しを交付した場合においては、当該設計住宅性能評価書又はその写しに表示された性能を有する新築住宅を引き渡すことを契約したものとみなす。 3 新築住宅の建設工事の完了後に当該新築住宅の売買契約を締結した売主は、建設された住宅に係る住宅性能評価書(以下「建設住宅性能評価書」という。)若しくはその写しを売買契約書に添付し、又は買主に対し建設住宅性能評価書若しくはその写しを交付した場合においては、当該建設住宅性能評価書又はその写しに表示された性能を有する新築住宅を引き渡すことを契約したものとみなす。 4 前三項の規定は、請負人又は売主が、請負契約書又は売買契約書において反対の意思を表示しているときは、適用しない。 (長期優良住宅の普及の促進に関する法律の特例) 第六条の二 長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成二十年法律第八十七号)第五条第一項から第七項までの規定による認定の申請(同法第八条第一項の規定による変更の認定の申請を含む。)をする者は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、登録住宅性能評価機関に対し、当該申請に係る住宅の構造及び設備が長期使用構造等(同法第二条第四項に規定する長期使用構造等をいう。以下この条において同じ。)であることの確認を行うことを求めることができる。 2 第五条第一項の住宅性能評価の申請をする者は、前項の規定による求めを当該住宅性能評価の申請と併せてすることができる。 3 第一項の規定による求めがあった場合(次項に規定する場合を除く。)は、登録住宅性能評価機関は、当該住宅の構造及び設備が長期使用構造等であるかどうかの確認を行い、国土交通省令で定めるところにより、その結果を記載した書面(第五項において「確認書」という。)を当該求めをした者に交付するものとする。 4 第二項の規定により住宅性能評価の申請と併せて第一項の規定による求めがあった場合は、登録住宅性能評価機関は、当該住宅の構造及び設備が長期使用構造等であるかどうかの確認を行い、国土交通省令で定めるところにより、その結果を住宅性能評価書に記載するものとする。 5 前二項の規定によりその住宅の構造及び設備が長期使用構造等である旨が記載された確認書若しくは住宅性能評価書又はこれらの写しを、長期優良住宅の普及の促進に関する法律第五条第一項に規定する長期優良住宅建築等計画又は同条第六項に規定する長期優良住宅維持保全計画に添えて同条第一項から第七項までの規定による認定の申請(同法第八条第一項の規定による変更の認定の申請を含む。)をした場合においては、当該申請に係る長期優良住宅建築等計画又は長期優良住宅維持保全計画は、同法第六条第一項第一号(同法第八条第二項において準用する場合を含む。)に掲げる基準に適合しているものとみなす。 第二節 登録住宅性能評価機関 (登録) 第七条 第五条第一項の登録(第十三条を除き、以下この節において単に「登録」という。)は、同項に規定する業務(以下この節において「評価の業務」という。)を行おうとする者の申請により行う。 2 前項の申請は、国土交通省令で定めるところにより、評価の業務を行おうとする住宅の種類及び規模に応じ、次に掲げる住宅の種別ごとに国土交通省令で定める区分に従って行わなければならない。 一 建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)第三条第一項第二号から第四号までに掲げる建築物である住宅 二 建築士法第三条の二第一項各号に掲げる建築物である住宅(前号に掲げる住宅を除く。) 三 前二号に掲げる住宅以外の住宅 (欠格条項) 第八条 次の各号のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。 一 未成年者 二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者 三 拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者 四 第二十四条第一項又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者 五 心身の故障により評価の業務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの 六 法人であって、その役員のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの (登録基準等) 第九条 国土交通大臣は、登録の申請をした者(以下この項において「登録申請者」という。)が次に掲げる基準のすべてに適合しているときは、その登録をしなければならない。 一 第十三条の評価員(別表各号の上欄に掲げる住宅性能評価を行う住宅の区分に応じ、それぞれ当該各号の中欄に掲げる者に該当するものに限る。以下この号において同じ。)が住宅性能評価を実施し、その数が次のいずれにも適合するものであること。 イ 別表各号の上欄に掲げる住宅性能評価を行う住宅の区分ごとに、それぞれ当該各号の下欄に掲げる数(その数が二未満であるときは、二)以上であること。 ロ 別表各号の上欄に掲げる住宅性能評価を行う住宅の区分の二以上にわたる住宅について住宅性能評価を行う場合にあっては、第十三条の評価員の総数が、それらの区分に応じそれぞれ当該各号の下欄に掲げる数を合計した数(その数が二未満であるときは、二)以上であること。 二 登録申請者が、業として、住宅を設計し若しくは販売し、住宅の販売を代理し若しくは媒介し、又は新築住宅の建設工事を請け負う者(以下「住宅関連事業者」という。)に支配されているものとして次のいずれかに該当するものでないこと。 イ 登録申請者が株式会社である場合にあっては、住宅関連事業者がその親法人(会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第一項に規定する親法人をいう。以下同じ。)であること。 ロ 登録申請者の役員(持分会社(会社法第五百七十五条第一項に規定する持分会社をいう。以下同じ。)にあっては、業務を執行する社員)に占める住宅関連事業者の役員又は職員(過去二年間に当該住宅関連事業者の役員又は職員であった者を含む。)の割合が二分の一を超えていること。 ハ 登録申請者(法人にあっては、その代表権を有する役員)が、住宅関連事業者の役員又は職員(過去二年間に当該住宅関連事業者の役員又は職員であった者を含む。)であること。 三 評価の業務を適正に行うために評価の業務を行う部門に専任の管理者が置かれていること。 四 債務超過の状態にないこと。 2 登録は、登録住宅性能評価機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。 一 登録年月日及び登録番号 二 登録住宅性能評価機関の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名 三 登録の区分 四 登録住宅性能評価機関が評価の業務を行う事務所の所在地 五 第十三条の評価員の氏名 六 前各号に掲げるもののほか、国土交通省令で定める事項 (登録の公示等) 第十条 国土交通大臣は、登録をしたときは、前条第二項第二号から第五号までに掲げる事項その他国土交通省令で定める事項を公示しなければならない。 2 登録住宅性能評価機関は、前条第二項第二号又は第四号から第六号までに掲げる事項を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。 3 国土交通大臣は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公示しなければならない。 (登録の更新) 第十一条 登録は、五年以上十年以内において政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。 2 第七条から第九条までの規定は、前項の登録の更新の場合について準用する。 (承継) 第十二条 登録住宅性能評価機関が当該登録に係る事業の全部を譲渡し、又は登録住宅性能評価機関について相続、合併若しくは分割(当該登録に係る事業の全部を承継させるものに限る。)があったときは、その事業の全部を譲り受けた者又は相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により当該事業を承継すべき相続人を選定したときは、その者。以下この項及び第三十七条において同じ。)、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人若しくは分割によりその事業の全部を承継した法人は、その登録住宅性能評価機関の地位を承継する。 ただし、当該事業の全部を譲り受けた者又は相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人若しくは分割により当該事業の全部を承継した法人が第八条各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。 2 前項の規定により登録住宅性能評価機関の地位を承継した者は、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。 (評価員) 第十三条 登録住宅性能評価機関は、別表各号の上欄に掲げる住宅性能評価を行う住宅の区分に応じ、それぞれ当該各号の中欄に掲げる者に該当する者であって、第二十五条から第二十七条までの規定の定めるところにより国土交通大臣の登録を受けた者(以下「登録講習機関」という。)が行う講習の課程を修了したもののうちから評価員を選任しなければならない。 (秘密保持義務) 第十四条 登録住宅性能評価機関(その者が法人である場合にあっては、その役員)及びその職員(評価員を含む。)並びにこれらの者であった者は、評価の業務(第六条の二第三項又は第四項に規定する確認の業務を含む。以下この節において同じ。)に関して知り得た秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用してはならない。 (評価の業務の義務) 第十五条 登録住宅性能評価機関は、評価の業務を行うべきことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、評価の業務を行わなければならない。 2 登録住宅性能評価機関は、公正に、かつ、国土交通省令で定める基準に適合する方法により評価の業務を行わなければならない。 (評価業務規程) 第十六条 登録住宅性能評価機関は、評価の業務に関する規程(以下この節において「評価業務規程」という。)を定め、評価の業務の開始前に、国土交通大臣に届け出なければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。 2 評価業務規程には、評価の業務の実施の方法、評価の業務に関する料金その他の国土交通省令で定める事項を定めておかなければならない。 3 国土交通大臣は、第一項の規定による届出のあった評価業務規程が、この章の規定に従って評価の業務を公正かつ適確に実施する上で不適当であり、又は不適当となったと認めるときは、その評価業務規程を変更すべきことを命ずることができる。 (登録の区分等の掲示等) 第十七条 登録住宅性能評価機関は、国土交通省令で定めるところにより、登録の区分その他国土交通省令で定める事項について、その事務所において公衆に見やすいように掲示するとともに、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。第六十六条第四項において同じ。)により公衆の閲覧に供しなければならない。 (財務諸表等の備付け及び閲覧等) 第十八条 登録住宅性能評価機関は、毎事業年度経過後三月以内に、その事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書又は収支計算書並びに事業報告書(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条において同じ。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。以下「財務諸表等」という。)を作成し、五年間事務所に備えて置かなければならない。 2 利害関係人は、登録住宅性能評価機関の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。 ただし、第二号又は第四号の請求をするには、登録住宅性能評価機関の定めた費用を支払わなければならない。 一 財務諸表等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求 二 前号の書面の謄本又は抄本の請求 三 財務諸表等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を国土交通省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求 四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって国土交通省令で定めるものにより提供することの請求又は当該事項を記載した書面の交付の請求 (帳簿の備付け等) 第十九条 登録住宅性能評価機関は、国土交通省令で定めるところにより、評価の業務に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え付け、これを保存しなければならない。 2 前項に定めるもののほか、登録住宅性能評価機関は、国土交通省令で定めるところにより、評価の業務に関する書類で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。 (適合命令) 第二十条 国土交通大臣は、登録住宅性能評価機関が第九条第一項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その登録住宅性能評価機関に対し、これらの規定に適合するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (改善命令) 第二十一条 国土交通大臣は、登録住宅性能評価機関が第十五条の規定に違反していると認めるときは、その登録住宅性能評価機関に対し、評価の業務を行うべきこと又は評価の業務の方法その他の業務の方法の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (報告、検査等) 第二十二条 国土交通大臣は、評価の業務の公正かつ適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、登録住宅性能評価機関に対し評価の業務若しくは経理の状況に関し必要な報告を求め、又はその職員に、登録住宅性能評価機関の事務所に立ち入り、評価の業務の状況若しくは設備、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。 2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。 (評価の業務の休廃止等) 第二十三条 登録住宅性能評価機関は、評価の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。 2 前項の規定により評価の業務の全部を廃止しようとする届出があったときは、当該届出に係る登録は、その効力を失う。 3 国土交通大臣は、第一項の規定による届出があったときは、その旨を公示しなければならない。 (登録の取消し等) 第二十四条 国土交通大臣は、登録住宅性能評価機関が第八条各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至ったときは、その登録を取り消さなければならない。 2 国土交通大臣は、登録住宅性能評価機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて評価の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。 一 第十条第二項、第十二条第二項、第十七条、第十八条第一項、第十九条、前条第一項又は第七十一条第二項の規定に違反したとき。 二 第十六条第一項の規定による届出のあった評価業務規程によらないで評価の業務を行ったとき。 三 正当な理由がないのに第十八条第二項各号の請求を拒んだとき。 四 第十六条第三項、第二十条又は第二十一条の規定による命令に違反したとき。 五 第八十七条第四項の規定による負担金の納付をしないとき。 六 評価の業務に関し著しく不適当な行為をしたとき、又はその業務に従事する評価員若しくは法人にあってはその役員が、評価の業務に関し著しく不適当な行為をしたとき。 七 不正な手段により登録を受けたとき。 3 国土交通大臣は、前二項の規定により登録を取り消し、又は前項の規定により評価の業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。 第三節 登録講習機関 (登録) 第二十五条 第十三条の登録(以下この節において単に「登録」という。)は、同条の講習の実施に関する業務(以下「講習の業務」という。)を行おうとする者の申請により行う。 2 第十条第一項及び第十一条の規定は登録に、第十条第二項及び第三項、第十二条、第十五条第二項、第十六条第一項及び第二項、第十八条、第十九条第一項並びに第二十条から第二十三条までの規定は登録講習機関について準用する。 この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。 第十条第一項 前条第二項第二号から第五号まで 第二十七条第二項第二号及び第三号 第十条第二項 前条第二項第二号又は第四号から第六号まで 第二十七条第二項第二号から第四号まで 第十一条第二項 第七条から第九条まで 第二十五条第一項、第二十六条及び第二十七条 第十二条第一項ただし書 第八条各号 第二十六条各号 第十五条第二項、第十六条第一項及び第二項、第十九条第一項、第二十二条第一項、第二十三条第一項及び第二項 評価の業務 講習の業務 第十六条第一項及び第二項 評価業務規程 講習業務規程 第二十条 第九条第一項各号 第二十七条第一項各号 第二十一条 第十五条 第二十五条第二項において準用する第十五条第二項 評価の業務を行うべきこと又は評価の業務 同項の規定による講習の業務を行うべきこと又は講習の業務 第二十二条第一項 公正かつ適確な 適正な (欠格条項) 第二十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。 一 第八条第一号から第三号までに掲げる者 二 第二十八条第一項又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者 三 心身の故障により講習の業務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの 四 法人であって、その役員のうちに前三号のいずれかに該当する者があるもの (登録基準等) 第二十七条 国土交通大臣は、登録の申請をした者(以下この項において「登録申請者」という。)が次に掲げる基準の全てに適合しているときは、その登録をしなければならない。 この場合において、登録に関して必要な手続は、国土交通省令で定める。 一 住宅性能評価に関する法律制度及び実務に関する科目について講習の業務を実施するものであること。 二 前号の住宅性能評価に関する実務に関する科目にあっては、次のいずれかに該当する者が講師として講習の業務に従事するものであること。 イ 建築士法第二条第二項に規定する一級建築士(以下「一級建築士」という。)であって、住宅性能評価について評価員として三年以上の実務の経験を有するもの ロ イに掲げる者と同等以上の知識及び経験を有する者 三 登録申請者が、住宅関連事業者又は登録住宅性能評価機関(以下この号において「住宅関連事業者等」という。)に支配されているものとして次のいずれかに該当するものでないこと。 イ 登録申請者が株式会社である場合にあっては、住宅関連事業者等がその親法人であること。 ロ 登録申請者の役員(持分会社にあっては、業務を執行する社員)に占める住宅関連事業者等の役員又は職員(過去二年間に当該住宅関連事業者等の役員又は職員であった者を含む。)の割合が二分の一を超えていること。 ハ 登録申請者(法人にあっては、その代表権を有する役員)が、住宅関連事業者等の役員又は職員(過去二年間に当該住宅関連事業者等の役員又は職員であった者を含む。)であること。 四 債務超過の状態にないこと。 2 登録は、登録講習機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。 一 登録年月日及び登録番号 二 登録講習機関の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名 三 登録講習機関が講習の業務を行う事務所の所在地 四 前三号に掲げるもののほか、国土交通省令で定める事項 (登録の取消し等) 第二十八条 国土交通大臣は、登録講習機関が第二十六条第一号、第三号又は第四号に該当するに至ったときは、その登録を取り消さなければならない。 2 国土交通大臣は、登録講習機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて講習の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。 一 第二十五条第二項において準用する第十条第二項、第十二条第二項、第十八条第一項、第十九条第一項又は第二十三条第一項の規定に違反したとき。 二 第二十五条第二項において準用する第十六条第一項の規定による届出のあった講習業務規程によらないで講習の業務を行ったとき。 三 正当な理由がないのに第二十五条第二項において準用する第十八条第二項各号の請求を拒んだとき。 四 第二十五条第二項において準用する第二十条又は第二十一条の規定による命令に違反したとき。 五 講習の業務に関し著しく不適当な行為をしたとき、又はその業務に従事する者若しくは法人にあってはその役員が、講習の業務に関し著しく不適当な行為をしたとき。 六 不正な手段により登録を受けたとき。 3 第二十四条第三項の規定は、前二項の規定による登録の取消し又は前項の規定による講習の業務の停止について準用する。 (国土交通大臣による講習の業務の実施) 第二十九条 国土交通大臣は、次の各号のいずれかに該当するときその他必要があると認めるときは、講習の業務の全部又は一部を自ら行うことができる。 一 登録を受ける者がいないとき。 二 第二十五条第二項において準用する第二十三条第一項の規定による講習の業務の全部又は一部の休止又は廃止の届出があったとき。 三 前条第一項若しくは第二項の規定により登録を取り消し、又は同項の規定により講習の業務の全部若しくは一部の停止を命じたとき。 四 登録講習機関が天災その他の事由により講習の業務の全部又は一部を実施することが困難となったとき。 2 国土交通大臣は、前項の規定により講習の業務を行い、又は同項の規定により行っている講習の業務を行わないこととしようとするときは、あらかじめ、その旨を公示しなければならない。 3 国土交通大臣が第一項の規定により講習の業務を行うこととした場合における講習の業務の引継ぎその他の必要な事項は、国土交通省令で定める。 (手数料) 第三十条 前条第一項の規定により国土交通大臣が行う講習を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、実費を勘案して国土交通省令で定める額の手数料を国に納めなければならない。 第四章 住宅型式性能認定等 第一節 住宅型式性能認定等 (住宅型式性能認定) 第三十一条 第四十四条から第四十六条までの規定の定めるところにより国土交通大臣の登録(第四十四条第二項第一号に掲げる業務の種別に係るものに限る。)を受けた者は、申請により、住宅型式性能認定(住宅又はその部分で国土交通大臣が定めるものの型式について評価方法基準に従って評価し、当該型式が日本住宅性能表示基準に従って表示すべき性能を有する旨を認定することをいい、当該登録を受けた者が外国にある事務所によりこれを行う者である場合にあっては、外国において事業を行う者の申請に基づくものに限る。以下同じ。)を行うことができる。 2 前項の申請の手続その他住宅型式性能認定に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。 3 第一項の登録を受けた者は、住宅型式性能認定をしたときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。 (住宅型式性能認定を受けた型式に係る住宅性能評価の特例) 第三十二条 住宅型式性能認定を受けた型式に適合する住宅又はその部分は、住宅性能評価において、当該住宅型式性能認定により認定された性能を有するものとみなす。 (型式住宅部分等製造者の認証) 第三十三条 第四十四条から第四十六条までの規定の定めるところにより国土交通大臣の登録(第四十四条第二項第二号に掲げる業務の種別に係るものに限る。)を受けた者は、申請により、規格化された型式の住宅の部分又は住宅で国土交通大臣が定めるもの(以下この節において「型式住宅部分等」という。)の製造又は新築(以下この節において単に「製造」という。)をする者について、当該型式住宅部分等の製造者としての認証(当該登録を受けた者が外国にある事務所によりこれを行う者である場合にあっては、外国において事業を行う者の申請に基づくものに限る。)を行うことができる。 2 前項の申請をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、国土交通省令で定める事項を記載した申請書を提出して、これを行わなければならない。 3 第一項の登録を受けた者は、同項の認証をしたときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。 (欠格条項) 第三十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、前条第一項の認証を受けることができない。 一 この法律の規定により刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者 二 第四十三条第一項又は第二項の規定により標章を付することを禁止され、その禁止の処分を受けた日から起算して二年を経過しない者 三 前条第一項の認証が第五十三条第三項の規定により効力を失い、同項の規定による公示の日から起算して二年を経過しない者 四 法人であって、その役員のうちに前三号のいずれかに該当する者があるもの (認証の基準) 第三十五条 第三十三条第一項の登録を受けた者は、同項の申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときは、同項の認証をしなければならない。 一 申請に係る型式住宅部分等の型式が住宅型式性能認定を受けたものであること。 二 申請に係る型式住宅部分等の製造設備、検査設備、検査方法、品質管理方法その他品質保持に必要な技術的生産条件が国土交通大臣が定める技術的基準に適合していると認められること。 (認証の更新) 第三十六条 第三十三条第一項の認証は、五年以上十年以内において政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。 2 第三十三条第二項及び前二条の規定は、前項の認証の更新の場合について準用する。 (承継) 第三十七条 第三十三条第一項の認証を受けた者(以下「認証型式住宅部分等製造者」という。)が当該認証に係る型式住宅部分等の製造の事業の全部を譲渡し、又は認証型式住宅部分等製造者について相続、合併若しくは分割(当該認証に係る型式住宅部分等の製造の事業の全部を承継させるものに限る。)があったときは、その事業の全部を譲り受けた者又は相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人若しくは分割によりその事業の全部を承継した法人は、その認証型式住宅部分等製造者の地位を承継する。 ただし、当該事業の全部を譲り受けた者又は相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人若しくは分割により当該事業の全部を承継した法人が第三十四条各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。 (型式適合義務等) 第三十八条 認証型式住宅部分等製造者は、その認証に係る型式住宅部分等の製造をするときは、当該型式住宅部分等がその認証に係る型式に適合するようにしなければならない。 ただし、本邦において外国に輸出するため当該型式住宅部分等の製造をする場合、試験的に当該型式住宅部分等の製造をする場合その他の国土交通省令で定める場合は、この限りでない。 2 認証型式住宅部分等製造者は、国土交通省令で定めるところにより、製造をする当該認証に係る型式住宅部分等について検査を行い、その検査記録を作成し、これを保存しなければならない。 (特別な標章等) 第三十九条 認証型式住宅部分等製造者は、その認証に係る型式住宅部分等の製造をしたときは、これに当該型式住宅部分等が認証型式住宅部分等製造者が製造をした型式住宅部分等であることを示す国土交通省令で定める方式による特別な標章を付することができる。 ただし、第四十三条第一項又は第二項の規定により、その標章を付することを禁止されたときは、この限りでない。 2 何人も、前項の規定により同項の標章を付する場合を除くほか、住宅の部分又は住宅に、同項の標章又はこれと紛らわしい標章を付してはならない。 (認証型式住宅部分等に係る住宅性能評価の特例) 第四十条 認証型式住宅部分等製造者が製造をするその認証に係る型式住宅部分等(以下この節において「認証型式住宅部分等」という。)は、設計された住宅に係る住宅性能評価において、その認証に係る型式に適合するものとみなす。 2 住宅の部分である認証型式住宅部分等で前条第一項の標章を付したもの及び住宅である認証型式住宅部分等でその新築の工事が国土交通省令で定めるところにより建築士である工事監理者(建築士法第二条第八項に規定する工事監理をする者をいう。)によって設計図書(同法第二条第六項に規定する設計図書をいう。)のとおり実施されたことが確認されたものは、建設された住宅に係る住宅性能評価において、その認証に係る型式に適合するものとみなす。 (認証の失効) 第四十一条 第三十三条第一項の認証は、当該認証に係る住宅型式性能認定が第五十三条第二項の規定により効力を失ったときは、その効力を失う。 (報告、検査等) 第四十二条 国土交通大臣は、第三十七条、第三十八条、第三十九条第二項並びに次条第一項及び第二項の規定の施行に必要な限度において、認証型式住宅部分等製造者に対しその業務に関し必要な報告を求め、又はその職員に、認証型式住宅部分等製造者の工場、営業所、事務所、倉庫その他の事業場に立ち入り、認証型式住宅部分等の製造設備若しくは検査設備、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。 2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。 (標章の禁止) 第四十三条 国土交通大臣は、認証型式住宅部分等製造者(外国において本邦に輸出される型式住宅部分等の製造をするもの(以下「認証外国型式住宅部分等製造者」という。)を除く。以下この項において同じ。)が次の各号のいずれかに該当するときは、当該認証型式住宅部分等製造者に対し、二年以内の期間を定めて、当該認証型式住宅部分等に第三十九条第一項の標章を付することを禁止することができる。 一 認証型式住宅部分等の製造設備、検査設備、検査方法、品質管理方法その他品質保持に必要な技術的生産条件が第三十五条第二号の国土交通大臣が定める技術的基準に適合していない場合において、住宅購入者等の利益を保護するため特に必要があると認めるとき。 二 第三十八条又は第七十一条第二項の規定に違反したとき。 三 不正な手段により認証を受けたとき。 2 国土交通大臣は、認証外国型式住宅部分等製造者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該認証外国型式住宅部分等製造者に対し、二年以内の期間を定めて、当該認証型式住宅部分等に第三十九条第一項の標章を付することを禁止することができる。 一 前項各号のいずれかに該当するとき。 二 前条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。 三 前条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、又は虚偽の答弁をしたとき。 四 第四項の規定による費用の負担をしないとき。 3 国土交通大臣は、前二項の規定により標章を付することを禁止したときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。 この場合において、第四十条の規定は、当該認証型式住宅部分等については、適用しない。 4 前条第一項の規定による認証外国型式住宅部分等製造者に対する検査に要する費用(政令で定めるものに限る。)は、当該認証外国型式住宅部分等製造者の負担とする。 第二節 登録住宅型式性能認定等機関 (登録) 第四十四条 第三十一条第一項又は第三十三条第一項の登録(以下この節において単に「登録」という。)は、それぞれ住宅型式性能認定及び第三十一条第三項の規定による公示又は第三十三条第一項の認証、同条第三項の規定による公示及び第三十六条第一項の認証の更新(以下この節において「認定等」という。)の業務を行おうとする者の申請により行う。 2 前項の申請は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる業務の種別ごとに国土交通大臣が定める区分に従って行わなければならない。 一 住宅型式性能認定及び第三十一条第三項の規定による公示 二 第三十三条第一項の認証、同条第三項の規定による公示及び第三十六条第一項の認証の更新 3 第十条第一項及び第十一条の規定は登録に、第十条第二項及び第三項、第十二条、第十五条、第十八条、第十九条、第二十二条並びに第二十三条の規定は登録を受けた者(以下「登録住宅型式性能認定等機関」という。)について準用する。 この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。 第十条第一項及び第二項 前条第二項第二号 第四十六条第二項第二号 第十一条第二項 第七条から第九条まで 第四十四条第一項及び第二項、第四十五条並びに第四十六条 第十二条第一項ただし書 第八条各号 第四十五条各号 第十五条、第十九条、第二十二条第一項、第二十三条第一項及び第二項 評価の業務 認定等の業務 (欠格条項) 第四十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。 一 第八条第一号から第三号までに掲げる者 二 第五十五条第一項から第三項までの規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者 三 心身の故障により認定等の業務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの 四 法人であって、その役員のうちに前三号のいずれかに該当する者があるもの (登録基準等) 第四十六条 国土交通大臣は、登録の申請をした者(以下この項において「登録申請者」という。)が次に掲げる基準のすべてに適合しているときは、その登録をしなければならない。 一 次条の認定員(第四十四条第二項第一号に掲げる業務の種別に係る登録を受けようとする場合にあっては次条第一号イからニまでのいずれかに該当するもの、第四十四条第二項第二号に掲げる業務の種別に係る登録を受けようとする場合にあっては次条第二号イからハまでのいずれかに該当するものに限る。)が認定等の業務を実施し、その数が三以上であること。 二 登録申請者が、住宅関連事業者に支配されているものとして次のいずれかに該当するものでないこと。 イ 登録申請者が株式会社である場合にあっては、住宅関連事業者がその親法人であること。 ロ 登録申請者の役員(持分会社にあっては、業務を執行する社員)に占める住宅関連事業者の役員又は職員(過去二年間に当該住宅関連事業者の役員又は職員であった者を含む。)の割合が二分の一を超えていること。 ハ 登録申請者(法人にあっては、その代表権を有する役員)が、住宅関連事業者の役員又は職員(過去二年間に当該住宅関連事業者の役員又は職員であった者を含む。)であること。 三 認定等の業務を適正に行うために認定等の業務を行う部門に専任の管理者が置かれていること。 四 債務超過の状態にないこと。 2 登録は、登録住宅型式性能認定等機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。 一 登録年月日及び登録番号 二 登録住宅型式性能認定等機関の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名 三 登録の区分 四 登録住宅型式性能認定等機関が認定等の業務を行う事務所の所在地 五 次条の認定員の氏名 六 前各号に掲げるもののほか、国土交通省令で定める事項 (認定員) 第四十七条 登録住宅型式性能認定等機関は、次の各号に掲げる業務の種別に応じ、それぞれ当該各号に定める者のうちから認定員を選任しなければならない。 一 第四十四条第二項第一号に掲げる業務 次のイからニまでのいずれかに該当する者 イ 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学において建築学、機械工学、電気工学又は衛生工学を担当する教授若しくは准教授の職にあり、又はこれらの職にあった者 ロ 建築、機械、電気又は衛生に関する分野の試験研究機関において十年以上試験研究の業務に従事した経験を有する者 ハ 一級建築士であって、第七条第二項第一号に掲げる住宅に係る住宅性能評価について評価員として五年以上の実務の経験を有するもの ニ イからハまでに掲げる者と同等以上の知識及び経験を有する者 二 第四十四条第二項第二号に掲げる業務 次のイからハまでのいずれかに該当する者 イ 前号イ又はロのいずれかに該当する者 ロ 建築材料又は建築物の部分の製造、検査又は品質管理の業務(工場その他これに類する場所において行われるものに限る。)についてこれらの業務を行う部門の管理者として五年以上の実務の経験を有する者 ハ イ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び経験を有する者 (秘密保持義務) 第四十八条 登録住宅型式性能認定等機関(外国にある事務所により認定等の業務を行うもの(以下「登録外国住宅型式性能認定等機関」という。)を除く。)(その者が法人である場合にあっては、その役員)及びその職員(認定員を含む。)並びにこれらの者であった者は、認定等の業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用してはならない。 (認定等業務規程) 第四十九条 登録住宅型式性能認定等機関は、認定等の業務に関する規程(以下この節において「認定等業務規程」という。)を定め、認定等の業務の開始前に、国土交通大臣に届け出なければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。 2 認定等業務規程には、認定等の業務の実施の方法、認定等の業務に関する料金その他の国土交通省令で定める事項を定めておかなければならない。 3 国土交通大臣は、第一項の規定による届出のあった認定等業務規程が、この章の規定に従って認定等の業務を公正かつ適確に実施する上で不適当であり、又は不適当となったと認めるときは、登録住宅型式性能認定等機関(登録外国住宅型式性能認定等機関を除く。)に対し、その認定等業務規程を変更すべきことを命ずることができる。 (適合命令) 第五十条 国土交通大臣は、登録住宅型式性能認定等機関(登録外国住宅型式性能認定等機関を除く。)が第四十六条第一項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その登録住宅型式性能認定等機関に対し、これらの規定に適合するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (改善命令) 第五十一条 国土交通大臣は、登録住宅型式性能認定等機関(登録外国住宅型式性能認定等機関を除く。)が第四十四条第三項において準用する第十五条の規定に違反していると認めるときは、その登録住宅型式性能認定等機関に対し、認定等の業務を行うべきこと又は認定等の業務の方法その他の業務の方法の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (登録外国住宅型式性能認定等機関への準用) 第五十二条 第四十九条第三項及び前二条の規定は、登録外国住宅型式性能認定等機関について準用する。 この場合において、これらの規定中「命ずる」とあるのは、「請求する」と読み替えるものとする。 (国土交通大臣への報告等) 第五十三条 登録住宅型式性能認定等機関は、住宅型式性能認定、第三十三条第一項の認証又は第三十六条第一項の認証の更新をしたときは、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣に報告しなければならない。 2 国土交通大臣は、住宅型式性能認定を受けた型式が日本住宅性能表示基準に従って表示すべき性能を有していないと認めるときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を、当該住宅型式性能認定の申請者及び当該住宅型式性能認定を行った登録住宅型式性能認定等機関に通知するとともに、公示しなければならない。 この場合において、当該住宅型式性能認定は、その効力を失う。 3 国土交通大臣は、認証型式住宅部分等製造者が第三十四条第一号又は第四号に該当するに至ったときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を、当該認証型式住宅部分等製造者及び当該認証を行った登録住宅型式性能認定等機関に通知するとともに、公示しなければならない。 この場合において、当該認証は、その効力を失う。 (認定等についての申請及び国土交通大臣の命令) 第五十四条 住宅型式性能認定又は第三十三条第一項の認証を申請した者は、その申請に係る型式又は型式住宅部分等の製造をする者について、登録住宅型式性能認定等機関(登録外国住宅型式性能認定等機関を除く。以下この項及び次項において同じ。)が認定等の業務を行わない場合又は登録住宅型式性能認定等機関の認定等の結果に異議のある場合は、国土交通大臣に対し、登録住宅型式性能認定等機関が認定等の業務を行うこと又は改めて認定等の業務を行うことを命ずべきことを申請することができる。 2 国土交通大臣は、前項の申請があった場合において、当該申請に係る登録住宅型式性能認定等機関が第四十四条第三項において準用する第十五条の規定に違反していると認めるときは、当該登録住宅型式性能認定等機関に対し、第五十一条の規定による命令をするものとする。 3 国土交通大臣は、前項の場合において、第五十一条の規定による命令をし、又は命令をしないことの決定をしたときは、遅滞なく、当該申請をした者に通知するものとする。 4 前三項の規定は、登録外国住宅型式性能認定等機関について準用する。 この場合において、第一項中「命ずべき」とあるのは「請求すべき」と、前二項中「命令」とあるのは「請求」と読み替えるものとする。 (登録の取消し等) 第五十五条 国土交通大臣は、登録住宅型式性能認定等機関が第四十五条第一号、第三号又は第四号に該当するに至ったときは、その登録を取り消さなければならない。 2 国土交通大臣は、登録住宅型式性能認定等機関(登録外国住宅型式性能認定等機関を除く。)が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて認定等の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。 一 第四十四条第三項において準用する第十条第二項、第十二条第二項、第十八条第一項、第十九条若しくは第二十三条第一項、第三十一条第三項、第三十三条第三項、第五十三条第一項又は第七十一条第二項の規定に違反したとき。 二 第四十九条第一項の規定による届出のあった認定等業務規程によらないで認定等の業務を行ったとき。 三 正当な理由がないのに第四十四条第三項において準用する第十八条第二項各号の請求を拒んだとき。 四 第四十九条第三項、第五十条又は第五十一条の規定による命令に違反したとき。 五 認定等の業務に関し著しく不適当な行為をしたとき、又はその業務に従事する認定員若しくは法人にあってはその役員が、認定等の業務に関し著しく不適当な行為をしたとき。 六 不正な手段により登録を受けたとき。 3 国土交通大臣は、登録外国住宅型式性能認定等機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消すことができる。 一 前項第一号から第三号まで、第五号又は第六号のいずれかに該当するとき。 二 第五十二条において準用する第四十九条第三項、第五十条又は第五十一条の規定による請求に応じなかったとき。 三 国土交通大臣が、登録外国住宅型式性能認定等機関が前二号のいずれかに該当すると認めて、期間を定めて認定等の業務の全部又は一部の停止の請求をした場合において、その請求に応じなかったとき。 四 第四十四条第三項において準用する第二十二条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。 五 第四十四条第三項において準用する第二十二条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。 六 第五項の規定による費用の負担をしないとき。 4 第二十四条第三項の規定は、前三項の規定による登録の取消し又は第二項の規定による認定等の業務の停止について準用する。 5 第四十四条第三項において準用する第二十二条第一項の規定による登録外国住宅型式性能認定等機関に対する検査に要する費用(政令で定めるものに限る。)は、当該登録外国住宅型式性能認定等機関の負担とする。 (国土交通大臣による認定等の実施) 第五十六条 国土交通大臣は、次の各号のいずれかに該当するときその他必要があると認めるときは、認定等の業務の全部又は一部を自ら行うことができる。 一 登録を受ける者がいないとき。 二 第四十四条第三項において準用する第二十三条第一項の規定により登録住宅型式性能認定等機関(登録外国住宅型式性能認定等機関を除く。以下この項において同じ。)から認定等の業務の全部又は一部の休止又は廃止の届出があったとき。 三 前条第一項若しくは第二項の規定により登録を取り消し、又は同項の規定により認定等の業務の全部若しくは一部の停止を命じたとき。 四 登録住宅型式性能認定等機関が天災その他の事由により認定等の業務の全部又は一部を実施することが困難となったとき。 2 国土交通大臣は、前項の規定により認定等の業務を行い、又は同項の規定により行っている認定等の業務を行わないこととしようとするときは、あらかじめ、その旨を公示しなければならない。 3 国土交通大臣が第一項の規定により認定等の業務を行うこととした場合における認定等の業務の引継ぎその他の必要な事項は、国土交通省令で定める。 (手数料) 第五十七条 前条第一項の規定により国土交通大臣が行う認定等の申請をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、実費を勘案して国土交通省令で定める額の手数料を国に納めなければならない。 第五章 特別評価方法認定 第一節 特別評価方法認定 (特別評価方法認定) 第五十八条 国土交通大臣は、申請により、特別評価方法認定(日本住宅性能表示基準に従って表示すべき性能に関し、評価方法基準に従った方法に代えて、特別の建築材料若しくは構造方法に応じて又は特別の試験方法若しくは計算方法を用いて評価する方法を認定することをいう。以下同じ。)をすることができる。 2 前項の申請をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、国土交通省令で定める事項を記載した申請書を提出して、これを行わなければならない。 3 国土交通大臣は、特別評価方法認定をし、又は特別評価方法認定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。 (審査のための試験) 第五十九条 国土交通大臣は、特別評価方法認定のための審査に当たっては、審査に係る特別の建築材料若しくは構造方法又は特別の試験方法若しくは計算方法に関する試験、分析又は測定(以下単に「試験」という。)であって、第六十一条から第六十三条までの規定の定めるところにより国土交通大臣の登録を受けた者(以下「登録試験機関」という。)が行うもの(当該登録試験機関が外国にある事務所により試験を行う者である場合にあっては、外国において事業を行う者の申請に基づくものに限る。)に基づきこれを行うものとする。 2 特別評価方法認定の申請をしようとする者は、登録試験機関が作成した当該申請に係る特別の建築材料若しくは構造方法又は特別の試験方法若しくは計算方法に関する試験の結果の証明書を前条第二項の申請書に添えて、これをしなければならない。 この場合において、国土交通大臣は、当該証明書に基づき特別評価方法認定のための審査を行うものとする。 (手数料) 第六十条 特別評価方法認定の申請をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、実費を勘案して国土交通省令で定める額の手数料を国に納めなければならない。 第二節 登録試験機関 (登録) 第六十一条 第五十九条第一項の登録(以下この節において単に「登録」という。)は、特別評価方法認定のための審査に必要な試験を行おうとする者の申請により行う。 2 前項の申請は、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣が定める区分に従って行わなければならない。 3 第十条第一項及び第十一条の規定は登録に、第十条第二項及び第三項、第十二条、第十五条、第十八条、第十九条、第二十二条、第二十三条、第四十八条から第五十一条まで、第五十四条第一項から第三項まで並びに第五十六条の規定は登録試験機関に、第五十二条及び第五十四条第四項の規定は外国にある事務所により試験を行う登録試験機関(以下「登録外国試験機関」という。)に、第五十七条の規定はこの項において準用する第五十六条第一項の規定により国土交通大臣の行う試験について準用する。 この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。 第十条第一項及び第二項 前条第二項第二号 第六十三条第二項第二号 第十一条第二項 第七条から第九条まで 第六十一条第一項及び第二項、第六十二条並びに第六十三条 第十二条第一項ただし書 第八条各号 第六十二条各号 第十五条、第十九条、第二十二条第一項、第二十三条第一項及び第二項 評価の業務 試験の業務 第四十八条、第四十九条、第五十一条、第五十四条第一項、第五十六条、第五十七条 認定等の 試験の 第四十八条、第四十九条第三項、第五十条、第五十一条、第五十四条第一項、第五十六条第一項第二号 登録外国住宅型式性能認定等機関 登録外国試験機関 第四十八条 認定員 第六十四条の試験員 第四十九条 認定等業務規程 試験業務規程 第五十条 第四十六条第一項各号 第六十三条第一項各号 第五十一条、第五十四条第二項、第五十六条第一項第二号 第四十四条第三項 第六十一条第三項 第五十四条第一項 住宅型式性能認定又は第三十三条第一項の認証 特別評価方法認定のための審査に必要な試験 型式又は型式住宅部分等の製造をする者 特別の建築材料若しくは構造方法又は特別の試験方法若しくは計算方法 第五十六条第一項第三号 前条第一項 第六十五条第一項 (欠格条項) 第六十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。 一 第八条第一号から第三号までに掲げる者 二 第六十五条第一項から第三項までの規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者 三 心身の故障により試験の業務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの 四 法人であって、その役員のうちに前三号のいずれかに該当する者があるもの (登録基準等) 第六十三条 国土交通大臣は、登録の申請をした者(以下この項において「登録申請者」という。)が次に掲げる基準のすべてに適合しているときは、その登録をしなければならない。 一 次条の試験員が試験を実施し、その数が三以上であること。 二 登録申請者が、住宅関連事業者に支配されているものとして次のいずれかに該当するものでないこと。 イ 登録申請者が株式会社である場合にあっては、住宅関連事業者がその親法人であること。 ロ 登録申請者の役員(持分会社にあっては、業務を執行する社員)に占める住宅関連事業者の役員又は職員(過去二年間に当該住宅関連事業者の役員又は職員であった者を含む。)の割合が二分の一を超えていること。 ハ 登録申請者(法人にあっては、その代表権を有する役員)が、住宅関連事業者の役員又は職員(過去二年間に当該住宅関連事業者の役員又は職員であった者を含む。)であること。 三 試験の業務を適正に行うために試験の業務を行う部門に専任の管理者が置かれていること。 四 債務超過の状態にないこと。 2 登録は、登録試験機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。 一 登録年月日及び登録番号 二 登録試験機関の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名 三 登録の区分 四 登録試験機関が試験の業務を行う事務所の所在地 五 次条の試験員の氏名 六 前各号に掲げるもののほか、国土交通省令で定める事項 (試験員) 第六十四条 登録試験機関は、次に掲げる者のうちから試験員を選任しなければならない。 一 学校教育法に基づく大学において建築学、機械工学、電気工学又は衛生工学を担当する教授若しくは准教授の職にあり、又はこれらの職にあった者 二 建築、機械、電気又は衛生に関する分野の試験研究機関において十年以上試験研究の業務に従事した経験を有する者 三 前二号に掲げる者と同等以上の知識及び経験を有する者 (登録の取消し等) 第六十五条 国土交通大臣は、登録試験機関が第六十二条第一号、第三号又は第四号に該当するに至ったときは、その登録を取り消さなければならない。 2 国土交通大臣は、登録試験機関(登録外国試験機関を除く。)が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて試験の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。 一 第六十一条第三項において準用する第十条第二項、第十二条第二項、第十八条第一項、第十九条若しくは第二十三条第一項又は第七十一条第二項の規定に違反したとき。 二 第六十一条第三項において準用する第四十九条第一項の規定による届出のあった試験業務規程によらないで試験を行ったとき。 三 正当な理由がないのに第六十一条第三項において準用する第十八条第二項各号の請求を拒んだとき。 四 第六十一条第三項において準用する第四十九条第三項、第五十条又は第五十一条の規定による命令に違反したとき。 五 試験の業務に関し著しく不適当な行為をしたとき、又はその業務に従事する試験員若しくは法人にあってはその役員が、試験の業務に関し著しく不適当な行為をしたとき。 六 不正な手段により登録を受けたとき。 3 国土交通大臣は、登録外国試験機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消すことができる。 一 前項第一号から第三号まで、第五号又は第六号のいずれかに該当するとき。 二 第六十一条第三項において準用する第五十二条において準用する第四十九条第三項、第五十条又は第五十一条の規定による請求に応じなかったとき。 三 国土交通大臣が、登録外国試験機関が前二号のいずれかに該当すると認めて、期間を定めて試験の業務の全部又は一部の停止の請求をした場合において、その請求に応じなかったとき。 四 第六十一条第三項において準用する第二十二条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。 五 第六十一条第三項において準用する第二十二条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。 六 第五項の規定による費用の負担をしないとき。 4 第二十四条第三項の規定は、前三項の規定による登録の取消し又は第二項の規定による試験の業務の停止について準用する。 5 第六十一条第三項において準用する第二十二条第一項の規定による登録外国試験機関に対する検査に要する費用(政令で定めるものに限る。)は、当該登録外国試験機関の負担とする。 第六章 住宅に係る紛争の処理体制 第一節 指定住宅紛争処理機関 (指定住宅紛争処理機関の指定等) 第六十六条 国土交通大臣は、弁護士会又は一般社団法人若しくは一般財団法人であって、次条第一項に規定する業務(以下この章において「紛争処理の業務」という。)を公正かつ適確に行うことができると認められるものを、その申請により、紛争処理の業務を行う者として指定することができる。 2 国土交通大臣は、前項の規定による指定(以下この節において単に「指定」という。)をしたときは、指定を受けた者(以下「指定住宅紛争処理機関」という。)の名称及び住所並びに紛争処理の業務を行う事務所の所在地を公示しなければならない。 3 第十条第二項及び第三項並びに第二十三条の規定は、指定住宅紛争処理機関について準用する。 この場合において、第十条第二項中「前条第二項第二号又は第四号から第六号までに掲げる事項」とあるのは「その名称若しくは住所又は紛争処理の業務を行う事務所の所在地」と、第二十三条第一項及び第二項中「評価の業務」とあるのは「紛争処理の業務」と、同項中「登録」とあるのは「指定」と読み替えるものとする。 4 指定住宅紛争処理機関は、国土交通省令で定めるところにより、指定住宅紛争処理機関である旨について、その事務所において公衆に見やすいように掲示するとともに、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならない。 5 第三項において読み替えて準用する第二十三条第一項の規定により紛争処理の業務の全部を廃止しようとする届出をした者は、当該届出の日に次条第一項に規定する紛争のあっせん又は調停の業務を行っていたときは、当該届出の日から二週間以内に、当該あっせん又は調停に係る当該紛争の当事者に対し、当該届出をした旨及び第三項において読み替えて準用する第二十三条第二項の規定により指定がその効力を失った旨を通知しなければならない。 (業務) 第六十七条 指定住宅紛争処理機関は、建設住宅性能評価書が交付された住宅(以下この章において「評価住宅」という。)の建設工事の請負契約又は売買契約に関する紛争(以下この節において「紛争」という。)の当事者の双方又は一方からの申請により、当該紛争のあっせん、調停及び仲裁(以下この章において「住宅紛争処理」という。)の業務を行うものとする。 2 前項の申請の手続は、国土交通省令で定める。 (紛争処理委員) 第六十八条 指定住宅紛争処理機関は、人格が高潔で識見の高い者のうちから、国土交通省令で定める数以上の紛争処理委員を選任しなければならない。 2 指定住宅紛争処理機関は、住宅紛争処理を行うときは、前項の規定により選任した紛争処理委員のうちから、事件ごとに、指定住宅紛争処理機関の長が指名する者に住宅紛争処理を実施させなければならない。 この場合において、指定住宅紛争処理機関の長は、当該事件に関し当事者と利害関係を有することその他住宅紛争処理の公正を妨げるべき事情がある紛争処理委員については、当該事件の紛争処理委員に指名してはならない。 3 前項の規定により指名される紛争処理委員のうち少なくとも一人は、弁護士でなければならない。 (秘密保持義務等) 第六十九条 指定住宅紛争処理機関の紛争処理委員並びにその役員及び職員並びにこれらの職にあった者は、紛争処理の業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用してはならない。 2 指定住宅紛争処理機関の紛争処理委員並びにその役員及び職員で紛争処理の業務に従事する者は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。 (紛争処理の業務の義務) 第七十条 指定住宅紛争処理機関は、紛争処理の業務を行うべきことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、紛争処理の業務を行わなければならない。 (説明又は資料提出の請求) 第七十一条 指定住宅紛争処理機関は、紛争処理の業務の実施に必要な限度において、登録住宅性能評価機関、認証型式住宅部分等製造者、登録住宅型式性能認定等機関又は登録試験機関(次項において「登録住宅性能評価機関等」という。)に対して、第八十二条第一項の規定による指定を受けた者を経由して、文書若しくは口頭による説明又は資料の提出を求めることができる。 2 登録住宅性能評価機関等は、前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。 (住宅紛争処理の手続の非公開) 第七十二条 指定住宅紛争処理機関が行う住宅紛争処理の手続は、公開しない。 ただし、指定住宅紛争処理機関は、相当と認める者に傍聴を許すことができる。 (申請手数料) 第七十三条 住宅紛争処理の申請をする者は、国土交通省令で定めるところにより、実費を超えない範囲内において国土交通省令で定める額の申請手数料を指定住宅紛争処理機関に納めなければならない。 2 前項の規定により指定住宅紛争処理機関に納められた申請手数料は、指定住宅紛争処理機関の収入とする。 (時効の完成猶予) 第七十三条の二 あっせん又は調停に係る紛争についてあっせん又は調停による解決の見込みがないことを理由に指定住宅紛争処理機関により当該あっせん又は調停が打ち切られた場合において、当該あっせん又は調停の申請をした当該紛争の当事者がその旨の通知を受けた日から一月以内に当該あっせん又は調停の目的となった請求について訴えを提起したときは、時効の完成猶予に関しては、当該あっせん又は調停の申請の時に、訴えの提起があったものとみなす。 2 第六十六条第三項において読み替えて準用する第二十三条第二項の規定により指定がその効力を失い、かつ、当該指定がその効力を失った日にあっせん又は調停が実施されていた紛争がある場合において、当該あっせん又は調停の申請をした当該紛争の当事者が第六十六条第五項の規定による通知を受けた日又は当該指定がその効力を失ったことを知った日のいずれか早い日から一月以内に当該あっせん又は調停の目的となった請求について訴えを提起したときも、前項と同様とする。 3 指定が第八十条第一項の規定により取り消され、かつ、その取消しの処分の日にあっせん又は調停が実施されていた紛争がある場合において、当該あっせん又は調停の申請をした当該紛争の当事者が同条第三項の規定による通知を受けた日又は当該処分を知った日のいずれか早い日から一月以内に当該あっせん又は調停の目的となった請求について訴えを提起したときも、第一項と同様とする。 (訴訟手続の中止) 第七十三条の三 紛争について当該紛争の当事者間に訴訟が係属する場合において、次の各号に掲げる事由のいずれかに該当し、かつ、当該紛争の当事者の共同の申立てがあるときは、受訴裁判所は、四月以内の期間を定めて訴訟手続を中止する旨の決定をすることができる。 一 当該紛争について、当該紛争の当事者間において指定住宅紛争処理機関によるあっせん又は調停が実施されていること。 二 前号に掲げる事由のほか、当該紛争の当事者間に指定住宅紛争処理機関によるあっせん又は調停によって当該紛争の解決を図る旨の合意があること。 2 受訴裁判所は、いつでも前項の決定を取り消すことができる。 3 第一項の申立てを却下する決定及び前項の規定により第一項の決定を取り消す決定に対しては、不服を申し立てることができない。 (技術的基準) 第七十四条 国土交通大臣は、指定住宅紛争処理機関による住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決に資するため、住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準を定めることができる。 (指定住宅紛争処理機関の指定の申請の命令) 第七十五条 国土交通大臣は、指定住宅紛争処理機関の指定の申請がなく、又は指定を受けた指定住宅紛争処理機関のみでは紛争処理の業務が適当かつ十分に行われないと認めるときは、第八十二条第一項の規定により指定した者に対し、指定住宅紛争処理機関の指定を申請すべきことを命ずることができる。 (事業計画等) 第七十六条 指定住宅紛争処理機関は、毎事業年度、紛争処理の業務に係る事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後遅滞なく)、国土交通大臣に提出しなければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。 2 指定住宅紛争処理機関は、毎事業年度、紛争処理の業務に係る事業報告書及び収支決算書を作成し、当該事業年度経過後三月以内に、国土交通大臣に提出しなければならない。 (区分経理) 第七十七条 指定住宅紛争処理機関は、国土交通省令で定めるところにより、紛争処理の業務に係る経理とその他の業務に係る経理とを区分して整理しなければならない。 (報告徴収) 第七十八条 国土交通大臣は、紛争処理の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、指定住宅紛争処理機関に対し、紛争処理の業務に関し必要な報告を求めることができる。 (業務改善命令) 第七十九条 国土交通大臣は、紛争処理の業務の運営に関し改善が必要であると認めるときは、指定住宅紛争処理機関に対し、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (指定の取消し等) 第八十条 国土交通大臣は、指定住宅紛争処理機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて紛争処理の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。 一 第六十六条第三項において準用する第十条第二項若しくは第二十三条第一項、第六十六条第四項、第六十八条、第七十条、第七十二条、第七十六条又は第七十七条の規定に違反したとき。 二 第七十八条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。 三 前条又はこの項の規定による命令に違反したとき。 四 紛争処理の業務を公正かつ適確に行うことができないと認めるとき。 五 不正な手段により指定を受けたとき。 2 国土交通大臣は、前項の規定により指定を取り消し、又は紛争処理の業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。 3 第一項の規定により指定の取消しの処分を受けた者は、当該処分の日から二週間以内に、当該処分の日にあっせん又は調停が実施されていた紛争の当事者に対し、当該処分があった旨を通知しなければならない。 (国土交通省令への委任) 第八十一条 この法律に規定するもののほか、住宅紛争処理の手続及びこれに要する費用に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。 第二節 住宅紛争処理支援センター (住宅紛争処理支援センター) 第八十二条 国土交通大臣は、指定住宅紛争処理機関の行う紛争処理の業務の支援その他住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする一般財団法人であって、次条第一項に規定する業務(以下この節において「支援等の業務」という。)に関し次に掲げる基準に適合すると認められるものを、その申請により、全国に一を限って、住宅紛争処理支援センター(以下「センター」という。)として指定することができる。 一 職員、支援等の業務の実施の方法その他の事項についての支援等の業務の実施に関する計画が、支援等の業務の適確な実施のために適切なものであること。 二 前号の支援等の業務の実施に関する計画を適確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有するものであること。 三 役員又は職員の構成が、支援等の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。 四 支援等の業務以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって支援等の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。 五 前各号に定めるもののほか、支援等の業務を公正かつ適確に行うことができるものであること。 2 国土交通大臣は、前項の規定による指定(以下この節において単に「指定」という。)をしたときは、センターの名称及び住所並びに支援等の業務を行う事務所の所在地を公示しなければならない。 3 第十条第二項及び第三項、第十九条、第二十二条並びに第六十九条の規定は、センターについて準用する。 この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。 第十条第二項 前条第二項第二号又は第四号から第六号までに掲げる事項 その名称若しくは住所又は支援等の業務を行う事務所の所在地 第十九条、第二十二条第一項 評価の業務 支援等の業務 第六十九条 紛争処理委員並びにその役員 役員 紛争処理の業務 支援等の業務 (業務) 第八十三条 センターは、次に掲げる業務を行うものとする。 一 指定住宅紛争処理機関に対して紛争処理の業務の実施に要する費用を助成すること。 二 住宅紛争処理に関する情報及び資料の収集及び整理をし、並びにこれらを指定住宅紛争処理機関に対し提供すること。 三 住宅紛争処理に関する調査及び研究を行うこと。 四 指定住宅紛争処理機関の紛争処理委員又はその職員に対する研修を行うこと。 五 指定住宅紛争処理機関の行う紛争処理の業務について、連絡調整を図ること。 六 評価住宅の建設工事の請負契約又は売買契約に関する相談、助言及び苦情の処理を行うこと。 七 評価住宅以外の住宅の建設工事の請負契約又は売買契約に関する相談、助言及び苦情の処理を行うこと。 八 住宅の瑕疵の発生の防止に関する調査及び研究を行うこと。 九 前各号に掲げるもののほか、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るために必要な業務を行うこと。 2 前項第一号に規定する費用の助成に関する手続、基準その他必要な事項は、国土交通省令で定める。 (支援等業務規程) 第八十四条 センターは、支援等の業務に関する規程(以下この節において「支援等業務規程」という。)を定め、支援等の業務の開始前に、国土交通大臣の認可を受けなければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。 2 支援等業務規程には、支援等の業務の実施の方法その他の国土交通省令で定める事項を定めておかなければならない。 3 国土交通大臣は、第一項の認可をした支援等業務規程が、この節の規定に従って支援等の業務を公正かつ適確に実施する上で不適当となったと認めるときは、その支援等業務規程を変更すべきことを命ずることができる。 (役員の選任及び解任) 第八十五条 センターの支援等の業務に従事する役員の選任及び解任は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。 2 国土交通大臣は、センターの支援等の業務に従事する役員が、前条第一項の認可を受けた支援等業務規程に違反したとき、支援等の業務に関し著しく不適当な行為をしたとき、又はその在任によりセンターが第八十二条第一項第三号に掲げる基準に適合しなくなったときは、センターに対し、その役員を解任すべきことを命ずることができる。 (事業計画等) 第八十六条 センターは、毎事業年度、支援等の業務に係る事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後遅滞なく)、国土交通大臣の認可を受けなければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。 2 センターは、毎事業年度、支援等の業務に係る事業報告書及び収支決算書を作成し、当該事業年度経過後三月以内に、国土交通大臣に提出しなければならない。 (負担金の徴収) 第八十七条 センターは、第八十三条第一項第一号から第六号までの業務(以下この節において「評価住宅関係業務」という。)の実施に必要な経費に充てるため、登録住宅性能評価機関から負担金を徴収することができる。 2 センターは、毎事業年度、前項の負担金の額及び徴収方法について、国土交通大臣の認可を受けなければならない。 3 センターは、前項の認可を受けたときは、登録住宅性能評価機関に対し、負担金の額、納付期限及び納付方法を通知しなければならない。 4 登録住宅性能評価機関は、前項の通知に従い、センターに対し、負担金を納付しなければならない。 (区分経理) 第八十八条 センターは、国土交通省令で定めるところにより、評価住宅関係業務に係る経理とその他の業務に係る経理とを区分して整理しなければならない。 (監督命令) 第八十九条 国土交通大臣は、支援等の業務の公正かつ適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、センターに対し、支援等の業務に関し監督上必要な命令をすることができる。 (支援等の業務の休廃止等) 第九十条 センターは、国土交通大臣の許可を受けなければ、支援等の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。 2 国土交通大臣が前項の規定により支援等の業務の全部の廃止を許可したときは、当該許可に係る指定は、その効力を失う。 3 国土交通大臣は、第一項の許可をしたときは、その旨を公示しなければならない。 (指定の取消し等) 第九十一条 国土交通大臣は、センターが次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて支援等の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。 一 第八十二条第三項において準用する第十条第二項若しくは第十九条、第八十六条、第八十八条又は前条第一項の規定に違反したとき。 二 第八十四条第一項の認可を受けた支援等業務規程によらないで支援等の業務を行ったとき。 三 第七十五条、第八十四条第三項、第八十五条第二項又は第八十九条の規定による命令に違反したとき。 四 第八十七条第二項の認可を受けず、又は認可を受けた事項に違反して負担金を徴収したとき。 五 第八十二条第一項各号に掲げる基準に適合していないと認めるとき。 六 センター又はその役員が、支援等の業務に関し著しく不適当な行為をしたとき。 七 不正な手段により指定を受けたとき。 2 国土交通大臣は、前項の規定により指定を取り消し、又は支援等の業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。 (指定を取り消した場合における経過措置) 第九十二条 前条第一項の規定により指定を取り消した場合において、国土交通大臣がその取消し後に新たにセンターを指定したときは、取消しに係るセンターの評価住宅関係業務に係る財産は、新たに指定を受けたセンターに帰属する。 2 前項に定めるもののほか、前条第一項の規定により指定を取り消した場合における評価住宅関係業務に係る財産の管理その他所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、合理的に必要と判断される範囲内において、政令で定める。 (センターへの情報提供等) 第九十三条 国土交通大臣は、センターに対し、支援等の業務の実施に関し必要な情報及び資料の提供又は指導及び助言を行うものとする。 第七章 瑕疵 かし 担保責任 (住宅の新築工事の請負人の 瑕疵 かし 担保責任) 第九十四条 住宅を新築する建設工事の請負契約(以下「住宅新築請負契約」という。)においては、請負人は、注文者に引き渡した時から十年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)の 瑕疵 かし (構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)について、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百十五条、第五百四十一条及び第五百四十二条並びに同法第五百五十九条において準用する同法第五百六十二条及び第五百六十三条に規定する担保の責任を負う。 2 前項の規定に反する特約で注文者に不利なものは、無効とする。 3 第一項の場合における民法第六百三十七条の規定の適用については、同条第一項中「前条本文に規定する」とあるのは「請負人が住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成十一年法律第八十一号)第九十四条第一項に規定する瑕疵がある目的物を注文者に引き渡した」と、同項及び同条第二項中「不適合」とあるのは「瑕疵」とする。 (新築住宅の売主の 瑕疵 かし 担保責任) 第九十五条 新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の 瑕疵 かし について、民法第四百十五条、第五百四十一条、第五百四十二条、第五百六十二条及び第五百六十三条に規定する担保の責任を負う。 2 前項の規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする。 3 第一項の場合における民法第五百六十六条の規定の適用については、同条中「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない」とあるのは「住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成十一年法律第八十一号)第九十五条第一項に規定する瑕疵がある」と、「不適合」とあるのは「瑕疵」とする。 (一時使用目的の住宅の適用除外) 第九十六条 前二条の規定は、一時使用のため建設されたことが明らかな住宅については、適用しない。 ( 瑕疵 かし 担保責任の期間の伸長等) 第九十七条 住宅新築請負契約又は新築住宅の売買契約においては、請負人が第九十四条第一項に規定する 瑕疵 かし その他の住宅の 瑕疵 かし について同項に規定する担保の責任を負うべき期間又は売主が第九十五条第一項に規定する 瑕疵 かし その他の住宅の 瑕疵 かし について同項に規定する担保の責任を負うべき期間は、注文者又は買主に引き渡した時から二十年以内とすることができる。 第八章 雑則 (国及び地方公共団体の措置) 第九十八条 国及び地方公共団体は、住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るため、必要な情報及び資料の提供その他の措置を講ずるよう努めなければならない。 (内閣総理大臣への資料提供等) 第九十八条の二 内閣総理大臣は、住宅の性能に関する表示に関し、個人である住宅購入者等の利益の保護を図るため必要があると認めるときは、国土交通大臣に対し、資料の提供、説明その他必要な協力を求めることができる。 (権限の委任) 第九十九条 この法律に規定する国土交通大臣の権限は、国土交通省令で定めるところにより、その一部を地方整備局長又は北海道開発局長に委任することができる。 2 この法律に規定する内閣総理大臣の権限(政令で定めるものを除く。)は、消費者庁長官に委任する。 (経過措置) 第百条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。 第九章 罰則 第百一条 次の各号のいずれかに該当する者がその職務に関して賄賂を収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の拘禁刑に処する。 よって不正の行為をし、又は相当の行為をしないときは、七年以下の拘禁刑に処する。 一 登録住宅性能評価機関(その者が法人である場合にあっては、その役員)又はその職員(評価員を含む。)で第五条第一項に規定する業務(第六条の二第三項又は第四項に規定する業務を含む。)に従事する者 二 登録住宅型式性能認定等機関(その者が法人である場合にあっては、その役員)又はその職員(認定員を含む。)で第四十四条第一項に規定する業務に従事する者 三 登録試験機関(その者が法人である場合にあっては、その役員)又はその職員(試験員を含む。)で第六十一条第一項に規定する業務に従事する者 2 前項各号に掲げる者であった者がその在職中に請託を受けて職務上不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったことにつき賄賂を収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の拘禁刑に処する。 3 第一項各号に掲げる者がその職務に関し請託を受けて第三者に賄賂を供与させ、又はその供与を約束したときは、三年以下の拘禁刑に処する。 4 犯人又は情を知った第三者の収受した賄賂は、没収する。 その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。 第百二条 前条第一項から第三項までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。 2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。 第百三条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。 一 第四条の規定に違反した者 二 第五条第三項の規定に違反した者 第百四条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。 一 第十四条、第四十八条(第六十一条第三項において準用する場合を含む。)又は第六十九条第一項(第八十二条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用した者 二 第二十四条第二項、第二十八条第二項、第五十五条第二項、第六十五条第二項又は第九十一条第一項の規定による業務の停止の命令に違反した者 第百五条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。 一 第三十八条第二項の規定に違反して、検査を行わず、検査記録を作成せず、虚偽の検査記録を作成し、又は検査記録を保存しなかった者 二 第三十九条第二項の規定に違反した者 第百六条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。 一 第十九条第一項(第二十五条第二項、第四十四条第三項、第六十一条第三項又は第八十二条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかった者 二 第十九条第二項(第四十四条第三項、第六十一条第三項又は第八十二条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者 三 第二十二条第一項(第二十五条第二項、第四十四条第三項、第六十一条第三項又は第八十二条第三項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)又は第四十二条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者 四 第二十二条第一項又は第四十二条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者 五 第二十二条第一項又は第四十二条第一項の規定による質問に対して答弁せず、又は虚偽の答弁をした者 六 第二十三条第一項(第二十五条第二項、第四十四条第三項又は第六十一条第三項において準用する場合を含む。)の規定による届出をしないで業務の全部を廃止し、又は虚偽の届出をした者 七 第五十三条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者 八 第九十条第一項の規定による許可を受けないで業務の全部を廃止した者 第百七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して第百三条から前条までの違反行為をした場合においては、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。 第百八条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の過料に処する。 一 第十二条第二項(第二十五条第二項、第四十四条第三項又は第六十一条第三項において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者 二 第十八条第一項(第二十五条第二項、第四十四条第三項又は第六十一条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに第十八条第二項各号(第二十五条第二項、第四十四条第三項又は第六十一条第三項において準用する場合を含む。)の請求を拒んだ者
建築・住宅
Heisei
Act
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平成十一年法律第百五十三号
47
良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法 (目的) 第一条 この法律は、良質な賃貸住宅等(賃貸住宅その他賃貸の用に供する建物をいう。以下同じ。)の供給を促進するため、国及び地方公共団体が必要な措置を講ずるよう努めることとするとともに、定期建物賃貸借制度を設け、もって国民生活の安定と福祉の増進に寄与することを目的とする。 (良質な賃貸住宅等の供給の促進) 第二条 国及び地方公共団体は、適切な規模、性能、居住環境等を有する良質な賃貸住宅等の供給の促進のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 2 国及び地方公共団体は、賃貸住宅について安全性、耐久性、快適性等の確保に資するため、住宅の性能を表示する制度の普及に努めるものとする。 (住宅困窮者のための良質な公共賃貸住宅の供給の促進) 第三条 国及び地方公共団体は、住宅に困窮する者に対する適切な規模、性能、居住環境等を有する良質な公共賃貸住宅(地方公共団体、独立行政法人都市再生機構又は地方住宅供給公社が整備する賃貸住宅をいう。以下この条において同じ。)の供給を促進するため、公共賃貸住宅の整備及び改良等に関し必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 2 住生活基本法(平成十八年法律第六十一号)第十五条第一項に規定する全国計画は、前項の趣旨を参酌して策定されなければならない。 3 公共賃貸住宅の管理者は、公共賃貸住宅の入居者の選考に当たり、住宅に困窮する者の居住の安定が図られるよう努めるものとする。 (賃貸住宅等に関する情報の提供、相談等の体制の整備) 第四条 国及び地方公共団体は、良質な賃貸住宅等に対する国民の需要に的確に対応できるよう、賃貸住宅等に関する情報の提供、相談その他の援助を行うために必要な体制の整備に努めるものとする。
建築・住宅
Heisei
MinisterialOrdinance
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平成十一年建設省令第十三号
47
建築基準法に基づく指定建築基準適合判定資格者検定機関等に関する省令 第一章 総則 (用語) 第一条 この規則において使用する用語は、建築基準法(以下「法」という。)において使用する用語の例による。 第二章 指定建築基準適合判定資格者検定機関 (指定建築基準適合判定資格者検定機関に係る指定の申請) 第二条 法第五条の二第一項に規定する指定を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。 一 名称及び住所 二 建築基準適合判定資格者検定事務を行おうとする事務所の名称及び所在地 三 建築基準適合判定資格者検定事務を開始しようとする年月日 2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添えなければならない。 一 定款及び登記事項証明書 二 申請の日の属する事業年度の前事業年度における財産目録及び貸借対照表。 ただし、申請の日の属する事業年度に設立された法人にあっては、その設立時における財産目録とする。 三 申請の日の属する事業年度及び翌事業年度における事業計画書及び収支予算書 四 申請に係る意思の決定を証する書類 五 役員の氏名及び略歴を記載した書類 六 組織及び運営に関する事項を記載した書類 七 建築基準適合判定資格者検定事務を行おうとする事務所ごとの検定用設備の概要及び整備計画を記載した書類 八 現に行っている業務の概要を記載した書類 九 建築基準適合判定資格者検定事務の実施の方法に関する計画を記載した書類 十 法第七十七条の七第一項に規定する建築基準適合判定資格者検定委員の選任に関する事項を記載した書類 十一 法第七十七条の三第四号イ又はロの規定に関する役員の誓約書 十二 その他参考となる事項を記載した書類 (指定建築基準適合判定資格者検定機関に係る名称等の変更の届出) 第三条 指定建築基準適合判定資格者検定機関は、法第七十七条の五第二項の規定による届出をしようとするときは、次に掲げる事項を記載した届出書を国土交通大臣に提出しなければならない。 一 変更後の指定建築基準適合判定資格者検定機関の名称若しくは住所又は建築基準適合判定資格者検定事務を行う事務所の所在地 二 変更しようとする年月日 三 変更の理由 (役員の選任及び解任の認可の申請) 第四条 指定建築基準適合判定資格者検定機関は、法第七十七条の六第一項の規定により認可を受けようとするときは、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。 一 役員として選任しようとする者又は解任しようとする役員の氏名 二 選任又は解任の理由 三 選任の場合にあっては、その者の略歴 2 前項の場合において、選任の認可を受けようとするときは、同項の申請書に、当該選任に係る者の就任承諾書及び法第七十七条の三第四号イ又はロの規定に関する誓約書を添えなければならない。 (建築基準適合判定資格者検定委員の選任及び解任) 第五条 指定建築基準適合判定資格者検定機関は、法第七十七条の七第三項の規定による届出をしようとするときは、遅滞なく次に掲げる事項を記載した届出書を国土交通大臣に提出しなければならない。 一 建築基準適合判定資格者検定委員の氏名 二 選任又は解任の理由 三 選任の場合にあっては、その者の略歴 (建築基準適合判定資格者検定事務規程の記載事項) 第六条 法第七十七条の九第二項に規定する建築基準適合判定資格者検定事務規程で定めるべき事項は、次のとおりとする。 一 建築基準適合判定資格者検定事務を行う時間及び休日に関する事項 二 建築基準適合判定資格者検定事務を行う事務所及び検定地に関する事項 三 建築基準適合判定資格者検定事務の実施の方法に関する事項 四 受検手数料の収納の方法に関する事項 五 建築基準適合判定資格者検定委員の選任及び解任に関する事項 六 建築基準適合判定資格者検定事務に関する秘密の保持に関する事項 七 建築基準適合判定資格者検定事務に関する帳簿及び書類の管理に関する事項 八 その他建築基準適合判定資格者検定事務の実施に関し必要な事項 (建築基準適合判定資格者検定事務規程の認可の申請) 第七条 指定建築基準適合判定資格者検定機関は、法第七十七条の九第一項前段の規定により認可を受けようとするときは、申請書に、当該認可に係る建築基準適合判定資格者検定事務規程を添え、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 2 指定建築基準適合判定資格者検定機関は、法第七十七条の九第一項後段の規定により認可を受けようとするときは、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。 一 変更しようとする事項 二 変更しようとする年月日 三 変更の理由 (事業計画等の認可の申請) 第八条 指定建築基準適合判定資格者検定機関は、法第七十七条の十第一項前段の規定により認可を受けようとするときは、申請書に、当該認可に係る事業計画書及び収支予算書を添え、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 2 指定建築基準適合判定資格者検定機関は、法第七十七条の十第一項後段の規定により認可を受けようとするときは、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。 一 変更しようとする事項 二 変更しようとする年月日 三 変更の理由 (帳簿) 第九条 法第七十七条の十一に規定する国土交通省令で定める建築基準適合判定資格者検定事務に関する事項は、次のとおりとする。 一 一級建築基準適合判定資格者検定又は二級建築基準適合判定資格者検定の別 二 検定年月日 三 検定地 四 受検者の受検番号、氏名、生年月日及び合否の別 五 合格年月日 2 前項各号に掲げる事項が、電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)に備えられたファイル又は電磁的記録媒体(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものに係る記録媒体をいう。以下同じ。)に記録され、必要に応じ指定建築基準適合判定資格者検定機関において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもって法第七十七条の十一に規定する帳簿への記載に代えることができる。 3 法第七十七条の十一に規定する帳簿(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)は、第十二条の規定による引継ぎを完了するまで保存しなければならない。 (建築基準適合判定資格者検定事務の実施結果の報告) 第十条 指定建築基準適合判定資格者検定機関は、建築基準適合判定資格者検定を実施したときは、遅滞なく次に掲げる事項を記載した報告書を国土交通大臣に提出しなければならない。 一 一級建築基準適合判定資格者検定又は二級建築基準適合判定資格者検定の別 二 検定年月日 三 検定地 四 受検者数 五 合格者数 六 合格年月日 2 前項の報告書には、合格者の受検番号、氏名及び生年月日を記載した合格者一覧表を添えなければならない。 (建築基準適合判定資格者検定事務の休廃止の許可) 第十一条 指定建築基準適合判定資格者検定機関は、法第七十七条の十四第一項の規定により許可を受けようとするときは、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。 一 休止し、又は廃止しようとする建築基準適合判定資格者検定事務の範囲 二 休止し、又は廃止しようとする年月日及び休止しようとする場合にあっては、その期間 三 休止又は廃止の理由 (建築基準適合判定資格者検定事務等の引継ぎ) 第十二条 指定建築基準適合判定資格者検定機関(国土交通大臣が法第七十七条の十五第一項又は第二項の規定により指定建築基準適合判定資格者検定機関の指定を取り消した場合にあっては、当該指定建築基準適合判定資格者検定機関であった者)は、法第七十七条の十六第三項に規定する場合には、次に掲げる事項を行わなければならない。 一 建築基準適合判定資格者検定事務を国土交通大臣に引き継ぐこと。 二 建築基準適合判定資格者検定事務に関する帳簿及び書類を国土交通大臣に引き継ぐこと。 三 その他国土交通大臣が必要と認める事項 (公示) 第十三条 法第七十七条の五第一項及び第三項、法第七十七条の十四第三項、法第七十七条の十五第三項並びに法第七十七条の十六第二項の規定による公示は、官報で告示することによって行う。 第二章の二 指定構造計算適合判定資格者検定機関 (指定構造計算適合判定資格者検定機関に係る指定の申請) 第十三条の二 法第五条の五第一項に規定する指定を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。 一 名称及び住所 二 構造計算適合判定資格者検定事務を行おうとする事務所の名称及び所在地 三 構造計算適合判定資格者検定事務を開始しようとする年月日 (準用) 第十三条の三 第二条第二項の規定は法第五条の五第一項に規定する指定の申請に、第三条から第十三条までの規定は指定構造計算適合判定資格者検定機関について準用する。 第三章 指定確認検査機関 (指定確認検査機関に係る指定の申請) 第十四条 法第七十七条の十八第一項の規定による指定を受けようとする者は、二以上の都道府県の区域において確認検査の業務を行おうとする場合にあっては国土交通大臣に、一の都道府県の区域において確認検査の業務を行おうとする場合にあっては当該都道府県知事に、別記第一号様式の指定確認検査機関指定申請書に次に掲げる書類を添えて、これを提出しなければならない。 一 定款及び登記事項証明書 二 申請の日の属する事業年度の前事業年度における財産目録及び貸借対照表。 ただし、申請の日の属する事業年度に設立された法人にあっては、その設立時における財産目録とする。 三 申請の日の属する事業年度及び翌事業年度における事業計画書及び収支予算書で確認検査の業務に係る事項と他の業務に係る事項とを区分したもの 四 申請に係る意思の決定を証する書類 五 申請者が法人である場合においては、役員又は第十八条に規定する構成員の氏名及び略歴(構成員が法人である場合は、その法人の名称)を記載した書類 六 組織及び運営に関する事項を記載した書類 七 事務所の所在地を記載した書類 八 申請者(法人である場合においてはその役員)が法第七十七条の十九第一号及び第二号に該当しない旨の市町村(特別区を含む。以下同じ。)の長の証明書 八の二 申請者(法人である場合においてはその役員)が法第七十七条の十九第九号に該当しない者であることを誓約する書類 九 申請者が法人である場合においては、発行済株式総数の百分の五以上の株式を有する株主又は出資の総額の百分の五以上に相当する出資をしている者の氏名又は名称、住所及びその有する株式の数又はその者のなした出資の価額を記載した書類 十 別記第二号様式による確認検査の業務の予定件数を記載した書類 十の二 別記第二号の二様式による過去二十事業年度以内において確認検査を行った件数を記載した書類 十一 確認検査員又は副確認検査員の氏名及び略歴を記載した書類並びに当該確認検査員又は副確認検査員が建築基準適合判定資格者であることを証する書類 十二 現に行っている業務の概要を記載した書類 十三 確認検査の業務の実施に関する計画を記載した書類 十四 申請者の親会社等について、前各号(第三号、第四号、第十号から第十一号まで及び前号を除く。)に掲げる書類(この場合において、第五号及び第八号から第九号までの規定中「申請者」とあるのは「申請者の親会社等」と読み替えるものとする。) 十五 申請者が確認検査の業務を実施するに当たり第三者に損害を加えた場合において、その損害の賠償に関し当該申請者が負うべき第十七条第一項に規定する民事上の責任の履行を確保するために必要な金額を担保するための保険契約の締結その他の措置を講じている場合にあっては、当該措置の内容を証する書類 十六 その他参考となる事項を記載した書類 (指定確認検査機関に係る指定区分) 第十五条 法第七十七条の十八第二項の国土交通省令で定める確認検査の業務の区分は、次に掲げるものとする。 一 床面積の合計が五百平方メートル以内の建築物(当該建築物の計画に含まれる建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号。以下「令」という。)第百四十六条第一項各号に掲げる建築設備を含む。以下この条において同じ。)の建築確認を行う者としての指定 二 床面積の合計が五百平方メートル以内の建築物の完了検査及び中間検査を行う者としての指定 二の二 床面積の合計が五百平方メートル以内の建築物の仮使用認定(法第七条の六第一項第二号(法第八十七条の四又は法第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)の規定による仮使用の認定をいう。以下同じ。)を行う者としての指定 三 床面積の合計が五百平方メートルを超え、二千平方メートル以内の建築物の建築確認を行う者としての指定 四 床面積の合計が五百平方メートルを超え、二千平方メートル以内の建築物の完了検査及び中間検査を行う者としての指定 四の二 床面積の合計が五百平方メートルを超え、二千平方メートル以内の建築物の仮使用認定を行う者としての指定 五 床面積の合計が二千平方メートルを超え、一万平方メートル以内の建築物の建築確認を行う者としての指定 六 床面積の合計が二千平方メートルを超え、一万平方メートル以内の建築物の完了検査及び中間検査を行う者としての指定 六の二 床面積の合計が二千平方メートルを超え、一万平方メートル以内の建築物の仮使用認定を行う者としての指定 七 床面積の合計が一万平方メートルを超える建築物の建築確認を行う者としての指定 八 床面積の合計が一万平方メートルを超える建築物の完了検査及び中間検査を行う者としての指定 八の二 床面積の合計が一万平方メートルを超える建築物の仮使用認定を行う者としての指定 九 小荷物専用昇降機以外の建築設備(建築物の計画に含まれるものを除く。次号において同じ。)の建築確認を行う者としての指定 十 小荷物専用昇降機以外の建築設備の完了検査及び中間検査を行う者としての指定 十一 小荷物専用昇降機(建築物の計画に含まれるものを除く。次号において同じ。)の建築確認を行う者としての指定 十二 小荷物専用昇降機の完了検査及び中間検査を行う者としての指定 十三 工作物の建築確認を行う者としての指定 十四 工作物の完了検査及び中間検査を行う者としての指定 十四の二 工作物の仮使用認定を行う者としての指定 (心身の故障により確認検査の業務を適正に行うことができない者) 第十五条の二 法第七十七条の十九第九号の国土交通省令で定める者は、精神の機能の障害により確認検査の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。 (確認検査員又は副確認検査員の数) 第十六条 法第七十七条の二十第一号の国土交通省令で定める数は、その事業年度において確認検査を行おうとする件数を、次の表の(い)欄に掲げる建築物、建築設備及び工作物の別並びに(ろ)欄に掲げる建築確認、完了検査、中間検査及び仮使用認定の別に応じて区分し、当該区分した件数をそれぞれ同表の(は)欄に掲げる値で除して得た数を合計したもの(一未満の端数は切り上げる。)とする。 ただし、当該合計した数が二未満であるときは、二とする。 (い) (ろ) (は) 第十五条第一号から第二号の二までの建築物(法第六条第一項第四号に掲げる建築物及び法第六十八条の十第一項の認定(令第百三十六条の二の十一第一号に係る認定に限る。以下この条において同じ。)を受けた型式に適合する建築物の部分を有する建築物に限る。) 建築確認 二千六百 完了検査 八百六十 中間検査 八百六十 仮使用認定 八百六十 第十五条第一号から第二号の二までの建築物(法第六条第一項第四号に掲げる建築物及び法第六十八条の十第一項の認定を受けた型式に適合する建築物の部分を有する建築物を除く。) 建築確認 五百九十 完了検査 七百二十 中間検査 七百八十 仮使用認定 七百二十 第十五条第三号から第四号の二までの建築物 建築確認 三百六十 完了検査 五百十 中間検査 六百八十 仮使用認定 五百十 第十五条第五号から第六号の二までの建築物 建築確認 二百三十 完了検査 三百二十 中間検査 四百五十 仮使用認定 三百二十 第十五条第七号から第八号の二までの建築物 建築確認 二百 完了検査 二百三十 中間検査 三百四十 仮使用認定 二百三十 第十五条第九号及び第十号の建築設備 建築確認 千三百 完了検査 七百八十 中間検査 二千二百 第十五条第十一号及び第十二号の小荷物専用昇降機 建築確認 二千六百 完了検査 千 中間検査 三千五百 第十五条第十三号から第十四号の二までの工作物 建築確認 千九百 完了検査 千 中間検査 三千三百 仮使用認定 千 (指定確認検査機関の有する財産の評価額) 第十七条 法第七十七条の二十第三号の国土交通省令で定める額は、その者が確認検査の業務を実施するに当たり第三者に損害を加えた場合において、その損害の賠償に関し当該その者が負うべき国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)による責任その他の民事上の責任(同法の規定により当該確認検査に係る建築物又は工作物について法第六条第一項(法第八十七条第一項、法第八十七条の四又は法第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)の規定による確認をする権限を有する建築主事又は建築副主事が置かれた市町村又は都道府県(第三十一条において「所轄特定行政庁」という。)が当該損害の賠償の責めに任ずる場合における求償に応ずる責任を含む。)の履行を確保するために必要な額として次に掲げるもののうちいずれか高い額とする。 一 三千万円。 ただし、次のイ又はロのいずれかに該当する場合にあっては、それぞれ当該イ又はロに定める額とする。 イ 第十五条第五号から第六号の二までのいずれかの指定を受けようとする場合(ロに該当する場合を除く。) 一億円 ロ 第十五条第七号から第八号の二までのいずれかの指定を受けようとする場合 三億円 二 その事業年度において確認検査を行おうとする件数と当該事業年度の前事業年度から起算して過去二十事業年度以内において行った確認検査の件数の合計数を、次の表の(い)欄に掲げる建築物、建築設備及び工作物の別に応じて区分し、当該区分した件数にそれぞれ同表の(ろ)欄に掲げる額を乗じて得た額を合計した額 (い) (ろ) 第十五条第一号から第二号の二までの建築物、同条第九号から第十二号までの建築設備及び同条第十三号から第十四号の二までの工作物 二百円 第十五条第三号から第四号の二までの建築物 六百円 第十五条第五号から第六号の二までの建築物 二千円 第十五条第七号から第八号の二までの建築物 九千円 2 法第七十七条の二十第三号の財産の評価額(第四項において「財産の評価額」という。)は、次に掲げる額の合計額とする。 一 その事業年度の前事業年度における貸借対照表に計上された資産(創業費その他の繰延資産及びのれんを除く。以下同じ。)の総額から当該貸借対照表に計上された負債の総額を控除した額 二 その者が確認検査の業務を実施するに当たり第三者に損害を加えた場合において、その損害の賠償に関し当該その者が負うべき前項に規定する民事上の責任の履行に必要な金額を担保するための保険契約を締結している場合にあっては、その契約の内容を証する書類に記載された保険金額 3 前項第一号の資産又は負債の価額は、資産又は負債の評価額が貸借対照表に計上された価額と異なることが明確であるときは、その評価額によって計算するものとする。 4 第二項の規定にかかわらず、前二項の規定により算定される額に増減があったことが明確であるときは、当該増減後の額を財産の評価額とするものとする。 (指定確認検査機関に係る構成員の構成) 第十八条 法第七十七条の二十第五号の国土交通省令で定める構成員は、次の各号に掲げる法人の種類ごとに、それぞれ当該各号に掲げるものとする。 一 一般社団法人又は一般財団法人 社員又は評議員 二 会社法(平成十七年法律第八十六号)第五百七十五条第一項の持分会社 社員 三 会社法第二条第一号の株式会社 株主 四 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第三条の事業協同組合、事業協同小組合及び企業組合 組合員 五 中小企業等協同組合法第三条の協同組合連合会 直接又は間接にこれらを構成する者 六 その他の法人 当該法人に応じて前各号に掲げる者に類するもの (指定確認検査機関に係る名称等の変更の届出) 第十九条 指定確認検査機関は、法第七十七条の二十一第二項の規定によりその名称若しくは住所又は確認検査の業務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、別記第三号様式の指定確認検査機関変更届出書を、その指定をした国土交通大臣又は都道府県知事(以下この章において「国土交通大臣等」という。)に提出しなければならない。 (指定確認検査機関の業務区域の変更に係る認可の申請) 第二十条 指定確認検査機関は、法第七十七条の二十二第一項の規定により業務区域の増加に係る認可の申請をしようとするときは、別記第四号様式の指定確認検査機関業務区域増加認可申請書に第十四条第一号から第五号まで、第七号、第十号、第十号の二、第十三号、第十五号及び第十六号に掲げる書類を添えて、これを国土交通大臣等に提出しなければならない。 (指定確認検査機関の業務区域の変更の届出) 第二十一条 指定確認検査機関は、法第七十七条の二十二第二項の規定により業務区域の減少の届出をしようとするときは、別記第五号様式の指定確認検査機関業務区域減少届出書を国土交通大臣等に提出しなければならない。 (指定換えの手続) 第二十二条 国土交通大臣若しくは地方整備局長又は都道府県知事は、指定確認検査機関が次の各号のいずれかに該当して引き続き確認検査の業務を行おうとする場合において、法第七十七条の十八第一項に規定する指定をしたときは、遅滞なく、その旨を、従前の指定をした都道府県知事又は国土交通大臣若しくは地方整備局長に通知するものとする。 一 国土交通大臣又は地方整備局長の指定を受けた者が一の都道府県の区域内において確認検査の業務を行おうとするとき。 二 都道府県知事の指定を受けた者が二以上の都道府県の区域内において確認検査の業務を行おうとするとき。 2 国土交通大臣又は地方整備局長は、指定確認検査機関が次の各号のいずれかに該当して引き続き確認検査の業務を行おうとする場合において、法第七十七条の十八第一項に規定する指定をしたときは、遅滞なく、その旨を、従前の指定をした地方整備局長又は国土交通大臣に通知するものとする。 一 国土交通大臣の指定を受けた者が一の地方整備局の管轄区域内であって二以上の都府県の区域内において確認検査の業務を行おうとするとき。 二 地方整備局長の指定を受けた者が二以上の地方整備局又は北海道開発局の管轄区域内において確認検査の業務を行おうとするとき。 3 従前の指定をした都道府県知事又は国土交通大臣若しくは地方整備局長は、前二項の通知を受けた場合においては、その従前の指定を取り消し、その旨を公示しなければならない。 (指定確認検査機関に係る指定の更新) 第二十三条 第十四条から第十八条までの規定は、法第七十七条の二十三第一項の規定により指定確認検査機関が指定の更新を受けようとする場合について準用する。 この場合において、第十六条及び第十七条第一項第二号中「その事業年度において確認検査を行おうとする件数」とあるのは、「指定の申請の日の属する事業年度の前事業年度において行った確認検査の件数」と読み替えるものとする。 (確認検査員又は副確認検査員の選任及び解任の届出) 第二十四条 指定確認検査機関は、法第七十七条の二十四第四項の規定によりその確認検査員又は副確認検査員の選任又は解任を届け出ようとするときは、別記第六号様式の指定確認検査機関確認検査員選任等届出書を国土交通大臣等に提出しなければならない。 (確認検査業務規程の認可の申請) 第二十五条 指定確認検査機関は、法第七十七条の二十七第一項前段の規定により確認検査業務規程の認可を受けようとするときは、別記第七号様式の指定確認検査機関確認検査業務規程認可申請書に当該認可に係る確認検査業務規程を添えて、これを国土交通大臣等に提出しなければならない。 2 指定確認検査機関は、法第七十七条の二十七第一項後段の規定により確認検査業務規程の変更の認可を受けようとするときは、別記第八号様式の指定確認検査機関確認検査業務規程変更認可申請書に当該変更の明細を記載した書面を添えて、これを国土交通大臣等に提出しなければならない。 (確認検査業務規程の記載事項) 第二十六条 法第七十七条の二十七第二項の国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 確認検査の業務を行う時間及び休日に関する事項 二 事務所の所在地及びその事務所が確認検査の業務を行う区域に関する事項 三 確認検査の業務の範囲に関する事項 四 確認検査の業務の実施方法に関する事項 五 確認検査に係る手数料の収納の方法に関する事項 六 確認検査員又は副確認検査員の選任及び解任に関する事項 七 確認検査の業務に関する秘密の保持に関する事項 八 確認検査員又は副確認検査員の配置に関する事項 九 確認検査を行う際に携帯する身分証及びその携帯に関する事項 十 確認検査の業務の実施体制に関する事項 十一 確認検査の業務の公正かつ適確な実施を確保するための措置に関する事項 十二 法第七十七条の二十九の二各号に掲げる書類の備置き及び閲覧に関する事項 十三 その他確認検査の業務の実施に関し必要な事項 (掲示等の記載事項等) 第二十七条 法第七十七条の二十八の規定による国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 指定の番号 二 指定の有効期間 三 機関の名称 四 代表者氏名 五 主たる事務所の住所及び電話番号 六 取り扱う建築物等 七 実施する業務の態様 2 法第七十七条の二十八の規定により指定確認検査機関が行う掲示及び公衆の閲覧は別記第九号様式によるものとする。 3 法第七十七条の二十八の規定による公衆の閲覧は、指定確認検査機関のウェブサイトへの掲載により行うものとする。 (帳簿) 第二十八条 法第七十七条の二十九第一項の確認検査の業務に関する事項で国土交通省令で定めるものは、次のとおりとする。 一 次のイからニまでに掲げる区分に応じ、それぞれイからニまでに定める事項 イ 建築物 建築基準法施行規則(昭和二十五年建設省令第四十号。以下「施行規則」という。)別記第三号様式の建築計画概要書(第三面を除く。)に記載すべき事項 ロ 建築設備 施行規則別記第八号様式による申請書の第二面に記載すべき事項 ハ 法第八十八条第一項に規定する工作物 施行規則別記第十号様式(令第百三十八条第二項第一号に掲げる工作物にあっては、施行規則別記第八号様式(昇降機用))による申請書の第二面に記載すべき事項 ニ 法第八十八条第二項に規定する工作物 施行規則別記第十一号様式による申請書の第二面に記載すべき事項 二 法第六条の二第一項(法第八十七条第一項、法第八十七条の四又は法第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)の規定による確認の引受けを行った年月日、法第七条の二第三項(法第八十七条の四又は法第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。次号において同じ。)及び法第七条の四第二項(法第八十七条の四又は法第八十八条第一項において準用する場合を含む。次号において同じ。)に規定する書面を交付した年月日並びに仮使用認定の引受けを行った年月日 三 法第七条の二第三項及び法第七条の四第二項の通知を行った年月日 四 法第七条の二第一項(法第八十七条の四又は法第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)及び法第七条の四第一項(法第八十七条の四又は法第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の検査を行った年月日 五 当該建築物等に係る確認検査を実施した確認検査員又は副確認検査員の氏名 六 当該指定確認検査機関(次号において「機関」という。)が行った確認検査の結果 七 機関が交付した確認済証、検査済証、中間検査合格証及び施行規則別記第三十五号の三様式の仮使用認定通知書の番号並びにこれらを交付した年月日 八 当該建築物等に係る確認検査の業務に関する手数料の額 九 法第六条の二第五項(法第八十七条第一項、法第八十七条の四又は法第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。次条第三項において同じ。)、法第七条の二第六項(法第八十七条の四又は法第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)、法第七条の四第六項(法第八十七条の四又は法第八十八条第一項において準用する場合を含む。)及び法第七条の六第三項(法第八十七条の四又は法第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)の規定による報告を行った年月日 2 前項各号に掲げる事項が、電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体に記録され、必要に応じ指定確認検査機関において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもって法第七十七条の二十九第一項に規定する帳簿への記載に代えることができる。 3 法第七十七条の二十九第一項に規定する帳簿(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)は、第三十一条の規定による引継ぎを完了するまで保存しなければならない。 (図書の保存) 第二十九条 法第七十七条の二十九第二項の確認検査の業務に関する書類で国土交通省令で定めるものは、施行規則第三条の三において準用する施行規則第一条の三、施行規則第二条の二及び施行規則第三条、施行規則第四条の四の二において準用する施行規則第四条、施行規則第四条の十一の二において準用する施行規則第四条の八並びに施行規則第四条の十六第二項に規定する図書及び書類、施行規則第三条の五第三項第二号、施行規則第四条の七第三項第二号、施行規則第四条の十四第三項第二号及び施行規則第四条の十六の二第三項第二号に掲げる書類、法第六条の三第七項に規定する適合判定通知書又はその写し並びに建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成二十七年法律第五十三号)第十二条第六項に規定する適合判定通知書又はその写し(建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行規則(平成二十八年国土交通省令第五号)第六条第一号に掲げる場合にあっては同号に規定する認定書の写し、同条第二号に掲げる場合にあっては同号に規定する通知書又はその写し、同条第三号に掲げる場合にあっては同号に規定する通知書又はその写し。)とする。 2 前項の図書及び書類が、電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体に記録され、必要に応じ指定確認検査機関において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該ファイル又は電磁的記録媒体をもって同項の図書及び書類に代えることができる。 3 法第七十七条の二十九第二項に規定する書類(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)は、当該建築物又は工作物に係る法第六条第一項又は法第六条の二第一項の規定による確認済証(計画の変更に係るものを除く。)の交付の日から十五年間保存しなければならない。 (書類の閲覧等) 第二十九条の二 法第七十七条の二十九の二第四号の国土交通省令で定める書類は、次の各号に掲げるものとする。 一 定款及び登記事項証明書 二 財産目録、貸借対照表及び正味財産増減計算書又は損益計算書 三 法人である場合にあっては、役員及び構成員の氏名及び略歴を記載した書類 四 法人である場合にあっては、発行済株式総数の百分の五以上の株式を有する株主又は出資の総額の百分の五以上に相当する出資をしている者の氏名又は名称及びその有する株式の数又はその者のなした出資の価額を記載した書類 五 法人であって、その者の親会社等が指定構造計算適合性判定機関である場合にあっては、当該親会社等の名称及び住所を記載した書類 2 指定確認検査機関は、法第七十七条の二十九の二第一号及び前項第二号に定める書類を、事業年度ごとに当該事業年度経過後三月以内に作成し、遅滞なく確認検査の業務を行う事務所ごとに備え置くものとする。 3 指定確認検査機関は、法第七十七条の二十九の二第二号及び第三号並びに第一項第一号及び第三号から第五号までに定める書類に記載した事項に変更を生じたときは、遅滞なく、当該書類の記載を変更しなければならない。 4 法第七十七条の二十九の二各号の書類が、電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体に記録され、必要に応じ確認検査の業務を行う事務所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該ファイル又は電磁的記録媒体をもって同条各号の書類に代えることができる。 この場合における同条の規定による閲覧は、当該ファイル又は電磁的記録媒体に記録されている事項を紙面又は入出力装置の映像面に表示する方法で行うものとする。 5 指定確認検査機関は、第二項の書類(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)を、当該書類を備え置いた日から起算して五年を経過する日までの間当該確認検査の業務を行う事務所に備え置くものとする。 6 指定確認検査機関は、法第七十七条の二十九の二各号の書類(第四項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)を閲覧に供するため、閲覧に関する規則を定め、確認検査の業務を行う事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。 (監督命令に係る公示の方法) 第二十九条の三 法第七十七条の三十第二項の規定による公示は、次に掲げる事項について、国土交通大臣にあっては官報で、都道府県知事にあっては当該都道府県の公報又はウェブサイトへの掲載その他の適切な方法で行うものとする。 一 監督命令をした年月日 二 監督命令を受けた指定確認検査機関の名称及び事務所の所在地並びにその者が法人である場合にあっては代表者の氏名 三 監督命令の内容 四 監督命令の原因となった事実 (特定行政庁による報告) 第二十九条の四 法第七十七条の三十一第三項の規定による報告は、次に掲げる事項について、文書をもって行うものとする。 一 立入検査を行った指定確認検査機関の名称及び事務所の所在地 二 立入検査を行った年月日 三 法第七十七条の三十一第三項に規定する事実の概要及び当該事実を証する資料 四 その他特定行政庁が必要と認めること (指定確認検査機関に係る業務の休廃止の届出) 第三十条 指定確認検査機関は、法第七十七条の三十四第一項の規定により確認検査の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、別記第十号様式の指定確認検査機関業務休廃止届出書を国土交通大臣等に提出しなければならない。 2 指定確認検査機関は、前項の規定による提出をしたときは、当該指定確認検査機関業務休廃止届出書の写しを、その業務区域を所轄する特定行政庁(都道府県知事にあっては、その指定をした都道府県知事を除く。)に送付しなければならない。 (処分の公示) 第三十条の二 法第七十七条の三十五第三項の規定による公示は、次に掲げる事項について、国土交通大臣にあっては官報で、都道府県知事にあっては当該都道府県の公報又はウェブサイトへの掲載その他の適切な方法で行うものとする。 一 処分をした年月日 二 処分を受けた指定確認検査機関の名称及び事務所の所在地並びにその者が法人である場合にあっては代表者の氏名 三 処分の内容 四 処分の原因となった事実 (確認検査の業務の引継ぎ) 第三十一条 指定確認検査機関(国土交通大臣等が法第七十七条の三十五第一項又は第二項の規定により指定確認検査機関の指定を取り消した場合にあっては、当該指定確認検査機関であった者。次項において同じ。)は、法第七十七条の三十四第一項の規定により確認検査の業務の全部を廃止したとき又は法第七十七条の三十五第一項又は第二項の規定により指定を取り消されたときは、次に掲げる事項を行わなければならない。 一 確認検査の業務を、所轄特定行政庁に引き継ぐこと。 二 法第七十七条の二十九第一項の帳簿を国土交通大臣等に、同条第二項の書類を所轄特定行政庁に引き継ぐこと。 三 その他国土交通大臣等又は所轄特定行政庁が必要と認める事項 2 指定確認検査機関は、前項第二号の規定により書類を引き継ごうとするときは、あらかじめ、引継ぎの方法、時期その他の事項について、所轄特定行政庁に協議しなければならない。 (指定確認検査機関) 第三十一条の二 指定確認検査機関(国土交通大臣の指定に係るものに限る。)の名称及び住所、指定区分(当該指定確認検査機関が確認検査員を選任しないものである場合にあっては、指定区分及びその旨)、業務区域、確認検査の業務を行う事務所の所在地並びに確認検査の業務の開始の日は、国土交通大臣が官報で告示する。 第三章の二 指定構造計算適合性判定機関 (指定構造計算適合性判定機関に係る指定の申請) 第三十一条の三 法第七十七条の三十五の二第一項の規定による指定を受けようとする者は、二以上の都道府県の区域において構造計算適合性判定の業務を行おうとする場合にあっては国土交通大臣に、一の都道府県の区域において構造計算適合性判定の業務を行おうとする場合にあっては当該都道府県知事に、別記第十号の二様式の指定構造計算適合性判定機関指定申請書に次に掲げる書類を添えて、これを提出しなければならない。 一 定款及び登記事項証明書 二 申請の日の属する事業年度の前事業年度における財産目録及び貸借対照表。 ただし、申請の日の属する事業年度に設立された法人にあっては、その設立時における財産目録とする。 三 申請の日の属する事業年度及び翌事業年度における事業計画書及び収支予算書で構造計算適合性判定の業務に係る事項と他の業務に係る事項とを区分したもの 四 申請に係る意思の決定を証する書類 五 申請者が法人である場合においては、役員又は第十八条に規定する構成員の氏名及び略歴(構成員が法人である場合は、その法人の名称)を記載した書類 六 組織及び運営に関する事項を記載した書類 七 事務所の所在地を記載した書類 八 申請者(法人である場合においてはその役員)が法第七十七条の三十五の三第一号及び第二号に該当しない旨の市町村の長の証明書 九 申請者(法人である場合においてはその役員)が法第七十七条の三十五の三第九号に該当しない者であることを誓約する書類 十 申請者が法人である場合においては、発行済株式総数の百分の五以上の株式を有する株主又は出資の総額の百分の五以上に相当する出資をしている者の氏名又は名称、住所及びその有する株式の数又はその者のなした出資の価額を記載した書類 十の二 別記第十号の二の二様式による構造計算適合性判定の業務の予定件数を記載した書類 十の三 別記第十号の二の三様式による過去二十事業年度以内において構造計算適合性判定を行った件数を記載した書類 十一 構造計算適合性判定員の氏名及び略歴を記載した書類並びに当該構造計算適合性判定員が構造計算適合判定資格者であることを証する書類 十二 現に行っている業務の概要を記載した書類 十三 構造計算適合性判定の業務の実施に関する計画を記載した書類 十四 申請者の親会社等について、前各号(第三号、第四号、第十号の二から第十一号まで及び前号を除く。)に掲げる書類(この場合において、第五号及び第八号から第十号までの規定中「申請者」とあるのは「申請者の親会社等」と読み替えるものとする。) 十四の二 申請者が構造計算適合性判定の業務を実施するに当たり第三者に損害を加えた場合において、その損害の賠償に関し当該申請者が負うべき第三十一条の三の四第一項に規定する民事上の責任の履行を確保するために必要な金額を担保するための保険契約の締結その他の措置を講じている場合にあっては、当該措置の内容を証する書類 十五 その他参考となる事項を記載した書類 (心身の故障により構造計算適合性判定の業務を適正に行うことができない者) 第三十一条の三の二 法第七十七条の三十五の三第九号の国土交通省令で定める者は、精神の機能の障害により構造計算適合性判定の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。 (構造計算適合性判定員の数) 第三十一条の三の三 法第七十七条の三十五の四第一号の国土交通省令で定める数は、常勤換算方法で、構造計算適合性判定の件数(その事業年度において構造計算適合性判定を行おうとする件数を、次の表の(い)欄に掲げる構造計算適合性判定の別並びに(ろ)欄に掲げる建築物の別に応じて区分した件数をいう。)をそれぞれ同表の(は)欄に掲げる値で除して得た数を合計したもの(一未満の端数は切り上げる。)とする。 ただし、当該合計した数が二未満であるときは、二とする。 (い) (ろ) (は) 特定構造計算基準又は特定増改築構造計算基準(法第二十条第一項第二号イ又は第三号イに規定するプログラムによる構造計算によって確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。)に適合するかどうかの判定 床面積の合計が千平方メートル以内の建築物 四百八十 床面積の合計が千平方メートルを超え、二千平方メートル以内の建築物 三百二十 床面積の合計が二千平方メートルを超え、一万平方メートル以内の建築物 二百七十 床面積の合計が一万平方メートルを超え、五万平方メートル以内の建築物 百九十 床面積の合計が五万平方メートルを超える建築物 九十 特定構造計算基準又は特定増改築構造計算基準(法第二十条第一項第二号イに規定する方法による構造計算によって確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。)に適合するかどうかの判定 床面積の合計が千平方メートル以内の建築物 二百四十 床面積の合計が千平方メートルを超え、二千平方メートル以内の建築物 百六十 床面積の合計が二千平方メートルを超え、一万平方メートル以内の建築物 百三十 床面積の合計が一万平方メートルを超え、五万平方メートル以内の建築物 九十 床面積の合計が五万平方メートルを超える建築物 四十 2 前項の常勤換算方法とは、指定構造計算適合性判定機関の構造計算適合性判定員(職員である者に限る。以下この項において同じ。)のそれぞれの勤務延べ時間数の総数を常勤の構造計算適合性判定員が勤務する時間数で除することにより常勤の構造計算適合性判定員の数に換算する方法をいう。 (指定構造計算適合性判定機関の有する財産の評価額) 第三十一条の三の四 法第七十七条の三十五の四第三号の国土交通省令で定める額は、その者が構造計算適合性判定の業務を実施するに当たり第三者に損害を加えた場合において、その損害の賠償に関し当該その者が負うべき国家賠償法による責任その他の民事上の責任(同法の規定により当該構造計算適合性判定に係る建築物について法第六条の三第一項の規定による構造計算適合性判定を行う権限を有する都道府県知事が統括する都道府県が当該損害の賠償の責めに任ずる場合における求償に応ずる責任を含む。)の履行を確保するために必要な額として次に掲げるもののうちいずれか高い額とする。 一 千五百万円。 ただし、次のイ又はロのいずれかに該当する場合にあっては、それぞれ当該イ又はロに定める額とする。 イ 床面積の合計が二千平方メートルを超え、一万平方メートル以内の建築物に係る構造計算適合性判定を行おうとする場合(ロに該当する場合を除く。) 五千万円 ロ 床面積の合計が一万平方メートルを超える建築物に係る構造計算適合性判定を行おうとする場合 一億五千万円 二 その事業年度において構造計算適合性判定を行おうとする件数と当該事業年度の前事業年度から起算して過去二十事業年度以内において行った構造計算適合性判定の件数の合計数を、次の表の(い)欄に掲げる建築物の別に応じて区分し、当該区分した件数にそれぞれ同表の(ろ)欄に掲げる額を乗じて得た額を合計した額 (い) (ろ) 床面積の合計が五百平方メートル以内の建築物 百円 床面積の合計が五百平方メートルを超え、二千平方メートル以内の建築物 三百円 床面積の合計が二千平方メートルを超え、一万平方メートル以内の建築物 千円 床面積の合計が一万平方メートルを超える建築物 四千五百円 2 第十七条第二項から第四項までの規定は、法第七十七条の三十五の四第三号の財産の評価額について準用する。 この場合において、第十七条第二項第二号中「確認検査」とあるのは、「構造計算適合性判定」と読み替えるものとする。 (指定構造計算適合性判定機関に係る名称等の変更の届出) 第三十一条の四 指定構造計算適合性判定機関は、法第七十七条の三十五の五第二項の規定によりその名称又は住所を変更しようとするときは、別記第十号の三様式の指定構造計算適合性判定機関名称等変更届出書を、その指定した国土交通大臣又は都道府県知事(以下この章において「国土交通大臣等」という。)に提出しなければならない。 (指定構造計算適合性判定機関の業務区域の変更に係る認可の申請) 第三十一条の四の二 指定構造計算適合性判定機関は、法第七十七条の三十五の六第一項の規定により業務区域の増加又は減少に係る認可の申請をしようとするときは、別記第十号の三の二様式の指定構造計算適合性判定機関業務区域変更認可申請書に第三十一条の三第一号から第五号まで、第七号、第十号の二、第十号の三、第十三号、第十四号の二及び第十五号に掲げる書類を添えて、これを国土交通大臣等に提出しなければならない。 (指定構造計算適合性判定機関に係る指定の更新) 第三十一条の五 第三十一条の三から第三十一条の三の四までの規定は、法第七十七条の三十五の七第一項の規定により指定構造計算適合性判定機関が指定の更新を受けようとする場合について準用する。 この場合において、第三十一条の三の三第一項及び第三十一条の三の四第一項第二号中「その事業年度において構造計算適合性判定を行おうとする件数」とあるのは、「指定の申請の日の属する事業年度の前事業年度において行った構造計算適合性判定の件数」と読み替えるものとする。 (委任都道府県知事に対する指定構造計算適合性判定機関に係る名称等の変更の届出) 第三十一条の六 国土交通大臣の指定に係る指定構造計算適合性判定機関は、法第七十七条の三十五の八第二項の規定によりその名称又は住所を変更しようとするときは、別記第十号の三様式の指定構造計算適合性判定機関名称等変更届出書を委任都道府県知事に、構造計算適合性判定の業務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、別記第十号の三の三様式の指定構造計算適合性判定機関事務所所在地変更届出書を関係委任都道府県知事に、提出しなければならない。 2 都道府県知事の指定に係る指定構造計算適合性判定機関は、法第七十七条の三十五の八第三項の規定により構造計算適合性判定の業務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、別記第十号の三の三様式の指定構造計算適合性判定機関事務所所在地変更届出書を、委任都道府県知事に提出しなければならない。 (構造計算適合性判定員の選任及び解任の届出) 第三十一条の七 指定構造計算適合性判定機関は、法第七十七条の三十五の九第三項の規定によりその構造計算適合性判定員の選任又は解任を届け出ようとするときは、別記第十号の四様式の指定構造計算適合性判定機関構造計算適合性判定員選任等届出書を国土交通大臣等に提出しなければならない。 2 指定構造計算適合性判定機関は、前項の規定による提出をしたときは、遅滞なく、その指定構造計算適合性判定機関構造計算適合性判定員選任等届出書の写しを、関係委任都道府県知事(その指定をした都道府県知事を除く。)に送付しなければならない。 (構造計算適合性判定業務規程の認可の申請) 第三十一条の八 指定構造計算適合性判定機関は、法第七十七条の三十五の十二第一項前段の規定により構造計算適合性判定業務規程の認可を受けようとするときは、別記第十号の五様式の指定構造計算適合性判定機関構造計算適合性判定業務規程認可申請書に当該認可に係る構造計算適合性判定業務規程を添えて、これを国土交通大臣等に提出しなければならない。 2 指定構造計算適合性判定機関は、法第七十七条の三十五の十二第一項後段の規定により構造計算適合性判定業務規程の変更の認可を受けようとするときは、別記第十号の六様式の指定構造計算適合性判定機関構造計算適合性判定業務規程変更認可申請書に当該変更の明細を記載した書面を添えて、これを国土交通大臣等に提出しなければならない。 3 指定構造計算適合性判定機関は、法第七十七条の三十五の十二第一項の認可を受けたときは、遅滞なく、その構造計算適合性判定業務規程を関係委任都道府県知事(その指定をした都道府県知事を除く。)に送付しなければならない。 (構造計算適合性判定業務規程の記載事項) 第三十一条の九 法第七十七条の三十五の十二第二項の国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 構造計算適合性判定の業務を行う時間及び休日に関する事項 二 事務所の所在地及びその事務所が構造計算適合性判定の業務を行う区域に関する事項 三 構造計算適合性判定の業務の範囲に関する事項 四 構造計算適合性判定の業務の実施方法に関する事項 五 構造計算適合性判定に係る手数料の収納の方法に関する事項 六 構造計算適合性判定員の選任及び解任に関する事項 七 構造計算適合性判定の業務に関する秘密の保持に関する事項 八 構造計算適合性判定員の配置に関する事項 九 構造計算適合性判定の業務の実施体制に関する事項 十 構造計算適合性判定の業務の公正かつ適確な実施を確保するための措置に関する事項 十一 法第七十七条の三十五の十五各号に掲げる書類の備置き及び閲覧に関する事項 十二 その他構造計算適合性判定の業務の実施に関し必要な事項 (掲示等の記載事項等) 第三十一条の九の二 法第七十七条の三十五の十三の規定による国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 指定の番号 二 指定の有効期間 三 機関の名称 四 代表者氏名 五 主たる事務所の住所及び電話番号 六 委任都道府県知事 七 取り扱う建築物 2 法第七十七条の三十五の十三の規定により指定構造計算適合性判定機関が行う掲示及び公衆の閲覧は別記第十号の六の二様式によるものとする。 3 法第七十七条の三十五の十三の規定による公衆の閲覧は、指定構造計算適合性判定機関のウェブサイトへの掲載により行うものとする。 (帳簿) 第三十一条の十 法第七十七条の三十五の十四第一項の構造計算適合性判定の業務に関する事項で国土交通省令で定めるものは、次のとおりとする。 一 別記第十八号の二様式による申請書の第二面及び第三面並びに別記第四十二号の十二の二様式による通知書の第二面及び第三面に記載すべき事項 二 法第十八条の二第四項において読み替えて適用する法第六条の三第一項の規定による構造計算適合性判定の申請を受理した年月日及び法第十八条の二第四項において読み替えて適用する法第十八条第四項の規定による通知を受けた年月日 三 構造計算適合性判定を実施した構造計算適合性判定員の氏名 四 構造計算適合性判定の結果 五 構造計算適合性判定の結果を記載した通知書の番号及びこれを交付した年月日 六 構造計算適合性判定の業務に関する手数料の額 2 前項各号に掲げる事項が、電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体に記録され、必要に応じ指定構造計算適合性判定機関において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもって法第七十七条の三十五の十四第一項に規定する帳簿への記載に代えることができる。 3 法第七十七条の三十五の十四第一項に規定する帳簿(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)は、第三十一条の十四の規定による引継ぎを完了するまで保存しなければならない。 (図書の保存) 第三十一条の十一 法第七十七条の三十五の十四第二項の構造計算適合性判定の業務に関する書類で国土交通省令で定めるものは、施行規則第三条の十において準用する施行規則第三条の七(施行規則第八条の二第七項において準用する場合を含む。)に規定する図書及び書類とする。 2 前項の図書及び書類が、電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体に記録され、必要に応じ指定構造計算適合性判定機関において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該ファイル又は電磁的記録媒体をもって同項の図書及び書類に代えることができる。 3 法第七十七条の三十五の十四第二項に規定する書類(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)は、法第十八条の二第四項の規定により読み替えて適用する法第六条の三第四項又は法第十八条第七項の規定による通知書の交付の日から十五年間保存しなければならない。 (書類の閲覧等) 第三十一条の十一の二 法第七十七条の三十五の十五第四号の国土交通省令で定める書類は、次の各号に掲げるものとする。 一 定款及び登記事項証明書 二 財産目録、貸借対照表及び正味財産増減計算書又は損益計算書 三 法人である場合にあっては、役員及び構成員の氏名及び略歴を記載した書類 四 法人である場合にあっては、発行済株式総数の百分の五以上の株式を有する株主又は出資の総額の百分の五以上に相当する出資をしている者の氏名又は名称及びその有する株式の数又はその者のなした出資の価額を記載した書類 五 法人であって、その者の親会社等が指定確認検査機関である場合にあっては、当該親会社等の名称及び住所を記載した書類 2 指定構造計算適合性判定機関は、法第七十七条の三十五の十五第一号及び前項第二号に定める書類を、事業年度ごとに当該事業年度経過後三月以内に作成し、遅滞なく構造計算適合性判定の業務を行う事務所ごとに備え置くものとする。 3 指定構造計算適合性判定機関は、法第七十七条の三十五の十五第二号及び第三号並びに第一項第一号及び第三号から第五号までに定める書類に記載した事項に変更を生じたときは、遅滞なく、当該書類の記載を変更しなければならない。 4 法第七十七条の三十五の十五各号の書類が、電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体に記録され、必要に応じ構造計算適合性判定の業務を行う事務所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該ファイル又は電磁的記録媒体をもって同条各号の書類に代えることができる。 この場合における同条の規定による閲覧は、当該ファイル又は電磁的記録媒体に記録されている事項を紙面又は入出力装置の映像面に表示する方法で行うものとする。 5 指定構造計算適合性判定機関は、第二項の書類(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)を、当該書類を備え置いた日から起算して五年を経過する日までの間当該構造計算適合性判定の業務を行う事務所に備え置くものとする。 6 指定構造計算適合性判定機関は、法第七十七条の三十五の十五各号の書類(第四項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)を閲覧に供するため、閲覧に関する規則を定め、構造計算適合性判定の業務を行う事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。 (監督命令に係る公示の方法) 第三十一条の十一の三 法第七十七条の三十五の十六第二項の規定による公示は、次に掲げる事項について、国土交通大臣にあっては官報で、都道府県知事にあっては当該都道府県の公報又はウェブサイトへの掲載その他の適切な方法で行うものとする。 一 監督命令をした年月日 二 監督命令を受けた指定構造計算適合性判定機関の名称及び事務所の所在地並びにその者が法人である場合にあっては代表者の氏名 三 監督命令の内容 四 監督命令の原因となった事実 (委任都道府県知事による報告) 第三十一条の十一の四 法第七十七条の三十五の十七第二項の規定による報告は、次に掲げる事項について、文書をもって行うものとする。 一 立入検査を行った指定構造計算適合性判定機関の名称及び事務所の所在地 二 立入検査を行った年月日 三 法第七十七条の三十五の十七第二項に規定する事実の概要及び当該事実を証する資料 四 その他委任都道府県知事が必要と認めること (指定構造計算適合性判定機関に係る業務の休廃止の許可の申請) 第三十一条の十二 指定構造計算適合性判定機関は、法第七十七条の三十五の十八第一項の規定により構造計算適合性判定の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、別記第十号の七様式の指定構造計算適合性判定機関業務休廃止許可申請書を国土交通大臣等に提出しなければならない。 (処分の公示) 第三十一条の十三 法第七十七条の三十五の十九第三項の規定による公示は、次に掲げる事項について、国土交通大臣にあっては官報で、都道府県知事にあっては都道府県の公報又はウェブサイトへの掲載その他の適切な方法で行うものとする。 一 処分をした年月日 二 処分を受けた指定構造計算適合性判定機関の名称及び事務所の所在地並びにその者が法人である場合にあっては代表者の氏名 三 処分の内容 四 処分の原因となった事実 (構造計算適合性判定の業務の引継ぎ) 第三十一条の十四 指定構造計算適合性判定機関(国土交通大臣等が法第七十七条の三十五の十九第一項又は第二項の規定により指定構造計算適合性判定機関の指定を取り消した場合にあっては、当該指定構造計算適合性判定機関であった者)は、法第七十七条の三十五の二十一第三項に規定する場合には、次に掲げる事項を行わなければならない。 一 構造計算適合性判定の業務を、委任都道府県知事に引き継ぐこと。 二 法第七十七条の三十五の十四第一項の帳簿を国土交通大臣等に、同条第二項の書類を委任都道府県知事に引き継ぐこと。 三 その他国土交通大臣等又は委任都道府県知事が必要と認める事項 2 指定構造計算適合性判定機関は、前項第二号の規定により書類を引き継ごうとするときは、あらかじめ、引継ぎの方法、時期その他の事項について、委任都道府県知事に協議しなければならない。 (準用) 第三十一条の十五 第二十二条の規定は、法第七十七条の三十五の二第一項に規定する指定をしたときについて準用する。 第四章 指定認定機関 (指定認定機関に係る指定の申請) 第三十二条 法第七十七条の三十六第一項の規定による指定を受けようとする者は、別記第十一号様式の指定認定機関指定申請書に次に掲げる書類を添えて、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 一 定款及び登記事項証明書 二 申請の日の属する事業年度の前事業年度における財産目録及び貸借対照表。 ただし、申請の日の属する事業年度に設立された法人にあっては、その設立時における財産目録とする。 三 申請の日の属する事業年度及び翌事業年度における事業計画書及び収支予算書で認定等の業務に係る事項と他の業務に係る事項とを区分したもの 四 申請に係る意思の決定を証する書類 五 申請者が法人である場合においては、役員又は第十八条に規定する構成員の氏名及び略歴(構成員が法人である場合は、その法人の名称)を記載した書類 六 組織及び運営に関する事項を記載した書類 七 事務所の所在地を記載した書類 八 申請者(法人である場合においてはその役員)が法第七十七条の三十七第一号及び第二号に該当しない旨の市町村の長の証明書 九 申請者(法人である場合においてはその役員)が法第七十七条の三十七第五号に該当しない者であることを誓約する書類 十 申請者が法人である場合においては、発行済株式総数の百分の五以上の株式を有する株主又は出資の総額の百分の五以上に相当する出資をしている者の氏名又は名称、住所及びその有する株式の数又はその者のなした出資の価額を記載した書類 十一 認定員の氏名及び略歴を記載した書類 十二 現に行っている業務の概要を記載した書類 十三 認定等の業務の実施に関する計画を記載した書類 十四 その他参考となる事項を記載した書類 (指定認定機関に係る指定の区分) 第三十三条 法第七十七条の三十六第二項の国土交通省令で定める区分は、行おうとする処分について次に掲げるものとする。 一 型式適合認定を行う者としての指定 二 型式部材等に係る法第六十八条の十一第一項の規定による認証及び法第六十八条の十四第一項の規定による認証の更新並びに法第六十八条の十一第三項の規定による公示を行う者としての指定 三 型式部材等に係る法第六十八条の二十二第一項の規定による認証及び法第六十八条の二十二第二項において準用する法第六十八条の十四第一項の規定による認証の更新並びに法第六十八条の二十二第二項において準用する法第六十八条の十一第三項の規定による公示を行う者としての指定 2 前項各号に掲げる指定の申請は、次に掲げる建築物の部分又は工作物の部分の区分を明らかにして行うものとする。 一 令第百三十六条の二の十一第一号に掲げる建築物の部分 二 防火設備 二の二 換気設備 三 屎 し 尿浄化槽又は合併処理浄化槽 四 非常用の照明装置 五 給水タンク又は貯水タンク 六 冷却塔設備 七 エレベーターの部分で昇降路及び機械室以外のもの 八 エスカレーター 九 避雷設備 十 乗用エレベーターで観光のためのもの(一般交通の用に供するものを除く。)の部分で、昇降路及び機械室以外のもの 十一 エスカレーターで観光のためのもの(一般交通の用に供するものを除く。)の部分で、トラス又ははりを支える部分以外のもの 十二 ウォーターシュート、コースターその他これらに類する高架の遊戯施設又はメリーゴーラウンド、観覧車、オクトパス、飛行塔その他これらに類する回転運動をする遊戯施設で原動機を使用するものの部分のうち、かご、車両その他人を乗せる部分及びこれを支え、又は 吊 つ る構造上主要な部分並びに非常止め装置の部分 (心身の故障により認定等の業務を適正に行うことができない者) 第三十三条の二 法第七十七条の三十七第五号の国土交通省令で定める者は、精神の機能の障害により認定等の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。 (指定認定機関に係る名称等の変更の届出) 第三十四条 指定認定機関は、法第七十七条の三十九第二項の規定によりその名称若しくは住所又は認定等の業務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、別記第十二号様式の指定認定機関変更届出書を国土交通大臣に提出しなければならない。 (指定認定機関の業務区域の変更に係る許可の申請) 第三十五条 指定認定機関は、法第七十七条の四十第一項の規定により業務区域の増加又は減少に係る許可の申請をしようとするときは、別記第十三号様式の指定認定機関業務区域変更許可申請書に第三十二条第一号から第五号まで、第七号、第十三号及び第十四号に掲げる書類を添えて、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 (指定認定機関に係る指定の更新) 第三十六条 法第七十七条の四十一第一項の規定により、指定認定機関が指定の更新を受けようとする場合は、第三十二条及び第三十三条の規定を準用する。 (認定等の方法) 第三十七条 法第七十七条の四十二第一項の国土交通省令で定める方法は、次の各号に掲げる処分の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。 一 型式適合認定 次に定める方法に従い、認定員二名以上によって行うこと。 イ 施行規則第十条の五の二に規定する型式適合認定申請書及びその添付図書をもって、当該申請に係る建築物の部分又は工作物の部分ごとに、それぞれ令第百三十六条の二の十一各号又は令第百四十四条の二に掲げる一連の規定に適合しているかどうかについて審査を行うこと。 ロ 審査を行うに際し、書類の記載事項に疑義があり、提出された書類のみでは令第百三十六条の二の十一各号又は令第百四十四条の二に掲げる一連の規定に適合しているかどうかの判断ができないと認めるときは、追加の書類を求めて審査を行うこと。 二 型式部材等製造者の認証(法第六十八条の十一第一項(法第八十八条第一項において準用する場合を含む。以下同じ。)又は法第六十八条の二十二第一項(法第八十八条第一項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による認証及び法第六十八条の十四第一項(法第六十八条の二十二第二項(法第八十八条第一項において準用する場合を含む。以下同じ。)及び法第八十八条第一項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による認証の更新をいう。以下同じ。) 次に定める方法に従い、認定員二名以上によって行うこと。 イ 施行規則第十条の五の五に規定する型式部材等製造者認証申請書及びその添付図書をもって行うこと。 ロ 審査を行うに際し、書類の記載事項に疑義があり、提出された書類のみでは法第六十八条の十三各号に掲げる基準に適合しているかどうかの判断ができないと認めるときは、追加の書類を求めて審査を行うこと。 ハ 施行規則第十一条の二の三第二項各号に掲げる場合を除き、当該申請に係る工場その他の事業場(以下この章において「工場等」という。)において実地に行うこと。 (認定員の要件) 第三十八条 法第七十七条の四十二第二項の国土交通省令で定める要件は、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に該当する者であることとする。 一 型式適合認定を行う場合 次のイからニまでのいずれかに該当する者 イ 学校教育法に基づく大学又はこれに相当する外国の学校において建築学、機械工学、電気工学、衛生工学その他の認定等の業務に関する科目を担当する教授若しくは准教授の職にあり、又はあった者 ロ 建築、機械、電気若しくは衛生その他の認定等の業務に関する分野の試験研究機関において試験研究の業務に従事し、又は従事した経験を有する者で、かつ、これらの分野について高度の専門的知識を有する者 ハ 一級建築基準適合判定資格者検定に合格した者で、かつ、建築物の敷地、構造及び建築設備の安全上、防火上又は衛生上の観点からする審査又は検査に係る部門の責任者としてこれらの業務に関して三年以上の実務の経験を有する者 ニ 国土交通大臣がイからハまでに掲げる者と同等以上の知識及び経験を有すると認める者 二 型式部材等製造者の認証を行う場合 次のイからハまでのいずれかに該当する者 イ 前号イからハまでのいずれかに該当する者 ロ 建築材料又は建築物の部分の製造、検査又は品質管理(工場等で行われるものに限る。)に係る部門の責任者としてこれらの業務に関して五年以上の実務の経験を有する者 ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び経験を有すると認める者 (認定員の選任及び解任の届出) 第三十九条 指定認定機関は、法第七十七条の四十二第三項の規定によりその認定員の選任又は解任を届け出ようとするときは、別記第十四号様式の指定認定機関認定員選任等届出書を国土交通大臣に提出しなければならない。 (認定等業務規程の認可の申請) 第四十条 指定認定機関は、法第七十七条の四十五第一項前段の規定により認定等業務規程の認可を受けようとするときは、別記第十五号様式の指定認定機関認定等業務規程認可申請書に当該認可に係る認定等業務規程を添えて、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 2 指定認定機関は、法第七十七条の四十五第一項後段の規定により認定等業務規程の変更の認可を受けようとするときは、別記第十六号様式の指定認定機関認定等業務規程変更認可申請書に当該変更の明細を記載した書面を添えて、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 (認定等業務規程の記載事項) 第四十一条 法第七十七条の四十五第二項の国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 認定等の業務を行う時間及び休日に関する事項 二 事務所の所在地及びその事務所が認定等の業務を行う区域に関する事項 三 認定等の業務の範囲に関する事項 四 認定等の業務の実施方法に関する事項 五 認定等に係る手数料の収納の方法に関する事項 六 認定員の選任及び解任に関する事項 七 認定等の業務に関する秘密の保持に関する事項 八 認定等の業務の実施体制に関する事項 九 認定等の業務の公正かつ適確な実施を確保するための措置に関する事項 十 その他認定等の業務の実施に関し必要な事項 (指定認定機関による認定等の報告) 第四十二条 指定認定機関は、法第六十八条の二十四第一項に規定する認定等を行ったときは、遅滞なく、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める方法により、国土交通大臣に報告しなければならない。 一 型式適合認定を行った場合 別記第十七号様式による報告書に型式適合認定書の写しを添えて行う。 二 法第六十八条の二十四第一項の認証を行った場合 別記第十八号様式による報告書に型式部材等製造者認証書の写しを添えて行う。 三 法第六十八条の二十四第一項の認証の更新を行った場合 別記第十九号様式による報告書に型式部材等製造者認証書の写しを添えて行う。 (帳簿) 第四十三条 法第七十七条の四十七第一項の認定等の業務に関する事項で国土交通省令で定めるものは、次のとおりとする。 一 認定等を申請した者の氏名又は名称及び住所又は主たる事務所の所在地 二 認定等の対象となるものの概要として次に定めるもの イ 型式適合認定にあっては、認定の申請に係る建築物の部分又は工作物の部分の種類、名称、構造、材料その他の概要 ロ 型式部材等製造者の認証にあっては、認証の申請に係る工場等の名称、所在地その他の概要及び製造をする型式部材等に係る型式適合認定番号その他の概要 三 認定等の申請を受けた年月日 四 型式部材等製造者の認証にあっては、実地検査を行った年月日 五 型式適合認定にあっては審査を行った認定員の氏名、型式部材等製造者の認証にあっては実地検査又は審査を行った認定員の氏名 六 審査の結果(認定等をしない場合にあっては、その理由を含む。) 七 認定番号又は認証番号及び型式適合認定書又は型式部材等製造者認証書を通知した年月日(認定等をしない場合にあっては、その旨を通知した年月日) 八 法第七十七条の四十六第一項の規定による報告を行った年月日 九 認定等に係る公示の番号及び公示を行った年月日 2 前項各号に掲げる事項が、電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体に記録され、必要に応じ指定認定機関において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもって法第七十七条の四十七第一項に規定する帳簿への記載に代えることができる。 3 法第七十七条の四十七第一項に規定する帳簿(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)は、第四十六条の規定による引継ぎを完了するまで保存しなければならない。 (図書の保存) 第四十四条 法第七十七条の四十七第二項の認定等の業務に関する書類で国土交通省令で定めるものは、次の各号に掲げる認定等の業務の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める図書とする。 一 型式適合認定 施行規則第十条の五の二第一項に規定する型式適合認定申請書及びその添付図書並びに型式適合認定書の写しその他審査の結果を記載した図書 二 型式部材等製造者の認証 施行規則第十条の五の五に規定する型式部材等製造者認証申請書及びその添付図書並びに型式部材等製造者認証書の写しその他審査の結果を記載した図書 2 前項各号の図書が、電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体に記録され、必要に応じ指定認定機関において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該ファイル又は電磁的記録媒体をもって同項各号の図書に代えることができる。 3 法第七十七条の四十七第二項に規定する書類(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)は、当該認定又は認証が取り消された場合を除き、型式適合認定の業務に係るものにあっては第四十六条の規定による引継ぎ(型式適合認定の業務に係る部分に限る。)を完了するまで、型式部材等製造者の認証の業務に係るものにあっては五年間保存しなければならない。 (指定認定機関に係る業務の休廃止の許可の申請) 第四十五条 指定認定機関は、法第七十七条の五十第一項の規定により認定等の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、別記第二十号様式の指定認定機関業務休廃止許可申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。 (処分の公示) 第四十五条の二 法第七十七条の五十一第三項の規定による公示は、次に掲げる事項について、官報で行うものとする。 一 処分をした年月日 二 処分を受けた指定認定機関の名称及び事務所の所在地並びにその者が法人である場合にあっては代表者の氏名 三 処分の内容 四 処分の原因となった事実 (認定等の業務の引継ぎ) 第四十六条 指定認定機関(国土交通大臣が法第七十七条の五十一第一項又は第二項の規定により指定認定機関の指定を取り消した場合にあっては、当該指定認定機関であった者)は、法第七十七条の五十二第三項に規定する場合には、次に掲げる事項を行わなければならない。 一 認定等の業務を国土交通大臣に引き継ぐこと。 二 認定等の業務に関する帳簿及び書類を国土交通大臣に引き継ぐこと。 三 その他国土交通大臣が必要と認める事項 (指定認定機関) 第四十六条の二 指定認定機関の名称及び住所、指定の区分、業務区域、認定等の業務を行う事務所の所在地並びに認定等の業務の開始の日は、国土交通大臣が官報で告示する。 第五章 承認認定機関 (承認認定機関に係る承認の申請) 第四十七条 法第七十七条の五十四第一項の規定による承認を受けようとする者は、別記第二十一号様式の承認認定機関承認申請書に次に掲げる書類を添えて、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 一 定款及び登記事項証明書又はこれらに準ずるもの 二 申請の日の属する事業年度の前事業年度における財産目録及び貸借対照表その他経理的基礎を有することを明らかにする書類(以下この号及び第七十二条第二号において「財産目録等」という。)。 ただし、申請の日の属する事業年度に設立された法人にあっては、その設立時における財産目録等とする。 三 申請者(法人である場合においてはその役員)が法第七十七条の三十七第一号及び第二号に該当しない旨を明らかにする書類 四 第三十二条第三号から第七号まで及び第九号から第十四号までに掲げる書類 (承認認定機関に係る名称等の変更の届出) 第四十八条 承認認定機関は、法第七十七条の五十四第二項において準用する法第七十七条の三十九第二項の規定によりその名称若しくは住所又は認定等の業務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、別記第二十二号様式の承認認定機関変更届出書を国土交通大臣に提出しなければならない。 (承認認定機関の業務区域の変更に係る認可の申請) 第四十九条 承認認定機関は、法第七十七条の五十四第二項において準用する法第七十七条の二十二第一項の規定により業務区域の増加に係る認可の申請をしようとするときは、別記第二十三号様式の承認認定機関業務区域増加認可申請書に第三十二条第三号から第五号まで、第七号、第十三号及び第十四号並びに第四十七条第一号及び第二号に掲げる書類を添えて、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 (承認認定機関の業務区域の変更の届出) 第五十条 承認認定機関は、法第七十七条の五十四第二項において準用する法第七十七条の二十二第二項の規定により業務区域の減少の届出をしようとするときは、別記第二十四号様式の承認認定機関業務区域減少届出書を国土交通大臣に提出しなければならない。 (認定員の選任及び解任の届出) 第五十一条 承認認定機関は、法第七十七条の五十四第二項において準用する法第七十七条の四十二第三項の規定によりその認定員の選任又は解任を届け出ようとするときは、別記第二十五号様式の承認認定機関認定員選任等届出書を国土交通大臣に提出しなければならない。 (認定等業務規程の認可の申請) 第五十二条 承認認定機関は、法第七十七条の五十四第二項において準用する法第七十七条の四十五第一項前段の規定により認定等業務規程の認可を受けようとするときは、別記第二十六号様式の承認認定機関認定等業務規程認可申請書に当該認可に係る認定等業務規程を添えて、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 2 承認認定機関は、法第七十七条の五十四第二項において準用する法第七十七条の四十五第一項後段の規定により認定等業務規程の変更の認可を受けようとするときは、別記第二十七号様式の承認認定機関認定等業務規程変更認可申請書に当該変更の明細を記載した書面を添えて、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 (承認認定機関に係る業務の休廃止の届出) 第五十三条 承認認定機関は、法第七十七条の五十四第二項において準用する法第七十七条の三十四第一項の規定により認定等の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、別記第二十八号様式の承認認定機関業務休廃止届出書を国土交通大臣に提出しなければならない。 (旅費の額) 第五十四条 令第百三十六条の二の十三の旅費の額に相当する額(以下「旅費相当額」という。)は、国家公務員等の旅費に関する法律(昭和二十五年法律第百十四号。以下「旅費法」という。)の規定により支給すべきこととなる旅費の額とする。 この場合において、当該検査のためその地に出張する職員は、一般職の職員の給与等に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第六条第一項第一号イに規定する行政職俸給表(一)による職務の級が六級である者であるものとしてその旅費の額を計算するものとする。 (在勤官署の所在地) 第五十五条 旅費相当額を計算する場合において、当該検査のため、その地に出張する職員の旅費法第二条第一項第六号の在勤官署の所在地は、東京都千代田区霞が関二丁目一番三号とする。 (旅費の額の計算に係る細目) 第五十六条 旅費法第六条第一項の支度料は、旅費相当額に算入しない。 2 検査を実施する日数は、当該検査に係る事務所ごとに三日として旅費相当額を計算する。 3 旅費法第六条第一項の旅行雑費は、一万円として旅費相当額を計算する。 4 国土交通大臣が、旅費法第四十六条第一項の規定により、実費を超えることとなる部分又は必要としない部分の旅費を支給しないときは、当該部分に相当する額は、旅費相当額に算入しない。 (準用) 第五十七条 第三十三条の規定は法第七十七条の五十四第一項の規定による承認の申請に、第三十三条の二及び第三十六条の規定は法第六十八条の二十四第三項の規定による承認に、第三十七条、第三十八条及び第四十一条から第四十四条までの規定は承認認定機関について準用する。 第六章 指定性能評価機関 (指定性能評価機関に係る指定の申請) 第五十八条 法第七十七条の五十六第一項の規定による指定を受けようとする者は、別記第二十九号様式の指定性能評価機関指定申請書に次に掲げる書類を添えて、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 一 定款及び登記事項証明書 二 申請の日の属する事業年度の前事業年度における財産目録及び貸借対照表。 ただし、申請の日の属する事業年度に設立された法人にあっては、その設立時における財産目録とする。 三 申請の日の属する事業年度及び翌事業年度における事業計画書及び収支予算書で性能評価の業務に係る事項と他の業務に係る事項とを区分したもの 四 申請に係る意思の決定を証する書類 五 申請者が法人である場合においては、役員又は第十八条に規定する構成員の氏名及び略歴(構成員が法人である場合は、その法人の名称)を記載した書類 六 組織及び運営に関する事項を記載した書類 七 事務所の所在地を記載した書類 八 申請者(法人である場合においてはその役員)が法第七十七条の三十七第一号及び第二号に該当しない旨の市町村の長の証明書 九 申請者(法人である場合においてはその役員)が法第七十七条の三十七第五号に該当しない者であることを誓約する書類 十 申請者が法人である場合においては、発行済株式総数の百分の五以上の株式を有する株主又は出資の総額の百分の五以上に相当する出資をしている者の氏名又は名称、住所及びその有する株式の数又はその者のなした出資の価額を記載した書類 十一 審査に用いる試験装置その他の設備の概要及び整備計画を記載した書類 十二 評価員の氏名及び略歴を記載した書類 十三 現に行っている業務の概要を記載した書類 十四 性能評価の業務の実施に関する計画を記載した書類 十五 その他参考となる事項を記載した書類 (心身の故障により性能評価の業務を適正に行うことができない者) 第五十八条の二 法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の三十七第五号の国土交通省令で定める者は、精神の機能の障害により性能評価の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。 (指定性能評価機関に係る指定の区分) 第五十九条 法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の三十六第二項の国土交通省令で定める区分は、次に掲げるものとする。 一 法第二条第七号から第八号まで及び第九号の二ロ、法第二十一条第一項(特定主要構造部の一部に関するものに限る。)、法第二十三条、法第二十七条第一項(特定主要構造部の一部又は防火設備に関するものに限る。)、法第六十一条第一項(防火設備に関するものに限る。)、令第七十条、令第百八条の三第一号(床、壁又は防火設備に関するものに限る。)、令第百九条の三第一号及び第二号ハ、令第百九条の八(防火設備に関するものに限る。)、令第百十二条第一項、第二項、第四項第一号及び第十二項ただし書、令第百十四条第五項、令第百十五条の二第一項第四号、令第百二十九条の二の四第一項第七号ハ、令第百三十七条の二の四第一号ロ並びに令第百三十七条の十第一号ロ(4)の認定に係る性能評価を行う者としての指定 二 法第二条第九号並びに令第一条第五号及び第六号の認定に係る性能評価を行う者としての指定 二の二 法第二十条第一項第一号の認定に係る性能評価を行う者としての指定 二の三 法第二十条第一項第二号イ及び第三号イの認定に係る性能評価を行う者としての指定 二の四 法第二十一条第一項(特定主要構造部の全部に関するものに限る。)の認定に係る性能評価を行う者としての指定 二の五 法第二十一条第二項の認定に係る性能評価を行う者としての指定 三 法第二十二条第一項及び法第六十二条の認定に係る性能評価を行う者としての指定 三の二 法第二十七条第一項(特定主要構造部の全部に関するものに限る。)の認定に係る性能評価を行う者としての指定 四 法第三十条第一項第一号及び第二項の認定に係る性能評価を行う者としての指定 五 法第三十一条第二項、令第二十九条、令第三十条第一項及び令第三十五条第一項の認定に係る性能評価を行う者としての指定 六 法第三十七条第二号の認定に係る性能評価を行う者としての指定 六の二 法第六十一条第一項(建築物の部分に関するものに限る。)の認定に係る性能評価を行う者としての指定 七 令第二十条の二第一号ニの認定に係る性能評価を行う者としての指定 八 令第二十条の三第二項第一号ロの認定に係る性能評価を行う者としての指定 八の二 令第二十条の七第一項第二号の表及び令第二十条の八第二項の認定に係る性能評価を行う者としての指定 八の三 令第二十条の七第二項から第四項までの認定に係る性能評価を行う者としての指定 八の四 令第二十条の八第一項第一号ロ(1)の認定に係る性能評価を行う者としての指定 八の五 令第二十条の八第一項第一号ハの認定に係る性能評価を行う者としての指定 八の六 令第二十条の九の認定に係る性能評価を行う者としての指定 九 令第二十二条の認定に係る性能評価を行う者としての指定 十 令第二十二条の二第二号ロの認定に係る性能評価を行う者としての指定 十の二 令第三十九条第三項の認定に係る性能評価を行う者としての指定 十一 令第四十六条第四項の表一の(八)項の認定に係る性能評価を行う者としての指定 十二 令第六十七条第一項の認定に係る性能評価を行う者としての指定 十二の二 令第六十七条第二項の認定に係る性能評価を行う者としての指定 十二の三 令第六十八条第三項の認定に係る性能評価を行う者としての指定 十二の四 令第七十九条第二項及び令第七十九条の三第二項の認定に係る性能評価を行う者としての指定 十三 令第百八条の三第一号(建築物の部分に関するものに限る。)の認定に係る性能評価を行う者としての指定 十四 令第百八条の四第一項第二号及び第四項並びに令第百十二条第三項の認定に係る性能評価を行う者としての指定 十五 令第百九条の八(建築物の部分に関するものに限る。)の認定に係る性能評価を行う者としての指定 十六 令第百十二条第十九項各号及び第二十一項、令第百二十六条の二第二項第一号、令第百二十九条の十三の二第三号並びに令第百四十五条第一項第二号の認定に係る性能評価を行う者としての指定 十七 令第百十五条第一項第三号ロの認定に係る性能評価を行う者としての指定 十八 令第百二十三条第三項第二号及び令第百二十九条の十三の三第十三項の認定に係る性能評価を行う者としての指定 十九 令第百二十六条の五第二号の認定に係る性能評価を行う者としての指定 二十 令第百二十六条の六第三号の認定に係る性能評価を行う者としての指定 二十一 令第百二十八条の七第一項、令第百二十九条第一項及び令第百二十九条の二第一項の認定に係る性能評価を行う者としての指定 二十二 令第百二十九条の二の四第一項第三号ただし書の認定に係る性能評価を行う者としての指定 二十三 令第百二十九条の二の四第二項第三号の認定に係る性能評価を行う者としての指定 二十四 令第百二十九条の二の六第三号の認定に係る性能評価を行う者としての指定 二十五 令第百二十九条の四第一項第三号、令第百二十九条の八第二項、令第百二十九条の十第二項及び第四項並びに令第百二十九条の十二第一項第六号、第二項及び第五項の認定に係る性能評価を行う者としての指定 二十六 令第百二十九条の十五第一号の認定に係る性能評価を行う者としての指定 二十七 令第百三十七条の二の二第一項第一号ロの認定に係る性能評価を行う者としての指定 二十八 令第百三十七条の二の二第二項第一号ロの認定に係る性能評価を行う者としての指定 二十九 令第百三十七条の四第一号ロの認定に係る性能評価を行う者としての指定 三十 令第百三十七条の十第一号イ(2)の認定に係る性能評価を行う者としての指定 三十一 令第百三十七条の十一第一号イ(2)の認定に係る性能評価を行う者としての指定 三十二 令第百三十九条第一項第三号及び第四号ロの認定に係る性能評価を行う者としての指定 三十三 令第百四十条第二項において準用する令第百三十九条第一項第三号及び第四号ロの認定に係る性能評価を行う者としての指定 三十四 令第百四十一条第二項において準用する令第百三十九条第一項第三号及び第四号ロの認定に係る性能評価を行う者としての指定 三十五 令第百四十三条第二項において準用する令第百三十九条第一項第三号及び第四号ロの認定に係る性能評価を行う者としての指定 三十六 令第百四十四条第一項第一号ロ及びハ(2)の認定に係る性能評価を行う者としての指定 三十七 令第百四十四条第一項第三号イ及び第五号の認定並びに同条第二項において読み替えて準用する令第百二十九条の四第一項第三号の認定に係る性能評価を行う者としての指定 三十八 施行規則第一条の三第一項第一号イ並びにロ(1)及び(2)並びに同項の表三の各項の認定に係る性能評価を行う者としての指定 三十九 施行規則第八条の三の認定に係る性能評価を行う者としての指定 (指定性能評価機関に係る名称等の変更の届出) 第六十条 指定性能評価機関は、法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の三十九第二項の規定によりその名称若しくは住所又は性能評価の業務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、別記第三十号様式の指定性能評価機関変更届出書を国土交通大臣に提出しなければならない。 (指定性能評価機関の業務区域の変更に係る許可の申請) 第六十一条 指定性能評価機関は、法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の四十第一項の規定により業務区域の増加又は減少に係る許可の申請をしようとするときは、別記第三十一号様式の指定性能評価機関業務区域変更許可申請書に第五十八条第一号から第五号まで、第七号、第十一号、第十四号及び第十五号に掲げる書類を添えて、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 (指定性能評価機関に係る指定の更新) 第六十二条 法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の四十一第一項の規定により、指定性能評価機関が指定の更新を受けようとする場合は、第五十八条及び第五十九条の規定を準用する。 (性能評価の方法) 第六十三条 法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の四十二第一項の国土交通省令で定める方法は、次の各号に定める方法に従い、評価員二名以上によって行うこととする。 一 施行規則第十条の五の二十一第一項各号に掲げる図書をもって行うこと。 二 審査を行うに際し、書類の記載事項に疑義があり、提出された書類のみでは性能評価を行うことが困難であると認めるときは、追加の書類を求めて審査を行うこと。 三 前二号の書類のみでは性能評価を行うことが困難であると認めるときは、第五号の規定により審査を行う場合を除き、申請者にその旨を通知し、当該構造方法、建築材料又はプログラム(次条第二号ロにおいて「構造方法等」という。)の実物又は試験体その他これらに類するものの提出を受け、当該性能評価を行うことが困難であると認める事項について試験その他の方法により審査を行うこと。 四 次に掲げる認定に係る性能評価を行うに当たっては、当該認定の区分に応じ、それぞれ次のイからトまでに掲げる試験方法により性能評価を行うこと。 イ 法第二条第七号から第八号まで、法第二十一条第一項(特定主要構造部の一部に関するものに限る。)、法第二十三条若しくは法第二十七条第一項(特定主要構造部の一部に関するものに限る。)又は令第七十条、令第百八条の三第一号(床又は壁に関するものに限る。)、令第百九条の三第一号若しくは第二号ハ、令第百十二条第二項若しくは第四項第一号、令第百十五条の二第一項第四号若しくは令第百三十七条の二の四第一号ロの規定に基づく認定 次に掲げる基準に適合する試験方法 (1) 実際のものと同一の構造方法及び寸法の試験体を用いるものであること。 ただし、実際のものの性能を適切に評価できる場合においては、異なる寸法とすることができる。 (2) 通常の火災による火熱を適切に再現することができる加熱炉を用い、通常の火災による火熱を適切に再現した加熱により行うものであること。 (3) 試験体(自重、積載荷重又は積雪荷重を支えるものに限る。)に当該試験体の長期に生ずる力に対する許容応力度(以下「長期許容応力度」という。)に相当する力が生じた状態で行うものであること。 ただし、当該試験に係る構造に長期許容応力度に相当する力が生じないことが明らかな場合又はその他の方法により試験体の長期許容応力度に相当する力が生じた状態における性能を評価できる場合においてはこの限りでない。 (4) 当該認定に係る技術的基準に適合することについて適切に判定を行うことができるものであること。 ロ 法第二条第九号又は令第一条第五号若しくは第六号の規定に基づく認定 次に掲げる建築材料の区分に応じ、それぞれ次に定める試験方法 (1) 施行規則別表第二の法第二条第九号の認定に係る評価の項の(い)欄に規定するガス有害性試験不要材料 令第百八条の二第一号及び第二号に掲げる要件を満たしていることを確かめるための基準として次に掲げる基準に適合するもの (i) 実際のものと同一の材料及び寸法の試験体を用いるものであること。 ただし、実際のものの性能を適切に評価できる場合には異なる寸法とすることができる。 (ii) 通常の火災による火熱を適切に再現することができる装置を用い、通常の火災による火熱を適切に再現した加熱により行うものであること。 (iii) 当該認定に係る技術的基準に適合することについて発熱量及びその他の数値により適切に判定を行うことができるものであること。 (2) 施行規則別表第二の法第二条第九号の認定に係る評価の項の(い)欄に規定するガス有害性試験不要材料以外の建築材料 令第百八条の二第一号から第三号までに掲げる要件を満たしていることを確かめるための基準として次に掲げる基準に適合するもの (i) (1)(i)及び(ii)に掲げる基準に適合するものであること。 (ii) 当該認定に係る技術的基準に適合することについて発熱量、有毒性に関する数値及びその他の数値により適切に判定を行うことができるものであること。 ハ 法第二条第九号の二ロ、法第二十七条第一項(防火設備に関するものに限る。)若しくは法第六十一条第一項(防火設備に関するものに限る。)又は令第百八条の三第一号(防火設備に関するものに限る。)、令第百九条の八(防火設備に関するものに限る。)、令第百十二条第一項若しくは第十二項ただし書、令第百十四条第五項、令第百二十九条の二の四第一項第七号ハ若しくは令第百三十七条の十第一号ロ(4)の規定に基づく認定 次に掲げる基準に適合する試験方法 (1) 実際のものと同一の構造方法及び寸法の試験体を用いるものであること。 ただし、実際のものの性能を適切に評価できる場合には異なる寸法とすることができる。 (2) 通常の火災による火熱を適切に再現することができる加熱炉を用い、通常の火災による火熱を適切に再現した加熱により行うものであること。 (3) 当該認定に係る技術的基準に適合することについて適切に判定を行うことができるものであること。 ニ 法第二十二条第一項又は法第六十二条の規定に基づく認定 次に掲げる基準に適合する試験方法 (1) 実際のものと同一の構造方法及び寸法の試験体を用いるものであること。 ただし、実際のものの性能を適切に評価できる場合においては、異なる寸法とすることができる。 (2) 通常の火災による火の粉及び市街地における通常の火災による火の粉を適切に再現することができる装置を用い、通常の火災による火の粉(法第六十二条の規定に基づく認定の評価を行う場合にあっては、市街地における通常の火災による火の粉)を適切に再現した試験により行うものであること。 (3) 当該認定に係る技術的基準に適合することについて適切に判定を行うことができるものであること。 ホ 法第三十条第一項第一号又は第二項の規定に基づく認定 次に掲げる基準に適合する試験方法 (1) 実際のものと同一の構造方法及び寸法の試験体を用いるものであること。 ただし、実際のものの性能を適切に評価できる場合においては、異なる寸法とすることができる。 (2) 試験開口部をはさむ二つの室を用い、一方の室の音源から令第二十二条の三の表の上欄に掲げる振動数の音を発し、もう一方の室で音圧レベルを測定するものであること。 (3) 当該認定に係る技術的基準に適合することについて適切に判定を行うことができるものであること。 ヘ 令第二十条の七第二項から第四項までの規定に基づく認定 次に掲げる基準に適合する試験方法 (1) 実際のものと同一の建築材料及び寸法の試験体を用いるものであること。 ただし、実際のものの性能を適切に評価できる場合においては、異なる寸法とすることができる。 (2) 温度及び湿度を調節できる装置を用い、夏季における温度及び湿度を適切に再現した試験により行うものであること。 ただし、夏季における建築材料からのホルムアルデヒドの発散を適切に再現する場合においては、異なる温度及び湿度により行うことができる。 (3) 当該認定に係る技術的基準に適合することについて適切に判定を行うことができるものであること。 ト 令第四十六条第四項の表一の(八)項又は施行規則第八条の三の規定に基づく認定 次に掲げる基準に適合する試験方法 (1) 実際のものと同一の構造方法及び寸法の試験体を用いるものであること。 ただし、実際のものの性能を適切に評価できる場合においては、異なる寸法とすることができる。 (2) 変位及び加力速度を調整できる装置を用い、繰り返しせん断変形を適切に再現した加力により行うものであること。 (3) 当該認定に係る技術的基準に適合することについて、変位及び耐力により適切に判定を行うことができるものであること。 五 施行規則第十一条の二の三第二項第一号に規定する場合においては、申請者が工場その他の事業場(以下この章において「工場等」という。)において行う試験又は工場等における指定建築材料の製造、検査若しくは品質管理を目視その他適切な方法により確認し、その結果を記載した書類等により審査を行うこと。 (評価員の要件) 第六十四条 法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の四十二第二項の国土交通省令で定める要件は、次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に該当する者であることとする。 一 前条各号に定める方法による審査を行う場合 次のイからハまでのいずれかに該当する者 イ 学校教育法に基づく大学又はこれに相当する外国の学校において建築学、機械工学、電気工学、衛生工学その他の性能評価の業務に関する科目を担当する教授若しくは准教授の職にあり、又はあった者 ロ 建築、機械、電気若しくは衛生その他の性能評価の業務に関する分野の試験研究機関において試験研究の業務に従事し、又は従事した経験を有する者で、かつ、これらの分野について高度の専門的知識を有する者 ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び経験を有すると認める者 二 前条第五号の規定による試験の確認を行う場合 次のイからハまでのいずれかに該当する者 イ 前号イ又はロのいずれかに該当する者 ロ 構造方法等の性能に関する試験の実施、記録、報告等に係る部門の責任者としてこれらの業務に関して五年以上の実務の経験を有する者 ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び経験を有すると認める者 三 前条第五号の規定による製造、検査又は品質管理の確認を行う場合 次のイからハまでのいずれかに該当する者 イ 第一号イ又はロのいずれかに該当する者 ロ 指定建築材料の製造、検査又は品質管理(工場等で行われるものに限る。)に係る部門の責任者としてこれらの業務に関して五年以上の実務の経験を有する者 ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び経験を有すると認める者 (評価員の選任及び解任の届出) 第六十五条 指定性能評価機関は、法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の四十二第三項の規定によりその評価員の選任又は解任を届け出ようとするときは、別記第三十二号様式の指定性能評価機関評価員選任等届出書を国土交通大臣に提出しなければならない。 (性能評価業務規程の認可の申請) 第六十六条 指定性能評価機関は、法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の四十五第一項前段の規定により性能評価の業務に関する規程(以下この章において「性能評価業務規程」という。)の認可を受けようとするときは、別記第三十三号様式の指定性能評価機関性能評価業務規程認可申請書に当該認可に係る性能評価業務規程を添えて、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 2 指定性能評価機関は、法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の四十五第一項後段の規定により性能評価業務規程の変更の認可を受けようとするときは、別記第三十四号様式の指定性能評価機関性能評価業務規程変更認可申請書に当該変更の明細を記載した書面を添えて、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 (性能評価業務規程の記載事項) 第六十七条 法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の四十五第二項の国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 性能評価の業務を行う時間及び休日に関する事項 二 事務所の所在地及びその事務所が性能評価の業務を行う区域に関する事項 三 性能評価の業務の範囲に関する事項 四 性能評価の業務の実施方法に関する事項 五 性能評価に係る手数料の収納の方法に関する事項 六 評価員の選任及び解任に関する事項 七 性能評価の業務に関する秘密の保持に関する事項 八 性能評価の業務の実施体制に関する事項 九 性能評価の業務の公正かつ適確な実施を確保するための措置に関する事項 十 その他性能評価の業務の実施に関し必要な事項 (帳簿) 第六十八条 法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の四十七第一項の性能評価の業務に関する事項で国土交通省令で定めるものは、次のとおりとする。 一 性能評価を申請した者の氏名又は名称及び住所又は主たる事務所の所在地 二 性能評価の申請に係る構造方法、建築材料又はプログラムの種類、名称、構造、材料その他の概要 三 性能評価の申請を受けた年月日 四 第六十三条第五号の規定により審査を行った場合においては、工場等の名称、所在地その他の概要並びに同号の規定による確認を行った年月日及び評価員の氏名 五 審査を行った評価員の氏名 六 性能評価書の交付を行った年月日 2 前項各号に掲げる事項が、電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体に記録され、必要に応じ指定性能評価機関において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもって法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の四十七第一項に規定する帳簿への記載に代えることができる。 3 法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の四十七第一項に規定する帳簿(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)は、第七十一条の規定による引継ぎを完了するまで保存しなければならない。 (図書の保存) 第六十九条 法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の四十七第二項の性能評価の業務に関する書類で国土交通省令で定めるものは、施行規則第十条の五の二十一第一項各号に掲げる図書及び性能評価書の写しその他審査の結果を記載した図書とする。 2 前項の図書が、電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体に記録され、必要に応じ指定性能評価機関において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該ファイル又は電磁的記録媒体をもって同項の図書に代えることができる。 3 法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の四十七第二項に規定する書類(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)は、第七十一条の規定による引継ぎを完了するまで保存しなければならない。 (指定性能評価機関に係る業務の休廃止の許可の申請) 第七十条 指定性能評価機関は、法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の五十第一項の規定により性能評価の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、別記第三十五号様式の指定性能評価機関業務休廃止許可申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。 (処分の公示) 第七十条の二 法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の五十一第三項の規定による公示は、次に掲げる事項について、官報で行うものとする。 一 処分をした年月日 二 処分を受けた指定性能評価機関の名称及び事務所の所在地並びにその者が法人である場合にあっては代表者の氏名 三 処分の内容 四 処分の原因となった事実 (性能評価の業務の引継ぎ) 第七十一条 指定性能評価機関(国土交通大臣が法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の五十一第一項又は第二項の規定により指定性能評価機関の指定を取り消した場合にあっては、当該指定性能評価機関であった者)は、法第七十七条の五十六第二項において準用する法第七十七条の五十二第三項に規定する場合には、次に掲げる事項を行わなければならない。 一 性能評価の業務を国土交通大臣に引き継ぐこと。 二 性能評価の業務に関する帳簿及び書類を国土交通大臣に引き継ぐこと。 三 その他国土交通大臣が必要と認める事項 (指定性能評価機関) 第七十一条の二 指定性能評価機関の名称及び住所、指定の区分、業務区域、性能評価の業務を行う事務所の所在地並びに性能評価の業務の開始の日は、国土交通大臣が官報で告示する。 第七章 承認性能評価機関 (承認性能評価機関に係る承認の申請) 第七十二条 法第七十七条の五十七第一項の規定による承認を受けようとする者は、別記第三十六号様式の承認性能評価機関承認申請書に次に掲げる書類を添えて、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 一 定款及び登記事項証明書又はこれらに準ずるもの 二 申請の日の属する事業年度の前事業年度における財産目録等。 ただし、申請の日の属する事業年度に設立された法人にあっては、その設立時における財産目録等とする。 三 申請者(法人である場合においてはその役員)が法第七十七条の三十七第一号及び第二号に該当しない旨を明らかにする書類 四 第五十八条第三号から第七号まで及び第九号から第十五号までに掲げる書類 (承認性能評価機関に係る名称等の変更の届出) 第七十三条 承認性能評価機関は、法第七十七条の五十七第二項において準用する法第七十七条の三十九第二項の規定によりその名称若しくは住所又は性能評価の業務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、別記第三十七号様式の承認性能評価機関変更届出書を国土交通大臣に提出しなければならない。 (承認性能評価機関の業務区域の変更に係る認可の申請) 第七十四条 承認性能評価機関は、法第七十七条の五十七第二項において準用する法第七十七条の二十二第一項の規定により業務区域の増加に係る認可の申請をしようとするときは、別記第三十八号様式の承認性能評価機関業務区域増加認可申請書に第五十八条第三号から第五号まで、第七号、第十一号、第十四号及び第十五号並びに第七十二条第一号及び第二号に掲げる書類を添えて、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 (承認性能評価機関の業務区域の変更の届出) 第七十五条 承認性能評価機関は、法第七十七条の五十七第二項において準用する法第七十七条の二十二第二項の規定により業務区域の減少の届出をしようとするときは、別記第三十九号様式の承認性能評価機関業務区域減少届出書を国土交通大臣に提出しなければならない。 (評価員の選任及び解任の届出) 第七十六条 承認性能評価機関は、法第七十七条の五十七第二項において準用する法第七十七条の四十二第三項の規定によりその評価員の選任又は解任を届け出ようとするときは、別記第四十号様式の承認性能評価機関評価員選任等届出書を国土交通大臣に提出しなければならない。 (性能評価業務規程の認可の申請) 第七十七条 承認性能評価機関は、法第七十七条の五十七第二項において準用する法第七十七条の四十五第一項前段の規定により性能評価の業務に関する規程(以下この章において「性能評価業務規程」という。)の認可を受けようとするときは、別記第四十一号様式の承認性能評価機関性能評価業務規程認可申請書に当該認可に係る性能評価業務規程を添えて、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 2 指定性能評価機関は、法第七十七条の五十七第二項において準用する法第七十七条の四十五第一項後段の規定により性能評価業務規程の変更の認可を受けようとするときは、別記第四十二号様式の承認性能評価機関性能評価業務規程変更認可申請書に当該変更の明細を記載した書面を添えて、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 (承認性能評価機関に係る業務の休廃止の届出) 第七十八条 承認性能評価機関は、法第七十七条の五十七第二項において準用する法第七十七条の三十四第一項の規定により性能評価の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、別記第四十三号様式の承認性能評価機関業務休廃止届出書を国土交通大臣に提出しなければならない。 (準用) 第七十九条 第五十九条の規定は法第七十七条の五十七第一項の規定による承認の申請に、第五十八条の二及び第六十二条の規定は法第六十八条の二十五第六項の規定による承認に、第六十三条、第六十四条及び第六十七条から第六十九条までの規定は承認性能評価機関に、第五十四条から第五十六条までの規定は法第七十七条の五十七第二項において準用する法第七十七条の四十九第一項の検査について準用する。 第八章 雑則 (権限の委任) 第八十条 法第六条の二第一項(法第八十七条第一項、法第八十七条の四又は法第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)、法第七条の二第一項(法第八十七条の四又は法第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)及び法第四章の二第二節並びに第三十一条に規定する国土交通大臣の権限のうち、その確認検査の業務を一の地方整備局の管轄区域内のみにおいて行う指定確認検査機関に関するものは、当該地方整備局長に委任する。 2 法第十八条の二第一項及び法第四章の二第三節並びに第三十一条の十四に規定する国土交通大臣の権限のうち、その構造計算適合性判定の業務を一の地方整備局の管轄区域内のみにおいて行う指定構造計算適合性判定機関に関するものは、当該地方整備局長に委任する。
建築・住宅
Heisei
Act
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平成十二年法律第百四号
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建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、特定の建設資材について、その分別解体等及び再資源化等を促進するための措置を講ずるとともに、解体工事業者について登録制度を実施すること等により、再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量等を通じて、資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「建設資材」とは、土木建築に関する工事(以下「建設工事」という。)に使用する資材をいう。 2 この法律において「建設資材廃棄物」とは、建設資材が廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第二条第一項に規定する廃棄物をいう。以下同じ。)となったものをいう。 3 この法律において「分別解体等」とは、次の各号に掲げる工事の種別に応じ、それぞれ当該各号に定める行為をいう。 一 建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の全部又は一部を解体する建設工事(以下「解体工事」という。) 建築物等に用いられた建設資材に係る建設資材廃棄物をその種類ごとに分別しつつ当該工事を計画的に施工する行為 二 建築物等の新築その他の解体工事以外の建設工事(以下「新築工事等」という。) 当該工事に伴い副次的に生ずる建設資材廃棄物をその種類ごとに分別しつつ当該工事を施工する行為 4 この法律において建設資材廃棄物について「再資源化」とは、次に掲げる行為であって、分別解体等に伴って生じた建設資材廃棄物の運搬又は処分(再生することを含む。)に該当するものをいう。 一 分別解体等に伴って生じた建設資材廃棄物について、資材又は原材料として利用すること(建設資材廃棄物をそのまま用いることを除く。)ができる状態にする行為 二 分別解体等に伴って生じた建設資材廃棄物であって燃焼の用に供することができるもの又はその可能性のあるものについて、熱を得ることに利用することができる状態にする行為 5 この法律において「特定建設資材」とは、コンクリート、木材その他建設資材のうち、建設資材廃棄物となった場合におけるその再資源化が資源の有効な利用及び廃棄物の減量を図る上で特に必要であり、かつ、その再資源化が経済性の面において制約が著しくないと認められるものとして政令で定めるものをいう。 6 この法律において「特定建設資材廃棄物」とは、特定建設資材が廃棄物となったものをいう。 7 この法律において建設資材廃棄物について「縮減」とは、焼却、脱水、圧縮その他の方法により建設資材廃棄物の大きさを減ずる行為をいう。 8 この法律において建設資材廃棄物について「再資源化等」とは、再資源化及び縮減をいう。 9 この法律において「建設業」とは、建設工事を請け負う営業(その請け負った建設工事を他の者に請け負わせて営むものを含む。)をいう。 10 この法律において「下請契約」とは、建設工事を他の者から請け負った建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部又は一部について締結される請負契約をいい、「発注者」とは、建設工事(他の者から請け負ったものを除く。)の注文者をいい、「元請業者」とは、発注者から直接建設工事を請け負った建設業を営む者をいい、「下請負人」とは、下請契約における請負人をいう。 11 この法律において「解体工事業」とは、建設業のうち建築物等を除却するための解体工事を請け負う営業(その請け負った解体工事を他の者に請け負わせて営むものを含む。)をいう。 12 この法律において「解体工事業者」とは、第二十一条第一項の登録を受けて解体工事業を営む者をいう。 第二章 基本方針等 (基本方針) 第三条 主務大臣は、建設工事に係る資材の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図るため、特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。 2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 一 特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等の基本的方向 二 建設資材廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項 三 特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標の設定その他特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための方策に関する事項 四 特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の促進のための方策に関する事項 五 環境の保全に資するものとしての特定建設資材に係る分別解体等、特定建設資材廃棄物の再資源化等及び特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の意義に関する知識の普及に係る事項 六 その他特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等に関する重要事項 3 主務大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 (実施に関する指針) 第四条 都道府県知事は、基本方針に即し、当該都道府県における特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等の実施に関する指針を定めることができる。 2 都道府県知事は、前項の指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。 (建設業を営む者の責務) 第五条 建設業を営む者は、建築物等の設計及びこれに用いる建設資材の選択、建設工事の施工方法等を工夫することにより、建設資材廃棄物の発生を抑制するとともに、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用を低減するよう努めなければならない。 2 建設業を営む者は、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材(建設資材廃棄物の再資源化により得られた物を使用した建設資材を含む。次条及び第四十一条において同じ。)を使用するよう努めなければならない。 (発注者の責務) 第六条 発注者は、その注文する建設工事について、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用の適正な負担、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材の使用等により、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の促進に努めなければならない。 (国の責務) 第七条 国は、建築物等の解体工事に関し必要な情報の収集、整理及び活用、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の促進に資する科学技術の振興を図るための研究開発の推進及びその成果の普及等必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 2 国は、教育活動、広報活動等を通じて、分別解体等、建設資材廃棄物の再資源化等及び建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の促進に関する国民の理解を深めるとともに、その実施に関する国民の協力を求めるよう努めなければならない。 3 国は、建設資材廃棄物の再資源化等を促進するために必要な資金の確保その他の措置を講ずるよう努めなければならない。 (地方公共団体の責務) 第八条 都道府県及び市町村は、国の施策と相まって、当該地域の実情に応じ、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等を促進するよう必要な措置を講ずることに努めなければならない。 第三章 分別解体等の実施 (分別解体等実施義務) 第九条 特定建設資材を用いた建築物等に係る解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって、その規模が第三項又は第四項の建設工事の規模に関する基準以上のもの(以下「対象建設工事」という。)の受注者(当該対象建設工事の全部又は一部について下請契約が締結されている場合における各下請負人を含む。以下「対象建設工事受注者」という。)又はこれを請負契約によらないで自ら施工する者(以下単に「自主施工者」という。)は、正当な理由がある場合を除き、分別解体等をしなければならない。 2 前項の分別解体等は、特定建設資材廃棄物をその種類ごとに分別することを確保するための適切な施工方法に関する基準として主務省令で定める基準に従い、行わなければならない。 3 建設工事の規模に関する基準は、政令で定める。 4 都道府県は、当該都道府県の区域のうちに、特定建設資材廃棄物の再資源化等をするための施設及び廃棄物の最終処分場における処理量の見込みその他の事情から判断して前項の基準によっては当該区域において生じる特定建設資材廃棄物をその再資源化等により減量することが十分でないと認められる区域があるときは、当該区域について、条例で、同項の基準に代えて適用すべき建設工事の規模に関する基準を定めることができる。 (対象建設工事の届出等) 第十条 対象建設工事の発注者又は自主施工者は、工事に着手する日の七日前までに、主務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。 一 解体工事である場合においては、解体する建築物等の構造 二 新築工事等である場合においては、使用する特定建設資材の種類 三 工事着手の時期及び工程の概要 四 分別解体等の計画 五 解体工事である場合においては、解体する建築物等に用いられた建設資材の量の見込み 六 その他主務省令で定める事項 2 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち主務省令で定める事項を変更しようとするときは、その届出に係る工事に着手する日の七日前までに、主務省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。 3 都道府県知事は、第一項又は前項の規定による届出があった場合において、その届出に係る分別解体等の計画が前条第二項の主務省令で定める基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から七日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る分別解体等の計画の変更その他必要な措置を命ずることができる。 (国等に関する特例) 第十一条 国の機関又は地方公共団体は、前条第一項の規定により届出を要する行為をしようとするときは、あらかじめ、都道府県知事にその旨を通知しなければならない。 (対象建設工事の届出に係る事項の説明等) 第十二条 対象建設工事(他の者から請け負ったものを除く。次項において同じ。)を発注しようとする者から直接当該工事を請け負おうとする建設業を営む者は、当該発注しようとする者に対し、少なくとも第十条第一項第一号から第五号までに掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。 2 前項の建設業を営む者は、同項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、同項の対象建設工事を発注しようとする者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって主務省令で定めるものにより提供することができる。 この場合において、当該建設業を営む者は、当該書面を交付したものとみなす。 3 対象建設工事受注者は、その請け負った建設工事の全部又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせようとするときは、当該他の建設業を営む者に対し、当該対象建設工事について第十条第一項の規定により届け出られた事項(同条第二項の規定による変更の届出があった場合には、その変更後のもの)を告げなければならない。 (対象建設工事の請負契約に係る書面の記載事項) 第十三条 対象建設工事の請負契約(当該対象建設工事の全部又は一部について下請契約が締結されている場合における各下請契約を含む。以下この条において同じ。)の当事者は、建設業法(昭和二十四年法律第百号)第十九条第一項に定めるもののほか、分別解体等の方法、解体工事に要する費用その他の主務省令で定める事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。 2 対象建設工事の請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に規定する事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。 3 対象建設工事の請負契約の当事者は、前二項の規定による措置に代えて、政令で定めるところにより、当該契約の相手方の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって、当該各項の規定による措置に準ずるものとして主務省令で定めるものを講ずることができる。 この場合において、当該主務省令で定める措置を講じた者は、当該各項の規定による措置を講じたものとみなす。 (助言又は勧告) 第十四条 都道府県知事は、対象建設工事受注者又は自主施工者の分別解体等の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、基本方針(第四条第二項の規定により同条第一項の指針を公表した場合には、当該指針)を勘案して、当該対象建設工事受注者又は自主施工者に対し、分別解体等の実施に関し必要な助言又は勧告をすることができる。 (命令) 第十五条 都道府県知事は、対象建設工事受注者又は自主施工者が正当な理由がなくて分別解体等の適正な実施に必要な行為をしない場合において、分別解体等の適正な実施を確保するため特に必要があると認めるときは、基本方針(第四条第二項の規定により同条第一項の指針を公表した場合には、当該指針)を勘案して、当該対象建設工事受注者又は自主施工者に対し、分別解体等の方法の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 第四章 再資源化等の実施 (再資源化等実施義務) 第十六条 対象建設工事受注者は、分別解体等に伴って生じた特定建設資材廃棄物について、再資源化をしなければならない。 ただし、特定建設資材廃棄物でその再資源化について一定の施設を必要とするもののうち政令で定めるもの(以下この条において「指定建設資材廃棄物」という。)に該当する特定建設資材廃棄物については、主務省令で定める距離に関する基準の範囲内に当該指定建設資材廃棄物の再資源化をするための施設が存しない場所で工事を施工する場合その他地理的条件、交通事情その他の事情により再資源化をすることには相当程度に経済性の面での制約があるものとして主務省令で定める場合には、再資源化に代えて縮減をすれば足りる。 第十七条 都道府県は、当該都道府県の区域における対象建設工事の施工に伴って生じる特定建設資材廃棄物の発生量の見込み及び廃棄物の最終処分場における処理量の見込みその他の事情を考慮して、当該都道府県の区域において生じる特定建設資材廃棄物の再資源化による減量を図るため必要と認めるときは、条例で、前条の距離に関する基準に代えて適用すべき距離に関する基準を定めることができる。 (発注者への報告等) 第十八条 対象建設工事の元請業者は、当該工事に係る特定建設資材廃棄物の再資源化等が完了したときは、主務省令で定めるところにより、その旨を当該工事の発注者に書面で報告するとともに、当該再資源化等の実施状況に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。 2 前項の規定による報告を受けた発注者は、同項に規定する再資源化等が適正に行われなかったと認めるときは、都道府県知事に対し、その旨を申告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。 3 対象建設工事の元請業者は、第一項の規定による書面による報告に代えて、政令で定めるところにより、同項の発注者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって主務省令で定めるものにより通知することができる。 この場合において、当該元請業者は、当該書面による報告をしたものとみなす。 (助言又は勧告) 第十九条 都道府県知事は、対象建設工事受注者の特定建設資材廃棄物の再資源化等の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、基本方針(第四条第二項の規定により同条第一項の指針を公表した場合には、当該指針)を勘案して、当該対象建設工事受注者に対し、特定建設資材廃棄物の再資源化等の実施に関し必要な助言又は勧告をすることができる。 (命令) 第二十条 都道府県知事は、対象建設工事受注者が正当な理由がなくて特定建設資材廃棄物の再資源化等の適正な実施に必要な行為をしない場合において、特定建設資材廃棄物の再資源化等の適正な実施を確保するため特に必要があると認めるときは、基本方針(第四条第二項の規定により同条第一項の指針を公表した場合には、当該指針)を勘案して、当該対象建設工事受注者に対し、特定建設資材廃棄物の再資源化等の方法の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 第五章 解体工事業 (解体工事業者の登録) 第二十一条 解体工事業を営もうとする者(建設業法別表第一の下欄に掲げる土木工事業、建築工事業又は解体工事業に係る同法第三条第一項の許可を受けた者を除く。)は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。 2 前項の登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。 3 前項の更新の申請があった場合において、同項の期間(以下「登録の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の登録は、登録の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。 4 前項の場合において、登録の更新がされたときは、その登録の有効期間は、従前の登録の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。 5 第一項の登録(第二項の登録の更新を含む。以下「解体工事業者の登録」という。)を受けた者が、第一項に規定する許可を受けたときは、その登録は、その効力を失う。 (登録の申請) 第二十二条 解体工事業者の登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。 一 商号、名称又は氏名及び住所 二 営業所の名称及び所在地 三 法人である場合においては、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。次号及び第二十四条第一項において同じ。)の氏名 四 未成年者である場合においては、その法定代理人の氏名及び住所(法定代理人が法人である場合においては、その商号又は名称及び住所並びにその役員の氏名) 五 第三十一条に規定する者の氏名 2 前項の申請書には、解体工事業者の登録を受けようとする者が第二十四条第一項各号に該当しない者であることを誓約する書面その他主務省令で定める書類を添付しなければならない。 (登録の実施) 第二十三条 都道府県知事は、前条の規定による申請書の提出があったときは、次条第一項の規定により登録を拒否する場合を除くほか、次に掲げる事項を解体工事業者登録簿に登録しなければならない。 一 前条第一項各号に掲げる事項 二 登録年月日及び登録番号 2 都道府県知事は、前項の規定による登録をしたときは、遅滞なく、その旨を申請者に通知しなければならない。 (登録の拒否) 第二十四条 都道府県知事は、解体工事業者の登録を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。 一 第三十五条第一項の規定により登録を取り消され、その処分のあった日から二年を経過しない者 二 解体工事業者で法人であるものが第三十五条第一項の規定により登録を取り消された場合において、その処分のあった日前三十日以内にその解体工事業者の役員であった者でその処分のあった日から二年を経過しないもの 三 第三十五条第一項の規定により事業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者 四 この法律又はこの法律に基づく処分に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者 五 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(第九号において「暴力団員等」という。) 六 解体工事業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号のいずれかに該当するもの 七 法人でその役員のうちに第一号から第五号までのいずれかに該当する者があるもの 八 第三十一条に規定する者を選任していない者 九 暴力団員等がその事業活動を支配する者 2 都道府県知事は、前項の規定により登録を拒否したときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を申請者に通知しなければならない。 (変更の届出) 第二十五条 解体工事業者は、第二十二条第一項各号に掲げる事項に変更があったときは、その日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。 2 都道府県知事は、前項の規定による届出を受理したときは、当該届出に係る事項が前条第一項第六号から第八号までのいずれかに該当する場合を除き、届出があった事項を解体工事業者登録簿に登録しなければならない。 3 第二十二条第二項の規定は、第一項の規定による届出について準用する。 (解体工事業者登録簿の閲覧) 第二十六条 都道府県知事は、解体工事業者登録簿を一般の閲覧に供しなければならない。 (廃業等の届出) 第二十七条 解体工事業者が次の各号のいずれかに該当することとなった場合においては、当該各号に定める者は、その日から三十日以内に、その旨を都道府県知事(第五号に掲げる場合においては、当該廃止した解体工事業に係る解体工事業者の登録をした都道府県知事)に届け出なければならない。 一 死亡した場合 その相続人 二 法人が合併により消滅した場合 その法人を代表する役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。第五号において同じ。)であった者 三 法人が破産手続開始の決定により解散した場合 その破産管財人 四 法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合 その清算人 五 その登録に係る都道府県の区域内において解体工事業を廃止した場合 解体工事業者であった個人又は解体工事業者であった法人を代表する役員 2 解体工事業者が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、解体工事業者の登録は、その効力を失う。 (登録の抹消) 第二十八条 都道府県知事は、第二十一条第二項若しくは第五項若しくは前条第二項の規定により登録がその効力を失ったとき、又は第三十五条第一項の規定により登録を取り消したときは、当該解体工事業者の登録を抹消しなければならない。 (登録の取消し等の場合における解体工事の措置) 第二十九条 解体工事業者について、第二十一条第二項若しくは第二十七条第二項の規定により登録が効力を失ったとき、又は第三十五条第一項の規定により登録が取り消されたときは、当該解体工事業者であった者又はその一般承継人は、登録がその効力を失う前又は当該処分を受ける前に締結された請負契約に係る解体工事に限り施工することができる。 この場合において、これらの者は、登録がその効力を失った後又は当該処分を受けた後、遅滞なく、その旨を当該解体工事の注文者に通知しなければならない。 2 都道府県知事は、前項の規定にかかわらず、公益上必要があると認めるときは、当該解体工事の施工の差止めを命ずることができる。 3 第一項の規定により解体工事を施工する解体工事業者であった者又はその一般承継人は、当該解体工事を完成する目的の範囲内においては、解体工事業者とみなす。 4 解体工事の注文者は、第一項の規定により通知を受けた日又は同項に規定する登録がその効力を失ったこと、若しくは処分があったことを知った日から三十日以内に限り、その解体工事の請負契約を解除することができる。 (解体工事の施工技術の確保) 第三十条 解体工事業者は、解体工事の施工技術の確保に努めなければならない。 2 主務大臣は、前項の施工技術の確保に資するため、必要に応じ、講習の実施、資料の提供その他の措置を講ずるものとする。 (技術管理者の設置) 第三十一条 解体工事業者は、工事現場における解体工事の施工の技術上の管理をつかさどる者で主務省令で定める基準に適合するもの(以下「技術管理者」という。)を選任しなければならない。 (技術管理者の職務) 第三十二条 解体工事業者は、その請け負った解体工事を施工するときは、技術管理者に当該解体工事の施工に従事する他の者の監督をさせなければならない。 ただし、技術管理者以外の者が当該解体工事に従事しない場合は、この限りでない。 (標識の掲示) 第三十三条 解体工事業者は、主務省令で定めるところにより、その営業所及び解体工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、商号、名称又は氏名、登録番号その他主務省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。 (帳簿の備付け等) 第三十四条 解体工事業者は、主務省令で定めるところにより、その営業所ごとに帳簿を備え、その営業に関する事項で主務省令で定めるものを記載し、これを保存しなければならない。 (登録の取消し等) 第三十五条 都道府県知事は、解体工事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は六月以内の期間を定めてその事業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。 一 不正の手段により解体工事業者の登録を受けたとき。 二 第二十四条第一項第二号又は第四号から第九号までのいずれかに該当することとなったとき。 三 第二十五条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。 2 第二十四条第二項の規定は、前項の規定による処分をした場合に準用する。 (主務省令への委任) 第三十六条 この章に定めるもののほか、解体工事業者登録簿の様式その他解体工事業者の登録に関し必要な事項については、主務省令で定める。 (報告及び検査) 第三十七条 都道府県知事は、当該都道府県の区域内で解体工事業を営む者に対して、特に必要があると認めるときは、その業務又は工事施工の状況につき、必要な報告をさせ、又はその職員をして営業所その他営業に関係のある場所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査し、若しくは関係者に質問させることができる。 2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。 3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。 第六章 雑則 (分別解体等及び再資源化等に要する費用の請負代金の額への反映) 第三十八条 国は、特定建設資材に係る資源の有効利用及び特定建設資材廃棄物の減量を図るためには、対象建設工事の発注者が分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用を適正に負担することが重要であることにかんがみ、当該費用を建設工事の請負代金の額に適切に反映させることに寄与するため、この法律の趣旨及び内容について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解と協力を得るよう努めなければならない。 (下請負人に対する元請業者の指導) 第三十九条 対象建設工事の元請業者は、各下請負人が自ら施工する建設工事の施工に伴って生じる特定建設資材廃棄物の再資源化等を適切に行うよう、当該対象建設工事における各下請負人の施工の分担関係に応じて、各下請負人の指導に努めなければならない。 (再資源化をするための施設の整備) 第四十条 国及び地方公共団体は、対象建設工事受注者による特定建設資材廃棄物の再資源化の円滑かつ適正な実施を確保するためには、特定建設資材廃棄物の再資源化をするための施設の適正な配置を図ることが重要であることにかんがみ、当該施設の整備を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 (利用の協力要請) 第四十一条 主務大臣又は都道府県知事は、対象建設工事の施工に伴って生じる特定建設資材廃棄物の再資源化の円滑な実施を確保するため、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材の利用を促進することが特に必要であると認めるときは、主務大臣にあっては関係行政機関の長に対し、都道府県知事にあっては新築工事等に係る対象建設工事の発注者(国を除く。)に対し、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材の利用について必要な協力を要請することができる。 (報告の徴収) 第四十二条 都道府県知事は、特定建設資材に係る分別解体等の適正な実施を確保するために必要な限度において、政令で定めるところにより、対象建設工事の発注者、自主施工者又は対象建設工事受注者に対し、特定建設資材に係る分別解体等の実施の状況に関し報告をさせることができる。 2 都道府県知事は、特定建設資材廃棄物の再資源化等の適正な実施を確保するために必要な限度において、政令で定めるところにより、対象建設工事受注者に対し、特定建設資材廃棄物の再資源化等の実施の状況に関し報告をさせることができる。 (立入検査) 第四十三条 都道府県知事は、特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の適正な実施を確保するために必要な限度において、政令で定めるところにより、その職員に、対象建設工事の現場又は対象建設工事受注者の営業所その他営業に関係のある場所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。 2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。 (主務大臣等) 第四十四条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。 一 第三条第一項の規定による基本方針の策定並びに同条第三項の規定による基本方針の変更及び公表に関する事項 国土交通大臣、環境大臣、農林水産大臣及び経済産業大臣 二 第三十条第二項の規定による措置及び第四十一条の規定による協力の要請に関する事項 国土交通大臣 2 この法律における主務省令は、国土交通大臣及び環境大臣の発する命令とする。 ただし、第十条第一項及び第二項、第十二条第二項、第十三条第一項及び第三項、第二十二条第二項、第三十一条、第三十三条、第三十四条、第三十六条並びに次条の主務省令については、国土交通大臣の発する命令とする。 (権限の委任) 第四十五条 第四十一条の規定による主務大臣の権限は、主務省令で定めるところにより、地方支分部局の長に委任することができる。 (政令で定める市町村の長による事務の処理) 第四十六条 この法律の規定により都道府県知事の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、政令で定める市町村(特別区を含む。)の長が行うこととすることができる。 (経過措置) 第四十七条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。 第七章 罰則 第四十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 一 第二十一条第一項の規定に違反して登録を受けないで解体工事業を営んだ者 二 不正の手段によって第二十一条第一項の登録(同条第二項の登録の更新を含む。)を受けた者 三 第三十五条第一項の規定による事業の停止の命令に違反して解体工事業を営んだ者 第四十九条 第十五条又は第二十条の規定による命令に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。 第五十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。 一 第十条第三項の規定による命令に違反した者 二 第二十五条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者 第五十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。 一 第十条第一項又は第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者 二 第二十九条第一項後段の規定による通知をしなかった者 三 第三十一条の規定に違反して技術管理者を選任しなかった者 四 第三十七条第一項又は第四十二条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者 五 第三十七条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者 六 第四十三条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者 第五十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第四十八条から前条までの違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。 第五十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の過料に処する。 一 第十八条第一項の規定に違反して、記録を作成せず、若しくは虚偽の記録を作成し、又は記録を保存しなかった者 二 第二十七条第一項の規定による届出を怠った者 三 第三十三条の規定による標識を掲げない者 四 第三十四条の規定に違反して、帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかった者
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